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1978-05-11 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十一日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 高鳥  修君    理事 藤尾 正行君 理事 村田敬次郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       小島 静馬君    関谷 勝嗣君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       萩原 幸雄君    増田甲子七君       上田 卓三君    木原  実君       島田 琢郎君    安井 吉典君       新井 彬之君    市川 雄一君       柴田 睦夫君    中川 秀直君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君  出席政府委員         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省構造改善         局長      大場 敏彦君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林省畜産局長 杉山 克己君         農林省食品流通         局長      犬伏 孝治君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         林野庁林政部長 石川  弘君         水産庁長官   森  整治君  委員外出席者         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 宮沢  香君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     藤田 恒雄君         厚生省薬務局安         全課長     代田久米雄君         農林大臣官房文         書課長     藤田 英一君         農林省畜産局薬         事室長     畦地 速見君         林野庁林政部林         政課長     後藤 康夫君         運輸省港湾局技         術参事官    久田 安夫君         参  考  人         (畜産振興事業         団理事長)   太田 康二君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     篠田 弘作君   小島 静馬君     佐々木義武君   塚原 俊平君     原 健三郎君 同日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     小島 静馬君   篠田 弘作君     宇野  亨君   原 健三郎君     塚原 俊平君 同月十一日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     島田 琢郎君   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   島田 琢郎君     山花 貞夫君   中川 秀直君     田川 誠一君     ————————————— 五月九日  旧海軍特務士官准士官恩給格付是正に関す  る請願愛知和男紹介)(第四一二八号)  同(天野光晴紹介)(第四一二九号)  同(小川平二紹介)(第四一三〇号)  同(粕谷茂紹介)(第四一三一号)  同(齋藤邦吉紹介)(第四一三二号)  同(住栄作紹介)(第四一三三号)  同(田中六助紹介)(第四一三四号)  同(玉生孝久紹介)(第四一三五号)  同(地崎宇三郎紹介)(第四一三六号)  同(羽田孜紹介)(第四一三七号)  同(葉梨信行紹介)(第四一三八号)  同(原田憲紹介)(第四一三九号)  同(藤井勝志紹介)(第四一四〇号)  同(古屋亨紹介)(第四一四一号)  同(三原朝雄紹介)(第四一四二号)  同(武藤嘉文紹介)(第四一四三号)  同(森喜朗紹介)(第四一四四号)  同(稻葉修君紹介)(第四二〇二号)  同(加藤紘一紹介)(第四二〇三号)  同(倉石忠雄紹介)(第四二〇四号)  同(河野洋平紹介)(第四二〇五号)  同(澁谷直藏紹介)(第四二〇六号)  同(塚原俊平紹介)(第四二〇七号)  同(中野四郎紹介)(第四二〇八号)  同(福田篤泰紹介)(第四二〇九号)  同(増岡博之紹介)(第四二一〇号) 同月十日  旧海軍特務士官准士官恩給格付是正に関す  る請願宇野亨紹介)(第四三〇一号)  同(受田新吉紹介)(第四三〇二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四三〇三号)  同(左藤恵紹介)(第四三〇四号)  同(原健三郎紹介)(第四三〇五号)  同(宮崎茂一紹介)(第四三〇六号)  同(辻英雄紹介)(第四三四六号)  同(足立篤郎紹介)(第四三六〇号)  同(綿貫民輔紹介)(第四三六一号)  同(江藤隆美紹介)(第四三八〇号)  同(山崎平八郎紹介)(第四三八一号)  同(始関伊平紹介)(第四三八八号)  同(田川誠一紹介)(第四三八九号)  同(前尾繁三郎紹介)(第四三九〇号)  同(河本敏夫紹介)(第四三九一号)  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  柴田睦夫紹介)(第四三〇七号)  同(浦井洋紹介)(第四三八六号)  同(柴田睦夫紹介)(第四三八七号)  国家公務員賃金改定に関する請願島本虎三  君紹介)(第四三六二号)  軍嘱託の旧特務機関員恩給給付に関する請願  (原健三郎紹介)(第四三九二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案審査のため、本日、畜産振興事業団理事長太田康二君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。      ————◇—————
  4. 始関伊平

    始関委員長 農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新井彬之君。
  5. 新井彬之

    新井委員 農林省に対しまして、いまからいろいろ質問させていただくわけでありますが、農林省というのは非常に大事な省であるということを、私は常日ごろから考えておるわけでございます。これはどう考えてみましても、食衣住人間の一番基本でございます。その中で食糧問題、これは穀物あるいはまた水産業、そういうことをひっくるめましてのこれからの農林省の方針が、日本の国にとっても非常に大事な、国民にとっても大事な部分を担っておられるということを感じておるわけでございます。そういう中で、非常に多方面にわたっての行政を行っておられますために、こちらもはなはだわからない部分も多々あるわけでございます。そういうわけで、一国民質問をしているのだというようなことで、よくわかるようにひとつ答弁をお願いをいたしておきます。  初めに、福田総理の今度の訪米の際に、ワシントンでの内外の記者会見においても総理は、牛肉価格が大幅に下がる見通しはどうか、そうなると牛肉消費がふえ、米国などからの輸入もふえると思うがどうか、こういう質問に答えまして、牛肉問題については牛場ストラウス会談でその原則が決まり、その細目についての協議が続けられている、私は農相にも牛肉値段を下げるためあらゆる努力をするよう指示している、そういうことになれば国内消費もふえ、輸入も増加してくると思う、こういうように答えている。  報道によりますと、議会筋には根強い日本輸入制限に対する不信感、不満があるというが、牛肉に限らずオレンジ、グレープフルーツ、製材などの輸入に対しては、今後も従来の政策というのを堅持していくのかどうか。国外からの圧力国内からの圧力外圧内圧というのをどのようにやっていくのか。これは今後また東京ラウンドということで牛場ストラウス会談などでいろいろと詰めの話が行われてまいると思いますけれども、そういう問題に対して、農林省基本的にはどのような対策を講じているのか、お伺いをしておきたいと思います。
  6. 中川一郎

    中川国務大臣 昨年ごろから特にアメリカから農産物輸入について非常に強い関心がありまして、特に牛肉オレンジあるいはジュース、それから木材、こういったものに強い関心がございましたが、ことしの一月、御承知のように、アメリカとの関係においては調整が終わったわけでございます。その基本とするところは、わが国農政支障を与えない、こういう範囲調整を行うということにして話し合いがまとまったわけでございます。そこで、今回総理が参りました際は、政府間においては二国間の話はなかった。ただ議員さんその他からいろんな意見が出て、ただいま御指摘のようなことがあったようでございます。  そこで、今後ともできる限りの調整はしてまいりたいとは思いますが、基本線はやはり食糧というものは自給率を高めなければいけない。特に総理大臣がはっきり言いましたように、もし外圧によってこれ以上農村人口が減る、農業離れするというようなことになりますと、かつて三割、五割からあった農村人口が現在一割である、これ以上農村人口が減ることはわが国の健全な社会発展の上にとって大きな影響があるのだ、こういう基本的なことを申しておりますが、私どもも全くそのとおりに考えておりまして、わが国農村に悪影響を与えるような輸入はしないということでアメリカ関係調整してまいりたいし、この夏まとめ上げようとしておりますMTN、東京ラウンドの作業に当たりましても、全くこの調整に応じないというわけではありませんけれども農政支障を与えない範囲内においてぎりぎりの協力をいたしたい、こういうことを基本として対処し、世界各国の理解を得たい。これはアメリカだけじゃなくて、ECあるいは豪州、ニュージーランド等多くの国々がいろんな意見を持っておりますので、多くの国々に対してそういったことをよく説明をして、できるだけ協力をする。  ただ、牛肉についてもそうでございますが、外圧よりはむしろ内圧で非常に高いという声もありますので、これは消費者のことも考えて、消費者価格が下がるように努力をしなければいかぬ。肉について言うならば、流通過程が非常に複雑で高いという非難もありますので、こういった点について特に今年度の予算から相当前倒しによって流通コストを下げる、また生産対策においても、ことしは牛肉と乳製品については値上げはしない、そのかわりえさ対策とかあるいは金融対策とか、いろいろな生産対策を講じて、実質農家の経済もよくなり、ひいてはそれがまた消費者にサービスになる、こういう方向で対処していることであり、肉以外につきましてもそういった配慮をしていかなければならない、農政はそういう方向に目を向けていきたい、こう思う次第でございます。
  7. 新井彬之

    新井委員 非常に貿易の収支が違うということで外圧が非常に強いわけでございますが、これは農産物等の安いものをいろいろ入れるといっても、そんなもので解決ができる問題じゃございませんので、当然やはりもっと本来の姿の黒字基調といいますか、そういうものを見直していくということをやっていかなければいかぬ、私も当然そういうぐあいに思うわけです。  そこで、食糧の問題というのは二通り物事が考えられると思いますけれども一つは、たとえて言いますと、牛肉の場合、日本畜産農家の方々が本当にこれから牛肉というものを国民に対して供給ができるような体制になり得るかどうかという問題ですね、そういう問題も一つございますし、それからもう一つは、諸外国の情勢の中で牛肉というものの今後の生産がどのような方向に向いて、実際問題として安定的な供給輸入ができるかということが逆にあるわけです。  そうしますと、アメリカにおきましても輸出国であり輸入国であるというようなことがございますし、牛肉一つとりましても、安定的な供給というものはなかなかできないのではないかという見方があります。たとえて言いますと、日本の国が、じゃたくさん買いましょうということで一たん買いますと、値段が急に上がってくる。そうすると、輸出国自体牛肉値段が上がってしまうということもあるようでございますし、それがちょっと多くなりますと、これは当然輸出規制というような問題になってくる、こういうような問題がありますから、これからの牛肉の世界的なそういう状況から見て、一体どういう方向へこれが進んでいくのか、生産がどのような方向に進むのか、そういうことの見通しについてはどのように見ておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  8. 杉山克己

    杉山政府委員 牛肉わが国需要につきましては、六十年見通しにおきまして年率約四・二%で伸びるというふうに見通しているところでございます。今日までの状況を見ましても、ほぼそのような状態で年々伸びが見られるところでございます。これに対しまして生産の方はどうかと言いますと、六十年見通しにおきましては年率四・四%で、この年率というのは六十年までの伸びを年に平均して直せばということで、毎年必ずというわけではございませんが、平均に直したその年率が四・四%ということで見ておるわけでございます。しかしながら、現実には、四十八年に生産が国際的な大変動を受けまして著しく落ち込んで、その後ようやく五十一年に回復して、四十七年水準に戻ったというような状況でございます。したがいまして、生産の方は見通しを下回ったような状況でしか伸びていない。こういう状況からいたしましても、全体的に見ますれば、今後国内でもって需要量の全体を賄うということはなかなかむずかしいのではないか。そうなりますと、やはり不足分輸入せざるを得ないというふうに考えられるわけでございます。   一方、国際的な需給事情はどうかということでございますが、これはいろいろな見方がございますけれども、国際的な権威ある機関としてのOECDなりあるいはFAOの将来見通しを見てみますと、そう遠くない将来において国際的な需給関係供給不足が出てくるであろうというような、数量的には幅のある数字でございますが、百万トンとか二百万トンとか、その程度供給不足が出てくるであろうというような見通しが立てられております。  そういうようなことを考え合わせますと、国内生産を今後とも大いに振興を図って、できるだけ自給を高めていくということは必要だろうと私ども考えております。いまのところ、むしろ国際的に日本牛肉を買え、買えという圧力が強うございますが、状況によって、将来は必ずしもそうばかりでもあるまいというようなことも考えられるわけでございます。そういうような観点から、国産牛肉振興を図っていく必要があるというふうに考えております。
  9. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、国産の肉牛は今後どんどん生産を図っていくのだけれども消費に見合うまではなかなか時間がかかるということに対する見通しというものはまだ立っていないわけですか。  それからもう一つは、百万トン程度不足するというのはどの程度の時期なのか、それについてもう一度お伺いしたいと思います。
  10. 杉山克己

    杉山政府委員 先ほど申し上げましたように、四十七年を基準とする六十年見通し、「農産物需要生産長期見通し」という段階におきましては、需要が四・二、生産が四・四%の伸びということで一応の見通しを立てたわけでございます。ただ、現実に今日までどういう状況かと言うと、需要の方は若干ではありますが、むしろ上回るような伸びが見られる。それに対して生産の方は必ずしも追いつかない。今後努力をいたしましても、牛肉生産というのは土地条件に非常に制約をされる、それから懐妊期間がきわめて長いという動物でありますので、その辺の制約がありまして、そう大々的に伸びるということは期待しがたい、したがいまして、相当程度不足するということは今後とも考えられるわけでございます。その意味で、その分については、これは国民にとって大事な食糧でございますから、できるだけ安定的に輸入を確保していくということも一面必要でございます。  それから国際的に需給関係はどうかということについて、先ほど申し上げましたように、八〇年見通しというのをOECDで立てているわけでございますが、その見通しでは百万トン程度不足、正確な数字は後ほど資料でまた確認いたしますが、そういうふうに見通されておるわけでございます。ただ、これは一つ政策努力といいますか、意欲を促すための見通しでございますから、そういうことであるならば、増産に励むとか対策を講ずるというようなこともまた反面出てくるわけでありまして、そのときに絶対的に必ず不足するという話でもない。そこは、国際的な全体としての生産に対する努力等も今後また生まれてくるものというふうには考えております。しかし、いつまでも供給過剰で安い価格牛肉がいつでも手に入るというものではないというような考え方をとっているところでございます。
  11. 新井彬之

    新井委員 日本の国は非常に狭い国土ですね。それから牛の種類によりましても、どういうような牛が育ちやすいかというような問題等がありますけれども、私もニュージーランドあるいはオーストラリア、アルゼンチン、ブラジル、そういうところへ行かしていただきまして、いろいろ見させていただいたわけでございますが、ああいうような広大な土地、それからまた緑が非常にある、ああいうところで本当は放牧して牛を飼うということが当然じゃないか。といいますのは、これはまた別の話になりますけれども配合飼料等での飼育によりますと健康な畜産物というものができないといいますか、そういうような面が多々あるようにお伺いをしておるわけでございます。  本来、農業というのは、その地域に生える牧草といいますか、そういうものを食べて、そしてそのふんとか尿がまた土地に還元されて、有機的な非常にいい土壌の中に再生産がされていく、こういうような形の中で人間生活というのが比較的健康で安定的に保たれてきたというような経緯があるように私考えておるわけでございます。それでは日本の中で、たとえて言いますと、昭和六十年時点で一体何頭の牛がいればいいのか。それから飼育する土地、いまから考えて場所がちゃんと設定できるのかどうか。それから、最高限度としてどの程度土地があれば自給率が一〇〇%になるのだというようなことについてはどういうような考え方をされておりますか。
  12. 杉山克己

    杉山政府委員 その前に、ちょっと先ほどの国際的な需給見通しのことについてもう少し正確に申し上げますと、見通しFAOとそれからOECDの二通りあるわけでございます。私、百万トンと申し上げましたのは、一九八〇年についてのFAO見通し数字でございます。これは、需要生産を百一万八千トン上回るという見通しになっております。それからOECD見通しは、これは社会主義諸国の分を除いております。つまりOECDに加盟しておる国とオーストラリアの分を集計しておるのでございますが、一九八五年の見通し、これは約二百万トン、百九十万八千トンの不足を来す、こういう見通しになっておるわけでございます。  それから牛肉生産のあり方、これは自給飼料、草によるべきを基本とすべきであるという御意見、ごもっともであると思います。私どもも、その意味自給飼料に対する依存率をできるだけ高めていく、購入飼料濃厚飼料に対する依存率がいまかなり高まっておりますが、これを自給飼料にできるだけ切りかえていくということを考えておるわけでございます。  そこで、どれだけの土地があったらいいか、またどれだけの土地の造成を考えているかということでございますが、飼料作物作付面積につきましては、四十七年は七十六万八千ヘクタールございました。六十年見通しでは、これを倍近くの百四十六万九千ヘクタールまで持っていくということにいたしております。この場合の大家畜に対する粗飼料、つまりグラスの自給率、これは六七%まで上げるということに見込んでおるわけでございます。五十一年、五十二年のこの粗飼料自給率は、五十二年の場合で五七・一%ということで、まだかなり流通飼料濃厚飼料に対する依存率が高うございます。  それから牛の頭数についてでございますが、四十七年で百七十七万六千頭でございますが、これを六十年見通しでは三百三十万五千頭まで持っていくということで見通しているわけでございます。これが現実、先ほど申し上げましたように、なかなかそのペースでは生産伸びておらない。五十一年にようやく計画当初の、基準年次でありましたところの四十七年水準に回復し得たという状況でございます。五十二年に若干の伸びは見られておりますが、この六十年見通しベースで今後生産を上げていくということについては、なかなか困難な事情がある状況にあるわけでございます。
  13. 新井彬之

    新井委員 そうすると、さっき四・二%、四・四%という見通しを聞きましたが、昭和六十年に三百三十万頭になったとき、そのときについての自給率というのは何%になっていますか。
  14. 杉山克己

    杉山政府委員 牛肉についての自給率は八一%ということで見ておるわけでございます。
  15. 新井彬之

    新井委員 食糧というのは、非常にバランスといいますか、いろいろあると思います。たとえて言いますと、現在牛肉が高いから鶏が売れる、あるいは豚が売れるということで、非常に消費伸びるわけです。あるいはまた、魚を食べようということになりますね。そうしますと、現在の牛肉消費量のパーセント、その中において、昭和六十年には鶏と豚と牛肉と魚とで比率はどのように変わりますか。
  16. 杉山克己

    杉山政府委員 六十年の見通しにおきましては、牛肉は一人当たりの純食料としての消費量三・六キログラムというふうに見込んでおります。これは、四十七年が二・四キロでございますから、ちょうど五割方ふえるというふうに見ておるわけでございます。豚肉は一人当たりで五・六キロが七・五キロ、鶏肉は四・七キロが五・七キロ、こういう見通しでおったわけでございますが、現在までのところ、牛肉需要はこのペースにほぼ沿ったような伸び方を示しておりますものの、豚肉鶏肉、いずれもこのベースをはるかに上回るような、特に鶏肉につきましては、全体的な水準がすでに六十年目標を突破するような高い水準に達しておりまして、必ずしもこの目標どおり伸び方ではないというような実情が見られるところでございます。
  17. 新井彬之

    新井委員 私もそういうデータはちょっと見さしていただいておるのですが、非常に根拠的にあいまいだなということを感ずるわけです。たとえて言いますと、すき焼きをたくさん食った後に豚肉も鶏も食えと言ったって、食えないですよ。豚カツを食べてその後に鶏を食えと言って、これは食えないですね。そういうわけで、人間の一日の消費量、まあカロリー量といいますか、そういうものは、パンがふえれば米が減るのですね。米がふえればまた何か、うどんとか、そういうものが減るということで、だんだん人間が食欲が出て食べるというものに発展するというものじゃないだろうと、こういうぐあいに私は考えておるわけでございます。  したがいまして、これからの農業政策を考える場合においては、牛肉伸びるならば当然豚とか鶏の消費量というものが減るのじゃないか。ある程度はアップすると思いますよ、いろいろデータはございますが、いままでに年に鶏をこれだけ食べているというデータ、あるいは豚をこういう消費をしているというデータがございますから、それはそれなりにありますが、それ以上に少しずつはふえると思いますが、十年たったからそれがすごく食べるようになっちゃったということはちょっと考えられない。ただ、牛肉については、これは、いま値段が高いから豚にしようか、あるいはまた鶏にしようかというような考え方ですね。したがいまして、もしも牛肉値段が下がったときにおいては、これは鶏とか豚肉消費量が減って、逆に今度は牛肉がふえる、こういうようなことを緻密にやらないと、農林省としては、養鶏の方にも力を入れる、あるいは養豚にも力を入れる、こういうことでいろいろやっておりますけれども、そういうところのバランスというものをよく考えなければいかぬということ、そういうことを考えるわけでございます。  別の意味でもう一つ伺いしておきたいと思うのですけれども一つ価格の問題ですけれども、いま牛肉が一番高い国というのはどこだと考えますか。
  18. 杉山克己

    杉山政府委員 先生のいまの御指摘、前段の牛肉消費というのは鶏肉豚肉、それから卵なんかも入るかと思いますが、そういったものの消費との相関で考えなければいけない、それは御指摘のとおりだと思います。私ども、あるものがふえればほかのものがその分だけ、すぐ直接的な関係ではないにしても、必ず影響を受けるということ、これは食糧全体の中でもそうでありますが、畜産物の中でもそのことは見られる。需給の見通しを立て、生産対策を立てていく上で、それらの要素を慎重に考慮しなければいけないということは、私は、これは必要なことであろうと考えております。  それから価格がやはり需要に影響を及ぼすということも、これも一般的な真理でございます。その点、わが国牛肉は、確かにこれは、土地が狭くて生産性が低い、したがってコスト高になって生産価格も高い、流通段階にもそれなりの問題もありまして、末端の消費者価格というのは諸外国に比べて高くなっております。ただ、その高さを比較する場合に、そのまま生で比較するのがいいのかどうかということになりますと、わが国牛肉消費につきましては、一つの趣味といいますか、嗜好といいますか、脂が適当に霜降り状態で入りまじっている、脂肪交雑と称しておりますが、そういうものを高く評価するという性質がございます。そういう観点から、特に丹精した、濃厚飼料で養った和牛を高く評価するということもございます。これらの若干芸術的にこしらえ上げられた特殊な商品、この末端の小売価格がどうかということになりますと、非常に極端な例でございますが、あるデパートで、そういう特別な肉が百グラム四千円で売られたというのが私がいままで聞いておる最高の価格でございます。これはしかもそういう肥育で、そういう形で育てられた牛のロースということで承知いたしております。
  19. 新井彬之

    新井委員 たとえて言うと、世界各国の中でよく牛肉消費している国ですね。パリなどと比べて四・五倍ですか、アメリカのニューヨークと比べて八倍。これは肉の種類とかそういうようなものが違うということは当然ございますし、それからもう一つは、販売ですね。かたまりで売るとかスライスをして売るとか、こういうような違いが多々あるようでございますから、とにかく牛肉を食べたいというときに直観的に感じますことは、とにかく日本では輸入牛肉にしても非常に高いんだ、こういうことになっているわけですね。そこで牛肉というものを安く売った場合というのは、これはいろいろ畜産農家等にも影響があるとか言われておりますけれども、実際問題として牛肉が安くならないというのは、どれとどれとどれが原因でそういうふうになっているとお考えですか。
  20. 杉山克己

    杉山政府委員 国際的な価格と比較する場合、売り方が同じでない、それから部位、ロースでありますとか肩でありますとか、その部位に対する嗜好が同じでない、また買う方の買い方も、細かく薄く切ったもので買うか、かたまりで買うかということで同じでないというようなこと、いろいろございます。したがいまして、単純な比較はできませんし、そう極端な話ではないと思いますが、私ども大体ヨーロッパの倍くらい、それからアメリカの三倍くらい、オーストラリアの五倍くらいというような価格比になっているのではないかというふうに思うわけでございます。いずれにしましても、相当高い。  そういう高い原因はどこにあるかと言えば、これは先ほども申し上げましたが、何といっても牛の生産費が高くつく。これは土地が狭い、経営がきわめて零細である、一頭、二頭、数頭飼いであるというようなところから来るわけでございます。それから流通段階につきましても、ほかのものと違って非常に複雑な形になっておりまして、必ずしも十分な機能分化、合理的な経済メリットが十分果たし得ていないというようなことで高くついているという点もあると思います。そういった生産面、流通面、両方の事情を通じてわが国牛肉は高くならざるを得ない。  したがいまして、これを今後どうやっていくかということでございますが、やはり第一は、土地条件制約された中ではありますが、できるだけその生産性を上げてコストアップをもたらさないようにする。その意味で、先ごろ私ども牛肉についての価格安定帯、この決定をいたしたわけでございますが、この決定に当たりましては、これはえさ価格が下がったとか、そのほかの条件もあったわけでございますが、農家の方にもごしんぼういただいて据え置きということで決めたわけでございます。下げるまでには至らなかったわけでございますが、とにかくほかの物価が上がる中で、牛肉についての政府価格安定帯はこれは据え置いたわけでございます。  それから流通につきましても、輸入肉はもとよりでございますが、国産肉につきましても、各般の手段を講じまして、たとえば具体的に幾つかの例を申し上げますならば、輸入肉についてはチルドの販売量をふやす。チルド、フローズンと両方あるわけでございますが、特に市価形成に影響の強いチルド、冷蔵肉の販売量をふやす。そのふやし方も、適確な売り方が実現できることが期待できる指定店に対して特に重点的にふやすとか、そういう措置をとったところでございます。国産肉につきましても、東京都におきまして、いわゆる朝市と称される小売店の共同仕入れによる一定価格販売、こういうものを推進することにしたり、それから特別販売ということで一週間に一度通常の価格の二割引きくらいの水準でもって各小売店に売らせる、そういう特別販売というようなこともやらせるということをやったり、あるいは産直のモデル店に対する助成を行うというようなもろもろの措置を講じまして、生産価格あるいは流通段階の各価格の引き下げを図ったところでございます。  そういうこともございまして、今日牛肉の小売価格について申し上げますならば、三月、ほかの物価が総合指数でもって対前年同月比四・八%上がっておりますが、牛肉につきましてはこの時期に対前年同月比四・一%下がっております。四月は若干この幅は縮まっておりますが、いずれにいたしましても、総合的に物価が低成長あるいは経済不況の中でそれなりに上がっているわけでございます。その中で牛肉価格は、ともあれわずかではありますが値下がりの傾向をみせている。そういったようなことも手伝って、若干の需要増も見られるような状況にあるわけでございます。今後ともそういった価格を引き下げるための努力は私ども続けてまいりたいと考えております。
  21. 新井彬之

    新井委員 これは非常にむずかしい問題ではあろうかと思いますが、いまのそういうお話というのは、一生懸命やっているとは思いますよ。決してサボっているとは思いませんが、実際多くの方方に聞くのに、やはりそういうことじゃ疑問が解けませんね。ということはどういうことを考えているかと言うと、世界の国を旅行した場合に、何であんなに牛肉が安いんだ、こうまず思っているわけですね。その安い牛肉が、極端に言えばいまは非常に円高でありますね、そういうようなことがあるし、差益だってありますよ、そういうことで、本来日本にも安く本当は買えるんじゃないかとみんな思っているわけです。そういうぐあいに思うわけです。もしもそういうことに専門に携わっていない人が、全然知らない人が外国へ行ったら、何だ、日本の肉はばかに高いじゃないか。それはうまさだとかそういうものについては、味が違うということはよく理解をいたすところですけれども、そういうぐあいな考え方を当然持ちますね。  そうすると、日本では価格安定帯というものをつくって上限、下限を決めて、これ以上上がった場合は安くしなければいかぬのだ、あるいはまた非常に下がった場合はそういうものをとめて、ある程度安定しなければいけないのだという方策をとっているわけですね。そういうことは、確かに畜産農家を保護しなければいけない、それから今後の六十年なら六十年を目指したところの自給率というものをこういうぐあいにして、そのときの値段をこういうぐあいに持っていくから、いま皆さんとにかく、これから牛が百万トンも足らないというようなことがいろいろなデータからも出ているのですということが理解されて、初めてみんな協力されるということはありますよ、ありますが、いまのこうだああだということだけではちっとも何も下がっているという実感ありませんよ。指定店だって、二千三百店くらいつくってやっているようでございますが、その中だって、みんなが買いに来ればその値段だって上げてみたりあるいは品質関係なんかでも落としてみたりというようなことも過去にはあったようでございますから、そういうことで、本当にいま農林省がやっているあるいは事業団が全力を挙げてやっているようなことについても、その監視体制なんかありゃせぬのでしょう。そういうことで、非常にそういう面についてはもっと安くならなければいけないんだ、こういう認識ですね。  そこで、価格安定帯の一つの問題でございますが、結局こういう価格安定帯というのは、農林大臣が審議会にかけまして、どういうぐあいにするのかということで毎年三月に決定されているわけでありますね。そういうことであるわけですけれども、現在の価格安定帯自体が下げられないというものは一体どういうところにあるのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  22. 杉山克己

    杉山政府委員 日本の牛の生産は、今後もちろん生産性を上げてコストを引き下げるように努力するということが必要でございますし、政策的にもそれをできるだけ図っていくということになると思います。ただ、やはり制約された日本土地条件土地だけではございませんが、一般的なそういう生産条件のもとでは、やはりアメリカとかオーストラリアのように広大な原野に放牧、もちろん飼料穀物による飼育も一部ございますが、いずれにしても、そういう広大な土地条件に恵まれたところと同じように安くできるということ、これはそこまでは期待できないところでございます。  そうなりますと、日本での牛肉生産をやめて、安く生産される外国のものを入れるというふうに切りかえられないかという話に来るわけでございますが、これはすでに先ほど先生自身も御指摘になられましたように、私の方からも御答弁申し上げましたように、将来の国際需給を考え、それから日本の国土なり資源なりの有効利用ということを考えます場合に、それから牛肉自身の需給が国際的に逼迫した場合でも、国民にとって非常に重要、貴重な食糧であるということを考えます場合、やはり高くつくからといって、国内生産を落とすということはできないと思います。そこで、外国からの輸入については制限をして、入れるものについては、国産牛の生産支障を与えないような価格水準でこれを売らせる、そして畜産農家の保護を図るということにいたしておるわけでございます。そういうことで、現在の価格安定帯の制度ができております。  価格安定帯を消費者にできるだけサービスできるようにこれを引き下げられないかということでございます。私ども、その意味では先ごろ三月の価格決定に当たりましては、引き下げこそできませんでしたが、物価が上がる中で、賃金も上がる中で、ともあれ据え置きということを実現いたしたわけでございます。据え置きということによって、それを一つベースといたしまして、先ほど申し上げましたような流通段階の改善等もあって、確かに程度としてはそれほど大きくはありませんが、ともあれ牛肉価格は上がらない水準で推移することができているわけでございます。私、そういう意味では、十分な御期待に沿い得ない話ではございますけれども、やはりいま申し上げましたような前提のもとでは、国民にも国際価格並みにそう一遍に安くなるというものではないということを御理解いただかなければいけないと思っております。  それからなお、牛肉価格について、価格自身を直接、ストレートに差益なり円高なりの分を還元して下げられないかという意見も多うございますが、私どもといたしましては、そういう差益については、まさに生産者のコストダウンを図るためのもろもろの生産対策、さらには流通各段階の改善を図るためのいわば消費者対策、そういったものに向けていくべきであり、直接価格の引き下げというような形でなしに、そういう全体的な仕組みの上で価格引き下げに効果のあるような対策を講じていくべきだというふうに考えております。  その意味で、先ごろの価格決定の際に、生産対策として、子牛の生産に対する奨励金でありますとか、あるいは牛の肥育農家に対する低利資金の融通でありますとか、それらの対策費を多額に措置いたしたところでございます。また、これは直接ではございませんが、消費者対策にも貢献するものと考えておりますが、直接消費者にメリットが及ぶような対策にも今後それらの差益の使い道、助成事業を考えていくべきであるということでいろいろ計画しているところでございまして、ことしの事業としては、産直の奨励でありますとか、部分肉センターの設立でありますとか、そのほか先ほど申し上げましたように、従来からやっておりますところの安売り対策の体制づくりのための対策費にこれを充ててまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  23. 新井彬之

    新井委員 そういうことはいろいろ聞いているのでよく知っているのです。ところが、現実の問題としては、余り安くならない。そこで私、こういうことがあるんじゃないかと思うのです。牛を生産しますね。その牛が生産をされてずっと売られてきて、屠殺場に行ってそれから枝肉になり、あるいは今度各店でスライスされて販売されていく、こういう過程がございますね。その中で畜産農家の方々にいろいろ聞きましても、どこに問題があるかわかりませんが、とにかく生産農家から出る場合というのは、比較的安い牛が出ているんですね。ところが、消費者に渡るときには非常に高い値段になっている。  だから、もっと生産農家に対して利益が行かないものだろうかというようなことに、これは一つの流通機構の中でございますから、どの方がもうけていいとか悪いとかという問題じゃありません。みんなが一生懸命仕事をしてたくさんもうけること、これについては、何もどうと言うことはないわけでございますが、どうも生産農家が一番苦労されて、そしてもうけがない。三百頭ぐらい飼っているところでも、黒字になって、これでもっと飼育をふやしていこうというような現状になかなかないように感ずるわけでございます。そういうわけでございますから、これは先ほどもお話ししましたけれども福田総理が農林大臣に言い、農林大臣もまた局長にも何とかならぬかということで、いろいろと細かい指示も出されておるようにはお伺いしておるわけです。  そこで、きょうは事業団の理事長にせっかくいらしていただいているわけでございますから、若干お伺いしたいと思うわけでございますが、事業団とすれば、一つの法律の枠の中で事業をやっているわけでございますから、とやかく言えないようなところが多々あろうかと思います。  そこで一つは、輸入牛肉の指定販売店二千三百店に対して、先ほども話がありましたが、そういうようなやり方をやっているんだということでございますが、こういうことについて、実際問題モニター制度でもつくらなければ監視はできません、そういうことが一応のたてまえとしては流れておりますが、現実にはそういうことがちゃんと把握されているのかどうか、そういう点についてはいかがでございますか。
  24. 太田康二

    太田参考人 お答え申し上げます。  いま御指摘のとおり、事業団の輸入牛肉の指定販売店と申しますのは、量販店関係で約千店、食肉専門店で千三百店、二千二百店ということであったわけでございますけれども、いまのところは大体二千三百ぐらいございます。これに対しましては、御指摘のとおり、モニター六百人を委嘱しまして毎月一回は必ず調査をしていただくということで、現状の把握はいたしておるわけでございます。もちろん非常に初歩的な、たとえば私どもが貸与いたしておりますところの輸入牛肉指定販売店という看板を出していない店があるとか、行っても売ってないという店があるとかというような事実もございます。  そこで私どもは、いまちょうど新しい選定がえをいたしておりますから、そういったモニター調査の結果並びにその結果に基づいて、それぞれ販売成績の悪いような店舗につきましては、責任者を呼びまして事情も聴取して、なおかつ改まっていないというようなものは新しく指定を取り消すというようなことで、モニターを通じての実情把握、さらにそれに基づく関係者の来訪を求めての事情聴取というようなことをやっておるわけでございまして、確かに全部が全部私どもが期待をしているように売っているということも申し上げることは残念ながらできないわけでございますけれども、徐々にいま申し上げたようなことで、私どもが期待しているような販売が実行されるように努めておるところでございます。
  25. 新井彬之

    新井委員 いま理事長からもお話し出ましたように、看板をかけてないためにわからない、あるいはまた事業団からわりかたいい肉が流されても、それが横流しされちゃって出てこないとか、あるいは和牛肉であるというような表示をしてみたり、そんないろいろのことがあるようでございますので、そういうことも実際やっていく中にあって、いま述べましたように一つ一つ手がたくそういう問題をチェックしながらこの問題をやっていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。  それからもう一つ、ここの調整金といいますのかそれとも利益金というのかわかりませんが、これの使い道についてちょっとお伺いしておきたいのでございますが、補助金だとか助成金という名目で去年は百七十億ですか、出資したりしておるわけでございますが、大体百三十二の法人に対して出ている。しかし、どう考えてもこんなところに出さなくてもいいというようなところも一部入っているようでございます。私も一つ一つのそういう法人の内容を調べ、そしてそうだなというようなことの実感はわかりませんけれども、そういうようなことがあるようであります。こういう問題についてもどういうことになっているのか。  また、いつも見直して報告なんかとっていると思いますよ。とっていると思いますが、その報告書自体だって、書き方によってはなるほどというような、書類審査なんというのは大体そんなものでございますから、悪く言えばちょっとぐらい変えていてもわからないというようなものが多々あろうかと思います。だから、報告書が出ているから絶対間違いありませんと言って、銀行の内部だって間違い起こしているやつがたくさんいるわけでございますから、そういうところもやはり本当にそれがより効力があるように使われるようにやっていかなければならないんじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございますが、その点についてお伺いをしておきたいと思います。
  26. 太田康二

    太田参考人 五十二年度の私どもの指定助成対象事業というのは、財源的に見ますと、前年度に生じました輸入牛肉勘定のいわゆる純益金の一部を実は法令の規定に従いまして積み立てます。これは出資額の大体四割ということでございますから、二千五百万程度なのでございますが、残りを全額助成勘定に繰り入れなければならないということに相なっておりまして、その額として約三百七億ぐらい繰り入れられました。それから前年度からの繰越金がございまして、総額で約四百三十億程度の事業規模で指定助成対象事業の出資並びに補助の事業をいたしたわけでございます。  その中に、先生の御指摘のように、全部で百三十幾らの法人に出資しているじゃないかという御意見がございましたが、この中には行政の要請に基づきまして各県ごとに衛生指導協会というようなものができております。これらにつきましては、やはり農林本省からの要請もございまして、行政水準の一定維持というようなことで各県ごとに全部できているわけでございまして、これの事務人件費を生み出す財源に相当するものとして、もちろん私どもだけではございません、県なんかも出資をいたしているわけでございますが、私どもも応分の出資をするというようなこと。あるいは価格安定事業をやっておる協会が各県にございます。これは肉用牛につきまして、和牛についてありますし、牡犢についてもあるというようなことで、これがまたたしか四十四、五県両方合わすとあろうかと思います。そういった意味で、各県一律に設置されているものに出資をいたしておるものでございますから、かなりの数に上っておるというようなこともあろうかと思います。  しかし、御指摘のように、私どもの実施しております指定助成対象事業と申しますのは、国が、基幹的な事業につきましては一般会計で当然予算をお組みになってやっておられるわけでございまして、これを補完する事業が一つ。それから、なかなか国の補助の対象にのりにくい事業というような事業もあるはずでございます。これらにつきましても私どもが補助をする。それからもう一つは、やはり緊急な事業として、どうしてもこれをいま取り上げて実施しなければいかぬというような事業に対して補助をする、あるいは出資をする。この三つの原則に基づきまして、私ども農林省と相談をしてそれぞれの事業を組んでいるわけでございます。  いま申し上げたような原則に基づきまして、御承知のとおりこの指定助成対象事業というのはこういう事業について出資なり補助をするということ、これまた実は法令に規定されてございます。一件ごとに農林、大蔵の了承を得、実施した暁におきましては当然補助金適化法の対象になりまして、会計検査院の検査もお受けするというようなことにもなっておるわけでございます。何分、額としても相当な額にもなりますし、しかも、これがいま先生の御指摘のように、たとえば肉用牛等に出された資金は少なくともやはり生産構造の改善、コストの引き下げに役立つような方向に使われませんと、消費者の方からそれ相応の批判も受けるというようなこともあるわけでございます。  ただ、指定助成対象事業の中で私ども常日ごろ感じておりますのは、先ほど局長からも御説明があったわけでございますけれども、私どもの助成対象事業として消費者対策を何とか仕組みたいと思うわけでございますけれども、有効適切な措置がなかなか見出しがたい。勢いどうも生産対策に重点が行く。まあ流通改善の対策もあるわけですけれども、そういった面でやや生産対策にウエートがかかり過ぎているのではないかというような御批判もございます。こういった御批判も私ども十分聞くべき意見であるというふうに考えておりますので、今後さらに検討いたしまして、生産消費、流通、これらの構造改善に役立つような事業に補助なり出資をしてまいりたい、かように考えております。
  27. 新井彬之

    新井委員 それから畜産振興事業団という名前でございますから、当然畜産振興をやらなければいけないということですね。それはとりもなおさず、畜産振興のみならずやはり消費者があってこそ、そういうものが可能になるということですね。したがって、そういうことから考えまして、役員名簿なんかずっと見せていただきますと、畜産物生産をされている方が一人も入っていない。そういうような実態ですから、この畜産振興事業団の中に当然、そういう現実に一生懸命やっている、こうしなければいけないと言うような役員も入れなければいけないことと、あるいはまた消費者の方から見て、なるほどこれからの食生活を考えた場合にこれは大変なことなんだなというようなことも議論してもらうために、やはり消費者の代表なんかも入れた構成にしないと、これは畜産振興事業団というのじゃなくて何かまた別のようなものになってしまうのじゃないか。要するに、これは法律がいろいろありますから、農林省の畜産局ができないことをしておけみたいな形にしてやってしまうというようなことになってしまうということを私は感ずるわけでございますが、そういう面については、農林大臣はちょっとあれですから、畜産局長と事業団の理事長から言いにくくてもひとつ言っていただきたいと思います。
  28. 太田康二

    太田参考人 私どもは、常勤理事のほかに非常勤理事を七名以内置けることになっております。この非常勤理事の方々はもちろん民間の方でございまして、その中に先生御指摘のような消費者代表という形の方はたしか入っておりません。そういった御意見でございますから、これはたしか農林大臣の承認を得て私が任命することになっているはずでございますので、今後よく検討してみたいと思います。  それから私どもの諮問機関といたしまして評議員会というものがございまして、これは二十五人以内ということで構成されておりますが、昨年改組をいたしました機会に、これは農林省からの御指示もございまして、できる限り消費者代表の方を入れる、従来はたしかお一人だけだったわけでございますけれども消費生活協同組合連合会の会長さんを初めとして、地婦連の事務局長さんあるいは婦人団体の代表の方というような方々にもお入りいただきまして、できる限り消費者の声が私どもの業務に反映するような配慮はいたしておるつもりでございます。
  29. 杉山克己

    杉山政府委員 畜産振興事業団の運営につきましては、いま理事長から答弁がありましたとおりでございます。私どもといたしましても、畜産振興事業団は、国民のための機関であると承知いたしております。今後とも十分各方面の御意見が正確に反映できるよう、運営に努力するよう指導してまいりたいと考えております。
  30. 新井彬之

    新井委員 この畜産の問題については、いろいろなことがありますけれども一つはやはり生産の合理化ですね。さっきも言いましたように、濃厚飼料であるとかそういうものをいろいろ与えているようでございますが、飼料代というのがニュージーランドオーストラリアあるいはまたアメリカ、南米等に比べましてやはり非常に高くついているということが基礎にありますね。それからそういうものばかり与えた肉牛というものは、やはり病気が起こりやすくて本当に健康でないというようなまた別の面の指摘もございます。そういうようなことで、本来の畜産というものの健全な発展というものをやはり考えていただく。さっきも言いましたように、どうしても生産農家が一番被害を受けやすいといいますか、どうしても買いたたかれて、そして今後の発展というものが余り考えられないようなところもあるようでございますので、そういうようなこともひっくるめまして、生産の合理化ということをどのようにやっていくのかということ、これをひとつ考えていただきたい。  それからもう一つは、消費の合理化でございますけれども、何でもかんでもスライスをして売っていくというようなことではなくて、やはり外国で売っているようないろいろな売り方がありますね、そういう売り方をした場合は値段も安くする。日本人だってなかなか肉の料理のうまい人がたくさんいるわけです。下手に切ったよりも、かたまりを下さい、そしてそれを自分が何とか料理してビフテキのうまいのを食わせましょうというような人もたくさんいるわけですよ。そういうようなことで、消費の方についても、これはこういう売り方もありますという、人件費のむだを省くといいますか、そういうこともやはり今後考えていかなければならないのじゃないか。  それからもう一つは、流通過程における合理化、たとえて言いますと、牛一頭が実際問題肉になって売れるのが三六%しか残らないということになるようでございますが、それもあばらだとかロースだとかヒレだとか、いろいろな肉の質によって非常に高い、安い。牛そのものにも値段があるようでございますが、それの場所によっても非常に違いがある。したがいまして、さっき局長が答弁をされましたように、本当に一番いい肉をくれと言ったら百グラム四千円だった。大体あれは、いろいろ肉屋さんに聞いてみるのに、二百五十円見当で売ればいいのだと言うのです。いい肉も悪い肉もひっくるめまして、三百円ぐらいで売ればもうかるのですよというようなこともあるようでございます。そういうわけでございますから、それはいいところを食べたい人はたくさんお金を払う、これは結構なことで、何も悪いことはないと思いますが、もう少しそういう面も、一体どこに値段の高さの問題点があるかということをまずは列挙いたしまして、その一つ一つの可能性というのを追求をし、そして一つ一つを解決していく、そうして生産農家も流通機構にある方々も喜んで、なおまた消費者の方も喜んでそういう肉を食べられるという方向に持っていっていただきたいと思うわけです。  それからもう一つ、これは大きな問題だとは思いますが、どう考えても日本の国というのは三千七百万ヘクタールしかありません。その中で三十度傾斜、こういう山といいますか、そういう地帯が六八%ですか、というような土地の面積でございますし、北海道の方は、冬は雪が降っております。そういうようなことで、牛を育てるに適した土地であるのかどうかということも、またそういう気候に合ったような品種というものがどういうぐあいに生産されていかなければならないのかというようなことも検討しなければいけない。そこで、もう一つそれを進めていくならば、アルゼンチンなんかでも広い土地があいておりまして、この前行ったときでも、二千名ぐらいの農業移民をしてほしいというような意見もあったりします。あるいは、この前、コロンビア議員連盟というのがありますけれども、岸先生が会長になっておられるわけでございますが、たまたまコロンビアの国に行きましたときに、日本から行かれて非常に広大な土地を持って成功されておる方がおられます。その方が、牛つきで一つの大きな農地を提供するけれどもどうかというようなお話を、これは各党間の議員連盟の会で一遍諮ったり何かしているわけでございまして、そういうことから考えますと、これからそういう牛肉国民に安定的に供給し、そしてある程度値段供給するためには、何も日本国内だけで考えているような中川農林大臣ではないと私は思います。  そういうわけで、国際的な視野を持って、これからの、今回の法案のあれにもありますけれども、本当に強力な外交、そういうようなことも進めていくということがありますけれども、本当に中川農林大臣であればこそ、私はそういうことも考え、またできるのではないかと期待をいたすわけでございますけれども、そういうこともひとつ考えていただいて、そうしていまの牛肉は、確かにいろいろな問題があって高いけれども、もう少し待ってくれ、そうして必ずや、世界のそういう生産国よりも高いのは当然だと思いますけれども、少なくとも納得できる価格でもって、そして消費者にも安定的に肉を供給いたしますよというぐあいにやっていただきたいと思いますが、それをお聞きして、この肉の問題については質問を終わりたいと思います。
  31. 中川一郎

    中川国務大臣 私が農林大臣に就任したときから、肉の問題は重点施策として取り上げ、皆さんにも申し上げたわけでございます。  御指摘がありましたように、現地価格でヨーロッパの二倍、アメリカの三倍、豪州の五倍、これは肉の質だとかスライスの問題とかいろいろありますから、必ずしも一致はしませんが、高いことだけは間違いない。高い理由は、これも局長から答弁がありましたように、大体一町歩ぐらいで三頭とか二頭とか飼っておるわけです。アメリカでは百町歩とか二百町歩で百頭、二百頭、三百頭と飼っている。豪州へ行きますと、それがさらに千頭、二千頭、三千頭、広いところは一万頭も飼っている。言ってみれば、豪州は牛をつくるのではなくて、私は拾ってくるのだという表現をしておりますが、極端に言えば、牧場へ行って、自然に繁殖してふえたのを、いい時期に行って追い込んで、日本に輸出してくるというようなことでございますので、生産コストが非常に違うわけなんです。  もちろん、消費者の皆さんから安い肉ということで、それでどんどん安い肉を入れれば、たちまち生産農家は採算が合わなくて畜産経営が成り立たない、こういうことになってしまうわけです。そうなっても、将来安定的に肉が確保されるかと言うと、国際環境もそうではない。やはり高くても長期的に、肉はある程度生産されるようにしなければいかぬ。しかしそれでもなお高いので、どこか節約できるものはないかというので、第一番目は、生産費が下がるように金融対策とかあるいは子牛の育成費だとかいうようなことで、できるだけ政府協力するし、農家の皆さんもがんばってもらう。  もう一つ問題は、流通過程のコストが高い。まあ言われるほどではないのですが、やはり生体からいけば三十何%になって、六十何%は使えないということがありますから、言われるほどではありませんけれども、やはりまだまだ合理化できるのではないかというので、現地に食肉センターというのを、いま全国ネットワークでつくろうとしておるわけです。これは農協とか地方あたりが中心になりまして、農民みずからが部分肉までつくり上げる、そうして市場に出すという仕組みですが、さらにそれの受けざらとして、まず東京に、ことしからやるわけですが、部分肉センターというのをやって、産地でできましたその部分肉を部分肉センターの市場に乗っける、その市場には小売店が直接買いに来れる、そういうふうにいたしますと産地と消費者とが直結をする、こういう仕組みをひとつ思い切ってやりたいということでやっておるわけでございます。  そういうことで、昨年来ほかの物価が上がっておるのに比べては、少々ながら消費価格も下がっておる。将来はそういうことをもっともっと強力にやっていって、どこまで下げ得るかわかりませんが、長期的に見れば、この仕組みができ上がれば、かなり消費者の御期待にこたえられるのではないかということで、この問題については、農林省挙げまして、事業団の協力を受けながらやっております。  御指摘もございましたので、そういった問題についても努力していきたいと思いますし、かたがたやはり輸入の方も安定的にはいれる仕組みということで、豪州あるいはアメリカ等とも話し合って、将来はアルゼンチンとかあるいはブラジルとか、そういったところでも安い、いい肉ができるというようなことにこれまた努力していく、国内輸入と抱き合わせて国民の皆さんの御期待にこたえたい、こういうことでがんばってまいりたいと存じます。
  32. 新井彬之

    新井委員 何か大臣がいないから休憩ということだったのですけれども、続けてということなんで続けてやらしていただきます。  次に、ちょっとお伺いしておきますが、日本の林業といいますか、緑といいますか、そういうことでいろいろ全力を挙げていただいているのが林野庁であり農林省であるということを理解しているわけです。そこで現在の状況というのがいろいろ言われているわけでございますが、まだまだ木を植えていかなければいけない、こういうことで、いろいろと林野庁からもお伺いしておるわけでございますが、現状から見ますと、国土面積が三千七百万ヘクタール、この三分の二が森林面積だ、二千五百万ヘクタールですね。そして材木の蓄積といいますか、それが約二十一億立方メートル、こういうような一つの現状があるわけでございますが、一人当たりの森林面積に直しますと〇・三ヘクタール、それから森林の蓄積にいたしますと二十・四立方メートルですね。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 こういうような現状でございますが、緑が非常に多いと言われておりますカナダ、こういうところを見ますと、一人当たりの森林面積は二十二・二ヘクタール、それからこの森林の蓄積が千二百六十一・五立方メートルですね。ソビエトにいたしましても三・三ヘクタール、それから三百五十二立方メートル、アメリカにおきましても一・六ヘクタール、百七・三立方メートル、こういうぐあいになっているわけです。  そこで、人工林の面積というのが現在日本には九百十七万ヘクタールあるわけでございますが、昭和九十六年度を目途として千三百十四万ヘクタール、こういう目標を立てて林野庁がやっておる。現在はその七〇%で、あと三〇%やらなければいけないという現状にあるわけですね。ところが、現在は二十年生以下の幼齢林が七一%、こういうようなことになっております。林業経営を担う事業体として、二百八十六万ヘクタールのうち二百五十七万ヘクタールは個人の方がやっておられる。それからその中で五ヘクタール以下の所有規模が大体九割だ、平均の保有面積は二・六ヘクタール、こういうような現状にあるわけでございます。この一人当たりの面積であるとか、あるいは蓄積が非常に諸外国と比べて小さいということが言われておるわけでございますが、これについては国土面積との関係等はございますけれども、どういうぐあいにこれを伸ばしていくのか。その点について、まずお伺いをしておきたいと思います。
  33. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたように、日本は森林国だと言いながら、国土が三千七百万ヘクタールしかございません。さらに人口が一億いるということで、一人当たりの森林面積にすると〇・三ヘクタールしかないというきわめて小さな森林国であるということが言えると思います。したがいまして、木材の需給関係を見ましても、国民需要に対する生産能力というものがきわめて劣っておるというのが現状でございます。  したがいまして、私どもといたしましては、今後、この国内から生産されます木材の生産量を上げるために、木材の使用の主体をなします建築用に必要な材を中心とした、主要な樹種でございます杉、ヒノキ、これらは、やはり成長量がほかの樹種に比べてもわりあいに多いということ、そういう意味から、現在自然に生えております天然林的なものを人工林に切りかえまして、ヘクタール当たりの成長量の高い樹種に切りかえていく、そういうことによって単位当たりの蓄積量をふやすということで、将来に向かって対応していこうというのが、ただいま先生御指摘になりました千三百万ヘクタール余の造林地をつくろうという目標でございます。そういう目標に向かいましてただいま着々と進んでまいりまして、約七割に参ったわけでございますが、今後もこの考え方に沿いまして鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。
  34. 新井彬之

    新井委員 では、次に農林省にお伺いするわけでございますが、現在人工林化が進んでおるけれども、先ほど言いましたように非常に幼齢林が多いわけでございますが、除伐とか間伐等の保育には非常に金がかかる。そうしますと、収入にもなかなか結びつかないというようなことがあるわけでございますが、こういうときの端境期の林業について一体どういうような手当てを考えておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  35. 後藤康夫

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま長官が答弁申し上げましたように、人工林化を図っておるわけでございますが、現在の人工林の中で、林齢で申しますと二十年生未満というのが七割でございます。そういうことで、いま間伐期を迎えている森林が非常に多いわけでございまして、昨年あるいは一昨年あたりから、私どもこの間伐なり保育の問題を、予算面でも、間伐林道の問題あるいは間伐材の消費の拡大、流通の適正化といったようなことで各種の措置を検討し、また予算も充実を図ってまいっておるところでございます。
  36. 新井彬之

    新井委員 この問題についてもいろいろお聞きしたいことがあるのですが、各省が来ておりますので、これはちょっとはしょりまして、今回営林局を廃止をするというようなことがこの法案の中に出ておりますが、その理由について、一体どういうことなのか御説明を願いたいと思います。
  37. 後藤康夫

    ○後藤説明員 現在の国有林野事業が置かれております厳しい状況につきましては、一昨日もこの委員会で種々御議論があったところでございます。今後十年間にわたりまして、一方では経営改善計画というものを立てまして、経営改善の自主的な努力を進めてまいる、そうしてその間、先ほど申しましたように、ちょうど国有林の資源構成も端境期的な状況にございますので、造林、林道等の施設的な事業費の一部を一般会計からも繰り入れさしていただくということで、別途国有林野事業改善特別措置法案というものを国会に提出して、御審議を願っておるわけでございますが、この経営改善の一環としまして組織機構の再編整備ということも考えておるわけでございます。  他方、今回の北海道の五営林局の再編整備につきましては、北海道が自然的な条件あるいは経済的な条件、こういった点で全道的な共通の類似した条件のもとに置かれておりますし、北海道に所在します国有林野の統一的な管理経営をさらに一層推進をするという観点から、札幌営林局の組織を拡充いたしまして、これを北海道営林局ということにいたしまして、それ以外の四局につきましては、これを支局に改組いたしまして、地元に密着をいたしました森林施業なり地元対応の仕事につきましては、従来どおりこの支局が事業を遂行するという形で機構の再編整備を図ろう、こういうことで御提案を申し上げておるわけでございます。
  38. 新井彬之

    新井委員 私は、森林というのは非常に大事なものだと考えておるわけです。とにかく日本人は空気と水はただだ、こういうぐあいに考えがちであります。水の方はわりかた水道料金なども高くなってきまして、金がかかるんだということになってきましたけれども、清らかなおいしい空気、そしてまたそのまま飲める水で不自由しなかったのが日本の国であります。ところが、その前提となってきたものは何かと言えば、やはり森林が国土に青々と茂っているかどうかということ、これが私たちの生活を楽しくさしたかどうかということになるんじゃないかと私は考えておるわけです。  そこで、森林の有する公益的な機能、国土の保全ですね、木がないところにはいつも土砂崩れがありますし、本当に大変なことだということで、国土の保全というようなことが一つ考えられます。それからまた水資源の涵養、これは木がどれほど水を吸って適当な時期に適量を流すかということ、こんなことはよく研究し尽くされておるかと思いますけれども、そういうような問題があります。それからまた国民の保健、休養、環境保全、やはり緑というものが非常に私たちの心をなごやかにする。  これはある本なんかによりますと、ある町で非常にやくざが横行しておったんですけれども、市長が緑を植えろというんで町じゅう緑にした途端、やくざもいなくなってしまったというほど、緑というのはなごやかなものだ。たとえて言いますと、病院の病室というのは白じゃなくて緑にするべきだ。緑というのは目で見た場合に人間の精神を安定させ、本当になごやかにさせる効力が大変あるんだ、こういうぐあいに言われております。あるいはまた四日市の小学校で非常にぜんそくがはやったときに、全員で木を植えようじゃないかということで校庭に木を植えましたところが、ぜんそくがどんどん治ったというぐらい、本当に木の効用というのは保健、休養、環境保全、こういう面にとっても非常に大事なものなんだということが言われている。ただ日本の場合は、どこでも木がなりますから余り気にしないようなことはありますけれども、やはり担当省庁としてそういうものをもっともっとPRもし、やっていかなければいけないのじゃないかということがあります。  それからもう一つは、現在日本の材木は輸入が非常にふえて、それこそいま端境期でございますから、産出量も非常に少ないとは思いますけれども、三五%まで落ち込んでいる。あと残り六五%が何らかの形で外国から輸入をされて使われている。日本の国がこれからどの程度の材木の必要があるかということから見てまいりますと、国有地、民有地を問わず、民間、国を問わず、緑に対して力を入れていくということは非常に大事な問題だというぐあいに認識をしているわけでございます。その重大な使命を担っているのは営林局であり営林署の方々ではなかろうか。いままで戦時中なんかでもよく木が切られていますね。私なんかもまだ小学生でございましたけれども、よく木を切りに行ったり持ち運びしたわけでございますが、そこらじゅうの山がまる裸になってしまったというようなことから、いまそういう一つの方針のもとに木がどんどん植えられているわけでございます。そういうことで、私たちはこれは当然強化拡充をしていかなければならない、こういうぐあいに考えるわけです。  先ほどの答弁を聞くと、経営改善をするとか、あるいはまた何か強化拡充しているような感じにもとれますし、そうかといって、経費が足らないために、現在端境期でございますから、何とかそんな方を主に考えようということを考えているようでございますが、一つの試算といたしまして、水源の涵養については、もしも国がお金を払ったらどれだけの金になるのかと言えば一兆六千百億円に換算できるのだ。あるいはまた土砂の流出、崩壊防止についてはどうかと言えば、二兆三千二百億円の利益を得ている。それから保健、休養については二兆二千五百億円、野生鳥獣の保護については一兆七千七百億円、酸素の供給、大気浄化については四兆八千七百億円、合計で大体十二兆八千二百億円、これが昭和四十七年に林野庁で試算をされておるようでございます。これを五十二年度の資金ベースに直しますと約二十一兆円を毎年国民の皆さん方に還元をしているということになるわけですね。したがいまして、そういうことについては当然一般会計からでも力を入れて、一番大事な国土保全、水の供給あるいはまた空気の浄化、こういう何物にもかえがたいことをやっているのだという認識に立ってやっていただかなければいかぬのじゃないか、こう思いますけれども、いかがでございますか。
  39. 後藤康夫

    ○後藤説明員 先生御指摘のとおり、森林の公益的な機能というものは非常に重要な問題でございまして、特にここ四、五年の間に森林に対します国民の世論も大きく変わってまいりまして、かつての木材生産機能重視から、公益的な機能と木材生産機能とのバランスのとれた森林づくりという方向に向かっていることは御案内のとおりでございます。  ただいまの御指摘の中にもございましたように、林野庁でもかつてこういった公益的な機能について幾つかの仮定を置いて試算をいたしたことがございます。その数字は御引用になりましたので繰り返しませんけれども、私ども、そういった森林の公益的な機能の充実のために毎年努力を続けておるわけでございまして、全体の林野庁の予算を見ていただきましても、四十九年度から五十三年度までの対比でございますが、造林事業で一・九二倍、林道事業で二・二四倍、治山事業、これは水源林造成を含んでおりますが一・九九倍というふうな伸びになっておりますし、林野庁の一般会計予算額の国の一般会計予算に占めますシェアも、四十九年度の〇・八%から五十三年度には〇・八四%というふうに増大をいたしております。  また、国有林につきまして一般会計から、たとえば公益機能の十三兆という数字から見て、もっと入れていいのじゃないかというお話でございますが、いま御指摘のございました公益的な機能の評価と申しますのは、たとえば私どもがやりました試算の中では、保健休養機能の評価というものを例にとりますと、森林レクリエーションのために消費された交通費、宿泊代等の費用額を基礎にして評価している、それから森林の酸素供給量を酸素の市場価格で評価しているということでございまして、直接的に財政投資額と比較できるような性格のものではないと思っております。しかし、国有林においても、従来から治山事業につきましては約三分の二ぐらいの一般会計の負担を実質上やってきておりますし、今度の経営改善計画の中で、お話のありましたように、端境期でございますので、造林、林道にも、いままでの財投資金だけではなくて、新たに一般会計からの繰り入れもやろうということで、予算措置を講じながら、別途、国有林野事業改善特別措置法というものを御提案申し上げておるわけでございます。
  40. 新井彬之

    新井委員 その件については、いま農林水産委員会の方でもかかっているとお聞きしているわけでございますが、とにかく営林局が五つあるのを減らしていくということに対して、非常に使命感を持っているといいますか、そういう方々は何か非常にさびしいような、われわれは必要でなくなってしまったのではなかろうかとか、いろいろなことを考えているようでございます。確かに、局というものについては法令によっていろいろな決定がされるわけでございますが、それが支局ということになりますと、これは農林大臣の権限によりますし、当然、農林省令によって決定されてしまうということがあるわけでございます。今後の実際の運営内容などについては、現在働いている方々に危惧を抱かすとか、希望をなくすということがないような形になると言えますか。
  41. 後藤康夫

    ○後藤説明員 私、先ほど申し上げましたように、今回の北海道五局の再編整備は、北海道国有林の統一的な管理経営をさらに進めるという見地から、北海道全域にわたるような企画調整事務、人事、研修、監査という事務の一部を札幌に集中いたしまして、統一的、効率的な事業実行体制をつくるということでございます。それ以外の森林施業を初めとする事業につきましては、従来どおりの権限を支局長に与えるという考えでおりますので、これによって職員の士気の低下が生ずるということは決してないと考えておりますし、またそういうことを起こしてはならないと考えて対処してまいりたいと思っております。
  42. 新井彬之

    新井委員 それでは、そういうことでよろしくお願いしたいと思います。  次に、家畜、魚等に使用する医薬品等の安全性について、若干お伺いをしておきたいと思います。これは抗生物質とか抗菌剤とか言われて使われているものでございますが、厚生省と農林省にお伺いしておきたいわけでございます。  今日、きわめて多種多様な薬剤が開発されておりますが、医薬品に対する一般的な意識として、たとえ有用な医薬品であっても使い方を誤れば有害なものになり得る、有用と有害は表裏の関係である、こういうぐあいに私は考えるわけでございます。刑法等におきましては、疑わしきは罰せずと言われておりますが、薬務行政の考え方としては、疑わしきは使用せずという原則に立つべきであると思うわけでございます。その点について厚生省、農林省にお伺いしておきたいと思います。
  43. 代田久米雄

    ○代田説明員 ただいま医薬品の安全性の問題で御質問があった件でございますが、医薬品の有害性がないという保証がない限り使うべきではないではないか、こういう御質問だと思いますが、医薬品というのは、その性格上、人体に対して何かしらの副作業を伴うことは避けがたいという面もあるわけでございまして、そういう意味では、有害性がないという保証がない限り医薬品の使用を禁止するという方針をとることは、実際問題としては困難であると思います。  しかし、医薬品による副作用の被害を最小限にとどめるという努力はいろいろやっておりまして、医薬品の副作用の情報の収集、評価、伝達等に努力しておりますし、副作用の程度によっては、その内容に応じて適応症や用法、用量を限定するとか、あるいは使用上の注意を明確に書くとかいうようなことによりまして、医薬品の適正な使用を図るための措置を講じておるわけでございます。
  44. 新井彬之

    新井委員 私が言っておりますのは、要するに、医薬品そのものについて、こういう副作用があってこうだ、ただし、こういう効用があるということで明確に使用上の指示をする。一つの薬を使う場合にいろいろテスト等をやられると思いますけれども、その中で有害の危険性はないのだということが一応保証されて、あるならばこういうぐあいにあるのだということがはっきりしないといけないと思いますが、その点はいかがでございますか。
  45. 代田久米雄

    ○代田説明員 医薬品というのは、人体の機能に影響を与えることによって効果をあらわすというのが本来の性格でございますので、そういった面から人体に対して何らかの作業を伴うことは、ある程度やむを得ないということが前提の問題でございます。それで、医薬品の審査におきましては、当然、いま先生から御指摘のありましたような安全性の問題についても、動物実験あるいは臨床実験等を十分に行わせまして、その承認審査の際に厳重なチェックを行っておりますが、その結果、なお有効性と安全性を総合的に評価いたしまして、有効性が副作用を上回っておるという評価がされる場合のみ承認許可を与えるという考え方でございまして、副作用があっても、それが有効性に対比して許容し得る範囲のものであれば、それは医薬品として承認を与える場合があるというふうに考えてやっております。
  46. 新井彬之

    新井委員 続いて、厚生省にお伺いします。  かつて食品添加剤として使用されていたAF2、これについては、現在使用も生産も禁止されているというふうにお伺いしているわけでございますが、この経緯と、副作用がどういうぐあいになっておるのか、御説明願いたいと思います。
  47. 宮沢香

    ○宮沢説明員 御説明いたします。  AF2と申しますのは、ニトロフリルアクリル酸アミドという化学名のものでございまして、昭和四十年七月五日に添加物として指定されております。そのときの基礎データとなったものは、特に慢性毒性で、二年以上にわたった実験で動物に対して全く発がん作用もないし、また有害作用もないということが確認された上で指定されたわけでございます。  しかしながら、先生御存じのように、こういった安全性の評価につきましては日進月歩でございまして、非常に進んでおります。厚生省としては、特にこういう食品添加物はまず安全であるということを大前提としております。そこで、安全性について常に最も進んだ技術を駆使して見直しをやっておるわけでございまして、その見直しの過程におきまして、四十九年国立衛生試験所で相当大量の投与をした実験でございましたが、マウスの前胃と申しまして、これは私ども人間にはございませんが、そこに腫瘍の発生を見た、つまり発がん作用が確認された、こういうことで禁止されたわけでございます。
  48. 新井彬之

    新井委員 AF2と同じニトロフラン化合物であるフラゾリドンというのがあるようでございますが、これの効用及び副作用はどのようになっておりますか。
  49. 代田久米雄

    ○代田説明員 フラゾリドンにつきましては、これはいわゆる抗菌剤でございまして、赤痢菌あるいはサルモネラ、大腸菌、ブドウ球菌等々のいわゆる細菌に抗菌力を有しております。これらの細菌に起因する下痢性の疾患あるいは腸炎、こういったものに効果を認められているわけでございます。  フラゾリドンの副作用の方でございますが、これは臨床上の報告といたしましては、悪心、嘔吐あるいは頭痛、発熱、血圧上昇、過敏症などが報告をされております。
  50. 新井彬之

    新井委員 これの効用についてはいろいろ本も出ておりますけれども、いま言われたようなことがありますし、内服では精子や胎児への害作用、人種によっては溶血性貧血を起こすというようなことが出ておりますね。  そこで、このフラゾリドンというのはAF2と大体同様の性質のものというぐあいに、私理解するわけでございますが、それでよろしゅうございますか。
  51. 代田久米雄

    ○代田説明員 フラゾリドンにつきましては、基本骨格はいわゆるAF2と同じでございます。これにつきましては、昭和五十二年の七月でございますが、従来医薬品として使われておりましたフラゾリドンにつきましては、厚生省においていわゆる医薬品の再評価というものがずっと行われておりますが、この段階でいろいろな臨床あるいは動物実験等のデータを十分収集いたしまして、この医薬品の再評価を有効性及び安全性について行ったわけでございますが、その段階におきましてフラゾリドンにつきましての有効性、これは十分認められておるわけでございますが、いわゆる長期、大量投与による動物実験におきましては先ほどお話ございましたけれども、いわゆる発がん性を疑わすようなデータというものが報告されておりますことと、それからほかに同種の薬効を持つもので、より安全性の高い医薬品があるというような事情を勘案いたしまして、これにつきましては、医薬品としてのいわゆる必要性というのは非常に乏しいのじゃないかという判定でございまして、その段階で医薬品としての承認の、製造の中止といいましょうか、措置を行っております。
  52. 新井彬之

    新井委員 農林省にお伺いしますが、フラゾリドン等についての動物実験をしたことがございますか。あれば、その内容はいかがなものになっていますか。
  53. 畦地速見

    畦地説明員 御説明申し上げます。  畜産分野におきますフラゾリドンの使用でございますが、これは目下薬事審議会の中の再評価調査会及び残留問題調査会というところで動物用医薬品としての再評価を実施中でございます。もちろんこのためには各メーカー自体がいままでに培われましたいろいろな実験データをもとに、さらに審議会みずからも手持ちの資料としていろいろ収集いたしました資料をもとに、そのような再評価作業というものを含めて実施しておるわけでございます。医薬品そのものの持つ有効性、安全性、残留性等全部踏まえましたいわば有用性という見地からも十分踏まえました再評価の安全対策の作業を実施しております。もちろんこの中には、先生の御質問にございましたような動物実験等のデータもたくさん踏まえた上で目下実施している最中でございます。
  54. 新井彬之

    新井委員 五十二年七月に第十二次の医薬品の再評価に当たって人体用の医薬品としては製造販売の中止、回収措置を講じたということで先ほどお話がありましたね。それについていろいろ実験をしたところが、抗生物質ではないが抗菌剤であるフラゾリドンの副作用は吐き気、頭痛、発熱、関節痛、血圧の上昇、過敏症等、こういうことが報告されているが、最近ニトロフラン系化合物の長期、大量投与による動物実験においては、発がん性をも疑わせるデータが報告されている、こういうことで、フラゾリドンは医薬品としては有効性なし、こういう判断でとめられたということですね。農林省の方としては、動物実験をいままでずっとやっておるようでございますが、そういうようなことにはなっていないといういま答弁だったと思います。それでよろしゅうございますか。
  55. 畦地速見

    畦地説明員 家畜の分野において使っておりますニトロフラン系の薬剤は、フラゾリドンを含めまして全部で現在八成分ほどございます。先生がただいま御心配いただきましたようなすべてのニトロフラン誘導体というものは基本骨格は同じでございますけれども、それぞれの生物学的な生体内における吸収性でございますとか、それから副作用の発現頻度と申しますのは、フラン剤の種類によりましていろいろ違いがございます。それで実は、吸収性ももちろん違うわけでございますけれども、家畜の体内における、どのような投与をした場合、どういう時間でどういう吸収され方をし、それがどのような時間でもって体内から消えていくかということ等については大変シビアな審査をいま進めておる最中でございまして、いわば適正使用ということがどういうぐあいによって可能になるかということも踏まえた審査がいま進められておる段階でございます。
  56. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、飼料安全法という法律に基づきまして飼料添加物としてのフラゾリドンの使用を、いままで使用されていたのを五十二年の一月以降は使用を禁止いたしておりますね。これはそのとおりですね。
  57. 畦地速見

    畦地説明員 さようでございます。
  58. 新井彬之

    新井委員 では、そのフラゾリドンはいまどういう形態で使用されておりますか。
  59. 畦地速見

    畦地説明員 飼料添加物としての使用は、ただいま先生御指摘ございましたように五十二年の一月以降いわば飼料安全法が実施、施行に移されてから完全に添加物としての使用は禁止されております。飼料添加物の場合ですと、えさの中に微量にまぜられて長期間、不特定多数の家畜に投与されるという形態からいろいろと禁止に踏み切ったわけでございますけれども、いわばその動物用医薬品という使い方でございますが、これはまさしく医薬品としての使い方は専門家である獣医師が介在することによって要指示医薬品として、医薬品として適正に使用するような方向がまだ残っておるわけでございますけれども、それと同時並行的に医薬品としての再評価作業も進められておる、こういうことでございます。
  60. 新井彬之

    新井委員 そうしますと、医者の診断に基づく、薬事法四十九条に基づくところの要指示薬という形で薬が使われている。主に何に使われているのですか。
  61. 畦地速見

    畦地説明員 家畜の場合ですと、子豚、子牛の幼若期におきます下痢がございます。これはいろいろ、大腸菌あるいはサルモネラその他グラム陰性桿菌と一般に呼ばれております腸内細菌叢の中のある種の病原巣を有するものがあるわけでございますけれども、このフラン剤系統の特にフラゾリドンでございますけれども、これはそのようなサルモネラ菌ですとか、それから大腸菌に対して卓効を有しますし、かつ抗生物質等に比べましても耐性が出がたいというような、ほかの医薬品では持ち合わせないような大変すぐれた点もございます。そういう点から、主に下痢対策が中心でございますけれども……。
  62. 新井彬之

    新井委員 あなたは実態を何にも知らないでそんなことを答弁する。もう時間ないんですよ。困ったものだと思うのです。要するに、そういうものにもある程度使われておりますけれども、魚に使われているわけでしょう。そうでしょう。そういうことで、魚にこれが多量に使用されているということです。  そこで水産庁長官にお伺いしておきたいと思うのですけれども、この二百海里問題、今回のこの法案にも出ておりますが、そういう問題を踏まえて、養殖業者というのが非常に一生懸命にやっているわけですね。その中で、自然に泳いでいる魚よりも、養殖をしますと非常に病気が多発をするというようなことで、特に抗生物質や抗菌剤、そういうものが使用され、またそれがずっと増加されるというような傾向にあるわけです。  そこで、水産庁長官は、水産用医薬品の使用に関する通達を出していますね。これは昨年の十一月七日付のことでございますけれども、この通達の内容、ここにいろいろ出ております。これはまた、言うと長くかかるのでこっちで言いますが、「近年養殖業の発展に伴う養殖環境の悪化ばかりでなく、新しい病原体の侵入等による魚病が多発し、そのため医薬品等の使用機会が増加したこともあって、耐性菌の出現あるいは医薬品等の養殖生産物への残留の問題等が提起されている。」ということですね。「水産用医薬品等を使用する場合には、下記事項を留意の上、貴県下の養殖業者等に対する一層の指導の徹底方をお願いする。」ということで、その「使用に当たっては、適格な診断及び病原菌の薬剤感受性を調査するとともに、それぞれの医薬品の添付文書等の用法及び用量にしたがって使用すること。」また二、三、四、五というぐあいに通達が出ておりますが、この通達によりますと、残留の問題が提起されていると述べておりますけれども、これはどういう内容でございますか。
  63. 森整治

    ○森(整)政府委員 先生御指摘の問題につきましては、養殖業者の実態を一部の水産試験場で調査をした場合に、業者によりましては、全部ではございませんが、残留が危惧されるような不適正な使用事例があったということでございます。もちろん抗生物質等の医薬品につきましては、出荷前に一週間程度薬剤を使用しない休薬期間が使用上の注意としていま申されました中に記載されているわけでございます。そういう事実が出たわけでございまして、私どもとしましては、むしろ非常に過密な状態での飼育管理をすることによって、まず、その問題が基本的にあるのじゃないかということで、日常の飼育管理の適正化を図るということが第一でございまして、医薬品の使用をまず最小限にとどめてもらいたい、ただやむを得ない場合に医薬品を適正に使用するようにということで、先ほど御指摘の指導通達を出したわけでございますが、まだ魚病の問題につきましては、今後いろいろ調べなければいけない問題が非常にたくさんございます。そういう観点から、今後至急その防疫体制等も確立してまいりたいというふうに考えております。
  64. 新井彬之

    新井委員 薬事法第四十九条においては、要指示薬として、厚生大臣あるいは農林大臣が指定した医薬品等については、医師あるいは獣医師等の処方せんの交付または指示を受けた者以外に対して販売、授与してはならない、こういうことになっていますね。ところが処方せんを交付するにしても、医師というのは人間を対象にしておりますし、それから獣医師というのは牛とか豚とか犬とか鶏、ネコ、そういうものであって、魚というのは入っていないわけですね。そういうことで、法的には要指示薬ということになっておりますけれども、一体これらに、だれがどういうぐあいに診て薬を与えているのか、その点はいかがでございますか。
  65. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のように、要指示薬の制度、指示制度はございませんが、養殖指導の一環としまして、水産試験場の職員がその指導に当たるということでその使用の適正化を期してるわけでございます。
  66. 新井彬之

    新井委員 その問題も後で言いますが、通達の記の一に「適格な診断及び病原菌の薬剤感受性を調査」、こういうぐあいにありますが、実際そういうようなことまでちゃんとやっておられるわけですか。
  67. 森整治

    ○森(整)政府委員 そういう指導をするようにという通達を出したわけでございまして、まだその緒についたばかりでございますから、いろいろな人の問題、施設の問題、いろんな問題でおくれている点は認めざるを得ないと思います。しかし、私どもとしましては、そういうルートを通じまして関係業界を適切に指導していくという考え方でございます。
  68. 新井彬之

    新井委員 通達では、「水産用医薬品等を使用する場合には、下記事項を留意の上、貴県下の養殖業者等に対する一層の指導の徹底方をお願いする。」こういうぐあいにありますね。また養殖業者団体関係に出した通達では、記の二で、「水産用医薬品等の使用に当たっては、魚病について専門的知識を有する水産試験場等の指導を受け適正に使用する」、こういうことが書いてありますね。  そこでお伺いしたいのですが、過日わが党でプロジェクトチームを組みまして、養殖魚に対する水産医薬品の実態を知るために都道府県の各水産試験場に対してアンケート調査と現地調査をしたわけです。それによりますと、専門官と業者数との関係については——要するに水産試験場の専門官、それと業者の数については一体どのくらいだと予想されますか。
  69. 森整治

    ○森(整)政府委員 養殖業者はいろいろありますけれども、二万人を超える、それから魚病の問題につきましてのいろいろ研修を行っておりますが、その対象者は百五十人ということでございます。
  70. 新井彬之

    新井委員 まあ長官をいじめているとか、決してそういうことじゃないのですよ。実態をわが党で調べまして、そしてこれはちょっと問題じゃないかということで提起しているわけでございますので、わからないことはわからないで結構なんです、急に言った問題でございますので。  それで、調べた結果では、一名で七百六十五業者持っているのですよ。水産試験場に行っていると言っていますけれども、その水産試験場の専門官にアンケートを出し、どういう実態かということを全部調べたら、一人で七百六十五業者も持っているわけですから、そんなもの、いろんな問題もあって二年に一回も行けない。あるいはまた二名で八百九十一業者、こういうようなところもあるわけですね。だから、こういう通達を出しましても、水産試験場だってそんなことまではっきりしてないのです。どの程度魚の病気がこうで、病気で死んでいることは事実でございますが、それに対してどういうぐあいにやったらいいかということはまだ研究中でもあるしということで、実際問題、通達による効果というのは、やはりそういう問題では効果的にはまだまだ効き目がないのじゃないかと私は思うわけですね。これは長官だってそれはそうだろうということをお認めになると思いますが、いかがですか。そうでしょう。
  71. 森整治

    ○森(整)政府委員 残念ながら先生御指摘のように非常に立ちおくれておることは間違いございませんで、当面は研修あるいは機器の整備、そういうことを急速に進めていかなければいけないということで、今回も養殖研究所の病理部を整備するというような考え方で対応いたしたいというふうに思っておるわけでございます。
  72. 新井彬之

    新井委員 先ほども言いましたように、わが党のプロジェクトチームが各県の水産試験場に対してアンケート調査したのですが、その結果によりますと、いろいろ書いてきておりますけれども一つは、残留食品に対して脅威を感じております、こういうぐあいに言っております。二番目が、魚肉を通じて人体に薬品が入る可能性はもう否定できません、こう言っております。三番目には、魚体内の残留による人体への影響が憂慮される。四番目は、人体に何らかの悪い影響を及ぼす。こういうぐあいに、水産医薬品等への多量使用の弊害について、現在かなりの県の水産試験場において人体への影響を心配しているわけですね。  ところが、今度は逆に、水産医薬品等の使用状況については、明確には把握できないのですね。何をどういうように使ったかということはなかなか把握できない、これは要指示薬であるにかかわらず、魚の医者はいないのですから。まず第一には、水産試験場自体がそういうことの調査権限というのを持ってないことですね。こういうことはどうなのかという権限を持っていない。それから第二には、薬品会社プロパーと養殖業者間で処理されておって、実際の使用量の把握はなかなか困難だということですね。ここに大きな問題が存在すると思いますが、薬品会社というのは、しょせんたくさん売らなければいかぬのだというようなことで売ってくる。養殖業者はもう魚病に直面してしまっているわけですね。これを殺してしまった場合にはもう大損害である、何とかしなければいけない、こういうようなことでやっているわけですね。  それから薬品会社の宣伝文句によりますと、多量に継続的に、しかも予防的なものを使用せよと言っているわけですね。こっちにパンフレット全部ありますよ。パンフレットをずっと読みますと、要指示薬なのに、予防で、こうしなさい、ああしなさいと言って、でっかいパンフレットを配って、そしてやっているわけでしょう。だから信用されて、どんどん使われているわけです。その前提になっているものが、やはり法規制というものがないわけですね。要指示薬と言っても獣医さんがいないのですから、水産試験場の方が見て、これはどうだろうななんということで、直接製薬会社はどんどん売りに行って、これは予防的にもやりなさいということでやっているというようなことが行われている。  それからもう一つつけ加えて言うならば、休薬期間、これは一週間、こういうことを現地で指導しておるようですけれども、それに反して、そんなことしたら魚が病気で死んでしまうわけですから、どんどん薬を投与して、生きのいいところを出さなければいけないというようなことで、反したからといって、これは別に罰則規定も何にもないわけですよ、そういうようなことがまた一つ問題である。  それからもう一つ、食品段階での残留検査、これも各都道府県にずっと聞いてみましたけれども、東京都ぐらいじゃないですか、やっているのは。それもさっき言ったフラゾリドンについてはやっていない、こういうようなことで、ある水産試験場では有資格者での指導体制の強化を訴えているわけですね。魚の病気に対しても、この人が診れば大丈夫だということを何とかやってもらわなければ困るということを訴えている。  それで、その中で一つが薬剤の適正販売が行われるよう行政指導を強化してほしい、こう言っております。二番目は、自治体に任せないで、国で一つは予防投与規制をすべきである、二番は予算化し、使用規制すべきである、それから水産試験場における防疫等の体制強化をもっとしていただきたい。それから食品衛生上、漁業家の経営上等に種々の問題がある等の意見がずっと来ているわけです。要約すると、いま言ったような実態であるわけでございますが、こういうような問題を実際に把握し、知った上でいま一生懸命に手を打たれているのかどうか、その件について、いや、そういう実態は余り知らなかったとか、いや、そういうことがあるならもう一遍調査をして、現実に合ったように手を打つとか、そういうことの考え方について、まずお伺いしておきたいと思います。
  73. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題については、承知いたしております。  水産用の医薬品の使用につきまして基本的に制度化するというために、専門家によります検討会を開催いたしておりまして、規制できるような方向で検討をしておるわけでございますが、それまでの間におきましても、水産用の医薬品の適切な使用を確保するということのために、養殖業者に対しましては、医薬品の使用状況等の記録を保存するよう指導いたしております。  それと、養殖を指導する都道府県の職員に対しまして、先ほど申しました魚病の研修をさらに拡充する。それから医薬品の使用に対します指導監督をさらに強化をする。また医薬品の使用についての指導のマニュアルを作成いたしまして、末端の利用者の適正な使用ができるよう、またそれが徹底するよう指導してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  それからもう一つ、輸出入に伴い、ことに輸入でございますが、相手国への無病証明の添付を要請するというようなこと、それから実際に輸入される場合にいろいろチェックをするということを今後さらに拡大してまいりたいというふうに思います。それから今後食用向けの活魚をいろいろ輸入する場合に、養殖池へすぐ入れるということをやめて、隔離された蓄養池から直接消費地に出荷するというようなこともいろいろやってまいりたい。いずれにいたしましても、先ほど先生御指摘のような問題、急速な対策の整備を迫られておるわけでございます。  それにいたしましても、人と施設等、そういう問題を早く確保しませんと、いたずらに口で言っても実効が上がらないということは御指摘のとおりだと思います。したがいまして、いま私が申しましたような線で、早急にその対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  74. 新井彬之

    新井委員 時間がないので、これはあとやっていると、まだ一時間や二時間できるのです。ずっとあるのです。だから、私はここで問題点だけをずっとお話ししておきますので、それを受けて、後どういうぐあいにやるのか、後で結構でございますが、教えていただきたいと思うのです。  これは何も魚だけじゃなくて、豚とか鶏とかそういう面にも関係するわけです。そうすると、極端に言うと、獣医師さんがいてやるわけですけれども、その専門員が非常にわからないわけです。確かにたくさんの獣医師さんがおられますが、そういうことについての専門員が非常に少ないというようなことが一つあります。  それから鶏とか豚など一頭ごと、一羽ごとに検査をするのかと言うと、私の調査ではまとめて診断をしておるとか、そういうことになっています。だから、現実には獣医師さんが一生懸命がんばっても目が届かないというような実態というのは大分ありますね。  それから畜産については、通達にもありますけれども、指示書を書くには、要指示薬でございますから、実際の診断か病状の熟知が必要、こういうぐあいになっておるのですけれども、なかなかそういうような形にはならない、こういうことですね。だから、鶏や豚についても、専門の医師は非常に少ないし、実際に一つ一つのことについて、現実は要指示薬としてこうだと言ってやったということについては、余り認められないということです。  それからフラゾリドンの過去三年間における生産量ですけれども、AF2は年間に三・一トン生産して問題にされたのですよ。ところが、フラゾリドンは全く同じ状況でありながら、たとえて言うと、五十二年にも、減ったと言いながら七百六十八トンですね。それから五十一年には千五十トン。たった三・一トンしか生産されなかったAF2が問題であったのに、五十二年でも七百六十八トンが生産されて、そしてまた外国向けにも六百八十四トンも出ている、こういうようなことがあるわけでしょう。だから、外国に輸出したものが、またそれが試されて戻ってくるというようなことがあるわけですし、とにかくこういう問題については、もっと目を光らすなり、あるいはまたこれについて、そういうことが要指示薬としてなかなか徹底できない場合においては、一たんこれをストップしてやっていかなければいけない、こういうぐあいに私は考えるわけです。  そういうことで、時間がありませんから言いっ放しになりますけれども、長官、これはやはりいろいろな本にも、牛が病気だとか、豚だってすごいでしょう、内臓なんかとったって七〇%ぐらい廃棄処分になっているでしょう。そういうようなことから見ましても、日本の畜産関係あるいは養殖につきましても、そういうような実際問題というものをずっと見てもらわないと、生産はできたけれども、今度は食品公害のために大変な問題になるということも考えられるわけですね。したがいまして、どうかそういうこともよく目を光らし、現実の問題に適応したように、ひとつ農林省もあるいは厚生省も力を合わせてやっていただきたい。これは、本当は一問一答で、もっと細かく、ずっとやりたかったのですけれども、時間がありませんので、これで打ち切っておきますけれども、どうかその点をお願いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  75. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十分開議
  76. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田睦夫君。
  77. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最初に、水産行政に関する問題ですが、今回の改正案には、二百海里時代に対応するため、現在の農林省を農林水産省にするという内容が含まれております。この省名変更は、漁業関係者の水産省設置の要求を一定程度反映したものであります。  しかし、こうした水産省設置という行政機構の再編ということだけにとどまらず、日本の漁業制度を見直す、すなわち、漁業をわが国の基幹産業の一部門として再建するということがいま重要であると思います。この農林水産省は、こうした日本の漁業の再建を図ることを第一義的に実施するものでなければならないと考えますが、この点についての大臣の御見解をお伺いします。
  78. 中川一郎

    中川国務大臣 確かに、水産関係者から水産省を設置せよという声がありましたし、漁業外交を行う上に当たっても、農林省という名前で行うのでは非常に迫力に欠ける。そこで名実ともに水産振興をしなければならないというので、名も農林水産省と改め、実においても、二百海里時代を迎えて海洋外交、既得権の遠洋漁業の確保と同時に、二百海里の前にはこういうものの振興開発を行って、これからの日本の水産資源の確保に対応したい、こういうことでございます。
  79. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 二百海里時代を迎えまして、日本の漁業と水産食糧の将来を見ますと、これは大変な危機にさらされていると言われているわけです。こうした中での漁業の再建は、並み大抵のことではないわけです。政府が漁業を国の基幹産業として位置づけて、十分な投資を行い、漁業制度も抜本的に改善するという対策が必要であると考えます。  漁業白書を見ますと、現在の生産量は約一千万トン、このうち沿岸、沖合い漁業が六百万トン、遠洋漁業が三百万トン、その他海面、養殖、内水面漁業が百万トンということになっております。これら生産量についての将来見通し政府としてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
  80. 森整治

    ○森(整)政府委員 五十一年で大体一千万トンの生産がございますが、そのうち漁業規制によって供給が削減される、そういうことに対して、沿岸なり沖合いの漁業の振興を図ることによって、時期にもよるわけでございますが、今後百万トン程度の増強は、長期的に見れば可能ではないかというふうに思っております。
  81. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 過去の政府政策方向は、生産統計などから見ても明らかなように、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へというものであったと思います。二百海里時代の現在ですが、遠洋漁業がますます困難になっていく中で、いままでの政府政策は破綻しているということになって、政策転換が差し迫った重要な課題になっていると考えます。遠洋では、生産量の四割を占めるアメリカ水域での漁獲量は五十二年度で前年度の一一%減、一割を占めるソ連水域で約四〇%減という実情で、遠洋漁業が実質的に縮小することになっているわけです。こういう実態からすれば、沿岸、沖合い漁業で基本的に自給できる体制をとるために、沿岸、沖合い漁業の再建、多面的な振興策を図るべきであると思いますが、この点についてお伺いします。
  82. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘のとおりでございますが、このためには、まず、沿岸の漁場を見直していくということが一番重要な問題だと思っているわけでございます。そこで、沿岸漁場の整備を進めていく、その事業を促進していくということが一つであろう。  第二の問題といたしましては、栽培漁業のセンター、これは各県にもつくり、国もつくっておりますが、その整備等によって栽培漁業の振興を図っていく。また、サケ・マスのふ化放流事業を拡充強化していくということを強力に推進していかなければならない。今回の日ソの交渉にかんがみましても、われわれはそこをもっと充実していくという必要性を感じているわけでございます。  三番目といたしましては、漁業の生産基盤となる漁港につきましても、第六次の漁港整備計画に基づいてその整備促進を図っていく。  さらに、漁業経営の近代化とか水産物の流通の改善合理化を進めていくためにも、沿岸漁業の構造改善事業について、新しい計画を早急に策定する必要があろう。  また、流通加工センター、そういう形成事業を推進していくということで、価格の安定あるいは加工利用技術の開発を図って、生産から流通まで一貫した計画的な施策を遂行していく必要があろう。  それから、漁場を失っておるわけでございますから、改めて二百海里内の漁業資源を調査する、あるいは大陸棚斜面の未利用の資源開発のための調査を行う、こういうことを早急に行ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  83. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ところで、わが国の沿岸、沖合い漁業は、豊かな漁業資源を持ちながら、実際は重化学工業優先の地域開発という名のもとでの埋め立てで漁場が壊されてきたという状況があるわけです。いま政府は沿岸漁場整備事業や沿岸漁業構造改善事業などを進めておられるわけですが、これらの埋め立てなどを規制していかなければ沿岸漁業の振興は図れないのじゃないかと思うわけです。農林省は埋め立て問題についてどういう対策をとるつもりか、お伺いします。
  84. 森整治

    ○森(整)政府委員 水産庁といたしまして、基本的には、埋め立て等によって有用な漁場、また幼稚仔の生産、そういう浅海が失われていくことにつきましては、できるだけ回避をいたしたいとは考えております。ただ、そういう観点から、たとえて言えば、瀬戸内海法の運用に当たりましても、いろいろな条件の中でやむを得ないというものを認めていくというような形で運用していただいておるわけでございますが、今後、建設、運輸各省、港湾等の関係でやむを得ず埋め立てを行う場合には、できるだけ漁業への影響がないようにアセスメント等について十分な配慮をしてやってもらいたいというふうに思っております。関係各省にも、そういうふうに要請していきたいと考えております。
  85. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういった沿岸、沖合い漁業の進展を図らなければならないという状況にあるわけですけれども、先日、中川農林大臣は、日本記者クラブの講演で、「食糧自給率上昇よりも何百倍もの熱心さでエネルギー資源確保に努力すべきだ」、こうおっしゃいましたが、これはそうした漁業問題から見ると矛盾するのじゃないか、また沿岸漁民の要望に相反するのじゃないかという感じを持つわけです。農林大臣は、先日、漁船などの燃料にエネルギーが必要だとおっしゃいましたけれども、実際は、火力発電所や原子力発電所を誘致するということで漁場が埋められておって、エネルギー資源の開発と農林水産物の自給率向上は、いわば対立してきたという経過もあるわけです。こういうことを考えてみますと、農林大臣の講演には問題があるのじゃないかと思いますが、御意見をお伺いします。
  86. 中川一郎

    中川国務大臣 プレスセンターで私がそういう話をしたことは事実でございます。この前も申し上げたのでございますが、今日、農業においても、林業においても、水産においても、すべてエネルギーによって、油によって作業が行われておる。もし油がなくなってエネルギーがなくなったら、水田も耕せないし、収穫もできないし、もちろん魚もとりに行くことができないということならば、これはもう食糧自給率確保の上からいっても、断じて確保しなければならぬものである、もしこれがだめになれば食糧の問題もゼロになってしまう——ゼロでもないでしょうがゼロに近いものになってしまう。  そういう意味で、食糧自給率の問題も考えなければいけないが、エネルギーの問題も食糧問題としてもこの確保に大変な力を入れなければいけないという表現としていまのようなことを言ったのであって、食糧を犠牲にしてエネルギーを云々というような気持ちはさらさらないのでございまして、食糧確保のためにもエネルギーが大事であるということを申したわけでございます。
  87. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いまの対立する実例というのは、いろいろなところにあるわけです。たとえば千葉県の漁業で言いますと、第一は東京湾、第二が房総沖、第三が銚子九十九里沖というふうにあるわけですが、東京湾は御承知のように、京葉コンビナートを初め重化学工業の進出で埋め立てが進んで漁場が壊され、多くの漁業者がおかに上がり、漁業ができなくなるというようになりました。さらに現在、銚子九十九里沖では銚子名洗港の重要港湾指定でまたしても沿岸漁業が破壊されるのではないかという大きな不安が漁民の中に起きている現状であります。この重要港湾について運輸省はどういう方針を持っていらっしゃるのか、また、この重要港湾指定がされて、この地域にどういう開発が行われようとしているのか、運輸省にお伺いします。
  88. 久田安夫

    ○久田説明員 お答え申し上げます。  名洗港の重要港湾指定につきましては、先生御案内のとおり、昭和四十九年当時、港湾管理者でございます千葉県当局からの御要請がございまして、運輸省としても重要港湾指定の問題について検討をいたしたわけでございますけれども、その当時は千葉県当局と地元の関係者等との間での調整が十分できておりませんでしたので、重要港湾の指定は見送ったわけでございますが、その後千葉県当局として地元の銚子市並びに関係の漁業組合等といろいろお話し合いを進めてこられたようでございますが、この港湾の建設によります周辺漁業への影響ということがやはり非常に重要な問題でございますので、昭和五十一年度から県が調査費を計上されまして、漁業の実態それから港湾が建設される場合の漁業への影響というようなことについて調査を現在も継続中であると聞いております。したがいまして、現段階においては、私ども運輸省といたしましては、千葉県御当局が港湾管理者としてどういう計画をおつくりになるのか、その辺を見守りながら今後対処をしていきたいと考えておる次第でございます。
  89. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 千葉県の水産部が銚子九十九里沖の漁業について調査を行いました。これによると銚子九十九里沖は重要な魚礁であって、ここが重要港湾の指定を受けるということになると、この重要な魚礁が破壊されることは必然的であるわけです。事実、重要港湾の指定に関するいままでの経過を見てみましても、東京電力の火力発電所が進出するという計画を持っておってエネルギー資源の確保という看板を掲げ、一方では重要な魚礁が破壊される、そういうことが考えられるわけです。こういうことについて農林省、水産庁としてはどう対処するつもりか、お伺いします。
  90. 森整治

    ○森(整)政府委員 この地域につきましては、主としてまき網漁業が中心で、これに沖合い底びき、小型底びき、白魚、サヨリ、船びき、一本づりというようなことで年間の漁獲量が約十九万トンということのようでございます。現状では同港の計画が沖合いの魚礁へどういうふうに影響するのか、ちょっと推定ができませんけれども、先ほど申された千葉県水産部の漁業実態調査というものも用意されておるわけでございますから、千葉県の対応を見守るということにいたしたい、必要に応じて千葉県を通じて適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  91. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 農林省、水産庁では、ひとつこうしたところも調査の対象に加えて、再度水産資源の調査を行って、埋め立てあるいは重化学工業優先の開発というようなやり方を規制して、沿岸漁業の振興に力を入れてもらいたい。またそうすべきであると考えます。  現在の沿岸漁場整備開発事業では七カ年計画で投資総額が二千億円。これは道路整備五カ年計画の総投資額規模の二十八兆五千億円に比べてみますと、百四十分の一という貧弱さであるわけです。こういう投資では現在の沿岸漁業の振興を図るということが本格的にはできないと思います。わが党は、最も低く見積もっても二千億円を一年で投資するぐらいのことはやらなければならないということを考え、これを提案しているわけです。こうしたことが沿岸、沖合い漁業で基本的に自給できる道を開くものであるというように考えます。そうした問題について、農林大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  92. 森整治

    ○森(整)政府委員 私からちょっと事務的に先にお答えいたしておきますが、確かに総投資規模が二千億円ということで、沿岸漁業整備開発事業は五十一年に出発して、七カ年ということで現在事業を実施しております。  先生御指摘の一年でそれぐらいやれということにつきましては、この事業がまず公共事業として計画的に実施をし始めたということで、まさに五十一年というのがそういう時期でございます。そういうことでまだ日が浅いということ、それからそもそもがやはり各都道府県の計画を土台に考えられたということから、いろいろ都道府県の段階で考えられていた計画というものから比べて、非常に急にまたそれをけた外れに大きくするということもいささか問題があったというふうに思いますし、いずれにいたしましても、そういうことで今後その重要性もわれわれは大いに認め、また今後の飛躍的な拡大につきましても努力をいたしたいと思います。現に本年度予算につきましても、百三十三億ということで対前年比一七七%という、全体の公共事業を大幅に上回る予算を計上しているわけでございます。今後、条件、技術、そういういろいろなものが整いました暁には、さらにこれを大きく飛躍的に拡大していくということにつきまして積極的に臨んでまいりたいというふうに考えております。
  93. 中川一郎

    中川国務大臣 いま水産庁長官の申したとおりでございまして、これは大事な仕事でございますので、二千億、七カ年、昭和五十一年初年度、ことしも一七七という伸び率で伸ばしてございます。できればこれを改定してはどうか、大幅に増額してはどうかという声もありますが、まずこれを早期にやる、二千億円をできれば計画期間を早めるくらいの姿勢でやって、完成した上また新しいものをその上に伸ばしていく、こういうやり方で、いずれにいたしましても非常に大事なことでございますから、大いに促進をいたしたい、こう考えております。
  94. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 わが党は、二百海里時代に対応できる漁業をつくるために、漁業の再建政策を発表してまいりました。これは現在のわが国漁業の抱えているさまざまな危機的状況を緊急対策によって速やかに解決するとともに、二百海里時代に対応できる日本漁業の構造づくりを進めるものであります。  今回の改正は、省名を変更して一定の機構の改革をやるわけですけれども、漁業の再建を本格的に推し進めるというようなものにはまだなっていないと思うわけです。農林水産省が漁民及び漁業関係者の要求を十分取り入れて、わが国の漁業を再建し、多面的な振興をその実践の上において図ってもらうことを特に要求したいと思います。  次に、養殖研究所及び水産工学研究所についてお尋ねいたします。  まず、水産庁は昭和四十七年六月二十一日に、水産試験研究推進基本構想を立て、水産試験研究の充実を図るための対策をとっているわけですが、この基本構想は、現在どのように具体化されているのか、お伺いいたします。
  95. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の四十七年度の基本構想でございますが、この構想では、基本的に海区別の研究機関と全国段階の専門の研究機関とを区分いたしまして、それぞれ連携して効率的な研究を推進し得る体制を整備するということでございまして、今回海区別研究機関の整備とあわせまして、専門研究機関の整備につきまして養殖研究所及び水産工学研究所を新設するということにつきましての考え方が、初めて実現をするということでございます。従来ともいろいろ努力はいたしましたが、いろいろな事情でおくれておりまして、今回の農林省の全体の機構にあわせまして、水産の研究機関の整備を図るということにいたした次第でございます。
  96. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 今回の改正案によって真珠研究所と淡水区水産研究所が廃止される、そして養殖研究所と水産工学研究所、この二つの研究機関が設置されるということは、この基本構想に基づいて統廃合されるというように理解するわけです。  まず養殖研究所の問題ですが、お伺いしますと、今回廃止の二つの研究機関の研究は養殖研究所に引き継がれるということですが、この研究体制が万全なものになっているかどうかということについて問題があると考えるわけです。この養殖研究所は三重県の玉城町に内水面部門、それから南勢町に臨海部門がつくられる予定ですが、建設計画自体は前期が内水面の研究所、後期が臨海部門ということになっておりまして、内水面は昭和五十三年、臨海は昭和五十六年完成ということになっております。このため淡水区水産研究所は内水面部門に引き継がれるのですが、臨海部門の真珠研究所は五十六年完成ということのために十分引き継がれないまま廃止されることになると思うのですが、これはどうされるおつもりですか。
  97. 森整治

    ○森(整)政府委員 真珠研究所で行っている研究業務は、ただいま海水の関係の養殖関係の施設の完成を待って移転することにしておりますが、その施設の完成までの間においては、現在の施設において真珠研究所の研究を続けるということを考えておりまして、研究の中断が生じないというように計画をしてまいるつもりでございます。
  98. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 つもりとおっしゃいましたけれども、それをぜひ実現していただきたいと思います。これは政府のスクラップ・アンド・ビルドの方針のもとに、二つの研究機関を設置するかわりに二つの研究機関を廃止するというもので、幾ら過度的なものであるといっても、現に研究を続けるのなら臨海部門ができるまで残しておかなければならないものであるというように考えるわけです。これで実質的に研究が樹立されるかどうかということになると疑わしいように思うわけです。  この計画に要する財源の問題にしても、きわめて貧弱だというように考えます。前期計画は特特会計で何とか完成の見通しが立っておりますけれども、後期計画の方になりますと、これは一般会計で充当せざるを得ないわけで、いま五十三年度で土地取得費がついただけであって、今後の計画についてはあいまいであるというように思いますし、そうしますと、実際、五十六年までに果たしてできるかどうかという問題があります。この点、水産庁としてはどういう対策をとるおつもりか、お伺いします。
  99. 森整治

    ○森(整)政府委員 確かに、内水面につきましては、淡水区の水産研究所の施設用地を売却するということで、特別会計で五十三年度に完成をするという予定にいたしておりますが、海面の部分につきましては、御指摘のとおり、一般会計によって施設の整備を行うということに相なるわけでございます。その予算の獲得の問題につきましていろいろ不安がないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、もしわれわれの考え方につきまして御賛同を得て法律が施行されれば、当然大蔵等に対しまして、その施設整備の予算の獲得につきましては、最善の努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  100. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この養殖研究所は、海面、内水面を通じての水産をふやす、また、養殖業の推進を図るという目的でつくられました。このため、玉城町と南勢町を結ぶ道路が唯一の道路として研究の総合性を図るその手段ということになっております。しかし、この道路は農道ですけれども、この建設が三重県に任されているというために、いま非常におくれておって、五十八年までに完成する見通しがないというように聞いているわけです。そういうことになりますと、本来の目的である研究の総合性、研究の充実ということが図れなくなってしまうのじゃないか、こうした一連の見切り発車では、水産試験研究推進基本構想とは大きく矛盾することになってしまうと思うのですけれども、この点についてのお考えをお伺いします。
  101. 森整治

    ○森(整)政府委員 確かに、先生御指摘の問題はございます。しかし、私どもは、この両施設を結びつける道路、内陸部門と臨海部門を結ぶ道路の整備、厳密に申しますと、農林省の事業と建設省の事業の両方にまたがるわけでございますが、この一つは広域農道、これは農林省関係でございますが、農林関係からも強く要望されておるわけでございます。私どもも、これらの問題につきましては、関係の省あるいは部局に対しまして十分働きかけをいたしまして、県に任せるだけでなしに、そういうことでひとつ早期に道路の完成をする。そして、予定どおり海陸一体の養殖研究所の設立を急ぐということにつきまして万全の策を講じてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  102. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、水産工学研究所についてですが、まず、この研究所は、水産庁の漁船研究室、東海区水産研究所、真珠研究所の一部、それから農業土木試験場の研究、これを集約的に実施するものであるわけです。この漁船、漁具、漁法、漁場水性の研究はきわめて重要な部門であって、基本構想でも、「国の水産関係研究機関でも、」「それなりの成果を挙げてはきたが、局部的であり関係の研究施設、研究員数ともきわめて弱体である。」こう述べております。こういう指摘もあるわけですけれども、今回の人員は、集中化する研究施設の定員に実際はたった二名を加えただけということで、非常に貧弱ではないかと思うわけです。これも基本構想から言うと後退しているのじゃないかというように思うのですが、いかがですか。
  103. 森整治

    ○森(整)政府委員 水産工学研究所につきましても、いま先生御指摘のように、今後、逐次、施設整備を進めてまいるという態勢にあるわけでございまして、ただいま定員の増加が少ないという御指摘でございましたけれども、施設の拡充整備にあわせまして、私どもももちろん、この人員の確保、定員の増につきましても最善の努力をしていくつもりでございます。ですから、簡単に申しますと、計画整備に応じた定員の増加を図ってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
  104. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この研究所の研究についてもやはり幾つかの不安な材料があるように聞いております。  第一は、この研究所は、利根川の河川敷につくられる予定になっておりまして、研究所内には角型、長型などの水槽をつくって、漁船の抵抗や安全性を研究する施設がつくられるということになっております。これらの水槽は、非常に精密な試験を行うために、水槽の高さが〇・一ミリ狂うと実験に障害が生じるというように聞いております。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 それにもかかわらず、こんなに大きな水槽、いわば大型のプールを河川敷につくるわけですから、少しでも地盤沈下が起これば使いものにならないということになるのじゃないかと思うわけです。こういう点、水産庁は万全にできるというお考えでいらっしゃるのかどうか、お伺いします。
  105. 森整治

    ○森(整)政府委員 用地が波崎でございまして、この計画を立てるに当たりまして、前期計画の予定地、川下の方でございますが、二十七カ所、後期計画の予定地、これは川上の方ですが、七カ所のボーリング調査を実施いたしまして、施工に当たっても十分な基礎のくい打ちを行い、地盤に問題があるという御指摘と思いますので、そういう点については十分配慮していくつもりでございます。特に、御指摘のように大きな、長さ二百メートルの実験水槽をつくるわけでございますので、確かに、御指摘のようなゆがみなり沈下が起こらないように必要な地質調査をさらに十分行いまして、施設の配置にも十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  106. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この問題は重要ですから十分に調査してほしいと思います。  次に、この水産工学研究所は、漁場水性などで海水を取る計画があって、実験用としても重要なものであります。この海水ですが、この水工研がつくられる茨城の波崎では塩分の濃度不足ということで万全な研究ができないという不安の声を聞いておりますけれども、これはどういう対策をとられるのか、お伺いします。
  107. 森整治

    ○森(整)政府委員 確かに御指摘のように、漁場環境の水理実験を行う場合には海水を使用するということになります。その他の漁港、漁船、漁具、漁法等の実験には淡水を使用して行うという予定でございますが、ただいまの海水を使う場合の計画でございますが、利根川の下層から潮の干満によりまして差し込む海水を取水するということにしておるわけでございます。ただ、例の上流の河口ぜきの関係で必要な塩分濃度の海水が得られないという場合もあろうかということで、それに備えまして海水の貯水槽を併設するなどの手段を講ずるということによりまして、実験に支障のないように処置してまいりたいと考えております。
  108. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 幾つか問題を指摘しまして、これに対して対処するというお答えをいただきましたけれども、そうした問題は、やはり今日の研究体制の不十分さを示していると思います。わが党は、漁業再建計画でも研究体制の充実強化ということを一つの柱にしております。水産庁でもさきに述べました基本構想をつくって、いわばバラ色の研究体制を描いていらっしゃるわけですが、実態を見ますときわめて貧弱あるいはずさんという批判があると思います。研究体制の継続という点でも、基本構想をつくった当時の部課長クラスの人は、現在では一人も水産庁に残っていらっしゃらない。基本構想もそういう中で有名無実化されるおそれがあるというように危惧するわけです。この水工研、養殖研の新設を機会に、国の水産試験研究体制を再度見直して、万全の研究ができる体制を期すべきであると考えます。これが国民の要求にこたえて漁業の再建を進める基本的なものであると考えておりますが、農林大臣のこの研究体制、研究の問題についての御見解をお伺いしたいと思います。
  109. 中川一郎

    中川国務大臣 二百海里時代を迎えまして、今回訪ソをいたしましても議論となりますのはやはり資源でございます。資源を大事にしようということでございますので、わが国においても従来それぞれやってはまいりましたが、これから新しい覚悟をもって資源というものを新しく開発し、守っていく、こういったことで研究体制についてもしっかりやらなければいかぬ、今回改正をいたしましたのもそういった意味でございまして、十分これからやっていきたいと思います。
  110. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に、有明海の漁業調整事務局の廃止の問題です。  有明海も国の沿岸漁業の貧困さとか、あるいは埋め立てとかいうことがあって漁場が制約され、現在ではノリなどの養殖業が中心になっているわけです。こうした中で、福岡県では来年度水産試験場を改築する計画を持って有明海の漁業の振興を重視しているわけです。特に、二百海里時代で、漁業関係者にも内水面や近海の漁業の振興を見直す動きも出てきているわけです。こうした中で、国の出先機関が廃止されて、大牟田から福岡市へ移転してしまうということは漁業関係者の要求と矛盾するものであると考えるのですが、この点いかがですか。
  111. 森整治

    ○森(整)政府委員 有明海の漁業調整事務局の廃止の件でございますが、この事務局のそもそもの生い立ちが、有明海の漁業調整ということで有明海連合海区漁業調整委員会、その設置が二十六年でございます、その事務局として設けられたというのがその当時の事情でございます。その後、漁業調整を要する事案というのが非常に減少をしてまいってきておるということがございます。  それからもう一つのあれといたしましては、福岡の漁業調整事務所が、九州一円ということで漁業調整、漁業取り締まりと沿岸漁業の振興をあわせ行うという観点から、行政改革の地方支分部局の整理再編成の一環といたしまして同事務局を廃止いたし、新たに福岡の漁業調整事務所を九州の漁業調整事務所と改称いたしまして、有明海の事務も引き継ぎながら統一的な事業をしてまいるということに踏み切ったわけでございまして、全体の行政の機構の問題、漁業の調整事務の問題あるいは全体の漁業取り締まりの整備ということから見て、妥当なものではないかというふうに考えておるわけでございます。
  112. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 福岡県当局では、ノリや貝などの漁業を振興するために有明海に国の研究機関などをつくるよう強く要望しているわけですが、こういう点も二百海里時代に入って内水面、近海などの沿岸漁業の振興を図る点からも積極的に努力すべきであると思うのですが、この点はいかがですか。     〔村田委員長代理退席、高鳥委員長代理着席〕
  113. 森整治

    ○森(整)政府委員 有明海は非常に潮の干満が激しいということで干がたができる特有な海域でございまして、御指摘のようにノリの養殖からアサリ、ハマグリの貝類、カレイ、ボラ、スズキ、ガザミ等が生産されるという地域でございます。こういうことで、特に御指摘の県営の栽培センターにつきましては、長崎と佐賀、熊本の三県は五十二年度に施設の建設を完了いたしておるわけでございます。福岡県におきましても、本年度には完成をするということになっておるわけでございます。特に国がセンターを設置するということでなしに、県営のセンターに対しまして国が助成をしてまいるという体制でこの有明海の漁業振興を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  114. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 最後に林野庁の関係ですが、北海道にある五つの営林局を再編整備するということについて、過日の提案理由説明では「国有林野事業の自主的経営改善措置の一環として、その組織の簡素合理化を図ることが必要となっております。」という説明があって、そのために札幌営林局を北海道営林局に改めるとともに、他の四営林局を北海道営林局の支局にすることにしたと言われております。  いただきました資料によって組織を対照してみますと、四営林局の経営部とその下の治山課、監査課、それに事業部とその下の土木課が廃止され、支局には新たに業務部が置かれ、その下に新たに森林土木課が創設されるということになっていますが、北海道全体を見た場合に、営林局が国有林野事業において実施する仕事の上においては何らかの変化があるのかどうか、人員総数に変更があるのかどうか、そのあたりを、まずお伺いします。
  115. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、ただいま御審議いただいております法案には、北海道にただいま五つございます営林局の一つの札幌営林局を北海道営林局にいたしまして、残りの四局をそれの支局にするということで御審議いただいておるわけでございます。  それに伴いまして当然一部仕事の入れかえがあるわけでございますが、北海道全体の仕事のあり方、これにつきましては、北海道の国有林が減るわけではございませんから、直接現地でやります仕事については、これからの北海道の伐採量その他に見合う仕事は従前以上に適確な仕事をやっていくつもりでございます。しかしながら、やはり北海道という一元的な行政機構の中にございますので、北海道全体の自然的条件その他も似通ったものもございます。そういうことから国有林全体として経営方針の基本的な方針の作成、こういうものにつきましての事業実行上の基本的な事項、こういうものは北海道営林局で取り扱うことにいたしたいと思っております。  それから他省庁の諸計画との調整がございます。これが北海道では非常に多うございます。そういう意味で、この他省庁との調整という問題につきましては、北海道営林局でつかさどるということにいたしたいと思いますし、またただいま北海道五局それぞれで局長の権限の人事異動をやっておりますけれども、北海道全体の幹部職員の人事につきましては、中央におります北海道営林局におきましてつかさどるということにいたしたいと思っております。それから監査、研修がございます。それから広報、こういうある意味で管理部門に当たりますサービス業的なものにつきましては、北海道営林局でこれを統一してやりまして、統一された監査なり研究あるいは広報というものをやっていきたいというふうに考えております。  したがいまして、支局におきましては、その管轄区域の経常業務の処理について幅広い権能が与えられるということになりますし、地元に非常に関連のございます木材の販売等の問題あるいは地元市町村との関連が非常に多い国有林野の活用というものにつきましては従来どおり支局、または札幌周辺の場合には北海道営林局におきまして、そして営林署においてそれぞれ対処するという形になりますので、この点につきましては、従前と大きく変わることはございません。  それから先生いま人の問題とおっしゃいましたけれども、この再編整備に当たりましては、いま申しましたように北海道で管理的な業務を統括いたしますので、合わせて数十名の配置がえが必要になるというふうに考えております。これにつきましては、やはり本人の希望とかいうものは十分誠意を持って対処するつもりでございますし、整理退職というようなことは考えておりません。
  116. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 さらに提案理由の説明によりますと、「国有林野事業の自主的経営改善の計画的推進」ということをうたって、国有林野事業改善措置法案という、これは名前だけはりっぱな法案も今国会に提出されているわけですが、政府の国有林野事業についての今後の将来構想について大要をお伺いしたいと思います。
  117. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 御存じのとおり、国有林が戦後昭和二十二年に統一されまして、国有林野特別会計として発足したわけでございますが、その間それぞれの時代に見合いました国有林の使命を果たしてきたというふうにわれわれ考えております。特に過去におきまして、まだ外材が入らない時代に国産材で国内需要を賄うという時期が非常に長く続いたわけでございますが、その間におきまして国有林もできる限りの伐採をするということで、奥地の開発ということを中心にいたしまして生産量を上げたわけでございます。しかし、その後国民の木材需要に対応いたしまして、外材が自由化され、外材が入ってまいりまして、これが国民需要にこたえていき、供給量もふえてまいりました。さらには一方、日本の国土を、やはりいろいろな意味から森林の持ちます公益的機能を発揮せよという要望が非常に強くなりまして、そういう意味から、国有林自身もこれらに対応するために公益的機能の発揮という面から伐採を少なくするために拡大造林面積の縮小あるいは禁伐地域の拡大、こういうことをやりまして伐採量を落としてまいりました。  そういう観点から、現在抱えております組織あるいは人員その他管理部門的の面で非常に肥大化された面もございます。そういう面もございますし、それから伐採量が落ちてまいりましたために財政的に非常に厳しくなった、そういうこともありまして、ただいま国有林の財政が抱えております大きな財政的な損失をこれからできるだけ早く回復しようというのがまず大きなねらいでございます。  しかしながら、森林の経営でございますからそう短期にはできない。現在ございます森林をより生産力の高い森林に切りかえるということによりまして将来生産量を大きくする。そうしてなおかつそれが公益的機能を損なわないような形でこれを伸ばしていくという非常に大きな問題がございます。そういうものを長期的に計画を立てて着実に改善に向かって進むということが必要であろうということで、ただいま国会で御審議いただいております改善措置法案を提案いたしまして、私どもはその法案に基づきまして改善計画を立てたいと思っておるわけでございますが、現在の国有林の資源の賦存状況から見ましてきわめて短期間には回復はできない。やはり二十年程度はかかるであろう。しかし、二十年もかかって基盤を整備するのでは問題がある。少なくとも十年間に国有林が回復、改善できるような方向に基盤を整備していきたいということで十年間をその改善期間というふうに考えております。そういうことでこの改善期間に私どもが考えておりますのは、期間中のいろいろな基本的な事項につきましてそれぞれ改善計画をつくりまして、管理の面、事業実行の面、能率の面、販売の面等々すべてについて基本計画をつくりまして、それに基づいた着実な改善に当たっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  118. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そこで、国有林野事業の職員数及び延べ雇用量の推移の資料を見ますと、定員内職員も定員外職員も昭和四十年から年々減員されているわけです。国有林野の実態を見てみますと、現場職員については増員こそが必要だと思うのですが、この減少傾向は今後とも続けるつもりかどうか、お尋ねいたします。
  119. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、国有林の伐採量が一番大きなときには二千二百万立方以上のものを伐採いたしておりました。ただいま千五百万立方でございますけれども、現在私どもが検討しております国有林の能力からいいまして、ここ十年間ぐらい、最終的には千三百五十万立方程度にまで伐採量を落としていかなければならないというふうにわれわれは考えております。そしてこの期間が相当長期にわたることを考えますときに、現在抱えております組織あるいは人員と申しますものがかつての二千二百万立方程度を切った時代の組織に近い組織並びに人員を抱えておりますので、いま申し上げましたような伐採量の縮減傾向に見合った、これからの事業量に見合った管理組織あるいは人員を持たなければいけないということから、今後私どもといたしましても、数年の間は人員の縮減ということは考えざるを得ないというふうに考えておりますが、その場合でも、方法論といたしましては、高年齢者の勧奨退職の促進あるいは新規採用の抑制というような形をとりまして対応してまいりたいというふうに思っております。
  120. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 伐採量の問題で職員の数を決めていくということの問題は後にいたしまして、今後二十年間に定員内、定員外ともにそれぞれ一万人を減員し、営林署も約一割を削っていく計画があるという話を聞くわけですけれども、いままでの職員の減員状況を見ると、その計画が本当にあるんじゃないかという疑いが生ずるわけですが、そんなことまで構想しているのかどうか、確かめたいと思います。
  121. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 営林署の統廃合の問題につきましては、私どもも、ただいま営林署が全国に三百五十一ございますが、それぞれの営林署の管轄面積あるいは位置等々を見ますと、これの歴史的な経緯はいろいろあったにせよ、ある意味では三百五十一という営林署について検討すべきものがあるのではなかろうかということは考えてはおります。片や昨年の暮れに閣議で、国の行政機関の行政改革ということで、営林署につきましては一割を目途にして削減するという閣議決定がなされております。そういう問題と国有林自身のこれからの改善合理化の必要性というものを勘案いたしまして、私ども昭和五十三年度に九営林署を統廃合するということで現在考えておりますが、今後の問題につきましては、これからの改善計画の期間中に検討を進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  122. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この内閣委員会が北海道に調査に行ったときに、関係の自治体や労働組合などから、支局への格下げあるいは営林署の廃止というようなことは、自治体の過疎化を一層進めて地域産業を衰亡させる、そういった批判が出され、このことが強く訴えられたわけですけれども、こうした地元要求に対してどう対応するつもりか、お伺いします。
  123. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 北海道の支局化の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、主として管理部門的なものを統合いたしますので、その他地元に関連いたしますいろいろな業務につきましては、従来と同様にそれぞれの支局に権能を与えるということにいたしておりますから、私ども地元に御迷惑をかけることはほとんどあり得ないというふうに考えております。  それから営林署の問題でございますが、営林署につきましては、先ほど申し上げましたような実態でございますので、今後私どもとしても鋭意検討を進めなければいけないと思っておりますが、万一営林署を廃止するような地域が出ました場合には、そういう営林署の所在いたします地域につきましては十分地元の方々にも御説明し、御理解をいただき、御納得をいただいて、対応していくつもりでございます。
  124. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 次に「国有林野事業勘定、財務の推移」という資料を見ますと、昭和五十年度に三百億、五十一年度に四百四十八億という現金収支の赤字決算が出ております。その以前では、昭和四十六年が赤字であるほかはずっと黒字であったわけですが、この五十年、五十一年に大きな赤字を出した原因を政府はどう理解していらっしゃるのか、説明していただきたいと思います。
  125. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 国有林が財政的に厳しくなりましたのは四十年代の後半からでございまして、たまたまいま先生がおっしゃいましたように四十八年、九年あたりは材価の高騰という事態がございまして黒字というような財政結果になっておりますが、傾向としては四十年の後半から赤字傾向になってきたというのが実態でございまして、この赤字傾向が今後相当長い期間続くであろうというふうに現時点では見込まれておるわけでございます。  その原因になりますのは、損益の面で見ますと、支出の面においては、やはり先ほど申し上げましたような管理部門を中心にいたします人件費、物価等々の高騰、あるいは伐採量の減によります問題、それから収入の面では、先ほど申し上げましたような伐採量の減によります収入の減等等がございます。それから収支の面で見ましても、これから林力を強くする、造林地をつくり上げなければいけないということで、造林なり林道に大きな投資が要るというようなこと、それから公益的な機能を発揮するために必要ないろいろ事業が加わっておるというようなこと、こういうことから、いま先生が御指摘になりましたように、ただいま国有林の財政は非常に赤字が出まして、ここ当分の間、財政的に赤字になるような現時点での見通しになっておるわけでございます。
  126. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いま説明された理由ということからすると、当分の間赤字が続くということになるわけですけれども、この当分の間赤字が続くということを含めて、将来の見通しというものを説明していただきたいと思います。
  127. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 私ども先ほど申し上げましたように、これから二十年先にはこの赤字が解消するという方向で検討していこうということで、そのために十年間を改善期間といたしまして、改善計画に基づいた適確な改善を進めたいと思っております。  一番大きなもとになります伐採量でございますが、ここ十年ぐらいは縮減の方向に向かいまして、最終的には約千三百五十万立方程度の伐採量の減まで伐採量を落としていく。それが相当続きまして、やはり六十年代の後半まではそういう形で行き、六十年代の後半から、それまでに植えました造林地が成長してまいりますので、それ以来伐採量が増加いたしまして、七十年代に入りますれば伐採量の増加ということが見込まれ、年々その増加量がふえていくという形になると思います。そういう形で生産量も上がってまいりますので、その間それに見合った体質なり管理部門なりその他十分な整理をいたしまして、生産性を上げると同時に、販売の合理化等々も含めまして、収入の増と支出の減を図りながら、二十年先には国有林がひとり立ちできるような体制がとり得るというふうに考えております。
  128. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 この国有林の事業規模というものを伐採する材木量やあるいは造林面積、そういうものだけではかってはならないと思うのです。林政審議会の答申にもありますように、国有林の使命とすれば、自然環境の保全及び形成、国土の保全、水資源の涵養など公益的機能の発揮、林産物の計画的、持続的な供給とか地域振興への寄与ということを挙げておりますけれども、このようにこの公益的な使命はだれも否定できないことだと思うのです。この使命を全うするためには、国有林野事業としてやらなければならないことがたくさんあるわけです。  たとえば放置されております造林の手入れ、すなわち下刈り、つる切り、枝打ち、間伐などがありますし、また不良造林地の改植の問題もあります。天然林や広葉樹林の手入れもやはりそうだと思うのです。また自生した稚樹を刈り出したり植え込んだりする山づくりの仕事が必要であります。病虫害、山火事、災害などの森林被害を防ぐ対策、それから森林のパトロールも必要です。これらはいますぐに収益にはなりませんけれども、将来にわたってりっぱな森林を残していくためには当然やらなければならないことであります。こうした森林保全の措置は、国有林野事業の範囲として現在適確に行われていると考えていらっしゃるのかどうか、お伺いいたします。
  129. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 国有林の使命は、木材の生産とあわせまして、国土の保全なり水資源の涵養なり、あるいは自然環境の保全といった、森林の持ちますいろいろな機能を高度に発揮させることにある、そしてその調和を図りながら経営をすることにあるというふうに私どもも考えております。いま先生が指摘されました、造林事業に関連いたします保育だとか下刈りだとか、こういう問題がございますが、ただいま国有林では、面積全体で七百五十万ヘクタール余ございますけれども、そのうちの約二百五十万ヘクタール余を造林地にしようということで計画をいたしまして進んでおります。そういう中で、私ども造林をやります場合には、植えましたものが将来活力のある森林になるために、植えた後の下刈りあるいは除伐、そして間伐等々、こういうものについては当然十分配慮しながら、造林事業の一環としてやってきておるのでございますが、たまたま、御存じのとおり、国有林は脊梁山地を控えましたわりあいと奥深いところにございます。したがって、気象害あるいは鳥獣害等々いろいろな問題がございます。そういうことによりまして、不幸にして、植えた造林地がある意味で非常に成績が悪いという造林地が発生していることも事実でございます。それから、場所によりましては手入れがおくれておるという問題も決してないわけではないというふうに思っております。  こういうものにつきましては、私どもも五年に一遍計画を立てておりますし、そういう計画を立てるときに見直す、あるいは現地には担当区主任というのがおりまして、それが山の管理に当たり、山のパトロールをいたしております。そういう現場の主任の判断によりまして、そういう現地が発生いたしますれば、当然それを手直しするために翌年度の経費によりまして適確な手直しをするというようなことを毎年繰り返し繰り返しやっておるわけでございまして、今後ともその姿勢はとっていきたいと考えておりますし、できるだけ優良な造林地が早くすくすくと伸びるような努力をしてまいるつもりでございます。  また一方山火事等につきましても、当然いまが山火事の危険期でございますが、営林署を中心にいたしましてそのための組織はきちんとつくっておきまして、パトロールもし、山火事等の発生のないようなPRなり努力は十分しておるつもりでございますし、今後とも国有林の管理経営につきましては適確な管理経営をしてまいりたいと考えております。
  130. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 いかにもやっているというような趣旨の話でありますけれども一つ考えてみなくちゃならないのは、伐採できる材木が少ないときに、こうした投資を大いに進めていかなければならない、そういう時期がありますし、そういう時期においては黒字にするということはもともと不可能なのではないかという問題があるわけです。特別会計で、年度ごとを見て赤字を問題にすれば、公益的な仕事はもう後回しになってやれなくなる、やらなくなるというようなことになると思うのです。特別会計で、木材収入を基本にして、これでみんな賄えというのはもともと無理なことではないかと思うのですけれども、この点についてのお考えをお伺いします。
  131. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 国有林の使命の中で、先ほど申し上げました公益的機能の中でも国土の保全というような意味を含めまして治山事業というものがございます。この治山事業につきましては、すでに一般会計から三分の二の補助をいただきまして、繰り入れをいただいて、これによりまして治山事業を遂行いたしておりますし、また、ただいま御審議をいただいております改善措置法案が成立いたしますれば、それに基づきまして造林、林道等に五十三年度約四十億の繰り入れをしていただくという形になっております。  そういう意味で、私どももこれからの国有林を管理経営する場合に、やはり国有林は独立採算の会計でございますし、自主的な努力によりましてまずその改善を図るということを大前提にいたしまして、その補完的なものとして特例措置の、一般会計からの繰り入れを造林、林道にいただくことにいたしておりますけれども、国有林の特別会計という精神、そして国の企業という精神から、私どもといたしましては、自主的な改善というものを主体にし、いま申し上げましたような形で、今後の国有林の改善を図ってまいりたいと考えている次第でございます。
  132. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 ことしの四月二十一日の朝日新聞の社説を見てみますと、「荒廃した国有林を見て」ということで書かれております。その中に「九年前にスギ、ヒノキを植えたというのだが、ところどころに育ちの悪い幼木が残っているだけで、山を一面に覆っているのは枯れ草である。」あるいは「社有林にはスギ、ヒノキがみごとに育ち、」「国有林の方はせっかく大きくなった木も手入れされず、ツルにまかれて曲がった木もある」「荒らされた山がいまだに放置されている」、これは帳簿上「改植を必要としない、ということらしい。」こういうような指摘があるわけですけれども、これは、単に国有林の悪いところ一部だけを見て書いたというような、そういうものではないと思うわけです。国有林を見て、しばしばみんなが感じることであるわけです。どうしてこういうことになっているのかという問題ですけれども、これはやはり人手不足ということで、国有林に対して適確な対策、保全の措置が行われないのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  133. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほど申し上げましたように、国有林は現在約二百万ヘクタールの造林地を持っておりますが、やはり相当な脊梁山脈中心の国有林でございますので、その中で一部には気象害あるいは野生の鳥獣害等々の被害を受けて、必ずしも適確な成績を上げていない造林地の個所がないわけではございません。ただいま私どもの調べておりますのでは、約二百万ヘクタールのうちの一万五千ヘクタール程度、〇・七%程度がそういう個所であろうという調査をいたしております。その調査に基づきまして年々これの改植、補植等々を進めながら対応いたしております。  今後ともこういう成績の悪い造林地を発生しないような造林を進めなければいけないと考えておりますが、やはり山のことでございますから、いま申し上げましたような、ネズミとかウサギとか、いろいろな被害も出てまいります。最近ではカモシカの被害もあるわけでございまして、そういうものを含めまして、成績の悪い造林地についてはそれなりの対応をしていきたいと考えております。いま先生がおっしゃいましたように、人手、金という問題もございますが、これは私どもの現在考えております人員あるいは予算規模等々で十分やっていけると私どもは考えておりますので、その規模の中で適確に処理してまいりたいと考えております。
  134. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 長官はそうおっしゃるわけですけれども委員会で北海道に行ったとき、労働組合の人あるいは地元の人、こうした人から、やはりそういう問題も指摘されているわけです。この点については、そうじゃないといきなり言い切ってしまわないで、本当に調査をして、適確な対策を立ててもらいたいと思うわけです。  次に、この資料の「木材需給の推移」を見てみますと、この五年間、供給材中の外材輸入率は六五%内外ということになっております。わが国が木材の輸入を受けている国では、いま丸太輸出の規制があるとかいろいろ聞くわけですが、それらの国の輸出の動向、さらに輸入材については将来も必要量を安定的に確保できる見通しが立っているのかどうか、お伺いいたします。
  135. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 日本におきます木材需給でございますけれども、ただいま約六五%外材で需要を賄っておる次第でございます。そしてここ当分の間、日本の森林の現在の状況から見まして、この程度の外材への依存はせざるを得ない。そうしませんと、国民需要にこたえ得ないというふうにわれわれも考えております。そういう意味から、外国から丸太なり製材品というものが今後とも必要なわけでございますけれども日本に入ってまいります外国の木材を分類いたしますと、大きく分けまして、ソ連から来るもの、あるいは北米から来るもの、これらは針葉樹でございますが、東南アジア、開発途上国から参りますものが主としてラワン材、広葉樹でございます。こういうふうに分けられるかと思います。  そういう国々におきましても、最近では、自分の国の自然保護の問題あるいは自分の国での木材工業に対します保護育成の問題ということから、丸太の輸出規制というような動きも全然ないわけではございません。そういう点、丸太がわりに製品を輸出したいという意向もあるわけでございます。そういう意味からも、わが国が丸太の輸入をするということにつきましては、必ずしも楽観できる問題ではないというふうにわれわれも考えております。  こういう面から、世界のいろいろな木材貿易をめぐります国際情勢というものを十分私どもといたしましても配慮しながら、主要な木材供給国とやはり緊密な連絡をとる必要があろうというふうに考えておりますし、また、開発途上国等につきましては、海外の林業開発なり森林資源造成というものに対します協力を行いまして、積極的にそれを推進することによりまして、やはり日本の木材資源の確保をするという姿勢も私どもは必要ではなかろうかというように考えております。
  136. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 木材輸入について言えば、理論的に考えてみても、量の確保だとかあるいは価格の問題、丸太輸入などについて将来とも安定しているという断定はとてもできないと思うわけです。何となれば、世界的に木材需要はふえ続けておりますし、輸出制限の動きも出ておりますし、輸出国の方を見てみましても、あり余った資源を持っているわけではないわけです。人工材化はまだおくれているわけで、そういう中で急激に事情が悪化するというようなことになれば、価格の問題にしても、量の問題にしても、不測の事態が生まれてくる。そういうときにも耐えられる体制をいまからつくっておかなければならない。  五十二年度の林業に関する年次報告でも「秩序ある安定的輸入に努めるとともに、国内の林業・林産業の体質強化を進めることが重要な課題となっている。」と述べております。その具体化の中心は、やはり国有林野事業の中でも木材の自給率を高めていくことが必要であるというように考えます。植林の可能なところを杉やヒノキの人工林にかえて十分な手入れをするということや、天然林も手入れをして活気のある森林にするということや、そうしたことをやって木材の生産量をふやしていく、そういう対策を大いに進めなければならないと思うのですが、いかがですか。
  137. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 国有林の使命には、当然木材の計画的、安定的な供給をするという使命はございます。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように、私どもも、奥地の一部開発をしながら、成長量の少ない森林を成長量の高い杉、ヒノキ等々に切りかえまして、これからの国民の木材需要に対します期待にこたえるような山づくりをしていかなければいけないということで、積極的な造林を進めておるわけでございまして、できるだけ長い将来におきましては、国内におきます供給力が少しでも高まるような方向に国有林としても尽くすべきであろうというように考えております。
  138. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 そういうことをやらなければならない状況の中で、国有林野事業の機構の縮小だとか統廃合だとか人減らしというようなことは、いまの国有林の置かれている現状、また国有林の使命ということから見ましても、それに逆行するものであると考えます。いま必要なことは、治山事業、公共の林道、自然公園、保安林などの経費というものについては、一般会計からの資金を充てるということ、また、高度成長時代にやりました林増木増計画、そういう中で手おくれをしている造林地を解消するということや、天然林を保育する、あるいは拡大する、さらに造林事業などについては、民有林並みの一般会計による助成措置を講じる必要があると考えますし、これはまた公益的機能ということから考えますと、妥当性のある資金の使用方法であると思うのですが、こうした問題について、最後にひとつ大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  139. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように国有林は、独立採算制をもって国民に対し木材を供給すること、あるいは公益機能を果たすこと、こういうことでやってきておりましたが、最近木材価格の低迷あるいは公共性がいよいよまた強く要求される、あるいは伐採量が減ってくるというような幾つかの条件、さらには管理、機構、労務等々の問題もその上に重なりまして、異常なまでに会計が悪くなったというところから、今回改善計画の法案と機構整備の法案というものを出したわけでございます。その改善計画の一環として、林道、造林等について国が一般会計からこれを出して、全体として黒字といいますか、いまのようなひとり立ちのできない国有林からひとり立ちをする国有林にする、そして国民の期待にこたえる林野庁にしたい、こういうことが今回のねらいであり、一般会計からもこの際投入をして、全体としてバランスがとれるようにしたということでございます。
  140. 柴田睦夫

    柴田(睦)委員 終わります。
  141. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 中川秀直君。
  142. 中川秀直

    中川(秀)委員 きょうは準備の都合もありまして、やや総論的なお尋ねをしたいと思いますので、できるだけ大臣に御答弁を願いたいと思うのであります。  まず、今回の農林省設置法の一部改正案のねらいというものが一言で言って何なのか、私は大臣の基本的な御認識をお伺いしたいと思うのです。  と申しますのは、いろいろなものが一括して盛り込まれております。そして、盛り込まれた結果、果たしてこの法案が、国民に対していわゆる言うところの行政改革の一環の法案なのか、そういう方向のものなのか、あるいはそうでないものなのか、やや不明確な性格を持っているのじゃないかという気がしてならないからであります。大臣、今回の設置法の一部改正案の趣旨説明を読めばどういうことをやっているということはわかるわけですが、その繰り返しではなくて、一言で言ったねらいは何であったのか、基本的な御認識をお伺いしたいと思います。
  143. 中川一郎

    中川国務大臣 今度の設置法改正のねらいは二つあります。一つは、二百海里時代を迎えて水産の見直しを行わなければならないというところから、省名を農林水産省とする、同時にまた、水産庁の中に振興部というものを設ける等、あるいは試験場等の改革を加えて、新しい時代の水産行政への対応を図るということが第一点でございます。  第二点は、これまた先ほど来議論がありますように、国有林が非常に経営が悪くなったということから、この経営改善のための立法とともに、行政機構についてもできるだけ合理化し、簡素化するよう対応した、それに関連をしてまた農林省内の内部機構等について調整を行った。簡単に言えばそういうことになろうと思います。
  144. 中川秀直

    中川(秀)委員 一言で言えば確かにそのとおりの法案なのだろうと思いますが、現実にいろいろしさいに考えてみますと、案外そのねらいというか目的が貫かれていないのじゃないかという気が非常にしてならない。たとえば第一点の水産業の見直し、そのための省名変更、振興部の創設等々によって新時代に対応するということなのですが、組織論的に言うと、たとえば水産業農林省の機構の中で明確に位置づけるというねらいからするならば、私は、農林経済局を経済局と改称した、その改称した意味の中に水産行政の企画立案事務といったようなもの、総合調整事務といったようなものを本省でやる、こういうような姿勢が本当は必要だったのじゃないかという気がしてならないのです。つまり省名は変えましたけれども、その省名を変えて農林経済局を経済局と改称したことによって、一見本省で水産行政の企画部門を担当するかに私は最初印象を受けた。ならば、これは後ほど申し上げますが、臨時行政調査会の答申でも、そういうものはきちっと分けなさいという答申が昭和三十九年に出ている。そういう意味からいってもこれはかなりの前進であろうと思っていたわけです。  ところが実際は、省名は変え、農林経済局を経済局と改称しても、所掌事務は一切改正していないわけですね。全く従来と同じ。実態は、現行と同じように水産庁は農林水産省の外局であって、そして企画系統事務と実施系統事務の両方をあわせ行っていくのだということになっているわけですね。これはいまちょっと触れましたけれども、行政事務を企画系統と実施系統に分けますと、外局としての庁は、中央出先機関と同様に主として実施系統を担当する部局であると普通は理解されています。臨調答申でも企画事務と実施事務の分離がうたわれているわけです。その理由として臨時行政調査会の答申は、とかく企画系統が現実問題の処理に引きずられて近視眼的になる、長期的展望や総合性に欠ける傾向があるという指摘の上に立って、往々にして部局の立場に立って、権限や予算、人員等の拡大を図る企画はするけれども、縮小を伴うような企画はみずからすることがないという、その点を強調しておるわけですね。これは昭和三十九年の指摘なのですが、私はいまもかなり正鵠を得ている指摘のような気がいたします。  したがって、他省庁で見れば、たとえば大蔵省における国税庁、あるいは厚生省における社会保険庁というものは、外局として完全に実施系統ということになっている。企画系統は、大蔵省の場合で言うなら主税局にある。あるいは、大臣もその辺はよく御存じですが、社会保険庁の企画系統部門としては厚生省に保険局、年金局があるわけですね。そういうぐあいにそれぞれ分けて、本省で企画調整、外局は実施官庁、こういうふうになっているわけです。農林省の機構改革で農林水産省とし、農林経済局を経済局と改称したという意味で、多分そういう意味でそこまで改正したのだろうと思っていたら違う。私は、これは本来の目的から考えて、いま大臣が御答弁になった新しい時代への水産行政に対応するための機構改革なんだという意味から言うならば大分不十分な気がしてならないわけです。大臣、今回の改正案、もう国会へ閣法として提案になっているわけですけれども、私は、本来のあり方から言うならば、経済局と改称したところで企画、総合調整を図って、水産庁は実施部門、そういう系統の分け方を本当はすべきだったのじゃないかという気がするのですが、御見解いかがですか。
  145. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 ただいまのお話のように、いわゆる行政の企画部門は内局で実施して、むしろ外局はいわゆる事業的、現業的なものにすっきりすべきではないかというお考えも確かにあろうかと思いますし、主税局と国税庁のごとく、そのような仕分けを明確にしておるところもあるわけでございます。ただ、農林省の場合、林野庁、水産庁、食糧庁の三つの外局がございますが、それぞれ事業の分野を持っておるばかりではなくて、それにかかわる指導行政も担当いたしております。林野庁におきましては、国有林野を持っているばかりではなくて、一般の民有林の指導行政も実施しております。水産庁の場合におきましても同様に、いわゆる水産行政全体を総括する外局でございますので、この外局における企画部門とそれから現業部門とを明確に仕分けをして、企画部門だけを内局に移すということは、行政の効率なり行政対象との関係等からいたしまして、必ずしも適当ではないのではないかと考えておりまして、今度の水産庁の強化にいたしましても、振興部という形で沿岸漁業の振興を図る部門を新しく設置をして強化をするという形をとったわけでございますが、この内容におきましては企画部門的な要素も含まれておるということでございます。この点は農林行政の特殊な事情として御理解をいただきたいと思うわけでございます。  ただ、こういうふうな形でそれぞれの外局がばらばらに運営されておった場合には、いま御指摘がありましたような企画部門、総合調整的な機能が問題になってまいりますので、この点につきましては、経済局が実施するということではなくて、農林省の場合はむしろ官房が担当することにしておりまして、官房の中で、特に官房の企画室がございまして、企画室におきまして外局も含めた総合調整、それから企画の仕事をやっておるという実態になっておるわけでございます。
  146. 中川秀直

    中川(秀)委員 せっかくの御答弁ですから、一言私は御注文だけ申し上げておきますけれども、議論をしようとは思いません。結局、先ほどお話ししたように、行政改革のスタートになった臨調答申でも、はっきりと、外局部門として実施系統を担当するところがあわせ企画系統も持っているところでは、とかく近視眼的な現実的問題の処理に追われてしまっている、そして増員傾向の企画はするけれども縮小傾向の企画はできない、こういう現実が見受けられるのだ、したがって分離せよという答申が出ているわけです。私は、農林省だけが数ある省庁の中でこういった要請にこたえない省庁だと思います。特殊事情があるということを全く理解しないわけではありませんけれども、せっかくのこういう機会にやはり検討して、それなりの体制をとるという方向を持つべきだったのじゃないかという気持ちが非常に強くするわけです。  いまの官房長の御答弁だと、官房の企画室をフルに使って総合調整をやるのだというお話ですが、言葉だけでなくて本気でやっていただかないと、後ほど指摘をいたしますが、大臣の御答弁の二番目の点に関するのでありますけれども、行政の合理化というこの法案の第二の目的があるというのですが、具体的にそれじゃ人数等がどの程度どうやって動くかということを調べてみると、全然減るどころかふえるのですよ。農林省全体としては完全にふえるのです。今回の法案でもそういう傾向が出てしまっているので、私は、当然そういった行政機構の合理化というねらいを持った法案であるならば、あるいはそういうねらいでこれからのたくさん出てくるニーズを処理していこうというのであるならば、機構改革にも組織論的にぴちっとしたものを持たないと今後はいけないのではないかという気持ちが強くするわけです。ひとつ今後のことを、官房長いかがですか。
  147. 松本作衞

    ○松本(作)政府委員 御趣旨の点は、農林省の組織の運営につきましても十分に考えていきたいというふうに思っております。  ただ、組織の増減につきましては、農林行政自体が非常に問題が多くなってきておりますので、そういうふうな行政需要に応じて、ある程度増加するという面が出てまいるのは、やむを得ないことと御理解をいただきたいと思うわけでございますが、一方におきまして、減らすべきところは減らすというふうな努力もいたしておる次第でございます。
  148. 中川秀直

    中川(秀)委員 では、そうおっしゃるならば、具体的に数字を挙げてお尋ねをいたしますが、たとえば今度の法案、大臣が第二点として挙げられた国有林野事業の経営改善のために改善計画を立てる、特別措置法を出すというのと同様に、相並行して行政組織、機構の簡素化を図ったのだということなんですが、確かに林野庁の方では、北海道五営林局の再編整備等でいわゆる総定員法の一条で定められている一条定員は、指定職は一人、一人で変わりません。行政職の二等級、二級職が三人減ということになっています。また三条定員の方では一人ふえていますね。それから北海道営林局以外の林野庁出先機関のポスト異動、これは特別会計ですが、これが二十三人減。またもう一つありますね。本庁では、三条定員が、課長相当職以上ですが、一人むしろふえていますね。それから本庁の一般会計関係として、行政職二級職の森林開発公団監理官が、指定職に当たる次長ということにむしろ格上げになっているわけですね。あれやこれやで、林野庁の関係は、合計して三条定員の方で二十三人減ですが、指定職やそれから課長相当職は、同じかもしくは一人ふえている。若干の数の削減にしか林野庁関係はすぎない。  もっと広く今度の設置法の全般の数をいろいろ当たってみますと、もうちょっとひどい話になる。たとえば本庁関係では、指定職から行政職四等級、四級職まで、農林本省では十三人ふえて三人減る。スクラップは三人で、ビルドの方が十三人。計十人ふえているわけですね。それから出先機関では、農林本省関係の出先機関では、むしろ減員はゼロであって、指定職から行政職四級職までは二十二人ふえている。合計三十二人、全部合わせて農林本省分でふえている。食糧関係分でも、本庁は余り関係ありませんが、出先機関では食糧関係でも十八人ふえている。水産庁の関係でも、出先機関を合わせまして三人ふえている。合計して省令以上のポストは五十三ポストふえている。  これに対して、事務当局の御説明を先般伺いましたら、係長等の訓令職を五十つぶしているから振りかえなんだ、こういうことなんですね。しかし、省令職以上みんな変わっているわけですよ。法律職あるいは政令職、省令職に、訓令職というものが五十かわってさらに三つふえている。純増、全部で三ポストふえた。  こういう数字をいろいろ挙げてみましても、大臣が国有林野事業の経営改善のための行政合理化、あわせてその他農林省関係組織の整備再編、これは当然行政改革の一環として、簡素化の方向をねらわれておやりになったのだろうと思いますけれども現実には数はふえているのです。ふえるのです、この法案では。私は、今度の法案には、いまお話ししたように、行政改革のねらいというものは当然あっただろうと思う。少なくとも行政管理庁の行政改革案、政府の閣議決定の中には、農林省の今度の再編と行政管理庁の再編というものが大きな目玉として二つ挙げられている。ところが、全部グレード別に農林省全体を統計をとってみると、数はむしろふえる。どこが行政改革の目玉として挙げ得るに足るようなものになっているのか、私ははなはだ疑問に思わざるを得ないのであります。大臣、御感想はいかがですか。
  149. 中川一郎

    中川国務大臣 まず第一番目に、営林局が十四あったうち四つ、これを支局におろすというのは、これは改革としてはかなり前向きのものだと思うのです。それから設置法とは直接関係ありませんけれども、営林署の整理統合も、三百五十一あるうち三十五程度は統合していこう、こういうことですし、あるいは林野庁の職員も、定員外、定員内、それぞれ約一万ぐらいは実質、需要に見合ったといいますか、仕事に見合って長期的に減らしていこう、こういうことでございますので、行政機構改革というのは言うべくしてなかなかできないものではありますが、私はかなり思い切ったことをやった、こう思っておるわけであり、また、やらなければならない情勢もありますからではございますが……。  ただ、ポストの増減、いろいろ御指摘はございますが、農林行政も御承知のように国際化を迎えて非常に複雑でございます。従来はただ生産だけすればいい農林行政でありましたのが、最近は国際的な対応という、特に水産庁などは外務省と言ってもいいくらい非常に数多くの国と個別折衝をしなければならない。あるいはそれ以外でも、ECあるいは東京ラウンド等々、アメリカ等と農産物、林産物、水産物を含めて非常に外交問題がむずかしくなってきた。もう一つ、最近は流通問題等消費者向けの行政もやらなければいかぬということで、相当複雑でむずかしい仕事がある中でこれから消化していこうというわけでございますので、若干のやりくりはありましたが、私はかなり詰めた厳しい対応であった、こう評価をいたしておるところでございます。  評価がないと言われればないのでありますけれども、私どもとしては、非常にむずかしくなってきた時代に、それほどポストもふやさずに、スクラップ・アンド・ビルドという根本原則に従って正すべきは正した。ただし、農林省の機構全体が、先ほどもお話がありましたが、これでいいかと言うと、私はやはりまだまだ研究の余地はあるのではないかとは思います。しかし、現段階におきましては、こういった水産行政あるいは林野行政等、当面する大きな問題を解決するための機構の整備としては、まずまずのできばえである、こう評価しておるところでございます。
  150. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣、これは私が言うというのでなくて、国民の立場から言ったら、いまの御答弁では甘いのですよ。全然甘い。たとえば本当に行政機構の簡素化をしようと思ったら、まず上から範をたれていかなければいけない。私どもは、行政改革に当たっては国会議員の数から減らしていけというぐらいの非常にドラスチックな発想で考えているわけなんですが、各省庁においてもむしろ簡素合理化するならば本庁も、そして管理職相当職以上もかなり縮減していく、そういうやはり姿勢の問題を非常に重視するわけです。  そういう意味から言うと、今度の法案は、大分ぎりぎり詰めて目いっぱいやったんだ、評価すると大臣はおっしゃったけれども、数が何よりも証明している。減っているなら、そういうことも多少は言えるかもしれないけれども、純然たる増員ですから。三人ふえているのですよ。これで減りましたなんて胸を張って言ってもらったんじゃ困る。事実がふえているんですから。第一、林野庁の次長なんというのは、かつて七十国会で提案されて国会で削除されているんです。それをまた新設する。森林開発公団監理官は行政職二級職ですよ。これが次長ということになれば今度は指定職です。完全にランクアップです。かつての国会で提案されて削除されたのをまた出してきている。  それからいま大臣、食糧事務所のことについて、消費者向けのサービスも求められているんだとおっしゃいました。確かに今度は流通関係の事務も行えるようにこの改正案ではなっていますけれども、問題の食糧事務所全体の再編あるいは整理統合、縮減といった古くて新しい問題については、基本的な部分農林省としては何ら手はつけていないのですね。  そういうことをいろいろ考えてみまして、私は今度の法案は、行政簡素化などという言葉で表現できる法案ではないという気がしてならない。そういう表現をお使いにならないで、むしろ農林行政のニーズに対応するためにやりましたというならまだそれはやや正確でありますけれども、行政簡素化、簡素化といろいろなところに書いてある、それを読んでそのつもりで、それじゃ果たして水産行政というものは企画部門と実施部門を分けているのだろうかとか、あるいは数は減るのだろうかとか、古くて新しい食糧事務所の改編などには手をつけておられるのだろうかということを検討してみると、全く答えは逆方向である。そういう意味で私は、本当に残念な法案だと言わざるを得ないのであります。  そこでちょっと一、二関係者の声を大臣にお聞き取りを願いたいのです。この法案への賛否について、特に林野庁部分については、先ほど来各委員がいろいろお尋ねになっていて、また大臣も、地元の問題ですから、よくいろいろな方の御意見は聞いていらっしゃると思うのですが、まず組合側の方からは、あえてくどくどは申し上げませんけれども、たとえば国有林野事業の立て直しの法案ではなくてむしろ崩壊させていく法案である。たとえば私が関心のあるところだけ申し上げますけれども、組織改編、簡素化と言うけれども、屋上屋を重ねて合理化になっていないじゃないかということも反対理由の一つに挙げられているのです。こういう反対理由なら私も賛成です。合理化になっていない。合理化すべきだというなら私も賛成なんですが、少なくとも組合側の反論の中には、政府は国有林野事業経営改善のために行政機構を合理化するんだ、こう言っているけれども、ほとんど合理化になっていないということを組合側からも言っている。  あるいは林業界の方からでは、きわめて不満だ、不況下の需要停滞や外材の供給増で、本当に業界自身は研ぎ澄まされたやいばの上を歩いているようなものだ、しかるに国有林野事業は相も変わらず親方日の丸経営で、民間コストの倍、間接費を入れれば数倍のロスを平気で続けている、立木代をただにしても赤字を出して官業部門は倒産がなくてうらやましい、こういったコスト高が業界を苦しめているんだ、もはや直営直用システムを廃止して、よりよい方向に変えていくべきだ、そういう強い決断を持つべきだ、そういう強い不満が出ているわけです。しかし、初の合理化案であるから、段階的にこれからやっていくということで、不満ではあるけれども賛成する、こういう意見です。  いずれにしても、この法案の大臣が御答弁になった行政の合理化という点についてはきわめて不徹底であるということを、期せずして、それぞれ結論の方向は違うけれども一致した意見として組合側も業界側も言っている。  私どもは、いろいろ今回の法案のことについて考えてみたのでありますけれども、まさに構造的な赤字財政のもとで、行政を簡素で効率のよいものに変える努力は何にも増してしていかなければいけない。特にわが国がこれから新しい活力を求めるとするならば、技術のフロンティアか秩序、組織のフロンティアしかない。そういう意味からいったらもう徹底的にやらなければいけないというわれわれの立場で物事を考えているわけですが、そういう立場から考えると今回の法案は、全面的に反対するものではありませんけれども、先ほど指摘したような各点にわたってきわめて安易な法案だと思うのです。安易ですよ。簡単過ぎる。本気でそういった問題意識を持って取り組んだ法案という印象がどうも薄い。真剣に考えると本当に賛否に迷うという感じがするのです。ましてや原案より後退をするなどということがあったら、われわれは断固容認できないという気持ちなんです。  大臣、いまの業界の民営業者の方々の、本当に研ぎ澄まされたやいばの上を歩いているようなものだ、しかるに片方の親方日の丸経営は平然と民間コストの倍や数倍のコストを出して続けているんだ、簡素化に一つもなっていないじゃないかというような声、それから私どもの認識について大臣の御見解、いかがですか。今後どういうふうにか生かしていこうというならば、前向きのひとつ御決意を伺いたいと思うのです。
  151. 中川一郎

    中川国務大臣 率直な御批判をいただきまして、われわれも考えなければならない点は考えなければいかぬと思っておるところでございます。  そこでまず、労働組合の皆さんから屋上屋という御批判、かえって複雑になるという御指摘だそうですが、これは全く私は理解に苦しむところなんです。その出てきたところは、支局というものが出てきた、営林署の上に支局ができて、局があるから、それが屋上屋だということだそうです。これが局を廃止しないでそういうものを突如つくればまさに屋上屋でございますが、四つの局があったものを、これを管理部門だけを外して合理化したのです。新しく別にプラスしたならばこれはまさに屋上屋でございますけれども、その批判は私は当たっていないと思うのです。四つの局をやめていただく、特に私の選挙区からは二つの局をなくすわけですから、これはかなり厳しい大変なところではありますけれども、まあやらざるを得ない、合理化の目玉だと私は思っておるのです。  それから業界の人からの非常に厳しい批判、これはもう率直に受けとめなければいかぬと思うのです。民有林経営に比べて国有林経営が殿様商法である、こういうことはわれわれも農林省に入ります前から厳しく指摘をしてきたところでございます。それがためにこそ、今回四つの局を廃止するというようなことも示さなければ国民の皆さんに納得がいただけない、こういうことで対応したところであり、また営林署についても、七、八年かかりますけれども、約一割は合理化していこう。それから定員についても、伐採量の減った分は、現在の人の生首を切るわけにはまいりませんけれども、長期的にはやはり人間のあり方についても十分対応していかなければいけない。  それから直営直用のお話もありましたが、これは従来から長く地域の労務者対策というようなこともあって、かなり定着はいたしておりますが、やはり今後よりよき直用、よりよき直営、こういう考え方で直営直用のあり方そのものも、国民の皆さんに批判を仰がないようなしっかりした努力をして改善をしていかなければいかぬというふうに、私としては民間の皆さんが非常に御不満がありますので、正すべきは正さなければならないとして今回の案に取り組んだわけでございます。まだまだ法律、仕組み等からいって、仮にこれだけではあっても、実態上も今後は業界の皆さんの声に率直にこたえるようにひとつ努力をせなければいかぬな、こう思っておるわけでありまして、不十分ではありますが、われわれとしては一生懸命対応したつもりでございますので、十分ではない点は、今後また改めてまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。
  152. 中川秀直

    中川(秀)委員 ようやく十分でないという御答弁なんでありますけれども、先ほどちょっと一、二指摘をしました食糧事務所の統合の問題あるいは林野庁の次長、かつて国会で削除をされた、提案されたけれども、七十国会ではだめだったということを改めて出してきた。出先で合理化しようという一方で、本庁の企画管理部門といいますか、こういう部分では新しいランクアップがある。私は、こういう姿勢が気に食わない。やるのだったらなぜ上からやっていかないか。だから、いろいろな反論が出てくる。この辺の姿勢を機構の改編、再編成に当たっては、根本的にやはり発想を変えていかなければいけない。大臣、そのことについての御感想がいまの御答弁にはなかったから、お伺いをしたい。
  153. 中川一郎

    中川国務大臣 食糧事務所に対しての御批判もわれわれはよく聞いております。われわれ自身も批判をしてきたところでございます。ただ、いまの食管制度を守っていくとすれば、やはり食管の検査員は国の職員によってやるより方法がないのではないか、これを民間に委託してやったらどうかという意見もありますが、国民に責任を持つためにはそういうことでどうだろうか、まだ判断に苦しむところなんです。ただ、時期的に秋に集中して仕事があるけれども、それ以外の仕事がないというところが特に問題でございますので、幸いというか不幸というか、食糧流通過程について国民から非常に強い要望がありますので、消費者向けの仕事をしてもらう、こういうことにいたしたわけでございます。  林野庁の次長の問題は、これはもう長年お願いしておったところであって、あれだけ大きな機構で次長がないのは、ほかの外局を通じてもないだろうと思うのです。農林省においても、すでに水産庁、食糧庁、内局の構造改善局すら次長がある。特にこれから単なる林業技術だけじゃなくて、経営というものを考えてやっていきます場合には、やはり次長一人はどうしても必要であるというので、お願いしておるところでございまして、むしろ次長がなかった方がおかしい。今日の経営がおかしくなってきた一つの要因でもなかろうか。ここに藍原長官がおりますけれども、この顔色を見てもおわかりのように、本当に疲労こんぱい。よくこれだけ続けられるなと思うぐらい長官の任務は非常に、労務関係から、経営から、大蔵省へ行って財投のお願いから、もうすべて一人で責任を負わなければいかぬ。国会の場でも代役をする人がいないというようなことでは、これはむしろ国民の皆さんに仕事をやる上で使命を果たしておらないと言ってもいいぐらい私は次長は必要なことである。  全体として管理職的なものが多くなったと言いますけれども、先ほども申し上げたように、これはもう水産行政も複雑になってくる、流通行政も複雑になってくる、米は過剰で、過剰の処置をしなければいかぬ。農政に対する行政需要というのは農林水産関係、非常に大きくなっている。その中で削るべきは削り、よくぞこれだけまとめ上げたと私自身は思っておるのでありますが、国民の皆さんや心ある皆さんから見ればまだまだであろうとは思いますが、われわれとしては精いっぱいやったつもりでございます。
  154. 中川秀直

    中川(秀)委員 何回もお話ししても意見が完全にかみ合うということはないようなんで、この程度にいたしますが、私は、その問題にいたしましても、考え方としてはやはりタイミングの問題もあると思うのですね。いままでずっと懸案であったからやったのだということですが、今度の法案のように、いろいろな目的を一緒にして、一括して設置法の改正案ということで出してきた。一方では縮減、しかし本庁系統はむしろ増員、そしていままでの懸案の次長も創設だというような、この辺のやり方が——どうしても必要なら必要らしくいままで努力をし、出してきたらいい、あるいは次の機会を待って出したらいい。もう何もかも一緒にやるから、どうも不明確でばらばらの印象を与える、そういうことではないかと思うのです。しかし、大臣も、不十分である、民間の方から見たらまだまだ不十分だろう、今後も努力するということでありますから、この程度にいたします。  一般論の背景、国有林野事業をめぐる背景の問題について若干のお尋ねをしたいと思います。  このところの膨大な国有林野事業の赤字の原因、それと対策、対応策についてお伺いしたいと思います。いわゆる国有林野事業の赤字の原因には、先ほど来るる御答弁もほかの委員にもございましたから、あえてこのことについてお尋ねはいたしませんけれども、要するに公益性機能というものをあわせ持っているとか、あるいは過去の伐採のツケがいま回っておって、ここ当分は基礎条件づくりをしなければいけないとか、いろいろな理由が挙げられているわけですけれども、具体的にこの国有林野事業についての幾つかの声を私がこれから申し上げますので、その声について政府のお考えを御答弁願いたい、あるいは対応策を御答弁願いたいと思うのです。  その一つは、問題をここまで深刻化させた原因の一つは、やはり林野行政に幾つかの欠陥があったのだ、ある意味では無責任、怠慢というものもあるのではないか、本来四十年か四十五年ぐらいかかる植林から伐採までの非常に息の長い仕事であるにかかわらず、広い視野の長期展望がなかったのではないかという指摘があるわけです。たとえば国有林野の収支均衡、経営改善のために、今国会にも特別措置法案が出ているわけですが、これについての整備計画、特別措置計画というものは、当然、私は法案を出す以上はもう立案されて出してくるというのが、これほど差し迫った問題であるならばあるほど必要だったのではないかと思う。ところが、いろいろお伺いをすると、計画はこれから詰めて立てるのだということなわけですが、こういう姿勢そのものが従来の姿勢とほとんど変わりないのじゃないかということなんですね。早急にこういう計画はぴちっと策定をしなければいけない、こう思うのです。そういう声に対してどのようにお考えか、お伺いをしておきたいと思います。
  155. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 国有林の過去におきます管理経営が非常に無責任であったのではないかという御指摘でございます。  国有林が戦後、先生御存じのように昭和二十二年に統一されまして、日本全体の国有林が一本の林野庁の管轄下に置かれた。それ以来三十年たっております。その間を振り返ってみますと、やはり日本の経済状況あるいは国民生活そのものの移り変わりに国有林野が果たすべき役割り、それをやはりその時点、時点で果たさざるを得ないという立場にもございました。そういう意味から、戦後十年ぐらいは主として荒廃した国土の復興ということを中心に、造林事業なり治山事業を中心にし、なおかつ当時は燃料等におきましても、まきが中心でございましたし、炭が中心でございました。そういう意味から、木材と木炭、こういうものを供給するために国有林材として切り出しをいたしまして、国民の方々に御利用願った。当時は外材も入っておりませんでした。したがいまして、国民の木材需要はすべて国産材で賄わなければいけないという事態でもございました。そういう意味から、昭和三十年代にかけましては、国民の期待にこたえるような国有林の経営ということで、奥地を開発しながら、奥地の比較的採算の悪い林分をこれから成長の大きくなる造林地に切りかえることによりまして、将来の成長を期待して伐採をしてまいったわけでございます。  したがいまして、その間に伐採量も急激にふえたわけでございますが、これが私どもから考えますれば、現在の国民の経済復興には大いに役に立っておったであろうと考えております。それから四十年代に入りまして、外材も自由化されまして、国民需要にこたえる木材供給ができる事態になったわけでございますが、一方、国土を守るあるいは生活環境、自然環境を守るという意味から、森林のいろいろな使命をさらに強化せよということから、国有林の経営のあり方につきましても、その方向転換をいたしまして、伐採量の縮減あるいは伐採個所の縮減ということを考えて、伐採量を落としてまいったわけでございます。したがいまして、これから当分の間、伐採量を落とさざるを得ないという立場に立って、現時点をながめたときに、先ほど申し上げましたような時期に抱えておりました管理部門あるいは人員等々については見直すべきであろう。  現在、国有林の財政が厳しくなりましたのは、こういうような問題とあわせて、木材価格の低迷の問題もございます。あるいはその他、確かにいま御指摘になりましたように、ある意味での管理部門の転換というものがおくれたということにつきましては、私どもも考えなければいけない問題があろうかというふうに考えておりますが、そういう意味から、これからの国有林の改善合理化を図ろうという考え方に立っておるわけでございまして、またその改善合理化を図る場合に、現在の国有林の諸法規の制度におきましては、一般会計の導入ということはできないことになっております。治山勘定以外には一般会計ははいれない。しかしながら、これから国有林の改善合理化を自主的な努力でやる場合に、どうしても一定の期間、その特例措置として造林なり林道に一般会計からの繰り入れをいただかなければできないという面がございます。そういう意味から、こういう改善計画については無秩序にならないようにはっきりとした法律に基づいた改善計画を立てるべきではなかろうかという判断から、法律を提案いたしまして御審議をいただき、それに基づいてきちんとした改善計画を立て、十年間の改善計画に基づいて、二十年先には所期の目的を達する国有林にしようというのが、私どものねらいでございます。
  156. 中川秀直

    中川(秀)委員 長官、大変御懇切に御答弁を願いましたが、とすると、法案が成立した暁には、計画はいつ策定されますか。
  157. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいまも法案には、関係者あるいは関係省庁の意見を聞き、あるいは審議会にかけるということになっております。したがいまして、そういう事務的な手続がありますので、その間若干時間はかかると思いますけれども、私どもは五十三年度からこの計画に基づいて事業をやろうという気構えでおりますので、できるだけ早期に計画を立てませんと、五十三年度はすでに仕事が始まっておりますので、できるだけ早い機会にこの計画を立てまして審議会の御認可をいただいて、これを実行に移したいというふうに考えております。
  158. 中川秀直

    中川(秀)委員 ただいまの御答弁で結構でありますが、結局普通の民間経営体でありましたならば、たとえば会社更生法でも何でもそうですが、こういう事態になったらすぐさま計画を立てて更生申請するなりして、直ちに更生手続を開始しなければつぶれちゃうわけですね。結局そのくらいの緊急性を持って、五十三年度からこの計画を立ててやるんだということで不退転の決意でお臨みをいただかないと、いま最初に申し上げた国有林野事業についての第一の意見、まず林野行政そのものが怠慢で無責任であったということについて行動をもって反論することにならないと思う。この計画については、ひとつ早急策定、直ちに実行というお考えでおやりいただきたいと私は思うのです。  第二の声は、大臣の選挙区には営林局が二つもあるぐらいですから、国有林というのは大変広々とあるわけですね。その国有林野の中に入っていって、いま一体どういう状況であるかということをその目でごらんになったことはありますか、いかがですか。
  159. 中川一郎

    中川国務大臣 私どもの選挙区はずいぶん国有林があります。道路沿いでもどこでもありますから何回も見ておりますが、わざわざ調査という観点では行っておりません。しかし、よく目には触れております。
  160. 中川秀直

    中川(秀)委員 これから申し上げます第二の声は、車の中からだけ国有林を見ていてはわからない声だと思います。大臣は選挙区にもあるのだし、いまや何といっても林野行政の頂点に立っておられるのだから、実際どのような状況なのかということは、ごらんになる機会があったらぜひとも中に入ってごらんになるべきだと私は思います。第二の声というのはこういう声です。  実際に国有林野の中へ入ってみますと、荒れ果てた山がずいぶんある。これはある新聞の社説にも書かれたことですが、国有林の手前のあるパルプ会社が持っている社有林、こういう山では枝打ちも間伐もりっぱになされていて、大変りっぱな山になっている、ところが、隣の国有林へ行ってみると、木は植えられたのに手入れもされずに、枝打ちも間伐もされずに荒れている、昭和三十五、六年ごろから全面積の皆伐がかなり行われて、山ごとごっそり切り出されて、皆伐の後の裸の山に苗木を植えているが、寒風害などの被害をまともに受けて木は育たなくなっている、こんな例が全国にずいぶんあるんだ、こういうことですね。そうしてしかも問題なのは、荒れた山がそのままに放置をされていることだ、帳簿上は植えた苗木の半分ほどが順調に育ったことになっており、改植を必要とせずということになっている、つまり実態よりも帳簿上の記載が優先をして、失敗の責任を出さないようにするために、かえって荒らすに任せているという例がずいぶん見受けられる。これが第二の声なんです。  国有林野事業でこれが事実だとすれば、私はゆゆしい問題だと思う。こういった実態が天下の大新聞の社説で堂々と指摘をされて、これに対して政府が反論も、あるいはそれに対する対応策もないとするならば、私はそれ以上にゆゆしい問題だと思う。  私が一つお尋ねしたいと思うのは、林野庁当局はこういった実態把握のためにどのような御努力をなさっているのか。帳簿上記載のほかに、時には観察的な実態調査ですね、帳簿上は植えた苗木は育っていることになっていても、実際は寒風害なんかでみんな枯れている、育っていないという実態、帳簿上と実際がどうであるかということを、出先任せばかりではなくて、時には観察的に調査をなさっているのかどうか。もししてないとするならば、私はもっと力を入れるべきだと思う。こういった第二の声は新聞の社説にまで出たことですから、これについての見解と対応策をお伺いしたいと思います。
  161. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先般、新聞に国有林の経営が非常に悪いという社説が載りましたことは、私も重重認識いたしておりますし、非常に残念なことであるというふうに思っております。  と申しますのは、先ほど申し上げましたように、現在国有林には非常に天然林が多いわけでございますが、国民の期待にこたえるようにできるだけ成長量の高い造林地を仕立てようということで鋭意努力をいたしております。すでに二百万ヘクタール余造林地ができ上がっております。そして将来に向かいましては二百五十万ヘクタール、あと約五十万ヘクタール余でございますけれども、造林をしていきたいというふうに考えておりますが、二百万ヘクタールを造林いたしまして、その結果、確かに地域によりましては寒風害あるいはウサギ、ネズミ、さらに最近ではカモシカ等等の野性鳥獣等によります被害も出ております。それから適地を選定する場合に十分調査はいたしますけれども、土壌等の関係等々から、一部成績の悪い造林地があることも私ども認識いたしております。その結果については、私ども十分把握いたしておりまして、ただいま把握している私ども数字では、成績の悪い造林地が約一万五千ヘクタールあるというふうに認識いたしております。したがいまして、こういうものについてどうやって早急に改良していくかという計画をただいま立てまして、各営林局でそれに向かいまして鋭意努力をいたしておる次第でございます。  なお、造林地に対するいろいろな観察なり監査なりにつきましては、監査というものは毎年、各営林署全部ではございませんが交代的にやっておりまして、そういう中からもつかみ得ますし、また一方、御存じのとおり、森林法に基づいて国有林では地域施業計画というものを組んでおります。これは五年に一遍回ってくるわけでございます。したがいまして、当年度植えた造林地であれば、五年目にはそれが観察されて、どういう状況であるかということが十分把握できる体制にもなっております。また、現地には担当区を置いておりまして、この担当区は自分の管内の造林地あるいはその他の天然林を含めて監督、経営していくことになっておりますので、そういう方面からの十分なる報告を受けることもできるような状況にもなっております。  したがいまして、これからの国有林の管理に当たりましても、いま申し上げましたような組織なり仕事のあり方によりまして、これから植える造林地につきましても十分把握はできますし、過去の造林地につきましても把握し得ると考えておりますが、先生御指摘になりましたように、帳簿だけで万一ごまかすような事態がありますれば、これはゆゆしき問題でございますから、その辺については十分指導監督をしてまいりたいというふうに私どもも思っております。
  162. 中川秀直

    中川(秀)委員 これまた大変念の入った御答弁でございまして、むしろ若干安心をするのでありますけれども、さらにさらに御努力願いたいと思うのです。  もう一つの声で、二、三年で林野行政の幹部もしくは現場責任者が交代をする、仕事の方は四十年も四十五年もかかる大事業だ、そういう人事管理のあり方というものが、長期的視野が必要な仕事にもかかわらず、比較的その都度主義になってしまう原因ではないかということがある。これについてはどうですか。
  163. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいまの国有林の人員配置を見ますと、どこの企業でもそうなのかもしれませんけれども、必ずしもピラミッド式になっていないという年齢構成の問題もございます。それと、公務員が悪いことをするということでは決してございませんけれども、やはり五年も十年も同じところに置くと、いろいろな問題が出ないわけではございません。私どもとしては、特に各営林署長、営林署の課長等はできるだけ長期に一カ所に置いて現地を十分指導し、経営してもらいたいというふうには考えております。しかしながら、いま申し上げましたような問題もございまして、大体二年ぐらいで交代というのが従来の例でございましたけれども、ただいまできるだけその期間を長くするように努力をし、そういう姿勢で今後人事配置はやってまいりたいと私どもも考えております。
  164. 中川秀直

    中川(秀)委員 以上、三つの国有林野事業に対する声を挙げてお尋ねをしたわけですが、もう一つ、これは全く違いますけれども、先般の五十二年度林業白書によると、木材の需給バランス確保のために外材輸入の抑制、適正化の行政指導を強めるべきではないかという内容になっているわけです。さもなくば国内林業の経営はますます悪化して、林業者は意欲を失い、ひいては国土の荒廃を招くというわけです。しかし、諸外国からの農産物輸入拡大要求、木材輸入拡大要求というものが高まっている中でこういった行政指導がスムーズにできるかということについては、外圧内圧双方ありまして、なかなか微妙かつ複雑な問題があると思う。しかし、白書ではそういうことを堂堂とうたっているわけですが、白書の指摘について今後どのような対応策をおとりになろうとするのか、あるいは白書の指摘そのものについての認識はどうなのか、お伺いをしたいと思います。
  165. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、ただいま日本では、木材需給というものを見ますと、非常に緩和基調になっておりまして、ある意味で、簡単な言葉で申しますと、だぶつきぎみという傾向でございます。これは、日本の経済全体の方向が変わったという問題、それから木材の中心をなします住宅建設が必ずしも十分伸びていないという面もございます。したがいまして、日本の林業なり林産業を今後安定的に発展させるためにも、木材の的確な需給計画を把握して指導してまいらなければいけないというふうにわれわれも考えております。  しかしながら、反面、いま御指摘がございましたように、ガットを中心にいたします国際的な問題あるいは外国からの貿易拡大の問題等々がございますし、木材についてはすでに自由化されております。一部のものを除いては九〇%以上自由化されておるわけでございまして、この間、これらについてどうやっていくか。一元輸入せよという声もございますし、課徴金をかけろという声もございます。しかし、こういう強制的な問題は非常にむずかしいとわれわれは考えておりますが、そのためにもやはり的確な需要供給を把握いたしまして、これを行政的な指導によって関係方面に鋭意指導していくということを私どもとしてもどうしてもやらなければいけないというふうには考えております。そのために、ただいま関係業界方面とも十分打ち合わせをいたしておりますし、また林野庁に、非公式ではございますけれども、こういう基本問題を検討していただく場をつくりまして、関係学識経験者に集まっていただいて、この問題についても検討を進めておる段階でございまして、私どもといたしましてもできるだけ早い機会に的確な短期の需給計画をつくり、それに基づく指導をしてまいりたいと考えております。
  166. 中川秀直

    中川(秀)委員 時間があと二分ばかりになりましたから、最後に大臣にお伺いをいたします。  先ほど来私が幾つかお話し申し上げましたように、今回の法案は必ずしも十分なものではない。今後政府努力をすることを求められている部分がまだ相当あるのだ、私たちはそう思うのです。むしろそうした分ばかり目につくと言っても言い過ぎでないぐらいにわれわれは思うのです。このことについて大臣の責任ある御答弁をちょうだいしたいと思うのですが、特に行政改革に当たって、今回の法案も設置法なのですから、やはり行政機構の簡素化を求める、これは国民の声です。そういう意味から不十分だと言っているのですけれども、私どもは、先般の当委員会における一連の審議でも、特に地方支分部局の改廃等についてはもう国会の議決なんか要らないのだというかっこうでやらなければいけないと、むしろ提案をしているぐらいなのです。われわれはさらに原案から後退するようなことになったら困るという考え方でおるわけです。先ほど来くどくどと、いまの原案でも賛否に迷うぐらい不十分だ、だからもっと努力をしてもらわなければいけないと言っているのです。そういう意味で今後の努力について大臣の率直な御意見と御決意をお伺いして、私は質問を終わりたいと思うのです。
  167. 中川一郎

    中川国務大臣 国有林野に対する国民の皆さんの批判の強いことはよく承知いたしております。国鉄でも非常に財政が厳しいということではございますが、第二の国鉄あるいは国鉄以上に悪いのではないか。国鉄ならば、まだ運賃値上げその他によって経営改善という方法もありますが、林野にありましては、木材価格を操作してというわけにはまいりませんで、やはり経営の改善ということ以外にないわけです。一般会計から入れるのにも限度がございますので、林野庁長官、われわれを初め、労働組合の皆さんにもよく御認識をいただいて、関係者打って一丸となってこの難局に対処し、乗り切って、もって国民の期待にこたえたい、最善の努力をいたしたいことを申し上げた次第でございます。
  168. 中川秀直

    中川(秀)委員 終わります。
  169. 高鳥修

    ○高鳥委員長代理 上原康助君。
  170. 上原康助

    ○上原委員 提案されております農林省設置法の一部を改正する法律案、すでに各党の先生方から相当広範な質疑がなされておりますので、若干重複する面もあろうかと思うのですが、私も、私の立場でこの法案と関連する幾つかの問題についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  そこで、最初に、法案に関連をする件でお尋ねをしたいわけですが、今回提案されました法案の趣旨説明によりますと、大体四点に分かれているかと思うのです。  そこで最初に、「わが国水産業は、農林業と並ぶ重要な第一次産業であり、また、水産物は、国民の動物性たん白質食料の供給源として重要な地位を占めております。」これはごもっともな指摘だと思いますし、同時に、最近の漁業を取り巻く情勢、各国が二百海里時代に入ったというようなことなどもありまして、わが国を取り巻く漁業環境はきわめて厳しいものがあると思います。せんだっての日ソ漁業交渉においても大臣なかなか御苦労をなさったようですが、そういう海洋国としての日本の置かれている立場、ソ連ともあるいは米国とも、また一方カナダあるいは中国とも、それぞれ漁業協定等を締結をした上で、漁民の生活の問題、あるいは動物性たん白質を確保していかなければいかぬ、そういう環境に置かれて、今後の水産業を維持発展をさせていくためにどのようなお考えで臨もうとしておられるのか。基本的な大臣の御所見といいますか、そういう面を、まずお聞かせをいただきたいと存じます。
  171. 中川一郎

    中川国務大臣 ここ数年来、二百海里の問題が議論されるようになりまして、昨年、一昨年あたりから、アメリカを皮切りに、海洋法に先立って二百海里時代がやってきた。二百海里沿岸国に対する処置は、それぞれの国によって対応が違います。アメリカアメリカ考え方、ニュージーはニュージー、ソビエトはソビエト、それぞれの国について、できるだけ従来の漁業権益が確保されるように、まず水産外交を強力に展開する。現在、アメリカ、ソビエト、カナダ等々一つのルールが出てまいりましたが、これからニュージー、豪州等々、一つ一つの国について対応していかなければいけない、そしてできるだけの操業実績というものを守っていきたいということが第一点でございます。  もう一つは、遡河性サケ・マスの公海における問題についても母川国主義というのがありまして、これに対応するあり方というのがことしの問題だったと思うのです。日米加の間にも話し合いがつきましたし、ソビエトでも、十分ではありません、残念な結果ではございますけれども一つのルールができた。こういうルールのできたものについては、今後とも引き続き実績は確保されるように努力していくということが第二番目だろうと思います。  同時に、これを契機として、わが国も、わが国の設定いたしました二百海里を初め沿岸資源、養殖、増殖あるいは資源の保護、試験研究等を、いままでよりはもっと積極的にやって、やはり資源の培養、活用ということを、沿岸整備事業等の強化等、もろもろの施策を講じて長期的に対処していきたい。  もう一つ大きな問題は、わが国の資源の利用の仕方ですね、むしろどちらかと言うと大衆魚、イワシ等のようなものが家庭で利用されてない。非常にむだな使用があるのじゃないかという批判もあります。こういった消費者の利用の問題等も大切にしていく、大事に魚資源を消費する。  こういうことで、海洋法を迎えての対応、また沿岸資源、そして消費、こういった三つの問題と受けとめられますので、これらについて今後、一遍にはできませんけれども、粘り強く、またできるだけ早く対処してまいりたい、こういうことが基本考え方でございます。
  172. 上原康助

    ○上原委員 大体いま大臣がお述べになったようなことにあるいはしぼられるかと思うのですが、特にその中でも北洋における漁業権の確保といいますか、従来実績を確保していきたいというのは、漁業関係者の切なる、強い要望だったと思うのです。しかし、いま大臣もお答えがありましたように、せんだってのサケ・マス交渉というのは、相手のあることですから、なかなか容易でなかったということは理解はいたしますけれども、ある面では年々後退を余儀なくされているのは事実だと思うのですね。それだけに、沿岸漁業あるいは養殖漁業というような点にいま少し、日本独自で新しい漁業資源の確保といいますか開発といいますか、そういうことにも従来以上に力を入れていかなければいかぬ問題だと三点目にお述べになりましたが、そういう資源開発ということをやっていくには、試験場にしましてもあるいは施設にいたしましても、かなりの投資といいますか予算を伴うと思います。また、長期の研究期間というものも必要だと思うのですね。そのようなことに対しては、どういうお考えを持っておられるかということ、それが一つ。     〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕  いま一つは、せんだっていろいろ御指摘がありましたが、現在ジュネーブで開かれている国連海洋法会議において、ソ連側が新しい提案をしたというような報道もなされております。その前段では、一切沖取りは禁止をするという、せんだっての漁業交渉をあたかも否定するような報道もなされたのです。いわゆる母川国が第一義的利益と責任を有するという原則、あるいは二点目のサケ・マスの漁獲は排他的経済水域二百海里の内側においてのみ行うようにさせる、ただし、母川国以外の国の経済的混乱をもたらす場合はその限りではないという、このただし書きを削除といいますか、それは適用させないというような動きがあったという報道がなされた。その後、そうではなくして、むしろこのただし書きを活用していくという面で相手国の立場も考慮に入れるという新しい提案といいますか、そういうことを現在のジュネーブ会議でなされたというような報道もあるわけですが、これについては、政府はどのような御見解といいますか御認識を持っておられるのか、また、この点についてソ連側に十分お確かめをしておられるのかどうか、もしおわかりでありましたら、明らかにしていただきたいと思います。
  173. 中川一郎

    中川国務大臣 海洋法におけるサケ・マス遡河性の問題については、まだ結論を得ておりませんで、現在ジュネーブで話し合い中でございます。  御承知のように、昨年までは二百海里の中でとってもいいけれどもそれ以上はだめだ、ただし書きというものを入れたがらないのがソビエト側の考え方でございましたが、ことしもそういう考え方はないわけではありませんが、まだ結論は得ておりませんけれども、そうかたくななものではなくて、まあまあことしわが国がソビエトと話し合ったような、資源を大事にしながらとり得るものはどのぐらいかということを十分話し合って、協議の上で決めていこう、こういう方向にあるのではないか、またそういう方向わが国は最後までがんばって、ことしやりましたサケ・マスの交渉が今後とも継続されるように最善の努力をしたい、こういうわけでございます。  それからもう一つ、毎年二万ずつ減ってきたから、今後もう三年もすればなくなってしまうのではないか、こういう見方をされまして、今度の交渉が来年以降消えるのだみたいな新聞もあるわけですが、私はそうは思っていないのです。昨年は二百海里時代の調整で八万トンが二万トン減った、そしてことしは母川国主義の調整で、いろいろやり合った結果二万トン減りまして四万二千五百トンにはなりましたが、これは単年度の決め事ではありますけれども、母川国主義を迎えた今後に向かっての初年度である、こういう意味で、海洋法においても今後主張してまいりますが、ソビエトとの間でも、ことしを初年度として今後継続的に操業ができるように努力もしますし、可能性が十分ある、私の交渉経緯あるいは海洋法における議論の経緯等を見ておりまして、私はできる、こう思っておるわけでございます。
  174. 上原康助

    ○上原委員 この点だけに時間をとるわけにまいりませんので、一点だけ確かめておきたいわけですが、それは、交渉を直接なさったのは農林大臣ですから、いまの御感触といいますか、その見通しというのはそのとおりかもしれません。しかし、今回の漁業交渉の結論としては、四万二千五百トンというのはあくまで今回の交渉の妥結であって、いま大臣がおっしゃるように、向こう五カ年といいますか、そういう長期というか中期に約束を取りつけたことではないわけですね。年々交渉をして数量については今後も決めなければいけないということだと思うのですが、そのように理解をしてよろしいかどうか、この点は明らかにしておいていただきたいと思います。
  175. 中川一郎

    中川国務大臣 上原委員御承知のように、長い間日本とソビエトとの間には日ソ漁業条約というのがありまして、それを基本にしてサケ・マス操業をやってきておったわけです。ところが、二百海里時代を迎えまして、今年の四月二十九日をもって無効とする、こういう通告が昨年あったわけでございます。そこで、それにかわるべき話し合いをしようということで昨年来やってきておりましたのが、なかなか話し合いがつかない。ことしの二月になって交渉団を送り、話し合いを進める過程において、沖取り全面禁止はこれを撤回をする、三万五千トンぐらいならいいのじゃないか、そういうことを含めた五年間にわたる協定書をつくろう、その後は一方から破棄がなければ、一年一年ではあるけれども更新していく、こういう協定書が一つできたわけです。その中において、サケ・マスについては、端的に言うと、毎年話し合って決めようじゃないですか、こういうことになっているわけです。その決め方は、政府間の話し合いによって議定書をもってこれを決めていく、こういうことであります。  そこで、今回は五年にわたる協定書と、ことし一年の議定書の話し合いをやったわけでございます。したがいまして、サケ・マス四万二千五百トンについては、ことしの分について決めたことであって、協定書は五年でございますが、議定書は今年限りのものである。したがって、来年以降の約束はサケ・マスの操業関係についてはいたしておりませんが、先ほども申し上げましたように、今後五年以上に及ぶサケ・マスのあり方について、現段階において資料その他過去のいきさつ等等いろいろと議論をいたしまして四万二千五百トンに決まったものであって、来年以降資源の問題に大きな変化があるとか、あるいは操業について大きな誤りを犯すとかいうような事情の変更があれば、それに基づく修正はあろうかと存じますけれども、しっかりした操業を行い、そして約束事を守っていけば、来年になって大きな変更がありません以上は、ことしをベースにして大体そう大きな変化はない、こう私は交渉経緯を見て信じており、そうなるものと国民の皆さんにも申し上げて間違いないことだと思っておるわけでございます。
  176. 上原康助

    ○上原委員 いきさつと見通しは大体そういうことのようですが、ぜひこれ以上後退といいますか、あるいは漁業関係者の期待を裏切るという言葉は強いかもしれませんが、ぜひ期待に沿うように特段の御努力をいただきたいと思うのです。  そこであと一点、この件と関連をしまして、昨年も相当の減船問題が出たわけですね。たしか全国的には五百五十隻前後の減船になって、そのうち四百以上が北海道関係ではなかったかと思うのです。そういう数字になっていると思いますが、今年の減船は一体どのくらいになるのか。昨年を上回ることになるし、その影響を受けていく漁民の方あるいは関連企業といいますか、事業も相当打撃を受けるのじゃないかという気がいたします。もちろん、これについては昨年来政府も積極的な対策を講じてきておられると思うのですが、今回はどのような対策をお考えなのか。この点もあわせて考えていただかないと、なかなかいろいろな面で、こういう不況な状況ですから、漁民の皆さんの生活面においてはますます深刻な政治あるいは経済問題に発展してきているわけですから、その点についての御見解と、今後の政府対策をお聞かせいただきたいと思います。
  177. 森整治

    ○森(整)政府委員 ことしのサケ・マスの減船についてでございますが、太平洋小型、日本海の流し網、はえなわにつきましては、減船は行いません。母船と独航船——独航船につきましては七十三隻、母船につきましては二隻、六隻のうち二隻ですから四隻、独航船につきましては二百四十五隻から七十三隻を引きまして百七十二隻の出航ということになるわけでございます。それから太平洋の中型流し網につきましては二百九十八隻ございますが、三割、八十九隻減船をいたしまして二百九隻すでに漁場に出漁いたしておるわけでございます。  これに伴います救済措置につきましては、昨年の措置に準じてできるだけの措置を考えたいと思っておりますが、ともかく出漁する船を決めて出漁させるということをとりあえず実行いたしておりまして、あとこれに伴います救済対策の具体的な額の決定につきましては、業界の意見をよく聞きながら早急に決めてまいりたいと思っております。  なお、減船に伴いまして離職者が出ることも予想されるわけでございまして、これは昨年末の国会で成立いたしております国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法によります離職者対策の道が開けておりますので、関係の労働省、運輸省と協議いたしまして、職業訓練、就職指導、職業転換給付金の支給を含めた措置を講ずることにつきまして、十分対策を協議してまいりたいと考えておる次第でございます。
  178. 上原康助

    ○上原委員 この種の救済対策といいますか、減船あるいは離職、そういうものに要するおおよその予算措置というのはどのくらいなのかお答えをいただきたいと思います。
  179. 森整治

    ○森(整)政府委員 予算措置につきましては、結局一つ一つ、一隻当たりどのくらいの減船に伴います支給がされるかということにつきまして積算をしなければなりませんが、昨年の例を申し上げますと、政府の救済金と業界の共補償を含めまして三億六千万あるいは三億八千万。独航船と中型の流し網と若干違います。その程度の減船に伴います補償が行われたということでございます。今回につきましては、それに準じて共補償の条件が、去年と著しく事情が違っているということは言えますけれども、その辺をどういうふうに考えていくかということを早急に詰めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  180. 上原康助

    ○上原委員 どうも予算措置等は余り十分でないような感じを受けますので、そういった面も万全の措置を積極的に講じるように御要望申し上げておきたいと思います。  そこで次に進みますけれども、最近の新聞報道なりいろんな面で指摘をされていることは、農産物生産過剰ぎみといいますか、供給過剰の問題がかなり出てきているような感じを受けるわけです。従来お米は、相当ストックなども出て絶えず問題になってきているわけですが、最近はお米だけではなくして、いま申し上げた水産物あるいは牛乳、これは一面では二百海里問題が出て、むしろ需要供給関係はよくなるかと思えばそうでなくして、まあ魚転がしの問題とか国民の魚離れとかいうようなことなどもあるいはあるかもしれませんが、いずれにしましても、そういう現象が出てきておる。  そこで、こういう現象に対して一方ではまた農産物輸入というものを円高、ドル減らしの観点から主張する向きもあります。きわめてむずかしい状況だと思うのですね。したがって、こういう柑橘類を含めた過剰生産ぎみのことに対して、せっかく農業の見直しとかいろんな農業生産の向上を図ろうとする農民の意欲に対して、私はきわめて憂慮すべき事態が来ないとも限らないと思うのですね。そういう意味で、この問題には十分私も勉強しているわけではありませんので深くは入れませんが、一体政府は、こういう環境といいますか状況に対して、どのような措置をとられようとしているのか御見解を賜りたい。  同時に、生産者米価は残念ながら据え置きになったわけで、これに対してわれわれは、いろいろ事情はあるにしても不満なんですが、一方また、では消費者米価は今年度はどうするかという問題が出てくると思うのですね。この件についても据え置きをするのかどうか、このことについても御見解をちょうだいをしておきたいと思います。
  181. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり、最近米が異常なほどの過剰傾向にある。引き続いて一番厳しいのがミカンでございます。それから、牛乳も若干過剰傾向かなという感じが出てきておるところでございます。そこで、ミカンについてもあるいは牛乳についても、まず消費の拡大ということについてそれぞれ努力をいたしております。ジュースなどについては、調整保管というような措置を講じたりして、それなりの対策を講じておるところでございます。その上に外圧によって輸入の問題、特にストレートでいま問題になりますのは、ミカンとの衝突でございます。ただ、外圧といっても、ミカンのない時期の季節自由化ということを向こうは言っておったわけでございます。ミカンのない時期に自由化してほしい。しかしわが方としては、季節自由化も自由化に通ずるというので、これは御返事を申し上げたわけでございます。  そこで、何にもできないというわけにはいきませんので、いろいろ話し合った結果、夏の時期、向こうは四、五、六、七、八、四月から八月まではミカンがないじゃないかという話であったわけでございますが、四、五はミカンそのものはありませんけれども、タンカン類が関係するというので、六、七、八、三カ月間に限って、全体の通年の枠二万二千五百トンと同じ分だけこの時期に限って入れる、こういう対応をいたしまして、ミカン業界に影響を与えないような、こういう対応措置をとったところでございます。今後につきましても、そういった外圧につきましては、わが国農政に影響を与えないように、もちろんできるだけの協力はしなければなりませんけれども農政に大きな変更のないように、こういうことで対処していきたい、こう思っております。  なお、これに関連して米価の話がございましたが、生産者米価は据え置きという話でございましたが、これから米審を七月に入りまして開き、そして生産者米価、消費者米価を決めていくわけでございますが、どう対応するか、まだ決まっておりません。米については、過剰時期でございますから、上げられるような空気にはありませんが、食管法に基づく法律もあることでございますから、米審とも相談の上、しかるべきところで決定をしたい。消費者米価についても、同様な考え方のもとに、各界の意見も十分聞いて、どうあるべきか判断をしたいと思いますが、米価についてはいままだ成案を得ておらないということでございます。
  182. 上原康助

    ○上原委員 特に農産物輸入問題はいろいろ外圧があって、大変むずかしい問題もあるというのはわれわれもわかるわけですが、しかし牛肉にしましても、ミカン類その他の果樹にしましても、アメリカにはアメリカの理由がいろいろあると思うのです。ですから、そういった外圧に屈して、日本農業生産自給率というものがこれ以上低下をしていくということは私はよろしくないと思うのです。ドル減らしと言ったって、そうこの問題で解決できる問題じゃないと思うのです。むしろ心理的あるいはいろんな現象面でこの問題が議論をされている向きもなきにしもあらずと思いますので、そういった点は十分農民の立場というものを踏まえて、かつ消費者の立場ということも考えなければいかないことはわかりますけれども、柑橘類、ミカンにしましても四、五月はともかくとして、七月、八月となりますと、たとえば後でちょっと触れたいのですが、沖繩なんか端境期でどんどんミカンは出るわけです。せんだってのミカンの輸入拡大ということでは、実際問題として相当影響を受けたんです。そういったこともありますので、この農産物供給過剰問題、国内でそういうだぶつきがある、一方においては輸入拡大という方向が出てくる可能性がありますので、さらにこの問題については、よく農民の立場というものを踏まえてやっていただきたいということを要望申し上げておきたいと思います。  次に、林野問題に入りたいわけですが、この件については、いろいろわれわれも問題を提起しつつやっていきたいということで、これまで設置法の審議が若干延び延びになった経緯もあるわけです。しかし、ここで明らかにしておきたいことは、私たちも現在の、これは林野行政だけの問題ではありませんが、いろんな行政改革問題あるいはなるべく経済的な機構運営といいますか、をやりながら住民サービスというものを低下させないでやっていくという、そういう基本には賛成をしているということを改めて明確にしておきたいし、同時に社会党もすべての合理化なり機構改革、統廃合に反対をしているわけでもないわけなんです。その点はぜひ理解をしていただきたい。あわせて、今回の水産庁関係の機構改革にいたしても、若干問題がありますが、たとえば農林省を農林水産省に改めるということなんか異存があるはずがありませんし、沖繩の原原種農場の設置についてもだれも異存がないし、むしろある意味では遅きに失した感もないではないわけで、そういうことまで含めて、あたかもわれわれが反対をする立場をとっておったかのような誤解なりあるいは印象がもし政府なり関係者にあるとすればこれは心外でありますので、この点明確にしておきたいと思うのです。  そこで、林野庁の例の北海道の四営林局の廃止の問題等につきましても、きょうの理事会等でもいろいろ相談をいたしまして、せんだってから御相談を申し上げてようやく一定の方向づけをしたわけです。この点は、私は農林省に対しても林野庁に対しても、また与党の皆さんの御努力に対してもいろいろ敬意を表することにやぶさかでありませんが、話し合えば何とか道は開けたということは、ぜひひとつ大臣を初め関係者が御理解をいただいて、あくまでこの種の機構改革というのは、あるいは合理化ということは、上から押しつけるのではなくて、下の意向も、あるいは関係地域住民の気持ちなり、長い間の慣行ということなどもよくよく尊重した上で、納得ずくでやっていくというのが私は問題解決に大きくプラスになると思いますし、そういう方向でひとつこれからもやっていただきたいということを冒頭要望申し上げておきたいわけです。  そこで、先ほどもいろいろお尋ねがありましたが、私もちょっと引用しようと思って、さっきも御質疑の中でありましたように、四月二十一日の朝日新聞の社説に、「荒廃した国有林を見て」ということが端的に現在の国有林の実態というものを指摘をしているわけです。これは北海道の視察に行ってわれわれが関係者から聞いた面からもそういう印象を強くしましたし、これは何も政府だけの責任ではないかもしれませんが、しかし実際問題として、山づくりということは相当の年月が必要であるということと、人手がかかるということについては否定できないと思うのですね。そういう立場からしますと、単に独立採算制とか、あるいは赤字経営だから合理化を強行していくというようなことでは、私は問題解決にならぬと思うのですね。ここいらの点をどのように関係者の理解と協力を求めつつ、荒廃している国有林、民有林を含めてやっていくかということが、今日問われている林野行政の最たる課題ではないかと、私は素人ですが思うのです。こういうことについては一体どういう御認識で今後やっていかれようとするのか、その基本的なお考えといいますか、方針というものを、まず明らかにしていただきたいと思うのです。
  183. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 ただいま先生が御指摘になりました、新聞に出ました国有林の荒廃という問題、私も非常に残念に思いますし、また国有林の内部、現在七百五十万ヘクタール余ございますけれども、その中の造林地の一部にいろいろな被害を受けたこと等々のために、造林地の成績が必ずしも十分でないというものがあることは、私どもも調査の結果十分認めております。しかし、それが決して国有林の造林地の大宗でないということは御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。  さて、それで、これからの日本の林業でございますけれども、先生御指摘になりましたように、国有林、民有林をあわせてともども、やはり日本国民の経済の発展のために、日本国民の生活の発展のために、適切な管理運営をしなければいけないというふうにわれわれも考えております。したがいまして、今国会におきましても、民有林の問題の中心でございます森林組合の単独法というものをこの前御決定をいただきまして、森林組合を中心に、これに基づいて民有林の林業の推進を図ろうということを考えておりますし、片や大きな森林所有者でございます国有林は国有林なりに、国民の期待にこたえるような管理運営をしなければいけないというふうに考えておる次第でございます。たまたま国有林が現在、財政的に非常に厳しい状況になっておりますので、これを立て直すということは当然でございますし、あわせまして、地元の産業の発展なり、地域の発展にも寄与するということは国有林の大きな使命でもございます。そういう意味からも、やはり国有林は地元とともに発展しなければいけないということはわれわれも重々考えておりますし、そういう意味から国有林の管理経営を通じまして、地元の発展に寄与する精神を持ちまして今後とも対応してまいりたいというふうに考えております。
  184. 上原康助

    ○上原委員 この中で特に指摘されていることで、こういうくだりがあるわけですね。「問題なのは、荒らされた山がいまだに放置されていることである。その理由は、帳簿上では、植えた苗木の半分ほどは順調に育っていることになっており、改植を必要としない、ということらしい。役所仕事らしく、実態よりも帳簿上の記載が優先し、失敗の責任が表面には出ないようになっているのである。」これは、今回の営林局の統廃合の問題にしましても、収支のバランスがとれないから、いわゆる帳簿のバランスシートがアンバランスで支出の方が多いから、機構を統廃合するとか、いろいろなことが指摘をされている向きがあるわけですね。しかし、私などが申し上げるまでもなく、植樹をして、植林をしてから、それが一人前の木になって伐採できるまでは四十五年、あるいは北海道なら六十年もかかるという説明でしたね。  そういたしますと、それだけ単年度において収支のバランスがとれないから、いろいろ人減らしをするとかというようなことでは、機構をいじくるということでは、山というのは育たないのではないでしょうか。そういうことと、かつては、先ほどもありましたように昭和三十年代においては、外材が入らぬということで、国有林は十年前後乱伐をやったわけでしょう。そういうことをあわせて考えた場合に、今日の山林の荒廃というものをやっていくには、一つの国づくりというか、山づくりの基本をまず政府みずから立てていただいて、改善をしていただかなければいかないと思うのですね。それにはそれ相応の財源が必要じゃないでしょうか。一般会計からの支出ということも、場合によってはやらなければいかないと思いますね。そういう基本も改めてやっていただかないと、私は小手先のそういう調整といいますか、やり方では手に負えないと思うのですね。大臣、この点いかがでしょう。
  185. 中川一郎

    中川国務大臣 御承知のように、国有林は特別会計をもってやるという仕組みで長い間やってまいったわけでございます。それなりの効果もまたあったわけでございますし、一時期、乱伐とはいえ、国民需要にこたえたということもあろうと存じます。しかし、振り返ってみて万全であったかどうかということについては、先ほど御指摘があったように山が荒れておるとか、あるいは少し切り過ぎたんではないかとか、いろいろあろうと思います。これは率直に反省をして、正すべきは正さなければいかぬ。  そこで、現時点はどうなっておるかと言うと、国有林の持つ公的使命が非常に強くなっておる。環境保全であるとか、あるいは国土の保全というようなことから、経営そのものも単なる経営ではなくて、そういった公益的機能を果たさなければならぬということも事実です。それからもう一つは、一時期伐採量が非常に多かったのでございますが、いまは将来に向かって伐採を抑制して、そして資源を育てるという方向に重点を置かなければならない。そうなってまいりますと、そこにまた過剰な人があってはいけないという問題も出てまいります。一方また、木材の価格が安い、こういうようなこともあって、国有林野経営は非常に二重、三重の苦しみがある。そこへまた、労務管理その他機構等についても国民の皆さんの間に相当の非難のあることも事実でございます。  そういうような実態にございますので、この際、ある人によっては経営林は民有林にやらせればいいんだというようなこともありますが、私といたしましては、そのようなことではなく、やはり公共企業体の事業による公的機能、あるいは木材の供給、そして地域産業の発展という、この三つの目標を達成していくにはどうしたらいいかということになるわけでございます。  第一番目は、国鉄などは運賃値上げというようなことで収支を合わせる方法もあるわけなんです。しかし、国有林野の経営の木代金を高くして収支なんということはできません。やはり経営の改善ということによって収支を償わせなければいかぬ。ついては、いろいろな改善を立てなければいかぬというので、いま国会に別途改善計画の法案を出しておる。それと並行して、営林局の組織のあり方についても正すべきは正さなければいかぬ。何といっても国民のものでございますから、国民の納得のいくものにしなければいかぬ。その一つに、北海道に営林局が四つもある、ほかの行政に比べて局長さんが四人いなければならないかなと、これは一つにまとめてやればもっと合理化できるのではなかろうか。あるいは、営林署もかつてあのように出した時代の営林署、あるいはほかのものでも、公益行政に対処して法務省などもぎりぎりの調整をやっておる。さすれば、一割ぐらいの営林署の統合を考えなければいけないだろう。あるいは人員についても、いまの人にやめてくれと言うわけにはもちろんいきませんけれども、高齢者に対しては特別手当てをして退職していただく人は退職していただく、新規採用に当たってはゼロというわけにはもちろんいきません。将来ともに大事な若い人を育てておかなければなりませんから、新規採用等もそういった配慮をしながら補充をしていく。  こういうようなことを総合的にこの際洗い直しをいたしまして、国民の皆さんの期待にこたえる。同時にまた、こういう厳しいときでございますので、造林、林道、こういったものを通じて一般会計からも入れる。さらには、資金不足をいたしますならば、財投資金からもこれを処置していくということで、十年間に改善策を講じ、二十五年後にはひとり立ちできるように、こういうことで総合的に、単なる小手先でちょこちょこということではなくして、あらゆる方面をにらみながら今度の改善計画と並行して機構の改革、こういうことを提案申し上げた次第でございます。
  186. 上原康助

    ○上原委員 そこで、いろいろあると思いますが、いまのこの改善計画と関連をして、やはり少なくとも現行の直営直用事業量というものは最低限度確保していくという基本方針といいますか、姿勢はぜひ堅持をしていただきたいと私は思いますが、これについては、どういうお考えなのかということ。  さらに、この国有林野事業の改善計画の策定に当たっては、やはりそこで働いている職員の皆さん、いわゆる職員団体、労働者の意向というのもお聞きになって、十分協力関係ができるようなことでないといけないと思うのですね。あるいはまた労働条件についても事前に協議をするとか、円滑な実施をやっていくとか、大臣の御性格なりお考えは私はわからぬわけではありませんが、力で押しつけていくとかあるいは少々法に触れるからというようなことでいろいろやっていっても、私も若干経験がありますが、一方が締めつけていこうとすれば一方がはね返って抵抗するというような相関関係というものも労使にはありますから、そういう面はよく話し合えば必ず糸口は開けていくわけですね。そういうことはひとつぜひ今後問題解決に当たって政府としても特段の御理解と御配慮をいただきたいと思います。  同時に、営林署の整理統合については、今回の機構改革あるいは整理統合等の答申においても大体一割ぐらいを目途にしてやる。五十三年度はたしか北海道を抜いて九カ所ぐらいをやっていこうというお考えのようですが、こういうことなども実施をするに当たっては、どうしても統廃合しなければいけないという場合は地域の実情というものを十分踏まえてやっていただく。地域の実情という場合は、当然該当者である労働団体とか労働組合とも協議をするべき場合はしていかなければいかぬと思うのですね。こういう点については、ぜひ今後十分に話し合いをしていく、あるいは相互理解をしていく。やはり人間関係にしましても、団体にしましても、一番大事なことは信頼関係ですから、そういうことは今後十分お話し合いを進めながらやっていただきたいと思うのですが、改めて御所見を承っておきたいと思うのです。
  187. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生ただいま御指摘になりましたうちの直営量の確保の問題でございますけれども、御存じのようにこれからの国有林の経営につきましては、やはり改善合理化の中で伐採量は縮減傾向にございます。したがいまして、直営で木を切る仕事あるいは造林の仕事、こういうものが減ってくるわけでございますけれども、その中でやはり調和のある形で事業の実行をしていかなければいけないというふうに考えております。そういう意味から私どもといたしましても、また反面その事業につきましては、やはり生産性の上がる、能率のある仕事をしなければいけないというふうに考えておる次第でございます。  したがいまして、これからの国有林の事業につきましては、それぞれの事業について、直営直用でやる事業についても請負でやる事業につきましても、生産性の上がるような方向でそれぞれの立場に立った有利な仕事をしていただきながら、そして国有林の改善計画に役に立つような形の事業形態というものをわれわれとしてもやって、かなければいけないというふうに考えておりますので、そういう意味から、直営につきましても国民の批判を受けないような直営事業、そして国民の批判を受けないような請負事業、こういういい請負、いい直営事業になるような形で今後とも事業を実行してもらうつもりでおります。  それから改善計画を立てる場合のいろいろなこっちの関係者との意思の疎通でございますけれども、当然改善計画を立てます場合には、私ども当局の責任として計画は立てますけれども、この内容等につきましては十分関係者にも説明をし、協力を得るという姿勢はわれわれも持っておる次第でございます。それからその中の労働条件に関しましては、当然これは組合と協議する問題でもございますので、関係組合とも十分協議してまいりたいというように考えております。  それから労使関係の問題でございますが、先生御指摘になりましたように、確かに労使関係というものは力だけでやるものではないと私も考えております。当然その間におきましては、ルールに従いまして秩序のある話し合いを続けることが必要であろうというように考えておりますし、われわれはそういう姿勢で今後ともやってまいりたいと思いますし、また組合の方にもその辺は十分御協力をいただいて、そういう姿勢でお互いに労使関係が信頼の上に立ちまして、今後とも国有林の改善に向かって御協力いただきながら進めるような対応をとってまいりたいというように考えております。  それから営林署の統廃合の問題でございますけれども、これにつきましては、ただいま私ども五十三年度については内地について九カ所を考えております。これについても、ただいま各営林局長が鋭意検討いたしておりますけれども、どこをやるかということが決まりました場合には十分地元関係にも御説明し、納得をし御理解をいただけるような努力をして、営林署が万一なくなりましても、その地域が営林署があった以上に発展するような形で対応していきたいと私どもも考えておりますし、そこにおきます事業は決してなくすわけではございませんから、そういう意味におきまして地元の振興にはより一層の力を注いでまいりたいというように考えております。
  188. 上原康助

    ○上原委員 確かに生産性の向上というのは、だれだって考えることなんですよね。国の事業であろうが民営であろうが個人であろうが、生産性が上がらぬと企業がつぶれるわけですから、それは当然のことで、ちょっとくどいようですが、生産性の向上を図る場合の前提というのは、やはり機械化したって人間がやるわけですよ。まあ全然人手をかけないでやろうということもできるでしょうが、特に山づくりというもの、森林開発というものは、幾らやったって全部が全部機械でできるものではないと私は思うのですね。そういう意味からすると、ぜひひとつ労働組合というか労働者の意向というものも最大限に尊重していく。私に言わせれば、そこがうまくいかぬと生産性が上がるはずないのですよ。その点は念を押しておきたいと思うのです。  それと関連して、おとといからですか、大臣の御発言などいろいろ聞いていますと、ルール違反をする者は法に照らして厳格な処分をするとかという御発言などもあったわけです。しかし私は、それはそれなりにお立場としてわからぬわけじゃありません。ただ、そういうことだけで労使の問題とかあるいは現在言う公共企業体のスト権問題というものが解決するとは思えないのですね。したがって、ここいらのことについても、責任あるお立場にある大臣ですから十分に政治的にも、どうしてそういう問題が起こるかというような問題なども含めて対処をしていただきたい。この件について、改めて大臣の御所見を聞いておきたいと思うのです。
  189. 中川一郎

    中川国務大臣 まず基本的に、私は労働組合その他に対して厳しいと受けとめておるようでございますが、私は厳しいのですが、厳しいのは何も労働組合がきらいだからとか憎いとかというのではなくて、やはり長期的に正すべきものは正さないと、最後に国有林がおかしくなったり、営林署がおかしくなっていけば、働く皆さんが一番犠牲になるのじゃないかということを基本的に置いているわけなんです。たとえば炭鉱が一時期非常にいい時代に、労使ともに悪かったのだろうと思いますが、最後は労働者の人が通産省に行って退職金を下さいとかいうような形になってしまうわけですね。ですから、山を守る姿勢は、これは労働者とわれわれとが一緒になってやらなければいかぬことだ、こういうことを基本的に置いているわけなんです。  そこで、たとえば違法ストとかなんとかという問題も、相当金のあるようなところなら別ですけれども、いま財政が大変で、千億も借りてこなければ月給も払えないというようなところで、ストライキをやって、しかも法律に違反をしておる。そういうことは、私はやめなさいと言ったのです。あなた方がストライキをやったから、やらないからによって、上がったり下がったりするものじゃないのです、こういう苦しいときであるから、ひとつ姿勢としてやめてもらいたいということを、十分事前に長官を通じて私は申し上げて、それでもなおかつやらざるを得ないということになれば、これはやはり法は法できちっとやらざるを得ないと言ったのであって、ことさら追っかけていってやろうという気持ちもないわけなんです。  それから労働組合の皆さんとも話し合えばわかる、確かにそうだと思うのです。ですから、私も労働組合の皆さんに、何か御不自由な点がありましたら、毎日でもいらっしゃい、時間がないときは仕方がないけれども、それがややもすれば末端で、言ってみれば権限のない署長さんと毎日毎日にらみ合いっこしている。そのことが地域住民に、一体何をやっているんだろうか、団交のために林野庁はあるというような、そして、直営についても他のものに比べて余りにもひどい、これは私どもが言うんじゃなくて、地域住民がこれを言う。われわれ政治家として、地方に帰って弁解ができないような事情のところもあるわけです。  ですから、お互いに話し合って、将来山をしっかりしたものにして、ともに豊かな生活ができる、そして国家のために寄与する、こういう姿勢で取り組みたいと思いますので、決して強がりばかり言っているのじゃなくて、愛情を持っておるつもりなんです。労働組合の皆さんも、ストライキだとかなんとか強硬な手段、団交とか、断固——断固じゃなくて、われわれも十分話し合いに応ずるという姿勢でおりますので、ひとつお互いその辺は歩み寄って事を解決していきたい、こう思っております。
  190. 上原康助

    ○上原委員 お考えはおおよそわかりました。決して私も、何も大臣がことさら労働組合いじめをしているとは思いませんが、一般的に申し上げて、今日の山の荒廃とか国有林野行政がうまくいかないのは、労働組合がストライキをするからとか、あるいは思うようにいかないからというようなお考えが、もし林野庁の首脳なり農林省の首脳の方にあるとすると、それは誤解ですよ、そうじゃなくして、協力できる面は十分やってきていると私は思います。したがって、今日の社会事情というのは、力ずくで、法律というような形式張ったことだけでは問題は解決しないという点が多いわけですから、そこは御理解をいただいて、労働組合の正当な要求、権利の行使に対しては、それなりの取り扱いというものも、また社会的に必要なわけですからということを申し上げているわけで、ぜひひとつそういった面の改善も特段の御努力を賜りたいと思います。  そこで、だんだん時間もなくなってきますので、あとは、水産庁の今度の組織の整備に当たって、長官官房を廃止する理由と、長官官房の事務の分担内容といいますか、そういうのはどういうものだったのか。一方また、食糧庁の場合は、今度長官官房を置くことにしているわけですね。一方では廃止をして、一方では置くということであるわけですが、どうしてこうなっているのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  191. 森整治

    ○森(整)政府委員 水産庁の関係でございますが、新たに振興部が設けられまして、それに伴い、漁政部で各部の総括的な業務も行うということになった関係上、官房の廃止を行うということにしたわけでございまして、むしろ長官官房より広い意味での総括的な事務を漁政部におきまして一元的に処理するということが、かえって行政の統一的な、積極的な推進に役立つという観点から、官房を廃止したものでございます。
  192. 藤田英一

    藤田(英)説明員 食糧庁本庁の組織の再編に当たりまして、管理部のほかに長官官房を置くことにいたしましたのは、一つには、現行の業務部はそのままとしまして、総務部及び経理部の所管事務をすべて管理部に属させるとしますと、同部の事務量が余りにも過重なものになるということでございます。それから第二点は、各省の外局の部構成について見ますと、二部のみで外局たる庁を構成している例はありませんで、長官官房も含めまして三部以上の構成となっていることなどを総合的に勘案した結果によるものでございます。
  193. 上原康助

    ○上原委員 こうなるとどうも説明の説明になったような感じで、余り細々言いませんが、水産庁の場合は、官房をなくすることがむしろ行政能力を高めるというか、うまくいくということでやった、食糧庁の場合はまた置いた方がいい、あるいは部との関係もあるからということでは、ちょっと機構合理化というか改善ということの矛盾が出てくるわけですね。そこらは納得しかねますが、そういう説明ならそういう説明として、一応承っておきましょう。  そこで、あと一点だけ確かめておきたいのですが、今度、現在ある営林局の付属機関の取り扱いはどういうふうにしていかれるお考えなのかということと、国有林野管理審議会のこの機構改革の法改正後の運営についてはどういうふうにやっていかれるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  194. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 営林局の付属機関として設置されております営林病院あるいは営林診療所というものがございます。たまたま今度北海道の四営林局を支局にいたしますけれども、そこには病院は設置されておりません。北海道にございますのは営林診療所でございますが、この診療所は、それぞれ営林局の構内にあるものが五つ、営林署の構内にあるものが五つございまして、全部で十ございますけれども、これらにつきましては、現時点におきましても、営林局の場合には総務部長が、営林署の場合には営林署長がそれぞれそこの所長を兼任いたしております。したがいまして、これからこの法案によりまして新しい組織ができます場合には、現在ありますと同じような運営をやっていきたいとわれわれも考えておりますし、そういう意味で、現在北海道の各営林局がやっております営林診療所の運営は、これが支局になりましても、同じような運営がし得るというふうに考えております。  それから国有林野管理審議会でございますけれども、これも北海道だけの問題になるわけでございますが、札幌営林局が北海道営林局になるわけでございまして、他の四局が支局になるということになりますと、国有林野管理審議会も一応一本という形にはなります。この場合に、国有林野の管理あるいは処分に関しますものにつきましては、具体的な事案については地域の実情等を十分に勘案して行う必要がございますので、支局の管轄区域に係ります案件については、支局長が諮問案を作成いたしまして、支局長の発議に基づいて諮問を行う、こういう形で管理審議会を運営してまいりたいというふうに考えております。
  195. 上原康助

    ○上原委員 こういうことにつきましても、いま長官の御答弁があったように、従前と機構は幾分変わっていくわけです。しかし関係者にとっては、付属機関の利用の問題にしましても、あるいは林野行政をやっていく、国有林のいろいろな問題等を審議をしていく場合に審議会等の活用もやっていかなければならぬことですから、このことについてもぜひ特段の御配慮をお願いをしておきたいと思うのです。  それと、念を押すようで恐縮ですが、営林署の統廃合の問題、先ほど全国的なことはあったのですが、あるいはその下にあるといいますか、それとの関連で置かれている事業所等の統廃合等についても、十分地域住民なり関係者の意向を聞いた上で、それを尊重して進めていくというお考えに変わりありませんね。
  196. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 営林署の統廃合につきましては、ただいま営林局長が鋭意検討しておりますけれども、決まりました暁には十分地元に御説明申し上げて、地元の御理解と御協力をいただいて実行してまいりたいというふうに考えております。
  197. 上原康助

    ○上原委員 次に、先ほども少し申し上げましたが、今回の法案で、長い間懸案になっておりました沖繩に原原種農場を設置するということが入っているわけです。これは冒頭申し上げましたように、われわれも沖繩開発庁あるいは農林省はもちろんですが、今日まで強く要求をしてきたことでありまして、ある意味では県側の対応の問題もあったかもしれませんが、もっと早目に設置されてもよかったのじゃなかろうかという気もいたします。しかし、政府の御努力によってようやくこれが設置をされるということは、単にサトウキビを栽培しておる農家、農民の皆さんだけではなくして、沖繩の各関係者挙げてこの件については賛意を表しておるし、また期待をいたしているわけです。  そこで、おおよその規模とか内容についても御説明は受けたのですが、ここで改めてこの原原種農場を設置することによってどのようなメリットがもたらされるとお考えなのか、そしてまた今年度、五十三年度の予算規模はたしか二億六千万余だったと思うのですが、今後の全体像といいますか、この試験農場が一人前になるというか完成をするまでの予算規模とか計画年月というのはどのくらいなのか、そこら辺について改めて御説明をいただきたいと思いますし、同時に、積極的にこの設置をやって早急にこれが実効を上げるような方向で、もちろんそう短兵急にはいかないとは思いますが、そこらを含めてお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  198. 野崎博之

    ○野崎政府委員 第一点でございますが、いま先生おっしゃいました新しい農場の設置によってどういうメリットがあるかという点でございますが、御承知のように、沖繩では従来から優良種苗の供給ということが強く期待されておったわけでございまして、優良品種健全無病苗を安定的に供給するということが一番の必要性でございまして、今回設置します原原種農場では、国あるいは県の試験場で育成された優良品種の健全無病といいますか、そういう苗をもらい受けてこれを広める、あるいは農業試験場等で育成をする優良系統、これをあらかじめ増植をいたしておきまして、これは国の農林水産技術会議で品種登録をやるわけでございますが、そういう品種登録を受けた後にこれを直ちに普及をさせる、こういうことを通じまして、最近沖繩では非常に矮化病あるいは黒穂病等が発生をいたしておるわけでございますが、そういうことで単位当たり収量が落ちているのを、今後こういう農場の設置によりまして優良品種を拡大いたしまして単位収量を上げていく、そういうようなメリットが考えられるわけでございます。  それから第二点でございますが、先生おっしゃいましたように、当初五十三年度の予算は二億六千八百万でございます。それで昭和五十三年度に用地を購入いたしまして、五十四年度から五十五年度にかけまして庁舎あるいは施設、検定用あるいは栽培用の機械の整備、そういうようなことを行いまして、昭和五十六年度から原原種苗の配付を行う予定にいたしております。それで、その原原種圃から出まして、原種圃、採種圃を経まして一般農家にこの種苗が手渡りますのは五十八年度からという予定にいたしておるわけでございます。農場用地につきましては、試験用地、それから試験耕地といいますか、建物の敷地あるいは防風林等も含めまして約五十ヘクタールでございます。職員数は当初は二名で発足いたしますが、将来約二十名程度にする予定をいたしております。  なお、先生おっしゃいました、年度別に大体どれくらいの予算でどういうふうにしていくかというお話があったわけでございますが、これはわれわれの一つの見積額でございまして、まだ予算的にはっきり確定をいたしておるわけではございませんが、一つの見積もりといたしましては五十四年度に約四億、五十五年度に約二億五千万、それから五十六年度に約一億九千万、五十七年度に約二億、そういうところで、五十六年度まで見ますと約十一億になるわけでございますが、五十六年度までには用地、それから先ほど申し上げました検定の機械、栽培機具、そういう施設も大体整うというふうに見込んでいるわけでございます。
  199. 上原康助

    ○上原委員 原原種ですから、確かにいまおっしゃるように、五十八年度あたりでないと農家の手には配付できないかもしれませんが、いずれにしましてもこれが一つのきっかけとなって長年問題になっている品種改良ということなどが早急に実を上げるようにやっていただきたいのですが、同時に、県の各種試験場、農業試験場といいますか農業試験地といいますか、あるいはその他の研究所との連携なども必要になってくると私は思うのです。反面、国の機関ですから政府の方で運営していくことは当然ですが、同時に県の方でも、今度のこの農場設置に当たって協力関係といいますか、いろいろやらねばいけない対応策というものもあるいはあるかもしれません。そこら辺についてはどのようにお考えなのか、そういう面もぜひ政府考え方というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  200. 野崎博之

    ○野崎政府委員 従来からサトウキビの生産全般につきまして、県なり県の試験場と連携を非常に密にいたしておったわけでございますが、今後ももちろん用地の問題等につきましても、その他運営につきまして県とは十分連絡をとりながら、また地元の御意見も十分拝聴しながらやっていきたいと思っておるわけでございます。先ほどもちょっと触れたわけでございますが、県の試験場で優良品種というものをいまのところ二種類ぐらい選定をいたしておりますが、それらも当然この原原種農場でつくりまして、これをまた配付をいたしたいと考えております。試験研究機関とは従来とも密接な連絡をとり合っておる次第でございます。
  201. 上原康助

    ○上原委員 それと、これが設置をされていく上で、先ほども少し触れましたが、いま農業全体の見直しといいますか、いろいろなものが全国的にというか各農業地域で出ているわけで、沖繩の場合も御承知のようにサトウキビが基幹作物であることは申し上げるまでもありません。特に、最近はサトウキビの生産が非常に持ち直しぎみであることもまた申し上げるまでもないと思うのですね。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 そういう意味では、原原種農場設置ということは農民に対して相当意欲を与える、あるいは農業振興していく上での刺激剤になると私は思うし、またなってもらうことを期待をしているわけですが、あわせて沖繩の農業というものを考えた場合に、基盤整備ということも私たちこれまでよく主張をしてまいったわけですが、それも復帰後年々拡大をされていることは、私も評価をいたします。特に昨年、今年においては、そういう面の予算の増加というか拡大もなされている。しかし、本土全体の農業基盤整備と比較をした場合にはまだまだ雲泥の差があることもこれまた明らかであります。  その基盤整備の中でも土壌改良ということが非常に必要だと思うのですね。地力の消耗とその減退が著しい、したがって生産性も余り芳しくない、反収もよくないという現状であるわけですが、この基盤整備が急務であるということとあわせて、土壌改良については、一体政府はどういうふうにお考えなのか、今後どのように進めようとしておられるのかということ、あわせて灌漑用水の確保の問題とか農業用水の確保ですね。先ほどありましたように、圃場の整備、その他の畑作地帯の総合的な整備、いわゆる土地改良事業を含めたこういった農業基盤全体の整備というものを積極的にこの際あわせてやっていかなければ、私は目的が十分達成できるとは思わないわけですね。そういう面についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  202. 野崎博之

    ○野崎政府委員 最初に土壌改良の問題でございますが、御承知のように、沖繩の土壌につきましては非常に酸性のところもあるし、アルカリ性のところもある、あるいは重粘土壌という非常に不良な状態にあるわけでございまして、また本土に比較しまして非常に高温多湿ということで有機物が流れやすいというような非常に不利な土壌条件にあるわけでございます。農林省では、全体といたしまして、全国的にこれらの不良土壌に対します土壌改良対策というものをつくっておりまして、一つは土壌調査の専任の国庫補助職員を置きまして調査に当たらせる、あるいは地力診断をやるための施設をつくる、あるいは地力保全基本調査等を実施する、そういうようなことをいたしておりますが、沖繩県は復帰以来この事実に取り組んでおりまして、土壌調査につきましては五十年から五十二年までに調査を終わりまして、本年、五十三年度にこれを取りまとめの段階に入っておるわけでございます。  また土壌改良そのものにつきまして、これは特にサトウキビの生産地域でございますが、ここはサンゴ石灰石、石灰岩、こういうものが中心になりました非常にやせた土地である。そういう非常に条件が悪いというようなことでございますので、特にサトウキビ生産地域については土壌改良を積極的に進めているところでございます。このため従来から土壌改良機械の導入ということもやっておったわけでございますが、さらに名前はちょっと長い名前でございますけれども、さとうきび生産合理化緊急対策事業という予算を組みまして、その中でサンゴ礁の排除とかあるいは深耕、土壌改良資材の投入あるいは堆肥の投入、そういうようなことで積極的に土壌改良を図ってきたところでございます。十億程度の金がございまして、これは南西諸島それから沖繩と両方ございますが、沖繩がその約三分の二を占めておるわけでございます。それから五十三年度にはさらに新たに心土肥培、深いところの土を掘りましてその中へいろいろな炭カル等の土壌改良資材を入れる、あるいはそのための土地基盤整備、機械化、そういうような推進事業に取り組んでおるところでございます。  それからまた後で先生おっしゃいましたように、土地改良全般の基盤整備、これは畑作地帯全体に必要なわけでございますが、やはり特に北海道、沖繩、そういう非常に土壌地盤の悪いところ、こういうところは積極的に畑作基盤の整備、土地改良事業等も進めていくという姿勢でございます。
  203. 上原康助

    ○上原委員 そこで、いろいろやっておられるようで、結構な面もあるし、またまだ不十分な点もあると思うのですが、土壌改良問題については、これまでも沖特でも質疑応答がなされて、七十二国会においても、いろいろな土壌図をつくって農業改良をやっていく、地力の診断の施設などを整備をしていく、きめ細かい指導をやっていくということをお述べになっているわけですね。さらに七十五国会においても、いまありましたように不良土壌に対する土壌改良対策事業をしているが、さらに診断事業もやっていきたい、またそれだけでは不十分なので、地力保全基本調査も五十年度から沖繩でも実施をしていきたい、そして土壌改良の基礎調査をした上で、サトウキビやパインの生産性の向上を図るようにやっていく、あわせて機械化の問題等もやっていく、こういうような方針というか考えでやっていきたいということを今日までおっしゃってきたわけですが、果たして地力保全基本調査等は具体的に進んでいるのか。いま、五十三年度にまとめの段階に入っているというような御答弁もありましたが、一体、こういった基礎調査というもの、土壌改良をやっていく場合の基礎データの収集等は十分なされておるのかどうか、その報告書とかそういう面はまとまっているのか、また、やってないとするとこれは問題なんですね、やるということをおっしゃったわけですから。この点について、もう少し具体的に明らかにしていただきたいと思います。  あわせて、これとの関連で、この件は後ほど大臣の方からも御答弁をいただきたいわけですが、基盤整備をやっていく、あるいは土壌改良をやっていくという場合は、その間はやはり耕作できないわけですね。サトウキビにしても、パインにしても作付ができないわけですよ。したがって、一定期間の空白というものが生ずる、短くて半年、長ければ一年あるいはそれ以上という場合もあり得るわけです。したがって、私たちは、従来その間の休耕補償というものをやるべきじゃないのかということを、絶えず歴代の農林大臣なり関係者に申し上げてきたのですが、今日まで実現を見ておりません。  政府は、そういう面で、休耕補償ということに、いろいろほかとの関連もあるのでむずかしいというような御所見などもあったわけですが、あえてそういう言葉にこだわらぬでいいとわれわれは思うのです。基盤整備事業に対する補助といいますか、助成金の中に、十分そういった体耕的な面も加味されたようなことをあわせて考えないと、私はいつまでたってもこの問題は前進しないと思うのです。こういうことに対しても、改めて政府のお考えを聞かしていただきたいし、いま私が申し上げたような趣旨を取り入れた沖繩農業全体の基盤整備というもの、あるいは土地改良事業というものも進めていただきたいと思うのですが、時間の都合もありますから、含めて御答弁をちょうだいしたいと思います。
  204. 野崎博之

    ○野崎政府委員 第一点の土壌改良の基本調査の問題でございますが、これは先ほども御答弁いたしましたように、地力保全基本調査、これを五十年から五十二年にかけてもう終わっております。これは五十三年度中に取りまとめるということで、いま県を通じまして、いろいろなデータもそろっておりますので、取りまとめの最中でございます。  それから、休耕補償の問題は、過去何カ年間もそういう話があったわけでございますけれども、やはり一般的に言いまして、ほかの作物との関連もございますし、サトウキビだけにつきまして、この土壌改良なり土地改良をやっておる間に休耕補償をするということは、検討いたしたのでございますけれども、ほかの作物との関係もございまして、なかなか現在のところはむずかしいというような判断をいたしておるわけでございます。
  205. 上原康助

    ○上原委員 私は、何もサトウキビ問題に限ってそういうことをという限定はしていないわけなんですよ。もちろん、それが中心といいますか、サトウキビの耕作面積が大きいわけですから、四〇%近く占めているわけで、それは別段どうとは言いませんが、要するに基盤整備、土地改良をやっていく、土壌改良をやっていく場合に、そういったこともあわせてやらないとなかなか農民の方の協力も得られない現状があるわけです。これは、もう森さんよくおわかりなんです。あの当時から何回か言ったけれども、なかなか……。  そこでこういう問題は、——大臣、こっちを向いていただきたい、もう時間もありませんから。ぜひもう一遍よく実情を調査といいますか、やっていただいて、この種の問題解決をやっていただきたい。研究所の問題にしても、その他いろいろありますが、きょうは時間が来ましたから、次の方との関連もありますから、こういった基本的な問題を、予算を伴うような面でやっていただかないと、なかなかこれは実現しませんよ。いつまでたっても格差は残るだけですよ。  そういう面で大臣の御所見をお聞かせいただきたいということと、あわせて、最後にちょっと、時間がありませんので、例の尖閣列島のいろいろな侵犯事件などもありまして、漁業関係者は現在でも出漁するのに非常にためらっている面もあるわけです。したがって、その操業の安全性の確保というものはぜひやっていただきたい。これは水産行政を預かる大臣として、その面についても万全の措置をとっていただきたい。この二点についてひとつ、今後の沖繩の農業問題をどのように改善をしていこうとしておられるのか、私が申し上げたようなこと等も含めて、御所見と方針をお聞かせいただきたいと思います。
  206. 中川一郎

    中川国務大臣 沖繩の農業につきましては、長い間米軍支配下にあった、そのために非常におくれておる、しかも作物がサトウキビが中心で、若干畜産、パイナップル等もございますが、サトウキビをひとつ大いに伸ばして沖繩農民の期待にこたえたいということで、私どもの北海道におけるてん菜と兄弟仲間でございますので、価格の面でも相当、ここ数年で恐らく三倍近くにもなったのではないかと思うぐらい張り込んだわけでございます。  また、今度原原種農場も、私も外部にありました時代からこれはどうしても沖繩の皆さんの期待にこたえなければいかぬということで、いいサトウキビといいますか、いい苗をつくるということで、北海道では原原種農場というのはジャガイモのものがあるのですが、北海道のジャガイモが本州方面の市場をみんな潤わしているのもこのジャガイモの原原種農場でございますが、恐らくこれも大きく期待がされるであろうということで積極的に取り組み、また一日も早く完成するように最善を尽くしたいと思っております。  また、土地改良あるいは土壌改良等も積極的に取り組んでまいって、おくれを少しでも取り戻して、これまた農民の皆さんの期待にこたえたいと存じております。ただ、米と同じように通年施行による休耕補償みたいな形ですね、米は過剰生産だものだから休んでくれたことに対して出しているわけですが、沖繩の特殊な事情、サトウキビという特殊な事情がありますから、研究はしてみますが、ほかへの波及ということがすぐ起きるものでございますから、この辺また少し勉強させていただきたいと存じます。いずれにしても、沖繩の農業については、温かい目で最善を尽くしていきたいということを重ね重ね申し上げます。  また、尖閣列島についても、御迷惑をかけておりますが、安全操業ができますように水産庁としても最善を尽くしたいと存じます。
  207. 上原康助

    ○上原委員 どうもありがとうございました。
  208. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 市川雄一君。
  209. 市川雄一

    ○市川委員 最初に、設置法の改正に関連いたしまして二、三お聞きしたいと思います。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕  十八条の三の二に、畜産試験場に関して「「千葉県」を「茨城県」に改める。」とありますが、これは移転に伴う会計法上の処理についてはどういうふうになるのか、これをお尋ねしたいと思います。
  210. 中川一郎

    中川国務大臣 いま担当が来ておりませんけれども、千葉県にございますものを筑波学園、茨城県に移すということの調整を行ったということだと存じます。
  211. 市川雄一

    ○市川委員 それはわかっているのですが、千葉県にある土地は、できるときに、千葉県がわざわざ地主から買い上げてこれを国に提供したという経緯があるわけです。これは、茨城県に買った土地は、千葉県のものを売り払って、その売り払った代金を茨城県の方の購入に充てるという考え方なのか、それとも千葉県のものは移した後はどういうふうに処置をされるのか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  212. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 お答えを申し上げます。  筑波に移転をいたします試験研究所の中に、千葉県に所在します畜産試験場があるわけでございまして、この農林研究団地の整備につきましては、いわゆる特特会計によってやっていることは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、原則といたしまして特特会計で整備をいたします試験研究団地の財源といたしまして、移転をいたしますところのこの千葉県の試験場の跡地も特別会計上の処分ということで適切な処理が将来なされるということを予定して仕事を進めておるわけでございます。
  213. 市川雄一

    ○市川委員 念のためにもう一度確認しますが、そうしますと、千葉県の畜産試験場跡地は売却をして、その売却した代金を茨城県の土地購入代に充てる、こういうことですか、こういうふうに理解してよろしいですか。
  214. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 これは試験場として移転します部分について、それぞれの個別の試験研究機関についてそれぞれ対応関係を持って、たとえば千葉県の試験場跡地を売り払い処分をしたもので筑波におきます試験場の整備をするというふうにはなっておりません。全体といたしまして、いま申しましたようなことを、各試験研究機関を通じまして財源確保をいたしまして実行する、こういうかっこうになっておるわけでございます。  なお、移転跡地の処分の具体的な方向というものにつきましてはまだ決まっておりませんで、国有財産のこの関係の審議会で今日までいろいろと御議論をされてきておるわけでございます。これから急速に具体的な問題を詰めてまいりまして、年が明けまして来年の春ごろになればそれぞれ主要なる移転機関の跡地についての処分の方向というものを出してまいりたいというのが大蔵省理財局におきまして考えておる考え方でございます。まだその具体的な詳細は承知をいたしておらぬわけでございます。
  215. 市川雄一

    ○市川委員 その場合、千葉県では地主からわざわざ買って県有地にしたものを国に提供したという経緯から千葉県に返してもらいたい、こういう要望があるわけですが、その辺のことを御考慮いただけるのですか、どうですか。
  216. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 この跡地処分の問題は、実は移転が行われますと、特特会計の財産処分の問題といたしまして、私ども旧跡地は大蔵省に引き継ぐことになるわけでございます。したがいまして、その辺の主管官庁といたしましては、大蔵省が御方針をお立てになりまして、それに対していろいろと農林省で跡地利用について希望のあるものがございます、そういう場合にはその希望等も聞いていただいて、調整の上で御方針が御決定になるものというふうに期待をしておるわけでございます。  なお、千葉県の畜産試験場の跡地につきまして、農林省として農林省サイドでの活用等についての計画は、現存のところございません。
  217. 市川雄一

    ○市川委員 次に、土壌改良問題についてお伺いしたいのですが、最初に、大臣お見えでございますので、大臣にぜひお伺いしたいのです。  大臣もよく御承知のように、日本農業は化学肥料の使用量が世界の農業の中で非常に多い、その結果、土壌の物理的、化学的組成が変わって、土壌中の微生物やミミズなどが死滅して地力が低下しているという問題が起きていると思うのです。そういう地力低下に伴って、当然その土壌で育った作物が非常に弱い。生命力の弱いものになると病虫害に非常に弱いために、今度は病虫害対策として農薬を使う。その農薬がまた土壌を傷める、こういう悪循環をしているわけでございます。農林省の地獄保全基本調査でも、不良土壌の面積は水田で三九%、畑で六七%、果樹園地で六四%、こういうデータも出ております。こういう地力低下というわが国農業の将来にかかわる重要な問題について、農林省としては基本的にどういう御認識と今後の具体的な対策をお持ちになっておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  218. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘いただくまでもなく、戦後ややもすれば有機質肥料に欠けて金肥を多く使い過ぎるということ、それからもう一つはトラクターの時代で、地盤をかたくする、この両面から、土地の力が弱くなってきた。これは日本農業にとっては大変なことだということについてはよく認識いたしておりまして、従来とも農家の皆さんの認識を高めるために土づくり運動というものを展開しているようで、特に畜産農家と畑作農家あるいは水田農家との連携等でなるべく有機物がたくさん入ってしっかりした土地になるように、こういうことで指導してまいっておりますが、きわめて重要なことでございますので、今後とも一層この運動を展開して、いい土をつくるためにしっかりがんばりたい、こう思っております。
  219. 市川雄一

    ○市川委員 当然のことなんですけれども、もうちょっと具体的に本当はお答えいただきたいのです。具体的に質問してまいりますので、その中でお答えをいただきたいと思うのです。  たとえば、ことしの四月二十六日付の官報に載った「農業白書のあらまし」の中でも特に野菜産地の地力低下が著しいということが指摘されております。その次に、連作による障害というものが指摘されているわけです。特に農林省が重要野菜産地と指定した地域において、やはりこの地力低下に非常に苦しんでいる農家が多いわけです。そういうことから考えて、農林省は、特にこういう野菜の確保という点から考えてみて、こういう重要野菜指定地域に対して地力回復のための特段の対策というか、そういうものをおやりになるお考えを持っているかどうか、まずお伺いしたいと思います。
  220. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 野菜の生産におきまして、先ほど来御指摘がございますように地力の低下あるいは連作障害の問題が非常に重要な問題となってまいっております。  農林省といたしましては、野菜の生産安定のためには、何と申しましても、その土壌条件をよくするという見地から、従来、計画的な生産出荷をいたすための野菜指定産地制度につきまして、近代化事業でありますとか整備事業を実施いたしておりますが、その中で連作障害の防止のための対策を実施しております。それから、特に地力の回復を図るために、地場野菜の対策のほか、生産安定事業というものを実施をすることといたしておりまして、この事業につきましては、新たな事業として実施をすることといたしております。これらの事業によりまして、地力の増強、連作障害の回避について力を注いでまいりたいというふうに考えております。
  221. 市川雄一

    ○市川委員 ちょっと聞いたことと違うのですが、具体的にお聞きしたいと思いますが、神奈川県の三浦半島の例で申し上げたいと思うのですが、大根、春キャベツ、冬キャベツの三品目が国指定の野菜になっておりまして、ここは重要野菜指定産地になっているわけですが、ここでも連作の障害とか化学肥料の使い過ぎであるとか、そういうことから非常に地力低下に苦しんでいるわけですが、まず具体的な質問に入る前に、この重要野菜指定産地になっている三浦農業、東京都を含めた近郷に対して野菜をかなり大きなシェアを占めながら供給しているわけですが、この果たしてきた役割りというか、今後の役割りというか、こういうことについて、農林省はどんな位置づけを持っておられるのですか。
  222. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 神奈川県の三浦地方を中心といたしまして、この地域におきます野菜の生産は、大消費地であります東京及びこの周辺の市場に対する大きな供給基地というふうに考えております。特に三浦地域におきましては、気候条件からいたしまして、比較的露地野菜の生産におきまして早い時期にこれが出荷できるという特性を持っておりまして、それらの条件を有効に活用するという見地から、野菜につきまして、先ほどお答え申し上げました野菜の指定産地の指定をいたして、その計画的な生産出荷を行うということで努力をいたしておるところでございます。
  223. 市川雄一

    ○市川委員 先ほど農林大臣も、地力回復については、畜産農家と野菜をつくっている農家の連携ということが非常に大事だということをおっしゃっていましたけれども一つは、地力回復に当たって堆肥の確保ということが非常に切実な問題になっているわけです。特に三浦半島におきましては、堆肥が非常に不足しているという状況があるわけですが、ただ、この堆肥の問題を考えた場合に、三浦半島の例で申し上げますと、最小限度、年間必要堆肥量が一万八千六百五十二トン。これに対して現在供給されている堆肥の推定量が約一万六百十トン。したがって、毎年約八千トン近い不足があるわけですね。この不足分だけ地力がどうしても損耗して、低下していく。  その八千トンの不足している堆肥を確保するためには、畜産農家のある丹沢までトラックで買いに行かなければならない。二、三時間かかるわけですが、どうしても大型のトラックを使わなければならないとかいうことから、輸送コストが非常に高くついてしまう。あるいは十アール当たり約二トンで購入費は約一万円ですが、大体一農家平均農地面積は約九十三アールですから、九万八千円程度の出費になるわけですが、こういうことや、あるいは生のままでもらったのでは使えないということで、発酵さしてということで堆肥小屋が必要だ。そういうことや何やかや考えますと、園芸団地、草をつくるところ、あるいは畜産農家、鶏ふん等ですね、あるいは野菜産地、この連携した対応がありませんと、堆肥の確保さえも非常に困難になるわけですね。こういう点について、ただこれは自然に任しておいたのでは進まないわけですよ。もちろん行政的に指導なさってこられたのだと思うのですが、もっと具体的に行政的な対応をなさらないと、こういうことは進まないのじゃないかと思うのですが、この点についてお考えはどうですか。
  224. 野崎博之

    ○野崎政府委員 先生おっしゃいましたように、最近堆厩肥等の有機物が非常に不足をしている。したがいまして、こういうものを増投して生産性を上げるということが必要でございます。農林省としましても、従来から土づくり運動に対しましては、相当積極的に予算的な措置もいたしまして取り組んでおりますし、あるいは耕種部門と畜産部門の有機的連携を図る、そういうことによって有機物の増投を推進するということを奨励しておったわけでございます。  たとえば土地利用型集団営農推進事業、非常に長い名前でございますが、この中に堆厩肥の生産、運搬、それから散布、そういうものに対する補助を、約八億程度の金でございますが、計上いたしております。それから、ほかの局にわたりますが、畜産局では畜産経営環境保全対策事業というようなことで、これは家畜ふん尿を主体としました堆厩肥のやはり生産、運搬、散布、そういうものに対して補助をいたしておるわけでございますし、そのほかまた各局それぞれいろいろな生産事業がございます。物別にいろいろ生産対策をやっておりますので、その生産対策の中で、それぞれ有機物の施用を推進する施策というものを補助金として組んでおりまして、施策としては相当な数になるわけでございますが、それぞれ作物別の生産対策の中でそういうことを考えておる次第でございます。
  225. 市川雄一

    ○市川委員 もうちょっとはっきり御答弁いただきたいのですが、何かよく聞こえなかったのですけれども畜産農家と野菜農家の連携と一口に言いますけれども、非常にむずかしい問題があるのです、よく御承知のように。畜産農家の厩肥は毎日生産されてくる。しかし野菜農家がこれを必要とするのは年に一、二回、種をまくときとか作付のときに必要になるわけですから、これをどういうふうに連携させるかということですね。両方とも堆肥小屋を持つかどうするか、あるいは運搬をどうするか、引き取る時期をいつにするか、こういう問題が現場にはあるわけですよ。  ですから、両方の農家が集団で対応せざるを得ないだろうと一つは思うし、もう一つは年間の所要量と受け渡しの時期をいつにするかとか、どちらがどの程度の堆肥小屋をつくってどういうふうに確保しておくかとか、こういう計画的な、しかも集団での両者の対応、しかもその集団同士の間に一定の協定をつくる、ルールというのですか、約束というのですか、そういうものをつくらなければならない、こういうむずかしさがあるわけですが、こういうことは、農林省は当然よく御承知だと思うのですよ。これを御承知ならば、ただ行政指導、行政指導とおっしゃっていないで、具体的にもうちょっと本気になってやる気はないのですか。私がいま言っている問題について具体的にお答えいただきたいのですが、何か行政的対応としてこういうことをやるとかやらないとか、具体的にはっきりおっしゃってください。
  226. 野崎博之

    ○野崎政府委員 具体的な、どういうふうにやるかというお話でございますが、いま申し上げましたように、先ほど来そういういろいろ補助金は組んでおるわけでございまして、やはりそういう話し合いを進めるということになりますと、いま地域農政特別対策事業ということも相当進んでおりますし、そういう中で、その地域の中でのいろいろな農家の経営形態全体をひっくるめていろいろ話をしながら、あるいは地域全体のその農業経営計画をつくるという、そういう話し合いのそういう予算が相当組まれておるわけでございますから、したがいまして、そういう中で耕種農家とそれから畜産農家とがいろいろ話し合いながら、どういう形態に持っていったらいいか、あるいはどういう堆厩肥の使い方をしたらいいか、そういうことを十分話し合っていっていただきたいし、また改良普及員あるいは市町村の職員、そういう人たちもそういう地域農政特別事業の中では十分活用をしていただいて、積極的にそういう話し合いを進めていっていただきたいというふうに考えております。
  227. 市川雄一

    ○市川委員 何か、話し合い話し合いとそれだけの話なんですけれども、それだけじゃ進まないのですよ、それだけじゃ。だから、農林省で具体的なパターンなり何なりをお考えになるたたき台をおつくりになるなり何なりして、もうちょっとやる気のある行政的な対応をしていただきたいと思うのです。国の方がそういう何かこうわけのわからないただ話し合い話し合いと言うだけですけれども、市ではどうにもならないものですから、たとえば三浦市ではこういうことをやっておるわけですよ。五十二年から五十四年までの三年間、百棟の堆肥舎をつくろうという計画を立てた。大体これ集団じゃありませんから、一農家でつくるわけですから、一棟当たり大体用地面積で八坪弱、建設費が約二十五万、これは金額を見てもわかりますように、本当にちっぽけなものなのです。そういう意味では悪臭ふんぷんとするものなんですが、半額の十二万五千円市が負担する、希望農家には御自分で用地を出していただいて半額負担してつくってください、こういうことをいま三浦市では進めているわけですよ、どうにもならなくなってきて。これは希望者が非常に殺到しておるわけです。それで、五十二年度三十棟予算化して、三十二棟申し込みがあって進んでいる。五十三年度は四十棟分予算化した。こういう努力を自治体もやっていますし、農家の方もそれなりに努力している。これは国としてもう少し何かこういう具体的な形で、堆肥の確保ということについて、堆肥小屋をつくることについて補助なり何なりするという、もうちょっと具体策はないのですか、どうですか。
  228. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 ただいまの御指摘の堆肥舎の建設に対する助成といたしましては、低利資金の融資をすることといたしております。主として、農業近代化資金によりまして、系統資金の活用で行うということでございますが、ただそれだけで十分と言えるかどうかという問題がございます。私どもの補助予算といたしまして、先ほどお答えした中で、野菜生産安定事業ということを申し上げましたが、この中で二分の一の補助で堆肥等の有機質投与のための機械施設の導入の助成をいたしております。このほか、野菜指定産地についての近代化事業あるいは整備事業等におきましても、地元の要望に応じまして農業者団体等を事業主体といたしまして、施設の導入について助成をすることといたしております。  ただいまお話しの施設は個人施設ではないかというふうに考えられますが、個人施設につきましては、やはり補助の効率等からこれは低利資金の融資で行うということで対処をしておるところでございます。
  229. 市川雄一

    ○市川委員 個人施設なんですが、本来はこれは集団で組織的に対応するのが一番望ましいと思うのですよね。しかし、三浦市にも確かに国から補助金が出てつくった堆肥舎があるのです。第二次農業構造改善事業のうち畜産経営環境保全集落群育成事業で、三浦市の初声町というところに堆肥舎をつくった。約千二百五十万の予算をかけてつくったわけですけれども、国、県、市で九百七十万近い補助金を出しているのですけれども、国は集団でなければ補助金出さぬ、こうおっしゃっておるわけですが、しかしこの実態を見ましても、一つは建設費のみの負担なんですよ、国の補助金というのは。ところが、こういう集団組織的な対応をする必要があって堆肥舎を考えますと、これは用地の確保が非常に困難。  それからもう一つは、そういう集団の堆肥舎をつくった場合に、そこに至る道路の整備が当然これは必要になってくるわけですね。こういう道路整備の費用、こういうことから、なかなかこれ進まないわけです。進まないし、できない。ですから、地力低下というものが日本農業に非常に危機的なインパクトを与えているわけでしょう。農林省にはそういう認識はないのですか。危機的なインパクトを与えているのですから、ただつくる場合は建設費だけ半分持つぞというのではなくて、道路の整備代も出せば、ある程度用地確保の費用も持つぞとか、そういう形で、地力回復のための堆肥づくりにもうちょっと積極的な対応というものが欲しいわけですが、その点はどうですか。
  230. 大場敏彦

    ○大場政府委員 堆肥舎の助成につきましては、関係局長から累次御説明申し上げているとおり、いろいろ構造改善事業あるいは畜産環境の経営改善事業とかあるいは集団営農の施設とか、そういったもろもろの助成事業を農林省としては用意して、農業者の方々の御用に供しておる、こういったことでございます。  そこで、その中で、いま御指摘の取りつけ農道あるいは用地の問題でございますが、施設そのものにつきましては、助成対象にしているということと、それから取りつけ農道につきましても、これは補助対象にいたしております。  それから用地でありますけれども、用地の整備につきましては、これも補助対象にしている。ただ用地そのものにつきましては、これは補助の対象にはいたしておりません。ただ用地の取得資金としては、これは公庫資金あるいは近代化資金、そういったものによりまして長期低利の資金を融通する、こういった形でかなり、私ども御指摘のような堆肥舎の設置の緊急性ということは認識しておりますから、いろいろな助成手段は用意しているわけでございますが、どうも十分に徹底してないといううらみもありますので、その点につきましては、さらに十分私ども用意しております種種の助成手段を御活用願うということで対応していきたいと思っております。
  231. 市川雄一

    ○市川委員 これに関連しまして、いま農林省で土壌診断事業というのをおやりになっていますね。その中で化学的診断、かたさとか透水性、そういう物理的な診断、こういう二つの診断はよくおやりになっていると思うのです、肥料の成分のバランスを見たり、土壌の酸性の度合いを見る。しかし、土の中の各種微生物の量やバランス、天敵の生態系、そういう微生物が土壌に及ぼすであろう研究、こういう診断とか研究というのは、いま実際おやりになっているのですか、どうですか。
  232. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 土壌中の微生物の問題でございますが、これは先生ももうすでに御案内のとおり、たとえば土壌乾物一グラム当たりの中でも、微生物と称されるものは十万とか数十万とか、多い場合には百万を超すというようないろいろの菌類あるいは小動物がいるわけでございます。分類上の問題もございますが、その中には本当に数え切れないほどの微生物があるわけでございまして、その生態と申しますか、あるいは相互の関係ということにつきましては、最近非常にこれを重視すべきであるという議論が出てまいっております。  ただ、試験研究の現状からいたしますと、そういう点についての研究のおくれということがあるわけでございまして、特に最近水のかかります水田の場合と違いまして、畑地におきましては、この関係がかなり作物の生育に大きな影響を及ぼす、特にいわゆる土壌病害というものが起こる原因の一つにこういったことが数えられるわけでございます。したがいまして、私どもこの点は、今後研究の上でも重視していかなければならないということから、これは新しく別枠の別途研究というものを起こしまして、国立の農業技術研究所、関係の地域農業試験場あるいは関係の大学、あるいは県の試験場、こういった関係のところの連携プレーによりまして、この問題についてひとつ真剣に取り組んでいきたいということで、地力維持、連作障害の克服を基幹とする畑地新管理方式の確立のための研究ということをやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  この中でいま先生の御指摘になりました土壌の微生物中の有害なるもの、それからそれと拮抗関係と申しますか、バランス関係を一定の場合に持ちますところの他の微生物との関係、これは有用微生物と申しましょうが、そういうものの生態なり相互関係、こういうことを研究課題として、幾つか項目がございますが、その中に重要項目として掲げまして、研究を深めてまいりたい。現在の段階では土壌診断の基準にいたすというようなところにまでまだまだ行っておらないのが現状でございまして、これはかなり基礎的な問題でもあり、時間を要する点もございますが、できるだけ早く成果が上がってまいって、そして具体的ないろいろの土壌対策の事業等の指導にこれが生かせるように持ってまいることを私ども念願をしておるわけでございます。
  233. 市川雄一

    ○市川委員 研究というのはどこで、いつごろからおやりになるのですか。
  234. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 いま申し上げましたように、国立の農業技術研究所のこの関係の部門がございます。それから各地域の農業試験場に関係の研究室等がございます。それから大学といたしましては、いろいろの大学が考えられておりまして、北大でございますとか、信州大でございますとか、具体的に予定をしておるわけでございまして、これは別枠研究ということで、初年度の予算といたしましては一億余りの予算を計上しておるわけでございますが、年次計画をもちましてこの研究を進めてまいりたい。中に県立の試験研究機関に委託をいたしまして、研究をしていただくという部分も入ってございます。
  235. 市川雄一

    ○市川委員 本当は大臣に聞こうと思ったのですけれども、ちょっと大臣がいまいらっしゃらないので。  そういう意味では、病害虫の研究というのはいま非常におくれているのじゃないでしょうか。大学との連携とおっしゃいましたけれども、現状は大学との連携は全然とれてないのじゃないですか。大学のこういう微生物に対する研究成果というものが実際農業試験場との連携がとれていて、それが直ちに土壌改良の対策に生かされていくというような連携体制さえもいまはないのじゃありませんか、どうですか。
  236. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 私ども、こういりた基礎的な研究につきまして、国立の試験研究機関だけでできるというふうに思っておらないわけでございます。先生も御案内のとおり、この関係の研究者はかなりございますが、毎年行われますところの学会におきましては、大学の研究者それから国立の試験研究機関の研究者、県立の試験研究機関の研究者、こういった者が一堂に会しまして、主要なる問題についての研究の進展の状況についての報告あるいは成果の発表、これについての批判、討論、今後の取り組みといった問題について議論を交わしておるわけでございまして、私どもこの点については、かなり緊密な研究者間の横の連携というものはとられておるというふうに思っておるわけでございます。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  237. 市川雄一

    ○市川委員 だけれども、実際農業試験場にはそういう微生物のことがよくわかる方がいらっしゃるのですかどうですか。神奈川県なんかにはいないと思うのですが、どうですか。
  238. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 先ほど申し上げましたように、この問題につきまして、比較的近年問題の重要性が指摘されてきているという実情がございます。そこで、土壌微生物専門ということになってまいりますと、これは先生のおっしゃるとおり、昔からその問題を専門に研究してこられた方の数は比較的少ないということは言えようかと思いますが、いわゆる土壌肥料あるいは土壌病害虫関係ということになってまいりますと、これはかなりいろいろの相互関係がございますので、そういう関係を全体総合してみますと、こういった問題に関心を抱きましてこれから研究を進めていこう、それから現在取り組みつつあるという方は相当出てまいっておるわけでございます。  国立の研究機関の場合におきましては、この土壌病害という角度からこの問題を扱うという研究室は約十二ございまして、そこの研究員は約四十名ということに相なっておりますが、それ以外の方々とも、これは国立の試験研究機関の中でも、植物の生理とかいろいろの関係が出てまいりますから、相互の連携プレーをとりながら研究を進めてまいるというふうに考えておるわけでございます。
  239. 市川雄一

    ○市川委員 そういう国の基本となるべき研究もおくれている、基本の研究成果がないということで、化学肥料の使い方なり堆肥の使い方、まぜ方ですね、これをどんなふうにしたらいいのかということがなかなかできなくて農家が困っている。ですから、そういう意味では、農林省としては本当にこれはもっと切実な問題意識をもってやっていただきたいというように思うわけです。  農林省に肥飼料検査所というのがございますね。ここで農薬などの商品についてはチェックしていますが、土壌微生物改善資材とか、商品として売られている堆肥の有用性、こういうもののチェックは行っておりますかどうですか。
  240. 野崎博之

    ○野崎政府委員 いまお話のございましたような土壌微生物改善資材等については行っておりません。
  241. 市川雄一

    ○市川委員 そうすると、微生物の基本的な研究というものは国の対応が非常に手おくれになっておる、研究成果が基本的にない、利用できる成果がない。そういう微生物の研究成果がありませんからどうするのかということがわからない。そこへもってきて品物だけは売っている。これはチェックはしてない。チェックする必要がありませんか、どうですか。
  242. 野崎博之

    ○野崎政府委員 現在肥料取締法上では普通肥料と特殊肥料と二つ分けてあるわけでございますが、硫安とか尿素等の普通肥料につきましては、公定規格を決めて、これに合っているかどうかという検査をいたしておるわけでございますが、堆肥のような特殊肥料になりますと、なかなか成分が一定しにくい、そういうようなこともあって、検査の対象としていないところでございます。堆肥等につきましては、従来は自家生産のところの残渣を使ったりということで、古くから製造方法等もはっきりいたして、余り問題なかったわけでございますが、やはり最近おがくずだとか汚泥だとか、そういうものが非常に出回ってまいりまして、そういう観点から堆肥もひっくるめまして、特殊肥料、そういう工場から出た汚泥を成分とした肥料とか、そういうものの出回りが多くなる傾向にありますので、五十二年度から県に委託をいたしまして、どういうものがどんなふうに出回っているか、あるいはその中にはどんな成分が含まれているか等、そういうことについてその実態の調査を実はいまお願いいたしておるところでございます。そこで、その結果を見まして、どういう実態になっているか、そういうことを十分把握いたしましてから、ひとつ対策を今後前向きに考えていきたいというふうに考えております。
  243. 市川雄一

    ○市川委員 実態把握はいつごろわかるのですか。検討の結果というのは、いつごろ出るのですか。
  244. 野崎博之

    ○野崎政府委員 五十三年度中に一応の結果を取りまとめたいと思っておるわけでございます。
  245. 市川雄一

    ○市川委員 次に、深耕の推進上の問題についてお伺いしたいのですが、三浦市の場合を例に挙げますと、年間三作の作付で、間作も混作も行われているために、畑が休む暇がないわけですね。八月下旬から九月上旬のわずかな期間しか畑が休んでいる期間がない。そのため、その期間に業者に委託して、バックホーによって二メートルに及ぶ深く掘り返しをする、こういうことをやっているわけですが、しかし、二メートルも掘りますと、心土の赤土が表面に出てくるわけですね。  そういうことで、土壌の透水性とか病害虫の回避、作物の品質向上という点にはプラスになるのですが、しかし同時に、今度は逆に赤土ですから、新しい病害虫を多発させる危険が十分にあるわけです。そういうことで、赤土は火山灰土に比べて病害の蔓延が非常に早い。したがって、こういう土壌対策として深く掘り返した、その場合の施肥量ですね。堆肥をどのぐらいどういうふうにやったらいいのかということでも、現場では非常に困っているわけですよ。これは先ほどの微生物の研究とか、そういうことに結局関連はしているのですが、こういう問題について、農林省では何か特に研究成果というか、対策というか、そういうものはお考えですか。
  246. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 一般に畑地につきまして、先ほども大臣から御答弁申し上げましたように、いろいろ連作をいたしましたり、それから機械の使用等によって土地が緊縛するということによって生産力が落ちるというような欠陥があるわけでございますが、そこで、一つの行き方、これに対する対策は、先ほど来御論議がございます有機物の増投でございます。  畑地の場合には、普通に常識的に言われておりますのは、たとえば有機物を反当二トン以上くらいは投入をした方がいいのではないかということが言われているわけでございますが、この堆肥が増投されますと、微生物の先ほど申しましたような関係から、有害な土壌微生物に起因するところの病害の発生というのが抑制できるということが知られてきております。細かな機構の解明まではなかなか、まだこれから研究をし、取り組まなければいかぬところでございますが、そういうことがございますので、一つ対策方向として有機物の増投というのは、先ほど来御論議がありますように非常に重要であるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  なお、深耕した場合に、結局深い下の、つまり土壌微生物などが余り生息しておらない土が表面に出てまいる。全くいないわけではございませんが。そうなりますと、つくられる作物の関係で特に有害なる微生物が急速に増殖をいたしまして、その結果、作物の生育が害されるというようなこともございます。そういったことに対しまして、これは応急的な対策というものも必要になってまいるわけでございまして、有害なる微生物を殺す薬剤の問題というのがそういう段階で登場してまいろうかと思うわけでございます。  これらにつきまして、たとえば野菜等に関係をいたしまして、いろいろと、国といたしましても国の責任で研究を完結させる指定試験というようなものをキュウリ等の野菜につきまして特定の菌につきまして現に実行もしておりますが、さらに神奈川県などはこういった問題につきまして、私ども、大変熱心に取り組んできておられる県の一つというふうに考えております。県の園芸試験場の分場等でこういった問題、どういう薬剤がよかろうかということにつきましても、だんだんと見当をつけてきておるというふうに伺っておるわけでございます。
  247. 市川雄一

    ○市川委員 地力回復という問題は、そういう堆肥の確保とか、そのためには堆肥小屋をつくるとか、こういう深耕した場合の施肥量をどうするかとか、こういう一つ一つ、やはり国が研究成果というものを持ち、適切な行政指導ができるような体制というものが進みませんと、これは農家にただ任しておいたのではどうにもならないという現状だと思うのです。その点、もっともっと真剣な取り組みをぜひ農林省に御要望申し上げたいと思います。  次に、都市ごみの利用でございますが、都市から大量に出る生ごみやあるいは屎尿を堆肥化して農村に還元する。東京都ではこのリサイクル計画を持って、ことしから試験的に実施しようじゃないかということでございます。これは都議会の公明党と東京都と嬬恋村農協との協議で決定されて、どういう成果が出るかということでいま期待されておりますが、農林省として国という立場でも、こういう堆肥の確保の一環として都市ごみの利用ということはお考えになっておりませんか。
  248. 堀川春彦

    ○堀川政府委員 都市ごみと申しますか、これはいろいろと事業活動に伴って出てきますもので、それから生活系から出てまいるもの、たくさんございまして、特にいま先生のおっしゃったような意味での有機物の土地への還元、それを農業生産の発展に、生物の自然の循環体系の中でこれを有効に活用するという角度からこれを取り上げることが重要であるという観点から、私ども農林省といたしましても、この問題に取り組んでおるわけでございます。     〔村田委員長代理退席、藤尾委員長代理着席〕  現在、この関係の予算といたしましては、環境庁一括計上分というのがございまして、厚生省とそれから農林省と研究分担をやりまして、農林省はいわゆる都市等から排出をされます生活系のものが主でございますけれども、有機的な廃棄物の有効利用ということから、これを有機物としての土地への還元ということを考えて、そしてどういった性状のものが適当であろうか、その作物生育に対する効果はどうであろうか、なおそれに関連をいたしまして、こういったものは悪臭を持ったりいたしますので、都市コンポストとしてつくられて以降の運搬、利用等に特別の機械施設等の必要はないかどうか、それからこれを土地に還元をする場合のシステムの研究に至るまでを研究項目として掲げまして、農林省としては主としてその部分を担当して実行するということにいたしておるわけでございます。ただこれにつきましては、全国各地を見渡しますと、現にそういう事業が何カ所かあるわけでございます。そういった現状の分析から始めまして、若干時間がかかりますけれども、真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  249. 市川雄一

    ○市川委員 通産省工業技術院が先日発表したスターダスト80というものが新聞で紹介されておりましたが、都市ごみからビニールの分離とか重金属類の除外とか、かなり分別ができる機械、しかも紙類はパルプ化して、農村に還元できるものは堆肥として出してくる。こういうものが通産省の工業技術院で開発されておるわけですけれども、都市近郊におきましては、さっき申し上げましたように堆肥が非常に不足しているという問題もあり、こういうことをもうちょっと積極的に考え、対応していく考えがあるのかないのか、きょうは厚生省の方もお見えになっておると思いますが、厚生省のお考えはどうですか。
  250. 藤田恒雄

    藤田(恒)説明員 お答えいたします。  厚生省としましては、ごみの問題を所管しているわけでございまして、現在ごみで何が一番困っているかと申しますと、ごみの捨て場所がないということで、各市町村非常に苦労しているわけでございます。われわれとしては、ごみがいろいろ有効利用されることによって量が少なくなるということは非常に結構なことじゃないかということを考えているわけでございまして、こういうコンポスト等によってごみの量が少なくなることは非常に結構かと思います。  例のスターダスト等、あれはコンポストだけではございませんで、いろいろな紙を集めるということなどもやっておられるわけでございますが、ああいうものがもう少し安い費用でもってできるようになりますれば、都市の清掃事業としても十分取り入れていけるのではないか。いまのところちょっと価格の問題でもってあれがありますけれども、もう少し技術を開発していただきまして都市側が受け入れることができるようなものになりますれば、われわれは積極的にそういうものを進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  251. 市川雄一

    ○市川委員 次に、野菜の価格安定対策なんですけれども、野菜は御承知のように天候の影響を非常に受けやすい。天候の影響を受けて価格の変動というものが非常に激しい。これに対処して農業経営の安定を確立する意味から国もいろいろな施策を講じてきたと思うのです。その中で野菜価格が最低基準価格を下回った場合に、いわゆる足切りということが現在行われていますね。足切りをされると農家の負担が非常に大きくなるわけです。三浦市の例で五十二年度冬キャベツの例で見ますと、対象期間ことしの一月から四月十五日までの分で計算しますと、約六千四百万足切りをされているという実情があるわけです。もちろん原資の関係等もあるかとは思いますが、いわゆるCと言っている最低基準価格を下回っても足切りをしないでそこまでめんどうを見る、こういう積極的なお考えはありませんか、どうですか。
  252. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 野菜の価格安定につきましての現在の制度は、ただいまのお話のございましたように指定野菜につきまして価格補てん事業を行っております。この事業におきましては、過去おおむね十年間におきます価格の推移をもとに趨勢値価格を出しまして、その五〇%に相当する額を最低基準価格といたしておるのでございます。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 価格補てんにおきまして最低基準価格を下回った場合に、その下回る分について現在補てんをいたしておらないのは、このような最低基準価格を下回るような事態というのは比較的まれである。そのような事態に備えまして、あらかじめ価格補てんに必要な資金を積み立てることは、資金効率から見て必ずしも適当でないのではないかと考えておるわけでございます。  このような最低基準価格を下回るような事態が発生した場合には、むしろ生産者団体によります出荷調整努力によりまして市況を回復させる方が適当であるというふうに考えておるのでございます。しかしながら、出荷団体の申し込みがある場合、要望がある場合には、この最低基準価格を趨勢値価格の五〇%ではなくて四〇%まで下げることが可能でございます。ただその場合には、積立資金量は、そのことのために五〇%の場合に比べて余分に積み立てるということに相なるわけでございます。  それから、生産者団体による出荷調整ということを申し上げましたけれども、そのような努力にもかかわらず、なお価格が下がるということにつきましては、市場隔離、これは出荷をしないように市場から隔離するという事業も行っておるところでございます。
  253. 市川雄一

    ○市川委員 国の保証基準価格がB、十年間の趨勢平均値がA、このBは平均値掛ける〇・九で計算されていると思うのですが、これが十年間の平均値掛ける〇・九ですから、生産コストの上昇ということが反映されないということがあるわけです。ですから、いま現実的に考えますと、国が保証基準価格としている価格はほぼ生産原価とイコールなんですね。こういう実態もあるということです。したがって、そういうことを考えますと、足切り部分も含めた補給金の支給ということがもっと考えられていいのじゃないかと思うのですが、その点はどうかということが一つ。  それから補給金を出す場合の出荷数量ですけれども、これが恐らく過去の実績で算定されているのだろうと思うのです。実際横須賀、三浦の場合、四千トンと計算されている、しかし現実には九千二百八十九トン出荷している、ですから、実際に出荷している分に対して約四三%という低いカバーしかされていないわけですが、こういう出荷数量についても極力現実の出荷数量に近づけて計算することも必要だと思うのですが、この点についてはどうですか。
  254. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 第一点の補てんの基準となります金額につきましては、過去おおむね十年間の平均価格ではございませんで、趨勢値価格ということで生産コストの上昇が反映できるような形にいたしております。現に五十三年度におきましては、冬キャベツにつきましてはおおむね二〇%程度の引き上げをすることといたしております。  それから第二点の価格補てんの予約数量のカバレージの問題でございますが、従来からその増加に努めてまいっておりまして、五十三年度におきましても、このカバレージを高めるということで予算措置を講じております。特に五十三年度からは、水田利用再編対策の推進ということもございますので、数量増加のための予算措置を特に努力をいたしたところでございます。  現にことしの夏秋野菜につきましては、各都道府県からの予約希望のございました数量につきましては、全量これを要望どおり予約をするということといたしております。今後ともカバレージの向上につきましては、努力をしてまいりたい。
  255. 市川雄一

    ○市川委員 文化庁の方見えていると思うのですが、三浦市初声町三戸字赤坂の一帯約三万平米、通称赤坂遺跡と言われておりますが、昭和二十七年ごろから史跡調査が行われて、文化庁の文化財保護審議会が約二千年前の村の跡があるということで、埋蔵文化財史跡に認定した。しかし、遺跡扱いされておりますがまだ史跡として告示はされていない、こういう状況です。  しかし土地改良のために土地を深く掘らなければならない。しかしこういう認定をされておりますので、五十センチ以上掘ってしまうと困るということで掘れない。これは最終的に埋蔵文化財の史跡に文化庁の方で認定し、官報に告示する、土地を買収する、こういうことになればまた話は別なんですけれども、それまでの期間、深く掘りたいけれどもこういうことなので掘れない、こういうことで農家がいま非常に困っておるわけですが、文化庁として、何らかのはっきりとした結論を出すまでの期間の補償ということはお考えありませんか、どうですか。
  256. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 いま御指摘の赤坂遺跡でございますが、これはお話にございましたように、三浦半島のほぼ真ん中にございますが、弥生時代の後期に属します非常に大きな規模を持つ集落跡でございます。これは明治ごろからもうすでに知られておりました非常に著名なものでございます。先ほどもお話がございましたように、最近三浦半島で深耕が出てまいりまして、三浦半島にはこういった種類の遺跡はかなり多く存在していたわけでございますが、その深耕によりまして、かなりの遺跡が消滅してしまっているという事情がございまして、この赤坂遺跡は代表的なものであるということでもございますので、三浦市の当局からも早く史跡として指定をして、保存してほしいという要望を受けていたわけでございます。  そこで文化庁といたしましては、現地踏査とかあるいは範囲の確認とか、そういうようなことをやりまして、文化財保護審議会に諮問をいたしまして、昨年の十二月九日でございますが、文化財保護審議会から史跡に指定すべきであるという旨の答申を得てございます。したがいまして、あとこれを地元の地権者等の方々の同意を得まして、なるべく早く指定をするというのが次の手続になっているわけでございまして、これは三浦市の方が中心になりまして、鋭意地権者の方と協議をいたしております。これは三浦市の方から近く同意が取りまとめられるというような感触を得ておりまして、そうなれば、すぐ文部大臣の史跡の指定を告示できるということになろうと思っております。したがいまして、いまのお話、できるだけ早く間を置かないで指定すべきだという御意見だと思います。まさにその方向で、現在地元の方で協議をしているという段階でございます。  それで、指定いたしました際には、これは深耕をどうしても必要とするような場合で、しかもそこが重要な遺跡で深耕してはいけないというような地域につきましては、公有化をするというような方向で、三浦市の方も地権者の方にいま説得をしているというふうに聞いております。私どもとしてもぜひ補助金を交付するというようなことで、後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
  257. 市川雄一

    ○市川委員 見通しとしていつごろになるのですか、それが一つ。それから実際に深耕できないで困っているわけですけれども、補償する考えは全くないのですか、どうですか。
  258. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 これは三浦市の方で地権者と当たっているわけでございまして、相手のあることでございますので、いつということを確定的には申せませんけれども、今日のところ三浦市から得ております感触では、大体夏ごろまでには見通しがつくのではないかというふうに言っております。  それから深耕ができない場合に通常の耕し方で栽培をするというような場合に、それに対して優遇措置を講ずる必要があるのではないかというお話だと思いますが、これは三浦市の方でそういった方向で、たとえば税制上の固定資産税等の優遇措置はある程度できることになっておりますので、そういったこと等につきまして、具体的に地権者の方に提案をしている段階であるというふうに聞いております。
  259. 市川雄一

    ○市川委員 次に、漁業の問題をお尋ねしたいのですが、ニュージーランドが四月一日から二百海里漁業専管水域を実施した、これに関連して昨年の十月、それからことしの二月に行われた政府間交渉が物別れに終わっている。こういうことから、現在漁業者が先行きに非常に不安を感じているわけですが、大臣、このニュージーランドとの交渉をどう進めていくのか、この辺の大臣のお考え、それから交渉が不成立に終わった場合、これは非常に大きな漁場を漁業者は失うわけですが、この場合の救済措置をどういうふうにお考えになっているのか、この辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  260. 中川一郎

    中川国務大臣 ニュージーランドとの間には残念ながら四月一日から二百海里が設定され、以前に話し合いをと思っておりましたが、特に鈴木前農林大臣に向こうからの宿題もございましたので、回答を持って折衝していただいたのでございますが、話し合いがつかず、船は引き揚げてきておるということでございます。  現在は、それほど操業のない時期でございますから大きな支障はありませんが、また秋以降漁獲期に入りますので、何とか秋までのうちには話し合いをつけたいものだなと思ってはおりますけれども、向こうが漁業とは別の酪農品の輸入についてという非常に厳しい宿題でございまして、前回鈴木さんが持って行きましたお答え以上のものは出ないということでございますので、粘り強く向こうの理解を求めるように努力はいたしたいと存じます。そして何とか秋には操業ができるようにこぎつけたいとは思いますが、相手のあることでございますので、もし万一の事態がございましたならばその事態にどう対処するか、十分検討してみたいと存じます。第一義的には操業ができるように今後とも最善を尽くしたいと存じます。
  261. 市川雄一

    ○市川委員 特にその中で三浦の漁業者が抱えている問題は、ニュージーランドのイカ釣り漁というのは三浦の漁業者がパイオニアで、漁場調査を行い開発し、やっと最近になって漁期や漁場が確立したという経緯がある。しかもマグロはえなわ漁業が不振のためにそこから転換してきた、こういう経緯もあるわけです。だから、もう再転換がきかない。そういう意味では、死活の問題になっているわけですね。相手のあることですから、もちろんお約束はできないかもしれませんが、ぜひとも鋭意交渉に努力していただくと同時に、交渉不成立の場合の救済措置ということも、いまから本当に前向きに考えていただきたいと思うのです。  次に、第六次漁港整備計画でございますが、これについて、ちょっと関連でお聞きしたいのですが、第三次、第四次、第五次と、進捗率は一〇〇%達成していないわけですね。そういうことから、神奈川県の三崎港の場合も、いま非常に困っているわけでございます。たとえば最近、政府の施策に沿って多獲性魚であるサバ漁に積極的に取り組んでおるのですが、サバ操業船の水揚げ岸壁が全く不足しているという実態がある。現在四百五十メートル、不足分が約四百八十メートル。本当は横づけして水揚げしたいのですが、水揚げの待ち時間による鮮度の低下とか、稼働日数を短縮するために不便と危険を覚悟して、斜めあるいは縦に接岸してやっているという実情があるわけですね。そういうことで、第六次漁港整備計画完全達成を強く望んでいるわけですが、その決意がおありかどうか、どうでしょうか。
  262. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題につきましては、サバが非常にとれておりまして、去年の倍ぐらいの水揚げがあるようでございます。したがいまして、外港部のいまの整備計画、係留施設、用地の整備を急ぐということにつきましては、御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どももできるだけその整備の促進に努めてまいりたいというふうに思います。
  263. 市川雄一

    ○市川委員 次に、漁港整備事業と漁港機能整備事業との整合性という問題で、一つ神奈川県の三崎港に問題があるのですが、第六次漁港整備計画で造成されている埋立地に、約三千トン級の超冷温冷蔵庫を建設して、この三月に完成した。総工費約四億七千三百万。国、県、市という形で出資してつくったわけですが、こういうりっぱな冷蔵庫ができたのですけれども、その周りの埋め立てが全然進んでない。したがって、冷蔵庫がいわば陸の孤島みたいな形になっておるわけですね。本来は三・五メートルあるべきところが、まだ二・五メートルしか埋め立てができておらない。その先は床下約一メートルぐらいの落差があるわけですね。そういうことで車の出入りもできない。冷蔵庫は四億七千万もかけてりっぱにできた、しかし、周りの埋め立てができてないために使えないというむだな状況現実にあるわけですが、早く冷蔵庫の周りの部分の埋め立てを急いで、応急的に処置をして使えるようにするお考えはありませんか、どうですか。
  264. 森整治

    ○森(整)政府委員 御指摘の問題は、冷蔵庫の設置を早くしてもらいたいという要望が非常に強かったために、工事を一応急いだわけでございますが、いろいろ整合性の問題が欠けておるのではないかということにつきましては、ある意味ではそういう面も確かにあるようでございます。したがいまして、できるだけ残余の用地の造成につきましても促進を図ってまいる必要があろうと思いますが、道路舗装等については、埋め立ての土の安定という問題も若干ございますから、少し時間を要するかもしれません。ただ、実際の使用上に支障を来さないようにいろいろ工夫をしてまいりたいというふうに考えております。
  265. 市川雄一

    ○市川委員 いろんな問題はあるでしょうが、実際冷蔵庫が使えるように応急手当てをするお考えはありませんか、どうですか。
  266. 森整治

    ○森(整)政府委員 私どもが聞いておる範囲では、一応自動車の通行は可能である、舗装はまだできてないというふうに聞いておるわけでございますが、その舗装の問題につきましては、いろいろ埋め立ての土の安定という問題もございますから、これを急いで行うのがいいかどうかという問題はあるというふうに聞いております。
  267. 市川雄一

    ○市川委員 もう一つ、二百海里時代に入って、先ごろもニュージーランドでそういう締め出し的な措置に遭っておるわけですが、これからの日本の漁業というのは、そういう意味で沿岸漁業を育成していかなければならない。とる漁業からつくる漁業ということも言われているわけですが、そういう中にあって、最近、沿岸漁業者とレクリエーションで来る遊漁者、釣り舟ですね、これの利害が衝突している。これは釣り人口が最近非常にふえてきていますから、釣りそのものをとやかく言う気はないのですが、ただ、漁業者の方はかなり厳しい法律的な規制を受けているわけですね、漁業法や漁船法で。ところが遊漁船の方につきましては、これを規制している法律がない。したがって、船舶安全法の規制しかないわけですよ。ですから、遊漁者の方が、たとえば馬力等の制限を受けておりませんから早く漁場に行ってしまうとか、そんなことでかなり衝突が起きているわけですが、こういう事態をただ放置していたんではよくないと思うのですね。本当は細かく具体的に御質問を申し上げたかったのですが、時間が来ておりますので——これは何らかの意味で遊漁船を法的に取り締まるということがまず第一点に必要だと思うのです。そういうお考えが水産庁にはないのかどうか。  それから、たしか内水面の漁業においては遊漁規則をつくっていると思うのですが、海水面におきましてもこういう規制をすべきだと思うのですね。その辺の現状認識と、今後の具体的な対策についてどういうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  268. 森整治

    ○森(整)政府委員 大方の都道府県では、漁業調整規則によりまして、最も問題になりますまきえ釣りあるいはアクアラング等の潜水器を使用する遊漁を禁止するという法的な規制を行っておるわけでございます。具体的な調整のための組織につきましては、県段階で漁場利用調整協議会を設置いたしまして、遊漁者と漁業者との調整を図るということを行っておるわけでございます。すでに三月、中央調整協議会で、この問題につきまして「海面遊漁のあり方について」という遊漁の基本になるような案が採択をされましたので、水産庁としてもこの趣旨で、近く遊漁との調整につきまして各都道府県に指導通達を出したいというふうに考えております。
  269. 始関伊平

    始関委員長 市川君、約束の時間が来ました。簡潔に願います。
  270. 市川雄一

    ○市川委員 わかりました。  漁場利用調整協議会が設置された、通達を出した、指導した、これは十分承知しているのですけれども、これが守られない。罰則はありますか。罰則がないでしょう。それから下に徹底されていないですよ。片方は金もうけのためにやっているわけですから、こんな紳士協定なんて守らないわけですよ。したがって、やはり罰則がなければこれは意味がない。そういう法的な対応をしなかったら、いまおっしゃったような漁場利用調整協議会を設置しました、また通達を出しますということでは、この問題は片づきませんよ。まして二百海里で追われてきて沿岸漁業をこれから育成しなければいかぬというときに、こういう問題はもっと法的にしっかりとした、確固たる考え方を持った対応をしなければいかぬと私は思うのです。これが一つ。  それからやはり遊漁ということの定義を明確にされて——漁船についてはいろいろな制限があるわけでしょう、漁船の制限とか、漁獲対象の魚種やその大小とか、漁具の制限とか。ところが遊漁船にはそういうものが全然ないわけですよ。だからこれは競争したらかなわない。要するに漁業者が、遊びで釣りに来るその業者に負けてしまう、こういうハンディを負わされているわけですが、少なくともこれは同じ程度の法的規制をして、その利害調整というものを図るべきだと思うのです。こういう点について、ただ県に任せあるいは協議会に任せるという形ではない、もうちょっと具体的な法的な規制を将来やるべきではないかというふうに思うのですが、その点はどうでしょうか。これで質問を終わりたいと思います。
  271. 森整治

    ○森(整)政府委員 漁業調整規則は罰則を伴うものでございます。ただ、要するにマナーの向上ということをむしろ中心に考えませんと、いたずらに混乱を起こすということだと思いまして、まあそういう遊漁団体と漁業団体と十分話し合いのもとで円満な併存の形での形態を考えていくのが妥当ではないだろうかというふうに思います。
  272. 市川雄一

    ○市川委員 終わります。
  273. 始関伊平

  274. 島田琢郎

    島田委員 通告をしておりますのは六点でありますが、先ほど同僚議員から質問のあった点、政府考え方が明らかになったそうでございますから、その点は割愛をいたしまして、五点にしぼりたいと思います。いずれも大臣から率直、明快にお答えをいただきますれば、三十分以内に終わる案件ばかりでございますので、本来言われておりました時間帯から言うと一時間近くもおくれているので、そのリスクを私がかぶる手もないのですけれども中川農林大臣、ほかならぬ選挙区を同じくする、そういう意味で武士の情けを加えてできるだけ早く切り上げたい、こう思いますので、簡明にしかもわかりやすくお答えをいただきたい、最初にお願いをしておきたいと思います。  いよいよ、私ども大変問題にいたしておりました農林省設置法の一部改正、大詰めを迎えまして、私どもはこの間あらゆる立場から設置法の中身について精査を進め、万遺憾なきを期すべく議論も展開してまいりました。私は、まず第一点に、林野行政は、他の官庁行政と比べましてとても比較にならぬほど公益性と公共性を持っている、これはもう歴史的に見ても、地域住民と密着して林野行政に対してお互い協力し合ってきたという、この間柄というのはほかに余り類例がないと思っているぐらいであります。それゆえに、それぞれ出先機関として認知されて必要な個所に必要な規模で設置されてきたのであります。そういう中で、特に今回提案されている北海道営林局の規模縮小というのは、私に言わせれば長い地域住民との対話の歴史に水を差す結果にもなりかねない。また協力し合ってきた密接な関係を引き裂くというような結果に相なってはこれは大変であります。  しかし政府案を見ますと、支局に対する位置づけというのがきわめて不明瞭でありまして、従属機関という立場にしか立っていないというふうに理解せざるを得ないような提案の内容でありまして、私は少なくとも前段申し上げました必要な個所に必要な規模という歴史的な条件というものがこの先も永続されていかなければならない趣旨のものではないかというふうに考えますが、その点については、法律的に位置づけが明確でないという点についてやはり明らかにしていただいて、引き続き支局となった以降においても従前の地域住民との関係が損なわれることのないような、そういう法律的位置づけを私はするべきではないか、このように考えているのでありますが、大臣いかがですか。
  275. 中川一郎

    中川国務大臣 営林局や営林署が地元と密接な関係で今日来たことは確かにそのとおりでございます。今回、四つの営林局を支局にいたしますが、法律で位置づけなくても心配はないと思います。しかし当委員会においてはっきりした方がいいということであるならば私としては異論がない、こう考えてございます。
  276. 島田琢郎

    島田委員 設置法や組織規程によりますと、私に言わせれば、従来の組織形態というのは、こういう規定されている内容で示されている限りにおいてはきわめて民主的な組織になっているというふうに見ています。しかし現実の問題は非常に違います。林野庁、営林局、営林署、お互いの責任を負うという仕組みというものは、ややもすると中央集権的になっていて、当事者能力を取り上げてしまう、そういう傾向が今日の林野行政に見られるのは、きわめて遺憾であります。  私は、徹底した民主的な運営に改めていくべきだという考え方を強く持っている一人であります。そうして全国的に画一的な運営というのをやめて、やはりその地域、地域に、第一問で申し上げましたようにそれぞれの立地の条件、そしてまた設置の意義、また役割りというものが違うのでありますから、その地帯、地域に適合したやり方をするという、そういう仕組みに変えていくべきである。そうしてもっと出先を信頼して権限をもっと与えていく。そうでないと、大臣がよくおっしゃるように、営林署の署長に一人もなり手がないなんというような結果になってしまうのであります。これはもっと署長になったら署長になったように、局長になったら局長としてのやはり地域における仕事を中央が、政府が助けてやる。そうしてその基本になるのは、あくまでも出先を信頼するということでなくてはいけないと思うのであります。こういう考え方に立って機構を今後抜本的にやはり取り仕切っていくという考え方が示されていかないと、私はせっかくの設置法もその意義を失い、目的を失ってしまうと思うのですが、いかがですか。
  277. 中川一郎

    中川国務大臣 これは林野行政のみならず、あらゆる行政がやっぱり出先優先、出先が誇りと使命感に燃えて仕事ができる仕組みにと思っておりますが、御承知のように本省、営林局、営林署、それぞれ分担をして、どうあるべきか、権限等については法律でも従来決まっておりますので、その範囲内においてできる限り出先が責任を持ってやれるように指導し、実行の面でできるだけのことをしてまいりたい、こう思う次第でございます。
  278. 島田琢郎

    島田委員 私も林業学校を出まして、本来なら営林署に勤めて、いまごろ全林野の役員か営林署長か、どっちかぐらいにはなっていたと思うのでありますが、現に私の仲間もすでに数名、営林署の署長として現役で活躍をしております。私は肝胆相照らす仲でありますから、よくいろんな話をするのでありますが、いま大臣がおっしゃったように、できるだけといっても現実には本当に手足を縛られてしまうような感じがしてならぬ、こういう悩みを率直に訴えています。しかしながら、大臣がおっしゃるように、それじゃ、おら署長になるのいやだ、こういうのではなくて、やっぱりそれなりに生きがいを持って何とか問題の打開を図り、自分の務めを全うしたいという気持ちに立っているわけであります。ぜひこの点は、出先の署長、局長、そうしてまた幹部の出先における仕事がやりやすいような、そういう権限を与えていくというような、つまり当事者能力を徹底的に与える、そういう方針に立っていってもらいたい、私はこのように思います。  そこで第三点目でありますが、営林局署の局長あるいは局の部課長とか署長とか、いま申し上げたような人たちがもう一つの問題にしておりますのは、非常に任期が短いということであります。あっという間に次の職場に首がすげかえられてしまう。  大変卑近なことを申し上げて失礼でありますけれども、私のおやじは長い間教職にございました。三十六歳から校長をやりまして、退職までにたった二カ所しか歩いておりません。一カ所に十年近い在任期間を持ちました。十年という年数を持っておれば学校経営というのは非常に責任を持ってやれる、これが亡くなったおやじのよく言っていたことでありました。ところが、最近の営林署は短くて、赴任して、やれやれ今度何かやろうかなと思ったらすぐ首になってしまう、これでは身を入れた仕事ができない、これも率直な現場の署長の意見でございます。局長もまた同じだと思うのです。私は、余りほかのことを調べることは差し控えさしていただきましたが、私の北見営林局管内を調べてみました。三十八年五月から現在までを調べてみましたら、この間に九名の局長がかわっておられます。平均の在任期間はたった一年と八カ月であります。それに右へならえして、総務部長にしても、経営部長にしても、事業部長にしても、つまり営林局の幹部の平均在任期間というのは、さらにそれを下回るという短さであります。また営林署についても、全営林署十六ございますが、十六の営林署を全部、いずれも相当長期にわたって調べてみました結果、一番長い人でも二年七カ月でありまして、一番短い人は一年一カ月というのがございます。これでは営林署長だなんというふうなことにならぬですね。しかも、山づくりというのはわれわれ農家が農業をやるのと違いまして一年、単年度の勝負という性質のものではありません。しかも、今日的な山づくりの重要性を考えますときに、山の男たちと一緒になって山で討ち死にするくらいの気概というのが生まれてこなければ、国有林に限らず日本の山づくりはとてもできぬのであります。こんな短い任期で何をやれとおっしゃるのか。しかも、そういう傾向は林政改革以来ずっと今日まで続いているのであります。  ですから、そういう出先の人たちはまあ一、二年大過なく勤めればいい、そこに骨を埋める気なんというのはほとんど持ち合わせていないし、また持ち合わせることもできない。しかも問題なのは、こういう状態でありますから単身赴任、こういう傾向もありまして、職場の無責任体制に拍車をかけるという結果にもなりかねません。私はきわめて遺憾だと思うのですが、私のところの営林局管内の実態だけではなくて、恐らく全国このような傾向になっているのではないかと思うのです。この際、十年くらいの傾向で結構でありますが、藍原長官ももう何年におなりか、そろそろ首だなんというふうに思っていらっしゃるのなら、とてもこれはいい山はできっこないのでありますが、林野庁本庁の長官以下、この任期についてどのような実態になっているのか、国会に資料として御提出願う必要があるのではないかと思いますが、資料提出についていかがですか。もしだめだというのなら委員長の方でお取り計らいを願いたい、こう思います。
  279. 中川一郎

    中川国務大臣 当然、資料として提出させていただきます。
  280. 島田琢郎

    島田委員 さらに、こういうふうに考えますと、最高峰に登り詰めた人たちは、まだ若いのでありますから、次の職場を見つけねばならぬ、こういうことに相なりまして、世にいうところの天下りという実態がまた生まれてくるのであります。これもいま非常に問題になっておる点でありますから、この際、あわせてそうした林業関係団体への再就職の状態というものも知りたいと思いますが、資料として御提出いただけますか。
  281. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 提出いたします。
  282. 島田琢郎

    島田委員 さて、資料をいただいた上で議論しなければならぬわけでありますが、私はいま例として述べました北見営林局管内におきますこういう短命な職場の実態、こういうことを考えてみますときに、まず、設置法の中にあらわれていないこういう問題を具体的に解決するという必要があると私は思うのです。  大臣に重ねてお尋ねをしますが、これをまずひとつ直す、そして真剣になってやれ、こういう一定程度の任期を考える、これは規定や規則で決めるというわけにもまいりますまいが、しかし、それくらいの気持ちに立って、新しい任務についた者に対して激励する、そういう仕組みに今日ただいまから改めるべきだと私は思いますが、この点はいかがです。
  283. 中川一郎

    中川国務大臣 御指摘のとおり、山は息の長い仕事でございますから、短いということは非常に逆行したやり方だと存じます。ただ、営林署長が余り長く置けないのと似通ったように、国有林野の売り払いあるいは土木事業等々がありますので、余り長くなって、それが過ちを犯す原因になってはならないというような配慮から短かったこと、あるいはまた北見管内は特に労使の対立の激しいところで、余り長くいるとというようなこともあったりして、いろいろ事情はあろうと思いますが、御指摘のとおり、山を愛し、むしろ労使の間が仲よくなれるためにも長い方が非常に結構だと思いますので、先ほど上原さんからお話があったとおり、労使は仲よくするという観点から、そういった趣旨に沿うように、長い間勤められるように、いままでのことは改めてまいりますということをはっきり申し上げます。
  284. 島田琢郎

    島田委員 大臣がいま言われた中で、確かに、余り長くて地域の特定な者との癒着が生まれるなんということがあってはいけません。ですから、その点についてはどのくらいの期間がちょうどいいのかということはその人にもよりますが、悪いやつをいつまでも置かれては、これもはた迷惑でありまして、そんなのはさっさと首切っていただきませんと……。  この機会に、私は一つの例を申し上げるのでありますが、大臣がよく営林署に行ったときのお話をされるので、私も聞いております。直接お話も聞きました。それと同じような話が私にもやはりあります。私はかつて林政民主化共闘会議の議長を地元でやっておりました。まさに民間人の一人である。当時何某という局長は、名前を挙げるのはいけませんから差し控えますが、山の枯殺剤散布の問題について私が地域住民とともに十人ほどで局長室を訪れました。なかなか会ってくれませんでした。中川大臣ですとすぐ会ってくれるのでありますが、この局長はなかなか会ってくれないのであります。押し問答の末、やっと三日目に私は局長室に入り込むことができました。決して土足で入ったり、大きな顔して入ったのではありません。いまみたいに代議士ではありませんから、おずおずと小さくなって実は入っていったのであります。一時間の約束でしたが、一時間の間に話の決着がつきませんでした。そこで、私はさらに話をしようと思ったら、時計を指して、一時間来たからもうやめた、それきり何と言っても話に応じようとしない。あげくの果てには出ていけという始末でありました。こういう局長に長くいられたのじゃ困ってしまうのでありますから、それは人の問題があります。でも総体的には、任務に対して本当に誠心誠意やろうという気持ちを持っておられる人ばかりだと私は信頼しています。  ですから、一定の期間、一定の長さといいますか、そういう年数については当然検討の余地はありますけれども、いまのようにべらぼうに短いのでは話になりません。北見管内は特別な例だと言っておられますから、あるいは資料をいただかないと私のところだけが特別短いのかどうかわかりませんが、私はどうもそうではないような気がいたします。たとえば東京営林局を見てみました。そうしたら東京営林局も、私のところの北見みたいに労使関係のやかましいところかどうか私は知りませんが、一年と一カ月であります。一番短い人は五カ月、総務部長は、一番短い人が七カ月、平均すると一年十一カ月であります。経営部長またしかり、事業部長は一年七カ月、短い人は六カ月、やはり東京もうるさいところで、局長以下とても勤まらない場所だとお考えなのでしょうか。どうも私はそうは思えないのです。大臣、うちだけやり玉に上げたような話をされても困る。全国的に傾向をよくお調べの上、私の申し上げた点についてしかるべく善処をされるように要求したいのですが、いかがですか。
  285. 中川一郎

    中川国務大臣 これは北見ばかりじゃなくて、全体としてそのとおりだと思います。今回の法案審議を契機として責任ある人は、悪い人は別だというのは当然だと思いますが、しっかりした局長さん、部長さん、署長さんはじっくり取り組んでもらうようにいたしておきますことをはっきり申し上げておきます。
  286. 島田琢郎

    島田委員 法第六十九条の第二項には「北海道営林局に企画調整部を置く。」とあります。府県にはこれはないわけでありますが、特に北海道に置くという理由はあるのですか。
  287. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先生御存じのとおり、北海道におきましては、北海道庁という一つの行政機関の中にまず営林局が五つございますので、こういう形をとったというのも一つの理由になっております。  それから北海道の場合は、山を経営する場合でも、やはり自然的条件なり山の条件が非常に似ております。そういう意味で、いろいろな業務を立てる場合の一番基本になります考え方ぐらいは北海道一本で調整する必要がある問題も従来からございました。販売量を決めるような場合にもそういうことがございます。そういうことで、北海道の場合は内地の営林局と違って一本で調整するべき問題が非常に多いとわれわれは理解いたしております。  もう一点は、冒頭にも申し上げましたけれども、道庁等他官庁に関係いたしますものの企画調整というものは、やはり北海道一本でやっていく必要があろうというふうに考えておりまして、こういうものを調整するために企画調整部を特に北海道営林局に置いたわけでございます。
  288. 島田琢郎

    島田委員 わかりました。北海道営林局の重要さを認識して置かれたというふうに私は理解をするのであります。  しかし、内地府県の営林局にもこういう窓口というのは必要なのじゃないでしょうか。それを林野庁一本でやっていくのは、余りにも広範な地域にまたがり過ぎていて、この辺の機能的な、機動的な面が損なわれるという心配もありますし、北海道並みに扱うことが至当だと私は思うのですが、いかがですか。
  289. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 北海道以外の局におきましては、調整部というところまでいきませんけれども、企画室というものを設けて、いま御説明いたしましたようなものでそれぞれの営林局に必要なものについては企画調整をやらせるスタイルをとっております。
  290. 島田琢郎

    島田委員 全く考えていないということですか。
  291. 藍原義邦

    ○藍原政府委員 先ほども申し上げましたように、北海道に比べて内地の場合には、逆に県を二つ以上またがるような営林局ばかりでございますし、そういう意味からも必要なものについては調整する必要があろうということで室を設けまして、対応していこうというふうに考えている実態でございます。将来にわたりましてそういう場合が出ればまた考えなければいけないと思いますけれども、いまの時点ではそういうことで対応してまいりたいと考えております。
  292. 島田琢郎

    島田委員 今度の法改正を契機にして、いやしくも国有林経営をないがしろにするということは許されないと思います。私は、先ほどまで農林水産委員会におきまして、これらの問題点について細かく政府当局の考え方を聞いてきたのでありますが、残念ながら大臣からこういう面についてお答えを聞くという機会をついにつくることができないまま最終決着を迎えたのであります。  大臣がよく口にいたしますのは、北海道営林局の支局化について、北海道の道民の中から一人も反対なんて聞いたことがない、これを盛んにおっしゃるわけであります。先日も北海道から百数十名来られました。私が案内をして大臣とお会いをしたのでありますが、このときもまたぬけぬけと大臣はおっしゃる。とんでもない話でありまして、すでに北海道だけでも六十三万余にわたる反対署名が国会に寄せられているのであります。大臣もごらんになっているはずであります。これはあだやおろそかの考え方に立つべきしろものではありません。しかも、こうした皆さん方が一番心配しているのは、支局化しなければならない理由が一つもわからぬし、また、それが一つの契機になって大きくなだれを打つようなかっこうになって機構縮小や合理化が進められるということになれば、これは町村にとっても地域社会にとっても大変な問題になる。それは現象的には過疎という大変な問題を再び引き起こすことにもなりかねない、こういう点を非常に憂慮し、心配をされているのであります。  私は、この法案を考えますときに、裏に隠されたものについて、勘ぐりと言われるかもしれませんが、この点は大いに危惧を持っている点であります。しかし、同僚議員からこの点についてはかなり詰められた話が出されて、大臣もこれ以上のことについてやるような考え方はない、こういうふうに答えたと聞いています。国民の共有財産である国有林における山づくりに精いっぱいの努力が必要な今日の状況を考えますときに、少なくともその要請に逆行するようなことがいささかもあってはならぬと思うのであります。所管大臣であり、しかも、巷間伝えられておりますように、九州の大臣ならいざ知らず、北海道から出た中川農林大臣が、何もあなたのときに機構縮小をやるなどという手はないではありませんか、こういう素朴にして率直な意見を聞きますときに、それはあなたも大変な苦境に立っているでしょうが、私は残念でなりません。まさに同じ国会に籍を置く一人として、中川さんにこのことはやらしたくなかったという気持ちが私の率直な気持ちであります。  これらを含めて最後に大臣から、私がいま指摘をいたしました点の決意を明快に述べていただかなければ、私は引き下がるわけにはまいらぬのでありますが、いかがですか。
  293. 中川一郎

    中川国務大臣 まず最初に、北海道には反対する人が一人もいなかったという御指摘でございますが、私は、そういうことは国会でも申し上げておりません。私の選挙区では、私は市町村長から反対の意見を聞いたことがない。議員さんとか先生方はいっぱいありますけれども、市町村長で私のところに反対に来られた人はないと申し上げたので、事実関係にはうそはありません。だからといって、地元に反対がないとは言っておりません。かなり有力な意見として心配をされておいでになった方もあるし、意見のあることもよく承知いたしております。  ただ、私も北海道で、本当にやりたくないのです。なぜこういうことをやるかと言うと、先ほど国有林野をないがしろにするのではないかと言われましたが、そうではなくて、国有林が大事だからこそ、少々の批判はあっても、そういったやるべきことはやって、しっかりした山づくりをすると同時に、働く皆さんにも生きがいと誇りを持っていただく山にしたい、そして国民の財産を合理的に運営して国民の期待にこたえなければならぬということで、決して後退ではなくて前進のための調整である、こう思ってやっておるところでございます。過疎に悩むということはもうあってはならぬことでございますので、そういう点も十分配慮しながら、今後、運営に当たっては、地元の皆さんとよく相談をしながらよりよいものにしていきたい。山をあるいは林野をあるいは労働組合を何か私が敵視してやっているようなところがあるとすれば、私の不徳のいたすところであって、国有林をしっかりしたものにしたい、そのいちずでやっておることをどうかひとつ御理解いただきたいと存じます。  以上でございます。
  294. 島田琢郎

    島田委員 これでやめますが、大臣、それだけおっしゃるなら、あなたの選挙区の町村長があなたに直訴できないでいる気持ちというのもやはり推察してやってほしい。島田琢郎になら何でも言えても、中川農林大臣ならおっかなくて言えない、こういう気持ちがあるのですから、そういう事実については、本会議でもあれだけお話しになったのですが、私は残念でありますから、この際公式に取り消していただきたいと思うのです。それをやっていただくなら、私はこれで質問を終わりたい。
  295. 中川一郎

    中川国務大臣 そういう気持ちが市町村長にあって、大臣のところへ行ったらおっかないと言ったのか、そうじゃなくて、かわいそうだと私は思って来てくれなかったのかな、市町村長の中にそういう意思があることだけは率直に認めて、意見がないと言ったとすれば、それは間違いである。訂正いたしておきます。
  296. 島田琢郎

    島田委員 終わります。
  297. 始関伊平

    始関委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  298. 始関伊平

    始関委員長 この際、村田敬次郎君、岩垂寿喜男君、鈴切康雄君及び受田新吉君から、本案に対する修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。村田敬次郎君。     —————————————  農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  299. 村田敬次郎

    ○村田委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党の各派共同提案に係る修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただき、その趣旨を申し上げます。  御承知のように、林野庁の組織の整備につきましては、原案では、旭川、北見、帯広及び函館の四営林局を廃止し、札幌営林局を北海道全体を管轄する北海道営林局に改めるととに、営林局の所掌事務を分掌させるため、所要の地に支局を置くこととし、その名称、位置、管轄区域及び所掌事務等については省令で定めることといたしております。また、営林署につきましては、営林局の所掌事務を分掌する地方支分部局として位置づけ、その所掌事務を法律で規定しているのを、営林局または支局の所掌事務を分掌させるため、所要の地に営林署を置くこととし、所掌事務等を省令で定めることとしているのでありますが、この際、支局については、林野庁の地方支分部局としての位置づけを明定するとともに、その名称、位置等を法律で規定することとし、営林署については、現行どおり、その位置づけを明定するとともに、所掌事務についても法律で規定することが適当であると考えまして、修正を行おうとするものであります。  また、この法律は、営林局の廃止及び支局の設置並びに試験研究機関の新設及び廃止並びに位置の変更に関する改正規定を除き、本年四月一日から施行することとしておりますが、すでにその日が経過しておりますので、これを公布の日から施行することに改めることとしております。  以上が修正の趣旨及びその内容の概要であります。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  300. 始関伊平

    始関委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。  修正案について別に発言の申し出もありません。     —————————————
  301. 始関伊平

    始関委員長 これより本案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  農林省設置法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について採決いたします。  まず、村田敬次郎君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  302. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  303. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、本案は、村田敬次郎君外三名提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  304. 始関伊平

    始関委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、村田敬次郎君、上原康助君、鈴切康雄君、受田新吉君、柴田睦夫君及び中川秀直君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上原康助君。
  305. 上原康助

    ○上原委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ、各派共同提案に係る農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     農林省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について配慮すべきである。  一 二百海里時代に対応した施策を強力に推進するため、水産行政の一層の充実強化を図ること。    なお、有明海における漁業振興及び漁業調整等については、今後とも一層強化すること。  一 食糧の総合的な自給力の向上を図るため、農業行政を一層充実強化すること。    なお、沖繩さとうきび原原種農場の設置にあたり、農場諸施設の整備促進を図るとともに農業振興に一層努めること。  一 国有林、民有林を通じ、森林・林業をめぐる厳しい諸情勢にかんがみ、森林の長期的生産力の維持向上、国土保全、水資源のかん養等の公益的機能を重視し、木材需給計画の確立と外材の輸入調整並びに造林、保育の強化その他森林・林業の当面及び長期の安定振興対策を講ずること。  一 国有林野事業の経営について、公益的機能を重視し、活力ある国有林づくりを基本とすること。また、営林署等の再編整備を図る場合には、地域住民の十分な理解と納得をうるように努めるものとすること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じて、すでに明らかになっておることと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  306. 始関伊平

    始関委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  307. 始関伊平

    始関委員長 起立総員。よって、村田敬次郎君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、中川農林大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。中川農林大臣。
  308. 中川一郎

    中川国務大臣 ただいま、農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、慎重な御審議の結果、御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  私といたしましても、本委員会における審議内容を十分尊重いたしまして、農林省に与えられた任務の遂行に全力を尽くす所存であります。  また、ただいま御決定になりました附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、善処してまいりたいと存じます。(拍手)     —————————————
  309. 始関伊平

    始関委員長 なお、ただいま修正議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  310. 始関伊平

    始関委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  311. 始関伊平

    始関委員長 次回は、来る十六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時散会      ————◇—————