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1978-04-27 第84回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)     午前十一時十五分開議  出席委員    委員長 始関 伊平君   理事 小宮山重四郎君 理事 高鳥  修君    理事 藤尾 正行君 理事 村田敬次郎君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 受田 新吉君       逢沢 英雄君    宇野  亨君       小島 静馬君    関谷 勝嗣君       玉生 孝久君    塚原 俊平君       萩原 幸雄君    上田 卓三君       栂野 泰二君    安井 吉典君       山花 貞夫君    新井 彬之君       市川 雄一君    柴田 睦夫君       中川 秀直君  出席国務大臣         農 林 大 臣 中川 一郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒舩清十郎君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         管理局長    長橋  進君         人事院事務総局         任用局長    今村 久明君         人事院事務総局         給与局長    角野幸三郎君         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         総理府人事局長 菅野 弘夫君         行政管理庁長官         官房審議官   加地 夏雄君         行政管理庁行政         管理局長    辻  敬一君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         文部大臣官房会         計課長     西崎 清久君         農林大臣官房長 松本 作衞君         農林省農蚕園芸         局長      野崎 博之君         農林水産技術会         議事務局長   堀川 春彦君         食糧庁長官   澤邊  守君         林野庁長官   藍原 義邦君         水産庁次長   恩田 幸雄君         運輸省自動車局         業務部長    梶原  清君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官      角田 達郎君         内閣官房内閣審         議官      門田  実君         総理府恩給局次         長       藤井 良二君         大蔵大臣官房地         方課長     宮原  翠君         大蔵省主計局主         計企画官    公文  宏君         文部省社会教育         局審議官    別府  哲君         厚生省薬務局生         物製剤課長   古市 圭治君         厚生省援護局援         護課長     田中 富也君         社会保険庁長官         官房総務課長  正木  馨君         農林省構造改善         局建設部設計課         長       浅原 辰夫君         水産庁漁港部計         画課長     福地 辰馬君         郵政大臣官房文         書課長     塩谷  稔君         労働省職業訓練         局管理課長   名取 昭夫君         自治省行政局行         政課長     中村 瑞夫君         内閣委員会調査         室長      長倉 司郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十六日  辞任         補欠選任   小島 静馬君     木村 武雄君   関谷 勝嗣君     原 健三郎君   塚原 俊平君     前尾繁三郎君   上田 卓三君     河上 民雄君 同日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     小島 静馬君   原 健三郎君     関谷 勝嗣君   前尾繁三郎君     塚原 俊平君   河上 民雄君     上田 卓三君 同月二十七日  辞任         補欠選任   田川 誠一君     中川 秀直君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     田川 誠一君     ————————————— 四月二十五日  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号) 同日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  葉梨信行紹介)(第三三四七号)  同(川合武紹介)(第三四二五号)  元上海工部局警察官恩給に関する請願(倉成  正君紹介)(第三三六六号)  国有林に従事する定期作業員退職特別給制度  化に関する請願渡部行雄紹介)(第三五四  九号)  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願宇野宗佑紹介)(第三五五四号) 同月二十六日  救護看護婦に対する恩給法適用に関する請願(  新井彬之君紹介)(第三五八〇号)  同(河野洋平紹介)(第三六六九号)  元号法制化の促進に関する請願小沢辰男君紹  介)(第三六六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二六号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  北海道管区行政監察局分室設置に関し承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一一号)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関委員長 これより会議を開きます。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件の両案件議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 ただいま議題となりました両案件に関してお尋ねをしたいと思うのですが、この際、福田内閣が進めつつある行政改革基本の問題について、まずお尋ねをしてまいりたいと思います。  荒舩行管庁長官に伺いたいのですが、昨年の夏、福田内閣は、行政改革を鳴り物入りで打ち上げたわけです。昔から行政改革というのは、かなり強力な内閣でないと成功しないのでありますが、そうは思いながらも、福田首相のやる気に対して国民は一応期待をしたと思います。ところが、その構想は次第次第にしぼみにしぼんで、昨年の十二月二十三日閣議決定をされました「行政改革推進について」という要綱によれば、一体これが内閣目玉政策なのかと思われるほど、大山鳴動してネズミ一匹という言葉どおりの状態のように思います。福田首相が、安上がりで能率のよい行政と言うのはわかりますが、それなら中央行政機構統廃合をやるのかと思えば、官僚の激しい抵抗で「引き続き検討を進めるものとする。」こういう一言で片づけられ、資源エネルギー省だとか住宅省など、国民にとって目新しいような構想はすべて立ち消えということではないでしょうか。実現されているのは、機構改革では事務レベルで話のついた比較的抵抗の少ないものだけ。そういうふうな状況で、行政管理庁の中からでも、この構想は総崩れで、目玉はつぶれてネズミしっぽ切り内部から批判が出ているというのも、私は当然ではないかと思うのですが、長官どうお考えですか。
  4. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えいたします。  行政改革というのはなかなかむずかしい仕事でございまして、これは安井さん御承知のとおりでございます。昨年、エネルギー省というようなアドバルーンあるいは住宅省というようなアドバルーンが上がりましたが、この問題等についてはちょっと研究が足りなかったんじゃないか。なるほど、行政整理根本は、省庁統廃合というようなことをやらなければならないと思っております。しかし、これは行政の基盤でございまして、いま何といたしましても景気の浮揚を急速にやらなくちゃならない。失業問題、雇用問題、そういうようなことから始めまして円高の問題、ひいては貿易の振興の問題、こういうような大変むずかしい問題等がございます。したがいまして、行政整理をやるについても、そういうような事柄に対してなるべく支障の起こらないようなことを考えていかなくちゃなりません。しかし、同時に、福田総理の言うように安上がり行政、また行政のコストダウンをしなくちゃならない、こういうようないろいろな発言もあるとおりで、私もそう考えております。  確かにおっしゃる点、よく反省しなければならないと私は思っておりますが、昨年末の十二月二十三日の決定によりまして、機構においては、二百海里の問題等を控えまして農林省農林水産省に改組する。あるいはまた、貿易の円滑を図らなければならない、また日本経済について外国と摩擦の起こらないようなことを考えていかなくちゃならないということで対外経済相を置く。また、住宅問題等緊急迫った問題もありまして、いわゆる建設省と国土庁を一人の大臣がこれを行うというようなことでありました。なお、中央の課を五十一減らそう、二年間のうちに整理しようということ。それから地方出先機関支所出張所等を約千カ所、三カ年ないし五カ年のうちに整理をする。国家公務員については今後三年間に二万八千人を削減をする。それから、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、定年制制度を導入する。また特殊法人も大幅に整理をしなくちゃならない。そういうことで、従来からのうち二十一法人を対象にして現在十四法人整理合理化することに決定をいたしました。審議会もずいぶん多いものでございまして、四十八審議会統合整理を行う。それから補助金につきましては、千四百二十二億円を大幅に整理をいたします。なお許可、認可というような問題、非常に複雑な機構になっておりまして、これを簡素合理化する。そうして千二百四十事項について廃止をし、あるいは規制の緩和をするということに決定をいたしておりますなど、これはいろいろ御批判もありますが、こういうことにつきまして法案をこの国会に提出しております。どうぞ御審議をいただいて、お願いしたいと思っております。  これでいいということじゃございませんが、これはやはり総論といいますか、世論といいますか、これはみんな、もっと切れ、もっと切れという国民の声もあるし、各政党の皆さんからの御意見もありますが、部分的になりまして各論に入りますと、こういう役所を減らしちゃいけない、こういう人間を減らしちゃいけないというような御意見がなかなか多いのでございます。したがって、なかなか思うようになりませんけれども、しかし、国民の血の出るような税金をむだ遣いをしてはならない、こういうことで鋭意努力しております。  なお、省庁統廃合をこれでやめたわけではない。まだなかなかやらなければならないものもございまして、比較的摩擦を起こさないようなことを考えながら鋭意努力をしていくつもりでございます。  以上です。
  5. 安井吉典

    安井委員 閣議決定の文章の中にも、いま大臣の言われたようなことが大体書かれているわけでありますが、私のそれに対する批判は、いまの御答弁でも解消するわけにはいかぬと思います。いまおっしゃったその総論賛成各論反対、この間本会議でも、大臣はそういう言葉を使われました。私は、その各論反対というのを言うのは、いろいろな立場から反対が出てくるんだろうと思いますけれども、しかし、物の考え方改革整理進め方、その進め方に対する論理の間違いということだけは、私はこの際明確に指摘しておかなければならぬと思います。  今度の中にも、中央官庁の課、室、官の整理というのも、いま大臣お話がありましたように取り上げられておりますが、これだって、減らしたかと思うと、名前だけ変わって新しいものが出てくる。全く新しいものも出てくる。そういうようなことでなかなか実効が上がっていないというのが今日までの状況ではなかろうか。これをきちっと最後までどういうふうにして見届けるおつもりなのか、これをひとつ伺いたい。それからもう一つは、中央権力機構というものはほとんどいじらないで温存し、国民とじかに接触のあるサービス機関だとか、あるいは行政を実施する機関である出先中央行政機関、それだけをいじっていく。権力機構の方はそのままにして出先だけをいじっていく、これが今度の閣議決定の中身なのですが、これはまさに逆立ち構想ではないのか。  その二点についてこの際御答弁を願います。
  6. 辻敬一

    辻政府委員 第一に、中央省庁の課、室、官についての問題でございますけれども、内部機構膨張を抑止いたしまして簡素合理化推進するということから、今回、一定基準によります課、室、官の整理を行うこととしたわけでございます。ただいま御指摘のございましたように、二年間で五十一を整理することにいたしております。五十三年度はそのうち三十三の整理を予定しているわけでございます。ただし、一方におきまして、真にやむを得ない新規行政需要に基づきます増設ということもあるわけでございますが、これは例年に比べてずっと抑制いたしておりまして、五十三年度は十二にとどめております。したがいまして、差し引きいたしますと二十一の純減ということになるわけでございます。  それから、サービス機関である地方出先機関を縮小するのは逆立ちではないかという御批判をいただいたわけでございますが、中央機構につきましても、ただいまお話のございました課、室、官の整理でございますとか、一昨日御可決をいただきました審議会整理でございますとか、そういうことも進めているわけでございますし、地方支分部局の問題につきましては、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、支所出張所等中心といたしまして約千カ所の整理を行うわけでございますけれども、これは行政需要変化をいたしておりますとか、あるいはまた交通手段が発達してまいりましたとか、そういうことによりまして整理ができるということでございますので、もとより国民に対するサービスをなおざりにするという趣旨ではないわけでございます。
  7. 安井吉典

    安井委員 いま局長からの御答弁ですが、中央省庁の課あるいはそれに類するものが新しく出てくるものに対して、どういうチェックの方法をふだんやっておられるわけですか。
  8. 辻敬一

    辻政府委員 もちろん、機構膨張を抑制するというのが基本的な考え方でございますから、できるだけこれを抑止するということでやっております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、どうしても必要な新規行政需要ということは起こるわけでございまして、五十三年度におきましても、たとえば水産庁の二百海里問題に対処いたします機構の充実でございますとか、そのほかやむを得ない行政需要がございますので、そういうものにつきましては課あるいは官を認めるということにいたしているわけでございます。しかし、これも従前のペースから見ますと、五十三年度はずっと抑制をいたしているわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 本論の議論がありますから、ここで総論的な部分は余り深入りしませんけれども、きょうの私の議論進め方は、いま申し上げました後半の部分、つまり中央をそのままにして地方だけいじればいいんだという、その物の考え方に対する疑問という立場からお尋ねを続けていきたいと思うわけであります。  その前に、行政改革のあるべき方向ということについて、政府考え方の中で重大な欠落があるのではないかと思います。というのは、今日まで各種の審議会とか調査会等が、しばしば答申や建議を行ってきました。しかし、その中で必ずと言ってもいいほど、国と地方行政事務の再配分ということを根幹にとらえているわけです。国の仕事の中でも要らない仕事はできるだけやめる、そして地方も、全国網の目のように自治体行政網が張りめぐらされているわけですから、国の仕事と重複するものだとか、仕事地方に移した方が都合のいいものとか、そういうものがたくさんあるわけですから、権限を地方に委譲していく、こういう行政事務を国と地方と全体的にもう一度見直していくという姿勢、これが欠落したまま改革のスタートで役所機構いじり、こういうことになっているのではないか、私はそう思うのですが、この点はどうですか。     〔委員長退席高鳥委員長代理着席
  10. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  おっしゃる点はよくわかりますが、考えてみますと、明治始まって以来、今日の日本経済は、驚くような膨張をしてまいりました。同時に、終戦後、従来の日本考え方とかなり角度が違いまして、アメリカの進駐軍が入ってきた、そしてそれに対応するように次から次へ機構いじりをした。終戦後の機構というものは根本から考え直さなければならない点があると思うのです。思いつきでアメリカに言われればこれをふやす、これをやるんだというようなことから、経済点等については、それこそ不思議のように何か日本に、どういうことか知らないが——めちゃくちゃに戦争でたたきまくられて、一体日本はどうなるのかというようなときにアメリカが入ってきた。朝鮮戦争が起こった。世界情勢米ソの対立というような問題等があり、それにアメリカが来て、司令部の方針にのっとってやたらに機構をいじった。これは確かに無制限な膨張をしていることでございます。特殊法人でも審議会でも、めちゃくちゃにふやしたというのが実情でございます。  したがいまして、これを理論的に言えば、行政改革根本精神から言えば、もっともっと急速な改革をしていかなくちゃならない点がうんとあると私は思っております。しかし、さっき申し上げたように、なかなか複雑に入り込んでいる制度でございまして、これを一遍に私が考えるような思い切ったことをばたばたやれば、これは大変な摩擦が起こってくる。福田内閣などは一遍に飛んでしまうというようなことも生じやすいと私は思っております。したがいまして、これはなかなかむずかしいことでありますが、しかし、順次、階段を一歩一歩上がっていくように改革をしていく。中央省庁統廃合やいろいろな問題についても、一遍にやったら大変なことになると申し上げても過言でないと思います。  したがいまして、安井さんのおっしゃることはよくわかります。まあひとつ順次、多少反対がありましても、思い切った方向に向けて改革をしていくというような考えで私はおります。また、総理もそういう考えでおりますが、しかし、私の考えているような、こういうことをやろう、ああいうことをやろうというについては、そんなに君、思い切ったことをやったら大変なことが起こるからというようなことで、かえって多少ブレーキがかかるようなことまであるのが実情でございます。しかし、根本精神におきまして、長い政治経歴を持つ安井さんのおっしゃるとおりで、私とあなたの考えは違っておりません。しかし、余り急速なことをやると大変ないろいろの問題が起こりますので、そこいらも勘案しつつ行政改革をやっていくというような、私、総論でありまして、そういう気持ちでおりますことを御了解を願いたいと思う次第でございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 私の意見長官と変わらないところもあるようだが、一番大きく変わるのは、福田内閣がすっ飛んでしまうかもしらぬというのは、私はそれで結構だと思います。その辺が一番大きな違いのようでありますが、そういうことよりも、いまの日本行政制度をいかに国民本位のものにしていくかということ、その観点が一番大切だと思います。  そういう意味合いで、ずいぶん問題がいっぱいあるのですけれども、地方出先行政機構改廃がきょうの中心課題ですから、そこへだんだん話を向けてまいりますけれども、この出先機構改廃をしていくという考え方も、私の目から見ると全く出たとこ勝負だというような改革案になっていると思います。もっと筋を立てた考え方からすれば、私は地方行政機構のあり方というのは、第一次的に考えるべきことは、さっきも申し上げましたように、全国自治体組織ががっちりあるわけですから、その自治体に預けていいような仕事はできるだけ預けていく、国の出先機関をできるだけ少なくしていくという、そういう観点でなければいけないし、そういうことなら、たとえばそこの地域開発だとか、環境だとか保健だとか医療だとか、あるいは農林水産など、あるいはその他の商工業などの経済関係のある問題、運輸関係労働行政もそれに類するものだと思うのですが、こういったものは自治体もやっているわけですから、できるだけ国の役所は減らして自治体に預けていくという考え方。  それから二番目には、やはりどうしても自治体に預けかねるものが国としてあると思います。たとえば国家公務員人事行政だとか、あるいは独占禁止法の問題だとか、いま長官が担当しておられる行政管理監察の問題、あるいは国有財産管理だとか国有林の経営だとか、国税の徴収とか、海上の保安だとか郵便とか国鉄とか、こういったような、国がどうしてもやらなければいかぬものはそれとしてあると思います。  ですから、仕事二つに割って、国民に直結していくものでも、自治体にやってもらった方が都合がいいようなものはできるだけそっちへやっていくという、そういう観点がなければいかぬのではないかと思う。ところが、そういうきちっとした見方でこの地方行政機構改革政府が取り組んでいるように見えないのです。この要綱の中にも示されておりますけれども、その点は、私の考え方についてどうお考えですか。
  12. 辻敬一

    辻政府委員 国と地方との間に行政事務をどのように配分していくかという問題は、御指摘のように基本的な重要な問題であるわけでございます。私どもも従来から、たとえば第一次、第二次の行政改革計画、四十三年から四十六年でございますが、これにおきまして、許認可整理に関連いたしまして相当な件数の事務を取り上げて推進をしてきたわけでございます。また今回の許認可整理、千二百四十事項予定いたしておりますが、この中にも、国から地方に権限委譲するもの二十八事項を含んでいるわけでございます。  ただ、国と地方行政事務の再配分の問題を基本から見直すということになりますと、御承知のように非常に大きな制度的な問題でございます。そこで当面の措置といたしまして、先ほども申し上げましたような行政需要変化でございますとか交通手段の発達でございますとか、そういう観点から地方行政機関整理の問題を取り上げまして、約千カ所の整理を予定しておるわけでございます。
  13. 安井吉典

    安井委員 その整理の物の考え方というのが、二つ整理した、筋の立った方向で行われているというふうに私は見えないという点ですね、その点を主張しているわけであります。しかも、出たとこ勝負というふうに私が申し上げたのは、今度のこの政府部内においていろいろ作業を進める段階で、いろいろな話が聞こえるわけです。たとえば去年の夏だと思いますが、田村前運輸大臣がほかの省に率先して、地方海運局陸運局を統合してもいいというようなことを言われた。ところがこれは、いつの間にかどこかに消えてしまった。あれは一体どうなったのか。あるいは郵政局郵政監察局統廃合というような問題が、地元代議士らの反対立ち消えになったというふうな話も伝わる。こういったようなことで、結局、いまお話がありましたけれども、五十三年度で大きなものは、行管庁のやっと大蔵省財務部農林省の営林局と郵政省の郵政監察局関係、この四省だけの出先の問題が具体的、現実的なものになりつつある。こういうことであって、きちっとした筋道に立った方向で進んでいるというようなものではさらさらないのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  14. 辻敬一

    辻政府委員 地方行政機構の中核でございますブロック機関、府県単位機関につきましては、今回は省庁別に見直しまして、いわばケース・バイ・ケースに検討する方法をとったわけでございます。その過程におきまして、ただいま御指摘のございました海運局、陸運局の問題あるいは郵政局の問題もあったわけでございます。  ただ、海運局、陸運局の統合の問題につきましては、総合交通体系を進めていくというような観点から、一つの議論ではあるわけでございますけれども、たとえば陸運局でございますと、北海道の場合には札幌にある、しかし海運局はその性格上小樽にあるというようなこともございます。所在地が違うというようなこともございます。それから管轄区域が違っておりまして、山形県、秋田県の場合には、陸運局は新潟陸運局の所管であるけれども、海運局の場合には東北海運局である、そういうような問題もございます。国民サービスに及ぼす影響等も考えなければなりませんので、引き続き検討することといたしまして、今回は見送ったわけでございます。  また、郵政局郵政監察局につきましては、これはいわば現業の機関でございますので、その管下の管轄区域でございますとか職員の数でございますとか、あるいは郵便局の数でございますとか、そういうものを十分に検討しなければなりませんので、今回は結論に至らなかったわけでございます。
  15. 安井吉典

    安井委員 いろいろ事情が重なり重なってということの説明はわからないわけではありませんけれども、そして最終的には、行政管理庁は函館の行政監察局、旭川の行政監察局、釧路の行政監察局を五十三年度限りで廃止をする、北海道の出先を三つつぶすという決定だし、大蔵省の方は財務部を、これも北海道の小樽の財務部をつぶすという考え方農林省の方も、これも北海道の旭川、北見、帯広、函館の四つの営林局を廃止をするというわけです。四省分あるのですが、このうち三つとも北海道。ただ、郵政監察局の支局の二局廃止というのは、まだここに書かれていないわけでございますが、これは郵政省からお答え願えましょうか。これはどういうことになっているのですか。
  16. 塩谷稔

    ○塩谷説明員 お答えいたします。  私どもの郵政監察局支局と申しますのは、郵政監察局のいわば出店に当たるものでございまして、これは郵政省設置法に基づきまして郵政大臣が決めまして、それを、その場所でありますとかあるいは名称でありますとかいうものを告示する、こういう仕組みになっております。したがいまして、郵政監察支局の廃止に当たりましては法律の改正を必要としない、こういう関係になっておりますので、目下その措置方につきまして内部で検討を進めております段階でございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 これも北海道ですか。
  18. 塩谷稔

    ○塩谷説明員 場所はまだ確定を見るに至っておりません。
  19. 安井吉典

    安井委員 閣議決定では、五十三年度中に二局廃止と書いてありますが、そのとおりにされるわけでしょうか。
  20. 塩谷稔

    ○塩谷説明員 そういたします予定にいたしております。
  21. 安井吉典

    安井委員 荒舩長官、四つの省庁について出先の比較的大きいものが整理されるというのですが、これはどれもこれも、みんな北海道なんですね。一体これはどうなっているのでしょう。何で北海道だけが目のかたきになるか。私は北海道選出の議員ですから、その質問をひとつ長官に呈したいと思います。
  22. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 北海道だけということはございません。決して北海道を目のかたきにしているわけじゃございません。いろいろな観点から——ですから、私が最初に申し上げたように、総論では賛成だが各論では反対になる、こういうことなんですよ。おれの方のこれは切ってはいけない、あれは切ってはいけない、そういうことになると、これはなかなか大変で、北海道を目のかたきにしているなんということは絶対にございませんから、どうぞこの点は御理解をいただきたいと思いますが、この監察行政で函館、旭川、釧路——どうしても各府県の県庁の所在地、道庁の所在地というところと密接な関係がありますから、行政管理庁といたしましてはこれと密接な関係を持つということで、札幌に北海道全体を支配できる本部を置くということを考えて、しかし支局、分室は置くということでありまして、決して効果が、能率が落ちるというようなことはございませんから、御安心をいただきたいと思うのです。行政管理庁としては、人員の点でも北海道で九十二名、それを今度のやり方にいたしましても七名減るだけでございます。しかも道庁の所在地と密接な関係がありますから、これはここへ本部を置いて、北海道の全体を支配できる、こういう考え方で三局を廃止する。そのかわり北海道の中心になる道庁所在地で全部統括する。七人減るというだけで、しかも行政監察に当たっているのは非常に熱心でありまして、それが分室になりましても決して能率が落ちるというようなことはございません。  それから、さっきお話しのように北海道を目のかたきにしているなんというようなことは、絶対にありませんから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  23. 安井吉典

    安井委員 あちこちみんな反対があるからなかなかうまくいかないで、北海道だけが最終的に反対がないから残ったという経過じゃないですか。反対がないかあるかをきちっと調べもしないで、北海道だけ目のかたきにしたのじゃないと言われるのですが、荒舩さん、ちょっと聞いてください。たとえば衆議院議員は、北海道は五区で二十二人ですが、二十二人のうち自民党は九人、社会党が十人で、公、民三ですから、九対十三ですよね。参議院議員になると北海道は八人なんですが、自民党は二人で、あと六人全部が野党なわけです。選挙に負けた恨みでもここで晴らそうとしているのではないか、私はそう思うのですが、まあそうじゃないとは思いますが、これらをもう少し、地域の実態だとか何かをきちっと判断をした中で結論を出してもらいたいし、多くの人の意見がどこにあるかということをきちっと調べ上げた中で判断を下すべきだ、私はそう思うのです。  行政監察局の支局の問題については、これは後でもっと詳しくお尋ねいたしますけれども、総括的に、今度の地方分局のどれをやめるかなどということの選定については、一定の筋があってやったのではなしに、あちこちぶつかり合って、都合の悪いところだけやめたらあとここだけ残ったのだという、そんな場当たり的なあり方で最終的な決定がなされたのじゃないか、そう思うのですが、どうですか。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 安井さんの言われるようにそんな偏った考えはございませんから、どうぞ誤解のないようにお願いしたいと思う次第でございます。決して選挙のことを考えてやっているのではありませんし、私の方は行政簡素化を目標にしているのでございまして、選挙には関係ございませんから、どうぞ誤解のないようにお願いしたいと思います。これは決して行政監察行政でも支障がないように、七人減るだけでございまして、なお、いままでのところへ分局を置くわけですから、意地を張ってやったのでもなければ、ちゃんと計画的に調べてやっておりますから、どうぞ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  25. 安井吉典

    安井委員 選挙のことを言ったのは冗談ですから、それはそれでお考えいただきたいと思うのですが、行政監察局三局の廃止の問題について長官からいまお話がございました。しかし、全国のほかの地方行監局はそのままにして、釧路、旭川、函館だけの格下げをなぜやったのかという、その理由は、どうも明確でないような気がするわけです。特に行政管理庁というこの機構は、直接国民と窓口で接触するという役所ではなくて、行政制度や定員の管理監察等が任務だとは言いますが、北海道という地域は、九州と四国に山口県を合わせた広大な面積を持っている。なるほど、北海道という一つの自治体が存在しているわけですが、しかし、その自治体としての北海道も、札幌だけで全道を直ちに掌握できるというものではありません。したがって十四の支庁を置いて、知事は支庁長にかなりの権限を委譲し、それで全道に対する総合行政を進めているという点、ほかの府県とは違うと思います。そうして北海道民の気持ちとしては、そんな広い地域ですから、北海道という一つの県だとすれば、たとえば鹿児島県から福岡に行ったり、高松に県庁があるようなものですから、札幌への距離があるので、支庁長などの出先に対する権限の委譲をもっと進めるよう要望する声が強いわけで、だんだんそういうふうな方向が進められているわけですよ。地方局をなくして札幌に全部集中するというのは、そういうようなあり方について逆行するものだと言わざるを得ないと思います。北海道はたとえ広くたって一つの府県並みではないかという、そういう形式的な理由で地方局をなくすというのでは、私はどうも納得ができないように思うわけであります。その点、重ねて説明を願います。
  26. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回の行政管理庁出先機関整理に当たりまして、結果として北海道の三局が廃止になったという点につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、これについては先ほど行管長官から御説明申し上げたわけですけれども、そこら辺の事情につきまして、もうちょっと詳しく御説明申し上げたいと思います。  実は、今回の行政改革に当たりまして、私どもが当然頭に置きましたことは、出先整理につきましても合理化努力が強く要請されておるという一つの状況がございまして、その上で、一つは前回の四十五年の行政改革の際に、道庁の地方行政監察局を地方監察事務所にするという案がございました。これは御承知のように四十六年の六十五国会に法案を提出申し上げたわけでありますが、国会におきましては具体的な御審査を経ないで、実は七十国会で廃案になったという経緯がございます。そういった経緯も踏まえまして、今回の出先機関整理に当たりましては実効のあると申しますか効果的な改革をやろうという考え方で、結果として北海道三局に落ちついたわけでございます。  御承知のように、行政監察仕事というのはほかの事業官庁の場合と違いまして、行政の客体と申しますか相手方は、国の出先機関でございますとかあるいは自治体でございます。そういう点から申し上げまして、確かに北海道の場合で申しますと道庁があるわけであります。いま先生御指摘のように、北海道においては、非常に地域が広いために、ほかの府県に比べまして道庁の権限委任が相当なされておるという実態がございます。従来私どもは、北海道におきまして三つの地方局と札幌の管区、つまり四局で行政監察仕事を進めてまいったわけでございます。ところが、たとえば三地方局、これはそれぞれ十四支庁を分轄して担当しているわけでございますけれども、問題によりましてはどうしても道本庁の問題にまでさかのぼって議論をしなければならぬ、こういう事態が多々あるわけでございます。現実に、札幌にあります道の管区監察局におきましては、地方局の話を入れまして道との調整もやってまいっておりますし、それから現実に、その監察をする場合にも管区が指導いたしまして、道全体として地方局と共同をしてやっていくという実績もあったわけでございます。そういった、ほかの府県の場合に比べました特殊な実態というものに着目をいたしまして、監察仕事を北海道に全部集中をするという案をとったわけでございます。その際に、御承知のように行政監察局では仕事は大きく分けて二つございまして、行政監察あるいは調査の仕事のほかに行政相談という仕事がございますが、その行政相談の関係につきましては、実は分室という形で三つ、三市に残す形になりまして、行政相談のように地元の住民サービスに必要な機関につきましては、実質的にそういう住民サービスが低下しないような措置を講ずるということで考えたわけでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 私が場当たりだと言ったのは、同じ国の出先でも、法務省の法務局がありますね、それは札幌の法務局があって、函館と旭川と釧路に地方法務局があるわけですが、これは全く手つかず、そのままですよ。それから公安調査庁の出先の公安調査局が札幌にあって、函館、旭川、釧路、北見に地方公安調査局が置かれているが、これも手つかず。ですから、北海道は一円だからなくしたんだという論理は、さっき大臣が言われたり皆さんも言われますけれども、これは成り立たないわけですよ。政府の全体的な統一をした方針とは言いかねるわけです。これは公安調査局やあるいは法務局をやめろという意味で私は言っておるわけではないのですけれども、とにかく全体的な筋が通らない。行管の方は、自分の本来の仕事だから自分で犠牲になったんですというようなつもりでおられるのかもしれませんけれども、筋がずっと通ってない。場当たりだということを私が最初に言ったのは、そういう意味におとりを願いたいと思います。  そこで、全体で七名減るんだということでありますが、この七名は、行政管理庁の全体的な定員の減ということになるのですか、それともこれはどこかに回すのですか。
  28. 加地夏雄

    ○加地政府委員 先ほど申し上げました七名のことを若干詳しく申し上げますと、現在、三地方局に四十四名の職員がおります。そのうち、先ほど申し上げましたように監察仕事は管区へ引き上げるわけでございますから、それに必要な十名というものは礼幌の管区の方に引き上げます。一方、行政相談を中心にいたしまして住民サービスあるいは現地的な仕事をやるために分室をつくるわけでございますが、ここに二十七名、合わせまして三十七名というのが北海道の管区全体に配置されるという形になりますから、四十四名から三十七名を引いた七名が、実は今回の三局の合理化の効果として出てまいるわけでございます。ただ、現実に四十四名の方が三局あるいは北海道全体に配置されておるわけでございまして、そういった配置転換の問題につきましては摩擦のないような形を考えていきたい、こういうふうに考えております。現実的には、この七名というのは行管全体の削減計画の中で段階的に消化をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  29. 安井吉典

    安井委員 じゃ、この七名を中央の方で吸い上げて、中央の定員の増に向けるとかいう仕組みではないのですね。
  30. 加地夏雄

    ○加地政府委員 御承知のように、今度の行政改革の中にも入っておりますが、定員の問題につきましては、四次の定員削減計画というのが進んでいるわけでございます。行政管理庁としても、四次計画の中で五十六名という削減計画を持っておるわけでございます。その削減計画の中で七名というものは出ていくという形になりますから、現実問題としては、たとえば北海道にいらっしゃる方で本庁に参りたいという御希望の方もありましょうけれども、定員全体の形といたしましては行管全体の削減計画の中で調整をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  31. 安井吉典

    安井委員 だから、中央も含めた行管全体のものを、北海道の三局をつぶすことによって生み出したということに結果的にはなるわけですね。だから、中央権力機構をできるだけ温存しながら地方だけにしわ寄せをするという、私が一番最初にこうではないかと言った論理はここでも貫かれているのではないかという気が私はいたします。  そこで、もう一つ、この行政制度管理監察という業務を、今後充実するのか縮小するのか。このような複雑な経済情勢、社会情勢の中では、この役割りというのは非常に強く期待されなければならぬのではないか、こう思うのですが、各省庁の目付役ということも大切だと思うわけです。それについて、今後の行政管理庁という役所のあり方について大臣のお考えを伺っておきたいわけですが、予算編成権も、もう大蔵省から取って総理大臣の直属にしろとか、そういうような考え方もあるわけですが、本当に行政官庁全体に目を行き届かせるということなら、この行政監察などの仕事も、総理大臣の直属で、もっと強力なものにしたらいいのではないかという考え方もあるようでありますが、その辺について何かお考えがあったらお聞かせください。
  32. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生御指摘監察のことでございますけれども、いままでの私どもの経験に照らしますと、各省庁とも勧告の趣旨に沿っていろいろと、かなり改善が図られているわけでございます。  それで、ただいま総理大臣直属の組織にというお話も出たわけでございますけれども、行政管理庁設置法第四条第八項に基づいて、行政管理庁長官から内閣総理大臣に対する意見具申の権利が認められております。こういうものを活用することによって、必ずしも総理大臣直属の組織にならなくても、いまの制度で十分やっていけるのではないかと私どもは考えております。ただ、これは制度の問題でございますので、それを取り巻くいろいろな状況を勘案して検討、研究をしていく問題ではあろうかと考えております。
  33. 安井吉典

    安井委員 この問題についてはもう少し私も議論があるし、行政管理庁のもう一つの大事な仕事行政相談の問題もあるわけですが、これは後の質問との関係もありまして、ほかの諸君に譲っておきます。  それから、行政管理庁出先機関とともに廃止の運命にある北海道の機関農林省関係がありますが、これは後で農林省設置法の改正で議論したいと思いますが、もう一つあるのは、小樽財務部の廃止という点であります。財務局は全国に十局あって、地域広大というゆえに北海道財務局のもとに函館、小樽、旭川、帯広、釧路、北見と六つの財務部が置かれているわけです。道民と大蔵省を結ぶパイプというのがキャッチフレーズです。こういう中でなぜ小樽だけが廃止されなければならないのか。  それからもう一つ、この閣議決定の中にはもう一つの財務部を廃止すると書かれているわけですが、それはどこを考えているのか、この点をまず伺います。
  34. 宮原翠

    ○宮原説明員 お答えいたします。  五十三年度にどこを廃止するかにつきましては、私どもいろいろ慎重に検討いたしたのですが、その検討の基準といたしましては、本局との間の交通の状況、そこの持っている事務の対象の多い少ない、いろいろな点がございますが、そういうことを総合的に考えまして、五十三年度は小樽を廃止いたしたいということに考えを決めたわけでございます。たとえば交通の状況にいたしましても、本局との間はかなり道路も整備されて四、五十分ぐらいで到達するということもあります。また職員も、札幌から通勤している職員が半数以上もおるというようなことも聞いております。それから人口、地方団体の数等々を考えましてもかなり低いということもありまして、その事務を本局に仮に移しましても地元の利便を特に損なうことはないのではないだろうかというようなことを考えまして、行政上特に支障がないという判断に立ち至ってこういう決定をしたわけでございます。したがいまして、小樽財務部だけをやり玉に上げたというようなことではございませんで、そういういろいろな総合的な点から考えてこれを決めたような次第でございます。  確かに閣議決定の文面には、さらにもう一財務部を廃止するとございますが、これはまだ、年度と場所は決定の面にはのっておりません。私どもといたしましては、当面、五十三年度に小樽を廃止するということで慎重に事を進めなくてはなりませんので、それにかかり切りになっております。したがいまして、その次をどこにいたすか、あるいはいつにいたすかについては、いまのところなお検討の段階であるというお答えを申し上げておきます。
  35. 安井吉典

    安井委員 あと一つどこかということですけれども、全国の県庁所在地に一つずつ置かれているわけですね。ですから、あと一つというのも、これまた北海道だというような腹づもりがあって、こういうふうな閣議決定になったのじゃないのですか。そうでなければないように、私もはっきり伺っておきたいと思います。
  36. 宮原翠

    ○宮原説明員 先ほども御説明申し上げましたとおり、廃止の場所を決定するについてはいろいろな角度から検討を進めておりまして、私ども、二つ目も北海道であるというようなことを先人的に決めて事に処しておるわけでは決してございませんので、御了解をいただきたいと思います。
  37. 安井吉典

    安井委員 この小樽財務部の管轄というのは、小樽市及び後志支庁十三町六村にまたがり、総面積四千三百平方キロ、大体富山県と同じ広さであるわけです。こんな広い地域ですから、そこできめ細かな行政サービスをするために小樽財務部というのは必要ではないのか、単に地域の広さだけでは言えないかもしれませんけれども、私はそういうふうな考え方も成り立つのではないかと思います。     〔高鳥委員長代理退席、村田委員長代理着席〕  とりわけ小樽とか後志支庁管内というのは北海道でも歴史の古いところですが、札幌の陰で地盤沈下と言うと失礼かもしれませんけれども、そういうような状況が進んでいるわけです。ですから、この財務部がなくなることが、小樽を中心とする地域の発展にブレーキをかけるというよりも、後退に拍車をかけると言った方が正確かもしれないようなことにならないか。そういうような意味でもう一度考え直してはどうかということを申し上げたいことと、それから、現在小樽の定員はたしか三十二名と聞いておりますが、廃止ということになれば、これは、どこへどうやるのですか。
  38. 宮原翠

    ○宮原説明員 小樽の現地のいろいろな経済事情等につきましては私どもも十分に聞いておりますし、また、市や経済界などにおかれましても非常に反対であるという御意向をお持ちのことも、十分に承知いたしております。したがって、私どもといたしましては、地元の利便等をできるだけ損なわないようにということを念頭に置いておりまして、小樽財務部の場合も、廃止することにはなりますけれども、全く廃止をするというのではなくて、その機構を縮小した形で現地の事務処理のための機関を置くという考えを持って対処いたしておるわけであります。したがいまして、地元のサービス等には支障がないようにできるだけの処置をとるという考えでおります。  それから、御指摘のありました三十二名の人間についてどうするかということでございますが、いま申し上げましたように全くゼロにするわけではございませんので、本局に引き上げる人数はかなり限られた人数になると思います。したがいまして、あとは現地にそのまま残ってもらって仕事に従事してもらうというふうなことを考えております。
  39. 安井吉典

    安井委員 役所がなくなるのにどうして現地に残すのですか。それは何人ぐらい残して、何人ぐらいを引き上げるということなんですか。
  40. 宮原翠

    ○宮原説明員 いまのところ、課が四つぐらいございますけれども、その課の一つを札幌の財務局本局の方に統合引き上げをいたしたいというふうに考えております。そして、地元に非常に関係の深い国有財産事務等は、出張所というような形で現地事務処理機関として残しておいて仕事をさせたいというふうに考えておるわけでございます。人数はいま三十二名でございますが、本局に引き上げるのは四、五名ぐらいのところを考えております。
  41. 安井吉典

    安井委員 財務局は、九州に北九州財務局と南九州財務局と二つあるわけです。この廃止統合についても話があったが、これも政治的な反対で消えたということを聞いています。そのとおりなのかどうかということですね。  それからまた、けさも小樽へ電話をして聞いてみると、小樽でも、人口十八万五千人の町で三万五百人も反対の署名者が出てきているということやら、小樽市は直ちに市議会の議決で意見書を出してきたり、後志支庁管内の町村長、町村議会議長は、それぞれ全体で反対の決議をしているとか、そういうふうな地域住民の動きがあるわけですね。九州の財務局の方は政治的に統合の案をやめて、こっちの方は住民のそんな動きがあるのに、それでも強行する、そういうことなんですか。
  42. 宮原翠

    ○宮原説明員 小樽財務部の問題につきましては、御指摘のように、地元で、やめてくれ、反対であるという意向があることは、十分に聞いております。したがいまして、私どもといたしましても、この計画を実行するに当たりましてはできるだけこの趣旨を御説明いたしまして、地元の方にも十分納得いただいてこの廃止の事務を進めたいというふうに考えておるわけでございます。  一方、お話しのございました九州の方でございますが、この九州財務局の問題につきましても地元の反対もかなりございましたことは、経過的に私どもも十分承知しております。ただ、私どもから考えましても、あの九州全体を単一の局で事務をとるにつきましては、非常に経済的、地理的に差異の大きい地区に分かれておりますので、やはり現在のように二局あって事務に当たった方が妥当である、地元住民のサービスにはなるのであるという考えを持ちまして、二局存置したいという主張を続けていたわけでございます。
  43. 安井吉典

    安井委員 いまの大蔵省機構改革の方も、やはりいろいろな政治的な駆け引きや何かですっきりしないのですよ。その点が最大の問題点だということを指摘しておきます。  それから、国会に対する承認案件としてこの小樽財務部の廃止の問題が出ているわけでもありませんし、国会に全く無関係でこれが処理されるという点に疑問を持つのでありますが、これは後で、各設置法全体の問題として法制局の見解も聞くことにしておりますけれども、とりあえず大蔵省として、この点についてはどうお考えですか。
  44. 宮原翠

    ○宮原説明員 私どもが考えておるところでは、地方自治法の百五十六条六項に、国の機関設置する場合に承認を必要とするとございますが、この場合、廃止でございますので、その必要はないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  45. 安井吉典

    安井委員 ですから、これは大蔵省設置法と、たとえば行管庁設置法とは、その物の考え方、法制的な基礎が違うんですよ。その点は後で伺っていきますが、大蔵省関係は一応結構です。補助金や何かの問題がありましたね、その方は残ってください。  それから、いま御発言の中にもありました地方自治法百五十六条第六項の国会承認の問題でありますが、たとえば行管庁設置法の改正で分室を設けることについて、きょう承認案件として提起されているわけでありますが、行管庁は自治省とこのことについて合議をしたのか、しているのか。一般論としてそういうふうな慣行になっているのか。それからもう一つ、関係自治体意見を聞くというふうなことはなさったのか、これを伺います。
  46. 加地夏雄

    ○加地政府委員 分室設置承認案件につきましては、当然自治省とも話をやっております。もともと、これは地方自治法百五十六条六項の規定に基づくものでございまして、この規定によりますと、「国の地方行政機関は、国会の承認を経なければ、これを設けてはならない。」この地方行政機関の中には、駐在機関を含めて、相当細かい出先機関の場合にも承認が要るという規定が自治法にあるわけでございます。
  47. 安井吉典

    安井委員 このような案件の場合には自治省との合議が一般的に行われているのかどうかということと、それから関係自治体の方の意見を聞くというふうな仕組みが、これも一般的に行われているのかどうか、この法律の場合にもそういうことになったのかどうか、そのことを聞いているわけです。
  48. 加地夏雄

    ○加地政府委員 ただいま申し上げましたように、自治法の百五十六条の規定に基づきまして分室設置承認を得るわけでございまして、もちろん、自治省との間に、こういう分室をつくって承認案件を提出いたしますという話はしてありますけれども、それは私どもと自治省との話し合いでございまして、自治省がその後、関係自治体にどういうように御意見を聞いたかということは、私どもは存じておりません。
  49. 安井吉典

    安井委員 自治省からおいでですね。いまの問題について自治省サイドから、現実に行われているのはどういうふうになっているのか。とりわけ、いまここで問題になっているのは行政管理庁のやつなんですけれども、これが自治省側と合議が行われて——これは必須条件にはなっておりませんけれども、どんな法律でも、案件でも、相談はあるわけでしょう。それについて、自治省としていかなる判断をもってオーケーをされたのか。国会に出ている以上、オーケーされたのだと思うのですがね。それから、その際に自治体の方の意見を聞くなり実態を調査するなり、そういうような作業があるのかどうか。これは、この現実の場合と、それから一般論と、両方について伺います。
  50. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答えを申し上げます。  まず、地方自治法百五十六条に定める国の地方行政機関設置をする場合におきましては、関係省庁から私どもの方に合い議をちょうだいいたしております。そして、そのときには、いろいろな理由、事情等を承りまして、それに対しまして私どもの考え方を申し上げるということにいたしておるわけでございまして、今回の行政管理庁の場合につきましてはそのような合い議がございましたので、協議の上、私どもといたしましてもこれに同意をいたしたということでございます。  それからそういう場合に地方団体の意見を聞くなり、そういった事情をどのように考えておるかということでございますけれども、私どもといたしましては、それにつきまして特に地方団体の意見を常に聞いておるというようなことではございません。ただ事柄によりましては、地方団体の意向というものを私の省で聞いてみるということもあり得ることであろうというふうに存じておるわけでございますが、今回の場合につきましては、国の行政改革の方針に従って行なわれるということでございましたので、特に聞くということをいたさなかったわけでございます。
  51. 安井吉典

    安井委員 現在、いわゆる地方支分部局というものの数はどれぐらいあるのか、合計でいいです。そのうち、いまの地方自治法第百五十六条によって国会の承認を受けて設置されたものはどれぐらいなのか。双方お聞かせください。
  52. 辻敬一

    辻政府委員 郵便局を除きまして約七千でございます。  国会の承認の問題は、行政管理庁といたしましては把握しておりません。
  53. 安井吉典

    安井委員 それはもう各省庁でやるのでしょうけれども、しかし、国全体の行政機構の総括をするのは行政管理庁じゃないのですか。それはひとつ資料で出してください。会議が終わるまでに出してください。  それから、どこまでを承認案件とするかというのが、各省庁でどうもまちまちのように思います。さっき財務部の問題で取り上げたとおりです。どこまでを承認案件にするのか。これはして、これはしないということについての一定のルール、それはあるんですか。それはどういうことですか。
  54. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答えを申し上げます。  地方自治法第百五十六条第六項におきましては、国の地方行政機関は駐在機関を含めまして国会の承認を経なければならないということになっておりますので、規模の小さい駐在機関のようなものでございましても、新たに設置をするという場合におきましては承認が必要であるというふうに考えておるわけでございまして、関係省庁におきましてもそういったことで御協議をこれまでいただいておるというふうに存じておるわけでございます。
  55. 安井吉典

    安井委員 とにかく大小を問わず、どんな小さいものまで必要なんだ、こういうふうに理解していいわけですね。
  56. 中村瑞夫

    ○中村説明員 一般的にはそのように考えております。ただ、たとえば国家公務員の宿泊所のようなものを設けるとかいうようなことで、およそ行政機関といったものでないようなものにつきましては例外的なものもあろうかというふうに考えておるところでございます。
  57. 安井吉典

    安井委員 そこで、議論がこれからいろいろ発展していくんですけれども、法制局からもおいで願っていますが、さっき申し上げましたように、行管庁設置法と大蔵省設置法とでは、同じ県単位の支分部局を廃止する場合、行管庁の方はちゃんとこうやって法律で出てくるのですけれども、大蔵省の方は法律も何もない。国会に全く無関係財務部がつぶされていく。その差は設置法の規定の仕方にあるようですね。そんなふうにまちまちな各省設置法のあり方でいいのかどうか、その点を一つ伺います。
  58. 味村治

    ○味村政府委員 地方支分部局設置は、国家行政組織法の第九条によりまして、法律の定めるところによって設置することができるということになっております。そして、この「法律の定めるところにより、」と申しますのは、支分部局の種類はもちろん法律で定められるわけでございますが、その具体的な設置場所あるいは権限、管轄区域といったようなものは場合によりましては政令、省令に任される、法律の規定によりましてそういう場合もあるわけでございます。したがいまして、具体的な地方支分部局につきまして法律でどのような規定をするかということは、これは支分部局の重要性と申しますか、その他のいろいろな事情を御判断の上で設置法で規定されているものと存じます。先ほど御指摘のございましたように、確かに行政管理庁の場合と大蔵省財務部の場合とでは規定の仕方が違うわけでございますが、これは私も経緯をよく存じないのでございますけれども、やはり設置法をつくりますときにそれぞれいろいろの経緯があったものであろうかと推察するわけでございます。
  59. 安井吉典

    安井委員 ですから、行政管理庁設置法では、群馬行政監察局、三重行政監察局というように、一覧表で全部法律に載っているんですよ。これ一つを変えるにしても、全部国会の議決がなければできないわけですね。ところが大蔵省設置法の方は、財務局までは名称も位置も管轄区域も書かれておりますけれども、財務部の方になったら、所要の地に財務部を置く、政令で定める、こう書いてあるだけですね。だから、こっちの財務部の方は何も国会に関係なし、こっちの方は国会にきちっと出している。  ほかの設置法全部お調べになったことありますか。全体的な統一がとれているかとれてないか、その点、お調べになったことがあるかどうか、それを伺います。
  60. 味村治

    ○味村政府委員 私としてはございません。
  61. 安井吉典

    安井委員 これは後でひとつ資料を御提出いただきたいと思います。  そして、いまここでもお話がありましたように、むしろいまの、国会でのその制約から逃れるために、国家行政組織法の改正をして中央省庁の部や地方出先機関等の設置についても国会の議決が一切要らないように、それは全部政令事項に任せてしまえというような、国家行政組織法そのものの改正が検討されているということを聞くわけですが、これは一回つぶれ、二回つぶれ、三回つぶれ、いまやっているのは四回目の検討ですよね。なるほど、それでは政府の方はやりよくなるでしょう。しかし、国会と国民の存在は無視されるのではないかと思うのでありますが、そんな検討や作業が行われているんですか。この行政組織法は、管轄はやはり行政管理庁でしょう。どうですか。
  62. 辻敬一

    辻政府委員 国家行政組織法の問題につきましては、御指摘のようにいろいろな経緯があるわけでございます。臨時行政調査会におきまして、「組織・機構の画一性・硬直性の除去および行政運営の能率の向上を確保するため、内閣自体の自律的な組織編成権を大幅に認めるべきである。」というような意見が出されたことがあるわけでございまして、先ほど安井委員の御指摘のように、四十六年から四十八年にわたりまして国家行政組織法の改正案を御提案申し上げたことがあったわけでございます。その内容は、組織の弾力性を高める見地から組織規制権限を大幅に移管するということであったわけでございますが、結果といたしましては廃案になったわけでございます。先般四月に行政監理委員会委員から意見が出されたわけでございますけれども、その中にも、「諸情勢の変化が著しく、しかも迅速な対応が求められる時代の行政管理方式としては、行政組織の規制を相当範囲政令以下に移行させることが適当と思われるので、検討を要望したい。」旨の御意見もあるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、このような御意見あるいはまた、かつて国会におきます御議論等を十分に勘案をいたしまして、今後慎重に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  63. 安井吉典

    安井委員 国会や国民の目を逃れようということは間違いですよ。そのことだけはひとつはっきり申し上げておきます。  そこで、もう少しお尋ねがあるのですけれども、後の質問との兼ね合いからあと五分ぐらいで終わりますが、五分たったら食事にありつける、そういうことにお考えおきいただきたいと思います。  その間で特に伺いたいのは、自治省の先ほどの御説明もありましたけれども、この自治法百五十六条によるところの承認というのがきわめて形式的になり過ぎているのではなかろうか。あの法律にこれがあるから国会に提案をしているんだということ、そういうような形で、自治省の方も、出てきたらほいほい、こういうことになるし、ただあの規定があるからやるのだというような全く形式的な仕組みに今日まで流れ過ぎてきているのではないかという感じが私はするわけです。今度この質問をするものですから、あの百五十六条の改正規定が昭和二十二年の自治法の改正の中に加えられたときの提案理由の説明から何から、みんな調べてきました。しかし、あの中でも余り議論がなくて、すっと通ってしまって、そしてまた今日まで、恐らくこんな形で、問題を提起したのは私が初めてではないかと思われるぐらい、すっと来てしまっているわけです。今度もこういうような形でこの委員会承認案件が提示をされている、こういうわけです。しかし、現在の国の出先機関のあり方は、さっきから私が指摘しておりますように、まちまちなんですね。全く全体的なけじめがなくて、筋もへったくれもなくて、その場その場でつくられてきているというふうな状況の中にあるわけなんですね。ですから、もう少しこの承認というものを強める必要があるのじゃないか。設置だけが承認案件ですけれども、廃止についても承認案件の中に入れるぐらいのチェックが必要ではないか。そういうようなことで住民の意思も盛り込んでいくという考慮も必要ではなかろうか。その点、今日まで、自治省も関係官庁も怠慢だったと思うのですがね。この点について、これは立法論になるわけですが、どうですか。
  64. 中村瑞夫

    ○中村説明員 地方自治法第百五十六条の立法の趣旨でございますが、これにつきましては、私ども承知いたしておりますところでは、自治法を制定いたしました当時、それまでいわば普通の総合官庁と申しますか、知事のところで大抵の事務が処理されておりましたものが、知事が地方団体の公選による知事だということになりました関係上、国の各種の事務につきまして、それを処理するために国の地方出先機関がだんだんとふえてくる、そういう事情が地方自治の立場からいって多分に問題である、こういうことから、いわば国の地方出先機関がみだりにと申しますか、あるいは安易にと申しますか、そういう形で増設されることを防止するためにこの規定が置かれたものだということでございまして、今日におきましても、私どもといたしましてはそういう趣旨は十分体して努力をいたしてまいったと、みずからは考えておるわけでございます。  ことに、この百五十六条の国会の承認をいただきますのは、いろいろと小さな組織等もあるわけでございますけれども、それ以外に、法律の中に具体的に組織等が組み込まれておるようなものもございまして、そういったものを含めまして、法案の立案の段階でいろいろと各省庁から御協議をいただきました場合には、私ども、いまのような立法の趣旨を踏まえまして、私どもの方の御意見を十分申し上げるというふうにいたしておるところでございます。  それから、この規定を、廃止の場合についても国会の承認等要するような方向考えるべきではないかということでございますけれども、確かに、国の地方行政機関が、設置の場合のみならず、廃止の場合におきましても地方住民の利便と関係があるというふうには思われるわけでございますけれども、ただ、この規定の立法の趣旨と申しますのは、いま申し上げましたように国の地方機関設置による、地方自治に対する支障を防止するということでございますので、この規定の中でいまのような御趣旨のことを直ちに規定することが適当であるかどうかにつきましては、なお慎重に検討を要する点があるのではないだろうかというふうに存じておるわけでございます。  なお今後とも、この規定の趣旨につきましては十分それが生かされてまいるように、私どもといたしましては努力をいたしてまいりたいというふうに存じております。
  65. 安井吉典

    安井委員 あと、休憩後に譲ります。
  66. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ————◇—————     午後二時三十五分開議
  67. 始関伊平

    始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨の説明を求めます。中川農林大臣。     —————————————  農林省設置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  68. 中川一郎

    中川国務大臣 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  第一は、農林省の省名の農林水産省への変更及び水産庁の組織の整備強化についてであります。  わが国の水産業は、農林業と並ぶ重要な第一次産業であり、また、水産物は、国民の動物性たん白質食料の供給源として重要な地位を占めております。  しかしながら、二百海里時代の急速な到来等わが国水産業を取り巻く諸情勢はきわめて厳しいものとなっており、これに対処して、わが国水産業の発展と水産物の安定的供給の確保を図ることは、現下の重要な政策課題となっております。このため、わが国周辺及び遠洋海域における水産資源の開発、増養殖の推進、漁業外交の強力な展開等二百海里時代に即応した施策の充実強化に努めているところでありますが、水産行政を担う組織の面におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るようその整備強化を図ることが必要となっております。  このような事情にかんがみ、農林省の省名を農林水産省に改め、国家行政組織における水産行政組織の位置づけを明確にするとともに、わが国の漁業水域内における漁業の振興を担当する部局として、水産庁に振興部を設けることとしたものであります。また、今後の政策課題に即応した試験研究の拡充強化のため増養殖についての基礎的研究を行う養殖研究所及び漁場造成、漁船等についての研究を行う水産工学研究所を設けることとしております。  第二は、林野庁の組織の整備についてであります。  最近におけるわが国の森林・林業をめぐる情勢は、木材需要の伸び悩み、木材価格の低迷等により国内林業活動が停滞する等きわめて厳しいものとなっており、民有林、国有林を通じてその現状の打開が強く迫られております。  このため、林道、造林等生産基盤の整備、担い手の育成確保を初めとする民有林対策の充実強化とともに、国有林野事業の自主的経営改善の計画的推進及び財政援助措置の強化が必要となっている一方、行政組織の面におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るよう民有林、国有林を通ずる行政の統括機能の強化を図るとともに、国有林野事業の自主的経営改善措置の一環として、その組織の簡素合理化を図ることが必要となっております。  このような事情にかんがみ、林野庁に次長を新設する一方、北海道にある五営林局を再編整備することとし、札幌営林局を北海道営林局に改めるとともに、他の四営林局を北海道営林局の支局とすることとしたものであります。  第三は、食糧庁の組織等の整備についてであります。  最近、食品に関する物価、流通対策の充実の要請はますます強くなっており、これにこたえるためには、よりきめの細かい行政推進が必要となってきております。  このため、全国的な組織を擁し、かつ米麦及びその加工食品のほか野菜の流通業務にも経験を有する食糧事務所を食品全般の価格、流通対策の充実のために活用することとし、食糧事務所が食品全般について、その流通の改善等のための事務を行い得ることとしたものであります。  また、食糧庁の内部部局につきましては、行政機構簡素合理化の趣旨を踏まえ、その再編成を行うこととしたものであります。  第四は、本省の内部部局及び付属機関の組織等の整備についてであります。  近年における土地及び水に関する農業的利用の動向を踏まえ、その必要とする土地及び水の確保を図るためには、土地及び水に関する施策を長期的見通しのもとに計画的に推進することが必要となっております。このため、構造改善局農政部の所掌事務である農業振興地域整備計画及び農業水利制度にかかわる事務を同局計画部へ移管し、土地及び水の計画的な確保に関する事務を同部において一元的に処理することとしたものであります。  また、沖繩県農業におけるサトウキビの重要性にかんがみ、その生産対策の一環として、優良種苗の生産供給体制の確立を図ることが必要となっております。このため、沖繩さとうきび原原種農場を新設することとしたものであります。  さらに、試験研究機関のうち農業技術研究所、畜産試験場、蚕糸試験場、家畜衛生試験場及び食品総合研究所の五機関につきましては、五十二年度に移転した試験研究機関に引き続き筑波研究学園都市への移転を行うこととしております。このため、その位置が東京都または千葉県と規定されているのをそれぞれ茨城県に変更することとしたものであります。  なお、その他所要の規定の整備を行うこととしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその主要な内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  69. 始関伊平

    始関委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕      ————◇—————
  70. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 次に、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、北海道管区行政監察局分室設置に関し承認を求めるの件の両案件議題とし、質疑を続行いたします。安井吉典君。
  71. 安井吉典

    安井委員 午前に引き続きまして、お尋ねを続けていきたいと思います。  十二月二十三日の閣議決定、「行政改革推進について」という資料でも、第七番目に地方事務制度の問題を掲げてあります。また、これは新しくできたのでしょうね、行政管理庁の「行政改革効率の高い政府をめざして」という格調の高い、かなりお金がかかったと思われるパンフレットがあります。この間いただきましたが、これを見ましても、最後のところに「地方事務制度を廃止する方向を打出しております。」として書かれています。  この地方事務官という制度は、各都道府県にある社会保険事務所、職業安定所あるいは陸運事務所等これらの役所は、ちょうどここに勤めている職員の方は地方公務員と国家公務員のあいのこみたいな存在のままに戦後三十年放置されてきているということでの問題があるわけです。憲法が改正されて、地方自治法ができて、自治体と国の出先機関がきちっと区分をされたその際に、どうしても整理できないものとして残ったのがこの三つで、これが地方事務官、しかもこういう妙なものはいつまでも置くわけにはいかぬものですから、「当分の間」と自治法附則第八条に規定されているのが、当分の間、当分の間と、何と三十数年たってしまったというわけであります。  この変則的な状態を早く解決しなければいけないということで、国会でももう毎年、毎年、繰り返し繰り返し、それこそ三十何年論議がされてきた。さらにまた、各種の審議会調査会等も、これは一々挙げませんけれども、しばしば地方自治体に移すようにという勧告を続けてきていますし、全国知事会を初め、各地方議会の議決も同じ趣旨で相次いでいます。ことしに入っても、群馬県議会だとか高知県議会等での議決もあります。国会の方も、これももう挙げて数うべからずという、決議また決議と、こういうことになっているわけで、とりわけ七十二国会で両院の地方行政委員会地方移管の決議をし、当時の三木総理は、五十一年三月三十一日までに移管をいたしますという約束までしているわけです。ところが、それさえほごになって今日まで来ているわけで、したがって、今度の行政改革の一環として地方事務制度が廃止されるということに私たちは期待をつないでいたわけであります。  ところが、どうもいままでのいろいろな経過と反するような結論になったようです。いままでのさまざまな動きというのは、全部地方自治体のものとして強化をすべきだという方向だったのに、今度は運輸地方事務官だけについて、車検登録事務国家公務員にする、陸運事務所は国の行政機関としていく。それから道路運送関係等の残りはさらに引き続き協議をしていくというようなことで、地方事務官というものがまだもう少し尾を引いていくような感じです。さらに、厚生省と労働省の関係は二年以内に廃止ということで、これまた見送り。こういうあり方は、いまずっと述べてまいりましたように、まさに三十年の経過に逆行するあり方だ、こう思うのですが、まず基本的なこの考え方についてお答えをいただきたい。
  72. 辻敬一

    辻政府委員 地方事務官の性格あるいはこの問題の経緯につきましては、ただいま安井委員のお述べになりましたとおりでございます。いまお話のございましたように、何分にも三十年来の懸案でございますので、一挙に解決することはきわめてむずかしいわけでございます。  そこで、先般の閣議決定におきましても、いわば二段構えにいたしまして、調整が比較的容易であると考えられます運輸省の陸運関係地方事務制度につきましてまず手をつける。それから厚生省の社会保険関係及び労働省の職業安定関係地方事務制度につきましては二年以内に廃止する、こういう構えで問題の解決を推進してまいりたいと考えているわけでございます。  ただいまお述べになりましたように、地方自治の立場を尊重いたしますことは当然でございますけれども、また、一方におきまして、行政事務をどのように国と地方の間で分担いたしましたならば一番効率的、合理的であるかというそういう立場考えなければいけないわけでございまして、そういう両面の立場考えながら適正な解決を図ってまいりたいと思っている次第でございます。
  73. 安井吉典

    安井委員 それでは納得できないわけですよ。いままで地方自治を尊重する方向でということを前提にして進めてきたのが、とりあえずという今度の陸運関係の処理においてはあべこべなんですね。新しい国の出先機関を設ける、国家公務員の数をふやす、国の行政改革を進めるというその姿勢からいっても、こんなおかしいことはないということではないかと思います。  そこで、もう少し今度の閣議決定の具体的な措置の中身について伺いたいのでありますが、このように決まるとすれば、決まったような法制措置が必要なわけですね。それはどういうふうにするおつもりなのか、どういうふうに進んでいるのか、それを伺います。
  74. 梶原清

    ○梶原政府委員 お答えをいたします。  運輸省といたしましては、先生御指摘閣議決定の趣旨に従いまして、目下行政管理庁、自治省、運輸省の間で鋭意協議を進めておるところでございますが、成案を得次第所要の関係法律案を国会に提出させていただくように考えておるわけでございます。どのような法律改正が必要となるかということにつきましては、現在も協議の過程にあるわけでございますので、現段階におきましては明確に申し上げることができないわけでございますが、たとえば現在都道府県知事に機関委任されております事務を国の組織が行うこととなりますことに伴って道路運送車両法などの関係法律の改正が考えられる、こういうふうに考えるわけでございます。
  75. 安井吉典

    安井委員 閣議決定のとおりいくならばという仮定の上に立ってのお尋ねなんですが、これは運輸設置法の改正は要らないのですか。運輸設置法の改正と言えば、わが内閣委員会の所管です。しかも来月の十七日にこの国会は終わるわけですよ。それは間に合うんですか。それとも別なことのお考えがあるんですか。
  76. 梶原清

    ○梶原政府委員 運輸設置法の改正も必要になろうかと思うわけでございますが、現在関係省庁の間において、内容につきまして鋭意協議をしておる、地方事務官問題の扱いにつきまして協議をいたしているところでございます。
  77. 安井吉典

    安井委員 自治省の方はどうですか。
  78. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  運輸関係地方事務官の問題につきましては、ただいま行政管理局長業務部長から御答弁がありましたとおりでございまして、現在三省庁間において検討いたしておるところでございます。私どもといたしましては地域の実態に合った形で関係事務が処理されるようにということがかねての考えでございまして、これまでもそのような方向で努力をいたしてまいりましたし、今後の協議におきましても、そのような方向で努力をいたしたいというふうには存じておりますけれども、何分にも多年の難問でございますので、これからいろいろと各省庁の間で議論を詰めてまいる必要があるのではなかろうかというふうに存じております。そのような次第でございまして、関係法律等の点につきましては、この段階で申し上げるまでには至っておりません。  以上でございます。
  79. 安井吉典

    安井委員 いまのような状況からすれば、五月十七日のこの国会中に新しい法律が成立するなどということはおぼつかないのではないか、そんな感じを受けるわけです。  もう一つ伺いたいのは、車両登録事務の二千五百五十一人の方は国家公務員の方にということで何か話がついたというふうに伝えられていますが、道路運送関係の残り三百四十九人の方は懸案のまま残して、引き続き協議をする。これは地方事務官のまま残すんですか、どうですか。
  80. 辻敬一

    辻政府委員 陸運事務所で行っております事務は、御承知のように、大きく分けまして三つあるわけでございまして、車検と登録と輸送行政管理の三つの事務でございます。そのうちただいま御指摘ございましたように、車検、登録の事務を国の事務にするということにつきましては、おおむね関係省庁間で調整がついているわけでございますが、輸送行政事務、つまり許認可事務をどのように国と地方の間で配分するかにつきましては、いろいろな御議論、御意見がございまして、まだ政府部内でも最終的な調整に達していない段階でございます。
  81. 安井吉典

    安井委員 これは三省にまたがっているから、だれに聞けばいいのかわかりませんが、やはり中心運輸省だろうと思いますから伺います。  いまのようなお話では内容についても煮詰まっていないんだな、しかもその法律のつくり方についてはもっと先の問題だというような印象を受けるのですが、五月十七日の国会終了までに間に合うというつもりでやっておられるのか、それとももうあきらめているのか。もうすぐに連休ですからね。あす、あさって、これが出てくるようには見取れません。そうすると、五月の飛び石連休が終わってからと言うと、会期はもう一週間ぐらいしかないでしょう。そういう中でどうしてこれが処理されるのか。どんなお考えなんですか。
  82. 梶原清

    ○梶原政府委員 今日の段階におきましては、閣議決定の趣旨に沿いまして、鋭意関係省庁の間で協議をすることに努力しているところでございます。
  83. 安井吉典

    安井委員 そんな程度なら大体推測がつくと思うのですが、そこで残された厚生省とか労働省の問題があるわけですね。これらについては、陸運関係を今日までのいろいろな経過に逆行するような方向で決めようとしているわけでありますけれども、それと同じような考え方で厚生や労働の問題に接近していくというようなことではまさかないのではないかと思うのですが、どうですか。
  84. 辻敬一

    辻政府委員 厚生省及び労働省の地方事務制度につきましては、閣議決定で決まっておりますように、「二年間以内に廃止するものとする。」ということになっておるわけでございます。今後どのようにしてそれを具体化していくかという問題につきましては、関係省庁間でこれから協議をいたし、調整をいたして詰めてまいるべき問題でございます。従来からの経緯、あるいはそれぞれの行政事務の性格でございますとか職員の身分でありますとか、あるいは地方行政の関連でございますとか、そういう問題にも十分配慮しながら、適切な解決を見出すように最善の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  85. 安井吉典

    安井委員 いままで勧告や建議や決議や、そういうものがたくさんあるわけですね。そういう経過を尊重しないで問題を解決するような考え方はあくまで間違いだと思うのですが、そのように考えていてよろしいですね。
  86. 辻敬一

    辻政府委員 従来からの経緯あるいは御議論、御意見等につきましては、私どもも十分に承知をいたしております。しかし、先ほど申しましたように、もとより地方自治の立場を尊重すべきでございますけれども、また一方にそれぞれの事務についての個別の事情もあるわけでございます。どのように国と地方の間で事務配分いたしましたならば最も効率的、合理的に事務が遂行できるかという観点も同様に重要な問題でございますので、その両面を考え合わせながら、あくまでも適切な結論を出すように努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  87. 安井吉典

    安井委員 これも行管庁の方に伺いますが、運輸省の処理の中で国家公務員がふえるわけで、定員法の問題です。     〔小宮山委員長代理退席、藤尾委員長代理着席〕 これについては地方事務官という仕組みが変わってくるわけですから、後の問題は後の問題として、いま起きようとしている問題についてはどういうふうな処理をされるおつもりですか。総定員法という仕組みの根幹にも触れていく問題があると思いますが、どうですか。
  88. 辻敬一

    辻政府委員 ただいまの定員管理法制で申しますと、地方事務官は自治法附則八条の定員ということになっておりまして、いわゆる総定員法の中に入っていないわけでございます。今回の地方事務制度の廃止によりまして、地方事務官が運輸事務官あるいは運輸技官となるといたしますと、これは当然総定員法の中に入れていかなければならないと思っております。その場合に総定員法の限度をどうするかという問題があるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この問題は、ただいま各省間で最終的な処理を詰めておる段階でございます。その一環といたしまして総定員法の取り扱いも含めて検討いたしまして、結論を出したいと思っております。
  89. 安井吉典

    安井委員 いまの運輸省側の説明によると、運輸事務官なり運輸技官と明確になる部分と、運輸地方事務官ですか、そういういままでどおりの形で残るものと何かできそうな感じですね。そういうふうな非常に複雑な運びになるような気もするし、それから今度の場合は三千人足らずでありますけれども、厚生だとか労働などがこんな運びになるようなことになったら、これはもう大変なわけですよね。もう総定員法もへったくれもなくなるわけですよ。いままででも国立医大ができてからしり抜け同然の状態になっている総定員法が、またぞろこの問題をきっかけにしてどうしようもないようなかっこうになるのじゃないですか。根本的な見直しとかなんとかというようなところにはいかないですか。
  90. 辻敬一

    辻政府委員 地方事務制度の廃止に伴いまして、国家公務員の総体の数がふえるということではもちろんないわけでございます。先ほど申し上げましたように、定員管理の法制なり体系が別体系になっているわけでございます。地方事務官でございますと、附則八条の方の定員で管理をしておる、それ以外の者はいわゆる総定員法の方で管理をしておるということでございますので、いわば国全体の定員の管理の体系の中の区分の問題であろうかと思っているわけでございます。  それから昨年度お願いをいたしまして、新設の医科大学だけ特例措置を講じていただいたわけでございますけれども、厳密に申しますと医科大学等の新設大学でございますが、何しろ新設の医科大学は一校つくりますと千人定員がふえるというような特別な問題でございますし、総定員法当時予想されなかった事態でございましたので、当分の間の措置といたしまして特別に枠外としていただいたわけでございます。私ども総定員法全体の考え方といたしましては、国家公務員の総数の増加を抑えながら、行政需要の消長に応じまして定員の合理的な再配置を機動的、弾力的に図っていくというこの総定員法の趣旨自体は今後とも堅持をいたしてまいりまして、厳正な定員管理を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  91. 安井吉典

    安井委員 別枠別枠というようなかっこうで問題を処理していくというようなことは私は反対であります。やはりきちっとしなければいかぬと思うのだが、まあ総定員法の問題は別にいたします。  自治省の方に伺いますが、いまの運輸関係の問題についてのお考えは先ほどちょっとお話があったけれども、これから後提起されるべき厚生や労働の関係について、自治省としてのお考えをこの際明確にしておいていただきたいと思います。
  92. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答えを申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、国会における各種の御決議等も十分承知をいたしておるところでございます。私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、地方の住民の生活に密着した事務につきましては、できるだけ地方自治の場で処理をする、そうすることによりまして、地域の実情に合致した行政が行われることを確保したい、そのような方向で処理することが最も望ましいというふうに考えておるわけでございまして、今後とも基本的にそういう方向で努力をいたしたいというように存じておるわけでございます。  ただ、何度も申し上げますように、三十年来にわたる大変厄介な問題でございますので、必ずしも一律に処理をし切れないというような面もあるいはあろうかと思いますけれども、基本的な方向といたしましては、ただいま申し上げましたような方向で、いわば地方自治の本旨を損なうことのないようにということでせっかく努力をいたしてまいりたいというふうに存じております。
  93. 安井吉典

    安井委員 荒舩行政管理庁長官に、もう質問のおしまいの時間にだんだん近づきましたので、伺っておきたいと思うのですが、行政改革に打ち込んでおられる長官として、国の出先機関をさらにこれ以上新しくつくっていくという考え方は慎まなければいかぬのではないか。それからまた、国家公務員の定員をさらに増加していくというあり方についても同様慎んでいく。そのことが今後の行政改革なり国家行政機構をきちんと維持、発展させていくという上において大切なことではないかと思うのでありますが、どうですか。
  94. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 考え方では安井さんのお考えのような方向でございます。この三十年来懸案になってきておりまして、たとえば運輸省の陸運局の問題はいま御質問のとおりでございまして、なかなか調整がむずかしいです。これは自治省の方、運輸省の方、立場立場でいろんな意見があります。そういうことを踏まえまして、いまやっているところでございます。  それからなお、今後二年間に、厚生省、労働省というような問題も懸案になっておりますから、その線に沿ってやろうとは思っておりますけれども、三十年もむずかしく固まっている仕事ですから、これはなかなか大変だと思っております。  なお、第二の点で、一つの枠ができております定員法の問題、これはさっき辻局長が御説明申し上げたとおりで、たとえば医科大学の問題というようなものは別枠にしてもらいましたが、これは福祉国家をつくっていく上からいって、医療行政なんというのは大変な仕事でございますので、別枠になったことではあります。しかし、定員法から考えると、これも何とか方法がありはしないかというようなことも考えております。  それからなお、それでは公務員の人員が多いかどうかと言うと、外国と比べてあながちそうでもないのですね。人口千人当たり七・七人ですか。ですから、外国と比較をいたしまして、その国その国のあり方によって違いはありまするけれども、それほど国家公務員が多いという数字ではございません。しかし、なるべく行政のコストを引き下げるという点で、これは整理できるものは整理していかなくちゃならない。ただし、地方公務員は非常に多いのですね。これは外国と比較いたしまして非常に多い。特にこの十年ばかりの間において非常にふえてまいりまして、そのために地方の財政というものが非常に困難な状況にある。こういうことも、人件費に取られてしまって非常に容易でないという点も考え合わせて、全体から見てバランスのとれた行政をしていかなくちゃならない、また行政改革においてもそういうことを考えていかなくちゃならない、こんなふうに考えております。
  95. 安井吉典

    安井委員 外国と比べて地方公務員の数が多いという問題は、これはもう地方自治の仕組みが違うわけですからね。フランスなんかはもう一万も市町村があって、選ばれた市会議員、町会議員が全部区分けして仕事をやるのですから、仕組みが全然違いますから、それの比較においては当たらぬし、住民に対するサービスをやるのだから、コンピューターにやらせるわけにはいきませんから、サービスをするには人間よりいないわけですよ。サービスのよしあしということは人間の数にも関係が出てくるということですから、これは別問題だと思いますが、繰り返してお尋ねするようになりますけれども、あと厚生とか労働の問題もあるわけですよ。それらの中で国の出先を新しくつくる。たとえば厚生省から、地方厚生局をつくろうなんという考え方がかつて出たことがあるわけですよ。だから、そういうような形で問題を解決すべきではない。つまり国の行政機関を新しくさらにふやすような考え方でこれから行政の組織の問題にアプローチしていくということは間違いだということ、これは一般論として私は正しいと思うのですが、その点だけ、ひとつもう一度伺います。
  96. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  確かにそのとおりでありますし、中央の問題もそうですし、地方もそうです。やたらにふやしていくということになったら、これは税金のむだ遣いになりますから、両方とも、地方中央も、なるべく人員は縮小できるだけは縮小しながら経費を節減していく、こういう考えが必要であろうと思っております。
  97. 安井吉典

    安井委員 初めの一般論に御賛成をいただいたようですから、それはそれで御答弁をいただいておきたいと思いますが、行政管理庁として、いままでは、何かなわ張り争いの外枠に立って問題を見ているというふうな態度があったように思うのですけれども、中間的な立場ですから、もう少しこの地方事務制度を廃止するという中に踏み込んで、問題の解決に当たるという立場が必要なのではなかろうか、こう思うわけです。これは行政監察監査週報にも辻局長は、「残る地方事務制度についても、これまでのように行司役だとして静観しているのではなく、積極的に意見も言って解決に当る所存です。」こう言われていますね。ですから、このようなおつもりで、もう少し問題の解決を早める、こういうようなお立場で臨んでいただきたい、こう思います。どうですか。
  98. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま御引用いただきましたとおりでございまして、積極的にこの問題の解決に当たるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。
  99. 安井吉典

    安井委員 それにいたしましても、やはり今日までの建議や勧告というその方向を見失わないように処理に当たられますことを望み、かつ期待して、ほかにいろいろありますけれども、これは別な機会に譲りまして、一応終わります。
  100. 藤尾正行

    ○藤尾委員長代理 鈴切康雄君。
  101. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 五十二年の十二月二十三日の閣議決定に基づいて、行政改革の一環として、地方支分部局整理統合が行われることになっておりますが、北海道の三地方行政監察局の整理統合は、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案として出され、また北海道管区行政監察局分室設置については、地方自治法第百五十六条の規定に基づき、国会の承認案件が提出されております。両法案についてはうらはらの関係にありますので、行政改革推進についての閣議決定を踏まえ、法律案の内容について御質問を申し上げます。  今回の行政改革における地方支分部局整理合理化の方針並びに整理の具体的な内容について、まず御説明願いたいと思います。
  102. 辻敬一

    辻政府委員 地方支分部局の問題につきましては、従来に引き続きまして、社会経済情勢の変化あるいはまた交通手段の発達等にかんがみまして、整理再編成を推進することとしているわけでございます。  まず、ブロック機関、府県単位機関につきましては、省庁別に個別に検討するということにいたしまして、四省庁、五種類、十二機関について整理を行うこととしているわけでございます。  それから支所出張所等、第一線機関、末端機関でございますけれども、これにつきましては、全体として約七千カ所ありますものの中から三年あるいは五年間に約一千カ所の整理を行うこととしているわけでございます。
  103. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 各省庁地方支分部局については、「当面、次のとおり約一、〇〇〇箇所について整理再編成を行う」というふうに書いてありますけれども、地方支分部局は全体で何カ所ありますか。また、郵便局を含めると大体何カ所ぐらいになるでしょうか。
  104. 辻敬一

    辻政府委員 支所、出張所から府県単位機関、ブロック機関全部合わせました総数は、郵便局まで全部入れますと二万六千ございまして、郵便局を除きますと七千八百九十八という数になっております。
  105. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省関係財務部、そして郵政省関係地方郵政監察局支局については、法律改正を必要としないというふうになっております。  そこで、ブロック機関地方支分部局設置形式についてお伺いをしたいわけでありますけれども、行政管理庁のブロック機関である管区行政監察局の部は法律事項になっておりますし、大蔵省のブロック機関である財務局の部は省令事項となっております。そしてまた、同じ大蔵省の国税局の部は法律事項となっております。同じ大蔵省でも、このように設置の形式が違うというのはどういうわけなのか。また法律事項あるいは省令、政令等にゆだねているということについて、大変に混乱があるように思われるわけでありますが、行政管理庁としては、この種の状況整理についてどのようにお考えになっておりましょうか。
  106. 辻敬一

    辻政府委員 地方支分部局内部組織の設置形式についてのお尋ねでございますが、地方支分部局内部組織は、一般的に申しますと、省令以下の形式によって定められているのが通例でございます。しかし、ブロック機関に限って見てみますと、内部組織、特に部の設置を法律で定めている例もあるわけでございます。そこで、ブロック機関のうち、部制をとっているものが現在二十五ございますが、法律で規定しているものが十三、その他十二につきましては政令あるいは省令以下で設置をするということになっているわけでございます。  なぜこのような区別があるかということにつきまして、特に明確な理論的な根拠と申しますか基準と申しますか、それは見当たらないようでございますけれども、強いて申し上げますならば、一般行政を担当しております機関の多くは部の設置を法律事項としておりますのに対しまして、現業機関につきましては、省令以下で設置するものが多いようでございます。しかし、この点につきましても、ただいまの御指摘と関連いたしまして、例外もあるわけでございます。この点、ブロック機関内部組織の設置根拠が区々になっておるということにつきましては、今後の一つの検討課題であると考えております。
  107. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 局長、いま検討課題であるというふうに言われたわけですが、どういう方向で検討をされるつもりでしょうか。
  108. 辻敬一

    辻政府委員 この問題につきましてもいろいろな経緯がございまして、昭和四十六、七年に国家行政組織法の改正に伴います整理法案を御提案申し上げた際には、ブロック機関内部組織で法律事項とされているものについて、すべて政令以下で定めるように改めるよう御提案申し上げた経緯もございます。いずれにいたしましても、各省庁設置法制を全般的に見直すという機会がございますならば、その際にあわせて検討いたしたいと考えております。
  109. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 支所出張所等を大体三年から五年間に整理統合するというふうにありますけれども、実施計画はどのようになっておりましょうか。たとえば一年目にはこういう計画、二年目はこういう計画、三年目はこういうふうにしますというような計画はぜひとも必要ではないかというように思うのですけれども、その点について、お考えを伺います。
  110. 辻敬一

    辻政府委員 五十三年度末までに約六百を整理する計画でおります。
  111. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 六百を整理するというわけでありますけれども、その整理する仕方に、一遍に六百ぽんとやってしまうのでなくして、やはり一年目にはこういう計画であり、二年目にはこういう計画であり、三年目にはこういう計画であるということについて計画性があってしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うわけでありますけれども、たとえば中央省庁の課とか室とか官とかの整理については二年間になっているわけですね。二年間になっておりまして、削減数は、偶数の場合は半分ずつ、奇数の場合は前年が多くなるというふうなやり方をとっているわけでありますから、そういうふうな計画性の必要があるのではないかというように思うのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  112. 辻敬一

    辻政府委員 地方支分部局整理は、先ほど御指摘もいただきましたように、三年とか五年の計画にしているわけでございますけれども、ただいまの段階で正確な年割り計画を定めているわけでは必ずしもないのでございますが、先ほど申し上げましたように、五十三年度までに約六百を整理するという計画にいたしております。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 やはり計画性を持ってやりませんと、一遍にまとめてやるというようなやり方になりますと非常に混乱を起こすわけでありますから、そういう意味においては計画性を必要とするのではないか、こう思うわけでありますけれども、大蔵省関係財務部については「昭和五十三年度に一部を廃止するほか、更に一部を廃止するものとする。」としておりますけれども、「更に一部を廃止する」時期が実は不明でありますが、この点については、いつをお考えでしょうか。
  114. 宮原翠

    ○宮原説明員 お答えいたします。  昭和五十三年度の初年度に北海道の小樽財務部を一つ廃止するという方針は決定いたしておりますが、その次の一つにつきましては、目下のところいろいろ検討しておるという段階で、場所と時期はまだ確定に至っておりません。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 うわさによりますと、これまた北海道じゃないだろうかというふうなことを言われているわけでありますけれども、北海道の方も検討の事項に入っているんじゃないでしょうかね。その点はどうなんですか。
  116. 宮原翠

    ○宮原説明員 財務部のどこを廃止するかということにつきましては、いろいろ考え方がございまして、局からの交通の事情とか、あるいは対象としている地域の事務の量とか、いろいろな基準から総合的に考えて小樽というのをことしは決めたわけでございますが、そういうわけで、決して先入観を持ちまして北海道ということでやっているわけではございませんので、御了解を願いたいと思います。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 「更に一部を廃止する」というのは、そうしますと、まだ場所も決まってないし、それからいつ廃止をするということも決まっていない、こういうことですか。
  118. 宮原翠

    ○宮原説明員 現在のところさようであるというふうに御理解いただいて結構でございます。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 支所出張所等第一線機関約七千カ所について三年から五年間に約一千カ所の整理を行うというふうにしておりますけれども、その中に全廃あるいは三割整理統合とか一割整理統合の中で「極力整理統合を行う。」というふうにこの閣議決定の中に書いてあるのと「整理統合を行う。」との表現になっているのがございますけれども、これは、「極力整理統合」と「整理統合」と、おのおのその持つ意味合いというものは違うと思うのですけれども、どういうふうにこれを判断したらいいでしょうか。
  120. 辻敬一

    辻政府委員 それぞれの機関の性格なり現状に応じまして、個別に検討いたしたわけでございます。したがいまして、ただいまおっしゃいましたように、比率あるいは数を明示いたしたのもございますし、そこまで行かなかったけれども、できる限り整理統合を行うということで決めたものもあるわけでございます。
  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 できる限り整理統合をやるというのは「極力整理統合を行う。」ということで、いわゆる「整理統合を行う。」というのはこれは決定事項だと、片っ方は努力目標であり、片一方はいわゆる決定事項である、こういうふうにとっていいでしょうか。
  122. 辻敬一

    辻政府委員 原則といたしましてこの率でございますとか、数でございますとか、それが明示してありますものは「整理統合を行う。」そこまで明示できなかったものは「極力整理統合を行う。」という表現にしてあるのでございます。
  123. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和五十二年の十二月二十三日に閣議決定をしたときには、まだ五十三年度の予算が成立していなかったわけであります。今日その予算が成立しましたので、これはどういうふうに反映され、どういうふうに進んでおるのかという問題がありますが、各省の実施計画に伴ってどのように推進されておりましょうか。
  124. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど申し上げましたように、五十三年度末にただいまのところの計画でございますと約六百を整理するということになっております。予算も成立させていただきましたわけでございますので、それぞれの省令等の措置によりまして、これから整理推進していくわけでございます。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうなりますと、たとえば予算についてはもう成立したわけでありますから、各省庁から予算上の決定に伴ってそれぞれ決められるわけでありましょうから、決められますと、行政改革本部の方へ報告されて必要なものは公表をする、こういうふうなかっこうになりましょうか。
  126. 辻敬一

    辻政府委員 適当な機会に、行政改革本部の報告というような形になりましょうか、何らかそういう形で取りまとめるつもりでございます。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その中には公表されないものも出てくるわけですか。
  128. 辻敬一

    辻政府委員 行政改革本部で取りまとめました実績については、公表いたします。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地方支分部局整理合理化を行う前提として、国と地方事務の再配分を行う必要があるというふうに思いますけれども、今回の行政改革ではこの点の検討、実施がなされていないようでありますが、どうしてでしょうか。
  130. 辻敬一

    辻政府委員 国と地方の間の事務配分の問題は、重要な基本的な問題であるわけでございます。第一次及び第二次の行政改革計画におきましても許認可整理という面からこの問題を取り上げまして、相当な事項にわたりまして地方委譲等の措置を講じたわけでございますし、今回の許認可整理千二百四十事項の中にも地方に委譲するものが二十八事項含まれているわけでございます。  しかし、それはそれといたしまして、国と地方間の事務配分基本的、根本的に見直すという問題になりますと、これは非常に大きな問題でございまして、そう早急に結論の出る問題ではないのでございます。また行政管理庁だけで取り扱える問題でもないかと思うのでございます。  そこで、冒頭に御説明申し上げましたように、今回の地方支分部局整理に当たりましては、社会経済情勢の変化であるとか交通手段の発達の状況であるとか、そういうものから見まして整理できるものは整理する、このような考え方に立ちまして、末端機関の千カ所、ブロック府県単位機関の十二というものを対象にして整理合理化を進めていくということにした次第でございます。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国と地方事務の再配分行政改革の最大の課題であるはずであります。これに関していま検討、実施がされていないということは、今回の行政改革の一つの欠点ではないかと私は思うわけでありますが、事務の再配分に関して過去いろいろな答申、その他があったわけでありますけれども、過去どのような答申がなされ、そしてそれをどのように実施されてきておるのでしょうか。たとえて言うならば、昭和二十五年に神戸委員会におきまして、この事務の再配分の問題についても言及しているわけでありますが、それについてずっと一貫してこの問題が取り上げられ、答申をされてきているわけでありますが、その実情についてお伺いいたします。
  132. 辻敬一

    辻政府委員 その神戸委員会の資料につきましてはちょっと手持ちをいたしておりませんが、従来の経緯を申し上げますと、たとえば第一次及び第二次の行政改革計画では、許認可整理に関連をいたしまして、都市計画関係事務、工場排水規制関係事務等九十七件の事務を取り上げまして、事務の委譲、権限の委任等の推進を図ってきたわけでございます。その九十七件のうちで現在まで八十六件、八八%が実施済みとなっております。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この事務配分の問題については、やはり原則がございますね。その原則をどのように御理解しておりますか。
  134. 辻敬一

    辻政府委員 昭和三十九年の臨時行政調査会答申の中に「行政事務配分に関する改革意見」というのがございますが、それによると、再配分の原則は現地性の原則、総合性の原則、経済性の原則ということになっております。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その原則に基づいて再配分を進めていけということでありますけれども、地方支分部局整理合理化を行う前提たる国と地方事務の再配分がこういうふうに一向に進まないというのは、それだけの理由があると思うのですが、その理由についてはどうお考えでしょうか。
  136. 辻敬一

    辻政府委員 これはいろいろな原因があろうかと思いますが、国と地方との行政事務配分は非常に大きな問題でございますし、各省所管行政とも絡む問題でございますので、従来必ずしも計画どおりにいかなかった面もあるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、許認可に関連をいたしましては従来から相当程度この権限委譲を推進してきた経緯があるのでございます。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、いろいろ事情があり、理由があるということですが、そのいろいろの事情とか理由とかいうものをもう少し明確に分析していただかないと、こういう問題については再配分というものはなかなか進まないわけです。行政管理庁としてはその点をもう少し明確に御答弁いただかないといけないのじゃないでしょうか。
  138. 辻敬一

    辻政府委員 ある行政を進めてまいります場合に、もちろん、地域に密着をすると申しますか、そういう個別性を尊重してまいるということも必要でございますが、一方におきまして全国的な統一を図って進めていくということも必要なわけでございますので、その辺の兼ね合いが恐らく一番問題ではなかろうか。いずれにいたしましても、具体的な問題になりますと、個々の行政制度のあり方なり、あるいはまたその行政事務の内容に関係いたしてまいりますので、具体的に解決を図っていくことが必ずしも容易でないという事情があるものと考えております。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 再配分ができないということについては、それなりに理由があろうかと私は思うのですけれども、国の地方公共団体への信頼関係がないというか、国が地方公共団体に対して非常に不信感を持っているという状態などもあるでしょうし、あるいは行政事務の再配分には財源が伴うから、そういう財源の問題等において非常にむずかしい問題があるということはもう常識なのですが、その点については、どうお考えでしょうか。
  140. 辻敬一

    辻政府委員 地方不信と申します表現が適切であるかどうかは別といたしまして、ただいま御指摘のような面は確かにあるものと存じます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 政府は一年がかりで十二月二十三日の閣議決定の具体策を一応お示しになったわけでありますけれども、行政監理委員会はこの具体策にも意見を表明しなかったわけであります。任期切れ直前のことしの四月十二日になって意見を表明するなど、適宜適切に行動しているとはとても考えられないわけであります。  行政監理委員会が五十三年四月十二日に、「今後における行政改革推進について」という中で、国と地方間の事務の再配分の問題について意見を述べている個所があります。ちょっと要約して申し上げますと、「新憲法施行の際、地方自治体と国との間で事務配分が行われて以来、種々論議された経緯はあるが、ほとんど結実していない。」「今回の行政改革において、ブロック段階の地方支分部局等基幹的組織の整理が必ずしも十分でないこともあり、長期的見地から逐次調査検討を進めることを要望するものである。」ということを答申いたしております。そういうことから考えまして、行政監理委員会も、どうせやめるならばここで一丁言っておけということで、ここのところで問題点を指摘しておるわけでありますけれども、今後行政管理庁としては具体的にどのようにお進めでしょうか。
  142. 辻敬一

    辻政府委員 四月十二日にただいまお示しのございましたような行政監理委員会委員意見が出されておるわけでございますので、この趣旨に沿いまして国、地方間の事務配分の問題につきましても、長期的見地から調査検討を進めることにいたしたいと考えております。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回府県単位機関整理合理化というのはどのような方針で行いましたか。
  144. 辻敬一

    辻政府委員 府県単位機関整理につきましては、ブロック機関も同様でございますけれども、省庁別に見直す、つまりケース・バイ・ケースで処置するという考え方で進めてまいったわけでございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 府県単位機関整理合理化は、今回行政管理庁大蔵省農林省、郵政省のみしか実施されていないけれども、その理由はどういうわけでしょうか。
  146. 辻敬一

    辻政府委員 府県単位機関整理につきましては、いろいろな考え方があるわけでございまして、かつてブロック機関のもとに府県単位機関が置かれているという、二階建てのような地方行政地方支分部局の構造になっているものを対象にして取り上げたことがあったわけでございます。そして四十六年にその線に沿いました法律案を御提案申し上げたことがあったのでございますが、それは成立するに至らなかったのでございます。  今回は、そういう経緯も考えまして、先ほど申し上げましたように省庁別に検討いたしました。その結果、閣議決定に見るような整理対象ということに相なったわけでございます。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十五年の十二月二十二日の閣議報告では、「(1)法務局および地方法務局の出張所について、昭和四十六年度以降五年間に、極力整理統合するとともに、地方法務局についても、出張所の整理統合に応じて措置する。(2)地方公安調査局を昭和四十六年度に廃止し、所要の現地事務処理機関を配置する。」としております。府県単位機関である法務省の地方法務局及び地方公安調査局は今回整理合理化の対象としなかったのはどういうわけですか。
  148. 辻敬一

    辻政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、四十六年のときには、考え方といたしましてブロック機関のもとにあります府県単位機関、それを取り上げたわけでございます。そういう意味で、地方公安調査局等を整理の対象に掲げまして原則として廃止する、必要ならば現地の事務処理の機関を設ける、こういうことにいたしたわけでございますが、法案が成立しなかった経緯がございます。また、一部府県単位機関からブロック機関への事務の集中ということを実施いたしました経緯もございますので、今回はそういう整理の基準はとらなかったわけでございます。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の行政改革では、ブロック機関整理合理化が行われていないわけでありますけれども、今後その推進をやはり図るべきではないかというふうに思うのですが、その点についての御意見はどうでしょうか。
  150. 辻敬一

    辻政府委員 ブロック機関につきましても、先ほど申し上げましたように省庁別に見直しを行いまして、いろいろと検討いたしたわけでございますが、御指摘のように、対象として取り上げた機関は多いとは言えない状況でございます。今後とも、この問題につきましては引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ブロック機関全国大体八ブロックにしているのが通常となっておるようでありますけれども、これ以上のブロック機関をとっているのは大体幾つありましょうか。また具体的に現状の報告をしていただきたいと思います。
  152. 辻敬一

    辻政府委員 ブロック機関の数は確かにお示しのように八というのが比較的多いわけでございますけれども、それぞれの行政の実態も違っておりますので、八よりも多いところもございます。たとえば防衛施設局は九カ所、入国管理事務所十四カ所、財務局十カ所、国税局十一カ所、営林局十四カ所、海運局十カ所、管区海上保安本部十一カ所、地方郵政監察局十カ所、地方郵政局十一カ所、地方電波監理局十カ所、地方貯金局二十八カ所、公共企業体等労働委員会事務局支局十カ所、地方調停委員会十カ所、そういうことになっております。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省の方にちょっとお聞きしたいわけでありますけれども、大蔵省の財務局、いま御報告がありましたように十カ所、国税局は十一ブロックというふうになっておりますが、この問題について整理合理化の必要があるのではないかというような意見もあるわけであります。この点についてどういうふうにお考えでしょうか。また、実施するについてはどういうふうな計画をお持ちであるのか。また、全然持っていないのか、その点についてお伺いします。
  154. 宮原翠

    ○宮原説明員 財務局についてお答えさしていただきます。  御承知のように、財務局は大蔵省におきまして国税と税関以外の大蔵省事務を総合的に処理する出先機関として存在するわけでありまして、事務内容は、たとえば金融機関の検査監督とか、あるいは国有財産の売り払いとか、そういうかなり現業的な性格の強い事務も行っております。それに戦後非常に経済膨張とともに事務量がふえてきているわけでございます。その上、その性格上、それぞれの地域の特殊性というものを背後に持っておりまして、現地に財務局なり財務部が所在いたしまして、その地域の行政需要をできるだけ細かく吸い上げて処理に当たっておるというのが実情でございまして、地元の利便とか行政効率等、そういう面から申しまして非常に要請が強いわけでございますが、この要請にこたえますためには、私どもといたしましては、現在の全国十に分けておりますブロック制度がかなり合理性を持っておるのではないかというふうに考えております。     〔藤尾委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、現在のところこれを整理合理化するという考え方は持っておらないのであります。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回、府県単位機関整理合理化については、大変に北海道に集中しておりますけれども、北海道に集中してしまったという、その理由についてはどうお考えでしょうか。
  156. 辻敬一

    辻政府委員 たびたびお答え申し上げておりますように、府県単位機関整理合理化につきましては、省庁別に検討いたしたわけでございます。個別に検討いたしました結果、このような結論になったわけでございまして、もとより北海道を初めからねらい撃ちにするというような考え方をとったわけではございません。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 九州の方でも何かこういうような話が出ておったけれども、いつの間にか立ち消えをしてしまったというような話も聞くわけでありますが、全然九州の方にはそういう話はなかったですか。
  158. 辻敬一

    辻政府委員 九州の方の機関整理対象としておりますのは有明海漁業調整事務局でございます。そのほか、ブロック機関等につきましても確かに検討の過程ではいろいろな御議論があったわけでございますけれども、その行政の実態でございますとか業務量でございますとか、そういうものを検討いたしました結果、今回の措置としては見送ったわけでございます。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 北海道と九州と対比して、九州の方の業務量とかそういうのが大変に多いからということで見送ったというわけでありますけれども、北海道と九州で、片一方は整理統合し、片一方は見送った。それには相当のいろいろの検討がなされてきたわけであろうかと思いますが、その具体的な理由としてどういうものが挙げられましょうか。
  160. 辻敬一

    辻政府委員 九州の府県単位機関を具体的に検討したことはなかったと思うのでございますが、たとえて申しますと、先ほどの御質疑に関連をいたしますが、財務局につきましても北九州財務局と南九州財務局と二つございますので、これの統合を検討したらどうかという御意見はございました。しかし、いろいろな財務局の仕事といたしております金融行政あるいはまた国有財産行政という見地から見まして、金融機関の店舗数でございますとか国有財産の数量でございますとか、そういう行政の対象を検討いたしました結果、その他の財務局に比べましても必ずしも遜色がないということもございますので、この際の措置としては見送ったわけでございます。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁の行っております行政監察に基づく勧告の実施状況についてはどういうふうになっておりますか。数字をもってお示し願いたいと思います。
  162. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいまの御質問の数字でございますけれども、北海道の場合、北海道管区行政監察局及びその管内にあります三地方局の問題をお答えいたします。  まず、監察関係でございますけれども、監察には、御存じのとおり中央計画監察とそれから地方監察とがございます。中央計画監察の北海道での実施の数でございますけれども、管区局で二十、函館五、旭川四、釧路四、合計で三十三。地方監察につきましては、管区局が四、函館局二、旭川局二、釧路局三となっております。合計十一でございます。  次に、行政相談の問題でございますけれども、受付件数、これは五十一年度の数字しか集計されてございませんけれども、管区局で三千六百三十四、函館局で二千八件、旭川局で二千二百五十八件、釧路局で千七百六十七件、合計九千六百六十七件という数字が出ております。このほかいろいろ業務はやっておるわけでございますけれども、数字で挙げますればそのとおりでございます。ただ、一本の監察につきましても、やや大きいものもあるし、やや小さ目のものもあるので、この数字だけではその業務量がはっきり数量化できているとは考えておりませんが、数字にしますと大体いまのようなことでございます。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 北海道でなくして、行政管理庁のいわゆる行政監察全般については、どのような数字になりましょうか。
  164. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 全般のものを申し上げます。五十一年度の数字を、まずちょっと申し上げたいと思います。  中央計画監察で全部で十三本、地方監察が二百十五本、それから特別調査と称するものが三本、これは先ほどの話で、中央計画監察と私ども一緒に勘定しておりますけれども、三本。それから行政相談の問題でございますけれども、行政相談の受付件数が、受付でございますけれども、五十一年度十五万二千九百三件ということでございます。全国的には一応そのような数字になっています。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この勧告をされておるわけでありますけれども、勧告をされていながら実現されていないものにはどんなようなものがございましょうか。また、そういう勧告されても実現されないというものの種類と同時に、その理由はどういう理由で……。
  166. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 勧告につきましては、各省庁において十分尊重していただきまして、改善措置がいろいろとられているというふうに考えております。ただその改善措置のとり方に、かなりと申しますか、やはり濃淡があるように私ども考えております。それで、たとえば改善措置がとられまして、それがすでに実効が上がっておるようなものとか、改善措置はとりましたけれども、まだその実効が上がるには若干時日がかかるものとか、あるいは改善措置をどういうふうにやるかということで検討中のものとかいろいろございますけれども、ただいまの検討中というようなものまで含めますれば、大体各省庁においては勧告を実施すべく措置がとられているというふうに私ども考えております。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどお話がありましたように、一度やって現在検討中であるとか、あるいは実際に答えが保留中であるとか、そういうようないろいろの理由をつけて、実際にはまだ勧告が推進されていないような状態もあると思うのです。それに対して、場合によっては再勧告が必要な場面もあるのではないだろうかと思うのですが、その点についてはどのようにお考えになりましょうか。また追跡調査をやる必要があるのじゃないだろうかということもしみじみ感ずるのですけれども、その点について、どうお考えでしょうか。
  168. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 私ども勧告しました場合に、勧告のフォローということを、非常にやはり先生御指摘のとおり重要なことだろうと考えておるわけでございます。それで、勧告をしました場合、物によって違うのでございますけれども、大体三カ月程度の範囲でいろいろその措置状況の回答をいただきます。その後半年、物によっては一年近くなるものもございますけれども、その後の改善措置状況ということで、最初にいただきました回答から漏れているようなものにつきまして、さらに御回答をいただくということをやっておるわけでございます。そこまでは必ずどの勧告についてもやることにしております。  それで、さらになかなかその実現が思うように進捗しないものにつきましては、適宜推進監察等を実施するように心がけておりまして、また事実推進監察をやったものもございます。それでございますけれども、先生御指摘のとおり、なかなか進捗しないものも多数あります。そういうものにつきましては、機会をとらえ、また、全体の監察計画との兼ね合いもございますけれども、なるべく十分のフォローをしていきたいというふうに心がけているし、今後ともそのように努力したいと考えております。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 推進監察の実施状況、これも報告してもらいたいわけでありますけれども、いま時間がないから、資料としてお出しいただけましょうか。
  170. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 後ほど資料として御提出申し上げます。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政相談委員法に基づく行政相談委員は、どのような基準でどのように配置をされておりましょうか、その状況についてお伺いいたします。
  172. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政相談につきまして行政相談委員というものが全国に置かれておりますけれども、これは一市町村に、小さなところでも必ず一人置くように、それから大きな市町村におきましては、大体人口五万人に一人というような基準で設置されております。  それで、現在全国で定数が四千五百七十六人となっておりますが、大体その地方の有識者の方に御委嘱するという方針がとられております。
  173. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大都市における行政相談委員の増員について、行政管理庁は、やはりかなり行政に対しての苦情とかあるいは相談とか、そういうものもあるわけでありますけれども、これからどのようにしてこの問題をとらえていかれましょうか。
  174. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 大都市の問題、確かに行政に対する国民の苦情なりというものは、都市と都市以外のところでかなり違った態様をなしておるように私どもも考えております。それで、大都市につきましては、先ほど申し上げましたように、行政相談委員を若干多く配置するようなかっこうになっておりますが、この問題、私どもの間ではかなり議論しておるのでございますけれども、大都市における行政相談のあり方、これは相談委員の配置ばかりでなく、臨時的な行政相談の個所をどのように設置するかとか、そういったものとも絡めまして今後大いに検討していきたいと思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、一番の問題は、大都市それから大都市以外の、あるいは農村と申しますかそういうところにおける行政相談のあり方がかなり違うということが一つのポイントになろうかと思いますので、その辺の分析をやっていきたいと考えております。
  175. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政相談委員法の第八条によりますと、「委員は、予算の範囲内において、その業務を遂行するために要する費用の支給を受けることができる。」とありますけれども、行政相談委員に対する実費弁償金の一人当たりの推移、これはどうなっておりますでしょうか。五十一年ごろからお答え願えればいいのじゃないでしょうか。
  176. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政相談委員の実費弁償金の推移でございますけれども、五十年に一人当たり年額九千円、五十一年一万円、五十二年一万一千円、五十三年一万二千円、こういうふうになっております。
  177. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実費弁償金の一人当たりは毎年千円足らずしか上がっていないわけですね。これに対して十分であるなんということは言えないにしても、少なくとも行政相談というのはかなり大きな役割りをしているわけでありますから、そういう意味において、今後この問題についてどういうふうな方向性でやっていかれますか。その他実物供与について予算措置はどうなっておりますでしょうか。
  178. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 先生御指摘のとおり、この行政相談委員の実費弁償金、私どもは低いのじゃないかというふうに考えております。ただ、予算の場合に、ほかのいろいろな民生委員とか人権擁護委員とかその他各種の委員がございますけれども、そういったものとの横並びでいろいろ決まっておりますので、行政相談委員だけを特別に引き上げていただくということがはなはだ困難であるような事情があるようでございます。でございますけれども、決して高いとは思っておりませんし、なお行政相談委員の活動に対しまして、これが低過ぎるのじゃないかというふうにも思われますので、今後その引き上げについて努力して、大蔵省の方との折衝もやっていきたいと思います。  それからお尋ねの現物と申しますかにつきましては、たとえば資料費等の名目で大体一万一千円程度のものが予算に計上され、支給されておるわけでございます。これは一人当たりの平均値でございますけれども、そういうふうに予算措置がされております。
  179. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに行政相談委員については、「その業務に関して、国から報酬を受けない。」こう規定されておりますけれども、職務の内容に比して実費弁償金というのは低過ぎるという声が強いわけですよ。全部持ち出しだ、こういうふうな声も聞くわけでありますが、行政管理庁長官としては、この実費弁償金について引き上げるというような処置を今後お考えになった方がいいのじゃないか。大変に御苦労されていることですから、行政管理庁長官がやはり一言そのようにして言ってあげればどれだけの励みになるかわかりませんから、その点についての御答弁を願います。
  180. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 行政相談委員仕事、まことに重要でありまして、御質問を受けることについて私は、いまの実費弁償がまことに少ないのでございまして、答弁を申し上げるのにも恥ずかしいような次第でございます。前年まで年間一万一千円をやっとのことで一万二千円にした、こういうことでございますが、相談委員の各位は国家の非常に大切な仕事であるというので、一人も文句を言う人はございません。しかしながら、これでいいというものじゃないのでございます。大蔵省といろいろ折衝をいたしましたが、人権擁護委員だとか民生委員というようなもの、こういうのと並べてみまして、みんなこういうような数字でございます。ことし、どこもまだ上がっておらないのですが、こっちがやっと千円上がったということですが、なお続いて、こんな数字ではまことに申しわけがないのでございまして、一生懸命努力いたしまして何とか上げていくようにいたしたいと考えております。
  181. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政管理庁長官としては、引き上げるように努力するということは当然のことですよ。  そこで、行政相談委員の身分の関係はどのようになっていましょうか。
  182. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 行政相談委員行政管理庁長官から委嘱された仕事、国の事務の一部を委嘱されたものでございまして、民法上の委任者と受任者の関係にあるというふうに考えております。
  183. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政相談委員の方々は本当に安い実費弁償金でけなげにもやっておるわけでありますけれども、たとえばいろいろの相談を受けるためにある場所へ行こう、そういうときに自動車事故等を起こしたという例も、これだけの人数が動くわけでございますから、かなりあろうかと思うわけでありますが、そういう事故を起こしたとき、どういうふうな取り扱いになるのか、またそのときの行政相談委員の身分の上からどのように取り扱ったらいいか、その点についてお伺いしましょう。
  184. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 そういう心配があるわけでございますけれども、幸いに行政相談委員行政相談委員の業務遂行中に事故に遭った例というのは現在までのところはないのでございますけれども、これはいつあるかもちろんわからないわけでございますが、そういう場合には、先ほど申し上げましたような民法上の委任者と受任者の関係ということでございますので、民法六百五十条第三項の規定によって委任者たる長官が補償責任を負うことになるわけでございます。それで具体的な災害事案が生じた場合には、補償金額、財源等についてはその都度措置することになろうか、こういうふうに考えております。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうような場合がいままでなかったからというお話でありますけれども、国家公務員並みの補償なりそういう体制がとられる、こういうふうに判断していいのでしょうか。
  186. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 確かに行政相談委員は、先ほどから申し上げておりますように、委任者と受任者の関係でございますけれども、一般の公務員とは若干違った性格もございます。ただ、その公務遂行上の事故につきましては、先ほど申し上げましたような条文に従って当然措置がとられるわけでございますが、それが一般公務員並みかどうかということについては、ちょっと私もよくわかりませんけれども、それに従って補償がなされるということは言えるわけでございます。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 よくわからない。それによって補償されると言っても、わからないですよ、もう少し明確に本当は答えていただかないと非常にわかりにくいわけでありますけれども。  話は、今度は北海道の管区行政監察局管内の三地方行政監察局の廃止をするという理由、これはどういうことでしょうか。
  188. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回御提案をしてございますように、行政管理庁出先機関の合理化につきましては、北海道にあります函館、旭川、そして釧路の三地方局を廃止いたしまして、そこでやっております業務のうち、行政監察仕事につきましては、これを札幌にございます管区の行政監察局に吸収をする。一方、行政相談の仕事は、これは非常に現地性の強い問題でございますし、住民サービスの問題とも関連いたしますので、その三地方局の後に分室という形で、これは管区の内部組織でございますが、設置をしたいということでございます。  なぜその三局を北海道で廃止することにしたかということでございますが、御承知のように、行政管理庁出先機関はブロック機関が八つございます。それ以外に、大体原則として府県単位に三十八の地方局がございます。それに、北海道においては特に道の中に三つ、地方行政監察局があるわけでございます。  私ども、今回の改革に当たりまして十分検討いたしました結果、北海道におきましては、御承知のように都道府県としては北海道庁があるだけでございます。実際の監察業務の実態から照らしましても、それぞれの三局が、管区の地方局と合わせて四局、それぞれ監察をやっていきました場合におきましても、やはり問題によっては、相当札幌の道庁と調整をする、調整をしなければいけない、こういう実態がございます。現実の監察の実施についても、実はそういう点を配慮してまいったわけでございます。そういうことを十分考えまして、三局を選んだわけでございます。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和四十五年十二月二十二日の閣議報告には、「地方支分部局整理再編成について」、そういうふうに書いてありますけれども、行政管理庁関係の「地方行政監察局を昭和四十六年度に廃止し、所要の現地事務処理機関を配置する。」というふうに書いてあります。それを今回は分室とするというわけでありますけれども、当時と、状況はどのように変わったでしょうか。
  190. 加地夏雄

    ○加地政府委員 ただいま御指摘のございました前回の四十五年のときの行政改革考え方、先ほど管理局長から御答弁申し上げましたように、四十六年の場合には、ブロック機関と府県単位機関、二階建ての形のような機関につきまして、それの合理化を図るという形で行われたわけでございまして、その際には行政管理庁設置法の一部改正という形で、地方行政監察局を事務所にするという形の御提案を申し上げたわけでございます。  今回の府県単位機関整理につきましては、これも先ほど行政管理局長が申し上げましたように、前回の考え方を変えまして、今回はそういった都道府県単位機関の個々の機関実情に即して見直しをやっていく、こういう考え方整理が行われたわけでございます。その点、前回のときの考え方整理と違っているわけでございます。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回、三地方行政監察局を廃止して、北海道の管区行政監察局の分室設置するということでありますけれども、分室の業務内容はどうなんですか。また、分室の管轄区域はどういうふうなんでしょうか。
  192. 加地夏雄

    ○加地政府委員 分室設置につきましては、これは先ほど申し上げましたように、いまの地方監察局でやっている業務の中で、特に行政相談を中心にした現地的な業務をやっていこう、こういうことで実は分室考えたわけでございます。  分室の規模といたしましては、一分室に九名ということでございます。主たる業務は、行政相談関係の現地的なサービス中心にやっていきます。ただ一部、監察関係の業務を全部札幌に持っていく関係がございまして、そういった行政監察の補完的な仕事も多少現地的な処理としてやらしてはどうかということで、分室としては、管区監察官が二名、うち一名は分室長の形になるわけでございますが、その二名のほかに所要の職員七名ということでございます。  以上でございます。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 行政相談業務の範囲とかあるいはまた管轄区域あるいはまた管区の局長の指示を受けて監察事業の補完をする、その補完をするということは一部分担をするということなんですけれども、これはどういうふうに管轄をお決めなんでしょうか。
  194. 加地夏雄

    ○加地政府委員 大変どうも失礼いたしました。  管轄問題でございますが、もともと分室というのは、先ほど申し上げましたように、これは管区の内部機構内部組織、こういう形になるわけでございます。したがいまして、たとえば地方局を廃止いたしまして支局とか出張所という形にいたしますと、いわゆる行政機関としての固有の管轄範囲を持ちまして、また独立した監察なりそういう活動をするわけでございますが、これはあくまでも分室というのは管区局長の補助機関でございまして、現実に独特の管轄分野を持ってやっていくということは、これはたてまえとしてはないわけでございます。ただし、北海道は非常に広域でございますので、行政相談につきましては、現実の実施面からいたしますと、従来三地方局が分担してまいりましたそれぞれの地域を、行政相談の関係については局長の指示を受けて処理をしていく、こういう形になろうかと思います。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは内部機構にしないで、いまあなたがおっしゃったように、支所とか事務所というようなことにすれば管轄区域がはっきりするわけですから、そういうふうにしてやられませんと大変混乱が起きるんじゃないでしょうか。管区が全然はっきりしないで、てんでんばらばらに内部部局としての動きをとるということは、大変にこれは問題を残すんじゃないですか。
  196. 加地夏雄

    ○加地政府委員 私どもは、実は分室の形でこの仕事をやっていて支障がなかろうというふうに考えておるわけでございます。その一つの考え方といたしまして、この際、行政機構の簡素化を図る、こういう一つの趣旨があるわけでございまして、そういう意味では法律上の規定がございますように、三地方局を廃止する、こういうたてまえを貫いたわけでございます。  その場合に、御心配いただくように、実際の行政事務上混乱なり支障があるかという問題がございますが、私どもは、そういう点については十分考えまして、そういうおそれのないような処理をしたい、こういうふうに考えております。特にいま申し上げましたように、分室の機能というものは、いわばサービス的な機能の業務が中心でございまして、たとえば一つの権限行為として機関としての行為をやる、こういう場合はあくまでもこれはすべて札幌の管区行政監察局長が行うという形になるわけでございまして、現地的な事務の中で主としてそういうサービス関係の業務を担当させるということでございます。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 内部機構にしてしまったんでは、やはり分室の管轄区域というのは明確にするわけにはいかないわけでしょう。そういうことになりますと、たとえば分室化したことによって、従来やっておった地方監察というのはどうなんですか。
  198. 加地夏雄

    ○加地政府委員 したがいまして、地方監察は北海道の管区監察局が実施をする。その場合に管区の実施の面につきまして、それぞれの地域的な分担と申しますか補助と申しますか、そういうものの機能分担はいたしますけれども、少なくとも地方監察という形で公式の勧告なり意見を出す場合は、あくまでもこれは北海道の管区の局長という形になろうと思います。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 時間がございませんので、最後にまとめてちょっとお伺いしますけれども、三地方行政監察局を廃止した後分室を置いたのでは、私は行政機構の簡素化、合理化にはつながらないのではないかというような感じがいたしますし、また北海道の管区行政監察局に行政相談部を置くことは、かえって組織の拡大であり、今回の行政改革の趣旨に反するのではないかと思うわけでありますけれども、どうして行政相談部というのを置いたのか、その点についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  200. 加地夏雄

    ○加地政府委員 再三申し上げますように、三地方局を廃止いたしまして、分室にした場合には、監察にいたしましても行政相談にいたしましても北海道管区の局長が実施をする、こういうたてまえになるわけでございますが、その場合に従来はそれぞれの地方局長地方局長の責任と権限におきましてそういう業務を実施してまいったわけでございます。その三地方局長にかわるものが、改正後は管区の局長、こういうことになりまして、北海道の非常に広域的な業務その他を考えますと、やはり局長だけでは非常に無理な面がございまして、局長行政相談部長が全域をそれぞれ分担して相談業務を推進していく、こういう形になるわけでございます。したがいまして、三地方局の廃止ということと行政相談部長設置というのはそういう関連にございます。全体としてお考えいただければ、決して機構膨張という形にはなっていないというふうに私どもは考えている次第でございます。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 長官、いまいろいろ質疑をしている中で、問題になるような個所もあるのですけれども、私ども行政改革という一つの大きな国民的な要望に沿って、安上がりの、そして開かれた政府をつくっていこうということについて協力を申し上げるわけでありますから、そういう意味において、行政管理庁長官というのは総理と同じように指導性が必要でございますので、最後に御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  202. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 大変激励をいただいてありがとうございますが、なかなか複雑な機構、またふやす一方で参りましたので、十分な目的が果たせない、これはまことに申しわけないと思っておりますが、御激励を得て一生懸命やってみたいと思います。  なお、余り急速にやりますと、私が考えているようなことをばたばたやると大変なことになるというようなことも考えつつやっておりますので、どうぞいろいろ御指導をいただいて、しっかりやってみたいと思います。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 終わります。
  204. 始関伊平

    始関委員長 受田新吉君。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩先生、先生は、ごく最近においてロッキード事件を処理する特別委員会委員長として名声を博したお方です。しかる後、裁判官弾劾裁判所の裁判長として鬼頭君を裁く大変な名裁判官の名声をほしいままにしたお方、この二つの経験を通じて、政治家としての感懐をお述べいただきたいのです。
  206. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  幸か不幸かああした問題の責任者になりまして、振り返ってみると、大変なことだったと思います。幸いに各党派の御支援を得て大過なくできた、こう思っております。しかし、私は法律家でございませんし、本当の党人でございまして、どういう面に当たりましても荒削りで、どうもいろいろな欠点もあったかと思います。しかし、幸いに大過なくできたということは幸せだと思っております。
  207. 受田新吉

    ○受田委員 私、荒舩先生のこの重要な二つのポストは政治家のだれもが願ったポストですけれども、余人を持ってかえがたいというのであなたがその任にあられて、しかもりっぱな成績を上げられた、政治家としての冥利に尽きたお方であると思います。そういうあなたが党人御出身の政治家でいらっしゃったというところで私たちはまた特別の魅力を感ずるのですが、官僚出身でない国務大臣として、行管のお仕事は英断をふるうことができる。官僚の御出身の方ならどこかにそうしたがっての官僚臭が手伝うて英断がふるいがたい。あなたは非常にいいポストにおられるわけです。  そこで、いまからお尋ねをさせていただきたいのですが、国の行政組織の基本に関する問題です。内閣政府という言葉がそれぞれ使われておるのですが、内閣政府の相違はどこにございますか。
  208. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  大変むずかしい御質問でございまして、あなたはそういうことの専門家でございますし、私は素人でございます。答弁に窮しておる次第でございます。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 これはきのう通告をしておいた中になかったかあったかわからないのですが、内閣提出の法案、政府提出の法案——行管という役所は、そういう国の機構に関する基本の問題を研究しておらなければいかぬわけなんです。したがって、行管という行政当局はそれについて見解をお持ちのはずです。内閣提出法案、政府提出法案、政府委員と言う。政府関係機関の予算案、そう言う場合がある。これはばらばらになっておるのです。行管はそういうところを、少なくともそういう名称についても統一をして、各省の制度も十分こなしていかなければならぬ役所です。この法案はどこの提出法案ですか。
  210. 辻敬一

    辻政府委員 内閣提出法案でございます。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 政府提出法案じゃございませんか。
  212. 辻敬一

    辻政府委員 法律上は、内閣提出法案であると存じます。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 議員提出法案と政府提出法案という、法律の提案権が両方にあるわけです。それで、内閣提出法案であって、政府提出法案では法律上はない。ところが、ここにおられる皆さんは政府委員で来られる、内閣委員じゃないのです。政府から出ておられる委員です。国会から出た委員じゃない、政府から出た委員である。つまり、政府という言葉内閣の略称であるのかどうかです。これを扱うのはやはり行管でなければならぬと思うのですね。各省にわたる国家行政組織を大局からながめて、課を新設する、局をつくる、課長に準ずるポストを置く、これはみんな行管の仕事になっておる。
  214. 辻敬一

    辻政府委員 政府委員という言葉につきましては、国会法の第六十九条にあるものと承知しております。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 法律に「政府委員」と書いてある。法律用語です。  政府関係機関の予算というのが出るのは御存じですか。
  216. 辻敬一

    辻政府委員 承知しております。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、内閣政府というものは、明確にどちらも法律用語になっている。その実体を明確にしておかれないと、行政機構の大局をにらむ地位にある行管としては、これはまずいですね、その説明をぴしっとしておかれないと。内閣法という法律によって運営されているのが内閣である。それは各省に主任の大臣を置くということで、その意味から言えば、内閣法に基づく行政機関内閣、こう判断していいと思うのです。政府は政治を預かる府ということで、行政府の略称だと思うのです。代議士という略称がある。これは代議制度の代表者という意味で代議士という略称になっておる。そうすると、ここに府と省と庁というもの、これはやはり国家行政組織法の中にちゃんと書いてあるわけです。これを明確にしておかれないと、いいかげんに府をつけたり庁をつけたりするのはおかしいわけで、府というのは何か、省というのは何か。これはやはり国家行政組織法に明記してあるわけでございますが、府とは何か。これは国の基本に関する問題ですからね、行管が御担当されなければいけないものだと思います。他の省へ回すべきではないと思うのです。  これはきのう質疑の通告をしておいたことでございますので、府、省、庁、それぞれ国務大臣を置いているこの名称、広辞林等を見ればそこへ解釈が出ておるわけですが、明治十八年十二月に内閣官制が出て、伊藤総理のもとに九省が生まれた。これが内閣官制のスタートで、そこから省がスタートしている。大宝律令には二官八省あって、神祇官、太政官があって、太政官には中務、式部、治部、民部、兵部、刑部、大蔵、宮内と八省があった。そういうものが省のスタートである。これはやはり国家行政組織の歴史をずっとひもといていって、そして将軍、幕政から明治に来て省が復活している。  府、それから省、庁がちゃんと国家行政組織法に書いてあるのでございますから、そういうところは基本問題として調べておかなければいかぬのです。府というのも、かつては法務府というのがあったのです。終戦直後に法務府というのがあって、その府の総裁がおって法務総裁。宮内省は戦後禁衛府、中国の言葉で禁衛とは宮中のことで、禁衛府長官というのが生まれて、菊地盛登という人が昭和二十一年に禁衛府長官になったことがある。復員庁というのができて、復員庁の総裁は笹森順造という人がなられたわけです。政府自身がしばしばそういうふうに名前を変えておるのです。そして法務府はいま法務省になっている。かつて自治庁というのがあった。自治庁が省になったというときに、自治庁の長官が、どうも地方から役人が来たときに大臣室と書かぬと、自治庁長官室というのじゃなめられる、大臣という名前をつけねばいかぬというので、自治庁の長官室の看板を取り外して大臣室に切りかえたということは有名な話ですね。これが昭和二十九年。ところが、いま行政管理庁には長官室がある。総理府の外局の庁で、長官室がある。荒舩先生のところのお部屋は長官室ですね。そうでしょう。大臣室ですか、どっちですか。(荒舩国務大臣「覚えていないな」と呼ぶ)覚えていないとおっしゃるので、ほかの人から、荒舩先生のお部屋は何と看板がつけてあるか。
  218. 辻敬一

    辻政府委員 行政管理庁長官のお部屋は長官室になってございます。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩先生のお部屋には長官室という看板がつけてある。おわかりになったですね。大臣室じゃないのです。荒舩先生は長官室の名前でりっぱに行政各部をにらんでいらっしゃる非常にりっぱな大臣です。私は非常に敬愛を申し上げております。  ところが、同じ総理府にも防衛庁というのがある。科学技術庁というのがある。そして別にまた北海道開発庁というのがある。沖繩開発庁というのがある。そういうところの長官は「国務大臣をもって充てる。」と法律に書いてある。各省の外局にはそういうものがないのですが、総理府の外局には国務大臣をもって充てる。行政管理庁と同じ総理府の外局の防衛庁の長官室の看板は何と書いてあるか。ここに防衛庁の方、だれかおられませんか。これは国の基本に関する問題ですから、どなたか後ろの方ひとつ。
  220. 加地夏雄

    ○加地政府委員 いま先生お尋ね総理府の中の庁における名称でございますが、北海道開発庁と沖繩開発庁、それに総理府の場合は長官となっております。それ以外のところは大臣でございます。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 行政管理庁長官は、この問題を解決せねばいかぬですよ。同じ総理府の外局の庁であって、長官室と素直に書いている。行政機関の筋から言えば長官室ですよ。それを国務大臣をもって充てるというだけであって、これを大臣としてやるのは、国務大臣として大臣でいらっしゃる。行政管理庁では長官になるのです。防衛庁だってそうですよ。ところが防衛庁と、それからもう一つ大臣室と書いてあるのは——いま私一つ聞き漏らしましたが、長官室と書いてあるのと大臣室と書いてあるのを別々に言うてください。
  222. 加地夏雄

    ○加地政府委員 長官室と書いてございますのは行政管理庁のほかには、先ほど申し上げましたように、北海道開発庁と沖繩開発庁、それに総理府でございます。それから、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、国土庁、いずれも大臣と書いてあります。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 同じ庁であって、一方は大臣と書き、一方は長官と書いている。行政機関の長という意味から言えば、長官ですよ。その長官は国務大臣をもって充てる行政機関であるというわけなんです。これはどうも私は非常にけげんな感じがするのですが、同じ総理府の外局でそういうふうに大臣室と長官室と名称が違っている。これは行管において——どうですか委員長、あなたはどう思われますか。不思議に思われるでしょう。事実不思議な事態が起こっておるのですよ、日本の国家行政組織の中に。それは大臣室と書かぬと気の済まぬ大臣大臣室と書いたのです。長官という名前に甘んじて、おれは国務大臣であると同時にこの役所長官であるという、行政機関の長としての責任を明確にする人は、そこを長官と書いている。しかし、長官であっても大臣であることは間違いないのだという立場でそれを素直に受けた役所と、大臣という看板をかけぬといかにも地方長官らしく見えるので大臣という看板をかけるというのとがあるのです。これはまとめねばいかぬ。同じ国家行政組織の中に、その最高責任者のポストが長官室と大臣室とに分かれている。これは怪しい話なんですよ。長官、どうお思いになりますか。
  224. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 まだ私は自分のところにどういう札が下がっているのか、見たこともないししまして、非常に不勉強でございます。きょう初めてそういうことを承りまして、これから大いに勉強することをお誓いをいたします。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 行政管理庁は、事務当局で結構です、物事の処理をするのに、総理府の外局の長官の部屋に看板が二様にかけてあるということは、二様の書き方は異様の感じがしないか、感想を述べていただきたい。
  226. 辻敬一

    辻政府委員 先ほど来御指摘がございますように、国務大臣であり、かつその庁の長官であられるわけであります。しかしその具体的な大臣室の表示の問題につきましては、先ほど大臣からも御答弁がございましたので、私どもといたしましても研究いたしたいと考えます。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 これは研究をされてしかるべきです。同じ政府の同じ内閣に同じような関係で任命された長官が、国務大臣の方の看板を書くのと、役所長官の方の看板を書くのと、二様にあるという異様な状態は早く解決すべきだと思う、これはどこでこの問題を処理したらいいかです。これはやはり総理が決断を下して、総理の任命した国務大臣の中に大臣室と書いてあるのと長官室と書いてあるのとあるのはおかしいじゃないかという問題が起こってくると思うのですが、総理に聞く必要が——しかしこれは一つの国家行政組織上の体系の問題ですから、行管はその各省のそうした問題についても、機構の問題についての担当をする役所ですから、そういう名称についても何らかの見解を持っておっていいと思うのです。これは行管の担当ではないと判断をしますか。しからば、どこがやると判断したらいいか。その名称。
  228. 辻敬一

    辻政府委員 ただいまの御指摘の問題は、部屋の表示の問題でございますので、事実上の問題でございます。したがって、法令上の問題とかそういう問題ではございませんので、そのまま直ちに私どもの仕事の範囲に入るか、問題でございますけれども、大臣のお答えもございましたから、私どもといたしましても研究はいたしてみたいと思います。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 内閣政府と、この問題もひとつ御研究を願いたい。  私、具体的な問題に入っていきたいのでございますが、この行政管理庁の権限、長官の権限、その中に地方支分局の中で訓令で片づける問題があるのですね。たとえば地方行政監察局の中にいま総務室というようなものを置くことは訓令で片づけられる、法律事項でない、どうですか。
  230. 加地夏雄

    ○加地政府委員 おっしゃるとおり、出先機関内部組織につきましては、訓令で指定をしている場合が多うございます。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 このたび北海道の三つの地方監察局を分室にするのですね。この分室に伴うて総務室というのはどういうことになるのですか。
  232. 加地夏雄

    ○加地政府委員 分室には総務室というものはございません。御承知のように非常に機構が小さくなるものですから、共通管理業務その他はほとんど管区に引き上げまして、最小限度の庶務要員という形で置いておるわけでございまして、従来の地方局のように総務室というものは置いてございません。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 それは今度規則を変えるのですか、規則か細則か。変えなければ、そこでいままでそういう規則があるのですから。
  234. 加地夏雄

    ○加地政府委員 この法案をお認めいただきまして具体的に施行段階に参りますれば、御指摘のように長官の訓令という形でそういう指定をしていきたい、こういうことでございます。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 今度の承認事項の中に三つの分室をつくることが一緒に出ておるのです。その分室と同時に、いままでの地方行政監察局というものがどういうふうになるか、それはもう訓令でどう処理するかというようなものは、ここへちょっと親切に示してもらいたいのです。つまり釧路のように総務室を持っておったものは今後どうなるのか。私はこの前も申し上げました。この間北海道を視察したときに、地方行政監察局の局長以下が本当に精励恪勤しておられる。勤務態度、非常に優秀です。そして行政相談員、行政相談室を持っているところ、地方の管区の行政相談課というものがあって、そこが今度下の分室になる皆さんに対して行政相談の指導をされていると思うのだが、五年間に行政相談の相談量が五割から六割ふえているのです。仕事が五年間に五割も六割もふえて、人間はふえておらぬのです。こういうときに、五割増、六割増した行政事務を同じ人間がやっておるのですが、これは増員の必要がないのか。こういう末端の業務をやる場合は、あるいはむしろ増員をしてあげる、あるいは行政相談員の数をふやす、一時的に仕事がふえたらアルバイトを頼む、こういうところをやるのかどうかです。
  236. 加地夏雄

    ○加地政府委員 監察局の仕事につきまして大変御理解あるお言葉をいただきまして、大変ありがとうございます。  私どもは、そういう行政需要の増に対しましては、当然一方において行政の簡素化、合理化ということがございますので、極力機械化とかそういう合理化を図りまして対応してまいったわけでございます。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 行政相談員というようなものの任務が非常に複雑多岐になっておる。そういう行政相談員をふやす。待遇をよくしてあげる。そういうところはやはり奉仕に明け暮れる形ではなくして、ある意味では待遇をよくしてあげるということ、御苦労される人はずいぶん苦労されて自腹を切って名誉な仕事としてやっておられるのですね。こういう方々の奉仕に余り甘えてはいけない。この点はひとつ大臣が思いやりをもって御答弁をいただきたい。
  238. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  大変温かい御意見でございまして、心から厚くお礼を申し上げると同時に、またそういう気構えで行政をやっているつもりでございます。したがって、待遇のことにつきましても大いに改革をし、手厚い方法をとろうと考えております。ありがとうございます。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 地方支分局の整理の問題にちょっと触れたいのですが、末端にはいろいろと出張所のようなものがたくさんある。この前ちょっと触れたのですが、きょうはまともに受けていただきたい。長官がこの席でしばしば御答弁されておりました。戦後わあっともう百花繚乱のようにいろいろなのをつくった。地方支分局もそうでありますが、わあっとつくった。ところが、いまになってくると時勢の流れ、時の流れとともに、この行政機構改革も当然しなければいかぬのでございますが、大蔵省の財務局とか、農林省関係は食糧事務所、建設省の地方建設局、こういうようなところで、国の出先機関、こういうものがもう約二千六百ある。今回の問題の処理を乗り越えて、ひとつ戦時体制下の余波を受けたそういう地方の複雑多岐なるいろいろな機関を、この際抜本的に整理していく。現業部門としてやむを得ない措置をしなければならぬところが国税とか郵政とかあるいは営林——営林の末端もこれはなかなかむずかしい。これはやっぱり国有林管理するのに全然地方へ任せ切るわけにいかない。海上保安庁、こういうような一部の現業関係を除いては、全面的な目標を持ってやるのが私は筋として通ると思うのですが、これは長官同感でしょう。お答えをいただきます。
  240. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  全く同感でございまして、そういう方針でやるつもりでございます。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 これは昭和十年から十一年ごろの戦時体制に入る前の基準に復元していくという体制にひとつこの際考え直していくべきである。  もう一つ、機構と同時に人間の問題ですが、定員というもの、総定員を行管が握っておられる。ところが定員の中には国立学校のように学校をどんどんつくるのでふやさなければいかぬところもある、ほかのところはなるべく抑えてきた。抑えてきたけれどもやむを得ぬから今度国立学校設置法の方で定員をちょこちょことごまかしてあげるような、つまり総定員法を改めることによって定員が増員されるように見えるからということでこれを抑えてきたわけですが、どうでしょう、定員とあわせて定年、これは定員に関係するわけですが、定年というものは一体どういうふうに処理したらいいか。きょうはここへ人事院はどなたに来ていただいておりますか。——どうも御苦労さん。人事院は、私この委員会ですでに論議を繰り返してきた問題ですから、もうポイントを押さえて聞きます。  ちょうどおととしの十月に国家公務員の週休二日制の第一回の試行が行われております。その結果は一体どのようになっているのか。  もう一つ、その試行は完全な週休二日制を前提として始めたものであると私は思うておるが、どうかということです。
  242. 金井八郎

    ○金井政府委員 一昨年の十月から始めました試行につきましては、昨年九月いっぱいで終了いたしましたが、その結果試行に参加しなかった省庁があること、あるいは試行期間が官署職員等につきまして見ると若干短かったこと等がございまして、本格実施を目指しての試行というふうに人事院としては考えておりますけれども、いろいろ国家公務員関係につきましては、たとえば行政サービスの急激な変化を避けなければならないとか、国民生活に重大な影響を生ぜしめないように導入を図らなければならないといういろいろ困難な事情がございますので、さらに試行を深めまして、もう少し規模の大きい試行をやることによってさらにこの問題の検討を進めるという考え方で、先般、政府に対しまして再度の試行の要請をしたところでございます。  現在、四月当初から試行が始まっておりますけれども、今回は前回に比べますと参加職員等もふえておりますので、さらに問題点の把握等に努めていきたいというふうに考えております。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 本年四月からの再試行についていま一部触れておられますからそれは了解しますが、せっかく人事院の御努力にかかわらずちょっと問題を提起したいのは、今度の再試行に当たって事務次官会議が変なことを決めておるわけです。再試行の実施は国家公務員の完全週休二日制の実施を前提とするものではないと、ことしの二月十日に事務次官会議が決めておるんです。これは一体どういうことでしょう。これは人事院が申されるよりも行管からひとつ答えていただきます。事務次官会議でやったんだ。事務次官にここへ来ていただくといいんですがね。事務次官は説明員として説明できませんかね、事務次官会議の説明ぐらいは。こういうときに政府委員から事務次官を外しているのがちょっと困るのです。
  244. 辻敬一

    辻政府委員 週休二日制の問題は、総理人事局の所管でございます。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 事務次官会議事務次官が参加しておるんだから行政管理庁事務次官もこれに参加したわけですからね。行管がそれに逃げるわけにはいかぬと思うのです、行管事務次官、しかもそれは定員に関係のある、定員法に関係のある週休二日制ということにもなるわけでございますので。  じゃ人事院はそれに対してどういう考えを持っているか、事務次官会議に。
  246. 金井八郎

    ○金井政府委員 お答えいたします。  人事院といたしましては、前回の試行が規模におきまして全職員の十分の三の範囲内ということで要請したわけでございますけれども、今回の試行につきましては、全体の職員の十分の五の範囲内ということで要請をいたしたわけでございます。これを受けまして政府の方で、私ども承ったところによりますと、各省庁間において実施上非常に困難度において差があるところが多い、したがいまして、職員のばらつきを少なくするため等の理由によりまして、各省庁の申し合わせという形で範囲を十分の三・三を上限とするというようにお決めになったというふうに私どもは聞いております。  今回の試行は前回よりも規模、参加人員等におきましてそれでも相当上回っておるわけでございますので、人事院としてはいかんということに相なりますけれども、試行の趣旨、目的に照らしますと、前回よりも規模を高めて行うことになりますので、やはり所期の目的に沿うように私どもの方でも十分に試行の状況を見守りながら検討していきたいというふうに考えております。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 再試行の規模は、いまちょっとせっかく局長示されたんですが、十分の五、今回の再試行の場合は三分の一じゃないのですか、私が勘違いだったかな。引き下げたんじゃないですか。
  248. 金井八郎

    ○金井政府委員 お答えします。  私どもの方から要請いたしましたのは十分の五の範囲内ということで政府に要請いたしたわけでございます。政府の方でお決めになりましたのは十分の三・三を上限とするというふうに承っております。ですから十分の三・三というのは三分の一でございますけれども、そのように少し下がってきたということでございます。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 その引き下げた理由は何かをちょっと……。
  250. 金井八郎

    ○金井政府委員 先ほども触れましたように、試行の実施につきまして各省庁間の中で比較的試行を容易にやり得るところ、あるいはなかなか困難なところという、態様において差があるということでございまして、一方、職員の側から見ますと、試行にたくさんの日数参加する職員と、結局少ない日数で参加する職員と、こういうばらつきが非常にふえることはどうかというようなことなどが中心になりまして、そういうふうに相なったというふうに承知しております。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  251. 受田新吉

    ○受田委員 人事院としては、この週休二日制というものが民間がどのくらいついてくるかということを見るわけでしょう。その民間で完全な週休体制の普及がどの程度行ったところでやろうとするのか、やるのがよいと思うのか。労働基準法の改正というものまで踏み切ってでないとそこまで行かないのか。これは人事院の考え方をひとつ……。
  252. 金井八郎

    ○金井政府委員 御指摘の労働基準法の関係人事院は所管しておりませんので、ちょっとお答えしにくいわけでございますけれども、人事院といたしましては、ここ数年、民間企業における週休二日制の普及状況及びその普及の態様あるいは民間における企業の週所定労働時間数あるいは年間の総休日数等を調査してまいりまして、その結果、公務においても週休二日制の導入について検討をするべき時期に達しておるということで、このところ検討を重ねてきているわけでございます。  どのくらい民間の企業の普及率が、というお話でございますが、私どもで調査しておりますのは、企業規模百人以上の事業所でございます。その結果は、御承知のように約七〇%に近い普及率でございますけれども、百人以下の企業規模における普及率等は労働省等でも調査されておりますが、その結果はもちろん百人以上の規模に比べると相当下回っておるという状況でございます。  そこで、何%まで行ったらば本格実施に踏み切るべきだということは簡単になかなか申せないわけでございまして、公務におきましては、先ほど申しましたように行政サービスへの影響、国民生活への影響というものも十分に慎重に考えながら導入を図っていくということに相なると思いますので、現在行っております試行、始まりました試行が終わりました段階で、いろいろの状況等を判断いたしまして対処していくことになると思いますので、現在のところ、ちょっとはっきりしたことは申し上げるわけにはいかないと思います。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 そこで管理局長行政機構改革は、行管の所管から人事院は外れておる、内閣に直属しておるから。そうですね。
  254. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えいたします。  人事院の機構、定員関係につきましては、ただいま御指摘のとおりでございます。
  255. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、人事院は行政機構改革のらち外に、行管の所管から外れておるというわけです。ところが、一般の各省の整理に対応して人事院も何かを考えておられると思うのです。内閣に直属する独立機関として人事院の機構改革についての、つまり行管の業務、国家行政組織上の一翼という意味からは人事院はどうやっておるか。
  256. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり人事院の機構、定員等につきましては国家行政組織法、行政機関の職員の定員に関する法律の適用を受けておりません。しかし、人事院も、その所掌業務の性格上特別な地位を与えられておりますけれども、やはり内閣の所轄のもとにある行政機関ということでございます。したがいまして、法律上はそういう関係にありますけれども、内閣の方でそういう行政改革基本方針ということをお出しになれば、人事院の立場からそれに従っていろいろ努力するということでございます。  なお、機構、定員等につきましては、直接行管からいろいろ御指示をいただくという関係にはございませんけれども、予算要求の段階等を通じまして各省庁と同じような基準によって御協力しておるという実情でございます。
  257. 受田新吉

    ○受田委員 会計検査院、どなたか来ておられますか。——これは行管で説明していただくわけにはいかぬのだね。それはちょっと私の要求の手落ちがありました。  会計検査院が同じような立場にあるのです。つまり行管の管轄外にある同じ政府機関であって、内閣機関であって、外れているのがあるのです。それはお話があればといういまの管理局長お話のように、だから、まだ内閣からお話がないのですね。
  258. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えいたします。  先ほどお答えいたしましたけれども、そういう内閣の方針ということが出ますれば、人事院としましては、予算要求等の段階を通じて御協力申し上げておるところでございます。したがいまして、五十三年度関係につきましては、同様に御協力をしておるという関係でございます。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 荒舩先生、やはりこれは先生が、行管の範囲ではないけれども、国務大臣として、内閣全体の構成員の一人でいらっしゃるんだから、人事院、会計検査院も一緒に歩調を合わせるような発言をされて、そしておれたちは行管が提案した機構改革から外れておるんだから、なるべくなら黙ってそっとしておいてもらいたいという気持ちを持たせぬように、それを一貫して扱うようにする。
  260. 辻敬一

    辻政府委員 ただいま御指摘のございました会計検査院、あるいは同様なお立場にあると考えられます最高裁判所、国会等につきましては、内閣官房長官から通知をいたしておりまして、たとえば昨年十二月二十三日の閣議決定でございますと、「別紙のとおり閣議決定がありましたが、貴院」——国会の場合は「貴院」でございますけれども、「貴院においても、政府の方針に御協力願いたく参考までに送付します。」というような手続はとっております。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 そういう書類は一応出してあるということで、まだ人事院総裁から管理局長のところにそれが行っていない。  つまりこれは国全体でやらなければいかぬ。いま国会の問題もあろう。これは委員長、小宮山先生は国務大臣を経験されたお方です。したがって、国会もそれが出ておるとすれば、国会の中でもやはりその機構改革に協力していかなければいかぬと思うのです。お互い議員が行政府に対していろいろ注文つけておるときに、国会だけはのんびりしておるようなことではいけない。きょうは国会からだれかに来てもらおうと思って、これもちょっと私の手落ちで抜けてしまっておる。最高裁の事務局も抜けてしまっておるので、ただ気の毒に人事院だけがおいでで油をしぼられておって申しわけないのですが、いまの他を代表した意味で御苦労ですが、ひとつ御研究願いたい。  私、実は人事院には、百人以上の事業所でなくて五十人以上ぐらいにして、もっと下まで広く民間企業の実態調査などやってもらう方が本当に実態に即しておると思っておるのです。そういう意味からは、人事院のそういう職員は、そういうことを綿密にやろうとすればむしろ人数が逆にふえなければいかぬ問題等もあるわけなんですが、しかし大局からは、やはり国家全体の行政機構改革に協力すべきだ。これはもう広く国政全体に目を向けたものでないと、一部の日の当たらぬところが残っておるというのじゃいかぬのです。こういうことは国務大臣として常に閣議をリードしていただきたい。お願いです。
  262. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  全くそのとおりでございまして、そういう手続を踏むことにいたします。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 私は、荒舩先生がそういうところを率直に受けていただくのが非常にありがたい。つまり国務大臣の権威をしっかり出してもらって、行管長官であると同時に国務大臣の威力をわっと出してもらって、早速閣議でこれを御提言いただきたい。  今回の整理の中に、例のオリンピック記念青少年総合センターが入っておるのです。ところが、一方でこれが文部省の方に移って、文部省の機構の中に入っておる。これでは、一方をだめにしたかと思うと一方でタケノコが隣の方へひょっと生えたのと同じことで、機構改革にならないですよ。衣がえだということです。どうでしょう。
  264. 辻敬一

    辻政府委員 オリンピック記念青少年総合センターにつきましては、ただいまお話がございましたように、文部省の直轄機関といたすわけでございます。特殊法人整理についてはいろいろな方法があるわけでございますけれども、その機関の性格いかんによりましては、このように国の直轄機関にするというのも整理の一態様ではないかと考えておるわけでございます。  なお、定員等につきましては、文部省におきます既定定員の合理的再配置を行いまして措置をするという考えでございますし、また、特殊法人でなくなりますれば、当然のことでございますが、役員組織というものはなくなるわけでございます。そういう面からいたします経費の節減もあるわけでございますので、私どもは、実質的な行政改革になるというふうに考えております。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 文部省、どなたが来ておられますか。——特殊法人整理した、行管としては非常にいいことをしたと思っておられると、おたくの方へさっと衣がえをして移っているわけです。特殊法人では理事長以下の職員で、従来は法律的にも、国家公務員の文部省とは違った特別の制約がある。ある意味においては、組織づくり等においても特別の色を持っているわけです。それが今度国家公務員になると、非常に窮屈になる。国家公務員の制約を受ける。労働運動等においても一つの大きな差ができる。そういうふうにややこしくなるのです。ややこしくなるから、なるべくもう初めから体系をぴしっとつけて、オリンピック記念青少年総合センターにしても、文部省に移すなら初めから移しておけばよかった。特殊法人でやっておいて、そしていまごろになって文部省へ持っていくという、こういう体系が一貫せぬことにちょっと悲劇があるのです。それをひとつ御説明いただきたい。
  266. 別府哲

    ○別府説明員 お答えを申し上げます。  昭和四十年にオリンピック記念青少年総合センターが設置されました当時は、御承知のとおり、あの施設がオリンピック選手村の跡の施設を利用するということで、宿泊施設が主体でございました。そこで、施設管理を主体とした運営が予想されておりましたので、それに一番ふさわしい組織形態ということで特殊法人という形が選ばれたものであると理解をしておるわけでありますが、その後あのセンターには体育館、研修館、研修室等の施設が逐次整備されてまいりまして、青少年のための研修活動がそこで活発に行われるようになってきた。しかもまた、最近の社会情勢の変化というものを受けまして、青少年の学習要求も大変多様化いたし、また高度化しているわけでございまして、それにふさわしい研修の場というものが強く要請をされておるという状態でございます。  また、一方におきまして国立、公立の青少年教育施設もその後全国に非常にたくさん整備されてまいりまして、これらの国公立の青少年教育施設との連携を保ちながら、一体となって青少年教育活動を推進する必要があるという要請もまた大変強くなってきております。  そこで、これらの要請を受けまして、今回の行政改革の一環である特殊法人整理統合というこの一環といたしまして、このセンターを直轄にする際には、まさに全国的な立場に立って青少年教育活動が実施できるようにと、そういう目的で今回直轄にするわけでございますので、すでに設置されております国公立の青少年教育施設との関係その他を考えますと、設置形態といたしましては、国の直轄にするのが最もふさわしいという判断をいたしたというわけでございます。
  267. 受田新吉

    ○受田委員 これが特殊法人から国家行政組織へ入ることによって、まず職員の身分が変わってくるわけです。そしてその身分の切りかえ方が、同一勤務年数、そして、国家公務員試験を受けている人もあると思いますが、受けてない人々と国家公務員試験に合格して採用された皆さんとの間のバランスをどうとるかというのは、非常にややこしい問題が起こる。何かの特例をしがなければいかぬです。これはどういうことになっておるのですか。
  268. 別府哲

    ○別府説明員 国家公務員として職員を引き継ぐ場合につきましては、行政職俸給表(一)の七等級及び八等級に属する職員につきましては試験合格が必要になってくるわけでございますが、別途特別な事情がある場合には、人事院に協議をいたしまして採用する道がございますので、そういう方面について人事院と協議をしてまいりたいと考えている次第でございます。また、その場合の給与につきましては個々に人事院と協議をする必要が生じてまいりますので、できるだけ本人に有利なように協議をしてまいりたい、このように考えております。
  269. 受田新吉

    ○受田委員 職員局長はこのことを御存じですね。あればちょっと伺います。  それで、いまの人等は試験を受けてない人であるので、問題が一つあるわけです。それは協議するということですが、協議するときに、特殊法人の職員は国家公務員よりも給与が少し高くなっているはずだ。それはどういうふうに整理するのか。しかしそれは、高くなっているのは、国家公務員共済組合の年金でなくて厚生年金保険の対象になるというマイナスが一つある。そこの調整が非常にむずかしくなるのです。それをどういうふうにやるのですか。
  270. 長橋進

    ○長橋政府委員 これは、恐縮でございますが、人事院の内部事情になりますけれども、給与局長なり任用局長の所管になりますので……。
  271. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。結構です。それはちょっと私連絡のしようが悪くて……。  この問題は別府さんのところではどういうふうにするのか、職員一人一人を引き継ぐのには、非常にそこを、人事院として、本人を不利にしないようにということも含めて、それから従来の制度も十分勘案して、余りにも特例が出ないように、こういうところを十分配慮してもらいたいわけなんです。だから、そういうことにならぬようにするためには、廃止なら廃止するとやっておけば済むのが、タケノコをこちらへ置いとったところが隣に、文部省へ生えたんじゃ、これは完全な整理じゃないんです。生まれ変わって一つ誕生したようなものですから、いかにも行管は大整理をしたように誇っておられるけれども、一方でそういうことになってくる。これは、行政整理のやり方としてはスタートから間違っておった。こういうときは、行政府としては、常にそういうものを長い展望に立って処置をしないと、十年たつうちにこういうことが起こってくる。一貫したものを持たぬで、思いつきでやるというところにそういう荒舩先生お説のような、特殊法人が雨後のタケノコのごとく出た。これはわれわれも責任があるが、そういうものを提案する政府としては、そういうことで後からすぐ修正しなければいかぬようなことをなるべくやらないように、長期展望に立たなければいかぬのです。これをひとつ要望をしておきます。  最後に一言、窓口業務について。  せっかく審議会等の整理許認可等の整理をやられた。やられたけれども、それとは別の問題が一つあるのです。行政事務の遂行で、窓口で受け付けをした申請書類の処理はなるべく早く結果が出るように決裁しなければならぬのが——私、ついこの間も読売新聞を見て、これはちょっと困ったことがあるなと思っていたのが、遅い戦死者の弔慰金に抗議する問題があったわけです。戦死をした人の弔慰金が遺族である兄弟姉妹に行くという制度が一つできた。弔慰金というのはつまりお灯明料、祭祀料ですよ。それを出すことになって、その法律ができた。そこで兄弟姉妹がみんなで一緒に故人となった英霊を弔ってあげましょうと、みんなでその制度ができたのを喜んで楽しみにしていたら、申請してから二年もかかって、一緒にきょうだいの霊を慰めようとした柱がもう死んでしまったのがあるのです。きょうだいそろってできなかった。それが数県にまたがる調査で時間がかかったと言うのですけれども、手紙でいけなければ何とか電話で聞くとか、市町村長の証明でいいとか、そういうことが明白な実態であるならば、書類を厳重につくらぬでもさっさとやっていいことだと思うのです。これが愛情のある行政だと思うのですよ。窓口で受け付けたそういう問題は、恩給局や援護局には非常に多いはずです。実際にそれを確認するために、書類をつくるのに時間がかかる、実態も調査に行かなければいけぬところもありましょうが、現実に一番時間のかかるようなややこしいのを御担当の役所ですから、ちょっと恩給局と援護局でお答えをいただきたい。非常に時間のかかるのがどのくらいあったか、そしてどのようにしてテンポを速めて早く御本人にぴしっとその手当がいくようにするか、努力をしておられるところを御説明願いたい。
  272. 田中富也

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  昨日の読売新聞の記事は特別弔慰金に関するものでございますけれども、この件につきましては、確かに一年八カ月かかってございます。  一般的に申し上げまして、援護法のいわゆる援護年金でございますが、障害年金、遺族年金等につきましては、国との身分関係あるいは傷病の公務性等を立証する資料を必要といたします。ところが戦後三十年有余を経過しておりますので、これらの資料を集めるのにかなり手間がかかるケースもございます。したがいまして、ケースによりましては若干時間がかかる、この読売新聞の記事のような場合もございますけれども、多くのものについては数カ月で完了しているのが実態でございます。  なお、私どもといたしましては、申請者の立場考えまして、今後とも十分必要資料の整備等を県あるいは市町村等に督励いたしまして一層の配慮を行っていきたい、こう考えております。
  273. 藤井良二

    藤井説明員 お答え申し上げます。  私どもの方で比較的長くかかっておりますのは、傷病恩給に関する問題であろうと思います。傷病恩給の請求につきましては、退職当時の本籍地の都道府県を通じて厚生省を経由し進達されるものでございまして、旧軍人としての在職中の傷病が公務に起因したかどうかに関する病歴記録等の公的資料の調査、整備に相当の期間を要しているようでございます。特に戦後三十年以上も経過しておりますので、実際には四十年前の資料あるいは三十年前の資料というのを集めなければいけないわけでございます。これに非常に時間がかかるわけでございます。  それと、その審査に当たりましては、受傷の事実、症状の推移、こういったものを勘案いたしまして、公務に起因するか否かの判定を行ってその疾状の程度を確定するというふうなことをやっておりまして、国立病院に検診をお願いしたりあるいは恩給局の顧問医に鑑定を依頼するなど、慎重な審査をしておりますので、多少の時間がかかるのはやむを得ないのではなかろうかと思いますけれども、請求者の立場考えまして、できるだけ早く裁定するように努力してまいりたいと思います。
  274. 受田新吉

    ○受田委員 それではこれで質問を終わりますから……  特殊法人が生まれて、昭和三十年の初めから二十年の間に百十三まで行っておる。この特殊法人の役員というものは天下りでなくして、そこで採用した人が大半その役員になる。たまに一人か二人外部から、民間からだれかが採用されるというのは、広い範囲の人材を集めるのにわれわれも納得しますが、その中の三分の一とか十分の六とかは、現に天下りの役員がそこに来て下から上がった人の頭を抑えている。最初から特殊法人に就職した人は希望を失ってしまうのです。これはどういうふうになっているか、角田さん。
  275. 角田達郎

    ○角田説明員 お答えいたします。  いまお尋ね特殊法人の役員の出身別の構成でございますが、五十三年一月一日現在の常勤役員の総数が七百九十九名、そのうち国家公務員の経歴を有する者、これは国家公務員を退職しまして民間へ行ってそれから特殊法人に行かれた方、こういう方全部を含めますが、何らかの形で国家公務員の経歴を持っている方が四百八十七名でございます。それから民間から来られた方が七十八名、部内から役員に登用された方が百八十七名。この部内から登用された方の中には二通りございまして、役所課長以上のレベルの職から特殊法人が設立する際に入ってきた方、あるいは本省の課長補佐以下の方から特殊法人設立当初あるいは設立後間もなく入ってきた方、そういうふうに色分けできるわけでございますが、この百八十七名の方は、もし役人の経歴を持っておるにいたしましても課長補佐以下の経歴、こういうことでございます。そのほか純然たる部内の方、そういう者を全部含めまして百八十七、それからその他としまして四十七、これは大学の先生とかいう方々でございます。それでトータルいたしまして七百九十九名、こういう数字になっております。
  276. 受田新吉

    ○受田委員 いまお答えをいただいたこの数字、初めからそこへ勤めた人、途中から、設立当時に役人から来た人、それは一緒に入った者と見ていいです、設立から苦労しておるのだから。ところが部内から上がった人が百八十七人しかおらぬで天下りというかっこうの者が四百八十七人おる。民間から七十八名。むしろこういう特殊法人は民間人の知能、知識、経験を生かすというものであって、役人で上を皆占めて、高級役人が天下りのポストのために特殊法人をつくったという印象さえ与えたことがあるのです。これでは最初からここに勤務する皆さんに非常に希望を失わせますよ。やはりスタートから苦労した人がやがて役員になっていく、総裁にもなる、副総裁にもなるという道を開いてあげなければいかぬ。長官おわかりですね、御見解を伺います。
  277. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 私、大変同感でございます。長くその場所に勤めている人が幾らたっても上へ上がれない、そんなばかなことでは希望を失いますので、そういう点は、私どもといたしましては大いに改革する決意でございます。  それから、さっきいろいろな手続でおくれているという問題で、私も読売新聞を見まして、そのとおりであると思う。やっぱり厚生省の問題ばかりでなく、あらゆる面でなるべく迅速に処理をしてやることが役人の務めであると思う。おとといも私、ほかの方に答弁しましたが、まあ生きのいい魚なら刺身で食える。ぐずぐずしていると焼き魚、煮魚にしなければ、それもぐずぐずしていれば腐ってしまってうっちゃり場に困る、こういうことなんです。そこで、同じやるのなら迅速果敢に、特に戦死をした関係の人やまた傷痍軍人の方とか、いろいろそういうような人に対しては、もう本当にへ理屈のない、迅速、速やかに解決すべきだという考えを持っておりまして、私の所管ではございませんけれども、役所に向かってそういうことを勧告いたします。  以上でございます。
  278. 受田新吉

    ○受田委員 それではこれで終わりたいと思いますが、これは大臣答弁しても答弁しなくてもいいが、あなた非常に率直な意見を述べられて、それを押し通すいい性格がある。これは私、大いに御期待申し上げます。  それで、そのことについて、役所へ行くと課長以上の出勤が遅いんだという説があるんです。それで、下から書類持っていっても、つい箱の中に入っていって、決裁の判こがたくさん要る。判こ行政改革。それから上司であるべき指揮監督権を持つ皆さんが進んで定刻に出て、そして部下を統督する、そういう士気を役所へ持っていかなければいかぬですよ。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 上へ行った人ほどゆっくり出てくるような役所には活気が失われるのです。この問題も、課長以上の幹部は率先定刻に出て執務に当たる。そしていまのような問題、窓口の仕事がそこで片づくのです。それをひとつ大臣、叱咤激励をしていただけるかどうか。
  279. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  まことにそのとおりでございます。指揮命令をする人が一番遅く出てきたのでは命令が伝達されません。それから上の人は何人前かの力を持っているのですから、そういう人が遅く出てくるようでは能率は上がらないことは当然でございます。  また、これとは違いますが、四月七日に行政監理委員会から勧告がありまして、私どもよく考えてみますと、補助金の問題ですが、私の方の役所で、補助金をもらうために地方で、県庁なり市役所あるいは町村の役所でどのくらい手数がかかるか、大体十万人以上だろう、もう少し厳格に調べてみろということでやりましたら、恐らく十二、三万人の人間が補助金をもらうために非常な書類をつくって、次から次へやっていって、それでこれは時間もかかるし、とにかく何千億円というむだがあると思うのです。これは迅速に、あしたの閣議に私の意見を申し上げて、まあいま直ちにというわけに、各省のいろいろな仕組みもありますから、八月からはもっと簡素化する、もう徹底した簡素化をして、同じ出すなら早く出す。そして何千枚も書類が要るような、そんなばかげなやり方のないように改革するつもりでございます。野人でございまして、ちょっと欠けている点もあるかもしれないが、そういうところは、私のような荒削りなやつがやることがいいと私は自負しておりますから、断じてこういうことを行うつもりでございます。
  280. 受田新吉

    ○受田委員 あなた非常にごりっぱです。私はあなたに御期待すること切なるものがある。それをぜひ、いまのえらい人ほど遅う出るということがないようにせなければいかぬし、何倍かの効果を上げるということですから、現実に各省に、定刻に課長以上が出勤しているのは何人あるか、遅く出る課長局長が何人おるか、こういう実態を調査することを要求することは、ここは保留をしておきます。
  281. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 直ちに行います。
  282. 受田新吉

    ○受田委員 どうもありがとうございました。
  283. 始関伊平

    始関委員長 柴田睦夫君。
  284. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 まず初めに、函館、釧路及び旭川の各地方行政監察局を北海道管区行政監察局分室に格下げし、機構を縮小するという問題です。  本案につきましては、ほかの行政機関地方局や地方事務所などを残している中で、行管庁出先機関を率先して整理縮小するということは、行政調査や監察機能の相対的な低下を来すという問題があります。また、国民行政相談や苦情をあっせん、解決するという、国民に奉仕する行政サービスの低下を来すという問題もあります。さらに、業務量がふえている中で、省力化の余地の少ない機構の定員を制限するということは、職員に過重な労働強化を強いることにもなります。こうした点から見ますと、地方局を分室に格下げし、機構と定員を縮小しなければならないというその理由はどこにもないというように考えておりますが、どうしても分室に格下げしなければならないという緊急な必要性、合理的な理由について、ひとつ納得のいく説明をお願いしたいと思います。
  285. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回の行政改革におきまして、行政機構簡素合理化が非常に強く要請されておるという問題が一つございまして、その上で、私ども昨年来いろいろと検討してまいった結果が、こういう形でお願いを申し上げておるわけでございます。  なぜ北海道三局を選んだかという点につきましては、私どもの行政監察局の実態をつくづく検討いたしまして、やはり地方行政監察局というのは都道府県単位にはどうしてもなくてはいけないという結論が一つ出まして、その場合に、北海道の三局はいわば都道府県単位とは別な類型にあるものでございましたので、そういう考え方をとったわけでございます。ただその場合に、先生御指摘のように、現実の行政監察なりあるいは行政相談業務がそういった改革によって円滑に実施されないとか、あるいは住民サービスが低下することのないように重々配慮したつもりでございまして、結果として三地方局の後に行政相談関係の業務を主体にした分室を設けたということでございます。
  286. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 行管庁の業務運営のあり方には、あの田中金脈問題での信濃川河川敷問題のずさんな行政監察あるいはなれ合い監察といったような問題、あるいは税金を国民本位に使う方向での機構と定員管理が十分になされていないというような問題があって、また行政相談の面でも国民の苦情相談が敏速かつ適正に解決されないという不十分さというような問題もありますけれども、行管庁本来の業務は行政機構内部の自己反省機能として位置づけられておりまして、行管庁はいわば国民に奉仕する行政機構としての側面を持っているわけです。こうした機構出先機関をいたずらに整理縮小するということには問題がありますし、いま説明を伺いましたけれども、やはり納得ができないわけです。今後の民主的な行政改革ということを考えた場合に、行管庁機構については、その業務運営を民主的に改革することを前提にいたしまして、強化拡充する必要はあっても、これを整理縮小しなければならないという理由はどこにもないと考えております。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、行政改革のために、行政改革担当官庁として、他省庁に先駆けてその地方出先機関整理縮小するというのは本末転倒ではないかというように思うのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  287. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えいたします。  全部で九十何人と思いますが、そのうち七人減るわけでございます。しかも、道庁の所在地に総監督を置くという意味になりまして、決して御心配のような出先で不都合な行為はない。ほかの省に先駆けて、ただ犠牲になってやるということじゃございませんので、どうか、その点は万遺憾ないようにやりますから、お任せを願いたいと思います。
  288. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 要するに、国民に奉仕するという立場のもの、それが減らされるというのは筋が違うということを考えているわけです。  次に、行管庁の所掌事務の最大の課題であります行政改革問題、特に昨年末に閣議決定が行われました行政改革の問題についてお伺いします。  福田総理は、行政改革を不況克服と並ぶ内政の重要課題として位置づけて、省庁統廃合を含む本格的な改革を行うということを繰り返し言明されましたけれども、昨年末閣議決定されました行政改革計画では、新聞で一斉に、大幅後退の最終案とか、あるいは政治に押され後退とか、あるいは公約違反に反省の色なし、そういうような論評がなされましたように、当初予想されました本格的な改革とはおよそ縁遠いものに終わってしまったわけでありますが、行政改革担当大臣として、こうした指摘に対してはどういう認識を持っておられるのか、お伺いしたいと思います。
  289. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  昨年九月に、エネルギー省とかあるいは住宅省とかというアドバルーンが上がりましたが、これはそういうことを研究するという意味で、少しまだ研究が行き届かないうちに新聞が書き立てた、いわゆるアドバルーンが上がっちゃったという形だったと思うのでございます。  省庁統廃合というのは行政根本、基幹でございまして、——いま国政といたしまして大きな課題はたくさんあります。速やかに景気の回復をしなければならない、また不況対策をどうするか、中小企業のいろいろ大変な苦しい状態をどうするか、特に繊維であるとか造船であるとかいうような問題、こういうような問題を速やかに回復しなくちゃならない。また、ひいては雇用の促進をどうしたらできるかというような問題から始めて、いわゆる円高というような問題に関連して貿易の振興の問題をどうするか、そういうような大変な課題があります。こういうような速やかにやらなければならない課題を解決するために、行政機構改革というんで、いたずらに省庁統廃合というような問題をいたしまして、そうしてこれにブレーキをかけるようなことがあっては相ならぬというようなこともございます。  なお、また昨年研究いたしましたエネルギー省問題等は、御承知のようにとにかく世界の十分の一に達するような油の消費をしているわが国でございます。それに電力問題で原子力の発電をするような問題、いろいろこういうような問題を考えてみると、ただ、軽々にエネルギー省をつくればそれが解決できるかと言ったら、そうでもありません。これは福田内閣の大きな課題として、ひとつもう少し掘り下げた研究をしていくべきだというふうに私は考えて、これを捨てているわけではございません。エネルギーの問題は、国家として最重要な重点目標でございますから、もう少し掘り下げて研究してみたいと考えております。  なお、住宅省の問題ですが、住宅はやはり土地の問題です。だから、建設省と国土庁、これを一人の大臣が兼任をして、いわゆる住宅を建てる、住宅を満たすというためには、土地問題を十分解決のできるようにする。本年の予算の重点としまして、住宅問題は重要な課題でございますが、いま申し上げるように、土地問題が非常に難点でございます。そういうような点も考え合わせながら、建設省と国土庁は一人の大臣がこれを兼任いたしまして、そういう解決をしていく。またそれによって不測の問題が起これば住宅省というような、あるいは名前はどうか知りませんが、そういうようなことを解決していくべきだ。これで省庁統廃合を捨てたということではございませんので、鋭意研究をし、深く掘り下げて努力してみたいと考えておるわけでございます。
  290. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 将来の問題として残されたということのようです。  次に、わが共産党は、昨年の十二月十六日の福田総理との党首会談におきまして、政府への要望書を出しまして、その中で、国民本位の清潔で民主的な、むだのない、効率的な行政を実現するための行政改革の基準として、第一に、清潔で民主的な行政を目指すこと、第二に、国民生活に奉仕する定員は中央地方を通じて必要なだけふやし、一方、不要不急の諸機構の定員はできるだけ削減して、税金を国民本位に使うということ、第三に、地方自治体の権限拡大の方向で、国と地方自治体の間の事務、権限の再配分を行うこと、第四に、公務員の労働基本権を保障し、公務員が創意と自主性をもって全体の奉仕者としての役割りを発揮できるようにすること、こういったことを要望いたしましたが、閣議決定されましたこの計画によりますと、こうした基準がほとんど盛り込まれておりませんし、そういう意味で政府行政改革計画は、国民本位の民主的な改革という点では、この決定によれば重大な欠陥があるというように見ているわけです。政府として、共産党の委員長指摘しました基準について、どのように検討をし、どのような判断をされているのか、この点についての答弁を願いたいと思います。
  291. 辻敬一

    辻政府委員 ただいまお話のございました昨年末の党首会談におきますところの要望書については拝見をいたしております。今回の行政改革推進に当たりましても、いろいろと参考にさしていただいた点があるわけでございます。  ただいま御指摘の中でも、第一の問題につきましては、たとえば特殊法人の役員の人事選考基準の改定でございますとか、給与、退職金の適正化、特に退職金の二割カット等を決定をいたしておるわけでございます。第二の点につきましても、従来から進めております定員削減、それから新規行政需要に応じますところの増員というようなこともやっておるわけでございます。また機構整理といたしましては、御提案申し上げておりますようないろいろな特殊法人審議会あるいはまた地方出先機関中央省庁の課、室、官等の整理をやっているわけでございますが、かなりな程度政府の方針の中に盛り込んでおると考えておるわけでございます。
  292. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 当面の行政改革の第一の基準は、行政から不正、腐敗をなくするということがなくちゃなりませんし、そのためには政財官の癒着を断ち切るということが必要であります、戦後一連の疑獄事件があるわけですけれども、これは一部の政治家と高級官僚が財界、大企業と癒着し、大企業に奉仕する法律の制定あるいは改廃許認可事項を金で取引するという不正行為が露見したものであって、その頂点にはロッキード事件や日韓癒着というような問題があるわけですけれども、このような政財官癒着というわが国の政治の金権腐敗構造はいまもなくなってはいないわけであります。  ロッキード事件や日韓癒着問題を生み出したわが国の政治の金権腐敗構造にメスを入れるということは、真の行政改革の不可欠の前提とも言うべき問題であるわけですけれども、政府行政改革計画にはそのための具体的計画は示されておりませんし、さらにその方向さえ示されていないという欠陥があるというように考えております。当面の行政改革計画にこの金権腐敗政治の根を断ち切るという具体策が盛り込まれていないというのはなぜか、その点をお伺いします。
  293. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 昨年末の行政改革計画の中で、許認可の問題がございますけれども、たとえばロッキード事件の再発防止のための対策について、これは五十二年三月三日の事務次官等会議の申し合わせで、「公正確保に資するため、許認可等の整理合理化をさらに推進する」ということが決まっているわけでございます。それで各省庁において、その観点のもとに許認可事項について総点検を行ったので、そういう観点が各省庁から出ているわけでございますが、それがやはり昨年末の閣議決定許認可事項の千二百四十の中にそういうことは反映しているものと考えております。
  294. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 許認可事務整理に関する法律、せんだって審議いたしましたけれども、私も調べてみたんですけれども、いま言ったような方向が示されていないというように考えるわけです。一昨年の十一月の十二日にロッキード事件再発防止のための対策と今後検討すべき事項についての方針が決定され、これは三木内閣のときですけれども、福田内閣もこの方針を踏んで、その実現を目指すことを言明されているわけですが、内閣官房では、聞いてみますと、この方針に基づいて内閣及び関係省庁がこれまでにどのような具体的措置を講じたのか、今後検討すべき事項についてどのような検討がなされているかということについて十分に把握していらっしゃらない、ということになると、せっかくつくった方針は事実上決めただけであるということになってしまうようですが、この点はいかがですか。
  295. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  ロッキード事件、日本の歴史にとりましてまことに悲しむべき事態が起こったのでございます。私は、当時予算委員長といたしまして、あの証人喚問をいたしました。そのロッキード事件の問題等については、どうしてああいう問題が起こったか、それから将来ああいうような事件が再び起こってはならないということを深刻に受けとめております。もちろん、あの問題だけじゃありません。腐敗の政治があってはならない。また国民全体がああいう問題等については非常に神経質に考えておるところでございます。したがって福田内閣、前三木内閣でも私は行政管理庁長官をやりましたが、こういう問題につきましては、厳格な方針のもとに努力していく覚悟でございます。  ただいま、ちっとも何もやってないじゃないかという御発言があったようですが、そういうことの再び起こらないように一生懸命やっているつもりですから、激励をいただくならいいけれども、何もしない、何もしないと言うと、日本政府の信用にも関係いたしますから、そんなことのないようにやりますから、どうぞ御理解をお願いします。
  296. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 内閣官房で聞きましたら、その全体的にやっていること、検討していることを把握していないというような話であったわけです。そこで、この内閣及び各省庁で講じた措置及び検討を続けている事項の検討の進捗状況について、後で内閣官房で取りまとめて資料として提出してもらいたいと思いますが、内閣官房いかがですか。
  297. 門田実

    ○門田説明員 お尋ねのロッキード事件の再発防止の関係でございますが、ただいまお話のありましたように、五十一年、一昨年の十一月でございますが、閣僚協議会を開きまして再発防止策をやったわけでございます。  何もしていないというお話でございますが、事実は必ずしもそうではございませんで、たとえば贈収賄罪の規定の整備、この点につきましては、贈収賄罪の法定刑の引き上げを内容とする刑法改正案を第八十回国会に提出しておりまして、これは現在継続審議と、こういうことになっております。  それから「犯罪捜査等についての条約の整備」という項目がございますが、これにつきましても、日米犯罪人引渡し条約の改定につきましてアメリカとの間で精力的な折衝をいたしまして、合意が得られましたので、関連国内法の一部改正法案とあわせて今国会に提出してあるわけでございます。  そのほか、あの中の内容は非常に多岐にわたっておりまして、多国籍企業等の行動規制の問題というのもございますが、これは国連での討議に積極的に参加しております。それから行政の公正確保、これにつきましても綱紀の粛正を初めとしまして、幾つかの点につきまして努力をしておるわけでございます。  そういうことでございまして、何もやってないというのは、そういうことではないということを申し上げたいのでございます。その関係のものを資料としてというお話でございますが、これは法律改正や条約改定のように非常にきちんとした形をとらなければならないものと、たとえば業者接触につきましての綱紀の粛正といった事項のように、日常の業務の中で実現していくというものといろいろございます。関係省庁意見もございましょうと思いますので、そのあたりを含めてひとつ検討させていただきたい、かように思います。
  298. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、行政機構の定員に関連してですけれども、行政機構の定員は、国民生活に奉仕する諸機構と定員については、中央地方を通じて、必要なものはふやしながら、不要不急の諸機構とその定員はできるだけ削減して、全体としてむだのない、効率的なものにする必要があるわけですが、政府行管庁機構、定員管理のあり方は、国民生活に奉仕する分野で慢性的な定員不足を来しておるようでありますし、不要不急の部門に過剰定員が温存されているということなどを見ますと、全体としてゆがみがある、ゆがみを生み出しているというように見ております。  それは、たとえば昭和五十二年度の予算定員を十年前の四十二年度と比べてみますと、全体としては一万千八百三十三名ふえております。その増員分は、学校、病院などにおける当然増が含まれてはいますが、その主なものは、防衛庁や施設庁、公安調査庁などの不要不急部門の大幅増員であるわけです。この三庁だけで一万四千七百九十三名増員されておって、この増員分を差し引きますと、全体では定員は減っているということになります。その減った分の内訳を見ますと、職安、労働基準監督及び労働保険関係で二千十四名減、郵便関係で九千九十三名減というように、国民生活関連分野の定員減が大部分を占めているわけです。  また、政府は、三年から五年以内に国の出先機関約千カ所を削減することを当面の行政改革目玉の一つにしているわけですが、その大部分は、農林省関係出先機関の大量整理、これが八百七十六カ所ということでありまして、残りの部分の主なものは、登記所関係が約百カ所、職業安定関係が約三十カ所と、みんな国民生活と密着した出先機関であって、全体としては国民に対する行政サービスを切り下げるものになっているというように考えます。政府機構、定員管理のあり方は、税金を国民本位に使う方向で抜本的に改める必要があると考えますが、この点についての大臣のお考えをお伺いします。
  299. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えいたします。  御意見のうちに農林省がありますが、米の検査、これは二カ月ないし三カ月で、あと七、八カ月は仕事がないのですね。こういうものは、御意見でございますけれども、これを整理をしなければ国民の税金をむだ遣いをするということになる。  それからまた、農林省関係で、たとえば生糸の検査所等があります。あれは生糸の輸出検査が主体でございました。全然この五カ年間は生糸の輸出はございません。もう国内需要。しかも、国内でことしは二十四、五万俵できますが、これは国内需要で余っておる。そこへもってきて中国からも来れば韓国からも入ってくるというので、これはその面で大変なことなんです。余っているのです。それから生糸の輸出は全然皆無ですから、そういうものを整理しなければ税金のむだ遣いになるという、こういう点がございます。  したがって、いまどうもあなたに言われると、まことに非難攻撃ばかり受けているが、そうでもないのですから、ひとつよく御研究をいただいて、おっしゃることについて私ども大いに研究をし、努力をし、また御期待に沿うようにやっているつもりですから、ただ悪い、悪い、何もやらない、国民の奉仕機関はみんななくしてしまう、こういう極論でないように、ひとつわれわれも本気でやっていることをお認めを願わないと、聞いている方はちょっとどうも納得しないような点もありますから、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  300. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 まあ言葉で言えばそういうことになるわけですけれども、結局やはり実態をちゃんとつかんでもらいたいということです。  それから政府行政改革計画は、定員管理合理化の一環として国家公務員定年制を導入する方針をうたっているわけですけれども、公務員に定年制がないのは、労働基本権を奪った代償としての身分保障のためであるわけです。国家公務員法はその七十五条の第一項で、職員の身分保障として、本人の意に反して免職されることはないと明確に規定しているわけです。公務員の定年制の問題は、離職後の生活保障問題との関連もさることながら、労働基本権回復問題との関連を抜きにして軽々に扱うべきじゃないと考えるものでありますが、この点について、総理府と人事院のお考えを伺いたい。また、現在の検討の進捗状況を説明していただきたいと思います。
  301. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答えを申し上げます。  最初に、労働基本権の問題でございますけれども、労働基本権の問題については、公務員の置かれております特殊な職務なり身分なり、そういう立場からいろいろな制限が加えられているわけでございまして、これと定年制というものは、私は関係はないと思います。労働基本権の制限につきましては、したがいまして、国家公務員の場合でございますと、国権の最高機関でございます国会で御審議を賜り、法律としてこれが出てまいるわけでございまして、それらの勤務条件はそういうふうに法定をされてまいるということでございます。また、人事院といういわば第三者機関がございまして、そういう人事院のお立場からそういう勤務条件について意見の申し出がありましたり、勧告がありましたり、そういう措置も制度としてとられているわけでございます。  さて、定年制でございますけれども、定年制につきましては、昨年の十二月二十三日に、これを導入するものとするという基本的な方針が定められたわけでございまして、そういう方針が定められたわけでございますが、何分にも定年制というものは、いま先生もおっしゃいましたように、身分にかかわる重大な問題でございますので、先ほど申しました人事院という制度もございますので、本年の二月三日に総理府の総務長官から人事院総裁あてに、この中身と申しますか、そういう定年制の導入についての御見解を得たいということで書簡を出しておりまして、現在、人事院の方におきまして検討をお願いしているという段階になっております。
  302. 今村久明

    ○今村(久)政府委員 お答えいたします。  ただいま労働基本権の制限と定年制関係についての御指摘が一つございましたが、私ども、定年制関係につきましての規定につきまして、過去の経緯をずっと調べてございますが、これによりますと、日本の場合は一般の国家公務員につきましては従前から定年制というものはございませんで、定年制の設けられておりますのは、裁判官とか検察官とかあるいは大学の教授というような関係の方々でございます。したがいまして、従前の官吏制度あるいは公務員制度の中で、一般の国家公務員について定年制規定が設けられたという時期は一回もございません。一方の争議行為の禁止関係についての規定は、これは当初の国家公務員法、これは昭和二十二年の制定でございますが、当初の国家公務員法の規定の中には、一般職の国家公務員についての争議行為の禁止規定というものはなかったわけでございます。昭和二十三年の十二月三日に国家公務員法の改正がございまして、そのときに一般職の国家公務員について争議行為の禁止規定というのが挿入されたわけでございます。したがいまして、争議行為の禁止規定に関しましては、従前の法制上に変化があったということがございますけれども、定年制関係については変化がなかったということでございますので、この両者の間に関連があるというふうには考えられないというのが私どもの考え方でございます。  それから第二点の、現在の定年制の検討状況はどうかという御質問でございますが、この点につきましては二月の三日でございますか、総理府の方から人事院総裁あてに書簡でもって人事院の見解を求めたいという旨の文書を受領いたしました。私ども第三者機関でございますので、専門的独立機関という独自の立場で従前から定年制問題ということにつきましては基礎的な研究は続けてまいっておるわけでございますが、なお昨年あたりから大変定年制問題というのが世上をにぎわしておりますので、私どもとしましても、そうした時代の条件ということを考えながら研究の度合いを深めておったわけでございます。  現在の段階では、この問題が大変根の深い問題であるということは従前の研究でわかっておるわけでございます。まず根本的に言いますと、先ほど御指摘がありましたように、職員の身分保障に関する問題であるということで、これは公務員制度基本にかかわる問題であろうという認識を持っております。したがいまして、この問題につきましては、法律で規定さるべき事項であって、立法措置というものが必要である事項であろうということが一つございます。  それからこれがまた非常にむずかしい問題をはらんでおりますのは、現在退職勧奨という実態があるわけでございまして、これが高齢者の離職策として現に各省庁で行われておるわけでございますが、その退職勧奨の実情というものにつきましては、現在いろいろと調べておりますけれども、いままで聞いたところでは、各省庁別に、あるいは職種別に、あるいは役職段階別にいろいろとまちまちであるというような話でございました。したがいまして、それをどういうふうに整合的なものにしていくかという問題が一つあるわけでございます。  それから国家公務員の職員の年齢構成の特殊性という問題が一つございまして、簡単に申し上げますと、戦後に大量の国家公務員を採用したものでございますから、その年齢層の方がいま四十八、九歳あたりのところで大変多人数の層をなしておるわけでございます。これらの方々が今後だんだん高齢化していくという状況があるわけでございまして、これらの方々に対する人事管理というのは、当面人事担当者の一番頭の痛い問題になっておるわけでございます。したがいまして、これらの多人数の職員を抱えている年齢層、それが高齢化していくという状況に関連しての定年制の問題、これをどう考えるべきかというのは、これまた現実の問題として非常にむずかしい問題でございます。したがいまして、そういうことも十分慎重に配慮しながらこの問題を考えていかなければいかぬということで、これも検討しております。  それから基本的に言いますと、定年制の問題というのは、大体高齢者の離職を促進する手段として、いわば能率上の人事管理策ということで出ておるわけでございますが、近年は御承知のように非常に高齢化社会という状況が出てまいりまして、そこで高齢者の雇用の安定という要請も社会的な要請として一方に出てまいっておるわけでございます。したがいまして、こうした高齢者の離職の促進の関係とそれから雇用の安定の関係と、こういうものの調整の問題というのは、ちょっと大げさな言い方をしますれば一つの国民的な課題になるようなこれからの大きな問題であろうというふうに認識しております。  したがいまして、こういう点に関連しまして総合的な検討をしなければいかぬ、しかもそれは長期的な展望を持たなければいかぬということでございますので、問題が大変多面多岐にわたっておりますから、私どもきめの細かい検討をしたいということで、目下検討中という状況でございます。
  303. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、補助金等の整理合理化についてですが、政府はこれまで予算編成段階で補助金等の整理合理化を行い、五十三年度一般会計予算では五十二年度の約二倍の千四百二十一億円を整理合理化していますが、他方で三千二百九十四億円の新規分があり、全体としては千八百七十三億円増ということになっておって、整理合理化という意味では実績が上がっていないわけです。行政監理委員会も去る四月七日に、補助金事務手続の簡素合理化方策についての答申を行っていますが、これは手続面での改善策を打ち出しているだけであって補助金制度全体についての抜本的改革と言うにはほど遠いものであるわけです。  今日の補助金をめぐる中心問題はたくさんあるわけですが、二十八年十二月の補助金合理化答申、あるいは三十九年九月の臨調の答申、あるいは一連の地方制度調査会答申などで指摘され、全国知事会などが繰り返し要望してきた事項も中に含まれているわけです。補助金等の整理合理化については、こうした一連の答申、要望を速やかに実現する方向で検討が行われるべきであると思うのですけれども、一つお聞きしたいのは、昨年七月の全国知事会の要望事項については、これは速やかに実施すべき問題だと思うのです。そこで、大蔵、自治両省の見解をお伺いいたします。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  304. 公文宏

    ○公文説明員 いま御指摘のありました補助金整理合理化の問題でございますが、いま先生もおっしゃいましたように、五十三年度は精力的に整理合理化を進めてまいりまして、廃止減額で千四百二十二億、合理化を行いました件数が千六百八十九件ということで進んでおるわけでございます。この整理合理化に当たりましては、当然財政制度審議会それから地方制度調査会、あるいはこれはずいぶん古い審議会でございますけれども、補助金等の適正化の審議会あたりの答申については十分勉強いたしまして、それを踏まえましてやってきたつもりでございます。  なお、知事会の御意見につきましても十分参酌させていただいたつもりでございまして、たとえば地方団体との関係で申しますと、できるだけその地方団体の自主性を尊重し手続の簡素化に資するために、補助金の統合メニュー化——メニュー化と申しますのは、幾つかの事業のメニューをつくっておきまして、その事業につきましてある一定の補助金の中でどれを選んでもいいというような試みも含めまして、統合メニュー化というような点につきまして特に五十三年度は重点的に考えてまいりたいというようなこともございます。それから零細補助金整理につきましても、従来からの基準を上げまして零細なものはできるだけなくしていこうというような努力は行ったつもりでございます。
  305. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 次に、これは地方公共団体の機構改革に関連いたしますが、千葉県の血清研究所の問題について、まず厚生省に伺っていきたいと思います。  先日鶴見川河口でコレラ菌が発見されまして、これは県民だけではなくて日本国民を非常にびっくりさせたわけです、そしてまた非常に心配をさせたわけですけれども、幸い陰性であったことから被害には至らなかったわけです。しかし、最近は国際旅行が活発になって、伝染病の外来汚染の防止対策が重大な社会問題になっているわけです。伝染病予防対策は感染源対策、感染経路対策、感受性者対策が挙げられるわけですけれども、この中でも、被害を最小限にするという意味でワクチン接種や血清接種の役割りが非常に重要であることは何人も否定できないことであると思うわけです。そこで、ワクチンや血清の製造について、国はどのような責任と権限を持っているのか、お伺いします。
  306. 古市圭治

    ○古市説明員 御指摘のワクチン、血清類につきましては二つに分かれておりまして、重要なワクチン、血清については国家買い上げをもちまして緊急事態に備えるという体制をとっております。この中でいわゆるコレラ及び天然痘はその源泉が外国にございますので、国内侵入に備えまして一定量の国での買い上げを行っております。  また緊急治療用といたしましては、いわゆる不活化狂犬病ワクチン、それからワイル病治療血清、ガスえそ抗毒素、E型及び多価ボツリヌス抗毒素の五品目を買い上げまして、この疾病に備えているということでございます。  また、これらワクチン、血清につきましてはその製造に非常に長期間を要する、また技術が非常に高度なものが要求されることから、常日ごろからメーカーの指導を行っているところでございます。
  307. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 それでは、ワクチンなどの製造メーカーの実態はちゃんと把握しておられるのかどうか、またメーカーの中で公的機関のメーカーは幾つあるか、その公的機関の全体でのシェアは幾らかということを答えていただきたいと思います。
  308. 古市圭治

    ○古市説明員 現在ワクチンの製造メーカーと申しますのは、直接製造いたしておりますのが十社でございます。この中で財団法人の組織になっておりますのが阪大微生物病研究会、それから化学及血清療法研究所、それから日本ポリオ研究所でございます。それから社団法人で行っておりますのが北里研究所でございます。県の組織になっておりますのが千葉県の血清研究所。そのほかの五つはいわゆる株式会社の組織になっております。  それからまた、それぞれワクチンにつきましては、メーカーの製造能力等に合わせて割り当てておりますので、ちょっとそのシェアというのは一概に申し上げることはできません。
  309. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ワクチンなどを製造する唯一の公的機関になります千葉県血清研究所が、最近合理化という名によって縮小、廃止ということが伝えられているわけです。千葉県では、副知事を中心にいたしまして千葉県血清研究所検討委員会というのがつくられて、縮小、閉鎖の方向での検討結果が出されてきております。このことにつきまして厚生省としてはどういう見解を持っておられるのか、お伺いします。
  310. 古市圭治

    ○古市説明員 御指摘の計画案、合理化案というものは、千葉県の血清研究所経営検討委員会が出されました「事業の経営改善に関する基本方針」及び千葉県血清研究所が作成いたしましたところの「血清研究所事業経営改善計画(案)」の二つのことかと思います。この中におきまして、後者の中で、製剤事業規模の適正化と組織体制等の整備改善というところを内容といたします改善計画が作成されているということを承知いたしております。これらの基本方針計画は、現在国家買い上げを行っております血清類と関係するところがきわめて大きいということから、千葉県血清研究所並びに千葉当局と十分検討を行っているところでございます。
  311. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 たとえばこれがなくなるということになった場合に、厚生省としては困ることはありませんか。
  312. 古市圭治

    ○古市説明員 この千葉県血清研究所におきましてつくられている各種のワクチンがございますが、この中でガスえそ抗毒素とボツリヌスの抗毒素につきましては、現在千葉血清研究所においてのみ製造されていることから、これを欠くという形がないように検討を続けていきたいと思っております。
  313. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 この検討結果と、これに基づく「事業の経営改善に関する基本方針」という中では、今後製造する品目は「公共性を考慮し、その需要度が高く、かつ企業性を有する品目を主体とする。従って、これに該当しないこととなる品目については、原則的に製造販売を中止する。」ということになっているわけです。いま言われましたように、千葉県血清研究所がボツリヌスそれからガスえそをつくっているわけですけれども、この二つは、千葉県血清研究所だけが製造しているものであるわけです。そうしますと、ガスえそ抗毒素やボツリヌス抗毒素の血清などは、これが縮小、廃止されるということになっていきますと、全く製造されなくなることになるわけですけれども、これについて厚生省は、対策は考えていらっしゃるのですか。
  314. 古市圭治

    ○古市説明員 県の経営検討委員会基本方針というのも承知いたしておりますが、この中におきまして、製造するワクチン及び血清類の品名は限定いたしておりません。またこの中に、経済性と同時に公共性を考慮するというように指摘もされております。この線にのっとりまして、県当局の意見を聞きまして、現在検討をしているところでございます。
  315. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ボツリヌスとガスえそというのは千葉県の血清研究所だけが製造しているのじゃありませんか。
  316. 古市圭治

    ○古市説明員 現在のところは、千葉血清のみでございます。
  317. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 としますと、いまの時期においては重要なガスえそ抗毒素やボツリヌス抗毒素の製造が中止されそうな事態になっているわけですけれども、実はこういう事態になっているのは、どう考えても国の予防行政というところに問題があると考えます。  この千葉県血清研究所の収支見通しという資料を見てみますと、昭和六十年度で三十九億の赤字が累積するということになっております。この累積赤字を分析してみますと、たとえば五十一年度決算では一億四千八百万の赤字で、このうち国家買い上げ品の損益状況は六千二百八十一万円の赤字で、全体の四二%を占めるという実情であります。国家買い上げ品についてもう少し見てみますと、この国家買い上げ品の総原価が九千三百四十四万円に対して国の買い上げ価格は三千六十二万円、総原価の三二%でしか買い上げられてないという実情にあるわけです。こういう状態では、結局今後続けていても赤字が累積するということになるわけです。国家買い上げ品の買い上げ価格の基準を上げなければこの事態は解決できないと思うのですが、この点については検討されておられますか。
  318. 古市圭治

    ○古市説明員 いわゆる千葉血清の決算におきまして、昭和五十一年度に計上いたしております損失一億五千万円のうち国家買い上げにかかわるものが六千二百万円、このような資料が出されているようでございます。これは県側の説明をお伺いいたしましたところ、いわゆる公営企業法の会計上そのような形になっているということで、単純に国家買い上げ品目の価格といわゆる生産原価との差というぐあいには理解をいたしておりません。  いわゆる千葉血清研究所における国家買い上げ品目というものは、同研究所の人体用ワクチンの血清類の総売上高に占める割合というものは約二%でございまして、そのほかにも採算性につきましては検討をしていかなければいけない、このように考えております。しかし、国家買い上げ品目の不採算性につきましては、従前から県当局からもその改善方を要望されているところでございますので、引き続きまして検討を続けていきたいと思っております。
  319. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 現状とすれば、国として積極的な対策をとらなければ千葉県血清研究所が縮小、廃止されるというようなことになるおそれがあるわけです。そういう意味で厚生省も、これは重要な問題ですから、積極的な対策をとってもらいたいと思うわけです。  それで、現在のワクチンメーカーの実情を見てみますと、国の行政指導が十分に行われていないということが原因すると思うのですけれども、各ワクチンメーカーともそれぞれ合理化計画を進めているわけです。そういう中で千葉県の血清研究所が合理化されて、ガスえそ抗毒素やボツリヌス抗毒素が製造されなくなれば、採算がとれないということでこの血清の引受手はほかのところでもなくなる、全くなくなるという事態に追い込まれるおそれがあるわけです。そういう意味で、厚生省が血清研を合理化しないように県当局に申し入れる、そのために必要な措置をとるべきではないかと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  320. 古市圭治

    ○古市説明員 県の血清研究所の事業改善計画を検討しているということにつきましては、同研究所が公営企業体としまして経営改善を進めるためのものと聞いております。そのことにつきましては、県当局においてさらに十分な検討が進められることと考えております。  なお、御指摘のとおり、同研究所というものは非常に公共性が高い抗毒素等の製造を行っているものでございますので、その改善計画というものは、これらの供給確保対策とあわせて検討が進められるものと考えております。で、引き続きまして県当局と協議を行っていきたいと考えております。
  321. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 こうしたワクチンの製造を十分に確保するとともに、国民の健康を守り、増進させるという意味からも、ワクチンの品質を向上させ、予防対策を充実させるということは重要な課題であるわけです。こうした中での血清研の合理化というのは時代に逆行する問題であるわけで、この合理化ではワクチンの品質向上のための研究部門を縮小される、そういう計画が含まれております。ワクチン行政を一層充実させるためにも研究体制の充実強化ということは非常に重要なことであるわけです。厚生省はこうしたワクチンの基礎研究、また研究部門の充実などについて、ワクチンメーカーを積極的に指導していくことが必要であると思うのですけれども、この研究の問題についての見解をお伺いします。
  322. 古市圭治

    ○古市説明員 ワクチン、血清類はほかの医薬品と異なりまして、その製造というものはきわめて高度の技術を必要とするものでございます。このために製品の品質確保につきましては、従来から特段の努力を払ってきたところでございますし、このために必要な研究の必要性は一般的に言うを待たないところでございます。  千葉県血清研究所の現行組織を見ますと、研究室が製造部門から独立した形になっております。また、改善計画案で考えている研究体制の整備というものは、この研究部門を製造部門に吸収いたしまして、効率的な研究体制を図るということが検討されているというふうに聞いております。  ワクチン、血清類の改良、開発研究につきましては、その特殊性から、千葉血清を含めまして官民一体となって、従来より研究を進めているところでございますが、今後ともこの開発は進めていきたいと考えております。
  323. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 ワクチンや血清など予防対策が民間のメーカーに任されて、自由競争によって市場獲得をしていく、そしてその中で自由競争に負けたものは合理化といいますか、縮小、廃止していく、そういうのがいまの実態であって、そういう実態を考えてみた場合に、万一の事態が起きたときのことを考えると、これは非常に恐ろしい思いがするわけです。そういう意味で見まして、厚生省が伝染病予防対策に責任を十分にとってきたかどうか、非常に疑問を感じるわけです。  こうした伝染病予防のためのワクチンや血清などの製造に国が十分な対策をとらなければならない、そういう行政機構でなくちゃならないと思うのですけれども、最後に毎官庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  324. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  おっしゃるとおりでございます。したがいまして、行管といたしましてもそのような努力をすることにやぶさかではございません。
  325. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 次に、中川秀直君。
  326. 中川秀直

    中川(秀)委員 遅くまで大臣、御苦労様です。また関係の皆さんも本当に遅くまで御苦労です。     〔村田委員長代理退席、高鳥委員長代理着席大臣、途中できせるなさっても結構ですが、質問する方もそれなりに大変なんですから、しばらくの間おつき合いを願いたい。  いま審議されておりますところの行政管理庁設置法の一部を改正する法律案並びに地方自治法に関連する承認案件でありますけれども、いずれも行政改革の一つのやはり柱であります地方支分部局整理統合という問題になるわけですが、ここで大臣に一つだけ先にお伺いをしておきたいと思うのですけれども、私どもは、地方支分部局、国の地方出先機関というものは、現業部門を除いて他の出先機関は原則として廃止すべきだ、もう東京だけで行政を進めていくという時代じゃないし、民主主義本来のあり方から言いましても、下から積み上げていくというのが原則ですから、もうこれからは地方中心地方分権でいかなければいけないという見地に立って、原則的にその権限やら何やらは譲れるものはどんどん都道府県に譲っていくべきだ、こういう立場に立っているわけです。その点について大臣基本的な認識、見解というものがどうであるかということ。  いま一つ、これはさかのぼることかなり前になるのですが、昭和四十五年に道州制ということが盛んに言われたのですね。全国を八つの道と州にしようじゃないか、何といってもいまの府県制というのは、大臣、明治四年の廃藩置県以来の仕組みなんですからね。公害行政をとっても、あるいは用水対策をとっても、その他住宅、通勤対策をとっても、あるいは大型自治権の再編成というようなかっこうで、大きな市あたりの行政能力も相当強化をされてきたということから考えても、道州単位で行政を進めていくべきだという考え方が非常に強く出されました。そういう中で、道州という考え方とこの出先機関というものがかみ合わさって、行政機構の簡素化にあるいは許認可手続の簡素化につながるような方策も当然検討していくべきだ、これは私個人の意見ですが、考えているわけでございます。  その辺について、大臣基本的な認識、いますぐどうするこうするということはなかなかむずかしい問題がございますけれども、道州制にしたって経過措置はいろいろ考えられているわけで、国会議員の選挙区は当分の間はいじらないとか、府県というものは地方事務所にするとか、公務員の数はたちまちは身分保障するとかいろいろなことを留保条件につけて考えていこうじゃないかということなので、私はこれ当然やはり新しい時代の検討課題として検討されてしかるべき問題だと考えているのです。単に今度の設置法のように、一部これも北海道だけという大変残念な結果に終わっているわけで、これも都道府県単位でやると、北海道には四つも五つもある、これは都道府県だから一つにすべきだ、もっと本当の新しい時代の発想から言うならば、さらにそれを越えたところに本当の福田総理言われるところの新しい行政の入れ物という考え方があるわけで、私はそういう二つの点から大臣の御見解を、基本的な御認識を伺っておきたいと思うわけです。
  327. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えをいたします。  まず最初の問題ですが、これは地方中央とありますが、これは中央でやらなくちゃならない問題、それから地方へ委譲しなくちゃならない問題、これは二つあると思うのです。これらを上手にかみ合わせていくところに行政のうまみがあると思います。御意見に賛成する部門もあれば、賛成しかねる部面もございますが、とにかく発想を転換して少し考え直さなくちゃならない点もあります。新自由クラブさんが非常に行政改革について御熱心、しかもあなたが案をつくられたというので、敬意を表します。私もつぶさにこれを読んで研究してみて、いやこれは発想はいいな、できれば全部これに賛成したいと思っておりますが、なかなかこれは各省間のいろいろな問題もありまして、直ちにこれが実行できるとは思っておりませんが、大いに研究して改革をしていきたいと考えております。  第二の道州制の問題です。これは明治の廃藩置県から端を発しまして、そして小さな県、小さな町村をつくった、だんだんやっていくうちに町村の合併もするし、してきている今日でございます。それからいま大変官庁の問題から始めて、たとえば東京を中心考えましても、一体水の問題をどうするか、また電力の問題をどうするか、それから農村と工業都市をどうするかというような問題、それから人間を効率化する問題、そういうような問題、それから住宅と都市に通う距離の問題、すべてを合わせますと、本当に全国を八つかそこいらに合併を断行して、そしてやるというようなことは、これは理想であると私は思っています。しかし、これはやるということになったらこれはまたなかなか大変なことで、やればできないのじゃない。しかしやりかけて途中でうやむやになったら、内閣は飛んでしまいます。内閣が飛んでも構わない。それは構わないが、それじゃ一体いまの日本の政治を考えて、一遍に新自由クラブにやったら、それはどうもそれ以上申し上げませんが、そういうようなことも考えて、なるべくいろいろ摩擦を起こさないようにやることも行政であると考えております。御意見は十分尊敬しつつ承っておきます。
  328. 中川秀直

    中川(秀)委員 大臣お立ちになる前に、御答弁は求めませんが、大臣の体の中にも明治の血が流れておられる、そうですね。その明治時代なんかを考えてみますと、むずかしいからどうだこうだというよりも、一つのやはり秩序のフロンティアをつくっていこうということで、大変な意気込みでおやりになったわけですよ。わが国がこれから発展しようと思ったら、空間のフロンティア、たとえば植民地を求めるとかそういうことはできないわけで、あるとするならばやはり技術と秩序のフロンティアしかないのです。新しいやはり秩序の面での、入れ物の面での開拓者精神でやっていかないと、時代はますます閉塞状況に入ってしまう。大臣あたりは、一番体質的にもそういうお気持ちは強くお待ちになっていると思う。私はどうも、最近の大臣は人格が円満、円熟をされて、もう少しそういう点ではお元気を出していただきたい、こうお願いをする次第でございまして、どうぞお立ちを。
  329. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  確かに明治でございますが、頭は昭和、二十一世紀の頭を持っていると自分で自負しております。それから、政治はおっしゃるとおりです。それは途中のいろいろ摩擦が起こったりなんかすることを飛び越えていかなければ、さっき明治の話がありましたが、明治維新は達成できなかった。それから、各国のいろいろな転換についても、思い切ったことをやらなければ改革ができません。どうぞそういうことをやれるように、ひとつ新自由クラブも御協力をお願いすることを望んでおきます。
  330. 中川秀直

    中川(秀)委員 それでは法案に対してのお尋ねをさせていただきますが、私は、先ほどもお話ししましたように、支分部局の整理再編成というものの基準ですね、これはやはり新しい時代に即応したものがどうしても必要だと思うのですが、今回の法案のようなかっこうで出てまいりますと、なぜ北海道だけなのかという疑問が当然出てくる。それに対するお答えも、都道府県単位の一つの行政範囲の中での整理統合なのだ、そういう基準に合わせたのだという御答弁が当然予想されるわけなんですけれども、私はその辺の考え方というものは、次なる時代ということを考えてみると、明らかに過去を追っかけていく形であって、未来からの呼びかけにはこたえていない、このように思うわけであります。将来の問題としてで結構でありますが、地方出先機関整理再編成の基準というものはどこら辺に置いて、どのような御方針でこれから臨もうとしているのか、行管の認識をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  331. 辻敬一

    辻政府委員 地方支分部局の再編成につきましての基本的な考え方と申しますのは、社会経済情勢の変化あるいはまた行政需要変化してまいりますという事情、それからまた一方におきましては交通が便利になってまいります、そういう交通手段の発達状況というものを考え合わせまして整理再編成を進めるということでございます。  もう少し具体的な基準ということから考えてみますと、いろいろな考え方があるわけでございまして、先ほどもお答えしたわけでございますが、かつてはブロック機関の下に置かれておる府県単位機関というものを対象にいたしまして整理計画をつくったことがあったわけでございますが、遺憾ながら法案の成立に至らなかった経緯がございます。そこで今回は、ブロック機関と府県単位機関につきましては省庁別に見直しまして、いわばケース・バイ・ケースに措置をしていく。支所出張所等につきましては、先ほどのような行政需要変化あるいは交通手段の発達状況等を勘案して、個々の支所、出張所に当たりまして整理をする。その結果、ブロック機関、府県単位機関につきましては四省庁五種類十二機関整理する。支所、出張所につきましては、これは第一線機関、末端機関でございますが、全体約七千の中の七分の一に当たります約千カ所を整理するということにした次第でございます。
  332. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一点、三十九年の臨調答申では地方支分部局整理再編成についてこういう指摘があるわけです。「現行地方支分部局設置形体は、その大部分省庁全体の出先機関というよりは、むしろ内部部局」、各局ですね。「それぞれの地方出先機関化している場合が多い。」そういうケースが非常に多い。この実態を直視して、地方支分部局を各省庁の実施事務の総合処理機関として位置づけ、この観点から整理再編成を試みるべきであるという指摘があるわけです。私は、今後の支分部局の整理再編成については、こういう観点も当然必要だと思うのです。いかがですか、簡単にお願いします。
  333. 辻敬一

    辻政府委員 確かに同一省庁におきまして複数系統の出先機議を持っておる場合もあるわけでございます。臨時行政調査会の御指摘承知をしておるわけでございます。しかし、これをいわば水平に統合するということになりますと、いろいろとまた問題があるわけでございまして、管轄区域の違い等もございますし、それがまた国民に対します行政サービスにどのような影響を与えるかというような問題もございますので、今回は確かに検討はいたしましたけれども、そういう基準を立てまして整理再編成を行うというところまでには至らなかったのが実情でございます。
  334. 中川秀直

    中川(秀)委員 むずかしい点があるのは承知の上でお尋ねをしているのですが、当然そういう物差しも常に頭に置いてこれからも努力をしていくべきだ。  そうすると、今後は社会経済情勢だとか、交通手段の発達だとかいったって、都道府県単位の整理、ブロック機関整理統合は一応全部済んじゃうわけですよ。そうすると、今度はどうしても新しい発想が必要なわけですね。その発想の際には、いまの臨調答申の考え方あるいは先ほどお話ししたような道州制あたりの、準道州制でもいいのですが、何らかのかっこうでそこら辺により権限を委譲していくような形態をとっていかないといけないのじゃないかという気がするわけであります。ひとつ大いに努力をしていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。  それからやや具体的に細かいことをお伺いいたしますが、今度の設置法改正案で地方行政監察局がやや減員になって、管区行政監察局に人が移るという形態が予想されるわけですけれども、その場合に、行政管理庁の業務の中で大変関心を持ち、非常に重要な仕事だと思っております行政相談、この行政相談の各地方局における担当員が減員になったりあるいはその機能が低下をしたり、相談委員の人もわざわざ札幌へ何回も行かなければいけないというようなことになりはしないか。その辺は現状よりも悪いことにならないように、一応それなりの手だてというものを考えておくべきだと思うわけですけれども、その辺のことをひとつお伺いをいたしておきます。
  335. 加地夏雄

    ○加地政府委員 今回の北海道三局の札幌統合とそれに伴う分室設置の問題は、まさに先生いま御指摘のようなことをわれわれは十分考えまして、こういう措置をとったわけでございます。つまり地方行政監察局におきましては、御承知のように行政監察仕事とそれ以外に行政相談の仕事、これがいわば大きな二つの柱になっております。今回分室をつくりました趣旨は、あくまでも行政相談の関係というのはおっしゃるように現地性の非常に強い問題でございますし、特に住民サービスの問題にかかわる問題でございまして、結局従来の三局の後に分室という形で相談を中心にした組織を残す必要がある、こういうことで考えたわけでございます。一方行政監察につきましては、相当部分指摘のように札幌の区管に吸収するわけでございます。  そこで、われわれはこういった合理化をやらざるを得ないだろうという考え方でございますが、行政監察仕事にいたしましても、あるいは相談の仕事にいたしましても、従来やってきたような仕事が低下をするとかあるいは後退をするということがないように十分考えていかなければいくまいということは重々考えているわけでございます。御承知のように、札幌に引き上げると同時に、これはいまの私どものブロック機関では初めての例でございますけれども、札幌の管区に行政相談部をつくったのも実はそういう趣旨でございまして、従来地方局長が責任を持って、中心になって行政相談を取り仕切ってきたわけでございますけれども、その三局長が結局なくなるわけでございます。日常的なそういうサービス業務は分室長とかそういう分室の職員がいたしますけれども、大きな問題とか行政相談委員のいろいろな問題にかかわりましては、今回の改正でいきますと、それは札幌にいる管区局長の問題になるわけでございます。そういたしますと、やはり地域が非常に広大でございますので、相談部長を設けまして管区局長と相談部長分室の相談業務を見ながら推進をしていく、こういう形に考えたわけでございます。
  336. 中川秀直

    中川(秀)委員 行政相談の場合、処理をなさるときに、管区から言ってきたものは大変だとか、今度は分室に格が一段下がったから扱いがどうだとかということにならないように、そしてまた具体的な人員の配置等にいたしましても、御計画は承っておりますけれども、決して手不足でサービスが低下したということにならないように御留意を願いたい、これだけ申し上げておきます。  それから行政相談のことについてもう一点お伺いをしたいと思うのですが、行政相談というものは行政管理庁設置法の二条の十三で、「各行政機関の業務及び前号に規定する業務に関する苦情の申出につき必要なあっせんを行なう」、こう非常に幅が広い規定になっているわけですけれども、私は、幅が広いが、ある意味では弱点もあるような気がしてならない。もちろん法のもとの平等あるいは法解釈を厳正にさせる、そういった法律があったり、そういった制度があったりしたのに知らなかったから行政の正当な恩恵を得られないというようなことについてサービスをするという幅の広い面はあるのですけれども、一方で、たとえばわれわれも、考えてみると一種の行政相談委員みたいなわけですよ。それで、現実にいろいろな陳情もあります。しかしその陳情の中で、本当に血の通った政治と感じていただく部分というのは、えてして法の解釈、裁量権、そういったものの非常に際どいところに属する問題が多いわけです。  たとえば具体例を一つだけ申し上げますと、戦前、昭和十九年ぐらいに、これは恩給法の問題ですけれども、結核になって内地送還されて、ある陸軍病院で治療を受けていた。ところが、とても治る見込みがないので除隊になった。除隊のときの、退院のときのカルテは重度の結核ということになっているわけですね。ところがその御本人は軍医さん、それで親も医者だった。田舎の家に帰ったのですけれども、結核で死んだというのは当時は非常に言いにくいという状況で、死亡診断書は急性胃腸炎ということにしたわけですね。ところがその死亡診断書のために恩給法の適用が得られないというケースがあって、過去にそういった当然考えられ得る死亡診断書だ、当時のそういう社会状況から考えてというようなことで、これは何か救う道があるのじゃないかといういろいろなキャッチボールをした結果、方法はある、前例も全くないわけでないということになってきて、何とかいけるのじゃないかという状況になっておるケースもあるわけですが、そういうような非常に際どい問題が多い。したがって行政相談も、行政監察局あるいは分室へ行って行政相談をすると、非常に親切に丁寧にそういった血の通うことをやってくれるのだという国民の評価を得るためには、うまく言えませんけれども、そういった法解釈の分野まで入ってかなりのことをしないと、私は国民の評価というのはなかなかさらに高いものにはならないんじゃないかという気がするのです。その辺の工夫をさらに御努力をいただきたい。どうもがちがちの制度の利用を教えたりということにとどまらず、さらに立ち入って一歩踏み込んで、これは行政管理庁だけの分野じゃない、各行政機関がみんなそういう意識でこの行政相談というものは受けとめていかなければいけない、こう思うわけですが、その辺の御努力を今後どのようになさるか、ひとつお伺いをしたいと思います。
  337. 佐倉尚

    ○佐倉政府委員 ただいま先生のお話、私どもがやっております行政相談、これは真に国民立場に立った血の通った相談にしていくようにということだろうと解釈いたしております。もともと私ども、そのようにしたいと思って常に努力しているわけでございまして、申し出人の気持ちになって、血の通った、先生御指摘のような、特に恩給関係とかそういう場合が多いのでございますけれども、一例を挙げますと、記憶喪失のために軍隊時代の在営中の行動を立証することができない、そういう事案もありました。それが当庁に相談に来られましていろいろ調査の結果、それが立証できてその恩給が受給できるようになったというようなこともございます。そのほか何件かそういったたぐいのものもございますけれども、従来もそういうふうに努力してまいりました。今後ともまさに先生のおっしゃるとおり、国民立場に立って申し出人の気持ちになって、血の通った行政相談をやりたいと考えております。そのための努力でございますけれども、私ども常にいろいろ工夫をこらしたいと考えているわけでございますけれども、やはりPRのあり方から、われわれ職員の態度から、関連行政機関との折衝の問題等、多岐にわたって工夫をこらしていきたい、こういうふうに考えております。
  338. 中川秀直

    中川(秀)委員 その記憶喪失のケースも、北海道の現地視察に行かしていただいたときにお話を伺いました。しかしそういうのが象徴的なケースとして幾つかあるというのではなくて、もっともっとなければ、本当はおかしいですよ。制度発足以来、件数は北海道だけでも一年に一万件からあるのですから、それはケースの特異性というものがあって初めてあるケースでしょうから、そうそうたくさんないかもしれませんけれども、少なくともそういう話がもっともっと語られるようにならなければいけない、私はそう思う。ひとつ御努力をお願いします。  法案に関することはその程度で、そのほか、おとといお伺いした行政改革の問題で残っている部分について、いずれも基本問題で大切な問題ですので、お伺いをしたいと思います。  人事院総裁も夜分に入ってよくお越しをいただきまして、ありがとうございます。昨年の国会で私は、公務員の給与の体系の中に法律でちゃんと、働く人はこういうふうに手厚くやってあげる、成績が若干悪かった人はこういうふうにするのですという、一つの信賞必罰の、罰とまではいかないかもしれませんが、そういう制度がきちんと勤勉手当や特別昇給というようなことである。そういうものの運用が、私の調べではほとんど平均値で行われておって、余り行われていない。やはりそういうインセンティブ、刺激というものがちゃんと盛り込まれた制度を厳正に運用していくべきだというお尋ねをして、その御調査をお願いしたことがあります。あれから四、五カ月たっていると思うのですが、その後どのようなお扱いになっているか、御調査なさっておられるのかどうか。また御調査の結果、どんな結果が出ておられるのか、お伺いをしてみたいと思います。
  339. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 いまお話がございましたように、昨年そういうお尋ねがございまして、私も趣旨には大変賛成でございます。そういう立場から具体的に申せば、勤勉手当の問題についてよく実態を調べますということを申し上げた記憶がございます。事実、それから調べまして、これはなかなか各省にまたがって、個人的な調査になりますと大変むずかしいこともございますけれども、大体の結果はもう出てきているようでございます。  その結果から申しまして、私の感じといたしましては、最終的にはまだ報告は受けておりませんですが、制度の趣旨自体は、やはり相当程度浸透して運用されておるのではないだろうかという感じを持って受けとめております。民間の場合とも比較をいたしました場合に、そう遜色のない運用がなされておるのではないかと思います。  ただ、お話がありましたように、もう少し何とか信賞必罰といいますか、そういう面がはっきり出るような制度的な問題あるいは運用の問題というようなことにつきましては、私自身といたしましても、できればやはり何かもう少しやった方がいいんじゃないかという気持ちもございます。ございますが、しかしこれはやはり給与の制度の問題でもございますので、そう簡単にいくものでもなし、また、われわれ所管の公務員というものは、一部では指摘もいろいろございますけれども、大部分はやはり一生懸命に働いてくれているのじゃないかという気持ちを持っております。われわれ所管の方は国家公務員でございますけれども、とかくいたしますと、影響はみんな地方公務員にも及びますので、町役場のそういうところまで全部、人事院は何をしているのだとかそういうような言い方をされますけれども、しかし、それはそれでやはりいろいろ波及する問題でございますので、私はそれは無理だというふうには思っておりません。だから、そういう点についてはやはり深刻に受けとめて、今後ともやってまいりたいというふうに考えております。いまの勤勉手当の問題につきましては大体の調査ができておると思いますので、この点は、給与局長から答弁をさせます。
  340. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 細かい話でございますので、ちょっと私から御説明させていただきます。  勤勉手当の支給の実態についてお尋ねがございまして、昨年の十二月期のものについて、支給段階の数でありますとか成績率の幅でありますとか、あるいは分散の程度につき早速調査を進めております。現在、一応仮集計の段階まで来ておることは事実でございます。ところが、現在の勤勉手当の制度は、実際には期間率と成績率と両方絡めて支給される。民間と対応させる場合にはこの両者ということで面が合うわけでございますので、少々調査を欲張りまして、両方絡めて見たところで、実際の分散がどうなっているかということもあわせて注文をいたしましたものですから、やや調査に手間を取りまして、まだいま途中である、そういう状況でございます。  それで、仮集計とは申しましたが、感じと言うと非常に申しわけないと思いますが申し上げますと、大体各省庁を通じまして、全体の七割といいますか三分の二程度に当たる機関で、大体三段階以上、といいましても三段階が非常に多いわけでございますが、三段階程度のABCというようなことで評価をなさっておる。それから成績率の幅の問題でございますが、一割以上の開きをつけておるという省庁が全体で大体三割程度。それから一割を割りますが、五%から一〇%の間というのが大体半分ちょっと足らずというような感じをつかんでおります。正確でございませんであれでございますが、途中の御報告をさしていただきます。
  341. 中川秀直

    中川(秀)委員 特別昇給はどうですか。
  342. 角野幸三郎

    ○角野政府委員 特別昇給につきましても、調査を同じ時期から始めておりまして、これはできるだけ新しいデータがよいと思ったものですから、昭和五十二年度の実績ということで、これも少し欲張った関係もありまして、全体に少し作業がおくれているというのは事実でございます。何せこれは一人一人についての過去十何年なり二十年にわたって、履歴書の上で、何年に何回この人は特別昇給をやっているか、そういう調査を構えたものですから、五十万人全体についてということはとてもできないということで、便宜十分の一、五万人ぐらいでやっておるという実情でございます。しかしながら、現在特別昇給の決定権といいますか、それは本省庁だけでありませんで、段階に応じてはおりますが、各地方機関におろしております関係上、一生懸命調査をいたしましたが、やや連絡がうまくいきません点もあったかと思いますけれども、出てきましたデータに若干腑に落ちないものがまじっておりますので、現在はそれを個別に聞いてみまして、ちょっと省庁別に見直しておる、そういう点でございます。  これも仮集計といいますか、感じだけで大変恐縮でございますが、ざっと申しますと、長い勤続者、二十年勤続以上というようなところで、特別昇給について一回ないし零回、一回以下というのが一割ぐらいおります。それから二十年を下回っておりますが、十五年から二十年というところで、同じく特別昇給が一回あるいはゼロ回というのがやはり二割ぐらい、五人に一人ぐらいはおるというようなことじゃないかと思いますが、そういう状況が出ております。非常に大ざっぱな御報告でございますが、現在まださらに集計をしておるということでございます。
  343. 中川秀直

    中川(秀)委員 わかりました。また正確にまとまりましたら、一回御報告をお願いしたいと思います。  しかし、いまの数字を伺っても、総裁、先般私どもの調べたところで、ある省の十二月分の勤勉手当は、平均は〇・六カ月ですが、これについて二段階に分けて、よく働く者、Aランクが〇・六七五カ月、余り働かなかった方、Bランクが〇・六一五カ月、差はわずかに〇・〇六カ月しかない。法律で定めているのは〇・四カ月から〇・九カ月、〇・五カ月分の幅を勤勉手当でつけていいということになっているのに、その幅はわずか〇・〇六カ月、いわゆる一〇%ということですね。そういうことであると指摘したのですが、いままとまってきているこの御調査でも、三段階というのが七割で、二段階というのが三分の一ある。しかも成績率の幅は、一〇%以上というのはその上限がどのくらいかわからないが、伺った限りでも三割しかなくて、七割は一〇%未満でやっておるわけですね、働いた人、働かない人の幅つけは。しかも五%未満、ほんのわずかしかつけないというのが四分の一あるわけですね。この辺はやはり制度の運用を厳しくしていくべきだと思うのです。総裁、民間がこうだからという言い方は、国民の実感から言ってちょっと通らないですよ。この前も議論いたしましたけれども、果たしてそうなのかなと思っている国民の方が多いですし、あるいはもし百歩譲り千歩譲って、民間が運用実態で比較してそうだとしても、公務員というのは特別な使命を負っているわけですから、より厳しい姿勢を持たなければいけないです。総裁、これは私ははっきり申し上げておきたいと思うのです。  たとえばアメリカのカーター大統領の今度出した公務員制度の抜本改革構想というものが新聞でも報道されているのですが、非常にドラスチックですね。「連邦の人事院を解体し、新たに「人事管理・勤務評定局」と、“連邦中労委”ともいうべき公務員の苦情を調査する「特別調査官」」というものに分けて設立をする。特に勤務評定を重要視して、現状の公務員を「仕事をしてない公務員でもほとんど解雇されず、懸命に仕事をする公務員は報われることが少ない」というふうに分析をされて、「連邦政府部長級以上はいっさい自動昇給制度をとりやめ「仕事ぶりに従って、評定の優れた公務員だけが昇給される」。また、無能公務員やなまけ者は従来しばしば行われてきた部署の配置転換などはせず、びしびし解雇していく。こうした面は新設の人事管理局が担当し、そのほか各省や各機関は独自に公務員の採用ができるようにする」というような大変厳しい案が出たんだと新聞では報道されている。私は原文を見ていませんからわかりませんが、恐らく正しいと思う。  やはりわが国だってそのくらいの厳しい姿勢で、こういう——制度の問題とおっしゃいますが、制度でちゃんとあるのですから、現状では、それさえも十分に運用されていないという批判が当然出てきちゃうわけです。これは勤勉手当にしても特別昇給にしてもきちっと運用されるように、人事院で目を光らせる必要がある。たちまち五十三年度の勧告あたりではこの問題は当然検討すべき、取り上げるべき課題だと私は思う。カーター大統領のその新聞報道が出てから、新聞の投書で私が目についただけでも四つ出ているのですよ。当然だ、日米を問わず民間企業の合理化は徹底的に行われつつあるのだ、日本もカーター大統領のあれじゃないけれども、公務員制度の見直しを含めて徹底的にそういう制度の運用をすべきだというのが四つも出ているのですよ。これは当然総裁のお目にもとまっていると思う。国民の声としてこれを受けとめて、今度の人事院勧告では当然取り上げて、何らかの厳正な制度の運用をすべきだ、私はこのように思います。総裁の見解をお伺いしたいと思います。
  344. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 一般的な方向といたしましては、いまの御論旨は私といたしましても全面的に賛成でございます。  公務というものの性格あるいは公務というものが税金あるいは国民のために行われなければならない、またそうしなければ運営されないというたてまえから申しましてこれは当然のことでありまして、そういう意味から国家公務員法なり地方公務員法というものがあって、これは成績本位の原則、その他能率主義の原則というものを第一義的にうたっておるわけでございます。そういう意味から、われわれもその線に沿って従来からも努力はしてきておるつもりでございますけれども、しかしまだまだ足りない、十分に果たしておらない面があるということ、これはやはり認めざるを得ないと思います。そういう意味で私たちといたしましても、今後ともそういう方向に向かってさらに積極的な努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。  いまアメリカの大統領のお話がいろいろございました。この点については、早速私たちといたしましても資料を取り寄せるように努力をいたしております。大体の概略はすでに入手はいたしておりますけれども、さらに詳細な点につきましては、入手をするようにさらに努力をいたしております。この点、時間もございませんので、別に論争をいろいろやるつもりはございませんけれども、ただアメリカについては、いろんな昔からのいきさつ、経緯がありまして、その結果なかなかうまい解決ができなかったというようなことがあって、これが戦後フーバー勧告になって、日本の場合にはかなり積極的な前進した措置がとられたということは、これはやっぱり事実として認めざるを得ないというふうに私は解釈をいたしております。  そういう意味から、かなり成績本位の、原則なりあるいは給与の勧告の問題なりというような点は、世界的に申しまして相当進んだ成果を日本としてはやはり獲得しているのではないかという評価をいたしておりますし、各国からもそういうような目で見られておるということはこれは事実でございます。そういう点もございますけれども、やはり全般といたしましては、成績本位の原則なり公務のあり方なり、公務というものがやはり税金によって運営されていくんだというような、そういう厳粛な現実というものを踏まえまして、今後ともいまお話しになりましたような線に向かっての努力は最大限にひとつやっていきたい、かように考えております。
  345. 中川秀直

    中川(秀)委員 総裁、なかなかいつも御慎重なのに、最大限御努力するということですから、もうそれで結構でございます。当然御答弁しにくいと思いますから、さらには突っ込みませんが、今度の人事院勧告あたりでは少なくとも検討の対象にして何らかのかっこうでおやりになるというふうに私は解釈をいたしておきます。もし御反論があるんだったらいただきますが、よろしゅうございますね。  それでは次の問題で、これまた前国会で私取り上げた問題でございますが、公務員の定年制の問題、恐らくあれから大変かしましい論議が起こっていますので、若干御答弁の流れというものもお伺いをいたしておりますが、私は基本的にこの実際の定年制、何歳ということで切る定年制、これはもう公務員の身分保障とも絡んで、確かにいろいろな検討を加えなければならない問題だと思います。しかし私はもちろんやるべきだと思っていますよ。それは前にお尋ねしたときと同じ、あえて繰り返しませんが、いろんな論点から確かに必要だと思っていますが、たちまちもう自治体あたりでもやっている退職勧奨年齢の統一とかあるいはその統一年齢を超えた以降の昇給ストップなりあるいは退職金五割増し規定のストップなり、当然こういうことはやるべきだということを私は前国会でも、直ちに定年制をいますぐやれというわけではなくて、これは当然検討しろ、本当にただ研究じゃなくて前向きにやれということで出して、昨年末の閣議決定でも、検討すると入ったわけです。ところがたちまち、それと同じ問題ではあるけれども手前の問題として、退職勧奨年齢の実質的な統一並びに定年制というようなかっこうでいろいろな勧奨措置というものを、その年齢でストップさせるという実際に効果のある方法をすぐとりなさいということを申し上げたわけですね。それに対して西村前行政管理庁長官は大変前向きな御答弁で、五十三年度には実施する、五十四年度には法制化するとまでおっしゃったんですね。ところが、その論点そのものはその後ぼけているんですよ。閣議決定定年制を検討する、稻村総理府総務長官は、人事院として検討してほしい、こう球を投げられて、そうして人事院の任用局長は、重要な問題だ、高齢化社会における高齢者の雇用、福祉のあり方などとも絡む問題であるので、きめの細かい検討を行っていきたい、こういう御答弁をなさっている。そして人事院総裁は、これは新聞報道による談話ですが、一、二年のうちに結論を出すのはとうてい無理だ、定年制そのものにですね、こういう談話も新聞報道には出ているんです。  そういうふうに問題が定年制そのものという、もちろんこれが本質論ですが、それにすりかわっていって、先へ先へと延びていって、たちまちその手前の、実質的に効果のあるやり方をとったらどうだということに対して、五十三年度にはやりたい、五十四年度にはもう法制化もしたいんだという大臣の御答弁はどこかへ行っているわけです。これは私は前の藤田長官があの西村発言の後にお話しになったことについてこの委員会でその真意をただしたこともあります。国会の権威にかかわる問題だ、きのう答弁したら、きょうはそんなことできないなんというようなことは何事かというお尋ねをしたこともある。しかし、実質的な定年制ということについて言ったんではなくて、本当の本体の定年制のことについていますぐということは、法制化というのは無理だということを言ったのであって、西村発言とは必ずしも矛盾するのではないという真意の御釈明も私はあったように記憶しているんです。  そういうことを踏まえて私はきょうお伺いをしたいのは、人事院にも総理人事局にもお伺いをしたいんですけれども、基本的にその西村前長官の発言、政府の閣僚としてまさに行政改革中心にお座りになっておやりになっていたときの御発言というものがもう後退をしてしまって、そういった退職勧奨年齢の統一あるいはその統一による勧奨措置の退職金五割増しストップとか、昇給ストップとかというようなことは、もう人事院がこの定年制の結論を出すまでは実際やらないということに後退をしてしまったのか、しかし少なくとも西村長官の発言は生きていて、その努力は努力としてするんだということなのか、これをひとつはっきりと御答弁を願いたい、こう思うのです。いかがですか。
  346. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 お答えを申し上げます。  私、新米なので、どうもそのときの詳しいいきさつを存じ上げませんけれども、総理府の総務長官のお立場として答えられたのは、やはりそういうふうな目標といいますか、そういうものは確かにあるけれども、やはりこれはいろいろな複雑な問題がございますので、そういう方向に向かって一生懸命努力をするということだったと思います。  そこで、先生のいまのお尋ねでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたように、定年制というのはいろいろな問題がございますが、退職管理の一つの有力な方策としての効用というものもたくさんあるわけでございます。ただもう一つ、定年制というのは身分保障の問題にもかかわります上に、これは中身こそが一番問題なわけでございますので、そういう点で人事制度のたてまえを尊重いたしまして、人事院の方にも検討をお願いしておるという段階でございます。  そこで、その前にいま行われておりますいろいろな退職管理の方策、たとえば退職勧奨等についてのお尋ねでございますけれども、これは現在各省でもやっておるわけでございまして、その問題に関するさらによりよいやり方と申しますか、そういう問題については、これからも私たちは私たちの立場でさらに突っ込んで勉強をし、検討を深めていきたいというふうに思っておるわけでございます。職種その他いろいろございますし、にわかに年齢の統一ということになりますと、これはなかなかむずかしい問題を含んでおると思いますけれども、いままでの調査なり研究なりというものをもとに、今後に向かっても、定年制人事院の方に投げかけたから、もうそれはそのまま何もしないということではなくて、勉強を深めていきたいというふうに思っております。
  347. 中川秀直

    中川(秀)委員 もう一点、人事局長ちょっと不明確なので……。  西村長官の目標というものは、必ずしもそれを否定しているのではないと前藤田長官もおっしゃった。これは目標として努力をするということですか、全くそれはうやむやにしてしまって、ただ勉強していくということなんですか。
  348. 菅野弘夫

    ○菅野政府委員 どうも私、新米でございますので、そのときの詳細なお言葉等を十分存じておるわけではございませんけれども、藤田大臣がお答えになりましたのも、そういうことを全く否定したのではなくて、そういう努力の目標として、いろいろ年度のことも出ましたけれども、そういうものを十分頭の中に入れながら努力をいたしたいということだと思います。
  349. 中川秀直

    中川(秀)委員 この点も人事院総裁にちょっとお伺いしておきますが、先般、日本人事行政研究所、人事院の外郭団体ですね、ここでも定年制の問題について提言をまとめた、いずれ政府に報告をする、こういうことが新聞報道で出ているわけです。これによると、「長期にわたって雇用を保障する代わりに、その間の賃金の上昇カーブを緩やかにし、合わせて退職金、年金制度などを改革しよう」、これが基本的な考え方で、六十五歳定年採用というようなことを言っております。しかし、それは基本的な目標であって、当面の措置としては「一定の年齢で昇給をストップし、その後も長く勤める場合はむしろ給与を漸減する」、第二点として「勧奨退職年齢を超える在職期間は退職金の算出基礎に組み入れない」、第三点「共済年金の支給開始年齢を六十歳に繰り下げ」、こういう提言をまとめつつあり、出そうとしているのだ、こういう大きな新聞記事がありました。当然お読みになっていると思いますが、私は、人事院でも長くこの問題を研究してきて、このところへ来て大変御熱心におやりになっているということを大いに歓迎いたしますが、当面の措置として、日本人事行政研究所、尾崎さんのところでおやりになったものが私はなかなか前向きでよろしい、こう思う。総裁、御見解はいかがですか。それから、こういうものを受けてこれからどうなさろうとするのか。定年制そのもののことについて聞いているのではないですよ、当面の措置について聞いているのですよ。当面というのは十年先ではないのですから、ひとつそれを踏まえて……。
  350. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 人事行政研究所というものがあることは事実でございまして、私どもの前の事務総長でありました尾崎君がその責任者でやっておるということは事実でございます。ただ、新聞報道によりますと、これは外郭団体というふうに書いてありますけれども、一種の外郭団体であるかもしれませんが、厳密に言えば、これは別に外郭団体という種類のものでなくて、要するに民法上の公益法人というわけであります。(中川(秀)委員「括弧づきの外郭団体、お金を出しておる」と呼ぶ)ということでございます。したがって、提言とかなんとかいうようなことは、関係者が新聞記者の各位とも会って、そういうことが伝えられておるのかもしれませんけれども、いままでのところ、私は提言とかなんとかいうようなことではまだ連絡を受けておりません。こういう団体ができておりますので、それぞれの立場からいろいろ勉強をされて研究をされることは大いに結構なことでありまして、何か結論が出ればわれわれといたしましても虚心に受けとめて、十分参考にしたいというふうには思いますけれども、御承知のように、それと人事院の立場というのはおのずから別問題でございます。人事院といたしましては、総理府の方から正式に、この前の二月三日に意見を聞くというような御注文をいただいたわけでありまして、これを受けて、いま慎重に本格的にこの問題の処理に当たろうとする姿勢で仕事を始めたという段階でございます。  そういう意味で、先刻も申し上げましたように、事柄が非常に大事なことでございますので、あらゆる資料を点検し、また実情を調査いたしました結果、これに対する体制というものをつくっていかなければならないのではないかというふうに考えております。それの前提としてどういうふうになってまいりますか、いまのところまだ申し上げる段階ではございませんが、勧奨退職の問題とかあるいは勧奨退職年齢をしからばどうするとか、そういうものを定年制を本格的にやる前の前提としてやるのがいいかどうか、そういう点を含めて検討していかなければならぬというふうに私は考えております。  新聞紙上等で、一、二年ではなかなか結論は出ないのじゃないかというふうなことを私自身が言明したというふうに伝えられておる向きもございますけれども、そこまではっきり実は申し上げておりません。御承知のように立場立場でございますので、そういうことを具体的にはっきりと明言をするわけのものでもございませんので、それらの点はいろいろの点を踏まえて慎重にこれから検討していく、事柄がはなはだ重要だ、深刻な問題だという受けとめ方は私自身として持っておるということをはっきり申し上げておきたいと思います。
  351. 中川秀直

    中川(秀)委員 事柄が深刻だとか重要だというのは公務員のお立場議論なんです。国民にとってそんなことはちっとも深刻でも重要でもない。そうじゃないんですね。公務員のための公務員制度ではないのです。国民全体のための公務員制度なんですから、そういう立場で、事柄が重要であることもよくわかっております。しかし、重要という意味は深刻だという意味ではない。国民のための新しい公務員制度の一つとして定年制考える、だから重要だという認識に立ってもらわなければいけない。  その辺、余り総裁が慎重に慎重にと言うと、新聞で報道されておる一、二年よりも、もっと掛ける十くらいになってしまう。そんなことでは困るのです。定年制本体の議論をする余り、いつの間にか西村長官が発言したものもどこかへ行ってしまって、総裁が慎重慎重で一、二年どころか、十年から十二年くらい、次の次の総裁までかかる問題だなんて言ったら、何のためにこんなところで議論しておるのか、国会での御答弁は何の権威があるのかということになってしまう。総裁も人事局長も、その声、一つのタイミングを、せっかくここまで来ておるということをお考えになって、タイミングというのは何も一個人、たとえば私がつくったとかそんな問題ではなく、国民の声がそういうふうに一つの問題提起をして出てきているのだ、だからここで考えて、何らか措置をしなければいけないという気持ちでこの問題には当たってもらいたい、私はそう思います。これはお願いでございますが、通常のお願いではない。ここはひとつ重要に深刻に、そういう意味で考えてもらいたい、こう思います。  次いで、地方事務官の問題を若干お尋ねをいたします。  この問題も昨年十二月末の閣議決定で言われたところでありますけれども、たしか運輸関係については線引きがしてあったと思いますが、いずれにしても早急な廃止ということが書かれておって、労働省、厚生省関係は二年以内に廃止という閣議決定だったと思います。この地方事務官の問題もいろいろ長い議論があって、しかも相も変わらず二万人を超す変則公務員がいらっしゃる。これは閣議決定の線で当然結論を出すべきだと思うのですが、長々となりますから、私の地方事務官に対する認識等はあえて申し上げません。閣議決定がああいうふうに出たということも相当の認識で出ているのですから、これは議論をいたしません。だから御答弁も、そんなことを言わずに結論だけいただきたいと思うのですけれども、運輸省は閣議決定をどうやって生かされるのか、お伺いをしたいと思います。それから自治省もどういうふうになさるのか、お伺いしたいと思います。  ただ、申し上げておきますが、かつて全面委譲ということを言っておられた全国知事会あたりも、最近は車検登録関係はやはり国の事務として認めよう、バス、トラックの路線認可、料金値上げなど、住民に密着した運輸行政事務地方に委譲すべきだという決議をしているわけです。運輸省がどういう御答弁をなさるか、もう大体わかっているのですけれども、それをわかった上でさらに一歩突っ込んで、あえて指摘をいたしておきますが、バス、タクシーの料金認可や路線の新設、廃止というものは国が握らなければ不都合だというのは、私はどうも理解がいかないのです。公共料金だったら、水道だって学校の授業料だって、みんな都道府県でやっているではありませんか。都道府県でやっているのはたくさんあるのです。バス、タクシーの料金認可その他は国がやらなければいけないのだという、そんな古臭いことを言っていて、それではほかも全部国にすべきだという御主張なのかどうか、その辺も含めて閣議決定をどうやって生かされようとしているのか、運輸省にお尋ねいたします。
  352. 梶原清

    ○梶原政府委員 お答えをいたします。  昨年の十二月、閣議決定がございまして、それを受けて行政管理庁、自治省、運輸省の三省庁の間で現在鋭意協議を進めておるわけでございますが、現在はまだ成案を得るに至っておりません。結論を得次第、所要の関係法律案を国会に提出して御審議をちょうだいいたしたいと考えておる次第でございます。  第二段で御指摘のあった点でございますが、バスの運賃とか停留所等を地方公共団体に委譲してはどうかということでございますが、これにつきましては、先生御案内のとおり、自動車の活動範囲というのは、非常に広くなっておるわけでございまして、たとえば路線バスその他区域事業と言われますタクシーにしても、トラックにしても、県際を渡って、非常に広く活動しておるわけでございます。したがいまして、運賃面にしましても、事業計画の面等にしましても、すべて広域的な観点から処理をする必要があるということが一つ言えるかと思います。  御案内のとおり、鉄道なり各種の交通機関があるわけでございますから、その各種の交通機関との調整といいましょうか、総合的にそれを処理する必要がある。それから自動車の検査等の安全行政と密接な連携を図りつつ処理する必要がある。また権限を国と地方公共団体に分離する場合かえって行政能率が落ちるとか、あるいは利用者の立場から見たら窓口が二元化されるというようなことも考えられるわけでございまして、これらの点を種々勘案して慎重に検討すべきではないだろうか、かように考えている次第でございます。
  353. 中川秀直

    中川(秀)委員 これまた慎重にということですが、いつごろ結論を出されるのですか。閣議決定は早急に廃止というようになっていますね。
  354. 梶原清

    ○梶原政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、目下関係省庁の間で鋭意協議をいたしておるところでございます。
  355. 中川秀直

    中川(秀)委員 お答えにならないところを見ると、いつごろ結論を出すということはまだはっきり言えないということでしょうが、労働省、厚生省でも二年以内となっておるわけですね。早急にというのはそれよりも短いと私は理解をいたします。何と言ったって閣議の決定なのですから、私はいろいろ議論があって反論したいのですが、時間がないから言いません。しかし、少なくともそういう行政改革ということの中でこの問題が取り上げられて、やれということなのですから、行政当局としては、当然それに対して早急にやらなければいけないでしょう。それはもう後退をすることは許されないと私は思います。あえてその点だけ指摘をいたしておきます。  労働省にお尋ねをいたしますが、労働省も、職業安定の事務は広域的で全国的な立場から行う必要があるから、あるいは国の産業政策と密接な関係を持っているから、一つの地域で労働力を抱え込まれたり府県独自の考え方でやられたら困る、失業保険も職業安定と表裏一体だ、大体こういう御答弁をなさることはわかっているのです。いままでもこれは何回も聞いている。しかし、地元中小企業に対する職業紹介や地域の高齢者の就職対策などはきわめて知事的なものですよ。実態は知事的なものです。求人求職などは、地方産業振興のためにも、地元の近いところで実際に充足しているし、されています。私は、これも閣議決定の線に沿って、できるだけ早く結論を出さなければいけない問題だと思います、二年以内ということになっているのですから。  基本的に申し上げますならば、私どもはこれは府県に任せればいいと思っている。はっきりそう思っている。労働省、この閣議決定をどうお取り扱いになるか、どういう手順になっているか、お答えください。
  356. 名取昭夫

    ○名取説明員 お答えをいたします。  私、担当ではございませんでしたので、答弁を用意いたしておりませんけれども、私自身の承知をいたしているところで申し上げますと、省内で検討委員会をつくって検討を進めているというように理解いたしております。
  357. 中川秀直

    中川(秀)委員 答弁関係のすり合わせが若干落ちていたようで、失礼しました。そういう質問があったことだけはお伝えください。  厚生省にお伺いします。  社会保険庁も、もう御答弁の内容は大体わかっておる。あえて繰り返しません。しかし、これも、私はおっしゃることもよくわかるのですが、料率や給付は全国一律で、ちゃんと法律もあるわけです。問題は、事務のことを言っているわけで、徴収や給付の事務というものが国でなければ一切できないんだということも、論拠としては必ずしも強いものとは言えない、ぼくはこう思うのです。これも私は、部分的には府県で任せられるものは府県に任すべきだ、こう思っています。私はぐだぐだしたやりとりはきらいですので、端的にお答えを願いたいと思うのですが、こういう主張もある。  これは、私は直接聞いたわけではないので、新聞の解説記事の中の点なんですけれども、社会保険関係は民間の保険と、もちろん内容は全然違いますけれども、あり方というもの、基本的な姿というものは全く違うというものではないのだから、独自の事業団でも設けたらどうなんだという発想もあるというふうに書いてありますね。私は、これも一つの意見だと思うのですよ。ある意味で、研究してもいいんじゃないかという気がするのです。そういうことを含めて、二年以内にやれと言われている閣議決定を、どのようになさろうとしているのか、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  358. 正木馨

    ○正木説明員 お答え申し上げます。  先ほど来先生からお話がございましたように、昨年末の閣議決定で「厚生省の社会保険関係及び労働省の職業安定関係地方事務制度については、二年間以内に廃止するものとする。」ということで、その取り扱いにつきましては、行政管理庁中心としまして関係省庁間で協議を進めるという段階でございます。  そこで、社会保険関係のお仕事、先生非常にお詳しいわけでございますが、現在地方事務官がやっておりますのは、年金で申しますと、国民年金あるいは厚生年金保険、それから医療保険で申しますと健康保険、日雇い労働者健康保険、船員保険は年金にもまたがっておりますけれども、そういう仕事をやっております。これらの社会保険関係仕事を総じて申しますと、やはり国が経営者、保険者となって全国一律的に実施をするという事務でございます。  そういうことで、やはり社会保険業務の性格から考えまして、身分問題というものにつきましても、そのうらはらの関係において考えていかなければならない。国民皆保険、国民皆年金体制のもとにおいて国が責任を持って実施をするというためには、国の責任体制というものが全うし得る、国民サービスの向上ということが私どもの使命でございますが、業務の性格と身分問題というものをうらはらに考えていかなければならないというふうに考えております。今後、この扱いにつきましては、関係省庁間で十分協議をすることでございますが、結論的に申しますと、私どもは、先ほど申しましたように、国の責任体制というものが全うし得る体制というものをどうしても考えていかなければならないというのが基本的な考え方でございます。  それから、先ほど先生のお話のございました、民間保険との類似を申されましたが、国民皆保険、国民皆年金ということで全国民を強制的に加入をさせ、一律な事業を実施するということになりますと、その辺についての認識というものを十分踏まえながら考えていかなければならない。これは三十年来の問題でございますので、非常に複雑多岐にわたる問題点がございますが、それらの経緯も十分踏まえながら、誤りのない対処方針というものを定めていきたいというふうに考えております。
  359. 中川秀直

    中川(秀)委員 鋭意御努力をお願いします。  閣議決定のその方針が、もちろん方向は明示はしてないわけですけれども、あくまでやっぱり三十年の経過の中で、そろそろ結論を出してきちっとしなければいけない。それもやっぱり国民の期待にこたえる方向でやらなければいけないという趣旨で出ているわけですから。もういまや既得権擁護の時代じゃないんです。あえてそういうものに挑戦をしていかなければ、社会発展や新しい活力というものは出てこない。そういう意味では、まさに秩序のフロンティアが必要なんです。そういう意味で、閣議決定というものの重みをきちっと受けとめられておやりいただきたい、こういうふうに思います。  残る十二、三分を補助金事務手続の問題、これは大臣委員長をなさっている行政監理委員会の答申の問題ですから、大臣にもぜひともお帰りいただきたいということで、キセルでまた戻ってきていただいたわけでございますけれども、大臣、これは非常にじみな問題ですけれども、大切な問題だと私は思うのです。この四月に行政監理委員会が「補助金事務手続の簡素合理化方策についての答申」というものを出した。私は、昨年の予算委員会からずっとこの問題をやってきておりまして、何とかしなければいけないとずっとやってきたのです。出てきた報告書を読んで、私は、こんな実態なのかということを、恐らく各省庁でもびっくりしているところもあると思うのです。私自身も、やはりこれは大変なことだと、こう思ったのです。  この補助金の問題というのは、補助金そのものを零細なものとか不要なものを整理統合しようという意識は大分進んできたのです。特に、財政のこういう状況の中で、大蔵省の主計局あたりも、たしか私の記憶では、昨年に倍する補助金整理をやっていますね。ところが、事務手続の問題というのは余りやられていないのですね。お伺いをしたのですが、運用上の問題ですから、各省でも大体係長から班長クラス主体の問題なんですね。だから、課長さんあたりになると、そういうことは任しておくということで、非常に意識の薄い問題なんです。  ところが、この手続が実は大変なんですね。ある全国的な補助金になったら、四十七都道府県から三千二百市町村まで行く。これが何カ月かおくれるということになれば、幾ら景気回復で公共事業予算——公共事業予算の中にも建設省だけじゃない、厚生省や文部省の分もたくさんあるのです、建物の分で。そういうものがべらぼうにおくれてしまうなんということは、これだけだって大変な、私は、行政改革の本当にメーンテーマだと言ってもいい、大変大事な問題だと思うのです。行政監理委員会が、アンケート調査ですが、そういう調査をおやりになったということは、大変私は評価をいたしております。これを、ただ調査しただけじゃなくて、ぜひとも実施に移してもらわなければいけない、こう思っているのです。  大臣もこのことについてはお読みになっているから、あえてくどくど申し上げませんが、このアンケート調査は千百三補助金について一割ぐらいのアンケート調査しかやってないわけですね。一般会計の三分の一、十一兆に及ぶものを各省ごとに総点検をして、そして地方自治体もこれにならって改善の努力をしなさい、後戻りをしないような措置をとるために、一つのスケジュール、予定表を関係当局でつくって、それを地方自治体なり事業者にあらかじめ提示をしなさい、必要に応じてその内部監査機能を活用して監察や監査をしなさいと、非常に具体的な提言も行われているわけです。大臣、これは、行政管理庁長官として、あるいは行政監理委員会委員長として、是が非でも答申だけに終わることなく、徹底的にやってもらいたい。ひとつ大臣の御決意をお伺いをしたいと思うのです。
  360. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  途中で所用のため中座をさしていただきまして、ありがとうございました。  おっしゃるとおりでございまして、四月の七日に行政監理委員会から答申がございました。庁内で研究いたしましたところが、補助金をもらうために、町村から始めて、また県庁、各省にまたがっておるということで、一体どのくらいな人員がこれに従事しているかと言うと、恐らく十万人以上で、十二、三万人、金額にして五千億ぐらいな人員が動員されておると、これは余力的確じゃないかもしれないが、そういう想像を庁内でしたわけでございます。そこで、これはもう早急にやらなければならない、そういうことで、これを徹底するには各省へその通達を出すくらいじゃとてもだめだ、そこできょうの事務次官会議はこのことを主体にして議題にしてもらいました。そしてどういうふうに各省庁がこれを実行するかということで、八月の末日までにはこれを実行できるという案をつくる、そして各省庁は所管のこれに対するどんな具体的な案をつくるかということを私の行政管理庁へ報告を願うことに決定をいたしました。したがいまして、あなたのおっしゃるとおりでございます。  これはどうしてこんなに人員が必要になって、そしてえらい手数をかけてやるかということを研究してみますと、隣の村ではこういうことに補助金が幾ら来た、うちの方の町ではぐずぐずしておったから取れなかった、もらえなかったというようなことで、全国の二千何カ所の町村が競争でやっていることなんです。そのために多数の人間のむだをしているし、それから補助金をもらうために、北海道から沖繩の先まで東京へ押しかけてくる旅費、そういうことを考えますと、これができないようなら行政の簡素化だなんていうようなことはおこがましい次第であります。  したがいまして、これはきょうも次官会議決定したとおり、この八月までには全部どういう方法でこれを簡素化するかというので、各省庁から私の方へその明細を持ってくることにいたしました。したがって、今後は遅まきながら実行できると考えております。また徹底的にやることをお誓いを申し上げる次第でございます。
  361. 中川秀直

    中川(秀)委員 大変力強い御答弁でほっといたしましたが、まさにほっとするという感じなんであります。  自治省の行政局どなたか——自治省としては、地方自治体もこれにならってやってくださいという答申が出ておりますね、どういうふうにおやりになりますか。簡単にお答えください。
  362. 中村瑞夫

    ○中村説明員 御指摘のように、本年四月七日の行政監理委員会の御答申の中にも、地方団体においても、特に都道府県の市町村に対する関係において国と同様に改善を図るべき点があるという指摘がなされまして、地方団体においても、そのような改善措置を講ずるようにという要望がなされておりますし、いまほど長官から御答弁のございました事務次官会議の申し合わせにおきましても、国に準じて地方公共団体において改善方策を講ぜられるよう要請をするということとされておりますので、私どもの方としましても早速これらのことを地方団体に連絡をいたしまして、地方団体の関係、特に都道府県の市町村に対する関係におきまして指摘をされておりますような事柄が一掃されるように要望をいたしたいというふうに存じておる次第でございます。
  363. 中川秀直

    中川(秀)委員 せっかくの御答弁ですが、それでは足らない、通知するくらいでは足らない。指摘されたものだけやるのでも足らない。わずか一割しかやっていないのですよ。全体にかかわる問題なんです。各論で出ている細かいのだけおやりになるなんていう姿勢では足らないのですね。ひとつもっと前向きの御答弁をいただきたいと思う。
  364. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答え申し上げます。  あるいは言葉が足りなかったのかもわかりませんけれども、私、ただいまお答え申し上げましたのは、行政監理委員会の答申の中で指摘をされておりますことに限ってということではございませんわけでございまして、あそこにございますのは一つの事例として掲げられておるわけでございます。そういうことはもとよりといたしまして、地方公共団体自体の中におきましても、みずから総点検ないしこれに準ずるようなことを行いまして、全体としての補助金関係事務手続の簡素合理化が進む、特に都道府県が市町村に対しましてとやかく言われることのないように速やかに措置がされるように今後とも自治省といたしましても地方団体に対しましてその意思を伝え、また努力を求めてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  365. 中川秀直

    中川(秀)委員 中央省庁の場合は事務次官会議までやって八月までに改善計画を持ってこい、大臣のところへ明細まで報告しろということでやっているわけですね。自治省もこれはいろいろなケースを課長もお読みになっていると思うのですが、責任というものの半分ぐらいは都道府県の責任というようなケースが非常に多いのですよ。内示のおくれや交付決定のおくれ、いろいろなことが、一括して補助金申請を出そうということで、それでおくれてしまったとか、あえて申し上げません、非常に多いのです。だから都道府県の担当者を集めて、いついつまでに改善計画を各県持ってこい、こういうふうにしてくれというぐらいのことは当然おやりになるべきだと私は思う。そうでなければ問題の解決にならない。何といってもそれが地元段階であって、中央省庁があるわけですから、私は文書の通達ぐらいではとても足らぬと思う。だからあえて足らないと、大変失礼な言い方でしたけれども申し上げたわけです。ひとつそういうことをしていただくように強くお願いしておきますよ。これはそうでなければ百年河清を待つごとくなかなか解決しません。  たとえば、二、三事例を挙げてお伺いします。農林省もお越しだと思いますが、大臣もお読みだと思いますけれども、事前協議のヒヤリングの段階で、必ず本省と国の出先機関で協議する場にもかかわらず都道府県職員を連れてくるのですよ。出先機関がよく実態を把握しておけば連れてくる必要がないのに立ち会いをさせるのですね。そういうケースが、たとえば農林省の都通府県営土地改良事業費補助、これなんかは一つの県で平均六人から七人ぐらい来ているのです。四十七都道府県だったらこれは三百人ぐらいになりますよ。これの出張旅費だ、何だで大変な金額になりますよ。あるいは農林省所管の中で、農業構造改善事業費補助金で県が市町村に不必要な立ち会いをやらせている例もあるのです。これもまた市町村から行かなければいけない。大変なお金になるはずですね。大臣もこれはお読みになっていると思いますが、全国知事会の意見、これも知事会にも、国にばかり言うな、市町村に対してもあなた方同じことをやっているんだったら直させなければいけないですよ、課長これは。この挙げられているケースを一つ申し上げますと、国道改良事業、大体十億円の事業をとるのに何と、これは何もかも入れているのですが、一年間に百一件の事務処理があって、合計三十八人の職員が上京しているのです。延べ千九百七十二人の職員がかかり切りになって、その経費が、出張旅費が五千七百万円。何もかも入れているので、これはちょっと数字がやや大き過ぎると思いますが、その補助金業務にかかった経費が一億八千八百万円。十億円の仕事の二割かかっているのですよ。知事会が自分で言っているのです。数字は細かく検討してみるとちょっと大き過ぎるとは思いますが、少なくとも出張旅費五千七百万円なんてかかっている。こういう金が、国費の補助をもらうのにまた県費や何やらがこれだけ使われる。国民立場からしたらたまったものじゃないです。これはひとつ相当のことをやってもらわなければいけない。農林省、来ておられると思いますから、この改善、具体的に指摘されているのです。ひとつどう改善するか、はっきりおっしゃってください。本当にいままでこういうことを知らなかったから言うのですが、私は腹立たしい思いがする。いかがなんですか。
  366. 荒舩清十郎

    荒舩国務大臣 お答えします。  これは、いま自治省から御答弁がありましたが、そんなことじゃだめなんですよ。これは本当に、地方より各省がやる気にならなければだめなんです。各省、中央官庁が総動員をしてこれをやるつもりでないとできないと思うのです。  それから、各都道府県に出張して、そうして県庁で各町村の補助金をもらう係の人がいますから、ひとつ各省はそういう人を集めて講習会でも開いて、そうして徹底しなければできません。それを八月までにやってもらう。その報告を行政管理庁へもらいたい、こういうことで徹底しなければ、これはだめなんですよ。だからこっちから県庁へ出張して講習会を開いて、そうしてこの書類もむだな——むだというわけじゃないが、いままでの形では、見たら、こんなことを何でこんなに幾通りも幾通りも書かなければならないのかというような面がありますから、おっしゃるとおりでありますから、徹底してこれは体を張ってでもやりますから、どうぞひとつ激励をしていただきたいと思います。
  367. 中川秀直

    中川(秀)委員 激励よりも大いに監視をさしていただきたい。国民立場から、これは大いにやってもらわなければいけない。ひとつ各省の方々も、あえて具体的にいろいろ言いませんが、たとえば文部省の交付時期、二十七件の補助金のうち年度末の三月に交付決定が行われているのが十一件ある。具体的に指摘されていますね。あえて答弁を求めません。大臣のそういう御発言もあったのですから、求めませんが、もういろいろな御事情はあるだろうけれども、大いに努力してもらわなければ困る。ひとつ申し上げておきます。  あるいは教材費の補助の日数のかかり方、これもひとつやってください。  それから軽微な変更の届け出の廃止、農林省の漁港法。軽微な範囲というのは、ちゃんと法律で決まっているのですよね。あるいはいろいろな規定があるのです。こんなものは一々届けなくていいというのがあるのです。それを法律でまだ届けさせているなんという、こんな古いヘビのしっぽみたいなことを言っていたのではどうにもならないですよ。法改正はむずかしいとかなんとか言わずに法改正をやりなさい。どんどん国会でも審議しますよ。法改正がむずかしいからなんということは行政当局の言うことじゃない。それをどうするかは立法機関の言うことなんです。冗談じゃない、そんな言い方は。それは当然やるべきです。そんな答弁は聞きたくもないです。大臣がそれだけの決意でやれと言っているのですから、これはもう絶対やっていただきたい。ひとつお願いをしておきます。  あるいは労働省の職業訓練費の補助金ですね。これなんかも二千五百枚なんてひどい。やはり資源有限時代と総理も言っているのですから、むだにしないようにひとつ御努力を願いたい。  以上、強くお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  368. 高鳥修

    高鳥委員長代理 次回は、明二十八日金曜日午前九時五十分理事会、十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時十四分散会      ————◇—————