○上田
委員 私はもう
歴代の大臣といいますか、あるいは
総理等の部落問題に対する発言の中で担当大臣が一番認識が足らぬと言ってもいいのではないか、このように思うのです。ここに資料があるんですけれども、ちょうど二十年前ですね、一九五八年の一月二十四日でしたが、当時、三木武夫自民党政調会長が、四谷の主婦会館で部落解放国策樹立要請全国
会議がありまして、自民党を代表してごあいさつされたわけです。このときにこういうことを述べられているわけです。
日本における封建的残滓はいまも多分に残っているが、部落問題はその最も大きな問題である、この問題は国策として取り上げるべきで、政党や思想を超えた社会正義の
立場から解決しなければならない、われわれは、この問題は全国民的な視野において解決を図るべきものと考えている。これは同和対策審議会の答申とか
措置法という
法律ができる前に、時の自民党政調会長である三木さんがこういう積極的な前向きな発言をなされておるわけです。
同じくその年の三月十一日でありますけれども、これは本院の社会労働
委員会で、亡くなられました先輩の八木一男
先生の質問に対して岸元首相は、「かくのごとき事態が生じたということについては、部落民の
責任に帰すべき事由はない、」「この問題は、こういう事態を放置しておるのは全く
日本の民主政治の恥辱であり、従って民主主義の完成の上からいいますと、政党政派を超越し、
内閣のいかんを問わず、われわれは力を合せてこの問題の解消ないしそういう事態のなくなるように
努力すべきものである」、こういうように述べられておるわけであります。
特別
措置法が上程されましたところの一九六九年の六月五日に、同じく本院の
内閣委員会において八木
先生の質問に対して、亡くなられた佐藤元
総理が「もちろんいままで各大臣がお約束したこと、これを忠実に履行するその
責任がございます。その点はもういまさらあらためて確認されるまでもないことであり、必ずいたします。はっきり申し上げます。」あるいは「
政府もそういう
意味で――とにかくこの
法律ができ上れば、ぜひりっぱな成果をあげるように、この上とも御協力のほどお願いしたい。また
政府を鞭撻していただきたい、」こういうように、りっぱな成果が上がるようにということで期待をされる発言も出ておるわけであります。
長官もこの発言等でわかりますように、少なくとも戦後において部落問題がちょうど二十年前にやはり国策の問題として大きな問題になり、一九六〇年の第三十五回の国会で同和対策審議会の設置法というものができて、それから約五年経過した一九六五年に審議会の答申が出される。そしてその答申が出されて四年後に特別
措置法ができている、こういうようなことでありまして、本当にもしか同対審の答申というものが五年近くもかからずに二、三年で出ておったとするならば、一九七〇年ぐらいにもうこの問題は解決しているべき問題であろう、こういうように思うのです。あるいは同対審の答申ができてから四年もたって
法律ができたこと自身、非常に遅いぐらいでありまして、本当はもう答申ができてすぐ、一年数カ月後には
法律ができて当然のことではないか、こういうように私は考えておるわけであります。
そういう点で、
法律が時限立法で十年ということで決まりながらこの十年で同和問題が解決しなかったということでありますから、やはり
政府の
責任でこの事業が残っていったわけでありますから、また同対審の答申なりこの
法律の趣旨というものを考えた場合に、決して同和対策は事業だけに限定さるべき問題ではない。確かにこの
法律の名称は同和対策事業ということになっておりますが、決してその趣旨というものは事業だけに限定すべきものではないということは私は明確ではないか、こういうように考えておるわけであります。
そういう点で、私は、少なくともこの同和問題が一日も早く速やかに解決されることを望むものでありますが、しかしながら現実にこの時限切れの時点でいまなお相当な事業が残ってきているというこの中で、やはりこの延長の問題が出てきておるわけでありますから、私ははっきり申し上げるならば、
政府の
責任でこの十年間で同和問題が解決できなかったのであって、政党の
責任に帰すべき問題ではなかろう、こういうように思うのですね。だから、各党というような形で協議して云々ということ自身、問題があろうし、いわんやこの
法律ができたときでさえも各党協議というものはございましたが、やはりそれでさえも、
政府の骨子というものですか、
政府のある程度の
法律の骨子というものが土台になって各党協議がなされたということがあるわけでありますから、今度は
政府の怠慢によってこの事業が残って延長せざるを得ないということでありますから、当然
政府が指導的な
役割りを果たし、与党の中の一部にあるそういう間違った考え方に対しては、
長官みずから担当大臣として与党と接触を深めて、あなたの政治
責任で今国会に延長の
法案を提出するという決意を再度ここでお聞かせいただいて、次の質問に移りたいと私は思うのです。