○新井
委員 だから、非常に幅が広いわけですから、一つ一つの長期
計画をどうするかということについては、非常に細かい分野にわたろうかと思いますからあれですけれ
ども、基本的な一つの考え方あるいはまに長期的な考え方、たとえて言いますと宇宙開発ということがありますね。これはもうソ連でもアメリカでも有人飛行をやっておりますから、そういうことでは非常に立ちおくれておる、こういう考え方があるわけです。ところが現実のわれわれの生活を見ましたときに、いまの時点でそういうことに多額の金を投資する。たとえて言いますと、十五年間で三兆円も投下してあそこで有人飛行をやったことが一体いまのわれわれにとって何か意義があるのか。そうすると、確かに自然科学が解明できたとかあるいはまたロケットを打ち上げるためにいろいろな
技術が開発されてほかの分野に影響を与えて、それがまたプラスになるんだ、あるいはまた通信衛星等によって電話とかテレビ等が即座に簡単に開けるようになるんだとか、いろいろあると思いますけれ
ども、やはりそういう面についても、考え方として、アメリカとかソビエトから
技術提携でもしてでき上がったものを、何も日本が改めて基礎的な
データからやらなくたって——やろうという国もありますね。あるいはまたわが国には昂てんなことは
関係ない、やりたい国にやらしておけというところもありますね。あるいはまた実益だけ目指すなら、衛星を一つ賃借して、それで一月に使用料幾らですと払ってやった方がいいんじゃないか、こういうぐあいにいろいろあるわけなんですけれ
ども、そうかといって日本の国の置かれている立場は、いままでと違って、やはりアメリカ、ソビエト、西ドイツとかに続いて当然日本で
技術開発に対して投資をして、今度は世界各国にまたそれを教えたり、
技術を分けてあげたりして貢献をしていかなければならない立場にある、こういうことでございます。
議論はいろいろあろうかと思いますけれ
ども、やはり国民の方が、宇宙開発一つにしましてもこういうことなんだということがある
程度わかるような長期
計画でなければ、よしんばいまそれを十五年三兆円でやります。それで宇宙開発です。そして有人飛行やったから日本の国もアメリカやソビエトに並びましたよなんということを言って喜ぶ人もいるでしょうけれ
ども、それは何だというようなことにもなろうかと思いますね。そういうわけで、確かに幅広い問題があると思いますし、
科学技術会議からもそういう基本的なことは出ておりますけれ
ども、そういうことを踏まえて実現のできる方向で一つ一つやっていただきたい、こういうぐあいに思うわけです。
それがさっきも言ったように、本当の実現する方途というのは国民所得に対する二・五%でしょう、あるいは三%でしょう。それだけのパーセントの
技術開発費というものができなければ、あと基本
計画だとかなんとかといったってできるわけはありませんよ、そんなものは。だから、たった一つの
科学技術会議から言われていることについてもそれができないわけですから、あとの
計画なんというのは絶対できない、こういうぐあいにぼくは理解してしまうわけですね。
そういうわけでございますから、ひとつそういう面についても、
予算それから
計画、そういうものが相伴って、
技術はこれからの日本が背負って立っていくんだ、六五%なんですから。それがなければ日本はこれから発展もしないし、世界にも貢献はできないんだという、固い決意でやっていただきたい、こういうことを
お願いしておくわけでございます。
それから、まだ質問はたくさんあったのですけれ
ども、時間ですからもう一つだけ、これは言いっ放しになるかわかりませんが、
科学技術庁長官に
お話をしておきたいと思いますが、
科学技術会議、これについては
科学技術会議設置法にちゃんと載っておりますけれ
ども、ここで答申が出たり、あるいはまた報告書が出たりしているわけでございますが、どうなっているんだと思うようなことは、まず昭和四十八年七月に
科学技術会議は部会を設けまして、エネルギー
科学技術部会というのを設けていろいろ検討していただいていますね、エネルギーの問題について。そして五十年七月に報告書にして出していますね。それから今度は五十一年二月に
科学技術会議は国家レベルの統一のとれた
計画を策定すべきだという
法律に基づいた
意見書を
提出しているわけですね。そういうことで来ていまして、この間、一年三ヵ月を経て五十二年五月二十五日に今度は諮問第七号で「エネルギー
研究開発基本
計画について」を
科学技術会議に諮問していますね。それから、昭和五十一年二月十五日、諮問第六号の「長期的展望に立った総合的
科学技術政策の基本について」というのが、やはり五十二年五月二十五日に答申されておる。そこで、さっきの五十二年五月二十五日の諮問第七号については、五十三年八月、もうすぐ答申が出てくるわけですが、この答申だとかあるいは
意見だとか報告書だとか、いろいろ見てまいりますと、これは一番新しい諮問でございますけれ
ども、諮問第七号「エネルギー
研究開発基本
計画について」、理由は、エネルギー
科学技術の
振興は、わが国のエネルギー問題の解決にとって緊要かつ重大なる課題であるというようなことで、短い文章が書いてありますね。ところが、これに対しては諮問第六号においてどういうぐあいになっているかと言えば——要するにいままでの答申の
内容と似たり寄ったりのことを聞いたり答えたりしているんじゃないかということを非常に思うわけですね。
それからもう一つは、
科学技術会議というのは総理大臣が議長でありますし、
科学技術庁長官も入っていますね。大蔵大臣も文部大臣も入っている。それだけではなしに、なお
専門家の方も入っているわけでしょう。そうすると、閣僚
会議をやっているよりもまだ強烈な
科学技術に対する認識のあるメンバーが入っていて、そしてそこでいろいろやっているわけですから、たとえて言いますと、
予算を二・五%にしなければいけないとか、あるいはまた三%にしなければいけないとか、そういうことだってどんどんやっていかなければいけないし、ある意味ではそこが
調整機能をとってもっと機能しなければ何にもならないのじゃないかということを考えるわけですけれ
ども、一体
科学技術庁長官はそこに出られておって、そしていろいろな諮問とか答申をやっておられますけれ
ども、本当に
科学技術庁長官として
科学技術を今後どう進めればいいかということについてどのような立場で言われているのかお伺いしておきたいと思います。