運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-05-31 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月三十一日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       原田昇左右君    渡辺 秀央君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    長田 武士君       竹内 勝彦君    鳥居 一雄君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         文部省管理局企         画調整課長   塩津 有彦君         文化庁文化部芸         術課長     青柳  徹君         文化庁文化部著         作権課長    小山 忠男君         参  考  人         (日本民間放送         連盟会長)   浅野 賢澄君         参  考  人         (日本民間放送         連盟専務理事) 杉山 一男君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   堀 四志男君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 五月三十一日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     原田昇左右君   大野  潔君     長田 武士君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     原 健三郎君   長田 武士君     大野  潔君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行います。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、日本放送協会技師長沢吉克君及び同専務理事堀志男君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松本七郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本日は、参考人として、ただいまお諮りいたしました日本放送協会のほかに、日本民間放送連盟会長浅野賢澄君及び同専務理事杉山一男君が御出席になっております。  参考人の方々には、御多用中のところ本委員会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。  御意見委員質問に対する答弁の形でお述べを願いたいと存じます。     —————————————
  4. 松本七郎

    松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  5. 鈴木強

    鈴木(強)委員 きょうは大変お忙しい中を民放連浅野会長にはお出ましいただきましてありがとうございました。  小林会長の後を受けて民放連会長に御就任になられたのでございますが、大変御苦労さまです。  あなたは郵政省に長い間勤務されて、電波監理局長、さらに事務次官と御就任の後フジテレビにいらしておるわけでございますから、電波放送行政の面については私より以上に専門家でございます。したがって、きょうあえておいでいただきましたのは、当面する三つ、四つの問題についてぜひ会長の御所見を承っておきたいと思ったからでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、日本電波放送というのは、御承知のようにNHKの独占的な放送体系から戦後、民放を加えた公共放送民放との混在の状態が今日まで続いておるわけです。言うならばアメリカナイズされたような形だと思います。したがって日本における放送事業者放送法電波法の定めるところによっていろいろと事業をやっているわけでございます。ですから、民放はただ単にもうければいいという純然たる利益追求仕事ではないと思います。その辺はあなたも十分御理解いただいていると思います。そこで、どうしてもNHK民放がお互いに協力し合い助け合って、よりよい放送国民に提供する、文化向上国民生活向上に裨益するということが目的だと思いますが、日本におけるそういう放送の基本的なあり方について、ややもするとNHKに対して必要以上の批判をする方もおられるわけです。  NHK公共放送として私たちのNHKだという姿になるためには、まだ幾多の克服すべき点があると私は思います。どうかすると官僚的な振る舞いがないとも言えない。しかし、私は、もう民放NHKを超えていっていると思うのです。ですから、いままでのような安易な気持ちではならないし、そういうことはできないと私は思うのです。ですから、民放NHKがますます相協力していくという体制が必要な時期に来ていると思うのでございます。  新会長としては、民放連各社をとにかく同一歩調に向けてこれから御苦労していただくわけですが、公共放送民間放送との混在の中におけるそういう基本的な考え方について最初に御所見を承りたい。
  6. 浅野賢澄

    浅野参考人 この四月から民放連の方の仕事を兼ねてやるようになりまして、今後いろいろと御指導をいただくと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。  ただいまの鈴木先生お話でございますが、私も御意見と全く同感でございます。会長になります前も、いろいろ委員をしておりましたときに、NHKさんとはきわめて緊密に仕事をしてまいったのでございます。同時に、会長になりましてからもNHKさんとは同業という立場で、若干分担が違うと思っておりますが、両々相まって日本放送事業はきわめて理想的な形になるという気持ちで相協力してやるように、坂本会長さんともよく連絡をとりながらただいまやっておる次第でございます。  私自身も御趣旨のように思っておりますので、今後よい形でやっていけるものと考えております。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 あすは電波の日に当たりまして、郵政省でも記念式典を挙行されるように聞いております。国民の側におかれましても、電波に対する知識とその普及向上に対する協力をぜひしていただかなければならないと思うわけでございまして、そういう意味から郵政省は、きょうは大臣がいらっしゃいますが、服部大臣も常に心を砕かれておられることは十分承知しておるわけでございます。ですから、そういう体制の中で、電波国民のものとしてより多角的に利用され、そのことが国民に裨益するというような方向に向かって新会長は一段と御奮闘されんことを心からお願いしておきたいと思います。  具体的な問題で二、三伺いたいのですが、その第一番目はモスクワオリンピック放送権の問題についてでございます。  御承知のように一九八〇年の七月十九日から八月三日まで十六日間、モスクワにおきまして第二十二回の国際オリンピック大会が開かれるわけでございますが、この放送権の獲得については会長も十分御了承だと思います。したがって繰り返しはいたしませんが、事、民族祭典であるオリンピックでありますし、そのオリンピック状況を全世界的に国民が聞きたい、見たいということは当然のことでございます。わが国においてもしかりです。したがってモントリオール方式というものも前回は採用されまして、NHKが窓口になって獲得した放送権は公平平等に各放送局に提供するという仕組みになっておったわけでございます。われわれは今回もそういう方式でぜひやってほしいと心から願っておったわけでありますが、不幸にして全く逆の形になって今日に至っておるわけであります。  われわれは大臣に対しても直接あるいは間接的に、国民が全体としてこの放送が見られるような状況に何とか持っていっていただくための御検討を何回となくお願いし、御協力もいただいておるわけでございますが、これは大臣としてもなかなかやりにくい点もあろうと思うわけでございまして、下手をすれば介入だと言われる。したがって、これはあくまでも自主的に放送界が相協力してその道を切り開いていただきたいといまでも私どもは願っておるのでございます。しかし、われわれが思うような方向にも必ずしも進んでおらないということで、いままでも何回も何回も、各党入れかわり立ちかわり、何とかうまいぐあいにオリンピック放送が見られるようにできないのかということについて私ども意見も出しておるわけでございます。  その後の動き等も若干あるようでございますが、会長としては、前小林会長からこれらの問題についての経緯等十分引き継ぎをなされておりますでしょうか。そこのところをちょっとお伺いします。
  8. 浅野賢澄

    浅野参考人 よく引き継ぎを受けております。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、すでに昨年締結をされました協定書がございますね。この内容ごらんになりましたでしょうか。MOCテレビ朝日との間の協定書内容について、ごらんになりましたですか。
  10. 浅野賢澄

    浅野参考人 丁寧には読んでおりませんが、大体そういったようなものをもらっております。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 会長モントリオール方式でいくべきであるというわれわれの考え方賛成だとおっしゃっておりますので、そこでさらに伺いますが、私も資料として協定書を拝見しておるのでございますけれども、一番大事な第九条の「支払い」といいますか、この契約料でございますが、こういうものがわかっておらないのでございますね。いわゆる放送権料といいますか、そういうものが棒を引いてただ「支払い」とだけなっておって、内容が全然書いてない。これは非常に不親切ですね。まさかここが棒になっておるとは私は思いません。必ずそこには額、支払い方法等が明記されておると思いますが、これをあえて公表してないということは大変不満であります。  会長として、モスクワ放送権料、いわゆる契約料が幾らぐらいなのか、非公式にもお聞きになったことはございますか。
  12. 浅野賢澄

    浅野参考人 いろいろうわさは聞いておりますが、正確なところは全然聞いておりません。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 うわさの話を聞くのはなんですけれどもしかし、私ども幾ら聞いてもわかりませんので、大体どのくらいか、うわさで聞いたのではおわかりですか。  それと、いわゆるベーシックフィード以外の技術役務に対する費用というものも恐らく当然要求をされてきていると思うのです。ですから、そういうものを含めてうわさで聞いた額というのはおよそどのくらいのものですか。聞いていたら教えてください。
  14. 浅野賢澄

    浅野参考人 それが見当がつかないのでございますが、むしろ私の会社の者がEBUに参りましたときに、EBUでは、これは最近の話でありますが、日本が決めた額の半分以下でがんばっておるというふうに言っておったのを聞いたぐらいでございます。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それからもう一つ協定書を拝見しますと、モントリオールないしミュンヘンのときの協定書とちょっと違っている点がございますね。前文については従来そういうものがなかったのでございますが、この協定書の中でいまの契約料が全然わかっていないということは不満一つですけれども、そのほかにごらんになって、協定に対して何か御意見がありますか。  よく読んでいないということですから、よく読んでいない方に質問するのもどうかと思いますけれども、あなたは大体勉強していますね。私はそう思うのですが、この協定について何か意見がありますか。
  16. 浅野賢澄

    浅野参考人 正直申しましてさっと見ただけでございますが、オリンピックというものは本来都市が引き受けてやる、参加は個人の資格でだれでも出れるんだ、こういうふうに憲章に書いてあるというふうに聞いておりますが、憲章も私は見ておりませんからはっきりしたことは申し上げられませんが、そういった面から見てみますと、この協定書、この前文に書いてある内容はいささか違うな、そこまで書くと行き過ぎじゃないかな、オリンピック自身が形が変わってしまっておるんじゃないかな、という気持ちでおりました。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 どうかなということですが、前文モントリオールミュンヘンのいずれにも入っておらない部分としては、「ソ連邦日本国民間のより良き相互理解を助成し、ひいては世界緊張緩和と、すべての諸国民間の平和の維持を促進するものである。」ということでございますね。ですから、言っていることは私はこのとおりだと思うのですが、ただ、オリンピックというものは民族を超え国境を越えた祭典でございますから、そういう意味からして会長のおっしゃるようなことになると思うのでございますが、これはこの委員会でもかなり問題になったところでございます。  それから、もしわかっていたらこれは大臣にもちょっとお伺いしておきたいのですけれども、いまの放送権料の料のことですが、契約金のことですが、ミュンヘン大会のときは契約金として百五万ドルになっているんですね。それからモントリオール大会のときは日本参加をしまして、EBu全体として二百十万ドルを払ったわけですが、そのうち日本が百二十九万ドル払っております。そこで、いまお話しのように、EBUは今日でもまだ根強くMOC交渉を進めておるわけでございますが、大臣にはその後いろいろ御苦労をいただいておるのですけれどもEBU動きに対してもし何か若干情報をキャッチしておったら知らせていただきたいのですが、いかがでしょうか。
  18. 服部安司

    服部国務大臣 残念ながら、そういった情報は何にも入手いたしておりません。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 NHKの堀さん、きょうは御苦労さんです。  これはわれわれが見ておりましても、まことに悲壮な決意で一丸になってMOCといま放送権料の問題をやっているようですが、NHKの方では若干の情報は握っておりますか。
  20. 堀四志男

    堀参考人 お答え申し上げます。  必ずしも正確とは申しませんが、われわれのところへ入ってきている情報によりますと、一つは、EBUモスクワの間では技術提携料については相互協力し合うということで、日本における放送権料EBUモスクワ組織委員会との間の交渉には若干質的な相違があるようでございます。  したがって、放送権料だけの交渉をなさっているというふうに聞いておりまして、その額は、これも本当にうわさでございますが、大体三百五十万とか四百万とか、あるいはそれに対してソ連はもうちょっと要求しているとか、そういううわさ承知している程度でございます。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いずれにしても、粘り強く交渉に当たっていることはりっぱだと思いますし、日本放送界も見習うべきではないかと私は思います。  そこで、ラジオ放送権についてはいまこれは無料になっておりまして、この前、モントリオールのときにも、「大会ラジオ放送は自由とし、対価も要せず、また非独占的である。」いうことが明確になっていて、これはNHK代表になってモントリオールオリンピック委員会協定ができております。それからミュンヘンのときも、「大会の行事のラジオ放送日本のすべての放送局に対して無料で許容されている。」ということが明確に載っておるわけですが、今回の場合は、テレビ朝日との協定を見ますと「大会独占放送権を委ねる。」としております。そして、その独占放送権について、「放送権とは、音声もしくはテレビ映像放送する権利を意味する」ということになっておりまして、放送権の中にはテレビラジオもかちっと入って一歩も譲らせないということになっておるわけです。  それで、前回、どなたでしたか、この委員会ラジオ放送権について質問がございまして、NHKの方から答弁がなされておりましたが、浅野会長民放連として、このラジオ放送権の問題について、テレビ朝日との問で何がしか接触はなされておるでしょうか。テレビ朝日ラジオは持っていないですよ。持っていないものが契約してきたわけですから、これは困っておるわけですね。実際にここでも言われまして、返上するとかというような意見もちょっとどこからか出たようですけれども、そうもいかないでしょうね。したがって、民放連としては多くの民放ラジオを当然持っておられるわけですから——この件は映像テレビともちろん不可分のものだと私は思いますよ。そう思いますけれども、何がしかテレビの方の前段としてのアクションがあったでしょうか。あったとすればそれはどういうふうなものでしょうか。
  22. 浅野賢澄

    浅野参考人 実は、小林会長が申し上げたかと存じますが、モスクワ大会につきましては御存じのような経緯がございまして、民放連土俵からおりてあれは始まったのでございます。それで、現在も民放連土俵の外で当事者同士で話し合おうという形になっておりまして、民放連の出る場がないわけであります。  それで、従来とも民放連としましては百七社が集まっておる団体でございますので、取り上げた問題以外には出ていないのでございますが、ただ、この次の一九八〇年の冬季オリンピックにつきましては、これはやはり従来どおりがいいので従来どおりでやりましょうということで報道委員会で取り上げまして、NHKさんと相談をいたしまして、両者一緒になりましてモントリオール方式でやる、こういうふうに決まっております。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 NHKの方は先般テレビ朝日接触をしたように聞きましたのですが、その際NHK民放連との関係については全く配慮しなくてやったというふうに理解していいのですか。いまの会長の話ですと、もう民放連は出る場所がないということですが……。
  24. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  民放連としては浅野会長がいまおっしゃったとおりでございますが、しかし、ラジオ関連会社につきましては連絡はとりました。民放連傘下ラジオ放送会社とは連絡はとってございます。  すなわち、もうちょっと事の経過を申し上げますと、テレビ朝日放送権を取ったものの、御指摘のとおりラジオは持っておりません。したがってこれを朝日放送さんに委託されまして、大阪の朝日放送さんは在京ラジオ三社に協力方を要請いたしまして、在京ラジオ三社はNHK一緒にやることを希望条件といたしましてテレビ朝日さんに連絡をしたわけです。その時点におきましてわれわれもテレビ朝日あるいは在京三社の皆さんとも一応お話しをいたしまして、そしてテレビ朝日側接触を持ったわけです。したがって、民放連に対して接触を持ったわけではございません。そういう意味接触を持ったけれども浅野さんが民放連として接触を受けていないというふうにおっしゃったものとは矛盾しないというふうに考えております。  なお、先ほどちょっと答弁の中でEBUモスクワ組織委員会と申し上げましたが、これはEBUソ連圏OIRTという、EBUと同じような組織がございますが、それとの間で相互協力関係があるらしく、したがって当然技術的協力については相互協力があるということでございますので、ちょっと訂正させていただきます。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 その辺はわかりました。OIRTという、EBUと同じようなソ連圏における放送連合といいますか、そういうところと接触しているわけですね。しかし、そこから接触をして、いずれにしてもNOCとの間で協定を結ぶわけですから、最終的にはそこが相手になるわけでありますが、これはわかりました。  時間がありませんから、次の大事な問題についてお伺いをしたいのですが、モントリオール方式がとれずに、テレビ朝日民放連土俵から出てやられたという会長お話でございますが、そのために混乱が起きた。いま、あと二年ということでございますから、早いものですよ。光陰矢のごとしですよ。そして、現地への視察とか調査とかいろいろな問題もあるでしょうから、そうのんびり構えてはおられないと私は思うのですね。したがって、これはタイミングも必要ですので、そうせっかちにやってみたところでそううまくはいかないと思いますが、私ども関係する者は大変心痛しておりまして、六月十六日で国会も一応終わるわけでございますから、この国会中に何がしか方向を見出しておきたいというのが私の気持ちでございます。  それには、当面するこの問題を解決すると同時に、それとの関連の中で今後の国際オリンピック放送権の問題をどうするかということも大事なことでございますから、そういう意味において、一つは、NOC規約そのものに対して、こういう複数放送事業者のある国におきましてはこれは必ず出てくると思うのです。ですから、少なくとも複数局のある国におきましては、それはどこかが代表をして放送権を結び、その結んだものは必ず平等にその国内における放送事業者放送できるような便宜を供与するということを規約の中にはっきりうたってもらっておけばこういう問題は起きないように私は思いまして、文部大臣にもちょっと予算委員会でお願いしたのですが、ノンガバメントなことですから文部大臣が直接動くということはできませんが、個人的にはいろいろと配慮しようというお言葉がありました。  それから、また、清川さんがIOCの委員をしておるものですから、私は清川さんに会いましてこういうお話もいたしましたが、清川さんも趣旨賛成でございました。それは、できればこの委員会に来て直接われわれの意見を聞いてほしいと私はお願いしたのですが、ちょっと社用もありましておいでいただけませんでしたので、それじゃあなたはそういう趣旨モントリオール方式を指向すべきだという考え方で、そしてできるだけこの民族祭典が全世界国民に向かって放送できるようなことに配慮してくれているということは言っていいですかと言いましたら、いいと言うものですから、私はここで議事録にこれを載せておきます。  そこで、そういうことを二面考えていくことが必要だと思いますが、これは規約の改正になりますとなかなかむずかしい点もあると思いますので、当面日本は何とかして放送したい、テレビ朝日が持っております。どうかしなければいかぬ、私どもはそう思うのです。特にNHKの場合にもそれが言えるわけで、公共放送として放送できるようにぜひ努力をしてほしいと、こういうことを言ってきているわけです。  そこで、冬季オリンピックは何とかモントリオール方式でいくことになったですね。ですから、次の八四年のオリンピックはサンフランシスコでしたかロスでしたか、向こうで開かれるオリンピックがございますね。そういうものについても、この際冬季ができて夏季ができないということもないと思うのです。ですから、そういう点をもう少し詰めて、日本放送界が一体になれるような道をせんさくしてほしいということが一つです。  それから、これからいろいろ具体的にテレビ朝日と話が進んでいくと思いますけれども、それについて会長はどういうような方法でいったらいいとお考えでしょうか。これはもう全然問題にならないとおっしゃるとは私は思いません。やはり、会長としても何とか放送できるように努力をしていかなければならぬでしょう。その際にもし問題があれば、その問題点を指摘して、そして、おれはこうやってやりたいんだという御抱負がありましたら、この際ぜひ聞かしてください。みんなが心配しているわけですから……。
  26. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放各社といたしましては、大体御意見のような気持ちでおるだろうと思います。したがいまして、次の、一応現在予定地として進んでおりますロスの場合には——まだ決まったわけではないようでありますが、一応ロスは名のりを上げまして一番先頭におるようでありますが、ロスの場合にはまたもとのモントリオール方式でやろうではないかということで、ただいま民放連報道委員会では前向きで話し合っておる状況でございます。ということは、大体民放連の各社は従来どおりのよい方法をとるべきだという気持ちのように思われます。  さて、今回の問題でありますが、心配はいたしておりますが、まだもう少し時間がかからないといい動きが出ないかなと、かように思っております。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大変慎重に構えておられるようですが、確かに慎重に構えなければいかぬと私も思いますけれども、それでは希望的な意見になるかもしれませんけれども、一応参考にしていただけたらと思いまして私は申し上げておきます。  やはり、いまわれわれが話をしようとしても、放送権料が幾らなのかさっぱりわからぬのですよ。ですから、そこから見ても話がまだできない段階だと私は思います。テレビ朝日がもしやるとすれば、その点は明確に国民の前に明らかにすべきだと私は思うのです。それが出てこなければ話になりませんね。あとはもちろんさっきから私が申し上げているように、この民族祭典が全国民に見てもらえるようなことをやりたいわけですから、それにはテレビ朝日が契約をされてきたところの、その放送権日本のあらゆる放送局に公平に利用できるようにすることが一つでしょうね。それから放送の時間等についても、おれのところはいいところをやって一方にはそのほかをやらせるというようなことでは問題にならぬでしょうから、放送時間等についても公平にやっていくということを前提にしながらやっていけば、EBUもそのうちに結論が出るでしょう。そう遅くないと思いますから、そういうもの等をにらみながらぜひ努力していただいて、できるだけわれわれ国民の念願がかないますような体制をつくってもらいたいと思うのですよ。  これはNHKもそうですよ。ラジオテレビを分離してラジオの方だけどんどん進めるというようなことは、これも筋としては問題があると私は思うのです。これは無料ですからいいと言えばいいかもしれませんが、その点は十分留意して民放連絡をとりながらやってくださいよ。少なくとも、さっきも民放連会長が正式には知らないということで、それは在京三社にこの話があってやったことですから正式には知らなくても恐らく知っているだろうという堀さんのお答えでしたけれども、この問題は一体になって進んできたわけですから、そういうことのないように、そういう体制民放連NHKがちゃんと持ってもらうことが必要だと私は思いますから、その点を心に置いてやってほしいと思うのですよ。これは両方から答えてください。
  28. 浅野賢澄

    浅野参考人 私も大体考えておりました内容をいまおっしゃっていただいたわけでございますが、もう一つは合理的な放送権料だと思います。そういった線が出てこないとなかなか話も進まないのではないかなと思っておりますが、いずれにしましても私も極力心配しながら様子を見ておる、こういうことにさせていただきます。
  29. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  全く先生の御指摘のとおりだと思っております。
  30. 鈴木強

    鈴木(強)委員 では、今後最善の努力を尽くしていただくことを心からお願いして、大臣も、特に答弁は求めませんけれどもぜひ引き続いて御協力をお願いしたいと思います。  次に、世界で初めての実験用放送衛星が打ち上げられまして、郵政省は目下試験通信の実験の段階に入っておられると思うのですが、監理局長、その後星は順調に静止して、試験はうまくいっておりますでしょうか。
  31. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  実験用放送衛星は四月八日に打ち上げられまして、現在順調に宇宙開発事業団によるチェックを行っております。現在のところでは、見通しといたしまして、七月上旬には具体的な実験ができるものというふうに考えております。
  32. 鈴木強

    鈴木(強)委員 前回私は時間がなくてこの点の質問ができなかったのですが、同僚の議員からたしか若干質疑があったと思います。  それで、打ち上げられたのは放送衛星と通信衛星と二つあるわけですけれども、これの経営主体をどうするかという問題があるわけですね。せんだっての質問者は別々につくったらどうか、何か特殊法人をつくって、そこでいよいよ実施段階になれば運用をやってもらうというようなお話でございましたけれども、きょうは民放連会長もいらっしゃっておるのですが、民放連としてもこの放送衛星の打ち上げに対しては重大な関心を持たれていると思いますが、一つには、難視聴の解消にも役立つ大きなメリットもあるわけでございますから、したがって、経営主体については通信衛星と放送衛星を別々にやるのか、あるいは一緒にやった方がいいのか、この辺はなかなかむずかしいと思うのです。私個人とすれば、いろいろなこれからのことを考えたときに、これはやはり一つにした方がいいという考え方なんですが、その辺、最初に私の意見を申し上げて恐縮ですけれども大臣、これはどうでしょうかね。もし構想があるなら示してもらいたいと思うのです。
  33. 服部安司

    服部国務大臣 通信と放送両衛星の管理については、御指摘どおり現在のところ一本で管理したい、かような立場でいろいろとあらゆる角度から検討を加えている段階でございます。
  34. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、浅野さんはどうでしょうか。民放連としてはどうでしょうか。あなたは会長ですから、私が聞くのは民放連として聞きますが、その社によっていろいろと持ち味も違うでしょうけれども、いまNHKは、アンテナもつくりまして、各戸受信ができるようなものとか、あるいは共同でやるようなものとか、いろいろとかなり積極的に考えておられて、りっぱなものができているのでございますが、民放連としても放送衛星に対して何か対策は持っておられると思うのですけれども、どういうものを持ってどうしようとされるのか、概略で結構ですからお示しいただきたい。
  35. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放の立場といたしましては、勉強はさせていただきたいと思っておりますが、実際の利用の面になりますと、NHKさんは全国放送でございまして、主な放送を東京から出されまして、あと管中、ローカルというようにおやりになっておられますので、放送衛星をお使いになる場合に非常に便利なように思われますのですが、民放の場合になりますと、私どものフジテレビだけ例にとりましても、東京エリアのローカル局でございます。それで百七社あります分が全部同等のローカル局でございまして、自分のところで自主番組を出す点につきましてはNHKさんも同じでございますけれども、各主要局で同じようにやっておられますが、民放の場合になりますともう一つ各エリアに根をおろしておりますので、現在の世界一完備しておりますこのマイクロ施設を使っていくだけで十分ではないかな、したがって平素の業務においてはいままでのマイクロ網を使って、あとは非常に便利なミニサテ等もできてきたので、こういった面で極力難視聴も解消していくというシステムでいった方が地域の放送会社だということでいいのではないかな、かように考えております。ただ、勉強はさせていただきたい、こういう意味で非常に関心を持っております。
  36. 鈴木強

    鈴木(強)委員 浅野さん、その点はちょっとぼくは意外に感じましたね。民放として放送衛星にはもっと重大な関心を持って対策を立てられていると思いましたけれども、私は正直言ってちょっとこれはがっかりですね。あなたは自分の会社のフジテレビは関東エリアだとおっしゃる。「母と子のフジテレビ」というキャッチフレーズでやっておられる。しかし、実際はネットワークを見ますと、NTVにしても、TBSにしても、あるいはテレビ朝日、12チャンネルにしても、それぞれ全国的なネットワークを持っておりまして、大体それらのところからのネットワークで番組をもらっているじゃないですか。それは自主番組と言ったってわずかなもので、NHKと同じだと思いますね。自主番組でもNHKの方が民放よりかずっと多いと思いますけれどもね。  ですから、商業放送ですから、それぞれの県で畳屋さんが宣伝をするとか、化粧品屋さんが宣伝をするとか、くつ屋さんが宣伝をするとか、そういうものがありますが、しかし、大体それもテロップというのですか、横へ出るのがありますが、ああいうもので文字を書いて知らせている。場合によっては写真なんかも出しますけれども、そういう面ではその分については確かに問題があると思うんですよ。しかし、全体としての放送については、民放連放送衛星に対してもっと関心を持って、どうしたら難視聴を一部解消できるかという点ももう少し配慮してほしいような気が私はするのですね。  大臣、これはどうなんですかね。民放連の方ではどうでもいいような考え方なんだね。そんなに懸隔があるんですかね。そんな中で放送衛星を打ち上げたとすれば、これは重大な問題だと私は思うんですがね。
  37. 服部安司

    服部国務大臣 放送衛星を打ち上げて、いま調整の段階で、七月初旬から実験に入るわけでありますが、ただいまの浅野民放連会長意見は、一応現段階では当然な考え方ではなかろうかと私自身もそこで聞きながら理解をいたしました。  と申しますのは、NHK放送形態と少し違うところは、これは私以上に専門家鈴木先生には御理解が願えると思うのでありますが、それは民放はやはり地上ネットを使って放送開始をする。NHKは全国ネットですから、星を使って最高の効果を上げるという点で  しかし、私も専門家じゃございませんからあくまでも常識的な考え方でありますから、間違っている点やまた思い違っている点があるかもしれませんが、私はそのように理解いたしております。  しかし、毎度御指摘のとおりに、電波技術も日進月歩でどんどん大変な勢いで開発されつつあるところでありますから、大いに関心を持っているという一言がございましたが、過去の経緯から言って非常に慎重に御答弁をされたけれども、かなり強い関心を示されて、いろいろな機会にこの衛星の利用、管理また活用についての意見交換もあったわけでありますから、いよいよ来月上旬から試験段階に入って、今後は民放NHKはもちろん、政府、郵政省ともどもにひとつ十二分に勉強いたしまして、国民の期待にこたえられる体制をつくりたい、かように私は考えておる次第でございます。
  38. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私も技術的な面でいろいろなむずかしい面があることは知っているのですよ。しかし、その心構えなんだね。だから、民放NHKが不離一体の形で日本放送事業をさらに発展させていくべきだということについて最初に私は伺ったんですよ。あなたはそのとおりだとおっしゃった。  ここに世界で画期的な放送衛星が打ち上がっておるわけですが、いまは実験に入っていますね。やがてこれは本放送になっていくわけですね。ですから、そういうときにもう少し前向きにできるだけの協力をして、そしてその中で民放として、メリットとして——これはありますよ。ないとは言わせません。ですから、そういうものがたとえ幾らであってもこれを生かして、そしてよりよく国民のニーズにこたえていくという、そういう姿勢の問題なんです。  浅野さん、あなたは少なくともその方面ではかなりの権威者ですし、私もあなたの心配される点はよくわかっているのだから、要は心構えです。あなたは何かきわめて消極的な発言をいまされたものですから、私は実はちょっとびっくりしたような状態で申し上げたのですけれども、そうではないのでしょう。私の真意というのはそこにあるのですよ。そういう点を考えて、民放連の皆さんにもひとつ積極的にこれに対する対応策を立てていただいて、どうしたら民放としてこれに協力できるのか、また民放としてどういうメリットをこの放送衛星によって得ようとするのかというこれはそういうことに対する研究はしているということですけれども、心構えとしてもう少し前向きにあってほしいということをぼくは申し上げているのですよ。
  39. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放がたとえば番組を出すとしますと、お説のようにやはり東京の五局になると思います。  今度の分になりますと、NHKさんで非常にりっぱなアンテナをおつくりになりましたので、大量生産いたしますと非常に安くなります。そうすると、今度東京で民放のキー局がばっと出しますと、地方局の余地がなくなってしまうわけです。そうすると東京のキー局が全国放送するようになってしまう。やはり全国放送NHKさんがおやりになって、民放というのは、生まれたときの経緯からいきまして、各地域に根をおろした地域の市民の皆さんとともに進んでいく。こういう局の形はやはり残した方がいいのじゃないかと思います。  それから、民放を見ておりますと、昭和二十年代にできました各ローカル局におきましても、昭和二十年代にできましたところ、三十年代にできましたところ、そして一番新しい四十三年、四十四年にできましたところ、それぞれ自主番組に取っ組む姿勢がやはり年とともに根をおろしてきております。一番新しいところもぼつぼつ満十年を迎えますので、見ておりますと、ニュースその他ドキュメンタリー等大分自分でつくるようになってまいっております。それも近隣の小学校の生徒の皆さんのかかれた絵だとか、また書だとか、こういったものの展覧会の場面を出したり、授業参観の状況も出したり、いろいろと地域に密着した形のものをぼちぼち始めております。これが新しいところで、そういう状況でございます。  ですから、衛星になったからそれっということで東京一辺倒のものだけが出ていきますと、地方局の仕事がなくなってしまうわけになります。それで、今度はまた別の立場で、邪道かもしれませんが、そういった面からの心配がありまして、民放はやはり従来の形でやって、そのかわり一生懸命各地域に貢献をしていく、この方がいいのではないかな——また、幸いにして地上マイクロも東京から沖縄まですうっとうまく、また縦横十文字に非常によくできておりますので、せっかくある施設も使わせていただいてやっていった方がありていに言いますと無難なんでございますが、そういうことで済ませております。  ですけれどもお話の線のような勉強はできる限りこういう機会にさせていただいて、使わせていただくのにいい方法の面はやはり使わせていただいたらと、かように思っております。
  40. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大体真意がわかりました。  ですから、あなたのおっしゃるように、NHK民放との特性というものは当然あってしかるべきだし、また、そのために民放があるわけですから、そのとおりだと私は思いますが、残念ながら、われわれずっと見ておりましても、自主的なローカル的な番組というものは最近かなり熱を入れてくれましたけれども、なかなか少ない。どうしても中央のネットに依存するというものが多うございますからね。そういう点もこれからの放送衛星の中でどういうふうにしたら有効に使えるかということをやはり研究するべきだし、その面について積極的な姿勢で取り組んでいただくようにという気持ちなんですよ。チャンネルも八チャンネルしかないのですから、それがどれだけいけるのかという点も問題が残っておりますから一概には言えませんけれども会長、ただ心構えとしては、われわれが聞いて、なるほど民放もこの放送衛星の打ち上げに対して関心を持って積極的に対策を立ててくれておるなということがもう少し国民の目に映るようにやってほしいと思います。これは強くお願いしておきます。  それから、この機会にお伺いしておきますが、多重放送も二カ国語放送とか緊急の際の災害放送とか、いますぐでもやれるような体制に技術的にも進んでおりまして、民放連としてもこの多重放送に対して関心を持たれていると思うのですが、これに対するあなたの考え方を伺いたいのと、それからもう一つは、御承知のようにFMが民放の方はローカル四地域だけに認可されております。NHKは全国的にFMの認可があるのですが、県域のFMはそういうわけで民放の方がまだおくれているわけです。したがって、早く検討をしていただいて、認可するものは認可して免許してほしいとわれわれも言っておるわけであります。監理局の方でも全力を尽くしてやっていただいておりますが、われわれの期待するようなテンポでなかなかいっていないわけですが、その点について何かお考えがあるか。  この二つについてちょっとお答えいただきたいのです。
  41. 浅野賢澄

    浅野参考人 多重放送につきましては、私どもの方も前向きで考えております。特に、音声多重等につきましては少しでも早く使わせていただけると非常にいいなというふうに思っておりますが、あとにつきましては準備が整われましたらやっていただいた方がいい。同時に、伺いますと、郵政省におかれても非常に前向きで取っ組んでおられるということを聞いておりまして、その点期待をいたしておる次第でございます。  FM放送につきましては、現在のラジオ中波を見ておりましても、あれは大変いい波でございますので、いまの中波は中波として、混信問題だけをうまく解決をしていただきまして、そしてこれまたFM放送として国民の皆さんの期待に沿うようにやっていただいたらいい時期じゃないかな、と、民放もそういった意味で期待をいたしております。
  42. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間がなくなりましたので、非常に残念でございますが、また機会があると思いますので次に譲りたいと思います。私は放送番組の基準の問題についてもちょっと伺いたかったのですが、時間がありませんのでまた次回に回します。幸い電波放送委員会が近く持たれるようでございますから、その機会に譲りたいと思います。  最後に一つだけ会長にちょっと伺っておきたいのですが、私のところに日本放送作家組合とか日本放送芸能家協会とか十数団体から陳情が参っておるのです。この内容を拝見しますと、要するに簡単に言うと、民放の方で特に多くなっているようですが、番組を下請につくらせる方法をとっておられるわけですね。その方が合理的であり、経済的にも安上がりであると思いますが、そのしわ寄せがどうもタレントさんのところへ行っておるようでございます。どういうシステムか、幾つぐらいの下請まで行っているのか、私はよく知りませんけれども、一流のタレントさんがただみたいに働かなければならぬという結果が出ているように訴えているわけですが、これは実態をよく調べていただきたい。少なくとも下請をすることによって会社のメリットはあるが、逆に一番大事なタレントさん、出演者の方々に大きな犠牲がかかってくるのはいけないことだと思うのです。  いま民放各社は相当の利益を上げていることも私たちは知っているわけです。それは合理化するところは合理化して結構ですし、節約するところは節約して大いに利益を上げていただくことは結構でございますけれども、事が公共的な立場に立った面が強いわけでございますから、そういう意味において、その辺の配慮は十分にしておかないと民放がみんなの中に入ってこないと思いますので、こういう陳情も恐らく会長のところにも行っていると思いますが、行っていなかったらこれを差し上げておきますから見ていただいて、ぜひひとつ最高の配慮をしていただきたい。ちょっとこれをお答えください。
  43. 浅野賢澄

    浅野参考人 私どもの方もこれをちょうだいいたしておりますが、下請という言葉もいろいろあるように思われます。現在東京キーの各局が、私ども外注と申しておりますが、外注が非常にふえてきております。  ふえてきておりますのは、社内でつくりますよりもいいものがつくれます。これは恥ずかしい話でありますけれども、社内でつくるよりもいいものがつくれる。ということは、社内はまずいということになりますけれども、社内でつくった方がいいものもありますし、外の有能な人たちの集団であります制作会社がつくった方がいいものができる場合があります。東京各局は本当にしのぎを削って毎日やっておるわけであります。  その場合に、この時間帯のこの番組は外注がいいかな、この時間帯は内部でやった方がいいかなということで、合理化とかいう以前にいいものをつくろうという意味で皆やっておるわけであります。そういった意味で、こういった御意見も当たっていない面が多いように思われるのです。  それから、払っておりますお金も、大ざっぱに言いまして営業収入の半分以上は制作費に払っております。決して少ないとは言えないと思います。五十分余りの番組一本で千数百万円。原価計算しましたらどうもこれは出てこないのですけれども、契約で幾らでやるかというところで出てまいりますので、そういうお金になっております。どこの社も十分支払いはしておると思っております。  ただ、日本はあらゆる業種におきまして流通機構がどうもへたでありまして、時と場合によっては行くべきところに行っていない面もあるようでありますけれども、少なくとも放送会社から出ておりますお金は、まずあれなら上等だな、こう思っておる次第でございます。
  44. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると、民放の番組作成というのはそんなに力がないのですか。自分のところよりもよそがいいのをつくってくれるなんという状態なんですかね。会長は合理的なとかという前にとおっしゃるけれども、その方が合理的なんでょうね。ですから、本来であれば民放のスタッフにいい人をそろえてみずから番組をつくって、外にある会社よりもりっぱなものをつくるというのが各局の心構えでなければならぬと思うのですよ。他に依存していくよりもみずからの力で国民の期待に沿えるりっぱな番組をつくるというのが基本の考え方でなければいかぬでしょう。  そういう面から言えば、もし他に負けるのであれば負けないだけのスタッフをつくって整備して、配置して、そしてそれでおやりになるのが筋じゃないですか、何だかんだ言ったってその方が安上がりで合理的だからやっているのでしょう。ぼくはそう思うのですね。そうでなかったら、実際にそれだけの二十近い団体が外注に対しての不満というものを国会に向かって訴えてくることはないと私は思うのです。不満があるからですね。そうであれば、虚心坦懐に話し合いをしてその不満をなくして、より一層りっぱなものをつくってもらうということにしなければどこかでふん詰まりがくるのじゃないですか。そういう点を私は心配するから申し上げたわけです。
  45. 浅野賢澄

    浅野参考人 番組をつくりますのは、これはやはり能力とともに意欲ということと、それから特殊の専門家でございますね。それで、たとえばテレビマンユニオンという大変りっぱな会社でございますが、そこでつくりますと視聴率もばんと出る。社内で叱咤激励してやっておくっても、出る場合もありますし、出ない場合もあります。番組づくりというのは名人芸でございまして、これは社内にもおりますが、広い社外にもたくさんおられる。  ですから、国民の皆さんのニーズといった点から考えますと、せっかくの放送時間帯を使って放映いたしますので、少しでも喜んでいただけるものを出そうという、こういうところがまず頭にあるわけでございます。
  46. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そこがいわゆる民放のいい点であるし、悪い点でもあるわけですね。とにかく視聴率だけを気にしている。これはスポンサーがつくわけですから当然そうなると思いますが、そういうことが私がもう一遍聞いてみようと思っておった放送番組基準というものなんですね。これは放送法を準用して、一般放送事業者も番組向上委員会なり放送基準というものを持っていますね。そこには公序良俗に反しないものとか、りっぱなことが書いてある。ところが、実際に放映されているものを見ますといろいろ問題があると思うのですね。  たとえば放送番組向上委員会が指摘しておりますが、深夜番組なんかを見ると、ヌード番組なんというものがいっとき大分はやりましたね。全く親子じゃ見られないような番組が平気で流れてくる。これは言論、報道、表現の自由はあるのかもしれませんけれども、一面におきましてはやはり公序良俗ということがあるわけですから、その辺の兼ね合いは非常にむずかしいと思いますけれども、見る人たちは、それをうんといいと言う人もおるしひんしゅくをする人もおるわけですね。それは見る人たちの判断によってよしあしを決めていけばいいということは、私も原則的にはそう思うのですが、しかし、余り行き過ぎますと、そういう面からまた民放が少し低俗化していくというようなことが出てくるわけでしょう。それを番組向上委員会は取り上げていろいろアドバイスもしたようです。アドバイスというか、意見として述べたのでしょうね。それで深夜からヌードが消えた。と思ったら、今度は昼の時間にベッドシーンが出てきたり、朝っぱらからよろめきドラマが流れてくる。こういう結果になってきているのですね。  いまの少年少女が五十二年度でも四百八十二人自殺をして死んでおります。私はきのうくにへ帰りましたが、地方の山梨新聞というのがありまして、それを見ますと、少年少女の非行ということはわれわれが驚くべきことをやっているのですね。私は何もそういうことはテレビが直接間接全部の要因だなんて言いませんよ。しかし、エログロの図書が市内にはんらんされて、しかも自動販売機で売っており、サックまで自動販売機で売っているというような時代ですから、子供たちが非行に走るのもやはり無理ないですよね。  一面、一国の総理大臣国民に悪いことをするなと言っておきながら自分が悪いことして、そしてその総理大臣が牢屋につながれるような姿を見たときに、政治家もあるいは教育者も、国民全体がもっと姿勢を正さなければ少年少女の非行は直らないと私は思う。だから、テレビの番組に結びつくなんて私は思いませんけれどもしかし、その何十分の一か何百分の一か、多少の影響はなきにしもあらずだと私は言うのです。  おたくの方へ、昭和五十一年十二月二十三日に警視庁の防犯部長から、テレビに猟銃を使っていることについてこれは問題があるというので、番組向上委員会あてに文書によって協力要請をしてきている事件がある。これは御承知だと思いますが、銃砲刀剣類を所持する場合には、法律に基づいて使う人が決まっているわけですからね。それのない者が、テレビだからといって番組に出てくるということはおかしいですね。これはなかなかむずかしい面もありまして、警視庁としても番組委員会に申し入れたことがあるのですよ。  こういうことを言えば切りがないですよ。いま二歳ぐらいの子供が、「エンド」という英語が出てくるとおしまいだとちゃんと知っているのですよ。CMなんかだってそうですよ。東芝のマークが出たらあれは東芝だとか、日立のマークが出るとあれは日立だとか、子供がみんなもう知っているのですね。ですから、テレビの影響がいかに大きいかということはよくわかる。そのテレビの画面で人をどんどん殺す。あれは悪いことをしたやつが必ず殺されているんだよということなんだが、ところが子供たちにはそれはわからぬ。ぶん殴ったり殺したりすることが日常茶飯事に行われていれば、やはりそういうことがけんかのもとになる。いま高校生の暴力ざたというものがうんと多いですね。そういうことにもなる。  そういう点を考えると、ただ視聴率だけに依存していくということも間違いですよ。いま民放がかなり好況の時代にあるだけに、そういう面についても本当に国民が納得できる放送番組を流してほしいと私は思うのですよ。そういう意味から言っても、自分のつくったやつはどうも視聴率が下がってしまってほかの方は上がるというようなことでは、民放としての存立価値を問われるのですよ。民放が本当に自分の力でよりりっぱな番組をつくって、それを見ていただくという考え方に戻らなければこれはおかしいですよ。それは、どうしてもてきない部分は外注していくということはわかりますけれども、そっちを原則にするような考え方は間違いですよ。その点は十分考慮してやってほしいと私は思うのです。  何か意見があったら伺います。
  47. 浅野賢澄

    浅野参考人 番組の内容につきましては前々から御意見も伺っておりますし、また、番組審議会等で毎月相当的確な御批判もいただいております。そういったことで、民放連としましても、放送基準委員会等で意見の交換もしておりまして、ぼつぼつよくなってきつつあると思っております。御指摘のような夜の番組も少しよくなってきたかな……(鈴木(強)委員「少し行儀がよくなった」と呼ぶ)そう思っております。ひとつもう少し時間をちょうだいいたしたいと思います。  それから、私どものところを見ておりましても、生で出てまいります教育、教養等の生番組は全部自分のところで一切つくっておりますが、これはもしも間違ったらいけませんので、相当気をつけてやっております。外注の分におきましても、各社ともそれぞれ編成考査等で事前チェックを十分いたしておるのが実情でございます。
  48. 鈴木強

    鈴木(強)委員 はい、わかりました。がんばってください。  どうもありがとうございました。これで終わります。
  49. 松本七郎

  50. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 テレビの出現と普及によりまして、わが国の映画あるいは演劇など芸術、文化の分野に大変大きな影響が起きてきている、変化が起きていると言われておりますけれども、芸術、文化の分野を所管されます文化庁といたしまして、テレビの出現あるいは普及などによって芸術、文化の分野で何がどのように変わってきているのか、把握していらっしゃる範囲で御答弁を願いたいと思います。
  51. 青柳徹

    ○青柳説明員 お答えいたします。  私どもテレビの普及に伴う芸術、文化における変化の状況というものを的確に捕捉しておるわけではございませんが、一、二の大きな事象といたしまして私どもが検討し、また、現実に施策としてとっております問題は、その一つの例といたしまして、映画がテレビの普及に伴いましてここ数年ずっと停滞ぎみだということもございまして、優秀映画を何とか育てていこうではないかというようなこともございまして、五年ほど前から優秀映画の奨励金制度というものを施策として打ち出しておるわけでございます。  また、あわせまして、先ほども質疑に出ておりましたが、青少年に対するテレビの影響というものはかなり大きいものがございます。そういったことで、特に夕方の時間帯に子供たちを引きつけておりますアニメーション、その辺の番組の持ち方についてはもっといいものが生まれるように政府としても措置をとるべきではないかというような御指摘もございまして、これは五十一年からでございますが、テレビ用の優秀映画につきましても、映画と同様に優秀なものに奨励金を差し上げるというような措置をとっておるところでございます。
  52. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が調査いたしましたところでも、テレビの出現、普及によりましての一番大きな変化と申しますのは、まず映画館とそれから劇場などが次々に姿を消してしまったことだというふうに思うわけでございます。たとえば映画の入場者数は四十六年には二億五千四百万人でございましたが、五十二年は一億六千五百十七万人というように、映画の入場者の数をとってみましても非常に減少しているわけでございます。  そこで、民放連にお聞きをいたしますけれども民放の一日の放送は、各放送事項別に言いますとどのような比率になっているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  53. 浅野賢澄

    浅野参考人 よく覚えておりませんが、基準でいきますと、教育、教養が二〇%くらいでございましたですか、あと娯楽、スポーツ、報道、ニュースと、調和を保つように努力をいたしております。
  54. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 五十二年度の通信白書を見てみますと、五十二年の第一期、一月から三月までは、いわゆるタレントを使わない番組と考えられます報道、教育、スポーツ、広告、その他というところを合わせますと二八%でございます。芸能家と言われる人たちを使うという部所が七二%になっているというふうに思います。すなわち、一日の最高放送時間二十時間のうちの七割、つまり十四時間は芸能家の方たちの手によって番組が成り立っていることをこれはあらわしているというふうに私は分析をしたわけでございます。  日本の芸能文化、とりわけ映画、演劇は劇場からいまやテレビで茶の間へと移り、国民大衆のものとなってきているというふうに考えられます。ですから、文化や芸術を一層高めるということは、それをつくり出す人、つまり創造活動をする人そのものが大切にされなければならないというふうに思うわけでございますが、この点につきまして文化庁はどう考えていらっしゃるのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。  それから、また、同じ点につきまして、芸能家が活動する部門の多い民放連は特にこの点については基本的にどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  55. 青柳徹

    ○青柳説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、芸術、文化の振興は、それを支える芸術家個々人の力量あるいは生活上の安定というような要素に支えられて初めて育っていくものであろうと私どもも存ずるわけでございます。  ただ、文化庁といたしまして、一般的に芸術、文化の水準向上あるいは創作活動の育成助長というような観点でとっております施策につきまして概略を御説明させていただきたいと思います。  私どもで措置をいたしておりますものといたしましては、一つは芸術家の方々が資質を伸ばしていただくということで、ある一定期間、これは一年または二年でございますが、中堅クラスの芸術家の方々に海外に行っていただく。あるいは国内で勉強をしていただく機会として国内研修員制度というようなものを  これも数にいたしますと全体の多くの芸術家の中ではごくわずかではございますが、そういった措置を講ずることによって全体の引き上げのための刺激にもなるというようなことで、そういった措置をとっておるわけでございます。  さらに、芸術活動が新しく展開をしていく場を提供するというようなことで、芸術祭の実施やあるいは芸術関係団体の自主的な公演等に対しまして助成を行うというような措置をとっております。  さらには、芸術家が優れた活動を示された場合にはこれを顕彰していくということで、御案内のとおり文化勲章を初めといたしまして、芸術院会員の制度あるいは芸術選奨というような各種の顕彰制度をとっておるわけでございます。  そのほかに、ここでは直接の関係はございませんが、いろいろな場でみずからの力量を発揮していただく、まあ発表の場を提供するというようなことで、芸術、文化施設の整備というようなことも本格的に取り組んでいかなければならぬ課題だろうということで、これはテレビ放送といった観点ということではございませんが、一般的な文化を引き上げていくための措置といたしまして、特に芸術家個々人の力が発揮できるような場を提供する措置といたしまして、このような施策に鋭意努力を重ねていきたいと思っておるところでございます。
  56. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほども私は少し触れたわけでございますけれども、現在日本国民が映画や演劇に触れる機会というものはテレビを通してのものが非常に多くなってきているわけです。たとえばNHKが五十一年の十一月に行いました全国視聴率調査によりますと、テレビ放送に対する国民接触率は平日で九一%になっているという調査結果が出ているわけです。映画館とか劇場へ行きましてこれに接するというのはごくまれな状態になってきていると言っても過言ではなかろうというふうに今日の状態を私は考えるわけです。  日本の芸術文化の発展という点から見ますれば、テレビの責任はますます大きくなっていると考えるわけですけれども民放連として、この点につきまして、先ほどの私の質問に加えてお答えいただきたいと思うわけでございます。
  57. 浅野賢澄

    浅野参考人 お答えいたします。  私ども放送事業といたしますと、タレントの皆さんには大変お世話になっておりますし、また、できる範囲で大事にいたしておると思っております。  いま承っておりまして、文化庁さんが非常にいい施策をなさっておられまして、大変ありがたいことだな、と、かように思っておる次第でございます。  映画の点でございますが、映画も一ころお客さんが減って困っておられたようですが、このところは映画独特の持ち味を再認識されまして、非常に軌道に乗ってきておられるように承っております。  それから、テレビのために映画関係のタレントさんが非常に困っておられるかどうか、この点もさっきのお話で心配になりましたが、よく考えてみますと、テレビで有名になられた方はまた映画の方にも出ておられる、映画で有名な方はほとんど全部テレビの方で活躍をしておられるという状況でございまして、どうも持ちつ持たれつでいっておるように思われます。  同時に、何といいましてもテレビのために映画のお客さんが減ったということはもう間違いない事実でございますが、これも世の中の移り変わりでやむを得ないことではないかなと思っております。  しかし、実際問題として、映画の方もプロダクションなりタレントさんなり、いろいろな形で皆さんテレビの方にも御協力いただいておりまして、考えてみますと、結局持ちつ持たれつで国民の皆さんの娯楽の面を担当しておる、このように存じております。
  58. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま会長さんの方は、文化庁か先ほど答弁なさった内容につきまして、概略三つの点だったと思いますが、大変よい施策をしていただいている、ありがたいとおっしゃったわけですけれども、私は、いまのお言葉を聞いて大変矛盾を感じるわけです。  なぜかと申しますと、私自身はこのような芸術文化を創作するという活動に直接携わってはおりませんで、携わっておられるのは会長さん初め民放の方々、NHKの方々で、特に民放の責任者が会長さんであるわけですけれども、私自身はいまの答弁で、何とほんの一部のことなんだなあということを強く感じたわけです。それは文化庁もみずからお認めになっているといいますか、全体引き上げの刺激にとはおっしゃっておりますけれども、芸術家の資質を伸ばすために海外旅行に出すとか国内研修に行かす数はごくわずかですという言いわけを言わざるを得ない状態です。二つ目の場の提供に対する助成にしましても、文化勲章などの顕彰制度というふうなものを見てみましても、本当に多くの方々の努力や苦労によっていまの日本文化や芸術が成り立ち、その人らの資質を一層伸ばすことによって日本文化向上があるというふうには思うわけですが、こういう程度のことで満足されていては大変だなということを正直私は感じました。  同時に、文化庁なり国がしていない点についてはそれじゃ民放はどうするのかという点で質問をしたいと思うのですけれども、先ほども触れましたように、現在日本国民が映画や演劇に触れる機会というものはテレビを通してのものが非常に多くなってきている。おじいちゃんやおばあちゃんも非常なお楽しみで見ておられる。その中からいろいろな知識も得、文化水準も高くなるという役割りをテレビが果たしているわけです。先ほど申しましたように、平日で九一%見ている。それじゃそれをつくり出している側の方たちの問題として、民放連としては、この分野の人たちがこの仕事に、すなわち日本の芸術文化に生きがいを見出してよりよい芸術や文化国民のものにしようというふうに励まさなければならないし、具体的な施策を行わなければならないというふうに思うわけです。ほんの一部の人を抜き出してやるのではなくて、全体の人を励ますということが欠けてはならないと思いますけれども、その努力はいかがなさってこられているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  59. 浅野賢澄

    浅野参考人 表彰の仕方等、いろいろあるかと思います。業界でやりますのも必要でございますし、何と言いましても大事なのはお国でやっていただくことだと思います。  私とも業界としましては分相応に——分相応かどうか、これは別といたしまして、できる限りのことはいたしておる次第でございます。それぞれの社でその都度やっておる場合もございますし、それから民放連としましては、毎年一回民放大会を開いておりますが、一年間のドラマ、ショー、その他全般にわたり賞をつくりまして、それぞれに活躍された方たちをそういった場で表彰申し上げる。これは民放界におきましては大変名誉なことでありますし、お説のような労に報い、そして文化向上に御努力いただいた方々に民放としては最大の敬意を表するといった場をしつらえておりまして、精いっぱいの努力はさせていただいております。
  60. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの御答弁では、主なことはお国でやっていただきたいということです。それじゃ主なことがさつきの文化庁の答弁では抜けているのではありませんかということを私は指摘をしているのですが、先ほど会長さんは、大変よい施策でありがたいとおっしゃっているわけです。それから業界ではできることはやっているんだというふうにおっしゃいました。  それでは、ことしの二月に日本放送作家組合を初めといたします十六団体がNHK民放に「放送番組に関わる諸団体の訴え」という要望をされたわけですが、先ほど同僚議員に対してはこのことは知っているという御答弁であったわけですけれども、それでは、この書いてある訴えについて民放連としては不当なものとお考えになっているんでしょうか。いまの御答弁ではできることはやっているんだとおっしゃったが、それじゃここに書いていることは不当なんだ、厚かましいことを言っているんだというふうにお考えなのでしょうか。いかがでしょうか。
  61. 浅野賢澄

    浅野参考人 不当とも思っておりませんし、そのとおりだとも思っておりませんが、いろいろな場合がございますので一概にそのとおりというわけにはまいらないと思います。
  62. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 もちろん不当だとは言えないと思うわけです。しかし、そのとおりであると言えば全面的にやれということになるから、御答弁としてはむずかしいだろうとは想像できますが、しかし、もう少し誠意のあるお答えをされてもいいのではないかなというふうに思うわけです。  なぜかといいますと、この冒頭にこのようなことが述べられております。「我国において、ラジオ放送が始まって既に五十年を超え、テレビ放送を開始してからも早や二十五年を経るに至りました。その間その技術革新は目覚しいものがあります。また、放送文化テレビ文化と云う言葉が、社会世相を語る際しばしば使われていることからも判りますように、放送は今日の我国の文化に深く関与している現状であります。しかるに、その放送文化・芸術に深く関っている者はどうかと云いますと、これが日本文化向上に寄与している者達かと思われる程劣悪な条件下におかれ、その権利すら侵されつつあります。」というふうに書いてあるわけです。  この後半の部分については、会長さんはそれではこれは不当だというふうにお考えになっているのかもわかりませんけれども、私が調査いたしましたところでは、テレビの場合に放送作家の場合は原稿用紙の枚数で計算されるのではなくて、一本当たり幾らかという計算のされ方をしております。たとえば三十分ものの脚本料は税引きで手取り一万八千円で、これらの仕事をする日数はどれだけかかるかと調査をいたしましたところ、打ち合わせをするのが一日かかる、執筆に二日かかる、それを直すのに一日かかる、録音立ち会いに一日というふうに、最低五日間は拘束されているわけです。  放送事業者として、番組制作に当たって、その制作に携わる人たちがより能力を発揮できるという条件をつくり出すことが大切なことだというふうに私は思いますけれども、私のこの考えは間違っているのでしょうか。いかがでしょうか。
  63. 浅野賢澄

    浅野参考人 私もその現場を見ておりませんのでよく存じませんが、いろいろ聞いておるところによりますと、実際は相当お支払いをしておると思います。  そこに書いてございます値段といいますものは最低の値段を決めておるのでございまして、実際にお願いをしておる方たちははるかに高い値段でお願いをしておるんだというふうに聞いております。
  64. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま言ったような事態については、それは一番低いもので、上はもっと高いんだ、一番低いところを私は言っているんだということであれば、それは私の認識不足ということになろうかと思いますが、それでは、そのお支払いになっておられる人たちが受け取っておられるものは、高い人たちは幾らなのか。中間の人たちは幾らなのか。私が申しましたのが最低であれば、それはどういう状態の中で最低なのか。一覧表を資料としてお出しいただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  65. 浅野賢澄

    浅野参考人 これは個人の皆さんとの契約の問題になるのでございまして、資料は提出いたしかねます。
  66. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではもう少し調査をされないと、御答弁も大変抽象的です。具体的に調査をして調べるとそんなはずはないと聞いておりますが、これでは答弁にならないと思うわけです。  こういった十六団体の要望書の中で、日本放送芸能家協会、日本俳優連合、日本芸能マネージャー協会、新劇団協議会という連名で、「民放における局外製作番組に関する要望」というものを出しておられます。十三ページです。その中で次のような問題に触れておられます。「民放局の放送番組が現在殆んど外部製作作品によって占められていることはすでに周知の事実でありますが、まず、私共は、企業としての民放局がとっているそうした“番組製作体制の在り方”を、今直ちにやめてほしいというような短絡した考え方だけで“問題提起”しようとしているのではないことをご理解頂きたいと思います。しかしながら、こうした番組の”局外製作体制の深まり”がさまざまな影響を広く業界内部に及ぼしており、製作過程の末端に行けば行く程そのしわ寄せを厳しい形でこうむってきていることは、まぎれもない現実であります。」ということを言っております。つまり、放送局が外部に番組制作を発注して、その結果末端の番組制作の単価が切り詰められている。そのしわ寄せがこういった十六団体の人たちに及ぼされてきているということをこの方たちは主張しておられるんだというふうに、私はこの要望をいただいて考えたわけでございます。  そこで、民放連にお聞きをいたしますが、下請のプロダクションの倒産、最近の例では近代放映問題、七人のリブ、事件マル秘料理法のSMC問題などのプロダクションの倒産について、そういった事実を一体会長として把握しておられるのかどうか、もし把握しておられたらその内容を聞かせていただきたい、こういうふうに思います。
  67. 浅野賢澄

    浅野参考人 詳しくは私も存じませんが、外注の場合に大体各社がとっておられるであろうと想像いたしますのは、御存じのようにプロダクションが非常にたくさんあるわけでございまして、それで経営形態を見て外注をする場合もありましょうし、たまたまそのプロダクションに大変有能なプロデューサー出身の方がやっておられるといった場合に、あの人ならいいものをつくるだろうということでお願いをする場合もありましょうし、いろいろあるのではないかと思います。  それで、これに出ております一例は、プロデューサーとしては非常にりっぱな人であったのでお願いをしたようでありますが、遺憾ながら経営管理の面がもう一つすぐれておられなかったということでまずくなったように聞いております。  これはなかなかむずかしい問題でございまして、外注をします場合には、放送会社側はお金はきちっと相応のものをお支払いしております。その場合に、いいものをつくっていただかないと外注の意味がないものですから、どうしてもこれは自分の社よりも優秀な——こういった種類の番組については、このプロデューサー出身の人がやっておられると必ずやいいものをつくるでしょう、企画もいいしタレントさんに対しても顔がきく、それじゃお願いいたしましょうということでやっておったように聞いております。  何といいましても、普通のメーカーさんと違いまして、芸能的にすぐれた人たちの集団のこの方たちは経営の才能のある方もありましょうし、いろいろあるわけであります。ですから、そういう方を対象にしてやりますので、何年かのうちには事故も出てくるのじゃないか、かように思う次第でございます。
  68. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 先ほどから一貫して御答弁が非常にあいまいです。聞いておるということですが、こういう重大な問題があるのならば、少なくとも聞いておるというくらいのことではなくて、放映する側の責務としてでも、番組制作の過程でどのような問題が起こっているのか調査をして、それを把握する必要があるというふうに私は思うわけです。  前に、子供とテレビの問題で私が質問をさせていただきましたときの民放側からの御答弁は大変的確な御答弁がされていたというふうに、私は後で議事録を読み返しても思うわけでございますが、しかし、きょうは会長さんという最高の責任者が来ておられるにもかかわらずあいまいもことしている。それが会長さんの政治性なのかというふうに思いますけれども、せっかく来ていただいた限りは、日本の芸術、文化の大切な一端を握っているという点で、もう少し的確に、もっと確信を持った率直な御答弁をしていただきたい。私はこの次にも民放に対しての質問をぜひ続けたいと思いますので、特に強くその点を要望しておきたいと思うわけでございます。  この問題が持ち出されておりますように、要望の一つといたしまして、「放送局は、番組放送の当事者として、外部製作作品について、出演料等支払いの保障を含めて元請け企業としての責任を明確にして頂きたい。」というふうにこれには述べられているわけです。元請け企業の責任という表現を使っておられますけれども、これは単なる一般的な元請企業というようなことだけではなくて、テレビというものが芸術、文化に深くかかわっている、そのテレビの当事者が芸術、文化をつくり出している最先端のことについても目を配り、責任を持たないと、日本の芸術、文化は発展しないという意味を込めて書いておられるというふうに私は理解をするのですけれども放送事業者は外部制作作品についてもそのような立場で対処しているのかどうか、そのようにするつもりはあるのかないのか、この点を明確にお答えいただきたいと思います。
  69. 浅野賢澄

    浅野参考人 プロダクションは独立の企業でございまして、企業内部のそういう運営の問題に私どもの方が口を出すのはいかがかな、そう私は考えております。  ただ、お話の線もございますし、また、事実最中に事故が起きても困りますし、契約の際にはできる限り慎重に調べて安全なところに契約をする、これは当然しなければいけないと思います。その点についてはよく各社に連絡をしておこうと思いますが、ただ、一たん契約した後で内部のことに入っていくのはちょっと私どもとして行き過ぎのような気がいたしまして、心配いたしております。
  70. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 民放各社といえども企業でございますから、利益を上げて悪いなどとは私は決して思っておりません。ここに要望しておられる方々も同じだというふうに思います。それから、いままた利益を上げるななどという主張をしようというつもりは私は全くないわけでございます。  しかし、民放代表いたします東京キー局の経営状態を見ますと、資料がございますけれども、ここ数年来膨大な利益を上げているわけです。これは郵政省からとった資料の「東京五社(テレビ)の収支決算一覧表」ですけれども、こういう膨大な利益を上げているにもかかわらず、一方テレビに出演している人たちは劣悪な条件のままに置かれているというような現状で、それでこういって要望書が出てきているわけです。事実、調査をいたしてみましても、お話を伺っても、なるほどとうなづける点があるからきょう私は質問に取り上げたわけでございます。国民電波を使い、たくさんの芸能人、芸術家をそこに登場させる仕事をしておられる民放各社がもうかりさえすればよいのだというふうな態度では、真に電波国民のために使っているということは言えないというふうに思うわけです。  私は、日本の芸術、文化を発展させるためにも、そのつくり手であります人たち、この十六団体の人たちの要求に耳を傾けるべきだと思うわけです。つまり、この方たちと民放連はじっくりと話し合いをすべきではないかというふうに考えているわけですけれども民放連の方にそういうお考えはあるのでしょうか、ないのでしょうか。
  71. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放連といたしましては、それぞれの団体と、全部じゃないと思いますが、私ども関係のありますところとは権利問題その他でよくお話し合いをいたしております。  この件につきましても、私が会長になる前に御意見を承っておるようであります。決してないがしろにしておるのではなしに、十分頭には皆置いておる次第でございます。
  72. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 民放国民電波を使っているし、また、その電波に乗ってわが国の芸術、文化の発展というものがある。こういう深いかかわり合いを持つという認識を民放連が持つならば、話し合いをするのは当然のことだと思います。日本文化、芸術をいま握っている最先端の人たちの意見をよく聞き、その人たちが生きがいを持って仕事に専念できる状況をつくるということは当然のことだというふうに私は思います。  先ほど、この要望について不当なものとは思っていないとおっしゃったわけですが、そのとおりだとも思っていないともおっしゃいましたけれども、これを不当だというふうにお考えになっていないのならば、いま申しました観点から  この人たちはただ働く条件をもっとよくせいと言っているのです。経済主義でこういったものが出てきているという認識に立つのではなくて、いま繰り返して申しておりますように、わが国芸術、文化の発展に深いかかわりを持っているこの最先端の人たちであるという認識の上から、話し合いは当然されるべきだし、要望にも耳を傾けるべきだと思います。そして、そのとおりだと思わない分についてはそこで主張をされて、この分はできないということもおっしゃるのが当然だと思うわけです。  私は、国民電波を使う放送事業者としては、国民のために芸術、文化を発展させるということは当然だと思いますので、この点を繰り返し強く要望しているわけでございますが、そういう私が申しておりますような認識に立って、こういう十六団体の人たちと話し合いをされるのかどうか、もう一度明確なお答えをいただきたいと思います。
  73. 浅野賢澄

    浅野参考人 十六団体の御意見といいますものは、やはり、御自分の方の立場からおっしゃっておられる点が多いのではないかと思っております。  事実、一日二十四時間のうちで放送の波を出し得るのは二十時間足らずでございまして、番組の数も決まってまいるわけでございます。タレントさん並びにいろいろな仕事をしようという方がもう何十倍もたくさんおられるわけでありまして、こういう団体として話される場合には全部が、仕事を、そして合理的な料金を、こういう立場の御意見が自然出てまいると思います。  その点はなかなかむずかしい問題があるわけでありますが、放送会社側としましては、欲しい、出ていただきたいタレントさんは決まってまいりますし、作家の方も作詩家の方も、お願いしたいという方は限られてまいります。そこでいろいろな問題が出てまいるわけでありまして、予備軍が余りにもたくさん次から次へと押し寄せてくる。ここに問題が出てまいっておると思います。  先ほど来のお話のように、話し合いの問題でありますが、これは必要がありました場合には話し合いをさせていただきますということになろうと思います。
  74. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 時間がありませんので要望にとどめて終わりたいと思いますが、会長さんの認識は大分ずれているなと思います。つまり、もうけ主義に頭がいってしまって、日本の芸術、文化を担当しているんだというふうなお答えはここから先も出てこない。そういうところから、これは大変厚かましいといいますか、一方的なことばかり書いてあるというふうな認識にしか立てないし、よいタレントといいますか、はやりっ子を採るのは当然なんだ、その他の中堅や売れっ子でない人は自分たちは商業資本主義の中で知らぬのだと言わんばかりのお答えですけれども、私が先ほどから申しておりますように、その売れっ子がなくなればどうするのか。また、中堅の人は、まだまだ下積みである人はいろいろな施策によって向上していくであろう、伸びていくであろうということははっきりしているわけです。  文化庁が文化勲章を渡したり海外へ派遣したりするのもそういう意味だというふうに言っておられるわけですから、その観点に立って、ぜひともこういった方々の声を——私たち素人が聞いてもそういう立場で考えるわけですから、専門家であります民放連会長さんを初め理事者の方々はぜひ一遍そういう討議をしていただいて、日本文化向上のためにも、国民の幸せのためにも、楽しみのためにも、本当に率直に生きがいを感じてよい芸術、文化を創作できるような場をぜひともつくり出すように、前進するように強く私は要望して質問を終わりたいと思います。
  75. 松本七郎

    松本委員長 依田実君。
  76. 依田実

    ○依田委員 先ほどから、同僚議員の方々から、民間テレビの外注番組の問題についていろいろと御質問になっておるようでございますが、私もきょうは同じ問題について質問をさせていただきたいと思います。ダブるようなところはなるべく避けさせていただいて、予定時間より少し短くなるかもしれませんけれども、やらせていただきたいと思っております。  いろいろと御指摘がありましたように、民間放送の利益はここのところ非常に順調でございます。私も証券会社からいろいろ報告書を取り寄せて調べてございますけれども、倍増とまではいかないけれども、それに近い数字で利益を出されているところもあるようでございます。ところが、民間放送の非常に好調なこの時期に、各方面から民放の番組制作のあり方について批判が高まっておるということは非常に残念だと思います。これは先ほどから皆さんがおっしゃる出演団体の方だけじゃなくて、民間放送局で働いていらっしゃる方々からもいろいろと御批判があるようでございます。  その第一は、もう言うまでもなく、制作部門を分離いたしまして外注をされている。そのことについての疑問が非常に多いわけであります。昨年の十一月に民間放送の労働組合の民放労がまとめた資料によりますと、東京キー局の自主制作の番組の比率でございますけれども、自主番組の方が三〇%から五〇%、つまり自主番組の方が少ないという資料が出ておるわけであります。また、ある方の、調査によりますと、ことし四月  これは大体番組編成の改定期でありますけれども、このいわゆるゴールデンアワー、六時から十一時、これが週間で三十五時間あるわけでございますけれども、各民放の外注番組がその中にどの程度あるのか、つまり三十五時間のうちどの程度外注しているのかというと、ここに一つの数字がございますけれども、NTVが二十一時間外注している。つまり、六〇%外注している。TBSは十九時間で五四%で、フジテレビは三十二時間、実に九二%外注に出している。テレビ朝日は二十一時間、六〇%で、12チャンネルは二十七時間、七八%です。  これはある調査でございますから、皆さんの方では反論があるかと思いますけれども民放労で調べたのは三〇%から五〇%だけが自主制作で、いま申し上げたように非常に高い割合で外注が出ているが、この数字について民放連会長としては、何か数字が違うとか、そういうような御意見はありますでしょうか。
  77. 浅野賢澄

    浅野参考人 大体そういうところじゃないかと思います。  ただ、フジテレビの方は大変数字が大きくなっておりますが、あれは社内プロダクションでございまして、一〇〇%会社側が出資いたしておりますから、社内と全く同じでございます。  ただ、専門専門の人たちをまとめてショーものならショーもの、ドラマならドラマでつくりやすいようにしておりますのと、それから各社さんが外注に出しておられますのも皆同じ考えでございますのは、社内だけでありますと年々皆年をとってまいります。それから四十過ぎますと若い人たちのニーズになかなか追いついていけなくなります。したがいまして、各社とも最初のうちはたくさん採りまして、テレビ事業が出発した当時には先輩局の状況を見ながらたくさん人を採用してみた。そうしましたら、だんだんと設備も物すごく近代化されてまいりましたし、それから番組内容国民の皆さんのニーズも変わってまいります。そういった面で追いつけなくなってくる。  そういったことから結局外部の力をお借りする。内部の人は教育、教養とか、それとも本当に本腰を入れてやれる大物だぶつかるとか、それからこの種類はわが社の方が外注よりもいいぞというところへ集中して、そして人を最も才能が伸びる形で使って、そしてその足りないところを外注でお願いをする。こういう形になってまいっておると思います。  ですから、自然、各社を見てみますと大体ほどほどのところに外注が来ておるように思われますが……。
  78. 依田実

    ○依田委員 テレビの番組制作というのは、いま会長が言われましたように、時代の変化、ニーズの変化が非常に激しいものでございまして、われわれもよく経験しておりましたけれども、本当に三十五歳ぐらいを超えますといまの時代にマッチした番組をなかなかつくり得ないということで、外へお出しになるということも、これは一理だろうと思うのであります。しかし、民放は御承知のようこ二十四時間産業で、そしてまたあらゆる分野へ子会社をお持ちになっておるわけであります。不動産からタクシーから、あるいはレストランから、いろいろお持ちになっているわけでありまして、そういう意味では、老年対策というものは自分の会社の中でいろいろおできになるはずでございまして、この外注の比率というものが余りにも大き過ぎるんじゃないかというふうに私は思うのです。  先ほどの鈴木委員に対するお答えの中に、外注をするのはいいものをつくるためというお言葉がありましたけれども、そのお答えは変化がございませんでしょうか。やはり、いいものをつくるということで外注にお出しになっているんでしょうか。
  79. 浅野賢澄

    浅野参考人 内部でつくった方がいいものができます場合に内部でつくり、外部でお願いをした方がいいものができるなと思いますときに外部にお願いをするといった線はいずれも同じじゃないかと思います。  結局、お互いがしのぎを削ってやっておりますので、自然そういう形が出てくるものと思っております。
  80. 依田実

    ○依田委員 ここで対照的にNHKの方に伺いますけれどもNHKは逆にほとんど自主制作でございまして、外注というのはほとんどなさっていないと私は思っておりますが、その実情と、NHKはなぜ外注に出されないのかということ、つまり、いい番組をNHKはつくるという意味で、外注へ出すとまずいということだろうと思うのでありますけれども、その方はいかがでございましょうか。
  81. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  NHKがいいと思っている基準と、民放さんのいいという基準とあるいは違うかもしれませんが、私たちは、現在のスタッフの能力を最大限に発揮して国民の期待に沿う番組をつくりたいという意味で、かつ、まだまだ私たちの職員の能力に限界はないというふうに考えておりますので、その能力開発に最大限の努力を払っている次第で、結果的に外注はございません。
  82. 依田実

    ○依田委員 同じ放送事業に当たられておる民放NHKが、ここで番組制作に対する態度がかくも違うということは非常に不思議だと私は思っておるのです。NHKは、自分たちの社内のスタッフの能力を開発して、国民の皆さんの要求にこたえられるような番組をつくっていくんだというふうにおっしゃっているが、民放の方は、いまの数字から言うと外注へたくさん出されておるわけですから、それの方がいい番組ができるというふうにお考えになっているんじゃないかと思うのであります。  確かに、民放が外注をされているいろいろなプロダクションがございまして、先ほども名前が挙がりましたテレビマンユニオンだとか、そのほか非常に優秀なスタッフをそろえたプロダクションがございます。こういうところは民放というか、会社の企業の中にいてはなかなか思いつかないような企画力を発揮される方が確かにおるのであります。それからまた、ハンディビデオなどを使う技術開発、そういう新しい技術をどんどん取り入れていくということについても積極的なところがございます。あるいはまた、海外取材などをやらせますと大変な機動力を発揮して、海外の特殊なルートを使って番組を向上させていく。こういういいところもあるのでありますが、しかしながら、これだけ外注をいたしますと、必ずいいプロダクションだけじゃございませんで、雨後のタケノコのようにできるプロダクションに番組をつくらせて、結果として番組の質が低下をしてくるということが間々あるわけであります。ですから、その辺の民放の外注のあり方についての限界といいますか、その節度というものが大事なんじゃないだろうかと私は思うのであります。     〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕  御承知のように、先ほど出たいろいろな団体の訴えの中にあるように、下請へ出しますと、それが下請にとまらずに孫請へ出されるというケースが非常に多いわけでありまして、たとえば一時間ものの映画などですと、これはアメリカの数字は別といたしまして、日本で大体一時間で一千二百万円、これを下請へ出すと下請が大体二、三百万円取る、孫請へ行ってそこでまた百万円ぐらい取るというようにいろいろ中間搾取をされまして、そして末端で制作するところは非常に窮屈な予算と過重な労働の中で番組をつくっておるということになるのじゃないかというふうに私は思うのであります。そうなりますといろいろトラブルが出てまいるわけでありまして、そういう末端で契約料、出演料が未払いになるというケースが幾つか出ておるわけであります。  先ほどの会長のお答えですと、下請の経営態度がまずいというようなことも言われておるようでございますが、プロダクションをおつくりになるような方というのは確かに芸術家はだの方もいらっしゃるわけでありますから、経営管理の方はなかなかうまくいかないということで、放漫経営というか、そういうことで行き倒れになるわけであります。しかし、制作の現場を見ておりますと、下請へ出しておりますけれども、実際問題としてはキー局からプロデューサーが参っていろいろと口を出しておるわけでありまして、また、放送するときはキー局の看板で放送をしておるわけであります。そうなりますと、幾ら下請の問題と言いましても、やはり、民放のキー局としてはそこにある程度の責任があるんじゃないかと私は思うのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  83. 浅野賢澄

    浅野参考人 私も全体の状況はよく存じませんが、口を出しておるところも大分あるだろうと思います。ただ、これは技術的な面の指導とまた連絡でございまして、たてまえとして、これは下請ではないと思います。やはり外注でありまして、受けたところが責任を持ってやってもらわないとまずい。  たとえば私の経験でいきますと、先ほど藤原先生が映画会社が困るから何とかしなければいかぬじゃないかとおっしゃいましたが、実際問題として、東映とか東宝とか松竹というところに出す場合が多うございます。その場合はそういう映画会社の大きなスタジオ、設備を使います。民放の場合はNHKさんのように広い大きなものを持っておりませんので、広い場所の要る分になりますとどうしても映画会社にお願いをしなければいけない。そういった場合に連絡係のプロデューサー、ディレクター等担当が決まりますけれども、やはり、しっかりしたところは一切御自分のところの判断、企画でやっていかれます。  ですから、契約をします場合に、こういったことがないように今後は気をつけなければいけないな、そう思っておる次第でございます。
  84. 依田実

    ○依田委員 そうしますと、いまのところは、こういうトラブルができた場合には、民放連なりがその問題の仲介の労を働くとか、これを円満に解決させるために当事民放会社に対していろいろサゼスチョンをするとかいうお考えは一切ない、こういうことでしょうか。
  85. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放連はそういう各社の契約、編成権といった面の問題には一切タッチいたしておりません。それぞれ百七社に社長が皆おりますので、そういう問題には民放連の体質として一切タッチいたしておりません。
  86. 依田実

    ○依田委員 これから申し上げる問題もそうでございますけれども民放が昭和四十五年ぐらいから外注番組を非常に多くされておることは、確かに、一つは、キー局のスタッフだけではできない大型ドラマであるとか企画物を才能のある人にやってもらおう、つまりいい番組をつくろうという前向きの姿勢でおやりになっているとは思いますけれども、もう一つは、いわゆる労務対策といいますか、煩わしい面はなるべく自分の会社から排除していこうじゃないかというお考えで外注にお出しになっており、それが回り回って逆に弱い人に非常にしわ寄せになっておると思うのであります。ですから、この辺の考え方民放としても少し考え直していただかないと、これからもたくさんこういうトラブルができてくるのじゃないかと思うのであります。  先ほどからの会長お話を聞いておりますと、世の中にはテレビに出たい人あるいはテレビ仕事で働きたい人がたくさんいる、そういう需要があるのだからという発言もあるようでございますけれども、いまテレビの制作現場の方々からもいろいろと内部からの訴えがたくさんあるわけであります。「放送文化」の六月号などを見ますと、テレビの制作現場でお仕事をなさった方々が民放内部のこういうような問題についていろいろお書きになっておるわけであります。聞くところによると、たとえば一つのスタジオで番組をやりますときに、プロデューサー、ディレクター等いろいろな職分がございますけれども、主な人二、三人がその民放局の正式社員でありまして、あとはもうアシスタントディレクターからカメラのケーブルを引く人、あるいは照明の人、お化粧の人等いろいろな方のほとんど全部が外のスタッフで賄われておる。それもまた下請の正社員でなくてアルバイトのような形で働かれておる。そして、結局アルバイトですから賃金が低い。こういうことになっておるようでありまして、これではいい番組は、どうしてもできない。  NHKの方の発言ではございませんけれども、われわれも番組をやっておりました関係でよく存じ上げておりますけれども、そのたびごとにスタッフが入れかわってくるのではプロデューサーとしても本当にいい番組はできない。このカメラマンはこういうカメラワークが非常に得意なんだ、この照明さんはこういう番組については実にいい照明の配合をしてくれるんだと、そういうことをみんな知っていませんと本当にいいテレビ番組ができないのであります。  制作現場にこれだけたくさんのアルバイトを使って、これだけ外の人を働かせておるという基本の姿勢、これはどういう制作態度でこういう御方針をとっておるのか、会長にちょっと伺いたい。
  87. 浅野賢澄

    浅野参考人 先ほど来申し上げておりました点とダブるかと存じますけれども、カメラマンなり照明さんが決まっておることは確かにいいことだと思います。  ただ、切磋琢磨といった面で、競争は人間の世の中で絶対に必要だと私どもは思っております。それで、若い新人がやってきてみごとにやっていくということは非常に刺激を受けるわけであります。職場というものはとかくマンネリに陥りやすいのですけれども、芸術的な問題になってきますと、それこそ本当に四、六時中ニーズを見ながら新しいあり方をやっていないと直ちにマンネリになってしまう。そういった面から競争原理が入ってきましたことは番組の向上に非常にプラスになったものと考えております。
  88. 依田実

    ○依田委員 競争と、その働く条件によっていい番組ができてくると私は思うのであります。確かに競争も必要でありますけれども、非常に過酷な労働の条件で競争をさせますと仕事を投げやりにする、手を抜くということになるのは人情として当然だろうと私は思うのであります。  そこで、ちょっと問題を変えてみたいのでありますが、問題は、テレビの場所で働きたいという苦い方が非常に多いことです。これがまた民放にとっては非常に有利なんでありますけれども、いろいろな番組の質の低下ということから言うと問題があるのじゃないかと思うのであります。いわゆる予備軍が余りにも多過ぎるのじゃないかと私は思っております。  その一つテレビのいろいろな学校がございます。電波学院であるとか、あるいはテレビ技術学校であるとか、そういう形態の学校があるのであります。こういう学校の実情は、ここで技術を習得すると一流の民間放送なりNHKなりへ勤められるということで、全部の学校の数で毎年三千人なり四千人の方が入ってくるわけです。しかし、これは過大広告だと私は思っております。ことしあたりもそういう学校を出られてわれわれにテレビ局への就職を依頼される方があるのですが、放送局に聞いてみますと、そういう方は採用資格がないと言うのであります。つまり、テレビ局では正社員に高校卒なり大学卒を見込みで採るわけであります。こういう学校を出られた方は、御承知のように高校を出まして二年間ぐらいこの学校に入っておる。そうすると卒業見込みでないために、つまり、この学校に入ることによって放送局へ勤められる資格を失うのであります。  学校の言っておるようなこととは全く逆でございまして、学校では、入学するときにわれわれも電話をかけさせて聞いてみましたけれども、うちへ入ればいいところへ就職は世話をいたしますということを電話で言うのであります。しかしながら、実際卒業時になると学校はほったらかしでありまして、とんと就職のあっせんはしてくれない。こういうことになっております。そういう人たちが就職できない。仕方なくテレビ局のアルバイトを三週間くらいの契約でやっておるわけでありまして、非常に低賃金になるわけであります。民間放送の方としては、そういうものがあるのだから使うのはと、こういうふうになるのかと思いますけれども民放の中にもそういう学校を経営されている方もいるわけであります。  そこで、文部省にちょっとお伺いしたいのでありますが、文部省はこういうような各種学校の御指導をどういうふうになさっておるのかということについて二つだけお聞きしたいと思うのです。  一つは、テレビ局へいかにも勤められるようなことを言って募集をすることについて、また、中にはアルバイトと称して学校がいろいろな実習という形で民間のテレビ局の簡単な番組を請け負うということをやっていることについて、この二つの点について文部省としてはどういう御指導をなさっておるのか。本当はこれは東京都の管轄でありますけれども、その上は文部省でありますから、どういう御指導をなさっておるのか、ちょっと伺いたい。
  89. 塩津有彦

    ○塩津説明員 お答え申し上げます。  先生がいまおっしゃいましたとおり、テレビ学校等は、学校の形態から申しますと、各種学校とかそれから専修学校というようなことになっておりまして、小学校から大学までのいわゆる学校教育法に言う一条学校とは形態を若干異にしておりますが、これはやはり学校教育に類する教育を行うということで、広い意味の学校教育の一環であるというふうになっておりますが、それの指導、助言を行う所轄庁といいますか、そういうところは先生の御指摘のとおり各都道府県でございまして、東京都の場合は都知事というふうなことになっておるわけでございます。そういうことでございますので、文部省といたしましては個々の学校の状態を常に把握するというような体制にはなっていないわけでございます。  都道府県を通じてそういう実情があれば聴取するというような形になっておるものですから、個々の状態を十分把握しているという状況にはないのでございますけれども、お尋ねのテレビ局に勤められないのに勤められるように募集要項等にあるのではないかというようなお話でございますが、各種学校、専修学校といえども学歴偏重是正というようなこういう現代の状況にありまして、そういうところを卒業した人も実力があればそういうところへ入るようにしていただくということが一つあろうかと思います。ただ、現実にあるテレビ局で一条学校の卒業者でなければ採らないということがある場合に、ある特定の各種学校が募集要項なり入学案内でそこへ入れるかのごとく書くということは、これは誇大広告に類するかと思います。そういうことは、やはり公共性を有する学校として是正されなければならぬと思いますけれども、一般的に言えば、なるべく入れるようになる方が望ましいのではないかというような気持ちはあるわけでございます。  それから、アルバイトのことでございますが、学生の立場からいたしますと、アルバイトをしながら勉学を続けるということはある意味では必要でございましょうから、文部省としてそれを直ちに悪いというふうに言うわけにはいかないかと思いますが、アルバイトを雇うことによってほかの勤労者の方々を圧迫するかどうかについては、やはり雇用者の立場でお考えいただくというようなことになるのではないかと、かように思います。
  90. 依田実

    ○依田委員 課長、アルバイトのことはちょっと受け取りが違っておるのじゃないかと思います。つまり、個々のアルバイトじゃなくて、学校としてある民放局の仕事を請け負うということは問題があるのじゃないかということでございます。  それから、また、確かに数年前まではこういう学校を出ても  つまり、まだ民放の創成期で人員が足りないというときにはこういう学校を出ても就職があった。あるいはまたいまでも、特殊なそういうところで一生懸命勉強をして、非常にむずかしいのでありますけれども、いわゆる電波の資格、無線の資格を取って、たまに民放へ正社員で入るということもあるのでありますけれども、いまなるべく勤められるようになればいいとおっしゃったのですが、実際問題として民放の方で、高校を卒業して二年間なりブランクのある人をこれから採る方針があるのかどうか。ちょっとお伺いしたい。
  91. 浅野賢澄

    浅野参考人 各社の状況はちょっと私は存じませんです。     〔鈴木(強)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 依田実

    ○依田委員 私の調べましたところでは、高校卒あるいは大学卒見込みだけということになっております。  そういたしますと、放送局がそういう態度である限りは、こういう学校を出る人は、学校に入ることが即失業に通ずるということになるのじゃないかと思うのでありまして、ここのところは文部省はぜひ厳しく御指導をいただきたいと思うわけであります。  もう一つ民放と出演者との契約の中で再放送についての契約がたくさんあるわけでありますが、どうもそれがいまはいわゆる買い取りみたいな、それも五年とか十年とか長い、もう明治開国のときの不平等条約みたいな、出演者側の権利を認めないような買い取り契約が非常に多くなっているようであります。民放連と芸団協、日本芸能実演家団体協議会との間では確かに再放送のリピート料についていろいろ契約がなされておるわけでありますけれども、先ほどから申し上げますように、実際はこの下請といいますか、外注会社と出演者との契約が行われる。そういう場所では民放連と芸団協との取り交わし文書というものが生きていないということになるわけであります。  その一つに音楽使用料というものがございます。民放は御承知のようにたくさんの音楽をお使いになっておるわけでありますが、この音楽使用料がいま各国の放送界の音楽使用料に比べまして日本は非常に低いわけであります。そこで、音楽著作権の方の団体が、ぜひこの音楽使用料の契約の改定をしてほしいということを言っております。つまり、放送収入が非常に伸びておるわけでありますから、その伸びに合わせてこの使用料も大幅にアップをしてもらえぬだろうかということなんですが、その方式として提案をされておるのがいわゆるブランケット方式で、これは外国でも取り入れている方式でございまして、いわゆる放送局の収入にリンクをして音楽使用料を払うということであります。これはNHKの場合で言えば受信料プラス政府からの国際放送への交付金、こういうもののあるパーセンテージ、これを音楽使用料として団体の方へ払ってもらいたいということで皆さんの方へ御提案が行っているはずでございます。  これはNHKの方はいまどういう交渉の成り行きになっているのでしょうか。
  93. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  いわゆるブランケット方式につきましては、原則的にこの線でいこうということには相なっております。  しかし、ブランケットの基礎になる数字をどこに置くか。いま先生は受信料プラス国家交付金とおっしゃいましたが、それがいいのか、あるいは放送にかかる直接費の方がいいのか、さらにそれに対するパーセンテージをどうするかということについては、私たちの考えとJASRACの要求との間にかなり差がございまして、そして昨年度につきましては幸い妥結いたしまして、今年度あるいはその次の状況については目下話し合いの途中ということでございます。
  94. 依田実

    ○依田委員 確かにお答えのように、受信料プラス交付金は大変膨大な金額になるわけでありまして、国内放送費、国際放送費をプラスしたもののパーセンテージとか、いろいろお考えがありますけれども、いずれにしましてもお話し合いをなさっておるということでありますけれども、一方、民放連の方はいかがでしょうか。
  95. 浅野賢澄

    浅野参考人 民放連の方もいま堀専務さんがおっしゃいましたのと同じ形で、ただいま話し合いをいたしております。
  96. 依田実

    ○依田委員 それでは、近い時期に前向きな形でお答えが出るというふうに考えてよろしゅうございますか。
  97. 浅野賢澄

    浅野参考人 なるべく早く解決をいたしたいと思っておりまして、著作権延長を鋭意努力中でございますが、ただいまの堀さんのお話のように、まだ考え方において差があるようであります。  まだしばらくかかるかもわかりませんが、しかし、急ぐことは急いでおります。
  98. 堀四志男

    堀参考人 お答えいたします。  ただいま浅野会長が申したとおりでございます。
  99. 依田実

    ○依田委員 NHKの方は去年は去年で、ある一つの妥協策で解決をしておる。こういうことで順々に積み上げ方式でやられておるようであります。そこで、民放の方も最終結論を一気にということではなくて、本年度はこう来年度はこうと一つずつでも積み上げをしていただきたいと思っております。  この所管は文化庁の方になりますけれども文化庁の方では出されておる申請についてどういうふうにお考えになっておるでしょうか。
  100. 小山忠男

    ○小山説明員 日本音楽著作権協会の方から、昨年十二月に音楽使用料の改定につきましての申請が出ました。それで、この申請書の内容につきまして、使用者でございます日本放送協会並びに日本民間放送連盟の御意見も徴しながら、その扱いを検討しました。  五十二年度につきましては、時間切れという関係もございまして、現行の使用料規程に即して使用料を徴収するということで当事者の合意ができまして、それで解決をしました。それから五十三年度の分につきましては、ただいまお話がございましたように、目下日本放送協会日本民間放送連盟並びに日本音楽著作権協会の間で協議が進んでおりまして、文化庁としましてはもう少し協議の成り行きを見守りまして、必要に応じまして当事者の間を調整して適正な使用料額が決まるように図ってまいりたいというふうに考えております。
  101. 依田実

    ○依田委員 時間もなくなりましたので、最後に一言だけ御意見を郵政大臣にお伺いしたいと思っておるわけであります。  お話をお聞きになっておったと思いますが、確かに民間放送というのは商業放送でございまして、利益を出されるのは当然でございますけれどもしかし、最近民放の中から、そしてまたそれに携わる外の人から、両方から、いまの民放の番組制作のあり方とそれに付随しましての質のあり方についていろいろと批判が高まっていることは事実であろうと思うのであります。  特に、最近は民放のトップに新聞界から人がお入りになりまして、こういう方々がいわゆる経営の第一線に立たれておるのであります。特に、政治関係の記者の方もこういう民放のトップに入っていらっしゃる。つまり、報道関係からお入りになって、制作当局の制作本部長とか専務とか、いろいろな形でお入りになっていらっしゃる。こういう方々は私もよく知っておりますけれども、いわゆる記者の生活の競争の中から生まれた性格といいますか、多少荒っぽい、切った張ったの性格を非常にお持ちになっておるわけでありまして、こういう方々が第一線に立たれて、いわゆる札束を積んで外国から有名な映画を買い取るとか、あるいは放送権を買い取るという、札束攻勢をする荒っぽい経営をなさっているところが最近民放の中で非常に見受けられるのであります。私は、民放の中でも番組制作部門で本当に御苦労なさっていらっしゃる人々の意見というものをもっと尊重してあげないといけないと思うのであります。  御承知のように、テレビというのは映画館で見る映画とは違いまして、十八インチなり二十四インチなりの画面から家族みんなが見る番組でありまして、この与える影響というものは映画館で見る映画とは違いまして、本当によければわれわれの心の糸に触れるが、悪ければ家族の間を割くような、そういう非常な影響力を持ったメディアでございます。そういう意味で、経営の分野でも、単なる競争がいいんだというようなお考えをぜひ排除していただきたいと思うのであります。  いま、生産会社でも、余りに下請なりに過当競争をさせれば、必ずいつかははね返って自分たちの企業が存立できないということはもうすでに経済界の常識であります。民間放送というのは昭和二十八年に始まってまだ歴史が新しいのでありまして、ちょうど生産会社が活躍した資本主義の初期のころと同じように、民放というのはまだそういう時期じゃないかと思うのであります。そういう意味で、本当にそれに携わる人たちとそれに携わる企業、つまり民間放送のみんながともに繁栄をするということがいまのこの二十一世紀に向かう企業のあり方だろうと、こういうふうに私は思うわけであります。  そういう意味で、郵政大臣としても、この公共電波を使っておる民放のあり方についてよろしく御指導をお願いしたいと思いますが、大臣のお考えを一言だけお伺いしたい。
  102. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の現在の民放のあり方についてでありますが、放送事業者を中心に、これに関係する方々がよく国民気持ちを理解しながら、公共性を帯びた、しかも日常生活に密着した、大変な影響力をもつ事業でございますから、御指摘のとおりに、企業本位の考え方は当然私は許されない。これはもうはっきりいたしております。  しかし、所管大臣といたしましても、とかく一つ問題点を指摘し指示する権限はないことは御承知のとおりでありますが、幸い公共性の強い放送事業でありますから、いろいろな機会をとらえて私の方から強く懇請し、懇談の上でいろいろと目的を達成する方途を今日まで講じてきたわけであります。  幸い民放関係事業者もよく理解をしてくれておりますし、今後もそういう立場を堅持しながら大いに番組内容向上に努め、また、国民の唯一の共有財産である電波を使った企業の重要性を認識していただくように最善の努力を続けたい、かように考えている次第でございます。
  103. 依田実

    ○依田委員 終わります。
  104. 松本七郎

  105. 長田武士

    長田委員 まず、初めに、テレビジョンの難視聴解消問題についてお伺いをしたいと思っております。  辺地難視聴については、NHKを初め関係者の尽力によりまして年々解決への一途をたどっております。しかし、今後における辺地の難視聴解消については、少数世帯を対象とするケースが多くなりまして、技術的、経営的にも種々の困難な問題があると思いますが、なお一層の御努力をお願いするといたしまして、本日は辺地難視聴とは逆に、増大する都市の受信障害問題についてお伺いをしたいと思っております。  昭和三十八年に建築基準法が改正をされまして、国は、都市計画に基づく高度利用地区内の建築物については、都市計画に定める値以上の容積率及び建築面積を必要とするなどして高層化を義務づけ、また、都市計画に基づく特定街区内の建築物については、高さ及び容積率について一般の建築制限を超えて建築することができるものとして、さらにこれらの建築物について税制上の優遇措置を講ずるなど、政府は都市の近代化、再開発を目的に建築物の高層化を推進してまいったわけであります。  その結果、数多くの超高層ビルが都心を初めといたしまして副都心にまで出現する事態になってきております。  これを統計で見ますと、消防庁の資料によりますと、昭和五十二年一月現在全国で四階建て以上の建物は約二十万棟あり、そのうち都内には約五万五千棟存在をいたしております。都内にある十一階以上の建物は年間数%ずつ増加をいたしております。このまま推移すれば都市の高層化はさらに拍車がかかることは明らかであります。  このようなビルの高層化に伴い、いままでは中小の建築物、ゴルフ練習場及び鉄塔、橋梁などの障害物を原因といたしまして、比較的小規模な範囲での発生事例しかなかったテレビジョンの受信障害が広範な地域において飛躍的に発生するという事態に陥っております。こうした比況が特に顕著と見られますのは新宿副都心であり、また、新たに池袋副都心に建築されましたサンシャイン60による影響が非常に大きな社会問題になっておるわけであります。  このような制度的改定を背景といたしまして都市の高層化が推進されることになったわけでありますが、郵政省といたしまして、当然起こるべくして起こってくる電波問題についてどのような法的措置をとられたのか、まずお尋ねをいたします。
  106. 平野正雄

    ○平野政府委員 お示しの昭和三十八年において行われました建築基準法の改正は先生仰せのとおりでございまして、容積地区制度を設けるとともに、当該地区内の建築物につきまして高さの制限を撤廃するということでございました。  一方、その当時におきますテレビジョン受信の状況でございますけれども、実は、その当時は白黒テレビがまだ相当喜んで受信者に使われておったころでございまして、白黒テレビに比べますと受信障害の影響が非常にあらわれやすいと申しますか、影響を受けやすいカラーテレビがまだそれほど普及しておらないという時代でございました。また、一方、受信障害に関する予測技術等も今日ほど十分なものがございませんでしたので、その当時、都市における高層建築物による受信障害が今日のように問題化してくるということは実は推測していなかったわけでございます。  しかしながら、受信障害が顕在し始めました昭和四十年代におきましてはだんだん問題が出てまいったわけでございまして、郵政省、建設省、放送事業者等によって構成されております電波障害防止中央協議会というのがございますけれども、ここでこの問題を取り上げまして、昭和四十六年に、これを解消するには当事者間の話し合いによることが必要である、さらには経費については原因者負担が望ましいということなどを考慮して、地方自治体等に説明をしてこういった考え方を周知する、さらに都道府県における条例ないしは指導要綱の作成ということを働きかける、こういうことを事業計画に盛り込んだわけでございます。  そのような措置が逐次中央から地方へ、地方も市から町へというふうに周知が行き届きまして、比較的早い時期から指導要領あるいは条例等を作成された都道府県あるいは市というものが出てまいりまして、私どもといたしましては、比較的早い時期から受信障害の解消に取り組んできたものというふうに考えておるわけでございます。
  107. 長田武士

    長田委員 五十年八月に「テレビジョン放送難視聴対策調査会報告書」が出ていますね。これの第六番目に「暫定的措置」という項目がございまして、「さきに述べたような費用負担地域内における受信障害の制度的解消を図るためには、立法上、予算上の措置が伴わなければならない。したがって、かかる制度が確立されるまでには、なお時間を要するものと考えられる。しかしながら、受信障害の解消に対する国民の強い要望と期待にかんがみれば、それまでの間、受信障害の問題を放置することは妥当でない」ということが出ていますね。そういう意味で当事者間の解決は当然でございますけれども、「基準的な考え方を示すなど行政上適切な措置を可及的すみやかに講ずるよう強く要望する」と報告されておりますが、具体的な予算上の措置であるとか、立法上の準備であるとか、これはなされておるのですか。
  108. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の仰せのように、指導要領に示してありますような事項につきまして作成以来いろいろな手を打ってきたところでございます。  内容を具体的に申し上げますと、まず制度化の問題でございますけれども、先ほども御説明いたしましたように、原則といたしまして原因者主義にのっとるということでございます。そして、考え方といたしましては、ただいまお示しになりました報告書の中にもございますようないわゆる難視聴解消基金の設定の問題、あるいは妨害処理機関の設定の問題、そういった問題につきましていろいろ検討を続けてきておるわけでございます。  その点につきましては、予算といたしましても、今生度はさらにそれを詰めていくために外部の先生方にお願いをいたしまして作業を続けるという措置をしてまいっておるわけでございます。  一方、建築基準法の関係につきましては、電波法の百二条の二のシリーズというのがございますけれども、これは高層建築物によりまして重要無線通信が障害を受けたときの考え方でございますが、それに準じました、いわゆる建築確認申請の出た段階におきましてどのような措置がとり得るかという点につきまして、具体的に現在建設省との間で話を続けておるという状況でございます。  さらに、詳細になりますけれども、報告書の示しますところに従いましてできる限りの手を打ってきた。郵政省といたしまして、現在五十三年度予算の中で行っておりますのは、これは必ずしも都市で直ちに使えるとは思いませんけれども、比較的小さな中継送信所の規格の統一というようなことができるかできないかというようなことにつきましても検討を始めておるというような状況でございます。
  109. 長田武士

    長田委員 この報告書は五十年八月でありまして、およそ三年前の報告書ですね。もう三年経過しておるわけでありますから、そういう意味では電波行政の手おくれがここにあらわれておると私は考えるわけであります。  この点は後で論ずることにいたしまして、次に、具体的な問題といたしまして、池袋副都心に建設されましたサンシャイン60による受信障害についてお尋ねをしたいと思います。  サンシャイン60は本年四月六日にオープンをいたしました。この日本一の超高層ビルについても、また、新宿副都心の超高層ビル群の場合と同様紛争が現在実は起きておるわけであります。  このサンシャイン60は、財界約百社の出資によって昭和四十一年十月十四日に設立されました株式会社新都市開発センターが旧東京拘置所跡地に建設をしたところの、地下三階、地上六十階、高さ二百四十メートルの超高層ビルであり、新宿三井ビルの高さ二百十メートルを抜いて、現在日本一ののっぽビルとなっておるわけであります。  NHKは、昨年十月二十五日にサンシャイン60によるテレビ受信障害についての調査結果を発表されましたが、これまでの調査経緯と結果、その対策についてNHK及び郵政省にお尋ねをいたします。
  110. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  サンシャインビルの計画が確定いたしました時期にすでに私どもは、新宿副都心の問題でかなりな苦い経験を経ておったということもございまして、あれだけのビルができれば相当な問題が起こるであろうということで予測を開始いたしました。それは四十七年ごろからでございます。サンシャインビルさんの方でも、自発的にこれに対策をするためには十分な調査の必要があるということで、NHKに対しまして調査の御依頼がございました。そういうことで、四十七年以来、ビルの建設前から、建設が進むに従いまして十数回にわたりまして調査を続けてまいりました。  先生の御指摘の、先ほどおっしゃいました昨年の十月といいますのは、ちょうどビルの外壁がほぼ完成をいたしまして、まずあのビルについての障害が安定する時期ということで、予想されます範囲内にわたりまして千カ所以上にわたって最終的な調査をいたしました。それで、従来の調査結果とまとめまして、サンシャインビルさん並びに関係の区の当事者の方に御報告を申し上げ、対策の迅速な解決をお願い申し上げた次第でございます。  最終的な調査でまとめました結果につきましては、そのときにも公開いたしましたように、陰の部分、さらには壁面から反射をいたします部分——陰の方は北の方向、豊島区、板橋区、一部の北区を通りまして埼玉県に及ぶ範囲ということで、世帯数全体といたしまして、埼玉県まで含めまして二万世帯弱という数字を出したわけでございます。反射被害を受ける世帯数といたしますと東方向並びに西方向が主でございますが、その両方向を合わせましてほぼ八万弱というぐらいの数字をお出ししております。さらにはビルのすぐ近辺で、電波の乱反射のために被害を受ける世帯がございます。そういうものが八千世帯程度予想される、あるいは実際に起こっているということで御報告を申し上げました。  さらに、チャンネルによって起こる非常に部分的な局地的な現象でございますけれども、西南方向、川崎市の方向に向かいまして若干の被害が起こっております。これらを合わせましてほぼ十万世帯ということでございますが、その後のビルの建設中から今日までに至ります間でかなりな施策もサンシャインビルではお考えいただきまして、一番進んでおりますのが陰の部分でございます。豊島区につきましては一部残っているようでございますけれども、豊島区の分につきましては共同受信施設がほぼ完成をして、板橋の方の建設に着手をしたというふうに伺っておりますし、ビル近傍の乱反射部分につきましても三分の一ないし四分の一が解決しているというふうに伺っております。  以上が、いままでの調査結果並びにサンシャインビルの方でおやりいただきました対策の概要でございます。
  111. 平野正雄

    ○平野政府委員 サンシャイン60の難視聴の状況あるいはその原因関係につきましては、ただいまNHKの方からお話があったように私ども理解をしておるわけでございますけれども、この都市における受信障害につきましては、先生のお示しのように制度的解消が図られるまではどうしても当事者間の協議にまたざるを得ないという立場に立っておりまして、一昨年高層建築物によるテレビ受信障害解消についての指導要領を作成いたしまして、受信障害の解消は原則として原因者の責任において措置をすべきであると当事者間協議の際の基本的考え方を示したわけでございますので、サンシャイン60による受信障害につきましても、技術的には解消は不可能ではない、可能であるというふうに存じておりますので、この指導要領にのっとって、当事者間の協議によりまして円満に解決してもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
  112. 長田武士

    長田委員 受信障害は、ただいま御説明がありましたように、第一にはビル陰障害、第二には近傍反射障害、第三には遠方反射障害と、この三種類に大別されるわけでありますが、いずれもゴースト現象を主要症状といたしまして、これまで鮮明に見えていた画面が非常に不鮮明になり、耐えがたい状況を呈するものなんであります。  この受信障害がある程度広範囲に発生するということ自体は、新都市開発センター側にとっては新宿副都心の超高層ビル群による先例及び事前調査によってある程度予見していたところであったはずであります。  そこで、同センターは、東京都がサンシャイン60の建築確認申請に当たって出した条件、すなわち電波障害が発生したときは同社の負担において改善措置を講ずるとの条件を認諾した上で、ビル陰障害、近傍反射障害の被害地区となる豊島区については、昭和四十八年七月二十日着工時に同区長との間で協定書を交わしまして、同社の負担において受信障害対策を行うことを約束されたわけであります。  豊島区では、ビル陰及び近傍反射障害による被害世帯は約一万五千世帯あるのにもかかわらず、そのうち、いま答弁がありましたとおり、わずか八千世帯の対策しか行われていないのが現状であります。たとえば、その六工事で行われた東池袋五丁目八の二十二番の隣接地東町会では、昨年の四月五日に当時の被害者名簿を株式会社新都市開発センターあてに提出し、その後数回にわたる防除方法の申請をしたわけでありますが、現在まで具体的な施策もないとのことで、本年三月二十三日、被害者一千七十六名の署名をもって豊島区長に陳情書が提出されております。しかし、その後何の音さたもないわけでありまして、このような株式会社新都市センターと協定を結んでおる豊島区でさえこうした実態でございますから、同センターと協定を結んでいない地区においてはより多くのビル陰及び近傍、遠方反射障害の被害世帯を出しておるわけであります。  これらの約九万世帯余に及ぶ被害地区については、同じ受信障害であるにもかかわらず現在に至るまで何らの改善措置もとられず、その目途さえも立っていないのが現状であります。  この問題については、これまでも何度か当委員会において取り上げられましたが、政府は、原因者負担により、ビル側と住民による自主的な話し合いを繰り返しているだけであったわけであります。このままでまいりますと、新宿副都心のように、この解消には四、五年もかかるのではないかと予想されるわけです。そうしますと、この障害地域にまた新たなビルが建設されるわけですね。新宿などでも予定されております。そうなりますとますます複合化する要因が出てくるということになります。したがって、原因者負担の問題などが絡みまして、結局問題の解決が困難になることは当然だろうと思われます。  そこで、郵政大臣にお尋ねしたいのでありますが、この問題について今後早急に解決を図るためにどのように指導をされるのか、処置をとられるのか、お尋ねいたします。
  113. 服部安司

    服部国務大臣 高層建築によるいろいろな電波障害が起きて、国民、利用者に大変迷惑をかけていることは御指摘のとおりであります。  先ほど来所管局長から今日までとってまいりました措置について御報告を申し上げましたが、私は、大臣就任と同時にまず何をやるべきかということに考えをめぐらして、第一に感じたことは、御指摘の難視聴地域の解消ということに力点を置くことを決意いたしました。いろいろと関係機関と緊密な連携をとりつつ、省内の関係局長以下部課長の意見を聞きつつさらに協議を続けてまいって、私なりに努力はしたのですが、ただいま御指摘の高層ビルによる障害というのは、なるほど指導要領も出ておりますし、また原因者負担ということも明記されておりますが、迷惑を受けている利用者の立場からいけばまことに歯がゆい状態であることは全く御指摘のとおりであります。  私は櫻内建設大臣ともこれまで緊密な連携をとりつつ、今日まで映像が鮮明であったものがあなたの所管する建築によってこういう迷惑を受けるのであるから、建築ができて原因者負担だからああのこうのと言っても——建築基準の確認を受けるときならば起業者もある程度の犠牲を覚悟するが、でき上がればいやうちの責任であるとかないとかいやこればかりでないとかいろいろ申し上げてなかなか解決がつかないので、建築基準法の改正をお願いし、確認の段階で郵政省の地方電波監理局の現在開発された技術でこの程度の迷惑を受けるだろうという判定をし、その責任を持たすべきであることを申し入れて、櫻内大臣も了承しまして、現在役所間で、電波監理局と住宅局で大いに事務的に検討を進めておりますが、正直申し上げて、おのおのの言い分でなかなかこれも十二分でないことは私も素直に認めたいと考えております。  そこで、先般も、政治的な問題であるからあなたは自分の部下を大いに督励してください、私の方もやるからということでやっと何とか調査研究会というものができて、いまその問題に真剣に取り組んでいるところであります。私はこの方法を推し進めてまず解決の第一歩を踏み出したいと考えている次第でありますが、また、いろいろと技術開発の目覚ましいものがございますので、一方この技術開発によって解決の道はないものかという点も所管局長に指示いたしまして、研究所も挙げていま検討、研究を始めている段階でございます。  大変な御迷惑をかけていることは十分認識いたしておりますので、今後も真剣に取り組んで、一刻も早く解決を図りたいと意欲に燃えているところであります。
  114. 長田武士

    長田委員 しかし、いままでの行政指導ではいまだに不十分でありまして、何の実効も上がっていないと言っても過言でないと私は思うのです。  こうした中において、被害住民を抱える都内練馬区、杉並区、中野区、葛飾区等もこのような深刻な事態を放置できず、新都市開発センターに対して改善措置を施すよう要請書を出したほか、都知事からも、昨年十二月二十七日付で同センターと郵政省に対しまして、テレビジョン電波の受信障害の除去についての要請が出されておるわけであります。さらにこの問題については住民運動も高まりまして、町会が中心となりまして署名運動を行い、鷺宮地区町会連合会は三万一千四百七十四名の署名を、鷺宮西住宅自治会は千六百二十四名の署名をそれぞれ集め、新都市開発センターに対して改善措置を要求する要請が出されておるわけであります。これに対して同センターは、本年の二月に入りましてやっと回答書を所轄区長に対して提出されましたが、以下、同センターのこの回答書に基づいて二、三お尋ねしたいと思っております。  サンシャイン60の建築主であります新都市開発センターでは、反射障害については、必ずしも原因者が単独ではなく、他のビルとの複合障害であるとの態度であり、また、NHK調査ではこの点が明確でないと言われておりますが、この問題については、NHK並びに郵政省はどのように考えていらっしゃいましょうか。
  115. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  先生の御指摘のような形で杉並区に新都市開発センターから出されましたお返事をもとに、杉並区長の方から私の方へ照会がございました。こういう回答をもらったんだけれどもNHKはどう考えているかということでございます。私どもがそれに対しましてお返事を申し上げましたことが先生に対する御回答にもなろうかと思うのでございますが、私ども調査結果に基づきますと、主たる原因はサンシャインビルにある。と申しますのは、サンシャインビルができますまでの間は良好に受信をしておられたわけでございまして、ただ、一部の地区におきましては、サンシャインビルのできます前に小さなビルのために障害を起こした地区はございます。それも大部分は解決をいたしておりますが、まだ解決未了の部分が皆無とは申せません。  そういう意味で、局地的にはサンシャインビルだけの原因ではない、いわゆる複合原因だとおっしゃる点が皆無とは申しませんけれども、大部分はサンシャインビルの原因であるというふうに私どもは解釈しておりますし、そのような御回答を申し上げたわけでございます。さらに、局地的な細かい問題につきましては、これからこれの改善施策を加えます上で、具体的な施策設計をいたしますのに必要な調査の段階で明確にしていくべきではなかろうかというような趣旨の御回答を申し上げた次第でございます。  そういうことで、私どもとしましてはサンシャインビルのおっしゃることが全然うそだとは申しませんけれども、大局的に言えばサンシャインビルの原因によるものであって、局地的には複合というような要素のある部分もあるというふうには解釈しておりますけれども、まるまるすべて複合で手がつけられない、区分は全然不可能だというふうには考えておらない次第でございます。
  116. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  建築物による受信障害の調査につきましては、指導要領にもお示しいたしましたように、経験と技術的能力のございますNHK等の協力を求めるように関係方面に指導してまいっておるわけでございまして、その点はサンシャイン60の場合でも全く同じでございます。  また、NHKが開発をいたしましたゴースト分析器につきましては、障害原因の究明に際しまして十分有効に機能するものであるというふうに理解をしておりまして、ただいまNHKの方からお話がございましたように、この分析器を活用した測定結果でございますので、私どもといたしましては非常に信頼性の高いものであるという認識をしておるわけでございます。  したがいまして、サンシャイン60の反射障害の原因者の把握という問題につきましては、NHKと建築主との問でなお一層の話し合いを詰めていただければ、おのずから明快になるものであるというふうに考えておるわけでございます。
  117. 長田武士

    長田委員 さらに、同センターは、「都市においては、現在のテレビ放送方式をとる限り、受信障害地域はますます拡大し、障害度も増すものと思われます。従って、早急に都市における最も適切な放送方式に転換することとともに、受信障害の除去について国、放送事業者等の責任も明確にすべきである等、現行法規等の改正を要する。」と言っておるのですが、この点について郵政大臣はどうお考えでしょうか。
  118. 服部安司

    服部国務大臣 もちろん、政治的解決の必要性は十分認識いたしておりますので、先ほども申し上げたとおりに、今後私の力の及ぶ限りの努力を払いたいと考えております。  絶えず視聴者の立場に立って問題の解決を図っていかねばならないというのが私の基本理念であることもつけ加えておきたいと存じます。
  119. 長田武士

    長田委員 次に、同センターは、負担能力の問題について一企業では負担し切れないと言っておるのです。  そこで、現実的に解決するためにはもっと安く効率的な手段が考えられないかという点でありますが、たとえば調査会の報告書にありますように、放送波による解決については周波数事情が許すならば再検討してみてはどうかということでありますので、今回テレビのVからUへの移行については取りやめたようでありますし、それを利用して解決の促進が図れないかどうか。また、地上のSHFについて郵政省電波障害用に割り当てるという方針を打ち出しておりますが、しかし、現在全国のどこでもこれは使われていないのです。  それは、方針を決めた以上郵政省が責任を持って指導すべきであると私は思いますが、この点はいかがでしょうか。
  120. 平野正雄

    ○平野政府委員 まず、第一点の放送波の問題でございますけれども放送波のうちでVHF帯またはUHF帯の周波数によりまして受信障害の解消を図ろうとする場合、東京におきましては御承知のように非常に広いバンドの周波数をヒ波必要とする、しかもその周波数と周波数との間を広くとらなければならないというようなことでございまして、現在の周波数事情から見ますときわめて困難だと申し上げざるを得ないわけでございます。  御指摘のVからUへの移行を取りやめたことによって生じたチャンネルの使用でございますけれども放送大学用、これは従来から保留をしておりましたが、放送大学用のほか、テレビの難視聴対策用周波数など、今後のテレビ放送用周波数の需要動向及び重要無線通信用周波数の需要動向、あるいは来年の秋に行われます周波数分配に関する国際会議の動向などを勘案しながら具体的な割り当てを検討してまいりたいというふうに考えておりますけれども、この難視聴対策用周波数と申し上げましたのは、実は辺地のことでございまして、先ほども申し上げましたような理由によりまして、都市受信障害対策用に割り当てることはきわめて困難かと存じております。  なお、都市受信障害の解消策といたしましては、いまのところ有線による共同受信設備が最も半永久的かつ確実な方法かと思っておりますけれども、無線による解消の道を開きますために、さきに、建造物などの反射波に起因するゴースト障害を避けることができるというメリット、また比較的近接する地域で同一チャンネルを繰り返し使用できるというメリットといったことを考慮いたしまして、いまだ放送用に使われておりませんSHF帯のテレビジョン放送局の実用化の方針を定めたわけでございます。  そこで、SHF帯によるテレビジョン放送局の問題でございますけれども、高層建築物等による受信障害対策用といたしまして、先ほど申し上げました従来の有線による共聴施設に比べまして障害を受ける地域が比較的広いということと、それから対象世帯数が相当多いというような場合には、一定の条件のもとにおきましてはSHFを使用することがきわめて有効であるということから、先ほども申しましたように、昨年免許方針を定めたわけでございまして、これの周知につきましては、地方電波監理局長に対しまして、地方自治体、建築業者等受信障害関係者に周知を図るようにすでに通達をいたしておりますし、電波監理局長からは直接NHK日本民間放送連盟、電波障害防止中央協議会等に周知をするとともに関係者の相談に積極的にあずかってきておるわけでございます。  お示しのように、まだ具体的な実現を見てはおりませんけれども関係者の関心を相当引いておることは実は事実でございまして、近い将来の実現に期待をしておるということでございます。若干お話し合いも行われつつあるというふうに思っております。
  121. 長田武士

    長田委員 それでは時間が参っておりますから、最後に三点だけお尋ねいたします。  政府は、これまで、高層建築物等による受信障害については、これを原因者である建築主に負担してもらう、いわゆる原因者負担の原則を繰り返してきたわけでありますが、郵政省はおくればせながら昭和五十一年の三月六日に高層建築物による受信障害解消についての指導要領というものを発表され、これによって建築主の責任についても明らかにされているわけでありますが、この原則は、いままでの中小の建築物等にはこれで運用できたと思うわけです。しかし、いま問題となっておりますのは、高さ二百四十メートルにも及ぶ超高層ビル、サンシャイン60にどう対応させるかということであります。  そこで、郵政省にお尋ねいたしますが、指導要領を出されて、一度でも問題解決のために直接介入をされたことがあるのかどうか、この点をまずお尋ねいたします。  私がこのように政府の姿勢についてお伺いいたしますのは、今後ますます都市化が進みまして、それに伴って電波障害による被害範囲の拡大は加速化するという懸念があるわけであります。五十一年度に全国の都市において四十九万世帯であったテレビジョン受信障害は、五十五年には、調査会の報告書によりますと九十万世帯にも達するという深刻な事態が予測されておるわけであります。  こうした社会問題を含んだ都市のあり方について、たとえば郵政大臣は、かねてより、指導要領では解決がつかないために法的規制をしたい、そのために建築基準法の改正問題に積極的に取り組みたいと何回となく決意を述べられたわけでありますが、その後の進展状況について簡単に御説明を願いたいと思っております。  そして、第三番目でありますが、サンシャイン60など高層ビルによる電波障害は放送衛星の打ち上げによって一挙に解消すると言われておるのですが、一体実現の見通しがあるのかどうか。  以上三点をお伺いして私の質問を終わります。
  122. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  指導要領につきましては、先ほど来申し上げておりますように、NHK、各民放のほか電波障害防止中央協議会を通じまして各地方自治体、建築士協会、建設業界等に周知を図ってきたわけでございまして、その考え方がほぼ定着してきておるというふうに考えております。実態といたしましてもそのような実例がたくさんあるわけでございます。  また、サンシャイン60による受信障害につきましても、建築主と関係する区、市並びに東京都、それにNHKが会合いたしまして、受信障害解消についての協議をしておるというふうに聞いておるわけでございます。これは先生御承知のとおりかと思います。  また、それと並行いたしまして、サンシャイン60、NHK及びアンテナメーカー等によりまして、電波障害改善用アンテナ研究調査会というのが六月一日に発足するということで、関係者が積極的に対策のために話し合いを始めるという段階のように聞いております。これも先生御承知のとおりかと思います。  郵政省といたしましては、これらの状況を見守りながら、先ほどおっしゃいましたように必ずしも私ども制度的なバックボーンを持っておらぬものですから、したがいまして、直接紛争の中に入り込んでいくということはしていなかったわけでございますけれども、こういう状況を見ながら、必要な場合には建築主から話を聞かせてもらうというようなことも検討してまいる必要があるんじゃないか、こういうように考えております。  次に、建築基準法の改正の問題でございますけれども、これは先ほど大臣からもお答えいたしましょうに、ただいま建設省との問で鋭意具体的な問題を出し合いまして詰めておるところでございます。大臣もおっしゃいましたようにいろいろ問題がございますけれども、一日も早く詰め上がるように努力したいと考えております。  最後に、放送衛星の問題でございますけれども、御承知のように、当委員会の御指導を得まして四十八年から放送衛星の開発を進めてまいったわけでございまして、この衛星は実験用の放送衛星でございますが、開発成果は今後の実験結果を踏まえて評価する必要があるわけでございますが、放送衛星は御承知のように赤道の上空約三万六千キロメートルから電波を出すということでございまして、相当広い地域にわたりましてきわめて高い角度からサービスをすることができるという特徴を持っておるわけでございます。地上放送にはない特徴を持っておるということが言えるかと思います。このために、放送衛星による放送は高層ビルによる電波障害をほとんど受けることはないという見通しを持っております。これはやはり実験によってさらに正確に確かめる必要がございますけれども、ほとんど問題ないのではないか、こういうふうに考えております。  しかしながら、現在問題になっております都市受信障害は、地上の放送そのものを良好な状態で受信することができるというところに端を発しておるわけでございますので、放送衛星が実用化された場合におきましても、現在の地上の放送そのままの番組が必ずしも放送衛星から出されるかどうかというところには問題があるわけでございまして、そういった意味におきまして、放送衛星によって直ちに都市受信障害を完全に解消するということは現在の段階では考えにくいというふうに理解をいたしております。
  123. 服部安司

    服部国務大臣 大臣という御指摘がありましたが、大変専門的にわたる問題でありましたから局長答弁させましたが、私は、先ほども申し上げたとおりに、難視聴の解消は一番重要であるとはっきり明言いたしました。  法的規制の問題はどうかとかいろいろ御指摘がありましたが、私は、それを含めて一面思い切った技術開発による解決を図る方途もあわせて検討してまいりたい、本委員会を通じてただいまの御指摘は私も十分理解ができましたので、微力ですが最善の努力を払いたい、かように考えておる次第であります。
  124. 長田武士

    長田委員 以上で終わります。
  125. 松本七郎

    松本委員長 次回は、来る六月八日木曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十七分散会