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1978-05-10 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 志賀  節君 理事 鈴木  強君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       長谷川四郎君    原田昇左右君       森山 欽司君    渡辺 秀央君       阿部未喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    古川 喜一君       大野  潔君    竹内 勝彦君       鳥居 一雄君    青山  丘君       藤原ひろ子君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   広谷 干城君         会計検査院事務         総局第五局長  東島 駿治君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社業務管理局長 浅原 巌人君         日本電信電話公         社計画局長   福富禮治郎君         日本電信電話公         社施設局長   山口 開生君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   渡辺 伸一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    大島信太郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         副社長)    鶴岡  寛君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     宮  憲一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      井上 洋一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      笹本ショウ君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      福地 二郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      松本  洋君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     原 健三郎君 五月九日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     平林  剛君 同日  辞任         補欠選任   平林  剛君     野口 幸一君 同月十日  辞任         補欠選任   原 健三郎君     原田昇左右君 同日  辞任         補欠選任   原田昇左右君     原 健三郎君     ――――――――――――― 五月八日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願外一件(中井洽紹介)(第四〇九二  号) 同月九日  重度身体障害者使用電話料金等半額割引に関  する請願多賀谷真稔紹介)(第四一九九  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  函館地方貯金局存続に関する陳情書  (第三四六号)  鹿児島地方貯金局存続に関する陳情書  (第三四七号)  郵便物配達業務改善に関する陳情書  (第三四八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書  逓信行政に関する件(日本電信電話公社第六次  五カ年計画等及び国際電信電話株式会社の事  業)      ――――◇―――――
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  本件審査のため、本日、日本放送協会当局から、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人方々が出席されております。まず、郵政大臣から説明を求めます。郵政大臣服部安司君。     —————————————  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 服部安司

    服部国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明を申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十一年三月三十一日現在における資産総額は一千四百七十一億二千九百万円で、前年度に比し七十二億八千八百万円の減少となっております。  これに対しまして負債総額は七百二十一億三千八百万円で、前年度に比し百十六億一千八百万円の増加となっております。  資本総額は七百三十九億九千百万円で、前年度に比し百八十九億六百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産二百二十二億四百万円、固定資産一千二百三十四億一千二百万円、特定資産十二億九千八百万円、繰延勘定二億一千五百万円であり、固定資産内容は、建物五百十八億一千百万円、土地百五十一億四千三百万円、機械三百二十三億三千六百万円、その他の固定資産二百四十一億二千二百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債百七十六億二千七百万円、固定負債五百五十五億一千百万円であり、固定負債内容は、放送債券百二十九億八千万円、長期借入金三百七十七億八千百万円、退職手当引当金四十七億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金百七十八億九千七百万円、当期欠損金百八十九億六百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経営事業収入は、一千三百十三億七千四百万円で、前年度に比し五十五億八千八百万円の増加となっております。  これに対しまして経常事業支出は一千四百九十三億四千四百万円で、前年度に比し百九十五億一千万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は百七十九億七千万円の欠損となっております。  これに、特別収入五億九千三百万円及び特別支出十五億二千九百万円を含めた事業収支全体では百八十九億六百万円の欠損となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 松本七郎

  5. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま郵政大臣から、日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書の概要につきまして御説明がございましたが、委員長の御指名によりまして補足説明を申し上げることといたします。  まず、当年度末現在の資産総額は一千四百七十一億二千九百万円で、この内訳は、流動資産二百二十二億四百万円、固定資産一千二百三十四億一千二百万円、特定資産十二億九千八百万円、繰延勘定二億一千五百万円でございまして、固定資産内容は、建物五百十八億一千百万円、土地百五十一億四千三百万円、機械三百二十三億三千六百万円、その他の固定資産二百四十一億二千二百万円でございます。  この資産総額を前年度末に比較いたしますと、七十二億八千八百万円の減少となっております。  これは主として、前年度からの繰越金を当年度事業支出に充てて使用したこと等により流動資産が七十一億八千三百万円減少し、また、老朽施設売却等により固定資産が六億一千八百万円減少したためでございます。  一方、これに対します負債総額は七百三十一億三千八百万円で、この内訳は、流動負債百七十六億二千七百万円、固定負債五百五十五億一千百万円でございまして、固定負債内容は、放送債券百二十九億八千万円、長期借入金三百七十七億八千百万円、退職手当引当金四十七億五千万円でございます。  この負債総額を前年度末に比較いたしますと百十六億一千八百万円の増加となっておりますが、これは放送債券長期借入金等増加により固定負債が百四億二千万円、受信料前受金等増加により流動負債が十一億九千八百万円、それぞれ増加したためでございます。  また、資本総領は七百三十九億九千百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金百七十八億九千七百万円及び当期事業収支差金のマイナス百八十九億六百万円でございます。この資本総額を前年度末に比較いたしますと百八十九億六百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は一千三百十三億七千四百万円で、前年度に比較しまして五十五億八千八百万円の増加となりました。  これは主として、総合・教育両テレビジョン放送網の建設を推進いたしますとともに、放送番組内容充実刷新及び事業の周知、受信者維持増加に努めました結果、有料受信契約者数が、カラー契約におきまして当年度内に百六十六万件増加し、当年度末二千二百十二万件となったためでございます。一方、普通契約カラー契約受信者増加に伴い当年度内に九十七万件減少し、当年度末三百八十四万件となりました。  次に、経常事業支出は一千四百九十三億四千四百万円で、この内訳は、給与五百八十二億七百万円、国内放送費三百五十八億三千三百万円、国際放送費八億六千五百万円、営業費百八十七億七十四万円、調査研究費十八億三百万円、管理費百七十二億三千八百万円、減価償却費百二十九億六千五百万円、財務費三十六億五千九百万円となっております。  これを前年度に比較いたしますと百九十五億一千万円の増加となりましたが、これは主として、放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策の推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、極力受信者開発事業運営合理化を図りましたが、経常事業収支差金は百七十九億七千万円の赤字となりました。  この経常事業収支差金固定資産売却益等特別収入五億九千三百万円を加え、固定資産売却損等特別支出十五億二千九百万円を差し引いた当期事業収支差金は百八十九億六百万円の赤字となりました。  これをもちまして協会昭和五十年度末における財政状態及び当年度事業成績につきましての補足説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいりたい所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いする次第でございます。
  6. 松本七郎

    松本委員長 次に、会計検査院当局から、検査結果について説明を求めます。東島第五局長
  7. 東島駿治

    東島会計検査院説明員 検査結果の御説明を申し上げます。  日本放送協会昭和五十年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書につきましては、昭和五十一年十月二十二日内閣から送付を受けましたが、その検査を了しまして、当年の十二月四日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきましては、書類及び実地につきまして検査をいたしましたが、検査の結果特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 松本七郎

    松本委員長 これにて説明は終わりました。      ————◇—————
  9. 松本七郎

    松本委員長 次に、逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中昭二
  10. 田中昭二

    田中(昭)委員 今日は私は最初に電電公社関係の御質問を申し上げ、その後郵政全般についての御質問をいたしたいと思います。  わが国電電公社世界的にも大変優秀な公営企業と言われますし、その公社を所管する郵政大臣は、この公社はいままで誇りある実績を残してきている、そういう実績を踏まえながら、今後の公社に対する国民期待に十分こたえるため指導監督をしていくというふうに所信を述べられております。  これはいろいろあると思いますが、具体的には公社の第六次の計画による事業を推進するということにあると思いますが、その計画の中で特にどういう施策が重要と考えておられますか、お伺いしたいと思います。
  11. 服部安司

    服部国務大臣 電電公社の第六次五カ年計画についての御指摘だと思うのでありますが、お話しのとおり、わが国電電公社技術世界でも大変すぐれたものであることを御指摘いただいて大変ありがたく存じます。先生方理解と協力で今日ここまで仕上げることのできた電電公社業務は、これはすべて国民に対するサービス行為でありまして、今後もなお一層技術向上を図り、開発をし、国民のためのサービス向上に資するようにしていきたいと思っております。  おかげさまで、国内ではほとんど積滞も解消することはできました。特に言うならば一部分まだ末解決もありますが、しかし、全体から見ればもう大したものじゃございません。そういうわけで、今後第六次五カ年計画でより一層の文化恩恵を亨受するのに非常に困難な地域については、公社経営上現在もいろいろと地域設定をいたしておりまするが、今度は五キロから七キロに拡大するということによってかなり救済される地域が出てくるわけであります。  この五カ年間にこれが実現いたしますと現在のいわゆる区域外が九〇%救済されて、残る一割は、先般も申し上げたとおり、今度は国も地方自治体も全面協力いたしまして、最後の解決を図る手段として私は大変な期待をかけております。  その他いろいろと専門的立場から説明し得る問題がたくさんありますが、まず私は大まかに言いまして、今日まで文化恩恵を十二分に受けられなかった国民方々に対して文化恩恵を亨受していただける施策をするために、また、よりよい内容、品質のサービスを提供するために、この六次五カ年計画は、その内容は大変すぐれたものであると理解いたしております。  私は技術的にも十二分に説明できませんので、あとは担当者から補足説明をさせまして御理解を得たいと存じます。
  12. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が先ほど申し上げましたように、公社はいままでわが国の中でも貢献度も大きいし、また、世界でも有数な企業と言われております。それが現時点では、積滞解消もしたというようなときに、ある意味においては曲がり角に来ておるというふうに思うわけです。そこで、そういう観点に立って、今後の公社の成長ということは本当に大事なことであろうという意味で第六次計画というものが立てられたのでありますから、その中で重要な施策大臣としてどう思っておられますかとお聞きしたわけですが、これは大臣専門家じゃないというようなお言葉でございますから、もう少し議論を進めながら、その中でお開きしていきたいと思います。  そこで、総裁にお尋ねいたしますが、総裁は今年度の事業概況説明の中で、この第六次計画について、四本の柱といいますか、四つ項目に分けて五十七年度までの五カ年間の拡充、改良の基本をお立てになっておると思いますが、その四つの柱というか、四項目の中で本年度を踏まえてどういう点を一番重点としておやりになるのか。すべて重点的にやっていかれるお考えかと思いますけれども、その中でも特に重点とお考えになっておられることはどういうことでございましょうか、お聞きしたいと思います。
  13. 秋草篤二

    秋草説明員 どれが最大の重点か、これはなかなか取り出しにくい。それぞれ皆重要なことだと思いますが、まず、先ほども田中先生がおっしゃいましたときに思ったのですが、六次というものは電電公社にとりましては非常に画期的な、曲がり角に来た、新しいステージに立った時期だと理解しなければいけない。いままで従業員にも意識革命を意識させて、たくさんの電話をつけること、自動化をすることということに専念してきましたけれども、これからが本当のサービス事業としての公共企業体電信電話公社の本命の仕事であるというふうに理解すべきじゃなかろうかと思うのです。  ということは、三千五百万という大きな加入者を大事に抱えており、これが財産であり、この方々により一層信頼されるサービスに徹するということが本来のサービス事業であるのだという観念を徹底しなければいけないということでございまして、具体的に非常に変わりますことは、架設は非常に少なくなりましたけれども、反面移転が非常に多くなりました。住宅のあるところ必ず電話があるというふうに理解する。日本のような狭い国で非常にサラリーマンの多いところでは移転が非常に多い。そうすると、架設は即時にできるけれども移転は少し長くかかるというようなことでは困る。この点も十分注意しなければいけないというふうによく言っております。  もう一つ見方を変えると、まだもう一つサービスの行き届かないところがございます。というのは、それは寒村、僻地、漁村、離島というようなところの加入区域の拡大の問題と、それから十数年前に非常に大きな効果を上げました地域集団電話の問題ですが、これも非常に功成り名遂げまして、今日では国民の皆様の所得なり文化水準も上がりまして、ああいう電話ではもうちゃっと用が足らない、早く一般電話に直してくれ、一般電話制度を変えてくれという要望に対しても、早くこれをやらなければいけない。これは前年度前大臣からも強く要請されまして、十五万架設というのを国会に出す前に二十万に要求を変えまして、二十万架設要求しました。こういうことも非常に大事なことだと思います。  それから、わりあいに古くからおつき合いを願っている公社収入の財源であった古いお客様について、大都市の中心街には案外古い機械が残っておりますので、こういう方々については早く新しい機械に直さなければいけない。通信事業の宿命として、どうしても古いお客様には古いサービスが残りがちでございますが、こういうものも早くクロスバーなり電子交換機にかえて、新しい御満足のいくようなサービスをしていくというようなことでございます。  そういう新しい今後の電話サービス以外の将来を展望した技術革進に対応する研究開発はいろいろと怠りなくやりますとともに、今後の画像通信なりテレビ電話なり、あるいは将来のファクシミリ、データ通信というものは、口火を切って歴史はまだまだ若いのでありますけれども、将来を展望しますと、これに対する基本的な開発あるいは試行サービスというようなものに対しては怠りなく金を使って技術者開発意欲を旺盛にするということも非常に大事なことでございます。  どれが一番大事かということのお答えにはなっておりませんけれども、かいつまんで重要な点だけを所信を申し上げた次第でございます。
  14. 田中昭二

    田中(昭)委員 それじゃあわせて重要なことにつきましてこちらから指摘もし、お尋ねもしていきたいと思いますが、いまおっしゃっていただいたことも、この概況説明に述べております四項目のことをおっしゃったように私は受け取りました。  それで、問題は、先ほど総裁もお認めになりましたように、第五次まではとにかく積滞解消という一大目標に突進してきた。そしてそれなりの貢献もいたしたが、曲がり角に来ておるというような御認識はおありのようでありますが、いままでの公社利用者といいますか、国民に対します姿勢といいますか、そういう中において、余りにも技術革新というか独占事業であるために、その努力なさっておるものが国民に知らされていない。言いかえれば、極端に言えば、国民公社のやることに黙って従えばいいんだというようなことがあったのではなかろうか。だから、当委員会でもいろいろな議論をいたしました結果、一昨年でございましたか、利用者要望といいますか、そういうことは聞くべきであるということで、初めて利用者委員会というものが各地方通信局ごとにでき、そして本社にも設けられて、そこで利用者の強い要望を受けとめておられると思います。  でありますから、この利用者委員会要望等を今後の公社経営の中に取り入れるということも、いままで以上にその重要性を増してきておると私は思うわけでありますが、この点はいかがでございましょうか。
  15. 秋草篤二

    秋草説明員 全く先生のおっしゃるとおりで、一昨年料金を上げていただきました際に、両院の附帯決議で取り上げられた中で私が一番感銘深く受けとめましたものはこの利用者委員会でございまして、これは永劫に続く委員会だと思っておりますが、すでに各通信局でも数回会議を持ちまして、本社主催中央委員会も一回を終わりまして、今月近々にまた第二回目の委員会を開催する予定でございますが、委員方々は非常に熱心でございますし、また、御質問なり討議されるテーマも非常に有効な問題が多くございます。  いずれにしましても、公社のような完全独占に近い独占企業におきましては、やはり忠実に世論に耳を傾けて、そして独占にあぐらをかくな、あるいは一人よがりになるなということを私は深く従業員に戒めております。こういう意味では、この利用者委員会役割りというものは公社にとって非常にありがたい、意義のある制度だと私は理解しております。
  16. 田中昭二

    田中(昭)委員 大体認識は同じのようでございますが、この利用者委員会等で出ました要望地方通信局ごとに処理できるものもあるし、本社で一括して御要望におこたえするものもあろうと思いますが、こういう具体的な一番強い要望のものも公社がそのまま完全に受け入れることができないものもありましょうし、そういう中で目新しいものといいますか、重要なものを教えていただきながら、そういうものをこの第六次計画にどのように反映させておられるだろうかということを私は知りたいわけです。  先ほど私が言いましたように、公社を監督する郵政省は、その利用者委員会等要望公社が取り入れるについての検討をすると同時に、郵政省も郵政省独自で監督官もおることでございますし、そのすり合わせなり反映というものが検討されておると私は思いますし、また、それは当然なされなければならない。だから、そういう意味で、具体的に要望の強かった問題をお示しいただきながら、公社の方ではそのことについてどういう検討をし、六次計画に取り入れたか、また、その六次計画に取り入れることについて通信監理官の方はどういうアドバイスをし、どういう見通しを立てたのか、そういう点についてそれぞれからお答えをいただきたいと思います。
  17. 秋草篤二

    秋草説明員 いまのお説のように、年度計画にはこの利用者委員会の御意見も取り入れていけるものは取り入れなくちゃいけないと思いますが、遺憾ながら、先生も御案内のように第六次計画は昨年の八月ごろ計画したものでございまして、利用者委員会もまだ発足しないところもあるし、発足してからも一回か二回でございまして、この利用者委員会の意見を取り入れるというまでにはまだ歴史もほんの数カ月であったのでございます。  今後はこの利用者委員会の意見も必要なものは取り入れなくちゃいけませんが、ただいままでの数回の中身を見ておりますと、利用者委員会の所見は、われわれの案外気がつかないようなもの、また注意しなければいけないなと思うような心構えのようなもの、あるいは政策上配慮しなくちゃいけないというような問題点が大体多い。私は非常に感銘深く承っておりますが、大きな金を使って事業計画の改善にぶち込むというようなものは比較的少ない。言うならば、われわれの心構えに対する御注意というようなものが非常にございます。もちろん、先ほど先生も触れられましたように、法律改正をしなければとてもできないような御所見もございますけれども、こういうものば監理官にも相談し、大臣にもお断りしなければならぬと思いますが、非常に大型な制度改正あるいは法律改正に及ぶような所見は余り見当たらないと私は思っております。
  18. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 ただいま電信電話公社総裁からお答え申し上げましたように、六次計画そのものには、時間の関係もございまして、利用者委員会からの御要望その他を直接的に盛るというようなことはいたしていないわけでございます。  なお、六次の計画でございますが、従来一次から六次に至るまで、郵政省といたしましては、この計画そのものは電信電話公社のみずから策定する経営指針というふうに理解いたしております。  そこで、今後の問題といたしましては、ただいま総裁からもお答えがありましたように、法改正をいたすような問題はもとより十分御相談をさせていただきたいと思っております。  同時に、また、毎年度の予算というようなものもございますので、そういう過程で利用者委員会の御意見等がどのように反映しているかということにつきまして十分よく見てまいりたいというふうに存じます。
  19. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、大変残念なことですね。いまお話を聞いておりますと、こういう状態だから現場の末端の利用者の声を聞く姿勢じゃないのです。これははっきり申し上げますよ。いま総裁がおっしゃったことに一々反発するわけじゃありませんけれども、まず、この利用者委員会の発足が時間的に問題だったとおっしゃる。内容は腹構えみたいなことであって、具体的に取り入れるものはないんだというような言い方だ。郵政省の方は郵政省の方で、時間的な余裕がなかったと言う。  いま電電公社はどういうところに来ておりますか。どういう時点に立っておるのですか。こういうときに郵政省も考えてやらなければならないのじゃないですか。郵政大臣所信表明というのは言葉だけですか。公社総裁概況説明というのは言葉だけですか。いまはそういう言葉だけで事を済まそうという時代じゃないはずなんです。大変な問題をいまは抱えておりますよ。時間的な問題を言われるのであれば、第六次計画ができた去年の八月ごろ私が一回お聞きしましたら、第六次計画はもう大体まとまっているという話を聞いたことがありますが、利用者委員会は去年の春じゃないですか。利用者委員会ができなければならないということはどうして起こったかということを考えれば、第六次計画の中に当然それは入っていなければならない。曲がり角に来ているんだから利用者の意見を十分に取り入れて取り組もうという姿勢がいまの御答弁にはないと私は感ぜざるを得ない。  大臣、いかがですか。一言言ってください。
  20. 服部安司

    服部国務大臣 御案内のとおり、利用者委員会が発足いたしまして約六カ月余りでございました。もちろん、そういった制度をつくった以上は、利用者委員会の意見の中で大いに取り上げねばならない問題もこれから当然起きてくると私は考えるわけでございます。  せっかくそういった機関ができたのでありますから、まだ発足日も浅いのでその機能に対する十二分なこたえはなかったかもしれませんが、これから大いにそういった取り上げるべき問題や意見はどんどん取り上げて、いろいろなサービス改善に資するように指導してまいりたいと考えている次第であります。
  21. 田中昭二

    田中(昭)委員 ちょっとスローモーですね。そういうことじゃ困るのです。第六次計画が立った以上は、もちろん利用者委員会の意見を今後取り入れてもらわなければ困るのですけれども、第六次計画という五年間の基本的な計画が、利用者要望なんかはまあまあ意見として聞いておくのだというような体制で発足しまして、それでは途中で問題が起こったら第六次計画を来年度に大きく変えますか。ところが、それは私が指摘するまでもなく、いろいろな問題が起こっておりますよ。  きょうは総括的に申し上げておきますが、第五次までの公社計画というのは本当にすさまじいまでの努力がなされてきた。それがわが国の高度経済成長に寄与したところは大変大でありましょう。しかし、そこには必ず反省というものをなされなければならないし、その第五次までの急成長に対するひずみと不均衡というものは当然見直されなければならない。電話機の新製品一つとってみてもそうじゃないですか。いろいろな新製品が生まれましたが、その新製品が欠陥商品として、ここ何年間か前からこの欠陥商品の改良を目標を立ててやったけれども、現在でもいまだにもってそれができていないじゃないですか。この新製品を販売するにしても、本社ではPRはそれぞれの係の人がしておるかもしれぬけれども、現場ではそれは受け入れられない。大体、現場機関の管理者がこの新製品をどう売ろうかということについて全然知識がないということは、私も現場を回ってみますとたくさんありますよ。  そのほか専用線の問題にしてもそうです。現在の状態はどうですか。ダイヤルの自動化自動化に伴う要員の配置の問題等、公社の急成長によって、大変莫大な投資をして莫大な人員を抱えてきたが、仕事のあるところに人員が配置されていれば結構ですが、仕事がなくなったところに人員が配置されている。市外電報電話局、電話の案内等すべてそうじゃないですか。また、古くて新しい問題としては電話帳の問題もある。これなんかもいろいろ取りざたされておりますけれども、まだ解決の方法が見出されていない。わが国が資源が少なくて輸入に頼らなければならないというこういう資源有限時代には、この電話帳の問題一つをとってみても大変いろいろな問題があります。  広域時分制が行われて、そこでは電話の通話料金の長距離料金の不公平さということも当然ずっと指摘されてきておる。広域時分制の問題もそうでございますが、公社がいままで行ってきた中でいろいろな建設をやってきておりますが、その中でも大変な資源を浪費している。ですから、資源有限時代だからということでリサイクルの問題も研究されておる。この中にいろいろな項目指摘してありますが、具体的に申し上げれば、公社が使います一つの建設資材の中でも、生コンクリートとかセメントとかアスファルトとかいろいろありますが、リノリウムというのは全国の国内使用量の三三%は公社が使っているのです。それからプラスチックの問題もある。公害をまきちらしている。こういう公害の問題については公社だけではできない。公社でのリサイクルにはおのずから限界がある。今後は国家的ベースにおけるクリーン処理等でなければこの問題は解決しないというようなことも指摘されておる。電話帳についてもそうです。大事な木材資源がどういうふうに処理されておるかということも出ております。また、廃液処理なんかというのは大変な問題です。さらには、いま申し上げましたプラスチックの問題なんかも大変な残る問題でございまして、相当な資源を使っておりながら、その資源に対していまの時代に合ったような処理がなされていない。  もう一つ具体的に申し上げれば、電線を巻くまくら木、あれは何と言いますか、回線なんとかまくらというものがあるそうですが、それをいままで木材で使っておったというのです。ところが、それを鉄製にかえた。その問題でもそういうふうに取り組んでおるんですけれども、現場にはそういうものがまだ残っておるのです。木材のまくらが残っておる。  ですから、こういう問題を一つ一つ取り上げていきましてもここで解決するものではございませんから、そういうものを十分考えて今後公社国民期待する方向に向かわなければならないということを私は申し上げておるわけでございますが、総裁、いかがでございましょうか。
  22. 秋草篤二

    秋草説明員 いま御指摘を受けましたが、公社事業を運営、遂行するのに伴う産業界のいろいろな問題は、確かに先生がおっしゃったような点がございます。しかし、これは逐次いろいろと改善していますかたとえば電話帳の問題にしましても、二十年来議論しておりますが、なかなか名案がございません。また、外部の方のいろいろな貴重な御意見も賜っておりますが、しかし、改善するだけのことは——紙資源の節約という意味からは一時やって、現在も行っておりますけれども、この電話番号簿に対するいろいろな関係者の苦心というものも細かく申し上げれば切りがありません。印刷の問題、インクの問題、紙の質の問題、字の大きさの問題、紙をできるだけ節約するためにどうしたらいいかという問題、発行部数の問題、あるいは県単位にするのか、県をまた小さく分けるのかという問題等、いろいろとこの委員会でも御指摘もございまして、いろいろ苦心してやってはおります。  それからクリーン・リサイクル委員会で、公害関係の問題、プラスチックの廃棄処理の問題、電柱に関する問題等いろいろとやって、問題もどうやら一時的な結論は出まして、それを実行に移して、まだまだリサイクル委員会は継続してやっておりますけれども、一応の成果を上げまして、その成果を取り入れて事業には活用していると思っております。  細かく申しますと切りはございませんけれども、御指摘の点は全く御同感でございまして、今後ともこの点については一層注意深く配慮する次第でございます。
  23. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、聞いてくださいよ。きょうはあなたに対する質問ですから一つだけ指摘しておきますが、電話自動化になりましたね。いまはどこの田舎からでもそのまま外国にまでかけられるのですよ。  自動化になったが、この自動化の経緯はずっとありますが、昔から公社の方には電報電話局の中に市外局というのがあるんですね。私は言葉が足りないかもしれませんが、市外電報電話局といいますか、そういうところでやっておった仕事が自動化になってどういうふうになって、その市外局におる要員がいまこの自動化に対してどういう考え方を持ってどういう対処をしておるのか、また、どういう問題が残っておるのか、そういう問題を御存じですか。
  24. 服部安司

    服部国務大臣 ちょっとわからないのですが、監理官から答弁させます。
  25. 神保健二

    ○神保政府委員 お答えいたします。  市外局、市外電話局のことだと思いますけれども、市外電話局は確かに先生の御指摘のように、昔は手動通話と申しまして全部交換手の方々が接続をしていた。これが自動即時になりまして、それのためにいままで市外接続に従事しておった方々の仕事それ自体が自動機械にかわったわけでございます。したがいまして、それだけでございますとその交換手の方々というのは人が余るということになるわけでございますけれども、それ以外にいろいろなサービスと申しますか、たとえば案内業務であるとか、そういうものがあります。  それから市外局と申しましてもいろいろございまして、大きい東京市外局のような市外だけを扱っておる局と、それ以外に市内、市外両方扱っておる局といろいろあるわけでございまして、そういうようなことで、そういう交換手の方々が交換業務だけではなくて、あわせてその他の作業もできるように電電公社の方でいろいろお考えになっておるというふうに承っております。
  26. 田中昭二

    田中(昭)委員 やはり、表面づらだけしかお答えがないのですね。現場ではいま余っている人員があろうということはおっしゃったのですが、私も別にそこに勤めたわけじゃありませんし、仕事をしたわけじゃありませんけれども、その人たちは仕事のあるところに行こうと思っても行かれないのです。この問題についてはひとつよく勉強しておいてもらいたいのです。人の問題ですから、人が働こうというのにその意欲が満たされないような体制とか状態にあっては、これは今後の公社の発展の中で必ずガンになると私は思う。  もう少し具体的な問題に入っていきますが、先ほどの総裁のお答えの中で信頼されるサービスを提供していきたいというお言葉があったのですが、この第六次の中での目標の中にもサービスの質の向上というふうな言葉がございますが、これについては具体的にどのような内容、方針をお持ちになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  27. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  まず、質の向上でございますが、質にもいろいろございますが、まず第一には、先ほど総裁が申し上げましたように、三千万を超える加入者に十分なるサービスを提供することでございます。それにはまず信頼性のある通信をしなければいけないわけでございまして、それには一つには年々トラフィックがふえておりますので、それに対して十分なるサービスを提供するように、現在ある設備をトラフィックに応じて整備、拡充していくことが第一点でございます。  それから、災害等異常時におきます電気通信の重要性が非常に大切になってきております。そういうことで、非常災害時におきましても電気通信が途絶しないように各種の質的向上をしなければならないわけでございます。具体的に申しますと、ある市外線がやられても別なルートを通って行けるように、一つのところで無線がやられたら有線、有線がやられても無線があるような形で進めていくということが第二点でございます。  それから、第三点といたしましては、いろいろな積滞が解消されまして各種のサービスにつきます要望が重要になってまいりますし、また、そういう要望が強うございます。それに対しまして従来の、これも先ほど総裁から申し上げましたように大都市を中心に昔の古い機械が入っておりますので、それらを非常に機能の豊富なコンピューターを中心といたしました電子交換機を今後入れることによりまして各種のサービスに提供していきたいと考えている次第でございます。
  28. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまおっしゃった質の向上の問題について具体的に問題提起をしていきますが、この間も総裁もお触れになりましたが、いま言われた大都市の中で電話が最初にできたころの利用の価値とその対価をいま見れば、相当高い付加価値でありながら安い料金で利用しているという面もありましょうね。しかし、大都市の中でその古いお得意さんが、商売で言うなら上得意さんが質の悪いサービスを受けているということがいま一つあったわけです。  この問題に触れていきますが、具体的には、先ほど言われましたように、第六次の計画の中にも電子交換機を大量に入れていく。それはどういうわけかといいますと、いままでの古い加入者サービスを受けられるようにしたいということです。たとえばいま、新製品と言えるかどうか知りませんが、キャッチホンというものを公社がPRしておるわけでございますが、これは大変便利なものであると喜ばれておる。ところが、いまの大都市の最初の古い方の交換機のところではこういう便利なキャッチホンはできないのですね。一番いいお得意さん、一番長年の間利用している上得意さんには悪いサービスしかしていない。いいサービスに変えてくださいと言われても変えられない。これじゃどうですかね。  そういうことを私が申し上げたのはいろいろな経過もあったと思いますけれども、たとえば具体的に申し上げれば、現在東京の中でそういう古いものがどういうふうに残っておるのか、また、新しい電子交換機等はどのくらい入ったのか、それを教えていただいてからまたお尋ねしたいと思います。
  29. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいま先生から、大都市におきます電子交換機の導入等について、特に早くから加入されておりますお客さん方にかえっていいサービスができないではないかという御指摘がございましたが、全国で申し上げますと、初期のころの交換機、ステップ・バイ・ステップ交換機と呼んでおりますが、これが五十二年度末現在でおよそ六百万端子ございまして、そのうち東京都内でございますのが百二十万前後になろうかと思いますが、約二五%を占めておるわけでございます。  私どもはこういったお客さんにできるだけ早くいいサービスをしたいという考えを持っておりまして、電子交換機開発を進めるとともにその導入を図ってきておりますが、一方ではこういったステップ・バイ・ステップ交換機を完全に捨てるにはまだ若干問題がございまして、そういう面を勘案しながら更改を進めていきたいと考えております。  そういった場合に配慮すべきことといたしまして、一つには、地域的に新しいサービスに対する要求度合いが高い場合に早く進めていく、それからステップ・バイ・ステップ交換機の老朽化が進み、サービス品質の維持が困難になってきている場合に積極的に取りかえていく、それからステップ・バイ・ステップ交換機の更改によって局舎所要面積の削減が図られて局舎の行き詰まりを救済できる場合、それから四番目には、ステップ・バイ・ステップ交換機を更改すると局番の有効利用が図られることになるので、そういった電話番号の行き詰まりといったことを考えて進めていく、こういう四つの面で基本的には考えてまいっております。  先ほど先生がおっしゃいましたように、新しいサービス、便利なサービスにつきましては、多くのお客さんにサービスすることが私どもとしても目標でございますので、今後とも積極的に電子交換機を導入していきたいと考えております。
  30. 田中昭二

    田中(昭)委員 私の言い方が悪かったのかもしれませんが、東京局では全体の局番が八百三十五局番あるそうですね。それにずっと利用者がつながっておるわけです。その八百三十五の中で古いものが二百四十三ですから、約三割ですね。それから電子交換機は五十五局ですから、わずかなものです。一割にも満たない。六%か七%くらいが電子交換機になっている。ですから、全国で見れば三%か四%と言われますけれども、そういう状態のものを今後第六次計画または五十三年度にはどのくらい電子交換機に変えようということになっておるのか。  そういうことが最初に申し上げたサービスの質の向上、信頼されるサービスということに関連があると私は思うのです。本当は電子交換機にすればどういう効用があるかを聞いてからお尋ねするべきだったと思いますが、五十三年度中には一応どのくらいの更改計画があるのか、また、第六次計画全体ではどういうふうに考えておられるのか、お答えを願いたい。
  31. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  先ほどの先生の御指摘の、大都市の加入者の方がむしろ地方よりもサービスを受けるのが遅いではないかということでございますが、実は、全国の自動化改式を進めていく過程におきましては、自動化は大都市を中心に先にできておりまして、第四次、第五次あたりの建設工事ではむしろ地方都市の改式なりを進めてまいりました。したがいまして、どちらかといいますと、年度的に最近になって改式した地域につきましては新しい交換機が入っております。  こういうような時代の流れがございまして、心ならずも古いお客さんが大都市で古い交換機に入ってもらっておるわけでありますが、ただいま五十三年度でステップ・バイ・ステップの交換機を電子交換機に更改を約六十万端子計画をしておりまして、そのうち東京では二十万端子を予定しておるわけでございます。(田中(昭)委員「全国的には」と呼ぶ)  全国でステップ・バイ・ステップの更改を約六十万端子でございます。五十三年度でございます。東京で申し上げますと二十万端子を更改しようと思っております。
  32. 田中昭二

    田中(昭)委員 私も少しはわかっておるつもりですから、余分なことはいいです。どうも余分なことばかり多くて時間がたってしまいますから、質問にだけ答えてください。  それで、ここでもう一つ申し上げておきますが、いまのこういう景気浮揚の大事なときに、公社は景気浮揚にも相当力をかしていかなければならないと思うのですが、そういう意味からは、電子交換機のいままでの経緯から見ますと、生産体制はとったけれども公社の受注がないためにずっと控えてきた、いわゆる設備も遊ばせてきたというようなこともあるようでございますが、こういうことは今後慎重に改善してもらいたいということを申し上げておきます。  次に、もう少し具体的な細かい問題になりますが、これもサービスということの一環として申し上げますが、公社のいろいろな新製品の中に、駅とか工場とか空港とかいうようなところに利用されているところの騒音防止電話というものがあるのですが、これはどのような基準で行っておるのか、特に空港周辺ではどういうふうな設置状況になっておるのか、その実態だけをお聞かせ願いたいと思います。
  33. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  騒音用の電話につきましては一般の加入電話と公衆電話とございますので、分けて御説明をいたします。  騒音用電話につきましては、御要望があれば全部これはつけるということにいたしておりまして、公社といたしまして、たとえば何ホン以上というような基準は持っておりません。御要望があれば全部応ずるということにいたしております。数といたしましては、五十一年度末でございますが、全国の騒音用の加入電話は九万六千ほど、空港周辺には三万四千ほどございます。  公衆電話につきましては、いま御指摘のように、空港であるとか駅であるとかあるいは繁華街であるとかいうようなところで、騒音の激しいところにつけなさいということにいたしておりまして、これにつきましてもそれ以上数字的な基準というものは示しておりませんが、実際についております騒音用の公衆電話の数を申し上げますと、全国で十九万ほど、それから空港周辺では六千五百個ほどついております。
  34. 田中昭二

    田中(昭)委員 騒音というのは最近起こった公害の中でも大きな問題にされておるわけでございますが、いまの数字を聞きますと、私は福岡でございますが、福岡空港あたりでも大変これは少ないのです。申し込めばすぐつけてやると言うけれども、そのように実際はいってないのですよ。何でもそうなんですね。法律とか規定とか基準ではできるようになっておるものが、現場ではどうもうまいぐあいにいかない。福岡空港を例にとってみますと、騒音の指定地域というのがあるのです。この辺は飛行機が飛ぶときに電話をとめるのです。とめても、タクシーではありませんけれども、かちかちとそれは上がっておるわけです。ですから、大変困っているのですね。そういうところで公衆電話が騒音用につけてあるというのは少ないのですよ。調べてみますと、この指定地域内に公衆電話が約三千あるというのです。そこで、騒音用は五百しかついていない。  公衆電話というのは個人の電話じゃないのです。公衆用ですから、そういう騒音のひどいところでは公社みずからがこれは騒音用にかえてやるのがあたりまえです。それでこそ国民の福祉、国民の生活安定に前向きであるということが言えると私は思うのですが、どうですか。全国どこでも空港のあるところはそうだろうと思いますが、こういう公衆電話については直ちにそういう実態を調査して要望にこたえるということができないのかどうか、どういうことですか。
  35. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほど業務管理局長からお答え申し上げましたように、先生のおっしゃるとおり、福岡空港では公衆電話は三千三百ございまして、そのうち騒音用は六百でございますが、全国では先ほど申し上げましたように六千五百ほどついております。  先生の御指摘の点につきましては、私たちもできるだけ御要望にこたえて、必要なものはつけていくということで努力いたしたいと考えております。
  36. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことが現場にそのまま反映するようにしてもらいたいと思うのです。  もう一つつけ加えて指摘しておきますが、この地域内にピンク電話というのがあるのですが、このピンク電話がやはり同じ福岡空港周辺では三千八百——まあ四千あるかもしれません。三千八百から四千ぐらいある。その中で、このピンク電話には騒音用の電話はつけられません、だめですよということで、これはゼロなんですよ。ピンク電話が何で騒音刑の電話にできないのか。これは技術的にそんなにむずかしいものじゃないと私は思うのですが、これはどうしてですか。
  37. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答え申し上げます。  ピンクにつきましては、需要数が少ないというようなことで、御指摘のような事態が確かにあるかもしれませんですけれども、ハードウエア的に申しますと中身は同じでございますし、色だけの問題というふうにも考えられますので、御指摘の点については今後検討をいたしまして善処をするようにいたしたいと思っております。
  38. 田中昭二

    田中(昭)委員 だから、私が最初から言っておりますように、やはりいろいろな曲がり角に来ておるわけで、国民の生活、福祉というものに公社は今後本気になって取り組まないと、小さい問題ですけれどもこういう問題が放置されたままでは公社の今後の発展が私は心配されるわけであります。  もし少し別な面から具体的な例を踏まえながらお尋ねしてみますが、公社のこういうふうな積滞解消ということで次から次に加入者をふやしていったという中で不良施設というものが問題になっている。いわゆる線路とか、そういうようないろいろな不良施設だが、これは今後のサービス向上ということの中では重要なことでありますし、新しい加入者の設備の充実とともに、既設加入者、古い加入者に対するサービスも考慮しなければなりません。つまるところ、この既設の設備への補修改善にもより多く目を届かせて手当てをしていかなければならない。そうすることが増収にもつながるという実態があるわけです。こういう点について、現場からの実態報告によりますサービスの充実、すなわち信頼されるサービスに持っていくためにはというようなことで現場でやっておりますが、既設設備の不良施設に大きな関心を現場で向けまして、そうしてちゃんと処置をしております。  具体的には既設設備は耐用年数というものがありまして、その耐用年数を過ぎますといままでの効用がなくなって、大量に欠陥としてあらわれて、通話の問題でも致命的な支障を起こし、不良施設となって障害の発生やサービス低下の原因となっておるのでありますが、この点における実態はどのように把握しておられますか。
  39. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  いま、現場におきます電柱とかマンホールとかいったものにつきましての耐用年数のお話がございましたが、実は、膨大な施設でございまして、耐用年数だけで取りかえるというふうには実態的にはまいっておりませんので……(田中(昭)委員「問題が起こっているでしょう」と呼ぶ)  ですから、環境あるいは安全等の面でいろいろ判断いたしまして、耐用年数が来なくても劣化が激しいものにつきましては、やはり取りかえを実施してまいっております。  ただいままでの第五次五カ年計画の遂行の中で、不良施設の改善整備につきましても、安定した良好なサービスの提供あるいは保守の効率化という面から可能な限り計画的に実施してまいっておりまして、そういった意味サービスの水準も年々改善されてきていると私どもは見ておるわけでございます。  なお、今後とも、不良設備の改良につきましては、特に安全の確保という面が第一でございまして、第二にはやはり信頼性の確保でございます。重大な障害に結びつくようなおそれのある施設につきまして取りかえていくということ、それから安定性の確保ということで、老朽劣化が激しくて障害が発生しやすいといった状態になっております設備については積極的に取りかえていこう、こういうふうに考えております。
  40. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は現実に具体的に例を示します。もろもろの原因があってかえなければならない施設があるのですね、ここで総裁にも資料をおあげしておったと思いますが、ある地方の通信部においては不良施設の新規発生量が改善量を上回るのです。年々累積されまして、五十年度時点でその通信部では約二十六億円で、これはいまでもまだふえているのです。二十六億円にも相当する不良施設がある。この通信部でその三年前の四十七年度には約二億四千万円ですから、十倍ですよ。四十七年度には二億円くらいの不良施設であったのが、改良を加えておると言いますけれども、その改良が追いつかないために十倍の二十六億円にもなっている。これは全国的にもそういう状態は同じだろうと私は思う。これは何も私が問題提起をしたのではなく、ちゃんと公社の現職の幹部がこの問題を提起しておるわけです。せっかく資料をあげておいたんだから見てくださいよ。  総裁にもおあげしておいたんですが、そこに書いてありますように、四十七年度に二億四千万とありますね。それが五十年度には二十五億六千五百万、約二十六億ですよ。こういう数字になっておる。これはちゃんと手当てをすれば増収につながるのですよ。ですから、これは後で資料でもいいですから、全国的にこういう状態がどういうふうになったか、提出してください。  もう一つ、同じくこの指摘の中にこういう問題があるのです。宅内設備の総点検を行ったというのです。この幹部はなかなか着目点がいいのです。いままで与えられたいろいろな予算の中で、その通信部の職員がどういうところに目を向ければいいかという、そういう発想でこの宅内施設の総点検をやった。ところが、月別障害申告件数の発生状況が大幅に減った。いままで百あったものが四十減った。四割減った。そのことによってその通話の問題がスムーズにいって、そこは団地だそうですけれども、そこの通話量はふえた、増収につながったという事実を指摘しておる。こういう状態も多々あると思うのですが、どうですか。  こういうような現場での生々しい公社愛社精神に従って、できるだけの人員の中で能率を上げて、そういう増収にもつながりお客様にも迷惑をかけないという仕事をやっていることに対してどういうふうに思われますか。今後そういう問題をどうしていかれますか。
  41. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  ただいまある通信部の例を御指摘いただきましたが、確かにその通信部ではきめ細かい現場の設備管理をやっておって、そういう成果が出ていると思っておりますが、先ほど申しましたように、第五次まではどちらかといいますと加入者の需給、積滞解消自動化というものにつきまして重点的にやってまいってきたのは事実でございます。なお、四十八年以降のオイルショック時には特に物価の高騰等がございまして、公社の予算の中ではそういった現場施設設備について必ずしも十分に手が回らなかったことも事実でございます。  したがいまして、いま通信部の施策事項の御紹介がございましたように、そういう点につきましては今後ともきめの細かい施設管理をいたしまして、重点的にそういった施設についての整備を図っていきたいと考えております。
  42. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは総裁から責任ある答弁をいただきたいのですが、もう時間が迫ってきておりますからいまの資料だけ出してください。そういうものがあれば、どういうふうになっておるかということについて、ようございますね。
  43. 秋草篤二

    秋草説明員 公社発足以来私どもでは保全管理方式をとりまして、機械、線路、宅内等いろいろな保全管理のルールをつくってやっております。  総括的に申しまして、保全管理の成績というものは非常によくなっております。しかし、何としてもなかなか手の届かないのは宅内関係で、お客様の個人の家の電話機の修理、修繕という点については、ちょっとお客様の家に行くということが保全自体の仕事ではないというふうな感じがしまして、統計的にはこの宅内障害が非常に直っておりません。ただいま御指摘の問題にしても、吉村君の論文もやはりそういう点を指摘したし、また、ほかの管理職におる人がいろいろと論文を書いた点についても、宅内のお客様電話機あるいは宅内設備に対してもっと関心を寄せるべきではなかろうかということがありますし、特に、古いお客様ほど電話機を大事にして古い機械を使っておるということに対して非常にわれわれは反省して、今後宅内保全に対してはもっと重点的に注意を払い、金も使って前向きに保全管理をしなければならぬということで、宅内については今後社内一致して全面的に精力的に改善に努力したい、こういうふうに思っております。
  44. 田中昭二

    田中(昭)委員 資料を出していただけますか。
  45. 秋草篤二

    秋草説明員 御要望のものを先生とまたお打ち合わせをしまして、詳細承りまして、資料を出せるものは出したいと思っております。
  46. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後になりますが、サービスの質の向上という問題の中に、ことし特に問題になりました苦情処理ということも大事な問題として入るわけですが、電話料金の請求額の苦情です。これは昨年末からことしにかけていろいろ話題になり、大変問題になったわけですが、大分前からこの問題は再三再四指摘されておったわけです。これはもう本当に古い経過があるわけですが、その以前から公社のこの問題に対する姿勢というものは完全であったとは言えないと私は思うのです。いままでとってきたそういう姿勢が加入者の反感を買い、そして最終的に昨年あたりからのこういう問題の沸騰というか噴き上げになってきたということではないかと思うのです。  そこで、この問題も、電話機はコンピューターまで入った機械だから間違いがないという返事をする。そういう固定観念に問題がある。これはただ現場の窓口だけじゃなくて、本社並びに監督する機関までもそういうことに終始してきた。そういう姿勢に問題があったと言わざるを得ないと思うのです。仮にコンピューターなり機械に間違いがなくても、それを動かすのは人であります。人間である以上間違いは必ずある。機械でも絶対間違いがないという機械はないのですよ。絶対間違いがないという機械に間違いがあるんですよ。それに加えて、間違いを起こすのは人間が間違いを起こすんだという謙虚さが必要である。そういうものがない。こわいのは機械のミスじゃなくて、機械を動かす人間のミスです。いわゆる機械信仰がそのままミスを覆い隠しているというところに最終的な問題があるという各マスコミの評価、批評はそのとおりだろうと私は思うのです。  もうくどくど料金の間違いをここでは言いませんけれども、公社ではこの料金の事故、苦情の絶滅のために最近現場の局長会等も行い、対応策をとられたと聞いておりますが、具体的にはどのようなことでございますか。
  47. 浅原巌人

    ○浅原説明員 電話料金の扱いの問題につきまして利用者の皆様にも大変御心配をかけ、また、この委員会の席でも最近たびたび御指摘をいただきましたが、そういうことの中で皆様がおっしゃいますのは、いま御指摘にございますように、機械だから間違いがないというような物の考え方、応待が一番問題であるということで、確かに一人一人のお客様にとっては一件一件が痛みでございますので、そういう点を十分に反省をし、従来もそういうことのないように指導はしてまいったわけでございますが、今後ともやっていきたいというふうに指導をたびたびしているわけでございます。  通信局会議等もやりましたし、それ以外の局長会も地方でやったと思いますが、なお、本社におきましても関係の局長のこのための会議をつくりまして、現在のこれ以上になすべき対策についてせっかく検討いたしまして、結論が出ましたものから実行に移してまいりたいと思っている次第でございます。
  48. 田中昭二

    田中(昭)委員 だから、具体的にどういうことをやったんですか、どういう方法でいこうとしているのですかと私は聞いているわけです。時間がないんだからもう少し率直に答えなければだめですよ。
  49. 玉野義雄

    ○玉野説明員 具体的でなくて大変恐縮でございますが、その点につきましては、本社におきましては三月に業務管理局が中心になりまして関係局長の連絡会議をつくりまして、それによりまして、従来のチェックの方法についても、たとえば計算を同じものを二度やるとか、そのほかにお客さんに信頼をしていただくという点で、いま度数計の調査を月に一回しかやっておりませんが、これを月に三回やるとか、場所によっては六回やるとか、そういうための設備をどういうふうにしたらできるかとか、そういう検討を始めております。  できる限り早くそういう装置をつくりまして、場所によって度数計の調査を月に一回でなくて数多くやっていって、そのときにこういう度数になっておりますということをお客さんに申し上げて信頼感を高めていただくように努力いたしたいと考えております。
  50. 田中昭二

    田中(昭)委員 このことについては新聞報道等でもいま言われたこと以外に詳しく報道されておりますから、こういうものは公社が進んで明らかにしていかなければいけないんじゃないですか。  昨年の年末でしたか、テレビのどっきり放送かなんかで二時間近く公社料金問題をやっておりましたが、私が見てちょっと印象的だっだのは、前に公社に勤めておったある主婦の方が、自分のうちの電話は自分のうちからかけると受話器を置いてもどんどん度数が上がる、だからこわいから外に行ってかけるんだと言っているのがありましたよ。そういう話は恐らく公社総裁のところには届いていないでしょう。そのときに出席しておった公社の職員は二人でしたが、お名前ははばかりますが、この料金苦情についてはそれこそ聞くにたえないような応待がなされておりましたよ。私はここでさらに一つ一つ挙げたくないから、そういうことは十分わかっておると思って話しておるわけですが、どうですか。元公社職員が、自分のうちの電話はこわくて使えないから外に行ってかけるのだということを本人がテレビへ出てきて言っているのですよ。  電話をかけない人に料金を請求するようなことがあってはならぬから、それに対応するためには市外通話については記録が出るようなシステムにしてはどうかという問題が出ておりますが、それをする場合はその費用が三百億かかると一人の職員が言うので、おかしいじゃないかと言うと、隣りの人がいや三千億かかると言う。また、この委員会で聞くと一兆円かかりますと言う。大体、そういうことで国民が信用しますか。どういう設備をすると三百億なのか、どういう設備をすると一兆円かかるのか、そういうことは一つも明らかにせぬでおるということが問題をだんだんエスカレートさせていくのじゃないですか。  この際、いま報道されておるようなことから考えてみても、市外通話については、その明細を記録するようなシステムを要求があればつくるという考え方はないのですか。どうですか。
  51. 秋草篤二

    秋草説明員 現在でも電子交換機の入っておるところは、先ほど議論もございましたように全国でまだ五%ぐらいでございますけれども、いつだれが何番にかけたというそういう一応のことは記録されます。  したがいまして、こういうものは徐々に開発されて、また拡充されてまいりますから、その際は経費も安くなりますし、全国的に詳細資料を提供できる可能性ははらんでおると思いますが、要望があればいま直ちにそういう方には機械を投入するかといいますと、これは個々の人につければ大変な数になりますから、とうていやれません。いずれにしましても、将来に対しましてはこの電子交換機によって詳細資料はやるという気持ちはわれわれは持っております。  その前に、先ほどの全体の料金の事故に関する問題につきましては、ただいまのテレビの座談会の話は私は初耳でございますけれども、われわれは非常に真剣に考えました。電信電話公社がこれだけよくなっても一番大きな悩みは料金の苦情の問題でございます。これは何としても私どもは度数計一つに頼るだけしか方法はございませんが、相手方はそういうものをかけた覚えがないと言われることは、それは現場の従業員から見ますと非常に神経を使う大きな問題でございます。  いずれにしましても、お互いに信頼感を保つ上においてもう少し資料が欲しいということで、まず度数計の撮影を一カ月一回しかやっていないのを二回、三回、四回とやって、できたら五回でもいいからやって、そういうものをお客様に示して応待すると、公社の信頼も、また応待する材料もふえるのではなかろうかと思うわけで、これが一つの大きな改善策でございます。これは全国で三十億ぐらいしかかかりませんから、この十月ごろまでにはほとんど全国で必要なところには全部制度的に持っていけると思いますが、これでまず信頼感をもっと深めていくことが大事なことではないかと思います。  その前に、応待は懇切丁寧にしろということは数年前から言っておりまして、コンピューターを使うなんということは絶対言ってはいけないと言っておりますけれども、最後の計算はコンピューターがしますから、そこでコンピューターという言葉は話題の中で出ると思いますが、人間の手と目というものも相当そこに入っでおりますから、機械だけには関係ない誤りが相当あろうと思っております。こういう点では応対に全力を尽くして懇切丁寧にやることと、それから資料を多くして信頼を高めるということと、それから将来に対しては電子交換機の発達によって詳細資料も提供できる可能性をはらんでいるというふうに私どもは努力している次第であります。
  52. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、この問題は何とか突破口を見出さないと、いま言ったように細かいような指摘ですけれども、昨年からことしにかけて問題になったときにテレビで二時間も報道されたことを、その現場にいた公社の職員が総裁には報告していないようですね。どこでそういうような問題をとめるのですか。先ほど現場の云々と言われましたけれども、現場で機械だから間違いないということを言っちゃいけないと言っても、それは絶対現場でそのとおりにならないのですよ。これは解決策としては、現場機関長の局長さんなど、管理職以上が現場で窓口に並んでやる以外に手がないですよ。そのくらいの思い切ったことでもやってまず信頼を回復しなければ、信頼がないところにはこの問題は解決しないじゃないですか。  この通話データ記録装置はぜひ必要でありますと、これは公社の現場の元局長さんが言っておりますよ。これは全部読み出すと長くなりますから全部は読みませんが、「電話料金に対する苦情が多い。」「加入者としては、かけもしない電話料金をとられた」「しかし、この問題の裏には、現在、電電公社が採用している課金体系等の不備があることは否定できない。」というようなことを言っています。これは公社のA級局の元局長さんですよ。さらに必要なところだけ読みますが、「相手番号、時間などの通話データが記録されていれば、かけもしない料金をとられたという苦情に対しては容易に納得が得られる説明ができよう。だから、通話データ記録装置がないということは、苦情解明に大きな障害であるといえよう。」と言っている。そしてこうすればいい、ああすればいいということを言っておりますが、こういう装置について、「米国では早くから実施しており、現在の日本技術水準からみても不可能とは思えない。この装置を設備することによって度数料の苦情の解決には有効なはずである。」と言いまして、結論として、「電電公社は、いろいろと新しい通信サービスの分野開拓に余念がないようであるが、この古くて新しい通話データ記録装置の整備の問題を残したままにしていては当を得まい。」「直ちに解明し得るような料金システムを採用することが、新しい分野のサービスを開拓することよりも、より大きい電話サービスであることを、銘記すべきであろう。電話事業も、利用者の信頼の上に立ってこそ成立するものであるからである。」と言って結んでいます。これが公社の現場の元局長さんの結論です。私はこれを聞いて、これならばだれでも納得する、なるほどそうだなと思う話だと思うのですよ。  そういうことを考えますと、この主張をどういうふうに生かしていくか、これができるかできないかは公社の今後の発展の大きな命題だと私は思いますが、このことに対する大臣のお考えを聞いておきたいと思うのです。
  53. 服部安司

    服部国務大臣 不完全な社会に完全無欠は存在することはありません。しかし、これほど横暴ないわゆる料金請求の実態はないと私もかねがね考えております。利用者の納得なしに一方的にこれこれだと押しつけるということは、私のようにずさんなやつならいざ知らず、きっちりとそういった記録をつくっている人がもし間違えば、何日間か不愉快な生活を送らねばならないわけです。  私もかねがねこの場でこういった問題を指摘されて、先進国のこういった苦情処理のあり方も十分検討し、公社経営の実態等もよく考慮し、早急にこの施設を整備すべきであると、そのように指導したいということをお答えいたしました。  実態はやむを得ないというものの、こういった横暴はいつまでも許しておくべきではないと私は考えておりまして、信頼、信頼と言ったって、信頼される裏づけなしでは要求する方が無理でありますから、信頼されるような施策はどのようにやればよいか、どうやればよりよい結果を得られるかということも監理官を通じて公社といま寄り寄り検討しております。まだ報告する段階ではありませんが、どのような措置を講ずべきか、経営の実態と兼ね合わせながらいま大いに検討をいたしておる段階でございますので、こういった意見がまとまればいち早く当委員会に御報告したいという考えを持っておる次第でございます。
  54. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういうことから一歩進んでもらわなければならないような現状にいまなったわけですよ。先ほどから聞いたように、この問題については公社も一歩踏み出しておると言うんですからね。しかし、いまそれがただ話みたいなことだけでは私は了解できませんよ。電子交換機が何%入っておろうとどうであろうと、利用者要求するものに対しては、それにこたえるべきじゃないですか。利用者要望が満たされるものでないと信頼ば成り立ちませんよ。それはどう思われますか。
  55. 服部安司

    服部国務大臣 だから、利用者の御要望にこたえるためにいま鋭意努力を続けております。  さらに申し上げると、くどいようですが、これほど無謀な制度はないと私は思うんです。これははっきり私が認めているわけです。と言っても、実態が三千六百万という膨大な加入者の処理でありますから、そう言っていてもこれはなかなかやむを得ないという言葉は使いませんけれども、しかし、あえて使わせていただくとやむを得ない実態である。と言ってもこのままではいけないと素直に認めて、しからばどうするかという対応にいま必死の努力を払っておる段階であります。  私は、先生の御指摘をそれは無謀ですと言っているのでは決してありません。それは素直に認めて、その利用者要望にこたえるためにはどうやるかということをいま検討しているわけで、まず対策が立たないといけないわけですから、いまおっしゃったアメリカの度数何とか方式を取り入れるとか、また、ドイツでいろいろなことをやっているというが、先ほども申し上げたとおり、いわゆる進んだ国、先進国のあり方を検討したい、かように申し上げている次第であります。
  56. 田中昭二

    田中(昭)委員 それでは御努力を期待しておきます。  次に、郵政の問題でございますが、時間がなくなりましたから簡単にいきますが、いま、郵政事業の中で簡易郵便局というのがいろいろな立場に置かれておって大変困っておるようでございますが、この簡易郵便局は地域の住民の生活と大変密着しておりまして、国民福祉にも積極的な貢献をしておりますし、社会の多様化に伴い事務取扱の重要度も増しております。窓口の利用度も大変ふえておるようでございますし、一人では不可能な状況にあります。これはどこも最初の出発は一人でということでございますけれども、現実は複数の人員で運営しておる局が多いのであります。最近の簡易局の局舎は事務専用の一戸建てで、特定局と同等か、それ以上の広さと機能を有しておる。また、地域住民にとっても、もはや特定局とか普通局などと匹敵するような郵政事業の仕事をやっておる。  したがって、簡易郵便局の受託者が自覚と責任を持って熱意に燃えて委託事務に専念できるように改善すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 神山文男

    ○神山政府委員 お答え申し上げます。  簡易郵便局は確かに数もふえてまいりましたし、郵政省の窓口の一分野を占めてお客様サービスに非常に貢献をしているということは私どもも認識いたしております。  そこで、簡易郵便局は御承知のように郵政業務の一部を委託申し上げて、それに対する手数料をお支払い申し上げているわけでありますが、この手数料の改善につきましては、御承知のように年々努力してまいっております。  五十三年度予算におきましても、取扱手数料の平均月額を十二万四百三十一円ということでお願いして成立しておりますが、これは対前年比で一三・四%のアップ率となっておりまして、経済情勢とか、そういう諸要因をよく検討いたしまして今後とも努力していきたい、こういうふうに考えております。
  58. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、いま月並みのことを郵務局長は言ったわけですけれども、月に十二万くらいの予算を見ておりますということですが、十二万を分析してみますと大変おかしな問題がいろいろあるのです。  大体、十二万というのは、月収に直すといまの郵政省の新卒の採用がそのくらいじゃないですか。ある仕事を勤めて年金をもらうような方で、第二の人生の仕事として一人でやろうといって意気込んでいる人に、郵政省が新しく雇う大卒くらいの給料のような手当は基本的にもう少し考えなければいかぬということを私は言ったのです。  その十二万の中に基本料というものがあって、基本料と取扱手数料の合計で十二万くらいの予算を見ているというのですが、まず基本料ですが、基本料は、人件費が約三万円、物件費が一万四千円、合計四万三千円というのです。それに取り扱った件数によって委託料を上げましょうということですが、聞いてみますと、物件費の一万四千円の中に局舎料が——そこにいまちょっと写真をあげて見てもらったのですが、そういう局舎をつくって、その局舎料というのは月に七千七百円だというのです。それではただで使っているみたいなものじゃないですか。税金もかかるのですよ。建物なら、不動産なら固定資産税もかかるのですよ。そういうものも払うようなことを手当てをしてやらぬのですか。それなら、これは国の事業をやる建物ですから非課税にしたらどうですか。そういう意見を私はこの前予算委員会でも言ったのですが、そうしたら検討しましょうということだったのです。非課税でなくても、七千七百円の局舎料ではなくて、特定局では十何万から二十万も毎月取っているところもあるのですから、大臣、もう少し全体的にアップするということで、絶対不都合なことはやりませんということで一言答弁してください。
  59. 服部安司

    服部国務大臣 御提出していただいたのは特定局以上にずいぶんりっぱな局舎で、田中先生の県は簡易局はよほどりっぱなものがそろったと思うのですが、たびたびここで御指摘もありますので実態を調査したわけなんです。  われわれがやるのは全国的にやるわけでして、大体五坪以下が全国で二千五百十局で六三・二%、五坪を超えるものが三六・八%でありまして、全国的に見まして平均五・四坪というのが出ている資料ですね。しかし、この写真を拝見すると、これは大変気の毒だなという気持ちも持っております。  現在平均で十二万円でありますが、中には三十万近く収入を上げておられる簡易局もあるのです。  これは御承知のとおり、郵政大臣とその地域の適当な方との契約行為でありまして、言うならば、名をなし功を遂げた方が意外に多いわけです。特定郵便局長上がりだとか、また郵便局の課長さんをやった方だとかいろいろな方々ばかりで、われわれは辺地の住民のサービスに資したいというのでこういう制度を設けたことは御案内のとおりでありますが、だから、考え方によってはもう御隠居仕事だからということであったかもしれません。しかし、現在はそういう時代ではございませんので、正直申し上げて前向きにこの待遇改善に取り組んでみたいと思います。  ただし、これもやはり独立採算の中で、特別会計の中で郵政省が運営しておりますので、とても大変な問題だということにはまいりませんが、ひとつ十二分に意を体して検討を進めたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 田中昭二

    田中(昭)委員 こういう言葉を言ってはいかぬかもしれませんが、金なんかちょっと貯金特別会計から持ってくればすぐできるのです。郵政省の一般の予算の中から持ってこなくてもできるのです。特定局なんかの十億もの悪いことをするやつのところにはどんどんつくってやっておるじゃないですか。  それから、ついでに言っておきますが、窓口事務をもう少し広げなければいけませんよ。国民の利用する簡易局というのは、その写真にもありますように、町の中にあるところもあるのです。きょうは警察庁の方も来ておりますけれども、警察庁の交通反則金なんか郵便局で納めなさいということになっているからそこへ持っていくと——警察庁、これはどうなっていますか。交通反則金はどことどこで納めればいいのですか。
  61. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  交通反則金は、日本銀行本店、支店、代理店または歳入代理店を含みますけれども、日本銀行と郵便局でお支払いをいただくということになっております。  なお、申し上げますと、簡易郵便局におきましては国庫金の取り扱いがなされておりませんので、ここでお支払いをいただくということにはなっておりません。
  62. 田中昭二

    田中(昭)委員 最後の方はちょっと声が小さかったけれども、反則金は郵便局で納めなさいということになっているのです。ですから郵便局に持っていったら、いやうちは簡易郵便局ですからといって断られた。私の近くに大学があるんですが、大学の学生が交通反則金を簡易郵便局に持っていくと断る。大学生は怒りますよ。これは大学生だけじゃないけれども、国の治安の上からもそういうことを余りせぬ方がいいのです。日本の次代を担う学生さんですからね。納付書には郵便局で払いなさいと書いてあるけれども、郵便局に持っていくとうちではできませんというようなことになっているのはおかしいと思うのです。  電話料も受けつけてくれない。電話料なんか、払い込みはいま農協でも受けつけてくれるのです。いろいろな経過、事情はあるでしょうが、ほかにもまだいろいろ国庫納付金の問題がありましょうけれども、一つでも二つでも——電話料金ぐらいは簡易郵便局で払われるようにしたらどうですか。  これについての大臣の取り組みをお聞きして終わりたいと思います。
  63. 服部安司

    服部国務大臣 実は、これは古い話ですが、昭和四十五年四月二日に当逓信委員会附帯決議があり、また、参議院では同年四月二十八日に附帯決議があるのですが、ともに、「簡易郵便局の事務量は、ほぼ一人を標準とすること。」という附帯決議がされております。私はこれは最後まで出さないでということを始終言ったのですが、これを変えればいい、附帯決議だから無視せいとおっしゃられればまた別ですが、そうもまいらないと私は思うわけです。  そこで、田中先生、実は、あなたの御意見には私個人は十分理解できて全面的に賛成したい意向なんですが、いま何とかならぬか、これを扱わすことがあったらどうだと総裁に言ったら、いや、正直言ってとても高くつくというのです。そういうように、いろいろと見たときの感じと実態とはかなり違うところがありまして、衆参でこういうことを十二分に検討されて、「一人を標準とする」、これ以上事務量をふやしてはならないという附帯決議をつけられたのをなるほどなと言いながら私は見ていたんです。これの問題とあわせて、事務量をふやすと、基本的に考えて現在の簡易局の能力をオーバーします。簡易局長さんは一人ですから、局長さんが大変な仕事過重で苦しむ結果になるのじゃなかろうかと思います。  いま一つは、そういう点で事業量の拡充はちょっと問題がありますが、先ほど申し上げましたとおりに、はっきり言って待遇改善は考えたい、何とか早急に検討を進めて何かの方向づけをしたいと私は考えておりますので、きょうのところは待遇改善で御了承をいただいて、また順を追っていろいろと拡充もできるような状態になればやっていくというふうにひとつ御理解いただけないものでありましょうか。
  64. 田中昭二

    田中(昭)委員 附帯決議を持ち出しての大臣の御答弁でございますけれども、いま世の中は大変急速な変わり方をしておるわけですね。私が大臣に対する教え方が悪かったが、今後は本当に実態をとことんまで教えます。いまの公社の行き方にしろ、一切全部含めて教えますから、教えた以上はそれに対するアクションを起こしていただきたいということをお願いしまして、きょうのところはこれで質問を終わることにします。  ありがとうございました。
  65. 松本七郎

    松本委員長 鈴木強君。
  66. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私はきょうは時間の関係で二つの問題にしぼって、郵政大臣電電公社総裁にお尋ねいたしますが、一つは、電電公社の電柱に許可なしでケーブルを架設しております不心得者の有線放送会社がございますが、この違法行為に対する防止対策と申しますか、これが一つと、もう一つは、新しい情報システム、キャプテンズの構想についてお伺いいたします。  最初に無許可のケーブル架設についてですが、大阪有線放送会社というのが起こしました不法架設による停電事故が九州にあったようですが、この問題について、これは非常に迷惑をかけている事件であるから、これに対する対策を早急に立ててほしいというような強い陳情が最近私のところにも参っております。  この内容を見ますと、ゲリラ有線と言っておりますが、大阪有線放送会社というのが熊本県の植木町で停電事故を起こした。十一時間にも及んで五百戸の一般家庭及び工場にまで迷惑を及ぼすという前例のない大事故となっておる。たまたま放送をする前の段階でございましたから、一般家庭への、放送社の放送に加入している方々のところまでは迷惑がなかったようですが、もしこれが放送しておったとすれば、この放送に加入しておる加入者も大変な事故になっただろうという想定もあります。  そこで、この問題はいま始まったのではなくして、本委員会におきましてもたびたび問題になっておるわけでございますが、これの根本的な対策というものは今日までどういうふうになさっておられるのか。これは郵政省なり電電公社の方からお伺いしたいのでありますが、もちろんこれは有線電気通信法あるいは電気事業法、道路法等いろいろに違反する事件でございますから——これは電電公社だけでなくて、電力会社の電柱とか、架設するところはこの二つになるようでございますが、電電公社、電力会社、それに道路を管理する県あるいは市というようなところでいろいろと対策を立てておられると思うのでございますが、その基本的な今日までの対策がどうなっておるのか、これを最初に伺いたいのです。
  67. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 御指摘の問題でございますけれども、有線音楽放送をめぐりまして現在起こっております問題は、ほとんどが放送線を無断で電柱あるいは送電線を支えるための柱に添架をいたしたり、あるいはその放送線によりまして道路を無許可で占用したりというようなことがそのトラブルの内容となっておるわけでございます。そのために、電柱の所有者、道路管理者など関係機関相互で十分に連絡をとりながら、撤去のための仮処分の申請など、それぞれ可能な法的措置を今日まで講じてまいったわけであります。  そこで、郵政省といたしましても、関係機関と協力しながら関係の業者に対して強い申し入れをするといったようなことをしてきたわけでございますし、また、有線電気通信法等に基づく届け出——これは御案内のとおり届け出になっておりますが、それをしないような、特に悪質な業者に対しましては告発などの法的な措置をも含めまして対処をしてまいったところでございます。
  68. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 実際に撤去の仮処分の申請をなさって、法的措置をとられて裁判所の裁定も出ておると思うのですが、そういうふうな事件がどのくらいありますか。  それから、撤去の勧告をしましても、これに応じないで依然としてやっておるというような不心得者がおるわけですね。そういったふうな例はわかりますか。
  69. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  先ほど郵政省からも御説明がありましたように、無断添架の場合には、私ども添架者を呼びましてその撤去方を要請して、あるいはそれに応じられない場合には催告書等を発送いたしまして撤去を求めておるわけでありまして、それでもどうしても応じてもらえない場合には仮処分をするとか、こういった法的な措置を考えておるわけでございますが、先ほどの件数につきましては、五十二年度で申し上げますと、全国で九件ばかりございます。
  70. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはどういう判決ですか。
  71. 山口開生

    ○山口説明員 内容でございますが、強制撤去をしたものが六件ございまして、あとは任意に公社から撤去方を申し入れまして、話し合いがつきまして撤去しましたのが三件ばかりございます。
  72. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 全国的なケースについては、これは電電公社の関係だけでございますね。あと、各電力会社との関連もあると思いますが、そういう点は今後十分に連絡をとりつつやってほしいと思います。  時間がないのでさらに詰めた質疑はできませんが、具体的にこういう例が一つございますので、これに対する措置がどうなっておるか、教えていただきたいのです。  私の選挙区の甲府市内の道路の電柱にもこういった無断ケーブルが大分張りめぐらされておりまして、この場合には日本ゆうせんという会社ですが、これが問題を起こしております。いままでもこういう問題について道路管理者なり電電関係者が何回か勧告をしましても、その撤去勧告には全く応じない、無視してやっておるというような実情にございまして、ついに昨年の暮れに、建設省の甲府工事事務所と甲府市と県の道路管理者、電柱を管理する電電公社、東京電力の五者が、不法行為をしております株式会社日本ゆうせんについては、道路法三十二条あるいは公衆法、有線電気通信法の問題もあるでしょうが、申し合わせをして相談した結果、告発するということを決めたようですね。その後まだ法的な手続はとっておらないようですが、聞くところによりますと、この五者の意見が完全に一致しないような点もあるように聞いているのですが、そこらは被害者である方が少しもたもたしているように私は感ずるのです。  この事件はいま現在どういうふうになっておるのか、その概要を最初に説明してくれませんか。これは具体的な問題ですからね。
  73. 山口開生

    ○山口説明員 ただいま御指摘の山梨県下におきます日本ゆうせんという会社の無断添架につきましては、私どもの方で把握しております状況は、これは各市にわたっておるのですが、山梨県下に確かに合計で三百六十一本の無断添架がございますが、昨年の十二月二十六日に電電公社とその他関係の地方機関、電力会社、建設省といったところと相談いたしまして、これに対します措置について相談を申し上げたところでございます。  公社といたしましては、五十二年七月以来今年の三月までに無断添架に対します撤去催告を文書で計四回やりましたが、まだ撤去されておりませんために、法的措置に訴えるべく現在その準備を進めておりますが、具体的に申し上げますと、五十三年の四月二十日でございますが、関東通信局から東京法務局へ仮処分の申請の措置依頼を行っております。
  74. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 公社その他関係機関がとっております措置はそのとおりでございますが、そのほか、現在これはすでに警察の事案になっておりますが、その点について簡単に御報告させていただきます。  甲府市ですでに営業を行っている別の業者がございまして、この業者から甲府警察署に道路法違反等を理由に告発されております。そういう意味では関係機関からの告発以前に別途告発が行われております。
  75. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、これは様子を伺っていますと、いろいろと思惑もあったりしましてそれぞれの呼吸が合わない点もあるらしいのですね。これは政府の方として法的措置は当然とってもらうわけですけれども、とにかくずるい連中ですから気がつくまでは黙ってやっているが、それが発覚して注意されて、一回、二回、三回と勧告が出ても、それを無視するということはもってのほかだと思うのです。ですから、そういうものに対してはもう少し敏速に強力な対応策を立ててやっていただかないと、どうも取り締まりがなまぬるいものですから、向こうはそういうことも見越しているのです。そういうふうな傾向もなきにしもあらずだと私は思うのです。  ですから、こういう問題は間髪を入れずに敏速に措置をしていただいて、少なくともそういう連中に対しては法的措置をとるならとって厳重にやるようなことを考えていただかないと困ると思うのでございますけれども、大臣は国務大臣でもございますし、法務省その他建設省とも連絡をとっていただいて、ぜひ適切な措置をとるようにお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  76. 服部安司

    服部国務大臣 現在の事案の進みぐあいを私から担当を通じてよく調査せしめて、適切な、きわめて強力な手を打つようにいたしたいと考えております。  ただし、いまここではどういう実態かも正直申し上げて私はわからないわけでありますが、通産、建設、郵政と三省にまたがる問題ですし、また、事、放送の問題ですから、郵政省が中心になって両省に呼びかけて、これには当然立法措置も献じられているわけでありますから、可及的速やかに解決を図りたい、かように考えております。
  77. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 監理官にちょっとお伺いしますが、これは法的に届け出制ですね。ですから、罰則との関連があると思いますが、許可制にするとか、有線電気通信法の改正ということも一面考えていくべきじゃないかと思うのですよ。その点はどうでしょうか。
  78. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 現在これに適用されております法律は許可にかかるものが本来一つございまして、これは道路占用に関する道路法の系列でございます。したがいまして、本来的には道路法の許可をとってもらわなければできない施設でございます。  そこで、ただいま御指摘の届け出制に関するものというのは有線電気通信法第三条と有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律、これがまた両方とも届け出制になっております。  したがいまして、私どもといたしましては、届け出が参りましたときに道路法関係の占用許可をとってなければ、これを受理しないような措置までもいたしておるわけでございます。したがって、純粋に法律論議だけからいたしますと、道路法の枠で許可がなければできない施設であるべきはずのものでございます。そういう点から純粋に立法論といたしましては、有線電気通信法あるいは運用の規正に関する法律で許可がかけられるかどうかという点につきましては十分詰めてみなければならない問題があろうかと思いますが、専門のところともまた十分に打ち合わせをいたしてみたいと思います。
  79. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 不法なものであれば、これを撤去するということは当然なことですね。ところが、不法なものであっても一応架設しますと、それを撤去する場合には、今度はまた法的な措置をとって訴える、告発するというような手続が要るわけで、そこらに問題があると思うのです。  少なくとも有線放送、公共的な放送をやろうというわけですから、そういう人たちが法を無視してやるなどということはあってはならないことです。根本的には道義の問題であろうかと思いますけれども、なかなかそういっていないのが現状ですから、もう少し真剣にあらゆる問題について検討していただきたい。これは長い懸案ですからね。きょうきのうの問題ではないですよ。ですから、どうしたら完全にこれを防遏できるかという観点に立って、法的な問題あるいは業者との話し合いの問題等いろいろと尽くすべき手段を尽くして、そしてそういう不法行為のないようにしてほしいというのが私の考えなんですよ。法律を改正して罰則を強化し、それによって事足れりというようなことは必ずしも私は考えておりません。  ですから、そういう点も十分配慮して、もう一段の研究と工夫をしてほしいと思ってあえてきょうの質問に私は取り上げたわけですから、もう一遍その点を大臣からお答えください。
  80. 服部安司

    服部国務大臣 もちろん、その考え方で対処したいと考えております。
  81. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは、次に、郵政大臣が先般御発表になって、新聞等でも私は拝見しましたが、文字図形の電話利用情報ネットワーク、いわゆるキャプテンズという新しい情報システムの開発のことですが、伺いますところによりますと、実用化の実験を行おうという段階までいっているようでございますね。  それで、非常に多様化してきております情報のとり方というものがありますでしょうから、こういう新しいシステムを開発していくということについては私は賛成ですが、ただし、これをどういう形でだれがどのようにやっていくかということが問題になると思います。  そこで、きょうは時間の関係もありますので、この制度の概要について伺っておきたい。大臣が新聞に発表しているようですから、委員会としても正式に伺っておきたいと思って質問するわけです。
  82. 服部安司

    服部国務大臣 キャプテンズシステムについては、来年度からの実験開始を目途に、現在実験法人設立準備等の諸般の準備を鋭意進めている状態でございまして、本システムに関する国民のニーズの動向等について、この実験を通して見きわめていきたいと考えておる次第でございます。
  83. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 ただいま先生からお話がございましたキャプテンズの概要でございますが、大臣の御説明を補足してお答え申し上げます。  概要はすでに新聞にも報道されたところでございますが、このシステムは、どの家庭にもすでに普及しておりますテレビ受像機を利用いたしまして、今回特別に開発いたしましたアダプターを介しまして、このアダプターを電話回線に接続いたします。電話回線とテレビジョンの受像機との間にアダプターをつけるわけでございますけれども、キーパッドと申しまして、利用者が自分の求める情報を信号によりまして、番号によりまして選択いたしまして、これを電話回線を通じましてキャプテンズのセンターに求めてまいります。それで、その求めに応じまして、キャプテンズのセンターからこの電話回線を通じましてテレビジョン受像機にその情報が映し出され、これを見まして利用者がその情報を読み取るということでございます。  なお、このセンターには、現在のところ約十万種類の情報を蓄積させたいということと、そしてターミナルと申しますか、家庭用端末機の中でこの情報を提供していくということでございます。
  84. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは一つのデータ通信的な面があると思いますね。特に、回線の使用については、少なくとも電話で呼び出すようでございますから、すべてが電電公社電話線を使うということになると思います。  そこで、この経営の主体の問題でございますが、特別な公益法人をおつくりになられるというように大臣はおっしゃいましたが、この点は電電公社のデータ通信との関連がありますから、私としてはどういう法人になるのかよくわかりませんので、電電公社の方にその点もちょっと伺っておきたいのですが、電電はデータバンク的なシステムと理解をしているのでしょうか。それで、このことにつきましては、電電公社あるいは国際電電というところとも基本的に十分な協議をされてきていると思いますけれども、その辺はどういうふうになっているかですね。  私としては一つのデータ通信じゃないかと思いますが、そうなれば電電公社がおやりになるのがベターだというふうにも思います。しかし、情報の収集その他複雑多岐にわたる点がいろいろございますから、現在公社がやっておられますようなデータバンク方式でいくということについても私は一応理解できるわけです。ですから、その辺がどうなるのかよくわかりませんので、現段階の私の頭の中としては、データというのは電電公社がおやりになっているわけですから、そういうところでやったらどうだろうかという気もするわけですよ。その辺の関連をひとつ説明してほしいのですがね。
  85. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  最初に、この件について郵政省から公社に対してお話があったかということでございますが、発表がございます前に郵政省から公社に対しまして協力をしろという御要請がございました。公社としましては概略のお話を聞きまして、この実験構想に公社としてできる範囲内で積極的に御協力をさせていただきたい、こういう御返事をいたしましたところでございます。  そこで、先生がおっしゃいましたように、このキャプテンズが一体データ通信かどうかということでございますが、私どもの承っておりますところでは、センターにコンピューターをつけまして、そして通信回線を通じまして、テレビ受像機を通じて端末にいろいろな情報を出すという意味では、現在の法制の中で申しますと一番衛星通信に近いといいますか、データ通信的なサービスではないかというふうに考えておる次第でございます。  それで、このデータ通信は御存じのとおり公社でも実施をいたしておりますが、同時に民間でも実施可能なサービスでございまして、公衆電気通信業務の中では一番民間に開放されておりますサービスでございます。  それで、公社のデータ通信に対します考え方といたしましては、公社はデータ通信をみずからいたしますが、技術先導的なものとか、ナショナルプロジェクトのようなものとか、社会公共的に意義のあるものとか、こういうものについては公社は積極的にデータ通信を行いたいというふうに思っておりまして、その反面、データ通信の中のデータバンクにかかわりますものは——これはデータバンクといってもいろいろ種類がございますが、電気通信に関するデータバンクは公社だけと申しますか、まあ公社が一番適当なものかもわかりませんが、いろいろな情報のデータバンクというものを全部公社がやるということは事実上不可能でございますし、また先ほど申しましたように、民間にデータ通信を開放いたしております関係から申しましても不適当であろうということで、データバンクそのものについては公社は原則として行わない、こういうことで公社のデータ通信を行ってきているところでございます。  それから、このキャプテンズのシステムに関しましては、先ほどお話がございましたように、これの特殊法人をつくりまして、そこでたくさんの情報を集める必要があるわけでございます。この情報の収集等に関します業務は、いま申しました公社のたてまえから申しましても、この特殊法人が当然のことながらやっていただくことでありますし、また、この法人にやっていただくことが一番適当ではないか、このように公社としては考えている次第でございます。  したがいまして、公社としましては、このキャプテンズを実施いたしますについての技術開発でございますとか、先ほど申しましたコンピューターを初めといたしますセンター設備その他加入電話網を利用しました情報の分配業務とか、こういったものにつきまして郵政省の御要請に応じまして積極的に御協力を申し上げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  86. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 西井さん、いま地銀協が銀行データをやっておりますね。そうすると、ああいうふうなものであれば電電公社としてはいいということですか。結論としてはそういうことですか。
  87. 西井昭

    ○西井説明員 おっしゃるとおりでございまして、銀行協会初め、公社はいろいろなデータ通信システムを提供いたしておりますが、公社の提供しておりますものにつきましても、センター設備その他通信回線等の設備を提供いたしておりまして、銀行の業務内容そのものにつきましては、これを銀行にお願いをしておるということでございまして、キャプテンズの細かい内容につきましては、郵政省とのいろいろ細部の点についてこれから打ち合わせを進めてまいりたいと考えております。基本的にはそのように考えている次第でございます。
  88. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、このシステム構想というのをちょっと図解したものを届けていただきましたから私も拝見しているのですが、この中でコンピューターセンター、キャプテンズセンターというのができるわけですね。その中に画像処理部とか音声処理部、送受信部があって、コンピューターはそこに据えますね。このコンピューターももちろん国内でハードの面ではりっぱなものがあるわけですが、ソフトでも負けていませんね。ですから、恐らく日本製を使うことは間違いないと思いますが、いずれにしてもこういうセンター部分とそれから各家庭からの末端機器といったものについては、電話機はもう公社が取りつけてありますが、たとえばテレビ受像機に対してアダプターをつけなければならぬ。そうするとそこにはキーパッドというのも必要なんです。  ですから、こういうふうな付属末端機器やセンターに設置するそれぞれの機械といったものは、従来も電電公社が全部据えつけてやっているわけで、そして銀行あたりはこれを使ってもらっている。そういう方式になると、たとえば特殊法人や公益法人ですが、こういう実際につくり上がったものをどういうふうに利用していくか、データをどう集めていくかということはこの法人がやるのですね。設備その他はやはり電話との関連が非常にあるわけですよ。これによって接続をしたために電話機が故障になったとか、あるいはいろいろな問題があるわけですから、それらの問題については、電電公社が商売をやっているのですから、やはりそっちに任せていくようにした方がいいとぼくは思うのですよ。そこまで手を出すと問題があると思う。  だから、やるとすれば、いまの銀行協会がやっているようなああいう形のシステムに公益法人は運用の面に実際にタッチしてやっていくということになると思うのですが、その辺はいいですか。
  89. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 お答えいたします。  いま先生がお示しの、その機器の段階でございますが、実は、この実験はいまのところは財団法人を考慮いたしているわけでございますけれども、この実験機関ができまして、実際にどうしたらいいかという具体的な問題がございます。  したがいまして、この実験段階において私どもは検討させていただきたいと思っているわけでございます。
  90. 服部安司

    服部国務大臣 これは当然電電公社と緊密な連携をとっていかないとできるはずはないと思うのです。というのは、肝心の電話を使うわけですからね。  ただ、正直申し上げて、すべて電電公社に任すということで、現段階でちょっとぼくも考えが別にあるわけでして、こういったコンピューターその他キーパッドとかアダプターといったものは、これはもうずいぶん進んだ技術開発もできていることは否めない事実でありますから、われわれは大いにこれを活用させてもらいたい。まあ、言うならばこれは電話機の顧客を大いにふやす一つのあれでもありますしね。必ず独走はしません。十二分に相談をしながら、緊密な連携をとりつつ、よりよいものを仕上げたい、かように考えております。
  91. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私の質問にぱっと答えていないですよ。こういうコンピューターセンターについては、いろいろ家庭の中における機器等がありますが、そういうものはやはりもちはもち屋に任せてやった方がいいだろうと思うが、そこで何か直接だれかにやらせるというようなことを考えているのですかね。  これは法的にだって、独占するなら独占するように法律を特にまた変えれば別ですけれども、やはり自由主義社会の現行の中における制度ですから、そういう点ではよりよいものをつくって、どういう会社が民間にできてこようと、その会社に負けないだけの、だれにも負けない設備とサービスが出てこなければだめなんですよ。そういう意味においては、英知をそろえて、全力を尽くして、いいものをつくるという意味における公益法人が一つできてくる。これは独占ではないです。そうでしょう。  ぼくはそういう点を考えるから、本当に一体になって、なるほど目覚ましいものが日本にできたというような姿にならなければ納得できないですよ。いまの公益法人のあり方についても、だから聞いているのですよ。
  92. 服部安司

    服部国務大臣 だから私も緊密な連携をとると言っているわけです。きわめて進んだ技術を持つ電電公社でありますから決して独走はしない。大いに協力をこちらから要請している方ですから、協力を要請しておいて——私は技術的なことはわかりませんし、どの程度の機械をつくっているのか、またどの程度の機械を使うのかも私は政治家ですからわかりませんけれども、私は毛頭そういうことを考えていません。  先ほど来申し上げているとおりに、電電公社理解と協力が絶対必要であります。しかし、公益法人はつくりたい。先生、これはまた後で個人的になぜかということを申し上げますが、そういったその他のことは、くどいようですがこれは電電公社と緊密な連携をとってやっていきます。これで理解していただきたいと思うのです。
  93. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 一応私の考え方を述べてありますから、それにどうこたえてくれるかですが、いまの大臣の答弁は抽象的で私はぴんとこないですが、まあいいです。要請もあるようですから、また後ほどいろいろと……。  わかりました。それでは大臣が私の趣旨に沿ってやっていただけるということを確信して、これで終わります。
  94. 松本七郎

    松本委員長 午後一時五十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  95. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件、特に国際電信電話株式会社事業について調査を行います。  本件調査のため、国際電信電話株式会社から、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人方々が出席されております。  この際、国際電信電話株式会社事業概況について、参考人同社取締役社長板野學君から説明を求めます。板野参考人
  96. 板野學

    ○板野参考人 当委員会委員長並びに委員の諸先生方におかれましては、平素から国際電気通信事業に対しまして格別の御理解と御支援を賜り、また、本日は当社の事業概況につきましてご報告申し上げる機会をお与えいただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。  さて、当社は本年四月一日に創業二十五周年を迎えました。顧みますと、昭和二十七年第十三回国会におきまして当委員会を中心に審議の結果国際電信電話株式会社法が制定され、所要の設立準備手続を経まして、昭和二十八年三月二十四日当社が設立され、同年四月一日から営業を開始いたしました。  以来二十五年、当社は、国際通信サービスを一日も早く欧米先進国の水準に引き上げることを目標に、役職員一回目夜懸命な努力を重ねてまいりました。その結果、この間の日本経済の驚くべき発展と電気通信技術の飛躍的発達、さらには、当委員会委員の諸先生方及び政府御当局の適切なる御指導と国際通信を利用される方々を初めとする国民各位の御支援を得まして、国際通信施設も逐次拡充整備され、昭和三十九年にはわが国初の長距離電話型ケーブルである太平洋横断ケーブルが開通し、続いて昭和四十二年にインテルサット太平洋衛星を介して衛星通信が始まり、本格的な広帯域通信の時代を迎えました。今日ではこれらの良質かつ豊富な回線を用い、また、電子化された最新の設備によりまして電報、電話、加入電信を初め、データ通信、海事衛星通信、画像通信、テレビジョン伝送等多彩なサービスを提供しております。  しかしながら、近年コンピューターの普及と利用技術向上に伴い、ようやく国際通信の分野においてもデータ通信が本格化してまいりました。このことは記録通信が本流をなしてきた国際通信にとりましてきわめて大きな影響をもたらすものと予想され、いまや国際通信は新しい第二の変革期を迎えようとしております。  当社は創業二十五周年を機にいま一度創業の精神に立ち返り、なお一層たゆまざる研究と真摯な企業努力を重ね、国民の皆様方にさらに御満足いただけるサービスを提供してまいる所存でございます。  最初に、昨年度の事業概況について御報告申し上げます。  まず、設備計画の実施状況でございますが、昨年度はいわゆる公共投資促進策に当社も協力することとし、積極的に設備投資を行ってまいりました。  すなわち、沖繩−ルソン−香港ケーブルの建設と開通、電話及び加入電信用電子交換設備、電報準自動受付システムオートメックス設備、日韓間対流圏散乱波システム、大阪国際電話局交換設備等の新増設を行ったほか、職員の能力開発と資質向上を図るため国際電気通信学園の建設に着手いたしました。  以上のほか、昭和五十二年度の当社の事業計画に掲上いたしました諸設備の拡充整備計画はおおむね順調に実施できましたことを御報告申し上げます。  続いて、昨年度の営業概況でございますが、まず、取扱業務量につきましては、折からの不況に加えて昨年末からの円高問題等によりまして貿易関連産業にも影響が出るものと予想し、需要の動向に注目しておりましたが、計画を若干下回りましたもののおおむね順調な結果となりました。いまだ確定数ではございませんが、主要業種別に取扱量を申し上げますと、国際電報四百四十七万通、国際加入電信二千三百四十万度、国際電話一千二百三万度で、前年度と比較しますと、電報は一〇・五%の減少、加入電信、電話はそれぞれ一八・七%、一七・七%の増加となっております。  次に、経理の状況についてでございますが、昭和五十二年度の決算状況につきましてはいまだ確定的なことを申し上げられる段階にはございません。したがいまして内定額を御報告いたしますと、営業収益一千七十一億円、営業費用八百九十一億円で、これらに営業外収益、営業外費用及び特別損益を加減した利益は九十二億円となっており、おおむね順調な結果であったと考えております。資産の状況につきましては、昭和五十二年度末現在におきまして、資産総額一千五百八十億円、そのうち流動資産は五百四億円、固定資産は一千七十六億円となっております。一方、負債総額は六百八十五億円で、そのうち流動負債は四百十一億円、固定負債及び引当金は二百七十四億円となり、したがいまして、差し引き純資産額は八百九十五億円となっております。  以上で昭和五十二年度事業概況の報告を終わり、続いて昭和五十三年度の事業計画の概要を御説明いたします。  昭和五十三年度の国際通信需要は、わが国の政治、経済、文化等諸分野における国際化、情報化の急速な進展にもかかわらず、不安定な景気情勢とデータ通信、画像通信等の拡大に伴う需要構造の変化により予断を許さないものがあると考えております。したがいまして、昭和五十三年度は、需要の動向を慎重に見きわめつつ、必要な設備投資につきましては積極的に実施してまいる所存でございます。  まず、設備計画でございますが、衛星通信施設関係では、山口、茨城両衛星通信所に、衛星通信容量の効率的利用を図るためのSCPCと呼ばれる新しい通信方式用の設備を設置するほか、山口衛星通信所にインド洋向け海事衛星通信地球局設備を建設することとしております。これによりまして、わが国から西は地中海までの海域を航行する船舶がすべてこの施設を経由して世界各国と通信を行うことが可能となります。さらに、今般、当社はインテルサットから衛星の追跡、管制試験業務を受託する運びとなりました。このことはこれまで培ってきた当社の衛星通信技術が国際的にも高く評価された結果でありまして、この期待に沿うべく万全の準備を行ってまいりたいと考えております。  海底ケーブル施設につきましては、フィリピン−シンガポール間ケーブル計画に参加するほか、目下交渉を進めております日韓間ケーブル計画の早期実現を図りたいと考えております。  次に、中央局設備でございますが、電信関係では、需要の動向に合わせまして、加入電話の電子交換設備を逐次増設するほか、電信託送による電報準自動受付システムを設置し、電報サービス向上と運用、保守業務の効率化を図ることとしております。  電話関係につきましては、昨年度に引き続き電子交換設備を増設いたす計画でございます。また、昭和四十八年に開始いたしましたISD通話、すなわち国際ダイヤル通話は、その便利さによりまして近年予想以上の御利用をいただいておりますので、本年度もさらに利用可能地域の拡大に努めるとともに、関係施設の拡充整備を行う予定であります。  国際データ通信関係といたしましては、増大し多様化する需要に総合的に対処するため、当社はかねてよりVENUS計画という国際公衆データ通信計画を策定準備中でございましたが、本年度は、まず、国際間の情報処理検索サービスのための国際のコンピューター・アクセス・サービスを開始し、その一部を実現する計画でございます。  さらに、増大する画像通信需要につきましては、当社で開発いたしました高速度デジタル・ファクシミリ通信設備を用いて、本年三月から国際ファクシミリ電報サービスを米国との間に提供しておりますが、本年度はこのサービスの拡張を図りたいと考えております。  非常障害対策関係では、東京地区の罹災に備え、大阪国際電話局の電話交換設備を増設するほか、大阪地区に加入電信用電子交換設備を導入する計画でございます。  また、本年度は六月に、国際電気通信連合の常設機関であります国際無線通信諮問委員会、CCIRの第十四回総会が京都で開催されるほか、インテルサット関係会合等の日本での開催が予定されており、当社はこれらの会合に積極的に協力いたすこととしております。  新技術の研究・開発につきましては、光海底ケーブル方式、画像通信方式、データ交換方式、新海底同軸ケーブル方式、各種端末装置等の研究開発を行い、サービス向上と運用・保守業務の効率化を図ってまいる所存でございます。  また、国際協力活動の一環として海外研修生の受け入れ体制を充実し、あわせて職員の福祉向上を図るため新宿分室の跡地に新宿会館(仮称)を建設するとともに、昨年度に引き続き国際電気通信学園の建設を実施する計画でございます。  以上の設備投資計画に対しまして、総額二百五十三億円を予定しております。  さらに、対外回線の拡充計画でございますが、本年度は加入電信回線百四十九回線、電話回線二百十一回線を初め、電報回線、専用回線等四百四十二回線のほか、テレビジョン伝送対地六対地の新増設を計画しておりまして、昭和五十三年度末の総回線数は三千五百三十七回線となる見込みでございます。  昭和五十三年度の収支でございますが、主要業務の需要量を国際電報三百九十三万通、国際加入電信二千七百五十一万度、国際電話千三百四十九万度と予測しまして、この予測のもとに、収入については約千二百五十三億円、支出については、経費の節減と資金の効率的使用に努めることとし、約千百五十九億円を予定いたしました。  以上、簡単でございますが、事業概況の御報告といたします。  最後に、当社は創業二十五周年を迎えるに当たり、先人の功に恥じぬよう国民の皆様から負託された会社使命の達成に渾身の努力を傾注すべく、役職員一同覚悟を新たにしております。  何とぞ今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
  97. 松本七郎

    松本委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  98. 松本七郎

    松本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  99. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 本日は国際電気通信関係の質疑をいたすのでございますが、御多用の中を板野社長以下役員の皆様御苦労さまでございました。  ただいま社長から詳細な事業報告がございました。総業二十五周年の記念すべき年に当たるのでございますが、特にこの四ページには、「創業二十五周年を機にいま一度創業の精神に立ち返り、なお一層たゆまざる研究と真摯な企業努力を重ね、国民の皆様方にさらに御満足いただけるサービスを提供してまいる所存でございます。」と、初心に戻っての真摯な社長の態度が表明されました。  それで、私は最初に大臣にちょっとお尋ねをしておきたいのでございますが、国際電信電話株式会社法が制定されて、創業以来二十五周年を迎えておるのでございますが、この会社は特殊の会社でございまして、大臣の監督権限というものが至るところにございますが、その監督権限をどういうふうに行使していくかということが非常にむずかしいところだと思います。余り強い監督がまいりますと会社にした意義をなくするわけでございますから、公共企業体と国との関係とちょうど同じような関係が会社と大臣との関係にあると思いますが、本来経営は自由濶達に経営者にお任せしていくという前提に立っておると私は思います。ただ、独占企業でございますから、こういう法律によって設立がなされたことも御承知のとおりでございます。私も約十六年この事業に携っておりましたので、ひとしおそのことを強く感ずるのでございます。  大臣は御就任以来大変熱心に国際電気通信事業に対しても御勉強なされ、指揮監督をなされておると思うのでございますが、そこで、いま社長からも御報告がございましたが、今日のKDDは設立の目的に沿って、われわれの期待に沿って順調に発展しておると思うのでございますが、特にきょうは所管の大臣として感ずるところがありましたら述べていただきたい。そして、こういう点をこうしたらいいとか、こういう点は足りないからこうすべきだとか、そういう御所見がもしあればぜひ聞かせてほしいと私は思うのです。
  100. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど板野社長から御説明がありましたが、国際電電株式会社法が制定されて会社が発足いたしましてからちょうど二十五年を迎えたという御説明がありましたが、なお、電気通信技術の飛躍的発達と開発、時代に即応した設備の整備拡充、また当委員会先生方理解と協力等でかなり堅実な歩みを重ねて、貢献がかなり顕著であったと私は理解いたしております。  いつも申し上げるとおりに、公社、公団、特殊法人は、できるならば余り政府が干渉せない方がいいというのが私の基本的な姿勢でありますが、この会社は大変まじめな役職員が多く、また、この業務に携わる職員各位もきわめて熱心に従事されておりますことを機会あるごとに報告を受けております。また、経営内容についてもしさいに私は掌握しているつもりでありますし、将来に向かって大変意欲的に設備改善を図る意図のあることも私は素直に認めております。したがって、わが省の関係の中でもきわめて優秀な企業だと私は認定いたしておりますが、ただ、御指摘のとおりに、独占企業でございますから、その上にあぐらをかかないようにということだけ絶えず大いに注意を払ってきたつもりでございます。  率直に申し上げて、私の感じでは信頼に足る経営内容であると確信を持っておりまして、現在の企画、計画を見まして、大きく成長するように温かく見守っていくのが最も妥当であろうと、かように考えている次第でございます。
  101. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、現在の状況からして、大臣として、この点はこうした方がよろしいというような御意見は格別ないということでございますか。
  102. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど申し上げたとおりに、現状の経営を続けて国家社会に大きく貢献をしてもらいたい、言うならばあぐらをかくことだけは厳に慎むように注意してまいりたい、かように考えております。
  103. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そこで、社長にお伺いいたしますが、二ページに、創業をして、「以来二十五年、当社は、国際通信サービスを一日も早く欧米先進国の水準に引き上げることを目標に、役職員一同日夜懸命な努力を重ねてまいりました。」云々と続いておりますが、国際電信電話株式会社を設立した趣旨はまさにここにあるわけですね。欧米の先進国に追いつき追い越すというところにただ一つこの会社設立の趣旨があったと私は思うのでございます。  私は当時まだ国会に議席がございませんでしたから、院外から、また院内に入りましても諸先生方に私たちの意見を述べたことがございますが、当時は佐藤郵政大臣の時代で、総理はいまは亡き吉田茂さんでございますが、大きな巻紙に書いて、国内公社、国際は会社という至上命令的な文書と佐藤榮作さんに手渡されて、私もそれを見せていただきましたが、われわれは何も国際と国内を分離する必要はないという考え方でした。国際、国内の不離一体の中でこそ通信というものはうまくいくであろうと思いましたからですが、しかし、当時の提案理由を私はもう一遍改めて読み直してみたのでございますが、ここにもこういうことが書いてあります。  国際電信電話株式会社法の提案理由の説明の中に、「わが国国際電信電話事業は、その運用については国内電信電話事業と一体となって国営により経営されて来たのでありますが、その設備の建設保守については、電信については大正十四年日本無線電信株式会社が、電話については昭和七年国際電話株式会社がそれぞれ設立され、政府の監督と保護のもとにその任務を遂行して来たのであります。その後昭和十三年両会社が合併され国際電気通信株式会社が設立され、両会社の業務を引継ぐとともに、伸張する国際電信電話事業設備の拡張保守に鋭意専心して来たのでありますが、終戦後昭和二十二年連合軍総司令部からの覚書により、同会社の解散が決定され、爾後国際電気通信設備の建設保守もまた政府の事業として引継がれ、今日に至ったのであります。しかしながら今日の国際情勢にかんがみますると、対外的には列国間の通信電波の獲得及び通信網の拡張の熾烈な競争に伍して、自由濶達なる活動を通じてわが国の対外通信の地位を大いに向上せしめねばならないこと」となっておりまして、それが一つです。  そして、「対内的には講和成立後のわが国自立経済確立のためには貿易並びに対外報道事業に対しまして、諸外国に劣らない通信サービスを提供する必要切なるものがあるのであります。これらの要請を満たすためには、国際間の情勢に鋭敏に反応し、経済事業の変動に強く反映される通信需要に即応し得る企業活動の自由なる機動性が強く要請されるのみならず、国際通信分野における競争相手の諸外国における通信担当者の多くが民営形態である事情にもかんがみまして、国際電信電話事業の運営を民営形態に移すとともに、その公益的特性を確保するに必要なる国の監督及び保護を与えるために、これを特殊会社とし、」となっておるわけです。  したがって、社長が述べられたように、欧米先進国の水準に引き上げることを目標に努力をされてきたと言うのでありますが、私はずっと何回もこれを読んでみましたが、果たして欧米先進諸国の水準に引き上げることができたのかできないのかがあいまいなんですね。できたようにもとれるし、できないようにもとれる。はっきりそれが文字の上に出ていないのです。むしろ、データ通信の面におきましては日本の方がまだ少し劣っている。これからVENUSというものをやろうとしているわけでありますが、したがって、社長は、そういうところから、追いつき追い越したんだなどというふうにまだはっきり言えなかったかと思いますけれども、私が理解しているところでは、わが国の国際電気通信は負けていないと思うのです。  確かにデータは相手のこともありますので、そう焦ってやってみたところでどうにもならぬことですから、そういう面から言うと多少遠慮をされてこの文章を書かれたのじゃないかというように思うのでございますけれども、この辺、昭和二十七年の第十三回国会においてこの会社法が提案された当時の精神から見て、大体一〇〇%ぐらいまできているのかどうなのか、その辺をちょっととはっきりしておいてもらいたいのです。
  104. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  ただいま鈴木先生がおっしゃいましたように、この会社設立の趣旨は、戦後荒廃に帰した国際電気通信事業をできるだけ早く復興させて、さらにその上に日本の平和国家建設、貿易立国に役立つような通信事業の発展を期さなければならないという趣旨でございまして、それがためには会社ができるだけ機動力を発揮して、柔軟な姿勢をもって対処しなさいという御趣旨でございます。  私ども、過去二十四年間この趣旨を体しまして努力いたしました結果、国際通信における技術的ないろいろな進歩、発展、新しい技術を取り入れまして、たとえば昭和三十九年には衛星通信と、それから海底ケーブルというようなものも利用に供するというようにいたしましたし、また、局内施設であります交換設備につきましても、電子交換機をこの二、三年来にわたりまして、電報、テレックス、電話にわたりまして、設備、設置いたしまして、また、そのほか、オ−トメックス、デーテル等いろいろな面につきましても外国に劣らないような施設をいたしてまいりました。  ただ、問題は、コンピューターというものの非常な発展に伴いまして、これと通信との結びつきというものが最近の必然的な傾向になってまいっております。このことは、すなわち、先ほど先生がおっしゃいましたように、データ通信というものが生まれてくる一つの技術的基盤をなしておるわけでございますが、私どもといたしましてもこの点におくれをとらないようにということでいろいろ研究をいたしました。そして、先ほどの御報告の中にも申し上げましたように、VENUS計画というものも立てまして、いち早くこれを公衆電気通信の中に取り入れていきたいというように考えてやっておるわけでございますが、このデータ通信につきましては、これは率直に申し上げまして、対アメリカあたりとは少しおくれたかなという感じを私どもは持っております。  しかし、これは相当のおくれというよりも、VWNUS計画というようなものにつきましては、むしろ日本の方が、実際に実施はしておりませんけれども、考え方としては、いわゆる新しいデータ通信のやり方として世界各国から非常に注目をされておりますので、私どもとしては一日も早くこれを実施いたしたいということで準備をいたし、そして来年の四月にはこれが実施に入り得るというような状況になっておりますので、郵政省を初め電電公社関係の向きに対しまして十分御理解をいただきまして、御指導、御協力をいただくようにお願いをいたしておる次第でございます。  そういうわけで、一〇〇%の欧米、特に米国に劣らないほど、それを凌駕するほど——一〇〇%とは申し上げられないと思いますけれども、私どもは一応九〇%ぐらいはいっておるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。なお今後とも努力をいたしまして、追いつき追い越せというときを一日も早く迎えますようにこの努力をいたしたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  105. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 端的に社長からお答えがありましたが、対アメリカとの関係におきまして、まあ九〇%として、一〇%まだ負けているわけですね。どういうわけでそういうハンディが出てくるのでしょうか。こちらの方は二十五年前に民営形態にして、機動的な運営をして、少なくとも世界的レベルに追いつくという努力をしてきていると思うのですけれども、二十五年たってまだ一〇%の差がアメリカとの間にあるということは、一体どういうところにそういうおくれがあるとお考えですか。
  106. 板野學

    ○板野参考人 御承知のように、先ほど申し上げましたように、コンピューターと通信とが結びついたことの、この結びつくいろいろなやり方につきましては、やはりアメリカに一日の長があったのじゃないかと思います。特に、ソフトの面においてはそういうことが考えられます。  それと、もう一つは、これを実際の面に応用しいくとか使うとか、そういう機会が日本よりアメリカの方がちょっと多かったのではないかというように私どもは考えております。そういう面で、タイムラグといいますか、時間的なおくれがそこに少しあったというように私どもは考えておる次第でございます。
  107. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、通信機器の面におけるおくれということになると思いますね。国際電電会社は独自の研究所というものを持っておりますね。だから、そこで日夜社費を投じてアメリカに負けない新技術開発をなさっていると思います。  日本には有数のメーカーがあります。日電、東芝、日立等それぞれの会社がそれぞれの英知を集めて通信技術開発のために努力をしてくれているわけですから、そういう面とのタイアップを十分にされてまいりますれば——たとえばコンピューターにいたしましても、ハードの面では、特に大型におきましては絶対に負けていないと思います。ソフトの面では、全体から言うと残念ながら確かにおくれがあります。今度機情法等ができまして、またその面から情報産業に対して政府としてのてこ入れをしていくということになっております。しかし、電電公社なり、あるいは運輸省関係の操車場あたりとか、それから気象庁あたりとか、各官庁におきましてはソフトについても絶対にIBMに負けないだけの技術開発をしていると思うのですよ。今日、ハード、ソフト、資本とも全部自由化になっております。ですから、IBMとの関係も出てくると思いますけれども、それだけにもしソフトの面でおくれを持っているとすれば、これは大変な問題だと思いますね。  ソフトと言いましてもいろいろあるでしょうから、純然たるコンピューターを使ってというものとは違いますが、通信技術の面におけるソフトと社長はおっしゃったと思いますけれども、そういう面であるならばもう一段と開発に努力をされないと、少なくともその面でアメリカに負けるというようなことはちょっと問題じゃないでしょうか。金がなかったらないでその面でやればいいし、技術者が足りないならまたその面の勉強をしてもらえばいいでしょう。ですから、そういう点を含めまして九〇%ということが社長の頭の中にあって、まだアメリカに対してはひけ目がある。だからこういうふうな表現になったんだろうとぼくは思うのですけれども、一般的に見てわれわれはそんなにおくれが実際あるのかなということをいま感じたのです。  そのおくれを取り戻すために、ではこれからどうするのですか。そして、いつ追いつくようにするのですか。
  108. 板野學

    ○板野参考人 先ほどちょっと触れましたように、私どもVENUS計画と申しまして、国際公衆データ通信というものを来年の四月から始めるということにいたしまして、極力準備を進めてまいった次第でございますが、このソフトは世界に誇ってもいいような通信上のソフトと私どもは思っております。  したがいまして、この完成によりまして、私どももアメリカにも欧州諸国にも劣らないようなデータ通信をハード、ソフトとも完成し得るというぐあいに考えておる次第でございます。せっかく努力をいたしておる次第でございます。
  109. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると コンピューターデータ通信ですが、この面においては残念ながらアメリカとは一〇%くらいのおくれはあると理解をして、その一〇%を取り戻すのには、このVENUSシステムができることになれば、そこで大体アメリカと追いついていくと理解していいですね。
  110. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもそういうぐあいに確信を持ってやっておる次第でございます。
  111. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それから、もう一つ、企業経営の中で大事な点をお伺いしておきたいのですが、経営の問題ですけれども、経営の全責任は社長以下経営者が持つのはあたりまえのことですね。だが、しかし、そこには働く職員がおりますね。働く職員は労働組合をつくられる。したがって、そういう職員団体と絶えず話し合いをし、そして会社全体の問題に対する協力も得ていくということは当然なことだと思います。  国際電電会社の場合には労組法上ストライキ権を持っておる組合だと思うのですけれども、そういう意味において、たとえば経営問題なんかに対して経営協議会的なものをつくって、日常そこで絶えず職員側の意見も聞いていい考え方は施策に生かしていくとか、ただ単に団体交渉で角を突き合わせてやるということではなくて、本当によき労使関係の中からりっぱな会社経営がなされていくような御工夫は日常やっておられると思いますけれども、そういうことについてはどんなお考えでしょうか。
  112. 板野學

    ○板野参考人 先生のおっしゃいますことはごもっともでございまして、私どもといたしましても、過去二十四年間を振り返ってみますと、労使関係が非常にうまくいっておるということによりまして今日のりっぱな成績を上げてきておるということをこの機会に大変感謝をし、ありがたく御説明いたしたいと思いますが、私ども、組合との間におきましては、単に団体交渉という場だけではなく、別に会社がやりますいろいろな年度計画とかその他の計画につきましても、実施の要領、やり方、そして組合側の意見もできるだけ早目に組合側から徴しまして、これが円滑にいくように、その都度または月に一回組合との間に話し合いをやっておる次第であります。
  113. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはわかりました。  会社法の第十一条に、「取締役及び監査役の選任及び解任、定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議は、郵政大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」となっております。要するに、株主総会で決めましても、大臣が認可しない限りは効力を生じない。こういう経営権の中の最も大事な役員任命の問題について、大臣権限があるわけですね。  大臣、こういうふうな権限がありますと、これは服部大臣のようなりっぱな方は心配しないのですけれども、権力というものが多少でも動きますと大変なことになるわけですね。したがって、なぜ株式会社にしたかということについては、さっきも提案理由について申し上げましたように、公共的特性を確保する必要があるから国の監督と保護を与えた。後は民営形態でいくということでございますから、民法に従って、商法に従ってやるべきでございましょう。「本会社は商法上の商事会社でありますが、」ということが提案理由の中の大綱の内容のところに出ておるわけですね。要するに商事会社であるという言い回しがあるわけです。そういう意味で、私が最初に大臣に申し上げましたように、会社の運営と大臣の監督権というものが微妙な交差をしておるわけですから、一つ間違いますと会社の社長以下の役員の士気に影響を与えますね。文句を言うなら首だと言われる。まあそんなことはないと思いますけれども、仮にそういうふうな態度が出たとすると、これはもう会社の役員諸君が萎縮してしまいます。これは悪い面の一つの効果というものがあると思いますけれども、そうであっちゃいけないと思う。  事業計画大臣の承認とか、会社としてはいろいろと大臣の監督を受けなければならぬわけですから、そういう意味からいまの労使間のあり方等についても——大臣、これはひとつ怒らないで聞いてください。過去のことの話として聞いていただきたいのですが、私ども長く国会におりまして、その都度労使の行き方を見ておりますけれども、どうかすると会社は会社としての独自的な判断に立って賃金交渉をやらなければなりませんね。それに政府が介入することは絶対にいけませんよ。そういうことがはっきりしておるにかかわらず、たとえば労使間の春闘の賃上げ問題に対しても、おまえのところはちょっとどうだとか、早くやっちゃいかぬとか、ちょっと高過ぎるとか言ったり、そういうふうな動きがあったやに私たちは伺っておるのですよ。だれが言ったということをはっきりしないでこういう質問をするのは大変無礼だと思いますけれども、これは参考にしていただくために私は申し上げるのですけれども、そういうふうなことがかりそめにもあったとすると大変なことだと私たちは思っているわけです。  ですから、先ほど大臣もおっしゃったように、原則的には公社と国の場合のように特殊法人と国との関係にあるわけで、大臣も私と同じようなことを言ってくださったので私は非常に気を強くいたしましたけれども、やはり思う存分に会社の社長以下に任せて、そのかわりこれは経営能力がなければかえればいいのです。男一匹任された以上はとことんまで責任を持ってやれというのと違って、何か知らぬがちょっと何かあるとすぐにと足を引っ張るようなことになったんじゃだれだってこれは本気になってやれません。そういうふうなこととの関連で、労使間というものは、大臣権限との間でどうかするとそういうことがひょこひょこっと出てくる危険性があるわけですね。  そういうことのないように大臣はやっていただいておりますから、私がこういうことを言うのは失礼だと思いますけれども、これからもそういうことがあっては絶対にいけないと思いますし、さっきの考え方については大体意見の通ずる大臣でございますから、この際貴重な意見として大臣考え方をもう一遍聞かせておいてほしいのです。
  114. 服部安司

    服部国務大臣 いろいろと御意見を賜って私も率直に考え方を披瀝いたしましたが、自主経営が一番理想的なんです。外部からとかくの意見をはさむことは決してプラスにならないということは、私も過去のささやかな事業経営の感覚から十分理解しているつもりでありまして、先ほども申し上げたとおりに、労使が話し合いの場を持ってきわめてスムーズに円満にいっているという報告も私は信頼いたしております。また、事業内容も取り上げてみるに悪い方向ではございません。むしろ企業としては優秀な方に属すると理解いたしておりますし、なお、企業努力も大変熱心であることも私は認めております。  正直言って、私は就任以来一度も意見を差しはさんだ記憶はございませんし、誤解があってはいけませんので一言触れさせていただきますが、春闘の場合にも、少なくとも私は賃金自主交渉には介入した記憶は全くございません。事さように健全な経営をやっていてくれるいわゆる公社、公団、特殊法人には私は絶対に自分の意見を差しはさまないという基本方針でございますし、なお、役員の大臣承認につきましても、これはもう会社法で株主総会で取り運ばれることでありますから、決まったものを大臣に承認を求めるわけですから、よほどの問題のあることでなければ私は口ははさまない。  また、委員会でとかく問題になるような人が上がってくれば、私は責任ある立場ですから、それはここで一つの信念で行動するかもしれませんが、しかし、これだけの会社ですからそういったこともあり得ないと私は確信を持つ七おります。  大変良好な状態でありますので、ますます労使一体に立ち、信頼の上に立って、国際通信の業務にますます貢献をされて国の経済発展にも寄与してもらいたい。ただその気持ちでいっぱいでございます。
  115. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。今後ともぜひそういう方針で臨まれて、あなたの後に来られる大臣もそれでいってほしいと私は思います。  それで、会社でございますからもちろん株主の皆さんの御協力というものが大事だと思いますが、大臣のおっしゃるように、社長もおっしゃるように、かなり優秀な成績を上げておりますが、公益的な公共的な仕事でございますから、利潤を追求するというものでは絶対ないわけでして、そのことを承知で株主の方々も御協力をいただいていると私は思います。  そこで、念のためにお伺いしておくのでございますが、創業以来二十五年間、資本金は百六十五億と聞いております。株式総数が三万三千株と思いますが、ごく最近の株主配当金というものはどのくらいになっておりますでしょうか。俗に言われる配当率で結構でございますから、どの程度の配当率になっておるか、それを伺いたいと思います。  それから、もう一つ、取締役会で決議すると中間配当を実施することができます。これもたしか郵政大臣の認可が必要になってくると思いますが、最近中間配当を実施したことがありますかどうか。  それから資本金の増資について当面考えておられるかどうかということと、この三つを伺います。
  116. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  株主への配当につきましては、会社創立の昭和二十八年三月二十四日から昭和三十四年九月三十日までの配当は年八分、それ以後は年一割配当を行っております。  それから、次の御質問の点の中間配当の件でございますが、当社取締役会の決議を経まして、郵政大臣の認可を得、第四十五期、すなわち昭和五十年四月一日から五十一年三月三十一日の間でございますが、以降中間配当を実施しております。(鈴木(強)委員「幾らですか」と呼ぶ)  同じ率でございます。年一割の率でございます。
  117. 板野學

    ○板野参考人 最後の増資の件でございますけれども、ただいま私どもは本年度約二百五十億の投資をするという計画で……(鈴木(強)委員資本金は幾らですか」と呼ぶ)  資本金はただいま百六十五億でございます。一番最初は三十三億から倍額で六十六億、それからまた倍額をいたしまして百三十五億、それから四分の一増資をいたしまして、いま百六十五億ということになっております。  それで、ことし五十三年度の当初大体二百五十億見当を考えておりますが、ただいまのところはやはり自己資金でもって賄えるという見通しでございますので、いまのところ増資の考え方はございません。
  118. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  それから、会社法第二条によって、会社が郵政大臣の認可を受けて、必要と認められる場合には附帯業務を行えることになっておりますが、大臣の認可を得て現在やっております付帯業務は何と何でございましょうか。
  119. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  現在認可を得て行っております付帯業務といたしましては七つありまして、その第一は内国欧文電報の取り扱い業務、これは電電公社業務の取り扱いでございます。  その第二は遠洋船舶通話の取り扱い業務、これも同じく電電公社業務の取り扱いでございます。  第三はNHKに対する国際放送用無線電話設備専用業務でございまして、これはNHKの行っております国際放送のための設備の提供でございます。  その第四は外国放送用無線電話設備専用業務でございまして、これは一般放送事業者に対する受信の設備の提供サービスでございます。  第五といたしまして、南極通信設備専用業務がございます。これは南極と日本との間の電話、写真業務等を提供する業務でございます。  第六といたしまして、国際電話放送中継にかかわる録音業務、これはPTSを録音する業務でございます。  それから、第七番目といたしまして、海底ケーブルの建設、保守に関して、たとえば外国等の主管庁の要請のあった場合にこれのお手伝いをするという受託業務、この七種類でございます。  また、目的達成業務といたしましては、国際電気通信技術に関するコンサルティング業務がございます。  以上でございます。
  120. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この中でNHKの専用業務とそれから外国放送用の無線設備といったものは本来NHKが設備すべきものでありましょうが、なかなかそうもいかないので歴史的にNHKの回線を使っておるということだと思いますが、これらの経営の状態がプロパーでもしわかれば示していただきたいのですが、どんなものでしょうか。  これをやって国際電電としては、公共用ですから大変もうけることはないですね、それで、収支がペイしていくのか、あるいはどうなのかということが心配になるわけですが、その点がもし決算上はっきりわかったら、きょうは時間がありませんから資料で出していただきたいと思います。  それから、もう一つ、会社法第十条に基づいて、弁済期限の一年以上の資金を借りる場合には大臣の認可が必要ですが、こういうふうな一年以上の資金を大臣の認可を得て借りたことは二十五年間に何回ありますか。そして、金額はどのくらいになりますか。
  121. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答え申し上げます。  大体二回ございますが、一番最初は会社創設当時で、会社の経営基盤にまだ若干の不安がございました。しかし、その際職員住宅を建設するために一億九千五百万円を住宅金融公庫から借り入れをいたしました。借入金は五十二年二月に償還を完了いたしております。  それから、もう一回の機会は、御案内のようにオイルショックがございまして、各企業ともいわゆる売り上げの落ち込みが非常にあり、それを憂慮した昭和四十九年でございますが、その五月と十二月に合わせて八十八億円を借り入れいたしましたわけでございます。そういうことになったら大変だといって資金手当てをいたしました。これは現在償還済みが五十億で、未償還分が三十七億ございます。  以上、二回の機会に借り入れをいたしております。
  122. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 五月と十二月に八十八億円ですね。ですから、正確に言うと三回ですね。  その八十八億は、五月に幾らで十二月に幾らですか。
  123. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 四十九年の五月が四十三億でございます。そして十二月が四十五億で、合わせて八十八億でございます。
  124. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  住宅金融公庫の方は金利は幾らだったのですか。それから、後の八十八億はどこから借りたのですか。金利は幾らですか。
  125. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 お答えいたします。  最初住宅金融公庫から借り入れました分は、金利は五・五%でございました。そして銀行からの融資は、五月の分が九・四%で十二月の分が九・九%で、当時金利が非常に高い時代でございました。  それから融資を受けましたのは、こういう会社の公共的な性格とまた特殊法人であるという性格にかんがみまして、特定の銀行に偏してはいけないというわけで、都市銀行十五行の協調融資ということで借りております。
  126. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 その点はわかりました。  それから、いま世界じゅうの独立国が百五十何カ国ですか、世界じゅうどこにでも余すところなく電報と電話が通ずるものでしょうか。どこかまだ通じないところがあるのでしょうか。あるとすれば、それはどういうわけですか。
  127. 板野學

    ○板野参考人 お答え申し上げます。  電報は大体のところ直通または中継でほとんどの国へ参ります。  次は、テレックスでございますけれども、これはいまのところ三十七対地テレックス通信ができないところがございます。たとえば東南アジアではネパール、ブータンあるいはシッキムというような小さい国がございますが、そういうところは先方の設備がないというようなことから三十七対地あります。これは大きな国はございませんが、たとえばアフリカ地帯ではサハラ地帯というようなところもございます。そういう国というよりもむしろ地域といった方がいいと思いますが、そういう地帯でございます。  それから、国際電話でございますが、大体十二対地ができない。アジア州で申しますとココス、キーリングというような島、こういうところでございます。大洋州の中でもニューアイルランドとかいうような島でございます。電話ではそういうところができない地帯でございます。
  128. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 東南アジアのブータンとかはテレックスが通じない。これは三十七対地で多いですね。それから、電話の場合ですと大洋州のニューアイルランドですか、こういうところは向こうの設備がなくてできないというふうにおっしゃるのですが、その国のこれからの電話事業の拡充計画、発展計画といいますか、そういうふうなものは詳細にKDDとしては調べておられますか。いつごろになったらそことやれるかというようなことはおおよそつかんでおられますか。
  129. 板野學

    ○板野参考人 私どもといたしましては、大体各地に出先の機関を置いておりますから、そういう機関を通じましていろいろ調査もいたしておる次第でございますし、また、ITUのそういうような場におきましてもいろいろ調査をいたしておるわけでございますが、私ども、今後ともできるだけそういう地帯がないような方向で進めていきたいと思います。  ただ、テレックスとか電話というものにつきましては相当施設を必要といたしますので、こういうものは国際協力というような面がないとなかなか実現がむずかしい地帯が非常に多うございますので、私どもといたしましては、さらに今後そういう面も非常に考えながら、できるだく早くテレックスや電話ができるように努力をいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  130. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 国際的にはITUの組織もありますし、それから海外事務所が現在十四カ所ございますね。ですから、そういう事務所を督励しまして、また、大変通信のおくれている国、設備のおくれている国にはコンサルタントもつくりまして、大いに日本は協力しようという態勢もあるわけですから、積極的にそういうふうな事情も調査研究をされまして、そしてもし御要望があればわが国がすぐれた技術と通信を提供して、何とか早く世界じゅうどこでも通ずることができるような態勢をつくっていただくようにぜひ御協力をお願いします。がんばってください。  それから、昔使っておりました電波ですね。A1とかA2とか、A3というのを昔は電話に使っておったのですが、そういう短波の設備というのはいま国際にはどのぐらい残っているんですか。それで、現在使っているのはどことどこですか。
  131. 坂本朝一

    坂本参考人 お答え申し上げます。  突然の御質問でございますので、ちょっとはっきりした対地名が出ないのでありますが、相変わらず——では、先生、後ほど提出させていただきます。どうも恐縮でございます。
  132. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 社長、いま突然の質問だったのでと言うのですが、質問はみんな突然なんです。ちょっと正確なことが言えぬと言うから、それは資料でいいですから、さっきのNHKの外国放送、無線設備の問題も含めて資料をできるだけ早く出すようにしてください。
  133. 板野學

    ○板野参考人 ただいまお話がございました資料は、整えましてお手元に差し上げたいと思います。
  134. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それでは、最近東海地震とか関東地震とかいろいろうわさが出ておりまして、政府におきましても大規模地震対策特別措置法というものをこの国会でやっているわけで、成立できると私は思いますけれども、国際電信電話の場合には従来東京、大阪に関門局がありまして、大阪がやられても東京が残る、東京がやられても大阪が残るということで、そういう意味においての関門局の必要性というものを私はずいぶん国会でも主張してきまして、ようやく会社の方も本腰を入れて大阪の電報局、電話局についても体制を整備していただいて、これは感謝しておりますが、特に地震その他非常災害に対して国際電気通信というものをどう守っていくかということは大変な問題だと私は思います。  そういう意味においてこの非常障害対策ということについては、この説明の中にも若干触れられておりますが、たとえば関東大震災のようなものが関東に起きても国際電電は通信は大丈夫か、同様に大阪に起きても大丈夫かということですが、この点は大丈夫ですか。高いビルも大丈夫ですか。
  135. 板野學

    ○板野参考人 きわめて概括的でございますけれども、先ほど先生がおっしゃいましたように、私どもいろいろな御指導を得まして、大阪地帯におきましても、東京をやられれば大阪でやれるようにいたしておりますし、また、関東地帯、東京を中心にいたしましても、私どもの送受信所とかケーブルの陸揚げ地点とか、あるいは衛星地点とか、そういうものがずっと郊外に、二宮とか茨城とかにありますし、あるいは関西から向こうの方面では山口とか沖繩とかにそういう地点がございますので、それとの間の連絡を電電公社と密接に結びつけまして、非常事態に対しましてはできるだけお客様の利用におこたえすることができるように、これは電電公社とも十分その点を打ち合わせておる次第でございます。  非常災害につきましてのいろいろな防護対策、建物はもちろんのこと、機械設備その他人員の非常配備の対策につきましては、電電公社との緊密な連絡という点につきまして今後ともさらに格段に配意をいたしたい。かように考えている次第でございます。
  136. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 備えあれば憂いなしと言われますが、通信が途絶しますと人心も非常に動揺しますし、困るわけですから、ひとつぜひ念には念を入れていただいて、さらにどういう事態に遭遇しても外国通信が絶対とまらぬという体制を社長も十分考えておいていただきたいと思います。  それから、次に、アメリカから比べて約一〇%おくれているデータ通信関係についてお尋ねしますが、この点には率直に触れられておりますが、「いまや国際通信は新しい第二の変革期を迎えようとしております。」と述べておられまして、これからそのおくれを取り戻すために大変な努力をしていただく意気込みが出ております。国際データ通信の需要はこれからだんだんと高まってくると思いますが、いま申し上げましたように、事業概況報告の中でも社長がそう述べられております。  そこで、国際電信電話株式会社の国際データ通信に対する基本的な考え方について若干質問をしておきたいと思いますが、まず、現在国際電信電話会社が国際データ通信サービスとして提供しておりますサービスはどういうものがありますか。
  137. 大島信太郎

    ○大島参考人 お答え申し上げます。  現在データ通信サービスとしてKDDがやっておりますサービスといたしましては、メッセージ交換を当社の所定の電文形式によって行っております国際オートメックス業務、これは昭和四十八年三月から実施しております。現在顧客は十七社、回線は百四十二回線であります。  それから、同じようなサービスでございますが、メッセージ交換を利用者の方の御希望になる電文形式で行う個別システムサービスというものがございまして、これは五十一年十月から開始いたしております。  それから、このほかに現在国際間データ通信のために提供しております特定通信回線及び公衆通信回線がございますが、これは特定通信回線といたしましては、電信回線が百二十八回線、音声級回線が四十二回線、それから公衆通信回線は二十八回線ございます。  以上のほかに、日本と外国の不特定多数の加入者相互間にデータ及びファクシミリ伝送を行っております。これを国際デーテルサービスと称しておりますが、これは昭和四十七年三月から実施しておりまして、その取り扱い対地は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、香港でございます。現在四対地、加入者は四十七社でございます。これも加入者からの御要望で拡大に努めております。  以上がいままででございますが、これからは先ほどからお話しになっておりますVENUS計画を推進いたしまして、非常に高品質でまた便利な公衆データ通信サービスを提供したいと考えております。  以上でございます。
  138. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 現在四つのシステムがサービスを開始しておるわけです。そしていまお話しのようにこれから新しいデータ通信網の建設が行われるわけですが、こういうVENUSシステムによって国際データ通信をおやりになるわけですけれども、一体どの程度の需要が予測されるのか。  さっきお話のありましたデータ通信なんかの場合ですと、特定通信回線の電信回線百二十八回線ですね。あとテレックスもあるようですけれども、音声を含めましてこれからどの程度のデータ通信が需要として予想されておるわけでしょうか。
  139. 大島信太郎

    ○大島参考人 これから始めますVENUS計画はいままでにない全然新しいものでございますので、なかなか予想がむずかしゅうございます。現在私どもでもアンケート調査等でこれを調査しておりますが、仕様内容といたしましては、お客様からの御要望としてはデータ通信及びファクシミリが非常に多くございます。  回線といたしましては、現在考えておりますのは九千六百ボーのハイスピード回線がとりあえずは二回線、将来は六十八キロボーの回線がやはり二回線程度必要になってくるだろうということが予想されております。  以上でございます。
  140. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 それはハイスピードの回線をつくるのは結構ですよ。それは結構ですけれども、一体どのくらいの需要があるかという予想ですね。需要予想測定というものがなされておらなければうそでしょう。それなくして回線だけつくってもむだな投資というものです。  だから、どの程度の需要があって、それにこたえるというためにはこのVENUSというものが非常に近代的な新しいシステムとしてその役割りを果たすんだ。VENUSといったって、正直言ってどういうものか私らもよくわかりませんよ。よくわかりませんが、何か真ん中に機械があって、その機械がそれぞれ役割りを果たすんでしょう。恐らく交換局みたいなものでしょう。  ですから、これからどのくらいの需要が、こういうそれぞれのデータについてVENUSをつくった場合に予想されるのですか。そういうことが明細にわかっていないですか。これはむずかしいでしょうけれども、その予測がなければおかしいですね。
  141. 大島信太郎

    ○大島参考人 ただいま回線で申し上げましたけれども、VENUSはパケット交換で行ってまいりますために、これをパケットの数字で申し上げますと、一パケットと申しますのが文字で言いまして大体百二十八文字でございますが、これで五年後には約二・三億パケットぐらいの通信量を予想して設備その他を考えております。
  142. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大島さん、そこでVENUSとパケットというものはどういうものかちょっとわかりやすく解説してください。
  143. 大島信太郎

    ○大島参考人 VENUSとパケットの両方御説明いたします。  VENUSは、ちょうど現在テレックスサービスをKDDは行っております。ところが、最近のデータ通信に関しまして、大口需要者は専用線でもってお互いにつないでデータ通信をやっているという状況でございます。それで専用線によらない、ちょうどテレックスと同じようにキャリアがネットワークをつくりまして、そしてそれを通してデータ通信がやれるようなサービスをしよう、それにはテレックスでは五十ボーで遅過ぎるから、今度のVENUSでは九千六百ボーというような高い速度、あるいは四千八百ボー、二千四百ボーというハイスピードの伝送速度でテレックスと同じようなサービスをしよう、そして今度はエラーの面でも、現在テレックスでは十のマイナス五葉、一万分の一くらいの誤差は許していただいておるのですが、これは十のマイナス七乗ですから、百万分の一くらいのエラーで誤字がないような高品質なサービスをしよう、それからお互いに違ったコンピューター間もつなげるように、異種コンピューターもつなげるようなサービスをしよう、それからあとはファクシミリですが、現在ファクシミリではいろいろ論議がございますが、違ったファクシミリの装置の間では普通ではつながらないわけですが、この交換機を通じて違ったファクシミリ間も方式変換をやってつなげるようにサービスをしよう、こういうことでございまして、専用線のみに頼っておりました高速度データ伝送をちょうどテレックスと同じように、自由に、大口需要者でなくても小口需要者でもハイスピードのものが簡単に使えるという、そういうサービスをいまVENUSでは考えております。そういうことによりまして、いわゆる専用線をユーザーに貸すという特定通信回線サービスじゃなくて、いわゆる公衆通信としてのデータサービスを行っていこうというのがVENUSのねらいでございます。  それから、先ほどの先生の御質問のパケットでございますが、一つの通信の内容が相当の長いものになりますが、パケットと申しますのはこれを幾つかに区切りまして、先ほど申しましたように、約百二十八文字ずつに区切りまして、そのおのおのを封筒に入れると考えていただけばよろしいのですが、封筒に入れましてあて先を書いてぼんぼん回線へ流してしまう。そういたしますと一つのメッセージとメッセージの間にあく時間がもったいないわけでございますが、それに区切って入れますと、今度は違うメッセージもどんどん間に入れていくことができる。継ぎ目なく回線の中にメッセージを流す。そして向こうで受け取りましたら同じあて先のエンベロープ、封筒だけを集めましてもとのように通信を組み立てて出してやる。そういうことによりまして通信回線を絶え間なく有効に使うことによって料金を安く持っていこうというサービスがパケット交換でございまして、そういうことで非常に安く一般大衆も使えるように、ハイスピードが使えるように、大口ユーザーだけがハイスピードを使えるんじゃないようにしたいというのがVENUSサービスでございます。
  144. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 よくわかりました。  そこで、いま国内の場合は電電公社がデータ通信をやっておりますね。この国内のデータ通信と国際のいまのVENUSと連結をして世界各国へでも連絡ができる、欲しい情報はとれる、そういうふうにこれはなるわけですか。
  145. 大島信太郎

    ○大島参考人 先生のおっしゃるとおりでございまして、国内では電電公社さんがDDXというデータ伝送網を建設されております。そのDDX網がわれわれのVENUSにつながりまして、外国における電電公社のDDXと同じ網が、たとえばカナダにはカナダのそういうデータ伝送網がございますし、アメリカにはアメリカのデータ伝送網がございます。それとの間にVENUSを介して接続されていくという形になるわけでございます。
  146. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、さっきちょっと問題になりましたハードとソフトの面における情報産業の技術的な面でございますけれども、この面については国際電電としては、国内のコンピューターメーカーとか電気通信機器メーカーというところとこれからずっと接触をとっていくと思うのでございます。要するにユーザーの方といろいろ相談して、どういう機械を入れるとか相談しなければならないと思うのですけれども、そういう情報産業の方々と国際電電とがこれからどういうふうな関係になっていくのか、どういうタイアップをしていくのか、その点は何か構想がありますか。
  147. 大島信太郎

    ○大島参考人 先ほど社長がVENUSを通じましてソフトは追いつくであろうということをちょっと申しましたが、確かにそのとおりで、それまではたとえばアメリカはアメリカ国内、カナダはカナダ国内ということでデータ通信網をつくっておりました。国際間のデータ網はいままで全然なかったわけでございます。現在まで専用線しかございません。  それに対しましてVENUS計画というのはKDDが言い出しまして、これを世界的に勧誘いたしまして、アメリカもヨーロッパもKDDの方式に従っていま機械をつくっておりまして、むしろKDDが先導的な立場で国際的データ網を推進しているという形になっておりまして、KDDの仕様でアメリカもヨーロッパも機械をつくり始めているというのが現状でございます。そういう面で社長は多少遠慮して九〇%と申しましたが、その時点になりますと一二〇%ぐらいになるのじゃないかという気がいたします。  それから、先ほどの先生の御質問のデータ産業との関連性でございますが、データ処理産業との関連におきましては、私たちは通信業者でございますので、日本に発達しますデータ処理業者及びアメリカに存在しておりますデータ処理業者の間を十分良質な通信網でつなぐことが第一の任務でございます。  それから、また、通信処理業者とユーザーの間を十分満足できるような通信回線でつなぐということと一緒に、先生がおっしゃいましたように、ユーザーの方と相談しながらユーザーが望まれる通信方式で、あるいは通信のやり方で相手とやれるようにユーザーとのインターフェースをソフトウエアで十分完成していきたい。そういうことをやるようにこれからなると存じております。
  148. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大分力強い話を聞きましたが、ひとつがんばっていただきたいと思います。  いま私が一番感心したのは、VENUSサービスを開始するに当たっては、少なくともいろいろな規格が世界的に必要でしょう。それで、これはKDDがつくったのですか、そういう仕様に従って全部世界でやってくれというごとは大変なことだと私は思いますが、それだけ日本の通信技術が進んでいると思うのでありまして、敬意を表します。  そこで、いま現実に国内でやっておるデータ通信は特定回線もありますし、いろいろありますけれども、そういうものがこのVENUSを経て外国とのデータ通信がやれるようになるようですけれども、その場合に、いま言った国際規格といいますか、そういうものに満たないようなデータが国内にかなりあるのじゃないですか。大丈夫ですか。心配して聞くのですが、わが国においてはVENUSが開始されるに際して、現在ある国内のデータ通信は別に設備を変えなくても直ちに接続してもらえるというふうに理解していいわけですか。多少はあるのですか。
  149. 大島信太郎

    ○大島参考人 電電公社のDDX網ができますと、全然心配なくつながることになります。現在では、専用回線でつなぐとか、もっと低速度でつなぐということでやれると考えております。
  150. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 電電公社、KDD、それから民間の情報処理業者等いろいろとありますから、そういう人たちがどういうふうにデータ通信をそれぞれの分野において分担をし、どういう立場に立って全体的に前進できる体制をつくっていくかというそれぞれのポスト、分野の確保ということもこれから大事になってくると思いますから、そこらについては慎重に配慮をして今後やってほしいと思います。  それから、大臣、一つ問題になってくるのは、日本におきましてもこういうふうに情報が非常に多様化、多角化してきますと、どうしても通信の秘密ということが必要になってくるわけですけれども、日本におきましても情報に対しては法律的にもまだ全然ないわけですね。そこで、われわれは情報基本法というものを早くつくって、その中でプライバシーの保護をちゃんとやっておかないと、どこかから自分のプライバシーが全部盗まれてしまうことになっては困るわけです。国内におきましてもいままで現にそれがあったわけですね。今度国際もそういう舞台に入ってくるわけですから、秘密の保護といいますか、そういう点の対策を早く立てる必要があると私は思うのですよ。政府の方でも積極的にこの点は取り組んでいただいて、早い機会にそういう法改正を、これは新しい提案になるかと思いますが、ぜひやってほしいと思いますが、この点はどうでしょうか。
  151. 服部安司

    服部国務大臣 前向きに、しかも真剣に取り組みたいと考えております。
  152. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 私は新聞でちょっと拝見したのですが、去る一月二十四日に、シンガポールにおいて、ASEAN海底ケーブル網計画の中のフィリピン−シンガポール間のケーブルの建設保守協定が結ばれまして、板野社長が署名をされたと聞いておりますが、ASEAN海底ケーブル計画の概要と、わが国が長年にわたって推進してきております東南アジアケーブルとの関係はどうなるのか、これをひとつ説明してください。
  153. 板野學

    ○板野参考人 私は去る一月にシンガポールへ参りまして、ASEAN海底ケーブルの第一段階でございますフィリピンとシンガポール間のケーブルの建設の協定に出まして、調印してまいりました。  御承知のように、ASEAN五カ国、フィリピン、シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイがこの主体になりまして、これに資本参加をする事業体が、イギリスではケーブル・アンド・ワイヤレス、オーストラリアのOTC(A)、それからKDDが資本参加いたした次第でございます。建設費が百四十億見当のところへ私ども一〇%、約十四億の資本参加をいたしたわけでございます。  ASEANケーブルの構想といたしましては、フィリピン−シンガポール間を第一段階にいたしまして、さらにシンガポールとインドネシアの間、三番目にはシンガポールとマレーシア、それからマレーシアとタイの間、フィリピンとタイの間、こういう区域につきましてケーブルを敷設する計画でございます。  この計画と、すでに日本が十数年前から考えておりました東南アジアケーブルとの関係でございますけれども、当時の東南アジアケーブルの計画は、衛星通信技術の進歩とか東南アジア各国におきまする国際化のいろいろな関係によりまして実現を見ませんでしたけれども、このASEANケーブルで計画しておりまする通信のルートというものは、大体その東南アジアケーブルで考えられたルートを通っております。新しく計画された区域もございますけれども、大体そういう状況でございますので、私どもといたしましては、ASEAN諸国が自主的にそういうケーブル網をつくるという非常な努力と考え方に非常に賛意を表しまして、積極的にこの計画に参加をしよう、協力しようということを考えておりまして、タイ側の陸揚げ局につきましては、タイ国の要請に基づきまして私どもKDDから調査員を派遣いたしまして、その陸揚げ地点の調査にすでに協力をいたしておりますし、また、先般はシンガポール、マレーシア、タイの海洋調査につきましても、私どもその調査団の一員として人を派遣いたしましてその調査に当たらせておる次第でございまして、ASEANケーブルの建設につきましては、ただいま申し上げましたように今後私ども積極的に協力をして、一日も早くこれを完成するようにいたしたいというように考えておる次第でございます。
  154. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いまお話を承りましたが、われわれは長い間政府にも要請してきましたし、KDDにも強く要求してきたのでございますが、この東南アジアケーブル計画が無にならなかった。結果的には大体想定したルートを通っていくということでございますから、長い年月がかかりましたが、東南アジア各国との友好親善を深めていく上におきましても、こういうふうな方法でケーブルが引けるようになったことはよかったと私は思います。  そこで、いま、大事な完成の時期がいつごろになるのかという点が触れられておりませんでしたが、それがいつかということと、もう一つは、陸揚げ地の調査、海洋の調査等をKDDがいま率先してやっておられるようでございますが、これはKDD丸というりっぱな海底ケーブル敷設の船もあるわけでございますから、この際こちらの業務に支障のない限りこの建設に対しては協力をするような体制をとっていただきたい。これは大臣もいらっしゃるので申し上げておきますが、これについてはそういう体制をとって、こういう時期に東南アジアとの友好を深めていただくようにしてもらいたいと思います。そして、この回線の敷設については、できるならばKDD丸がリーダーシップをとってやったらどうかというふうな気も私はするわけであります。全体的な大洋ケーブルその他日本海ケーブルありますから、故障が起きた場合に、そのたびに大事な通信の復旧ができなかったということになっても困るわけですから、その辺の御判断はお任せしますし、一概にここでどうしてもやってくれなんて私は言いませんので、そういう点は十分配慮しながら、できる限りKDDが率先して敷設に協力してやってもらいたいと思いますが、いかがですか。
  155. 板野學

    ○板野参考人 完成期日を申し上げませんで失礼いたしました。  開通予定期日でございますが、フィリピン−シンガポール間は大体千二百七十ノーチカルマイルでございますが、これは千三百八十回線でございますが、STC、イギリス系のケーブルが引かれることに決まりまして、一九七八年、今年の八月大体完成予定でございます。  それから、シンガポール−インドネシアは四百九十ノーチカルマイルございますが、大体四百八十回線のもので一九八〇年の四月ということを予定しております。  シンガポール−マレーシア、それからマレーシア−タイにつきましては、これもおのおの四百八十回線というふうに予定しておりますが、これは一九八〇年から八一年にかけて完成を予定しております。  フィリピン−タイでございますが、これは距離が相当長くて千五百七十ノーチカルマイルございますが、回線数はこれも四百八十で、これは一九八二年から八三年と言っておりますが、私どもがタイとか関係の向きに確かめましたら、これは大体の予想だからこの完成期日は少し延びるかもしらぬというようなことを言っておりました。  ASEAN五カ国の自主的なこういう考え方につきましては、私どもも十分にこれから協力をいたしまして、なるべくなら日本製のケーブルで、日本の船をもって、KDD丸をもってこれを敷設できれば非常にいいと思いますので、その辺努力いたしたいと思います。
  156. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  それで、この全建設投資は百四十億と伺いましたが、そのうち一〇%の十四億を国際電電が負担して、あと残されたものはASEAN五カ国でそれぞれ御分担になると思いますが、時間の関係もありますので、残された五カ国で支出をする百三十億について、それぞれの国の分担金を資料で出していただきたいと思います。  それから、たくさん質問がありますが、時間の関係で割愛せざるを得ないのですが、これが最後になると思いますが、一昨年開局しました大阪の国際電話局が現在カバーをしている地域というのはどことどこですか。そして、大体の取扱量はどの程度ございますか。また、さっきも申し上げましたような今後の非常事態等を想定した場合に、大阪国際電話局というものを大いに拡充強化していく必要があると思いますが、そういう御計画がありましたら教えてもらいたいと思います。
  157. 松本洋

    松本参考人 お答え申し上げます。  大阪国際電話局は五十一年九月一日に開局いたしましたけれども、現在、大阪車外番号で〇六地域と、それから京都市外番号で〇七五地域及び神戸市外番号で〇七八地域を受け持ちの取扱地域としております。  それで、本年四月の月間取扱量は約七万九百度でございまして、全発信通話の約一二%となっております。  今後の拡張計画でございますけれども、本年度に取扱地域としております大阪へ京都、神戸を除きます近畿、北陸、四国まで拡張することを計画しております。それから五十四年度には中国、それから九州も大阪国際電話局の取扱地域として拡大していくということを予定しております。  以上でございます。
  158. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  社長、さっき申し上げたような点を十分考慮して、これからも拡充計画をやってほしいと思います。  それから、まだちょっと時間があるようですからもう一つ伺いますが、マリサット通信衛星による海里衛星通信サービスが始まって、私どももそこに出していただきましたが、現在のわが国における利用状況はどのようになっておりますでしょうか。教えてください。
  159. 宮憲一

    ○宮参考人 本年の四月の初めの資料によりますと、海事衛星通信用の施設を備えております船舶の総数は世界で百七隻ほどございますが、この中で日本の国籍を持っている船は五隻でございます。  それで、その利用状況でございますが、初期のころはかなり需要が低迷しておりまして、月々の変動もございましたけれども、最近になりまして急速にこれが伸びてまいりまして、ごく最近の一カ月の状況を見ますと、テレックス、電話ともに一カ月に約千分ぐらい使っております。これを一隻一日当たりの量に直しますと、平均しまして約十分テレックス、電話を使っておるということになりまして、この値は、私ども前に予想しましたのは大体五分程度であろうということでございましたが、かなり成績が伸びてきております。  それから、今後の見通しにちょっと触れたいと思いますが、初めに予想しました需要としましては、五十二年度七隻、五十三年度も七隻ぐらいと見ておったのでございますが、五十二年度につきましてはさっき申しましたように五隻という実績でございました。しかし、五十三年に入りまして、ただいま四隻の申し込みをすでに受けておりますし、それから今後新造船などの状況を見ますと十隻以上の要求が出てくるのじゃないかと思っております。  これが大体現在の状況でございます。
  160. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 これは私どもが当初伺っておりました需要予測といいますか、利用見込みといいますか、そういうものから見ると大分少ないように思うのでございますけれども、国際的な視野に立っての通信ですから、日本国籍の船であろうとなかろうと、日本の港に入った場合には当然利用されるわけでございましょう。  そういう点は、船舶の方でそういう通信ができることを知っていてやらないのか、知らなくてやらないのか、その辺の周知、啓蒙、宣伝というのは十分やられておりますか。
  161. 宮憲一

    ○宮参考人 ただいまの海事衛星通信の状況は、米国の海岸局がございまして、これを経由しまして日本に通信が流れてくるという状況でございますので、利用する側からも余りにこれは有効な手段とは言えないわけでございますが、現在、山口の衛星通信所にインド洋衛星に接続できる海岸地球局を建設中でございまして、これができますと非常に利用が便利になりますし、特に重要なインド洋海域を控えております日本の船舶業界としては非常に有利な状態になるわけでございまして、こういう将来の状況を見まして、私どもは懇話会というようなものをつくりまして、関係の方々にメンバーになっていただいて、いろいろな状況や要望などを聞いております。  それで、山口衛星通信所における施設のこともお伝えしてございますので、こういうものが八月以降十月ごろまでには完成し、業務開始になると思いますので、これをきっかけにいろいろ利用の促進を図るようにお願いしておるわけでございます。
  162. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 円高差益その他、国際通信料金というものは単純に一般の消費者が考えておるようなものじゃないのですね。ですから、そういう点の仕組みを私は少し伺いたかったのですが、時間がありませんし、後に同僚の野口委員質問を準備しておりますので、これで終わります。  どうもありがとうございました。
  163. 松本七郎

  164. 野口幸一

    野口委員 鈴木委員に引き続きまして私からも御質問を申し上げたいと存じますが、私は一つの問題だけをめぐりましてやや詳しくお尋ねをいたしたいと考えます。  それは日韓海底ケーブル問題でございまして、この問題につきましては、昨年の十月十二日に、韓国の新聞であります韓国日報によりますと、計画ですでに確定をし、本年着工をして、八〇年に開通をする、両国で七百万ドルの分担が決まった、こういうことになっておるわけでありますが、この真意と申しますか、私どももこの新聞がうそを書いておるというようなことは思わない立場でありますけれども、わが国の、特に直接関係があります郵政省並びに国際電電の皆様方に一度きちっとお聞きをしておきたいと存じますので、お伺いをいたします。
  165. 福地二郎

    ○福地参考人 お答え申し上げます。  日本と韓国のケーブル建設問題につきましては、私どもKDDとしましては、昨年の七月から韓国逓信部との間に協議をせっかく進めておるところでございますが、いまの先生の御指摘の韓国側新聞報道につきましては、昨年、まだ第二回の会議を始めるばかりのときに、韓国のある特定の新聞記者が相当に類推を入れて書かれたものであるというぐあいに私どもは韓国逓信部からも釈明を受けております。事実その記事を私ども見ましたけれども、私どもが検討しているその内容とはまだほど遠いものでございます。  ただ、いま先生がおっしゃいましたところの一九八〇年ごろに完成をするというような類推については、確かに、もともと私どもも、現在浜田と韓国の舞龍山との間にありますOHシステムがそのころまでにほぼ満杯になるというような事情から、できるだけそのころまでに新しいケーブルの建設を完成させることが日韓間の将来のために望ましいということで協議を進めているわけでございますので、その点の情報からか、新聞記事はそのような報道をしたように類推される次第でございます。
  166. 野口幸一

    野口委員 御答弁を聞きますと、私もそうかということになるわけでありますが、ただ、この同じ新聞によりますと、十月十一日より三日間両国の実務者会議がソウルで開催され、基本計画が決定されるということになっております。これは昨年のことでありますが、もう会議が行われたのか。また、行われたとするならば、出席した両国の代表委員の合意ざれた内容等についてお聞かせいただきたいと思うのです。
  167. 福地二郎

    ○福地参考人 日韓ケーブルの問題につきましては、正式に協議を始めましたのが昨年の七月、第二回目が十月、第三回目が十二月、第四回目が三月というぐあいに協議を進めてきておりますが、まだ最終合意に達しておりません。せっかく諸般の問題につきましてできるだけ早く合意に達しようじゃないかということで検討を詰めておるという段階でございます。そういうことで、合意されたというものはまだございません。  それから、会議に出席した者はKDD側からはケーブル関係当事者、韓国側からもそのケーブル計画関係当事者が出席いたしております。具体的な名前は韓国側の都合もございましょうからここで申し上げるのはちょっとどうかと思いますが、KDD側は主として私どもが主体となって出席いたしております。
  168. 野口幸一

    野口委員 そこで、問題になることでありますが、韓国の逓信部といいますかは、いわゆる逓信省でありますが、これはどう解釈をしておるかわかりませんが、郵政省も電電公社も、それから国際電電も同じシステムの中にあってといいますか、同じ枠内にあるような考え方でものを考えているのではないだろうかと思うのですけれども、  その点、たとえば国際電電株式会社というものを明らかに交渉相手としてその問題に対処しておりますか。
  169. 福地二郎

    ○福地参考人 韓国側は、日本における国際通信事業当事者はKDDであるからということで、その点は明確に認識いたしております。  そういう関係で、新しいケーブル設置の問題につきましては、KDDと韓国逓信部との間で話し合いを進めるという方針のもとでいままで協議を進めてきている次第でございます。
  170. 野口幸一

    野口委員 これは伝え聞くところでありますが、旧日本陸軍が架設しました海底ケーブルをめぐりまして、これのいわゆる賠償問題といいますか、日本が韓国に支払わなければならない貸借問題につきまして、今回敷設する海底ケーブルと費用の点について相殺をしたいなんてことを公言している人があるわけであります。  そうなりますと、旧陸軍が持っておりました旧海底ケーブルの所属というものはいまどこにあるのかということになりますが、お聞きしますと、これは実は電電公社に所属がえになって、電電公社の手によって処理をなされておるということでありますが、これは向こう側は国際電電と過って考えてそういうことをただ言っているのだろうと思うのでありますけれども、この際、これは国際問題にも波及する問題でありますから明らかにしておきたいと思うのであります。  電電公社にお答えをいただきたいと思いますが、旧ケーブルの処置並びに今日までの経緯、それから韓国に支払わなければならないとする金額、今日における状況、それを少し詳しく御説明をいただきたいと存じます。
  171. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  日韓の旧海底ケーブルについては長いいきさつがございますので、詳しく申し上げますと非常に時間がかかりますので要点だけを申し上げますが、まず、日本−韓国間の海底ケーブルは、第二次大戦の終戦時の昭和二十年には十一条ございましたが、そのうちの対馬−釜山間の一条を除きまして、残りのものはすべて使用不能の状態でございました。その後、昭和二十五年の六月に御存じのとおり朝鮮動乱が勃発いたしまして、その際米軍の要請によりまして障害中でございました対馬−釜山間のケーブル一条を復旧いたしまして、合計二条のケーブルによりまして米軍の使用に供してきたところでございます。  その後、御存じのように昭和二十七年にいわゆる連合国と日本国との間に平和条約が締結されまして、そしてそのときにこの日韓間の海底ケーブル問題というものが、この平和条約の第四条C項によりまして、この海底ケーブルは日韓両国において二等分されるという平和条約になったわけでございます。そういうふうになりましたけれども、米軍は平和条約の発効後も引き続きましてこの当該ケーブルを使用したいという要求がございましたために、この平和条約によりまして韓国の財産であると決定される部分の使用に関します米軍の権利及び使用条件というものは、これは米国と韓国間で解決すべき事項であるということを協定により確認の上引き続き米軍の使用に供してまいってきたところでございます。  昭和三十八年の五月になりまして、この第一、第二ケーブルは両方とも同時に障害が発生いたしまして、米軍ももう要らないということでございまして、同年の八月に米軍の使用契約を解除いたしまして、それで、現在そのままになっておるというのが実態でございます。  お話しの米軍から収納しました料金でございますが、この日韓海底ケーブルにつきまして米軍から収納いたしました金額ですが、ただいま申しました昭和二十七年の平和条約発効から両ケーブルとも使用不能になりました昭和三十八年までの間に米軍から収納いたしました金額は、総額約十三億五千万になっております。そして、この十三億五千万は、いま申しました米軍との協定によりまして一括電電公社が米軍からこの料金の支払いを受け取ったわけでございますが、いま申しました協定によりまして最終的には米韓間でその問題は解決をするということになっておるところでございます。  これをめぐりまして、その後、日韓両国間におきまして、この十三億五千万円の料金返還問題について話し合いが出てまいったわけでありますが、両者の意見が非常に隔たっておりまして、主だった点だけを申し上げますと、まずケーブルの二等分点をどこに決めるかということでございますが、このケーブルは福岡から壱岐を通りまして、対馬を通りまして釜上に上がっておるわけでございますが、日本側の主張といたしましては、日本国の領土であります対馬と釜山の間の中心点によってこのケーブルの所属を二等分すべきだという主張をいたしまして、それに対しまして韓国側は、両方のターミナルのございます福岡——釜山間の中心点において二等分すべきだという主張でございます。  それから、その二等分を行います時期でございますが、公社は、いま申しました平和条約に基づくものでございますので、平和条約の発効の日からこの両国のケーブルの所属は二等分されるべきであるという主張をしたのに対しまして、韓国側は、第二次大戦の終了いたしました昭和二十年八月十五日から二等分されるべきであるという主張をいたしております。  それから、返還の対象となる料金でございますが、公社は、ただいま申しました十三億五千万に対しまして、先ほど申しました二等分点、二等分時期に応じまして料金を返還すべきであるという主張であるのに対しまして、韓国側は、大韓民国が独立をした昭和二十三年八月からケーブルが破棄されました三十八年八月までの間に米軍から収納した額を返還対象の料金にすべきだということで、両者の意見が非常に隔たっておりまして、その以降何度か両国で話し合いが持たれたわけでございますが、一番もとのケーブルの二等分点というところで決定的な対立がございまして、その後交渉はなかなか進展をしておらないというのが実情でございます。
  172. 野口幸一

    野口委員 一つはいまお聞きになったような実情にあるわけでありますが、この状況を解決せずして新たな日韓間の海底ケーブルをこしらえるということについては、私どもから考えてもいささか腑に落ちない点もございます。  この点について、特に所管の郵政省としてこの関係をどう処置をして次の問題に移るべきかということについて御所見を承りたいと思います。
  173. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 旧ケーブルの問題でございますけれども、先ほど電電公社から説明いたしましたように、基本的には日本側が米軍から支払われたものを、要するに韓国に支払われるべきものも含めてお預かりしておるというところに問題があろうかと思います。  日本の政府としてこれをどのように理解しておるかということでございますが、新ケーブルの問題は、これは国際電電という一つの法人格を備えたものが取り扱うえきものでございます。と同時に、旧ケーブルというのは日本電信電話公社が持っておるものでございますので、日本側といたしましては、この間に相関関係はない、それはそれ、これはこれとして解決していきたいというふうに思っております。  また、ごく近い隣の国でございますので、向こう側にそのような理解がないのではないかという御心配でございますけれども、この辺のことにつきましては、よく説明をすれば十分納得してもらえることだと私どもは理解をいたしております。
  174. 野口幸一

    野口委員 私もそのことは望ましいことだと思いますが、ただ、私の耳に入っておりますのは、先ほども申しましたように、いわば日本のシステムといいますか、郵政省と電電公社とそれから国際電電の関係を十分理解していないような感じがいたしますので、その間の経緯についてはよく整理をされまして、新たに敷設しようとする日韓の海底ケーブルについてはぜひとも支障のないようにしておいてもらいたいということと同時に、この問題は早急に解決してもらう必要があると思います。問題点は非常に隔たりがあるということでございますけれども、早急に何らかの形でもってこの問題はけりをつけてもらいたい。昭和三十何年からいま五十三年ですから、ずいぶん長い間ほったらかしになっておるということになりますし、これはまたいろいろな問題で疑惑も生じるわけでありますから、ぜひとも整理をしていただくことを特にお願いを申し上げたいと存じます。  そこで、いま現在ございますOH回線の増強計画でございますけれども、特に日韓間は距離も近いという関係でありましてOH回線というものをお考えになった。ところが、今回海底同軸ケーブルをお敷きになろうとしておるわけであります。もちろん、同軸ケーブルは非常に精度の高いいい海底ケーブルでありますから、このことについてはとやかく申すわけではありませんけれども、OH回線をなぜ海底同軸ケーブルにかえるのか。OH回線を増設することをやめて海底ケーブルに切りかえる理由はどこら辺にあるのですか。受入回線の容量といいますか、それに限度があるからということでございましょうか。
  175. 福地二郎

    ○福地参考人 先生の御指摘のOH回線の増強問題についてでございますが、これにつきましては、約十年くらい前に初めて百二十チャンネルシステムから設置いたしまして、それで二百六十四チャンネルに増設し、さらに昨年三百八十四チャンネルというところまで増設をいたしたわけでございます。  それで、これをさらに増設することがいいかどうかというような問題につきましては、韓国の専門家とKDDの専門家との間にも専門家会議というものを春秋持っておりまして、その場で相当討議いたしました結果、いろいろな角度から、いまの三百八十四チャンネルまで増設したらこれ以上は増設しないで新しいケーブルを敷いた方がよかろうという結論になったわけでございます。  と申しますのは、ルートを多様化するということがやはり一つの問題でもあるわけでございますが、とにかく、この問題につきましては、双方の専門家技術的な立場、経済的な立場、業務的な立場から慎重に検討いたした結果でございます。
  176. 野口幸一

    野口委員 そうすると、経済的に見ましてもケーブル化をした方が将来に向かっていいという結論でございますか。
  177. 福地二郎

    ○福地参考人 専門家会議でそのような結論に至ったわけでございます。
  178. 野口幸一

    野口委員 そうすると、日韓間で現在のOH回線を併設してそのまま使っていくということには間違いはないんですね。
  179. 福地二郎

    ○福地参考人 仰せのとおり、ケーブルが完成いたしましても両方を併設運用して、どちらが悪くなってもサービスの中断をしないようにという方針で進めるということで韓国側と意見が一致しているわけでございます。
  180. 野口幸一

    野口委員 現在の日韓間の通信需要の変化と将来の見通しでありますけれども、先ほど申しましたように、八〇年ごろになれば現在のOH回線が満杯になってしまってどうにもならないということでありますけれども、実際八〇年で間に合いますか。その点はどうですか。
  181. 福地二郎

    ○福地参考人 現在日韓間には通信需要が非常に多うございます。具体的な例を申し上げますと、昭和五十二年度の統計を見ますと、電話が年間約二百九十万度、これは日本の対外通話の約二五%のウエートを占めております。そしてもちろん通信の量の多い相手としては第一位でございます。  それから、次に、テレックスでございますが、テレックスも最近非常に伸びておりまして、五十二年度では年間百五十万度、これも日本の対外テレックス通信の約七%のウエートを占めておりまして、わが方から見ますとこれは第四位になります。  それから、一方、電報でございますが、これは世界的に漸減の傾向にございますが、日韓間には約三十一万通くらいございます。しかし、これも国際電報中七%程度のウエートを持ち、数量の多い点ではやはり第四位ということで、総体といたしましては日韓間の通信が非常に多い。しかも、これらは私どもKDDと韓国逓信部の専門家が合同で慎重に予測した結果、将来は毎年一五ないし二〇%くらいずつ伸びていくであろうというような予測を持っております。  そういたしますと、現在のOH回線の使用は音声級回線にして二百七十回線ございますが、これが三百八十四回線の容量はあと二、三年で、一九八〇年または八一年の前半くらいまでにはいまのような伸びの予測から見ますと満杯になるであろう、こういうぐあいに予測いたしている次第でございます。
  182. 野口幸一

    野口委員 いまの予測をお聞きしますと、大体八一年の前半くらいまでということでありますが、この海底同軸ケーブルは敷設が開始をいたしまして工事という形になりますが、これをやりますと大体どのくらいで完成をするものですか。
  183. 福地二郎

    ○福地参考人 準備にかかりましてから約二年ないし三年くらいを見る必要があるだろうというぐあいに予想しております。
  184. 野口幸一

    野口委員 そうすると、いま増設になっておりますOH回線の三百八十四回線が満杯になっても海底ケーブルがまだ間に合わないという事態も想定されるのではないですか。
  185. 福地二郎

    ○福地参考人 いまの段階では、満杯になるまでにはできるだけ間に合わせるようにという双方の意図のもとに、早く完全合意に持っていって、早く準備に取りかかれるようにしたいという方向で協議を詰めているという段階でございます。
  186. 野口幸一

    野口委員 合意にならないという一つの難点といいますか、問題点といいますか、その一番大きなものは一体何ですか。
  187. 福地二郎

    ○福地参考人 特に合意にならない、支障になっているという問題はございません。  ただ、こういう新ケーブルを建設いたしますためには、建設保守協定というものをしっかりしたものをつくらなければいかぬ、そのためには双方の国内法との関連とかというような問題も十分検討しなくてはいけないということでいままで検討に時間をとっておるわけですが、しかし、KDDといたしましては、いろいろと過去に太平洋ケーブルの建設問題等経験がございますけれども、向こうの方では何しろ初めての問題でございますので若干時間をとるのはやむを得ないということで、所有権の持ち方だとか、その他建設保守協定の締結の中に込むべきものはどのようなものかとかというようなことについて、ありていに言えばレクチュアをしながらいろいろと協議を進めてきたというようなことでございます。しかし、相当に詰めを急いで進んでおるという段階にございます。
  188. 野口幸一

    野口委員 私の方に入っております情報等によりますと、特に資金的な面において日韓間の合意がなかなかできないということです。金の問題で引きずってきて、先ほど御質問申し上げました旧海底ケーブルの問題なども一体どうなっているのだという話が私のところに入ってきているわけなんでありますけれども、特に工事費の分担等についての難点が相当大きい問題として残っているのではありませんか。
  189. 福地二郎

    ○福地参考人 まず、第一点の問題で、その資金の点で、韓国側はその負担に相当問題があるのじゃなかろうかというような点も私ども実は初め若干心配しておりましたけれども、その点については韓国側とこれまで四回会議を詰めていく段階で、もうその心配はないということで韓国の代表は明言しております。  それから、次に、建設費の分担問題でございますが、ケーブルの建設費は、大別いたしまして、陸上局の建設費、すなわち陸揚局の土地建物とか電力設備の建設費用、それから海中設備の建設、すなわちケーブルとか中継器とか端局設備の建設費というようなものからなるわけでございますが、いままでの韓国側との話し合いでは、その陸揚局の建設費についてはそれぞれ当事国が分担する、したがって日本側の分についてはKDDがまるまる分担し、韓国側の陸揚局の分については韓国逓信部が分担する、あと海中設備の建設費については両者が折半で分担する、こういうことで協議を進めておるわけでございます。
  190. 野口幸一

    野口委員 もう一つだけお聞きいたしますが、ルートの関係は現在決まっておりますか。また、中継所の予定位置というのはわが国の部分についてはわかっておりますか。わかっておりましたらお聞かせください。
  191. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  まだ決まっておりません。大体山陰地方というようなことで調査検討を進めております。
  192. 野口幸一

    野口委員 私はこれで終わりますが、一つだけ最後にお願いをいたしておきます。  この日韓関係については、隣にありまして、近くてまた重要な両国間の問題が山積をしておるのでございます。したがいまして、このケーブル設備につきましても、特に明朗に話を十二分に詰めまして、後日に問題を残すことのないような形でもって敷設をされるように御要望申し上げておきたい。と同時に、先ほど申し上げました旧海底ケーブルの処置につきましても早急にお願いをいたしたいと存じます。  以上で終わります。
  193. 松本七郎

    松本委員長 鳥居一雄君。
  194. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 御苦労さまでございます。  わが国と海外諸国との間の関係性というものはますます深まる一方であります。国際電気通信の重要性の度合いもそれにつれて高まっているわけでありますが、特にまた海外への旅行者がどんどんふえている現状において国際通信というものを考えましたときに、従来のように特定の企業が国際通信を使い、あるいは特定の人々によって使われるというような時代ではなく、大変重要な役割りを持っているということを改めて認識せざるを得ない状況にあります。  こういう状況を背景にしまして、新聞紙上等でも、昨年来の円高ドル安によって国際電電の電話料金が、番号通話の場合には、同じ日米間で、米国からかければ九ドルで、一ドル二百三十円に計算するとざっと二千七十円、三分で二千七十円だが、これが日本からかければ三千二百四十円というのが日本発信のものである、つまり、日本発信が五割高というように、こういう大変厳しい国民指摘が実はあったわけです。  これは電話料金ばかりじゃありません。国際加入電信は基本料金三分で一分ずつ加算するという形でありますから、ボイスかあるいは文字を伝送するかという違いで、料金体系においては同じ。また専用線について考えてみると、これがまた大変高い。アメリカあるいはイギリスの料金の二倍を超える。こういう状況の中で郵政大臣の認可と、そしてこの四月一日からまた専用線の料金の改定というものがあったわけですが、国際電気通信料金というものが現状で果たして妥当であるのかどうなのか、国民が納得できるような説明が急がれるわけであります。私は実は引き下げる料金改定ができると考えるものですから、以下伺ってまいりたいと思います。  国際電気通信条約及びその付属業務規則によりますと、料金は計算料金と収納料金との二種類がある。そして計算料金は電気通信主管庁または通信業者相互間で決済に用いる料金としてあり、当事者の二国間で金フランをもって定めている。それから、収納料金の方はその主管庁なりあるいは業者が利用者から国内において徴収する料金、常識的な意味での料金であります。こういうふうに受けとめて間違いないと思うのですが、よろしいですね。それで、新聞等で問題になっている対米電話料金三千二百四十円は収納料金であって計算料金ではない。これでよろしいですね。
  195. 福地二郎

    ○福地参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。
  196. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 電話も電信も制度としては同じでありますから、まず国際電話を取り上げたいと思うのです。  国際電気通信条約の定める付属電話規則によりますと、第七条に収納料金は各国が国内法令により定めるものとなっております。すなわち、これは各国が各国の国内法によって、各国の電気通信政策によって定めるんだと受けとめてよろしいですね。
  197. 福地二郎

    ○福地参考人 条約の規定ではそのようになっております。
  198. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵政省、いかがですか。
  199. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 国際電電から御答弁申し上げましたとおりであります。
  200. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わが国では、公衆電気通信法の第六十八条第二項と第六十九条、これでよろしいですね。
  201. 福地二郎

    ○福地参考人 国際通信料金を定める場合にKDDが郵政大臣の御認可を得て決めるという規定ののことをおっしゃったと思いますから、そのとおりだと思います。
  202. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 公衆法の六十九条は金フランをもって定める料金について規定しているものでありますけれども、わが国の収納料金は金フランをもって定めているというのは間違いだと私は思うのです。  収納料金は各国の国内法令によって決めることになっているわけですから、わが国国内料金、つまり一般国民のための料金を金フランをもって決めることは明らかに間違いだと言ってよろしいですね。
  203. 福地二郎

    ○福地参考人 国際電気通信条約第三十条によりますと、国際電気通信料金の構成及び計算書の単位に用いるのは金フランとするということになっております。  なお、先生の御質問にはなかったのですけれども、先ほど国際電話規則の収納料金の関係について先生がお読みになりましたが、これは従来の一九七三年ジュネーブ規則以前の国際規則におきましては、金フランの価値相当を原則として収納するという規定がございました。なぜそれが変わったかと申しますと……
  204. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それはもういいです。  つまり、日本国内で収納する収納料金というのは金フラン建てじゃないということを確認したわけですけれども、それでよろしいですね。
  205. 福地二郎

    ○福地参考人 金フランで協定した計算料金をもとにして日本の収納料金を定めるということでございます。
  206. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、金フランをもとにして計算料金は決めるのでしょう。それは相手国との間の決済をするために必要な措置だからです。国内における電話利用者あるいはテレックス利用者から収納する料金については、金フランを基礎にして決めているんじゃないと私は言っているんです。これは国内法から言ってよろしいですね。
  207. 福地二郎

    ○福地参考人 金フランで協定しました計算料金をもとにして国内の収納料金を決める、こういうぐあいに解釈いたしますが、先生のおっしゃる点については、金フランはいずれにしてもどうしても現実通貨に直さなければいけませんので、したがいまして、日本の収納料金を出すためには、金フランからどのような尺度を用いて日本の邦貨に換算するかという、その尺度は第六十九条による金フランの邦貨換算割合を用いて日本の収納料金を算出する、こういう仕組であると思います。
  208. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 条約の付属電信規則及び電話規則の中の七条によると、収納料金については、「各主管庁は、関係国内法令に従い、その利用者から収納すべき料金を定める。」とあるのですね。これを受けて日本の公衆電気通信法におきまして、六十九条に換算割合について決まっており、それからその前の六十八条第二項に決まっているわけです。  問題は、この六十九条に、「会社は、その額が金フランの単位をもつて定められている国際電気通信役務の料金を、郵政大臣の認可を受けて定める換算の割合により本邦通貨の単位に換算しなければならない。」とあるのですが、しかし、収納料金について金フラン単位で決めるということはどこにもありません。つまり、甘木の国内において、日本の国の主権において収納料金というのは決められるものである。それから両国間、日米間でも結構ですし、あるいは日英間でも結構ですが、この決済における計算料金をどうするかということは、これは両国間で金フランをもとにして決めるのでしょう。そうじゃないんですか。どうですか。これでは話が進みません。
  209. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  210. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 さらに伺います。  公衆法その他国内法に、収納料金は計算料金と同額とするというような規定はありますか。
  211. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 そのような規定はございません。
  212. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 収納料金と計算料金をなるべく一致させようという意味の付属規則の中の条文はありますね。付属規則に、業者の間の仲間値段とそれから最終利用者に対する値段を一致させようという趣旨の規定があります。収納料金も金フラン建てにしろというのはどこにもないのです。六十九条の金フランをもって定める料金とは収納料金を金フランをもって定める規定ではないということをいま実は確認しました。  それで、これまでに日米間は二十七金フランということが決まっています。そして、それに対しまして一金フランは日本としては百二十円、米国側では〇・三三三三ドルということで決済の料金に使っているわけです。現状においてはそういうわけですね。そして、実は、それと収納料金とをごっちゃまぜにしてこの料金の引き下げができないんだという説明が横行しているわけですよ。三千二百四十円というのは単独に決められたものなんです。もともと根拠は計算料金に合わせようという配慮があったと思います。実勢においては、いまや一ドル二百三十円あるいは二百二十円という、変動相場制になって以来の円高ドル安という状況の中で、これは余りにも違い過ぎているというのが実は実態なわけですね。日本からかけますと三分間三千二百四十円で、アメリカからは九ドルで、そして三千二百四十円というのは三百六十円掛ける九という計算によって出てくるものですね。  ですから、いま確認をしたことによって、外国との関係で三千二百四十円というのはいじれないというのは違う。つまり、三千二百四十円というのは、日米間の基本通話料を二十七金フランとしたときに一金フラン百二十円と日本で決め、大蔵大臣の承認を得て郵政大臣が認可をし、アメリカ側もこれに対して九ドルという決め方をしたわけですから、これの変動はできるということになったわけです。  ところで、KDDが郵政大臣の認可をうけて官報に公告をします。このレートの一金フラン百二十円が変動する。そういうときに、これが公衆法によって規定されて、そして公告されているわけですけれども、これはどういうわけでこの表示が金フラン建てになっているのでしょうか。これは何か意図がありますか。国内利用者に対して対米料金は三千二百四十円になりますというふうに表示するに当たって、金フラン料金をなぜ表示しなければならないのですか。円高になって値段が安くなるはずだということに対して、この金フラン表示というのは一つのまやかしですか。
  213. 福地二郎

    ○福地参考人 国際電気電信の料金につきましては、第六十八条第二項によって金フランそのものについて認可を受け、第六十九条第一項によりましてそれを邦貨に直す。金フランの邦貨換算割合を幾らにするかということで認可を受けまして、それで収納料金の算出をすることになりますが、この件につきまして、先生の御指摘のように官報に公示するというのは、現在の公衆電気電信法の規定によりまして、第七十四条第二項と同法施行規則第五条によって官報に公示するという現在の法令になっておりますから、KDDが発足いたしまして、公衆電気通信法成立以来ずっとこれを官報に公示してまいった次第でございます。
  214. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、全く無意味な表示をずっと続けてやりてきたということですね。  計算料金に必要な金フランを今度は収納料金の場合に当てている。これはKDD公告としては、郵政からの指示ですか。それともKDDとして金フランを表示してきたわけですか。これはおかしいですよ。収納料金は全く金フランは関係ないです。
  215. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 公示をいたします場合に郵政省があれこれ申すことは別段ございませんけれども、七十四条の第二項で公示を義務づけられておりますのは換算の割合についてでございますので、当然金フランがもとにございませんと、割合が幾らということについてはちょっと意味がないというふうに存じます。
  216. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いや、そうじゃないでしょう。一金フラン百二十円というのはもう決定でしょう。それが決定されたまま今日に至っているわけですから、それで対地国との間の実際の基本料金が幾らかということを示すのが収納料金の公告なんです。KDDの公告なんです。ですから、金フランの表示は全く必要のないものが表示されたまま今日に至っているわけですよ。換算率を動かそうというときには、これは大蔵大臣の指示を受けて換算率を動かし、そして郵政大臣の認可で動かすという形になっている。これが六十九条です。  でも、この議論はいいです。この議論は一時間やっても二時間やってもどうしようもないですよ。  いま、一金フラン百二十円であるはずのものが百六十円があったり、百四十円があったり、七十円があったりしますが、一体何種類になっているのですか。電話に関してと、あわせて電報に関して……。
  217. 福地二郎

    ○福地参考人 金フランの邦貨換算割合は、あるサービスを設定し……(鳥居委員「いや、何種類かと聞いているんです」と呼ぶ)  その前に先生が一遍百二十円に決まったら、もうそれでずっとというお話ですから……。料金ごとに料金をある国と定めますと、金フランで計算料金を定めますと、それに関して邦貨換算割合幾らを適用して収納料金を出すかという、その金フランの邦貨換算割合というものをその都度郵政省に第六十九条の第一項によって申請する、そういう法律の仕組みになっております。  それから何種類あるかといいますと、現在、国際電話につきましては、百二十円のほかに特殊の例外措置として、特例といたしまして七十円と百円と百四十円と百六十円がございます。
  218. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そうすると、現状においては、一金フラン幾らという換算の物差しをいっぱい持っていて、相手によってどの物差しを引っ張ってくるかというかっこうになっているわけですね。こんな矛盾といいますか、まやかしといいますか、インチキはないんじゃないですか。  日本のいまの実勢から言って、力から言って、一金フランは百二十円ですと決めたものが、途中から百四十円の物差しをまた別に持ってきて、また百六十円の物差しを持ってきて——イギリスのいわゆるダイヤル自動化導入に伴ってイギリスでは料金の引き下げをやったが、その段階で日本では下がらずにそのまま通り過ぎたいという中から百四十円が生まれ、百六十円が生まれた。そうすると、本来百二十円という換算割合は廃止しなければ新しい換算割合というもにはできないんじゃないですか。何通りも持っちゃっていいんですか。
  219. 福地二郎

    ○福地参考人 いまの先生のお話を伺っておりますと、先生にはまことに失礼ですけれども、金フランの邦貨換算割合につきまして少し誤解があるやに存じます。  私どもは、公衆電気通信法の規定によりまして、ある国に対して、しかもサービスごとに料金を設定します。その料金ごとに金フランの換算割合という尺度を認可申請してやるというのがあの公衆電気通信法の趣旨であるということで従来解釈しております。  したがいまして、百四十円を適用するという場合に、従来ある百二十円をキャンセルするとかという問題とは関係がございません。ある特定対地、あるサービス料金ごとに金フランスの料金があり、それに伴って物差しとなる金フランの邦貨換算割合がある、こういうようなたてまえになっている次第でございます。
  220. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 要するに、対地国の事情によって換算割合をいろいろなものをつくって、この料金の決め方というのは国の政策上いかようにでもできるということの証明じゃないのですか。そうですね。大蔵大臣が納得し、郵政大臣が認可をしさえすれば、こちら側としては料金をいじることはできる。下げることも上げることも自由にできる。一金フラン百二十円であるはずのものが百六十円もあり、百四十円もあるのです。対地国のぐあいによって、理由はともあれこういう実態にあるということは、動かせるという証拠じゃないですか。  次に進みますが、そういうふうに何種類もあって、実際において動かすことができるというわけなんですから、いま向こうから九ドル、こちら側から三千二百四十円という、こういうアンバランスをどうしても解消しなければならない。これは、たとえば円高がまだエスカレートしてぐんぐん進んで、そんなことはないだろうと思いますけれども、仮に一ドル百五十円になったとかあるいは一ドル百円になったというようなことがあると、これはますます国際通信の格差は広がりますよ。ですから、そういう意味から言って、もとをただせば変動相場制になった四十六年までさかのぼらなければならないかもしれませんが、しかし、いまこれだけ世論の盛り上がった差益に対して還元をしなければならないという空気の中で、KDDとしてはその方向で検討していいんじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  221. 板野學

    ○板野参考人 為替相場というものと各国内の物価というものがかなり違うということは先生も御承知のとおりでございまして、アメリカの物価とたとえば理髪の料金とか卵とかなんとかという日本のものとか皆同じならそういうような発想法もあると私は思います。それからまた、国際電話というものが対米関係だけなら、それはそういうこともあるいはおのおのの物価関係を見て調整が可能だと思います。  私ども電話事業の全体から見ますと、アメリカの関係は全体の二三%しかございません。一番大きいのは韓国とか台湾とかで、いまの対米関係から言えば、これはまだ料金は半分の地域なんですね。そういう地帯に対しては、むしろ原価計算をしてみると赤字の体制でやっておるわけですね。韓国、台湾、香港等の近回りのところはアメリカに比べれば半分の料金なんです。そういうところ全体を含めまして電話業務を見ますと、私どもの方の収支率といいますか。百円の収入を得るためには、これは大ざっぱな原価計算でございますが、大体九十円ぐらいの支出をしておる。  そういたしますと、世界全体に対する電話事業ということになりますと、アメリカだけこれをやりますとほかの国はどうするかということになりますが、たとえばスイスとかドイツというのは日本よりもさらに千円ぐらい高いわけですね。だから、全体としてこれを見て、そしてKDDの電話事業なら電話事業、または電話事業を含めました全体の経営がどういうことになるかということもみまして私どもとしてはこれを考えていかなければならぬ、こういう事情でありますことをちょっと私から申し上げてみたいと思います。
  222. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そういう説明では国民は納得できないと思うのです。何よりもKDDの大変な高収益の実態の上から言って、少なくともその変動から生じてくるところの差益は利用者側に戻していこうという考え方に立たなければならないと私は思うのです。  その高収益ぶりにつきましては、大蔵省に提出しました有価証券報告書で明らかなとおりであります。五十二年三月末、第四十六期、これでは資本金百六十五億円に対しまして営業収入が九百五億円、税引き前利益が百九十二億円、税引き後で九十一億円の純利益を出しております。これを取引所一部上場のいわゆる百億円以上の大企業のざっと百六十六社と比べてみますと、売上高に対する純利益の割合は一〇%で、二位です。KDDよりも利益率が高いというのはT製薬会社です。また、純利益九十一億円は資本金の五五%に達する純利益で、これも大企業の中では全く異例のことだと思うのです。  KDDと性格を同じようにする公益事業のうち、ガス、電力、航空、私鉄の中で、私鉄関係大手八社の過去五年間の平均の数字がありますが、資本金純利益率でわずか一〇%、自己資本利益率で七%、それに比べますとKDDはとても比べものにならない大変な収益であります。NTTが国内で四苦八苦しているのに、KDDというのはどうしてこんなにもうかるのかなという素朴な疑問を持つのですが、従業員の皆さんがフル回転で働いているのか。まあそれもあるでしょうが、あるいはうんと安い原価のものをうんと高く売っているというのか。どういうわけでしょうかね。
  223. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 ただいま先生から、当社の資本の金利益率、売上高利益率等につきまして国内の類似産業との比較を申されましたが、確かに国内でこれを見ますとそういうことは言えるかと存じます。  ただし、私どもと同種の企業でございます外国の国際通信事業社と比べますと、私ども、総資本利益率におきましてもまた売上高の利益率においてもほぼ中位でございます。と申しますのは、各国とも一つの国の政策をもちまして、いわゆる通信国策といいますか、そういう点もございましてこういうような状況に相なっております。  私どもがこのようなケーブルを引き、あるいは衛星を上げ、その他あるいはデータ網を構成するという場合に諸外国に伍して遜色のないような動きをするためには、国内的に見れば先生のおっしゃるようなこともございましょうが、国際的にはやはりどうしてもこれは必要であると、そのように存念をいたしておるわけでございます。また、このような先生のおっしゃいます高い収益というものにつきましても、これから起こります円高に関連いたします貿易の停滞を考え、あるいはまた先ほど来お話が出ましたデータ通信がだんだん普及をしてくると私どもの収益の主力を占めますテレックスを相当食っていくという、非常に残念な見込みでございますが、そのような見込みがされておるわけでございます。そういうような現状でございます。  私どもはこれに対していろいろな手をもって収益の維持を図ろうとしておりますが、そういったような現状にあることをどうぞひとつ御理解をお願いしたいと存じます。
  224. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 将来の設備投資のためにということだと思うのです。しかし、そうであるならば、長期展望に立った資金計画あるいは事業計画というものを明確に持って、郵政省が納得するような形にならないものでしょうか。それは郵政省に出ていますか。
  225. 板野學

    ○板野参考人 私どもは、国際通信というものは相当長期にわたって長期間の計画のもとにこれを実施していかなければならぬと考えておりまして、すでに過去においてその年度の計画は郵政省に提出いたしましてその承認を受けるということでやっておりますが、その年度の計画を立てるにつきましては、最低五カ年くらいの先を見通しながらこれをやっておるということでございまして、一応のそういう数字、計算は持っておるわけでございます。しかし、御承知のように何分とも相手があることでございまして、たとえば先ほどの韓国の例でございますけれども、何年度に何ぼ金が要りますよと言っても相手方が応じない場合もたくさんございます。過去の東南アジアケーブルもそのとおりでございまして、なかなかその年度区分が合わないという点がありまして、その点は私ども苦心をいたしておる次第でございます。  また、この需要の予測にいたしましても、ただいまちょっと御説明を申し上げましたように、特に最近は需要の構造的変化というものが起こりまして、データ通信等によりまして既存の通信というものはそのようにだんだん移り変わっていく。たとえて申しますと、私ども昭和二十八年の発足当時は電報が全体の収入の約九〇%を占めておりましたが、今日ではそれはわずか五%なんです。これから五年後には三%になってくる。テレックスが全体の四〇%を占める、電話が四〇%を占める、ところがデータ通信が出てファクシミリ等が来ると、このテレックスが昔の電報と同じようにやはり一〇%になるとかということは予想しなければならぬ、また、そのように私どもも最新の技術サービスをやらなければならぬ、こういうことでございますので、この非常な変革期に当面しておりまする国際通信につきましては、しばらく様子を見ていただけたらいいのじゃないかと思います。  そうしますとデータ通信等は黙っておっても単位料金がだんだん下がってくる。相当大量な通信がデータ通信の中に流れてまいりますので必然的に下がってくる。たとえば電話でも、ISD、自動コールというものはいま六秒が百八円でございますから六秒刻みでやっています。これはいま全体の二〇%にも到達しておりませんが。やがてこれが六、七〇%ということになりますれば、相対的に料金がどんどん下がってくる。料金は低下する傾向にありますし、サービスはますますよくなる。こういうことのために私ども今後相当の資本も投下いたしましてやりますし、また、私どもの方の従事員も、先ほど先生がおっしゃいましたように一生懸命働きましてやっていきたい。  一つの例をとりますと、私どもは昭和二十八年の発足当時、収入が四十六億でございましたが、今日は約一千億、約二十倍になっておりますけれども、従事員の数は三千六百名から五千八百名に一・八倍にしかなっておりません。非常に合理化をいたしまして収益を上げ、しかも私どもはその収益というものを、資本を出された方には一割という見当でやり、それから従事員に対しても適正な給与をいたしまして、あとは挙げて新しい通信サービス建設のためにこれをつぎ込んでいく、こういうことになっておる次第でございますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  226. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど来鳥居先生の時宜に適した御意見を拝聴いたしておりまして、私の考え方を述べて一層の御理解を得たいと思います。  私は所管大臣として、料金を下げることは一番楽しい、やりがいのある仕事でございます。したがって、御指摘のとおりに資本金に対する収益率等いろいろ考えて、省内で関係局長以下を集めて料金を改定すべきではないかということでやっておりますが、私はあの当時通貨変動による差益ということにばかりこだわって、私自身もいろいろと論議をいたしました。ところが、去る四月二十一日、経済対策閣僚会議が持たれて、私もこの問題でいろいろと論議をいたしました。  ここでひとつ御了解願いたいのですが、法律行為並びに現実、アメリカ等との料金格差の問題算は先ほど来いろいろと御指摘になりましたから省略いたしますが、ただ、私の申し上げたいことは、この種の仕事は経済基盤の確立がまず第一であるということであります。と申しますのは、私の実家もささやかな貿易をやっておりますが、たとえばイタリアと交信する場合に、非常に故障の多いことを身をもって体験いたしております。そこで、少々の料金問題で——もちろんこれはゆるがせにはできませんが、それでいわゆる通話が十分でなかった場合に、利用者に対するサービスということについては果たしていかがなものか。また、その企業の利益を上げるための努力をしたのが、こういった機関の不整備のためにむしろ大きく損失を招く場合もあり得ると思います。  私は鳥居先生と同じように、何とか検討したいというわけでかなり勉強したつもりでありますが、御指摘のあったとおりに、最終的にはそういう事態を招かないように、またいろいろと激動する通信技術なども考えて、今後現在よりもすばらしい品質のサービス国民に提供し得るためには、やはり、長期展望に立って設備投資の見込みとか需要動向などを十二分に考えねばならないと私は思っておりますし、また、この企画と申しましょうか、一つのりっぱな計画がなければ企業は成り立たないと私は考えておりますので、先般来そういったことも十二分に検討すべきであるということでやっております。  いま社長から相手国との関係でという御意見がありましたが、私は、御指摘のとおりこれは十二分にその対話の場をつくって、双方がより良質の交信ができるような計画を立てるべきであるということで、早急にそういった面の計画の樹立を要請、指導いたしまして、重ねて総合的に勘案いたしまして、国際電電料金をどのような体系にするかということを前向きに真剣に検討している段階であるということを御理解いただくならば大変幸せと存ずる次第でございます。
  227. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そして、その引き下げの改定が絶対に必要だということを申し上げたいと思うのです。  この報告書の二十九ページを見ますと、「一時所有の有価証券」というのがばっと出ています。小計を見ますと百六十六億です。短期にこうした有価証券を持つというのはいわゆる現先市場なんですね。銀行等の融資を受けますと有価証券を持ちます。それを証券会社を通じて売りたい。だぶついている企業とどうしても運転資金が欲しい企業とで、短期で売り戻す条件つきで一時期それをやる。一般企業だったらこの現先という問題も結構な話だと私は思うのです。しかし、特殊法人という立場のKDDが百六十六億という資本金を上回る短期の有価証券をお持ちになるということは、これはちょっと異常じゃないでしょうか。これを見ても私はそれを痛感するのです。  では、実際に計算をしてみます。この有価証券報告書をごらんいただきたいと思うのですが、二十六ページに「営業収益」が九百五億五千八百八万二千円とございます。これは専門的な表現は別としまして、国内における総売上高に各国別決済の結果受け入れとなる額を加え、また支払いとなる額を控除したもの、これが九百五億と見ていいですね。鶴岡さん、それでよろしいですね。そのうち国内総売上高と外国から受け入れる額の合計は三十五ページにありますが、「(ロ)売掛金」として、「当期発生高」が一千四十五億四千三百八十七万八千円であります。そして、その項の「国際通信受入金」の「当期発生高」が五十九億八千万何ぼと見ていいわけですね。各国に支払う金額は報告書に記載されていません。しかし、「営業収益」の九百五億余と、それからただいまの一千四十五億余との差額が百三十九億八千何ぼですから、ざっと百四十億で、これがこの期間中の国際通信支払金発生高になると受けとめても、基本的に間違いはありませんね。
  228. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 いま先生から御指摘の点は二点あったと存じますが、まず、第一点の百六十六億のいわゆる資金残と申しますか、そういうものがあるという点でございますが、これにつきましては実は先般御質問いただいたわけでございますが、銀行からの借り入れをいたしまして、その残が三十七億現在ございます。そしてまた国内の社債を三十億出しておりますから、合わせて六十七億が借入金という形で、それを引きました百億がいわゆる真の残ということでございます。  それから、第二点でございますが、この四十六期の報告書にございますように、ここに「売掛金」と「買掛金」が両方ともいわゆるドルの形で「注」に出ておるわけでございます。しかし、「売掛金」と「買掛金」の差額に一定の率を掛けて、そのまま差益になるわけではございませんで……
  229. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 そんなことを私は言っていないですよ。これをごらんいただきたいと思うのですが、私が指摘した九百五億というのは「営業収益」として二十六ページに出ています。どうぞごらんください。それから一千四十五億というのは「当期発生高」の「売掛金」ですが、内容を申しますと、国内の「得意先」から九百八十三億、「公社受入金」が二億、それから「国際通信受入金」が五十九億余です。ですから、合わせた一千四十五億は営業収入であります。それと「営業収益」が九百五億ですから、対外支払いをしなければならない分があるわけです。それがその差である百四十億で、これはもちろん海外からの受取分が五十九億ですから、その差をとりますと八十億というのが実際に海外に支払わなければならない分です。こういうことが言えますね。見てください。二十六ページです。  それから三十五ページの「国際通信受入金」で支払金を決済いたします。これは計算料金によって決済、それで外貨建て、それで二十五ページの上半の方を見てみますと、これはこの期の期末における債権債務の様子なんですけれども、ほとんどドル建て、しかもフランスフラン、ポンドその他はもうけた違いに小さい数字ですから、対外支払いというのはほとんど米ドルによってなされているなという推定をいたしました。  それで、御説明のとおり、収支の均衡がとれていればここに差益というのはないわけです。しかし、いま八十億五千九百二十五万三千円の支払い超です。四十六期中の平均円ドル相場、日銀発表の数字、これは中心相場の分をとりますと二百九十一円五十八銭程度ですから、この八十億五千九百万円余は、これをもって二百九十一円五十八銭のドルを買い、決済に充てるという形になるわけですから、おおむね二千七百六十四万ドルです。それからこのほかにKDDの費用として衛星回線のために必要な衛星回線料、それから海底ケーブル料、これを合わせますと正味三百五十万ドルを支払っているわけですね。衛星回線の場合には払戻金があります。相殺した上で三百五十万ドルです。ですから、四十六期合計では三千百十七万ドル程度が外貨建てで支払い超になっている。これは四十六期です。  四十七期についてのドルの受け払いについては明らかになっておりませんので推定いたしますが、伸び率として二〇%程度と見て間違いないと思うのです。四十七期でそれをもとにしますと三千七百四十万ドル程度の支払い超ということになるわけです。昔ならこれは三百六十円でドルを買い、支払いに充てた立場だったと思うのです。ところが、四十七期の平均相場はおおむね二百五十五円と見られるわけですから、一ドルにつき百五円の差益があります。つまり、総額で三十九億二千七百万円差益が出てきているわけです。つまり、支払わなければならなかった分が円高ドル安によってKDDの中に消えてなくなっているわけです。それだけ分少なく支払って四十七期を閉じることができたということです。これはKDDの努力でそうなったわけではありません。円高というのは国民の努力であり、当然還元しなければならないものだと私は思うのです。  しかも、この金額の三十九億二千七百万というのは大変な利益です。普通の企業であれば一年分の利益です。そういうものが実はここにあるのですね。四十六期で税引き前で百九十二億円、また四十七期では半期で税引き前で百七億円、ますますの増益です。ですから、認可料金による独占企業であり、大変な過保護なくらいの保護を受けているわけですから、利益の一応の基準というものは絶対に郵政当局で持つべきだと私は思うのです。NTTの場合には、諮問委員会の答申では五%から七%という数字が出ております。真ん中をとって六%に仮にした場合にどんな計算ができるか。いまその四倍の利益が上がっているわけです。  ですから、そういう意味で、料金改定に当たって、ともかく三千二百四十円という、これは三百六十円建てでこうしてきた、これを今回改定するんだ、その方向で検討するんだ、こういう基本的な立場でおやりになって当然じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  230. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 先生からただいま御設例をいただいたわけでございますが、五十一年度は御説のように国際通信料金はほとんどが米ドルで受け、あるいは払うということも事実でございまして、払いが三千六百三十二万二千ドル、受けが、これは料金だけでございますが一千三十六万六千ドル、差が二千五百九十五万六千ドルというようなことでございます。  ただし、ここで私どもぜひとも御理解をお願いしなければならないのは、国際通信の料金の決済と申しますのは、お互い双方の国がございまして、片方から発信をする、着信があるということで、その発着信は大体同じでございます。それで、原則としてはそこで相殺される、したがって決済も要らない、だから差損も差益も出ない、こういうのがたてまえでございます。しかし、現実にはなかなかそういかない場合もございまして、現時点では私どもはただいま申し上げました数字が払い超でございます。支払いの方が多いわけでございます。  しかし、この書類ではこんなふうに固めてございますが、毎月毎月その発信料と着信料の差額を双方の国で決めるわけでございます。そしてその際に、たとえばそのときのレートが一ドル二百四十円であるとすれば、それでいわば払いの方の債務が決まる。そして実際に支払いをしますのはそれから大体六カ月ぐらいおくれます。もっと早い場合もございますが、そのとき二百二十円であれば、その二十円が差益になるわけでございます。逆になれば差損になる。そういうような細かい手続を経まして、これが大蔵省の方で示した為替差益を算出する基準でございます。そういうようなことで差損、差益という問題が出てまいりまして、それによりまして五十一年度会計経理上にあらわれた差益が一億七千万でございます。  しかし、もう一つの見方は、これがただいまの先生の御指摘のことだと思いますが、この前経済企画庁で経済閣僚懇談会がありまして、そこで出したもう一つの方法がございます。これは御説明するまでもないことでございますが、そういう意味のいわば少なく払って済んだというのが五十二年度で七億という計算を経企庁でもしておるわけでございます。  そういう二種類の意味の差益がございます。
  231. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、KDDさんがここに示しているこの差益というのは、期末において支払わなければならない請求書を受け取って、それを支払い日に計算してみたら実はこう出てきた。これはいわゆる経理担当の方が記帳上計算したというだけでありまして、私たちが問題にしている差益というのは、一ドル三百六十円建てで実際には二百三十円なりという相場じゃないか、どうしてそっちに目を向けないのかという指摘ですから、ひとつ謙虚に受けとめてください。
  232. 鶴岡寛

    ○鶴岡参考人 これは非常に複雑な申し上げ方になって申しわけございませんが、その経済企画庁の方式での、いわばわれわれが少なく払って済んだという意味の利益、これは先生がいま御指摘のものだと思いますが、これも三百六十円が基礎になるわけではございません。三百六十円はあくまでもドルが強かった時代のものでございます。その後ドルが弱くなりまして、そのためにわれわれはその弱いドルを払うためには、これはさっきから話が出たのですが、金フランをドルに換算する際にドルが弱くなったためによけいのドルを払わなければ、同一の金フラン、すなわち金の純分量を維持することができなくなったわけでございます。三百六十円の古いレートから今度は現実には二割ばかりドルが安くなったわけでございますが、その時点でわれわれが払うとわれわれは損になります。  それで、ドルを二割よけい払うのに損をしない円のドル換算率は幾らかというと、これは二百九十八円でございます。それで、二百九十八円というものと現在の為替レートの差が先生のおっしゃいます差になるし、また、経済企画庁では五十一年度を基準にしまして、数字がこれとほとんど同じの二百九十二円でございまして、わずか六円の差でございます。そういうことで五十二年度は七億、五十三年度は十一億から十億、いわば少なく払って得をした、そういう利益をこの場合計上したわけでございます。  以上のようなことでございます。
  233. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣、いまざっと三十九億という差益を指摘しましたが、三百六十円建てでお客さんから取りているわけですからね。三百六十円掛ける九ドル、三千二百四十円を日本では払うわけです。これが三分間の基本料金ですね。アメリカからは九ドルということです。つまり、完全に差があるわけです。開きがあるわけです。  それはさわらないという立場で言えばいろいろ言えるだろうと思うのですが、しかし、実際にかける立場から言えばアメリカからかけてもらった方がよっぽどいいという形になっちゃって、企業によっては向こう側にコレクトコールさせるというようなことも巷間いろいろ聞いています。これはもう改めるべきだと私は思うのですが、政治家としていかがでしょうか。
  234. 服部安司

    服部国務大臣 私はいろいろと意見を聞いていてある程度の腹を決めたわけですが、もう少し社長理解を深めたいということを私に申しておりますので、ちょっと聞いてやってください。その後を受けて私が答弁します。
  235. 板野學

    ○板野参考人 いま私どもの方からもるる御説明申し上げた次第でございますが、私どもの企業全体のバランスシートを見たらここで九十億の利益というのは大きいではないかというお話でございますが、そういうお話につきましては、私どもの総資本利益率というものは——これは企業の健全性とかいろいろなものをあらわしますが、私どもの総資本は千五百億ですから、九十億を見ますと、やはり六・七、八%が大体総資本利益率になっております。このことにつきましては、先般、TTNの利益率をどういうぐあいに見たらいいかということで、大体六%ないし六・五%、大体私どもに合っておる、こういうわけでございます。  しかし、九十数億というのは非常に大きな利益じゃないかということは、全体として一つあるいはお考えになるかもしれません。そういうことを前提といたしまして、一ドル三百六十円が現在では二百二十円ではないかということは、これは決済料金ではそうでございますけれども、私ども、収納料金を全体として円経済で電話事業をやっておりますと、その収益率というものはわずか一〇%です。ただいま電話では私どもが百円収納するのに九十円使っておりますよということです。  これは一国だけ、対米関係だけなら改めるということができますけれども、対米関係は安くしたのにドイツとかフランスとかほかの関係はどうなるかということになります。特に韓国あるいは台湾、香港あたりは料金が対米関係の約半分でございますから、これは赤字路線ですが、これをどういうぐあいに調整するかということになりまして、私どもの電話事業の適正な利潤を得るためにはどうしたらいいかということを総体的、全体的に考える必要があるということでございます。  私ども、この点につきましては先生のお説を拝聴いたしまして、これからも十分考えていきたいということを申し上げる次第でございます。
  236. 服部安司

    服部国務大臣 いろいろと御意見を拝聴いたしまして、私は、先ほども申し上げたとおり、今後の設備投資並びに需要の動向などを真剣に検討いたしまして、御趣旨を十二分に生かすために必死の努力を払いたい、いまここでこのような結果を求めるということはちょっと無理ですのでしばらく検討する時間を与えてもらいたい、かように存ずる次第であります。
  237. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 以上で終わりたいと思います。  大変ありがとうございました。
  238. 松本七郎

    松本委員長 これにて、国際電信電話株式会社に対する質疑は終わりました。  参考人各位には長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。      ————◇—————
  239. 松本七郎

    松本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会昭和五十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について、明十一日、日本民間放送連盟専務理事杉山一男君及び同審議室室長川端源也君の両君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  240. 松本七郎

    松本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明十一日木曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会      ————◇—————