○板野
参考人 当
委員会の
委員長並びに
委員の諸
先生方におかれましては、平素から国際電気
通信事業に対しまして格別の御
理解と御支援を賜り、また、本日は当社の
事業概況につきましてご報告申し上げる機会をお与えいただきましてまことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
さて、当社は本年四月一日に創業二十五周年を迎えました。顧みますと、
昭和二十七年第十三回
国会におきまして当
委員会を中心に
審議の結果
国際電信電話株式会社法が制定され、所要の設立準備手続を経まして、
昭和二十八年三月二十四日当社が設立され、同年四月一日から営業を開始いたしました。
以来二十五年、当社は、国際通信
サービスを一日も早く欧米先進国の水準に引き上げることを目標に、役職員一回目夜懸命な努力を重ねてまいりました。その結果、この間の
日本経済の驚くべき発展と電気通信
技術の飛躍的発達、さらには、当
委員会委員の諸
先生方及び政府御当局の適切なる御指導と国際通信を利用される
方々を初めとする
国民各位の御支援を得まして、国際通信施設も逐次拡充整備され、
昭和三十九年には
わが国初の長距離
電話型ケーブルである太平洋横断ケーブルが開通し、続いて
昭和四十二年にインテルサット太平洋衛星を介して衛星通信が始まり、本格的な広帯域通信の時代を迎えました。今日ではこれらの良質かつ豊富な回線を用い、また、電子化された最新の設備によりまして電報、
電話、加入電信を初め、データ通信、海事衛星通信、
画像通信、テレビジョン伝送等多彩な
サービスを提供しております。
しかしながら、近年コンピューターの普及と利用
技術の
向上に伴い、ようやく国際通信の分野においてもデータ通信が本格化してまいりました。このことは記録通信が本流をなしてきた国際通信にとりましてきわめて大きな影響をもたらすものと予想され、いまや国際通信は新しい第二の変革期を迎えようとしております。
当社は創業二十五周年を機にいま一度創業の精神に立ち返り、なお一層たゆまざる研究と真摯な
企業努力を重ね、
国民の皆様方にさらに御満足いただける
サービスを提供してまいる所存でございます。
最初に、昨年度の
事業概況について御報告申し上げます。
まず、設備
計画の実施状況でございますが、昨年度はいわゆる公共投資促進策に当社も協力することとし、積極的に設備投資を行ってまいりました。
すなわち、沖繩−ルソン−香港ケーブルの建設と開通、
電話及び加入電信用電子交換設備、電報準自動受付システムオートメックス設備、日韓間対流圏散乱波システム、大阪国際
電話局交換設備等の新増設を行ったほか、職員の能力
開発と資質
向上を図るため国際電気通信学園の建設に着手いたしました。
以上のほか、
昭和五十二年度の当社の
事業計画に掲上いたしました諸設備の拡充整備
計画はおおむね順調に実施できましたことを御報告申し上げます。
続いて、昨年度の営業概況でございますが、まず、取扱
業務量につきましては、折からの不況に加えて昨年末からの円高問題等によりまして貿易関連産業にも影響が出るものと予想し、需要の動向に注目しておりましたが、
計画を若干下回りましたもののおおむね順調な結果となりました。いまだ確定数ではございませんが、主要業種別に取扱量を申し上げますと、国際電報四百四十七万通、国際加入電信二千三百四十万度、国際
電話一千二百三万度で、前年度と比較しますと、電報は一〇・五%の
減少、加入電信、
電話はそれぞれ一八・七%、一七・七%の
増加となっております。
次に、経理の状況についてでございますが、
昭和五十二年度の決算状況につきましてはいまだ確定的なことを申し上げられる段階にはございません。したがいまして内定額を御報告いたしますと、営業収益一千七十一億円、
営業費用八百九十一億円で、これらに営業外収益、営業外費用及び特別
損益を加減した利益は九十二億円となっており、おおむね順調な結果であったと
考えております。
資産の状況につきましては、
昭和五十二年度末現在におきまして、
資産総額一千五百八十億円、そのうち
流動資産は五百四億円、
固定資産は一千七十六億円となっております。一方、
負債総額は六百八十五億円で、そのうち
流動負債は四百十一億円、
固定負債及び引当金は二百七十四億円となり、したがいまして、差し引き純
資産額は八百九十五億円となっております。
以上で
昭和五十二年度
事業概況の報告を終わり、続いて
昭和五十三年度の
事業計画の概要を御
説明いたします。
昭和五十三年度の国際通信需要は、
わが国の政治、経済、
文化等諸分野における国際化、情報化の急速な進展にもかかわらず、不安定な景気情勢とデータ通信、
画像通信等の拡大に伴う需要構造の変化により予断を許さないものがあると
考えております。したがいまして、
昭和五十三年度は、需要の動向を慎重に見きわめつつ、必要な設備投資につきましては積極的に実施してまいる所存でございます。
まず、設備
計画でございますが、衛星通信施設関係では、山口、茨城両衛星通信所に、衛星通信容量の効率的利用を図るためのSCPCと呼ばれる新しい通信方式用の設備を設置するほか、山口衛星通信所にインド洋向け海事衛星通信地球局設備を建設することとしております。これによりまして、
わが国から西は地中海までの海域を航行する船舶がすべてこの施設を経由して
世界各国と通信を行うことが可能となります。さらに、今般、当社はインテルサットから衛星の追跡、管制試験
業務を受託する運びとなりました。このことはこれまで培ってきた当社の衛星通信
技術が国際的にも高く評価された結果でありまして、この
期待に沿うべく万全の準備を行ってまいりたいと
考えております。
海底ケーブル施設につきましては、フィリピン−シンガポール間ケーブル
計画に参加するほか、目下交渉を進めております日韓間ケーブル
計画の早期実現を図りたいと
考えております。
次に、中央局設備でございますが、電信関係では、需要の動向に合わせまして、加入
電話の電子交換設備を逐次増設するほか、電信託送による電報準自動受付システムを設置し、電報
サービスの
向上と運用、保守
業務の効率化を図ることとしております。
電話関係につきましては、昨年度に引き続き電子交換設備を増設いたす
計画でございます。また、
昭和四十八年に開始いたしましたISD通話、すなわち国際ダイヤル通話は、その便利さによりまして近年予想以上の御利用をいただいておりますので、本年度もさらに利用可能
地域の拡大に努めるとともに、関係施設の拡充整備を行う予定であります。
国際データ通信関係といたしましては、増大し多様化する需要に総合的に対処するため、当社はかねてよりVENUS
計画という国際公衆データ通信
計画を策定準備中でございましたが、本年度は、まず、国際間の情報処理検索
サービスのための国際のコンピューター・アクセス・
サービスを開始し、その一部を実現する
計画でございます。
さらに、増大する
画像通信需要につきましては、当社で
開発いたしました高速度デジタル・ファクシミリ通信設備を用いて、本年三月から国際ファクシミリ電報
サービスを米国との間に提供しておりますが、本年度はこの
サービスの拡張を図りたいと
考えております。
非常障害対策関係では、東京地区の罹災に備え、大阪国際
電話局の
電話交換設備を増設するほか、大阪地区に加入電信用電子交換設備を導入する
計画でございます。
また、本年度は六月に、国際電気通信連合の常設機関であります国際無線通信諮問
委員会、CCIRの第十四回総会が京都で開催されるほか、インテルサット関係会合等の
日本での開催が予定されており、当社はこれらの会合に積極的に協力いたすこととしております。
新
技術の研究・
開発につきましては、光海底ケーブル方式、
画像通信方式、データ交換方式、新海底同軸ケーブル方式、各種端末装置等の
研究開発を行い、
サービスの
向上と運用・保守
業務の効率化を図ってまいる所存でございます。
また、国際協力活動の一環として海外研修生の受け入れ体制を充実し、あわせて職員の福祉
向上を図るため新宿分室の跡地に新宿会館(仮称)を建設するとともに、昨年度に引き続き国際電気通信学園の建設を実施する
計画でございます。
以上の設備投資
計画に対しまして、総額二百五十三億円を予定しております。
さらに、対外回線の拡充
計画でございますが、本年度は加入電信回線百四十九回線、
電話回線二百十一回線を初め、電報回線、専用回線等四百四十二回線のほか、テレビジョン伝送対地六対地の新増設を
計画しておりまして、
昭和五十三年度末の総回線数は三千五百三十七回線となる見込みでございます。
昭和五十三年度の収支でございますが、主要
業務の需要量を国際電報三百九十三万通、国際加入電信二千七百五十一万度、国際
電話千三百四十九万度と予測しまして、この予測のもとに、
収入については約千二百五十三億円、支出については、経費の節減と資金の効率的使用に努めることとし、約千百五十九億円を予定いたしました。
以上、簡単でございますが、
事業概況の御報告といたします。
最後に、当社は創業二十五周年を迎えるに当たり、先人の功に恥じぬよう
国民の皆様から負託された会社使命の達成に渾身の努力を傾注すべく、役職員一同覚悟を新たにしております。
何とぞ今後とも一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。