運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-04-19 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十九日(水曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 田中 昭二君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    長谷川四郎君       堀之内久男君    阿部未喜男君       島本 虎三君    野口 幸一君       古川 喜一君    鳥居 一雄君       青山  丘君    東中 光雄君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省人事局長 守住 有信君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第一課長   森  卓也君         大蔵省銀行局総         務課長     石川  周君         大蔵省銀行局特         別金融課長   藤田 恒郎君         文部省大学局学         生課長     石井 久夫君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         国民金融公庫理         事       村瀬 光夫君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     藤原ひろ子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出  第六一号)      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  郵便貯金法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渕恵三君。
  3. 小渕恵三

    小渕委員 ただいま提案されております郵便貯金法の一部改正案につきまして、法案並びに関連いたしまして郵貯の問題につきまして若干お尋ねいたしたいと思います。  まず、最初に二点ばかりお伺いしたいのでありますが、昨日郵政審議会が開かれたようでございまして、三月三十日に改定の諮問をいたしておりましたことに関連して、昨日、郵政省としての利幅の具体的な改定幅について審議、検討し、答申が出たようでございますが、どのようなことになりましたか、御説明いただきたいと思います。
  4. 服部安司

    服部国務大臣 御承知のとおり、公定歩合引き下げによって一般金融機関金利連動引き下げが十七日から実施されたことは御案内のとおりであります。ちょうど公定歩合金利引き下げに際し、大蔵大臣から日銀政策委員会に発議されて、あわせて私にも協調の御要望がございました。  現下のきわめて厳しい経済情勢下にあって、この経済不況を乗り切るための国の最後の手段と言われるほどこれは大きく取り上げられたことでもあり、また一般市中銀行が連動して利下げを始めた。しかし、私は、このささやかな金利を目的とする零細な庶民大衆貯金者の利益を何とかして守るために苦慮し続けてまいったのでございますが、いろいろと一般状態を静かに見てまいりましたところ、一般金融機関も逆ざやという現象が起きて大変厳しい経営にさらされている。これはこれなりの立場でありますが、私は、大きく国の財政金融並びに雇用関係等といろいろと考えあわせて、涙をのんで郵政審議会に四度目にわが省の案を出さざるを得ないことに相なりまして、苦しい中を、先ほど来申し上げている理由によってお諮りいたしましたところ、昨日夜九時半ごろ答申を得たわけでございます。  私は、せめてこういった金利引き下げに伴う何かの目減りを阻止したいといろいろ今日まで考えてきたわけでありますが、これといった名案も浮かびません。そこで、先般来ちょっと申し上げておりました退職時における退職金金利課税を千五百万円まで外してもらいたいという要請も加えておいたわけでありますが、これも検討課題一つに取り上げられて答申をいただいたわけでございます。  何を申しましても、庶民大衆貯金を預かる者の立場としては非常に苦しい事情でありますが、先ほど来申し上げている事情を御理解いただくならばこの上もない幸せと存じます。一たん答申を受けた以上は、四回も日夜御苦労いただいたわけでありますから、この答申の趣旨を十二分に生かすべく今後努力を続けてまいりたいと、私はかように考えている次第であります。
  5. 小渕恵三

    小渕委員 答申がなされまして、それを実施しなかったということは過去にないわけです。問題は、大臣に対する答申でございますから、これはいつ実行するかというような問題もあるだろうと思うのですが、その時期について、可及的に遅く行うという御意思があるのかどうか、その点をお伺いしたい。  それから、いま御指摘のように、答申の中身につきましては、退職金等非課税の問題が出ておるようでございますが、そのお考えが発表されまして以降、率直に申し上げて新聞論調その他は非常に厳しいものがあるような気がします。したがいまして、かつてのゆうゆうローンあるいはまた今日議題になっておる教育ローンなどに比べまして、特に税制に絡む問題だけに、これを法案として向後提出するということには非常に厳しいことも予想されるわけでございますが、その点につきまして、答申が出たわけですから、大臣はそれに対してどういうお考えで進まれるかということを改めてお伺いしたい。  時期の問題とその点について二点お伺いしたいと思います。
  6. 服部安司

    服部国務大臣 答申を受けたことを私はゆうべいろいろと検討いたしましたが、もちろんこのことは内閣に報告せねばなりません。この金利の問題は御承知のとおり政令で決められるわけでありますから、もちろん閣議決定事項でありまして、閣議決定のためには閣議で決定される場合と持ち回り閣議という制度がありまして、どのような方法をとられるか、これは内閣の方の考え方だと思いますが、私に連絡があることはもちろん当然であります。したがって、いま内閣で、金曜日の閣議まで待つのか持ち回り閣議で決めるのか検討されていることと思いますが、常識的に言って、閣議決定官報告示があるわけですから、答申をいただいて内閣に報告し、受けて立って大体一週間が今日までの過去のめどだと私は理解いたしておりますので、大体三十四、五日ごろになるのではなかろうかと考えております。  それから、この答半の中で私がお願いいたしましたいわゆる退職金の利子無課税の件でありますが、これは私はこれから広く精力的に各党の方々にも理解を得る努力をしなければならないし、また、部会、当委員会を通じても御理解を得る努力をしたいと思っております。非課税になりますと当然税収の点もありますが、これは本年度退職していく人だけが対象になるわけですからかなり期間に幅があるという利点と、いま一つは、私がこういうことを言ってはどうかと思うのですが、長きにわたっておのおのの職域を通じて国家社会に多大な貢献のあった方々、これは私も含めて皆様方ですが、これは俸給を受けておるときにはきちっと税金を納めてずいぶん国家協力をされた。こういった立場で、しかもかなり年齢をとられて、これからその退職金によって、生活のすべてとは申されませんがほとんどを支えようという、言うならば弱者の方——強い人も中には一部ありますけれども、ほとんどの方は年齢的にも弱い立場に追いやられた方々で、こういった方々ももちろん努力しなければなりませんが、当然国が理解してくれるべきもの、私はかように考えているわけです。  そういう観点から、国に一時的な大きな税収不足を生じない利点と、また長きにわたっておのおの職域を通じて国家社会貢献のあったことに対する報いと、また生活の糧にされているということ、そういう点を私は大きく取り上げてこういうことをお願いしているわけでございまして、この制度が実現するように先生方の一層の今後の御協力をお願い申し上げておきたいと存じます。
  7. 小渕恵三

    小渕委員 ちょっと前置きが長くなって恐縮ですが、郵政審はせっかくの答申をされたわけでございまして、大変御苦労をいただいていることかと思いますが、大臣は三月の半ばごろ郵政審委員を少し入れかえようというようなお話をされたような記事を覚えておるのです。  いま郵政審がやっと答申が終わった時点で御質問を申し上げるのはちょっといかがかと思うのですが、この問題につきまして、向後の審議会あり方等もあるかと思いますので、お答えできましたらその点をお伺いしておきたい。
  8. 服部安司

    服部国務大臣 小渕先生も御承知のとおり、郵政審議会はかなり幅広い審議をやっていただく機関でありまして、当委員会からも、また一般の声としてもかなり厳しい批判もあるわけであります。私はこの批判を謙虚に受けとめてきたつもりでありますが、いわゆる行政官庁の幹部が自動的に入るという制度にぼくはいささか抵抗を感じていたことは事実であります。しかし、それもすべてがいけないというのではございません。専門的知識を有する方々、いわゆるこの審議会に存在していただかねばならない事情のある方々は特別でありますが、なるべくこういった批判を避ける意味においても、かなり多岐にわたって重要な問題を御審議いただくわが郵政省にとっても一番大事な機関でありますので、広く人材を求めていろいろな角度から意見を聞いて郵政省業務運営に資することが最も妥当であると考えておりました。そこへ行政改革ということが大きく取り上げられましたので、私は、この機会にひとつすっきりしたものに仕上げたい。  長年御苦労いただいたわけでありますが、そういった行政機関方々がその立場になると自動的に委員に委嘱されるという制度について私は再検討したい。だれがいいとかかれがいいとか言うのじゃございません。そういう立場から、適当な時期に、いわゆる閣議でも決定されておりますとおりに、行政改革に伴うまず委員会制度あり方という点から近く実行に移したい。先般の委員会でもなぜこの審議会の前にやらなかったかという御意見もございましたが、これもちょっと極端過ぎると思って、今回のこの審議会をまずやっていただいて、行政改革めどのときにやりたい、かように考えております。現在においてもその考え方には変わりはございません。
  9. 小渕恵三

    小渕委員 本題に入りたいと思いますが、改正一つの点はいわゆる教育ローンの問題だろうと思うのですが、この考え方をまとめて法案に出します間において、文部大臣から何か一曹郵政大臣にございましたか。
  10. 服部安司

    服部国務大臣 文部大臣就任後初めての郷土入りのときに、神戸市内の某ホテルで記者会見をされて、進学ローンより育英資金整備拡充を図るべきだという発言がございました。私は早速その次の閣議で、いささかあなたは見当違いじゃないかという点の話をいたしましたところ、あれはおれの本意ではなかった、ちょっとした何とかのミスでああいうふうに報道されたが、私はそのようなことを考えておらない、むしろ進学ローンに私は全面的に協力し、推進に努力したいということで、大体こういつたこと以外には進学ローンに関しては文部大臣の御意見がなかったように考えております。これだけは確かでございました。
  11. 小渕恵三

    小渕委員 文部省に伺いますが、このような教育ローン制度というものについて、郵政省でもこれを行う、これから大蔵省でも国民金融公庫貸し出しをやる、あるいは労働省でも考えておる、さらに一般市中銀行その他でもこういった問題を非常に取り上げてきておるということですが、その発端になったのは郵政省のいわゆる小宮山構想じゃなかったかという気がするのです。  いまや進学ローン花盛りという感じがするのだけれども文部省各種学生たちに対する貸付制度というものを行っておる立場から、文部省としてはこういったローンあり方についてはどのようにお考えになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  12. 石井久夫

    石井説明員 ただいまの御質問につきまして、文部省が行っております育英奨学制度の全体といいますか、実態といいますか、それをちょっと簡単に御紹介させていただきまして、その後で……(小渕委員「それはいいよ」と呼ぶ)それはよろしいですか。  私どもといたしましては、現在日本育英会を中心にいたしまして奨学事業を行っているわけでございますけれども日本育英会事業といいますのが、現在の時点貸与人員総数で三十四万三千人、それから貸与総額が五十三年度で六百十三億円に達する見込みでございます。  これを学生総数に対しましての貸与人員割合を見ますと、国公私立大学では二八・七%という状況に達しておりますが、私立大学では六・〇%ということで、私立大学に対する割合が低い状況にあるわけでございます。  そのため、私立大学に対するこういう状況につきまして、最近私立大学に対する学生奨学割合を高めるという努力をいたしているわけでございますけれども、一方、四十九年度から私立大学に対しまして……
  13. 小渕恵三

    小渕委員 それはいいよ。だから、文部省としては、各省でもそういったローン制度をつくったり、市中銀行がそういうローンに非常に積極的に取り組んでおるということに関してどういう御見解を持っておるか、簡単に答えていただきたい。
  14. 石井久夫

    石井説明員 それで、私どもとしてはそういういろいろな制度を通じまして、教育機会均等という観点から努力しているわけでございますけれども、やはりそこに限度があるわけでございます。そういう観点から郵政省の方で進学積立郵便貯金者に対するいわゆる進学ローンということをお考えになっておられる、また各種都市銀行等でもローン制度考えておられるというようなことにつきましては、これはやはりそれぞれの立場からお考えになっておられることではあるわけでございますけれども、私どもとしては、多くの父兄の方がこういうものを広く利用することにより子弟の就学を容易ならしめるということから非常に結構なことだというふうに考えておるわけでございます。
  15. 小渕恵三

    小渕委員 関連しましていろいろな制度ができますと、かえって私学などは、それだけお金も貸してくれるんだから、現在の大学経営状態から考え入学金を少し上げても父兄はたえられるのではないかというような考え方が出てきて、入学金の引き上げというようなことが起こってきては大変なことになるのではないかと思うのです。ですから、そういう点についても文部省としても十分御留意を願っておく必要があるのではないかということを意見として申し上げておきたい。  それから、これは全く考え方反対になるわけですけれども、こういう制度が余りでき上がるということになりますと、逆に入学する人たちが一種の過保護になっていくんじゃないか。もちろん、進学ローンを活用しようという人たちは、零細な積み立てをしていって、その資金をもって大切な入学を行うということでありますけれども、反面、現在の世情を見ますと、非常な学生たちの過保護現象も見えないでもない。  これは私が非常に尊敬する松山さんという人が書いた最近のベストセラーの「勉縮のススメ」という本ですが、その中で、これはアメリカの例ですがこういうことが書いてある。「アメリカの親子の対話をさいていで、子ども自分の家のことをyour houseというのにびっくりしたことがある。日本子どもたちは意識的か無意識かはともかく、親の財産をあてにしすぎる。親は親、子は子、とわり切るのがアメリカで、旅行中、子どもだけキャフェテリアで質素な食事をすませ、親は着飾って豪華な食堂へというのをよく見かける。オペラで、両親は一等席、子は天井桟敷、と別れ別れになっても、だれも不思議に思わない。日本から帰ったアメリカ人が、東京でいちばんたまげたのは大学にピカピカの新車で通う学生がたくさんいたことだといっていた。日本人の財力に感心したのではなく、働きのない子ども新車を買い与える親の精神構造の方に寒心したのだ。」ということなんです。日本の場合においてこれを取り上げるつもりは私はさらさらないのでありますけれども、実は、子供たちを学校に出すというころの親は、自分の将来が問題だということなんです。ですから、郵便貯金をするのも、できたら自分のためにしておきたいというのだが、しかし、こういう制度ができるなら子供のためにもということに相なるだろうと思うのですね。  そこで、この制度のできることには私は大いに賛成でありますが、この制度によれば、積み立てをする人たちがそのまま返済する人間ですね。ですから、学生個人積み立てた場合には本人が返済するんだが、積み立てた者が親であるということなら、返済学生が親とも相談して、特に大学生の場合は、将来自分でアルバイトか何かしながら返済するというような制度も工夫していかないと、いま申し上げたような過保護の増長にも一部なる危惧もあるんじゃないかと思うのですね。  したがって、法案によれば、役所の考え方としては据え置きは恐らく一年とかいうことだろうと思いますけれども大学の場合、四年なら四年の在学期間は置いておいて、その後で自分がかわって返済する、保証は積み立てた親なら親でも結構だと、こういうような考え方もあるんじゃないかと思うのですが、大臣はどうお考えになりますか。
  16. 服部安司

    服部国務大臣 私も正直に考え方を聞いていただきたいと思いますが、私はずいぶん悩んだんです。正直言って、大臣就任すると同時に記者会見でががっと書かれて、それを見て、いよいよ大蔵当局との実施のための交渉に入ったときに、こういう制度は一体本当にためになるのかどうか、文部大臣育英制度内容充実強化という言葉もあり、私は非常に悩んだことは事実です。  確かに小渕先生の御指摘のとおり、勉学意欲に燃えるすべての対象者がこの制度利用せねば俗に言う憲法で定められた教育機会均等というものに合わせられないのかという問題また子供を持つ親の責任という問題、また、御指摘のあったとおり、すべての者が大学大学というときに、この制度があるために行きやすくなるからこの際という思想、本当に私は悩み抜きました。しかし、あのときの大勢としてはとうてい私はそういったことを口に出せる状況下ではございませんでして、就任と同時にもう予算編成大蔵折衝というわけでががっと押されてしまってああいう結果になったわけであります。  しかし、私は、だからといってこの制度を後悔しているのではございません。いま御指摘のこれを利用する方々に本当に進学ローン真意理解していただいて、大いに高度の御利用をいただくことが大変結構なことでありますが、しかし、そういった迷いと混同させる機会を私が率先してつくったような責任も一部に感じているわけであります。  そこで、もう一つ、私が非常にいやな思いをいたしましたのは、教育振興のためにつくった制度であるのにもかかわらず、今度はもうすぐに回収にかかわる制度に回ったわけですね。貸し与えた金を回収することの取り組み方のウエートが大きくなって、保護者でなければならない。言うならば返済能力のある者でなくてはならない。本来ならもっと期間を置いて、仰せのとおりに、親は一応そういった制度に乗って子供教育に力を入れるが、子供は四年間で大学を卒業すると今度はみずから返済義務を負うということが理想なんですが、現在の日本の国情から言って、そういった制度をつくることが認められる理由はありません。  そこで文部大臣のああいった発言があったのだろうと、ぼくはぼくなりに理解はしていたわけたんですが、立場上一応抗議を申し込まねばならないというわけで、私は現在の御指摘内容は十二分に理解できるわけでありますが、現実はそういった理想的な制度にはなかなかできなかった点については深くおわびするとともに、今後の運営に当たっては私ももっと時間をかけて、十二分にその真価が問われるような結果を得るべく努力を続けてまいりたい、かように考えている次第であります。
  17. 小渕恵三

    小渕委員 そこで、進学資金の貸し付けを創設する根本的な理由についてお尋ねをしたいと思うのですが、むずかしいことを言えば進学ローンをつくる哲学、哲理ということですが、これの構想が出てきて以来の世間でのとり方の一部に、郵政省側とすると預金金利引き下げに絡んでの考え方だというような受け取り方もあるし、また大蔵省考えておる国民金融公庫貸し出しについても、今度は郵政省考えたからやるのだろう、政府がやるのなら民間もやろうというような考え方で、金融の問題みたいなとり方があるわけです。  しかし、基本的にはこれは教育の問題なんですね。ですから、さっき私が文部大臣から郵政大臣お話があったかとお尋ねしたのは、やはり基本的には教育の問題であるからです。ただし、その中で、郵政省として郵便貯金を預かっている立場から言うと、その預金者のニーズというものがいまや住宅から教育へと大きくさま変わりしている世の中であって、それに対応しなければならぬという形でこれを生み出すということは評価しますが、世間では一部にはいまのような御批判もあることだから、ついては、文部省制度に不備があるのなら十分補うということで、基本的な問題ということにしっかりとした心構えがあってのことだろうと思いますが、そういうことを含めて創設する基本的な考え方がいかにあるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  18. 服部安司

    服部国務大臣 昨年の二度にわたる郵貯金利引き下げに絡んでこういった案が出された感があるがという御指摘ですが、事実はそうであるかもしれませんが、そういうふうに国民に理解されることは私は非常に心苦しい次第であります。  しかし、私はこういうふうに理解したいのです。英才教育という批判もまたありましょうが、一時的な出費に耐え切れないで有能な人材がそういった機会を与えられない状態にあるというような方にうんと御利用をいただきたい。一時的な出費に耐えられずに、むざむざそのまま進学できないで事志と違う方向に行く方をこの方に向けていってくれるようにと祈る気持ちでこの問題と私は取り組んだつもりであります。これは私の哲学と言っても言い過ぎじゃないと思います。  ただ、先ほど申し上げたとおりに、この制度が違った意味にどんどん伸びていくということは私は本当に耐えられない気持ちなんですね。しかし、その立場であっても、私は大体金が借りやすくなるという制度には根っこから反対意思表示をしてきた人間であって、かつては小渕先生と一緒に、部会においても、金を借りやすくすることはむだに使うことにつながるからいけないと言ったことも御記憶願っていると思うわけであります。したがって、この制度が本当の創設の真意に照らされる方向に御利用願うことを私は心に念じている次第であります。
  19. 小渕恵三

    小渕委員 いまの大臣の御決心についてはそのとおりであろうと思いますから、今後この法律案が国会を通過するようなことがありました場合にはそのようなお気持ちで運用をしていただきたい。  たとえば成田の問題で、郵便法、公衆法があるから団結小屋に届けることは当然でございますというようなことではあるかもしれませんが、法律ができました、だから過保護によって「コトナ」という大人だか子供だかわからぬような者を育てるようなことにこういったいい制度が悪用されるようなことがあることは望ましいことではない。だから、これは教育問題としても国務大臣として十分にお心にとめておいていただきたいという要望を申し上げておきたいと思います。  中身に入る前に法案の文字遣いについてちょっとお尋ねしたいと思いますが、それは、これを読んでみますと、字句がかたかなが漢字に戻ったりしているような修正も行われているわけです。お聞きをしますと、内閣法制局、衆参法制局で、法律改正の時期で、その法案の条文の中の項目において改正点がある場合にはその項目に関して字句の修正を行うのだということのようでございます。  たとえば法案の二十九条において、なるほど二項については修正点があるから「すえ置」を「据置」という漢字に直しておる。ところが「払もどし」というのが一項にありますが、この法律の七条あたりではひらがなから漢字に変えるということなんであります。項目が違うから三十九条における「払もどし」の「もどし」という字は漢字に直さなくてもいいという法制局の見解のようでありますけれども、立法事務的に考えますと実務上わからないではないが、しかし、確かに項が法律の基本ですからそれだけの修正ということに相なるのかもしれませんが、やはり、素人というか、国民が法律になじむという立場から考えると、せめて同じ条文ぐらいなところは——これは前で直さなければいいのですよ。直すのですから同じように修正してもいいのではないかという気がするのでありますが、改めて法制局の考え方をお伺いしておきたい。
  20. 味村治

    ○味村政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、条文なり法律全体について、音訓なりかなの送り方を統一することが望ましいことはおっしゃるとおりであろうかと存じます。  昭和四十八年に漢字の送り方、音訓表が改定になりまして、その後、その音訓表なり送り方に基づきますように法令を改正する機会改正を行っているわけでございますが、私ども考えといたしましては、一応項が一つの文章の基準、単位であるところから、項につきまして新かな遣いなり音訓表なりによるべきものがあれば改正するという方針でやっているわけでございます。  もちろん、条ごとにそのような改正をすべきではないかということはもう重々理解いたすわけでございますが、何分にも法律案一つの条文の中に項がたくさんある場合もございますし、それから、通常国会に提出いたしますような法案でございますと、非常にたくさんの法案を短時間の間に審査しなければならないという制約もございまして、事務的にそこまでいくことはなかなかむずかしいという事情もございまして、ただいまのところ項単位でこのような改正を行っているということでございますので、御了解をいただきたいと存じます。
  21. 小渕恵三

    小渕委員 私も不勉強でして、今度質問する機会に法律を読んでみましたら、いまのようなことに気づいたのです。  おっしゃられるように、全部の条文を直すのは大変煩瑣なことであろうとは思いますが、中学生や高校生がこの郵便貯金法を読んでみることを考えると、送りがなとか漢字とか文字がばらばらですね。法律についてはなるほど歴史的なものがある。ですから、たとえば日銀法みたいなかだかなの法律もある。しかし、こういうふうにせっかく字句を直す機会には、そんなに長い法律でなかったら一律に直してもいいのじゃないかという気が素朴にするわけです。  委員長機会があったらこういう問題もわが方の立場で勉強するように理事会等でお話し合いを願えれば大変ありがたいと思いますので、申し上げておきます。
  22. 松本七郎

    松本委員長 わかりました。
  23. 小渕恵三

    小渕委員 それでは法制局と文部省は結構です。  中身に入ってお尋ねしますけれども郵便貯金預金者に対する進学資金貸し付けの貸付利率その他貸付条件を具体的にお示しいただきたいと思います。
  24. 高仲優

    ○高仲政府委員 貸付利率でございますが、以前七六%と御説明申し上げてあったかと存じますが、実は、これは今回の金利の全般的引き下げ以前の問題でございます。金利の全般的引き下げに伴いましてこの点についても変更が加えられるわけでございまして、国民金融公庫の基準貸出金利が七・一に決まっておりますので、本件貸し出しにつきましても貸付利率は七・一%に相なるものと考えております。
  25. 小渕恵三

    小渕委員 郵便貯金預金金利がどうも下がるような雰囲気でございますが、さすれば、大蔵省資金運用部の預託金利も下がるだろうと思うのです。そうするとまた国民金融公庫の基準金利も下がる可能性もあるかもしれない。よって、七・一%を固定しますか、それとも、実際の貸し付けは明年の三月なり四月になるわけでしょうから、その時点国民金融公庫の基準金利をベースに置くのかどうか、その点をお伺いしておきたい。  というのは、これは大蔵省から聞くことかもしれませんが、あるいは金利が上がるかもしれない。インフレが再燃してきて預託金利も上がることもあり得るので、七・一は固定的なものなのか、基準金利をベースにしてその時点において決定をなすべきものなのか、お伺いをしたい。
  26. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 進学ローンの貸付金利の件でございますが、われわれといたしましては、国民金融公庫一般的な貸付金利でございます基準金利を適用するという考え方でやっております。  この基準金利はそのときどきの金利水準に応じて変動するものでございます。したがいまして、現在の七・一%と申しますのは、すでに預金金利その他の引き下げを前提といたしまして、民間の金利引き下げられたことに伴いまして下げた金利でございますので、現在の預貯金金利水準のもとではこの七・一%というのが適用されると思います。
  27. 小渕恵三

    小渕委員 次に、今度の制度によりますと、郵政省国民金融公庫の委託を受けて行うことになっておるわけでございますので当然のことだとは思うけれども、万一事故その他が起きた場合の責任というものは当然国民金融公庫が負うべきものだと思います。同時に、審査の責任もこれまたさようなものだと思うのですが、しかし、郵政に委託をするということになりますと、国民金融公庫は実際審査するわけじゃない。書面審査するのかもしれませんがね。  そのことがいわゆる盲審査となるおそれがないかということをお尋ねしておきたいが、この点はいかがでしょうか。
  28. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 進学積立郵便貯金預金者に対しまして進学ローンを貸し付ける場合に、まず、その申込書その他について、これは現在手続その他については検討中でございますけれども、いま私ども考えている点を申し上げますと、申込書その他が郵便局長を経由しまして国民公庫に送付されてくるわけでございます。したがいまして、国民公庫はその書類等を拝見いたしまして必要な点をチェックし、場合によっては問い合わせその他審査上必要なあらゆる配慮を加えました上で貸付決定をいたしまして郵便局長の方に御連絡申し上げるという形をとっておりますので、国民公庫の債権管理といった面につきましては今後とも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。(小渕委員「審査は」と呼ぶ)  審査につきましては、先ほど申し上げましたように書面でもって国民公庫の貸付担当者が審査をいたします。そして必要な場合にはたとえば保証人に対して照会をするとか、そういったチェックをいたします。
  29. 小渕恵三

    小渕委員 実際問題としては、これは郵政にもゆうゆうローンの経験もありますし、実態的にはそう事故が起きるとは私は思わぬけれども、しかし、ないということは言い切れるものでもないと思うのです。  逆に今度は事故そのものは非常に少ないと判断した場合に、通常金融機関というものはいろいろと貸出金利考える場合に、こういう事故率あるいは貸し倒れの保証率というものをいろいろ研究して、当然利率の中に繰り入れて金利を決定するだろうと思うのですね。今度のような場合には非常に少ないと思う。それにもかかわらず国民金融公庫は、非常に微小な問題ではあるような気はするが、この貸し倒れの保証率というものを一体どう考えているのか。こういうものが少ないと見るならば基準金利よりも下げてもいいのじゃないかという気もしないでもないのですが、この点はどうお考えでしょうか。
  30. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 貸付金利の決定に当たりましては、もちろん貸し倒れのリスクといったものを含めまして国民公庫において決定しているわけでございます。しかし、一般的に申し上げますと、政府系関係金融機関金利と申しますのは、少なくとも民間金融機関で適用されている金利の最も優遇されている金利を出すという考え方でやっておりますので、仮にリスクが非常に高くてもこれを軽々に上げるとかいったことはなかなかできかねるのではないかと思っております。  したがいまして、今回の進学貸し付けの貸し倒れリスクといったものが今後どういうふうに動くのか、私どももなかなか判断いたしかねますけれども、原則としては現在民間に適用されております最優遇の金利でございます国民金融公庫の基準金利、こういったことで処理してまいりたいというふうに考えております。
  31. 小渕恵三

    小渕委員 時間が迫っておりますので簡潔にお答えいただきたいと思いますが、いまの金利の問題ですね。さっき文部省がいろいろ説明し始めようとした制度について、これは五分五厘なんですね。将来の方向としては、やはり冒頭に申し上げたように基本的には教育の問題なんですから、少し補助金をつけてもそのくらいの金利にすべきじゃないかという気がしますので、大臣におかれましてもよく御検討をしておいていただきたいと思います。  引き続きまして、貸出対象の範囲でございますが、制度の中では「高等学校、高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設」となっておりますが、いわゆる「これらに準ずる教育施設」とは何ぞやということをお伺いします。
  32. 高仲優

    ○高仲政府委員 高校、大学その他これらに準ずるという細部につきましては目下検討いたしておりますが、たとえば盲学校のたぐいであるとか、均衡上これに加えることが至当と思われるものは当然加えなければならないものと考えておる次第でございます。
  33. 小渕恵三

    小渕委員 それから、国民金融公庫は郵政窓口から貸し出しをするのでありますが、その資金は平素はどこにデポジットしておかれるのですか。
  34. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵便貯金資金はすべて資金運用部に回りますし、それから国民金融公庫の貸出資金は財投計画の一環として資金運用部から出るものでございます。  その金を貸し出すわけでございますが、貸し出しに先立って、郵政省資金を前もって渡し、その前もって渡された金の中から貸し出しの金を郵便局の窓口において申込者にお渡しをするということを考えております。
  35. 小渕恵三

    小渕委員 これはどのくらいその積み立てがあるかということで、郵政に国民金融公庫から預託をする金額も大体わかるだろうと思うのですが、細かいことですが、国民金融公庫から郵政に持ってくるその金利はどうするのですか。
  36. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 金利はちょうだいするつもりはございません。
  37. 小渕恵三

    小渕委員 郵政としては委託を受けて事業を行うわけですから、若干の手数と手間の増加というものは当然あるわけですね。  したがって、その手数料みたいなものはどうするのかということと、あわせて人間をこれでふやすというようなことはどのくらい要望が強いかにもよるだろうと思いますけれども、現在の事務処理のできる範囲の中で処理できるということで考ておいてよろしいですか。
  38. 高仲優

    ○高仲政府委員 そもそもどの程度の需要があるかということにつきまして、私どもとしては一応の数字は持っておるのでございますが、まず、年間貸し出しとして十万件を上回るということはないと考えられます。  それが一つと、それから郵便局において現在現金出納を取り扱っておる件数は年間約十億件でございまして、これ自体を取り上げて特に人員増を要するということは一応考えられないのではないか。と申しますのは、数多い各郵便局にすべて分散されるわけでございますから、個々には吸収されるものと考えておりますが、なお仕事を始めましてからの実態によりまして考えなければならないものと考えております。
  39. 小渕恵三

    小渕委員 それから、この進学積立貯金積み立て預金者進学資金の貸し付けを受けることができますが、あわせてこれは国民金融公庫が行う制度利用できるということでよろしいでしょうか。
  40. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 国民金融公庫の進学貸し付けは一定の所得制限を設けまして、所得制限以下の者に対して貸し付けるということを考えておりますので、郵便貯金積み立てを行った方々がその所得制限以下であれば両方の貸し付けを受けられるということになります。
  41. 小渕恵三

    小渕委員 時間も終わりに近づいてきましたので、最後に郵便貯金のビジョンについてお伺いしておきたいと思います。  創業以来二世紀目に入った今日、三十七兆円を超えるというふうなものになっているが、国営の貯蓄機関としての郵便貯金の役割りはいかにあるべきかということについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。  いわゆる高度成長時代から低成長時代に入って、この際新しい金融構造の中で新しいマネーフローのあり方を研究すべき時期に来ているんじゃないか。率直に申し上げますが、公定歩合の引き上げ、引き下げが数次にわたって行われ、それに郵貯としていかに対応するかの御苦心のほどは私もよく存じております。当初郵政審議会の問題もお尋ねをいたしましたが、郵政省としては、預金者保護、預金着の新しいニースに対応しようという姿勢でいろいろと新しい制度を創設した。そのこと自体は利用者に非常に大きな果実を与えてきたと私は思っておりますけれども、しかし、新しい時代にこのままの姿で推移するかどうかということは非常にむずかしいような気がするのです。そういう意味で、郵政省郵貯の今後のあり方についてしっかりと勉強をしておいていただきたい。  かつて郵政審でも郵貯あり方についてしばしば答申がありましたけれども、過去のものはすでに過去のものであって、これからいかにあるかという新しい姿を模索する必要が非常にあるんじゃないかという気が私はするのです。私のととろにも資料をちょうだいしましたが、現在省内でも研究会を設けて鋭意勉強しておることは非常に評価するものでありますが、その中で、特にパーソナルファイナンス、郵貯というものは言うまでもありませんが個人預金が中心であります。これは大蔵省の数字をとるつもりはありませんが、現在全預金量の二五%、これがいずれ将来においては五〇%くらいになるんじゃないかということで、逆に市中銀行その他非常な脅威に思っておるわけでございます。しかも、いままで、その個人預金というものは、預託して、それが財投原資になって公共事業その他に使われるという形で国家のために尽くしてきた。しかし、いまやむしろ預金者自体がいろいろな借り入れを行うということによる要請も非常に強くなってきておるわけでございます。そういう意味で、パーソナルファイナンスというものの姿を注視しているということは非常にいいことだと思う。ですから、この点をもっと省内において研究をしていただきたいという希望を持っておるわけです。  しかし、これは郵政だけの問題じゃないのです。現実には現在の財投なんというのは第二予算と言われて、本予算と切っても切れない関係に相なっておる。こういうことでこの制度をどうするかという大蔵側の検討もあわせて十分なされなければならないだろうと思います。しかし、大蔵省が余り踏み込んでくるとこういった長い伝統を持つ郵貯あり方にかかわり合いを持つということで、これまた郵政省のアレルギーが非常に強い。郵政の方は郵政の方で、われわれの守備範囲はここまでですということではこの問題は解決しないと思うのです。したがって、服部郵政大臣ではありますが、願わくは、政治家の一人として、今後の新しい時代に対応した郵貯あるいは市中のマネーフローの問題を政府全体の課題として取り上げて勉強していく必要があるのではないかというのが私の考え方でございます。そういった点で服部大臣に党人政治家として私は大いに期待を寄せておるところでございます。  もちろん、郵政省を預かる大臣でございますから、その権益を侵すことがあっては相ならぬとは思いますけれども、どうも役所同士の争いみたいな感じにとられておるし、この教育ローンもそういう視点で物を見られるということははなはだもって遺憾とするところでありますので、いま申し上げたような考え方でぜひやっていただきたい。郵政省だけで全部やれと言ってもなかなか無理ですが、大蔵もやるということだと人の方に手を突っ込むことになってくる。ですから、政府の中の第三者的な、総理府みたいなところで勉強してもいいのじゃないかという気が私はするのでありますが、最後に、郵貯のビジョンを含め、金融あり方について郵政大臣の御見解をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  42. 服部安司

    服部国務大臣 先ほども私の考え方を率直に言わせていただきますと言って申し上げましたが、私自身は郵便貯金のあるべき姿という点についてはかなり深刻な気持ちで、限られた期間でありましたが取り組んだのでございます。結論ということになるとはなはだオーバーになりますが、現在その過程で感じていることは、貸付制度を大きく取り上げていくことは是か非かという点と、また郵貯の真のあり方、なぜ庶民大衆の零細な金を集めて、これを財投原資に充てて、しかも国民の福祉の向上に寄与させるという考えを持ったかという点についても私はあわせて考えたつもりであります。  個人の貯金者の零細なお金を確実にしかもある程度利回りのいい状態で預かるところにかなりな意義があると私は感じているわけです。なぜかと申しますと、私が小学生のときにちようど隣の町に六八銀行がありまして、いまから考えると年ははっきりしないが、おばあさんだという記憶があるのですが、毎日朝起きてから晩までその倒産した銀行の鉄の扉に手をかけて、おれの金を返せおれの金を返せとやっていて、手の先から血がしたたっていた姿がいまだにはっきり私のまぶたに焼きついているわけなんです。いまこういう仕事をやらせていただく立場に立って、郵便貯金とはそういった零細な方々の限られた預貯金を完全に守るためにあるのだ、当時は銀行の倒産といういまでは考えられないような事態もあったわけですから、そのためにつくられたのだ、そして国がさらに考えて、この限られた零細な金をかき集めたものを国民の福祉の増進に役立てるための資金に充てたんだなと、こういう考えがあります。そういったまことに悲しい姿を見て、私なりにそういうふうに理解をしているわけであります。  私は、基本的には、国民がここなら安心だということで国営の郵便局を利用する、国はそれに十二分にこたえるというところに存在意義があると考えているわけでございます。したがって将来におきまする郵便貯金事業あり方については、国営事業としての特質を生かしつつ国民の要望にこたえたサービスを提供をすることは当然であります。しかし、国民の経済生活の安定向上等、その福祉の増進に積極的に寄与していくことを基本とすべきものと考えております。  その場合におきましても、今後の経済の見通し、金融制度に関する議論の方向、財政との関係、郵便貯金がわが国の金融全体の中で果たす役割りなどの関連を考慮しながら慎重に見きわめて検討していかなければならないと考えております。  御指摘のとおり、もう三十七兆という膨大な金額に達しました。もう突破いたしました。これまた貯金制度が独特なあり方でなかったならば——現在の日本のトップ、ハイクラスの五つの銀行の預金高より上回っているという点にもかなりこれは真剣に検討を要する問題がある。したがって、先ほど来申し上げておりますとおりに、今後のこの郵便貯金制度運営についても真剣に考える時期に来た。したがって、今後も先ほど申し上げたように十二分な立場をとりつつ検討を進めて国民の期待にこたえたい、かように考えておる次第でございます。
  43. 小渕恵三

    小渕委員 ゆうゆうローンについて質疑を残しましたが、これは三十万から五十万に引き上げるということでございますが、郵政省で五十二年度の婦人モニターでとったアンケートの答えの中で、五十万にするのがいいというのが四一・四%で一番多いようでございますから、アンケートどおりに郵政省も引き上げたということですから、これも賛成しておきます。  教育ローンにつきましては、私自身も郵便貯金貸付制度改善促進議員連盟というものの代表世話人でございまして、そういう立場から考えると、当初郵政が考えておった法案の中身から考えると必ずしも満足すべきものでない。しかし、前大臣とまた服部大臣に非常に御苦労をいただきまして法律案の提案まで至ったわけでございますので、一日も早くこれを成立させて、まずは制度を開始し、積み立てが始まって、その後いま御質疑申し上げたような点について御改善あらんことを心から期待いたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  44. 松本七郎

    松本委員長 島本虎三君。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 郵便貯金法の一部を改正する法律案について、提案された順序に従って、私もその真意なり疑問をただしたいと思うのであります。  けさほど私は、二つ、三つ、これを審議する前提条件が重大な段階にあるということを知ったわけてあります。それと同時に、これに対処する大臣の姿勢がどうなのかということに対して重大な関心を持ったのであります。私は、この内容よりも今後の姿勢が大事だと思いまして、大臣にその姿勢について一、二聞きたいと思うのであります。  その一つは、起きてすぐ見たテレビについてであります。ここにいる理事者の皆さんは全部早くこの法案を通してもらいたいと思っているでしょうし、恐らく大臣もそういうような気持ちでありましょう。しかし、そう顔に書いてあるのでありますけれども、この法案を通すとすれば、郵政に働いている労働者に相当協力してもらわなければならないことは当然であります。協力を求めなければならない。こういう立場にある三公社五現業の賃上げに対して三%台に抑えることは必要だということを自民党の総務会で決めたということがけさほどのテレビで報ぜられておるのであります。  三%台におさめるということについて労働者に協力を求めて事業を円滑に進めようとするのはちょっとおかしい。物価の値上げにも追いつかない。六・八%が去年だとすれば、ことしの見込みが七%である。そうすると、三%台に抑えて、さあ一生懸命協力してくれと大臣が言わなければならないとすると、不況だと言うけれども、これは政府の経済政策の失敗を労働者に押しつけることになるわけです。これは不当じゃありませんか。そのために予算には五%、定昇分も二%ちゃんと組んであるでしょう。それだのに三%台に抑え込むというようなことを決めたのであります。そうすると物価上昇に見合わない。見合わないことになれば賃下げになる。賃下げになっても協力せよでは、これは何かのたわ言じゃありませんか。これで抑え込める、これで十分事業の効果を発揮することができると考えているのでしょうか。  まず、これは前提条件として法案だけ通せばいいのか。総体的にこの成果を上げなければならないところに大臣はどのようにして着目しているのか。きのうの自民党の総務会で決めたこのこととあわせて、執行する立場にある服部郵政大臣の御高見を承りたいのであります。
  46. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  一昨日の有額回答がきわめて超低額であるという御指摘でございますが、確かに、一昨日は早くから公共企業体等給与関係閣僚会議が持たれました。私も関係閣僚の一人として出席をいたしました。八時から真剣に回答についての論議がなされました。  もちろん私は現業を持つ大臣立場として、御指摘どおりに少しでも多い方が郵政大臣として喜ばしいことであり、それは自分の職員の待遇改善につながるわけでありますから、それなりの発言もし私なりに努力をしたわけでありますが、しかし、一面、公共企業体というところの一つ国家公務員のいわゆる給与問題でありますから他に関連もあるわけでございまして、いろいろと論議の中で出たわが国の現在の経済情勢、減速経済、そしてその中でどのような回答をするかということ、これは有額回答は当然われわれも推測し得たわけですが、低い、昨年より下回る回答、物価上昇よりか下ではないかという御指摘、これらは十二分に理解できるわけでありますが、現在のきわめて厳しい国の財政のもとではということでああいった結果に相なったわけでございます。私は非常に心苦しいわけでありますが、できれば労使の中で円満に問題の解決を図っていただくように念ずる心でいっぱいであります。  それから、予算でも五%の給与改定費が計上されているではないかという御指摘でありますが、事実そのとおりでありますが、これは財源確保のための従来から行っている措置でありまして、これは五%給与改善を行うためにすべてこれを出さねばならないということにもならないわけでありまして、そのときの経済の動き、いわゆる国の実態なども考えて決定されるわけでありまして、給与特例法があるとおり、一般国家公務員及び民間事業の従業員の給与その他の事情に考慮を払われて行われるわけでございますので、どうぞこの点も御理解を願いたいと存じます。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 私がまず一段階としてこれを言ったのは、私は昭和三十五年から国会に議席を得させてもらっているのでして、歴代の郵政大臣もある程度知っているつもりですが、その姿勢なり信念なり哲学なりがきちっとした人はやはり郵政大臣として成功します。そして大をなしているのです。私が知っているのは、いいか悪いかわかりませんが田中角榮氏です。それといまをときめく河本通産大臣です。そして前の官房長官の井出一太郎さんです。この人たちはいろいろやっておりますが、よし悪しにかかわらず何か一つの信念、一つ哲学一つのきちっとした姿勢がありました。あなたの場合はマイクの前に立ってせきをする音はぐっと通るのでありますが、しかし、それ以外は、考えていること、やりたいこと、言っていることがさっぱり通らないじゃありませんか。私はいまあなたに愛のむちを使いたいのです。というのは、これからのあなたに期待するからなんだ。いま言ったことも十分考えておいてください。  それと同時に、いろいろなことを言っていますが、それは統一された見解でしょう。しかし、やはり物価の値上げ見込みを七%と見ているのです。それに対応して五%見ているのです。定期昇給の分を見てきちんと合うじゃありませんか。ストライキもさせないで労働者に働いてもらうならば、あなたは一歩踏み出してこうでなければならないのだという主導権を発揮すべきじゃないですか。それもできないでいいことを幾ら言ったって、もうすでに宙に浮いた議論になっちゃうのです。私はあなたにはやはり大をなしてもらいたいために、はっきりした信念、はっきりした哲学、そしてきちっとした姿勢が欲しいのであります。そういうような意味で私は言っているのです。あえてこれに対する答えは要らぬです。  第二番目の問題として私が驚いたのは、いまもちょっと質問がありましたが、郵便貯金金利引き下げが十八日の四回目の会合でなされたそうですね。けさ新聞で見ました。これによると、郵政省が提示した引き下げ幅〇・七五と一般の場合の幅〇・四八という諮問案が賛成で通ったというのであります。これは郵政大臣には答申されて、二十五日から新金利で実施されるんだとこれを見たのであります。そうすると、零細貯金の目減りの防止に全力を挙げると言ったのはあなたでしょうが、結果的に見ると利下げのレールをひた走りに走っているじゃありませんか。これはどうなんですか。うそをついちゃいけませんよ。これは結果的にこうなってしまった。昨年の五月と九月と今回と一カ年間で三回、これでは景気浮揚という名前の企業救済のためだ。こうだとするならば、銀行の貸し借りは営利目的ですからその方面をこれに充て、その方面を対象にするのが当然じゃありませんか。  あなたは、これは国営機関だ、そしてこれを守るんだというようなことを言うのならば、低所得者、ことに生活保護者を——そういうことになりたくなくて一生懸命にその金利生活している人もあるでしょうに、そういうような者までも企業救済の犠牲にするというようなことでいいのですか。もうそうなっているのですよ。あなたの考え方、言ったことと反対じゃありませんか。これは国民のためにきちっとしておいた方がいいと思います。
  48. 服部安司

    服部国務大臣 私も今日まで、昨晩の答申を受けるまでは、当然私の所管する郵便貯金、すなわち零細な金利を目的とする庶民の預金者を守るために私なりにいろいろと努力を払ったつもりであります。しかし、実際に当初の私の決意がなかなか最後まで押し通せなかったという点は私なりに深く反省はいたしておりますが、なかなかそう甘いものではなかった。きわめて厳しい状況にさらされて、非常に苦悶の末にこういった措置をとらざるを得なかった。私は理解してくださいとは申し上げませんが、いかに苦しい日々を送ったかということを自分なりに考えております。  それは御承知のとおりに、私は最後までがんばり通すべく考えたのでありますが、このきわめて厳しい経済情勢下にあって、たとえばこれを私が押し切ることによってほとんどの預貯金郵便貯金に集中いたしますと今後の日本財政金融にどういつだ影響を及ぼすか、これに端を発して雇用関係にどのような影響をもたらすかということを考えさせられる立場になって、これまた両方の間にはさまっていろいろと苦労いたしましたし、苦しみましたが、結局はこういつた措置をとらざるを得なかったわけでございます。  私は決して預貯金者を守ることを忘れたのではございません。いまだにどの措置をとればよかったかと迷いが残るようなまことにぶざまな結果を迎えたわけでありますが、どうぞそういった事情もひとつ御認識願いたいと存じます。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 不況も雇用の問題も、これは政府の経済政策によるものです。しかし、それによるからといって、大臣として、国営のところに預金し、それも低所得者というような者を中心にして預金してあり、それで生活をしている方までも全部景気浮揚、不況克服、円高防止、企業救済のために使うということは残酷ですよ。あなたは哲学がないんですよ。これだけはきちっとしておかなければならない。これはあなたはやれるのですよ。その際腹を切ればいいのですよ。辞表くらいいつでも入れておけばいいんだ。私はそういう態度がやはり必要だと思っているのです。  そして、物価が利子よりも高いというようなことも預金した人の責任じゃないですね。国の政治の責任ですね。消費者物価は五十二年度六・七%上昇で、本年の見込みでも七%と見ているでしょう。そうすると年利平均何ぼですか。五・五%といっても、これは消費者並びに国民大衆擁護には全然ならぬではないですか。なおその利息を下げても、その金を景気浮揚、企業救済のために使う。これは本末転倒じゃありませんか。どこに福祉国家の実体がありますか。残酷国家、悪代官のようなやり方ですよ。ここにメスを入れてもらいたいわけです。やはり、あなたははっきりと信念に徹して、これを守らなければならぬ。これはあなた自身の郵政大臣としての哲学なんだ。これを持ってほしいのです。あなたにそれがあるところに誇りもあり、将来の希望もあると私は思うのです。いい言葉だけ出してもそれはさっぱり残らないものであります。  そういうようなことからして、私もいろいろとあなたにも厳しいことを言いましたが、しかし、郵政審議会の独自の判断によるということになっておるのでありますが、あの結果はきょうの新聞によりましても積極的じゃなかったようであります。何かしら消極的にあれを出してきた。郵便貯金金利を下げないということでがんばることですよ。あなたはがんばれるのですよ。もうすでに米国でもドイツでもフランスでも英国でもこれをやっているじゃありませんか。それが日本の場合には、貯金も全部財政投融資の方に入れて使っている。したがって、それにきちっとメスを入れて切り離すやり方をやれるのはあなたじゃありませんか。銀行は企業の預金と個人の預金とを分けるべきだ。もうすでにそういうような論説も出ていますね。私はこれを高く評価するのです。こういう方法もあるのです。日本だって経済の先進国じゃありませんか。その先進国が庶民の低所得者のか細い貯金の利息まで下げて企業防衛のために、景気浮揚のために使わなければならない。これでいいのですか。先進国に見習ってこの点をきちんとさせるべきですよ。これをどう思いますか。
  50. 服部安司

    服部国務大臣 私も、できる状況下であればそうしたいのですね。私は当初からいまでも基本的にはその考え方を持っておりますが、周囲の環境はなかなかそういうふうに運営できないところに皆様方の想像以上の苦しみを持っているわけですが、結果から見て、いまの島本先生のお言葉に返す言葉はありません。しかし、基本的にはそうあるべきであり、また、そういった政治の姿をつくるためにもいろいろと今後考えねばならないとい  しかし、今回は私の力ではいかんともしがたかった、まことに申しわけなかった、かように存じている次第であります。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 いまの言葉は、私はやはり残念なんですよ。あなたはこれから伸びる人だから、その辺に対してきちっとする第一段階だったのです。他のやっていった先輩を見てくださいよ。どこか一つの特徴、どこか一つの強い信念、どこか一つの見識、哲学というものがあったでしょう。国務大臣としてべらべらっとただただ協力ということだけの姿勢ではなかったはずです。あなたはそれを見てもう一つ姿勢を正しましょう。  もう一つは、けさの国会対策に出て私もびっくりした。あなたは姿勢が悪いですよ。もう少しきちっとしないといけませんよ。これは松本委員長もここにいますよ。各理事も先輩も皆いますよ。国会議員の場合には年賀状は申し合わせで出さないということになっていたのを大臣は出したそうですね。自筆のものならいいけれども、印刷のものだったそうじやありませんか。これは国会の申し合わせに背くのですよ。これは本会議でやらないで議運だけでとどめるけれども、議運の議事録に載りますよ。そういうようなことは気をつけないといけませんし、こういうようなことに対してはもっと姿勢をきちっとして、庶民を守り、国民のか細い貯金を守るためには百万人といえどもわれ行かんという気持ちできちっとやるべきです。こういうようなことは私は二度と言いませんから、今後気をつけようじゃありませんか。もちろん私も松本委員長も含めて、これは国会議員としての態度であり、襟度だと思います。こういうようなことを誤解されたら困るのですが、こんなことをやったのですか。
  52. 服部安司

    服部国務大臣 大変遺憾なことです。私は言いわけをする男じゃありません。これはどんなことがあろうと最終的にすべてぼくの責任に帰するわけですが、議運の委員長から指摘されて、正直言ってびっくりしたのです。昔から私はそんなことはやるべきでないと言って、やらないことで名高い男だったのですが……(島本委員郵政大臣になったからですか」と呼ぶ)たまたまそういうことを後援会の連中がやってくれたらしいのです。お調べいただけばわかりますが、私としては、過去にみんながやっていてもぼくは絶対にやらなかった男なんです。やってはいけない、ああいうことをやるべきではないと言って、あれはむしろ私が推進したのです。総務会でもがんばって、鈴木さんの時代にああいった法律もできたわけです。しかし、結果から見て、やはり「服部安司」というのが中に四字入っているのですから、これは私は申しわけはしません。私の責任であります。まことに遺憾だと考えております。  温かい友情のむちだと心得て、今後もがんばってまいりたいと思います。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 この三つだけはやる前にきちっとしておいて、今後の大成を私は心から祈っております。  それから、これは前段ですが、大臣として郵政大臣大蔵大臣との間に序列や権限の相違なんかあるのですか。
  54. 服部安司

    服部国務大臣 さあ、どうでしょう。ぼくはこれはちょっとわかりません。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 それならば、郵政大臣には設置法によって与えられた業務がありまして、その範囲においては大蔵大臣の権限のもとにはいつくばる必要はない。そのためにはむしろきちっとした姿勢をとるべきだ。こういうようなことが一番必要ではないかと私は思うのです。  いまのようにして進学ローンを初めに言い出したのは郵政省じゃないですか。そして、郵政省がこれを出してやっている間に市中銀行に行き、最後になってほんの残りかすだけ持ってきて、これが誇るべき服部郵政大臣の懸案であるということでいま審議せざるを得ない。  事務当局、これはどうですか。いま出ている原案と前に郵政省考えていた原案とどこが違いましたか。何カ所違いましたか。それを具体的に言ってください。
  56. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  まず、最初に、前と現在の案と違っておらない点は郵便局で進学積立郵便貯金をするということ、郵便局の窓口で貸し出しの手続をし、現実に貸し出しを行うということ、これは変わっておりません。すなわち、利用者の立場から見ました場合は実質上変わった点はないわけでございます。  しかしながら、郵政省が当初考えていた案は郵政省が自主的に融資を行うという形を考えておったのでございますが、現在の案におきましては、財政投融資の一環といたしまして国民金融公庫貸し出しを行うというたてまえに相なりました。この点が一番変わったところでございますが、国民サイドから見ますれば全く変わりはないというのが実情でございます。  なお、郵政省原案におきましては積立期間二年ということが現在の案では三年で、これは利便にかなうように相なっております。また、返済期間につきましては、郵政省のもともとの構想といたしましては積み立て期間と同期間で返すということに相なっておったわけでございますが、現在考えておりますのは、据え置き期間一年を含めて四年以内、これは修業年限四年の大学にあっては四年以内、高校にあっては修学年限三年でございますから三年以内というふうに、積み立て及び返済についてはむしろ便利に相なっておるということでございますので、国民サイドから、利用者のサイドから見ました場合は利便にかなうように相なっておると理解いたしておるところでございます。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 言葉はそれでわかりましたけれども、そうすると郵政省がつくって出した原案は現に出されたものよりくだらないものを出したというようなことになるわけですね。原案はくだらなかったということになるわけですね。現在の方が修正されてよくなっているわけですね。  この積み立て返済期間というのはよくなっているというなら、原案の方はくだらなかったわけですね。
  58. 高仲優

    ○高仲政府委員 原案につきましては、これは予算編成の過程において当然種々変更があるものと考えまして、むしろ骨組みという点で考えたわけでございます。  まず、第一に、積立期間返済期間を同期間にしたことは資金の滞留等についていろいろ問題が提起されるであろうことを考えてやったわけでございまして、私どもといたしましては、その段階におきましても、当然積立期間が長ければ利便であり、また返済期間が長ければ利便であるということは頭に置いたのでございますが……
  59. 島本虎三

    ○島本委員 もういいです。わかった。  郵政大臣、これはどうして郵政省が行えなかったのですか。
  60. 服部安司

    服部国務大臣 そうですね。確かに原案は愚かだったと言った方がいいでしょう。これは最終的に大臣折衝で決めたわけですからすべて私の責任になるわけですが、きわめて実態に合わない原案だった。私は自分の役所のことを言いたくないけれども、独走だったと思います。私の全責任大臣折衝でこういつた方針を決めたわけですが、いま局長が申し上げたとおりに、またかなりいい面もあらわれてきたわけなんです。  だから、このように理解をしていただきたい。大臣折衝で最終決定を見た大きな理由は、お互いに役所間の手柄の取り合いはやめようということで、利用する国民が有利であれば花を捨てて実を取りたいというのが私が妥結した大きな理由であると御理解をいただきたいと思います。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 郵政省郵政省の窓口でこれを行うことがどうして不合理なんでしょうか。大蔵省の御意見をお伺いします。
  62. 森卓也

    ○森説明員 お答えいたします。  私ども考えておりますのは、郵便貯金といった国の制度、信用を通じて集まりました資金は全部資金運用部によって一元的に管理運用することが国のほかの財政政策あるいは金融政策と整合性のとれたものになると考えていることが一つあるわけでございます。したがいまして、郵便貯金が郵便局の窓口にあるということで、郵便局がその郵便局の判断において、ほかの政策とのバランスとは関係なしに直接融資に乗り出すことは国全体の資金配分政策からいっていろいろと問題が生ずる可能性があるのではないかということで、資金運用部を通じて財政投融資制度によって全体の財政金融政策とバランスをとりながら融資を行うことの方が望ましいのではないかと考えているわけでございます。  さらに各論的に申し上げますと、進学ローンという制度は確かに政策として非常に意味のあることだと思われますので、その場合に郵便貯金をした人だけに行うよりも郵便貯金をしていない人にも行えるようにした方がいいだろうということで、国民公庫を通じまして郵便貯金をした人及びしない人両方に進学ローンが実施されるようにしようということで今回の御提案を申し上げているということでございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 いまも聞いていたとおり、大臣の権限には上下がないわけです。それぞれ与えられた仕事があるわけです。一元的に運営した方がいいのだといっても、全部やる権限は大蔵大臣にないはずですが、あなたはあると考えているのですか。ちゃんと自分の従業員を通じて集めてくる。それは第一番に郵政大臣の権限によって、郵政大臣の許可を得てそれをやるのが筋道じゃないですか。何か、初めから統合管理の方式が正しいのだから全部大蔵大臣のもとでやれば正しいのだという考えが、大蔵省のエリート意識としてきちっとあって離れないようですが、私はそういうようなことであってはならないと思っているのでございます。  そうすると、郵便局で扱うと統合的な一元的な運用にはならないというお考えのようでありますが、しかし、これは全部一回は、二年、三年の間入ってしまうでしょう。みんなそっちに入るのになぜ窓口でやるのはいけないのですか。なぜ、大蔵省機関からまた複雑な手続で委託を受けたりしてやるのでなければならないのですか。郵便局では財投へ入らないということであるならば考えなければなりませんけれども、入るじゃありませんか。それなのに分離して全部そっちの複雑な機構にしてしまうのは何か理由があるのじゃないかと思うのでありますが、どういうことなんですかね。私はこれが少しわからない。
  64. 服部安司

    服部国務大臣 大蔵省にお尋ねだから私が出る幕ではないと思いますがあえて発言を求めたのは、この制度をつくる最後の段階で、私は決して大蔵省案に屈服したのではありません。また、大蔵省大蔵省の権限はこうだからこうだと言われてでき上がったものでもございません。十二分におのおのの立場理解しながら話し合って、先ほど申し上げたとおりに、この方が利用する国民の立場に立てば有利であります。金利も原案より下げました、積立期間も延ばしました、また返済期間も据え置き期間を含めて延ばしました、と、こういった折衝を私はいたしました。  これは国民のためにいいことだと判断いたしまして決めたということをあえて発言申し上げて、御理解を願いたいと思います。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 こういうものの窓口にするのには最近事件が多いですわね。郵便局は国民、利用者から厳しい指弾を受けている最中でございましょうが、相模大野事件であるとか、あるいはそう思いたくないのですが、関東、近畿中心の脱税事件の報道がある。これは高度経済成長が郵政事業にもたらした荒廃であり、さらに特定局の制度そのものにも考え直さなければならない点もあったわけでありますが、これらが象徴的にあらわれてきている。  これはそういうところに預けるわけにいかないという信用失墜が結果としてあらわれてくるのじゃないかとも疑ってみたのですが、そういうことはないですか。
  66. 服部安司

    服部国務大臣 そのようなことは絶対あり得ません。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 断言したその言葉のようにきちっとして、今後起こらなければいいのですが、自信がありますか。
  68. 服部安司

    服部国務大臣 やるべきことは自信を持って堂堂とやります。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 その言葉は未来永劫に記憶にとどめておきます。  次に、これは先ほどの続きになるのでありますけれども文部省に伺いますが、これは絶対に授業料引き上げの引き金になるようなことはないか、このことだけはきちっと聞いておきたいのです。
  70. 石井久夫

    石井説明員 私立学校の授業料の問題と、それから国立大学における授業料の問題、こういうことはすべて全般的な経済状況の中における大学教育研究条件をどう整えていくかという観点理解すべきものと私は考えております。  したがいまして、現在審議されております進学ローンと関連づけて、負担が容易になるから授業料を値上げするというふうな傾向をもたらすということがあってはならないものと考えております。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 と考えているということじゃなしに、絶対ありませんという答弁が欲しかったのです。考えているというくらいでは、これもまた、かも、メイビー、というようなことにもなるわけですか。文部省、絶対そうではありませんということを言えないのですか。
  72. 石井久夫

    石井説明員 子弟を大学等に入学させるに当たりまして、こういう制度が設けられることによりまして入学が非常に容易になるということにつながっていくわけでございますけれども……
  73. 島本虎三

    ○島本委員 よけいなことを言わないで、授業料の値上げのことについて答えてください。
  74. 石井久夫

    石井説明員 そのために私立大学等のサイドにおきまして、こういうことを契機にいたしまして逆に授業料の値上げを図るというようなことがないように私ども努力してまいりたいと考えます。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 進学積立郵便貯金の創設で、政令事項、省令事項、法律事項、業務方法書による事項といろいろ雑多な手段があるようでありますが、政令あるいは省令で定めるものはどういう事項になるわけですか。  それと、進学資金貸し付けの条件というのは国民金融公庫法の第十九条の業務方法書というものに書くことになるわけでありますが、そうするとこれまた大臣の方になりますけれども大蔵大臣が認可する前に郵政大臣ときちっと話し合うということになるのですか。双方勝手にやることになるんですか。
  76. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵便貯金金利一般が政令で決められておるのに右へならいをいたしまして、進学積立貯金に付すべき利率につきましては当然政令事項に相なります。また積立期間の決め方についても政令事項に相なろうかと思います。  業務方法書の関係は仰せのとおり大蔵大臣認可事項でございますが、相互に相当関連いたすものでございますから、当然事前に御相談はあるものと私は考えております。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 これまたあいまいです。あるものと考えているというのは、ないかもしれないこともあり得るということですか。一方的に進められるということがあり得るということにつながるのですか。そこははっきりしていないのですか。
  78. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  大臣からるる説明もございましたように、そもそもこの制度の発足のときから大蔵当局とも話し合いをいたした結果でございまして、積み立ての利率だけでなくて、この積み立てをやる方々については融資の条件というものはきわめて大事なものでございますから、当然相談があると私は考えております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 なければならないというんでしょう。少しはよくなったけれども、やはり一歩後退しておる。そういうものは確信を持ってきちっとやりなさい。あなたたちがそうやらないと大臣がまた苦境に立つのですよ。大蔵大臣の下に郵政大臣があるんじゃないのですよ。対等にあるのですよ。しかし、何か局長の答弁は自信がない。  ついでですが、この積立金総額五十四万円にした理由はどこにあるのですか。四万円というのは。
  80. 高仲優

    ○高仲政府委員 最近の調査によりますと、たとえば私立大学入学する場合であって東京で下宿生活を送るといった場合に、その経費が約百万円ぐらいかかっておるという事実があるのでございます。進学ローン制度はかかる経費のすべてをローンに頼るのではなくて、半分は自分積み立てで半分は融資によって入学時に家計に与える大きな影響を緩和しようという施策でございます。  したがいまして、積み立ての最高限度額を五十四万円とし、融資の金額は積立金額以内で最高五十四万円、両方合わせますと最高百八万円まで一時の金を工面できるようにいたしまして、大学入学時に通常要する経費を都合いたしたいと考えております。こうした関係から五十四万円という金額を考えたわけでございます。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 業務方法書に書くことになっております借り受け人の資格は、高校、高専、短大、大学等の進学者ということになっておりますが、各種学校の位置づけはどうなりますか。それと、親族というのはどの辺までを考えておるのですか。
  82. 高仲優

    ○高仲政府委員 業務方法書のことでございますから、直接的には大蔵省の答弁がしかるべきだと思いますが、担当の向きがおりませんので、私から私の承知しております点について申し上げたいと思います。  国民金融公庫法の一部改正法律案において、「学校教育法による高等学校、高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設」という表現がございますが、問題は「その他これらに準ずる教育施設」の具体的内容でございます。これは政令で定めることになっておりますが、私として理解いたします点は、盲学校、聾学校及び養護学校の高等部等のほか、水産大学、航空大学等も定められるものと理解いたしております。しかしながら、各種学校と申しましても予備校のごときものは全く考慮の外にあると理解いたしております。  それから親族についてでございますが、親族の範囲は民法に規定しております親族と理解いたしております。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 どういうふうに規定していますか。
  84. 高仲優

    ○高仲政府委員 預金者の配偶者、六親等内の血族及び三親等内の姻族ということに相なると存じます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 範囲はいま言ったとおりでいいのですね。これは文部省の方も大蔵省の方もそれでいいのですね。この点は私はわかって聞くんじゃなく、わからなくて聞くのです。それでいいということになればそのままなんですが、間違いありませんね。
  86. 高仲優

    ○高仲政府委員 当然本人も入るものと考えておりますが、私が現在理解しておりますところでは先ほど申し上げたとおりでございます。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 そうしますと、この「その他」という中には各種学校があり、そのうちで専修学校という制度もあるそうでありますが、こういうようなものはどうなんですか。
  88. 服部安司

    服部国務大臣 これはきわめて重要な問題だと思います。あいまいではいけないのでちょっと時間をかしてください。私はこれは一番大事なところだと思いますので、あいまいだとまたおしかりを受けますから、十分急ぎますから……。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 と申しますのは、これは各種学校の中に全部入れられてあったのですが、その中から先般専修学校というのが文部省の方で格上げされたというようなことを聞いているのですが、この文章にも質疑の中にも出てこないのです。格上げされて入らないということはないような気がいたしますが、この点も十分調べておいていただきたい。
  90. 服部安司

    服部国務大臣 これはただいまの御指摘をよく踏まえて急ぎ検討を加えて、確実なところで御返事いたしますからしばらく御猶予願います。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 では、この問題はそういうようにして処理させてもらいたいと思います。  その前に、ここに載っているこれを審議するときはみんな来るのです。関係者はそろって質問することになっているのですが、この業務方法書の関係の人は一人も来ていないのですか。これは何ですか、そういう審議の仕方はないでしょう。全部この中に入っているんだから、この法律を審議する場合に、必要な人がそろわないとこの法律を審議する場合にいけませんよ。こういうようなところにどうも大蔵省はエリート意識があって、おれの方の言うとおりやればいいんで、こっちへなんか来なくてもいいなどと軽く考えているんじゃないですか。森さん、そんなことを考えてはだめですよ。こんなことは予算委員会ならとんでもないことですよ。ましてわが党の委員長だからと軽く見ているんじゃないでしょうね。厳重に注意しておきます。  それで、貸付金の取得というのがあるのですが、これは入学に際し必要な資金というのはどういうことですか。どんなものが必要な資金になるのですか。ここもきちっとしておいた方がいいのです。
  92. 高仲優

    ○高仲政府委員 貸付金の使途でございますが、入学金、授業料、施設設備費等、入学に際し学校に納付する資金並びに受験のための費用、受験のための費用は受験料、往復の交通費、宿泊費等を含むもの、その他入学に際して必要な資金ということになっております。文言といたしましては、非常に個々明細にわたって詰めるということははなはだむずかしいわけでございますが、その他入学に際し必要な資金というのは、当然書籍、参考書等必要なものを含むということを考えております。  また、これらを一々明細に書き出すということは大変むずかしい問題だと思いますので、実際の事務取り扱いに当たりましては、通常のいわゆる社会通念上必要とされるものについては当然容認さるべきものと考えております。たとえば先ほど申し上げました受験のための費用と申しましても、交通費一つとってみても、公務員の旅費法に定めるような書式をもって一々提示を求めるというようなことは通常一般の国民にはいささか酷なことでございます。通常考えられる金額が申込書の説明のところに書いてあれば、それは当然容認さるべきものである、むしろ問題は積立金額の範囲内で、最高五十四万円というのが問題になるものである、このように理解いたしております。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 その必要なものの中で、アパートだとか宿舎というようなものは、ほかから来た人は必ず必要なものの中に、一つ重大な要素として入るのですが、いまの説明にこれがないようですが、これは全然考えられていないのですか。
  94. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいまお答え申し上げましたのも実は業務方法書の内容になるのでございまして、その運営に当たりまして郵政省としていかに考えるか、郵政省の窓口における仕事をやるのについてどう考えるかということを申し上げたのでございまして、ただいま申し上げましたもろもろの金額を合わせれば相当程度の金額に相なると考えておるのでございまして、個々明細に一々掲記するという余りに繁雑な手続はとらずに、いわゆる社会通念をもって措置するのが郵便局において広範な窓口業務を行う場合考えられるべき姿ではないかと私は考えております。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 言葉が多いのは何かしら自信のなさを感ずるのです。本当に業務方法書の部分に対してはだれも来ていないのですか。これにきちっと入っているのですよ。説明書の中の「郵貯預金者向け貸付制度の概要」の中に入っているのです。いまこれを審議しているのですよ。おかしいじゃないですか。私はこれはひねくれて聞いているのでは決してないのでありますが、何かしらおかしい。  アパートなどはすぐ必要な重大な問題じゃないかと思うのです。そういう経費も中に入れているのかという端的な質問ですが、何か答弁がごちゃごちゃしていますね。入っているのですか、入っていないのですか。
  96. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど来申し上げておりますように業務方法書の内訳の問題でございまして、これは大蔵答弁事項に相なるべきものでございます。  私がお答え申し上げておりますのは、私として郵便局業務を執行する場合にこのようにすべきであるという点について申し上げているのでございまして、社会通念上入学時に必要とする経費は、積立金額の範囲内で五十四万円以内という金額を満足する限りかなえるべきものだと考えておるということでございまして、実はこの問題について有権的にお答えする立場にないのであいまいなので、まことに申しわけないと存じますが、ありようはいま申し上げたとおりでございます。
  97. 松本七郎

    松本委員長 大蔵省は森資金第一課長だけが来ているわけですが、これで答弁が不十分ならばさらに出席要請をしなければなりませんが……。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 大蔵省にかわって郵政省自分の権限だけの答弁をしているということですね。大蔵省から森さんが来ているでしょう。
  99. 森卓也

    ○森説明員 先生の御質問の業務方法書に関しましては、大蔵省の銀行局の方の所管になっておりますので、ちょっと私の所管外でございますので、責任ある御答弁を申し上げるわけにまいりませんし、どういう理由かわかりませんが、恐らく銀行局の方にそういう話が事前になかったので銀行局の方は先ほど退席したのかと思います。  まことに申しわけございませんが、先生の御質問の御趣旨を戻りましてから銀行局の方に連絡いたしまして、議場で御答弁の必要があればそのように取り計らいますし、あるいは先生のところに事務的に御説明すれば足りるのであればそのように取り計らいたいと思います。
  100. 島本虎三

    ○島本委員 どうも私はわからないんだ。  官房長、あなたの方で説明に来たときにこの法律の概要をちゃんと説明書をつけて持ってきて、私はこれに基づいて質問しているのですが、全然そこにいないなどということはおかしいじゃないですか。
  101. 河野弘

    ○河野(弘)政府委員 業務方法書の問題に関連いたしましていま質問を受けているわけでございますが、私はいま関係の人について今回のいまの問題につきまして調べたわけでございますが、郵政省が主管する法律をこちらに提出いたしまして網審議いただきます場合、先生にお伺いいたしまして、郵政省以外の出席者については、そのときに出席を求められた者が委員会に出席するということになっているようでございまして、私どもといたしまして、その点につきましてはまことに意が足りなかったということを反省いたしております。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 この改正法案に基づいて説明するのに呼ばなければ来ないなんという審議の仕方はありますかね。みんな来なければだめなんです。どうもこの点がおかしいな。しかし、まあいいですよ。時間がなくなるから。  では、この点で質問するよりしょうがないでしょうからこれでやっていきますけれども、貸し付けの申し込みとそれから貸付金の交付は何によるのですか。政令ですか、省令ですか、業務方法書ですか。
  103. 高仲優

    ○高仲政府委員 貸し付けの手続につきましては業務方法書による部分が多いのでございますが、現在はっきりとしております点は、現実に郵便局の窓口で貸付金をお渡しするということ、それから申し込みを受け付けるに当たって事前審査の期間を置きまして、事前に相当程度の審査を行いまして、入学決定の通知書を持ってきていただければ直ちに貸付金をお渡しすることができるようにするということが考えられるわけでございます。なお、先ほどの答弁でいささか不徹底の感がございましたのでもう一度申し上げますが、私として理解しております点は、貸し付けの内容は先ほど申し上げましたような項目でございますが、敷金等の問題につきましても、先ほど申し上げました五十四万円の積立金の範囲内であれば、社会通念上これは入学に際して必要とする経費でございますから、それも加えるべきものであると考えております。
  104. 島本虎三

    ○島本委員 同時に、貸し付けの申し込みになりますけれども、これは郵便局で受け付けるわけですが、この郵便局には簡易郵便局も当然入るのでしょうね。
  105. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  簡易郵便局は、先生も御承知のとおり一人の受託者をもって業務を行っております関係上、余り複雑な仕事をしていただくのはいかがなものであろうかと考えております。  この点、今回の進学積立貯金につきましては、積み立ての段階におきましては簡易局の窓口に持ってきていただくわけでございますので特段のむずかしい点はないということも考えられますが、貸し付けに必要な書類を整備し、送付しといった仕事につきまして、いままでやっていた簡易局の仕事といささか性質を異にする関係上、いま鋭意検討をいたしております。実際の業務の余裕のあり方等につきまして検討いたした上で決定いたしたいと考えております。
  106. 島本虎三

    ○島本委員 これはいろいろございましょうけれども国民金融公庫法も改正することになっているようであります。そうなると当然先ほどの質問にも若干触れるのですが、公庫法の一部改正の附則で、郵政省設置法第三条及び郵政事業特別会計法第二条及び郵便法第二十条を改正するということになっているわけですね。そうするとこれは、改正する理由とあわせて委託手数料というようなものは一体どうなっていましょうか。それと同時に、無料郵便物とするのは、進学資金貸し付けのための郵便物はすべて無料になるのですか。この点も明確にしておきたいと思います。
  107. 高仲優

    ○高仲政府委員 まず、手数料の問題でございますが、先ほど資金の問題について別に御質問がございましたときに、資金は前受けする、しかしながらその金利は払わないということをお答え申し上げてございますが、こうした点も考えて手数料をどういうふうにするか、これは法律制定後に事務手続を決めることになっておりますので、その際実際の事務量、金利の問題等々を考えながら決めていかなければならないと考えておる次第でございます。  なお、無料郵便の問題についてのお尋ねでございますが、たとえば郵便局で貸付申込書を受け付けて、その申込書を国民金融公庫の本支店に送る場合、委託業務として業務の委託を受けておる限りにおいては郵政事業の範疇に属するものでございますから、これについては通信事務で差し支えなかろうかと存じますが、たとえばそのほかに申込書から督促をやってくれないかといったような問題があったという場合、これは依頼を受けてということになりますので有料でなければ筋としておかしいのではなかろうかという感じがいたしております。  細部の手続については今後決めようと思いますが、郵政業務として取り扱う部分につきましては通信事務を使うことができる、単に依頼を受けて行うという場合においてはお客様の方に切手を張っていただかなければならない、このように考えております。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 郵便局と国民金融公庫の間、これは郵政大臣のあっせんということなんですが、この間についてはすべて無料通信事務ということになるのかということですが、そうすると郵便局から国民金融公庫に行くのは通信事務、国民金融公庫から郵便局に来るのも通信事務ということになるのでしょう。これは貸し付けのための郵便ということになる。何かこの辺はっきりした統一見解はないのですか。
  109. 高仲優

    ○高仲政府委員 国民金融公庫が郵便局に出す場合につきましては、国民金融公庫の業務の執行でございますから当然有料でございます。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 よくわかりました。そういうように答えればいいのですよ。めんどうくさいことを言うから、頭のいい人はわかるけれどもこっちの方には理解できなくなるのですよ。  これで終わるのでありますけれども、委託手数料はこれから考えるというのですが、大臣、これはまだ考えないで提案したのですか。考えないで提案したとすれば軽率か国会無視じゃありませんか。でき上がって、さあどうですかと、このように出すのが皆さんの態度じゃないですか。  NHKの集金の場合でも一件百六十五円と決まっているでしょう。国民年金の場合も四百七十五円と決まっているでしょう。恩給の場合だって五百三十五円、税金の場合には四百七十五円というようなことで、これまた大蔵省に押されっ放しじゃないですか。決まらないで出すなんて、大蔵大臣郵政大臣と対等にあるということをさっきから何回も言っているのだけれども、ここですぐわかるじゃありませんか。これでは押されっ放しじゃありませんか。
  111. 服部安司

    服部国務大臣 結果から見てそういうことにたりますね。まことに残念です。だから、この点も先ほどの問題と同様私も確かに軽率だりたと思います。まさかというようなことがそうなっているわけですから、これもひとつ早急に大蔵当局と詰めてはっきりと提示したいと考えております。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 まだいろいろありますが、時間が足りないのでよう言えませんでした。  先ほど姿勢についても質問しましたが、私はそれを期待します。どうか大をなしてください。そのためにもきちっとやってください。  終わります。
  113. 松本七郎

    松本委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  114. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野口幸一君。
  115. 野口幸一

    ○野口委員 午前の質疑者に対する大臣の答弁並びに貯金局長などの答弁を伺いまして私は感ずるのでありますけれども郵貯資金を自主運用しようという基本的な姿勢に対する考え方が少しく後退をしているんじゃないか。あくまでも郵貯資金は自主運用すべきなんだという原点に立っての今回の法律改正に臨むという姿勢が欠けているような気がしてならないのですが、その点についてはどういうお考えでいらっしゃいますか、まず、その点を大臣から伺いたい。
  116. 服部安司

    服部国務大臣 非常にむずかしいですが、私が午前にお答えしたとおり、郵貯資金の自主運営ということになりますと、これは日本財政金融の流れの中で、異常なと表現するとオーバーかもしれませんが、異常な力を持ち過ぎるという点に私は決して意欲的じゃない。これは前の郵貯金利は何とかがんばりますと言ったけれども、時の流れでこういうことになって、もちろん私は所管大臣として自主運営に意欲を燃やしておりますと言えば最も適切であるかもしれませんけれども、ちょっと私にはいまそれを言う勇気はございません。  しかし、それは消極的な姿勢からそういう考え方であるのだとは私は決して思っておりません。仕事には意欲的でありますが、郵貯の自主運営にはかなり真剣に検討を要する問題であると考えておる次第であります。
  117. 野口幸一

    ○野口委員 いまの状況から言うならば大臣としてはその程度しか御返事がいただけないだろうとは想定いたしますが、これは何遍も皆さんがおっしゃっていますからあえて言う必要ははないと思いますけれども、私からも重ねて申し上げておきたいのは、郵便貯金にしろ簡易生命保険にしろ、広く国民の皆さん方から零細な金を集めてきて成り立っている事業であるとするならば、それらの人々に対する還元の方法として、自主的に運用をして、その中で預金者なり簡保の加入者に対して還元をしていくという基本的な姿勢をなくしてはならない。  そして、預金部に対する今日の状況から見まして、総額全部を自主運用ということはできないかもしれませんけれども、少なくともある一定の部分だけは自主運用ができるという枠を郵政省としても持つべきだ。こういう考え方を持って、政府与党の側にありましても、特に大蔵省との話し合いの中でもう少し郵貯の持つ特別な事情というものを進言していただいて、その枠をどうしても持っていくという考え方に格段の努力をいていただきたいということをこの際重ねてお願いをいたしておきます。  そこで、進学積立郵便貯金というものを創設され、また、それに伴いまして、いわゆる進学ローンというのですか、貸し出しをやろうという当初の小宮山大臣の時代からの話なんでありますが、先ほども当初の郵政省案というものとの対比がなされておりましたけれども貸し出しを受ける側、利用する側から見ればそんなに変わっていないじゃないかという言い方が確かにできるかもわかりませんけれども、私が言うならば、むしろそれは複雑になっておるのではないだろうかと思われるのです。  というのは、たとえば先ほど来の質問に対する御返事で、大学では進学年度に幾ら要るのかという質問に対して大体百万円くらい要るのだということでありますが、そうすると、その百万円の貸し付けを仮に受けようとすると、全部ローンでやるのではなくて、半分は自分で自主的に金をためて準備するのだ、残り半分ぐらいを貸してもらうのだという形にするのがいいんじゃないかという理屈で大体五十何万円という数字が出てきたのだという返事がありましたけれども、この五十何万円という貯金ができる人は残り五十何万円を借りるということに対して魅力を持っているだろうか、こういうところに私ば視点を置くわけであります。  そうなれば、今回国民金融公庫が別口におやりになろうとしておる貸し出し貯金をせずして五十万円貸そうというところで創設されるわけでありますから、むしろそちらの方に魅力があるのではないだろうか。貯金ができるという人ならば、何もわざわざ貯金をしなくとも貸し出しが受けられるという方に走るのではないだろうかということですね。また、郵便貯金でなくともその他のところに貯金をしておってでも国民金融公庫で五十万円の小口貸し出しができるということになりますと、郵便貯金をして郵便局を窓口にしてということだけのメリットで今回のこの貸し出しが行われることに対して余り魅力がないのではないか。  法改正をしてまで創設しなければならないという郵便局としてのメリットは一体何があるということでこの貸し出しをやろうとしておられるのか、その辺のところを伺いたいと思います。
  118. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  あらかじめ貯金積み立て意味は一体いかなるものであるかという御質問であろうかと思いますが、これは私どもの当初からの発想でございますが、もともと、現在時点、最近までは、子弟の入学時の経費というものは父兄があらかじめ貯金をするなり何なり工面をしておいて、その金によって子弟の入学を図ってきたというのが実情でございますが、最近入学関係の経費が非常に急騰いたしまして家計に大変な圧迫を与えるということが言われるようになりました。つまり、あらかじめ貯金をしておったのではなかなか間に合わないという事態が出てきておるわけで、こうした事態に対処いたしまして、貯金の足りない部分を補って、つまり一時の出費を数年間に平準化して家計に与えるインパクトを少なくしようというのが当初のねらいでございまして、貯金を獲得するための方便と申しますよりは、貯金で間に合わない部分のお手伝いを申し上げて家計に与える影響を平準化するということが当初からのねらいでございます。  そうした意味合いにおきまして、国民金融公庫が何もなくてただ貸し出すというのとは当初からの発想が違っておったと申し上げてよろしいのではないかと考えます。
  119. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、郵便局で貸し出しをするメリットは一体何になるのですか。郵便局がその媒介の労をとるというのは何のメリットがあるのですか。
  120. 高仲優

    ○高仲政府委員 これは、全国に非常に広範に分布しております郵便局は利用者に大変親しまれておりますし、そこの窓口で金を預けることも借り出すこともできるということは国民の利便にかなうということが一つと、それからもう一つは、これだけ大きくなり、かつ広範に国民に利用されておる貯金事業といたしまして、国民の利便を図るということを私どもは常々考えておったのでございますが、たまたま以前国会におきましても、貸付制度の拡充とか国民の経済生活の充実、安定に資するような制度について検討せよという御決議をいただいておりますし、また、郵政審議会におきましても国民の利便に対応する措置を考えるべきであるという趣旨の答申をいただいております。  かれこれ考えて、これが国民の利便に相かなうものであると考えてこれを御提案申し上げておる次第でございます。
  121. 野口幸一

    ○野口委員 大蔵省の銀行局の方にお聞きをいたしますが、今回この郵貯の窓口を利用して貸し付けを行うということと同時に、大蔵省の方では、国民金融公庫においても同額に近い五十万円を低所得者向けに貸し出しをするということになったわけでありますが、その目的と、これを開設するに至った経緯をお聞かせいただきたい。
  122. 石川周

    ○石川説明員 最近、金融行政の大きな問題の一つといたしまして、消費者ローン、個人部門に対する資金供給ということが新しい政策課題と意識されてきております。数年来、個人部門に対する資金供給の充実ということにつきましては金融行政として力を尽くしてきております。その最初の大きな山が住宅金融、住宅ローンであったと存じます。そして第二の山が教育ローンという形で来たというふうに理解しております。各銀行、民間金融機関におきましては、五十年あたりから、それぞれの金融機関努力といたしまして教育ローンをそれなりにいろいろとやってきておりましたが、微々たるものでございました。  昨年六月ごろでございますか、総理からの御指示もございまして、本格的に教育ローン全体についての推進を図るようにということもございまして、民間金融機関におきまして教育ローンを拡充するという方向を打ち出す一方、御提案のありました郵貯資金利用しての財政資金からの教育ローンという問題についても検討を進めて、そして予算編成の過程におきまして郵政省と御協議を続け、政府といたしましては、国民金融公庫において教育ローンを実施するという方針に踏み切ったわけでございます。  その一環といたしまして、国民金融公庫が行う教育ローンの中に郵便貯金利用する者に対する教育ローンというものをつくるということで、御提案のような仕組みになったわけでございます。
  123. 野口幸一

    ○野口委員 全国で国民金融公庫の窓口というのはどのくらいありますか。
  124. 石川周

    ○石川説明員 現在、支店、代理店その他を含めまして大体五千の窓口を持っております。  教育ローンを実施するためにはもう少し窓口を広げたいと考えておりまして、農協その他細かい末端の民間金融機関全体を含めまして一万程度の窓口は用意いたしたいと考えております。
  125. 野口幸一

    ○野口委員 私はひねくれた物の言い方をするようですけれども、少なくとも政府が、仮に郵貯資金の自主運用ができないということで大蔵省資金運用部の金を他の方法で国民のために貸し出しをするという際に、郵貯の窓口だけではなくて自分のところもやるのだ、いわゆる国民金融公庫を通じてやるのだという考え方を出してきたというのは、郵便局だけではだめなんだ、おれのところもやるのだという何か競争意識みたいなものが働いておってのことではないのか。  私から言うならば、郵便局の窓口というのは全国津々浦々にありまして、非常に広範囲なお客様を対象とすることができる。それならば郵便貯金利用するということが一つはありますけれども、ここを窓口に統一していくという気持ちがなかったのか、あるいはまた、あったのだけれどもそれにさらに加えて一般の皆さんにも貸し出すという意味国民金融公庫でもやろうという考えになったのか、それはいずれかわかりませんけれども、私から見ますとどうも競合的な考え方でそちらでもやろうというような気があるような気がしてならぬのですけれども、その点はどうお考えですか。
  126. 石川周

    ○石川説明員 新聞報道などいろいろな角度から問題がもてはやされました感がございますので、御質問のような角度の見方も間々されておりますが、これが郵政省大蔵省の所管争いというような角度から議論されるのは私どもははなはだ残念に思っております。大蔵省といたしましては、財政資金を使っての教育ローンのあるべき姿はどうあるべきなのだろうかという角度から一貫して議論をし、問題を提起してきたつもりでございます。  その場合、大蔵省立場といたしましては、財政資金の統合運用という角度から、教育だけでなくて、住宅であるとか農業金融であるとかあるいは道路建設、公共事業等の全体の資金配分の中で、いわば政策の優先度というものを踏まえながら教育ローンにどの程度の資金を供給すべきかということを考えるべきではないかということがあります。それからまた、そういった全体の政策金融を行います場合に、現在政策金融の担当機関としていろいろな機関がございます。担当していない郵便局の窓口もございますが、ほかにも政府の関係のいろいろな機関の窓口は多々ございますけれども、それは政府のそれぞれの分業ということで、いまの仕組みは最も効率的なように構成されている。その場合に、融資を担当しております既存の機関を使うということがやはり行政組織としての最も効率的な望ましい姿ではないかと、手段としてはそのように考えたわけでございます。  いろいろな角度から議論をいたしまして、御提案申し上げているような姿が教育ローンを財政資金として行う姿としては一番適切ではないかと、このように考えた次第でございます。
  127. 野口幸一

    ○野口委員 私も、先ほど言いましたようにあえてひねくれているという言葉を使いましたが、そういう考え方はしたくないのです。先ほどの大臣の答弁の中にもありましたように、国民の側から見て一番いい方法というのが一番望ましいのであって、大蔵省郵政省が所管争いをしてやるということを望んでいるわけでもありませんし、また、そういうことはあってはならないと思うのであります。だから、私が言うのは、そういう発想で金を貸そうということになれば、むしろ郵便局の窓口を利用してやろうじゃないかという考え方になぜ立たなかったのだろうかということなんです。あるいはまたそれを主としてやろうじゃないかということにならないで、既存の国民金融公庫等をお使いになってやっていき、その中に郵便局も入れてやろうというような、発想から言うならば逆に郵便局の窓口を使おうという形の中での発想があったような気がしてならないので、あえてまたそういうような気持ちになったわけであります。  しかし、これは両者が窓口がたくさんあればあるほどいいわけでありますから、決してそのことを否定するものではありませんけれども、当初言いましたように競合させるというような形、あるいはまたそのことを新聞や週刊誌等で書かれておりますように、メンツの上から郵便局がしているのだったらおれのところもやろうじゃないかというような形があったのではないかということが言われるということは、やはり、いままで政府がとってこられた郵貯資金に対する姿勢あるいは大蔵省のとってこられた郵貯資金の運用のあり方についての気持ちがはしなくもあらわれたというような気がしてなりません。  私は今後においてもそういうことのないように願う一人でありますのであえて申し上げておきますが、郵便貯金というのは、先ほど大臣にもお答えをいただいたように、国民に広く浸透した、しかも零細な金を集めてきている金融でありまして、その窓口を通じてやる融資は、大蔵省立場から言うならば自主的に行うのはいけないという理論でありますけれども、また私ども利用者の立場から言うならば、総額とはいかないけれども、一定の額は自主運用されても決して間違ってはいないという考え方に立つわけであります。そういった意味では、今後こういった貸し出しをやり、あるいはまた利用者に対して融資をしていくということについて、今日のこの形態が万全なものであるというような考え方では困るということをあえて申し上げておきたいと思います。  そこで、問題をちょっと進めてみたいと思うのでありますが、当初、小宮山大臣だったか、教育ローンの問題についてぶち上げたことを書いた新聞が出まして、その後に各種機関がこぞって一斉に教育ローンの問題を取り上げまして、いま大蔵省の御答弁にもありましたように、総理大臣の指示もあったということでありますけれども、さらにまたひいてはその問題を民間が先行をしてしまって、そして最後に郵便局という形になってしまったわけであります。そうしますと、この教育ローン状態をながめてみますと、非常にたくさん窓口ができるようになりまして結果的にはよかったのでありますけれども、そういうふうにしますと、一番の低所得者といいますか、零細な所得しかないという、利用を一番したいという層を対象としているはずの郵便局の貸出限度にいたしましても、あるいはその他の対象内容を見ましても、決して有利であるということだけを言えないという状態にあるのではないかと思います。  そこで、この一つ一つを分析してといいますか、砕いて申し上げてみたいと思うのでありますけれども、たとえば郵便局の進学積立郵便貯金の利息一つを見ましても、これは二年ものの現行の積立郵便貯金よりも安いというのは、どういう理由によってこれは安いのですか。これをまずお聞きしたいと思います。
  128. 高仲優

    ○高仲政府委員 現行の積立郵便貯金より若干安くしておりますのは、この積立貯金は融資を受けられるといういわば特約づきのもので、その利益があるという点から若干低く抑えて、むしろ一般の積立貯金と区別をつけた方がよろしいのではないかという点からつけてあるわけでございますが、この進学積立貯金につきましても、積み立てたまま融資は受けなかったという場合は一般の積立郵便貯金と同様の利子をつけるということを考えておる次第でございます。  そうした点から、一般の積立貯金並みにただ積み立てたという場合につきましては、もちろん積立貯金は二年という確定期間がございますが、この進学積立貯金は一年以上三年ということになりますので、一年から二年未満のもの、ちょうど二年のもの、二年を超え三年のものとそれぞれ分けて、借りない場合は金利をつけて、ちょうど二年のものにつきましては一般の積立貯金と同じ利率にするのがよろしいのではないかと考えております。
  129. 野口幸一

    ○野口委員 それで、二年ものは同じ利率にするんですか。
  130. 高仲優

    ○高仲政府委員 借りる場合につきましては一般の積立貯金より若干低いのでございますが、借りない場合は同じ利率にいたしたいと考えております。  これは利率につきましてはもちろん郵政審議会の諮問を得て決めるべき問題でございまして、法案成立後に所定の手続をとるわけでございますが、私といたしまして現在考えておるのはそういうことでございます。
  131. 野口幸一

    ○野口委員 私はその理屈が賛成しかねるといいますか、納得がいかないのですけれども、少なくとも郵便貯金をやっておるがゆえに貸してもらえる、これがあるから利率が安いんだというような発想では、利用者に対して余りいい話にならないのじゃないかと私は思うのですよ。片方では、国民金融公庫で何もなしで五十万円貸すというんですよ。郵便局の湖は貯金をしたら貸してやろうということでありますから、貯金をしなければならないという問題があるわけなんです。それにもかかわらず、それは一般の積立貯金よりも利息は安いんだ。何で安いんですかと聞いたら、金を貸してやるから安いんだと言う。これじゃ郵便貯金をしていこうという意欲に欠けてしまうじゃないですか。
  132. 高仲優

    ○高仲政府委員 これから始まる制度でございますから確定的に申し上げてはいかがかと思いますが、国民金融公庫からの貸し出しの場合には当然融資枠という問題があって、これは住宅の場合も同じでございますが、申し出のすべてにわたってかなえられるかどうかという点には確定的な約束はできないと思います。しかしながら、進学積立郵便貯金をしていただいた方には、郵政大臣があっせんすることによって確実にお貸しすることができるようにいたすということが前提になっております。  そうした意味合いにおきまして、貯金をしていただくということは確定的に貸すという——もちろんこれは条件が成就することは当然でございますが、そういうメリットないし特点があるものと考えておる次第でございます。
  133. 野口幸一

    ○野口委員 そうすると、郵政大臣のあっせんがあれば無条件で貸してくれる。そのあっせんに至るまでの諸条件が整わなければなりませんけれども、あっせんがあれば国民金融公庫はその他の障害があっても貸し出しをするんですね。
  134. 石川周

    ○石川説明員 郵政大臣からのごあっせんがあれば原則としてお貸しいたします。原則としてと申し上げたのは、審査で重大な瑕疵があり、欠陥があり、返済能力がないというような場合はもちろん無理かと思いますし、また、あっせんがございました場合でも不可能なミスというようなものも論理的にはあり得るわけでございまして、そういう場合には融資はむずかしいかと存じますが、原則として融資させていただきたいと思っております。
  135. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、たとえば国民金融公庫において貸し出す際に、既定の住宅ローンを借りている人あるいはまたその他の貸し付けを借りているというような人が限度ぎりぎりに借りているということがあっても、郵便局の方の郵政大臣のあっせんがあれば貸すというわけですね。限度以上であっても貸すということですね。
  136. 石川周

    ○石川説明員 この融資につきましては全く別枠に考えております。あくまで返済能力の問題でございます。
  137. 野口幸一

    ○野口委員 返済能力ということは何をもって基準にされるのですか。  それから同時にお聞きしたいのは、低所得者向けという言葉でございますが、低所得者というのは一体幾らからを言うのですか。  同時にもう一つついでにお聞きしたいのでございますが、低所得者として一方五十万円の貸し付けをなさる、それからまたわれわれの方から言うところの郵政大臣のあっせんによって貸し付けをする、これが二重になるという場合においても、先ほどおっしゃった制限枠は別のものであるという考え方でございますか。
  138. 石川周

    ○石川説明員 返済能力の点につきましては、年収、いろいろなほかの借り入れ、それから民間金融ども含めまして、たくさんの借り入れをしておったような場合にはこれは無理だという判断が出てくるかもしれませんが、いろいろな問題をできるだけチェックして返済能力を判定するということになろうかと思います。  所得制限の基準の問題でございますが、私どもは育英会の基準におおむね準拠したいと考えております。五十三年度予算の場合は年収四百七、八十万というふうに聞いておりますので、それに準拠させていただきたいというふうに考えております。  それから、一般貸し付けと郵貯関係貸し付けの二重融資は可能かという点につきましては、可能でございます。一般貸し付けば所得制限ということが課せられている以上、一つの世帯、一つの借り主に対して二口、三口貸すということは論理の矛盾でございまして、返済し終われば次男とか三男とかの次の貸し付けということは可能でございましょうが、そういう意味では、残高としては、一口の貸し付け、一般貸し付けはそんなふうに私ども考えております。  しかし、郵貯貸し付けの方はそれだけの資金需要があり、長男、次男、三男同時に在学するという場合はたくさんございます。その場合に、一般郵便貯金の方で積み立ててそちらの方で借りたいということであれば、これは可能であります。
  139. 野口幸一

    ○野口委員 ここが大事なんですけれども、一人の対象者が当初から一遍に二口借りるということは可能なんですか。
  140. 石川周

    ○石川説明員 可能でございます。一進学者について一般貸し付け一口、郵貯貸し付け一口、これは可能でございます。
  141. 野口幸一

    ○野口委員 先ほどからの大蔵省の返事を聞いておりますと、あっせんの効力というのは、いわばただあっせんをするだけでありまして、郵政大臣があっせんをしたからといって万全的なものでない、あっせんされても拒否する場合があるのだということが言えるわけですね。そういうことは言えるわけですね。そうなりました場合から考えますと、郵政大臣のあっせんというのは単なる事務上の問題であって、郵政大臣の権限としては何らないんじゃないかということが逆から言うと言えるのじゃないかと思うのですが、どうですか。審査権も拒否権もないということになれば、郵政大臣は一体どうなんですか。
  142. 石川周

    ○石川説明員 郵政大臣のごあっせんによりますものは、むしろ原則として融資をさせていただくというふうに御理解いただきたいと思います。  拒否することがあり得ると私が申し上げたのは、予知できないようないろいろな問題があり得るし、あるいは返済能力という問題がございますが、そういった通常考えられるような瑕疵がなければ、ごあっせんに基づいてほぼ自動的に融資をすることになります。
  143. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと重ねて申しげておきますが、国民金融公庫等で他の融資を受けて、すでに金融機関が見られるところの貸出限度をオーバーしておっても、郵政大臣のあっせんがあれば貸し出すことが原則であるということにしていいわけですね。
  144. 石川周

    ○石川説明員 そのとおりでございます。
  145. 野口幸一

    ○野口委員 国民金融公庫の方、お見えでござい等に対する交付国債その他の国債を担保にいたしまして事業資金を融資しているものでございます。  それで、貸付条件等を申し上げますと、これはいろいろございますが、まず、普通貸し付けのうちの一般貸し付けを申し上げますと、借り受け人は一般の中小企業、これは個人企業、法人企業いずれでも差し支えございませんで、貸付限度は現在千二百万円以内でございます。  それから貸付期間は、原則として運転資金が五年以内、設備資金が七年以内ということになっております。  それから金利でございますが、これは基準金利が七・一%になっております。基準金利と申しますのは原則的に適用される金利でございまして、特に緊急融資、たとえば最近の円高に対しまして緊急融資をやっておりますが、こういうものは別といたし旗して、一般的、原則的に適用される金利でございますが、これは七・一でございます。  それから保証人と損保でございますが、保証人は一名以上必要ということになっております。担保は必要に応じてちょうだいいたしております。  それから返済方法でございますが、これは割賦払いまたは一時払いという業務方法書の定めでございますが、九九%以上の方が月賦払い、これは元金均等償還でございますが、これを利用していらっしゃいます。  それから特別貸し付けでございますが、これは一口に特別貸し付けと申しますが、さっき申し上げましたようにいろいろな政策目的によりまして、十数本ありますので一律にまいりませんが、資金の使い道は事業資金のうちの特定の設備資金でございます。これは別表によりまして掲げました特短した設備資金が主でございまして、ごく一部運転資金がついておりますが、これは限度が一般貸し付けよりも優遇しておりまして、これも貸し付けによって違いますが、千五百万円以内あるいは二千二百万円以内というように定められております。期間は十年以内というのがたてまえでございまして…
  146. 野口幸一

    ○野口委員 それで結構です。  全部お聞きしたいのですが、時間がないのでそうもまいりませんのでちょっと割愛させていただきましたが、いずれにしましても、貸付限度にしても貸付期間にしても、非常に高額でありかつ長いものをいままでずっとおやりになっている。それの平均利率といいますか、基準利率が七・一%である。これは一応わかるとしましても、今回行われようとする教育ローンにこの基準利率を当てはめるということがどうも納得がいかないのであります。少なくとも期間は短いし、金額は五十万円だ。ここのところからいかないと郵便局のローンも同じところへ来るわけですからあえて言っているわけでありますけれども、この七・一%はどうしても動かせないものか。  期間も金額も、その他の融資の、国民金融公庫の他の融資の部分から見ても、非常に劣悪な条件といいますか、金額も少ないし貸出期間も短い。こういうようなものを基準金利でもって貸し出すんだということについてはどうも納得がいかない。少なくともそれよりも安くするんだという考え方に基づかないものだろうかということについて少しお聞きをしたいと思うのです。
  147. 石川周

    ○石川説明員 国民公庫の一般事業資金貸し付けは平均して三年ちょっとでございます。今回御提案申し上げております教育ローンは四年でございます。貸付期間の問題といたしましてはほぼ同じような感じではないかと思っております。  それから、そうした七・一という現在の基準金利の貸付金利をもっと下げられないかということでございますが、その金利を下げる場合には、やはり、財政資金で補給金なり出資金なりを入れて負担を軽減しないと国民公庫としてはそれができません。現在の財政事情からいたしますと、なかなかそれはむずかしい問題であろうかと考えております。
  148. 野口幸一

    ○野口委員 そこで、この際お願いになるわけでありますが、いずれにしましても、零細なる所得者を対象として今回の貸付制度が行われようとしているわけでありますから、国民金融公庫がいま業務内容としてやっておられる貸し出し金利よりも少なくとも安いという形の中で運営されるべきではないかというのが私の主張であります。  そういった点では、いま御答弁にありましたように裏打ちをしなければだめなんだとおっしゃいますが、逆に言うならばその裏打ちをしてもいいんじゃないかと私は思うのであります。そういった意味で裏打ちをしておられる貸し出しもあるわけでありますから、この教育ローンは裏打ちはできないものなんだというきめつけはできないはずと思いますから、そういうところにもぜひとも広げるような努力をしていただきたいと思いますが、この点はどうですか。
  149. 石川周

    ○石川説明員 財政資金利用いたします政策の展開ということは、いろいろな角度からのいろいろな政策要請がございますが、やはりそれなりの必要性と政策の優先順序ということだろうと思います。  いまの財政事情から考えますと、教育ローンということにつきまして七・一%以上に下げて、税金でもってこれをカバーするということまではなかなか踏み切りにくいというふうに理解しております。
  150. 野口幸一

    ○野口委員 現在の答弁としてはそのくらいしかもらえないと思いますけれども、姿勢としてはぜひともそういうような考え方で臨んでいただきたいということをお願いいたしておきます。  そこで、また少し細かい話になりますが、先ほどちょっとお聞きいたしました返済能力という問題でありますが、借受人の資格として返済能力というものを考える際に、まあこれは貸し出しする仕事を審査する立場でおやりになるのでありますけれども国民金融公庫でおやりになるといたしますと、一体どういうことをお調べになってこの返済能力というものをお考えになるのか、この点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  151. 村瀬光夫

    ○村瀬説明員 その点につきましてはただいま鋭意検討中でございますが、先ほども石川総務課長からもお話がありましたが、借受人の世帯収入でございますとか、あるいは資産、負債の状態、年齢、それから保証人の保証能力と申しますか、同様の事項でございますが、そういうことを総合的に勘案した上で判断いたしたいと思っております。
  152. 野口幸一

    ○野口委員 まあ、五十万円の融資でありますから、それに対して返済能力というのをそんなに神経質に見られてはたまったものじゃないと思っているのでありますが、それにも増して保証人をつけろというわけであります。  そうなってまいりますと、この貸し付けの金額から見ましても、ずいぶん石橋をたたいて渡るような形の中で貸し出しをされるわけでありますけれども、この内容から審査いたしますと、これはそんなにたくさん利用はないだろうと思いますが、あった場合、いわばこの返済能力を調べるということについては、これは窓口が郵便局でやっているわけでありますから窓口で調べることができなくて、実際は金融公庫がおやりになるとするならばこのことは可能なんですかということが言いたいのですが、その点は郵政省に任せるとか、あるいはそこまで郵政大臣のあっせんというものの意味を深めるというつもりはございませんか。その辺のところはどうでしょうか。
  153. 石川周

    ○石川説明員 実際の融資申し込み、それから審査手続、基準といったものは鋭意検討して勉強させていただいておりますが、いま私どもが大筋として考えておりますところは、一つの基本的な項目、チェックポイントというものを考えて、借り入れ申し込みのときにそれぞれそれに応ずるような記入なり資料なりを同時に出していただいて、それが全体として完備しておればまあ大丈夫だろうというような感じでおります。  しかし、余りだくさんのチェックポイントをつくりますと、これもまた大変になりますので、できるだけ簡便に——しかし、大切な国民の預金を運用させていただいておるわけでありますから、返済ということについてはやはり十分な配慮をしなければならない。その兼ね合いの問題でございまして、先生の御指摘のいろいろな問題を踏まえながら、実施までに十分に準備をさせていただきたいと考えております。
  154. 野口幸一

    ○野口委員 少なくとも郵政大臣があっせんするという立場を重視していただいて、郵政省が貸してやってくれということを言うならば、返済能力といいますか、借受人の資格の問題という点と貸付金の使途という問題についても、一定の信用というか、そういうものを郵政省の窓口に対して委託するという形の中で簡便的な取り扱いができるようにすべきではないか。そこらに郵便局がタッチをし、あるいは郵政省がタッチをしているということの意味合いがあると私は思うのでありますが、それが何もなくて、ただ素通りに行ってただ受け渡すだけであって、チェックポイントは全部国民金融公庫がおやりになる。また実際におやりになろうとしておるのでありますけれども、それでは非常に時間がかかってよけいに煩瑣になってくるのではないだろうかということも考慮するわけであります。  そういった意味では、私が前段に申しましたようなことをお考えになって、具体的には郵便局の方から回ってきたら、ほとんど無条件というか、資格的な問題も含めて無条件に貸し出しをするというところまで進めるような用意をぜひともひとつ御相談をいただきたいということをお願いしたいと思うのですが、この点はいかがでございましょうか。
  155. 石川周

    ○石川説明員 先生の御指摘の点を踏まえながら、できるだけ利用しやすい簡便な制度にしたい、しかしながら融資の確実性を確保しながらできるだけの仕組みにしていきたい、このように考えております。
  156. 野口幸一

    ○野口委員 たびたび大きな問題になったり小さな問題になったりして恐縮ですが、先ほどちょっと触れました積立金の総額を五十四万円を限度とするということはいかがなものかと思うのであります。  これは貸し出し理由とするからということでありますけれども貯金をさせる方は五十四万であろうと百万しょうと勝手じゃないのですか。それの中で五十四万しか貸しませんよというのは意味があると思うのですけれども、五十四万円しか貯金しちゃいけないということを先に決めるというのはいかがなものかと思うのですが、この点はいかがですか。
  157. 高仲優

    ○高仲政府委員 これは進学積立郵便貯金については五十四万円を限度とするわけでございまして、そのほかの貯金につきましては当然一般の限度の中で貯金できるわけでございます。  なぜ五十四万円としたかと申しますと、先ほど申し上げましたように、現在入学時に要する経費につきましては、これは民間の調査でございますが、東京に遊学する場合は百万円強かかっておるという実情でございまして、そのうち半分は自分積み立てたもの、半分は借り入れるものという形でその必要経費を賄うという、そういうことをたてまえとして考えましたから五十四万円ということにいたしたわけでございます。
  158. 野口幸一

    ○野口委員 そこのところがぼくはわからないですね。貸出限度を五十四万円にしたということについてはいろいろとお考えになっていいと思うけれども郵貯を五十四万円以上してはいけないという限度を設けるというのは腑に落ちないのです。それ以上しても関係ないじゃないですか。それ以上しても五十四万円しか出さないのだということが別にあれば、五十四万以上してはいけないということをそう強調する必要はないんじゃないですか。人によっては百万も二百万も入れる人があるかもしれないし、そのことを郵便貯金をする側から言いますと、五十四万しかしてはいけないのだというメリットがないじゃないかと思うのです。  また、五十四万が担保になって貸し出しをするというのなら五十四万という数字は生きてきますけれども、五十四万以上貯金をしたとしても担保にも何もならないのですからね。だから、この貯金は出していいでしょう。五十四万たまったときに出すわけですから、五十四万にしてしまうということは腑に落ちないと思うのですが、その点はどうなんですか。
  159. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、進学積立貯金金利一般の積立貯金よりやや低いのでございます。それで貯金をするのでございましたならば、そのほか定額郵便貯金であれ、定期郵便貯金であれ、その金の預けておける期間に応じていろいろの種類がございますので、そちらの方にお預けいただくことによって用は足りるのではないか、このように考えた次第でございます。
  160. 野口幸一

    ○野口委員 そこら辺が違うのですね。私は、少なくとも一般積立貯金と利率を同じにしろ、だから枠は外すべきだ、そう煩雑なあっちにもこっちにも利率の違う貯金を設けるようなことはしなくてもいいんじゃないか、積立貯金を別にしてもう一口入ってもらって、それを学資積み立てという形の中で積立貯金をやってもらえばいいんじゃないか、そんなに特別な利息の安いものを設けなければならない理由一つもないじゃないか、学資の融資がしてもらえるように、いわゆる進学ローンを受けられるような形の中でもう一口入ってくださいという、そういう形の中での積立金を別にして加入してもらえばいいんじゃないか、こういうように思うのです。  これを別にしなければならない理由というのは見当たらないと私は思うのですが、貯金局長、どうですか。
  161. 高仲優

    ○高仲政府委員 子弟の進学というものはあらかじめ予定されるものでございまして、その時期に備えて計画的に積み立てるものでございます。計画的に積み立てめどといたしましては、先ほど申し上げましたように、入学時に約百万円ということが一応のめどに相なろうかと思います。  また、こうして一般の積立貯金と別に区分して経理することによりまして、たとえば次期の入学期におきます融資の申し込み数の予測と実際の事務運営上にも役に立つものと考えておる次第でございます。
  162. 野口幸一

    ○野口委員 知らない人にはそういうことを言えばそれでわかるだろうと思いますけれども、中を知っておる者にはそんなことを言わないでも、積立貯金の表示をカードにすれば、どれだけその分があるとかないとかいうことぐらいはそれでわかるじゃないですか。だから、煩瑣にするということは決して得策にはならないと私は思うのですね。積立貯金という制度がいまあるのですから、その積立貯金に別口にもう一つお入りください、入ったことによって貸し出しをいたしますと、それでいいんじゃないですか。  あえてこれは固執しませんけれども、少なくとも利率も同じにしていくというならば、積立貯金というものをもう一口別に名前を変えて入れるということで御了解をいただきたい、そしてそのことによって貸し出しを受けられます。少なくとも貯金利用者に対してはこういう利便があるのですよということを——これでは郵政省としてのメリットの生み出し方が非常に薄いと思うのです。だから、郵便貯金のメリットということから考えるとそうじゃないかということを私は言うのですが、その点はどうですか。
  163. 高仲優

    ○高仲政府委員 当方で考えております点は先ほど来御説明申し上げたことに尽きるわけでございますが、なお一つつけ加えるといたしますれば、進学ローン、貸し付けというのは、先ほど大蔵側から答弁がございましたように、郵便貯金の関係から一口、また一定の定額所得者であれば国民金融公庫から一口ということになりますが、郵便局側から見ますとこれはやはり一進学者一ローンということをはっきりさせておく必要があるわけでございます。  そういうたてまえからいたしまして、これは区別して整理する必要がある。また、金利の問題等もある。こうした関係から一定の金額を限り明確に定めようといたしておるものでございます。
  164. 野口幸一

    ○野口委員 時間がありませんからあえて論争はいたしませんが、原則的に言いますと、たとえば国民一人に対して郵便貯金通帳は一冊しか持ってはならない。あるいはまた一冊が限度になっているわけでありまして、そういう点からいきましても、積立貯金通帳を二冊にするとかあるいは三冊にするということが可能なのかということです。その点はどういうお考えに基づいてそういうことを考えたわけなんですか。
  165. 高仲優

    ○高仲政府委員 通帳を一人一冊というのは通常郵便貯金についてでございまして、積立郵便貯金についてはその例外となっております。本件積立貯金も例外といたします。
  166. 野口幸一

    ○野口委員 だから、何冊持ってもいいんですね。この貸し出しは一人一口ということが限度ですね。そうすると、一般積立貯金は二口あってもいいけれどもこの積立貯金に限っては一口だという意味ですか。
  167. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど申し上げましたのは、一進学者一進学積立貯金でございまして、子供がたとえば三人おりまして三人がそれぞれ進学するという場合、三人に合計三口の進学積立貯金はできるわけでございます。
  168. 野口幸一

    ○野口委員 そうしますと、その対象者が三人あれば親が三冊持ってもいいということになるわけですね。そう理解していいわけですね。わかりました。  時間がありませんから、もう少し聞きたいことがあったのですがそれはやめますが、私はきょうこの郵貯の法律の一部改正をして預金者向けの貸出制度を設けられるについて質問させていただくに当たって、いろいろとあちらこちらの資料を見させていただきましたが、結果とするところ、私の見ました結論として考えますのは、一番初めにも言いましたように、これは郵貯の自主運用という点からは全く離れたものであって、いわば国民金融公庫の窓口を郵便局で請け負うというような形だけにとどまっているというような結果になっているということが私は非常に残念でならないわけであります。少なくとも私はこの制度反対はいたしませんけれども、当初から考えますと余りにおびただしいといいますか、当初の考えからいくとずいぶん後退をした考え方で今回郵政省がこの案をお出しになったことについて非常に残念に思うわけであります。  少なくとも当初お考えになったのは、郵便貯金をする、定額五十四万なら五十四万までやる、その倍額を郵便局で貸そうじゃないか、百八万貸そうということで発想があったと思うのであります。そういった点から考えますとずいぶん後退した郵政省案になっているということが残念でならないわけでありますが、このことは先ほど来御質問申し上げましてある意味では理解をいたしますけれども、この当初の郵政省案というものが本来の姿であるということの信念だけはどうか郵政省貯金局の皆さん方はお持ちになっていただきたい。  貯金局長もその考え方で今後も進むんだということを明らかにしておいていただきたいと思うのですが、どうですか。
  169. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵政省の当初の考え方は先生の御指摘のとおりでございますが、その後、政府関係金融あり方等諸般の事情、各般の見地から見まして現在の案になっておるのでございまして、私といたしましては、現在御提出申し上げてある法案が一日も早く御審議をいただいて成立することを願っておるものでございます。
  170. 野口幸一

    ○野口委員 そんなことを言っているんじゃなくて、当初考えられた案が正しいと私は思うが、それが間違っていたんだと言うんだったら間違っていたとおっしゃっていただけばいいんです。  私はあの考え方が正しいんじゃないかと思うので、その考え方を持ち続けていただきたいのです。ただ、経過としてこういう法案を出さざるを得なかったということについては理解をいたします。これはこの前の簡易保険の余裕金の問題と同じなんでありまして、自主運営をしながら自分のところで貸し出しをするというのが本来の姿だと私は思うけれども、いまの状態ではこういう案しか出さざるを得なかったという経過になっているということについて私は申し上げているのであります。  だから、貯金局長として、本来の姿はこうである、その当初郵政省が出した案について、そういう形に持っていくようにさらに努力をしたいという結論が出ませんか。
  171. 高仲優

    ○高仲政府委員 大変むずかしい御質問でございまして、どうお答えしてよろしいのやら途方に暮れるわけでございますが、しからば最初に郵政省考えたのが間違いであるかということになりますと、私は別に間違いであるということは考えておりません。  しかし、おおよそ物事にはいろいろな立場からのいろいろの考えがあって、結果として現在このようになっておると理解しておるわけでございます。
  172. 野口幸一

    ○野口委員 重ねて申し上げますが、本来、郵便貯金利用者に対しての融資の制度というものは、あくまでも郵貯資金の自主運用によってなされるべきものが筋であるということだけは、真率の郵政省の職員としては信念として持っていただきたいし、それこそ利用者に対する還元の最大の方法であるということを根幹に置いて今後のローン制度を進めていくようにさらに努力を続けていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  173. 松本七郎

    松本委員長 鳥居一雄君。
  174. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵便貯金法の一部改正案につきまして野口委員や島本委員からの質疑がございましたが、この新設される教育ローンをめぐりましての議論はもう御指摘のとおりであると私は思うのです。  重複を省きまして内容について伺いたいと思うのですが、まず、積立期間が一年以上三年以内、一回の積立金が一万円以上四万円以内というのは、積立期間を五年なり十年なり、もうちょっと大幅な緩め方はできないかということと、また、一回一万円というのではなくて、三千円あるいは五千円という形のものにできないか。  これは零細な貯金者のためのローンでなければならない要素が非常に大きいだろうと思うのです。つまり、進学に当たってローンのおかげで入れたんだという、その実質的な新設される教育ローン意味合い、それはさらにもうちょっと低い階層の皆さんまで含めて救済ができるような形の広げ方が必要じゃないかと私は思うのです。  この一年以上三年以内という点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  175. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  先生のおっしゃる御趣旨も大変よくわかるのでございますが、そもそも、進学時に要する経費というものは従前、あるいは本来と申し上げてよろしいかと存じますが、父兄が工面をして入学に備えたというのが実情でございます。しかるところ、最近の入学関係経費の増高が大変家計を圧迫するという事実があらわれてまいりまして、これを幾ばくでもやわらげるという目的でこの進学積立貯金の融資制度というものが考えられた次第でございます。すなわち、全額を入学のときに準備するというのは大変であるということで、半分は自分積み立て、半分は借入金により、家計に一時与える影響を多年に、入学をはさむ両側に分散をしようというのが本来の考え方でございます。  三年ということでございますが、たとえば子供が中学に入った、一年生に入ったというときに、一般の通念といたしましては、このときに高校に備えるというのがまずもって普通のあり方であり、あるいはまた高校に入学したときに大学入学に備えるということが普通のあり方だと思います。そこで、高校入学時にローンで借り入れたものはその間何とか返すように努め、次の大学入学に備える手だてもつけるようにという点からかれこれ考えまして、一年ないし三年という線を考えておる次第でございます。
  176. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ですから、三年という期間で一万円という金額が毎月出せるという条件があれば、それは結構でしょう。しかし、生活の上から言って、たとえば五千円くらいであれば何とか工面ができて、しかも本来であれば進学させられないと思っていたところがローンのおかげで進学することができたんだというような階層に対しては、しゃくし定規に一年以上三年という区切り方じゃなくて、五年という品目をつくるべきじゃないですか。あるいは七年という考え方に立てないのですか。
  177. 高仲優

    ○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、本来でありますれば、子供がいつ高校に入学していつ大学入学するということは当然親権者はわかっておりまして、入学関係の経費はその父兄において工面するということがいわば従前のたてまえであったわけでございますが、最近の実情に照らしまして、この工面のやり方を幾ばくでも楽にし、家計に与えるインパクトを救済しようということで考えた次第でございますので、そうした点から三年までということを考えておるわけでございます。  また、三年ということに相なりますと、一カ月に積み立てる金額が少ないと、これは三年間まとめても、いわばそれをおろすほか同額の融資が受けられるわけでございますが、金額的にもいかがなものであろうかという点から最低一万円というふうに決めたわけでございます。
  178. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ですから、その一万円は結構だと思うのです。それは結構ですが、今回こういう形で始まるのですけれども利用者の立場に立って考えたら、もっと規模の小さなもので期間を五年なり延ばす形で十分できるじゃないかと私は思うのですよ。そういう新しい道を考えないのかという点を指摘しているのです。  大臣、今回はできないにしても、将来の方向としていかがでしょうか。
  179. 服部安司

    服部国務大臣 私はきわめて適切な御指摘だと思うのです。そうあるべきが本来の姿です。私が先ほど愚かな案であったと言ったのはまことに失礼な言い方であったと思うのですが、この点をぼくは考えたのです。  しかし、私が行ったときにはもうすでに原案が出ておりまして、なかなか意のごとくに目的を達することができませんでしたが、このたびの最終の詰めば大蔵、郵政両大臣で詰めたわけでありますが、しかし、原案よりかなり発展的な解決になったと思っております。  いまここでそのことについてもかなり詰めたのでありますが、私は言いたくないのですが、先ほど申し上げたとおりに、取り立ての方に重点を置いているような教育ローンでありますから、三年間でそれだけの積み立てができるという能力が結局一つの保証になって、いわゆる一年据え置きで高校の場合三年、大学の場合に四年というふうに一つ返済のための証拠ということになるわけでして、私もこういった説明には抗し切れないで妥結したという経緯があります。  しかし、長い目で十二分に検討するに値するものと考えておりますので、真剣に検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  180. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 わかりました。将来の方向として御検討いただきたいと思うのです。貸付期間なんですけれども、在学年数ということになっている点ですね。短大の場合には二年、それで据え置き期間一年、そうすると残る一年で返済しなければならないという、もう大変な無理があるわけですね。それで、これは育英会の立場からいって、十年なり十五年なり非常に幅があるのに対して、この返済というのはちょっと考えただけでも大変な重荷になっているのが現状なんですが、これはどうなんでしょうか。在学中に何とかしなければならないという点、これは広げる考えはありませんか。
  181. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 返済期限の問題は私どももいろいろ頭を痛めた点でございます。特に、こういう融資というのは、これまで国民公庫においても全く手がけておらない新しい融資でございますので、過去の事例といったものがなかなか参考になりませんのでいろいろと苦心をいたしました。  ただ、私ども、これは運用部資金を原資といたします金融でございますので、できるだけこの金融を回転させて運用部資金の有効な活用を図らなければならないという大原則が一つあるわけでございます。他方、御承知のように、借入者サイドから見れば、できるだけ期限は長い方が、返済条件が緩和した方がいいという要素もございます。ただ、国民公庫のこれまでの一般の融資を見ておりますと、平均すると大体三百万円ぐらい貸しておりますが、その期間の平均が大体三年ぐらいでございます。そういう例を勘案いたしますと、今回の貸し付け限度は五十四万でございますので、二年ないし四年程度で十分返済は可能なのではなかろうか、特にボーナス払い、分割払いといったものを考えると十分可能なのではないか、こういうようにわれわれとしても考えております。  ただ、個々のケースにつきまして、どうしても返済が非常に困難であるというふうな場合は、もちろんこれは公庫の判断におきまして返済猶予といった措置もとれることに相なっておりますし、今後そういった問題を踏まえながらいろいろと検討はしてまいりたいと思っておりますけれども、現在のところはとにかく在学中にお返しいただくという方向で進んでまいりたい、こういうように考えております。
  182. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 これはやはり問題なんです。当初在学中に限度額五十四万という、これが返せない見込みだと見たら最初から貸さないのです。ですから、これは返せない場合には返済猶予期間を置くんだという考え方の発想ではなくて、十分返済できるという、そういう対応ができるような無理のない線を決めるべきだと思うのです。これもこの法案一つの重大な問題だと私は思うのです。  これは国民金融公庫の本来の事業をやる上で必要な運転資金とか設備資金とは違う性質のものです。借りる対象にしても、個人で、しかも進学のために借りたいというのを、在学中にアルバイトを強いてでも返済しなければならないという、これはいかにも無理な条件だと思うのです。いまここにある育英制度の場合と比べると格段の違いがあるわけです。これは近い将来の問題として断じて改善してもらわなければならない問題だと思うのですが、いかがですか。
  183. 服部安司

    服部国務大臣 事、教育の問題でありますし、教育機会均等という立場から出た教育ローンであれば、これは大変疑問のある制度だと私も考えてまいりました。よく昔からないよりはある方がいいじゃないかということわざがございますが、その程度のものである。正直言って、生まれて六年たてば小学校に行くと決まっているのです。十二年たてば中学校、さらに三年たてば高校、十八年目には大学と決まっているのですから、鳥居先生がおっしゃるとおりに、真に教育をつけるための進学ローンであれば、まずそれを根本に置かねばならなかった。これはただ単に一つ制度をつくるだけのものであって、内容については愚かだ。私が先ほどからはっきりと言っているとおりであります。  したがいまして、このたびはこれで発足するより仕方がありません。いまさらだめだから大臣がやめろということも言えないわけですから、今後国会を通じての先生方の御意見を十分に踏まえて、改善すべき点は大いに改善を加え、また肉づけすべき点は肉づけをするという方針で進みたい。しかし、私は、交渉に当たってなかなか容易でないという感を深めているわけであります。
  184. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 改善していただきたいと思います。  さらに、保証人の問題ですけれども、保証人を要求されて、これに応ずるということはいまの国金の融資制度の中では大変なことです。まして、サラリーマンが進学のためにこういう融資を受けるときに、その保証人ということは本当に大変なことだと思うのです。  ではどうしたらいいのかという問題なんですけれども一つは、信用保証を取りつけて、何かうまい保証機関をつくるような方策はありませんでしょうか。保証人がなくても借りられるような要素は検討されましたか。あるいは検討されていないのか。端的に答えてください。
  185. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 保証人の点でございますけれども、御指摘のように、保証人の提供が非常にむずかしいということは国民金融公庫の融資実務を通じてわれわれも十分承知しているつもりでございます。ただ、その場合にすぐ保証機関をつくればいいのではないかという点でございますけれども、われわれも十分検討はいたしております。  ただ、住宅公庫の例について申し上げますと、住宅公庫が発足して以来二十年近くたちまして、保証機関は必要に迫られてできたという問題もございますし、われわれもこういった運営について事前に十分に検討いたしますけれども、各界の意見をいろいろ聞きながら、今後とも運営その他を通じながら十分検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  186. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 零細な融資を受けるに当たって保証人を探すということを考えますと、保証機関が簡単にできるようなことで、ぜひとも将来の問題として御検討いただきたいと思います。  それから、郵貯の積立者を対象にして貸し付けるということで、受け付けば郵便局でできるが、貸し付けの方法ですけれども、公庫において貸し付けの事前審査を受け、実際には公庫まで出向いて審査を受けなければならないわけです。そして、合格したという通知は郵便局に提出する。あっちへ行ったりこっちへ行ったりという手続がこの制度では非常に繁雑になるだろうと思うのです。千葉県の場合、国民金融公庫は三ヵ所です。一般金融機関でその事務取扱はやっておりますが、その数字まで含めると全国で五千ヵ所ということだと思うのですけれども、実際問題として、合格通知を受け取って融資を受けられるまで何日かかるのですか。
  187. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 国民公庫におきます進学積立者に対する進学ローンの審査手続は現在検討中でございますけれども、進学積立着すなわち進学ローンの申込者が公庫に直接赴かれなくても、郵便局の窓口で処理できるような方法を現在考えているところでございます。  しかも、そういうことでまず事前に国民公庫の方で審査して郵便局長の方に御連絡申し上げておけば、合格通知を受領されて郵便局へ出頭されますと直ちにそこで資金交付ができるという方法を考えるべく努力しておるところでございます。
  188. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 次に、五十二年度末の資金運用部資金約三十兆の原資の六割に当たるものが郵便貯金でありますが、その資金運用部資金利用状況を見てみますと、日本電信電話公社は発足以来五十一年度末までに総額七百九十二億の借り入れを行っております。もちろん零細な庶民の貯金がこの原資であるわけでありますから、公社の事業というのは電気通信事業を行う役割りの重大さもあるだろうと思うのですが、先般来の国内の回線料の改定また国際回線の改定が認可料金として行われましたが、私は、この内容に大変重大な要素が含まれていると考えております。料金改定、専用線の値上げは参議院の附帯決議によるのだ、参議院の附帯決議があったから値上げをすること自体国会の意に沿うために値上げをしたのだというふうに言っているが、その裏には大変大きな制度の変革をやっております。それからまた電気通信政策の変更とも言えることをやっているわけでありますので、この問題について伺いたいと思うのです。  電気通信政策は国家として大変重要なものだと私は思うのです。もともと電気通信は電信電話から出発いたしまして、今日では音声、符号、画像のあらゆる分野にコンピューターとともに、また電気通信技術として、その結合されたものが国民生活における情報伝達あるいは情報処理の両面において応用の面を広げ、そして国民生活あるいは国際社会に多大な貢献をしてきている。これは否定できない現実だと思います。こうした状況下で、技術革新の現状あるいは将来の展望に対応して、その成果を国民が適切に享受できるような国の電気通信政策でなければならないのじゃないかと思うのです。  具体的に回線の種別についてまず伺いますが、通信白書の百九十四ページ、百九十五ページをごらんいただきたいと思うのです。D規格の中のD−1と、いわゆる専用線ですが、D−2と、どう違うのですか。これは電気通信監理官室の責任者にお答えいただいた方がいいと思うのですが、国の電気通信政策の上で議論したいと思います。
  189. 神保健二

    ○神保政府委員 お答えいたします。  いま先生から御質問ございましたD規格でございますが、これはA規格からいろいろあるわけでございますが、その中で一般に電話に使っております三・四キロヘルツ帯を使って音声、符号等を伝送するもの、これを総称してD規格と言っておるわけでございます。  それで、いま先生から御質問がございましたD−2規格は、これはいま申し上げました音声のみを伝送するのに使っておるものでございます。それからD−1規格は、これは帯域使用と申しておりますけれども、音声以外に帯域を使用いたしまして、それをお借りになりましたユーザーの方が自由にモデム等をつけましてデータ伝送もできる、こういう性格のものでございます。
  190. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、D−1は特定通信回線、D−2は専用線という法律用語で区別しておりますけれども、実態においては回線としては全く同じものである。これは間違いありませんね。
  191. 神保健二

    ○神保政府委員 さようでございます。
  192. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 D−2とD−5、7、8、これはどう違いますか。
  193. 神保健二

    ○神保政府委員 D−5規格と申しますのは、いまの音声以外に直営のモデムをつけまして千二百ビットのデータ伝送ができる。  それから、D−7と申しますのは、二千四百ビットのデータ伝送ができるものでございます。
  194. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この通信白書によりますと、昭和五十一年度末、D−1規格、自営回線ですけれども、これが二万五百九本、直営の回線、つまり直営のモデムを提供する直営回線がD−5、7、9が合わせて一万三千八百六十回線、つまりD規格の中の六〇%を占めるのがD−1規格である。いわゆる自営回線と言われる帯域使用の自営回線である。これは大変な勢いで伸びてきておりまして、年々四〇%から六三%というような形で伸びてまいりまして、百九十五ページの一番はね上がっているのがD−1であります。この伸びる趨勢はいまも変わりませんか。
  195. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  おっしゃいますとおりに、D−1規格回線は過去非常な勢いで伸びてまいりましたが、最近少しずつ伸びがとどまってまいってきております。  それに対しまして、高規格でございますところの、ただいまお話のございました二千四百ビットを使いますD−7回線、さらにそのほかに四千八百ビットを送りますD−9回線がございますが、こういうものが最近、著しく伸び出してまいってきております。
  196. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 この回線の料金につきまして伺いたいと思うのです。  電話専用のD−2をデータ通信用に使用した場合に、料金はどうなりますか。割り増し料金が課されるか、課されないか。
  197. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  D−2回線は音声だけを使用していただく回線でございまして、そのほかに、回線は同じものでございますが、音声のほかにたとえばデータ通信を行いますとか、画像通信を行いますとか、われわれは混合使用と言っておりますが、そういう使用をされますときには、そのおのおののメニューに応じた料金をちょうだいいたすようになっております。
  198. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、D−2をデータ通信用に使った場合にはD−1と呼んで、料金としては二割余分に負担するという形ですね。違ったら言ってください。  D−5、7、9という特定通信回線ですけれども、これは電話にも使用できるのか、できないのか。その場合には料金はどうなりますか。
  199. 西井昭

    ○西井説明員 電話にも使用可能でございます。  料金は、D−5回線が、電話だけに使用されますD−2回線に比べますと二割増し、それからD−7回線はD−2回線に比べまして三割増し、D−9回線は電話に比べまして四割増しの料金をいただいております。
  200. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、D−5、7、9の中には電話料まで含めているということですね。  電話専用に対する符号専用料金はないのかどうか。
  201. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  もともと公社の回線は電話回線用につくりました関係で、電話回線をベースにいたしまして、電話以外にお使いになられる方は、お使いになります用途に応じまして、いま申しましたように二割とか三割という加算料金をいただいておったわけでございます。  したがいまして、データ通信をお使いになる場合には、データ通信だけにしかお使いにならない方も加算料金を加えた回線料をいままでいただいておったわけですが、最近データ回線だけにお使いになる需要が多くなってまいりまして、そういういわゆる抱き合わせ販売は不合理ではないかという声が民間からかなり出てまいりましたので、今回の改正のときにデータ通信だけに使用するという——われわれは符号品目回線と言っておりますが、符号品目回線を設定いたしまして、電話のD−2回線と同じ料金に設定いたしましてこの四月から実施いたしておるところでございます。
  202. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 D−1規格は符号品目に含まれているのか、いないのか。
  203. 西井昭

    ○西井説明員 お答えいたします。  D−1回線はもともとが先ほど監理官からお話がございましたとおり三・四キロヘルツの帯域を公社が提供いたしまして、中を分割して使用するとか、交互使用をするとか、データ伝送に使われますときにはスピードを自由自在に変えてお使いになる。もともとそういう性格を持っております回線でございます。したがいまして、いわゆる符号品目回線ではないということでございます。
  204. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 では、D−1規格を音声専用に使った場合、料金はどうなりますか。
  205. 西井昭

    ○西井説明員 音声専用にお使いになる方は当然D−2回線におなりになるとわれわれは理解いたしております。
  206. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 D−1規格のデータ専用、つまり符号品目がないというのはこれはどういうわけなんですか。D−1規格、当然混合使用という体制じゃなくて、D−1で符号品目として、これは置き忘れですか。それとも政策的に符号品目をつくらなかったのですか。
  207. 西井昭

    ○西井説明員 符号品目だけにお使いになる方は、先ほど申しました符号品目回線をお使いになっていただければよろしゅうございまして、D−1回線といいますのは、もともとは帯域を使っていろいろな用途に自由自在にお使いになりたいという御要望に応じてつくりました回線でございます。  経緯を申しますと一番よくおわかりかと思いますが、D−1回線は……
  208. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 経緯はいいです。  電話だけに使う回線もいわゆる〇・三キロヘルツから三・四キロヘルツという帯域使用ですね。従来の経緯からいきますと、五十年の七月、それ以前、それから今日までの制度、それから今回の改定によって変わっていく。こういう中でいわゆる帯域品目のD−1回線というのは、民間の需要の大変大きなデータ通信の手足になってきたと言えるような品目じゃありませんか。通信白書から言っても六〇%という伸び率は大変です。公社の政策としてこれを抑制する方式をとったらもちろん需要は減るだろうと思うのです。  しかし、これまでの三年間の伸び率から見ても、データ通信のほぼ中心部をなしているのがこのD−1です。それで混合使用という考え方ですね。帯域で使用できる自営のモデムを開発し、それこそいままでの料金体系からいったってD−1というのは大体千二百bPs程度の料金を課す、つまり、D−1によってデータ伝送ができる、それは価値としては大体千二百bPs程度であろう、そういうことから値段もそれについてきた。しかし、民間では二千四百を開発し、四千八百、最近では九千六百を使えるようなモデムを開発し、やっている。そうすると、今度の料金改定を見てみると、D−1の値段を見てみますと、D−1の値段は千二百bPsじゃなくて四千八百に二段階飛び越えて料金が決められておる実態なんです。いままでのD−1という品目は、どうぞ御自由にお使いくださいという形の品目だったはずなんです。利用者がどんな使われ方をしょうが、それは自営のモデムを開発し、科学技術の開発ということでぐんぐん押し上げてきた民間の技術革新によるものが非常に大きかったわけでしょう。  ところが、今回このD−1を除いて、そのほかの、たとえば直営のモデムをつけるD−5あるいは7、9は、これは公社直営のモデムが提供されます。そしてこれも帯域使用でありますけれども、全くうまみがなくなって、それで5、7、9については、これは符号品目ができているわけですね。つまり、混合使用しないでデータだけで使う場合には二割安になるわけです。ところが、D−1についてはそれを故意にやらない。これは一体電気通信政策上どういうことなんでしょうか。
  209. 神保健二

    ○神保政府委員 お答えいたします。  いま先生からいろいろ御質問があったわけでございますが、私どももこの名前自体がちょっと誤解を受けやすい名前かなという感じはしているわけでございます。  いま先生から帯域品目のお話があったわけでございますが、帯域品目の中に先ほど申し上げましたD−1、D−2、D−5、D−7というものがあるわけでございまして、その帯域品目の中だけ、つまり、三・四キロヘルツ幅の中で音声も、それからデータ伝送もできるという、こういう帯域品目だけで取り上げてまいりますと、従来からD−1規格というのは先生がおっしゃいましたとおり千二百ビット相当の値段だったわけでございまして、これは今回の料金改定におきましても、やはり千二百ビットと同じ料金になっておるわけでございます。  それで、いま申し上げましたように、ちょっと名前が悪いかなという感じはしておるわけでございますけれども、今回新しく設けました体系といたしまして、帯域品目に対しまして符号品目という名前の料金体系というものを新しくつくったわけでございます。これは先ほど公社の営業局長からいろいろ御説明がございましたように、D−5とかD−7とかD−9というような品目のうちで符号伝送のみに使用するもの、これを符号伝送速度により分類いたしまして符号品目というものを新設したということで、その料金水準というものが従来の品目の料金水準から混合使用料相当分の二〇%を引いてあるということで、名前といたしましてD−5、D−7という名前を使っておりませんで、千二百ビット、二千四百ビットという名前を使っておりますが、それとこの帯域品目のD−1という料金を比べてみますと、確かに先生がおっしゃいましたように、D−1の料金とそれから帯域品目の四千八百ビットの料金というのがほぼ同じ水準になっておるわけでございます。  この符号品目と申しますのは……
  210. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 もうその辺でいいですよ。わかりました。  神保さん、D−1規格の符号品目ですが、D−1について言えば、これは混合して使ういわゆる帯域品目というのは、心電図伝送であるとかファクシミリであるとか電話であるとか、いろいろな用途の高いものであるけれども、用途の高い使用ができるけれども、単独に符号伝送だけでいこうという人は合わせた料金を払わされる形じゃないですか。
  211. 神保健二

    ○神保政府委員 先ほどからも御説明しておりますように、この符号品目の中でD−5、D−7、D−9というようなものと同様な伝送速度を伝送可能にするということで、つまり、品質保証をいたしましたものがこの符号品目というものでございます。したがいまして、その伝送速度を保証するという意味合いにおきまして、直営のモデムを設置をしようということは、この新しい符号品目も従来の帯域品目と同じかっこうになっておるわけでございます。  D−1規格と申しますのは、先生よく御存じのように、いままでの電話規格の回線というものを自由に使用するということを前提にしておりまして、自営のモデムを使いましてデータ伝送、それから音声その他いろいろなものに自由に使えるという、可能なものとしての料金が定められておるということで、おのずから帯域品目と符号品目というものは性格が違うものであろうというふうに考えております。
  212. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 つまり、帯域品目とそれから符号品目の違いは、電話と符号伝送と合わせて混合使用ができる帯域の品目である。そしてそれは割り引きがない。だから、符号品目の方はデータだけを送るから二割の割り引きをつくりましょうということになったわけです。D−5にしても7にしても9にしてもですね。  西井さん、そうでしょう。それでD−1規格については混合使用だけを残して二割割り引きして、このD−1を使ってデータだけを送ろうという点については割り引きをつくらなかったのじゃないですか。つくったんですか。
  213. 西井昭

    ○西井説明員 D−1といいますのは、もともとは電話にも模写にもデータにも、それからその帯域を分割されまして、たとえば電信回線をたくさんとるとか、そういうことのためにつくりましたメニューでございます。  それで、データだけにしかお使いにならないという方は符号品目にかわっていただきましたら、符号品目もスピードに応じまして料金が違っておりますが、千二百なり二千四百なり四千八百なりのスピードに応じました料金を払っていただくというふうに考えております。
  214. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 それじゃ公社直営の5、7、9に対する誘導じゃありませんか。従来のD−1を利用してきた、こんなにたくさんある、六〇%のシェアを占めている人たちを誘導して5、7、9へ誘っているだけの話じゃないですか。どうして自営でできるようにしないのですか。
  215. 西井昭

    ○西井説明員 ちょっと説明が不足でございましたが、ただいまのところD−1回線とD−5回線の料金は同じ料金でございまして、それに対しましてD−7回線はさらに一割高い料金をいただいております。D−5、D−7といいますのもやはり帯域使用品目でございまして、これは確かに公社の直営モデムを使ってはおりますが、その帯域のスピード保証をいたしまして、たとえばD−5ですと千二百ビットのスピード保証をすると同時に電話に使える。それからD−7については二千四百のスピード保証をします関係で一割高く料金をいただきまして、それが同時に電話にも使える。そういうのがD−5、D−7回線でございます。  D−1回線といいますのは千二百にも二千四百にも四千八百にも九千六百にもお使いになれるわけですし、もちろん電話にも模写にも何にでもお使いになれる。それをD−5回線の千二百ビットの保証をして電話にも使えるというものに比べますと、公社の直営モデム品目に比べますと、用途から見るとむしろ安い料金になっているんじゃないか、こういうふうに私どもは思っておるところでございます。
  216. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いまおっしゃったとおりなんですが、D−1というのはD−5と同じ料金なんです。それでこれが三百ヘルツから三・四キロヘルツの帯域で使用できたために、この中でモデムを開発し、九千六百というのを現在は使っているわけです。ところが、料金の上ではD−5が基本なんです。D−5の品質は保証しましょうというのがD11なんです。ですからD−1Sが今度新しい品目として出てきています。それから公社の方ではD−13というのをつくりました。これは九千六百です。しかし、本来のD−1という回線は民間の需要の非常に高いもので残さなければならないんじゃないですか。  それで、今度混合して使う場合を基準にして、混合して使わない場合には二割のディスカウントしましようということは、五十年七月までの公社の方式は基本料金、それに対して混合して使う場合には大体二割の付加料を課すということでやってきたわけですけれども、D−1の単独使用については以前に逆戻りしてしまう計算になるわけですよ。  電気通信監理官に聞きますが、このD−1回線、D−1規格について今回割引ができる符号品目を置かなかったということは公社のベースだったなと私は断ぜざるを得ないのですが、郵政審議会ではD−1規格について協議されていますか。イエスかノーかだけでいいです。
  217. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 御論議をちょうだいいたしております。
  218. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 民間の需要の非常に高いD−1である。そして今度の改定は値上げとは別にD−1を抑制することになる。そういう点について議論されていますか。
  219. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 郵政審議会の公聴会におきまして、先生の御指摘のとおりある参考人から、D−1規格につきまして、これをもっぱら符号伝送に使用する場合には、その利用形態に着目して符号品目と同様の割引を行うべきではないかという趣旨の意見が出されました。また一方別の参考人からは、D−1規格は周波数分割による混合使用など多目的に使用できるサービスとして本来設けられたものであるので、そもそも他のサービスとは性格が違うので同列に論じるわけにはいかないという趣旨の意見も出されました。これらの公聴会の意見を踏まえまして郵政審議会では御論議がされたところでございます。
  220. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 郵政審議会内容を私の方で調べてみました。三日間にわたって開かれておりますが、諮問が十二月一日、この諮問の当日は趣旨説明があり、次官のあいさつがあり、異動の紹介があり、諮問文の朗読があって取り扱いが審議されただけと聞いております。二日目がいわゆる公聴会です。六人呼んで、それぞれの立場の方から意見を聞いた。みんな料金改定反対である。一人公社の総務理事が賛成の話をし、趣旨を説明した。もう一人、いわば公社の身内の方がいらっしゃって、その方も賛同の意味の話をされた。それが二日目です。それから三日目が十二月九日で、この日が答申です。ですから、国内の回線についてはまだいいと思うのですが、KDDの国際回線については全く審議会すら通っていない現状です。  しかも、この内容については、自営の情報処理業の最も大事ないわゆるD1回線について誘導をし、公社直営のモデムにどんどん引き入れていかなければならないような改定が、つまり料金の上でですが、今回行われた。この人気の集中しているD−1については二割の割引をしないのです。符号品目としての使い方をしたとしてもいろいろな使い方ができるのだから、そのD−1を使う場合には、ファクシミリやら電話やら何やらいろいろ使っているとして料金が課せられる。普通ほかの5、7、9については二割のディスカウントがあるにもかかわらずそういう形であるということでいいのでしょうか。どこに電気通信政策があるんでしょうか。  アメリカの場合、AT&Tが独占的に事業をやっております。しかし、アメリカにおいては米逓信委員会、FCCがこのデータ部門については七六年七月に大変な裁定を下しております。これは共同使用の自由化を認め、また再販売まで認めるという立場に立った裁定をしているわけです。そういうことからも、郵政当局はもっと厳然たる態度で臨むべきですよ。公社の意図したとおりに、まあパーセントにおいて値上げ幅が修正されておりますが、しかし、制度を変えていくなんというのは——そのとおり通っているわけです。とんでもない事態だと私は思うのです。大臣、いかがでしょうか。この辺で御意見を伺いたいと思います。
  221. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 郵政審議会についてのお話がございましたが、私はその点について、大変熱心に御論議いただきました郵政審議会のことについて先生方に対しまして一言申し上げさせていただきたいと思います。  ただいまの先生のお話の第一日目は趣旨説明を聴取したのみであるということではございませんで、三回にわたりまして大変に熱っぽい熱心な御議論をいただきまして、夕方も三時であるとか四時であるとかいう時間に終わったわけでは決してございませんで、六時、七時まで、暗くなるまで御論議をいただきました。私も審議会のようなものに再三列席をいたしておりますが、かなり専門家の先生もおいでになりますし、深く立ち入った御論議をいただいたことは確かでございます。そのことは私から、大変御熱心な御論議をいただいた先生方に関して御論議に誤解があるといけませんので一言申し添えさせていただきたいと思います。  なお、FCCについてのお話もございました。御質問の趣旨は、郵政省がコモンキャリアの言いなりの行政をしておるのではないかという趣旨だったと思いますが、私どもとしては決してそのようなことは考えておりませんで、技術革新の成果の配分のいたし方ということにつきましても私どもなりに考えてもおるわけでございます。電電公社はコモンキャリアでございますし、そのほかこれを御利用なさるTSS業者の方もいらっしゃいますし、一般の電話を御利用いただく方もございます。これらの総体につきまして絶えず公平に考えて行政を所管いたしておるつもりでございます。
  222. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 重ねて伺います。  今回の改定でKDDでは国内のD−1規格に相当する帯域品目がなくなりました。この国内の電気通信政策と国際回線と一貫性がないじゃありませんか。
  223. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 国内の専用線の問題と国際専用線の問題との関連についての御指摘でございますが、専用料金に関する体系でございますけれども、国内通信を取り扱います電電公社と国際通信を取り扱う国際電電とでは、若干先生が御指摘のような御印象をお持ちかと思います。ただ、私どもは無目的にこのようなことをいたしておるわけではございませんで、国内と国際とのそれぞれの特殊性に起因いたしましてこのような措置をとっておるわけでございます。  国際と国内と違う点は多々ございますが、回線の端末、終端末と申しますか、これが国内の場合と国際回線の場合とでは異なります。あるいはまた国際の場合は国内に比べまして回線の距離が非常に長くなることも確かでございます。さらにまた国際電気通信業務の場合には特に他国のキャリアとの関連を無視もできない点もございます。  回線が長くなるというようなことを申し上げましたが、国内回線の場合は国際回線に対しまして非常に短いわけでございまして、回線の補正をする手間あるいは業務その他がやはり態様が違う場合がございます。短い回線の場合はお使いになる方がモデムを選定することによりましてかなりハイスピードが確保できるということがございますが、長距離の場合は回線の補修というものを全く抜きにしては考えられないと思います。  ただ、先生の御指摘のような場合に、それはケーブルを使う場合だろう、衛星を使う場合はどうだろうか、そのような長距離の特徴があるのだろうかという……(鳥居委員「D1規格に相当するものをなくしたのじゃないかということを言っているのですよ」と呼ぶ)なくしたという理由を私は御説明申し上げているつもりでございますが……(鳥居委員「なくしたという事実を認めるか認めないか」と呼ぶ)  先生の御指摘のD1に相当する帯域品目というものにつきましては、国際電電にはございません。ただ、二千四百ビット以下のものについては帯域使用が残っております。
  224. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 いままではあったのでしょう。今度の改定でなくしたんでしょう。そういうふうに指摘しているんですよ。それが事実か事実じゃないのか、それを答えてくださればいいですよ。
  225. 江上貞利

    ○江上(貞)政府委員 理由を抜きにいたしまして、事実であるかないかというだけの答えでございますれば、二千四百ビットを超えるものにつきましては先生の御指摘のとおりでございます。
  226. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 大臣、今回のこの改定は、たとえばKDDを取り上げますと、従来提供している回線でいかようにも利用できたんです。ところが、うまい利用の仕方をしているじゃないかということで利用度の高いものを値上げし、これはスピードの問題でありますけれども、九千六百あるいは四千八百、千二百、効用利用という意味で、料金の改定に当たって、従来のD−1規格、需要の非常に高い品目を変えて新しい品目としょうとした。私は、これは電気通信政策の上からいって、一貫して郵政当局がしっかりしなければならない問題だと受けとめているわけです。  最後に大臣のお考えを伺いまして、とどめたいと思います。
  227. 服部安司

    服部国務大臣 この問題はちょうど私の就任直後のことでございました。私自身はかなり抵抗をしましたが、先ほど島本先生から御指摘のあったように、私ががんばり通す意欲を持っていてもなかなかむずかしい問題なんですね。  私は技術的なことは正直言ってわかりません。しかし、こうこうなったからこれを認可しなさいというときに、いまの鳥居先生の御指摘のとおりに確かに私は疑問を持ちました。政治家としての疑問を持ちましたが、いろいろとそれに対する理屈を説明されると、これまた技術屋でない関係か、勉強不足であったのか、就任当初であった関係か、確かに私はそれを承認いたしました。  しかし、そういった苦い経験が今後の通信行政にも大きく影響力を持つことになるだろうと思いますし、また、この委員会を通じていろいろと一面批判も受けておりますが、私の厳しい姿勢というものはそういったところから出てきたわけでありまして、私は壁を破れなかったがかなり得るものがあったという理解のもとに、今後も力の限り努力を続けて、国民のサイドに立った電気通信行政に努力を積み上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  228. 鳥居一雄

    ○鳥居委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  229. 松本七郎

    松本委員長 依田実君。
  230. 依田実

    ○依田委員 私は、郵便貯金法の一部改正案についていろいろ御質問させていただきたいと思っております。  最初に、昨日郵政審議会がございまして金利引き下げ答申されたわけであります。時期は遅かれ早かれ、いずれにしても実施になると思うのでございますけれども、いろいろと新聞を読みますと、一部の新聞に、きのうの審議会の模様を伝え、一年の間に三回もの金利引き下げをやることについて、委員の中には、またか、どうせ審議会を開いてもという無力感もあったような記事もございます。あるいはまた賛成、反対、中間というようにいろいろ意見が出されましたが、しかし、最終的には答申引き下げということになったわけであります。  その辺、最後は出られておる委員方々の納得のいくような、皆さんの大多数の賛成でこの答申案がっくり上げられたのかどうか、お聞かせをいただきたい。
  231. 高仲優

    ○高仲政府委員 このたびの金利問題に関します審議会は、都合四回、うち一回は参考人の意見聴取ということでございますが、その間非常に熱心に御討議をいただきました。  最後の段階におきましては、先生の御指摘のように決をとるという形ではございませんでしたが、各種各様の意見を総合して答申案を諮って、その結果として、決はとらないが多数の意見であるということで結論をいただいた次第でございます。
  232. 依田実

    ○依田委員 きっと中にも御意見があったかと思いますけれども郵便貯金を勧誘する場合、この場合は、生命保険じゃございませんけれどもいろいろ甘いことを言ってふやす。しかし、そういうときに、この貯金は世の中の趨勢で公定歩合などが動いた場合には金利も下がりますよというようなことを言って窓口で募集をするということはあり得ないと思うのであります。こういう意味じゃ生命保険と同じじゃないだろうか。解約の場合は相当割引になりますよというようなことを言わないのと同じであります。また、日銀や何かがいろいろな婦人団体などを使いまして、ぜひ国のために貯金をしてくれといろいろな勧誘をしておることがよくあると思うのであります。そういう団体などは貯金について一生懸命やられるが、しかし、今度のように一年間に三回の金利引き下げということになるといろいろと下から突き上げられることになるのじゃないかと思うのであります。  公定歩合が下がる、各銀行の金利も下がるということになれば、金融のメカニズムから言えば郵便貯金も下げざるを得ないということが確かに筋だろうと思うのでありますけれども、大衆のマインドとしてはどうも一つ納得がいかないということが実情じゃないかと思うのでありますけれども、その辺はいかがお考えでございましょうか。
  233. 高仲優

    ○高仲政府委員 貯金をお預かりいたす立場から申し上げますれば、利率の引き下げというものは預金者方々にそれだけの直接的な不利益を加えるという意味におきましては大変心苦しい次第でございますが、現在の厳しい経済情勢に対処するための政府といたしましての当面する経済政策各般を立てた次第でございまして、その中の一環に金利全般の引き下げを行うということがうたわれておる次第でございます。  なお、この金利引き下げの全般的な進行に伴いますれば、当然のことといたしまして、あるいは企業の金利負担を軽減することによって潜在失業者が顕在化することを防ぐこともできる、あるいは景気が上向くことによって潜在失業者、顕在失業者がそれぞれ失業状態を離れるという契機にも相なるという意味におきましては、広い意味で国民の立場から見てプラスになる要素も多々あるということが考えられておる次第でございまして、審議会におきましても、先生の御指摘のように三度に及ぶ利下げということから反対であるという強い意見も述べられた次第でございますが、結論といたしましては、この際現下の厳しい経済情勢に対処するためにはやむを得ない措置であるということで、諮問に対してそれを是とする旨の答申をいただいた次第でございます。
  234. 依田実

    ○依田委員 私は、常日ごろからいろいろ議論されているように、郵便貯金が本当に零細な預金の集積であるのか、あるいはまた世上いろいろ言われておるように、先般もいろいろと関西の郵便局でありましたように、ただ預金集めのために集めた、そういう隠れみのの預金の集積であるのか、この辺で今度の金利引き下げの問題についてのアプローチの仕方が変わってくると思うのであります。本来の零細な貯金であるならば、その金利引き下げということについてもっと強い抵抗があるのじゃないかと思うのです。審議会委員の皆さんの中にも、たてまえとしては零細預金であるからこの際引き下げるのをストップしろということを言いながらも、やはり内心は郵便貯金というものはそうじやない預金も含まれておるから強く言えないということもきっとあるのじゃないだろうかと私は思うのであります。私なども、これが本当に零細な庶民の預金の集まりならばこの際何としても引き下げようということをとどめるという論で通したいのでありますけれども、しかし、そういうことが言えないような事実が一部あるやに伝えられておるということで非常に困るわけであります。  そこで、この郵便貯金というものについて、この言葉が当たるのかどうか知りませんけれども金利を、つまり利益を目的に貯金をするという方あるいは本当のささやかな積み立てとしておやりになっている方というものをはっきり区別して、そうじやない、脱税とかそういうものの手段としてお使いになっている方を締め出していくということをふだん努力されることが大事じゃないかと私は思うのであります。そうしませんと、こういうような一年に三回の金利引き下げというような場合にも強い姿勢がとれないと思うのであります。  そこで、何とか本当の零細預金であるという郵便貯金にできないものかどうか。これはたくさんお金が集まればいいのでありますから、郵政省としてはなるべくたくさん来い来いということになるのかもしれませんけれども、しかし、郵便貯金の本来の性格に戻していただいて、本当に零細な方だけが預金できるということにできないのか、つまり、逆に言えば、そうじやない人を締め出すという手だてが考えられないものかどうか、この点をお聞きをしたいのであります。
  235. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  行き過ぎた募集の結果でございましょうか、往往にして制限額を超過する預金があらわれたり、また、架空名義の預金が散見される等の事実が以前にございましたが、この点につきましては、最近におきましては名寄せを厳しくやっておりまして、超過いたしておる事実を発見いたしますと直ちに御通知いたし、解約をいたすことをお願い申し上げております。また、預入のときに当たりまして架空名義にわたることがないように、一定金額以上の貯金をなさる場合であって面識のない方である場合には身分証明書等を御提示いただくという措置を講じまして架空名義の防止にも力を尽くしておるところでございます。  なお、それでもはっきりわからない場合には、預入をいただいてありがとうございますというお礼状を出して、このお礼状が届かないということは実ば架空ということの証左になりますので、その預入の関係文書にはその旨を記載して注意をしておくといったような措置を講じておりまして、先生の御指摘のような限度を超える募集あるいはそれを黙認するといったようなことがございませんように大いに努めておる次第でございます。
  236. 依田実

    ○依田委員 いま局長から名寄せの問題等いろいろ具体策を伺いましたが、こういう方法がとれないものかどうか。たとえばわれわれは住民登録というものを区役所の出張所にしておるわけでありますが、郵便局も同じぐらい数がございます。あるいはそれ以上あるかもしれませんけれども……。そこで、ある特定の地域を限りまして、その人はこの郵便局以外は郵便貯金はできない、つまり住民票のあるところしかできないというような形でやれば、そういう架空であるとか制限額以上とかいうものはある程度チェックできるのじゃないかと思うのです。  私の言った案はとっぴな案かもしれませんけれども、そういうような不正な行為ができないような処置をぜひもっと強力におとりをいただきたい。そうしませんと、今度のような場合に、本当に庶民の貯金保護するのだという大義名分がどうも一つ力が入りにくい。こういうことがございますので、その辺を今後の課題としてぜひ御検討いただきたいと思うのであります。  次に、今度の進学ローンでありますけれども、前大臣のころから盛んにアドバルーンが上げられまして、今回実施になったわけでございますけれども、一説には名を取って実を捨てたと言われる。あるいは実を取って名を捨てたのかも知りませんけれども、どっちか知りませんが、いずれにしても、郵政省大蔵省の折衝の中でこういう形におさまったわけであります。  しかし、本来ならば郵政省独自でおやりいただくのが一番よろしかったのじゃないだろうかと私は思うのでありますけれども、この辺をもう少し強く郵政省の主張を貫けなかったものかどうか、お聞きをいたしたいと思います。
  237. 高仲優

    ○高仲政府委員 先生の御指摘のように、郵政省が当初発表いたしました構想は、郵政省独自に運用いたすと申しますか、融資をいたすということでございましたが、この点につきましては確かに現在御審議いただいております法案は変わっております。  しかしながら、利用者のサイドから見ました場合におきましては、いささかの不利にわたることのないように、手続は郵便局の窓口で完結し、郵便局の窓口で要件が備われば即座にお貸し申し上げることができるように、この点につきましては十分考えていかなければならないと考えておりますし、また、そのようにいま現在なっておるものと考えておる次第でございます。
  238. 依田実

    ○依田委員 郵政省としては残念至極ということもあるのでありましょうけれども、今度は逆に大蔵省の方から、それではなぜ郵政省独自には任せられないのかどうか、新聞にばいろいろ書いてありますけれども、この辺をぜひお聞かせいただきたいと思います。
  239. 石川周

    ○石川説明員 財政資金利用いたします教育ローンというもののあるべき姿は、望ましい姿はどうであろうかという角度から私どもは郵政御当局といろいろ御議論をさせていただきましたが、財政当局の立場からいたしますと、一つは財政資金の統合運用の原則は守っていただきたいということであります。それからまたもう一つは、同じ政府教育ローンを実施するにいたしましても、どの機関、仕組みで貸すかということはまた別個の問題でございまして、私どもといたしましては、既存の融資の専門を担当いたしますそれぞれの公庫がございますので、それを利用するということがいまの財政の仕組みに一番ふさわしいのではないかというふうに考えたわけであります。  また、郵政御当局の案でございますと郵便貯金者だけが対象になりますが、財政資金による教育ローンといたしましては、郵便貯金者だけという要件ではなくて、郵便貯金をするしないにかかわらず、やはり必要な教育ローンはできるようにしなければいけないのではないかといったような問題をいろいろ総合的に勘案いたしまして私ども御議論をさせていただきまして、御提案のような姿にさせていただいたわけでございます。
  240. 依田実

    ○依田委員 少し具体的な方へ、実務の方へ変わらせていただきますけれども、ゆうゆうローンの貸付残でございますけれども、五十二年度で二百九十四万件ですか、二千四百八億円、これは郵便貯金総額に対して何%になるのでしょうか。
  241. 高仲優

    ○高仲政府委員 ゆうゆうローンの貸付残高でございますが、五十三年三月末におきます速報値によりますと、最も新しい数字でございますが、貸付残高が千四百三十五億円と相なっております。この時点におきます郵便貯金の現在高は三十七兆二千八百四十三億円でございますから、〇・三八%ということに相なっております。
  242. 依田実

    ○依田委員 いま、民間金融機関では、住宅であるとかあるいはまた今度の郵政省進学ローンに刺激されましていろいろな消費者向けのローンをやっておるわけでございますが、いま日本の都市銀行などでやっておる総貸し付けに対する消費者貸し付けは大体どのくらいか。いま大体一〇%ぐらいと伺っておるわけだし、将来これを一五%ぐらいまで伸ばしていきたいというふうに市中銀行の方は話しておるわけであります。アメリカなどでは消費者向けの貸し付けというのはもちろんもっと進んでおるわけでありまして、大体二五%ぐらいいっておるという説もあるわけでございます。  今後郵便貯金金利の面で消費者の要望にこたえられないということですと、今度は貸し付けるという方向ででも消費者の方にこたえてもらう以外にないんじゃないかと思うのでありまして、今度の進学ローンもその一つの突破口でございますけれども、今後郵便貯金を原資にして消費者貸し付けというものをどの程度までふやしていこうか一もちろんこれは民間の金融機関とは違うと思いますけれども、どの程度までそういう消費者向けの貸し付けをふやしたいという長期展望をお持ちになっておるのかどうか、この辺を伺わせていただきたいと思います。
  243. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  最初に、ゆうゆうローンの残高について申し上げましたが、これは三月末の残高でございまして、五十二年度中にしからば幾ら御利用いただいたかという、要するに利用の貸、出した額の合計をいたしますと、つまり年度内に借りて年度内に返してしまったものはもう残高に入らないわけでございます。これは三千九百七十六億円でございまして、残高に比べますと相当大きいものになっております。  さて、しかしながら、預金者に対する貸し付けという制度につきましては、先生も御承知のとおり現在ゆうゆうローンという制度のみしかございません。この点につきましては、ただいま御審議いただいております郵便貯金法改正案の中におきましても、現在の貸付限度額三十万円を五十万円にふやすことによって利用者の利便を図りたいものと考えておるわけでございます。なお、ゆうゆうローン利用高は、前年に比べまして五十二年は一九%の伸びでございまして、なかなかよく利用されておるという実情でございます。  さて、そのほかの部面に対してしからばどういうふうに対処していくかという問題でございますが、私ども郵便貯金をお預かりいたしておる立場からいたしますれば、当然預金者の利便というものに常に配意いたさなければならない。そのためにいろいろ考えなければならないのでございますが、先生の御指摘のような個人ローンということ一般について一体どうするかということにつきましては、これは単に郵便貯金立場からだけ考えるべき問題ではなく、財投の基本的なあり方にもかかわりますし、また、郵便貯金自体から考えましても、今後の基本的なあり方にかかわる重要な問題であると考えております。  先生のおっしゃる御趣旨はよくわかるわけでございますが、私ども預金者の利便をなるべく図るという立場から今後十分検討していかなければならない問題であると考えておる次第でございます。
  244. 依田実

    ○依田委員 ところで、教育ローン進学ローンでございますけれども、いま民間の金融機関で幾つかの銀行でやっておるわけでございまして、皆さんの方で民間でやられておる教育ローン利用度とそれから貸し付け総額についてのデータはお持ちでしょうか。どのくらい利用されておるものかどうか伺いたい。
  245. 高仲優

    ○高仲政府委員 郵政省立場といたしましては、民間金融機関ローン状況について一々知悉する段階にはございませんが、たまたま印刷物に出る状況等から推察いたしますと、従前やっておったいわゆる学資ローンというものは非常に件数の少ないものであります。  それから、その後、今年になりましても、私は二月の数字というのをちょっと印刷物で読んだ記憶がございますが、まだそれほど大きい数字にはなっておらないように承っております。ただ、二月という時期はまだ入学のピーク時ではございませんので、その後どうなっておるかにつきましては、申しわけございませんが、私といたしましては承知いたしておりません。
  246. 依田実

    ○依田委員 いま局長のおっしゃるとおりだろうと思うのであります。私の聞いている範囲でも、まだ民間金融機関でもさほどこれが利用されておるということは聞いておらないのでありまして、逆に類推すれば、そういうふうに余り金が出ないだろう、資金運用部のあれにも余り影響ないだろうというようなところから、無難な余り利用度のないところから今度はおやりになっているのではないかと疑いたくなるのであります。  これは郵政省でも大蔵省でも構いませんけれども郵貯として進学ローンに、これは今年度といいますか五十四年度からでございましたか、どの程度貸し付けが出るものと予想されておるのか、その辺をちょっと伺いたい。
  247. 高仲優

    ○高仲政府委員 ただいま行っておる推算はややラフなものではございますが、それについて結論から申し上げますと、年間約十万件程度の需要ではなかろうかと考えております。  この根拠になりましたのは、高校、大学文部省育英資金を請求した人、これはもらっている人じゃございませんで請求した人ですが、これらの方々入学時においても当然何らかの金銭的補助を必要とすると考えまして、これらの方々の数から郵便貯金に大体どのくらい来るかという推測値をつけて計算いたしたのでございますが、この数が約十万件程度という数字を持っております。
  248. 依田実

    ○依田委員 積み立ての五十四万円を取り崩し、あわせて五十四万円貸し付けるわけですから百八万円になるのでありますけれども、この五十四万円という金額の積算根拠は何でございましょうか。  聞くところによると、十八カ月を一カ月三万円で五十四万円だというふうなお答えを以前に伺ったことがあるのでございますが、積立期間も変わっておりますし、いまの家計調査を見ても、それじゃ入学時に五十四万円あるいは百八万円要るのかというとそういう数字でもなさそうですし、この五十四万円というのは果たしてどういう積算根拠があるのでありましょうか。
  249. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  大学入学時に際して必要な経費は一体幾らかかるかということを調べたのでございますが、これは東京の例について、大学生協東京事業連合会というところの調査があるのでございますが、昭和五十一年度の数字でございますが、国立大学の下宿生活者の場合で約七十万円、私立大学では学生寮、下宿生活者のいずれも約百万円入学時に経費がかかっておるという調査一がございます。  なお、大学入学時に必要とする一時金というので、受験料、入学金、学債等の五十二年の文部省の数字を拝見いたしますと、これは文部省の調査であったと思いますが、国立大学では約十五万円、公立大学で十六万円、私立大学では約五十万円となっておりますが、その他の間接的な経費を入れた調査がございませんので大学生協東京事業連合会の調査という数字を使ったのでございますが、その場合が約百万円でございました。その百万円が要るといたしまして、半分は自分で事前に積み立てる、その残余は借り入れるという、こういう半々の方式を考えたわけでございます。それで、積立期間があるわけでございまして、ちょうど五十万円という切れ目がむずかしいので五十四万円、最高百八万円と決めたわけでございます。  なお、当初月三万円というお話でございますが、これは一つのモデルケースでございまして、当初から月一万円以上四万円までで一定期間積み立てるということを考えておった次第でございます。
  250. 依田実

    ○依田委員 時間がございませんので細かいことをどんどん聞いてまいります。  この審査は国民金融公庫の方でおやりになる、書類審査プラス保証人、それに積み立ての実績、こういうわけでございますが、今度は積み立てを取り崩し、プラス積立額と同じ額を貸すというわけでありますから、返済能力を確認する方法としてそれだけで十分なのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  251. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 国民公庫の進学ローンの審査の関係でございますが、これは現在国民公庫において勉強させておりますが、重要なチェックポイントを決めまして、たとえば申込者の両親の年収とか今後の見込みといった点をチェックいたしまして、そのチェックポイントをパスした方については融資申し上げるという形をとりたいと思っております。  御承知のように、われわれとしても運用部の資金を預かっております以上審査は慎重にやらなければなりませんし、一方また申込者の立場からすれば迅速にやらなければならない。その両点を相矛盾せず調和する方法はなかなかむずかしいわけでございますけれども、国民公庫はこれまで零細な中小企業の小口融資をやっておりまして、貸し倒れの実績その他を見ましても千分の〇・〇何%という非常に低い率でございます。そういう経験と知識を有している国民公庫ですから、十分審査をして貸し倒れとか異常な事態が生じないようにりっぱにやってくれるものだと私どもは確信しております。
  252. 依田実

    ○依田委員 また、資格の中に進学者本人を含んで、進学者を有する親族となっておりますが、親族じゃなくても生計をともにしている人が積み立てた場合はどうなんでしょうか。
  253. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 法律上親族に限られておりますので、親族でない方が積み立てられても融資の対象にはなりません。
  254. 依田実

    ○依田委員 この進学ローンの使途でございますが、入学金、授業料あるいは施設費、そのほかに受験のための費用及びその他入学に際し必要な資金とあるわけでございまして、いま申し上げたような学校の範疇に入るものだけに使われるのか。あるいはほかの、たとえば入学試験のためというと、汽車賃であるとかホテルへ泊まった費用とかいろいろあると思うのでありますが、これが入学金とか施設費とか受験料ということになれば学校の領収証なりで判定するわけでありますけれども、そうじやないものまで含まれておるという場合に、たとえ進学以外であっても積み立てておけばそれに相応する金は借りられるのかどうか。その辺、使途は明確に区別できるのかどうかお聞きをいたします。
  255. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 進学資金の使途でございますが、これは当然財政資金を使いまして進学のために必要な資金として融資申し上げる以上、まさに進学に必要な資金でないとだめでございます。  その確認の方法は、これまた非常にむずかしい問題だと思います。御指摘のように入学金その他であれば明らかでございますけれども、たとえば御指摘のございましたような汽車賃とかホテル代とかもろもろの経費がかかるだろうと思います。そういうものにつきましても、大体経験的にどのくらいかかるかということは基準としてはある程度わかると思いますし、また、異常な金額を申し込まれたような場合にはちょっとおかしいのではないかということに相なると思いますので、公庫の窓口でまさに進学に必要な資金であるかどうかというチェックもいたした上で融資をする、こういうたてまえになると思います。
  256. 依田実

    ○依田委員 そうなりますと、たとえば五十四万円積み立てておいても百万借りられないというケースがあるわけですか。金額についても審査の対象になるわけですか。
  257. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 法律上進学に必要な資金を貸し付けるということでございますので、進学に必要でない資金が入っておれば、たとえ五十四万円を積み立てられた方であっても五十四万円借りられないケースは可能性の問題としてはあり得ると思います。  しかし、いま貯金局長の方からも御指摘がございましたように、進学に必要な資金は平均的に百万円を超えておるという情勢でございますし、しかも、貯金局長の方から御披露のございました必要資金の計算その他には受験のために必要な資金といったものも必ずしも入っていない部分もあるようでございますから、事実上は五十四万円積み立てられた方が五十四万円借りられないというケースは恐らくないのではないかと思います。
  258. 依田実

    ○依田委員 当初の見込みは一年間十万件ということですからそう多くないわけでございますが、しかし、これが将来もし非常に便利だということで利用者が多くなってきた場合にはまた弊害があるのじゃないか。たとえば本人でもいいということになるわけでありますから、そうしますとまた例の名寄せの問題みたいなものが出てまいりまして、五十四万円を全国散り散りばらばらに二、三ヵ所積み立てておく、百八万円ずついただきましてどろんをするというようなこともあり得るわけであります。  その辺のチェックの方式というようなものについては万全なものができておるのでしょうか。
  259. 高仲優

    ○高仲政府委員 もともとこの進学積立貯金は一進学者一積立貯金ということをたてまえといたしております。この点は厳重に措置いたすつもりでございます。  たとえば原簿を扱うところを余り拡散させないでおいて、もともと件数はそれほど爆発的にふえるわけではないと思いますので、十分チェックできる体制をつくって万全の措置をとりたいと考えております。
  260. 依田実

    ○依田委員 日本育英会の貸し付けなどを見ましでも、卒業してもなかなか返済しないでずいぶん請求をされている方がたくさんいるようでございますけれども、この進学ローン期間内に果たして返済できるのかどうか。つまり、返済困難になった場合にどういう延滞の認め方をするのか。あるいは返済方法は割賦方式と書いてはございますけれども均等割かあるいはボーナス、一時金をたくさん入れて払うのも結構なのかどうか。あるいは個人個人千差万別で希望どおり何でもやらすのかどうか。  返済方法とそしてまた延滞の場合の救済手段、この点についてはいかがでしょうか。
  261. 藤田恒郎

    ○藤田説明員 まず、返済猶予についてでございますけれども、これは公庫の一般の原則に基づきまして、貸付金の返済が著しく困難と認められた場合には返済期限を延長いたしましたり、あるいは場合によっては金利を軽減いたしましたり、そういった措置はとれることになっております。現に、中小企業金融につきましては毎月相当な件数についてそういう返済猶予を行っておりますので、この件につきましても当然その原則に基づいて処理いたします。  それから、第二番目の問題点の返済方法についてでございますけれども、これは利用者の便宜を考えますと均等分割が便利だと思いますので、原則として均等分割ということにいたします。元利均等でございます。ただし、ボーナス時その他に余分に返済をされたいという方があれば、計画として貸し付け申し込みの際にお申し出いただければそういった点も配慮して決定するつもりでございます。
  262. 依田実

    ○依田委員 最後に一つだけ質問させていただきます。  この進学ローンの扱い郵便局でございますけれども、簡易郵便局は入るのでしょうか、入らないのでしょうか。もし入らないとするならばどういう理由で入らないのか、その辺をちょっと伺わせていただきたいと思います。
  263. 高仲優

    ○高仲政府委員 簡易郵便局はもともと一人が請け負って各般の仕事をやっております関係からいたしまして、なかなか複雑な事務を取り扱うのには適しないと思います。こうした点から、この進学ローンは、積み立ての初めから貸し付けの審査の取り次ぎ、それから交付に至るまで複雑な手数を要する点にかんがみまして、これはもともと簡易局には親しまないのではないかと思われる点がございます。  また、もう一つの問題といたしましては、公庫から委託を受けて郵政省が仕事をやるものにつきまして、簡易郵便局にまた再委託をするという点につきましても法的にいささか疑義がございます。  なお、細かい具体的手続につきましては法律制定を待って決めることといたしておりますが、いま現在における考え方から申し上げますと、再委託になる点と、それから事務が複雑である点、この二点から簡易局に取り扱わせるのはいささか困難ではないかと考えておるのが実情でございます。
  264. 依田実

    ○依田委員 事務が複雑だと申されておるようでありますけれども、実際の審査は国民金融公庫でおやりになるから、ただ郵便局の窓口で規定の紙に所定のことだけ書けばいいのじゃないかと思うのであります。それから、先ほどのように件数も当初十万件を予想されているということで、そう多い件数じゃございません。簡易郵便局の窓口に殺到するというようなこともあり得ないのじゃないだろうか。そういう意味から、いなかの僻地、不便なところの人に便宜を図るという意味から言えば、逆にこの簡易郵便局にも扱わせていただくのがいいのじゃないかとも思うのでありまして、その辺をもう一度検討していただきたいと思うわけであります。  時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  265. 松本七郎

    松本委員長 次回は、来る二十六日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十六分散会