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1978-04-06 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月六日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 米田 東吾君    理事 田中 昭二君 理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    亀岡 高夫君       堀之内久男君    渡辺 秀央君       阿部喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    鳥居 一雄君       青山  丘君    東中 光雄君       依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省人事局長 守住 有信君  委員外出席者         大蔵省理財局資         金第一課長   森  卓也君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     藤原ひろ子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律及び資金運用部資金法の一部を改正す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第四  三号)      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、昨日来のこの委員会で、特に成田空港管制塔破壊をめぐる過激派の行動の中に郵政職員が入っておったということで非常に大きい関心と議論を呼んでおりますが、いかなる理由があろうともこういう過激的な破壊的行為は許すことのできない問題だと私は思っております。  郵政当局が直ちに適切な措置をおとりになったことは私は非常に感激しておりますが、同時に、人間の体にたとえて言うならば吹き出物、いわゆるおできは剔快しなければなりません。しかし、その体質おできのできるような体質があるとするならば、おできをつぶすことも大事だけれども体質を直さない限り次々におできができてくるのではないか、いまの日本社会にそういう体質が内蔵されておるのではないか、特にこの委員会お互い考えたいことは、郵政職場の中にそういう体質が残っておるのではないか、そういうことを私は非常に懸念しておるのでありまして、おできをつぶすことはきわめて大切であるけれども体質についてもう少しお互いが真剣に考えてみる必要があるのではないかと思うのです。  とりわけ郵政職場の中にそういう体質の要素があるのではないだろうかと思うのですが、そのことについて大臣はどうお考えか、まず承りたいと思います。
  4. 服部安司

    服部国務大臣 成田空港郵政省職員過激派破壊分子の中に入って、しかも先頭を切って管制塔に乱入した暴行行為は、省の最高責任者である私は責任を痛感するとともに、この機会に広く国民に心からおわびを申し上げたいと存じます。  御承知のとおりに、事件と同時に逮捕され、犯罪が明白な者には即刻法律に照らして懲戒免職手続をとりました。そして、職員千葉警察に派遣いたしまして本人に首肯させるなど、省を挙げてこの問題に取り組むとともに、あわせて全国の関係機関事件の前後からの届け出、無届け欠勤者を洗い出させまして、関係機関と緊密な連携協力をとりつつ適切な措置を講ずるように事務当局に命じた次第でございます。  阿部先生のただいま御指摘のとおり、いわゆるおできの摘出は現象面だけは一応終わりましたが、この体質について、今後の対策を強力に打ち立てねばならないことは言うを待ちません。  私は、いかなる理由づけをしようとも、この平和な日本においてあの反社会的破壊活動は断じて許すべきでないということは全く同感でございまして、おのおのの職場で十二分な労務管理体制をしきつつ、関係機関すなわち組合関係とも緊密な連携をとりながら、なるべく早くこの体質改善を図って国民信頼回復努力を続けてまいりたい、かように考えている次第でございますので、先生を初め皆様方の一層の御協力と御理解をこの機会に重ねてお願いを申し上げておく次第でございます。
  5. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 特に私がいま大臣体質ということを申し上げたのは、昭和三十年代の後半から四十年代の前半にかけて、郵政当局労働組合分断支配しようとして二つの組合あるいは三つの組合をつくらせたが、そういう職場環境がそういう体質と呼ばれるようなものを生み出しているのではないかと思うからで、昨今非常によくなっているようでございますから、今日的に私はいろいろ言おうとは思いませんけれども、そういう遠い因果関係考えてみますと、それが一つ体質の原因になっておるように思われますので、この点については、かつての分断支配というような過った労務政策をおとりになるようなことについては十分慎んでもらいたいということを特に希望しておくわけでございます。  本論に入りたいと思いますが、大臣提案理由説明をいたされた中で、これは小さな字句の問題ですけれども、「利率の算定」という言葉をお使いになっておるのです。こちらの法律案要綱では「算出」という言葉が使われていますが、「算定」と「算出」を使い分けたことにことさらの意味があるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたい。これは事務当局で結構です。
  6. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 ただいま御指摘いただきました点でございますが、特段の違った意味を持たせてやったわけではございませんので御了承願います。
  7. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それならいいのですけれども、事、官庁の使う用語でございますから、「算定」と「算出」と何か違うのだろうかと思ったのですが、わかりました。  次に移りますが、簡易保険運用利回り民間保険運用利回りはいまどのくらい違っておるか。細かな数字でなくてもいいのですが、大宗を知らせてくれませんか。
  8. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 五十一年度の運用利回りでございますが、簡易保険が七・一四%でございます。それに対しまして民間保険の合計の数字は八・一一%となっております。  民保との利回り格差でございますが、四十年代の初めに、金利の一般的な低下傾向によりまして民間保険利回りが低下して、四十二年度には一ポイント以内にまで縮小したわけでございますが、四十三年度以降は運用範囲も広く、また、有利な運用対象の多い民間保険との利回り格差は常に一ポイント以上ございました。五十一年度ではこれが〇・九七ポイントに縮小してまいっております。また、五十二年度につきましてはまだ計数が出ておりませんが、若干この格差が縮小するかという感じでございます。
  9. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 民保の方が運用利回りが高くなるのは、性格上、積立金運用等からやむを得ないと思うのですけれども、それはそれなりにまた、政府の管掌する簡易生命保険には運用の面で別にいろいろなメリットもあろうかと思うのです。  比較をしてみて、一般に呼ばれる配当内容民保に比べてそう見劣りのするものではないのではないかと思うのですが、相当見劣りが出ますか。余り見劣りのない配当ができていますか。
  10. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 従来、民保の個別、具体的な配当の額につきましては公表されておりませんので私どもも十分に承知しておりませんが、ただいま申し上げました運用利回りという面から参りますと、先ほど申しましたように、大体一ポイント前後の利回り格差があるということからいたしまして、配当の面では若干の違いがあるのではないかと考えております。  ただ、これは後ほどまた御説明する機会があるかと思いますが、その他全般的に見まして、施設面制度面とございますので、全体としては余り大きな実質的な格差にはならないのじゃないかというふうにも考えております。
  11. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 早く言って、民保の場合には資本の蓄積もありましょうし、利益も相当上げて、株の配当とかいろいろな問題が起こるわけですけれども簡易保険の場合にはそういう利益を追求する事業ではないわけです。  そういう意味からするならば、たとえば歴史的な経過を見ますと、はなはだしいときには民保簡易保険運用利回りの差は七%を超えておった時期があるのです。七%を超える運用利回りの時期でも簡保民保に対抗して、悪い言葉で言うなら生き延びてきておるわけです。それが先ほどお話では一%以下にその運用利回りが縮まっておる。八%の利回りの差があるときでさえ対抗できたのならば、一%以下の差に縮まった今日では、簡保給付内容といいますか、配当は当然民保を上回っていいのではないかという理屈が成り立つわけなんですよ。  それから考えてみると、八%も差があるときでさえ民保簡保が一緒に生きてこられたのに、その運用利回りの差が一%以下になった今日でもなお民保を追い越すことができないのかという理屈が成り立つような気がするのですが、局長、これはどう思いますか。
  12. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 運用利回り格差というものは配当の方に響いてくるわけでございますから、先ほど申しましたように、一%程度格差があれば配当の方にもそれなりに響いてきているはずであると考えておるわけでございます。  先生の御指摘のように、八%程度格差があってもなおかつ太刀打ちできたではないかというお話でございますが、これは保険の種類であるとか商品内容といったものが簡保民保ではそれぞれ違っておりますので、そういった面での御需要というものがそれぞれあったと思いますけれども利回り格差、すなわち配当格差というものは、従来、商品の面におきましては、正味保険料という面で見ますとそれなり格差が出てくるわけでございますから、私どもといたしましては、利回り向上格差の縮小ということは一つの念願ということだと考えております。
  13. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 商品内容がどう違おうと、運用利回りの差は出てこないのです。ところが、八%の運用利回りの差があるときでさえ競合できたわけですから、それが今日のように一%以下に運用利回りの差が縮まってくれば、簡保の方が、平たく言えば給付内容正味保険料が当然民保を追い抜いていいという理屈になるか、そうでなければ民間保険が莫大な利益を上げておったという証左になるか、そのいずれかにしかならぬはずなんですよ。  八%の運用利回り格差があっても簡保民保が並び立っておった。その運用利回りの差が一%以下に下がったとするならば——その運用利回りというのは商品内容によって違うものじゃありません。集まった金をどう運用するかによって違うだけでございますから、そういう歴史的な経過があるわけですから、今日では簡保の方がかなり民保を追い越したいい配当内容になっておるのではないかという気が私はしたのですが、いまの局長お話ではそこまで行っていないようですけれども、極端に言って、経営内容の違いから見て、民保運用利回り簡保運用利回りがどのくらい縮まったときに内容が大体対等の線になれるのですか。
  14. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 お答えします前に、先ほど先生お話の八%の格差の時代でございますが、これは資料によりますと大体二十八年ごろの一時期のお話だと思いますが、そういった七%とか八%という格差があったのは時期的には非常に短かったと思うのです。だんだん格差が縮小して、二%台になり一%台になりということで今日に至ったというふうに理解しているわけでございますが、それだけの格差があれば、先ほどから申しておりますように、配当の面におきましても相当の違いが出てまいるということはどうしても否定できない事実だと思います。そういった意味におきまして、先ほどから申しておりますように、私どもの方は利回り向上ということは一つの宿題として常に配意していかなければならない点だと思っておるわけでございます。  ところで、お尋ねの点でございますが、ではどこまで縮まればよいかということも、これもまた非常にむずかしい問題でございまして、精密に計算をしたということは私どももございません。問題は、民保の中におきましても、それぞれの運用利回り数字が出てまいりましても、それぞれの商品内容におきましてまた若干内容が違ってこようかと思うわけでございまして、私ども一概にそれは言い切れないわけでございますが、できるだけ接近した数字に持ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  15. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、運用格差があるということ、運用利回りに差があるということは、配当という言葉を使っても、正味保険料という言葉を使っても同じだと思うんですけれども、それだけやはり簡保の方が少し内容が悪い。にもかかわらず、きのう志賀委員が質問したように、今日簡易保険運営はきわめて順調であるということになります。  内容民保に比べて必ずしもよくないのにどうして運営が健全であり、うまくいっておるということになるのでしょうか。その辺はどうお考えですか。
  16. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 運営の健全という問題でございますが、これはいろいろの面からながめまして、たとえば簡保の場合には一体的運営をやっており、また、その窓口も二万を超える郵便局で扱っているというような点におきまして、非常に広くお客様に利用できる体制になっているということもあろうかと思います。また、それぞれ事業経営内容におきましても、常に制度改善あるいは経営効率化ということにも努力してまいっているわけでございますが、そういった意味におきまして、簡保自体経営におきましては、現在のところおおむね順調というところにあるのでないかというのが私の感じでございます。  先ほどから先生から、民保との太刀打ちできていたのは何だということをおっしゃっているわけですけれども、やはり、これは、制度的な従来からの簡易保険特色と申しますか、制度的、沿革的なものでございますが、たとえば契約の申し込みに当たって無診査で、それから保険料の払い込みは月掛け集金、あるいはまた加入について、職業についての制限をしないこと、あるいは加入年齢範囲についても民間保険に比べると比較的広範囲であること、また、先ほども申しましたように、どこでもそういった窓口があって、また外務員がおって広く加入の御利用ができること、あるいはまた非常に細かくなりますけれども加入者の提出する書類についてはすべて印紙税を免除しておること、あるいは保険金還付金等受け取り権については法的に譲渡及び差し押さえを禁止していること、あるいはまた国が保険金支払いを保証していること、いろいろなそういった制度的なものが六十年余りの歴史の中で広く国民の間に浸透して、非常によく御利用いただいているのではないか、そういった一つの沿革というものも簡易保険の今日の五千万件余り契約の御利用をいただいている一つ基盤になっているのではなかろうかというふうに思うわけでございます。  その他にもいろいろございますが、そういった簡易保険の御利用のための一つのあり方と申しますか、こういった面での特色がある。それからまた資金の面におきまして、運用面地方公共団体とか政府関係機関等に広く貸し付けて、身近な生活関連の各基盤の整備の事業にも御利用いただいている。こういった面で、非常に身近にお互いに密接に御利用者の方々と簡易保険との間が結びついている。そういったもろもろの要件というものもまた簡易保険の今日の発展にあずかって大いに力があるというふうに思っているわけでございます。
  17. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 運用利回りが悪いのに経営が健全であるということは、マクロに考えるならば加入者負担になっておるということにほかならない。だから内容民保に比べて見劣りをするという結果になってくるのです。これは一番大きい見方ですよ。運用利回りが悪いのに経営が健全であるということは、加入者負担が大きくなっておる、加入者犠牲を強いておるという結果になるのです。  ただ、その犠牲に甘んじておるものは何かと言えば、いま局長がおっしゃったようないろいろな便宜があるでしょう。特に、第一線の募集をする人たちの大変な努力があると私は思いますよ。私の知っておる限りでも、保険を募集するためには、子供が生まれたと言えば市役所や役場に行って出産の届け手続をしてあげるとか、不幸があったと言えば死亡届をつくってあげるとか、本来の公務員の仕事を離れてまで第一線外務員が一生懸命がんばって、義理と人情に絡まれて入ってくる人だって相当数おるわけですよ。そういう全体的な努力が下にあるから、大衆の犠牲があってもなお簡易保険が持ちこたえられておるという理屈になるのだろうと私は思うのです。  ですから、大きく考えれば、運用利回りは悪くて経営が健全だということは、加入者がそれだけ負担をしているということにほかならないのですよ。そこのところをよく考えてもらわないと、経営内容がいいからと喜んでおったら間違いで、それは常に加入者負担の上に健全な経営が成り立っておるという以外にないのです。もし運用利回りがずば抜けていいならば、それは別ですよ。そうでない限りそういう理屈になるだろうと私は思うのですが、大臣、この点はどう思いますか。
  18. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の問題は、一応理論的にはそのようになるわけですが、ただ、私は率直に第一線でがんばっている職員の労には多とします。これは素直に認めたいと思いますが、利回りは低いのに利回りの高い民保と比べて見劣りがしないということは、これはすべて加入者犠牲の上にと言う以前に、挙げて企業努力、すなわち民保のようにはでな宣伝、PRもやらないで切り詰めた経営をやっているということもちょっぴり認めてやってもらいたいと思うのでございます。しかし、官営であるという信頼感も、これもまた大きな一つの利点だと思います。  私は、御指摘の問題は今後総合的に判断をいたしまして、すべての部門がよりよくなるように、さらに一層の改善を加えて国民の期待にこたえたい、かように考えている次第でございます。
  19. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣の答弁の後段は私も納得しますが、一番初めの給付内容ですね。いわゆる民保に比べて簡易保険見劣りがしない、遜色がないというのは違うのです。幾らか遜色があると言うのですよ。遜色がある。それは運用利回りが違うだけやはり遜色があるというのが実態であるというふうに当局もお答えになっているわけですから、それが見劣りがしなければ結構なんですが、見劣りがするのですよ。  ですから、それは加入者負担になっておるのですよと申し上げたわけですが、そこの点さえ大体理解していただければ、あとは結構です。
  20. 服部安司

    服部国務大臣 お言葉を返すようでありますが、私の舌足らずの点は素直に認めますが、阿部先生がかつては八対一であったにもかかわらず今日存続するということはという、その言葉に私がこだわったような気もいたしますが、何と申しましょうか、それでも今日発展しているという方向に変更、訂正させてもらいたいと思います。
  21. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 わかりました。  それでは本論に入りたいと思いますけれども簡保余裕金というものの性格をどういうふうに考えたらいいのか。もちろん、これについては、郵政審議会答申なりあるいは行政管理庁報告なりにいろいろの意見が述べられておるようでございますが、この簡保余裕金性格をどう理解するか。これは大蔵当局の方からお答え願いたいと思います。
  22. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  御指摘郵政審議会答申あるいはその他におきますところの簡保余裕金は、ほかの特別会計余裕金と異なって積立金と同じ性格を有するのだからというふうに言われていると私ども理解しておりますが、私ども立場から見ますと、確かに、長期運用に近いという性質は同様でございますけれども長期運用になじむという意味では、ほかの年金資金等も同様ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  23. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 年金資金が同様であるならば年金資金も同様の理解をすればいいのであって、年金資金がどうこうということを私は聞いておるのではないのです。  この簡保余裕金というものの性格は、行政監察報告にもあるように、あるいは郵政審議会答申にもあるように、その大部分は長期運用をしなければならない性格のものである。その意味では、支払いのために持っておったお金が余っておるというような余裕金とは性格が違う。年金の方の国民年金なりの長期余裕金と同じ性格であるならばそれと同じように理解すべきであって、こっちがこうだからといって簡保余裕金向こうへひっつけるということは間違いで、簡保余裕金性格がそういうものであるならば、国民年金余裕金性格もこういうものであるとあなたの方も理解しなければ牽強付会ではないですか。向こうがこうだから簡保の方も向こうへ持っていこうなどというようなばかな議論がありますか。  性格をはっきりしてくださいよ。
  24. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  私どもの基本的な考え方といたしましては、特別会計積立金あるいは余裕金といったような国の制度信用を通じまして集まった資金は全部財政金融政策整合性を図って、効率的かつ安定的に運用するということが最も望ましいのではないか、そのために資金運用部という制度が設けられているというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、簡保余裕金長期運用になじむものだということのみをもちまして分離運用をすべきだということにつきましては納得がいかないわけでございます。
  25. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは積立金の方からまいりますが、簡保積立金運用郵政大臣に任せられておる、ゆだねられておるという、そのゆえんは一体何でしょうか。
  26. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 簡易保険資金は、将来の保険金などの支払いのために備えまして積み立てておかれている、加入者共同準備財産でございます。それで、加入者の方から管理を委託された信託財産とみなすこともできるのではないかと考えているわけでございます。したがいまして、この資金運用に当たりましては、確実で有利な方法によりまして運用して、加入者利益を還元する必要があろうと考えております。  こうしたことから、積立金簡易保険事業責任者である郵政大臣運用している、こういうことでございます。
  27. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その点は私も全く局長と同じ意見ですが、それならば、積立金と同じ性格が非常に強い余裕金がなぜ郵政大臣積立金と同じような運用に任せられないのか。  何か、いま資金運用の一元化とかなんとかむずかしいことをおっしゃっていましたけれども、同じ性格のものを分けなければならない積極的な理由は何なのかということですね。
  28. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、私ども立場は、国の制度信用を通じて集まった資金はすべて一元的に統合管理運用すべきだというふうに考えておりますが、ただ、簡保積立金につきましては、簡保事業が始まりましたときからの経緯にかんがみまして、きわめてきわめて例外的に、唯一の例外として分離運用が認められているということでございまして、基本的には私ども統合管理すべきだというふうに考えております。  しかしながら、先ほど保険局長からも御説明がございましたように、簡保事業民間保険と競合をしているという立場も十分理解できますので、その運用利回り向上につきましてはできるだけ御協力をしたいというふうに考えて、従来もその線に沿って行政を進めてきたわけでございます。
  29. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私はその答弁はきわめて不満でありますけれども、百歩を譲って、あなたのおっしゃるとおり、簡易保険性格上、国の金融政策としては例外だけれども簡保積立金については郵政大臣運用をゆだねたのだということになったとしても、それならば、郵政大臣運用をゆだねたその積立金と全くと言っていいほど同じ性格を持つ余裕金がなぜそうならないのか。その積極的な理由を聞いておるのです。
  30. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  他の特別会計にも簡保余裕金に類したものがございますが、それぞれの立場からいきますと、分離独立してみずから管理運用をしたいという希望があるわけでございますけれども、それぞれの特別会計分離運用が行われるということになりますと、行政コストの上からも問題がございますでしょうし、それから財政金融政策との整合性も問題になろうかということで、私どもは、ほかの特別会計積立金余裕金につきましては全部資金運用部による統合運用をお願いしているわけでございます。
  31. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 全く納得ができないですよ。積立金については例外として郵政大臣運用を委任しておる。ゆだねておる。ならば、それと同じような性格余裕金もなぜ例外として郵政大臣にその運用をゆだねないのか。その積極的な理由はないではないか。もしあなたの言うとおりそれがゆだねられないのならば、積立金運用をゆだねておる、そのことがすでに誤りであると言わなければならない。しかし、これは明らかに先ほどあなたのおっしゃったような理由郵政当局がおっしゃったような理由郵政大臣運用をゆだねてあるわけでしょう。それならば、同じ性格余裕金も、あなたの言葉で言うならば例外かもわかりませんけれども郵政大臣運用をゆだねるのが筋じゃありませんか。ぼくはそう聞いておるのです。  それをあえてほかのものがどうだからと言うならば、積立金運用だって例外なんだから、それと同じ性格ならば余裕金運用も例外でなければならない。これが解釈の常識じゃありませんか。その積極的な理由を聞いておるのです。
  32. 森卓也

    森説明員 同じような答弁で大変恐縮でございますが、私どもといたしましては、できますればすべての特別会計積立金余裕金を統合運用したいという希望はありますけれども簡保につきましては長い歴史がございまして、そういう主張をするということは実際上不可能でございますので、唯一の例外として分離運用について御協力をしているということでございます。
  33. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 だから、簡保積立金運用について例外的に分離運用を認めたならば、積立金と同じ性格を持つ余裕金分離運用を認めるのがあたりまえではありませんか。  それなら、なぜ積立金分離運用を認めたのですか。その必要性があったから分離運用を認めたのでしょう。それならば、それと同じ性格余裕金分離運用を認めるのがあたりまえじゃありませんか。それを認めないという積極的な理由がありますかと私は聞いておるのです。これでは話ができぬでしょう。
  34. 森卓也

    森説明員 同様の趣旨の答弁で大変恐縮でございますが、私どもは、簡保積立金につきましてもできれば運用部に預託をしていただきたいというのが実は本心でございますけれども、それは長い歴史の上に成り立つ制度としては不可能でございますのでそこまではお願いをしていない。これ以上例外をふやすということはほかの制度に波及するところが大変多いということで、これ以上の例外はお許しをいただきたいということでございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、いまの大蔵省と私とのやりとりをお聞きになっておわかりになったと思うのですが、この簡保積立金という特殊性を認めて、大蔵省の言葉をかりてさえ、例外として積立金運用郵政大臣にお任せした。それならば、同じような性格を持つ、いわゆる零細な庶民の簡易保険の掛金を集めたお金だから、これをなるべく有利に運用してあげなければならないというたてまえに立つならば、積立金と同じ性格を持つ余裕金運用を認められないとなぜ大蔵省は固執するのか。どうも私は理解できないのですが、郵政大臣はどうお考えですか。
  36. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘余裕金運用については、ただいまの大蔵当局阿部先生との御質疑な承って大変矛盾と抵抗を感じたというのが、これが率直な私の受けとめ方であります。ただ、五十三年度の予算折衝の段階においても、かねがね先生方から御指摘を受けております問題であるだけに、私もこの問題等は真剣に大臣折衝の段階で折衝を続けたわけでありますが、先ほど来の大蔵当局の答弁のとおりで、やっとことし利率の改定ということで妥協いたしました。  統合運用したいという御意向でありますが、簡保資金だけは例外とは、所管大臣としてやはりはなはだ遺憾に思いますが、事実のことでありますからやむを得ないと思うわけでありますが、大蔵当局はせめて余裕金ぐらいでも握っておかなければという考えであろうと考えております。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵政務次官もお見えになっておりますし、政務次官は逓信行政についても非常に理解の深い方でございますから、ことさら申し上げるわけでもありませんけれども、これはなるべく安い保険料で提供し、もって国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的としてつくられておるのでありまして、大蔵省の金融政策上つくられておる制度ではないということを責任者の政務次官もよく理解をしていただいて、どういうふうにお考えかを承りたいと思います。
  38. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 服部大臣からのお答えもあり、正直、大臣折衝の資料も私は持ってきたし、先ほどの附帯決議の件も私の理事のときですのでよく承知をしているところでございます。  いまお答えのあった大蔵省当局の方の非常な苦衷も察していただきながら、財政金融政策との密接な関係と——阿部先生御存じのとおり、他省も、それでは運輸省も労働省もということでやり出したら、これは行政改革のいまの基本方針に、人件費等コストの面でもほかの要望を聞き出したら切りなくなってしまうので、その辺のところもなるほどなというふうに私自身も多少いま勉強しているところですが、私の立場としては非常に苦しいところですが、そういうふうに財政のいまの厳しい情勢を考えていただきながら、御理解をいただけたらと思います。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省の課長さんに申し上げておきますが、ただ、これはほかのものとは性格が違うのです。純然たる保険なんです。国から一銭も補助をもらっているわけではないのです。純然たる加入者の団体によって成り立っている保険制度なのですから、そこを国がたまたま国営であるということに藉口して、この資金運用等を勝手に行うということは加入者団体に対する不当な介入だとぼくは思うのです。これは純然たる保険ですから、国が補助を出していろいろやっておるような事業内容とは違うということだけは心得ていていただきたい。だからこそ積立金運用郵政大臣にゆだねられたのだと私は思うのです。純然たる保険である、社会保障なんかのように国が補助を出してやっておる制度とは全然違うという根本的な違いだけはしっかり頭に入れておいてください。  それでは、その次にまいりますが、五十三年度の積立金運用計画は、いままでそれぞれトータルしたものと、五十三年度の新規並びに返戻されたお金の運用と二つに分かれると思いますけれども、五十一年度現在でのそれぞれのものといいますか、財政投融資の方に回ったものとそうでないものと分けたものだけで結構ですがどうなっておるか、そして五十三年度の計画はどうなっておるか、この二つを聞かせてください。
  40. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 五十三年の二月末現在での運用の状況を申し上げますと、有価証券でございますが、これが合計で三兆五千九百八十一億円でございます。この中には国債、地方債、公社、公庫、公団あるいは金融債、社債等が含まれております。  それから貸し付けでございますが、約款貸し付けが四千六百六十六億円でございます。それから郵政事業の方に千四百十二億円、地方公共団体には二兆五千百二十三億円、公社、公庫、公団等への貸し付けが一兆四千百三十四億円、それから電源開発株式会社に七百六十一億円でございます。  それから余裕金でございますけれども、これはよろしゅうございますね。(阿部(未)委員「一緒に言っておいてください」と呼ぶ)余裕金は二月末現在で一兆二千百八十億円でございます。  積立金の方が合計で八兆二千八十六億円。それから余裕金がただいま申しました数字でございますので、資金総額で九兆四千二百六十六億円でございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 五十三年二月末はわかりましたけれども、いまのは有価証券とかあるいは貸し付けとかいうふうに区分されたようですが、私の方から申し上げますと、五十二年度末で簡保積立金運用全体をながめてみますと、財投に計上されておるもの——これは計画でしょう。五十二年も決算はできていないと思いますから、計画されておるものが大体一兆三千三百億、それから財投以外のものが大体二千三百億ぐらいという数字になると思います。  五十二年度の計画では財投に計上されておるものが——これは財投とそうでないものとに分けますよ。これが一兆三千三百億ぐらいと、そうでないもの、いわゆる一般の社債等が二千三百億ぐらい、そういう数字に大体間違いありませんか。
  42. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 ついでに、五十三年の今度は新規の分ですね。いわゆる原資と申しますか、そういうものが新規に編入された積立金と回収金その他どういう割合になって、総額どのくらいになりますか。
  44. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 五十三年度の運用原資といたしましては、新規編入積立金が一兆四千四百七十二億円、それから回収金その他が四千二百五十八億円、合計一兆八千七百三十億円を見込んでいるわけでございまして、これの運用でございますが、契約者に対する貸し付けが千百五十億円でございます。これを除きました一兆七千五百八十億円のうち一兆四千六百三十億円を財政投融資計画に計上いたしまして、その他二千九百五十億円を社債等に運用することにいたしております。  なお、財投計上の運用分でございますが、利回り向上の見地から債券等の有利部分に七千三百十五億円、地方還元の趣旨から地方公共団体に対する貸し付けが四千七百億円、この二つに重点を置いております。したがいまして、運用計画一兆八千七百三十億円に占めます有利部分、これが合計いたしまして、財投計上分の中の有利部分と社債等を合わせまして一兆二百六十五億円でございますが、これが全体に占めます比率は五四・八%という数字になります。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時期によって違いますけれども、いわゆる有利部分と呼ばれる部分は全部いま局長が言ったような計算でいくのか、もっと自由な運用、いわゆる財投に計上されなくて、郵政大臣が独自に一般事業債等を扱えるという金に回すのか、これはこれからの運用上いろいろ問題の残る点だと思います。  そこで、郵政審議会の特に簡易保険の問題等に関する答申というものは大蔵省でも検討されておるものかどうか、あるいは行政管理庁の監査報告というようなものについて大蔵当局では十分目を通して検討されておるのかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  46. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  郵政大臣に対します郵政審議会の御答申等につきましては、私ども郵政省の方から承っております。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 簡易保険運用等に関する行政管理庁報告というものも聞いておりますか。
  48. 森卓也

    森説明員 承っております。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは非常に古い話ですけれども昭和四十年に郵政審議会郵政大臣に対して答申をした中に「資金運用制度改善」というのがございますが、これによると、財政投融資計画という国の一つの方針、要請はあるにしても、先ほど来私が申し上げましたような簡易生命保険の本来の趣旨にかんがみてなるべく有利に運用するという意味合いから、積立金の新規運用に当たっては少なくとも原資の三割は——少なくとも三割というのは三割以上ということに読みかえられると思うのですけれども、三割以上は一般事業債あるいは株式というものに運用を図るべきではないかという趣旨が述べられておるわけです。同時に行政管理庁の方からも、先ほど来申し上げた余裕金性格というものが述べられて、余裕金についてはもう少し十分な運営ができるようにすべきだという趣旨がそれぞれ述べられておるようでございます。  そこで、問題になりますのは、いまの五十三年度計画においても、新規財源が一兆八千億くらいの中の二千九百五十億程度がいわゆる一般の事業債に回っておるようでございます。これは郵政審議会答申をした少なくとも三〇%という数字からするときわめて少ない数字になってくる。せっかく郵政審議会がそういう答申をしておるのにこれを取り上げていないということは——資金運用の審議会があるようでございますけれども、一体、郵政当局が起案の段階でそういう計画をしたのか、財投との関係上一般事業債等については二千九百五十億で抑えざるを得なかったのか、理由はどちらですか。
  50. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 社債等への運用でございますが、この運用枠の拡大につきましては毎年努力をして増加をしてまいっているわけでございます。五十二年度の運用計画では社債等に計上しておりますのが二千三百億でございますが、五十三年度は二千九百五十億と相当の増加ということで枠を計上して計画をしたわけでございます。  問題は、もっと枠をふやしてもいいじゃないかという御趣旨だと思うわけでございますが、私どももこの枠の拡大ということは十分考えておりますが、その社債等の購入といった問題とあわせて、市中の状況というものも考えながらやっていかなければならぬということで今回相当大幅にやりましたが、同時にその限度というものを考えながらやったわけでございまして、これだけ大きな資金ということになりますと、それが市場に与える影響もあわせて配慮しながら節度をもってやっていかなければならぬということで、そういった総合的な勘案のもとに枠の拡大を図っているわけでございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かに公社債等でも有利部分というものはありますから、これはそのときの経済情勢によって、私は必ずしも一般事業債がいいのだというようなことは言いませんけれども、財投の関係で抑えられてこれだけしか社債購入に回す原資がなかったのか。計画的におたくの方でそういうようにおやりになったのか。  おたくの方でそれがいいと思えば、無理に三〇%にこだわらなくても、有利に回せということが原則ですから、それは構いませんよ。ただ、どっちだろうか、財投に圧迫されてこっちが三〇%にならなかったのか、運用上この方が都合がいいから三〇%以内に抑えたのか、その辺を聞きたかったわけです。
  52. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 財政投融資計画の中でも、地方還元という問題につきましては私ども十分な配意を払っていかなければならないと思っております。これば利率から申しますと標準利率でございますから、利回りの方では悪いと言ってはなんでございますけれども、低いわけでございます。しかし、簡保といたしまして地方還元に重点を置くことは一つの伝統でございますし、これからも考えていかなければならぬわけで、そういったものとの振り合いも考えたことは事実でございます。  ただ、先ほども申しましたように、社債等の市中での購入条件ということもあわせて考えまして今回は、そんなことを言ってはなんでございますが、私個人として考えますとわりあいにいい形になってきたのではないかというふうに考えております。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 積立金運用について、郵政審議会答申等にもあるようになるべく有利に運用していこうという努力姿勢がよくうかがわれますので、その点は結構だと思いますし、その趣旨に従ってこれからも努力していただきたいと思います。  次に、そういうふうに積立金については大変な御努力を払われておるのに、余裕金の預託利率が今日まで非常に低かったように思われますが、余裕金運用を六%で抑えられた期間は一体どのくらいあったのか、ちょっと知らせていただけませんか。
  54. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 三十六年に、これは特利を加えまして六%に余裕金の預託利率が設定されたわけでございまして、その時点におきましては一つ改善ではあったと思いますが、その後今日までそのまま参ったわけでございます。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 余裕金の金利が特利を含めて六%で、実に十数年間抑えられてきた。なぜ簡易保険余裕金の金利だけが、あの激しい経済の変動、金利の変動のあった中で安く抑えられてきたのか、その理由は何ですか。
  56. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 郵政省といたしましては、この余裕金の金利の改善という問題についてはそのときそのときにおきまして折衝をし、要望してきたわけでございますが、結果的になかなか実現に至らなかったということでございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは折衝したけれども大蔵当局が認めなかったということにほかならないのですが、大蔵当局はなぜこの簡易保険運用金の金利だけをほかの金利と切り離して安い六%で長年にわたって抑えてきたのか、その理由は何ですか。
  58. 森卓也

    森説明員 先生も御承知のとおり、他の領託金利の場合には、一年以上のものでございますと四・五%あるいは五・五%という金利でございますけれども簡保余裕金につきましては特別に六%という扱いをしているわけでございまして、六%になりましたのは、恐らく、長期預託金との均衡を考慮して昭和三十六年に定められたのだろうと思いますが、その後長期預託金の方が場合によりましては特別利子が二%つけられるという時期もございまして、三十六年の立法当時は六%というのは大変メリットがあったかと思いますが、長期金利の変動に伴いまして必ずしもメリットではなくて、固定したことによってかえってデメリットも出てきたということもございまして、今回の法律改正をお願いしている次第でございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 特利というのは何も余裕金にだけついておるものではないですね。特利は資金運用部に入ってくるそれぞれの金の中で、性格によって全部ついておるのです。たとえば郵便貯金の資金運用部に入っていく金でも固定部分は六%だったと記憶しています。  ところが、一番高いときの資金運用部からの還元は八%になっておったわけですよ。これは特利が二%あったことになるわけですね。そうすると、そんなふうに経済の変動に従って特利部分は常に動かしていっておるわけです。これは当然のことだと思うのです。にもかかわらず、貯金にも固定部分があるんですよ。貯金の運用にも保険余裕金運用にも固定部分と特利の部分がある。ただ、特利が変動になっておるかおらないかの違いはあるけれども、固定部分と特利部分があることは間違いないですね。貯金の方はその特利部分が経済の変動に従ってずっと動いていっているんです。保険余裕金だけなぜ経済の変動に従って特利部分が動かなかったのか。それは確かに取り決めで、固定するという取り決めはあったかもわかりませんけれども、それについては何度も郵政省の方からも要請をしておるし、われわれもこの余裕金運用については今回初めて言っておるのじゃないですよ。ずいぶん前からそうすべきだということを言ってきておるのです。それにもかかわらず、あの激しい経済の運用の中で片方では特利を含めて八%で、余裕金だけが六%である。  ちなみに、この数字を見ますと、昭和五十二年度の運用計画で一般の積立金の方の運用利回りは八・六四九%になるという利回り内容になっています。ところが、この余裕金だけは、先ほどお話ですから、ことしの二月の終わりで見ても一兆一千四百十二億、これはいわゆる預託されておった金額ですから、一兆一千四百億というお金は六%でしか見てもらってないわけです。一般の積立金運用は八・六%に運用ができるのに、たまたま余裕金は大蔵省のやり方の中で、余裕金の取り扱いの中で六%しかその利息を見てもらっていない。これは莫大な損失です。これは何も郵政省が損するわけじゃないんですよ。この損失は零細な加入者への還元がそれだけ減るということなんですよ。だから、私が冒頭に申し上げたところの、加入者犠牲の上に簡易保険が今日健全な運営が成り立っておるのではないかということはこの一例でもわかるわけですよ。これは加入者犠牲ですよ。  あれだけの激しい金利の変動の中でこの余裕金だけをなぜ六%に抑えてきたのか、その責任は一体どうするつもりですか、答えてください。
  60. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 先ほど私は御説明をしましたが、ちょと舌足らずでございましたので補足して説明をさせていただきます。  従来私どもはこの改善ということには努力してまいりましたが、特に余裕金運用制度改善につきましては、郵政省としては積立金と同様に運用するということを主体に交渉をやってまいりましたので、先ほど改善ということで、金利の改善ということを重点に申し上げたようなことであればちょっと訂正させていただきます。
  61. 森卓也

    森説明員 お答えいたします。  簡保余裕金の金利がなぜ固定化したかということは、一つは、簡保余裕金以外の長期預託金の特利は、大蔵大臣資金運用審議会の意見を聞きまして大蔵省令で定めるということになっておるわけでございます。一方、簡易保険余裕金法律で決まっておりまして、大蔵省等の行政部内では自由にできないということがございまして、法律改正を要するということがございましたので、恐らく非常に長期間固定化したのかと思います。  先生の御指摘のとおり、長期預託金の方の金利もいろいろ変動するという中にありまして、簡保余裕金の金利が固定化するということは均衡を失しているというふうに考えましたので、今回の法律改正をお願いいたしまして、長期の預託金とスライドをするようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  62. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大蔵省の方でもその非を認めたと言うと語弊がありますけれども、非常におくれたことについてはお認めになったようでございます。先ほどから申し上げておりますように、これは莫大な損失を加入者に与えたことになるわけでございます。そこで何とか償いをしてもらわなければならない。これは長期契約でございますから、一挙に償いをしなくとも、これからぼつぼつ償いをしてもらっても結構間に合うのです。  そこで、今度の公定歩合の引き下げに連動して、いま、いろいろな銀行預金なり郵便貯金なり預金金利の引き下げの問題がかなり具体的になってきつつあるようでございますが、いまになって余裕金の金利の改定をするということは、どろぼうを見てなわをなうのじゃなくて、どろぼうが逃げてからなわをなっておるようなものでございます。そうでしょう。一般的な金利が引き下げの傾向にあるときに、余裕金だけには金利を上げてみましょうと言っても、上げてみてもこの法律内容では変動部分があるのです。五・九%から上の、さしむき今日の〇・五というのは変動部分ですから、公定歩合の引き下げに伴う連動でほかの金利が引き下げられれば、この変動制に該当する部分の金利が少なくとも〇・四までは引き下げられる可能性があるのです。せっかくいまここで法律をつくってみても、公定歩合の連動でございますから、簡易保険運用金の金利もすぐまた下げます。六%という歯どめはできますが、〇・四だけはいつでも下げられる可能性を持った内容になっているわけです。  そこで、私はお願いしたいのですが、いままで当然改定すべきであった金利の改定を据え置いてきた責任があるわけですから——むろん私はそういうことを望んではおりませんけれども資金運用部の方の運用が、仮に他の長期の金利等が六%あるいはそれを切るような事態になったとしても、簡易保険余裕金の六・四だけは当分の間は動かさないということを約束してもらわないと、あなた方は口先でいままでおくれたことは申しわけなかったと言うだけであって、内容としては加入者に対する還元に何にもならない。今回決められる六・四%については、他の金利の変動が下がった場合——上がった場合は上げてもらわなければいけませんが、下がってもこれは下げないということだけは大蔵省の方で十分配慮してもらいたい。これはやはり政治家の判断ですね。政務次官、どうでしょうか。
  63. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 阿部委員の大変切々たるいまの御意見は、当局と慎重によく検討して善処してまいりたいと思います。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 時間が来たようで非常に残念ですけれども、いま政務次官からもお答えをいただきましたし、これは郵政大臣にも特にお願いしておきたいのですが、いま申し上げましたように、一兆円を超す余裕金が六%で抑えられてきた。本来ならば八%、九%で運用できるはずのものが、たまたまいろいろな法律のかかわりあるいは大蔵省の資金運用のたてまえの問題から、加入者に大変な損害を与えてきておることは否めない事実でございますから、その償いをする意味で、今後仮に金利の引き下げが行われるような場合があったとしても、今回決めるこの余裕金の金利については引き下げの場合には手をつけないこと、これは政務次官もそうおっしゃっていますし、郵政大臣もその責任でがんばってもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  65. 服部安司

    服部国務大臣 当然なことであると思うとともに、私たちは初志貫徹に今後も最善の努力を払うつもりでございますので、この点御理解を賜っておきたいと思います。
  66. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は、私はもう少し時間があると聞いておったものですから、改正の内容についても大分お聞きしたい点があったのですけれども、いま事務当局の方から時間がいっぱいだと言うので、心外ですけれども、残余の質問はまた次の一般質問にでも保留をさせていただいて、本日の質問を終わります。  ありがとうございました。
  67. 松本七郎

    松本委員長 米田東吾君。
  68. 米田東吾

    ○米田委員 まず、大臣にちょっと聞いていただきたいことがあるわけであります。  ただいま同僚の阿部委員からも、簡易保険積立金余裕金運用につきまして、きわめて公正妥当な当然の御意見が長く質疑として続けられたわけでございますが、これにつきまして私も申し上げたいのでございますけれども、私が大臣に聞いていただきたいことは、大臣も御承知のように、戦後、簡易保険積立金余裕金運用につきましては、GHQの政策もありまして大蔵省が一括運用するということになってまいりました。それが昭和二十八年、当時私も全逓の一役員でおりましたけれども、全逓は全国大会まで開いて決議をして、そして当時の郵政省簡易保険局等と十分タイアップいたしまして、何としてもこの運用権は郵政省が戦前の姿に戻すために取り戻さなければならないという大闘争を組んだことがあるわけであります。  いまも阿部委員指摘されましたように、第一線外務員が募集してくる簡易保険は、いまで言えば内閣総理大臣福田赳夫の証文で募集してくるのではないのでありまして、服部郵政大臣の証文で募集してくるわけなんです。したがって、これは挙げて簡易保険法第一条の精神に基づいて加入者に還元される、そして加入者の零細な財産を保障するという、こういう立場に立っての保険であり、募集でありますから、そういうことで、第一線外務員は営々努力をして今日の簡易保険事業を築いてきておるわけであります。  そういう観点からいきますと、この運用は切って離すわけにはいかぬわけでありますから、当然一元的に完全に郵政省が運用しなければならないことなんであります。ところが、二十八年の大闘争をやりましたが、結果としてはいまのような限定された郵政省の運用に、妥協でありますがなされて、以来今日まで二十五年間これは続いておるわけであります。  私も調べてみたのでありますけれども、この二十五年間の歴史は、簡易保険に関する限り郵政省の完全自主運用にかけての一つの闘いであったと私は思うのであります。したがいまして、本委員会等におきましても、郵政行政の立場に立ちまして、簡易保険のこの法案の審議あるいは一般質問等に当たりましては絶えずこの問題が取り上げられまして、ある意味ではしつこく運用権の問題については言及をされ、そしてこれにつきましては絶えず一定の委員会の意思決定がなされまして、附帯決議あるいは大臣の答弁を求めるというような方法でずっと集約されて今日まで積み重ねてきておるわけであります。  私はいまちょっとここで見たのでありますけれども、この委員会の附帯決議としてこの運用関係の問題が取り上げられまして、完全に郵政省に運用権を回復させるべきだ、現状のもとにおいてはこの余裕金利回りをもっとよくしていかなければならない、大蔵省は握っているこの余裕金利回りについてはもっと向上させなければならないという観点で決議が五回なされております。そして、これとまた合わせまして、実は、郵政審議会あるいは行政管理庁の勧告のような審議と手段を通しまして、同様に簡易保険のこの資金運用につきましては、一元的に完全に郵政省に移すべきであるということが明確に指摘され、また、本委員会の決議としてそれが確認されて今日まで至っているのでありますけれども、以来二十五年間、一向にしてこれを解決しておらない。まあ、余裕金利回り等につきましては多少の向上はありました。これはいまも御質疑で明らかになっているとおりでありますけれども、根本的な解決にはなっておらないわけであります。これは何としても、加入者立場からしても、一元的に完全に運用するという本来の事業の姿に戻すために郵政省はこれからも努力をしていかなければならぬと思うのでありますけれども、この点につきまして大臣はかたく決意を持っていただかなければならぬと思うのでありますが、私はその決意を聞きたい。  あわせて、私どもが執拗にこの問題について本委員会で取り上げておりますのは、実は、昭和二十七年から八年にかけまして、われわれは郵政省の職員立場、労働者の立場で、加入者の原点に立ち返ってこの問題は労働組合が大会で取り上げて決議をして、ともに運用権の奪還について一緒にやってきたという経過もありまして、これはもうわれわれは執念を持って臨んでおるわけでありますが、このことも含めまして、まず大臣の決意を聞いておきたい。
  69. 服部安司

    服部国務大臣 当時、全逓の大幹部として本来の正しい姿に戻すべく大変な御努力をいただいたことをこの機会に心から敬意を表したいと思いますとともに、私もその歴史と由来はよく存じております。  というのは、米田先生が労使一体になって御活躍いただいたときの大蔵省の担当課長が私の親友でして、稲田というのですが、いろいろとよく聞きましたが、彼は私にこういった述懐をいたしました。あの理路整然とした要求であったので、いろいろと省内で抵抗があったがぼくは踏み切ったんだということを聞いたことがありまして、いまは物故いたしましたが、大変感慨深く拝聴いたしました。  申すまでもなく、正しい姿にするために先生方の大変な御努力をちょうだいいたしまして、力強い御支援をいただきました。歴代大臣はもちろん、関係省の幹部を挙げてこれまたりっぱな理論的な裏づけをし、大蔵省に要求いたしておりますのにいまだになかなか完全解決を図られないということは、私は、大蔵省のあり方に憎んでも憎み切れない思いがいたしております。  しかし、おおよそこの内容理解する点にかなり欠けた点があると私は感じました。他の年金余裕金とか、また、公団、公庫の余裕金と同等の扱いの認識の上に立つということは米田先生同様私は納得はできません。今後は、私の任期中はもちろん、任期を離れても皆様方とともに、よりよい郵政行政のために、一国会議員として当然がんばる決意でありますから、ともに大蔵省を説き伏せて、本来の正しい姿に戻し、労使一体になって真に明るいやりがいのある簡保事業運営を図りたい。強い決意で臨むことを表明いたしたい。と思います。
  70. 米田東吾

    ○米田委員 大臣の決意をお聞きいたしまして、私どもも全く心強い感じでございますが、しかし、考えてみますと、歴代の大臣もやはり服部大臣の御答弁にありましたような決意と理解のもとに努力をされてきたのだろうと私は思うのです。私はそういうふうに評価をしておるつもりでございますけれども、あわせまして、簡易保険当局も同様な努力を恐らくされてきたであろうと私は思うのです。ただ、同じ政府の行政の中に組まれておる郵政省でありますから、やはり、一つは、時の政策あるいは政府の方針というような壁がこの目的を阻害してきたのではないかと私は思っておるのであります。  そこで、郵政大臣、あなたの閣僚としての、また国務大臣としての率直な感じからいたしまして、この簡易保険資金運用については完全に郵政省が一切の権限を持って完全運用に当たるべきだという本委員会の長年の総意、決議、そして行政管理庁やあるいは郵政審議会の総意、これは政策的に無理があるのでしょうか。もしそういうものだとすれば、いたずらに附帯決議なんか何回つけたってむだではないかと私は思うのです。そしてこの委員会で、法案の審議だけではなしに、一般質問等におきましても繰り返し取り上げて強調して、その実施方を政府に迫ってきておるわけでありますけれども、これも単なるマスターベーションのような気がしないでもないわけであります。  いま自由民主党の政権でありますし、その政策の中でも、特にこの財政資金運用という関係につきましては、私は決して無理があるとは思わないのでありますけれども、実際問題としてはどうなんだろうか。大臣の高度な判断があればひとつ聞かせていただきたいし、阿部委員指摘されましたように、私どもの論点の基本になるものは、これは国営であっても簡易保険だということ、生命保険だということであります。  そういう意味では、国家の財政投融資の関係からいきますれば、積立金の関係では、国としては全く一元的にこれは運用したいところでありましょうけれども、しかし、簡易保険は零細な国民の財産を長年にわたって、将来にわたって保証する保険制度のもとにおける資金だということになりますと、郵政省やわれわれが主張していることは決して誤りではないし、また、今日の自民党の政策のもとでもこれは可能なものではないかと私は実は思うのでありますが、これは無理なのかどうか、政策的に実現不可能なのかどうか、この点は大臣はどんなお感じでございますか。
  71. 服部安司

    服部国務大臣 先ほど簡保局長が答弁の中で申し上げましたが、国の全体の財政運営、財政執行の中にかなり組み込まれている面もあるわけであります。特に注目に値するのは、地方自治体に自主運用では短期融資、また財投の計画の中では起債の肩がわりとか、また起債を目途にする融資とか、こういった面は国の財政計画上一挙にはどうかと思うのでありますが、しかし、余裕金を含めて考えますと、先ほど阿部先生から、またただいまは米田先生から、両先生から御指摘があったとおりに、これは保険制度から成り立っている資金でありますから、加入者を無視した運用ということは理論的にとうてい認められないということは私は全く同感でございます。  したがいまして、そういった面を加味しながら郵政省が自主運営を図り、まず第一義に支払いの時期に確実に万遺漏ない措置を講ずることはもう言うまでもありませんが、あわせて、資金運用の妙味を得て加入者利益の増大を図らねばならない。こういった点で先生考え方は理論的に決して誤りであるとは考えておりません。最も正しい見解であると、私はむしろ共鳴いたしております。  そこで、今後こういった問題は不可能なのかどうかという御指摘でありますが、前段でもお答え申し上げたとおりに、私の判断では大蔵当局は、形態も実質的内容も全く違いますが、他省にもこういった余裕金と名のつく金のあることにいささかこだわっているのではなかろうかと私は理解いたしております。それで、こういう点について先ほどもかなり突っ込んだ御質疑がございましたが、われわれはもっと完璧な理論的な裏づけを図って、先ほど申し上げたとおりに、この余裕金の段階の運営については必ず郵政大臣が自主運営を図れるように、これはもうどんなに厚い壁であっても先生方の理解協力を得てなし遂げたいという、もうずっと一貫してお答えしている決意には全く変わりはございません。
  72. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。  そこで、私どもは、あえて私どもと言いますが、社会党は、これは二つの法案が一括されて提案されておるわけでありますが、特にこの資金運用部法律の一部改正につきましては、賛成していいかどうか、率直に言ってまだ党内に議論があるんです。この積立金運用につきましては、これはいいことでありますから、もちろんわれわれは賛成したいと思っておりますけれどもね。というのは、資金運用部のこの利回りの関係でまあ一定の妥協をする、そしてまた大蔵省にとっては既得権といいますから、これを絶対に放していかない、こういうようなイタチごっこのようなことをやっておったらいつまでたってもこれは郵政省に戻ってくることはないのじゃないか。思い切って何か対案を考えるなり方法を考えるなりして政策的にも対決するような一つの方法をとらなければいかぬのじゃないかというような議論も率直に言ってわれわれの党の中にはあるわけであります。  したがって、今度のわずかの利回り向上は、パーセントはわずかでありましても加入者にとってはやはりプラスでありますから、反対する理由はないのですけれども郵政省が完全に運用権をとることが正しいし、それが加入者の最大の期待であり要求だとすれば、それに向かってわれわれは邁進していかなければなりませんから、そういう観点からいきますと、現在のほんのわずかの利回り向上という法律改正の内容について、果たしてわれわれが賛成していいのかどうか、戦術的にも検討しなければならないというのが率直なわれわれの見解であります。  そこで、大臣の見解をもう一回私は聞きたいのでありますけれども、いま大臣が決意を述べられましたが、この余裕金運用について、将来にわたって大蔵省と何としても郵政省は十分闘って本来の郵政省の姿に戻すということについて、はっきりとした方針と見通しをもう一回しかと聞かせてもらいたい。
  73. 服部安司

    服部国務大臣 余裕金の自主運営について、先ほど阿部先生大蔵当局との質疑がございまして、これは私もその席で聞いておりましたが、やはり大蔵省の答弁には納得のできない、理解のできない点がかなりあったと指摘してもはばからないと私は思うのであります。言うならば、大変苦しい答弁に終始した。この事例を一つ見ましても、やはり、米田先生の御指摘のとおりに、われわれは自主運営こそ認められて当然である、それが正しいのだ、正しい姿に戻すのだという考え方については、前段にも申し上げたとおり、全く同感でございますと申し上げました。  同じ答弁になるかもしれませんが、余裕金というのが、郵政簡保局の持つ余裕金と他の省庁の持つ余裕金とおのずから異なった性質のものであるという理論的な裏づけを今後も強力に主張いたしまして、かなり壁は厚いわけでありますが、しかし、最善の努力を払って大蔵当局を説得し、理解させねばならないという決意を私はいたしております。これについては、先ほど大蔵政務次官が少し述べましたが、私はことにかなり強烈な大臣折衝をいたしました。簡保局長以下関係者の必死の努力もあり、事務的な話し合いもあって、傲慢でありましょうが、在来よりやや少しよくなったということで、私はこれに大変力を得ております。  したがって、努力をすれば国民の期待にこたえられるのだなということとともに、しかもこれは税金で賄っている問題ではなくて、いわゆる保険制度の上に成り立っており、加入者の零細な資金の集結が一つの大きな国の事業につながってくるわけでありますから、私は自信と確信とを持って、いかに厚い壁であっても先生方の御協力を得て打ち抜きたい、実現したいという強い悲壮な決意に燃えていることを重ねて表明いたしておきたいと存じます。
  74. 米田東吾

    ○米田委員 私どももこれにつきましてはこれからも十分協力するにやぶさかではありませんので、大臣の御奮闘をお願いしておきたいと思います。  次に、保険局長にちょっとお聞きをしておきたいのでありますが、ことしの簡易保険の実態は一体どうであろうか。この不況の中であります。円高で、企業も、それから日本の農業を初めいろいろな産業が外圧を受けて、かつてない苦境の状態に置かれておるわけであります。こういう中で第一線の諸君は、都市と言わず農村と言わず御苦労をして、あなたの方から示された募集目標に向かって一生懸命がんばっていることだろうと思うのでありますけれども、景気の影響というものはことしの募集実績にどんなふうに出てきておるのか。現状をひとつ聞かせていただきたい。
  75. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 ことしの状況でございますが、先生御承知のように、私ども保険の募集は九月から翌年の八月まで奨励年度というものを設定してやっているわけでございますが、この三月末までの状況で見ますと、九月から三月まで件数で二百八十八万一千件、保険料で二百三十七億六千万円、保険金で四兆七千億円ということでございまして、前年に比べて大体順調な伸びを示しているということでございます。  先生に御心配いただきましたように、景気の方は昨年からことしにかけましてまだ依然として低迷しているわけでございますが、昨年当委員会でも御審議いただきました保険金の最高制限額一千万円への引き上げというものがございまして、これが九月から実施されたわけでございます。また、ことしの一月から私ども約款の改正をやりまして、一部の保険の種類につきましては最高年齢の引き上げ、加入年齢の引き上げもいたしました。そういったことで、募集条件としては若干よくなったわけでございます。  また、従前いろいろ御指摘をいただきました保険の募集の適正化の問題でございますが、これにつきましても数年来努力をいたしまして、最近ようやくそれが定着してまいりました。そういったものに裏づけられての外務員の自信のある募集活動と申しますか、こういったことも裏打ちされまして大体順調な伸びを示してきたというふうに考えております。
  76. 米田東吾

    ○米田委員 ことしの奨励年度でいきますと、あとまだ大体半年残っているわけですね。そういう実績としていま答弁されました数字からいきますと、順調どころか、大分好成績で進んでいるということになりませんか。どうですか。
  77. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 いま奨励年度の中途の集計で申し上げましたが、この会計年度一年で考えてみますと、件数では大体二%程度の前年に比べての増加、あるいは保険料で申しまして約一六%程度の増加というような形が見られます。そういった意味におきましておおむね順調と言わせていただいていいのかと私は思っております。  数年前のいわゆる経済好況の時期におきましては、前年に比べて三〇%程度の伸びというような時期もございました。現在は安定成長期に移る時期でございますから、この程度ならば大体順調と言えるのかなというふうに考えているわけでございます。
  78. 米田東吾

    ○米田委員 いまの答弁でわかるのでありますけれども、最高制限額が一千万円になった、そういう一つ商品ができたということが結果として非常に順調な成績になっているというふうに判断してよろしいのですか。
  79. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 最高制限額がそれだけ引き上げられたことによってお客様にはそれだけ保障が大きくお約束できるということでございますので、一つの条件として、条件のよさとして効果があるというふうに考えておるわけでございます。
  80. 米田東吾

    ○米田委員 最高一千万円までの契約の件数の割合はいまわかりますか。全体の契約件数の中で何%くらいか。
  81. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 一千万円に引き上げまして、一千万円としての御加入の割合でございますが、一月までの現在で大体三万三千件の御加入でございまして、全体の比率からいたしますと一%程度ということでございます。  これは従来から加入なさっていらっしゃる方はもう一千万円は入れないわけでございまして、そういったことでずばり一千万円というのは少ないわけでございますが、それなりにやはり上積み等の効果は出てくるというように考えているわけでございます。
  82. 米田東吾

    ○米田委員 ことしの奨励方針で、あなたの方の力点、特徴点が何かありましたら聞かせてくれませんか。
  83. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 ことしの奨励方針でございますが、過去に募集をめぐりましてお客様本位から逸脱した行為があったことも残念ながら事実でございます。そういった反省の上に立ちまして、ここ数年厳正な募集活動の適正化を指導してまいったわけでございます。したがいまして、今日では関係の職員にはお客様本位の募集姿勢というものが定着してまいってきたというふうに考えているわけでございます。したがいまして、五十三奨励年度はこういった状況のもとにおきまして、募集、維持方針をこれから申し上げますような方針で設定いたしまして推進しているわけでございます。  基本的な考え方は、先ほど来申し上げております最高制限額の引き上げということによります保障額の引き上げを機会にいたしまして、お客様に生命保険の保障機能というものを十分に強調して理解を深めていただきまして、できるだけ保障の大きな契約を広く普及していくようにしたいということが第一点でございます。  それから、第二点といたしましては、お客様本位の募集活動を行って、かつ良質の契約の確保に努めるということを基本的な考え方にしております。したがいまして、実際の推進上のポイントといたしましては、たとえばお客様のニードに合わせた販売に徹する、それから外務員の募集技術の向上努力する、それからPRの強化を図る、それからまた契約の維持につきましても十分に配意をしていく、あわせて活気ある職場づくりをコミュニケーションの円滑化によりまして図っていきたい、それによって外務員のモラルアップということも図ってまいりたい、こういうことでございます。  特に、お客様の信頼を高めますためには正しい商品の知識を修得させまして、お客様にその商品内容とか制度をわかりやすく御説明できるように外務員の訓練をやっていく、こういったことを図っているわけでございます。
  84. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、高度成長時代に合わせまして、保険の奨励は非常に過度なけつたたきによっての募集成績の追求というものがなされた時代がありましたけれども、私もこの委員会で何回かやったことがありますが、そうじやなしに、要するにいまは低成長の時代にも入っておるし、お客様本位で、そして豊かな良質の保障を提供するということで、安定的な奨励の時代に入っておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
  85. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 ただいま先生がおっしゃったとおりでございまして、私どもはそういった点に十分配意をしながら、あわせて職員の方のモラルアップを図り、またやる気を起こさせてやってまいりたいと思っております。  何と申しましても、保険の募集と申しますのは、お客様の方に訪問し、お会いして御説明をして保険のよさ、役割りというものを十分に御認識をしていただいて入っていただくということが主体でございますので、やはり、一人一人の外務員の資質の向上と意欲づけというものをあわせて図ってまいりたいと考えております。
  86. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つお聞きいたしますが、いま外野の諸君には自主目標というものを設定させて、そして集配局ではそれを一括して集めて一つの自主目標を立てて、そしてあなたの方が示されておる奨励目標に向かっていく。一つは計画的でしょうけれども、そういう奨励をやっておるというふうに聞いておるのでありますが、この自主目標の設定を、各個人に外野の諸君に個々に出させているということはあるのですか、ないのですか。
  87. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 保険の募集と申しますのは、ただいま申しましたとおり、やはり、意欲的に積極的にお客様に接触をして行っていくというものでございます。したがいまして、特に自己規律を必要とする仕事でございまして、それぞれの外務員が目標を持って取り組むことが最も効果が大きいというふうに考えておりますので、個人別に努力目標を持つことが望ましいと考える次第でございます。このために、郵便局管理者に対しましては、個々の職員と十分話し合って、納得の上で意欲を持って取り組める努力目標をつくるように指導している次第でございます。  したがいまして、個人目標といいますのは、郵便局に課される目標額とは違いまして、個人の能力に応じて自己の努力目標として設定していくというふうに考えております。
  88. 米田東吾

    ○米田委員 それはだれが設定するのですか。個人が設定するのですか。局長が設定するのですか。
  89. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 これはそれぞれ話し合いの中で、今度はどのくらいの努力目標を持っていくかという、その努力目標をより高めていくことによって個人の能力を上げていくということが大事でございますが、最終的には本人個人個人が設定していくものというふうに考えております。
  90. 米田東吾

    ○米田委員 率直に言って、いまの募集の環境というものはよくなっておるというふうに私も見ておりますが、ただ、自主目標ですね。これはいま局長が答弁されましたが、局長と当事者との合意ずく、納得ずくで出ておるかどうかということになりますと、あなたの方では一定の目標額を郵政局単位に割り当てて、郵政局はそれを各部会あるいは地域、県別等に割り当てて、結果的にはそれが局に行くわけですね。  それを受けての自主目標の設定でありますから、ややもすると自主目標が強制目標になりがちであるということも聞くことがあるわけでありますが、本人の納得ずくの、自主性によるところの募集でなければ効果が上がりませんから、そういう点については慎重に指導していただきたい。
  91. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 これはただいま御説明したとおりの性格のものでございますので、やはり、そういった性格を十分に踏まえて配意をしていくというふうに考えておりますし、また、そのように指導したいと思っております。
  92. 米田東吾

    ○米田委員 細かいことを聞きますが、内勤者に対する扱いはどうですか。保険の内勤事務員、内勤者に対しても、自主目標なら自主目標の設定をするというようなことをやっておるのですか。
  93. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 保険の募集業務というのは、先生も御承知のとおり外務員が行うのが中心でございますが、やはり、お客様が郵便局窓口にも来られる。そういった場合に内勤者でもお客様に簡易保険の御紹介をして御加入をお勧めしていくということは望ましいことだと思っておりますので、商品案内などの勧奨に必要なものは準備しているわけでございます。  したがいまして、内勤者にこちらから強制的な目標というものはもちろん割り当てていないはずでございますが、先ほど申しました自主目標というようなものは、局によりましてはそれぞれ話し合った上で設定をしているという場合があるというふうに考えております。
  94. 米田東吾

    ○米田委員 窓口にお客さんが保険契約をしたいと言って来るのは、これは当然のことでありまして、内勤者が処理をしなければならぬというのは、これは一つの日常の業務でありますから、これはもう私は十分わかりますが、ただ、内勤者にやはり同様に、割合は下げましても、ひとつ内勤協力せいというようなことをやるとか、あるいはたまには外の空気も吸うてこいというようなことで、仮に納得ずくであったとしても、内勤者に対しても自主目標が設定されるということはどうなんでしょうか。これはそういうものもあるという答弁でありましたけれども、これはそういうふうに一様にやっていることではないと思いますけれども、この点はひとつ検討をしたらいかがかと思います。  あわせまして、無集配の特定局長なんかは、保険募集ということに名をかりて非常に局をあけますね。そして、それが結局は火災保険なんかは自分の家でおやじの名前で代理店なんかをやっておりまして、どっちの募集をやっているのかわからないようなのもあるのですよ。これは笑い事じゃないですよ。集配局以上はそんな余裕はありませんからそんなことはないと思いますが、無集配の特定局長なんかでは、保険募集ということが一つのいい口実になりまして局をあける。  これはやはり自主目標等を無集配の特定局長からも出させて、そしてその奨励の対象にして目標額を示してやっているのですか。
  95. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 無集配局には外務員を配置しておりませんから、集配局のような募集目標という形のものは課しておりませんけれども、やはり、窓口での取り扱いというものを行っております。したがいまして、普及を図るという意味におきまして、各郵政局で管内の需要を勘案いたしまして、ある程度の期待額というものは設定をしております。(米田委員局長は出ているのですか、いないのですか」と呼ぶ)  無集配特定局長が出て歩くということでございますが、これは業務に支障のない手あきの時間に、それぞれ外でお客様に勧奨をするということはやはりあると思います。
  96. 米田東吾

    ○米田委員 私はこれをここでそう問題にしようと思って出したわけじゃありませんが、そのことの理由局長がなかなか局にいないということがよくある。これはあえて相模大野の例に結びつけるのはどうかと思いますけれども、やはり、そういう素地が無集配特定局にありますから、これはひとつあなたの方も注意をしていただきたい。  保険の募集と言えば何でも通るのです。不在局長があっても、保険の募集に行っていましたと言うとあなたの方はみんな認めるんです。それでりっぱでございますということなら、局長なんかいなくてもよろしいですよ。これは監察でも人事でもみんな、そういうふうにして奨励に出ていますと言えば、これで天下の監察になっているんですからね。そして、実際に奨励をやっているかどうかはだれにも全然わからない。そういう点がありますから、これは十分に注意をしていただきたいということだけです。  それから、貸し付けの関係につきましてはちょっとお聞きをしたいのでありまして、これは積立金の貸し付けの関係でありますが、私が特にここで問題にしたいのは契約者に対する貸し付けと、それから郵政省が貸し付けを受けて局舎の改築あるいは新築等に回している貸し付けの関係であります。  契約者の貸し付けの関係では、私の見るところでは、これは全体のパーセントからして非常に少ないように思うのでありますけれども、これは需要と供給の関係ではどんなふうになっているんですか、聞かせてください。
  97. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 契約者に対する貸し付けは、これは御承知のように加入者サービスの一環として行っているわけでございますが、契約者の方から定められた要件を満たしたお申し込みがありますれば、これはお貸ししなければならないという性格のものでございますので、それぞれそういう措置をとっているわけでございます。  四十六年度以降五十一年度までの過去六カ年間におきます各年度の増加額を見てみますと、四十六年度及び四十七年度はそれぞれ百八十三億円でございまして、四十八年度が三百九億円、四十九年度が五百二十二億円、五十年度が七百二十二億円、五十一年度が七百八十三億円というふうに増加をしてまいっておりますが、すべて要件を備えてお申し込みになった方に対しましてはその御要望を満たしております。したがいまして、現在のところ決して御不自由をおかけしていないというふうに考えております。
  98. 米田東吾

    ○米田委員 そうしますと、全体の運用計画の中で占める割合というのは、私がいただいている資料によりますれば、五十三年度一月末では五%程度というふうに承知しておりますが、これは間違いありませんか。
  99. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 私どもの方で契約者貸し付けが簡保資金全体に占める割合は、大体五%前後で推移しているということでございます。  なお、貸付計画額は先生御承知のように、五十二年度で一千百億、それから五十三年度で一千百五十億というふうに計画しておりますが、大体その枠の中で間に合うのではなかろうかというふうに考えております。
  100. 米田東吾

    ○米田委員 そうしまうと、そう心配することはないように私は聞いておるのでありますけれども、ただ、私が実は懸念したのは、今日のこの不況の時代を迎えて四苦八苦している加入者の生活実態があるわけでありますから、この貸付制度というものは、簡易保険事業の普及と向上のためにも、加入者利益を守るためにも、ある意味では郵政省はもっとPRしてこれを広くやった方がいいんじゃないかということなんです。ただ募集してくるだけじゃなしに、加入者に対して、こういう制度があるんだから大いに利用しなさいというPRがあってしかるべきだと思っておるわけなんでありますし、今日の経済情勢のもとではなおそれが必要じゃないかと思うのであります。  しかし、申し込めば大体満たされているというようにいまの答弁では理解するのでありますが、この予算額の関係でこれは次年度待ちだとか、あるいは貸し付けに応じられないというようなことはないですね。もう一遍確認をさせていただきます。
  101. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 そういう御心配のないように従来までやっておりますし、これからも十分配意してまいりたいと考えております。  なお、PRの関係でございますが、これも従来からやっておるつもりでございますが、なお十分注意してまいりたいと思っております。
  102. 米田東吾

    ○米田委員 簡易保険局長、これはひとつぜひ留意をしていただきたい。  この積立金運用法律の第三条の第一項にまず契約者貸し付けというものが取り上げられておる意味をわれわれは十分考えて対処していかなければならぬだろうと私は思うのでありますが、いまのところ心配はないということでありますから私は了承いたしますが、あなたの方ではできるだけ加入者の要望にこたえて、むしろ積極的にこの制度をPRして加入者の生活の向上に役立たせるようにめんどうを見てやっていただきたいということを私は申し上げておきたいと思います。  それから、人事局長もおいでになりましたので、目黒局の貸し付けをめぐりましての不正横領事件につきまして少し質問したいと思うのですが、目黒郵便局というのは、この六、七年の間、簡易保険の面から見ますと、募集や維持や業務の整理なんかの実態は大体どんなふうになっているのでしょうか。  非常にうまくいっている局なのか、それとも問題のあった局なのか、一つはそこらあたりを大づかみでもつかんでみたいと私は思うのですけれども、どうでしょうか。
  103. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 募集の成績という面から把握してまいりますと、過去数年間におきまして、大体一般的に申しましてまずまずの成績をおさめている局であるというふうに把握しております。
  104. 米田東吾

    ○米田委員 その目黒郵便局のあなたの方の資料があれば、ここ五、六年の数字を示してくれませんか。
  105. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 四十六年度からでもよろしゅうございますか。(米田委員「はい」と呼ぶ)  四十六年度以降の目標の達成割合という面で申し上げますと、目標額が四十六年度は四千五百九十万円でございますが、目標の達成割合は一三一・五%、それから四十七年度は六千八百六十万円に対しまして一〇四%、四十八年度が八千百万円に対しまして一〇一・四%、四十九年度が八千六百十万円に対しまして一〇五・八%、五十年度が九千四百万円に対しまして一一五・二%、五十一年度が一億百八十万円に対しまして一〇三・五%、五十二年度は一億七百万円に対しまして一〇六・九%という状況でございます。
  106. 米田東吾

    ○米田委員 わかりました。  相対的に見ますと、奨励の面で見る限り大体非常に成績がいいというふうに一言で言えるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  107. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 大体よい方に入るというふうに考えております。
  108. 米田東吾

    ○米田委員 こういう簡易保険で見ますれば、奨励部門というのは一つの指標でしかありませんけれども、私の乏しい経験からすれば、募集の状態が大体順調にいっているというところは、内務についても全体の融和についても大体うまくいっているところだという感じを持つわけなんです。  こういうところで今度のああいう横領事件が起きた。しかも、大体六年半にわたって全然知らなかった。恐らくここでは自治監査も行われておるだろうし、二回にわたって監察の定期監査も行われておる。そういう状態の中で、盛という主任ですか、これは経理担当の主任だったとかいろいろありましょうけれども、この種の犯罪が起きるということは実際考えられないと私は思うのです。  私もそういう現場の飯を食いましてそう思うのですけれども保険局長、これはどうなんでしょうかね。あなたの方の保険関係の業務の面でルーズさがあったのか、それとも局全体の労使の関係あるいは局長の指導監督の欠陥とか、そういうあなたの方では手の届かないところにむしろ何か原因があるというふうに見ているのか、あなたの感じはどうですか。
  109. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 私は全貌の調査の結果をまだ十分に承知しておりませんので、この段階での見解ということでお許し願いたいと思いますが、いわゆる業務の内部牽制というものが各局において行われておりますし、それにつきましては、本省から郵政局、郵政局から郵便局というふうに指導されているわけでございます。  その内部牽制の体制の中で、私ども思いますのに、今回の犯罪の発生を見ましたのは、やはり牽制のあり方に問題があったのではなかろうかということでございまして、私どもが従来から本省、郵政局を通じて指導しておりますような内部牽制の形というものがもう少し正規に行われ、また、その趣旨に沿って行われておりましたならばこれはもっと早期に発見できたのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  110. 米田東吾

    ○米田委員 私は、ちょっと言葉は悪いのですが、盛主任が犯した横領事件は、郵政省の中で飯を食った男なら、ある程度知能を働かせればできる犯罪だと思います。自分の職権、職責を利用して知能的にやろうと思えばできる。彼はそれを全部やりのけたんですね。どうもそうであるようであります。  そういう者が主任として上司の信頼を受け、そしてまた同僚の方からも信頼があって、これは相当の間、六年か七年にわたって主任のいすについておったそうでありまして、ほとんど一人で切り回しているような状態にあったということなのでありますけれども、そういうことになってまいりますと、私はちょっとわけがわからなくなるのですよ。そういうことはあり得ないのです。ここは内勤は何名ぐらいでしょうか。相当な数で、相模大野のような幅とは恐らく違うと私は思うのです。  ですから、普通の状態では考えられないのですけれども、ただ考えられるとすれば、たとえばあなたの方の上司の課長や局長がその盛君に対して何かのものがあってこれを利用する、要するに、主任につけておいて、ある意味では労使の関係等についても利用できるということで特別な保護なり庇護なりをやっておれば、これは可能だと思う。そういうことになりますと本人の思い上がりもありますし、その職場では何でもやれることになりますから、勝手に人の名前の現金を自分が受け取ってくるなんということもごくあたりまえのこととしてできるようになってくる。あるいは内部で十分監査できるはずの受入票とか貸付票とか、いろいろな証拠書類があるのでありますけれども、そういうものについても、わからなければおれに聞けというようなことで、多少の疑問や問題が出されましても強引にそれを押し切って自分で始末をつけてしまうというようなことが、背景があればやれると私は思う。そういうようなものがあったんじゃないかというのが私の感じなんです。  ですから、これをやられれば監察なんか行ったってわかりませんよ。監察に行くときは必ず事前に通告して連絡して行くのですから、現場ではちゃんとそのための準備をして待っているわけですから、あとは抽出監査や何か多少形式的にやったって、つかめるはずはないのです。  私は心配するのですが、かつてこのような事件が起きた前後の昭和四十六七年ごろから、いわば郵政のマル生運動というのがありまして、第一組合、全逓つぶしの労使一体になったマル生運動というものが展開されたことを私は承知しておりますし、この委員会でもそれは何回か取り上げられましたが、目黒郵便局というのは、あなたの方からすれば、そのときの東京都内における一つの拠点になっておったのではないか。私はこの盛という人は会っておりませんからわかりませんが、そういう関係があって、保険やそういうものよりも、業務の面よりも別な面でこの人は利用価値があったのじゃないか。そういうことで、職場では局長も課長もこれを野放しにして泳がせて自由にさせておったのではないか。  きのうもちょっとほかの同僚議員が言いましたけれども、成績第一主義ということが結局このような事件を誘発したんじゃないかと私は思うのでありますが、この点は人事局長から目黒の実態を聞かせていただきたいと思います。
  111. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  本件につきましては監察の方の話等々を承っておりますが、先生の御指摘のように、窓口主任から経理担当の主任にさせて、その間非常に長く担務をさせておったというところにまた一つの大きな遠因があるんじゃないかという感じを私個人としても持っておるわけでございます。  これは広い意味で、でございますけれども、担務が非常に長くなると、犯罪の問題だけではございませんで、職場の中もよどむと申しますか、そこにそういういろいろな弛緩した空気というものがどうしても出てまいりますので、私ども人事担当者としては、地方郵政局を通じてでございますけれども、いろいろな担務の変更あるいは課を異にする変更というものについて適材適所主義を貫くようにして、そして新規業務の訓練というものも新たに設けまして、新しい感覚といいますか、体験というものを身につけさせていきながら、そこにまた新しい相互牽制というものを発揮できるというふうなことを一般的に考えて指導しておるわけでございます。  本件の目黒の全体の局情と申しますか、先生の御指摘のようなことが過去にあったというような話も私は聞いておりますけれども、当時はこういうふうな役割りでもございませんでしたし、余り詳細な事情をつぶさにしないわけでございますが、なお、あわせまして、これの監督責任という問題を私ども立場では考えていかなければならぬというふうな立場におるわけでございますが、本件の最終送検が二月の二十日でございますか、だから、やっと全貌がわかったところでございまして、何せ長い間の監督責任の問題でございますので、その辺のところを東京郵政局の方に、また、先生の御指摘の点も念頭に置かせて、その監督責任上の問題も十分検討させていくように考えていきたい、このように考えておる次第でございます。
  112. 米田東吾

    ○米田委員 もう時間が過ぎておりまして、次の方に迷惑をかけておりますからやめますが、簡易保険局長、提言だけ一つしておきます。  これはあなたの方の所管になるか、貯金局長になるか、あるいは全体になるかわかりませんけれども、この盛という人は、人の名儀の貸付金額を自分が受け取っているのですね。受け取った場所は目黒郵便局の現金出納の窓口なんですよ。窓口係が本来の正規な扱いをすれば、支払う場合に、盛という男の顔は知っておりましても、委任があるのかどうか、どういうことで委任されるのかということで、本人の印鑑、委任者の印鑑というものについても確認を得なければならぬわけでありますし、住所、氏名も十分承知しなければならぬわけであります。これはルーズに簡単に、ああそうか君に渡そうかというふうにはできないような規定になっておるはずであります。それがなされておったのかどうか、私は監察ではありませんからわかりませんけれども、いずれにしても、そういうものがあったとしても、知能犯がやろうと思えばこれはできるだろうと私は思うのです。  そこで、提言をしたいのですが、受取正当本人以外の者が、局員が代行して受け取っていく場合——これは奨励の場合によくあります。実際に特定局なんかでは、山の中の人に保険が満期になって支払いをする、取りに来るのは大変だから私が持っていってあげますということはあるのですよ。そういうことがまた奨励につながっていく。ですから、これは全然いけないというふうにはなかなか言い切れないと思いますが、その場合は受け取る本人だけじゃなしに、監督の立場にある上司に必ず立ち会わせるということはできるでしょう。盛が受け取る場合に、では主事を呼んで来て立ち会わせるとか、主事がいなければ課長に立ち会わせるとか、これくらいのことは本当は特定局なんかでは大概のところはやっているのですよ。そうしなければ現金係は渡さない。途中でポッポへ入れる者もあるし、果たして相手のところに届くかどうかわからぬし、そういうことをやっているのですけれども、全体としてそういうふうに規定づけてやらせたらどうですか。代理で受け取る場合、正規の受取人からの委任を受けていることも大事でありますし、それを経た上で、部内者の場合はなおかつその上級の監督者が立ち会うということはできるはずであります。そうすればこれはもう未然に解決できたでしょう。  大体、七年間にわたって、この年金の貸し付けの横領だけで三十八件、八百六万円なんです。あとは、契約してきて契約しなかったと自分が言ったというのは窓口を通りませんから、これはちょっとわかりませんが、少なくともこの三十八件、八百六万円だけはだれかを立ち会わせるということが一だれかでは、同僚だとやはり誤りがありますから、監督の上司に立ち会わせるということがなされておれば、これは未然に防げたんですよ。今度制度的にそういうふうに指導されてやったらどうですか。これだけお聞きをして私は質問を終わりたいと思います。
  113. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 私どもも、今回の事件一つ機会にいたしまして、もう一回いままでのあり方を見直してまいりたいと考えておりますので、その中におきまして、先生のただいまの御意見を十分に念頭に置きながら検討してまいりたい、かように考えております。
  114. 米田東吾

    ○米田委員 終わります。
  115. 松本七郎

    松本委員長 青山丘君。
  116. 青山丘

    ○青山委員 私は、今回提出されました法律案について御質問いたします。  今回提出されております法律案の目的は、昨日来からの質疑を通して、郵政大臣簡易保険局長の答弁にありますように、簡保加入者利益の増進にあるということは明らかでありまして、私もこれは一つの前進だというふうに評価をいたしております。  まず、お尋ねいたしたいのは、簡保積立金運用法と資金運用部資金法を今回の提出案のように一本の形で法律案として改正されようとするのは、その意図は何でありますか。
  117. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 今回の法律改正の目的は、簡易保険加入者利益の増進を図るために簡易保険資金運用利回り向上させようとするものでございまして、具体的には、運用法の関係におきましては、運用利回り向上に必要な資金運用効率化と弾力化を図るために積立金の金融債に対する運用範囲を拡大しようとするものでございます。また、資金法関係におきましても、簡易保険余裕金運用利回り向上させるために、簡易保険資金運用部預託金につきまして、この利率等の預託条件の改善を図ろうとするものでありまして、このように運用法の改正も資金法の改正もその目的において同一でございますので、あわせて一本の法律案としてお願いしたわけでございます。
  118. 青山丘

    ○青山委員 運用効率化利回り向上という意図でありますが、郵政大臣にお尋ねいたしますが、簡保資金運用利回り向上についての基本的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
  119. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘のとおりに、やはり加入者優先でありますから、できるだけ利益配当考えていくのは当然であります。しかしながら、官営でございまして、私の考え方は、まず、国民多数の方々が掛金をして、近い将来にまた今度は払い戻しということに相なるわけでございますから、少なくともこの資金をきわめて確実に守らねばならない責任があるわけであります。  それに準じて、利回りのよい運用を図ってこの制度の妙味を発揮するという点でございますが、私は、加入者利益のために、いま一番大きく問題になっております余裕金運用権を、先ほど来申し上げておりますとおりに、何としてもまず郵政大臣運用権に戻すべく努力をすることが加入者のための利益につながると、かように考えている次第でございます。
  120. 青山丘

    ○青山委員 今回の改正もそういう意図で進められてきたというふうに私も受けとめているのですが、簡保局長さん、今回の改正による増収額というのはどれくらいだと見込まれておられますか。
  121. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 平年度ベースで試算いたしますと、これは条件がいろいろございますが、現行の資金運用部預託利率を前提とした場合に、五十三年度で四十億円余りの増収とるなわけでございます。  なお、この増収額は、御承知のように、金利水準の変動に伴って余裕金の預託率が変更になりました場合には、それにつれて当然変動するという仕組みでございます。
  122. 青山丘

    ○青山委員 今回の改正によって四十億円の増収額が見込まれる。これは一つの前進だというふうに私は評価しています。  郵政省ではそういう基本的な考え方のもとに有利運用への努力をしてきたということでしょうが、その中の一つに社債などへの運用があると思うのですが、この社債等への運用の経緯はどうなっていますか。
  123. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 御承知のように、簡保資金は、確実で有利な方法によって、また、公共の利益になるように運用すべきものでございますので、四十七年度では契約者貸し付けを除きまして、全額を財政投融資に計上していたわけでございますが、その後、やはり有利性という面を考えまして、四十八年度以降の運用計画におきまして、原資の一部をより有利な社債、金融債に充てることになったわけでございます。また、四十九年度には、これら有利運用部分の充実を図るために運用法の改正を行いまして、それまで電力債だけでございました社債の運用範囲を、ガス、民鉄債にまで拡大してまいったわけでございます。  その後これら有利部分の充実ということに努めてきたところでございますが、今後とも公共性と有利性との調和を図りながら、社債等への運用の充実を図ってまいりたい、かように考えているわけでございます。
  124. 青山丘

    ○青山委員 運用額については、その経緯はどうですか。
  125. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 社債等への運用額でございますが、これを開始しました四十八年度に四百億円でございましたが、その後毎年増額いたしまして、五十二年度には二千三百億円となりまして、また、本年度は二千九百五十億円を予定している次第でございます。
  126. 青山丘

    ○青山委員 社債等への運用額が大幅に伸びているということですが、これはどのような考え方に基づくものでしょうか。
  127. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 社債等への運用でございますが、これは簡保資金運用対象の中では最も有利なものの一つでございまして、できるだけこの資金を有利に運用して加入者への還元を図っていくという観点から、法律に定められた範囲内でなるべく多くの社債等を保有してまいりたいというふうに考えております。  ただ、社債等への運用に当たりましては、保険資金の公共的な性格からいたしまして、公社債市場への影響というものも十分配慮しながらやってまいりたい、かように考えております。
  128. 青山丘

    ○青山委員 できるだけ有利なところへ運用していきたいということは理解できるのです。  今回の改正は、衆参逓信委員会の附帯決議にありましたところの余裕金積立金と同様に運用する方法という考え方に比べますと、今度の改善効果というものはどのように見ておられるか。
  129. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 今回の措置も、余裕金運用制度について、その改善を図るものでございますが、当委員会で御決議いただきました余裕金積立金と同様に運用するという、この余裕金運用制度の本質的な解決ではございません。また、改善の効果も、積立金と同様とするということに比べれば劣るわけでございますが、利回り向上という点では相当の前進があるというふうに考えているわけでございます。  今回の改正に伴います増収効果は、金利水準の高低によりまして、それ相当に違ってまいりますが、先ほど申し上げましたように、変動の最中ではございますけれども、仮に現時点における金利をもって平年度ベースで試算しますと、先ほど申し上げましたように、年間、平年度で約四十億ということでございますが、積立金と同様に運用したと仮定した場合におきまして、やはり同じ現時点におきます金利での平年ベースで考えますと、大体約七十億円程度か、かように試算したわけでございます。
  130. 青山丘

    ○青山委員 数字の上では四十億円と七十億円の差があるという意味では、改善効果が若干劣るのではないかというふうに考えざるを得ませんが、にもかかわらず今回このような法改正を国会に提出されたということになってきますと、郵政省が従来から主張しておられた余裕金積立金と同様に運用していくべきだという考え方は、郵政省は変更されたのですか。これは郵政大臣に伺いたい。  それから、この考え方に対して——大蔵省は来ておられますか。
  131. 松本七郎

    松本委員長 はい、来ております。
  132. 青山丘

    ○青山委員 大蔵省、これについて御見解を伺います。
  133. 森卓也

    森説明員 お尋ねの大蔵省の考え方について答弁させていただきます。  私どもは、特別会計積立金あるいは余裕金といったような国の制度信用を通じて集まった資金は、財政金融政策との整合性を図りながら、効率的な行政機構によって安定的かつ公共的な運用が行われることが国の財政制度の上から一番望ましいというふうに考えておりまして、資金運用部によりますところの統合運用制度というのはこういった考えに基づいたものでありまして、特に、財政が非常に問題を抱えている現在においては、この制度の基本を守ることはぜひ必要だというふうに考えております。  それから、簡保余裕金でございますが、簡保余裕金は他の特別会計余裕金性格を異にするので、これは分離運用をすべきであるという御主張があることは十分承知いたしておりますけれども長期運用になじむ資金という意味では郵便貯金あるいは年金資金も同様でございますので、大蔵省は、こういった長期運用になじむものは全部資金運用部において、統合運用の原則の中で確実、有利かつ公共的な運用を図るように努めているわけでございます。ただ、簡易保険積立金につきましては、長い戦前からの沿革がございますので分離運用されておりまして、これは唯一の例外でございます。  また、簡保余裕金あるいは積立金運用利回り向上する必要があるということにつきましては、これは簡保事業というものが民間の生命保険と競合している点もございますので、これについては大蔵省としてできるだけ御協力をする必要があるだろうということで、これまでにも、余裕金の特利の付与あるいは積立金の有利運用比率の向上、あるいは運用対象範囲の拡大といったようなことについて御協力申し上げてきたところでございますし、今回の法律改正によりましてさらに余裕金運用利回り向上すれば、一層民保との格差是正が行われるのではないかというふうに考えております。
  134. 服部安司

    服部国務大臣 余裕金資金運用部金利のあり方を改善するなどの措置をもって、余裕金運用制度に関する問題がすべて解決されたとは理解いたしておりません。  今後ともまた加入者利益増進のためにいろいろ適切な御指摘をいただき、前国会においても附帯決議をちょうだいいたしましたが、その趣旨に沿って努力を続けてまいることは当然でございまして、いささかも変更したものではございません。
  135. 青山丘

    ○青山委員 郵政大臣考え方で、従来からの主張を続けていただきたい。今度の法改正は確かに一歩の前進であると私も評価しておりますし、そういう意味では簡保資金運用利回りについては漸次改善されてきてはおりますが、今後とも、余裕金運用制度改善を含めて、より一層有利な運用努力していただきたいと思います。  運用の問題はこれまでとしますが、簡易保険事業全般の問題につきまして若干質問をさせていただきます。  簡易保険は、大正五年、中小所得階層の生活の安定のために社会政策的な意図を持って創設をされ、その特色は小口無審査月掛け集金であったと伺っておりますが、今日的な意味において簡易保険特色はどのようなものだと受けとめておられるのか、お尋ねします。
  136. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 簡易保険は約二万の全国の郵便局を通じまして、簡易に利用できる生命保険をなるべく安い保険料で提供して、国民の経済生活の安定とその福祉を増進することを目的としているわけでございますが、この簡易保険の具体的な特色を挙げますと、まず、加入につきまして職業による制限をいたしませんし、また、加入年齢範囲も比較的広い範囲といたしまして、全国どこでも広く簡易保険の御利用ができるという形をとっております。  また、保険契約の申し込みに当たりましては、すべて医師の審査を行わず、保険料の払い込みは月掛け集金とするなど、保険契約加入及びその継続が容易にできる体制をとっております。  また、保険金支払いにつきましては国が保証しまして、加入者の提出する書類についてもすべて印紙税を免除する。あるいはまた保険金、還付金等の受取金につきましては、譲渡及び差し押さえを禁止しているということでございます。  また、国と加入者との間で契約上の権利義務に関する争訟が生じました場合には、簡便にしてかつ無料で迅速、公平な解決を図りますために、簡易生命保険郵便年金審査会という制度を設けまして、この審査会でまず審査を行うということにいたしまして加入者の保護を図っているわけでございます。  次に、積立金運用につきましては、地方公共団体あるいは政府関係機関に対する貸し付けなど、きわめて公共性の強い運用をいたしております。  さらに、加入者の健康福祉を増進するために、全国的に保養センターなどの加入者福祉施設を設けまして加入者の便に供しているわけでございます。  以上が簡易保険特色でございますが、創始以来その特色は基本的には変わっていないわけでございます。
  137. 青山丘

    ○青山委員 簡易保険特色というのは、創設以来今日も基本的には変わっておらないということだと思いますが、しかし、社会情勢が戦後若干変わってきています。簡易保険事業が創設当初は、無審査保険分野においては独占でありました。しかし、昭和二十一年、戦後の混乱期を乗り切るために、民間保険についてもこの分野に進出することを認めてきました。したがって、事業の独占を廃止したということになっておりますが、そのような結果、今日では、民間保険がこの無審査保険の分野においても相当の業績を挙げているということになってきております。  こういう民間保険が大変発達してきた今日において、簡易保険の果たす役割りはまた変わってきているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  138. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 先生のおっしゃいましたとおり、戦後は民間保除も簡易保険の独占の無審査小口月掛け集金保険の分野に入りまして競合する関係になったわけでございまして、事実相当の伸びを見ておるわけでございます。したがいまして、競合関係ということでございますが、これは簡易保険と相ともに発展してきているという状況でございます。  今後におきましてのわが国におきます任意保険の必要性ということでございますが、国民生活の進展などに伴いまして、生命保険の需要というものもさらに高度化あるいは多様化してまいります。それに伴いましてまた需要も相当高まってくる。したがいまして、それぞれ簡易保険民間保険の特徴を生かしまして、相ともに切磋琢磨しながら国民の皆様の需要に対応していく必要があろうと考えております。  私ども考えますのに、簡易保険の役割りは、国民に広く生命保険を普及させるとともに保障機能の充実を図っていくということにございますので、依然として変わっていない。ただ、情勢の変化に対応して、私どももそのときそのときの国民の皆様の需要の内容の変化にこたえながらいろいろと制度改善あるいは商品内容の開発というものも研究してまいる必要があろうと、かように考えて対処している次第でございます。
  139. 青山丘

    ○青山委員 簡易保険の果たす役割りというものは基本的には変わっておらない。民間保険簡易保険お互いに切瑳琢磨しながら、それぞれの分野で保険需要にこたえていくということでしょう。  簡易保険の現在の普及率はどうなっておりますか。
  140. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 五十一年の十一月に簡易保険といたしまして市場調査を実施いたしました結果によりますと、全国で五六・六%の世帯が簡易保険に何らかの形で加入しておられるということでございます。  この簡易保険加入しておられる世帯の中で見ますと、一世帯当たりの平均加入人員が二・〇人、それから平均加入件数は二・六件、平均加入金額は、これは保険金でございますが百七十九万円となっております。  また、この調査及び各地で起きましたいろいろな大きな災害事故におきます被害者の方々の加入状況から推計いたしますと、国民の方々のおよそ三分の一が簡易保険加入していらっしゃるものというふうに思われるわけでございます。  なお、ちなみに、この五十三年二月末の保有契約件数を見ますと五千百五十一万件ということでございまして、保有契約金額は三十五兆九千六百億円、これを人口千人当たりで見ますと、件数が四百五十五件、一件平均の保険金額が七十万円という数字になっております。
  141. 青山丘

    ○青山委員 数字に間違いはないと思いますが、四百五十五件ですか。
  142. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 四百五十五件です。
  143. 青山丘

    ○青山委員 民間保険とか農協共済の普及率はどうなっていますか。  民間保険や農協共済の普及状況に比べて、簡保の普及状況というのはどんな特色がありますか。
  144. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 先ほど申し上げました五十一年十一月の簡易保険が実施した市場調査の結果であわせて調査したわけでございますが、その結果によりますと、民間保険の世帯加入率は七七・五%、また、農協共済は一二・八%となっております。  それぞれの普及や内容を見てみますと、民間保険の方は十大都市での加入が八一・九%と高くなっておりまして、その反面郡部では六八・九%と、都市部へ若干偏りが見られます。また、若年齢層の世帯とかあるいはサラリーマン世帯、それから高所得世帯というところの加入が比較的多くなっているようでございます。  次に、農協共済でございますが、これは郡部で三三・〇%と極端に偏った普及をしておりまして、また、この農協共済では高年齢層の世帯とかあるいは農林漁業世帯の加入が多くなっているという状況でございます。  これに対比いたしまして、簡易保険の方は五六・六%の世帯加入率となっておりますが、大体各地方別での普及の偏りが余りございません。また、年齢、職業、所得階層等の面でも大体平均した普及状況というふうになっているようでございます。
  145. 青山丘

    ○青山委員 民保、農協共済はやはり都市部、郡部に偏りがあったり、あるいは各年齢層、所得層にそれぞれ偏りがあって、その点では簡易保険の方が地域別に見ても年齢別に見ても、あるいは職業別、所得別に見ても全般的に行き渡っている。その点については国民の要求にこたえているということでは、その特色というものはぜひもっと生かしていっていただきたいと思います。  そこで、簡保の普及率はさらに向上させていかなければいけないと思いますが、具体的にはどのような方策を検討しておられるか。
  146. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 最近の普及状況は先ほど申し上げましたような率になるわけでございますが、確かにまだ努力の余地がございますので、今後ともそれぞれ国民の皆様の需要に応じられるようなサービス内容の充実を図ってまいりたい、あわせまして、未加入層に対しまして、それぞれの必要に応じた保険を積極的に勧奨して普及率の向上努力をしてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  147. 青山丘

    ○青山委員 国民の需要に応じた保険を積極的に進めていくということですが、この点についてもう一つ違った面から見ていきたいと思います。  先ほどの答弁の中にも、簡易保険民間保険お互いによい意味での競合関係にあるように聞いておりますが、最近における簡易保険民間保険及び農協共済の新契約及び保有契約の占率はどのようになっておりますか。
  148. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 四十七年度以降最近五カ年間の市場占率というものを見てまいりますと、まず、新契約保険金額の方で申し上げたいと存じますが、簡易保険の方はこの全体の占率という中では毎年若干の低下を示してまいっております。四十七年度の一〇・三%から五十一年度では六・六%になっておりますのに対しまして、農協共済の方は四十七年度の九・六%から五十一年度は一三・三%というふうに著しい上昇を示しております。民間保険の方はほば横ばい状態でございまして、五十一年度は八〇・一%となっております。  それから保有保険金額の方で申し上げますと、やはりこれも同様の傾向でございまして、五十一年度で簡易保険が七・八%、民間保険が八一・九%、農協共済が一〇・三%という占率でございます。  なお、件数占率につきましても、簡易保険の方は低下をしておりますが、これは全体の数でございまして、個人保険というところに限って見ますと大体横ばいの状態で推移しております。  また、収入保険料につきましても横ばい、それから保有資産につきましてはむしろ簡保の方が上昇しているという状況でございます。
  149. 青山丘

    ○青山委員 いまのお答えですと、簡易保険民間保険であるとか農協共済の保険に比べて、保険金額、件数においても下がっているということですが、それは一体何に原因していると理解しておられますか。
  150. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 簡易保険の市場の保険金額の占率が下がってまいっておりますのは、近年、民間保険とかあるいは農協共済の方が大型保障商品へ非常に傾いているということでございまして、たとえば十倍型保障であるとかあるいは二十倍型であるとかいうような形で、倍々というふうにだんだん大型保障をやってきたということでございまして、それに比べますと、簡易保険の方は、第三種特別養老で五倍型というのが最高でございますが、大体貯蓄性の商品を中心にして従来からやってきている結果だというふうに考えるわけでございます。  それから、件数、占率の方でございますが、これも簡易保険が低下してまいっているという傾向でございますが、これは最近民間保険の団体保険件数の伸びが非常に高いということによるものでございまして、個人保険だけで見ますと横ばいという形でございます。
  151. 青山丘

    ○青山委員 具体的に国民の需要に応じた保険というものを考えていかなければいけないのではないか、簡保についても保障性の高いものについて検討していかなければいけないのではないかと私どもは思うわけですが、郵政省はどのような御見件ですか。
  152. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 保障性という点につきましては、最近、定期保険であるとかあるいは団体定期であるとか、あるいはまた先ほど申し上げました五倍保障とか、そういったもののほかにまた疾病傷害特約あるいは傷害特約といった形のものでいろいろと配意をしているわけでございますから、これから先、新しい商品の開発という中におきましても、保障性も加味したものについて十分検討してまいりたいと思っております。
  153. 青山丘

    ○青山委員 私がお尋ねしておるのは、この占率の低下に対してどのように理解しておられるかということなんです。  占率は低下してもやむを得ないのだと考えておられれば、つまり簡保というものは保障性と貯蓄性を同時に満たさなければいけないのであって、民間保険あるいは農協共済とは違うのですということなのか。簡保も新規契約をもっと伸ばしていかなければいけないという考え方ですと、問題は何かということについて取り組んでいただかなければならぬと思うのですが、その辺の見解を求めているのですが、いかがでしょうか。
  154. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 保障性の充実ということにつきましては、先生がおっしゃいましたとおりいろいろと簡保としても配意をしていかなければならぬわけでございます。ただ、保険金額、保険金でのシェアというものについて、私どもの方は、昨年の九月ですか、一千万円に最高制限額を引き上げていただきましたけれども、なおこれからの情勢の推移によりましてさらに需要も勘案してまたお願いすることもあるかもしれませんが、最高制限額の限度額ということが民間と違ってあるわけでございますから、保険金額だけで、保有金額で民間と競争ということは考えていないわけでございます。  しかしながら、お客様に対する保障の充実ということにつきましては、これからもいろいろと十分検討してまいりたいと考えております。
  155. 青山丘

    ○青山委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。  簡易保険におきましては、ことしも昨年とほぼ同様程度の剰余金の増配をされたと聞いておりますが、これは加入者にとっては結構なことです。  そこで、最近の簡易保険経営状況はどうなっておりますか。
  156. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 簡易保険経営状況でございますが、大体順調に推移をして毎年剰余金の発生を見ているわけでございますが、まず、五十二年度の新契約高から申し上げますと、ことしの二月末までで、件数で三百八十八万件、保険料では三百六億円、保険金額で六兆一千三百億円、件数では前年同期に比べて二・九%、保険料額で一九・二%、保険金額で一五・六%というふうにそれぞれ上回る状況になっているわけでございます。この結果保有契約高が、五十三年の二月末現在におきまして、件数で五千百五十一万件、これは前年比で一・一%の増でございます。それから保険金額が三十五兆九千六百億円でございまして、これも前年同期比で一五・七%の増というように伸びてまいっているわけでございます。このように保有契約高の増大に伴いまして資産も順調に伸びてまいりまして、同じ二月末で運用資金が九兆四千億円余りに達している状況でございます。  こういう状況の中で、五十二年度の剰余金は、契約量の増大に伴いまして前年度を上回る二千百億円程度と現在見込んでおりますが、その程度の発生が見込まれますので、この四月から昨年度とほぼ同程度の増配を実施している次第でございます。
  157. 青山丘

    ○青山委員 毎年剰余金が発生しておることは、それなり努力してこられたと私は評価しております。ただ、しかし、民間との関係もありますからちょっと触れさせていただきますが、最近、民間保険におきましては次々と新しい保険を開発して発売しているように聞いておりますが、このことは、国民保険に対する需要に応じまして生命保険各社が努力している成果とも見ているわけです。それなりに結構なことだと私は思っております。  そこで、このような傾向について簡易保険当局ではどのように把握しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  158. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 民間保険の方では、大型の保障ということを先ほど申し上げましたけれども、現在でもいろいろとこういったものをやっております。これは世帯主向きの死亡保障の高い定期付養老保険というものでございまして、これが販売の主力商品ではございます。  最近特に目立ちますのは、新しい需要喚起を目指しまして、子供、老人あるいは女性、それから若年層のところ等それぞれの層を細分化しまして、それぞれに見合った販売対策と申しますか、こういった商品を発売しているという傾向が出てまいっているようでございます。これらの新種保険はその多くが貯蓄性の強い保険でございまして、こういった生命保険の側の貯蓄機能の見直しの動きというものはこれからも続くのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  159. 青山丘

    ○青山委員 生命保険といっても、ただ単に安心感を買うというだけにはいきませんので、それなりに投資して、貯蓄性の高いものという面についても国民の需要というものがあります。そしてまた市場がそれぞれ細分化されてきておりますから、その面についての研究の結果新しく開発が進められてきた。こういうところで民間保険それなりに成果を上げているのじゃないかと私は思うのです。  こういう新しい情勢に対応しまして、簡易保険におきまして新しい保険を開発していかなければならないのではないかと私は考えておるわけですが、このことについて簡易保険ではどのように対処してきておられるのか、また、今後はどのように進めようとしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  160. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 新種保険の開発でございますが、常に国民の方々の保険需要の動向に沿うように簡易保険といたしましても努力してきたところでございます。従来、四十六年に学資保険と特別終身保険を創設いたしまして、また、四十七年に第二種特別養老保険、四十九年に個人定期保険及び疾病傷害特約、それから五十年に集団定期保険——これは先ほど説明の中で私は団体定期と申し上げましたが、集団定期でございまして、訂正させていただきます。それから同じぐ五十年に第三種特別養老保険、五十一年には財形貯蓄保険をそれぞれ発売いたしました。さらに、五十二年九月からは定期保険にも疾病傷害特約がつけられるように改正したわけでございます。  そういうふうに従来からいろいろとやってまいったわけでございますが、いま御指摘のとおり、民間保険の動きもいろいろございます。したがいまして、それも十分注目いたしながら、時代の要請に即応した新種保険の開発をやってまいりたいと考えております。  では、当面何かということでございますが、年齢階層別に見まして、加入割合が簡易保険の中では比較的低いのが若年層でございます。これは先ほど申しましたとおり、民間保険では相当ここに力を入れております。私どもの方も、こういった若年層向けの商品というものにつきまして現在検討を進めているわけでございます。
  161. 青山丘

    ○青山委員 新しい保険を開発するという意味では、若年層向けの保険について検討中だということですが、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思います。  そこで、事業費率についてお尋ねしますが、簡易保険民間保険では事業費率に相当の差があるということでありますが、この事業費率は、簡易保険民間保険それぞれの経営努力の結果があらわれているのだと思いますが、その状況はどうなっておりますか。
  162. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 五十一年度の事業費率について見ますと、簡易保険の一五・五%に対しまして民間保険では二七・四%となっております。
  163. 青山丘

    ○青山委員 いま聞きますと、一五・五%と二七・四%と相当大きな差があるというふうに伺ったわけですが、その理由はどこにあるのでしょうか。
  164. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 事業費率という問題でございますが、日ごろから簡保では事業費の節減に努めているわけでございますが、この民保簡保の間で事業費率に相当差がある理由といたしましては、一つ考えられますのは、民間保険では期間の長い保険種類や保障性の強い保険種類などが中心となっております。それに対しまして簡易保険では、期間の短い保険種類あるいは貯蓄性の高い保険種類が中心となっているということが考えられるわけでございます。すなわち、保険料は短期貯蓄型の種類の方が長期保障型よりも大きくなりますけれども、一件当たりに要する事業経費は、保険種類とか保険期間の長い短い等による差異はそれほどないわけでございまして、そういった点から、短期貯蓄型の保険種類の占める率が高い簡易保険の方が収入保険料に対する事業費率の割合は民保に比べて低くなるということも一つの要素かと考えております。
  165. 青山丘

    ○青山委員 民保に比べて簡保事業費率が大変低い。恐らく、引き下げのために相当努力をしておられるということで、成果はそれなりに評価できると私は思うのですが、この事業費率の引き下げについてはまだまだ検討しておられると思うのです。  そこで、この経費を節減していくために、事業費率の引き下げのためにどのような方策を具体的に考えておられるのか、ぜひ聞かせていただきたい。
  166. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 先ほど申し上げましたように、事業費率の点は、その保険の種類の占率というものも要素としてあるかと思います。したがって、この事業費率の表面の数字だけで民間保険簡易保険事業費がどうであるかということは、全部が全部は言い切れないと思いますけれども簡易保険事業といたしましては、加入者利益向上ということを図りますために事業費引き下げには常日ごろから努力しているわけでございまして、現在の引き下げの問題につきましては、常日ごろの努力の成果が相当反映しているものと思っております。  そこで、ではどういう努力をしているかということでございますが、一つは、事業の効率的運営を図っているということでございまして、たとえば事務処理を機械化するなどによりまして事業費の節減を図ってまいっておるところでございます。第二点といたしましては、良質の新規契約を大量に獲得する、つまり、途中で失効、解約というようなことのないように、あるいは非常に弱体者が入られてすぐに死亡してしまうということのないようにできるだけ良質の新規契約をとる、これを大量にとることによりまして保険料収入が増加し、またそれが事業費率の低下につながる、こういう点もございます。それについて努力しているわけでございます。第三点といたしましては、いま申しました失効、解約の防止のほかに、保険料払い込み延滞の防止、是正ということも図りまして、保険料収入の堅実な増加を図るということに配意をしているわけでございます。  これらにつきましては従来から努力しておりますが、今後とも十分に努力してまいりたいということでございます。
  167. 青山丘

    ○青山委員 かなり機械化も進んできておりますし、良質の新契約をふやしていくという気持ちはわかるのですが、いざ具体的にということになってきますとなかなか抽象的で的確ではないように思うのです。なかなかむずかしい問題でありますし、その辺については私も理解しておりますが、そういう方向で具体的に努力していただかなければならぬと思います。  そこで、新規契約の増加が最近相当進んでおると伺っておるわけですが、簡易保険の募集が好調に進んでおるということですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  168. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 最近の状況といたしましては、計数的に申しましてまずまず順調と言えるかと思っております。  原因といたしましては、昨年九月から実施させていただきました最高制限額の引き上げであるとか、あるいはまたことしの一月から約款を改正いたしまして、加入者の年齢の上限の方を少し上げるといった措置も講じておるわけでございますが、あわせて職員努力でもいろいろと成果が上がっていると考えているわけでございます。
  169. 青山丘

    ○青山委員 新規契約の増加はこの事業が続く限り大切なことですから進めていっていただかなければなりませんが、その点については今後ともぜひ努力をしていただきたいと思います。  そこで、問題は、募集に行き過ぎがあっては弊害を生じますし、困った問題も出てまいります。これは先ほども論議されておりましたが、そこで、募集についての今後の方向、方針を伺っておきたいと思います。
  170. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 国民生活の安定と福祉の増進に寄与するために、簡易保険をできるだけ安い保険料でお勧めしていくということでございます。そのための経営努力をやっているということでございます。  したがいまして、そういう基本を踏まえまして、お客様の本当の必要な商品を私どもがお客様の意向に合わせて販売していくことを主体にしていかなければならない。そのために、それぞれの従事員につきましても、そういったお客様のニーズに十分合うように商品知識の幅の増大に努めさせるといいますか、十分な研さんを積みながら努力していくようにする、それによってお客様に対する一層の保険の普及を図っていくという姿勢でやってまいっております。
  171. 青山丘

    ○青山委員 事業の全般について、その概要を承ったのでありますが、全般的に見て、簡易保険当局においては相当の努力を払われておる、まあまあ順調な事業運営が進められておるというふうに私は理解をしております。しかし、最近においては民間保険も非常に活発な活動を続けておりますし、また、特に経済情勢も低成長時代を迎えておりまして、事業を取り巻く環境もずいぶん厳しくなっております。  そこで、最後にお尋ねしますが、このような新しい情勢の中にあって、国営事業としての簡易保険の進むべき道についてはどういうふうに考えておられるのか、これをお尋ねして質問を終わります。
  172. 佐藤昭一

    佐藤(昭)政府委員 最近の社会経済情勢を見ましてもいろいろな面での激動がございますし、また、国民の方々の生活意識の変化とか、あるいはまた外へ出ますと交通事故その他各種の災害の発生とか、あるいはまた人口構成の高齢化、老齢化とか、いろいろな状態の変化がございます。したがいまして、社会保障と並びまして、国民の経済生活の安定と福祉の増進のためには各層からの需要を相当強く感ずるわけでございまして、そういった国民各層の各種の需要もますます高度化し、多様化してまいるわけでございますが、そういったものに対応して、任意保険として役割りを十分自覚してやっていかなければならぬと私ども考えておるわけでございます。  任意保険であり、かつ国営の保険であるという性格でございますが、国営の保険であるだけになおさら信用責任という点についても私どもは十分に自覚しながら、この環境の変化に応じて需要に応ずるようにより一層サービスの提供を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  173. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  174. 松本七郎

    松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十五分散会