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1978-03-29 第84回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十九日(水曜日)     午前十一時三十六分開議  出席委員    委員長 松本 七郎君    理事 小渕 恵三君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 志賀  節君    理事 鈴木  強君 理事 田中 昭二君    理事 小宮 武喜君       伊藤宗一郎君    長谷川四郎君       原田昇左右君    廣瀬 正雄君       堀之内久男君    森山 欽司君       阿部喜男君    島本 虎三君       野口 幸一君    大野  潔君       鳥居 一雄君    青山  丘君       東中 光雄君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 服部 安司君  出席政府委員         郵政政務次官  宮崎 茂一君         郵政大臣官房長 河野  弘君         郵政大臣官房電         気通信監理官  江上 貞利君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 神山 文男君         郵政省貯金局長 高仲  優君         郵政省簡易保険         局長      佐藤 昭一君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 守住 有信君         郵政省経理局長 浅尾  宏君  委員外出席者         自治省行政局振         興課長     矢野  始君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社総務理事   小口 文一君         日本電信電話公         社総務理事   長田 武彦君         日本電信電話公         社総務理事   玉野 義雄君         日本電信電話公         社業務管理局長 浅原 巌人君         日本電信電話公         社計画局長   福富禮治郎君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   阿部喜男君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     阿部喜男君 同月二十九日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     藤原ひろ子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関  する法律及び資金運用部資金法の一部を改正す  る法律の一部を改正する法律案内閣提出第四  三号)  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 松本七郎

    松本委員長 これより会議を開きます。  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を求めます。郵政大臣服部安司君。     —————————————  簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 服部安司

    服部国務大臣 ただいま議題となりました簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律及び資金運用部資金法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、簡易保険及び郵便年金加入者の利益の増進を図るため、簡易生命保険及び郵便年金特別会計積立金運用範囲を拡大するとともに、資金運用部に預託された積立金及び余裕金預託利率算定方法等を改めようとするものであります。  まず、積立金運用範囲の拡大について申し上げます。  現在、積立金金融債に対する運用範囲は、長期信用銀行法に規定する長期信用銀行、農林中央金庫または商工組合中央金庫の発行する債券に限られていますが、これに長期信用銀行以外の銀行の発行する債券を加えようとするものであります。  次に、資金運用部に預託された積立金及び余裕金預託利率算定方法改善等について申し上げます。  資金運用部に預託された簡保預託金のうち、一定の要件を満たすものに付される利子利率は、現在年六%等と固定したものとなっていますが、この利率算定方法を改め、年五・九%の利率預託期間が七年以上の預託金に付される特別の利子利率と同じ利率を加えたもの等にしようとすること、及びこれらの預託金に付される利子の一部は、現在預託金の払い戻しの日のみに限って支払われることになっていますが、これを改め、経過預託期間に応じ、毎年三月三十一日及び九月三十日にも支払われるようにしようとするものであります。  なお、この法律案施行期日は公布の日からといたしております。  以上がこの法律、案の提案理由であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 松本七郎

    松本委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 松本七郎

    松本委員長 次に、逓信行政に関する件について調査を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中昭二君。
  6. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、きょうは前回の委員会で保留になっておりました問題についてお聞きしていきたいと思います。  先日のこの委員会郵便貯金脱税問題について取り上げまして、大臣に聞いたわけでございます。簡単に申し上げますと、その一つは、第一線の郵便局現場などにおきまして貯金勧誘が行き過ぎておるならば重大であるということ、また、二つ目には、課税当局のおとり捜査というようなものがあればさらに重大であるということ、こういう二点を指摘したわけでございますが、御答弁が少し明確を欠いておったのではないかという感じが私はしておりますから、改めて大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
  7. 服部安司

    服部国務大臣 私が先般の当委員会お答えをいたしましたのは、仮に新聞に報道されたような内容が事実であれば、これは大変重大な問題であると申したものでありますが、その後の調査では、国税当局はさきの報道内容について何ら発表した事実はないとの回答を得ております。しかしながら、仮にも郵便貯金脱税に利用されたというような疑惑を招くことのないよう今後とも万全の措置を講じ、郵便貯金奨励に当たりましても、総額制限の励行に一層の努力をいたしまして、国営貯蓄機関としての使命を全うするよう万全の努力を払ってまいりたいと考えております。  次に、おとり調査の問題でありますが、先生が御指摘のとおり、もしおとり調査国税当局郵便局に対して行ったというような事実があるとすれば、これまたきわめて重大な問題でございますので、私が直接大蔵大臣に対しその真相の調査を依頼いたしまして、同大臣からその結果の報告がございましたが、決してさようなことはいたしておらない、全く事実無根であるという回答をいただいておるような次第でございます。
  8. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣答弁はこの前と大体同じようなことでございます。とにかくこれは重大な問題であるという点は同じでございますが、私はまた、重大であると認識する、その根底にあるものは何かということを聞きたかったわけでございます。  もう少し別な角度から聞きますが、過去五年間ぐらいにおきます郵便貯金目標額とその達成額、それからさらには財投に充当しました、その財投原資に持っていった額が各年どのようになっておるかということ、これをお額いします。
  9. 高仲優

    ○高仲政府委員 お答え申し上げます。  過去五年間におきます郵便貯金目標額実績でございますが、昭和四十八年から申し上げますが、昭和四十八年は、目標額二兆三千億円に対しまして三兆七百四十一億円の実績、三四%の増。四十九年度は、三兆五百億円の目標額に対して三兆九千六百三十二億円、三〇%の増。五十年度は、四兆五百億円の目標に対して五兆四百二十億円、二四%の増。五十一年度は、五兆一千億円の目標額に対して五兆八千七百六十三億円、一五%の増加。五十二年度につきましては、現在進行中でございますが、六兆二千億の目標に対しまして、三月二十八日現在の速報値をまとめますと七兆一千五百十六億円、一五%の増となっております。  以上申し上げました目標額実績額につきましては、それぞれ元加率と申しますか、年度途中に発生して元本に繰り入れた利子額を含めたものと相なっております。  それから、財投原資中に占める郵便貯金割合推移でございますが、これはパーセンテージのみ申し上げますが、昭和四十九年実績におきましては四一・四%、五十年度におきましては四四・二%、五十一年度実績見込み四七・三%、五十二年度は、当初計画から申し上げますと四五・八%となっております。五十三年度の計画額は四五%であります。  以上が財投原資中に占める郵便貯金割合推移数字でございます。
  10. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、お聞きになっておったと思いますが、いまの大体の数字を聞いておりまして、問題は、貯金目標額にしましても、五十二年度は六兆二千億ですか、その前の年が五兆一千億で、相当な高い目標を掲げておる。それにもかかわらず、今度は実際に集めた金はさらに各年とも大きく伸びておるという状況です。そういう中で、五十三年度は、その前年の六兆二千億に対してさらに五千億ふえて六兆七千億という目標額である。この郵便貯金が集められてくることをずっと考えてみまして、それと現在の経済情勢といいますか、五十二年度までの経済情勢等考えてみましても、この五十三年度の目標額というものもどうしてそんなによけいに集めなければならないか。  これはよく仕事をしたと言えばそれまでですけれども、しかし、その反面には、この郵便貯金限度超過額の件数が毎年多数出ておる。五十一年度でも二万六千件近い。約四百億、三百九十五億ですか、そういう膨大な巨額な超過額があったということを考えてみますと、まじめに一生懸命仕事をやったことはいいのですけれども、それが法律に違反していくというようなことが行われている。それがまた今度は脱税云々というふうに言われる。国の仕事として困るのは、もちろん勧奨に当たる職員もですけれども、その実際の実体の損害といいますか、また、その不安といいますか、そういうものは預金者がかぶらなければならない。それは職員はよけい集めてくればそれだけ手当はもらうでしょうし、そういう面はそういう面でいいのですけれども、いまの説明のように、五十一年は五兆一千億の目標で、そして六兆円近い金を集めた。五十二年は六兆二千億の目標に対して七兆円を超しておる。そしてわが国の経済はどうかといいますと、大変な不況からの脱出ができなくて問題を引き起こしておる。そういう中で何で六兆七千億もの目標を立てなければならないか。  その達成額、達成する線は、これはいままでの現場での仕事のやりくりですから、達成するかしないかということよりも、そういう郵便貯金を集めることにおいて、いわゆる五十二年度よりも一割近いものを、一割といっても五千億以上ですが、この不況のときに零細預金者から五千億も貯金を集めなければならないということはどうもつじつまが合わないといいますか、納得ができないのですが、大臣、これはどうでしょうか。この際、この目標額について再考されるお考えはないかどうか、お答え願いたい。
  11. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  田中先生の御指摘どおり、過去ずっと前年比は大変な伸び率を示しておりますが、ただ、五年をさかのぼってみますと、やはりだんだん下降の状態が続いております。これは専門家先生だから数字をもうよくごらんになっていただいていると思うのでありますが、昨年の実績考えてみますと、一昨年より伸び率は低いわけでありますけれども、最近は経済不安定で貯蓄へ移行しつつあるという状況影響もありましょうし、二度にわたる郵便貯金の金利の引き下げに伴って、実施期間までの預金者には改定前の利率ということになった影響もあって、御指摘どおりに五千億を超える実績増を見たものと私は考えております。  それに加えて、ことしはまた六兆七千億というきわめて膨大な目標率の決定を見直す考えはないかという御指摘でありますが、私は、正直申し上げて、いまこの時点でこの数字改定をする考えはありませんが、無理をしない貯蓄奨励の方向づけをいたしておりますことは事実でございます。  先生先ほどからの御指摘もありまして、職員目標額達成のために必死になって血みどろの苦労を重ねているではないか、加えて国税当局はああいった態度に出て大きな汚点を残したではないかといろいろとまことに温かい御指摘、御忠告を受けて、私もその御忠告に対しては心から受けとめているわけですが、いまこの数字改定はちょっとなかなか問題があると思いますが、今後は、貯蓄奨励については、職員に決して無理のかからない奨励をしていただくように関係方面の指導をさせるとともに、庶民、大衆の安心して預けられる国営貯蓄機関で、一番問題であるところの制限額がオーバーするというような貯蓄奨励方法は厳に戒めてまいりたい、かように考えております。  目標額改定は御要望にこたえかねますが、御忠告、御指摘趣旨を十二分に踏まえて今後郵便貯金勧誘を進めてまいりたい、かように考えておりますので御了承賜りたいと存じます。
  12. 田中昭二

    田中(昭)委員 私も率直に質問を申し上げておるわけでございますから、大臣が心に思っておることの本音をもう少し御披瀝いただかぬと、こちらが質問しようと思うことの先ばかり御説明になっているような感じがしてならないのです。  現実にもう少し現場のことを考えてといいますか、私も現場のことを知り尽くしておるわけじゃないのですけれども、やはり、問題が起こりますと、私が言うまでもなく、その原因とそれが及ぼす影響、それから現場での取り組みといいますか、仕事といいますか、そういうものが重大なことであるし、特に現場仕事というものはどうも大臣実態を御存じないのじゃないかというような気がするのです。いわゆる郵便貯金勧奨に当たって無理をするなということは、これはとりようによってはしてはならないということでありまして、そういうことは行政機関の中でいつも言われておると思うのです。しかし、それが当委員会ではそういう発言しかできないということもわかるのですけれども、現実は、先ほどから言いますように総額制限をはるかにオーバーしている。そういう実態がある。それがまたその内容が、たとえば預けるときは三百万だったけれども利子がついて三百万を超えたとか、そういう問題だけならばわかるのですけれども、しかし、これはどうも水かけ論みたいになってしまう気持ちもします。  いまの大臣の御発言の中の、この数字改定できないということは、これまた重大なことであろうと私は思う。いままででも無理をするなということでやってきて、そして実績は無理をしたようなことになっておる。それに加えて目標額を五十三年度は、経済情勢がいまのような状態の中でさらに五千億もふやしておることは、大臣がどんなに無理をするなと言われても、それが三十何万おる現場職員に全部行き渡るかは別にしましても、私は、言っておられることとちょっと矛盾するのじゃないかという気持ちがしてなりません。しかし、郵政大臣として、責任あるいまの御発言が実際に行われる場合に、いま改定ができなくても、この問題については真剣に取り組んでいくという趣旨があったというふうに私は理解しまして、問題を進めていきたいと思うのです。  そこで、もう一つお聞きしておきますが、この前大阪で例のああいう事件が起こって発表になったが、そのときに大臣も大事な問題だと考えられて、関係村山大蔵大臣に会談を申し込まれて、二回にわたってお話しになった。そしてそれは課税当局から報告連絡を受けられることだったと思うのですが、その後どういう連絡があったのか、もう少し具体的に、そのことだけで結構でございますからお知らせ願いたいと思います。
  13. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  村山大蔵大臣から二日後に面会が申し込まれまして、先ほどお答えいたしましたとおりに、おとり調査捜査新聞報道内容についての私の調査方依頼に対する御返事がありましたが、全くそのような事実はございませんということです。間違いありませんか、間違いございませんと、はっきり明快にお答えになり、重ねて、今後いろいろな国税調査の過程でたとえばこういう関連が起きた場合に、当然郵便貯金だからといって放てきはできませんので、前日か前々日に、いわゆる階級、職名、氏名を連絡いたしまして、これこれの理由でこれこれの調査に貴局に伺いたいという事前連絡を緊密にいたしまして、こういう迷惑を再びかけないような措置をとりましたという回答がございましたので、私もその点については了承をいたしました。
  14. 田中昭二

    田中(昭)委員 新聞で公表されたことが事実無根であったという大蔵大臣報告連絡を受けられたということですが、私は、残念ですけれども、そういうことがあるだろうかと思うのです。それは大臣のお気持ちの中にも私の気持ちの中にも、全然ないことが報道されることはないということがある。新聞も公器ですがそういうこともあるのかもしれないけれども、そこを問い詰めても、これはそれこそ証拠があるわけじゃない。ですけれども、そういう取り上げ方でこの問題を終わらすことはできない。どうしてもそれはできない。そうでしょう。一つの事実の模写といいますか、描き方といいますか、それには幾らかのあれがあっても、事実そのものがなかったというようなことでおめおめと引き下がるわけにはいかない。大臣もそういう気持ちだろうと私は思うのですよ。しかし、実際は、そんなおとり調査をされたとかなんとかという汚名といいますか、どろぼう呼ばわりされたといいますか、そして事実そういうことはなかったというようなことでは、これは引き下がろうにも引き下がれないのじゃないですか。これは各郵便局貯金を一生懸命になってお預かりしている現場で働く人たち気持ちにも影響する。ですから、私は先ほど言ったように、郵政省が自主的な貯金目標額を決めたということも聞いておりますけれども、そのもとのものが崩れていくし、私はそれでは納得ができない。  私は、郵便貯金脱税なんというのは絶対に承知しません。郵便貯金利子の問題と脱税という問題は別なんですからね。だけれども、郵便貯金脱税というような問題が予算編成時になりますと世論としてずっと盛り上がって集中してくるという事実があるのです。これをちょっと大臣に見てもらいたい。これはこの二年ぐらいの郵便貯金脱税関係記事をまとめたものですけれども、それを見てもらいますとわかりますように、こういう記事が出るのがどうも予算編成時に集中している。十二月から翌年の五、六月ごろまでに、ここ二年ぐらいの間に二十件ぐらいあるわけですが、その二十件のうち十六、七件は予算編成時に集中しているのです。もう少し詳しく一つ一つ読み上げて、その根底にあるものを私はお聞きしたいのですけれども、時間も制約されておりますからそれは略しますが、いま概略申し上げたようなことですが、これはどういうことなのか。私は、これも国が行う貯金事業に働く職員と無関係ではないと思うのですが、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  15. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘どおり、確かにある時期にこういった記事が集中していることにつきましては何分にもつまびらかにいたしておらないところでございますが、この種の新聞記事が掲載されますことは、名寄せなどにより制限超過に対する措置努力を重ねているさなか、また、一銭の国家財投原資確保のためにも日夜努力いたしております職員気持ち立場に立ちまして、私はまことに残念なことであると考えております。したがいまして、先ほども申し上げましたとおりに、関係方面にも強くこういった事情を申し上げるとともに、また、郵政当局のこの努力労苦財政当局大蔵関係感謝をすべきであるし、こういつた一般職員気持ちに対し十二分な理解を示し今後こういった問題を再び起こさないようにという申し入れも実は再三いたしておるところであります。  聞くところによりますと、先般も村山大蔵大臣大蔵省幹部を集めて、先生の御指摘のように、郵政当局労苦感謝気持ちを持つようにという強い訓辞があったやに聞き及んでおります。一面、また、私は、わが省の幹部を通じて、すなわち地方三局長会議とか二局長会議とかいろいろな機会をとらえて、いまの田中先生の御指摘趣旨に沿うようなあいさつを続けてまいったような次第で、今後も御指摘の御趣旨を十二分に踏まえて、機会あるごとに全職員が楽しい明るい職場をつくってくれるように努力を続けてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  16. 田中昭二

    田中(昭)委員 大変答弁が丁寧になって、それはわかるのですが、いまの御答弁も私はどうもちょっと納得がいかない。私が指摘していることは、課税当局郵便貯金を集める郵政省機関も同じ国の機関なんですから、そういう国の機関同士がいまおっしゃるように感謝すべきであるのに、感謝どころかどろぼう呼ばわりを——どろぼう呼ばわりと言うとあれですけれども、法を犯しているというような呼び方をされ続けておる。それで、いま大臣のおっしゃるように、これは今後の問題として実行するとして、それがそのとおりになればいいですよ。しかし、いままで受けたどろはどうしますか。いままで違法者呼ばわりされたことはどうなりますか。  それと、この郵便貯金というのはいわゆる零細な預金者のものであります。だから、いまの大臣のお言葉等がすぐ全国に郵便貯金脱税と同じぐらいな広さで報道されれば、それはそれなりに安心すると私は思うのですけれども、こういう正論——正論と言うと自分の言ったことですからあれですが、大臣がその決意を大蔵省にまで伝えた。この委員会でそういう立場大蔵省のことまでおっしゃったことは初めてだろうと私は思うのですよ。しかし、預金者の皆さん、全国民にそういうことがどういう形で伝わるかということにも問題がある。ということは、預金者行政に対する不安といいますか、疑惑といいますか、ある意味においてはだまされっ放しといいますか、弱い者いじめといいますか、そういうことはやらないのだということにつながらなきゃいけない。  いまの問題が一つと、ついでに伺いますが、今度また、最近の公定歩合引き下げで、さらに郵便貯金までが、この郵便貯金法によります第一条に決めた定義からは次元の違ったところで公定歩合の弘き下げと連動していくのではなかろうかといういまの時点であろうと私は思うのです。  そういう中で、ここに一つの声のあるのを読んでみますと、「郵貯は、郵貯法により、零細な貯蓄を保護する庶民に開かれた唯一の貯蓄機関である。」と言っていますが、これはそのとおりです。そして、続けて、「だから、貯蓄上限額を定めて、一般金融機関とは一線を画された存在にある。これが、しばしば国の政策に利用されてよいものであろうかと思う。」と指摘して、さらに、現時点では一年間に三回も利下げが行われる、こういうことでは郵便貯金庶民のものとは遠くなって、富裕階級隠し金利用機関に化しつつある現状であるということを指摘しておるのです。  そのほかにもいろいろな指摘がなされておりますが、そういう中で、二十六日の新聞によりますと、預金者保護のための二、三の考え方を大臣は御発表になっておるようでございますが、そういうことも大事でございますけれども、ここに一つ庶民の声となっておる人は、現在は職がなくて、そしてわずかな貯金利子一つの楽しみにして生活しているのです。こういう人に対してもこの大臣のお気持ちでさらに温かく見守ってやらなければならないというふうにも私は思います。それが第二点。  そういうことを考えまして、先ほど総額制限額の超過が三万件近くにもなろうとしているということを考えてみますと、私がこの前から指摘しましたように、もう過去五年間ですから、当然、限度額の引き上げについてははっきり大臣からここでお聞きしておいた方が今後の貯金の業務の中で正常な運営ができると私は思いますが、いかがなものでしょうか。  時間がございませんから、その三点について忘れないようにお答えをいただきたい。
  17. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  まず、第一点の、汚名を受けて同じ政府機関でどういった受けとめ方をしているかという点でございますが、御指摘どおり、政府部内で、私の方はきわめて紳士的に行動いたしておりますが、相手方はああいった行動に出たことは御承知のとおりでありまして、先ほど来申し上げておりますとおり、私から強硬に異議を唱えて、実態無視もはなはだしいという申し入れに対して、これまた先ほどお答えいたしましたとおりに、大蔵大臣から、そのようなことは絶対ありません、もちろん今後もそういうことはあり得ない、したがって再びかようなことのないようにという、今後の措置までつけての回答があったものですから、私といたしましてもそれ以上事を荒立てることはどうかと考えて了解したような次第でございますが、御不満でありましょうけれども、ひとつこの辺で御理解を願いたいと思います。  第二の、このたびの公定歩合引き下げに伴っての郵便貯金の金利連動についての点でございますが、これは今日までとり続けてまいったことは先生も御承知のとおりであります。いわゆる零細庶民大衆のささやかな金利を目的とする預貯金者と、一般市中、都市、地方銀行を利用する預金者と同等の扱いをすることはまことに耐えられない、私の苦しみであるということは私がかねがね発表いたしておるとおりでありまして、加えて郵便貯金法の第十二条でかなり零細預貯金者をガードしていることも、これははっきりと法律で明記されております。  私は、こういった預貯金者を守るためにどのような措置を講ずればよいかといっても、率直に言っていま苦悶状態でございまして、公定歩合引き下げ連動による一般預貯金の金利引き下げの発議を大蔵大臣が日銀政策委員会にいたしますと同時に、わが郵政省にもそういった申し入れはございましたが、私は今日まで考え考え抜いて、やっとあす三十日、いわゆる法律で定められるところによって郵政審議会の御苦労をお願いしたような状態でございます。過去のこういった問題はいろいろ調べてみますが、私が非常に時間をかけているということは、先ほど申し上げたとおりに、零細預貯金者を守りたいという心境から決断がつきかねてぎりぎりのあすまで郵政審議会の招集を延ばしたわけであります。  なお、あすの審議会にも私はこのようにしたいという諮問はいたさないつもりでございます。言うならば、もうすでに民間金融機関のいわゆる利下げの利幅は決定されておりますけれども、私はあすの郵政審議会にも予定する額を諮問に入れません。今日まで申し上げてきたとおり、庶民大衆を守るためにひとついい知恵を貸してくださいという気持ちを現在も私は捨てておりませんので、あすは諮問の内容なしで、どうやればよいかという皆様方のお知恵をかりる。今度初めての諮問のあり方でございます。そのように私は苦しんで、どのように措置すればよいかという状態であることも御理解を賜りたいと思います。  さらに、金利が目当てのまことに気の毒な方々、言うならば母子年金を受けている方とか老齢年金を受けておられる方、すなわち国の無拠出老齢年金を受けておられる方とか身体障害者とか、いろいろな方々の金利についてどのように措置するかという御意見でありますが、これはいかなることがあっても下げません。現状を守り続けるという考えでおりますことをはっきりとお答えを申し上げておきたいと存じます。
  18. 田中昭二

    田中(昭)委員 あすの郵政審議会に大臣がそういう気持ちでお臨みになるということですが、郵便貯金の金利はそういうように国の政策によって一年間に三回も変わるというようなことはあり得ない。この法律はそういうことは求めていないんだ。でありますけれども、いまの大臣立場といまの情勢を考えますと、そうばかりも言えないこともわかりますけれども、そういう老齢年金を受けている方だけじゃなく、現在収入がなくて三百万円預けているというような人に対しても金利は下げないという方向とか、ことに、あなたがおっしゃっているような、定年時で退職する退職金については限度額を上げて利子課税もしないというような方向とか、まだまだたくさんあると思いますが、そういう方向をぜひひとつ郵政審議会に強く申し入れをされるように私からもお願いしておきまして、質問を終わりたいと思います。
  19. 服部安司

    服部国務大臣 御趣旨を十二分に踏まえて私の力の限りの努力を続けたいと思いますが、ただいま御指摘の限度額いっぱいの気の毒な方々のということは、すでに契約済みの方には現行利子を続けることになっておりますので、この点をちょっと申し添えておきます。
  20. 松本七郎

    松本委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  21. 松本七郎

    松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。青山丘君。
  22. 青山丘

    ○青山委員 早速質問をさせていただきます。  通信行政を担当しておられる郵政大臣は、あらゆる通信手段の中で郵便の果たす役割りについてどのような位置づけでとらえられておられるのか、また、郵便事業の将来展望についてどのようにお考えになっておられるのか、まずお尋ねいたします。
  23. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  郵便は、国民の基本的な通信手段として今日まで順調に発展を遂げてまいりましたことは青山先生十分に御承知のとおりでございます。特に、戦後におきまして、各種の電気通信手段が大変な発展を遂げたことも御案内のとおりであります。中でも、電話の普及発達というものは、これは恐らく何人も想像しなかったほど大変な勢いで普及いたしました。このような情勢の中で、郵便の利用も、これまた急激に増加いたしました。昭和五十一年度の引き受け物数は、約百三十億通という天文学的な枚数に相なりました。  このことは通信手段が多様化したとは言っても、郵便は他の通信手段と比較いたしますと、現物性、記録性といったような面にきわめてすぐれております特性を持っておりますから、このような特性を利用する通信分野、言いかえれば通信全体の中で郵便が利用される分野が確固として存在することを示しているものと私は理解をいたしております。郵便は現代におきましても、国民生活に不可欠な基本的な通信手段として今後も大きく役割りを果たしていくものと考えておる次第でございます。  しからば、この郵便事業の将来の展望についてどのような考え方を持っているかという点でございますが、通信手段が先ほど申し上げたとおりに、多様化いたしましても、現物性、記録性というものは、特に一番発達いたしております電話といえどもそういった証拠を保存するためにはかなりな設備費がかかるという点、また、ファクシミリという、これまた大変すぐれた記録を保持する通信機器もできておりますが、これは現代ではまだ一般的には普及いたしておりません。しかし、かなりの経費を要するものである。こういった中で、このすぐれた特性というものは、国民生活に密着しているとともに、国民が生活する上においてこれは絶対的に必要なものであり、かつきわめて重要性に富んだものであるという立場をとりまして、今後は経済の発展状況やまたその他の通信手段の発達、普及状況等いろいろと関係が大きいわけでありますが、しかし、先ほど来申し上げております理由で、今後もかなり増加をしていく傾向にあるという考え方を持っております。  また、御承知のとおりにこれは国営企業でございますので、長い歴史の上に立って、先生方の御理解と御協力を得て関係職員も必死の努力を払ってくれまして、今日までこれまた考えられないような、郵便は人力以外に頼る道がないのだという定義をつけられておりましたけれども、職員各位の努力で自動読取機とか選別機とかいろいろ開発しつつ、できるだけ低廉な価格で国民サービスを続けてまいりたいと考えております点においてもこれはかなり重要性に富んだ事業である、このように考えている次第でございます。
  24. 青山丘

    ○青山委員 全体の通信手段の中では、たとえば電話あるいは電報の分野が——電報の分野はそれほどでもないのですが、電話の分野が広がっておりますから、郵便物数は全体の中では少なくなってきているかもしれませんが、物数そのものでは徐々にふえてきておりますね。  そこで、将来展望調査会では、物数については安定的に三%ぐらいは伸びていくということなんですが、郵政省はどのような見解ですか。
  25. 神山文男

    ○神山政府委員 先生のお話のように、将来展望調査会におきまして一つの郵便物数の伸びというものを予測いたしておりますが、これは経済成長率等の影響を相当受けるものとして、幾つかの仮定の数字を前提といたしまして、昭和六十年までの郵便物数の予測を行っております。それによりますと、経済成長率いかんによって多少変動がありますが、大体年平均二ないし四%の増加、平均標準的な数字として三%程度というような数字が出ております。  現在そのような具体的な予測数字郵政省自体としては持っておりませんが、今後の社会の情報量総体がますます増加していくという中で、ただいま大臣も申し上げたような郵便の現物性、記録性というような特性を生かしながら、安定的な増加というものはあるものと考えております。  この調査会の数字自体がどうかということについては確定した意見というものを申し上げるわけにいきませんが、ほぼ妥当ではないかというふうには考えております。
  26. 青山丘

    ○青山委員 私は、全体の通信手段の中で、郵便物数の伸びとそれから料金との関係で郵便事業が財政的に将来どういうふうになっていくかということに不安を持っておりますから、それでまず最初に触れさせていただいたのです。というのは、今日の郵便事業を見ますと、五十三年度郵政事業特別会計では、業務運営費財源として二千百七十六億円借入金が計上されております。  また、同時に、片方では、郵政審議会から「社会経済の動向に対応する郵便事業のあり方に関する答申」が出されております。そこで、郵便事業はいまきわめて重大な時期に直面しているという認識のもとに、以下若干審議会の答申を中心に質問させていただきたいと思います。  答申の中に、「郵便の利用に関して社会経済環境が変化してきているので、その実情に即してサービスを見直すとともに、現在の社会活動や生活実態に必ずしもそぐわなくなっているサービスは、この際整理し、コスト上昇を極力抑制しつつ、郵便の安定した送達を確保するようにすべきである。このような観点から、今日、郵便の配達は一日一度としても差し支えない時期にきているものと考えられる。」となっているのですが、この一度配達と二度配達の基準というのは一体どういうところで進めてこられたのでしょうか。
  27. 神山文男

    ○神山政府委員 郵便物の配達度数につきましては、一般的には配達局を中心といたしまして、人家が連なっている地域につきましては、郵便区市内といたしまして一日二度配達としております。その他の地域につきましては、郵便区市外として一日一度配達としております。ただ、地況や通信力の優劣等に応じまして、この度数を一度増減回することができるということとして運用しております。
  28. 青山丘

    ○青山委員 それは基準として持っておられるのですか。
  29. 神山文男

    ○神山政府委員 これは公達で設置標準というものを決めてございます。
  30. 青山丘

    ○青山委員 日本橋局などでは一日三度配達をやっておる地域があるというのですね。これは業務用通信が多いからということでしょうか。そうですね。
  31. 神山文男

    ○神山政府委員 そのとおりでございます。
  32. 青山丘

    ○青山委員 現在、この一度配達と二度配達の区画数の割合は日本ではどうなっているのでしょう。後からちょっと外国のことも触れさせていただきたいと思うのですが……。
  33. 神山文男

    ○神山政府委員 一度配達地と二度配達地は、パーセントで申し上げますと、現在、郵便の区画数のうち五三・八%が一度配達でございまして、四六・二%が二度配達というようになっております。
  34. 青山丘

    ○青山委員 先ほどの答申の中で、一日一度配達で差し支えないのではないかと述べられている部分がありますが、郵政省内部では、一日一度配達について現在どのように検討しておられますか。
  35. 神山文男

    ○神山政府委員 現在の二度配達の地域につきまして、一号便と二号便の配達物数を比較してみますと、一号便で八〇%以上を配達しているという実情でございまして、これが年とともに一号便に偏ってくるという状態でございます。そういう状態であれば、これを一度配達にしてもそう大きなサービス低下がないのではないか——これには単に配達の回数だけでなく、運送便とかその他の施設のそれに合わせた改正というものが必要でありますが、そういうことを考えていきますと、将来においては一度化してもよいのではないかという考えは持っておりますが、現在具体的にどういう影響があるかというような点と、それからそういう影響というものをどうしたら少なくすることができるかという点についていろいろ具体的な検討はいたしておりますが、今後とも真剣に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  36. 青山丘

    ○青山委員 この一日一度配達というのを省の内部で具体的に検討しておられるのですね。もし現在具体的にそういう検討をしているのだということなら、それで結構ですよ。そうですね。(神山政府委員「はい」と呼ぶ)  先ほど、人家が連なっているところについて一日二度配達しているとおっしゃったのですが、業務用通信の場合はそうかもしれませんが、住宅街については一度配達でもいいのではないかという気持ちもするのですが、この辺はどうでしょうか。
  37. 神山文男

    ○神山政府委員 一号便に郵便物が非常にかたまってきているという実態から先ほどは申し上げましたが、そういった企業通信の場合はどうであるか、住宅地でそういう個人あての郵便物についてはどうかというような点はいろいろの面からいま検討を加えている段階でございます。
  38. 青山丘

    ○青山委員 具体的に昨年の七月に答申が出されてから、一日一度で差し支えないのではないかということで、この一度配達、二度配達の変化はその後ありませんか。一度配達がその後ふえていますということではないんですね。
  39. 神山文男

    ○神山政府委員 そういう二度配達を一度配達にするという実施については、まだいたしておりません。
  40. 青山丘

    ○青山委員 答申に対してそのままストレートに従う必要はないかもしれませんけれども、それなりの権威を与えられて答申が出ていて、それに対してある程度具体的な検討をされる必要があるのではないかと思います。  私は、郵政財政そのものがさらにまた赤字が累積されて、環境が悪化されることを実は基本的には心配しているのです。しかし、さりとてサービスを低下させなさい、させるべきだと言っているわけじゃないんですね。この辺については共通の立場ですから、そういう意味で、ある程度改善させてコストのダウンができるところをできるだけ努力をしていく必要があるのではないかという立場なんです。  時間があるかどうかちょっと不安なんですけれども、できたら一番最後に郵政大臣にお尋ねしようと思っていますが、郵便料金改定の方法について少し触れたいと思いますが、ただ、余りこの問題ばかりにかかずらわっておりますと先に進めませんので……。  もう一つこれに関係しますが、郵便物の配達業務量について、「業務量の少ない地域においては、主要な道路沿いに郵便受箱を設置し、これに配達する方策も考究の要がある。」とあります。これについても、すでに住民の協力を得て試行している地域があると聞きますが、これは住民の反応と実施上の問題点はどんなところにありましたか、お尋ねいたします。
  41. 神山文男

    ○神山政府委員 審議会の答申にもありましたような集合受け箱あるいは道路沿いに受け箱を置いていただくということにつきましては、長年の郵便事業上の大きな問題であります。ただ、これを実施するためには利用者の方々のコンセンサスということも非常に大切であるということで、実は、昭和四十七年六月に田浦局におきまして一つの試行、テストを行っております。  これは横須賀市にあります田浦郵便局ですが、区内に山や丘陵地帯が非常に多く、都市化の進展に伴ってその山の上に非常に住宅が建っていく。ところが、そこに行くには非常に多くの階段を登り山道を登るというようなことで、平地と比べて非常に配達上の問題が生じました。そこで、この配達難を救済するために住民の方々にお話を申し上げて、積極的な働きかけを行って、その理解と協力を得まして、この坂の途中に集合受け箱というものを設置いたしました。そこへ配達をするという方法で試行して、現在百七十戸ばかりの方々に協力を得て実施している次第であります。  それで、もちろんこの場合は普通郵便物だけで、速達、書留、小包等は戸別に配達するというやり方でやっております。この方法の是非ももちろんありますが、こういうテストを経ながら、そういうことを今後どうするか、これを踏み台にしてだんだんとまたよく考えていきたい、こういうふうに考えております。
  42. 青山丘

    ○青山委員 四十七年七月から実施というと……(神山政府委員「六月です」と呼ぶ)六月からですか。そうしますとかなり経過していますから、まあそれなりのデータは出ているのでしょう。  これは住民の協力の度合いや実際上の仕組みがどういうふうになっているのかよくわかりませんが、たとえばかぎがかかっているのか、それから先ほどおっしゃった書留、速達、小包あたりはやり各戸配達をしておられるのかどうか、仕組みはどうなんでしょうか。
  43. 神山文男

    ○神山政府委員 先ほど申し上げましたように、速達、書留、小包等は従来どおり戸別配達を申し上げております。  この集合受け箱にはもちろんかぎがかかるようになっております。
  44. 青山丘

    ○青山委員 世界の主要国の配達度数及び試みられている集配業務施策、これは一体どういうふうになっていますか。
  45. 神山文男

    ○神山政府委員 諸外国でございますが、配達度数について申し上げますと、一日二度以上配達しているところは、先ほどもパーセントで申し上げましたから、その例にならってパーセントで申し上げますと、アメリカは二度以上配達しているところが全体の七%、カナダが八%、西ドイツが一二%、イギリスがちょっと他の国と違いまして五九%やっております。イタリアが二八%、スウェーデンが九%、オーストラリアが六%といったような状態でございます。
  46. 青山丘

    ○青山委員 郵政省のこれからの取り組み方をお尋ねするのですが、たとえばアメリカでは二度が七%ですから、一度地というのが九三%ですね。あるいはフランス、西ドイツにしても一度地の区画が非常に多い、パーセントも高いというような方向になってくる。これはある程度やむを得ない方向ではないかと思うのですが、郵政省は、日本の立場で将来をどのように考えておられるのか。まず、配達度数について……。
  47. 神山文男

    ○神山政府委員 私どもとしては、この審議会の答申あるいは行管の勧告が昨年ございましたが、そのいずれも配達度数の一度化を検討しろということになっておりまして、私どもも、実態から見て、一号便に相当郵便物が偏ってまいっておりますし、今後ともその傾向にいくということから、真剣にこれを検討しなければいけないというつもりでおります。
  48. 青山丘

    ○青山委員 それから、郵便受け箱の件なんですが、アメリカあたりでは法律で高層ビル郵便配達方法改善計画というものが出されて、そしてビルへの配達はただ一カ所へ配達するのだ、それで完了させるのだという方法で進めておられるようなんですが、日本はどうなんですか。
  49. 神山文男

    ○神山政府委員 アメリカでも高層ビル等につきまして、試行的なやり方でございますが、一番下に郵便室を置きまして、それから郵便専用の郵便物を運ぶチェーンを設けるようにビルの設置者に働きかけているという例はございます。  日本でございますが、たとえば霞が関ビルあるいは今度できますサンシャイン60でございますか、超高層ビルがどんどん建っておりますが、私ども、これらの下には私書箱を設けさせていただきまして、そしてそのビルの中の会社の郵便物はその私書箱に配達するという方法をとらせていただいておりますし、今後ともそういう方向で検討してまいりたいというふうに考えます。
  50. 青山丘

    ○青山委員 それは法的な取り扱いですか。あるいはそうじゃなくて、個々の郵便局が建物の施主というか、つくり主というのですか、建築主の人と話し合って進めてこられたことですか。
  51. 神山文男

    ○神山政府委員 ただいまの超高層ビル等については、話し合いの上で設けさせていただいていますが、ただ、現在、三階建て以上の建物につきまして、エレベーターのないものについては一階に集合受け箱を置いていただくということを、これは郵便法で規定していただいておるということでございます。
  52. 青山丘

    ○青山委員 コストの問題でぼくは言っておるわけです。たとえば集団住宅といいますか、アパートのたぐいのものは、二階建てでもできるだけ一カ所で受け箱を設置してもらえるような方向で進めていかないとなかなかむずかしいであろうと思うわけです。そういう点で、法律でがんじがらめにするのが賢明だとは私は決して思いませんが、この程度のことは法律でしっかりと取り組んでいただくことの方がこれからいいのではないかという考え方ですが、いかがでしょうか。
  53. 神山文男

    ○神山政府委員 先生の御指摘の点も含めまして、真剣に検討してまいりたいと思います。
  54. 青山丘

    ○青山委員 「中小規模の郵便局に適した簡易な機械の開発にも努める必要がある。」と答申に出ているのですが、具体的にはどのような機械の開発を指しておるのでしょうか。
  55. 神山文男

    ○神山政府委員 中小規模局の機械化でございますが、そういう局は設置場所も狭く、取り扱い物数も少ないということでございますので、大規模の機械化には向かない。そこで、大規模局で使っている機械を一部改良というか、小規模局に向くようなものに改めて配置するということをやっております。  たとえば郵便物自動選別取りそろえ押印機という機械がございますが、この選刑部は非常にむずかしくて、大型化しやすい部分でございますが、これを手作業に置きかえることによって相当小型になってくる。また、中小規模局では手作業でも選別は差し支えないということで、そういうこともやっております。これを選別台つき自動取りそろえ押印機と申しております。そのほか、簡易型の書状自動押印機あるいは卓上型の配達証作成機といったようなものを現在つくって配備しております。  今後、自動読み取り区分機を性能を中小規模向きにして配備したいということで、これは研究をいたしております。
  56. 青山丘

    ○青山委員 現在利用されています大規模局の機械化が大体頭打になっている。問題は、たとえば読み取り区分機等の稼働時間はどうなっていますか。私は、恐らくフルに稼働していないで、ごくわずかな時間だけ稼働しているのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  57. 神山文男

    ○神山政府委員 機械の稼働時間でございますが、これは郵便局によりまして、その取り扱い数とかあるいは繁忙度合いといったものによって一様ではありません。  しかし、郵便番号自動読み取り区分機について申し上げますと、平常時において、一週間平均すれば約四時間以上稼働しておる状態であります。ただ、年末繁忙期間等になりますと一日二十時間以上というような状態でございます。
  58. 青山丘

    ○青山委員 たとえば日本橋郵便局等に設置してある機械が一週間に四時間ということになれば、あいている時間があるわけですから、近郷近在の中小郵便局の作業もここでやっていくというような面も考えられるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 神山文男

    ○神山政府委員 大局については稼動時間はもっと多いわけでありますが、これ以上稼動時間をふやすためには、先生の御指摘のように、付近の局の差し立て郵便物をその局に集中しまして、それでその機械にかけて集中差し立てをすることが必要でありますが、このためにはほかの局から郵便物を持ってくるとかあるいは取り集めを一局に集中するということで、運送時間とか、その集中するための手数といったものを勘案しながらしないと郵便物の送達がかえっておくれてしまう、差し立てがおくれるということにもなりますので、そういう点をにらみ合わせながらできるだけ集中化を図っていくということを考えております。
  60. 青山丘

    ○青山委員 できるだけ機械化を進めていただかなければならぬと思いますし、郵便事業の財政の面からも効率化あるいは合理化というものを進めていただかないといけないのではないかと思うのです。  さらに、住居表示制度の実施を促進することは郵便の配達上きわめて重要であると思いますが、郵政省はこれまで関係方面に対して、住居表示制度の実施を促進するという立場からどのような働きかけをしてこられたのか、また、これからどのような働きかけをされようとするのか、お尋ねします。
  61. 神山文男

    ○神山政府委員 住居表示制度というのは郵便配達に非常に重要な働きをなしているわけでありますが、この住居表示につきましては主管庁が自治省でございますので、自治省と常に密接な連絡をとりながら推進をしていただくように働きかけてまいっておりますが、地方におきましては地方自治体が実施する主体になりますので、自治体に対しましては郵政局あるいは地元の郵便局を通じまして働きかけるなどいたしまして、実施促進に努めてまいっております。  また、郵政省としては、従前から、住居表示の実施に当たりまして、住居番号表示板を寄贈いたしましたり、あるいは住居番号変更通知の葉書を寄贈するというようなこと、あるいは財政的理由で実施に踏み切れない地方自治体に簡易保険積立金による短期融資の道を開くなどの措置をとっていただきまして、努力をしてまいっております。
  62. 青山丘

    ○青山委員 実施状況はどんなものでしょうか。
  63. 神山文男

    ○神山政府委員 全国の世帯数が三千四百三十九万三千世帯でありますが、住居表示計画世帯数がうち千六百七十六万世帯ございます。そのうち住居表示実施済み世帯数が千百七十一万三千世帯となっております。全世帯の実施率が三四・一%で、計画世帯に対する実施率が六九・九%で、七〇%近い数字となっております。
  64. 青山丘

    ○青山委員 住居表示制度の実施を促進していくことが郵政事業効率化のために必要であろうと私は思うのですが、これがなかなか進んできておりませんが、どうでしょうか、大体年平均一%くらいじゃないですか。  そうすると、ちょっと大げさな言い方ですが、百年たたないといいところにまでいかないというような感じですが、これは一体どこにネックがあるのか、問題点はどこか、お尋ねします。
  65. 神山文男

    ○神山政府委員 住居表示制度実施についてはいろいろ問題があるわけですが、実施主体である自治体の側としては財政的な問題があろうかと思いますし、また、住民の側にも古い町名に対する愛着があるというか、単に愛着と申し上げていいのかどうか、とにかくそういった住民の御理解がなかなか得られにくいという面もございます。
  66. 青山丘

    ○青山委員 自治省は郵政省の意向をくんでやってきていただいておると思うのですが、これまでどんな取り組みをしていただけたのか、お尋ねします。
  67. 矢野始

    ○矢野説明員 私どもの方としては、三十七年にこの法律が施行されて以来、法律にもございますように、この実施については鋭意努力してまいってきているところでございます。  先生も御案内のように実施主体としては市町村あるいは区等でございますので、私どもとしては、直接の指導ではなくして、それをカバーしておる都道府県を通じて指導するという形になっております。法の制定当初から法に従って、通達でございますとか、あるいは通知でございますとか、こういう実施のやり方につきましていろいろ指導してきております。  ただいまとしては、まず、この法の実施についての関係者の御理解をいただくということで、都道府県では通常担当しておりますのが地方課と称する課でございますので、それの課長会議でありますとか担当者会議を開きまして、その席におきましてこの法律の重要性あるいは実施についてのいろいろな指導を行っておる、あるいはそれぞれの数府県のブロック会議がございますので、そういう場合にも出席して、これの実施について努めるように指導しておる、こういう形のものを通じて指導する、こういうことにしております。  さらに、ただいま郵政省から申し上げましたように、実施についていろいろ問題点がございます。たとえば財政の問題でありますとか、あるいは住民のコンセンサスが得にくいという問題でありますとか、あるいは都市計画の事業等がまだ進行中でございますので、一段落するまでにはまだ時間があるとか、そういういろいろな問題がございますので、それらの問題をそれぞれ解決しながら進めていくようにする。さらに、それぞれの市町村の実施に対しましての財政的な問題もございますので、実施する場合におきましては、普通交付税あるいは特別交付税においてその実施の所要額の措置を見ていく。特別交付税につきましては、ここ数年毎年一億から、この五十二年度あたりでは一億数千万という額を市町村に交付いたしまして実施方の促進に努めておる。なお、今後ともそれぞれの団体と密接な連絡をもってさらに進めていくように努力してまいりたい。こういうふうに考えておるわけでございます。
  68. 青山丘

    ○青山委員 財政的な裏づけがあればどんどんできるというものでもないでしょうし、さりとて住民の反対があるわけでもないのですね。反対運動が盛り上がって火炎ビンが空を飛んだとか、いまの成田のようなことじゃないのですから、これはやる気があればできると思うのです。  郵便事業はこれからだんだん財政的に苦しくなってくる以上、できるだけ合理化し、効率化し、サービスを適正な規模にしていきたいというときなんですから、この住居表示制度の実施について、年に約一%なんという、やっているのかやっていないのかわからないようなことじゃなくて、具体的に成果を上げていただくような具体的な措置をとっていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 矢野始

    ○矢野説明員 住居表示のとり方については、先生も御案内のように、私どもとしては、市街地一平方キロ当たり四千人以上と、総理府の規定もございますし、この市街地について実施するという考え方を持っているわけでございます。  それから申し上げますと、現在、五十二年十一月の数字でございますが、私どもの方は、世帯というよりは面積あるいはカバーしております人口という点でとらえているわけでございますが、それからまいりますと、住居表示の実施計画をしておりますのが七千三百五十四平方キロメートル、これは現在の、五十二年十一月の調べでございますが、これはほぼ本年度実施される告示等の見込みがございますので、その数字で申し上げますと、三千九百八十三平方キロで、実施率としては約五四%、こういうことに相なっているわけでございます。  それから人口で申し上げますと、計画は四千九百六十二万四千人ということで、実施が三千三百七十六万四千人で、人口で申しますと六八%をカバーしておる、こういう形になっておるわけでございます。  ちなみに、先生の御推計でございますが、これでここ一年置きあるいは年を追って統計をとっておりますが、この五十二年と五十年の差を見ますと、面積において三百十八平方キロ、五十年と四十八年では三百六十二平方キロ、その前の二年では四百六十平方キロ、こういうことで単年度に直しますと百五十から二百平方キロぐらいずつ、スローでございますが着実に進んでおる、こういうふうに私ども理解しております。  数字で申し上げますと、この計画が約七千平方キロに対して、現在の実施が約四千でございますので、その差が約三千ございますが、この三千は毎年二百平方キロぐらいでいきますれば十五年ぐらいかかる、あるいは見方によっては二十年ぐらいかかる、こういうような形になりますので、近年またピッチを上げてさらに進めるように努力してまいりますので、できるだけ各地方団体の協力あるいは地方住民の方の御理解を賜って、この関係については着実に進めていくように努力してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  70. 青山丘

    ○青山委員 少なくとも対象世帯についてはもう七割まで来ているんですから、あと少しですから早くやっていただきたい。問題は、その後の問題もありますが、そういう点でできるだけ郵便事業の効率化、合理化を進めていきたいという気持ちです。  そこで、簡保資金を活用して地方自治体に道を開いていくということなんですが、やはりこれはできるだけ活用すべきだと思うのですね。こういう点で郵政省はどういうお考えでしょうか。
  71. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 郵便事業にとりましては、住居表示制度の実施が外勤作業の効率化に大きく寄与するという点におきましては非常に重要でございます。したがいまして、先生がおっしゃいますとおり、省としても、この住居表示の実施促進という面におきましてはいろいろ配意しているわけでございますが、簡易保険の資金の活用という面におきましてはいろいろと検討してまいりまして、その結果短期資金を住居表示が完了するまで地方公共団体に融通するという形を四十六年からとっているわけでございます。  ただ、短期資金と申しますのは年度内の貸し付けということでございますし、また、たてまえが三ヵ月というのを一回の限度にしております。したがいまして、これを継続してお貸しするという形で、かつ年度にまたがります場合には年度末の三月三十一日に一応お返ししていただきまして、またさらに新年度継続してお貸しするという形でやっております。
  72. 青山丘

    ○青山委員 質問の趣旨がちょっと正確ではなかったので申しわけなかったのですが、簡保資金を活用していって地方自治体に住居表示制度を協力していただく。これはちょっとあくどいやり方だと自治体から言われるかもしれませんが、それぐらいの姿勢も郵政省としてあっていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  73. 佐藤昭一

    ○佐藤(昭)政府委員 これは住居表示の関係のための融資ということではなくて、一般的に地方公共団体にお貸しする際の条件としてそういったことを慫慂するといいますか、その程度でございまして、これは特に条件としてはやっておりませんけれども、やはり地方公共団体にいろいろと接触する場面も多いわけでございますので、そういった面におきましてはいろいろと簡保の立場からも——まあ、これは省としての立場でございますから、この住居表示の制度の促進ということにつきましては、やはり機会あるごとにお願いをしているわけでございます。
  74. 青山丘

    ○青山委員 これまで私が申し上げてきたことは、郵便事業の運営の面で効率化、合理化に努めていかなければいけない、サービスもある程度適正な面で見直していかなければいけない、ということは、郵便事業の財政の面からも早急に進めていかなければいけないという、こういう立場で全部触れてきたのです。  そこで、私自身の物の考え方からしますと、いつまでも現在の郵便料金の決定方法が最善ではないという考え方を私は持っています。いまのような行政努力をされて後、料金の法定制のあり方についてやはり検討していかなければならないのではないかということですが、郵政大臣、主要国における料金の決定方法と比べて、わが国の料金の法定制のあり方についてどのようなお考えをお持ちか、お尋ねをいたします。
  75. 服部安司

    服部国務大臣 郵政業務、特に郵便の占める位置はまことに重要でありまして、現行料金法定制のあり方について、諸外国の現在の制度のあり方と比較検討をしてどのように考えるかという御質問でありますが、諸外国でも、特にアメリカ、イギリス、フランス、西ドイツなどを見ますと、料金法定制をとっている国はございません。  そこで、日本の料金法定制のあり方についてどのように考え、またこれを緩和する考えはないかという御質問でありますが、なかなか微妙な問題でございまして、私は、現在の立場からいたしますと、これは大変ありがたい質問で大変結構でございます。そのようにしていただければなんて言うのが妥当かもしれませんし、そこに並ぶお役人どもも大臣はそのように答えないだろうかと期待しているかもしれませんけれども、私はやはり国会議員ですから、簡単にこの法定制を外すということはわれわれの審議権の放棄にもつながることでもありますし、また、私を含めて先生方も国民の立場に立って考えるときに、絶えず国は国民に対しては不利な立場であらねばならないという大原則にもやや影響力を持つような感じが私はいたしますので、これはひとつ勉強をさせてください。  あいまいな答弁をするやつだなとお思いかもしれませんけれども、それほど重要な内容を含んだ問題でございますので、ひとつこれから極力勉強をさせていただいて、適当な機会にまたお答えをさせてもらいたいので、しばらく猶予をお願い申し上げたいと存じます。
  76. 青山丘

    ○青山委員 諸外国では国会の議決から外してあるわけで、私も議員の一人として、この国会で審議しない方向がいいというふうに考えているものでは決してありません。審議を放棄するものでもありません。ただ、料金決定が、社会情勢が変化していく中で、郵便事業が財政的に健全に進められていくために果たして適時適切であったかどうかということになってきますと、必ずしもそうではなかった。そういう実情からしますと、法定制のある程度の緩和ということは十分検討に値することだと私は思うのです。  その点が一つと、それから諸外国の事業財政の面で、主要な国の事業財政はどのようになっておるのかということ、この二つをお尋ねいたします。
  77. 服部安司

    服部国務大臣 お答えいたします。  決して審議権を放棄せよと言っているのではない、緩和の方向で検討しないかということは、これはまた非常にむずかしい問題でして、緩和ということは即法定制から外すということにつながる問題だと思います。  そこで、青山先生、私は御指摘のお気持ちは十二分に理解できます。不健全な財政のもとで、先ほど来質疑応答の中でございました将来展望についても、いわゆる国民生活に欠くことのできない郵便制度の存続ということになりますと、国民に十二分なサービスを提供しようと思うと、やはり財政の裏づけが必要であります。  そこで、私はいま先生の御指摘の問題を静かに聞いておりまして考えたのですが、まず、法定制緩和の以前にやるべき問題があるのではなかろうか。ということは、私は大臣就任と同時に、郵便料金の値上げはいたしませんと国民に訴えながら、片方予算は赤字編成をやっている。こういった矛盾は、正直言って一体何をやっているんだということが青山先生の心の中にもあろうと思います。私の弱い立場をおかばいくださってそこまでの御指摘がなかったことは大変感激をいたしておりますが、私の考え方はまたこういうことなんです。  この法定制緩和以前の問題というのは、先ほどから御指摘のいわゆる合理化、能率向上のための人員の適正配置、また郵便配達業務の簡素合理化、地域に一つの郵便受けをつくったらどうかという御指摘、二回の郵便配達を一回にすればどうかという問題、いま一つは個々の郵便受けの問題、それから住居表示の問題、こういった問題と真剣に取り組んで経費の節減を図って、料金を上げないでサービスを低下させない。これには国民のコンセンサスが必要でございまして、やはり国民の理解と協力が必要でございます。  私は就任まだ日も浅いわけでありますが、この委員会における各先生方の御発言は私は大変重要に受けとめて、真剣に対策を立ててまいったつもりでございます。ただ、就任日が浅いので、その成果、効果は皆様方に知っていただくまでにはまだ至っておりませんけれども、役人各位が、何て厳しい大臣が来たのか、早く任期が終わって出ていけばいいがと思うほど厳しい姿勢でやっておりますので、ああこれもやったかあれもやったかと順次御理解をいただけると思います。  私は就任早々から、役所または役人の奉仕者ではありません、先生方ともども国民の奉仕者でありたい、またそうあるべきであると、こういう立場からやっておりますが、緩和とはとなりますと、これは私が答弁するだけでもなかなかむずかしい問題もありますので、くどいようですがしばらくお預けいただいて、それ以前の、先ほどから申し上げさせていただいている問題について真剣に取り組んで効果を上げてみたいと考えております。  なお、諸外国の財政事情については、ちょっと事務的な問題でございますので、事務当局から答弁させます。
  78. 神山文男

    ○神山政府委員 公社化された以後のアメリカでございますが、依然として赤字状態が続いているようでございます。イギリスにつきましも、郵便部門は赤字基調という情報が入っております。西ドイツも同様でございます。フランスも郵便は赤字基調という状態でございます。
  79. 青山丘

    ○青山委員 時間が来ておりますので、最後に一問だけお尋ねします。  私も、現在の事業運営上問題があるものについては、その効率化、合理化、サービスの適正化についてはできるだけ努力をしていただきたいと思っております。もちろん、料金の値上げについては極力抑えていただきたい。これは郵政大臣と全く同じですが、ただ、問題は、社会情勢が大分変わってきています。そしてこの答申においても、第一種及び第二種郵便物の料金について、「具体的な料金額を法律で定めている現行料金決定方法について再検討を行い、弾力的に対処できる方向で、何らかの現実的改善が必要と判断される。」という答申が出されているのです。  したがって、郵政大臣立場は、おっしゃられた内容は私もそのまま同感なんですが、それとあわせて料金決定方法について現実的な改善策が必要ではないか、そういう立場で検討される必要があるんではないかということを申し上げたいのですが、いかがでしょうか。
  80. 服部安司

    服部国務大臣 十二分に前向きに、いい方法を先生方の御協力を得て見出してみたい、かように考えております。
  81. 青山丘

    ○青山委員 終わります。
  82. 松本七郎

    松本委員長 鈴木強君。
  83. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 きょうは私は郵政、電電関係の問題で若干質問をさせていただきます。  まず、最初に、郵政関係ですが、けさ私は新聞を拝見しましたところ、きのう衆議院大蔵委員会の金融機関週休二日制に関する小委員会におきまして、「週休二日制を早期に実施するには、銀行法第十八条を改正する必要がある。」という決議が与野党一致でなされております。  従来、金融機関の週休二日制問題につきましては、政府としては、銀行労使が実施で合意していることを尊重し、金融制度調査会の答申を待って一両年中に結論を出すというふうに態度をお決めになっておったようでございますが、そこで、このきのうの決議の中では、金融制度調査会に対し、公務員などの週休二日制の進展に応じ、必要と認められる場合には銀行法改正の全体審議の中から十八条の部分だけ切り離して中間報告するように求めております。また、同時に、この決議について、新聞では、「銀行法一八条の改正に当たっては中小企業、消費者など利用者の理解を得るとともに、郵便局、農協など関連機関の週休二日制も合わせて実現されることが必要とし、政府に積極的なPR活動を要請している。」というふうに述べております。  郵政の場合には労使間で週休二日制の問題についていまいろいろと検討をなさっておると思いますが、こういう決議がありました以上、特に貯金、保険等の窓口を持つ部門もございますので、大臣といたしましてもこの趣旨を尊重されて、今後週休二日制ができるだけ早い機会に実現できますよう最善の努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  84. 服部安司

    服部国務大臣 昨日の大蔵委員会で、ただいまの鈴木先生の御指摘の決議がなされたことも承知をいたしております。  もちろん、金融機関と申しましても、御承知のとおりに、郵便局では、郵便、福祉年金、恩給というように、一般金融機関と大変異なった窓口業務をとり行っているわけでございまして、その設置地域も全国に——これは銀行金融機関も全国ですが、特に僻地に至るまで分布いたしておりますことは先生御承知のとおりでありまして、この窓口を土曜日を閉めるとなると、これはまことに影響が大きいわけでありまして、私は、これを実施するに当たっては広く社会的コンセンサスを取りつけねばならないと思います。  しかし、現在の実情から言って、私は決して週休二日制を否定するものではございません。ただ、われわれがいま扱っている業務の運営について、どのような方法で国民に多大の迷惑をかけない状態で実施するべきかという点が一番大きな問題だと思うのであります。  実は、先般、この週休二日制についての関係閣僚懇談会がございまして、私もその一員に加わっておりますので、人事院の要望で、五十三年四月一日からいま一度週休二日制試行の是非についてということで論議をいたしました。私は、先ほど申し上げたとおりに、時代の趨勢から言って、週休二日制を決して否定するものではありませんので、真っ先に私はその閣僚懇談会で発言を求めて、賛成であります。しかし、わが方は御承知のとおりに現業部門を持ち、国民生活と最も関係の深い立場にある関係から、定員増を認めていただかなかったならば、週休二日制はたとえ試行であっても一般国民、利用者にかなり御迷惑をかけると言ったら、荒舩行管庁長官がすかさず立ち上がって、それはまかりならない、定員増は行政改革をやらんとするこのときに許せないということでした。  そういうことで、私は決して二日制に対しては否定するものではありませんが、かなり慎重に検討を要する問題である。今日までの経緯を申し上げて、その方向に向かって進んでいくべきではあるという考えは十分持っていますが、他の省庁または一般金融機関と違った立場にあることを御理解いただきたい。したがって、そういった立場を踏まえつつ十二分に慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
  85. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 きょうは私はこれを論議する気持ちはないのです。ですから、こういう決議がございまして、少なくとも郵便局とか農協等を持っておられます主務大臣については、この決議を尊重しての積極的なPR活動を要請しておるわけですから、この決議を御尊重くださって、早い機会にぜひ実現できるようにあなたに要請したわけですよ。  ですから、いままでの経過などは聞きたいと思っておりませんでしたし、私も大体知っておりましたから、この決議の尊重について大臣の決意を伺ったわけでございます。
  86. 服部安司

    服部国務大臣 大蔵委員会の決議でありますから、もちろん決議に至るまでいろいろの御討議があったと思います。しかし、私は、国会の決議というものは最高に尊重せねばならないという考え方を持っているものでございます。
  87. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。  次に、郵貯の金利の問題ですが、午前中に同僚の田中委員から御質疑がありまして、私もいままで何回かこの問題に触れておりますので重複は避けたいと思いますが、いよいよ三十日、明日郵政審議会を持たれて大臣が御諮問をなさるのでございますが、その際、前回、前々回のように値下げ率を示して諮問をするということはとらないということでありますから、従来私どもが大臣に強く要請をし、大臣も決然として庶民大衆の預金を守るというおたてまえからいろいろ御配慮をいただいておりますことがわかりました。  そこで、民間の預金金利は四月十七日から普通預金〇・五、定期預金〇・七五引き下げられることに決まっておるわけでございますが、私は、昨日物価対策特別委員会で日銀の中川理事においでをいただきまして、郵便貯金利子の問題についても若干質疑をしてみました。ところが、郵便貯金法十二条の後段のところだけしか考えていませんよ。前段にある「政令」について、郵政大臣が諮問をして決めるんだという理念自体が余り頭に入っていないように私は思いました。ですから、つい言葉も大きくなって少し私の意見も申し上げましたけれども、郵便貯金の問題について日銀自体がまだ十分理解をしていないということを事実知り得まして、残念ですね。ですから、こういう点をもっと積極的に郵政省側としてはPRに努めるべきではないでしょうか。特に、大衆預金である郵便貯金預金者は全然メリットがないのですよ。借りたりするところはいいでございましょうけれどもね。ですから、そういう意味においてもう一段と強い姿勢がほしいと思います。  諮問案を出さずにやるわけでございますから、大臣として審議会の委員の皆様にどういうあいさつをするのですか。さっきわれわれに述べていただいたようなあいさつを審議会でやりまして、私としてはこの際郵便貯金の金利は庶民大衆のために引き下げをすべきではないと断固として——後段が確かにございますから、そういう面におきましては一番泣きどころだと思いますけれども、基本としてはそういうあいさつをするのですか。あいさつをするのでしょう。全然諮問案を示さないでよろしくというわけじゃないでしょう。どういうあいさつをするのですか。
  88. 服部安司

    服部国務大臣 諮問をするのに意思を表示しない諮問というものがあるかというと、これまた不見識な仕方だと思うのでございますが、事はさようにこの内容が重要であり、また、私としては苦悶状態から出た姿だと御理解いただければありがたいと思います。  と申しますのは、郵政審議会には公定歩合引き下げるべきだと叫ぶ人もおられますれば、また、いろいろな層から守る方々もおられるわけでございますが、年度内三度の公定歩合引き下げは、いわゆる庶民大衆のささやかな金利目的のための貯金までも連動を要請されておりますので、委員各位からバラエティーに富んだいろいろな立場で私の苦しい立場を御理解いただいて御討議を願いたい。  私は基本的には、所管大臣として、ただ一方的に、いまの先生の御指摘のとおりに、借りる立場でない方々、いわゆるささやかな金利目的の庶民大衆を守る立場でございます。やはり本心はこれを守り続けたい。私はこの気持ちを強調いたしまして、まずいろいろと御論議をいただいて、その結果私が答申案の判断をしたい、かように考えている次第でございます。
  89. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 わかりました。なお、この問題については毅然たる態度で対処をしていただきたいと思います。  それから、次に、世界で初めて放送衛星が打ち上げられるというので、私も十五日にこの問題を取り上げまして、郵政省あるいは宇宙開発事業団松浦理事長にもおいでいただいて質疑をいたしましたが、三月二十四日に打ち上げられるのは既定の事実だと私はお話を承っておりましたので、そういう趣旨で質疑をしたのでございますが、二十五日も、二十六日も、情報をいろいろ見ましたけれども、さっぱり打ち上げられた様子がない。おかしいと私は思っておりましたが、ロケットは残念ながらまだアメリカのNASAに依存しなければならないというような情けない事態でございますから、NASAの方のロケットに何か故障があり、それで打ち上げが延びたというようなお話やら、日数の取り違いをしたとかいうようなお話やら、いろいろ私の耳にも入ってくるわけでございます。  もちろん、この打ち上げは宇宙開発事業団の仕事でございましょう。しかし、私が質疑をいたしましたように、郵政大臣も参画をし、いままでやってきておるのでございますから、その責任は郵政省にもあると私は思うのでございます。したがって、どうしてこの打ち上げが延びたのか、国民としても非常に心配をしているところでございますから、簡単にお答えをいただきたい。
  90. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  御心配いただきまして大変申しわけございませんが、実験用中型放送衛星につきましては、先生がおっしゃいますように、宇宙開発事業団がアメリカの航空宇宙局に依頼をいたしまして、日本時間の三月二十四日に打ち上げを予定しておったわけでございますけれども、最近になりまして、アメリカの航空宇宙局から宇宙開発事業団に、これから申し上げますような理由で打ち上げを延期せざるを得ないという連絡が入りまして、事業団といたしましても事情やむを得ないということで延期に同意をしたわけでございます。  その理由といたしましては、簡潔に申し上げますと、ことしの三月六日、これは日本時間でございますけれども、BS打ち上げのためのロケットと全く同型のロケットで、アメリカの航空宇宙局がランドサットIIIと呼ばれる地球観測衛星を打ち上げたわけでございますが、打ち上げ後ロケットの飛行状況の解析を行っておりましたところが、ロケットの第一段に異常のあったことが判明をいたしましたので、そのままの状況でBSを打ち上げるわけにはまいらないという判断をいたしまして、これに関する対策に約二週間を要するということであったわけでございます。そのため打ち上げは日本時間の四月八日になる見込みでございます。  よろしく御理解をいただきたいと思います。
  91. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 ランドサットを打ち上げたのは一月ですか。何月ですか。
  92. 平野正雄

    ○平野政府委員 三月六日でございます。
  93. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうしますと、三月六日にランドサットロケットの故障で失敗した。それで、二週間延びるということになって、それが四月八日なんですか。そこら辺がちょっとつじつまが合わぬじゃないですか。
  94. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  宇宙開発事業団から聞いておりますことを若干補足して申し上げますと、三月六日にランドサットIIIの打ち上げをいたしまして、その後飛行解析をしておりましたところが、異常があるということが判明をいたしました。三月十六日、これは日本時間でございますけれども、アメリカの航空宇宙局の方から宇宙開発事業団の方に連絡がございまして、ランドサットIIIの打ち上げ後、先ほど申しました飛行解析結果によりまして第一段ロケットにふぐあいがあったことが判明をした、このためBSの打ち上げを延期することにしたいということで、その時点におきましては、二十四日ごろに打ち上げ期日を改めて決定することにしたい、要するに約一週間のおくれとなろうという連絡がまず参ったそうでございます。  その後、三月二十五日、これも日本時間でございますけれども、NASAの方から宇宙開発事業団の方に連絡がございまして、原因調査及び対策について検討し、先ほど申しました約一週間のおくれで済むだろうと判断をしておったわけでございますけれども、当初見込みよりさらに一週間の日数を要するので、打ち上げ予定日は日本時間で四月八日の朝になるであろう、予備を一日とりたい、そういうふうな連絡があったそうでございます。
  95. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、これは事業団の方に注意してくださいよ。私が十五日に質問をやりましたね。その翌日恐らくそういう通知があったと思いますが、われわれは少なくとも二十四日には打ち上げられるものと確信をしておったわけですから、みんなが注目しておったところ、どうしたのか新聞にも出ない。どの情報を見てもない。そういう問題についてわれわれは真剣に考えておったから、事業団の理事長までわざわざここへおいでいただいて意見を聞いているのじゃないですか。だったら、四月八日に延びたならば、そのくらいの通知はするべきですよ。事業団の方も忙しかったかもしれませんが、今後そういう御通知はぜひするようにしてもらいたい。郵政省がもらえば郵政省はわれわれに連絡してくれるでしょう。そういう点をわれわれは大変関心を持っているのですから、その御注意をひとつ事業団の方にしておいていただきたいと思います。
  96. 服部安司

    服部国務大臣 鈴木先生を初め国民の大多数の関心事であるのが、こういった結果を招いてまことに恐縮いたしております。  したがって、御指摘どおりに、今後は緊密な連携の上に立って迅速に処理するように心がけてまいりたい、かように考えております。
  97. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 以上で郵政関係を終わります。  次に、電気通信監理官に伺いますが、実は、機構法の問題につきましてはこの委員会でも取り上げられ、郵政省の御意見、通産の御意見等も承っておりました。それでようやく結論的にまとまったようでございますが、聞くところによりますと、三月三十一日の閣議にかかるというふうに聞いております。われわれが心配しておりましたデータ通信の部門、ソフトの第八条、第十三条、第三条、これらの点につきましてもかなりわれわれの意見が入れられたように私は聞いております。  これは通産の所管になっておりますから、法律そのものはまだ法制局との間で詰めておりまして、早晩でき上がると思いますが、私も具体的な原案をまだ見ておりませんが、通産当局の私のところに参りましての詳細な報告によりますと、われわれの考えておりました点が率直に認められたというのですが、大臣にも予算委員会以来大変御奮闘いただきましたが、しかし、出てこないとまだ予断できませんので、ここで安心とは言えませんが、まあいい線に行っていると私は思います。  そこで、監理官、いままでの段階では、大体いま私が申し上げたようなことで了解をしてよろしゅうございますか。
  98. 服部安司

    服部国務大臣 いろいろな機会にいろいろと御指導を受けて、私は完璧なものになったと理解をします。  したがって、これについては監理官は大変な血のにじむような努力を払ったことも素直に認めてやってもらいたいわけで、私は高く評価いたしております。
  99. 江上貞利

    ○江上政府委員 機構法のその後の模様でございますが、いろいろ御指摘をいただきまして、また、大臣からも、二重行政というような形になりまして御利用いただく方々にいろいろ御迷惑をかけないようにという御注意もちょうだいいたしておりまして、内容につきまして慎重に通産省と協議を重ねてきたところでございます。  そこで、運用の問題もあわせてでございますが、法文面で明らかにし得ないところは運用の問題ということで、両者が申し合わせ、運用をしていくということになろうかと思いますけれども、電電公社、国際電電、民間企業等が営むデータ通信業務に関しまして郵政省が必要な施策を講じ得るということは当然前提になろうかと存じます。また、データ通信に必要とするプログラムを作成する事業に対しまして郵政省が助成等の措置をとり得るということも前提になろうかと思います。さらに、データ通信に特に必要とするプログラムを作成する事業等につきましては本法の対象としない、あるいは電電公社とか国際電電の行う業務は本法の対象外として取り扱うといったような諸点につきまして、両省が努力いたしまして、先ほど申し上げましたような二重行政の弊に陥らないというような形でおおむね了解の線に近づきつつございます。  したがいまして、近々に準備が終了すると思いますが、通産省は国会提出の運びをするものというふうに存じております。
  100. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 御苦労さまでした。大臣から先におっしゃられてしまってあれでしたけれども、監理官の血のにじむような御苦労は私も本当に肝に銘じて知っておりますから、感謝をします。また、大臣も同時に御苦労いただいて、心から感謝します。  それで、一〇〇%とおっしゃいますけれども、十三条の勧告の部分では、法律的には私は多少疑問があります。しかし、今後の運営の中で、通産の考え方もよく聞きましたからよもや問題はないと思うわけでございますが、いまの監理官のお話も承りまして、あとは法案提出後、われわれといたしましても、できれば連合審査をするように考えておるわけでございますが、これはいずれまた委員長にもお願いしたいと思います。  それでは、次に、きょうは電電公社の方に大変お忙しい中を総裁以下おいでいただきましたが、いつも時間がなくて中途半端になってしまっておるのでございますが、きょうは私は第六次計画の基本的な問題と、それから当面するいろいろな施策について若干御意見を承りたいと思うのです。  電電公社は五十三年度から五十七年度までの第六次長期計画をつくられまして、私どもも拝見いたしましたが、この計画の策定に当たりまして、公社として、政府の長期の経済見通しというものがございません中でつくられるわけですから、ここに書いてありますように、約何万とか約何ぼとか、みんな「約」がついている。加入電話にいたしましても約七百八十万というようなことで。七百八十万だとぴっちり言えないような要素があったと思います。  それで、大臣、この公社第六次計画をつくるに際しまして私たちが真剣に考えなければならないのは、現行の公社制度がこれでいいのかどうかということが一つあると思いますね。二十九年、三十一年と、長い昔のことですが、それぞれ公社制度に対する答申が政府になされておりますが、しかし、それに対して制度改正というものが今日に至るまでなされない。当事者能力の問題一つとりましても、そういう中に労使間の陰険なしかも厳しい闘争が続いてきたこともそういうところにあると思うのでございます。ですから、戦後日本に国鉄、専売、電電とできてまいっておりますが、この公共企業体のあり方については、答申等も十分尊重して、そして制度改正をもっと早目にやらなければいけなかったのではないだろうかと私は思うのです。しかし、その制度改正のない中で電電、郵政が一体になりましてここまで飛躍的な事業の拡充をしてきたということは、これは大変な御苦労のあったことだと私は思うのでございます。  それで、最近衆参の料金改正の際の附帯決議等もございまして、たしか諮問委員会というものが設けられまして、その結論も先般拝見をいたしましたが、この中においても主に料金制度のあり方が中心でございまして、経営の問題については、「一般的にいって、わが国の公共企業体をとりまく環境は、公共企業体の経営の自主・独立性を著しく制限し、政治的介入をうけ易い制度となっている。公共企業体は、本来、行政当局からの監督・規制をうけながらも、経営の基本にかかわる事業計画、予算の作成と運用、収支差額の収得と内部処分、および人事などに関して自主・独立性を保持せしめるとともに、効率的経営を追求させるための制度であるべきである。」というふうなことが抽象的に述べられております。  私も長い間この問題と取っ組んでまいりまして、議員立法もいたしましたが、しかし、なかなか大勢がそうでなくて廃案になってしまったことをいまでも残念に思っておりますが、そういう意味でいま大臣一つお願いしたいのは、二十九年、三十一年と申しますとかなり前のことでございますから時代も流れておりますが、この答申もそういう意味において急所だけは指摘していると思うのですね。ですから、その後の情勢の変化に伴う政府としての腹固めをするための答申がもう一度欲しいなら、ひとつ委員会等をつくっていただいて、そこでもってもう少し詰めた話をしていただけないだろうかというような気がするのです。先般来、公社の自主能力回復の問題とあわせて、政府が公共企業体等基本問題会議というのを持たれております。これも電電公社の経営のあり方について慎重な討議をする一つ会議だと思います。先般来労使からもいろいろな意見がこの会議において述べられていると思います。  大臣も恐らく会議のメンバーだと思いますからお聞き取りだと思いますが、そういう立場に立ちますと、何とかもう一遍公企体の制度改革について問題を起こしていただいて、それと取っ組んでいく体制をつくってほしい。その前段として、両院の附帯決議に伴う総裁の諮問委員会の答申等も尊重していただいて、一遍にはいかないでございましょうけれども、漸進的に制度改革をやってほしいと思うのでございますけれども、この大筋の考え方については大臣はいかがでしょうか。
  101. 服部安司

    服部国務大臣 総裁の私的諮問機関の、たしか審議会か何かつくられて、私も電電公社からその冊子をちょうだいして拝見いたしましたが、内容については先生御案内のとおりでありまして、かなり有意義な内容が盛り込まれていることも私ははっきり認識いたしております。特に、料金問題についてはかなり思い切った意見が出ておりまして、私も拝見いたしましたが、しかし、いろいろと影響の及ぼすところが大きいので慎重に検討するべき問題であるという判断に現在立っています。  ただ、これは電電だけではなくて、日本の公社、公団のあり方に、私は郵政大臣になるずっと前から一つの疑問を持っているのです。と申しますのは、正直言ってこれはアメリカの公社「公団方式をまねたのです。これは池田さんがアメリカに行かれて、私は直接聞いたのですが、こういうすばらしいものがあるぞ、予算を組んでほいとやったら、役人はつべこべ言うけれども、事業拡大がどんどん進んでいくのだから、服部、これは戦後の復興に一番いいのだぞと言って、かなり精力的に公社、公団を育てたのですが、いま御指摘のとおり、あけてみて運営をやってみると、これはかなり介入されて、正直言ってなかなか身動きがならぬ点もあるわけでして、公社公団の最も利とするところがなかなか発揮できていないという点も私は素直に認めたい。  そういう立場から、ただいま御指摘のとおり、私も公共企業体閣僚懇談会のメンバーでもありますし、その下部組織に公共企業体調査会もございますし、ただいま先生の御指摘の問題も同感とするところが多々ありますので、そういう機会にそういう場でまず討議をして何か得るものを得たい、かように考えている次第でございます。
  102. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 大臣、もっと積極的な姿勢が欲しんですよ。ですから、二十九年、三十一年の二回にわたる御答申もお読みいただいたと思いますが、いつか私は前の委員会で提起だけしておきましたが、あの中に流れている思想は、いま大臣もおっしゃったように、公共企業体というのはもちろんいまの場合は国有公共企業体という形でございますから、国なり政府の監督指導ということはあっていいと思うのですが、しかし、そのやり方ですね。もう少し責任を持って公社経営者にやらせる。そして、予算財政制度におきましてももう少し弾力を持たしてやってやる。たとえば公共企業体になっても予算総額というものに縛られ、全く団体交渉によって公労法上賃金は決められることになっておりましても、それを阻んでいるような点もあるわけでございますから、そういう意味においては、財務会計という点を含めまして、もっと思い切った自主性を与えるべきではないだろうかと私は思うのです。  特に、戦後公社が発足した当時は、これは電電の場合でございますが、予算総額の中において、基準内外の移流用というものは公社総裁に任せておったのでございますよね。それが昭和三十一年以来、予算総則の改正によって禁じられてしまった。あなたと大蔵大臣と相談しなければならぬというようなぐあいになった。ですから、一たん与えた自主性すら取り上げているというのが現状でございますから、やはりもう少し責任を持ってやるようになさい。そのかわり、力がなくてやれない者はかえりゃいいのです。そうでしょう。そのかわり責任を持ってやるようになさい。男一匹、任されればやりますよ。それを蛇の生殺しのように、ああでもないこうでもないというようなことをしゅうと根性を起こしてやるもんだから、本当の機動的な能力の発揮、運営というものができない。あっちを向いたりこっちを向いたり、気ばかり使っている。こういうことじゃいかぬと思うんですね。  いまの公社、郵政が必ずしもそういうことではないと私は思いますけれども、制度的にやはりそういう点が心配される。ですから、心配される点は制度的に直しておかなければならぬのです。二度出た答申を政府はサボってきたでしょう。何のために答申を受けたんですか。二回も審議会を開いて、それで出た答申をたなざらしにしている。  私は参議院におりました当時でも、予算委員会の総括質問で歴代大臣に毎年やりましたが、検討します。やりますと言っておきながら、ちりをかぶってここまで来ているじゃないですか。だから、やる気十分の大臣を迎えたんですから、この際もう一度そういう制度上の問題も含めて前向きで検討してもらい、とりあえずこういう答申も、諮問委員会があるわけですから、法律改正をしなくてもやれる面はどんどんやっていただくと同時に、やはり、基本的にはそういう制度の改正をやらざるを得ないと私は思うんです。やるべきだと思うんですね。そういうもう一歩進んだ前向きの姿勢が欲しいわけですが、どうでしょうか。
  103. 服部安司

    服部国務大臣 全く御指摘どおりなんです。制度上の欠陥も認めますし、人的配置の欠陥もあわせて認めねばならない。結局、言うならば、昭和三十一年ですか、ああいった総則の改正という問題も私はよく知っているんです。なぜああいうことをやらねばならなかったかという点についても、非常に問題が複雑過ぎた。そこで、私は幸い公共企業体閣僚懇談会のメンバーであり、いま調査会でいろいろ検討されておりますが、基本的に申し上げると、制度の欠陥は大きいと思うんです。  公社、公団というのは、予算が決まればこれを委譲して、だれの制約も受けないで独自の構想で国民本位の仕事を進めていくべき性格のものなんです。アメリカはそれははっきりそうなっているんです。だから、その方向に持っていくべきだということを私はかねがね叫んできた一人てあって、先生と同じなんです。ただ、それを私が一人で叫んでもなかなか容易な問題じゃございませんので、幸い最も関係の深い役所の大臣に任命されましたので、メンバーとして今後大いに前向きに真剣に取り組んでまいりたい。先ほど申し上げたのと同様でございます。
  104. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 公社の総裁に経営問題でちょっとお伺いしたいのですが、先般の公共企業体等基本問題会議で、企業体の当事者能力のあり方について恐らくお話が出たと思います。  公社総裁としては、現状は不備な形でありましても、公共企業体という形態はやはりちゃんと守って維持していくという考え方だと思いますけれども、ちょっとその点を伺っておきたい。
  105. 秋草篤二

    ○秋草説明員 現在の公共企業体をいろいろな意味で改組してはどうかという御意見もあったようで、私どもは、現在の公共企業体はいろいろの点でまだ完全とは言いませんけれども、この制度で十分国民の負託にこたえられるというふうに考えております。
  106. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 時間の関係もありますので、この問題は一応この程度にとどめますが、大臣のおっしゃったような制度上の問題もあるわけですから、大臣にも公社の意見も十分お聞き取りいただいて、今後制度改正の方にぜひ持っていっていただきたい。これを強くお願いしておきます。  それから、当面六次計画に当たってお聞きしておきたいことが幾つかございますが、まず、第一番に、現行料金制度のあり方でございますが、これはいろいろいままで論議されてきまして、今度の諮問委員会の答申にも大部分がこれに費やされておりますが、きょう私がお聞きしたいのはグループ料金制についてでございます。  これは幾つかの電話の取り扱い局の加入区域をまとめて一つにいたして、それをグループにします。このグループと同一グループ内のものは当然市内通話になるわけでありますが、これと近接するグループをつくりまして、そのグループ内のものも通話は市内通話並みにするというのがイギリスでやっでおりますグループ料金制です。  私どもは前から日本におきましてもこのグループ料金制を採用すべきであるという立場に立ってきておるわけでございますが、公社としても、前々回の距離別時間差制料金制度の際に、一挙にグループ料金制に移行するのは日本の場合にはなかなかむずかしい点もあるということで、これは私たちもわかるのです。しかし、単位料金区域というのができまして、それとの関連でグループ料金制に一歩近寄っていくような形になっておったわけでありますから、われわれとしてはこれは一つの前進としてとらえて当時賛成しました。  ですから、非常にむずかしい点はありますが、グループ料金制についで真剣に検討を加えられていると思いますけれども、現状はどんなふうになっているか、そしていつごろこういう制度に移そうとしようとしているのか、これを公社からちょっと説明してくれませんか。
  107. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先生の御説ごもっともでございまして、また、内容についてはよく御承知だと思いますが、イギリスと日本と多少違う点がございまして、その辺を検討するのにわれわれも非常に苦労しておるところでございます。  イギリスもグループ料金制をつくりましたときに、非隣接になりますと百八十秒が四十五秒ということで、約四倍になってくるという欠陥があるわけです。ところが、イギリスは家屋が連櫓しておりませんで、都市と都市との間は大体牧場と森というような状況でございますので、そういう格差があっても余り不平が出ないわけですが、日本の場合は都市が全部連櫓しておりますので、極端な格差をつけますとお客さんに非常に御迷惑をかけますし、苦情も多くなるという点がございましたので、先生からただいまお話がございましたように、隣接につきましては、先般のときに六十秒を八十秒にするということで、かなり百八十秒まで近づけてきたわけでございます。  ただ、この場合でも、仮に隣接の八十秒を百八十秒にいたしますと、非隣接が三十八秒になっておりますので、そうしますと四・五倍というようなことになりますので、これをさらに近づける必要があるというのがこの次の問題だろうと思うのですが、そうしますと、その非隣接だけでなくて、その次その次というふうにずっと全部多少なだらかにしていきませんと、一カ所だけがなだらかになってあとがまだ格差があるというのでは問題になりますし、そうしますと収入に対しまして影響がかなり大きいものですから、どうしても単位料金をいじらざるを得ない。そのいじり方もかなり大きないじり方になってくるという点がございますが、先生がおっしゃいましたような電信電話諮問委員会でもこれにつきまして検討するように出ておりますし、それから、同時に、そのときに、生活圏の拡大に伴うグループ料金制だけではなくて、遠近格差の是正というもう一つの大きな問題も出ておりますので、これをあわせて、現在、日本の国情に適したやり方でどうやったらいいかということで検討している次第でございます。  見通しにつきましては、細かい話になりますが、先般五十一年度に料金改定をいたしました後の、いわゆる単位料金が変わったことによるお客さんのトラフィックの変動でございますが、これがかなり影響が大きゅうございますので、ただいまそれの調査分析をやっているわけでございます。この辺が期間がまだ短うございますので的確にとらえられない点がございますが、これを明らかにつかんだ上で検討いたしたいと思っておりますので、時期等についてはまだ決めかねております。
  108. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 この答申の中でもとらえておりますように、現行の単位料金区域そのものも非常に面積が大きゅうございますから格差があるということが一つと、それから、市町村合併などによって行政区域と単位料金区域に不一致な点が出てきているということが二つ目で、それから、大都市周辺の生活圏が著しく拡大したために、単位料金区域の境界付近及び都市部内と周辺都市との間の通話料の負担に不公平が出ているということが三つ目で、こういう三つの大きな点がありますから、やはり、単位料金区域制そのものももう一度考える時期に来ていると思いますね。  ですから、それとあわせてグループ料金制にどうしたら移行できるか。市外通話の隣接、非隣接の場合なんかは四倍、大変高くなるわけですから、こういう点をどうするか。確かにこれは問題があると思いますから、その辺を含めまして、公社がグループ制をやって多少の持ち出しをしてもやむを得ないと思うのですよ。そこに余り段差があっても経営上困るでしょうから、その辺の調整が非常にむずかしいと思いますけれども、ひとつ勇気と自信を持って勉強していただいて、できるだけ早い機会にグループ料金制に移行するようにお願いしたいと思うのですが、総裁、これはどうですか。
  109. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答えいたします。  先生の年来の御主張であられるグループ料金制度は、先生先ほどくしくもおっしゃいましたところの四十六年の広域時分制で確かにこの制度は加味されているのでございます。  ただ、英国と違うのは、いま玉野君が説明したとおり、隣接と同じ市内が一緒ではありませんけれども、非常に安くなっている。だんだんに安くして幅を持たせている。これは相当グループ料金制度の内容を加味した例です。しかし、この単位料金制度を変えるということは、もともと広域時分制をしくときに、行政区域というものはこれからいろいろ時々刻々変わってくるであろうけれども、通信としての料金とエリアというものは変えなくてもいいように一つ設定した。昔を申しますれば、広域時分制をつくる前に、申しますれば東京が一番大きな加入区域で、直径が三十キロくらいある。一番小さいのは、たくさんございますけれども、一キロ半とか一キロくらいの加入区域があったわけでございます。それを、大きな差があっても十倍も差のあるようなことはないようにしよう、半分ぐらいにしようというので、現在もかなり小さい単位料金区域がありますけれども、前に比べればまあまあかなり大きな加入区域になっておるわけでございます。  これを正確に見ますと、まだ不公平な、東京の昔の三多摩の中にあります単位料金区域にはかなり小さいものがたくさんございますが、これをもっと広めろという人もおりますれば、また、その地域社会の人は電話番号が変わるのでいやだという人もおります。なかなかこれはむずかしい問題で、各地方にも、もう少し広く単位料金をふやしてくれという人もおりますけれども、この単位料金をふやすということは、施設の更改もいろいろ考えなくてはなりませんので、なかなかこれは変えたくない方でございます。  いまの単位料金区域のままでグループ料金制ができないかというと、これはまた料金の単価を変えていただければ、先ほど玉野君が言ったように市外は安くして市内を高くすれば多少の公平感はまたできると思いますが、ただいまのところ、単位料金区域を変えるという気持ちは、お言葉ではございますがちょっと持っておりませんです。
  110. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 そうすると、この単位料金区域の面積にかなりの格差があったり、さっき申し上げた三つの問題点があるので、ひとつ料金そのものについても検討を加えなさいという答申が出ておりますね。これは区域そのものの不合理というものも事実あると思いますね。ですから、そういう点を含めて直したらどうかというのがこの答申ですから、私はその答申の趣旨を認めているのです。ですから、そういう意味において、それを是正しながらグループ料金制へと近づけるような努力をしていただいて、第六次五カ年計画の中においてこれが実現できれば非常にいいことです。だから、できるだけ早くやってほしい、そういう努力をしてほしいということを申し上げているわけです。ですから、そのことは、答申を受けた総裁として、できないならこれはもうできないのだと……。  ただ単に単位料金区域を——距離別時間差制は区域から出ているわけですからね。ですから、そういう意味において、区域そのものに対する多少の不合理の是正ということは今後やらなきやならぬというのが答申でございますから、そういう趣旨を尊重してやるのが総裁のこれからのやり方じゃないのですか。そういう意味なんですよ。
  111. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生が言われました現在の単位料金区域で、行政区域が市町村合併等によりまして二単位料金区域にまたがるとか、こういう点があるわけでございますが、これはイギリスの例でもそういう点があったわけでございます。ところが、グループ料金制にいたしますとそれは消えてしまうわけです。隣までいいようになりますから。そうすると、その隣のところの境界がまたあったとしますと、そこを中心にしてまたグループ料金制になりますので、先生行政区域の観念とか、そういうものは単位料金区域を変えなくてもグループ料金制で解消してしまうのではないかと私は考えておるわけでございます。  イギリスでも、単位料金区域を変えますと、過去の長い伝統がありますし、非常に住民苦情も多くなるということで、それも解決するためにグループ料金制を考えたわけでございます。  それから距離の点も、グループ料金制にいたしますとかなり範囲が広くなりますので、いわゆるグループ料金制で隣接まで加えますと、隣接を加えた面積といいますか、これはかなりアンバラが是正されてしまうという結果になりますので、まだこれは詳細に検討してみないとわからぬ点はございますが、恐らくそういう御心配は出ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  112. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 現在の料金そのものがいまの単位料金区域から出ておりますから問題が出てくるのであって、グループ料金制を施行することによってそういう問題が解決されることを望むわけですよ。私も望むわけですよ。ですから、そういう意味において決してこだわっているわけではないが、ここに書いてあるのはグループ制へ移行するという考え方もあるかもしれませんが、この答申の中にはあるかもしらぬが、当面、面積にかなりの格差があるから、これを直すということをうたっておるので申し上げたのであって、ですから、私はもうひたすらにグループ料金制を早くやってほしいという一人ですからこの質問をしたわけでして、いつになるかわからぬということでは困るわけでして、ひとつ慎重に検討してできるだけ早く結論を出すというふうにしてもらいたいのですが、どうですか。
  113. 秋草篤二

    ○秋草説明員 いずれにしましても、いまの基本的な、東京で申しますれば三分十円というベースを変えなければなりません。  それから、また、年来国会でも議論になっております遠距離の通話料金というものも、これは確かに私たちは下げたいと思うのでございます。その機会に、先生の年来の御主張であるグループ料金制というものも考えてみるべき時期ではなかろうかと思っておりますけれども、まだちょっと成案はございませんからはっきりした気持ちは持っておりませんけれども、先生の御趣旨は十分拝聴して検討してみたいと思っております。
  114. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 どうぞお願いします。  それから、時間がありませんので次に移りますが、シビルミニマムといいますか、日本国民である限りどんなところにおっても電話を公平、平等に利用させてもらうということを基本に置いてこの第六次計画はつくってもらわなければ困ると私は思うのです。そういう方向にいままでも努力をされておるわけです。現に、加入区域の特別区域とか区域外というところは、百メートル九千円という特別な負担をさせられ、その上にまた通話面、料金面においても余分な金を取られているという不満があるわけです。これをひとつ解消してほしい。今度は七キロまで拡張されるようでございますから、七キロに拡張した場合、七キロ以外に出っ張ってどのくらいの加入者が残っていくのか、その加入者に対して第六次計画の中でどういうふうな年次計画でそれを解決していくのかという問題ですね。  それから、たとえば、きょうは島本委員はおられませんが、北海道は別だろうと、あの広い地域でそういう意見もあるわけですから、そういうところとか、あるいは山岳地帯、僻地地帯の多い地域等に対しては特別の配慮をしていく。これは技術的な面も含めまして、何かそういうところに安直に——無線という武器もあるわけですから、そういうものを使いましてそういう地域の方々に便益を図るとか、そういうような問題ですね。  郵便の場合には郵便規則八十五条の適用地というのがございまして、そこは配達をしなくてもよろしいということになっているわけですが、電電の方は、そういろ地域に対してかなり電話の架設ができているように思います。先般、これは資料をいただきまして私も承知しております。そこで、そういう地域を完璧なものにするということも含めまして、最低限公共性というものが普遍的に全国に行きわたるような、そういう施策を基本に置いてもらわなければ困ると思うのですが、それらの点についてちょっと公社側の意見を聞かせてもらいたいと思います。
  115. 福富禮治郎

    ○福富説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいますとおりに、電話をあまねく普及するようにかねがね努めてきたところでございますが、昔は電話局から一キロ程度のところまでしか加入区域がなかったというようなところを、ちょうど五次計画の終わりで五キロまでようやく拡大したところでございます。それから、さらに六次五カ年計画でこれを七キロまで拡大したいというような形でいま計画をつくっているところでございます。  一つには、いま先生から御指摘のありましたように、北海道とか山岳地帯についてはどうかということでございますが、七キロという点につきましては、どこにおきましてもほぼ同じようにいたしたいと思っております。ただ、地域集団電話というようなものがございますが、それの一般化に当たりまして、地域集団電話の交換所に機械を置くとかいうようなことも考えまして、七キロ以遠にかかわる地域もありますことから、それらを含めまして弾力的に取り扱っていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  その点を含めますと、御指摘の北海道等の地帯におきましても相当程度の世帯が救済されるものと考えております。そういたしまして、大体いま五キロ以遠にありますざっと三十万世帯のところの七キロ拡大と地域集団電話の一般化という両方によりまして、残ります世帯がおおむね一割程度というふうに考えている次第でございます。  それから、郵便配達の点でございますが、これはちょっと私どものところでは正確には存じ上げないのでございますが、現在、無電話集落というのが四十七年には千六百ほどございましたが、この五十二年度末におきましては約三百程度に減少する予定でございます。このうち郵便規則八十五条の適用されている地域というのが、正確ではございませんが、約三百のうち五%程度含まれているのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  116. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 七キロにして、はみ出していくのは何世帯になるのですか。世帯というか、加入者ですね。
  117. 福富禮治郎

    ○福富説明員 加入者といたしましてはちょっと確認していないのでございますが、どこに電話のついていない世帯がどのくらいあるかということでございますが、五キロ以遠が、正確ではございませんがざっと三十万世帯というふうに考えております。それから先についてどのような分布をしているかということは、私どもとしては電話のついていないところは正確にはなかなかむずかしいのでございますので、郵政省の方におきまして五十三年度に御調査されるというふうに伺っております。  ただ、いま申し上げましたように、七キロまで拡大する点と、それから地域集団電話を一般化するということによりまして、残る世帯が普通加入区域に入らない世帯はどのくらいあるかといいますと、ざっとその一割の三万世帯程度というふうに考えておる次第でございます。
  118. 鈴木強

    ○鈴木(強)委員 いよいよ九九・九%が自動になり、需要供給のバランスがとれてまいったのですが、こういう僻地、山村における無電話部落とか、あるいは電話を引きたくても引けない、余分な費用がかかるということで悩んでいる人がまだおるわけですから、そういう面に対して積極的に施策を施して、シビルミニマムの線を延長してやっていただくようにお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、あとは資料で結構ですから、後で届けてくれませんか。  その一つは、現在電気通信産業労働組合の電通共闘というのがございますが、こういうところに入っている者はもちろんですが、入っていない者であっても、一般的に電通共闘に入っている関連産業の方々を入れまして、直接雇用している労働者の数は何人くらいおるか。  それから、第六次計画の中で雇用不安というものは一体起こるのか起こらないのか。この点は総裁からこの委員会でも御意見を承っておりますが、その点を二番目にお願いします。  それから、公社の内部の問題としては、御承知のように電話が非常に普及発達してきましたから、その面から電報業務というものがだんだん先細りになっているということも事実です。したがって、この電報業務に携わっている諸君の将来に向かっての労働不安というものをどういうふうに事業縮小とともに考えていくのか。これは推測的な点もあるかと思いますが、そういう点を公社で御検討いただいておると思いますから、資料でいただきたいと思います。  それから、もう一つ、大変お忙しいところを恐縮ですが、料金改正の際に、一カ月六十度数以下の加入者については一年間に限って現行料金が据え置きになりましたが、その後この趣旨に沿って公社としてはどういう施策をしていこうとしているのか。これが一つ。  それから、その次に、公衆電話をつけてほしいという意見がまだたくさんあると思いますが、現在はつける場合にどのくらいの使用度数がないとつけないとかという基準があると思いますが、そういう基準だけにとらわれておってもこれは問題があると思いますから、それらの基準の変更を含めまして、今後公衆電話機の設置についてどういうふうにしていこうとするのか。これもお聞かせいただきたい。  それから、案内業務で一〇四番とか一〇五番に公衆電話からかけようとしても、向こうが出てきてもこっちの方が通じないのですね。用をなさないですよ。ですから、技術が進んでいるのですから、何とか公衆電話からも案内係を呼んで電話番号が聞けるような方法をとってもらいたいと思うのです。これがもしそうなっておれば私のあれですから別ですが……。  そういうような点を一つ二つ今後検討していただきたい課題として申し上げて、これはまた文書で出せる点は出していただくようにお願いしたいと思います。  以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  119. 松本七郎

    松本委員長 ただいまの鈴木委員からの資料要求について、特に御発言があれば承りますが、なければなるべく速やかに御提出をお願いしたいと存じます。  小宮武喜君。
  120. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは同僚議員からもいろいろ質問があったことと思いますけれども、簡単に質問しますが、郵便貯金の金利引き下げを実施する方針を明らかにしておりますけれども、いつ郵政審議会に諮るのか、その点をまずお聞きします。
  121. 服部安司

    服部国務大臣 明三十日に第一回の郵政審議会をお願い申し上げております。
  122. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣は、金利引き下げを実施するに当たっても預金者の利益を十分に配慮するということを言明されておるわけですが、それでは、この実施時期の問題、引き下げ幅の問題について、どういう内容のものを諮問するのか、その点はいかがでしょうか。もうあすのきょうだから言うてもいいでしょう。
  123. 服部安司

    服部国務大臣 あす第一回の界議会を開きますが、引き下げ幅、時期などの諮問はいたしません。  と申しますのは、かねがね申し上げておりますとおりに、本年度は三度の公定歩合引き下げによる連動で、郵便貯金にも大蔵当局から依頼があったわけでございます。御案内のとおりでありまして、郵便貯金法第十二条のいわゆる零細預貯金者、ささやかな金利を目的とする庶民を守るあの法律、もちろん、その背後には民間金融機関利率とも勘案しながらという意見はありますが、郵政大臣として、その前段の趣旨を尊重し、ささやかな抵抗でありますが、私は、今日まで何とかこの庶民を守りたいという意欲に燃えてきたつもりでございまして、したがって、どのようにして守るかということについても全く苦悩状態でありますが、あすの諮問は、御承知のとおりに郵政審議委員には各界、各層の方がおられまして、早く下げろという方もありましょうし、絶対下げるなという方もありましよう。  そういう方々の意見を広く求めて、どのような諮問をするかという判断を固めてから本格的な諮問をしたいと私は考えておりますので、あすは、下げ幅、時期というものには全く触れておりません。
  124. 小宮武喜

    ○小宮委員 昨年九月に引き下げをやったときは、小宮山郵政大臣のときですけれども、この場合はわれわれが異常に感ずるほど引き下げ時期、引き下げ幅の問題まで諮問した例があるわけです。したがって、それでは、いまの大臣答弁によれば、あした諮問するのは言うてみれば予備諮問というように理解していいのか。  たとえばあす諮問をして各審議会の人たちの意見を聞きながら、正式にまた引き下げ幅はこれだけにしたい、引き下げ時期はいつからにしたいということで、再度政府の考え方を諮問する、大臣考え方を諮問するという手続になりますか。
  125. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘のとおりだと御理解願えばありがたいと思います。
  126. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういうやり方の方が庶民大衆にプラスになるのか。たとえば、大臣がその庶民大衆の利益を守ることを念頭に置いていついつから実施したい、金利幅はこれだけ下げたいという方向で諮問した方がプラスになるのか。これは出てみなければわかりませんけれども、われわれの立場から見れば、どちらがいいのかなという懸念を持つわけです。だから、大臣にそれだけ預金者の利益を守ろうという気持ちがあるならば、むしろこれはいつからだ、下げ幅はこれだけだと言った方がいいような気もしますけれども、あすの意見で、いやそれは公定歩合引き下げと同じ金利で引き下げろとか、あるいは片一方は公定歩合引き下げたんだからすぐやれとか、そういうような意見が支配するようであれば困ったものだなと考えますが、これは大臣を信頼する以外にありませんけれども、その点は十分配慮してやっていただきたいということをお願いしておきます。     〔委員長退席、鈴木(強)委員長代理着席〕  次は、速達の問題でちょっとお聞きしたいのですが、私は最近速達についての苦情をよく耳にするわけです。というのは、特に苦情の多いのは、速達が一般の郵便物より非常におくれて届いたとかという話以外に、速達の配達区域と配達区域外の問題がよく周知徹底されないために、その配達区域かあるいは区域外かを知らずに速達で出す。そうするとそれが相手に着く場合は、普通郵便物より一日おくれて着いておったという問題もある。これは速達料金を二百円取っておるわけですが、そういう意味では、配達区域はもちろんこれは郵政大臣が定めるところになっておりますし、そしてまた郵便規則で四キロということになっておりますけれども、まず、その配達区域と配達区域外とをなぜ決めてあるのか、その点をまずお聞きします。
  127. 神山文男

    ○神山政府委員 郵便局から約四キロの範囲内は、おおむね人家も多く密集している、速達配達の需要も非常に強いということで、これを速達の配達の区域内といたしておるわけであります。  なお、現在では、住宅等が集中して速達配達に対する需要が多いと見られる地域が四キロ以上八キロメートル以内の範囲内にある場合には、要員事情等も勘案しながら速達配達地域に編入するようにいたしてまいっておる次第でございます。
  128. 小宮武喜

    ○小宮委員 そういう四キロという基準はどういうふうにして決めたのですか。
  129. 神山文男

    ○神山政府委員 配達局から大体四キロ以内が人家も密集し、速達配達の需要も非常に高いということで四キロと決めたものと思われます。
  130. 小宮武喜

    ○小宮委員 その配達区域というのも、特定局の無集配局からじゃないのですよ。これは普通局の集配局から四キロですよ。どんどん都市化していき、団地ができてくるという場合に、いまの四キロだとかということ自体がもうおかしいのです。そういうような、いま言われたことはぼくも知っておりますよ。しかし、それも現実にそのとおり守られておらぬ。そういうことで苦情が非常に多いのですよ。  だから、いまから聞きたいのは、配達区域外の地域は全国でどのくらいありますかということです。
  131. 神山文男

    ○神山政府委員 五十一年五月に調査いたしましたが、全世帯数の約九%、世帯数にして三百万世帯が地域外に所在いたしております。
  132. 小宮武喜

    ○小宮委員 それでは、この配達区域外の速達小包は年間何件くらい取り扱っていますか。
  133. 神山文男

    ○神山政府委員 これも抽出調査の結果でありますが、速達郵便物全体の約二%が地域外あてのものとなっております。
  134. 小宮武喜

    ○小宮委員 総額は……。三億三千万通くらいの二%ですか。
  135. 神山文男

    ○神山政府委員 約三億五千万通の二%ですから七百万通、これは一年間でございます。
  136. 小宮武喜

    ○小宮委員 したがって、トラブルの最大の原因は、いわゆる配達区域内か区域外かということはよくわからぬですよ。これはわれわれだって急ぐものはみんな速達で出すわけですよ。相手が四キロ以内かどうかわからぬですから、ぼくらはもう全部速達で出すわけですよ。それで、それがなかなか着いておらぬ場合が多いわけです。そういうことは利用者もほとんどが知っていない。  ここは配達区域内だ、ここは区域外だということをどういう方法で周知徹底させているのですか。
  137. 服部安司

    服部国務大臣 先般も、速達が利用者の知識不足のためにいろいろなトラブルが起きたことの御指摘を受けて、自来、どのような措置をとるべきかということを私も交えて検討を進めてまいりましたが、まず、投函するポストに事情を詳細にわかりやすく書きまして、もし利用者が発送先が区域内であるか外であるか不明の節は、まことに御迷惑ですがこのような方法でひとつお調べ願いだいとかいうような表示を近く全十三万のポストに掲示をいたしたい。あわせて、速達だから全国津々浦々まで配達区域にするべきじゃないかということもよく聞くわけでありますが、これはそのようにしたいのでありますが、やはり、いろいろな関係でなかなかそうはまいりません。  しかしながら、先般の委員会で御指摘のあったとおり、道路一つ隔ててここに大きなニュータウンができた、しかし、しゃくし定規にここまでが区域だから区域外はだめだというようなところもかなりふえてきたという実態を踏まえて、こういった変化に対応できるように、いま速達区域の見直しもあわせてやらせている現状でございます。  当委員会でいろいろ御指摘を受けたことは、まじめに、真剣にどのようにして御期待にこたえるかというふうに努めていることも御理解を願いたいと存じます。
  138. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵政大臣が非常に前向きに取り組んでおることは私も非常に敬意を表しております。たとえば郵政審議会のメンバーも、事務次官あたり四名と元事務次官五名を解任して新たに入れるとか、非常に前向きで取り組んでおる姿は従来の大臣と違っていて、私は非常に好感を持っているわけです。  しかし、いまの問題にしても、たとえば投函する人は、郵便局でもう速達の切手を買って、そこで張ってきて入れる人もいるわけです。だから、速達料を払ってきて張って入れる場合に、そこではっと見て気づいたとしても、そういう速達料金がもうふいになるわけです。自分が封書を出す場合に、あそこは速達区域かどうかということをポストまで見に行くというようなことはなかなかできませんよ。また、これは実際に当たってみると、配達区域外については専門の郵便局員もよう知らぬですよ。専門の郵便局員が知らぬくらいですから、普通の一般の人が知らぬのはあたりまえですよ。だから、いまの大臣の言われることも一つのアイデアかもしれませんが、しかし、それではやはり不十分です。  そういう意味で、これは私の一つ提案ですが、郵便番号については非常にPRして、番号簿も大体各家庭に配布されておるわけですから、たとえば番号簿の地名のところに「区域外」という表示をしていただくとか、あるいはこれは金がかかるかもしれませんが、やはり区域外の一覧表を配布するとか、そういうことをする方が一番トラブルがなくなるのです。それは金もかかることでしょうけれども、金のことばかり言っておったら、こういうようなトラブルがふえてくることによって——郵政事業というのは利用者の信頼の上に成り立っておるわけだから、そういう意味では、この際根本的に解決するようなことを考えて、金はちょっとかかるでしょうが、区域外の一覧表を各家庭に配布するとか、あるいは番号簿に区域外の表示をするとか、そういうことの方が大臣答弁したポストに表示することよりはよりベターだと私は思うのですが、どうでしょうか。
  139. 神山文男

    ○神山政府委員 速達配達の区域外の区分けでございますが、郵便番号の場合はせいぜい大字程度の区分をすればいいのですが、ところが、速達配達の場合は大字単位の区分では済まないわけでございまして、もっと小さな区分けで表示しないといけないということになりまして、いまの郵便番号程度の表示では不十分であるわけでございます。  実は、いま速達区域便覧というものをつくって郵便局に備えてあるわけですが、これは非常に大きなものでございまして、郵便番号のような小型のものにはならない。それと、現在若干増刷いたしまして、公衆室に備えるものを従来の倍程度の部数を印刷して配布するようにはいたしておりまして、何とか皆さんにもつと容易に知っていただく努力は今後ともしてまいりたいと考えております。
  140. 小宮武喜

    ○小宮委員 いま局長答弁されるようなことを郵便局でよく言われるのですよ。ちゃんと速達便覧を備えつけてありますから見てくださいと言われるが、これはお役所仕事で、めんどうくさくて見る人がいないし、また、それを聞く場合はそういうふうに言うけれども、初めから知らぬ人はそういうようなことは聞きませんから、全部ぱっと張って出してしまうわけです。だから、そういう意味では、もっと親切に、かたくなな気持ちじゃなくて前向きで取り組んでいただきたい。  私はこの際言わせてもらえば、むしろ配達区域外は廃止しなさいと言いたいのです。これが一番手っ取り早いわけです。いま都市構造はいろいろ変わってきておるわけですから、何十年前につくったものか知らぬけれども、郵便法だとか郵便規則にこだわってやっておるようでは利用者に対する本当の親切なあり方じゃないのですよ。そういう意味では、服部郵政大臣のときに英断をふるって撤廃するというぐらいの決意でやってもらいたいと思います。  それから、最近、速達が普通郵便よりおくれるという問題がありますね。これも先ほど申した区域外の問題もありますけれども、ある人が相手方に連絡をして、速達と普通郵便を同時に出させたわけです。これは配達区域内ですが、この人は非常に熱心な男で、試験をしたわけです。すると、何と速達の方が一日おくれて来たという事例もありますよ。これは大体どういうことですか。
  141. 神山文男

    ○神山政府委員 速達郵便物の取り扱いでございますが、運送をする場合は普通郵便物と区別をしまして、別の郵袋に入れまして、特別な表示をいたしまして、最優先の運送便で送るということにいたしておると私は存じておるわけであります。また、配達は、配達区域内であれば速達郵便物だけの別の配達便を設けて配達する。そして、一般の郵便物と区別して優先取り扱いをしている次第であります。また、飛行機に積むことによって速達となるところについては、普通便は列車あるいは自動車で運送するところを飛行機で運送するというようなこともやっております。  そういうことで、できるだけ早く配達をするということでやっておるわけでありますが、先生の御指摘のような事例があったことにつきましてはまことに遺憾なことだと思います。  その理由については個々のケースによって違うと思います。これは別の事例でございますが、大きな郵便局ですと、速達を取り扱うところと普通の郵便物を取り扱うところと担当が分かれておりますが、ある時間帯にたまたま普通郵便物が非常に少なくて、何か速い便に乗って結局速達より早く着いたというような例が最近ございましたが、速達につきましては今後とも最優先の便で、できるだけ早く配達するように努力してまいりたいと存じております。
  142. 小宮武喜

    ○小宮委員 郵便法六十条にも、速達について、他の郵便物に優先して送達するということが書いてあるわけですよ。それだからこそ速達なんです。ところが、実際にはおくれる。努力します。努力しますと言うけれども、ただ局長がここで答弁されても、具体的にはどうするのか。ただ一片の通達をしたぐらいでこんなことは直りませんよ。これは法律が守られておらないということですよ。郵便法六十条に決められておるのに、法律を守るべき立場に立つお役所が、郵政省法律を守っておらぬということなんだ。だから、それはそういうことがないようにここで追及してもしようがない。本当に努力してもらう以外にないのです。  特に、最近速達が非常におくれるということがいろいろ新聞の投書欄にも載っていますけれども、大学入試の受験票がおくれたとか、面接試験の通知がおくれたために第二次試験を受けることができなかったとか、面接試験に行けなかったために就職がだめになったりしたとか、こういう事例が出ておるのですよ。これはただ努力しますとかなんとかいうことで済む問題じゃないですよ。その人から見れば、これは一生のことなんです。一生を棒に振るようなことになるのです。だから、そういう意味で郵便事業というものの重大性と責任というようなものが要求されておるわけです。  そのほかにも、たとえば試験に必要な参考書を送ってくれと頼んだところ、それが試験の当日着いてみたり、友人と会うための通知を速達で送ったが着かぬものだからその人との友人関係が悪くなったり、枚挙にいとまがない。だから、これは、ただ単なる努力をするとかなんとかいうことだけではだめで、そういうことから郵政業務に対する不信と怒りがわいてきておるのです。  これでは、大臣が就任の場合にいつも言われるような、国民に信頼される郵政事業でありたいと言ってみたって、それは単なる念仏にすぎないのですよ。これを具体的にどうするかということをもう一遍見直してもらいたい。  さらに、問題なのは郵便法第三十八条で、速達料金について、「郵政省がその取扱をしなかつた場合、又はその取扱をしないのと同様の結果を生じた場合」においては速達料金は還付されることになっているわけですが、年間の還付金は大体どれくらいありますか。
  143. 神山文男

    ○神山政府委員 これは先生も御承知のように、各郵便局の窓口でお支払いしているわけでありますが、現在のところ、本省としてはそういう数字は把握してございません。  先生の御趣旨もありますので、調査をしてみたいと存じております。
  144. 小宮武喜

    ○小宮委員 大体、請求する人は数えるほどしかいないのです。だから、そういう意味では還付金制度も知らない人が多いわけです。そして、また、料金還付の請求は原則として差出人がなすわけですから、そうすると受け取った方から配達区域外なら「外」というように言ってこなければ、本人はそれで済んでしまうわけです。それであっても、「配達区域外」とスタンプを押した封書をもう一遍送ってもらわなければいかぬわけです。そういうめんどうがかかるから、還付請求をする人がほとんどいないのです。これは調べてみてもわかりますよ。数えるぐらいしかおらぬですよ。  そうだとすれば、やはりこれは問題になりますね。二百円の速達封書なら、いま言うようにおくれたとかいう場合には、先ほどの郵便法三十八条から見ても、これは百五十円の速達料金が還付されるわけですよ。しかし、実際に請求する人がいないから、配達区域外であっても速達料金はそのまま郵便局は取っておるわけです。これは悪い言葉で言えばネコババをしておるんですよ。そのために不当収入を得ておるのです。  その不当収入の金額は年間大体どれくらいの額に達しておりますか。
  145. 神山文男

    ○神山政府委員 配達区域外あての速達郵便物が全体の二%と先ほど申し上げましたが、そうしますと、五十一年度の速達の郵便物数が約三億五千万通ございますが、これの二%と申しますと七百万通、これの速達料が、百五十円分といたしまして、約十億円という数字がその推定でございます。  先ほども申し上げましたように、そのうちどの程度還付申し上げているかという点については、現在把握しておりません。
  146. 小宮武喜

    ○小宮委員 大臣、国の機関が十億の金をネコババしていいのですか。責任はどう感じますか。ネコババですよ。
  147. 服部安司

    服部国務大臣 まことに申しわけありません。しかし、ネコババというのはどうかと思うのです。やはりこれは間違いでして、そのまま料金別納でやったのであれば確かに十億ネコババだと私は素直に認めたい。しかし、切手を売っているわけですから……しかし、どのような理屈を並べても、ただいまの御指摘には返す言葉はございません。  実は、まことに恐縮千万でありますが、先ほども申し上げたとおりに、政府機関が真剣に解決策を見出す努力をしないでこういったことを放置することは許されないという強い指示をいたしまして、いま真剣に取り組んでおります。まことにお恥ずかしいことに相なりましたが、きわめて早い時期にこういった問題の解決のために必死の努力を払うことをはっきりとお誓いいたしたい、かように思います。
  148. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは、いままで何十年かやっておるのだから、何百億というものをネコババしておるのですよ、ネコババという表現は悪いけれども、不当収入を得ておる。そういうことではちょっと困りますね。  だから、一番端的に解消する方法は、配達区域外を取っ払いなさいということですよ。それとも、一挙にそれができないということであれば、やはり国民の利便を考えて、いま局長が言われたように、郵便規則百一条では、四キロ以上八キロ以内であっても、三百世帯以上の住宅が集中するところや工業団地なら、一日十通以上の速達郵便物が見込まれる地域は配達区域内にすることができるとということになっているのだから、これは大臣が配達区域を定めることになっているわけだから、あなたの考えですぐできるのですよ。だから、大臣の決断一つですよ。しかし、百一条のこれとても実際はやられておらぬですよ。自信がありますか。  私は例を挙げますよ。四キロ以上八キロ以内で、住宅が三百世帯以上密集しておるところあるいは工業団地なら、一日十通以上の速達郵便物が見込まれるところは配達区域内にするということになっておるけれども、それすらもできていない。だから、どんどん団地などができてきたりして住宅事情が変わってきているわけだから、そういう実態に合わせて見直しをやらないとこれはもう大変なことになる。だから、その意味では、さしあたり配達区域外を取っ払えという持論を私は持っておるわけですけれども、そこまでいくについてはまた人件費の問題とか増員の問題とかいろいろありましょう。しかしながら、こういう不況のときだから、むしろ不況の克服と雇用の確保のためにも——これは何も新規に採用しなくてもいい。この前も言ったように、たとえば安定所を通じて失業者の中から臨時にアルバイトで使うとか、そういう方法もあるじゃないですか。まあ、お役所というのは法律を一遍つくったら何が何でもそれを死守しようという悪い習慣があるし、また、頭がかたいが、そういうことでは困るので、配達区域外というものを解消する方向でまず検討していただくことです。  それに対して、そう言うけれどもかなり膨大な人間が必要で、これだけの経費もかかるという問題はあるでしょう。だから、そういう意味では、いま四キロから八キロというような百一条にうたわれておるところがあるわけですから、少なくともいまの二倍の八キロまでは全部配達区域にするとか、逐次改善する方法を考えていただきたいと思うのです。そして八キロにした場合は、今度は八キロ以外の配達区域外の人には、先ほど私が提案しておりますように、こことここは配達区域外ですよということを親切に周知徹底する方法をひとつ考えてもらいたいと思いますが、その点はどうでしょうか。ひとつここで見解を聞いておきましよう。
  149. 神山文男

    ○神山政府委員 配達区域の拡大につきましては、先ほど大臣も申し上げたように、私どもも今後真剣に検討してまいりたいと思います。  ただ、これには、先生もう十分御承知のように、要員問題等非常にむずかしい問題が絡んでおります。しかし、要員の差し繰り等がつく状態であれば、これを解消していくということで年々努力はしてまいっておるわけでありますが、たとえば四十七年度から五十一年度までの五年間に約十二万世帯、これはそういう地域ですから、世帯数は少なくても距離的には非常に大きいという問題がございますが、そういう努力はしてまいっておるわけですが、まだ先生の御指摘のような状態であるわけで、今後とも、要員事情等を十分検討しまして、速達配達をできるような方向に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  150. 小宮武喜

    ○小宮委員 単なるその場限りの答弁ではなくて、ひとつ真剣に取り組んでいただいて、また機会があればどういうふうにしたかということをここで改めて質問しますから、その場限りの答弁で終わらせるというようなずるい考え方では困りますよ。  次は、今度は電話料金ですが、総裁、電話料金が不当に高いということでいろいろなトラブルが起きておるようです。したがって、電話料金に不当請求は全然ないのかどうか、その点はどうですか。
  151. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  電話の料金の問題につきまして、利用者の方にいろいろ御心配をかけておりまして申しわけないと思っておりますが、いまの御質問の請求上間違いがないのかどうかという問題でございますが、その請求書を作成いたします作業というのはかなり複雑な工程でございまして、その中で事故を絶滅するような努力は特別に私どもいたしておりますけれども、お問い合わせの結果調べてみますと、遺憾ながら事故が請求が誤りであったという例はございます。  その数は、私どもの管理の仕方からそういう数字になるのでございますけれども、五十一年度の平均でございまして、一万加入当たりで〇・〇五件。雑誌などに百万加入で五件という表現を使っていることもございますけれども、そういう数字になっております。
  152. 小宮武喜

    ○小宮委員 いろいろと公社側の言い分を聞いてみると、いま言われたように一万件のうちで〇・〇五件だと言うのですが、総裁も百万件のうちで五件とか言っておりますけれども、特に機械が非常に正確だから間違いがないというような先入観を持ってもらったら困るのです。機械だから、精巧であればあるほどちょっとしたことで機械は故障が起こるわけです。ですから、そういう意味では、いまの御答弁に対していろいろな皆さん方の問い合わせがあるでしょう。電話料金が高い、これは間違っておるのではないかという問い合わせがくるでしょう。  そこで、これは年間どれくらいありますか。
  153. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  私どもの言い方でいきますと、一カ月一万加入当たりということになりまして、それでございますと五件でございますが、いま先生が御指摘のように、年間で全体で何件になるかということを換算いたしますと、十九万二千件ほどに五十一年度ではなっております。お問い合わせが十九万二千件でございます。
  154. 小宮武喜

    ○小宮委員 これは電話料金ではないのですが、私は電報料金を三カ月ぐらい前に物すごく取られた。これは歳費から引かれておるわけだから構いませんけれども、これはいままでかつてないほど電報料金を物すごく取られた。これは調べてもらおうかと思ったけれども、代議士がそこまで言うのは何かみみっちい話だと思いましたのでしませんでしたけれども、それはそれとして、いま言われておるように、間違っておるのではないかという問い合わせがかなりありますね。その中には勘違いしておる人もおりましょうし、話せば理解する人もおりましょうけれども、必ずしもその人たちが全部が全部理解、納得をする人たちばかりじゃないのですね。  その点で、私はこれは東京近郊の某電話局の某局員の話をちょっと人づてに聞いたわけだけれども、いわゆる公社の見解の六倍ぐらい、つまり、百万件のうち三十件くらい不当請求が発生しておる。それも請求書が出てからミスを発見する数字であって、請求書が出される以前の段階で、これはおかしいということで機械ミスを発見するのは百万件に一万二千件の割合である。これらの事実から見ても、やはりかなりあるのですね。  だから、これらの問題にしても、公社ではただ機械だから信用しなさいとか、あるいは機械は正確だからということをいつも言っておるようでございますけれども、これは総裁もそういうことを言われたということを聞いておるのですけれども、しかし、これは総裁は罪はないと私は思うのですよ。いまの言う数字と大分食い違うわけですけれども、総裁が百万件のうち五件というのは、これはうそを言ったということになるわけですが、これはやむを得ないと思う。これは現場のミスというのは必ず一局長報告が行く、局長から今度はまた通信部長に行く、通信部長から各通信局の方に行く、通信局から本社に来る、本社から総裁に行くまでの間にはこのミスの件数はだんだん減っていくわけです。そうでしょう。  大体、ミスが余り多過ぎると点数にかかわる。これは電電公社ばかりではない。郵政省もそうですよ。これはまた人情でもあるわけです。これは各省もみな同じようなことです。やはり点数に、勤務評定にかかわるから、現場からもし仮に十挙がったとしたら、こういうミスがありましたとか、こういう機械ミスがありましたとか挙がると、今度は局長が通信部長に出す場合には、それをまあ八つぐらいにしておこうということになる。その八つが、今度は九州のあれでいく場合は、これはもう五に減っておる。また今度はこれが本社に来たら、総裁に報告する前に途中でこれが三つに減っておる。それで総裁に来るときにはゼロとか一とか二とかになる。これは人情だから、それをあえて責める気持ちは私はありませんけれども、こういうことで、ただ公社側が機械のミスはないから信頼しなさいと言っても、本当に信頼はできないというのが現状なんです。  たとえば、長崎では、これは電報の問題ですが、こういう事例があるわけですよ。長崎で、去年の二月から七月にかけて五十通の電報と為替電報が蒸発しておった。五十通の為替電報と電報が、ですよ。ところが、その原因をよく聞いてみたら、電報の送受信機の模写通信機のVF9は最新の機械であるから送受の確認をしなかった。ところが、受信機が空振りして停止していたためにそういう事態が発生したということがあるのですよ。だから、そういう意味では、機械だから大丈夫だという反面、機械だから故障が起きる。それで、そのチェックを怠ったということで、為替電報もですよ。  だから、このことを責めようとは私は思いませんけれども、ついでですから聞きますが、公社としては、長崎で去年の二月から七月にこういうような五十通の電報と為替電報が蒸発したということは知っていますか。そして、いつ知ったかを言ってください。
  155. 浅原巌人

    ○浅原説明員 長崎におきます電報事故は、発生いたしましたのは昨年の二月のことでございまして、最近新聞紙上などに報道されまして、大変御心配をかけておりまして申しわけございませんが、事故の原因は、ただいま先生が御指摘のとおり、模写送信機で電報局から近くの郵便局に送ります場合に、通常でございますと、機械で送りました後で、送りました通数を電話で確認をするという作業が標準の実施方法でございます。これをたまたまやっておりませんでしたために、いま御指摘のような不達あるいは重複配達というような事故が起こりまして、お客様から二日後に御注意がありまして、大変にあわてまして調べたところが、不達事故であるということがわかりまして、お客様のところへ局長が駆けつけておわびをいたしますとともに、発信者の方にも参りまして、それぞれおわびをし、返すべき料金はお返しをしたというようなことでございます。  内部では、その後監査が入りまして、状況を確認いたしまして、そういうやるべきことをやってなかったことについて責任者の始末書をとる等の処置をいたしております。  したがいまして、この件は、通信局まで完全に直後に報告、確認をされておりますが、私どものところへはこれらの事故について直ちに報告は来ておりません。最近聞いたような次第でございます。
  156. 小宮武喜

    ○小宮委員 私が言いたいのは、機械だから正確だ正確だと言うけれども、こういう最新鋭の機械だって故障しますよ。だから、そういう意味では、電話料金が高いというトラブルがいろいろ発生した場合に、公社側がただ機械がやることだから間違いはありません、機械ミスというのは百万件のうち五件ぐらいですよというようなことではなかなか納得しかねますので、そういう場合は十分調査をして、相手に納得していただくということをやるべきだと私は思うのです。  しかし、その前に、今日料金に関するトラブルが非常に起きておるから、そのトラブルを防止するためには何か有効な手段、方法はないかということです。
  157. 浅原巌人

    ○浅原説明員 お答えいたします。  電話料金の問題につきまして、先ほど先生から私どもの仕事のやり方等についていろいろ御不信を持たれたようなお話がございまして、特に、報告の問題でございますが、これは申し上げておかないとまずいと思いますので申し上げさせていただきますが、先生が御指摘のように一般の報告もそうでございますが、現場から通信部に上がり、通信局に上がり、本社へ上がってまいりまして、それを集計いたしまして幹部報告をする。電話料金のクレームの問題につきましては四半期に一回ずつ報告が上がってきております。  先生の御心配のように、現場の一種の成績主義と申しますか、点取り主義で何となく事故を少なく報告した方が自分の点数がいいとお感じになるかもしれませんが、実際は逆でございまして、社内の人間は、料金の問題についてきちっと仕事をやらないと電電公社全体のサービスについてのイメージがダウンするということをよく承知いたしておりますので、非常に注意をしてやっておりますし、また、事故の対策上必要といたします経費でございますとか設備でございますとかいうものにつきましても、ある程度はっきりと正直に管理機関に訴えなければ実りませんし、また、仮に事故が多うございまして、お客様の苦情が非常に厳しいという状態になりますと、当然それは上部段階にもはね返ってまいりますから、その報告数字を操作するということは考えられないというふうに私どもは思っております。  そこで、機械だからということでございますが、まず、第一に、私どもは機械だから間違いがないというようなお答えをお客様にしないように非常に丹念な指導をしているつもりでございます。これは五、六年前に電話料金の制度が変わりまして、そのころから特に電話料金の請求書作成上の事故につきましては管理を厳しくいたしまして、非常に多数のチェックポイントを作業工程の中につけまして、チェックリストをつけて毎月管理しております。したがいまして、その過程で当然修正されていく場合もあろうかと思いますので、先ほどのお話はそういうことをある程度知っておる人が言ったのかもしれないと思います。     〔鈴木(強)委員長代理退席、委員長着席〕  しかしながら、私どもがお客様からお問い合わせがあった際には、まず第一にすぐに反論するというようなことをしないで、お客様のお申し出の内容を十分に伺い、問題があるということであれば直ちに調査の方へ回しまして丹念な調査をした上で、中間的報告が必要であれば中間報告をするし、たとえば度数計監査装置というメーターのチェックの機械がございますけれども、その中に収容する必要があると考えればそこへ収容いたしまして、通話の記録ができるような状況に持っていってお客様と突き合わせをやってみるとか、いろいろな工夫をしてやっております。しかし、残念なことには、現在のところは通話料金というものはダイヤル通話料が苦情の主な問題でございますけれども、さかのぼった記録は電話局の中にはございません。  これについていろいろ御意見がございまして、内訳記録というものは出せないものだろうかという話もございますが、しかしながら、これは非常に詳細な、たとえば発信者、それから着信電話番号、日付、時間、料金というような複雑なデータを記録いたしませんとできませんので、設備上の費用の問題もございます。電子交換機が入ってまいりまして、まだわずかしか入っておりませんが、そういうものが普及してきた段階ではかなり可能になってくると思いますが、現在のところではそういうことは必ずしも考えられない。すぐには間に合わない。  そこで、お客様に御説明する応対の方法につきまして、現在は度数計を毎月一回撮影しているのでございますけれども、その撮影の回数をもう少しふやしますと、度数が非常にふえた時期が狭まってまいりますので、それをもとにいたしましてお客様と話をするということも工夫してみたいと思って、いま検討している最中でございます。
  158. 小宮武喜

    ○小宮委員 必ずしも中央で考えておるようにはいかない。確かにいろいろ指導はされておるようですけれども、応対の仕方の問題についても、現地ではやはりいろいろトラブルがあるのですよ。だから、そういったことは、ただ指導しておるからということではなくて、もっと徹底して指導していただかぬと、そういうことにいろいろな不平不満を述べる方もいるのですから、この点は十分考えてもらいたいと思います。  そこで、いまの言葉の中にちょっと出てまいりました度数監査装置ですが、この度数監査装置は現在幾らぐらいしますか。
  159. 浅原巌人

    ○浅原説明員 一個三十万程度と承知しております。
  160. 小宮武喜

    ○小宮委員 電電公社も技術の開発については非常に優秀な技術を持っておられるし、もっと安くてできるような監査装置あたりを開発してもらって、各希望者にはこれを備えつけてもらうというぐらいにしないと——これは皆さん方も同じだけれども、たとえばデパートに行った場合に、あれも買うこれも買うといった場合に、ただ総計であなたのはこれだけですよ、お払いくださいと言われた場合に、はいそうですかと言って払いますか。やはり明細書を見て、ああこれは幾らで、これが幾らで、それで合計してこれだけになるのだなということで納得して金を払うのが社会通念じゃないですか。電話料金だけ、あなたのやつは今月はこれだけ使いましたからお払いくださいと一方的に支払い命令を出すようなことでは、これは社会通念からいって外れておると思う。  だから、いまの金の問題もありますけれども、できればそういう小型の度数監査装置あたりを早く開発してもらって、できるだけそういうトラブルをなくするように努力していただかぬと、いまはただお役所仕事ですね。明細書なしで電話料金をあなたはこれだけ払いなさいというだけでしょう。支払う方は、何月何日にだれのところに電話をかけた分は幾らだという明細は全然ないわけですから、その辺がトラブルの原因にもなっておるわけですから、それを十分考えていただきたいと思います。  これはアメリカではやっておるのですよ。ぼくはある本をちょっと見たけれども、その人は日本におる場合はいまのようなことを言われた。ところが、アメリカに転勤していったら、アメリカでは明細書が必ずついてくる。アメリカでできることがなぜ日本でできぬのかという意見も出ておるわけです。そういった意味で、ただできないできないと言うのじゃなくて、できるようにする方法を十分検討してやってもらいたい。そうしないといまのトラブルはいつまでたっても解消しませんよ。できるだけ少なくするような方法をひとつ検討してもらいたい。  だから、私は最後に申し上げますけれども、たとえば苦情を言う人は一部の人だ、全体は電電公社から出される明細書ではなくて請求書だけで金を払って、皆さん方はそれで満足しておるじゃないか、文句を言うのは一部の人だけだということを言われる人がいるわけですが、しかしながら、やはり公社はサービス機関ですから、そういった意味では、たとえ利用者に勘違いがあったとしても、これを徹底的に調べて利用者の納得を得るようにするのが基本だと私は思うのです。だから、そういう意味でこの問題に取り組んでいただかぬと、私はちょっと口が悪いですけれども、郵政省と同じで、電電公社もどうも官僚的発想で、一般庶民の感覚とはずれておるような感じがするわけです。ああ言えばこれはできません、これは法律がこうなっておりますと言う。法律は人間がつくっておるのだから、社会進歩の情勢の変化に従って改正していくのが法律なんだ。一遍つくったものはもう何が何でも動かすことはできぬというような官僚的発想が郵政省の中にも電電公社の中にもやはりあるような気が私はします。だから、何といっても電話事業というものは利用者の信頼の上に立って成立しておるわけですから、そういう意味で、ひとつ前向きで取り組まれるように強く要望いたします。  ちょうど質問時間も終了いたしましたけれども、大臣と総裁から一言ずつ所見を伺いたいと思います。
  161. 秋草篤二

    ○秋草説明員 貴重な御質問なり御助言をいただきましたが、電話料金の問題は、電電公社がこれだけ技術あるいはサービスも最高になったというふうな世評をとっておりながら、一番頭の痛い問題でございます。現場の従業員もこれには本当に苦労しておりまして、私も暇のあるたびに全国を回って、機関会議でも話をしますけれども、全部の機関長の仕事の上で一番苦労するのは、この料金に対する苦情の応対の仕方、あるいは従業員に対するしつけ等で、ずいぶんこれは苦労します。お互いに、うちの方では度数計に出た数しかございませんと言い、相手様はかけた覚えがないと言う。これだけでございますが、これはとめどなく困難な道を歩かなければならない。  昨今料金も上がりましたし、それから住宅に非常に電話が普及しておりますので、非常に電話の苦情は多くなりました。事故の十倍ぐらい苦情はございます。しかし、これは皆納得していただける方でございますが、事故は幸いにして非常に減ってきておるのでございます。これは従業員の努力と、あるいは機械の精度の上がったことによると思いますが、しかし、これはまた大臣からもいつもおしかりを受けておりますけれども、これは本当に一件でもあってはいけない。三千五百万加入で、月々それをまた計算しなければならぬわけですから大変な数でございますが、仮に百万件に五、六件だといってみましても、数字的には非常に小さい数でございますけれども、一件でもあってはいけないことでございます。  それで、少しでもこれを説明材料なりで親切に説明して納得してもらえるような、先ほど管理局長からも御説明したような方法を、いまできる方法を手数をかけて、もう少し、月一回でなくて二回、三回、四回とか、そういうデータをつくって、それで相手様に説明する資料にしたい。  しかし、それもまたかけた覚えがないと言われればそれまででございますが、しかし、それだけでも多少公社に対する信頼は上がってまいります。将来はやはり詳細資料というものをでき得ればつくりたいのでございますが、何分まだ電子交換機が全体の五%ぐらいしか入っておりませんので、これもだんだん数を多くするうちにおきまして生産コストも下がってまいりますし、普及もしてくるにつれて従業員もなれてきますし、その過程で細部の料金の内訳資料をできるだけつくるような方向で考えていきたいと思っておりますが、しかし、これが電話料金のコストに全然影響しないかといいますと、ざっと申しましても、先般もこの席で総務理事が御答弁したように、一兆円ぐらいな金は最終的には要るだろうと言っておりますし、金利、償却も多少負担しなければならぬ。しかし、それも今後の生産の過程ではだんだん安くなるという方向に行くと思いますから、そういうことで、でき得れば近き将来にこの細部資料もできるだけ新しいサービスとして提供できるような努力をしてみたいと思っております。  以上、まだまとまっておりませんが、いまのところ料金問題についてはそんなふうに結論をしております。
  162. 服部安司

    服部国務大臣 百万分の何とかで、非常に事故率は少ないといったって、それは電電公社の勝手な言い分であって、その百万分の何人かに入った者はたまったものじゃないと思うのです。現にあなたが不審を持っても、おれは代議士だからちょっと再調査を要求しにくいと言われるように、こういう方々もあるかもしれません。なかなか勇気の要ることだと思います。  なお、先ほどの御指摘を私はそこで聞いておりましたが、もっともなんで、おまえはこれだけ使ったから、これだけ金を納めろという請求の仕方も、これはなかなか社会通念上許されるものではございません。しかし、三千五百万対象ということを理屈に挙げて、これも私は理屈にはならないと思いますが、現実問題として、これは理屈はわかっていてもなかなか容易に解決のつく問題ではございませんので、先ほど総裁から答弁のありましたとおり、少々他の事業を割愛しても、政治というのは明るい住みよい社会づくりをするということが基本だから、いやな料金請求が来て不愉快な思いで三日も四日もいるということは大変なことなんだから、私はやはりそういった方面に力を注ぐべきであるという指導を強力にいたしておりまして、先ほど総裁の答弁もあったとおり、電子交換機もだんだん安くなってきたし、また、すばらしい技術開発部門を持っておりますので、こういう方面も総動員いたしまして、御期待に沿うように逐次改善を図っていくように指導したい、かように考えておる次第でございます。
  163. 小宮武喜

    ○小宮委員 質問を終わります。
  164. 松本七郎

  165. 東中光雄

    東中委員 たびたび論議されていることでありますが、高層建築物等によるテレビジョン放送の受信障害を解消する方策についてきょうはお伺いしたいと思うのであります。  共同受信施設の設置の責任及び費用の負担のあり方、それから維持管理責任及び費用負担のあり方、維持管理の実施、こういった点について郵政省としてはどういうふうな方策を出しておられるのか、お伺いしたいと思います。
  166. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、郵政省といたしまして、外部の先生たちにお願いをいたしまして調査会をつくりました。二年半にわたる調査の結果を報告書として郵政大臣に提出をされたわけでございます。その中にございますいろいろな面を勘案いたしまして、指導要領を作成いたしました。それで、現場における紛争等ができるだけ起きないように、その指導要領を当事者が話し合われるときの基準的な考え方として関係方面に御説明をしてまいったわけでございます。  ただいま御指摘の維持管理費につきましても、基本的には原因者の責任と負担において行われることが適当であるというふうに考えておるわけでございますけれども、共同受信施設を設置いたしました場合、受信者は、家庭用アンテナの更改費その他テレビジョン放送の受信に通常必要とする経費の支出を結果的には要しないことになるわけでございまして、この経費に相当する額は受信者が負担することが適当であろうというふうに考えておるところでございます。
  167. 東中光雄

    東中委員 いま、大阪地方貯金局の計算センターが建築中なんですが、この地域で受信障害が起こっておるのですが、郵政省の建築部という名前で、五十三年三月三日に「大阪センター隣接地域のテレビ受信障害解消のための措置方法」というものが出されておるわけであります。その中に、いまお話のありました共同受信施設の設置については、その責任も負担も全部建築側である郵政省というか、貯金局がやるということになっておるわけですが、維持管理については、「共同受信施設設置後の維持管理も郵政省で行いますが、受信者の皆様にも当該施設の設置後不要となる家庭用アンテナの更改費等相当額を当該施設の維持管理費用の一部として負担していただきます。」というふうになっています。これはいま言われたとおりだと思うのですけれども、問題は、この「家庭用アンテナの更改費等相当額」ということが問題だと思うのですけれども、非常によく受信のできるところであって、私の場合もそうでありますけれども、家庭内のアンテナで、外ヘアンテナを張らないでも結構きれいに映っているというところもあるわけですね。  そういうところが今度受信障害が起こってきた。そして共同受信アンテナを立てた。そうすると今度は負担をさせられるというふうな妙なことになるわけですけれども、そういう点についてはどういうふうにお考えになっているか、お伺いしたい。
  168. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘の、大阪の都島区にいま地方貯金局の計算センターを建築いたしておりまして、この建築による電波障害が、その周辺の百三十戸余りに御迷惑をかけているようでございます。  これも東中さんの御指摘のとおり、都島といえば生駒からあれだから最もよい条件のもとに受像できる環境にあることも、私も関西ですから十二分に知っております。したがいまして、御迷惑をかけることについて、いわゆる電波障害を排除する責任は、原因者負担の原則で当然郵政省にあるわけでございますが、後の維持管理の問題について、建築部が現地で御迷惑をかける方々に何か通知を出したとか、御相談を申し上げて、そのうちでも、いわゆる通達で、各戸の今日まで必要としたアンテナ、屋根の上に上げるアンテナの経費の負担をお願いしたいと——ところが、そんなものは必要ないんだ、あそこは非常に恵まれた条件でよく見えるんだ、だからそれはどうなるんだということだと私は理解いたしますが、これは個々の問題の処理というものが非常にむずかしい問題でありまして、いや、うちも室内アンテナであったんだと——最近は室内アンテナという言葉がなくなって、ポータブルテレビならちゃんとついたものが買えますからこれは関係ないんだと言ってしまえば、またこれはもっともな理屈だと私は思うのです。  私は素人ですが、私もテレビジョンを何台か使ってまいりました。郷里の奈良でも使う、東京の宿舎でも使う、また議員会館でも持つ、こうなりますと、つい議員会館あたりはやはりアンテナ式のものを使っているわけです。しかし、私の郷里も、先生も御承知のとおり、生駒からさっと来て何の障害もないから何もなしで完全に映りますが、やはり、個人のアンテナを屋根に上げるとまことに鮮明で、それだけの効果があることを経験いたしました。  こういうことは答弁の理屈にならないとは思いますが、少なくとも郵政省が責任を持って共同アンテナ施設をつくる以上は最高のものをつくって、御迷惑をかけた方々にいままで以上のより良質の画面の受像をしていただけると思うのでありまして、これは非常にむずかしい問題でありますので、ひとつ先生方にも御協力いただいて、ぜひ円満のうちに皆さん方の迷惑を排除したいと念願いたしておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  なお、そう大した経費はかけないように努力することもあわせて申し添えておきたいと思います。
  169. 東中光雄

    東中委員 共同アンテナを立ててくれと言っているわけじゃないのです。いまのままでいいんだ。ところが、自由に立てられたわけであります。自由に立てて、舞い込んできたのが、いままで使っていないアンテナ費まで維持費として使わなければいかぬというのは、これは個々の人々にとっては全く納得のいかぬことです。  それから、このとき配られた資料として、「一般家庭において必要とするアンテナ等の更改に要する算出調書」というものがあるのですけれども、それを見ますと、私も素人でよくわかりませんが、アンテナが四千六百円、据えつけ費が一万円、その他据えつけ台等が千六百九十円、混合器が四千五百円、消耗品及び諸経費が二千百十円、合計二万二千九百円という数字が書いてありまして、耐用年数は六年、そして月額に試算すると三百十八円、これを負担してもらうんだということなんですね。これを配られた人たちは、据えつけ費なんというのが何で一万円も要るんだ、わしのところはくくりつけておいたっていいんだということになるわけですね。全く一方的なんですよ。迷惑をこうむって、そしてもう工事が始まったときから非常に迷惑をこうむっているわけですが、それで、民間と民間との間であればこれは紛争ということになるわけですけれども、電波監理局の立場から言えば、外から見てその紛争を合理的に解決していくという立場でしょうけれども、同じ郵政省が今度は建物の建築者になった場合に、受信者の立場というよりは、高圧的な立場といいますか、ぐっと突きつけてくるというかっこうになっているのです。  それで、まず第一に申し上げたいのは、これは非常に憤慨しているのですけれども、説明会というものがあったそうです。そのときに集まった人が二十七人だった。ところが、いま大臣も言われましたように、百三十世帯が受信障害を受けているが、これはもう全部了解を得たのだと言っているのですね。そんなばかなことはないじゃないかということが問題になっている。こういう点で、これはセットにしてこの「措置方法」と称するものを出して、先ほど読みました措置方法を受けなさいということになっているわけですね。それで、現に工事が始まってからもうしばらくして枠組みができてくると受信障害が起こってくるわけです。だから被害者側はやかましく言うわけですけれども、この工事が始まり出して、五十二年の二月にもう外枠が完成をしておるという状態ですけれども、仮アンテナの設置も、工事期間は長いわけですからなかなかしてくれなかった。  それで、来た人はどう言ったかというと、「同意書」というものを持ってくるわけですね。「郵政省大阪センター隣接地区のテレビ受信障害を郵政省提案する措置方法にて、解消することに同意致します。」ということで、年月日、住所、氏名を入れて判こを押したら仮アンテナをやってあげますという形で出してきた。地域の人が非常に憤慨したわけですね。見たいと思っているときに見れなくなった、何か知らないけれども書類を持ってきて、それでなければ仮アンテナもつけないというふうな姿勢である。これは郵政省、電波監理局の立場から言って——それは貯金局の方かもしれませんが、しかし、こういう姿勢というのは抗議に会って改められたようでありますけれども、そういうところで出てきたのがいま言ったような数字なんですね。  こういうようなものについて、一方的にそういうことをやるのはよくない。室内アンテナの場合は、本来はそれは要らなかったものだ。これは家庭用で必要であった維持費を不当利得するようなかっこうになったらいかぬから、それは払うというのは理屈上はわかりますけれども、払っていなかったものを払わなければいかぬ、必要でなかったものを払わなければいかぬということには理屈上はならないし、それからこういう据えつけ費なんか必要でなかった人が大部分であるのに、それがかぶさってくるというのは、これは当然考え直されなければいかぬことではないかというふうに思うのですが、どうでしょう。
  170. 服部安司

    服部国務大臣 御指摘内容は、これはもう東中先生は長年の友人だから絶対に信頼いたしております。  そこで、どうでしょうか。いま御指摘があった部分は私も非常に疑問点が出てきたので、内容について十二分に検討する時間を私に与えてもらいたいのです。いまここで私が答えれば非常にいいわけですが、やはり、いろいろの事情もありますし、その態度とか、また、そういった一方的な通達行為とか承諾印を押せとかいう行為については私はきわめて遺憾で、これは遺憾の意を表します。そういう御迷惑をかけていたことは事実ですから、もっと誠心誠意接しなければならないと思います。  ただ、そのビルの建築で障害を与えた内容についてどのように処理するかということはいまから前向きに検討してみたい、私はかように考えますので、できれば御了解を願いたいと存じます。
  171. 東中光雄

    東中委員 具体的な問題については、それはそれとしてまた現場でその人たちがやることだと思いますけれども、私は一般的な問題として聞くのですが、こういういわば統一的な措置方法というものが出されて、それで進んでいく。最初に「同意書」というのもちゃんと活版で印刷したものを持ってくるわけですから、そういうやり方自体について疑問を持つのです。民間の相手と交渉している場合はそんなことをやってこないのですよ。ところが、郵政省は指導する立場で、一定の立場を決めておいて、部局が違うからだけれども、こういう形で来るということについては、この五十一年の通達を見ましても、日照妨害とか風害とかいうような問題もあわせて具体的に考えなければいかぬ性質のものだということを書いていますね。そういうものが全部捨象されて、そして類型化して、一方的な算定の基礎を押しつけてくるというふうなやり方というものは、考えなければいかぬのじゃないかと思うのです。  それから、もう一つは、共同アンテナになったことによって不当利得にならないようにしなければ筋が通らないという、その考え方自体は私は否定するわけではありませんけれども、それならその建築によって風害なんか受けた場合のことも総合して考えなければいかぬという理屈、これは当然のことであります。  それから、耐用年数六年ということになっていますね。ところが、維持費は、共同アンテナができたらそのときから、あるいは協定ができたらそのときから始めていこうという姿勢だったら、これまた理屈に合わぬわけですね。この間買ったばかりで、自分のところでつけたばかりだからこれから六年間十分使えると思っておるときに、たまたま建築させられたということになったら、そんな建築維持費を、三百十八円か何か知りませんけれども、払うということは納得がいかぬということになりますね。だからそれは半分で、三年だけは取らないというふうなやり方もどこかでやられたように聞いていますけれども、それも筋が通らぬわけですよ。だから、筋を通すのだったら、あくまでも最大限六年はやらない、そして現実に家庭として維持費の要るところはその分を払うというなら、これはいいわけですけれどもね。  それから、もう一つは、組合のような、あるいは利用者の会のようなものをつくって、そこで集金しろというようなことが契約書の中に入っていますね。そんなものをだれがやるんだ、何の義理があって金集めに行かなければいかぬのだということになっているわけですね。これは非常に手前勝手なんですよ。持ってきてくれと言って来たのじゃなしにですね。  そういうことでの迷惑をかけているというふうに大臣が言われますが、その姿勢を貫けば、工事をやるときに、工事公害の補償費をあらかじめ準備するとか、建物の維持管理についての予算を組んでいくとか、あるいはその中へ電波障害についての共同アンテナも予算に組まれなければいけないし、維持管理費も当然組んでおくべきだ。相手が不当利得するということで、平均的なものをとって一方的に加えるということはやるべきではないと私は思うわけであります。  これは合理的に納得すれば別ですけれども、設備を、納得して了解をしなければつくらないというふうな横暴な態度で強制してしまうということになったら、これは全く国民の権利を不当に力で侵害していくということになると思うのですが、そういう点で、本来ならば要る何がしかの家庭用の修理費用を不当利得にならないように納めてもらうということは理論上あり得るけれども、そのほかに理論的に言えばいろいろな迷惑をかけているということもあり得るわけですから、こういう点はゼロを含めて検討されるべきものではないかと思うのですが、これは監理局の方で総合的にということを言われておるから、ゼロも含めて、維持管理費、利用者側負担がゼロになる場合もあるということを含めて、あの通達といいますか、指導要領を読めないことはないのですけれども、実情に即してゼロもあり得るということかどうかということをお聞きしておきます。
  172. 服部安司

    服部国務大臣 私は、話の内容はよくわかりました。けれども、いまゼロを含めてと言えというお言葉ですが、ちょっとそれは勘弁していただいて、私が今日まで当委員会で議員さんと約束したことは必ず守ってきたつもりでありますので、ひとつ時間を与えていただいて、実態を調べさせてもらいたいと思います。私決して無理なことはさせませんし、また、やってはならないのです。何といったって、後から出ていってにょきにょきとビルをつくって周辺に迷惑をかけておるのは、これは厳粛な事実ですから、何ぴとも否定できないのですから、私は謙虚にこれは認めます。  しかし、その解決については、いろいろと解決の方法があろうと思いますし、また、先ほどもおわび申し上げたとおりに、何か役人が非常に不愉快な、激怒を買うような横柄な態度をとったという点についても、私はそういうことを一番気にする性格の持ち主で、そういう点についても今後関係局長を通じて十分指導させますが、ひとつ検討する時間を与えていただきたい、かように思う次第であります。
  173. 東中光雄

    東中委員 大臣がそう言われておるのですから、ぜひ実情に即した解決を図っていただきたいということを申し上げます。  同時に、この指導要領でこういう項目があるのです。「当該事例における諸船の事情を勘案して最も妥当と認められる解決方法を採ることが望ましい。」とあるが、その前に、「日照妨害、風害等の影響を周辺にもたらす場合が多く、これらが総合的に勘案され、解決されることが通例である。」というふうになっております。ところが、そういうことは全部ネグってしまってきているところに問題があると思うのです。これは五十一年三月六日の「郵放企第八号」ですが、そうなっておりますので、貯金局か建築部か知りませんが、監理局の出している指導要領に従わないというようなことのないように、これは大臣の方から特に御配慮をされるようにお願いして、時間でございますので質問を終わります。
  174. 松本七郎

    松本委員長 次回は、来たる四月五日水曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会      ————◇—————     午後五時十三分散会