○田中(昭)
委員 御苦労さんでございます。
けさほどから各
委員の質問を聞いておりましたが、現在の
放送界の中で、公共
放送の
NHKや民放がそれぞれいままで
努力をしてまいられて、特に、公共
放送である
NHKのいま置かれております環境は、
意見書等にもありますように、大変厳しい環境であるという認識があるわけでございます。それに対して
先ほどからいろいろな
意見交換が行われておりますが、
NHKを育て、また指導もしていかなければならない
郵政省の
考え方が
先ほどから問題になっておりますが、
大臣の
意見書という形で出ておりますが、それに対して私はまず一点もう一回簡単に聞くわけですが、いままでの議論を聞いてみますと、いわゆる
NHKは
受信料収入でとにかく
放送をやっていく、片方民放は広告
収入等でものすごい成長をしながら、もうけながら
——もうけることは歓迎だという
大臣のお話もありましたけれ
ども、それはやはり何でも度合いがあると思うのです。
そういうことで、いままで二本立てでやってきたことについてはそれぞれの評価はありましょう。しかし、ここ数年私もこの逓信
委員会でいつも問題にしておりますのは、いまの
NHKの
収支が相償わない
状態であって、一昨年
料金値上げをして、翌年にはもう赤字、さらに赤字というような状況が温存されておるということは
先ほどから明らかになっておると思うのです。
そこで、時間がございませんから
大臣にお聞きしますが、
先ほど大臣は、
NHKが
収入の
増加について
努力をしておると言われた。そして、具体的には、契約をしない人、不払い等の額も大きい、
努力するけれ
ども、その大きい額が年々減らない、かえってふえていくというようなことは自分は納得がいかないというような立場での御答弁があった。それも事実です。しかし、あなたの頭の中には、米軍の基地の中では
受信料を払わないことがあるとか、不払いを含めて五十億円くらいそういうものがあるとか
——何か、そういうような御発言をなさったが、そういう状況に
NHKを持ってきたのは
郵政省ではないのか。ほかの民放を含めて、
NHKが
収入が頭打ちして
支出が累増していくのは健全なる
経営じゃないということは
先ほどの
大臣の御答弁でわかりますが、そういう姿を放置してきたといいますか、その証拠に、毎年
大臣の
意見書を見ますけれ
ども、書いてあることは、
大臣の
意見書というのはこういうことしか書いてはいけないという役所の決まりがあるのですか。
あなたはさっき、自分は過去の
意見書を見ていないと言われた。しかし、
NHKの置かれている立場を
考えたら大変だから、五十一年の附帯決議も見て自分はよくわかっておるつもりだというふうに言われた。ですから、その言われることは的外れじゃないと思うのですが、その言われたことについて、
NHKがどういうふうに健全なる
経営をしていくかというアドバイスがないという感じがしてならない。ということは、そういうことを繰り返しながらいまの
状態を続けていくと、
先ほどの
会長さんのお話のように、五十三
年度は何とかなるだろうけれ
ども、五十四
年度は赤字になります。健全なる
経営だということになれば料金を上げなければならないという話になってくる。
失礼ですけれ
ども、
大臣の
意見書は、ここ十年ぐらい書いてあることは、まず
事業の
効率化と
経費の
削減を図ってりっぱにやりなさいということと、もう
一つは
番組の問題、これをりっぱにやりなさいということと、もう
一つは、法で決められた難
視聴を解消しなさいということ、このことしか書いてありません。それを順番を変えて言っているだけです。違いますか。それ以外の
経営の
健全化ということで、大胆な
NHKをバックアップする
意見が書かれたことは私は見ておりません。
大臣も、
大臣になられてからまだ間もないから、そういうことを私はきょうはこちらから一方的に申し上げておきます。
確かに
現実は、
先ほどから話がありますように、
NHKは
収入が頭打ちで、
経費は年に一割か、その辺のところはふえていく。しかし、
収入はそのくらいふえない。
放送が出発したときには民放の十倍の
収入があった
NHKが、十年前には民放の半分になった。現在はまた逆に十分の一くらいになった。十分の一ということはありませんが、それで片方民放は七千億になんなんとする広告
収入でもうかっておる。ところが、もうかっておる民放の一社の利益分でも
NHKの赤字に匹敵するようなものですよ。
結論を申し上げます。いままでの
放送法なり関連の法律がいじられていないということもありますが、行政当局も
国民もこぞって
NHKを公共
放送として本当にりっぱなものにしていこうとするならば、
先ほど話がありましたように、文化
施設を残しておりますから、それを続けていかせようとするならば、やはり、その
責任を持っておる
郵政省が、いままでのことは評価するという声があるのですから、今後については温かい配慮と法の裏づけをしなければならないと思うのですが、こういう立場に追い込んだのは何といっても
郵政省であるということに対しての御所見をお伺いしたい。