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1978-06-15 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月十五日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 高村 坂彦君 理事 中村 弘海君    理事 中山 利生君 理事 小川 省吾君    理事 佐藤 敬治君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       地崎宇三郎君    中村喜四郎君       西田  司君    新村 勝雄君       細谷 治嘉君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     加藤 武徳君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   小野佐千夫君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 黒川  弘君         警察庁刑事局保         安部長     森永正比古君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         自治大臣官房長 石見 隆三君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長         兼自治省税務局         長       森岡  敞君         消防庁長官   林  忠雄君         消防庁次長   福島  深君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     石瀬  博君         大蔵大臣官房企         画官      柏谷 光司君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 山口 健治君         文部省社会教育         局青少年教育課 柴沼  晉君         長         通商産業省貿易         局総務課長   志賀  学君         通商産業省産業         政策局商務課長 若林  茂君         通商産業省立地         公害局保安課長 水野  哲君         資源エネルギー         庁石油部流通課         長       廣重 博一君         資源エネルギー         庁公益事業部ガ         ス保安課長   香田  昭君         運輸省航空局監         理部総務課長  山田  宏君         建設省住宅局住         宅総務課長   川合 宏之君         消防庁技術監理         官       矢筈野義郎君         参  考  人         (全日本動物輸         入業者協議会会         長)      河野 通敬君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十三日  辞任         補欠選任   甘利  正君     川合  武君 同月十四日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     木村 武雄君   井上  裕君     二階堂 進君   石川 要三君     稻葉  修君 同日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     石川 要三君   木村 武雄君     相沢 英之君   二階堂 進君     井上  裕君     ――――――――――――― 六月八日  ボイラー技士地方自治法に基づく格付変更に  関する請願小林正巳紹介)(第五七九九  号) 同月九日  東京財政確立に関する請願外三件(大出俊君  紹介)(第五九一四号) 同月十日  東京財政確立に関する請願不破哲三君紹  介)(第六一六一号)  同(依田実紹介)(第六一六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件  請願   一 地方公営企業財政健全化に関する請願     外二件(太田一夫紹介)(第三号)   二 同外六件(横山利秋紹介)(第六四     号)   三 事業税事業主報酬制度創設に関する請     願外一件(大平正芳紹介)(第三七     号)   四 同(櫻内義雄紹介)(第三八号)   五 同(竹中修一紹介)(第三九号)   六 地方財政確立等に関する請願荒木宏君     紹介)(第一九一号)   七 東京財政確立に関する請願高沢寅男     君紹介)(第一九二号)   八 同(山本政弘紹介)(第一九三号)   九 地方公営企業財政健全化に関する請願     外二件(加藤清二紹介)(第三五五     号)  一〇 同(田中美智子紹介)(第三九一号)  一一 地方財政確立等に関する請願矢野絢也     君紹介)(第三五六号)  一二 東京財政確立に関する請願金子みつ     君紹介)(第三九〇号)  一三 事業税事業主報酬制度創設に関する請     願外一件(瀬戸山三男紹介)(第四五     六号)  一四 行政事務及び財源再配分等行政改革推     進に関する請願加藤六月紹介)(第     五三五号)  一五 事業税事業主報酬制度創設に関する請     願外十五件(羽田野忠文紹介)(第五     三六号)  一六 同(天野光晴紹介)(第五六三号)  一七 地方財政確立等に関する請願中村正雄     君紹介)(第五六二号)  一八 地方公営企業財政健全化に関する請願     (水平豊彦紹介)(第六七七号)  一九 東京財政確立に関する請願外一件(加     藤万吉紹介)(第六九一号)  二〇 同(工藤晃君(共)紹介)(第七二九     号)  二一 同(小林政子紹介)(第七三〇号)  二二 同(不破哲三紹介)(第七三一号)  二三 同(松本善明紹介)(第七三二号)  二四 同外一件(高沢寅男紹介)(第八〇九     号)  二五 地方財政確立等に関する請願荒木宏君     紹介)(第七二五号)  二六 同(東中光雄紹介)(第七二六号)  二七 同(正森成二君紹介)(第七二七号)  二八 同(三谷秀治紹介)(第七二八号)  二九 東京財政確立に関する請願池田克也     君紹介)(第二二五号)  三〇 同(有島重武君紹介)(第一一四二号)  三一 同(大久保直彦紹介)(第一一四三     号)  三二 同(大野潔紹介)(第一一四四号)  三三 同(長田武士紹介)(第一一四五号)  三四 同(斎藤実紹介)(第一一四六号)  三五 同(鈴切康雄紹介)(第一一四七号)  三六 同(竹入義勝君紹介)(第一一四八号)  三七 同(中川嘉美紹介)(第一一四九号)  三八 同(長谷雄幸久紹介)(第一一五〇     号)  三九 同(松本忠助紹介)(第一一五一号)  四〇 同(小川新一郎紹介)(第一一八四     号)  四一 同(工藤晃君(共)紹介)(第一二四五     号)  四二 同外一件(小林政子紹介)(第一二四     六号)  四三 同(不破哲三紹介)(第一二四七号)  四四 同(松本善明紹介)(第一二四八号)  四五 地方財政確立等に関する請願三谷秀治     君紹介)(第一二三二号)  四六 同(荒木宏紹介)(第一三〇七号)  四七 東京財政確立に関する請願小林政子     君紹介)(第一三〇八号)  四八 地方公営企業財政健全化に関する請願     (加藤清二紹介)(第一四二六号)  四九 東京財政確立に関する請願高沢寅男     君紹介)(第一四七〇号)  五〇 同(金子みつ紹介)(第一五二四号)  五一 同外一件(長谷川正三紹介)(第一五     二五号)  五二 地方財政確立等に関する請願春田重昭     君紹介)(第一四七一号)  五三 地方公営企業独立採算制度廃止等に関     する請願安藤巖紹介)(第一五五八     号)  五四 同(田中美智子紹介)(第一五五九     号)  五五 東京財政確立に関する請願工藤晃君     (共)紹介)(第一六三〇号)  五六 同(小林政子紹介)(第一六三一号)  五七 同(不破哲三紹介)(第一六三二号)  五八 同(松本善明紹介)(第一六三三号)  五九 同(渋沢利久紹介)(第一七一七号)  六〇 地方公営企業財政健全化に関する請願     外二件(石田幸四郎紹介)(第一六六     九号)  六一 地方財政確立等に関する請願北側義一     君紹介)(第一八〇〇号)  六二 事業税事業主報酬制度創設に関する請     願(中野四郎紹介)(第一八八四号)  六三 産休補助教員年金に関する請願小川     省吾紹介)(第二二七五号)  六四 同(佐藤敬治紹介)(第二二七六号)  六五 同(小川新一郎紹介)(第二五三〇     号)  六六 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願外一件(小川新一郎君紹     介)(第二五三一号)  六七 同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第二五     六二号)  六八 同(加藤清二紹介)(第二五六三号)  六九 同外二件(佐藤敬治紹介)(第二五六     四号)  七〇 同外一件(塚田庄平紹介)(第二五六     五号)  七一 同外二件(村山富市紹介)(第二五六     六号)  七二 同外二件(田口一男紹介)(第二六三     五号)  七三 同(野坂浩賢紹介)(第二六三六号)  七四 同(上原康助紹介)(第二六七七号)  七五 同(浦井洋紹介)(第二六七八号)  七六 同外五件(小川省吾紹介)(第二六七     九号)  七七 同外六件(加藤清二紹介)(第二六八     〇号)  七八 同(川崎寛治紹介)(第二六八一号)  七九 同(佐藤観樹紹介)(第二六八二号)  八〇 同(新村勝雄紹介)(第二六八三号)  八一 同外一件(田口一男紹介)(第二六八     四号)  八二 同(田畑政一郎紹介)(第二六八五     号)  八三 同外二件(多賀谷真稔紹介)(第二六     八六号)  八四 同(武部文紹介)(第二六八七号)  八五 同(細谷治嘉紹介)(第二六八八号)  八六 同外六件(村山富市紹介)(第二六八     九号)  八七 同外二十六件(横山利秋紹介)(第二     六九〇号)  八八 同外一件(上原康助紹介)(第二七三     五号)  八九 同外一件(坂口力紹介)(第二七三六     号)  九〇 同(新村勝雄紹介)(第二七三七号)  九一 同(渡辺三郎紹介)(第二七三八号)  九二 地方公営企業独立採算制度廃止等に関     する請願安藤巖紹介)(第二六七六     号)  九三 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願佐野進紹介)(第二八     〇五号)  九四 同(渋沢利久紹介)(第二八〇六号)  九五 同外一件(鈴木強紹介)(第二八〇七     号)  九六 同外一件(山本悌二郎紹介)(第二八     八四号)  九七 同外一件(大橋敏雄紹介)(第二九〇     四号)  九八 同(森井忠良紹介)(第二九〇五号)  九九 産休補助教員年金に関する請願(千葉     千代世紹介)(第二八〇八号) 一〇〇 地方財政改善促進に関する請願(椎名     悦三郎君紹介)(第二九〇六号) 一〇一 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願荒木宏紹介)(第三〇     〇一号) 一〇二 同外一件(鈴切康雄紹介)(第三〇〇     二号) 一〇三 同(柴田睦夫紹介)(第三〇九七号) 一〇四 東京財政確立に関する請願有島重武     君紹介)(第三〇八八号) 一〇五 同(近江巳記夫紹介)(第三〇八九     号) 一〇六 同(工藤晃君(共)紹介)(第三〇九〇     号) 一〇七 同(小林政子紹介)(第三〇九一号) 一〇八 同(坂井弘一紹介)(第三〇九二号) 一〇九 同(春田重昭紹介)(第三〇九三号) 一一〇 同(不破哲三紹介)(第三〇九四号) 一一一 同(古川雅司紹介)(第三〇九五号) 一一二 同(松本善明紹介)(第三〇九六号) 一一三 同(長谷川正三紹介)(第三一三六     号) 一一四 産休補助教員年金に関する請願三谷     秀治紹介)(第三〇九八号) 一一五 東京財政確立に関する請願飯田忠雄     君紹介)(第三一七一号) 一一六 同(長谷雄幸久紹介)(三一七二     号) 一一七 同(清水勇紹介)(第三二〇一号) 一一八 同外二件(長谷川正三紹介)(第三二     〇二号) 一一九 同(山花貞夫紹介)(第三二〇三号) 一二〇 同(渋沢利久紹介)(第三二三八号) 一二一 同(沢田広紹介)(第三二八一号) 一二二 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願柴田睦夫紹介)(第三     一七三号) 一二三 同(荒木宏紹介)(第三二三七号) 一二四 同(和田耕作紹介)(第三二八〇号) 一二五 同外二件(加藤万吉紹介)(第三三五     八号) 一二六 同(井上一成紹介)(第三三六七号) 一二七 同(馬場猪太郎紹介)(第三三六八     号) 一二八 東京財政確立に関する請願外一件(山     本政弘紹介)(第三四二六号) 一二九 都市交通におけるハイヤー・タクシーの     運行効率増進等に関する請願新井彬之     君紹介)(第三五八一号) 一三〇 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願上田卓三紹介)(第三     五八二号) 一三一 東京財政確立に関する請願高沢寅男     君紹介)(第三六二四号) 一三二 退職地方公務員共済年金恩給改善等     に関する請願永末英一紹介)(第三     九八九号) 一三三 ボイラー技士地方自治法に基づく格付     変更に関する請願飯田忠雄紹介)(     第四〇一〇号) 一三四 同(河上民雄紹介)(第四〇三五号) 一三五 同(佐々木良作紹介)(第四〇九四     号) 一三六 東京財政確立に関する請願大柴滋夫     君紹介)(第四五五七号) 一三七 同(阿部昭吾紹介)(第四八五八号) 一三八 同外六件(加藤万吉紹介)(第四八五     九号) 一三九 同外一件(金子みつ紹介)(第四八六     〇号) 一四〇 同(工藤晃君(共)紹介)(第四八六一     号) 一四一 同(小林政子紹介)(第四八六二号) 一四二 同外二件(佐野進紹介)(第四八六三     号) 一四三 同(渋沢利久紹介)(第四八六四号) 一四四 同(鈴切康雄紹介)(第四八六五号) 一四五 同(楢崎弥之助紹介)(第四八六六     号) 一四六 同(野口幸一紹介)(第四八六七号) 一四七 同外二件(長谷川正三紹介)(第四八     六八号) 一四八 同(平林剛紹介)(第四八六九号) 一四九 同(不破哲三紹介)(第四八七〇号) 一五〇 同(松本善明紹介)(第四八七一号) 一五一 同外二件(山花貞夫紹介)(第四八七     二号) 一五二 同外三件(山本政弘紹介)(第四八七     三号) 一五三 東京財政確立に関する請願加藤万     吉君紹介)(第四八七四号) 一五四 地方財政確立等に関する請願馬場猪太     郎君紹介)(第四八七五号) 一五五 ボイラー技士地方自治法に基づく格付     変更に関する請願石井一紹介)(第     四八七六号) 一五六 同(渡部一郎紹介)(第四八七七号) 一五七 自治体の臨時職員非常勤職員経由者の     共済年金通算に関する請願佐野進君紹     介)(第五四〇六号) 一五八 東京財政確立に関する請願岩垂寿喜     男君紹介)(第五四八〇号) 一五九 同外一件(高沢寅男紹介)(第五六二     六号) 一六〇 ボイラー技士地方自治法に基づく格付     変更に関する請願小林正巳紹介)(     第五七九九号) 一六一 東京財政確立に関する請願外三件(大     出俊君紹介)(第五九一四号) 一六二 同(不破哲三紹介)(第六一六号) 一六三 同(依田実紹介)(第六一六二号)      ――――◇―――――
  2. 木村武千代

    木村委員長 これより会議を開きます。  まず、請願審査を行います。  請願日程第一から第一六三までを一括して議題といたします。  まず、審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の内容については、文書表等ですでに御承知のことでありますし、また、理事会で慎重に検討を願いましたので、各請願について紹介議員説明等はこの際省略し、直ちに採否決定に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の請願日程中、第六、第一一、第一四、第一七、第二五ないし第二八、第四五、第四六、第五二、第六一、第六三ないし第九一、第九三ないし第一〇三、第一一四、第一二二ないし第一二七、第一三〇、第一三二及び第一五四の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、残余の請願は、いずれも採否決定を保留いたしたいと存じますので、御了承願います。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 木村武千代

    木村委員長 今国会におきまして、本委員会参考のため送付されました陳情書は、お手元に配付いたしてありますとおり、地方財政確立に関する陳情書外二十七件でございます。念のため御報告を申し上げます。      ――――◇―――――
  7. 木村武千代

    木村委員長 次に、閉会審査申し出の件についてお諮りいたします。  第八十回国会提出  小川新一郎君外一名提出に係る  人口急増地域対策等特別措置法案  小川新一郎君外三名提出に係る  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案 及び  小川新一郎君外三名提出に係る  国と地方公共団体との財政上の負担関係健全  化に関する法律案  今国会提出  細谷治嘉君外六名提出に係る  地方公共団体に対する臨時雇用創出交付金の交  付に関する法律案 及び  細谷治嘉君外六名提出に係る  地方公営交通事業特別措置法案 並びに  地方自治に関する件  地方財政に関する件  警察に関する件 及び  消防に関する件 以上の各案件について、議長に対して、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件が付託になり、その審査に当たり委員派遣を行う必要が生じました場合には、派遣委員の選定、派遣地派遣期間等につきましては、委員長に御一任願い、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 木村武千代

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  10. 木村武千代

    木村委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  本日、地方自治及び警察に関する件について、参考人として全日本動物輸入業者協議会会長河野通敬君の御出席を願っております。  この際、河野参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。何とぞ忌憚のない御意見を承りたいと存じます。  なお、議事の都合上、御意見質疑応答の形でお述べ願いたいと存じますので、御了承願います。  質疑申し出がありますので、これを許します。山本悌二郎君。
  11. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 本国会もあすで終了することになるわけでありますが、先輩諸公皆さん方の御努力でいろいろな法案が成立をしてまいりますし、また同時に当委員会も論戦激しく、地方税交付税あるいは諸法案皆さん方努力をされてまいりました。  ところが、この国会も二月ほど前ぐらいになりますと、そろっと解散かぜというかぜがはやりまして、どこともなくわれわれの体の中を侵食するのであります。侵食されますと、ついにはのどが痛んだり頭が痛んだり、足が悪くなったりするのであります。実は解散になりますと選挙ということになるのでしょうが、まずその選挙担当大臣であります加藤大臣、国籍は福田派だそうでありますが、総理のおひざ元にいてこの解散かぜを吹き荒らしているのではないかと心ひそかに喜んでいるのでありますけれども、加藤大臣から、解散かぜの起きている状態、それから一体一年半くらいで解散をしなければならない理由、それから準備、こんなことについてちょっとお伺いいたしたいのでありますが、いかがでございましょう。
  12. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたけれども、私は旧福田派に属しておりましたことは事実でございます。がしかし、派閥が解消されておる現在でございますから、旧福田派とは言えましょうけれども、いわゆる福田派なるものは存在いたしておらぬ、かような私個人の認識でございます。そして、なるほど閣内におりますので、福田総理とは絶えず接触をいたしますことも事実でございますし、閣議等を通じまして福田総理の考え方も承知をいたしておると思うのでございますけれども、しかし、事解散に関しましては、公の立場でも、また私の立場でも一切福田総理の御意見は伺ったこともございませんし、また福田総理はしばしば解散のことは考えておらぬと、かような言明でございますので、私はいま目の先あるいは近い機会に解散があろうことは予想しておらないのでございます。  したがいまして、選挙を担当いたしておりまする自治省といたしましても、総選挙準備などは、通常の形においてやりますることは、それはございますけれども、解散を当面の目途といたしましての諸準備等は一切いたしておらぬ、これが現況でございます。
  13. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 解散がないとおっしゃるんですね。総理大臣が考えていないというのですけれども、どうもハワイ発言以来考えているのやらないのやら、それからまた、旧各派がかなり解散反対を起こす、いやそうでないという、どうも生々しい政治論議がありまして、あす国会が終わりまするとそれぞれ皆お国帰りということになるのでしょうが、自治大臣から解散があるから準備しろなんということはそれはできないと思うのです。しかし、そうはいっても各都道府県には何らかの形で、あるにしろないにしろサゼスチョンをしておきませんとぐあいが悪いんじゃないでしょうか、大臣いかがでございましょう。
  14. 加藤武徳

    加藤国務大臣 選挙を所掌し、また選挙を担当するものといたしましては、日ごろから選挙に対応いたします準備を通常の形においてしておらなければならぬことは御指摘のとおりであろうと思うのでございますけれども、しかし、解散が近いからその準備などということは現段階におきましては全く考えておらないところでございますから、関係向きに対しましてもさような指示等は一切いたしておらないところであります。
  15. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それでは大臣にお伺いしますけれども、万が一解散があって、解散から総選挙までどれくらいの日数と準備がかかるものですか。いままでの経験からお尋ねいたしたいと思います。
  16. 加藤武徳

    加藤国務大臣 過去十数回の解散の場合、おのおのその準備の状況等が異なっておると思うのでございますけれども、事務的な取り運び等につきましては詳しくは承知をいたしておらないのでありますから、政府委員承知をいたしておりまするならば答弁をさせたい、かように思います。
  17. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 選挙部長が参っておりませんので、至急選挙事務当局の方へ照会したいと思います。
  18. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大臣、解散がないということで安心しました。まあしかし抜き打ちでばっさりやらないでくださいね。やはり物心両面の準備があるでしょう。また、自治当局も当然そういうことであると思うのでありますので、もしおわかりでしたら、ちょこっと先に聞かしていただくと私も幸いだし、皆さん助かるんじゃないか。これは自治省仲間であるいは地方行政としても本当にうれしい話でありますが、ないということを信じておきたいと思います。  さて、二番目の質問に移りますけれども、最近町村合併というのがすっかり落ち着いてしまいまして、いい傾向だと思うのですけれども、私は全国いろいろなところに参りまして、また自分の住まいをしている地域あるいは選挙区なんか見まして、いまのままでいいのではないかとは思いますけれども、逆にまた、たとえば三千か四千くらいの小さな村で、村長以下、村会議員ですと大体十二、三名、それから職員が大体四、五十人、それでやっていっているのですね。結構な話ですけれども、しかしそんなにしてまでしなくても、もう少し他町村と一緒になったらいいのではないか、いわばかつてありました三万市というのが期限が切れてなくなって、いま四万でございますか、もとへもどっているわけですね。こういうものに対しての指導というものは最近全然していないのでございましょうか。
  19. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 町村合併というのはその町村の存立の基本にかかわる問題でございますので、昭和二十八年の町村合併促進法によりまして、町村の実力をつけるという意味におきまして政府の方針として大合併を奨励したわけでございまして、その結果、終戦当時の三分の一の数になって現在落ち着いておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては自発的にその町村の方々が話し合いの上で合併したいという場合は別といたしまして、国として合併すべきであるというような指導は現在いたしておらないわけでございます。もちろん、小さな町村の場合は自力だけで高度の行政ができないというようなことが行政の内容によってはあるかもしれませんけれども、私どもそれを補う意味におきまして、ここ数年来広域市町村圏というような施策も展開いたしまして、周辺の町村が共同して特定の事務、屎尿だとかごみだとか医療だとか、そういったことをやるというのを推奨しておるような次第でございます。
  20. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 広域市町村圏が成果を上げている面もありますけれども、逆に広域市町村圏が権限のいわゆる張り合いをしたり、余り十分効果を上げていないところもあるのですね。むしろ、私は一つの例を挙げますけれども、私の出生地であります佐渡ケ島などというのは一市九カ町村ございます。私は昔から、といっても十数年来、一つの島を一つの市にしろという主張を続けておるのです。ということは、いま申し上げましたように、一番小さなのが四千足らずの赤泊村であります。小木もやや似たようなものであります。そんな小さなところで行政をしいていくことは事実上不可能であります。いまから二十年も三十年も前でありますると交通機関が不便でございまするから、交通の便のことを考えますると、住民の福祉あるいは行政の面でそういう町村があってもよかったと思うのですけれども、いまはすまからすままで走ったって一時間か二時間あれば全部行ってしまいますね。そういう意味で、もう一度私は地方自治体のこういう実態というものを見直す必要があるのではないか、見直し論というものがあっていいのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  21. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 確かにいま御指摘の佐渡ケ島の場合には一市九町村でございますか、中に非常に小さな町村があることも事実でございます。ただ、それらの町村が、自分たちが進んで合併してやっていきたいということでございますならばともかく、外からの力でこれを合併させるというようなことは現在では考えておりません。やはり町村の行政を行いますのにはその地域の住民の方々たちが一丸となってやる必要があるわけでございまして、合併ということになりますとなかなかそれぞれの経緯がありますもので、やはりそういう気持ちにその地域の方々がなるということが私は先決であろうと思います。  ただ、佐渡のような場合には一島が団結して行わなければならない事業というのはいっぱいあるわけでございますので、それはそれぞれの事業に応じて、たとえば県事業で行うなり共同体が行うなりというようなことで対処するのが現実的な対処の方法ではないかと思います。もちろんそう申しましたところで、佐渡ケ島の各町村が団結して一つの町になってやっていこうという機運が盛り上がれば、それはそれで私は非常に結構なことだと思いますが、現状は、私の知っている限りではまだそこまでいっていないように存じております。
  22. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 町村の住民は、それは一本になって、一つの市になった方がやりやすいし、皆望んでいるのです。ところが、これはどの町村でもそうですけれども、町村長がどうしても隘路になるのですね。それはなぜかというと、小さくたって一国のあるじでございますね。ですから、隣の村、隣の町と一緒になれと言ったってなかなかならないのです。町、村の住民にしてみれば、一つの島が一つの市になるということは、非常に発展性もありますし、事業の上でもやりやすい。そんなことはわかっているのですけれども、どうしてもその首長のところに隘路がありまして、そしていつも問題が繰り返されておるのですが、私は、そういう意味で自治省としても行政指導である程度のことはやらせるようにしませんと、負担ばかり大きくて、住民がそれほど恵まれないんじゃないかという逆なことを心配しているのですが、いかがでございますか。
  23. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 確かに先生の御指摘のように、首長が町村合併の障害になっておるという場合がないわけでもありませんけれども、その首長も住民の意向というものを無視して行政を行えるわけではございませんので、住民が一体となってやっていきたいという機運が非常に盛り上がってまいりますならば、やはりそちらの方向へ向かっていくということになるだろうと思いますが、いま御指摘の佐渡の場合、実は私いままでの経過をずっと詳しく知っているわけではございませんけれども、まだそこまでいっていないように聞いております。
  24. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 この論議はいずれまた別の機会にやりたいと思いますし、それからぜひもう一度私は町村を見直すという段階が来ていいと思う。たとえば一郡で一つしかない村というのはない、二つはありますね。郡といいながら村や町が二つしかないというのは全く驚くべきことだ。郡というのは一つの集落ですよ。そして昔は三町も四町もありまして、そして郡をなしておった。いまはだんだん減りまして、市になっていったり、あるいは合併されたりしてなくなると、もう一郡一町みたいになってしまっている。それでもう孤立している。郡というのが名称であることは事実でありますけれども、しかし、それは余り意味がなくなってきているんじゃないか。もしそうであるならば、二つの町を一緒にさせるとか何かして、何か方法を考えてやる必要があるのじゃないか。そういう意味で、私は、経費の面でも行政の面でも、この辺でもう一回検討を加える時期が来ていると思います。  続きまして三番目に、きょう全日本動物輸入業者協議会の会長でございます河野さんをお迎えいたしましたが、私は五月十一日の銃刀法改正のときにも御質問を申し上げました。それはペットや猛獣はおもしろいから質問をしているのではないのであります。皆さん大変お笑いになりましたけれども、これは重要なことなんですね。五月十一日に私が御質問しましたら、五月二十一日に日曜日の「時事放談」で細川隆元先生がやはりこの問題を取り上げております。自民党の志賀先生が何か一生懸命やっておられるような話をいたしております。あのときにも総理府の方、あるいは警察皆さん方から多少の御意見をお伺いしましたけれども、トラでもライオンでも大蛇でも、入ってくる経路が自由だ。入ってきておるものに対しては何の規制もない。昭和四十八年に動物の保護及び管理に関する法律というのができておりまして、いわば愛護法ですね。愛護管理法でありますけれども、これしかない。それで、この五月二十一日、細川隆元先生も指摘をしておるのですね。入ってくるのは自由だし飼うのは自由だ、しかし地震でも起きたり大災害でも起きたときにはどうするんだ、だれが処置するんだ、引き取り手がないというのですね。動物園へ持っていきますと、動物園ももう結構です。そんなにはとても収容し切れなくなる。先般起きました仙台、宮城沖地震ではこの問題が出たかどうかわかりませんけれども、関東周辺にはかなりの数のものがあると思います。後ほど数字を申し上げますけれども。  総理府おいでですね。そこで私はもう一度総理府の方にお伺いしますけれども、これだけのライオン、トラ、ヒョウ、大蛇あるいは象、たくさんの猛獣が入ってきておりますけれども、所管は一体どこなんでございますか。私は五月十一日に質問申し上げたときに、総理府、自治省警察庁、運輸省、通産省、ここいらが連絡協議会を持ってきちっと対策を講ずべきだという御質問をしたはずであります。  そこでもう一度お尋ねしますけれども、一体どのような対策をとり、またどんなふうにされておるのか、まず総理府からお聞きしたいと思います。
  25. 小野佐千夫

    ○小野政府委員 お答えいたします。  猛獣等の飼養につきましては、先生先ほどおっしゃいました動物の保護及び管理に関する法律に基づきまして、危険防止の観点から各地方の公共団体の条例によりましてこれを制限することができるということに相なっております。  総理府といたしましては、かねてから全国の都道府県等の主管課長会議等におきまして猛獣等の飼養規制を含む条例案を示しまして、これの制定を促しているところでございます。現在京都府と横浜市において、ライオン等の猛獣を個人が飼養する場合には知事、市長の許可を要するということを規定したいわゆる許可制をとっておるところでございます。また、埼玉県におけるライオンによる飼い主噛殺事件を契機といたしまして幾つかの地方公共団体におきまして現在飼養制限の条例制定の動きが見られております。総理府としましては、近く開催いたします全国都道府県等主管課長会議におきましてこれの制定方を促進していきたいというふうに考えております。   一方、動物によります危害防止対策がこのような現行制度とその運用で十分に対処し得るかどうかという点につきまして多角的に検討をするために関係省庁とも連絡をとりながら、総理府の動物保護審議会におきまして目下御審議をいただいているところでございます。
  26. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ごもっともです。  そこで、どのぐらい飼われているかというようなこと、どのぐらい入っているかということも正確にわからないのですね。これは四月十九日に警察庁の防犯課でしょうか、お調べになったものがあるのです。私はデータをいただきましたが。全国にクマが八百七十四頭、ライオンが五十頭、ヒョウが二十九頭、トラが十四頭、象が四頭、オオカミが一、ゴリラが一、カバが一、ヒヒが一、合計で九百七十五頭、そのほかにニシキヘビが九十一、ワニが六十二、オオトカゲが十、合計千百三十八、間違いございませんか。千百三十八頭匹のものがうろうろしているのです。これは客寄せの営業や愛玩用に使われていると警察庁は出しております。えらいことですね、実際。飼ってはいけないとは私は思いませんけれども、自由に入ってくるというのはどういうことなんだろう、何の規制もないというのも不思議なんです。どこも規制をしない。  そこで、この規制をするというか、入れる方の所管は恐らく通産省でございますね。通産省さん、いかがでございますか、これだけの数のものが自由に入るのはまず何の規制もないのでございますか。
  27. 志賀学

    ○志賀説明員 お答え申し上げます。  わが国の輸入貿易につきましては、先生御案内のように、輸入貿易管理令によって規制が行われております。猛獣の輸入につきましても同様に輸入貿易管理令の適用があるわけでございますけれども、先生御指摘ございましたように、猛獣の輸入につきましては、現状特段の規制は行われておりません。
  28. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それでは、あなたを追及するのじゃないのですけれども、これは法の盲点だと思うのですが、自由に入れてもいいということになっていると、通産省としては、もう野放しでどんどんとにかくとってきて入れてもいいと、こういうことを認めているわけですね。
  29. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  確かに、先生の御指摘のように、危険な猛獣がうろうろしておるということによって人間に危害を与える、不安を与えるということについては、これは問題があるだろうと思っております。ただ、その危害の防止につきましては、基本的にはやはり管理の適正化ということによって対応すべき問題ではなかろうかというふうに存じております。  そこで、そういうことで管理の問題につきまして対策が講じられていく、それの一環として、その実効を確保するという必要性から、輸入について何らかの対応というものが必要であるかどうかということになった場合に、それについて私どもとして、関係省の方から御相談があれば検討する用意はございます。
  30. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そうですね、入れる方は通産省でしょうけれども、管理する方は通産省じゃない。だから、検討するというのもおかしな話ですけれども、よろしゅうございます。これはそこでちょっと待っていただいて……。  そこで、きょうおいで願いました動物輸入業者の協議会の河野さん、いま通産省からそういう話でございますし、それから、私が申し上げた数字は必ずしも正確では――私は、警察庁のは正確でないと思うのです。ということは、自由に入っておりますし、聞き込みというのは変だけれども、聞き込みで調べた数だと思うのですが、供給源になっております輸入業者というのは大体四つか五つだそうでありますね。間違っておったら御指摘ください。京浜鳥獣貿易、有竹鳥獣、川原鳥獣貿易、それから吉川さんというようなことを聞いておりますけれども、これについてもし御意見、あるいはまた、こんなふうに考えているというお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  31. 河野通敬

    河野参考人 お答えいたします。なお、先生の御発言によって、私の日ごろ考えております猛獣に対する意見も述べてみよというようなありがたい御指示がございましたので、少しく述べさせていただきたいと思います。  現在問題になっております一般個人における猛獣飼育による事故発生について、いろいろ世上あるいは国会の先生方で御心配になっておられますけれども、私は、この道に終戦後携わりましてからすでに三十年を経過しておりまして、国内動物園の充実に対して、営々としてこの道専門にやってまいりましたので、少なくとも事動物に関しましては、国外あるいは国内の事情にある程度は精通しておるというふうに考えておりますので、また、私の説明で御不審な点がありましたら、何なりと御質問いたださましたら、私としてお答えができる点をお答えしたいと思います。  そこで、現在問題になっております一般個人の飼育しておる猛獣は外国から入ってきておるんじゃないか、あるいはしておるんだというふうに定義づけた世論が沸騰しておるやに思いますけれども、実はそこに一つの盲点があるように私には見受けられます。  と申しますのは、私、ここに昨年一年間の猛獣類の輸入業者における実績を持ってまいりましたけれども、昨年一年間を例にとりましても、あるいは過去数年間を例にとりましても、一般家庭用の、あるいは個人用の飼育、ペットとしての猛獣類はほとんどと言っていいぐらい輸入されておりません。  具体的に数字を挙げますと、昨年一年間に、先ほど先生が御指摘になりました東京の業者あるいは横浜、神戸の業者が入れました数字を私、逐一電話によって確認したのでございますが、昨年一年間にライオンが三十七頭輸入されております。これは全部私の会社で一括してオーストラリアから入れまして、これは全部一括して山口県の自然動物園に納入してございます。それから、トラが昨年三十四頭、ヨーロッパあるいはアメリカから輸入されております。これも等しく動物園に全部納入されたものでございまして、一般家庭用としては一頭も入っておりません。それから、チーターが二十四頭、昨年一年間で輸入されております。これもやはり同じく動物園に全頭が納入されております。また、クマが四十三頭入っておりますけれども、これもすべて動物園向けに入ったという具体的な納入先も全部わかっております。ここでは申し上げませんけれども。  以上が私の手元にあります猛獣類の昨年一年間の輸入実績でございます。  輸入実績は、御指摘のように、税関でも官庁でもどこでもわからないという組織になっておりますと申しますのは、いまも通産省の方から御説明がありましたように、何らの法的規制がない。それから、統計がない。税関であえてこれを調べる場合には、キログラムでなければわからないというような日本の通関上のしきたりになっております。  しかし、私は、本日その肩書きとして参考人として呼ばれました全日本動物輸入業者協議会というものを結成しておりまして、その会長の席を汚しておりますけれども、会員は現在二十一名ございます。これは全部、鳥獣の輸入業者でございます。そして、ほかに一社、有力な業者がおりますが、この業者は、名前は差し控えますけれども、昨年ちょっといろんな面で対外的に信用を失墜するというような事件がございましたので、二年間の期限つきで自主退会をして、一応会員から外してございますけれども、この業者を入れますと二十二社が鳥獣を輸入しております。その中でも、猛獣類あるいは動物園用の大型動物を入れておりますのが、先ほど御指摘のありました有竹、京浜、あるいは神戸の吉川というのがございまして、東京の川原鳥獣店は最近余り大物は扱っておりませんので、実質的には三社でございます。  しからば、どういう経路でもって一般の家庭あるいは個人に動物が流れていっておるのかということをここで説明してみたいと思います。  その前に、私は、この業に携わってから三十年間、終始一貫、猛獣類はペットとしては飼うべきではないという主張を叫び続けております。  その理由は簡単でございます。猛獣類は、生後三カ月あるいは六カ月以内は見た目も非常にかわいいのでございます。だれでも飼ってみたい、かわいいなという衝動に駆られるのでございますけれども、猛獣の性格上、半年から一年たちますと、お飼いになった方は大抵の方がもてあましてしまわれる。その理由は、まず飼い主自身に大変危険であるということです。それから、猛獣特に肉食獣におきましては、特殊なアンモニアと申しますか、ふん尿が特別臭いという点において、みずからの家庭あるいは付近にも迷惑をかける。それから猛獣の中で、なかんずくライオンなどにつきましては、成獣に達しますると夜中の三時、四時、これは大体時間が決まっているのですが、夜明け前に腹に響くような咆哮を発するわけです。ですから、そういう点においても猛獣はペットとしては向きませんということで、私どもにもよく個人で飼いたいという御相談があるのですが、そのような具体的な例を挙げて、お飼いにならないように指導をいたしております。少なくともいま述べました日本の代表的な輸入業者は、私の指導と言ってははなはだ僭越でございますが、業界のモラルの点においてそのように私と同調しておるものと私は確信しておるものでございます。  話をまた先ほどに戻しまして、しからばどのような経路で猛獣が一般家庭に流れておるのかということに実は問題があるのでございます。ここに教字をもって説明したいと存じます。  現在、私のところで調査いたしました猛獣類の動物園関係の飼育頭数を申し述べたいと思います。先ほど先生は、警察庁の方の統計によって一般家庭の数字を述べられましたけれども、私は一般家庭でどのような猛獣がどのくらい飼われているということはタッチしておりませんので全くわかりません。そこで、現在動物園水族館協会というのがございまして、その加盟団体の動物園が六十五動物園ございます。これは本部が上野動物園の中にあります。これはその数字だけで出したものでございます。それからそのほかに少なくとも二十くらいの動物園協会に入ってないプライベートな動物園があると思いますけれども、この方面の数字はつかむことができませんけれども、いまから申し上げます数字を御参考にしていただきましたら、なるほどそういうような経路でそういうようなものが一般に流れているかというふうにお気づきになるのではないかと思います。  ライオンが、現在動物園においては二百七十五頭飼われております。その中で、昨年一年間に百七十三頭の子供が動物園において国内で生まれております。そしてやはり成育までの間に死亡がありまして、実際に生き残ったのが百三十一頭というデータがございます。トラが百四十七頭飼われております。そして四十三頭生まれて二十三頭が生き残っておるというデータがございます。アメリカンライオンと言われますピューマがございます。これが四十六頭飼われておりまして、十五頭生まれて十一頭が育っております。ヒョウが八十八頭飼われております。その中でヒョウは余り成績がよろしくなくて、二十六頭生まれて二十一頭が育っております。それからジャガーという、やはりこれはアメリカ大陸系の猛獣でございますが、二十四頭が飼われておりまして、八頭生まれて六頭育っております。チーターが五十七頭飼われておりまして、これは非常に生産成績が悪いのですが、七頭生まれて二頭育っております。クマが動物園だけで三百二十頭飼われております。そのほかに皆様御承知の登別温泉の熊牧場に百頭以上が飼われております。これを合計いたしますと、四百二十頭以上のクマが動物園において飼われておりまして、この熊牧場のデータはわかりませんけれども、協会加盟の動物園だけの生産数量は、四十三頭のクマが生まれて三十頭残っておるという実情がございます。  以上、このほかにも猛獣あるいは毒蛇、ペットとしてふさわしからざるものはたくさんあるのでございますが、一応通例的なものをここにピックアップしたわけでございます。  しからばこのようにたくさんの動物が国内で生まれておるということにやはり何らかの措置を講じていただかなければ、黙っておったのでは結局動物園も御承知のように入れ物に制限がございます。かといって生まれたものを殺してしまうということは動物愛護精神上よろしくないということで、実は私どもも、業者として動物を輸入するだけでなく、国内で生まれたものを他の動物園にお世話するという仲人的な役目を引き受けておるわけでございますけれども、それとてなかなか引き取り先に限度がございまして、言わば生産過剰という実情にございます。  オーストラリアにおきましては、ライオンだけを飼って人集めをしておりますライオンサファリ、ライオンパークというのが、オーストラリアだけでも東はメルボルン、シドニー、ブリスベーン、あるいは西はパースに至るまで六カ所ございますけれども、オーストラリアでもライオンが非常に生産過剰になって困っております。私はそれを昨年日本の動物園用に三十七頭買ったわけでございますが、ふえてふえて困るというのでオーストラリアでは猛獣専用のピルと申しますか、避妊薬を開発してそれを使っておるということを聞いております。国内においても恐らく避妊ということを考えるべきときに来ておるのではないかというふうに私は存ずる次第でございます。これは私ども一個人、一業者が言うことでなく、やはり行政指導あるいは高い国の御指導のもとに何らかの措置が講ぜられるべきではないかと思っております。  また、それを動物園から出す場合には、一般の家庭に出すのでなく、行き先をちゃんと追及して、動物園、研究用あるいは国際親善としての国外への輸出というような、ルートを確認をした上で出していただければそのようなことはないと思います。また、上野動物園を初めモラルの高い動物園におかれましては、現在もそのような方法をもって一般には絶対に出さないという措置が講ぜられておるということを聞いております。  それからもう一つ、先生先ほど御指摘の、一体猛獣がこれほど国内で飼われておって、もし天災地変、地震があった場合にはどうするのだという御心配をされたわけでございますが、これは国民ひとしく、皆さんも心配されておることではないかと思います。近所近辺で猛獣を飼われておったのでは、近所の方は災害の場合には一体どうするのだということはもう当然の御心配かと思います。私もこの道に三十年携わりながら、天災地変のときの処置というものを常に考えながら、脱出したらもうおしまいだ、自己の営業品目である猛獣が脱出して人身事故を起こしたらもう私の一生は終わりだというような自覚を持って今日まで取り組んでまいりまして、もし逃げたら自分が猛獣の前にはだかつてでも犠牲になるというような覚悟で臨んでまいりましたので、幸いにして現在まで一回の脱出事故も起こしておりません。  また地震などがありました場合は、私は必ず即座にその地区に電話をかけまして、実は今回の宮城県沖地震の場合にもすぐ仙台動物園に私は電話を入れましてその被害状況を調査しております。また一月における稲取沖の地震におきましても、たまたま昨年暮れに稲取において伊豆急行の系統の放し飼いの動物園が開園されたばかりでございますので、早速情報をとっております。今回も私は仙台動物園の被害状況、それから福島県の二本松においてミニサファリと称してライオン三十五頭を放し飼いにしておりますが、ここの情報もとっております。両方とも何ら被害がなかったということを聞いて安心いたしました。  地震に関しては、いままで私は国外における大きな地震災害地においても情報をとっておりますけれども、地震が起きてから猛獣が逃げ出して人身事故を起こしたという例はいまのところはございません。それには私なりの理由があるというふうに考えております。それは猛獣を飼う場合には、いかなる災害が起きても逃げないというだけの、大きなボルトでつくった、アングルの間隔も縮めて、つぶれても中の動物は死んでも絶対に脱出しないというようなおりで飼っておる、これが動物園あるいはわれわれ専門家の常識だというふうに考えておりまして、火事になっても地震になってもいままでは逃げておりません。ただ、一般の方が大変粗雑な飼い方で飼っておられますと、これは脱走につながるものだということを、私どもは専門家としての立場から常にもう本当にひやひやした気持ちで見ておりましたけれども、いままではそういったような指導がなされませんでしたけれども、幸い私か住んでおります横浜市において条例をもって厳しい飼育基準をつくられましたので、少なくとも私は横浜においては大丈夫だというふうに考えております。  以上、大体述べましたことが私の参考意見でございます。
  32. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ありがとうございました。時間の制限がありますから、本当はもっとやっていただきたいのですけれども、私の持ち時間がなくなってしまいますので……。大変よかったと思います。  ただいまの河野さんの御説明の中で、それでは一体警察庁が出された聞き込みの、一般に持っておるというのはどういうことなんですか。これは警察庁にまずお伺いしたいのですがね。これは個人でしょうね。動物園じゃございませんよね。
  33. 森永正比古

    ○森永政府委員 お答えいたします。  先ほど先生が御指摘になりました警察庁で現在把握いたしております数字は、これは個人で飼養しているものでございまして、動物園等の数字は入っておりません。
  34. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そこで、河野さんの御説明でよくわかりましたけれども、動物園とかあるいはちゃんとした管理者がいるところでお飼いになっているのは私はそう問題がないと言っちゃあれですけれども、問題はないと思うのですよ。しかし、やはり個人がお飼いになっているいわゆる千百三十八頭という、これが問題であろう。もっと数は多いと思うのです。実際には。私の知っている人も持っていますけれども、もっと多いと思うのですよ。そこで、これもデータの中にありますけれども、この五年間の間に猛獣によって事故が起きた件数が百三件、死亡が十三名、重軽傷が七十八名という数字があるのですね。こういう例を見ましても、個人が持っていることに非常に脅威を、いま河野会長が言うように、皆さん感じておる。そして河野さんのおっしゃるように、個人がペットとして猛獣を飼うことは、これはやはり好ましいことではない。当然なことだと思うのです。そこで、一体この問題について、通産省も私は大変いいかげんだと思うのです。今後どんどん入ってくるのは結構だ。動物園に行くのはわかりますけれども、個人に入ってくる経路というものも全く野放しというのもいかがかと思うのですね。  それから、入ってきておる国内における各都道府県の問題については、京都と神奈川ですね、横浜は一応規制をしているけれども、とにかくまだそのほかに四十六都道府県と三千三百有余の市町村があるわけですけれども、その規制がない。これもおかしな話なんで、この辺のところをひとつ自治大臣、いかがにお考えでございましょう。私は先般の質問のときにも申し上げましたが、今後連絡協議会をつくっていただいて、やはり規制をしなきゃいけないのじゃないだろうか。猛獣をペットとして扱うことについて規制をしなきゃいけないのじゃないだろうかというふうに考えているのですが、大臣どういうふうなお考えでございますか。
  35. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま関係省庁で連絡をとりながら対策を研究いたしておるようでございます。私もそろそろこの辺で規制を強化してまいらなければならぬ時期に到達をいたしておる、かような感じを強く持っております。
  36. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 自治省が規制を強化するといっても、自治省自身がするということよりも、むしろ都道府県にやはりこの京都やあるいは横浜のような規制をさせる指導をまずしなければいけないと思うのですね。それが私は第一点だと思うのです。  それからもう一つは、この入ってくる経路、それから扱っておるのが総理府でございますね。総理府としては普通のペットと同じような気持ちでいるのかどうか、この辺、総理府さんいかがでございましょうかね。まああなたに質問といって何か厳しいことを言うのではなくて、いま非常に問題になっている、いわゆる社会問題になりつつあるのですよ、これは。そういう意味で、総理府も、まあ私のところも所管といったって大した権限もないし、やりようがないと言われてしまったのでは取りつく島がない。法の盲点ですよね、これは。いかがでございましょう。
  37. 小野佐千夫

    ○小野政府委員 個人が猛獣を飼うということにつきまして、現状のままでいいというふうには私どもとしても考えておりません。そこで、個人による猛獣の飼養につきましては、これに対する対応策を早急に考えていかなければならないということを私どもも考えておりまして、先ほど先生に申し上げましたように、関係省庁との連絡、それから動物保護審議会での審議の促進をお願いしているところでございます。
  38. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 強く希望を申し上げておきます。これは自治省の直接の管轄ではございませんけれども、自治省としては都道府県にいる千百三十八という現在わかっているようなデータの猛獣の処置、それからまた総理府における、いま御答弁のありましたようなことをやはり私はまず規制をする、あるいはまた監視をするという体制を整えていただきたい。それから通産省も、入ってくるのは自由だ、いまほど河野さんの話がありましたように、全く輸入については自由であります。税関もわからない。とにかく飛行機の胴っ腹の下にライオンやトラや象を積んでくるのですよ、まあ象は積んでこれませんけれども。象は船で来るのでしょう、でかいから。子象は乗ってくるのですよ。大象だけはこないのですよ。もしそういう事故がありましたら、本当に大変なことだと思うのですね。いまだかつてそういう事故がないとおっしゃいますけれども、これは動物園として飼って、ちゃんとした管理者があってやっているときにはいいですけれども、管理者がない、しかもいま話のありましたように、個人でもう手に負えなくなってくる。結局埼玉県で起きたああいう事件があるように、えさに困ってしまう。えさに困るというと、腹が減ればかみつくに決まっているのですね。こんなようなことを考えてみますると、早急にこの処置をとっていただきたいと思います。  それから、これはなかなか高いもので、いまの価格にすれば、河野さんにお聞きしますけれども、たとえばライオンだと六十万くらいで買えるのですかね。私の知っている範囲だと、ライオンが六十万、トラが百万前後、ヒョウが七、八十万、子象で三百万、カバで二百五十万、ゴリラで四、五十万、ニシキヘビで十万前後、ワニで十万というのだね、これ本当に。ワニを買ったって十万で買えるのだからね。しかし、ワニだって腹が減れば黙っていませんよ。ニシキヘビだって腹が減れば、それはヘビというやつは腹が減るとじっと寝ていますけれども、しかし起きたときには、やはり腹が減れば何とかしますからね。間違いございませんね、大体こんな値段でございましょう。
  39. 河野通敬

    河野参考人 大体、当たらずとも遠からずでございます。
  40. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 遠からずなんですよ、調べた結果でございますからね。ですから、わりあいとペットとして買いやすい値段ですよ、まあまあの話が。しかし、買いやすいけれども飼うことも知らない、それから処置の方法もわからない。こんなことを放置しておくことは、全く私は許せないと思います。だから、これを機会に、どうしても声をでかくして申し上げますけれども、われわれの生命を保つ意味でも、おもしろ半分にライオンやヒョウやチーターを飼って結構だということにはならないと思いますので、やはり相当の規制を強いるべきだと私は思っています。以上、要望も含めまして猛獣論議はこれまで。  最後に、成田空港問題を一言お尋ねを申し上げます。  まあ、落ちつきましたね。自治大臣もほっとしたでしょう。大分顔色がいいですよ。本当に事件が起きたら大変なことですよ。しかし、まだまだ安心できない。ということは、あの事件が起きたいわゆる三・二六事件の直後から開港までの間は、外国に参りますとジャパン・ナリタという記事でいっぱい、写真入りなんだ。それがヘルメットをかぶってそしてやっているところや、あるいは警察官が防備をしているところが出ているのです。これは本当に私は情けないことだと思います。  そこで、今日一応落ちついたとはいえ、運輸省さんにまずお伺いしますけれども、あれだけごたごたしながらつくり上げたいわゆる団結小屋撤去の法案は、結局どうなったのですか。団結小屋をとったのですか、とらないのですか。
  41. 山田宏

    ○山田説明員 いわゆる成田新法、成田空港の安全確保に関する緊急措置法、これが去る五月十三日に公布施行されたのに伴いまして、運輸省といたしましては関係行政機関の御協力をも得まして、五月十六日に団結小屋二カ所につきまして使用禁止命令を出しております。
  42. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ちょっと待ってくださいよ。二カ所だけであとはいいのですか。もうほっておいても大丈夫ですか。
  43. 山田宏

    ○山田説明員 空港の周辺には、御案内のごとくそのほかにも団結小屋あるいは要塞と称されるような建造物、工作物がございますので、同法の施行に任ずる運輸省といたしましては、その他のそういう工作物につきましても十分注意を払っておるところでございます。
  44. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 注意を払っているのは結構ですけれども、注意を払っていることと、それから警察が一生懸命全国から一万五千人も集めて警備していることとは別でしょう。ただ二カ所撤去しただけぐらいの話だったら、別にあんな法律をつくらないでもよかったのですよ。あれは治安立法になるといかぬということで、いわば運輸省の方にげたを預けたかっこうなんですね。とる意思があるのですか、ないのですか。
  45. 山田宏

    ○山田説明員 いまも申し上げましたように、禁止命令をかけたのは二カ所でございますが、その他の団結小屋等につきまして十分注意を払っておると申し上げたところでございますが、現在そういった団結小屋等の使用状況等につきまして関係行政機関の御協力も得つつ慎重に注意深く見守っておる、こういうところでございます。
  46. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それでは警察庁にお伺いします。  相当いい薬を効かしたせいだか第四インターもおさまったのですね。なかなか運輸省というのは相当の腕だと思うのですけれども、しかし、いつまでも眠っているわけでもないだろう。そのうちまた騒ぐだろう。そうなったときに警察庁としてはどういう対応をするのか。あるいはまたいまの運輸省の考え方、やり方で十分だと思っているのですか。警察庁さんいかがでしょう。
  47. 鈴木貞敏

    鈴木政府委員 いま運輸省の方からお答えがありましたように、団結小屋が常駐というのは三十三カ所あるわけでございます。そのほか非常駐が二カ所というようなことで、そのうちの岩山、木の根というのがいま答弁のありましたように使用禁止処分、こういうことでございます。  全体の情勢としては一応平静を保っておるということでございますが、御承知のとおり、土曜、日曜にかけて全国的に動員をかけまして、やはり空港粉砕というふうなことでございまして、予断を許さない、そういうことで警察としましてはこの現実を厳しく受けとめまして、やはりこの新東京国際空港という国際的な最も安全であるべきところを守るということで、現実に九千人規模の機動隊を全国招集いたしまして、引き続いて現在厳戒をしておるというふうな状況でございます。そういう中で、今週土曜、日曜もそういう動きがございますし、現実にまた七月二日には全国二万人動員ということで、現地で再び集会、デモというふうな情報もあるというふうなことでございまして、やはり一応の平静を見たものの、なおきわめて流動的に、また極左暴力集団はいよいよテロ、ゲリラ化を非常に強めておりますので、こちらのすきがあればいつでも廃港に向けてのテロ、ゲリラを敢行する、こういうような状況にありますので、厳戒をしいておるというふうな現況でございます。
  48. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 警察庁は必死になって空港を守っておる。それから法律をつくらした運輸省は、二カ所ぐらいでいいだろう、あと三十一カ所は絶対出てこないだろう、こんなたかのくくり様で、しかも警察官に守られた成田空港というのが何カ月、何年続くのでしょうね。運輸省さん、いかがです。そんなぐらいだったら、何でこんな空港周辺の特別法なんかつくったのですか。われわれもちょっとこれは疑問でしようがないのですがね。
  49. 山田宏

    ○山田説明員 繰り返し御答弁申し上げますが、その他の小屋につきましても十分注意を払っておるということでございまして、状況に応じまして関係行政機関の御協力も得て所要の措置を講ずべきものについては当然のことながら所要の措置を講じていく、こういう態度で臨んでおります。
  50. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 時間が参りましたから私もそろそろやめますけれども、本当に心配でならないのですね。先般もある会合で私はこの話をいたしましたら、何とかならぬのか、手ぬるいと言うのですよ。百人中百人がそう言うのですよ。そうしてまた一点は、警察に守られている空港というものはみっともない、何とかならぬだろうか、だから法律をつくったのだろう、それをどうして施行しないのか。これは疑問でありますね。課長さんにそんなことを言ったってしょうがない。いずれ運輸委員会か何かで鼻血の出るほどやりますけれども、私はそんな甘いことではこの問題は解決しないと思うのです。そしてあの周辺で火災びんを投げたりわあわあ騒いだり、それは全くみっともない話。そんなことが許されていいなどとは思えないですよ。それを少しも規制をしていかないというところに問題があるのではないか。自治大臣、国家公安委員長さんでございますが、大変な努力をされておるようでありますけれども、私は責任やあるいはそういう苦労をひとりでしょうのではなくて、運輸省だってやはり本気になってもう少し事に当たらなければいかぬと思うのですよ。運輸大臣によく言ってください。あんなことで結構でしたなんて言うぐらいだったら、あんな法律は要りませんよ。だれが苦労してあんな法律をつくるのです。ばかばかしい。三十一カ所もまだあって、それをとるという条件であれをつくったのですよ。それをいまだにとらないで、しかも七月の二日に予定されている二万人集会があれば、何が起きるかわからないじゃありませんか。外国のお客がだんだん来なくなるよ。一遍やられてみなさい。それでおしまいですよ。これは大変なことだと思うのですよ。いまの猛獣の話と同じですよ。あんなところに猛獣を放し飼いしているのと同じなんだ。そういう意味で腹を据えてかかっていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  51. 木村武千代

    木村委員長 河野参考人には、御多忙のところ御出席をいただき、貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございました。  委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次に、佐藤敬治君。
  52. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 初めに環境庁にお伺いします。  水俣病の補償費がいま盛んに問題になっておるのですが、一体これの患者の数がどのぐらいいるのか、これからどういうふうにふえていくのか、この現況、見通しをお聞きしたい。
  53. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 お答えいたします。  現在まで熊本県、鹿児島県、この両県にわたりましてチッソの廃液に係る水俣病の発生を見ておるわけでございますが、現在私ども、本年の四月末現在の認定患者数は両県を合わせまして一千三百二十八名に上っております。今後の見通しにつきましては、なかなかこれをとらえることはむずかしいわけでございます。と申しますのは、水銀によって汚染されました魚介類を摂取したことによりまして水俣病という健康被害が起こったわけでございますが、現在の健康被害補償法におきましては、その水俣病の患者としての認定は、本人の申請に基づきまして、県が設置する認定審査会の意見を聞きまして、知事が認定しているわけでございます。したがいまして、今後の患者の見通しの全貌を立てることは大変むずかしいわけでございます。
  54. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、これからどのくらい出てくるかということはかいもく見当がつかないことですね。たとえば不知火沿岸に居住している人が三十万人いる。極端に言うと、この三十万人が全部申請するかもしれないということですね。
  55. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 先生おっしゃいますように、不知火海沿岸の住民は約三十万ほどおるわけでございますが、チッソが水俣湾に接したところにございまして、当然のことながらその周辺に近い部分が濃厚に汚染され、遠い部分はその汚染がそう濃厚でないということは一応は推定できるわけでございますが、現時点におきまして、全体的な調査をすべてしておるわけではございません。昭和四十六年から三年がかりにおきまして地域のある種の一斉調査をしてみたわけでございます。そういったようなものがございますが、三十万全体についての調査はしておりませんし、三十万全部が患者になるということは、一応考られないわけでございます。しかし、かなりの数の申請者が出てくる可能性はあろう思っております。
  56. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いま、大体近いところが濃厚で遠いところは余り濃厚でないと言うのですが、一説によりますと、三十万人のうち近いところの大体十万人が水銀の汚染者じゃないかというふうに言われております。これはどうですか。
  57. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 疾病の発生が、先ほど申し上げましたように、水銀に汚染された魚介類を摂取することによって起こるわけでございまして、特にいままでの傾向を見ますと、漁民の方に高い率で出ているということが見受けられるわけでございますが、三十万全部の人、あるいは水俣周辺の全部の人が水銀の汚染を受けているかといいますと、汚染を受けているということが直ちに水俣病の発生につながるわけではございませんので、そういう意味では汚染を受けている人たちの数と、それから水俣病の患者の数という間には開きがあろうと思っておるわけでございます。
  58. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いや、開きがあるんじゃなくて、一説に、十万人ぐらいが水銀の汚染者じゃないかという説がある。あなたは専門家として長い間いろいろ携わってきて、これはいま、ある程度肯定できるかと聞いておるのです。
  59. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 いまも申し上げましたように、水銀の汚染を受けた上で、その濃厚な汚染を受けた人が水俣病というあの忌まわしい疾病にかかるわけでございまして、十万人が汚染を受けているかどうかということにつきましても、いまの段階でしかとした状況はつかまえられないわけでございます。
  60. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 環境庁は、この水俣病に関してどういう仕事をやっているのですか。
  61. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 水俣病の問題につきましては、魚介類の汚染あるいは底質の汚濁、汚染ということがございますが、私の方の部におきましては、特にその被害を受けまして、いわゆる水俣病と言われる疾病にかかっている人たちにつきまして救済の措置を講ずる、こういうことをしているわけでございます。  また、私どもの方の水質保全局におきましても、定時的に水俣湾のヘドロの汚染の調査あるいは魚介類の中の水銀の保有状況というようなものの年次的なフォローはしておるわけでございます。
  62. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、現段階においてあなた方の一番主な仕事は、患者の認定ですね。どうですか。
  63. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 公害健康被害補償法に基づきます認定の業務を都道府県知事に委任事務としてしておるわけでございますが、それについての指導監督をしているわけでございます。
  64. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私は、非常に残念というか、おかしいと思うのですが、私らが環境庁の水俣病に対するあれを見てきていますと、患者の認定が大部分の仕事だと思うのですよ。いまもあなたはそうおっしゃっているけれども……。その環境庁のあなた方が、一体どのぐらいの患者がいるのか、推定もつかない、出てこなければ全然わからぬ、こういうのは非常におかしいと思いますよ。ある程度数字というものをつかまなければ、これからの対策も何もできないじゃないですか。あなたは昭和四十六年から三年間である種の調査をやったと言っていますが、それからだって大分時間がたっていますからね。むしろ逃げ腰で調査をしない、たくさん出てくるのは困るから調査をしないという態度じゃないですか。
  65. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 現在まで被害者の補償という立場に立ちまして、昭和四十九年から公害による健康被害の補償法というものを設けまして、それによる認定業務の促進、推進ということをしておるわけでございます。あの地域全体の汚染の広がりということについての調査も必要だとは考えております。しかしながら、この問題につきましては、四十六年から四十九年にかけましてある地域の一斉調査をいたしました。その後、五十年と記憶しておりますが、不知火海並びに有明海の水銀汚染調査等をいたしました。その際にもある種の健康調査をいたしておるわけでありますけれども、何せその広がりが広く、かつ汚染の深まりが強いということでございまして、現在私どもといたしましては、申請者を認定するという業務を専一にしておるわけでございまして、先生の御指摘のような地域全体の健康被害の広がりということの調査については、私どもも非常に必要性を感じておるわけでございますが、この仕事をいたしますには、当然のことながら疾病についての専門的な知識を持っている方々を動員しなければなりませんし、そういう意味で、水俣病の専門知識を持っている方が非常に限られておる現状でございますので、今後の問題としてその問題はぜひ検討しなければならない、さように思っているわけでございます。
  66. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この問題であなたと議論していてもしようがないのですが、新聞等によると、五月末で熊本と鹿児島両県の水俣病認定申請者の総数が七千五百人、そのうちで水俣病と認定された数が一千四百人、水俣病でないとして棄却されたのが七百人、保留または未審査のものが五千四百人、こういう数字が挙がっていることがありましたが、この数字は正しいですか。
  67. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 私の手元に持っておりますのは正確な数字で、五十三年の四月末のものでございます。鹿児島県、熊本県にそれぞれ分けて申し上げますと、熊本県におきまして現在まで認定申請をしている者が六千三百七十二名、鹿児島県におきまして千百九十四名でございます。そのうちで認定をされました者が、熊本県におきまして千百二十二名、鹿児島県におきまして二百六名。棄却をされました者が、熊本県におきまして三百四十四名、鹿児島県におきまして三百十三名。したがいまして、現在まで未処理になっておりますのが、熊本県におきまして四千八百五十九名、鹿児島県におきまして六百六十二名、こういう数字になっております。さらに、未処理の中におきまして、特に認定審査会におきまして水俣病という判断が大変むずかしいということから認定の保留になっておりますのが、熊本県におきまして千百二十名、鹿児島県におきまして二百七十七名あるわけでございます。
  68. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私の数字と三月と五月の段階で違うのですが、大体合っているようですね。  私はこれから大蔵省と自治省にお聞きしょうと思っているのですが、これから救済策を決めるに際して、この五千人ぐらいの保留、未処理というものを早急に棄却か認定かに振り分けていかないと、当座の金がどのくらいかかるかということもわからないのですが、これを早急に処理するような考えはありますか。
  69. 山本宜正

    山本(宜)政府委員 現在までの水俣病の認定の状況を見てまいりますと、御承知のように、熊本県、鹿児島県のほかに新潟県もございます。一応新潟県、鹿児島県におきましてはかなり事業が促進しているわけでございますけれども、熊本県におきまして特に未処理の件数が多く、さらにその中でも審査会の答申保留となっている部分が多いわけでございまして、この内容なり、なぜこういう形になるかという点につきましては、最近において熊本県の事務当局と私どもといろいろ状況を詰めてまいりまして、これについての促進策を練っておるところでございます。
  70. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大蔵省にお伺いしますが、いま水俣救済の話が大分進んでいますね。いま私、環境庁に質問したわけですが、数字的な根拠が何かあるのですか。
  71. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 先ほど環境庁から申しましたとおり、今後認定患者がどのくらい出てくるかという数字は、私どもまだ予測は立っておりません。
  72. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、大蔵省も自治省もいろいろなことをやっておりますけれども、一体どのぐらい金がかかるのか、患者がどのぐらい発生するのか、そういうことと全然関係なく金を出す出さないということを検討しているわけですね。大臣、どうですか。
  73. 森岡敞

    ○森岡政府委員 患者の認定の今後の動向につきましては、環境庁からお話のあったようなことだと考えております。  ただ、いま政府部内でいろいろ議論をし、折衝いたしておりますのは、既存の千三百二十八人という認定患者、この人たちに対する補償も、チッソの経営内容から申しますと、いまのままでは恐らく当面行き詰まってしまうのじゃないかという懸念が出てきておるわけでございます。そこで、チッソがつぶれてしまったのでは患者に対する補償はできないわけでありますから、当面の措置としてそこのところを助けていきまして、補償費の支払いができるように金融的な援助措置を考えていく。その場合に、通常の金融機関による措置だけでは、いままでの経営及び現段階の状況から申しますと、これはもう不可能でありますので、いま議論が出ておりますような公的な起債によりまして一時的に金融措置を講ずることの可否及びその内容につきまして検討いたしておる次第でございます。
  74. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、これからどのくらい出てくるかわからないけれども、現状で発生している患者を救済するいわば緊急避難的な措置であるということですね。  そこで、いまいろいろ新聞で喧伝されているのですが、私、きのうも財政課長に電話したのだけれども、どうもはっきりしないので、ここで一応ただしておきたいと思うのです。新聞には、熊本県が県債を起こしてそれでチッソに融資する、こういう県債方式をとるということだと盛んに書いてあるのですが、この県債方式というのは政府で決定したのですか、大蔵省でも自治省でもどっちでもいいです。
  75. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しましたような措置で、当面の金融措置の一環として県債を発行して救済措置を講じていくかどうかということは、基本的には熊本県自身が県債の発行団体でありますから決めるべきことだと私どもは考えております。熊本県がこれについて県債を発行することは望まないということでありますならば、これは政府として強制することはできないことであります。しかし、熊本県は、県債発行についていろいろ議論がございましたが、この段階に至りまして、いろいろな条件はございますけれども、基本的には県債の発行によって救済措置を講ずることやむなしという姿勢を示しておられますので、政府といたしましてもそれに即して検討を進めておるということでございます。
  76. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、自治省は、県債発行方式はよろしいというのですね。
  77. 森岡敞

    ○森岡政府委員 ここはいろいろ評価が分かれるところであろうかと思います。しかし、いままで申してまいりましたような実態から申しますと、緊急避難的な県債発行を熊本県当局がやむなしと考えられた以上は、私どももやむを得ない措置ではないだろうかと考えます。
  78. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 熊本県が決めるということはたてまえでしょうが、実際にはチッソを何とかしなければいかぬので、熊本県に引き受けろという圧力をかけた、こういうことですね。私どもは、県債でもって私企業の公害に金を転貸することは財政法上からちょっと疑義があると思っています。ただ、いま話があったように緊急避難で、これをやらなければ患者が困る、こういうことからあえて反対はいたしませんけれども、私どもとしてはこれは非常に疑義がある。大きな問題がこれから発生してくるのではないか。特に、これだけじゃなくて、いろいろな公害問題がたくさんあります。この中でこういう問題が再び起きてくることを非常に心配しておるわけですが、緊急避難だというのであえて反対はいたしません。  そこで、その立場に立ってこれから聞いていきます。緊急避難の立場、これは一方ではPPPを守らなければいかぬし、一方では債務保証をどうするかというようないろいろな矛盾が出てきて、いわば苦肉の策みたいなものですけれども、これをやるというからにはやはりいろいろな問題が発生してくるわけですが、きのう大蔵省と自治省でこの問題について協議したようです。私、きのう午後からかなり遅くまで財政課長といろいろ話したけれども、さっぱり要領を得ないのです。けさ毎日新聞で書いておるのを見ただけですが、きのうまでの段階は一体どういうふうになっておるのか、ちょっと御説明をしていただきたい。
  79. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま御質問の中にもございましたように、基本的な姿勢はPPPの原則、したがってチッソが患者に対する補償金は将来にわたって支払っていく、この原則は私どもは崩しておりません。ただ、先ほど来申しますように、当面大変な不況に陥って、そこのところを助けなければならぬということでございますので、県債を発行するといたしましてもその辺の基本的な原則は守ってまいりたい、こう思っておるわけでございます。しかし、そうは申しましても、もし万一の場合にどうするのだ、こういうことについては、自治省といたしましては県の立場に立ってその際の手当てというものは考えてまいらなければならぬ。これは私どもの責任でございます。  当初、県は、万一の場合には全部国で措置をしてもらいたい、県に負担がかからないようにしてもらいたい、こういう意向を示しておられました。ところが、最近に至りまして、そうはいってもやはり一部の負担はやむを得ないのじゃないか、しかしその場合の負担はできるだけ軽微なものにしてもらいたい、こういう意向を示しておられます。私どもはその線に沿いまして、そうなりますような方向で、本日もなお関係省庁と折衝、協議をしておる、こういう事態でございます。
  80. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 漠然としてよくわかりませんが、この新聞に出ているのを一つ一つ話をして、これを確認していきたいのですが、「十四日までに両省の主張が大筋で合意したため十六日には水俣病問題関係閣僚会議を開き最終的解決を図ることになった。」こういう書き出しで、「合意内容は1、患者への補償金はまずチッソが各年度の経営状態からみて可能な限り負担し、その残額を熊本県が発行する県債でまかなう2、県債の引き受け比率は国の資金運用部六割、日本興業銀行中心の金融機関四割とする3、県のチッソ向け融資がコゲついた場合を考慮し「国による債務保証」を明文化して閣議了解する」、こういうふうに新聞には出ているのですが、これはこのとおりですか。
  81. 森岡敞

    ○森岡政府委員 まず日程のことでございますが、熊本県知事にもいろいろ御日程がございますので、それらをいろいろ考え合わせますと、話の決着がつきますれば、私どもは十六日というのが一つのめどであろうと考えております。しかし、きょうもなお依然として折衝を続けておりますので、その結果いかんによりましてそれは決まる、かように御理解願いたいと思います。  それから、合意内容と申しますのは、その記事は憶測記事だと私は考えております。その辺のところをいま精いっぱい両省で詰めておるわけでございますので、それは結論が出る段階までは完全な憶測記事というふうに御理解願いたいと思います。
  82. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 結論に達しなければ相談の内容は言われない、こういうのでしょうけれども、いまごろそう言うのは、国会に対しても、何に対しても少し無責任だと思うのです。これは、いま出てきた記事じゃないのですよ。もう前からあらゆる新聞が同じことを、何遍でも何日でも書いているのです。ほとんど毎日のごとく出てきている。その内容がほとんど同じことなんですよ。ただ、それを合意しないというものだから、まだ合意しないか、また合意しないかというので――きょうのにも、これは合意したと書いてあるけれども、最後のところはまだちょっと合意してないところはあるようだけれども。まだ合意してないから出せませんというのは、最後の問題になっているのは、ここのところは合意したけれども、ここのところが問題なんだと、これを仕分けぐらいして話してくれたって、別にそれに邪魔するわけじゃない。一番先に言っているけれども、この県債方式には疑義がある、しかし、これしか方法がない、PPPとチッソの救済を、矛盾したものを何とか合わせるには県債の方式しかない、やむを得ないということを、私どもは疑義があるけれども反対はしない、こうまで言っているのですから、ここで出したからといって内容がこの新聞に出ているものと大きく変わるものではないと私は思うのです。だから、ここのところがいま問題で合意に達していないのだ、きょうこれから詰めるのだ、こういうところのあれを発表してくれてもいいと思いますがね。
  83. 森岡敞

    ○森岡政府委員 新聞にたびたび出たのは事実でございますが、お言葉ではございますけれども、その内容はほとんど同一ではなくて、かなりバラエティーに富んだ記事でございますので、そこのところは御理解願いたいと思います。そこで、私、あえて憶測記事と申し上げたわけでございます。  なお、問題点は、それぞれ各紙に出ていることがほぼ問題点であるということはおおむね間違いがないとお考えいただきたいと思いますが、しかし、先ほど申しましたように、本日も当委員会が済みましたら、私さらに大蔵省と折衝するわけでございますので、その辺のところは御賢察を願いたい、かように思う次第でございます。
  84. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 御賢察をいただきたいといったって、問題になっているのは大体こういうところだ、こういうふうに新聞に言っていることと同じだと、こういうふうに言っていますけれども、それじゃ私から新聞に出している問題点を指摘しますから、それに答えてください。  第一番に、ちょっと確認しておきたいのですが、十二日のある新聞の段階では、焦げついたときは事実上全額を国が負担する、こういうふうになっておったのですね。この事実上ということは何であるかと思って考えておったのですが、きょうの記事には、「県のチッソ向け融資がコゲついた場合を考慮し「国による債務保証」を明文化して閣議了解する」、こういうことになって、全額負担するというのはこの新聞には出てない。新聞が違うからあれでしょうが。ところがきょうの新聞で見ますと、事実上という意味は、保証するときは全額払わない、たとえば資金運用部で国は六割しか引き受けないから、あと六割以外のところは県が持て、こういうのであるのか、事実上という言葉がよくわからないのです。もっと端的に言うと、たとえば県が持った分に対しては、今度は地方財政立場から特別交付税で保証する、こういうことを盛んに前から書いておって、あなた方が抵抗しておるのもわかっておりますけれども、こういうふうな形で、それが事実上という文句かと、こういうふうに考えておりました。しかし、きょうの新聞にはそういうことが全然書いてない。ただ「「国による債務保証」を明文化して閣議了解する」、こういうふうな文句になっております。ここのところがやはり一番大きな問題だと思うのですが、これはどうですか。
  85. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど申し上げましたように、熊本県は、現段階におきまして県債発行による措置を考えます場合に、一定の県の負担はやむを得ない、こういう態度を示しておられるわけであります。ただ、それはきわめて少額にとどめてもらいたいという気持ちでございます。私どもその線に沿ってやっておるわけでございますが、仮に県債を発行いたします場合の資金区分をどうするかということにつきましては、全額を政府資金ということではなくて、六割という数字が出ておりますが、おおむねその辺になるのではないかと私も考えておりますけれども、資金運用部資金で引き受ける、その他関係金融機関による支援措置もあるわけでございますから、それを除きました分については、いわゆる縁故資金で調達をする、こういうことにもなると思います。したがって、全額政府資金ではない、しかしかなりの部分を政府資金で措置をする、こういうことは、そういう次第に相なろうと思います。  ただ、いまお話しの、万一のことがあった場合にどう措置するか、それは資金区分によって決まるわけじゃございません。政府資金はめんどうを見るけれども縁故資金はかぶるんだというふうなことでは私ども考えておりません。その辺のところは、資金区分は別といたしまして、全体としての地方債の中で国が措置をしてくれる、この部分が相当多くなって、県の負担が軽微になるように考えていきたい。  それから、事実上措置するというのが、何か特別交付税を盛り込んで措置をするという話なのかという御指摘でございます。これは、私ども考えておりません。国において措置をするということは、特別交付税等で措置をするということとは全く違うことでございます。そのようなことは考えておりません。
  86. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、こういうことですね。県債の六割は国が引き受ける、その残りの四割は銀行が引き受ける、こういうことですから、県債としては十割を全部認める。十割というのはチッソが患者と協定している金額ですね、あの協定どおりを県債として認める、ただし国が六割で銀行が四割だ、こういうふうに解していいのですか。患者とチッソが協定した金額は認めますと、こういうことで理解していいのですか。
  87. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま資金区分をどうするかというのが一つの課題であると申し上げましたが、それとあわせて、一体どういう範囲で県債の発行額を考えていくのかという問題が別にあるわけであります。チッソは生き延びてもらわなければいかぬわけであります。私どもは、むしろ収支の努力をしてもらって、幾らかでも補償金をみずからの経営によって生み出していくという努力をしてもらいたいわけであります。それがまず第一であります。それから、やはり関係金融機関の援助を考えておるわけであります。ですから、補償に要する金額は、一つのめどではありますけれども、チッソ自体の努力による補償費の生み出し及び関係金融機関の支援というものをカウントしまして、それを差し引いて、どういうふうな範囲の県債の発行を決めるか、これをいまのところ打ち合わせをしておる状態でございます。
  88. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、チッソが出した残りを県債でやるということだと思います。けれども、実際にいまチッソの状態を見ると、幾らでもチッソが負担できるような状態ならこういう問題は出てこない。チッソのことをいまさらここで申し上げるまでもありませんが、累積赤字が何百億ということになっておって、とてもこれに対してチッソが負担することはできないと私は思うのです。ただ、たてまえとして、チッソに全然出させないということになるとおかしいので、出させることにしておいて、実際には全額県債を発行する、こういうことしかちょっといまの状態では考えられないと私は思いますよ。そこのところはどうですか。
  89. 森岡敞

    ○森岡政府委員 チッソは、五十二年度で十六億円の経常収支の赤字を出しております。しかし、今回仮にいま打ち合わせております県債による融資対策を考えるとしました場合、それは五十三年度単年度の問題ではございません。やはり一定期間の見通しで考えなければならぬ問題であります。その間にやはりチッソといたしましてあとう限りの努力をして、経常収支の中から補償費に充てるべき分を必死になって捻出してもらわなければいかぬと私は思うのです。そうでなくて、ただ経常収支はほどほどにやっておって、公的な融資、助成を安易に求めるということでは、私どもは応ずるわけにはまいりません。いまお話しのように、形だけチッソに出させて全額を引き受ける、そういう形を私どもは全く考えていないのでありまして、チッソも、また関係金融機関もやはり血のにじむような努力はしてもらいたい。その前提に立って、公的な融資措置というものをどういうふうに判断し決めるかということをいま一生懸命作業し協議をしておる、こういう次第でございます。
  90. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それはあなた方の希望的観測であって、一般的な状態から見ると、金融機関も指摘しているとおり、とてもこれから補償費を払うようなあれは出てこない。金融機関も手を引きたいけれども、患者がいるから仕方がなくみんな引きずり込まれているような状態で、希望的な話としてはそれは確かに考えられるけれども、現在のチッソの状態からいって、そんなことはとても、それこそ砂上の楼閣にすぎないと私は思うのです。だから、県債は恐らく補償金の全部を払わなければいかぬ、こういうことになるわけです。私はそういうふうに思います。希望的には私も局長が言われたことと同じことを実は望みたい、できるならば全部チッソで払ってもらいたいと思いますけれども、そういかないところに問題がある、こういうように思うのです。  そこで、ちょっとお聞きしますが、そうすると、国が引き受けた六割とその他の四割についても、チッソが返せなくなれば国が保証する、こういうことですか。
  91. 森岡敞

    ○森岡政府委員 六割、四割といういまの御指摘は、私どもはいまなお、先ほど申しましたように、チッソ自体の努力もあり、また関係金融機関の援助もあるわけでありますから、そういうふうな率というふうには考えておりません。ですから、ここのところは、御指摘のとおりになるかならないかわからないわけでございますが、しかし、政府資金で引き受けた分は万一のことが生じた場合に国において措置をするが、縁故資金については措置をしない、そういう考え方は全く持っておらないのでありまして、双方を通じまして適切な国の措置ができますように、万一の場合の措置の見通しを立てておきたい、かように思っておる次第でございます。
  92. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大蔵省にお伺いしますが、いまのとおりに、縁故資金についても焦げついたときは国が保証する、こういうふうに理解していいですか。
  93. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 その前に、全体がまだ詰まっておりませんで、自治省を含めて関係省庁で検討中であるというのが現状でございます。  それから、ただいまの御指摘の点でございますが、この問題につきましても、国がどう負担するか、あるいは県がどう負担するか、あるいはそのほかの策がないか、目下すべて検討中でございまして、結論を得ていないというのが現状でございます。
  94. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 木で鼻をくくったようなことだが、そういうことじゃないのですよ。いまも話したとおり、大体煮詰まってきて、問題点が一つか二つにしぼられている。たとえばこの新聞で見ますと、「「国による債務保証」を明文化して閣議了解する」と書いてあるのだが、その債務保証の問題について一番最後に「一般会計、特別地方交付税など保証の財源についで明らかにせず、単に「チッソの経営状態が悪化した場合は政府が県の財政に圧迫をかけないよう配慮する」といった抽象的な表現による文書を作り、これを閣僚会議で了解することでほぼ一致した。」と書いてあるのですが、この点はやはりこういうふうな問題になっているのですか。
  95. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 その辺も正直な話、政府としてもまだ詰まっておりません。たとえば、先ほど来自治省財政局長の御説明がありましたように、自治省としてのお立場もありますし、あるいは県としての立場もある、私どもから言いますと、国の財政を預かる身としての私どもとしての意見もある。そこで、関係省庁がいま鋭意検討中であるということが現状でございます。
  96. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは根気負けするような話で、幾ら言ってもだめでしょうけれども、自治大臣にお伺いします。  大臣は、六月九日の「日本経済」、それから六月六日の同じく「日本経済」で、閣議後の記者会見で水俣病の問題についてこういう発言をしたと書いてあるのです。それは「水俣病患者への補償費支払いを維持するためには、熊本県が一部を負担するのもやむをえないとの考え方を初めて示唆した。またこげつきの一部を特別地方交付税で埋める構想についても「今後の折衝次第であり、(交付税の使用が)全くないとは言い切れない」」こういうふうに六月九日の閣議後の記者会見で言ったと書いてある。それから六日には、「「これまでも公害健康被害補償法の範囲内で一部は交付税を使っている」とし、政府、熊本県を含めた今後の詰めのなかで検討していく考えを示唆した。」こういうふうに書いてあるのですね。  そこでお伺いしたいのですが、いまはどうも交付税を使うということは絶対に承諾しないというふうにとられるような発言をしているのですが、これと自治大臣の新聞記者会見で発表されていることとは矛盾がありませんか。
  97. 加藤武徳

    加藤国務大臣 閣議後の記者会見で、何回か水俣病患者の補償の問題を軸にいたしましたチッソの救済問題に触れた記憶がございます。ただ、六月六日、六月九日、二回にわたりましての詳細なことの記憶はございませず、かつまた、きわめて抽象的な表現をいたしたのでございまして、それをどのように示唆したとか、どのように受け取られたとか、それは受け取られる方の立場立場によりましてニュアンスは相当異なっておる、こう私は思うのでございます。  今回の県債発行方式につきましては、もともと公共団体の地域の皆さん方の負担において企業救済をいたしますことはきわめて筋の通りの悪い取り運びであって、できることならさような処置はとらないのにこしたことはない、私はこの考え方を終始持っておったのであります。しかし、この考えを固執いたしておりますといたしますならば、結果的にはチッソの経営内容がますます悪化してまいりまして、最終的には倒産ということだってあり得る状況になってまいりますと、結果としては水俣病患者の救済に重大な支障を生ずる、かようなことでございます。かつまた、熊本県におきましても、事この事態に至っては転貸債を発行いたしまして会社を救済いたし、結果としては患者の補償が可能なような状況をつくる以外には道がないと判断をいたします。かような県債を発行いたします立場の熊本県知事の判断でございましたから、私どももそれに従わざるを得ない、かような結果でございます。そして、その際私は、転貸債を発行するとしても、それは企業を救済をして、結果的には倒産いたさないための処置であって、万一の場合も起こってはならないと考えておったのでございます。しかし、万一の場合も考えておかなければ、もし回収不能になりました場合には、それを国が全部負担をしてもらいます方法が完璧な処置でありますけれども、しかし、転貸債を発行いたしました県かその一部をも負担しないというわけにはなかなかいかないと思います。ですから、わずかのパーセンテージなら県もその負担を覚悟いたします。かようなこれまた熊本県側の考え方でございましたので、私は、記者会見におきまして県が一部負担するのもやむを得ない場合が生じてこよう、かような意味の発言をいたしたという記憶がございます。  それから、交付税のことにつきましては、私はやはり記者会見の席で何がしか触れた記憶がございますけれども、交付税の一部が熊本県に参りますことにつきましては、転貸債が焦げついて回収不能になった場合に一部県が負担をしなければならぬ、そして県が負担をしなければならなくなった分についての交付税の発言ではございませんで、現に公害健康被害補償法に基づきます事務費等につきましても一部交付税で見ておるのでございますから、全く今回のチッソ問題に関して交付税が使われておらぬということではなくて、やはり交付税の一部はそういう形においては使われておる、私はかような意味を申したのでございます。今回の処置をとることによりまして県が一部を負担せざるを得ない状況に相なりました場合に、直ちに交付税、かような考え方ではなかったのでございますから、その点、もし聞かれたマスコミの諸君に誤解があるといたしますならば、私の真意はいま申したようなことでございます。
  98. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 よくわかりました。  そうすると、大臣はこの問題で補償の結果、出た焦げつきに対して、県財政が赤字になった場合には、それを交付税で補てんする意思はない、こういうことだと理解して結構ですね。  大蔵省にお伺いしますが、大蔵省はそれでいいのですか。
  99. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 実は先ほど申しました、先生も御指摘の県の転貸債ですか、それが焦げついた場合にどうするかという話でございますけれども、これにつきまして私ども自治省から御意見を伺っていますから、それはまさに現在両省で折衝中ということですので、まだ大蔵省として正式にどうするという話でなくて、現在検討中、まさに折衝中であるということしか回答できないかと思います。
  100. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ちょっとそこにいてください。そうすると、大蔵省の立場としては交付税で出せということですか。自治省は出さない、大蔵省は出せという、それで折衝しているということですか。
  101. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 出すかどうか、先ほど来自治省の方からも、この問題につきましては県の方も一部負担すると言っておられます。それから、自治省立場もよくわかりますけれども、われわれとしましても、やはり国民の皆さんの税金を財源といたしまして使いますから、それなりにこの問題については全額国がかぶるというようなことはできないということで、いま両省で折衝中であるということでございます。  私どもといたしましては、この問題は先生先ほど来御指摘のとおり、本来チッソが負担すべきである、患者救済につきましては、その原因者であるチッソが負担すべきである、これは汚染者負担の原則からも明らかでございますし、民事上の責任からも明らかでございます。ただ、チッソが負担するといっても、現実にはチッソが支払えなくなった場合には、患者救済だけではなくて、地元の雇用の問題もございますし、それから地域振興の問題もございます。そういう大きな社会的影響を与えるので、そこで、チッソが収益力を回復するまでの間何らかの金融支援をとるべきではないかということで、私ども関係省庁集まって議論をしているところでございます。  そこで、もし万一チッソが支払い不能になった場合どうするかというような問題、いろいろな問題がございます。先ほど申しましたとおり、県としては県の負担をできるだけ避けたいと言うし、私どもといたしましては、これは国の問題でもあるし県の問題でもあるというような角度もございます。そういうことで、まだ両省折衝中でございまして、結論を得ていないというのが現状でございます。(「意味がわからない」と呼ぶ者あり)
  102. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 本当によく意味がわからないのだけれども、結局自治省では交付税で絶対に出さないと言っているし、大蔵省ではそれを出さなければいかぬ、こういうので折衝しているのだと思いますけれども、県が独自で、自分の財源で自分の地元だから出すのは私は何も文句は言いませんけれども、特別交付税なりでこれを出すということについては、ほかの団体の非常に大きな抵抗があるのは当然だと思うのです。  さっきから聞いておると、自治省の方では局長が、六割だけじゃなく、区分はどうだかわからないけれども、国で引き受けた分だけじゃなくて、銀行が引き受けた分に対しても、焦げつけばとにかく国が全部保証するというふうに聞こえるのです。大蔵省にちょっとお伺いしますが、資金区分にかかわらず、これが焦げついたときは、どっちで出すか別にして全部国が保証するというふうに考えていいのですか。いや、自治省でなくて大蔵省の方から聞きたいのです。話はさっきから何遍も聞いているからわかっている。
  103. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 私ども、いろいろ議論して検討している中にはそういう意見もございますけれども、まだそれについては決まっておりません。
  104. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうすると、県債を起こした場合に、銀行が引き受けた分については保証をしないこともあり得るのですか、大蔵省の立場で。
  105. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 仮に銀行が引き受けた場合、それに保証しなかった場合は、それはそれでまたいろいろな大きな問題にもなりますし、そういう方向は避けたいということで検討しております。いずれにいたしましても、先ほどから申し上げているのですけれども、結論を得ておりませんので、まだ何とも申し上げられないというような現状でございます。
  106. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あした沢田知事を呼んで結論を出すというのでしょう。問題点というものははっきりしているはずですよね。ただ、国が全部出すのか、県が一部負担するのか、交付税でそれをしりぬぐいするのか、それは別にしまして、県債を起こした分については、国が引き受けた分だけじゃなくて、銀行が引き受けた分に対しても、焦げついたときは保証する、こういう合意――その内容はまだわかりませんよ。その大まかなことについては合意していますか。
  107. 柏谷光司

    ○柏谷説明員 その合意につきましても、それかまさに合意すれば――それというのは政府保証でございますが、県債の転貸債が支払われなかった場合にどう保証するかということでございますが、その合意ということができれば、ある意味ではこの話は大体が解決すると思うのでございますけれども、それを含めましてその合意はまだ成立しておりません。まさに現在検討中でございます。
  108. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治省に伺いますが、この点は、さっきから聞いていると、何か合意したような話もあるし、向こうでは合意していないと言うし、もし自治省がどこまでも突っ張れば、大蔵省が銀行引き受けの分については保証しないぞというようなことがあるかもしれない。もしそういうような金額――大まかな原則として、こういうふうにするかは別にして、さっき言った事実上国が負担するというような、そういうところまでもまだいっていない、そうですか。
  109. 森岡敞

    ○森岡政府委員 正式の合意ということになりますと、これは大蔵省から何度も言っておられますように、いたしておりません。いま折衝中でございます。しかし、先ほど申しましたように、資金区分は、政府資金で調達する分とそれから銀行、縁故資金で県が調達する分と恐らく分かれると私は思います。しかし、縁故資金につきましても、国において県の負担が軽微なものとなるように特別の措置を講ずる、こういうことでなければ自治省としては合意するつもりはございません。
  110. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 非常に問題の焦点がわかってきたのですけれども、もう一つお伺いします。  焦げついたときは国による債務保証を、ここに新聞に書いてあるように「「チッソの経営状態が悪化した場合は政府が県の財政に圧迫をかけないよう配慮する」といった抽象的な表現による文書を作り、これを閣僚会議で了解することでほぼ一致した。」ここのところは、この新聞と違いますか、同じですか。
  111. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど来繰り返して申しておりますように、県の負担が軽微となるように国において万一の場合特別の措置を講ずる、その特別の措置の内容をどうするかということをいま詰めておる最中でございます。したがって、まま閣議了解をいたします場合の文書と申しますか、そういうものにつきましてもあわせて協議をいたしておるということでございますので、御理解願いたいと思います。
  112. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間が来たのでやめますけれども、大蔵省はいつまでたっても、まだ検討中だ、まだ検討中だということで何も発表しない。新聞ではどんどんこのとおりだ、このとおりだと次から次へと発表されてくる。これは私はちょっと考えると、この段階に来て、まだ折衝中でわかりません、まだ折衝中でわかりませんというのは、自治省はある程度しゃべっているけれども、あなたに関しては、何にもしゃべらないで、まだ決まりません、まだ決まりません、こういう態度は、何というか議会をばかにした考え方ですよ。それならば、新聞に書くようなことも絶対に書かせなければいいのですよ、どこから漏れていくかわからないけれども。こんなのにどんどん書いてくれば、日本じゅうの人はみんな決まったと思っていますよ。それをあなた方にここへ来て聞くと、何も決まっていませんと言うでしょう。一体われわれは何をどういうふうにすればいいのですか。そうして、もう少し詳しくしゃべってくれと言うと 詳しくもしゃべらない、まるで煙幕を張られたようです。議会の審議なんか要らないじゃないですか、大蔵省、あなた方の態度じゃ。われわれは別にこれに反対したり非協力というのじゃないですよ。患者を救済しなければいけないからというのでやっているので、よりいい案を模索しているのですからね。そういう態度をひとつとらないようにしていただきたい。  いま大臣からも局長からもお話がありましたように、特別交付税を使うということはやはり後から非常に大きな問題になってくる、こういうふうに思いますので、この点についてはひとつ十分考慮して、大蔵省の方も考慮して、特別交付税なんかをこれに引きずり込まないようにがんばっていただきたい、これをひとつ念を押しておきます。それから自治省の方も、特別交付税の方では絶対譲らないようにひとつがんばっていただきたい。そっちの方はそれで終わります。  それで、消防の問題でちょっとお伺いします。  この間の宮城県沖地震の問題で私どもは非常にびっくりしたのは、オイルタンクの問題なんです。水島事件であれほど徹底してやって、今度は大丈夫だ、こういうふうなつもりだったのですけれども、今度の事件で、水島よりももっとたくさんのオイルが流れ込んだ、こういうふうな事件が発生したので、非常にびっくりしたわけです。  時間がないので、ちょっと二、三疑問の点を申し上げたいのですが、この東北石油のタンクは、あの法律ができる以前のやつで、いわば法律どおりの規格でつくってないタンクですね。そうしますと、それの第二次防止法として、結局防油堤をつくることにしてあるわけですね。ところが、防油堤をあふれて出ているということは一体どういうことか、こういうことですが、それはどうですか。
  113. 林忠雄

    ○林政府委員 この問題のタンクは、聞くところによりますと、四十七年にできたタンクだそうでございます。この当時には、旧基準というのがやはりございました。これは三十五年の政令で一応旧基準があったのでございますけれども、この旧基準というのは実はきわめてずさんなものでございまして、本体は耐震構造でなければならないということにはなっておりましたけれども、たとえば基礎とか地盤などについては、余り確とした基準がなかった。それから溶接部についても非常に簡単な基準だった。これらが水島事故その他を契機にいたしまして、法律が改正され、新しい基準ができましたのが、これは逐次できたのでございますけれども、五十年ごろから始めて、五十二年に至って大体新しい基準になっております。  そこで、このタンクは、御指摘のとおり旧基準のもとにできたのであって、新しい基準には合わない――合わないというか、あるいは合っているのかもしれませんけれども。したがって、防油堤、防止堤でもって防ぐということになっておりますが、この防油堤、防止堤の設置期限はまだ到来しておらぬのでございますけれども、この東北石油の場合には、すでにできておった。これをあふれたという理由は、実は三つが一斉に破壊してしまったということで、防油堤の基準は、その区画の最大のタンク、プラス一〇%、一一〇%というのが一応基準になっておるので、一番大きいのが一つ破れてもその中でとまると計算上なっておるわけですが、地震のために三つが同時に破れたので、その容量が十分でなかった。さらに、それは外側の第二次の防止堤でとまるはずになっておったわけでございますけれども、これがやはり排水溝というものの施設が十分働かなかったということで、最終的には一部海へ流れ出たというのが真相のようでございます。
  114. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一つ一つのタンクの周りに防油堤を築いて、それで防げる。それからまた出てきたのは、もう一つ二次防油堤をつくってそれで防げる。合計三つ破れれば、四つ分ぐらいあるわけですね。四つ分じゃない、二次防油堤というのはもっと大きいのでしょうからね。ずいぶんあれになっているんだが、それから破れてくるということに私どもちょっと考えられないけれども、私はまだ詳しいことを、時間もないし、質問するつもりもありませんが、問題は、ここの排水溝の水門が作動しない、こういうようなことをぼくら考えると、最近事故がないので、またぞろ気が緩んできたのではないか。水島のときは一生懸命がんばったが、それからしばらくたつとまたあちこちで事故が起きている。ここしばらくタンクの事故がないから、また試験も何もしないでほったらかしにしておったのではないか。こういうような教育というものが非常に大事だということがあのころ強調されておったが、教育もしていない。こういうふうな気の緩みというものが非常にあったのではないか。当時、一番大事なのは教育であり、緊張感であるということも強調されたのですが、ここのところがまた緩んできたのではないかという感じがしますね。  それから、規格を変えて、新法でできたものと旧法の基準によるものとは、防油堤の築造の方法、容量、こういうものを変えなければ、これはまたやられる危険性がある、こういうふうに思うのです。私は、もう時間がないし、本会が始まるので、一言だけそれに対する御意見を聞きたいのです。
  115. 林忠雄

    ○林政府委員 この基準を見直す契機になりました水島の事故というのは、御承知のとおり地震ではございませんで、突発的な事故であったわけでございます。したがって、あれを教訓にしていろいろ基準をつくり直したわけでございますけれども、それの施行が、いま先生のおっしゃったような、しばらくなくて気が緩んだではなくて、新しい基準に基づいて、逐次新しい基準に合うように改造する、あるいは新しい堤防をつくる、ないしはその検査を厳重にするというのをいま鋭意やっている最中と申し上げてしかるべきではないかと思います。  東北石油の場合も、あの法律によってできました危険物保安技術協会の技術援助というかっこうで東北石油のタンクも幾つか検査をしておりますが、たまたま今度壊れた分はまだ検査をしていなかったものでございますので、ある程度時間的に経過すれば、これらの検査はいずれ一巡していくだろうということが一つ言えるわけでございます。  それから、防止堤の排水溝のあれが作動しなかったというのは、水島の事故のような場合に、地震でないものであればこれは当然作動するのでございましょうけれども、シャッターが落ちるのが地震でひずんでしまって落ちてこなかったということでございますので、さらに地震に対して全般的に見直すということはあるいは必要であるかもしれません。地震でなければ同時に二個、三個が破壊されるということはまず確率として非常に少ないので、防油堤にしても、いま最大容量のタンクの一一〇%に押さえておりますけれども、地震の場合は、今度の場合はちょうどそこに断層というか一種の地割れが走ったということで、まとまった場所で二つ三つやられておりますので、それらを考える場合はその三〇〇%、四〇〇%の防油堤をつくらなければいかぬということになりますと、今度は技術的、採算的に非常に問題もありましょうし、その辺の検討は今度を契機にしてさらに続けてまいりたいと思いますが、何せ水島の事故の反省、それに伴う新しい基準、それの施行ということはまさにいま鋭意続行中でございまして、その中途の胸突き八丁にかかっている。こう申し上げていいのではないかと思っております。
  116. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今度の油の流出事件では、川崎だとか横浜だとか、あそこら付近は大分びっくりしているようですね。そんなことで地震が来たら大変だというのでみんな視察に行っておるようですけれども、新潟地震のときも火事が出た、今度もこういうふうになった、いろいろな問題がありますので、事故は何で起きるかわかりません。地震で起きるのか、火事で起きるのか、何で起きるのかわかりませんから、ひとつ十分な配慮をして、地震にも耐え得るような研究をしていただきたいと思います。  終わります。
  117. 木村武千代

    木村委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時四十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十五分開議
  118. 木村武千代

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。中山利生君。
  119. 中山利生

    ○中山(利)委員 午前中の佐藤委員の質問にもございましたが、昭和五十一年に消防法が改正され、その前の年にコンビナート防災法が改正になりまして、石油タンク、高圧ガスその他の施設に対する基準が非常に厳しくなったわけでございます。その後そういう製造に対する監督あるいは現在の施設に対する検査等がどんなふうに行われているのであろうか。ああいう法律が改正されましたけれども、その法律が目指しているような状態になっているのであろうかということが私どもの関心事でございまして、実はそのことを御質問申し上げるつもりでおりましたところへ、この間の宮城県沖の地震が起きまして、佐藤委員から御指摘がありましたように、三基の石油タンクが壊れてしまったというような問題が起きました。これは石油コンビナート、またそういう基地を持っているところの住民には非常な不安があるわけでありますし、将来の石油備蓄というような大きな国策を遂行する上でも大きな障害になってくるんではないかと思うわけでございます。先ほども佐藤委員の質問に対して御答弁があったと思いますけれども、もう一度その新しい基準のもとにどういう検査あるいはそういう基準の保持というものがなされているのか、お聞きしたいと思います。
  120. 林忠雄

    ○林政府委員 午前中の佐藤委員の御質問にもお答えいたしましたとおり、実はこれらの新しい規制を順次いま施行しつつあるのでありまして、その胸突き八丁にかかっているというのが現在の実情でございます。  たまたま東北石油の問題につきましては、午前中佐藤委員に答弁申し上げましたとおりでございますが、一般的に申し上げますと、いわゆる水島事故後、危険物施設の安全確保のための規制を強化したのに伴いまして、その施設の改善がそれぞれの分野で行われております。  まず石防法、石油コンビナート等防災法の関係につきましては、特別防災区域の特定事業者が来年の七月までに自衛防災組織を逐次整備することとされております。それから流出油防止堤及び消火用屋外給水施設は本年七月までに整備されるという予定でございまして、これは逐次指導しておりまして、大体順調にいくというふうに見ております。  それから消防法関係につきましては、大規模タンクの不等沈下については、昭和五十一年の五月の法の改正によりまして臨時保安検査が義務づけられまして、この対象のタンクは百十三基でございますが、現在六十基が措置済みになっております。残余分につきましてもできるだけ早期に検査を受けて改善を進めるように指導いたしております。  それからタンクの防油堤につきましては、五十一年の政省令改正によりまして容量を収納最大タンクの一一〇%に引き上げた。東北石油の場合は、たまたまこれはすでにできておりましたのですが、三つほど壊れたために、一一〇%に引き上げたそれさえ越えて溢流してしまったという残念なことがございましたけれども、全体的にはこれが五十五年の十二月三十一日が改修期限になっております。ちょっとまだ時間がございますが、できるだけ早くということで進めてまいりたい。また同時に、これにつきましては税制、金融上の対策も講じておるところでございます。  それから、同じく大規模タンクの保安距離、それから保有空地、これはこれから新設する場合には従来よりもはるかに広い空地を持たなければいけない、タンクとタンクの間はその直径以上離さなければいけないという大変厳しい規制になるわけでございますが、従来ありますものはこれに沿わないわけでございますので、その代替措置として水幕設備あるいは冷却用散水設備というものをつくることになっておりまして、この期限は昭和五十六年六月三十日でございます。少し遅いじゃないかという御批判もあるかも存じませんが、相当な投資その他が必要でございますので、技術的にこの程度必要であるということでこの時点になっておりますが、引き続きその設置の促進を指導してまいりたい。  それから、大規模タンクの許可と検査につきまして、法律の改正に基づきまして危険物保安技術協会というのができておりますが、これが昨年の二月から業務を開始しておりまして、現在まで約九百件の検査を了しております。問題の東北石油のうちでも七基か八基か技術援助の形で検査をしておったのでございますけれども、今回壊れましたタンクはちょうどそれから外れておったという不運もございます。  それから、石油コンビナート等災害防止法の附則により、消防法が改正されまして、危険物施設に定期点検制度が導入されました。したがって、このタンクの定期点検をやるようこの励行を指導しておる。ざっと申しまして以上のような施行状況でございます。  これを概括して申し上げますと、新しい体制に順応すべくいま各方面で作業をし、各方面で指導をし、胸突き八丁にかかっておる、できるだけ早くその新しい体制に全部がマッチした状態になることを望んでおり、その指導を強めてまいりたいと存じております。
  121. 中山利生

    ○中山(利)委員 五十六年六月三十日が期限というのはどうも大変遅いような感じがしますが、その期限に間に合うように、その期限には全部の目的が達せられるような進み方で作業が進められておるわけですか。
  122. 林忠雄

    ○林政府委員 現在の作業の進み方、実はしかと確認してございませんが、これは一般の方々ではなくて相当大きな石油コンビナートが対象になりますがゆえに、当然社会的責任としても果たしていただかなければならないし、また果たし得る資力と申しますか経済力のある業界だと思いますので、この期限は当然守ってもらうよう指導を強めてまいりますが、これは十分守れるものというふうに私たちは見ております。
  123. 中山利生

    ○中山(利)委員 ぜひ一日も早く国民が安心できるような状態にしていただきたいと思います。  ただ、先ほど佐藤委員の御質問に対して、この東北石油の製油所のタンクから、排水溝の水門が十分に作動しなかったために海の方へ相当の石油が流出した、これは地震であるために、またその地盤が亀裂を生じたためにやむを得なかったのだというような趣旨の御答弁があったように聞いておりますけれども、こういうような場合には、たとえば第三次防油堤、防油設備ということになろうかと思いますが、この程度の地震でだめになってしまうような、作動しないような施設というのは何か本来の趣旨に合致しない、非常に心細い感じがするのですが、いかがなものでございましょうか。
  124. 林忠雄

    ○林政府委員 技術的なことは実は私はよくわかりませんけれども、排水溝をシャットする、とめるというのは物理的には非常に簡単な操作のはずでございますので、この場合どこかで操作をすれば完全にシャッターが落ちるというものであったに違いございませんけれども、地震のためにそれがひずんでしまってレールが曲がったみたいな形でシャッターが落ちなかったというのがどうやら真相のようでございます。地震ということを想定すれば当然ひずみが生ずるわけでございますから、これをたとえば二重にするとか、場所を変えて、方向を変えてつけるとかいう工夫は必要なのではないかという気がいたしておりますが、水島事故の場合は地震でないことを想定していろいろ考えましたので、これが地震に最小の経費で適用できるようにするための改善ということをやはり考えていく必要があるのではないかと思っております。そういう点、少し技術的な研究を含めさせていただきたいと思っております。
  125. 中山利生

    ○中山(利)委員 そうすると、地震に対する対策というものはまだ十分でないということでございますか。
  126. 林忠雄

    ○林政府委員 防油堤の容量もそうでございまして、地震なくして二つのタンクが一気に破れるということはまず考えられないがために、たとえばその中にタンクが八つあるとしても、その一番大きいもののさらに一割増しというのを防油堤の容量にしておりますけれども、もし地震で同時に八基全部が破れるということまで想定したら、防油堤のべらぼうに高いものをつけなければならないことになります。これが経済的あるいは合理性の意味で一体いいかどうかという問題もいろいろございますが、地震でないことを想定していたものが地震にどれだけ適用できるか。いま申しましたように、八つが全部壊れないにしても、せめて三つくらい壊れたことを考えて規制を強化したらいいじゃないかというような意見も当然出てまいりましょうし、その辺の検討はさらに深めてみたいと思います。
  127. 中山利生

    ○中山(利)委員 先ほどの御答弁にございましたが、こういう施設に対する検査あるいは設計、製造の指導等、危険物保安技術協会というのが発足をしてそれに当たっているということでございますが、製造時の検査あるいはでき上がった後の定期的な検査というのはこの技術協会が中心になる、あるいは技術協会だけでやっているのですか。どういう状況でございますか。
  128. 林忠雄

    ○林政府委員 タンクの検査というのは、造船と同じような形で溶接に関する非破壊検査というのが主流になっておりますし、そのほか地盤検査、地盤の強度の検査なんかもあるものでございますから、技術的にはやはり相当高度なものでございます。そこで、検査の権限が消防法によりまして市町村長にあるとして、各市町村長のところにそういう検査をする技術屋を年じゅう抱えておくということは大変非合理でもありますので、市町村長から委託を受けて検査を代行する、こういう一つの検査と、それからもう一つ、それだけの技術を持っておりますがために、今度は直接石油業者なら石油業者の方から依頼をされて、技術援助をするという形で保安協会が自分で頼まれて検査に行くというこの二つのケースがございます。その二つを日程を調整して現在ともどもやっておるわけでございます。相当人数も整備してまいりましたが、いま相当忙しい日程で検査を進めておりまして、全体に行き渡るまでにはまだ相当時間がかかりますけれども、こういう形で進めていけば、いずれは従来からあったものについての検査も行き渡る形になるのではないかと思っております。
  129. 中山利生

    ○中山(利)委員 そうしますと、その検査というのは当該の市町村が主体になってやるということになるわけですか。それともそのほかに、そういう装置をつくるメーカーが自主的な検査をするとか、また石油会社とかガス会社が定期的に自分の力で、自分の費用で検査をする、そういうようなこともあるわけですか。
  130. 林忠雄

    ○林政府委員 法的に検査権者は市町村長なわけでございます。そこで市町村長が検査をする。ところが、自分で検査をする技術がないために委託して、保安技術協会が委託料を受け取って検査する、検査料の相当額を委託料として払ってもらう、これが一般のケースでございまして、この場合には新設の後十年に一遍の保安検査というのが義務的になっておりまして、市町村長がやる。そのほかに石油コンビナートの業者が自主的に検査するということもございまして、その検査をまた技術協会が業者から直接委託を受けてやるというケースもございます。これをともどもやっております。
  131. 中山利生

    ○中山(利)委員 一説によりますと、そういうタンクとかパイプラインとか、そういうものをつくる側の自主検査、もちろんそういう検査業者に委託するわけですけれども、余り厳しい検査をやりますとコストにはね返ってくる、また粗悪なものほど検査に手数がかかり、費用がかかるものだから、なるべく簡単に検査をしてもらうというような弊害があるのではないかというような話がありますけれども、御承知でしょうか。
  132. 林忠雄

    ○林政府委員 一般的な経済現象として、事業を営む方がそういった検査をされることについて、いま先生の御指摘になったようなことは、あるいはあるという風説も聞いておるわけでございますけれども、危険物保安技術協会の場合は、市町村長から委託を受けてやるわけでございますし、これがもしこの検査をずさんにやって、それこそ石油タンクでも破れたりしたら大変な災害をこうむるわけでございますから、そういう点では十分な納得のいく検査ができる、またしておるというふうに考えております。
  133. 中山利生

    ○中山(利)委員 そうしますと、危険物保安技術協会というのと、それからメーカーが自主的に業者に頼んでやるのと、二本立てでやっているわけですか。
  134. 林忠雄

    ○林政府委員 業者が自主的に検査をやる者に頼んでやるということは当然あると思います。これは純粋な民間の経済活動でございますので、私の方、消防法の施行その他からは無関係と申しますか、タッチいたしませんが、消防法では、義務づけられた検査を市町村長がやり、その検査に合格しなければ事業が開始できないようになっており、その検査を市町村長みずからの手でやれない技術的な部分について保安協会に頼むという形でやっております。
  135. 中山利生

    ○中山(利)委員 そうしますと、そういうタンク貯蔵設備だけでなくて、成田空港への燃料輸送のパイプラインであるとか、それから最近、私もうっかりしておりましたら、私の地元などにいわゆる都市ガスのパイプラインというのが非常に広範囲に張りめぐらされているということなんですが、成田空港のパイプラインあたりはいろいろな反対運動や何かありまして、非常に世間の関心も深めておりますが、聞きますと、成田空港のパイプライン自体も、先ほどおっしゃった公的な検査ではないかもしれませんが、メーカー側の自主検査というのは非常にずさんなものだというような話も聞いておりますし、それから、いまの都市ガスのいろいろな住宅の周りに張りめぐらされているパイプライン、聞きますと、貯蔵タンクをつくるよりもパイプ自体に貯蔵と輸送を兼ねたパイプラインを引いておくんだという話を聞いたことがございますけれども、そういうものに対する検査というものはどのように行われておりますか。
  136. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 商業ベースで行われております石油関連施設のいわば企業サイドの検査というのは、実は非常に自主的なものでございまして、私どもの監督の届かない世界ではございますけれども、きわめて基本的に重要なことでございまして、強い関心を持っております。したがいまして、危険物関係の許可に際しましても、そういう前提に立って私どもが法的に市町村長等の検査にかからしめておる、こういう実態でございます。  問題は、石油パイプライン、これは国の方に検査責任がございますので、事前にどうしても企業サイドでは――この場合公団でございますけれども、非破壊検査の会社に非破壊の部分についての検査をさせるということになります。  それから、都市ガスのパイプその他関連する配管等の溶接部分の検査も、全部一般的には非破壊検査というのが行われますが、この場合に、現在一般的な問題といたしましては、日本非破壊検査協会という財団法人がございますが、ここの資格者、特級、一級、二級とございますけれども、放射線関係とか、あるいはその他の磁粉探傷試験とか、それぞれ分かれまして技術者がこれに当たっております。それをどういうふうに今度は公的な検査機関がオーソライズするかというのは、それぞれの法律体系の中で処理しております。たとえば都市ガスについてはガス事業法の関係で通産省がやっております。パイプラインについては、成田の場合は運輸大臣と自治大臣というふうになっております。したがいまして、厳正なる検査というのは、その前提として企業サイドにおいて十分検査が徹底されないと私どもとしては安心できないということから、それを踏まえて総合的に見ておるという状況でございます。
  137. 中山利生

    ○中山(利)委員 いま矢筈野さんおっしゃったとおりだと思います。でき上がってからの検査というのは、恐らく抽出検査、アトランダムにところどころやるという程度でありましょうから、その製造の時点でのきちっとした検査といいますか、そういうものが励行されないと、幾ら公的な検査を厳しくしても十分なことができないのではないかというふうに思うわけで、これもひとつできるだけ厳しくやってもらう、また、メーカーあるいは検査業者といいますか、そういうものに対する行政指導あるいはまた、業者に対するいろいろな技術的な向上あるいはいろんな格づけがあるとおっしゃいましたけれども、そういうものに対する資格の問題、そういうものをやはり厳しくやっていただきたいと思います。  二度とこのような事件が起きないように、とにかく備蓄という大きな問題もありますし、そこらじゅうでこういう基地に対する反対運動なども起きているときでございますから、そういうものの不安がないように、ぜひ各関係省庁、ひとつ厳しくやっていただきたいと思います。  時間がありませんので、その問題はそれだけにしておきます。通産省、どうも済みませんでした。  それから次は、消防団の問題に入りたいと思いますが、消防力の基準というのがございまして、消防団のいろいろな組織等はこれに基づいてやっているわけでございますけれども、ちょっと勉強が足りませんで、消防法を見ただけではわかりませんが、たとえば部には大体所要の人員は何名ぐらい想定をされているのか、お伺いいたします。
  138. 林忠雄

    ○林政府委員 ポンプ自動車一台といいますか、ポンプ自動車ごとに部長がいて、その下に通常十三、十四くらいの団員かいるというのが大体基準になっております。ただ、町村合併その他もありまして、町村の規模とかそれぞれの地域の実情、たとえば小さい町村が五つ、六つ合併すると、旧町村ごとに、従来団長であった方が分団長とか副団長ということで残られるようなことがあって、実際はこの基準に満たない場合でも、部長でなくて分団長がおったりというようなバラエティーは確かに全国的にあるわけでございまして、これをどうすべきか、そういう従来の地域の実情とかいきさつにかかわらず、とにかく基準どおりの数でやれということが果たして実情に合うかどうかという点、多分に疑問もございます。さりとて、今度は同じような規模で同じような仕事をしておりながら、そういういきさつが違うために、一方は分団長であり、一方は部長であるというような形で残りますと、後々の待遇その他の問題でも不均衡が生じるという問題もありまして、一律に、どうしたらいいかという、いい知恵が浮かばないで頭を悩ましている次第でございますが、大体現在はそんな実情になっております。
  139. 中山利生

    ○中山(利)委員 長官に先回りをして答弁をされたのですが、いま全国の消防団の組織を見てみましても、いま長官がお話しになったように、一台のポンプについて、それの指揮者が部長である、それからそのポンプが何台か集まった、ここの二十条では分団長は四口から六口、つまり自動車ポンプにしますと二台から三台までに一人の分団長、それから部長は自動車ポンプにいたしますと一台から一台半、小型にしますと二台から三台の指揮者ということになっておりまして、私どもの消防団でも数年前に消防力の基準に従いまして昔の分団制から部制に直しまして、人員も、さっき長官がおっしゃったような程度のものに多少上乗せをした、自動車ポンプで十五、六人、小型ポンプで十四人というような基準をつくりまして、再編成をしたわけでございますけれども、これも長官が先に御答弁になってしまったのですが、部制をとっている消防団と、それから昔のとおりにそのポンプの指揮者をいまだに分団長としてやっている、分団制をとっている消防団と、私の聞いた範囲ですから狭い範囲ですけれども、大体半々ぐらいではないかと思うわけでございます。ところが、同じ仕事をしている分団長と部長の間に、いま御答弁で触れられましたように、消防団の報酬についても非常な開きがありますし、それから公務災害補償、消防賞じゅつ金、それから退職報償金、すべての点で非常な開きがあるわけでございます。同じ仕事をしながらこんなに差があるということは、消防力の基準、すなわち消防庁の御指導に従って整備をした消防団の部長さんたちが非常に処遇の面で低いままに抑えられているという状況にあるわけでございますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  140. 林忠雄

    ○林政府委員 どっちであるべきかということになれば、やはり一応基準で決めたような職務を予想したそれぞれの格づけでございますか、先生の地元で整備をなさったというその方向が正しいのであろうと私は思いますし、消防庁としてどっちの方向に指導するかといえば、同一職務内容同一待遇といいますか、そこに不公平があるのは決して好ましいことじゃないので、この基準どおりの仕事をやるような組織にということが私たちの態度であるべきだろうと思います。  ただ一つ問題は、この消防というものがまさに市町村プロパーの事務でございますし、それぞれの市町村の実情に即した組織について、余り画一的に何人でなければいけない、何口でなければいけないと干渉する、これは権限もございませんが、干渉することはいかがかというその辺の兼ね合いの問題であろうと思うのでございます。従来の町村合併のいきさつその他もありましょうし、旧町村の団長であった方あるいは分団長であった方がいきなり部長ではというようなことで、士気に影響しても問題でございましょうし、その辺をながめながら、方向としてはこの基準に従ってなるべく統一した方向に整備していただくということをお願いする、これが私たちのとるべき態度であろうというふうに考えております。
  141. 中山利生

    ○中山(利)委員 組織についてはそのとおりであろうと思うのですが、先ほど申し上げたように、同じ仕事をしながら部制をとっているところが、処遇の面、またいろいろな災害補償の面、そういうところで非常に大きな差をつけられている、それに対してはどうお考えでしょうか。
  142. 福島深

    ○福島(深)政府委員 先生御指摘のように、確かに分団長の場合と部長の場合とでは処遇が変わってまいりますので、御指摘のような問題があろうかと思いますけれども、やはり二口ないし三口の場合に分団長さんをもって指揮をしていただくというのは、たてまえから言いますとどうかなという感じを私ども持っておりまして、現にそういう場合には分団長さんが指揮に当たっておられるということだと思いますけれども、そういう場合にもやはり部長さんを設置をしていただきまして、部長さんに指揮をしていただく。分団長さんという階級になりますと、またそれなりの責任のある職務を持っていただくというたてまえになっているものでございますから、したがって、御指摘のありますように、分団長さんか指揮をとっている場合に比べて、部長さんが指揮をとっている場合は待遇が下になりますことは、大変私は問題があると思います。むしろ私どものいまの考え方としては、部長さんがないという消防団の場合におきましては、分団長さんが指揮をとっておられましても、その下に部長さんを設置をしていただいて、そしてその方に二口ないし三口の場合の指揮をとっていただく、そういう形に持っていっていただきたいものだ、このように考えておるわけでございます。
  143. 中山利生

    ○中山(利)委員 全然話が違うのです。たとえば、ここに一台の自動車ポンプがある。それに対してその指揮者が部長さんであって、しかも人員も十五、六名というふうに消防力の基準に従って、つくっているところもあるし、また昔のとおりに、その自動車ポンプ一台に二十名か三十名の団員を張りつけて、それを分団長という階級の人が指揮をしている。だから、片一方の部長と片一方の分団長は全く同じ仕事をしている、そのポンプ一台の指揮者ということで。同じ仕事をしながら、処遇、補償の面で大きな差があるのは好ましくないのではないか。これに対して、両方いろいろな土地の特殊事情や消防団の編成の中で分団制をとっているのも部制をとっているのもやむを得ないとすれば、そういう格差をどう是正していくか、救済していくかということをお聞きしているわけです。
  144. 福島深

    ○福島(深)政府委員 御趣旨はよくわかりました。実態問題としてそういうことがあろうかど思いますので、日本消防協会あたりの御意見もよく伺いまして、適切な配慮がなされるように検討してまいりたいと思っております。
  145. 中山利生

    ○中山(利)委員 なかなか制度としてはむずかしいことだろうと思うのです。私もいつまでもこの改善を待っていたのでは、一生懸命努力をして重大な任務に当たりながら、しかも周りの分団制をとっている町村の分団長さんと比べて非常に低い立場に置かれている部長さんたちに申しわけないということで、もう一回また分団制に戻してみようかと思ったのですが、これもまた分団制を部制にして格下げをするよりもっとむずかしい問題がございまして、なかなかできない。だとすれば、やはりその制度を直してもらって、部制をとっているところの部長さんは、分団長並みの処遇に変えていただかなければならないのではないかというふうに感じるわけでございます。ぜひこれは大変でもお願いをしたいと思います。  それから、公務災害補償の問題でございますが、ことし大分改正になりまして増額をしてもらったわけですけれども、一番上と下で結構ですから、どの程度になっておりますか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
  146. 林忠雄

    ○林政府委員 公務災害補償の補償基礎額のお話でございますが、一番高いランク、つまり団長及び副団長で二十年以上の方が八千三百円でございます。それから一番低いランク、これが部長、班長及び団員の十年未満というのが四千八百円でございます。  これは、公安職給料表(一)の特三の十号、つまり警察の、県庁所在地以外の警察署長さんと同じところを一番上にとり、一番下の場合は、警察の、公安職給料表(一)の七の十六という普通の巡査でございます。これを標準にとっておりまして、その問を六等分したという形になっております。
  147. 中山利生

    ○中山(利)委員 この額そのものは、私は、このまま支給されれば大変妥当な額だと思うのですが、実際には何か百分の六十しか支給されない。ということになりますと、この一番低い基礎額からいきますと、現在の社会情勢にそぐわない非常に低いものしか支給されないということでございますが、これは何とか百分の百支給されるか、あるいは基礎額をもう少し上げてもらう、そういうことはいかがでしょうか。
  148. 林忠雄

    ○林政府委員 これはむしろ基礎額の方を考えるべきものだと思っております。と申しますのは、この百分の六十というのは消防団員だけではございませんので、国家公務員法、地方公務員法、それから労災保険制度、皆すべてこの百分の六十という率が横並びでございますので、もちろんそこに理論的根拠はあるわけでございましょうけれども、この率だけを、こちらの同じような性格のものが百分の百というわけにはまずまいらないと思います。したがって、基礎額をどこにとるべきであろうか、できるだけこの基礎額の改善を考えていくのが私たちのとるべき道であろうと考えております。
  149. 中山利生

    ○中山(利)委員 御承知のように、消防団というのは本当にその土地に住んでいる人たちの善意にだけ頼っているというような組織でございまして、年報酬にしましても出動手当にしましても、いまの時勢では考えられないほどの、ほかの会社の社長さんなんかに申し上げますと、もう信じられないというくらいな額で働いて、大事な任務についているわけでございますから、万一の事故のときの補償、あるいはいろいろな名誉、表彰の問題、それだけが一つの精神的なよりどころになっているわけでございまして、たとえばいまの最低の十年未満の部長、班長、団員、これが労災だとかそのほかの保険に全然入っていなくてこの制度だけで補償を受けるという場合には、百分の六十では非常に低過ぎる、実態に即しない制度ではないかと思うわけで、これはぜひひとつ増額をお願いしたいと思います。  それから、消防協力者などについては大体これと同じような補償がなされると聞いておりますが、水防協力者に対する災害補償あるいは賞じゅつ金制度、これがないということを聞いておりますが、どうなっておりますか。
  150. 林忠雄

    ○林政府委員 実は水防は所管が建設省でございますので、私ちょっと詳しいことを存じ上げませんが、実際問題としては水防と消防というのはほとんど兼ねておりまして、溢水、洪水などのときも消防団活動として実際に動くことが多いのではないかと思っておりますので、現実の問題として水防に協力した方々に対しても消防協力者という形で補償がなされることに事実上の運営はなっておるのであろうというふうに考えております。
  151. 中山利生

    ○中山(利)委員 これも消防となりますと消防法が働くわけで、いま御答弁のような処理もできるかと思いますけれども、水防となりますと消防団とか公的な機関だけではとても防ぎ切れるものでなくて、地域住民の全体の協力が得られなければならないわけです。長官の方でもよくお調べをいただいて、もし欠けるところがあったら十分な手当てをしていただきたいと思います。  賞じゅつ金の方はどうなっておりますか。
  152. 林忠雄

    ○林政府委員 どうも水防の方が不勉強でございまして申しわけございませんが、いま聞きますと、賞じゅつ金の扱いは同じようにできておるということであります。
  153. 中山利生

    ○中山(利)委員 協力者に対しても、団員と同じように賞じゅつ金は出るわけですか。
  154. 林忠雄

    ○林政府委員 消防の場合、協力者も同じような扱いをしておりますので、水防でも恐らく同じ制度であるはずだと思っております。
  155. 中山利生

    ○中山(利)委員 それではまた別な問題になりますが、先ほどの階級の問題にも多少関連いたしますけれども、いま消防団員の在職年数というのは非常に短くなりまして、かなり長く活躍していたと思うような人でも十二、三年。退職報償金制度が団員の確保、人材確保という目的でつくられたそうなんですが、あれは逆に退団奨励金みたいな形になりまして、在職年数が非常に少なくなっている。そこで、どうしても団長、副団長、消防団の幹部としての人材確保ということが必要になってくるわけです。いま部長さん、分団長さんにしても一年交代くらいでところてん式に、分団長をやめたら退団してしまう、部長をやめたら退団してしまうという例が非常に多くて、せっかく優秀な消防人がいながら、団の幹部としての人材確保がなかなかできないという実情でございます。  そこで、かといってただそれを副団長というようなことにするわけには組織の上から見ても中には三十人も副団長を持っておるところもありますけれども、それは非常におかしなことなんで、どこの団でもその問題で非常に苦労をしている。まあ組織法では、本部に七名ぐらいの団員を置いてよろしいという、昔の指揮班みたいなことだろうと思うのですが、そうではなくて、副団長と分団長の間に一階級設けていただいて、その人材確保のためにそういう制度をつくっていただきたいと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  156. 林忠雄

    ○林政府委員 御質問の御趣旨でございますけれども、そういう階級をもう一つつくることによって、団長と副団長との間ですか……(中山(利)委員「副団長と分団長との間」と呼ぶ)分団長からそこを一遍経てまた副団長となられるために在職期間が延びる、こういう御質問の御趣旨でございましょうか。それでございましたら、確かに御指摘のように、在職年数が、これは社会経済の進歩とかいろいろ職場の関係もございましょう、確かに非常に短くなっておりますし、退職報償金の方は、いま相当長い期間、十年以上ということになっておりますので、これ自体が早くやめる奨励には別にならないのじゃないかと私は思います。三年、五年で交代されるところが結構多くて、むしろ退職報償金がもらえないので下げてくれないかというような御陳情もあったりしたこともございますが、むしろ十年以上ともなれば相当長いと考えざるを得ない。昔の場合は二十年、三十年の方が結構いらっしゃいましたから、そういう意味では短くなったと思いますが、階級を一つふやすことによって長い在職が確保できるかどうかという問題、直ちにそこには結びつかないのではないか。むしろ優秀な団員の確保のための教育と申しますか、これは県の消防学校にも団長科あるいは幹部科というようなのもございまして、新しい団員の教育に当たる人の養成も一生懸命やっておるわけでございますけれども、こういうものをむしろ充実していって、もし勤続年数が短ければ短いなりに教育を充実して、団の機能を落とさない、そういう方向に力を注ぐべきではないか。しかし、御提案でもございますし、もう一つここに階級をふやして、機能をどう配分したらどんなことになるかという研究はひとつやらしていただきたいと思っております。
  157. 中山利生

    ○中山(利)委員 いまの消防団員は、昔のように軍事教練とか団体教練とか軍隊生活というものの経験者は全然皆無でございまして、一挙手一投足初めから教えなければできないわけであります。教育には大変な手間と時間がかかるわけでございます。また、いまおっしゃったように指導員の幹部の教育というようなこともやっておりますが、消防団というのは、とにかく十年やっても、火災で実際の経験をするというのは、多い人でも二回か三回、そういうことでございまして、昔のように三十年も四十年も五十年も消防団員をやっているという人は少なくなりまして、自分たちの持っているポンプを使っての消防活動というものには十年やればある程度習熟すると思いますけれども、消防団全体の運営とかそういうものに対しては、まだまだ十年ぐらいでは幾ら教育をしてもなかなか効果が上がらない。しかも、そういう適当な人を、十年ぐらいやってやっと一人前になった団員の中から将来の団長さん、副団長さんという人たちをできるだけ確保していろいろ経験を積んでもらおうと思っても、うまい制度がないものですから、みすみす指をくわえてどんどんやめていくのを見ていなくてはならぬということでございまして、これはほかのいろいろな府県の消防関係の方々にも聞いてみましたけれども、やはり同じような悩みを持っておられますので、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから、昨年のこの委員会で質問がございましたが、ポンプ操法の基準が変わりまして、非常に少ない人数で操作をするようになりました。これに対しては、いまのように団員が非常に少ないときに少ない人数で操作ができるような操法を指導してくれることは非常に結構だという肯定の議論と、昨年のこの委員会で質問がありましたように、結果的に一つの筒先を一人の人が保持する、これは非常に危険ではないか。茨城県の例を見ますと、最近非常に団員のけがが多くなって、事故が多くなっている。その原因は、皆ホースによるけがが多いということでございます。消防署などのプロの消防職員でしたら、水圧なども適当に、一人で保持できる程度の水圧でやることもできるでしょうし、保持の仕方なども熟練をしていると思いますので、これでも結構だと思うのですけれども、消防団ということになりますと、操法が一人で保持をしているから、火災現場でも一人でいいのではないかというような考え方になりかねないわけでございますし、また、ポンプの取り扱い等につきましては、さっきの長官のお話ではありませんが、教育をしていくためにもできるだけ大ぜいの人に操法を習ってもらう、ホースや筒先、ポンプの操作に習熟してもらうという意味でも、もとの操法の方がよかったのではないかという議論と、両方あるわけでございますが、その後、昨年の質問から一年ちょっとたっているわけで、消防庁の方ではこれについてはどういうふうな御見解でございましょうか。
  158. 林忠雄

    ○林政府委員 昨年、たしか柴田先生の御質問だと思いました。その場でも申し上げたのですが、中山先生も、柴田先生と同じように消防について長い御経験を経ていらっしゃいますし、こちらの、筒先さえさわったことがないような者からはとても答弁を申し上げられる能力がないわけでございますけれども、実はこの五十一年四月に、旧操法の自動車一台七人から五人に改正をいたしましたにつきましては、役所の事務屋が机上の空論でやったのではなくて、実際にどうだろうかというので、消防本部、それから団、消防学校という方から、実際に何度も扱われた経験者に集まっていただきまして、議論を深めてもらって、そこで、これでいけようという結論が出たものでございますので、私はこれでもいけるのではないかということを一応考えておるわけでございます。  ただ、去年の御質問にもありましたが、都会の、アスファルトで舗装したような足場の非常にいいところならあるいはこれでいけるかもしれないけれども、地方に行って、農村に行けば、まず平らなところなんかはない、足場は悪い、水はじゃぶじゃぶ流れる、こういうところではとうてい実戦に役に立たぬ。かつ、訓練即実戦であるのが本当に消防のあり方であって、訓練は訓練、実戦のときは別だというのだったら、これは訓練の意味がない、これも御指摘のとおりでございます。  そこで、この操法の中にも筒先の補助者というような項目も入ってございますのは一そういう足場とか実態を考えて、ある程度補助者が必要なときにその補助者の職務も書いてございますので、あわせて、訓練のときはそういうものも踏まえてやっていただくことによってやっていけるのではないか。  確かに、昨年から一年間期間がございましたのですけれども、その間これをもう一遍点検したらどうかという御意見も幾つかは寄せられておりますけれども、そう多くはございませんでした。しかし、非常に大切なことでございますし、訓練即実戦という立場から、さらに研究を深めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  159. 中山利生

    ○中山(利)委員 ぜひ御検討をお願いいたします。  時間も参りましたが、消防財政の問題ですが、交付税でいろいろ措置をされておりまして、われわれが消防団の側から市町村の財政当局へいろいろ要望をしましても、交付税の非常にむずかしいことを盾にとりまして、消防団側はうまくごまかされてしまうというような傾向が強くて、聞きますと、交付税で手当てをしているよりも決算がいつも少ないのだというようなことが、何か大蔵省あたりから、交付税消防の方の費用を引き上げる非常に大きな障害になっているということを聞いておりますが、そういう点についてはどういうふうな御指導をなされておりますか。
  160. 林忠雄

    ○林政府委員 まず、消防財政措置を交付税でするということについては、私どももこれが最も妥当な措置の仕方だと思います。つまり、消防というのは本当の純粋な市町村の事務でございます。まさに固有事務と言っていいような事務でございますので、その市町村が、消防にどれだけ熱意を注ぐか注がないかというのも自治のうちの一つでございますので、これをひもつき財源にしたり、補助金にしたり、一定の負担割合を強制したりするというしろものでない。そういう意味では、交付税財政措置をして、あとは実際にどれだけ財政をかけるかはその市町村が自主的にお決めになるのに最も適した行政項目ではないかと存じております。ところが、実際には消防というのは、一体火災が起こるかどうかわからないし、地震が起こるかどうかわからない、あるかないかわからない災害のためのあらかじめの投資でございますので、地方財政自体が苦しくなりますと、そのあるかないかわからないものに対する備えよりも、現実に子供が何人ふえるから小学校を何校建てなければならぬという、そういうふうなものにどうしてもつい財政が先に走ってしまう。それで、一種の保険みたいな、あるかないかわからぬものに金を投ずる意欲が衰えがちであるということもまた事実でございます。したがって、交付税で計算した額と、それから全国の消防に関する決算額を見ますと、地方財政がわりあいと豊かに回っておりました石油ショック以前にはほぼとんとんというか、一〇〇%近くになった時代もございますが、その後地方財政が苦しくなるにつれましてまた再び交付税で措置した額よりも落ちて、現在は八割何分というようなところに来ておりまして、大蔵省から議論をつけられる種になっておることも事実でございます。  そこで、国でも、私の方の消防当局といたしましては、それだけ財政措置してあるんだからぜひ全体的にそのための消防の経費に使ってほしいという気持ちは持っておりますけれども、交付税でございますから、これは強制するべきものでもございませんし、そういう苦しい中でも、災害というのは一たん起こればそれこそ人命の問題でございますので、この投資意欲を増していただくよう指導と申しますか、お願いを申し上げる立場にあるわけでございます。
  161. 中山利生

    ○中山(利)委員 最近広域消防がだんだん広がってまいりまして、常設化、常備化が拡大してまいりまして、それに伴って消防団の方が財政的に圧迫をされているのではないかという声があるわけでございまして、そういう点につきましてもひとつよろしく御配慮をお願い申し上げたいと思います。  時間がありませんので、最後に一つ御質問をしますが、前にもこの委員会質疑応答があったかと思いますが、消防施設の充実のために何か特定財源を充実させるお考えはないかどうかお伺いしたいと思います。
  162. 林忠雄

    ○林政府委員 これも実は消防界の長い宿題でございまして、この御議論はずいぶん昔からあります。消防施設を充実するために何か特定財源をすべきではないか。たとえば火災保険を掛けられる方からその火災保険の掛金を財源にしまして、その一定割合、何%とかいうものを消防施設充実のための地方税として取って、それは消防施設充実のために充てるというような論かございまして、ぜひつくれというような御意見も非常に強いわけでございます。反面、これに利害関係を持つ方々からはいろいろ反対論もありまして、長い宿題のまま実は今日に至っておるのでございます。消防当局といたしましては、そういうものがつくれれば飛躍的に消防力を充実するのに役立つと思いまして、ぜひつくりたいものという希望は持っておりますけれども、いきさつその他もありまして、実現までまだ多少の道のりがあるように考えられます。  それから、これに反対する一つの論拠といたしまして、火災保険にかかっている者の負担で、もし消防施設が充実されれば、かかっていない人までも全部恩恵を受けるんだから不公平だというのが反対の論拠の一つになっておるようでございますけれども、私は、この論拠は少しおかしいのではないかと思うのです。税というものは負担力のある人が納めて、その恩恵は全員に及ぶのがあたりまえでございますから、火災保険を掛けている方々の負担には違いございませんけれども、掛けている方々は一つの安心を買っておられる。物品税でも、テレビを一台買えば税金がつくと同じように、安心を買っておられる方々の御負担で財源をつくって、還元は全町民に及ぶということ、これがむしろ税の本質でございますので、私はこの反対論は論拠がないものと考えておりますが、これから関係方面にもできるだけいろいろ働きかけて、もしそういうものができればわが国の消防の水準の向上に大変寄与いたしますので、努力をしてみたいと思っております。
  163. 中山利生

    ○中山(利)委員 ありがとうございました。終わります。
  164. 木村武千代

  165. 三谷秀治

    三谷委員 大変初歩的な質問でありますが、行政の基本にかかわる問題ですから、大臣の所見をお尋ねしたいと思うのです。  憲法の十九条でありますが、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」と定めております。二十一条では「集合、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。」と決めております。この憲法の規定といいますものは、国民の行政批判の権利あるいは政治批判の権利を保障したものであると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  166. 加藤武徳

    加藤国務大臣 憲法に思想や言論の自由並びに表現の自由等を規定してありますことは申すまでもないことでございます。これは、政治なり行政を批判いたしますことを許さないなどということでは全くございませんで、まさに堂々と批判をすべきことを前提といたしておる、かように考えます。
  167. 三谷秀治

    三谷委員 地方自治法の十条には「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」と定めております。この行政解釈によりますと、「役務の提供」というのは、公の施設の供用のみならず、地方公共団体の諸種の施策を含めて地方公共団体が住民に対してサービスすることをいう、このように解釈されております。それから「ひとしく受ける」というのは、住民ならば何人とも同じ資格で、区別なく、平等に享受できる、そういう意味だと解釈されておりますが、この点はいかがでしょうか。
  168. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 そのような解釈をいたしております。
  169. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、行政批判とかあるいは行政内容の批判というものは国民の正当な権利であって、これを行うことによりまして、市民権を制限される、もろもろの行政上の権限を制約されるということはあってはならないということは憲法や自治法のたてまえから見て当然だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  170. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 基本的にはそのとおりだと思います。
  171. 三谷秀治

    三谷委員 基本的原則ですね。要するに、憲法や法令に違反する行政処置はあり得ないということなんでしょう。どうでしょうか。
  172. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 地方公共団体が行いますあらゆる行政が憲法あるいは法律に基づいて行われるというのは当然のことだと思います。
  173. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、もしもたとえば市政の批判をしたことを理由にしまして、要するに、行政批判をすることを理由にして、住民に対する役務の提供を停止するというような事態が起きてきますと、これは明らかに違法な処置だと思いますが、その点はいかがでしょう。
  174. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 一般的にはそうだと思います。
  175. 三谷秀治

    三谷委員 特例がありますか。特例はどういう場合でしょう。
  176. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 具体的なケースについての御質問じゃございませんので、一般的にはそうだと申し上げたわけでございます。
  177. 三谷秀治

    三谷委員 それは一般的でなしに、基本的に、原則的にそうだということだと思いますが、どうでしょうか。
  178. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 もちろん基本的に、原則的にという意味でございます。
  179. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、仮に市長が行政をやります場合、市長といえどもあるいは内閣といえども、憲法、法律を誠実に履行する、そうして行政を執行するという義務を負うものだと思いますが、この点は憲法の規定にもなっておりますが、大臣いかがでしょう。
  180. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いまおっしゃったとおりの基本の考え方でございます。
  181. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、私の経験からまずお話しした方がいいと思いますが、私は先日五月二十六日に北九州市に出かけました。地域の共産党が主催します演説会に出かけたのであります。ところが、取りつけておりました会場を、市がにわかに使用の停止を言ってきたのであります。その理由は何かといいますと、北九州市の同和行政に触れるか触れないか、こう言ってきた。もちろん、同和行政も行政でありますから、これに触れる触れないは国民の権利であって、それを触れるとか触れないとかいうふうなことを言う義務はない。一般政治的な演説をやるのであって、触れる場合もあるし触れない場合もある、こういう態度を示したのであります。   これに対して、それでは市の同和行政を批判するおそれがあるから、会場の貸与はできないという態度をとってまいりましたが、こういう処置は  いま申しました憲法、自治法に照らして妥当かどうかお尋ねしたい。
  182. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 具体的なそのケースの場合には、そういった講演会でございますか、それが開かれることが公の施設の管理上支障があると  いうことでお断りした、市当局はそう言っております。
  183. 三谷秀治

    三谷委員 管理上支障があるといいますのはどういうことなんでしょう。一般的に管理上支障があるといいますのは、物理的な問題を言うわけでありますが、その場合にどういう理由があったのかお尋ねになったのでしょうか。
  184. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 管理上支障があるという解釈は、自治省かち公の通牒等を出しておるわけでございませんけれども、従来からの解説等によりますと、物理的な場合が多いわけでございますが、必ずしも物理的だけに限定するということじゃなくて、そういったことも含めて施設の管理者が判断するということであろうと思います。  市当局におきましては、市の過去からの同和行政その他のいろいろな経緯等にもかんがみまして、管理上支障があると判定したと申しております。
  185. 三谷秀治

    三谷委員 管理上支障があるというのは、大体会場自体の物理条件が根拠になるものであって、同和行政そのものが根拠になっているわけですか。つまり、行政そのものが批判とか反批判とかいう対象になるのは困るということを言っているわけですか、どっちなんです。
  186. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 私が考えますのは、それによって、物理的その他でございましょうけれども、管理上問題があるという判断でございまして、同和行政そのものというよりも、それが行われることによって会館の管理上支障があるというふうに私は解釈しております。
  187. 三谷秀治

    三谷委員 それはあなたが推定的な解釈をされているのであって、現地ではそんなことは一つも言っておりません。現地が言っておりますのは、同和行政に触れていただかなければ使ってください、触れられるのでありますならばお貸しできません、こう言っているのです。つまり、北九州市の同和行政を批判するという行為がある場合にはこれは貸せない、なければお貸ししますと言っている。ですから、結局は行政の内容を批判するかしないかというところが焦点になってきている。こういう場合はどうお考えなんでしょうか。
  188. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 この具体的なケースの場合には、確かに先生のおっしゃるようなことを市の当局は言ったと申しておりますけれども、そのことによりまして管理上支障があるという事態が生ずるおそれがあるということで判断したというふうに解釈すべきだと思います。
  189. 三谷秀治

    三谷委員 どうもあなたは、市の言っていること以上にそれに敷衍をして言い分を合理化されようとしておりますが、市はそういうことは言ってはいないのであります。  たとえば、幾らかの市の通達もありますし、議会における答弁もありますし、裁判所における市側の言い分もあるのであります。市側の言い分を聞きますと、北九州市におきまして、そういう公共施設を行政批判をする団体や集会には貸さないということは今日始まったことではありません。昭和五十年以来連続してそういう事案が起きております。すでに会場を拒否されました、つまり使用を断られましたものだけでも二十五件に達しております。  それから、先般この問題が起きまして以後は、会場の使用を認める認めないじゃない、その申請を認めない、市民権を完全に認めない、こう言っている。その理由は何かといいますと、私の場合ですと、北九州市同和行政の基本方針に反対するおそれがある、こういうことを言っている。  それから、御承知のように若松市の公会堂の使用にかかわる問題は裁判にかかっておりますが、その裁判というのは、もはや事件は済んだわけでありますから、主体は損害賠償の問題に係るのであって、これ自体がなお係争中であるという性質のものではありません。そういう行政措置そのものについては係争中ということではない。要するに、損害賠償をどうするかという問題が主たる訴訟の内容になっているわけであります。  そこで、ここの裁判におきまして市側がどういうことを言っているかといいますと、使用拒否につきましては 裁判の文書は後にしまして、市議会で答えておりますね。市議会の追及に対して答えておりますのを見ますと、これは市の基本方針と相入れない、だから承認できないのである。これは市会の議事録に載っておるなぜ会館の使用を認めないかということに対する答弁です。これは市長の答弁であります。  それから教育長――教育長というのは自治省から派遣しておるわけでありますが、この教育長は「憲法でとくに大事なのは、基本的人権の保障ということだと思います。そういう基本的人権を侵すような言論の自由とか集会の自由というのはない、だから断る」こう言っております。この浅野君の意見というのは、基本的な人権を侵すような言論の自由とか集会の自由はないというわけでありますが、一体基本的な人権を侵すような言論であるかどうかということをだれが判断するのかという問題が残ってくるわけであります。こういうきわめて独断的なことを言っている。つまり、この施設を貸さない、市民の共有権を剥奪したのは市の行政の方針に反するからであるということが明らかにここで示されておるのであります。こういうことでありますと行政批判の権利がなくなってしまう、そして、批判をするかしないかということをまずただした上で会場を貸すか貸さないか決めるというのでありますから、市民権を認めるか認めないか決める、こう言っている。こういう処置が妥当だと言えるでしょうか。
  190. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 一般的に市の行政を批判するための集会に貸さないということはやはり非常に問題である、違法のおそれが強いと思います。ただ、先生御指摘の件は、市のとっておるところの同和行政に反するような論議を目的とする集会が行われる場合に、差別を助長するおそれがある、したがいまして、管理上いろいろな問題が生ずるおそれがあるので貸さないということで、今回、先ほどおっしゃったような事件になったのだと思います。そうして、仮処分その他で、その後の集会については行われたわけでございますけれども、市といたしましてはその点についてはまた即時抗告もいたしておりまして、裁判で争われておるわけであります。損害賠償の訴訟か出ているわけでございますけれども、その根底を流れる問題として、その問題も当然裁判の対象になるわけでございますので、非常に微妙な点でございますが、市の方といたしましてはそういうような事情で、そういった同和の特定のそういうものについてのことであり、それが施設の管理上非常に問題があるということでお断りしたのだと申しておりますので、私どもは一応そうだと思っておるわけでございます。
  191. 三谷秀治

    三谷委員 おっしゃることがよくわかりません。つまり、いま差別の助長とおっしゃいましたけれども、差別とは一体何でしょうか、そうして、その助長とはどういうことなんでしょう、そこからまたひとつお尋ねしたい。
  192. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ただいま申し上げましたのは、市の方の言っておるそのままの表現を使ったわけでございますが、北九州市の置かれているところの同和の実態というものにつきましては私ども深く知っておるわけではございません。したがいまして、北九州においては、ある程度特異な例だと思いますけれども、北九州における同和の実態ではそういうことかということでございます。
  193. 三谷秀治

    三谷委員 それは北九州市だけの特異な例ではありませんよ。要するに、そういう形で地方自治体というものが憲法や自治法に基づく公正な行政をゆがめてしまって、そうしてとんでもない事件を起こすということは何も北九州市だけじゃない。八鹿事件がそうであります。大阪におきましてもあったのです。市長がピストルで撃たれたり出刃包丁をぶつけられたり、そういう行為によって恫喝されてしまって、そうして、財政をどんどんそこへつぎ込む、そのために住民の批判が高まってきて、ついに落選をする市長が相次いで出てきたわけであります。したがって、それは北九州市だけの特殊なものじゃないということなんですよ。  そして、いま差別も助長するとおっしゃいましたけれども、差別とは何かということです。差別というのは、要するに旧身分を理由にして就職や結婚を差別してはいけない、つまり、就職や結婚などに当たりまして旧身分を問題にする悪習、これが差別です。それからもう一つは、市民生活で旧身分によって侮辱や排斥をする悪弊、これが差別なのです。これがいわゆる心理的な差別でありますが、そのほかには歴史的な経過によりまして、居住地域の環境の劣悪さがあります。この劣悪さを、同特法の主たる目的になっておりますが、改善をしていく。ですから、劣悪な条件を直す。それから、旧身分によりまして就職や結婚の差別をすることをやめさせる、あるいは市民生活で侮辱、排斥する、そういう行為をやめさせる、これがつまり差別の一掃というものであります。  ところが、北九州市におきましては事態はどうなっておりますか。ここにおきましては、むしろそういう差別がいまの市の行政によってだんだん深まりつつあるじゃありませんか。たとえば窓口一本化をいまだにやっております。窓口一本化がよくないということは歴代の大臣がおっしゃっている。あるいは政府の通達もしばしば出されておる。ところが、窓口一本化が行われておって、それが北九州市の基本方針である、こう言っている。つまり、憲法や自治法が強調しております平等権、行政における公平性あるいは平等性を無視して、特定の団体に属しておらなければ行政の受益はない、そういうのがいまの北九州市の実態なんです。だから、それはよくないという批判をするのはあたりまえであって、すべての未解放部落住民に対して均てんして行政は行うべきである、この考え方が「民主的で公正な同和行政を実現する会」になっている。その会は差別するからだめだ、こう言っている。これはどういう論理に立つのですか。
  194. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 同和行政につきましては、公平というのが一番大事なことでございまして、対象者すべてに受益が及ぶことが必要でございます。したがいまして、四十八年の通達以来、政府といたしましてはそういった方向で繰り返し地方団体にも指導しているわけでございます。  ただ、個々の具体的な同和行政をどのように展開するかということは地方公共団体の置かれておる状況等がいろいろ異なりますので地方団体に任せておるわけでございますが、政府といたしましては、一貫して公平な同和行政の推進にこれまでも努めておりますし、今後とも努めてまいらなければならない、そのように考えております。
  195. 三谷秀治

    三谷委員 いまのお答えには一種の言葉の上の詐術があります。つまり、公正な同和行政をやらなくちゃいけないという観点で指導するのでありますならば、そういう公正な同和行政をやるための集会あるいは学習会、研究会、そういうものに会場を貸さないなんてべらぼうなことを認めるわけにいかないんだ。ところが、あなた方は公正な同和行政が実現するように指導する指導すると言いながら、そういう窓口一本化による特定の人だけを対象にする行政をやっている市のそれに反対する、それを批判する集会や言論を抑圧しようとする。そのために行政権を利用して、供用施設の使用権まで制限するような措置を見逃して、そしていろいろ市側に立って弁解されている。それは論理が通りませんよ。  そこで、私は大臣にお尋ねしますが、この窓口一本化といいますか、恐らく大臣御承知だと思いますが、これにつきましては、昭和四十五年以来この弊害がずっと高まってまいりましてから国会論議の対象になってまいりました。  そしてこれは大阪の場合ですが、同和事業を部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施するという確認を堺市が行ったがどうかという質問に対して秋田自治大臣はこうおっしゃっている。支部を通じて実施するというのは実質的には非常に不適当なものであるんじゃないか、こうおっしゃっております。それからこの団体の推薦がなければ同和対策の恩典が受けられないというような取り決めを理事者がしておるが、これは正常か、こういう質問に対して秋田大臣は、まことに適当ではない、是正さるべきものである、そしてこの対策に当たっては――この対策といいますのは同和対策でしょうか、住民全体の利益を、一部少数の人の利益のためでなく、公正な手段によって、脅迫等のような事態のもとでなくて、健全に公正に平静に、地方住民全体のために、不当な差別が解消するような行政を行うことが必要である、自信と勇気を持っていただかねばならぬ、そしてそういう指導をするのが自治省の責任である。これは秋田自治大臣の答弁であります。  渡海自治大臣も同じことをおっしゃっております。全部を引用しますと大変長くなりますからはしょりますが、渡海自治大臣は、窓口を一本化して特定団体だけに不公正な行政を行うことは間違っておる、はっきり改められるよう指導する、こうおっしゃっております。  それから坪川総務長官でありますが、特定の団体への加入の有無によって事務の公平を欠いて不公正な取り扱いがあってはならない、これは意思統一をしている問題である、こんなふうにおっしゃっておる。  それから奥野文部大臣でありますが、窓口一本化という言葉を使っているが、私は行政権に対する不当な介入だと思っておる、こういうことでは同和問題の根本的解決はできないばかりか、むしろ障害になる、こうおっしゃっておる。  ここにこれだけとってきておりますが、要するに、そういうふうな未解放部落全体を対象にするのでなしに、特定団体だけを対象にした行政をやってきた。そのためにしばしば裁判ざたも起きてきている。しかもその裁判は、市側がほとんど敗訴しておる。  たとえば福岡市におきましては、個人給付の問題におきまして二十六件の住民の救済訴訟が起きましたが、二十六件とも市のやり方はよくないという裁判の結果が出ている。  それから、北九州市におきましてもいろいろ出ております。たとえば私たちの事件がありました二日後に、同じように私たちが学習会をやったわけでありますが、これを妨げようとした。そこで、これは時間がありましたから裁判所に提訴をしました。そして、裁判所が出しました判決というものはこういう内容であります。市の同和行政に対して中傷、誹謗するので許されないというが、本来、行政批判などの政治的主張をなすことは表現の自由として保障されておることである。だから、会館を貸さないということは不当である。こういう判決がついこの間、五月二十八日に福岡地裁から出たばかりなんです。それから、それ以前におきましても、たとえば「橋のない川」の映画の上映をするために使用申請を市に出しましたところが、一たん許可しておきながら、これも部落差別が助長されて基本的人権が侵されるおそれがあると言って使用を拒否した。これは六月五日に福岡地裁が、表現の自由を制約せざるを得ないほど明白に危険を包含するような趣旨の映画ではないと言って、当局の主張を退けるという事態になっておるのであります。  それからさらに、不公正な同和行政につきましても判例が出ておるのであります。これは、未解放部落の中の住民が、自分の家の前に同和保育所があって、そこに子供を行かしておった。そうしたら、特定団体から出たというので、もはやそこには入れない。市の方に申請をしましたら、団体の確認がないからだめだと言って入れない。そこで、これは訴訟を起こしたわけでありますが、この訴訟に対しても、市の処置は根拠がないという判断を下しておるのであります。  つまり、違法な行政の事例というものが裁判上からもきわめて明白になってきている。しかし、行政上の監督とか指導とかいうものは裁判によって決めるべきものじゃない。これは御承知のように地方自治法の二百四十六条の二ですか、ちゃんと違法の行政につきましては国が適正な指導監督をしなければいけない、すべきである、こうなっておるわけであります。こういう事態を見ましたときに、あなた方はこれで正常であるとお考えなんですか。これであたりまえであるとお考えなんですか。  なぜ私がこの点を強調するかといいますと、市の基本方針というのは一体何かというのです。市は、基本方針に反するからだめだと言っているのでしょう。基本方針は何かというのです。基本方針というものは、要するに、一つの団体だけを対象にして、その団体と協力をしながら行政をやっていくんだ、こういう立場に立っている。ただ団体と相談をしながらとか協議をしながらということですとまだしもでありますが、結局はその団体に対して実際上の行政権を与えてしまっている。その団体が判をつかなければいかなる受益も受けられない。ですから、個人給付もそうでありますが、北九州市で有名なのは、同じ部落の中で、特定団体に入っていない人のところだけは水洗便所にしない。部落の改善事業によりまして水洗便所をつくったわけでありますが、その特定団体に入っていないというので、十七世帯でありましたか、これには水洗便所化の補助金を市が出さない。それですから、隣は水洗便所になっているけれども隣は旧来のままの便所が残存している、こういう事態も出てきている。こういう不公正な、しかも部落の中で新しい差別をつくっていくようなやり方というものが差別の解消になりますか。それをやめろという意見がどうして差別を助長するのですか。そのための研究をやろうというのがどうして差別を助長することになるのですか。  ですから、そういう一方的な言い分を自治省が取り上げたらだめなんです。自治省は公正な立場に立って――元来言いますと、運動と行政は別であります。行政というものは厳密に公平、平等なものでなくちゃならぬということは明らかなことでありますから、団体がどうあろうと運動がどうあろうと行政は別個のものです。その観点に立ちますならば、あなた方は、特定の団体が行政権を握っているような、つまり奥野文部大臣の言葉を借りますと行政権の委譲というような事態がある中で、それを何とかよく直していこうという運動、それに対して――これは自治法の二百四十四条でありますか、公の施設の貸し出しを拒否してはいけないとか差別してはいけないということを定めておりますが、これにも反してこういう処置をとっている。これが、皆さん、指導の対象になりませんか。大臣、どうお考えでしょう。
  196. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど、かつて自治大臣をおやりになった何人かの方の発言を引用されましてのお話でございました。私も、予算委員会なり常任委員会等におきましてしばしばこの問題について発言をいたしておるのでございますけれども、行政は公平でなければならぬことは申すまでもございませんし、かつまた一憲法や法律に違反してはならぬこともこれまた申すまでもないのでございます。また、行政を批判する権利が奪われてはならぬこともこれまた申すまでもないことでございます。ことに、ただいま地方自治法二百四十四条の引用もございました。二百四十四条には、正当の理由がない場合に施設の使用等を拒んではならないことも明定されておるのでございます。ただしかし、政府といたしましても、公平な行政をやりなさい、ことに同和行政に関しては公平でなければならぬ、このことを通達をもって示しておるのでございまして、そして全国都道府県、市町村等におきましても私は公平な行政が行われておると思うのでありますし、また、その行政を批判する権利が奪われておるというふうには考えておらないのでございます。
  197. 三谷秀治

    三谷委員 あなたが頭の中でお考えになっておっしゃっても困るのです。私は現実の事態を詳細に御説明をして、この事態をどう判断すべきかという問題提起をしているわけです。同和行政を批判する権利は奪われていないとおっしゃるけれども、それを批判することを理由にして公共施設の使用をとめるというふうなこと、市民権に対して侵害を加えてきているというようなこと、これは明らかに公正な批判を制約するものではないでしょうか。  それから、同和行政が全体として公正に行われているとおっしゃいますけれども、そうでないことがずいぶん歴史上ありましたし、今日も完全には払拭されておりません。  たとえば兵庫県でありますが、兵庫県が昭和五十年十月に県政資料を発表しまして、いままでの県の同和行政の過ち、特定団体だけを対象にしてやってきたけれども、社会情勢の変化等によりまして、今後はそういうことでは公正が期しがたい、こういう同和行政の従来の誤りを転換したような事例もあるわけであって、ですから、これはすべてがいま公正に行われておるという状態じゃないのです。今度同特法の改正問題が論議されましたが、自民党の皆さんは二年間以上の延長はだめだ、あるいは一年以上の延長はいかぬとおっしゃった方もあったようでありますが、かなり強硬にこの延長に反対していらっしゃる。その根拠を仄聞するところでは、やはり不公正がある、いろいろ問題がある、こういう意識を持っていらっしゃる。これは国民ひとしく持っている意識なんです。これがいまの現実なんですよ。ですから、その点に立ちますと、北九州市でこういう異常な事態が起きてきておる。初め確認しましたように、市の行政といえどもこれは憲法や法律を基準にして行うものであって、おれが法律だというふうな、封建時代の専制支配のような行政がいまあるわけがない。しかし、そういう形が露骨に出てきている。ですから、最初にお尋ねしました憲法や自治法の規定を明らかに犯す事態が行政上行われている。これは当然国として指導をすべき対象であると私は思うのであります。それについていかがでしょう。
  198. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 先ほど来のお話で、先生が御自分で御経験になりましたそのケースの場合には、市といたしましてはやはりそういった会合に貸すことが会場の管理上問題があるということで拒否したということでございます。会場の管理上問題があるかどうかというのは、個々の問題としてそれぞれの置かれたその一つ一つの会合について私は判定すべきものだと思います。そして、いまの件につきましては、先ほど来申しておりますように、そのことをめぐりまして現在訴訟になっておりますので、そのことの批判については避けたいと思いますけれども、そのほかのいろいろなケースにつきましても、恐らく市といたしましては、一つ一つの事案というものを見まして、それがこの会場の管理上支障があるかどうかということを審査の上、是か非かということを決めるべきであるし、決めておるというふうに思うわけでございます。
  199. 三谷秀治

    三谷委員 あなたはどうも根拠のないことばかりお答えになっておるがな。市はそんなことを一つも言っておりはせぬ。市はこう言っておりますと私は言っているんだ。私はこの会場を借りますのに、それ以後でありますけれども、事態を明らかにするためにテープをとってきたものがあります。テープをここで回すわけにいきませんから、起こしたものを読み上げますが、なぜ貸さないか、これは五月三十一日に東部公民館長を相手にして交渉したのであります。この交渉に当たりましては、これはテープの示すところでありますが、「公正で民主的な同和行政を求める区民の会の代表者会議の会場として、おたくの公民館の会議室をお借りしたい。日時及び予定入場者は、六月三日十三時から十六時まで、五十名だ。」こう言った。「貸すことはできない。」これは館長の答え。「会場があいていないのか。」「そうではない。会場はあいておる。」「なぜだめなのか、理由は何か。」「市の同和行政に反するおそれがあるからだ。」「何をもってそう判断するのか。」「市の同和行政の基本方針と相入れない発言が一切ないということですか。」こう言っておる。そこで、「会議の主題は法に基づく公正、民主的な同和行政はどうあるべきか、これを議論するのであって、市の同和行政のあり方は会議の主題ではない、貸すのか貸さないのかはっきりしろ。」「市の同和行政の基本方針に反するおそれのある会合については会場を貸すことはできない。」「貸さないというのは、条例や規則上の根拠は何か、どこにどういう根拠があるのか。」「条例、規則のことについてはよく知らない。」これは館長の答え。「あなたは地方公務員だろう、公務員法に何が書いてあるか。」そこで、職務の適正等について説明している。これに対して、「貸さないという根拠となる条項は見当たらない。」これは相手の答え。「それなら、すぐに申請書を受理して使用許可を出してくれ。」「それはできない。」「なぜか。」「公民館の運営方針として、市の同和行政の基本方針と相入れない内容の会合については会場を貸さないということだ。」こうなっておる。「運営方針はいつ決まったのか。」「知らない。」「何を言うか。それじゃ、運営方針を書いたものを見せてほしい。」「書いたものは何もない。」「書いたものが何もないのに、なぜそういう方針があることを知ったのか、上司から口頭か何かで指示をされたのか。」「上司からそのような指示は一切受けていない。」「文書もない、口頭でも指示されていない、そういうことか。」「そうです。」「それでは、なぜそういう運営方針があるというのがわかったんだ、何が根拠だ。」「教育長が議会でそういう答弁をしておるので、その答弁を市教委の方針として受けとめておる。」その教育長の議会の答弁はさっき読み上げました。そういう状態。  結局、ここで話がつきませんから、その上司であります中央公民館に行って、そこの公民館の係長に会ってくれということだから、公民館係長に会った。この公民館係長はどう言っているか。「いま東部公民館の館長から電話があったはずだが、公民館の使用承認申請を受理してもらいたい。」相手、これは係長ですよ。「市の同和行政の基本方針と相入れないおそれがあるから貸せないんだ。」「いかなる根拠でそう言われるのか。」「市の同和行政の基本方針と相入れないもの、またはそのおそれのあるものには会場を貸さないというのが基本方針だ。」「文書になっているのか。」「文書にはなっていない。」「上からの口頭の指示があるのか。」「口頭の指示というようなものはない。」「文書にもなっていない、指示もなければ、一体どういう形でこれは示されたのか。」「これは議会における教育長の答弁である。この答弁を市教委の基本方針として受けとめておるのである。」こう言うておる。  つまり、原因は物理的な支障があるとかないとかいうことではない。市の同和行政に反するからである。同和行政というのは、御承知のように未解放部落を対象にしたものでありますが、一般住民に対してまで窓口一本化によるゆがんだ行政の逆作用による被害が出てきている。こんなことで公正な行政と言えますか。  そこで、ここの係長でも話がつきませんから、ここの係長もとうとう答えできなくなってしまった。そこで市の社会教育課長に電話を入れた。社会教育課長はこう言っている。「承認するかどうか、受理するかどうかは館長の判断でやることになっておる。」「ところが館長は使用承認をしないが、なぜか。」「それは教育委員会の判断である。」そういうあいまいなことを言って、結局は市の方針がある、同和行政の方針がある、それを批判するものは断るんだ、こういうこと。ですから、あんたがおっしゃいますような状態ではないんだ。このようにしまして、行政批判というものか――同和行政であっても行政ですよ。同和行政というのは超憲法的なものではありませんよ、批判する権利がある。いかにして公正で、民主的で、効率のある同和行政をやるかということは当然議論になるんだ。それに対して研究をしたりあるいは批判をする、意見を出す、当然のことですよ。それを理由にして会場を使わせないというんでしょう。これは明らかに越権行為じゃないですか。
  200. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ただいま先生が御説明になりましたそれだけでございますと、いろいろ問題があると思います。と申しますのは、私どもは法令についてどうこうという御答弁を申し上げているわけですが、法令の場合は憲法、地方自治法、それともう一つは北九州市でつくっております条例、規則、それによって判定すべきだと思います。その条例、規則には、御承知のように、市民会館等を貸す場合には、「公の秩序を乱し、又は風俗を害するおそれがあると認めるとき。」「建物、設備等を損するおそれがあると認めるとき。」「その他管理上支障があると認めるとき。」その他管理上支障があるかどうかというのは、先ほど来申し上げておりますように、物理的な問題もありましょうし、いろいろなことを勘案して管理者が決める問題だと私は思うわけでございます。したがいまして、いまの同和行政云々の問題、そのことをやることによって管理上問題があるというふうに認定された場合には貸さないことができるというふうに私は解釈すべきだろう、そのように思います。
  201. 三谷秀治

    三谷委員 あなたのお答え聞いておりますと、弁護人の弁論を聞いているようだな。公正な立場に立つ行政執行の観点からの発言とは考えられない。いまおっしゃいましたように、公の施設でありますから、建物を棄損するようなそういう状態は、これはだれしもが心配するわけでありますが、そんなことは一つもそういう状況はありもしないし、起きてもいないわけだ、実績はないわけだ。だから、それは単なる口実にすぎないものであって、しかも、もしもそういう事態があるとしますならば、当然これは市民の正当な権利を侵害して暴力行為をしようとするものでありますから、する方を規制しなくちゃいけない。する方に対して対応しなくちゃいけない。貸す方が犠牲を受けるという性質のものじゃないことは明らかだと思います。  最初おっしゃったのは何とおっしゃいました。いまのは建物の棄損とおっしゃいましたが、その前の方は何でした。
  202. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 三項目、こういう場合には建物を貸すことを承認しないというふうになっておりましたのをいま申し上げたわけでございますが、第一項目が「公の秩序を乱し、又は風俗を害するおそれがある」、第二項目が「建物、設備等を損するおそれがあると認めるとき。」三番目が「その他管理上支障があると認めるとき。」その三項目が載っております。
  203. 三谷秀治

    三谷委員 大臣にお尋ねしますが、市民が市の行政の不十分さ、不公正さ、至らなさ、それを批判しますために集会を持つことは公の秩序に反するのでしょうか。それから、それが善良な風俗を乱すことになるのでしょうか。それから、ありもしない混乱を想定して、そしてそういう予断によって、全く客観的な根拠も示すことなしに使用を認めないというようなことがあっていいでしょうか、どうでしょう。
  204. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど来局長も答弁いたしておりますように、行政への批判を行いますことは自由でありまして、その自由が奪われてはならぬことは申すまでもないことでございます。ただ、その自由を侵してはならぬことと公の営造物の使用とは分けて考えなければならぬ、かような感じを私は強く持つのでございまして、すなわち地方団体が営造物を持ち、そしてそれを管理いたしておりますが、管理してまいります上には条例を制定し、あるいは管理規則を持っておるのでございまして、そしていま局長が答弁いたしましたのは、条例であるか管理規則であるか明確ではございませんけれども、三項目のかような場合には使用を許すべきじゃないという基準を設けておる、かようなことであり、三項目を包括いたしますと、営造物の管理上支障があるとき、このことに集約されようかと思うのでございますけれども、個々の申請されたケースにつきまして、その目的のために使用されまする場合が管理上支障があるかどうか、これは営造物の管理者の決定するところでございまして、したがって、先ほど来具体的な例をいろいろお引きになっておられまするようなことが営造物の管理者としては管理上支障がある、かような自主的な判断をいたしたものと、かように理解をいたしておるところであります。
  205. 三谷秀治

    三谷委員 管理者の決定ということをいまおっしゃっておりますが、管理者の決定というものも憲法やあるいは自治法の規定を侵害してはならぬのでしょう。その範囲内において具体の特殊な場合においてそういうことはあり得るのであって、  一般的に北九州市で起きておりますように、契約したもの二十五件を破棄するとか、申し込みをしたもの二十五件を拒否するとか、今日におきましては申請も受け付けないというんだ。それは一体どういうことですか。どういう申請が出てくるのか、どういう集会の内容かわからぬのに、何か先入観を持って、ブラックリストか何かあるのでしょうかね、申請書をくれと言ってもそれは受け付けられないというんだ。そういう行為を、大臣がいまおっしゃいますように管理規則上の処置として考えられますか。もう少しこの問題については公正な立場に立って判断してもらいたい。
  206. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 一般原則は、もちろんいま先生のおっしゃったとおりでございまして、憲法なり自治法なりの規定を無視して、管理規則を盾に何をやってもいいという問題ではないと私は思います。個々具体的なケースの場合にいろいろそういう憲法とか自治法とか、そういう規定も勘案しつつこの場合は許可しないとか許可するとか、そういうことを管理者の責任として決めるべきだと思います。したがいまして、ただ、先生いまおっしゃいました、初めから申請も受け付けないというようなお話でございますけれども、実は私そういった実態についてはいままで調べてもおりませんけれども、そのことがもしあるとすると、それはやはり一つの問題ではないかという感じはいたします。
  207. 三谷秀治

    三谷委員 初めから受け付けないということ、これは二十件に達しております。その五月二十八日以後二十件に達している。つまり、二十八日に裁判所の決定によりまして集会が持たれた。それに対する報復処置として、ああいう訴訟などが起きないように、申し込みを受け付けていなければ訴訟する根拠がなくなってしまうんだから受け付けない、こういう超法律的なことをやり出してきている。こんなことが一般の行政の上で常識上考えられますか。いかなる市民でありましても、これはそういう役務の提供を受ける権利を持っているし、同時に負担を分任する義務を負っているわけだ。そういうふうな役務の提供を拒否して、それじゃ負担の分任の方もこれは解除するというわけなんですか。そうじゃないでしょう。負担の分任は強要するけれども、役務の提供の方は、市の行政に反するからけしからぬ、同和行政の基本方針に反するからけしからぬ、これか一貫した立場ですよ。そのことはいまテープをお読みして説明申し上げたでしょう。これはつくったものじゃありませんよ。疑問があればテープそのものをお聞かせしてもいいけれども、そういうことが対応の中では言われてきている。  そうして、さっき申しました市議会の答弁を聞きますと、これは議会の答弁ですから正式なものでしょう。なぜそういうことをやるのかという質問に対して答えておりますのがさつき申し上げましたようなものでありまして、基本方針と相入れない、だから承認できない、あるいはさっき申しましたように、基本的な人権を侵すような言論の自由とか集会の自由というのはない、あるはずがない、だから断る、基本的な人権を侵すような言論かどうかということは、一体だれが判断するのですか。彼らが勝手にそう言っているだけであって、集まっている方は、むしろそういう市の行政が基本的な権利を無視しているから是正すべきであるということを主張しているのであって、こういう一方的な、きわめて行政としては妥当でないこの判断といいますか、方針を掲げて  これは市議会の答弁ですから。あなた方、いろいろそれに付随して弁護なさっています。管理規則を出してみたり、いろいろおっしゃっていますが、しかし、市の当事者の言っている方がずばっと正真正銘なところを示している。速記録に出ている。あるいは裁判所において証人として尋問に答えたその証言にもはっきり出ているわけであって、一貫しているのは、市の同和行政に反する集会あるいは基本方針に反する集会あるいは市の同和行政を批判する集会、これには貸せない、これで妥当なものでしょうか。これで憲法や自治法に基づいた行政の執行と言えるでしょうか。
  208. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 先生のその御指摘の点は、法令上は、先ほど申しましたのは市の規則でございますけれども、その規則の中の、管理上問題があるおそれがある、それに該当する場合には貸さないことができるというふうに解釈すべきであろうと私は思いますし、市も法令上はいまの規則を引いて不許可にしたというふうに聞いております。
  209. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、いまおっしゃいましたのはどういうことなんですか。結局は、いま管理規則で三項目言いましたが、これが秩序を乱すわけですか。それとも善良な風俗に反するわけですか。それとも何らかの混乱が生ずるというわけなんですか。どこのところに該当するわけですか。
  210. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 三項目の「その他管理上支障があると認めるとき。」に該当するということでございます。
  211. 三谷秀治

    三谷委員 これは大変漠然としたものでありますが、少なくとも市民の、法律で定められた権利を剥奪する限りにおいては、そういう漠然としたことじゃだめですよ。市民がなるほどと納得できる、だれが聞いてもそれはそうだと思える、そういう根拠がなかったらあきませんぜ。「その他」何とかいう項目というのは一体どういうことを意味するのですか。具体にはどういうことなんですか。
  212. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 本日の質疑の冒頭のところでお答え申し上げましたように、通常の場合には、これはいままでの判例、実例等だと物理的な場合が多いようでございますけれども、何もそれに限るものではないと思いますが、いろいろな点を勘案いたしまして判断するわけですけれども、ある程度客観的な、皆が納得できる、そういう根拠は必要だろうと思います。
  213. 三谷秀治

    三谷委員 ですから、いま説明されました第三項目の内容を構成するものは何かということですね。これがわからなければ納得できませんですぜ。私どもが正式な文書や正式な議会における方針として聞いておりますのは、市の同和行政の基本方針に反するもの、あるいはこれを批判するもの、あるいはこれを中傷するものに貸さないとなっている。それがつまり「その他」の項に当たるわけですか。つまり行政批判というものが第三項目を構成するわけですか。
  214. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 行政批判がもろにこれに該当するというのは無理だろうと思います。
  215. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、何が該当するのですか。
  216. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 その特定の行政批判、それに関連いたしましていろいろな事態が発生するのではないかと思いますけれども、そういったもろもろのこと、その中には物理的なものも含みましょうし、そういったことを勘案いたしまして、その具体的な集会についてこれは貸さないというふうにその建物の管理者である市が判断したというふうに解しております。
  217. 三谷秀治

    三谷委員 具体的な集会について判断したと、あなたこれはえらい詳しいな。まるで市の理事者の話を聞いているような感じがするが、市はそんなことは言ってない。そしてまた、事実、裁判の結果、裁判所に提訴し救済を求めた結果、市の処置は不当であるとして持たれた集会にしましても、いまおっしゃいますような事案は起きておりません。どこでそういうことが懸念されるのですか。妄想を持っちゃだめですよ、あなた。
  218. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 こういう会館を貸す貸さないというのはすべて具体的なケースについて貸す貸さないということを市の管理者が判断するということで申し上げたわけでございます。  なお、ただいまの仮処分に関連する小倉南でございましたか、あの件につきましては市の方は即時抗告いたしましたけれども、仮処分は執行されて集会は開けた。しかし、私も判決文を読みましたけれども、先生御指摘のようなことはもちろん判決文に書いてありますが、本訴が出ておりますので、本訴で確定するまでの間というふうになっておりまして、市の方もまだ争っておるようでございます。
  219. 三谷秀治

    三谷委員 市が争っておっても構いませんがな。行政的にどうかということなんでしょう。何もあなた、行政上の判断とか対応をつかむのに裁判所に結論を出してもらって、裁判所がよくないと言えば自治省もよくない、裁判所がいいと言えば自治省もいい、そんなものじゃないでしょうが。やはり行政の独自の責任と権限があるわけなんでしょう。それは一体どこにいってしまったかと言うのですよ。なるほど、市の方は不満であるとして訴えておりますが、事実上これは使用をやってしまったわけでありますから、あとは要するに一つの体裁といいますか、こけんといいますか、そういうところになっておりますけれども、こういうものは単に北九州市だけじゃありませんよ。大阪でも中之島公会堂を使用させないということがあったのです。これも裁判によりまして、それはよくない。これも同じような内容でした。けれども、ただ、これほど極端な内容じゃありませんですよ。ありました。そのほか、私知っておる案件で二、三はあるのですよ。しかし、それは明らかにいまの憲法や自治法から見て違法なものであるという裁判は一般的に出ているわけだ。  そういう裁判を待つまでもなく、憲法の擁護者である国家公務員の皆さんあるいは閣僚の皆さんは、すぐにこれは判断が出せる問題です。それをあれこれあれこれ言って問題をすりかえてごまかそうとされている。そうだから同和行政が正されてこないのだ。国民の疑惑や誤解が広まってくるわけだ。  それで、この市の基本方針というのを見ますと、こういうことを言っているでしょう。  あそこに別の未解放部落の方々の組織ができた。その方々が市の方に要求されたのです。その要求というのは、「市の同和行政は、憲法、地方自治法、「特別措置法」、及びこれに関連する市条例などにもとづいて、公正に実施すること。」あたりまえのことでしょう。二つ目には、「同和事業の実施、適用を特定団体の一部幹部にゆだねる不公正をいっさいなくし、法令にもとづく、市当局の責任において、平等の原則にたって執行すること。」あたりまえのことです。三つ目は、「部落住民を、所属団体のちがいや、その加入、未加入によって差別的にあつかうことをただちに改め、こんごもいっさいおこなわないこと。」あたりまえのことでしょう。四つ目は、「同和行政にかんする部落住民の自主的団体との協議や交渉にあたっては、どの団体も平等にあつかい、差別的なとりあつかいをしないこと。」これがつまり四項目の申し入れ書、公正、民主的な同和行政を実施する基本の考え方なんです。これは全部今日の政府の方針や法令の定めるところに合致している問題だ。  こういう提案に対して市長はどう言っているかというと、市長はこう言っているのです。「四項目の要求にもとづく交渉の申し入れがありましたが、この内容はもとより、この団体の考え方は、いずれも市の同和行政の基本方針と意見を全く異にするものであります」と、こう言っている。  これはどうなんです。つまり、憲法、自治法、同特法によって、あるいは関連する市条例によって公正にやれ、そうしてその適用は一部の幹部にゆだねるのではなしに、不公正をなくして法令に基づいてやれ、そして所属団体の違いや加入、未加入によって差別的に扱うな、直ちに改めてほしい、そうして部落住民の自主的団体との協議や交渉に当たってはどの団体とも平等に扱って差別的な取り扱いをしないこと、これがつまり四項目の内容なんです。ところが、北九州市のまきましたビラを見ますと、この内容はもとより、市の同和行政の基本方針と全く異なる、こう言っている。  そうすると、一体どういう基本方針でやっているのですか。
  220. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 ただいまの先生の御指摘の四項目というのは「公正、民主的な同和行政の実施を要求する決議」というこの四項目かと思いますが、ただいま拝見いたしましたところ、文面上まことにもっともなことで、政府もこういったことで従来御指導申し上げておるということだと思います。  その後段の、それに対する市長回答の云々の件につきましては、市の方でそういうビラが出ているということでございまして、私見たような記憶もありますけれども、市の同和の基本方針で、これに正面から取り組んでいるのではなくて、市の同和の基本方針と申しますのは、何か刷り物ございますけれども、非常に長々と書かれておりますが、「同和対策事業実施にあたっては、「同和対策審議会答申」にのべられているように、「地区住民の自発的意志に基づく自主的運動と緊密な調和を保つ」という精神と過去からの経緯をふまえて、地区住民の多数で組織されている歴史と伝統をうけつぐ関係団体と協議をして事業を総合的に実施し、地区住民の自覚をうながし、自立意識を高めていくことを市の基本方針としてきています。」と言っていますので、大体こういうことかと思います。
  221. 三谷秀治

    三谷委員 ここに書いておりますのは、いわゆる同和運動論における唯一代表論ということを内容にしておるわけです。一つだけの団体が代表であって、他の団体は認めないという考え方、これに立っているわけです。しかし、一つだけの団体を認めてそれと協議するのみにとどまらず、それにすべての行政の確認権などを与えるということは、いわゆる窓口一本化になるわけです。それは公正でないということになっているわけです。政府の方針もそうなっている。つまり、そういう態度を市がとっているということなんですよ。不公正な行政を明らかに主張しているということなんですよ。そして、最後に言っておりますように、こういう公正な四項目の申し入れに対して、その内容はもとより、市の同和行政の基本方針と反する、こう言っている。そうすると、一体どちらが正しいのかということだ。市の同和行政が大きな間違いを犯している。その間違いの上に立って、その間違いを隠蔽しあるいは固持するために住民批判を抑えようとする。そこで、市民権というのが剥奪されてくる。こうなってきますと、自治法に反する、憲法に反する、そういう行政に対して自治省がああ言っている、こう言っているというふうな片隻句をもってして判断を下すということはおかしいのであって、もっと全面的な調査をすべきである。われわれの調査に対応するだけの、それを粉砕するだけの論拠を集めて、そして私の言い方が間違っておれば間違っておると言ってほしい。そうじゃないのです。あなた方のは、市がああ言った、こう言ったという全く断片的なことをもってして、しかも、市が言っていないこともあなたが補足説明を加えて、そうして市の市場を擁護されている。私どもは別に北九州市に対して格別な感情を持つものではありませんが、同和行政の公平性、そうして憲法や自治法に基づく行政の執行ということ、これはもう基本的な原則として守っていかなくちゃいけませんが、この点から見まして、いろいろ問題がある。  まことに恐縮ですが、保安部長さん、それから総理府と文部省、通産省、時間がなくなりましたので、大変恐れ入りますが、きょうはちょっと質問できませんので、またの機会にお願いしたいと思います。  そこで、問題が大体明らかになってきたと思う。あなた方、いろいろな遁辞を設けていらっしゃいますが、それは少し無理だ。聞いている方にお聞きになっても、無理であるということは客観的に出てきている。そこで、この事態に対してどうされるかということなんですよ。やはり調査しなくてはいけません。あなたに調査しなさいというと、聞いてみます。こう言うのですよ。あなたの後ろにいる課長補佐ですかね、きのうまた会って交渉したのですけれども、これは局長が聞いてみると言いましたから、私の方は聞いてみます。こう言うのです。聞いてみるというのと調査はどう違うのか。私は、単に、こう言っているがどうでしょうかというふうなことを言ってもらって、子供の使いのようなことを聞いてくださいと言っているのじゃない。具体的に憲法、自治法違反の内容を指摘しているのですから、果たしてそうかどうかということを調査してもらいたい、こういうことを要求したし、私は、現地からもあなたに電話をした。そのあなたの対応というものはきわめてよくなかった。しかも、私は申し上げておきますけれども、こういう間違った同和行政の基本方針というものを、自治省から派遣しておりました小林君という当時北九州市の教育長、これは今日帰ってまいりましたが、その後にまた浅野大三郎君が行っている。これが中心になってこういうことを推し進めてきている。自治省の責任なしとしない。そういう観点からしても、この事態について正確な調査をして、そして結論を出してもらいたい、どうでしょうか。
  222. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 繰り返して申し上げますように、同和行政が公正に行われ、そうして同和関係の住民の方々にひとしくその受益が均てんしなければいけないことは当然のことでございまして、そのために、四十八年の通牒以来政府といたしましても関係各省協力してそういった措置をとっているわけでございます。北九州市においても当然こういった線に沿ってやっていただかなければならないと私ども思っております。具体的な同和行政についてどう対応するかということは、それぞれの実情によって違うと思いますけれども、やはり基本線は平等、公平、そういうことであると思いますので、今後ともそういった指導というのは続けていかなければならないと思います。  それから、ただいま調査という件でございますけれども、先ほど先生の御指摘のように、私、先ほど来ずっと申し上げておりますように、一つ一つのケースについて、これが管理上支障があるかどうかということを厳密に判断した上で、支障があるものは認めないということは、公の施設の管理者として当然あり得ることだと私は思います。  ただ、いまお聞きすると、これはどういうふうになっているのか実はわかりませんけれども、窓口のところで受け付けないというような例も起きておるというようなことでございますが、本庁全体がそうやっているのか、特定の館長の判断でやっているのか、いまの御説明の段階では、そのケースだけではどうもよく納得できない点もございますけれども、いずれにいたしましても、こういう点につきましては市の実情を聞いてみたい、このように考えております。
  223. 三谷秀治

    三谷委員 特定の館でやっているのではありませんよ。北九州市全域におきまして二十件に達しているというのです。ですから、特定のところでなしに、市の方針としてやらしておるということは争う余地がないところだ。したがって、聞いてみるとはどういうことなんだ。こういう事態について調べてくださいと言っているのだ、やっていますか、やっていませんかなんということを聞くのではなしに、どうなっているかということを調査して、そうして私どもが指摘しておりますような実情でありますならば、これは二百四十五条による勧告等をしてもらう必要がある。あるいはそれをしないまでも是正措置を講じさせる必要がある。あなたはさっきから盛んに、文書で一般的に同和行政の公正あるいは均てんということをおっしゃっておりますが、市の基本方針はそうでないということをさっきから説明して、証明しているのでしょうが。あなた方はいかに一片の文書をもって指導しておる、指導しておるとおっしゃっても、そうでないことが市の方針で明らかになっている。そこから派生してそれを批判するものを抑えるというふうな間違ったファッショ的な行政になってきているわけだから、そういう点を含めて調査をすべきであるということを申し上げておるのであって、それはすぐにやってほしいと思う。  それから、同対室はこの事態につきまして御承知でしょうか。自治省の答弁の後でお聞きしたいと思う。
  224. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 私どもが判断を下します場合にも、物事の事実は明らかにしなければなりませんので、私のくせかもしれませんけれども、調べてみるというのをいつも聞いてみると申しております。
  225. 三谷秀治

    三谷委員 そうすると、調べるということですね。いま指摘しましたような事態全般について調査をして、その調査の結果を適当な機会に明らかにしてもらう。そうしてそこで非違があれば是正を求めていく。私の言っていることが歪曲やあるいは虚偽でありますならば、その責任は今度は私の方がとるということになってくるのであって、そういう立場で処理していただきたいと思いますが、この点は大臣よろしいでしょうか。
  226. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま行政局長が答弁いたしたとおりに私も思います。
  227. 三谷秀治

    三谷委員 調査なら調査と言ってください、聞くなんということを言わずに。意味がよくわかりませんから。あなたは調査というのを聞くというふうにおっしゃるそうだから、意味はわかりましたから、それはそれとしておきまして、同対室はどうお考えでしょうか。この事態について御承知でしょうか。
  228. 黒川弘

    ○黒川政府委員 「同和行政推進に関する北九州市の基本的な考え方について」という文書は見ております。ただ、これは五十一年一月ということで、多少古い日付で、現在もこの考え方でやっているかどうか、そこまでつまびらかに承知しておりませんけれども、当事者の来庁を求めまして、私どもといたしましては、意見の交換を図り、その中から正すべきものがあれば正す糸口をつかんでいただくというような方法を講じてみたいというふうに思っております。
  229. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、総理府の方でも、現地に行くかあるいはこちらに呼ぶかは別といたしまして、いま指摘しましたような不公正な内容につきましては、調査をして、そして事態を明らかにしてもらう、このように理解してもいいでしょうか。
  230. 黒川弘

    ○黒川政府委員 ただいま申し上げましたように、担当者の意見をよく聞き、それに対しまして、必要があればこちらの意見も申し述べ、事態の解決に資するような努力をいたしたいというふうに考えております。
  231. 三谷秀治

    三谷委員 役所の調査というのは、ややもすると一方的になっちゃうのですよね。つまり、行政だけの意見を聞いたり、行政の一方的な言い分を聞いてちょんにするという傾向がある。これじゃ実態はわかりませんよ。ですから、問題を提起している被害者、これの意見も聞かなければいけません。私どもが持っておる資料が必要であれば、また御提出もさせてもらいます。総合的に正確に物を判断していかなければ、正しい結論が出るわけじゃありませんから、そういう処置をとってくださいますか、どうでしょうか。
  232. 黒川弘

    ○黒川政府委員 単に市の担当者の話だけを聞くということではなくて、いまお申し述べのような総合的な観点から検討いたしたいというふうに存じます。
  233. 三谷秀治

    三谷委員 時間でありますから、これで終わります。
  234. 木村武千代

  235. 石川要三

    石川委員 最初に、公営住宅の払い下げについて若干お尋ねをしたいと思います。  ことしの予算委員会のわが党の代表質問の中で、公営住宅の払い下げにつきまして質問がございました。その際に建設大臣から、今後は公営住宅の払い下げ等については十分に積極的にこれを取り上げていきたい、こういう答弁があったように記憶しております。  そこで、まず公営住宅の払い下げの要望があちこちで聞かれますけれども、特にそういう代表質問の答弁がありましたので、その後どんなような作業が進行しているのか、建設省のこの問題につ  いての基本方針についてまずお伺いしたいと思います。
  236. 川合宏之

    川合説明員 公営住宅の払い下げにつきましては、先生御承知のとおり、公営住宅法の規定によりまして、耐用年数の四分の一を経過いたしましたもので特別の事情のあるときには、建設大臣の承認を受けて払い下げを行うことができることになっております。建設省といたしましては、昭和五十年に局長通達を出しまして、それぞれの事業主体におきまして必要に応じて払い下げをするように指導いたしておりますが、ただ三大都市圏の、ことに低層の住宅につきましては、原則としてこれを建てかえまして、より多くの低額所得者を収容できるような方向で努力するように指導しているところであります。
  237. 石川要三

    石川委員 これは従来の建設省の基本方針、こういうふうに私も承るわけでありますが、私が申し上げましたように、時代の推移によりまして、公営住宅の管理の仕方におきましても当然時代の流れに即応した対応が必要ではないかと思います。そういう中で予算委員会でああいう質疑があったと、こういうふうに私は思うのですけれども、したがって、そこに何らかの変化があってしかるべきではないかと思うのですが、いまのお話は私も従来から存じておりますけれども、その後特に何らかの変化があったのかどうか。それから三大都市圏につきましては一向にそのままなのかどうなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  238. 川合宏之

    川合説明員 予算委員会におきまして私どもの大臣が答弁いたしたことは、もちろん私どもも承知いたしております。それから、先生の御指摘にはありませんでしたけれども、昨年末自由民主党さんの住宅対策特別委員会におきましても、たしか十二月二十三日であったかと思いますが、公営住宅、公団住宅の払い下げを推進するという決議をされております。私どもといたしましては、基本的にはそれぞれの事業主体がその中の住宅事情なりあるいは需給状況などを勘案しまして決めるものと存じておりますけれども、今後とも地域の実情に即した払い下げの行政が行われるように指導いたしたいと考えております。
  239. 石川要三

    石川委員 そうしますと、それは昨年の暮れに自民党の公営住宅に関する一つのそういう考え方が出され、そしてまた予算委員会でそういうような質疑がなされたということと別に変化はないというふうに受けとめられるのですけれども、そのように解釈していいのかどうかというのと、三大都市圏の中におきましての扱いは全く従来どおりなのかどうか、もう一度ひとつ。
  240. 川合宏之

    川合説明員 公営住宅の払い下げにつきましては、基本的にはその事業主体がその地域の実情によりまして判断するものと考えておりまして、個別的に私どもが指導する立場にはない実情にあります。  それから三大都市圏につきましても、先ほど申し上げましたように、原則として建てかえに努力ということにいたしておりまして、払い下げを一切認めないという態度ではありません。
  241. 石川要三

    石川委員 それはきわめておざなり、と言っては失礼ですけれども、そういうお答えですと、私の質問の答弁としてはそれでは満足できないような感じがいたします。もちろんこの管理者はそれぞれの自治体ですから、そういう個々の点につきましては必ずしも強制力があるかどうかということにつきましてはいま説明のとおりだと思いますけれども、もう少しそれに対して、たとえば昭和五十年に局長通達が出ておりますけれども、実際には恐らく各自体は、この局長通達につきましては相当強い行政指導力といいますか、そういうものに受けとめていると思うのですね。ですから、これが出ておって、しかも実際にはそのケース、ケースによって多少流動的にそれが措置されるというふうにも期待感は持てるのですけれども、現実的にはそうではないように私は感じるのです。特に三大都市圏の中におきましては、むしろこれは完全にアウトなんだと、補助金や起債がついておりますので、たとえばそういうことを居住者が要請しても、みんなそれでけられてしまうというふうに現実の行政の運用はされている、こういうふうに私は受けとめているのです。ですから、くどいようですけれども、いまの答弁では、その流れについては一向に変わってない、公営住宅対策の自民党のそういったような変化があっても、あるいはまた代表質問のそういったような答弁があっても依然としてちっとも変わっていないのじゃないか、こう私は言わざるを得ないのですが、そこら辺はどうですか。
  242. 川合宏之

    川合説明員 公営住宅の払い下げに対する姿勢といたしましては、従来から事業主体の判断を尊重する立場にありますけれども、御指摘の自由民主党さんの住宅対策特別委員会の決議とか予算委員会における答弁などの趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも公共団体の現場に即した適正な判断を尊重してまいりたいと考えております。
  243. 石川要三

    石川委員 いまの答弁を聞いておりますと、もうすでにかなり時間もたっておりながら、依然としてやはり抽象的な答弁であって、もうちょっとそういう特別委員会の一つの考え方が打ち出され、そして代表質問でもあのようにわざわざ項目を取り上げて代表質問の中でしておる、それに対して建設大臣が積極的な姿勢を示されている、この二つをとらえても、いまの御答弁ではまことに、ただ何か決議、宣言を聞いて一つも行政の面ではスピードは変化がない、こういうふうに私にはとれるのですけれども、それでは困ると思うのですね。もう少し積極的にやるべきではないかと思うのですが、もう一度その点を……。
  244. 川合宏之

    川合説明員 先ほども申し上げましたとおり、三大都市圏におきましては、できれば低層住宅については建てかえをやりまして、より多くの低額所得者を収容することが好ましいと考えておりますけれども、しかし、これも先ほど申し上げましたが、局長通達でもあくまで原則としてということでありまして、個々の団地の特殊な事情によりまして払い下げの方が適当であるというときには、公共団体、事業主体の判断によりまして従来から払い下げを認めているところでありまして、今後ともその地域の実情に即して払い下げをするかどうかの判断をしてまいりたいと考えております。
  245. 石川要三

    石川委員 結論的に、何回聞いても大体答弁は同じようですが、要はそういうような時代の進捗にもかかわらず、やはり基本的な行政指導の方法というものは私はほとんど変わってない、こういうふうに受けとめます。したがって、もっともっと積極的に対応策をひとつ建設省としても考えるべきではないかということをまず要請をいたします。  そこで、公営住宅というものは当然補助金あるいは起債、いろいろと国庫の導入があるわけでございますから、そういうようないろいろ行政の指導というものは当然だと思いますけれども、これは最終的には理論的にはあくまでも個々の自治体の自主的な選択、判断、決定ということでそれが払い下げられたりそうでなかったり、そういうふうなことで行われるということで解釈していいのですか。
  246. 川合宏之

    川合説明員 公営住宅法におきましては、事業主体の判断によりまして、一番最初に申し上げましたとおり、一定の基準に該当したものは事業主体が建設大臣に承認を申請いたしまして、承認を得て払い下げるということになっておりまして、最終的な判断は事業主体が行うものと考えております。
  247. 石川要三

    石川委員 承認は必要なんですね。  確かに今日のような住宅事情、こういうようなことを考えますと、一概に何でもかんでも公営住宅を、特に過密の都市の中にあって低層住宅のものをその居住者の要請に従って要望にこたえていくということは、これはあながち正しい行政であるとは決して私は思っておりません。しかし、ケース・バイ・ケースで、やはりいま申されたように、これはそういうふうに事業主体そのものの判断というものですか、それも非常にウェートが高い。しかも、これは大臣の承認を得てということにはなっておりますけれども、しかし、あくまでもこれは事業主体ということの選択のウエートというものは非常に高い、こういうふうなことであるから、それはその文面だけを見るとそういうふうにできそうなものですが、現実にはなかなかそういうふうな承認をとるということは今日までは不可能に近いような状態ではなかったかと思うのです。  そこで、個々のケース、ケースによりますけれども、こういう場合を若干伺いたいと思います。  たとえば、これは私の選挙区の中にあるところなんですけれども、都営住宅なんです。どういうことかといいますと、当初都営住宅を建てるときに都が賃貸借で地主から土地を借りて建てた。その後、入居者が都営住宅の払い下げの条件として土地を所有するよう指導を受けまして、それぞれ地主から分割買収いたしました。これが昭和三十九年。それ以後は土地については、都と土地所有者である入居者の賃貸借契約をしてきたわけでありますが、昭和四十三年、一向に約束である払い下げが行われない、こういうことで再契約を拒否いたしまして、自後四十五年、四十七年、五十年、五十一年と文書によって土地の明け渡し督促をいたしまして、都は借地料を供託して現在に至っている、こういうケースがございます。これは東京都のいま言った事業主体の独自の決定によるということになれば、それはあなたの答弁は必要なくなってしまうのですけれども、実際には先ほど言ったように、この三大都市圏の中においては特にこういうような払い下げということは好ましくない、そういう方針と、それから五十年に出ております局長通達、こういったようなものが行政の上においては非常に大きな比重を占めております。こういうようなことが今日入居者と東京都の間のトラブルがスムーズにいっていない原因になっているんじゃないか、私はこういうふうに思うのですけれども、これについてどういうふうな見解を持ちますか。
  248. 川合宏之

    川合説明員 ただいま御指摘の件は、下石原第二住宅という東京都の管理している公営住宅につきましての御質問かと存じますが、先生のおっしゃるとおり、戸数二十五戸のうちで十四戸は建設後三十九年以降に入居者が取得いたしております。ただ、先生御指摘の東京都の行政指導に従って払い下げの前提として買ったのかどうかは私どもはっきり存じておりません。  これにつきましては、先ほど東京都から事情を聴取いたしましたところ、東京都としては、場所もいいところであるし、できれば高層化に建てかえたいということで入居者、つまり地主ですが、と話し合いをしているそうでありますので、東京都の態度が決まりました段階で、建設省といたしましては承認をするかどうか決めたいと存じております。
  249. 石川要三

    石川委員 いま言ったように、土地は、私が言ったのと幾らか違うニュアンスがあるかもしれませんけれども、とりあえずもう入居者のそれぞれに所有権が移っているわけですね。そういうような内容においては、これを高層化してより多くの入居者に利便を与えるというような公営住宅の基本的な理念には、現実問題としてなかなか合致できないのじゃないか。ですから、恐らくこれは最終的には事業主体の決定によるわけでございますが、こういうようなときには、恐らくさっき言ったような三大都市圏の中であろうとなかろうと、特殊な一つの例として積極的に払い下げの承認をすべきだと思いますが、こういったような場合、そういうふうに都が決定をした場合には、その点のひとつ積極的な許可の方針をお示しいただきたい、こういうふうに思いますか、建設省の見解をひとつ。
  250. 川合宏之

    川合説明員 本件につきましては、場所がよくて、できれば建てかえをしたいという東京都の意見ももっともですが、また先生の御指摘のように、すでに入居者が土地を取得いたしましてから十年以上を経過しているという事情もあるわけでありまして、その辺を踏まえまして、東京都から払い下げの承認申請が出てまいりましたときには、十分検討いたしたいと考えております。
  251. 石川要三

    石川委員 もう一つの例でお尋ねいたします。  実は、やはりこれも東京都の中にあるある市のところですけれども、入居者の払い下げをしてもらいたいという運動がだんだん数年その輪が広まってまいっております。そこで市当局といろいろと折衝しているようですが、市も結論的には、基本的な考えは、さっき言ったように、公営住宅ですから、できるだけ建てかえて多くの市民に住宅を与える、こういう考えには立っておりますけれども、しかし、これはあくまでもケース・バイ・ケースで、その立地条件から見て、これが高層化することはきわめて困難性があるというような点、それから長い間の入居者とのいろいろな関係から見て、どうもこの際高層化するということがもう物理的にも、またいろいろな点から見てもきわめて困難だ、こういう点がある場合には、市では一つの委員会をつくって、その市の中にある数カ所のこういう公営住宅の団地の中で、ここは払い下げた方がいいとか、ここは払い下げてはまずいとかいうことをいま検討しておるようでございますが、そういうふうな中で、その払い下げてしかるべきだというふうに第三者的な委員会の中で決定したものについては、市もできるだけそれに沿いたいというような意向もあるようであります。こういったようなときに、市がその最終決定として払い下げをしたいという場合には、たとえ首都圏の中の都市であっても、やはりこれはもう払い下げた方がよいのではないかと思いますが、そういう場合にも、三大都市圏というようなことから見て、建設省はなかなか首を縦に振らないのじゃないかなというふうに私は推察いたしますが、そこいらはどういうふうにお考えになりますか。
  252. 川合宏之

    川合説明員 住宅局長通達によりまして、三大都市圏内の低層住宅は、原則として建てかえに努力ということになってはおりますけれども、先生御指摘のような場合で、特別な事情があって払い下げが適当であると事業主体が判断いたしましたときには、建設省といたしましても一律に払い下げを認めないということはせず、事業主体の意向を十分尊重するつもりであります。
  253. 石川要三

    石川委員 ぜひひとつ事業主体の決定を十分に尊重してもらいたい、かように思います。  次に、基地交付金について若干お尋ねをしたいと思います。  まず最初に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律に基づく市町村への交付金の算定というものがなかなかわかりにくい状態ですけれども、この算定はどういう方法でなされているか、できるだけわかりよくひとつお伺いをしておきたいと思います。
  254. 森岡敞

    ○森岡政府委員 国有提供施設等所在市町村助成交付金、いわゆる基地交付金でございますが、これは一面においてこういう基地施設から固定資産税が入らないということとそれから基地の所在によって財政需要がある、この両面を考慮してやっておるものでございますから、その精神に即した配分方法を決めております。政令でその内容を決めておりますが、全体の総額の百分の七十五を各市町村にあります基地の固定資産の価格、これは土地、建物、工作物すべて入ります。で案分をいたします。これは機械的な計算をするわけであります。残りの二五%につきましては、その基地施設の種類とか用途、たとえば飛行場、演習場あるいは弾薬庫といろいろございますが、それぞれに応じて騒音問題でありますとか、あるいは危険度でありますとか、各種の差異がございますので、そういう差異を十分反映できるように、二五%につきましてはその基地施設の種類や用途に応じた補正をして割り増しをしておるわけでございます。なお、いわゆる不交付団体、地方交付税の不交付団体につきましては、いわゆる頭切りをいたしまして、交付額の制限をいたしておる。そういう意味合いで、財政状況も加味しながら二五%の配分はいたしておる、こういう次第でございます。  なお、その二五%を種類なり用途で補正して割り増し、上積みをいたします場合には、そこをつかまえます物差しといたしましては、飛行場施設の資産価格あるいは演習場施設の資産価格、それを客観的な物差しとしてとりまして、それの何十%、これは物によって違いますけれども、をそれぞれ割り増しをしていく、こういう方式をとっておるわけでございます。
  255. 石川要三

    石川委員 その二五%の中に騒音も当然入るわけですか。危険物とかいろいろとそういったようなものはいま言われましたか、騒音部門というのはどの程度の割合のものなんでしょうか。
  256. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いま申しました内部をさらに詳細に申しますと、ことに騒音に関連して申し上げますならば、飛行場につきましては、まず資産価格の三五%を割り増しを掛ける、その中でも特にジェット飛行場につきましては、ジェット飛行場の態様によりまして、二〇%ないしは三〇%という割り増しをさらに掛ける。ですから、通常の飛行場よりもジェット飛行場の方が、騒音などを加味いたしまして手厚く金額が設定されるようにいたす、このような措置を講じておる次第であります。
  257. 石川要三

    石川委員 そこで、たとえば私の選挙区の中の横田基地、これは最近横田飛行場に米軍の施設が集約されたわけでありますけれども、この横田基地を取り巻く六つばかりの各自治体に対していまの基地交付金というものがおろされておりますが、その内容をいろいろと調べてみると、なかなか理解に苦しむような点が幾つか感じられます。  それは、いま局長が言ったように、土地、建物、工作物等に分けられておりますけれども、たとえて言いますと、中でも一番騒音の多いと言われておる瑞穂町というのがありますが、あの広大な基地のうちこの町が所有している面積比率というものが三〇%ちょっと超えております。それに連続しておる武蔵村山市というのがありますが、これは一二・六%くらいであります。しかし、いま言うように、土地とか建物とか工作物、そういう三つの要素からいろいろとはじかれました、要するに総トータルの交付金額を見ますと、瑞穂町といま申し上げました武蔵村山市がほとんどとんとんなんです。これはどういうことになるのか。町長初め議会の方々には、こういう点に非常に不満がある、このような声が強いわけです。  その声を聞いておりますと、その一番根本の原因となるものは、やはり土地、特に建物、工作物のいろいろな固定資産の評価の内容で、特に滑走路ですね、この評価が建物に比べましてはるかに低い。こういうことから、実際には、たとえば瑞穂町では基地の三〇%を所有している。しかも滑走路の約七六%がこの瑞穂町に入っておる。飛行機というのは滑走路がなければ飛べないし、滑走路があってそこから騒音が出るわけでありますから、滑走路の下というのは住民としては一番苦しいわけです。そういうような爆音を毎日聞く町民から見ると、この滑走路の評価というのは非常に低いのです。したがって、どうしても交付金の方が低くなるのです。基地の周辺に倉庫や米軍の住居などいろいろありますが、そういった一切の建物、工作物の評価は-特に先ほど申し上げましたように、横田基地の集約化によって最近新しく非常に建設されている。ですから、その建設の時期からいっても資産評価が高い。  ところが、一方、滑走路というものはもうずっと前からできたものでございます。しかも、あれこそ全くコンクリートのかたまりみたいなものですから、非常に評価が低い。こういうところに私は、少なきを憂えず、むしろ公平ならざるを憂えるというようなことが言われてくるのじゃないかと思いますが、その点についてどういうふうな御見解を持っておりますか。
  258. 森岡敞

    ○森岡政府委員 最初に申しましたように、基地交付金いうものが制度としてできております基本的な理由の第一は、固定資産税が入らないというところが基本でございます。したがって、やはり現在あります資産の価格に応じて相当部分が配分される、これがやはり一番公平な結論ではないだろうか、これは私は言えると思うのであります。  問題は、その土地、建物、工作物のそれぞれの評価が現実に合っているかどうかということが一つ、御質問の中にもございましたように問題があろうと思います。現在は国有財産台帳価格を用いざるを得ませんからそれを用いておりますが、土地につきましては、古いものは五年ごとに評価がえをいたしております。したがって、実勢に近づいておるわけでありますけれども、新規に取得した土地に比べますと、なお評価がえによる適正な評価の進みぐあいが遅いところがある。これは五年ごとの評価に際して、地元の市町村からも強い要請を受けておりますし、私どもも目につくところは常に防衛庁に申し入れております。それによってだんだんと全体として土地の台帳価格の評価を均衡のとれるものにしていく、それによって資産価格に応じた適正な配分ができるようにしたい、これが第一でございます。  ちなみに、いま御指摘のありました瑞穂町について申しますと、確かに横田基地全体の土地価格の三割は瑞穂町でございますが、建物、工作物まで含めますと二〇%でございます。対比されました武蔵村山、これも約二〇%、土地、建物、工作物まで含めますと、横田基地全体の資産価格の中でのシェアは同じであります。  さらに、現実の五十二年度の基地交付金を申し上げますと、武蔵村山市は横田基地全体の二一・五%、瑞穂町は二四・二%というふうになっております。このことは、先ほど申しました二五%分をジェット飛行場でありますとか、危険度の多い射爆撃場でありますとか、そういうところは割り増しをやっております結果、瑞穂は二四・二になり、武蔵村山は二一・五というシェアになっている。  なお、この辺のところがもっと下がってもいいじゃないかという御指摘であろうかと思いますが、その辺のところは今後の基地交付金の配分のあり方の問題にもかかわりますので、なおいろいろな面から工夫をこらして、十分関係市町村が納得されますような研究は続けてまいりたい、かように思います。
  259. 石川要三

    石川委員 五年ごとの評価がえで時勢にマッチするようにという御努力は私もよく理解をするわけであります。ただ、問題はハウスにしても倉庫にしても、あるいは弾薬庫、いろいろなものがあると思いますが、そういう工作物や建物に比べて、特に滑走路というものが、あれは確かに建物に比べればコンクリートのかたまりでありますから、資産価値というものは計算のしょうがないと言えばそれまでですけれども、非常に低いものではないかと思うのです。事務所だとかあるいは人が住めるようなハウスだとか、そういったいろいろなものに比べれば、コンクリートのかたまりですから、資産の価値そのものの評価は計算の上では当然低くならざるを得ないと思うのですが、ただ、そういうもので計算して均衡を保っているのだと言っても、実はそれは機能的な面を見なければ必ずしも適正であるということにはならぬと私は思うのですけれども、その点はどうなんですか。
  260. 森岡敞

    ○森岡政府委員 土地、建物、工作物につきまして固定資産税上評価をいたします際に、それぞれの資産間のバランスというものがとれていなければならない、これは基本でございます。同じように、固定資産税の代替として配分いたします基地交付金の七五%相当分を考えますと、これはやはり建物の評価額、土地の評価額、工作物の評価額を現在台帳価格に上がっておりますのに差をつけるということは無理じゃないかという感じがいたします。台帳価格でございますから、毎年あるいは一定期間ごとに建物や工作物について評価がえはいたしておりません。したがって、取得価格が原則として台帳価格になるわけであります。ですから、そういう意味合いでは、古いものと新しいものとの間に確かに問題はあるわけでありますけれども、しかし、現在の基地交付金の配分を考えます場合に、資産価格を基準に考えます場合にはこの台帳価格によらざるを得ない。御指摘のような点については、何と申しましても二五%分で種類なり用途なりあるいは財政事情を考慮して配分する、そこのところで機能を十分考慮して手厚く措置していく、こういうことにならざるを得ないのではないかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  261. 石川要三

    石川委員 建物と滑走路二つだけをとってみますと、滑走路というのはコンクリートのかたまりですから、資産の価格というものは建物に比べれば非常に低いと思うのですよ。そういうものはどうしてももとが低いのですから、二五%の中で、いろいろとさっき言った三〇%の上積みをするとか、さらにまたジェット関係はそれに何%とかと言っていますけれども、もとが低ければ、やはりその掛け算というものはさらに格差が拡大される、こういうふうな結果になりませんか。
  262. 森岡敞

    ○森岡政府委員 先ほど申しましたように、二五%の配分をいたします際には、資産価格を基礎にして割り増しをしておりますから、それは御指摘のような面が出てくると思います。
  263. 石川要三

    石川委員 ですから、私がそういうような差が出てくると言っていることは違わないということですね。もとに掛けるのですから、その掛け算されるもとが建物と滑走路の場合とは、滑走路というのは極端に言えばコンクリートのかたまりですから、そういうようなことから見て、資産価値というものは低いものですから、そういうふうに幾ら割り増ししてもだんだん大きく差が出てくる。大きく差が出てくるというのは適正でないかもしれませんが、これは差が出てきます。もとが低いのですから、滑走路がたくさんあるから、今度は逆に三〇%掛けて建物のある所在市町村に比べて優位になるということはないと思うのですね。
  264. 森岡敞

    ○森岡政府委員 もう少ししさいに申しますと、先ほど申しました種類、用途等に応じて、たとえば飛行場の施設は割り増しをしますが、それはいまお話しの滑走路の用地あるいは上の構築物、これが対象になるわけでございますね。しかし、一般の米軍の構成員の住宅とかそういうものは飛行場施設ではございませんから、これは割り増しを掛けません。そういう意味合いでは、飛行場施設を構成いたしております滑走路は、資産価格としては低うございますが、これは割り増しの対象になります。しかし、建物は全部が割り増しの対象になっておるのではなくて、飛行場施設でないものは対象にならないわけですから、本来割り増しをするかしないかという差はございます。仮に、同じものについて割り増しを掛けると考えますと、その場合には資産価格に応じて差が出るということでございます。
  265. 石川要三

    石川委員 確かにアメリカの人が住んでいるようなものは除外されているかもしれません。ただ、工作物の中に滑走路以外にいろいろとあるわけですね。それと比べて滑走路というものがきわめて資産価値が低いと私は思うのです。ですから、私が言わんとするところは、滑走路があって、そこから実は騒音が出るわけですね。その七五%というものの一番根本の考え方は、固定資産に見合う、そういったようなものの交付金ということでございますから、これはもう考え方は違うかもしれません。しかし、基地というものを持つ悩みというものは、市民一般はむしろそれからくるいろいろな迷惑、騒音とかいったようなものについていろいろと苦情やその他クレームがあるわけです。ですから、そういうことから考えますと、ある町は基地の面積も相当出している、しかも滑走路が七十何%もある、その隣のところは、滑走路はないけれども、今度はいろいろな工作物があって、またそういうところは滑走路がないものですから、いろいろな工作物がこれからもふえるかもしれません。そうなりますと、全体的な交付金の額をながめてみると、爆音だけは一番大きいわ、しかし計算の根拠からいって、むしろ隣の町から見れば非常に不利だという感じをますます強く受けるのじゃないかと思うのです。こういうことを考えますと、滑走路というものはただ工作物の中の一つでございますが、滑走路についての台帳の評価の見方、これをやはり機能的な面を加えて再検討すべきものではないか、これができるかどうかということです。これをすべきだと思うのですが、その点についてひとつお答えをいただきたい。
  266. 森岡敞

    ○森岡政府委員 いわゆる七五%の部分の案分の基準になります資産価格の上で、それについていま御指摘のような調整を加えるというのは、私はこれは無理だと思います。と申しますのは、これは客観的な資産価格に台帳価格を用いておるわけでありますから、いまその御指摘がございましても、逆に台帳上相当な建物や工作物のあるところは、それは当然固定資産税が取れるじゃないかという気持ちは強いわけでありますから、それについて相対的にしわが寄るというふうな形にはなかなかしにくい。それぞれの立場でいろいろな意見が出てまいりましょうから、滑走路だけを割り増しして七五%の案分基礎に用いるというのは、これは無理だろうと思います。しかし、二五%の調整機能を持ちました配分の際にどのようなことができますか、これは一つの検討課題ではあろうかと思います。  ただ、滑走路だけではございませんで、基地所在市町村ではいろいろな御意見がございますので、一つだけを取り出しまして処理をするということになりますと、なかなかやかましい話にもなりましょうから、やはり総合的に検討していく必要がある。  もう一つは、基地交付金だけで基地所在市町村の財政措置があるわけではございませんし、御承知の防衛施設周辺整備交付金でありますとか、そういうものとも総合いたしまして基地所在市町村のめんどうを見ていくという仕掛けにもなっておりますし、また地方交付税の中での特別交付税でもいろいろ心配をしているわけでございますから、その辺を総合的にひとつ御勘案を願いたい、かように思います。
  267. 石川要三

    石川委員 確かに局長が言われるように、七五%の積算の物差しの中で滑走路だけを特別の物差しではかるということは、実際やってくれと言っても、これは理論的になかなか困難性があるということは理解できないわけでもございません。そうなると、二五%の方で、いま申し上げましたように、その中のいろいろなファクターを入れる中に、騒音に対するものが三〇%ですか特別加算のものがあるようですが、その加算をするのが、そもそもそのもとが、また建物と滑走路の差があるわけですね。ですから、せめてそこのところにおいては、二五%は特別なそういう調整をするということですから、その中においてせめて滑走路というものの機能的な役割りを十分に考慮して考えてしかるべきではないかと思うのです。いまそういう点につきましては若干検討を要することもなきにしもあらずということでございますから、私はそういうふうな善意に解釈いたしまして、くどいようですが、ぜひこの点につきまして二五%の中の滑走路の面につきましての機能的な分、これについては理論的に私は可能ではないかと思いますので、十分に御検討いただきたい、こういうことを強く要望いたしまして、質問を終わります。      ――――◇―――――
  268. 木村武千代

    木村委員長 それでは、この際、一言ごあいさつを申し上げます。  今国会における本委員会の審議も本日をもって終了いたすことになりますが、この長期間にわたる委員会運営につきまして、理事各位はもとより、委員各位の絶大なる御支援と御協力を賜りまして、大過なく委員会審議を進めることができましたことを深く感謝いたしますとともに、厚く御礼を申し上げる次第であります。  簡単ながらごあいさつといたします。(拍手)  本日は、これをもって散会いたします。     午後四時四十分散会