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森永政府委員 覚せい剤事犯は、特に昭和四十五年以降急激に増加をいたしておりまして、昨年は全国の
警察で二万三千七百六十五件、一万四千四百四十七人を検挙しておりまして、過去八年間で約二十倍増加をいたしておるような
状況でございます。また本年三月末までに八千百八十二件、四千八百二十人を検挙しておりまして、これはまた昨年同期と比較しますと、件数で八六%、人員で七四%の増加ということになっておるわけでございます。これは
先生御
指摘になりましたように、
治安問題からむしろ社会問題化しつつあるというような
状況にあると思うわけでございます。
その対策といたしましては、まず第一番目に、何といっても密輸のルートを断つことが必要であろうというふうに
考えております。この
覚せい剤はほとんど外国からの輸入でございまして、特に韓国、台湾、東南アジアでございます。昨年あたりから、その上に西ヨーロッパ物がかなり出回っておりまして、供給源は非常に豊富でございます。したがいまして、こういう
覚せい剤の密輸ルートを断つ、そのためにはやはり国際連帯を
強化していく、そのためには
警察庁あるいは主要府県に海外捜査担当の係官を設置いたしまして、常時情報交換をやる、あるいはICPO等の国際機関を通じて常時
連携をとっていくということが必要であろうと思うわけでございます。またそれと同時に、水際において阻止するということも必要でございまして、体制を
強化しておりますが、特に麻薬犬の養成を現在いたしておりまして、主要なところにこれを配置していくという
考えでございます。
それから第二番目には、何といっても密売組織を解明するということが必要でございます。これは
先生御
指摘になりましたように、暴力団の大変な資金源でございまして、これは昨年一年間の推計でございますけれ
ども、大体、検挙いたしたものの中で暴力団の資金源が三百億と言われております。これは検挙したものだけについてでございます。そのうちで二百億が
覚せい剤であると言われております。したがいまして、大変な資金源でございますから、暴力団としては絶対に放したくない、また、販路を拡張したいということで、かなり強引な密売をいたしております。したがいまして、これを何としてもたたく必要がある。それで、これはもう保安部だけではなくて、
刑事局とも十分
連携をとりまして、暴力団壊滅作戦の一環としてこれを進めていくという必要があろう。
それから第三番目には、何といってもやはり暴力団等の強引な売り込みによって使用者がふえるということが言えるわけですが、しかし、この
内容を見ておりますと、比較的安易に
覚せい剤を使うというようなところが多分に見受けられるわけでございますから、
国民にこの
覚せい剤の恐しさを十分に知らせる必要がある。そのために昨年は「白い粉の恐怖」という、この
覚せい剤中毒者の体験記をまとめたものを全国的に配布いたしまして、大変な反響を呼んだわけでございますが、ことしはさらに映画などをつくりまして広く広報をいたしたい。また、これは
警察だけではなくて厚生省とも十分
連携をとって
国民の啓蒙というものに努めていくべきであろう、こういうように
考えておるわけでございます。
このような三本の柱でこれを総合的に推進をしていく、こういう
考えでございます。