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加藤国務大臣 ただいま議題となりました
銃砲刀剣類所持等取締法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案
理由及び
内容の概略を御説明申し上げます。
この
法律案は、最近における猟銃または空気銃を使用する犯罪及び猟銃または空気銃に起因する
事故の実情にかんがみ、新たに猟銃を所持しようとする者について猟銃の操作及び射撃の技能に関する技能検定を
実施し、猟銃または空気銃の所持の許可の基準を
整備し、並びに猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間を短縮し、あわせて猟銃または空気銃の保管委託制度を新設することとするほか、銃砲または刀剣類の所持に関する
規制を合理化すること等をその
内容といたしております。
まず第一に、所持の許可の基準の
整備について御説明いたします。
その一は、覚せい剤取締法
違反事件の急激な増加傾向及び覚せい剤中毒者の社会的危険性にかんがみ、覚せい剤中毒者には銃砲または刀剣類の所持の許可をしないことを明らかにしたことであります。
その二は、この
法律の規定に
違反したため所持の許可を取り消された者との均衡上、銃砲の保管義務または銃砲もしくは刀剣類の譲り渡しの
制限に
違反して
罰金以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から起算して三年を経過していないものには、所持の許可をしないことができることといたしております。
第二に、猟銃または空気銃の所持の許可の基準の特例並びに猟銃の射撃等の技能検定及び射撃教習について御説明いたします。
猟銃または空気銃による
事故は依然として多発しており、その
内容を検討しますと、猟銃または空気銃を所持する者がその取り扱いについての
基本的な知識、技能等に欠けることに起因することが多い実情にあります。
そこで、まず、猟銃または空気銃の所持の許可を受けている者は、三年ごとに猟銃または空気銃の取り扱いについての
基本的な知識等に関する講習を受けなければならないこととし、猟銃または空気銃の適正な取り扱いに関する自覚を喚起することにより
事故の
防止を図ることといたしております。
次に、新たに猟銃を所持しようとする者に対しては、都道府県公安
委員会が行う猟銃の操作及び射撃に関する技能検定に合格した場合または都道府県公安
委員会が指定した教習射撃場において教習射撃
指導員が行う射撃教習を受けて教習修了証明書の交付を受けた場合等でなければ、狩猟、標的射撃等のための所持の許可をしてはならないことといたしております。
また、ただいま御説明いたしました技能検定または射撃教習を受けるために猟銃を所持しようとする者には、政令で定めるところにより期間を定めて技能検定または射撃教習を受けるために必要な猟銃の所持の許可をすることとするとともに、技能検定、射撃教習の
実施に必要な教習射撃場、教習射撃
指導員等に関する規定を新設し、この制度が円滑に
運用できるようにいたしたところであります。
第三に、許可証の合理化について御説明申し上げます。
現在猟銃または空気銃の所持の許可は、所持している猟銃または空気銃ごとに許可証を交付しているのでありますが、一人について一の許可証を交付し、現に猟銃または空気銃の所持の許可を受けている者にさらに猟銃または空気銃の所持の許可をする場合においては、現に交付している許可証にその猟銃または空気銃の許可に係る事項を記載すれば足りるものとする等許可証の合理化を図ることといたしております。
第四に、許可の有効期間の短縮についてでございます。
猟銃または空気銃の所持の許可の有効期間は、現在は五年となっているのでありますが、最近における猟銃または空気銃による犯罪及び
事故の発生
状況にかんがみ、猟銃または空気銃を所持させることが適当でない者の発見の機会を多くする等のため、許可の有効期間を、許可を受けた日または許可の有効期間が満了した日の後のその者の第三回目の誕生日が経過するまでの期間とすることといたしたのであります。
第五に、失効し、または取り消された許可に係る銃砲または刀剣類の仮領置についてでございます。
失効し、または取り消された許可に係る銃砲または刀剣類による危険を
防止するため、銃砲または刀剣類の所持の許可が失効した場合において、他人の生命もしくは財産に対する危険を
防止するため必要があると認めるとき、または五十日以内に、みずから許可を受けて所持し、もしくは所持しないこととするための措置をとらないときは、その銃砲または刀剣類を仮領置するものとし、許可が取り消された場合においては、その取り消された許可に係る銃砲または刀剣類を仮領置することといたしたのであります。
第六に、猟銃または空気銃の保管の委託について御説明いたします。
現行法におきましては、許可を受けて猟銃または空気銃を所持する者は、当該猟銃または空気銃を堅固な保管設備にすべてみずから保管しなければならないことになっておりますが、これを改め、盗難の
防止その他危害予防上必要がある場合には、猟銃等販売事業者または指定射撃場もしくは教習射撃場の設置者であって、都道府県公安
委員会に届け出て、委託を受けて猟銃または空気銃を保管することを業とするものに猟銃または空気銃の保管を委託することができることといたしたのであります。
第七に、教習射撃場等への立入検査等についてでございます。
都道府県公安
委員会は、教習射撃場または猟銃等保管業者に対し、その設備または保管の方法等が総理府令で定める基準に適合しているかどうかを調査する必要があると認めるときは、その業務に関し、報告を求め、または
警察職員に立ち入り、検査させ、もしくは
関係者に質問させることができることといたしたのであります。
その他手数料の額の改定、罰則の
整備等所要の
改正をいたそうとするものでございます。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその
内容の概略でございます。何とぞ、慎重御
審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたす次第であります。