○佐藤(敬)
委員 ただいま議題となりました日本社会党、公明党・国民
会議、民社党、日本共産党・革新共同、新自由クラブが共同して提案いたしました
地方交付税法等の一部を
改正する
法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表し、提案理由及びその概要を御
説明申し上げます。
地方財政は、御承知のとおり本年度においても三兆五百億円という膨大な財源不足に見舞われ、四年続きの深刻な
財政危機に直面いたしております。
地方財政がこうした深刻な危機に直面することとなったのは、深刻な不況に起因しているのでありますが、その根本的原因としては、歴代自民党政府が、住民福祉の充実や生活基盤の
整備よりも、産業基盤の
整備など中央集権化のもとに
高度成長政策を
推進してきたことによるものであります。そのため自治体においては、過疎過密、公害その他の対策に膨大な
財政需要を引き起こすことになりましたが、これに対し国が十分な自主財源を付与してこなかったところに
地方財政の構造的な危機が招来されたと言わなければなりません。
われわれは、このような
地方財政の危機を打開し、自治体の自主的な
行政運営を確保するため、
地方財政の長期的な見通しに立って、抜本的な恒久対策を講ずるようこれまでたびたび自民党政府に要求してきたのでありますが、残念ながら今回の自民党政府の
地方財政対策は、われわれの要求のみならず
地方六
団体を初めとするすべての自治体関係者の要求をも踏みにじったものと断ぜざるを得ないのであります。
三兆五百億円の財源不足に対し、自民党政府は、
地方交付税率の引き上げを図ることなく
地方交付税特別会計における一兆五千五百億円の借り入れと一兆三千五百億円の
地方債振りかえによって措置し、全く
根拠のない二分の一
負担方式をルール化しようといたしておりますが、このような財源対策が、
地方交付税法第六条の三第二項及び
地方財政法第十条の二等の趣旨に反していることは言うまでもありません。
今日、
地方交付税制度の
改革、なかんずく税率の引き上げは、いまや国民的合意となっており、この国民的期待にこたえることこそ今国会の重要な課題であります。このような立場からわれわれは、
地方交付税率の引き上げ措置等を含め、一般財源の充実強化を図り、もって
地方財政の危機を緊急に打開し、
地方自治の発展を図るため、本修正案を
提出した次第であります。
次に本修正案の概要について御
説明申し上げます。
第一は、最近における自治体の
財政需要の増大に対処するため、
昭和四十一年度以来、据え置かれてきた
地方交付税率を
現行の三二%から四〇%に引き上げることといたしております。
第二は、臨時
地方特例
交付金の増額等についてであります。
その
一つは、
昭和五十年度以降発行された減収補てん債及び財源対策債はすでに巨額に達しており、その元利償還に係る基準
財政需要額については、臨時
地方特例
交付金で措置することといたしております。
その二つは、
昭和五十年度、五十一年度及び五十二年度における
交付税及び譲与税配付金特別会計における借入額の元金償還については、当該年度に償還する額に相応する額を臨時
地方特例
交付金として一般会計より繰り入れることといたしております。
以上の措置により
昭和五十三年度における臨時
地方特例
交付金は、三千四百二十八億円増額し、五千六百七十九億円となります。
第三は、投資的費用に係る単位費用の
改正であります。その他の土木費においては、道府県四千七百二十円、
市町村千二百七十円とし、その他の諸費においては人口一人につき道府県五千九百六十円、
市町村四千円とし、面積一平方キロメートルにつき道府県百四十万六千円、
市町村六十六万五千円といたしております。
第四は、自治体の財源の充実強化を図るため、速かに国・自治体間を通じて
行財政全般にわたって抜本的検討を加え、その結果に基づき、国と自治体との間の財源の再配分が実施されるよう必要な措置を講ずることといたしております。
第五は、
地方交付税の交付額は、自治体固有の財源であることにかんがみ、国税収納
整理資金から
交付税特別会計へ直接繰り入れることといたしております。なお本規定は、
昭和五十四年度から実施することといたしております。
以上が本修正案の概要でありますが、本修正によって
地方交付税の総額は、一兆六千八百四十八億円増額することとなりますので、一兆三千五百億円の建設
地方債の発行は全額取りやめるべきであることを表明し、提案理由の
説明を終わりたいと存じます。
何とぞ慎重御
審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)