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1978-04-18 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十八日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       地崎宇三郎君    中村喜四郎君       中村  直君    西田  司君       与謝野 馨君    新村 勝雄君       細谷 治嘉君    水田  稔君       権藤 恒夫君    斎藤  実君       和田 一郎君    中井  洽君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         環境庁企画調整         局環境保健部保         健業務課長   大池 真澄君         文部省初等中等         教育局財務課長 古村 澄一君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    加藤  優君         建設省道路局国         道第一課長   多田 宏行君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 四月十七日  東京都財政確立に関する請願飯田忠雄君紹  介)(第三一七一号)  同(長谷雄幸久紹介)(第三一七二号)  同(清水勇紹介)(第三二〇一号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第三二〇二  号)  同(山花貞夫紹介)(第三二〇三号)  同(渋沢利久紹介)(第三二三八号)  同(沢田広紹介)(第三二八一号)  退職地方公務員共済年金恩給改善等に関す  る請願柴田睦夫紹介)(第三一七三号)  同(荒木宏紹介)(第三二三七号)  同(和田耕作紹介)(第三二八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。三谷秀治君。
  3. 三谷秀治

    三谷委員 本年度財源不足額三兆五百億の補てん処置について、私はいろいろ疑問を感じております。その一つは、交付税特会の借入金でありますが、一兆五千五百億円を償還に当たりまして国と地方が半分ずつ負担するということをルール化されるわけでありますが、この根拠が私はわかりません。一体、地方はどうしてこの財源を捻出するのか。新税を創設する権限もありませんし、起債を自由にする権限もないわけであって、これはすべて国の権限に属するわけでありますが、そういう状況の中で一体地方独自の償還財源地方で調達ができるのかどうか。この点についてどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思うのです。
  4. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、毎年度地方財政に対します対策といたしましては、地方財政計画策定を通じまして地方財政全体といたしまして必要とする財源を確保する、こういう措置をとっているわけでございます。その際の確保する手段といたしましては、あるいは地方債増発の場合があり、あるいは交付税会計借り入れの場合があり、いろいろな手段方法はあるわけでございますが、総体といたしましての地方財政としては運営支障がないような措置地方財政計画策定を通じまして処置をいたしているわけでございまして、その手段方法というものは将来におきましても続けられるというぐあいにども確信をいたしているところでございます。したがいまして、地方財政全体としてどういうような税収になり、どういうような予算その他の歳入になるか別にいたしましても、ただいまの地方財政として返さなければならない金額というものを含めての財政措置が将来も続けられていくようになるだろう、こう信じているところでございます。
  5. 三谷秀治

    三谷委員 これは本来言いますと、地方負担するものではなしに国が全額負担するものだと私は思っております。国が定めました基準財政需要、そして国が決めました基準財政収入、この差額でありますから、この乖離分は、当然国で責任を持ってもらわなければ地方責任を持てるものではないというように私は思いますが、その点はどうでしょうか。
  6. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方一般財源の大宗でございます地方税収入、これはやはり地方財源でございますが、地方税法で決まるという意味におきましては、総体の問題といたしまして国の意思の関与はあるわけでございますけれども、やはりそれは地方一般財源でございます。また、交付税にいたしましても、やはり地方一般財源。こういう一般財源同士というもので物を考えていきます場合には、その最終決定というのがどういうかっこうで行われるにいたしましても、やはり地方としての財源地方で確保さるべき財源、こう観念をいたしているわけでございまして、そういう点から申し上げますと、御案内のとおり、国と地方とで国民の皆様方からいただいております総体としての税収、それをほぼ半々の割合でもって国と地方が使用いたしているわけでございますので、その割合によって今回の二分の一ずつ負担し合うという措置を決めた次第でございます。
  7. 三谷秀治

    三谷委員 いまの説明、私はよくわかりませんが、基準財政収入額といいますのは、いまおっしゃいました地方税というものを積算をして出すわけでありますが、それが中心になるわけであります。その地方税の総額を基準にしました基準財政収入額と、それから国が平均的なあるべき地方行政水準として定めました地方財政基準額、それに乖離が出るわけでありますから、その乖離を一体どうして地方が埋めるのかという問題、どういう財源でそれを地方処置するかということになってきますと、これは地方では処置しようがないわけでありますから、当然国が適当な手段を講じて補てんをしなければ片がつくものではないわけです。元来、財政収入財政需要差額というものは、国が責任を持ってもらわなくちゃ地方ではどうにもなるものじゃありませんが、この点はどういうことなんでしょう。
  8. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先ほども申し上げましたように、地方自主財源であります地方税収をどうするのかというときにも、やはり国会としてあるいは国といたしましての御議論はあるわけでございますけれども、しかし、それはやはり地方自主財源、こう言っているわけでございます。そういう意味から申し上げますと、どういうぐあいに自主財源を獲得していくのかということにもかかわってくるわけでございまして、そういったもの総体を主として各年度財政運営支障がないように、必要とする一般財源が確保されるように現在までも地方財政計画策定を通じ処置をいたしてき、また将来においてもそういう処置がされるであろう、こういうようなシステムになっているわけでございますから、その点は地方財政計画策定を通じまして各年度ごとに必要とされる額が確保されていく。その場合には、税制改正の場合には税の増収という場合もございましょうし、あるいは交付税におきます特別会計での借り入れというような措置によって支障がないように一般財源措置されるという場合もございましょうし、いろいろなやり方があるわけでございますが、いずれにいたしましても、各年度においては必要とする一般財源地方財政として確保されるような措置がとられるもの、こう思っておるわけでございます。
  9. 三谷秀治

    三谷委員 将来の問題といいますのは仮定の問題ですから、仮定基礎にして予算措置をするというようなことは、私どもは首肯することができないわけです。現状におきましては、いまおっしゃいます地方独自財源といいますか地方税、そして一方におきましては財政需要がある。それはどうしても乖離が生じてきて不足をする。その不足をどうするかといいますと、地方が半分持つ、国が半分持つ、こうおっしゃる。地方が持つという場合、どこに財源を求めるのか、どこからその償還財源が出てくるのかということになってきますと、地方としましては、独自な税目を立てるわけにはいきませんし、ほかには収入がないわけですから、償還の見通しが全然つきはしません。将来におきまして、国の方がいろいろな、いま財政計画その他でどうするこうするとおっしゃっていますが、それは将来の仮定の問題でありまして、いまの場合、この不足額をどうするかといいますと、国が責任を持つということにしてもらわなければどうにもつじつまが合わぬことになってくるわけですが、この点どうなんでしょう。
  10. 山本悟

    山本(悟)政府委員 将来のことは仮定であるというおっしゃられ方をされますと、すべてのことは仮定になってしまうわけでございますが、少なくとも現在までの地方財政システム、国が財源を困らないように保障いたしているシステムというものはそういうかっこうで動いてきているわけでございまして、その点は間違いないと存じております。
  11. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、地方が半分持つものについては、将来国の方で責任を持ってそれは措置していくんだということなんですか、いまおっしゃっている意味は。
  12. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方財政計画を的確に算定することによりまして、そういうような結果に相なると思います。なお、その際に、やはり地方が返さなければならぬ分は返さなければならぬ分として、地方の必要とする歳出といたしまして計算をいたして、そういうようなもとにおいて地方財政制度として、税制面まで含めましてどういうあり方がいいのかということで基本的な改正というものを考えていかなければならない、こういうことになってまいると思います。
  13. 三谷秀治

    三谷委員 基準財政需要基準財政収入差額交付税によりまして措置するというたてまえがいまの財政上のシステムだと私は思っておりますが、その点はどうなんでしょうか。そして、交付税といいますのは、いまのところでは国税三税の三二%でありますが、これが不足をすれば、税率改正等によりましてそれの補てんに不自由をしないだけの交付税をそこで捻出をするという性質のものだと思いますが、その点はどうでしょう。
  14. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税地方財政財源保障の機能を持っておりますことは、ただいま御指摘のとおりでございまして、いま御指摘になりましたような考え方での制度運営になっている、こう思っております。
  15. 三谷秀治

    三谷委員 それでありますならば、地方半額持つということが私は合点がいかぬのです。矛盾がそこにあるわけです。不足分交付税で全部持つのでありますならば、交付税というものが国税三税の、いまの話で一定率で決まっているわけですから、それで賄っていく。賄って足りなければ税率の改定をやっていくという性質のものだと思いますが、その点はどうなんでしょう。
  16. 山本悟

    山本(悟)政府委員 したがいまして、交付税法の六条の三第二項は、交付税率改正という手段と、あるいは地方財政制度改正という手段と二つ並列して書いているわけでございまして、今回、交付税率改正というような方法は、現在の経済情勢のもと、とれなかったことはたびたび御説明を申し上げたとおりでございまして、本来で申せば、確かにおっしゃいますように、暫定的な制度でない、基本的な制度改正というところに進むべき問題であろうと思います。御案内のとおり、この六条の三第二項にこの四年間該当しているということは私ども申し上げておるわけでございまして、その意味から申せば、より基本的な制度改正をすべきものでございますが、そういう事態では経済的にも現在ないというような状況のもとにおきまして、やむを得ざる手段といたしまして、現在の、今回お願い申し上げておりますような制度改正手段をとったわけでございまして、これは暫定的でございますが、ある程度の期間はそういうようなやり方によってもやれる。しかし、なるべく早い機会に基本的な制度改正によりまして、これは地方税収の増というようなものも含めましての基本的な制度改正によりまして、地方財政がそういう状況でなくなるようにということを希望いたしておるところでございます。
  17. 三谷秀治

    三谷委員 そうしますと、本来言いますと、財政収入財政需要差額交付税補てんすべきものだけれども、しかし、いまの財政状況などを勘案しまして、半ばを地方負担せしめる。要するに、従来の交付税法の改悪といいますか後退といいますか、そういうことをこの改正案意味しておるということなんでしょうか。
  18. 山本悟

    山本(悟)政府委員 本来、直ちに交付税で埋めるべきなのか、あるいはその他の自主財源である税収増を図るべきなのか、あるいはその他の行政制度改正によって、たとえば歳出の減というものを図るべきなのか、これらはいずれも交付税法の第六条の三第二項においては選択的になっていると思っているわけでございます。本来言えば、現在のように国、地方を通じまして非常に税収不足しているという状況のもとにおきましては、やはり税収の増加というものを本来図ることが、私どもとしては、地方財政にとりましても第一じゃないかというように存じておるわけでございますが、五十三年度におきましては、なかなかそういう客観情勢にないということで、ただいま御提案申し上げておりますような制度改正をお願いしているわけでございまして、決してこの六条の三第二項から後退しているというような問題ではないと存じております。
  19. 三谷秀治

    三谷委員 いまの説明を聞いてもそうですけれども、本来、地方が独自な償還財源を持つわけはない。国の制度でどこかで何かをしなければどうにもなるものじゃない。地方地方税を新しく独自に新設ができるとか、あるいは地方が随意で起債ができるとかいう条件がありますと、これは地方で任意な財源が確保できますけれども、そうなっていない。これは全部国が関与するわけですから、そうしますと、半額地方負担をするといいましても、実際には負担の仕方がないわけであって、結局国の方が何らかの操作をする以外には方法がないわけなのです。ですから、そこのところは地方半額負担をしろというところが私はよくわからぬわけであって、国の措置を抜きにしては地方負担は不可能なわけです。それを地方負担という形で表面に出していらっしゃる。考えられますことは、地方行政水準の切り下げでもやって、そして今後におきまして基準財政需要を圧縮でもしていけば、幾らかずつそれは捻出できるかもわかりませんが、それ以外には、地方財源なんて考えられません。ところが、地方負担とこうおっしゃる。そこのロジックが私はどうにも合点がいかない。そのことをいま私は指摘したわけですけれども……。  そしてもう一つ不足財源の一兆三千五百億の地方債振りかえでありますが、これも財政の秩序を根本から破壊する性格を持っている。一般財源として交付税というものはあるわけでありますが、その交付税の一部を起債振りかえるわけですから、起債といいますと特定財源になる。ですから、一般財源として地方に保障されるべきものを起債によりまして事業受けざらにしてしまう。つまり、特定財源にしてしまう。ですから、本来、使途の自由であるべきものが、使途を特定するわけでありますから、これも地方自治制度の重大な侵害だと私は思っておりますが、その点どうでしょうか。
  20. 山本悟

    山本(悟)政府委員 三兆五百億に達します財源不足というものの処理の仕方といたしまして、昨年度と同様に公共事業地方負担額の九五%までを地方債をもって充てる、そういう措置をとりますと一兆三千五百億の地方債増発が可能である、こういうところから一兆三千五百億という地方債増発をいたしたわけでございますが、公共事業といったようなものの地方負担につきまして、どれだけが地方債であるべきであり、どれだけが一般財源を充当すべきであるか、本来的にはいろいろ議論の存するところでございます。すべてを地方債によらずに一般財源でできるというような事態がいいのか、あるいは建設事業という性格に着目して、ある程度地方債というものによって運営することがいいのか、いろいろあろうと思います。  今回の財源措置としてやっておりますのは、御案内のとおり、昭和五十年度以降の経済状況の変化を来さない以前の場合におきますところの公共事業地方負担に対します起債充当率ほぼ三〇%程度ということを基礎にして、それ以上のものは今度の財源対策でやる、こういうことで一兆三千五百億というのをはじいておるわけでございまして、そういう意味から申しますと、どれだけのものがいいのか。将来の問題として、財政制度として考えます場合には、いろいろ議論のあり得るところであろうと私は思っております。それがどの程度がいいのか。ただ、九五%というのは高過ぎるじゃないかというような点から言えば、もっと一般財源によってそれも措置できる方がよりベターであるということは、御指摘のとおりのような気持ちもいたします。  ただ、こういったような国、地方を通ずる経済情勢のもとにおいてあるいは財政状況のもとにおいて、やはり相当程度、九五%だということは非常に高い程度でございますが、相当程度のものを地方債をもって充てざるを得なかったというのが現在でございまして、これまたやはり地方財政制度の基本的な改正の場合には、より一般財源をもって充当できるような財政措置が可能なような地方財政制度を早くつくっていく必要があると存じております。
  21. 三谷秀治

    三谷委員 私はそれが九五%か九〇%かというところを問題にしているのではなしに、財源不足でありますから、要するに収入額需要額の差ですから、これは当然交付税で埋めるべきものであって、交付税であれば、これはすべて一般財源である。ですから、地方首長裁量権によりまして使途を決めることができる。そういう内容になっているのですが、今度の場合は、これを起債振りかえました分はすべて事業受けざらとしてしか認められませんから、特定化してしまう。ですから、一般財源というものを特定化するということは首長裁量権侵害するものですから、その点からいいまして、地方自治に対する重大な侵害になるのだということを申し上げておるわけでありまして、こういうことは好ましくないことだという考え方でお尋ねをしているわけです。
  22. 山本悟

    山本(悟)政府委員 公共事業執行を引き受けた団体におきましては、それが地方債によって処置されようと、交付税一般財源から支出されようと、いずれにいたしましても、それに伴います地方負担というものはあるわけで、それは支出をされているわけでございます。その際、一般財源によってその地方負担を賄うことができる制度の方がべターなのか、あるいは地方債によって埋めることもやむを得ないのかということになりますと、一般財源でその地方負担というものを措置することができる制度の方がより地方にとって有利な制度であるというようなことは申せるとは思いますけれども、しかし、こういった財政状況のもとにおきまして必要とする公共事業執行のための裏負担についての財政措置という面から見れば、やはり建設地方債の活用ということも非常に有力な手段であり、また現下においてはやむを得ない手段であった、こういうことで今回のような措置にいたした次第でございます。
  23. 三谷秀治

    三谷委員 やむを得ぬ手段だとおっしゃっておりますから、好ましいことではないということだろうと私は思います。こういうことが繰り返されますと、結局は、地方自治体首長財政上の裁量権というものが非常に圧縮されてきますから、私どもは、こういうことを繰り返し反復して、しかも拡大をするというようなことがあってはならぬと思っておるわけです。  そしてもう一つは、この地方債振りかえ分は償還時に基準財政需要に算入するとおっしゃっておりますが、それは基準税率分に限られております。そこで、元来基準財政収入額の算定に用いる基準税率というものを、この起債償還に当たりましてその基準税率分だけを財政需要に算入するというのはどういう根拠によるものか、お尋ねしたい。
  24. 山本悟

    山本(悟)政府委員 基準税率分で算入いたしますのは、実を申しますと、減収補てん債等につきましてはそういうやり方でございます。ただいまの財源対策債の方は従来交付税基準財政需要額に算入いたしておりましたが、こういった財政状況になりましたために、交付税基準財政需要額の方から減らしていかなければつじつまが合わなくなってまいりました部分、これは総体で申しますと約八〇%程度でございますが、そういったものを各費目ごとにはじき出して総平均をいたしまして、その部分を将来基準財政需要額の中に算入していく、こういうようなことにいたしているわけでございまして、その意味から申しますと、ほぼ似たような率でございますけれども基準税率との関連というのは減収補てん債、こちらの財政対策債の方は従来基準財政需要で見た分の振りかえ、こういうふうに御了解をいただきたいと存じます。
  25. 三谷秀治

    三谷委員 そこはどういう解釈をするか別としまして、計数上の扱いにつきましては同じことなんです。ですから、府県で二〇%、市町村で二五%でありますから、留保財源分基準財政需要に組み込まないということになってくるわけです。そこで、これが基準財政需要に組み込まれませんと、結局基準税率分だけ償還時にめんどうを見ようという結果になってくるわけです。今度の地方債振りかえ分は基準税率とは何の関係もありはしません。要するに、留保財源というものが首長裁量に基づく独自の施策に充てるという観点で税収入の二〇%ないし二五%を除外したものでありますが、今度の地方債振りかえ分は基準税率とは何の関係もないわけです。全部を事業費として使うわけですから、要するに留保財源的な、地方自治体首長が独自に裁量権を持って使えるという余地はないわけでありますから、その分だけ基準財政需要から除外をするという理由は何一つないわけです。それがなぜ除外をされますのか、論理的な根拠が私は非常に不明確であると思っておりますが、いかがでしょう。
  26. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま申し上げましたように、財源対策債元利償還金算入率というのは、従来の需要計算の中で入れておりました部分を減らすことに見合うような考え方でございます。したがいまして総平均で八〇%程度、こう申し上げたわけでございますが、個々の費目によっていろいろあるわけでございまして、たとえば義務教とか清掃とか高校といったようなものにつきましては一〇〇%見る、というようなことにもなっているわけでございまして、従来どれだけ入っていたかということとの対応において考えられていく。したがって、その意味におきましては、まさに財源対策のために出されたものであるから将来の交付税として見ていこう。しかし、従来から交付税でございますから、御案内のとおり、すべて一〇〇%基準財政需要というものと財政計画の分と一致するわけではございません。その部分について総体として申し上げますと、先ほど申し上げましたような率になるんだ、こういうことを申し上げているわけでございます。
  27. 三谷秀治

    三谷委員 この処置を一貫して見ますと、財政収入額財政需要額差額、つまり不足額不足額でありますから、本来申しますと、これは交付税処置すべきものである。その交付税処置すべきものを約半ばは交付税にして、その半分を地方負担をさせる、あとの半ばを起債振りかえる。そうしてその起債の中で留保財源分は、これは地方負担をさせる。これはもう地方にしますと踏んだりけったり、こういう処置がとられておるわけであります。ですから、元来これは交付税として処置すべきものでありますから、全額国が持つべきものです。それを借金にする。借金にして、今度返すときには二割ないし二割五分は地方が持て、こういうことになってきますから、二重、三重の改悪になってきておる。私はそこのところがよくわかりませんが、こういうふうにして交付税振りかえたものでありますから、当然国が持つべきものであって、それを地方に、まあ起債振りかえてその起債の中で償還時におきまして二割ないし二割五分は地方が持て、こうおっしゃる、そこら辺が私はよくわかりません。当然これは全額基準財政需要に入れて財政計画上の処置をとるべきものであると私は思っておりますが、その点はいか、かなものでしょう。
  28. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の五十年度から始まりますところの経済の変動、それ以前の状況の際におきまして交付税基準財政需要額上算入されておりました率、額——額と申し上げますよりもその地方負担に対します交付税の見方の率、その率が確保されますようなかっこうで、実質的に同様な財政措置がとられますようなかっこうでこの財源対策債としての元利償還金を将来需要に算入していこう、こういうことでございますから、その意味におきましては、今回の財政状況が悪くなります以前の状況よりも地方団体にとって総体として見ました場合に実質的に不利になるというような取り扱いにはしないで済む、こう思っているところでございます。
  29. 三谷秀治

    三谷委員 この実態はそのようには私は理解できません。地方交付税の本来の機能といいますのは、御承知のように、地方行政のあるべき姿の財源保障ということ、同時に、あるべき姿を各自治体に行わしめるための財源調整という問題、これが主要な役割りになっておりますが、あるべき行政水準、つまり基準財政需要でありますが、基準財政需要額を政府が算定をして、そして収入額との乖離分を保障する、これが交付税の平たく言った役割りになっている。ところが、この保障を特定事業に限って行おうとするものでありますから、これが要するに起債振りかえという姿でありますが、そうしますと、あるべき姿の財源保障から開発事業に限っての財源保障に変質してしまう、こうなってきますと、地方自治に対する重大な侵害でありますし、地方交付税性格まで変わってくるわけです。そこのところを私どもは非常に懸念をしているわけでありますが、この点はいかがなものでありましょう。
  30. 山本悟

    山本(悟)政府委員 公共事業地方負担につきましては、御案内のとおり、地方財政法におきましても適債事業ということになっているわけでございますので、こういった財政状況のもとにおきまして、やはり地方債の活用ということが必要でございますので、財政法上の適債事業につきましてその地方負担についての財政措置というのに地方債を活用している、こういうのが現在の姿でございます。したがって、地方債というものを当該年度におきまして活用するということになれば、その部分につきましてはやはり交付税需要算入からは減額しなければ地方財政計画上とはずが合ってこないわけでございますので、そういう措置をとらしていただいているわけでございます。  その意味におきましては、何ら交付税そのものといたしましての財源保障という機能なり財源調整という機能なりというのが変わってくるわけではございませんから、何と申しますか、建設事業とかあるいはそういった事業的なものについてだけの機能になってしまって、他の部分が減少してしまうんじゃないかというようなおそれはないものと思っております。
  31. 三谷秀治

    三谷委員 交付税起債振りかえるというような処置は、一昨年あたりからおとりになっておると思います。一昨々年でありましたか、包括算入分だとかあるいは事業費補正分などを交付税から外して、そうして起債振りかえるという処置がとられてまいりました。それまではすべて交付税として処置されておって、一般財源として地方に交付されたものです。それがこの二、三年来、包括算入やあるいは事業費補正分を起債振りかえる。今度はさらに大幅な起債への振りかえという処置がとられてきた。だんだんとこの処置が拡大していっている。そしていまおっしゃいますように、公共事業をする場合においては大した変化はない、影響はないようにおっしゃいますが、しかし、これは地方自治のたてまえというものからしますと、そういう処置をとるべきものではないのであって、一般財源として地方に保障して、そうしてそこで地方自治体首長裁量権に基づいて事業を行わしめるというのが地方自治の本旨であって、あらかじめ国の方で使途を特定するような処置をとってはならないと私は考えておるわけであります。これは本来の趣旨であります地方自治の促進ではなくて、国の補助金と一体となった中央集権支配の手段となっておる、そういうふうに考えざるを得ないのであります。  言うまでもありませんが、地財法によりますと、地方財政の自主的かつ健全な運営を阻害してはいけない、これを助長するように努めるということを述べておりますし、いやしくもその自律性を損なってはいけない、あるいは地方公共団体に負担を転嫁してはいけないというようなことを定めておるわけでありますが、この処置を一貫して見ますと、こういう規定に反する危惧を私は多分に持つものであります。こういうやり方をやりますと、政府の恣意的な行政によりましてほしいままに交付税が変質されてしまう、そういうことになる懸念もあるわけであって、地方自治の本旨を重視していく点からしますと、これは決して好ましいことではないと私は思っておりますが、大臣の所見を承りたいと思うのです。
  32. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方自治の本旨につきましては、ただいま三谷議員が御指摘になりましたように、公共団体みずからがみずからの財源において地域住民の需要にこたえていく、これが理想であることは申すまでもないことでございまして、その理想に向かって着々進めていかなければならぬことは当然なことでございます。ですけれども、ここ数年来の財政状況は御承知のとおりのことでございまして、地方も大変だし、また国も大変な状況でございます。そこで毎年、残念なことに基準財政需要額基準財政収入額を対比いたしまして多額の不足財源が生ずる、かような状況でございます。そして五十三年度不足財源につきまして対処いたします処置といたしましては、御承知のような処置をとってまいっておるのでございますけれども、これが地方自治の理想である、かような姿であるとは考えておらないのでございますけれども、現在の財政下におきましてはやむを得ない処置だ、かように理解をいたしているところでございます。
  33. 三谷秀治

    三谷委員 好ましいことではないけれどもやむを得ない、こうおっしゃっておりますが、やむを得ないということに対する判断というものが一つ問題になってくると思います。財源不足だとおっしゃいますが、私は、財源不足でありますならば、まず補助金行政を改善すべきだと思う。本来、事務と財源の比重から見まして、地方に帰属すべき税源の一部を国が収納していらっしゃる。それですから、その収納分からこれを地方に還元をするという処置がとられております。この還元分が地方交付税であり、地方譲与税であり、あるいは国庫負担金であり、国庫補助金になっております。いろんな手段地方に還元されておりますが、その還元分の中で地方交付税の比率を高める問題、この問題として見れば、財源不足ということは根拠になりません。いずれにしましても、地方に対して補助金を出さなくちゃいけませんし、負担金も出さなくちゃいけません。そうしますと、その補助金や負担金を減らしまして、自主財源であります交付税の方に比重を高めていく、こういう措置をとりますならば、財源不足ということが大きな根拠にはなってきません。その場合に、国の補助金が不足をするという事態が起きてくるかわかりません。それは国の責任で改善をすべき問題であって、あるいはひもつきの補助金を整理するという問題にもつながってくるのであって、これはそういう措置によりまして自主財源を確保するという措置を優先してとるのが自治省の最大の任務だと私は思っておりますが、この点はいかがでしょう。
  34. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体といたしましては、自主財源を高めてまいりまする方向が好ましい方向でありますことは申すまでもないことでございまして、そのためには交付税等につきまして今後も研究をいたし、配意いたしてまいらなければならぬことは当然でありますけれども、同時にまた、地方におきましても行政改革等も行っていただかなければならぬし、かつまた、税収の確保、地方税源の充実強化等につきましても、今後とも研究してまいらなければならぬ、かように考えているところであります。
  35. 三谷秀治

    三谷委員 私のお尋ねにお答えになったのではなしに、何か一般的な見解をお述べになったようでありますが、財源が足りなければ、地方に還元する財源の中で交付税の比率を高めていって、そうして補助金の比率を減らしてもらう、この措置が非常に重要ではないかということを私はいまお尋ねしたわけです。
  36. 加藤武徳

    加藤国務大臣 補助金の制度につきましては、おのおの補助を行います目的が明確になされておるのでございますから、検討すべきことは多くあろうかと思うのでございますけれども、大きな方向といたしまして、果たして補助金の削減ができるかどうか、この点は問題であろうかと思います。そして、仮に補助金を削減いたしますならば、一定の事業を行ってまいりますためにはやはり地方負担が多くなる、かような結果が招かれるのでありまして、そのためには税源強化も必要でありましょうし、かつまた、いま御指摘がございました交付税額のさらに大きな確保を可能にしなければならぬ、かようなことになろうかと思うのでございますけれども、しかし、国の財政状況も御承知のとおりのことでございまして、いま直ちに交付税率等の改正を行いまして、三二%を大幅に引き上げますようなことはなかなか困難な国の財政状況下にあるのでございますから、したがって、当分の措置といたしましては、御審議願っておりますようなルール化を行っていく以外には道がないであろう、かように判断をいたしたところであります。
  37. 三谷秀治

    三谷委員 補助金の削減ということは、確かにひもつきのこの国の事業というものについては一定の影響が出てくる、これは確かにそうなると思います。しかし、地方自治の本旨をたてまえにするか、あるいは国の開発事業を優先するかという点から申しますと、地方自治の本旨に基づいて地方の自治体の首長裁量権を十分に生かしながら地方行政は進められるべきものだという考え方に立つものであります。そして、補助金の削減ということが結果的には事務の再配分にまで発展するものであって、補助金というものが減少してまいりますと、従来、補助金行政によって地方に委任をしておりましたいろいろな事務というものが、今度は地方の事務として行われていく、そういう可能性が生まれてくるわけであって、そういう点からしましても、補助金の削減あるいはそれに逆比例します交付税の増額といいますか、そういう方向に向けて努力するべきではないかと私は思っております。  これはお答えを聞きましても、大体わかっておりますから、申し上げておきます。  そこで、このようにしまして、交付税措置におきまして非常に無理なことが進められてまいりまして、地方需要につきましては決して抑えたりはしないということをおっしゃいますけれども、いろいろな点でこういう交付税不足などというものが交付税の算入などにも影響してまいりまして、交付税の算入不足という問題が現実に出てきております。  一、二の例を申し上げましてお尋ねしますが、人口急増市町村の交付税基準財政需要額の算定が実際の関係市町村における支出の実績とはなはだしく乖離しておるという事実がかなり一般化しております。この需要額の算定の不足はどこに原因があるのか、これをお尋ねしたいと思うのです。
  38. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 各地方団体の財政支出の実態と交付税算定に用います基準財政需要額との間にかなりの乖離がある、これは事実でございます。なぜ、このような乖離が生じてくるかといいますと、これは大きく分けまして、交付税基準財政需要額の算定の制度的な原因によるもの、そもそもの仕組みそのものからある程度乖離が出てくるという要因と、それから、個々の団体の財政事情に基づくものと、二つの原因があろうかと思います。  前者につきましては、その一つは、先ほど来先生御指摘のように、交付税算定におきましては、税収入額の一定割合、市町村の場合には二五%相当を算定外に置いております。このことと対応いたしまして、財政需要につきましても、一定の分は基準財政需要額に算入しない、こういう要因があります。これらは、そもそも交付税の仕組みそのものからある程度乖離を生ずる原因になっているわけであります。  そのほか、たとえば法定外普通税を創設している団体あるいは超過課税を採用している団体、これらについては、当然当該分は交付税基準財政需要額と開いてまいります。  それから、従来でありますと、年度途中におきます税の自然増収部分交付税算定に反映しない、その限りにおいて、その自然増収を引き当てにして支出された分は基準財政需要額よりもオーバーする、こういう傾向があります。また、公営競技を施行している団体におきましては、その収入によって行われる経費、これらもまた開いてまいります。  それから、個々の経費について見てまいりますと、各団体によって経費に相当ウエートの差があります。交付税は全国的な見地から標準的な水準を想定して基準財政需要額の算定を行っておりますのに対して、各市町村、各府県におきましては、それぞれの判断によって政策にウエートをつけておりますから、その限りにおいて、費目によって乖離が生じてくるということは当然出てまいろうかと思います。
  39. 三谷秀治

    三谷委員 少なからぬ乖離が年々出ておりまして、これが自治体の財政運営に困難をもたらしておる一つの要因になっております。昨年の交付税の審議の中で、私は、都道府県の算定不足の問題について大阪府の例をとって申し上げましたが、これは改善を願ったようでありますが、市町村の需要額の算定につきましても、たとえば清掃費などにつきまして昨年指摘しましたが、これについても一部の改善がなされたようであります。しかし、不足額というのは、こういう特定の費目に限らず、一般的に市町村の実際の支出、決算とは日常的に乖離が出ておるという事態が示されておるわけであります。  たくさんの例を申し上げるわけにいきませんから、すでに資料を差し上げております四条畷市の例であります。これは大阪の東部に位置します、環状線から電車で二十分足らずのところに位置しておりまして、大阪のベッドタウンとして最近目覚ましい人口の急増現象が起こっておるところであります。昭和三十五年には人口が一万人でありましたが、四十三年には三万人、五十一年には五万人の市へ急速に発展を遂げてきました。この大きな変化の過程で、小学校、中学校の建設あるいはいろいろな行政投資を余儀なくされまして、貧弱な財政基盤の中で住民の要求にこたえてきたのでありますが、この四条畷市に対しては、交付税上の処置として当然急増補正等の処置が適用されております。それでも現実の支出額と算定額の間には大きな乖離が生じております。これはお手元に差し上げておる資料のとおりであります。  これについて見ますと、五十一年決算の一般財源充当額と需要額を決算費目ごとに比較しておりますが、商工費、土木費、消防費を除きまして、他の費目すべて算入不足となっております。算入率を見てみますと、公債費で一九%、民生費で三八%、教育費で八四%となっております。全費目合計しまして、一般財源支出額が三十二億五千五百万円でありますが、需要額が二十三億九千九百万円になっております。実に八億五千六百万円の算入不足になっております。そして全費目にわたる算入率は七三%にすぎないのであります。このような実態がなぜ生じてくるのか、お尋ねしたい。
  40. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 四条畷市の五十一年度基準財政需要額と決算による一般財源額との対比、ただいま先生御指摘がありまして、その資料を私どもちょうだいしていろいろ分析いたしてみました。それぞれの経費によっていろいろ事情はあろうかと思います。ただ、このような大きな開きが生じた原因を全体として検討してみますと、市の方の決算による一般財源総額三十二億五千五百万円に対して、基準財政需要額が二十三億九千九百万円でありますが、このほか標準税収入の二五%相当額として理論計算いたしますと、三億五千万円があります。それから基準財政需要額のほかに特別交付税で六千五百万円が措置されております。さらに五十一年度の場合には、例の包括算入の起債振りかえが行われております。財政対策債、これについては、その元利償還金は今後一〇〇%基準財政需要額に算入するわけでありますが、この分が四条畷市の場合に一億八百万円あります。これらの要素を全部足してみますと、言うなれば、この一般財源に対応すべきものとして交付税並びに財政対策債等を含めて二十九億二千二百万円が財源措置されたことになっております。したがって、ネットの財源措置乖離部分といいましょうか、食い違い部分としては三億三千三百万円が計算上出てくるのではないかと思います。  この三億三千三百万円がなぜ出てきたのかという点について、またいろいろこれは議論があり得ると思うのですが、私どもいろいろ分析してみますと、非常に大きな要素としまして、四条畷市の職員の給与水準がラスパイレス指数で一二四・二となっております。五十一年平均水準を見るために、五十二年四月一日現在の到達した給与水準のラスパイレスを見ますと、一二四・二であります。交付税計算上は、御案内のように国家公務員並みの給与水準計算いたしますから、仮にこの指数を一〇〇と置きかえますと、計算方式はいろいろありましょうけれども、三億近いものがそれによって出てくるのではないか。あるいは、そのほかの大阪府下の市町村全体に共通する問題でありますけれども、職員互助会に対する補助金が非常に多くなっている。これは交付税上は当然考えておりません。あるいは調整手当について、私ども計算は国家公務員の基準で手当の支給率を計算しておりますが、市が現実に支給している率と開きがある。こういった要素によってこの三億三千三百万の乖離部分というのは一応説明がつくのではないか、このように見ております。
  41. 三谷秀治

    三谷委員 いま御説明なさいましたのによりますと、人件費の問題、これは確かに一つの要因だと思いますが、しかしそれが、いま一二〇%とおっしゃいましたけれども、その一二〇%というのは全体の予算額の一二〇%という性質のものじゃありませんから、人件費に限定されたものでありますから、それほどの差額は出ないものだと私は思っております。  ここで述べておりますのは、特に、公債費や民生費では、一般財源基準財政需要額の差が大きくなっておるということを指摘しております。「財政力の弱い本市では、急増する幼児童に対処するための義務教育施設や社会福祉施設の整備のため、多額の市債に依存してきましたが、その元利償還金についてこのように差が見られるのは、本市にとって重大な問題であります。」こういうふうに指摘をしております。差し上げました資料の中に指摘しておるわけであります。ですから、人件費一般というような解釈の仕方ではこれは解明できないものであって、特に民生費あるいは公債費が算入不足がはなはだしいという内容になっておるのであります。特に人口が急増してまいりまして、人口急増都市の一般的な傾向でありますが、幼児や児童に対処するための社会福祉施設の整備のために多大の起債をしてきた、その起債算入率がはなはだしく乖離している、一九%しか算入されていないというわけでありますから、これは人件費とは関係がほとんどないと見てもいいと思うわけでありますが、この点はいかがでしょうか。
  42. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 確かに、四条畷市の場合に、基準財政需要額と決算との乖離の大きな要素の一つとして民生費があります。恐らく、この内容は保育所関係経費の違いではないかと思うのであります。地方交付税計算上は、各市町村の措置児童の数を基礎にいたしまして、措置児童につきまして国の基準による、言うなれば措置単価による理論的な経費負担があるものとして、これの人口に対する密度によって密度補正を適用する、そういうことで、言うなれば各市町村の措置児童数の多寡に応ずる財政需要の算定を行っているわけでありますが、その場合に、各市によって公立の保育所と私立の保育所の違いによって、公立の保育所の多いところは一般的には国の措置単価だけでは足りない分が相当ある。交付税の方は措置単価によって理論計算しておりますから、その乖離部分が生じてくるということが要因の一つとして考えられます。  それから、公債償還費につきましては、義務教関係事業債でありますとか、下水道事業債でありますとか、それぞれの事業性格に応じて償還費の五〇%、六〇%を算入しております。四条畷市の場合には、公債費についてその算入率が一九%程度とデータによってうかがい知るわけでありますが、人口急増団体の一般的な傾向として、いま用地の取得とその他についての公債費のウェートは非常に高い。これに対して、算入率はそれぞれ費目によって一定の率になっておりますから、公債償還費の全体に占めるウエートの高い団体ほど財政的には苦しくなるということは避けられないと思います。そういう意味で、御指摘のように、民生費や公債費の算入率の差が大きくなっているのはいま申し上げたような理由によるのではないかと考えております。
  43. 三谷秀治

    三谷委員 五十一年度で見ますと、償還金の元利合計が六億一千六百四十万円でありますが、元金が二億七千六百七十五万円、利子が三億三千九百六十五万円でありまして、これが決算額の中で約一三%を占めております。  この内訳でありますが、小中学校の用地費がトップで、全体の四四%を占めております。次が、小中学校の建築費で、一五%を占めております。この両者で、つまり義務教育の償還費で全体の約六〇%を占めておるわけであります。いかに学校の整備に追われておるかということがわかるのであります。そのほか学校、幼稚園、保育所以外の用地費が九・四%、消防施設が五・八%、街路が四・三%、幼稚園の用地が三・七%、給食センターが二・六%、保育所の用地が二・六%等々となっております。このような内容の償還費のうちで、交付税処置されておりますのはどれとどれでございましょう。
  44. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 現在普通交付税財源措置をいたしております公債償還費は、数値そのものを取り上げてその一定割合を算入するものといたしましては、災害復旧費あるいは同和対策事業債、公害防止事業債、それから地方税減収補てん債財源対策債、過疎債、辺地債、石油コンビナート債、これらの地方債でありますが、最近非常にふえておりますのは事業費補正という形で算入しております地方債でありまして、その内容は河川費、港湾費その他土木費、労働費、清掃費、それから小学校費、中学校費であります。小学校費、中学校費につきましては上物については元利償還の六〇%を算入する、それから用地につきましては五〇%を算入するというやり方をしております。
  45. 三谷秀治

    三谷委員 いまの御説明では、算入率が非常に低下するのは当然だと思います。義務教育費の算入率をさらに高めますとともに、算入漏れとなっております費目、たとえば幼稚園、保育所等の費目についても算入する必要があるのではないか、そうしませんと、一九%の算入率では交付税総体額が不足するのは当然でありまして、これでは地方自治体が難儀するのは当然だと思います。人口急増市町村におきまして、住民の保育所等の施設設置要求が非常に強いわけでありますが、市町村がこれに対して十分に取り組めませんのは、厚生省の補助制度にも問題がありますが、もう一つは、交付税におきましても十分な措置がとられていないというところに問題があるのではないか、そこに保育所が建たない一つの原因があるのではないかと思いますが、この点について自治省はどうお考えでしょうか。
  46. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 先ほど御指摘の四条畷市の公債償還費についての交付税算入率との対比で一九%という御指摘がありました。市のデータではそのようになっております。ただ、この点について、基準財政需要額の中で公債費に挙がっているものと、それから市の決算額に挙がっているものとの間で若干食い違いがあると思います。  といいますのは、市の公債費の決算額の中には義務教育系統のものが含まれておると思いますが、交付税計算上は、事業費補正を通じまして教育費の方で計算しております。ですから、その辺は置きかえて実質対比をしていただきますと、一九%より率はかなり上がってくると思います。それはデータ的なものでございます。  そこで、幼稚園でありますとか保育所関係の施設費について、その公債費の元利償還金を算入すべきではないかという御指摘でありますが、現在交付税計算上は、いろいろな投資的経費の算入に当たりまして、基本的には人口でありますとか、面積でありますとか、児童数、生徒数あるいは措置児童数というような客観的な指標で一定の想定された施設を建設するという形で投資的経費を算定しております。ただし、義務教育のような非常に義務的性格の強い経費につきましては、充当された起債元利償還金の一部をストレートで算定するというやり方をしておりまして、従来保育所とか幼稚園につきましては、義務的な度合いといいましょうか標準的な度合いといいましょうか、団体によって公立で設置する団体もあるし、私立で設置する団体もある、こういうような実態をも勘案して、この元利償還金をストレートで基準財政需要額に算入するというやり方をとっておりません。あくまで客観的な指標で平均的に算定するというやり方をしております。  ただ、現在は幼稚園にしましても保育所にいたしましても、その一部が財源対策債という形で起債振りかえになっております。そこで、この振りかえられた起債については、原則として交付税から振りかえられた部分については一〇〇%元利償還を算入するというやり方をしておりますから、現状では振りかえられた部分、すなわちおおむね二〇%でありますが、これについては基準財政需要額にダイレクトで算入される結果になっております。
  47. 三谷秀治

    三谷委員 需要額算定に係る費目区分と一般会計上の区分の問題がありますから、いま申し上げました数字が非常に正確であるとは言えません。このことはあらかじめお断りしておきますけれども、しかし、一般的な傾向はかなり顕著に見てとれるものであります。  もう一つ、松原市の例を申し上げますと、これも五十一年度決算における一般財源充当額と同年度基準財政需要額を比較してみますと、この市は、消防費を除きましてすべての費目は算入不足になっております。お手元に資料を差し上げておると思います。特に教育費などは六八%、厚生労働費で四六%、その他行政費五九%、特定債費が五四%となっております。合計で六五%にしか達していないのであります。これを投資及び経常経費の区分で見てみますと、経常分が七〇%、投資分が五二%となっております。特に投資的経費の算入不足が目立つのであります。この松原市の例につきましても、なぜこういうことになってくるのか、自治省の見解を承っておきたいと思います。
  48. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 松原市の基準財政需要額と決算額との対比を見ますと、各個々の費目においては若干四条畷市とは違った面もありますけれども、全体としてのおおよその傾向を見ますと、ほぼ四条畷市と共通したものがあろうかと思います。したがいまして、乖離を生じております原因は、先ほど四条畷市で申し上げたと同じような要因に基づくのではないか、このように判断しております。
  49. 三谷秀治

    三谷委員 こういう状況といいますものは、松原市、四条畷市だけではなくて、早くから関係者の間で指摘されておりました。いまおっしゃいました包括算入分あるいは事業費補正分の扱いの問題を別にしましても、算入漏れ、算入不足という問題は早くから指摘されております。  たとえば昭和四十八年度に「人口急増都市の行財政問題についての調査研究報告書」という研究文書がまとめられております。この研究には自治省の課長も参加されております。石原課長も参加されておるようでありますが、ここで示されておりますのは、学校用地取得に係る財政需要額の算入に当たりまして、算入単価は地価公示価格を基準とする地域別単価を採用することや、あるいは保育所、幼稚園の施設整備費には義務教育施設に準じて用地費を含め事業費補正の算入措置をとること、さらに義務教育施設の元利償還費の需要額への算入率の引き上げ、または新たに算入対象にする等その拡充強化を図り、この算入に当たっては縁故資金も対象とする、このことを求めておるのであります。この報告書の委員会メンバーというのは、自治省の石原財政課長、小林地方債課長、高田指導課長、森交付税課長等も参加されまして出されました結論でありますが、こういう研究等から見まして、現在松原市、四条畷市等に見られます具体の事実というものと、そしてそれに対処する方向としてのこの研究成果というものと、この関係についてどのような御見解なのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  50. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいまの御指摘の研究会は、たしか四十八年ごろの大阪府の地方課とあの周辺の大阪府下の市町村が中心になりまして、人口急増団体の財政実態についていろいろな角度から分析し、現行税財政制度の中で改正を要する事項は何かという研究をしようということでスタートしたわけでありまして、私どもは、政府の立場から具体の意見を申し上げるわけにいきませんけれども、分析に当たってのいろいろな留意点、調査方法等について御意見をいただきたいということで御協力申し上げたわけでありまして、内容の結論的な部分は主として関係の自治体及び主として関西方面の大学の先生方が研究に携わられたように記憶しております。  そこで、このレポートの中で指摘しております事項については、もちろん、私ども交付税制度の運用あるいは地方債制度の運用上当然配慮すべきものはしていくべきものという受けとめ方をしております。  ただいま御指摘になりました中で、たとえば義務教育の地方債算入率につきましても、従前義務教関係の建物系統の地方債元利償還金算入率は四〇%、五〇%となっておりましたのを、現在では六〇%、一般の事業費補正に用いる算入率としては最高の率を適用しております。それから用地関係も、従来はたしか三〇%ぐらいからスタートしたのでありますが、現在は五〇%まで引き上げる、あるいは縁故債についても対象にするというような改善を行ってきております。この研究会の御意見なども踏まえて改善を行ってきております。  それから、用地の単価あるいは施設の単価について地域差を考慮すべきだという提言でございますが、この点については、まず国庫補助金の単価の方で地域差が適正に反映されなければならないということで、そのレポートを出したころ、ちょうど昭和四十九年のあの狂乱物価の時点にぶつかりまして、特に大阪周辺などでは学校の建設単価、用地単価が非常に高くなりました。これらの点をまず補助単価の上で反映させるということが必要であると考え、当時文部省にも補助単価の是正方を要請し、これはある程度実現したものと考えております。その改善された単価に基づいて基準事業費計算され、それに対して地方債が充当され、その償還費を算入するという形で、その地域別の単価差は反映しているものと考えております。用地につきましても、現在地方債を認めます場合には実勢単価で認めておりますから、そういう形でこれは元利償還にも反映しているものと考えております。
  51. 三谷秀治

    三谷委員 その後一定の改善をとられたことも事実であります。しかしなお、いま具体の例で申し上げましたような実態も残されておる、なお改善すべき点が多く残されておるというふうに私は思っておるわけであります。これは同じ指摘が、たとえば横浜市立大学の大川助教授によりましてもなされておりますが、昨年九月の「都市問題」の誌上に宇治市の例を分析しておられます。これによりましても、一般財源に対する需要額算入率が四八%にすぎない、そういう指摘もあるのであります。したがって、算入不足という問題はなお全般的な解決を見ていないということは争えない事実でありますが、特に人口急増都市におきまして民生関係算入率が非常に低いということですね。これについては何分の改善をしてもらわなくてはいけない。民生関係、教育関係ですね。この点につきましてはさらに改善をしてもらいませんと、一般的なそういう傾向——土木費か比較的算入率が高くて、これは御承知のように政府の地域開発政策に重点が移っておることを示しておるわけでありますが、地方自治体としましては、教育、民生等の費目の算入について改善を進めていただきたいと思っておりますが、これはいかがでしょうか。
  52. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 私ども各経費の算定内容と行政の実態との関係につきましては常に意を用いて、乖離を生じている部分については、その合理化を図るという努力を今後とも続けてまいりたいと思います。先般御指摘のありました清掃費などにつきましても、最近の実態がまさにそのように動いておるという事実を確認した上で、五十三年度において大幅な改善措置を講ずることとしておるわけでございますが、民生費につきましても、当然、乖離を生じている内容がどういうところにあるのか、私どももいろいろの角度から分析をいたしております。  ただ、先ほどちょっと触れたことと関連があるのですけれども乖離の非常に大きな原因が保育所関係の経費にあると思います。その保育所関係の経費につきましては、交付税性格上、措置児童数というものを基本にして措置単価によって、言うならば国庫負担基準単価を基礎にして財政需要額計算を行わざるを得ないわけであります。その部分についてかなり大きな開きがある。具体的に申しますと、同じ措置児童がおりましても、公立の保育所が多い団体と民間の保育所の多い団体とでは、現実の財政負担に非常な差があります。こういった点について交付税が単純に公立と私立の差というものを追いかけていいのかどうか。これは交付税制度の基本ともかかわる問題ではないかと思います。全体として算入率が低い問題であれば、これは上げていかなければいけないわけですけれども、各団体による施設の設置の選択に幅が認められている場合に、その選択の実績を単純に追いかけることが交付税性格上妥当なのかどうか、こういうふうな問題も実は出てまいります。  それからもう一つの問題は、保育料について厚生省が定めた徴収基準まで取っている団体とこれを取っていない、かなり低く抑えている団体との間にはやはり支出実績と交付税基準財政需要額との間にかなり大きい開きがあります。これらにつきましては、そもそも徴収基準というものがある以上は徴収基準まで徴収金を取っていただくという前提で基準財政需要額をはじかざるを得ないのじゃないかと思うのです。  こういったその乖離の内容について、交付税の算定の方に問題があれば当然これは直していかなければいけない、しかし、実態の方で御検討いただかなければならない部分は実態面の方で御検討いただく必要がある、このように考えている次第でございます。
  53. 三谷秀治

    三谷委員 いまおっしゃいましたような点もこれはあると思います。しかし、用地費の問題なども現実には存在するわけでありますし、それから二つの市どちらを見ましても民生費、片一方は厚生労働費と言っておりますが、どちらも三〇%ないし四〇%台でありますから、研究すべき問題があると思います。それの根本的な原因がどこかということは、それだけを私どもはいま分析しておりませんから申し上げられませんけれども、他の費目と比べまして特にこういう民生福祉関係算入率が低いということは、やはり地方自治の本旨からしまして好ましいことではありませんから、なお研究をして、改善すべき点は改善をしていただきたいと思っております。  次に移りますが、消防費の算定の問題ですが、交付税需要額の算定の不足を問題にしますと、自治省がおっしゃいますのは、不足する費目もあるけれども、過大算定になっている費目もある、これは一般財源だから、ならして使えばそれでいいんだということをおっしゃるわけであります。  消防費でありますけれども、先ほど指摘しました二つの市の場合はどうかといいますと、四条畷の消防費の算入率は一六四%になっております。額で見ますと三億五十二万九千円、これは土木費が二億八千五百二十九万五千円でありますから、土木費よりも消防費の方が多くなっておるわけです。松原市の方はどうかといいますと、こちらの算入率は二一八%になっております。額の面では六億二千百四十二万八千円でありまして、これも土木費の六億二千百七十二万円に匹敵しておるわけであります。多少の過大算定は自治体も歓迎するでしょうけれども、しかし、全体の算入率が七三%あるいは六五%の中で、消防費のみが大変な算定になっておる。これは少し異常な姿と見なければなりません。消防費については、自治省の期待するとおりの消防施設、消防機能というものを自治体が備えていないのかどうか、消防庁がお見えになっておりましたら、お聞きしたいと思うのです。
  54. 林忠雄

    ○林政府委員 自治省の期待するその施設というのは、端的には消防力の基準で表示されるわけでございますが、この消防力の基準については、まだ私たちが期待している線に到達したとは全体として言いがたいわけでございます。  多少内容を申し上げますと、動力消防ポンプ、これにつきましては大体九一%、ほぼ期待に近い線に届いておると思いますが、はしご自動車、化学消防車あたりは大体五〇%台、それから消防艇に至りますと二八%、四分の一ぐらいになっておると思います。この意味ではまだまだ消防力の充実について全国の市町村に努力をしていただきたいと思っておりますけれども、今日のような財政状況になります場合には、起こるか起こらないかわからない災害に対する保険料的な財政支出よりも、つい子供が何人ふえるから小学校を何校建てなければならぬということに自然に回りがちである、残念でございますが、やむを得ない傾向にございまして、したがって、決算の総計は財政需要額に届いていない団体が相当あるということもこれまた事実でございます。私の方はできるだけいざというときの災害に備えてこの消防力の充実には厳しい地方財政の中でも努めていただきたい、こういう線で指導を続けてまいりたいと思っております。
  55. 三谷秀治

    三谷委員 消防力の基準の問題が出ましたが、いずれにしましても、決算を見ますと、交付税の算入額の半ば以下だとか五、六〇%という状態ですが、これは異常と言わなくちゃいけません。どこにこれは原因があるのか。一般財源ですから、消防力の算入分を他の費目に回すという処置がとられておることは間違いがないわけでありますが、なぜそのような処置がとられておるかという問題ですが、これは消防力が充実しておって必要がないからか、あるいは他の費目の算入が不足をしますからそれが横流しという形になってあらわれてくるのか、いずれにしても問題があるのであります。  そうしますと、いずれにしましてもこういうアンバランスということは好ましくないわけでありますから、実支出額と可能な限りの整合性を求めていくということが必要であろうと思うのであります。私は消防費の削減を主張するものではありません。災害対策上非常に重要な費目でありますから、これは十分に活用されなければいけませんが、実際には活用されていない。活用される条件がないといいますか困難といいますか、そういう状況に置かれておるわけでありまして、これにつきましてはどのようなお考えでありますのか、今後ともこのような整合性を欠く交付税計算をされるつもりか、あるいはこれを一般の実績が示しますように、足りないところに補完をして、余るところはそれと整合をとっていくという処置をおとりになるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  56. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 消防費につきまして基準財政需要額と決算とを対比いたしますと、他の費目に比べて基準財政需要額が非常に上回っていると申しますか、団体によっては下回っておりますけれども、要するに、充足率が非常に高くなっているということは事実であります。ただ、この消防費に係る基準財政需要額にいたしましても、私どもは消防庁の方で決めておられます消防力の基準を目安にしてその充足に努めている、それ以上のものではございません。いまだ一〇〇%消防力基準の充足まで至っておりません。  ただ、実態的には各自治体における経費の支出がこの消防力の基準よりもかなり下回っている団体が多いということがその原因ではないかと思うのであります。これらの点につきましても非常に地域差がありまして、一般に北日本、裏日本など火災の多い地帯では、現在の交付税財政需要額よりもさらに現実の支出が上回っている団体も少なくない実態にあります。こういった気象条件といいましょうか、そういったものも交付税の算定上もっと反映できないかという技術的な議論もあり得るかと思うのであります。いずれにいたしましても、国として消防力の基準というものを決めております以上は、現在以上に消防関係経費の算入内容を引き下げるということはあり得ないと思うのであります。ただ、ほかの経費と対比して非常にアンバランスがあるということも事実であります。  そこで、先ほど申し上げましたように、私ども基準財政需要額は法令の規定その他による一つの標準計算をしておるわけでありますが、それと行政の実態、財政支出の実態との間に乖離があることも事実であり、また、その乖離の内容につきましては、私どもは常に内容を分析して、交付税考え方交付税の算定の内容の方に実態にそぐわない点がありますれば、それは絶えず見直しをし、その乖離の縮小に努めていかなければならない、このように考えております。
  57. 三谷秀治

    三谷委員 消防庁はどうぞお帰りください。  そこで、交付税の算入計算につきまして整合性をとるということは、当然努力してもらう必要があると思いますが、先ほど申しましたように、なぜ算入費目不足するかということであります。  これにつきまして、たとえば松原市の例で申しますと、教育費の算入率は六八・九%でありますが、これも四条畷市と同じように、人口急増に伴う小中学校建設に伴う補正が十分でないという問題が含まれております。松原市の教育費の経常費の算入率は七八・九%でありますが、なぜこのように低いのか。これは単位費用の積算に問題があるのではありませんか。  この松原市の経常経費の需要額を小学校費で検討してみますと、児童数を単位とするものの需要額が二億五千五百七万一千円になっております。学級数を単位とするものの需要額が一億三千百四十四万円になっております。学校数を単位とするものが四千四百九十二万三千円となっており、合計需要額は四億三千百四十三万四千円となっております。これを一万四千九百人余りの児童数で割りますと、児童一人当たりの需要額は二万八千九百円となります。これが交付税計算の出し方であります。  一方、決算におきまして、小学生一人当たりの需要額が出ておりますが、この額が三万四千五百円であります。この差五千六百円、これが小学生一人当たりの交付税の経常経費の算入漏れとなっておるわけであります。私はこの数字が問題だと思いますが、この点は間違いないでしょうかどうでしょうか、お尋ねしたい。
  58. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 事実関係はそのとおりでございます。
  59. 三谷秀治

    三谷委員 そこで、ここですでに大きな乖離が出てくるわけであります。つまり単位費用の積算におきまして乖離が生じてくる。児童数を単位とする五十一年度の単位費用は幾らかといいますと、これは一万五千二百円であったと思います。ですから、ここのところに、単位費用そのものに乖離の根源が存在しているということが一つ明らかになってくるわけであります。  また児童数を単位とする需要額の内訳は、どのような経費を見込んでいらっしゃいますか、ちょっとお尋ねしたいのです。
  60. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま御指摘の学校関係経費でありますが、内容といたしましては、給食従事員四人を想定して、給食関係費として七百五十二万、それから需要費、消耗品費でありますとか、燃料費、光熱水費、こういった関係で二百七十七万、それから米飯給食の委託料として四十二万三千円、要保護児童等に対する補助金として百二十六万六千円等、合計して千二百二十四万五千円というものを支出要因として算定し、これから国庫補助金等の特定財源六十三万一千円を差し引いて児童数で割り返したものが一万五千二百円ということになります。
  61. 三谷秀治

    三谷委員 松原市の場合で見ますと、給食費だけで児童一人当たり一万三千九百円の一般財源を充当しております。自治省の計算によりますと、単位費用といいますのは給食、光熱水費、印刷製本、交通安全等全部含めまして一万五千二百円でありますが、実際には、松原市におきまして給食費だけで児童一人当たり一万三千九百円でありますから、給食費だけで自治省が計算されました単位費用にほぼ匹敵するという状態になっておるわけでありますが、これでいきますと、光熱水費その他は全く顧みられていないという状態になっておるわけであります。こういう問題は一般論では少しも前進しませんから、具体のモデルケースをここに挙げておるわけであります。  やや細かな話ですけれども、実態について指摘しますと、光熱水費、これは単位費用の積算におきましては、幾ら計上されておりますでしょうか。一校当たり百万円でしょうか。
  62. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 昭和五十一年度の場合には、一校当たり百万円に計算しております。ただ、これはその後実態調査等行われまして、五十三年度におきましてはこれを百三十二万円に引き上げております。
  63. 三谷秀治

    三谷委員 五十一年当時一校当たり百万円の光熱水費が、五十三年度で百三十二万とおっしゃいましたが、松原市の場合を見ますと、小学校の光熱水費の需要額を出していただきましたが、一校当たり千六百七十八万円になっておるわけであります。百万円と千六百七十八万円では、余りにも乖離がひど過ぎるのであります。松原市は当時、小学校が十四校でありまして、光熱水費の決算が四千三百五十二万円となっておりますから、一校当たり千数百万円になるわけであります。このうちプールを設置しておりますのは二校でありますから、プールに光熱水費がかかったというものでもありません。需要費は決算の三八%しか見られておらぬ、こういう状態になっておるわけであります。  このようにしまして、単位費用の計算そのものがはなはだしく実態と乖離しているという事実がありますが、これはやはり改善される必要があるのじゃないでしょうか。
  64. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 私どもが調査いたしました松原市の決算額による小学校の光熱費は、十三校分で四千三百五十二万二千円であります。したがいまして、一校当たりに直しますと、三百三十四万八千円ということに相なろうかと思います。そこで、五十一年度当時私どもは一校当たり百万円という計算をしておりましたが、その後、各自治体の状況を調査しまして、五十三年度で百三十二万円に引き上げたわけであります。  そこで、この百三十二万円が現状に対して妥当かどうかという点でありますが、確かに松原市の場合は、どういう事情があるのか、とにかく五十一年度決算で一校当たり三百三十四万八千円というかなり高い額になっております。しかし、全国的に見ますと、必ずしもそれほど高くなっておりません。私どもは人口十万前後の都市の学校について調査いたしました。たとえば埼玉県の熊谷市について調べてみますと、十八校ありますが、この場合には一校当たり九十二万八千円であります。あるいは栃木県の足利市、二十八校について調べましたら、八十八万二千円であります。群馬県の伊勢崎市ですと百十八万九千円、十万前後の市を全国無作為に抽出して調べてみますと、百六十三校について調べたのでありますが、その総平均は五十一年度決算で百十七万五千円であります。そこで、その後における物価上昇等も勘案いたしまして、百三十二万円を五十三年度の一校当たり経費として積算しているわけでありまして、私どもは、全国的なベースで見る限りにおいては必ずしもこれが低いということはないと思います。むしろ松原市の実態がどのような内容になっているのか、この辺を詳しく調べてみる必要があるのではないか、このように感じております。
  65. 三谷秀治

    三谷委員 先ほどの四千三百五十二万円、十三校とおっしゃいますと、私どもは十四校でありますから、しかし、これを割りつけました一校当たり需要費は、さっき私が言いました数字は少し間違いがありますが、いずれにしましても、この実態から見ますと乖離している。それで、学校の光熱水費、いまおっしゃいました地域とどこでどう違うかという問題は、これは十分に検討してもらう必要がありますし、私どもも松原市だけでなしに各都市のものをさらに調査をしていきたいと思いますが、先ほどの給食費などを見ましても、とにかく乖離というものが争えない実態として伏在しているということは避けがたいものだと私は思っております。  そこで、単位費用の改正に当たりましては、そういう点を十分に検討して、そして不足のないものを計算していただきたい。そうしませんと、先ほど申しましたような、教育費の算入率が六七、八%とか七〇%とか、こういう事態が出るわけでありまして、やはりこれにはこれなりの根拠があるわけであります。特に人口急増都市、ここにおきまして算入不足という問題が特に顕著になってきておるわけでありまして、この点につきまして人口急増市町村における交付税の算入の仕方、これについて改善を図っていただく必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  66. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 人口急増団体におきましては、小中学校費を初めといたしまして財政需要が急増するという実態にあることは事実でございます。これらの点については、地方債の活用及び交付税算定内容の改善ということで対処してまいらなければならないと考えております。これまでも関係自治体の御意見なども踏まえながら逐次内容の改善に努めてまいったわけでありますが、これからの問題としましては、むしろ人口急増が去った団体において、またいろいろむずかしい問題も出てきているようであります。これらの自治体の行政の実態をよく踏まえまして、算定内容の一層の合理化に努めてまいりたいと考えております。
  67. 三谷秀治

    三谷委員 きのうお尋ねしました、たとえば大阪府における万国博記念公園、ここらに要する経費というものは基準財政需要に算定をされないのか、あるいは松原市に屠畜場がありまして、これが市の財政を非常に圧迫しておりますが、これも財政需要には算入されないのか、お尋ねしたいのです。
  68. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 公園費でありますが、従来都市公園の経費につきましては、人口を基準にして一定の想定のもとに必要な投資的経費及び経常経費の算定を行ってきたわけでありますけれども、最近公園の保有面積も逐次ふえてきておるということ、それから公園費の維持管理経費の算定が必ずしも十分でないという実態分析の結果が出ております。そこで、これからは都市公園の保有面積に対応する維持管理経費の算定を適正化していくべきじゃないかということで、その算定内容の改善について検討しております。今後逐次改善してまいりたいと思います。  それから、屠畜場の経費につきましては、これは一応準公営級と申しましょうか、制度としては一応採算的にやっていただくというたてまえになっておりますから、普通交付税の算定上は算入されておりません。しかし、この地域の実情に応じまして、個別の問題として検討させていただきたいと思っております。
  69. 三谷秀治

    三谷委員 大臣に一言私の意見を申し上げておきたいのですが、いま申しました屠畜場など、同和対策事業としても対象にされておりませんし、それから交付税の対象にもされておりません。独立採算事業ということになっております。しかし、この運営が実はいろいろな困難がある。何といいましても、事業の内容が同和対策的な要素を持っておりますから、料金の改善もなかなかむずかしい。これが市の財政を圧迫するということになっております。私が考えますのは、例の輸入食肉、これの調整金というのを事業団が取るわけでありますが、これが主として生産者対策に使われておりまして、消費地における対策としてはほとんど活用されておりません。私は、あの調整金などは消費者が負担するものでありますから、消費地の屠畜場などにもこれを活用するような処置をとらせるべきだという考えを持っておりますが、こういう観点に立って大臣としても尽力願えないかどうか、御意見を承っておきたいと思います。
  70. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私事で恐縮でございますが、岡山県でも県営屠場を持っておりまして、年々大変な赤字で、十数年を経過いたしましてもなかなか収支が償ってこない、かようなことでございまして、各地方でやっている屠場もずいぶんございますけれども、なかなか収支が償いがたいという性格でございますから、これが公営の場合には、もとより財政圧迫の大きな原因になっておる、かように判断をいたします。  そこで、輸入肉の調整措置をとっておりますのが農林省でありますので、その金をいかように使うかにつきましては、私の方からは指図さるべきことではないのでございますけれども、しかし、屠場が非常に困っている状況等にかんがみまして、何らかの措置ができ得ますならばそれは非常に好ましいことでございますから、機会を得て農林大臣と話をいたしてみたい、かように考えます。
  71. 三谷秀治

    三谷委員 終わります。
  72. 木村武千代

    ○木村委員長 本会議終了後再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後三時四十八分開議
  73. 木村武千代

    ○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。川合武君。
  74. 川合武

    ○川合委員 財政局長にお尋ねいたしますが、昨年の十一月、決算委員会で私は次のような質問をいたしました。すなわち五十年度基準財政需要額の総計のうち補正係数によっての増額分はどのぐらいになるかという質問でございました。それに対して財政局長は、都道府県分で三%、市町村分で二九%程度だという御答弁だったように思いますが、先日細谷委員の御質問に対しては、普通交付税の一七・六%という答えだったように承ったのですが、そうしますと、基準財政需要額での場合と交付税額の場合とでは、市町村で言えば二九%程度と一七・六%、こういうふうに食い違うのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  75. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 先日細谷委員の御質問に対して、補正係数によって加算されている額の交付税に対する率が一七・六である、このように申し上げたわけですが、それは各種の補正要因のうちでいわゆる加算係数、投資的経費の算入その他ある程度政策的と申しましょうか、というような見地から上乗せされている部分の率を求めますと、一七・六という率になります。  それから昨年先生にお答えいたしました率は、五十二年度の市町村分の基準財政需要額全体に対してすべての補正、補正前の数値に単純に単位費用を掛けた場合との比較で申しますと二九%程度、二八・九%という率になります。これは若干説明いたしますと、交付税計算上の便宜から、たとえば測定単位に種別があるというような場合、典型的な例としては高等学校費などの場合に、全日制の普通課程を基準にして現在の単位費用ができておりますけれども、これに対して定時制課程、あるいは全日制でも工業課程とか商業課程、水産課程、こういう課程の差による経費の差、これを種別補正という形で処理しているわけですが、こういった補正あるいは数値の多少による段階の補正、それから人口密度等の密度補正、それから一般的な都市化の程度に対応する財政需要の差を算定する態容補正、こういうあらゆる種類の補正、これは補正といいましても、単位費用を算出するための一つの技術的な事情から補正で処理しているというものでありまして、たとえば種別補正などについていいますと、補正方法を避けようとすれば、現在一つで済んでいる単位費用をたくさんのものに分けなければいけない。こういうようなかえって算定方法が複雑になるというような問題もありまして種別補正という方法で処理しているのですが、こういう交付税算定の最も基本的な部分に属する補正要因、こういったものをすべてカウントしますと二八・九という率になるというわけでございまして、計算が違うのでなしに、どこからを補正要因としてとらえるかという問題の違いでありまして、実態は全く同様でございます。
  76. 川合武

    ○川合委員 そうしますと、基準財政需要額の総計のうち補正係数によっての増額分は、市町村分で言えば二八・九%だ、こういうことですね。
  77. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 あらゆる要素を全部補正要因としてとらえますと、二八・九ということになります。
  78. 川合武

    ○川合委員 私は、基準財政需要額は、もともと考え方として、積み上げ方式という表現が適当かどうか知らないが、積み上げ方式だと思うのですね。それがいろいろと問題が多く出てきて、その実態に合わせようという努力の結果ではあろうけれども、しかし三〇%近く、いまのお話ですと二八・九%ですが、三〇%近く補正によらなければならないということは、基準財政需要額考え方として不自然じゃないか、こう思うのですが、その点について財政局長、どういう感じでございますか。
  79. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま審議官から御説明申し上げましたように、三〇%近くの補正という中身にはいろいろの要素を持っているわけでございます。  ただいまの高等学校費で申し上げましたように、単位費用を幾つもつくれば、あるいは測定単位を普通高校の生徒数、工業高校の生徒数、水産高校の生徒数、こういうぐあいに一つ一つ測定単位をつくって単位費用をつくってまいりますれば、これは補正係数を使う必要はなくなって、まさにおっしゃいましたような積み上げだけで済んでくる、こういうことでございますが、ただいまのところは法律で決めております単位費用、測定単位というのは普通高校の生徒数、まあ高等学校の生徒数と書いてございますが、実態は普通高校の生徒一人当たりの単位費用が幾らと、こういう積算になっていて、工業高校あるいは水産高校といったような場合の、経費がよけいにかかるものは全部補正係数でもって計算している。その分も補正として計算をするというようなことをいたしますがために三〇%近いような大きな率になっているのが実情でございます。  そのほかに、たとえば人口急増のために特別な財政需要が要る、あるいは人口が急減するために財政需要が要る、あるいは態容の関係でもって特に要る、いろいろな要素があるわけでございますが、そういったようなもので単位費用では分別できない、あるいは測定単位ごとに決めていけないようなものにつきまして財政需要を加算していく、こういうような計算をいたしますと、さっき御指摘ございましたように低い方の率になる、こういうようなことがあるわけでございます。  確かに、おっしゃいましたように、交付税需要計算というのはなるべく簡単明瞭ということが一番望ましい姿でございまして、そのためには単位費用に単純に補正なしの測定単位の数値を掛けて需要額が出てくるというかっこうが一番わかりやすいことはそのとおりでございますし、私たちもなるべく簡素化をしなければならないと思うわけでございますが、そういった技術的な意味でどうしてもとらなければならない補正もございますし、かつまた、市町村分で申せば、三千二百ばかりの団体のものを、御案内のとおり、単位費用といたしましては人口十万の都市というものを想定いたしまして計算をしているというために、どうしても補正係数というものをある程度活用してまいりませんと、その関係の数値というのが出てこないというようなことになるわけでございまして、なるべく簡単明瞭ということは心がけながらやらしていただいているようなところでございまして、三〇%というのが多過ぎるということを単位費用との関係で一概に決めつけるというのはいささかむずかしいんじゃないか。なるべくそういったことをしないで済むような算定方法というものについての簡素化の努力というのはしなければならぬと思いますし、これからもしたいと思いますけれども、そうかといって、それに急激に変えていくためには測定単位をいっぱいつくらなければいけないというようなことにもなってくる点もございますので、そちらの方と両面にらみながらやらしていただきたいと思っているところでございます。
  80. 川合武

    ○川合委員 むろん私は簡素化すべきだという考えをかねがね持っており、そういう意味合いで当委員会で質問をしたこともたびたびございますが、きょうは主として簡素化の問題で質問をしようとするのではございませんので、時間の関係もありますから、局長、それをひとつ含んでおいていただきたいので、別の観点から質問したいと思っております。  ただ、いま言われたけれども、法律で定められて国会で審議の対象になっているのは単位費用であって、それは積み上げ方式をとっておるんだと思うのですね。そこで、それが国会の審議の外というか、省令事項であるところの補正係数によって三〇%近くも左右されておるということは不自然ではなかろうか、私はこういう感じを申し上げたわけでございます。  そこで、先ほどから標準団体の話が出ましたが、市町村の標準団体を十万に想定しているわけですが、なぜ十万という市町村を標準団体に選んでいるのか、念のためにその点を伺いたいと思います。
  81. 山本悟

    山本(悟)政府委員 市町村の標準団体を十万人という想定をいたしますのは、実を言いますと、平衡交付金で単位費用というようなものをつくりましたときから、ずっと当初からそういうことでやってきているわけでございますが、十万程度の都市になりますと、市町村行政、都市行政といたしましてのあらゆるものをやるだけの規模になっている、あらゆる行政の想定ができる。たとえばそれを小さな町村というようなことで考えていきますと、相当部分の行政というものが落ちてくるというようなことになりますが、十万の都市であれば、十分にそういうことに対応できるだけの仕事をやっているというようなことが考えられます点、あるいは市町村の平均人口をとってみますと、約七万ぐらいになりますか、それらの点をあわせまして、かつ、十万ということは、人口をもとにいたしました場合の単位費用というものを割り出します場合には非常に明確になりやすいといったような技術的な点、こういうのをそれぞれ考え合わせまして十万という団体を標準団体にとっている。なお、これは御承知の点でございましてあれでございますが、県は百七十万というのをとっておりますが、これは、最初につくりました当時におきましては百七十万という人口がほぼ平均というような意味で県分はとり、市町村分はわかりやすいというような意味を含めまして十万というのをとった、こういうようなことになっていると思います。
  82. 川合武

    ○川合委員 平衡交付金の当時に選ばれた十万というお話ですが、当時からもう歳月も経ておりますし、また市町村の姿、人口も含めて、姿もずいぶん変わってきているんじゃないか、こう思うわけです。ただ、現時点においても十万というのは一つの目印になる、こういう財政局長の話でもありますから、それはそうとして、十万だけの標準団体では非常に現実に合わないということで数々の補正が施されていると思うので、標準団体としてもう少し多段階のものを設けるということを考えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  83. 山本悟

    山本(悟)政府委員 確かに、三千余の市町村を一つの標準団体の単位費用をもとにいたしましてなるべく的確な算定をしなければならないということになってまいりますと、いろいろな段階補正、態容補正その他の各種の補正というものを駆使しなければならない、こういうことになってまいりますために、もう少し単位費用をそれぞれ、たとえば指定都市の段階、あるいは五十万の段階、あるいは一万の町村の段階といったようなぐあいにやっていけば、先生先ほどおっしゃいました積み上げというものに個々の団体もより近くわかるようになるのではないかという御意見のあることも承知をいたしておるところでございます。  ただ、各種の補正係数、特に段階補正係数というようなものを使いますことによりまして、人口で申せば、人口区分ごとにそれぞれのところで幾らになっているのかということは想定ができるように実は実際上もなっているわけでございまして、数多くの単位費用を、法律提出という関係もございますけれども、一気につくってということは事実上作業的にもなかなかむずかしいような点もございますし、きわめて短期間にそれだけの作業をするということのむずかしさというようなこと、それからそれぞれの単位費用相互間がうまく連結していく、なだらかに連結していくということについてのむずかしさといったような点もございますし、いろいろあわせ考えまして、現在のところは、ただいま申し上げましたような一つの単位費用、そしてそれの修正というものは補正係数を通じて行うというというような次第にさせていただいているわけであります。  確かに御指摘一つ考え方でございますが、急激にそちらの方向に持っていくというのは、まだ私どもとしても自信がないというようなことでございます。
  84. 川合武

    ○川合委員 私はいまの、多段階のものにするということはなかなかむずかしいということにこの基準財政需要額そのものの性格の問題点があるのではないか、こういう考えを持つわけでございます。  次の質問といたしまして、交付税基準財政需要額はあるべき行政需要の何割程度を見ておるのか。一〇〇%見ているのか、あるいは何割程度基準財政需要額で見ておるのか。
  85. 山本悟

    山本(悟)政府委員 基準財政需要額で算定いたしておりますのは、標準団体あるいは標準施設におきます合理的かつ妥当な水準地方行政と単位費用の定義のところで書いているわけでございますが、御案内のとおり、地方財政に対します措置との関連から申せば、地方財政計画として積算をいたしているものの中からは、地方税収入のうち、御案内のとおり、基準税額以外の部分、府県二〇%、市町村二五%の部分が抜けておりますし、それから大部分の目的税関係が抜けておりますし、あるいは交付税総額の六%程度であります特別交付税の見合いの部分が抜けておりますし、こういったようなかっこうで、それぞれ見合いの財政需要というものがこの普通交付税上の基準財政需要額には計算されてきていない、これは御案内のとおりでございます。したがいまして、そういうようなものを除いてまいりますればどの程度になりますか、ちょっと私いますぐ手元に数字を持っておりませんが、地方財政といたしまして措置されております一般財源のうち二五とか三〇とかというものが抜けたものとしての見合いになっている、こういうようなことにならざるを得ない。その点がよく御指摘になります、決算と対比したときに基準財政需要額は低いじゃないか、決算におきます一般財源との対比からいくと低いじゃないかという御議論が出るわけでございますけれども、それはいまの地方財政の仕組みから申し上げまして、基準財政需要額に全部の地方団体が使い得る一般財源を見合って計算はしていない、こういうことになっているものでございます。
  86. 川合武

    ○川合委員 そうすると、基準財政需要額はあるべき行政需要の額を全部見てないんであって、市町村で言えばこの二五%の自由財源といいますか、それの中に食い込んでいる。二五%あるから行政需要を満たしているんだ、こういうことですか。
  87. 山本悟

    山本(悟)政府委員 交付税法の単位費用の定義に書いてございますように、標準的な団体が合理的かつ妥当な水準地方行政を行う場合の金額を基礎にして出すんだ、こういうことになっているわけでございます。その場合に何が標準的といいますか、妥当な水準だというものを、地方団体がやっております実際の運営等から見れば、税の二五%部分というのは別途にあるわけでございますし、地方団体はその別途の二五%をちゃんと使うわけでございますから、その分だけ決算の方が上になってくるということでございまして、必要最小限度という言葉がいいかどうかはちょっと問題がございますけれども、合理的な限度の地方行政というものはこの単位費用のベースによってもできるのじゃないか、こういうように思える程度のものが基準財政需要額として積算されていると存ずるわけでございます。そして、残りの二五%というものは、それぞれよりその水準以上の行政をおやりになるか、あるいは別な仕事をおやりになるか、いろいろ各団体でも政策に従って使用されている、こういうことになっていると存じます。
  88. 川合武

    ○川合委員 そうしますと、私どもは二五%というのは簡単に言うと、それぞれの市町村が自分の町の持ち味を出したいために個性のある仕事をやるために二五%というものが留保されているといいますか、二五%ある、そして一方、こういう行政水準を維持すれば一つの町としての一つの姿である、考えられる一つの典型の姿であるという姿を基準財政需要額によって示している、こういうふうに思っているのですが、表現は不十分かもしれないけれども、それでよろしいのですか。
  89. 山本悟

    山本(悟)政府委員 必要とする最小限という意味での地方行政というのは基準財政需要額でも賄えるはずである、そういう積算を私どもはしているつもりでございます。  したがって、それ以上の水準の行政をおやりになるなり、あるいはまた、全く違った持ち味のある行政をおやりになるなり、その持ち味のある行政というのは基準財政需要額の中には場合によっては入ってきていないかもしれませんけれども、そういったものにお充てになるということが可能になっていると思っております。
  90. 川合武

    ○川合委員 そうしますと、くどくなりますが、基準財政需要額で大体最小限度というか、一応のあるべき行政水準を保つだけのものは見ている、こう言い切って、財政局長、よろしいわけですね。
  91. 山本悟

    山本(悟)政府委員 標準的な行政に要する経費というものは、基準財政需要額でわれわれとしては計算をさせていただいていると思っております。
  92. 川合武

    ○川合委員 その点について若干の疑問を持ちますが、私は数字的な資料をここに持っておりませんので、いずれの日かまた改めて具体的に——果たして局長の言うようであって、この二五%というものは全く市町村の自由の財源と言うべきであるかどうか、基準財政需要額一つ行政水準を見切れないで、この二五%まで食い入っているのではないか、二五%分に頼っているのではないか、食い込んでいるのではないか、平たく言うとそういう感じを持っておりますが、それはまた具体的な資料でお尋ねをしたいと思いまして、きょうは問題を次に進めさせてもらいます。  そうすると、基準財政需要額の相当部分地方債振りかえられておりますが、たとえば、念のためにですが、本年度はどのぐらいの額でございますか。
  93. 山本悟

    山本(悟)政府委員 五十三年度財源対策債といたしまして増発いたします地方債の総額は、一兆三千五百億でございます。
  94. 川合武

    ○川合委員 基準財政需要が、いま財政局長が答えましたように、最低というか、一つ行政水準の典型的というか、そのものを見ておるのだ、こう言いながら、一兆三千五百億円を地方債に頼っておるというこの現実からすると、基準財政需要のこの方式というか、この現在の交付税制度というか、これは財源保障をするという本来の一つの使命、その使命を果たすのにもう限界が来ているのだ、こういう感じがしますが、その点はどうですか。
  95. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、五十三年度地方財政対策といたしましては三兆五百億円の財源不足が見込まれ、そのうち一兆三千五百億という、公共事業地方負担額の九五%までは地方債を活用するという方向によって措置がされたわけでございまして、その意味では、五十年度になります前の従来の地方財政対策に比べますと、その分だけ地方債というのが増額になっている、逆に申せば、その分だけ一般財源措置されてないということになっているのは御指摘のとおりでございまして、その意味で、従来のベースに比べれば、地方債がふえ交付税が減っているじゃないかという御指摘はまさにそのとおりであろうと思います。  しかしながら、それによりましても、やはり五十三年度という年度を越しますためには、現在の国、地方を通ずる財政状況あるいは経済状況のもとにおいてはやむを得ざる措置として、そのことによって五十三年度実質的に各団体が財政運営支障を来すことがないように措置をいたしたわけでございまして、そういう意味では、五十三年度財政対策としては十分な措置がなされている、こう思っておるわけでございます。
  96. 川合武

    ○川合委員 私は、基準財政需要額の考えによるこの交付税方式でもって、先ほどから財政局長が、最低というか、一定行政水準を維持できるのだ、保障しているのだ、そこに交付税制度の存在の意義がある、こう言うのであるけれども、それにかかわらず、多少のものであるならば別として、一兆三千五百億円の地方債に頼らなければならないということは、これは現在の基準財政需要考え方あるいは交付税制度というものに大きな限界が来ているのではないか、こういう感じがいたします。  そこで、次の質問でございますが、地方財政計画ですが、これもいま地方行政の一定の水準のあるべき姿を示しているもの、こういうふうに思ってよろしいんですね。
  97. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方財政計画は、まさに当該年度におきますところのマクロとしての地方財政におきます歳入の総額と、それから必要とする歳出の総額とを計算いたしまして、その間に地方財政運営不足がないように措置をするという機能を果たしているわけでございます。  したがいまして、五十三年度で申せば、何も特別な財政措置をしなければ三兆五百億円歳入が足らないという実態になったわけでございまして、これを何らかの措置で埋めなければ五十三年度地方財政運営支障を生ずる、こういう事態になりましたので、先ほど御指摘のございましたように、まず地方債増発によって公共事業地方負担の九五%までは穴埋めをする、これは御案内のとおり地方財政法五条によりましても、公共事業でございますから、適債事業として認められていることでございまして、まず九五%地方債を充てることによって一兆三千五百億措置をし、残りを御案内のとおり一兆七千億交付税の増額ということで措置をいたした次第でございます。
  98. 川合武

    ○川合委員 そうしますと、地方財政計画は、マクロであるけれども、これが行政の一定水準を示している、そうして基準財政需要額は、これはさっきから言うように積み上げみたいなものかもしらないが、これと平仄は合っているわけですね。それは基準財政需要額の方で地方債に頼っている分もあるかもしらないが、平仄は合っているわけですね。そうすると、地方財政計画をもっと緻密にするというのがいい表現かどうか知りませんが、もっといろいろ趣向を考えて、それで地方団体にその行政水準を示せば、地方交付税基準財政需要額で示しておる——基準財政需要額でも一定の行政水準を示しておりますね、その基準財政需要額で一定の行政水準を示すことはやめてしまって、示さなくても、地方財政計画行政水準を示すということは可能じゃございませんか。——意味がわかりますか。
  99. 山本悟

    山本(悟)政府委員 取り違えておりましたら、またお直しいただきたいと思いますが、地方財政計画というのは、やはりマクロといたしましての地方財政全体の歳出と歳入というものを比較し、その間にそごを来さないように財政措置をする、こういう機能を持っているわけでございます。それでその収支が合うということによりまして、個々の団体は別といたしまして、地方財政全体として見れば、やはり当該年度における財政運営支障がないはずである。また歳出で言えば、歳出の中身でどういうものを計上する、あるいは教員がどれだけふえるであろう、あるいはこういうものがこれだけふえるであろう、国庫補助制度で、こういうもので地方負担がこうなるであろうというようなことは、それぞれ地方財政計画全体として計算をされるわけでございます。また、歳入におきましても、地方税収入というのはこの程度であろう、これも推計でございますけれども、そういった意味での歳入の計算がされる、こういうかっこうになって、全体としての地方財政に穴のあかないように、支障を来さないようにという措置をいたしているわけでございます。  それに対しまして、基準財政需要額というのは、個々の団体のベースにおきまして、特にその一般財源だけの見合いのものを取り出しまして、その団体において必要とする最小限の需要というのはこれだけであろう、あるいはその団体において税収として入ってくるものはこれだけであろう、そしてその差額を普通交付税として埋めていく、そのための計算をいたしているわけでございまして、財政計画が全体の地方財政について支障を来さないように、それを受けまして、交付税基準財政需要額基準財政収入額というものの計算を通じまして個々の団体の財源保障をし、あるいは財政調整をする、こういうことになっているわけでございますから、財政計画につきましてもいろいろと積算につきましての改善努力ということは非常に必要でございますけれども、それがされましたから基準財政需要額収入額というものの計算というものが不要になるというようなかっこうにはなってこないんじゃないか。やはり目的とするのが全く同じではないから、片一方をすれば片一方が不要になるというわけにはまいらないものじゃないかと思います。
  100. 川合武

    ○川合委員 基準財政需要額地方債に相当額を頼らなければならなくなっている現実がある。確かに現在の地方財政計画はマクロのものである。だから、いまの地方財政計画をもって直ちに基準財政需要額にかえるということは不可能であろう。基準財政需要額というものが一定の行政水準を示すという役割りを果たしてきたと思うのですが、しかし、地方財政計画をもっと緻密なものにして、そしてもう少し地方財政計画の内容もいろいろ趣向を変えて考えて、基準財政需要額地方行政水準を指し示しているという役割りを地方財政計画でもってかえるということが、もっと工夫をすれば何かできるような気がするのですが、それをもう一遍だけ聞きます。
  101. 山本悟

    山本(悟)政府委員 基準財政需要額の方から申し上げますと、やはり基準財政需要額あるいは基準財政収入額計算というのは、交付税総額の九四%でございます普通交付税の配分というような機能を持っているわけでございます。個々の団体について何らかの計算によって公平に普通交付税というものは配分しなければならないわけでございまして、そちらの方の機能というものは常に残るわけでございます。しかもその機能を発揮いたします際には、やはり交付税としての持っている作用の一つであります財源調整を行いますとともに、財源保障をする、この二つの機能が果たせるようなかっこうで普通交付税計算をやっていかなければならない、こういうような点から考えてまいりますと、たとえば基準財政需要額にいたしましても、単純に実績の追求じゃなくて、あるべき姿としての、このあるべき姿というのも、高い水準じゃなくて、先ほど申しましたように、一定の収入に見合う部分はカットされておるわけでございますから、最小限の水準かもしれませんけれども、そのときどきにおける必要とするあるべき財政需要というものを計算するということも、やはり普通交付税そのものも公平に分配するということからいっても意味があることではなかろうかと思います。そちらの方の機能というものを考えてまいりましても、となりますと、財政計画というのがより細密になり、より精緻になるから、基準財政需要額におきますところのあるべき姿というものの観念がなくなってしまっていいということにはなってこない。その辺のところの絡み合わせというのはなかなかむずかしゅうございますけれども、一応はそういうように思えるのじゃないかと存じます。
  102. 川合武

    ○川合委員 私の尋ねているのは、いま財政局長の答弁の中に示されているように、財源保障として、すなわち交付税の配分の機能としての基準財政需要額というものは、現在の制度の中においては必要だと思うのですね。だけれども行政水準を指し示すという役割りですね、それは基準財政需要額によらなくても、地方財政計画をもっと緻密にしたものにすれば可能ではなかろうか。また別個に、あなたの言うように、交付税を配分するための計算のためのものとして基準財政需要額というものが現在の制度のもとにおいてはなくてはいけないのだ、こういうことはわかります。わかりますが、行政水準を指し示す姿としては、地方財政計画をもっと緻密にすれば、計画だけでも足りるのじゃないか、やっていけるのじゃないか、こういうことを言いたかったのですが、次の質問に移ります。  これは、たとえばでありますが、横浜市あるいはその隣の川崎市でございますが、これが受け取っている交付税と、それから横浜市、川崎市の市民の納めている国税の三税ですね、これはどのぐらいか、もし計算がありましたら、示していただきたいと思います。
  103. 山本悟

    山本(悟)政府委員 横浜市の場合は、五十一年の普通交付税の額は二百八十一億でございます。そのときに当方で調べましたところでは、当該都市所在の税務署の収納額は国税三税で三千三百十五億、川崎市におきましては、五十一年の交付税が九十四億、国税三税が一千八百二十億、こういうように聞いております。
  104. 川合武

    ○川合委員 そうしますと、横浜の場合も川崎の場合も、横浜市の住民、また川崎市の住民が納めている国税三税を見ますと、税源は十分あると思うのですね。一方受け取っている交付税が二百八十一億と九十四億ですね。そうしますと、こういう政令市については、税源はあるのですから、国税の一定分をその市の自主税源に回しちゃって、そしてもう交付税の対象から外す、この方がすっきりしちゃうのじゃないでしょうか。ひとつまず局長の考えを……。
  105. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、交付税というのは三千有余の地方団体の財政力に差があることを前提にいたしまして、その財政調整ということを行うことも非常に大きな機能といたしているわけでございます。したがって、ただいま例としてお出しになりましたような指定市といったような大都市というのは、御案内のとおり、日本の現在の経済情勢あるいは社会情勢のもとにおきましてはどうしても税源の大きな団体でございまして、税源の大きな団体を外しまして交付税制度をとるということは、やはり交付税といたしまして持っております財政調整機能というものをそれだけ弱める、あるいはそういった都市につきましては、自主財源をより大きくすることは私ども別に反対しておるわけじゃ毛頭ございませんし、現在より大きくしたらいいと思いますけれども、そういった団体はすべて別途の制度によって財源を与え、交付税というのはその他の非常に財政力のない団体だけを賄うのだということになってまいりますと、財政調整としての機能というものはいかが相なるだろうか、あるいは国民の税負担総額というものは一体どうなるだろうか、こういった問題が生じてくるわけでございまして、いまのようにいわゆる不交付団体というものが非常に少ない税財政制度がいいかと言えば、これは現在地方自主財源がとても足らないというぐあいに私も存じますけれども、別途の制度によって解決すべきなのかどうかについては、なおよく検討しなければならない問題点が多々あるのではないかと存じます。
  106. 川合武

    ○川合委員 財政局長、私はそういうことを言っているのではないので、あなたの話の全部が不満じゃないけれども、一部分不満なんです。言っていることは、横浜、川崎のようなところは、受け取っている交付税額と三税とを比較すると、非常にパーセントは少ないわけですね。ですから、何も横浜、川崎に三二%税源をやっちゃえということを言っているのではなくて、計算するとわかりますが、たとえば横浜の場合で二百八十一億、三税の全体が三千三百十五億というのでしょう。そうすると、一〇%にもならないですかな。平たく言っちゃえば、これはたとえ話、ずさんな話、考え方ですが、交付税で受け取っておる額の分だけ、三税の数%か、それだけは自主税源に回しちゃったらどうか、こう言っているわけです。ほかの団体に迷惑をかけるように、こういう富裕な都市がみんな自主税源をふやしちゃって、三二%みんな持っていっちゃえ、こう言っているのではないので、受け取っている交付税に見合う分くらいのものを自主税源に回したらどうか、こういうことなんですね。それで言う意味は、財政局長は交付税の主管かもしれないけれども交付税制度も大事かもしれないけれども地方財政の基本は地方税だとわれわれは思うのです。地方税を充実することだと思うのです。そうすると、同じならば同じで、人様に迷惑がかからないならば、こういう政令都市のようなところは、可能であるならばここだけでも切り離して自主税源をふやす。ほかに迷惑がかからないのならば、交付税制度全体に実害がないならば、自主税源を少しずつでもふやしていく、日本全体は無理としても一部分ずつでもふやしていく、こういう考え方はあり得ないのかどうか、こういうことを聞いているのです。
  107. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自主税源というのを特に地方税というかっこうでふやすこと、そのこと自体には私どもももちろん賛成なわけでございまして、現在のように調整財源が大きなかっこうにならざるを得ないという制度そのもの、あるいは状況そのものというものは必ずしも適当でないと思っておることは御指摘のとおりでございますが、ただ、個々の団体ごとに大体この程度というようなかっこう国税の中から団体別に持っていくというような意味での地方税制というものをとるということは、技術的には相当なむずかしい問題が派生するであろうと思います。たとえば横浜に二百八十一億、三千三百十五億のうちの二百八十一億となれば、一〇%にはならない、八%か九%程度でございますが、そうすると、そういうものを横浜市には九%にする、川崎市は千八百二十億の国税三税に対しまして交付税は九十四億、そうすると、五%くらいでございますか、そういったようなことにする、個々の団体ごとにそういうかっこうでの別途の税制というものを取り出していくということは制度的にはいささかむずかしいのではないか。全体として、交付税というかっこうで一律の国税三税という制度を全国的にとり、その上でもって財政調整というものの機能を交付税制度に持たすことによって同じような効果を上げていっておる。本来、各団体としてもっと地方税がふえて、その結果、横浜市が交付税がなくなる、いわゆる不交付団体になるということ、そのこと自体は地方財政のあり方として望ましいこととは思いますけれども、個々の団体ごとに税制の面でもって操作をしていくということは相当むずかしいのじゃないかなという感じを、ただいまお話を承っていて抱いたところでございます。
  108. 川合武

    ○川合委員 財政局長、私の言葉が足りないのかもしれないけれども、あなたは悪いように悪いようにとって、余り積極的に乗ってくれないので残念なような気がするのですが、私は、一つ一つの団体で、たとえば川崎市がことし交付税が幾らだったから、その分を計算して来年はあれだとか、その年々で税の配分を考えろというようなことは言ってない。しかし、交付税が発足当時においてはほとんどの政令都市というものは不交付団体だったですね。だから、そういう政令都市については、数字の計算はむずかしいかもしれないけれども、そこはあなた方は専門家なんだから、一定のパーセントをお出しになって、政令都市くらいは交付税に頼らないでも自主税源でやっていく、こういうことがあっていいのじゃないか。去年もらった額とびたり合うわけにいかないかもしれないけれども一つの合理的な基準といいますか、現時点においての合理的な基準というものを考えてやっていくということも、自主税源というものが地方自治と一番つながる問題であるならば、そういう考え方も検討の一つの材料にしてもらえないだろうか。あなたはきょうは何だかさっぱり乗ってくれなくて、身もふたもないような返事ばかりのような気がしますが、最後に御質問をいたします。  私は、先ほどから申しますように、地方財政確立の基本の立場からはできるだけ自主税源を増強することが必要だ、こう思っております。そしてまた、基準財政需要額が非常に緻密になってきておる。私はかねがねこれを簡素化すべきだというようなことも言いました。しかし、いまの現実を追っていくというためには、緻密化していくというのも、考えてみれば基準財政需要額の持つ一つの本質であるかもしれない、こうも思いますね。簡素化はいいけれども、ずさんになってはいけないから、緻密になっていく一方、国庫補助金の裏負担分を賄うために、それを裏づけるためにそれにきゅうきゅうというか、いわば中央統制の弊ありともこの委員会でしょっちゅう指摘されておるように、基準財政需要額が、当初はあの考え方は非常にいい考え方であったかもしれないけれども、いろいろな矛盾点というか不十分な点が出てきてしまっておるのじゃないか、こう思うのです。自治省があれだけ苦心してあれだけ緻密にやっていっても、あらゆる地方団体から何だかんだぶつぶつ言われておる。割りが合わないような点もあるわけです。基準財政需要額の歴史的な役割りは終わりつつあるのではないか、私はこういうような感じさえ持つのです。これは、はなから悪かったと私は決して言いません。いままで皆さん方がなさった努力がむだだったとも言いません。しかし、時の流れによって現実に歴史的な役割りは終わりつつあるような気がするのです。これは私の考えでございますから、十分に批判していただき、検討の材料にしていただきたいのですが、地方交付税というのは、いまの日本の都市間の実情として税源の偏在が厳としてあるわけですから、それを調整するというその役割りだけにとどめるべきじゃなかろうか。財源保障という役割りは、この基準財政需要額を中心とする交付税制度ではもはや無理なんじゃないか。そこに無理に無理を重ねていっても限界があるのじゃないか、こう思うのです。これは素朴な意見でございますし、あなた方知恵者であり、専門家である人はもっと考えていただきたいのですが、ただ、やはりいまのような基準財政需要額は歴史的役割りが終わったといっても、何かそこに基準財政需要額的なものがなければ、交付税配分は言うまでもなく不可能でございます。しかし、それはたとえば、かつてのごとくというか、人口八割、面積二割ぐらいの割合で、それに新しい問題については若干の補正を掛けて、そして、それは財源保障とかなんとかといういまのような緻密なものでは確かになくなる。しかし、それはそうだとしても、いまのようなああいう緻密な基準財政需要額でなくして、一つの物差しは、いまのような人口と面積という上に若干の補正という程度のものにして、そして税源の調整だけの役割りを交付税制度が持つ、こういうことにした方がいいんじゃないか、地方財政全体のためにいいんじゃないかという気がするのです。そして、自主税源の充実の方にまっしぐらにあらゆる努力を図ってもらいたいと、こう思うのですが、その点についての局長の考え、感想でも結構ですから、お聞きしてみたいと思います。
  109. 山本悟

    山本(悟)政府委員 確かに、現在の基準財政需要額収入額計算というのが非常に複雑化し、しかも、いろいろと実態に合わす努力をしながら、なおかつ不満を持たれるという実態の面のありますことは、そのとおりな私も感じがいたします。ただ、御案内のとおりに、そういうことを通じまして、それぞれの団体に必要とする財源を公平に配分するというための努力としてはいままで積み重ねてきて、この点はお認めいただいているわけでありますが、自主税源が地方財政にとって第一の必要な事項である、それを実現するためには、普通交付税の配分の方は人口と面積と若干の補正というようなかっこうで、財源保障という観念と離れてしまってもいいじゃないかということに直ちになるのかどうか、ここにつきましては議論の存し得るところだろうと思います。  お話を承りましての私の感じといたしましても、あるいは従来私どもが申し上げておりますことからいいましても、まず地方財政にとって自主税源の確保が第一である、この御主張につきましては、全くそのとおりでありますし、私どもといたしましても最大の努力をしなければならない。その自主税源の確保ということが現在よりもより進んでまいりますれば、この調整財源といたしましての交付税というふうなものも、ウエートといたしましては現在よりも下がってもしかるべし、こういうようなことにもなってくるわけでございまして、その間には結びつきがどうしてもあるんだろうと思います。そういう点から申し上げまして、ただいまのお話の中で、特に自主税源を第一にすべきであるという点につきましては、全く私どもとしてもその努力を重ねなければならないと存じますとともに、やはりある程度の調整財源というものは残さざるを得ない地域のアンバランス、経済力の違いというものがある現実のようでございますから、それのためには、それを公平に配るというような意味からいいましても、それぞれ必要とする財政需要をより的確に算定する。しかも、それも余り複雑にならないで算定するというための技術的な努力というものも、われわれといたしましてはなお一層努力して考え出していかなければならないことじゃないかというような感じを、ただいまのお話を承りまして、特に持った次第でございます。
  110. 川合武

    ○川合委員 最後に、大臣にお伺いいたします。  いま局長からの答弁をもらいましたが、つけ加えて申しますと、私は、現在の三二%の交付税、これを荒っぽく人口と面積で配っちゃえということを言っているわけではございません。交付税の相当部分をできるだけ自主税源に回して、したがって、交付税総額というものはむしろいまよりも少なくなっていく。どのくらいの計算かということは私はまだできませんけれども、相当少なくなる。しかし、その少なくなるというのは、結局各地方団体間の貧富の差を補うだけの必要な分だけはなくちゃいかぬ。そして、いまのような財源保障としている交付税のあんな三二%という額は要らない。その相当分を地方税源に回す。貧富の差の分だけを交付税として残して、それを各団体に財源調整として分配する。こういうことの方が地方自治の立場からいいんじゃないか。そして、その場合ならば、たとえばでございますが、地域と人口と若干の補正係数によって貧富の差を埋めても、そう弊害のない分け方があるいはできるのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。かたがた、あえてつけ加えれば、非常な努力と苦心と緻密さにもかかわらず、基準財政需要額がいろいろな点において限界を示している現在であるならば、思い切った考え方の転換をして、そして地方交付税制度財源調整の制度としてのみいく方が正しいのではなかろうか、こういう気がするのでございますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  111. 加藤武徳

    加藤国務大臣 一時間余にわたります川合委員の御質問と財政局長を中心にしましての自治省側の答弁とを聞いておりまして、私は、ずいぶん不勉強のせいもございますか、理解のしにくい面がありましたり、また、答弁の行き違いなどもずいぶんあったように思いまして、全体の把握が必ずしも私自身にはよくできなかったのでありますけれども、私は、いまの交付税制度は、十分に調整機能と同時に、また財源の保障もいたしておるような感じを持っておりますけれども、いま川合委員の御指摘は、調整機能をもっと弱めて、そしてたとえば道路とか河川とかその他……
  112. 川合武

    ○川合委員 逆なんです。
  113. 加藤武徳

    加藤国務大臣 調整機能を強めろという……。  現在の制度で私は十分に調整機能を果たしておりますし、また、基準財政需要額を算定し、そして不足をしております面につきましては交付税を交付するといういまの制度が万全の制度のように思うのでありますけれども、しかし、具体的にどうやったら調整機能の強化ができますか、いま以上の調整機能の強化は困難ではないであろうか、私はかような感じを持っておりますけれども、しかし、補正その他のずいぶん技術的なむずかしい計算をしておるのでございますから、さような計算を通じまして調整機能がもし強化し得ますならば、研究をいたしますことにはやぶさかではない、かような感じを持ちます。  それから、これも先ほどの答弁で若干行き違いがあったように思うのでありますけれども財源保障の観点からいたしますと、いまの交付税が一〇〇%財源保障をいたしておるかといいますと、かつての交付税はそうであったのでありますけれども、残念ながら五十三年度におきましては、一兆三千五百億円の起債を充当いたさなければならぬ、かようなことになりまして、この限りにおきましては、財源保障の点で欠くるところありと、かような考え方は、川合議員が御指摘のとおりだと、かような感じを持ちます。
  114. 川合武

    ○川合委員 質問を終わります。
  115. 木村武千代

    ○木村委員長 水田稔君。
  116. 水田稔

    ○水田委員 たくさんな地方負担があるわけでありますが、その中の幾つかを御質問してみたいと思うのですが、建設省おいでになっておりますか。  一つは、本四連絡橋公団の地方負担の問題であります。これは自治大臣も、内容の詳しい問題でありますので、後で大臣にもお伺いしますが、現在の五十年ベースにおける事業費が児島−坂出ルートで六千九百億と言われておるわけです。それの地方負担、出資、それから公団債引き受け等がどうなっておるか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  117. 加藤優

    加藤説明員 いまお話しの児島−坂出ルートの総事業費が六千九百億円ぐらいというお話でございましたが、現在まだ児島−坂出ルートは事業がそんなに進んでございませんので、地方負担としては余り出してございませんが、一般論を申し上げますと、国と地方負担割合は、出資金について申せば国が二で地方が一という状況になってございます。よろしいでしょうか。
  118. 水田稔

    ○水田委員 それでは、本四連絡橋のあれは、まだ事業に具体的には取りかかってない、着工してないわけですから。だから、額は全く見当つかぬということですか。見当のつかない事業をこれからやろうということですか。事業にかかる以上は、たとえば今日なら、五十三年度なら五十三年度の当初でこれだけの事業費、その金はどういうぐあいに負担して、どういうぐあいに調達をしてということは当然あるべきなんですね。ですから、その数字は当然言ってもらうべきだと思うのです。現実に地方負担する場合は二対一という負担、一が問題じゃないのです。今日の地方財政から言えば、幾らの金を出さなければならぬかということが問題ですから、金額で言ってもらわぬと困ります。
  119. 加藤優

    加藤説明員 今年度事業費は、ここに手持ちで持っておるのですが、いまのDルート、児島−坂出ルートに係る地方負担が額で幾らかというのは、ちょっと手持ちに持ってないものですから、恐縮ですけれども、後ほど連絡してお答えしたいと思います。
  120. 水田稔

    ○水田委員 この質問については、大体そういう数値を持ってきてほしいということは事前に言ってあるわけです。  私の方から申し上げますと、これは昭和五十年度の価格によってこう言われておるのでしょう。本四連絡橋三本、三本の必要はないと思いますけれども、三本で大体見込まれておる数字が、児島−坂出が六千九百億円、鳴門−神戸が九千八百億円、尾道−今治が三千四百億円、合計二兆百億円。それから、この六千九百億円で計算した場合、岡山県の出資金が百億円、香川県の出資金が百億円、高知県が六億、借入金は、いわゆる公団債で岡山県が五百億調達し、香川県が五百億、高知県が三十億円で、合計、出資と借り入れで千二百三十六億円というのをいわゆる出資並びに公団債で工面しなければならぬ、県などはそういう心づもりでやれ、こう言われておるわけですね。先ほども言いますように、これだけの事業をやるのに、ことしの予算はこれです、これだけやれ、そんなばかげた話はないので、それは全体の計画があって、それに基づいて、きょう時点では計算すれば幾らになる、それから工事費の値上がり分が物価の変動でどう響く、そういうことをちゃんと見越してやらなければ、地方団体がそれでなくても金がないといって四苦八苦している危機的な様相の中に、いまの計算でもこれぐらいだし、恐らくこれは八年ないし十年の工期ですから、児島−坂出でも二兆円を超す工事費になると考えられる。そうすると、どういう出資金を負担しなければならぬかということは大変なことなんですね。そのことを建設省にも考えてもらわなければならぬし、自治省としてもこういう負担の問題を考えてもらわなければならぬということで私は質問しようと思って、そのもとになる数字を質問しているのです。それを、一番公団を監督する建設省の、しかも——監督されておるわけでしょう。それが全く、ことしの予算の数値を持ってこられても論議になりません。わかりませんか。私でもこの程度のものは調べて持ってきているのですが……。  では、こういう聞き方をします。私がいま申し上げたことはほぼ間違いないですか。
  121. 加藤優

    加藤説明員 現時点で間違いないと思います。  実は先生の御質問の趣旨を少し取り間違えておるかもわかりませんが、いまおっしゃった、現時点で、五十年価格で児島−坂出ルートの総事業費が六千九百億と見込まれておって、それが地方の借入金とかいろいろございますが、地方に及ぼす関係を先生いまおっしゃいましたが、大体そのぐらいのオーダーで間違いないと思います。ぐらいでは恐縮なので、電話で調べたいと思います。
  122. 水田稔

    ○水田委員 後で正確な数字をいただきたいと思います。  そこで、この数字を別にして、大体これから八年ないし十年の工期で考えた場合、最終的には、児島−坂出だけで結構ですが、大体幾らぐらいに——推定ですから、少々違っても構いませんが、これから六千九百億円で、ことしが五十三年で、きょう現在で計算しても六千九百億ではおさまらないはずです。さらにこれから八年ないし十年たてば相当大幅に上回ると思うのです。総額どのくらいと考えたらよろしいですか。
  123. 加藤優

    加藤説明員 お答えします。  おっしゃるように、五十年価格が児島−坂出について言えば六千九百億円でございます。現在、五十二年度の価格で公団が見直しをやった概数が八千四百億円となってございます。したがいまして、今後約十年、完成までには八千四百億円では済まぬで、三全総その他の経済指標、これらを入れて、年率六%ぐらいの成長というふうに考えても、まあ一兆は超すだろうというふうに思われます。ただ、この場合にはGNPとかそういう経済指標だけじゃなくて、主として建設資材なり労務費なり、それの上がりぐあいによって非常に変動されるんじゃなかろうかと思っております。ただ問題は、ああいう長大橋で初めての仕事なものですから、海底掘削等、ここに技術開発がどの程度出て、現在見込んでおる建設費が安くなるか、そういう見越しの問題が大きく響いてくるのだろうと思います。  したがいまして、現時点でお答えできることは、先ほど申し上げたように五十二年度価格で見直して八千四百億、それで十年もするうちに資材費、労務費がどの程度上がるだろうかというようなことを推計していくよりしようがないだろうと思っております。
  124. 水田稔

    ○水田委員 恐らく一兆円を相当超すのではないか、そういう見通しですね。その場合、地方負担の比率というのは、いまのままの負担でやらすお考えですか。
  125. 加藤優

    加藤説明員 現在本四公団に対する出資金は、国と地方負担割合というのが、先ほど申し上げましたが、二対一でございます。したがって、この率を変えない限り、いまの率で増高した場合には持っていただくというより仕方がないと思いますが、要は出資金というのは、結局、資金コストがたとえば六・四だとか六%だとかいう、資金コストに非常にかかわってきます。これは資金コストをそれだけにするために、一般の借入金の金利を下げるために出資しております。したがって、こういう低金利の時代になれば、国の出資金も地方の出資金も非常に低減化するという傾向にございます。将来ともどれぐらい出資金の増高を見込んでおるのかという御質問ですが、そういう資金コストの金利水準によって非常に額が変動する要因がございます。十年にわたって大体資金コストはどれぐらいだというのは、ちょっと私ども見込むのが不可能に近いものですから、現況では六・四とか六%とかいうところではじいてございます。
  126. 水田稔

    ○水田委員 二対一というのはどこで決められたんですか。
  127. 加藤優

    加藤説明員 これは、実は当初この本四連絡橋というのは関係地域の発展に非常に寄与する大規模プロジェクトであるということで、地元の強い要望により公団ができたり何かして実施の運びになったわけでございます。この事業性格から、国と地方公共団体が公団に対する出資者になって協力してやろうという基本的な考えのもとで、公団設立当初、四十五年ごろですね、出資割合を協議したときは一対一とされておったわけでございますが、四十八年度から建設段階に移行しました。そのときに問題になりまして、地方負担を軽減するという観点から、道路分の出資割合は、国が二、地方が一と改められて現在に至っておるわけでございます。それで、これは関係公団いろいろありますが、道路公団の場合は地方負担なし、それから都市高速、首都高速とか阪神高速、これは一対一で、現行も一対一でございます。そして全国的なネットワークを形成する道路公団の場合は地方負担なしというようなこと、出資ですか、なしということで、国の出資はございます。それから地域的な、いま申し上げた首都高とか阪神公団の場合は一対一、それから本四の場合にはそれよりも真ん中をとったというのでしょうか、二対一というふうに国の出資率を地方の倍にしてございます。これは恐らく先ほど申し上げたように、四十八年度建設に移行の段階において議論になって、こういう二対一の出資比率に決まったかと思います。どこでというのは、私もよく存じ上げないのですけれども
  128. 水田稔

    ○水田委員 どこで決まったかわからぬで金を取られるのは、地方団体もかなわぬわけですね。わかりませんか。
  129. 加藤優

    加藤説明員 ちょっとどこでという意味が、正確に私、理解できなかったのですが、結局、公共団体の出資の負担割合なんかは、これは自治省が音頭をとって、たとえばDルートだったら、高知県の出し分を引いて、香川、岡山両県で二分の一というふうな調整をしてございますが、それは当初に自治省が間に入ってくれまして決まったように聞いております。これがAルートなんかになりますと、非常に複雑になってございます。
  130. 水田稔

    ○水田委員 それじゃ、自治省の方がこの二対一を決めるのに主要な役割りを果たしたという答弁ですが、自治省の方、どうです。
  131. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 出資金についての国と地方負担割合につきましては、ただいま監理官の方から説明がありましたように、発足当初は一対一、四十八年に建設段階になりました段階でどうするかという議論がありまして、これは本四公団の監督そのものは、道路部分については建設大臣であります。ですから、主管は建設大臣でありますが、関係する部分が、地方につきましては自治省、それから国の負担分については大蔵省ということで、実質的には政府部内で自治省、大蔵省、建設省三者で論議をして、最終的には政府の責任で決めたという経過をたどっております。  なお、そのいまの負担割合が決まりました経過につきましては、たまたま私、当時財政課長で担当しておりまして、この議論に加わっておったわけでありますけれども、日本道路公団の場合には、全国的なネットワークを形成するという意味で、金利引き下げのための出資負担は、地方団体についてはない。それから首都高速と阪神高速につきましては、地域的な交通の確保という意味で、国、地方がそれぞれフィフティー・フィフティーである。そこで本四架橋についてどのような負担割合をすべきかということについていろいろ議論があったわけでございます。地域の非常に強い要望に基づいて、地域経済の発展に寄与するプロジェクトを行うのであるから、それは当然首都高速や阪神高速と同じようにフィフティー・フィフティーであるべきだという議論、これは主として大蔵省の議論だったと記憶しておりますが、こういった議論が一方にあり、また一方では、私どもはこれはきわめてナショナルプロジェクトとしての性格が強いものであるから、国庫負担割合を高めるべきである。少なくとも国道に対する国庫負担率が現在四分の三でありますから、この負担割合は三対一であるべきだ、このような議論をしたことを記憶しております。  いずれにいたしましても、この論議を重ねまして、なかなか結論が出なかったのでありますけれども、当時の財政状況総体的に判断いたしまして、現在国道でも、都道府県管理部分については二対一の負担割合になっておる、こういうようなことも勘案して二対一と決まったように記憶しております。したがいまして、だれがどこで決めたかということになりますと、関係省が協議して、最終的には所管大臣である建設大臣が中心になって政府として方針を決めた、このような経過であろうかと思います。
  132. 水田稔

    ○水田委員 それじゃ、建設、自治、大蔵、この三省でこの割合を決めた。これから変える場合も、その三省で協議をすればできる、こういうぐあいに理解をしてよろしいのですか。
  133. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 この負担割合は、当然問題が起こってくれば、また主管大臣である建設省が中心になりまして、関連する私どもと大蔵省などが協議して論議されることになろうと思います。
  134. 水田稔

    ○水田委員 問題が起きたらというのは、私はいまの地方財政の状態を審議官もう少し真剣に考えてほしいと思うのです。先ほど質問しましたら、五十二年度の試算で八千四百億、一兆円を超す、こういうことですね。そして、最初に公団ができたときの四十五年から四十七年というのは、考えてみると、四十八年もまだそこまでいってないわけですが、少なくとも高度経済成長時代、この関係県を見ても税収は全国平均よりは何割も伸びておる時代、しかも列島改造論が支配しておるような時代ですから、地域開発というウエートが非常に高く要因として入った形の中でこの地方負担というのが決められたと思うのですね。ですから、これから後の負担の額というのが一兆円を超す、岡山、香川、高知の児島−坂出ルートでもそういう大きな額になる。しかも負担割合がこのままでいくとするならば、今日の地方財政というのは四十九年以降もう危機的な様相を呈しておる、これから着工しようとするわけでありますから、この段階でこの負担割合というのは考え直さなければならぬと思うのです。審議官もナショナルプロジェクト、こう言われたのです。まさに私ども当初からそう思っています。地方負担はできるだけ軽くする。これは国の大きな政策によっている。特に最近の様子というのは、これはまさに景気対策として大型公共事業をやろう——環境影響評価もまだできておらない、あるいは旅客船協会との話し合いも進んでいないけれども、早く着工しろ、着工しろ、こういうようなかけ声が出てくるわけですね。そういう中で、地方負担の問題は何か問題が起こらなければと言うが、問題は今日起きておるわけですね。建設省は、この事業性格からして一体こういう負担でいいと考えておるのかどうか。それから自治省に対しては、先ほど来質問しておりますように、一兆円を超す大きな増額になってくる、そしていまの負担割合地方負担がたえられるかどうか。その点、それについて何らかの措置を当然講ずべきじゃないか。  それからもう一つは、出資金だけではなくて、いわゆる公団債の問題は、それぞれの地域の銀行に対して相当の割り当てをしているわけですね。いま国は公共事業をどんどんやれ、単県でも、縁故債を借りてでもやれ、こういう督促をしておるわけですね。それではこれだけの金をあの岡山、香川というところで工面するとすれば、当然そちらの方の資金は枯渇してくるわけですね。ですから、一つは直接の地方財政の問題、それからもう一つは、いわゆる縁故債を求めるためにも大変苦しい状態になってくるということが、この本四公団の資金の見通しから言えば当然考えられるわけですね。ですから、問題が起こってではなくて、いま問題なんですから、自治省もその点を何らかの措置をされるお考えがあるかどうか。建設省の方は、これは主管でやっておられるわけですから、事情は大変変わってきておりますし、まさにいま地域を開発するということよりもむしろ国の景気対策としてやるという性格が強まっておるわけですから、当然負担割合については何らかの再検討をすべきだと私は思うのですが、お答えいただきたいと思います。
  135. 加藤優

    加藤説明員 先ほど御説明したように、確かにこの事業はナショナルプロジェクトという見方もございます。しかし、道路公団の全国ネットワークをやる高速道路、あるいはまたきわめて限定的な都市高速、首都、阪神、さらに今度は地方の道路公社、これらもございますが、そういう意味で現在出資金比率を二対一にしておることはほぼ中庸を得た線を決定されておるのじゃないか。いまの変えるべきじゃないかという御質問に対しては、私どもはやはり他の道路事業と比較してこの程度が望ましいのじゃないかというふうに考えております。
  136. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 出資金の負担割合については、先ほど御答弁申し上げましたような経緯で二対一というように決まったわけであります。この点については、その決めた当時の将来推定を基礎にして最終的にそういう結論に到達したわけであります。今後この児島−坂出ルート——ほかのルートについても同じ問題があると思いますけれども、建設段階に入り事業費が確定し、こうした中で金利条件等によっても出資の額が違ってまいりますが、いずれにしても、この出資金の最終的な財政負担関係団体にどの程度の影響を与えてくるか、こういったことを見きわめて、四十八年度に設定した負担割合に無理があるかどうか、今後検討してまいらなければならないと思っております。この段階で変える必要があるかどうかということを御答弁するのはむずかしいのでありますが、いずれにしても、この問題はやはり今後の財政状況に応じて考えていかなければならないものではないか、このように思います。
  137. 水田稔

    ○水田委員 私は先ほどから申し上げていますように、いまの二対一が決まったのは四十八年です。そのときと今日の地方財政の事情というのは雲泥の違いが出ておるわけですね。その中で、四十八年当時はもっと額が少ないのでしょうけれども、五十年度の見込みで六千九百億円、それで見ても大体これだけの地方負担というものをしなければならない。五十年、五十一年、五十二年とたってきて、この地方財政というのはまさに危機的な様相を呈しておる。そして一面言えば、交付税率の引き上げ等については三二%を引き上げることがなかなかできない。現実に、これは大蔵なり建設省との話し合いでいまの状況の話を持ち出すくらいのことは自治省がやって、地方負担を軽くするということはできないことはない問題なんですね。だから、いますぐやれということではなくても、事情が非常に変わってきた中で、自治省としても前向きに検討するぐらいの答弁はぜひしていただきたいと思う。私は建設省もけしからぬと思うのは、こういう質問をするのに、いまどういう負担になっているということをここへ持ってこずに、私は、地方負担というものが大変だから、その点をこういう中で何とか考えてもらわなければならぬ、こういう質問をするのに、地方負担ということを大変軽く考えておるようです。ですから、少なくとも自治省は地方財政の問題を一番責任を持って考えてもらわなければならぬ省庁ですから、その点検討ぐらいはしていただきたいと思うのです。  この内容は大臣の方が一番詳しいと思いますので、自治大臣の方からいま私が申し上げた事情、私が言わぬでも大臣はよく知っておられるはずですから、私が申し上げたことについての御答弁を最後にいただきたいと思うのです。
  138. 加藤武徳

    加藤国務大臣 本四連絡橋のAルートにしろ、あるいは岡山−香川のDルートにしろ、広島−愛媛のEルートにしろ、ことにDルートにつきましては当然これが本命だという考え方が地元も強うございましたし、またスタートが若干おくれてぜひ追いつかなければならぬ、かような気分がずいぶんございまして、いよいよ建設に入り得るぞという段階では、地元の負担が少々あってもそれを覚悟の上で決断をしようではないか、かような状況下にあったと思うのであります。かてて加えて、当時といたしましては、わが国経済が高度成長を遂げてまいります段階で税の自然増等もずいぶんございましたので、この程度なら負担してもよかろう、かような考え方で当時決断したのは当然のことであったかもしれませんけれども、しかし、今日のような地方財政状況下におきましては、出資金にいたしましても、長期ではございますけれども相当の金額になることが予想されますし、かつまた、地元で縁故債を大量に消化しなければならぬとなりますと、地元の金融情勢にも非常な変化が生じてくる、このことも予想されるのでございます。が、まだ着工段階には至っておりませんので、身に痛いほど大きく響くような状況ではございませんが、しかし、そういうことがやがてはやってくる、かように考えなければなりませんので、さようなことを総合いたしながら前向きでいろいろ検討してまいらなければならぬ、かように思います。
  139. 水田稔

    ○水田委員 それでは次に、これも建設省になりますけれども、国道の維持管理の問題ですが、いま直轄、それから都道府県管理あるわけですが、それらの維持管理というものに地方がどういう負担をしておるかということについて、率なり、それからできれば五十二年度、あるいは五十二年度がまだ無理なら五十一年度でも結構ですが、地方が総額としてどの程度の額の負担を事実上しておるかということについてお伺いしたいと思います。
  140. 多田宏行

    ○多田説明員 国道の維持管理費の国と地方負担割合について御質問ございましたが、一般国道のうち指定区間に係る維持修繕費についての国の負担割合は、これは三通りございます。内地につきましては二分の一(水田委員「何ですか」と呼ぶ)北海道、沖繩を除く部分ということでございます。それから北海道につきましては十分の八、それから沖繩につきましては十分の十となっております。  一般国道のうち都道府県知事が管理しております指定区間外、要するに平たく言いますと、直轄以外という意味でございますが、修繕についてその二分の一が補助でございます。したがいまして、原則的には二分の一、特例として北海道、沖繩がそれぞれ十分の八もしくは十分の十になっておるのが実態でございます。  それから、額をということでございますが、五十二年の一切の維持修繕費、全国の額で千三百六十四億のうち、ただいま申し上げましたように、必ずしも半分ずつでございませんので、そのうち地方負担している分が五百七十二億五千万という額が概数でございます。
  141. 水田稔

    ○水田委員 国道というのはどういう目的でつくり——国道の性格ですね。性格というのはどういうものですか。
  142. 多田宏行

    ○多田説明員 道路法をちょっと——道路法には明記されておりますが、幹線道路でございます。  国道の定義を申し上げます。いろいろな要件がございますけれども、一口に申しますと「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路」等、そのほか詳細に定められております。
  143. 水田稔

    ○水田委員 当然国道というのは、したがって、国が建設し、国が維持管理をするというのがたてまえでしょうね。
  144. 多田宏行

    ○多田説明員 国道だから国が全部費用を負担してはどうかという御指摘かと存じますが、一般国道の管理に要します費用の負担の率といいますものは、まず地元の受益、やっぱり国道が地元にあればベネフィットもございますから、地元のベネフィットとか、税収の配分、それから国家財政の状態その他、他の公共事業との均衡などを考慮しまして、合理的に定められるべきであろうと存じますが、道路事業について見ますと、地方道路譲与税等特定財源制度どもございますので、現時点では国が全部負担するということは適当でないと私どもは考えております。  しかし、多額の管理費を必要とします直轄管理、平たく言いますと直轄管理ですが、要するに指定区間内の大きなトンネル、これは維持費が非常にかかります。そういうものについては、現行は二分の一の負担でございますけれども、これをできることなら三分の二に引き上げる方向で努力してまいりたいと考えております。
  145. 水田稔

    ○水田委員 実際には国道というのは、場所によって違いますけれども、地元の受益ということより、むしろ場所によっては通過自動車を全部引き受けるという、そういうデメリットの面もたくさんあるわけですね。それを一つの都道府県が受益ということだけでそういう負担をすることがどうかということが、いまの時点では出てきておると思うのですね。しかも、本来は国が都道府県から都道府県とか、そういう全体の交通体系を形づくっていくという目的でつくるわけですから、そして維持管理についても、二分の一が理屈として正しいということも言い切れぬと思うのです。逆に言えば、われわれの立場から言えば、この地方財政が厳しいときに、たとえば国道二号線では、私のところを例に挙げますが、あのために、県内の自動車だけが利用するのならば半分持ってもいいと思うのですが、通過する大半は県外の自動車、そのために渋滞して使えない。むしろ国から少し、全部持ってもらった上に、迷惑料を出してもらってもいいぐらいに思うわけですね。それをしも二分の一地元の受益というようなことで言われることは心外なわけですね。私は、いますぐということでなくてもいいですが、少なくともいまの地方財政の点から言えば、理屈からいって、国が持てるものは国が持とう——大体国の事業をやるときには、敷地でも、地元がやってくれと言うから、それじゃ土地を出せというようなことをやってきたわけですね。そういう思想が大体残っているわけですから、少なくともいま大変地方財政事情というのは厳しいときですから、そういったような検討をやってもらわなければならぬ。これはむしろ私は自治省の方から、そういう地方負担というのは解消すべきではないかという意見を上げていくべきだと思うのですよ。ですから、それはひとつ自治省の方から、国道の維持管理の地方負担というものについて、見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  146. 山本悟

    山本(悟)政府委員 現在の負担やり方は、ただいま建設省から御説明のあったとおりで、指定区間だけが二分の一、その他は全部地方負担、こうなっているわけでございまして、私ども考え方といたしましては、都道府県道に対しましての管理関係につきまして国庫の補助負担というのがないというような点もあわせ考えまして、現行制度というのはいかがなものかと疑問を持っておるところでございます。なお、第十六次の地方制度調査会の起草委員会の審議結果というものもございますけれども、そこにおきましても、やはり問題点として指摘をしており、また私どもがたとえば五十二年七月に各省に申し入れをいたした際にも、この点を指摘をいたしておるところでございまして、なお一層その制度の改善につきまして、自治省としては努力を重ねていきたいと存じております。
  147. 多田宏行

    ○多田説明員 ただいまの御説明の中に、これは言い違えだと存じますけれども、誤りがありましたので、訂正させていただきます。  国道の修繕費につきましては、直轄、補助を問わず二分の一でございます。
  148. 水田稔

    ○水田委員 財政局長からさらに努力してもらうということですから、これはぜひ解消の努力をさらに進めていただきたいと思います。次は、これは環境庁おいでになっておりますね、公害健康被害補償法のいわゆる事務費の地方負担の問題なんですが、これは現状は一体どうなっておるのかということをまず御答弁いただきたい。
  149. 大池真澄

    ○大池説明員 御説明申し上げます。公害健康被害補償給付支給事務費の交付金につきましては、国におきまして交付対象とするのに適当な標準的な経費につきまして法の定め、政令の定めに従いまして、二分の一ということで国が交付金を出しておるわけでございます。それで、これの実行に当たりましては、交付要綱を定め、その交付基準に従って、ただいま申しました適当な標準的な経費というのを、個別の実施主体でございます県、市等の実態をよく勘案しながら、その額を定めまして、その二分の一を国が交付をしておるということでございます。そしてまた、毎年度これを定めることにしておるわけでございますが、県、市の実情も勘案しながら改善を図っておるところでございます。
  150. 水田稔

    ○水田委員 たてまえとしては二分の一なんですが、実際の事務費といいますか、いわゆる人件費を含めてそれぞれのところでどういう負担割合になっておるか、そういう実態の調査をされたことはありますか。
  151. 大池真澄

    ○大池説明員 毎年度、ただいま御説明申し上げました交付基準に照らし、ヒヤリングというような形で県、市と種々協議をいたしまして、適切なる経費の設定をしておるところでございます。なお、この公害健康被害補償給付支給事務費交付金につきましては、大きく分けまして、人件費部分とそれからそれ以外のいわゆる物件費的な事務費と分かれるわけでございますが、物件費的な事務費につきましては、県、市のヒヤリングにおきましても、実態上のことを申し上げるようでございますけれども、各地域とも県、市が考えておりますものとこちらの基準とはおおむね合致しておるということで、結果的には満額、これに交付金が出ておるという実態でございます。人件費につきましては、個別の県、市の実情に応じてこちらの方の基準に照らして設定をしておるという実情にございます。  なお、人員の問題でございますけれども、御承知のように公害健康被害補償法施行に当たりましては、たとえば認定審査会等のいろいろな委員会を定例的に開いていく、あるいは年間を通じてのいろいろな事業の計画を立てたり打ち合わせたりというような定常的に業務のある部分と、それからどういう時期にどのくらいの申請があるかというような非常に流動的な変動要素の多い部分とあるわけでございます。そこで、各県、市におきましても、この認定患者数あるいは申請の状況等に応じまして、業務の実施の態様が地域によってそれぞれ著しく異なっておるわけでございまして、全国を一律の形で掌握ということはなかなか手法的にもむずかしいわけでございますので、先ほど御説明申し上げましたように、個別に具体的にそれそれの県、市とのヒヤリングというような形でのやりとりというようなことで、個別のもとにそういった問題を検討しておるという実情でございます。
  152. 水田稔

    ○水田委員 具体的な数字は持っておられるわけですか。
  153. 大池真澄

    ○大池説明員 ただいま申し上げましたように、個別の地域ごとに県、市としては、たとえば本庁にどのくらいの職員が配置されている中でこの者はもっぱら年間を通じて専任という形で担当しておるとか、この者については年間のほかの業務も持っておるけれども、繁忙の時期にはこの者がその時期に担当をするとか、あるいは出先等においてほかの業務を主として担当しておるけれども、窓口的な部分として担当しておるとか、そういったようないろいろなきめ細かい態様でございますので、個別の地域についてはそういったような状況は個別に把握しておるわけでございます。ただ、これは類型的に分類しての数字という形では、御説明申し上げるような数字をいま持っておりません。
  154. 水田稔

    ○水田委員 自治省の方はそういう点、わりあい超過負担の額が多いのですが、そういう点を御調査なさったことがありますか。
  155. 山本悟

    山本(悟)政府委員 個別の問題でございますので、調査そのものはいたしておりませんでしたが、このものの関係につきましては、人件費等につきまして特に乖離があるということを地方からも聞いていたわけでございまして、そういう点につきましては改善方を関係省庁の方にお願いをしてまいりました。
  156. 水田稔

    ○水田委員 環境庁、これは公環特でたしか土井たか子議員が尼崎の例で、細かい数字は言いませんけれども、実際の公害健康被害補償法に基づく事務は物件費については確かに二分の一そのままきているけれども、人件費の点を含めると実際の経費は十倍ぐらいかかっておる、こういうことを言っておるわけですね。私、ここへ横浜と大阪の数字をちょっと、それぞれもらってみたのですが、大阪の場合を申し上げますと、物件費は二分の一になっておりますが、たとえば大阪の場合、国庫補助の対象になる人員は八人ですが、あれだけの認定患者が出ておるわけですから、実際には四十六人使っておる。これは国の補助を見ると大体六%ぐらいにしかならないわけですね。二分の一と言いながら、五〇%の補助と言われながら、実は六%くらいの補助しかされてない。それから横浜の場合は、交付基準の対象の人員はあそこで一人なんですね。実際には専任九人、兼任二人ですから、これを見ますと、これでも五十一年度支出総額が三千九百六十五万円に対して補助はたかだか七百七十六万円というような数字になっておるわけですね。こういうことは環境庁、御存じでしょうね。
  157. 大池真澄

    ○大池説明員 ただいま御指摘のございました幾つかの地域、いま私、手元に個別の数字をちょっと持っておりませんが、これまでのヒヤリングにおいての県、市とのやりとりにおきまして、県、市が意見を述べ、期待を持つというような数字と私どもの考えております数字との間に若干の開きがあるという経緯はこれまでございました。その点を十分勘案をいたしまして、毎年度その改善方に努力してきておるわけでございますけれども、五十三年度予算におきましては、このような実情に着目いたしまして人件費の増については特段の努力をしました結果、人員については一五〇%、すなわち五〇%増という措置を講じておるところでございます。
  158. 水田稔

    ○水田委員 御承知のように、指定地域の問題で、岡山県の倉敷であるとか、大牟田であるとか、これは独自で患者救済までやっている。地域の企業にも相当な無理を言っておるし、市の持ち出しもあるわけです。しかも、私が申し上げましたように、五〇%ふやしたぐらいで解決のつくような問題じゃないわけですね。大阪で国庫補助ベースで八人、事実上四十六人いるわけです、あれだけ広いところで、あれだけの認定患者を抱えれば。横浜という市でも、あそこで一人ですから、専任九人、兼務が二人で、十分の一しかないわけです。そこへ五〇%ふやして一・五人つけたところで、これはもう焼け石に水なんですね。だから、地方の超過負担の解消のためには、やはり人件費に対する補助を実態に合うように改善していかなければならぬと思うのです。そういう実態を踏まえて改善をされるお考えが環境庁にあるかどうか。それから自治省の方は、そういう要求をされておると言われましても、恐らくそういう細かい数字を計算されずに、地方から公害健康被害補償法の事務費というのは負担が大変重いということで言われておるのだと思います。五〇%から倍にするぐらいでは及びもつかない負担地方がかぶっておる。しかも、先ほど申し上げましたように、具体的な患者救済の給付の問題さえ、いまの徴収と給付のアンバランスのために大変な負担をかぶっておる地域があるという点から、せめて事務費ぐらいは一〇〇%の負担をかけない、本当の二分の一になるようにさせるための努力をしてもらわなければならぬ、こう思うのです。その点、環境庁、自治省両方から御答弁をいただきたいと思います。
  159. 大池真澄

    ○大池説明員 御説明申し上げます。  ただいま御指摘がございましたような趣旨を私ども踏まえて五十三年度の運用に当たってまいりたいと考えておるわけでございますが、それぞれの地域に機械的に五〇%増ということではいま必ずしも考えておりませんで、新たな視点でいろいろ踏まえて、それぞれの実情に対応するような運用にいたしたいと考えておるところでございます。また、こういった実態に対応するための適切な措置については、従前に引き続きまして努力をしたいと思っております。
  160. 山本悟

    山本(悟)政府委員 悉皆調査はいたしていないわけでございますが、やはり人件費等に問題のあることは、それぞれの該当する団体からの話を聞いたときに、さらにどの程度であるかというところまでは調べて、その結果やはり申し入れすべきであるというような判定をしておるところでございまして、どれだけの職員が必要かというのは第一次的に環境庁の方にお願いしなければなりませんが、必要とされる職員をすべて交付対象にしてもらいたい、しかもその場合には退職手当等すべての人件費を対象にしてもらいたい、こういうような意見を申し入れているところでございます。
  161. 水田稔

    ○水田委員 それでは、次に移りたいと思います。  次は地方事務官制度の問題について伺いたいと思うわけですが、これは私が地方議会におりましたときからの長年の懸案で、国会でも地方事務官制度の解消、いわゆる地方公務員への移管ということは大体方向として定まっておると聞いておりましたし、また、記録を見ますと、地行の委員会で自治大臣もそういう答弁をしておる、そういうぐあいに理解しておったわけですが、昨年の十二月二十三日の閣議で、新幹線がまだ線路を敷いてない東京駅から上野の方へ向かって、百八十度反対方向へ向かって暴走したのじゃないかというような印象を私は受けたわけです。いろいろなことをやる場合に紆余曲折ということがあるのですが、大体九十度から四十五度ぐらいの間を曲がりながら行くのを紆余曲折というので、百八十度反対に行くというのは暴走だろうと思います。  よくわからぬものですから最初からお伺いしたいのですが、地方事務官制度というのはなぜできたのか、そこから御説明をいただきたいと思うのです。
  162. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 昭和二十二年に地方自治法が制定されることによりまして、従来都道府県に勤務しておりました国家公務員が原則として都道府県の職員になったわけでございます。ただ、その中で特定の業務を担当しております国家公務員につきましては、当分の間、身分は国家公務員のままとするということになりました。それが現在称せられておるところの地方事務官あるいは地方技官というものでございます。  どうしてこういうものができたかということでございますけれども昭和二十二年という年は、たとえば公務員で申しますと、国家公務員法は制定されましたが、地方公務員法はまだできておらないという年でもございますし、国と地方との事務配分というものにつきましても未確定の部分があった。そういう状況のもとで政府部内においていろいろ話し合いをして詰めましたけれども、やはり職員の身分なり国と地方との事務配分がはっきりしてから決めるべきであるということで、若干の者につきまして当分の間という限定つきで地方事務官という制度が導入されたものと了解いたしております。
  163. 水田稔

    ○水田委員 いまの答弁にもありましたが、地方事務官というのは原則としていわゆる地方公務員、こういう考え方であったわけですね。
  164. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 その当時、地方事務官と申しますか、身分が国家公務員のままで都道府県に職を奉ずる者の一番大きなウエートを占めておったのは、御承知のように教員でございます。大学校から小中学校に至るまでの教員が地方教官ということで、現在の地方事務官と一緒にグルーピングされておったわけでございますが、この教員につきましては、その後、昭和二十三年におきまして、御承知のように地方公務員というふうに区分けされたわけでございます。したがって、地方事務官につきまして、この事務は国の事務として法令によって都道府県知事に機関委任された事務でございますので、機関委任ということを前提とするならば、基本的にはこれは地方公務員にすべきであるということになろうかと思います。それが、そういった話し合いがつかないままに、身分は国家公務員のまま当分の間というふうになっておるわけでございまして、機関委任を今後も続けていくということであるならば、当然のこととして地方公務員の方向へ持っていくということであったろうと思いますし、また、その後の再三にわたるところの地方制度調査会の答申あるいは臨時行政調査会の答申におきましても、方向としては地方公務員ということを打ち出しておる次第でございます。
  165. 水田稔

    ○水田委員 先ほどの答弁で、もう一つ大事なことを言われておるのです。その当時、事務の再配分ということが決着がついておらなかった。ところが陸運事務所の地方事務官を国家公務員にしよう、こういう動きがいまあるわけですね。そうすると、これは財政の問題を含めて、いま地方と中央の財源問題というのは、事務の配分ということの整理ができなければできないといって、交付税税率の引き上げの問題についてもたな上げのような状態で今日来ておるわけですね。そうすると、それは事務の再配分というのはもう大分進んでおる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  166. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 地方事務官につきましては、現在御承知のように三種類の事務官が地方事務官という形で残っておるわけでございます。これは御承知のように、六種類ばかりあったわけでございますが、その後昭和二十年代におきまして教育行政あるいは通産省所管でございます物資の配給等の関係でございますが、そういったものについては地方公務員ということで、事務配分が決まると同時に決まっていったわけでございますが、いま懸案となっております三者につきましては、いろいろな経緯がございまして、関係省庁の方で話し合いがつかず現在に至っておるということでございます。
  167. 水田稔

    ○水田委員 そうすると、運輸関係地方事務官についても今日まだ話がついていない、こういうことですか。
  168. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 運輸の関係につきましては、御承知のように、これは現在は国の事務でございまして、機関委任という形で都道府県知事に権限が委任されておるという形でございます。ただ、現在問題になっておりますのは、一口に陸運行政と申しましても、その中が大きく三つに分かれるわけでございまして、狭い意味での陸上交通に関する許認可等を含む行政と、それから車検と登録とこの三つに分かれるわけでございます。  昭和四十三年のころ、この地方事務官問題が非常に論じられたことがございますが、その段階におきまして自治、運輸、行政管理庁の三省におきましていろいろ論議いたしました。そのときに、現在はこの三つとも含めまして都道府県知事に機関委任されておりますが、その中で車検及び登録の事務は、一方は当時からすでに民間委託という線が打ち出されておりますし、登録につきましては全国コンピューターで一本に東京へ自動車ナンバーを登録するというような方針が出されておりまして、こういった事務につきましては、地方の行政という意味からするならば、地域に密着した行政を一元的に取り扱う都道府県で必ずしも行う必要はないというようなことで、この部分につきましては国、残りの陸運行政につきましては、これは地域と非常に密着した行政であるので、できる限り現在知事に委任されておるもの以外も含めまして都道府県知事に機関委任すべきであるというようなことである程度話し合いが進んだわけでございますけれども、結局のところ、最終的な結論を見ずに今日まで至っておるところでございます。  そこで、昨年の暮れの閣議決定でございますけれども、この閣議決定におきましては両省間である程度話し合いがついております車検、登録事務については国に持っていく、しかし話がついていないところの例の狭義の陸運行政事務につきましては早急に両者の間で話を詰めて、できるだけ知事の方へ委任すべきものは委任するという線を打ち出そうということで、運輸省当局とも私ども閣議決定の線に沿いましていろいろ詰めておるところでございますけれども、その狭義の陸運行政の事務をどこで線を引くかということにつきまして、現段階において運輸省との間で話がついておりません。したがって、行政管理庁におきましては、閣議決定の線もございますので、両省間で異議のない車検、登録の部分について、これは国に事務を引に揚げるということで案をつくったらどうかということで、現在三省の間で話し合いを続けておるところでございます。
  169. 水田稔

    ○水田委員 この問題については昭和五十年に衆議院——参議院もそうですが、地方行政委員会で特別決議をされておるわけですね。地方事務官を地方公務員にするよう、こういう決議がある。それから四十七年三月二十三日の参議院地方行政委員会ですが、当時の自治大臣が正式にこれは地方公務員にすることということで答弁をしておるわけですね。その点に全く反する今回の閣議決定だと思うのですね。そういう点については、大臣がかわると自治省というのは責任を持たなくてもいいのかどうか、これは大臣から答弁してもらわぬといけませんですね。
  170. 加藤武徳

    加藤国務大臣 行政庁の長に異動がありましても、その行政庁の考え方がそのために直ちに変わる、かような性格のものではないのでございまして、したがって、前大臣なり前々大臣が国会等におきまして答弁いたしておりますことは、自治省といたしましてもその考え方を継承いたす、かようなことがたてまえでございます。
  171. 水田稔

    ○水田委員 そうしますと、陸運事務所の地方事務官の問題、いまそういう協議をやっておるようでありますが、自治省としては当然これまでの国会の決議、そして自治大臣の正式の答弁等から考えて、この三十数年間にわたるきわめて不安定な身分のもとに置かれた地方事務官の人たちの気持ちに立って、これは地方公務員へという、東京駅から上野の方へ、線路のないのに走るのでなくて、線路のある方へ走っていく、そういう立場で御努力なさるお気持ちでしょうか。
  172. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方事務官の問題は非常にむずかしい問題でありますだけに、労働省並びに厚生省のものにつきましては昭和二十二年以来、また運輸省につきましては昭和二十四年であったと思うのでございますけれども、三十年近くを経過いたしましてなお今日解決を見ておらない、かようなことでございます。  そこで、解決を見ておらない、とこのまま放置してまいるわけにはまいりませんので、そこで労働省関係、厚生省関係は二年以内ということにいたしまして、この機会に運輸省関係だけは解決をいたそう、かような閣議の決定が年の暮れ、十二月二十三日に行われたのでございます。そこで、さような線に沿いまして努力をいたし、かつまた、先ほど御指摘がございましたように、衆参両院の地方行政委員会におきましても何回か決議がなされておるのでありまして、その決議の線は、地方事務官問題を解決なさい、これが一つと、そしてそれは地方公務員にするのですよ、これが二つであったと承知をいたしており、そしてこの考え方のもとに対処いたしてまいっておるのでございますけれども、しかし、事を解決しようといたしますと、わが省だけではなかなか解決がつかないのでございますから、今日もなお関係省庁で話をいたしておる、かようなことでございますが、ただ、いま機関委任事務として都道府県知事が処理いたしておりまする仕事の内容を分析いたしてみますと、都道府県がやりますよりも、むしろ国がやった方がその方になじむのではないか、かような性格のものもあるのでございますけれども、しかし、たてまえといたしましては地方事務官を都道府県の職員にする、かような基本の考えで対処いたしていることには間違いがないのでございます。
  173. 水田稔

    ○水田委員 これは三十年以上にわたって放置されてきた。少なくとも、これは働いておる人たちの立場から言えば同じような形で扱われたわけでありますから、国会の決議も自治大臣の答弁も、それはそれぞれ違うという意味じゃなくて、三者同じような立場で地方公務員にすると、そして、仕事の内容を言いますと時間がかかりますからやめますけれども、運輸関係だろうと何も国にしなければならぬというものでもない。ですから、私はむしろいま大事なことは、これまでの国会決議なりあるいは自治大臣の答弁なり、そういう立場で仕事の配分をどうするかという、いわゆる地方公務員にするという筋を通しながらやることが必要だと思います。自治大臣は、少なくとも地方行政委員会の決議もあり、そして前任者の答弁でもそういう努力をするという約束はされておるわけですから、最大限その方向で努力するということでなければ、先ほどの答弁がうそになるわけです。大臣がかわると、考え方も、内容を検討したけれども、大半が国家公務員になりますよというようなことでは、これはさっきから何遍も言うように、いままで敷かれたレールというのは、地方公務員へということであって、事務をどうするかということで検討、それが大半が国家公務員ですというようなことでは、これまで線路が全く敷かれていなかったところへ汽車が逆方向へ向かって暴走するようなことになるわけですから、少なくとも自治大臣の立場としては三者一括、これまでの国会決議なり自治大臣の答弁というものを尊重してこの問題の解決、地方事務官制度地方公務員という方向で努力するということを答弁していただかぬと、先ほどの答弁がうそになりますので、もう一遍そういう方向での努力を、私の方からもこれはぜひそうやってもらいたいと思います。
  174. 加藤武徳

    加藤国務大臣 基本の考え方や、そして今後も対処してまいりまする考え方、それは前大臣が答弁をいたし、かつまた、地方行政委員会で決議されております線で臨むことには間違いがございませんです。ただし、わが省が提案いたす法案ではございませんし、いろいろその間にむずかしい問題のありますことも御理解をいただきたい、かように思います。
  175. 水田稔

    ○水田委員 むずかしいことはわかるのですが、少なくとも自治省が責任を負わされて長年来た問題ですから、向こうの問題だからといって軽く扱ってもらっちゃ困るわけで、自治省の意見が十分反映するような努力を要望して、この点は質問を終わりたいと思います。  次は、毎年のように自治省事務次官通達というのが出されておるわけであります。たくさんありますけれども、その中で一つ、教員給与の問題だけお伺いしておきたいと思うのですが、文部省来ていただいておりますね。教員給与の問題で、これは人確法もでき、そして一般公務員と教員と、こういう比較で物を考えるようになっておるわけですが、文部省の方では、いま義務教関係の教員給与と一般の、この場合地方公務員との比較でしょうが、そういう実態はどういうぐあいになっておるか、わかっておればひとつ教えていただきたいと思います。
  176. 古村澄一

    ○古村説明員 教員と一般行政職の職員の給与の比較でございますが、その二つの職員につきましては、給与表が違うという立場からストレートに比較するというわけにはなかなかまいらないわけですが、大まかに申し上げまして、初任給で言えば、小中学校の教諭の方が大体一万五千円ぐらい高い、それから十年ぐらいたったところでは大体一万九千円ちょっと高いというふうなことで、大体教員の方が一般の行政職よりも高い給与についているということに相なっております。
  177. 水田稔

    ○水田委員 それは何との比較でしょうか。
  178. 古村澄一

    ○古村説明員 先ほど申し上げましたように、小中学校の教員は教育職の俸給表を使い、一般職の行政官につきましては行(一)の俸給表を使うわけでございます。いま比較いたしましたのは、小中学校の教諭の教育職の俸給表と、一般の行政職につきましては、上級職の乙試験採用者の進んでいくコースとの比較でございます。
  179. 水田稔

    ○水田委員 私どもの持っておる資料によりますと、これは言われるように、行政職の(一)の上級乙との比較なんですが、初任で、人確法ができる前が大体五千円ぐらいで、四十九年の人確法ができて九千五百円ぐらい、こういう数字を持っておるわけです。そして、これは人確法ができる前にこういう格差は初任ではあるけれども、だんだん片一方は八から七、六、五と上がっていく。そして役がつく。教員は教頭か校長にならぬと変わらぬわけですから、そういうことで、大体十七年目で逆転するということが一番の問題だろうと思うのです。そういう点はちょっと数字が違いまして、いわゆる逆転をどこらでするようになっておるのか、御説明いただきたいと思います。
  180. 古村澄一

    ○古村説明員 先ほど申し上げました比較の中で、いま先生がお出しになられた数字との差は、私が申し上げましたのは、小中学校の教員については俸給プラス義務教育特別手当というものとの合わせた金額が台になっておりますので、そういう数字になっております。したがいまして、本俸だけの比較という形で申し上げますと、初任給では九千八百円、十年目では一万一千三百円の差が教員の方に優位についているということでございます。  それから過去は、おっしゃいますように、十七年目ぐらいで行政職の方が優位に立っているというふうな形での俸給曲線がなされておりましたが、このたびの人材確保法ができました以降の改正によりまして、行政職と教諭との間の逆転現象はないということで昇給曲線が引かれておるわけでございます。
  181. 水田稔

    ○水田委員 私どもの調べでは、それはやはり逆転する。それはそうでしょう。上で号俸が行政職の場合は上がって、課長補佐とか役がつけば、当然そこでは違った俸給になるわけですから、そういう逆転がこれでも起こる、そういうぐあいに理解しているのですが、違いますか。
  182. 古村澄一

    ○古村説明員 教員の給与水準、何と逆転するかということに相なるわけでございますが、従来は、給与改善の前ですと、教諭がずっと五十何歳になりますそのときの給与水準というのは、大体府県の行政職と比べた場合には係長と課長補佐の中間クラスというところが給与水準でございました。それが第三次改善を経ました今日では、府県の大体課長級と部の次長級の中間の水準に入っていくというのが現在の教諭の給与水準であろうかと思います。したがって、その比較の対象として、たとえば部長を比較するとかあるいは部の次長を比較するというふうになりますと、教諭と部次長との関係では逆転するということがあります。そういった比較の対象によって、通常考えられますのは、県の課長クラスとの比較であればこれは逆転しないということに相なっております。
  183. 水田稔

    ○水田委員 いま御説明いただいたのは、初任、十年という標準のところでしょうが、現状の実態としてはどうなんでしょう、実際に実施されておるところでは。
  184. 古村澄一

    ○古村説明員 こういった制度が改善されまして、そういう新しい給与曲線に乗っていった方々がそういう形になるということでございますので、現実は給与水準が上がっておりますが、実際全部逆転防止になっておるかどうかについては、私ちょっと資料を持っておりませんので、十分なお答えができかねます。
  185. 水田稔

    ○水田委員 念のためにお伺いするのですが、人材確保法案の目的というのは具体的にはどういうことでしょうか。
  186. 古村澄一

    ○古村説明員 人材確保法は、学校教育が次の世代の青年を教育するという非常に重要な仕事をしている、そのためには義務教育に携わる先生方に優秀な人材を集めたいということから、一般の公務員に比べて給与水準を高めたいというのが目的でつくられた法案であるというふうに理解いたしております。
  187. 水田稔

    ○水田委員 そうすると、地方公務員よりは優遇して、いい人をとにかく集めようということ、それから先ほどの御説明で、モデルケースでいけばそういうことが満たされておるけれども、実態としてはまだそこまでいってないかもしれない、こういう御答弁がありました。実態としてはそう理解してよろしいですか。
  188. 古村澄一

    ○古村説明員 先ほど申し上げましたように、理論的にはそういう逆転現象はなくて、教員の方が一般職よりも給与上の優遇措置が講じられているということになっていると思いますが、現実問題、各都道府県におきます実態等については、十分な資料を持ち合わせておりませんので、よくわかっておりません。
  189. 水田稔

    ○水田委員 五十年三月二十五日の衆議院の内閣委員会で第二次財源配分、教員給与改善に関する附帯決議がついておるわけですね。これは人確法による二次の改善、その附帯決議に「今回の改善内容については不充分な点が認められる。」として、「一般教諭についても一定の資格と教職経験年数を勘案して一等級を適用できる途を開くこと。」という決議がされておるわけですね。そういう点は、この人確法のモデルでいってもそこらあたり若干問題が残るということは、衆議院の内閣委員会で附帯決議がつけられた理由だと私は思うわけですね。ですから、そういう点では、人確法、三次が終わりまして一応モデル的にはそうなっておるけれども、まだ若干中には問題があるかもしれない。いわゆる人確法の精神に基づいてということは、この内閣委員会の附帯決議とそれから先ほどの答弁からも、細かい実態を聞こうとは思いませんけれども、そういう現状と理解してよろしいですか。
  190. 古村澄一

    ○古村説明員 いまおっしゃいました五十年三月二十五日の附帯決議の問題でございますが、一般の教諭についても一等級を適用できる道を開くということにつきましては、あと人確法の給与改善措置がもう一回残っております。そこで、そういった中で十分検討していくというのが人事院のいままでの主張でございますので、そういったことが制度化されまして、ある程度教員給与の最終的な改善の仕上げがなされるものというふうに理解をいたしております。
  191. 水田稔

    ○水田委員 これは自治省の方へお伺いしたいと思うのですが、先ほど来文部省へ伺っておりますように、教員給与については、なお人確法の精神なり実態からいって改善を図って優秀な人を集めようということなんです。ところが、実際にはこういう法律で上乗せしながら、四十九年からの給与改定率を見ますと、一般の公務員の場合に比べて教員の場合は勧告で〇・五とか〇・三%とか低くて結果的には一%ぐらい下がっていく。片一方では見ながら片一方では下がるという問題もあるわけです。  そこで、この次官通達なんですが、五十年からころっと変わりまして、例の給与の問題に関して一般公務員、そして教員についてもわりと厳しい意見が自治省から次官通達として出されておるわけです。ですから、いま私が文部省へお伺いいたしましたように、教員給与についてはまだなお是正をしなければならぬ点も残っておるという点からいって、それからもう一つは、教育の現場というのは、そこの当局と教職員の団体との間で長年にわたって積み重ねたお互いの信頼関係というものがあるわけです。それに対して、自治省がそういう努力をしておるところへ上の方から混乱が起きるようなことを通達の形で余り出すべきではないのではないか。むしろいま人確法でそういう配慮をしながら、しかも現場におけるこれまでの積み重ねというものも尊重しながら教育現場に混乱が起こらぬようにやるための、逆に言えば、いま文部省から答弁のあったような、むしろそういう配慮をしなさいという通達ならわかるわけですけれども、そういう通達について、ここまで来たんだから、人確法もできてきたんだから、余り教員給与の問題はああしろこうしろということを自治省の方から言わない方がいいのじゃないか、そういうぐあいに思うのですが、自治省の方では次官通達の中でそういう点を考慮されるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  192. 塩田章

    ○塩田政府委員 お答えいたします。  公立学校の教員の給与は教育公務員特例法の規定によりまして国立学校の教員の給与を基準として定めることとされておりますが、このような観点から、人確法に基づく公立学校の教員給与の改善につきましても、国と同様の措置をとるようにということは常々指導いたしておるところでございます。  一方、それとは別個に、すでに給与水準上、国と異なる運用上の措置をとっておる団体につきましては、給与の引き上げを国立学校の教員との均衡が保たれるように所要の調整措置を講ずるようにというのがいま御指摘の通達の趣旨でございます。これは、人確法に基づく給与改善そのものはあくまでも国の措置に準じてやるべきであるということと別個に、元来の運用について国を上回る運用をしているところは是正すべきであるという指導をしておるところでございまして、ことしの財政運用通達につきましても、いまその案文を検討しておるところでございます。  基調的に申し上げまして、私どもは現在の地方団体の状況を見まして、こういった運用上の是正措置について指導する必要があるというふうに考えておりますので、基調的には従前の通達の趣旨に沿った通達をことしもする必要がある、ただ、その具体の案文についてはただいま検討しておる、こういう段階でございます。
  193. 水田稔

    ○水田委員 義務教育の学校というのは国立はきわめてわずかなものなんです。実態は、実際の給与は都道府県で見ておるわけですね。そして先ほども文部省から伺ったように、なお内閣委員会の附帯決議にあるような、問題は、普通のいわゆる事業所とか事務所と違って、一生教諭で、しかも校長以上にすばらしい人はたくさんおるわけですね。しかし、いまの縦割りの中では、そういう人にそれだけの処遇をすることができないということが一番教育の現場では問題なわけですから、そういう点はなお改善の方向でやらなければならないわけですね。ですから、そういう点を考えると、しゃくし定規なこういうような指導文書を出すのがいいのかどうか、それはやはり問題だと思うのです。私は、出す場合に、検討されるとするならば、その点を——大多数か地方なんです。そして、その中では長年にわたって教育現場に混乱が起きないような、お互いの信頼関係が培われてきておる、そしてなおすばらしい教諭が校長、教頭にならないで一生を過ごすという、そういう職場ですから、大事なのはそういう人が大事なわけですから、そういうものに対する手だてはまだこれからだという実態を考えたならば、しゃくし定規な指導をすべきではない、むしろそういう実態を尊重する方がいいのではないか。もう一遍その点を——これは大事な問題ですし、自治省か要らぬことを言うて現場に混乱を起こすようなことはもうやめなければ、教育というのはいまみんなで考え直さなければならぬときに来ておるわけですから、自治省が一番の悪役をする必要は、私はないと思うのです。
  194. 塩田章

    ○塩田政府委員 先生がおっしゃいますような教員の給与あるいは教員の勤務の実態から見まして、いろいろな観点から改善措置を考えていくということ自体は教育行政の問題として十分考えられることでございますし、私どもも教員の給与の改善についてとやかく申し上げるつもりはもちろんないわけでございます。  それはそれといたしまして実行していけば結構でございますし、いかなければならぬと思いますが、いま私どもが申し上げておるのは、運用が国と異なる運用をしておる団体について、国家公務員を基準としてということになっておりますので、そういった措置に戻るべきではないかということを申し上げております。このことは、いま問題になっております財政運営通達だけでなくて、たとえば昨年の一般の給与の改定のときでありますとか、いろいろな機会に、しかも、教育公務員のみならず一般職を含めてでございますが、私ども改善方を要望しておるところでございまして、そういった改善方を要望する必要があるかどうかという実態にかんがみまして、その辺、最近の各地方団体の努力というのは非常に買っておるわけでございます。買っておるというと言葉は悪いですけれども、評価いたしておるわけでございますが、なおもう少し努力していただかなければならぬじゃないかという気持ちを持っておりますので、そういった観点からの指導をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  195. 水田稔

    ○水田委員 先ほど来、幾ら言っても答弁がすれ違うようでありますが、最後に、これは大臣に、そのことについて。  確かに、お役人という立場ではあれだけの答弁しかできぬと思うのですが、大臣は地方でそういう点を実際にやられた御経験もあるし、また労働問題については、むしろ労働大臣をやられてもいいくらい労働政務次官当時力量を発揮された方でありますから、労使関係の問題等、どういうものかということもよく御存じだと思いますので、私は、次官通牒の中にそういう点では——これは変わったのは五十年からですね。四十八年までそんなことは触れていないわけでしょう。そうすると、五十年、五十一年、五十二年と、こう来て、それぞれ努力して、しかもその間に人確法ができて、そしてなお積み上げていかなければならぬという違った条件が出てきておる中で、次官通達で余り上からちょっかいを出して混乱を起こすようなことは避ける、そういう配慮だけは大臣の方で何らかしていただきたい。これは、わが党の方からも先日大臣にそういう点についてはぜひ御検討いただきたい、こういう申し入れもしておると思いますので、最後に大臣のこの点に対する御答弁をいただきたいと思います。
  196. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先般、おうちの党の代表者数名がお見えになられまして、数項目についての御意見を拝聴いたしましたが、その中にいまの問題もございました。  そこで、私どもは労使関係に介入いたしますことは厳に慎まなければならぬ、この基本の考え方は微動だにしてはならぬ、かような根本の考えでございます。ただ、公立学校の先生方の給与は、先ほども政府委員説明をいたしましたように、国立学校の先生の給与を基準にしてなさるべき性格のものであることは御承知のとおりでございます。  そこで、私はここに昨年五月十九日に事務次官通達を出しましたそれを持ってまいっておりますけれども、人確法との関連で給与のことに触れておるのであります。いま水田委員は後段のことのみにお触れになったのでありますけれども、私はいまこの通牒を見まして、前段、後段に分かれまして、人確法第三次処置地方財政計画ではやっておりますよ、ですから、改善のできておらないところは改善しなければなりませんよ、これが前段の通達の内容であり、そして後段につきましては、もうすでにやっていらっしゃるところはその調整処置が必要でありますよ、こういう考え方を明らかにいたしておるのでございますから、前段と後段を合わせて御理解をいただけますと、人確法第三次処置に対応いたします自治省の基本の考え方が御理解いただけると私は思うのでありますし、また、地方の公立学校の先生の給与のあり方の基本に関します通達でございますから、さような意味の御理解がいただけるとありがたい、かように思います。
  197. 水田稔

    ○水田委員 私は地方の実態をずっとよく知っておるものですから、しかも、先ほど来何回も申し上げますように、日本の社会で教育という問題がきわめて大事なときだけに、現場に混乱を起こさないということと、校長、教頭になろうという、能力のある人はなればいいのですが、そうではなくて、本当に子供の教育に専念して、校長先生よりすばらしい教諭というのはたくさんおるわけです。そういう人たちの処遇等を含めて、余り自治省からとかくのことは言わないで、大きな柱なり流れは結構ですけれども、細かいところまで注文をつけて介入するようなことはぜひ避けてほしい、こういうことを最後に特に大臣に要望いたしまして、時間も参りましたので、質問を終わりたいと思います。
  198. 木村武千代

    ○木村委員長 新村勝雄君。
  199. 新村勝雄

    ○新村委員 私は交付税の問題でお伺いをしたいわけですが、交付税は、言うまでもなく地方財政の根幹をなす問題でありますけれども、そのマクロの問題についてはすでにたくさんの議論がございまして、ほとんど尽きておると思いますので、税法そのもの、それからその運営等について若干お伺いをいたしたいと思うわけであります。  まず、交付税法の成り立ちでありますけれども、これについては主要な点を法定いたしまして、あとは自治省令に一切を任しておるということでありますが、実は、測定単位あるいは単位費用というようなものよりは、むしろその後の補正係数あるいはこれらを縦横に駆使して配分額を決めるわけでありますけれども、その後の方がむしろこれはきわめて重大だと思うわけであります。仮に単位費用を法定いたしましても、補正係数あるいは補正の仕方いかんによっては、かなりその結果が変わってくるということでございますので、それらを考えた場合には、補正係数あるいは補正の基本的な方法については当然法定をして、国会の審議を経るべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、その点についての大臣のお考えを伺いたいと思います。
  200. 加藤武徳

    加藤国務大臣 交付税の基本に関しますことは法律に明定いたしてございますけれども、しかし、算式でありますとか係数などにつきましては、これを政令にゆだねておる、かようなことでございます。  そこで、補正係数が相当のパーセンテージになりますことは、きょうもこの委員会で論議になったとおりでございます。ですけれども、相当のパーセンテージにはなりますものの、できるだけ地方団体の実態に即しまして交付税の交付をいたさなければならぬ、かような観点からいたしますと、細かい算式でありますとかあるいは係数でありますとか、これは法律で明定いたさずに、融通無碍にその時点、時点に対応いたします方が好ましいのではないか、こういう考え方を私、持っております。
  201. 新村勝雄

    ○新村委員 好ましいという御説明でありましたけれども、実際に交付税の帰趨を決定するもの、結果を支配するものは、実はこの法定をされている部分ではなくて、その後の補正係数なりその操作、これに決定的に左右をされるわけでございます。たとえば、これは余り特徴のない千葉県下の一つの市の例でありますけれども、たとえば消防費、これは人口をもとにして算出をされます。人口掛ける単位費用、これが五十二年度で言えば、人口一人当たり三千八百四十円を人口に掛けるわけであります。この団体は、人口は七万八千百九十三名でありますけれども、補正によって九万七千六百六十三名というようになっておるわけでありまして、これは測定単位の決め方あるいは単位費用よりは、むしろその後の補正の段階で非常に変わってきているということが現実に言えるわけでありますが、これは一つの例でありまして、あらゆる面がそういうことになっておるわけでありますけれども、こういう点からいたしまして、これはぜひとも法定にすべきである。あるいは百歩譲って、法定にできなければ、基本的な方針なり補正係数は、この交付税を審議するときに付属書類として当然これは添付をしていただかなければ、本当の意味での交付税そのものの審議はできないのではないか、非常にむずかしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  202. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、交付税法におきまして、基準財政需要額計算をいたします際にも、基本的な事項は測定単位、それの単位費用、それから各測定単位に適用すべき補正の種類、それから各費目ごとに適用する補正の種類というところまでは法定をいたしているわけでございます。  ただし、具体的の係数そのものということになりますと、先ほど大臣も申し上げましたように、やはり機動的に計算をいたしていきまして、当該年度の各団体の財政需要に最も適合した数字を得る必要がある。御案内のとおり、普通交付税の決定を八月ということに法定をお願いいたしておりますのも、しかく早い時期にはその年度におきます的確な計算というものが非常に困難であるというところから、そのぎりぎりの線として八月ということでお願いをしておりまして、その八月に間に合わせるための補正係数の作業というのは、実質的には今回この当初予算におきますところの法律が通過をいたしまして、五月というところから実質的な作業に入りまして、八月決定に間に合わせる、これが現在の実態でございます。  その五月以降になるということの理由の一つといたしましては、基礎数値の収集というもの、当該年度分というものが可能になってまいりますのがやはりどうしても五月の後半以降になる。たとえば住民基本台帳の三月三十一日現在の人口が私どもの方で計算するために使えるようになってまいりますのも、やはりある程度五月中旬以降になる。小中学校の算定に用います生徒数、教職員数といったようなものにつきましても、当該年度の分の最新版をとってやりますためにはやはりどうしてもある程度の時間が要る。こういうような事情が技術的にございまして、その関係から申し上げましても、現在御審議をいただいております交付税法の御審議に間に合わすようにということはなかなか、——実を言いますと、二月の中旬までに法律案というものは提出をいたしておるわけでございますから、そのためには単位費用の積算をするのがやっとであるという技術的な事情も御理解を賜りたいと思うわけでございます。なるべく御審議の過程におきまして考え方について御説明も申し上げることが必要である、これは御指摘のとおりと思いますけれども、技術的に申し上げまして、八月決定に間に合わすための数値その他をわれわれが手にいたしまして具体の係数のはじきに入るというのは、どうしてもそれ以降六月、七月を最盛期にして作業をするということにならざるを得ませんので、この点は御理解を賜りたいと存じます。
  203. 新村勝雄

    ○新村委員 この補正係数あるいは補正の操作、これはほかの税法に比較をしてみますと、ほかの税法の税率に当たるのではないかと思いますね。課税客体とかその他の測定の方法は測定単位あるいは単位費用で明示されますけれども、補正係数、補正の操作、これはほかの税金でいえばまさに税率であります。ですから、税率議論しないでその税法を議論すると同じようなわけだと思います。そういう意味で、いまおっしゃったようないろいろの事情はあるでしょうけれども、そういうことをおっしゃるならば、地方団体の税収が確定するのは年度の末にならなければ法人税割等は確定しないわけでありまして、年度の終わりまで待つわけにもまいらないわけであります。そういった点はある程度推計をしてやるんだと思いますけれども、そういうことになれば、交付税法の審議の段階でも、補正の方針なりあるいはその係数の幅程度は明示をいただけるはずであります。また、それがなければ、先ほど申し上げましたように、本当の意味での交付税法の審議はできないわけでありまして、その点について現状よりはもっと改善をした方法があるはずでありますが、ひとつもう一回御答弁をいただきたいと思います。
  204. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のような点がございますことは、私どもももちろんよく存じているわけでございます。より早い時期により具体の補正係数というものが、国会にももちろんございますが、地方団体にも示せれば地方団体としてもよりベターであるというようなぐあいにも思うわけでございますが、当該年度財政運営にやはり非常に重要な影響のあることでございます。普通交付税の額というのは相当大きな額になるわけでございますから、それがより的確に実態を反映をさせるということも、また一方地方団体側といたしましても非常に強く要望をされているわけでございまして、八月決定をします関係上、それ以降の分については特別交付税に持っていかざるを得ないというようなこと、さらに一年の前の状況からそれをやっていくということになりますと、きわめてラフなかっこうにならざるを得ないというようなおそれもあるわけでありまして、なお一層私どもとしてよりベターな方法というものについての研究、勉強ということはやらなければならないと存じますけれども、いま直ちに法定化ということについての踏み切りは非常に困難ではなかろうかと思っております。
  205. 新村勝雄

    ○新村委員 補正係数なり補正を実施する諸元といいますか、いろいろなファクターがあるわけでありますけれども、これは現在の時点、国会でこれが審議をされる時点と実際に自治省がおやりになる時点、それは数カ月のずれがあるわけでありますけれども、その間においてそれほど基本的に変わるというふうには考えられないわけでありますけれども、一体どのくらいの誤差なり変化なりがその間にあるか、おわかりでしょうか。
  206. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 数値によりましていろいろでありますが、たとえば公債償還費については五月三十一日までの借入額を基礎にして計算いたしますから、たとえば五十年度以降新たに発行されました地方税減収補てん債でありますとかあるいは財政対策債などについては、数値そのものが非常に大きいものですから、各団体ごとの最終的な数値の確定によってかなり影響が出てまいります。物によっては何倍という数字になる場合もあります。それから小中学校の児童生徒数などにつきましても、児童生徒急増団体等におきましては、年によって五%、一〇%というような差が出てくることもあります。人口系統でありますと、人口急増団体において一%、二%というのが通常ではないかと思います。
  207. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは次にお伺いをいたしますが、これは税法の中の税率に相当するきわめて重要な部分でありますけれども、これはすべて自治省のお役人さんがお決めになるのか。これは大臣がお決めになるのでしょうけれども、実際にこれをおやりになるのはだれがおやりになるのですか。
  208. 山本悟

    山本(悟)政府委員 具体の補正係数の係数自体は自治省令で定めておりますので、自治省が決定をいたすわけでございますが、それを決定いたしますには、御案内のように、自治省には付属機関といたしまして地方財政審議会が設置されており、その付議事項といたしましてのその第一に「地方交付税の交付に関する命令の立案に関すること。」は地方財政審議会の議に付するということになっているわけでございまして、地方財政審議会の議に付しまして、その賛同を得まして自治省令を決定をいたしております。
  209. 新村勝雄

    ○新村委員 実際に、具体的に補正係数なりあるいはその算出の過程、こういうものを審議会で答申なさいますか。実際にそういう例がございますか。
  210. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 補正係数の実際の作業について申し上げますと、法案の御審議をいただいておりますのと並行して、毎年度当然数値の異動あるいは収入の変動、いろいろな要素から当然補正係数の内容も変えざるを得ない要素があります。特に、五十三年度の場合には、五十年度の国勢調査の結果が態容補正係数の種地計算基礎として置きかえの年になりますから、これによって影響の出てくる団体については重大な関心事でありますので、これまでにもすでに多くの団体から改正意見が出てきております。地方六団体がまとめた形で意見を提出いただくと同時に、個別の団体としてもいろいろな意見を承っております。これらについては、できるだけ広くこれを承るようにしておりますし、また意見があれば、いつ幾日までに提出してくださいというような形でのヒヤリングもしております。こうした意見を踏まえ、収集したデータを基礎といたしまして、検討の作業にいますでに一部入っておりますし、これから本格化するわけであります。そうして、これらの作業結果については、私どもの内部においてそれぞれ省内で関係する部局の意見も聞きますし、また、ほかの省の意見も聞きながら、財政局としての原案を固め、その概要を地方財政審議会にかけまして詳しく説明し、御意見もいただいて、その御意見をいただいた上で、大臣の決裁をいただくという手続を踏んでいるわけでございます。
  211. 新村勝雄

    ○新村委員 その意見ですけれども、これは確かに意見は集まると思いますが、その意見を受ける制度的なものがないわけですね。少なくとも地方団体、全国三千数百団体の財政の中枢を握っておる制度でありますから、その基本方針については、少なくとも制度として、あるいは一つの組織として外部の意見を聞く、あるいは諮問をする、そういうものがなければならないと思うわけです。普通、ほかの省庁あるいは行政機関の場合には、ほとんど全部にそういう諮問機関等があって、専門に一般の世論を受けて、あるいは希望を受けて行政に反映させる措置をとっておるようでありますけれども、この交付税について、特にこれはきわめて具体的な、しかも非常に複雑な組織でありますから、財政審議会というようないわゆる政策を論議する場ではなかなかなじまない、またやり切れない、そういう非常に複雑なしかも膨大な分野だと思いますけれども交付税の補正をより一層合理化するために、諮問機関なりあるいは第一線の意見を聞く機関をおつくりになるお考えがありますかどうですか。また、それにかわるようなそういう制度的な一般の意見を反映させる方法をお考えですか。大臣にお伺いしたいと思います。
  212. 加藤武徳

    加藤国務大臣 補正係数が相当のパーセンテージで、また金額も膨大なことになりますことは、御承知のとおりでございます。そこで、自治省が独善でこれを決定してはならぬことは申すまでもございませんから、先ほど来説明いたしておりますように、地方団体の御意見もよく承りながら案をつくってまいるのでありますけれども、私は、新たに審議会のようなものを設ける必要はございませんで、御承知のように地方財政審議会がございまして、そして五名の委員のうち三名までは地方団体の推薦者、かようなことで構成されておるのでありますから、地方団体の意見をよく聞き、さらに地方財政審議会の御意見を承る、かような二段階の構えができておるのでありますから、決して自治省の独善によって補正係数等が決められるべきものではない、かように考えておりますが、さらに新たな組織をつくったらどうか、かような御意見でございますけれども、私は、二回も念を入れて処置をしておるのでありますから、さらに新たな組織は必要ではないのではないか、かような判断をいたしております。
  213. 新村勝雄

    ○新村委員 いろいろなファクターの具体的な数字、数量については、これはいまの段階でわからない部面もあるかと思いますけれども、五十三年度の補正の方針については、もう確定しているはずですね。それらの方針について、この法律の審議と同時に、付属書類として提出を願うわけにはいきませんか。
  214. 山本悟

    山本(悟)政府委員 普通交付税の配分の基本的な考え方というのは、法律案要綱のところでも御説明申し上げておりますように、どういう基準財政需要計算を重点化するかとか、あるいは新しい補正を適用する場合にはどういう費目に適用するかとか、こういうことにつきましては、法律案の要綱の段階でお示しを申し上げているところであるわけでございます。  ただ、ただいま申し上げましたように、各費目ごとの補正そのものというのは、これは確かに膨大な各団体の数値を集め、それの計算をやってみて、御案内のとおり、試行錯誤ということもあるわけでございますから、たとえば、これがこうであるということを文書にして申し上げるというような段階にはなかなかならないと思います。ただ、たとえば五十二年度の問題で言えば、先ほど審議官が申しましたように、態容補正係数というのは計算がえの年である、そうすると、やはりいままでの種地の決定というものもいろいろと変わってくる、この変わるについてはどういう影響があるかというようなことを何遍もいろいろな案をつくって試算をしてみる、こういうような作業をいまやっているところでございまして、そういうことをやるんだ、ことしは態容補正係数について改定の時期になるのだというようなことは申し上げられるわけでありますが、ただ、それがどういうような係数になるかというところについては、まだわれわれとしても成案を得ていないわけでございまして、そういう意味で、ことしからこういう補正を適用するんだというようなものにつきましては、法律改正のときに項目ごとに新しく補正の適用をするものについて御審議を願うことになっておるわけで、そういうものはできますけれども、ただいま先生の御指摘のような意味での、あるいは法定すべきであるというような意味での補正については、全く試行錯誤的なこともやらなければならぬわけでございますので、いますぐこの御審議に間に合うまでにここはこうだということはなかなか申し上げにくいのではないかと存じます。
  215. 新村勝雄

    ○新村委員 いま局長のおっしゃったようなことは、何の費目については何と何の補正をするという程度のことしか明示されていないわけですね。ところが五十三年度からは国調の資料も全然変わってくる。そうなりますと、種地あるいは点数の運用についても、これはかなり変わるのじゃないかと思います。そういう点についての明示がほとんどないですね。そこらについてはどうなんでしょうか。
  216. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいまの点につきましては、局長からも御答弁申し上げましたように、五十三年度におきましては、五十年度の国勢調査結果が判明いたしますので、当然態容補正の適用の基礎となります種地の算定内容が大幅に変更されます。具体的に申しますと、たとえば種地のうちの甲地の計算基礎に用いております人口集中地区人口、それから経済構造比率、これにつきましては当然五十年度、現在は昭和四十五年度の国調人口のデータを用いておりますが、これが五十年度に置きかわります。それから乙地の場合で申しますと、昼間流出人口比率、それから経済構造が新しいデータに置きかわります。これらにつきましては、従来の点数の配点をそのままにして新しいデータを投入しますと、団体によってかなり大幅な変動要因が出てまいります。これらについてはその変動したままで、すなわち四十五年国調人口によって点数計算を決めた時点のままで五十三年度に適用することがいいのか、それとも五十三年度財政実態、具体的には五十一年度の決算あるいは五十二年度の実績見込みなどを基礎にして、各費目ごと財政需要の実態と、それからこの変更するであろう態容補正の種地の状況、これをにらみ合わせながら最も妥当な点数配分をするにはどうしたらいいのかということを、一部コンピューターなども使いまして何遍も何遍も試算をしておるわけであります。その間、先ほど申し上げましたように、関係団体の御意見なども十分拝聴しながら、最も妥当な結論を出したいということで作業を継続しているところでございます。
  217. 新村勝雄

    ○新村委員 現在の時点で、少なくともアウトラインは伺いたいわけですけれども、できないということであればこれはやむを得ないのですが、そうなりますと、今後の交付税事務の、事務というか政策も入ると思いますけれども、年間のスケジュール、いつどういうことをして、何月何日ごろ補正係数が決まって、額が決まる、交付されるという、年間のスケジュールをひとつお伺いをしたいと思います。
  218. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 例年の状況をまず申し上げますと、五月下旬ごろから六月上旬ぐらいまでにかけまして、マクロのデータを基礎にして態容補正係数その他の係数について、改正の方向のいろいろな議論をいたします。そうしてその場合に、各団体に及ぼす影響が非常に大きいものでありますから、一応試行錯誤と申しましょうか、改正試案のようなものをつくりまして各団体に送り、各団体において試算をしていただきます。これが六月中旬から七月上旬にかけてであります。その試算結果を集めて、さらにそれが具体的に各団体にどの程度の影響が出るかを確認した上で、もう一度係数の再検討を行いまして、最終的な算定のための計算事務に入ってもらうのが、市町村分については通常七月上旬、都道府県分については七月中旬であります。  一方、同じ時期において基準財政収入額の算定基礎となるデータも収集いたしまして、並行して作業をいたします。そういたしまして、この七月上旬から中旬にかけて行います算定会議によって算定方法を最終的に決めまして、これによって各団体の計算をしていただく。この計算結果が上がってまいりますのが八月の上旬であります。その八月の上旬において、各団体の計算内容に誤りがないかどうかを全部チェックいたします。そのチェックが終わるのが大体八月の中旬であります。その時点で財源不足額と普通交付税の総額との対比を行いまして、普通交付税の総額に対して財源不足額がオーバーする場合には、いわゆる調整率の適用が必要になってまいります。この調整率を適用して、具体的に各団体ごとに五十三年度分としての普通交付税が幾らになるかという点の最終的な数字が出てまいりますのが八月二十日ごろであります。そうしてそれを見きわめた上で、通常八月二十五、六日ごろから、最悪の場合でも八月三十一日までに五十三年度分の普通交付税の決定を行う、このようなスケジュールになっております。  五十三年度の場合には、先ほど来申し上げておりますように、普通態容補正の適用の基礎となります種地の再計算という大きな作業がありますので、例年よりも若干手間がかかるかと思いますが、いずれにしても、八月三十一日までの決定は絶対に守りたい、このように考えております。
  219. 新村勝雄

    ○新村委員 いまおっしゃった過程を経て決められるわけでありますが、本来ならばその決定がこの審議のときにお示しをいただけることが理想的なわけですけれども、それができないということであるならば、少なくともこの決定後に、関係書類なりあるいはその説明書類を国会の委員会提出をいただけるかどうか、お伺いいたします。
  220. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 八月算定が確定した段階で、その確定した内容についての御報告は資料をもってできると思います。
  221. 新村勝雄

    ○新村委員 確定段階の数字ではなくて、補正係数の算出の方法、それから係数の、要するに生の数字を補正していく、その全容ですね、全プロセスをわかるように説明をした資料をいただきたいということでございます。ここに自治省財政局で編集をした「地方交付税制度解説」というものがあります。これは売っていますけれども、これを見ただけではわからないのです。こうするのだという結論を出してあるだけであって、なぜこうなるのかということの説明がほとんどないわけであります。これではとても素人にはわからないわけでありますから、わかるように補正のプロセス、過程を説明したものをひとりお出しをいただきたいわけでありますけれども、ことしの八月ごろにお願いできますか。
  222. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 この補正係数編の基礎数値も、先生いまお持ちのように膨大なデータでございます。したがって、さらにそれの積算の根拠まで印刷してということになりますと、本にして数冊ということになってしまう可能性もあります。したがいまして、とにかく八月までに答えを出さなければいけないということで何事をおいても作業は進めておるわけですが、その作業の内容についての御説明ということになりますと、九月以降、関係データを整理して、御指示があれば必要な関係部分について御説明ができると思います。  ただ、すべての係数の積算の過程、すべての基礎についてということになりますと、その補正係数編の本のまた何倍かのデータということになりますので、実際問題としてこれはむずかしいと思います。そういう意味で、必要な部分の御説明につきましては、御指示があればいたしたいと思います。
  223. 新村勝雄

    ○新村委員 必要な書類というか、資料の御提出をお願いいたしますので、その部分についてはぜひお願いをいたしたいと思います。  次に、やや具体的な問題ですけれども、補正のうちで態容補正というのがありますけれども、これがかなりの影響を持つと思います。これは種地あるいは評点、それらが経済構造や国調の結果を用いて出されるようでありますけれども、これが五十二年度からは五十年の国調を使う。また宅地の平均価格については五十年のものをお使いになるということでありますけれども、それでよろしいわけですか。
  224. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五十三年度における作業といたしましては、国勢調査結果に基づくもの、すなわち人口集中地区人口でありますとか、経済構造あるいは昼間流出人口比率、それから人口減少率、こういったものはいずれも五十年国調の結果を用います。それから宅地平均価格指数につきましては、五十一年度のデータを使う予定であります。
  225. 新村勝雄

    ○新村委員 これは別のことになりますが、関係資料のうちで五十三年度の単位費用の金額が示されております。これの決定の根拠、積算の基礎等はどうなっておりましょうか。
  226. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 各単位費用ごとに、その標準事業費特定財源、差し引き一般財源、それからそれぞれの測定単位の数値並びにこれによって割り返したところの単位費用、この経過につきましては、国会資料として別途提出してございます。
  227. 新村勝雄

    ○新村委員 資料はいただいておりますけれども、それの積算の根拠については明示をされていないと思います。その内容でございます。
  228. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 その積算のさらに詳細な基礎につきましては、例年法律を御承認いただいた後で印刷物として提出してございますが、相当大部なものでございますので、従来から審議段階ではその総額というか概要だけで御了承をいただいているところでございます。
  229. 新村勝雄

    ○新村委員 たとえば単位費用の割り増し率が皆違うわけですね。その中で徴税費だけが全然変わらない。あとの費目は、比率は変わっておりますが、皆若干ずつ上がっておるということであります。これは何か理由があるのでしょうか。
  230. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 各費目ともそれぞれ別途提出してございます人件費の統一単価、その他物件費等の単価を用いて積算するわけでありますが、各費目によってかなりばらつきがあります。そのばらつきの理由の一つは、経費全体の伸びに対して特定財源に異動がある場合、たとえば使用料、手数料の引き上げがある場合は差し引きとしては伸びが悪くなる。具体例で申しますと、高等学校費などは授業料の値上げを予定しておりますから、全体の経費の伸びの割りには単位費用は伸びが悪くなっておる。国庫補助率の変更などがありました場合にも、標準経費の伸びと単位費用の伸びが変わってまいります。  ただいま御指摘の徴税費でございますが、徴税費の場合には、府県の場合には個人事業税、市町村の場合には市町村民税の所得割を基礎にして単位費用を計算してございます。この場合に標準経費がふえましても、そのふえる割合が標準団体の想定された税収の伸び率と同じである場合には、税額当たりの単価は変わらない、税の伸びよりも経費が下回る場合には逆に三角が立つ、こういう関係になろうかと思います。
  231. 新村勝雄

    ○新村委員 単位費用は各測定単位の金額でありますから、行政費用が全部圧縮されて出ているわけですね。たとえば、この中に人件費が、給与費がどれくらいであるか、それ以外の費用はどれくらいであるか、そういう比率が圧縮されたわけですから、そういう割合があるわけですね。その割合はわかりますか。
  232. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 各費目ごとにそれぞれ計算はできます。御指示があれば、その費目についての算定結果は御報告させていただきたいと思います。
  233. 新村勝雄

    ○新村委員 お願いすれば承知していただけるということですね。  それから、これは先ほどのことになりますが、五十三年度からその基礎が変わるということですね。国調の基礎が変わる、あるいは宅地平均価格の年度が変わるわけでありますけれども、種地あるいは評点、この制度なり方法は踏襲されますか。
  234. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 先ほど申し上げましたように、基礎のデータが変わることによって、従来のままの評点でいきますと、団体によって相当大幅な変動が出てまいります。そこで、五十三年度のデータによって、五十三年度財政需要計算上最も妥当と考えられる新たな配点基準というものを模索する形で現在いろいろな検討作業を進めている状況でございます。その際に各地方団体の御意見なども聞きながら、私どもとしていま問題意識を持っておるのは、中核的な都市を甲地、中核都市の周辺都市、大都市の周辺都市のような都市を乙地、いずれにも属さない田舎の市町村を丙地と、現在三つの区分にしておりますが、一番大きな問題としましては、最近における都市化現象の普及といいますか一般化といいましょうか、こういうようなことから、従来のように乙地と丙地の差というものを維持するのに積極的な理由があるのかどうか、この点について全国町村会などから大変強い意見が出てきております。この点については、財政需要の実態と係数との関係を私ども種々検討しておりまして、一つの方向として甲地、乙地、丙地の区分を五十三年度からやめた方が妥当なのではないかという考えを持っております。この点についてはさらに地方六団体の御意見なども十分伺いながら結論を出したいと思っております。  もう一つの問題は、乙地の点数計算におきまして、従来中核都市としての甲地からの距離の要素あるいは中核都市との間の人の出入り、具体的には昼間流出人口比率によって、乙地の行政需要が中核都市の影響を非常に強く受けているという実態を考慮して、甲地からの距離について五百点という配点がなされ、昼間流出人口比率について三百点という配点がなされております。さらにその都市自身の都市化の程度を示す指標として、経済構造比率百点が割り当てられる。同じくその都市の行政需要を示す指標として宅地平均価格指数に百点が割り当てられておったわけですけれども、これらの点については東京都下の市町村の状況、大阪府下の市町村の状況などをその後いろいろ承ってみると、中核都市からの距離、流出入人口比率よりも、やはりその都市自身の経済構造比率、宅地平均価格指数という要素がより強く反映しているのではないかという意見が強く、私どもいろいろ分析してみますと、そういう傾向が強いように思います。  そこで、現在の配点基準は中核都市との関連に非常にウェートを置いておりますけれども、その都市自身の都市化の程度にもう少しウエートを置いていいのじゃないかということで、この点も現在検討を加えております。  先ほど申し上げましたように、このような検討は当然丙地という問題をどう扱うかということによって、また甲地、乙地の種地区分にも影響してまいります。もう少し種地区分を細かくしてはどうか。現在甲地が八、乙地が八という種地区分になっておりますけれども、もし丙地四種地を廃止するということになれば、それぞれ甲地、乙地とも種地区分をもっと細かくすれば、各団体の財政の実態をより的確に反映できるのではないかという意見も強くありまして、いずれにいたしましても、これらの問題意識を持って、全国市長会、全国町村会などの意見も聞きながらより妥当な結論を得ますように検討作業を進めている状況でございます。
  235. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、現在の時点ではまだ種地区分の基準等についても決まっておらないということですね。これはわれわれが考えますと非常におかしな話でありまして、少なくともいまの時点で、五十三年度交付税を審議する時点でその程度の方針さえも決まらないということは、われわれから考えると大変不思議なのですけれども、それでよろしいのですかね。そうしますと、ことしの交付税の審議については、五十二年度の要綱を見ながら議論しなければならない。方針がわからないわけですから、一番近い年度事態を審議しなければいけないということですけれども、それらの点、非常に不合理に思われますが、いかがでしょう。
  236. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、関係団体の御意見なども拝聴いたしまして、私どもの気持ちといたしましては五十三年度から、種地区分についてはできれば甲地、乙地の二つの区分で統一したい、すなわち丙地という区分はできれば廃止したいということで検討作業をいたしておりまして、できればそうさせていただきたい、このように考えております。
  237. 新村勝雄

    ○新村委員 御意見を伺ってということでありますけれども、その手だてをとれば、御意見はいままでに十分伺えたはずであります。現在まだ基本的な方針が決まらないということは非常に不満でありますけれども、これはやむを得ないことであります。  そこで、種地区分の問題ですけれども、たとえば甲地の評価点数を出す場合に、人口段階別の区切りがありますね。その区切りが年度によって非常に違っているわけです。五十二年度は二百八十万が最高ですか。そういたしますと、区切りを違えることによってその都市が配分を受ける交付税が結果的に相当違ってくる。恐らく何百万と違うのじゃないかと思いますね。ですから、そういう点で、よく激変緩和ということをおっしゃられますけれども年度によって区分を安易に変えられるということは、関係団体としては非常に不本意ではないかと思いますが、それらの点をお伺いしたいと思います。
  238. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 現在の点数区分は、昭和四十五年の国調データを基礎にして昭和四十八年度に決定いたしまして、その後点数区分そのものは維持しております。五十三年度についてはこれを全面的に見直したい、このように考えております。
  239. 新村勝雄

    ○新村委員 点数ではなくて、人口の区切り方が年度によって違うでしょう。その点を伺いたいと思います。
  240. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 五年ごとに行われる国調の間は点数区分は変更しないで計算をいたしております。
  241. 新村勝雄

    ○新村委員 次に、乙地の問題ですが、乙地については、その判定の基準は先ほどおっしゃられたように四つありますけれども、まず一つの問題として、この方針が五十三年度に踏襲されるかどうかまだわからないということでありますから、五十二年度のことで申し上げますと、甲地への距離で五百点配点をされておる。ところが、甲地への距離のとり方がいろいろあるわけでありまして、自治省としては市役所から市役所、東京、大阪については環状線の最寄りの駅、そういうことのようでありますけれども、市役所を起点にするということは必ずしも合理的でないと思いますね。たとえば市役所を新築して逆の方向に移転した場合、数キロ移動することは往々ありますから、そうなりますと、そこで何点か違ってくる、こういうことがあると思いますけれども、それらの不合理を是正するお考えはございますか。
  242. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 乙地の種地計算基準として中核都市からの距離の要素を用いておるわけでありますが、その場合にどういう方法によって距離をはかるかということについて、いろいろ昔から議論があったわけでありますけれども、いろいろな議論の末で最も妥当なやり方として、現在は乙地となる市町村の役場所在地から中核都市の市役所の所在地までの距離をとっておるわけであります。結局、これは全国的に距離の計算についても一定の割り切り方をせざるを得ない。そうした場合にどこからの距離をとるかということになりますと、やはりその各自治体、市町村の行政活動の中心地からの距離ということが最も妥当ではないか。ただし、東京の場合には山手線という非常に広い範囲の中心がある。東京都庁というよりも山手線の一番近い駅からの距離の方が実態に近いではないか、大阪も同様であるということで、東京と大阪だけはそういう特例を設けているわけでありますけれども、それ以外の市町村の場合には、やはり中核都市の市役所からの距離をとるということが最も妥当な計算方法ではないかということで割り切っているわけであります。  ただし、ただいま先生御指摘のように、たまたまある都市の市役所が移転した、その事実だけをとらえてみますと、そのことによって行政需要がふえたり減ったりすることはないじゃないかという反論が当然起こるわけでありますけれども、しからばそれ以外の距離の計算方法があるかといいますと、なかなか、これまでいろいろな議論があったのですけれども、駅がいいじゃないかといっても駅のないところもありますし、市役所以外の官公署といってもこれもまたいろいろな型があります。市町村に必ずあるのは市役所であり、町役場でありますから、必ずあるものであり、かつ行政の中心となるところからの距離ということに割り切らざるを得なかったわけであります。したがいまして、ただいま先生御指摘のように、その移転によって非常に大きな影響が出るというようなケースが起これば、それはまた一つの個別の問題として、その救済策はどういう方法が可能なのかという議論は別途なされるべきだと思いますが、いずれにいたしましても、乙地の計算基準としての距離のはかり方といたしましては、各自治体の行政活動の中心と考えられる市役所相互間の距離をとらざるを得ない、このような考え方に立っているわけであります。
  243. 新村勝雄

    ○新村委員 はかり方ですけれども、その団体のある地点、特定のできる地点、たとえば地理的に特定のできる中心の地点、あるいは甲地に一番近い地点というようなふうに、市役所でなくても特定のできる地点があると思います。ですから、そこらについてひとつ御考慮の余地があるかどうか、伺いたいと思います。
  244. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 実は、距離の計算につきまして、ただいま先生御指摘のように、役場が動いてしまったとか、駅の場所が変わったとか、いろいろなケースがありまして、これまでも論議があったわけでありますが、そこで、これらの不合理といいましょうか、そういったものを救済する趣旨もありまして、現在のやり方は、乙地から甲地までの距離を計算する場合に、それぞれ乙地から五百メートル、それから甲地の市役所から五百メートル、両方から五百メートルずつ引いたものを数値として使うということで、多少動いても半径五百メートル以内はカウントしないという形で、それだけ有利な計算をするという扱いを現在いたしております。ですから、五百メートルよけい外へ出ていけばやっぱり問題があるじゃないかということでありましょうけれども、通常甲地、乙地それぞれ五百メートルずつ、合計千メートル距離計算から控除するという、それだけ点数が高くなるわけですけれども、そういうことで救済しているわけでありまして、長い間この議論があったわけですけれども、私ども、これでほぼ各自治体ともやむを得ないであろうということで納得していただいているわけでありまして、現在これにかわる計算方式というのはなかなか思いつかない状況でございます。
  245. 新村勝雄

    ○新村委員 市役所の距離、あるいは場合によったらその経由の道路が、バイパスができたためにそれが主要な道路になって遠くなったというようなこともあるわけでありますので、それらについての救済策なり、あるいはもっと合理的な測定方法をひとつ御検討をいただきたいと思うわけです。  それから昼間流出人口、これは三百点配点されておりますが、単なる流出人口だけでその団体の経済構造なりあるいは財政需要の指標にできるかどうかという疑問があるわけです。流出人口はないけれどもその地域の中に大きな雇用をする工場があるというような場合には、これは、流出人口はないけれども同じような性格の経済的な実態があるわけですから、流出人口だけに三百点も配点するということはいかがかと思うのですけれども、その点御説明をいただきたいと思います。
  246. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 先生御指摘のように、この流出人口比率に対する三百点という配点が市町村行政の現状において妥当であるかどうか、この点については私どもも問題意識を持っております。現在の配点基準を決めた当時におきましては、その当時の財政需要の実態及び関係団体の御意見を拝聴しながら昭和四十八年度にこういう配点を決めたのでありますけれども、私ども最近の、たとえば首都圏における各市町村の実情などを承りますと、この流出人口比率というのはややウエートとしては高過ぎるのではないか、むしろその団体自身の都市化の程度を示す指標としての経済構造比率でありますとか、あるいは宅地平均価格指数により多くのウエートを置くことの方が財政需要の実態に合うのではないか、こういう感じを強めております。できればこの点についてもそういう方向で改善を図っていきたいと考えております。
  247. 新村勝雄

    ○新村委員 経済構造比率二百点、それから宅地平均価格二百点ということですが、宅地平均価格は、これは固定資産税の評価額だと思いますけれども、これは、全国的に見た場合に、必ずしもその土地の経済活動の実勢を映していないと言う向きもあるわけです。そこで、同じ国の方で、国土庁がおやりになっております土地の公示価格というのがございますけれども、これとこの平均価格が必ずしも一致しないわけです。国土庁の公示価格の方がまだ現在の時点における経済活動の実勢を映しているのではないかと思いますが、それらとの関連について伺いたいと思います。
  248. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 おっしゃるとおり、地価の実態との関連では、固定資産税の評価額よりも国土庁の公示価格の方が近いと思います。一般に固定資産税の評価額というのは、時価に対して大体四割ぐらいの水準だと言われております。そこで、財政需要額を算定する場合の地価の水準といいましょうか、そういったものは、当然私どもは実勢価格を念頭に置いて算定しているわけでありますけれども、態容補正係数に用いる指数は、全国平均に対する各地域の評価額の率であります。したがって、問題はこの絶対値でなしに、固定資産の評価額そのものが各地域の土地の価格の趨勢を反映しているか、要するにその比率が合っているかどうか、スライドしているかどうかという点が問題であろうかと思います。  この点につきましては、固定資産の評価と公示価格とは、私ども、税務当局の意見を聞きましても、全国的にほぼスライドしている。絶対値は四割ぐらいでありますけれども、傾向値としてはほぼ一致している、こういうふうに聞いておりますので、指数としてこれを用いる場合においては問題はないのではないかと考えております。  それから、何もそう実態に比べて低くなっている固定資産の評価額を使わずに、公示価格そのものを使って態容補正の基礎に使ったらいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、残念ながら地価公示の地点というのは全国でたしか一万五千程度ですか、非常に限られた地域しかありませんで、交付税計算はすべての市町村についてこれを行わなければなりませんから、すべての市町村についてデータがなければいけない。そういう意味では固定資産の評価額、宅地平均価格、これはすべての市町村についてありますので、これを用いているという実情でございます。
  249. 新村勝雄

    ○新村委員 測定の地点については必ずしも十分でないということであれば、これは明らかに公示価格の方が実勢を映しておる、これは事実が証明するわけでありますから。これと宅地平均価格を併用する、あるいは公示価格によって宅地の価格を修正するというような方法もあるわけでありますけれども、これらについてのお考えはいかがでしょうか。
  250. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま申し上げましたように、指数を出す場合には、全国平均の宅地平均価格で各市町村の宅地平均価格を割り返して指数化しているわけであります。問題は、その水準が実際の土地の価格に比べてどういう状況になっておるかということだと思いますが、先ほど申し上げましたように、具体の財政需要を算定する場合におきましては、私どもは、土地の価格は財政支出の実態を反映していなければいけませんので、実態価格といいましょうか、実勢を考慮して単位費用の内容等を決めているわけであります。ただ、団体間のばらつき、団体間のバランスを見る指標としては宅地平均価格指数が地価の相対的な上下の関係を最も正しく反映しているのではないか、このように考えておるわけであります。したがいまして、団体間のバランスを見る指標としての宅地平均価格と、それから絶対水準を見る場合の公示価格、これは違うレベルの問題ではないか。あくまで財政需要の絶対額を計算する場合には地価の実勢というものを反映していかなければいけないと思っております。しかし、市町村相互間のバランスを見る指標としては宅地平均価格が、その地点もすべてありますし、最も妥当なデータではないか、このように考える次第であります。
  251. 新村勝雄

    ○新村委員 なかなかよくわかりませんが、そこで甲地、乙地を含めて五十三年度の新しい基準をつくられるわけですけれども、その場合に、これはいま御答弁いただきましても、一、二、三、四、ともに確信がないお答えですよね。特に距離の問題あるいは流出人口の問題等、多くの疑問がそこにあるわけでありますので、それらの疑問、それからいままでの経験を踏まえてひとつできる限り合理的なものをつくっていただきたいわけであります。そうして非常に複雑な社会現象を計量的に示すこと自体に無理があるのだと思うのです。ですから、私の感じとしては、自治省さん、ちょっと考え過ぎではないかと思うのです。補正係数の決定にしても、余りに複雑な手続をしてやっても、それが必ずしもその地域の経済的な実勢あるいは財政需要をあらわしていない場合があるのではないか。ここに多くの複雑な算式がありますけれども、この算式がその各地域の実態を映しているのだという証明はないわけですね。たとえば代数なり幾何なりの式については証明できますよね。ピタゴラスの定理は、斜辺の二乗は他の二辺の二乗の合計に等しいと証明ができますね。ところがこれは証明できないわけですよ。どんなに複雑な手法を用いても、それが本当に経済の実勢を映しているかどうかということの証明ができない。自治省さんは自己満足に陥っていらっしゃるのではないかというような気もするわけです。余りに複雑過ぎる。ですから、先ほども議論がありましたけれども、もう少し単純にした方が、かえって実勢を映すにはいいのではないかという気もするわけです。ですから、それらも含めてひとつ五十三年度の新しい方針の決定に当たっては御検討いただきたいと思うわけであります。  それから、もう遅くなりますから簡単にやりますが、自治省さんは地方交付税法に基づいていわゆる地域の標準的な財政需要、標準的な行政レベルを決定されるわけでありまして、その決定したものがこれだと思いますが、この決定をする場合には何を基準にして決定をなさいますか。その概略をひとつ御説明いただきたいと思います。
  252. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 御質問の御趣旨は、単位費用の積算の基礎となっております各経費の標準財政規模あるいは標準行政水準をどのようにして決めているかということではないかと思います。この点につきましては、たとえば消防費などについては消防庁が定めております消防力の基準一つの目安にして、できるだけそれを充足するようにという考え方で、ポンプの配置でありますとか、職員の配置を想定しております。  それから、経費によりましては、法令その他の基準で直ちに交付税の積算に使えるようなもののないものもあります。こういったものにつきましては、地方の実情をいろいろ調べまして、その中から標準的——具体的には平均的なものを持ってきて、標準団体の規模にいたしております。その過程において、けさほど来の御議論でも申し上げましたけれども、一方においては、基準財政収入額について府県の場合には二〇%、市町村の場合には二五%を計算外に置いておりますので、標準と考えられる経費のすべてを歳出要素として立てられない分もあります。  そこで、現実の作業におきましては、法令の規定による義務的な経費についてはできるだけ、一〇〇%標準経費の積算の中に入れていく、それから各地方団体の選択によって変わり得る分、具体的には単独施策の系統の経費につきましては、控除された税収の二五%あるいは二〇%によって対処していただく、あるいは場合によっては包括算入によって対処していただくという趣旨で、各費目における想定された水準の一部だけが反映される、こういう形になろうかと思います。  いずれにいたしましても、毎年度年度標準団体の想定をいたします場合には、法令の規定による基準の明確なものについては、その法令の改正があればその改正に沿って、たとえば配置職員の数を変えるとかあるいは施設の規模を変えるというようなことを行いますし、それからそれ以外の法令の基準のはっきりしていないものについては、地方行政の実態をも踏まえながら逐次内容の改善を図るというような方法で対処いたしております。
  253. 新村勝雄

    ○新村委員 その方針はそれでわかりますけれども、標準施設を見ますと、人口十万そして百六十平方キロの団体では、現在のいわゆるシビルミニマムには達していないのではないかと考えられる向きがかなりあるわけであります。ちょっと気がついた点を申し上げますと、教育費については——ここでは教育費は一々学校を挙げておりませんので細かい点はわかりませんけれども、標準的な団体の標準的な配置を明示しなければこれは議論にならないわけでありまして、この次からはひとつそういう形をぜひとっていただきたいわけであります。  それから、教育費についても義務教育とその他の教育費ということになっておりますが、現在はいわゆる社会教育がかなり進んでおりまして、これからますます社会教育は充実をする趨勢にあると思います。特に余暇がふえていくということの中で社会教育の重要性はますます重くなっていくわけでありますけれども、社会教育がその他ということで一緒くたになっております。そしてここには公民館、図書館、幼稚園しかありませんけれども、いま十万規模の団体ですと、地方には文化センターといいますか大集会施設があるのが普通でありまして、むしろないのが少ないくらいであります。それからスポーツ施設にいたしましても、大抵の市町村に実際にあるわけであります。あるべき姿ではなくて実際にあるわけでありますから、それらを含めた社会教育という一つ考え方が必要ではないかと思います。  それから厚生費にいたしましても、老人福祉、措置数は挙げてありますけれども、これはどこへ措置するのか、施設がない。これはどこかほかの市町村の施設に委任をすれば措置はできるわけでありますけれども、どこでもそれをやっていたのでは結局行きどころがないわけでありますから、やはり十万規模の団体になれば特別養護老人ホームあるいは普通の老人ホーム、老人福祉センターという程度のものは必ずあるはずです。それが最低の行政水準ではないかと思いますけれども、それらについての配慮がどうであるか。  それから、職員の定数の問題がありますが、これについても大変に疑問があるわけです。これで果たして十万規模の自治体が完全に住民の要望にこたえて運営できるかどうか。特に徴税費で十七名ですね。十万規模の市役所で十七名の徴税吏員ではとてもやれませんね。どう考えてもやれないですね。この職員の定数の合理性という点で自信がおありであるかどうか。
  254. 石原信雄

    ○石原(信)政府委員 ただいま例示されました社会教育の経費でありますとか、社会福祉系統の経費、これらについては学校教育の経費あるいは生活保護その他の社会保障関係経費のような全国一律の基準ですべての団体に義務的に行われるものとは違うものですから、算入内容はそれらの義務的な色彩の強い経費に比べますとかなり下がっております。しかし、それだけでいいのだという意味ではありませんで、先ほども申し上げましたように、それらの施策は各団体の選択によってかなりバラエティーがあるという意味税収入の二割五分、あるいは包括算入というものが引き当てになって具体の施設が行われるという考え方に立っているわけであります。しかし、社会教育にいたしましてもあるいは社会福祉にいたしましても、私ども常に行政の実態というものをにらみながら交付税の標準経費としてどこまで掲示することが妥当であるかという意味での見直しはこれからも続けていかなければならないと思います。  それから職員数の想定の問題であります。徴税費を例示されましたけれども、徴税費については、現在は市町村分の場合ですと、市町村民税の所得割だけを想定してそこに単位費用をつくっておりまして、固定資産税とかその他の税目については所得割との比率で、いわば種別補正という形で数値を加えていく計算をいたしております。そういう意味で、普通の十万団体の市であれば、当然住民税だけでなしに、固定資産税も電気税もガス税も軽自動車税もいろいろな税があるわけでありますから、交付税の想定によりましても実際はもっと多い人員を想定しているわけであります。しかし、算定技術上、住民税の所得割を基準にして単価をつくり、それにほかの税目を種別補正という形で加えていくという方法をとっているために全貌がそこには示されていないという制約がございます。これらについては、単位費用のつくり方の問題として私自身も今後の検討課題であろうと思っております。  いずれにいたしましても、個々の費目をとってみますと、たとえば消防費について言いますと、常備消防と義勇消防の割合によって現在の交付税の方が多いではないかという御指摘もありますし、また少ないという御指摘もあります。あるいは清掃費について言いますと、直営一本でいっている団体と民間方式をとっている団体では、職員数が大幅に違います。保育所の場合でも幼稚園の場合でも、民間のシェアが大きい団体と直営のシェアが大きい団体で非常に差があります。いずれにいたしましても、個々の費目によって、団体によって非常に差があるわけでありますけれども、私どもとしては全費目を通じて標準的な市町村の職員数の配置というものを念頭に置きながら、各費目にそれぞれ標準的な姿での職員の設置を想定しております。  それから、個々の費目ではバラエティーがあって適切に反映しないと思われるものについては、その他の諸費において共通職員というものを置いて、実際にはこれがその各団体によって個々の費目振りかわっていくという想定もいたしております。  いずれにいたしましても、全体としては地方の実態を踏まえて妥当な配置をしていきたい、このように考えております。
  255. 新村勝雄

    ○新村委員 これは先ほどの議論に戻りますが、要するに、補正の全貌がわからないと交付税の審議はできない。この人員は最小のものではないというお話で、時期的に大変ずれるのでだめだということでありますが、そういった点をこれから何とか御検討いただきたいわけであります。  大分遅くなりましたので、以上で終わりますけれども、要するにいわゆる財政民主化という見地から、交付税の配分の方式を初めとして、その運用についてもできるだけわかりやすいシステムあるいは体系をお考えいただいて、ひとつ国民にわかるような交付税体系を確立をしていただきたいということを特にお願いを申し上げる次第であります。  以上で終わります。ありがとうございました。
  256. 木村武千代

    ○木村委員長 次回は、来る二十日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十九分散会