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1978-04-17 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十七日(月曜日)     午後一時一分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       井上  裕君    石橋 一弥君       地崎宇三郎君    西田  司君       与謝野 馨君    加藤 万吉君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       和田 一郎君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      米里  恕君         大蔵大臣官房審         議官      渡辺 喜一君         大蔵省主計局次         長       山口 光秀君         大蔵省理財局次         長       副島 有年君         大蔵省理財局次         長       川崎 昭典君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 四月十七日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     石橋 一弥君 同日  辞任         補欠選任   石橋 一弥君     相沢 英之君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案につきまして、大蔵大臣出席されておりますが、出席時間が限られておりますので、質疑者各位におかれましては、質疑時間の厳守方をよろしくお願い申し上げます。  それでは、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 五十三年度の地方財政計画は、文字どおり国不況対策受けざらでありまして、借金によって公共事業のいわば国の下請をしておるという形であります。もし国が七%の成長に失敗するとすると、地方財政もまた立っていかないというような崩壊の危険性があるわけです。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、公共事業を含めまして今日の段階で全般的に見渡したところ、どうも公共事業景気浮揚に余り役に立ちそうもないという漠然とした見解が大方にあるようです。大蔵大臣はいまの段階でどういうふうに感じておられますか。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 ことしの予算編成でございますけれども、御承知のように、国の財政地方財政も非常に苦しい中にあるわけでございます。特に民間企業収益状況が非常に悪いのでございまして、その意味——従来、日本成長率で見る限り他国にそんなに遜色はないと私は思うのでございます。しかし、中身をよく見ておりますと、ほとんど、公共事業であるとか、率直に言って経常収支黒字、つまり輸出によって成長は保たれているわけでございまして、それが逆に申しますと、民間経済の盛り上がりが非常に少ないわけでございます。その経常収支黒字が、現在のような国際的な収支状況のもとにおきまして、世界からいろいろ言われているわけでございます。  また、国内的に考えてみましても、このままの形で財政主導型ということをぼちぼちやっているのでは、一体いつ民間経済主導型の本来の経済に立ち直るかということがちょっとわからぬわけでございますので、ことしは思い切って民間経済自律回復性に早く転化したい、できれば秋にでもなりましたら民間経済自律回復性を回復するようにというねらいをつけまして、財政主導型にいたしたわけでございます。  しかしそんなに役に立つか、こういういまの御質問なんでございますが、これはいろいろな評価がございますけれども、大づかみに申し上げまして、マクロの計算はいろいろ違います。違いますが、減税がいいかあるいは公共投資がいいかという限りにおきまして、かつてのような一・八倍の効果があることはあるいはないかもしれません。最近のモデルによりますと、それは一・三倍だとか出ておりますが、いずれにしても景気浮揚効果としては公共投資の方があることだけはもう間違いないだろうと思うのでございます。  それから、あわせ考えますと、日本租税負担は、御案内のように、普通の先進国の大体三分の二でございます。その中で、所得税住民税を含めまして大体二分の一、消費税は三分の一、全体で三分の二、恐らくこれが日本租税負担の現状ではないかと思うわけでございます。  片や財政を考えてみますと、国も地方も大変な借金財政でございまして、この上ただでさえ軽い所得税住民税減税をやることは将来の財政再建に非常に大きな影響があるわけでございます。減税はいつでもだれも反対する者はないのでございますが、さあいよいよ財政再建だ、これからひとつ負担増をお願いいたしますということになりますと、なかなか容易ならぬのでございます。そういう意味で、減税より公共投資の方が効果が大きいということ。それから租税負担が軽いということ。もしここで減税をやりますと、効果が低いだけでなくて将来の財政再建が非常に苦しいということ。  もう一つ、今度は逆に社会資本の方はどうかと申しますと、ストックで考えますと、諸外国よりまだずいぶんおくれておるわけでございます。高度成長時代になりましてから、日本はフローでは恐らく公共投資を一番伸ばしてきたのでございますが、ストックではまだずっとおくれておるのでございます。ですから、景気政策社会資本の充実、特に社会資本の中でも生活関連公共投資がおくれているという御指摘がございますが、そのとおりでございます。その方面に重点を置きつつ、社会資本の整備と景気を拡大したいというのでやっているわけでございます。  ただ、いま七%の話が出ましたけれども、われわれは非常に容易ならぬことだと思っているのでございますが、不可能であるとは考えていない、このようないまの見通しでございます。
  5. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまの大臣お話を聞いていると、不可能ではないと言うけれども、何か途中のプロセスが非常に漠然として、実際にできるのかできないのかわからないようなお話ですが、公共事業一本やりでいままで進んできました。しかし最近の大勢は、公共事業一本やりではなかなか七%を達成できないのではないかという空気のように思われます。  たとえば三月二十九日の宮澤さんの発言でも、一番ネックになるのは個人消費じゃないか、これが七%達成のかぎになるような感じにだんだんなってきておるわけです。  そこで私どもは、それでは現在の状態で個人消費を刺激するような方法になっているかと考えますと、いま盛んに春闘をやっておりますが、春闘も抑え込んでしまって賃金を抑え込む。預金金利をどんどん下げて、この間の日銀の計算では、個人の預貯金の目減りが九千八百億になっている。円高も、下げようと思って土曜日に計算すると月曜日に上がってくる。二百十円台になってしまった。この間の東京都の調査では都内の下請中小企業の六割は非常に深刻な影響を受けている。倒産がどんどん続いて、百三十万を超えるような失業者。しかもこれが減りそうにない。一方、国民負担公共料金がどんどん上がる。特に国民医療費はもう少しで二十兆円になる。一番末端の負担力がない国民健康保険を考えてみますと、毎年二万円ずつ上がって十二万円が十五万円になり、十七万円、十九万円になっている。大変な上がりようです。  こういうことをずっと考えてきますと、どうも個人消費を刺激するような政策ではないじゃないか。しかも非常に円高であるけれども、それがさっぱり物価にはね返ってこない。はね返ってこないばかりじゃなくて、公共料金なんかこれからまた上げようとしている。東京電力でも中部電力でも円高差益が百億もあると言われているのに、さっぱりそれが据え置きで、電気料金が安くならない。ビールも、キリンビールなんかずいぶんもうかっているようだけれども、ビールが安くなった話も聞きませんし、逆に値上げをするというような動きさえある、こういうふうに考えてみますと、一体個人消費というものが高くなるという要素がどこにあるか。一方、円高の買い支えのために金が余ってしまって、やり場がない。土地もだめだから、設備投資もやれないから、しようがないから株でも買っておけというので、株の値段がダウ平均で三月で五千三百六十円にもなっている。物価高の要因にさえなっておる。こういうことをずっと考えてみますと、一体どこが個人消費を刺激してこれから急速に夏から秋あたりにかけて個人消費が伸びるという要素になっているのか、どうも私らにはよくわからぬ。しかも、いま大臣お話を聞いてもわかりますように、公共事業が一番いいというのでほとんど公共事業一本やりで来ているし、それから、逆に減税どころじゃなくて増税しなければいけないというような話でしょう。そうしておいて、一体どうして個人消費が刺激されるのか、どう考えてもよくわからぬのですが、ひとつ頭のいいところで、よくわかりますように教えていただきたいと思うのです。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 これは本来経企庁の所管なのでございますが、私たちも閣僚の一人といたしまして、計算の根拠は知っているわけでございます。  御承知のように、名目でことしは一一%強でございましたか、それぐらい見ているわけでございます。そのうち雇用の増を一・五ぐらい見ておりますから、一人当たりの個人消費の方の増は九%ぐらいだろうと思います。経企庁説明によりますと、そのうちいわゆるベースアップに係る分というのは、全体として、これは個人消費でございますから、雇用者所得、それから事業所得財産所得、いろいろあるわけでございますが、そしてまた雇用者所得の中にも所定外労働時間の問題とか、あるいは消費性向の増という問題があるわけでございますので、結果として、春闘の対象になる所定内の労働賃金については九%といっておりますけれども、そのうちの三割ぐらいを見込ましていただいておる、こういう説明であるわけでございます。今度の春闘、どうなるかわかりませんけれども、それが果たして三割ぐらい名目でいけるのかどうか、これが一つのポイントだと思います。  それからもう一つ、われわれが見ておりますのは、大体日本消費性向というのは、オイルショック前は可処分所得を基準にいたしまして八〇%というのが常識であったわけでございます。ところが、オイルショック後を見ておりますと、それがいま大体七五ぐらいにまで消費性向は下がってきておる。それの経企庁における説明といたしましては、やはり一つ物価不安、消費者物価が上がるという傾向のもとで、それからもう一つは、企業収益が悪くなって、雇用関係が非常に不安になってきた。この二つの不安要素があるために貯蓄性向が高まって、やはり将来の生活防衛ということで貯蓄性向が高まっておる。五%上がっておるのは恐らくそのせいであろうというようなことをいろいろ経済白書その他で言っておるわけでございます。そうであるといたしますと、消費者物価は御承知のようにもう対前年同期比で四%台になっているわけでございますから、その意味で、不安要素一つ除かれてくるのではないであろうか。それは消費性向を高める方向に働くであろう。  それからもう一つは、企業収益が一体どれぐらい回復するか。実は、今度の内需の拡大、あるいは公定歩合の引き下げによりまして史上最低金利水準をねらっているわけでございますけれども、これはやはり企業収益好転方向に向けるであろうということを期待いたしているのでございます。  その辺やや詳しく申し上げますと、企業収益ピークは四十八年の九月期、これが一番いいわけでございますが、そのときの経常利益率を見てみますと、たしか三・六%、これは日本世界でも非常に低い方なのでございますが、あれがピークでございました。五十一年度の実績しかわかりませんけれども、この経常利益率を見てみますと、一・八に落ちておるわけでございます。経常利益率が半分になっておる。何がそのように経常利益率を下げているのか。一番大きな要素は、人件費要素でございます。それから、第二番目の問題が金融費用であるわけでございます。これはもう当然のことながら、人件費の問題は消費者物価の高騰と非常に関係の深い問題であるわけでございますし、金利水準は、やはりそれは資金需要関係のある問題でございます。今度は、その点から申しますと、少なくとも企業の成績は一種の底にいきまして、これから好転に向かうのではなかろうかとわれわれは予測いたしているのでございます。そういたしますと、物価不安のほかに雇用不安もある程度いい方に解消していくであろう。そのことは、消費性向の方にプラスの方に働くであろう。その辺を考えてみますと、名目で九%という消費の増は必ずしも不可能でないのじゃないか、こんな感じがいたしているところでございます。
  7. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは経済企画庁の問題でしょうから、大臣から一応お話を聞いただけで、あれします。  自治省が今度提出しました地方財政収支試算によりますと、ケースのI、II、IIIとも公債費がどんどん多くなってきております。そのことをこの自治省計算で見ますと、公債費が、五十二年度の一兆七千三百億がことしは二兆二千四百億、来年は二兆五千四百億、五十五年度では三兆七百億、五十六年度は三兆六千三百億、五十七年度は四兆二千三百億と、どんどん増加していっておるわけです。一方で、こういう比較はいいのか悪いのかわかりませんが、地方債の方を見ますと、五十三年度が四兆百億、五十四年度が三兆九百億、五十五年度が三兆五千九百億、五十六年度が四兆一千二百億、五十七年度になりますと四兆七千二百億という数字になっておりますが、これを公債費地方債比率を比較してみますと、五十三年度のことしは五五・八%ですが、来年になりますと八二・二%になる。五十五年度になりますと八五%、五十六年度になりますと八八%で、最終年度の五十七年度になりますと八九・六%という比率になるのです。公債費は、これはいままで借りた金を返すのですから、このとおりにいくだろうと思いますが一地方債の方は、これ以上地方債がどんどんふえて財政が拡張されることはないだろう、むしろ逆にこれより少ししぼんでいくんじゃないかというような感じがいたしますので、この数字を見ますと、借りた金を全部借金のために返さなければいけない、そういう形がはっきりこの中にあらわれておるのです。場合によっては、公共事業なんかをある程度縮小していくことになる。公債費の方は変わりませんので、借りた金で借金を返してもまだ足りないという、ちょうどいまの国鉄と同じような財政の形になってしまうんじゃないかということを、これを見ると非常に心配されるわけです。とのまま放置しておくわけじゃなくて、増税したり国から入ってきたりいろいろなことがあるでしょうが、少なくともこれだけ見ると、そういう心配が非常に強いわけです。膨大な借金財政です。国鉄のあれを見ましても、ローカル線も新幹線も全部借金でやっておる、そしていま結果はどうなっておるかというと、ごらんのような形になるので、結果的にああいうような形になるという心配が非常に強いと私は考えておるわけです。  さらに、今度自治省大蔵省でとりました二分の一方式、これを見てみますと、五十年度、五十一年度にもこの方式を充当するというのですが、五十年からことしの五十三年までみんな合わせますと二兆円か二兆五千億くらいに地方負担する金額がなるだろうと思います。それから五十四年度から五十七年度——六十年をピークとして見ますと、五十七年度くらいまでが関係が出てくるわけですが、これをいまの五十三年度の二分の一方式で七千億にして計算してみますと、大体二兆八千億、三兆円近いものになってきます。そうしますと、六十年をピークにして考えてみますと、六千億か七千億くらいを交付税特会から返していかなければいけない、それだけ総額が減ることになりますね。これは膨大な金額が減ってきて、いまでも足りない交付税総額の確保という面から非常に難渋を来し、一方では、借りた金は全部借金で返さなければならない、一方では、よりどころである交付税総額がどんどん減っていく、こういうことになりますと、大変な事態になるわけです。  十三日に参考人学識経験者並びに市長さんと村長さんを招きまして意見聴取いたしました。そのときもこの問題が非常に強調されたわけであります。だから、二分の一方式というものは非常に評価されておりますし、ある程度評価されるところもありますが、これを当分の間というのはいつまで続くのかわかりませんが、これをかなり長いこと続けますと、大変な問題になってくる、こういうふうに考えられるわけです。  そこで、簡単に申し上げますと、この事態というものは緊急避難事態であるとたびたび政府は申しておりますので、緊急避難であるならば、この交付税特別会計の問題と公債費の償還の問題、これに対して何らかの措置を講じていかなければいけない。たとえばこの前の予算委員会で私が提案しましたように、地方債を十年じゃなくてもう少し延ばすとか、あるいは交付税特会で返していくのを二年据え置きの八年じゃなくて、もう少し延ばしていくとか、あるいは臨特でこれを後から政府がカバーしてやるとか、何かしらんこういうような方法を講じてやりませんと、もっていかない。増税をするといっても国が十兆円、地方が四兆円なんという増税をしたら国民の方がひっくり返ってしまう、こういう感じもありますので、何かしらんこれに特別な緩和の措置を講ずる、そういう意思についてお伺いしたい。
  8. 村山達雄

    村山国務大臣 いま国も地方も非常に財政難でございまして、収支試算でお示ししたところも、国とそう大した違いがない、同じように困っておるという姿がよく出ているわけだろうと思います。  一般的に申しますと、これは国の方で計算したわけでございますけれども、四十九年から歳入歳出が一体どういうふうになっているかというのを見てみますと、大体歳出の方は年率二〇%近く伸びているわけでございます。平均で今日まで大体二〇%ぐらい伸びている。それから普通歳入の方はまさに一〇%ぐらいでございまして、その差が実は一〇%でございまして、それが国も地方も同じ状況だと私は思いますが、ほとんど公債にしわ寄せになっておる、こういう姿が出ているわけでございます。  言いかえてみますと、歳入という方は、現実経済を反映いたしましてそのままの形で現行税制の中で収入が入ってくるわけでございますので、これは現実の姿なわけでございます。ところが、歳出の方は相変わらず、言ってみますと高度成長時代一種の、それはいろいろな要請がありましょうけれども、結果としては高度成長時代歳出増を続けているわけでございます。その差がいまの財政のピンチになってあらわれているわけでございます。  そこで、私たちは国でも、それから地方におきましても同じように財政収支試算をお示ししたわけでございますが、これはいま経済成長は大体実質六%強、名目でデフレーターをもし六%ぐらいにすれば大体一二%ぐらいということが中期経済計画の基本になっているわけでございます。若干ずれておりますけれども、それで五十七年までフォローアップいたしまして、そして財政再建をやりながら中期経済計画が可能であるかどうかということを試算いたしましたのが、実はこの国税につきましても地方税につきましてもお示ししているところでございまして、理論的には可能だ、こういう数字が出ているわけでございます。  そこで、いや、それにしてもずいぶん国税地方税負担増を求めるじゃないか、こういうお話でございます。試算でお示ししていますように、今後の歳出というものは、ことしは御案内のように、臨時異例でございまして、普通会計で国は二〇・一%、地方はたしか一九%ぐらい伸びていると思います。それを今後一五%ぐらいの線に抑えていく、それによって大体六%強のあれができるかどうか、それはできるという結論になっているわけでございます。だから、歳出の方もかなり厳しく選択していく、同時に一般的な負担増加も求めざるを得ない、それは一体どういう税目でやるかというようなことはいずれも書いてございません。ただ、国の方といたしましては、ケースCでございますと、大体今後五年間ぐらいで十兆円ぐらいの負担増を求め得るという試算が書いてあるわけでございます。それに対応いたしまして地方の方も歳出を国と同じように圧縮し、あるいは選択し、それから地方税負担もやはりある程度負担増を設けていく、それによりまして中期経済計画の目的とするところの経済成長は可能だ、こういう数字になっているわけでございます。したがいまして、数字を見ますとびっくりするような数字が出ているわけでございますけれども、これはまだ試算でございまして、来年度どうするかということでなくて、とにかく可能な数字であるということだけ申し上げているわけでございます。  先ほど委員がおっしゃいましたように、このままでいきますと国も地方公債費の増額だけで大変なことでございますし、そのまま放置いたしますれば、やがて新規政策要請に応ずることができないほど国、地方財政は硬直化するであろう、また、同時に金融面から考えてみますと、民間資金需要が出てきたときに、財政は急に縮めるわけにはなかなかいかない性質のものでございます。公共投資の方は恐らく民間資金需要が出たときには調整することはできると思いますが、経常経費分というものはそうはいきませんで、全部法律の裏づけがあるわけでございますから、その意味でいまからやはり今後の歳出についてはよほど選択をして、有効なる方面に出すということ、それから負担増もある程度求めざるを得ないのじゃないか。いま、普通の先進国とわが国でいいますと、国税地方税合わせまして国民所得に対する負担率は大体一〇%ぐらい違いますので、その辺を考えて試算をいたしているところでございます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いまお話がありましたけれども、やはりこのままにしておいたら大変な事態になりますので、これからの過程の問題でいろいろ善処されるようにお願いいたしたいと思います。  そこでもう一つお聞きしたいのですが、この四月十一日の新聞報道によりますと、政府通常国会の終了するめどがつく五月中旬にも税制調査会を再開して、五十四年度に導入することを前提にして一般消費税具体案づくりに着手する方針だ、こういうようなことが出ておりました。この一般消費税というのは、地方税のあの外形課税にも非常に関連があるのですが、たとえば大蔵省が考えておられます具体的な内容について、もしありましたら、お伺いいたしたい。  それから一般消費税の五十四年度導入について、たとえば政府部内でも、大蔵大臣はやれという方ですが、宮澤さんや河本さんは余り積極的じゃない。こういうようなどっちを向いているのかちょっとわからないような二方向があるようです。いま大臣からお話がありましたけれども、財政上の問題から言うと、増税ということは必ず出てくると私は思うのです。しかし、景気浮揚という面からは逆に減税という問題が出てくる。いま政府は一体どっちの方向を向いているのか。財政を再建しようとするのか、景気を浮揚させようとするのか、この点が非常にあいまいだ。だから国民も、いま話したように、いろいろな不安があるものだから、財布のひもを締めてなかなか個人消費が伸びてこないということがあるのではないか。だから、ウエートの置き方を両方に置くというわけにはいかないので、はっきりどっちかに置くべきじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  大臣は、いま一般消費税というものを実際に五十四年度からやるつもりで具体的な検討に入るのか、そこらの御意思をお伺いいたします。
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 政府税制調査会では、しょせんはさっき言ったように、歳出の圧縮と同時に、一般的な負担の増を求めざるを得ない、その場合に、日本の税の構造からいいまして、一般消費税というものがやはり問題になってくるであろうという答申をいただいたわけでございます。それに加えまして、とにかく抽象論ばかりやっていないで、税制調査会で一遍具体案をつくって、それで世間に公表して、そして賛否の議論を問うべきではないか、こういう答申をいただいているわけでございますので、今年度、恐らく国会が済みますと、その作業にかかるのじゃないか。それだから何が何でもやってしまうということではございませんので、とにかく案をつくって、その案のよしあしというものを国民の皆さんから、また有識者の皆さんから、国会の皆さんから、いろいろな御検討をいただいて、そして最後に案を固めたいというスタンスでおるわけでございます。  それから、いま一般消費税の作業については、そんなことを考えているわけでございますが、景気との関連で一体どっちを優先させるのだ、こういうお話でございます。もちろん、われわれは同時達成をねらっているわけでございます。ただ二つの問題が言い得ると思うのでございます。  一つは、増税というものはだれでも何税であれ国民が好まないことはもう当然でございます。ただ、一般的な負担増加を求めたら、それなら景気は悪くなるかという問題になりますと、私は必ずしもそうは考えていないのでございまして、これは私の見解でございますけれども、どこからどの程度どのようにして負担を求めて、それを歳出方面でどの方面にどのように出すのか、つまり、いただいたものは全部出すわけでございますから、歳入歳出の両方の効果を通じまして、それが景気浮揚の方にいくのかいかないのかというのは、歳入歳出両面を考えなければならない。ただ、心理的にどんな税であろうが増税はきらいだ、これはよくわかるわけでございますけれども、財政当局といたしましてはそうばかり言っておれないわけでございまして、歳入歳出を通じて最終的にどういう経済効果を持つかということをやはり考えるべきであろう、これが第一点でございます。  それから第二点といたしまして、やはり経済成長を阻害するようなことがあってはたまらぬわけでございます。その意味で、できるならば経済が安定したときが一般論といたしまして望ましい、それは私は言い得るだろうと思うのでございます。ある程度の見通しがついたときの方が、さっきの議論とはまた別にいたしまして、わりと安定したときの方がやりやすいな、同じ景気浮揚を図るにいたしましても。いまそのような三つのことを考えているわけでございます。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 一般消費税は検討はするけれども、経済の安定と見合わせてこれを実施するのが一番いい、こういうようなお話でございます。  それで、税の問題についてもう一つお伺いしたいのですが、例の医師優遇税制ですね。これについて私がこの前の予算委員会加藤自治大臣に質問いたしましたならば、地方税についても国税の作業の進みぐあいとにらみ合わせて検討するというようなお話でありました。そこで、この問題は五十三年度限りとするという自民党税制調査会のあれが出ておるようです。大蔵省としては、これを五十三年度限りとするというと、今年度じゅうにこの法案を出さなければいけないわけですが、大蔵省としてはこの問題について、この国会あるいはこの次に想定される臨時国会かに出すようなつもり、あるいは準備をしておりますか。
  12. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題は、ただいま委員御指摘のように、自由民主党が今年度限りにします、それに関連する諸制度の改正の問題についても同時に考えてやります、いずれにしてもいまの制度は今年度限り、こういうことで作業を進めることになっているわけでございまして、政府といたしましても、当然自由民主党の作業と同時並行的に作業を進め、協力関係を保ちまして、そして妥当な結論を出したい。いずれにしても今年度限りでやめるということでございますので、その方向でやってまいりたい。それがいつ成るかということは、党の方の作業と並行してやっていきたい、このように思っております。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これはもう時間がありませんから最後の質問ですけれども、いま盛んに政府あるいは与党、それから野党あるいは民間学識経験者国民の中にも補正予算を組めという声が非常に高くあります。自民党さんの幹部の方々にもそういう声がかなりあることが伝えられておるわけです。ところが、この問題は非常に異常なことでありまして、当初予算というものはこの間の四日に通ったばかりなんですね。そしてまだ予算関連の法案をこうして盛んに審議しておるわけです。そういうさなかに、もう早ければ今国会、九月では遅いから六月に補正予算を出せ、しかもその内容がほとんどみんな減税だという、いまの政府の予算方針と全然逆のあれが非常に強く出ておるわけです。私は、これはまさに異常な状態であって、いわば当初予算に対する不信任みたいな、総スカンを食らったようなかっこうじゃないか、こういうふうに思うのです。いわば福田内閣に対する不信任状だ、こんな感じを非常に強く持つのです。われわれがもう少し力が強ければ、解散か総辞職かというところかもしれませんけれども、残念ながらそこまでいくかどうかわかりませんけれども、非常に異常な事態だと思うのです。これにつきまして、予算を編成した大蔵大臣としてどういうようなお考えを持っておられるかお聞かせいただきたい。
  14. 村山達雄

    村山国務大臣 われわれは、当初予算を編成いたしまして、その後の金融措置とあわせまして、先ほど申しましたように、そんなに容易なことではないけれども達成不可能だとは考えていないのでございます。したがいまして、補正予算はいまのところ全然考えていないのでございます。  世の中の人がいろいろ御心配になってくださるのはある意味で激励だと、こう思って受け取っておるわけでございまして、この間、公定歩合を三・五%に下げた、その日のうちにもう一段下げろという議論がどこかで出ておりました。本当に日本人というのは先の先まで心配していろいろなことを考えてくださるのはありがたいわけでございますが、われわれとしてはこの既存の政策でその成果を見守っていきたい、やれるのではないか、このようにいま思っておるところでございます。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 終わります。
  16. 木村武千代

    ○木村委員長 小川新一郎君。
  17. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に自治大臣にお尋ねいたします。  自治省は五十三年度の重点施策として、一つ、国と地方の税源の再配分、交付税を三二%から三八・五%に引き上げる、法人事業税の外形標準課税化を図る、公営企業金融公庫の改組、石油新税を交付税の対象税目に加えることなどを挙げておったのが自治省の重点施策であると私は認識しております。  そこで、どれ一つ満足に実現したものはない。その満足はいろいろありますが、そこに立ちはだかるものが大蔵当局であるということは何回ものこの委員会で——きょうは大蔵大臣がおいでですから、あなたの部下がいつもここへ来て自治大臣とわれわれの議論の中で聞いております。何一つ取り上げても大蔵省が反対をする、そういう憎ったらしい大蔵省はどうだこうだという議論がいつもあるわけなんですが、これもお国のため万々やむを得ないということを承知してはおりますけれども、昭和五十四年度において自治省が残された課題をどのように実現していくのか、五十四年度重点施策にこの残された問題を、きょうは大蔵大臣のいる前で、ひとつあなたから明確に、これとこれは五十四年度重点施策にしたいと要望があれば、私も公平に聞いておきたいと思います。
  18. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度の予算は通していただきましたが、まだ関連法案は御審議を願っておるさなかでございますし、かつまた、五十四年度の予算要求をいたしますのは八月の下旬、かようなことでございます。なるほど、いま御指摘がございましたように、石油新税が創設されますならば交付税の対象にもしてもらいたい、また交付税も六・五%は引き上げてほしい、そしてもっと地方財源の充実を図ってほしい、かような強い願望を持っておりましたけれども、しかし、その中で、完全ではございませんけれども、目的を達し得たものもあるのでございます。  いま五十四年度の大蔵省への要求はどのような内容か、かようなことを御指摘になられましても、いま直ちに答え得る熟度には達しておらないのございまして、若干の期間がございますから、その間に十分検討いたしまして、大蔵省とよく話し合いをしてまいりたい、かように考えております。
  19. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、五十二年九月に発表いたしました自治省の素案が十二月の予算編成のときに後退した——少なくとも五十三年度に要求を出したものは五十四年度には引っ込めない、こう理解してよろしいでしょうか。それ以上のことを求めているわけでございませんから、五十三年度に出したものは五十四年度に実現させていただきたいというのは、これは自治省もお考えですか。
  20. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体は地域住民の無限の需要に対してこたえていかなければなりませんし、また地方財政の強化は最大の課題でございます。そこで五十三年度、要求いたしまして目的を半ば達し得たものもございますし、またそうではないものもあるのでございますから、ですから、五十四年度の予算要求に当たりましても、もとより五十三年度で要求いたしましたことを踏まえながら対処いたす、かようなことでございます。しかし、具体的なことにつきましては、まだこれから研究いたしてまいりたい、かように考えます。
  21. 小川新一郎

    小川(新)委員 大蔵大臣、五十三年度重点施策を七割か六割か知りませんが評価されている、これに対してはどうしても後退するわけにはいかないというのが自治省の考えのようでございますが、少なくとも昭和五十三年度の重点施策と同じものが五十四年度に出てきた場合は、これを後退させるようなことはないのでしょうか。
  22. 村山達雄

    村山国務大臣 いま加藤自治大臣がお答えになったのは、われわれもほぼ同じ感じでおるわけでございます。何分にもことしの最大の課題であります内外の経済均衡の問題とやがて来る財政の健全化、この大きな問題を同時に抱えているわけでございます。したがいまして、それらの成り行きがどうなるかということをよく見守っていかなければならないのでございます。  概算要求の提出期限は、八月末ということは慣例になっておりますけれども、その概算要求のいわば指針とも言うべきものをまずどういうふうにするかというのは、これからの経済を見ていかなければならぬのでございまして、そういったわけでございますので、内外の情勢を篤と見定めて、お互いに財政当局で車の両輪にあるわけでございます、したがいまして、自治省と本当に篤と御相談いたしまして、来年度の予算の組み方、財政当局のあり方、こういったところを緊密に連絡してすき間がないように編成してやりたい、現在のところはそのように考えているところでございます。
  23. 小川新一郎

    小川(新)委員 後ろ向きにならないことはもう間違いないと思います。  そこで、四月三十日、福田総理が訪米し、日米首脳会談が行われることになるのですけれども、大蔵大臣としては経済問題や国の財政の立場から、アメリカに対して何を要請するのか、大蔵大臣出席しないとするならば、福田総理に何を要望しておくのか。
  24. 村山達雄

    村山国務大臣 七月十六、十七日に、ボンでサミット会談が行われるわけでございます。やはりことしの最大課題はそれであろうと思うわけでございまして、福田総理が連休にかけて行かれるというのも、やはりその問題と相関連している問題だと思うのでございます。  問題は、世界的に考えますと成長率とインフレの問題、それからエネルギー政策の問題、あるいは通商交渉の問題、あるいはこれは成長政策と一緒に取り扱われるかもしれませんが、為替相場の問題が入るかもしれません。それから発展途上国に対する援助の問題、こういった五つの課題であろうと思うのでございます。  さしづめ、いまわれわれが特にアメリカ自体へ一つお願いしたいのは、これはもうほとんど異論がないところと思いますけれども、アメリカの石油の輸入が非常に増大しておりまして、それが国際収支の赤字の大きな原因になり、それがまたアメリカにおけるインフレになっているわけでございます。そのことは、基軸通貨国でありますだけに、逆に日本経常収支黒字に非常につながっているわけでございますし、また通貨不安につながっているわけでございます。したがいまして、基本的にアメリカでインフレ対策なりあるいはエネルギー対策というものをどう進めていただくのか、この点がやはり最大の問題であり、そのいかんによりましてわが国の国内経済的あるいは国際経済的な日本の立場にも大きく影響すると思うわけでございまして、恐らく総理もその点に最大の重点を置いてお話しになるでしょうし、私たちもまたそう思っておるところでございます。
  25. 小川新一郎

    小川(新)委員 それで、あなたは福田内閣財政を預かる大蔵大臣として、責任者の一人として、これだけは絶対に言ってもらわなければならぬという点がいまの点でありますか。
  26. 村山達雄

    村山国務大臣 さようでございます。
  27. 小川新一郎

    小川(新)委員 政府の五十三年度予算は一ドル二百四十五円を前提としておりますが、その後二百二十円、二百十八円台を記録するなど、急激な円高が進行中であります。今後、円はどのように推移すると考えておるのか、これは大蔵大臣に対して私が一番聞きたい問題でございまして、これがひいては地方財政にも大きな問題を及ぼすので、あなたの率直な御意見を承りたいと思います。
  28. 村山達雄

    村山国務大臣 この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、残念ながら見通しを申し上げるわけにいきかねるのでございます。また、私の見込みを通貨当局の立場として申し上げられる立場にもないわけでございます。  ただ、一般的に申しますれば、為替相場というものはやはり為替の需給関係によって決まってくる、これだけは間違いない話でございます。したがって、今後、円の為替相場につきましては、いわゆるメリットもデメリットもいろいろな要素が想像されるわけでございまして、できるだけメリットを発揮させる方向にすべての施策を持っていきたい、このように考えているところでございます。
  29. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、いま一番アメリカのカーターさんと福田さんがお話しし合いたいという問題もこの点にあると思うのですが、それもその前後の問題があって集約されてくるのです。大蔵大臣としての御見識を私はきょう聞いているわけでございまして、そういうことを発表すること自体が内外の経済に大きな衝撃を与えたり影響を与えたりすると理解していいのか、それとも二百十八円台、さらに下がるということになって、日本経済の見通しというものはどうなのか、その最悪の場合を考えていくのが最高の財政の責任者としての力であり、またパワーである。このことがあなたに与えられているからこそ、大蔵大臣としてわれわれが御信頼もしているわけです。また、大事なわが国のお台所、お財布をあなたにお預けしているのですから、その辺のところを一般論だけで、そこらの町の学者が言っているとか、われわれ素人が論評しているような問題でなくして、いまあなたが差し支えない程度のことはやはり私ども議員としてぜひとも聞いておきたいし、この問題は大事な問題であると理解しておりますから……。
  30. 村山達雄

    村山国務大臣 金融当局は、将来の為替相場に対して云々することはタブー視されているところでございまして、国際的にもそういう慣例が恐らく確立しておると言っても差し支えないだろうと思うのでございまして、具体的な見通しについては差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先ほどわれわれがアメリカに対して、この点だけはぜひ日本として強く要請しなければならぬという問題は、基本的に円高ドル安の原因になっておる為替需給を決定しておる大きな要因であるからであるということを御理解願いたいのでございます。
  31. 小川新一郎

    小川(新)委員 その問題は、アメリカ側に問題があるとして指摘するのですか。
  32. 村山達雄

    村山国務大臣 アメリカ側にも問題があるということでございます。もちろん、世界経済でございますから、相互関連性があるわけでございます。したがって、日本日本として、これだけの大きな経済国でございますから、現下の世界情勢のもとで、日本みずからが努めなければならぬことは当然でございまして、今度の予算編成は、まさしく国際的に見ればその立場で考えているわけでございます。したがって、アメリカについても同じことを要請してしかるべきである、かように考えているわけでございます。
  33. 小川新一郎

    小川(新)委員 相手があることでございますから、交渉があり外交があると思います。そこで、アメリカのブルメンソール財務長官が、アメリカ政府の手持ちの金を国内に売却して、歯の治療用などの金を海外から輸入するために流出するドルを防衛する、こういう一つの例を取り上げております。この措置によってドル安円高はどれだけとまると考えているのか、またブルメンソール財務長官の見解についてのアメリカ政府の公式見解、これは出ているのかどうか。
  34. 旦弘昌

    ○旦政府委員 アメリカ政府といたしまして、アメリカ政府が外貨準備として持っております金を市場に放出するということを公式に決定したというふうには聞いておりません。
  35. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、これは単なる風評、うわさでございますか。
  36. 旦弘昌

    ○旦政府委員 さように考えております。
  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、時間がありませんから具体的な問題に移らせていただきますが、国と地方との財源配分、これはおおむね国税七、地方税三の割合でありますが、今後新税を導入したり地方財政制度の基本的改正を行うときには、現在の国税七、地方税三の比率をまだ続ける考えがあるのですか。
  38. 村山達雄

    村山国務大臣 何も三と七に固定的に考えているわけではございません。国、地方を通じまして相互に財政の運営がどのようにうまくいくか、それぞれの独立性、あるいは地方団体間の財政調整、そういったものすべてを総合いたしましてどのように考えていくか、新税が出たときにはそれは一体どう扱ったらよろしいか、個々具体的に考えてまいりたいと思っているわけでございます。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 国と地方の財源再配分という問題は抜本的な問題でございまして、これは地方制度調査会等でもしばしば議論され提案されております。そういうように簡単に言われますと本当に困るのでございますが、時間がありませんので議論できないことは残念なのでございますが、法人事業税の外形課税方式というものは、地方自治体の長年の念願となっております。大蔵大臣としてはその見込み、条件が整ったときと言われておりますが、明年度、五十四年度あたりにできるのかできないのか、これはいかがでございますか。
  40. 村山達雄

    村山国務大臣 これも目下税制調査会で検討が進められているわけでございます。ただ、外形標準という場合は、明らかに一般の取られる側にとりましてはコストになるわけでございます。したがって、利益があろうがなかろうが、そこから払うわけではございませんので、必ずコスト要因になりますから、それだけ物価が上がってくることは当然でございます。もしそれが売り上げ基準によるとかいうことになりますと、その名前が事業税であれあるいは一般消費税であれ、一般消費税というものとかなり似てくるわけでございますので、税制調査会でもそれらの問題をあわせて、一般消費税の問題とあわせて検討すべきである、こういう結論になっていることを申し添えておきます。
  41. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、地方交付税制度についてのお尋ねになるのでございますが、五十三年度の地方交付税法の一部改正案では、交付税特別会計における財投からの借金のうち、国と地方が二分の一ずつ償還することをルール化することに決めようとしておりますが、昭和何年度までこのルールを続ける考えを大蔵大臣はお持ちなんですか。
  42. 村山達雄

    村山国務大臣 何年度までということで、年度を切っているわけではございません。経済がある程度安定いたしまして、国、地方の税源配分なりあるいは行政事務の配分というものをあわせ考えるか、あるいはそこまで考えないで、経済がある程度安定した段階で、ある種のものを考えていくか、これは今後の情勢いかんによって考えてまいるべきことではないか、かように思っているところでございます。
  43. 小川新一郎

    小川(新)委員 政府政府なりに施策を講じ、薬を盛り、手術を行って財政を立て直す努力を重ねておりますことは敬意を表します。  そこで、大蔵大臣の、あなた個人の、財政のあらゆる角度から検討いたしまして、日本経済が安定すると思われる目標と申しますか、限度はどの辺にあるのですか。
  44. 村山達雄

    村山国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、少なくともわれわれは、今年度の予算を執行することによりまして、あるいは金融政策あるいは不況業種対策、こういったものを遂行することによりまして安定軌道の線に乗せたいということでいま考えているのでございます。
  45. 小川新一郎

    小川(新)委員 安定軌道に乗せ得られれば、一年ないし半年ぐらいでそれが実現するのかどうか、そうなったときに、地方と国との交付税の配分の問題、新税を交付税の対象の枠に入れる、この二点はいかがでございますか。
  46. 村山達雄

    村山国務大臣 いま、安定軌道に乗せたいという願望を持っているわけでございます。具体的ないろいろな財政政策あるいは交付税の問題を含めました国、地方の税源配分の問題等はその段階において考えたい。いまからちょっとお約束しかねる状況でございます。
  47. 小川新一郎

    小川(新)委員 先ほどの社会党の佐藤さんからも話がありましたが、増税に踏み切る示唆をなさったように私は受けとめたのでございますが、両面がある、減税増税も含めて財政の安定につながる問題である、こういう中で税制当局はその準備を進めておる。しかも、ある一定の歳出歳入のバランスの中で必ずしもそれがデメリットだけではないのだ、こういう御見識を示されたわけでございますが、その見識の中で新しい税目を出すとするならば、それは国だけでない、地方にも配分してあげるんだ、しかも地方交付税——酒税、法人税、所得税の三税の三二%よりもさらにそこに対象税目を入れてあげる、こういうお考えは当然おありだと思うのです。そうしませんと、車の両輪論にならないわけですね。増税したものは国だけがいただくんだ、地方の方にはそれは配分してあげないんだということになれば、これは全く両輪論にはならない。それと同時に、地方税増税という問題も当然出てくる。この問題については、大蔵大臣としては自治大臣に何らかの要請などを行って、国と地方との税のあり方に対するバランスをとらないとこれは健全でないというお考えがおありなのかどうか。
  48. 村山達雄

    村山国務大臣 いまおっしゃったようなすべての問題を含めて検討したいと実は思っているわけでございます。  ただ、気持ちといたしましては、まさに車の両輪であるので、一方だけがいいということはなかなかむずかしい。右のポケットと左のポケットの関係にあるわけでございますので、国、地方ともども苦しむときは苦しみを分かち、また、健全化するときにはともに健全化の道を歩んでいくべきものであろう、かように考えているわけであります。
  49. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治大臣、そうしますと、交付税の対象税目というものは当然要請しますか。
  50. 加藤武徳

    加藤国務大臣 税の増徴を求めていかなければ国の場合も困るでございましょうけれども、地方の場合も大変困るのであります。ただ、既存の税制を強化してまいりますのも一つ方法でございますけれども、おのずから限度がございまして、新しい税目を起こしますことがこれからの大きな課題であろうかと思うのでございます。  そこで、一般消費税なり、あるいは事業税の外形標準課税が大きな課題になってこようかと思うのでございますけれども、税制調査会の中期答申におきましては、二つの場合を予定いたしましての考え方を明らかにいたしておりますが、いずれの場合が採用されますか、あるいは、これを混合いたしますような形で第三の形態が生まれますか、その辺のことが明らかではないのでありますけれども、しかし、自治省といたしましては、やはり恒久的な体制をぜひとっていかなければならぬし、それは安定した税源でなければならぬのでありますし、かつまた、中央と地方との連携のもとに地方財源の強化が図られる、そういう具体的な方向でなければならぬと思うのでありますから、そういう考え方で大蔵省ともよく相談をいたし、なお、具体的には税制調査会等の答申を待って対処いたしてまいりたい、かように考えております。
  51. 小川新一郎

    小川(新)委員 中期財政収支試算というものは、一ドル何円で推移すると想定しているかという問題で、一ドル二百二十円あるいは二百十八円を記録するという最近の急激な円高によって、国の財政収支試算及び地方財政収支試算の前提が大きく狂うことになっております。これは今後実情に合わせた修正をしなければならぬと思います。その点が一点。  それから、地方交付税の三二%をそのままにして財政を運営し、税金を増税しないとすれば、地方自治体の財源問題の収支試算ケースIに当たる。ところが、国の財政収支に整合性のある矢野質問のあのCケースに匹敵するものが地方財政収支試算ケースIIに当たるわけでございますが、このケースIIに当たるためには、私が言ったように、交付税率三二%ではだめなんだ、だから四〇%に引き上げる、それができないのならば、交付税対象の税目をふやす、それが税の大増税をやる前提としての地方公共団体に対する説得でなければならない。この点を私は両大臣にお尋ねしたいと思います。
  52. 村山達雄

    村山国務大臣 最初の、いまの円高によりまして財政収支試算を改めなくちゃいかぬのじゃないかということでございますが、私は、いますぐそのような必要はないのじゃなかろうかと思っているわけでございます。それは何よりも経済成長との関係が一番大きいわけでございます。財政の問題は、国際収支問題もさることながら、直接には経済成長の問題でございますので、私たちは、いまの円高にもかかわらず、何とか達成できるのではないか、かように考えておりますので、いまのところ改める考えは持っていないのでございます。  それから、第二番目の交付税率を上げるかどうかという問題でございますが、これはやや繰り返しになって恐縮でございますけれども、これは今後国、地方財政状況経済とのかかわり合いでどういうふうになっていくか、あるいは既存の税率を、税目をどのように動かすか、あるいは新税をどのように創設するか、それとの関連において具体的に協議してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  53. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度の予算編成に当たりまして、交付税率の引き上げを六・五要求いたしましたことは、劈頭に小川委員からも御指摘のあったとおりでございますけれども、結果といたしましては、当分の間の、ただいま御審議願っておりますようなルール化を行わざるを得なかったようなことでございます。  そこで、今後三二%の引き上げを要求してまいるかどうか、このことは、新しい税目が起こされるかどうか、また、その税目の課税標準のあり方等と関連をいたすことでございますから、今後の課題といたしまして、税源の充実強化、それも安定的な税源の確保、かような観点で対処してまいりまする中におきまして三二%の問題も同時に解決すべきものだ、かように理解をいたしているところであります。
  54. 小川新一郎

    小川(新)委員 日銀法三十九条、すなわち五十一年下期の三月決算において日銀が支払った法人事業税と法人住民税、全国で六百二十四億、こういったものが、五十二年度上期では、この地方税が七〇%下回って百八十一億に激減したわけです。さらに、五十二年度の下期においては多額の円高差損を理由に地方税はゼロになると予想されますことは、円高対策法が通れば、国税地方税ともに減収になることは火を見るより明らかでございますので、日銀の損金として算入される、日銀法第三十九条、これは一体見直す考えはありますか。
  55. 村山達雄

    村山国務大臣 結論的に言いますと、見直しの余地はないんじゃないかと思っておるのでございます。  御承知のように、日銀の方は、日銀券を発行いたしましてその見合いの債務を立てておるところでございます。外為会計からやはりドルをときによって買いまして保有しているわけでございます。したがいまして、すべて資産と負債は見合っているわけでございます。ドルが下がりますれば、当然それだけ評価損が出てくるわけでございます。もしそれを構わずにどんどん納めておったら、これは日銀が破産してしまうわけでございます。中央銀行の使命を果たすゆえんでなくなるわけでございますので、これは残念ながら、この経理の基本は直せないであろうと思っております。
  56. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後にお尋ねしますことは、公営企業金融公庫は改組しないのかどうか。それから政府資金、資金運用部資金の金利がまだ決まっていないのはなぜか、また、いつ決まるのか。国債と地方債の金利が決まっても、開銀、輸銀、住宅金融公庫、政府系中小企業金融三機関などの政策金融が決まらなければ、公共事業など五十三年度予算の執行に差しさわりがあると思いますので、この二点をお尋ねして私の質問を終わらしていただきます。
  57. 村山達雄

    村山国務大臣 いまの政府の方の貸出金利の関係でございますが、これはもう預金金利の方がきょうから下がっておりますし、間もなく郵貯の方も決まるだろうと思います。貸出金利の方も逐次いま決めているところでございまして、いずれにいたしましても、公定歩合は下がりましてプライムレートがもうすでに下がっているわけでございますので、大体従来の例によりまして、それとの見合いをとりながら政府の貸出金利も妥当な線に落ちつけたい、そう長くかからないであろう、このように思っておるところでございます。  それから、恐縮ですが、もう一つの方……(小川(新)委員「公営企業金融公庫」と呼ぶ)公営企業金融公庫につきましては、御承知のように、ことしかなり、まあ抜本的というところまではいきませんが、大体私たちとしてはかなり改組になったのではないかと実は思っておるわけでございます。  ただ、一部で言われておりますように、公営金融公庫が自分の債券を発行して資金調達をするということについては、われわれは先々考えますと非常に心配をいたしておるのでございます。御承知のように、やはり縁故債その他は地域金融によってほとんどできているわけでございます。それが非常に消化をうまくしているところであろうと思うのでございます。今日は金融が緩んでおりますから、それほど感じないかもしれませんが、いざ民間資金が上がってまいりますと、これはなかなか大変なことになるであろう。よほど条件をよくしなければ、地域金融を離れて消化できるかどうかきわめて疑問を持っております。もし条件を特に有利にしてやるということになりますと、金融市場の金利体系が全部崩れてしまうわけでございますので、その辺は自治省とも十分相談しながらプラクティカルな方法を考えていく。ことしは、とりあえずの問題は一応ピリオドをこの辺で打ちたい、こういうつもりでやったところでございます。
  58. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に自治大臣、いまの御答弁に対して、このまま引き下がって、そのとおりでございます、もう大蔵省の言うとおりでございますから、来年も再来年も次も、もう金融公庫の改組は言いません、こう理解していいのか。それとも、あなたはあなたなりの御見識の中から、地方財政を守る立場として、どうしても言うべきことは言わねばならぬ、その辺の議論はいろいろあると思いますが、ここで御決意をひとつ。
  59. 加藤武徳

    加藤国務大臣 公営企業金融公庫は、十分ではございませんけれども、改組されたものと判断をいたしておりますけれども、しかし、今回のこの改組で十分であるとはみじんも思っておらないのでございますから、今後も拡充強化につきまして大蔵省と十分に話し合いをいたしたい、かように決意をいたしております。
  60. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  61. 木村武千代

    ○木村委員長 山本悌二郎君。
  62. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大蔵大臣、先ほど佐藤さんがかなり増税問題を突っ込んで話をいたしまして、私も聞いておりまして、しかしまだちょっと物足りませんし、私なりに大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  それはなぜかと申し上げますと、よく地方の人から話を聞きますると、いまの大蔵大臣増税主義者だ、とにかくかなりの金を回すけれども、結局ツケは国民に回ってくるのだし、その国民に回ってきたツケは税金で取るしがなかろうな、ないということになると、どういう形で税金を取り上げるのかな、こういう素朴な質問がしょっちゅう出るのであります。  そこで、まず先ほど議論になりました一般消費税なるものから、ひとつ大蔵大臣のお考え、あるいはまた将来の見通しについて、もう少し突っ込んでお聞かせを願いたい、こう思うのであります。
  63. 村山達雄

    村山国務大臣 いま増税論者とおっしゃいましたけれども、そうでなくて、私たち財政の面からインフレを起こさないということを強く念願しておるものであるわけでございます。  これは、もうすでに御承知のように、戦前におきますあの財政インフレ、それがやがて終戦によって金融資産がゼロになったということにつながっているわけでございます。こういう経験を踏まえますときに、やはりその場限りの財政の運営ということはやはり責任者としてやるべきことではないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、歳出につきましてもできるだけ効率的な歳出を組むと同時に、また現在の財政状況、それはやがて経済に響いてくる問題でございますけれども、できるだけやはり後代に負担を残さないというだけでなくて、資金需要が出たときにクラウディングアウトが出ないように、あるいは将来財政が硬直化をして、そのときどきの国民要請に何もこたえることができないというような状況になることをあらかじめ回避したい、こういう意味で申し上げているわけでございます。  そこで、一般消費税の話でございますけれども、これは税制調査会で、やはり日本の租税体系として一番問題になるのは、一般消費税という形はどうであろうか。御承知のように、日本消費税は大体世界平均に対しまして三分の一という非常に低い位置にあるわけでございますが、これは個別消費税に頼っているという従来の伝統の中から結果として生まれたわけでございます。これは私見でございますけれども、所得水準が上がりますと、なかなか、消費の多様化ということが出てまいりまして、どの消費がぜいたくだとか、どの消費に重課すべきだということは主観的な問題になってくる。恐らくその辺の国民の生活水準、まあ世界的に見まして、あるいは消費の多様性という問題からいたしまして、世界的に一般的な付加価値税とか一般的消費税の議論が起きてきたということは、私は歴史的にはある種の妥当性があるな、こう思っておるわけでございます。そういう意味で、税制調査会一般消費税を検討する、特に具体案を立てまして、そして国民各層からの御意見を承り、国会での議論を重ねていただいて、その上で正式にタイミングを見て実施に移したいというスタンスをとっているわけでございまして、それはそれなりに合理性があるのではなかろうか、私はこんなふうに考えておるわけでございます。
  64. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ごもっともだと思いますけれども、経済が安定をした時点にそういう形で一般消費税というものを考えようというのが先ほどの答弁だったと思うのですし、また、いまもそういう内容だと思うのです。一般消費税というものの内容というのは、いわば付加価値税でしょう。大臣、どうでしょうか。仮に付加価値税であるとすれば、これは世界各国でも取っているところがありますし、いまから六年前か七年前でしたか、オランダでもこの付加価値税を導入して一年のうちに四五%も物価が上昇したといういきさつがあるのでございますけれども、その辺のところはどんなふうにお考えになっておいでになりますか。
  65. 村山達雄

    村山国務大臣 私が承知している限りでは、税制調査会は別に付加価値税ということを決めていないようでございまして、やはり日本の場合は一般消費税の形がいいんじゃないかというように聞いているわけでございます。そして、どういう物資を外していくか、あるいは中小企業の経理の実態から考えましてどの程度まで外していくか、課税除外を一体どの辺にしていくのが適当であるか、それから税率をどのように盛るのか、この税率は恐らく課税標準の問題と相関連してくるだろうと思います。それから既存の個別消費税をその場合にどういうふうに位置づけるか、こういったすべての問題と関連してくると思いますけれども、そういったものを一つの具体的な検討項目にいたしまして、そして、一案つくって国民に発表し、いろいろな御意見を承りたい、こういうスタンスでおるように理解しておるわけでございます。
  66. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 かなりの大型な予算を組みながら、逆にまた、将来そのツケは国民に回ってくるために、どうしても増税をしなければならないという議論と、いま大蔵大臣から話がありましたように、これは当然仕方がないんだということになってまいります。  今度は自治大臣にお伺いしますが、最近自治省の中にも増税論があるということを聞いております。五十一年度の地方債の残額は十四兆五千億というようなことで、結局低成長経済の中で借金だけが残っていくんじゃないか。そうすると、これを埋め合わせていくということになりますと、五十七年までにどうしても地方税を二〇%ぐらい上げませんと追っつかないという結果になるのですが、この御議論はいかがでございましょうか。
  67. 加藤武徳

    加藤国務大臣 山本委員もただいま御指摘がございましたように、五十三年度におきましても多額の起債によりまして財源不足を補わざるを得ない状況でございますし、ここ数年の起債の増加額は将来の地方財政を思いますときに非常に憂慮さるべき状況でございます。そこで、なるべく早い機会に税の増徴を図っていかなければならぬことが大きな方向であり、また、税調の中期答申におきましても、早く解決をしなければ、先に延びれば延びるほど問題の解決が非常に困難になってくる、かような指摘もあるのでございますから、地方財政を安定させまして地方自治の発展を図ってまいります観点からいたしましても、なるべく早い機会に税の増徴に踏み切らざるを得ないし、また、そのことが長い目で見まして、地方財政のためだけではなくて地方自治のためになさなければならぬことであろうか、かように存じているところであります。
  68. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 しかし、これは大蔵大臣にもお伺いしたいところですけれども、私は、地方税を仮に上げるにいたしましても、三つ条件があると思うのですよ。一つは、やっぱり権限を大幅に地方に任せませんと、いまのままで上げていくということは将来非常に問題を投げかけてくると思っております。それから二番目には、公共投資負担を住民が結局投資した分だけ払っていくというような認識が徹底していませんと、仮に公共投資でどんどん金をおろしていくけれども、それはどうせ国が見るのだろう、あるいはなんだろうということで、お人任せ、だから住民税を上げるなんと言っても決してぴんとこないという感覚はありますね。これが二番目だと思うのです。それから三番目は、政治もあるいは行政も、いまの地方自治体からと見ると、あるいはまた国の行政から見ると、すべて押しつけ的な姿勢で、これを何とか直さないと本当の自治という形になっていない。そういう意味で認識度が薄いのじゃないかと思うのですが、この辺は自治大臣あるいは大蔵大臣どうお考えでございますか。
  69. 村山達雄

    村山国務大臣 負担の増加を求めるときに、地方の自主性を高めてその権限を拡大すべきではないかというお話でございます。確かにそういう面もあろうかと思うわけでございますが、これは両面ございまして、地方団体間の財政調整の問題というものと、それからいわば自由権限を与えるという問題と兼ね合いの問題じゃないかなという感じがいたしているのでございます。私、意味を取り違えておるかどうかよくわかりませんが、あるいは制限税率のお話でありますならば、やはり制限税率にはおのずから限度があるのじゃなかろうかなという感じがいたしておるのでございます。ですから、問題は、抽象的な問題は一つそれとして、一歩一歩やはり具体的に自治能力を高めながら、しかし財政調整の観点も忘れないようにということを考えておるのでございます。
  70. 加藤武徳

    加藤国務大臣 山本議員の御指摘の第一点は、中央と地方との権限の問題でございまして、地方それ自体といたしましても事務事業の見直しを絶えずやっていかなければなりませんこと当然でありますと同時に、また、中央、地方を通じましての事務や権限の配分につきましても常に流動的にまた大勢的に見ていく必要があろうかと思うのでございますから、国の仕事だって、地方にやらせてもういまはその目的を達成したもの等もずいぶんあるのでありますから、さような事務につきましては勇敢にこれを廃止していただき、また、地方に移譲すべきものは積極的に移譲してもらう、かような姿勢で今後も話し合いをしていく、かようなつもりでございます。  二番目の公共投資負担等の明確化のことは、恐らく超過負担等のことの御関連を頭にお持ちでありながらのお話であったのではないか、かような受け取り方をいたしたのでございますけれども、やはり超過負担等は財政を乱るものでありまして、そのことが地方としてはしゃっきりしない感じを受けているものがずいぶん多いのでございます。また、補助率が余りにも低いもの等があって、これでは地方ではなかなか仕事ができぬぞ、かように考えるようなものもあるのでございますし、いろいろの面で、地方としましては、もっとすっきりした姿勢を、かような願望が強いのでありますから、関係省庁と絶えず話し合いをいたしながら問題の解決に当たっていきたい、かように思います。  最後に、中央の姿勢についてのお話でございましたが、なるほど見方によっては地方は押しつけられておるような印象を受ける面があるにはあろうかと思うのでございますが、しかし、多くの場合、中央で考えておりますことが地方でもまたやりたい仕事であり、そういう方向と一致する場合が多いのでありますけれども、ただ、権柄ずくで中央が押しつけるようなことは、地方といたしましては非常な反発をいたす場合もございますし、しっくりいかないことは、結果としては地方もよろしくないし、国もよろしくないのでありますから、十分な理解のもとに地方行政を進めていかなければならぬ、かように考えております。
  71. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 もう一つお尋ねします。  先ほども小川さんからちょっと質問が出ましたけれども、法人税の外形標準課税の問題でありますけれども、私はいつも言うのですが、これは一般消費税を導入しなくたってできるのじゃないだろうか、この点を大蔵大臣にお尋ねしてみたいと思います。
  72. 村山達雄

    村山国務大臣 これは、現在電気とかガスとか軌道にやられているところでございます。もともと応能負担という性質から出た、また物税的な性質だということで、租税の一種の論理から出たわけでございます。ただ、実際問題として、利益のないところに出しますと、これはコストになることは間違いないのでございます。時たまたま一般消費税の問題が出ておりまして、これも消費者の負担を予定するコストになる税金であるわけでございます。そういうことでございますので、一般消費税の問題がなくても問題になり得ることは当然でございます。しかし、たまたま大きな問題として一般消費税の問題が出ておるものでございますから、あわせ検討しよう、こういうことになっておるわけでございます。
  73. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 簡単に五つほどお尋ねをいたします。  それは、地方地方債に関していろいろな問題が出ておりまして、先ほど大蔵大臣も話がありましたし、自治大臣からもありましたけれども、縁故地方債に関していろいろ苦労を地方でしているようでありまして、それに対してこんなふうにしたらどうだろうか、また、こういうふうにしてもらいたいという要望もあります。簡単に申し上げますが、たとえば起債申請の事務手続を簡素化できないだろうか。極端なことを申し上げますと、いわゆる知事、自治省でありますね、あるいは特別地方債になりますと厚生省、あるいは大蔵省と幾つかに分かれておってめんどうだ、できることなら、許可権は自治大臣、いわば県知事に窓口を一本にできないだろうかということはいかがでございますか。
  74. 村山達雄

    村山国務大臣 いま、そのことにつきまして鋭意自治省と検討いたしまして、おっしゃるようにできるだけ簡素化を図りたいと考えておるわけでございます。  問題になりますのは、市町村債のうちのいわば財源対策債であるとか、あるいは全部民間資金による分などがございます。これは、もちろん金融政策全体の立場から枠というものは決めていかなければいかぬだろうと思います。また、すでに運用部の金を借りておりますので、こちらの債権者の立場もございますが、思い切って簡素化したいという点は、いまそのように考えておるわけでございます。具体的に言いますと、さっき挙げましたような事例につきましては、一々市町村から財務部が申請書を取るということでなくて、県から一括して報告をもらうということはどうであろうか、そういったような線でいま自治省の方と相談  いたしておるところでございます。
  75. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 地方からの要望でもありますし、これまたそうしてやっていただきたいと思います。  二番目は、政府資金をもう少し拡充してもらいたい。これも強い要望であります。政府資金を六〇%から七〇%以上の比率にしていただいて、特に財政力の弱い市町村に重点を置いてもらえぬだろうか。こういうことでありますが、これはいかがでございましょう。
  76. 村山達雄

    村山国務大臣 今年度はできる限り政府資金を地方団体、特に市町村の方に回すためにあらゆる努力をいたしたわけでございます。政府資金比率は恐らく三二%ぐらいの増になっているんじゃないか。あるいは公営公庫の資金でございますけれども、これもまた市町村としては非常に役に立つ資金でございますので、その方の増強もいたしたところでございます。その結果といたしまして、それぞれ三二%とか三一%伸びましたけれども、縁故債の方の資金は対前年九%ぐらい、これは補正後でございますけれども、九%ぐらいに抑え込んでいる。できるだけそのような方向で参りますし、今後もそのような方向で検討してまいりたい、かように思っております。
  77. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 三番、四番は一つにしてお答えいただきたいのですが、借入条件の統一というのはいい言葉かどうかわかりませんけれども、国自身が統一的な処置をしてもらった方が楽ではないかということでありますね。金融機関の問題であります。  それから四番目は、すでに借り入れている縁故債に対して、高金利負担の軽減処置をしてもらえぬだろうか、こういうことでありますが、これはいかがでございましょうか。
  78. 村山達雄

    村山国務大臣 ごもっともなあれなんでございますが、話が金融なものでございますから、なかなかそういうわけにいきかねますが、ただ、私たち銀行行政を指導しておりますので、円滑な消化に対しましては全面的に協力するようにということはしょっちゅう申しておるのでございます。  ただ、条件を統一するということは、その銀行によって内容も違いますし、それぞれ資金の状況も違うわけでございますし、具体的の条件は、一つの取引であるわけでございますので、われわれが干渉する立場にないわけでございます。  それから、既往の問題も同様なのでございますが、特に既往のものになりますと、その地方債は実は転々流通しましてほかの人が持っているというわけでございまして、なかなか、なおむずかしいという条件があることを御理解願いたいと思うのでございます。
  79. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 最後に、これも切なる要望でございましたけれども、縁故債、それから手数料の撤廃または軽減ができぬか。私がごたごた言わなくたってよくわかると思いますけれども、地方で非常に困っているところでありますが、大臣にひとつ御配慮いただけるかどうかということでありますが、いかがですか。
  80. 村山達雄

    村山国務大臣 手数料は原則として実費弁償の性質を持っておりますので、やはりこれも金利条件と同様に個々に決めるべき問題だろうと思わざるを得ないわけでございます。いろいろな手数料がありまして、われわれも見ますとこんなにあるのか、こう思いますけれども、事実、金融機関といたしましては、引き受けるときあるいは利払い、それぞれ個別に実費弁償を計算しておりますので、よもや不当のあれを要求するような立場には現在の金融情勢からしてないだろうと思っておるのでございます。
  81. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 最後にもう一度お尋ねをいたしまして私の質問を終わらせてもらいますが、先ほども佐藤先生あるいは小川さんからも話がありましたけれども、結局、二分の一のいわゆる国の負担ということを五十年度、五十一年度借り入れで決めてしまった。大蔵大臣、自治大臣の間で当分の間というルール化をしてしまったということでありますが、結局はこれはこのまま——いつまで続くという話がさっきありましたけれども、いつまで続くのか、そのことによってもう交付税というものは上げる気はないのか、このことをお尋ね申し上げ、また自治大臣はそうは言っても、大蔵大臣と折衝するときには五・八%も五・九%も一応の要求をしているにもかかわらず、大蔵省にいつも押し切られてどうにもならなくなっているという実情もあるわけですから、その辺のところを決意とお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  82. 村山達雄

    村山国務大臣 これも山本さん御案内のように、交付税法の六条の三の第二項の前段、後段がございまして、いまの四囲の情勢にかんがみまして、そして前段で一つのルールで対処しようということにしたわけでございます。後段の問題に触れるときには、やはり少し安定してこないと後段の問題はなかなかむずかしいんじゃなかろうかというのが私たちの見解でもあり、また自治省も最終的にしばらく様子を見るかということで当分の間決めさせていただいたようなわけでございます。  それから、先ほど加藤自治大臣も申し述べましたように、交付税率を上げろというだけではなくて、やはり交付税の対象になるものを入れることによって一体どれぐらい交付税地方財政に寄与し得るかという問題もあわせ検討しなければならぬわけでございまして、何が何でも交付税率一本で物を解決しなければならぬというふうには私たち現実的には考えていないのでございます。感覚としては、やはり経済情勢が安定し、したがって、国、地方財政もある程度めどがついたときでなければ、また、場合によりますと、行政事務の配分というような問題もことによると問題にされた機会ではないであろうか、そんなことをいま考えているところでございます。
  83. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御審議いただいておりますいわゆるルール化は恒久的な措置ではございませんで、暫定の措置といたしましての当分の間の制度改正、かようなつもりでございますけれども、しかし、このことによって事足れりとなしておるのではございませんで、経済の過渡期でありますので、やむを得ない措置として今回の御審議を願っておるようなルール化を行ったようなことでございます。やがて経済が安定段階に入ってまいるでありましょうし、そして事務の配分や税の配分等を含めまして、交付税率等の問題もあわせまして恒久的な改正を一日も早くやってのけたい、かような考え方で今後も大蔵省とよく話し合いをいたしてまいりたい、かように考えております。
  84. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 交付税の議論はまた後の機会に自治大臣とゆっくりやりますが、いつまでもこういうだらだらと、何年も何年も同じようなことで繰り返している、しかも、自治省が望んでいることが現実にできないと言えばできないし、大蔵大臣の言われるように、交付税そのものがすべてベターであるとは考えないけれども、しかし、いまの状態では決していいわけではございませんので、十分御考慮をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  85. 木村武千代

    ○木村委員長 三谷秀治君。
  86. 三谷秀治

    ○三谷委員 短い時間ですから、私は具体の問題について二、三点お聞きしたいと思うのです。  その一つは、御承知の大阪の千里丘陵の万国博の跡地を公園化して、この管理責任が大蔵省にゆだねられておるのであります。そこで、この万博公園ですね、これは計画としましては、四十七年から五十五年までに百五十億の投資をしまして森林公園を建設する、こういう計画になっております。その百五十億のうち百二十億が補助金でありますから、これは国と大阪府が折半をする、あと三十億を万博記念協会が自主財源で賄っていく、こうなっております。  そこで、最初にお尋ねしておきたいのは、大阪府が不交付団体の当時におきましては、この負担というものは当然大阪府の単費でできたわけでありますが、今日交付団体になりまして、一体この負担はどうなっていくべきものか、これに対する対策はお持ちであればお聞きしたいのであります。
  87. 山本悟

    山本(悟)政府委員 大阪府は、万博協会に対しまして五十二年度に約四億二千五百万、五十三年度三億八千二百万の予定で補助をすることになっているところでございますが、この補助は、法律の根拠としては補助することができるということにはなっているものでございますが、事の性格から言えば任意的といいますか、単独事業的な性格の補助金であろうと思います。そういうような点から申し上げますと、いわゆる負担金的な意味での交付税に直接算入するということはきわめてむずかしい性格のものじゃないか、こういうことに考えているところでございます。  ただ、交付税におきましては、こういった経費に充てるための財源といたしまして、御案内のとおり、その他土木費におきまして相当の額を土木共通投資的経費といたしまして、単位費用上もといいますか、標準団体の需要の計算上も積算をいたしているところでございまして、大阪府分につきましても、その計算をいたしますと相当金額になるので、その範囲内において措置をしていただくことは可能な問題ではなかろうか、かように存じております。
  88. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、都市公園じゃありませんから交付税の対象にはならない。特別交付税の対象として扱うという、そういうおつもりはないわけでしょう。
  89. 山本悟

    山本(悟)政府委員 普通交付税の府県分のその他土木費の投資的経費の積算をいたします場合に、土木共通費といたしまして標準団体で約二十三億八千万ばかりの積算をいたしております。御案内のとおり、その他土木費の投資的経費分、測定単位は人口でございますから、これは大阪府におきました場合には、相当金額、恐らく八十数億の基準財政需要になるんではなかろうかと存じます。この土木の共通経費といたしましてのいわゆる包括算入分が相当の金額になっているわけでございまして、この包括算入をいたします際の中身といたしましては、府県関係におきます都市公園の関係経費というようなものも当然想定をいたしまして、これは単位費用の積算を公表いたします際にもそういう注をつけておりますけれども、そういったような措置によりまして処理をいたしているところでございまして、個別に細かく一つ一つの具体の事項といたしまして積算はいたしておりませんけれども、こういった土木の共通費ということによって財政措置としては十分できているのではないかと思っているところでございます。
  90. 三谷秀治

    ○三谷委員 できておりませんから、年々の負担金が減少しております。これは歴年を見ればわかりますけれども、なかなか困難な条件でありますから、この建設費まで持つということがむずかしくなってきている。  そこで、大蔵省としましてはこの事業計画を承認されておるわけでありますが、この事業計画の遂行に困難が生じてくることが明らかでありますが、これについてはどうお考えなんでしょう。
  91. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 従来無料で開放しておりました地域を含めまして、従来から有料の部分もあったわけでございますが、有料部分、無料部分も含めて有料化するということで対処したいと考えております。
  92. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこは少し話を混同しているのです。有料にしますのは、これは運営費の問題なんでしょう。私がいま言っているのは建設費の問題なんです。
  93. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 建設費につきましては、従来から国と大阪府で補助をしてまいりましたが、来年度まで補助をするという予定でおります。それ以後の計画につきましては、まだ立ててておりません。
  94. 三谷秀治

    ○三谷委員 大蔵省が承認されている計画は、昭和五十五年までに百五十億円の投資になっておるはずであります。明年度といいますと五十四年度でありますが、それ以後は打ち切りになるのかどうか。  それからいま入園料を取るという問題が出ましたが、これは府民にとりますとやはり非常に重要な問題になっております。御承知のように、この運営費につきましては、今日まで余剰金の運用益で賄ってきたのです。万博の終わりました時期に百九十二億三千三百万円の剰余益が出てきました。利益が出てきました。その百九十二億のうち百五十五億を分けまして基金事業をやっていく。あと残りました三十七億を、十七億は残存施設撤去費として残しておく、二十億はこれを運営費として残してきたわけです。そこで、この百九十二億のうち、分けました百五十五億の事業基金ですが、この事業基金の利子の半ばは運営費に入れる、半ばは海外文化交流に使っていく。ですから、六億五千万円の利子がそこから入ってきた。これが運営費になっておる。それで、もう一つは二十億の運営積立金、これから出ます利子、それから残存施設の撤去がおくれましたから、これからも利子が出ました。合わせて三十七億でありますから、二億五千万円ぐらい利子が出ておった。ですから、六億五千万円と二億五千万円、合わせて九億円が今日までの運営費として使われてきたわけです。これは御承知のとおりです。ところが年々の赤字決算でありますから、この積立分を取り崩しをしてしまって、もはや積立金がなくなってきた。二十億の方はすでにもうあと幾らも残っていない。もう一つは残存施設撤去費でありますが、この残存施設撤去費は、いますでに残存施設撤去にかかっておる。太陽の塔をつぶしておるわけでありますから、これから出る利子もなくなってくる。そこで、今後におきましては基金の方ですね、基金の方の利子の六億五千万しか運営資金がもはやなくなってしまった。そこで結局は、今度入園料を取る、こうおっしゃっておる。しかし入園料を取るのは、いますでに日本庭園は取っております。エキスポランドは取っておりますね。今日まで大阪府は約三百億近い金をつぎ込んでおりますが、大阪府民にしましたならば、せめて無料で散策できる緑の公園ぐらい残してもらいたい、全部かきをしてそこで全部金を取っていくというふうなことは、これは慎んでもらいたい、こういう要望が非常に強いわけであります。これは当然の話であります。万博の記念公園として残されましたものでありますから、一定のメリットというものが府民にも与えられてくるということは当然でありますが、これを今度入園料を全部取る、こうおっしゃっておる。  そこで、私は、入園料をお取りになりますならば、その前に片をつける問題がありはせぬかと思っている。それは、今日まで赤字がたくさん出てまいりました主要な原因は、人件費が大きいことなんです。この人件費が大きいのにつきましては、これは万博記念協会の開催時の各省のポストの確保という問題があった。万博をやりますときに各省がポストの取り合いをしました。そのポストがいまだに残っている。そのポストがあります下には、それぞれ形だけでも課をつくり、係をつくっているわけです。そのために非常に頭でっかちの肥大化した組織になっている。ですから、今日この万博記念協会の組織、機構を見てまいりますと、五部、一事務所、一室、十一課、二十係になっているんです。これは大変な機構なんです。そのために人件費が大変膨大に上っている。この管理事務所の人件費だけで四億数千万円、関西環境開発センターに委託しておりますから、委託の人件費を加えますと、これはとてもじゃありませんが、いまの基金の利子では追っつきはしません。そこですが、そこのところをほったらかしにしたままで入場料を取っていこうというような発想が出てきたわけでありますが、これは逆であって、まず機構や組織の整備をやってもらいたい。それについてどうお考えになっておるかですね。
  95. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘の点ごもっともでございまして、私どもも経費の節減ということで、機構改正を三カ年計画をもって実施するという計画を持っております。定員が現在九十二名ございますが、これをできれば七十名程度にしたいという計画でございます。
  96. 三谷秀治

    ○三谷委員 七十人になりまして人件費はどれだけ縮減されますか。そして全体の運営がどういう見通しになっていきますか。
  97. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 人件費でおおむね二割程度、一億円近く節約になろうかと考えております。
  98. 三谷秀治

    ○三谷委員 現在八十人でありますが、そのうち十人を減らすわけですから、それで二割も人件費が減るでしょうか。
  99. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先ほど申し上げましたように、九十二名を七十名にするという計画でございます。
  100. 三谷秀治

    ○三谷委員 今年では八十人になっておるはずです。九十二人といいますのは五十年の計算であって、五十一年に九十人、五十二年に八十五人、五十三年に八十人、後七十五、七十、こういう計画であると聞いておりますが、ですから、いまの人件費を基礎にして考えますならば、そういう大幅な節減はできるわけはない。
  101. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘のように、現員は計画を見越しておりまして、自発的にもうすでに減っておりますから、現在の人件費から見ますと二割にはならず、一割少々ということになろうかと思います。
  102. 三谷秀治

    ○三谷委員 その人件費の問題ですけれども、やはり手をつけてもらわなくちゃいけないのは各省の割り当てポストですね、これを削ってもらわぬとだめなんですよ。つまり、末端の職員だけ減らしても、頭でっかちの組織になってしまっている。ここに手をつけなければ本当の機構の整備はできるものじゃありません。いま見てみますと、自治省理事長と監事と基金部長のポストをおとりになっている。大蔵省理事と経理部長をおとりになっている。通産省が理事をおとりになっている。大阪府が理事と総務部長、施設部長を占めている。大阪市が理事と業務部長を占めておるわけでありまして、部長がおりますから課長が必要になってくる、課長があれば係長が必要になってくる。ですから、わずか八十人の中で四十数名が役付になってしまっている。しかもここは出向職員が多いものですから、出向職員は二割増しの給与を支給しているはずです。そのために非常に人件費が高くついておる。根本のところは、こういうべらぼうな機構はもはや要りやしません。たとえば、比べてみますと、日本の代表的な大公園を見てみましても、これだけの人員を擁してべらぼうな人件費を使っている公園はありません。武蔵丘陵公園にしましても、百万坪の公園でありますが、三十九人でやっております。それから服部緑地と箕面公園でありますが、これは大阪府立でありまして、七十万坪の公園でありますが、これも三十九人程度でやっておるわけであります。万博公園は八十万坪の公園でありますが、ここに現在八十人、整理しても七十人、こうおっしゃっている。つまり、そういうむだな組織や機構の上にこれが運営されていきますから、どうしてもそろばん勘定が合わなくなってきている。この点は抜本的に改める必要があると私は思っておりますが、その点はどうでしょう。
  103. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘の点でございますが、私どもの方でも検討をいたしておりまして、部課長のポストも削減するということで計画を組んでおります。しかしながら、現実にいろいろの必要がございまして、現にあるポストでございますから、いろいろな意味で慎重に実行してまいらねばならぬと考えておるわけでございます。
  104. 三谷秀治

    ○三谷委員 部課長は全部国や大阪府や大阪市の出向職員であって、現地採用職員は係長が二名おる程度のことなんです。ですから、出向職員が帰っていけば問題は片づくわけであって、決して首を切ることを私どもは奨励しておるものではありません。そういう各省から送り出した者が一定の役割りが終わったわけでありますから、それぞれ各省に引き取ってもらう、そういう処置ができますと、万博公園の運営というものはいろんな面で大きな変化ができてくると私は思っておりますが、いかがでしょう。
  105. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 御指摘の線に沿いまして努力をしてまいりたいと考えております。
  106. 三谷秀治

    ○三谷委員 この件につきましては、そういう努力をなさいますとともに、せめて無料のところを残してほしい。全部が全部金を取られるのではなしに、日本庭園とかああいうかなり投資をしましたところ、これは一定の有料制ということもやむを得ないかわかりません。現在有料制になっております。しかし、緑の芝生程度のことは、これは大阪府民にしましても京都府民にしましても、随時散策ができるように、全部が全部有料にするというようなことは改めてほしいと思うのです。そうして、有料にしましても、一体どれだけの採算がとれてくるのか。これは仮に有料にしました場合、いま大体三百万人の人が行っておりますが、日本庭園に入ります人が百七十万ないし百五十万と言われている。ですから、半分は散策に使っているわけなんですね。それで、日本庭園に入る人が百五十万としまして、年間入場者百五十万と見て、大人二百円、小人百円という計算のようでありますから、これで見ますと、大小半々としまして二億二千五百万円程度の増収にしかなりはしません。そのうち日本庭園に入っておりました分を差し引きます——日本庭園は四十万人、百五十万人はエキスポランドなんですね、先ほど言い違いしました。日本庭園に入っているのは四十万人いますから、六千万円引くとして一億六千万円ぐらいしか入ってきません、有料化しましても。一億六千万円ではとてもじゃないが足りません。いままで入ってきました二億五千万円の剰余金、積立金の金利が全部飛んでしまうわけでありますから、これはとてもじゃありませんが足りるものではありません。ですから、これは足りませんから、一つは機構の合理化を図ることが問題でありますが、同時に、ここで全部の入場料を取ったところで、入場者はふえる見込みはない、減る一方でありますから、そうではなしに、ある程度は無料の地域を残してもらって、散策ができるような条件を確保してもらいたいというのは、大阪府民であればだれしも考えている問題でありますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  107. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘のように、いい公園に自由に無料で入れる、そういうところを残してほしいという国民感情あるいは地元民の気持ちというものは十分理解できるわけでありますが、従来無料で開放しておりました地域にも莫大な投資をしまして、非常にりっぱな公園施設をしたわけであります。非常にいい公園施設をしますと、無料よりもかえって有料でなければならないという議論もございまして、無料にするといろんな意味での弊害が出る、そういった議論もございますが、そういう投資をした以上、その投資をされた財産を共通の財産としてこれから維持管理していく。この維持の経費が莫大に上りますから、やはり有料化せざるを得ないということで、大阪府とも十分相談をいたしまして、合意を見て有料化するということに計画をしたわけでございます。
  108. 三谷秀治

    ○三谷委員 投資がどういう意味かわかりませんが、梅や桜やカエデなど植えられた地域もできました。しかし、同時に緑の芝生の広場公園も残っております。ですから、八十万坪ですから、東と西と分かれておりますが、東公園の中で無料化しても差し支えがない地域、概計しましてそれほど大きな投資をなされていない地域もあるわけでありますから、そういう点を検討して、無料地域というものを残してほしい。そのことは同時に、有料地域に対する誘導的な効果も出すわけであって、あすこに行けば金を取られるというふうになってきますと、どうしてもそこに足を運ぶこと自体が一定の制限を受けるわけであって、無料地域に入って、そして有料地域に入ってみようかという、そういう気持ちも誘導し得る条件もあるわけでありますから、区分けをしてもらいたいのだ。大臣、どうですか。
  109. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 先生御指摘のような面もあろうかとは思いますけれども、その具体的場所につきまして、専門家でいろいろ検討した結果、現在のような計画になっておりますので、現在のところ一部無料地域を残すということはございません。
  110. 三谷秀治

    ○三谷委員 ございませんじゃない、そうしてくださいと言っているのですから。いまあるかないかと言っているのと違う。そうすべきだと言っている。  ですから、その点から申しますと、さっき申しましたように、七十人の人員を擁して、そして一体これをどのようにいつ整理されるかわかりませんが、まあそのようにしていきたいとおっしゃっているだけであって、具体の方針は出ていない。具体の方針は出ないままで、料金の方はもうすぐに取っていくんだという態度なんですね。そこら辺が公正性を欠いている。もしも、いろんな機構、組織の面でも合理化を図る、そしてなお運営が困難であるという場合には、これは運営費補助という問題も出てまいりますが、いまは、私どもそれを言っているわけではありませんけれども、一体それでは、この組織や機構の問題はいつ解決されますか。昭和五十五年に七十人なんでしょう。それでも多過ぎますよ。ほかの公園と比べてごらんなさい。一体何するんですか。現場の仕事をするわけじゃないでしょう。現場は委託しているんですよ。主に事務関係、管理事務です。管理事務にこれだけの人が要りますか。そして部長さんが五人も六人も要りますか。  それから、もう一つは、基金の事務所が東京にありますが、年間にしまして二千万円ぐらいの雑件費を払っておりますが、あすこの万博協会に行きますと、あのだだっ広い建物の中に、あの大きなスペースの中に、ひっそりと本部が存在している。なぜそこにこれを合併をしてその面でも合理化を図っていかないのか、私ども向こうに行きましてまことに奇態な感じを持つわけでありますが、そういう点からしますと役人商法になっている。お役人商法で、結局税金で埋めていくか、あるいは住民の負担で片をつける、そういうごく安易な考え方に立っておりますから、研究が足りません。その点について、どうお考えですか。
  111. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 現在の計画はただいま申し上げたとおりでございますけれども、先生御指摘の点は十分心に入れておきまして、今後とも検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  112. 三谷秀治

    ○三谷委員 今後とも検討するまでは無料のところをつくってください。何でもかんでも住民に転嫁するんでなしに、検討して、そうして具体に浪費を節約するという体制ができるまでは、無料地域をつくってください。  恐らく、局長さんですか、現地を余り御承知ないのと違いますか。現地にも来ていただいて、見ていただいて、ここのところはそれほど大きな投資はいっていない——投資と言いましたって、これはもともと土地は万博のときに買ったものでありますから、あとの植木の問題だとか庭の問題なんでしょうけれども、庭はすでに日本庭園ができておりまして、これ以上のものを別につくると言ったって無理な話であって、できっこない。あとは木を植えるだけのことなんだ。その木を植えるところ、密度の高いところと、それから芝生と分かれている。そこにちゃんと区別ができるようになっているし、いまでもそこで無料でみんな楽しんで遊んでいる。そこを全部有料にしてしまうという処置は、いまの全体の運営から見まして妥当ではない。これをひとつ検討してほしいと思う。大臣、どうです。
  113. 川崎昭典

    ○川崎政府委員 御要望の点十分検討をしてまいりたいと思いますが、場所によって、ここがどうというお話もございますので、ここでお約束することはできないわけでございます。
  114. 三谷秀治

    ○三谷委員 では現地を見てくださって、そうして検討してください。府民が納得がいくように、そしてこういう組織や機構の面でも府民が納得のいく処置がとれましたなら、あるいは有料化という問題につきましても、地元の諸君もやむを得ぬという結論が出るかわかりませんけれども、いまのように大変なむだ遣いを一方でしながら、一方では来る人は全部金を出せということでは、余りにも権衡を失しておりますから、この点につきまして御要望を申し上げておきます。  時間でありますから、終わっておきます。
  115. 木村武千代

    ○木村委員長 川合武君。
  116. 川合武

    ○川合委員 大蔵大臣に質問をいたします。  私たちは、国と地方団体がそれぞれ責任の分野をはっきりさせて権限を再整理しまして、そしてそれに伴う財源の裏づけを図るべきである、こういうふうに思っております。昭和二十五年に神戸委員会で「行政事務再配分に関する勧告」、「国庫補助金制度等の改正に関する勧告」が出されて、じんぜん日が過ぎて今日に至っておりますが、行政の簡素化が叫ばれておる折でもあり、国庫補助金を廃止して、そして地方団体の事務再配分を行って地方団体の税源を充実すべきである、こういうふうに思いますが、大蔵大臣の所見を伺いたいと思います。
  117. 村山達雄

    村山国務大臣 これは、川合委員よく御存じのとおりに、長年の問題でございまして、私たちは在官当時からこの問題はしょっちゅう言われておったわけでございます。  御案内のように、地方と国の事務配分、それに伴う財源配分、こういったテーマが大きな問題としてあることをよく承知しております。私も、そのことは非常に重要な問題だと思っておるわけでございますが、なかなかむずかしい問題でございまして、容易に結論が出ないこともまた御承知のとおりでございます。現在のところそこまでいきませんで、とりあえず、いまのような経済情勢あるいは国、地方財政状況のもとにおきまして、暫定的な措置といたしまして六条の三の第二項の前段の方でいま措置させていただいているわけでございます。しかし、そのおっしゃるような問題が残っていることはよく承知しておりますので、今後とも、むずかしい問題でございますが、検討を進めていくつもりでございます。
  118. 川合武

    ○川合委員 ぜひ基本的な、抜本的な改正をお願いしたいのですが、とりあえずの前進策として、国庫補助金について少なくとも地方財政法十六条の奨励補助金はこれをやめて、その分を地方税源に回す、もし何でしたら交付税に回す、こういうことは行うべきじゃないか、いまの段階でも行うべきじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  119. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 補助金の整理合理化は、五十三年度予算の一環といたしましても非常に力を入れたところでございますし、それから同時に、行政改革の課題としても取り上げたところでございます。いわば毎年従来からも検討しておりますが、五十三年度予算編成に当たりましては、根っこから洗い直して検討させていただいたわけでございまして、そのときに財政制度審議会でも御検討をいただいたのでございますが、財政制度審議会の建議の中にこういう答申がございます。それは「補助金等は、一定の行政水準の維持、特定の施策の奨励等を図るための政策手段であり、他の方策では有効に実現し難い重要な機能を担うものである。」という意味で、補助金が担っております重要な機能はわれわれもこれを認めていかなければいかぬ。それは地方財政法で申しますならば十条の関係負担的な補助金のみならず、やはり十六条の奨励的補助金についても意義を認めていかなければいかぬと思います。ちょっとその財政制度審議会の建議を続けさせていただきますと、「しかし、ややもすれば既得権化し、あるいは惰性的運用に陥って硬直化しやすい性格を有していることも事実であり、時代の推移、行政需要の変化等に対応して常にその見直しを行い、新陳代謝を図っていく必要がある。」こういうことを述べておるわけでございまして、この点もまさにそのとおりである。でございますので、特に五十三年度予算編成に当たりましては努力したつもりでございますが、今後といえども、特に奨励的補助金の見直しにつきましては努力を重ねてまいりたい。その点はおっしゃるとおりであろうかと思います。
  120. 川合武

    ○川合委員 ただ、補助金がいままで果たした役割りがゼロとは私は申しませんです、長い間これだけの実績を持っておるのですから。しかし、いまやその弊害の方が大きくなっており、われわれの理念とする地方自治からするならば、これはまさに悪のものになっておる。また、先ほど申しましたように、行政簡素化の点からいいましても、いまこの補助金の整理に手をつけるべきときだ、こう思うのですが、次長のいまの話で、ことし努力されたというのですが、私の記憶では、補助金は各省別に縦割りで千件以上あったと思いますが、どの程度整理され、あるいは統合されたか、それをお示しいただきたいと思います。
  121. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 五十三年度の補助金整理の概況について申し上げますと、まず整理合理化措置を講じました補助金等の対象件数は千六百八十九件でございまして、これは目ではございません、もう少し小さい単位で集計しておりますので、ちょっと数字がいまおっしゃった数字と合わないかと思いますが、それでは去年はどうかと申しますと、約千件、九百七十一件ということでございますので、かなりことしは整理合理化を手がけたということが言えようかと思います。  それから今度は金額でございますが、廃止、減額等の金額で申しますと、千四百二十二億でございます。昨年、一昨年と約七百億円でございますから、大体倍になっているということが言えようかと思います。  あと、私ども力を入れましたのは統合メニュー化でございまして、特に地方団体に対する補助金につきましては、地方団体側の自主性の尊重あるいはその資金の効率的配分等々という面から統合メニュー化を積極的に行いまして、五十二年度の二・四倍に当たります三百十五件を対象にいたしまして、これを百二十六件に統合して、百八十九件の減少になっております。  それから、もう一つ力を入れましたのはいわゆるスクラップ・アンド・ビルドでございまして、新規の補助金を厳しく抑制するとともに、新規の補助金を認める際には、スクラップをやってくれということで、その原則を貫いたつもりでございます。
  122. 川合武

    ○川合委員 千幾ら整理されたとおっしゃったけれども、総件数幾らのうち千何件整理されたわけですか。
  123. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、御質問にありましたのは目の件数でございますが、私が申し上げましたのは目の細分以下の小事項まで含んだ数字でございますので、実は絶対数が幾らかということはちょっと集計しがたいわけでございますが、前年度との比較において感じをおくみ取りいただけたらということで申し上げたわけでございます。
  124. 川合武

    ○川合委員 金額からいいましても、千億円ちょっとでございましたかね。私の記憶では、地方団体にいく補助金が九兆円ぐらいあるんじゃないかと思います。そうすると、九兆円のうち千幾億円じゃ大したことにもならないんじゃないか。もっとひとつ努力をしていただきたいと思いますが、補助金の廃止が直ちにできないならば、さしあたっての策として地方団体にある程度の流用を認めるべきじゃないか。たとえば、町づくりを行いますときに地方団体は総合して、面としてといいますか、点と線に対する面として町づくりを行うわけですが、街路だとか下水道だとか、そういう施設別の補助金、これを町づくりの進みぐあい、進度を見て、そして進度を調整をする意味でもこういう施設別の補助金を地方団体に流用を認めるべきじゃないか、こう思いますが、その点についてどういう考えか伺いたいと思います。
  125. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 補助金は特定の事務事業を補助対象にいたしまして、それに対して財政援助をすることによって奨励するなりあるいは一定の行政水準を維持するなりという効果を果たしているわけでございますから、その補助の目的の範囲内での話になろうかと思うわけでございまして、一般的にそういう特定補助金という制度をとっていますときに、ある省の補助金なら何でも流用していいというところまでは踏み切りがたいのではないか。しかし、ある交付決定単位と申しますか、そういうものの範囲内で流用していくということは、これは十分考えられるところでありまして、先ほど申し上げましたたとえばメニュー式補助金をつくりますとか、それから補助金を統合していきますとそういう効果が出てくるわけでございまして、一挙にできない話でございますが、だんだんとそういう方向で統合メニュー化を進めていきたいと思っております。
  126. 川合武

    ○川合委員 ひとつ、だんだんとじゃなくて、思い切って進めるように方向づけをしてもらいたいと思います。   一例でございますが、厚生省の社会福祉施設整備費補助金、これは精神薄弱児の施設とか、肢体不自由児の施設とかあるいは精神薄弱者の厚生施設、授産施設、身体障害者の諸施設等々に分かれているわけでございますけれども、県によってといいますか、地方団体も最近は地方コロニーと称している総合施設、これをつくっているわけですが、そうしますと、この分かれている諸施設を総合してつくる。したがって、補助金も総合してこれを地方団体に使わせる。たとえば卑近な例でございますが、便所だとか炊事場だとか、こういうものは総合施設の場合は共用できるわけでございます。ですから、こうした施設に対して補助金を総合して使うということは可能であるし、またむしろ行うべきだ、こういうふうに思いますが、その点についての考えを伺いたいと思います。
  127. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 ただいまお話のございました具体的な厚生省の問題につきまして、私ちょっと勉強不足でございましてお答えしがたいのでございますが、一般論で申し上げさせていただきますと、それぞれやはりその補助の目的があるわけでございます。そこの補助事業としての値打ちから申しますと、全体に対して補助しないで一部に対して補助することによって補助効果を上げるということもまた考えなければいかぬ点でございますので、その辺がむずかしいところであろうかと思うわけでございますが、また、余り地方団体側に自主性を認めますと、本来こういう点について事業をやってもらいたいというのがうまく浸透できない面もございます。たとえて申しますと、これは財政審議会の席上でも指摘があったことなんでございますが、厚生省の各種の社会福祉の補助金がございますが、これを仮に統合して実行するということになりますと、恐らく保育所に多く使われちゃうんじゃないかというような面が指摘されておりましたが、そういう面もあろうかと思います。  ただ、いま御指摘がございましたように、余りにも細分化されているということでいいのかという反省は私ども持っているわけでございまして、各省それぞれいろいろ考え方もあり、それから事情もあるわけでございますけれども、大きな方向としては統合していく方向で考えていきたい。そういう場合に、単に統合するだけじゃなくて、そのメニュー化と申しますか、そういう手法も織りまぜながらだんだん大きく取り込んでいきたいというのが、一つのこの間の財政審の答申の考え方の底流にあったのではないかと思います。私どももそういうふうに考えます。
  128. 川合武

    ○川合委員 言葉じりをとらえるわけではございませんが、どうも地方団体が勝手にやるのじゃないかということが心配だと言われるが、そういう不信感を基礎にされているところに、この補助金の整理の問題が進まない基本があるのじゃないかと思いますが、ぜひ補助金の整理についてはもっと積極的にやっていただきたいと思いますが、時間が限られておりますので、次に進みます。  地方債のことでございますが、地方債計画総額に占める政府資金の比率は昭和五十年度まではほぼ六〇%であったと承知しますが、昭和五十一年度に二九・六%になりまして、五十二年度三六・六%、五十三年度三九・三%、いずれも三〇%台に落ち込んだままになっていると思いますが、急激に政府資金の比率が低下した原因、いきさつについて伺いたいと思います。
  129. 副島有年

    ○副島政府委員 政府資金の比率につきまして五十一年度以降下がってまいりました数字については、先生のおっしゃるとおりでございます。その原因でございますが、御承知のように、五十一年度に国、地方を通じまして大変大きな歳入欠陥を生じたわけでございます。国もその時期において巨額の国債の借り入れを行ったわけでございます。その反面、運用部資金、いわゆる財政投融資の原資の大宗をなします運用部資金の増加というものにはおのずから限度があるということで、運用部資金が従来六〇%近くを引き受けていたわけでございますが、必然的にその数字が下がってきたわけでございます。その後、運用部資金の伸びは必ずしも十分ではなかったわけでございますけれども、限られた運用部資金の中から私どもとしては最大限の努力を払いまして政府資金の比率を上げてきたわけでございます。たとえて申し上げますれば、五十三年度の財政投融資計画の伸びは約一八%でございますが、地方債の引き受けは三二・一%と、一般の平均の伸びを大幅にふやしてきているわけでございます。その結果、先生御指摘のように、五十三年度の政府資金の比率は三九・三%まで上がったわけでございます。  それから、政府資金と申しますと、私どもとしては公営公庫資金、これも実は政府資金でございますので、これとあわせて考えておりますが、公営公庫資金と合わせた政府資金の比率は、五十二年度五〇・一%に対してまして五十三年度は五三・七%という数字になっております。
  130. 川合武

    ○川合委員 政府資金並みの金利になるように利差補給をしているわけですが、この利差補給方式では不十分じゃないか、言うまでもなく政府資金と民間資金との間では償還年限に大きな違いがあるわけです。この点についての配慮というものが行われるべきだと思いますが、大蔵省としてはどういう考えを持っておられるか伺いたいと思います。
  131. 副島有年

    ○副島政府委員 政府資金比率につきましては、後ほど主計局次長の方からお答えがあると思いますが、政府資金といわゆる縁故資金と申しますか縁故債との償還年限が非常に差があって不利ではないかという御指摘でございますけれども、御承知のように、縁故地方債につきましては、その借り入れの償還年限というものはその投資物件の耐用年数の範囲内ということが地方財政法で決められているわけでございます。その範囲内であれば、私どもとしては地方債の起債の申請があればこれは許可する方針でございます。したがいまして、現実に大半の地方債は十年になっておりますけれども、一部地方債については償還期限が長いものもございます。
  132. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 ただいま政府資金比率が六割に達しておりませんような状況でございますので、かつて政府資金比率が六割程度であったということも考えまして、地方負担軽減のために六割程度まで利差補給をいたしておるわけでございますので、これ以上の率ということまでは現在考えておりません。
  133. 川合武

    ○川合委員 総理からもたびたび国の財政地方財政とは車の両輪だというようなことを、私は耳にたこができるように聞かされているわけでありますから、これは大蔵大臣に伺いたいと思いますが、昭和五十年度以前の政府資金比率の六〇%になるように政府資金を増額することが必要だと思いますが、昭和五十四年度以降の政府資金の見通しはどうか、大蔵大臣に伺いたいと思います。
  134. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほど理財局の方からお答えしましたような事情でございまして、一方におきまして国、地方財政規模はどんどん伸びていく、他方において財投の原資であります郵便貯金、特に年金の積立金が非常に鈍化しているわけでございます。そういった中にありまして、できるだけの工夫をこらしましてただいまのようなことをやっているわけでございます。今後とも地方財政状況にかんがみましてできるだけ負担を軽減するようにやりたいと思っておりますけれども、六〇%をストレートにやれるかどうか、これは現在の資金需給状況から見ましてなかなかむずかしいのではなかろうか、したがって、できるだけの工夫を今後とも積み重ねていきたい、かように考えておるところでございます。
  135. 川合武

    ○川合委員 六〇%になるようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  そこで伺いたいのは、ことし五十三年から地方債の許可手続が簡素化された、こういうふうに承っておりますが、これはそうでございますね。
  136. 副島有年

    ○副島政府委員 先生のおっゃるとおりでございます。
  137. 川合武

    ○川合委員 許可手続が簡素化されたのは結構でございますが、政府資金を借りるときの融資手続の簡素化ですが、これはどういうふうになっておりますか。簡素化が行われておるのかどうか伺いたいと思います。
  138. 副島有年

    ○副島政府委員 政府資金の融資手続につきましても、同様に思い切った簡素化を五十三年度から図っております。たとえて申し上げますと、従来、融資の手続に際しましては、財政収支計画等々いろいろな書類をとってきたわけでございますけれども、これも大幅に簡素化をいたしましたし、また災害等の写真あるいは建設資材の状況、契約の状況等、まあ運用部資金としてこれは安全かつ有利に運用しなければならないということもございまして、かなり多数の資料をとっていたわけでございますけれども、私どもはこれはあくまでその安全かつ有利に運用しなければならないという基本を守りつつ、その枠内において本年は思い切った簡素化をいたしたわけでございます。具体的にどの程度の簡素化かということを数字で申し上げることは非常にむずかしいのでございますけれども、私どもの直観では、融資手続につきましては、恐らく三割ぐらいの手続が簡素化になったというふうに考えております。
  139. 川合武

    ○川合委員 もともとこの融資手続なんというのは要らないのじゃないでしょうか。許可をした以上はどこにどういうふうにお金が使われるのか、何に使われるのか、そういうことに余り大蔵省として興味を持たれる必要もないのじゃないか、こう思うのです。せっかく許可手続を簡素化されたはずですが、融資手続の方も三割ぐらいとおっしゃるのですが、やはり地方団体をもうちょっと信用されて、許可された以上は、今度は融資手続は要らないのじゃないか、不要じゃないか、こう思いますが、大蔵省の考えを伺いたいと思います。
  140. 副島有年

    ○副島政府委員 先ほど申しましたように、運用部資金法はその目的及び運用において、これは国民の零細な貯金を国が信託されて運用をする、その趣旨にかんがみて、これを安全かつ有利に運用しなければならないということをうたっているわけでございます。その観点から私どもは、地方債のみならず政府機関の融資手続その他につきましても、安全かつ有利に運用するという基準をいろいろとつくっております。その枠内でこの運用部資金というものは運用をされておるわけでございまして、これは地方債だから審査は要らないのではないかという御指摘ではございますけれども、私どもとしては資金運用部法の精神に照らしましてその枠内でできるだけ簡素化をしていく、そういうことで今回見直しをしたわけでございまして、言ってみれば、その法の枠の中における大幅な簡素化を図ったということではないかと思います。
  141. 川合武

    ○川合委員 私は、許可をされたならば、もうそれを何に使おうが、そういうところまでは余り興味を持たれるというか、やかましく言われる必要はないのじゃないかということをお尋ねしたわけですが、融資手続についてひとつうんと簡素化、私は不要だと思うが、うんと簡素化を図るべきだと思います。  最後に、一点質問いたしまして終わりたいと思います。  私どもは、地方交付税地方団体全体の共有の独立税源だというふうに思っております。国税三税の形をかりているけれども、これは地方団体のものだ、こういうふうに思っております。そこで、地方交付税を現行では一度一般会計に入れてから再び特別会計に繰り出している、こういう方式はおかしいのじゃないか。譲与税と同じように、国税収納整理資金から交付税特別会計に直接繰り入れるべきじゃないか、こう思いますが、その点について大蔵省の考えを承りたいと思います。
  142. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 交付税の性格をどう認識するかということとも関連するかと思うわけでございますが、それはさておきまして、いま交付税を一般会計を通じまして特別会計へ繰り入れでいるというやり方が特別不自然な姿であるとは考えておりません。昭和十五年に創設されました配付税の場合も同じようなやり方をとっておりましたし、二十九年以来交付税について現行のやり方をとっているところでございまして、それはそれでいいのではなかろうか、改めることがかえって予算制度なり会計制度なりに影響することが大きいのではなかろうかというふうに思います。
  143. 川合武

    ○川合委員 いま何かちょっと言いかかりましたけれども、そうすると、直入方式をとると何か実害があるのですか。
  144. 山口光秀

    ○山口(光)政府委員 国の予算の中で非常に大きなウエートを占めております交付税が一般会計から外れてしまうわけでございまして、これが予算制度に影響がないということは言えないと思いますし、それから歳入の方でも所得税、法人税、酒税という国税の基幹をなす税収が一覧的に表示されないことになるわけでございますので、その面からも問題ではないか。具体的な実害、これとこれというふうに申し上げられないのは遺憾でございますけれども、大きく制度全体に影響することは間違いないのじゃないかと思います。
  145. 川合武

    ○川合委員 最後の質問でございますが、これは影響するといっても、私どもが考えると、これは地方交付税地方団体のものだという考え方からするならば、いい影響をするのじゃないか、理念としてこの方が正しいのじゃないか。交付税法第二条においても「国が交付する税」と表現されておりますから、また、交付税法の六条一項でも「百分の三十二をもって交付税とする。」と書いてある。別に相当する額というような表現をしているわけでもないし、これは、交付税地方団体の固有のものだ、こういう理念からするならば、考え方として直入方式をとるのが正しいのじゃないか、こう思います。これで最後の質問といたしますが、大蔵大臣ひとつ……。
  146. 村山達雄

    村山国務大臣 これは昔から議論のあったところでございまして、考え方の問題だろうと思います。  いま川合さんおっしゃったのは、あれは共同収入であるから直入せい、こういうわけでございますが、一方で考えますと、あれは調整財源なんだという考えに立っている場合には、その姿をやはり国民によく理解してもらう、こういうことが必要であろうと思うのでございます。御承知のように、現在直入方式をとっておりますのはほとんど目的税でございます。だから、譲与税のように特定財源が決まっておる、あるいはまた電源開発促進税のような目的税のものは直入方式をとります。特定財源であっても目的税でないものは、御承知のとおり、直入方式をとっておりません。今度とられました石油税しかり、あるいはガソリン税、これも目的税ではございません。特定財源でございます。それはやはり一般会計に特定財源といたしまして入れておる、その上の調整財源でございますから、特定財源よりももっと財政調整的な機能を持っておる。それをよく国民に理解していただくためには、予算の中でその姿を示した方が全体として国、地方を通じてどんなふうに財政調整機能が果たされておるか、財政の機能がよくわかるという意味でやっておるわけでございます。しかし、この問題は古くして新しい問題でございまして、いつでもそういう問題が出ているわけでございますので、われわれもそういう御意見のあることはよく承知しておりますけれども、今後とも引き続き検討してまいりたい、このようなつもりでおるわけでございます。
  147. 川合武

    ○川合委員 質問を終わります。
  148. 木村武千代

    ○木村委員長 中山利生君。
  149. 中山利生

    ○中山(利)委員 先ほどからの同僚委員からの質問、大臣の御答弁を承っておりまして、地方団体側の要望、地方財政の非常な厳しさの中でわれわれの願いは与野党を通じて同じような願いを持っているということがおわかりであったと思いますし、また、大臣もその現況につきまして非常な御理解を持っておられる。しかも今回の措置は、御答弁にありましたように、臨時特例的な措置ではあったと思いますが、当面の地方財政のためには最高の措置であったと私は高く評価をするわけでございますが、これはあくまでも臨時的な措置であることには間違いないわけでございまして、地方団体側も、われわれもことしは何とかなるけれども、一体来年はどうなのか、再来年はどうなのかという大きな不安がまだ残っているわけでございます。こういうときにあたりまして、両大臣から、もうそういう心配は絶対かけないのだというような御決意が聞かれましたならば、大変しつこいようでございますけれども、改めてもう一度御決意を表明していただきたいと思います。  それから、もう一つお伺いしたいのは、いままでの地方財政制度、これはいろいろの批判があり、考え方、議論があったところでございますが、経済の高度成長に助けられて今日まで大過なく切り抜けてきたというようなことであったかと思いますが、今日のような、ここ数年の状況は特別のものといたしましても、これからの安定経済下の地方財政は国の財政との車の両輪という立場から、ひとつ地方財政はこうあるべきだというようなビジョン、この法案の審議とは別に、大臣の御見識を披瀝していただければ幸いだと思います。これは両大臣からお願いしたいと思います。
  150. 村山達雄

    村山国務大臣 中山委員承知のとおりに、いま世界を挙げて石油ショック以降の変動経済下にあるわけでございます。すでに私たちの認識では、高度成長の時代は日本には再び来ないであろうと思うわけでございます。大体高度成長時代の半減速になっておると思うのでございます。それにしても、GNPは、毎年わずかでございますが、世界のトップをいっておるわけでございます。しかし、半減速以下になっておるわけでございます。しかもその中身を見てみますと、構造不況の問題あるいは事業転換の問題、一体これから日本の産業がどっちを向いていくのか、この問題が解決されているとは私は思わないのでございます。需要構造が変化し、コストの構造が変化しておる。それが解決しないままに減速経済を迎えておるわけでございます。そういう意味で、世界を挙げていま困っておる状況にあるわけでございますが、日本はまたそれと全く同じような状況で、しかも構造変化の問題になりますと、私は、他の先進国より大きな問題を抱えておると率直に思っておるのでございます。その意味で、早くそれらの問題を解決して、減速経済ながら一種の安定軌道に乗ることを強く希望しているわけでございます。  しかしながら、財政は、先ほども申しましたように、歳入の方はまさに減速経済下の歳入でございまして、歳出の方は依然として国民の要望が強いというせいもありますけれども、やはり高度成長時代の伸び率を示しておることは御案内のとおりでございます。この問題を解決しない限り、経済財政も安定するはずがないと思うのでございます。ことしはいわば逆方向にいっているように一見見えますけれども、実は早く近道を通って、そして安定経済の線に乗せたいという念願でやっているわけでございます。私たちは、一刻も早くそういう状態になって、経済の安定が見えたときに、やはり財政当局というのは、どっちもプラクティカルな部門でございますので、両方で苦労を分け合い、また健全化もともに図っていきたい、かように思っておるところでございまして、地方財政に御迷惑をかけようなどという意図は全然持っておりません。できるだけ乏しい中でも、御承知のように地方財政が、第二の問題と同じになるわけでございますが、同じ苦しいにいたしましても、やはり三千団体あるわけでございます。ふところがみんな小さいわけでございますから、その意味で、どちらかと言えば国の方が、公債残高にいたしましても、あるいはまた公債依存度にいたしましても、それから公債費の問題にいたしましても、あるいは赤字国債を出さないという問題につきましても、われわれは地方財政の方により配慮しているつもりなのでございます。今後ともやはりその方向で相ともに経済の再建と財政の健全化に努めてまいりたい、こんな気持ちでおるわけでございます。
  151. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御審議願っておりますいわゆる二分の一分担方式のルール化でございますけれども、最善の措置とは考えられないのでありますが、しかし、国も苦しい財政の中から二分の一は負担いたそう、かような決意をしてくれておりますようなことでございまして、しかし、これが恒常的、永久的な措置ではないことは申すまでもないのであります。しかし、当分の間の地方財源不足に対処し得る道といたしましては、これにたえ得る制度ではないであろうか、かように考えておりますけれども、しかし一日も早く基本的な改正を行っていくべきだ、かように考えております。  それから、地方財政のあり方についてどう考えるか、かようなことでございますけれども、安定成長段階に入りましても、かつてのような高度成長は望むべくもないのでございますから、今日の地方団体はその機構におきましてもあるいは事務事業にいたしましても、まだ高度成長段階を大きく脱却しないままできている面があろうかと思うのでございます。ですから、機構の改革にいたしましても、あるいは事務事業の見直しにいたしましても、あるいは定数管理等にいたしましても、新しい体制に早く切りかえてまいる必要がございますし、また中央の段階におきましては許可、認可等の大幅な整理等を行いまして、地方負担を軽くしてまいりますと同時に、税制上の特別措置等についても見直していかなければならぬのでありますが、しかし、そういう中におきましても、地方では地域住民の行政需要は無限といってもいいぐらいあるのでありまして、これに対処いたしてまいらなければならぬのでありますから、今後は選択の問題が大きな課題になってまいりましょうし、また、地方の仕事はお互いの負担でなし遂げる、かような基本的な考えがどうしても必要であろうかと思うのでございますから、税源の確保、拡大等につきましても特段の配慮をいたしながら、新しい安定成長段階に適応いたします体制づくり、これが必要であろうかと、かように考えております。
  152. 中山利生

    ○中山(利)委員 両大臣から大変力強い御決意の披瀝がございまして、私も質問を終えたいと思いますが、両大臣のお力で、どうかこの地方住民の生活と密接な関係にある地方自治が、地方自治の本旨に基づいて生き生きとした運営ができますように今後ともお力添えをいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  153. 木村武千代

    ○木村委員長 次回は、明十八日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会