運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-03-22 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       相沢 英之君    井上  裕君       石川 要三君    谷  洋一君       地崎宇三郎君    渡海元三郎君       中村喜四郎君    中村  直君       西田  司君    与謝野 馨君       加藤 万吉君    北山 愛郎君       新村 勝雄君    細谷 治嘉君       水田  稔君    権藤 恒夫君       斎藤  実君    和田 一郎君       中井  洽君    三谷 秀治君       川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣 加藤 武徳君  出席政府委員         自治政務次官  染谷  誠君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局公         務員部長    塩田  章君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君         消防庁長官   林  忠雄君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   亀井 敬之君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   森下 忠幸君         厚生省保険局国         民健康保険課長 黒木 武弘君         農林省構造改善         局農政部農政課         長       若林 正俊君         運輸省港湾局管         理課長     中村  哲君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 金田  徹君         建設省都市局都         市政策課長   杉岡  浩君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     澤田 光英君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出に係る地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 まず地方税法改正の時期の問題についてであります。現在の慣行では、大体三月の中旬から下旬にかけて論議をして三月の末に上げるという形になっておるわけでありますが、大体地方税条例改正地方の専決かあるいはまた四月か五月に総務委員会等で上げるケースが多いわけでありますが、国会審議日程との関係もあるわけでありますが、これを十二月か一月に上げるような形はできないのかどうか、その辺について検討をしたことがあるのかどうか、まずお伺いをいたします。
  4. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま御指摘の問題は、私どももかねてから各地方公共団体からいろいろな面で問題が多いという指摘を受けておる課題でございます。御案内のように、会計年度が国と地方とが同一でございますし、また政府予算編成が年内あるいは場合によりますと年を越すというようなことにも相なります。それと一体といたしまして地方財政計画を策定し、その中で地方税制改正というものも立案してまいるわけでございますので、日程的にはどういたしましても二月の初めに閣議で決定して二月の中旬に国会提出をする、こういう段取りにならざるを得ない状態でございます。各地方公共団体でそれを受けまして県税条例なり市町村税条例改正いたします場合に、日程的に大変ぎりぎりになってしまうという面は確かに問題があるわけでございますけれども、いままでのところ、御質問の中にございましたようにいろいろ工夫をこらしまして措置がされてまいっておる、こういうことでございます。将来の課題といたしましては、最もスムーズに日程が調整できるようにいたしますためには、やはり会計年度をどうするかという基本的な課題に取り組まなければなかなか抜本的な改革というものはできないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 大体、地方が三月に定例議会を開いて予算審議することはわかっておるわけでありますから、その際に税条例改正が上がらないというのは何としてもまずいことだというふうに思うわけであります。そういうことで一段の御努力をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  6. 森岡敞

    森岡政府委員 現行制度の枠の中で考えます場合には、できるだけ早く地方税法改正案を御提案し、できるだけ早く成立をお願いするということがまず第一だと思います。  第二に、長期的に考えました場合には、先ほど申し上げましたように、会計年度区分のあり方も含めまして基本的な検討を加える、こういうことであろうかと思います。せっかく努力をいたしたい、かように思います。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ十分なお取り組みをいただきたいと思うわけであります。  次に、税制調査会答申についてお伺いをいたしたいと思います。  この答申では、税負担引き上げ必要性を改めて国民に訴えるべきであるとして、税制一般消費税にどう取り組むかは避けて通ることができない課題であると言っておるわけであります。一体、いつ一般消費税に取り組むつもりなのかどうか、またどう取り組んでいかれるのか。まあ大蔵の問題だろうと思いますけれども自治省としてどう一般消費税に取り組むか、この態度についてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 森岡敞

    森岡政府委員 税制調査会におきましては、ただいま御指摘がございましたように、今後の国、地方を通ずる財政見込みあるいは国民経済なり国民生活の推移を考えますと、どうしても一般的な租税負担引き上げが必要であろう、その場合の方途としては、理論的には個人所得に対する所得税とか住民税というものが、税負担水準を見ますると諸外国に比べてかなり低いわけでありますから、これを引き上げてしかるべきではないかという議論もあるけれども、現実問題として負担感から申しましてなかなかむずかしかろう、したがって、一般消費支出に対して広く課税をする一般消費税というものが基本的な考え方として国民的な検討課題ではないか、こういう御指摘があるわけでございますが、その場合、税調答申をごらんいただきますと、国、地方を通ずる財源不足に対処するための方策として提案されておるわけでございます。したがいまして、これは私どもは単に国税の問題としてのみ考えておるわけではございません。公経済全体の問題として考えておるわけでございます。ただ、具体的な時期なり内容につきましては、この答申でも触れておりますように毎年度税制改正の際に、どのような内容で、またどのような規模租税負担増加をお願いするかは、真剣にかつ慎重に検討して、かつ国民的な合意を得るように努力をする必要があろう、こういうふうに述べておるわけでございます。したがいまして、その時期につきましては、まだ税制調査会の全体の意向も固まっておりませんので、私どもここで明言申し上げる段階ではないと思いますけれども、ただその時期についてはできるだけ早い方がよろしい、遅くなれば遅くなるほど財政収支ギャップというものが広がっていくわけでございますから、その場合のやらなければならない増税規模というものは非常に大きくなってしまう、ですから、できるだけ早く措置に着手する方がいい、こういう指摘がなされているわけでございますので、その方向に沿って検討を進めるべきもの、かように考えておる次第でございます。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 五十三年度予算編成は、御承知のように四月、五月の歳入を前倒しで取り入れておるわけでございます。このことは五十四年度予算編成をきわめて困難なものにしているというふうに思います。このこと自体は、私は五十四年度政府としては一般消費税を取り入れていきたいのだというふうに理解をいたしますが、そういう理解でよろしいですか。
  10. 森岡敞

    森岡政府委員 国税収入につきまして、従来は四月納入分までを財政収入に組み込んでおりましたのを、今回五月納入分まで組み込むことにいたしたわけでございますが、それは国の財政実態あるいは地方に対する交付税の確保の問題、そういうふうないろいろな課題を前提といたしましてとられた臨時的な措置だと私ども考えております。国の税収税制の問題でございますので、私どもここで申し上げる筋ではないと思いますが、しかし、その経緯から申しまして五十三年度限りの措置であろう、かように考えておる次第でございます。したがって、五十四年度以降は、五十四年度におきましては五十三年度分よりも一ヵ月分税収は落ち込む、こういうことにならざるを得ない、かように考えております。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 また、答申では事業税外形標準課税との関連についても、中期答申の趣旨に即して取り扱うことが適当であると考えると言っておるわけでありますが、このことは、一般消費税導入すれば外形標準課税はしないということになるわけですか。
  12. 森岡敞

    森岡政府委員 事業税外形標準課税の問題は、都道府県が行います行政サービスに対する経費を企業が事業活動の分量に応じて負担をするという観点から課税する事業課税でございますので、従来から外形標準課税標準とするということがこの税の性格に適合するということで私ども強く主張してまいり、また税制調査会でも審議が重ねられてきたわけでございます。今回のいわゆる中期税制答申におきまして、一般消費税事業税というものの税の性格あるいは税負担の実質的な帰着関係から申しまして非常に共通する面が多いということで、一般消費税導入する場合、いずれにしても先ほど申しましたように、国と地方双方財源不足に対応するための措置でございますから、その財政収入を国と地方とでどういうふうに配分するかという問題があるわけでございます。したがって、その場合に、事業税外形標準課税導入問題をあわせて解決することが現実的であり、望ましいのではないか、こういう御指摘がなされておるわけでございます。したがって、一般消費税が創設されました場合、事業税外形標準課税導入が行われないということではございませんで、一般消費税が創設されます場合にはぜひそれとあわせて事業税外形標準課税決着をつけたい、かように考えておる次第でございますし、税制調査会答申もその方向結論が出ておるものと理解をいたしておるわけでございます。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 一般消費税導入については問題のあることは御承知のとおりでありまして、導入するまでにはさらに何年かはかかるだろうというふうに思っておるわけでありますが、一般消費税とは別に、外形標準課税にぜひこの際踏み切るべきだというふうに思っておりますが、税務局は実際には税調事務局でもあるわけでありますから、どうですか、確かに関連はあることはわかりますけれども外形標準課税に先に踏み切っておかなければ、実際にはなかなか何年も導入できないというような状態があるわけでありますから、この際外形標準課税に踏み切るべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  14. 森岡敞

    森岡政府委員 御指摘のような御意見もあるわけでございますし、私どももそのようなお考え一つのお考えだと思います。しかし税調で非常に慎重にかつ時間をかけて審議いたしました結果、一般消費税事業税との共通性というものについての税制調査会における合意と申しますか、基本的な認識はほぼ一致しておるわけでございます。この段階事業税外形標準課税導入問題に先に手をつけるということは、税制調査会の御審議を経て税制改正内容を決めていくという従来の手順から申しますと、率直に申してなかなか困難なことだと思うのでございます。一方、一般消費税導入問題について非常な困難があるという御指摘がございました。確かにそうだと思いますが、先ほど申し上げましたように、一般消費支出に対する課税というものに、現在の経済財政状況から申しますとできるだけ早い機会決着をつけなければなるまいというのが税制調査会答申結論でございますので、私どもは、そういう意味合いで、一般消費税導入及び事業税外形標準課税導入の問題を早期に解決をさせていただくということが望ましい方向ではないか、かように思っておるわけでございます。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 税務局税調事務局なんですから、事業税外形標準課税については何としても一足先に踏み切るべきだ、こういうことを強く要請をいたしておきたいと思います。  それから、自治省例年地方財政の問題について大蔵との折衝をやって、覚書を締結をしておるわけですね。その際に、税源の再配分についての折衝というのは全然やらないわけですか。
  16. 森岡敞

    森岡政府委員 毎年度地方財政財政収支見込みを立て、必要な地方財政対策を講ずるわけでございます。その場合に、国と地方税源の再配分問題も含めましていろいろ議論をしておるわけでございますが、何と申しましても現在の財政収支状況は、地方ももちろん大変悪化いたしておりますが、国家財政の場合も非常に大きく落ち込んでおるわけでございます。この時点で国税の一部を地方税に振りかえるということを行いますことは現実問題としてきわめて困難な状況であるわけでございます。議論はいたしますけれども、なかなか実らないというのがここ二、三年来の実態でございます。したがいまして、先ほど来お話がありますように、あるいは全体としての租税負担増加をお願いする際に、地方財政収入増加をできるだけ図っていくということが現実的な手法ではないか、かように私ども考えておる次第でございます。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 税源の再配分折衝もやっておるというお話ですが、私どものところに伝わってくるのは結論だけだから、やっているというふうには受け取れないのかもしれませんけれども、私は、余り真剣に税源の再配分の問題について論議をされていないのではないかというふうに思っているわけであります。  そこで、仮にいま地方配分を要するといいますか、地方配分してもらいたいというような税源について、国税の中で地方税に取り入れていくような税源としてどんなものをお考えでしょうか。
  18. 森岡敞

    森岡政府委員 現在の国税地方税を通じます税体系考えますと、所得課税が中心でございます。所得課税個人所得課税法人関係税と二つに分かれるわけでございますが、個人所得課税は全体のうちで国の所得税が約四分の三、地方住民税が四分の一でございます。いわば三対一の割合法人関係税法人事業税まで含めますと二対一の割合でございます。個人所得に対する課税がやはり税制基本をなすものであると思いますから、理論的に申しますならば、いまの税源配分割合から申しまして個人所得に対する課税国税から地方税に移譲してもらう、これがやはり基本として考えるべきことだろうと思います。しかし、何と申しましても個人所得に対する課税負担感の強いものでございますから、そういう意味合いでいろいろな面でのネックもあることは否定できないと思います。しかし、まず第一に基本的に考えます場合には、個人所得課税国税から地方税に移譲していくということが長期的な方向としては一つ課題として考えなければならぬと思うわけでございます。それから第二の問題といたしまして、これは現行税制だけでなくて将来の税制までも含めまして、先ほど来御指摘がございますような間接税の増徴という問題が当然出てまいると思いますので、その場合にあとう限り地方にその配分を厚くしていくように大蔵省折衝してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつあらゆる機会をとらえて税源地方への配分ということについては強く大蔵に対して声を上げていただきたい、こういうことを要請をいたしておきたいと思います。  地方税法五十一条の都道府県民税法人税割について伺いたいわけです。法人税割税率現行では標準税率が百分の五・二、制限税率が百分の六・二となっているわけでありますが、全国における都道府県課税実施状況実態はどうなっているのかお伺いをいたしたいと思います。
  20. 森岡敞

    森岡政府委員 法人税割につきましては、都道府県四十七のうち四十四都道府県超過課税を実施いたしております。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 いまおっしゃるように、全国都道府県のうちに四十四が超過課税、ほとんど制限税率を使ってやっておるわけですね。このことは私は当然百分の六・二が標準税率でなければならぬというふうに思っているわけであります。そういう意味では、この法人税割税率は、あなた方は税調事務局なんだから、当然税率の変更をいたすべきだというふうに思っています。実態に即した税率に変えていかなければならぬと思いますが、その点についてはいかがですか。
  22. 森岡敞

    森岡政府委員 本来の国税地方税を通じます個人あるいは法人に対する租税負担水準というものは、地方税に関する限りはやはり標準税率というもので決めておるわけでございます。その標準税率をもとにいたしまして法人税を含めました実効租税率負胆が課税所得に対して御承知のように四九・四七%ということになっておりまして、これ自身は先進諸外国法人関係税負担に比べますと、なお若干これより高いところはございますけれども、ほぼかなり水準にいっておるということであろうかと思います。  そこで、法人関係税全体の負担水準を上げるかどうかということは、先ほど御指摘間接税問題あるいは個人所得課税問題全体を含めましての租税負担増加をどうお願いしていくかという際の一つ検討課題であるということは、もう間違いのないところでございます。が、現在の標準税率制度のもとで行っております超過課税をそのままたとえば制限税率標準税率にするということになりますと、これは全体としての法人関係税負担をどうするかという基本課題の一環として考えるべき筋合いのものだと思いますので、法人関係税負担水準を上げることについては、今後私ども検討してまいらなければならぬと思いますが、やはり全体の租税体系をどうするかという中での問題として処理してまいることが妥当であろう、かように考えておる次第でございます。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 あなたはいろいろなことをおっしゃいますが、全国の四十四の都道府県超過税率を実施しているという実態ですね。そういうものを見れば、これはどうしても変えなければいかぬというふうに思うわけでありますから、事務局としてことしの税調答申の中にはぜひ織り込んでいってもらいたい、こういうことを要請いたしておきます。  それから、法三百十四条の六、市町村税法人税割は、御承知のように十二・一が標準税率で、十四・五が制限税率になっておるわけですが、この課税実施状況はどうなっておりますか。
  24. 森岡敞

    森岡政府委員 市町村の場合には標準税率超過課税超過課税率実態は必ずしも一律ではございませんが、市町村の数で申しますと千三百九十二市町村超過課税を行っております。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 私が調べた範囲でも、多くの団体制限税率を目いっぱい使っているところが多いわけであります。これはいまの五十一条とともに三百十四条の六についてはことしの税調答申の中にはぜひ織り込んで改正をいただきたい、こういうことを要請いたしておきます。  それから次に法七十二条の二十二について伺いたいと思います。  法人事業税標準税率等が定められているわけですが、これも当然改正をされるべきではないかというふうに思っているわけです。この七十二条の二十二についてはいかがですか。
  26. 森岡敞

    森岡政府委員 御指摘の問題は法人事業税超過課税のことかと存じますが、法人事業税標準税率超過課税を行っております団体数は五団体でございます。法人事業税につきましては制限税率の定めがシャウプ税制以後はなかったのでございますが、五十年度に現在の制限税率制度を法定したわけでございます。ただ法人事業税につきましては、御承知のように超過課税を特定の団体が行いますと、法人税なりあるいは他の団体法人事業税なり法人税割相当影響が出てまいります。そのこと自身地方団体間の財源配分かなり影響を及ぼすものでございますから、私どもはやはり慎重に扱っていただく方が望ましいのではないかという気持ちをずっと持ち続けておるわけでございますが、現状はいまのようなことでございます。  しかしいずれにしても、住民税事業税あわせまして、法人関係税租税負担水準をどういうふうにするのかという問題として将来の検討課題にしてまいりたい、かように思います。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 医師事業税はどこに含まれるのかという問題であります。現在医師事業税はまるっきりゼロになっているわけですね。なぜ医師に対して事業税を徴収していかないのか、この辺について伺いたいと思います。
  28. 森岡敞

    森岡政府委員 医師に対する事業税は、いわゆる自由診療報酬分につきましては課税されておるわけであります。社会保険診療報酬分につきましては、昭和二十七年度から議員修正によりまして事業税課税対象から除外をするという措置がとられているわけでございます。この問題につきましては、所得税におきます。二%の経費率の法定の問題があるわけでございますので、私ども所得税におきますこの社会保険診療報酬の特例というものをどういうふうに措置するかという課題の結末を見ながら検討をいたしてまいりたい、かように思っている次第でございます。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 住民税においても七二%は除外をされているわけでありますから、事業税がゼロということはあり得ないと思います。この点については、ぜひひとつ検討をしてしかるべく処置を願いたい、このように思っております。次に、法人住民税均等割税率引き上げでありますが、税調答申どおりそっくりそのまま今回の地方税法改正案原案として出てきておるわけであります。私はこの点は、税調答申税務局の勇み足ではないか、このように思っております。税調答申の中では少なくとも抽象的な表現をしてもよかったのではないか。あのような形で具体的に書いて、それを受けて地方税法改正に出してくるということを見ると、私は少なくとも地方税に関する限りは税務局というのは税調事務局であるし、税調というのはまさに自治省税務局のかいらいではないかとすら思うわけでありますが、なぜ税調答申の中に今回の地方税法原案とそっくりというような形で出したのですか。
  30. 森岡敞

    森岡政府委員 今回の法人住民税均等割引き上げは、先生御承知のように三回連続の引き上げでございます。かつ、資本金十億円以上の均等割の額につきまして、従来の引き上げ幅よりもかなり大幅な引き上げをお願いしておるわけでございます。そういう意味合いで、こういう内容のものでございますし、また経緯から申しましても、やはり税制調査会で確定的な御結論を出していただく方が、地方税法改正案を作成いたしますまでの間のいろいろなトラブルが起こることのないようにするためには望ましいという判断を私どもといたしましては持ったわけでございます。  それから、税制調査会政府の隠れみのであるというお話でございます。お言葉を返すようで恐縮でございますが、先ほども指摘になりました外形標準課税導入問題、これにつきましては何度も税制調査会議論していただいておりますけれども、なかなか結論が出ないというふうなことをごらんいただきましてもおわかりのように、大変有能な学識者のお集まりでございますので、私どもがこうやっていただきたいと申しますれば、そのままやっていただくと言えるような調査会ではございませんことを御了承願いたいと思います。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 おっしゃいますが、私はこの引き上げを悪いと言っているのではない。引き上げ結構なのですが、税調の案そのとおりなのですね。私は、自治省税務局事務局として税調答申をあのようにつくってそれを受けてやったと言うけれども、少なくとも税調答申の中ではもう少し抽象的な表現にしておいて、原案でこのように出してくるのならわかる。けれども、あれとそっくり同じ形を出してくるというのは、どうもかいらいではないかというふうに思っているわけであります。ぜひともひとつこの際、税調委員の構成を経歴を付して後ほど出していただきたいというふうに思っております。  それから、昭和五十三年度財政運営において内需拡大の要請にこたえるため個人消費の拡大を図るべきであり、大幅な所得税住民税の減税を図るべきだという意見があったと答申の中では言っておりますが、税調の中のどんな委員の主張ですか。
  32. 森岡敞

    森岡政府委員 税制調査会の全体の空気は、答申にも出ておりますように、所得税及び住民税の一般的な減税については消極的な御意見が多数を占めたわけでございます。中に、いまお話しのように個人消費の拡大が大事なんだからという観点から、一般的減税をある程度実施すべきではないかという御意見の方もございます。いわゆる消費者代表と申しますかそういう方々、あるいは労働組合の代表の方からそういう御意見が一部ございましたが、やはり大勢は、この際一般的減税はごしんぼう願うのが方向として望ましいということであった次第でございます。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 公共投資によるということが番適切だという意見が大勢を占めたというふうに答申の中では言っておるわけでありますが、少なくとも今回の地方税法改正に当たって、物価調整減税程度はやらなければならなかったのではないかと思いますけれども、なぜ踏み切れなかったのか、その点について伺いたいと思います。
  34. 森岡敞

    森岡政府委員 所得税住民税課税最低限は、両税の問で開きはございますけれども、先進諸外国の同じような個人所得課税などの課税最低限と比べますと、所得税は世界一になっておりますし、住民税もほとんどの諸外国課税最低限とほぼ同額あるいはそれより高い金額になっておる次第でございます。このことは、従来から毎年物価の上昇率を上回る課税最低限の引き上げを行ってきた、その結果こういう形になっているわけでございます。そういう点から考えまして、将来一般的な租税負担増加をお願いしなければならぬという場合に、何と申しましても所得に対する課税というのは税制の中心であり、基本をなすわけでありますから、そういう税について、この際物価調整減税はやはり見送る方が望ましいというのが税制調査会基本的な認識であったと思います。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 そのように課税最低限の引き上げについてに今回は見送ったわけですね。減税をやるべき時期ではないということなんでしょうけれども国税の最低限とはかなりの差があるわけであります。住民税所得税とは違うと言いますけれども、低所得者に対して何といっても課税がきつ過ぎるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  36. 森岡敞

    森岡政府委員 税制調査会の毎年の答申あるいは中期答申、長期答申等でもしばしば指摘されておりますように、住民税所得税とでは税の性格基本的に違うということが一般的な認識であろうかと思います。地域社会の費用を能力に応じて広く負担していただくということでありますから、所得再分配という考え方をとる所得税と違うわけであります。したがってまた、税率所得税に比べますとかなり低い累進度をとっているわけでございます。所得税税率は一番下は一〇%から始まりますが、市町村民税の場合には二%、県民税の場合も二%ということで、最初の第一段階税率かなり低いわけでございます。したがいまして、課税最低限に一定の差がございますけれども、絶対額といたしましては、所得税負担住民税負担を比べます場合、総体としてながめますれば、住民税負担は金額としては低額であるというふうに私ども考えておる次第でございます。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 余りにも所得税との間に差があり過ぎるのですね。そういう点では少なくとも前年度所得税課税最低限ぐらいにはやっていくべきだと思いますが、さらに一段と配慮をしていただきたいと思うのでありますけれども、妻とその他扶養家族の控除がありますね。これが現状では二十万と十九万ですか、区分があるわけでありますが、たしか国税では同一であろうと思うのです。これを二十二万なり二十三万ぐらいで統一をして、区分をしないで、少なくとも同一にすべきではないかと思いますが、その点についてはいかがですか。
  38. 森岡敞

    森岡政府委員 この点につきましては、基本的には御指摘のとおりだと私ども考えております。そのような観点から、従来基礎控除、配偶者控除、扶養控除にかなり差がございましたが、四十九年度で基礎控除と配偶者控除を同額といたしました。五十年度及び五十一年度においても、今度は扶養控除を引き上げまして差を縮めてまいったわけでございます。したがって、現在はお話しのように一万円の差になっております。私どもできるだけ早い機会に一致させたいと考えておりますが、明年度は先ほど来申し上げましたような経緯なり実態でございますので、一般的減税をごしんぼう願うということにいたしました。将来機会を得まして同額にするような努力を続けてまいりたいと考えております。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 将来機会を見てなどと言わずに、五十四年度ぐらいには少なくとも二十二万くらいでそろえていただきたい、こういうことを要請をいたしておきます。  先ほども申し上げたわけでありますが、法人住民税均等割税率引き上げでありますが、大きいところは十倍も引き上げをしているわけですね。資本金の大きいところだから結構だとは思うのですが、十倍も引き上げるくらいならば、少なくとも昨年度に手をつけておいて、やはり段階的に引き上げるべきではなかったのかということもあるわけでありますが、この点についていかがですか。
  40. 森岡敞

    森岡政府委員 五十一年度、五十二年度におきまして若干の引き上げを行ったわけでございますが、その際には税率の適用区分に変更は加えなかったわけでございます。資本金が一千万円以下、一千万から一億円、一億円以上という三段階の区分を変えませんでした。今回は、本委員会におけるかねがねの御指摘もございますし、また、社会の実態から申しましても、資本金額の大きい法人にはかなり思い切った負担をお願いしてしかるべきではないかという判断に基づきまして、いまごらんいただいておりますような改正案に取り組んだわけでございまして、そういう意味合いでは、昨年、一昨年の税率適用区分を変えない改正とは基本的に考え方をやや異にしておるという御理解をいただいてしかるべきではないか、かように思っておる次第でございます。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、料理飲食等消費税の関係でありますけれども、施行期日を十月一日にしているわけですね。ほかのは六月一日か七月一日に改正をするわけですけれども、これは免税点の引き上げだということで故意に十月一日にずらしたわけですか。
  42. 森岡敞

    森岡政府委員 料飲税の場合には、今回は基礎控除、旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に対します基礎控除の引き上げでございます。従来、料飲税につきましてある年には免税点の改正を行い、あるいはある年には基礎控除の改正を行うという措置がとられてまいりました。物価の上昇等を勘案してそのような措置がとられてまいったわけでございますが、料飲税の場合には大変徴収のむずかしい税でございます。旅館なりその他の特別徴収義務者と綿密な打ち合わせをした上でありませんと混乱を生じます。ことに公給領収証の作成、そういうふうな問題もございますので、それやこれや勘案いたしまして、相当期間——免税点、基礎控除の改正などを行います場合には、半一年ほどの余裕を持って間違いの起こらないようにするということで十月一日を適用期日にしておる次第でございます。
  43. 小川省吾

    小川(省)委員 基礎控除の引き上げですけれども、少なくともこの施行期日は六月一日か七月一日にすべきであったというふうに私は思うわけであります。何も十月一日にずらすことはなかったのではないかというふうに思っておるわけであります。  それから、料理飲食等消費税は、その二分の一を市町村に交付すべきだという意見があるわけであります。温泉地等所在の市町村では、特に根強い要求があるわけであります。この際、二分の一を市町村に交付できるようにしたらいかがか、都道府県の反対はあろうかと思いますけれども、交付できるようにしたらどうかということについて伺います。
  44. 森岡敞

    森岡政府委員 料飲税につきまして、いま御指摘のような御意見が温泉地所在市町村にあることは私どもかねがね承知をいたしております。ただ、特定の税を府県と市町村との間で税源配分に変更を加えるということは基本的な問題でございますから、温泉地所在市町村に限って行うことは、これは制度としてはなじまないと思いますし、また、仮にそういうことをやりますと、温泉地所在市町村かなり税源が偏在するということにならざるを得ないというふうに思うわけでございます。かてて加えて、御質問の中にもございましたように、現在、府県、市町村ともに財源不足にあえいでおりますが、ことに府県の場合には法人関係税税収の減収によりまして、大変あっぷあっぷいたしております。この段階で県から市町村税源を移譲するということは、これはなかなか行いがたい問題でございますので、最初に申しましたように、今後の基本的な税制改正による税体系の変更の一環として、その際に基本的な検討を加えていくということではなかろうか、かように思います。
  45. 小川省吾

    小川(省)委員 温泉地等所在市町村は、じんあいの処理とかあるいはまた屎尿の処理とか多大の費用を強いられるわけであります。この際思い切って全市町村に二分の一を回してやったらどうなのかというふうに思うわけでありますが、ぜひひとつ検討してみていただきたいと思うのであります。  娯楽施設利用税のうち、ゴルフ場については現在市町村に交付しておりますね。この根拠は何ですか。
  46. 森岡敞

    森岡政府委員 ゴルフに対する娯楽施設利用税の二分の一を地元市町村に交付いたしておりますのは、何と申しましても、あれだけの大きなスペースを市町村の区域内でゴルフ場が占拠するわけでございます。その市町村の土地利用計画なりあるいは市町村振興なりから申しますと、かなり大きな制約要件になるということは、これは否定すべくもないと思います。また、ゴルフ場がございますと、自動車の交通量も非常に多くなってまいりますから、市町村道の整備にも相当な金がかかる、こういうふうなことを考え合わせまして、いわばゴルフ場の特殊な性格を頭に置いて、ああいう交付金制度があるというふうに御理解を賜りたいと思うのでございます。  およそ都道府県税について何もかも交付金制度を設けるということは、私どもは、租税体系といたしましては望ましくない、特殊なものに限定してのことではなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  47. 小川省吾

    小川(省)委員 ゴルフ場の市町村に対する交付についてはわかります。だけれども市町村道がいたむとか、あれだけの大きなスペースがあるということがありますけれども、それだったならば、じんあいの処理だとか、屎尿の処理というのはなおそれ以上に市町村に出費を強いるわけでありますから、そういう厳然たる根拠があるわけでありますから、ひとつこの際思い切って市町村にその二分の一を交付をするということについて検討をしてみてくれますか。
  48. 森岡敞

    森岡政府委員 お話ではございますが、じんあいとか屎尿とか、そういう問題になりますと、一般財源あるいは受益者負担その他各般の財源を駆使いたしまして所要の措置を講じていくべき筋合いのものだと思います。先ほど申しましたように、府県と市町村との間の税源配分かなり思い切って変えるということを行います段階は、全体的な租税体系基本的に検討する段階でありませんと、これはなかなか困難であろうという気持ちがいたすわけでございますので、長期的に検討課題にさしていただきたい、かように思います。
  49. 小川省吾

    小川(省)委員 ぜひひとつ検討課題の中に加えていただきたいと思うのです。局長は長期的な検討課題と言いますが、ぜひひとつ短期的な検討課題に入れて検討をしてみてほしいと思います。  都市計画税の制限税率を〇・一%今回引き上げるわけですね。都市計画税は制限税率のみを定めている税でありますけれども、条例で決めているのだから一律に税負担増加することにはならないとしているようでありますが、現行の都市計画税の実施状況はどうなっているのかということであります。制限税率によっているところが大部分なのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがなものですか。また、制限税率のみだということはどういうことなんですか。
  50. 森岡敞

    森岡政府委員 まず都市計画税の仕組みといたしまして、制限税率を設け、標準税率を定めていない理由いかんということから申し上げたいと思いますが、この税は、御承知のように都市計画事業の経費に充てるためのいわゆる目的税でございます。これを課税するかしないかということ自身、当該市町村の条例によって決めるというわけであります。その税率をどう決めるかということは、一般財源の状況あるいは国庫補助金、地方債あるいはさらには受益者負担という各般の財源の状況を見合わせながら、都市計画税としてどの程度の目的税負担を求めるかということを決めていくわけでありますので、標準税率というものは、率直に申して決めようがないと思います。したがって、標準税率を決めていないわけであります。が、ただ、地域間で非常にアンバランスが出ると、国民租税負担という面から申しまして問題がございますので、制限税率を決めておるという次第でございます。税率の採用状況でございますが、現在は制限税率いっぱいの〇・二%で課税いたしております団体が約八五%でございます。残りの一五%は制限税率未満の税率課税いたしております。
  51. 小川省吾

    小川(省)委員 次に、特別土地保有税に関する項目でありますが、特別土地保有税審議会とかなんとか言っておるわけでありますけれども、大体大企業の保有土地の優遇になりかねないのではないかというふうに思っております。全般的にこの土地保有税の項目は削除をすべきだというふうに私は思っているわけであります。税調答申でも、現行のまま維持すべきだと言っているというふうに思いますが、この点についていかがですか。
  52. 森岡敞

    森岡政府委員 今回の特別土地保有税の改正は、端的に申しまして、税制の合理化という考え方で私ども立案いたした次第でございます。御承知のように、現在の制度は四十七年ないし八年に起こりましたいわゆる土地の価格の狂乱的な上昇、これを何とか冷やす必要があるということで、かなり思い切ったドラスチックな政策税制を当時とったわけであります。したがいまして、その結果、四十四年一月一日以降取得した土地につきましては、現実に利用されているといないとを問いませんで、一定の非課税要件に該当するもの以外は全部課税するということで、いわば土地の需給をかなりとめてしまうというぐらいの気持ちがあったと思うのです。しかし、だんだんと世の中の情勢も変わってまいりましたし、ことに国土利用計画法その他の土地利用に関する規制立法がかなり整備されてまいりました。もっとも、これは完全に適切な運用ができておるかどうかといいますと、なお今後時間をかけなければいかぬと思いますけれども、しかし制度としてかなり整備されてまいりました。この段階で、現実に利用されておってそれ以外にもう利用されないというものまでもいつまでも課税するというのは、やはりこの政策税制のあり方としては問題があろう。しかし、そうは申しましても、これを法律的に非課税にするというふうなことは、制度的な仕組みとしてはなかなか現実問題としてむずかしい。そこで、御提案いたしておりますように、市町村においてその実態を判断いたしまして、課税免除を個別に行うという制度をすることによって合理化を行いたいという御提案をいたしておる次第でございます。
  53. 小川省吾

    小川(省)委員 私は、この件について地元の市町村実態を調べてみました。大体三分の二ぐらいが今度の改正によって課税できないことになるわけであります。これはほとんど大企業に所属をする部分が免れるということになるわけでありますから、どうしても大企業の優遇税制になりかねない、こういうふうに私は思いますから、全面的な削除をぜひ要求をしておきたいと思うのです。  ここに週刊アサヒゴルフという本のゼロックスでとったのがあるわけでありますが、この中で、藤原弘達さんと山中貞則議員が対談をいたしておるわけであります。これで読みますと、今回の税改正で、ゴルフ場利用者にとっても非常に有望ないい意見があるということで、今回ゴルフ場にかかっている土地保有税等も全部非課税になりますよというようなことを山中貞則さんが言っておるわけであります。私は、これが端的に示すように、こういうでかいゴルフ場なども土地保有税がかけられなくなる、こういうことで、実際に企業の優遇税制になるのではないかというふうに思っておりますが、いかがですか。
  54. 森岡敞

    森岡政府委員 先ほど申しましたように、たとえば四十三年中に用地を取得いたしまして、ゴルフ場を栃木県なら栃木県、群馬県なら群馬県で建設されました場合、これは保有税がかからぬわけでございます。四十四年一月一日以降に土地を買ってゴルフ場をつくりました場合には、かかるわけでございます。これは、先ほど申しました非常にドラスチックな税制としては容認されると思いますが、地価がある程度安定してきておる状態のもとで、かつ、先ほど申しました土地利用規制に関する立法なり運用が整備されてきつつある段階で、将来にわたって同じような仕組みを依然として続けていくということが本当に税制として合理的かどうか、ここはやはり考えなければならぬというふうに私どもは真剣に思っているわけでございます。そういう意味合いで、今回の改正をお願いいたしておる次第でございます。
  55. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいでしょう。ここは意見の食い違うところですから結構ですが、私どもは、何としてもこの項目は容認することができないというふうに思っているわけであります。  それから事業所税ですね。私は年来主張してきておるわけですが、少なくとも県庁所在地ぐらいまでは事業所税が取れるようにすべきであるというふうに思っております。現在では人口で律しているわけですが、少なくともこれは都市化的な要素も多分に入るのではないかというふうに思っております。三大都市圏の中の市であるとかあるいは県庁所在地等は、当然各種の公共建物が集中をいたしておりますし、事業所税の対象になる建物等が非常に多いわけでありますが、少なくとも事業所税を条例で取れるようにするとか、あるいは県庁所在地までには拡大をするとかいうふうな方策はとれないものかどうか、伺いたいわけであります。
  56. 森岡敞

    森岡政府委員 事業所税の課税団体の人口基準は、当初は御承知のように五十万ということでございましたが、それを創設いたしました翌年度に三十万まで引き下げたわけでございます。その際にも、税制調査会等におきましては、かなり議論がございました。五十万ということで発足しながら、なぜ三十万に下げるのだということがやかましい議論になったわけでございます。私どもは、いろいろな都市的な集積なり、あるいは財政需要の指標をとってみますと、人口三十万以上の市と五十万以上の市とでは大きな差はほとんど見られないということから、税制調査会でも御了解を得、また国会における御審議もいただきまして、三十万に引き下げたわけであります。  県庁所在都市ということになりますと、人口十万台の県庁所在都市もございますし、その都市の態様から申しまして、三大都市圏のいま御指摘のありましたような都市と必ずしも同じような集積の状況があるというものでもない都市も中にはあるわけでございますから、県庁所在都市というだけで判定をする、決めるということはなかなか問題が多いと思います。  結局、都市の集積の状況なり、集積に伴う財政需要の状況をどういう物差しではかるのが一番合理的かということに帰するのだろうと思います。私どもは、そういう意味合いでは、人口というものが最も一般的、普遍的な基準だろうというふうに考えておる次第でございます。人口三十万の基準を下げるかどうかということにつきましては、これは各方面からいろいろな議論も出ますので、将来の問題であろう、かように考えます。
  57. 小川省吾

    小川(省)委員 どんな物差しではかるのか、人口が一番いいのだというような御意見でありますが、私はやはりその物差しが妥当だとは思わないわけであります。そういう意味で、さらにこれについては検討をしていただきたいと思っております。  それから、国民健康保険税なんですが、現在十七万の限度額課税の比率はどのぐらいになっているのですか。また、現行の平均の税額というのは大体どのぐらいになっているのですか。
  58. 森岡敞

    森岡政府委員 御提案いたしております限度額は十九万円でございますが、十七万円の現行制度によりますいわゆる頭打ちの金額で課税されております世帯の割合は、五十二年度見込みで約六%でございます。五十三年度、これも見込みでございますが、十七万円をそのまま横滑りさせました場合には、七・六%強ぐらいになろうかという見込みを持っております。改正案の十九万円ということで試算いたしますと、五・八七%というふうなことで、五十二年度現行制度による見込みとほぼ一致をする、こういうふうなことでございますので御提案をいたしておる次第でございます。
  59. 小川省吾

    小川(省)委員 一体どこまで引き上げるつもりなのかということを聞きたいわけなんですが、現行のままでいっても五十三年七・六%ということぐらいならば、引き上げなくもよかったのではないかというふうに私は考えるわけであります。一体どこまでこの限度額を引き上げていくつもりなんですか。
  60. 森岡敞

    森岡政府委員 仮にこれを引き上げませんと、御承知のような国民健康保険税なり保険料の負担をお願いしておる現行の仕組みから申しますと、頭打ち世帯が多くなれば、いわばそれによる財政収入を確保しなければならぬ分がいわゆる低所得者の方にしわ寄せがいくわけでございますので、やはり頭打ち世帯の割合というのはほぼ同じ程度に維持するようにいたしませんと、これはかえって全体としての保険料、保険税負担のバランスを失するということになるわけでございます。  なお、それじゃどこまでいくのかということでございますが、これは所得の上昇とか、あるいは個人家計の状況とか、そういうものをいろいろ総合的に勘案して見ていくことになろうかと思いますが、同時に各種の医療保険におきます限度額、最高額というものもながめながら検討を加えてまいる、かように考えております。
  61. 小川省吾

    小川(省)委員 まあいいでしょう。  そこで、運輸省においでをいただいているわけでありますが、一昨年ですか、軽油引取税を上げた際に、引き上げた二分の一を運輸事業振興助成交付金としてバス協会やトラック協会や中央出指金として使用させているわけですね。どのくらい入り、どう使われているか、この際御説明をお願いいたします。
  62. 金田徹

    ○金田説明員 お答えいたします。  実は昭和五十一年と五十二年度の二ヵ年間についてということで当初この制度をつくっていただいたわけでございますが、五十一年度につきましては総額八十四億二千七百万円が支出されておりまして、そのうちトラック関係分が六十七億一千百万円、それからバス関係が十七億一千六百万円でございます。それから中央に出措いたしております分は、トラック分が二十億一千三百万円、それからバス分が六億八千六百万円でございます。  どういうことに使っておるかということでございますが、これはバスとトラックと多少違うのですけれども、バスの方につきましては、中央の分としましては基金の資金が円滑になるようにということで、融資の財源としての基金ということにいたしております。それからトラックの方は、基金もあるのでございますが、そのほかに大きなものとしましては、トラック運転手の休憩所ないしは運行管理の拠点になるようなところということで俗称トラックステーションと呼んでおりますが、そういったものをつくるといったことが事業の大きな内容でございます。  それから地方段階につきましては、県段階でそれぞれいろいろなことをやっておりますが、大体申し上げますと、バスにつきましては、主としてバスの停留所の屋根みたいなものをつくる、あるいは案内標識をつくるといったようなことが多うございます。それからトラックにつきましては、やはりトラック運転手の休憩所みたいなものであるとか、あるいはトラック関係者のトラック会館といったようなものをつくる、あるいは適性検査等を行う、そういったもろもろの交通安全ないしは輸送のサービスの改善といった用に役立つことに使っておるような次第でございます。
  63. 小川省吾

    小川(省)委員 私も資料はここに持っておるのですが、大体そんなことに使われているようですが、森岡税務局長、いま言われたような使い道をされている。税率を上げて、そしてその二分の一をそういう形にして交付をしてそれをそういう使い道にやらせるというのは、どうも税の扱いとしては誤りではないかというふうに私は思っておるわけでありますが、この点についていかがですか。
  64. 森岡敞

    森岡政府委員 税制の面から申しますと、軽油引取税の税率引き上げます場合に、営業用のトラックあるいはバス、いずれも公共料金でございますし、また地域の物流の問題あるいは通勤、通学の足の問題に大変大きな影響を持つわけでございますから、軽油引取税の税率を営業用のバスとかトラックについては引き上げないでもらいたい、こういうような御意見もかなり強かったわけでございます。しかし、軽油引取税の性格から申しましてそのような区分をすることは御承知のようにできません。そこで、そういう意味合いで一律の税率引き上げをせざるを得ない、しかし他面、物流の問題とかその地域の足の確保の問題、あるいは公共料金の問題は地方団体としてもかなり関心を持ち、大きな政策課題でありますので、地方交付税の基準財政需要額を算定いたします場合に、商工行政費の中にこの交付金相当額を算入いたしまして、いわば地方の単独事業と申しますか、支出といたしまして御支出をいただくように地方団体にお願いをしておる、こういう経緯であるわけであります。したがいまして、私どもは、税金の割り戻しというか、そういう考え方はとっておらないわけでございます。地方団体が、その地域の交通体系なり交通事情、あるいは市民の足の確保ということから必要な振興助成交付金を交付する、それをどういうふうに合理的に使うかという課題だというふうにとらえておる次第でございます。
  65. 小川省吾

    小川(省)委員 いま言われますけれども、どうも税金の割り戻しだというふうな感が強いわけですね、この扱いは。一般財源として入ってそうして事業としてやるんならいいけれども、入った税金を交付をしてやらせるというやり方は、やはり間違いだというふうに私は思っているわけでありますから、この扱いについてはぜひ検討をしていただきたい、このように思うわけであります。  それから、軽油引取税に関係をするので若干お伺いをいたしたいわけでありますが、七百条の五に軽油引取税の課税の免除について規定があるわけであります。七百条の十五にその手続が書かれているわけでありますが、最近の税の免除の拡大に伴って免税の手続はかなりの事務量に達しているわけであります。免税軽油使用者証を交付をする際に、政令を改正して手数料ぐらいは取っていってしかるべきではないかというふうに思いますが、免税軽油使用者証の交付に当たって手数料を取れるような政令の改正に取り組んでいただけますか。
  66. 森岡敞

    森岡政府委員 軽油引取税という税が、確かに御案内のように課税徴収面で、流通課税でありますので、いろいろむずかしい面があるということは事実でございますし、ことに課税免除いたしております部分につきまして、免税証の交付、その適切な運用という面で事務的に大変な面があることは御指摘のとおりでございます。ただ、税制なりその運用の際に非課税とかあるいは免除とかというふうな仕組みをとっておりますものについて、それを証明いたします場合に手数料を取っておる例というのは恐らくないだろうと思います。地方税についてはほかにございません。そういう意味合いで、税によりまして事務量に大変差があるのは事実でございますけれども、事務量が大変だから手数料を取る、そうでないのは目をつぶるというわけにも実はまいらない、そういう制度的な問題もございますので、本来はやはりできるだけ簡素化する方向で処理をするということが一番望ましいと思いますので、そういう方向検討させていただきたいと思います。
  67. 小川省吾

    小川(省)委員 簡素化するなり何でも結構ですが、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。  次に、入湯税について若干伺いますが、旅館等のレシートを見ますと、大体入湯税は利用者課税になっているわけです。ここのところ引き上げられてきたわけですが、利用者課税である以上、もうちょっと引き上げてもいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  68. 森岡敞

    森岡政府委員 制度の基本的な仕組みは、御指摘のように利用者課税でございますし、私どももそのように考えております。  ただ、現在の温泉旅館におきます料金の立て方などをいろいろ見ますと、たとえばクーポン券というふうな形で大量の団体旅行客を扱うというふうな事態もかなり一般化しておるわけでございますが、そうなりますと、今度は特別徴収義務者の旅館側からいたしますと、現実にはかぶっているのだ、こういう御意見も出ておることも事実でございます。しかし、その辺はやはり税制といたしましては利用者負担ということでございますから、私どもとしてはかぶっておるとは考えていないわけでございます。現実問題としては、そのような意見もございます。  したがって、税率のあり方を検討いたします場合には、やはりそういう実態面についてもある程度の配慮をしながら考えてまいる方が穏当であろうというふうに思っております。昨年、税率は百円から百五十円に引き上げさせていただきました。かなり議論を呼んだことも御承知のとおりでございます。今後さらにそのあり方につきましては、いま申しました制度、実態、両面から適切な検討を加えてまいりたい、かように思います。
  69. 小川省吾

    小川(省)委員 われわれが温泉旅館に泊まって、料金が六千円だか六千五百円だかは余り問わないわけですね。お銚子を二本か三本削れば出るわけでありますから、私は、入湯税というのは利用者課税でもう少し上げてもいいのではないか、こういうふうに思っておりますので、ぜひ検討をお願いをいたしたいと思います。  それから、日本道路公団の有料道路の固定資産税について今回なぜ引き上げなかったかということなんですが、税務局税調議論に供しなかったのではないかというふうに思いますが、軒先で道路をつくって金を取って車を通らせる、ここのところへ固定資産税をかけるのはあたりまえだと思うのですが、固定資産税がかけられていない、これが税調論議にのらなかったのはなぜですか。
  70. 森岡敞

    森岡政府委員 五十二年度税制改正に関する答申をごらんいただきますと、この道路公団等に係る有料道路の負担問題については、政府関係省庁間で十分協議をして結論を適切に出すように、こういう答申をいただいたわけでございます。そういう意味合いでございましたので、私どもといたしましては、関係省庁間で結論を出して、その上で税調の御審議を願おうということで進んでまいりました。また、その間の経緯税調には逐次御報告をいたしてまいったわけでございます。しかし、関係省庁間で意見の懸隔が余りにもはなはだしかったものでございますから、どうしても五十三年度からの決着がつかない。そこで、御案内のように、別途学識経験者も含めました研究委員会を設けまして、そこでもう一年徹底的に検討する、こういう結論になったものでございますから、税制調査会もそれではそういう方向で早く結論を出すようにと、こういう空気であったわけでございます。そういう経緯でございます。
  71. 小川省吾

    小川(省)委員 庭先で金を取って車を通すわけでありますから、固定資産税をかけていくのは当然だと思います。  聞くところによると、これは建設省の大反対で流れたというふうに聞いているのですが、建設省が反対をしようが、やはり税金は取るべきものは取らなきゃいかぬというふうに思いますから、ぜひひとつ決断をいただいて対処をしていただきたい、このように思っております。  固定資産税が出たついでに、固定資産税について若干伺いたいわけですが、来年はたしか評価がえの時期だと思うのであります。三大都市圏のC農地やその他の地域のA、B農地についても結論を出さなければならない時期だというふうに思っております。しかし、大体この農地の課税というのは、減額条例や、あるいは補助金や奨励金というふうな名目をとっているところが大部分であるわけですね。自治省はこの際、肩を張らないで、こんな有名無実な税というのは廃止をしていったらよろしいと思いますが、いかがですか。
  72. 森岡敞

    森岡政府委員 いわゆる農地の宅地並み課税の問題につきましては、まず三大都市圏のA、B農地につきましては、現行の宅地並み課税の制度が五十三年度でB農地につきましても完結するわけであります。しかし、御指摘のように生産緑地制度というふうな形での緑地の保全のための除外の制度がございますし、また、一昨年でございましたか、当委員会でも御審議いただきましてお決めいただきました市町村による減額制度もあるわけでございます。それらによりまして実態的な地域の実情に即した運用がなされておるものと私は考えておる次第でございます。したがって、五十四年度検討課題は、三大都市圏のC農地と三大都市圏以外のA、B、C農地をどうするかという検討課題が対象になるものと考えておる次第でございます。  ただ、一方、最近の国会における御論議を各予算委員会その他で伺っておりますと、宅地供給を本当に円滑にして庶民の住宅を確保いたしますためには、やはりC農地も含めまして宅地並み課税をきちんとやるべきだという御意見も一部に強いように承る次第でございます。これもまた私は一つの御意見であろうと思いますので、五十四年度に向けましてそれをどうするかということを自治省としては慎重に検討してまいりたい。いま御指摘のように、やめてしまうというふうに一義的に考えておるわけではございません。
  73. 小川省吾

    小川(省)委員 しかし、いずれにしても実態は、市町村の減額条例や補助金や奨励金、交付金という形で実際には取ってまた返しているというのが実態でありますから、そういう実態を勘案をして対処していただきたい、このように思っているわけであります。  最後に一つ伺うのですが、住民税の源泉徴収の件であります。従来十ヵ月徴収していたものを何年か前に十二ヵ月徴収に改めたわけですね。従来は、税金のかからない四月、五月はサラリーマンにとっては何かほっとして、所得がふえたような錯覚を持ったわけでありますが、これを再び十二ヵ月徴収から十ヵ月徴収に戻せないのかどうかという問題であります。税の現場では、年度をまたぐわけでありますから、非常に煩瑣だというふうな状態があります。そういう点では十ヵ月徴収にぜひしてくれという声が現場にはあるわけでありますが、いかがですか。
  74. 森岡敞

    森岡政府委員 十ヵ月徴収を十二ヵ月徴収に切りかえました際には、両論が実はございました。お話のように、四月、五月は住民税がないからいわば天国であるということですが、同時に今度は六月になりますと、住民税がぱっと頭を出してくるものですから、途端に税金地獄である、こういうふうなことになりまして、かえっておかしい。むしろ、毎月所得の支払われる都度税金を納めていただく方が家計の計画的な運用からいっても望ましいのではないかという意見が大勢を占めて十二ヵ月徴収に切りかえたわけであります。これは私は、物事の見方にまさに両面があるということの標本だと思うのでございます。ただ、しかし、現在は十二ヵ月徴収というのは定着いたしておりますし、ことにコンピューター等を利用いたしました税額計算もほとんどの市町村に普及してまいっておりますから、十二分の一にする手数と十分の一にする手数ということではそれほど大きな差はないわけでございます。  しかも、一方におきまして所得税と比べますと、ボーナス徴収があるとないということでは住民税負担感が非常に強いという問題もあるわけでございますので、仮に十ヵ月徴収に切りかえますと、その負担感はさらに高まって、住民税に対するいわれのない誤解が一層増幅されるという懸念も私はいたしておる次第でございます。そういう意味合いで、十二ヵ月徴収は制度としても運用としても定着いたしておりますので、これをまた十ヵ月徴収に戻すという考え方は現在のところ持っていないわけであります。
  75. 小川省吾

    小川(省)委員 現在のところは持っていないと言われますが、十二ヵ月でも十ヵ月でもそう変わらないので、ぜひひとつこれは検討していただきたいと思っております。  きょうは時間が大変ですからやめますが、不況が深刻な状態で進んでいるわけであります。自主納税意識が向上してきたとはいうものの、徴税業務は依然として大変な状態であります。全国の税務職員は、不況なだけに真剣に取り組んでおるわけであります。税務関係職員には、御承知のように税務手当が支給をされているわけでありますが、ぜひひとつ一層の充実を期するような対処をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  76. 木村武千代

    ○木村委員長 新村勝雄君。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 政府におきましては、五十三年度経済成長七%を至上命令として運用されておるわけでありますが、この七%経済成長とそれから地方財政とは、大まかに言ってどのような関係にあるか、お伺いをいたしたいと思います。
  78. 森岡敞

    森岡政府委員 国の予算及び地方財政計画を策定いたします場合には、明年度における経済見通しというものを基本に置きまして、それを前提といたしまして財政収入の予測を行い、あるいは必要な政策的な財政支出の計上を行っておるわけでございます。  したがいまして、七%という成長率だけではございませんで、各種の需要項目あるいは民間経済諸指標を前提といたしました歳出歳入にわたる見積もりを行い、地方財政の対策も講じておる、かような次第でございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村委員 地方財政、特に税収は、その年度経済成長と当然関係があると思うのです。税制上、国の税制地方税制とは違いまして、地方税制は、むしろそのときどきの経済情勢に余り左右されないようにできているようでありますけれども、それにしても、やはりその年度経済成長がかなり税収影響があると思いますけれども、その影響の程度をどう見ていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  80. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税につきましては、まず個人所得に対する課税、これは住民税事業税も前年所得課税主義でございますから、これは所得税におきまして固まりました給与所得なり事業所得、不動産所得というものを用いますので、五十三年度経済運営の実態によって左右されることはございません。  また、固定資産税その他の税につきましても、これは経済の実勢とはまた異なった指標によりまして、前年までの実績等をもとにいたしまして計算いたしますから、五十三年度経済見通しというものに大きく影響されるということはございません。  問題は法人関係税でございますが、法人関係税はまさしく五十三年度法人の企業収益がどうなるかということによって大きく影響してまいります。法人関係税につきましては、御承知のように、五十二年度地方財政計画税収見込み額と五十三年度税収見込み額をごらんいただきますと、ほとんど横ばいということでございます。これは五十三年度経済運営の実態なり見通しが、御承知のように、いわば財政支出を中心として景気を引っ張っていくというパターンを考えておるわけでございます。民間の設備投資が動いてくるというのはそれほど大きくは見込んでいない、むしろタイムラグが出てまいりまして、五十三年度も終わりの方、あるいは五十四年度というふうな考え方をとっております。そのようなことから、法人関係税につきましては五十二年度対五十三年度はほとんど横ばい、こういうふうに見ておる次第でございます。
  81. 新村勝雄

    ○新村委員 おっしゃるように、地方税の性質上、これを分けてみますと、前年度経済活動に対応する部分、これは住民税ですけれども、それから、いわば定率部分、それから当年度経済活動が反映する部分とがある、いまおっしゃるとおりでありますが、この三つの部分は、大まかに分けますとどのくらいになるか、ちょっと数字的にお伺いしたいと思います。これは五十三年度予算ですね、見通しです。
  82. 森岡敞

    森岡政府委員 法人税法人住民税法人事業税という法人関係税をトータルいたしまして、全体の地方税収入の中での比率を見ますと、約二七%でございます。ですから、全体の地方税収入のうち二割七分程度が、五十三年度の民間企業の設備投資なりあるいは企業収益なりというものによって左右される、かように御理解賜りたいと思います。
  83. 新村勝雄

    ○新村委員 そういたしますと、五十三年度政府の計画では、いまもちょっとお触れになりましたが、法人税割はほとんど横ばいという御予定のようでありますが、国民所得の推計では、法人の所得が八・六%、個人事業主の所得が八・九%伸びる、そういう見込みになっておるようですね。  それから、現に五十二年度の成長率は、いまのところ五・三%の見込み、その場合に、法人税割が名目一二・四%伸びるというふうに見込まれておるわけです。ところが五十三年度では七%の成長を予定しながら、横ばい、税が全く伸びないということ、それから名目で八・六%ですか、これらの指標の関係がどうも整合性がないといいますか、食い違いが多いようでありますけれども、その点をひとつ御説明をいただきたい。
  84. 森岡敞

    森岡政府委員 御指摘の問題については、二つ問題があろうかと思います。  一つは、経済見通しで掲げております法人の所得がどう見込めるかという伸び率は、企業の企業会計上の収益の問題でございます。しかし、法人税なり法人税割なり法人事業税というのはタイムラグが出てまいります。事業年度終了後二ヵ月以内に申告、納付をするわけでございますから、時間的なずれがございます。したがって、五十四年の三月決算期の法人関係税は、五十四年度の収入になる、法人税割なり法人事業税についてはそういう仕組みになっておりますから、時間的なずれが出てまいります。先ほど申しました企業収益は、年度の後半以降若干好調になってまいりますでありましょうが、しかしそれは五十三年度税収にストレートに反映するわけではない、これがまず第一の問題でございます。  それから第二の問題は、五十二年度法人関係税が、御承知のように法人税も、それから税割及び事業税地方財政計画あるいは予算見込みを割って落ち込んでおります。その落ち込んだところから出発いたしますので、一定の伸びを見込めましても五十二年度の当初見込みに対する伸び率はほぼ横ばい、こういうことになるわけでございます。
  85. 新村勝雄

    ○新村委員 そういうことでありましょうけれども、五十二年度いまのところ見込みは五・三を見込んでおりますので、その方からのずれもあるわけですから、五十三年から五十四年にずれることだけではないわけです。ですから、その差がちょっと大き過ぎやしないかと思いますが、いかがでしょうか。
  86. 森岡敞

    森岡政府委員 法人関係税見込みます場合には、いまお話のございました経済見通しにおきます企業の収益とか、そういうものをストレートに使いませんで、鉱工業生産指数を基礎といたしまして、まず生産の伸びがどうなるかということを見込みます。次に物価の上昇をどの程度見込むかということで、これを掛け合わせまして法人関係税の申告所得の伸びを見ておるわけでございますが、法人税におきましては、生産の伸びを四%、物価を一%、これを相乗いたしまして一〇五%というふうに見まして、五%の伸びを基礎として算定しているわけでございます。しかし先ほど申しましたように、五十二年度の実績見込みが五十二年度当初よりも落ち込みますから、それをもとにしてこの五%の計算をいたしてまいりますと、結局五十二年度当初とほぼ横ばい、こういう形に相なっておる次第でございます。
  87. 新村勝雄

    ○新村委員 これは予測でありますから、それで結構だと思います。  そうしますと、七%の成長が達成をされないと地方財政にもかなり影響があるということは、これは言えますね。影響があるということは、七%を超えればいいのですけれども、超えなければ歳入欠陥が予想されるということだと思いますが、そのあたりの推定といいますか、いまから七%が達成されなくて五%になるという議論はできませんけれども、仮に七%が達成をされなくて歳入欠陥ができたという場合の御処置はいかがいたしますか。
  88. 森岡敞

    森岡政府委員 先ほど申しましたように、成長率実質七%というのは、どちらかと申しますと財政支出を大幅に拡大いたしまして、それで、もちろんそれだけではございませんが、それがきわめて大きな要素となって達成をする、こういう政府の政策計画でございますから、法人関係税の収入がどうなるかということは、むしろ七%の達成のいかんよりは、先ほど申しました前年実績に対して生産と物価の伸びを掛け合わせまして五%の法人関係税の増収を見込んでおる、それが達成できるかどうかということにかかっておると思います。なお、地方財政計画で見込んでおります税収入、私どもは現段階ではこれは確保できると思いますけれども、それが仮に落ち込みます場合には、あらゆる手段を尽くしまして地方財政収入の確保はいたす措置はとってまいるという決意でおるわけでございます。
  89. 新村勝雄

    ○新村委員 その場合の御処置はひとつ十分お願いしたいと思います。  次に住民税でありますが、これは先ほども小川委員からすでに触れられましたけれども、ことしは物価上昇分の調整が全然なかったわけであります。このなかったということについてはわれわれは非常に残念に思っておりますが、これは五十一年から二年までの間に物価上昇が政府の発表で六・八あったわけであります。そういたしますと、これは仮に六・八%の物価上昇として基礎控除を調整するという形で調整減税をした場合には、した場合にはというか、これは現在の税制課税をする場合には、当然やるのが筋だと思いますけれども、やらなければそれだけ実質的には増税ということになります。やった場合には、その額はどのくらいになるか、どのくらいと試算をされていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  90. 森岡敞

    森岡政府委員 実質的な増税というお話でございますが、所得に対する課税でありますから、収入がふえますと税金の絶対額がふえる、これは当然のことでございますから、私は増税とは言えないと思うのであります。そこはいろいろ御議論があるかと思いますけれども、私どもはそのようには考えておりません。また税引き後の可処分所得、これはまさしくふえるわけでありますから、そういう意味合いでも、個人家計において、増税があって家計が大変まいるというふうな事態にはなるまいというふうに考えております。  なお、課税最低限を六・八%程度引き上げた場合の減収額でございますが、約七百億円程度というふうに見込んでおります。
  91. 新村勝雄

    ○新村委員 一定された課税最低限というのは、そこまでは現在の経済状況の中では免税をすべきであるという理論で決められておるわけでありますから、物価が上昇すればその基礎控除なり課税最低限が上がるのは当然でありまして、その調整をしなければ、上げなければ、これはその分だけは明らかに増税という理屈になると思いますが、その点いかがでしょう。
  92. 森岡敞

    森岡政府委員 昭和四十年代の初めから五十年にかけまして、所得税住民税も、物価の上昇があるごとにそれをかなり上回る課税最低限の引き上げを行ってきたわけであります。ところが先進諸外国所得税なり地カ所得税課税最低限を見ますと、そういう引き上げは行っていないわけであります。わが国の場合には、どちらかと申しますと、それが慣例化してまいった。その結果、たとえば住民税課税最低限は、四十年に比べまして五十一年は三・八三倍でございます。ところが物価の上昇はそれを下回っておりますから、実質的な引き上げ率を見ますと、一・五六倍、すなわち五割以上上がっておるわけでございます。同じ時期でアメリカをとってみますと、アメリカは実質的な上昇率は一・一三倍であります。イギリスは七五%で下がっております。西ドイツは七一%フランスは九三%というふうに下がっております。国によりまして税制にそれぞれ若干の差異はございますけれども基本所得課税のシステムにはそれほど大きな差はございません。どちらかと申しますと、日本の場合には物価の上昇率をかなり上回る課税最低限の引き上げが過去において行われているということは言えると思うのでございます。そういう意味合いで、やはりこういう財政状況のもとでは、たとえば五十三年度課税最低限の引き上げをごしんぼう願うということはやむを得ないところではないか、このように思っておる次第でございます。
  93. 新村勝雄

    ○新村委員 物価上昇を上回る減税をされたということ、これはまさに善政でありますから、まことに結構であるし、当然それはできる限りはそうおやりになっていただきたいわけでありますけれども、現状のように消費を刺激をしなければいけない、これは国家的な要請であります。それからさらに、一般大衆の重税感、税金が重いという感じは、これは覆うべくもないわけでありまして、こういう状況の中で、そうして特に大衆の消費性向を刺激することが要請されている時期には、一番身近な住民税を調整する、減税をする、これは最低の要請でありますから、当然これはすべきであると思いますが、それがなかったということは非常に残念であります。今後ともひとつその点については御努力を賜りたいわけであります。  それからさらに、住民税所得税関係についてでありますけれども、これは重複しないように申し上げますが、住民税所得税の累進率が非常に違う結果、三百万程度では所得税が六万六千円に対して住民税が五万六千円、一千万になりますと所得税が百三十二万に対して住民税が七十八万という、大変な格差ができておるわけであります。仮に所得税の方から三二%を住民税の方へ移転をすると考えても、一定の所得水準になりますと国に帰属する分の方が多くなる、一千万以下あたりでは、三二%が仮に地方に移転をするというふうに考えて計算をすれば、これは地方の方が多くなるわけであります。高額になりますと、やはり国に帰属する分の方が多いということで、ある面から見ますと、低所得の人は地域によけい貢献をする、よけい納税をする、高額所得の人は国によけい貢献をするという形になっておるわけです。これは同じコミュニティーで生活をしている住民が、低所得の人はコミュニティーによけいな貢献をする、高所得の人は、絶対額は多いのですけれども、コミュニティーに対して貢献が比較的少ない、こういう形が出てくるということは、地域社会の立場から考えても好ましい形ではないのではないかと思いますけれども、その点の御見解を伺います。
  94. 森岡敞

    森岡政府委員 これはまたいろいろ御議論が分かれると思いますが、私はこのように考えております。  住民税は、まさしくお話がございましたように、地域社会の費用を地域の住民の方々に受け持っていただくということでございますから、できるだけ広い範囲でお納めをいただく。同時にその負担の仕方といたしましては、所得に応じて負担していただくわけでありますから、ある程度の累進度は持ちたい。しかし、その累進度は所得税におけるような大きな累進度を持つ方がむしろ問題であろう。仮にそういう所得税のような累進度をとりますと、ある市町村においては高額所得者がいるけれども、他の市町村においてはいない、こういうようなことになりまして、税源配分上もいろいろ問題が出てくるというふうな感じもいたします。  それからいま一つの問題は、高額所得者は、確かに強い累進度を持った税率を適用いたしますと税額はふえますけれども、全体の税負担額から言いますと、やはり所得が三百万とか四百万程度のいわゆる中堅所得者というのが、所得税においても住民税においても、納税義務者数の圧倒的多数を占めておるわけであります。ですから、地域社会の費用をできるだけ確保していくという観点から申しましても、中堅所得者にある程度の負担をしていただくということが、やはり住民税一つ基本ではないだろうかというふうに思っておる次第でございます。  さらに、住民税所得税を合わせました総合的な累進度というものを考えなければなりません。所得税はどちらかと申しますと、全体としての所得再分配機能を頭に置いた税制でございます。住民税はそういう要素はかなり薄いということで組み立てられておる税でございますから、総合的な累進度いかんということで御判断をいただくということが適切ではないか、かように思っておる次第でございます。
  95. 新村勝雄

    ○新村委員 先ほど申し上げたように、所得税住民税を総合して考えても、一定の高額水準になると国に帰属する分が多いという事実があるわけです。これは比較的高額の段階からそうなるわけですが、しかし、インフレがだんだん進んでおりますので、名目所得がふえる一方であります。そうしますと、現在の所得段階の刻み方では、国に帰属する、逆転する人たちの数がだんだんふえてまいるということもありますので、この点についてはひとつ今後とも御検討を賜りたいわけであります。  次に、固定資産税の問題でお伺いをいたしますが、固定資産税は、来年度は評価の時期でありますが、今年度においても一六・三%、税額が伸びておりますが、その主な原因は、家屋ですか。
  96. 森岡敞

    森岡政府委員 固定資産税につきましては、償却資産は毎年度評価いたしておりますが、土地、家屋につきましては、三年度ごとを基準年度と定めまして評価がえを行うわけであります。したがいまして、五十四年度は土地、家屋双方とも五十一年度以降三年度目の基準年度として評価がえをいたします。土地につきましては、全体としての地価はやや微騰という程度でございますけれども、やはり地域によりまして相当な地価の上昇も見受けられる部分もございますから、これは全面的な評価がえをいたしたいと思っております。家屋につきましては、建築費の相当の上昇がございますので、それに応じました評価基準の改定を行って評価がえを行いたい、かように考えております。
  97. 新村勝雄

    ○新村委員 固定資産税については、課税かなり広い減免の措置があるようでありますけれども、減免されたら、それがされっぱなしで、代替措置が完全でない場合がかなり多いようであります。固定資産税が減免される場合、減免されておる固定資産税がどの程度あるか、これは大まかで結構でありますけれども伺いたいと思います。
  98. 森岡敞

    森岡政府委員 固定資産税の非課税あるいは減免の内容かなり多岐にわたっております。  まず非課税でございますが、たとえば保安林でありますとかあるいは各種協同組合の事務所、倉庫でありますとか、公害防止施設でありますとか、それらにつきまして非課税措置をとっております。百六十四億円程度と見込んでおります。  次に、電気事業あるいは鉄軌道、船舶その他、固定資本が非常に大きくて、当初の固定資産税負担がきわめて多額に上るというものにつきまして、いわば政策的な観点から課税標準の特例という形で減額をいたしております。それが合計五百七十五億円でございます。さらに、住宅につきまして新築住宅の軽減を行っております。これが五百二十三億であります。これらを合わせまして千二百六十二億円程度のいわゆる特別措置による減収というふうに見込んでおります。
  99. 新村勝雄

    ○新村委員 そのほかに、基地あるいは国有資産といったものはかなり膨大なものがあると思います。それからまた、学校法人、宗教法人、それらのものの減額はどのくらいございましょうか。
  100. 森岡敞

    森岡政府委員 旧地租、家屋税時代から、国あるいは地方公共団体というのはいわば人的非課税ということになっておりまして、これらにつきましては、非課税対象の資産価格を把握するということはいままでやっておりません。ですから、その辺の数字は私ども持ち合わせていないわけであります。  なお、基地とかその辺も同じような公用地でございますので、それらにつきましても同様に数字は把握いたしておりません。ただ基地につきましては、御承知の基地交付金というものを交付いたしておりますので、国有財産台帳価格の一・四%程度をめどに基地交付金の確保をいたして、固定資産税の代替の財源付与を行っておる、こういう次第でございます。
  101. 新村勝雄

    ○新村委員 国と地方では課税主体が全然違うわけでありますから、公共性とかそういった点からすれば別の問題がありますけれども地方団体の立場からすれば、国の施設といえども、これはそのために財政需要が生ずるわけですから、課税をしなければ、それに対する代替措置が当然必要でありましょうし、また民間の施設で非課税になっているものがあれば、これは公共性という点からすれば非課税であるにしても、課税をしないのであるならば、その代替の措置が何か国によってとられなければならないのではないかと思いますけれども、その点はどうでしょうか。
  102. 森岡敞

    森岡政府委員 市町村の立場から申しますと、その議論はかねがねあるところであります。たとえば東京におきましては諸官庁、国会議事堂、これらも国の施設でありますから、しかもかなりなスペースをとり、そこに集まってくる人たちというのはかなり数が多いわけであります。相当の財政需要が出ておるのだから、それ相当の財源措置をしろというお話が常にあるわけであります。しかし、これは諸外国の例を見ましても、固定資産税、向こうではプロパティータックスとかレイトとか、いろいろな形がございますが、純粋の公用の建物についてあるいは公用の土地につきまして税負担を求めておるという例は実はございません。これはやはり無理ではないか。現在の交納付金制度というのがございますが、これはまさしく国有財産でありましても、公務員に貸しておるとか、宿舎であるとかあるいは他の第三者に貸して一定の賃貸料を取っておる、そういうものを交納付金の対象にしておるわけでございます。純粋の公用建物、公用土地について広く一般的に税負担を求めるという制度、これは制度としては非常に無理があるというふうに言わざるを得ないのではないか。それでは財源をどうするのだ、財政需要をどうするのだということでございますが、これは申し上げるまでもないことでございますけれども地方交付税の基準財政需要額を計算いたします場合には、やはりそういう実態というものを反映できるような需要算定をいたしておるわけでございますので、全体としての財源措置といたしましては、それらを含めて適切な措置を講じておる、かように御了承賜りたいと思います。
  103. 新村勝雄

    ○新村委員 国の場合についても、やはりいまの局長の御説明で釈然としない面がかなりございます。これは財政需要が生ずるわけでありますから、それに相当する財源についてはこれを国で措置をしていただかなければ地方は困るわけでありまして、この措置についてはある程度やっておられるようでありますけれども、きわめてこれは不十分だと思います。特に公団あるいは基地その他の国有資産ですね、土地ではなくて、施設についての措置が非常に不十分ではないか。この点については今後とも御努力をいただきたいわけでありますが、そのほかに、国有ではなくて、民間のかなり膨大な施設で免税になっているものがありますけれども、こういうものについてはいかがでしょう。
  104. 森岡敞

    森岡政府委員 各種の民間の施設で非課税あるいは課税標準の特例を設けております例は、先ほど申し上げたようなことでございますが、これらはそれぞれの政策目的なりあるいはそれぞれの施設の性格というものを勘案いたしまして、特別措置がとられているわけであります。しかし、こういう特別措置は、結果的には負担の不公平を生ずるわけでございますので、できるだけ整理合理化を図ってまいりたいということで、毎年税制改正の際、関係省庁とも意欲的な折衝をいたしまして努力を進めておるわけでございます。今後ともせっかくの努力検討を進めてまいりたい、かように思います。
  105. 新村勝雄

    ○新村委員 これはかなり膨大な施設なり資産があるわけですね。たとえば私立学校、大学あるいは宗教法人等で、土地にしても数十万平方メートルの土地を擁し、建物にしても固定資産税を賦課をするとすれば、その課税標準が何十億、いや何百億になる場合もあると思いますが、そういう施設が非課税になっておる。これはそこに課税をせよということではなくて、そういうことのために、これはかなり財政需要がその自治体に生ずるわけでありますから、これに対する何かの代替措置がなければ地元自治体は困るわけです。そういう点について現在どういう代替措置があるのか。交付税等で措置がされていないと思いますけれども、これは当然何らかの措置をすべきではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
  106. 森岡敞

    森岡政府委員 私立学校、宗教法人というふうに、先ほど申しましたように、旧地租、家屋税時代から非課税にしておりますものにつきまして、これを一挙に固定資産税の課税対象にするということは、これは私はなかなかむずかしいと思います。しかし、そういう施設がありますことによって財政需要が生じておるということは事実でございますから、それに対する財源措置といたしましては、現在の制度の仕組みといたしましては、やはり地方交付税による基準財政需要額の的確な算定ということで措置をせざるを得ないというように思うのであります。私立学校があることによりまず財政需要に国から特別の交付金を出せと申しましても、これは言うべくして行いがたいところでありましょうから、したがいまして、私どもといたしましては、交付税の算定の際に、その面の財政需要が的確に反映されるようにいままでも努力はしているつもりでございますけれども、将来もそういう方向検討を積極的に取り組んでいく、こういうことで対処いたしたいと思います。
  107. 新村勝雄

    ○新村委員 学校法人なり宗教法人課税せよということを私は言っておるのじゃないのです。そうじゃなくて、これは非課税ならば非課税でいいと思いますけれども、それに対する完全な代替の施策、財政措置、これがなければならないのじゃないかということで申し上げておるわけであります。この点については交付税措置をするとおっしゃいますけれども、的確なルールあるいは基準というものがいまないのじゃないかと思いますが、この点について、ひとつ大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  108. 加藤武徳

    加藤国務大臣 税務局長が答弁をいたしましたように、政策的に非課税としておるものもございますし、また、減免措置がとられているものもありますことは御承知のとおりでございます。そこで、さような施設を持っております公共団体へ個々に補助金等を出しますことはきわめて困難な処置でございますから、いま答弁がございましたように、交付税計算において配慮をいたす、このことが最も適当であろう、かように考えているところであります。
  109. 新村勝雄

    ○新村委員 現在、交付税の計算にそれを考慮されておりますかどうか、お伺いいたします。
  110. 森岡敞

    森岡政府委員 直接的に、私立学校がある、あるいは宗教法人があるということによる算定、それを指標とした算定はいたしておりませんが、たとえば人口をとります場合に、学生が多ければそれは当然人口の中に入るわけであります。それからまた、学生その他教職員が多いことによっていろいろな都市施設も必要でございますが、それらにつきましては、交付税の計算上、一定のルールによりまして基準財政需要額の算定が行われております。しかし、また反面、学校法人があるとか、宗教法人があるということをストレートに基準財政需要額の算定に持ち込むことは困難だと思いますから、それによって起こる財政需要をほかの物差しによって的確に把握をしていく、こういう方式をいままでとっております。今後もそういう方向内容の具体的な検討を進めてまいる、かように考えておるわけでございます。
  111. 新村勝雄

    ○新村委員 いま局長のおっしゃいましたお話では、そういう場合のルールなり基準なりは全くないわけですね。それで、大学があれば学生が来て人口がふえるから、一人頭の計算はふえる、こういうことだと思いますけれども、これでは全く施策にはならないわけです。隣の町へ何か施設ができて、その町にその勢いで人口がふえる場合もあるわけです。その町は人口だけふえて、被害と言うとおかしいのですけれども、何ら財政需要を生ずるようなものは来ないというような場合もあるわけですから、いまのようなお考えだけでは、これは先ほど私が申し上げたケースは全く解決をしないわけですね。とにかく膨大な施設なり土地なりというものが非課税になっておる、そしてそのために財政需要が起こるという、この実態を解決する何らかの方法がなければならないと思いますが、もう一回伺いたいと思います。
  112. 森岡敞

    森岡政府委員 御指摘の趣旨は私もわかるのでございますけれども、しかし、非課税法人があることによって生ずる財政需要をどういう物差しでとらえるかということになりますと、それはたとえばいま申しましたような人口の問題あるいは警察官の定数の問題、あるいは道路の延長なり面積の問題は交付税、基準財政需要額を算定いたします際にとられております指標にやはり敏感にあらわれてくるのだろうと思うのであります。人口がふえる、学生が多いということになれば、それに応じて駐在所、派出所の警察官もある程度配置、増員をしていかなければなりませんし、またこのごろは学生もかなり車を使うでありましょうから、道路の整備というものも必要になってまいりましょう。ですから、そういう形で非課税法人があることにより人がふえ、増加していく財政需要を別の物差しではかっていくということにせざるを得ないのでありまして、非課税法人そのものをとらえて財政需要を幾らという計算を端的にするということは、これは交付税の仕組みとしてはなかなかむずかしいと言わざるを得ないと思います。しかし、そういう方向をとりますことによって、それじゃ的確な財政措置ができないかといいますと、私はそうでないと思うのでありまして、それを適切にとらえてまいりますれば、必要な財政需要は的確に捕捉をすることができると思いますから、そういう方式でさらに精度を高めていくということではないか、かように考えている次第でございます。
  113. 新村勝雄

    ○新村委員 先ほど私が申し上げたことについて話はわかるとおっしゃるのですから、私の言うことはむちゃなことではないということを局長はお認めになったわけでありますね。  それと、公社有施設あるいは公団もそうだと思いますが、国の施設なんかがある場合には、交付金が国から現に出ているわけですね。そこに国の財産があってそれが非課税になっておる。これに対する代替の措置として財政的の措置も現にされておるわけです。これは国が非課税にしておるからそれに対するかわりの財源を与えましょうということですね。ところが民間の場合には、民間といえどもこれは公共性を認めて非課税にしておるわけですね。これは民間だって課税されるものと課税されないものがあるわけでして、これは公共性があるから税法で非課税にしておる。その公共性を国が認めて税法で非課税にしておるわけですから、非課税にしたその措置に対するかわりの措置は当然国で考えていただかなければならないでしょうね。この点はどうでしょう。
  114. 森岡敞

    森岡政府委員 特定の施設がありまして、そこから税法上非課税なり減免ということで財政収入が得られないという場合に、その財源を措置するには二つの方法があると思います。  一つは、いま御指摘のように、現在の交納付金制度とか基地交付金とかいうような形で固定資産税に見合う財源を直に、ストレートに付与する、こういう方式でございます。ただ、現在の方式は、その対象といたしておりますのは、率直に申しますと、いずれもある程度収益性があるものでございます。交付金の場合には、貸付資産でありますとか、国有林野の土地でありますとか、あるいはダムの施設でありますとか、やはり一定の特定した受益者がありまして、料金なりあるいは賃貸料なりという形で負担を転嫁する、むしろ利用者負担という観点から一定の税負担を、形式上は固定資産税ではございませんが、それと同等の負担を求めてしかるべきだというものに限定しておるわけでございます。本当の公用のもので交付金的な財源をストレートに付与いたしておりますのは、いわゆる基地交付金と調整交付金、この二つでございます。これは基地施設の特殊性に基づくものだというふうに私ども考えておる次第でございます。  しかし、それ以外に第二の方法として、先ほど来申しておりますようにその施設にかかわる固定資産税相当額をストレートに計算して付与するということは無理であるけれども、全体としての財政需要を的確に算定していくという方式が考えられるわけでありますから、またそういうことで地方交付税がそれになじむということであろうかと思いますので、交付税の基準財政需要額の算定を的確化して財源措置に遺憾のないようにする、こういうことではないかというふうに考えておる次第でございます。
  115. 新村勝雄

    ○新村委員 どうも議論がかみ合いませんが、私が先ほど申し上げたことについて、これは全く根拠のないことであるのか、それは当然国として考えるべきであるのか、この点についてもう一回伺いたいと思います。
  116. 森岡敞

    森岡政府委員 議論のあるところだと思います。議論のあるところでありますが、公用の施設全体につきまして固定資産税負担と同様の負担を国あるいは地方公共団体市町村から言いますと府県もあるわけでありますから、にストレートに求める仕組みをとるということは、現在の税制の仕組みから言いますと、非常に困難なことだというふうに思います。
  117. 新村勝雄

    ○新村委員 それでは、理由があるとおっしゃるわけでありますから、その方法についてはひとつ十分御検討を賜りたいと思うわけであります。  次に都市計画税の問題です。まず農林省にお伺いをいたしますけれども、都市計画法が制定をされた当時と現在では、かなり経済構造、それから大きく言えば世界情勢も変わっておると思います。そういう中で、当時は市街地と市街化をしない区域とを分けて都市計画を進める、そして積極的に宅地の供給を図っていくというようなことであったと思いますけれども、その後情勢も変わっておりますし、また三全総というようなものも政府から出されております。この考え方は、従来の大都市集中を改めて定住圏をつくっていくという考え方に変わっておるわけでありまして、人口政策それから経済政策、ともにかなり変わってきておるわけですね。こういう中でいわゆる都市計画法の中に決められておる用途地域の考え方、特にその中で農地がかなり残存をしておる、混在をしておるわけでありますけれども、こういう状況を現在の時点でどうお考えであるか。当時は、これは建設省の立場だと思いますけれども、市街化区域を純化をして、市街化区域の中の農地は逐次淘汰をしていくという考えであったし、また農林省もある程度そういう考え方に同調されたような印象をわれわれは持っているわけでありますけれども、現在の時点で、都市近郊あるいは都市計画の施行されておる地域の中の農地について、どういうお考えであるか伺いたいと思います。
  118. 若林正俊

    ○若林説明員 御説明いたします。  ただいまお話にございましたように、都市計画法の制定以後、大変に経済及び社会情勢が変わってきておりますことは承知いたしております。御承知のように都市計画法に基づく市街化区域の設定は、すでに市街地を形成している区域と、さらに、おおむね十年以内に計画的かつ優先的に市街化を図るべき区域という性格のもとに、農業とも調整を図りつつ市街化区域を設定したわけでございます。  このような区域の性格にかんがみまして、農業施策の展開につきましては、当該地域について、土地基盤整備事業を初めとしまして効用が長期に及ぶもの、つまり十年を超えるような効用が期待される公共的投資については、これを原則として行わない。なお、経過的に当然農業を維持継続する方々がおられるわけでございますので、それら経過的な農業を維持継続するために要する各種施策、災害対策でありますとか普及、経営、営農指導でありますとか、それらの経営維持に要する施策は積極的に展開していく、こういう考え方で臨んでまいってきております。このような基本的な市街化区域の性格に即しました農政の施策の対応というのは、この制度のもとにおいては基本的に変わらないものかと、このように考えております。  なお、御承知のようにこの市街化区域の設定につきましては、五年ごとに定期的に見直す仕組みになっておりますし、また道路、鉄道等の設定に伴ってその地域の都市計画、土地利用に大きな情勢変化がございますれば、それに対応いたしまして区域設定の変更をいたしてまいる、こういう仕組みになっております。ただいまお話しのような設定後五年を経過いたしまして、これら区域地区の見直し作業が地元自治体で進んでおります。これらその設定後の状況変化に合わせました見直し作業の中において、当然市街化区域にさらに編入されてまいる場合もございますが、市街化区域内において優良農用地として今後とも農業を維持継続すべきではないかというような状況判断になってまいりますれば、これは見直しの段階で市街化調整区域に編入し、さらにはそれらの地域について積極的な農業公共投資が必要な場合には、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区域に編入をした上で積極的な基盤投資を進めてまいる、このように考えてまいっておるわけでございます。
  119. 新村勝雄

    ○新村委員 高度成長時代とこれからとでは農地に対する考え方も当然変わっていかなければいけないと思います。ところが、都市計画の指定というのは、地域の指定でありますから選別ができない。仮に市街化区域に指定をされましても、その中には農家として一つの経営単位をなしておる小団地がたくさんあるわけであります。一ヘクタールあるいは二ヘクタール程度で大きな団地ではないけれども、農業団地ではないけれども一つの農家としての経営単位をなしておるというものが相当あるわけであります。そういう実態の中で、農地についてその中は切り捨てだということでは大変困るわけであります。都市計画との調整については何らか別の角度からの調整が図られなければいけないと思いますけれども、やはり一定の条件を備えた農地については、都市計画区域内といえどもこれは保全をしていく、農業を守っていくという基本的な考えがおありであるかどうか伺いたいと思います。
  120. 若林正俊

    ○若林説明員 お答えいたします。  市街化区域の中といえども、確かにその市街化の熟度と申しますのは、地域の中において非常に変わっておりますし、その中においてなお一定の規模を持ち、一定の生産力を持って農業をやっておられる方が存在しておることは事実でございますが、やはり狭い国土の中で土地自身を有効に活用し、都市的土地投資と農業的土地投資とを効果的に進めてまいる、むだなく投資効果を上げていくということになりますれば、一団の土地として、一定の地域的広がりのもとに地域開発を進めなければならないという要請があるわけでございます。そのような要請に基づきまして、将来優良な市街地を形成すべき土地としてまとめて、地域住民の御意向も十分反映しつつ地方公共団体が主体になってゾーニングをし決定を見た地域内にあるわけでございますので、個別の市街化区域内の農業につきまして言えば、一定期間継続するために必要な施策は当然行わなければなりませんが、今後ともそこで農業を維持、継続、発展するというような方々に対するその地域における投資を拡充整備するということには、そのゾーニングの考え方からして無理があろうかと思っております。  なお、御承知のように生産緑地法がございまして、地方公共団体の将来の公共用地等を想定しつつ一定の広がりの土地を生産緑地として指定をいたしまして、他の土地とは別に、その周辺市街化調整区域内の農地と同じような負担において農業が継続できる措置は法制上用意しているところでございます。
  121. 新村勝雄

    ○新村委員 建設省にお伺いをしたいのですが、三全総の考え方は従来の国土計画の考え方をかなり変えていると思います。そういう中で都市計画、特にその中の地域指定の政策、方針、これは従来と今後とでどう違うのか、あるいは違わないのか、その点を伺いたいと思います。
  122. 長杉岡浩

    ○杉岡説明員 お答えいたします。  今度の三全総でございますけれども、やはり三、全総から見ましても都市的な人口、すなわち都市化の動向でございますが、現在全人口の都市化の  人口、すなわちDIDの人口でございますが、これは約六割おることになっておりますが、将来、昭和六十五年あるいは七十五年には七一、二%というふうに都市化の人口を想定しておるわけでございます。したがいまして、現在DIDを中心といたしまして、それから将来計画的あるいは優先的に市街化を図るべき地域として市街化区域を設定しておりますけれども、この都市化の人口の動態を見ながらその都市的な利用をどのように図っていくか、これを都市計画の面からでもさらに進めていきたいというふうに考えております。
  123. 新村勝雄

    ○新村委員 基本的には地域指定を維持して、各地域についてはいわゆる純化を進める、基本的にはそうですか。そうだとすると、その純化を進める過程において、特に農地の場合、その代替措置がなければ農家は大変に困るわけなんですね。農業というのはほかの事業と違いますから、土地が最大の生産手段であり資本であるわけです。そしてまた、土地があればいいというものではなくて、その周囲の状況、条件が大きく生産力に関係するという特殊の仕事でありますから、地域を純化するということについては、土地政策の面で、あるいは金融の面でその他の面で、あるいは税制の面で総合的な補完の措置がなければ、これは一口に地域を純化すると言っても簡単にできるものではないわけです。それらの点について伺いたいと思います。
  124. 長杉岡浩

    ○杉岡説明員 市街化区域につきましても、現在農地等が相当ございますが、われわれといたしましては、この市街化区域を将来都市的な利用形態に持っていく、当然傾向といたしましてもそのようになるわけでございます。したがいまして、これを計画的に持っていくために、たとえば大都市地域におきましては共同住宅地区あるいは集合農地区といったような制度を取り入れた特定土地区画整理事業というような制度をとりながら、農地の当面の利用というものを図りつつ都市的な対応に進めるというような施策を現在しておるわけでございます。
  125. 新村勝雄

    ○新村委員 自治省にお伺いをいたしますが、大都市近郊あるいは市街化がかなり進んでおる地域においては、都市計画税の実施も自然にいくと思いますけれども、中小都市あるいは周辺地域の農地と住宅が混在をしておる、あるいは農地の方が多いという地域がかなりあるわけでありますから、そういう地域の中で都市計画税を実施するということについては、実態上からもあるいは理屈の上からもかなり無理があるんじゃないかと思うわけであります。  そこで、現在この都市計画税が徴収をされておるのはどのくらいの率になっておるか、それから自治省としては、今後この都市計画税を積極的に推進をされるお考えであるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  126. 森岡敞

    森岡政府委員 都市計画税は、御承知のように都市計画事業の費用に充てるための目的税であります。それを課税するかどうかは全く市町村の任意にゆだねられております。しかし税制の立て方といたしましては、そういう都市計画事業の受益に応ずる目的税でありますから、先ほど来お話がありますような現に市街化されておる地域及び今後市街化することが予定されておる地域、これは都市計画法上の線引きがなされております区域について言いますと、市街化区域になるわけであります。その市街化区域内は原則として課税ができるという仕組みになっております。また線引きがなされていない区域も、現段階でございますが、それらの市町村におきましては、その区域内の全部または一部の地域で都市計画事業による受益ありと認められる地域を条例で選んで指定をして課税できる、こういう仕組みになっております。なお、市街化調整区域等につきましては、開発行為が行われ、都市計画事業が実施されるというふうな地域を指定して課税する、こういう仕組みになっておるわけであります。  私どもといたしましては、繰り返して申しておりますように、都市計画税は都市計画事業の目的税であり、国庫補助金、地方債あるいは一般財源その他のいろいろな財源を組み合わせ、事業内容と見合って、課税するかしないか、税率をどうするかは市町村が全く自主的に決めていただく税である、かように考えておる次第でございます。
  127. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、都市計画税は特定財源と考えてよろしいわけですか。
  128. 森岡敞

    森岡政府委員 特定財源、一般財源の区分というものも、ときによりまして若干入り組みがございますが、租税収入を分けまして、住民税とか固定資産税というふうな普通税を一般財源と考え、それから都市計画税とか軽油引取税というふうないわゆる目的税を特定財源という分類も通常行われます。そういう観点から申しますと、都市計画税はいわば特定財源、かように考えております。
  129. 新村勝雄

    ○新村委員 何回も申しますけれども、市街化区域に指定をされておる地域にこれは実施をされるわけですけれども、その中の農家から特にこの税金について疑問なり不満が多いわけですね。そこで、特定財源ということであれば、これは経理上もやはり特定財源の扱いをしていかなければいけないんじゃないか。ところが実態は、都市計画事業があろうがなかろうが、条例で決めて徴税をしておる。また予算書、決算書の様式からいっても、特定財源としての扱いなり経理上のそういう扱いがないわけですね。それらがやはり納税者から、特に農家から不満が多い一つの原因ではないかと思います。いわゆる財政民主化というか、そういう点からも扱いをもう少し考えるべきじゃないかと思いますけれども、その点を伺いたいと思います。
  130. 森岡敞

    森岡政府委員 都市計画税の収入面における経理区分につきましては、特別会計を設けまして都市計画事業を実施しておるところもございますし、また一般会計の中で都市計画事業を実施しておるところもございます。これは市町村予算編成財政運営のやり方の問題でございます。特別会計で都市計画事業を実施いたしております場合には、これは問題はございません。お話しのような不分明な点というものは出てまいりません。一般会計で都市計画事業の歳出を組みます場合には、私どもの指導といたしましては、都市計画税が都市計画事業に要する費用に充てるための目的税であるということを明確にするよう一般会計予算の中できちんと明示するようにという指導をいたしております。大多数の市町村はこれに従っていただいておるものと思っておりますが、中にはその辺のところが必ずしも十分でないところもあろうかと思います。今後的確にそういう明示が行われるように指導を強めてまいりたい、かように思います。
  131. 新村勝雄

    ○新村委員 これは都市計画税だけではなくて、ほかの目的税にもやはりそういう面がかなりあるわけですね。経理上は不分明である。それが特定財源でありながら一般財源扱いをされておるという例が相当あるようですから、それはひとつはっきりした方がよろしいと思います。  それから国保税の問題ですけれども、厚生省にお伺いしたいのですが、いま国保だけではなくて医療制度、医療問題全般にわたっていわゆる抜本改正が厚生省によって進められておると思いますが、それについていわゆる十四項目というのがございますが、この十四項目をどういう形で今後実施をされるのか、そのアウトラインを伺いたいと思います。
  132. 黒木武弘

    ○黒木説明員 お答えいたします。  先生御指摘の十四項目は、各般の医療保険の抜本改正に関します項目を含んでおるわけでございます。しかし、ねらいは、全国民を通じて公平な給付なりあるいは国民負担はどうあるべきかということがテーマになっておるわけでございます。その他、医療費の適正支出をどう図っていくか、あるいは国庫補助なり国庫負担のあり方はどうあるべきか等々を含んでおるわけでございますが、私ども基本的な考え方といたしまして、まず被用者保険からその改革を実施いたしまして、あと老人医療保険あるいは国民健康保険制度については、次の通常国会に成案を得て提出したいという段取りをいたしておるわけでございます。したがいまして、現在行われております検討なり調整は、被用者保険に関するものでございまして、被用者保険についてあるいは健康保険法についていかに改正、改革をすべきかということで、現在各方面と調整が行われておるわけでございます。  したがいまして、国民健康保険制度につきましては、老人医療制度をどうするかということとあわせまして、厚生大臣は次の通常国会にはぜひ提出をいたしたいと言っておりますので、次の通常国会には老人医療保険制度のあり方及び国民健康保険制度の基本的な改革についての成案を得て国会提出いたしたい、かように思っている次第でございます。
  133. 新村勝雄

    ○新村委員 これは税金とも関係ありますけれども、先ほどもこれはありましたが、最高限を引き上げる問題ですけれども、最高限を引き上げるについての基準ですね、どの程度までいったら引き上げるかというような基準がおありになるのかどうか。  それからまた、国庫補助、国保にありますけれども、これについて、特に事務費の場合にまだ不十分な点があるように思うのですけれども、その点を十分手当てをしていただかなければ地方財政かなり窮迫をいたしておるわけでありまして、たてまえは独立採算というか、独立会計がたてまえでありますけれども、ほとんどの団体が一般財源を繰り入れておるというような実態でありますから、それらについてひとつ国の立場から救済を願わなければならないと思いますが、その二点についてお伺いします。
  134. 黒木武弘

    ○黒木説明員 事務費につきましては、もう先生御案内のように、五十年度に超過負担ありということで是正をいたしたわけでございますが、その後も引き続き毎年改善を行っておりまして、来年度予算においても八%増の予算を計上いたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、国民健康保険事業に対しましては一兆七千億に及ぶ国庫補助金を計上いたしておるわけでございまして、国としても厳しい国家財政の中から精いっぱいの努力をしておるということで、今後ますます充実を図っていく必要があると思いますけれども、精いっぱいの努力をしているということで御了承いただきたいと思っている次第であります。
  135. 新村勝雄

    ○新村委員 自動車税について一、二点お伺いしたいのですが、それは、これからは資源有限時代で、省資源、エネルギーを節約するということが国家的な要請であるわけですけれども、そういう考え方をやはり税制の中へも取り入れていく必要があるのではないか。特に自動車の場合には、自動車の機能を果たせばそれでいいわけですから、ぜいたくな大型車を乗り回す必要はないわけでありまして、特に統計によりますと、マイカーの乗車人員は、平均しますと一・五か六ぐらいだそうであります。そうしますと、現在よりも小型の車で十分用は足りるということがあるわけでありまして、小型車にすれば資源も節約できるし、エネルギーも節約できるわけであります。そういう点で千CC程度を境にして、それ以下は現在よりも下げる、それ以上は上げるというような、そういう誘導的な政策を入れるお考えがあるかどうか。  それから、家屋についても古くなれば固定資産税は下がるわけでありますから、自動車についても、一回車検をやるごとに低減さしていくという考え方がないかどうか。これはフランスではすでに実施をしているそうでありますけれども、そのことによって古いものでも大事に使うということにもなります。古いものはそれだけ値打ちが下がるわけですから、一回車検をするごとに二割なり三割なり低減していくという、そういうような税制導入されるお考えがあるかどうか。その二点を伺います。
  136. 森岡敞

    森岡政府委員 先ほどの国保の課税限度額につきまして、まずお答え申し上げたいと思います。  十七万円という課税限度額を十九万円に引き上げましたのは、先ほどもお話し申し上げましたように、医療費が伸び、それと並行して所得が増加いたしますと、課税限度額の頭打ちの世帯数がふえてまいります。それをそのままにしておきますと、低所得者の方に税負担配分のしわが寄るということでございますので、今回二万円引き上げさせていただきたい。そのめどを将来どう考えるのかということでございますが、やはり全体の被用者保険なり、あるいはその他の健康保険制度の最高限度というものを見合わせながらめどを立てていくということであろう、かように考えております。  次に、自動車税の問題でございますが、いわゆる小型車と大型車の間で税率に相当大きな差等を設けてしかるべきではないかという御意見でございますが、現在の自動車税の税率はまさしくそのようになっております。自動車の用途なり、排気量なり、乗車定員なり、最大積載量というふうな諸元を基準に税率に区分を設けまして、現在、自家用車について見ますと、千CC以下の小型に対して大型の普通乗用車は年額で約五倍という税負担になっております。自動車税の税負担を今後どのように考えていくかということでございますが、御意見はございましたけれども、私は、省資源とかあるいは道路問題とか、あるいは公営交通その他の公共輸送機関の問題とか、いろいろな面を考え合わせますと、やはり小型、大型を通じまして税負担をむしろある程度ふやしていただくということの方が方向ではなかろうか。税負担の格差につきましては、現段階程度でよろしいのではなかろうか、かように思っております。  それから第二の、車検に応じてだんだん税負担を下げていくという方式、これは一つの仕組みの考え方であろうと思います。ただ、そういたしますことは、結局自動車税を一種の財産税的な形にするということであろうかと思います。最初は高い価格を標準にいたしまして高い税負担を求め、だんだんと値打ちが下がっていくわけでありますから、税負担を下げていく。ところが現在の自動車税は、そういう財産所有的な課税性格もありますけれども、むしろ道路損傷負担的な性格の方が強いというふうに私ども考えております。そのようなことから、新車も中古車ないしは古い車も定額の税負担、定額税率を決めておるわけでございます。これは仕組みの立て方の問題でありますが、私どもといたしましては、現在のわが国の社会の実勢から申しますと、こういう定額課税で道路損傷負担的な性格を強めた税制という方が望ましいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  137. 新村勝雄

    ○新村委員 前の問題については、段階があるということはよく知っているのですが、その段階をさらに強化をすることがいいんじゃないかということを申し上げたわけであります。  それから後の問題については、そういう理論は確かにそういう理論で構成されていると思いますけれども、省資源あるいは財産税というと大げさでしょうけれども、そういう要素も加味する必要があるのではないかということを申し上げたわけであります。御検討いただきたいと思います。  以上で終わります。
  138. 木村武千代

    ○木村委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ————◇—————     午後一時十三分開議
  139. 木村武千代

    ○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、本案について、本日、参考人として日本住宅公団理事澤田光英君及び櫟原利嗣君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 木村武千代

    ○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  141. 木村武千代

    ○木村委員長 質疑を続行いたします。権藤恒夫君。
  142. 権藤恒夫

    ○権藤委員 昨年の地方税審議の際に、地方団体課税の自主権ということを問題にしまして論議を進めたわけでございますが、今回もまた、このような地方自治団体の自主権というものはいかにあるべきかということについてお伺いしたいと思うわけであります。  現在、地方自治体の実態を見ますと、私どもから言わせますと中央集権化している、こういうふうに言わざるを得ないような現状であろうかと思うわけであります。このような中で、地方自治を本来の姿に取り戻せということ、これはきわめて重要な課題ではないかというふうに私は認識しておるわけであります。ところが、地方団体にいたしましても、財源を確保するためには、交付税であれ地方税であれ国庫補助金であれ、何でも欲しいというような姿勢が見られる。また自治省もこのような姿勢があるのではないかというふうに思うわけであります。現在の地方財政状況から見ましたときには仕方がない、やむを得ないというところもあるわけでありますけれども地方自治という原則、本旨から見れば、このようなものじゃなくて、やはり地方自主財源の確保をするということが大切であろうと思うわけでありますが、この原則と現状というようなものの中で大臣は一体どういうふうにお考えになるか、御答弁願いたいと思うのです。
  143. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体は、団体固有の事務を持っておりますし、かつまた、国からの委任事務もやっておるのでございますけれども、できるだけ地方の事務は地方がみずからやると同時に、その財源をも確保してまいることが理想であることは申すまでもないことでございます。ですけれども、実際の問題といたしましては中央に頼らざるを得ない財政状況でありますことも、これまた否めないと思うのでございます。  そこで、現行制度の中におきましても、できるだけ地方団体の自主性を強化してまいるという方向努力をいたしておるところでございますけれども、今後もまたそういう方向努力をいたさなければならぬ、かように考えております。こういう見地から、たとえば地方で徴税いたすものにつきましても、制限税率を設けることではございませんで、標準税率を設けまして地方団体が独自の判断で課税し得るような道も開いておるのでありますし、また普通税につきましても、かっちり国がすべてを決めてしまうのではありませんで、地方の判断におきましては法定外の普通税をもこれまた認めていく、かような制度もとっているのでありますから、今後もそういう方向考え方を強めてまいりまして自主性を高めていかなければならぬ、かように考えておるところであります。
  144. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま、制限税率だとか自主権というものは法的には認めておる、こういう御答弁でございますけれども、しかし標準税率、これは後で問題に触れていきたいと思うのですが、そのようなハードルがありまして、実際、他の団体を見て、あそこが高いとか低いとかいうようなことで運用がしにくいというのが実情なんです。ですから、地方団体としては国に財源を頼るという依存心といいますか、また国の方も、予算、資金を手当てさえすれば地方団体は喜んでついてくるのじゃないか、そういう考えがあるのじゃないかと思うのです。  そこで、くどいようでございますが、わかり切ったような話でございますけれども、もう一回大臣に地方自治の本旨というものについての所見をお伺いしたいのです。
  145. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方自治の本旨は、国の制約を最小限にとどめまして、地方団体がみずからの仕事をみずからの財源によってやってまいりますところにある、かように考えておるところであります。
  146. 権藤恒夫

    ○権藤委員 地方財政というものは、本来、住民の総意と責任によってみずからが自主的に行っていかなければならないということであろうと私どもは思っております。しかし、先ほど申し上げましたように、現実の問題として、きわめて遺憾でございますけれども、その原則に沿って運営されていない。なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、今日、財政危機が叫ばれております。ただ、財政危機だから資金さえ手当てすればいいという行き方ではなくして、もう一回ここで地方自治というものを見直していかなければならぬ、また大臣は率先して見直すべきである、こういう考えを私は持っておるわけであります。いま御答弁のとおりに、大臣のお考えも私ども考えておることと基本的には一致しておるわけでございますから、そういうことを前提としていろいろと質問をさせてもらいたいと思うわけでございます。  昭和五十年以来今日まで四年間、歳入欠陥がございました。それを自治省としては法を改正するというような中で地方財政の立て直しをやるというのではなくして、地方債であるとか、あるいは特例交付金であるとか、あるいは借入金であるとか、このようなことで地方財政の穴埋めをなさってきたわけでございます。一時しのぎの間に合わせだ、こういうふうに言わざるを得ないわけであります。このような中で交付税というものはもう補助金のようになっている。あるいは地方債というものが公然と措置される。しかしながら、これはあくまでも一時しのぎの問題でありまして、抜本的に地方財政を立て直すということにはならない。そうなってまいりますと、地方自治というものはとにかく形骸化されてしまう。あとは地方債にしろ、あるいは特例交付金にしろ、自治省大蔵省との政治の取引の場でこれが決まっている。一方では、地方自治体を育てなければならぬ、こういうふうに言いながら、財政の面では、自治、大蔵の問で政治的な取引がなされる。ということは、これは政府みずからが地方自治の崩壊につながるようなことをやっているんじゃないか、こういうふうに私どもは憂慮するわけであります。だから自治大臣、ひとつ力を入れてやってもらいたいことは、あなたの後には四十七の都道府県、六百四十二の市、それから二千六百三十二という町村がついているわけなんです。三千三百有余の地方団体がおるわけであります。これがこの財政危機を契機にして本来のいわゆる自主性ある地方団体の運営をしていくことができるかどうかという際どい状況にあるということを認識して、取引の中で地方財政というものが、地方行政というものが運営されていくことがないように歯どめをかけるべきじゃないか、こういうように私は思うわけでございますけれども、この三千三百有余の団体預かる自治大臣として、地方財政の抜本的な立て直しをやる決意があるかどうか、それをお伺いしておきたいと思うのです。
  147. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ここ数年来のわが国経済状況等は申すまでもないことでございまして、そのために毎年相当額の地方財源の不足額を生じておるのでありまして、これが不足財源の補てん策といたしましては、抜本策をとるべきであるのが筋ではありましょうけれども、なかなかそうはまいらないままにその年度その年度の処置をいたさざるを得ない、かような姿に相なってしまっておるのでありまして、このことはよく御承知のとおりであります。ですけれども、長期的な展望に立ち、なるべく早い時期に行財政の改革を行うことによりまして地方の自主性を取り戻しますのが私どもの念願でございますから、今後もそういう方向に向かいまして努力をいたしてまいりたい、かように考えます。
  148. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣も答弁に苦慮されておるようでございます。今日の地方財政の危機をどうするかということに御苦労なさっておることにつきましては、私どもも認めておるわけでございます。そこでやはりその年度年度を切り抜けていけばいいという行き方じゃなくして、やはり一貫性を持ってもらいたい。これは地方財政の真の危機ということをあいまいにして糊塗しようとするような考え方は私はがまんできないわけでありまして、まあ国は、地方財政の危機というものはいわゆる放漫財政にその原因があるのだ、地方自治体の方は、いやそうじゃないのだ、われわれが今日こういうふうに苦しいのは国が制度的に何も改革しようとしないからだ、こういうふうに批判をし合っておるわけでございますが、それはそれといたしまして、今日の地方税源の充実強化、それから非課税措置の問題、あるいは先ほど話がございました標準課税制度のいろいろな問題について、順次質問をしてまいりたいと思うわけであります。  初めに地方税源の問題についてでありますけれども、先ほどから地方税の充実強化が必要である、こういうふうに申されております。国と地方の税財源の再配分について、これはもう過去に種々論議をされてきておることでございますけれども政府は税財源の再配分をこの際断行する御意思がおありかどうか、お伺いしておきたいと思うのです。
  149. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私どもは、できるだけ地方に財源を付与いたしますことが理想の姿でございまして、今日までもそういう方向努力をしてまいっておりますが、今後もまたできるだけ地方へ財源を配分でき得ますように努めていかなければならぬ、かように考えております。ただ、しかし、財源は仕事との密接な関連があるのでありますから、理想の姿といたしましては、できるだけ地方でやるべき事務は地方に移譲していかなければならぬのでありまして、事務の移譲との関連におきまして、財源もまた同時に地方に付与いたす、かような行財政両面にわたりまする改革がぜひ必要である、このことを痛感いたしておるとろであります。
  150. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そのような御答弁はもう聞きあきるほど聞いてきておるわけでございまして、具体的にどのような——行政改革の面にいたしましても、財源の配分にいたしましても、やらなければならぬということは、これはもう私どもも申し上げておりますし、政府の御答弁もいただいておるわけであります。それが一向に進まないわけであります。いつ、どのようにしてやるのか、そういう原案が何かおありなのか、あればひとつ示してもらいたいと思いますし、いわゆる経済が高度に成長しておった時代、やらなければならぬと言ってかけ声はかけてきておるわけであります。それがやれない。今日このように財政が逼迫してきた。そのときにも経済の動向が好ましくないというような中でやろうとしない。いつやるのか、どのような場合にやるのかということになるわけであります。いま大臣が確信を持ってやらなければならぬ、こうおっしゃっておるわけでございますが、そういう抽象的なことではなくて、これとこれはできるのだ、これとこれはいまやろうとしておるとかというようなものがあれば、ひとつ示してもらいたいと思うのです。
  151. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国と地方を通じます事務の再配分税源の再配分は、長い間の懸案でありながらなかなかスムーズには進捗しておらないことは御承知のとおりでございます。そこで、できるだけ早い機会にやらなければならぬのでありますけれども、これが具体的な内容等につきましては税制調査会あるいは地方制度調査会等の議論の推移をも見きわめながら、これとの一体の関係で取り運んでいかなければならぬ、かように考えておるところであります。
  152. 権藤恒夫

    ○権藤委員 確かに税調でありますとか、そのような意見を聞くことも大事でございましょう。しかし、この問題はこの委員会で絶えず話題になるわけでありますね。税調もいいけれども、あなた、委員の言うことも聞いたらどうですか。私は、それは言い逃れじゃないかと思うのです。やはり地方自治体の側に立って、改革すべきものは改革する、統合するものは統合する、整理するものは整理するという強い大臣の姿勢が、この問題を早期に解決するかしないかという、一にそこにあるんじゃないかと私は思うわけでございます。もう何回も言ってきたことでございますから重ねて申し上げようとは思いませんけれども、いわゆる歳入におきましては国が七で地方が三である、一方歳出におきましては国が三で地方が七であるということは御承知のはずでありますから、全く逆になっておるわけです。このような状況地方自治にとって好ましいと大臣はお考えになるかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。
  153. 加藤武徳

    加藤国務大臣 税収で対比してみますと、ただいま御指摘がございましたように、国の税収がおおむね七に対しまして地方の場合は三だ、かような比率に相なっておるのでございますけれども、ところが国の税収のうち譲与税もございますし交付税もございまして、それを地方でカウントいたしますと、おおむね五〇対五〇、かような比率にもなっておるのであります。しかし、これで足れりとなすのではございませんで、できるだけ地方の比率を高めてまいりますことが地方自治の精神にかなっておることでございますから、今後もそういう方向努力をいたすべきだ、かように強く考えておるところであります。
  154. 権藤恒夫

    ○権藤委員 五十対五十、五対五になっておることは事実でございましょう。しかし、この補助金というものがいわゆる地方団体の自主的な運営を阻害しているということになるわけであります。五十三年度予算を見てみますと、落ち込んだ景気をいかにして回復するかということで大型公共投資が組まれました。この大型公共事業の達成がなされるかなされないかということは、地方公共団体がこれから先事業をどういうふうに推進するかということにかかっていることはもう論議し尽くされておることでございまして、私が改めて申し上げるまでもないわけであります。その投資的な経費を見てみますと、国が七兆五千億、地方が十二兆六千億、いかにこの公共事業の達成について地方公共団体にウエートがかかっておるかということは、この予算の上からも明白であるわけであります。ところが、この地方団体の投資的経費十二兆六千億の中で単独事業でやるのは五兆六千億、七兆円というのは補助事業であるわけなんです。この補助事業は、委任事務にしましても権限にしましても、全部国が握っておるわけでありますから、地方の選択権というのはないわけであります。皆無であります。先ほど大臣にわかり切ったようなことを聞いてはなはだ失礼だと思ったのですけれども、このようなことが地方公共団体の自主権というものを制約しておるわけであります。いわゆる中央集権というたがにはまって、自治体は動きがとれないというのが現実なんです。  このような中で自治体が、じゃ自分のところ団体をこういうふうにしていこう、地域住民の要求にこたえて、いまこうあるべきだ、こう思ってもやれない。そうなるところから、自主財源をみずからの政策を立案して努力して生み出していこうという自主性がなくなってきている。これは事実だろうと思うのです。ですから、割合においては五対五ということでございますけれども、やはり地方公共団体が、自分の団体にいまこれをすることが一番住民の要求にこたえていくことである、そういう選択をされるような自主財源を確保するために、私は先ほどから申し上げておるわけであります。だから大臣の発想というのは、そうは言うけれども金はやっているじゃないか、こういうことだろうと思うのですけれども、国に何でもかんでもねだるというような姿勢が、みずからの力みずからの団体を運営していこうという力を結果的にはそぐようになっているのではないか、こういうふうに思うのです。したがいまして、この税財源の配分については、歳出と同じような形で地方公共団体が徴収できるような制度が私はいま最も必要じゃないかというふうに思うわけでございます。それについて大臣からもう一回お答えをいただきたいと思うわけです。
  155. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いわゆる補助金制度なるものは、国全体を考えてみまして、ある項目についてはその事業を推進いたしますために必要である、かような観点から設けられた制度であることは申すまでもございません。ただ、補助金の中にも、もうすでにその目的を達して不要のものもあるのでございますし、かつまた、さらに強化していかなければならぬもの等もあろうと思うのでありますけれども、私どもは、いわゆるひもつきをできるだけ少なくしますことが自主性を高めていくゆえんである、かような考え方のもとにきわめて零細な補助金等は整理いたします方向努力もしてまいっておりますし、また目的を達しましたものは早期にこれを廃止しなければならぬ、こういう方向でも努力をいたしておるところでございます。  ただ、理想的な姿といたしましては、地方がみずからの財源で事業を行っていく、このことが理想ではございますけれども、しかしわが国の現状を見ますときに、税源配分がきわめて不均等であり、各地域によりまして非常な格差が生じておるのでございますから、これを補います制度が交付税制度であり、また、その他の若干のこれを補正いたします制度がありますことも御承知のとおりでございます。自主性を高めてまいりますには、おのずから限度はあろうかと思うのでありますけれども、そういう範囲内において、自主性を高めてまいります方向でのこれからの最大の努力をいたしてまいりたい、かように考えているところであります。
  156. 権藤恒夫

    ○権藤委員 大臣、参議院の方にお呼びがかかっているそうですから、どうぞ。後は政務次官に篤と聞いていただいておきます。  いま団体財政に格差があるというようなお話でございましたが、この話につきましては後ほどやらせていただきたいと思いますので、次に話を進めたいと思います。  いま私が申し上げましたように、国七に地方が三というような税の徴収のあり方はきわめて不合理だということなんです。私は本気になって地方自治というもの、地方団体というものを育てるといいますか、自主性を尊重するといいますか、そういうようなことを考えましたときには、このような補助金によって地方団体の行財政を行わせるということは好ましくないということを強調しておきたいと思うのです。なぜならば、地方の必要な財源を確保するということは、これはもう地方自治の原則であります。当然のことであります。これは明確に法の上において規定されていることであります。それを一つの手段としていま運用しておるわけでございますけれども、このような財政危機のときにこそ原則に立ち戻って見直していくべきじゃないか。そういう意味でこの補助金、国庫補助金の整理をすべきだ、こういうふうに思います。そうして、補助金が必ずしも悪いと言っておるわけじゃありません。必要なものは必要なものですから、整理統合して、当然地方公共団体の固有の権限に属するというようなものについては、ひもつきどころかワイヤーロープみたいなものをつけて締めつけるのでなくして、地方公共団体に自主財源として振りかえるべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そうすることが地方自治を強化するということにもなるわけでありますから。また納税をする側からも見たときに、自分が納めた税金が自分の居住する公共団体に返ってくるというふうなことから、これが有効的に使われることについては納税者も納得するのではないか、こういうふうに思うわけでございます。補助金を整理統合して、そうして当然地方公共団体の財源として振りかえられるものについてはできるところから手がけていくという、そういう措置が必要でございますので、そういう意思がおありかどうか。そして、その資料を一覧表にしてひとつ提出してもらいたい。(「規模、金額、使途、目的」と呼ぶ者あり)いま言っているようなものをひとつ出してもらいたい。出せるかどうか、これは委員長、お願いしておきます。
  157. 木村武千代

    ○木村委員長 出せますか。
  158. 森岡敞

    森岡政府委員 基本的な地方自治制度のあり方及び地方財源付与のたてまえ、これはまさしく御指摘のとおりだと私ども考えております。ただ、一面において、行政についての地域の住民の方々の画一的な行政水準を求められる要請というものも強いわけでございます。ある地域は貧弱な行政でよい、ある地域はそうでなくて非常に豊富な行政ということについては、いまの全体の国民の意識なり何なりから考えますと、これはなかなかむずかしいことでございますし、またそうあってはいけない。そういう意味合いで、地方自主税源であります地方税の増強だけですべてを片づけるということにはもちろんまいらないわけでありますから、交付税のような財政調整制度もかなり充実活用していかなければならない。しかし国庫補助金につきましてはでき得る限り整理統合いたしまして、地方税なり地方交付税の財源に振りかえていくということが、基本論としては私どももあるべき形だと思っております。  補助金の整理の具体的な内容につきましては、また財政局長から申し上げます。
  159. 山本悟

    山本(悟)政府委員 補助金、国庫補助金制度そのものにつきましての考え方は、先生御指摘のとおり、私どももほぼ同じような考え方で常に対処いたし、また各省並びに大蔵省等にも常にそういう意味での意見の申し出もいたしているものでございます。ただ、実際にたとえば五十三年度どれだけの補助金が整理されあるいは統合されたか、こうなりますと大蔵省側の資料ということになってまいりますので、件数等はわかると思っておりますけれども、どの程度のものまで大蔵側として整理をいたしておりますか、調べまして御連絡を申し上げさせていただきたいと思います。
  160. 権藤恒夫

    ○権藤委員 ぜひひとつ資料として提出してもらいたいと思うわけであります。私がいろいろと各省に資料の提出等を求めてみたわけでありますけれども、全然進んでおらない。補助金なんか、千円という補助金があるんですよ。ばかげた話ですね。村役場から県庁まで行きます。出る先まで行くわけですね。旅費が千円かかる。三回ぐらい行かなければいかぬ。福岡県の地方課長の井上さんが福岡県下の市町村の担当者といろいろと問題解決のための懇談会をつくりまして、そして調書として提出されております。それを見ますと、整理統合した、こういうふうに言いますけれども、きわめて今日的ではないような補助金がある。しかしそれを断るわけにいかない。だから一生懸命に市町村はその補助金をもらうために出かけていっている。三回も四回も行って、旅費の方が三倍も四倍も高くつくということがあるわけであります。これは一例でありますからとやかくは申しませんけれども、私どもの知る範囲ではかなりの問題があることは事実でございます。ぜひともひとつ一般財源に振りかえていくように努力をしてもらいたいと思うわけであります。  自治省は今日の地方財政の危機、これはとにかく地方団体が放漫な経営をやっておることが原因だ、こういうふうに言われているし、いろいろと新聞その他でそのようなことが言われております。そのために歳出の削減をいろいろな形で指示しておる。それはもう地方も完全とは言い切れません。いろいろなものがあることは事実であります。しかしながら、特にこの問題に自治省が固執しているのは何なのかということをここで明らかにしてほしいわけであります。私の聞いた話では、愛媛県の小田町で何かあったとか、また最近の新聞を見ましても、私の地元の新聞である西日本新聞が「高額退職金にメス 地方公共団体の首長、幹部役職加算など是正」というようなことで新聞に載せております。また日経新聞にも「自治省、改善を指導 大阪府下“二重払い”も 退職者、十年後には三倍 支給に支障の恐れ」というように出ております。内容を見てみますといろいろと書いてあるようでございますが、いわゆる放漫財政が今日の地方財政危機の原因だ、そのための歳出削減に努力すべきであるというようなことでございます。新聞で読んだだけでございますので、具体的なことはわかりませんが、自治省が調査をしておるということも書いてありますので、具体的にはどのようなものかひとつここで明らかにしてほしいと思います。
  161. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘をいただきました事項のうち、愛媛県の小田町の問題が提起されましたので、それにつきまして簡単にわれわれが知り得ておりますところを御報告させていただきます。  愛媛県の小田町の昭和五十一年度の決算、これまでは形式的には約四百万円の黒字を計上いたしているわけでございますが、五十二年度の決算におきましては十億円前後の赤字決算になるのではないかということを情報として得ているわけでございます。この赤字の生じました原因と申しますのは、すでに買っておりました町有林の処分ができなかったことによります小田町自身の累積赤字が約二億八千万、それから森林組合へ貸し付けをいたしましたものの年度内の回収不可能なものが五億八千万というようなことがいろいろと積み重なっておりまして、非常に大きな赤字を生ずるのではないかということで、ただいま県を通じまして中央からいろいろと指導をさせている状況になっているわけでございます。  これの原因といたしましては、何しろ地方団体の中にもいわゆる土地ブームの際に、利用目的が不明確なままに非常に危ない土地に手を出した団体が幾つかあったわけでございますが、小田町もその一つの典型的な例というように思えるわけでございまして、そのこと自体は大変残念なことと申さざるを得ないことでございまして、できるだけ赤字の額を減らすような努力をさせ——この程度の団体でございますと、一億ぐらいの赤字額になりますと起債制限団体、いわゆる再建団体にならざるを得ないと思いますので、将来はそういう方向でも指導をして財政再建に持っていかなければならないのではないかとただいま思っているところでございます。  なお、退職手当関係につきましては、公務員部長の方から御答弁させていただきます。
  162. 塩田章

    ○塩田政府委員 地方団体の退職手当の状況でございますが、御指摘のように国家公務員に比べましてかなり高い水準の退職手当が出されておるケースがございます。その理由としましては一応四つ考えられるわけです。  まず第一に、地方団体が、御承知のようにいわゆる給与水準が高い場合に、その高い給与水準がベースになって計算されるということからくるのが一点でございます。  それから第二点としましては、国と異なる支給率を設けておる団体がございます。  それから第三点としましては、いわゆる制限額が、国家公務員の場合六十九・三月分というのが上限の制限額になっておりますが、地方団体の場合、これを上げておる。たとえば九十月分まで上げておるといったケースがございます。  第四点としましては、それにいわゆる役付加算というものを加えるケースがございまして、その結果、場合によっては制限額が九十月分を超しまして、百月分にもなるといったケースがございます。いま申し上げましたような形でかなり高い退職金が出るというケースがございまして、私ども非常に遺憾に思って指導をしておるところでございます。  ただ、全般的な団体の数で申し上げますと、地方公共団体の中でも、いま申し上げましたような退職金制度について、国と違った特別なルールを設けているところは、都道府県の場合東京都、そのほか指定都市あるいは指定都市周辺の若干の市という形でございまして、数からいきますとそう多くはございませんけれどもかなり高いところがあることは事実でございまして、国家公務員に準じた適正な退職金であるように今後とも指導してまいりたいと思っております。
  163. 権藤恒夫

    ○権藤委員 今日の国、地方公共団体ともにあわせて財政危機のときでございますから、こういうことが問題になってきたと思います。しかし、こういうことが問題になってくるということ自体が、国民の感覚ときわめてずれがあると私ども思うわけなんです。  永年勤務したその功労に対する退職手当は、現状において規定があるわけでございますから、それは当然今日までの功労に対するものとして支給するべきでしょう。けれども、余りにもかけ離れていくということ自体問題があるわけであります。だから、苦しいときはお互いにがまんしようじゃないか。昔の言葉じゃございませんけれども、私たち十四、五、小学校から中学校まで、欲しがりません勝つまではということでずいぶんやってきました。それがいいとか悪いとかという問題でなくして、国民の税金でございますから、納税者の納得のいくように使われていくということが前提にあらなければならぬわけなんです。そういう意味で、地方公共団体のみならず、国の方もその姿勢を正して、範をたれていくという姿勢が私は必要じゃないかと思うのです。いろいろ細かいことがわかっておりますけれども申し上げませんが、あなた方の方でそれはよく御存じだろうと思います。  ただ、ここで私が言いたいことは、真偽のほどはわかりませんよ。けれども、大阪市を除く大阪府下の四十三市町村の職員で構成をしておるところの互助会が、職員だけならばまだ私どももここまで言うことがなかったのじゃないかと思うのですけれども、三役にまでこの互助会の中から生業資金というものが平均して一千万程度払われているということが書いてあるわけだ。これは互助会でございますから、当然本人も掛けております。けれども地方公共団体におきましてはこの互助会負担金というものが当初予算予算化されて、そうして負担をしているわけです。この互助会の性質は、職員が活動をするそのために交付をしているわけでございますから、何もこれが退職金の上積みになるような、そういう性質のものではないわけであります。それが三役である助役まで含めて生業資金という形で退職金の上積みをしているということが書いてあるわけでございますけれども、これは明らかに国民の納めた税金を退職金という形で二重取りしているということになるわけでございます。この実態についてもう少し詳しく説明をしてもらいたいと思います。
  164. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘の大阪府下の市町村の職員互助会でございますが、設立されましたのは昭和七年の三月十五日でございまして、現在会員が五万二千四百二十九人、これは五十一年の十二月一日現在でございますが、そういう数字になっております。加入市町村数は、いまお話がございましたが、現在の時点で申し上げますと四十三市町村、それに二十三の一部事務組合が入っております。掛金の負担割合でございますが、一般職員の掛金は本俸の千分の十四、それに対しまして、地方団体からの補助が千分の五十六という形になっております。給付の内容といたしましては、たとえば結婚の準備金でございますとか入学の祝い金、それからいまお話のございました生業資金といったような、いわゆる互助的な形のものに使われておりますが、そのうちの生業資金は退職の際にいまお話がございましたような形で年数に応じた給付額になっております。  大体以上でございます。
  165. 権藤恒夫

    ○権藤委員 もう少し、しゃんしゃんと答弁なさったらどうですか。今日のこのような景気が沈滞しておる中で、企業もいわゆる賃金というものに対する洗い直しをやっておる、まあ神戸製鋼あたりはきわめてドラスチックにやっている。そこで、先ほどから申し上げておりますように、この国、地方あわせて国民のセンスに合うような形で、私は何らかの見直しをしていかなければならない、そういうときであろう、こういうふうに思います。  したがって、問題になっておりますような制度については、これはもう自治体がやることでございますから、自治体の責任と良識の中で行われていくことだろうと思います。けれども、言うべきところは言っていくというような、私は自治省にも強い姿勢があっていいのではないか、こういうふうに考えますので、十分そのあたりはひとつやってもらいたい。  それから、先ほど小田町の問題、累積赤字が十億、二十億というようなことがございますが、こういうようなことを交付税で見るのか見ないのかということが問題であろうと思います。しかしながら、きわめて財政力の弱い、規模の弱い団体でございます。何らかの形で助成をするという必要があろうと思いますが、これについてもひとつ善処をしてほしい、また言うべきことはきちっと言っていくというふうにひとつしてもらいたいと思います。  それから、厚生省お見えになっております。環境整備課長の森下さんにお伺いしたいのですが、地方公共団体が、いまごみ、屎尿の処理をやっております。このごみ収集でございますけれども、これはぜひとも地方公共団体がやらなければならないのかどうか、直営でやらなければならないのかどうか、あるいは委託をして管理はきちっと団体がするというような管理方式はとれないものかどうか、その点についてお伺いしたいのです。
  166. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答えいたします。  市町村は、一般廃棄物の処理を衛生的かつ適正に行う責務を有しておりますので、こういったものを委託でいたします場合には、市町村の責任が不明確になりましたりあるいは行政サービスが低下をいたしませんように、政令でその基準を定めております。その基準と申しますのは、委託を受ける者がその廃棄物を適正に処理する施設を持っておるとか、あるいは適正に執行する能力がある、財政的な基盤があるというふうなことを基準に決めておりまして、そういう基準に適合しますものに委託をいたしますものは、これは差し支えないということになっておりまして、直営であろうと委託であろうとこれは市町村がお選びになるということで、どちらでもいいようになっております。
  167. 権藤恒夫

    ○権藤委員 このごみの処理につきまして、民間に委託をした場合と直営でやった場合は、そのコストについてどのような差があるかどうか、自治省の方にお伺いしたいと思います。
  168. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自治省といたしまして、ごみの部分につきましての委託と直営との格差というものを、経費上の差というものを直接調べたことがございませんが、われわれ地方団体側からいろいろ話を聞くといたしますと、直営に比べて委託の方が経費的には相当安上がりでうまくいくというような話をよく耳にするところでございます。
  169. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いま地方公共団体のいわゆる歳出の削減について二、三の例を引いて質問をしたわけでありますけれども、まだまだこのほかにいろんな問題があることは事実でございます。そこで、先ほどから申し上げておりますように、地方公共団体も必ずしも完全とは言えない。しかし、歳出を切れ切れ、削減せい、こういうふうに言われましても、いわゆる補助金の問題でありますとかあるいは通達でありますとかというようなことで、地方公共団体が自主的にやろうと思ってもやれない部分も相当あるわけでございますので、そのようなものを洗い直して、そうしてたとえこれが直営であろうが、ごみの問題でありますけれども、民間に委託しようが、あるいは種々の行政というものを国のひもつきでやろうが、地方公共団体でやろうが、それを受ける住民にとってはそのサービスの低下がなければ、サービスが同一であるならば、だれがやっても住民側としては差し支えないわけであります。だから、いわゆる経費の削減をやることとあわせて補助金等の整理統合をして、自主的に地方公共団体がやれるようにすべきである、こういうふうに私は考えるわけでございます。そのことにつきましていろいろと答弁はいただきましたが、もう一回大臣にかわって政務次官の決意なりをお伺いしておきたいと思います。
  170. 染谷誠

    ○染谷政府委員 御期待に沿うように努力をしたいと思います。
  171. 権藤恒夫

    ○権藤委員 そこで、今度は税源確保の具体的な問題につきまして質問をしてまいりたいと思います。  先ほどから繰り返して申し上げておりますように、地方財政の危機、この一つの原因として、事業税の落ち込みということが挙げられるのではないかと思うわけでございますが、そういうような意味で、この事業税が所得によって課税されるものか、あるいは企業が事業活動をするのに環境整備をしていくというようなことで、この事業税を外形課税にすべきかというようなことで論議がなされてまいりました。私どもは外形課税方式をとるべきだ、こういうふうに思っております。なぜ外形課税方式というものが導入されないのか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  172. 森岡敞

    森岡政府委員 事業税課税標準のあり方につきましては、いま御指摘のように、私ども基本的には、この税の性格から申しまして所得のみを課税標準にすることは適当ではないと考えております。そのような意味で、外形標準課税導入いたしたいということでかねがね税制調査会でも審議をしていただいてまいったわけであります。ただ率直に申しまして、外形標準課税導入いたしますと、いわゆる所得計算上赤字になった企業も相応の負担をしていただかなければなりませんし、また企業の種類によりましていままでの所得課税負担と相当変動が出てまいります。外形課税に何を用いるかということについてはいろいろな提案がありますが、集約いたしますと、売上額でありますとか、あるいは付加価値額でありますとか、そういうようなものになります。これらは分解してみますれば所得なり利潤等、それから賃金、地代、家賃、利子、こういうふうなものが構成要素になるわけでございます。具体的な例で申しますれば、雇用者数の多い労働集約型の企業は、どうしても現行所得課税に比べますと税負担をたくさんしていただかなければならないということになるわけでございます。しかし、それはまた事業を営むことによる行政コストに見合って税負担をしていただくことになるわけでありますから、それはそれなりの合理性があると私ども考えておりますが、そういう税負担の変動につきましてのいろいろな議論がございます。それらを総合いたしましていろいろ問題点があるわけでございますが、ことに最近の景気の情勢でございますので、企業もそれぞれ体質が弱体化してまいっておるこの段階で、赤字企業に相応の負担を求める外形標準課税導入というのは、何としても時期として問題もあり、やはりむずかしいというのがここ二、三年来外形標準課税導入を強く主張しながらなかなか実現できない一番大きな理由であると思います。  第二の理由は、昨年の十月の税制調査会答申に出ておりますように、今後の国及び地方財政財源不足を解消いたしますためには、どうしても一般消費支出に対する一般消費税のようなものを考えざるを得ないのではないか。一般消費支出に対する一般消費税というものを爼上にいたしますれば、それは事業税の外形課税と非常に共通する面が多い。税の負担関係の実質上の帰着関係及び課税標準のとり方、両面から考えまして共通性が多い。そういたしますと、やはり一般消費税の創設なり導入というものにどう決着をつけるのかということと、事業税外形標準課税導入問題とあわせて解決する方が現実的であり、合理性に富むのではないかというのが税制調査会答申でございます。私どもも、そうではないという意見もございますけれども、やはりこの際、ここまでまいりますと、一般消費税との関連で国、地方財源配分をどうするかという問題の一環としてこの問題を解決する方が合理的ではないか、そのように考えておる次第でございます。
  173. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私はそうでないと思うのですね。新しい課税客体がどういう形で出てこようとやるべきことはやりなさい。というのは、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども事業税というものは公共投資に対する事業活動を行っていく者の当然の義務であります。というような観点から、今日税の不公平ということで、いろいろ強弁されておるわけでございますが、思い切ってやればいいじゃないか、テクニックの問題、一般消費税というようなことを申されましたけれども、それはその時点でまた改めて考えたらいいのじゃないか、こういうように思うわけですよ。そういうことで当然いただくところはいただくというようなことが必要である、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、積極的に取り組んでほしい。このことについて、政務次官の決意をお伺いしておきたいと思います。
  174. 染谷誠

    ○染谷政府委員 いま局長からもお答えしたわけですが、一般消費税の創設に伴います地方財源の増強及び安定化とあわせて、事業税における外形標準課税導入の問題の解決を図ることが最も現実的な方策である、このように一応考えている次第であります。その具体的な方法につきましては十分に検討を加えまして、適切な結論が得られまするよう努力をしたい、かように思っております。
  175. 権藤恒夫

    ○権藤委員 次に、収支試算との関連についてお伺いします。  先ほど発表されました地方財政収支試算でございますけれども、その中で一般財源の算定基礎というものが明らかになっていないわけでございます。この資料を提出してほしいわけでございます。この資料、提出できますか。
  176. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方財政収支試算におきましては、一般財源につきましては、地方税交付税、譲与税等を含めまして一括して数字を出しているわけでございまして、委員会として資料要求ということになりますれば、私どもといたしましては積算は持っているわけでございますので、御提出は申し上げます。
  177. 木村武千代

    ○木村委員長 提出できるのですね。
  178. 山本悟

    山本(悟)政府委員 委員会として御要求なら提出いたします。
  179. 木村武千代

    ○木村委員長 では提出することにいたします。
  180. 権藤恒夫

    ○権藤委員 ぜひ資料を提出していただきたいと思うのです。なぜかと申し上げますと、地方税の増税分は一括してありますのでどうなっているかわからないということで、明らかにしてほしいということであります。  地方財政収支試算につきましても、いろいろと論議されてきておるところでございますけれども、ここでがらっと発想を変えて、カーターが提出しておりますゼロベース予算というのがいま話題になっているわけであります。こういうようなゼロベース予算制度といいますか、そういうものに基づいて検討することも意義があるのじゃないか、私はこう思うわけであります。なぜかならば、一度予算化されたものの、こういうものはなかなかそれを変えていくことはできない。そのために、今年度予算が何%伸びた、何十%伸びた、こう言いますけれども、過去の実績の延長線上でいわゆる累積をされていくわけであります。そうなってくると、新規に事業を起こしたいとかいうようなことを考えました場合においても、それが入り込む余地がないというようなことも考えられるわけであります。そういう意味で私ども財政計画の積算に矛盾を感じておるわけであります。でありますから、全面的にということはあり得ないけれども、部分的にはゼロベース予算制度に近いようなもので財政収支試算ということが可能かどうか、またそういうようなことを検討してあるかどうか、それについてひとつお答え願いたいと思うのです。
  181. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、財政を運営していきます際に、翌年度予算を組む、その際に、事務事業の見直しあるいは制度の見直しというようなことは、私どもといたしましても常に強調いたしており、地方団体にもそういう意見を申しているわけでございますが、地方財政収支試算との関連におきましてそういうことが可能かどうか、これは非常にむずかしい問題も含んでいると存じます。御案内のとおり今度御提出申し上げております地方財政収支試算、これは経済審議会におきますところの暫定試算というものをもとにいたしまして、国と整合性を持ちながら計算をいたした一応の試算であるわけでございますので、そういった意味で過去のいろいろな諸制度を全部見直すというようなものを含めましての意味でのゼロベース予算的な考え方というのは、実際問題としてなかなかむずかしい。しかし考え方といたしまして、各団体におきますところの予算編成というようなことにつきましては、事務事業の見直しというものを基礎にいたしましての考え方というのが必要じゃないかということは、私どもとしても強調いたしているところでございまして、常にそういった態度で対処していく必要があるというようには思っております。
  182. 権藤恒夫

    ○権藤委員 私の言いたいことは、このことにつきましてもやはり地方自治の原則に従ったあるべき姿としてそういうことも考えていく必要があるんじゃないかということなんです。ということについていま答弁がございましたが、しっかりやってください。  その次に、第二の問題は非課税措置のことについてお伺いしたいと思うわけでございますけれども、今度非課税措置がとられました。この非課税措置の整理状況をお伺いしたいわけでございます。
  183. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税におきます非課税、軽減等のいわゆる特別措置には二種類あることは御承知のとおりでございます。地方税法自身の規定に基づきます非課税なり免除なり軽減の規定、それから国税の租税特別措置法に基づきまして法人関係税あるいは個人所得課税について同様の特別措置影響するという、二つの問題がございます。  まず第一の地方税自身の非課税規定につきましては、固定資産税、不動産取得税等でいろいろな政策目的から設けております各種の特別措置のうち十二項目を整理いたしました。なお、そのほかに電気税の非課税規定につきまして四品目の廃止を行っております。  次に、国税の特別措置に伴う影響でございますが、国税の特別措置につきましては、価格変動準備金あるいは公害防止準備金その他につきまして相当の改正が行われることになっておるわけでございまして、それらに伴う増収は地方税につきましても相応の金額を見込むことにいたしております。
  184. 権藤恒夫

    ○権藤委員 地方税独自でこの非課税措置を整理したということでございますけれども、わずかですね。わずかと言えばなんですが、その額は二億円足らずですね。これは税の負担の公平ということがいま叫ばれておる、それからその反対に今度は、今後の財政を健全化していくためには応益分担といいますか応益負担といいますか、そういうことが叫ばれておる今日、国が租税特別措置をした、これは国はいわゆる国の政策上の問題としてやっておるわけであります。ところがこの国の政策上の問題が地方公共団体関連していくかというと、必ずしもそうではないというふうに思うわけなんです。したがって、この国税の租税特別措置地方税への影響を遮断してほしい、遮断すべきである、私はこういうふうに思います。  それともう一つは、地方税の非課税措置でございますけれども、これもきちっと枠にはめられ決めてしまっている。本来、地方税というものはこういうような法律で決めてしまわずに、たとえば自分の地方公共団体にこういうものがある、こういうものを育成していきたい、将来これがわが団体にとって有利であるというふうに判断した場合において、これは非課税にするかしないかということを地方公共団体の議会で審議して、そうして条例でもって非課税措置というものをとればいいのじゃないか。ということは、いわゆる住民の意思というものが十分に反映された中でこれが措置をされていくわけです。ところが、全国一律に法のもとにかちんと非課税措置というものを決めてしまっては、余りにもこれは画一化過ぎるのじゃないかというふうに思うわけでございます。ですから、地方公共団体で必要と認めるものについては非課税措置もできるような道を開いていくべきじゃないかというふうに思うわけでございますけれども、その点についてはいかがでございましょう。
  185. 森岡敞

    森岡政府委員 確かに地方自治の自主性を尊重する、最大限に確保するという観点から申しますと、御指摘のような方式での地方税制の立て方もあり得ると思います。ただ、一つには、わが国の場合狭い国土の中に地方団体がそれぞれ所在しておるわけでありますから、納税者の立場から申しまして、ある程度負担の、バランスというものを地域間でとってもらいたいという意識、これも非常に強いものがあるわけでございます。したがいまして、非課税とか課税免除というものを全く地方団体の任意にゆだねるということになりますと、これはやはり地域的な特殊性がかなりございますから、ばらばらになってしまって大変アンバランスになるという懸念がどうしても抜け切れないという面、これは否定できないと思うのであります。そういう意味合いでやはり一定の非課税規定というものは設けておかざるを得ないのではないか。ただ、しかし、その地域によりまして、地方税法上の非課税以外に一定の課税免除をするとか軽減をするとかいうことによって、たとえば工場を誘致するあるいは企業の立地を促進するというふうな場合もあり得るわけでございますので、それにつきましては地方税法の総則で不均一課税とか課税免除を地方団体の条例によって実施することができることにいたしておりますし、また担税力や公益上の理由があれば個々の案件につきまして減免をする規定を設けておるわけでございます。そういう意味合いで、自主性の尊重と負担の地域的なバランスの確保、その接点をどう組み合わせるかということで現在は非課税規定を設け、かつ自主的な判断に基づく免除なり軽減の措置もあわせて地方税法で規定している、かような仕組みをとっている次第でございます。
  186. 権藤恒夫

    ○権藤委員 いまおっしゃるように、地方公共団体がたとえば固定資産税の減免であるとかというようなことはできます。できますけれども、やはりこれもその地方、他の団体他の団体というようなことで互いに顔を見合わせましてなかなかやれないというのが現実なんです。ですから、いっそのことこういうものを地方公共団体に一任するとした場合は、これはそういう措置をするということが、住民の納得を得られればいいことでございますからやりやすい。枠の中にはまってやりにくいということなんですからね。だから、皆さん方がここで考えていらっしゃることと現場とはかなりの隔たりがあるということは、ひとつ認識してほしいと思うのですよ。  それから、この非課税措置というものについて、私もはなはだ不合理、矛盾というものを感じております。それは昨年も申し上げたのですけれども、農業協同組合が事業を行う場合の事業税の軽減、これは一般企業と同じような商行為をやっている、しかし事業税等においてはいわゆる減免をされておる。同じところで、隣同士でガソリンスタンドなんかやっておって課税税率が違うというようなこともあるわけです。それから、今日交通事情が、いわゆる航空機というものに変わってきております。これの固定資産税だってもう撤廃してもよろしいのじゃないかと思います。何も国で決める必要はない、もうすでに目的は果たしてあるというふうに私どもは認識しますよ。電気税にしてもそうです。それから信用金庫の固定資産税。信用金庫というものが設立された当時の、いわゆる減免措置をとらなければならなかったというようなそういう意義は失われてきているということについても、何も手当てをしていない。それから高速道路なんかも市町村はきわめて迷惑を受けている。また、それに対する関連公共投資もしなければならぬ。けれども、これは措置をされておらない。専売にしても電電にしても、国鉄にしましても、固定資産というものの納付金、こういうものも、時価に評価して、私は公共団体に還元するということが必要ではないかと思うのですけれども、こういうこともなされておらぬ。こういうことを考え合わせてみますときに、やはり自治体の裁量権を奪うような、地方税基本的問題にかかわるような、そういうことがぴしっと一本国で決められているというようなことで、地方財政の収入もものすごく減少してきておるわけでございますから、やはりある程度の裁量権というものは地方団体に持たしていいのではないかと思うわけですけれども、このことについてもう一回御答弁をいただきたいと思います。
  187. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税の運用につきまして、自主性、自律性が確保されるような仕組みをできるだけ確立していく、これは私どもはきわめて大事なことだと考えております。  ただ、税負担基本は、申し上げるまでもなく、何に課税をするかということと、それからどの程度の税負担を求めるかという税率の問題、この二つが基本であろうかと思いますが、この二点につきましては、やはりいまのわが国の国民負担の現状なり国民意識から申しますと、全部任意に地方団体にゆだねるということが納得されるかどうか、ここは非常に問題があろうかと思うわけであります。できるだけ幅を持たせながら、一定の基準と申しますか、ルールというものは法律で明確化していくという方がむしろ全体の合意として尊重されておるところではないのかなという感じを私どもとしては持っておるわけでございます。しかし、そうは申しましても、その範囲内でできるだけの自主性、自律性が確保されるような方向に制度を改善していく、この努力は続けてまいりたい、かように思っております。
  188. 権藤恒夫

    ○権藤委員 非課税措置というものが現状に合わないような、そういう中にあっても既得権化されていく、こういう不合理を是正するためには、やはり個々の現場でそれを認識する方が一番正しいんじゃないかと私は思うのです。だから、そういうことを含めて今後努力していただきたい、かように思います。  次に、標準税率の問題についてお伺いしたいわけでございますが、時間の関係で簡単に質問をしてまいりたいと思います。  今日の経済、社会情勢というものが、戦前、戦中、戦後、今日と大きく変化をしてきております。構造的にも変わってきておるわけでございます。そのような中で、いわゆる標準税率というもので一本でくくっていくということが果たして今日の実情に合っておるかどうか、はなはだ疑問を持つものであります。所得の高いところ、低いところ、これはたとえば賃金にしましても、同じ高校を出ても、その住む団体が違えば初任給も変わってくるというのも目に見えておるわけです。大都市に住む人と農村に住む人、あるいは暑いところ、寒いところに住む人と、いろいろあるわけですけれども、そのような中で税源が一本化されているということは矛盾であろうと思うのですが、税源につきましても地域の格差があってもいいのではないか、こういうふうに思います。これについて局長はどういうふうにお考えになっておりましょうか、お伺いしたいのです。
  189. 森岡敞

    森岡政府委員 税率なり税負担水準に地域的な格差があっていいではないかという御指摘は、私もその面においてはそうだと思います。地方税でありますし、また地方自治体の財源でありますから、同じ所得の人は全く同じ負担水準でなければならないということは、むしろおかしいと思います。ただしかし、その場合に、地域的に税負担の重いところはそれに見合った手厚い歳出がある、行政サービスが高いから税負担も高くてしかるべきだ、そういううらはらの関係でありませんと、やはり納税者としては、税金が重くて行政サービスが低いというふうなことでありますと、これはとうてい納得していただけないことだと思います。ですから、行政サービス内容税負担水準との兼ね合いがパラレルに動くということ、こういう形での地方税負担の格差というものは、地方自治のたてまえから言えば当然あってしかるべきものだと、かように考えます。
  190. 権藤恒夫

    ○権藤委員 たとえばシャウプの勧告した中でのオプション1、2、3、4、5というものですね、それから農家の人とそうでない人の、基礎控除は別といたしまして、扶養控除というものが撤廃されておるわけであります。そういう格差がございました。だから、どこを切っても金太郎が出てくる金太郎あめのようなものじゃなくて、財政規模も違いますし、行政水準も違うわけです。また、やっている行政内容も変わってくる。歳出の規模も違う、歳入の規模も違うわけであります。だから、ある程度のそういう格差は必要だろうと私は思うのです。  そこで、心配されておりました行政水準の問題ですけれども、当初大臣に地方自治の本旨なんという青臭いような話になりましたけれども、あえてそれをお伺いしておったのは、その地域の人が、私のところはこういう程度の行政水準でも結構でございます。というような中で見合う税負担をする、いや私のところはもっと水準の高いものを希望しますというふうに合意が得られれば、議会で審議をして、そうして歳出に見合うだけの税を課税していく、こういう仕組みがあってもいいのじゃないかと思うのです。それが、どこを切っても標準税率制度というようなものの中で枠にはめられる。もう地方団体の特色も出なければバラエティーもないということになっておるわけであります。そういう中で、とにかく国に行って金をとってこい、予算をとってこいというようなことで、みずからが財源を生み出す努力も喪失していく。あるいは、行政水準が低いと、隣はこれだけもらっているけれども、うちはやっていない、けしからぬじゃないかというようなことにもなりかねないわけであります。だから、格差があっていいじゃないか。それを住民が望むならばですよ。また、高い水準を求めようというときには、それだけの税負担をしなければならぬのは当然でありますから、そのように自分たちが、地域住民が要求するものが具体的に実現をする、させていこうとするときに、初めてその負担としての税というものに関心を持つことになるんじゃないか、関心を深めることになるんじゃないかと私は思うわけなんです。したがって、この標準税率制度というものは、何かのチャンスをつかんで改革をしていくべきであると私は思うのですけれども、再度これについてお伺いしたいわけです。
  191. 森岡敞

    森岡政府委員 いまお話の中にございました、住民税課税方式にオプション1、2、3というのが昭和二十五年以降約十年間ばかりございました。特に2、3につきましてはさらにただし書きという方式で、分けますと五つの課税方式があったわけでございますが、率直に申しまして、私は、地方税としては大変魅力的な税制であったというふうに考えております。ただ、現実の負担の帰趨を見ますと、比較的当時において行政水準の高い大都市がいわゆるオプション1を使いまして、税負担水準が低い、財源の貧弱で行政水準も必ずしも相対的に高くない、むしろ低い町村部におきましてオプション2なりオプション3が使われて、税負担水準が、同じ所得でありましても高い、こういう税負担配分になってしまったものですから、バランス論というものが意見としてかなり大勢を占めて、いまのような一本の標準税率方式に変わってきたわけでございます。基本的な制度のあり方といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ地方が自主的な選択の幅がとれるような税制をとることが望ましいと思っております。ただ標準税率制度につきましては、一方において各地域を通じて全体の行政水準が余り開きの出ないように、交付税による財源保障もやっておるわけでございます。それとの関連で、基準財政収入額を計算いたします場合に標準税率で計算をするという仕組みがとられておりますので、それとの関連を外して考えるわけにもまいりません。ですから、税制なり財政調整制度全体を通じまして将来何か抜本的な改革をします場合には、標準税率制度についてもあわせて検討する必要があろうと考えますが、現段階では、先ほど来申し上げておりますように、現行制度の中でできるだけ選択の幅を広げるような方向検討してまいりたいと思っております。
  192. 権藤恒夫

    ○権藤委員 かなりむずかしい問題であることは私も承知をしておるわけでございますけれども地方公共団体が自主的に運営をしていくことのできるような仕組みにするためには、このようないわゆる非課税措置でありますとか、標準税率制度というものがかなりの拘束をしていることは事実であるわけでありまして、そういう財政力の弱いところは当然交付税等で見ていかなければ、これはナショナルミニマムが確保されないわけでございますから、そういうことは当然のことでございます。しかし、住民税の所得割や固定資産税等の標準税率の廃止等をしていきながら、いわゆるみずからの力で地方公共団体を運営していく、そういうように今日の財政危機というものをとらえて進めていくことが、将来の地方自治、将来の地方公共団体を本当の姿にしていくことであろうと思うから、私は強く申し上げておるわけでございます。  それから、これから先この財政危機というものは絶えずつきまとってくるわけでございます。そのときに考えられることは新税の創設である、いわゆる増税によってこれを賄う以外にないという考え方だけではいけないのではないか。やはり地方公共団体の運営をどうしていくかというその新しい道を模索していかなければならぬ。また、これから先も行政水準を下げていくわけにいかない、行政サービスというのはどんどん高まっていくであろう、そういう中でいわゆる費用負担というものは当然応益課税でいかなければならないということも想定をされるわけでございます。そういう中で、交付税は幾ら、あるいは地方税はこうでございます。補助金はこうだというあてがいぶちの中で本当の地方自治が運営され、またこれが育っていくかということを考えましたときには、どだい無理な話ではなかろうかと私は思います。したがって、いわゆる上からの画一的な財政制度ではなくして、みずからの力、政策、努力で、自主性を持ちつつ公共団体が運営されていくようにしていかなければならぬのではないかという考えを私は持っているわけであります。が、交付税等についてそのような制度を取り入れたといたしましても、やはり財政力の弱い地方については交付税で見なければならぬでしょう。しかし、財源がある大都市だとか、そういうところはいわゆる課税の自主権という中からみずからの都市の運営、都市の経営をしていくということが望ましいわけでございます。財源のあるところとないところと同じような画一的な財政政策ではなくして、傾斜することも必要ではないかと私は思うわけでございます。これについて、政務次官どういうふうに思われますか。
  193. 染谷誠

    ○染谷政府委員 十分検討してまいりたい、こう思っております。
  194. 権藤恒夫

    ○権藤委員 時間が過ぎまして申しわけございません。  これは自治省に要望するわけでございますが、自治体運営につきましてはかなりいろんなことが論じられてまいりました。きわめてむずかしいこともあろうかと思うわけでございます。けれども自治省の能力といいますか、そういうものをフルに発揮して、今後のあるべき地方公共団体の行財政全般について、たとえば北海道の池田町あたりのワインというようなことでずいぶん有名になってまいりましたと同じように、何かこうしたらいいんじゃないか、こういうこともあるんじゃないかというようなアイデア白書というようなものをつくって、そして地方公共団体がよりましな、より自主的な運営をすることができるような計らいをすべきじゃないかと思うのです。アイデア白書というものを出していったらいいんじゃないか、私はこう思うわけでございます。そういうことについて御意見を承りたいと思います。
  195. 染谷誠

    ○染谷政府委員 情報の提供等をちょうだいしながらやってまいりたい、こう思っております。
  196. 権藤恒夫

    ○権藤委員 以上で終わります。
  197. 木村武千代

    ○木村委員長 山本悌二郎君。
  198. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 地方財政の質問をする前に消防庁長官にお尋ねを申し上げます。  お尋ねというよりも、これは今月の十日の未明に新潟市の繁華街、古町というところでありますけれども、二十五坪のスナックが焼けました。それから一日置いてまた放火があり、また二日置いてバーが焼けるということで、一週間に三つの火事が起きているのであります。この火事についてどうこう言うのではありませんけれども、私がこれからお尋ねして、あるいはまた消防について長官からいろいろ将来の施策あるいは考え方をお伺いしなければならないのは、二十五坪の中で十一人焼け死んでおる、恐らく前代未聞だと思うのです。こういう歓楽街、住宅の密集地の火事の問題についてどうお考えになっているか、まずお伺いしたい。
  199. 林忠雄

    ○林政府委員 消防をお預かりしております者として大変心を痛めている問題でございます。消防法、建築基準法その他によりまして、大ぜい人が集まるところとか、いざ災害があったときに、出火でもありましたときに大変大ぜいのけが人が出る、死人が出るという危険性の高いところから法的規制もだんだん強めてまいっておりますのですが、どうもこの数年小さいところで一度に数人あるいは十人を超える死者が出るという火災が大変多いわけでございまして、これはただその規模の大きいところだけを規制していって事足れりとするのでは不十分ではないか。さりとて今度は余り小さいものに対する規制を強めますと、これは全体的に大変な経済的な負担を強いることにもなりますし、現在はいろいろな産業その他も相当苦しい時点に立っておるということで、そのバランスという問題を非常に気を配っておるわけでございますが、特にこの新潟の火事を初め、この数年来では沼津のらくらく酒場あるいは東京の歌麿といったような似たような業態のところで同じような惨事が出ておりますので、法的規制の問題、行政指導の問題、さらにもう少し研究を深めまして、こういったところでこういった悲劇を起こさないように、一体法的にどこを規制を強化したらいいのか、行政指導をどういうところを中心にしたらいいのかということを寄り寄りやってはまいっておりますが、さらに一層強める大きな契機であると存じておる次第でございます。
  200. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 この火事は御存じのように狭い密室であります。しかも入り口が一つしがなかったわけでありますね。そのために煙が舞い込んでまいりまして、入り口まで出ないうちに新建材あるいは煙のために窒息死してしまったという事件です。私どももよく飲みに参りますけれども、東京の銀座でもそうです。新宿でもそうです。あるいは池袋でもそうですけれども、この種のクラブ、バーあるいはスナックというものは非常に多いのであります。それを放置しておくというのはどういうことでございますか。まずそこからお伺いしたい。
  201. 林忠雄

    ○林政府委員 確かに、御指摘のとおり非常に数が多いわけでございます。しかも法的規制は、先ほども申しましたように、規模の大きなもの、大ぜい集まるものから逐次かけてまいっておりますので、これらのほとんどが法的規制のかからないものが多い。ところが、現実にはまたこういう悲劇があるのは、この程度の規模のこういったものが多いわけでございますので、先ほど申しましたように、法的規制を見直すと同時に、行政指導もやっていかなければいけないということでございますが、その行政指導も、確かにいま御指摘のように、数が多いがためになかなか手が回らないという現実の姿がございます。したがって、やはり重点をしぼってやっていく。法的規制の整備もさることながら、行政指導も重点をしぼってやっていく。こういった業態のところをさらに、いままで年に一回やっておりますものは年に二回とか、たとえほかの方は多少手が抜けても、こういうことを主体に強くやっていくということが当面必要ではないかと思っておりますし、さらに、あるいはこれから御質問いただくかもしれませんけれども、たとえば非常警報設備とかあるいは避難設備等の義務づけが仮になくても、せめて燃えましたときに窒息するような煙を出さないよう、何かカーペットとかカーテンとか、そういったものの不燃化を義務づけるとかいうような点でもさらに突っ込んで研究をしてまいる必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
  202. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 先に御答弁をいただきましたからもうそこのところは省きますけれども、消火器の設置というようなことは義務づけてないのでございますか。それから出口が一つというようなことも、先ほど申し上げましたように、非常に危険であります。かなり最近はこのスナック、バー、キャバレーというようなたぐいのものが高層ビルの中にある。あるいは、高層でないけれども、木造でも三階、四階というようなのがざらにあるわけですけれども、それを見ますると、ほとんど周りをふさいでしまって逃げ場がない。いわゆる避難ばしごあるいは非常口というようなものがないんですね。このことはどんなふうに御指導をしておるのですか。
  203. 林忠雄

    ○林政府委員 実は消火器の設置は、このケースでは義務づけてあったわけでございます。そして現実に消火器は置いてあったようでございますけれども、これは使っていなかったというのが結論でございます。通常消火器は百五十平米以上のものに設置を義務づけておりますのですが、無窓階といって、いまの窓を全部ふさいでしまいまして窓のない階の場合は、五十平米以上に設置を義務づけておるわけでございまして、これにはまさに該当しておったのでございますけれども、使っていなかった。ふだんの訓練が悪かったと申しますか、あるいはそのときにとっさの管理者の判断が悪かったと申しますか、こういった法違反の状態があった。消火器に関しては法違反の状態ではなかったのですが、使われなかったということもあります。  そこで一般論といたしまして、確かにいまの御指摘のように、こういうバー、スナックという形態の場合、そもそも、もともとは窓があるのにかかわらずそれをベニヤ板でふさいでしまう。その雰囲気の問題、商売上の問題でもありましょうけれども、こういうことが非常に危険に近づいているわけでございます。その点さらに法的な規制の問題、指導の問題、御指摘のようなことを踏まえて突っ込んでまいりたい。近々通達も出して、こういったものに対する査察その他も強めてまいりたいと思っております。
  204. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 緊急ベルとか、私がいま申し上げました避難ばしごというようなもの、それから出口の話を何遍もしますけれども、出口を一ヵ所だけではなくて、二ヵ所あるいは三ヵ所必ず非常口というものをつける、そういう法律はないのですか、またそういう指導もしてないのですか。
  205. 林忠雄

    ○林政府委員 非常警報設備につきましては、現在は通常の場合では定員が五十人、定員と申しますか、人数が五十人以上出入りするところではつけなければならないということになっておりますし、それからさっき申しました無窓階、窓のないところでは二十人以上のところはつけなければいけないということになっておりますので、こういう点では明らかに法違反の現状がございました。それから避難器具の場合は、二階以上の階は五十人以上、三階以上の階は、階段が一つのものは十人以上人を入れるところへは避難器具もつけなければいけない、こういう点もございまして、現実に御指摘になりましたいまの新潟の火災の件では、そういった点幾つかの消防法違反の問題がございました。  違反であったのをほったらかしておいたのはけしからぬというおしかりは当然消防当局にあると思いますが、これは非常に数が多くて査察がなかなか行き届かないという面もありまして、起こってしまってからでは後悔のほぞをかむでやむを得ませんですけれども、そういう点手抜かりがあったと存じます。それにつきましてはさらに法的規制と行政指導を強化しなければならない。特にこの二、三年、こういった数人、十数人という火事がほとんど法的規制の緩い辺の業態で起こっておるということを、もう一遍ここでかみしめなければならないと存じております。
  206. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大分直していただかないと、生命の危険にさらされる場合が非常に多くなってくる。かく言う消防庁長官でも飲みに行かないとは限らない。そこで煙に巻き込まれて死なないという保証はないのでありますね。数多くのバー、スナック、キャバレー、このたぐいのものをもう一遍見直さないと、本当に人命の危機はひしひしと迫ってくる。特に先ほど申し上げましたように、いまの構造物そのもの、カーテンでもそうであります。あるいはじゅうたんでもそうであります。あるいはこういう器具もそうでありますけれども、非常に可燃性で、しかもそれが燃えますとかなり煙が出る。この煙に皆やられてしまうわけですから、このところはひとつ十分に御配慮をしていただきたい。できることなら、法制化してもかなり厳しい規制をいたしませんと大変なことになるのじゃないかと思っております。  そこで、一つは先ほど長官の話がありましたように、ベルの設置、それからもう一つは、長官、こういう繁華街、歓楽街は夜っぴてやっている、朝方までやっているのでありますけれども、火の用心というか、何かそういう見回りをするというような方法がとれないものだろうか。大変なことだと思いますけれども、そんなようなことをお考えになったことはございませんか。それからもう一つ、緊急避難の指導というものが私は非常に薄いと思うんですよ。やってもなかなか従わないのかどうかわかりませんけれども、緊急避難の指導というものも徹底しないといけないのじゃないかと思います。その点ひとつ。
  207. 林忠雄

    ○林政府委員 対象の数が先ほども指摘のとおり非常に多い、それから対象の経営者が年がら年じゅうかわり従業員もかわるということで、一生懸命緊急避難訓練をやっていましても、半年もたってみるとみんな新しい人が入ってきてしまう。それから、火の用心的な見回りということを考えてみましても、実際それを実施するとすれば、相当な人手、経費が必要でございますが、こういった火事というのはまたそういうものがすっかり帰ってしまった夜中にぽこんと起こったりする。いろいろな点もございまして、言ってみれば決め手が非常につかみにくいわけでございます。  とにかく、一番大事なことは、いざというときの管理が適切であること、つまり責任者がそういったことになれているということでございまして、そういった避難誘導訓練等はどうしても徹底的にやっていかなければいけない。経営者がかわればかわったでまたすぐできるような、たとえ人手、手間がかかろうと経費がかかろうと、その点は強化していかなければいけない。  もう一つは、いまも御指摘ございましたが、吸うと失神をするような、単なる煙でなくて毒煙を出す敷物類あるいは新建材、これは防煙処理をするということにはそう大きな経費がかかるわけのものじゃないのでございまして、これもさらに研究させたいと思いますが、新しく張るのならば、普通のカーペットと防煙処理したカーペットの値段は二割ぐらいしか違わないようでございますから、たとえ法的な規制がかかっていなくても、こういう客を扱い、しかもお酒を出すというような商売のところは、新しくつくる場合は防煙処理を義務づける、あるいは古いものでも、スプレーか何かで後から加工できるものならばそれも義務的にやらせる、そういった法的な規制の強化を含めてさらに指導体制をもう少し検討してまいりたいと存じております。
  208. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それで十分尽きることだと思いますから、これ以上は申し上げません。染谷政務次官さん、大臣お見えになりませんから、ひとつ大臣にもよく言っておいていただきたいと思います。ということは、普通の状態でいるのじゃないのですよ。気違い水を飲んでいる。酒を飲んでいるわけですから、ぱっと燃えたときに初動の動作ができないのですよ。いわゆるうろうろするだけになってしまう。ここがたとえばこの十一人の命を失った大きな原因になっているのだ。このことは本当に重要なことなんですよ。皆さんやはりお酒をお飲みになる方が多いわけですから、人ごとのように、きょうは新潟だからよかったということでなく、あす東京にないとだれも保証できないし、また飲みに行くそういう個所が非常に不安定です。私もときどき見まして、これでは逃げるのにどこへ逃げたらいいのだろう、エレベーターといったって、たとえば四階、五階、六階あたりで飲んでいますと、エレベーターだけではだめでしょう。そうすると、これは逃げ場を失いますよ。結局上から飛びおりるか、方法がないところがたくさんありますね。どうかひとつ十分な御配慮をお願いします。消防に関してはこのぐらいにしておきます。  続きまして、先ほどから多くの方がいろいろ質問をいたしておりまして、地方税について皆よかれ、こうなった方がいいじゃないかということでいろいろな角度から御質問をしておるわけですが、私もまず住民税基本のところから論戦を展開してみたいと思うのです。時間が大してございませんから幾つか非常にはしょってお尋ねをします。  所得税でさえ最低生活費に食い込んでいるといういわゆる課税最低限が、住民税ではさらに低くなっているのは、所得控除額が低いことに原因しているのではないか、これはいかがでございましょう。
  209. 森岡敞

    森岡政府委員 課税最低限の決め方につきましては、税の性格によって決まるものと考えております。所得税は所得再分配ということを基本的な性格とする税でございますから、かなり高いところに課税最低限を決めまして、高額所得者には高い累進税率課税をして所得再分配機能を的確に発揮する。住民税の方はそうではございませんで、地域社会の費用をできるだけ広くの住民に能力に応じて負担していただくという税でございますから、課税最低限は当然低くてしかるべきだ。たとえばアメリカの連邦所得税とニューヨーク州の所得税を比較しましても、これは格差があるわけでございますから、課税最低限に所得税住民税に差があるのは、税の性格上、その形の方がむしろ合理性があるのではないかと私は考えておる次第であります。
  210. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 ごもっとも。そこで、税率の累進度が所得税より緩やかであるのですね。たとえば所得税が一〇%から七五%なのに、個人住民税の方は二%から一四%になっている。このために低所得者が割り損になるということはどうお考えになりますか。
  211. 森岡敞

    森岡政府委員 個人の所得に対する課税負担率で見ます場合には、やはり所得税住民税と合算して総合負担で見るべきだと思います。そういうふうに合算して見ますと、諸外国所得課税負担に比べまして、どちらかと申しますと中堅以下の所得者層は租税負担率は低くて高額所得者ほど高いという結果が出ております。これは日本の所得税の累進度が高いからそうなっておるわけでございます。  このことは、住民税としてもう少し累進度を高めていいじゃないかという御議論が出てくるわけでございますけれども、先ほど来申しました住民税性格から申しますと、むしろ累進度を高めるよりはいまのような軽度の累進税率によりまして広く負担をしていただくという方が望ましいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  212. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それもごもっともですね。そこで、低所得者に対して、減税効果が同じ方法だというならば、課税最低限を引き上げて減税対象にするという減税の方法を考えてみることはございませんか。
  213. 森岡敞

    森岡政府委員 所得が上がっていきますと同時に物価も上がり、いわば名目所得の増があるわけでございますから、一定の時期ごとに課税最低限を見直すということは必要だと思います。それに伴いまして減税を行うということは必要だと思います。昭和四十年の初めからほとんど毎年いわゆる物価調整減税を行ってまいりましたが、その物価調整減税というのは、物価の上昇率をかなり上回った減税を行ってきたわけであります。その結果、所得税課税最低限は世界一高い、住民税課税最低限も先進諸外国に比べましてかなり高いところまでいっておる、こういう結果になっておるわけでございます。  将来の課税最低限のあり方あるいは減税問題を考えます場合に、中長期的に見ますれば、いま申しましたように所得水準なり物価の状況を見ながら課税最低限の検討を進めていく必要があると思いますけれども、しかし、明年度はいまのような財政状況あるいは経済状況でございますので、見送らしていただいた、かような次第でございます。
  214. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 もう一つ伺いしましょう。課税最低限の水準をどうお考えになっていますか、基本的なことです。
  215. 森岡敞

    森岡政府委員 所得税の標準世帯で約二百一万円という課税最低限は、国税当局もまた税制調査会答申においても述べられておりますように、かなりゆとりのある水準になっておると思います。  住民税の標準世帯で百四十一万円何がしという水準は、所得税に比べますと約七割程度でございますけれども、これまたいわゆる最低生活費という面から見ますと、最低生活費に食い込んでおるとは私は考えておりません。しかし、所得税に比べれば七割という水準でありますから、一般の見方としてはかなり低いという見方ももちろんあるわけでございましょう。そこで、先ほど申しましたように、今後の所得水準なり物価の状況を見ながら、ある時期には見直しをしていくということは常に考えてまいらなければならぬ、かように思っている次第でございます。
  216. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そこで、納税義務者の数が、たとえば自治省税務局から出ました「地方税に関する参考計数資料」というのがございますけれども、その三十四ページから三十五ページを見ていただきますとわかりますが、均等割と所得割の差が逆転をしておるのですね。昭和三十九年の均等割が二千九百万人、それから所得割の方が二千万人ですよ。ところが、五十二年になりますと均等割が三千四百万人で所得割が三千五百万人に逆転している、これはどういうことを意味するのですか。
  217. 森岡敞

    森岡政府委員 均等割の納税義務者数につきましては、実は昭和五十一年度個人均等割税率を御承知のように引き上げました際に、一定の低所得者層につきましては均等割を課さないという制度をつくったわけであります。これは、市町村の条例で一定金額を決めまして、それ以下の所得者は課しません。一方、所得割を納める方で均等割を納めない方があるわけです。これは同居の妻でございます。所得がありましても、同居の妻は均等割は納めません。これは、世帯単位という仕組みをとっておるからそういうたてまえになっております。その両者を見てみますと、均等割だけを納める方が昭和五十年には六百六十三万人ございました。それが五十一年には、いまの非課税制度を新たに設けました結果、三百八十一万人に約二百八十万人ばかり減ったわけであります。  一方、所得割だけを納めるいまの同居の妻でございますが、五十年には四百四万人、五十一年には四百四十三万人、五十二年には四百九十九万人というふうにこれはふえてきております。その結果、均等割だけを納める人の数が減り、所得割を納めて均等割を納めない同居の妻の数がふえてきたものですから、これは共かせぎその他の方でございますが、それらを足しました結果の均等割の納税義務者数と所得割の義務者数が逆転いたしまして、所得割の納税義務者数の方が多くなった、こういう結果になっておる次第でございます。
  218. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そこがちょっとおかしいんですね、住民税負担分任の考え方を入れますと。均等割が所得割より少ないという。私は、やはり負担分任論からしますと、均等割の部分が十分な条件を満たすべきではないだろうか、そんなふうに思うのですけれども、ここのところはどういうふうに負担分任論と考え合わせてお考えになっておるのか。
  219. 森岡敞

    森岡政府委員 端的に申しますと、同の妻に均等割を課すか課さないか、そこの問題だと思います。およそ所得のある人は住民税を納めて所得割を納めていただくわけでございますけれども、同居の妻は世帯単位課税という戦前からの住民税の頭があるものですから、住民税を創設いたしました二十五年以来、均等割の納税義務者から外しております。そこのところが結局分かれ道になるわけでございまして、もしこれを均等割の納税義務者にするということになりますれば、均等割の納税義務者数は約五百万人ふえて三千九百万人くらいになりますから、均等割の納税義務者数の方が多いという、もとの形に返っていくわけでございます。  それともう一つ均等割を低所得者の人に課税はいたしておりますが、これはやはり今後も続けていくべきだと思います。この面の均等割の納税義務者数の減りました分は、これは当委員会の御審議もいただいて決めたことでございます。これは将来とも継続していくべきだ、かように考えております。
  220. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 いま参議院で予算審議をやっておりますけれども、衆議院で予算審議が行われているときに、いわゆる地方税の減税が話題になったのでありますね。いわゆる十万円の減税をしたらどうかというふうな話が出たのですけれども、これについて局長はどんなお考えをお持ちですか。
  221. 森岡敞

    森岡政府委員 国会におきます所得税住民税の御議論は二つあるのだと思いますが、一つは景気対策、個人消費支出を拡大するための景気対策としての減税論であろうかと思いますが、この点について言いますと、先ほど御質問にお答えいたしましたように、たとえば課税最低限を物価上昇率だけ上げましても、七百億くらいの減税でございます。しかし、地方財政としては総額としては大変な減収になるわけでございますが、個々の納税者の可処分所得という観点から考えますと、これは非常に小さな金額でございますので、個人消費支出を拡大するという大きな政策目標に適合するとは私は考えておりません。  それからもう一つは、所得税の場合に戻し税という形で一遍にぱっと返してしまう、こういう措置をおとりになるようなことが去年行われました。あの方式は住民税では事務的にとてもできませんので、結局特別徴収義務者やあるいは申告の際に大変御苦労を煩わして事務を処理しなければいけない。しかもそれは毎月毎月の話になってしまいますから、とうてい景気対策的な効果というものはこれは期待できないと思います。  それから第二に、物価調整減税という問題でございますが、これにつきましては、課税最低限もかなり水準に達しておりますし、現在の財政状況から申しますと、来年度はひとつごしんぼうを願いたい、こういう気持ちで御提案申し上げておる次第でございます。
  222. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 減税論争はその辺にいたしますが、しかしいずれにしましても、地方税がわりあいと不合理な面があるのではないかと私は幾つかの点を指摘しているのです。そのうちの一つは、不労所得ですね。いわゆる利子配当分離課税ですが、不労所得が優遇されているのではないか。これは局長どうお考えになっておりますか。このごろ利子配当分離課税あるいは確定の申告不要分に完全に非課税になっているが、どうもこの辺が納得できない面があるのですが、いかがでしょう。
  223. 森岡敞

    森岡政府委員 利子配当に対する税制が、総合的な所得課税という所得税なり住民税のたてまえからしでいわゆる不公平な形になっておるということは、これは私はそのとおりだと思います。  問題は、なぜそうなっておるかということであろうと思いますが、貯蓄奨励とかいろいろな政策目標だという議論もありますけれども、それとあわせていまの預金の仕組みから申しまして、個人個人が郵貯から銀行からその他あらゆる金融機関に預金しております預金量を完全に捕捉して、一人に総合して所得を把握をするということが、これがなかなか技術的にむずかしい。実際社会がそうなっていないというところに一つ問題があるわけであろうと思います。そこでまた、税制調査会ではその仕組みをできるだけきちんととれるようにすべきだ、その上で総合課税にすべきだ、こういう指摘がされておりまして、大蔵省も一生懸命いまやり始めておるわけでございます。  住民税について言いますと、やはり所得税でそういう総合課税の仕組みが確立いたしませんで住民税だけでやろうといたしましても、これは現実には困難であります。いわば不可能に近いわけであります。ですから、私ども大蔵省に常にこの総合課税への移行をできるだけ早くやってもらいたいということを要請し、研究をお互いにしておる次第でございます。
  224. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 私は、それもそうだと思うのですけれども、そうではないのではないですか。いわばいま局長が指摘されたように、徴税技術上のむずかしさですね、ここにあるのじゃないだろうか。自治体に所得の調査能力がない。そしてまた、自治体によっては税率が違う。住民の移動があり、いまおっしゃったとおりですね。だから、結局大蔵省に全部おぶさっているというケースですね。大蔵省の言うなりだ、ここのところは。悪く言えば大蔵省の思うままになっているのではないか、この辺は大蔵省さんどうお考えですかね。
  225. 森岡敞

    森岡政府委員 大蔵省がお答えになる前に、私から私ども考えを申し上げたいと思いますが、実は所得に対する課税所得税住民税双方課税をするわけですから、別々に所得の決定なり捕捉をおのおのがやりますと、これは納税者としては率直に言ってたまったものではないわけでありますから、やはり所得を税務署で捕捉をし査定をなさる、それが間違いがなければやはり住民税もその所得をそのまま使うという方が納税者の便宜なり何なりから申しますとこれは望ましいのだろうと思います。しかし地方税法では、もしそれが非常に不合理な場合には自主的に地方団体がやれますという規定は住民税については設けております。現在のところ非常に活発に動いておるかというとそれほどでもございませんけれども基本的なたてまえとしてはそういう自主的な決定方法を駆使すれば捕捉の合理化というのはできると思いますが、しかし利子配当につきましては、これは根元の支払い調書でありますとか、そういうものがきちんと税務署に総合して出ませんと、いかに地方団体市町村が歯ぎしりかみましても、幾ら人手を費やしましてもできませんので、そういう意味合いで、利子配当につきましては第一義的に税務署の捕捉体制をきちんとしていただくことがぜひ必要であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  226. 亀井敬之

    ○亀井説明員 ただいま森岡税務局長がお答えになられましたとおりだと存じております。税務署の方でそういった問題がございますし、また住民税性格、先ほどお話がありましたが、そういうことからいたしまして、基本的には利子配当所得に対しまして総合課税に移行していく、そういった方向で問題を解決していかざるを得ない、そのために私どもも鋭意努力を続けている、こういう状況でございます。
  227. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 大蔵省さんの御答弁ならそんなところでしょう。それ以上どうにも言えないだろうと思いますけれども、国の所得の査定を自治体が再査定することができるのだし、技術的に無理だ、あるいはだめだ、徴税能力がないとあきらめないで、局長さんどうですか、改善、改良していく気持ちはおありでしょうか、ございませんか。
  228. 森岡敞

    森岡政府委員 一般的な所得の決定につきましては、先ほど申しましたように、地方税法自身でその決定が余りに不合理な場合には、地方団体が自主的に決定できるという規定がございますから、それについての自主的な的確な捕捉という課題については積極的に進めていきたいと思います。利子配当につきましては、決定なり把握をいたしますもとになる支払い調書自身が、たとえば源泉分離選択課税の場合には出ないわけでございますので、やりようがないというのが現実でございます。したがって、そこのところを預金の仕組みから始まりまして所得税の徴収まで全部支払い調書がきちんと出て、個々人の預金がぴしっとわかるという仕組みが確立されることが第一前提でございます。その方向でこの問題を処理してまいりたい、その努力をしてまいりたいということでございます。
  229. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 もう一点お伺いしますが、利子配当所得について総合課税にすることが望ましいと思いますけれども、これはいかがですか。
  230. 森岡敞

    森岡政府委員 基本的にそのとおりだと思います。
  231. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 質問をもう一つずらしてお尋ねを申し上げますが、今度の改正の中に、特別土地保有税の免税対象があります。今回の一連の土地税制の緩和に関して、特別土地保有税の免税の対象の拡大が図られている。そもそもこの税目というのは、土地が投機的動機で未利用のまま保有されているのを解消するというもので、理論上最もすぐれた税であるとされてきましたが、そこで未利用地の活用の促進、買い上げ価格上昇の抑制の二つの目的を持っていたのです。今度の免税の対象の拡大はこのうちの最初の方のものを満たしているというのですが、しかし、この税は当初一律に課税する税ということで税率を余り高くしなかったので、今回のような包括的な免税対象の拡大を図ることは、従前の一律課税ゆえに低税率という考え方が崩されるのではないか、低い税率という考え方が崩されるのではないかというふうに思うのですけれども、その点はどうお考えですか。
  232. 森岡敞

    森岡政府委員 いまお話しのように一特別土地保有税の機能を考えますと、これは政策税制でございますが、要は一つは投機的な土地の取得を抑制する、同時に投機的に買った土地を有効利用にできるだけ吐き出してもらう、こういう機能を考えてつくった税でございます。そういう意味合いでは、未利用地に限定して課税するというのが税としては本来の合理的な立て方であったと思うのでございますが、しかし利用地、未利用地を制度的に区分することはできないということでございますので、あの当時、大変土地の需給が狂乱化した時期でございますから、利用、未利用の区分を問わないで課税するという仕組みをとったわけでございます。しかし、このように世の中も落ちついてまいりました。また、むしろ宅地の供給が少し狭まってきておる。こういうふうな時期でもありますので、土地税制の合理化ということがやはり必要ではないか。そういう観点から私どもは緩和という考え方は持っておりません。土地税制を合理化するためにどのようにするかということを考えて今回の免除措置導入することにしたわけでございます。これで特別土地保有税を設けました基本的な趣旨が崩れるというふうにはならないと考えております。
  233. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 私はそうは考えないのですね。たとえば地方税法改正の六百三条の二の第一項で土地を免税対象にする場合に、特別土地保有税審議会の議を経て市町村長が認定したもの云々。そうなると市町村長の裁量の余地が大きくなる。さらに、そういう意味では税負担の不均衡も納税者が十分納得できないような状態にもなる。この二つの問題がここにかかっておるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  234. 森岡敞

    森岡政府委員 現に有効な利用がされております土地を課税対象から外します場合に、一つ地方税法上非課税とするという行き方と、それから今度御提案しておりますように、実態が一番よくわかっております市町村長が審議会のような客観的な判断を下す機関の議を経まして免除措置を講ずる方式と、二つあると思います。第一の非課税規定にほうり込むことになりますと、これはきわめて明確でありますが、今度はそういう未利用地、利用地の区分を法律上特定するということは技術的に非常にむずかしいわけであります。よく言われることでありますが、仮設物を建てた場合にどうするのだとか、あるいは利用状況から言って本当に完全利用か半分利用かというような問題もございますし、その辺のところをいろいろ考えますと、技術的に非課税規定で画一的に処理することはできないわけであります。そこで今回御提案いたしておりますのは、実態を土地利用計画に照らして一番よく認定できる市町村長の認定にゆだねる。同時に、その場合に市町村長限りの裁量ではありませんで、審議会という客観的な第三者機関の認定を経る。私どもといたしましては、同時にそれに加えまして個々の市町村ごとにばらばらにならぬように、かなり詳細なルールを決めまして、適切な指導を行ってまいりたい、かように思っておるわけであります。
  235. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 そうなりますと、すでに取得している大法人のレジャー用の土地なんかがかなり軽減される結果になりはしませんか。  もう一つは、たとえばいま局長から話がありましたように、市町村長の裁量に任せる、そうしてまた特別土地保有税審議会なるものをつくるということになりまして、私は図面をつくってみたのですけれども、たとえばA町村、B町村、それからC市というふうに三つの市町村にまたがるような場合にどういう判断の仕方をするのか、またどういう指導の仕方をするのかがどうもあいまいだと思うのですが、その点いかがですか。
  236. 森岡敞

    森岡政府委員 現実の利用形態がどういう実態的な利用であるかということによって土地利用計画に照らして判定するわけでございますから、たとえば遊園地のようなものできちんと庶民の利用に供されておるようなものがありといたしますれば、それは保有税の免除対象にしてしかるべきものだと私は思うわけでございます。  数市町村にまたがる場合の問題は、関係市町村かなり綿密な協議をしてもらわなければならぬと思いますし、同時にその場合に、県も十分関係市町村の間に入って、整合性のとれた免除制度の運用がなされるように指導していくように、私どもから強く慫慂してまいりたい。かつ、土地利用計画というのは個々の市町村ごとにもございますが、県全体の土地利用計画もあるわけでございますから、県のこの制度の運用についての市町村に対する指導というものをかなり重く見ておる、こういうつもりでございます。
  237. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 こういう審議会を置くならば、市町村に置かないでむしろ県に置いたらどうかと思うのです。県がそういうものの査定をする、あるいは指導をするというふうにした方がベターだと思うのですが、いかがでございますか。
  238. 森岡敞

    森岡政府委員 一つのお考えではあろうかと思いますが、市町村税でございますので、やはり市町村審議会を設けませんと、他の団体審議会で認定したのに従うということについては、自治のたてまえから言いまして問題があろうかというふうに思います。
  239. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 それもよく承知しておるのですけれども、私がいま申し上げましたA町村、B村、C市という例は具体的にあるのです。あるからそれを私は申し上げているのですが、A町村とB村とはうまくいかない。それにC市のところにまたがっているものですから、なおさらうまくいっていないということで、審議会などをつくってやりますと、結局市町村長の意のままの者が集まってきて相談をするという結果になって、隣の町や隣の村は関係がなくなってしまうというふうな心配をしているのですが、これはどうでしょう。
  240. 森岡敞

    森岡政府委員 自治省といたしましてそういう不整合な形にならないように適切な指導をやりたいと思いますし、また御指摘内容も踏まえまして、都道府県にもそういう点についてきちんとした、整合性のとれた運用がされるように管下の市町村を指導してもらうように、あらゆる努力を傾注いたしたい、かように思います。
  241. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 結局、包括的な免税対象の拡大ではなくて、もっと限定すべきだというふうに私は思っているのです。それからまた、法文上改める方法として、政令でできるだけ狭く運用するようにした方がいいのじゃないか。この点はいかがでございますか。
  242. 森岡敞

    森岡政府委員 制度の立て方をどうするかということは、先ほど申しましたように、御提案申し上げております免除制度が、いま政府考えております方向に最も適しておるものだというふうに私ども考えております。  なお、政令におきましては、できるだけ詳細に基準を決めまして、バランスのとれた運用がなされるようにせっかく努力してまいりたい、かように思います。
  243. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 この方法は、改正しなくたって、このままで十分できるでしょう。できませんか。私はできると思うのですよ。これを改正しなくたって、いままでの法文上のやり方でできると思いますけれども、大臣いかがでございますか。後でおいでになられたからおわかりにならないと思うのですが、特別土地保有税の免税のところの御質問を申し上げておるのです。法改正をしなくても十分運用でできるというわれわれの判断ですが、いかがでございましょう、最後にお尋ねを申し上げます。
  244. 加藤武徳

    加藤国務大臣 市町村の条例等を活用いたしますならば、今回の改正でねらいといたしておりますものをある程度充足し得るとは思うのでございますけれども、しかし、それでは不十分であり、かつまた、各市町村間に非常なへんぱが生ずるおそれもある、かように判断いたしまして、今回の改正をいたす、かような決断をいたしたのでございます。ですから、御質問の点、全くできないということではないのでございますけれども全国的に一律に均てんいたしました措置をとります上では、今回の改正がベターである、かように判断いたしておるところであります。
  245. 山本悌二郎

    山本(悌)委員 十分納得はいたしませんけれども、私どもは現在のままで十分できるという判断をいたしておりますし、拡大することには反対をしたい、こういうふうに思っております。  私の質問はこれで終わります。
  246. 木村武千代

    ○木村委員長 三谷秀治君。
  247. 三谷秀治

    ○三谷委員 ことしの地方税法改正は、法人住民税均等割税率段階区分を新しく設けて最高税率引き上げたこと、これが一つ、もう一つは、都市計画税の制限税率を五〇%引き上げたこと、この二点が主要な改正点になっておるようであります。地方財政の慢性的な不足の中で地方税源の拡充について根本的な改善方策が必要ではないかと思いますが、この点について御所見をお聞きしたいと思うのです。     〔委員長退席、中山(利)委員長代理着席〕
  248. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方財政の多額に上る財源不足の中におきまして、今回の税法改正はいわば大きく見るべきものがないという御趣旨であろうかと思うのでございますが、御指摘のように、法人住民税に対する課税段階を設けましたことと、都市計画税の〇・二を〇・三にいたしましたこと、こんなところが端的に申しまして主な改正点でございます。  そこで、できますことならば、財源不足を補いますために税制改正をさらに行いたいという考え方がないでもなかったのでございますけれども、昨今の経済情勢のもとにおきまして大幅な増税にはためらう意見が税調等になかったわけでもないのでございます。しかし、やがて近い機会に大幅な改正が必要であることは申すまでもないことでございますから、税制調査会等の答申を待ちながら今後に期してまいりたい、かように考えておるところであります。
  249. 三谷秀治

    ○三谷委員 基準財政需要と基準財政収入の乖離が極端になりまして、大阪府までが交付団体に落ち込むという状況の中では、もはや地方交付税によります地方団体間の財源調整は無意味になってまいりまして、実際上の効能が失われてまいりました。あとは国の地方に対する財源保障の問題、これが地方財政上の中心課題になってくるわけでありますが、その点からしますと、当然税源の移譲その他の措置が必要である、地方財源の拡充が必要であると思われますけれども、これにつきましては、なお自治省としては確たる方針をお持ちになっていないわけでしょうか。     〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
  250. 森岡敞

    森岡政府委員 ただいま御指摘のように、長期にわたる経済の停滞によりまして法人関係税を中心にして相当な落ち込みになっておりますことから、地方財源全体として逼迫しておりますが、そのことはまた国家財政についても言えると思います。そこで、今後、一般的な租税負担増加国民にお願いして、公経済財政収入をふやしていくという方向に行かざるを得ないと思うのでございます。その場合に、私どもといたしましてはあとう限りの地方財源の増強を考えていきたい、ことに基礎的自治団体であります市町村の財源拡充を図っていきたいということを税制調査会の御審議の際にもお話をし、お願いをし、十月のいわゆる中期答申においてもその点が明確にされておる次第でございます。具体の税目として何に租税負担増加を求めるのか、あるいは新税としてどのようなことを考えていくのか、それはこれからの問題でございますが、その機会地方財源の増強をあとう限り推進してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  251. 三谷秀治

    ○三谷委員 税源の不足は三年間、本年で四年になりますが、継続して深刻な状態になっておりますから、それがこれからの問題というふうな意識では非常にポイントがおくれてしまうわけです。  それで、午前中の議論を聞いておりますと、一般消費税導入について自治省も賛意を表していらっしゃるようでありますが、そういうお考えなんでしょうか。
  252. 森岡敞

    森岡政府委員 いわゆる中期税制答申をごらんいただきますと、今後租税負担増加を求める場合の方策といたしましては、所得に対する課税租税負担を高めていくという方式、これは理論的には一番正しいのではないか、これは主として学者の方の意見でございます。累進税率でもって負担を求めていく税でありますから、負担能力に応じた租税負担の求め方としては所得税住民税が一番望ましい、しかもそれは諸外国に比べてかなり負担率が低いわけでありますから、増税ということを考えます場合に、所得税住民税ではないかという議論かなり強かったのは事実でございます。しかし、負担感の問題とかあるいは所得の捕捉の問題でありますとか、いろんな問題が所得課税にはつきまとっておりますから、やはりそればかり言っておってもむずかしいのであって、間接税の増強ということを考えなければならないのではないか、間接税の増強ということになれば、一般消費税というものを考えざるを得ないのではないかというのが税調答申でございます。  一般消費税についての国民的なコンセンサスが得られますかどうかはこれからの問題でございますが、私どもも全体の租税体系考えました場合に、間接税かなり手薄いということは事実でありますから、そういう方向を基礎にして考えますれば、一般消費税というのは今後の一つ方向としてぜひ国民的な御検討をお願いしたい課題だと思っておるわけでございます。
  253. 三谷秀治

    ○三谷委員 間接税、直接税という課税の形態の議論でなしに、地方財源として一般消費税が妥当かどうかという問題ですね。これについてはかなり学者間にも意見があるようです。私どもそれを拝見しまして、幾つかの疑問を持ってくるわけであります。  たとえば一般消費税導入しました場合、従来の自主財源でありました電気税それから料飲税、木材取引税、こういうものは一般消費税と競合するわけでありますから、これはどのように調整をされるのか、これがもしも一般消費税国税として実施されまして、それで自主財源が吸収されるとしますと、自主財源を失う結果になってしまう、こういう問題も一つ指摘されております。そういう場合、自治体を中心としました地方税の強化という地方財政の改革方向に反する結果になりはしないかという点を懸念しますが、その点はどうなんでしょうか。
  254. 森岡敞

    森岡政府委員 わが国に一般消費税導入いたします場合に、どういう形のものになるかはこれからの問題でございますけれども、諸外国のいわゆる付加価値税などを見ますると、たとえば酒でありますとかあるいは高級な自動車でありますとか、それらのものにつきましては一般消費税税率があるいは五%とか一〇%でありましても、高い税率を使って課税しております。ですから、一般消費税をつくればおよそ一般消費支出に対してはすべて同一の税率ということにはならないと考えます。また租税体系といたしましても、同じ一般消費税の中で税率を変えるのか、あるいは別の税目にするのか、これも国によっていろいろ区々にわたっておりますから、わが国の場合も個別に区分をするということはあり得ると思うのであります。  いま御指摘の料飲税、電気税その他の地方税の流通税、消費税につきましても、もちろん一般消費税導入いたします場合にどう調整するかという課題がございますが、基本的な方向といたしましては、いまお話しのように、国税に吸収されて地方の自主財源が減るという形での改正については、私ども自治省といたしましては同調するつもりは全くございません。また、料飲税とかあるいは電気税とかいうふうな個別の税目は、現在、免税点、基礎控除というふうな特殊な、個々の消費者の負担を配慮したきめ細かな仕組みがございますが、一般消費税の場合にそういうようなことができるかどうかというと、かなり問題があってむずかしいと思います。そういう点も考えながら、個別消費税と一般消費税の税目間の調整は今後の課題として考えていかなければならない。基本的には地方財源を減少させるような方向では考えないということで当たってまいりたいと思います。
  255. 三谷秀治

    ○三谷委員 税制調査会答申を見ますと、新税をすべて国税とするという案が一つございます。もう一つは、これを一部を地方税として、この部分を事業税に加えて現行所得課税方式を併用するという案があるようでありますが、自治省としては後者の方を希望していくんだというお考えなんでしょうか。
  256. 森岡敞

    森岡政府委員 中期答申におきましては、御指摘のように二案並列されております。私ども事業税外形標準課税導入問題というのが多年の懸案でありますから、一般消費税導入の際にはぜひそれに決着をつけたいと思っております。そういう意味合いで最も端的に決着をつけるのは後者の第二案だと考えております。しかし、関係省庁との協議の問題もありますし、また、学者その他、税調の御意見も伺わなければなりませんので、これからの問題であるわけでございますが、基本的にはそのように考えております。
  257. 三谷秀治

    ○三谷委員 この案でいきますと、現行所得課税方式と併用すると言っておりますが、具体にはどういう形になっていくわけですか。
  258. 森岡敞

    森岡政府委員 現在電気事業、ガス事業等を除きまして、通常の企業については所得のみを課税標準にしておるわけでございます。その所得のみを課税標準にしております法人事業税の上に上積みをいたしまして、一般消費税で使います課税標準の売上額というものに一定の税率を用いて税額を求める方式をつけ加えて併用するという考え方が示されておるわけでございます。
  259. 三谷秀治

    ○三谷委員 消費税につきましてもう一つの問題として論議されておりますのは、これが物価の上昇をもたらすことは避けがたいという問題であります。ですから、インフレ促進効果をどう考えていくのかという問題が一つの問題ですが、特に地方財政としてこの問題を考えます場合に、地方自治体というものはこの税の配分を受ける立場に立つと同時に、担税者の立場に立つという問題ですね、ここのところが学者間でも非常に議論の対象になっておるようであります。ですから、一般消費税導入されますと、学校でありましょうと、社会事業関係でありましょうと、あるいは教育の関係でありましょうと、すべてこれは税がかかってくるわけでありますから、そういう点からしますと、地方自治体が負担をします新しい歳出といいますか、これがおびただしく膨張するものであって、一般消費税導入というものは地方自治体にとってはプラスになるものではないという意見、これが専門家の間でかなり議論されておりますが、この点についてどうお考えなんでしょうか。
  260. 森岡敞

    森岡政府委員 一般消費税という税が新たに設けられました場合に、物価にどういう影響を及ぼすかということでございますが、税調答申でも出ておりますように、一回一般消費税税負担相当額は物価が上がる、これは課税される以上、当然そうなるということは事実でございます。問題は、スパイラル的に、しかも長期にわたって物価がインフレの方向に誘導していく結果になるかというと、これは諸外国導入の例を見ましても必ずしもそうはなっていない。そういう点から言いますと、一回限りの物価の上昇であって、一般消費税導入即インフレということにはなるまいという議論の方が大勢であろうと思います。  それからもう一つの問題は、要するに公経済と私経済との間で資源を転換するわけでございますから、私経済部門から公経済部門に資源を振りかえるわけでございますから、税調答申をごらんいただきますと、仮に所得税を増税すればその分可処分所得が減る、それと一般消費税の創設によって物価が一回上がるということとは同じことではないかという議論も実はあるわけでございます。そういう点から考えまして、物価に対する影響はもちろんありますけれども、全体の意見といたしましては、それが一般消費税を否とする致命的な理由にはならないというのが大勢であったと私は考えております。
  261. 三谷秀治

    ○三谷委員 諸外国一般消費税導入の例などから見まして、たとえばフランス、イタリアなどにおきましても、一般消費税導入によりまして予想外の地方負担というものが増加してきている、そこで戻し税方式を政府に対して要求してきているというような資料もありますが、そういう点から見ますと、いまおっしゃいますように簡単に考えるわけにはいくまいと私は思っておるわけであります。  専門学者の試算を見ますと、たとえば五兆の一般消費税の増収を見込みました場合、地方財政との関係で見て、三二%を交付税方式で地方配分するとしまして一兆六千億の地方税源が増加してくる。電気税、料飲税がこれに統合されますと、それで二兆円が飛んでしまう。そんなことは恐らくなされるべきことではないと思いますけれども、そういう計算をしております。それは別としまして、一兆六千億、そして五兆のうちの五千億円は地方の自治体の負担として新しく増加してくるものである、自治体が担税するものである、そういう計算をしております。それに加えまして物価の上昇に伴う国内の消費水準の低下を考えた場合に、それに伴う税収減を考えた場合に、果たしてこういう税制がいまの状況の中で妥当であろうかという意見が学者間で交わされておるわけでありますが、こういう点につきましてはどうお考えなんでしょうか。これはごく単純に割り切らずに、複雑な要素を持っておりますから、それらについて十分な検討を加えてこられたのかどうか、その点をお聞きしたい。
  262. 森岡敞

    森岡政府委員 現在のわが国の間接税体系が個別消費税でありますから、一般消費支出に対して広く課税する一般消費税導入いたしました場合には、従来の経済社会に相当程度の変化と申しますか、影響があるということは事実であろうと思います。それがある面では、いま御指摘のように物価が上がるから地方財政支出にはね返ってくるのではないか、こういう御指摘をなさる方があるということにつながっていくのであろうと思います。確かにその面はあろうと思います。しかし、物価が上がることによって歳出がふえるというのは、地方ももちろんでございますが、国の財政も同じでございますから、やはり公経済と私経済全体の間でどういうふうな動き方をするのかということで判断しなければなるまいと思うのでございます。そういたしますと、やはり物価の上がり方がどうか、それが経済に与える影響がどうかというマクロ的な判断ということになろうかと思うのでございます。その点につきまして、先ほど申し上げましたようないままでの税制調査会の御審議の過程では、スパイラル的にインフレになっていくということではないし、その分、税負担相当額、あるいはそれに若干のものがつけ加わるかもしらぬけれども、一回上がることではないかという判断が示されておるわけでございますが、今後税制調査会において一般消費税内容なり何なりにつきまして具体的に検討が進められると思いますので、いま御指摘の点につきましても十分慎重な検討がなされるものと考えております。
  263. 三谷秀治

    ○三谷委員 どうも質疑しておりまして何か一枚議論の中に物がはさまっているような感じがするのですよ。これは行政責任を持たない税制調査会というのが絶対的な権限を持っておる。この税制調査会というのは質疑に答えるものでもなければ行政責任を持つものでもない。責任をお持ちになりますのは政府でありますが、政府政府として答弁なさらずに、税制調査会がどうであり、これが今後検討されるでありましょう、こういう議論にしょっちゅうなってくるわけなんです。そうしますと、国会議論の対象になり得ない特殊の機関が存在しておってこれがすべて物事を決定していくというような、議会制民主主義に反するそういう状況に実際上の議論がなってきているわけなんですね。これは、大臣、まことに私ども遺憾でありまして、税制調査会といいますのは政府の諮問機関でありますから、これを前面に出すのではなしに、政府の責任で問題を判断をし、あるいは答えてもらうということでなければ、税制調査会に来てもらわなくちゃ議論ができないことになってしまう。この点についてはどうお考えなんでしょうか。
  264. 加藤武徳

    加藤国務大臣 税制調査会はあくまで諮問機関でございまして、行政責任を負う組織ではないことは御指摘のとおりでございます。ただ、政府といたしましては、税制調査会が権威ある機関であり、かつまた、諮問をいたしましてその答申を尊重いたす、かようなたてまえをとっておりますので、あるいは答弁等で隔靴掻痒の感がおありであったかと思うのでございますけれども、あくまで行政責任は政府にある、かように御理解いただきたいと思うのであります。
  265. 三谷秀治

    ○三谷委員 政府に責任があるのでありますならば、税制調査会審議によってお答えになるのではなしに、政府の見解や政府の責任で答えてもらいたいのです。この点がはっきりしませんと、税制調査会というものが審議機関ではなくなってしまう。行政責任を持つ機関のようになってしまう。実際そうじゃないわけでありますから、そこは今後の審議の中で是正してもらいたいと思うのです。それで、税制調査会が権威があるとおっしゃいますが、答申によりましても、政府の都合のいいものは実施されますけれども、都合の悪いものは実施されない、こういう実情がたくさんあるわけであって、これは私ども地方制度調査会でも経験したところであって、答申がそのまま政府によりまして行政化される、法制化されるというものじゃないわけであって、そういう点からしますと、やはり政府の独自の責任で問題を扱っていただくように申し入れしたいと思います。  そこで、一般消費税でありますが、この消費税が収入に関係なく課税されるという点からしますと、いわゆる人頭税的な要素を非常に持っている。貧乏人であろうとあるいは金持ちであろうと差別がないという点からしまして、これは決していま好ましいものではないと私は考えておりますし、もう一つは、やり方によりますと、税源の中央集権化を進めるという要素もあるわけでありますが、この点につきましては先ほど局長から自治省の方針をお聞きしました。しましたが、なおその懸念は十分に払拭されてはいないのであります。自治省の見解だけで片がつく問題じゃありませんから、今後に問題が残ってくる。そういう面からしますと、むしろほかに税源はないのかという問題が当然出てくるわけであります。その点からしますと、二兆数千億と言われます独占体などへの特権的な減免税の廃止、これはどうなるのか。これは手がつけられないのか。その方が人頭割税よりも論理から言いましても正当性があるし、そして従来からもこの問題につきましては、税制調査会におきましても取り上げてきている問題でありますが、これを今日取り上げていくことがなぜできないのか。たとえばさっきも出ておりました大資本家への利子配当所得の分離課税を総合課税化することなど、そういう方向がなぜとれないのか。あるいは法人税率の一、二%のアップによりまして地方税収の増加は可能ではないかということも考え得るわけであります。東京や大阪の自治体が学者などを依頼しましていろんな税制問題についての研究、提案などをしておりますが、こういうものを尊重する方向を取り上げて財政民主化の課題として真剣に取り組む必要があるのではないか、その点が自治省としては非常に欠けておる点ではないかと私は考えておりますが、どうでしょうか。
  266. 森岡敞

    森岡政府委員 いま御指摘の各種の特別措置の整理合理化の問題、これにつきましては鋭意努力を尽くしてまいる必要があると思いますし、また関係省庁と、予算編成あるいは税制改正に際しましては、かなり積極的な論議をいたしまして努力を続けてまいっております。ただ、なお不十分な点があるということは私どもも十分自覚をいたしておりますので、これにつきましてはさらに努力を進めてまいりたいと思いますが、いまお話の中にありましたいわゆる二兆数千億円の特別措置による減収と申しますのは、たとえば法人税所得税との間の調整であります配当控除でありますとか、あるいは受取配当の益金不算入制度でありますとかいうような法人税基本の仕組みにかかわる問題も含まれておりますし、あるいは各種の引当金のような企業会計上経費としてもう定着して認められておるものも経費として算入しないとどうだというお話でございますので、やはりそういうお考え一つのお考えとしてあるのかもしれませんが、現在の経済社会ではちょっと無理なお話ではないかというふうに私ども考えておる次第でございます。  なお、法人税率の引き上げによる法人関係税引き上げにつきましては、確かに今後の一つ課題であると思いますけれども、これにつきましては、やはり法人税法人税割法人事業税を合わせました法人関係税の全体の負担水準、これが諸外国との間でどういうふうなバランスになるかということが大変重要な問題でありますから、わが国だけが特別の負担水準を設けるというのも今後のわが国経済のあり方から申しまして非常に問題がございますから、その辺のところを見合わせながら考えていく必要がある。また、それによる数字というものはそれほど大きな数字は実は見込まれていないというふうなことでございます。  なお、利子配当に対する課税につきましては、私どもも総合課税という方向にできるだけ早く到達するべきであるという前提で大蔵省とも協議をいたしまして、その具体的な仕組みを早く確立するようにせっかく努力を進めておる次第でございます。
  267. 三谷秀治

    ○三谷委員 独占体などへの課税についてはなお不十分なものがあるとおっしゃっておりますが、これを不十分なままにして人頭割税的なものを設けていこうという考え方に私は問題を見出しておるわけです。そういうものをすべて手を打ちまして、そしてなお税源が不足をするという場合に、初めて新しい国民に対する負担考えていくという性質のものでありまして、手をつけるべきところにつけないまま一般国民に対する重課を検討するというところに私は問題を見出しております。いまおっしゃいました法人税率などにつきましては諸外国との問題もおっしゃっておりますが、同時に、これは利益率についても諸外国との問題は見ていかなければいけない。日本の高度経済成長が世界屈指のものであるということはだれでもが認めておる問題であって、短期間における高度経済成長、いわゆる利益の蓄積というものを無視して税率がどうだどうだということだけでは、国民は納得するものではないのであります。  いまおっしゃいましたように、租税特別措置の手直しといいますものが法人税法による軽減措置にまで至っていないという弱点が確かにあるわけであります。そのために大企業ほど影響が少なくなってきている、そういう弱点も出てきておるわけでありまして、法人税法も当然改正すべきである。そして負担能力のあるところに当然な負担を求めていくという態度をとるのがいま緊急な問題ではあるまいか。また法人税法によりますと、業種別のアンバランスもあります。機械、建設産業あるいは損害保険や航空、海運などの関係負担率のアンバランスというふうな問題も改善されないままで今日に至っておるわけでありますが、こういう点につきましてまず手をつけるということをやるべきだ、それから別個の国民に対する税金などは考えていくべきだというのが私の考え方でありますが、大臣、いかがでしょうか。
  268. 加藤武徳

    加藤国務大臣 法人税地方税ではなく国税でございますために、私が多くを申し上げるのはどうかと思うのでございますけれども、各国の例と比較をいたしましてわが国の法人税が果たしてこれでいいのかどうか、かような大所高所からの議論もございましょうし、いろいろ議論もあろうかと思うのでございますけれども、しかし、国税でありますので、私が多くを申しますのはいかがか、かように思いますので、御了承いただきたいと思います。
  269. 三谷秀治

    ○三谷委員 地方財政問題を論議しますときに、必ず国の財政問題は絡んでくるわけだ。ところが、地方行政委員会論議しますのは地方財政の範囲内になってしまって、国の問題はどうも横へ行ってしまう。これじゃ問題が根本的には明らかになりませんので、非常に困るわけでありますが、大蔵省からお越しになっておると思いますが、大蔵省の見解をお尋ねしたいと思うのです。
  270. 亀井敬之

    ○亀井説明員 法人税税率引き上げお話でございます。  私ども、先ほど森岡局長からもお話がございましたが、わが国の実効税率はほぼ五割ぐらいにいっておるわけでございまして、主要諸外国と比較をいたしましてまあまあのところであろうか、あるいは若干低いかというようなことであろうかというふうに考えておるわけでございます。しかし、現在の景気の動向等、そういったものを考え合わせてみますと、十分適切な時期をとらえて引き上げを図っていく必要があろうかという感じでございまして、現在の景気の情勢ということをよく考えなければいけないというふうに考えておるわけでございます。  それから、租税特別措置の合理化という点の御指摘がございましたけれども、これにつきましては先ほど来るるお話がございましたけれども、私どももその方向で鋭意ここ二、三年来努力を続けてきておるわけでございます。
  271. 三谷秀治

    ○三谷委員 実効税率政府側の答えでしばしば出てきますが、あの実効税率というのはあそこから租税特別措置によります特例を除外しますと非常に低いものになってしまう。それから、これは予算委員会で大蔵大臣も認めておりましたが、資本金の多い企業ほど実効税率が低くなっておる、こういう問題も明らかになっておるわけであります。ですから、なお手をつけるところがたくさん残っておる。しかし、独占体に対する課税につきましては、どうも自民党政府は熱心でない、これは国民一般が共通の認識を持ちつつあるところであります。そして一般国民に対する課税をはなはだしく短絡的にお考えになるという弱点をお持ちになっております。ですから、私どもはこの地方税法審議に当たりまして、そこのところを抜きにしまして、この部分だけを切り離して議論するというわけにはいかないわけであって、そういう点からしますと、いま指摘しましたような問題につきましてもう少し具体性のある、実効性のある処置をとっていただきたい。考えておるとか努力しておるとかでなしに、こういう一般消費税などを出すときには、十分に努力をやった上で出してもらう、それを考えながら出すのでなしに、検討しながら出すのでなしに、努力をした結果出してもらうということが重要な点だと私は思っておるわけであります。  そこで、もう一つお尋ねしますけれども一般消費税導入地方財政改革の一つ課題でありました、全国知事会なども要望しております法人事業税外形標準課税関連につきましては、先ほどからの答弁でしばしば承ってまいりました。それが果たしていつ実現をするのか私はわかりませんけれども、それと関連してお尋ねしたいのは、法人事業税を損金として所得計算から控除するのは、事業税を物税として事業そのものに課税をするという税理論に根拠を置くものでありますが、所得課税が行われております今日の実情から見まして、損金算入は全く根拠がない。こういうところも課税をすべきだ。そうすれば、それに伴いまして法人税収がおびただしく増加するわけでありますから、現行税率でもってしましてその三二%は地方財源として繰り入れられる。そういう問題も残っておるのです。  しかも、これは長年の懸案の事項であって、論理上言いますと、あたりまえのことなんです。所得課税をしておる限りは、損金にする必要はない。もうかっておろうともうかっておるまいと、事業そのものに課税をするという物税という観点に立ちますからこそ、これが損金算入を認められてきたわけであります。ところが、実態はそうじゃないわけであって、実態はもうけに対して課税をしているわけでありますから、損金算入をする根拠は一つもないわけであります。なぜこういう問題がいまだに解決をしないままで、こういう一般消費税などの問題が前面に出てくるのか、まことに不可解であります。  私がお尋ねしたいのは、一体今日損金算入はどれぐらいなされているのか、つまり、法人事業税額はどれぐらいになっているのか、それが、もしも損金算入を廃止しました場合に、地方財源にどれだけの受益が及ぶのか、お尋ねしたいと思います。
  272. 森岡敞

    森岡政府委員 事業税法人税課税所得の計算上損金に算入しておりますのは、旧営業税時代からずっとそういう措置がとられてまいりました。その趣旨とするところは、いま御質問の中にございましたように、基本的に租税公課というのは損金性があるというのが一般の理論でございますが、法人税のような、その税金の計算をするのにその税額を損金算入するというのはやはりおかしいということから外しておるというのが一般論だと思います。  次に、事業税につきましては、営業税当時から、御質問の中にございましたように、物税である、事業活動に対する税であるというこの税の基本性格から申しまして、これは当然損金性があるという考え方でずっと貫いてきておるわけであります。事業税につきましては、これまた三谷委員承知のように、営業税から付加価値税に法律上変わり、それからまた事業税に戻るというふうなかなりの紆余曲折がございましたが、その間ずっと損金に算入いたしております。これはやはり、この税の性格がそうだという前提であるわけであります。  以前にも申し上げまして御批判を受けたわけでございますが、やはりこの税の性格がそういうものである以上、この税をそういう性格に即した課税方式に変えていく、合理化していくということは、私どもとしてはぜひとりたい方針であります。もし事業税を本当に所得課税の税だとしてしまうのならば、損金に入れないということもそれは一つの方式であろうと思いますが、そうはしたくないわけであります。外形標準課税導入問題をぜひやりたい、決着をつけたいと思っておるものですから、その方向に即してけりをつけて、損金に算入するという仕組みとの整合性を保つような税制改正を早い機会にやりたい、かように考えておる次第でございます。
  273. 三谷秀治

    ○三谷委員 数字を質問しましたが、いまわかりませんか。——わからなかったらいいですよ、後でまた知らせてください。
  274. 森岡敞

    森岡政府委員 非常に概数で恐縮でございますが、事業税が一兆九千六百九十三億円程度でありますので、法人税率をこれに掛けますと、約七千六百億円程度ということに相なると思います。
  275. 三谷秀治

    ○三谷委員 その七千六百億程度が、つまり三二%として地方配分される交付税の額になるというわけなんですね。
  276. 森岡敞

    森岡政府委員 三二%を掛ける前の法人税の税額ベースの話でございます。
  277. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま局長から税の沿革について聞きましたけれども、そして、将来の問題としての抱負も聞きましたけれども、いま現実に所得課税をやっているわけなんだ。ですから、将来これが物税になった場合には、おっしゃいますように、損金算入する根拠が生まれてくる。これは間違いがありませんが、しかし、いまはそうでなしに、所得課税を継続してきているわけでありますから、所得課税をします限りは、沿革がどうありましょうとも、これが物税として、要するに事業をやっていることそのもの、事業そのものを眼目にして課税をするわけでありますから、そうしますと、当然これは損金算入の対象にはなり得ないわけなんです。そういう非常に矛盾したことをずっとおやりになってきて、その矛盾を解決するためにも、この事業税外形標準課税という問題をやっていかなければならないところに来ているわけなんですが、私が申しておりますのは、そういう所得課税をしながらなぜ損金扱いをするようなことをやってこられるのか。この事業税といいますのは、御承知のように、地方自治体の行政施策の恩恵を受けて事業活動をやっている、それに対する応分の負担をしようという性質のものでありますから、所得があろうとなかろうと、事業をしておる限りは、これは当然地方自治体の施策に対する負担はやっていくという性質のものでありますから、これが損金扱いをされるのがおかしいのであって、もしもこれが外形標準課税が行われないのであれば、当然これはもう損金算入を取りやめるべきだ。いずれかにすべきだ。当然のことだと思いますが、その点についてお答えを聞いておきたいのであります。
  278. 森岡敞

    森岡政府委員 所得課税にするか事業課税としての内容を徹底するか、どちらかの選択の問題だと思います。損金算入をやめまして所得課税に徹するということは、私どもは、御質問の中にもございましたような事業税性格から申しまして、これはすべきでないと考えておる次第でございます。いまの状態で、所得を課税標準にしておるものにつきまして損金にしておることはおかしいではないかという御疑問が出るのは、私は当然だと思いますけれども基本的な自治省の姿勢といたしましては、そういうふうな所得課税に切りかえるのではなくて、外形課税的な要素を導入して事業課税としての実を上げたい、かように考えておる次第でございますので、御了解願いたいと思います。
  279. 三谷秀治

    ○三谷委員 ですから、それはつまり将来の問題なのでしょう。将来の可能性の問題といいますか、果たしてどうなるかわからぬのでしょう、また大蔵省との関係もありますし。依然として所得課税が続きます限りは、損金算入はすべきでない。意見は一致しているわけだ。だから、損金算入を認めるためには外形標準課税をやるべきだという考えで、考え方は一致しているわけなんですが、ただ考え方は一致していますけれども、実際の取り扱いにつきましては一致していないわけなんだ。あなた方は、いまの所得課税のままでも損金算入される、そして外形標準導入した場合に、もちろんこれは損金算入はやる、こうなってくるわけです。どちらの場合でも損金算入をやる。ここが問題なんですよ。私どもは、所得課税をするのでありますならば損金算入はやってはいけない、それから外形標準導入しますならば損金算入は当然の根拠が生まれてくるということであって、やはりどちらかをやっていかなくちゃいかぬわけなんでしょう。ですから、その点をはっきりしてもらいたいということなんです。
  280. 森岡敞

    森岡政府委員 率直に申しまして、これは法人税の問題でございます。また先ほど来のお話のようなおしかりを受けるかもしれませんが、法人税課税所得の計算上経費に見るか、損金に見るか見ないかという問題でございますので、最終的には大蔵省の御意見も伺わなければいかぬのでございますが、私は大蔵省当局といろいろずっと話をしてまいりまして、先ほど来申し上げましたように、事業税性格から経費性を当然認めるべきだということで沿革的にもまいりましたし、また事業税の今後のあり方からしてもそうあるべきだという気持ちはもう変わらないわけでございます。そこで、いま、当面所得をとっておるから損金性を認めるべきではないというように選択をいたしますか、外形標準課税導入問題を早期に決着をつけて本来の姿をとり損金算入を続けるという形をとるかということになりますと、やはり私どもは後者をとりたいという気持ちを持っておるわけでございます。いま仮に損金算入をしないといたしますと、これは所得課税にしたということになるわけであります。私ども現行事業税所得課税にするという気持ちは毛頭ないわけでありますので、その辺のところを御賢察をいただきたいと思う次第でございます。
  281. 三谷秀治

    ○三谷委員 そこは論理がややこしい。いまは所得課税をやっておって損金算入をやっている、これはよくないと言っているのです。だから、所得課税をするならば損金算入はやめてもらいたい。そして、外形標準課税をするのでありますならば損金算入に根拠が生まれくるということを言っているわけです。あなたの場合は現在には触れずにその将来形の問題としていつも問題をそこですりかえていらっしゃる、そこが問題なんです。大蔵省はどうなんですか、それにつきましてはどういうお考えなんでしょうか。
  282. 亀井敬之

    ○亀井説明員 ただいまの御指摘でございますが、事業税性格お話あるいは沿革のお話等は自治省からお答えがございました。基本的にはその問題自身直接担当いたしておりませんので若干お許しをいただきたいわけでございますが、法人に対しまして一般的な税負担増加、仮に損金算入をいたさないといたしますと、法人に対して税負担増加を求めるという結果に相なろうか、そういうことが法人に対する総合的な税負担水準の問題としてどうであろうかという問題に帰着をする。やや抽象的ではございますけれども、そういう法人に対する税負担の問題に帰着するのだというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  283. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのお考えは何か便法的て、いわゆる便宜的なお答えになっておるようですが、税の本質から私は問題を提起しているわけであって、所得課税をされますものが損金になるなんてことはあり得ないことであって、損金とされますのは、利益のあるなしにかかわらず事業が課税の対象になりますから損金になっているわけなんです。ですから、そういう税の理論上からも非常な矛盾を持っておるわけでありますし、それから事業税そのものの性格からしましても、地方自治体の立場から見ますと、これは事業が利益のあるなしにかかわらず水を供給し、あるいは道路を供給し、あるいはその他の災害対策などを供給するわけでありますから、そういう点からしましても、当然これは所得課税の場合には損金算入はやめてもらうということになってくるものであります。ですけれども、あなた専門でないようでありますから、時間の関係もありますし繰り返しては申しませんが、これは大変な矛盾でありますから、十分な研究をなさって整合性のあるものにしてもらいたい。このままで依然として同じ状態で続けるというようなことは改善してほしいと思いますが、大臣、いかがでしょう。
  284. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど来税務局長から事業税のいきさつなり、あるいはまたその本質についての説明がございました。たまたま現在所得課税をいたしておりますがゆえに、いま御指摘がございましたような議論が生まれておる、かように思うのでありますけれども自治省といたしましては事業税は本来物税であって、そして事業活動を行うところから生ずる費用を負担しておるのだ、かような考え方に立っておるのでございますから、したがって、損金算入はその費用としていたすべきだ、かような論拠にあるわけでございますけれども、しかし、所得を基本にしておりまする限りいろいろ矛盾等が生じてきますのが通例であろうかと思うのでございますから、なるべく早く事業税の本質を明確にいたしてまいりまして、この問題の解決を図っていかなければならぬ、かように考えているところであります。
  285. 三谷秀治

    ○三谷委員 そういういろんな具体の税の問題を見てきますと、今日の法人住民税均等割引き上げというのは、改善処置というほどの改正ではない。大企業の負担をふやすというほどのものではありません。地方税全体の中の増収率から見ますと〇・〇五%にすぎません。五十五億というわけでありますから、大変程度の低いものであります。  一方におきまして、都市計画税でございますが、これを五〇%引き上げますと、五百十一億円の増税になるわけであります。しかもこれは都市の勤労市民の持ち家と借地借家人に対する負担に帰結するものである、これは当然のことであります。民間アパートや借家、借間など、この関係の居住者は七百八十万世帯といいますが、しかも不況の中で失業の波に洗われておるこれらの借地借家人などに家賃の値上げになってはね返るようなこういう税の引き上げというものは、今日私どもは慎重に行うべきものだと考えておりますが、その点はいかがでしょうか。
  286. 森岡敞

    森岡政府委員 都市計画税の制限税率引き上げに伴います負担増加は、御指摘のような住宅ももちろん対象になりますけれども、一般の事業用地もかなりなウエートを占めると考えております。そこで、住宅につきましてどの程度の税負担増加になるかということでございますが、住宅の規模なり内容によりまして差があると思いますが、仮に全都市を通じまして土地が二百平米、その平米当たりの課税標準額を一万三千三百三十八円、これは全国の都市の平均でございますが、家屋を八十二・五平米、一平米当たり三千百三十九円の評価でございますが、これで計算をいたしますと、改正前に比べまして年税額で三千四百十一円、月税額で二百八十四円程度の増加というふうに私ども見込んでおります。  次に、第二に御指摘のありました借家、借間の問題でございますが、これは規模が小そうございます。平均的にとりますと、土地が七十八平米、家屋が五十三平米程度でございます。それで、評価額の平均的なところで試算をいたしてみますと、固定資産税及び都市計画税の月額は千四百二十円程度でございますから、これは月額二百円程度の増加にしかなりません。家賃の全体から見ますと二・三%前後の影響しかないわけであります。  問題は、いわゆる便乗値上げと申しますか、そこが問題であるわけでございます。私どもはそういう意味合いで都市計画税の御審議をお願いしておりますが、改正案が成立いたしました後におきましては、早急に便乗的の地代、家賃の値上げは厳に抑制するように関係省庁であります建設省とも協議いたしまして、関係方面に積極的なPR、指導を意欲的に進めてまいりたい、かように考えております。
  287. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいますような便乗値上げが一般的に税の引き上げなどが行われました後では強まってくる。ですから、端的に機械的に税、が五割上がったから家賃も五割だというような事例が出てきまして、しばしばトラブルが起きてくるという状況になってくるわけであって、その便乗値上げを抑制するための方策は具体的にはどのようになさいますのか。これが果たして有効なものかどうか、これが非常に重大な点になってきますが、その点はいかがなものでしょうか。
  288. 森岡敞

    森岡政府委員 地代なり家賃の決定は、これは所有者と借地人、借家人との相対で決まる問題でございますから、別に統制価格というわけではございませんので、良識にまたなければならぬということに最終的にはなると思いますけれども、四十年以降、固定資産税が上がりました際には、厳に便乗値上げを行わないようにということを市町村の窓口あるいは都道府県の担当部局を通じまして関係者に周知徹底をして強く要請をしております。また、それでトラブルが起こりました場合には、市役所に窓口を設けましてその紛争なり何なりを受け付けまして、両者のあっせんを図るとか、そういうふうなきめ細かな手だても講じてきておりますので、今回もいままでよりもさらに進みまして、このような実態的なきめ細かな指導を強く進めてまいりたい、かように思っております。
  289. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいます点が問題の点であって、地代家賃統制令適用外の家屋等につきましては希望をし、要請をするという以外には道がないわけであって、たまたまこういう税の改正などが行われましたときを好機として値上が行われてくる、便乗値上げが一般的に行われてくるという状況からしますと、しかもそれに対する処置としては極端な値上げをしないような希望をし要請をするというだけに終わるということですと、ここはやはり問題な点なんです。ですから、できるだけこういうものは上げないようにしてもらいたいのです。あれもこれも住民の負担をふやすというふうなことをしないで、さっき指摘しましたような点で改善処置をとってもらえばそういう問題も避けることができるというのが私が述べております意見の背景にある考え方であります。  そこで、もう一つこの法案にあらわれておりません問題点としましては、法人関係税は伸びがないわけなんです。前年並みの税収見込みになっております。したがって、法人に対する課税負担均等割以外についてはない、そして租税特別措置について微々たる手直しが行われたという状況なんです。ところが、個人住民税について見ますと、府県、市町村合わせまして所得割は前年度より四千四百二十三億円の増収になってきておる。この額は地方税改正を含む増収額一兆九百三十八億円の四〇%を占めております。これは法案にあらわれない問題点なんです。つまり、法人課税増加していない、そしてこのように借家人や借地人の負担にかかるもの、こういうものがふえてくる、あるいは住民税の免税点の引き上げをやりませんから、住民税の所得割がふえてくるという結果になってくるわけでありまして、結局この税金を見ますと、低所得者あるいは社会的な弱者に対して税の誅求を行っていくという性格を非常に強く持っているという点を私は遺憾とするものでありますが、その点について御所見があれば承りたいと思います。
  290. 森岡敞

    森岡政府委員 個人住民税は御承知のように前年所得を課税標準にいたしておりますから、五十一年所得と五十二年所得の伸びによって財政計画でごらんいただいておりますような自然増収が見込まれておるわけでございます。ただ、所得税にいたしましても住民税にいたしましても、お言葉ではありますが、低所得者だけが負担をしておるのではなくて、低所得者も中堅所得者も高額所得者も負担をしていただいておるわけでありますから、減税を行わないということは全体として減税のごしんぼうをお願いしておる、こういうことでありますので、御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  291. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのおっしゃいます高所得者がどういう概念か私はわかりませんが、私は大企業と個人という比較において物を言ったつもりでありますが、不十分な点があれば御了承願いたいと思いますが、要するに、住民税といいますのは比較的中水準以下の所得者を対象にしてきている。これは課税最低限が低いところから見まして、当然そういう結果になってくるわけであります。たとえばいま生活保護世帯の生活保護費というのが、四人世帯で見ますと百二十六万円なんです。ところが、住民税課税最低限が百四十一万八千円というわけでありますから、まあ生活保護世帯並み、わずか十五万ほど違いますけれども、並みの課税最低限になっている。そのために、比較的低所得者層を対象にした税になっているわけであって、この税におきまして四千四百億ほどの増収があるということは、これはそういう点からしまして、低所得者に対する重課であるという表現を用いたのであります。  そこで、先ほど聞いておりますと、住民税というものは所得再配分を目的にするものじゃない、こうおっしゃっている。地方の費用を分担する要素のものである、こういうことをおっしゃっておるわけでありますが、それにしても、地方の費用を分担するにしましても、生活保護世帯と同水準課税最低限というのでは、少しこれは社会政策上おかしいのではないかという感じを持たざるを得ませんが、その点はいかがなものでしょう。
  292. 森岡敞

    森岡政府委員 いま御質問の中にございましたように、四人世帯の一級地の生活保護費は年間百二十五万円程度でございます。わずか十六万円というお話でございますけれども、その十六万円というのは、私どもから考えますと相応の上のレベルにいっておるのではないか、かように考えておるわけでございます。  なお、課税最低限が低いことは低所得者にきつく当たっておるというお話でございますが、これは必ずしもそうではなくて、一つは、所得税を納めない、四人世帯でいいますと所得二百一万から百四十一万までの方にも住民税は納めていただくということでございます。同時にその税率は、所得税は最低税率一〇%でありますが、住民税市町村民税二%、県民税二%で四%ですから、やはり税負担水準としてはかなり低い税負担をお願いしておる、こういうことであるわけでございますので、非常に低所得者に税負担が強く当たっておるということは、必ずしもそうではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  293. 三谷秀治

    ○三谷委員 低所得者に過重な税と言いましたのは、所得税でいいますと二百一万円以下は税金がかからぬわけなんですよ。ところが住民税で見ますと、百四十二万程度から課税対象になる。ですから、所得税の対象外の低所得者がすべて対象になっているということを言っているわけなんです。  それで、税の目的がどうありましょうと、最低生活費に税がかかってはいかぬということは、これはもう明白なことであって、憲法上も規定されている問題であって、そこでその最低生活をどこで見るかという、まあ生活保護世帯というもの、これが最低生活と見られておるのか、あるいは生活保護世帯といいますのは最低のさらに最低のランクを押さえたものなのか、そういうところによりまして変わってきますけれども、月一万円程度生活保護者より収入が多いからといって、それが税の対象として当然なことであるというふうな論理には私どもは賛成ができません。少なくとも生活保護世帯と比べますならば、かなりな余裕を持って免税点を設けていくという処置をとるべきであろう。それがよしんば地域の費用を負担する、そういう観点に立つものであったとしましても、最低生活というものを見ます場合に、そういう考慮が必要であるということを私は考えながら、さっきの低所得者に対する課税という問題を指摘したわけであります。そういう点から申しますと、去年もやりませんでしたが、ことしも課税最低限の改正をやっておりませんが、これはある程度やるべきだ。名目所得がふえたり、名目上の価値が変わってくるわけでありますから、物価などにしましても当然変化しておるわけでありますから、当然これは改定すべきであるという考えに私は立っておるわけでありますが、これはさっきからお答えになっておりますから聞きません。答弁は要りませんけれども、これに対する考え方を述べておきたいと思うのです。  それからもう一つ、私は二、三の点についてお尋ねしたいのですが、土地譲渡所得税が国に偏しておる点がありはせぬか、これを是正するために土地譲渡所得税の交付金のようなものを設けたらどうか、地方財政対策としてどうだろうかという考えを持っておりますが、この点はいかがでしょうか。  それから、利子配当所得に個人住民税課税がないわけでありますから、これを是正するための交付金、これはもうすでに実現になっておりますから、これはいいようでありますが、こういう問題も当然考えられます。  それから、地域性の強い、不動産を中心に行われます相続にかかわる国の相続税の一部などを地方に移譲するという措置はどうだろうか。これは私の意見じゃありません。大体学者や専門家の意見を集約してみたわけでありますが、こういう点についてどうお考えなんでしょう。
  294. 森岡敞

    森岡政府委員 譲渡益に対する課税につきましては、これも四十五年以降でございましたか、長期譲渡所得に対して分離課税の制度が設けられまして、できるだけ宅地の供給を促進したいということで実施したわけでございますが、そのときの分離課税税率は、所得税住民税税率それぞれ決めたわけでございますが、それは全体としての所得税住民税配分比率というものを基礎にして定めましたので、不当に地方税の方にしわ寄せがされておるということにはなっておらないと思います。  なお、現在では長期譲渡所得につきましては、二千万円を超える譲渡益は四分の三総合課税という仕組みをとっております。これは通常の税率が適用されるわけでございますので、そういう意味合いにおきましても、実態的に国の方に集中し過ぎておるというわけではないと思います。問題はむしろ、所得税住民税の総合的な税源配分のシェアがどうであるかということであろうかと思います。これは、全体として見ますと三対一でありますから、私は、将来税体系検討を行い、税源配分を行います場合には、所得税から住民税への移譲という問題を考えるのは一つ方向ではないかと考えておる次第でございます。  それから、相続税の問題でございますが、相続税は特殊な税でございますから、この相続税を地方税あるいはそれにかわる交付金として地方団体配分するということは、現実問題としてはなかなかむずかしいのではないかと思います。現在、これを地方団体に対する財源付与の対象に加えるかどうかということについては、まだ十分な検討は私、行っておりませんけれども、やはり地域的あるいは個人的に特殊な人にかかる税でありますので、地方団体との応益関係と申しますか、そういう点から申しましても、他の税のようなわけにはまいらないのではないかな、こういう感じがいたしております。
  295. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの点につきましては繰り返してお尋ねはしませんが、たとえば道路財源を一般財源化するというような問題ですね。自動車関係税を道路だけに使うというような問題などを含めまして、検討すべき課題であると私は考えておりますが、時間の関係がありますから、これにつきましてはいまは繰り返して申し上げません。  住宅公団からお越しいただいておりますから、この方のお尋ねをさしてもらいます。住宅公団が保有されております長期未利用地のうちで、利用の目途が立っていないものはどのくらいあるのか、お尋ねしたいと思うのです。
  296. 澤田光英

    ○澤田参考人 五十年度の会計検査院の決算報告におきまして未利用地ということで指摘を受けました地区が二十二でございまして、面積にいたしますと千五百ヘクタール余でございます。その後いろいろと努力を重ねまして、公団の中にもいわゆる掘り起こしと称しまして特別な専任機関を設け、あるいは建設省でも、原因でございます関連公共施設に対しまして、これを充実するということの委員会を設けていただきまして、大分目途がついてまいっております。  ただいまの先生の御質問でございますが、十地区につきましては事業化の目途がついてまいっております。したがいまして、二十二地区のうち十地区でございますから、十二地区がまだ残っておる。これらの問題につきましては、一般的には市街化区域への編入の問題あるいは関連公共施設を促進する、こういう問題でございますが、それぞれ個々の具体のプロジェクトにつきましての問題でございますので、それぞれの公共団体に対しまして鋭意折衝を重ねて、できるだけ早い時期に事業着手をしたい、かような努力をしておる次第でございます。
  297. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治省にお尋ねしますが、日本住宅公団が取得しました用地について、不動産取得税、特別土地保有税について非課税扱いになっております。そこで、この土地が公団の事業目的に沿う形で利用されるならば、非課税措置現行法のもとでは妥当な措置であるということになりますが、予算委員会でも指摘されましたように、長期にわたります遊休不良土地についてまで非課税扱いすべきものかどうか、この点をお尋ねしたいのです。つまり、これは事案が発生しますと、五年たちますとこれは課税権を失うわけでありますが、公団総裁も、保有につきましてもてあましぎみであると予算委員会でお答えになっておりますが、そういう土地につきまして、当面公団の目的に沿った使用の目途が立たない土地について、一体どうすべきかという点についてお尋ねしたい。
  298. 森岡敞

    森岡政府委員 不動産取得税と特別土地保有税で若干仕組みが異なっております。御承知かと思いますが、不動産取得税は、御指摘のように、五年間の除斥期間がございますので、五年たちますと課税権が失われます。特別土地保有税の方は、徴収猶予期間を定めまして、それが状況に応じて延長できますので、五年を超えましても徴収猶予を続けて、最終的に住宅用地に使われれば免除措置をとる、こういう仕組みでございますから、中身が異なります。  そこで、不動産取得税につきましては、取得された段階で事業計画なりあるいは設計図等で明確なものは、これは問題ございませんけれども、そこのところがなかなか煮詰まらないものにつきましては、現実の運用としては、五年間見ておりまして、五年の段階で本当に使えるのかどうかということを確認し、公団側の事情を聴取いたしまして、なお心証が得られますものにつきましては、将来住宅用地として使われるという前提で、五年を過ぎてしまうというものも中にはあると思います。  しかし、その時点で全く目途がつかないものをどうするかということにつきましては、公団側のいろいろな事情もあろうかと思いますので、その辺の将来計画なり何なりを明確に公団側から出していただきまして、それに応じて対処をしていく、こういう措置をとるように指導してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  299. 三谷秀治

    ○三谷委員 その対処するというのは、具体にはどういうことをするわけですか。将来どうなるかわからぬものを非課税で扱い続けるのは、もちろん問題であります。これは自治体間でも問題になりておるわけなんですね。ですから、自治体は、調整区域内の公団取得地に対して、公団法三十四条の協議による同意を与えていない土地に課税当局が非課税を強いられる。つまり、自治体が同意を与えていない、したがって、公団の目的に沿った事業が進行する可能性がない土地に対して非課扱税いを強いられるという結果になるわけでありますが、これは妥当なことではあるまいと考えます。その点はいかがでしょうか。
  300. 森岡敞

    森岡政府委員 いまの御質問の趣旨は市町村の同意の問題だろうと思いますが、同意を与えません場合にいろいろなケースがあると思います。市町村要請いたします諸条件を具備していない、しかし時間的な折衝の結果、それを具備するような話し合いがつきまして同意に持ち込まれるというケースもあるわけでありますから、同意を与えていないから、もう絶対に開発が将来にわたって未来永劫許可されないというものでもないケースが当然あるわけであります。ですから、そこは個々の実態に応じましてある程度公団側も条件をのんでいただく、市町村も条件をある程度妥協するということで話し合いがつく可能性というケースもあり得るわけでありますから、全部が全部同意がないから将来住宅用地にならないというものでもないと思います。  しかし、要するに個々の地域の用地の実態、公団の事情というものが非常に微妙に影響する問題でございますから、五年たった段階で実情に即するように県が公団と十分協議をいたしまして、どうにも見込みがないというものについては、当然これは課税すべきだと思いますけれども、そうでなくて、なお一定の期間を猶予すれば住宅用地になるというものにまであえて不動産取得税を課税するのは、やはり法の予定するところではない、かように考えておる次第でございます。
  301. 三谷秀治

    ○三谷委員 先ほど自治体が同意を与えていないということを言いましたのは、単にいまの公団がもてあましている用地はそういう条件だけではないわけであって、地理的な関係だとかいろいろな条件があって、開発あるいは住宅建設の可能性について見通しが持ちにくいということを言っているわけであって、いま自治体側が同意を与えていないというのは、一つの事情にすぎないわけです。  そういう状況によりまして、事実上、住宅公団の目的とする事業ができない場合どうするかという問題ですけれども、五年たって協議をして心証を得て、その上で府県あたりも努力をしてどうとかこうとかおっしゃっておりますが、そういうことでなしに、もう少し地方自治体が具体的に判断がしやすい、具体的な処置がとりやすい、そういう処置をとるべきである。何年たってもなお公団の目的に沿った事業が行われる見通しがない場合どうするかということですね。話をして心証を得てなんということでなしに、当然これは法律上の規定などに対する検討を加えて改善すべきだと私は思っておりますが、いかがですか。  それで、建設省のリストをもとにしまして自治体に確認してみたところが、たとえば八王子市の川口団地百四十三ヘクタールにつきましては、市当局はとても開発できない、調整区域の線引きを変える考えはない、こういうことを言っております。それから滋賀県の大津市に伊香立団地というのがありますが、百六十七ヘクタールの場合です。これも同様であります。これは調整区域である。大阪の美原町も、浪速医大の跡十ヘクタールほどについては関係住民との間に合意が得られないで宙に浮いておる。しかもこの美原町の場合は、どういうわけか建設省が出しました購入土地台帳にも載っていない。ですから、宅地開発部門でも事情は一緒でありまして、千葉県の市原市の千葉東南部四地区百一ヘクタール、兵庫県の東条町の百八十二ヘクタール、これも開発のめどが全く立っていない。  ですから、自治省はこういう状態を調査をしまして実情をよく見てもらいたいのです。そして適切な課税ができるような処置をとるべきである。住宅公団の用地を非課税にしましたのは、住宅公団の目的に沿った事業が行われるということが前提なんだ。これは公団法に示されている。それが行われない、購入をしまして五年、十年たってなおその可能性がないとなってきますと、一体どうするのか、依然として地方自治体は課税権がないのかという問題が出てくるわけでありますから、これに対して課税権を付与するような処置を考えるべきだと私は考えておりますが、いかがでしょうか。
  302. 森岡敞

    森岡政府委員 不動産取得税につきましては、先ほど来お話しのように五年で除斥期間が参りますので、その段階で、いろいろ申し上げましたけれども結論的に申しますと、明確に課税するかどうかを決して事柄を処理する、そういう方向で適切な指導をしてまいりたいと思います。
  303. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、五年たってみてなお見通しが立たないときには課税する、課税権がそこで存在するということなんです。その点どうなんでしょう。
  304. 森岡敞

    森岡政府委員 そのとおりでございます。
  305. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでは、これで終わっておきます。
  306. 木村武千代

    ○木村委員長 川合武君。
  307. 川合武

    ○川合委員 まず最初に、地方税法のあり方についてお伺いをいたしたいと思います。  地方団体は言うまでもなく課税自主権を持っております。しかるに現行地方税法は、いつの間にか千百条の膨大なものとなって、がんじがらめで地方団体を縛っておりまして、地方団体課税権の自由な行使を認めようとしておりません。  税務局長にお伺いしますけれども地方税法は現在千百条に及んでおりますが、初めからこんな膨大な条文があったのでございますか。できたころはどんなふうだったのですか。これよりも多かったのですか、少なかったのですか。
  308. 森岡敞

    森岡政府委員 現行地方税法が制定されました当時は、八百六条でございました。したがいまして、約三百条近くふえております。
  309. 川合武

    ○川合委員 政務次官にお伺いいたしますが、いま税務局長のお話にもあったように、だんだんふえてきて現在のような膨大な地方税法になってしまっている。これは言いかえれば、地方団体課税権の自由な行使を縛ってきているんだ、こういうふうに思いますが、それについてどうお考えになりますか、所感を伺いたいと思います。
  310. 染谷誠

    ○染谷政府委員 地方団体課税権につきまして地方税法で一定の枠が設けられているのは、地方団体間で住民負担に著しい不均衡が生ずることのないよう措置する必要があるということ、さらに課税権の帰属を明確化する必要があること、さらに、国と地方団体間の税源配分国民税負担のあり方等を国全体を通じて総合的に配慮する必要があることに基づくものである、かように思っております。
  311. 川合武

    ○川合委員 税務局長、いま政務次官のお答えでは私の——私は率直な感じを承りたかったのでございますが、政務次官の御答弁は御答弁として、税務局長はどう考えられますか。やはり政務次官のお答えそのとおりでございますか。
  312. 森岡敞

    森岡政府委員 国税地方税とで税法の構成なり仕組みに差があってしかるべきではないかという基本的な議論一つあると思いますが、税法という形で考えます場合には、規定が詳細にならざるを得ない宿命が実はあるのじゃないかという感じがします。よく世の中で言われますように、法律の中で一番わかりにくいのが、自治省で所管いたしております法律では共済関係の恩給関係の法律、その次が税法だ、こういう話がしばしば出るわけでございます。所得税というふうな国税にいたしましても、それから地方税にいたしましても、国民の権利義務に関する規定でありますし、しかも税負担というものを合理的に定めていかなければならぬわけでありますから、法律の内容が非常に粗くてどうにでも読めるというふうなことでありますと、やはり負担の安心感というものが持てないということにならざるを得ませんので、勢いかゆいところに手の届くような法律の規定にならざるを得ない。その結果、大変細かくなり、条文の数も多くなり、かつ読みづらい、こういう傾向にあることは否めないと思います。  地方税につきまして、国税とは違った意味でもう少し簡素な法律にできないかという御意見はかねがね承るところでございますけれども、しかし、法律で決めます以上は、余りに裁量的な余地が大き過ぎるということでありますと、納税者の立場からいろいろな問題が出てまいりますので、全体として考えます場合には、税法というものはある程度の条文の数を必要といたしますし、その内容も、かなり難解な表現を含めて複雑なものにならざるを得ないのではないか、かように基本的には考えております。
  313. 川合武

    ○川合委員 私は、地方団体課税自主権を持っている、こういうことから伺っているので、局の話を聞いていると、かゆいところに手が届くという言葉が示すごとく、地方団体の方にはもう任せないで、地方税法で全部やってあげよう、こういう感じ、どうも親切が過ぎて悪女の深情けだ、こんなふうに思うのですが、現に地方税法改正されたとき、それに基づいて地方団体が条例を出しますですね。その地方団体の条例を見ますと、その内容のほとんど全部が地方税法の引き写しであって、そして、条例で定めるもののほかは地方税法による、こういうような書き方になっておる。地方税法が余り至れり尽くせりなものだから、もはや条例で書く余地がない、地方税法が条例の分まで規定しちゃっておる、こういう感じがいたしますが、このような姿に対して政務次官はどうお考えになるか、現行地方税法のあり方はこれでいいかどうか、政務次官なりの政治的な所感で結構でございますから、ひとつ承りたいと思います。
  314. 染谷誠

    ○染谷政府委員 努めて簡素にすることが望ましいと思います。ただ問題は、負担力というもの等を勘案していかなければならない、このように思っております。
  315. 川合武

    ○川合委員 われわれは地方団体課税自主権を尊重すべきである、こう思っております。この見地から税務局長に質問をいたしますが、まずたとえば地方税法の三百五十条を読むと、固定資産税の標準税率制限税率とが規定されております。このような標準税率制限税率と二つの規制を受ける税は、市町村税で言えば何と何かちょっとお示しをいただきたいと思います。
  316. 森岡敞

    森岡政府委員 標準税率の定めのある税を列挙して申し上げます。県民税、事業税、不動産取得税、娯楽施設利用税、料飲税、自動車税、それから市町村民税、固定資産税、軽自動車税、鉱産税、木材引取税、入湯税、これが標準税率の定めのある税目でございます。それに加えて制限税率の定めのありますのは、県民税の法人税割、それから娯楽施設利用税、自動車税でございます。そのほかは標準税率のみであります。それから市町村民税、これは均等割、所得割、法人税割全部制限税率の定めがあります。それから固定資産税、軽自動車税、鉱産税、木材引取税、それから別途御審議いただいております都市計画税、これは標準税率がなく、制限税率だけを定めております。以上でございます。
  317. 川合武

    ○川合委員 そうすると、念のため伺いますが、標準税率制限税率と両方の二重の規定を受けているのは、もう一遍言ってくださいませんか。
  318. 森岡敞

    森岡政府委員 県民税の法人税割、それから先ほどちょっと落としましたが、法人事業税、娯楽施設利用税、それから自動車税、これが県税でございます。それから市町村税では、住民税、固定資産税、軽自動車税、鉱産税、木材引取税、以上でございます。  なお、県税の中で制限税率の定めのないものにつきましては、いわゆる超過税率課税いたします場合は政府に、自治大臣に届け出をしていただく、こういう規定を設けております。制限税率は決めておりませんが、届け出をしていただくということにいたしております。
  319. 川合武

    ○川合委員 税務局長、たびたび恐縮ですが、道府県税の方はちょっとこっちに置きまして、市町村税の中で標準税率だけというのは、そうすると何ですか。
  320. 森岡敞

    森岡政府委員 入湯税でございます。
  321. 川合武

    ○川合委員 入湯税だけですね。  以前からこういう姿ですか、こういう標準税率制限税率と両方、二つの規制を受けておる。市町村税で言えば、入湯税は標準税率だけだけれども、あとは標準税率の規制を受けているものがまた制限税率の規制を受けている、二重ですね。こういうのは初めからですか。
  322. 森岡敞

    森岡政府委員 市町村税標準税率の定めがありますものは、先ほど申しました入湯税を除きまして、従来から制限税率を定めております。その趣旨とするところは、やはり市町村によりまして非常にアンバランスが出るというのは全体としての負担水準からいかがかということで、制限税率を当初から設けておるわけでございます。
  323. 川合武

    ○川合委員 そうすると、市町村税の場合で言えばほとんどが標準税率制限税率の二重の規制がある。そういうことになってくると、いま税務局長は市町村の場合は必要があるんだと言ったけれども、私は標準税率が無意味なような気がしてくるんですがね。ほとんどがそうであるならば、標準税率というものを設けておく意味がないような気がするのですが、もう一遍言ってくれませんか。制限税率があって、しかも標準税率なるものをなお規定しなければならない、その標準税率の存在の理由、もう一遍言ってください。
  324. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税法で定めております標準税率は、私は規制とは考えるべきでないと思うのであります。地方税法をごらんいただきますと、標準税率の定義がございまして、市町村が通常よるべき税率標準税率といい、財政上の特別の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率である、こう書いてあるわけでございます。したがって、これは地域的な負担のバランスを標準的に考えます場合に、通常よるべき税率がこれですよということを税法上示しておる、モデルと申しますか、モデル的な負担水準を示しておる。財政上必要があれば、それを超えて課税してちっとも構わないわけであります。しかし超過課税をいたします場合に、どこまでやってもいいかということになりますと、これは余りにアンバランスが出ては困りますので、制限税率というものを別途設けまして、その税率以上では課税してはいけないよという制限を設けておる、これはまさしく規制でございます。そういうふうに両税率は御理解いただくべきではないかと思っております。
  325. 川合武

    ○川合委員 いまの局長のお話で、規制ではない、こういう答えでございましたが、それは非常に私も安心をいたしまして、局長がそう言われる答弁に非常にうれしく思います。  それなら伺いますけれども、たとえば地方財政法五条には例の規定があって、標準税率以下のときは起債を認めないというような、これをもって規制というべきかどうか知らないけれども、先ほどおっしゃったように、モデル、モデルとおっしゃっているならば、こんな地財法の五条みたいなものはおかしい、こういうことになりはしませんか。
  326. 森岡敞

    森岡政府委員 税法上は、いま申しましたように、標準的な負担水準を示す税率でありますが、同時に地方税だけで財政が全部回っておるわけではございませんで、地方交付税による財源保障が行われておるわけであります。その交付税の基準財政需要額及び基準財政収入額を計算いたします場合に一定の物差しが必要でございますが、基準財政収入額を計算いたす場合には、標準税率課税したということで算定した税額の八〇%なり七五%を基準財政収入額に算定する、こういう仕組みをとっておるわけであります。したがいまして、地方財政法の標準税率以下で地方税課税しておる団体がありといたしますならば、それはやはり財源にかなりの余裕がある団体だというふうな理解にならざるを得ないわけでありますから、財政法上そういう特別な規定が設けられておるということであろうと考えております。
  327. 川合武

    ○川合委員 地方財政法の方は財政局長の方がいいのでしょうか、税務局長でもどちらでも結構ですが、地方団体が、後々まで残るものをつくる仕事、こういう場合は起債で賄うのが適当だ、こういう判断に立ったときに、それも一つの判断として正しい場合が多いですね。それで、その団体財政力に別に懸念がないのなら、これはそういう見地から起債を認めるべきであって、いまの標準税率以下だから財源に余裕があるだろうから起債はいかぬとかなんとかいう、そういう考え方というものは私は余りよくないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  328. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘のとおりに、地方財政法第五条の一項五号、いわゆる通常の公共施設等につきましての建設の場合の地方債につきましては、普通税の税率がいずれも標準税率以上の団体に限る、こうなっているわけでございますが、地方財政法の考え方といたしましては、第五条の一項本文にもございますように、原則は地方債以外の財源をもって賄う、ただしこういう場合にはいいのだ、こういう書き方をいたしているわけでございます。また同時に、御案内のとおり、交付税制度を通じまして各地方団体の標準的な行政水準というものを保障する地方財政制度をとっているわけでございますが、交付税の計算におきましても、基準財政収入額は標準税率を基礎にする、こういうことになっているわけでございまして、そういう現在の地方財政制度総体を考えてみますと、地方税につきまして標準税率をとっていただくということは、やはり一つの国の財源保障制度としての交付税といったものでもそれを基準にしているというかっこうになっているわけでございます。  それで、地方債というものは、言うまでもなくその団体が将来元利償還をしていかなければならぬわけでございますので、交付税で収入を見込む、それよりも低い税率というようなことであれば、将来の財政不安にもなってくるというような因果関係が出てくると思えるわけでございまして、そういったようなことをいろいろとあわせ考えてまいりますと、やはり通常ベースの税金は取っていただく、そして、それでも足りない建設費用については、当然地方債というものを活用していく、こういうようなかっこうになっていくのではなかろうかと思うわけでございまして、こういう観点から申し上げますと、普通税について標準税率以下だというようなところについて、地方債は御遠慮願うというのはやむを得ないのではなかろうかと思っているところでございます。
  329. 川合武

    ○川合委員 どうも税務局長の話も財政局長の話も、悪気はないのだろうけれども、やはり一つの型にはめちゃおう、はめちゃおうということで、地方団体の自主権というものよりも——私はそんなに弊害のない範囲ならば、なるべく地方団体の自主権を認めてあげるべきだと思うのです。心配だ、心配だと思われるのかもしれないけれども、何か一つこれをやっておけば無難だ、間違いないぞという型をつくっちゃって、それにみんな追い込んできているということを、いまの標準税率だけではなく、そう思うのですね。さっきからお話しのように、地方交付税の額を定めるときの基準財政収入額の算定の基礎に用いる税率標準税率だ、そういうことでございますね。そうすると、この地方税法なんかに規定しなくても、地方団体地方交付税の額を決めるときの基準財政収入額の算定の基礎の税率だということは、これはもうわかるわけです。それで、地方税法にわざわざ書かなくても地方団体はわかるのではないですか。さっきお話しになったように、これが一つのモデルである、標準税率というのはそういう意味のものだ、そして地方交付税のいまの仕組みというものは、これを基礎にしてこうなっているのだということであるならば、地方税法税率で何かおっかなく——おっかなくと言うと語弊があるけれども、何か書かなくても地方団体はそれで結構わかるのではないでしょうか。どうでしょうか、税務局長。
  330. 森岡敞

    森岡政府委員 租税でございますから、納税者の立場というものを考えなければならないと思います。そこで、どの程度の租税負担を求めるかということが全く地方団体の任意にゆだねられて、国家的な見地からの基準も何もないということでありますと、これは納税者としては大変不安になりましょうし、また地域的なアンバランスというものも出てこざるを得ない。しかし、それをたとえば一定の税率で縛ってしまうということになって選択の幅がないということになりますと、これは自主性を完全に損なってしまうわけであります。標準税率制度というのは、そういう意味合いではその接点を求めておる制度ではないかと私は考えるわけであります。たとえば、別の例で申しますと、イギリスの財政制度ではレイトというのがございますが、これは、まず国から平衡交付金のようなものをもらいまして、あるいは個別補助金をもらいまして、それで足りない分を不動産の賃貸価格で全部割り振って、財源不足が大きければ税率をぽんと上げて税負担をふやす、こういう仕組みをとっておるわけでございますが、わが国の地方財政制度はそういう形ではなくて、むしろ地方税による税収額というものがまずありまして、それと現実の財政需要との足らずまえを交付税で保障していく、こういう仕組みをとっておるわけでありますから、基礎になる地方税収入をどのように求めるか、それは納税者から言いますと、どの程度の負担が課されるかということにほかならないわけでありますが、それについての一定のルールを設けておく、しかし、それは選択の幅のあるルールであるわけであります。一定ではないわけであります。そういう意味で、現在の地方財政制度の中での標準税率制度の仕組みは設けられておるというふうに理解をしておる次第でございます。
  331. 川合武

    ○川合委員 標準税率だけならば、私はまたそれならそれで一つ考えだと思うのです。しかし、私が冒頭お聞きしたのは、標準税率を決めておいてそこへまた制限税率、こういうことですね、大部分の税目は。さっきからたびたび言うように、地方団体課税自主権というものを尊重するという立場から言えば、余りがんじがらめにしない方がいいのではないか、こう私は思うのです。それで、標準になる税率というか、標準になるものは地方交付税の方でわかるのだから、あえて地方税法の中で規定しなくてもいいのではなかろうか。もっと言えば、制限税率というとどうも余り言葉が好きではないけれども、これ以上は取っちゃ困るよという押さえを示さなければいかぬということは現実としてわかります。地方団体が何でもかんでもどんどん取っちゃっていいとは思いません。ですから、そういう上限を示すということはやむを得ないと思います。それだけ示しておけば、あとは地方団体はそれでは標準は大体どのくらいだというのは交付税の方でわかるのだから、それでいいじゃないか、こういうように思うのですが、ひとつもう一遍税務局長、思い直してみてくれませんか。
  332. 森岡敞

    森岡政府委員 私は逆じゃないかと思うのです。地方税法標準税率を定めておりますから、地方交付税の基準財政収入額を算定いたします際に、その標準税率を使うという仕組みが財源保障制度としてとられておるということだと思います。逆に、地方税法標準税率の定めがなくて制限税率だけでありますと、交付税を計算いたします場合に何を基礎にしてやるかということについては、いろいろな議論が出てまいると思います。むしろ制限税率いっぱいでやればいいではないかという議論も出てまいるかもしれませんし、あるいは若干幅を持ったところで決めろという議論が出てくる。幅を持ったところで決めるということになりますと、制限税率が、たとえば固定資産税の場合二・一%でございますが、一・四%なのか、一・五%なのか、一・六%なのか、そこを交付税で一義的に決めるということはなかなか簡単にできないことでございます。ですから、地方税法で標準的な負担水準はこうでありますよということで標準税率を決めておりますので、それを交付税の算定上使う、こういう仕組みがとられておるものだと理解しております。また、その方が納税者の立場から言いましてもわかりやすいということではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  333. 川合武

    ○川合委員 納税者の立場、立場と言われるけれども、納税者はやはり私は条例でいくのだと思うのです。余りここばかりやっているとあれだけれども標準税率、基準財政収入額の算定の基礎に用いるそういう税率の存在を私は否定するのじゃないのです。それは一つのものとしてなくちゃいかぬ。だけれども、税法の方は、課税自主権を尊重するという立場から言えば、制限税率もあり標準税率もあり一定税率もある、こういうことで、そういう煩瑣といいますか、がんじがらめといいますか、なるべくそういうものをやめて、そして地方団体が片一方の交付税の基準財政収入額の方で算定の基礎に用いられている税率は大体あれだということがわかれば、それで一つのモデルになるので、あとはなるべく簡素というか地方団体の自由だという雰囲気をつくるべきじゃないか、こう思うのです。  その次に移りまして、不均一課税について伺いたいと思います。  地方税法の六条と七条ですが、これは専門家の税務局長ですから読み上げるまでもないと思いますけれども地方団体は、公益上その他の事由に因り課税を不適当とする場合においては、課税をしないことができる。」「地方団体は、公益上その他の事由に因り必要がある場合においては、不均一の課税をすることができる。」七条の方は、「地方団体は、その一部に対して特に利益がある事件に関しては、不均一の課税をし、又はその一部に課税をすることができる。」この規定は地方団体課税権の自由という点から言って非常にいい条文のように思うのです。ひとつ伺いますが、この条文は一定税率についても適用があるんですね。
  334. 森岡敞

    森岡政府委員 いま御指摘地方税法の不均一課税の規定は、大変包括的な規定でございます。先ほど来お話のありますように、地方税法の各論の条文が大変きめ細かく書いておるのに対して、これはかなり包括的に規定いたしております。そういう意味合いで、法律解釈といたしましては、一定税率の場合でも不均一課税の規定の適用はあり得る、こういうふうに考えていいものというふうに考えております。制度としてはそのように解釈すべきものと考えております。  ただ、一定税率の場合にどのような不均一課税をするのかという実際の問題になりますと、これはなかなか運用上むずかしいものが出てまいると思います。具体のケースに応じまして、もしそういう具体例が出てまいりました場合には私ども検討しなければなるまいと思っておりますが、制度的には適用があるものというふうな理解をしております。
  335. 川合武

    ○川合委員 何か一定税率についてもいいんだ、だけれども何だか非常にむずかしいんだというようなことで意味深のような御答弁ですが、ちょっと具体的に、何かもう少し説明してくれませんか、何がむずかしいのか。
  336. 森岡敞

    森岡政府委員 一定税率で決めております税目といいますものは、まさしく地域間、市町村間で税率に差等を設けることが望ましくないという性格の税について設けておるわけであります。たとえば電気税のようなものがそれでございますが、それについて市町村の中で特定の税率、低い税率を決めるというふうなことはよほどの合理性、公益上その他の事由がなければそれは用いるべきじゃない。自由自在に不均一課税ができるというわけではございません。公益上その他の理由が積極的にあります場合に不均一課税ができるわけですから、その具体例に該当するケースとしてむしろどんなケースがあるのか、電気税の一定税率をある納税者について下げるという不均一課税を仮に行うというふうなことを仮定して考えました場合に、どのような公益上の理由でどのようなケースが出てくるのかちょっと私には考え及ばない面がありますので、具体的なケースを前にして考えませんと少し問題のある面が残るのではないか、実際の運用としては残るのではないか、こういう感じで申し上げた次第でございます。
  337. 川合武

    ○川合委員 一定税率の場合は、規則の条文では適用があるけれども、しかし実際にはどうも適用される場合というものが、非常に専門家の、大家の税務局長でも思いつかない、こういうような感じの答弁ですね。そうですね。もう一遍ちょっと……。
  338. 森岡敞

    森岡政府委員 繰り返して申しますが、公益上その他の事由があります場合に不均一課税ができると書いてあるわけでございますから、一定税率のものについてどのような公益上の理由が存在する可能性があるかということについて、具体的な事例を私はいままで経験しておりませんし、また、ちょっと考えてみましても、そういう事例があるような気が率直に言って余りしないわけであります。しかし、ひょっとしたらあるかもしれません。ですから、その具体のケースに応じて判断をいたしたい。ただ、法律解釈といたしましては、先ほど来申しておりますように六条の不均一課税の規定は一定税率を排除しておりませんから、一定税率のものは適用ないという排除はいたしておりませんから、制度的な解釈としては当然適用がある、こういうことだと思っておるわけであります。
  339. 川合武

    ○川合委員 そうすると、何か一定税率の場合で、いまのように「公益上その他の事由に因り」という場合が出てきた。こういう場合にはそれを判断するというか、決めるのはどこが決めるのですか。
  340. 森岡敞

    森岡政府委員 公益上その他の事由があるかどうかの判断は、第一義的には当該市町村が決めることでございます。
  341. 川合武

    ○川合委員 わかりました。税務局長はいま、第一次的にとか言ったような気がしたけれども、そうすると、ちょっとまだ気になるのだけれども、一次的というと何か二次的なものがあるような気がするのですが、その点はどうでしょうか。
  342. 森岡敞

    森岡政府委員 市町村税制を運用いたします場合に、当該地方税法を所管しております自治省に対して法律の解釈につきまして質問をされましたり、指導を求められたりいたしますので、その法を所管いたしております自治省としても、法律の解釈、運用に間違いのないように市町村を指導しなければならぬ責務がございますから、そういう意味合いで私どもといたしましても適正な法律の解釈をする責任がある、こういう意味合いで申し上げたわけでございます。  第一義的には市町村が判断をすべきものというのは、まさしくそのような意味で申し上げた次第でございます。
  343. 川合武

    ○川合委員 念のために伺いますが、たとえばこの六条で地方団体が何か不均一課税をしようとするときには、これは自治省か何かに許可を受けるのですか、それとも届け出ですか。
  344. 森岡敞

    森岡政府委員 許可も届け出も必要といたしません。ただ、先ほど申しましたように、いろいろな質問が出ておることは事実でございます。六条でやっていいものかどうかという質問はしばしば出ております。
  345. 川合武

    ○川合委員 そうすると、私はこの規定は、さっきも言ったように、課税自主権から言うと当然の規定と思うのですが、地方団体が全くその「公益上その他の事由に因り」、という判断で、そして本当にこれが必要だと思って不均一課税をやるのならば、自治省はそれに対してとやかく言いませんね。言うべき立場にないですね。
  346. 森岡敞

    森岡政府委員 法律でございますから、仮に違法の運用ということになりますと、それは地方税法を所管いたしております自治省として、法律の解釈、運用が違法にわたるようなことがあってはいけませんから、それは指導をしてまいりたいということでございます。そのようなものでなければ、届け出だとか許可だとかそういう仕組みはとっておりませんから、自主的に市町村が判断をして処理できる、こういうことでございます。
  347. 川合武

    ○川合委員 私は、この六条と七条は、課税自主権を明らかした非常にいい条文だと思うのですが、これは総則に出ておるわけですね。ところが、それに対して後から出てくる各論といいますか、これはさっきからたびたび言うように、非常にがんじがらめですね。それならば、地方団体が何か間違っているとか不純な気持ちでこの六条、七条を使ったら別だけれども、しかしそうでなくて、全く正しいと思われる、またその判断で六条、七条を適用していったら、後の各論に細々書いてあるのも吹っ飛んじゃうとまでは言わないけれども、何か影が薄くなるような気がするのですが、そこのところはどうですか、税務局長。
  348. 森岡敞

    森岡政府委員 それは各論で書いております課税客体、課税標準税率という各般の規定に対する除外例を総則の六条、七条で設けられることにしておるわけでありますから、別に根元が吹っ飛ぶとかそういう話ではございませんで、具体の案件について六条、七条による税負担の差等を設けることが認められておるということでございます。
  349. 川合武

    ○川合委員 何かちょっと、よくわかったようなわからないようなんだけれども、私の言うのは、各論で非常に細かくいろいろ規定してあるが、片一方、この総則の六条、七条でこういう非常に自由な行使を認めておるということになると、総則と各論とが何か非常に雰囲気の違うもののように感ずるのですが、そうは思わないですか。
  350. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税法の各税目について決めておりますのは、各地方団体を通ずる一般的な規定であります。六条、七条で書いておりますのは、個々の地方団体のその地域の特性に応じた税負担に差等を設ける運用を認めておるわけでありますから、それは一般的な規定に対する例外を開き得る道を設けておるというだけのことでありまして、それでもって一般的な規定が根元から吹っ飛んでおるということではないというふうに申し上げたつもりでございます。
  351. 川合武

    ○川合委員 もう一遍念のために聞きますが、「公益上その他の事由に因り」というのですが、この六条で不均一課税をやった例を一つくらい言ってくれませんか。
  352. 森岡敞

    森岡政府委員 新産、工特というふうな地域開発の立法の指定区域におきましては、産業基盤なり地域の整備をやりまして企業の新規立地を誘導しておるわけでございます。その場合に、固定資産税などの不均一課税をいたしまして、減額したりあるいは一定期間課税免除したりという例がございます。また、文化財の存します市町村におきまして、国宝とか重要文化財が存在しております土地についての固定資産税をこの条を適用して軽減免除しておるという例もあるわけでございます。
  353. 川合武

    ○川合委員 新産と言いましたか、最初の方は。そういうのは私はよく覚えていないけれども、みんな法律があるんじゃないのですか。この条文でそうやっているわけですか。それともこの条文と同じ趣旨の法律が別にあって、その法律で不均一課税をやっているということになるのですか。もう一遍そこのところを説明してくれませんか。
  354. 森岡敞

    森岡政府委員 新産法、工特法による指定地域におきまして地方税法六条の規定を適用して不均一課税をした場合には、地方交付税の面で補てんいたします。俗に申しますと、基準財政収入額の計算上配慮して補てんをするという規定があるわけでございます。新産法、工特法で不均一課税をするという規定があるわけではございません。不均一課税の根拠規定は地方税法の六条、七条であるわけでございます。
  355. 川合武

    ○川合委員 いまの新産やなにかのようなのは、国が法律をつくってその道を開いているわけですね。そういうのでなくて、この六条だけで地方団体がみずからやっているという例はありますか。
  356. 森岡敞

    森岡政府委員 農村部におきまして農協が有線放送電話設備などを持っております場合に、これは地方税法の非課税規定には該当いたしませんけれども、大変へんぴな地域で有線放送電話がその地域住民の非常な利用に供されておるという場合に、公益上課税免除をする、こういう事例がございます。  また、土地区画整理が行われました地域におきまして、不均一課税において税の減免を行っておる、こういう事例もございます。  その他いろいろございますが、多岐にわたりますので、二、三事例としては以上申し上げたとおりでございます。
  357. 川合武

    ○川合委員 多岐にわたるほどたくさんあるのならいいのますが、私は余り多岐にわたるほどたくさんないのじゃないかというような感じがするのです。こういう規定があるけれども自治省がにらみをきかしていて余りやらせないのじゃないかというような悪い勘ぐりもありますが、それは私の全くの勘だけですから質問には適しないと思いますが……。  これでこの問題についてはやめますけれども、六条、七条のような課税自主権を非常に尊重した規定があり、かたがた各論の方へいくと縛りというか身動きできないぐらいに、さっきからの税務局長のお話のこれさえ守っていてくれればもう間違いないのだからという気持ちからか何か知らないけれども、非常に厳重なあるいは緻密な規定を設けておるということについては、あるいは六条があるからこれで救われていると言うべきかもしれないけれども、総則にこれだけの規定があるにもかかわらず、各論の方へいくとどうも厳し過ぎるのではないか、こう私は思うのですね。さっきの初めのころの質問に戻るのですけれども地方税法を一遍洗い直してもらえないか、基本的に検討してもらえないだろうか、基本的に改めるべきではないか。地方税法は税目と課税標準だけを決めて、あと税秩序を保たなければならないという意味で、どうしてもこれ以上は困るという上限だけを決めて、あとは地方団体の自由にすべきではないか、私はこういう考えですが、局長どうでしょうか。
  358. 森岡敞

    森岡政府委員 最初の御質問にございました地方税法の条文が非常に多いという一つの理由は、質問検査権とか督促とか滞納処分とか、そういう手続規定、各税目全く共通のものがそれぞれの税目の規定として重複して書かれておる、これが相当大きな原因になっております。これはシャウプがこの地方税制の勧告をいたしました節に、固定資産税は固定資産税の税目の条文だけを読めば全部わかるようにしろ——本来日本人的感覚からいいますと、こういうのは全部通則的な規定として総則に入れればいいものだと思いますけれども、アメリカ的な感覚からいいますとそうではなくて、地方税法のこっちを見たりあっちを見たりではなくて、一つの税金を見る場合にはこのくだりだけ見れば全部わかるようにしろ、というようなことからこうなった。したがって、最初から八百条を超すような大法典になっている、こういうことが経緯だと思います。  実体的な条文の内容につきましては、いまの標準税率制度基本的にやめて、税率の採択を全く地方団体の自主的な判断にゆだねるというのは、現在の国税地方税を通ずる租税負担のあり方とか、何度も申し上げますが、納税者の税制に対する信頼感とか、そういういろいろなものを考え合わせますと、やはり標準税率制度というものは存置すべきであるというふうに考えておる次第でございます。
  359. 川合武

    ○川合委員 どうも私と税務局長とは見解が違います。現にそうなんですけれども、それでは地方団体課税自主権なんて言ったって何にもないのじゃないか、ただ決められた地方税法に基づいて集金しているだけだ、こう思うのですけれども、時間も迫りましたから、またいつかひとつ税務局長のお考えを聞くことにして、最後に地方団体税源の充実について質問したいと思います。  これは、あなたの方で最近くれたものだね。この「昭和五十三年度 地方税に関する参考計数資料 自治省税務局」の八ページから九ページを見ると、「国税及び地方税の累年比較」というのがあって、租税総額に対する国税地方税額の割合というのがありますね。租税総額に対する地方税割合を見ると、大分昔ですが、昭和二年が三五・二%ですか、それから昭和五年が三五・三%、昭和十年が三四・五%、それで急に昭和十六年ですか、一五・一%に落っこっちゃって、これは戦争が始まったからですかね。しかし、いずれにしても戦争が始まるまでは地方税の租税総額に対する割合というのが三五%というようなかっこうですが、一番下のところに五十三年の見込みは三四・三%というのですね。そうすると、戦前よりも地方税国税割合はもっと悪くなっちゃった。地方税国税割合は戦前の方が地方団体に有利だった。いま戦前よりも中央集権に、この点においてはというのか、おいてもというのか、中央集権になっている。こんなふうにこの統計から読み取れるのですが、それについてどういうことなのか、税務局長。
  360. 森岡敞

    森岡政府委員 戦前の国と地方税源配分は、ここに出ているように、また御指摘のありましたようなことでございますが、ただこの時期におきましては、現在のような地方交付税という財源保障の制度はございません。したがって、昭和初年において、いわゆる経済恐慌の時期におきまして農村が大変疲弊しましたときに、農村では教員の給与も支払えないというふうな大変な事態が生じたわけでございます。したがって、総量といたしましてはこうなっておりますけれども、どちらかと申しますと、地域的な財源付与の形態はかなり偏っておったというふうに言わざるを得ないのではないか。大都市なり、それらの大府県におきましては相当な財源が付与されておりましたけれども、農村部におきましては大変疲弊しておったというふうなことが言えるのではないかと思います。それが昭和十年ごろから現在の地方交付税の前身になります臨時町村財政補給金というふうなものをつくれというふうな話に発展してまいったわけでございます。  そこで、この表の税源配分割合は三四・三%ということでございますが、交付税をさらに国から引き地方に足しますと、括弧に書いてありますように、五一・六%ということで、過半は地方の税及び交付税という自主財源及び一般財源になっておりますので、その括弧の方でひとつごらんをいただきたい、かように思う次第でございます。
  361. 川合武

    ○川合委員 しかし、私は自主税源というものがやはり地方団体としては一番の命だろうと思うのですね。税務局長、そうですね。ですから、今度は政務次官に、技術的なことは結構ですから、お聞きしたいのですが、補助金なんというものはやめちゃって、交付税も——これは財源調整の仕組みというものは残さないと、いま税務局長も言ったように地方団体間で貧富の差が激しいわけですから、財源調整の仕組みというものは残さなければいかぬけれども、しかしいまのような大がかりな交付税ですね、これはやめちゃって、そして補助金はむろんやめちゃって、そしてその分を地方の自主税源に回すべきじゃないか、こう思うのですが、政務次官いかがでございましょうか。
  362. 染谷誠

    ○染谷政府委員 交付税制度の廃止の問題でありますが、いま税源の地域的偏在というものは非常に著しいわけでありまして、現状からいたしますと交付税の廃止をすることは不可能じゃないか、このように考えております。  最後の、補助金を整理するというお話がありましたが、もちろん国庫補助金の整理合理化、弾力的運営ということは当然必要だと思います。ただし、いまこの国庫補助金につきましては社会保障とか教育あるいは農政、公共事業等、国が特定の施策を推進するための手段として有意義なものでありますので、地方財政の自主的な効率的運用を阻害することのないような範囲内において今後とも整理合理化、さらには弾力的運営を図らなければならないのではないか、このように考えております。  さらに、これらの財源で地方交付税を充実すべきではないかという御質問でありますが、今後地方財政の長期的安定を確保するためには地方税の拡充強化を図る必要がありますが、これと並行してやはり地方交付税の充実の必要があるのではないか、このように思います。
  363. 川合武

    ○川合委員 財政局長に伺いたいのですが、交付税は私がさっき言ったように若干の——若干というか、調整措置、その仕組みといもうのは残さなければならないと思うのですが、あなた並びに自治省の優秀な頭脳をもってすれば、いまのようなあんな大がかりなものじゃなくてもその機能を果たせる仕組みというものはつくれて、そして相当部分というか、大部分のお金を地方自主税源の方に回せるということは工夫をすれば可能なんでしょう。財政局長、ひとつ。
  364. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先生御案内のとおりに、現在の府県単位でとりましても各団体ごとの財政力の差というものはずいぶんあるわけでございます。要するに、住民一人当たりの担税力というようなものでとってまいりますと、相当な差が出る。ただいまお示しの資料の中にもございますけれども、人口一人当たりでもって税額というのをとってまいりますと、府県税におきましてもやはり第一位と最下位では三・八五倍くらい、市町村税につきましては、これは個々の団体でとらなければいかぬわけでございますが、省略いたしまして府県単位で一人当たりをとってみましても四・六六倍、こういうように非常に住民の間におきまして担税力に差のあることは事実でございまして、そういったものを前提にして、しかも各地方団体が標準的な行政を行うに足るだけの財源を保障しようということになりますと、相当程度の交付税財政調整制度というものが必要になることは御理解をいただけることであろうと思うわけでございます。ただ、現在の地方財政全体からながめた場合に、一番の自主財源であります地方税をより充実をする、その方向において地方に財源の増加を図るということが一番望ましい姿であるということは御指摘のとおりでございまして、そういう意味からいって補助金といったようなひもつきのものをなるべく整理統合して自主財源に回す、あるいは交付税というのも最小限で済むようなかっこうになってくる、そのためにはやはり相当程度の地方財源としての地方税増加を図るように持っていく、こういうようなかっこうに考え方として地方税財政制度を持っていく必要があるということは御指摘のとおりでございますが、交付税というようなものをほとんどない程度で済ますことができるかと申しますと、先ほども申し上げましたように、何しろ地域間の税負担の力の差というものはあるわけでございますので、それを前提にした上で各団体が行政水準の維持ができるように、しかも納税者の方も税負担の総額というものがやたらにふえないように、両面から配慮する必要がございますので、その辺は調和のとれた制度というものを考えていく必要があろうと思います。
  365. 川合武

    ○川合委員 財政局長、答弁がうまいので、どうもわかったようなわからないような感じもするのですが、あなたは交付税の方の担当の責任にある局長さんで、私が言っている意味はおわかりですね。ですから、財源の調整措置、仕組みというものが必要だということはわかるのでございますよ。しかし、ちらちらと出てくる行政水準というところに力点を置いて交付税をやっていくと、いまのような膨大なものになって、これはまた交付税法のときに質問させていただくので、時間も来ましたからやめますけれども、余りそこに緻密になっちゃって、何か交付税の本来の意義が——交付税はひもつきじゃないなんて言っているけれども、何だか自治省がちゃんとしたあれをつくっちゃって、みんなそれにお仕着せみたいなかっこうになっていますね。しかし、これはまた後の交付税法のときにします。  最後に、財政局長は補助金をやめるような積極的な気構えでしたから大いに期待をいたしますが、何といっても自主税源を充実するということがいまの地方財政、それから一番基本地方自治からいって、これは否定をされる人はないと思うのです。それで、国税地方税を通じて税制全般にわたって基本的に検討して、国税地方税に移譲して、そうして、国と地方団体の間の税源の再配分、少なくとも地方税割合が租税総額に対して五割を下回らないように税源の再配分をすべきだ、それを地方税法に規定すべきだ、これは当面一番必要なことじゃないか、こう思うのです。大臣、お見えになったばかりでございますが、よろしゅうございますか、もしあれでしたら——それじゃひとつ税務局長に……。
  366. 森岡敞

    森岡政府委員 地方税源を充実するということは、地方財政の円滑な運営を図っていくという観点からまず第一に必要でありますと同時に、租税負担と行政との間の受益関係と申しますか、その関係を明確化するという意味からも大事だと思います。国税に集中いたし、補助金その他によって財源が付与されている状態でありますと、地域住民としては自分たちの納めている税金と行政との関連を見失いがちでございます。したがって、また、要求だけが突っ走ったりというふうなことにもなりがちでありますので、できるだけその地域の財政支出は可能な限り地方税によって充足できるような税制が望ましい、これは基本であると思います。しかし、先ほど財政局長が申しましたように、何としても税源にアンバランスがあるわけでございますから、いまお話しのように、全体の歳入の五割までを地方税収入で確保しろということになりますと、これは財源配分かなりなアンバランスが出てきて、全体として各府県、市町村を通ずる財源付与が的確に行えるかどうか、非常におぼつかないという感じが私はいたします。そういう意味合いで、五割ということはしか画簡単ではございませんけれども、現在の三分の一を地方税、三分の二を国税という仕組みを、あとう限り地方税の方に配分シェアを変えていくという方向でぜひ税制の抜本的な改正に今後努力をしてまいりたい。その場合には、もちろん国民租税負担増加もお願いしなければならぬわけであります。それを含めまして検討を加えてまいりたい、かように思う次第でございます。
  367. 川合武

    ○川合委員 時間が参りましたけれども、何か最後にちょっとあなたは税をふやさなければならないとかなんとかいうようなことを言いましたか。そんなことは余談、脱線じゃないかと思うのです。私は、国と地方といいますか、中央と地方といいますか、国税地方税、この税源の再配分をやって、それから税務局長がちょっと言ったような気がしたけれども、事務の再配分、それから同時に、それに伴う簡素化、これをいまやはりやるべきじゃないか。だから、端的に言えば、同じパイと言うのか何かしらぬけれども、それを分けるのに、事務の再配分も合理的にやって、そして地方税源の方へ、国税よりも地方税の方へもっと回すのが日本の政治、行政の全般において正しい姿じゃないか、こう思うのです。それで、前からこの委員会でそういう趣旨の決議がなされており、私どもの諸先輩もそのことを力説されているわけですが、ちっともやってくれないで、やったやったとおっしゃっても、ちょっとつくろい程度のもの、私どもの趣旨と全然違うといってもいいくらいのことしかいままでやってませんね、税務局長。それで、これはやはり地方税法ではっきりその点を明確にすべきだと思うのですが、大臣、どうでしょうか。大臣は地方団体の経験も深いわけでございまして——途中からお見えになったのでわかりにくいかもしれませんが、ちょっと所感を承りたいと思います。
  368. 加藤武徳

    加藤国務大臣 現在、国がやっております事務事業だってずいぶん年数も経過いたしまして、その目的を達成いたしたりしているものもございますし、また、許認可等で当然廃止ないし簡素化を行うべきものが多いと思うのでありまして、これらのことにつきましは、今国会におきまして行政改革の一環として御審議を願っているところでございます。  それから、中央がやらなくても地方が当然やるべきであると考えられますような仕事を中央各省庁でやっているものもあるわけでございますから、こういうものは積極的に今後地方へ移譲すべきだ、かように考えるのでございますが、ただ、地方に移譲いたしましても、これ以上いまの財源で対処いたしますことはきわめて困難でございますから、当然、事務の移譲に伴いまして税源の移譲、このことも考えていかなければならぬのでございます。  そこで、御指摘の点は、中央と地方との税源配分について、これを法律で明定したらどうか、かような御意見であったのでございますけれども、いわば税制がございますことが、間接的ではございますけれども明定いたしていることになろうかと思うのでございますけれども、ここで国が五〇であり地方が五〇である、かような明定はなかなか法的には困難であろうかと思うのでございますから、実を取りまして、今後事務をできるだけ地方に任してもらう、これに伴う税源はできるだけ地方に付与する、こういう方向努力をしてまいりたいと考えております。
  369. 川合武

    ○川合委員 質問を終わります。
  370. 木村武千代

    ○木村委員長 水田稔君。
  371. 水田稔

    ○水田委員 まず最初に、税制調査会というのがありまして、この答申に基づいてそれぞれ税制改正をやっておるわけでありますが、税制調査会というのは学識経験者で論議をされるわけです。そこで、学者の先生方が一からずっとつくるわけではないと思うのですが、事務局というのはどういうところが担当してどの程度のものを調査会にかけておるのか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
  372. 森岡敞

    森岡政府委員 税制調査会は、総理府設置法十五条に基づきまして「総理府の附属機関として」設けられておるものであります。「内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議する」という機関であります。事務局は、「調査会の庶務は、内閣総理大臣官房審議室において大蔵省主税局及び自治省税務局の協力を得て処理する。」こういうことになっております。ただ、かなり専門的な分野の問題でございますので、大蔵省主税局及び自治省税務局が庶務的な事項を担当するというしきたりになっておる次第であります。  具体的な事務の手順でございますが、総会、部会あるいは小委員会という各種の機関が審議をすべき内容に応じまして設けられるわけでございますが、それぞれの部会なり小委員会等におきまして出されました委員の御議論を集約いたしまして、最終結論の作文は庶務を担当いたします主税局なりあるいは税務局において、いわばたたき台と申しますか、俗に申しますたたき台をつくりまして、それでもってまた各委員の御審議を願って最終的な答申を得る、こういう手順を踏んでおる次第でございます。
  373. 水田稔

    ○水田委員 そうすると、集まっていただくときには何にもない状態で集まるわけですか。それともたとえば地方税関係に関してはある程度自治省税務局が何らかの資料か何かを提供して御論議いただく。いまの答弁だったら、何もない白紙のところへ各委員が意見を出したものを事務局が控えてそしてそれをたたき台で出す、こういう答弁ですが、実態としてそのとおり間違いないでしょうか。
  374. 森岡敞

    森岡政府委員 税制調査会答申は、大きく分けまして、中期税制答申とかあるいは長期税制答申というかなり息の長い将来の展望に立った答申と、それから毎年度税制改正に関する具体的な答申と、二種類ございます。したがいまして、それぞれの答申のテーマとして掲げられております事項につきまして、大蔵省及び自治省からいままでの考え方なり、あるいは学者の意見なり資料なり、課税資料というものを全部出しまして、それで御審議を願うという仕組みをとっております。  なお、意見を出していただく手順といたしましては、総会におきましては、各委員からほとんど網羅的に一般的な意見を出していただいて、それを基礎にして小委員会なり部会で具体案を煮詰める、こういう手順を踏んでおる次第でございます。
  375. 水田稔

    ○水田委員 そうすると、自治省考え方というのは全くそこでは述べてない、従来のいきさつなり各委員から出た意見が中心で決められる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  376. 森岡敞

    森岡政府委員 大蔵省なり自治省税制について責任を持つ官庁でございますので、それぞれの立場での意見は申し述べます。申し述べますが、しかし最終的な結論委員の御意見によって決まる、こういうことでございます。
  377. 水田稔

    ○水田委員 それでは、自治省としての希望というのはその調査会に対して申し述べる、こういうことがあるというぐあいに理解してよろしいですか。
  378. 森岡敞

    森岡政府委員 そのとおりでございます。
  379. 水田稔

    ○水田委員 この調査会の答申というのは、実際の扱いとしては自治省としてはどういうぐあいにやるのか。必ずやらなければならなぬのか、あるいは、御見解を承りました、やれることはやります。こういうことでいいのかどうか、性格の問題、答申に対する自治省の取り組みはどうなければならぬのかということを伺いたいと思います。
  380. 森岡敞

    森岡政府委員 いろいろ御意見を拝聴して決まる答申でございますが、私どもといたしましては、税制調査会答申で報告されました事項につきましては、政府といたしましてあとう限り尊重してそれに即した税制改正を行うという態度で対処しておるわけでございます。
  381. 水田稔

    ○水田委員 同じようなことですが、地方制度調査会というのがあります。これも、これの原案のつくり方、委員会の論議というのは税制調査会と同じような形で答申がなされる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  382. 森岡敞

    森岡政府委員 地方制度調査会と税制調査会では御案内のように委員の構成もかなり違っております。たとえば、端的に申しますと、地方制度調査会の場合には国会議員の方もお入りいただいております。そういう意味合い委員構成が違いますので、率直に申しますと、御論議内容税制調査会地方制度調査会では必ずしも同一とは私ども見受けておりません。しかし、委員の御意見を伺い、それに基づいて作文は事務当局で行って、それについての御意見を出していただいて最終的な答申案をまとめる、その手順は同じだというふうに思います。
  383. 水田稔

    ○水田委員 もう一つ聞きたいのですが、たとえば地方制度調査会に対する自治省としての要望なり意見なりはやはり申し述べられるわけですか、どうですか。
  384. 森岡敞

    森岡政府委員 まず、地方制度調査会で御審議いただきたい課題といいますか、テーマは自治省の方から掲げまして、それについての御論議をいただくことにしております。次に、その内容につきましての自治省考え方、これは十分御説明をしております。それに対して各委員の御意見がどういうふうな帰結になるか、それは御審議内容によって決まる、こういうことでございます。
  385. 水田稔

    ○水田委員 大臣にひとつ伺いたいのですが、いま大変な不況ということで、日本産業が一体どっちへ向いていくか大変重要な時期に来ておるわけです。そこで、当面の景気対策と同時に、大変周辺の状況なりが変わってまいったわけですから、日本の産業構造というのを、いままでと同じ形では成り立たないと思うので、そういう点では、景気対策と同時に産業構造の転換ということを図らなければならないと思うのですが、大臣、その点についてはどうお考えでしょうか。
  386. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のような七%成長を達成いたしたいということで公共事業がその先導役を務めようといたしておるのでございますけれども、反面また、国内には産業によりましては大変に不況な産業等もあるのでございまして、そしてこれは構造的な原因でありますものが多いと思える点がございます。たとえば繊維産業にいたしましてもあるいはその他の産業にいたしましても、構造的にため直していかなければ日本経済の新しい姿が求めがたい、かようなもの等もあるのでございますから、さようなものも総合勘案しながら産業構造の変革のためには政府といたしましても。
  387. 水田稔

    ○水田委員 昭和三十年代から四十年代にかけての日本の経済成長、特に高度経済成長を支えた中で、これは地方税だけではありませんで全体の税ですけれども税体系の中で経済成長を支える税制というのがあった、税制によるところの経済成長の誘導が行われておったと思うのですけれども、その点は大臣、お認めになりますか。
  388. 加藤武徳

    加藤国務大臣 さような点が多かったと思います。具体的には、たとえば税制上の特別措置等は特定産業等の振興の意味から措置をいたしておった、かような面もございますから、非常に関連が深かった、こう判断をいたします。
  389. 水田稔

    ○水田委員 私は、大臣の所信表明に対する質問をいたしましたときに、外形課税について大変経済の激動期であるのでことしはやれない、こういう答弁があったと思うのです。高度経済成長を支えたいわゆる税制による誘導、これからの時代を考えたときに、むしろ逆に税制からこれからの産業構造を導き出していく、そういう考え方を持たなければならぬと思うのです。これは何も地方税だけじゃないのですが、全体の税の中で。そこで、大臣は地方税についてそういうお考えをお持ちかどうか伺いたいと思うのです。
  390. 加藤武徳

    加藤国務大臣 経済構造のあるべき姿と税制とは非常な関連を持っておりますことは御指摘のとおりであろうかと思うのでございます。ただ、税制地方との関係でございますけれども、御承知のように、地方におきましては地域住民と密着をいたしました日々措置をしていかなければならぬ仕事等があるのでございます。ですから、国税の場合におきまする産業構造の関連よりも地方の場合はややその関連が希薄ではないであろうか、かような感じを率直に持っております。
  391. 水田稔

    ○水田委員 これは、地方委員会ですから、私、全体の税のことは申し上げませんが、たとえば経済成長のメカニズムを修正する必要があるということは、大臣もお認めになると思うのです。これまでの経済成長というのはいわゆる全体的に民間設備投資をどんどん起こしてくる、こういう形の中でやられる。そして地方税の中にもたくさんそういう誘導の税制というのがあるわけですね。これからの日本の経済考えるときには、一つ財政なり消費なりそういうもので全体的ないわゆる経済のシステムが動くような形へ持っていかなければならぬと私は思うのです。その点について、私、最初漠とした言い方をしたものですから、大臣のお答えが先ほどのようになったと思うのですが、いま私が申し上げましたように民間設備投資を誘導するような税制をそのまま残した形ではこれからの産業構造の転換というのは図れない、これは全体の税の中で考えなければならぬ問題ですが、地方税制の中でそういう問題はたくさんあります。たとえば特別措置の連動するものはたくさんありますから、そういうものについては地方自治体独自でも考えていく必要があると思うのです。その点について大臣のお考え伺いたいと思います。
  392. 加藤武徳

    加藤国務大臣 税制のみで論じますと、きわめて範囲が狭くなってしまいますけれども財政政策や金融政策と非常な関連を持っておりますので、一概には論断しがたいと思うのでありますけれども、わが国経済が高度成長を遂げてまいりました段階におきまする税制と安定成長の段階に入った場合の税制の姿は、おのずから変わってこなければならぬ、かように思うのでありまして、ことに財政上の特別措置等につきましては新しい角度から見直す必要がある、かように私は思っておるのであります。
  393. 水田稔

    ○水田委員 そこで重ねてのお伺いになりますが、外形課税の問題がことし五十三年度なお見送られたのはなぜかということをもう一遍お伺いしたいと思うのです。
  394. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治省といたしましては、ここ二、三年来早い機会法人事業税外形標準課税導入いたしたい、かような考え方を持ち、それなりの研究もいたしますし、また税調なんかの意見も慎重に聞いてまいっておったところでございますけれども、しかし地方のみで外形標準課税導入いたしましても、たとえば国が頭に描いておると思いまする一般消費税等の関連考えてまいりまする場合に、最終的には税負担の帰着者が同じではないか、また、課税方法等に関しても重複する面があるではないか、かような議論等もございまして、税制調査会のいわゆる中期答申におきましては、一般消費税導入する段階においてこの問題に決着をつけるべきだ、かようなことでもございましたので、見送られて今日なお実現を見ておらぬ、かようなことでございます。
  395. 水田稔

    ○水田委員 外形標準課税の問題は、昭和三十九年の長期答申以来ずっと何回となく行われておるわけです。一般消費税の問題などが出てくる以前からこれは出ておるわけです。確かにこれまでのような経済成長率のときには、所得に連動する方がずっと伸び率がいいものですからそういう形になっておったけれども、これからの成長を考えると、恐らく私は七%は不可能だと思うのですが、四%から六%の成長率ということが予想されると思うのです。それは、政府の責任でこの経済政策というものはやられるわけですから、ある程度の見通しというものは立つと私は思うのです。それだけに、先ほどから言いますように、産業構造の転換を図るために、もちろん国の税制全体、同時に地方税においても、逆に言えばいままでと違ったいわゆる民間設備投資を誘導するような形をやめていくことをやっていく、そういう中で、一つ地方税の安定ということを考えれば、これは一般消費税とは関係なく、地方財源の安定という点では、この方をとる方が、現実にはいま悪くなるところ、よくなるところがあるからというようなこともあるでしょうけれども、むしろ将来の長い展望で見て、地方税の安定というのは、この形が、外形標準課税がそういう方向であるということが皆さんの論議で出ておるからこそ、昭和三十九年以来十数年ですか、十四、五年の間言われ続けてきておるわけです。だから、これからの経済というのはいままでのような大変大きな波のあるものではないと思うのです。非常に小さな上昇率でいくわけですから、むしろいまの時点でそういうことを考えることが、地方財源を確保するために必要なのではないか。  もう一つは、応益の原則ということを考えれば、この方向がこれからの地方財源ということを考える場合当然ではないか、そのように考えるわけです。ですから、先ほど大臣が答弁になられましたような国全体なり一般消費税という問題との連動よりも、これからの低成長の中における地方税の安定、そして応益の原則ということを考えれば、これは長年にわたってそういう答申が出ておるということも大方の国民のコンセンサスを得た方向だ、それをしも他の理由で見送るということは、一つはこれからのいわゆる経済の成長率なり日本の経済の不況の回復なりについて、むしろいま政府のやっていることについて見通しを十分持っておらない、悪い言い方をすれば自信がないからことしは見送った、こういうぐあいに言われても仕方がないと私は思うのです。ですから、将来の長い展望から考え地方税の安定、応益の原則等からこの問題に踏み切るべきである、こういうぐあいに考えるのでありますが、その点についてもう一度大臣から御答弁いただきたいと思います。
  396. 加藤武徳

    加藤国務大臣 事業税の本来の姿は、その事業者がどのような活動をいたしておるか、このことが基本でなければならぬのでありまして、所得を基本にいたしておりますのは、事業税本来の姿からいたしますと必ずしも正しい姿ではないと言わざるを得ないと思うのでございます。ただ、いま直ちに外形標準課税導入し得ますかどうかを考えてみます場合に、税調指摘をいたしておりますように、一般消費税が具体化しておる現段階におきましては、これとの関連において決着をつける、これが正しい道だろうと思うのでございますから、なるべく早くさような決着をつけてまいりたい、かように考えております。
  397. 水田稔

    ○水田委員 私は先ほど来の大臣の答弁を聞きまして、一つは、もう少し地方の財源について自信を持って方向というものを自治省が打ち出すべきだと思うのです。これは知事会等からも強い要望もあったし、それから答申もずっと出てきておるわけです。確かに高度経済成長の時代というのは、そういうことよりも、事実上年々の税収の伸びがいいということで割り切れなかった面もあるんじゃないかと私は思うわけです。それから四十八年から九年の、これは激変だったと思うのです。確かに激変ですから、そこでということもあったと思うのです。ところが、いまの状態というのは、四年間連続地方財政というのは大変な危機的な様相を呈しておる。そしていまどん底の中で、政府経済というのはこういう形で回復させるという処方せんを書いておるわけですね。そうすると、ある程度の見通しは立つわけです。そして、これから産業構造をどうするかということも政府の責任ですが、そういうものを見通した中でこの税のあり方を打ち出していくのが——いつまでも待つわけにはいかぬと思うのです。私は、大臣は十年も大臣をやられるわけじゃないと思うのですが、少なくとも大臣在任中ぐらいには、たとえばことしは無理であっても、来年ぐらいには地方の財源が長期にわたってある程度の目安がつくというようなそういう御努力を、努力よりは本当はもう、やりますと、こういう答弁をいただきたいのですが、その点についての決意のほどをひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
  398. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昭和五十三年度におきましても相当の財源不足が生じたことは御承知のとおりでございます。そして、これが対応措置といたしましては交付税特会の借り入れをいたしておるのでございますけれども、しかし、これも当分の間の処置でございまして、なるべく早い時期に行財政両面にわたりまする改革をやってのけなければならぬのでございます。ことに、いまお話がございましたように、日本の経済が新しい成長段階、かつてのような高度成長ではない段階に入るのでございますから、これにふさわしい行財政の姿を早く描き出しまして、なるべく早い機会にやってのけるように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  399. 水田稔

    ○水田委員 これ以上申し上げましてもなかなかいい答えが出てこぬようでありますから、時間の関係がありますから、次へ移りたいと思います。  次は、事業税のいわゆる社会保険診療報酬にかかわるものを徴収しないわけですが、五十三年度、これによる減収見込みというのは一体幾らになりますか。
  400. 森岡敞

    森岡政府委員 五十三年度ベースでの社会保険診療報酬事業税が非課税にしております分の減収額は、約二百二十億円でございます。
  401. 水田稔

    ○水田委員 これはもちろん医師経費率七二%の問題とも全く無関係でもないわけでありますが、この五十三年度地方税改正、たとえば法人住民税の増収の見込みが五十五億円です。それから都市計画税の制限税率引き上げによる増収見込みが五百十一億円です。そうしますと、二百二十億というのはわりに大きな金額になるわけであります。これは事業税であります。その上、所得税と同じように、住民税の方での減税も恐らく二百二十億に近いものがあると思いますから、医師地方税におけるいわゆる減税は四百五十億から五百億の間ぐらいになる、こういうぐあいに思うわけです。そうしますと、一方では地方税改正によっていわゆる徴収をふやす、しかし一方では、相も変わらず不公平税制が残っておるということになるわけであります。そしてこの事業税の問題というのは、七二%のいわゆる経費率とは実は無関係なものなんです。これは応益の原則からいけば、これだけの事業をやっておって全く非課税というのは理論上もおかしいことだと思うのです。まず、これは七二%のいわゆる経費率の問題とは全く無関係な問題なのに、なおこういう優遇措置がとられたことについて自治省の見解を聞きたいと思うのです。
  402. 森岡敞

    森岡政府委員 所得税におきまして、いわゆる七二%の経費率が特別措置として法定されておりますことによる所得税の減収は二千二百六十億円であります。その結果、事業税、県民税、市町村民税についてはね返りと申しますか、減収が出てまいります。それは合計七百六億円であります。そのほかに、先ほど申しました事業税自身といたしまして、七二%を超える部分も課税いたさないということが法定されておりますので、二百二十億円程度の減収が出ておる、こういうのが計数的な実態でございます。  そこで、いまお話のございました経費を差し引いた分についてもなぜ事業税を非課税所得にしておるのかということでございますが、これは昭和二十六年に社会保険診療報酬の単価を決めます際に、財政上の理由からかなり低く抑えたということも関連があったようでございますが、二十七年度から議員立法によりましてこの措置がとられて、いままで続いてきておるというのが経緯でございます。私どもといたしましては、先ほど数字で申し上げましたように、七二%の経費率を超える部分の減収よりも、もとの七二%の経費による減収の方がはるかに金額としては大きいわけであります。税負担のバランス、財政面、双方から考えまして、やはり第一義的にはまずこの経費率の問題の処理、合理化を図ることが最大の課題ではないかということでございまして、大蔵省とも協議をし、また税制調査会の御審議も願って、いま一定の方向国会の御議論もいただいておるわけでございます。その結論を見ながら、事業税自体の非課税扱いをどうするかということを検討してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  403. 水田稔

    ○水田委員 そういう措置をとったときの、昭和二十七年から二十九年にかけてですが、理由は一体何ですか。
  404. 森岡敞

    森岡政府委員 それを毎回私ども質問を受けるのでございますが、何せ議員立法でございますので、私どもとしては的確にお答えしかねる面も実はございますが、承るところによりますと、先ほど申しました社会保険診療報酬の単価を歳出面の制約によりましてかなり低く抑えた、そういうことから税制でその代替措置と申しますか、そういう措置をとられたのではないかというふうに推測をいたしております。
  405. 水田稔

    ○水田委員 そうすると、これは所得保障ということであった、こういうぐあいに理解してよろしいのですか、いまの答弁は。
  406. 森岡敞

    森岡政府委員 何しろ政府提案でございませんので、確定的に私の方からこういう理由であったということを申し上げることは差し控えるべきであろうと思います。伝聞といたしましてそういうふうなことを聞いておるということで御理解賜りたいと思います。
  407. 水田稔

    ○水田委員 伝聞とかなんとかじゃなくて、本来徴収すべき税金を、経費を大幅に見るということは、その個人の所得で残るわけですから、当然それは所得保障ということで理解して間違いないと思うのですが、それはいかがですか。
  408. 森岡敞

    森岡政府委員 見方によりますと、そういうふうなことも言えるというふうに思います。
  409. 水田稔

    ○水田委員 ことし、たしか会計検査院が五十一年度決算検査報告の中で、いわゆる経費率というのを出しております。これがそのまま妥当かどうかは別といたしまして、出しておるわけでありますが、この昭和二十七年から九年にかけての、たとえば当時の平均でもいいと思うのですが、診療報酬との関係で、医師の所得というのはどのくらいのものだったのですか。
  410. 森岡敞

    森岡政府委員 かなり古い時期のデータでございますし、また、私どももそういう観点からその当時の資料を作成した経緯もございませんので、ちょっと当時の経費率を的確に申し上げるという用意はございません。
  411. 水田稔

    ○水田委員 これは、このままそれが医師の収入になるということではないと思うのですが、昭和二十八年の全体の国民医療費として出ておりますのが約二千億、二千七十億です。昭和四十八年、これは一番新しいので、あときょう現在はさらに何兆円産業と言われておるわけでありますから、四十八年でも四兆円という額になっておるわけです。お医者の数は倍にも三倍にもなっていないわけですね。ですから、内容的に御説明を聞いても、それは所得保障と受けとめざるを得ない。そして、その当時の数字が詳しいものがないにしても、こういう数字になり、あるいは会計検査院のこの調査を見ましても、決して医師の収入が国民全体のレベルからいって低いとは言い切れないと思うのですね。そして、それぞれの地域で、どんな小さな商売をしておっても、勤め人であっても、わずかな所得があればこれは全部それぞれの税金を納めておるわけです。もちろん、住民税については所得税との連動という問題がありますから、それは全体で考えなければならぬとしても、事業税に関してだけは、これは自治省として、先ほど言いましたように、今日の産業構造の問題を考えるときに、税制上の逆な誘導を考えなければ日本の経済というのが安定した形にいかないという点からも、むしろ所得税関係ない次元で積極的に、まずこれから、この事業税部分からだけでもやるべきだと私は思うのです。その点についてやるお考えがあるのか。これも全体でむずかしいから、七二%の経費率全体をいらわぬ限りは、ここも手をつけたらしかられるというようなことで後ろへ下がっておるのか。むしろこの際、この部分だけでも自治省が積極的に突っ込んでいくことが不公平税制を一歩でも解消する方向にいくのではないかと私は思うのです。御見解を伺いたいと思うのです。
  412. 森岡敞

    森岡政府委員 七二%の経費率を定めました特別措置は、昭和二十九年に決まったわけでございますが、これもまたやはり社会保険診療報酬の単価是正を低く抑えたというのが理由になっているように承っております。そういう意味合いでは、事業税の非課税措置も、それからこの七二%の経費の特別措置も、これは全く同じ観点から出ておるものというふうに理解すべきだと思うのであります。  そこで、その場合に、どちらの方が税負担上大きなアンバランスを醸しておるかと申しますと、先ほど数字で申しましたように、明らかに七二%の特別措置による経費率というものが非常なアンバランスをもたらしておるというのは、これはもう皆さんの公知の事実でありますので、やはりその問題をまず片づけるということが第一。それから第二は、事業税は御承知のように前年所得課税でございますので、前年の所得率、経費率をどうするかということがまず決まりまして、その上で翌年の事業税をどういうふうに決めるかということになるわけでございますので、タイミングといたしましても、七二%の経費率をどうするかということをまず解決するという方が先であろう、かように考えておる次第でございます。ヘジテイトしているわけではございませんが、そういうふうな意味合いで、基本所得税の方をまず措置をし、それに伴う住民税なり事業税のはね返りを措置をし、引き続いて事業税課題をどう取り扱うか、こういう取り組み方が妥当ではないかと思っているわけでございます。
  413. 水田稔

    ○水田委員 自治省は、来年度経費率の問題については不公平を責任をもって是正できるという確信がおありですか。私も、大変経済情勢が悪いし、国も地方団体も財源には大変苦しんでおるわけですから、不公平税制は一挙になくするのが一番いいと思うのです。だけれども自治省として、全体の所得税影響する七二%の経費率をやるだけのあれが矢面に立ってはなかなかないんじゃないか。自分たちのところでやれるところからでも突破口を開いていく、それをやらない限り、全体は同じように、昭和二十九年からずっと経済情勢が変わってくる、あるいは国民の所得の状態が変わってくる中で、常々問題になって今日まで解消できなかったわけでしょう。ですから、私は、いまの答弁なら、自治省はどんなに攻撃を受けようとも経費率七二%を来年度へ向かってやりますと、こう言うて御答弁いただけるなら、それで了承したいと思うのです。
  414. 森岡敞

    森岡政府委員 七二%の経費率の問題は、基本的に所得税の問題でございますから、これは私どもがどうこうするということをいまここで明言するということにはもちろんまいりませんが、ただ、先般来の国会の御審議を通じまして、現行の特別措置は五十三年度末で一応期限をつけて、その後でどうするかということの具体策を検討しようということが固まりつつある情勢でありますので、私どもとしては、国会の御審議も含めて、この問題の解決が五十三年度及び五十四年度において処理ができることを期待もいたしておりますし、また、私どものできる範囲内での努力もしてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  415. 水田稔

    ○水田委員 そのとおりなんですよ。そんなものは自治省だけでできっこないのです。だから私は、所得税に連動する部分は全体の論議として、しかし事業税社会保険診療報酬にかかわるものについては、現実にとにかく応益の原則からいってもおかしいし、自治省が主体になって要求することのできる税目だから、私はそのことにしぼって申し上げているのであって、全体ができればその中でこれもできますというようなことじゃなくて、むしろ積極的にこの部分から解消を図っていく、そういう努力をしてもらいたい、こういう要望をしておるわけですから、もう一遍その点についてお答えいただきたいと思います。
  416. 森岡敞

    森岡政府委員 所得税の七二%経費率というものが、金額においても大きいし、また、租税負担のバランスからいっても大きな課題だということは先ほど申し上げたとおりであります。これをまず片づける。もう一つは、事業税は前年所得課税なものですから、所得税における経費率がどうなり、所得率がどうなるかということを見定めた上で事業税課題の取り扱い方を決めるというのが、時間的な順序としては、むしろ現在の税制の仕組みから言うと合っている、こういうことなのでございます。  私どもは、事業税自治省自体の問題であり、自治省限りで判断をすべき問題であるということは御指摘のとおりだと思います。しかし、その前提としてといいますか、その前に七二%経費率という大問題があるわけでございます。それの処理の帰趨を見定めた上で事業税の問題に取り組みたい、かように思っている次第でございます。
  417. 水田稔

    ○水田委員 これは幾らやっても尽きないわけですけれども、私は、七二%の経費率というのは、それは不公平税制の最たるものですから、是正しなければならぬ。しかし、それは鯨のように大きいものですから、なかなか一挙にというわけにはいかないだろう。どこかで突破口を開くという、それは厚生省もがんばってもらわなければならぬし、あるいは大蔵省もがんばってもらわなければならぬけれども自治省もその中で、実際の実施は一年ずれるということになろうとも、そこらあたりから自分のところで突破口を開くという決意を持っていまから取り組まなければ、これはなかなか全体的に解決しないと思うから申し上げておるので、これは答弁を幾ら聞いたって同じことを言われますから、最後にそのことを——それからやるという決意だけは持ってやってもらいたい、こういう要望にしておきます。  それから、これは直接地方税といますぐ関連はいたしませんが、地方財源の問題として、運輸省の方来ておられますか。——入港料というのがあるわけであります。これは、加藤大臣は大変御苦労なさったからよく御存じだと思うのですが、入港料のいわゆる法律的な根拠なり現在の実態なりをまずお伺いしたいと思うのです。
  418. 中村哲

    中村説明員 港湾法の四十四条の二という規定がございまして、この規定に基づきまして、「港湾管理者は、当該港湾に入港する船舶から、」「入港料を徴収することができる。」こういうことになっております。  そこで、港湾管理者の設置されております港湾の数でございますが、日本全体で九百八十五港ございます。このうちで特定重要港湾、国の貿易の一増進上特に重大な港湾ということでございまして、横浜港や神戸港が属しますが、これが現在十七ございまして、そのうち十五港におきまして入港料を徴収中でございます。残りの二港のうちの一港につきましては、本年五月一日から徴収を開始する予定でございます。二番目の種類の港湾といたしまして、国の利害に重大な関係のございます重要港湾というのがございます。百七ございまして、現在入港料を徴収中の港湾は四十港、この四月ないしは五月に徴収を開始いたします港湾は七港でございます。それから最後に地方港湾というのがございます。八百六十一港中、現在四十四港で入港料を徴収いたしておりまして、一港がこの四月ないしは五月に徴収を開始する、こういう予定になっております。
  419. 水田稔

    ○水田委員 これは、条例を制定して料率を定める場合には運輸大臣の認可を受けなければならない。実際には条例を制定しても金を取れないというのが、これは岡山県の例を挙げて言いますと、大臣一番よく御存じですが、条例制定して七、八年全く金が取れないというような性格のものでしょうか。
  420. 中村哲

    中村説明員 ただいま先生の御質問にございました運輸大臣の認可にかかわります港湾は、先ほど申し上げました特定重要港湾十七港だけでございます。岡山県につきましては、五十二年五月一日から宇野、水島、岡山の三港につきまして入港料が徴収されております。
  421. 水田稔

    ○水田委員 港というのは大体府県が建設をするわけです。維持管理もやるわけです。これは全体のは調べてもらわぬとなかなかわかりませんので、例を岡山県の水島港で申し上げますと、これは若干違います。造成された土地を分譲したというようなものもありますから。あの港ができるまでに国が投入した金が八十一億円ぐらいです。県が二百二十七億ほどですが、これはまあ二百億ぐらいと見ていただいていいだろうと思うのです。  今度はそこから上がってくる金を言いますと、いま聞きました入港料というのが、全体的に半分しか実際は取れてない。そして、金額もこれは非常に少ないわけであります。水島港もまだ五十二年の五月からですから、条例ができたのは昭和四十何年で全く取れてないわけですから、実績ありませんが、全体で見ますと、取れるものは、一つはとん税があります。これは国に入りまして、国の一般財源で使われるわけです。特別とん税は国が徴収して、そして譲与税で市町村におりるわけです。それから、これは港の利用と直接関係はないわけでありますけれども、そこに入ることによって入るところの関税があるわけです。この水島港で先ほど申し上げましたような金をかけて、入るのは、これは水島だけという資料は大蔵省にもないそうでありまして、全体的な関税で類推する以外にはないのですが、関税として五十一年度が五千六十九億円です。恐らく五十二年度は六千億ぐらいかもしれません。そして、これは水島港の比率がどのぐらいかわりませんが、二十分の一と仮定しても、二百億から三百億の関税がこの港から国に入っております。それからとん税が、これは昭和三十七年開港以来の金額が三十億円、現在年間大体四億ぐらい市に入るわけであります。  そういうぐあいに見てみますと、港というのが、いまの税法はそういうぐあいになっておりますが、港をつくり維持管理するのは府県の責任、そして一般財源をつぎ込んでつくって、できた港から上がる金は国と市町村だけに入るということになっているわけです。もちろん、市町村の財源を取り上げるということは、市町村も苦しいわけでございますから、私も考えておるわけではありませんけれども、どう考えてみても、たとえば水島臨海工業地帯では、港の維持管理と同時に、あそこで起こる公害対策等では莫大な金を使う。そして、これは大臣も御承知のように、自民党の亡くなられた県会議員の渡辺さんなども、当時から石油関税の一部を公害対策の原資として地方自治体に渡すべし、こういう主張をずっとされてきたわけであります。そういう点を、総合的に港の維持管理を考える場合に、いまの税体系というので一体いいのかどうかということを私は考えるわけであります。これはいますぐどうこうできるというものではないと思いますが、大変な矛盾点があるということについてはお認めいただけるのじゃないかと思う。そしてこれについて、若干の時間はかかるかもしれませんが、地方財源という点で全体的に御検討をなさるお考えがあるかどうかをお伺いしたいと思うのです。
  422. 加藤武徳

    加藤国務大臣 水田議員は、私が県庁在任中に入港料のことで大変に苦労いたして、条例は制定できましたけれども実際の徴収がずいぶん延びてしまったいきさつは御承知のとおりでございまして、当時から私は、港の構築は港湾管理者がやり、それも地方で相当の金をつぎ込みながら、実際は税収等はずいぶん国に吸い上げられておりまして、その一部を地方に還元すべきだ、かような主張をしてまいったことも御承知のとおりでございます。が、いまの制度でよろしいのかどうか、かように畳み込んでおっしゃいますならば、私は十分に検討の余地があり、ことに地方税源を還元すべきだ、この考えをいま強く持っておるところであります。
  423. 水田稔

    ○水田委員 大変簡単な御答弁ですが、私は特に水島の問題を挙げましたのは、私自身会議員等でずっと非常に不満に思い、なかなかこれは国に響かぬ、こういう気持ちがしておったものですから、幸い加藤大臣特にこの問題では苦労されただけに、これは在任中にぜひいまのような方向で、私は具体的にこうしろああしろではなくて、少なくともいま申し上げたような税なり使用料、手数料いわゆる入港料という問題で、港の維持管理あるいはそこで起こる環境整備なり公害対策等を考えた税の再配分という面において、ぜひ一歩でも二歩でも前進させてもらいたい、このことを大臣に特に要望申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  424. 木村武千代

    ○木村委員長 次回は、明二十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二分散会