運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1978-02-28 第84回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十八日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 木村武千代君    理事 大西 正男君 理事 高村 坂彦君    理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君    理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君    理事 小川新一郎君 理事 山本悌二郎君       井上  裕君    石川 要三君       谷  洋一君    地崎宇三郎君       中村喜四郎君    中村  直君       西田  司君    与謝野 馨君       加藤 万吉君    新村 勝雄君       水田  稔君    斎藤  実君       和田 一郎君    中井  洽君       三谷 秀治君    川合  武君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     加藤 武徳君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁警備局長 三井  脩君         自治大臣官房審         議官      石原 信雄君         自治大臣官房審         議官      福島  深君         自治省行政局長 近藤 隆之君         自治省財政局長 山本  悟君         自治省税務局長 森岡  敞君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    公文  宏君         文化庁文化部文         化普及課長   白井  實君         参  考  人         (新東京国際空         港公団副総裁) 町田  直君         参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  角坂 仁忠君         地方行政委員会         調査室長    日原 正雄君     ————————————— 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     正示啓次郎君   石川 要三君     坊  秀男君 同日  辞任         補欠選任   正示啓次郎君     相沢 英之君   坊  秀男君     石川 要三君 同月二十日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     松野 頼三君 同日  辞任         補欠選任   松野 頼三君     相沢 英之君 同月二十一日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     石橋 政嗣君 同日  辞任         補欠選任   石橋 政嗣君     細谷 治嘉君 同月二十二日  辞任         補欠選任   水田  稔君     千葉千代世君   権藤 恒夫君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   千葉千代世君     水田  稔君 同月二十七日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     岡田 春夫君   中井  洽君     竹本 孫一君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     新村 勝雄君   竹本 孫一君     中井  洽君 同月二十八日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     岡田 利春君   山田 芳治君     井上 普方君   和田 一郎君     権藤 恒夫君   山本悌二郎君     大内 啓伍君   三谷 秀治君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     山田 芳治君   岡田 利春君     加藤 万吉君   権藤 恒夫君     和田 一郎君   大内 啓伍君     山本悌二郎君   不破 哲三君     三谷 秀治君     ————————————— 二月二十四日  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四七号)(予) 同月二十八日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  二九号)  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第三六号) 同月十七日  東京財政確立に関する請願(有島重武君紹  介)(第一一四二号)  同(大久保直彦紹介)(第一一四三号)  同(大野潔紹介)(第一一四四号)  同(長田武士紹介)(第一一四五号)  同(斎藤実紹介)(第一一四六号)  同(鈴切康雄紹介)(第一一四七号)  同(竹入義勝君紹介)(第一一四八号)  同(中川嘉美紹介)(第一一四九号)  同(長谷雄幸久紹介)(第一一五〇号)  同(松本忠助紹介)(第一一五一号)  同(小川新一郎紹介)(第一一八四号)  同(工藤晃君(共)紹介)(第一二四五号)  同外一件(小林政子紹介)(第一二四六号)  同(不破哲三紹介)(第一二四七号)  同(松本善明紹介)(第一二四八号)  地方財政確立等に関する請願三谷秀治君紹  介)(第一二三二号) 同月二十一日  地方財政確立等に関する請願荒木宏紹介)  (第一三〇七号)  東京財政確立に関する請願小林政子君紹  介)(第一三〇八号)  地方公営企業財政健全化に関する請願加藤  清二君紹介)(第一四二六号) 同月二十七日  東京財政確立に関する請願高沢寅男君紹  介)(第一四七〇号)  同(金子みつ紹介)(第一五二四号)  同外一件(長谷川正三紹介)(第一五二五  号)  地方財政確立等に関する請願春田重昭君紹  介)(第一四七一号)  地方公営企業独立採算制度廃止等に関する請  願(安藤巖紹介)(第一五五八号)  同(田中美智子紹介)(第一五五九号) は本委員会に付託された。     —————————————本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政及び警察に関する件      ————◇—————
  2. 木村武千代

    ○木村委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川省吾君。
  3. 小川省吾

    小川(省)委員 文化庁においでをいただいておりますので、簡単な問題ですから、先に質問をさせていただきます。  地方文化施設整備費補助というのが文化庁予算にございますね。たしか本年度は十六館、一館当たり七千五百万円というふうになっているのだろうと思いますが、そうですか。  それと同時に、当然文化施設を建てるのには起債が必要でありますけれども、これは自治省との話し合いになるのでしょうけれども起債充当率は大体どんなふうになっておりますか、まずお伺いをいたします。
  4. 白井實

    白井説明員 お答えいたします。  地方文化施設につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、五十三年度につきましては現在予算審議していただいておりますけれども、十六館、単価七千五百万、総額十二億計上されております。  なお、起債につきましては、自治省の御方針として一応査定事業費のおおむね七〇%ということで行われておるようでございます。
  5. 小川省吾

    小川(省)委員 これは自治省に伺うのですが、いま伺うところによると充当率が大体七〇%だろうというふうに言っておりますが、御承知のように今回の予算の中では充当率九五%というのが公共事業等中心にして軒並みですね。七〇%の充当率というのは何といっても文化軽視ではないか、こういうふうに思いますが、この充当率を少なくとも九〇%ぐらいにしていただけないかどうかを自治省にお伺いいたします。
  6. 山本悟

    山本(悟)政府委員 起債充当率というのは、地方債の機能なり、事業の性格なり、交付税その他の財源措置要求というようなものの関連決定をいたしているわけでございます。御案内のとおり、一般的には従来平常時におきましては七〇%程度という充当率、あるいは公共事業等はもっと低い充当率であったわけでありますが、現在は御案内のとおりの財源対策ということで公共事業に対します地方債充当率を非常に引き上げている。これはあくまで現在におきますところの地方財政一般財源不足というものを財源対策として処置いたしておりますので九五というような高い充当率にいたしているわけでありますが、通常の事業というものにつきましては、そういう高い充当率にすることの適否というものはやはり問題があろうかと思うわけでございまして、この地方文化施設につきましては、文化会館といったような施設については七〇%、美術館、博物館、図書館といったようなものは、府県は七〇%、市町村は七五%、こういうような充当率というものを予定いたしているわけであります。そういうように、九五というのはむしろ財源対策としての特殊の事例ということでございまして、そう高い充当率に一概に持っていくことがいいのかどうか、なおよく検討する必要のある事項じゃないかと思っております。
  7. 小川省吾

    小川(省)委員 おっしゃるのですが、現在、地方文化施設というのは非常に重要視をしなければならぬ、こういうことですから、まだ最終的な結論に至っていないのでしょうから、ぜひひとつ充当率を九〇%ぐらいには持っていっていただきたい、こういうことを強く要請をいたしておきます。文化庁、結構です。  大臣所信表明に対して若干の御質問を申し上げたいと存じます。  まず、総論の中で大臣は「三十年という一区切りを経た今年を新たな出発点として、地方公共団体が自主と責任基本とし、真に国民信頼にこたえ、時代の変化に即応した地方行政を行うことができるよう、長期的展望に立った行財政両面にわたる地方自治基盤の一層の充実を図ることが必要であると存ずる次第でございます。」とお述べになっております。しかし、この両三年の地方財政対策が果たして国民信頼にこたえるような対策になっているかどうかということになると非常に疑問を持たざるを得ません。そこで、後年度にそのツケを回して借金の積み上げばかりを強要する借金累増政策をとり続けながらこのようなことをおっしゃるのは、ただ単なる願望にすぎないのではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
  8. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたように、私は所信表明の中におきまして、長期的展望に立ちまして、行政財政両面にわたりまして地方自治基盤を一層発展させなければならぬ、かような考え方を述べたのでございます。  わが国地方制度は、御承知のように、発足後三十一年目に入っておるのでございますけれども、諸外国の場合、長い歴史と伝統を持っておりまするところは地方自治が非常に高く評価され、確立されておるのでありますけれどもわが国におきましては必ずしもそうではないのでございます。そこで、行政面財政面両面にわたりましての発展を遂げていかなければならぬ、このことが地方自治の本旨でもあろうか、かように考えておるのであります。  ただ、御指摘のように、昨今の財政状況のもとにおきましては、行政面では相当進展していると思いますけれども財政面におきましては必ずしもそうではないのでございます。しかしわが国経済もやがて安定成長の段階に入ってまいりましょうし、また中央、地方を通じまして行政事務の再配分等を行うことによりまして、できるだけ地方自治発展のために努力をしてまいろう、かような私の根本考え方を申し述べたところであります。
  9. 小川省吾

    小川(省)委員 わかりました。  十二月二十三日、自治大臣大蔵大臣との間に交わした覚書がありますが、この点について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  まず、この覚書の持つ効果はどのようなものかということです。法律と同程度効果を持つものなのかどうか。このような覚書を今後も継続して随時行っていく考えなのかどうかをお伺いいたします。
  10. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昨年暮れ締結をいたしました大蔵大臣と私との間の覚書のことについてでございますけれども、御承知のように覚書両省で合意のできましたものを文書にいたしたものでございまして、したがって法律のように拘束力を持つものではないのでありますから、あくまで両省間における意見の一致を見ましたものを文書にいたした、かようなことにとどまろうかと思うのでございます。  そこで、今後も継続をするかどうかという点でございますけれども、私は当分の間の覚書をいたしておりますので、毎年新たなものということではないと思うのであります。しかし、財政等抜本措置ができました場合にはこの覚書の一応の成果が上がった、この覚書の結末がつく、かようにも思っておるのでありますから、来年度以降どのような形になりますかまだしかとした見通しを持っておらないところであります。
  11. 小川省吾

    小川(省)委員 まず、覚書の一項は、国の償還額特別会計へ繰り入れることを明定することにいたしております。この中に「地方財政が好転し、あるいは地方税財政制度基本的改正が行われるまでの間、」とあります。何年度から地方財政が好転をすると考えられるのか。好転しないとすれば何年度から地方団体期待をするような形での基本的改正をしようと言われるのか、その点について伺いたいわけでありますが、まず基本的な改正というのは何のことを指すのかお伺いいたします。
  12. 加藤武徳

    加藤国務大臣 基本的な改正行政面財政面両面から言えようかと思うのでございますけれども、私がただいま具体的に頭に描いておりますことは、なるべく早い時期に税負担増加を求めざるを得ないような昨今の情勢でございます。地方制度調査会等におきましてもこの点を指摘をされまして、先に寄れば寄るほどむずかしくなるぞ、なるべく早い時期に税負担増加を求めるのが適当である、かような意見も述べられておるのでありますから、でき得べくんば五十四年度からでもさような体制をとっていかなければならぬ。そして、そういう中におきまして国におきましてもまた新たな税等を考えることも予想されるのでありますから、さような場合等を頭に描きながら再来年度に対処いたす、かような考え方であります。
  13. 小川省吾

    小川(省)委員 予算委員会でも問題になったわけでありますが、地方財政中期試算について御提出をいただきたいと思うのですが、すでに準備は整っているのでしょうかどうですか。
  14. 加藤武徳

    加藤国務大臣 予算委員会におきましても、なるべく早い時期に試算をいたしたい、かようなお答えをいたしておるのでございますが、ただ試算をいたすに当たりましては大蔵省考え方をもしんしゃくいたしなからこれとの整合性を持っていかなければならぬのでございます。そこで、大蔵省は御承知のように五つケースにわたりましての試算をいたしておるのでございますけれども、私ども五つケースそのままを地方財政試算に持ち込もうとは思っておらないのでありますが、その整合性が必要であることは申すまでもないことであります。  ところで、二月一日に大蔵省提出いたしましたあの試算では足らずとされまして、この点が問題になっていることは御承知のとおりでございますから、これに対しまして大蔵大臣が善処いたすことを約束をしておられるのであります。私の想像しますところでは、たとえば付属書類等につきましていま鋭意作成をいたしておる、かようなことであろうかと思うのでありますから、さような推移を見ながらなるべく早く試算提出いたしたい、かように考えているところであります。
  15. 小川省吾

    小川(省)委員 大蔵との整合性の問題いろいろあるでしょうが、ぜひひとつなるべく早く試算を本委員会提出をしていただきたい、こういうことを要請をいたしておきます。  それから覚書の二項でありますが、昭和五十年度と五十一年度借入金について定めておりますね。法に明定をせずに覚書だけでやっているわけでありますが、後年度に確実に補てんされるということが期待をできるのですか。この点はどうですか。
  16. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘のように覚書の二項は、昭和五十年度並びに五十一年度の特会におきまして借り入れた借入金につきましての処置を明記いたしておるのでございまして、私は、両省最高責任者の取り交わした覚書でございまして、大蔵省信頼いたしております。
  17. 小川省吾

    小川(省)委員 この覚書が無にならぬように、ぜひひとつ今後とも大蔵を監視をし、督励をしていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、この所信表明の中にも出ているわけでありますが、財源不足額を三兆五百億円というふうに設定をいたしましたね。この三兆五百億円という数字はどこから出てきたのですか。
  18. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、地方財政対策を進めてまいります上では、五十三年度におきましては歳入がどの程度であるか、この試算をいたさなければならぬのでありまして、その中心になりますことはもとより地方税収であり、あるいは手数料その他の収入であり、かつまた交付税交付金等であるわけでありますけれども、さようなものを試算をいたしまして、そして歳出の面におきましては、たとえば人件費等の義務的な経費でありますとか、あるいは投資的な経費でありますとか、さようなことを算定いたしまして、その結果といたしまして三兆五百億円の不足財源が生じた、かような計算であります。
  19. 小川省吾

    小川(省)委員 そうですね。例年こういうことをやってきまし先ね。五十年度も五十一年度も五十二年度もやってきたわけですが、そこで、こういうように従来、過去五十二年、五十一年等で設定をした財源不足額が、最終的な決算といいますか最終的な場合で乖離を生じたことはないのかどうか。見積もった財源不足額と実際の財源不足額が合っていたのかどうか、こういう点についてお伺いいたします。
  20. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の点でございますが、年度当初におきましてまず翌年度財政対策をとる、そのためには当然のことながら見込みによりまして不足額を算出をし、それに対しまして交付税の増額なりあるいは地方債の増発なりという措置によりましてその補てんをする、こういうようなかっこうをとっているわけでございます。その点は、地方財政計画の策定を通じまして各団体にもお示しし、また御報告もいたしている次第であるわけでございますが、決算との対比ということになってまいりますと、これは年度途中におきます各種の状況変化、あるいは基本的にございます地方財政計画決算との乖離というような点も含まれてまいりますので、当初に立てました財政の収支の不足というものに対します財政対策というものが決算等の結果としての違いというようなことになってくるかどうかというのは、しかく的確には判定はしがたいわけでございます。  ただ、たとえば五十年度のように非常に税収が途中で減少するというようなことになってまいりました際には、当然のことながらそれだけの当初の対策では足らなかったというようなことがはっきりいたすわけでありまして、それはまた、その途中におきまして減収補てん債といったようなことによって必要なる手当てはしていく、かようなことをいたしてきている次第でございます。
  21. 小川省吾

    小川(省)委員 所信の中で、地方税のところで言及をしているわけでありますが、「当面、地方税収入に多額の自然増収期待することは困難であり、」「今後、中期的には国民租税負担増加を求めざるを得ないのではないかと存じます。」とあります。これは本音が出たのだろうと思いますが、先ほども言われたように、私はこの中で、国民に対する租税負担増加を求めていくことを期待をしているということだと思うのでありますが、いかなる形の税目期待をしているのか、あるいはまた、大臣の先ほどのお話によっても、できれば五十四年度一般消費税等を創設をして、それを国税四税というかそういうところに取り入れたい、国税四税として交付税対象税目にしたいというような考え方があるやにうかがわれますけれども、そういうことなのかどうか。  また、中期的と言っておりますが、何年度ぐらいから増税による収入増を見込んでおられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  22. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方自治発展させてまいります上で、地域住民に身近な仕事はたてまえとして地方団体仕事としてやっていく、これが原則であろうかと思うのでございます。その際、地方財源を強化いたしますことがこれまた地方自治発展のために不可欠のことでございますから、でき得べくんば地方税収の増強を図ってまいりたい、かような根本考え方でございまして、今国会において審議をいたします税法改正も五十三年度ベースで五百億円を超える増収期待しており、また平年度ベースでは七百億円を超えますような税収期待しておるようなわけでございます。しかし、将来を展望いたします際に、さらに地方税収の強化が必要である、かような根本考え方に立っておるのであります。  そこで、具体的にどういうことを考えているのかという御指摘でございます。  地方制度調査会におきましても、また税制調査会におきましても、事業税におきます法人の外形標準課税導入のことが非常な議論になったことは御承知のとおりでございます。ただ、五十三年度でこの外形標準課税導入いたしますことは困難な結果になったのでありますけれども、私の考え方といたしましては、でき得べくんば五十四年度でかような導入を図っていくべきではないだろうかと思っているのであります。  ただその際、国税においてどういう体制をとるか、これと密接不可分関係がございます。したがって国税で考えられております一般消費税との関連において調査会等で論議されたことは御承知のとおりでございますから、仮に国税におきまして新しい税目が起きるようなことがありといたしますならば、私は交付税計算国税三税ではございませんで国税四税、かような考え方、あるいは国税五税という考え方発展させることによりまして交付税の確保を図っていきたい、かように考えているところであります。
  23. 小川省吾

    小川(省)委員 それから、「地方行財政制度等整備」という項なんですが、「自主的で責任ある地方行政を確立するため、国と地方公共団体との事務配分財源配分について引き続きその改善に取り組んでまいりたいと存じます。」と言われています。おっしゃるとおり、大賛成であります。しかし、地方事務官制度一つを取り上げてみても何ともならない状態で、こんなことに期待が持てるわけはないわけだと思うのです。地方事務官制度はどうなっているのか。陸運事務所の問題についても、知事会期待をしているような形とは異なっているようだが、地方事務官地方公務員への移管という形で解決をしようというふうに自治省は現在でも考え、かつ進めているのかどうか、この点についてお伺いをいたします。
  24. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように地方事務官制度は当分の間かような制度が設けられたのでありますが、今日二万名を超えます方がいわゆる地方事務官として勤務をいたしておる、当分の間が三十二年も続いてしまっておる、かようなことであります。そして、当委員会におかれましても期限を切られまして、かようかような期限までに地方事務官制度を廃止せよという決議をいただいていることもよく承知をいたしているのでございますけれども、非常にむずかしい問題でありますだけに三十二年もそのまま放置をされておる、かようなことであります。そこで、昨年十二月に閣議決定をいたしました行政改革の中におきましては、厚生省と労働省関係につきましては二年以内であるけれども運輸省関係については今国会解決をいたす、かようなことでございまして、やがて御審議をいただかなければならないことに相なるのでございますけれども、しかし、私ども期待しておりますような解決方法がなかなか困難な状況であるということを率直に申さざるを得ない現況でございます。
  25. 小川省吾

    小川(省)委員 率直におっしゃいましたけれども、私はそうだと思うのです。しかし、衆参の地方行政委員会で上げた決議でも、知事会の要望においても、地方事務官地方公務員移管をするということが基本になっているわけでありますから、ぜひそういう点を貫いていってもらいたい。現在の運輸省の状態を見てもほとんど大半は国家公務員にしてしまうというような案のようでありますが、ぜひひとつそういうことのないように、少なくとも地方へ身分が大半は移管をするという形で取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
  26. 加藤武徳

    加藤国務大臣 運輸省関係地方事務官が所掌してやっております仕事は、車の検査と登録、それから一般運輸行政、この二つに大きく分け得ると思うのでございます。そこで、すべての地方事務官地方公務員、これが理想でございますけれども知事会等の意向をしんしゃくいたします場合に、車検並びに登録の事務については中央が所掌してもやむを得ないのではないであろうか、かような空気がありますことは、私ども率直に認めておるようなことでございまして、今回の解決に当たりましては、車検、登録等に関してこれを国に移管しますことはやむを得ないのではないであろうか、しかし一般運輸行政につきましてはできるだけこれを都道府県にとどめまして、そしてやがては地方公務員にいたす、かような方向での努力をいたしてまいろう、かように考えているところであります。
  27. 小川省吾

    小川(省)委員 地方陸運事務所の実態では車検、登録事務の職員が大多数でありまして、一般行政として過疎バスの運行あるいは地域住民の足を守る運動、そういうことで一般の行政事務だけといっても残る人員はほんのわずかではないのか、こういうふうに思います。それでひとつ本当に申しわけ的に一人や二人を地方公務員によこすなどというようなことのないように、ぜひ運輸省との間に話を詰めていただきたい、こういうことを要望いたしておきたいと思います。  それから、国家公安委員長として警察行政所信の多くを割いておられます。それなりに結構なことだと思っているわけでありますが、婦女暴行致死の警察官松山純弘にも言及をして国民に陳謝をしております。私はそれなりに時宜を得た適切な発言だと思っております。松山純弘の件について若干お伺いをいたしたいと思うのであります。  この事件は起こるべくして起きた。数ある警察官の中には性悪の者もいる。警察官だとて現代青年の範疇を越えるものではないという議論が一方にはあります。また一方では、警察官すべてがりっぱな人格者ではないけれども、法を守る警察官として他の指弾を受けるようなことがあってはならないという議論もあるわけであります。こういう松山のような警察官がなぜ事前に要注意人物としてわからなかったかということであります。四十歳、五十歳代の警察官と二十歳代の警察官との間に大きな断絶があるのではないかと思います。話し合いや人間としてのつき合いがないのではないかと思うのですが、いかがですか。
  28. 加藤武徳

    加藤国務大臣 所信表明の際、御両親や御遺族並びに国民の皆さんにおわびをいたしたのでございますけれども、松山純弘のような全く言語道断な警察官を出しましたことは本当に申しわけないことでございまして、心からおわびしなければならぬのでございます。そこで国家公安委員会といたしましては、会議を持ちまして、警察庁長官に対しまして今後断じてかような警察官を出さないように徹底した処置をしなければならぬ、かような指示をいたしたようなことでございます。  そこで、私は大体三つの点がポイントであろうかと思うのでございますが、その第一点は、警察官として採用いたします段階のことでございます。端的に申しまして、松山純弘を採用いたします際に、若干の疑念がないでもなかった点がございますけれども、今後は断じてさような人物を警察官にしてはならない体制をとっていかなければならぬことが一点。  第二点は、警察学校に入校せしめまして人格の形成や人間陶冶のための訓練をいたすのでございますけれども、いままでのカリキュラムで果たしてよかったかどうか、このことを真剣に検討していかなければならぬし、なおかつ高等学校を卒業いたしますと直ちに警察官になり得るのでありますから、成年に達しますまでにまだ二年間ございます。そこで、学校教育をいまの一カ年でいいのかどうか、少なくも二カ年程度は学校でみっちり教育を行いまして、そして第一線に立ちます際には成年に達しておる、かようなことでなければならぬのではないか、かような議論もございますから、その点でも十分な検討が必要でございます。  それから若い警察官が第一線に出まして、今日の警察は非常な激務でございますから、したがって上司が指導監督いたしますような時間がきわめて少ないのが現況でございますけれども、しかしそうあってはならぬのでありますから、非常な激務の中におきましても上司が十分に指導監督ができ、かつまた親身になって相談に乗ってやれるようなそういう体制をとらなければならぬのでございますから、かようなことを指示いたしまして、警察庁といたしましてはその体制をとってまいっておるようなことでございます。  しかしお願いいたしたいことは、二十万近い警察官のうち他の全部といっていい方々は本当に国民の生命、財産を守るために一生懸命に日夜活動いたしておるのでございまして、一人の松山のために全警察官が肩身の狭い思いをいたしましたり、かつまた不信の気持ちで見られますことはたまらないような感じがいたすのでありますから、ぜひそうではないような国民の御配意を心からお願いいたす次第であります。
  29. 小川省吾

    小川(省)委員 いや、私も松山一人によって警察官が誤解を受ける、あるいは国民から信頼を得られない状態になるなんということはないと思うのでありますが、肩身の狭い思いをしなくても大部分は優秀な警察官でありますから、そういう点で私は先ほど申し上げましたように、四十歳代、五十歳代の人と若い人たちの間に断絶があるんじゃないか、話し合いが行われていないんじゃないかと思うのですが、そういう人間的なつき合いの場というのがあるのかないのか、これは警察庁の方だと思いますが、そういう点についてお伺いをしたいと思うのです。
  30. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の点を含めて警察庁といたしましては、教育の問題、特に警察官に対する人間教育あるいは職場の中における指導監督の問題を中心といたしました青年警察官教養推進要綱というのを策定いたしまして、反省の上に立った対策を推進いたしたいと考えておるわけでございます。  先生ただいま御指摘の点でございますが、警察官は警察官である前にまずよき市民でなければならないということが最も肝心なことだろうと思います。そういう意味で、今後におきましても部内で上司、先輩が青年警察官に対してそれを温かく包摂していくことが必要ではないか。断絶ということで申されましたが、確かにただいまの青年には、青年警察官のみならず現代青年特有の心理状況がございます。警察官といえども現代の社会的風潮の中に育って警察に志願してきておるわけでございますから、どちらかというと利己的であり、若い者らしい正義感に燃えているということも必ずしもない。そうした気力、体力、しつけの面でいろいろな問題をはらんでおるわけであります。そういう点で私ども、特に職場の教養という点におきましては、今後、心の問題、人格形成の問題というものを重要視しまして、人間としての生き方、あり方、人生の生きがいといいますか、そうした市民としての人生哲学というものを考える機会、これを多く与えまして、一人一人の警察官が自分でみずからを啓発していく自己啓発の収穫が多くなることを期待しておるわけでございます。  そのための具体的方策でございますが、愛情を持って若い警察官を包み込んでいくということは従来からも努力しておりますが、まだまだ十分でない点がある。その意味で警察の枠を越えていろいろな見聞を拡大させるためのいろいろな読書指導でありますとか、部外有識者の講演、部外の各種団体との交流、そうした世間との関係の機会をできるだけつくっていく。それから上司、同僚との間で本当の人間的接触ができるように、旅行とか各種スポーツ、そうしたレクリエーション活動も推進する。あるいは書道、茶道、観劇といったような文化活動も推進していくということで従来からも努力しておりますが、今後ともさまざまな工夫をこらしていきたいと思っておるわけでございます。  特に御指摘の点は、私生活の分野で各級幹部が青年警察官との接触をしているかどうか、本当に人間的な接触をしているかどうかという点にも関連すると思いますが、この点につきましては愛情を持って隔意のない対話に努めていく、具体的な生活相談に応じて悩み事を解決していくように努めろということを部内に徹底しております。そうしたことによって生まれる心のきずなというのが不祥事案防止のために大きく機能すると思いますので、今後とも十分努力してまいろうと思っている次第でございます。
  31. 小川省吾

    小川(省)委員 若い警察官と話をいたしますと、よくこういうことを聞きます。いま現在の四十歳以上の警察官が一人残らず退職をしていかなければ警察はよくなりませんよ、民生化されないんですよということを若い二十代の警察官がよく言いますが、こういう点についてはどうお考えですか。
  32. 山田英雄

    山田政府委員 ただいまお尋ねの点、全部の若い警察官が心からそう思っているということはないと私は確信しております。若い警察官には反面非常に甘えがあるわけでございます。それは私ども警察の職務の特殊性を申し上げる必要はないと思いますが、文字どおり昼夜を分かたず、雨の日も雪の日も、暑さ寒さにかかわらず、寧日いとまなく活動をしなければならず、また、警察事案というものは大変突発的なものでございます。したがって、長時間の超過勤務、深夜の非常招集とか、長時間の待機など、一般社会人に比べて大変拘束される度合いが強い。また、時として身命を賭する。現に殉職事案も数多く出ているような特殊な仕事でございまして、これについては私ども職業倫理として、やはり他の職業とは違う正義感とか責任感、使命感、忍耐心、厳正な規律、こういうものが強く要求されておるわけでございまして、このいわば職業倫理は若い青年警察官に体得してもらわなければならないわけであります。これは先ほども触れましたが、気力、体力、しつけに欠けるところが多い現代青年にいま申し上げた職業倫理を体得させるには大変な努力が要るわけで、従来ともその点、十分に青年の心理を配慮に入れながら努力しておるところでございますが、古い四十代以上の警察官につきましては、この点については体得するところが多いわけでございます。その辺とのギャップが、私ども内部で見ますればむしろあるのではないか。もちろん四十歳以上の警察官に、青年の心理を理解しながら指導監督に努めるように、私ども巡査部長、警部補、そういった者に対する指導教養について改善を加えることも検討しております。検討しておりますが、断絶ということが、全部退職しなければ解消できないというたぐいのものではないと思っております。
  33. 小川省吾

    小川(省)委員 警察というところは階級社会というか、上意下達の宿命を負っておるわけであります。そういう社会における民主化もあるはずだと私は思うのであります。階級社会における民主化ということについてはどのようにお考えですか。
  34. 山田英雄

    山田政府委員 警察におきます陛級といいますのは、職務執行上、その職務の特殊性から来るわけでございまして、いわば通常の職業における上下関係を明確に階級で明らかにしたというだけのことでございます。それでありますので、そういった階級社会と民主化の進展度合いに私は余り直接の関連はないと思います。ただ、階級社会でありますだけに、上下の関係に厳しさと同時に温かさ、愛情というものがなければならない。これは強く求められていると思います。先ほど御答弁申し上げましたように、青年警察官に対して、階級ということとは別に、私生活の分野まで含めて温かく愛情を持って接することが必要であろうと思います。そのことはいま御指摘の民主化ということとは余りかかわりのない、同時に反面申し上げれば、警察の社会に民主主義はないというようなことは全くないわけでございまして、職務遂行上必要な階級があるというだけのことであろうと思います。
  35. 小川省吾

    小川(省)委員 当然プライベートの生活や人格も尊重されなければならないはずであります。しかし、上司と部下との間のマン・ツー・マンというか、ヒューマンリレーションが少ないのではないかと思われるわけであります。一緒に飲んだり語ったり、そういう機会がないために一人で憂さを晴らすような若い警察官が多いのではないかというような感じを持ちます。青年警察官に対するいわゆる教養というか、人間的な陶冶、成長への援助は具体的にはどうなされているのですか。
  36. 山田英雄

    山田政府委員 具体的な方策をお尋ねでございますので、先ほども若干は触れさせていただいたわけですが、先ほども申し上げました実務上必要な教育ということのほかに、それを越えて、やはり見聞を広めるための人間性を幅広く育てていくための教育というものに努力する、これが一つでございます。  その内容は、やはり自己啓発の機会を広めるための読書指導とか部外との接触を図らせる。青年の家というようなものが各県にもございますが、そこでいろいろな他の社会の青年との交際を深めるとか、あるいは郷土史を研究させる、史跡への探訪を行う、あるいは工場、企業等の見学を行わせるというようなことを、広く従来からも努めておるわけでございます。そのほかレクリエーション活動というものについての助成も行っておりますし、レク・リーダーの養成とか自主的なクラブ活動、こういうことにも細かな配慮をしておるところでございます。  そのほか、やはり人間関係を上司、同僚との間に深めるということのためには、施設環境というものの改善が大きく影響すると思います。警察学校の中でのレクリエーション活動と申しましても、体育館、プール、そういったものの施設が現在ない状態でございますので、この点につきましても今後整備に努力してまいりたいと思います。  それから、マン・ツー・マンでの人間関係を、コミュニケーションを職場の中で維持して風通しをよくする、こう申しましても、やはり生活の場である独身寮、これの施設面での改善が必要であろうと思います。現状では、環境としては大変劣悪なものも多いわけでございまして、そういった集会室とか談話室とか、本当に安らぎの場であり、ゆとりのある環境に整備してまいろうと思っております。  それからカウンセリング制度というのがいま一つの問題でございますが、いま警察の中では、警察官、適任と思われる者がカウンセラーとなって生活相談、性の悩みなどの訴えを処理することに努めておりますが、やはり部内の職員でございますと本当の悩みというのは打ち明けられない、そこに現状では問題があると考えておりますので、今後は、部外の経験豊富な有識者の方にお願いいたしまして、本当に個人的な悩みの秘密が保たれて、しかも十分なカウンセリングができるというようなことについて努力してまいろうと思っておる次第でございます。
  37. 小川省吾

    小川(省)委員 東京地検では、十五日に、松山が昨年八月盗んだクレジットカードでデパートで買い物をしたり、ホテル等で約九十三万五千円相当の買い物をしたと、詐欺罪で追起訴したようであります。警視庁段階の調査ではこれはわかったのですか、わからなかったのですか。
  38. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  捜査の過程でただいま御指摘のクレジットカードによる詐欺事件は、最終段階においてその容疑が固まったわけでございます。二月六日に、盗んだクレジットカード使用の詐欺事件二十九件を追送いたしております。これにつきまして、ただいま御指摘のように、その後、そのうちの二十三件につきまして地検で起訴になったということでございます。
  39. 小川省吾

    小川(省)委員 この松山純弘みたいな警察官が、まさに精神異常というように思われるのですが、こういうようなのが日常生活の場で発見できなかった理由が一体那辺にあるのか、私にはよくわからないわけであります。  そこで、この事件の反省の上に立って、警察学校やあるいは拝命直後の青年警察官の教育を改善をしたのか、あるいはしようとしているのか、この辺について伺います。
  40. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  松山巡査の不祥事件につきまして、これは大変破廉恥な犯罪でございまして、警察官以前の人間の問題であろうと思いますが、御指摘のように、なぜこうした人間を採用したのか、採用後において教育の場で発見、是正できなかったか、あるいは職場での指導監督で発見、是正できなかったかということは、私どもの深刻な反省点でございます。  ただ、採用の段階におきましては、いろいろ精神的な検査、クレペリン検査と専門的に申しておりますが、そうした心理適性検査も実施しておるわけでございますが、その心理適性検査、面接試験を通じて、問題であるという判断は出ておらなかったわけでございます。それから、大変内向的な性格であるということは、教育の場、職場指導の場でも認められたわけでございますが、特にこのような重大な破廉恥罪を行うという予測がつかなかったということは、大変残念ながら事実であります。  そこで、その反省の上に立ちまして、採用方法につきましては、試験方法を改善する、新しい心理的な適性検査の手法も開発して、できるだけ警察官として不適格な者が精神的、医学的に排除できないかということを専門的に研究することにいたしております。  それから御指摘の教育の問題につきましでも、新任教養、ただいまは高校卒が一年でございますが、これを二年間に延長して、その期間内において適格性の判断をしっかりと行うということ、人間教育を充実するということも検討を進めておるところでございます。
  41. 小川省吾

    小川(省)委員 十九、二十といえば、いまだ親がかりが多いのが昨今の実情であります。しかも一方では、警察官として社会の指導者と目されるわけであります。若い警察官としては、大きな矛盾を抱えておるわけであります。  警察官といえども、青年は常に情緒が不安定であり、依頼心があり、あるいは甘えもあるわけであります。警察は上と下の関係の強い社会でありますから、特に多感期の青年を指導していくには、人間的に結ばれた、血の通った人間関係をつくるよう、青年警察官の人格形成に向けて、予算を大きく取り、教育をしていかなければならないと思うのであります。現在の警察予算が必ずしもそのようであり、そう使われているとは思っていないわけであります。特に、多感期の青年警察官も、大部分の方々が優秀なのでありましょうが、人間的に温かみのある、教養のある警察官を指導育成をするように、特段の御努力を要請して、私の質問を終わります。
  42. 木村武千代

    ○木村委員長 水田稔君。
  43. 水田稔

    水田委員 大臣は私と同じ岡山県で、八年間県知事をやられておりまして、自治大臣になられて、私は、大変地方が厳しいときだけに、地方の苦しさというのは一番身につけておられる方だ、それだけに大変期待をしたわけでありますけれども、今度の所信表明なり地方交付税法に対する措置なり見まして、残念に思っておるところであります。  そこで、大臣所信表明の中に、地方団体が「自主と責任基本」としてと、こういうことを言われておるわけであります。これは当然、地方自治の本旨ということをこういう言葉であらわしておると思うのでありますが、これは住民自治、そして地方財源もきちっと保障される、そういう前提がなければ住民自治というものは保障されないと思うのですが、その点については、そのように大臣もお考えになっておるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  44. 加藤武徳

    加藤国務大臣 憲法は、その第九十二条で、「地方公共團體の組織及び運営に關する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」かように規定されておるのでありまして、地方自治の本旨と申しますのは、私は、団体自治と住民自治と両面のことであろうかと思うのでございますけれども、ただいま主として団体自治のことに関しての御指摘でございまして、地方団体が身近な仕事をみずからの手でやっていかなければなりませんためには、どうしても自主財源を豊富に持たなければならぬのでございまして、その中心となりますものが地方税収であり、また交付税であることは申すまでもないことでございますから、ただいま、期待をしておったのに残念だったというような御表現がございましたけれども、私は私なりに予算編成におきまして努力をいたしたっもりでございますし、ことに私も自分で地方行政を担当してまいっておりまして、中央の考え方ややり方の物足らなさをみずから経験しておるのでございますから、そうではない、自主性を高め、自立性を高めてまいりまする方向で、これからも一生懸命にがんばっていかなければならぬと、かような決意をいたしておるところであります。
  45. 水田稔

    水田委員 そうしますと、これは予算委員会等の質疑を通じて大臣の答弁を聞いておりますと、ことしの地方財政の危機というものは、財政の変動期といいますか、そういう言葉をたくさん使われておるわけでありますが、地方財源が二兆円以上足りないのが、昭和五十年から五十三年を含めると四年連続、こういうぐあいに起こっておるわけですね。これは私は、ことしだけの特異なものではなくて構造的なものだと、こう理解せざるを得ないわけですが、大臣はどういうぐあいにそれをお考えになりますか。
  46. 加藤武徳

    加藤国務大臣 構造的と言えますかどうか、とにかく昭和四十八年暮れの石油ショック以来、五十年、五十一年、五十二年、五十三年と、かように四年連続の地方財政財源不足が生じてきておるのでありまして、五十二年度におきましては二兆円台の財源不足でございましたが、五十三年度におきましては、御承知のように三兆円を超えますような財源不足が生じておるのでございまして、私は構造的と言えますかどうかは別のことといたしまして、やはり経済が安定する段階を迎えますならば、そして安定成長を遂げることが可能でありますならば、決して悲観すべき状況ではございませんで、ただそのためには行政事務の再配分とかあるいは財源の再配分等につきまして積極的に取り組むことによって地方財政の確立を図っていく、かような体制をとれば、結構ある時期におきましてはピンチを脱することかできる、かような考え方に立っておるところであります。
  47. 水田稔

    水田委員 大臣、構造的ということを認められないわけでありますけれども、ことしだけ特別な経済的な変動が起こったわけでもないわけでありまして、たとえば大臣の答弁をずっと見ますと、当分の間という言葉を使っておったり、あるいはいま申し上げましたように、経済の激変期である、こういう言い方。それは、ことしだけではなくて四年間続いておるわけであります。そういたしますと、地方の立場からいけば、たとえば地方交付税法の第一条には、最後のところに「地方団体の独立性を強化することを目的とする。」これは原則でありますから、そこらを踏まえた対策というものが当然出てこなければならぬわけであります。それから六条の三の二というのも、いわゆる起債の償還について二分の一めんどうを見るというそのことを、政府はずっとこれも六条三の二でやっておるのだ、こういう言われ方をしますけれども地方交付税法の本来の法律の精神、流れをずっと見れば、当然経済的な状況が四年間連続こういうぐあいに続いておる、その中で地方財政も大変な厳しい条件が続いておる。ならば、当然地方財政のいわゆる独立性を保たすための抜本的な措置がとられてしかるべきだと思うのです。これは予算委員会でずっと聞かれておりますけれども、もう一遍念のために、そういう状態の中なら当然交付税率を引き上げる、こういうことをやるべきだと私は思うのです。これはもう何回も御答弁なさっておりますが、改めてもう一遍私もここでその点を大臣にお伺いしておきたいと思うのです。
  48. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、地方財政が非常な危機であり、かつまた三兆円を超えます財源不足が生ずるのでございまして、この財源不足補てんいたしますのにどのような処置をとるかが問題のポイントでございました。そこで、五十三年度予算編成を行うに当たりまして、地方財政計画を策定するに当たりまして私ども交付税率の引き上げをも一応要求はいたしたのでございます。が、しかし何せ三兆五百億円という大変な財源不足でございますから、これをまるまる交付税率の引き上げで処理をいたしますことは、恒久的な処置と相なるのでありますから、流動的な昨今の経済情勢下におきましてはなかなか困難だ、このことも逐次明らかになってまいりました。そこで、国からの特会への借り入れもやむを得ないし、一部は起債で充当をいたす、かような処置をとらざるを得なかったのであります。  そこで、地方交付税法第六条の三の二の御指摘がございましたが、この条章は二つの場合を選択的に規定をいたしておる。すなわち、交付税率の引き上げを行いますかあるいは行財政制度改正を行うか、この二つの場合を決めておるのでありまして、いわゆるルール化と申しますのは、後のことを選ばざるを得なかった、かように御了承を願いたいのであります。ただし、このことで十全な処置であるとは考えておらないのでありまして、将来計画といたしまして、やはり基本的には地域住民の皆さん方が身近な仕事をさらに進めてまいりますには自主財源の強化が必要でございますから、結論的には負担の増を求めざるを得ないのであります。  また先ほどもお答えいたしましたように、国税三税の三二%、かようなことでございますけれども、これを拡大いたすことを当然考えてまいりますと同時に、また交付税率の引き上げもさような問題処理の中において対処していかなければならぬ、かように考えているところであります。
  49. 水田稔

    水田委員 ところが一方では、交付税特別会計の借り入れ金償還額の二分の一の負担を制度化するという提案をされる予定であります。これは地方交付税法の一条なり六条の三の二等から考えてみて、当然地方財源については国がある程度保障する義務がある。ところがこの考え方でいけば、二分の一は見るけれども二分の一は地方負担ですということを義務づけるわけですから、この点では相反すると私は思うのですが、その点いかがでしょうか。
  50. 加藤武徳

    加藤国務大臣 二分の一を国が見るのではなしに、もっとパーセンテージを高めろという議論のありますこともよく承知をいたしておるところでございますけれども、ただ地方あっての国でありますと同時にまた国あっての地方でございますから、私ども予算折衝をいたしてまいりまする段階で、二分の一の負担、五十二年度とほぼ同様の考え方を背景には持っておったのでございますけれども、しかし五十二年度よりもさらに前進したルール化が可能である、かようなことでございますから、当分の間はかような制度でいかざるを得ない、かような腹を決めたところであります。
  51. 水田稔

    水田委員 そうすると、自治大臣としては、本来二分の一を地方団体が返還するというあり方は好ましくない、しかし大蔵省との折衝の中で、こういう状態の中で認めざるを得なかった、こういうぐあいにお考えと理解してよろしいですか。
  52. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方自治発展させてまいりまする上で、欲を出せば何ぼでも欲がでるし、またそうしなければならぬとも思うのでございますけれどもわが国の置かれておりまする現況並びに国の財政状況等から言いまして、当分の間はやむを得ないもの、かように考えておるところであります。
  53. 水田稔

    水田委員 大臣、当分の間というのは具体的に何年ぐらいと理解したらよろしいですか。
  54. 加藤武徳

    加藤国務大臣 当分の間はその解釈に関していろいろ議論がございます。私ども財政状況がよくなりまする場合もこれを当分の間の中に考えておりますけれども、しかしここ一、二年で急速に財政が好転する状況が生まれるかどうか、この点では定かな見通しが立ち得ないのでございます。そこで私ども地方の自主財源を強化していかなければならぬし、そういう中におきまして、国とても御承知のような大量の特例公債を発行せざるを得ないような状況なのでございますから、結果的には国民皆さん方の負担の増を考えていかなければつじつまの合わない状況が生まれてくる、こう私は思っておるのでございます。  そこで、地方税源の強化は中央税源の強化とも非常な関連を持つものと判断をいたしておりますから、先ほど小川委員にお答えをいたしましたように、私どもは、行財政全般にわたっての大幅な制度改正が行われる、そういう中において対象税目もエクスパンドしてまいらなければなりませんし、かつまた税率の問題もさようなことと関連を持たせながら検討いたしてまいる、したがってそういう制度改正ができますまでの間を当分の間、かように判断をいたしておるところであります。
  55. 水田稔

    水田委員 よくわからないのです。いままでの法律の中で、たとえば地方事務官のように当分の間が三十年続いておるものもあるわけです。そういうことになれば、これは同じ言葉ですから、そうなっても当分の間で通用するかもしれないということになると、地方交付税法の本来の趣旨から言えば、この二分の一の地方団体負担、借り入れ金償還額の二分の一負担というのは、事実上交付税法の改正としてやるのと全く同じことになる、そういう心配が残るわけです。現実に、当分の間とやった制度はたくさんあります。たくさんあるのが、後の話がつかないためにそのままになっておるものがある。だから、当分の間と言われるけれども、それはきちっと歯どめをしてもらわなければならぬ、そういう意味で申し上げておるのであります。いまの大臣の答弁だと、やはりこれも三十年ぐらいいくかもしれない、そういう心配が残りますので、その心配がないのならない、決意のほどぐらいは聞かせていただきたいと思うのです。
  56. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方事務官問題は延々三十二年続いたのでありますけれども、今回のルール化が当分の間という表現ではありましても、私の考え方といたしましてはそう長い年数のことではないと判断をいたしておるのでございます。先ほど当分の間が解消いたしますめどのことを政策面で申したのでありますけれども、そう長い間このままの体制を続けていいものとは思っておらないのでありますから、できるだけ早い時期に行財政制度改正を行うべきだ、また行うことに関して私も真剣に取り組んでまいる、かような考え方であります。
  57. 水田稔

    水田委員 抜本的な対策をやらなくても今日やれるものも幾らかあると思うのです。たとえば特交の中でルール化されているものは、これは普通交付税の中に入れて交付税率のアップということに使えるでしょうし、あるいは地方債制度にいたしましても、全部いまは中央での許可が要るわけでありますけれども、これも交付団体、不交付団体で扱いは変わってくるにしても、そこらがもう少し地方の自主性が生かされるようなことなどは、これまで大臣が答弁されたような全体的な抜本的なということでなくても、やる意欲さえあればできないことではないと私は思うのですが、そういう点について大臣はどうお考えでしょうか。
  58. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度予算で申しますと、交付税特会の金が七兆円を超える金額でございますけれども、ただこれを普通交付税の形で地方団体に交付いたしますかあるいは特交に相当のパーセンテージを割くかの政策的な問題でございます。いま水田委員は特交のいわゆるルール分についての御指摘であったかと思うのでございますけれども、御承知のように特交は六%を予定いたしまして、そして昨年暮れに二%をいわゆるルール的なものとしてこれを交付いたす、そして四%前後のものは本年三月に交付をいたす、かようなことに相なろうかと思うのでございますけれども、トータルにおいては七兆円を超えます金額、七兆四百億円でありますけれども、この金額に変わりがないのでありますが、ただ特交のルール分を交付税に合わせて計算しますかどうかはいろいろ問題があろうことが予想されるのであります。そこで交付税は比較的早期に交付をいたしたい、かように考えておるのでありまして、その九四%が早期に交付をされる。ところが、年度が相当進んでまいりまして、そして普通交付税を交付いたしました後にいろいろの問題が起きてまいります。たとえば五十二年度で申し上げますと、円高問題に対処してまいらなければなりませんし、また災害等も生じてまいりますし、かつまた二百海里の問題等もございましたので、さような要素をアテンドいたしまして、特交の昨年暮れの交付、かようなことに決めたのでございまして、そして三月に交付いたします分はさらに年度を回顧いたしましての対応措置をとるのでございますから、いまの交付税制度はいまのままでよろしいのではないであろうか。そして普通交付税と特交を総計いたしますならば、その金額において変わりがないのでありますから、特交のルール分を繰り上げて交付をいたしましても総額においては変わりがないことでございますので、そう大きな変動が生ずるものは思っておらないのであります。
  59. 水田稔

    水田委員 地方財政というのは、いわゆる入るを図って出るを制する、こういう原則で健全にやれというのがいままでの自治省の指導だと思うのです。ところが、五十三年度予算編成に当たっての地方団体に対する自治省財政課長の内簡をずっと見てみますと、これは従来と大変変わったところがあると思うのです。ずばり言いますと、経費はできるだけ倹約して、そして足らない金はできるだけ借金をして、そして国の方針に合わせて公共事業をどんどんやれ、単独事業もどんどんやれ、極端な言葉で言えば金は一銭も残すな、そこまでは書いてないけれども、そういうこれまでの地方財政根本的な考え方自治省自身が否定するような考え方がこの内簡の中にはずっと通っているわけですね。これは大変なことだと私は思うのであります。これを読みますと自治省の方針はそうとしかとれないわけです。それは一体どうなのかということをまずお伺いしたいと思います。
  60. 加藤武徳

    加藤国務大臣 自治省根本考え方は、経常経費につきましてはできるだけ節減をしていただきたいし、また事務の合理化あるいは簡素化等についても極力努力をしてもらわなければならぬし、定員管理等についても合理化を図っていただきたいけれども、しかし投資的経費に関しては、七%経済成長を遂げていき、そのことが雇用不安を解消することにもつながってくるのでありますから、今日百万人を超えますような大変な失業者がおられるのでありまして、できるだけ雇用の機会を持たなければならぬ、こういう考え方もありまして、かつまた社会資本の蓄積が非常に少のうございますから、資本蓄積の観点からいたしましてもこういう機会に大幅に投資的な経費に振り向けてもらいたい、かようなことでございます。ですから、思い切って投資的経費をふやした点では従来の方針よりもあるいは変わったと見られるかと思うのでございますけれども、しかし堅実な地方財政でなければならぬ、かような基本理念にはもとよりちょっとも変わりがないと御理解をいただきたいのであります。
  61. 水田稔

    水田委員 いま、答弁の中に雇用対策という言葉も出たのでありますが、実は私ども地方における雇用の創出ということはぜひやってもらいたいということで、先般愛媛県へ参りまして、いろいろ論議をして現実を聞いてみますと、たとえば機械を使わない土木事業の場合は予算を組むと大分人を吸収することができた。いまは機械がほとんどで、下水道工事をやっても人は二、三人ついて、あとはクレーンでやっていく、そういうようなことですから人は使えない。あるいはそこで実際の予算の単価よりは非常に安い値段で労働者は働かされる、こういう問題があるわけです。あるいはまた地方で雇用というときに、大企業の中で余った技術屋を、市がドッキングして、市が給料を三割見る、そんなことが起こっておるわけですね。だから、いま愛媛県では波止浜造船のようなことも起こっておるし、あの小さな地域で三千人からの失業者が出ておるわけですから、全部が地方団体で吸収できるわけじゃないですが、具体的にある程度のことを考えなければ、単に公共投資を地方でふやしたらそこで雇用がふえるということにはいまはなっておらない。たとえばの話、公共事業を請け負う場合にはとにかくこれぐらいの人員は使ってやりなさいとか、何かそういう歯どめをしなかったら、公共事業の中で雇用が創出される——全体的に仕事量がふえるということである程度はきますけれども、いまから十年、十五年前の、機械を使わないときの雇用がふえるという性格とは全然違うということはひとつ御認識いただいて、自治省の方で、地方を指導されてその中でより多くの雇用が公共事業をやることによって起こってくる方策を、お考えがあれば聞かせていただきたいと思うのです。
  62. 加藤武徳

    加藤国務大臣 公共事業等を進めてまいります中で雇用の増大を図っていかなければならぬことは申すまでもないことでございまして、そこで地方団体の場合いろいろ工夫をしてくれており、自治省といたしましては、そういう工夫をしてくれております例をできるだけ他の地方団体にも連絡をいたしまして、研究、工夫をこらしてもらいたい、かような指導をいたしておるところでございますけれども、ただいま愛媛県の例をお引きになられたのでありますが、各県ともいろいろ工夫いたしております。そこで、事業によりましては比軽的雇用者の多いものもありますけれども、そうではないものもあるのでありまして、五十三年度地方財政計画におきましては、地元の実情に応じましてできるだけきめ細かい配慮をいたしながら事業をいたしてもらいたい。そのためには単独事業を大幅にやってもらうべきだ、かようなことで五兆六千億円の単独事業を予定いたしておる、かようなことでございます。水田議員と私どもの郷里の玉野等におきましても御承知のような造船不況で非常な苦労をしておりますし、また隣の広島県でも同様の大変な苦労をいたしておるのであります。たとえば広島県の例を引いてみますと、県の管理しております構築物や営造物のペンキの塗りかえが原則的には三年に一回だ、橋梁にいたしましても。ですけれども、これを二年に短縮してペイントすることによりまして耐用年数がぐっと延びることが技術的に明らかでありますから、三年という計画を二年に繰り上げてペンキの塗りかえをやろうではないか。それは造船企業で塗装をやっております方はすぐその技術が使えるのでありますから、そういう方々でチームをつくってもらって塗りかえをやっていこう、かような工夫もしておる県もございますし、いろいろ工夫をこらしておるのでありますから、そういういいサンプルを自治省といたしまして集めまして、これを公共団体に示しまして、こういう工夫をしている県もございますよ、あなたのところでもぜひかようかように、さようなことでございますのと、それから先ほど申しました単独事業は公共団体みずからがもくろみましてやります仕事でありますから、大型の機械等を使用するのではなくて、たとえば生活道路でありますとか、あるいは地方公共事業の対象にならない河川改修でありますとか、そういうところへきめ細かく心を配りまして、できるだけ多くの方々の雇用の機会を持ってもらうように、かように指導してまいりたいと考えて  おるのであります。
  63. 水田稔

    水田委員 ことしは大変な公共事業をやれということで国の方も公債が十兆九千八百五十億、地方団体地方債計画によっても六兆二千十億というような膨大な金を借り入れるわけです。景気が悪いわけですから預金もどんどんふえるわけではありませんから、そういう点では特に国の方が優先的に恐らく金の工面ができると思うのです。地方にはしわ寄せがいく。一体消化が十分できるのかどうかという心配がある。そのために地方では、一つは地方団体金融公庫を創設してほしいという要求を続けてきた。これはだめになった。そういうことで地方の資金というのは心配ないのかどうか、そういう懸念が大変残るわけでありますが、金融公庫の創設をやめたことと、そして資金の調達というのは心配ないのかどうか、見通しについてお聞かせいただきたいと思います。
  64. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国の公共事業の七〇%を超えますものがいわゆる補助事業で、地方でやっていかなければなりませんし、そして先ほど申しましたように五兆六千億円の単独事業もやってほしい、かつまた公営企業も相当大幅な資本投下を行うのでありますから、端的な言い方をいたしますと、これが消化はそう容易なことではないという感触を私は得ております。ですけれども地方の実情は、いままでやりたい仕事が順繰りに先に延びておりまして、こういう機会にこそ公共事業をやり、ことに生活関連にはうんと力を入れたい、こういう意欲ももりもりと見えるのでありますから、そういう意欲を持っておやりいただけるところ、必ずしも消化が不可能ではない、かような見通しも立ち得ておるようなことでございます。  そこで、これが資金の手当てにつきましては、できるだけのことをしなければならぬのでありますから、政府資金の充当率も、五十二年度と比較をいたしますと相当伸びておるのでありますし、それからただいま、公営企業金融公庫の改組ができなかったではないか、かような御指摘でございますが、近く法案を御審議いただきまする中にはいわゆる改組の法改正も含めておるのでありまして、なるほど公営企業金融公庫の名称の変更は困難でございました。理想的には地方団体金融公庫、かようにいたしたかったのでありますけれども、この点では政府内部におきまして合意ができなかったのでありますが、しかし、地方で行っております臨時河川改修でありますとか、あるいは道路整備事業でありますとか、あるいは高等学校の整備でありますとか、かようなものには普通会計債に対しまして金融公庫の融資が可能である、かようなことでこの枠を二千億円予定いたしておるようなことでございますから、あれやこれやを総合勘案いたしまして、私は、どうにかやっていけるし、またぜひやっていきたい、かように願望いたしておるところであります。
  65. 水田稔

    水田委員 もう一つは、これまで自治省でも論議をされ、また地方団体からも要望の非常に強かった外形課税の採用を検討されてきたと思うのですが、これも見送られたわけですが、一体その理由は何でしょう。
  66. 加藤武徳

    加藤国務大臣 願わくは外形標準課税を五十三年度導入いたしたかったのでありますけれども、これは国税と非常な関連を持っておるのでありまして、税制調査会でも地方制度調査会でも議論がされまして、そしてその答申の中にも見られておることであり、国税一般消費税との関連においてこの問題を解決すべきだ、かようなことでございました。  と申しますのは、私がここで国税一般消費税に論及いたしますのはどうかと思うのでございますが、事業税外形標準課税導入だけについて申し上げますならば、知事会で希望いたしております案は、たとえば法人の資本金十億円以上のものに対して製造業に課税していこうではないか、そして課税対象といたしましては、利潤でありますとかあるいは賃金でありますとか、あるいは地代でありますとか、あるいは家賃でありますとか、さようなものに課税をすべきだということで、五項目を挙げておるのでありまして、実はこのことは、一般消費税が今後議論になり、そして課税対象として考えられまする場合の総売り上げから仕入れ価格を差し引きましたものとほぼ一致するのでありますから、さようなこと等もございまして、国税段階における論議や新税の創設と密接不可分の法人事業税の外形課税の導入だ、かように理解をいたしておるのでありますから、端的な言い方で、国税が前進をしなかったから地方税におきましてもまた五十三年度の創設が不可能であった、かように言わざるを得ないと思うのであります。
  67. 水田稔

    水田委員 それでは、今後なおこれの導入についての努力をするお考えがあるわけですね。
  68. 加藤武徳

    加藤国務大臣 答申の中にも明らかに示されておりますように、地方税負担の負担増を求めていかなければならぬし、このことがおくれればおくれるほどますます解決がむずかしくなりますよ、かような御指摘でもございますので、なるべく早い機会に創設をいたしたい、かように考えております。
  69. 水田稔

    水田委員 所信表明の中にも、中期的には地方税の増税ということを書いております。いまの答弁でも、増税ということを含みとした御答弁があったわけですが、それならば、大臣、たとえばいまの超過負担の解消というのは、そんなことを言う前にすべきではないかと私は思います。  そこで、たとえば地方交付税の単価と実務単価というのは、これもあるでしょうし、それから機関委任事務の若干の改善はされたにしても、超過負担というのは大変な額であります。これは五十三年度はそれぞれ措置をされるわけですが、どういうぐあいにやられたのか、あるいは現在どのくらいこういうものがあるのか、自治省としてつかまえておるなら教えていただきたいと思います。
  70. 加藤武徳

    加藤国務大臣 五十三年度におきましても超過負担の解消には努力をいたしたところでございまして、その内容等につきましては、できれば政府委員から答弁をさせたいと思うのでありますけれども、国費ベースにおきまして五百五十億円の超過負担の解消ができ、事業ベースで九百三十億円、かように算定をいたしておるのでありまして、今後もまた超過負担の解消に努力をいたしてまいらなければならぬ、かように考えております。  それから、超過負担なるものがどの程度あるかの数字は定かに把握ができておらぬのでありますけれども地方団体がこの程度の超過負担があるということで算定をされました数字は私ども承知をいたしておりますし、またその概算もしておらないわけではないのでありますけれども、ただ、超過負担の範囲の問題でございますが、たとえば地方におきましては、補助対象面積が五百平米だけれども、これを六百平米にしておいて将来に備えなければ、かようなお考えを持たれましたり、あるいは補助対象になっておらないものも、これを建設します場合には当然地元の負担になるのでありますし、どうしても地方団体といたしましては、将来を展望いたします場合に、国の基準よりもデラックスなものを、かように考えがちでありまして、この考え方はよく私どもも理解ができるのでありますから、できるだけ補助対象範囲も拡大するという方向で努力をしておりますけれども、そういうものを総計いたしましての、地方団体の、この程度ありますよという数字でございますから、純粋の意味における超過負担はその中で何%ぐらいに相当いたしますか、この点は定かな計算はようしておらぬ、かような実情であります。
  71. 水田稔

    水田委員 私は、たとえば大臣が答弁されたように、デラックスなものをやったものを超過負担、そういう見方はしませんけれども、たとえば学校を建てても渡り廊下はないとか、へいはないとか、そんなことで皆いままでやってきているわけでしょう。そんなものを計算すれば、デラックスとかなんとかじゃなくて出てくるわけでありますから、これは先ほど来言っております地方財政の抜本的なとか、長期的な展望とか、あるいは経済の変動期だからとか、そんなことは関係なく、本来国かきちっと見るべきものです。ですから、私は地方税の増税とかいうことを口にする前に、これは完全に解消すべきだと思うのです。その点は大臣、解消するということを、デラックスなものまで私は言っておりませんから、たとえば学校が建って廊下のないようなものは、これは地方の負担でやってきた。だんだん解消されておりますけれども、そういうもの、あるいは人を配置して給料は十分は見てないとか、仕事だけ与えてわずかな金でやる、そういうものを計算すれば、人件費なんかはすぐ出るわけです。そういうものはきちっとされなければならぬと思うのですが、お答えいただきたいと思います。
  72. 加藤武徳

    加藤国務大臣 超過負担が多いことは、また超過負担がありますことは、地方財政を乱ることでありまして、私ども根本的によろしくない、けしからぬ、こういう考え方を持っております。  いま人件費の御指摘がございましたけれども、たとえば外人登録事務を地方に任せておりながら、実際はその人件費がきわめて低いとか、あるいは農業委員会等におきましても御承知のようなことでございまして、かようなものは五十三年度で解消とまではいかなくても、その単価を大幅に引き上げることによりまして処置ができるのでありますし、そのほかにいろいろございますけれども、各省庁にまたがることでありますから、今後もエネルギッシュに各省庁と交渉をいたしまして、超過負担の解消にがんばっていこう、かように思う次第であります。
  73. 水田稔

    水田委員 同じように、国の直轄事業の負担金、これはいま地方団体は苦しいものですから、当初予算ではつじつまが合わないから載せないというようなことをやって、最後に追加で組んでいっているわけです。これは、国の直轄事業というのは本来国の仕事ですから、国が地方に負担をかけるべきではない。もう一つは、さらにそういうものの補修費さえ地方の負担金を取るというのは、これは本来のたてまえから言っておかしいことだと思うのです。これはぜひやめるべきだと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  74. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国の直轄事業はまるまる国で見ろ、同時に、地方仕事はまるまる地方で見ろ、見るべきだ、かような議論があることも私はよく承知をしておるのでありますけれども、しかしなかなかそうはまいらぬのが現況でございまして、五十三年度におきましても、恐らく三千数百億円の、国の直轄事業に対しましての地方の負担額があろうかと思います。正確には、三千五百九十三億の地方負担かございます。そのうち維持管理費が六百八十六億円、かような内容であり、道路、橋梁等がこのうち五百四十八億円、河川が百三十八億円、かような地元負担が必要になっておるのであります。  ただ、当初予算に計上しておらない地方団体もございますけれども、私は、これは納めたくないという気分がある点は否めないとは思うのでございますが、しかしいますぐ納めなくてもよろしいのだから、財源の見合い等において補正で考えていけばいいではないか、かような気分がありまして、当初予算に計上しておらない地方団体があろうかと思うのでありますけれども、しかしいまの財政の仕組みが地方で御負担願うようなことになっておるのでありますから、いつの時点にかは予算に補正計上をいたしまして、地方負担が完全にまいりまするように、また地方財政計画におきましては、かような地方負担分をも含めまして計画を策定いたしておるのでございますから、これが支出に大きな支障が生ずる、かようなことはない仕組みになっておる、かように御了承願いたいと思うのであります。
  75. 水田稔

    水田委員 そこで、地方団体が大変な公共事業を、実際に実務をやるわけであります。七〇%からやるわけでありますが、五十二年度の追加追加で、人員はだんだん減らせという指導ですから、といって中でそれほど技術の専門職がおるわけではないですから、実際問題として大変な労働の負担になっておる。外注に出せばいいと言っても、これは一切を予算をつけて、入札したらそのまま勝手にやれというものではなくて、設計審査から何から全部やらなければいかぬわけですから、技術を持った人を配置しなければ実際上は消化できないのではないか。金だけ出せばできるというものではないと思います。そういう点については、特別な配慮というものは、私の聞く範囲ではないわけであります。別に地方公務員をふやせという意味ではないのですが、公共事業の枠の中で、それが実際に消化できる何らかの配慮をしなければ、事実上の仕事は進まないのではないか。その点について特別に何かお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  76. 加藤武徳

    加藤国務大臣 限られた人員で大量の公共事業を施行しなければならぬのでありますから、地方は大変でございますが、各都道府県や主な市町村におきましては、推進本部を設けまして、横の連絡を十分にとっておりますようなところも多いのでありますから、各団体ごとに工夫をいたしながら研究をいたしまして、公共事業の消化に万全を期してまいる、かようなことでございます。  そこで、水田議員も長い間地方議会の御経験をお持ちでございますが、本当はすぐれた技術を持っておりましても、その諸君の技術が土木なら土木、農林なら農林で生かされておらないような例もあるのでありまして、技師の資格を持っておりながら事務の仕事をしておりますような者も多いのでありますから、そういう点を工夫いたしまして、配置転換等を積極的に考えてくれておりますような県もございます。それから設計協議等に大変な時間を食い、膨大な書類を出してきておったのでありますけれども、今回は、御承知のように、公共事業推進本部におきまして、継続事業に関しては協議はきわめて簡単でいいぞ、改めての設計は要らぬ、かようなことにもしておるのでありますから、また私どもも、交付税の交付なりあるいは補助金の交付につきましてできるだけ早くやってくれ、かようなことをいたしております。それから民間には、県庁のOBの諸君のような非常にすぐれた技術を持ち、まだもりもり働ける諸君がずいぶん多いのでありますから、そういう方々を動員しまして協力を願っているようなところもございますし、そうでない場合でも民間の技術を最高度に活用する、こういう根本の考えで対処している都道府県もございます。  それから責任施工の点でありますけれども、私は、これを無制限に広げてまいりますと、よろしくない業者か手抜きをする心配がある、このことを案じてはおりますものの、この業者なら絶対に間違いがない、かような場合には責任施工をいたしまして、毎日県の職員が張りついて監督をせぬでも、三日に一回とか一週間に一回見回って指導する、監督をする、かようなことで足りる面もあろうかと思いますから、そういう工夫を各面にわたりましてこらしていきながら公共事業の推進を図っていく、かような指導をいたしておるところであります。
  77. 水田稔

    水田委員 もう一つ、公共事業を大量にやるのも景気対策ですが、私どもは一つは減税というのも景気対策には非常に効果がある。これは予算委員会審議を通じて、二年度以降になってくると減税の方がむしろいい。特に地方税の場合は、所得税よりは地方税の方が減税する場合に所得の低い人たちに直接メリットが出てくる、そういう税体系になっているわけですね。だから私どもは、地方税の減税もぜひ考えるべきだ、こう思うのでありますが、なぜ地方税の減税についてはお考えにならなかったのか。景気対策を言うなら、地方についても公共事業を、同時にそれは減税ということを考えるべきだ、私どもはそう思うのですが、いかがですか。
  78. 加藤武徳

    加藤国務大臣 まず地方財政状況は、減税をなし得るような環境ではないことは御理解がいただけると思うのでございまして、そこで、地方税全体といたしましては、平年度ベースにおきましては七百億円を超えますような増税の考え方を持たざるを得ないし、五十三年度におきましても五百億円ベースの増税をいたしておるようなことでございます。  そこで、いま住民税についての御指摘がございました。私どもは、住民税は所得税と性格を異にしておると思うのでありまして、所得税はいわば所得の再配分ということを基本の理念にいたしておると思うのでございますけれども、住民税の場合は、その都道府県、その市町村に住まっていらっしゃいます方々がおのおのその分に応じまして、おれの町の必要とする経費はおれたちの手で賄うよ、かような負担分任の考え方基本にあろうかと思うのでございます。ですから、所得税におきましては二百万円を超えますような課税最低限でございますけれども、住民税におきましては百四十一万八千円、かような最低限をセットいたしておるようなことでございますから、これはいま申しますような、おれたちの町の経費をおれたちの手で賄っていく、かような考え方であろうかと思うのでございます。かっまた、御承知のように相当幅広い引き上げをいたしておるのでありまして、物価の上昇をはるかに上回りますような最低限のセットをいたしていることでもございますし、かつまた、諸外国と比較をいたしまして、所得に対します課税といたしましては相当低い水準にもあります現況でございますから、あれやこれやを勘案いたしまして今回の減税はいたさない、むしろ将来展望といたしましては地方税全体では税負担増加を求めざるを得ない、かような客観情勢を判断いたしまして処置をいたしたようなことでございます。
  79. 水田稔

    水田委員 これは予算委員会で何回も要求が出されて、まだ出てないということでありますが、きょうあたりは、あの答弁から言うと出てくるのではないかと思うのですが、国と同じように、地方財政収支試算というのが、これは先ほどからずっと聞いておりまして、一体地方が長期的にいろいろな計画を立てようとしても、財源の保障というのは不安定なままその年その年で処置されるということに結果的にはなっている。一体いつになればということは、これからの地方行政を担当する者としては、長期的な計画を立てるのに非常に困難を来しておる。ですから、これは早く出してもらわなければ地方は困ると思うのであります。これはこの間の予算委員会でわが方の先輩の佐藤敬治委員質問に対してもまだですね。最初の答弁から言うと一週間ぐらいにできます。そして次の一週間ぐらいたって質問してまだできてなかった。きょうは一体出していただけるのかどうか、御返事をいただきたいと思います。
  80. 加藤武徳

    加藤国務大臣 この点もむき出しに申しますならば、国が国の収支試算につきまして二月一日に国会提出をいたし、また予算委員会においても審議がなされたのでありますけれども、御承知のように、審議の中断等の現象も生じてまいりまして、そこで大蔵大臣が善処いたす約束をされたのであります。  私ども大蔵省の善処の中身が実はわからないものでございますから、それで地方財政の収支試算につきましても国との整合性を持たさなければならぬことは御理解かいただけると思うのでございまして、私は、二月一日に出しましたものそのものが皆さん方の御了承が得られますならば、さほどの日数を要せずして地方財政試算も可能である、かようなことでできるだけ早く出します。そうおくれない時期に出しますと、かように申したのでありますけれども、国の場合のいわゆる善処の処置がまだできておらず、ごく近い機会に付属書類等につきましての提出があるのではないか、かように予想しておるのでありますから、この書類の提出等がありまして、国の収支試算についてこれでまずまずはやむを得ぬであろう、かような御了解がいただけますならば、さような資料を基本にいたしまして、地方財政につきましての試算はそう日数は要しないと思うのでございますから、その直後ぐらいには出せる、かように思っておるのでございますから、もうしばらくのごしんぼうを御了承願いたい、かように思う次第であります。
  81. 水田稔

    水田委員 それでは、国の財政収支試算が出て大体何日ぐらいということだけひとつお答えいただきたいと思います。
  82. 加藤武徳

    加藤国務大臣 国のものが御了承が得られ次第最終作業をいたしますので、一日かかるのか二、三日かかるのか、その辺は定かではございませんけれども、ともあれ、なるべく早く、できますことなら二、三日と言わずにごく短縮をいたしまして作業を完了したい、かようなつもりでおります。
  83. 水田稔

    水田委員 それでは、いまの答弁から、大体一日もしくは二、三日ということですから、最大おくれても三日、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  84. 加藤武徳

    加藤国務大臣 さように御理解がいただきたいと思います。
  85. 水田稔

    水田委員 三全総が閣議決定されておるわけでありますが、その中で目玉商品といいますか、これからやっていこうという大きな事業の中に定住構想というものが出ておるわけです。いま広域市町村圏という形で進めておるのは一体どうなるかということも余りはっきりわからないわけでありますが、いままでの広域市町村圏と定住構想というのは性格もあるいは手法も変わってくるはずだと思うのです。全く同じものなら同じ言葉を使っておけばいいわけでありまして、そこらあたりは一体どうなるのか、あるいはいままでの広域市町村圏と定住構想というのはどういう形で結びついていくのかということをちょっと伺いたいと思います。
  86. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昨年十一月に新全総が閣議決定を見たことは御承知のとおりでございまして、その中に定住構想なるものを明らかにしておりますが、自治省におきましてはすでに十年前に広域市町村圏構想を明らかにいたしまして、その圏域内におきますたとえば環境衛生施設整備でありますとかあるいは道路でありますとか各面の整備を進めてきておるのでありまして、今回の定住構想なるものはいわば私どもが先取りをしておったものに対しまして理念を明らかにしてくれたものだ、かように考えており、その数におきましても定住圏なるものは二百ないし三百、かように新全総に書いてございますし、今日自治省が指定しております広域市町村圏は三百二十九でございますから、余り大きくは変わっておらない。  だけれども、新全総が明らかになりましたこの段階におきまして広域市町村圏構想は理念が確定し、新たな段階を迎える、かように判断をしておりますから新たな段階に対応いたします対応処置をとろうといたしておるところであります。
  87. 水田稔

    水田委員 もう時間がありませんから全部まとめて聞きますけれども、それでは自治省はこの定住構想の中で一体何をするのか、それから地方団体は一体何をしたらいいのか、それからもう一つは、広域市町村圏というのは市町村であって府県は関係ない形になっている。この定住構想の中では府県というのはどういう形で位置づけられるかについてお答えいただきたいと思います。
  88. 加藤武徳

    加藤国務大臣 新全総は御承知のように国土庁を中心に策定されたものでありますが、同時にまた自治省も当然参加をいたしておるのでございますから、先ほど申しましたような三全総の考え方は理念を付与しておるのでありますから、それを具体的に実施に移します面は広域市町村圏みずからだ、かように考えておるところでございます。  そこで、従来は広域市町村圏の市町村が軸になっておったのでありますけれども、今回は県に一枚かんでもらいまして、たとえばおれたちのこの広域市町村圏から県庁を結ぶ道路がどうしてもほしいのだ、かような場合には当然県が一枚かんで処置をすることが必要でございましょうし、また各面にわたりまして、県が今日まで、拱手傍観とは申しませんけれども、直接タッチしない形でございましたけれども、今回総合的に整備をしてまいります上で県にかんでもらう、かような考え方でございます。従来百六十億程度起債の枠でございましたものを一挙に五百億円にいたしましたのもそういう考え方が背景にあってのことと御理解いただければありがたいと思います。
  89. 水田稔

    水田委員 もう一問だけで終わりますから御了承いただきたいと思います。  最後に、水俣病患者救済の問題について、これは新聞報道でありますけれども、環境庁長官、県債云々ということがちらっと出るわけであります。これは私ども地方財政法五条に反する、そんなこと、県債など認めるわけにいかぬ、こういう考え方を持っておるわけでありますけれども、これは真偽のほどはわかりませんけれども、環境庁長官の言なるものが出ておりますから、そういうことで自治大臣に何らかの接触あるいは協議といいますか相談というものがあったのかどうか。それから自治大臣としては、あの患者救済の問題について県債発行は地方財政法との関係で一体許されるものと考えられるのかどうか、その二つを最後にお伺いしたいと思うのです。
  90. 加藤武徳

    加藤国務大臣 水俣病はまことに悲惨な、かつまた残念な病気でございまして、全力を挙げて救済いたさなければならぬのでございますけれども、その救済処置か県なり市町村の負担においてなされることは筋違いでございますから、私といたしましては、熊本県といたしましても水俣市といたしましてもさような意思は持っておらぬと承知をしておりますが、仮に相談があったといたしましても、そう軽々にこのことに認可などということは考えておらないところでございますのと、それから先般水俣病関係閣僚懇談会がございましたが、その席でも、通産大臣からも環境庁長官からも県債という意見は一言も出ませんでしたし、かつまた正式に相談を受けたことは全くない現況でございます。
  91. 水田稔

    水田委員 終わります。
  92. 木村武千代

    ○木村委員長 この際、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十八分開議
  93. 木村武千代

    ○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、お諮りいたします。  地方自治及び警察に関する件について、本日、参考人として新東京国際空港公団副総裁町田直君、新東京国際空港公団理事角坂仁忠君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 木村武千代

    ○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  95. 木村武千代

    ○木村委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。小川新一郎君。
  96. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、昭和五十三年地方財政地方行政根本問題について若干お尋ねいたします。  まず大臣にお尋ねいたしますが、この大臣所信表明の説明の中に「私は三十年という一区切りを経た今年を新たな出発点として、」とありますが、「新たな出発点」とは、政策的には一体何なんです。
  97. 加藤武徳

    加藤国務大臣 戦後三十一年目に入ったのでありますから、私は、地方行政の面からもまた地方財政の面からも、両面から地方行政を見直さなければならぬ、三十年という一区切りでございますから、かようなときにこそ過去を振り返ってみながらこれからの展望をいたさなければならぬ、かような感を強ういたしておるのでありまして、さような私の気持ちを申し述べたようなことでございます。
  98. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣が御就任になりますとどの大臣も決意というものは披瀝なさいまして、地方財政行政に対する取り組みの姿勢については、加藤大臣がいまお述べになったような姿勢を必ずやお述べになりますが、今回は特に三十年という一区切り、そこで、政策的には何か。決意は結構でございますが、政策的には一体何を意味するのか、こういう質問を私はしたはずでございます。昭和五十三年度地方財政計画の策定に当たっては国と同一基調による。でありますから、当然国と同一基調でございますから、まず、中期地方財政計画を策定する、第二は、財源も明確にいたしました地方債の償還計画を策定する、三番目は、昭和五十七年度までの地方財政収支試算を早急に提出する、こういった同一基盤の基調の中で初めて、昭和五十三年度地方財政計画の策定に当たっての国と同一基調であり、また、大臣の、三十年という一区切りを経たことし新たな出発点とするところも、おのずとそういう国の財政の基調としたところに車の両輪論——福田総理は車の両輪論といつも申しておりますが、その両輪論の中での政策的展開がなければならない。いかがですか。
  99. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御指摘がございましたように、各面にわたりましての見直しが必要であろうと思うのでありまして、行政事務の面におきましては、今日、たとえば国が機関委任事務等をずいぶん地方に押しつけておきながら実際は財源処置等がなされておらぬものも多いのでございますから、国と地方を通じます行政事務の再配分につきまして、これからも一層の努力が必要であるのでありますし、また財政的な処置にいたしましても、今日地方が非常に苦しんでおりますことは御承知のとおりでございます。同時にまた考えなければなりませんことは、地方公共団体みずからが絶えざる努力と見直しが要るのでありまして、たとえば不要不急の事務等がありますと、それを勇敢に整理をしていかなければなりませんし、また国だけに頼りますような考え方ではございませんで、地方公共団体みずからが自分の手で打開をいたす、かような努力も必要だと思うのでございます。かつまた、団体だけではございませんで、地域住民皆さん方がもっともっと自治意識を高めてまいり、コミュニティーづくり等にも精を出していただかなければならぬのでありますから、さようなことを総合いたしまして、国との整合性を保ちながら努力をいたしてまいる、このことが必要であろうと思う次第であります。
  100. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、いま私が申しました地方財政計画地方債の償還計画、昭和五十七年度までの地方財政収支試算、この三本は出すのですね。
  101. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいまの御質問の、御指摘のあったそれぞれの計画についてでございますが、地方財政は、御案内のとおり三千数百の地方団体財政の集合であるわけでございまして、これをすべて含めましたいわゆる財政計画という意味でのものを策定するということは実際上はなかなか困難なことであるわけでございます。また、考え方でございますけれども地方自治というような観点から申しまして、計画としてぴしゃっと決めてしまうということにつきましても、やはり一つの問題点があろうかというような考え方もあるわけでございます。しかしながら個々の地方団体というのが中期的な計画を立てる、自分の団体自身の問題といたしまして立ててもらう、これは非常にいいことであるし、またそういったようなことの方向に各団体が向いてもらうということは必要なことであるわけでございますので、そういったことの手がかりといったような意味も含めまして地方財政収支試算というようなものも現在はじいているわけでございまして、この収支試算提出の時期というものにつきましては、国会におきます国の分につきましての御審議の経過があるものでございますから、それとの整合性を保つためにいまだ提出までに至っていないわけでございますが、なるべく早い時期に提出ができますように持ってまいりたい、かように思っておるところでございます。
  102. 小川新一郎

    小川(新)委員 それから大臣、もう一問お尋ねしますが、自治省の重点施策というものは権威があるものなんですか、ないものなんですか。重点施策というものはいつ策定して発表するのです。
  103. 加藤武徳

    加藤国務大臣 毎年、自治省といたしましては、各省庁と同様に八月の時点におきまして大蔵省へ概算要求をいたすのでありまして、そして、自治省の重点施策なるものはこの概算要求にその中身として盛らるべき性格のものだ、かように判断をいたしております。  そこで、自治省のかような重点施策が権威あるものかどうか、かような折り畳んでの御指摘でございますけれども、概算要求をいたしましたものでそのまま国が認める結果になりましたものと、そうではないものもあるのでございますから、権威の点でお尋ねでございますと、必ずしもオーソリティーではない、かような感じを持たざるを得ないのでございます。
  104. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは異なことをお承りしたわけですけれども自治省の重点施策なるものは、権威は一〇〇%ないのだ、これはあくまでも予算編成上の概算要求の一つの足かせなんだ、これでは、私たちは重点施策というものを公表していただいても、その公表した時点でわれわれとしては一〇〇%信頼のおけない、これは六割か七割ぐらいしかできないものなんだということで、地方公共団体はその重点施策に従った施策を考えなければならないと思うのですが、これは私も、きょうは堅実な大臣のお言葉としてはちょっと納得できないのです。  畳み込んでという言葉ですから、畳み込んで申し上げては申しわけないのですが、これは自治省にお尋ねします。大臣でなくて結構ですが、それでは、この昭和五十三年自治省重点施策で、できなかったものは何ですか。
  105. 森岡敞

    ○森岡政府委員 自治省地方行政財政重点施策におきましては、予算要求としてなすべきこと、あるいは地方税制の改正としてなすべきこと、その他各般の問題点を選択いたしまして列挙しておるわけでございますが、その中で重要な課題として考えておりました事項のうち実現できなかったことは、たとえば法人事業税外形標準課税導入問題が一つ挙げられようかと思います。
  106. 小川新一郎

    小川(新)委員 それ一つばかりではなくて、自治省地方交付税率を六・五%引き上げること、石油新税を交付税の対象税目に加えること、公営企業金融公庫を地方公共団体金融公庫に改組すること、法人事業税を所得税方式からいま申されました外形標準課税方式に改めること、これが四本の大きな柱だと私たちは認識しておるわけでございます。いま、一本しかお答えくださいませんでしたけれども、四本ちゃんと——王選手ではございませんけれども、打率からいくと、三割を割っているのですか、これは。二割五分ぐらいの打率になっちゃったですね。
  107. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま御指摘のございました石油新税自体を交付税の対象とする、あるいは交付税率の六・五%アップ、こういうようなものを要求いたしましたのは、先生御案内のとおりに、実は十一月、十二月に入りましてから、具体化した段階におきまして追加要求といたしまして政策的に出した問題でございます。実は八月現在におきまして発表いたしました重点施策の段階におきましては、まだしかくさような具体のところまでまいりませんものですから、交付税等につきましても所要額の確保、こういうような言い方を主としていたしていたわけでございます。そういう点から申し上げますと、非常にはっきりとこの重点施策の中に書かれ、しかも実現しなかったものを先ほど税務局長から申し上げたわけでございまして、財政的な面はもっと時期がずれましてから先ほどおっしゃいましたような要求をしたことは事実でございまして、それが全部は実現をしなかったことも御指摘のとおりでございますけれども、重点施策との関連では時期的にずれがあった、そこで重点施策そのものにはまだそこまで触れていなかった、こういうようなことであることを御理解いただきたいと存じます。
  108. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に苦しげなる御答弁でございまして、私も地方制度調査会のメンバーの一人ですから、よくよくその内訳は知っているのでございます。そのために四十点ぐらいの点しか上げられないなんという無礼なことを申し上げたのですけれども、いずれにいたしましても、地方交付税率を六・五%上げるということは、三八・五%、これは自治省としては四〇%ラインということで、歴代の大臣のこれはもう悲願とも言うべき問題が重点施策の中に継続されてくるわけです。毎年毎年その打率は三割か四割、ひどいときは二割ぐらいにしかならない、それが引き続いて検討されてくるわけでしょう。特に法人事業税を所得税方式から外形課税方式に改めないということは大臣の施政方針にさえ述べていない。これはいま景気が冷え切っちゃって、法人の所得が上がらない、そういうときに外形課税をやって増税することは景気の立て直しに大きなブレーキになるという見解からこうなったので、五十二年九月のときには、もう外形課税方式を取り入れるか取り入れないかという日本経済の状態などというものは自治省だって掌握していたわけなんです。  しかし、地方自治団体財源の問題を考えると、不公平、不平等税制の中から地方と国の特例措置を改めたり、いま言った法人事業税の所得税方式から外形課税に改めなければならぬということはもうつとにやっていたわけです。この事項がいずれも外された。特に石油新税などはどうして交付税の対象額から外されたのか、これなどはまことにもって私は——大蔵省きょう来ておりますか、大蔵省も言っておる。この問題は後で述べますが、地方財政収支試算の中に盛り込まれているのでしょう。増税のときには、国が二、地方が一、もしくは国が三、地方が一、何らかの増税に対しての、収支試算の中に、新税を設けたときには、地方公共団体に必ずその配分を回すんだという、あなた方がつくった昭和五十五年までの財政収支試算というものがあるわけです。その財政収支試算というものは冒頭から狂ってしまった。だからこそ昭和五十七年度までの新しい財政収支試算国会提出しなさいよ、それは、国の財政収支試算整合性がないからといってわが党の矢野書記長から追及されて改めて出し直すということになった、それはもうよく御存じのとおりですから、それでは大臣、いま言った四点については昭和五十三年度できなくても、五十四年度には、大臣の一つの政治力を問う意味からも、地方交付税率の六・五%引き上げということは次の五十四年度の重点施策には織り込まないのかどうか、また石油新税を初めとする——大臣もここでおっしゃっていますね、地方税についても減税は行わない、きわめて困難な状態だと言って、その前に増税をしなければならぬということを言っております。「中期的には国民租税負担増加を求めざるを得ないのではないかと存じます。」だから、大臣はここでもう増税することを肯定しているわけです。増税しなければ国も地方財政は行き詰まるのだ、要するに国の財政規模が大きくなることは国民の経済活動が縮小されるんだ、そういう中で、C案というものか整合性が一番あるから、C案でやっていけというのが国の財政収支試算におけるあの国会答弁になったと思うのですが、C案というのは、国も増税に踏み切らざるを得ない、そうしないと国債の償還もできない、地方債の償還計画もできないじゃないか、こういうむちゃな、手足を縛って目隠しして突っ走れと言ったってできないのだから、ある程度国民の犠牲の上において財政収支のつじつまを合わせるのだということがこの四ページの中ごろにある「中期的には」——「中期的」というのは五年とか三年の見直しの中で「国民租税負担増加を求めざるを得ないのではないかと存じます。」こうおっしゃっている。だからそういうたてまえからいけば、地方交付税率のアップ、石油新税を初めとする交付税の対象税目、また公営企業金融公庫の改組、いま言った外形課税、これらの問題は昭和五十四年度の重点施策にも落とすわけにはいかない、これは大臣にお尋ねいたします。
  109. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘の四項目は、いずれもきわめて重要な項目ばかりでございまして、そこで、事業税外形標準課税導入いたします処置をでき得べくんば五十三年度から実行いたしたい、かような基本の気持ちを持っておったのでありますけれども、一つには、利益等の上がらない企業にも税負担を大きく期待することがなかなか困難な昨今の経済情勢でございますことも理由ではございましたけれども、いま一つは、調査会等におきまして、やはり国税との関連において外形標準課税導入すべきである、かようなお考えでございまして、国税につきましての処置ができなかった五十三年度におきましては、残念ながら見送らざるを得なかったのでございます。  それから、石油新税を交付税対象に含めたいということで、これまた端的な表現をいたしますならば相当がんばったのでございますけれども、石油新税それ自身が目的税的なものに使われる、昨今のエネルギーの重要性にかんがみましてその方面に使われる、かようなことでございまして、したがって、四税に拡大することは困難な状況でございましたが、しかし地方におきましては石油に関連いたします相当の支出があるのでございまして、廃棄物の処理関係からいたしましても、あるいは消防、防災の観点からいたしましても相当の負担をいたしておるのでございますから、新たに交付金制度を設けてもらうということで、百五十四億円が予定されておる、かようなことでございますが、残念ながら四税への拡大は見送らざるを得なかった、かようなことでございます。  それから、公営企業金融公庫の改組につきましても、でき得べくんば公庫の名称をも変更いたしますと同時に、普通会計債すべてにわたりまして融資が可能であるような姿にしたがったのでありますけれども、しかし志しておりましたところ全部が満足し得べき状況ではございませんでして、御承知のような臨時三事業につきましての普通会計債の融資、かようなことにとどまらざるを得なかったのでございますから、これもまた五十四年度におきましては努力をいたしまして、政府内部で考え方が私どもの考えの方向に固まりますように努力をいたしてまいらなければならぬ、かように思うのでございます。  それから、六・五%の交付税率の引き上げを要求いたしたのでございますけれども、結果といたしましては特会の借入金のうち二分の一を国が負担をする、かようなルール化にとどまったのでございまして、そこで、来年度交付税率の引き上げを要求いたしますかどうかは慎重に検討しなければならぬのでありますが、私は早い機会に行財政の改革をいたさなければならぬ、かような基本の気持ちを持っておるのでありまして、行財政の改革は、地域の皆さん方といたしましては税負担が重くなる結果にならざるを得ないと思うのでございますけれども、しかし昨今の地方財政状況からいたしまして、自主性を高めてまいります観点からいたしましても、やはり負担増をお願いしなければなかなか地方の舞いが舞っていけない、かような状況でございますから、さような税負担増加と同時に、また国で新たな税を創設されるといたしますならば、それを当然交付税対象に加えてもらわなければならぬ、さようなこととの関連において交付税率の引き上げにつきましても大蔵省と十分な話し合いをいたしながら解決を図っていかなければならぬ、かように考えておるところであります。
  110. 小川新一郎

    小川(新)委員 私はいまの大臣の御答弁を聞いておりまして、大臣の誠実なる答弁に感動しておりますが、初めて自治省としては交付税の六・五%という数字の裏づけをきょう発表したわけです。いままでは交付税率を上げる上げるということは言っておりましたが、地方公共団体が一番望んでおります地方交付税率を六・五%も上げるということを数字の裏づけをもって大蔵省に言ったということは、これは非常に大きなきょうの大臣の誠実な答弁だと評価します。いままでの御答弁はすべて数字を明かさなかった。しかも昭和五十二年の暮れに六・五%アップするということを大蔵省に言ったということは、これは私はきょう初めてこの委員会において明確になったものだと思っております。  それから、石油新税を初めとして交付税対象とすることは、今後増税された新しい税ができたときには、交付税の対象にするんだ、またしてもらいたいのだという表明をしたということもこれも新しい一つの見解だと思います。  また、公営企業金融公庫については、住宅とか道路とか、臨時と名のつく河川、高校こういった新たなものが組み込まれたことによって、私どもは非常に評価しておりますか、名前の変更もしないというのは、大蔵省のメンツもあるだろう。いろいろなメンツもあって、そこまではとうとうできなかったという苦しい御答弁も浮き彫りにされましたので、これも納得いたします。ただ、法人事業税の外形課税方式というものは、これは基準の税率をアップしたことによって今回一時逃れということはできましたが、景気が高揚し、少なくとも法人税の伸びが見込まれてくれば、これは外形課税が組み込まれざるを得ない。そういたしますと、五十四年度には当然この問題をそのままに据え置くというわけにはいかないということが、いまの大臣の抜本的改正の中に、これは含まれているのかどうか。含まれているとするならば、この四つは当然改正されるであろうということを私は認識いたしておりますが、いかがでございますか。
  111. 加藤武徳

    加藤国務大臣 法人事業税外形標準課税導入いたしますことは、私は地方財政改革の大きな柱である、かように考えております。ことに審議会の答申を拝見いたしますならば、時期的におくれればおくれるほど解決がむずかしくなる、かような表現もあるわけでございますから、私の気持ちといたしましては、できるだけ早くこの考え方を実現していかなければならぬ、かように考えておるところであります。
  112. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣は、福田内閣の閣僚の一人といたしまして、当然七%成長というものを目標としている一人として、今後いまのままでもう法人税か伸びない、またそういった中で——地方交付税というものは景気のいいときに改正するのがいいのか。景気が下回っちゃって法人税が上がらないようなときに交付税率のアップを言うのが正しいのか。たとえば財政計画の乖離の問題が出てきますが、単年度財政収支の中で法人税が予想以上に伸びた。これは高度経済成長政策のときには財政計画で見積もった法人二税よりも伸びた。こういうときには国は地方から借金をする。そういうときに交付税率のアップなどということはだれも言わない。言っておっても声が小さい。なぜかなれば、地方公共団体は税の増収分で十二分に地方財政を賄っていける。ところが、景気が下回って住民税や法人税の伸びがとまり、さらに下回る、見込み違いが起きた。こういうときに交付税率のアップという問題を叫んでまいりますが、昭和三十年代、四十年代、四十一年ごろから上がった、交付税率をアップいたしましたが、四十一年以後の、四十七年、八年の石油ショックまでの好況期に交付率のアップを叫んでも、われわれも聞き入れてもらえなかったし、それほど深刻に受けとめて、いなかったのですが、こういう交付税率をアップするというのは、景気がいいときがいいのですか、下回っているときがいいのでしょうか。どういうときが一番妥当性を欠くのですか。
  113. 山本悟

    山本(悟)政府委員 大変むずかしい問題でございますが、確かに二十年代の終わりから三十年代を通じまして、地方財源が非常に枯渇をする、そもそもの財源の配分自体が、国と地方で国の方に偏っているというような状況のもとにおきましては、交付税率というものは毎年度のように少しづつ上がってまいりまして、当初出発した当時二〇%程度のものでありましたのが、三二%に御指摘のとおり昭和四十一年になった、こういうような経過があるわけであります。その後の四十年代というのは御案内のとおりの景気の高度成長時代というようなことでございまして、いろいろと国との間で出し入れはございますけれども交付税率そのものの問題としては変更はなく、現在まで至った、こういうようなことでございます。そして五十年以降のこの三、四年というものは国も地方も全く同じようなレベルでもって非常に財源不足になる、こういう状況を迎えているわけでございまして、そういう状況のもと、これはまさに地方としては非常に金の足らない状況。したがって、地方としての一般財源を何とかして確保したい。その後のことはまさに御指摘のとおりでございますが、その場合にはやはり国も同様の状況に陥っておる時代でございますので、やはりそこはどうしても国民負担というものについて、国、地方を通じまして公経済というものの財源というものをどこかで獲得しなければならない、そういうような時代に現在なっているのではなかろうかと思われるわけでございます。そこは、たびたび最近でも交付税率の要求をいたしましても、経済の変動期ということでなかなかその実現を見ない理由であろうと思いますけれども、やはりできるだけ早い機会に公経済全体の財源増加、その中におきまして交付税というものの確保ということを図っていかなければならぬのじゃなかろうかと存じておるところでございます。
  114. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は大臣の決意はよくわかったのですが、大臣は早急に行財政の抜本改革を行うのだと言うのですけれども、私はいま端的に一例を挙げたのは、地方交付税率を上げるということは、国も地方も不景気なとき、要するに国民団体も国家も金の行き詰まっているときはそういう一方的なわけにはいかぬ。三方一両損なんだ、こういう体制でいくんだ。それで景気がよくならなければ、これは上げないのでしょう。景気がよくなってこなければ上げないということは、早期に景気か好況になるか、一体どの程度のときに交付税率は上がるのですか、大臣の見解では。あなたが幾ら決意を示しても、福田総理以下みんなに——まず大蔵省という第一の大きな壁があって、五十二年度、五十三年度の重点施策さえもみんなことごとく要撃されて撃墜されてしまった。そういう中で大臣の決意まことに盛んなりと言いますけれども、果たしてその景気の好調を待たなければ交付税率は上がらぬのじゃないですか。どうですか。
  115. 加藤武徳

    加藤国務大臣 わが国経済はかつてのような高度成長は望むべくもないと思うのでございますけれども、しかし六%ないし七%程度の安定した経済成長は期待できると思うのでございます。私どもは景気がよくなると申しましても、かつてのような景気は期待できない。となれば、まず安定成長の段階を迎えるのはそう遠くはないのではないか、かような感じを持つのでございまして、そこで経済が安定いたしますならば、やはり恒久的な交付税率の引き上げを期待し得る客観情勢が生まれてくる、かように考えておりますから、私は行政の改革とあわせましての交付税率の問題であろうとは思うのでございますけれども、そう遠い将来ではありませんで比較的近い時期において行財政根本改革ができ、そしてその中において交付税率の問題も解決がつくもの、かように期待をいたしておるところであります。
  116. 小川新一郎

    小川(新)委員 交付税法第六条の三の二項について、私はいま議論しているわけではないんで、これは総体的な政治家としての見識とモラルの中での見通しを聞いているわけなんです。七%安定成長というものはできるという確信のもとでお述べになったのであれば、七%を達成した時点には——福田内閣は今年じゅうにならなければならぬ。その中で当然、七%安定成長になれば交付税率を含めた行財政の抜本改革をなし得る、こう私は理解してよろしいですか。一言で結構です。
  117. 加藤武徳

    加藤国務大臣 さような方向で努力をいたしてまいりたいと考えております。
  118. 小川新一郎

    小川(新)委員 五十一年度地方財政決算を見て、加藤自治大臣はどのようにお考えになっているかということをお尋ねしておきます。  五十年度の都道府県決算では実質収支は二十七都道府県が赤字で、単年度収支では四十七全都道府県が赤字でありますが、これに比べて五十一年度決算では実質収支で赤字団体は九都道府県に減りました。単年度収支の赤字団体は四都県に減ったわけであります。しかし借金依存は強まっておりまして、都道府県の実質的債務額は五十一年度決算で十兆七千五百六十三億、これは都道府県歳入総額の六六・七%に相当し、五十年度の六一・二%に比べますとはるかに巨額の借金を住民が背負っているということになっております。また、交付税の立場からは五十年度に神奈川県、五十一年度に愛知県、五十二年度には大阪府と大都市所在府県が続々と交付団体となり、全国四十七都道府県のうちわずかに東京都のみが不交付団体でありますが、その東京都も一挙に起債制限団体にいま転落するかどうかという瀬戸際に立たされております。このような状態から地方交付税制度、その財政調整機能や財源保障機能をいま失って破綻状態になった決算の姿があらわになったと思います。そこで私は、大都市財政を見ても東京都特別区を除き昭和三十九年度以降すべて政令指定都市が交付団体になっており、市町村についても借金財政が深まる一方である。歳入決算額に占める実質債務額の割合は昭和四十年度に四二・九%であったものが年々高くなり、昭和五十一年度決算においては実に七七・一%にも達しております。経常収支比率で見ますと、市町村で七〇から七五%、都道府県では七五から八〇%なら健全財政とされておりますが、五十一年度決算では市町村では七〇%台が八〇・四%に上がり、都道府県では八〇%台が八六・七%と高くなっております。こういう状態では三割自治という言葉がもう言われないのではないか、特に東京都と大阪府はその経常収支比率が一〇〇%を超えて全く身動きのとれない状態になっております。このような状態をいま私がるる申し述べましたが、自治大臣といたしまして昭和五十一年決算を見ましてどのような御所見をお持ちになり、財政対策を講じられんとするのか、簡潔にお願いいたします。
  119. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘がございましたように、五十一年度決算を見ますと外形は好ましい方向に動いておるような、そういう姿でございます。たとえば赤字団体が都道府県におきまして二十七団体が九団体になっておる、市町村におきましては二百四十幾団体が百三十一団体に減っておる、かようなことでありますし、また実質収支も好転いたしておる、かような外形ではございますけれども、中身はいま御指摘になりましたとおりのことでございまして、公債依存度がずいぶん高くなってきておりますし、かつまた公債費比率も高まっておる、義務的な経費もどんどんふえてきておる、かような状況でございます。かつまたごくわずかの団体を除きまして他のほとんどがいわゆる交付税交付団体というようなことになってしまっておるのでございまして、実に憂慮すべき状況だ、かような感じを深ういたします。ことに大都市におきましては人口急増等に対応いたしますために右往左往いたしまして、非常な苦労をしながら収支のつじつまを合わせておるということでございますから、かようなことに対処いたしまして改善の処置をとってまいらなければならぬと考えておるところでございます。
  120. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで自治省が五十二年三月に策定いたしました財政収支試算で、昭和五十五年度までに財源不足をゼロにするという地方財政収支試算によりますと、ことし、昭和五十三年度地方財源不足額は一兆四千八百億となっております。現実には二倍以上の三兆五百億、巨額な財源不足を生ずることになりまして、前倒しを入れますと三兆六千億になるというぐらいでございますが、なぜこのように地方財政収支試算が大きく見込み違いを生じたのか。こういった問題が決算に大きな影響を与えているのではなかろうか。五十二年三月の地方財政収支試算が最初の五十三年度から現実と大きく食い違ったことが明らかになった以上、当然いままでの収支試算根本的に見直して新しい地方財政収支試算をまず出すべきであると思うがどうか、以上二点についてお尋ねいたします。
  121. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御指摘の点でございますが、確かに昨年お出しいたしておりました収支試算、五十五年度までには財政が立て直るという案におきましては、ただいま御指摘のございましたような数字であったわけでありますが、実際には昨年におきますところの例の円高以来の非常な急激な法人関係税収入の落ち込みといったようなことがございまして、五十二年度自体の計画が大きく狂ってしまった。これを受けましてその税収の減ったところをもとにいたしましての五十三年度ということでございますから、そういった関係ではますます狂いが大きくなっていったわけでございます。そこで五十三年度地方財政対策といたしましては、やはり必要なる額は確保しないといけないものですから税収は確実な見込みを立て、また歳出は必要なものを計上し、その結果が三兆五百億というような大幅な財源不足になり、しかもそれは御指摘のとおり国税の前倒しまで含めておりますから、含めないとすればただいまおっしゃいましたように三兆六千億を超えるような数字になる、こういうような事態であったわけでございます。  そういうことに対応いたしまして、これからやはり出発をいたしまして収支試算というものを考えるといたしますと、五十五年に収支が償うというような状況というのはきわめて困難というような事態であろうと思います。したがって、国の方におきますすでに大蔵省から提出されました収支試算も五十七年というように年限が延びているという、しかもその間におきましても相当大幅な公経済におきますところの収入増を図らなければそうはならないということでございまして、地方の方につきましては先ほど申し上げましたようにただいま計算中でございますけれども、国との整合性というものをとってあわせ考えますと、やはり同様な姿が出てくるのではなかろうかというように思えてならないわけでございます。
  122. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで大蔵省にお尋ねいたしますけれども、政府は国の五カ年程度の本格的な中期財政計画を策定いたしますか。
  123. 公文宏

    ○公文説明員 中期の財政計画をつくるべきじゃないかという御指摘はごもっともでございます。私どもやはり中期的な展望で国の財政を考えていかなければいけないということは十分承知しておりまして、認識をしております。  その一つの手がかりといたしまして財政収支試算というようなものを出しておるわけでございます。財政計画ということになります場合には、これは各国でもいろいろな財政計画というのはつくられておりまして、それぞれに性格も違いますので一概には申せませんけれども財政計画という意味が国の歳入歳出の予定額をかっちりと示すという意味でございますならば、これをもしつくるといたしますと、これはたとえば明確な経済見通しが立つとか、そういう技術的な問題がございますし、それから一たん財政計画としてつくりますと、歳出について硬直性の問題が起きたりいたしますので、いろいろと財政計画をつくるにつきましてはなかなか問題点がございます。そういう点につきましていま大蔵省としてはいろいろ勉強を重ねておるという段階でございます。  財政計画の問題としてはそういう状況でございます。
  124. 小川新一郎

    小川(新)委員 そういたしますと、矢野質問のように、勉強している程度のところで、出せるか出せないか、出すのか出さないのか、どっちでしょうか。
  125. 公文宏

    ○公文説明員 方向として財政計画が望ましいということは私ども承知しておるわけでございますが、先ほど申しましたようないろいろな問題点を一つ一つつぶしてみまして、そして本当の国の財政のあり方として適当な計画はつくれるという時点になりましたら、その時点でお示しができるというようなことになろうかと思います。
  126. 小川新一郎

    小川(新)委員 その時点はことし中にはできないのですか。
  127. 公文宏

    ○公文説明員 いま財政制度審議会の基本問題小委員会でもいろいろ御検討いただいておりますが、ことしの時点では非常にむずかしいというふうに考えております。  そういうこともございまして、財政収支試算という試算の形でこれにかわるものとしてお出ししておるということでございます。
  128. 小川新一郎

    小川(新)委員 ことし中には無理だ。  それでは自治省にお尋ねいたしますが、車の両輪論からいきますと、両方出さなければならないのですが、地方財政においても単年度地方財政計画ではない、国と同様の五カ年程度の中期財政計画も当然策定すべきであると思います。いかがでしょうか。
  129. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方団体の場合にはやはり数多い三千数百の団体の積み上げでございますので、それを財政計画、要するにその計画に従って動くのだという意味におきます計画というものを示すことは非常に困難ではなかろうかと存じます。ただ、国の方がすでに提出されておりますような中期試算、これも五カ年計画程度の目標でございますが、ああいうものに対応いたしまして、それと整合性を持ちましたようなかっこうでの地方財政としての収支試算、これはやはり提出しなければならないものと、ただいま国の方におきましてもいろいろ国会との御関係等もありまして、それがどういうかっこうで最終になるかということでやっていらっしゃるようでございますから、それの状況をよく見た上で提出をいたしたいと思っております。
  130. 小川新一郎

    小川(新)委員 結局、財政収支試算国会で問題になって、余り信憑性がおけない。いま言った五十二年度財政収支の問題、五十三年度財源不足の見込み額が見込み不足が半分。一割から一割五分違ったというならわかりますが、百円のものなら五十円しか見込めなかった、そういう収支試算であっては何の足しにもならないのですね。  大蔵省にお尋ねしますが、先回のわが党書記長の質問の中で、一体どこが問題になってけちょんけちょんにたたかれたのですか。
  131. 公文宏

    ○公文説明員 財政収支試算につきましては、一月の末に提出いたしたわけでございますが、先般の予算委員会で矢野委員から御指摘がございました。その点は、今度の財政収支試算につきましては五つケースをお示しして御議論の素材とするという意味でお出ししたわけでございますけれども、その五つケースにつきましての経済の姿との整合性の問題が御議論であったかと思われます。そういう点につきましては、御議論を踏まえまして善処したいという大蔵大臣の答弁をいたしておるという段階でございます。
  132. 小川新一郎

    小川(新)委員 要するにいろいろな含みを持った案を幾通りか用意した。ところがその規模は同じであっても、内容が整合性がなかった。それを追及されて財政収支試算なるものがどうも余り好ましくないということになってやり直しということになったわけですね。それと同じようなことが、いま地方自治体の方でもそういうことになったのですが、そういうものを踏まえて、それほどむずかしいものであれば、中期財政五カ年計画というものはさらに権威の高いものになってきまずから、試算でないのだ。だからこれが指針になっていくということは大変なことなんで、いろいろな隘路があるからことしじゆうにはちょっと無理だ。これは国の態度。それから自治体の場合は、三千余の個々の特質のある自治体の財政状態から立案することは困難だ、これもだめ、こう理解しているわけなんですが、そうしますと、財政計画なるものは国地方ともに国会にはことしじゅうは提出がない、こう理解してよろしいのでしょうか。これは自治省にお尋ねします。
  133. 山本悟

    山本(悟)政府委員 中期の見込みといたしましての財政計画というかっこうでは、先ほど申し上げましたような理由におきまして、自治省として提出するのは非常にむずかしいのではなかろうかと存じます。
  134. 小川新一郎

    小川(新)委員 それじゃ大蔵省にお尋ねしますが、大量の国債発行下における国債償還についての償還財源をも含めた償還計画、これは策定すべきだと思いますが、いかがでしょうか。昭和五十三年度予算の国債依存度は先ほども言われたとおりですから、昭和五十三年度末の国債残高は四十三兆四千億ぐらいになるのではないかと予想しておりますが、この償還計画は国はどうなんでしょうか。
  135. 公文宏

    ○公文説明員 公債の償還計画でございますが、財政法あるいは特例公債法の規定に基づく償還計画につきましては、予算書に添付をいたしまして提出してございます。これはたとえば五十三年度に出します公債発行額については、それはいつ返しますということは書いてあるわけでございます。  先生御指摘のお話は、その償還財源がどういうことになるのかという見通しを示せというお話だと思いますが、この点につきましては、たとえば特例公債で申しますと、これは十年後に返すということになるわけでございますので、ことし発行の分は六十三年度になるわけでございます。それまでの間にどういう償還財源が積み立てられるかということにつきましては、その十年間のいわば経済の状態あるいは財政の状態が明らかになりませんと、明確なことは申し上げられないわけでございます。そういう意味におきまして、償還財源見通しを十年間にわたってどういうことになっていくかということを示せという意味でございましたら、これはなかなかむずかしいということなのでございます。ただ、公債の償還につきましては、国の方は減債制度がございまして、毎年国債残高の百分の一・六を定率として繰り入れる。それから剰余金が出ました場合にはその剰余金について繰り入れる。あるいはそれで足りない場合には予算繰り入れをいたしますということが制度として確立しておりますので、その制度の範囲内で支障なくやっていきたいということが申し上げられる点でございます。
  136. 小川新一郎

    小川(新)委員 まことに明確性がないのでございますが、そうすると、自治省は、地方債についての地方財政再建のための償還財源を明確にした地方債の償還計画というものは今国会地方行政委員会提出すべきだと思っておりますが、大臣、この地方債の償還計画、財源を含めた償還計画、昭和五十三年度末の地方債の積み残しは、一般会計で二十兆、公営企業も含めると三十五兆。これは国債は借りかえができるものが多くて、実質六十年償還であります。地方債は借りかえができないものが多いので、十年償還のものが多いわけでございます。特に縁故債については特段の配慮が必要だ。だから車の両輪論ということをいつも福田総理は言うのですけれども、片っ方はラジアルタイヤの優秀なタイヤ、片っ方はつぎはぎの更生タイヤ、しかもインチが違うというような状態の中で、がたびしがたびし傾いて走っているのが、いまの日本の国と地方財政問題だ。どうしてこう償還計画一つさえも同じにはできないような仕組みになってしまったか。片っ方は六十年償還、借りかえができる、片っ方は十年である、こういう不平等性が出てくる。だから、償還財源を含めたところの地方債のどうやって返していくのだという計画ぐらい、オーソドックスなものを示して、地方財政の指針にするのは当然だと思うのです。細かいことはあなたからお尋ねするとして、大臣、どうですか。こういう不平等があるのですよ。もう返す年度からして違うのですよ。利子も違うのですよ。担保適格もないのですよ。何から何まで地方債と国債とはハンディキャップがあるのです。これはやはり大臣の言われる正義の気持ちである行財政再配分の中では、これを取り除かなければならない。これは景気の好況とか不況とかを抜きにして、借金政策の中での——借金というものは必ず返さなければならぬのです。借金しただけでいいのだったら、これはもうそれこそ警察に御厄介にならなければならないから大変なことになってしまうのですね。
  137. 加藤武徳

    加藤国務大臣 昔は地方債を消化いたしますのに相当政府資金がございましたので、苦労はございましたけれども、しかし今日ほどのことではなかったと思うのでありますけれども、昨今は五十三年度におきまして政府資金の充当率が高まったとは申しながら、しかし相当の縁故債に頼らざるを得ない状況でございます。そこでいま御指摘がございましたように、地方団体におきましては縁故債の消化に非常に苦労をいたしておりますし、それも場合によっては公金の預託を暗に言われまして、それに応じざるを得なかったり、かつまた手数料等の納付もしなければならぬ、かようなこともありまして、条件がまちまちでございます。そこで起債能力の大きい公共団体におきましてはさほどの苦労はございませんけれども、規模が小さくなればなるほど非常な苦労をいたしておるようなことでございます。  したがって、起債の償還につきましての計画を立てたらどうか、かような御提案ではございましたけれども、それがなかなかむずかしい状況でありますし、ことに三千数百の団体でいろいろ条件が違いますので、むずかしいのではございますし、まして固定した財源を充当いたしまして試算をいたしますようなことがなかなかむずかしく、また計画も困難なのでございますから、その点はどうぞ御了承いただきたい、かように思う次第であります。
  138. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は個々のことを一つ一つどうだこうだと言っているのじゃないのです。いまこの席で一つ一つ言っているのではなくて、そういうものを克服してそういう計画書を出さなければならない状態にあるのですから、これはどんどんふくらんでいってしまうのですから、それを言っているのです。そこでその中期財政計画もままならない。地方債の償還計画も、国債の償還計画もどうも出し切れない。そうなってくると、頼りにするのは財政収支試算になってしまうのです。何で財政の見通しを見るかと言えば、財政収支試算しかなくなっちゃうじゃないですか。その財政収支試算整合性がないと言って国会で追及されているでしょう。じゃ一体、国会議員等われわれは何をもって——財政収支の見通しを明確にできる材料はないじゃないですか。それは大変なことはよくわかりますよ、るる大変なことは。そのために優秀な官僚の諸君が日夜研究なさり、その職務にいられるのですから。私は、まずそういう点を明確にしておかなければならない。  そこで、財政収支試算の中で、大蔵省にお尋ねしますが、A、B、C、D、Eとある中で、C案が一番いいと言っている。これは経済企画庁も認めているのですか。
  139. 公文宏

    ○公文説明員 先生御承知のように、ケース五つ出してございます。私どもの理解では、五つケースにつきまして、いわば財政当局の立場でどれが望ましいかということについては明確な考え方をお示ししてございません。まあ財政の実情を知っていただくということと、それから今後の財政再建を行う上でいろいろな政策選択の幅がありますということをお示しするという意味で、五つケースを出しているわけでございます。  ただ、いま御指摘がありましたCケース関係でございますが、この五つケースのうちで経済の姿との整合性、その問題について考えてまいりますと、経済審議会の企画委員会が暫定試算という形で出しております経済の姿がございますが、それと整合性がとれておるのはCケース、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  140. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、わが党の矢野さんも言っていることは、C案が一番いいのじゃないかという呼び水を出した。  そこでC案では、昭和五十四年度から五十七年度まで十兆三千三百億円にも及ぶ大増税を想定しているわけですね。いみじくもここに、「中期的には国民租税負担増加を求めざるを得ないのではないか」という自治大臣のこの所信表明と一致しているわけです。そこで、国の財政を立て直すためには大増税以外に考えられないのではないかという考え方大蔵省としては支配的なんですか。簡単でいいですから。
  141. 公文宏

    ○公文説明員 いま申しましたように、経済の姿との関係で申しますと、ケースのCが整合性がとれているわけでございますが、これはやはり増税の計画を含んでいるものでございます。その増税につきましてどういう規模でやった方がいいのか、あるいは何年からやった方がいいか、あるいは税目をどうしたらいいかというような問題につきましては、いま財政当局としてあらかじめ御判断をお示しするのはむずかしかろう、そういうことでございまして、国会の御議論あるいは税制調査会の御議論を踏まえた上で考えていかなければいけない、そういうふうに考えておりますので、ケースCが唯一の政策選択の道だというふうには考えておらないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  142. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、経済との整合性が一番いいのはC案だとあなたの方でおっしゃった。経済を立て直さなければ、経済との整合性がとれないような財政問題では、これは国会で追及を受けたようなナンセンスな試算になると言っているのですよ。だから、そういう不明確なことを言っているからこんがらかっちゃうのです。こうでなければだめだと、整合性がとれるものをとらなければしょうがないのです。  そこで、大臣は、中期的には国民租税負担増加もやむを得ないのだということになれば、今後の一般消費税のような大型の新税か導入される場合は、国税地方税との税源配分はあなたとしてはどのように考えているのか、これが一点。  第二点は、それができないならば、地方交付税の対象とするのかどうか。これは絶対やるのかどうか。それがここに出たあなたのお考えの中期的な国民租税負担増加を求めざるを得ないという信念になっているのかどうか。
  143. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は、地方税の分野におきまして、地方みずからの努力で税の増徴を図ってまいりますのが一つの大きな柱だと思っておるのでございまして、それは先ほど来議論になりましたように、法人事業税につきまして外形標準課税導入いたしますのも一つの方法でございますし、かつまた、今回も御提案を申し上げておるのでありますけれども、いわゆる税制上の特別措置、これを絶えず見直していかなければならないのでございますから、さようなことも考え方の一つでございますけれども、仮に国が新しい税目を起こすようなことがありといたしますならば、当然交付税対象に加えていかなければならぬと思うのであります。ですから、国と地方と、両者の調整を図りながら事を運んでまいらなければならぬ、かように思っておるところでございます。
  144. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうすると、一般消費税のような増税のあったときには交付税の対象にする。それからそれを地方へ配分するかっこうは交付税の対象として配分する、こういう考え方ですか。
  145. 森岡敞

    ○森岡政府委員 大臣から申し上げましたように、地方財源といたしましては、まず第一に地方税の強化を図る。同時に、調整財源であります交付税の拡充も図るという基本的な姿勢を自治省としては持っておるわけでございます。  税制調査会指摘しておりますように、新税というふうな形で新たな国、地方を通じます財政収入を得るような段階になりました場合には、そのうち相当部分はまず地方税として私どもは賦与していただきたい、こういう考え方を持っております。その国税地方税の税源配分の割合は、御承知のように現在ほぼ二対一になっております。したがいまして、その二対一という割合を基本としながら地方税の増強を図ってまいりたい。これがまず第一でございます。  同時に、国税として収入されます新税のうち、相当部分は地方交付税にリンクをさしていただいて地方交付税の増額を図っていきたい、かような基本的姿勢を持ってまいりたいと思っております。
  146. 小川新一郎

    小川(新)委員 大変明確になってまいりました。  新しい税に対しては、国が二、地方が一、そして新しく起こせば地方交付税の対象にもする。そうすると、個人住民税というのは、いまでは低過ぎるという理解のもとに増税というものを考えるのか。個人住民税について、制限税額ですか、これをアップする考えは、大臣、あるのですか。——先に大臣にちょっとお尋ねしたいのです。
  147. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、住民税はその地域に住まっていらっしゃいます方々が、その団体の税源を確保いたしますために協力をいたす、かような性格でございまして、したがって、所得税の課税最低限とは違いましたラインを設けていることは御承知のとおりでございます。  そこで、今後どのように住民税を考えていくかの問題でございますけれども、すでに何回かにわたりまして課税最低限を引き上げておるのでございますから、私は、この百四十一万八千円程度が当分の間の限度ではないであろうか、かような考え方を持っておるのでございまして、したがって、いま直ちにこの最低標準額を引き上げますような措置はとるべきではないのではないか、かような基本の認識でございます。そして、そういう措置をとることによりまして地方税源の確保に努めていかなければならぬ、こういう考え方を持っておるところであります。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、個人住民税というのは現行のままで、減税もやらなければ、増税のラインも侵さない。特に減税というものは、個人住民税では、いまのままで考えられないんだ。  そうすると、五野党案で出した一兆二千億、この問題は政府・自民党としてものめない、当然何かしかの数字が出てくると思いますか、出るということは、住民税の要求も野党がしております。それも踏まえた上で、それではあなたは個人住民税というものの減税を行わないんだとここで言い切るのですか。
  149. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま与野党の間におきまして減税問題が論議されているさなかでございますので、政府の立場に立ちましては、このことに深く論及いたしますのはいかがであろうか、かような感じを持っているのでございますけれども、ただ、端的な言い方をいたしますならば、先ほど申し上げましたように、今日、地方税は減税をいたし得まするような環境にはないのでございまして、ただいま御審議願っておりまする中でも、平年度におきましては七百億円を超えますような増収を図っていかなければならぬ、かような考え方基本的に持っておるのでございますけれども、当初に申しましたように、この問題は与野党間の論議の焦点にいまなっておりますので、その多くに触れたくない、かような私の心境でございます。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 国の大きな問題が出るまではちょっと言えないということなんですが、当然その問題が明確になってまいりませんと、私どもとしても出したボールが一体どうなったかということがいつも不安になるのですけれども、そういうふうに自治大臣としてはどうしてもお答えできないということになれば、それはやむを得ないと思いますが、減税問題は、これはやはり大きな一つの矛盾点をはらんでいることは事実であります。確かに地方住民税を減税することは地方自治体の財源問題に響いてくる。これはわれわれとしても考えなければならぬ問題です。そういう政策的な問題はやはり高度な中で解決をするために政治というものがあるわけですから、ただし、個人住民税の減税を行ったその不足分を、特別措置によってまけている部分を持ってくるとか、またはこっちの方の取れるものを持ってくるというような政策展開というものは当然行われる、これは私はいいと思うのです。そういう点をこれからも大臣としても明確にしていっていただきたいと思いますので、あえてこの質問をしたわけでございます。  そこで、時間の関係がありますので、あと余りました地方債の問題をやりますが、東京都の財政問題で少しく議論してみたいと思いますので、飛ばして、中のものはあと時間があったらもう一遍リターンいたしますが、ちょっと順序が狂うことをお許しいただきます。私の持ち時間内でやらなければなりませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。  自治大臣は、大府県が最近相次いで交付税の交付団体に転落しているという事実は先ほどお認めになっているわけです。東京、大阪がもしも再建団体に落ち込むようなことがありますと、これは一地方公共団体の問題だけとして解決はでき得ない問題でもあるし、また国の威信にもかかわる問題です。ただこの地方公共団体の首長が野党であるとか保守党であるとか、そういう政策的な問題はさておいて、これが野党の首長がやっているところだったらその失政をついて改めてチェンジを行いたいという一つのあれは政策的、また政治的には出てくると思いますけれども、そういう問題はきょうはちょっと横に置いといて、やはり一国の顔であり、一国の行政の一番の中心地である東京のいまの財政問題というのは、いろいろ大臣にもお考えがあるし、言いたいことがあるでしょうが、簡単に御所見をまず承っておきたい。
  151. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ある限度以上の赤字が生じました場合には起債制限団体にならざるを得ない現行法制でありますことは御承知のとおりでございます。そこで、そういう姿になりました場合には、その地方団体の自主性が損なわれる結果に相なるのでありますから、私どもはでき得べくんば自主性を損なわない形において財政の再建を図ってもらいたい、これが根本考え方でございます。そしてそこの首長が政党的にどのような立場にあるかは全くの論外で、純粋に地方財政の立場から物を判断いたさなければならぬ、かような考え方基本に持っておるのでございます。  そこで東京都におきましては、五十二年度において一千二十五億円を超えますような赤字になりました場合には起債制限団体にならざるを得ない、かようなことでございましたか、東京都知事といたしましてはできるだけさような姿になることは避けたい、だけれども、そのためには財政健全化の処置をやらなければならぬと考えておるから、かようなことでございました。先般いわゆる健全化計画なるものが出てまいりまして、それを詳細に吟味いたしましたところ、この計画が実際的に実行でき、効果あるものでありますならば再建団体となることを防ぎ得るな、かような判断をいたしたところでございます。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 一月十日に東京都の美濃部知事が福田総理大臣を訪問しておりますが、この会談の内容を自治大臣は聞いておりますか。
  153. 加藤武徳

    加藤国務大臣 福田総理からはきわめて簡単に、美濃部知事がやってこられたよ、そして自治大臣のところにも行って詳しく話をするから、かようなことであったから詳しく話を聞きなさい、かようなことでございましたから、たしか一月十九日であったと記憶をいたすのでございますけれども、美濃部知事が副知事と御一緒に来られまして、詳細なお話を伺った次第でございます。
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 一月十九日美濃部都知事は加藤自治大臣を訪問しましたが、その際どのような要請をし、大臣はどのような御答弁をなさったのですか。
  155. 加藤武徳

    加藤国務大臣 美濃部知事は劈頭に、このままでいけば五十二年度において二千三百五十億円に近い赤字が生ずることがほぼ明らかになってきた、そして起債制限団体になることは困ることだから東京都としてはできるだけの健全化対策をとってまいりたい、かように前置きをされまして、そして健全化を考えていらっしゃるその中身につきまして約三十分にわたって詳細なお話がございました。そこで、私はそのお話を承って、そこまで決断をなすっておやりになるのなら、恐らく健全化が可能でございましょうから、きょうの口頭だけのお話では十分に理解できない点もございましたから文書でお願いできますか、かように申しましたら、そういたしましょう、かようなことで文書をお出し願った、かようなことでございます。
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 二月二十七日から都議会が始まっております。美濃部さんが提出しました都の五十三年度予算案、財政健全化計画案が可決されることが許可の条件になるのかどうか。いまあなたが申した内容をごらんになって、どう評価をなされたかということとあわせて大臣にお尋ねしたい。
  157. 加藤武徳

    加藤国務大臣 いわゆる財政健全化の中身は多種多様でございまして、その中には条例の改正等をも行わなければならぬものもございますし、その他にもろもろの処置があるのでありますから、したがって議会に付議いたしましてその結論を待たなければならぬのでございますが、私どもが、実効性ある計画でなければなりませんよ、かようなことを申しておりますのは、端的な言い方をいたしますならば、紙に書いたものだけではだめでございまして、それが担保されなければならぬ、かような意味を申したようなことでございますから、議会で御承認願うことが一個の担保の処置であることは間違いがない、かように判断いたしております。
  158. 小川新一郎

    小川(新)委員 その財政健全化計画の中では、歳入においては五十三年度において手数料や使用料、こういうものを取って三百三十八億ふやす、それから削減の方では定員管理の適正化を図って、これが六億、賞与や給与、これをとめて百五十四億あって、その中身は定期昇給、年一回一号アップをやめて、五十三年度百二十六億、管理職手当二〇%削減をして十一億、もろもろにこうございまして、約二百八十二億節約する。取る方が三百三十八億よけい取りますよ、減らす方が二百八十二億ありますから、加えますと六百二十億になりまして、昭和五十二年の補正によっての節約分五十六億と合わせますと六百七十六億、東京都  の財政の中から健全化に使うお金を六百七十六億、五十二年後半の補正と昭和五十三年度当初においてやりますからよろしいかというのが財政健全化計画の中身なんですが、大臣はこれは評価するのですか。この程度なら、大臣ならば。
  159. 加藤武徳

    加藤国務大臣 ただいま御指摘がございますように、できるだけ歳入の確保に当たりますことと、そして歳出の削減を行いますことと、かつまた事業等の見直しを行いますこと、このことが三つの柱であろうかと思うのでございますけれども、たとえばいま御指摘のございましたように職員皆さん方の定期昇給の延伸等をも決断をされたのでございまして、私は、一口で申しますと、きわめて厳しい状況下におきまして、やはり健全化のために非常な意欲を持っていらっしゃる、かように評価をいたしておるところであります。
  160. 小川新一郎

    小川(新)委員 財政当局、自治省としては、どう評価なさいますか。
  161. 山本悟

    山本(悟)政府委員 東京都から提出されました財政健全化計画の評価につきましては、ただいま自治大臣からお答え申し上げましたとおりでございまして、従来の都の財政健全化の努力に比べれば相当に評価できるのではないかというふうに存じております。
  162. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、何もここで煙幕を張ったり、政治的な考え方で都議会の議会を前にして、大臣がどう考えているのかということを都議会の自民党諸君の参考にするためにこんな質問をしているのじゃないのです。これだけはまず明確にしておきたいと思う。  ただ、衆議院地方行政委員会において当該自治大臣が、これだけ美濃部都政の中でいままでいろいろと御批判もあった、また財政再建計画も示さなかった、しかし口だけではだめだ、やりますよやりますよではだめなので、内容のある再建計画を持ってこい、こういう自治省の要求に従って六百六十何がし、これがないと大変なことになるというので、出した。この公式の場において大臣は非常に評価なさった。あとは都議会がこれをどう評価するかということ、これは議会の問題であって、評価することと議決をしなければ東京都の財政のてこ入れをしないのとは違うのですね。もう一遍お尋しておきます。
  163. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、この計画が画餅に帰しては何にもならないのでございますから、私ども予算の面からいたしましても、あるいは条例その他の改正の面からいたしましても、実効性あるものでなければならぬ、こういう基本考え方を持っておるのでございまして、もとよりいまおっしゃいますように都議会との関連におきましてどのようになりますかは予断すべくもないのでございますけれども、私どもは、知事が提案いたしましたものを議会が承認なさいますことが担保力あるものだ、かような判断をいたしておるようなことでございます。
  164. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、再建団体の定義についてお尋ねしたいのでございますが、その定義は、地方財政再建促進特別措置法施行令十一条の二、道府県は標準財政規模の五%が実質赤字限度額、市町村はその二〇%、東京都の場合は道府県相当額の五%と市町村分の二〇%分を合わせると昭和五十二年度の赤字限度額は八・五%に相当し、五十二年度財政から見ますと一千二十五億円に当たるわけです。東京都の実質赤字額は、都税収入の減収千九百五十億マイナス事業費の削減一千百億プラス都職員のベア及び退職金一千五百億イコール二千三百五十億、ゆえに二千三百五十億マイナス一千二十五億、先ほどの赤字限度額を引きますと一千三百二十五億、これを確保しなければならない。東京都は、赤字再建団体に転落し、破産するということになりますと、このうち八百億円は減収補てん債が認められております。残りの五百五十億、千三百二十五億マイナス八百億の分の残った五百五十億分が問題でありますが、これが美濃部都知事が福田総理並びに大臣に直訴した額なんですか。
  165. 加藤武徳

    加藤国務大臣 さようでございます。
  166. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで大臣、行財政の抜本改革の中に、地方財政の安定を図るための基準である、赤字再建団体になるいま申しました地方財政再建促進特別措置法のこういった定義は、このまま持続していくのが妥当なのか、あるいはもっと厳しくしなければならないのか、またはいまのような財政状態の中では、この財政基準を緩めて地方財政に弾力性を持たせた方が地方財政の運営のためにはいいのか、これも三十年たった今日の地方財政の新しい門出の中では議論さるべく重大な問題になってまいりました。特に、東京都を初めこのように赤字団体に続々なってきますとどういう結果になるかということは、プラスマイナス両方ありますが、そういう面で、この基準になるリミットの問題、これはどう大臣はお考えになっておりますか。
  167. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど御指摘をなさいましたように、三十年を経過いたしまして見直さなければならぬ時期に到達いたしていることは申すまでもないことでございますけれども、しかしかような厳しく苦しい時期であるとは申せ、やはり地方団体は節度ある財政の運営をいたさなければならぬ、かように考えておるのでございまして、現在の法のもとにおきまする制度は、当分の間手をつける必要はないのではないであろうか、かような根本考え方であります。
  168. 小川新一郎

    小川(新)委員 そうしますと、これは財政当局にお尋ねしますが、五百五十億、これはいまの状態では許可はできませんか。
  169. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先般都の方に対しましては、健全化計画が実際に行われることを前提にして考えますれば、都の希望される方向によって対処していきたい、こういうような連絡をいたしているところでございまして、まだ都議会におきましてもこれから御論議になり、それから額の確定というような問題につきましても、なお一カ月間、たとえば減収の額にいたしましても、これからまだ精査しなければならないわけでございますから、そういったような状況がございますので、年度末までの間の情勢を十分見まして、必要なる起債の許可は、なるべくならば御希望に沿うような方向で対処いたしたい、こういう連絡をいたしているところでございます。
  170. 小川新一郎

    小川(新)委員 御希望に沿える方向に向かって善処する、大臣間違いございませんね。
  171. 加藤武徳

    加藤国務大臣 東京都議会が開かれておりまして、その議論の趨勢をも見きわめなければならぬのでございますけれども、知事が提案いたしておりまする方向で了承が得られますならば許可をいたしたい、かように考えておるところであります。
  172. 小川新一郎

    小川(新)委員 大阪府も財政健全化債二百億の許可を自治省に申請しておりますが、これは事実でございますか。また、これに対して自治省はどういう態度でございますか。
  173. 山本悟

    山本(悟)政府委員 大阪府も東京都と同じような財政状況にあるわけでございまして、このままで参りますと、他の団体と同一な扱いでありますとやはり起債制限団体になる可能性があるということで、大阪府におきましても健全化計画を立てて提出をいたしてまいっているわけでございます。現在内容を精査し、議論をしている最中であり、なるべく早い時期に自治省といたしましての考え方を示したい、かように思っております。
  174. 小川新一郎

    小川(新)委員 これも大臣、議会等の趨勢を見ませんと、大阪府の場合もだめなんでございましょうか。
  175. 加藤武徳

    加藤国務大臣 東京都の場合と同じように大阪府に関しても考えているところであります。
  176. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、細かい話になって恐れ入りますが、地方交付税の合算規定を再検討して、都の制度に見合った算定方式の確立を図らなければならぬという要請が出ております。過日いろいろ私ども自治省と御検討した際は、合算制度をやめて別々にやったとして分けてみましても、どっちも黒字になるというのですね。地方公共団体の都も区も黒字になっちゃう、合算制度をやめて都と区が別々に地方交付税の算定をしてもそうなる、これが自治省考え方なんです。東京都の場合はそれをあえてやれという。その方が東京都の財政上非常に有利であるという。これは一見非常に相矛盾したような答弁でございますけれども、非公式の場のことですからここではその内容については申し上げません。非公式に私どもが検討した話の中で出たことですが、こういうふうな合算制度という問題はお互いに試案を出し合って当然俎上にのせるべきだと思いますが、その辺の御説明をひとつお願いしたいと思います。
  177. 山本悟

    山本(悟)政府委員 御案内のとおり、都の普通交付税計算につきましては都分及び特別区分を合わせまして一括して交付、不交付を決定いたしているわけでございます。五十二年度の算定状況を見ますると、東京都分、要するに府県としての都分とそれから市としての特別区分とそれぞれ別個に計算をいたしましても交付基準額はいずれも超過額を生ずる、こういうような結果に相なっているわけでございます。ただ、常に各年度そういうかっこうになるかということは、年度年度によりまして税収状況等によって変動が出てまいるわけでありまして、別にした方が有利じゃないかとかあるいはそれの方が不合理だとかいろいろな議論があることは先生の御指摘のとおりでございます。ただ、都と特別区の間におきますところの行政事務の配分並びに税源の配分というのはやはり特殊なる取り扱いになっているわけでございまして、これらを全く別々というかっこうで置き直してしまうということにつきましては、なお問題があるのではないかというようにも思っているところでございますので、議論は大いに重ねる必要があろうと思いますけれども、いま直ちにこれを別々にすべきであるというようなところまではまだ達していないというように存じております。
  178. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで私は提案をしたいのでございますが、東京都側からも試算を出させ、それから自治省側からもいま言った合算または分離、両面試算を出させ、さらにいま言った問題の隘路についての見解についてはそれぞれの議論に任せるといたしましても、当面どちらの試案がその実効性を持つものか、これを明確にした方が私はよろしいように思うのでございますが、大臣いかがなものでございましょうか。
  179. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように、東京都の特別区は他の道府県等におきます市町村とはやや性格を異にしておる面がございます。したがってただいまはいわゆる合算をする、こういう考え方で対処いたしておるのでございまして、また交付税計算におきましては、合算いたしましても合算しなくても結果としては同じようなことなのでございます。せっかくの御提案でございますからいろいろ研究はいたしてみたいと思うのでございますけれども、さような異なった特殊の性格のものだ、このことの御理解はいただきたい、かように思う次第であります。
  180. 小川新一郎

    小川(新)委員 私もよくその辺のところは理解して質問しているはずだと思います。なぜかなれば、この問題は東京都の自主性、議会の問題でございますからわれわれとしては何だかんだ言うあれはございませんけれども自治省考え方といま言ったような考え方が全く相反しているところに、私どもとしては試案を出してそして両面の長短、欠落を明確にして俎上にのせることの方が地方財政運営のためにはより有効ではなかろうか、こう思って言ったわけでございます。  そこで東京都の場合は、財政健全化債五百五十億円の発行が認められなければこれは大変なことになりますが、認められれば、これは起債制限団体に転落することは免れるわけですね。そこで来年度の五十三年度はともかくとしても、今度、五十三年度以降、都財政、都の予算案をどのようにこれから評価するかという問題でございますが、都の五十三年度予算に計上された地方債、これは全額許可するのかどうか。昭和五十三年度起債制限団体に転落するかどうかという瀬戸際の厳しい中でございますので、五十二年度の補正予算を含めたいまの再建計画が出た、そこで五十三年度に申請しております起債額の総枠についてはいかか取り計らっていただけるものなのか。
  181. 山本悟

    山本(悟)政府委員 東京都が五十三年度予算に計上いたしました地方債というのはつまびらかにいたしていないわけでございますが、自治省といたしましては、各都道府県に対しまして、明年度に入りまして地方債許可方針に基づきましてそれぞれの団体に公平に許可をしてまいるという気持ちでいるわけでございまして、今回の五百五十億という都が要望いたしておりますような特殊なる地方債というものを当然に前提といたしまして現在の段階で明年度のことを考えるわけにはまいらない、かように存じております。
  182. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで、地方税収の落ち込みに対しての十分な減収補てん債、この考え方はどうなのか。また、都は五十三年度の当初予算には五十三年度ベースアップ分を全く計上できておりません。これは通常の財政計画等においてはベースアップ分というのは五%分ぐらいは見込んで単年度財政計画が出されますね。それが東京都の場合は全く計上できていない中で、では減収補てん債というものの発行はどうなのか。裏返して言えば、そういう問題は地方自治の健全な育成の中での問題として取り上げなければならない重大な問題にだんだん発展してきたように私は思うのですが、これは大臣いかがなものですか。
  183. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方税収に落ち込みがございまして減収の生じました場合には減収補てん債を認可いたしてまいっておるのでありますから、この点に関しましてはさほどの大きな議論はないかと思うのでございますけれども、私ども東京都が五十三年度予算をいかように組もうとしていらっしゃるのか、実はその中身をつまびらかにいたしておらないのでございますから、仮りに年度が進んでまいりましてある時点で東京都区から相談がございますと、その相談に応じてよく吟味をいたしてまいりたい、かように考えているところであります。
  184. 小川新一郎

    小川(新)委員 財政当局の方はどういうように判断してくださいますか。
  185. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げましたようなことでございまして、御案内のとおり減収補てん債は、八月に基準財政収入額を計算するわけでございますが、その際にどういうように税収を見込むか、特に法人関係税が中心でございますが、どう見込むかということとも関連をいたすわけでございます。そういったところから、年度の途中におきまして法人関係税が落ちるというようなことが生じました際に問題になることでございまして、明年度地方財政計画として御提出申し上げております全体としての地方財政対策といたしましては、そういうことがなくて済まし得るはずのものである、こういうようなことになっているわけでございまして、現段階におきまして明年度に減収補てんがどうというようなことはまず考えていない次第でございます。
  186. 小川新一郎

    小川(新)委員 非常に厳しいお答えが返ってきたわけでございますが、ここで議論されたことも参考にして都議会では議論をうんとなさると思います。私どももここでは地方自治体のあり方まで批判とか要望はできませんので、この程度にとどめておきますが、大変な財政状態であることは大臣のところへ知事が直訴に来たことでも御理解いただけると思いますので、何分の配慮というものを心からお願いする次第であります。  そこで、成田空港問題について二、三お尋ねしたいのでございますが、大臣所信表明の中にも、「特に極左暴力集団は、当面、新東京国際空港の開港阻止を最大の闘争課題としながらテロ、ゲリラの本格化への動きを強めており、凶悪な爆弾事件や陰惨な内ゲバ事件も依然として続発する傾向にあります。」と言っております。このように警察行政の当面の重要な課題となっておりますので、二、三お尋ねします。  空港公団が空港必要用地としてすでに購入した土地の中でみずから購入した土地の面積及び金額について、端的にお願いします。
  187. 町田直

    ○町田参考人 お答えいたします。  空港公団がみずから購入いたしました土地は、本体用地約千ヘクタール、航空保安施設用地約七十一ヘクタール、代替地約七十ヘクタール、騒音地域の土地約二十ヘクタールでございます。(小川(新)委員「金額」と呼ぶ)全体の金額はただいまここに資料は持っておりません。各地域の単価でございましたら申し上げられます。
  188. 小川新一郎

    小川(新)委員 私は、このことは質問通告の前に資料要求で公団の方と打ち合わせをしておったのですが、まことに遺憾だと思います。  第二番目は、千葉県に依頼して購入した土地で、千葉県名義になっている土地の面積と金額及び目的についてお伺いしたい。
  189. 町田直

    ○町田参考人 現在千葉県が持っております土地は二百二十四ヘクタールでございます。
  190. 小川新一郎

    小川(新)委員 千葉県名義になっている土地の面積と金額及び目的についてということなのですが、面積だけしかお答えいただけませんですね。
  191. 町田直

    ○町田参考人 面積はただいま申し上げました二百二十四ヘクタールでございまして、金額は約二百億と伺っております。目的は、代替地として公団が千葉県にお願いいたしまして購入していただいたものでございます。
  192. 小川新一郎

    小川(新)委員 公団がみずから代替地として買った土地が七十ヘクタール、千葉県に依頼した土地が二百二十四ヘクタール、約三倍近く千葉県に依頼して購入したわけでございます。これらの土地の中に農地の面積はどれくらいあるのですか。
  193. 町田直

    ○町田参考人 全部入れまして二百二十四ヘクタールでございまして、その中に農地がどのくらいあるかは、公団として実はつかんでおりません。
  194. 小川新一郎

    小川(新)委員 農地の面積はわからない。それではあることはあるのですか。
  195. 町田直

    ○町田参考人 あると思います。
  196. 小川新一郎

    小川(新)委員 依頼した本人がどこを買ったか確かめていないということは、まことに公団の態度よろしくないと思います。人に物を頼むのに、どこを何で買ったかわからない、金額もわからない、使用目的も明確でない。それじゃ千葉県で買った土地はどうなのです。
  197. 町田直

    ○町田参考人 実は、空港公団昭和四十一年九月に千葉県に対して代替地を買っていただくようにお願いいたしました。それによりまして第一次の代替地を買っていただきまして、その中の相当部分を代替地として使わせていただきました。その後さらに不足しておりますので、第二次でまた依頼いたしまして買っていただいたものの中で現在残っておりますのが二百二十四ヘクタールと伺っておるわけでございます。  その内容につきまして、千葉県知事から、残っているものの中で代替できるものは早く代替するし、できないものについてはしかるべき処分をしてもらいたいというお話がございまして、過日千葉県知事に対しまして、現在の土地について両者でよく御相談をした上で、引き取れるものは引き取るし、引き取れないものは御相談の上でしかるべき処分をする、こういうことをお答え申し上げている次第でございます。
  198. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣にお尋ねいたしますけれども、もう大臣よく御存じだと思うのですが、農地法からいって空港公団は農地を買い上げることができますか。
  199. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は農地法の解釈をつまびらかにいたしておりませず、かつまた私の所掌ではないのでございますけれども、いま質疑応答を伺いながら、さて千葉県は農地を買い得たのかな、かような疑念は持った次第でございます。
  200. 小川新一郎

    小川(新)委員 福田内閣、自民党内閣の新国際空港建設にかける情熱と理念に対して、われわれ野党はいろいろと批判もあり反対もある。その批判あるいは反対の中で、建設を進めなければならぬという声も聞きながら国家的見地に基づいて、いま、重大な開港を間近に控えて、千葉国際空港についての態度を表明せねばならぬ段階に立ってきたわけです。そこで、地方公共団体が協力をすることはやぶさかでないと私は思いますが、公団が依頼をして代替地として買わせた土地が農地なのか山林なのかもわからない。しかも農地は農地法によって公団は買い上げることができないのじゃないでしょうか。どうなんでしょう。もしも買い上げられないとなれば、これは全部千葉県の負担になってしまうのですが、ただでさえ地方公共団体財源が逼迫している折から、二百億にも及ぶ金を捨て金にするようなことは、自治大臣としてはまさかさせないと思います。そうなりますと法律を犯さなければならない。自治体はどうするのかという問題に対しては、いま千葉県と公団が鋭意話し合っておるそうでございますが、買った中の農地について公団が買い上げるためには法改正が必要であると言われております。これはどうなんでしょうか。
  201. 町田直

    ○町田参考人 大変失礼いたしましたが、先ほどのお答え、若干訂正させていただきます。  まず、二百二十四ヘクタール、約二百億と申しましたのは二十億の誤りでございましたので、訂正させていただきます。それから農地は、二百二十四ヘクタール中約百十四ヘクタールでございます。  それで、ただいま先生の御指摘がございましたように、公団は農地を買うことはできますけれども、農地として保有することはできないことになっております。したがいまして、公団としては、農民の方に代替地として農地を提供する場合には、できるだけ千葉県にお願いいたしまして、それだけではございませんけれども、そういう意味もございまして、千葉県に買っていただくという措置をとったわけでございます。そういうことで千葉県にはいろいろと御迷惑なり御苦労をおかけしたわけでございますけれども、現在残っております二百二十四ヘクタールにつきましては、それが農地でございましても、代替地としてうまく使えます場合には千葉県から直接地主にお売りいただく、こういう形をとっております。したがってうまくいきますけれども、面積が非常に小さかったりあるいは非常に遠隔であったりしてどうしても代替地として適切でないというものにつきましては、ただいま申しましたように農地でございましたらできるだけ適用いたしますが、そうでないものについてはどうするかということを今後千葉県と御相談して決めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  202. 小川新一郎

    小川(新)委員 代替地で使うのですから、農民がそんな代替地は要らないと言いますと、これは大変なことになってしまうのです。私が調べた空港代替地の保有面積一覧表によりますと、成田市で三十二ヘクタール買ってあります。富里村で六十・三、八街で三・三、山武町が六・六ヘクタール、芝山町三十二・五、大栄町〇・一、酒々井町〇・二、ここまでが空港に一番近いところ、あと銚子、市原、木更津、東庄、飯岡、干潟、山田、多古、勝浦、大多喜、長南、海上、それらを合算しまして二百二十四ヘクタール、六十九万坪——大体成田の農民が銚子まで出ていくのですか、十ヘクタールも買っちゃって。農業をやるために市原市までバスか車に乗って通うのですか、これは十四ヘクタールも買ってあるのです。代替地というのは、農民がその近くで耕作するために必要だから土地を提供してかわりの——自分の持っている土地を提供するのでしょうけれども、市原市に十四・五ヘクタール、私、千葉県の地図を余りよく知らないのですが、成田から銚子というのはどれくらい離れているのでしょうか。また市原というのはどれくらい離れているのですか。飯岡町に六・五ヘクタールも千葉県は買ってしまった。代替地だ代替地だと言って、もうやみくもに買ってしまった。それで交換しろと言うのですが、いまこれに対して農民は反対しているのでしょう。反対している人たちを説得させてこういう遠いところまで——果たしてこれで代替ができなかったときには、公団は農地を保有できない、千葉県が保有していれば、これは今度千葉県の借金というか重荷になってしまうわけですね。大臣、これは保有してもいいと法律改正してあげないと、この土地は宙に浮いちゃうのですよ。二百二十四全部とは言いません。二百二十四ヘクタールのうち、千葉県が使ったりこれからもいろいろと努力するでしょう。だけれども、いずれにしてもそういう買いやすいところを買った。成田市は近いから三十二ヘクタール買ったのです。市原市はその半分も買ってしまったのです。富里では六十・三ヘクタール買ってあります。これは近いから結構です。成田、富里、八街、山武、芝山、大栄、酒々井、この辺までは近いという千葉県の説明なんですが、そこから先の旭から銚子から、千葉県じゅう全体にばらまかれちゃったこの土地は一体最終はどこが責任を負うのでしょうか。千葉県が負えばこれは千葉県が議会で追及されます。こういうものは高い買い物になってしまうのじゃないかということなんです。これはいかがなんでしょうか。自治省としては、こういう姿は好ましいのか好ましくないのか、どうなんですか。
  203. 山本悟

    山本(悟)政府委員 千葉県から多くの項目につきまして公団に要望が出ておりまして、それに対します公団からの回答として私ども承知いたしているところによりますと、ただいまの代替地の問題につきましては県に迷惑をかけない、こういうような回答が寄せられているように聞いているところでございます。  さようなことでございますと、公団側としてどういうぐあいに処理されるのか、成り行きを十分見て対処していきたい。もちろん御指摘のとおり、それが県の方に重荷になって肩にかかるということは、私どもとしてもそれは困ることでございますので、十分関心を持って見てまいりたいと思います。
  204. 小川新一郎

    小川(新)委員 だってこれは、千葉県が公団に依頼されて協力して代替地として買ったのですよ。だけれども、売ってくれないから売りの出たところで買っちゃっだのです。農民や反対している人が、ここなら交換してもいいよというところではなくて、とんでもない千葉県の外れまで、それも十八市町村にまたがってばらまいちゃったのです。だからたとえば私が反対農民だったら、自分の土地を提供する、第二飛行場をつくる、また滑走路をつくるから私は行くけれども、近くにくれと言ったって近くにはないのです。その遠いところの土地は、農地だったら公団が保有ができないと言っているじゃないですか。農地では保有ができない、農民は買わない、だれが負う、千葉県がしょう以外にないじゃないですか。それとも国が買いますか、自治省が。
  205. 山本悟

    山本(悟)政府委員 処理の方法といたしましてはどういうかっこうになるか、具体案というものをただいまお答え申し上げる準備もございませんけれども、私ども承知いたしているところでは、公団は県に対して迷惑をかけないということを正式に回答されているようでございまして、公団側におかれましても何らかの対策があるのではなかろうか、また対策がないとすれば一体どうするのか、大変に困った問題になるのではないかというように思います。
  206. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省がそんなあなた任せの何とか二人でやるだんべ、おれ知らぬ——地方財政がこれだけ大変だ大変だと言われているのにむだな買い物させておいて迷惑だ。これは買い上げられなければ保有できないのですよ。おれのところで持っておくというわけにいかないのですよ、公団は。そのうち農地がどれくらいあるのだと聞いたらここで言わないのですよ。だからどうしているんだと自治省に聞いているのです。
  207. 山本悟

    山本(悟)政府委員 自治省といたしまして具体にこれをどうこうするという立場には実はないわけでございますが、当事者間におきまして解決を図られる、そのためにはただいま先生御指摘のように保有できない、しかも買う者がいないというような場合におきましては、やはり公団におきましてしかるべき措置をお願い申し上げるより仕方がない。私どもといたしましても、地方財政の立場から言えばそういうものを千葉県がしょわされるということは、もしもそれを他に使い得るような用途がある、公共用地その他にして使い得る用途かあるというならこれまた話が別でございますけれども、そうじやないといたしまして全く無用であるということであれば、やはりそれは原因者であります。もとの必要とされたところであります公団側におきましてしかるべき処置をしてもらうように、私どもとしてもそういう態度で対処するよりほかにないのではないだろうか、こう思います。
  208. 小川新一郎

    小川(新)委員 公団に第二期工事用の必要用地の面積及び予算と取得完了期日についてお尋ねいたします。
  209. 町田直

    ○町田参考人 第二期工事の必要面積は、本体部分が昨年の十二月末で四十一ヘクタール、それから航空保安用地が二十四ヘクタールでございます。これらにつきましては、少なくとも昭和五十四年度末までに買収する予定で現在計画を進めております。昭和五十三年度予算は全体で約五十九億でございます。
  210. 小川新一郎

    小川(新)委員 その地域名を明かしていただきたいのです。それから緊急に必要な土地はいつまでに必要なのか、その面積と金額についてお尋ねします。
  211. 町田直

    ○町田参考人 緊急に必要な場所は、本体の四十一ヘクタールの中で大体B滑走路とC滑走路、特にC滑走路の予定地に所在する部分でございます。それからその次に必要なのが航空保安施設用地でございます。
  212. 小川新一郎

    小川(新)委員 面積は何ヘクタールですか。
  213. 町田直

    ○町田参考人 四十一ヘクタールの中でその部分が大体大部分でございまして、特にその中で細かい数字はいまのところつかんでおりません。
  214. 小川新一郎

    小川(新)委員 五十四年末までに買い上げるために四十一ヘクタール必要ということですね。その中で絶対反対している地主、代替地希望の地主、何名でどれくらいの面積必要なんですか。
  215. 町田直

    ○町田参考人 四十一ヘクタールの中で絶対に反対でどうにもならないのはいわゆる一坪運動地でございまして、一・六ヘクタールくらいでございます。その他はいろいろなニュアンスの差はございますけれども、非常に強い反対をしている反対同盟の方からそうでもないような方のあれがございまして、特にどこからどこまでがということはなかなかはっきりは申し上げられないということでございます。絶対に反対なのはいまの一・六ヘクタールでございます。
  216. 小川新一郎

    小川(新)委員 一坪運動の地主というのはだれですか。一坪地主なんてあるのですか。
  217. 町田直

    ○町田参考人 一坪運動地と申しますのは、この空港を建設する一番当初のころに空港に特に反対をしていた方々が、ある地主さんの土地を一坪ずつ名前を登記いたしまして、いわゆる一坪運動というふうにいたした土地でございます。これがいまだに残っておりまして、先ほど申しましたように、一・六ヘクタール、こういうことでございます。
  218. 小川新一郎

    小川(新)委員 反対派地主の不法耕作面積とその性格についてお尋ねします。耕作している地主の数、面積。
  219. 町田直

    ○町田参考人 不法耕作をしている場所はただいまの本体の用地とそれからアプローチ、いわゆる航空保安施設用地、それから騒音対策地域と三種類ございますけれども、全体をくるめまして一番多いときで八十七ヘクタールぐらいでございます。ただいま申しましたこの三つの地域で現在まだ使っていないいわゆる二期工事区域とか、あるいは二期工事の航空保安施設用地等が大体六百五十ヘクタールございますけれども、その中で八十七ヘクタールということでございます。
  220. 小川新一郎

    小川(新)委員 この不法耕作を放置していることが地主の移転をおくらせ、支援する極左グループの闘争資金源になっているのではないかと思っております。そこで耕した食糧を売って、そこで耕した物を食べて、そして極左グループに支援をし、応援をしている。警察はどう見ているのか。総点検が必要なのか。どうして鉄条網を張らないのか。こういった問題がどうしていままで公団でできなかったのか。しかもその中で空港公団の所有する土地についての囲いや標示あるいは立入禁止措置がとられているのかいないのかという点から踏まえて、成田空港の開港に反対する過激派、極左グループに占拠された団結小屋、見張り小屋、鉄塔、火炎びん製造工場、こういうものはあるのかないのかということであります。  また空港に協力した民間人で火炎びんを投げられた人がどれくらいいるのか、どういう処置をとったのか。これは警察と公団とこもごもお答えいただきたいと思います。
  221. 三井脩

    ○三井政府委員 ただいま御指摘のような事実がございまして、私たちとしては違法な行為はこれを取り締まるというのが任務でございますので、これの取り締まりに努めておるわけでございます。  そのうち、不法耕作の問題の御指摘でございますが、不法耕作地というのを取り締まりますためには、これがどこからどこまでが不法耕作地であるという境界が明確であり、かつここは立ち入ってはならないという措置がしてあることが必要でありまして、これがしてあります場合には、その態様によりまして刑法の不動産侵奪罪なり、あるいは軽い場合には軽犯罪法違反になるということでございますので、そういう措置と相まって取り締まりを進めてまいりたいと考えておりまして、公団当局とも、そういう措置が前提になりますので、とっていただくようにお願いをしておるところでございます。  また一般の農民の方で火炎びん等によって攻撃を受け、被害を受ける、こういう事例も散見をするわけでございますが、先日、二月六日のいわゆる横堀要塞というものに対する押収措置の際にも付近の民家に火炎びんを投げた、これは格別大きな被害なく終わったわけでありますが、玄関が焦げる等の被害が出ております。また賛成派の農民でつくっておりますホテルに対して、バイクによって乗りつけた若者が火炎びんを投げつけたというような例があるわけでありまして、これについては鋭意捜査を進めておるところでございます。  なお、近く開港が予定されておるわけでありますから、不法耕作地その他団結小屋が三十三カ所あるわけでありますが、こういうものを拠点として過激な反対行動が展開されることに対しましては十分な体制をもって取り締まりを進めてまいりたいと準備をしておるところでございます。
  222. 町田直

    ○町田参考人 公団といたしましては、昭和四十九年の七月に公団の買収地についての土地保全のための実態調査を行いまして、その後、翌年の昭和五十年四月以降は定期的にその土地の巡視を行っております。  また、不法耕作に対しましては、ただいま先生のおっしゃいましたようなさくはまだできませんけれども、公団所有地であることの標示、それから不法耕作を禁止する旨の立て看板の建植、それから不法耕作の明らかな者に対しましては口頭または文書による禁止の警告、それから不法耕作の現場における警告などを行ってまいりました。これによりましてかなり排除はされたのでございますけれども、何と申しましても現在不法耕作の行われているような場所はある意味でかなり危険な場所でございましたので、危険な場合には警察等にお願いいたしまして、警備をお願いしながら排除をしなければならない、こういうような実態がありまして、必ずしも不法耕作を排除することは十分ではございませんでした。最近に至りまして工事のための工事用道路をかなり現地につくりまして交通もかなりできるようになりましたので、今後さらに徹底してこの排除をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  223. 小川新一郎

    小川(新)委員 警察は、火炎びん、鉄パイプその他いろいろな問題が出てきますが、この火炎びん取締法というのを強化する考えを持っているのかいないのか、これが一つ。  第二点は、この公団所有地の金網や鉄条網やそういったものがないためにいままで不法に出入りしていた連中、こういう連中を取り締まるのに公団の処置が手ぬるいために取り締まりに対していろいろな支障を来したということを聞いておりますが、事実なのかどうか、これが第二点。  第三点は、協力をした成田興業の車に対して、紙で張ってナンバーを隠して資材を運ぶように指示したのは公団なのか警察なのか、どっちなのか。これは道交法違反にならないのか。そうしないと襲撃をされるおそれがあるので自動車のナンバーに紙を張った事実がある。これはどこが指示したのか。しかも警察官の前を通っていった。これは法治国家において、後ろのナンバーに紙を張ってどこの車だかわからないようにして走らせるほど成田は無法地帯になったのか、これが第四点。  第五点目は、いよいよ開港間近に迫って、千葉ルート、鹿島ルートの輸送が始まりますけれども、過激反対闘争の人たちはどのようにこれを見て、どういう反対闘争の現実化を図ろうとしているのか、これに対して予想される危険、これに対して警察はどのように対処しようとしているのか、時間がありませんからまとめていま聞きました。お願いします。
  224. 三井脩

    ○三井政府委員 火炎びん取締法につきましては、これを活用いたしておりまして、ただいま法自体をさらに改正するという必要性を感じておりません。もっぱらこれを強力に執行していくということでございます。  次に、公団用地で、これが不法耕作等に使われておるため、あるいはもっと言えば公団側の用地に対する管理措置が十分でないために種々不都合はないかという点でございますが、これはただいまお話しのように、だんだんと公団もそういう点について努力をされておりますので、それが進むに従ってよくなっていくものというふうに考えております。  また自動車のナンバーを紙で覆うというようなものは、昨年の道路工事のときに一部そのようなことがあったと承知いたしておりますが、これは公団の用地内だけを動くときにそういうことをしたというように聞いておりますが、それにしても必ずしも適当な方法でないということで、その後直ちに取りやめたというように考えております。  それからまた、全体といたしましてあの土地に先ほど申しましたように三十三カ所に約百六十人くらいの連中が常時常駐をいたしておりまして、ここから出てはいたずらをするというようなことがありますので、こういう点については強力なパトロールその他の措置によって彼らの蠢動を封じ込めるというような措置をとっておるわけでありまして、そのために新しく空港署もつくりましたし、またそのほかに直轄警ら隊を置き、さらに機動隊員を、一個中隊はもう何年も常駐しておるわけでございますが、最近さらに一個大隊を常駐させておるというような体制をとっておるわけでございます。  なお、燃料の鉄道輸送に伴いまして種々ゲリラ的な攻撃行動が考えられますし、また彼ら自身も集会等あるいは機関紙等でそういう意図を表明しておりますので、これに対しましてはわが方において、先ほどもちょっと触れましたが、十分な体制をもって、できれば先制的に取り締まりを展開してまいりたいと考えておるわけでございます。
  225. 小川新一郎

    小川(新)委員 この成田の輸送列車阻止は西部劇を見るような思いなんですね。警察官が駅馬車に乗って、まるでそれを襲撃するインディアンのごとく、いつどこでこの航空ジェット燃料輸送車を襲撃するかというようなことがうわさされております。この輸送には警察官も警乗させるということが報道されておりますが、事実なのかどうか。もしも事故があったときには警察官は吹っ飛んでしまうのではないか。こういう危険な状態を警察官に強いるのですか。
  226. 三井脩

    ○三井政府委員 燃料の輸送につきましては、それが人為的な攻撃によって各種の事故を生ずることのないように、十分な体制で警備をしてまいりたいと思います。警備の方法につきましては種々方法がございますが、これについてはまた相手方のこともありますので、細部については差し控えさせていただきますけれども、私たちといたしましては十分な体制で臨むということで準備をいたしております。
  227. 小川新一郎

    小川(新)委員 三年間この輸送をやるのですから、無事に終了することを心から祈る一人として、あえて警察官も人の子であるという立場に立って、生命の保障さえもできかねるような危険な警備の中に置くということは、私どもとしては十分の上にも十分の御注意をして事故のないようにやってもらいたいし、また過激派の人たちに対しても、生命の尊厳という立場をもって、過剰な警備または過剰な行動というものはとらないように十分に御注意を申し上げて、この質問を終わらせていただきます。  最後に宝くじについてお尋ねいたします。  先日、全国信用金庫協会は、全国の市町村が一等三千万円以上の大型の宝くじを発行し、これを全国の信用金庫の窓口約五千カ所で販売しようという構想を明らかにしております。このことは正式に自治省に申し入れがあったのか、これを受けて自治省はどのような問題点があると考えているのか、またどのように回答するのか。現行法では当せん金附証票法の改正が必要であります。現行の発行団体四十七都道府県と九つの政令都市に市町村を加えなければならない。発行団体を市町村に広げる考えがあるのかどうか、窓口収益を一般の市町村にも均てん化されるのかどうか。また現行法では宝くじの販売金額一枚百円の十万倍すなわち一千万円が限度とされておりますが、最高限度額一千万円を引き上げる考えがあるのかどうか。宝くじ委託金融機関は銀行に限定されておりますが、委託金融機関に信用金庫を加える考えはないのかどうか。  以上、まとめて御質問いたしましたので、まとめてお答えをいただきます。
  228. 山本悟

    山本(悟)政府委員 市町村が宝くじを発売する場合には、全国信用金庫協会から信用金庫も受託販売ができるように検討してもらいたいという意味の口頭での要望があったようでございます。ただ正式に文書その他によりましての要望というような段階にはなっていないで、私もそういう口頭の要望があったということを聞いた程度でございます。  ただいま御質問にもございましたように、当せん金附証票法によりまして、現在、銀行ということになっているわけでございまして、もしもそういうように信用金庫というようなことであれば、もちろん法律改正を要する問題ではございます。  なおそれ以前の問題といたしまして、一体、市町村というものにこの宝くじの発売を認めるべきなのかどうか、また個々の三千幾らの市町村というものがそういったことで一体できるのかできないのか。御案内のとおり、現在、宝くじというのは発売したところのその地域の団体にお金が返るというシステムになっているわけでございまして、これが個々の町村までずっと及んでいくというようなことになりますと、金額的にも一体いかがなるものに相なるか、技術的な面から見ましても問題点はいろいろあるわけでございます。ただ、そういったものにつきまして、市長会、町村長会等におきましてもやはり財源の問題でございますからいろいろ希望はございますので、そういったものについての研究、勉強ということはやっていかなければならないというようには存じておりますけれども、まだまだとてもどういう方向であるというような自治省としての考え方を申し上げるような段階でないし、まして、その次の段階でございます銀行以外のところにどうこうするというようなことを検討する段階には達していないと思っております。  なお御案内のとおり、法制的に申せば、宝くじの販売委託先を決定するのは発売主体である、その発売主体としての決定の中で現在は法律上銀行だけに限られておる、こういう状況であるということを申し添えさせていただきます。
  229. 小川新一郎

    小川(新)委員 終わります。
  230. 木村武千代

    ○木村委員長 中井洽君。
  231. 中井洽

    中井委員 大臣にお尋ねをいたしたい。  大臣はかつて岡山県で知事をなさったわけであります。今回の地方財政のいわゆる自治省のとられた措置あるいは法律改正、こういったものの全般を、もし大臣が知事をなさっておったとしたらどのように受けとめられるか、率直にお伺いをしたいと思います。
  232. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方団体は四カ年続きましての財源不足でございます。そこで、財政的な見地からいたしますと五十三年度におきましても三兆円を超えますような財源不足が生ずる、これを自治省大蔵省と十分な話し合いをいたしまして、特会の借入金と、そして一部は起債の充当、かようなことで措置をいたしたのでございますが、私が常々思っておりますのは、地方あっての中央であり、また中央あっての地方である、福田総理のいわゆる車の両輪だ、かような考え方を持っているのでありまして、地方の立場からいたしましてもまた自治省の立場からいたしましても、欲を出して考えれば幾らでも無限に、あれも足らなかった、これも足らなかった、かようなことが思えるのでありますけれども、私は国の財政状況等を勘案いたしまして、大蔵省も私どもの要求を相当程度のんでくれたのでまずまずいいところではないであろうか、不満足ではございますけれども、まずまずの体制はできた、かような感じを率直に持っておる次第でございます。
  233. 中井洽

    中井委員 先ほどの本会議でも総理大臣から御答弁があったように思うのでありますが、今回の地方財政措置あるいは趣旨説明されました法案の提出、こういつたことを考えますと、交付税率をいじらずに、あるいは行財政制度の抜本的な改革なしに、またもや去年と同じくお金さえ手当てをできればいいんだという形で話をつけた、法律違反じゃないか、こういう気がするわけであります。交付税法の六条の三の二項ですが、六条のあれに違反をしないと本当にお考えかどうか、再度お尋ねをいたします。
  234. 加藤武徳

    加藤国務大臣 地方交付税法は御承知のように財源不足が生じました場合には二つの道を規定いたしておるのでありまして、その一つが交付税率の引き上げであり、いま一つは地方財政制度改正でありますことは御承知のとおりでございます。  そこで、端的な物の言い方をいたしますならば、経済が安定した状況でありますと、当然交付税率に手をつけるべきであると私は思うのでございます。しかし、現在の経済情勢下におきましては、恒久的なさような処置がとり得なかったのでございまして、そこで後段の地方財政制度改正、かようなことに踏み切らざるを得なかったのでございますから、私はかような処置をとりましたことが法律違反であるというような考え方は持っておらず、しかし、完全な体制だとは思っておらないのでありまして、やむを得ざる措置であった、かように理解をいたしておるのでございます。
  235. 中井洽

    中井委員 交付税率の引き上げか、行財政の改革かどちらかをやらなければならない、そして行財政の改革をやったのだ、したがって交付税法の六条の三には触れない、このようにお答えをいただいたと理解するわけであります。また本会議での総理大臣の答弁もそうであったと思うわけでありますが、それでは今回自治省が出された、あるいは大蔵省と合議になって出されたこの改正、どこが行財政の改革でございますか。私はそんなに行財政の改革といったほどの、まあ大臣は十全ではない、あるいは十分でないというお答えでありましたけれども、十分もへったくれもなしに、少しも行財政制度というものが変わっておらぬと私は理解をいたします。その点はどうでございますか。
  236. 加藤武徳

    加藤国務大臣 御承知のように三兆五百億円の財源不足に対処いたしますには、交付税特会におきまして臨特並びに借入金で一兆七千億円を処置をいたしましたのと、一兆三千五百億円は起債の充当、かようなことでございます。  そこで、昭和五十二年度におきましては財源不足に対処いたす処置をとったのでございますけれども、その比率は特会の措り入れと起債の充当が五〇、五〇、かようなことでございましたが、今回は一兆七千億円対一兆三千五百億円、かようなことで、特会の処置が格段に厚くなされておる、かようなことでございますのと、なおかつ借入金につきましては、この償還につきまして当分の間国がその二分の一を負担をいたす、かような処置をとったのでございますから、当分の間の処置ではございますけれども、五十二年度と対比をいたしまして、前進を遂げ、なおかつ、国が二分の一を負担いたしますことを法律明定いたしまして、いわゆるルール化ができたもの、かように考えておる次第であります。
  237. 中井洽

    中井委員 私どもは、交付税率の引き上げか、あるいは抜本的な行財政の改革、このどちらかをとる、これが法律にのっとったことであり、地方公共団体あるいは地方自治を本当に車の両輪として確立していく道であるというふうに理解をするわけであります。大臣の御丁寧な御答弁ではございますけれども、私は、今回の措置が去年に比べたら少しよくなった、あるいは金銭的にだけ手当てをしたのだ、それでいいじゃないか、こういうふうに聞こえるわけであります。しかもその金銭的に手当てをしたということを、当分の間という形で法律化して固定をしてしまう。このことによって、逆に言えば、先ほどの御質疑にもございましたけれども交付税率引き上げというものを見送ってしまうのだ、こういつたようなことに受けとめられる改革、これが本当に交付税法に言う行財政の改革であるのかどうか、大臣、本当にその行財政の改革をやった、このようにお考えであるのか、もう一度お尋ねしたい。  さらに、先ほどから、十分じゃない、その十分じゃないのはいずれ増税をしなければならないということである、こういうふうなお話が本会議でもございました。私はそれでは国民にとっても地方自治体にとっても、ちっとも行財政の改革じゃないというふうに理解するのですが、どうでございますか。
  238. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、今回とりました行財政制度改正が十分なものではないと考えておるのでございますけれども、しかし、わが国の当面いたしております経済情勢からいたしますと、やむを得ない処置であった、かように考えておるのでございます。  そこで二番目の御指摘は、地方財政の増徴の問題でございます。御承知のように国におきましても非常な財源不足でございますので、今後そう多くの地方への配意は飛躍的には期待できない状況下にございますのと、なおかつ、地方団体の立場からいたしますと、できるだけ自主財源を確保いたしまして、そして地域住民に密接な関連を持ちます事業地方団体みずからがその意思によってなし得るような体制をとらなければならぬのでございまして、これが地方自治の進展の上で欠くことのできない要素であろうか、かように考えておるのでございますから、中期的な展望に立ちますと、現在のままの地方税制では足りないとなさざるを得ない、やはり増徴を考えざるを得ないのではないか、かような考え方を持っておるのでございます。ただ増徴の内容等につきましては今後慎重に検討していかなければならぬ、かように思っておるところであります。
  239. 中井洽

    中井委員 やむを得ない措置であった、こういうお答えであります。たしか去年の国会でも自治大臣がそのようにお答えになって頭を下げられたと思うのでありますが、もう四年、この地方交付税率の引き上げあるいは行財政の改革をめぐって、ちっとも行われないし、私どもはやれやれという形で質問している、こういう形で地方交付税法の六条というものを無視し続けるならば、大臣どうですか、一遍逆に地方交付税法の六条というものをいじられた方がましなんじゃないですか、私はそういうように思うのであります。あるいは逆に思い切って交付税制度そのものを見直すというような、抜本的な方向へ考え方を変えていく、いまのままでずるずる、景気が回復するのを待つのだとか、あるいは安定をするまで待つのだという形の中で、毎年毎年自治省大蔵省がやりとりをして、本当にむずかしい、わかりにくい財政措置国会へ出してくる、そういったことじゃなしに、ある程度景気に左右されない、しかも今日の地方自治に見合った行財政の、あるいは権限の再配分、こういったものを含めて抜本的に改革をなさるべきじゃないか。ちょうど地方自治法が発足してもう三十年であります。三十年間同じような制度の中で、現実を法律に合わす、こういう無理な姿勢を、あるいは現実を無理やり法律に曲げて解釈をしていくというようなことを続けていったって、いずれ限度が来る、このように考えるのですが、どうでございましょう。
  240. 加藤武徳

    加藤国務大臣 先ほど申しましたように、私は今回の処置が十分な処置であるとは考えておりませんで、できるだけ早い機会にやはり行政面財政面両面にわたりましての基本的な改正が必要である、かような認識に立っておるのでございます。したがいましてこういう認識からいたしますと、あるいは六条の条章につきましても検討を加えなければならぬ時期が来ようかとも思うのでございますけれども、しかしこのことはいま目の前にということではないのでございます。そこで、私が基本的な改正という言い方をいたしておりますのは単に地方税の増徴のことだけではございませんで、もとよりそのことも含まれるのでありますけれども、現在の国税三税の三二%、この制度そのものがよろしいかどうか、このことにも抜本的なメスが入れられなければならぬ時期が来るのではないか、またそういう処置をとりまして初めて地方財政の確立も可能である、こういう考え方を持っておるのでありますから、仮に国税におきまして増徴を考え、あるいは新たな税目を考えられますような場合でも、その税源をできるだけ地方に回してもらいまする努力が要りますのと、なお国税三税を拡大いたしまして四税なり五税に持っていきますことも当然折衝の対象にしていかなければならぬのでございますから、さようなこととの兼ね合いにおいて税率の三二%を考えていくべきである、かような認識をいたしておるわけであります。
  241. 中井洽

    中井委員 違った観点からお尋ねをいたしますが、現在地方自治体の中で非交付団体は幾つあるのですか。
  242. 加藤武徳

    加藤国務大臣 都道府県の場合は東京だけでございますが、三千二百の市町村のうち幾つ不交付団体がございますか、政府委員から答弁をさせます。
  243. 山本悟

    山本(悟)政府委員 大至急調べまして正確な数字をただいまの時間中にお答えいたしますが、約百弱、百まではもうすでにないんじゃなかろうかと思います。
  244. 中井洽

    中井委員 それじゃ後で詳しく調べてお届けいただければありがたいと思います。  大臣の御答弁にもございまして、都道府県では東京都を除いてほかは全部交付団体、あるいは三千三百余りの市町村のうちでももう百以下の数字、こういうことでございます。東京都にいたしましても、先ほどの御質問の中にもございましたけれども、実際は交付団体と私は同じだと思います。もっと言えば、赤字再建団体に指定されてもおかしくない東京都であります。そういったことを考えますと、全国すべての県が交付団体になっているわけであります。そのときにこの交付税制度というものをこのまま続けていいのかどうか、本当に真剣に考えていかなければならない時期だというように思うのですが、どうでございましょうか。
  245. 加藤武徳

    加藤国務大臣 私は、ほとんどの団体といってもいいほどの団体がいわゆる交付団体になっておりますけれども、このことと交付税制度は矛盾するものではないと思っておるのでありまして、この矛盾を解決しようといたしますならば、地方と国を通じましての税制の抜本改正が一つの道ではございましょうけれども、しかし税源がきわめて偏っておる現況下におきましては、やはり交付税制度を存置いたしまして税源不足団体には交付をいたす、かような制度は必要であろう、かような認識をいたしておるところでございます。
  246. 中井洽

    中井委員 この議論はこれぐらいで終わりたいと思いますけれども、ともかく国、地方も大変な財政難であります。その地方財政難を救ういろいろな手当てをおつくりいただいていることは私どももよく知っておりますけれども、それではとうてい追いついていかないし、長期的に根本的に地方財政というものを確立するにいまの制度ではやっていけないというのも私は明らかなような気がいたします。もちろん行政府でありますから、毎年毎年の財政的な手当てというものもお考えをいただかなければなりませんけれども、ここらで、先ほども申し上げましたけれども、現在の制度がつくられて三十年であります。根本的に見直しを図っていく。増税というのも私どもは場合によってはそれはやむを得ざる面もあるかもしれないと考えております。しかし政府の繰り返している国会での答弁にあるように、とにかく増税できるまで、あるいは新しい税が、消費税というものが入れられるまで、とにかくいまの制度をどこかこう、いらいながら無理無理もたしていくんだ、こういうやり方では私はどこかでがたがたと崩れやしないかという気がいたします。今度の政府の予算だってあるいはそれに伴ってつくられたこの地方財政だって、政府の予算なんか、逆に言えば私はばくち的な面が非常に多いと思うのであります。三七%赤字国債を発行して、もしこれで景気回復しなかったらどうなるんだということを考えると、本当に私はこわい。そういったことを考えると、お互い政党政派を越えて政治家同士が抜本的な対策について討論をしていく、真剣に考えていくべき時期だと思います。どうぞ大臣におかれましても、思い切って地方制度の改革ということに取り組んでいただきたい、切に要望をする次第でございます。  もう一つ、同じこの地方財政計画の中でお尋ねをしたいと思うのでありますが、過日の委員会でも問題になりました大蔵大臣自治大臣との覚書について、幾つか重なる点があるかもしれませんが、お尋ねをいたします。  そもそも覚書というのは、これは大臣どういうものでございますか。何でございますか。
  247. 加藤武徳

    加藤国務大臣 大蔵省といろいろ折衝いたしまして、そして概略の意見が一致いたしましたものを文書にいたしましたものが覚書でございます。したがって法律のような拘束力を持つものではございませんで、両者の間の合意した点を明らかにいたす内部的な文書と、かように理解をいたしております。
  248. 中井洽

    中井委員 大蔵省自治省、あるいは自治省と他の省庁でこういつた覚書が過去に何回もつくられているわけですか。
  249. 山本悟

    山本(悟)政府委員 政府の内部におきまして各省といろいろな折衝をいたします際に、その合意に達しました場合にそのことを、まさに覚書でございますが、確認をする意味におきまして各省間におきましてこういうものが取り交わされる場合はたびたびございます。これは何も予算関連ということだけではなく、たとえば法律案につきましてのいろいろな合意事項とか、いろいろな場合にこういつたような形式がとられる場合があるわけでございます。
  250. 中井洽

    中井委員 いや、各省間じゃなくて自治省はしょっちゅうあるのですか。
  251. 山本悟

    山本(悟)政府委員 各省との間の折衝の過程におきまして自治省といたしましてもやはり合意に達しました事項を確認するという意味におきまして文書を取り交わす、その場合に覚書という名前をつける場合はございます。
  252. 中井洽

    中井委員 私が新人で慣れてないのかもしれませんが、覚書なんというと外国と外務大臣同士が何か取り交わすみたいで、大蔵省自治省、そんなにしょっちゅう意思の疎通を欠いているわけじゃないし、何でこんなものつくるのかなというふうに不思議に、疑問に思っているものですからお尋ねをしたわけであります。これは結局こういうのをつくらぬとどっちかの省が来年になったら約束を破るとかそういうことがあるわけですか。
  253. 山本悟

    山本(悟)政府委員 効果といたしましては、やはり当時の当事者というのの変更ということもあり得るわけでございますから、その合意に達した点につきましてそれぞれ文書にし、サインをするということによって確認ができるというようなことになろうかと存じます。別に相手方を信用しないというわけではございませんけれども、物事をはっきりさせておくというような意味で行政当局間でもってときどきこういうことが行われているというぐあいに御理解賜りたいと存じます。
  254. 中井洽

    中井委員 こういうのは一つの連立政権でもない自民党の、しかも政府内部で余り省庁が信用し合わずにやっているんだろうというふうに理解をさせていただいて、曲げた理解になるかもしれませんが、次の質問に移らせていただきます。  先ほどから公明党の小川先生の御議論の中にもございました中期の地方財政収支試算、先ほど福田総理大臣が本会議でも、今国会中にはたぶん国会自治省を通じて出されることになるであろう、こういう御答弁であったと思うのでございますが、間違いございませんか。
  255. 山本悟

    山本(悟)政府委員 中期試算の国側の分は非常に早く出されたわけでございますが、予算委員会におきますいろいろないきさつがあったのは御承知のとおりでございます。それらの関連もございまして、やはり国の分との整合性を保つということが地方の分につきましても必要でございますので、目下鋭意、整合性を保てるように、そうしてなるべく早く提出できるように努力をいたしているところでございます。したがいまして、国の方が新たにその新しい資料等をお出しになれば、それに見合ったかっこうでもって地方の分といたしましても提出をいたしたい、かように存じておるわけでございまして、そう遠くない時期において御提出できるようになるのではないかと思っております。
  256. 中井洽

    中井委員 その整合性ということから考えますと、やはり地方財政収支試算の中でいわゆる地方財政が均衡化するのも昭和五十七年度くらいの目途になる、こう考えてよろしゅうございますか。
  257. 山本悟

    山本(悟)政府委員 ただいま計算をいたしている最中でございますので、正確には申し上げかねるわけでございますが、国におきましてもやはり従来の五十五年の計画を五十七年まで延ばしたと同じような財政状況において、同じような前提をとりましての計算になるわけでございますので、ほぼ同じような結果が出てくるというように想定をされるところでございます。
  258. 中井洽

    中井委員 国と同じく地方もいわゆる地方債がずいぶん発行されております。また去年あたりから新たな公債費、いわゆる返還も始まってことしだけでも五十三年度には歳出の中で六・五%公債費が要る、こういうことでございます。この公債費が飛躍的に増加をする五十五年、五十六年、これらを含めて本当に無理のない計算で五十七年に地方財政が大体とんとんにいくんだ、均衡するんだ、このように計算ができていくんだとお考えでございますか。
  259. 山本悟

    山本(悟)政府委員 中期試算の場合、国の方の分につきましても、やはり各種の前提条件を置きまして、その前提のもとにおきまして、計算をすればこういうかっこうになる、その基礎になりますのは例の経済計画の暫定試算でございますか、あれの分になってまいるわけでございますけれども、それと合わせていけばこういうかっこうになりましょう、こういうふうな姿として出されているわけでございまして、地方の場合におきましてもその点におきましては同様になるわけでございます。  ただいま御指摘のとおり確かに公債費というのは現在どんどんふえつつある、しかも五十年以来非常に大幅に出しておりますから、それの元金償還が始まるというふうなことになってまいりますとそのふえ幅は大きい。しかし、それはそれなりにやはり計算の基礎の中には歳出として取り入れまして、その上でどういうかっこうになっていくかということでお示し申し上げるようになってまいると思っております。
  260. 中井洽

    中井委員 たとえば今後地方財政計画の歳出の中で公債費がどのくらいであれば地方自治体はやっていける、あるいはこのラインを超えるとちょっと危ないのではないか、苦しいのじゃないか、こういつたように考えておられるラインというものがありますかどうか、その点どうでございましょうか。
  261. 山本悟

    山本(悟)政府委員 地方団体の歳出の中で公債費の比重がだんだん高くなっていく、それはやはり義務的経費の最たるものでございますから、それが高くなりますことは財政が硬直化するゆえんである、御指摘のとおりでございますが、五十一年度地方団体決算でございますけれども、これで公債費比率の平均を見ますと、府県の場合が六・四%、市町村で九・二%という数字でございまして、これは五十一年でございますが、五十二年、五十三年と次第に高くなっていくであろうということは想像されますけれども、ほぼ一〇%前後じゃなかろうか、こういうような想定をいたしておるわけでございます。  一方、地方債の許可方針におきまして、ある程度以上公債費が大きくなりますと起債制限をする、そのときに使っております比率は二〇%でございます。二〇%以上になりますと地方債の発行を抑えるというようなことを許可方針でもってうたっているわけでございますが、何と申しましてもいろいろな団体、いろいろな立場で財政運営をやっているわけでございますので、どれがどれだけということをぴしゃりとした線で申し上げることは非常に困難なことでございますけれども、やはり余り大きくなっていくことはもちろん問題であるというぐあいな認識の上、対処いたしております。
  262. 中井洽

    中井委員 いまの二〇%というのは歳出の中の公債費ですね。
  263. 山本悟

    山本(悟)政府委員 そのとおりでございます。
  264. 中井洽

    中井委員 それでは、歳入の中の地方債、これもまた地方団体によって違うと思うのでありますが、全体の中では約一九%ですか、二〇%に近い地方債になっていると思いますけれども、幾つかの地方公共団体においては国と同じく歳入の三〇%を超える部分を地方債で賄っているところもたくさんあるわけであります。もちろん地方債の中身、それぞれありますが、これも同じく大体何%ぐらいを超えると危ないんだ、無理なんだというふうに自治省としてはお考えになっているのか、その点はどうでございますか。
  265. 山本悟

    山本(悟)政府委員 歳入の中におきます地方債の割合でございますが、五十二年度地方財政計画あるいは五十三年度地方財政計画で申し上げますと一〇ないし一一ぐらいであったと存じます。五十二年度が一〇・五%、五十三年度か一一・七%という程度でございます。ただ、問題なのは、いま御指摘のとおりに多くの団体があるわけでございまして、その中にはもうすでに非常に高いもめをやるような団体もございます。また、事業の選定によりましては、ある年度だけ非常に高い数字があらわれるというような場合もございます。いろいろな状況でございますが、総体としましてはただいま申し上げましたように一〇ないし一一%程度でございますので、まだまだそれほど多くはない。しかしながら、このごろは次第に、少しずつではございますが、率が高くなっていっておりますので、その点はやはり歳入の構成としてはいい姿ではない、かように私どもは存じております。
  266. 中井洽

    中井委員 先ほど予算にばくち的な要素があると申し上げたわけでありますが、本当に国も地方借金借金で大変な状態であります。まだまだ住民の要求というのは多様化してまいります。複雑になってまいります。また、こう申しては大変失礼でありますが、地方公共団体の長あるいはわれわれ議員も含めて、それはできないとはっきり言いにくくなる政治家の状態であります。したがって、そういうことを考えていますと、だんだん歯どめをかけていかないと借金だけがふえていく、こういうふうになろうかと思います。ぜひともお互いが借金体質というものを減らして健全な財政という姿に持っていく努力をしなければならないと思うのです。  もう一つ最後にこの問題でお願いがございますけれども、先ほどの中期地方財政収支試算であります。確かに車の両輪であり、国の方針というものがあり、同じような形で整合性を持たしていかなければならない、こういうお話でございましたけれども、たとえば去年出した試算表は、ことしになったらもうすっかり変わる。これは理由があるわけでありますが、そういうことであってはならないと私は思うのです。地方は確かにむずかしい試算をつくらなければならないと思いますが、特に五十五年、五十六年、公債費が飛躍的に増額する時期を含んでの中期試算表であります。したがって、五十七年に向かって無理やりに数字を合わすということじゃなしに、本当に無理なく地方財政が均衡する、こういった形での試算表をつくっていただく、こういう御努力をしていただきたいと思いますが、どうでございましよう。
  267. 山本悟

    山本(悟)政府委員 先ほど来申し上げましたように、中期試算の場合には、やはり経済計画の数字というものを前提に置きまして、それと対応いたしまして計算をいたすわけでございます。その際、公債費のように非常にはっきりいたしましたものというのは、正確に計算をいたしまして、必要な額は歳出といたしまして計上するというようなかっこうで対処をいたしてまいりたいと存じております。  なお、先ほど答弁がおくれました普通交付税の不交付団体の数でございますが、五十二年度におきましては、都道府県は一団体、市町村は七十三団体ということに相なっております。
  268. 中井洽

    中井委員 東京都のことで詳しくお尋ねをしようと思ったのでありますが、先ほど議論がすでにかなりあったようでございますので、一点だけお尋ねをいたします。  自治省地方自治体にそう干渉するわけにもいかぬと思うのでありますが、今度の五百五十億の起債を認めたということは、本当に東京都の計画で東京都の財政が健全化をすると、十分自信をお持ちになって発行を許可されたのかどうか、この点どうでございますか。
  269. 山本悟

    山本(悟)政府委員 東京都の財政状況がきわめて厳しいものになっておりますのは御指摘のとおりだと思います。今回、都の方から要望がありました特別の財政措置としての地方債五百五十億、これもやはり将来、都の財政の中から償還をしていかなければならぬものでございますので、その意味におきまして、やはり健全化計画というものを立ててもらって、十分それに見合うだけの歳入の増、歳出の減というものがあって、それによって償還を保証されるということが必要であったわけでございます。そのために健全化計画を立てていただきたい、こういう話をいたしていたわけでございますが、その提出されました健全計画に盛り込まれました健全化措置というものが確実に実行されるということでありますならば、都の従来からの努力に比べれば非常に進んだものではないか、こういう評価をいたしたわけでございます。  しかしながら、この五百五十億の地方債が認められるということになりましても、都の赤字というのはきわめて大幅なものが残っているわけでございます。また、明年度、五十三年度財政運営におきましても非常にむずかしい問題を控えているわけでございまして、決してこれでもって足りるというものではないし、私どもといたしましては、来年のいまごろになったらもっと深刻な状況になっているんじゃないかということを心配いたしているわけでございまして、格段の御努力というものを都に要請をいたしたい、かように思っております。
  270. 中井洽

    中井委員 続いて警察庁にお尋ねをいたします。  これまた午前中議論になりましたけれども、過日、大変不祥事件が、松山事件というのが起こりました。私どももショックでございました。警察内部でも大変なショックであったと思うわけであります。その後着々と、二度とああいう事件を起こさない御努力をいただいているように私どもは聞いているわけであります。また、あの殺人を犯した警察官がおられた署長さんが辞職をされる、あるいは過日、土田さんが辞職をされる。まあ直接の責任をとられたのかどうかはわかりません。そういった警察責任のとり方というものを見ますと、この委員会で申し上げていいかどうかわかりませんけれども、会計検査院あたりの責任のとり方とずいぶん違う、やはり厳しくやっていただいているんだなと、何とも言えぬ気持ちがするわけでありますが、この事件に関して、あるいはこの事件後どういう処置をとっているか、こういつたことに関して幾つかお尋ねをしたいと思います。  まず、去年一年間の、全国に二十万人おられると言われる警察官の犯罪、そして警察官が犯罪を犯して懲戒免職になった方の数というのはどのくらいあるのですか。
  271. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  警察職員が昨年じゅう刑法に触れる行為、それによりまして懲戒免職処分を受けた数は四名でございます。ちなみに、五十一年度は十二名でございますので、三分の一に減少している次第でございます。
  272. 中井洽

    中井委員 日本の警察は、聞きますところによりますと、アメリカの警察あるいは諸外国の警察に比べてずいぶんまじめであるし、しかも犯罪検挙率が高い、このように聞いておりますが、アメリカあたりの警察官が一年間に懲戒免職になるような数、そういったようなものはおわかりではございませんか。
  273. 山田英雄

    山田政府委員 いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、恐縮でございますが……
  274. 中井洽

    中井委員 やはりうんと低いですか。
  275. 山田英雄

    山田政府委員 法制度も違いますので、行政処分の数までは、ちょっと正確な数はとれていないと思います。
  276. 中井洽

    中井委員 私、四名という数を聞いてちょっとびっくりしたのです。何かしばしば、警察官が酔っぱらい運転をしたとか、事故を起こしたというような形で新聞によく出るものでありますから、もっと多いかと思っておったら四名ということであります。しかし、四名でもあることはあるわけであります。ゼロという形にぜひとも持っていっていただくように御努力をしていただきたいと思います。やはり新聞に警察官だということで、ちょっとでも犯罪を犯すと、多く載るのですかね、そういったことでぼくはもう少し多いかなと思って御質問を申し上げたわけであります。  その次に移りますが、先ほど社会党の小川先生の御質問にもございましたけれども、一般の社会人よりかはるかにきついモラルの中で生活をしなければならない警察官が、勤務をされているときはともかく、制服を脱いだとき、特に今回事件を起こしたような若いお巡りさんが私服になったときに、一般社会との交流というか他人とのつき合い、そういったもので警察全体として指導をしたりいたしておりますか、あるいはどんな指導をしておりますか。
  277. 山田英雄

    山田政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、警察の職務は大変突発する事案に対する臨機応変の、即時応急的な性格がございますので、その職務に要求されるモラルも大変厳正な点がございます。そういう意味では、厳正な規律を身につけるための徹底した厳しい教養を内部では実施しておるわけでございますが、反面これも御指摘になられましたように、そうしたハードな面だけでは警察官の社会人としての円満な常識、幅広い人間性というものの形成には欠けてくるのではないか、かように存じております。したがいまして、平生からソフトな面、やはり社会生活の側面でいろいろな国民の方と接触する立場にあるわけですから、ゆとりのある豊かな人間性と申しますか、社会人としての良識の涵養、これに努めることが国民期待にこたえるゆえんだということで、平生から配慮しておるわけでございます。  その内容は、一口に申しまして心の教育あるいは人間教育ということで、今回の対策として出しております青年警察官教養推進要綱にも挙げておるわけですが、やはり警察の枠の中だけに閉じ込もっておってはいけない、井の中のカワズになってはいけない。そういう意味で、広く社会との接触を求めて、世間万般のことを承知していく、そういう教育機会を与えるということに重点を置いております。したがいまして、午前中小川議員の御質問にもお答えしましたように、見聞を広く求めさせる。読書にしましても、あるいはいろいろな部外有識者のお話を伺う機会も持たせる。それから交際につきましても、内部だけではなく、広く部外の団体、グループとの交際を持たせる。若い警察官でございますから、ダンスパーティーなどの機会も、いろいろな会社の女子職員の方を招いて行うとかいうような点で、きめ細かい配慮をしておるわけでございます。公的にもそうしたレクリエーションの面、文化活動の面などについても助成をしておるということでございます。  それから、何よりもやはり相談相手ということが若い警察官には必要だろうと思います。そういう意味で、カウンセリングということについても部内的に従来からも配慮しておりますが、本当に生活の悩み、性の悩みの問題も打ち明けられるような、指導できるような識見豊富なカウンセラー、これを設けていきたいとも思っているわけでございます。
  278. 中井洽

    中井委員 特に今回事件を起こした警察官が若いということ、それから地方から東京に出てきた青年であるということ、こういつたことを考えますと、何も警察官だけの問題じゃなしに、いろいろな職場でそういった問題があろうかと思うわけであります。しかし警察官の方は、若いからと言っても、たしか一年ぐらいの研修の後ピストルを持ち、しかも、もしそういった人が私らの田舎なんかに派遣をされたら、交番に回ればおじいちゃん、おばあちゃんからいろんな世代の人の相談事まで引き受けているような状態であります。一年あるいはそれ前後ぐらいの若い人たちに、教育あるいは規律を教え込むという形だけでそういったことができるのかどうか、その点はどうでございますか。
  279. 山田英雄

    山田政府委員 確かにただいま御指摘のように、高校卒業で警察官に採用いたしますと十八歳でございますので、未成年ということになります。ただ、直ちに実務につかせるのではなくて、人生経験に乏しい青年でございますので、ただいまは一年間警察学校で基礎的な実務能力の習得、社会常識の涵養ということで教育訓練を行っております。しかし、そこで第一線に勤務するわけでございますが十九歳でございます。御指摘の未熟な点も懸念されるわけでございまして、警察としては直ちに一人だけで独立に職務を執行させるということはさせておりません。第一線に出しました場合、年輩の指導巡査とペアにしまして数カ月間実施指導を行わせております。それから、そうした実施指導を経て単独で職務執行する場合にも、指導巡査をずっとつけておきまして、定期的なカウンセリングとかあるいは基礎的な実務能力が身につくまで随時指導に努めておるわけでございます。そうして、おおむね警察学校卒業後一年間たちましたときに、二カ月ばかり再び警察学校に入れまして、現任補修教養と言っておりますが、そこで一線での勤務の教訓、反省を取りまとめまして、それが終れば初めて一人前の警察官として成長したという認定をしておるというようなことでございまして、一人前の警察官として未成年者を街頭に立たせるためのいろいろな教育上の配慮、人事上の配慮も行っておるところでございます。
  280. 中井洽

    中井委員 その若い人たちを指導する老練なお巡りさんあるいはカウンセラー、こういった人たちに対する教育というのはどういうようにされているのですか。
  281. 山田英雄

    山田政府委員 若い警察官を指導する監督者、この資質の良否は大きな影響をもたらすと思います。したがいまして、幹部の資質の向上には平素から最大の努力を払っておるところでございます。  学校教養の関係から申し上げますと、階級が上がりまして指導的立場につくたびごとに、相当長期間の学校教養を行っております。巡査部長の場合には、初級幹部科と申しまして九週間、警部補になりますと中級幹部科として十五週間、管区警察学校に入れてそれぞれの階級に必要な能力、部下への指導監督能力を練成しておるわけでございます。  それから職場におきましても、そうした幹部が着任しましたときには、その監督上必要な教養を行いますことを初め、部下の指導の研究会とか意見交換会あるいは幹部会議等で、具体的な事例や体験に基づくフリートーキングを行いまして、監督能力の向上に努めておるわけでございます。特に若い警察官に接する幹部でございますので、現代青年の心理を理解する、そういういわば心理学的なアプローチに基づくカウンセリングの技法とかリーダーシップのあり方とかというような教育も新しく施しておるところでございます。  今回の事件の教訓として、新任巡査部長について行っております管区警察学校の初級幹部科、これは九週間と申し上げましたが、さらに延長して能力の向上に努めるよう検討しておるところでございます。
  282. 中井洽

    中井委員 私自身は、今度の事件を起こしたような警察官が本当に例外であり、そしてまじめにやっている警察官が逆に言えば本当に気の毒な面もたくさんあるというように考えているわけであります。しかし、たとえば私の身の周りにいる東京へ出てきている若い女の人のところには、あの事件の後ほとんどの御両親から、お巡りさんを疑うということではなしに、大丈夫か、気をつけるのだよというような電話が入っているような状態でございます。そういったことを考えると、この事件を契機に、世界一優秀だと言われているお巡りさんの質をさらに一層向上させていただくように、諸制度の改革あるいは規律を厳しくするということだけじゃなしに、いままでのいろいろな規律の中でどこかかた苦しさだけあったのじゃないかといったような、多様な面からの制度の改革というものに取り組んでいただいて、一刻も早く警察官全体の士気の低下というもののないように、士気の向上が見られるように御努力をしていただきたいと要請をいたしまして、質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  283. 木村武千代

    ○木村委員長 次回は、明三月一日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会