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中川参考人 大変たくさんの問題をちょうだいいたしましたので、お答えできるかどうか……。
最初に、公定歩合の問題でございますけれども、私ども、昨年三月、四月に続けて下げたのはおかしいじゃないかというお話でございますが、私どもといたしましては、そのときどきのタイミングをとらえまして、そのときにおきましては少なくとも最も適切な時期に最も適切な幅で上げたり下げたりするということを心がけておるつもりでございます。ただ、人間のやることでもございますし、時に予測しない情勢も起こってまいります。そういうときには、
金融政策は
財政政策と違いまして、機動的に決心したらすぐ実施できるという点もございます。私どもは、できるだけ情勢に即応して、機動的、弾力的に運営していくということを心がけているつもりでございます。
昨年の三月、四月に続けて下げたのはおかしいじゃないかという御質問につきましては、三月ごろは、情勢を見ましてやはり引き下げが適当であるというふうに
考えました。それで、大体引き下げをいたしますときには、〇・五%ぐらいの刻みで下げるのが従来、日本でも外国でも普通でございますが、それで下げましたところが、その直後の情勢というのは、どうも企業マインドにいたしましても実体面の動きにいたしましても思うようにいかない、なかなかむずかしい情勢が続いておるというふうなことでございまして、ここでやはり思い切ってもう一段下げるということが、その三月引き下げも一緒にして非常に効果が出るのじゃないかというふうに
考えまして、それで四月に思い切って一%下げたわけであります。
三月、四月と連続下げました結果、その後の情勢は、私どもとしてはわりに効果があったんじゃないかというふうに
考えております。その二カ月の間に二回も下げるというのは、異例と言えば異例でございますけれども、日本でもいままでやったこともございますし、外国でも、ごく最近は余り例を見ませんけれども、たとえばアメリカでも昨年一カ月置いて実施するということもございました。まあ
金融政策というのは、そういう弾力的に動かせるというところが
一つの強みではないかというふうに私ども
考えております。
それから、金利が下がってないじゃないかという御質問でございますが、金利が個々の場合にどの程度下がっているかは別にいたしまして、私どもが各
金融機関から統計をとっておるので見てまいりますと、たとえば今度公定歩合を三月に下げましたまでの一年間で見まして、大体過去一年間に全国
銀行の約定平均金利は一・五%下がっておりまして、現在の水準は六・六%になっております。相互
銀行はこの間、一・二%下がりまして七・六%になっております。これは長期も短期も合わせたものでございますが、短期の方の金利はこの間、二%全国
銀行で下がっておりまして、いまの水準は五・五%であります。相互
銀行の方はこの間、一・五%下がりまして六・八%。全国
銀行の方はこれまでの戦後の最低の水準にまで下がっております。
これが思ったほど下がっていないじゃないかというふうな、まあ見方の相違はございますけれども、これまでのところ、公定歩合の下がり方に対しましてどれくらい市中の貸出金利の平均が下がったかという従来の動きから見ますと、私どもはそれを公定歩合に対する追随率と申しておりますけれども、非常に今度の場合には追随率が高うございます。そういう点から見て、全体の貸出金利の平均といたしましては、今度の場合にかなり下がっているというふうに思います。
それで、公定歩合を下げた場合にどの程度の効果があらわれるかというふうなことでございますが、これはやはりこの程度出るというのは、その間
財政政策も財投の増加を中心にいろいろなことをおやりになりましたし、総合的に見なければいかぬと思いますが、私どもこれまでの過去一年ちょっとの間に公定歩合を四回引き下げて、通計三%下げたわけでございます。この結果、その三分の二、約二%くらいが市中貸出金利が下がったわけでございますが、一方、企業が預けております預金の方の金利も下がったということでございますので、そのネットで差し引きしますと、大体三分の一くらいが企業の金利
負担の軽減になっている。それが、一回目に下げましてすぐ翌月効果が自に見えてあらわれるということは、いまのような時代にはなかなかはっきり出てまいりませんけれども、ことしに入りまして若干景気に明るい面が一部に出てきたという
背景の
一つには、私ども、公定歩合をこれだけ下げて金利
負担が軽減されたことによる、あるいは量的緩和の一層の浸透による効果がここへきて出ておるのだというふうに
考えております。(
川口委員「この関係は」と呼ぶ)
進学ローンの関係につきましては、民間といたしましては、社会保障でおやりになるのなら別でございますけれども、やはり民間の
金融機関と
政府の
金融機関との貸出金利が余りに違い過ぎるとか優遇の度合いが大き過ぎるということになりますと、どうしても
政府の方は優遇され過ぎる、それで民間の方の商売をとられるということが出てまいります。
話はちょっと違いますけれども、
郵便貯金にいたしましても、やはり民間の
金融機関としては平等な取り扱いをぜひしていただきたいというお願いをしておるわけでございます。
貸し出しの方につきましても、やはり民間と、平仄を合わせてやっていただきたいというふうに
考えております。