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1978-05-09 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月九日(火曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       宇野 宗佑君    小渕 恵三君       大石 千八君    後藤田正晴君       佐野 嘉吉君    坂本三十次君       高鳥  修君    林  大幹君       原田  憲君    本名  武君       村上 茂利君    森  美秀君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    池端 清一君       大島  弘君    川口 大助君       沢田  広君    只松 祐治君       野口 幸一君    平林  剛君       山田 耻目君    貝沼 次郎君       二見 伸明君    宮地 正介君       高橋 高望君    吉田 之久君       荒木  宏君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵省銀行局長 徳田 博美君  委員外出席者         文部省大学局学         生課長     石井 久夫君         文部省管理局私         学振興課長   斎藤 尚夫君         厚生省社会局生         活課長     鈴木 昭雄君         国民金融公庫総         裁       佐竹  浩君         参  考  人         (日本銀行理         事)      中川 幸次君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     佐々木良作君 同月二十八日  辞任         補欠選任   佐々木良作君     高橋 高望君 五月九日  辞任         補欠選任   平林  剛君     野口 幸一君   高橋 高望君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     平林  剛君   吉田 之久君     高橋 高望君     ――――――――――――― 五月二日  税制財政金融民主化等に関する請願(大  久保直彦紹介)(第三七二八号)  同(坂口力紹介)(第三七二九号) 同月八日  税制財政金融民主化等に関する請願(工  藤晃君(共)紹介)(第三九九三号)  同(不破哲三紹介)(第三九九四号)  不公平税制是正等に関する請願金子みつ君  紹介)(第四〇三六号)  宅地買いかえに伴う税の軽減措置に関する請願  (北側義一紹介)(第四〇九八号)  中古住宅取得に伴う税の軽減措置に関する請願  (北側義一紹介)(第四〇九九号)  個人土地建物譲渡所得区分に関する請願(  北側義一紹介)(第四一〇〇号) 同月九日  所得税寡夫控除に関する請願荒木宏君紹  介)(第四一五〇号)  同(寺前巖紹介)(第四一五一号)  同(河野洋平紹介)(第四二七二号)  宅地買いかえに伴う税の軽減措置に関する請願  (甘利正紹介)(第四二一二号)  同(伊藤公介紹介)(第四二一二号)  同(加地和紹介)(第四二一四号)  同(菊池福治郎紹介)(第四二一五号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第四二一六号)  同(小林正巳紹介)(第四二一七号)  同(河野洋平紹介)(第四二一八号)  同(田川誠一紹介)(第四二一九号)  同(中馬弘毅紹介)(第四二二〇号)  同(永原稔紹介)(第四二二一号)  同(西岡武夫紹介)(第四二二二号)  同(依田実紹介)(第四二二三号)  中古住宅取得に伴う税の軽減措置に関する請願  (甘利正紹介)(第四二二四号)  同(伊藤公介紹介)(第四二二五号)  同(加地和紹介)(第四二二六号)  同(菊池福治郎紹介)(第四二二七号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第四二二八号)  同(小林正巳紹介)(第四二二九号)  同(河野洋平紹介)(第四二三〇号)  同(田川誠一紹介)(第四二三一号)  同(中馬弘毅紹介)(第四二三二号)  同(永原稔紹介)(第四二三三号)  同(西岡武夫紹介)(第四二三四号)  同(依田実紹介)(第四二三五号)  土地譲渡益重課制度の一部改正に関する請願(  甘利正紹介)(第四二三六号)  同(伊藤公介紹介)(第四二三七号)  同(加地和紹介)(第四二三八号)  同(菊池福治郎紹介)(第四二三九号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第四二四〇号)  同(小林正巳紹介)(第四二四一号)  同(河野洋平紹介)(第四二四二号)  同(田川誠一紹介)(第四二四三号)  同(中馬弘毅紹介)(第四二四四号)  同(永原稔紹介)(第四二四五号)  同(西岡武夫紹介)(第四二四六号)  同(依田実紹介)(第四二四七号)  個人土地建物譲渡所得区分に関する請願(  甘利正紹介)(第四二四八号)  同(伊藤公介紹介)(第四二四九号)  同(加地和紹介)(第四二五〇号)  同(菊池福治郎紹介)(第四二五一号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第四二五二号)  同(小林正巳紹介)(第四二五三号)  同(河野洋平紹介)(第四二五四号)  同(田川誠一紹介)(第四二五五号)  同(中馬弘毅紹介)(第四二五六号)  同(永原稔紹介)(第四二五七号)  同(西岡武夫紹介)(第四二五八号)  同(依田実紹介)(第四二五九号)  個人土地建物長期譲渡所得課税に関する請願  (甘利正紹介)(第四二六〇号)  同(伊藤公介紹介)(第四二六一号)  同(加地和紹介)(第四二六二号)  同(菊池福治郎紹介)(第四二六三号)  同(工藤晃君(新自)紹介)(第四二六四号)  同(小林正巳紹介)(第四二六五号)  同(河野洋平紹介)(第四二六六号)  同(田川誠一紹介)(第四二六七号)  同(中馬弘毅紹介)(第四二六八号)  同(永原稔紹介)(第四二六九号)  同(西岡武夫紹介)(第四二七〇号)  同(依田実紹介)(第四二七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月一日  貸金業規制強化に関する陳情書  (第三〇二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十二年分所得税特別減税のための臨時  措置法案起草の件  租税特別措置法の一部を改正する法律案起草の件  国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の  一部を改正する法律案内閣提出第六五号)      ――――◇―――――
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  この際、昭和五十二年分所得税特別減税のための臨時措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等におきまして御協議を願ったのでありますが、三千億減税では、現下の国民の中にある不況感払拭はできないとし、さらに個人消費を拡大させるべく積極的政策推進を強く要望する意見のあることも理解しつつ、お手元に配付いたしましたような草案を作成した次第であります。  まず、本起草案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  本案は、最近における社会経済情勢に顧み、中小所得者所得税負担を軽減する等のため、おおむね次のように昭和五十二年分の所得税について特別減税を行おうとするものであります。  まず第一、特別減税対象となりますのは、昭和五十二年分の所得税であります。ただし、利子配当所得源泉分離課税に係る税額割引債償還差益源泉分離課税に係る税額附帯税等を含めないことといたしております。  第二に、特別減税額は、本人六千円、控除対象配偶者または扶養親族一人につき三千円を加算しますが、昭和五十二年分所得税額を限度とすることといたしております。  第三に、特別減税方法でありますが、給与所得者については、転職した者、退職した者等特殊な者を除いて、原則として本年六月または七月に勤務先から還付することとしております。その他の者、すなわち確定申告をした者等については、本人の請求により税務署から還付することとしております。  なお、昭和五十三年六月二日以後に、昭和五十二年分所得税について確定申告書提出、更正または決定などが行われる場合には、特別減税額を控除して税額を算出することといたしております。  第四に、特別減税を受けることができる者が死亡したときは、相続人が還付請求し得ることとしております。  以上が、本草案趣旨及び内容であります。     —————————————  昭和五十二年分所得税特別減税のための臨時措置法案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 大村襄治

    大村委員長 別段御発言もありませんので、この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。村山大蔵大臣
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 この法律案につきましては、政府といたしましては、現下財政事情等から見てにわかに賛成いたしかねるところでありますが、院議として決定された以上、やむを得ないものと考えます。
  5. 大村襄治

    大村委員長 お諮りいたします。  この起草案委員会成案とし、これを委員会提出法律案として決定するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 大村襄治

    大村委員長 起立総員。よって、本案委員会提出法律案とすることに決定いたしました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後四時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時八分休憩      ————◇—————     午後五時二十分開議
  8. 大村襄治

    大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、租税特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等で御協議願い、お手元に配付いたしましたような草案を作成した次第であります。  まず、本起草案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、現行の租税特別措置法におきましては、個人政治活動に関する寄付をした場合に、当該寄付に係る支出金のうち、政党、政治資金団体特定政治団体または特定公職候補者等に対するもので政治資金規正法または公職選挙法により報告されたものにつきまして、税制寄付金控除特例措置対象といたしておりますが、本案は、その範囲を拡大して、次のように指定都市議会議員または市長を後援する政治団体等に対するものにつきましても同様な取り扱いをしようとするものであります。  第一に、指定都市議会議員または市長の職にある者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体に対する支出金であります。  第二に、これらの公職候補者または候補者となろうとする者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体に対する支出金であります。ただし、この場合は立候補の年及びその前年中にされたものに限られます。  第三に、これらの公職候補者に対する選挙運動に関してされた支出金であります。  以上が、本起草案趣旨及び内容であります。     —————————————  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  9. 大村襄治

    大村委員長 この際、本案は歳入の減少を伴うこととなりますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。村山大蔵大臣
  10. 村山達雄

    村山国務大臣 この法律案につきましては、政府といたしましては、やむを得ないものと考えます。
  11. 大村襄治

    大村委員長 お諮りいたします。  この起草案委員会成案とし、これを委員提出法律案として決定するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 大村襄治

    大村委員長 起立総員。よって、本案委員会提出法律案とすることに決定いたしました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  14. 大村襄治

  15. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま議題となりました国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、最近における高等学校大学等への進学のために必要な資金負担実情にかんがみ、国民金融公庫及び沖繩振興開発金融公庫において、新たに進学のために必要な資金小口貸し付けを行うことができるようにするため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、国民金融公庫法の一部改正について申し上げます。  第一は、進学資金貸付業務の追加であります  国民金融公庫は従来事業資金を供給してきましたが、高等学校大学等進学する者またはその者の親族に対して進学のために必要な小口資金融通する業務を、新たに国民金融公庫業務として追加することといたしております。  第二は、郵政省に対する業務の委託であります。  進学資金小口貸し付け業務のうち、別途、本国会で御審議いただいております郵便貯金法の一部を改正する法律により設けられる進学積立郵便貯金預金者郵政大臣のあっせんを受けるものからの申し込みの受理及びその者に対する当該貸付金の交付の業務郵政省に委託することができるよう所要改正をすることといたしております。  次に、沖繩振興開発金融公庫法の一部改正について申し上げます。  沖繩振興開発金融公庫法につきましても、国民金融公庫法の一部改正に準じて、所要改正を行うことといたしております。  なお、これらの改正に伴い、国民金融公庫が行う恩給担保全融に関する法律郵政省設置法等につき所要改正を行うことといたしております。  この法律は、公布の日から起算して、六月を超えない範囲内で政令で定める日から施行することといたしております。  以上、この法律案につきまして、その提案理由内容大要を申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  16. 大村襄治

    大村委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  17. 大村襄治

    大村委員長 この際、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事中川幸次君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 大村襄治

    大村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  19. 大村襄治

    大村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川口大助君。
  20. 川口大助

    川口委員 ただいま提案のありました国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案、以下公庫法と申し上げますが、これにつきましてお尋ねを申し上げたいと思います。  まず、お伺いいたしたいと思いますことは、この法律提案しました根拠といいますか背景といいますか、どういうふうにお考えになって提案されたか、お伺いいたしたいと思います。
  21. 徳田博美

    徳田政府委員 この法案を御提案申し上げました背景でございますが、昨年郵政審議会が何回か開かれたわけでございますけれども、その席上において金利引き下げ審議された際に、郵便貯金貯蓄者に対して何らかの形でこれに報いる道が必要ではないかというような議論がございまして、昨年九月の郵政審議会答申におきましては、郵便貯金者の一定の貯蓄をした者に対しまして進学ローンという貸し付け郵便局で行う制度について、これの実現について積極的に検討すべきではないかというような要望が出されたわけでございます。それから、昨年末におきまして、予算策定の際におきまして、郵政省の方から同じように、郵便貯金貯蓄者に対しまして郵便局を通ずる進学ローンについての案が提出されたわけでございます。  ただ、この案にはいろいろな問題点がございまして、一つには、郵便局においてその場で集めた金を右から左へ融資するということにつきましては、やはり財政投融資一元化という観点から問題があるわけでございまして、貴重な財政投融資原資は、財政投融資計画によりまして計画的、統一的に目的の軽重を比較考量しながら使われることが望ましいわけでございまして、この点に第一の問題点があったわけでございます。  それからもう一つ問題点といたしましては、貸し出しを行います機関といたしましては、すでに政府関係機関、御承知のとおり各公庫あるいは各銀行等があるわけでございまして、本来、貸し出しを行うならば既存のこのような機関を利用することが、行政組織全体の効率化からいって望ましいのではないか、このように考えられた次第でございます。  それから、第三の問題点といたしましては、国が関与いたしまして何らかの形で進学ローンにつきまして優遇した措置をとる場合には、特定の者、つまりこの場合には郵便貯金をした人だけにそのような国の優遇した貸し付けを行うことは問題があるのではないか、むしろ低所得者、つまり一般金融機関から融資を受けることが非常に困難な人々全体が利用する制度にすることが望ましいのではないか、このような点が考えられたわけでございまして、このようなことを背景といたしまして、郵政省と折衝いたしまして、ただいま提案申し上げたような法律改正に至ったわけでございます。
  22. 川口大助

    川口委員 ただいまの大臣提案は、「最近における高等学校大学等への進学のために必要な資金負担実情にかんがみ、」これが主目的として提案がなされているわけです。ところが、ただいまの御説明をお伺いしますと、この背景となったのはむしろ郵政省事情だ、郵政省の方で、郵便貯金による直接的な融資方法、こういうものを考えたらどうかという審議会答申に基づいて、その一つ方法としてこの進学ローンというものが考えられたのだというふうな背景によって今回提案をされたということでありますと、大分大臣提案のニュアンスと違った理由に承るわけでありますが、この辺のところを明確にひとつお知らせを願いたいと思います。
  23. 徳田博美

    徳田政府委員 いま少し端的に申し上げたわけでございますけれども、実は先生御指摘のとおり、最近、進学に当たりまして入学金授業料その他がかなり高騰してまいりまして、進学する子弟を抱える父兄負担というのは非常に増してきたわけでございます。このような問題に対処いたしますために、実は昭和五十年ころから一般民間金融機関においても、このような何らかの形での教育ローンというのが創設されたわけでございまして、昨年の夏ごろまでにはすでに五十を超える金融機関において教育ローンという形でそのような進学資金融資が行われてきたわけでございます。それから、金融制度調査会におきましても同じような議論が行われましたし、また、去年の同じく夏ごろに総理からも、やはり教育ローンを充実すべきではないかというような御意向が示されたわけでございます。このように、一般進学する子弟を抱えている父兄にとりまして、進学のために一時にかなり多額費用を要するということは、社会的にも大きな問題になってきたわけでございます。  したがいまして、これに対しまして何らかの道で金融をつけることが非常に社会的な必要となってきているわけでございますが、これにつきましては、民間金融機関はいま申し上げましたように、いろいろな制度を独自に実施しているわけでございますけれども、これと同時に、やはり一般民間金融機関から融通を困難とするような層に対しましても、やはりそのような何らかの形で進学資金貸し付けを行うこと、そのために、政府が優遇した融資制度をつくることの必要性は、このような背景から非常に強く感じられてきたわけでございまして、そのような背景がありましたときに、一つには、先ほど申し上げましたように郵政省からこのような要求もございましたので、そういうものも踏まえまして、いま御提案申し上げているような制度の新設を考えたわけでございます。
  24. 川口大助

    川口委員 そうしますと、ちょっと私、質問の前提として整理をしたいのですが、私どもがいまこれから審議をするに当たっては、大学進学に必要な資金の優遇のためにこの提案をしたという前提でいろいろお尋ねして結構だ、こういうことですか。
  25. 徳田博美

    徳田政府委員 高校あるいは大学等進学する子弟進学時においてかなり多額費用を必要とするわけでございますので、そういう父兄負担に対しましてはこれを何らかの形で手助けをする。その場合に、しかも一般民間金融機関もいろいろ教育ローンを行っているわけでございますけれども、そのような一般民間金融機関から必ずしも融通を受けることができないような、どちらかというと所得の低い階層に対してやはり何らかの形で融資の道をつけるということが、今回の御提案申し上げた一つの大きな理由になっているわけでございます。
  26. 川口大助

    川口委員 わかりました。  それでは、そのような考え方でお伺いしますが、その前に、先ほどもちょっと御答弁もございましたが、郵便局郵便貯金による直接の融資方法を検討しろという審議会答申が出たわけですが、これに対して大蔵考えとしては、大臣、どんなお考えですか、見解を承りたいと思います。
  27. 徳田博美

    徳田政府委員 これは先ほど申し上げたことのあるいは繰り返しになるかもしれませんけれども、郵便局におきまして、郵便局で集めた原資を直ちに右から左に融資するということにつきましては、財政投融資一元的運用という点から非常に問題があるわけでございまして、やはり貴重な財政投融資原資でございますから、これは財政投融資計画にのっとりまして、計画的、統一的に目的有効性等を比較勘案いたしまして資金配分を行っていくことが、限られた財政投融資の効率的な運用に資するのではないか、このように考えられることが一つでございます。  それからもう一つは、融資を行うものといたしましては、すでに国に各公庫あるいは各銀行のような政府関係機関もあるわけでございますので、融資を行うに当たっては、新たにそれに郵便局を加えるよりも、こういう既存組織を利用した方が、行政簡素化趣旨にも合うし、効率的ではなかろうか、このように考えられる次第でございます。
  28. 川口大助

    川口委員 私も方針としては、この資金一元的運用というものが、効率的に運用されるというふうに思うわけです。     〔委員長退席綿貫委員長代理着席〕  しかし、いま一応郵便局で、ゆうゆうローンというものをやっておるわけですが、そのゆうゆうローンの実施によって一元化方式というものが崩れた、こういうふうに郵便局というのですか、郵政省では見ておるのではないか。一元化が崩れた、一角を崩した、これによって郵便局一般融資もでき得る道が開かれた、こういうふうに考えておるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  29. 徳田博美

    徳田政府委員 いま御指摘のゆうゆうローンは、確かに形は貸し付けの形をとっているわけでございますが、定額貯金の場合には、解約してしまいますと金利が非常に下がるものでありますから、実質的には預金の一時解約にかえてゆうゆうローンという形をとっているわけでございまして、これは預金担保の貸し出しでございます。したがいまして、形の上では貸し付けの形をとっておりましても、実質的には預金の引き出し業務に類似した行為でございます。これに対しまして、もし郵便局進学ローンを、当初郵政省考えていたような形で行いますならば、それは新たなる全く裸の信用供与でございまして、これはゆうゆうローンが預金の引き出しの変型であるのとは全く違ったものでございます。したがいまして、ゆうゆうローン進学ローンとは性格が違うというふうにわれわれは考えております。
  30. 川口大助

    川口委員 いや、よくわかりますが、ただ、当初郵政省考えておったこの進学ローンは、進学積立郵便貯金というものを担保にしてその倍額を貸し付けするような制度にしたい、こういうふうなことを考えておったようであります。ですから、そういうことを考えておったということは、大蔵省の意向にかかわらず、郵政省ではこのような考えをまだ持っておると思うのでありますが、これに対して、将来ともそういう制度は認めない、こういう御方針なのですか、この際明確にひとつ承っておきたいと思います。
  31. 徳田博美

    徳田政府委員 郵政省が最初に提案しました案は、一応郵便貯金が担保になっておりますけれども、実際にはその貯金の二倍の額を貸し出すわけでございまして、したがいまして、その上積みの分は完全に裸の貸し出しであることには違いがないわけでございます。郵便局におきましてこのような裸の信用供与を行うことにつきましては、先ほど申し上げましたように、財政投融資一元的運用であるとかあるいは行政組織効率化、簡素化という観点からむしろ望ましくない、このように考えております。
  32. 川口大助

    川口委員 それでは、進学に必要な資金の優偶措置という前提で、これから項目別にひとつ伺ってまいりたい、こう思うのでありますが、今回金融公庫対象にして制度を設けたということは、一般金融機関からの資金調達が困難なものというのが対象になっておると思うのでありますが、この一般金融機関から資金融通を受けることが困難だということは、どういうふうにお考えになっておるか、まずそれを伺っておきたいと思うわけです。一般金融機関から融資を受けられないものを対象にした、こういうことですから、そういうものは一体どういうものかということについての大蔵の見解ですね。
  33. 徳田博美

    徳田政府委員 一般民間金融機関資金を貸し出す場合には、当然、民間金融機関でございますから採算ベースということが中心になるわけでございますし、また、預金者から預かっている預金を運用するわけでございますから、預金者保護の観点からも、貸し出しの査定に当たりましては非常に慎重な態度をとるわけでございます。したがいまして具体的には、所得がある程度以上あり、返済能力がだれから見ても非常に明らかであるとか、あるいは資産をかなり多額に持っているとか、要するに客観的に見て資金の回収あるいは利息の支払い、そういう点において民間金融ベースで懸念がないと思われるような先に貸し出しをするわけでございます。
  34. 川口大助

    川口委員 それじゃ、ただいまお話があったような適格条項に欠けるような者を対象にして今度は貸すんだ、簡単に言うとこういうことですか。
  35. 徳田博美

    徳田政府委員 一般的に申し上げれば先生御指摘のとおり、銀行その他一般民間金融機関資金融通を困難とするような国民大衆に対する貸し付けということでございます。したがいまして、この点は、具体的にどの辺が融通が困難であるか、どの辺が融通ができるかということは、むしろケース・バイ・ケースで判断すべきものでございまして、具体的に一律の基準を設けることは困難かと思います。しかし、今回の進学ローン融資の案といたしましては、所得の少ない者、低額所得者ということを目安にしているわけでございまして、これは全般的に見れば、民間金融機関資金融通が困難な層である、このように考えられると思います。
  36. 川口大助

    川口委員 ところが一方、この法律をよく読んでみますと、郵便局の窓口を通して借りようとする者は新たに進学積立貯金というものをしなければならぬ、これが一つの義務的条件、こういうふうになっているようです。そうしますと、これは一体、どういうことなんですか。
  37. 徳田博美

    徳田政府委員 国民公庫で直接貸し出しを行う場合には、低所得者という制限があるわけでございますが、郵便局を通ずる貸し出しを行う場合にはそういう制限は考えておりません。したがいまして、先生御指摘のような御懸念が出てくるかと思いますけれども、ただ一般的には、郵便貯金進学のためにこういう特別の資金を二年か三年にわたりまして積み立てをしなければならないという層は、やはり資金的には余り余裕のない層、したがって、一般的な基準から言えば低所得者というような概念に当たる層ではないか、このように考えられるわけでございます。現在御承知のとおり、一世帯当たりの平均の貯蓄は三百七十万ぐらいから四百万近くあるわけでございますから、恐らくこういう貯蓄も持っていない、これから新たに貯蓄をしなければならない層がかなり主体になるので、したがいまして、やはり一般民間金融機関からの融通を困難とする層という解釈に当たるのではないか、このように考えております。
  38. 川口大助

    川口委員 私の質問の仕方が当を得てないのか、何か答弁が私の質問とちょっとかみ合っていない面があるのですよ。私がいまお伺いしたのは、つまり一般金融機関で借りられないような人々を対象にした貸し付けをするんだ、融資をするんだ、こう言っておりながら、貯金しない者には貸さないという思想はどういうことなのだということです。
  39. 徳田博美

    徳田政府委員 この制度といたしましては、御承知のとおり、貯金をしない層あるいは貯金をできない層に対しても貸し出しを行う道が開かれているわけでございます。そういう方は、国民金融公庫あるいはその代理店、取次店に行けば貯金をしなくても借りられるわけでございます。なおかつ、それ以外にもっと借りたい方、あるいはそれに比較して若干余裕のあるような方は、郵便局に行きまして貯金をして借り入れをするというようなことになるのではないかと思います。
  40. 川口大助

    川口委員 どうもかみ合っておらないのですよ。貯金のない人は直接公庫から借りる、これはわかっています。ただ私の聞いているのは、なぜ貯金をしなければ郵便局では貸さないのか。つまり、郵便局貸し付けをするわけではないのですね。金融公庫の窓口になっているだけなんですよ。その窓口業務を委託している郵便局が、貯金をしないと貸し付けのあっせんをしないというその思想はどうなのだということを伺っているわけです。
  41. 徳田博美

    徳田政府委員 進学のための資金はどのようにしてつくるかということにつきましては、その人それぞれのいろいろな計画があると思いますけれども、初めから全部借り入れに依存したいと思われる方もあるでしょうし、あるいはある程度自己資金をためて、それを基礎にして、それに借り入れを乗せて進学資金に充てたいと思われる方もあるわけでございまして、郵便局制度というのはむしろ後者の方に合致した制度になるのではないか、このように考えられます。
  42. 川口大助

    川口委員 貯金して資金をつくるか借りて利用するかはその本人によるわけでしょう。だからぼくは、大蔵省の立場として、どうして郵便局に貯金しない者には貸さないという考え方になったのかという大蔵考えを聞いているわけです。ぼくの質問に対して、時間も余りありませんから、端的に、的確にお答え願いたいのです。
  43. 徳田博美

    徳田政府委員 あるいは御質問の趣旨に合ったお答えになるかどうかわかりませんけれども、大蔵省としては、本来進学資金を、どちらかというと一般民間金融機関から借りることが困難な層につきましては、むしろ預金なしで貸すのが主体になるべきだ、このように考えているわけでございます。したがいまして、郵政省からの提案に対しまして、むしろ特定の者だけに貸すのはおかしいということで、国民公庫を通じて、いわば預金をする余裕のない層でも進学ができるようにこのような制度考えたわけでございまして、すべて預金がなければ貸し出しをしないということではないわけでございます。
  44. 川口大助

    川口委員 くどいようですが、どうもかみ合っていないのですよ。つまり、最近いろんな意見がありまして、郵便局でそういう制度をとったのは、貸し出しというそれを道具にして貯金を集めているのだ、郵便貯金を集める一つの方便に使っているのだ。ですから、大蔵省がいかにきれいごとを言って、進学のために資金の不足な人に貸すためにつくった法律なんだ、こう言っても、郵便局のかっこうを見ると、それは貯金を集める一つの道具じゃないか、こういうふうに言われるのですよ。ですから、貯金のない者に貸すのはこれはあたりまえの話なんです。だけれども、貯金をしなければ貸さないという思想に対するお答えはなかなかないのですね。貯金をしなければ貸さないということは、大臣、一体どういうことなんですか。
  45. 村山達雄

    村山国務大臣 いま銀行局長が答えているわけでございますが、別の角度から申しますと、進学ローンの話は、金融制度調査会でも出たわけでございますが、郵便貯金の方からきっかけが出たわけでございまして、それで非常にこの制度が口火を切って、問題になっておったのが促進された、こうお考えになった方がわかりやすいかと思います。  郵政省の方は、先ほど申しましたように、積立金の倍額という話でございましたが、これは与信業務でございます。だから、それは困る。免税特権を持っておるそういうところ、あれは零細な貯蓄を集めるというのが主体でございまして、免税特権を持っているところが与信業務までやられては、民間の金融機関との競合問題が起きるわけでございます。したがいまして、預金を集めるためにどれぐらいのところまで一体こちらの方でも納得できるかと言って詰めたぎりぎりのところが、それでは預金の範囲内、積立金の範囲内で貸しましょう。そのかわり、後で御質問があるかもしれませんけれども、その場合、貸した後で引き出しが可能になっておるわけでございます。  そこで折り合ったわけでございまして、それから発想が少し動きまして、郵便貯金はもとより、銀行よりも零細な人がやっているわけですね。それならばむしろ郵便貯金すらできないような人に対しても、進学ローンというものはやはり考えるべきではないかというところまで思想が発展いたしまして、そしていま御提案申し上げておりますように、国民金融公庫でその保証人を一人立てればお貸しいたしましょう、こういうところに発展したわけでございます。  だから逆に、預金がなければということではなくて、向こうの方は預金を限度にして貸そうという、それにいかにアダプトするかということが先に立ちまして、その上にさらに、それならば預金のない人にもやはり貸す道をこの際開くべきではないかということで、まあいわば郵政省の方の進学ローン、それから、これと並行しまして制度を開いた、こういうことなのでございます。
  46. 川口大助

    川口委員 余り時間がありませんから、簡潔にひとつ答弁願います。  そこで、それじゃお伺いしますが、この法律の施行期日は六カ月を超えない範囲でやる。六カ月以内ですよ。この制度は来年の入学準備金からやるわけでしょう。ところが、郵便局を窓口とした場合は、六カ月分の積み立てよりなければ六カ月分より貸さないわけでしょう。満額貸すのですか、五十四万円。貸さぬでしょう。ですから、大臣がいま御答弁しておることは違うのですよ。つまり積み立てした分より貸さないのですよ。その辺のところは一体どうなんです。
  47. 徳田博美

    徳田政府委員 これは御指摘のとおり、国民公庫で直接貸し出しする分につきましては、直ちに五十万円までは貸すわけでございますけれども、郵便貯金関係の貸し出しにつきましては、積み立てた範囲内ということが大原則でございますので、実は来年に入りまして、来年の二、三月の受験期があるわけでございますが、そのときにおける貸し出しにつきましては、これは貯金の範囲内ということになっております。ただしかし、その積み立ての期間につきましては、本来は一年以上ということになっておるわけでございますけれども、来年の初めにつきましては、経過措置として六カ月ということにして、来年の二、三月の受験期に間に合うように措置をしたわけでございます。
  48. 川口大助

    川口委員 だから私は、いわゆる郵便貯金の積み立てが目的であって、融資は従になっているんじゃないか。この点について、大蔵省の見解は少し……。まあ郵便局から無理に言われたから妥協したんだということだけではどうも思わしくない。その結果が、次々の貸付条件やその他に全部あらわれているんですよ。  逐次やっていきたいと思いますが、まず金利であります。これは予想だそうでありますが、金利を七・一%にしたというのはどういう根拠ですか、端的に願います。
  49. 徳田博美

    徳田政府委員 進学ローン貸し付けは低所得者向けが主体でございますから、極力民間金融機関に比べて低くすることが望ましいわけでございまして、その点をいろいろ勘案いたしまして、国民公庫の基準金利を適用する、こういうことにいたしたわけでございます。
  50. 川口大助

    川口委員 だからおかしいと言うわけですよ、ぼくは。これは金融公庫の基準金利なんですよ。ところが、金融公庫の実際の現在の貸し付けの現状を見ておりますと、いわゆる通常マル経と言われるものでさえ六・八ないし六・五なんですよ。しかも、政策的な問題になってまいります産業関係の融資は、極端なことではありませんが、これは大体五%台ですよ。本当に大蔵省が、高校あるいは大学の受験のために困っておる方々を対象にした優遇措置だ——優遇措置という場合に、つまり、いま金融公庫が行っておる五%台、六・八%より一番高い金利を適用したということでしょう。どうして一番高い金利を適用するわけですか。その辺のところが、貸すのが目的でなしに貯金が目的だと言われる一つのいわれじゃないかと思うのですが、これはいかがですか。
  51. 徳田博美

    徳田政府委員 この金利をどの程度に定めるかということにつきましては、いろいろ議論もあろうかと思いますが、ただ、この七・一%と申します金利は、現在民間金融機関教育ローンでこの春実施しました金利八・八八%に比べましてかなりの低利でございますし、それから七・一%というのは本来、大口の長期融資についての最優遇金利でございまして、五十万、三十万といった小口貸し出しというのは非常にコストがかかるわけでございますから、そういうコストを考えますと、七・一ということは非常に優遇された金利ではないか、このように考えております。
  52. 川口大助

    川口委員 いま総理は口を開けば、人づくりだ、こう言っているのですよ。人づくり、教育というものは福田内閣の柱じゃありませんか。それをいまの答弁はあくまでも、これは先ほど言いましたコストを考える、あるいは他の振り合いを考えたいわば事務的な判断でありまして、本当に政治的にこの人たちのためにやってやろう、こういうことにするならば、少なくとも産業の場合は五%にする、教育の場合は七%にするということだけで果たしていいのかどうか、その姿勢が私、大変疑問に思うのです。  特に最近私どもに陳情が来ておりますが、母子家庭あるいは交通遺児、こういうものは、なかなか家庭の財政の関係があって大学にも入れないあるいは高校の進学もできない、こういうふうな非常な苦痛を訴えておりまして、いまこういう制度ができるということに大変期待をしたのですよ。いい制度をやってくれたと非常に期待しておった。ところが、開いてみたところが金利も高い、大変がっかりしているわけですよ。ですから、どうか本当に低所得者対象にするなら、こういう母子家庭やあるいは交通遺児を抱えている家庭に対して思いやりのあるような配慮がされるべきじゃないか。むしろ私から言わしむるならば、無利子かあるいは利子補給か、その程度のことを考えても結構なことじゃなかろうか、こう思うのですが、御見解どうですか。
  53. 徳田博美

    徳田政府委員 確かに御指摘のような問題はあるわけでございますが、そもそもこの制度をつくりましたときに、母子家庭のような家庭を含めまして低所得者に対しまして、いままで全く金融の道がなかったわけでございます。それを開こうとしているところに非常に大きな意味があるのではないかとも考えております。  また今回の進学ローンは、高等学校、大学を相手としているわけでございまして、義務教育ではございませんので、その点にもやはり若干の差異があろうかと、このように考えております。  いずれにしても、金融機関、国民公庫、そういうすべての金利体系から勘案いたしましても、先ほど申し上げましたように、小口貸し付けとしては非常に努力をした金利である、このように考えております。
  54. 川口大助

    川口委員 それではもう一つ小口だから経費がかかるということについてちょっとお伺いしますが、結局、郵便局は窓口だけなんでしょう、貸し付けするのは公庫なわけでしょう。ですから、これは事前の審査を公庫でする、こうなっておりますが、郵便局で積立貯金を勧誘したその人を、事前に貸し付け対象として金融公庫が調査に行くのですか。書類の作成、審査、これは全部公庫がやるわけでしょう。そうしますると、公庫郵便局あるいは農協、こういうものとの事務的あるいは人的な能力、そういうのがどういうふうなかっこうに話し合いがなされているものか、私は大変疑問に思うわけです。こういう点はどうですか。
  55. 徳田博美

    徳田政府委員 進学ローン貸し付けの手続でございますが、普通、進学資金を必要とする時期の一カ月前までに郵便局に対しまして申込書を希望者から提出してもらいまして、その書類を整えて、それにあっせん書を添えて三週間前までに国民公庫に対して送付してもらう。それに対しまして、国民公庫が審査をいたしまして融資決定をいたしまして、貸し付けの行われる一週間ぐらい前までにその決定通知書を出しまして、資金を交付して、いつでも貸し出しのできる体制に整えてく。入学の発表の通知がありましたら御本人郵便局に行きまして、入学発表の旨を郵便局に申し出ましてそこで資金の交付を受ける、このような手続をとることになっております。
  56. 川口大助

    川口委員 いずれにしても、公庫が審査するわけだから、場合によっては積み立てをした人でおっても拒否することがあるわけでしょう。積み立てをしている人は無条件で借りられるわけですか。積み立てをした人に無条件で貸すなら審査の必要はないわけです。その点はどうですか、積み立てをしても貸さない場合があるのですか。
  57. 徳田博美

    徳田政府委員 御指摘のとおり、国民公庫融資についての審査、決定権を持っているわけでございまして、金融面からの審査は郵便局から回されてきた書類に対して行うわけでございます。したがいまして、理論的にはそこで融資ができない場合もあり得るわけでございますけれども、ただ現実の問題といたしましては、すでに一年、二年なり三年なり瑕疵なく積み立てを終えているという事実があるわけでございまして、そういうことを踏まえて審査をいたしますので、現実の取り扱いといたしましては、その融資を拒否することはあり得ないのではないか、このように考えております。
  58. 川口大助

    川口委員 あり得ないということと実際問題やらないということとは違うのですよ。これはどうなんですか、必ず貸すということですか、貸さない場合もあり得るということですか、明確に簡潔に答えてください。
  59. 徳田博美

    徳田政府委員 融資の審査、決定は国民公庫が行うわけでございますから、理論的には審査の結果、これは融資できないというケースも起こり得るわけでございます。
  60. 川口大助

    川口委員 私は実際の話を聞いているのです。実際の話、どうなんですか。
  61. 徳田博美

    徳田政府委員 実際の運営に当たりましては、よほど大きな瑕疵のない限りそのようなことはないと考えております。
  62. 川口大助

    川口委員 そうなってまいりますと、積み立てをした者に貸すという原則がますますおかしくなってくると私は思うのであります。  次は、返済方法についてちょっとお伺いしたいと思うのです。考えてみると、これは積み立てもできないような低所得者貸し付けをするわけです。そうすると、積み立てもできないような人が、高校に入る、大学に入る、一年間だけは猶予になるわけですが、二年目から、つまり一年目に入学準備金なりその他で金を借りたその金の返済と、二年次からの授業料その他の学校経費を一挙に払わなければならないことになるわけです。こういうことが実際問題として可能だとお考えですか。
  63. 徳田博美

    徳田政府委員 こういう貸し付けの返済期間をどのように考えるかについてはいろいろ問題があるわけでございますが、今回のこの進学ローンにつきましては、従来の父兄負担していた進学時の一時の多額資金負担を極力緩和して、在学中にならしたいという趣旨からこの制度考えました。したがいまして、学生の在学期間中にこれを返していただく、このように考えております。  このような制度は、大切な財政投融資原資をもって貸し付けるわけでございますから、その債権の保全という観点からも考えなければなりませんし、また、限られた財政投融資をなるべくたくさんの方に利用していただくという観点からも、この程度の期間が適当ではないか、このように考えている次第でございます。
  64. 川口大助

    川口委員 ごくあっさりお答えしておりますが、あなたは低所得者の家庭の事情を知らないのですよ。年間三百万、二百五十万程度の所得、これだっていい方ですよ。その方々が、確かに入学は一時的な多額の経費と言いますが、二年目になれば同じになってしまうのですよ。二年目になると、借りることもできないし、また一年前の借金を払わなければならない。別に所得がそんなにふえるわけじゃないのですよ。ですから、いろいろ事務的なことでお答えになっておりますが、これは政策的な制度でしょう。国の政策として取り上げた制度なんですよ。そうしますと、少なくとも卒業まで待ってやるとかということを考えないと、これは絵にかいたもちにすぎないのですよ。いかにも恩情あるような制度に見えるけれども、血も涙もないまことに冷酷な金貸しの思想なんですよ。そうお思いになりませんか。大臣どうです。
  65. 徳田博美

    徳田政府委員 この据置期間あるいは返済期間をどのように考えるかということは、先生御指摘のとおり大きな問題でございます。ただ、当初の郵政省から出されました原案は、据置期間がなくて二年で返すという案でございましたけれども、国民金融公庫として貸し出しをする場合には、それは余りにも回収期間が短いのではないか、先生御指摘のような点いろいろございますので、それを勘案いたしまして、在学期間ということにいたした次第でございます。
  66. 川口大助

    川口委員 だから在学期間にどこから金を出して払うのですか。低所得者の限界は頭の中で考えているのでしょう。いまどのくらいの所得以下が低所得者ですか。四百五十万以下ですか。低所得というのはどのくらいと考えるのですか。  恐らく四百五十万の所得というと、公務員であっても五十近い人でないとないでしょう。なかなかないですよ。ですから、ちょうど中学校の子供がおり、高等学校の子供がおり、大学の子供がおるという年代は四十前後ですよ。それはなかなかないのです。  ですから、こういう制度をやらなかったら別ですよ、やったのですから、こういう制度をやる以上は、その制度が実効が上がるように配慮してやる、これが政治じゃないかと思うのですよ。その点、もう一度お答えを願いたいと思うのです。
  67. 徳田博美

    徳田政府委員 この制度につきましては、いままで全くそういう道が開かれなかったのに対して、まずこのように道を開いたことを御評価願いたいと思います。  進学資金をどのように返すかということにつきましては、子弟高等学校に入れるあるいは大学に入れるにつきましては、それぞれ親としての立場からのいろいろな資金計画もあると考えられるわけでございまして、いままでこのような資金調達の道がなかったのに対してこのような道を開いたことに対しまして、これを利用すればどのように自分の子弟の方が在学中——教育費もいろいろほかに要ると思いますけれども、どのように調達していくかというようないろいろな計画をお持ちの上で恐らく御利用になる、このように考えております。  また、入学してからのいろいろな教育費につきましては、日本育英会その他のいろいろな制度もあるわけでございまして、そういうものを総合して教育費をどのように払うかということについて計画を立てていただくのがよろしいのではないか、このように考えております。
  68. 川口大助

    川口委員 こういう制度をつくったのがいかにも善政のように言っていますけれども、こういう制度をつくったからはしなくも福田内閣の冷酷無比な姿が出たということなんですよ。やらなければ気がつかなかったのですよ。それよりも育英会かどっかの方へ補助金でも出してもらった方が結構喜んだかもしれませんよ。むしろこれは一つの見せかけですよ。単なる見せかけです。こういうことであってはならぬと思います。  時間がありませんから、今度は保証人の関係です。これも私は非常に疑問であります。——大体金を貸すという場合は、その金を貸した効果があらわれたものによって返済させるのがたてまえじゃないですか。効果の出ないうちに返済ということはないでしょう。産業に銀行で金を貸す場合であってもどこで貸す場合であっても、貸したものがある程度効果があらわれることによって返済する、こういうことですから、これは学校を卒業して幾らか給料でも取るようになってからある程度の年限で返させることが正しいと私は思うのであります。  それから、この保証人です。保証人がないから銀行で貸さないのじゃないですか。ここにりっぱな保証人がいれば、一般金融機関でも貸すのでしょう。これはどうなんですか。心配のない保証人がいれば、一般金融機関で金を貸しませんか。どうですか。
  69. 徳田博美

    徳田政府委員 一般民間金融機関の貨し出しについてのビヘービアといたしましては、やはり保証人と申しますか、そのようなものがあるという理由だけでは必ずしも貸し付けば容易にはできないと考えておりますけれども、ただ、国民金融公庫の場合には、やはり貴重な財政投融資原資運用するものでございますから、債権の保全ということは非常に大事でございますので、従来必ず保証人をとるのが原則になっております。戦後におきまして、国民金融公庫におきましては、戦災者あるいは引揚者に対して生業資金的なものを融資したことがございますが、その場合にも保証人をいただいていたわけでございまして、そういう一般的な原則に従って、この場合にも保証人はつけていただくことが必要である、このように考えております。
  70. 川口大助

    川口委員 では、最後に聞きますが、この制度に対して保証制度もしくは保証機関、こういうものを設けられる意思がございませんか。
  71. 徳田博美

    徳田政府委員 一応現在におきましては、この融資につきましては保証人を立てていただくことを考えているわけでございますが、その後の実情をいろいろ勘案しながら、保証機関というものについても研究を進めていきたい、このように考えております。
  72. 川口大助

    川口委員 その場合、保証料はどうしますか、取りますか。七・一%プラス保証料というかっこうになるわけですか、この点どうです。
  73. 徳田博美

    徳田政府委員 その場合には、恐らく保証料をいただくことになると思います。
  74. 川口大助

    川口委員 全く私どもからしますと、この制度自体に対してもっともっと配慮してもらいたいということをお願いをします。  日銀の中川さん、呼んでおりますので、時間が本当は五分ぐらいしかないので大変恐縮ですが、端的にお伺いしますので、要領よくお答え願いたいと思います。  お願いしましたのは、公定歩合の問題なのです。いま公定歩合は大分下がりまして、三・五%ぐらいになっているわけですが、去年の三月からざっと考えても何度か下がっているわけです。特に私わからないのは、去年の三月に下げまして、また四月に公定歩合の引き下げをやっているわけですが、その大きな理由は、企業の経費負担の軽減だ、また景気刺激の一環だ、こういうふうなことでありまするし、また、大蔵大臣も本会議などにおいて、公定歩合は下げるのだ、それによって経費を下げるのだ、こう言っておりますが、実際はそんなに下がってないのですよ。  三月に下げて四月に下げるというような場合に、三月の公定歩合の成果、実効がどのように上がったのかということを一カ月ぐらいで推測をして、第二次の公定歩合の引き下げをやったわけですが、公定歩合を引き下げる場合の一つの根拠、あるいはまたその公定歩合引き下げによって、どの程度の効果、また経済にどういう貢献をしておるかの貢献度、そういうものの追跡調査、こういうものをやっているかどうか。実は私はきょう銀行の方もお願いしたわけですが、委員会では困るということできょう来ていただけなかったわけでございますが、実際の銀行のいまのベースは、恐らく私どもの体験から言っても八%、ひどいのは九%あります。長期の場合はやむを得ない、こういうわけでありますが、私はかつて日本銀行へ直接足を運んで意見を徴したことがあるのです。長期も短期も同じことだ、特に長期といっても、預金の場合は二年以上の定期預金がないわけだから、二年過ぎるともとへ戻ってしまうわけだから、そんなに何年間もずるずるだらだら長期の金利を高くしておくのはおかしい、高いのはむしろ銀行に対する折衝が下手だからだ、金を借りる人が下手だからだ、銀行がたくさんいろいろあるわけだから、金利の安いところを探していったらいいのじゃないか、高いところから借りない方がいいのじゃないか、こういう端的なお答えもございました。しかしながら、先ほど答弁の中にも一部ありましたように、やはり基準金利、長期でも短期であっても一つの基準金利をまとめておいて、横にらみをかげながら銀行間でやっておるわけです。独禁法にひっかかるのじゃないかとさえ思うわけであります。それが下がっていないのですよ。  ですから、きょうお招きしたのは、そういう点についてるるひとつ御意見を拝聴したいと思っておったわけですが、時間も十分間短縮されましたし、思うようなお答えを得られることにならぬわけでありますが、後でまた機会があればお尋ねいたしますから、このことと、それからいま一つは、民間金融機関がいまの金融公庫制度、そういうものをどういう感覚でとらえておるかという点について、ひとつ時間の範囲内でお答え願いたいと思うわけです。
  75. 中川幸次

    中川参考人 大変たくさんの問題をちょうだいいたしましたので、お答えできるかどうか……。  最初に、公定歩合の問題でございますけれども、私ども、昨年三月、四月に続けて下げたのはおかしいじゃないかというお話でございますが、私どもといたしましては、そのときどきのタイミングをとらえまして、そのときにおきましては少なくとも最も適切な時期に最も適切な幅で上げたり下げたりするということを心がけておるつもりでございます。ただ、人間のやることでもございますし、時に予測しない情勢も起こってまいります。そういうときには、金融政策は財政政策と違いまして、機動的に決心したらすぐ実施できるという点もございます。私どもは、できるだけ情勢に即応して、機動的、弾力的に運営していくということを心がけているつもりでございます。  昨年の三月、四月に続けて下げたのはおかしいじゃないかという御質問につきましては、三月ごろは、情勢を見ましてやはり引き下げが適当であるというふうに考えました。それで、大体引き下げをいたしますときには、〇・五%ぐらいの刻みで下げるのが従来、日本でも外国でも普通でございますが、それで下げましたところが、その直後の情勢というのは、どうも企業マインドにいたしましても実体面の動きにいたしましても思うようにいかない、なかなかむずかしい情勢が続いておるというふうなことでございまして、ここでやはり思い切ってもう一段下げるということが、その三月引き下げも一緒にして非常に効果が出るのじゃないかというふうに考えまして、それで四月に思い切って一%下げたわけであります。  三月、四月と連続下げました結果、その後の情勢は、私どもとしてはわりに効果があったんじゃないかというふうに考えております。その二カ月の間に二回も下げるというのは、異例と言えば異例でございますけれども、日本でもいままでやったこともございますし、外国でも、ごく最近は余り例を見ませんけれども、たとえばアメリカでも昨年一カ月置いて実施するということもございました。まあ金融政策というのは、そういう弾力的に動かせるというところが一つの強みではないかというふうに私ども考えております。  それから、金利が下がってないじゃないかという御質問でございますが、金利が個々の場合にどの程度下がっているかは別にいたしまして、私どもが各金融機関から統計をとっておるので見てまいりますと、たとえば今度公定歩合を三月に下げましたまでの一年間で見まして、大体過去一年間に全国銀行の約定平均金利は一・五%下がっておりまして、現在の水準は六・六%になっております。相互銀行はこの間、一・二%下がりまして七・六%になっております。これは長期も短期も合わせたものでございますが、短期の方の金利はこの間、二%全国銀行で下がっておりまして、いまの水準は五・五%であります。相互銀行の方はこの間、一・五%下がりまして六・八%。全国銀行の方はこれまでの戦後の最低の水準にまで下がっております。  これが思ったほど下がっていないじゃないかというふうな、まあ見方の相違はございますけれども、これまでのところ、公定歩合の下がり方に対しましてどれくらい市中の貸出金利の平均が下がったかという従来の動きから見ますと、私どもはそれを公定歩合に対する追随率と申しておりますけれども、非常に今度の場合には追随率が高うございます。そういう点から見て、全体の貸出金利の平均といたしましては、今度の場合にかなり下がっているというふうに思います。  それで、公定歩合を下げた場合にどの程度の効果があらわれるかというふうなことでございますが、これはやはりこの程度出るというのは、その間財政政策も財投の増加を中心にいろいろなことをおやりになりましたし、総合的に見なければいかぬと思いますが、私どもこれまでの過去一年ちょっとの間に公定歩合を四回引き下げて、通計三%下げたわけでございます。この結果、その三分の二、約二%くらいが市中貸出金利が下がったわけでございますが、一方、企業が預けております預金の方の金利も下がったということでございますので、そのネットで差し引きしますと、大体三分の一くらいが企業の金利負担の軽減になっている。それが、一回目に下げましてすぐ翌月効果が自に見えてあらわれるということは、いまのような時代にはなかなかはっきり出てまいりませんけれども、ことしに入りまして若干景気に明るい面が一部に出てきたという背景一つには、私ども、公定歩合をこれだけ下げて金利負担が軽減されたことによる、あるいは量的緩和の一層の浸透による効果がここへきて出ておるのだというふうに考えております。(川口委員「この関係は」と呼ぶ)  進学ローンの関係につきましては、民間といたしましては、社会保障でおやりになるのなら別でございますけれども、やはり民間の金融機関政府金融機関との貸出金利が余りに違い過ぎるとか優遇の度合いが大き過ぎるということになりますと、どうしても政府の方は優遇され過ぎる、それで民間の方の商売をとられるということが出てまいります。  話はちょっと違いますけれども、郵便貯金にいたしましても、やはり民間の金融機関としては平等な取り扱いをぜひしていただきたいというお願いをしておるわけでございます。貸し出しの方につきましても、やはり民間と、平仄を合わせてやっていただきたいというふうに考えております。
  76. 川口大助

    川口委員 どうも時間が若干超過して恐縮ですが、お願い申し上げますが、私は金利が下がったのはおかしいと言うわけじゃないのですよ。一カ月単位ぐらいに下げるわけですが、そのためには根拠があるだろう、その根拠をどうしてつかんでいるのかということをお聞きしたかったわけです。ですから、弾力的な効果、これは結構です。お願いしたいのは、これは平均、平均と言っても、平均ほど怪しげなものはないのです。ですから、せっかく日本銀行でも公定歩合をお下げになるわけですから、場合によっては追跡調査、場合によっては抽出調査などをして、どの程度日本銀行の意図が徹底して行われるかということに対して、たまにはひとつ御調査をお願い申し上げたいというふうにお願いして、私の質問を終わります。
  77. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 野口幸一君。
  78. 野口幸一

    野口委員 私は、前の川口先生のお話に引き続きまして、今日、金融公庫をしていわゆる教育ローンに踏み切られた経緯につきまして、さらにもう一度詳しく御説明をいただきたいということでございます。  一部新聞報道によりますと、民間の各金融機関が一斉に教育ローンを打ち出しました。これは昨年郵政省から、郵便貯金預金者に対するいわゆる進学貸し付けをやりたいという発想が発表されまして以来、それぞれの機関がこの問題に対しまして、対抗してと申し上げたらいいのでありますけれども、対抗しまして教育ローンの実施を宣言したわけであります。そこで、その火つけ役になりました郵政省大蔵省に折衝をいたしまして、これを実施したい、こういうことを申し出たが、先ほど来御答弁にありますように、いわゆる資金一元化というような厚い壁がございまして、郵政省は泣く泣く引き下がったという経緯があります。そこで大蔵省としては、そういう経緯の上に基づいて、それだけではいささか血も涙もないということで、若干この郵便局を使って、まあ郵便局の顔を立ててという言葉はあまりいい言葉ではありませんけれども、顔を立てて今回の進学ローンというものを発想したと思うのでありまして、国民金融公庫法改正して今回のこの小口金融に、いわゆる学資ローンに踏み切ったと私は思っておるのでありますが、それに間違いございませんか。
  79. 徳田博美

    徳田政府委員 今回、進学ローンについての法案を御審議願っている経緯につきましては、先ほど申し上げた次第でございまして、やはり教育費の増高ということが非常にいま社会的に問題になっているわけでございますし、特に進学時における一時の多額負担というのは、進学する子弟を抱えている親にとって非常に大きな問題でございます。したがいまして、これに対して金融面で対処しなければならないという動きが五十年ごろからあったわけでございまして、民間金融機関においてそれぞれ工夫をいたしまして、去年の夏ごろまでにすでに五十四、五の金融機関において、制度として教育ローンを実施しておりましたし、また、教育ローン制度を持たない金融機関でも、一般の消費者ローンの一環として行っていたわけでございますけれども、特に昨年の前半におきまして、金融制度調査会におきましてこの問題が議論され、さらに先ほども申し上げましたが、昨年の六月でございましたか、教育関係の閣僚会議において総理大臣から文部大臣にいろいろのお話もございまして、そういうことを踏まえて、さらに民間金融機関ではこの制度一般的な拡大を行っているわけでございます。  こういうことを踏まえまして、大蔵省といたしましても、やはりそういう進学時における父兄多額負担を何らかの意味で平準化するということについては、その必要性を感じていたわけでございます。特に民間金融機関につきまして、このようないろいろな制度ができてまいったわけでございますけれども、やはり一般民間金融機関融通を困難とするような階層を対象として何らかの制度考えることも必要であるというふうに感じていたわけでございます。その際、先生御指摘のとおり、昨年の九月の郵政審の答申、さらには、昨年末の予算策定時における郵政省からの御要求もあったわけでございまして、そのようなものを踏まえまして現在の制度は一応考えられたわけでございます。  このように国民金融公庫による低額所得者向けの貸し付け、そして郵便貯蓄者に対する貸し付けと二本立ての制度になりましたのは、先ほど申し上げましたように、財政投融資一元化であるとか、あるいは、すでに政府関係の各機関融資を行う体制もございますので、それを利用した方が行政の簡素化、効率化に合致した道であるというような理由から、このような案を御提案、御審議をお願いしている次第でございます。
  80. 野口幸一

    野口委員 それは表向きの理由でございまして、実際は、郵政省ががたがた言うから、何とかこの郵政省の顔も立てなければならぬけれども、貸すにも貸せない、それじゃおれのところでやってやろうというのが本音だろうと思うのでありますが、本来政策的に考えますならば、政府が教育の機会均等を図り教育の負担金の軽減を図ろうというならば、むしろ本筋的には、日本育英会等を拡大強化して、それに対する利子補給を考えるというのが本筋であろうと思うのでありますが、この点大臣はどうお考えになりますか。
  81. 村山達雄

    村山国務大臣 御承知のように、育英会は合格してから在学中の資金を貸すわけでございますが、このようにまとまった五十万というような金ではなくて、恐らく年にもっと少ない金額ではないかと思います。したがって、両々相まっていって、教育的ないろいろな資金貸し付けが今後もだんだん進展していくんじゃないか。今度は金融制度の枠の中でやっているわけでございますけれども、両方を進めながら、今後さらにまた検討してまいる方がいいんじゃないか、こんなふうに考えているわけでございます。
  82. 野口幸一

    野口委員 いや、いまの日本育英会の運営が正しいあるいは内容がいいと言っているんじゃなくて、それを強化拡大する中で今回の問題も消化できるんじゃないか。そういう方向に進めるのが本来政策的には正しいのではないか。金貸しをやるという方法をむしろ別の角度でとらえて、学資の軽減あるいは機会均等を図っていくという方向をつけられる方が正しいのではないか、そういう意味で申し上げているのであります。
  83. 村山達雄

    村山国務大臣 野口さんのおっしゃったのをちょっと取り違えて失礼いたしました。  その意味では、ことし百億くらい増額させていただきまして、育英資金を五百十億から六百十億ぐらいに増額をしているところでございます。
  84. 野口幸一

    野口委員 そこで、内容についてお尋ねをいたします。  先ほども質問がございましたが、国民金融公庫を通じてということになりますと、「銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的とする。」こういう第一条の「目的」から考えまして、一般金融機関から資金融通を受けることが困難な人を対象としているわけでありますから、当然一般金融機関等でやっております教育ローンあるいはその他の貸し付け関係よりもより有利でなくてはならぬ、あるいはより親切かつそういう低所得者に対する思いやりがなくてはならぬと思うのでありますが、今回のこの貸し付け内容において、どの点がどういうぐあいに他の金融機関と違うんだということをお示しいただきたいと思います。
  85. 徳田博美

    徳田政府委員 先生御指摘のとおり、すでに一般民間金融機関教育ローンを行っているわけでございます。それとの相違点でございますが、まず金利の点につきましては、民間の教育ローンは大体基準とするところは保証料を含めまして八・八八%でございますが、国民公庫の場合には七・一%と非常に低利になっているわけでございます。また、資金の使途でございますが、民間金融機関の行っている教育ローンの場合には、学校納付金に限定している場合が多いわけでございますけれども、国民金融公庫で行う場合には、学校納付金のほかに、受験費用であるとかそのほか進学に必要な費用、たとえば教科書代、参考書代、場合によっては東京に出てきてアパートを借りる場合の敷金等も含み得るということで、対象の幅を広げているわけでございます。  それから、当然のことでございますが、融資に当たりましては民間の金融機関は、やはり民間の金融ベースで審査をいたしますので、基準としてはそれぞれの民間のコマーシャルベースに乗ったような基準を採用するわけでございますけれども、国民公庫が行います場合には、もちろん償還の確実性ということに配慮は行いますが、民間の金融機関が必ずしも融資できないような階層にも融資し得るような道が開かれる、このように考えております。
  86. 野口幸一

    野口委員 それでは、貸付資格の関係でありますが、そうすると、低所得者金融公庫等から住宅ローン等で既貸し付けがあった場合でも、以前の貸し付けの問題にはかかわらず、今回の貸し付けを受けられるという解釈をしてよろしゅうございますか。
  87. 徳田博美

    徳田政府委員 国民金融公庫貸し出しの場合におきましても、大事な財政投融資原資貸し付けるわけでございますから、償還の確実性ということはそれなりに大きな問題でございます。したがいまして、融資の申し込みがあった場合には当然、ほかに借入金があるかどうか、またその返済状況はどうであるかということも恐らく融資の申込書に書いていただくことになると思います。したがいまして、そういうものを勘案しながら、全体的にいろいろなデータを見ながら決定するわけでございまして、住宅ローンその他を借りているということだけによって、それじゃもう国民公庫からの借り入れはできない、そういうことではございません。しかし、全体の資金繰りの一環としてそのようなものを拝見させていただくことはあるわけでございます。
  88. 野口幸一

    野口委員 先ほどもやりとりがありましたように、その調査、決定は国民金融公庫でおやりになるということでありますが、これがある意味で非常に普及をいたしまして郵便局の窓口等で取り扱うということになりますと、相当数出てくると考えられますが、その場合実際上の問題として、調査して決定されることが国民金融公庫の事務上の問題として可能なのかどうなのかということについてお伺いしたいと思います。
  89. 徳田博美

    徳田政府委員 この進学ローンは、いまのところの予想では大体七万件くらいのことを考えているわけでございますけれども、この案件は主として二月、三月に集中するかと考えられます。しかしながら二月、三月というのは、一般国民金融公庫事業資金の貸付事務がどちらかというと、わりに手のすく時期でございますので、現在の国民金融公庫の体制によりましてこの事務は十分に処理できる、このように考えております。
  90. 野口幸一

    野口委員 先ほど来その調査、決定権というのは国民金融公庫にあるということでありますが、郵政大臣のあっせんというのはどういう意味がありますか。
  91. 徳田博美

    徳田政府委員 郵政大臣のごあっせんをいただく場合のそのあっせんの意味でございますが、これは、借り入れを申し込む申込者から申し込みに必要な書類を徴求いたしまして、これに対しまして、その人が進学積立貯金を瑕疵なく終了するという証明書と申しますか、あっせんに必要な書類を添えまして、それを国民公庫に送付していただくということ、これがあっせんの事務の内容でございます。
  92. 野口幸一

    野口委員 私どものいただいておりますこの資料の中に、「郵政大臣は、進学積立郵便貯金預金者に対し、国民金融公庫等から進学資金小口貸付けを受けることについてあっせんを行うことになっており、次の諸条件によりあっせん及び貸付けが行われる予定である。」つまりあっせんの条件として、「借受人の資格」、「貸付金の使途」、「貸付期間」云々、こういう項があるわけであります。そうするとあっせんというのは、借受人の資格あるいはまた貸付金の使途まで調査をしなければならないのか、また、そのことが義務として行われるような感じがいたしますが、その点はどうなんですか。
  93. 徳田博美

    徳田政府委員 これは申し込みの際に、いま先生御指摘のような必要なデータを申込書に記載していただくわけでございますが、その内容郵便局が審査するということではございません。ただ、その内容の記載がなければ、記載がないことについて郵便局で指示して補完していただく必要があると思いますけれども、内容について審査にわたるようなことをやっていただくことは考えていないわけでございます。
  94. 野口幸一

    野口委員 そうすると、このあっせんというのは単なる橋渡しということで、内容的には何ら責任を伴わないということになりますか。
  95. 徳田博美

    徳田政府委員 貸し付けについての審査、決定権は国民公庫にあるわけでございます。したがいまして、一切の責任は国民公庫が負うことになります。
  96. 野口幸一

    野口委員 そうすると、郵政大臣のあっせんというのは、単なる事務上の手続を橋渡しをするというだけにとどまって、何ら権限も何もないということなんですね。そういうことでよろしゅうございますか。
  97. 徳田博美

    徳田政府委員 郵政大臣のあっせんというのは、先生御指摘のとおり、必要な書類を申込者から徴取いたしまして、それを国民公庫に送付する。その際に、その申込者が所定の積み立てを瑕疵なく完了したものであるということを証した書類を添えて送付するということでございます。
  98. 野口幸一

    野口委員 そうしますと、郵政大臣のあっせんという大げさな言葉は使わなくてもいいんじゃないですか。わざわざ郵政大臣を引っ張り出して郵政大臣のあっせんとは、一体どういうことを——そこまでうたわなくてもいいんじゃないか。ただ単なる貯金が済みましたという証明書をつければいい、こういうことでいいんじゃないですか。
  99. 徳田博美

    徳田政府委員 今回の進学資金貸し付けにつきましては、そのあっせんのあることが条件でございます。したがいまして、それはその意味で、貸し付けにつきまして重要な意味を持っておるわけでございます。
  100. 野口幸一

    野口委員 ちょっとわからないのでありますけれども、どうも郵政大臣のあっせんによって貸し付けるということ、こういう項目になっておりますと、やはり郵政大臣としても、いわばある一定の使途に対して限定をしてといいますか調査をしてといいますか、限って貸し付けのいわゆる取り扱いを金融公庫でやる、その尺度というのは、貯金をした人だけに貸すのか、それとも内容的にある意味では先ほどから申し上げましたように、借受人の資格あるいは使途というものが一定の条件に定まっていないことにはあっせんができないのかという、そういうところまで言及をしていかたければならぬことになるわけであります。そういう点はいい、ただ預金がされておればいいんだということなれば、それはそれでまた私どもわかるわけでありますけれども、書いてある内容から見ますと、それらのことをある程度一定の条件を定めていないことにはいわゆる進学積立貯金そのものが発足されないという条件になりますと、このことは、資格関係まで郵政大臣がくちばしを入れ、さらにまた、そのことについて責任を持たなければならぬというところまで及ぶのではないかという心配があるわけでありますが、その点についてはいかがでございますか。
  101. 徳田博美

    徳田政府委員 その場合に郵政大臣にお願いしている事柄は、所定の積立貯金を瑕疵なく完了したということを証明していただくことだけでございまして、それ以外の記載内容につきましては、これは国民公庫が審査する事柄でございますので、その点について一切責任はないわけでございます。
  102. 野口幸一

    野口委員 若干質問を変えますが、次に、高校、大学等とありまするが、この「等」というのは各種学校という意味でございますか。
  103. 徳田博美

    徳田政府委員 一応法案では、「学校教育法による高等学校、高等専門学校又は大学その他これらに準ずる教育施設として政令で定めるもの」としてあるわけでございます。「これらに準ずる教育施設」といたしましては、盲学校、聾学校または養護学校の高等部等を考えております。
  104. 野口幸一

    野口委員 ここでは、質問というよりもむしろお願いをいたしたいと思うのでありますが、高校、大学等とありまするけれども、いわば各種学校の中で特に資金を必要として入学させなければならないという学校も存在するわけであります。したがって、これの実施に当たりましては、特に先ほど来申し上げていますように、低所得者がいわゆる無理をして進学させる資金に充てていくわけでありまするから、なるべく広く解釈をしてやっていただきたいということをまず付言をしておきたいと存じます。  そこでその次ですが、「親族」という項の中でありまするが、この前逓信委員会では、たしかいわゆる民法によるところの親族という形で御返事があったように思うのでありますけれども、余りにもこれもしゃくし定規な話でありまして、少なくとも同一世帯構成者であればいいのではないかというような拡大解釈をして、親族という言葉について若干私ども疑義を持っておるわけでありますが、その点については、親族等とは入らないか、親族とはいかなるものかということについて、もう一度ここで伺っておきたいと思います。
  105. 徳田博美

    徳田政府委員 この親族は、民法七百二十五条に規定する親族と同一範囲でございまして、六親等内の血族、配偶者、それから三親等内の姻族というふうに考えております。この貸し付けは、ある程度短期間に迅速に実施する必要がございますので、その点の解釈その他について明らかにしておく必要があると考えられましたので、法律上このようなものに限定したわけでございます。
  106. 野口幸一

    野口委員 どうも御答弁だけを聞いておりますると、非常に冷酷なように感じますが、実際上としましては、この親族というのに当てはまらない部分だって当然、めんどうを見ている人が貸し付けを受けたい、またそういう人だからこそよけいに貸し付けが必要だという場合だってあり得るわけでありますから、その点について、先ほどのお願いと同様に、少しく解釈を拡大をしていただいて、そして広くこの貸し付け一般のものになるように、実施面としてお考えおきをいただきたいということを付言させていただきたいと存じます。  最後になりますが、実はこの問題は先ほど来もございましたけれども、郵政省自身としては、直接融資方式によってやりたいということを大蔵省に対して申し出ているわけであります。先ほど来の御答弁によりますと、いわば資金一元化ということだけで門戸が閉ざされているわけでありまするけれども、将来とも郵政省による融資というものは考えられない、行わない、このお答えだけしかいただけませんか。
  107. 徳田博美

    徳田政府委員 この点につきましては、先ほどもお答え申し上げたところでございますけれども、やはり財政投融資一元的運用というのが、財政資金の効率的な運用の面から非常に必要なことでございますし、それからまた、政府関係機関といたしましては、融資を担当するものとして銀行、各種の公庫があるわけでございまして、これに新たに別の機関が加わることは、行政簡素化の点からも非常に問題がございますし、政府関係のそういう金融機関全体の効率化の点からもいろいろな問題があると思いますので、郵便局において直接貸し出しをするのは適当ではない、このように考えております。
  108. 野口幸一

    野口委員 郵便貯金は、三十兆円余を超す莫大なる金額をいわば国民の間から集めてきているわけであります。もちろん、国家財源における位置が非常に高いということもよくわかっておりますし、また、一元化の先ほどおっしゃっている言葉もよくわかります。少なくとも、たとえば本制度自身を考えましても、その財源として必要だと認められておる金額は約二百億と言われております。三十兆円集めてきて二百億円ばかりの貸し付け郵政省自身がやれないということも、これはまた国民感情、あるいはまた集めてきた郵政省から考えましても、その点については疑義のあるところであろうと思います。  特に郵政審議会等の答申あるいはまた逓信委員会におけるところの附帯決議等は、もちろん逓信委員会は全会一致でもって、独自によって融資を行うように検討すべきであるという附帯決議がついておるわけでありまするけれども、郵政審議会においても、独自において融資をやれる道を開けという言葉があるわけであります。少なくとも私は、全体に及ぼす影響のあるところまで融資権というものを持つということについては、これは疑義のあるところであります。しかし、これは先ほども申し上げておりますように、少なくともある一定の制限を設けて、郵便局においてもいわゆる自主的な融資というものがある一定限できるというようにしていくのが、これは国民に対する親切ではなかろうか、こういうように思うわけでありますが、この点についてさらに、お答えはもういただかなくてもわかっておりますから、聞かなくても結構でございますが、ぜひとも大蔵省においても御検討おきをいただきますことをお願いをいたしまして、私は終わります。
  109. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 貝沼次郎君。
  110. 貝沼次郎

    貝沼委員 国民金融公庫法及び沖繩振興開発今融公庫法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  先ほどから質問の様子を聞かしていただいているわけでございますが、この法律を私ずっと見まして思うことは、一体この法律はだれのためにつくったものだろうかというふうに思うわけであります。これは一体だれのためにつくったものなんでしょうか。
  111. 徳田博美

    徳田政府委員 御承知のとおり、最近教育費が非常に高騰しているわけでございまして、特に進学時におきましては、進学する子弟を抱えた父兄の一時の多額のそういう進学関係の資金負担は大変なものがあるわけでございます。したがいまして、こういう進学期を迎える子弟を抱えた父兄のそういう資金的な負担の軽減に役立ちたいということで、このような制度考えたわけでございます。
  112. 貝沼次郎

    貝沼委員 文部省はいらっしゃいますか。——文部省にお尋ねいたしますが、今回のこの制度は、非常に変わった経緯を持っておりまして、大体普通こういった問題が出てくるのは、文部省から一生懸命大蔵省に頼んで、それで何回もけられてけられてやっとでき上がる、これがいままで多いわけでありますが、今回は、文部省が何をやったという話は余り聞こえないのです。それで、郵政省大蔵省、いろいろと激論が交わされておったようでございますが、文部省はこのとき何をしておられたのですか。
  113. 石井久夫

    ○石井説明員 学生課長の石井でございます。  私どもといたしましては、郵政省の方からこういう構想を持っているということは事前に御連絡をいただきまして、十分承知しております。
  114. 貝沼次郎

    貝沼委員 それではぐあいが悪いのでありまして、私の考え方から申し上げますと、これは教育論から出発しなければならぬと思うのです。いまたとえば郵政省の方は、還元融資という形で自主運用の枠を広げたいとか、あるいは大蔵省は、従来どおり資金運用資金として一元的に運用したいとか、いろいろなことを金融論とか技術論において議論されておりました。それで先ほど銀行局長からお話がありましたように、最近はどうもお金がかかる、一時的にお金を出すということは大変であるというところから、このローンということを思いついておるわけでありますが、本来これは文部省が、いまのたとえば義務教育から高校に入学する、あるいは高校から大学に入学する、こういう状況というものを克明につかまえ分析をし、そしてこの制度はどうなければならないかという計画がもともとなければならないはずであります。これはあったのかなかったのかということを聞いておるわけであります。
  115. 石井久夫

    ○石井説明員 文部省といたしましては、経済的に就学が困難であり、しかも優秀な学生に対しましては、一つは、日本育英会の奨学事業の拡充ということを通じましてそういう機会のより拡大を図っておりますし、またもう一つは、ごく最近でございますが、四十九年度から日本私学振興財団を通じまして、私大奨学事業というのを実施しております。これは、学校法人が大学生に対しまして資金融資する際に、私学振興財団を通じて長期低利の融資を図っていくというものでございます。また五十二年度からは、特に入学時におきまして学費がかさむわけでございますので、分納制度を実施する学校法人に対しまして、その分割納入につきまして融資制度を実施しているということでございまして、ただいま御議論されておりますローンの構想といいますのは、私どもといたしましてはそういう制度が当たるのではないかというふうに考えております。
  116. 貝沼次郎

    貝沼委員 最後のところがよくわからなかったのですが、要するにローン考えは、そこからよくわからなかったのですが、必要だという判断に立っておるということですか、それともこれは必要なかったんだという判断に立っているわけですか。
  117. 石井久夫

    ○石井説明員 本来でしたら、日本育英会の事業は貸与でございますけれども、全然利子がついておりませんので、高校生であろうと大学生であろうとすべてに行き渡るようにするのが最も望ましい方法だろうと思いますが、これはもちろん国家財政的に限度があることでございますので、したがいまして、日本私学振興財団を通じまして、奨学事業とか分納制度を実施する際の融資制度というのを行っているわけでございまして、特に入学時におきましては、最近私立医科大学等を通じて負担金がかさむということで、社会的な批判を浴びていることもございまして、分納制度を取り入れているということになっているわけでございます。  そういうことから、私どもといたしましては、本来の趣旨から言うと、日本育英会の事業の拡充によって救済される、あるいは機会を与えられるということが望ましいことではございますが、現実的にはなかなかそうもいきませんので、その余については、そういう奨学事業、現在あります私学振興財団を通じます奨学事業等によって機会を与えていくという方法考えているわけでございます。
  118. 貝沼次郎

    貝沼委員 どうも文部省の答弁を聞いておりますと、このことは余り必要でないようですね。非常に不思議です。  いま私のところも、私立の高校へことし入りましたけれども、非常に金がかかるのです。そこで私は、私立に入っている人とずいぶん話をいたしますが、要するに一時的にぽかっと金がかかるわけです。たとえば入学試験が通って、それからたとえばほかの高校を受ける人もおる。そうすると、ほかの高校の合格が判定する前に、八万円とか十万円とかいう金をばんと入れておく、滑りどめですから。それでなおかつその後で、今度はそこの制服であるとかかばんであるとか教科書であるとか定期であるとかいうふうに非常にかかるわけですよ。  そういう実態というものを文部省は御存じなんだろうかどうだろうか。一時的に必要なんです。大体三月の終わりから四月の初めにかけて必要なんです。この一時的な金をどうして工面しようか。たとえば三十万とか、都会では五十万とかと言われておりますが、この金をどうして工面しようかというのが実は父兄の悩みであるわけであります。したがって、そのためにずいぶん試験を受かっておりながら入学を断念しておる人もおるわけですね。こういう実情考えたら、まだ利用者が比率からいけばわりと少ない奨学資金であるとか、こういったものだけいま並べておりますけれども、そうではなしに、やはりローン考え方というものはむしろ文部省から出てくるのが本当ではないか、こう思っておるわけでありますが、その辺、もう一度答弁してください。
  119. 石井久夫

    ○石井説明員 私ども、決していま御議論いただいておりますこういう制度が要らないということで申し上げているのではございませんので、現在文部省は、日本私学振興財団、それから日本育英会の事業を行っているということを申し上げているわけでございまして、もちろんそういう制度でカバーできない面があるわけでございまして、そういうことにつきましては、御指摘のとおり、ローンという制度によって父兄がその学費の負担を軽減できるということは非常に結構なことだと考えております。
  120. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、いまローンの話が出てきましたので、ああそういうものができたんならいただけるものは何でもいただきましょうというようなことですけれども、そうではなしに、もっと文部省が積極的にやらなければいかぬと私は思いますよ。その辺は積極性が残念ながら足りません。  それから、要するに教育の機会均等、教育基本法を申し上げるまでもなく、教育の機会均等という問題とそれからお金がかかるということですね。高校並びに大学に入学する場合に非常に金がかかる、これは非常にむずかしい関係にあるわけでございます。金がかかるということは、たとえば低所得者は、高校、大学の入学試験に合格しても、それだけの財力がなければ入ることはできないわけでありますから、そうなると、機会均等というものが問題になってまいります。したがって、教育の機会均等ということと教育に金がかかるということ、このかかわり合いについては文部省はどういうふうに考えておるわけですか。
  121. 石井久夫

    ○石井説明員 それはなかなかむずかしい問題だと思いますけれども、一つは、先ほど申し上げましたような奨学制度の拡充の問題、またもう一つは、やはり現在文部省で行っております私立大学等に対する経常費補助金の拡充というようなこと等を通じまして、私立大学における経営基盤の安定というようなこと等から、入学者負担金を軽減するというようなこと等が総合的に考えられるべき問題だというふうに考えております。
  122. 貝沼次郎

    貝沼委員 聞いていることと答えがちょっと違うんですね。要するに文部省は、大学に入りたいあるいは高校に入りたいという人が試験も合格をした、しかしながら経済的理由によって、お金がないために断念せざるを得ないという場合、私がくどくど申し上げるまでもなく、教育基本法第三条第二項に、「国及び地方公共団体は能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」こうなっているわけですね。それをどういうふうに講じておるのですか。行きたい人は本当に行ける制度になっておりますかということを聞いておるわけです。
  123. 石井久夫

    ○石井説明員 なかなかむずかしい御質問でございますけれども、最近大学における進学率、高校における進学率、そういうのは非常に高くなっているわけでございまして、そういう面からは、かなりの者がそういう機会を与えられているというふうに理解しております。
  124. 貝沼次郎

    貝沼委員 実は、それが与えられておらないので今回のこのローンが出てきておるわけですね。このローンをつくっても利用する人がいなければ、大蔵省も郵政省も手を出さないんです。なぜならば、国民から預かった原資をもとにして、財投をもとにしてやるわけでありますから、利息をかせがなければいかぬのですから。したがって、本当にそれが見込みのないものなら、恐らくやらないでしょう。やったって国会を通らないでしょう。したがって、非常に国民の要望がある上に、必要であるからこういう問題が出てきておると思うのですね。  そこで、私は文部省にお願いをしておきたいと思いますけれども、要するに入学試験そのものも問題ありますが、一応学校に入るということを考えますと、入学試験に合格をした者が十分な財力を持っておって入れる、これはもう普通です。それからさらに、入学試験には合格してもある程度の援助がなければ入学できないという人、あるいは入学試験に合格しても生活困窮のため相当の制度を使ってもなおかつ届かない、入学できませんというようなパターンの人たちがたくさんあるわけです。もっともそれ以前に、もうどうせ受けても入れぬのだから受けること自体やらないという人もおるわけです。これは制度ができれば受ける人であります。  したがって、こういうように一応分けることができると思いますが、こういうような人たちに対して、具体的にこういう制度が用意されておりますという、進学ローンでもいいですし、そういう一つの政策ですね、本当に総合的な政策、これを文部省はきちっとまとめて発表すべきであると思いますが、この点はいかがなものでしょうか。
  125. 石井久夫

    ○石井説明員 十分研究さしていただきたいと存じます。
  126. 貝沼次郎

    貝沼委員 それで、なぜそういうことを私がいま申し上げるかと言えば、そういう文部省の進学に関するきちっとした方針があり、政策があり、その上に今度は、たとえば大蔵省の進学ローンというものが位置づけられる、あるいは郵政省のものが位置づけられる、あるいは民間の銀行ローンが位置づけられるというように、やはりおのおのの位置づけというものをはっきりしておかないと、教育を金もうけのために使うようなことであっては私はまずいと思うわけであります。そこでいまくどくどと文部省に対して、いろいろな制度が出てくるのは結構だけれども、その制度の位置づけがきちっとできるような、その基本になる施策というものを文部省はつくっていただきたい、このことを言っているわけでございます。  これを長くやっておりますと時間がなくなりますので、今度は法案の問題に入りますが、「最近における高等学校大学等への進学のために必要な資金負担実情にかんがみ、」こういうふうにあるわけであります。  それで、先ほども話が出ておりましたように、十八条の三項のところでありますが、「第一項に規定する進学資金小口貸付けとは、」そしてずっとありまして、「をする者又はその者の親族で、銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とするものに対して、進学のために必要な小口資金融通することをいう。」こうなっておりますが、このことは、あの銀行へ行ってもこの機関を通じてもだれも貸してくれませんという人に対して資金融通をしてあげます。こういう意味でよろしいのですか。
  127. 徳田博美

    徳田政府委員 この条文にございます「銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とするもの」ということの定義でございますが、現実のAの銀行あるいはBの銀行に行って断られたということは必ずしも必要ではございませんで、一般的にいま社会的な常識から言って、資産の状況、所得の状況その他から見て、一般民間金融機関に行ってもなかなか簡単に借りられそうもないというような階層を対象としている、こういうことでございます。
  128. 貝沼次郎

    貝沼委員 つまり、断られたということは条件として必要ないわけですよね。しかしながら、ほかのところでは借りることがなかなか困難である、そういう人に対して融通してあげます。これでよろしいわけですか。
  129. 徳田博美

    徳田政府委員 そのとおりでございまして、一般民間金融機関では容易に貸さないであろうと思われるような人々に対して融通する、こういうことでございます。
  130. 貝沼次郎

    貝沼委員 一般金融機関ではなかなか貸してもらえない人は多いわけであります。たとえば先ほども話が出ておりましたように、母子家庭はなかなかむずかしいそうであります。  そこで、大蔵省の方にも交通遺児の陳情書は届いておると思いますが、ごらんになったことがございますか。
  131. 徳田博美

    徳田政府委員 交通遺児に関しましては、交通遺児育英会に関する書類については、前々から資料その他拝見しておりますし、また現実にそこの幹部の方ともいろいろ話をしておりまして、特に損害保険その他の関連からもかなり寄付その他の援助を行っております。
  132. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま私のところに交通遺児の陳情がございますが、これを見てみますと、現在私立高校の初年度納入金は、全国平均で大体三十五万円前後と言われていますね。それから、東京の平均だと五十一万以上ですね。私立大学だと全国平均で五十八万四千百六十九円。そして公立の高校は、授業料は五割アップいたしまして月額四千八百円、国立大学でやはり五割アップいたしまして年額十四万四千円、こういうふうに非常に金がかかるということが述べられております。  さらに、高校の進学率を見てみますと、全国的には義務教育を終わった人の大体九三%ぐらいが高校進学をしておるわけでありますが、交通遺児の場合七〇%台である。大学に至っては、全国平均三八%のところ、交通遺児は一八%ぐらいであるということなんですね。  なぜこんなに低いのかということでありますが、交通遺児の場合は大体母子家庭が多いわけでありまして、大都市の学生の生活費は、私立大学の生徒で調べた結果では月七万円ぐらいかかる。そして、交通遺児は全国六万と言われておりますが、大体母親と一緒におるわけでありますが、その母親のかせぎが月平均七万円から八万円。そういたしますと、母親のかせぎを全部子供に入れないと学校に行けないということなんですね。こういったことからも、交通遺児あるいは母子家庭というものは非常に進学しにくい状態にある。  したがって、こういった方々は、進学ローンの話が出てまいりましたので、ただいまの条文にありましたように、これこそどこへ行っても貸してもらえないような人のための進学ローンであると非常に期待をしておったわけであります。ところが、条件は非常に厳しくて、先ほどからもいろいろ議論が出ておりますように、たとえば保証人が要るとか、金利が七・一%であるとか、在学期間に返済するとか、据え置き期間一年とか——まあこれはいいですけれども、そういうふうにこれとても実はむずかしいという状況にあるわけでございます。したがって、それだけの条件をつけられると、これまた期待はしたけれども利用することのできない進学ローン制度であるというふうに見られて、非常に落胆をしておるわけでありますが、そういう結果を見ますと、ただいまの条文はすべてを見ていくようなニュアンスがございますが、実は内容はきわめて厳しいものであり、一〇〇%信用できない、看板に偽りがあるのではないかと思うわけでありますが、この点はいかがですか。
  133. 徳田博美

    徳田政府委員 国民公庫による進学ローン内容でございますが、先ほど御説明申し上げましたけれども、金利の点あるいは貸し付けその他の条件にいたしましても、民間金融機関よりははるかに有利な条件になっているわけでございます。この点につきましては、条件について、母子家庭というようなものを考えて、もっともっと考慮すべきではないかという御意見もあろうかと思いますが、これは最初に申しましたように、本来低所得者対象にこのような制度考えまして、国民金融公庫の立場からは限度ぎりぎりのところまでの条件をつけているわけでございます。  もちろん交通遺児の育英、特に母子家庭の問題というのは非常に大きな問題でございますけれども、ただ、これを金融の面からだけで対処することには限界があるわけでございまして、国民金融公庫資金は貴重な財政投融資原資を使っているわけでございますし、国民金融公庫としての採算という問題もあるわけでございますので、母子家庭の問題あるいは交通遺児の問題につきましては、このような進学ローンのことだけではなくて、より広く社会福祉政策の面からもいろいろ考えられるべきことではないか、このように考えております。
  134. 貝沼次郎

    貝沼委員 大体そう言うだろうと私は思っておったのです。しかし、低所得者という考え方は広い意味の福祉です。それで、取り立てのできないところには貸さないということですからむずかしくなるわけでありますけれども、それだけの意味を持って危険率の高いところに思い切ってこのローン考えておるわけでありますから、先ほど同僚議員が主張しておりましたように、この要望書にもございますように、「据置期間、返済期限を次のとおり延長すること。現在、入学後一年間とある「据置期間を卒業後半年間とし、返済はそれ以後五年間」とする。」それから、「金利は政府が「利子補給してでも低所得者にだけ無利子」とする。不況産業救済への利子補給は過去しばしばとられたところであり、貧困者の教育権を守る意味でも当然の措置である。もしどうしても金利を取るなら「超低利の年三%を上限」にすべきである。」これは滞貸引当金なども、国民金融公庫の場合は普通よりずっと率が高いわけでありますが、それは危険率を見て高いのだろうと私は思うのです。七・一%のうち、逆ざやになるのである部分はそこから利子補給をしているのだということのようでありますけれども、どうせできることなら国庫から入れても思い切り使える制度にした方がいい、そうすべきではないか。  それから「保証人については、教育費の貸付けは本人に貸し卒業後本人が返済するというのが大原則」。奨学資金の場合、これは本人が借りるわけであります。子供だから、二十歳未満だからという話もあるかもしれませんけれども、民法では貸してはならないとはなっておりません。民法四条は、未成年者の行為能力というのが規定されておりますけれども、要するに法定代理人の同意を得ることができればこれはできるわけでありますから、その辺のところをよく検討していただきたい。やはり本人が借りたお金は本人が責任を持つ、そして勉強し、そして自分が働いてそれを返済する、まあ期間的に長くなりますけれども。そういう姿勢が大事なんではないか、私はこう思います。  これについて答弁を求めても、さっきの答弁が返ってくるばかりだと思いますので、今回私はそれを強く主張し、そうしなければならぬと思います。そしてそれが、これから出発しようとするときだからいますぐにはできないと言うならば、これは試行錯誤を一年なり二年なりやっていくことによって、たとえば本人であってもそれだけの能力は確保できるとか、あるいは返済期間にいたしましても利子補給の問題にしても、それは可能であるという判断が立つかもしれません。今後の試行錯誤の結果、そういうような方向での見直しというものはやる姿勢があるのかないのか、この点を伺っておきたいと思うのです。
  135. 村山達雄

    村山国務大臣 いま貝沼さんからいろいろお話がございました。何しろこれはスタートでございますので、こういう金融原則に立ったところでとりあえずスタートさせていただくわけでございますが、貝沼さんを初め各委員からこぞっていま要望があったわけでございますので、施行の状況を見まして十分検討してみたい、かように思っておるわけでございます。
  136. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、いまこの制度では、要するに保証人なりあるいは金利七・一%というものが法律で決められておりますからなんですけれども、これにどうしても適用されない、これを利用することができないというたとえばいまの母子家庭のような場合ですね、こういう人は一体どこが考えるのでしょうか。文部省がそういう人のためにいろいろの施策を考えるのでしょうか、それとも厚生省が考えるのでしょうか、大蔵省が考えるのでしょうか、これはどこですか。
  137. 鈴木昭雄

    ○鈴木説明員 ただいまお話に出ましたような方々、いわゆる低所得者層の方々で就学者を抱えていられる方々につきましては、その経済的な安定あるいは自立助長を促進するという観点から、厚生省の社会局の制度といたしまして、世帯更生資金というものの中に就学資金という制度がございますので、それで対応する。それからなお、これは私どもの所管ではないのでございますが、児童家庭局の方の関係で、母子福祉資金あるいは寡婦福祉資金という中にもやはり就学資金制度がございます。
  138. 貝沼次郎

    貝沼委員 そういう制度だけ聞きますと、すばらしいのがあるように聞こえますが、私は時間があれば世帯更生資金についてもやろうと思っておったのですが、要するに支度金ですね、就学支度金、これが五十二年に五万円に増額された。それで、五万円で何が買えるのかということですけれども、まあ制服を買って、くつを買って、かばんが買えるかどうかわからないというのですね。ですから、五十年、五十一年、五十二年と増額をしてきておりながら、五十三年に増額がないというのも私はどうもおかしな気がするし、それで、やはり五万円では少ないと思いますよ。ことに、今回のこの進学ローンの五十四万円という金額から見たら、五万円というのは余りにも低過ぎるのではありませんか。この辺は、これから考える余地はございませんか。
  139. 鈴木昭雄

    ○鈴木説明員 就学支度費の限度額のことでございますが、五十三年度におきましても、五万円から五万五千円に上げる予定にいたしております。なお、今後の問題といたしましても、従来の考え方から物価上昇等を勘案しながらこういうような引き上げを行っておりますので、同じような考え方で努力してまいりたいというふうに考えております。
  140. 貝沼次郎

    貝沼委員 それから、これは細かいことですが、大蔵省に陳情申し上げたいと思いますが、この進学ローン制度ができますよということが新聞で報道されてセンセーションを呼んだのは、去年の暮れからですね。そして、まあ一年までいきませんが長い間、この制度ができたらいいだろう、きっと使えるだろうというので皆待っておったわけであります。そして、この制度がいつごろから発効いたしますか、七月ごろかもしれませんが、それで五十四年度からいよいよ対象になるわけですね。しかし、それは五十四年度からですから、いま期待をしている人には、せめてその制度ができたならばその制度にお願いをし、それまでは民間の銀行ローンでまあ何とかしょうというような考え方を持ってきた人がかなりおるわけです。ところが、実際にはその年の一時金ということになるわけですから、非常に無理な話かもしれませんが、今回の経過的な措置として、全部が全部とは言いませんが、この五十三年度分を何らかの形で五十四年度のときに幾らか考えてあげるような方法はとれませんか。私は無理を承知で言っておるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  141. 徳田博美

    徳田政府委員 この制度は、国会で御了承をいただければ本年度の末、つまり来年の二月、三月ごろの受験期に実施ができるわけでございます。したがいまして、来年度からの入学者にはこれが適用になるわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、ことしの二月、三月あるいは四月に金が要って、その分をすでに民間金融機関から借りた者に対して何か手が打てないかということでございますが、これは実は先ほどの条文にもございますように、「銀行その他一般金融機関から資金融通を受けることを困難とするもの」ということになっておりますので、すでに銀行から融通を受けてしまいますとちょっと適用ができないわけでございまして、この点は非常にむずかしいかと思うのです。
  142. 貝沼次郎

    貝沼委員 一たん銀行から借りたら、それはだめかもしれませんが、本当は無理してやっておるわけですから、要するにそういう無理しておる人がおるということを知ってもらいたい。  それから、一般貸付は一世帯一人というふうになっておるようでありますが、たとえば上の子が大学に入るときは次の子は大抵高校へ入るのでありますけれども、一世帯二人ではなぜいけないのでしょうか。
  143. 徳田博美

    徳田政府委員 この点につきましては、限られた財政資金をなるべくたくさんの方に利用していただこうという趣旨で一世帯一人としたわけでございますけれども、ただ、同一の方が高校に入学してまだその借りが残っているのに次に大学へ入るというような場合には、両方利用できるたてまえになっているわけでございます。  それで、たとえば兄さんが大学に行って弟さんが今度同等学校に入るというような場合には、これは郵便貯金積立による制度の方を御利用願うことになるのではないかと考えております。
  144. 貝沼次郎

    貝沼委員 そうかたいこと言わないで、一人行く家庭よりも二人行く方が苦しいのですね。それを、一人の方を優遇して二人の方を冷遇するということは、これは逆なんじゃありませんか。これはどうなんですか。
  145. 徳田博美

    徳田政府委員 確かに先生御指摘のような点があるかと思いますけれども、これはやはり先ほど申し上げましたような財投資金の限られたものを有効に利用するという見地から、一応一世帯一口としたわけでございます。  それから同時に、先ほど申し上げましたように、郵便貯金の積み立てによる方法があるわけでございますので、そちらの方の活用をお考えいただくのがよろしいのではないかと思っております。
  146. 貝沼次郎

    貝沼委員 時間がなくなりましたので、文部省の方に要望をいたしておきます。  それは、先ほどお話が出ておりましたように、奨学金の制度、これの資金の金額の増額、それからより多くの人が使えるようにひとつ御努力をいただきたい。  それから、私学の場合に非常にむずかしい問題がたくさんございます。特に過疎地の学校が非常に財政困難になってきておりまして、助成が必要になってきておるわけであります。今回は三億の予算がついたようでありますが、その三億をどういうふうにして使うかという点は、配分はまだ決まっておらないようでありますけれども、これをどういうふうに判断をするかというので、たとえば私立高校過疎対策試案という一つの案が出ております。こういった案を取り入れるのかどうかということですね。さらに、六月半ばに各県の意見を聞いて基準を発表するのだそうでありますが、この基準ができ上がり発表するのはいつかということを私は聞きたいわけでありますけれども、これは答弁できますか。
  147. 斎藤尚夫

    ○斎藤説明員 先生御指摘のように、人口の減少地域に所在します私立高等学校は、減少に伴いまして経営的に困難な状況にあるわけでございます。それに対しまして国といたしましても、種々の政策的な努力もいたしておるわけでございますが、お話にございますように、経常的経費の補助につきましても、本年度から新たな施策を実施するというふうに考えておるわけでございます。  何よりも私立高等学校につきましては、これを所管をいたしますのが都道府県知事でございます。都道府県の施策がどのようになるかということが最も基本になるわけでございますが、現在、都道府県の主管課長会議等におきまして十分御検討もいただいておりますし、また、先生からお話がございましたように、私立中学高等学校連合会の方でも試案を出しておるわけでございます。これらの御意見等を十分参酌しながら、できるだけ早い機会に成案を得たいと考えております。
  148. 貝沼次郎

    貝沼委員 いま幾らか議論をしたわけでありますが、要するに教育基本法の精神と今回の進学ローンが出てきたいきさつ、こういったものを比べて考えてみますと、私は非常にすっきりしないものがございます。そういう点では、文部省でさらによく検討していただき、こういうような役所のなわ張り争いが教育を毒しないように今後よく気をつけていただきたい、これを強く言っておきたいと思います。  さらに、先ほど母子家庭並びに交通遺児家庭のことで申し上げましたけれども、要は、本当に困っている人が利用できる制度にいまの制度を改良するもよし、それ以外に新しい制度をつくるもよし、いずれにしても、非常に困っておる、特にこういうローンを必要とする方々が一日も早く利用できるような制度が実現されることを強く要望して、終わりといたします。
  149. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 高橋高望君。
  150. 高橋高望

    高橋委員 同僚議員がすでにいろいろとお尋ねをなさっていると思いますが、重複をいたしました場合も恐れ入りますが、はしょらずに御説明願いたいと思います。  教育基本法を現実のこの私たちの社会に展開するには、いろいろな難問題が横たわっていることは私たちもよく知っているところでございます。本日は、そういった文教問題にお話を移す場所でもございませんし、また時間もございませんので、あえて現在提案されております進学ローンについて一、二お伺いをしてみたいと思います。  最初に、文部省の方においでをいただいておりますので、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。  冒頭お伺いしたいことは、いま大学生活をする場合に、最も新しい資料で月に大体どれくらい金がかかるか、あるいは逆に言えば、どのくらい金を用意しなければ平均の学生生活が過ごせないか、この辺について、現在文部省で持っていらっしゃる資料のお示しを願いたいと思います。
  151. 石井久夫

    ○石井説明員 文部省では、学生に対します生活調査を隔年において行っておりまして、最近では一番新しいのは五十一年の調査でございますが、この五十一年の調査を基準にいたしまして物価高騰等をもとにして推計いたしますと、学費、生活費合わせまして年間の学生生活費は、国立の場合、自宅通学者で大体五十八万円、月額にいたしまして四万八千円程度、それから自宅外通学者で九十万余り、月額にいたしまして七万五千円、それから私立が、自宅通学者が八十一万五千円、月額で六万八千円、自宅外通学者が百十六万余り、月額にいたしまして九万七千円と推計いたしております。
  152. 高橋高望

    高橋委員 ただいまの数字は、いわゆる月謝それから生活費、それから教材費といいましょうか、そういうものを一切含めてと解釈してよろしゅうございますか。
  153. 石井久夫

    ○石井説明員 おっしゃるとおりでございます。
  154. 高橋高望

    高橋委員 いま月額でそれぞれ国立の自宅、自宅外、私立の自宅、自宅外について数字が述べられましたが、それでは、この額に対して各種の奨学金がどれほど助けになっているか、その辺についてはいかがでございますか。
  155. 石井久夫

    ○石井説明員 日本育英会の奨学金の貸与を受けている者について申し上げますと、いま申し上げました国立の場合でおよそ二割程度、これは一般貸与でございまして、特別貸与といいまして特に家計の困難な者に対しまして一般貸与よりたくさん貸与いたしおりますが、その場合で三割程度、それから、私立の場合が三割程度になろうかと考えております。
  156. 高橋高望

    高橋委員 大体二割から三割の間は奨学金の支給を受けて助けられている、このように理解させていただきます。  さらに、いわゆるアルバイトといいましょうか、学生がこういった費用を自分の働く負担の中で獲得している金額、これは大ざっぱなパーセンテージで結構ですけれども、残りの七〇ないし八〇%に対してあとどれくらいいわゆるアルバイトで埋めているものでございますか。
  157. 石井久夫

    ○石井説明員 これは古い調査しかございませんので恐縮でございますが、五十一年度の調査をもとにいたしますと、学生生活費の中で、大体国立で二割程度、私学で一五、六%になろうかというふうに考えております。
  158. 高橋高望

    高橋委員 ありがとうございました。大体わかってまいりました。  それで奨学金は、どなたもおわかりのように、学校に入ってから手続をしてもらうものであって、今度問題になっております進学ローンは、いわばその以前の段階におけるいろいろな取り扱いであろうと思います。そこで、今日まで文部省自体がこういった入学一時金等々に対して、何か手当てをしていらっしゃるのじゃないかと期待を込めてお尋ねしたいのですが、実情はどんなふうなことになっておりますか。入学一時金についての配慮はどんなふうでございますか。
  159. 石井久夫

    ○石井説明員 入学一時金につきましては、特に私立大学におきまして学生納付金が高額になっている現状にかんがみまして、四十九年度から、学校法人がその在学する学生に対しまして融資制度を行っている場合に、日本私学振興財団を通じましてその必要な資金を学校法人に対しまして長期低利に融資いたしております。それから五十二年度から、特にその入学一時金の負担が高いわけでございますので、その負担を軽減するために、やはり学校法人がその在学する学生に対しまして貸与する、分割納入制度というのを実施している場合に、その分割納入に必要な資金をば日本私学振興財団を通じて融資しているわけでございます。したがいまして、学生の側から申し上げますと、入学時においてはそういう制度の適用を受ける者は、一般の学部で四分の一、医歯系につきましては六分の一で一度に納めるのは済まされるわけでございます。あとはその分割納入によって必要な学費は充当していくということになるわけでございます。
  160. 高橋高望

    高橋委員 いまのお話ですと、私学に対して、私学振興財団でございますか、ここから学校に対してお金を貸し、学校がめんどうを見ている、これが奨学金の一つとしてはある、一時金については分割制度を認めている、そういうことですね。  そうすると、入学一時金を分割した場合に利子はどのくらい取っているのですか。
  161. 石井久夫

    ○石井説明員 利子につきましては、四十九年度から実施しております奨学金の部分につきましては、卒業後十年間で返還することになっておりまして、学生の負担する利子は前期五年が三%、後期五年が五・五%、それから分納制度につきましては、在学中に分割納入するわけでございますが、利子はついておりません。無利子となっております。
  162. 高橋高望

    高橋委員 そうすると、理解としては、無利子で一時金が貸していただけている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  163. 石井久夫

    ○石井説明員 そういう制度をとっております学校法人におきまして適用を受けている学生については、そのように御理解いただいて結構でございます。
  164. 高橋高望

    高橋委員 そこで実は、本題に入りたいわけでございますけれども、今回提案されましたこの国民金融公庫進学ローンの態度としては、私まず冒頭申し上げたいのは、どう考えても、これはおそらくどなたもおっしゃると思うのですけれども、金利が高過ぎるということですね。特に大蔵委員会の調査室でつくっていただいたもの等を読ましていただいても、貸付利率の説明のときに、これは一般貸付も進学積立郵便貯金預金者貸付にいたしましても、「国民金融公庫における事業資金の基準金利と同利率とする。」という、こういう説明の仕方をされているわけです。どう考えても、ここで事業資金の基準金利と同利率にするという割り切り方が、この進学ローンなんかに対する基本的な取り組み方として、私は本質的に何か違っているのではないか。  これは銀行局長にお尋ねをしたいのですけれども、こういうような姿勢で取り組む筋合いの対象ではないと私は思うのです。仮に利率が七・一%であっても、それはいろいろの情勢の中から七・一%を決めたということであって、それをあえて事業資金の基準金利と同利率にするというような説明をするところに、どうも私としては割り切れないものを感じるのですが、この辺はどんなふうなお考えの中でこういう説明の資料になさったのですか。
  165. 徳田博美

    徳田政府委員 その場合の表現につきましては、これは説明の仕方でございますけれども、いままで国民公庫では事業資金貸し出しの主体になっておりましたので、御理解を得やすくするために事業資金の基準金利をそのまま使うのでございますということを申し上げているわけでございます。  この金利につきましては、先ほどからいろいろ御議論をいただいたわけでございますが、一般民間金融機関教育ローンの金利等も勘案いたし、また、これが非常に小口の非常にコストのかかる貸し付けであるということを勘案いたしまして、この七・一%という線を出したわけでございます。この進学ローン対象になっておりますのは、進学する学校は高等学校あるいは大学でございますので、義務教育ではないわけでございます。そういうことも勘案いたしまして、国民公庫として、資金コストの、これは若干割っておりますけれども、ぎりぎりの線として七・一%ということを考えているわけでございます。
  166. 高橋高望

    高橋委員 私は、こだわるわけじゃないのですけれども、取り上げ方として、わざわざ基準金利というようなことをうたい込む、この考え方に何か冷たさがあると思うのでございますね。それは確かに合理性から言えばそういうことになるのかもしれません。しかしながら、現実に金を借りたいと思っている人の立場から見れば、事業資金というような言葉がここへ出てきて、そして利子は同じだというような割り切り方で金利が決められたとなると、何かせっかく御配慮のあることがその温かさが伝わらないという、私はせっかくのことが不十分なありがたみにとどまってしまうのではないか、こう思うわけです。ですから、これはお願い事項になろうかと思いますけれども、こういう問題は、細かなことのようではございますけれども、事が事であるだけに一段とひとつ御配慮の中でこういう問題はお取り扱いを願いたい、そのように考えるわけでございます。  そこで、貸付限度額についてもちょっとお伺いしたいのですけれども、一般貸付にいたしましてもあるいは進学積立にいたしましても、五十万ないし五十四万という、こういう枠で出てまいります。特に私は、一般貸付、借りにくい方の五十万を取り上げた場合に、これは大学へ子女の方をお通わせになっている方はおわかりになると思うのでございますけれども、必ずこれは学債を買わされるのですね。いま恐らくどんなに低いところでも一口五万円、普通は十万円の学債を買わされているわけです。ここで貸付限度額の計算として出されているものの中には、施設設備費まではお考えになっておられるのですけれども、確かに学債というのは卒業時のときに返ってくる、あるいはもっと長い間たてば返ってまいりますから、自分のものだからいいじゃないかと言われればそれまでですけれども、現実の資金繰りと言うと言葉はちょっとおかしゅうございますけれども、当座の金として必要な場合には、学債というものまでも配慮した上での貸付限度というものが考えられてしかるべきではないか、私はそのように思いますけれども、局長いかがでございますか。
  167. 徳田博美

    徳田政府委員 確かに進学する際には、先生御指摘のような学債も必要でございましょうし、また、受験に要する費用、あるいは地方にいる方が都会に出てくるための費用等もあると思われるわけでございますが、その点はどの程度を限度にするかということでいろいろ検討したわけでございますけれども、ただ、やはり限られた財政資金をなるべく多くの方に利用していただくということのためには、やはりある程度の限度で切る必要があるわけでございます。  それから、恐らく進学をなさる場合には、ある程度の自己資金を若干なりともお持ちの方もあると考えられるわけでございますので、その点で限度を検討したわけでございまして、いま私立大学の五十二年度における授業料入学金、施設設備費は五十八万円でございます。国立大学の場合には二十万四千円となっているわけでございますが、このような数字を勘案いたしまして、一応五十万円をめどとしたわけでございます。
  168. 高橋高望

    高橋委員 実際金がかかりますのは私立なんですね。私立は一〇〇%近く学債を要求するわけですよ。ですから、そういう点を勘案された場合には、せっかくここまでお考えいただけることなら、五十万というものの枠、文科系統でも、お挙げになった項目だけでもかれこれ五十万近くなってしまうのですから、もう少しその辺に細かな御配慮をいただく、あるいはその辺について再度、実際問題に展開なさるときにもう少しよけい貸し増してやってもいいよというような通達等を含めた御配慮はいただけないものですか。
  169. 徳田博美

    徳田政府委員 現在の制度でございますと、いわゆる低所得者向けの貸し付けは五十万円が限度でございますけれども、そのほかに郵便貯金の積み立てを行う場合には、その積立額に見合った金は借りられるわけでございます。したがいまして、この両方の制度を御活用願えればかなりの金額まで、合計百五十万近くまで一応資金手当てはできるわけでございますので、そういうようなことも可能ではないかと思います。
  170. 高橋高望

    高橋委員 現実の姿というものをいろいろお考えいただいて、これは一時で終わるものでもございませんし、将来の姿として続けられるであろうと思いますので、何かひとつその辺についてはお考えになっていただきたいなと思います。  これももうすでに同僚議員がお尋ねをしているかと思いますけれども、その貸付期間も実際のことを申し上げて、こんな期間内に返せるくらいなら、借りないとは言いませんけれども、もっとほかの方法考えられると思うのです。高校三年、大学は四年で、据え置きが一年あるということは、逆に言えば二年、三年の間で返せということです。そういうような貸付期間、この辺を考えてみますと、余りにもいわゆる金融機関的な色彩が表に出過ぎて、せっかくのこれが御配慮にならないのじゃないか。もっと平ったく言えば、金貸し根性がここへ出てきてしまっているのじゃないか。局長、この辺はどんなふうに御判断なさっているのですか、またお答え願いたいと思うのですけれども……。
  171. 徳田博美

    徳田政府委員 この進学資金貸付の返済期間というのは、確かに大きな問題でございますけれども、この点につきましては、たとえば高校に入学された方は次に大学に入学するためのまた資金が必要でございますので、高校に在学中にその資金手当てを全部してしまう、あるいは返済してしまうということも一つ方法考えられますし、そういうことも考えまして、在学期間中としたわけでございます。     〔綿貫委員長代理退席、野田(毅)委員長代理着席〕  また、債権保全という観点からいたしますと、やはり学校を卒業してしまった場合の債権の確保というのが非常にむずかしくなるわけでございますので、その点も考慮に入っているわけでございます。  それからまた、もともとこの制度につきまして、当初郵政省から要求のありました原案は、貸付期間は、据置期間がなくて一年ないし二年というところでございましたけれども、国民金融公庫が貸す以上はもう少し実情を踏まえなければならないということで、据置期間を含めまして三年あるいは四年としたわけでございますので、その点では、国民金融公庫貸し付けとしてできる限りの配慮をいたしたつもりでございます。
  172. 高橋高望

    高橋委員 いずれにしても、資金コストも含めて資金の出どころ等々から言っても、いわゆる金融的な色彩が出てくるということは、事務面では私はわからないじゃないですけれども、やはり事の内容からいって、その辺は一段と温かみのある配慮というものを重ねてお願いを申し上げておきたいと思うのです。  さらに、次に移りますけれども、この保証の問題でございます。無担保であるということは私は大変ありがたいことだとは思います。しかしながら、保証人が一人要るのだ、こうおっしゃる。保証人というのは、もう釈迦に説法でございますけれども、何かの場合にはかわってこの方がお金を工面しなければならない、こういうことになるわけですが、もしそうであれば、保証人がその責めに任ずる準備があるくらいなら、こんなものを借りないで保証人に最初から借りる人だって出てくると私は思うのです。ですから、無担保はありがたいのですけれども、保証人を一人必要とするというあたりに私は何か、先ほどから何度も申し上げている、余りにも合理性を追求されている姿というものが見られてしょうがないのですけれども、この保証人を一人必要としたということに対しての御発想はどういうところから出ておられますか。
  173. 徳田博美

    徳田政府委員 先生御指摘のとおり、確かに保証人を探すということはかなり大変なことではございますけれども、しかし、国民公庫の貸出金も大事な財投の原資を使っているわけでございますので、債権の保全ということが必要でございます。従来、国民金融公庫貸し出しの場合には、保証人を徴求することが原則となっておりまして、戦後一時行っておりました戦災者あるいは引揚者向けの貸し出しを行った場合にも保証人を徴求していたわけでございます。こういうことで、いままで国民金融公庫貸し出しに当たりましては、保証人をとるということが原則でございまして、この進学ローンにつきましても、その原則に従っていただくような仕組みにしているわけでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、保証人の徴求につきましては、いろいろなむずかしさがあるということもわれわれは十分知っているわけでございまして、これは今後の制度の運営状況を見ながら、場合によっては保証人にかえての保証機関の設置というようなものについても検討をしてまいりたい、このように考えます。
  174. 高橋高望

    高橋委員 どうぞその辺はよろしく、この保証人の問題は将来の課題として、小口のしかも金融を受けにくい方の立場に立ってひとつ御配慮を願いたいと思います。  そこで、最後になりますが、この一般貸付の貸付手続として、「公庫本支店、代理店等(農協、漁協を含む。)において、通常の貸付手続による。」という表現になっているわけであります。この「通常の」という意味ですね。字句にこだわるわけじゃございませんけれども、何か私はここでまた、金融機関的な色彩が出てくるのじゃないかと思うのであえてお尋ねするのですが、この「通常の貸付手続」というのは、どういうことをこの場合言っていらっしゃるのでございますか。
  175. 徳田博美

    徳田政府委員 そこで「通常」という言葉を使いましたのは、片方に郵便貯金の積立者に対する貸し付けの手続がございますので、それとは違った手続、普通の手続ですという意味でそのように書かれているわけでございまして、特に一般貸し出しに比べて厳しい手続をとるとかいうようなことではございません。
  176. 高橋高望

    高橋委員 念を押しますけれども、この場合、たとえば住宅ローン等々でもうお金を借り切っちゃっている、窓口としてはちょっと危険でこれ以上貸せないというような場合でも、この進学ローンだけは貸すというふうに理解してよろしゅうございますか。
  177. 徳田博美

    徳田政府委員 この点は、いわゆる低所得者向けの貸し付けにつきましては、やはり金融機関貸し出しでございますから、償還確実性ということは当然審査の対象になるわけでございます。したがいまして、ただ住宅ローンを借りているあるいはほかの貸し付けを受けているということだけでは、その理由だけで貸し付けを断るということはないわけでございますけれども、仮に住宅ローンの返済が非常に巨額であって、もう当初から進学ローンを借りても全く返済のめどがつかないというような申込者に対しては、貸し付けを決定することは金融の原則からいって非常にむずかしいのではないか、このように考えております。
  178. 高橋高望

    高橋委員 極端に言えば、住宅ローンで一番困っておられる世帯の方が子供さんを学校に行かす世帯なんですね。そうすると、住宅ローンで限度いっぱいになっちゃっているから貸せないということも起こり得るのですか。それだったら、この法律は大変な問題を持っておると思うのです。私の解釈では、いろいろそういった在来借りているものを超越して、いわば貸し増しの対象になるんだ、そういうふうに割り切ってこの問題を取り上げたいと思うのですけれども、私の方が身勝手過ぎますか。
  179. 徳田博美

    徳田政府委員 国民公庫貸し付けの場合には、一般民間金融機関貸し付けとは違うわけでございますから、一般民間金融機関から見て、片一方で住宅ローンを借りているからこれは返済余力が余りない、貸せないというような申込者に対しましても、若干なりとも余裕があればこれは貸すことは当然考えられると思います。ですから、確かに進学するような子弟を抱えているような方は、住宅ローンの返済に追われている場合が多いと思いますので、住宅ローンの返済を行っているからという理由だけで、あるいはそれで資金繰りが非常に苦しいということだけでその融資を断るということはないと思います。ただ、どう見ても住宅ローンを差し引いたら計算上ゼロかマイナスになって、実際返済ができるはずがないというような方の場合には、それ以外に金を借りるということ自体が実態に合わないわけでございますので、そのようなケースはかなり例外的なケースになると思いますが、その場合にはやはり貸すという決定をすることはむずかしいんじゃないかと思います。
  180. 高橋高望

    高橋委員 くどいのですけれども、そうすると残念ながら、やはり本当に困った人は借りられないという場合もある、こういうふうにお伝えをしなければならない場合もございますね。私そのように理解するのは大変残念ですけれども、いまの御説明を伺っていると、やはり「通常の貸付手続」という言葉がどうもここで生きてきちゃうような気がして仕方がございません。ケース、ケースによって、われわれがそういうことを一件一件に対して窓口へ行ってお手伝いするわけにもいかないわけでございますから、どうかひとつその辺については、十分温かみのある御展開をお願いを申し上げたいと思います。  最後になりますが、ずばり伺って、返済しないでどっかに行っちゃったというようなことに対してはどんなふうに考えられますか。
  181. 徳田博美

    徳田政府委員 これはそのような延滞債権は、国民公庫の場合には管理口債権となるわけでございまして、もちろんその所在を突きとめて、極力返済をしていただくように努力をするわけでございますが、それができなければ、これは当然貸し倒れ損失の処理をすることになると思います。
  182. 高橋高望

    高橋委員 育英資金等については、九十何%かいま返っているそうでございますから、国民意識として非常にそういう点では向上しているので大丈夫だと思いますけれども、私はこの辺について、抜本的な、お気に入らない方があるかもしれませんけれども、成年に達した方の背番号システムを含めた何かの配慮が、そろそろこういう問題をいろいろ取り上げていく過程の中で出てくるのじゃないかということも、一部このことからもまた考えられますので、その辺、私の考え方を一部御披露申し上げて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  183. 野田毅

    ○野田(毅)委員長代理 荒木宏君。
  184. 荒木宏

    荒木委員 貸付条件の問題で、同僚委員からいろいろ質疑がありました。私も若干その点でお尋ねをしたいと思いますが、貸付期間が、先ほどもお話ありましたけれども、民間がいずれも五年以上、農協あるいは労金は卒業後五年、また相互銀行なども報道によりますと九年というのもあるようであります。四年というのはこの制度だけのようであります。これは検討の余地があるのじゃないでしょうか。
  185. 徳田博美

    徳田政府委員 この進学ローン貸し付けの返済期間でございますが、これにつきましては、いろいろな見方があろうかと思いますけれども、やはり財政の貴重な原資を使って貸し出すわけでございますので、その回収の可能性ということも考えなくてはなりませんし、無担保で貸し出すわけでございますので、そういう点の配慮も必要でございます。  それから、民間の銀行でやっておりますローンは、返済期間は五年でございますけれども、民間の場合には限度が三百万円でございますので、金額から申しましても二、三年で返すことは必ずしも可能ではないというような点もあろうかと思います。その点、進学ローンの場合には最高限度が五十万円でございますので、その期間と金額との対比から申しますと、この程度の返済は可能な場合が多いのではないか、このように考えております。
  186. 荒木宏

    荒木委員 しかし、借りる側の資力、余裕の程度は、制度のたてまえから言って違うわけでありまして、先ほども少し数字のお話がありましたけれども、大学生の生活費の推移、文部省の方から話がありました。私は一方、本制度対象とされている低所得者、この家庭で支出されている教育費の平均を見ますと、年収四百五十万円以下でありますと、昭和五十一年で大体年間三万八千四百九十七円、これが実際の教育費の支出額になっております。これが許容額いっぱいであるかどうかはいろいろ見方があると思いますが、しかし、先ほどの文部省の報告ですと、大体年間約六十万から百万の出費を強いられる、ところが予定されておるのは、先ほど言いましたように年間四万足らずである、こういうことになりますと、返済能力という点から言いまして、三百万と五十万と違うから五年に対して四年だというのは、これは実態を無視したことではないか、こういうふうに思います。またある意味では、教育的な投資というふうにも考えられるわけですけれども、国民金融公庫の場合でも、設備資金は運転資金に比べて長期になっております。そういった点から、余りにも短過ぎるのではないかというふうに思います。  また枠というものは、一律全部がその期間になるわけじゃありませんで、金融公庫一般貸し出し期間も、枠から見ますとずいぶんそれよりは低い状態になっておりますから、そういう点から見て、この点はほかの制度との絡みもあり、直ちに再検討を求めたいと思います。こういった生活費の実態その他から見て、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  187. 徳田博美

    徳田政府委員 こういう進学ローンの返済期間は、確かにある意味では長ければ長いほど返済が楽になる面があろうかと思いますが、一面また、支払い利息も非常にふえてまいるわけでございます。その点の期間がどのくらいのものがいいかということについては、いろいろな御意見があろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように債権の保全の面、あるいは次の進学というようなことも考えまして、在学期間中に御返済をいただくというふうな仕組みにしたわけでございます。これはもともとこの制度の発足が、進学時における父兄の一時の多額負担をできるだけ均分化したいというねらいから出たわけでございまして、そのようなねらいからいたしましても、このような期間にしたわけでございます。
  188. 荒木宏

    荒木委員 その一時の多額負担を少しでも肩の荷を軽くするという、しかしその軽くできる時期はやはり卒業してからじゃないでしょうか。入学時だけではなくて、その後も平均的な教育費用をはるかに上回った支出を進学によって強いられるわけですから、つまり返済の余裕がないという状態が続くわけですね、卒業までは。だからこそ、先ほどのいろいろな制度も卒業後にかかるようになっておるわけですし、その点全く考えに入れていないこの制度は、私はその意味では、もう先ほど来いろいろ御批判がありましたけれども、本当に考え直さなければならぬというふうに思っておるわけです。  金利の点も、いまそれが負担になるというお話がありましたが、昔は母子家庭貸付、災害貸付、特別小口貸付、つまり事業資金でない非事業資金貸し付けを特別の金利でやっていたのじゃありませんか。ですから、事業資金でないとすれば、国民金融公庫の伝統というものは本来、そうした庶民金融、非事業資金について特別の金利で、一般金融機関対象になり得ない金融弱者を救済する、こういう伝統を持っているのじゃないでしょうか。
  189. 徳田博美

    徳田政府委員 先生御指摘のとおり、国民公庫では、かつて戦災者であるとかあるいは引揚者に対して特別の事業資金貸し付けたことがあるわけでございます。ただ、今回の進学ローンはその点とは若干性格が違うわけでございまして、高等学校、大学、いまはもう進学率が非常に高くなっておりますから、実質的には義務教育と同様かもしれませんけれども、一応義務教育ではないわけでございますし、高等学校、大学に進学させる方の家庭の状況を一般的に比較すれば、戦災者あるいは引揚者とはかなりの違いがある場合が多いのではないかと考えられるわけでございまして、そのような特に戦災者、引揚者のような社会的な弱者に対する貸し付けの場合とこの進学ローン貸し付けの場合とは、若干性格を異にしておるのではないか、このように考えております。
  190. 荒木宏

    荒木委員 しかし、進学率は高いですけれども、この制度対象としているのは低所得者と、こう言っているでしょう。ですからそういう意味では、一般の事業質金を対象にしている制度とは明らかに違うのではないでしょうか。  先ほど大臣、実施状況を見て検討するというお話も伺ったのですが、こうした国民金融公庫の由来、学生生活の実態、単に他の民間金融機関との対比だとかあるいは採算面だけではなくて、学生生活の実態を十分検討して、これは合うようにひとつ検討、改善を求めたいと思いますが、ここで大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  191. 村山達雄

    村山国務大臣 これは何と申しますか、民間金融機関で借りるよりは有利にしようというところに発想があるわけでございますけれども、先ほど来各委員こもごも、これじゃ不十分であるというお話でございます。先ほど文部省の方からも、いろいろな私学についての融資制度を、私はそういう制度もあったのかと思って聞いたわけでございますが、そういう問題もあわせまして、この問題は、一遍実施させていただいた上で篤と検討させていただきたい、かように思っておるところでございます。
  192. 荒木宏

    荒木委員 国民金融公庫総裁お見えいただいておりますので、一言伺っておきたいと思いますが、どうも御苦労さまでございます。  私は、今回の制度の先ほど来出ておる批判といい、それから、前にこの委員会質疑をしたことがございますので、大臣もあるいは御記憶かと思うのですが、マル経資金実情ですね、その点から、どうも国民金融公庫が、発足以来の庶民金融の伝統から優良得意先に対するシフトが強まっているのではないか、つまり、劣位切り捨て、優良シフトというふうな傾向が強まっているのではないかということを懸念しておるのです。マル経の窓口が会議所あるいは商工会に独占をされている、また先ごろ国会でも指摘がありましたが、優良得意先だけに資金需要はいかがですかというダイレクトメールを発送する、これは、資金消化については非常に手ごろだし、それからまた回収も楽なわけですが、金融的な弱者についてはだんだん国民金融公庫が遠い存在になりつつあるのではないか。  私は、そのことはまた別の機会にいろいろ論議をしたいと思うのですが、そういった声が高まってきておるというのは、やはり公庫の職員の方々の人数が、仕事がうんとふえてきているのに必ずしも人が伴わない。数字を見ますと、三十五年を一〇〇といたしますと、五十一年で職員の数は一六〇くらいと伺っておりますが、ところが件数は、三十五年を一〇〇としますと約二〇〇になっている。一人当たりの貸付件数は、四十二年を一〇〇といたしますと、五十一年は一七四と言う。つまり、仕事はどんどんふえていくが、必ずしもそれに伴って人がふえない。ここに審査がおくれるという苦情が出てくる。それから職員の人たちが仕事を持ち帰る、こういった実情が続いている。さらには健康が破壊をされる。五十一年の十二月に実施されたアンケートでは、非常に疲れるというのと疲れるというのを合わせて七七・八%の数字が出ている。それから持ち帰り調査では、百三十五の支店のうち百二十三支店では、仕事を持ち帰らないと間に合わない、こういう調査結果になっております。  私は、金融弱者といわれるところへ本当に金融機関として庶民金融の実を上げていくには、やはり十分なそれに対する人的サービスを確保できるだけの陣容がなければやれない。今度の進学ローンの問題でも同じことだと思うのですが、新しい制度ですから、何人要求をされて、それに対して何人配置があったのか、国民金融公庫の総裁からこのことを伺いたいと思います。あわせて、全体の人不足の声に対して公庫の総裁、責任者としてどうこたえられるかということも明らかにしていただきたいと思います。
  193. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 お答え申し上げます。  ただいまは、荒木先生から大変行き届いた御注意を賜りましてありがとうございました。  まず冒頭に申し上げたいと思いますのは、金融公庫がどうもどうやら優良企業指向の路線を歩んでおるのではなかろうかというような御指摘がございましたけれども、これは実は私どもといたしましては、大変意外に感じておるわけでございまして、御承知のように、私ども国民金融公庫は、国民大衆とともに行くということをスローガンにいたしておるわけでございます。現に現在の貸し出し内容をごらんいただきますと、現在大体二百六十万件程度のものがございますけれども、そのうちの大体九割近くまでは、従業員の数が二十名未満、こういう小零細の企業の方々をお客様にいたしまして御利用をいただいておるわけでございまして、その辺はどうかひとつ誤解のございませんようにお願いを申し上げます。  それからなお、人員の問題でございますけれども、なるほど先生御指摘のように、事業分量の増加と人員増加の伸び率というものをお比べになりますと、そういうことに相なるわけでございますけれども、その間に実は非常に事務の合理化というものが進んでおるわけでございまして、先生御承知のように、支店にお越しくださいますとすぐおわかりになりますけれども、いまや末端の店々では端末機を備えまして、全部中央のコンピューターセンターに送り込む。前は、貸付台帳というものを全部支店で持っておったわけです。これは実は大変な事務量で、貸付残高を一日一日整理しながらやりますということは大変な人手を食った。これがいまや全部機械化されてしまいまして、貸付台帳というものはもうオンライン支店にはございません。そういうように、これはほんの一例でございますけれども、労力を非常に省くための各種の事務の合理化、簡素化というものが進んでおります。  したがいまして、一方においては、年々歳々支店の増設を予算でお認めいただいておりますが、それに応じた人員もまた増加を認められておる状況でございまして、本年度なども、各種行政整理等の非常に厳しい環境の中で、政府機関の中で百一名という非常にたくさんの定員をちょうだいいたしました。そういうわけでございますので、今日職員の労働過重と申しますか、そういう状況にはないわけでございます。     〔野田(毅)委員長代理退席、綿貫委員長代理着席〕  また、健康管理の問題もございます。これにつきましては、非常に綿密な配慮をいたしておりまして、職員の健康も今日では大変良好な状態に相なっておるわけでもございますので、持ち帰り労働というお話もございましたけれども、かつてはそういう時期があるいはあったのかもしれませんけれども、今日ではもうそういう持ち帰り労働という実態はございません。たとえば昨年和歌山地方におきましてコレラが発生いたしました。コレラのための緊急融資というものが行われたわけでございますが、これがわずかに二カ月ぐらいの間に一年分ぐらいの融資をいたしました。そういうようなときには、やはり多少残業をいたしませんと間に合わないということはございましたけれども、そういう何と申しますか非常に異常な状態を別にいたしますと、超過勤務、いわゆる残業でございますか、そういうものも一ころに比べますと今日非常に減ってまいっております。そういうようなことでございまして、全体としては、先生に大変御心配をいただいて私どもも大変ありがたいわけでございますけれども、まあまあ今日公庫に課せられましたところの使命達成のためには、どうにか今日の陣容をもっておおむね円滑に動くことができておるということを実は御報告申し上げておきたいと思います。  それからなお、、予算要求で定員をどのくらい出したのかということでございますけれども、要求の数字というのは、もう予算の査定が済みますと大体どこでも忘れてしまうわけで、私も実はいまはっきり覚えていないわけですが、いろいろ考えてみますと、大体二百二十名ほど全体としましてたしか要求をしたと思います。それに対しまして百一名の査定をいただきました。そのほかに、いわゆる統一方針の行政整理を受けておりますものを差し引きますと、純増で六十四名というのが本年度の状況でございます。
  194. 荒木宏

    荒木委員 大体間に合っているというお話ですけれども、しかし、それならどうして職場で率直な調査をして、体の調子が悪いというのが約八割、なぜこういう調査結果が出るんでしょうか。また、先ほどおっしゃった二百二十名要求をした。私は、直接職場でそれだけ必要があればこそ要求になったんだと思うのです。積み上げの要求ですと、四百三十九名職員の組合から要求があったというふうに聞いておりますが、それに対して実人員としては六十名余りということですから、公庫要求したのに比べても約二、三割ということになろうかと思いますが、持ち帰りの方も、具体的に支店の数を挙げて言いましたが、これは一度実情を調べてこの委員会に御報告いただきたい。  四十九年のときに国会で質疑になりまして、わが党の小林政子議員がその点を指摘をして、当時の総裁が調査をして報告をするという約束があったんですが、いまだに報告がありません。私が最近聞きましたところでは、九十何%もの支店で依然として持ち帰り事務がある、こういうことですから、総裁が言われたことと私どもが聞いていることは全く違うのです。もう一度持ち帰り事務の状況、それから健康破壊のアンケート調査に対する調査結果、それから二百二十名要求をした根拠、それがなぜ六十名で賄えておるのか。二百二十名要求して六十名で全く支障がありません、大体いけていますということは、私はちょっとうなずけぬと思うのです。具体的にひとつこの委員会に報告をいただきたいと思います。  ここに政労協のビラがありますが、そうした点をきちっと職場の納得いくようにしていただかないと、渡り鳥、天下り役員、これで許せますか、というようなことがありまして、元大蔵省銀行局長をお勤めの方が四千二百万円の退職金をいただかれる、こういうふうなことが職員の間で言われる。私は、国民金融公庫の二十年史を読ませていただきましたが、初代の総裁、副総裁は、開店のときに窓口に出て仕事をしておられるのですね、庶民金融の精神を職員と一緒にやるんだということで。ところが、その後の数字を見ますと、役席はいまや二四・一%を占めている。そういうことで、役席ばかりどんどんふえて、そして実際の仕事をされるところは、持ち帰り事務がふえて健康破壊だということになりますと、勢いこの進学ローンの事務だって十分納得のいくようにはできかねるという懸念があると思いますが、いささか時間が超過しまして恐縮でございますが、いまの実情報告のお約束だけひとついただいて、質問を終わりたいと思います。
  195. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 その前に、いまの二百二十名の根拠はどうかというお話がございました。これは実は、支店の増設要望と申しますか、要求の数が相当出してあったわけでございます。したがって、そういう支店の数でもって人数というものは大体決まってくるところがございます。それが実際の査定で落ちつきましたときに支店の数が大分減りました。そういう関係がございますので御了承願いたいと思います。  なお、持ち帰りの問題につきましては、そういうことのないように十分注意をしておりますし、現にないと私は思っておりますけれども、せっかく先生の御指摘もございますので、なおよく実情を調べてみたいと思います。
  196. 荒木宏

    荒木委員 健康破壊の問題とあわせて報告していただけますか。
  197. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 承知いたしました。
  198. 荒木宏

    荒木委員 終わります。
  199. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 永原稔君。
  200. 永原稔

    永原委員 この法律の第四条第一項には、「金融機関に対し、業務の一部を委託する」。現在代理業務をやっておるのは八百四十二行と聞いておりますけれども、大臣は、一体どのくらいの金融機関に認可を与えようとなさっているのか、その腹づもりを承りたいと思います。
  201. 徳田博美

    徳田政府委員 先生御指摘のとおり現在、法四条一項の金融機関は、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫で、あわせて八百四十二でございます。しかしながら、進学ローンを実施するに当たりましては、いままでの貸し出し事業資金が主体でございましたけれども、今度一般の国民と広く接触する面をつくる必要があるわけでございます。したがいまして、現在は都市銀行からは要望はございませんけれども、今後都市銀行から要望があれば、これを認める計画でおります。それから、そのほか農協、漁協につきましても、同じく要望があればこれを代理店にする計画でおります。
  202. 永原稔

    永原委員 もうすでに農協あたりは定款変更まで考えて、これを受けるんだというような気持ちでやっておりますので、そういうようなところについても、店舗の数などはっきり把握して、地域的な配分ということを考えなければならないと思いますが、それについては、今後の問題ということに理解してよろしゅうございますか。
  203. 徳田博美

    徳田政府委員 農協、漁協につきましても、地域に住んでいる方々の利便ということを中心に考えまして、この進学ローンに関する仕事につきましては、積極的に代理店として認めていきたいと考えております。
  204. 永原稔

    永原委員 先ほど来、各委員から質問が集中しております。大蔵大臣も、まず試行してみて、今後の推移を見るというようなお答えがございました。しかし、ここで言われている七・一%、あるいは五十万円、さらに高校三年、大学四年、こういうようなものを、いまこの場で伸ばすあるいは縮減するというようなことは、大臣考えになれませんか。
  205. 村山達雄

    村山国務大臣 率直に申しまして、今度の進学ローンの問題は、民間の銀行ではなかなか借りにくい、それよりも有利なところで、金融制度の枠内でまずやってみたい、こういうことで思い切って踏み切ったわけでございます。いろいろ委員の方々から御意見がございまして、考えさせられるところもあるわけでございます。他方また、厚生省におけるいろいろな施設あるいは文部省における先ほどの問題等もございまして、これは篤と考えてみる必要があるなという感じがいたしておりますので、私の考えとしては、何とかこれは一偏実施させていただいて、しかる上で、どのようだ点に問題があるか、そういったものを総合的にひとつ考えさしていただきたい、かように思っておるところでございます。
  206. 永原稔

    永原委員 この法律自体に、七・一%とかあるいは五十万円とかあるいは高校三年、大学四年ということは出てこないわけです。これは恐らく業務を開始するときに、国民金融公庫法で、業務方法書というのですか、それを大蔵大臣のところに出して、大臣の認可を受けて初めて決まる問題だと思うのです。ですから、これだけ多くの方が訴えて、七・一%についてもまだもう少し安くならないかというような訴えがある中で、大蔵大臣の認可権の中で解決できる問題だ、こう思いますので、こういう点についてどういうように、お考えになるか、もう一度お聞かせいただきたい。
  207. 村山達雄

    村山国務大臣 先ほど申し上げましたように、民間の金融機関よりは有利なものでやろうというわけでございまして、所得制限も御承知のように、育英資金と同じ程度の四百何十万でしたかぐらいのところを考えているわけでございます。その所得階層というものは必ずしも低くはないと私は思うのでございますが、先ほどからいろいろお話がありますようにいろいろな問題点もありますし、それから他の制度との関連もあるわけでございます。これはこれなりに半年ぐらい大蔵省の専門家が考えたものでございますので、私の認可権の範囲にあるものではございますけれども、鋭意考えた末のものであろうと思っておりますので、一遍これで実施させていただきたい。その上で、いろいろな問題も具体的に出てまいるだろう、そういった実物教育の上でわれわれは反省してみたい、かように考えておるところでございます。
  208. 永原稔

    永原委員 国民金融公庫法二十二条によって純利益が出た場合に、これは予算に繰り入れるようになりますけれども、ことし五十三年度の予算は、私は不勉強で調べてこなかったのは申しわけないのですが、教えていただきたいのですけれども、五十三年度予算に計上した利益金は幾らくらいになっているのでしょうか。
  209. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 五十三年度予算は利益はございません。
  210. 永原稔

    永原委員 こういう利益を出した場合に、この七・一%の方に回すというようなことは、運営上不可能なことでしょうか。
  211. 徳田博美

    徳田政府委員 国民金融公庫の金利体系自体は、それぞれの資金の性質によって決まっているわけでございまして、収益があるかないかということから決められているわけではないわけでございます。国民金融公庫あるいはその他の政府関係機関にいたしましても、場合によっては補給金を受けるるいは一般会計から無利息の借り入れをして、そのような金利体系を維持しているわけでございますので、収益に関連させて金利を動かすことは現在考えておりません。
  212. 永原稔

    永原委員 文部省の方に来ていただいていないのですけれども、先ほど質問の中でいろいろ出ましたが、七・一%というものについて、ただ金融機関として考えた場合には運営が無理だろうと思います。だけれども、文教政策としてこういうものを考えた場合に、同じ税金にはなりますけれども、たとえば文部省で利子補給を考えるというようなことについて、大臣はどういうようにお考えになりましょうか。
  213. 村山達雄

    村山国務大臣 さっきから検討させていただきたいと言うのは、そういう問題を含めて検討させていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  214. 永原稔

    永原委員 じゃ、ぜひその点は御検討をお願いしたいと思います。  それから、もとへ戻りまして、四条のというのは、片務契約的な一方的な行為なんでしょうか、それとも双務契約的な行為なんでしょうか。
  215. 徳田博美

    徳田政府委員 「委託」は、法律的な解釈でございますと、事務の処理にその本質がございまして、法律行為または事実行為を他の機関に依頼するものをいうとされているわけでございます。実際には双務契約になっているわけでございます。
  216. 永原稔

    永原委員 この四項のところで、「第一項の規定による大蔵大臣の認可があった場合には、金融機関は、他の法律規定にかかわらず、当該認可に係る業務を受託することができる。」という中でそのことがはっきりするわけですけれども、次の項の、「第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関(第二十五条第一項において「受託金融機関」という。)」とありますが、これは第一項を受けるのではなくて、第四項を受けてこういうような言葉を使うべきじゃないですか。
  217. 徳田博美

    徳田政府委員 この第四条の第四項の規定は、銀行法、相互銀行法、それぞれの金融機関に関する固有の法律におきまして、国民公庫から委託ができる旨を規定している法律もございますし、それから、消極的に付随業務についての規定だけをしているものもございますので、その辺の解釈を明らかにするための念のための規定でございます。したがいまして、第五項の「第一項の規定により業務の委託を受けた金融機関」という意味は、どこまでも第四条第一項の「業務の一部を委託することができる。」というところを受けた規定でございます。
  218. 永原稔

    永原委員 法の十八条第三項ですか、先ほどから論議されて、高等学校、高専、大学、これには盲聾学校や養護学校の高等部を含む、こういうお話がございました。郵便貯金法の七条六号の進学積立郵便貯金対象になるのは、これと同じ表現を使ってありますけれども、やはり同じ分野になっているでしょうか。
  219. 徳田博美

    徳田政府委員 これは全く同じ意味でございます。
  220. 永原稔

    永原委員 たとえば国家試験を受ける、資格を取らなければならない、そういうようなことで各種学校があるのです。学校教育法の適用は受けていない各種学校になっていますので、そういうものの適用はこの法文からするとないと思いますが、そういう国家試験を受けるためのそういうような特殊な学校というのは対象にすべきではないかと思いますけれども、いかがなものでしょうか。
  221. 徳田博美

    徳田政府委員 先生御指摘の各種学校その他につきましては、財政資金を使う制度としてどの程度の範囲まで認めるべきかという問題かと思われますが、現在のところは含めないというふうに考えております。しかしながら、今後制度の運営の実態を見きわめながら、その問題についても検討はしてまいりたいと思います。
  222. 永原稔

    永原委員 同じ質問が繰り返されていますので、なるべく簡単に終わりますけれども、私いろいろ調べてみました。労働金庫というのは、低所得者が利用している、一般組合員、未組織労働者が対象になってやっております。労働金庫全般を通ずる進学ローン、これは金利が高くなっておりますが、私、静岡ですけれども、静岡の労働金庫は現在七・二%、三百万、こういうようなこと下運営がなされているのです。これは未組織労働者の場合には七・五六、〇・三六の引き下げは組合員だけ、据え置きの場合にそういうような措置がなされております。こういう四百六十万前後の人、それ以下の低所得者、そういう者に対しても労働金庫は措置をしながら三百万の貸し付けを行っているわけです。  これを件数で見ていきますと、この二月、三月に借り入れたのが六百三十件ぐらいでございます。貸した金が三億六千万。県信連は、件数はもっと少ないのですけれども、二百七十五件で三億一千七百万。そのくらいの金で、それぞれ一人当たりに平均しますと、労金の場合が五十三万、それから農協の場合が百十五万くらいになりましょうか、そのくらいの額になってまいります。こういう低所得階層でも、五十一方の金を借りても子供を進学させよう、そういう熱意をこういうところに見るわけです。  この額について検討するとおっしゃいましたので、それ以上申しませんけれども、ぜひこの額がふえるようにしていただきたい。農協は八・一六%ですから高いですが、静岡の労金は、これは手前みそですけれども、県の中においても住宅資金貸し付けについていろいろ利子補給などをしながら育ててきた金庫ですが、そういうものがこういうように低金利で金を貸している実態を見るときに、やはり必要性というのは強く感じますので、こういう点の是正については大蔵大臣の認可権の中にあることですから、十分お考えいただきたい。お願いいたします。お気持ちをもう一度聞いて終わります。
  223. 村山達雄

    村山国務大臣 何しろ初めてのことでございますので、このような金融事情の中でやらしていただきますが、十分検討させていただきたいと思います。
  224. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  225. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  226. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  227. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、野田毅君外五名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。佐藤観樹君。
  228. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、提案趣旨を御説明申し上げます。  最近における高等学校大学等への進学資金の家計負担実情に顧み、今般、国民金融公庫及び沖繩振興開発金融公庫において、新たに進学資金の貸付業務を行うこととなりましたが、貸付金の限度額、貸付利率、返済期間等については、今後、検討を要する点があると思われますので、本附帯決議案は、政府に対し、これらの点について、一層適切な措置を講ずるよう要請するものであります。  以下、案文の朗読により内容説明にかえさせていただきます。    国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当り、次の事項について適切な措置を講ずべきである。   一 貸付金の限度額については、実情に即するよう適宜見直しを行うこと。   一 貸付条件については、今後実情に即して改善を図るよう検討すること。   一 返済不能者等が発生する場合等を考慮し、その対応策について検討すること。 以上でございます。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  229. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  230. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣
  231. 村山達雄

    村山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。     —————————————
  232. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  233. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  234. 綿貫民輔

    綿貫委員長代理 次回は、来る十二日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十九分散会      ————◇—————