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1978-04-26 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
五十三年四月二十六日(水曜日) 午前十時三十四分
開議
出席委員
委員長
大村
襄治
君
理事
小泉純一郎
君
理事
野田 毅君
理事
綿貫 民輔君
理事
佐藤 観樹君
理事
坂口 力君
理事
永末 英一君 愛知 和男君 池田 行彦君 宇野
宗佑
君 小渕 恵三君 大石 千八君
後藤田正晴
君 佐野 嘉吉君 坂本三十次君 高鳥 修君 林 大幹君 原田 憲君 本名 武君 村上 茂利君 森
美秀
君
山崎武三郎
君 山中
貞則
君 伊藤 茂君 池端 清一君 大島 弘君 川口 大助君 沢田 広君
山田
耻目君
貝沼
次郎君 二見 伸明君 宮地 正介君
高橋
高望
君
浦井
洋君 永原 稔君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣
村山
達雄君 運 輸 大 臣 福永 健司君
出席政府委員
大蔵省主計局次
長
禿河
徹映君
大蔵省銀行局長
徳田 博美君
大蔵省国際金融
局長
旦 弘昌君
運輸政務次官
三塚 博君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長
山地 進君
委員外
の
出席者
議 員
山田
耻目君
外務省経済協力
局外務参事官
中村 泰三君
厚生省年金局年
金課長
長尾 立子君
日本国有鉄道共
済事務局長
濱田
卓實
君
大蔵委員会調査
室長
葉林
勇樹
君
—————————————
委員
の異動 四月二十六日
辞任
補欠選任
高橋
高望
君
佐々木良作
君
荒木
宏君
浦井
洋君 同日
辞任
補欠選任
佐々木良作
君
高橋
高望
君
浦井
洋君
荒木
宏君
—————————————
四月二十一日
所得税法
の一部を改正する
法律案
(
山田耻目君
外九名
提出
、
衆法
第一八号)
国税通則法
の一部を改正する
法律案
(
山田耻目
君外九名
提出
、
衆法
第一九号) 同月二十五日
石油税新設
に関する
請願
(
北川石松
君
紹介
)( 第三三七二号) 同(
左藤恵
君
紹介
)(第三三七三号) 同(
三原朝雄
君
紹介
)(第三三七四号)
舞台芸術
の
入場税撤廃
に関する
請願
(
藤本孝雄
君
紹介
)(第三三七五号)
不公平税制
の
是正等
に関する
請願
(
稲葉誠一
君
紹介
)(第三四四八号) 同月二十六日 ハイヤー・タクシーの
物品税免除等
に関する請 願(
大橋敏雄
君
紹介
)(第三五八六号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
所得税法
の一部を改正する
法律案
(
山田耻目君
外九名
提出
、
衆法
第一八号)
国税通則法
の一部を改正する
法律案
(
山田耻目
君外九名
提出
、
衆法
第一九号)
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に 伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への加 盟に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
第三二号)
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一 部を改正する
法律案
(
内閣提出
第三一号)
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第六六号) ————◇—————
大村襄治
1
○
大村委員長
これより
会議
を開きます。
山田耻目君外
九名
提出
、
所得税法
の一部を改正する
法律案
及び
国税通則法
の一部を改正する
法律案
の両案を
一括議題
とし、
提出者
より
提案理由
の
説明
を求めます。
山田耻目君
。
—————————————
所得税法
の一部を改正する
法律案
国税通則法
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
山田耻目
2
○
山田
(耻)議員 私は、
提案者
を代表いたしまして、ただいま
提案
されました
所得税法
の一部を改正する
法律案
につき
提案理由
及びその
概要
を御
説明
いたします。 わが党は、すでに去る三月十五日、現在の
不公平税制
の典型と言われている
利子配当課税
の特例、
社会保険診療報酬課税
の特例、大
企業
に係る
特定設備等
の
特別償却制度
及び
価格変動準備金等
の
準備金制度
を廃止するとともに、大
企業
と
中小企業
の
税負担
に大きな差をつけている
支払配当軽課制度
を廃止する等の
内容
を含んだ、
租税特別措置法
の一部を改正する
法律案
を本
大蔵委員会
に
提出
いたしました。これは、
政府
の一九七八年度
税制改正案
の
内容
が、相も変わらず、
勤労国民
に対する重い
税負担
をそのまま放置し、
資産所得者
を優越し、法人の
税負担強化
はきわめて不十分であり、それどころか、
土地税制
の骨抜きや
投資減税
により、
企業
に対して、またまた理不尽な減税・
救済
という、きわめて大きな
問題点
を含んでいるからであります。 とりわけ、
政府
が一九七八年度
税制改正
として
所得税法改正案
を
提出
してこなかったことは、本来、税の不公平を
是正
し、税の適正な
執行
の責任を持つ
政府
として、きわめて怠慢であると言わねばなりません。 現在の
所得税法
の持つさまざまな欠陥や税の不公平を生じているもののうち、主なものについて、その
是正
を行い、
勤労国民
のための
税制改革
をさらに前進させなければなりません。これが本
法案提出
の
理由
であります。 それでは、
所得税法
の一部を改正する
法律案
の
概要
について御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
現行税法
では
給与所得者
は、
事業所得者
に認められているような
必要経費
の
制度
が認められていないことや
所得
の
捕捉率
も飛び抜けて高いことなどを中心として、きわめて不公平・差別的な
状態
に置かれており、それ
ゆえ税負担
も他の
所得者
と比べて重くなっているので、このような
状態
を改善するために
給与所得者
に、
確定申告選択制度
及び
必要経費
の実
額控除制度
を
創設
し、
鰥夫控除
、
労働組合費控除等
の
所得控除
及び
夜勤手当等
に対する
非課税措置
の新設または拡充により
税負担
の軽減を図るとともに、
配当控除制度
の
廃止等課税
の
強化
を図ろうとするものであります。 まず第一に、
給与所得者
の
確定申告選択制度
の
創設
であります。
わが国
の
現行
の
税制
においては
給与所得者
については大多数が年末
調整
で
税金
を確定させられ事実上、
確定申告権
が奪われているのであります。 しかし
憲法的観点
から言えば、
申告納税制度
は、
国民主権主義
の
税法的表現
と見ることができるのであり、それは
主権者
である
納税者
をしてまさに主体的に自己の
納税金額
を確定せしめることを容認する
制度
であります。その意味で
納税者
が
確定申告
を行うということは、
民主主義的権利
の行使と見ることができるのであります。この理念を実現するため、
給与所得者
の
確定申告選択制度
を
創設
することといたしました。この
制度
の
概要
は、
給与所得者
の
所得税
については、年末
調整
と
確定申告
のいずれかを選択し得る
制度
を
創設
し、
給与所得者
が、その
年最後
の
給与支払い日
の前日までに、
給与等
の
支払い者
を経由して
税務署長
に対して年末
調整
を受けない旨の
申し出
をした場合には、年末
調整
を行わず、
事業所得者
と同様に
確定申告
を行うことができるようにしたものであります。 第二は、
給与所得者
の
必要経費
の実
額控除制度
の
創設
であります。
わが国
の
現行
の
税制
においては、
給与所得者
は、
事業所得者等
と比べてきわめて差別的、不平等にできております。
事業所得者
の場合は、諸
経費
が
必要経費
として認められておりますが、
給与所得者
は、どのような職業・
勤務状態
にあろうともこのような
必要経費
は認められず、
給与所得控除
という一律の
控除
を適用されるにすぎません。 したがって
給与所得者
について、
給与所得控除制度
のほかに、実際に要した
必要経費
を認める
実額経費控除
の
制度
を
創設
することといたしました。 この
制度
は、
必要経費
の額が、 1
年収
が百五十万円以下である場合は、
収入金額
の十分の二に相当する
金額
2
年収
が百五十万円を超え三百万円以下である場合は、三十万円と
収入金額
から百五十万円を
控除
した
金額
の十分の一に相当する
金額
との
合計額
3
年収
が三百万円を超え六百万円以下である場合は、四十五万円と
収入金額
から三百万円を
控除
した
金額
の十分の〇・五に相当する
金額
との
合計額
4
年収
が六百万円を超える場合は、六十万円をそれぞれ超えるときは、
収入金額
から
給与所得控除額
とその超える額との
合計額
を
控除
した額を
給与所得
の
金額
とするものであります。 この場合の
必要経費
とは、別段の定めがあるものを除き、旅費、
通勤費
、
衣服費
、
調査研究費
、
労働組合費
その他の
給与等
の
収入金額
を得るために直接に要した
費用
と規定いたしております。 第三は、
給与所得控除
の
控除限度額
の設定であります。
現行制度
では
給与所得控除額
はいわゆる青天井で
高額所得者優遇
の
制度
となっておりますので、この不合理を正すため
控除限度額
を百九十万円とし、いわゆる
控除頭打ち制度
を設けることとしております。この結果、
年収
八百五十万円以上の
給与所得控除額
は百九十万円の
一定額
となります。 第四は、
鰥夫控除
の
創設
であります。現在の
わが国
の
税制
では、夫と死別または離婚した女性で、
扶養親族
がある場
合等
において、
一定
の条件のもとに、
所得控除
としての
寡婦控除
が認められておりますが、
鰥夫
となった男性にはこれが認められていないのであります。憲法第十四条には男女平等が規定されております。しかも
昭和
五十年の国勢調査からの推計によれば、
鰥夫
は、死別百六万九千人、離別三十八万四千人の多数に達し、この数字は増大こそすれ減少することは見込まれません。これらの
鰥夫
は、寡婦と同様に税の
負担能力
も低く、余分な
経費
も必要とするのであります。そこで男性にも
現行
の
寡婦控除
と同様に
鰥夫控除
の
制度
を
創設
することといたしました。 第五は、
雑損控除
の
適用最低限度額
の
引き下げ
であります。
現行
の
所得税法
では、
災害等
によって生じた損失が、
合計所得金額
の十分の一
相当金額
を超えるときは、その超える部分の
金額
を
雑損控除
として
控除
することが認められておりますが、
納税者
の
負担軽減
を図る
政策意図
をさらに拡大することが求められております。したがって、
適用最低限度額
を
合計所得金額
の百分の五
相当金額
に
引き下げ
ることといたしております。 第六は、
医療費控除
の
適用最低限度額
の
引き下げ
であります。
現行制度
では、
医療費
の
合計額
がその者の
合計所得金額
の百分の五または五万円のいずれか低い方の
金額
を超えるときは、その超える部分の
金額
を
医療費控除
として
控除
することが認められておりますが、最近の
医療費
の高騰と家計に及ぼす影響の大きいことにかんがみ、幾分なりともその
負担
を軽減する
措置
として、
適用最低限度額
を、
合計所得金額
の百分の二
相当金額
または二万円に
引き下げ
ることといたしております。 第七は、
通勤費
の
非課税
であります。
現行制度
では、実際に支給した
通勤手当
のうち
一定限度
までの
金額
について
非課税
としておりますが、
通勤費
は明らかに必要な
経費
でありますから、その制限を外し、
通勤費
の
実費相当額
は全額これを
非課税
とすることにいたしております。 第八は、
夜勤手当
の
非課税
であります。警察官、
看護婦等
のように
夜間勤務
をする者の場合は、心身の消耗が激しく、その回復のためにはかなりの
経費
が必要でありますが、この点を考慮して、
一定額
の
夜勤手当
については
非課税
とすることにいたしております。 第九は、
キャピタルゲイン課税
として
有価証券
の譲渡による
所得
に対する
課税
の
強化
であります。
現行制度
では
年間取引
五十回二十万株未満については
非課税
になっておりますが、これを改めて、
年間取引
二十回十万株以上に対して
課税
をするものといたしております。 第十は、
退職金
の
退職所得控除額
の
大幅引き上げ
であります。
退職所得控除額
を
現行
の
勤続年数
一年につき
現行
の二十五万円から五十万円に引き上げ、二十年勤続で一千万円まで
非課税
とするものであります。なおあわせて、
退職所得控除額
の
最低保障額
、
障害退職
の場合の
加算額
をそれぞれ引き上げることといたしております。 第十一は、
労働組合費控除
の
創設
でありますが、
労働組合
が
労働者
の
経済的地位
の向上、
福利増進
を図るものであることは明らかであり、
組合費
はそのための
費用
でありますから、今日の
社会通念
から見て当然
給与所得者
の
必要経費
と考えられるのであります。したがって、
組合
の経常的な
費用
に充てられる
組合費
につきましては、
所得控除
を認めることといたしております。 第十二は、
寒冷地控除
の
創設
であります。
寒冷地域
におきましては、
暖房費等
の
生計費
が他の
地域
に比べて多額にかかることは言うまでもありません。これに対し、
公務員等
の場合は
寒冷地手当等
が支給されておりますが、これは
課税所得
の中に含まれており、また、それ以外の
所得者
の場合は
所得
の中からその
経費
を賄わなければならず、いずれにいたしましても、他の
地域
の
居住者
とのバランスを欠くものと言えるのであります。そこで、本
改正案
におきまして、その
経費相当分
を総
所得金額等
から
控除
する
制度
を新たに設けることといたしております。 最後に、
配当控除制度
の廃止であります。
現行制度
は、いわゆる
法人擬制説
に立って、
所得税
の前払いである
法人税
を清算する意味で
配当控除
が行われておりますが、この
制度
によれば、
配当
のみの
所得者
は
夫婦子
二人の場合、
課税最低額
が四百四十万円となり、
給与所得者
と比較して著しく不均衡を生ずる
資産所得優遇
の
制度
となっております。したがって、
法人擬制説
を維持するという
考え方
をやめて、
税負担
の公平を図るため、
配当控除制度
を廃止することといたしております。 以上が
税制
による
所得
再配分と社会的不公正の
是正
を
目的
とした本
法律案
の
内容
であります。 何とぞ御審議の上、御賛成賜りますようお願い申し上げます。 次は、
国税通則法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 私は、
提案者
を代表いたしまして、
国税通則法
の一部を改正する
法律案
につき
提案
の
理由
及びその
内容
の
概要
を御
説明
申し上げます。
日本経済
が、未曽有の不況を迎え、
勤労国民
の生活が厳しい状況に追い込まれてきている今日、
納税者
の
税金
への関心の
高まり
、
不公平税制
の
是正
を求める声の
高まり
、そして
税金
に対する不平と不満は、かつてないほど大きな動きとなってあらわれてきております。 ところが、このような
納税者
の
不平不満
に対処すべき
現行
の
権利救済制度
は、
租税事案
を正当に解決するには余りにも不備であり、かつ、欠陥の多いものであります。 一九六八年に社会党は、当時あった
協議団制度
を廃止し、
内閣総理大臣
の所轄のもとに
国税審判庁
を設置するという
趣旨
の
国税審判法
の制定を
提案
いたしました。 当時の
政府
は、党の
提案
に刺激を受け、
協議団
を廃止し、
国税庁
に所属する
国税不服審判所
を設置するという
趣旨
の
国税通則法
の一部を改正する
法律案
を
提案
し、それが成立し、今日に至っているのであります。長年にわたる
協議団制度
を廃止し、準
司法的運用
を企図した
審判制度
を取り入れたことは、
わが国
における
租税救済制度
上
一定
の前進であったと言えます。 その結果、
民間人
の起用を含めた人事の刷新が行われ、
審判制度
は新しい意欲に基づいた
運営
が始められるかに見えたのでありますが、八年の年月が経過した今日、この
審判所
とその
運営
の
状態
を根本的に見直す必要が生じてきております。それは設置当時危惧された弊害が生じてきているからであります。 たとえば
審判所事務運営
の現状を見てみますと、まず、最も重要な事項である
審査請求事務処理
、すなわち
審査
、
裁決
の
独立性
の保持あるいは
審判所
の
独立性
が、果たして確保されているかという問題があるのであります。 最近では、
国税審判官
の多くは
国税庁
、
国税局
、
税務署
の
職員
から直接任用され、数年で再び
国税庁
、
国税局
、
税務署
へ戻る傾向が強く、また、
人事権
も予算も
国税庁
が掌握しておりますので、どうしても
国税庁
の方を向いて仕事をするようになり、結果的に
処分庁
と同じ結論を出すという傾向が強いのであります。このような現状においては、
裁決
の
独立性
の保持なり
審判所
の
独立性
が、基本的に確保されるはずがないのであります。 また
現行法
では、
国税不服審判所長
が
国税庁長官通達
と異なる解釈により
裁決
しようとするときは、
国税庁長官
は
国税審査会
の議決に基づいて
国税不服審判所長
に対し指示することができると規定されておりますが、
国税不服審判所
が
創設
されて八年もたっているにもかかわらず、いままで
長官通達
と異なる
裁決
がなされた
事案
は一件もありません。このことは、現実の運用において、この
制度
が空洞化していることをあらわすものであります。 一方、
租税事案
についての
裁断
の公正の確保という見地から申しますと、
裁判所
による
救済
が最もその
目的
に合致するものではありますが、
裁判所
による
救済
、すなわち訴訟は、
費用
や時間を要する点に問題がありますので、
裁断
の公正を保持しつつ、比較的簡素な
手続
により
事案
が処理されるような
制度
が現在強く要望されているのであります。 そこで、
第三者機関
の公正な
裁断
による
救済
の要求と
行政段階
での比較的簡素な
手続
による
救済
の要求という両者の要請を満たすような新しい
租税救済制度
を確立することが、必要不可欠であると言わなければなりません。 以上のような
考え方
によりまして、第一に、
現行
の
国税不服審判所
を廃止し、
行政段階
の新しい
租税救済機関
として、
執行機関
から完全に分離独立した
裁決機関
としての
国税審判庁
を設けることとし、この
国税審判庁
が純粋な
第三者機関
として
租税事案
につき比較的簡素な
手続
で公正な
審判
を行うこととし、第二に、
審理手続
の一層の
民主化
により
審判
の公正を図ることとし、もって、
納税者
の
権利利益
の
救済
を促進することとする必要があることを強く認識し、ここにこの
国税通則法
の一部を改正する
法律案
を
提案
した次第であります。 以下、この
国税通則法
の一部を改正する
法律案
の
内容
についてその
概要
を御
説明
申し上げます。 まず第一に、この
改正案
による
制度
の基本的な仕組みは、
国税不服審判所
にかわる
審判機関
として、総理府の外局として
国税審判庁
を設置することといたしております。これは、
納税者
の
権利利益
の
救済
を図り、適正公平な
裁決
を担保し得る
第三者的税務裁判機構
をつくるためには、何よりも
国税
の
執行機関
から分離させ、
独立性
を
強化
することが必要であるからであります。 第二は、
国税審判庁
の長は、
国税審判庁長官
とし、
内閣総理大臣
が任命することといたしております。 第三は、
国税審判庁
の
所掌事務
といたしましては、
国税
に係る
行政庁
の処分についての不服に対する
審査
に関する
事務
をつかさどるものといたしております。 第四は、
国税審判庁
の
地方支分部局
として、各都道府県に
地方国税審判局
を置き、さらに、
地方国税審判局
の
事務
の一部を取り扱わせるため、その
地方国税審判局
の
管轄区域
内に、
地方国税審判局
の
支部
を設けることができることといたしております。
現行
の
国税不服審判所
には、全国に十二の
支部
しか置かれておりませんが、本
改正案
では、
地方国税審判局
は、
現行
の
支部
の約四倍に増加し、
納税者
の便に寄与することといたしております。 第五は、
国税審判庁
には、
国税審判官
及び
国税
副
審判官
を置くこととし、
審査請求
に基づく
審理
及び
裁決
は、三人の
国税審判官
の
合議
により行うものとし、この
合議体
の
合議
は過半数により決するものといたしております。
現行制度
では、
合議
の結果が最終的結果でないため、
審判所
の
合議
の価値が大いに問われているので、本
改正案
では、
合議
を本来あるべき重要なものとして位置づけているのであります。 第六は、
審査手続
は、
口頭審理
により行うことを原則といたしております。ただし、
当事者
の
申し出
により、
書面審理
によることもできるようにいたしております。 第七は、
口頭審理
は、公開して行うことを原則といたしております。現在は
不服申し立て
の
審理
は非公開で行っておりますが、
国税審判庁
の
審理
を公正に行うためには、その
審理
を
納税者
に公開する必要があろうと考えます。 第八といたしまして、
審査
の公正を確保するため、
審判官
の
除斥及び忌避
の
制度
を設け、
審判官
が事件や
当事者
と特殊な関係がある場合におきましてはその職務の
執行
から除斥されることとし、また、
審判官
について
審査
の公正を妨げるべき事情があるときは
審判請求人
、
処分庁
または
参加人
はその
審判官
を忌避することができることといたしております。 第九は、
審理
及び
裁決
は
総額主義
でなく
争点主義
に基づいて行うべき旨の規定を新設することといたしております。この点については、一九六九年に
政府
の
国税通則法改正案
が国会で可決された際、
参議院大蔵委員会
において
争点主義
の精神を生かすべき旨の
附帯決議
がなされ、また、
国税不服審判所
の
審査事務提要
の中でもその旨が規定されてはおりますが、いまだにその
趣旨
が十分に生かされておりませんので、本
改正案
におきまして明確に規定することといたしたのであります。 第十は、
審理
の
迅速化
を図るために、担当の
国税審判官
の指定は、
現行法
の
処分庁
による
答弁書提出
の時点ではなく、
審査請求書
の受理の時点で行うべきことといたしております。 第十一に、不服が
国税庁長官
の通達が法令に適合しないことを
理由
とする等
一定
の場合には、
不服申し立て
を経ずに直ちに
裁判所
に出訴する道を開くことといたしております。 以上が、
国税通則法
の一部を改正する
法律案
の
提案
の
理由
とその
内容
の
概要
でありますが、
納税者
の
権利利益
の
救済制度
の
根本的改革
という問題は、かねてからの
国民的課題
とも言うべきものであり、
処分庁
から完全に独立した純粋の
第三者機関
による
権利救済制度
の実現及びこの
機関
における
審査手続
の
民主化
は、真に
納税者
の
権利利益
の
救済
を万全ならしめるものとしてこの
国民
的な課題の解決への大きな前進を意味するものであることは明らかであります。
国民
の待望するこの
国税通則法
の一部を改正する
法律案
につきまして、何とぞ御審議の上、御賛成賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
大村襄治
3
○
大村委員長
これにて
提案理由
の
説明
は終わりました。 ————◇—————
大村襄治
4
○
大村委員長
次に、
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
を
議題
といたします。 まず、
政府
より
提案理由
の
説明
を求めます。
村山大蔵大臣
。
—————————————
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
村山達雄
5
○
村山
国務大臣 ただいま
議題
となりました
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及びその
内容
を御
説明
申し上げます。
国際復興開発銀行
、
通称世界銀行
は、
開発途上国
の社会的、
経済的開発
の促進を
目的
とする
金融機関
であります。また、
国際金融公社
は、
世界銀行
の
活動
を補足して
開発途上国
の
民間企業
に投融資を行う
金融機関
であります。
わが国
は、従来から、
開発途上国
の社会的、
経済的開発
の分野における
世銀グループ
の
役割り
の
重要性
にかんがみ、その
活動
を積極的に支援してきたところであります。 今般、IMF第六次
増資
に合わせて、
世界銀行
の
増資
が検討され、昨年五月十三日に
総務会
において総額七十億協定ドルの
増資
決議が採択されました。また、
国際金融公社
につきましても、今後とも同公社がその事業
活動
を円滑に継続し得るよう、昨年十一月二日に
総務会
において総額五億四千万合衆国ドルの
増資
決議が採択されました。
わが国
といたしましては、その国際社会における立場に照らし、今回の
増資
につきまして、荷決議の定めるところに従い、
世界銀行
に対しては三億三千九十万協定ドル、現在の合衆国ドルで約四億ドルの追加出資を、また、
国際金融公社
に対しては二千二百七十七万七千合衆国ドルの追加出資をそれぞれ行いたいと考えております。このため、本
法律案
により、新たな出資についての規定を設けることとし、この
法律
の成立後、
増資
に応募する旨の通告を行いたいと考えております。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及び
内容
であります。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
大村襄治
6
○
大村委員長
これにて
提案理由
の
説明
は終わりました。
—————————————
大村襄治
7
○
大村委員長
これより質疑に入ります。 質疑の
申し出
がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
伊藤茂
8
○伊藤(茂)
委員
ただいま
提案
されました法案につきまして、幾つかの点で御質問したいと思います。 いずれにしましても、国際経済における日本の比重は非常に高まっているわけであります。また国際経済の状況は、御案内のとおりにまことに多事多難な激動の
状態
です。こういうような中で、今回
提案
された
内容
を含め、どうしていくのか。また大臣、明日はIMF暫定
委員会
に出席のため出発されるということですし、その後にはまた総理がアメリカを訪問される、ボンの首脳
会議
もあるというようなわけでありまして、いろんな
意味
で
国民
の関心も高まっているときだろうと思います。そういう
意味
で御質問したいと思いますが、まず
提案
内容
について若干お伺いしたいと思います。 まず第一に、今回の世銀への
増資
に関連をいたしまして、これから日本が中期的な展望を持ってどういうふうに取り組んでいくのかということです。いま世銀での日本の
増資
、発言のシェアというものは、十分高いもの、また日本の経済力にふさわしく高いものというふうにはお考えになっていないんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、たとえばGNP対比あるいは国連への分担金対比のシェアということから、どうしても今後いろいろ努力しなければならない問題があるのではないかと思いますが、今後の姿勢として、そういうものを次第に高めていくということなのか、また高めていく場合にどういうことを基本にしてやっていこうとしているのかということが一つです。 ついでにもう一つ伺いたいのですが、いま御
提案
になりましたIFCの
増資
に関連をしてなんです。最近だんだん
内容
も拡大をしているというふうに伺っているわけですが、たとえば七七年度の融資承諾額を見ますと、七六年に比べて約三千八百万ドル、一五・七%減っているという現象なんかがあります。どうしてそういう現象が起きたのか。それから、今後の展望を考えてみますと、
世銀グループ
全体の問題でもあろうと思いますが、昨年のIMF・世銀三十二回総会、あるいはまたその中でのマクナマラ
世銀グループ
総裁などの報告を読んでみますと、
一定
の限度発展進歩はしているけれども、また新たな問題も起きている。それは、途上国の中に新たな二極化現象といいますか、後発発展途上国とその他の国という新たな二極化構造も生まれているし、また、発展途上国の社会における巨大な貧困、それを
軽減
、撲滅することについてもできなかったというふうな問題指摘も出てきます。 いろいろこういう
増資
に兼ね合って今後の
運営
とか努力とか、今後研究しなければならない
課題
も多いのではないかというふうに思いますが、一つは、世銀の
増資
に関連をした日本の今後の姿勢、もう一つは、IFCに関連いたしまして今後の努力の方向というものを伺いたい。
旦弘昌
9
○旦
政府
委員
第一点でございますが、
わが国
といたしましては従来とも、これらの開発援助の協力を国際
機関
に対しまして十分してまいったのでございますが、おっしゃいますように、
わが国
の経済力が非常に高まってまいりまして、それに比べまして、その他の国にそういう点が若干おくれている国もございまして、たとえばいままでの
わが国
の世銀におきますシェアにつきましては、必ずしも現在の日本の国力を反映したものということは言えないのではないか、かように考えております。しかし、
わが国
といたしましては、今後ともこれらの
機関
に対します日本のシェアにつきまして、その拡大を図っていくように各国と協調のもとでその努力を続けてまいりたい、かように考えております。 一つの問題は、世銀のシェアにつきましては、従来IMFの
増資
のシェアにならいましてこれを順次
調整
を図っていくという慣行がございますので、当面の問題といたしましては、次の第七次IMF
増資
の問題がございまして、現在その点につきましてせっかく努力をいたしておるところでございます。 それから第二点の、IFCの投融資が七七年度に、前年度に比べまして減少した
理由
はどうかという御質問でございますけれども、御指摘のように、七七年度のコミットベースの投融資額は前年よりも一五・七%減少いたしております。しかし、
理事
会で承認をしましたベースで見ますと、七七年度は前年度よりも九・八%増加となっておりまして、この差は、トルコの開発金融会社への五千万ドルの投融資が
理事
会で承認されましたけれども、その後のトルコの経済事情のために七七年度内に契約締結までに至らなかったというのが大きな原因でございまして、こういうような特殊な事情があったものと考えております。
伊藤茂
10
○伊藤(茂)
委員
そうすると、長期的には日本の経済力に見合うような努力をしていきたい。——経済力に見合うといいましても、GNPシェアというメルクマールもあるわけですし、また国連分担金比率とかいうものもあるわけですが、いまの四%程度に比べてそれぞれ大きいのだと思います。それくらいの長期的な目標を持ってお考えになるということなのかどうか。 それからもう一つは、いま御答弁いただけなかったのですが、マクナマラ総裁も指摘をしているような途上国における問題意識もある。そういうものに対して、これから先さまざまの国際
会議
で話題にもなるのだろうと思います。その辺をどうお考えになっているか、この二つを追加して……。
旦弘昌
11
○旦
政府
委員
第一点につきましては、御指摘のように、現在の日本のシェアというものがまだ国力相応のものでないという点もありますし、昨年の第二世銀の法案をお願いいたしました際に、当
委員会
におきまして
附帯決議
がございましてその点の御指摘もあったところでございまして、その線に沿いまして今後とも長期的に努力を重ねてまいりたい。と申しますのは、日本のシェアがふえますことは、一部の先進国のシェアが減ることを
意味
するわけでございまして、その辺は国の威信にもかかわる問題といたしまして、その減らされる方はこれに抵抗をするという事情もございます。したがいまして、その辺は機会あるごとにその努力を続けていって、将来は日本の経済の力に相当したシェアを確保していくという方向で努力をしてまいりたいと、かように考えております。 それから第二点の、発展途上国の中におきまして二つのグループがあらわれてきているという点につきましては、御指摘のとおりでございます。と申しますのは、この
世界銀行
は戦争直後の一九四五年に発足したわけでございますが、その当時のメンバーは連合国側の国々が比較的多かったわけでございまして、それらの国々が世銀の支援を得まして経済の発展にかなり成功をいたし、現在では中進国となっている、後発の、後から参加しました国々につきましては、これがまだそこまで及んでいないというところは、御指摘のとおりでございます。 したがいまして、世銀のグループといたしましては、第一のグループに対しましては通常の資金による貸し出し、それから第二のグループにつきましては第二世銀、いわゆる非常にソフトな条件をもって融資をされます第二世銀の資金をもって、これを強力にバックアップしていくという動きをしておるところでございまして、世銀におきましても、そういうようなことで二つのグループの間のギャップを埋めていくような努力をしておるところでございまして、
わが国
といたしましても、第二のソフトな資金に対する拠出につきましては極力努力をいたしておりまして、今後ともそういう方向で努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
伊藤茂
12
○伊藤(茂)
委員
重ねて伺いましたのは、国際的に見て、日本の経済協力、あるいは後でお伺いしますがODAの問題にしても、御承知のとおりに評判はよくないということになっているわけですし、これからの
会議
でも国際的な批判が相当強いだろうということですのでお伺いしました。具体的にはまた後ほどお伺いしたいと思います。 次に伺いたいのは、IMFあるいは
世銀グループ
の中における産油国のウエートの問題、それから
わが国
としての対応の問題です。 昨年、新しい融資
制度
をつくるといういわゆるウィッテフェーン構想がありまして、百億ドルの新融資
制度
がつくられました。日本も分担をしたということになるわけですが、その中でも御承知のとおりに、アメリカがまだ決まってないようですが、産油国が約半分というウエートを持っております。特別枠の問題ということで、こういうことも可能であったし、また、現実に産油国の持っているドルの活用という面から見ても、そういう問題意識が生かされたということであろうと思いますが、これから先を考えますと、産油国にしましても、国際
金融機関
におけるウエートなりあるいは発言権のシェアも高めていきたいということが出てくるのだと思います。逐次そういう方向も具体化されているということだと思いますが、そういう方向づけについて、これは政治の兼ね合いもあるでしょうし、また国際金融面の問題もあるわけですが、一般的な
考え方
としてどう対応されますか。
旦弘昌
13
○旦
政府
委員
ただいま御指摘のありましたように、IMFのクォータの中に占めます産油国のシェアは、本年の四月一日に発効いたしました第六次
増資
におきましては、従来五%でございましたのが九・九%、約倍にふえておるところでございます。それからまた、御指摘のありましたウィッテフェーン・ファシリティーにつきましては、一つは、その構想はオイルマネーの還流ということも意図されたためもございまして、産油国のシェアは全体の四八・三一%ときわめて高いシェアを占めておるところでございます。 産油国は、石油の値上げ以来非常に金ができておりますので、そういう
意味
で、こういうような国際
金融機関
におけるシェアを高めるという動きは当然のことであろうと思います。その点につきましては、日本と同じような立場にあるのではなかろうかということでございまして、将来の方向といたしましては、これらの国々も含めまして、経済の実態に即したシェアを占めていく方向に行くべきであろう、そのように私どもは考えております。
伊藤茂
14
○伊藤(茂)
委員
次にもう一つ、世銀の今後の
運営
などに関連をして、ベトナムのことでお伺いしておきたいと思います。 アメリカの議会の中で、
世銀グループ
の
運用
などに関連をして、ベトナム、ラオス、カンボジアなどについて、行方不明軍人その他のこともあって、ベトナムに対する援助は国際
金融機関
においても極力制限すべきであるという声が強くあるようです。また、カーター政権の方でも、抑制的な姿勢はとっているようですが、私は、そういう問題がある中で、特にアジアの一員として、また、いろいろの関係、また不幸な関係もありましたベトナムとの関係について、特段の考慮を払わなければならないということじゃないかと思います。 昨年の福田総理のASEAN訪問の際にも私も当
委員会
で申し上げたのでありますけれども、何かASEAN中心主義みたいな
傾向
で今後のアジアを考えるということは間違いなんで、それから、ベトナムの方も非常に柔軟な姿勢をもって国際諸
機関
に対応するという姿勢をとっているわけですから、復興援助その他について特段の認識を日本は持つべきではないかということを申し上げたわけですが、何か聞きますと、旧南政権への
政府
の借款問題などの処理についても決着がついて、今年は無償援助四十億円あるいは今後四年間に百六十億、円借款百億円とか、今度輸銀資金の利用とかいうことで話も進んでいるようですし、経団連の代表団も近くベトナムを訪問するというふうな動きもあるようです。私の地元の横浜なんかでも、ハイフォンの港の建設その他、いろいろな
意味
で友好的な立場から協力をしていこうとさまざまな動きがあるわけであります。アメリカの中でそういう声もあるわけですが、日本の姿勢の問題と、やや具体的にいま申し上げましたような方向ですね、これから円滑かつ前向きに対応していかれるのかどうか、それを伺いたいと思います。
中村泰三
15
○中村
説明
員 私どもといたしましては、ベトナムを含めましたインドシナが平和で安定した
地域
として発展するということが、ひいてはアジアの平和と安定に非常に好ましいことだというふうな基本的な認識を持っております。したがいまして、ASEAN諸国に対する協力と並びまして、インドシナとの間にも相互理解に基づきまして友好と協力の関係を築き、そしてアジアの平和と安定に寄与してまいりたい、こういうふうな考えでおります。したがいまして、
わが国
といたしましても、ベトナムに対して応分の協力ができるということであれば、これは非常に意義のあることと考えております。 また、先生先ほど御指摘のように、ベトナムとの間には債権債務の問題がございますが、これはようやく最終段階に至っておりまして、近く正式合意を見るものと思いますが、この債権債務問題が片づきました後には、民間ベースの協力を含めて、
わが国
のベトナムに対する協力が次第に活発化するものというふうに私どもは考えています。
伊藤茂
16
○伊藤(茂)
委員
法案に直接関係した問題はそのぐらいにいたしまして、これから後、大臣が出席をされるIMF暫定
委員会
で論じられるであろう
課題
、すでにテーマは設定をされているわけですが、その
内容
、それから、先般、二十一日でございましたか、国際収支その他の問題について経済対策閣僚
会議
がございました。結論も発表されております。それらに関連をしたことを御質問を申し上げたいと思いますが、まず、今度の暫定
委員会
でも大きなテーマの一つは、国際通貨の問題、それから通貨体制の改革の問題ということであろうと思います。 特にその中で、今度おやめになるようですが、ウィッテフェーン専務
理事
の
最後
の仕事というようなことで言われておりますが、ドル安定策の一つとして、過剰ドルをSDRの発行で吸収をするという案が検討される、また話では、今回の
会議
でいきなり決まるという問題ではなくて、研究
課題
、検討
課題
、継続
審議
ということになるのではないかということも言われているわけでありますが、いずれにしても、これらのことは、特に円ドル関係が非常にむずかしい局面の中で、日本も積極的な研究、検討をしなければならないという問題ではないだろうかと思います。聞くところによりますと、同じくメキシコの
会議
に出席される日銀総裁も、一つの考えであって前向きに検討したいというふうな姿勢を表明されているというようなことも伺うわけでありますけれども、それらについて、
会議
に臨まれてどうお考えになりますか。
村山達雄
17
○
村山
国務大臣 SDRの問題が今度の
議題
の一つになると思われます。この問題は、ドルとの代替関係の問題でございますし、そしてSDRを将来は中心的な準備資産にするという問題。しかし現在のところ、非常に過剰流動性が世界的に多いという問題、それからドルとの関係、いろいろありますので、なかなか微妙な問題であろうと思っておるところでございまして、ただいま通貨当局間でそれぞれ検討中の微妙な問題でございますので、具体的な
提案
につきましては、この席ではひとつ差し控えさせていただきたい、かように思っておるところでございます。
伊藤茂
18
○伊藤(茂)
委員
大臣はしばらくおいでにならないのですが、幾つか御質問を続けさせていただきたいと思います。 この間ほかの御質問のときに、いわゆるターゲットゾーンの問題でお話を伺いました。いまの変動相場制のもとにおけるさまざまな困難な事態ということについて、御承知のとおりに、いろいろなところからいろいろな
提案
も生まれているというわけでありますし、ローザ構想から始まって、ヨーロッパそれからまたEC圏内でのいろいろな検討
課題
というのも報道をされているわけです。そしてまた、アメリカの方では依然としてクリーンフロート論が強いということも言われているわけでありますが、
現状
のもとで、ローザ構想とかあるいは宮澤構想とかいろいろ言われました、そういうことの困難性ということは、現実問題としてたしかにそのとおりだと私は思います。 ただ、長期的に考えますと、基軸通貨としてのドルが果たして安定性があるのかどうか、また安定した長期展望が持てるのかどうか。非常に不安定な構造が強まるという長期的な
傾向
ではないだろうか。また、非常に権威を持ったかたいドルが再び実現するということも、短期的の現在のカーター政権の弱いさまざまの対策ということだけではなくて、長期的な構造としてもあまり期待できない、そういうことが言えるのではないだろうか。ですから、いま目の前で話題となっているいろいろな問題がありますけれども、やはり長期的には何か日本の国益、
国民
生活を守る、
日本経済
を守るということを基底にしながら、いろいろな研究はやはりしておく必要があるのじゃないかというふうに思います。具体的にいますぐどうこうとは言いにくいでしょうけれども、そういう問題意識はどうお考えになりますか。
旦弘昌
19
○旦
政府
委員
まず、お触れになりました第一のローザ構想に代表されます
考え方
でございますけれども、これにつきましては、ローザ氏自身もその取り上げられ方が、日本におきましては彼の構想の一部だけが非常に強調されて伝えられているのに驚いているそうでございます。彼が申しますのは、現在のような各国間の経済の実勢に格差がある場合には、そのようなターゲットゾーンを設けることは非常に困難である、まず前提となります基礎的な経済条件の問題を解決した後において初めて、この構想が実現されるという考えを述べておるところでございまして、日本の国内におきまして、為替の変動を何とか安定させたいという願望がこの構想に飛びつく一つの大きな要因であった、かように考えられるわけでございます。したがいまして、現在のところでは、各国の通貨当局を通じまして、このようなターゲットゾーン構想がいま実現できると考えておるところはないわけでございます。 そういたしますと、それに対しまして、しかし現在の通貨不安をどう解決していくのかという点につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、一方におきましては、たとえばアメリカの膨大な赤字、それから日本及びドイツに見られますような黒字という問題がある、また、石油産出国の黒字の問題があるということでございまして、先進国の間におきましては、赤字国、黒字国がそれぞれの国際収支を
調整
をしていくという努力をじみちに積み重ねていく以外にはないのではないかということが当面の問題でございます。 それから、基軸通貨としましてのアメリカのドルの将来の問題でございますけれども、御指摘のように、現在確かにアメリカのドルは下がりつつあるわけでございますが、しかし振り返りまして、その他の通貨でアメリカドルにかわるべきものがあるのかということになりますと、残念ながらそれは見当たらないというのが
現状
でございます。したがいまして、当面の問題といたしましては、アメリカの経済の立て直しによってアメリカドルの
強化
を図ってもらう必要がある。それから一方、黒字国におきましては、これを支持する
意味
におきまして、国際収支の
調整
をさらに推進していく必要があるのではないかということが、基本的な考えであろうかと思います。 その間におきまして、通貨
制度
のいかなる点をどういうふうにしたらいいのかということにつきましては、今後とも各国の通貨当局がいろいろな機会を通じまして協議を重ねてまいりたい、かように考えております。
伊藤茂
20
○伊藤(茂)
委員
私が申し上げたいのは、今日の
状態
のもとで、いままでも当
委員会
でも再三指摘をされてまいったところでありますが、やはり対米姿勢における主体性というものを毅然として持つということが必要ではないか。 私は、カーター政権、アメリカの方もいろいろと困ってしまったという側面が大分生まれているのだと思うのです。たとえば今度の金の売却の問題にしても、その額からしても量からしても大きな効果はないということがありますけれども、そういうこともやらざるを得ない、あるいは過剰ドル吸収のために中期債の発行という国際世論もございます。そういう中で、大臣は答弁を差し控えたいと言われましたが、今度のSDRの特別勘定をつくるということについても、何か前向きに検討せざるを得ないということになっているということだと思います。また、この五月の初旬にはOPECの閣僚
会議
も開かれる。ドル離れあるいはアメリカの現在の国際収支、経済に対する批判も相当根強いわけですから、いきなりまた大幅な値上げということはないかもしれませんが、やはりそういう側面をアメリカも考慮しなければならぬ。いろいろな要素が当然のことながら、国際的にも出ているということだろうと思います。またそういう中で、ほかの先進国なりEC諸国の方からも、特にドイツ、アメリカに対していろいろ発言あるいは話し合いもなされている。 そういう面から考えますと、日本の姿勢、これは五十二年度百四十一億ドルとか、非常に黒字幅が大きいというハンディキャップもあるわけですけれども、やはり対米姿勢において弱いのではないかという面があるのではないかと思います。ですから私はそういう
意味
で、いま申し上げたような問題、それから今度の暫定
委員会
で話題となる通貨改革の問題、SDRの特別勘定の設定の問題などについても、主体性を持った立場からの対応をすべきではないかということを申し上げたいわけですが、いかがでしょう。
旦弘昌
21
○旦
政府
委員
御指摘のとおり、ドルの安定のためにはアメリカ経済の安定が不可欠でございまして、この見地から
わが国
といたしましても、アメリカに対しましてエネルギー法案の早期成立、それからそれを着実に実行してもらう、あるいはインフレ対策等を推進してもらうということにつきましては、機会あるごとにこれを強調しているところでございます。 御指摘のSDRの代替の問題も、今回の暫定
委員会
で議論されるところでございますが、これに対しましては、各国間におきまして意見が大幅に食い違っておりまして、御指摘のように、今回の暫定
委員会
で直ちに結論を得るということにはなりがたいのではないかと思います。その後IMFの
理事
会におきましてその検討をさらに進めていくことになるんではなかろうか、かように考えておりますが、そういうような
理事
会における討議等を通じまして、
わが国
といたしましても、
わが国
の国益にのっとった考えのもとに、
要求
すべきものは
要求
するということで進めてまいりたい、かように考えておるところでございまして、米国に対しましても、十分現在までも言っておりますし、今後も言うべきことは主張してまいるという姿勢でまいりたい、かように考えております。
伊藤茂
22
○伊藤(茂)
委員
それはまた大臣がお帰りになってから
最後
に姿勢を伺いたいと思います。 二十一日の経済閣僚
会議
で話題となりました中で、国際収支の問題、全体につきましては話題とする時間はございませんが、特に資本収支の面についてお伺いしたいと思うのです。 資本収支の見通し、たとえば長期資本収支の見通しの面でも、
改定
見通しとも、当然のことながら五十二年度当初見通しとも相当大きく違った結果になってしまったというわけであります。その中で一つ、問題として円建て債の発行にずいぶん力を入れられたということで、その部面では昨年度三十件、五千二百九十億円ですか、相当大きな伸びがあった。ところが、特に二月、三月、非
居住者
の投機的な債券買いという過程の中に帳消しにされたという事実経過がいろいろ報道されております。これは円の当面の安定度合い、今後の見通しとも関連をすることだと思いますが、その辺の長期資本収支の五十二年度の経過について、振り返ってどうお考えになるか、あるいはまた、そういう投機的な資金流入によって効果は上がらないというふうなことが五十三年度中にも想定をされるのかどうか、その辺どうお考えになっておりますか。
旦弘昌
23
○旦
政府
委員
御指摘のとおり、本年の二月から三月にかけまして、海外からの短期資金の流入が相当の多額に上りまして、これが円相場の上昇を加速したと考えております。このような為替相場に対します攪乱的な影響を避けるために、去る三月十五日に発表いたしました非
居住者
の債券取得の制限、あるいは非
居住者
自由円債務の増加額に対する準備率を一〇〇%に引き上げるという
措置
をとったわけでございます。それで、これらの効果につきましては顕著にあらわれてきたのではないか、かように考えておりまして、最近の為替相場もやや円安ぎみに推移しておるところでございます。 その数字を若干申し述べさせていただきますと、三月におきましては、公社債及び受益証券に対する資金の流入が、ネットベースで申し上げますと三千五百億円を上回ったわけでございます。しかしこの面につきましては、四月に入りまして規制の効果も非常に上がりまして、現在ではかなりダウンをしておるところでございます。四月はまだ月が終わっておりませんので、その数字を申し上げる段階ではございませんけれども、激減をしておるのが実情でございます。また、非
居住者
の自由円勘定につきましても、三月には五千六百三十億円という金が入ってきたわけでございますが、四月に入りましてはこれが大幅に流出をしておりまして、絶対額として激減をしておるのが
現状
でございます。 御指摘の五十二年度の長期資本収支の見込みは、
改定
見通しでは五十億ドルのネット流出と見ておったのでございますが、二月、三月のそういう短資の動きもございまして、これが実績としましては約半分にとどまりまして、二十四億ドルの流出にとどまったわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたような規制の効果と相まちまして、現在相場がかなり安定しておりますので、五十三年度におきましては、われわれの予期しますような数字になるのではないかというふうな希望を持っておるところでございまして、お触れになりました円建て債につきましても、現在われわれが見ておりますところでは、月平均で毎月一千億円ぐらいのものが出ていくんではないかということでございまして、この月の平均額は五十二年度の額よりもさらに上回るという情勢でございますので、このような情勢がさらに続くことを願っているところでございます。
伊藤茂
24
○伊藤(茂)
委員
そういうお話は、今後の円ドル関係の見通しがベースになると思いますが、お話がありましたように、一時二百十八円、このところでは二百二十七円、八円ということになっておるようです。長期的に、五十三年度の見通しも含めてこういう点をどう判断するのか。それぞれの考えがあると思います。安定したと見るのか、それとも決してベースは、構造はそうではないという見方をするのか。私どもは、五十三年度、これからの展望を見ましても、結局日本の産業構造が変わってこなければ円高という基本的なペースは変わらないのではないかという
考え方
を持っているわけです。また、そういう気持ちも含めて、円高基調は変わったということよりも、何か基本的には円高基調の中での一時的な安定修正局面というのが
現状
でないだろうかという気持ちを持つわけですが、その辺、どうお考えになりますか。
旦弘昌
25
○旦
政府
委員
先ほど申し上げました円建て債につきましては、現在の日本の金利が特に三月にまた下がりましたものでございますから、国際的な金利の比較におきましてもかなり魅力ある市場になっておりますので、この情勢が続く限りはわりあいに楽観していいんではないか、私どもはかように考えます。 それから、御指摘のありました、現在の為替相場がどういう方向で推移していくであろうかということにつきましては、私どもとしていま申し上げる立場にはございませんけれども、しかし、これは今年度におきます
わが国
の国際収支の動向がどうなるであろうかということに大きくかかっておるわけでございまして、
わが国
の黒字を減らすことに全力を尽くすことによって為替相場を安定することができるのではないか、かように考えておるところでございます。 長期的には、産業構造の改革が必要ではないかという伊藤
委員
の御指摘につきましては、私どもも全く同感でございまして、その方向で進まざるを得ないのではないか、かように考えております。
伊藤茂
26
○伊藤(茂)
委員
次に、資本収支にも関連をいたしまして、国際
機関
への出資の拡大が最近いろいろと報道されております。これは大蔵省、外務省両方にまたがるかもしれませんが、全体的な構図をどうお考えになっておるのか。たとえば話題となっているものでも、日銀総裁も出席されておりましたウィーンでのアジア開銀の問題とか、それから、今度話題となるでありましょうIMFの第七次
増資
についての考えだとか、米州開発銀行、アフリカ開発基金、その他いろいろと話題が出ております。また、国連の諸
機関
に九千万ドルか一億ドルか新しく拠出をするようにしたいという構想も言われております。黒字減らしのためにどかどかお金を出すということは当然正当な
考え方
ではありませんから、むしろ最初にも答弁のございました、日本の経済力に見合った協力関係を高めていくという視点の中で、安定的にこういうものを発展させていく必要があると私は思いますが、それらの国際
金融機関
に対する出資の拡大の問題についての、具体的に
金額
まで含めてずいぶん報道されておりますから、それら全体の構想、それから国連諸
機関
への拠出の拡大の問題、これは国連分担金シェアに見合う努力をしようということは私は当然の貢献であろうと思いますが、それらはどうなっておりますか。
旦弘昌
27
○旦
政府
委員
国連に対します日本の貢献につきましては、外務省からお答えいただくことになろうかと存じますけれども、世銀等の国際
機関
への出資、拠出につきましては、これまでも日本としては積極的に応じてきたところでございますが、今後ともこれらの
増資
等がございますれば積極的に対処してまいりたい、かように考えております。 一つの例といたしまして、去る四月二十三日に、アジア開発銀行の開発基金というのがございますが、それの第二次の財源補充の交渉がウィーンでございました。それに対しまして
わが国
は積極的に貢献をしてきたところでございます。数字を申し上げますと、アジア開発銀行は、二十一億五千万ドルの規模の財源補充をしたいという
提案
でございまして、一部の国はそれが大き過ぎるという意見もあったところでございますが、
わが国
はこれを積極的に支持いたしまして、昨年の本
委員会
の
附帯決議
の御
趣旨
にもかんがみまして、積極的に貢献をしてきたところでございます。その
会議
を日本側がリードいたしまして、最終的な結論としましては、参加国は二十億ドルで合意を見ることになったわけでございます。しかし、その差額の一億五千万ドルにつきましては、
わが国
を初めといたしまして、西ドイツ、イギリス、オーストラリア、スウェーデン、スイス、オーストリアの七カ国が追加拠出をするということで、実質的には二十一億五千万ドル、希望どおりの額を充足するということにいたしたわけでございます。このような姿勢は今後とも、国際
機関
に対します出資、拠出について
わが国
としてとってまいりたい、かように考えております。 次の問題は、IMFの第七次
増資
の問題がございます。この問題につきましても、先ほど来たびたび申し上げておりますように、国力に沿っただけの応分のシェアを増加してまいりたいというスタンスで努力してまいるつもりでございます。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、今回お願いしておりますその次の世銀の
増資
の場合には、このIMFのクォータに従って
増資
をするというパターンになっておりますので、単にIMFだけの問題ではございませんで、世銀の
増資
につきましても重大な関係がございますので、前向きに対処してまいりたい、かように考えております。
中村泰三
28
○中村
説明
員 国連等諸
機関
に対する分担金、拠出金の額でございますが、
昭和
五十三年度
政府
開発援助としてカウントされる分は二百十五億ございます。外務省といたしましても、こうした国連諸
機関
に対する拠出金を今後計画的にふやしてまいりたいというふうに考えております。
伊藤茂
29
○伊藤(茂)
委員
それは国連
機関
に対する出資、拠出というものは、分担金のシェア並みの八・六六ですか、それぐらいには早急に持っていくという外務省の考えですか。
中村泰三
30
○中村
説明
員 国連の分担金は八・六四でございますが、分担金につきましては、それぞれの
機関
の決議等で決められておりますのでなかなか動かさないと思いますが、それ以外の日本の任意の拠出によるいわゆる拠出金をできるだけそういうふうに引き上げてまいるという考えでございます。
伊藤茂
31
○伊藤(茂)
委員
次に、ODAについて伺いたいと思います。 これは国際的にも非常に評判の悪い日本の
現状
ですし、また通産省から出されている「経済協力の
現状
と
問題点
」などの資料を見ましても、はっきりとそれぞれ書かれております。私は一つは、量の問題もあるし、質の問題もあるし、それから協力の姿勢、中身の問題もあると思います。 よくわからぬのは、たとえば量の問題についても、昨年の福田総理のアジア訪問、それからそのほかいろいろの国際経済
会議
などの場で、五年間に二倍以上というラインが約束されております。しばらく前には、黒字減らしに関連したんだと思いますが、三年間で倍増ということが一斉に報道されました。そして二十一日の経済閣僚
会議
では、華々しく報道された三年間で倍増とかそういうことは、あの結果の中には一言も出ておりません。私は、いろいろなことを打ち上げては現実に物にならぬというふうな繰り返しが、何か日本に対する信頼度を低める、そしてまた不評が広がってくるということになるのではないかと思います。総理の昨年のアジア訪問の後、今日の時代において大変評判が悪いということもずいぶんいろいろと読むわけであります。ですから、それは外務省かどうか知りませんけれども、昨年、五年間で二倍以上という国際的な約束をされて、そして一斉に報道が出て、また今回こういう形になっている、そういう経過があるわけですが、確実なといいますか、具体的な見通しはどちらの方にお考えになっているのでしょうか。
旦弘昌
32
○旦
政府
委員
政府
の開発援助の実態につきましてお尋ねがございましたので、まずその点から申し上げさせていただきます。 一九七六年の
わが国
のODA、いわゆる
政府
開発援助の量でございますが、これはGNP比で〇・二%でございました。先進国のグループでありますOECDのDAC各国の平均は、日本も含めまして〇・三三%でございますので、この点で日本のODAの水準というものは低いわけでございます。また、その条件におきましても、そのソフト度と申しますか、それを示す目安としましてグラントエレメントという要素がございます。これは数字が高いほどソフトであるということになるわけでございますけれども、日本は同じ年に七四・九%ということで、DAC平均は八八・五%でございますので、その点で下回っておることは御指摘のとおりでございます。 しかし、われわれといたしましては、先進国並みの水準に日本のODAを持っていきたいということを考えておりまして、ただいまお触れになりましたように、五年間でODAを倍増以上にしたいということで現在努力をしておるところでございます。この線に沿いまして、五十三年度の
政府
開発援助の予算は前年度比一五・八%でございます。五年間で倍増といいますと一年平均一五%でございますが、それを若干上回るところで予算を組んだわけでございます。 またGNPに対する比率も、予算ベースで〇・三%ということで努力をいたしました。 それから、条件につきましても、グラントエレメントを国際目標であります八六%を目指していこうということで、五十三年度の予算におきましても、無償援助を増額する、あるいは借款条件を緩和するというような努力を積み重ねてまいりたいと思っております。二国間の無償援助は、五十三年度予算におきまして約九〇%前年よりも増額したわけでございます。 なお、五年間倍増の問題につきましては、新聞で三年間倍増というようなことが報道されたやの御指摘がございましたけれども、
政府
部内におきましては、現在のところ五年間倍増という方針がスタートしたばかりでございまして、その線で積極的に努力をしてまいりたいというところでございます。
伊藤茂
33
○伊藤(茂)
委員
量と質と両方を含めてお話がありましたが、
政府
のいろいろな出されている資料にも明らかなように、幾つかの面でDAC平均に及ばないだけではなくて、特に条件の面では、十七カ国中十四位とか、あるいは最下位とかいう問題、そういう状況が続いてきたということだと思います。ただいまお話があったように、グラントエレメントの面でも、それから贈与割合、借款の条件、それからアンタイド化の比率の問題にしてもそれぞれ指摘をされているところですし、国際的にも注文がついていたということだと思います。 私は、
現状
認識はそういうことだと思いますが、現実にそれではどう改善できるのかという問題ですね。確かに量の問題にしても、財政事情が非常に厳しい、これから先も非常にむずかしい
状態
ですが、こういう問題は、ある
意味
では義務教育費みたいなもので、やはり日本が国際経済の中で健全に発展するためには、どうしても必要な
経費
という
考え方
に立って対応しなければならぬということだと思います。 現実にそれではどう改善できるのかという面で、たとえば日本が非常におくれているさまざまの援助の条件、これも怠けていたからこうなったというものではなくて、やはり構造的な面があったと思うのですね。それは、援助に伴って
民間企業
、民間商社の進出ということと兼ね合ったという面もあったでしょうし、いろいろ構造的にそういう面があったと思うのです。ですから簡単に、はい、それでは五十三年度、新年度からは完全に直りますというものではないのではないか。物によっては一年間で解決がつくものもあり、それから、具体的な中身によっては二、三年かけてじっくりやらなければならぬというようなものもあるのではないかとぼくは思います。ですから、努力したいという気持ちは表明をされましたが、現実にそれをやっていくさまざまな努力の面、これはこの実施
機関
の問題、それからいろいろ契約その他のあり方の問題その他というようなことを含めて、現実の努力をどうしていくのかという面での、
制度
的なというよりもこの取り組みが非常に大事ではないか、その辺はどうお考えになっているかということが一つです。 それから、こういうことと兼ね合って、
金額
でどうふやすかということと同時に、やはり日本の対外援助のベースに、もっと対象となる国々との対話、情報、コミュニケーション、それから、私は非常に大事だと思いますが、特に重点となるアジア諸国への実態調査、分析、それらについて、国際的な共同研究とか学術交流とか、そういうものが堅実に取り組まれていく、そういう基礎になる勉強が積もって、そして国家間におけるそういう関係もうまく発展をするということではないだろうかと思うわけです。その辺はどうお考えになっておりましょうか。
旦弘昌
34
○旦
政府
委員
第一の、その意図だけでなくて、どうやって援助を今後とも増大していくかという問題でございますが、一つには、予算に関連のあることでございますので、本年度予算編成に当たりまして努力しましたような努力を今後とも続けていく必要がある、それが第一でございます。第二には、その予算を計上されましたものを十分消化をしていく必要があるわけでございまして、残念ながら過去の実績によりますと、円借款等の場合には、そのディスバースがおくれる。これは必然的に、その円借款の対象となりますものがインフラストラクチュアあるいはプロジェクトというようなものでございますと、何年かにわたってその支出がされるということでございますので、その間でずれが起きてくるということはやむを得ない点でございますけれども、その辺のディスバースを早くするような方法を現在鋭意検討しております。それから、現実に新しい円借款を提供する場合には、その条件を交渉します際に、金利を
引き下げ
ていく、あるいはその他の条件を緩和していくという方向で現在努力をしておるところでございます。 それから、国際的な協力の第二点の御指摘でございますが、この点につきましては、
わが国
としましては、アジア諸国との間の交流というのはわりあいに最近発展いたしておりますので、その辺の経験はかなり積んでおると考えておりますけれども、しかし、
世界銀行
あるいはアジア開発銀行のような国際的な開発援助
機関
はそれなりのスタッフを持っておりまして、かなりの高い能力でございますので、
わが国
の今後の一つのあり方といたしましては、それらの国際
機関
が融資いたしますプロジェクトに対して日本も協調融資と申しますか、コファイナンスをしていくという方向で検討いたしております。この点につきましては、世銀等からも、日本の地位にかんがみまして、ひとつコファイナンスで協力してやってもらいたいという要望がきておりまして、私どもも全く同感でございまして、その具体的な方途について現在検討を進めておるところでございます。従来ともそのコファイナンスをした例はないわけではございませんけれども、コファィナンスは時間的にも、援助のディスバースを促進する効果があると思われますので、その点をさらに進めてまいりたい、かように考えております。
伊藤茂
35
○伊藤(茂)
委員
ぜひいままでできなかった、あるいはやらなかったいろいろな新しい努力をこの際やっていただきたいと思うのです。やはり相互の友好とか交流あるいは共同の学術交流、共同研究とかいうようなものがベースにあって、そういう中で初めて成果のある経済協力なり援助なりが進んでいくということだと思うわけです。 さっきちょっと申し上げたのですが、たとえばベトナムの関係についても、国家的事業としてハイフォンの港を近代的なものに改造しなければならぬ、特に日本は、技術上もそれから資金的にも非常に可能性があり得る問題だと思います。そういう環境の中で、たとえば日本の造船業界も非常な不況で大変だ、それが、そういう援助をする中で友好が高まれば、そこでベトナム側が使っていく、そう大型船はないでしょうけれども中型船の優秀なものを日本の技術をもってつくっていく、それを買ってもらうとか、そうすれば日本の造船業界にも
一定
の寄与をなし得るとか、いろいろなそういう問題がぼくは友好、交流の中で広がっていくと思うのです。ですから、お役人仕事と言っては大変失礼ですが、いわゆる昔のお役所仕事ではなくて、そういう面での努力を、いろいろ民間の学識経験者も含めて活発にされていくということをお願いしたいと思います。 大臣がお戻りになりましたので、このODAに関連をして、要望を含めてお伺いしたいのですが、さっきも申し上げたのですが、五年間に二倍以上ということが出されて、また新聞には、三年だとかいうニュースが大分大きく各紙に報道されまして、二十一日の閣僚
会議
では相当新しい
内容
が出るかと思ったら、全然消えているということであります。それから、昨年の総理のASEAN訪問が今日どういう関係諸国の世論になっているかということも、報道されているとおりです。 私は、それぞれそれについての批判をするというのではなくて、前向きに考えたときに、やはりその都度、その都度いろいろなものが打ち上げられたり何かするわけですけれども、日本に対する国際信頼度を大きくしかも安定して高めていくためには、何か確実にこういうことをやっていこうという
意味
での中期計画といいますか、これは中期計画といっても、領域も拡大しなければならぬし、中身もいろいろあるし複雑なので、ガイドライン程度でいいと思うのですけれども、何か中期的なガイドラインをつくって、それから、各国との関係もいろいろ動くという面もあるわけですし、先ほどIFCに関連してトルコの話もございましたが、そういう突発事故もありますし、私はローリングプランでいいと思うのですけれども、このローリングプランという面も入れながら、何か中期的なガイドラインをつくって、そういう中期的なプランというものを持って日本は取り組んでいくのだ、そういう中で、単におくれていた条件を改善をする、あるいは資金量をふやすというだけじゃなくて、やはり中身をよくして信頼度を持たせていくという努力が必要なんじゃないだろうかと思います。その辺が、これから大臣がメキシコにいらっしゃっても、それから、将来ボン
会議
その他があっても、そういう発想を持ってやられれば、国際的な信頼度も高まる、それから諸外国との友好提携関係も深まってくるということじゃないだろうか。ぜひそういうことをやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
村山達雄
36
○
村山
国務大臣 伊藤
委員
のおっしゃるように、今後ODAの関係は、日本としてもよほど中長期的な考えを持って、そして着実に進めていく必要があろうという点については、全く同感でございます。 見ておりますと、一つは資金量でございますけれども、日本は各国より低い、グラントエレメントの割合も低いというようなことでございます。したがいまして、資金量については五年間で倍にするとか言っておりますけれども、やはり中身が一番大事じゃないかと思っておるところでございます。その中身につきまして今後どのようにやっていくのか。贈与
部分
をふやしていくか、あるいは借款
部分
をふやしていくのか、これはどちらでもいいわけでございますけれども、両方につきまして、それぞれ中期的な見通しを持ち、借款についてはどれぐらいの条件でやっていくかということでございます。そして、これは押しつけではないわけでございますので、適当な援助プランというものを着実に見て、本当に相手国のためになるというものを着実に実行していくことは必要であろうと思うのでございます。 それからもう一つ感じられますのは、ディスバースベースで計算しておるわけでございますので、実際の
執行
率は七割ぐらいでございます。どこで詰まっているかというと、どうしてもプロジェクトとかインフラストラクチュアということになりますと、
執行
率は悪いわけでございまして、商品援助とかそういった方が早いわけでございます。 それからまた
地域
につきましても、日本といたしましては、もちろんアジアの国でございますからここに勢い重点がいくということは、これはやむを得ないところと思いますけれども、ほかの国に対しても考えていく必要がある。とかく日本は、どちらかと申しますと、援助の形というのが輸出とかあるいは海外資源の開発というところにすぐ目が向いてしまうわけでございますので、今後はそういった観点だけではなくて、広い
意味
の日本の友好国をつくる、それが結局日本の世界における安定につながるという観点をもう少し強く出していったらいかがなものであろうか。そういったことをあれやこれや考えまして、従来の実績を踏まえまして、量、質ともに改善の方途を考えていきたい、かように思っておるわけでございます。
伊藤茂
37
○伊藤(茂)
委員
気持ちとしては大変前向きの大臣のお話がございました。私はできれば、そういう努力の方向を早く具体化をしていくということが、これだけ激動している国際情勢のもとで、日本の努力に対する信頼感を高めるという
意味
で非常に大事なんじゃないか。ですから、何も完全な中期計画はすぐできるわけではありませんから、それも現実、私わかりますから、何かガイドラインを基本にしたようなもので、あるいはローリングプランとしてということを申し上げましたが、たとえば年度別の対外コミットメントの大枠とか、それから対象分野の問題についての
考え方
とか、また
地域
別の物の
考え方
、これは、アジア中心ですけれども、たとえばLLDCにしてもアフリカに非常に集中している、これも非常に政治的にも複雑なところですから、注意深くやらなければならないという面があると思いますが、そういう努力方向も含め出されていく。そういうものができればおのずから、これも一つ問題となっておりました
執行
率の問題なども、順調に進んでいくということではないだろうかと思います。 要するに、そういうガイドラインと申しますか、中期プランといいますか、そういう大枠を、これは大蔵省だけでなくて、外務省とか経企庁とかが兼ね合うのだと思いますけれどもおつくりになって、そういう中で、いま
執行
率あるいは消化率がスムーズに上がらない、その原因となっているこの
執行
体制、
執行機関
、それから二国間、多国間、さまざまの具体的な諸問題なども、消化しやすいように改善をしていくということではないだろうか。大臣、できればそういうことを、これからメキシコの
会議
にしろ、それから総理が訪米される、それからボンの
会議
がある。このボンの
会議
にしても、先進国の行方を世界じゅうのいろんな国が、特に途上国が見守っておるわけですから、そういう発想を、具体的に連休明けに当
委員会
が開かれる前にでもひとつ検討されて、国際
機関
の場に、物の
考え方
としてこういう努力を日本はやっていくのだということをひとつ表明されると、非常に私は
意味
があると思うのですが、ぜひやっていただきたいという
意味
を含めて、いかがでしょう。
村山達雄
38
○
村山
国務大臣 この問題は、これから日本が、その国力に比べまして、また日本の広い
意味
の安全という
意味
で、まさに非常に大事なポイントではないかと思っておるところでございます。そういう
意味
で、今後やはり国際的な目標でございますグラントエレメントは八六ぐらいまではぜひ上げたい、また、現在の予算ベースでGNP対比で〇・三%というわけでございますけれども、これはもう少し上げるように努力したい。それから中身につきましても、さっき言ったような方向で、直接輸出とか資源の開発につながるものではなくて、相手国側に喜ばれるようなものをやっていきたい。 それから
執行
体制につきましては、コミットメントから交換公文まで、交換公文からまた具体的な実施計画まで、実施計画からいよいよディスバースまでと、みんなそれぞれその間滞留があるわけでございますので、この
執行
をできるだけ早めていく方向で考えていきたい。 いずれにいたしましても、今後の日本が国際社会に生きていく上におきまして、重要なポイントであることは間違いございませんから、われわれもせっかく勉強いたしまして御期待に沿うように努力いたしたい、かように考えているところでございます。
伊藤茂
39
○伊藤(茂)
委員
いま要望しましたような方向をぜひお願いしたいと思います。そうしてまた、諸外国との文化、学術を含むさまざまの交流の面でこういうものを発展していく、何かそういう構造をぜひこういう機会につくっていただきたい。五十二年度の国際収支の数字を見てあわを食って何かやっているという印象じゃなくて、そういう安定的な基礎をどうつくっていくのかということを今日の段階でぜひお考えになっていただきたいというふうに思います。 それから、二十一日の経済対策閣僚
会議
の中で、いわゆる緊急輸入のための外貨貸し
制度
の問題が一つ目玉になっております。大蔵省の方からも大分御議論があったようですし、結論としてはこういうことになったようですが、その
執行
とかやり方というのはずいぶんいろんな問題をはらんでいるだろう、やり方によっては、財政あるいは
国民
に結局
負担
をいろいろとかけてしまったということにもなりかねない面があると思います。それから、非常に条件を緩和したから、何かどかどかといろいろな注文が舞い込んでくる、そういうものをどう査定をしてやっていくのかという問題もあると思いますし、それから、その効果について、何か報道で見ますと、国際収支の改善に二十億ドル程度貢献するであろうとか、いや今回のさまざまな対策について四十億ドル程度は改善できようとか、何かいろいろなものが出ております。大まかにこれらの問題についてどうお考えになっておりますでしょうか。
徳田博美
40
○徳田
政府
委員
先生御指摘のとおり、四月二十一日の経済対策閣僚
会議
で、輸出入銀行によります緊急輸入外貨貸付
制度
について改正が行われたわけでございますが、これは緊急に輸入をしようとするものに対しまして為替リスクを負わない形での外貨貸付
制度
を設けるのが
趣旨
でございます。ただ、その
運用
に当たりましては、先生御指摘のとおり、適正な
運用
が必要でございます。 この貸付対象といたしましては、事業所管大臣が幾つかの要件を考慮した上、緊急輸入として日本輸出入銀行に対して推薦したものということになっておりまして、この場合の要件といたしましては、五十三年度中に輸入増加となるような緊急輸入であって、経常収支の黒字幅縮小の効果が認められるものであること、また、単に
わが国
の経常収支の黒字幅縮小に寄与するのみならず、輸入される物資が
国民
経済上重要であること、それからさらに、今回の改正によりまして長期の貸し付けが行われるようになったわけでございますが、これにつきましては、外貨による長期固定金利でなければ当該物資の輸入が困難と認められること、このような条件がつけられているわけでございまして、このような条件のもとで所管各省から適正な案件が輸出入銀行に推薦されまして、輸出入銀行におきましては、これを金融面から
審査
をいたしまして実施をする、このようなことになるわけでございます。 この
制度
の効果でございますが、いままですでにコミット済みの案件につきましては、ウラン鉱石、ヘリコプター等八千百万ドルでございます。それから、現在いろいろ交渉が始められている案件は七件ほどございまして、この
金額
が五億五千万ドル程度になっているわけでございます。なお今後は、一部に報道されておりますように、仕組み船の再輸入であるとか中古船のスクラップ用の輸入であるとか、そのような話もいろいろ進んでいるようでございまして、これが適正に
運用
されることをわれわれとしても期待しておるわけでございます。
伊藤茂
41
○伊藤(茂)
委員
お答えございましたが、いずれにしても、この
執行
のやり方によっては損失の出る可能性が強い。そしてまた、その為替リスクその他そういうものは、国家、
国民
が負うということになるわけですから、私は、こういうもの自体いいのか悪いのか、若干意見もあるところですが、慎重にこういう問題については対応する、またこれに関連をして、大騒ぎの中でまた新しい問題がじきに起きちゃったということのないような
運用
をぜひ要望したいと思います。 それから、
最後
になりましたが、一、二大臣に伺いたいのですが、さっきも旦さんに伺っていたのですけれども、いま円が小康
状態
に入って、一時二百十八円という段階から二百二十七円、八円というところに戻っております。こういうものをどう見るのかということ。 それから、五十三年度の経済
運営
をする中で、こういう段階でほっとするんじゃなくて、やっぱりこの際考えて、さまざまなことをいろいろな英知を吸収してやっていくということが必要なんじゃないか。私はさっきも申し上げたんですが、日本の産業構造の改革その他雇用問題も兼ね合うわけですが、いろいろな努力を総合的にもう一度やはり考えて、深める努力をしていくということでないと、円高基調という構造自身はなかなか変わっていない、これは単なる相場の問題でなくて、そういう構造的に変わっていない、そして、そういう構造のもとでの一時的な修正、安定という段階でないだろうかという気がするわけでありまして、ですから、ほっとしても困りますし、それから、二十一日の閣僚
会議
、これは応急手当ですね、ある
意味
では。応急手当というのか、当面何カ月か半年かという段階での効果を考えていく。国際
機関
への出資その他の拡大ということはやや長期的になりますけれども、何か当面の対策的な、さまざまな国際経済を前にした当面の対策的な印象が非常に強いわけです。ですから、いまの段階でこういう円の状況をどう見るのか、それから、こういう段階のもとでどういう新しい努力を、二十一日の経済閣僚
会議
の結果だけじゃなくて考えていくのかということが、必要なときではないだろうかというふうに思うわけでありまして、円の見通しも含めて、さようなことをひとつ伺いたいと思います。 それから、
最後
ですから一つ。盛んに表現として
機関
車から護送船団という話がいろいろ評論されております。スリーエンジンという
考え方
自体、現在の国際経済構造のもとで可能であったのかどうか、これは問題だと思いますし、西ドイツなんかは、あれも非常にクールに対応してという経過をとっていたわけですし、今回護送船団とか船団方式とかいう
考え方
が出ているわけですけれども、私は、今日の資本主義経済の各関係のもとで、不均等発展は当然です。これはもう法則的なものですからね。そういう不均等発展の中で、しかもフロートですからいろいろな問題が起きる。そういう中で、やはり国際関係におけるいろいろな対応努力も現実しなければならない。それと同時に、何か起こってくるさまざまな問題や外国から指摘されることについて、あわてて対応しているというのではなくて、やはり基本的には、国際友好と同時に、日本の
国民
経済、
国民
生活をどう守り向上させるのか、この春闘なんかでもそうはなっていない
傾向
が強いわけですけれども、そういうことを基礎に置きながら物事を考えていく。ですから、いわゆるスリーエンジンか護送船団かというマスコミ的表現ではなくて、ひとつ突っ込んだやはり大臣としての、経済閣僚の中心になる大臣とされての一つの基本的な構えを持って、国際的な対応をされるということが必要ではないかというふうに考えるわけですが、そのことと、さっき申し上げた円の小康
状態
に関連をするお考えと、この二つを
最後
にお伺いしたい。
村山達雄
42
○
村山
国務大臣 基本的な考えは、私は伊藤
委員
と全く同じ考えを持っているわけでございまして、日本の内需拡大あるいは黒字幅の縮小という問題は、何も外国から言われているからやるという話ではないのでございまして、基本的に考えてみますと、日本の民需あるいは
企業
の活力、これが非常に衰えたところに今日の
日本経済
としての最大の問題があるわけでございます。とりわけ、いわゆる構造不況業種というものが、この時代の趨勢に応じまして転換がおくれておるというところからこの問題が起きているわけでございます。国際収支の均衡と申しましても、むしろやはりその基本を改める、各国がそれぞれの立場においてやはり自分の国は何をなすべきであるかということを本当に考えていけば、おのずからその辺の需給の均衡というものは得られるのであろうと思っているわけでございます。その
意味
におきまして、日本で申しますれば、何よりもいまは内需を拡大していく、その結果として国際収支の経常収支の黒字幅が少なくなっていくという問題、あるいはさっきちょっとお触れになりましたように、資本収支の観点でODAをふやしていく、こういう態度でなければならぬと思うわけでございます。 また、アメリカで言いますれば、当然のことでございますけれども、現在石油をあのようにたくさん輸入しているわけでございますし、そしてまた輸出努力も、われわれから見ますとまだ足りないというようなことがございまして、何よりもインフレを早く防止してもらわないとこれは大変でございまして、円高
傾向
がどんどん出てまいりますれば、世界的にデフレギャップになることは当然でございまして、アメリカがわれわれに
要求
しております日本の対外関係の均衡という問題も、やはりアメリカ側のインフレ防止の努力ということと深くかかわり合っているわけでございます。その
意味
でアメリカは、最近におきましてカーターがインフレ防止の決意を表明し、そのあらわれとして、ドイツとの間でスワップの拡大を行う、あるいはさらに最近では、金の売却を始めておる、あるいは声明されておりますように今後公務員の給与を少し抑制ぎみに抑えていく、これらの施策をやることによりまして、これはアメリカの例でございますが、アメリカがインフレを抑制する努力をすること、これは基軸通貨としてもう当然のことであろうと思うわけでございます。しかし、われわれはそれを高く評価しているわけでございまして、今後ともその線で努力をしていただきたいと思うのでございます。 幸いにいたしまして、為替相場はここのところ小康
状態
になりまして、いま二百二十七、八円まで戻したわけでございます。今後の為替相場の見通しはなかなかむずかしい問題でございますけれども、世界的に一つの小康感が出てきたのではなかろうかと思っているわけでございます。したがって、日本の場合を考えてみますと、二月、三月は特殊の事情からして、いわば輸出の積み急ぎ、これはいろいろな原因で起きたわけでございますが、五十三年度に向かいましては、そういう特殊事情もなくなりますし、予算の着実な
執行
、金利の低下によりまして、輸出圧力も内に向かっていきましょうし、また、言うところの円高による数量効果が今後期待されるものと思っておるわけでございますが、そういうことを通じまして、結果的に国際協調を図っていきたい。 一ころ言われました為替の介入に対する協調あるいは協力という問題ももちろんあるわけでございますが、基本は何といっても、実体経済の方の歩調をそれぞれがそろえるというところが最大の問題だと思うのでございます。固定為替相場といってみても、いまとれるわけでもございませんし、ターゲットゾーンといっても、なかなかとれるわけでないだろうと思うのでございます。むしろわれわれが絶えず情報を交換しつつ、乱高下に対しては共通の
目的
のもとにそれぞれイニシアをとって協力していく、これが一番大事であろう。技術的な問題ではなくて、基本的な問題に特に力点を置きまして、特にアメリカは基軸通貨という立場でございますので、これの信認が揺らいだら世界経済の安定あるいは
調整
はおくれることは当然でございます。そういったことを大いに強調し、また、アメリカ側のさらに一層の自覚を促すようにわれわれも努めたいと思っておるところでございます。
伊藤茂
43
○伊藤(茂)
委員
大臣、あしたメキシコへ出発をされるということで御苦労さまですが、大変な時期ですから、ベトナムとか幾つかの前向きの御答弁をいただきましたが、特にさっき申し上げました、何か中期のガイドライン、ローリングプランでも結構ですから、そういう姿勢をもって、こういう時期の中で新しい努力をしていくということでないと、額とか何かの打ち上げだけでは結局、約束破りの日本というような印象を与えかねないと思われますから、一層努力をしていただくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
大村襄治
44
○
大村委員長
二見伸明君。
二見伸明
45
○二見
委員
ただいまの伊藤
委員
の質問に関連して冒頭に大蔵大臣にお尋ねします。 最近、為替相場が安定といいますか円安、二百二十七、八円になってきております。これに対しては、アメリカが金の売却をすることを決めたからだとか、いろいろとその
理由
、原因が述べられております。 そこで、私は端的に大臣の見解を伺いたいわけでありますが、実は牛場対外経済相が、今後急激な円高はないだろうというようなことを語ったという報道を、きのうだかおとといだか私は目にいたしましたけれども、大臣としては、今後急激な円高はもうないだろうというような御判断を持っているのか、それとも、これはうっかりしたことはなかなか言いにくいのは私はわかりますけれども、まだまだ安心してはいけないというふうな気持ちでいらっしゃるのか、まずその点について伺いたいと思います。
村山達雄
46
○
村山
国務大臣 通貨当局が将来の為替相場に対する見通しを言うことはタブーでございますが、世間一般で言われているところによりますと、去年年初から九月二十六日まで二十六円くらい下がりました。それから十二月までにさらに二十何円下がりました。それから二月十日ぐらいまでは大体二百四十円台で、そしてまた二百四十円からずっと下がって、一ころは二百十八円まで行ったわけでございます。ですから考えてみますと、去年年初来三三%の切り上げであったわけでございます。 最近アメリカのインフレ対策等で、私はむしろ心理的影響が大きいと思うのでございますが、投機筋が円攻勢とかそういったものに対して反動的に動いていった、こういう過程を見ておりますと、世間一般では、一種の小康
状態
が来ているのでこれ以上去年のようなことはないのではないかという期待感を持っているのではなかろうか、また、投機筋あるいはその他の人たちもそういった見方をしているというところが一般的な観測ではないか、こんなふうに思っているわけでございます。
二見伸明
47
○二見
委員
ところで、四月二十一日に
政府
は経済対策閣僚
会議
で、「国際収支対策及び円高に伴う物価対策について」といういわば円高総合対策をお決めになりました。これを決めるに際して、特にこの中には「経済協力等の推進」という項目があるわけでありますが、大蔵大臣はこれに関連してこの
会議
で、経済援助の実行率を高める必要性を強調し、経済協力の進展次第では補正予算の編成が日程に上ってくるとの考えを明らかにした、こう報道されておりますし、また、この円高対策というのは補正予算を念頭に置いて決めたという報道もあります。この点についていかがでしょうか。
村山達雄
48
○
村山
国務大臣 やや不正確じゃないかと思うのでございます。今度のODAの関係については、すでに予算で決められておるところでございますし、そして従来の〇・二八%から〇・三〇%に上げたばかりでございます。
執行
率で見ますと、残念ながらディスバースベースでは大体予算の七割ぐらいでございますので、何よりも完全な消化ということが一番大事だ、こう思うのでございます。したがって、すぐ補正予算につながるという性質のものではなかろうと思うのでございますけれども、気持ちとしては、やはり援助というものは非常に大事な問題だということを言ったのでございまして、そのために補正予算を組まねばならぬというような問題意識はいまのところ持っていないのでございます。
二見伸明
49
○二見
委員
そういたしますと、細かい
内容
は後ほど触れたいと思いますけれども、たとえば「二国間経済協力」の中で「アンタイドを基本
原則
として、相手国の要請に応じ、プロジェクト援助・商品援助を対象にその、実行を図る。とくに、貧困発展途上国に対するアンタイドの無償援助を拡大する。」とある。さらにもう一つは、いわゆる債務問題ですね。「(1)貧困発展途上国の直面する債務問題の解決に資するため、当該国の実情に応じ、アンタイド商品援助を供与し、またできる限りソフトな条件による資金協力を行う。(2)国際開発
金融機関
への資金協力に積極的に対応するとともに、国連
機関
、国際的研究プロジェクト等への任意きょ出を増大する。」これは「増大」です。 この四月二十一日というのは、すでに五十三年度予算は成立をしております。もし予算の範囲内であるならば、拡大だとか増大だとかという表現は要らないわけであります。これは予算外でやるというなら別でありますけれども、予算で決められたことをやるならば、別にここで取り上げることはない。五十三年度予算に決められたとおりやりますと表現すればいい。しかしここでは、たとえば「アンタイドの無償援助を拡大する。」「国際的研究プロジェクト等への任意きょ出を増大する。」この増大する、拡大するというのは、予算で一〇〇まで決められていたけれども、さらに五なり一〇なり余分に出すから増大であり拡大なわけです。これはやはり補正予算も頭に置かなければできないのじゃないでしょうか。
村山達雄
50
○
村山
国務大臣 アンタイド条件を拡大するというのは、別に資金量とは直接関係ございません。ただ日本の場合は、どっちかというとタイドのものが多いと言われているわけでございます。これはもうすでにやっているわけでございます。 それから「拡大する。」とか、全体として規模を拡大するような前向きのあれが出ておりますが、これは別に今年度の予算の話ではなくて、将来に向かってそういう姿勢でいきましょうということでございます。 〔
委員長
退席、綿貫
委員長
代理着席〕 それは先ほど伊藤
委員
にお答えいたしましたように、
わが国
の援助のODAの資金量というものは、やはりプロジェクトと申しますか、具体的な計画がなければ、ふやそうと思ってもふえないのでございます。そういう
意味
で、必要なものがあったら将来ふやしていくことにやぶさかではない、こういう
意味
をあらわしたわけでございまして、直接今年度の予算が不足になるかどうかは今後の問題、何よりも今年度の予算を一〇〇%消化するということが先決問題である、かように考えての表現でございます。
二見伸明
51
○二見
委員
確かにこれはプロジェクトにしろ何にしろ、相手国の希望がなければ、幾らこちらで出す気でも出せない、それは私もよくわかります。今年度予算を十二分に完全消化することが前提だということも私もよくわかります。しかし、
政府
の心構えとしては、五十三年度予算を完全に消化すると同時に、積極的にたとえば
開発途上国
に働きかけるなり話し合うなりして、それ以上のものもできれば今年度中からもやりたいということがこの中に入っているわけでしょうか、その場合には、そういう条件が出てくれば補正予算を組むにやぶさかではないのだ、こういうふうに理解してよろしいですか。
村山達雄
52
○
村山
国務大臣 そこでの問題は、将来に対する姿勢を示した、そしてその気持ちを持っていることはもう間違いございません。ただ、実際に今年度の予算で足りないことになるかどうか、これは今後の問題であろうと思っておるのでございます。
二見伸明
53
○二見
委員
この問題は、余り押し問答しても、言いっぱなし、聞きっぱなしになる感じがありますので、切り上げます。 外務省にお尋ねいたしますが、外務省は、
政府
開発援助に対して中期的な計画を持つべきだというお考えを持っているというふうに私は理解いたしております。というのは、外務省からいただいた資料の中に、一つの試案として「必要ODA事業予算のプロジェクション」という、一九八二年を見通した一つの試案を私は持っております。確かに
政府
は、
政府
開発援助を倍増以上にしたいという表明をいたしております。もしその倍増以上にしたいという意思表明を確実にするためには、それに対する何らかのガイドライン、それは、私はきちっとしたものでなくてもいい、毎年毎年自由に当然変更されざるを得ないだろうと思いますけれども、ひとつ五年なら五年、七年なら七年というきちんとした計画というものはやはり策定する必要性はあると思います。先進国でもすでにそうした試みが行われているというふうに聞いておりますが、まず経済援助の窓口である外務省としては、こういう計画に対してはどういうふうに取り組んでおられますか。
中村泰三
54
○中村
説明
員
わが国
は
政府
開発援助を五年間に倍増以上にする、そのために努力をするという意図を表明しておりますので、外務省といたしましては、基本的にはこの倍増以上を実現するためには、中期的展望に立って計画的に
政府
開発援助を増大する、そのための努力をすることは必要だというふうに考えております。 いま御指摘のプロジェクションでございますが、これは恐らく「経済協力の現況と展望」という中に示された一つのプロジェクションのことだと思います。ただ、この「現況と展望」につきましては、外務省の中で直接経済協力を担当しております者が研究グループをつくりまして、そのグループの研究の成果を一つの試論として刊行することを考えているものでございまして、そういう
意味
におきまして、このプロジェクションはあくまでも非公式なものでございます。その点御理解いただきたいと思います。
二見伸明
55
○二見
委員
それで、もしこういう中期の計画を策定するとする場合、恐らく外務省だけではちょっとむずかしいだろう。メインとなるのは外務省であっても、各省庁の協力を得なければできないですね。その場合、どんな省庁が必要ですか。
中村泰三
56
○中村
説明
員 経済協力に広く技術協力を含めますと、関係する省庁は非常に多くなるわけでございますが、借款に関しましては、外務省のほか大蔵省、経済企画庁、通産省、この四省庁が借款についての協議官庁というふうになっております。しかしそれ以外にも随時、技術協力あるいは無償協力につきまして、関係省庁と協議して経済協力を実施するという体制をとっております。
二見伸明
57
○二見
委員
大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、私も国際的公約を実現するためには、そうした中長期のガイドラインというものは必要だと思います。いま外務省の経済協力局では、一つの勉強の成果としての試案をつくっているわけでございまして、これが完璧なものだとかというわけじゃありません。私もこれを一つの試案として理解いたしておきます。ただ、こうした一つの試案を試案にしておくのではなくて、やはり
政府
としては本気になって取り組む必要があるだろう。たとえば先ほどの二十一日の経済閣僚
会議
でも、経済援助について増大とか拡大とか、これはいまじゃなくて将来を見通したものだという大臣のお話がございましたけれども、そうした方向を考えれば考えるほど、財政当局としてもこの問題については真剣に取り組んでもいいのじゃないか。しかも、こういう計画をつくる場合には、外務省のほか経済企画庁、通産省、大蔵省、この四つの省庁の協力が絶対必要だというのがいまの外務省の御答弁でございますので、大蔵大臣としてもこのことについては、財布を握っている省として積極的的に取り組んでもいいのじゃないか、むしろ経済閣僚
会議
でやろうじゃないかという発言をなさってもいいのじゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。 〔綿貫
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
村山達雄
58
○
村山
国務大臣 一番関係の深い省庁が先ほど述べた四省庁であるわけでございます。どちらかというと、やはり窓口は外務省になっておるわけでございます。だから外務省で、非公式ながらこういう研究
機関
をつくっていくということは、非常に結構なことであろうと思うのでございます。また、通産は通産で勉強する、大蔵は大蔵で勉強する、経企庁は経企庁で勉強する、それをときどき持ち寄りまして、
事務
的にだんだん整理して、そして中長期的な
考え方
を固めていくということはきわめて意義の深いことであろう、かようにわれわれも考えているところでございまして、私たちも積極的な協力を惜しまないのでございます。
二見伸明
59
○二見
委員
外務省どうですか、大蔵大臣も協力を惜しまないというお話ですけれども、外務省で少し音頭をとってやる気はありませんか。
中村泰三
60
○中村
説明
員 いま御指摘のプロジェクション、これはいま申し上げたような試論でございまして、そういう
意味
におきまして、関係省庁の協議を行ったものではございませんが、できますれば関係省庁の協力を得て、そういうプロジェクションができるということになれば非常にいいことではないかと思います。
二見伸明
61
○二見
委員
いや、これは中村さんとしては言いにくいのかもしれませんけれども、いいことではないかじゃなくて、むしろ帰られたら外務大臣に、少し外務省で音頭をとってまとめようじゃないか、こういうふうに
大蔵委員会
で言われたけれども、やりませんかと積極的に進言して、外務省で先頭切ってやったらどうですか。やはり各省庁の出方を見て、出方を見てといったら、こういうものはまとまりやしませんよ。外務省が窓口ならば、やると決めて各省庁に働きかけなければ、これはできませんよ。どうですか。もっとも通産省の方でこういうものを出していますね。これのなわ張り争いみたいなものがあってやりにくいならまた話は別ですけれども、いかがですか。
中村泰三
62
○中村
説明
員 私どもといたしましても、各省庁となわ張り争いをするというようなことは毛頭考えておりません。また外務大臣も、現場で日々経済協力に従事しておる者が、こういう経済協力の
問題点
につきまして広く
国民
の皆さんに呼びかけて、その理解を得る場を持つことはいいことだというふうなことも国会で表明しております。ただいまの御発言につきましては、帰りまして早速外務大臣に報告いたします。
二見伸明
63
○二見
委員
細かい点についてお尋ねしたいと思います。 一つは、いわゆる発展途上国の債務累積問題、これは、第四回国連貿易開発
会議
から国際経済協力
会議
で債務累積問題が論議されております。これは外務省の方がよろしいのか大蔵省の方がよろしいのかわかりませんけれども、日本が
開発途上国
に持っている債権というのはどのくらいあるのか、そのうち、どうも焦げついている、あるいは焦げつきそうなものがどのぐらいあるのか、それがもしおわかりになったら、数字的に教えていただきたいということです。 それから、国際経済協力
会議
で先進国側が貧困発展途上国のための特別行動計画を実施することになった、日本は一億一千四百万ドルの分担を約束したと言われております。これは七七年といいますから、去年から実行しているというふうに聞いておりますけれども、これは具体的にどうなっていくのか、この二点をまず最初にお尋ねをいたします。
旦弘昌
64
○旦
政府
委員
第一の債務累積の問題でございますが、
わが国
が発展途上国に対して有しております
政府
ベースの直接借款の残高は、本年の二月末で約一兆四千億円でございます。これに関しまして、焦げつきそうな額はどのくらいかというお尋ねでございますが、これについては、どこの国が焦げつきそうかということは私ども存じておりませんので、その辺につきましては数字を持っておりません。ただ、この問題は非常に大きな問題でございまして、従来もそうでございますが、債務返済で困難に陥ったような国から要請がございますれば、ケース・バイ・ケースで適切な
救済
措置
をとってまいりたいというふうに考えております。 それから、第二点のお尋ねでございます特別行動計画の点でございますが、これはCIECの
会議
におきまして、参加しました先進諸国が貧困国に対して総額十億ドルの特別緊急援助
措置
をとることを決定いたしました。この中で、いま数字を申されましたとおり、日本としましては一億一千四百万ドルのコミットをしたわけでございまして、この実施方法につきましては、各国に任されておりますが、
わが国
はこのうち、有償、無償をあわせまして、できるだけディスバースの早い二国間援助をもってこれをやっていこうという考えでございまして、五十二年度におきましては、すでに円で五十億円の援助をこのスペシャルアクションの計画の中で実行いたしておりまして、それを開発
委員会
に対して報告をいたしておるところでございます。
二見伸明
65
○二見
委員
発展途上国の債務の累積というのは、石油ショック前と石油ショック後では質が違うというふうに聞いております。性格的に大分違ってきている。私も詳しいことはよくわかりませんけれども、要するに石油ショック後は、世界全体が景気が悪くなる、そのために発展途上国からの輸出がとだえる、そのための借金の穴埋めといいますか、借金を何とかするための借金というような形で累積しているというふうに私は聞いております。もし認識が間違っていたならば御訂正いただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、この債務の累積というのは、発展途上国にとってみれば、自助精神というか、自分の国は自分で何とかするのだという精神を阻む問題だし、といってほっておくわけにはいかないしという厄介な問題だろうと私は思います。今度の二十一日の
会議
でも、「できる限りソフトな条件による資金協力を行う。」ということで、簡単に言えば、安い利息でもって何とかつないでいこうという考えだろうと思いますけれども、
わが国
としてはこの債務問題は、ケース・バイ・ケースで処置されるということですけれども、基本的にはどういうふうな方向でいくのでしょうか。 たとえばスウェーデンは、三十二回国連総会で、最貧国に対する
政府
開発援助債権を全額キャンセルすることとし、議会の承認を取りつけるという演説をされたそうでありますけれども、
わが国
としても、ケース・バイ・ケースで処置するというのはわかるようでわからない話であります。確かに債権というのは、ある面では日本の
国民
の財産ですから、それをキャンセルするということになればいろいろ問題も出てくるかもしれない。しかし、こういった発展途上国の
現状
を見た場合に、たとえば安い利息で資金を出して肩がわりしてやるとか、何とか軽くしてやるということだけでもって処置できるのかどうか。もっとも発展途上国の中でもランクがあるから何とも言い切れないでしょうけれども、この問題は
わが国
ではどういうふうに考えていきますか。
中村泰三
66
○中村
説明
員 先般三月、ジュネーブにおきましてTDBの
会議
が開かれまして、御指摘の債務問題が討論されました。その場におきまして、スウェーデンその他の国は、
開発途上国
の債務キャンセレーションということをやりましたが、
会議
の結論といたしましては、債務のキャンセレーションもしくはそれに見合う同等の
措置
を各国の適当と思う方法でとるというふうなことが決められております。
わが国
といたしましては、すでに貸した債権をキャンセルするということは
法律
のたてまえ上できませんので、むしろこういう
開発途上国
に
政府
開発援助、しかも条件の緩いあるいは無償の資金協力をふやすべきだ、むしろ
政府
開発援助を増大するという過程においてこういう債務問題を解決すべきだという立場をとっておりまして、今後とも、特に後発の
開発途上国
、こういう国に対しましては、緩い借款及び主として無償資金協力を中心といたしまして援助の増大を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
二見伸明
67
○二見
委員
それから、南の
開発途上国
の債務増大についてこういう意見がありますけれども、この点についてはどうですか。南の債務増大は、単に国際貿易、経済発展のせいばかりではない、いますさまじい勢いで進行している第三世界の武器買い付けも大きな原因の一つである、こういう説もありますけれども、これは一つの原因として認識してよろしいですか。これがすべてじゃなくて、債務増大の一つの原因にもなっているというふうにこういうことは認識してもよろしいですか。もし第三世界の武器買い付けも大きな原因の一つだということが事実だとするならば、債務問題というのは、ただ単にキャンセルしてやれば済むとかいう単純なものじゃなくて、別の要素が出てきますよね。その点についてはいかがですか。これはある学者がこういうことを言っておりましたので、外務省ではどういうふうに理解なさっていますか。
中村泰三
68
○中村
説明
員 債務増大の原因はいろいろあると思いますが、国によって違うと思いますが、武器買い付けが債務増大の主な原因であるというふうに私たちは理解しておりません。
二見伸明
69
○二見
委員
もう一つ、閣僚
会議
で、「
政府
開発援助を拡大し、援助条件についてはグラント・エレメント八六%を目指し無償援助の拡大および借款条件の緩和等に努力する。」ということは二十一日に決められたわけでありますね。それで、
わが国
の目標をまずお尋ねしたいのですが、
わが国
の
政府
開発援助の割合というのは、七二年から七六年平均で二七・二%、DAC
加盟
国の平均が三六・八%ですね。今後
わが国
としては、大体
政府
開発援助の割合をどの程度にまで持っていきたいというふうに考えておられるのでしょうか。また、ことしの予算
措置
でいくと大体どのくらいになるのでしょうか。
旦弘昌
70
○旦
政府
委員
ただいまお示しになりました数字、ちょっと理解が足りないのでございますけれども、今年度の予算におきましては、
政府
開発援助は予算ベースでGNP比〇・三%に高めるということにいたしております。これは先ほども申し上げましたように、DAC諸国の平均が〇・三三でございますので、それにかなり近づくということになるわけでございますが、問題は、大臣も御指摘になりましたように、予算ベースでこうでありますけれども、全部ディスバースできれば〇・三になるということでございますので、その辺を促進する必要があるのではないかということでございまして、私どものODAの目標としましては、少なくともDAC平均まではいきたいものだというのが当面の目標でございます。
二見伸明
71
○二見
委員
政府
開発援助に占める技術協力についてなんですけれども、まず割合が日本の場合は九・八%だと言われていますね。DACは二一%ですね。特に
わが国
の技術協力というのはこう言われていますね。「
わが国
の派遣専門家の中では、人材養成専門家は皆無に近く、また、技術アドバイス、経営アドバイスを行う短期的アドバイザーの比重が多いため、長期的に工場の運転に携わる技師や現地の教育
機関
で教育を担当する教育が全くといっていいほど少ないのが、
わが国
の実情である。」これは通産省の方のこれに書いてあるわけです。 そうすると、まず技術協力については、九・八%というのはやはりこれを高める必要があると私は思います。DACは二一%ですから、いきなり二一にはならないだろうと思いますけれども、これはやはり年次的に高めていく必要があるだろう。外務省としては、大体どこら辺まで高めていける目算があるのか、どの程度まで高めていけばいいのか、おおよその目安を教えていただきたいのと、現地にがっちり腰を据えてやろうというのはいないわけですね。これは私、前に調べたとき、日本の国内の職場でもいろいろな問題があるようですね。長期に派遣されている間に自分のポストがなくなってしまうとか、帰ってきたときに座る場所がないというような非常に国内的な問題もあるやに聞いております。そこら辺については、これはどういうふうに改善されていくのか。これは外務省だけではとうていできない問題だろうと思います。またある面では、日本人の意識の問題もあると思います。やはりふるさとがいいやというので、そういう意識の問題もあると思いますけれども、その点についてはどういうふうにお考えになりますか。
中村泰三
72
○中村
説明
員 御指摘のとおり、
わが国
の技術協力、これは国際的に見て非常に比重が低うございます。この技術協力というのは、人の派遣あるいは専門家の派遣、あるいは研修員の受け入れ等々非常に手間暇のかかるものでございますけれども、人と人の交流を通じて相互の理解を深めるという
意味
におきまして、単に技術の移転ではなくて相互の理解の増進という
意味
から非常に大きな
意味
があると思いまして、われわれといたしましても、今後これを徐々に計画的に拡大していきたい。ただ、どの程度まで拡大すべきかということにつきましては、いま直ちにこの数字を申し上げるのはなかなかむずかしいと思いますが、できますれば、DAC平均というところまで持っていければいいのじゃないかというふうな考えを持っております。 ただ御指摘のように、技術協力の中心は人が中心になります。受け入れる場合には受け入れ施設の問題がございますし、専門家を派遣する場合にはやはり専門家の養成確保ということが非常に大きな問題になります。したがいまして、ただいま技術協力を中心に主として取り扱っております国際協力事業団におきまして、そういった専門家の養成確保という点に非常に重点を置きまして、専門家に対するいろいろな教育、養成あるいは登録
制度
をつくりまして確保するというような
措置
も講じております。 それから同時に、この国際協力には、特にコンサルタント等におきましては民間の協力を得ることが非常に多い。そういう場合には、たとえば民間から専門家を派遣していただく場合には、民間の所属していた会社に所属先の補てんという
措置
をとりまして、国際技術協力に協力していただける民間会社に経済的な
負担
をかけないように、そういう
措置
をとってきております。
二見伸明
73
○二見
委員
時間がありませんので、
最後
に簡単にお尋ねしたいと思いますけれども、今後の経済協力の対象といいますか、対象という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、お尋ねしたい一つは、
開発途上国
と言ってもいろいろの分類ができますね。特に最近は、ただ単にプラントとかそういうことだけではなくて、人間の生きるべき条件というのですか、ベーシック・ヒューマン・ニーズとかという立場からやるべきではないかという開発の理念がありますね、
考え方
が出ておりますが、そうすると
わが国
としては、今後開発援助、協力、その対象を、生活条件というか、かなり厳しい、この言葉で言うと、絶対的貧困層の分布
状態
というのがこの通産省のデータにありますけれども、貧困
開発途上国
といいますか極貧といいますか、そういうところに対して、これをどういうふうに人間として生きるべき条件を満たせるような開発をするかということが一つの
考え方
だろうと思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えなのか、まずその点ですね。 それから、いま
わが国
では世銀だとか第二世銀だとかいろいろ出資しておりますですね。そうした出資の中で、極端に出資の低いのがアフリカと中南米ですね。これについても、やはりそうした貧困
開発途上国
に対する
わが国
のやるべきこと、でき得べきことということになれば、そういうところに対する出資額もふやしていってもいいのじゃないか、ただ単に
わが国
の国益という点だけではなくて、ふやしていってもいいのじゃないかと考えます。その点についてのお考えも承りたい。 同時に、これはまとめて伺って申しわけないのですが、三月の外務
委員会
で社会党の美濃先生が、古米を援助に使ったらどうだという議論をされたのです。そのときに武藤経済協力
局長
が、古米の援助についてこう答弁しているわけですね。「相手国の希望がございますれば、それからまた所要の財政資金を講ずる余地がございますれば、日本のお米を援助に使うということも考えてまいりたいと思っているわけでございます。」お米を援助として出すということについては、たとえばタイ米がほしいとか、お米を輸出するたとえばタイだとかいう国の問題がありますから、日本の独断的な判断で米を援助に回すというのは危険ではありますけれども、もし相手国が希望するならば、そして所要の財政資金を講ずる余地があれば外務省としてはやりたいという意見であります。このお米の輸出というか援助に使うということに関して、私は大蔵大臣の御答弁をいただきたいわけでありますけれども、日本のお米を希望する国がある、それが外交的な摩擦を起こさないという条件があった場合に、所要の財政資金を講ずる意図はございますか、以上三つです。
旦弘昌
74
○旦
政府
委員
第一点でございますが、ベーシック・ヒューマン・ニーズの関係で申し上げますと、基本的には、プラント等の円借ベースでやりまして、その受けた国の経済力がつくというのが基本的に一番正道ではなかろうかというふうに私ども考えておりますが、しかし一方で、緊急的に非常に困っておるところにはそれなりの援助をすべきではないかという御指摘はごもっともでございまして、その一番いい例といたしましては、食糧が足りないというようなところに対しては、食糧を直接贈与するあるいは食糧増産の手助けをして差し上げるということではなかろうかと思います。こういう見地から、今年度の予算におきまして、食糧増産のための援助といたしまして百三十億円、これは前年が六十億円でございますから倍以上増額したということで、私どもはこの面で大きく一歩を踏み出したというふうに考えておるところでございます。なお、個別に今後そういう要請がございますれば、それに即してまた拡大を図ってまいりたい、かように考えております。 それから第二点の、アジア中心でありまして中南米あるいはアフリカに対する日本の参加が少ないんではないかという御指摘でございますが、アフリカ開発銀行には、アフリカの国だけしかメンバーにしてもらえませんので、日本は入れないわけでございますが、この開発基金の面におきましては、日本のシェアは一一・三%でございまして、非常に大きなシェアを占めておるわけでございますので、その点はかなりの貢献をしておると考えております。 それから、米州開銀、これは中南米を対象としておるものでございますが、これは従来、日本を含めます域外国の参加を断ってきたわけでございまして、二年前に、これが域外国にも戸が開かれましたので、日本もECの諸国と同じく参加をいたしました。その出資のシェアは〇・七六%でございますのでかなり低いわけでございますが、これは域外国のシェアを余りふやしたくないという域内国の意見がございますので、日本の意向だけではいかない。ただ将来、もしもう少し日本の参加も広げてもいいということであれば日本としては前向きに対処をしてまいりたい、かように考えております。 それから、第三点の米の問題でございますが、これにつきましては、いま二見
委員
の御指摘もありましたように、日本の古米の問題ございますが、一方、タイとかビルマのような伝統的な米の輸出国に対する配慮も十分しなければならないというところで非常に苦しいところでございます。ただ、昨年の十一月にインドネシア
政府
から、昨年の米作が非常に悪かったので相当量の米の輸入が必要であるということで、タイ等の伝統的な輸出国ではこの緊急輸入の需要に対処することができないという
状態
から、日本に対しまして日本米の緊急輸出について要請がございました。これにつきましては、その強い要請もございますので、日本もその要請に応ずることにいたしたわけでございます。
二見伸明
75
○二見
委員
終わります。
大村襄治
76
○
大村委員長
永末英一君。
永末英一
77
○永末
委員
大蔵大臣に伺いたいのでありますが、発展途上国に対する経済協力、この世界経済的意義をどのように大蔵大臣としては把握しておられましょうか。すなわち、われわれの原料国だとか、つまり機械工業国に対する原料資源国であるというようなことではなくて、共産圏というものがある
意味
で封鎖経済をやっている場合には、自由圏の経済全体として発展途上国の経済をどう位置づけるかがわれわれは重要な問題と考えております。そういう観点から、途上国に対する経済協力の世界経済的意義、これをひとつ伺っておきたいと思います。
村山達雄
78
○
村山
国務大臣 私は二つあると思うのでございます。 一つは、さっき言った債務累積になったような場合にどういうふうにやっていくかという問題と、それから基本的には、やはり発展途上国がやがて中進国になりいわば飛しょうラインに乗っていくということは、先進国にとりましても長い目で見ますれば、相互の経済発展をお互いに促進し合う結果になるわけでございますので、そういう
意味
で、発展途上国がどんどん伸びていくということは、これは何といっても世界の経済の上でも、あるいは政治的不安を解消する
意味
でも、あるいは軍事的緊張を解消する
意味
でもきわめて重要なことだと考えているわけでございます。そういう
意味
で、われわれは相手国の必要とするプラン、それがそういうものにつながるかどうか、そういったところを十分見きわめながら実は援助をやってきたところでございます。今後ともやはりそういう視点で考えるべきではなかろうか。ひとり日本の輸出にすぐ結びつくとか、いわばそれはタイドにもなるわけでございますし、あるいは資源開発というような狭い立場で考えるよりもより広く考えていった方がいいんではないか、このように考えております。
永末英一
79
○永末
委員
国内の問題としていわゆる福祉国家論というものが言われまして、歴史は浅いのでございますが、つまり福祉国家には福祉国家の経済循環があるわけであります。その
意味
合いで世界経済という角度からながめました場合に、発展途上国の問題は言うならばワールドワイドな福祉と申しますか、そういう角度から、その経済性についてわれわれ機械工業国もまたしっかりその経済効果を見きわめてやるべきだ、私どもはそう思っております。 そこで、発展途上国と申しましても地球上いろいろあるのでございますが、私どもは、特に日本周辺の発展途上国に対して意を用いて、これに対する協力に万全を期さなければならない。われわれは一足飛びにアフリカ等へ出かけていく前に、やはり太平洋周辺諸国についてその意を用いなければならぬと考えます。その
意味
合いできょうは、われわれの国から真っすぐに南におりましたパプアニューギニアについて御質問しておきたいのでございますが、パプアニューギニアは、オーストラリアの施政権下から独立をいたしましてまだ日が浅いのでございます。したがって、発展途上国として外国の経済とつき合いをいたした歴史はそう長くはございません。しかし、この
地域
はわれわれといたしましては、三十数年前にわれわれの軍隊がそこにおり、戦闘に従事し、あるいはその
地域
の人々に多大の迷惑をかけたところ、また、われわれの同胞がたくさんその地で戦死をして葬られておるところでございまして、そういう
意味
合いでも、このパプアニューギニアに対する経済協力については一段の配慮をしつつやっていただきたいと思います。 その角度から、いま大蔵省では、今回の世銀に対する融資等が問題になっておりますが、世銀、第二世銀、もう一つアジア開銀、これはパプアニューギニア
地域
にそれぞれ経済的な手を差し伸べておるのでございまして、これをどの程度整合性のあるものとして大蔵省はつかんでおられるか、その援助の実態とその整合性について御
説明
を願いたいと思います。
旦弘昌
80
○旦
政府
委員
永末
委員
ただいまお尋ねの、パプアニューギニアに対します世銀、第二世銀及びアジア開発銀行からの融資の実績につきまして、まず簡単に申し上げますと、世銀は、現在までのところ七千百万ドル融資をいたしております。第二世銀が約四千八百万ドル、それからアジア開発銀行が約五千三百万ドル、合計一億七千二百万ドルの融資をいたしております。この中身につきましては、主として道路それから農業関係のプロジェクトが多いようでございます。 それから第二点の、これらの三
機関
の整合性につきましてでございますけれども、これらは、それぞれの専門家がおりますので、それらの三
機関
の中で協議が緊密に行われておると聞いておる次第でございます。
永末英一
81
○永末
委員
三
機関
の中で相談が緊密に行われておると聞いておるということでございますが、昨年、わが
大蔵委員会
でアジア開銀の視察がございました。アジア開銀がこの
地域
に対する援助の実態についてもいろいろと調査をいたす機会がございましたが、何分にもいま申されました世銀七千百万ドル、第二世銀四千八百万ドル、アジア開銀五千三百万ドル、それをこの
地域
にそれぞれの項目別に仕分けると、一つのプロジェクトは必ずしも大きくない。つまり、一つのプロジェクトを三つの
金融機関
がねらっておるのか、それぞればらばらでやっておるのか。しかし、資料を見ますと、たとえばラエからゴロカに至るハイランドハイウエーと称せられるものについては、道そのものが壊れるものでございますから、数次にわたってこれに対しての融資が行われておる。こうなりますと、その経済効果等を見つつ整合性というものは必ずしも緊密にいっていないのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
旦弘昌
82
○旦
政府
委員
私どもが持っております資料によりますと、ラエーハーゲン間のハイランドハイウエーにつきましては、世銀及び第二世銀がそれぞれ共同しまして融資を行っております。それから、そのプロジェクトの一部につきまして、その補修、橋のかけ直し等につきましては、アジア開銀がそれを担当しておるというようなことでございまして、その間におきまして、それぞれの
機関
の連絡協調が行われたものというふうに了解をいたしております。
永末英一
83
○永末
委員
この
地域
は、オーストラリアが施政権を持っておりましたときは、オーストラリアの人間が来ていろいろな指導をやっておりましたが、独立いたしましてからオーストラリアの人々はどんどんと引き揚げる
傾向
にある。中級管理者としてフィリピンの人々が少し入っております。わが日本国の人々は余り入っていないのでございますが、もしわれわれが積極的にこの
地域
に経済協力を行おうといたします場合には、何ほどかやはり日本の技術に通暁している者、日本のいろいろなやり方に通暁している者、こういう者のアドバイスが必要だと私は思いますが、この点についてはどう考えますか。
中村泰三
84
○中村
説明
員 経済協力の基本的な考えでございますが、これは発展途上国の経済社会の発展及び住民の福祉、こういうものに対します途上国自身の自助努力を側面から御協力申し上げるということでございますが、そういう場合に、やはり現地の経験というものは十分生かされれば、より効果が発揮できるというふうに考えております。
永末英一
85
○永末
委員
この
地域
は、先ほど道路を一例として出したのでございますが、ともかく脊梁山脈が東西に走っておって、南北の交通路は全くない、こういうところでございまして、道路は重要な問題でございますが、同時にまた、通信施設も問題でございましょうし、電力、これもまたこの
地域
の経済水準、生活水準を上げる問題でも非常に問題がある。第一、また安定した食糧を供給するためには、農業に対するいろいろな融資も必要である。いろいろございまして、それらについて、先ほど申し上げましたそれぞれの国際
金融機関
が融資をいたしておるのでございますが、そういうものに対しておまとめになっておりますか。
旦弘昌
86
○旦
政府
委員
私どもといたしましては、先ほど申し上げました三
機関
の、部門別にどういう融資が行われているかという数字は把握いたしております。それからまた、たとえばこの三
機関
の個別の案件につきまして、若干の資料を持っております。
永末英一
87
○永末
委員
本来ならば、それを一つ一つこの場で御報告願いたいのでございますが、与えられた時間が非常に少のうございますので、
委員長
にお願いしたいのでございますが、後でひとつ文書で本員に資料を手渡すことをお願いしたいと思います。よろしゅうございましょうか。
旦弘昌
88
○旦
政府
委員
提出
させていただきます。
永末英一
89
○永末
委員
ありがとうございます。それではよろしくお願いいたします。 昨年十二月八日、パプアニューギニア首相ソマレ氏が訪日をされました。そして、
わが国
の福田総理大臣との間に会談を行い、共同コミュニケが発表されました。このコミュニケによっていろいろな経済協力が日本とパプアニューギニアとの間の二国間経済協力としてやられてきたはずでございますが、その
概要
について御
説明
を願いたい。
中村泰三
90
○中村
説明
員 昨年十二月八日、ソマレ首相来日の際に、日本・パプアニューギニア共同コミュニケが発表されまして、その際、福田総理は先方の要請に基づき、フィージビリティー確認を条件といたしまして、千三百万ないし千五百万米ドルに相当する
金額
の資金協力に応ずる用意がある、そのほか、技術協力についてもお手伝い申し上げたい、こういうふうな
内容
の合意ができました。本年三月、この共同コミュニケのフォローアップといたしまして、
政府
の代表団を現地に派遣いたしまして、
わが国
の約束いたしました資金協力の
内容
につき先方
政府
と意見を交換し、資料の
提出
等も受け、現在この借款の中身につきまして鋭意検討中でございます。 技術協力その他につきましては、パプアニューギニアは一九七五年に独立いたしましてまだ日が浅いわけで、経済協力等の実績は少のうございますが、無償案件としましては、漁業訓練大学、これに六億六千万の無償資金協力をいたしまして、漁業の訓練大学を現地につくった。それ以外には、研修員の受け入れであるとか、あるいは専門家の派遣、さらには先方の要請に基づきまして、先方の経済開発計画に対する調査団の派遣、こういうような技術協力を実施いたしております。
永末英一
91
○永末
委員
この福田総理大臣とソマレ首相との共同コミュニケによる経済協力は、まだ調査中であって、それがまだ実施されていないかのような御答弁でございますが、その中で、たとえば電力、道路、上下水道等あるいは漁港等に対する経済協力は話し合われたと聞いておりますが、それらは具体的に検討されつつあるのですが、
金額
だけ約束されて、中身についてはこれからやるのですか、いかがですか。
中村泰三
92
○中村
説明
員 ソマレ首相からは、電力、上下水道、道路、漁港等のプロジェクトに対する借款の要請がございました。先ほど申し上げましたとおり、調査団を派遣いたしまして、先方
政府
との間に案件の詰めを行いました。わが方といたしましては、このプロジェクトの成熟度の高いもの、あるいはフィージビリティーのあるもの、それから直接住民が利益を受けるというような観点からプロジェクトの詰めを行っておりまして、そう遠くない将来に
わが国
として具体的な案件の決定が行える、そういうふうに考えております。
永末英一
93
○永末
委員
先ほど国際金融
局長
の方から、すでに国際
金融機関
からいろいろな資金の融資があって、いろいろなプロジェクトが進行しておる。
わが国
のみならず、ほかの国もこの国にはいろいろなプロジェクトが進行しておる。オーストラリアは、年間オーストラリアドル一億ドルをもう三年ほど、合計五年間財政援助をしていく、こういうことでいろいろやっておるのでございます。
わが国
は、いま
政府
の調査団が行ったようでございますが、それぞれ進行しているそれらの企画を全部把握をして、そしてむだのないように、また、この
地域
の
国民
たちが一番喜ぶように計画は立てられると思いますが、少なくとも
わが国
の資金が出ている国際三
金融機関
のやっているものとわれわれとの整合性はとっておられるでしょうね、いかがですか。
中村泰三
94
○中村
説明
員 現在パプアニューギニア側が
わが国
に要請中の案件の中には、アジア開発銀行との協調融資を期待している案件もございます。したがいまして、わが方の借款供与に当たりましては、パプアニューギニア
政府
及びアジア開発銀行と協議を行い、これら国際
機関
の援助との整合性に十分配意しつつ検討してまいりたいというふうに考えております。
永末英一
95
○永末
委員
協調融資ということがございまして、
わが国
の一・三倍の
地域
でございますが、人間の住んでいるところがぼつぼつある程度でございますから、まさしく協調融資ということが起こり得ると思うのです。したがって、二国間協力でございましょうとも、その
地域
における経済効率を高めるためには、やはり十分協調融資ということを考えてやるべきだと思います。国際金融局の方には、そういう意向を世銀なり第二世銀に、
わが国
の意向として伝えて協力の整合性を保つという御用意はございますか。
旦弘昌
96
○旦
政府
委員
アジア開発銀行だけでございませんで、たとえば世銀などにつきましても、先方からも日本との協調融資をやってもらいたいという要望もございます。私どもの態度といたしましては、それは積極的に前向きにそういう要請にこたえてまいりたい。そうすることによりまして、それらの
機関
の専門的知識等も利用することができますししますので、そういう方向で今後対処してまいりたい、かように考えております。
永末英一
97
○永末
委員
先ほど円借款の話がございましたが、これはこの共同コミュニケによって千三百万ないし千五百万ドルに相当する資金協力、こういうことでございます。いろいろ相手方から注文のございました単項目につきましては、これは技術協力で処置をするのであって円借款のものは別というのですが、それもオーバーラップしているのですか、どういう計画になっているのですか。技術協力をやるものについては別途また
わが国
の予算を立ててやるのですか、円借款の中でやるのですか、オーバーラップしているのですか。
中村泰三
98
○中村
説明
員 技術協力につきましては、別途技術協力予算の中で実施する考えでございます。
永末英一
99
○永末
委員
円借款と別ですね。
中村泰三
100
○中村
説明
員 そうでございます。
永末英一
101
○永末
委員
大体どれくらいの予算を見込んでおられますか。
中村泰三
102
○中村
説明
員 具体的にパプアニューギニアに対する技術協力の予算というのは別に立てておりませんが、国際協力事業団が持っております技術関係予算、これは全部で本年は二百九十七億持っておりますが、その全体の枠の中で各国の要望を照らしつつ実施してまいりたいというように考えております。
永末英一
103
○永末
委員
これは双方の首相が約束をし、特に
わが国
に縁のある
地域
でございますので、全体の技術協力からまとまったらちょびちょびやろうというのじゃなくて、やはりある程度まで調査が進めば、積極的にパプアニューギニアに対する技術協力の予算というものをめどをつけて実施をしていただきたい。そういう御用意ございますな。
中村泰三
104
○中村
説明
員 私たちとしては、積極的に協力してまいりたいと考えておりまして、現在先方
政府
も、
わが国
の技術協力の実施の
制度
あるいは
手続
等についていろいろ細かく質問してまいっておりまして、わが方としてもこれに前向きに対処する考えでございます。
永末英一
105
○永末
委員
この技術協力等につきまして、海外青年協力隊の派遣方を一部要望している現地の人もおります。これがもともとオーストラリアの施政権下であった時代には、直接の外交交渉権がないのでそのままになって、独立後もそのままでございますが、私はこの
地域
は、われわれが持っております海外青年協力隊の隊員がやはり体を運んでやるべき
地域
の一つだと思います。 もう一つは、これはあなたの直接の関係でございませんが、通産省ではジェトロの開設をこの
地域
で内定をし、そして昨年から予算まで組んでおるわけですね、なかなかそれができない。ジェトロというのは、いまや発展途上国に対しては、発展途上国の経済開発、経済協力というところに重点を置く仕事が多くなっているわけでございまして、それらについてこの二つについて、あなたの方はどういうお考えですか。
中村泰三
106
○中村
説明
員 まず青年協力隊につきましては、発展途上国の間で非常な好評を博しておりまして、われわれといたしましても、こういう途上国との経済協力に熱心に取り組む青年を派遣いたしまして、途上国の要望にこたえたいと考えております。青年協力隊の派遣につきましては、まず事前に受け入れ国
政府
との間で、専門家の特権免除その他につきまして基本的な約束をつくるというのが前提になっておりまして、まだパプアニューギニア
政府
との間にはそういう協定ができておりませんが、もし先方
政府
がそういうことを希望いたしますなれば、私たちとしても、基本協定を結び、青年協力隊を派遣するという方向で検討してまいりたいというように考えております。 それから、第二点のジェトロにつきましては、所管の外の問題でございますし、
事務
所を開くということも私、承知しておりませんので、この場においてコメントを差し控えさしていただきたいと思います。
永末英一
107
○永末
委員
青年協力隊はその線でお進めいただきますよう、また、ジェトロは通産省の所管だけれども、あなたの方の大使館がすでに開設をされており、外交問題、開設されるまでは外務省が窓口なんだから、やはり積極的に相手方に要望があればこれを開設する方向で、日本とパプアニューギニアとのつながりは太ければ太い方がいいと思いますので、ひとつせっかく関係部局と御相談をしてお進め願いたい。 大蔵大臣、というような事情でございまして、パプアニューギニアというものをひとつよく御認識いただいて、これから
わが国
の経済協力について、大蔵大臣といたしましても関心を払っていただけると思いますが、お答えを願いたい。
村山達雄
108
○
村山
国務大臣 先年パプアニューギニアの首相がおいでになって、晩さんをともにしたのでございます。非常に和気あいあいたる中に両国の協調を誓い合ったわけでございます。いま外務省の
説明
を聞きますと、すでに着々実行の緒についておるようでありまして、まことに喜ばしいことと思うわけでございます。われわれといたしましてもできるだけ協力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
永末英一
109
○永末
委員
よろしく。 質問を終わります。
大村襄治
110
○
大村委員長
永原稔君。
永原稔
111
○永原
委員
質問が大分重複しますので、簡単にお願いしたいと思います。 大臣の
提案理由
の
説明
で、IMF第六次
増資
に合わせて、
世界銀行
の
増資
が決議されたというように書かれておりますけれども、この世銀の前提にある
国際通貨基金
の現在の
活動
状況は一体どうでしょうか。国際経済が非常に混乱している、世界的な同時不況、こういうような状況の中で貿易の不均衡が起こっている、
わが国
の黒字が非常にたまっているという中で赤字に悩む国もある、そういうものに対応しながら
国際通貨基金
がどういうような
活動
をしているのか、その辺お聞きしたいと思います。
旦弘昌
112
○旦
政府
委員
簡単に申し上げますと、IMFは世銀と並びまして、世界経済の安定のためにつくられたものでございますが、その
活動
範囲は国際収支の対策が主眼でございまして、基本的に規定されておりますIMFの
活動
のほかに最近では、昨年八月に国際収支
調整
の支援を
目的
といたしましたいわゆるウィッテフェーン・ファシリティーという
制度
をつくりまして、これに主要国、石油産出国を含めました国が参加して、国際収支の困難に直面している国々に支援の手を差し伸べるということをまず決定をいたしました。 それから第二には、IMF自体の資金基盤を
強化
するために、現在第七次
増資
について検討を行っておるところでございます。第六次
増資
につきましては、この四月一日に協定改正が発効をしますと同時に第六次の
増資
につきましてその
手続
を現在踏んでおるところでございますが、その次の第七次
増資
についていま議論が進んでおるところでございます。 それから一方、通貨面につきましては、この四月一日に第二次のIMFの協定改正が発効いたしましたので、ここでフロート制が正式に協定上認知されるということになりまして、その新しい協定のもとにおきまして、各国は今後IMFと年次協議を行うということで、各国の為替相場政策に関しましてIMFが監視と申しますか、サーベーランスを行っていくということで、為替面における安定に努力をしてまいるというのが現在の状況でございます。
永原稔
113
○永原
委員
所期している成果が上がっていると御判断になっていますか。
旦弘昌
114
○旦
政府
委員
IMFの従来の
活動
は、やはりかなりの成果があったものと私どもは認識いたしております。もちろんこれで完璧であるということではないわけでございまして、国際経済の波乱が現在あることはそのことを示しておるわけでございますが、それを何とか乗り越えていこうという努力は、あらゆるIMFの機会を通じまして努力がなされておるというふうに評価をいたしております。
永原稔
115
○永原
委員
先ほど世銀のシェアなどについても、IMFとの関連でいろいろお話がございましたけれども、IMFのシェアの拡大ということになりますと、設立の原点から考えていった場合に、日本の立場が非常にこれを拡大するのにはなかなか不利なような状況にあるのではないかという気がするのですけれども、それは一体どうでしょうか。
旦弘昌
116
○旦
政府
委員
IMFのシェアの拡大につきましては、日本のような後でIMFに参加した国、しかもその後目覚ましい経済発展をした国と、それから、たとえばイギリスのように当初からこれに参加しておって、その経済成長が日本などに比べますとおくれた国との間には、
現状
におきましてもこのシェアに格差があることは事実でございます。その国々の経済力を基準にいたしましてシェアを計算いたしますと、日本のシェアはなお低い、その点はドイツなどと同じ実情でございます。 この点につきましては、累次にわたりまして御
説明
いたしておりますように、第六次の
増資
の際にもわれわれは努力して若干ながらそのシェアの向上を得たわけでございますが、現在話をいたしております第七次
増資
におきましても、基本的にはそのシェアの
調整
をすべきであるということで対処しておるところでございます。
永原稔
117
○永原
委員
ちょっと話が飛躍しますけれども、任命
理事
国になったメリットはどういうところにありましょうか。
旦弘昌
118
○旦
政府
委員
任命
理事
国になりますと、日本の場合、任命
理事
国でない場合のことを考えてみますと、日本もかつてそうであったわけでございますけれども、アジアの数カ国と共同いたしまして日本の
理事
が、日本だけでございませんでそのほかのメンバーの国の意見もあわせて発言をするということにならざるを得ないわけでございますが、任命
理事
国になりますと、日本だけで任命できる。そうでない場合には、その関係国の間の選挙で任命をするということになるわけでございますが、任命
理事
国でありますと、日本の
政府
が
理事
を任命する。したがいましてその
理事
は、純粋に日本の立場を強く主張することができるというころで立場が強くなるのではないか、かように考えております。もちろんその間におきまして、日本の利益だけということを考えるべきではございませんけれども、立場が強くなることは明らかであろう、かように考えております。
永原稔
119
○永原
委員
今度の世銀の出資、イギリスは
増資
に応じておりませんですね、公社の方は応じておりますけれども。経済情勢もいろいろあろうと思いますが、いま任命
理事
国になって発言力が強大になってきた場合に、IMFのいろいろな関係もあるかもしれませんけれども、こういう世銀やあるいは公社に対する出資のシェアを拡大する、こういうようなことについては、努力して成果を上げることができるでしょうか。
旦弘昌
120
○旦
政府
委員
今般の世銀の
増資
につきましては、第六次のIMFの
増資
の数字をにらみながら各国のシェアを決めたのでございまして、これが従来からの世銀の慣行でございます。したがいまして、その結果
わが国
のシェアが若干ふえるということになるわけでございますが、今後のIMFの第七次
増資
は、この次に参ります世銀の
増資
の際に、そのシェアを配慮しつつ世銀のシェアも決められるということでございますので、そういう過去の経験にかんがみまして、今後とも日本の
増資
のシェアをふやす方向で努力してまいりたい、かように考えております。
永原稔
121
○永原
委員
第七次のIMFの
増資
については、いま第七次の検討とおっしゃいましたけれども、こういうのはどのくらいの期間がかかって結論が出るものですか。それに伴ってまた、世銀の
増資
というのが引き続いて行われると思いますが、お見込みはいかがしょうか。
旦弘昌
122
○旦
政府
委員
第七次のIMFの
増資
につきましては、今月末メキシコにおいて開かれます暫定
委員会
におきましても協議をすることになろうかと思います。ただ、参加国の間のシェアの
調整
につきまして、全体の
増資
をどのくらいにするか、また、その枠の中におきまして各国のシェアの
調整
をどういうふうにするのか、現在のまま据え置くのか、それとも過去のように選択的
増資
をするのか、そこのところの意見が非常に食い違っておるわけでございますので、この暫定
委員会
では恐らく結論は得られないのではないか。そうしますと、その後を受けまして、IMFの
理事
会でこの
審議
を続けていくことになろうと思います。ただいまの段階でいっその結論を得るかということをちょっと申し上げられないのでございますけれども、なるべく早く結論を得たいものだ、かように考えております。
永原稔
123
○永原
委員
非常に国際経済協力について先ほどからお話が出ていて、まだ低いという批判を受けているわけですが、ぜひこういうような面について、経済の実態に即応したシェアを獲得できるようにしていただかないと、こういうのがもう上の方から決まってしまって、そして結局シェアが小さい、経済協力が非協力だ、こういうような批判を受けるのは耐えられないことですから、大蔵大臣もせっかく御努力をいただきたいと思います。 今度の予算に計上されている十一億四千万というのは、これは払込資本金に対して一〇・九%になるのでしょうか。こういう率がどこで決められたのか、世界の各出資国は共通なのか、前回はどうだったのか、そういう点ひとつ。
旦弘昌
124
○旦
政府
委員
この
総務会
の決議によりまして、応募額全体の一〇%を払い込むということになっております。その払い込みにつきまして、世銀が規定を設けておりまして、その一〇%の一部は国債で払い込むことができるというふうな規定になっております。このルールは過去も同じルールでございますが、その現金と国債の払い込みの比率は、全体の一・〇九%、これが現金、これが日本の場合には十一億四千万円ということでございまして、あと残りの八・九一%は国債で払い込む、合わせて一〇%ということでございます。
永原稔
125
○永原
委員
いまの八・九一%の国債、通貨代用証券は、普通の国債と性格が違うと思いますけれども、こういうものの現金化がどういうように行われていくのか。それによって減債
措置
というのは変わってくるんではないかと思いますが、いまの減債
制度
の中でこれについて償還をおやりになっているのかどうか、そういう点はいかがでしょうか。
旦弘昌
126
○旦
政府
委員
この世銀の出資払い込みに用います出資国債は、交付公債の一種でございまして、金銭にかえて交付するために発行をされるものでございます。それで、過去の例を見ますと、世銀につきましては、この国債は一年以内に現金化の要請があるのが通例でございますので、五十三年度予算につきましてこの全額に相当します
金額
の償還財源を国債整理基金特別会計で手当てをしております。
永原稔
127
○永原
委員
大蔵大臣、円高でいま苦しんでいますけれども、円安という状況があらわれるでしょうか。
村山達雄
128
○
村山
国務大臣 これは投資勘定の方の支払い勘定になるわけでございますから、やはり全体としては、どちらかといえばそちらに働く理屈でございます。
永原稔
129
○永原
委員
この十一億四千万、それから公社に対する十一億九千四百万、この
執行
の時期、これを考えて申し上げたわけです。いま二百二十何円というようなそういう円高の状況が円安になっていけば、いつ納めるのか、そういう点についてお考えになっていらっしゃるのかどうか、伺ったわけです。
村山達雄
130
○
村山
国務大臣 これは現金の方はすぐ払い込むわけでございますが、交付公債の方は請求があり次第出すわけでございます。通常は年内にあるはずでございます。請求のあったときに出すということになります。
永原稔
131
○永原
委員
九月までにお出しにならなければいけないわけでしょう、現金の分については。
旦弘昌
132
○旦
政府
委員
現金につきましては直ちに払い込みたいと思っております。それから国債につきましても、私どもといたしましては八月の末くらいまでには払い込みを済ませたい、かように考えております。
永原稔
133
○永原
委員
いろいろ聞きたいことがあるのですけれども、時間も余りありません。 世銀の貸付原資は一体どういうものでしょうか。借入金が中心ではないかと思いますけれども、その借入金の発行先、一番多いところはどこなのか、日本の引き受けがどのくらいになっているのか、そういう点、たとえば世銀債などについてうまく日本で消化されているのかどうか、そういう点などを
最後
にあわせてお聞きして質問を終わります。
旦弘昌
134
○旦
政府
委員
世銀の貸付原資は、大まかに申しまして三つございまして、一つがいま御質問のございました払い込みの資本金でございます。これが約三十億ドルでございます。それからあと借入金、これが一番多うございまして、約百八十四億ドルの借入金でございます。そのほかに利益及び準備金が約十九億ドルございまして、全部で二百三十四億ドルの原資を持っておるわけでございます。 それから、いまの借入金の内訳でございますが、その全体のうち、日本からの借り入れが二十三億八千二百万ドルでございまして、約一一%でございます。日本からの借り入れの大きなものは円建ての世銀債でございますが、これの発行実績を見ますと、飛ぶように売れておるということでございます。
永原稔
135
○永原
委員
最後
と言いながら立つのは恐縮ですけれども、二十三億八千二百万ドル、こういうようなものが海外経済協力の中ではどういうように評価されるのか、その点だけ聞かしてください。
旦弘昌
136
○旦
政府
委員
円建て債につきましては、これは民間の投資家がなさるものですから、ODAにはカウントされないわけでございます。日銀が貸しておる金につきましては、これもODAではございません。その他の
政府
資金という整理をいたしております。ODAにはカウントされません。
永原稔
137
○永原
委員
終わります。
大村襄治
138
○
大村委員長
これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————
大村襄治
139
○
大村委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の
申し出
もありませんので、直ちに採決に入ります。
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
140
○
大村委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————
大村襄治
141
○
大村委員長
ただいま議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・
国民
会議
、民社党及び新自由クラブを代表して野田毅君外四名より、
附帯決議
を付すべしとの動議が
提出
されております。 この際、
提出者
より
趣旨
の
説明
を求めます。野田毅君。
野田毅
142
○野田(毅)
委員
ただいま
議題
となりました
附帯決議
案につきまして、
提出者
を代表してその
趣旨
を簡単に御
説明
申し上げます。 案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。 御承知のように、
国際復興開発銀行
と
国際金融公社
とは、
加盟
開発途上国
の経済開発等に多大の貢献を果たしてまいったのでありますが、この両
機関
に対しまして、
わが国
は、出資あるいは融資等を通じその
活動
を支援し、また
機関
内にあっては
理事
国としてその
運営
に重要な
役割り
を果たしてまいりました。 今回、追加出資を行うに当たり、
開発途上国
の社会的、
経済的開発
を促進するため、
世銀グループ
の使命がさらに重要となっている
現状
にかんがみ、
わが国
としては、その
運営
に対しましてより積極的に協力を行うべきであり、また、
加盟
国の出資シェア等については、その国の経済力をさらに十分反映したものとなるように努めることが必要であります。 本決議案は、このような見地から、
政府
に対しなお一層の努力を要請しようとするものであります。 何とぞ御賛成くださるよう、お願い申し上げます。
—————————————
国際通貨基金
及び
国際復興開発銀行
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
及び
国際金融公社
への
加盟
に伴う
措置
に関する
法律
の一部を改正する
法律案
に対する
附帯決議
(案)
政府
は、
国際復興開発銀行
等の
増資
に当たつては、その
機関
の任務の重大性にかんがみ、最近における
加盟
国の経済の実態を十分反映したものとなるように努め、その
運営
についても、より積極的に協力するよう努力すべきである。
—————————————
大村襄治
143
○
大村委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく
附帯決議
を付するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
144
○
大村委員長
起立多数。よって、本動議のごとく
附帯決議
を付するに決しました。 本
附帯決議
に対し、
政府
より発言を求められておりますので、これを許します。
村山大蔵大臣
。
村山達雄
145
○
村山
国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、
政府
といたしましては、御
趣旨
に沿って十分努力いたしたいと存じます。
—————————————
大村襄治
146
○
大村委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大村襄治
147
○
大村委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に
掲載
〕
—————————————
大村襄治
148
○
大村委員長
午後二時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後一時四十九分休憩 ————◇————— 午後二時三十七分
開議
大村襄治
149
○
大村委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
及び
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
の両案を一括して
議題
といたします。 これら両案について
政府
より
提案理由
の
説明
を求めます。
村山大蔵大臣
。
—————————————
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
村山達雄
150
○
村山
国務大臣 ただいま
議題
となりました
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案
の
理由
及びその
内容
を御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、
国家公務員共済組
合法等の規定により支給されている
年金
につきまして、その額を引き上げることとするほか、
最低保障額
の引き上げ、老齢者等に対する年
金額
の算出率の
特例
の改善、
寡婦
加算額
の引き上げ等、所要の
措置
を講じようとするものであります。 次に、この
法律案
の
内容
につきまして御
説明
申し上げます。 第一は、
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額を
改定
することであります。すなわち、旧令による
共済組合
等からの
年金
受給者のための特別
措置
法、旧
国家公務員共済組
合法及び
国家公務員共済組
合法に基づく
年金
のうち、
昭和
五十二年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、このたび別途、本国会で成立いたしました恩給法等の一部を改正する
法律
による恩給の額の
改定
措置
にならい、
昭和
五十二年度の国家公務員の給与の改善
内容
に準じ、年
金額
の算定の基礎となっている俸給を増額することにより、本年四月分以後、年
金額
を引き上げることといたしております。 第二に、公務関係
年金
及び長期在職者等の受ける退職
年金
等の
最低保障額
を、恩給における
措置
にならい改善することといたしております。 第三に、恩給公務員期間等を有する者に対する
特例
措置
の改善といたしまして、長期在職した七十歳以上の老齢者等に対する年
金額
の割り増し
措置
の改善を図ることといたしておりますが、これも恩給における
措置
にならうものであります。 第四に、遺族
年金
に加算される
寡婦
加算及び遺族加算の額をそれぞれ年額一万二千円引き上げることといたしております。 以上のほか、掛金及び給付額の算定の基礎となる俸給の最高限度額を、公務員給与の
改定
状況等を考慮して、
現行
の三十六万円から三十八万円に引き上げることとする等、所要の
措置
を講ずることといたしております。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及びその
内容
であります。 何とぞ、御
審議
の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
大村襄治
151
○
大村委員長
福永運輸大臣。
—————————————
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
福永健司
152
○福永国務大臣 ただいま
議題
となりました
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
の
提案理由
につきまして御
説明
申し上げます。 この
法律案
は、公共
企業
体の
共済組合
が支給しております退職
年金
等につきまして、このたび別途、本国会で御
審議
いただいております恩給法等の一部を改正する
法律
による恩給の額の
改定
措置
に準じて年
金額
を引き上げるとともに、
寡婦
加算の額の引き上げ等の
措置
を講ずるため、所要の改正を行おうとするものであります。 次に、この
法律案
の
概要
につきまして御
説明
申し上げます。 第一に、公共
企業
体の
共済組合
が支給しております退職
年金
等のうち、
昭和
五十二年三月三十一日以前に給付事由が生じたものにつきまして、恩給等の改善
措置
に準じ、その年
金額
の算定の基礎となっている俸給を
昭和
五十二年度の国家公務員の給与の改善
内容
に準じて引き上げることにより、
昭和
五十三年四月分から年
金額
を引き上げることといたしております。 第二に、旧
国家公務員共済組
合法等に基づく退職
年金
等の
最低保障額
につきまして、恩給等の改善
措置
に準じ、
昭和
五十三年四月分から引き上げるほか、六十歳以上の者等に支給する遺族
年金
の
最低保障額
につきまして、
昭和
五十三年六月分から、その額をさらに引き上げることといたしております。 また、旧
国家公務員共済組
合法に基づく殉職
年金
等につきまして、恩給等の改善
措置
に準じ、その扶養加給の年額及び
最低保障額
を
昭和
五十三年四月分から引き上げるほか、
最低保障額
につきまして、
昭和
五十三年六月分から、その額をさらに引き上げることといたしております。 第三に、長期在職した七十歳以上の老齢者等に対する年
金額
の割り増し
措置
を改善することとし、恩給等の改善
措置
に準じ、
昭和
五十二年六月分から、その
年金
の額を引き上げることといたしております。 このほか、遺族
年金
等に加算される
寡婦
加算及び遺族加算の額につきまして、
昭和
五十三年六月分から、その額を年額一万二千円引き上げることとする等所要の
措置
を講ずることといたしております。 以上が、この
法律案
を
提出
する
理由
であります。 何とぞ、慎重御
審議
の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
大村襄治
153
○
大村委員長
これにて両案の
提案理由
の
説明
は終わりました。
—————————————
大村襄治
154
○
大村委員長
これより、質疑に入ります。 質疑の
申し出
がありますので、順次これを許します。
山田耻目君
。
山田耻目
155
○
山田
(耻)
委員
共済
年金
の
審議
にきょうから入るわけですが、今回は恩給法の引き上げを受けて共済に絡めておるものですから、本質的改正要点というのは別に見当たりません。この共済
年金
は、私たちは一応賛成という立場で進めてきておりますので、後ほど同僚議員から細部にわたって詳しく
審議
を進めてまいる予定でございますが、私は、当面しておる共済
年金
というのが非常に不安定な要素を強めつつある、これが気になってなりません。 最近の
国民
の側から見る
年金
というのは、経済の不況もありますし、生活不安というものもあるのだと思いますが、非常に
年金
に対して関心が強まっているのです。昨年は御存じのように、官民格差論がぐっと表面に出てくるし、ことしは基礎
年金
構想問題が出てきております。それぞれが、将来に向かってあるべき
年金
制度
、こういうことが模索されておる、
国民
の意見も出ておるということだと思います。 最初に申しましたように、私たちは、
年金
全体について
審査
するわけではございませんけれども、厚年など他の
年金
との横並びというものも無視できない、そういう立場から、いま共済
年金
は各単位共済ごとどういう
現状
に立ち至っておるのか、やはりこの点をひとつ把握をしておきませんと、将来の共済
年金
構想というものも出てこないような気がしますので、そこらあたりについて本日はお尋ねをしておきたいと思います。 まず第一点は、単位共済ごとに歴史が違いますし、そういう経過年数も違っておりますので、成熟度がそれぞれ異なっています。それぞれ異なった成熟度というものを、ある
一定
の段階がくれば、何とかしてひとつ可能な限りの共通の条件をつくりながら統合してまいりたい、こういう発想というのは、ここ数年来本法案の
審議
を続けてきました中でも幾たびか繰り返されてきたのだと思いますが、ようやくそういう時期が本当に迫ってきた、私はそういう感じがしみじみいたしておるわけです。単位共済の可能な限りの条件をそろえながら統合への足がかりをつくり上げていく、こういう段階に近づきつつある、この判断を一体大蔵省はどう見ておられるか、これらについて御答弁をいただきたいと思います。
禿河徹映
156
○
禿河
政府
委員
ただいま先生からお話がございましたとおり、
共済組合
制度
の中で、各単位共済の成熟度等の差によりまして、
制度
としては同じでも
負担
とかいうふうな面でいろいろ差異が出てきておることは事実でございます。またあわせまして、公的
年金
制度
全体の中で国家公務員共済
制度
というものをどう位置づけしていくのかというふうなことは、長期的な観点に立ちまして私どもも十分検討を進めていかなくちゃならない、こういう問題であろうと思っております。 第一段の、
共済組合
制度
の中で各単位共済によりまして成熟度が違う、これが今後さらに社会全体の老齢化が進んでいく、あるいは
制度
の成熟化が進んでいくということによりまして、その間におきます差と申しますか、
負担
の格差等の問題がさらに一段と強くなってくる、そういう面は当面否定できない事柄であろうと思っております。そういう問題を私ども踏まえまして、長期的に各共済
制度
の横の連絡
調整
と申しますか、財政
調整
等の問題、これはなかなか一朝一夕でできる問題とは考えておりませんけれども、そういう問題意識を十分頭に置きながら、これから十分真剣に検討に入ってまいりたいと考えております。
山田耻目
157
○
山田
(耻)
委員
気持ちは私と同じだと思うし、問題意識も同じような立場であります。 そこで、もっとこの問題を具体化してみたいと思うのですが、五十四年十月、こうした共済
年金
の財源再計算時期に入るわけです。ここでどういう展望を立てるかということはきわめて重要な事柄でありますが、まずその前に、運輸省の山地鉄道部長にお伺いしたいのですが、たとえばいま一番問題が明確になってきておる
状態
の中で三公社ございます。中にはなかなかりっぱなのもございますけれども、三公社の成熟度比率、これをお話しいただきたい。二番目には各公社ごとの財源率、三番目には各公社ごとの掛金率をお聞きしたい。この三つについて御
説明
をいただきたいと思います。
山地進
158
○山地
政府
委員
まず最初に、成熟度でございますけれども、専売公社の場合には、
組合
員と受給者との比率でございますが、五十一年で三五・九、
年金
者一人当たりの
組合
員数にいたしますと二・七八人でございます。国鉄の場合は、同様な比率で五十一年に五七・三、
年金
者一人当たりの
組合
員数は一・七四でございます。電電の場合には、一三・五でございまして、
年金
者一人当たりの
組合
員数は七・四三でございます。 長期の財源率でございますけれども、専売の場合には、掛金は千分の四十八・五でございます。公社の
負担
金の方は千分の六十六・五、合計いたしまして千分の百十五でございます。国鉄の場合は、同じような比率で五十三年から、長期の掛金率は千分の六十二でございます。
負担
金の方は千分の八十五、合計いたしまして千分の百四十七でございます。電電は、同じような順で申し上げますと、掛金率が千分の四十八でございまして、
負担
金の方は千分の六十六、合計いたしまして千分の百十四でございます。
山田耻目
159
○
山田
(耻)
委員
私の聞く時間がありませんから進んでまいりますが、いまの財源率、掛金率を見ますと、浜田さん、国鉄は異常に高いですね。ちょっと計算しかけておったのですが、恐らくそれぞれ三割近く高い。保険数理に基づいた
年金
財源ですから、一体この
状態
で将来不安なく進めていけるとお考えでしょうか。来年十月の再計算期に向かってどう判断をされておられるでしょうか。その点、国鉄の事情をお話しいただきたいと思います。
濱田卓實
160
○濱田
説明
員 ただいま先生御指摘のとおり、国鉄共済
年金
の財源率、したがって
職員
の掛金率は、他に比べて高くなっておるということでございますが、これは昨年の九月の収支計画策定
審議
会の答申に基づきまして、この四月からこういうふうにアップしたものでございます。これと同時に、追加
費用
の方も実額を全額ことしから繰り入れる、こういう
措置
を五十三年度から講ずるということで、現在、これは五十五年度までこのままで推移できる、毎年度百億前後の黒字をもって推移できる、こういう見通しであります。 五十六年度以降につきましては、今後の経済情勢、国鉄内部の退職条件、要員需給
状態
、あるいはまた国全体の公的
年金
制度
のあり方、そういうものの動向をよく見つつ、財源率、ひいては
職員
の掛金率が非常に過大なものにならないようにできるだけの方策を講じていきたい、かように考えております。
山田耻目
161
○
山田
(耻)
委員
禿河
さん、いかがでしょうか、いま聞いておりますと、五十五年までは一応切り抜けられていくようですが、これ以上掛金を高めて掛金率が上昇していくということになると必ず問題が出てくるような気もします。短期の場合は去年、それとは明文化しておりませんけれども、千分の五十を一応のめどにして、全林野の関係で一億八千万円
救済
したことがあるのですね。ことしも何がしかの
措置
をするわけですけれども、短期、疾病に関する問題というのは人間にとっては一番大事なことだという
意味
から、比較的早く上限を設定して
救済
する、あるいは他の関連する法案の横並びで取り扱っていくということが早くからできているわけです。長期もいずれかの日に、成熟度の度合いの中で上限設定をしなければならぬのじゃないかという気がしますが、そういう点については御検討なさる意思はないのでしょうか。
禿河徹映
162
○
禿河
政府
委員
おっしゃいますとおり、
組合
員の掛金率が非常に過大と申しますか、
負担
に耐えにくいような急激な上昇を来すということは、共済
制度
の
運営
の根本にかかわってくる問題でございますので、その辺、私どもといたしましては十分頭に置いてまいらないといかぬと思っております。 ただ、一般論で大変恐縮でございますけれども、もう私から申し上げるまでもなく、
わが国
の
国民
全体から見ました場合は、租税並びに社会保険料の
負担
というものは諸外国に比べてまだかなり低い水準に実はあるわけでございます。
年金
等につきまして、
組合
員あるいは事業主等の
負担
にその財源を求めるのかあるいは租税に求めるのか、なかなかむずかしい問題であろうと思っております。 そういう問題をいろいろ考えてまいりまして、
組合
員の
負担
というものの急激な増高を来さない方策ということを考えてみます場合に、私どもは、何とか知恵を出して関係の方面ともいろいろ相談しながら今後十分検討はしてまいりたいと思いますけれども、いまお話がございました共済につきまして最高限度を、その
負担
に限度額を設けるということも、現在考えておりませんけれども、将来の問題といたしまして、そういう方策もあり得るのか、その場合どうするのか、こういうふうな問題もひっくるめて検討させていただきたい、かように思っております。
山田耻目
163
○
山田
(耻)
委員
これから十年も二十年も後のことをお互いに想定して言っているわけじゃないのです。もっと早い、そういうことを想定すれば、今度あなた方が大蔵省の中につくられた共済
年金
懇談会あるいは運輸省にできておる共済
審議
会、こういうところは何をするのか。こんなものをつくりさえすればいいというしろものじゃないのです。ここで何を
審議
するのか。だからここでは、いまの日本の
年金
行政というものは保険数理ですから、保険数理に成熟度がずっと強まってきて
部分
的に破綻をし始める、そういう事態に直面したとき、どこから手を入れるのかということがきわめて大事なんです。 いまの日本の九種類の
年金
関係でも、たとえば厚生
年金
は国庫
負担
二〇%、私学、農林は一八%、国家公務員共済、三公社共済は一五%、この開きが生まれた根拠は一体何なのか、それを現在の価値比準の中で明確に
説明
できますかということになりますと、横並び一本にすべきだという議論の方が早く出るのですよ。だから、そういうことを私は短時間できょうここで議論しようとは思わないが、こういうものを含めながら、冒頭私が申し上げましたように、可能な限り共通の条件を一つにしながら統合へ踏み切ってほしいなということを前提で申し上げておる。 こういう問題を含めて、大蔵省内にできた共済懇談会、運輸省内にできた共済
審議
会などで、本当は将来に備えて詰めておいてほしいということを申し上げているわけなんです。だから、その点をもっと進めてまいりますと、やはりこれは財源
調整
に返ってまいります。だからこの財源
調整
も、国公、三公社の共済一本の財源
調整
、その結論を得るためにプロセスはいろいろあります。いろいろ
調整
しなければならぬところもあります。一本の財源
調整
をして共済
制度
が安心をしてみんなも掛け金を掛けてくれるところは掛けてくれる、こういう条件をつくっていくのが私はこの
大蔵委員会
であったり、あるいは各省行政体の
役割り
であると思いますから、そういうことを含めて、いまの懇談会なり運輸省の共済
審議
会なりで、将来展望を立てながらひとつ検討していただくということについて異議はございませんでしょうか、この返事を聞いて終わります。
禿河徹映
164
○
禿河
政府
委員
私どもも、将来の問題として非常に重大な事項と考えておる次第でございます。いまお話がございました公企体関係の三共済、これの
審議
会という
機関
をつくり、あるいは本年に入りましてから国家公務員共済のほかに公企体、それから地方共済ひっくるめまして、私ども懇談の場を設け、これから検討を進めてまいりたいというのも、その
趣旨
に出たものでございます。 ただ、いろいろ考えてまいりますと、そういう方向に向かっていくといたしましても、種々の問題がございます。私どもそういう懇談会あるいは
審議
会の場を通じまして、
調整
すべき事項をできるだけ
調整
を図って、そして各共済が財政的にも確立し得るような方向を見出していきたいと考えております。
山田耻目
165
○
山田
(耻)
委員
私の気持ちとは若干違っている点がございますが、きょうはこれで終わります。 ただ、非常に重大な事態にきておる、それをそれぞれの懇談会なり
審議
会で詰めてほしい。それは一本化にする財源
調整
が軸になるのですよ。こういうことをお願いして、あなたの御返事があったものと私は理解しておきます。私は、非常に地獄耳ですから、聞いたら絶対忘れませんから、そういうことでひとつよろしく。どうもありがとうございました。
大村襄治
166
○
大村委員長
沢田広君。
沢田広
167
○沢田
委員
ただいま先輩の
山田
委員
から若干質問がありましたから、先にそれに関連してお伺いをしてまいりたいと思います。順序が不同になりますが、お許しをいただきたいと思います。 いま国で国庫
負担
をいたしておりまする点に触れました。厚生
年金
が給付の二〇%、坑内夫については二五%、船員保険については給付の二五%、それから
国民
年金
は、拠出の場合で給付の三分の一、同じく福祉関係で給付費の全額、それから、農林関係がいま言われたように一八、私立学校が一八、国家公務員、地方公務員はそれぞれ国及び地方公共団体
負担
。それと関連して国鉄の場合は、赤字財政であるということでもありますけれども、いずれにしても国鉄
負担
、国庫の
負担
がゼロである、こういう状況についてはどう御認識をなさっておられるのか。私たちから見ると、事業者
負担
というふうにしか理解できないのでありますけれども、他の
年金
制度
の国の
負担
との関係についての考えについてお伺いをしておきたいと思います。
禿河徹映
168
○
禿河
政府
委員
各種公的
年金
制度
の間におきまして国庫
負担
の割合が、先ほどお話がありましたとおり、差があるのは事実でございますが、これはもう御存じのとおり、いろいろな沿革的な事情がございます。さらに、各
制度
におきますところのたとえば給付開始年齢であるとかあるいは保険者なり被保険者の財政
負担
力の差とかいうふうないろいろな事情を考慮いたしまして、私どもといたしましては、何とか全体としてできるだけバランスがとれたような形に持っていきたい、こういうところから出たものでございます。 こういう公的
年金
制度
につきまして、国庫
負担
がいかにあるべきかという問題につきましては、いろいろ御議論のあるところではございますけれども、基本的にまず、保険料だけでは適当な給付水準を確保することができないような場合とか、あるいは被保険者の範囲が低
所得者
層にかなり広がっておるという場合とか、あるいは保険事故の性格上、被保険者とか事業主だけでその
費用
を
負担
させるということが必ずしも適当でないというふうな場合に国庫
負担
をつけていく、こういうふうな基本的な方向があるわけでございます。したがいまして、そういうふうな低
所得者
層に重点を置きながら国庫
負担
を配慮していくということが、やはり財源の効率的な配分という見地からも重要なことであろう、かように考えているような次第でございます。その辺から見まして、現在そういうふうに国庫
負担
に差がありますのは、いろいろ御議論は私ども十分存じておりますけれども、以上のような
考え方
から出たものであることを御了承願いたいと思います。
沢田広
169
○沢田
委員
いまお話しになられましたが、差があると言っても、一方の私が質問していることは、事業者
負担
という形になっていて、もとの日本国有鉄道という一つの形が存在をして、そのまま横すべり的に事業者
負担
という形式をとらざるを得なくなった。ところが、いま言われた分は、明確に国で予算を編成をしてそれで支出をしている。そのこととの対比に対する認識はどうなのか。差は、片一方の解釈によれば、その
意味
においてはゼロ、こういうことになるわけです。それはあなたの方としてはどういう位置づけで考えているのかということでお伺いをしているわけです。
禿河徹映
170
○
禿河
政府
委員
ただいまお話がございました点につきましては、かねてから御議論もあるところでございますが、やはり国鉄その他の公企体あるいは五現業の特別会計、それがいわゆる狭義の国庫
負担
分も
負担
しておられるという問題につきましては、私どもといたしましては、やはりこういう公企体等は公経済の主体として国と同様の
負担
をお願いしておるわけでございます。その
考え方
といたしましては、この公企体等は、たとえば土地収用等におきます場合の一種の特権とか、あるいは
企業
の独占権と申しますか、そういうふうなものの保障、さらには免税とかというふうな、いわゆる経済上のいろいろな諸
活動
につきまして国に準じた取り扱いがなされておりますので、やはりこういう
負担
の点につきましても、
民間企業
と同じように取り扱うということはいかがであろうか、こういうこともございます。 さらに、その狭義の国庫
負担
の問題につきましては、これは実はもう長い沿革的な経緯もあるわけでございまして、現
時点
でこれを方向転換をするというのは大変むずかしい問題でございます。それで私どもといたしましては、こういう公企体にそういう
負担
をお願いしております点を十分頭に置きながら、その公共
企業
体の経営全体というふうな問題でこの問題もあわせて考えてまいりたい。したがいまして、もしその公企体の経営上、今後いろいろ問題が起きるような場合には、その経営につきまして国としていかように対処しあるいはこれを
是正
をするべきか、こういうことの検討の中でこの
負担
問題もおのずから解消されるような方向で私ども考えていくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
沢田広
171
○沢田
委員
関連をいたしまして、恩給公務員でありました期間、あるいは軍人であった期間、あるいは満鉄等にいた当時の期間、並びに旧法の期間によって増加をした分、こういうものは、
審議
会の答申でも、ある
意味
においてこれは国鉄の事業体が
負担
する性格のものではない、ある
意味
においては国が担当するべきものである。これ以外にもいろいろありますけれども、一、二の例を挙げて申し上げますと、それらがいま言われた、国が今後、追加
費用
という言葉になりますか、過去債務という言葉も新たに出てきているわけですが、いわゆる過去債務の整理資金としての
役割り
も担いながら対処をする。同時に、いま言われた国庫の補助が出ているものと出ていないものとの格差というものについては、それはそういう形で、そういう考えを入れてといいますか、ストレートではないにしてもそういう考慮を入れて考えていかなければなるまい、こういうふうに考えているんだというふうに理解してよろしいですか。
禿河徹映
172
○
禿河
政府
委員
私が先ほど申し上げましたのは、いわゆる狭義の国庫
負担
、公企体あるいは国家公務員共済等で一五%の
負担
がございまして、それがほかに比べて低いとかというふうなこともありますけれども、そういうものは公企体当局が国にかわって
負担
しているということについての
考え方
を申し上げたわけでございます。 その関係で申しますと、いまお話がございました旧満鉄の
職員
に係ります国鉄共済のいわゆる過去勤務債務、この取り扱いにつきましても、やはり公経済の主体としての国鉄当局が
負担
していただくということが、現在考えられます仕組みと申しますかやり方の中で、その線を踏襲していくのが適当であろうかと思っております。これにつきましても、いろいろ御指摘のあることは存じておりますけれども、やはり旧満鉄
職員
等が引き揚げてきて国鉄等に入られたその
時点
、そういうふうな戦後の事情を踏まえまして、現在の国鉄共済等ができましたときに、その過去勤務債務を国鉄共済の中で引き継ぐ、こういう仕組みで今日まで至っているわけでございますので、従来どおり国鉄当局においてその分についても
負担
していただくということがやはり適当であろうかと考えております。
沢田広
173
○沢田
委員
適当であろうが、それがもし足らなくなれば、その分はやはりめんどう見ていかなければならない立場に国はあるんじゃなかろうかという設問ですから、それは国鉄でめんどう見て、
組合
員の掛金でこれをカバーしていいということにはなるまいということなんです。これは国家的な政策としてやっているわけですからね。 これは簡単でいいですから、お答えをいただくのは、その性格を——まあ事業体でめんどう見ていかなければならぬということは、それはそれでいいと思いますよ。しかしその分は、国の政策の一部であるから、当然国の政策の分として考慮していかなければならぬ。これは二度言っちゃったのですが、これらについては、いわゆる考慮していかなければならないという条件に当てはまるものであろう。そうでないと、それは
組合
員が掛金で支払い対象にすべき性格のものではないんじゃないか、一方では国庫
負担
もないんですから。こういう解釈についてはどうですか。
禿河徹映
174
○
禿河
政府
委員
その点につきましては、現在の
組合
員に
負担
させるわけではございませんで、事業主といたしましての国鉄が
負担
すべきそういう性格のものであると考えております。その
負担
の場合、国との関係におきましては、事業主としての国鉄がそういうものを
負担
し、それから、国鉄がその経営全体につきましていろいろ経営の努力を払われる、これはもちろんでございますけれども、そういうことをいろいろやりながら、しかも国鉄の経営全体について国が何らかの助成と申しますか
措置
を講じますような場合に、そういうものの中でそういう
負担
の問題も解消していけるような、そういうふうな方向で本問題に対処すべきであろう、かように考えている次第でございます。
沢田広
175
○沢田
委員
ちょっと広範な問題になりますけれども、あるいは
事務
当局だけでないかもわかりませんが、恩給法では、「公務員及其ノ遺族ハ本法ノ定ムル所ニ依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス」ということで出発をいたしました。これがいわゆる恩給法ができたときの当初の恩給法の
目的
であります。次に、旧
国家公務員共済組
合法ができた本旨は、「国に使用される者で国庫から報酬を受けるものは、この
法律
の定めるところにより、相互
救済
を
目的
とする
共済組合
を組織する。」こういうことで旧
国家公務員共済組
合法が成立をいたしました。その後、新国家公務員共済法に引き継いだわけでありますが、「相互
救済
を
目的
とする
共済組合
の
制度
を設け、その行うこれらの給付及び福祉事業に関して必要な事項を定め、もって国家公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与する」、そして「公務の能率的
運営
に資することを
目的
とする。」そしてその次に、「国は、前項の
共済組合
の健全な
運営
と発達が図られるように、必要な配慮を加えるものとする。」こういう条項をつけて国家公務員共済法はできているわけです。 続いて
国民
年金
は、「
憲法
第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によって
国民
生活の安定がそこなわれることを
国民
の共同連帯によって防止し、もって健全な
国民
生活の維持及び向上に寄与することを
目的
とする。」これは完全なる
憲法
の中からの
年金
制度
として規定づけをしているわけであります。加えて厚生
年金
の方では、「この
法律
は、
労働者
の老齢、廃疾、死亡又は脱退について保険給付を行い、
労働者
及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを
目的
」とする。そして
年金
は、
国民
の生活の水準その他の諸情勢に著しい変動があるときには速やかに
改定
する、これはどの
法律
にも入っております。 こういう
法律
体系の経緯の中で、国鉄の分は同じように、これはまたきわめて簡単なんです。相互
救済
によって行うとなっているだけなんであります。国は、前項の健全な
運営
と発達に必要な配慮を行うという条項は入っていないのです。この点はどういうふうに解釈したらいいのか。 それから、厚生
年金
の方の
法律
の
目的
、
国民
年金
の
法律
の
目的
、このいま言った恩給法から発生した新国家公務員共済法の
法律
と公共
企業
体の
法律
、これらの相関関係についてはどのように理解をされているのか、この機会に承りたいと思います。
禿河徹映
176
○
禿河
政府
委員
日本の現在の公的
年金
制度
というものが、いろいろ分立いたしておりますことは事実でございます。これは、それぞれの
制度
の
目的
あるいはその沿革ということの差によるものだと私どもは考えておりますが、国鉄の関係につきましては、運輸省当局の方から御答弁があろうかと思います。
沢田広
177
○沢田
委員
答弁は後でいいです。ついでに後でお答えください。 続いて、これは一般の厚生
年金
その他との格差の際に、前回も若干触れましたが、現在の公務員法また公務員の
共済組合法
で、禁錮、懲戒
処分
、停職を受けた場合については、減額あるいは全額減額ということに規定づけられているわけであります。これはどういう立場で、こういう禁錮であるとか、懲戒
処分
を受けたとか、それから停職の取り扱いを受けたとかいう場合に減給をするのか。 なお、減給の割合も、ここで細かくは私は言いませんけれども、公務員、国鉄、専売、電電、皆違うのでありますね。それの違うということのゆえんもどこにあるのか。 それから厚生
年金
の方は、こういう処罰があっても別に減額ということは規定されていない、この辺の差について解明していただきたいと思います。
禿河徹映
178
○
禿河
政府
委員
ただいまのたとえば禁錮、懲戒
処分
あるいは停職ということに該当いたしました場合の取り扱いといたしまして、いわゆる減額
措置
があることは御指摘のとおりでございますが、この仕組みと申しますか、そういう方法をとっておりますゆえんは、
共済組合
、特に
国家公務員共済組
合と申しますと、これは一般の社会保険
制度
、社会保障
制度
的なそういう保険
制度
ということにプラス、やはり公務員という特別な職域保険と申しますか、公務員の特殊性、そういう要素を加味した
職員
のいわば保険
制度
ということに基づくものでございます。したがいまして、全く純粋の社会保障
制度
であります厚生
年金
等に比べましてそこに違いがあるのは、ある
意味
で私どもは当然であろうと思っております。 ただ、こういう
制度
ができましたのは、たしか
昭和
三十四年の
国家公務員共済組
合
審議
会の答申に基づくものでございまして、現在のような仕組みをとっておるわけでございますが、その当時におきましても、いろいろ減額の幅あるいは期間等につきましても御議論はあったやに聞いております。それぞれの
共済組合
の性格、
目的
、そういうものに応じましてその取り扱いに差があるのは当然と思いますけれども、この問題につきましても、私ども今後の検討
課題
といたしましていろいろ検討は続けてまいりたい、かように考えております。
沢田広
179
○沢田
委員
それに関達して御検討いただくことでぜひひとつ、いままでのようなことのないように願ってやまないのですが、次に、公団等にいわゆる公務員をやめて配置がえしていった
職員
がいるわけであります。その
職員
は、厚生
年金
と国家公務員共済の掛金と両方掛けている。同時に国家公務員の共済
年金
をもらえる資格も継続するし、また厚生
年金
の受給資格も得る、こういうこと。いまの日本の
法律
体系においては、一人について一
年金
の加入であるということになっているわけであります。それが、国家公務員でいる者が住宅公団であるとか道路公団の方に配置がえですか、した場合については、厚生
年金
はそこで掛けて、二十年いればそこで
年金
もつく、そしてここの公務員の共済
年金
も同時に掛けていっている。その人の公務員法の義務というものはどうなのだろうか。国家公務員法によれば、国に使用されている者でなければならぬことになっているわけですから、そうなると、公務員法のいわゆる職務義務というものをあわせて持っていくのか。たとえば政治
活動
はできるのかできないのか。あるいは、自動車事故だとか贈収賄であるとかというようなことで起訴されても、一方は減額されるけれども、片方の公団にいる人は減額がされない、こういう問題が起きてくると思うのでありますが、この取り扱いについてどういうお考えを持っておられるか、お伺いをいたします。
禿河徹映
180
○
禿河
政府
委員
公務員共済の共済
年金
の受給資格を持ちながら、たとえば厚生
年金
のグループに新しく
組合
員として入っていくとなりました場合に、いまお話がありましたようなそういういろいろ刑罰に処せられたというふうなことがありました場合には、公務員共済の支給
金額
についての制限がかぶるわけでございますが、厚生
年金
の面におきましてはそういうふうな制限等の
措置
がございませんので、この厚生
年金
の方の受給については何も影響がない、そういう二つの仕組みに基づく差ということで
措置
されるわけでございます。
沢田広
181
○沢田
委員
私は別に、こういうプラスな面を剥奪しろと言おうとは思っておりません。大いにそれはプラスの面はプラスの面でいいと思うのであります。しかし、そのことによって
不平
等が起きてはいかぬということが言えるわけなんであります。 もう一つは、公務員が恩給官吏であった時代には、無定量の業務ということで規定づけをされてまいりました。だから、一般
国民
の市民としての権利を主張する場合に、ときたま警察当局と争う場合も多く出てくると思うのであります。私が若干検討してみましたら、建築基準法の場合、違反建築あるいは増築なんかの場合も出てくると思うのであります。あるいは道路法の六十七条、これは土地の立ち入りを拒否する場合であります。それから道路法の四十七条でありますが、重量制限の橋を渡った、こういう場合でも禁錮以上の刑に処せられる。あるいは道路に自分の家の木を切って置いておいた、土石竹木等を積載しておいた、これも
法律
の権限としては懲役なんであります。あるいは日照権の反対運動をやった、土地の立ち入りを拒んだ、これも土地区画整
理事
業の関係ではあります。それから都市計画法の八十一条では監督
処分
、都市公園法の監督
処分
、これらの命令に反したという場合、これは各
法律
にずっと見ていきますと無限ぐらいに、いわゆる公務員が市民生活をやっていく場合に、土地区画整
理事
業反対とか日照の反対とか道路拡張の反対であるとか、自分の生活を守るために行動を起こした場合に禁錮、あるいは、この前は自動車事故の場合を質問したわけでありますが、自動車事故が起きた場合にも、自分が正しいと思っても正当な訴訟行為が行えない。万が一判決が、自分が正しいと思っても裁判はわかりませんから、結果が禁錮以上の刑に処せられるということになれば、これは依願免職しないと
退職金
も棒に振ってしまう、こういうことになってくるので、正常な公務員としての
活動
といいますか、自分の権限というものを持ち得なくなってしまうのじゃないか。 その点で、禁錮、懲戒
処分
、いわゆる解職、失職、これらも関連して
不平
等ではないか。いわゆる正常な市民
活動
として生活をしていく場合の権限というものは、これと関連性ないということにしなければならないのじゃないか。いわゆる公務に準じたような並びに公務に類似をした行為を行った場合にこれが適用するのではないか。完全なる市民生活をやっている場合に、法に触れたからといって、これがいわゆる無定量の業務という官吏の概念というものはなくして考えるべきではないか、こう思うのですが、
退職金
は総理府所管でありますから、これは総理府においては答弁として、検討しますということになりました。しかし、検討だけじゃ
意味
ないのであります。
年金
の問題にも関係してきますので、この点をお伺いいたしたいと思います。
禿河徹映
182
○
禿河
政府
委員
ただいまの各種のケースの場合に、公務員としての身分がどういうふうに取り扱われるのか、それに関連いたしまして、
退職金
あるいは
年金
がどういうふうに取り扱われるかということは、ある
意味
で公務員
制度
全般にまたがる非常に大きな問題であろうかと思います。したがいまして、いまこの席で共済の
年金
の面だけをとらえて私ども云々するのは、あるいは適当ではないのではないかという感じがいたしますが、そういう公務員
制度
全般の中で私どももこれから検討すべき事項ではあろうと考えております。 ただ、お話がありました昔の恩給時代には、懲戒
処分
によって退職、いわゆる免職になったような場合には恩給が全く支給されなかった。それが新しい共済
制度
に相なりまして、本人の掛金あるいは事業主の
負担
というような面を考慮いたしまして、
年金
のカットされますのは大体二〇%以内ということになっておりますのも、新しい共済
制度
の
考え方
に立脚したものでございます。その中でさらに私ども、そういう懲戒
処分
等によりましてカットされるべき年
金額
が、
現行
の二割がいいのかどうかという問題につきましては、
国家公務員共済組
合
審議
会等の場におきましてもこれから検討はいたしたい、かように考えております。
沢田広
183
○沢田
委員
念のため申し上げておきますが、最高は専売ですが、五割というところもありますから、そういう特殊なものも
調整
していく必要があるのじゃないかと思います。 続いて遺族
年金
の問題。 遺族とはそもそも何ぞやということ、これは
法律
で規定されておりますが、遺族
年金
を支給されるということは、たとえば夫婦生活を二十年やっていて
年金
をもらえるようになった、そして死亡した場合もあるでしょう、あるいは三年なり五年で死亡した場合もあるだろうと思う。日本の
法律
体系というものは、遺族を、昔の徳川幕府時代と同じに二夫にまみえずという発想があるのだと思うのですね。それで結局、再婚すればだめです。こういうことになっているわけです。 たとえば連れっ子という言葉はいけないでしょうけれども、平常用語で言えば連れっ子をして嫁に行った場合に、旧姓を名のっておったとしても、その子供が新しいだんなさんのところに行くことによって遺族
年金
の支給が停止をされる。これは女性の権利を
年金
で縛りつけて、二夫にまみえずという思想を今日においても残存させていくということになるのじゃないか。だから私は、全額支給していくというと不公正だという議論も起こるかもわかりません。けれども、その奥さんに与えられた権利であると解釈できないかどうか。あるいは、ある程度次の生活の基盤ができるまでの間、五年なり六年なりはそのまま継続する、お嫁に行くのにやはり支度は要るのですから、そういう
意味
においての
考え方
は持てないかどうか、その点お伺いをしたいと思うのです。
禿河徹映
184
○
禿河
政府
委員
現在の
わが国
の公的
年金
制度
全般を通じて見まして、いまお話がございましたような遺族
年金
を受給しておりました妻、未亡人が再婚した場合には、その
年金
の受給権がすべて失われるというたてまえをとってきておるわけでございます。 これについての、それで十分かといいますか、それでは問題があるのではないかという御指摘でございますけれども、これは共済
制度
のみならず、日本の公的
年金
制度
全般を通ずるいわば
原則
でございます。やはり再婚によりまして従前の婚姻関係は消滅いたしまして、その
時点
から新しい生活共同体をつくられるわけでございますので、そういう
年金
の関係もやはり消滅させるのは私どもは当然ではないかと考えております。諸外国の例を見ましても、大体そのようになっておるようでございます。中には一部、再婚等した場合には、
年金
権は消滅はしない、その間停止するというふうなところもあるようでございますけれども、婚姻して後もその
年金
権が、制限された形といえども継続するというのを持っておる国はないようでございます。
沢田広
185
○沢田
委員
時間の関係がありますから、議論はこれ以上進められませんが、遺族
年金
というのは、二十年間だんなさんに尽くして、だんなさんが
年金
をもらえるために内助の功を尽くした、そのことによってその奥さんに与えられるものだと思うのですね。妻の座ということだけではないだろうと思う。いままでの二十年の足跡というものが
年金
に結びついているのだと思うのですね。だとすれば、奥さんが次の新しいだんなさんを迎える権利があって、その
年金
が喪失をするということは、理論的に若干——二分の一に減額されるかどうかは別として、全額ゼロということは、二十年間の功績というものを、内助の功をゼロにする、こういう論理になるわけですから、そのことは私たちには若干理解しがたいという気もしますし、あるいは、三十ぐらいで未亡人になる人もいるのですから、そうすると、新しいだんなさんがどんなだんなさんになるかわからぬけれども、少なくとも
年金
を二分の一なり減らされる、さらに二分の一で四分の一に減らされて持っていくにしても、これはその人の生涯を通じての一つの基本になるのではないか。そこですっきりと今度は二度目のお嫁に行ったのだからというか、必ずしもいいところへ行けるとは限らないと思うのですが、そういう条件を考えてみたときに、みすみすそれを失うというのは、二夫にまみえず、未亡人で置いておけ、尼寺へ置いておけという発想と同じような発想が遺族
年金
には残っておるのじゃないか、こういうふうな気がするので、この点は、ぜひひとつ前向きに——どういうふうになるかはいろいろ模索はすると思いますが、とにかく幾らかでも女性の権利としてのものとして私は存在するものである、ゼロになるということは論理上おかしいと思うのですが、いかがですか。
禿河徹映
186
○
禿河
政府
委員
先生の御指摘は、私どもとして一面においてお気持ちはわからないわけではございません。ただ、これは日本の遺族
年金
という仕組みをお考えいただきますと、実は諸外国に例があるにもかかわらず日本でとっておりませんのは、たとえば遺族
年金
等につきましては婚姻期間、仮にそれがわずか半年でも、主人が亡くなった後は遺族
年金
が出るということで、婚姻期間についての制約というものは何らないわけでございます。あるいは年齢、諸外国では遺族たる妻の年齢が
一定
年齢以上の場合にのみ支給するとかいう制限があるわけでございますが、日本ではこれをとっておりません。したがいまして、先生のいまの御指摘の点は、確かにお気持ちは一面よくわかるのでございますけれども、そういう現在の遺族
年金
の受給資格と申しますか、そういう
制度
との絡みというものもあわせて考えながら検討していかなくちゃならない事項ではないかと思います。 さらに、日本の被用者保険、厚生
年金
あるいは
共済組合
の
組合
員でございましても、任意の
国民
年金
の加入資格はあるわけでございます。そういう全体の
年金
制度
の中で妻の座というものをどう考えていくのか、総体的にこれは検討させていただきたい、かように考えます。
沢田広
187
○沢田
委員
早急にということはいつのことかわかりませんが、文字どおり早急にひとつお願いします。 次に、障害
年金
、廃疾
年金
と言われておりますが、公務員も含めて問題になっておりまする四級三項症についてお伺いをしたいと思うのであります。 これはもう
内容
は御承知だと思いますから多くを申し上げませんが、いわゆる
昭和
三十一年の六月に、当時わが党の横山さんや自民党の黒金さん、堀木さんという方々が戦傷病者戦没者遺族等援護法との相互関連において、それぞれ修正をされたわけであります。そのときの修正は、一項症一級、二項症二級、三項症の三級、四級三項症、四項症の四級、五級四項症、それから五級とあって、六級五項症、六級、こういうふうに中間に一つずつ間があったわけであります。ところがそれを整理をいたしまして、いわゆる六級は五級に、五級は四級に統合をしたわけであります。ところが、四級三項症だけが取り残されたという結果が出てきているわけです。そこで、四級三項症というものの
内容
は何だろうかということになるわけなんであります。 これはあるお医者さんの見解をもらってきたわけでありますが、お医者さんの出された意見、日本リハビリテーション振興会
理事
、社会医学技術学院、名前は一応申し上げませんけれども、そういうところで、「五及び六級該当者については、恩給法に定める項症
内容
と比較し不均衡であったため、
昭和
三十一年六月の
法律
改正でこの喰い違いを
調整
するため恩給法に定める項症に相当する
最低保障額
の特別
措置
が講ぜられるようになったと聞いている。そのため五級、六級該当者で恩給法第四、第五項症に相当する障害者については、それぞれ一級繰り上げられた保障
措置
が講ぜられている。しかるに四級該当者で第三項症に相当する障害者については障害程度は全く同じであるにかかわらず同様の
措置
がされていない。」こう言っている。 このことは私の聞き及ぶところでは、当時の改正のときにある程度財政的な配慮をした結果である。国鉄だけで四百四十人だそうです。全林野その他にも若干名おられるのじゃないかと思います。そういうようなことで、
金額
的なこともあって取り残されたという経緯もあるようでありますが、当時、自民、社会その他の政党も含めて、これは
委員会
修正で成立をした経緯があるわけです。ですから、四級三項というものについて、ひとつこれは検討をして、その上位の三級に統合できないかどうか。 まあ
内容
的には、私たちの調査で見ますると、これは下肢が多いのですね。
内容
は長くなるから簡単にしますが、たとえば国鉄の
職員
、公務上の障害は国鉄が一番多いのです。操車で足を切ったり何かするのでどうしても率が一番高いわけです。これは
昭和
の元年あたりから当たってみましても、年度末の
職員
が十八万のところ傷病人員が三万三千二百四十、一七七・一という傷病割合になっていた。現在は非常に傷病割合は下がりまして四〇程度になりました。しかし、大正時代には二五八というような比率に傷病の割合というものがふえていたのが事実です。それが国鉄の
年金
制度
、相互共済が発生するゆえんでもあったわけです。非常に危険な業務であったということです。これは明治四十年からの資料が出ていますから、後で必要ならばごらんになっていただいても結構ですが、明治四十年からどんな障害を起こしてきたか。 そこで、足だけを問題にしますと、労災と国公を考えてみますると、一級は両下肢、ひざ以下ということであります。そして文章的に見ますると、介護を要する状況ということなんです。それから二級では、両下肢の足関節以下、これは日常生活を行っていくのに若干の支障がある。それから三級は、ここの場合は両手だけで足はないのです。四級が両足以下。一下肢の用は五級になっている。こういうのが一応の経緯であります。しかし実際に見てまいりますと、ひざ以下、ひざが残ると一関節になります。ひざの上になると二関節になる。そこで四級三項と三項症と区分されちゃっているわけです。 ですから、その障害の程度からいったならば、医学的に私たちは議論をしていこうと思っていますが、区分する
理由
はなくなってきているというのが今日の
状態
であろうと思うのであります。これは、自民党さんもおられますけれども、そういう歴史的な背景もあって今日こうなったわけでありますから、その
意味
において、四級三項だけ三十一年から今日まで二十年間取り残されていたわけですから、ぜひ改善の
措置
を講ずるという意思があるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
禿河徹映
188
○
禿河
政府
委員
ただいまお話がございました旧令共済の障害
年金
の四級該当者というものとそれから増加恩給の三項症相当者といいますか該当者、それの取り扱いにつきまして、
昭和
三十一年にいろいろ国会の方で御
審議
の結果、現在のような取り扱いになり、あるいは障害
年金
の五級、六級等の取り扱いも、その際あわせて変えられたという経緯はお話のとおりでございます。 ただ、それ以前のことを考えてまいりますと、もともと旧令共済のこういう障害
年金
の格づけと申しますか、それは、やはり仕事の性格もあったのでございましょうか、内臓疾患というものにいわば重点が置かれて考慮されておったようでございます。それが恩給の方では、いまお話のございました手足の切断等の外傷を中心に考えたということのようでございます。したがって、その障害の程度等に対する取り扱いが、どの程度でも両方でちょっと違ってきたという、ずっと前からの沿革も実はあったようでございますし、それはそれなりに
意味
はあったものと考えておりますが、いまお話がございました三十一年の取り扱い等もございますので、この点につきましては、関係の方面ともよく相談しながら今後研究させていただきたい、かように考えております。
沢田広
189
○沢田
委員
じゃ、それは検討していただくことを心から要望いたしまして、次の問題に入らしていただきたいと思います。
国家公務員共済組
合法では十七条に、
共済組合
として借り入れをしてはならない、しかし、大蔵大臣の承認があれば借り入れすることができる、こういう規定がございます。さらに三十九条には、責任準備金の移換もできるとあります。国鉄共済法では、借り入れをしてはならないともないし、大蔵大臣の承認が必要だとも書いてないし、結果的には
運営
審議
会が決めるということなのかもわかりません。先ほど
山田
委員
の方からもお話がありましたように、長期展望に立った場合に、たくさんの人員が突然のようにやめられて相当に給付が増額をするというような場合に、五年なり七年なり、あるいは住宅ローンのように二十年ぐらいの長期でこれを地ならしをするということは、財政
運営
の上で必要性が生じるのではなかろうかと私は思う。この借り入れをしてはならないというのは、一時借り入れという
意味
もあるんだと思うのであります。どういう
意味
に解釈をしたらいいのか。 突然のように行政改革が行われてうんとたくさんやめられるという場合も起こり得るかもしらぬ。そして、突然次年度から相当大幅に
年金
の給付額が増大をする、そういう場合を想定して、国家公務員の方では、借り入れはできないぞ、しかし大蔵大臣が承認した場合には借り入れができるぞ、こういうことを規定づけているのではないか。これは国鉄の場合はどうなのかということについてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
禿河徹映
190
○
禿河
政府
委員
国家公務員共済法の第十七条の借入金の規定でございますが、現実に
運用
いたしておりますのは、財形貯蓄等を行います場合に
金融機関
から借り入れて、それを
組合
員に融資するというので発動しておるのが現在の実例でございます。 私どもといたしましては、そういう
共済組合
の財政問題というものにつきましては、長期的に見まして健全な基本線を貫いていくということが基本であろうかと思います。いま例に挙げられましたような退職者の急激な、一時的な発生と申しますか、そういうふうなケースが現実に出てまいりますかどうですかわかりませんけれども、
共済組合
あるいは連合会といたしましても、そういうふうな長期保険数理に基づく計算を行っていきますような場合には、できるだけ借入金もなくて健全な安定性を
保持
しながらやっていくというのが基本であろうかと考えております。
山地進
191
○山地
政府
委員
国鉄
共済組合
につきましては、国鉄
共済組合
経理規則運輸省令第四十八号がございまして、その三条に「
組合
は、
組合
以外の者からの借入金以外の収入をもってその事業に必要な資金の財源としなければならない。ただし、
組合
の
目的
を達成するため必要がある場合において、運輸大臣の承認を受けたときは、この限りでない。」と国家公務員の方と同じような
趣旨
のことが書いてございます。ただ、現在までにこの規定によりまして運輸大臣の承認を受けたことはございません。
沢田広
192
○沢田
委員
後で運輸大臣が来たときに質問をしなければなりませんから、中途半端になるのでありますが、これで一応終わりたいと思いますけれども、ただ、先ほども言われておりますが、少しわかりやすくするために端的な
金額
でいきまして、国鉄の場合、今度の引き上げによって、二十万というのは国鉄では若干高給者になりますが、二十万の給与者で大体一万二千円の長期だけの
負担
をするという形になるわけですね。そうして国家公務員の方では八千七百円ぐらいの掛金ということになるわけです。これらの掛金の差が三公社五現業それぞれにつきまして明らかになりますと、これは賃金の
部分
についても当然考慮してもらわないとバランスがとれないんじゃないだろうか。その賃金との関係についてはどういうふうに連動して考えたらいいのか。ただ掛金だけこれから上げていけば、実質賃金が低下をしていくということにもなりかねない。 また、スウェーデンでは、いま若い者が掛金を掛けるのはいやだと言い出していると伝え聞いております。われわれもそういう時代を迎えざるを得ないわけですね。いま六十五歳以上の九百六十万の老人人口を抱えているわけです。そういうことを考えて、さっき
山田
委員
に答えたように、これからの
年金
制度
というものを大蔵省がリードする以外にないでしょう。厚生省に任しておいたからといってできるものでもないでしょう。また、大蔵省がリードをして、日本の
年金
制度
をこれからどういうふうに上積みしつつバランスをとっていくかということを考えていかなければならない時期に来ているんではなかろうか。ところが、
国民
年金
あたりで四百円、八百円という
金額
ですから、これは格段の差があるわけです。それで官民格差が議論されたって、これは同じ舞台で議論ができないのですね。その辺はどのように考えておられるのか、
最後
の財政
運営
と個人の掛金を含めてひとつお伺いをしたいと思います。
禿河徹映
193
○
禿河
政府
委員
一番初めにお話がございました掛金と賃金との関係でございますが、こういう
共済組合
の掛金はその賃金を基準にしてやっておるものでございまして、掛金が高いからといって直ちにそれを賃金にはね返らせるというわけにはなかなかまいらないものであろうとは考えております。ただ、国鉄のような場合には、現
時点
でほかの
共済組合
と比べますと、
組合
員の
負担
が確かに高いのは事実でございますが、日本の公的
年金
制度
の将来というものを考えてまいります場合に、いろいろ
国民
年金
、厚生
年金
等もひっくるめて考えますと、大変な国庫
負担
の増大ということが必至になるという状況にございまして、私ども財政
負担
の面を考えてまいりますと、この支給と
負担
とのバランスを常に頭に置いて考えていかざるを得ないということであろうかと思っております。 ただ繰り返して恐縮ですが、国鉄につきましてほかの
組合
の場合よりも高いことは事実でございますが、昨年の秋に出ました国鉄共済の収支計画策定
審議
会の答申を受けまして、一応五十五年度までの長期の財政は何とか赤字にならずにやっていける、こういう仕組みをとったわけでございます。五十六年度以降、さらに厳しい情勢になろうかと思いますけれども、その
時点
に向けまして関係方面とよく相談をしながら、あるいは収支計画策定
審議
会の御意見もそれまでに十分伺いながら、今後どう持っていくのか十分検討してまいりたいと考えております。
沢田広
194
○沢田
委員
いまの質問以外にきょうは非常に御丁寧な答弁をいただきまして、いつもこういうふうな答弁をしてもらいたいと期待を込めながら、大蔵大臣にもひとつよろしくとお願いしながら、途中なんでありますが、あと運輸大臣が来るまで休憩といいますか中断といいますか、一応やめたいと思います。
大村襄治
195
○
大村委員長
坂口力君。
坂口力
196
○坂口
委員
年金
の問題につきましては、予算
委員会
でも私、何度かやらせていただきましたし、また、この
委員会
でも
年金
と
税制
の問題等もやらせていただきましたし、正直言って
年金
の問題を新しくやらせてもらうことはないというような感じもするわけでございます。新しく何をか言わんやという心境でございますけれども、四十分時間をちょうだいいたしておりますので、その分だけまた同じことを繰り返しながらやらせていただきたいと思います。 先ほどからもいろいろ意見が出ておりましたが、共済
年金
の中で最も厳しいのが国鉄の方であります。国鉄の方は、ざっとした数字を見せていただきましても、
昭和
四十八年には四百十二億円の黒字であったのが、
昭和
五十年には百七十七億というふうに黒字の幅が減って、しかも
昭和
五十一年になりますと八十八億円の赤字というふうになってまいりまして、いままでの積立金を取り崩さなければならないというような
状態
になってきているようであります。 そこで、国鉄共済の方にお聞きをしたいのは、現在の
制度
がいろいろ変わればまた変わってきますし、いろいろな条件、ベースアップの問題もございましょうし、あるいはまた新しく入ってくる人の問題もあろうかと思いますが、大体すべてがいま並みに、
昭和
五十二年度並みと言ってもよろしいし五十三年度並みと言っても結構でございますが、大体その辺のベースでいきましたときに十年後にどうなると青写真を描いていらっしゃるか、まずお聞きをしたい。
濱田卓實
197
○濱田
説明
員 大変にむずかしい質問でございまして、共済
年金
の十年先ということにつきましては、実はただいま先生からもお話がございましたように、ベースアップがどうなるか、
年金
改定
がどうなるか、あるいはまた国鉄の退職条件、現在五十五歳を一応たてまえにしておりますが、それが一部五十七歳になりあるいはまた五十八歳になるということで、退職条件というのも変わってきております。そしてまた要員減という要素もございまして、要は、国鉄の共済
年金
の十年先を想定する基礎要素と申しますものが、すべて非常な変動要素を持っておるということで、現在の
時点
では、ただいま御質問のようなかっこうでいまのままの想定ということは一応いたしておりません。
坂口力
198
○坂口
委員
それではもう一つお聞きしますが、十年前に現在を予想して立てられたその姿と現実の現在とを比較して、どのぐらい違っていますか。
濱田卓實
199
○濱田
説明
員 国鉄の
年金
財政の収支計画につきましては、従来、
昭和
四十年、四十五年、五十年と五年置きに収支計画策定
審議
会にお諮りをして長期見通しを立ててまいっております。したがいまして、十年前にどういうかっこうであったかということでございますが、四十五年に立てましたのでは、所要財源率を対俸給千分の百十七とし、追加
費用
については、
昭和
四十五年度に対俸給千分の八十一として、それ以降毎年千分の五ずつアップしていく、こういうことで想定をいたしまして、四十六年度から五十年度まで五年間については各年度大体三百億から二百億の収支残を出す、こういうことで答申をいただき、そのとおり実施がなされたということでございます。
坂口力
200
○坂口
委員
なぜ私がこういうことをお聞きするかと申しますと、御承知のように、
年金
は大きく分けて八種類に分類されておりますし、また同じ共済の中でもいろいろの格差がございます。いわゆる官民格差というような問題もいろいろと言われているわけでございます。そういう中で、国鉄が現在の立場におられるわけでありまして、そういうふうな
意味
からいくと、民間の普通の厚生
年金
等に比べるといろいろ有利な条件もあるじゃないか、その中でどうしてこういうふうになってきたのか、その辺にある程度のずさんさはなかったのかというような批判も中にはなきにしもあらずというのが
現状
であります。ですから私は、あえてそういうことをお聞きをしたわけであります。 それで、ずっと長い歴史のあることをあなたにすべて責任を負わせてお聞きするというのはまことに酷なことでございまして、あなたをいじめるつもりでは決してないわけでございますが、しかし、
年金
というのは非常に息の長いものですから、十年先、二十年先には一体どうなるかといういろいろの条件はありますけれども、大体の条件を考えながら青写真を描いていかなければならない。それが十年前と現在とは一体どれだけ違っているのか、そしてまたいまから十年先にはどういうふうな青写真を描いてどこへ持っていこうとしておられるのか、その辺のところがはっきりしなかったら、正直申し上げて
年金
についての何のお仕事をしておいでになるのですかと私はお聞きしたい。その辺のお考えをお持ちならば聞かせていただきたい、こういうことを私は申し上げているわけであります。 特にきょうは、厚生省もお越しになっておりますが、厚生
年金
等はその点かなり長期にわたっての計画を立てておいでになる。だから、それに合わせて——それはいろいろの条件はございましょう、ベースアップの問題もあるし、それから新しくお入りになる方もあるし、また定年でより多くやめられることもあるわけでありますけれども、その辺のところは大体の見当というのはつくわけでありまして、ある程度の予想は立つわけでありますから、やはりきちっとしていただきたいということを申し上げたいわけでございます。 厚生省の方、お越しいただいておりますので、きのうこのことは質問をとりにきていただきましたときに申しませんでしたけれども、もしもわかっておりましたら、いまお答えをいただきたいと思います。 それは、現在の国家公務員の共済程度の成熟度に厚生
年金
がなったといたしましたら、大ざっぱなことで結構でございますが、保険料は大体どれぐらいになりますか。
長尾立子
201
○長尾
説明
員 五十一年度に財政再計算をいたしましたその水準でお答えさせていただきたいと思うわけでございますが、現在男子の場合に千分の九十一という料率になっておるわけでございます。この料率は、ある
意味
で現在の水準を前提にいたしまして設けられておるわけでございますが、この現在の水準がそのままに維持されるという前提でまいりまして、
昭和
八十五年の段階でこれが千分の二百七になるという予定になっておるわけでございます。
坂口力
202
○坂口
委員
そういたしますと、
昭和
八十五年で千分の二百七というふうに申しますと、成熟度で申しますと、大体現在の共済程度ということでございますか。
長尾立子
203
○長尾
説明
員 この千分の二百七でございますけれども、
昭和
八十五年の老齢
年金
受給者と被保険者数の比率、これがいわば一つの成熟度をあらわす指標ではないかと思いますので、申し上げさせていただきたいと思いますが、厚生
年金
の場合、この
時点
におきましては二七・六%になるわけでございます。現在国鉄共済がどれぐらいの比率になっておるか、ちょっと数字を持ち合わせないわけでございますが、共済全体といたしましては、現在大体二八・四ぐらいではないかと思いますが、これは相当上昇なさるというふうに推定をいたしております。
坂口力
204
○坂口
委員
国鉄共済の方はいまどれだけでございますか。
濱田卓實
205
○濱田
説明
員 現在成熟度は五八でございます。
坂口力
206
○坂口
委員
五八というのは、五八%という
意味
でございますか。
濱田卓實
207
○濱田
説明
員 はい、さようでございます。 詳しく申し上げますと、国鉄
共済組合
の
組合
員数は、
昭和
五十一年度末で約四十三万六千人、これに対し
年金
受給者が約二十五万人、こういうことでございまして、その成熟度は五八%ということでございます。
坂口力
208
○坂口
委員
現在の共済、それぞれ共済もいろいろございますので一概には申せませんが、平均した現在の共済の成熟度のところまで厚生
年金
の方が行こうと思いますと、千分の三百ぐらい保険料を掛けないとだめだろうという一つの推定があるわけでありまして、いまお聞きした数字、若干私わかりにくい点はありますけれども、そういう議論もあるわけでございます。 その辺のところからいわゆる官民格差の問題が出てまいります。この官民格差の問題につきまして、官の方が非常に得をして民の方が非常に低いから民に合わせろというようなことを決して私は申し上げておるわけではなくて、少なくともいま官の方が受けておみえになる程度のところに民の方をどうすれば早く近づけることができるか、こういう観点に私は立っているわけでございますが、しかし現実問題といたしまして、いろいろそうした差があることもまた事実でございます。 先ほど追加
費用
のことをちょっと言いかけておやめになりましたけれども、いわゆる整理資金の問題というものもいろいろございます。このことについては昨年いろいろ議論をされたところでございますので、あえて私ここで蒸し返そうとは思いません。しかしながら、こういう議論があることだけは事実でございまして、大蔵省の方はこれに対していろいろの反論もしておみえになりますけれども、ある程度納得できる面もあり、また納得できない面もありということでございまして、これは将来にゆだねられねばならない多くの問題を残しているというふうに考えているところであります。 そこで、この現在の国鉄の
現状
をどうして救っていったらいいか。私も昨日から、きょう質問させていただくのに、どうしたらこれは救えるだろうか。一番単純に、一番簡単に事を済まそうと思えば、国庫補助をつぎ込めばこれは一番いいわけでありますけれども、しかし、他の共済等との関係もあって、そういうふうな形でどんどんつぎ込むという形が果たしていいのか、それで事が足りるのであろうかという
考え方
もまた一方で成り立つわけです。そういうふうな
意味
で、どういうふうな解決方法をしようと思っておみえになるのか、まことにむずかしい話でございますけれども、お聞かせいただきたいと思います。
濱田卓實
209
○濱田
説明
員 確かにまことにむずかしい御質問でございまして、十分お答えできるかどうかと思いますが、現在、収支計画策定
審議
会、ここで御
審議
いただいて、昨年の九月に、とりあえず五十三、五十四、五十五年度まではこれでいける、しかしそこから先については非常にたくさんの問題がある、たとえば
企業
内部の問題、退職条件をどういうふうにしていくのか、要員需給の
状態
をどういうふうに考えていくのか、あるいはまた、
年金
の
制度
そのものについても、公的
年金
制度
全般がいまいろいろと議論されておる、その中で、給付の条件あるいは財源
負担
の問題、そういうものがどういうふうに考えられていくか、そういう
企業
内部の問題あるいはまた国全体の問題、そういうものをよく勘案しつつ、総合的に抜本的な対策を立てるように、こういう答申をいただいておるわけでございまして、いま私どもはそういう御
趣旨
に沿って鋭意努力しておるということでございます。
坂口力
210
○坂口
委員
抜本的対策が立てられることを私も期待する一人でございますが、なかなかそれがむずかしかろうことも想像にかたくないわけであります。
年金
といったような問題は、行き詰まってしまってからあわてましてもどうにもならないことでありまして、ある程度以前から予測のつくことでございますので、少なくとも五年や十年前にはある程度の手を打たなければならない、こういう性格のものではないかと思うわけです。あるいはもっと前から手を打たなければならない問題ではないかとも思うわけです。 そこで、残された道は、国鉄が現在抱えておみえになる問題は、現在はただ国鉄の問題でございますけれども、このことが国家公務員にも当てはまるときがあり、あるいはまた厚生
年金
にも当てはまるときが来るかもしれませんし、ただこれは人ごとでは決してないわけでありまして、それぞれが心して考えなければならない問題だろうと思うわけですが、あと残されました問題は、先ほど
山田
先生等からも出ておりましたけれども、共済
年金
ならば共済
年金
をいかにして統合していくか、そしていままでのいろいろ掛金をした人たちのその差もあるわけでありますから、既得権は守りながらいかに統合していくかという一つに尽きると私は思うのです。私は、この計画なしに解決する方法はないと考える一人です。また、厚生省の方からも後で御答弁をいただきたいと思いますが、共済だけではなしに、全体の
年金
の統一の問題がございますけれども、そこまで早く行けばこれは結構でございますが、これもなかなかむずかしい話でありまして、だんだん段階を経なければ行きにくい問題であろうと思います。そういうふうな性質のものでありますから、とにもかくにも共済なら共済だけの間で、それが一本化がむずかしければ財政
調整
あるいは掛金の
調整
あるいは給付金の
調整
、そしていままでの既得権はいかにして守るか、この辺のところをいかに組み合わせていくかという問題に尽きてくるだろうというふうに思います。 共済の中には、先ほども国鉄と専売と電電ですか、三つお挙げになりましたけれども、その中でも電電の場合には、まだ若い人も多い、成熟度がまだ進んでいないという感じを受けたわけですが、そういういろいろの団体があるわけでありますから、同じにすることによってこの辺の危機を乗り切っていく以外にないだろう、そして、電電ならば電電の人たちにそのことをよく理解してもらう、そのかわりに、電電の方がいままで鋭意努力をしておみえになったことについてはその既得権を守るというようなことで、一本化をしていく道を歩む以外になかろうと私は考える一人ですが、その辺に対するプランと申しますか、そんなものがあるのかどうか。きのうもパンフレットを一ついただきましたが、国家公務員の
共済組合
と地方公務員の
共済組合
と
公共企業体職員等
共済組合
の三つの
組合
が寄って、今後のことを一つのテーブルに着いて話し合いを始めたということでございますけれども、これはなかなか遅々として進んでいないという感じを受けるわけです。 ところが、現実問題といたしまして、いま国鉄のお話をお伺いいたしますと、
昭和
五十五年とおっしゃいましたか、そうすると、もうことしは五十三年ですからあと二年ですね、もう二年後には破局が来る、こういう
状態
でありますから、悠長に話をしている段階ではないわけでありまして、ぜひこの問題は早く決着をつけなければならない問題だということを私はいままでからも声を大にしてきたわけであります。 これは大蔵省の方にお聞きをした方がいいのか、あるいは国鉄さんの方にお聞きをしたらいいのかちょっとよくわかりませんけれども、この三つの
組合
の話し合いというのは一体どの辺のところまでいっておりますか。
禿河徹映
211
○
禿河
政府
委員
国家公務員共済、それから地方
職員
の共済、それに公企体関係の
共済組合
の三つの話し合いでございますが、この話し合いの場を最近設けまして、これから大いに意思の疎通を図り、改善すべき共通事項は一緒に相談していこうというふうにいたしましたのは、私どもの直接所管いたしております
国家公務員共済組
合の
制度
、その中にも、これからいろいろ検討していかなくちゃならない事項があると実は考えております。事によりましてなかなか簡単にまいらないという点もあるかと思いますけれども、すでに二年ほど前から国家公務員共済の
審議
会の場におきまして、今後の共済のあり方の検討を進めておるわけでございますが、その検討を進めていくに当たりまして、国家公務員共済だけでなくて、広い
意味
での共済
制度
全般にまたがるいろいろな事項があるわけでございまして、そういうものについて関係者のコンセンサスを得なければ
制度
の改善等も円滑にいかない、こういうふうなことが考えられましたものですから、その三者の共通の懇談の場というものを最近設けて、これから実はその問題等いろいろな問題に取り組もう、こういうふうにいたしておるわけでございます。 私ども、いろいろ個別に問題意識は持っておりますけれども、やはりほかの二者の方々の御意見も伺いながら、当面これから取り組むべき問題事項はどういう問題であろうか、あるいは長期的に考えるべき事項はどういう問題であろうか、そういう
問題点
をまた出していただきまして、そして三者共通の場におきましてこれを検討いたしていきたいということで、はなはだ恐縮でございます。まだその検討の緒についたばかりでございますので、具体的なことはここで申し上げるわけにはまいりません。まだそこの段階に至っておりませんけれども、前々からの問題を含めまして、鋭意これから検討していきたい、かように考えておるような次第でございます。その際に恐らく、それぞれの
共済組合
の
制度
の基本にかかわる問題のほかに、いまお話がございましたような各共済
制度
間の財政の問題をどういうふうに取り扱っていったらいいのかとか、そういう問題も検討されていくであろう、かようには考えております。
坂口力
212
○坂口
委員
国鉄の方ばかり例に出して申しわけないのですが、先ほど
山田
先生が聞かれた数字を見せていただきましても、国鉄の方はほかの専売だとか電電に比べますと、掛金も非常に高いわけですね。ですから、年齢構成も非常に高くなってきておりますしいたしますから、この
傾向
を国鉄だけで維持していこうと思えば、さらにこれを高めていく以外にないわけですね。ところが、まあこれには限度がありますから、これ以上出せと言ってもこれはもう無理な面があると私は思うのです。 ところが、一方におけるこの話し合いは、いま話を聞きましたとおり、現在遅々として進んでいないと言うた方がいいのか、進むも進まぬも、まだできたばかりで、進むところにも下がるところにもいってないと言うのが適当なのか、よくわからぬような
状態
であります。一方においては、二年後に破産するかもしらぬというものを抱えておりながら、一方においては、これから検討しようと思いますということを言っておみえになるわけであります。 私が
年金
の問題を取り上げさせていただいてからでも五年たつわけでありまして、五年一日のごとく、検討いたします。検討いたしますという言葉を聞いてきたわけでありまして、もうそれから五年たっておるのです。五年前に、これは何とかしてもらわなければ危ないと厚生省の担当の方も声を大にして言っておみえになったわけでありまして、私も事情をよく勉強させてもらってきたわけでありますけれども、この問題はその場にならないとなかなか進まないのが実情でありまして、いま
禿河
次長さんのお話を伺いましても、どうやら
出席者
名簿はいただきましたけれども、中身はどうもこれに伴ったところまではいっていないと申し上げた方がはっきりするようでございますので、ひとつぜひこの会合を進めていただいて——一夜づけでやれと言ったってこれは無理な話でございまして、できるものではないことはよく存じておりますけれども、そういう国鉄さんのような非常にむずかしい団体を抱えておみえになります以上、一日も早く検討を進めていただきたいと思うわけです。 この問題と、それから
年金
懇やそのほかからいろいろ出ております意見等との絡みもございます。それで総理も、ことしの秋までに何とか形にしたいということを言っておみえになるわけでありますので、厚生省さんの方、長尾課長さんの方から、全体の
年金
改革の青写真がどう進んでいるか、このお話をひとつお聞きをしたいと思います。
長尾立子
213
○長尾
説明
員 お答え申し上げます。 先生いまお話がございましたように、
年金
制度
基本構想懇談会の中間意見を昨年の十二月にいただいたわけでございますが、この基本懇の中間意見の中では、
昭和
五十年代を一つの目途といたしまして、
年金
制度
全般にわたる体系的な手直しをしなくてはいけないという方向が出されているわけでございます。 この中間報告の中で御指摘をいただいております問題、これは非常に広い各分野にわたっておるわけでございますが、その問題の深さ、将来的な見通しというものを十分に詰めていかなくてはならないということから、中間意見の中でもまだ具体的に結論をいただいていない
部分
がございます。実は、この連休あけと申しますか、懇談会の方でも
審議
を再開していただけるということになっておるわけでございますし、また一方、私どもが所管いたしております
年金
制度
の二大
制度
でございます
国民
年金
、厚生
年金
につきましては、それぞれの専門
審議
会、
国民
年金
審議
会、社会保険
審議
会の厚生
年金
保険部会が検討を開始してくださるということも予定されておるわけでございます。 私どもといたしましては、本年度中いっぱいかけまして、
年金
制度
の将来のあり方、一つの
考え方
というものはまとめていきたいということを大臣からお答え申し上げているわけでございまして、その方向で、いわば理念と申しますか、
年金
制度
全般のあり方についての厚生省の
考え方
というものをまとめたいと思っておるわけでございます。 その中では、ただいまお話がございました日本の
年金
制度
全般ということでございますと、実際受給者が相当なウエートを占めております
共済組合
等につきましても、どういうような
考え方
でしていただくかということについての私どもの
考え方
をまとめていく必要があると思いますし、それにつきましては、いまお話がございました関係
審議
会の御
審議
も並行していただくことが予定されておるわけでございますので、十分御相談を申し上げて進めていきたい、かように思っておるわけでございます。
坂口力
214
○坂口
委員
あらあらの今後のスケジュールをお聞かせいただいたわけでございますが、こちらもさらにまたむずかしい問題を多く抱えておみえになるわけでありますから、これもそう急激にはいかないことはよくわかりますが、ぜひひとつ早く構想をまとめていただいて、
前進
をさせていただきたいと思います。 私の感じとしましては、これができ上がりますまで、たとえば国鉄さんのような場合に待っておれないケースがあると思うのですね。そういうふうなところに対しては、これは特別な手を打ってもらわなければならないと思いますし、できれば共済なら共済
年金
だけが何らかの形で一本化の方向に動いてもらって国鉄さんを救う、こういう気持ちでなければ
年金
というものは成り立たないわけでありまして、別に国鉄の
職員
の皆さん方が年齢構成をそうしてくれと言ってしたわけでもありませんし、日本の歴史の中でそうならざるを得なかったわけでありますから、いままでたくさん掛けておみえになったのに、ここで掛金は高く取りますけれども、今度は支給する方は減らしますということは、これはできっこない話、あってはならないことでありますから、これはそういうふうな年齢構成にした政治の責任でもあるわけでありますから、何とかしてこれを一本化の方向の中で検討しなければならない問題であると思いますので、全体の
年金
の問題もさることながら、その中で
共済組合
の中ででも、まずその辺の当面の問題をぜひひとつ早急に煮詰めていただきたい、こういうふうに思います。 それから、先ほど沢田先生からお話が出ましたので、もう私はつけ加えるまでもありませんが、私も妻の
年金
のことについて少し触れたいと思っておりましたが、重複いたしますので多くは申しません。ただ、御承知のようにアメリカあたりでは、夫婦の場合に夫だけが働いております場合には、本人分に奥さんの分の五〇%上乗せをした
年金
をしているわけでありまして、夫婦共かせぎのときには妻の
年金
、夫の
年金
というふうに分かれますけれども、御主人だけのときには、御主人の
年金
プラス妻の
年金
というのを五〇%上乗せをしているわけであります。これが離婚されるとかあるいはまた
死別
されるとかというような場合には、この五〇%分が夫の方もとれて、別れた場合には
寡婦
の方も一〇〇%ずつ、こういう形になるわけであります。 先ほど沢田先生が、日本の歴史的な背景から説き起こして、その裏に流れる思想をおっしゃいましたけれども、そういうふうな形がいつまでか続いているようなことでは、日本の
年金
は時間的には成熟していきますけれども、その思想はまことに未成熟のままと言わざるを得ないと思うわけであります。そういうふうな
意味
で、その辺のところの改革もある程度の望みがあるのかどうかということを、長尾課長さんからお聞きをしておきたいと思うのです。
長尾立子
215
○長尾
説明
員 お答え申し上げます。 婦人の
年金
の問題につきましては、基本懇の中でも、現在の
年金
体系の一つの大きな問題として御指摘をいただいておるわけでございます。先生いまお話がございましたように、婦人の
年金
という問題につきまして
問題点
として提起されておりますことは、一つは、無業の婦人につきましての老後の保障というものが現在の体系では不十分であるという問題、その中で、いまお話しのような離婚をした婦人につきましての老後保障の体系が備わっていないということであります。それから、婦人の老後という問題につきましては、夫の老齢
年金
が遺族
年金
に転化するという形が一般的であるわけでございますが、そういった遺族
年金
の水準自体が必ずしも十分とは言えないというような
問題点
を御指摘をいただいておるわけでございます。 婦人の
年金
の問題ということになりますと、たとえばいまお話がございましたような被用者の
年金
体系では、一応世帯単位ということで構成されておるわけでございますけれども、こういった被用者
年金
の体系における世帯単位という
考え方
をどういうふうに今後持っていくのか、世帯単位の保障というものを充実する方向で考えるのか、または、
国民
年金
のように無業の妻も独立した形で一人一人が被保険者となって
年金
保障の体系を考えていくのかというような問題が基本的にはあるわけでございまして、いわば
わが国
の
年金
体系全般にかかわってくる問題であろうと思います。 私どもも、特に遺族
年金
の水準というものを引き上げなければならないということ、これは一つの大きな
課題
だと思っておるわけでございますが、この問題の解決につきましては、全般を通じた検討はやはり前提とならざるを得ないと思っておるわけでございまして、そういった検討の中で一つの大きな
課題
として考えていきたい、こう思っておるわけでございます。
坂口力
216
○坂口
委員
ぜひひとつその辺のお考えをおまとめをいただきたいと思います。 それから、時間がなくなっておりますが、せっかく運輸大臣に御出席をいただきましたので、一言だけ御答弁をいただいて
最後
にしたいと思います。 大臣お見えになります前に、国鉄の共済のことにつきましていろいろ関係者から御意見を聞いておりました。正直なところ、あと一、二年すれば破局を迎えるおそれすらあるという大変な
内容
でございまして、その間の事情もるるお聞きをしたわけであります。またそれに対して、なぜもう少し早くから対処できなかったかというような厳しい注文も実はいまつけていたわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の
状態
を救うという手だてはただ一つ、共済
年金
ならば共済
年金
が一つに統合をされていって、むずかしいことでありますけれども、そして相互扶助の中で助け合いをしていくという以外にないのではないか。そのかわりに、お互いがいままでそれぞれの掛金なり、いろいろの長さで掛金をしてきたわけでありますから、いままでの既得権はお互いに守るという形での合併というものができないかというようなことを、私いま意見として申し上げてきたところでございます。 お話を伺いますと、国家公務員の
共済組合
、地方公務員の
共済組合
あるいは
公共企業体職員等
の
共済組合
、この三つの
共済組合
の代表の方がお集まりになって、いよいよこれから話をしていこうという緒につかれたところであるということもいま実はお聞きをいたしました。せっぱ詰まった問題でございますので、こういったことに対しても、ひとつ大臣から叱咤激励していただいて、ぜひ早急にこういう共済の問題の結論を出していただくようにお願いを申し上げたいと思いますので、一言御決意をいただいて終わりにしたいと思います。
福永健司
217
○福永国務大臣 やむを得ざる所用のためにしばらく失礼いたしましたが、その間いま坂口さんからお話しのあったようなこと等についていろいろ御質疑もあり、また同時に御意見の御開陳等もあった模様でございますが、いまもお話が出ましたように、大変大事なことであり、しかも急いで対処しなければならないという事情は御指摘のとおりでございます。私どもも、そういう事情をよく念頭に置き、また、先刻来お話のありましたこと等を参考にいたしまして、できるだけ速やかに成果を上げ得られるような方策を講ずるよう、大いに努力をいたしたいと思います。
坂口力
218
○坂口
委員
終わります。ありがとうございました。
大村襄治
219
○
大村委員長
永原稔君。
永原稔
220
○永原
委員
なるべく重複しないように、しりの時間が決まっておりますので簡単に質問します。
国家公務員共済組
合と一言で申しましても、単位
組合
はたくさんあると思うのです。連合体として経理をなさっているのでしょうが、各省別に見ていった場合に、
負担
金率、それからそれぞれ各省の
負担
する分、そういうのに差があるのではないかと思いますが、長期、短期それぞれについて、最高と最低のところを、率、省を教えていただきたいと思います。
禿河徹映
221
○
禿河
政府
委員
国家公務員の
共済組合
は現在二十五
組合
ございますが、その中で、短期につきましては、各
組合
ごとに収支がバランスいたしますように掛金を決めております。それから長期につきましては、この二十五のうち二十
組合
が連合会を結成いたしておりまして、全体としては、その二十
組合
が一つの連合会、残りの五つがそれぞれ独立、こういうことで長期の掛金率を算定しているようなわけでございます。 それで、その掛金の最高、最低でございますが、この四月現在で申し上げますと、短期の掛金率の最高は林野庁の千分の五十・五、それから最低は、これは防衛庁の自衛官とかあるいは外交官等在外勤務の
職員
等の特殊なものを除いて申し上げますと、衆議院共済の千分の三十二ということに相なっております。 それから、長期掛金率の最高は、造幣局と林野庁の共済の千分の四十七・五、最低が郵政省共済の千分の四十五ということに相なっております。
永原稔
222
○永原
委員
給付については各省同じだと思いますけれども、こういうように
負担
率に差がある、こういうのが各省庁間でどうしてプール計算ができないだろうか、そのことを伺いたいのです。 短期給付については、今度小沢厚生大臣が社会保険
審議
会に一つの諮問をなさいました。その
内容
を細かくは触れませんけれども、一つ
考え方
が打ち出されております。
組合
健保といいますか、
組合
の経営する健康保険については、それぞれ財源
調整
をするために千分の二程度上乗せして、それを赤字
組合
の方に回すような
調整
をするというようなことが計画され、諮問されております。
内容
そのものは別として、そういうような考えで、この
国家公務員共済組
合の中でも、短期給付などについては財源
調整
を考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
禿河徹映
223
○
禿河
政府
委員
長期の掛金率につきましては、先ほど申し上げましたとおり大した差はございませんで、その将来の問題は別といたしまして、一応
現行
の率ということを前提でいけるのではないか、かように考えておりますが、確かに短期の掛金率につきましては、先ほど申しましたとおり、千分の三十二から五十・五と、実はかなりの開きがあるわけでございます。 したがいまして、この短期の掛金率について、御指摘のとおりその間の財源
調整
とかあるいは財源のプールとかいうふうなことを考えるべきではないかという御指摘があるわけでございますが、この短期につきましての財源プール等のことを行います場合に、その方法にもよるかと思いますけれども、やはり一緒にいたしますと、どうしても短期の収支の均衡ということになりますと、低い
組合
からは、プールすることによりましてどうしても高くなる、その辺をどうしてくれるのだというふうな問題も出てくるのではないかと予想もされます。それから、いろいろ
組合
員の年齢構成、あるいは短期の方につきましても扶養家族の数とかいうものの差がございますが、その差がありながらも、いろいろ
組合
の中で
組合
員の指導等に力を入れまして、いわば経営努力と申しますか、そういうふうなことをやってきております
組合
もあろうかと思います。そういうふうなものを財源プールというふうなときにどういうふうに考えていけばいいのかとかという問題もあろうかと思います。あるいは
事務
処理体制をどうするかとかというようないろいろな問題があろうかと思います。 そういうふうな問題をいろいろ考えながら、その解決を図りながら、いろいろ各
組合
員の同意がないとやはりできない、コンセンサスを得なくてはならない問題でもございますので、私ども今度、健康保険法の改正等におきましても、健保
組合
の財源
調整
の問題も出ております。そういうふうな問題も片一方にはございますので、できるだけ前向きにこの問題に取り組んでいきたいと思いますが、いま申しましたようないろいろな問題を踏まえ、
組合
員のコンセンサスを得ながらやっていく方向で
審議
会等にもお諮りをして結論を得たい、かように考えております。
永原稔
224
○永原
委員
同じ問題がやはり健康保険
組合
にはあると思うのです。それをあえて厚生大臣が乗り切って、そして原案をつくって諮問をした、こういう態度を私はやはり評価すべきだと思うのです。国家公務員の共済の中でも、こういうように差があるだけに、大蔵大臣はこういうものについて、厚生大臣がおっしゃったような意見を簡単におとりになるということはできませんでしょうか。それが一点。 それと、時間がありませんので先に申しますが、大河内会長が提言していますように、基本
年金
構想、こういうものは、恩給法の発生からずっと考えていきますとなかなかなじまないかもしれませんけれども、そういうものが片や打ち出されております。これに対して大蔵大臣はどういうように対応しようと考えていらっしゃいますか、そういう点を伺いたいと思います。
村山達雄
225
○
村山
国務大臣
年金
制度
の問題は、御承知のように基本的なものは、やはり厚生
年金
あるいは
国民
年金
でございます。やはりそちらの方がどういうふうになるかということを見定めないと、なかなかむずかしい問題があると思います。 いま国家公務員の
年金
の問題でございますが、二つ三つ問題がございまして、大きく分けますと、いわば民間の被用者との関係を一体どういうふうに考えたらいいのかという問題、それから全体として一体いまのような形でいつまで財源的に続くかという問題が一つございます。それから三番目の問題としまして、いま御指摘になりましたような個々の
組合
によりまして非常に財政状況が違う、それを統合するかどうか、こういう非常にむずかしい三つの問題を抱えておるわけでございます。 これらの問題につきまして、われわれも鋭意検討してまいりたいと思うわけでございますけれども、やはり基本をなします
年金
の姿勢というのは、私は厚生
年金
か
国民
年金
が中心であろうと思いますので、その辺と連絡をとりまして鋭意勉強してまいりたい、かように思っているところでございます。
永原稔
226
○永原
委員
先ほどもちょっと問題が出ましたけれども、これは保険計数との関連で料率を決めなければならないとは思いますけれども、恩給法時代と比べて大分受給年限が長く伸びておるんじゃないか、そういう中で料率というのは、保険料として考えていった場合に一体どういうのが限界になるのか、おのずから出てくるのではないかという気がするのですけれども、いかがでしょうか。そして、それを個人
負担
あるいは国がどういうふうに
負担
するか、国家公務員についてはその
負担
率を検討すべきだと思いますけれども、その辺を伺いたいと思います。 後の方の質問がありますので、その辺にとどめておきます。
禿河徹映
227
○
禿河
政府
委員
確かに最近平均余命と申しますか、老齢化の
傾向
等もございまして、これは共済
年金
のみならず各種の公的
年金
でも、そういう面から
年金
支払いのための総
費用
が増大していく
傾向
にはございます。この総
費用
は、
年金
の額と受給期間、その二つの要素が一番大きいわけでございます。確かに平均余命が伸びていくということによりまして
費用
が増大し、財源率の計算に当たっては、そういうものを用いていろいろ計算をしなくてはならない、こういうことになるわけでございますが、さてその限界ということに相なりますと、大変むずかしい問題でございまして、一般の保険料
負担
というものをどこまで求めるのが妥当であるのか、あるいは租
税負担
というものをどの辺まで求めていくのがいいのかというふうな問題とも非常に深く関連をいたすわけでございます。 先ほど厚生省の方からお話がございましたとおり、厚生
年金
一つとりましても、
昭和
八十五年度には、相当な保険料
負担
がないと
現行
の水準を維持できない、こういうことでございますので、そういう点も私ども頭に置きながら、将来の保険料
負担
等の問題は対処してまいりたいと考えております。
大村襄治
228
○
大村委員長
沢田広君。
沢田広
229
○沢田
委員
きわめて時間が短いようでありますから、簡単に行います。 今日行われている春闘に当たって、運輸大臣としても御努力はいただいているのだろうと思いますが、
共済組合
の方も受忍する
組合費
の限界を超えつつあります。そういう状況等に照らし合わせましても、
共済組合
の方はこれでともかく円満に協調しているわけでありますから、正常な労使慣行を挑発することなく、ひとつ円満に収拾していただくように御配慮を要望いたしまして、実は
内容
的には質問は時間の関係できょうはしません。しかし、そういう点は、ぜひ
共済組合
のこの要領のよさをひとつ労使の関係にも受け継いでいただいて、それぞれ善処していただくよう要望する次第です。
最後
に、
事務
当局にでありますが、これは大臣が忙しければ、後で採決の場がありますから、これも簡単に終わります。 請求権の五年というのは、民法上から考えてみても非常に短過ぎるのではないか。いわゆる受給資格者が、法の改正がこうどんどんたくさん行われて、自分の適用される権利が単に五年で打ち切られてしまうということは、非常に短い。しまった、五年過ぎちゃったといっても、後で追いつかないという例がたくさんあるわけです。ですからもう少し——この
共済組合法
というのは、むずかし過ぎてだれも飛びつかないのですよ。私も、国会図書館から
昭和
二十二年以来のあれをもらってきて見てまいりましたが、とにかく附則、附則、附則、何条、何条で、前へ戻っていってまた何条という形で、これはとてもむずかしい。時間が過ぎましたから、この五年を若干緩和する
考え方
はないかどうか、あるいは特別条項について緩和することは考えられないかどうか。 それから、交通事故等がいま一年間に六十一万人いるのですが、それぞれ
共済組合
で立てかえ障害
年金
を行うことが
法律
上規定されているわけです。しかし、実際はどうも、私の調査の結果では、ないようであります。これも一家族四人で十六万八千百九十円ということになっているわけで、これも上がるでしょうけれども、そういうことになっているものを考えられないかどうか。これを御検討いただけるかどうか、それだけできょうの私の追加質問を終わりたいと思います。
禿河徹映
230
○
禿河
政府
委員
第一番目の
年金
請求権の時効の五年の問題でございますが、この五年はたしか現在、公的
年金
制度
全般を通じまして五年という仕組みでやっていると思いまして、私ども特に短いとも考えておりません。それに、年
金額
の
改定
等があります場合には、職権
改定
で、
年金
受給者に対しましては、あなたの
年金
は今度こういうふうに改善に相なりましたという通知を出しておりますので、実際上五年で短過ぎて非常にぐあいが悪いということはないのではないかな、かように思っておりますが、なお、その辺のところを実態等をもう一回見ながら検討さしていただきたいと思います。 それから第二点の、交通事故がありました場合の
組合
の立てかえ払いの問題でございますが、この実態はちょっと私ども、急な御質問でもあり、とらえかねておりますので、調査いたしましてまた後ほど御報告さしていただきたいと思います。
福永健司
231
○福永国務大臣 沢田さんのいまの御質問を伺っておりますと、余り私から申し上げることはないわけでございます。よく伺っておきます。こう申し上げることでございましょう。もっとも、前に伺いました質問要旨からするといろいろあるので、いまおっしゃいませんでしたが、それをごもっともですと申し上げているわけじゃございません。この点につきましては、私は全体のなにがございますが、ただいま言葉で御表明になりましたことにつきましては、よく伺っておきたいと思います。
大村襄治
232
○
大村委員長
これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————
大村襄治
233
○
大村委員長
この際、両案に対し、自由民主党を代表して綿貫民輔君外二名より、それぞれ修正案が
提出
されております。 この際、
提出者
より
趣旨
の
説明
を求めます。
小泉純一郎
君。
—————————————
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
に対する修正案
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
に対する修正案 〔
本号末尾
に
掲載
〕
—————————————
小泉純一郎
234
○小泉
委員
ただいま
議題
となりました両修正案につきまして、
提案
の
趣旨
及びその
内容
を御
説明
申し上げます。 御承知のとおり、これら共済
年金
関係の二つの
法律
の施行期日は、原案では「
昭和
五十三年四月一日」と定められておりますが、申し上げるまでもなく、すでにその期日を経過いたしておりますので、両修正案は、それぞれ施行期日を「公布の日」に改めるとともに、これに伴いまして、所要の規定の整備を行うものであります。 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
大村襄治
235
○
大村委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。
—————————————
大村襄治
236
○
大村委員長
これより討論に入るのでありますが、討論の
申し出
がありませんので、直ちに採決に入ります。 初めに、
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 まず、本案に対する修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
237
○
大村委員長
起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決されました修正
部分
を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
238
○
大村委員長
起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。 次に、
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 まず、本案に対する修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
239
○
大村委員長
起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。 次に、ただいま可決されました修正
部分
を除いて、原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
大村襄治
240
○
大村委員長
起立総員。よって、本案は修正議決いたしました。
—————————————
大村襄治
241
○
大村委員長
ただいま議決いたしました両案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・
国民
会議
、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表して、野田毅君外五名より
附帯決議
を付すべしとの動議が
提出
されております。 この際、
提出者
より
趣旨
の
説明
を求めます。佐藤観樹君。
佐藤観樹
242
○佐藤(観)
委員
ただいま
議題
となりました
附帯決議
案につきまして、
提出者
を代表して、
提案
の
趣旨
を簡単に御
説明
申し上げます。 本
附帯決議
案は、国家公務員及び公共
企業
体
職員
関係の
共済組合
制度
については、その給付水準等も逐年改善が行われてまいりましたが、さらに、生活の安定等に資するため、なお引き続き検討すべき諸点を取りまとめ、その実現が図られるよう
政府
の一層の努力を要請するものであります。 個々の事項の
趣旨
につきましては、先ほどの
委員会
審議
において論議がなされ、また、案文でほぼ尽きておりますので、案文の朗読により
趣旨
説明
にかえさせていただきます。 「
昭和
四十二年度以後における
国家公務員共済組
合等
からの
年金
の額の
改定
に関する
法律等
の一部を改正する
法律案
」及び「
昭和
四十二年度以後における
公共企業体職員等
共済組合法
に規定する
共済組合
が支給する
年金
の額の
改定
に関する
法律
及び
公共企業体職員等
共済組合法
の一部を改正する
法律案
」に対する
附帯決議
(案)
政府
は、
国民
相互間の信頼感を確保し、
共済組合
制度
の充実を図るため、左記事項を実現するよう、なお一層努力すべきである。 一
共済組合
の長期給付に要する
費用
の国庫
負担
分については、厚生
年金
等の
負担
と異なつている
現状
にかんがみ、公的
年金
制度
間の均衡を考慮して、すみやかに適切な
措置
を講ずるよう検討すること。また、短期給付に要する
費用
の
負担
についても、
組合
員の
負担
上限について配意しつつ、適切な
措置
を検討すること。 二
国家公務員共済組
合等
及び
公共企業体職員等
共済組合
からの
年金
について、
国民
の生活水準、国家公務員及び公共
企業
体
職員
の給与、物価の上昇等を考慮し、既裁定
年金
の実質的価値保全のための具体的な対策を早急に進めること。 三 公共
企業
体の
共済組合
の長期給付の財源方式については、他の公的
年金
制度
との均衡を考慮して、
負担
区分を明確にして、健全な
年金
財政の実現に努めること。 四 遺族
年金
については、受給者の生活の安定に資するため、さらに、給付水準の引上げに努めること。 五 旧令、旧法による年
金額
の改善については、引き続き一層努力すること。 六
国家公務員共済組
合及び
公共企業体職員等
共済組合
両
制度
間の差異について、早急に
是正
するよう検討するとともに、国家
公務員等
退職手当法第五条の二に規定する公共
企業
体
職員
の退職手当について、すみやかに改善
措置
を講ずるよう検討すること。 七 家族療養費の給付については、他の医療保険
制度
との均衡を考慮しつつ、その改善に努めること。 八
共済組合
の
運営
が一層自主的、民主的に行われるため、
運営
審議
会において
組合
員の意向が充分に反映されるよう努めること。 九
公共企業体職員等
共済組合
に関する
制度
について、学識経験者等により調査
審議
する
機関
の設置を早急に行うこと。 以上であります。 何とぞ御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
大村襄治
243
○
大村委員長
これにて
趣旨
の
説明
は終わりました。 お諮りいたします。 本動議のごとく両案に対し
附帯決議
を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大村襄治
244
○
大村委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本
附帯決議
に対し、
政府
より発言を求められておりますので、これを許します。
村山大蔵大臣
。
村山達雄
245
○
村山
国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、
政府
といたしましては、御
趣旨
を体しまして十分検討いたしたいと存じます。
大村襄治
246
○
大村委員長
福永運輸大臣。
福永健司
247
○福永国務大臣 ただいま
附帯決議
のありました事項につきましては、
政府
といたしまして、御
趣旨
を体し十分検討いたしたいと存じます。
—————————————
大村襄治
248
○
大村委員長
お諮りいたします。 ただいま議決いたしました両
法律案
に関する
委員会
報告書の作成につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
大村襄治
249
○
大村委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に
掲載
〕
—————————————
大村襄治
250
○
大村委員長
次回は、来る五月九日火曜日午前九時五十分
理事
会、午前十時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時七分散会 ————◇—————