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1978-03-22 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)     午後六時十六分開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       小渕 恵三君    大石 千八君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       高鳥  修君    原田  憲君       村上 茂利君    森  美秀君       山崎武三郎君    伊藤  茂君       川口 大助君    沢田  広君       只松 祐治君    山田 耻目君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       荒木  宏君    永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵大臣官房審         議官      福田 幸弘君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省関税局長 戸塚 岩夫君         国税庁調査査察         部長      藤仲 貞一君         資源エネルギー         庁次長     大永 勇作君         資源エネルギー         庁石油部長   古田 徳昌君  委員外出席者         公正取引委員会         経済部調整課長 中村 雄一君         公正取引委員会         審査部第一審査         長       相場 照美君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 三月十八日  国民金融公庫法及び沖繩振興開発金融公庫法の  一部を改正する法律案内閣提出第六五号)  昭和四十二年度以後における公共企業体職員等  共済組合法に規定する共済組合が支給する年金  の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等  共済組合法の一部を改正する法律案内閣提出  第六六号) 同月二十二日  石油税新設に関する請願相沢英之紹介)(  第二三一九号)  同(木野晴夫紹介)(第二三二〇号)  同(倉成正紹介)(第二三二一号)  同(中村弘海紹介)(第二三二二号)  同(鳩山邦夫紹介)(第二三二三号)  同(塩崎潤紹介)(第二四二三号)  同(江藤隆美紹介)(第二四四九号)  舞台芸術入場税撤廃に関する請願甘利正君  外一名紹介)(第二三四二号)  同(有島重武君紹介)(第二三四三号)  同(伊藤公介紹介)(第二三四四号)  同(飯田忠雄紹介)(第二三四五号)  同(石田幸四郎紹介)(第二三四六号)  同(稲富稜人君紹介)(第二三四七号)  同(受田新吉紹介)(第二三四八号)  同(大内啓伍紹介)(第二三四九号)  同(大野潔紹介)(第二三五〇号)  同(大原一三紹介)(第二三五一号)  同(近江巳記夫紹介)(第二三五二号)  同(小平忠紹介)(第二三五三号)  同(小林正巳紹介)(第二三五四号)  同(小宮武喜紹介)(第二三五五号)  同(河野洋平紹介)(第二三五六号)  同(斎藤実紹介)(第二三五七号)  同(鈴切康雄紹介)(第二三五八号)  同(田中昭二紹介)(第二三五九号)  同(竹本孫一紹介)(第二三六〇号)  同(玉置一徳紹介)(第二三六一号)  同(野村光雄紹介)(第二三六二号)  同(春田重昭紹介)(第二三六三号)  同(平石磨作太郎紹介)(第二三六四号)  同(伏屋修治紹介)(第二三六五号)  同(宮井泰良紹介)(第二三六六号)  同(宮田早苗紹介)(第二三六七号)  同(宮地正介紹介)(第二三六八号)  同(薮仲義彦紹介)(第二三六九号)  同(山口敏夫君外一名紹介)(第二三七〇号)  同(山田太郎紹介)(第二三七一号)  同(吉浦忠治紹介)(第二三七二号)  同(米沢隆紹介)(第二三七三号)  同(和田耕作紹介)(第二三七四号)  同(渡辺武三紹介)(第二三七五号)  同(渡辺朗紹介)(第二三七六号)  同(井上泉紹介)(第二三九四号)  同(伊藤茂紹介)(第二三九五号)  同(池端清一紹介)(第二三九六号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二三九七号)  同(上田卓三紹介)(第二三九八号)  同(上原康助紹介)(第二三九九号)  同(枝村要作紹介)(第二四〇〇号)  同(大柴滋夫紹介)(第二四〇一号)  同(大原亨紹介)(第二四〇二号)  同(太田一夫紹介)(第二四〇三号)  同(加藤清二紹介)(第二四〇四号)  同(加藤万吉紹介)(第二四〇五号)  同(貝沼次郎紹介)(第二四〇六号)  同(金子みつ紹介)(第二四〇七号)  同(田邊誠紹介)(第二四〇八号)  同(多賀谷真稔紹介)(第二四〇九号)  同(高田富之紹介)(第二四一〇号)  同(武部文紹介)(第二四一一号)  同(中西積介紹介)(第二四一二号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二四一三号)  同(平林剛紹介)(第二四一四号)  同(松本七郎紹介)(第二四一五号)  同(森井忠良紹介)(第二四一六号)  同(横山利秋紹介)(第二四一七号)  同(沢田広紹介)(第二四五二号)  同(中川秀直紹介)(第二四五三号)  同(細谷治嘉紹介)(第二四五四号)  同(水田稔紹介)(第二四五五号)  同(横路孝弘紹介)(第二四五六号)  不公平税制是正等に関する請願塚本三郎君  紹介)(第二三七七号)  同(宮田早苗紹介)(第二三九二号)  同(加藤万吉紹介)(第二四一八号)  同(川崎寛治紹介)(第二四一九号)  同(河上民雄紹介)(第二四二〇号)  同(木原実紹介)(第二四二一号)  同外一件(北山愛郎紹介)(第二四二二号)  同(川口大助紹介)(第二四五〇号)  同(古川喜一紹介)(第二四五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石油税法案内閣提出第一八号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  石油税法案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  3. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 議題となっております石油税につきまして、私は三つの柱で質問を申し上げたいと思います。  まず第一に、今回採用しようとしているこの石油新税を含めました石油関係税体系に対する考え方の問題です。  最初に伺いますが、経過を振り返ってみますと、オイルショック以来、このような石油新税をつくり、エネルギー対策などに使うべきではないか、通産省からもそういう意見がときどきありましたし、また、地方財源として自治省からも同じような主張もあったように思います。そのたびにいままで大蔵省は反対してきたように伺うわけですが、今回変身をされた。それから経過を伺いますと、五十三年税制審議する昨年暮れの税調議論の中で、十一月の末か十二月の初めになって突如、自動車税の討議とも関連をして出されたということですが、そういう経過を見まして、どういう判断でこの創設に決断をされたのかということをまず最初に聞かしてください。
  4. 大倉眞隆

    大倉政府委員 大蔵省がただいま御審議をお願いしておりますような考え方での石油ないし石油製品全般に対する課税というものに反対をしたということはないように存じますが、税制調査会に御審議をお願いいたしました経緯が、ただいま伊藤委員がおっしゃいましたように、昨年の秋が深まってから出てきた、ある意味で唐突に出てきたという点は、御指摘のとおりであろうかと思います。  ちょっとお時間をいただいて恐縮でございますが、昨年十月初めまでは、御承知中期答申審議を非常に精力的にやっていただいておったわけでございますが、その過程で、エネルギー課税の問題ももっと突っ込んだ議論をすべきだという御指摘がございまして、中期答申に、今後なおその問題は勉強しようという趣旨のことが書き込まれておりました。  中期答申の作業が終わりました後、五十三年度の答申に移っていただいたわけでございますが、その過程でまた、ただいまおっしゃいましたように、五十三年の三月末あるいは四月末に揮発油税地方道路税自動車重量税現行暫定増税の期限が参りますので、これに対して何らかの答えがどうしても必要であるということをお願いいたしまして、かたがた、前々から石油製品に対する課税として、現在のシステムは全石油製品の二割程度対象にし、しかもその使途がそれぞれ特定されておるという点が御議論になりまして、答申の表現をかりますと、「この際むしろ石油一般に広く課税するため、原油を中心とした課税を導入」してはどうか、それをひとつ審議しようではないかということになりまして、政府としての素案を出してみろ、問題点を整理してみろということで検討がされたわけでございます。  経緯はそういうことでございまして、おっしゃいましたように、その暫定増税期限切れに関連して、やや唐突に出てきたという面はございますが、問題意識としてはかねてからあったというふうに申し上げてよろしいかと思います。
  5. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 やや唐突にと言われましたが、やはり影響の大きい新しい税制をつくるわけですから、本来でしたら十分な議論と十分な検討、あるいはこれからお伺いしたいと思う石油という重要な資源関係する部面にどのような税を特に考えるべきか、どのような考え方が合理的かということを検討されることが必要だと思いますが、余りそういう意味での見通し議論のないうちに税調で決められたという感じが非常にいたします。  いま主税局長お話では、二〇%程度しかいまカバーしていない、しかも特定財源である、やはり広くカバーするようなことがあっていいのではないかという意見と伺いましたが、そういう意味で言いますと、二つ問題があるんじゃないか。  一つは、これからの中期税制で一番大きな焦点となっている一般消費税と同じシステム、同じ発想というものではないだろうかということが一つ。それからもう一つ、いままでの関税を含め、それぞれの製品にかけられる税金システムがある。それらはそのままになっていて、それにベースのところで新しいものができるわけですから、そうするとある意味では、製品についてはほとんどのものについて関税と二重、あるものについては三重というような関係になります。その辺考え方として、合理的なこれからのシステムとして一体どうなんだろうかという二つの問題が起きるのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  6. 大倉眞隆

    大倉政府委員 前段の御質問の、一般消費税と対比してどうかという点でございますが、その点は結論的に申し上げて、ただいま御審議をお願いしております石油税は、一般消費税とはかなり異質のものであると私ども考えております。と申しますのは、やはり課税対象石油というもので特定されまするし、また単段階課税でございますから、中期答申でなお検討を深めようと言っておられます一般消費税とは非常に違うものであると御理解いただきたいと思います。  それから、二重課税になるのではなかろうかという御指摘につきましては、石油に対してどういう負担の求め方をしたらよろしいかという点からの吟味がなされたわけでございますが、これもまた結論的に申しますと、原油と一部の輸入石油製品対象になるものでございまして、いままでございます製品課税とは別のものである、そういう意味で二重課税という考え方にはならないであろう。ただ、これは申し上げるまでもなく、実質的な負担の問題として、石油税が課されれば、それがある程度石油製品のコストの中に入っていき、本来の性格としては消費者負担になるべきものであるし、現在の製品課税もまたいろいろの段階で、それぞれ単段階でございますが、あるものは蔵出し段階、あるものは消費段階課税されておる。それもまた消費者に転嫁されることを予定しておるという意味で、消費者に対する負担が加わっていくという点は、これは否定できないところであろうと思います。  それから、第三の将来の展望の問題でございますが、やはり現在あります各種製品課税あるいは原重油関税がそれぞれ法律的にあるいは実質的に使途が特定されておるという問題については、やはりこれは将来の検討問題として非常に大きな問題の一つであろう、今後ともその使途の問題は引き続き勉強していこうではないかというのが、税制調査会考え方であると思います。  それから、関税局長まだ来ておりませんが、原重油関税経緯から申しますと、石炭対策として考えられております部分と、後から石油対策で追加された部分とございます。石油対策で追加された部分については、これはやはり結果的に重複になると考える方がむしろ素直ではないか。その意味で、五十二年度改正で暫定的な負担増加をお願いしました部分は、今回もとに戻すという調整をいたしております。しかしなお石油対策としての部分も、いまの原重油関税は残っておりますので、その部分をどうするかということは、現在の原重油関税期限切れまでに十分検討してみようという構えになっているわけでございます。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 何かお話を伺っていますと、今度の石油新税という制度をいままでに追加をしても、長期的に合理性のあるシステムではないかという感じを持たれているようにうかがえますが、たとえば今度の石油新税にしても、根元税金がかかるわけですから、そういうものの持つ意味がどうであろうか。いただきました資料の中には、諸外国比較をして石油関係税税負担比較などがございます。それはそれとしてあるのだと思いますが、この税金のかけ方を各国別に見てみますと、アメリカは別にして、ヨーロッパ諸国でも原油段階であるいは引き取り段階税金が全部かかるという国はないわけです。これは、先ほど申し上げました二重、三重ということがあるのじゃないかということも含めて、ひとつ問題があるのじゃないだろうかという気が非常にするわけです。  それからもう一つは、いま話が出ました原重油関税との関係、これも調べてみますと、昨年一月の段階ですか、関税審議会の方で、これは無税にするのが望ましいという答申が出されております。関税と今回の税金と、理論的な性格は違うかもしれませんが、もともとのところで二重にかかるということはこれは事実なんで、やはり税のあり方として、合理性から言っても問題があるのじゃないかというふうに思いますが……。
  8. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 先生御承知のように、石油対策財源が必要であるということで、五十二年度の関税改正といたしまして、原油一キロリットル当たり六百四十円でありましたのを七百五十円に五十二年度に上げたわけでございます。これに対しまして、五十三年度、いま御審議いただいております石油税法創設に伴いまして、とりあえず関税といたしましては、去年の上げなかった状態に戻すということで、過日関税改正を御審議いただいたわけでございますが、私ども承知原重油関税ができました趣旨は、石炭対策財源に充てなければならぬというようなことで出発したわけでございます。今日においてもなお石炭対策必要性は御理解いただけると思うのであります。したがいまして、その石炭対策財源に充てるための原重油関税必要性というのが今日ずっと続いているわけでございまして、原重油関税の方をいま直ちに手をつける、根っこから手をつけるということはいかがかと考えております。  しかし、エネルギー対策全体の財源をどうするかという基本的な問題があるわけでございまして、これにつきましては、通産省に置かれておりますエネルギー調査会がいま鋭意検討しておりまして、本年の半ば、夏ごろには何とか方向が出てくるのではないかということを私どもとして期待しております。私どもは、そういう答申も得ました上で、関税率審議会に諮りまして、しかるべくやってまいりたいというように考えております。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、いまのお話を伺っても、それから、去年の税調の詰めの段階ですね、非常に関心のある問題ですから、いろいろな報道がされております。主税局長の話なんというのもしばしば出ておりましたが、その経過を見ておりますと、何かいままである既成事実——確かに目的税が多いわけですから、簡単にどう動かせるかという、いろいろ関係する税制だけではないたくさんの問題があります。しかし、それらのことも、現在の目的税システムはそのままでいいのかということも含めて、こういう時代ですから、中期、長期の展望を立てて、合理性のある説明をする、あるいは時間がかかってもこういうふうにこのシステムは持っていくべきだというふうな考え方が必要だと思うのですね。報道をずっとあの辺を繰って読んでみますと、そういうことがなくて、いままである既成事実、目的税というのはいろいろ絡んでいるから、これはいままでどおりだ、それに新しい事実が次々重なっていくというような感じが非常にしてしょうがないわけです。  当時の経過なんかで、報道されたのをあちこちいろいろ読んでみますと、たとえば原重油関税については、さっき申し上げました審議会答申もあるし、廃止方向をとるのではないか、あるいは、今度採用される石油新税と含めて何か一本のシステムを考えるべきではないかと大蔵省は思っているようだというようなこともあり、そうかと思うと、大倉さん、これは本当かうそか、誤報かどうか知りませんが、これを採用するについて、他の税目との調整は当然必要だ、これはあなたの談話ですよ。それから、その場合に原重油関税は据え置くけれども揮発油税とか軽油取引税などはいずれ廃止することになると思う。——かえってあなた方の考えは逆じゃないかという気もするのですが、いろいろな報道が出ているわけですよ。  そういうのを読んでみますと、いままである既成事実の上に新しく、外からは突如としてという感じも含めて採用される。何かやはりこれから先、こういうものをつけ加えるというシステムだけでいいのか、それから、必要な財源目標をどういうシステムで達成していくのかという議論も、これは大蔵省だけでなくて、関係省庁でやらなくちゃならぬでしょう。そういうことも含めて、もっと合理的な全体のシステムを考えていく、そういう努力をしなくちゃならぬという問題意識は当然浮かんでくるんじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  10. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほども申し上げたかもしれませんが、現在ございます製品課税使途が特定されているもの、それに現在御審議をお願いしております石油税、さらに原重油関税というものを含めて今後なお、これら全体をどう組み直してみるのか、使途の問題をどう考えるのか、それは引き続き検討すべき非常に重要な問題の一つであろうというように私どもは考えております。  ただ、途中で御引用になりました中で、私が全く心当たりのございませんのは、石油税ができる場合には揮発油税等廃止方向というふうに申したことは全然ないように思います。その点は、ちょっと念のために申し上げておきたいと思います。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それと今回、やはり審議経過の中で、当時の報道などを読んでみますと、石油差益着目をしてと。差益着目をするということは、ほかの業種についてもいろいろたくさんあるわけですから、石油だけというのも理論的にはおかしいかと思いますが、昨年暮れの段階の中で、差益着目をするということは、当然議論としてはあったんじゃないかと思います。ただ私どもは、やはり莫大な石油差益円高による為替差益というものについては、当然何らかの形で営業の将来なりあるいは消費者国民に還元をされるなり、企業社会的責任感も含めた措置がとられるべきだろうというふうに思います。その差益の実態とかそういうことは後で議論したいと思いますが、ただ、税制としての考え方から見て、差益があるからということを利用して新しい税制創設するというのは、理論としてはおかしいんじゃないかと思う。当時そういうことが何か非常に言われたようですので、理論的には、差益ということを一つの理由にして新しい税制が設けられるというのは、筋が違うんじゃないかと思いますが……。
  12. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点はおっしゃるとおりだと思います。  それで、まさしくいまおっしゃったような角度からの御議論がないではなかったのでございますが、その点につきましては、私どもが、それは為替差益に特別の税を課するという発想をもしとるとしても、もしそうであるならば、石油だけをねらい撃ちにするのはおかしゅうございましょうということも申し上げましたし、それより前に、為替差益とはそもそも何ぞやというようなことを技術的に特定することもむずかしいし、さらにもう一つ根元の問題として、為替差益という特殊なものに特別の税負担を求めるというような発想は必ずしも適当ではないんではないか。それはやはりただいまお言葉の中にもありましたように、本来は市場を通じて価格に伝播させ、それなりの経済効果を期待するという方が本筋ではないかと、私どもいまでも依然としてそのように考えております。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 じゃ、そういうことを含めて今回税率三・五%と出されているわけですが、三・五%ということでことし決められた根拠ですね、大体これからの需給状況あるいは価格見通し消費者への影響とかというものなど、いろいろと科学的に判断をされてこういう税率が出てきたのか、あるいは業界との関係その他、非常に政治的な性格があって出てきたのか、この三・五%についてはいかがですか。
  14. 大倉眞隆

    大倉政府委員 最終的に税率政府案として決定いたします過程では、関係省十分意見交換をいたしましたが、一番大事な主管庁でございますエネルギー庁との意見交換過程におきまして、この際としては、やはり実質的に三%程度になるように負担を求めるというのが、いまおっしゃいましたいろいろな要素を含めた上で妥当なところではなかろうか。ただ、御提案いたしましたのが三・五になっておりますのは、先ほど申し上げましたように、原重油関税を五十二年度に引き上げました分、キロリッター当たり百十円分をこの際また引き下げるということにいたしまして、それをいわば実質的にその石油税の方に振りかえてくるということで計算をすると三・五になるな。したがって、新たな実質負担としては三%程度というのが妥当なところであろうということで、エネルギー庁と合意に達したという経緯がございます。
  15. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それから、税調答申を読んでみますと、石油税創設するということについて、国際的な影響、特に昨年の段階では、OPECカタール総会前後ということもございましたし、何かこういう石油から財源税金を求めるということが新たな石油値上げの口実に使われるのではないか。去年の暮れのOPEC総会では、そういう問題は余り出なかったように私どもも伺っておりますが、今後の石油産出国との関係その他を考えた場合に、そういう議論もあり得るではないかというふうに思いますが、その辺はどう判断されるか。
  16. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点は、この税の創設に消極的な立場の方からかなり強くそういう御意見の開陳がございました。御議論いただきましたのですが、答申では非常に簡潔に触れておられますが、そのまま引用させていただきますと、「諸外国でも省資源等の見地から石油課税の引上げが行われ、又は、提案されている例が少なくないこと、」これは主として先進工業国ないし消費国サイドとして、国際的に見た場合に、こういう税をつくるときにどういうふうにみんなが思うであろうかという角度の問題の結論でございます。それから、後段につきましては、「我が国における石油税負担は主要諸外国に比してむしろ低いこと等」、この「等」という中に、これは言わずもがなのことであるけれども、産出国、産油国側の価格の決定というのは国別決定ということをやるわけではないので、日本が三%程度石油税をつくるらしいということがすなわち、グローバルに石油価格を引き上げるということにつながることはないはずだという御議論もあったわけです。そんなこと、わかり切っていることをわざわざ書くことはないじゃないかということで、その「等」というところに組み込まれております。  いずれにしましても、税制調査会としてもその点はかなり御議論がありましたが、結論としまして、そのような反発を理由としてこの税の創設を見送るという必然性はないであろうということでございました。  たまたまおっしゃいましたように、カタールでございましたか、あれはベネズエラでございましたかで総会がある直前でございましたので、そういうふうに大きく報道されてしまえば問題が起こり得るかという点を内心心配しないではなかったのでございますが、結果的にはそういう状態にならずに済んだということで、私どもとしてもほっとしておる状況でございます。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 税のシステムという関係についてちょっとポイントだけ駆け足で伺ったのですが、大臣、いまこの新しい税制をつくる場合に、こういう時代ですから、これから税環境も非常に厳しくなる。やはりより合理性を持ち、より長期的に見て整合性のあるシステムとして税制を考えるということが求められているんだろうと思うのです。  そういう中で、この税調審議の具体的な中身がどうあったのか私ども存じませんけれども、いろいろ報道されるものその他を見ますと、差益があるから今度は取るんだろうとか、それから、関税との関係がどうなるのかとか、そのほかの税目とどうなるんだろうか、それから、それぞれいまある税制目的税としての性格、こういうものがいつまで続くんだろうとか、いろいろのことが絡んで報道されています。恐らく実態としてやはり世間からは、突然こういうものが出されてきた、前々から検討の内容は持っていたように主税局長言われましたが、そういう印象を持たれているということだと思うのです。  それから、さっきも申し上げましたように、石油にかける税金のかけ方を見てみますと、アメリカと共通している点もあれば、それからヨーロッパ諸国ではほとんど例のない形で、一番もとのところに税金をかける、しかも関税と今度の新しい税制だというようなことになっています。  そういうことを考えますと、この税金をどういただくかというあり方の問題、それからその使い道、その他全体を含めて大蔵省としても、それから、後ほどお伺いいたしますが、これからのエネルギー政策上に必要な財源をどう調達するのかという観点からも、関係する業界にしろあるいは石油を消費する国民にしろ、広く公平な理解を求められるような検討をさらにやっていく。そうでないと、何か取りやすいもの、選択税制という言葉も使われていますけれども、取りやすいものを次々につくっていくという印象が非常に強くなるということではないかと思います。そういう努力を、やはり今回こういう税制をつくるについて、あるいは今後についてぜひ考えられるべきではないか、そういう努力もされるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  18. 村山達雄

    ○村山国務大臣 燃料あるいは車体に関する現行の税制は御承知のように、非常にいろいろな経緯を経て、そしていろいろな体系になっているわけでございます。それが創立される過程にはそれぞれの理由があったわけでございますが、振り返ってみるとずいぶん複雑なものになっておるということは否み得ないところであろうと思うのでございます。  何といっても今度の石油新税は、一番大きな問題は、石油ショック以来の問題でございますけれども、世界を挙げていまエネルギー対策をどうするかという問題全体として何らかエネルギー対策を進めなければならない。その中身は、一つは節約をしていかなければいかぬ、あるいは代替燃料を開発しなければならぬ、さらには新エネルギーもまた考えていかなければならぬ。そして今後のエネルギー政策というものは、どこの国でも莫大もない金が、財政資金が要るわけでございますが、やはりそういった問題が日本のみならず世界各国を揺り動かしていると言っても過言ではないんだろうと私は思うのでございます。日本もその例外ではありませんで、エネルギー調査会が中間答申を出しまして、今後財政資金として、少なく見ても六十年ぐらいまで七兆ぐらい要るというようなこと、そういったことを考えますと、既存のものではとうてい対処できないわけでございますので、エネルギーの財源はエネルギーからというところに比較的結びつきやすかったのではなかろうか。そういう意味で、関税との問題もあり、あるいは従来の揮発油税あるいは軽油引取税等の問題がありましたけれども、まあまあ二重課税ということも避けられるし、それからまた為替差益とも直接理論的に関係するわけではありませんけれども、まあまあやってみて最も弊害の少ないものではないか、そういうところで常識的に決まったのではないかと私は理解いたしているわけでございます。  しかし、いま御指摘のように、今後それならばこのままでいいのかということになると、やはり多くの検討課題を残している点は御指摘のとおりであろう。私の感じだけ率直に申し上げておきます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣、お伺いしたいと思いますのは、お話はわかりますけれども、要するにこれからの問題ですね。ことしはこうだ、来年はどうするかという目の前のことではなくて、石油という資源にかかるあるいは製品にかかる税制のあり方、その使い道その他についてです。何かいままでのシステムの上に新しいものをつくっていく、あるいは、ことしは三・五ということですが、将来その税率をどうこれから上げていくのかとか、そういうことだけではなくて、やはり多くの消費者にも、それから多くの基幹産業部面にも影響する問題ですから、そういう既成事実の上にさらに既成事実を追加していくということではなくて、またその使い道のいまのあり方がいいか悪いかも含めて、これはいきなり一年で切りかえるというわけにいかぬ問題もたくさんあるわけですから、やや中期的な見通しを含めながら、そういう意味での検討と、それからより合理性のある制度をつくっていこう、そういう検討と勉強とを可能なところから対策をやるべきではないか、そういうお気持ちを持っておられるかどうかということを一言伺っておきたいと思います。
  20. 村山達雄

    ○村山国務大臣 多くの検討問題を含んでいると思います。そして、これから真剣に検討していかなければならぬわけでございますが、御案内のように、税というものは一遍決めますとそれにアダプトしていくという関係がございます。その辺が急に一挙に切りかえることができるのかどうか。それから財源も、それぞれ道路財源であるとかあるいは行政上道路に優先させて使っているとか、いろいろの使い方が国税、地方税を通じましてあるわけでございます。そういう問題を含めまして、やはり現実的に、しかしできるだけ体系的に物を考えていく、なかなかむずかしい問題に直面している、こういう感じをいま持っているわけでございます。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いずれにしても、突然という印象で、しかも長期的な新しい税制がいままでの既成事実の上にさらに次々できていくというふうな感じが国民から持たれないような検討、またそういう意味でのきちんとした理解を求める努力というものをやはり強く要望しておきたいと思います。  二つ目の柱で、石油製品価格との関連あるいは石油関係産業の景気との関連を伺いたいと思いますが、今回の石油税創設について、何か昨年暮れの段階では、当然でしょうが、石油連盟からも強い反発があって、それで三%の場合でもキロリットル七百円ぐらいは上げてもらわなくちゃ困るというふうな意見もいろいろあったようです。今回の石油税創設に当たって、製品価格との関連をどう見ておられますか。
  22. 古田徳昌

    ○古田政府委員 今度の石油税によりまして、実質的に三%見合いの税金が新しくかかるということで、それが当然のことながら私どもとしましては、この石油税性格から見まして、全体の石油製品に広く負担されるというふうに考えているわけでございます。しかしながら、実際の石油製品価格がどういう形になるかという点につきましては、それぞれの製品の需給動向あるいは今後の為替の動向、さらには、六月の後半に予定されておりますOPEC総会での決定がどのような内容になるかというふうなこととの関係で、現在一概に見通すことは困難でございますけれども、最近の動向からしますと、必ずしも石油製品価格にそのままの形ではね返るというふうなことではないのではないかと考えております。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いまのところはというふうなことになるわけですが、これは「租税研究」というのに載っておりますけれども主税局長が講演された内容を読ましていただきました。この石油税創設について主税局長が講演をされておりますことでは、「これが製品値上げになって景気の足を引っ張ることはまずまず一〇〇%ないだろうという判断で、急遽浮上してきたわけでございます。」という説明をなさっています。それから、同じようなことがいろいろと述べられているわけでありまして、「そのほかにある程度の値下げも十分可能であろうと思います。」ということを言われています。そのとおりですか。
  24. 大倉眞隆

    大倉政府委員 確かに租研でそういう趣旨のことを申し上げたと思います。  物の考え方としましては、いま石油部長が御説明したとおりに私どもも考えております。ですから、この税の性格が一番はっきりと消費者の皆様にわかっていただけるという対応の仕方というのは、私なりに考えてみますと、むしろ一遍石油価格が下がるべきものが全部下がって、その上でこの税に相当するものがまた七百円なら七百円上がる、そういうことになる方が消費者としてはわかりいい。本来下がるべきものの一部が何となく税のせいで下がらないとかなんとかいうことになるのはかえってぐあいが悪いのかもしれません。  それは、価格の問題でございますから、需給状況にもよりましょうし、物差しではかったようにはなかなかならないであろう。ただ、私がその時点でそう申しておりましたのは、それ以後若干小売価格が下がっている油種もあるようでございますが、その時点ではまだ現実に値下がりはしていなかったわけで、昨年の九月決算のベースになっておりました輸入価格の対ドルレートは、私どもが手元に持っておりました資料では大体二百六十五円プラスアルファのベースでございましたから、仮に二百四十五円なり二百四十円が定着する、これは決して好ましいことではないかもしれませんが、最近のようなレートになるということになりますれば、それは三%の負担というものに比べれば、むしろ値下がりをするという状況にあるのではないかというふうに私は判断しておったわけでございます。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 その辺を、今後の価格についての行政指導ですが、しっかり押さえておかないと、五千億とか七千億とか言われているこの為替差益、そうすると、今度の石油新税で千何百億か税金が徴収されるようになる。石油業界の方から、為替差益隠しか円高隠しではありませんけれども、要するに為替差益の総枠と比べれば何分の一かの税金が徴収されるということをもって差益を還元しない、あるいは今度のOPECの値上げの問題などを見ながら公然たる値上げの工作が行われるということになったのでは、これは国民の立場から見ておよそ理解がいかないだろうということだと思うのです。  ですから、それらの部面についてやはりきちんとした行政指導を大蔵省も——通産省ですか、やはりぜひやるべきではないか。また、そういう中身を国民の前に明らかにしていく。さっきの答弁でも、為替差益の問題を理由にして税金を考えるということは理論上は間違いだという話もあったわけでありますから、その辺の面をきちんと押さえてもらうということは必要だろうと思うのですが、当然またそうお考えになっているんだろうと思いますけれども、いかがでしょうか。
  26. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昨年来の円高傾向を反映いたしまして、五十二年度につきまして石油産業の経理状況を前年度と対比してみますと、為替差益によりますコスト低減効果というものが、私どもの試算では大体七千九百億円ぐらい出ているというふうなことになっております。他方、これに対しまして、昨年一月及び七月にOPEC原油価格を引き上げましたので、その影響、そのほかに備蓄、防災費用といったふうなものも勘案しますと、コスト増加が大体七千億円程度ということでございます。差し引き若干のメリットが残るということになるわけでございますが、実は先ほどのお話にもございましたように、昨年の終わりごろから石油製品価格が急激な値下がり傾向を示しております。昨年十二月の末にOPEC総会原油価格のとりあえずの凍結といった決定がなされまして、それを受けまして私どもとしましては、為替差益消費者に還元するようにということで、これは灯油についてでございますが、各元売業者を指導した経緯がございます。その辺を受けまして、ことしになりましてから一部の石油会社では各製品一律二千円引き下げるというふうな決定をしておりまして、そのような決定も反映し、現在では石油製品価格はかなりの程度に値下がりしており、かつ、そういう形で円高によります為替メリットは需要者側に還元されているというふうに私どもは見ております。
  27. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 その辺は、消費者運動の面から見ますと、いろいろとまた大きな問題があるんではないかということが指摘をされているということだと思います。  それに関連をしてもう一つ伺っておきたいのは、何か通産省の方で、価格体系の見直しを行う必要があるんじゃないか。これは、外資系、民族系のいま置かれている格差問題の解消ということもあるでしょうし、それから、産業用の部面と民生用の部面といろんなバランスもあると思います。これらの価格体系の見直しというのは、いろんな複雑な部面もはらんでいるんだろうと思いますが、その結果によって、特にさっきちょっと出ました灯油の問題その他の見直しによって、また値上げの口実になるという危険性もあるのではないかという不安も聞くわけでありますが、いまのこの石油製品価格体系の見直し、いろいろな複雑な面が絡んでいるわけでありますけれども考え方としてどんな考え方を持っておりますか。
  28. 古田徳昌

    ○古田政府委員 現在の石油製品価格体系につきましては、いわゆるガソリン高の重油安ということで象徴的に言われるわけでございますが、ガソリンが他の製品に比べまして圧倒的に採算性がいいというふうな形になっているわけでございます。このような価格体系を反映しまして、先生からも御指摘ございましたように、民族系と外資系の企業経営内容に大きな格差が生じつつあるというのは事実でございます。  こういう状況を踏まえまして私どもとしましても、将来の石油産業の体質を健全化する、石油の安定供給の確保を図るための基盤づくりといいますか、そういうふうなことを進めていきたいということで、石油製品価格体系については常に検討を行っているわけでございますが、特にエネルギー調査会の中の石油部会でも私ども審議をお願いしているところでございまして、この問題は、石油産業の構造問題等とも密接に関連いたしますので、検討すべき範囲が非常に広いのではないかと思っております。  そういうことで、本年夏ごろまでに石油部会の検討結果をまとめていただくということで私ども期待しておりまして、その御結論もいただきまして、十分慎重に判断していきたいと思っております。
  29. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いろいろ伺いましたが、価格の転嫁の問題についても、主税局長は一〇〇%大丈夫、あるいは値下げの可能性もあるというような答弁をされたのを読みましたし、それからいろいろな答弁では、当然この輸入価格の問題その他いろいろございますでしょう。ただしかし、国民の目から見れば、はっきりした機構なり、きちんとした行政指導なり、やはり強烈に、鮮烈に目に映るような形でこれが進まないのならば、やはり灯油の値段とか、目に見えるような形で差益を還元せよという声が広がっていくというのは当然のことだろうと思います。ですから、今回のこの石油税制の創設による石油製品価格との関連についても、当面の段階では大丈夫だ、まあしかし先はわからぬというふうな意味だと思いますけれども、やはりもっとこういう部面について、国民の目にはっきりわかるような改革の手をいろいろととることが、大事な資源に関する問題でもあり、必要なんじゃないか。そういう点の努力を一層とるように要望しておきたいと思います。  それから、時間がありませんから三つ目にもう一つ伺いたいのですが、今後のエネルギー対策、それからこれらの税金の使われ方、使われ道、目的という問題です。  二つ簡単に御説明をいただきたいのですが、石炭石油特別会計の石油勘定に繰り入れられるということになっているわけですが、そしてまた、今回これが採用されますと、石油勘定の部分が相当大きくふくらんでいくということになるわけですが、この二、三年来の石油勘定の主な使われ道がどうなっているのか。  それから今回の場合、これは石油開発公団法の改正とも関連をするわけですが、大きなねらいは備蓄ということになっています。具体的に五十三年度にどこにどのような形でその備蓄計画が進んでいるのか、その状況を簡単に説明してください。
  30. 禿河徹映

    禿河政府委員 石特会計の石油勘定の過去の資金の数字でございますが、五十年度以降申し上げますと、石油勘定、五十年度で総額が四百七十八億円、その主なものは、石油の探鉱開発のための投融資ということで石油開発公団に対します出資金でございますが、これが三百六十六億円、備蓄関係が七十二億円、それが主なものでございます。以後五十一年度以降申し上げますと、五十一年度が総額が四百八億円で、石油開発公団への出資金が二百六十億円、備蓄の関係が九十九億円、五十二年度が総額が六百八十一億円、そのうち石油開発公団への出資金が四百三十二億円で、備蓄の関係費用が二百二億円、五十三年度予算で申しますと、総額が大きくふくらみまして千六百五十七億円、そのうち石油開発公団への出資金が四百五十億円、備蓄の関係費用が千五十億円、こういうふうな経緯になっております。  備蓄の関係の立地等につきましては、通産省の方から御答弁申し上げることになっております。
  31. 古田徳昌

    ○古田政府委員 備蓄の関係について御説明いたしますが、現在、九十日備蓄目標を五十四年度末に達成するということで種々の努力を行っているわけでございますが、この関係で、現在までのところ二地点のプロジェクトがすでに発足しております。一つは、新潟の新潟石油共同備蓄会社による計画でございますが、これが規模が百二十万キロリットルということになっております。それから、長崎の西海石油共同備蓄会社によります計画が百六十五万キロリットルということで、この二つが具体的にスタートしているわけでございます。そのほかに各地で備蓄基地の建設計画が出されておりまして、それぞれの地点ごとに共同備蓄会社による計画の具体化が従来までのところ種々検討されてきているわけでございます。  なお、五十三年度以降につきましては、石油開発公団によります直接の備蓄の実施、いわゆる国家備蓄の実施という業務がスタートいたしますので、それに関連いたしましても、国家備蓄の建設地点といいますか、立地につきましての種々の検討が各地域によって行われているという状況でございます。
  32. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これは別の機会に私ども勉強させていただきたいと思っておりますが、私どもちょっと勉強してみますと、いままでのこの使い道の中で、たとえば探鉱の部面なんかにしても、何か二十か三十か、いろいろな部面にわたって使われている。それぞれどういう効果が上がっているのか、現実に上がったのか、あるいはまた大きな損が出ているものをどう補てんしていくのかとか、それから、国会へ出されている資料などを見ましても、非常に膨大な信用保証の問題などもありますし、また別の機会にこういうことは私どももいろいろと質問をしてみたいと思います。  ただ当面は、備蓄に非常に関係をするということなんで、こういう疑問が強く出されているわけですが、どうお考えでしょうか。たとえば二、三挙げますと、一つは、黒字減らしの一つの大きな柱として考えられているということですが、しかし当然ですが、輸入先はアメリカではなくてOPEC諸国から石油を買うということになる。そうすると、アメリカとの関連で収支を改善をするということではほとんど役に立たない。現状についてはアメリカ側の責任もずいぶんこれは大きいと思いますけれども、しかし、アメリカ側からそう言われているというふうな問題もありますし、それから、さっき新潟と長崎の話が出ましたけれども、やはりタンカー備蓄については場所の制限もいろいろとある。それから、地元へのいろいろな補償、補助の問題もありますし、キロリッター当たりの備蓄費用も五千円程度とか、相当高くつくということになるのではないかとか、あるいはタンカーで備蓄した場合でも、規定によって二年に一遍は検査を受けなければならぬ。二年に一遍検査を受けるときに、この船に積んでいた石油はどこかに揚げなければならぬ、そのタンクはどうなのか、あるいはそのときにできれば売るにしても、コスト高で引き受け手が渋るのではないかとか、つまるところ、海運不況の救済策ということに重点が置かれて、そうして国家的な立場から、石油の備蓄という面についてはいろいろ問題があるのじゃないかというふうな疑問が出されているわけですが、また、予算委員会段階からもそういうことは指摘をされてまいったと思いますが、そういうことを踏まえて、今後どうお考えになっておりますか。
  33. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国のエネルギーの供給事情を見ますと、全体の七〇%以上が輸入石油に依存しているという形になっているわけでございます。したがいまして、緊急時対策としましては、石油の備蓄政策が最も効果的な手法であるということになるわけでございますが、諸外国におきましても石油の備蓄政策は積極的に進められておりまして、現在ヨーロッパ諸国では大体百日程度の備蓄水準に達しております。これに比べましてわが国は、五十四年度に九十日備蓄の達成ということを従来までの目標としていたわけでございますが、今後におきます石油の世界的な供給状況等が依然流動的であるというふうなことを考えまして、私どもとしましては、石油の備蓄政策の拡充強化といったものは、わが国のエネルギーの安定供給の確保上どうしても必要だというふうに考えているわけでございまして、このような考え方に基づきまして、従来の九十日備蓄体制のほかに、国によります千万キロリットルの国家備蓄、これは目標とします五十七年度につきまして見ますと、大体十日分程度ということになるわけでございますが、そのような施策も打ち出しているわけでございます。  このような備蓄の増強につきましては、土地代あるいは建設費等について多額の資金が要ることは御指摘のとおりでございますが、このもたらします政策的な効果との勘案におきまして、私どもとしては今後ともなお積極的に進めたいというふうに考えているわけでございます。
  34. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間ですから、では、もう一つだけ、これは大臣に伺っておきたいのですが、さっきのお話にも関連をしますけれども、やはりこういう税制の将来ということもありますし、それから、これからやはり国家的な立場視点から見てエネルギー対策財源をどうしていくのかということは、また広い視野から検討していかなければならぬということだと思います。総合エネルギー調査会が発足して、こういうことの議論が始まってから何年かたつわけですが、途中ロッキードとかたくさんのこともございましたし、必要な検討なり対策のテンポが非常におくれているというのが、皆さんもおっしゃっているように現実だろうというふうに思います。  そういう中で、特にこの財源税制関係する視点からですが、去年の夏ごろですか、総合エネルギー調査会の資金対策分科会の資金小委員会というようなところで、まだ大まかな形での検討ぐらいしかなされていないという現状だろうと思います。私はさっき申し上げたのですが、このような対策を、できればやはり広く国民の認識を求めながら、あるいはまた各界の参加もいただきながら計画を立てていく、十年サイクルでの計画が必要なわけですから、そういう視点が非常に必要だろうというふうに思うわけです。また、そういうことを基本にしながら、今回提案されたものを含めて、税制がこれでいいのか、あるいは新たな財源をどう求めていくのか、いままでの目的税の体制がいままでのままでいいのか、では三年、五年かかってこう変えていくのかとか、そういう議論が強力に行われなければならぬという今日の状況ではないだろうかと思うわけでありまして、さっきとも兼ね合いますが、そういう視点も含めて、積極的な検討、または国民的な合意が得られるような努力をしていくということが必要かと思いますが、どうお考えになっておりますか。
  35. 村山達雄

    ○村山国務大臣 エネルギー対策は、いま日本のみならず各国の緊急な問題でございまして、しかもそれには膨大な財政資金が恐らく要るであろうということは、各国ひとしく認めておるところでございます。そういうものに対する一つ考え方といたしまして、ことし石油税を提案いたしたのでございますが、伊藤さん御指摘のように、過去はそれなりに理由があったにしても、非常にいろいろな使途に、また、いろいろな燃料課税、車体課税が行われているわけでございます。したがいまして、そういった両面をにらみまして、今後この税を含めて検討してまいりたいという点については同感でございます。ただ、実際問題として考えますと、なかなかむずかしい問題だ、しかし取り組んでまいりたい、かように思っているところでございます。
  36. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 非常にむずかしい問題だけにしっかりした検討をしていただくように要望いたしまして、質問を終わります。
  37. 大村襄治

  38. 沢田広

    沢田委員 いまの伊藤議員とは若干立場を変えながら質問していきたいと思います。簡潔に申し上げますので、ひとつお答えいただきたいと思います。  まず最初に、公正取引委員会をお呼びいたしておりますので、その方からお答えをいただきたいと思うのですが、やみカルテルの訴訟を行いまして、いま裁判の最中でありますが、この取り扱いと経過について、長々と読まれてもまた困るのでありますが、現在の立場がどうなっているのか、そうしてその取り扱いはどういうふうに進んでいるのか、その点まず第一にお答えいただきたいと思います。
  39. 相場照美

    ○相場説明員 お答えいたします。  公正取引委員会では、先ほど先生おっしゃいましたように、石油の精製元売業者が四十七年から四十八年にかけて行いました価格カルテル並びに石油連盟が四十八年当時行いました石油の数量カルテルにつきまして、四十九年の二月十五日に検事総長に告発したわけでございます。検察庁は、それを受けられまして、さらに調査を進められた結果、四十九年五月二十八日に本件を起訴されたわけでございます。その後公判が係属しているわけでございますが、現在では被告側の立証段階に入っているというように聞いております。  先生の御質問にございました勝訴の見込みということにつきましては、本件訴訟は、御説明申し上げましたように、現在検察庁が行っておりますために、公正取引委員会としては、それについて何とも言う立場にございませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  40. 沢田広

    沢田委員 一応やみカルテルが行われたという実績を証明し、確信を持って行っているものだと解釈してよろしゅうございますか。
  41. 相場照美

    ○相場説明員 もちろん私どもといたしましては、確信を持って告発をしたわけでございます。
  42. 沢田広

    沢田委員 続いて、これは石油税とは違うのでありますが、セメントでこの前不況カルテルを組みました。そしてそれを解除したのでありますが、その後の価格というものについては一向下がらない。やはりそのしりをぬぐうということではありませんけれども、不況カルテルをしたならば、その後の国民生活といいますか、そういうものを守っていく立場において、そのカルテルの解除後の措置について、当然価格を下げるというような方向がとられるべきだと思うのでありますが、いかがですか。
  43. 中村雄一

    中村説明員 お答えいたします。  セメントにつきましては、昭和五十二年六月から十二月まで、二次にわたりまして不況カルテルを実施いたしまして、その間、公共事業の前倒し等によりまして出荷が予想以上に順調でありましたために、十一月下旬と十二月中旬の二回にわたりまして、関係官庁の意見等も聞きまして、生産限度枠の増枠を行ったところでございます。しかしながら、年末におきましてセメント需要の増加は予想を超えるものがございまして、需要見通しでは、十二月末の在庫を二百万トンと見ておったわけでございますけれども、実績では、十一月末二百三十五万トンに対しまして約七十万トンの減少ということで、百六十二万トンとなったものでございます。なお、一月末は二百四十七万トンに在庫が回復しております。  それで、不況カルテル終了後のセメント価格の上昇に対しまして、公取として何らかの措置をとれないかという御指摘でございますけれども公正取引委員会といたしましては、価格指導をいたす立場にございませんので、先生の御了解を得たいというふうに存じております。
  44. 沢田広

    沢田委員 では、後で通産省の方からそのことはお答えいただくことにいたしまして、続いて、石油税の今回取りまする三・五%の根拠は、どこから三・五%として出したのか。それから、おおむね聞き及びますところによれば、六兆円として二千億ぐらいでありますか、その二千億の使途についてはどういうふうに考えているのか。もし口頭で長くなるならば、資料として提出をしていただきたいと思います。
  45. 大倉眞隆

    大倉政府委員 前段の税率のお尋ねでございますが、先ほど伊藤委員にお答えいたしましたように、現在のわが国における石油及び石油製品負担の実情と外国における負担の水準、及び今後予想されます石油対策の財政需要というような、いろいろなものをかみ合わせまして、主管でございますエネルギー庁とも十分相談いたしました結果、当面としては、実質三%程度負担が適当であろう。ただ、これに見合いまして、原重油関税の五十二年度引き上げ分、キロリットル当たり百十円を今回は引き下げるという調整をいたすことにいたしまして、その分をいわば振りかえるとしますと、税率としては、実質三%前後で、振りかえ分を含めて三・五%という水準が一番妥当ではなかろうかという結論に達しまして、現在御提案申し上げているわけでございます。  後段は主計局からお答えいたします。
  46. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昭和五十三年度の石炭及び石油対策特別会計の中で、石油勘定としましては千六百五十七億が計上されておりますが、その内容としまして、第一が石油の探鉱開発でございます。これにつきまして四百八十億円が計上されております。第二の柱が石油の備蓄の増強政策ということで、これは千五十億円でございます。それから第三がその他ということになりまして、石油産業の流通段階の合理化等に対しましての支出をするわけでございますが、これが百二十七億円ということになっております。
  47. 沢田広

    沢田委員 では、簡単に、これは字句の解釈でありますから、これもお答えいただきたいと思うのです。法案の中にある「輸入石油製品」とは何か。それから、「保税地区から引き取る者を納税義務者とする」となっておりますが、外国、いわゆる中近東その他を含めて、それを引き取る者を納税義務者とする場合に、外国側で産出をしている石油の場合にはどういう形になるのか。それから、「引取価格に所要の調整を加えた」という、その「所要の調整」とは何を意味するのか。それから、「納税地」、いわゆる「記帳義務」、この場合に、外国にある石油会社の納税地の場合はどういうふうに解釈をするのか。それからもう一つは、「特定の石油化学製品」についてということで、租税特別措置法との関係について言われておりますが、これは何を意味するのか、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
  48. 大倉眞隆

    大倉政府委員 輸入石油製品は、厳密な定義は関税定率法の方で規定いたしてございますが、簡単に申し上げますと、原油を材料としてつくられました石油製品でございます。  それから、保税の際には引き取り課税ということに相なりますので、外国にございます石油会社が日本へ原油を持ってきまして、それを精製加工するという場合には、原則としては引き取り地でございますところが納税地になります。ただ、今回特別の規定を置いておりますので、便宜一括申告ということもできるようになっております。  それから、特定の石油化学製品と申しますのは、租税特別措置法で規定することにいたしまして、今回御審議を願っております法案の附則で租税特別措置法を改正するということにいたしておりますが、これも端的に申し上げますと、いわゆる輸入ナフサと、それから輸入の農林漁業用のA重油につきまして、暫定的に石油税の免除をするということを御提案申し上げております。——失礼しました。答弁漏れになりましたが、もう一件、所要の調整と申しますのは、輸入石油製品というのは、たとえばガソリンであり、あるいは重油であるわけでございまして、それに原油と同じ税率課税すると、負担の不均衡が出てまいりますので、ガソリンの中にある原油相当分というものを算出いたしまして、それに原油に対する税率を掛ける、技術的にはガソリンの価格に掛ける率に置き直すわけでございますので、その率を調整する、そういう意味でございます。
  49. 沢田広

    沢田委員 納税地……。
  50. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほど申し上げましたように、納税地は、輸入分につきましては引き取り地でございますので、より端的に申し上げますと、その荷揚げをしますところの税関のある場所でございます。
  51. 沢田広

    沢田委員 次に、現在までの石油業界というものは、通産省と密接不可分と言ってもいいくらいな関連性があって、この前のやみカルテルの場合におきましても、参考人として出てきた人がほとんど通産官僚の役員であったというような状態でありますし、現在も通産官僚がほとんど石油業界の社長であるとかあるいは重要な役職を占めている現状に対して、大蔵大臣はどう思っているか、また、通産省はそれをどう思っているのか、この前のやみカルテルのときの経験にかんがみて、どう対処しようとしているのか、その点だけお聞かせいただきたいと思います。
  52. 村山達雄

    ○村山国務大臣 通産省のOBが石油会社のポストを占めておるということも、私は若干知っておりますが、やはり石油関係について非常に詳しいのではないか。特に民族系の方に非常に入っているようでございます。  われわれは、一般的にそのこと自体がいいか悪いかという広い角度の問題は別にしまして、通産行政で特に悪いという点は、私自身は聞いてはおりません。
  53. 沢田広

    沢田委員 現在、公取で訴訟を行っておりまする相手側すべてと言ってもいいくらい、九九%がやみカルテルの当事者であったわけであります。日石の社長、丸善、昭和石油、アラビア石油、富士興産、そういうふうな方々は、紳士録から拾ってみると、ほとんどがいわゆる次官であるとか通産何だったとか輸出課長であったとか、こういうことで、現在やみカルテルをやって、訴訟の相手としてやっているものがすべて同じ穴のムジナというふうな印象すら与えるような現象なのです。その後、それを改革しようとしないということは、やはり政府として怠慢じゃないですか。それは一般論は別です。一般論は別だけれども、そういう行為を行ったところの者がそのまま隠然として残っていくという体制は、政府の通産官僚として、あるいは大蔵省として、この石油税をつくっていく場合についても、だから三・五%の根拠も何だかわけのわからない答弁であったわけでありますけれども、私はもう少し根拠の正しいものであってほしかったと思うのであります。  そういう意味において、このやみカルテルの事件に関連をしている、しかもこれは大体裁判費用が年間五十億もかけてやっているという、こういうこの形がいまの石油業界に対する正しい指導方針だと思っておられるのかどうか、これは大蔵大臣と通産からひとつお答えをいただきたいと思います。
  54. 大永勇作

    ○大永政府委員 石油業界にかなりな数の通産省出身のOBが出ておることは、先生御指摘のとおりでございますが、それぞれ先ほど大臣からも御答弁がございましたように、その能力を買われまして、請われて石油会社に行っておるわけでございまして、われわれといたしましては、それなりにりっぱに職責を果たしていただいておるというふうに思っておるわけでございます。  なお、OBが石油会社にいるからということで、われわれといたしましては監督の手を緩めたりということは全然考えておりませんで、今後ともますます監督指導には万全を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 沢田広

    沢田委員 そうすると、こういう今日の事態のような現象が起きていることに何ら反省の余地はない、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  56. 大永勇作

    ○大永政府委員 やみカルテル事件で告発を受けまして、検察庁において取り調べを受けていることの内容につきましては、われわれといたしましてとやかく申し上げることでございませんが、そのことははなはだ遺憾なことであるというふうに考えておりますが、OBが石油会社にそれぞれ請われて就職いたしておりますということと、今回の現在告発を受けておりますやみカルテル事件との間につきましては、直接の関係はないというふうに考えておる次第でございます。
  57. 沢田広

    沢田委員 反省がないことははなはだ遺憾であり、これは大蔵大臣から総理大臣によく伝えてもらって、これをとにかく打開をしなければ、いわゆる石油産業に対する日本の国民は納得しない。幾ら三%決めたって、三・五と決めたって、これはもう癒着の生産物である、こういうふうな印象しか国民には与えないだろうと私は思います。  次に、資源エネルギー庁がおいでをいただいておりますので先にお伺いしますが、昭和三十年、石炭は四千四百三十万トン、昭和四十年五千五百六十万トン、昭和五十年千八百六十万トン。一応月産二千万トンを目標として今日まで努力をしてきた。ところが、昭和五十年度で千八百六十万トンということで目標に達していない。言うならば行政の怠慢じゃないのか。今日これだけエネルギー問題が論議をされているときに、それに全力をもっと注いでいくという気概や意気込みや努力というものが行われるべきであるのに、それを行っていなかったのじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、この点お答えをいただきたいと思います。
  58. 大永勇作

    ○大永政府委員 石炭の国内生産につきましては、先生ただいま御指摘のように、二千万トンの水準を極力維持していくという政策でやっておるわけでございますが、御承知のように、北海道の幌内における炭鉱事故等がございまして、二千万トンの生産を達成できないで御指摘のような数字に終わっておるということは、われわれとしてもはなはだ遺憾なことであると思うわけでございまして、今後とも二千万トン体制を極力維持できるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  59. 沢田広

    沢田委員 現在わが国における推定では、二百億トン、実収でも三十億トン、こういうふうに言われておるわけでありまして、努力をすれば今日のエネルギー対策の一環を担う役割りを持つのだと思うのであります。言うならば通産省自身がサボタージュをして、そういうところに十分に手を尽くさない、あるいは、政府閣僚も含めてでありましょうけれども、いわゆる癒着がそこにあるのだということを示している一例だと思う。だから、石油業界だけの方に目を向けておって、いわゆるあるべき姿のものを求めて努力をしていない。それが千八百六十万トンに、事故を理由にしてみずからの怠慢をたなに上げるということは、私はあるまじき行為だと思うのでありまして、その点は反省を加えて、ひとつもう一回お答えをいただきたいと思う。
  60. 大永勇作

    ○大永政府委員 国産エネルギーの利用につきましては、これは石炭に限らず水力もございますし、地熱もございますし、われわれといたしましては、石油にかわるエネルギー源といたしまして、極力その開発利用を図っていきたいという立場に立つことにつきましては、もう先生と同様であろうかと思います。  ただ、国内の石炭の実際の採掘条件を見てまいりますと、坑道がだんだん深くなってまいっておりまして、坑口から切り羽に至るまでの距離、その問の往復の時間等々だんだんむずかしい局面になっておる。さらに、先ほど申し上げましたが、ガス突出その他によりまして、保安その他の面にもいろいろなむずかしい点が出ておるわけでございまして、そういうなかなか困難な状況が一面にあることにつきましても、御理解を賜りたいというふうに考える次第でございます。
  61. 沢田広

    沢田委員 どうもいままでの答弁は、時間がたちさえすればいいというようなかっこうの答弁で、委員長からももう少し適切な、いわゆる前向きの答弁をしてもらうように注意をしていただきたいと思うのです。  次に、石油業法によれば、石油供給計画がそれぞれ通産省に五年間、生産数量、輸入数量というものが提出される、こういうことになっておると思うのであります。この点については、いまここで細かく私は聞かなくてもいいのでありますが、資料として後で提出をしていただけるのかどうか、それだけお答えをいただきたいと思います。
  62. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油業法に基づきます石油供給計画は、石油審議会審議を経て決められるわけでございますが、昨年三月に決めました計画につきましては、もちろん資料として御提出できます。五十三年度につきましての石油供給計画につきましては、今後の審議会においてお諮りし、決定することになっております。
  63. 沢田広

    沢田委員 後で出していただきまして、次の方にやっていただくことにいたしますが、この三%、先ほど伊藤委員からも質問が出た実質三%でありますが、その三%は消費者物価には影響しない、このように解釈をしてよろしいですか。
  64. 大倉眞隆

    大倉政府委員 税本来の性格からいたしますと、今後の石油対策のための財政需要を賄うために、原油及び石油製品を使う方に薄く負担していただきたいという性格の税でございますから、製品価格に転嫁されることを予定しているというふうに申し上げるべきだと思います。  しかし、実際に価格がどうなるかということは、それは需給関係にもよるわけでございますし、それ以上に昨年の秋以降の円相場の動向にも左右されるわけでございまして、少なくとも五十三年度において原油なり石油製品価格が五十二年度のものよりも上がる、石油税が入ったために上がるというような状況にはないというふうに判断していいのではないかと私どもは考えております。
  65. 沢田広

    沢田委員 同じ質問を、通産省からひとつお答えをいただきたいと思います。
  66. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油製品価格につきましては、今後のそれぞれの製品ごとの需給動向が反映して決まっていくわけでございますが、現時点におきます私ども見通しとしましては、石油税に基づきまして製品価格が値上がりしていくというふうな事態にはならないのではないかというふうに考えております。
  67. 沢田広

    沢田委員 ここで石油業界に対する指導についてお伺いをしたいのでありますが、私も最近の貸借対照表、損益計算書、四十七年からの分を全部見たのでありますが、いままで為替益、為替損という議論が焦点になっていて、石油業界そのものの経理運営というものについて通産省としてはどういう指導で臨んできたのか、その点ひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  68. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油産業は、わが国経済の基礎をなしますエネルギーの中でも最も重要な石油の供給を分担している産業部門でございまして、この産業部門につきまして健全な経営が図られるということは、わが国の経済全体の安定、発展のためにも非常に重要ではないかと思っております。そういう観点からしまして、私どもとしましては、石油産業の経理状況を十分把握し、かつこれが適切な方向に向かうように従来から努力しているわけでございますが、その関係からしまして、石油製品価格動向あるいは為替差益の動向といったものについても十分な注意を払っているところでございます。
  69. 沢田広

    沢田委員 先ほどは消費者物価のはね返りはない情勢にある、こういうことを言われたのでありますが、若干Uターンをいたしますが、その情勢とはどういう内容を指しているのか、この際改めてお答えいただきたいと思います。
  70. 古田徳昌

    ○古田政府委員 昨年来の円高傾向の結果、石油産業におきまして為替上のメリットが発生しているわけでございますが、他方、昨年一月及び七月におきますOPEC原油価格の引き上げがございまして両者相殺されましたが、結果的には昨年後半から石油製品価格は値下がり傾向にあるわけでございます。今後の石油製品価格につきましても、最も大きい影響を及ぼすと考えられますのは、為替の動向がどうなるか、あるいはOPECにおきます原油価格の決定がどのような姿になるか、さらには、それぞれの製品ごとの需給関係がどうなるかということによって決められていくというふうに考えているわけでございます。
  71. 沢田広

    沢田委員 指導という言葉がさっき出たのでありますが、石油というのは国家の大切な資源にいまなってきているわけでありますから、言うならば経理の公開とかあるいは財務事情の明確化、公共性、こういうものをやはり石油業界それ自身が持っていかなければならないんじゃないかと思うのであります。これは大臣、どうお考えになっておりますか。
  72. 村山達雄

    ○村山国務大臣 決算につきましては、いまディスクロージャーの制度があるわけでございますから、それを見ることによりまして十分知り得るところではないか、そのように考えておるわけでございます。
  73. 沢田広

    沢田委員 では、私は次のような問題で質問していきたいと思います。  これは昭和四十七年からの上期、下期というふうに出ておりますが、特にこの中で営業外の支出と収入を見てみたのであります。  四十七年上期で営業外の支出五百八十六億に対して収入は三百二十三億です。それから四十七年の下期で九百四十六億の支出に対して五百一億の収入です。四十八年上期で七百六億の支出に対して五百十五億の収入です。同じく下期で千二十二億の支出に対して三百五十二億の収入です。四十九年では四千百九十七億の営業外支出に対して千二百五十五億の収入です。五十年の下期が四千二百三十八億の支出に対して二千三百二十九億の収入であります。これで一期だけ抜けておるのであります。これは書類がなかったのですが、おおむね四十七年からこれまでの合計をしますと、一兆二千億以上の営業外支出をやっている。少なくとも一兆四千億ぐらいの営業外支出を行っておる。そして営業外の収入として入ってくる金額はこれで大体五千二百億ぐらいの収入である。だから、為替益、為替損ということを論外に置いても、まずそこで八千億程度の営業外の行為によっての損失が起きているということだけは明らかなんです。では、それだけ土地の資産がふえていっているのかというとそうではない。  また同時に、もうついででありますから、この間に支払われた短期、長期の利息を見ますると、四百七十八億からずっと七百七十九億、五百五十一億、千四十三億、二千二百六十八億、三千七百七億で、八千八百二十六億が短期、長期の利息として支払われている。資本金等から比べて、企業採算というものから見るときわめて不良な状態が続いている、こういうことが言えるわけでありまして、この合わせた金額が一兆六千億、会社としてはまあむだな費用を使っていると言ってもいいくらいなんであります。大臣はそう言われておるようでありますけれども、この点はどういうふうに理解をし、どう解明をしたらいいのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  74. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 営業外費用が非常に大きいという御指摘でございますが、御指摘の中にもありましたように、営業外費用の中で一番大きな項目は支払い利息及び割引料、こういうものであろうかと存じます。
  75. 沢田広

    沢田委員 ちょっと待ってください。  表としては、営業外収入支出以外に割引料は計上されているのですよ。だから、営業外収入と支出との差額だけで八千億ある。それ以外に利息が八千億ある。全然知らないじゃないですか。
  76. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 どういう資料でございますか、私どもそれをただいま持ち合わせておりませんので、できましたらお示しをいただきたいと存じます。
  77. 沢田広

    沢田委員 これは「全石油月報」というのにちゃんと載っているのです。では、あなたに見せてあげます。いまここで見てわかるかどうかわからぬけれども。  それで、これは日経だけに掲載される大体の貸借対照表だけを見たわけでありますが、減価償却だけをとらえてみますと、これは五十二年三月並びに五月の決算だけでありますが、日石が五百二十三億、三菱が九百二億、興亜が四百五十二億、東亜が百三十二億、帝国が二百六十二億、富士が二百七十三億、不二が六十七億。この減価償却は言うならば、留保利潤とみなされてもいいと思うのでありますが、その解釈はいかがですか。
  78. 大永勇作

    ○大永政府委員 先生御指摘のように、それぞれ減価償却費を計上しておりますが、これは今後におきます設備投資を行います際の内部資金といいますか、金利のつかない資金として使われるものだというふうに承知いたしております。
  79. 沢田広

    沢田委員 では、短期が日石の場合は六百六十億、三菱は千六百九十二億、興亜は千二百六十二億、大協は九百二十六億、東亜は千九十八億、帝国は四十億、富士は九百四十二億、不二が十六億。それ以外に長期が、もう順番は省略しますが、一番大きいのが東亜の九百三十七億。大体この金額は原油価格に匹敵する金額なんです。言うならば、ここ四十七年から五十二年までの間は、全然借金だけで原油の買い入れをやってきているという状態はちっとも変わってないということなんです。こういう事態についてはどう解釈されるのですか。
  80. 古田徳昌

    ○古田政府委員 ただいま先生御指摘いただきました金額は、原油の輸入に伴いますユーザンス金利に該当する部分ではないかというふうに私ども承知しております。
  81. 沢田広

    沢田委員 そういうことじゃないのですよ。こういう石油業というものが日本の国民にとって不可欠なエネルギーであればあるほど健全な経営であってほしいと思うし、それから、石油業本来の業務に専心するという立場を堅持してもらうということが、通産省として大切なんじゃないかというふうに思うのです。  ちなみに、これも五十二年三月の持っている土地の現在高、日石が四百五十五億、三菱が百五十五億、興亜が七十二億、大協が百五十六億、東亜が百二十三億、富士が七十七億、これは四十七年からいままで。借入金額は原油と相殺して、それ以外のものは全部土地というようなものにいわゆる投資をされてきた経過を示している。だから、為替損だとかそういうものじゃなくて、経営者が経営者としての倫理、あるいは経営者としての社会的な責任というものについての感覚が鈍ってきた結果なんであります。私はそう判断をするし、また同時に、投資額を見ましても、日石の四百十八億を初め、興亜が六百二十一億。帝国なんかはわりあい健全経営なんですね。不動産だの何だのに手を出さなかったところは健全に生き伸びていっているのですよ。金利も下がって、わずか六億。これは金利だけを申し上げるとまた別でありますけれども、それほど払っていないのでありますね。  ですから、そういう意味から見ると、いままでの経営者の姿勢というものがやはり今日の石油の赤字をつくった原因であったということになるので、為替損でも何でもなかったのだ。言うならば、給料も少ない人が金を使い込んだようなものであって、まことにこれは経営者として不見識な条件になっているのだと私は思うのであります。  大蔵大臣、さっき知らなかったと言っている、十分信頼していると言っているが、いま言った事情についてどう思いますか。
  82. 村山達雄

    ○村山国務大臣 考課状の分析でございますから、おっしゃるような原因であるのかどうか、それはよく調べてみないとなかなかわからないな、先ほどから聞いておりまして、土地というのは何だろうか、あるいは陸上の基地なのか、あのころ不動産に手を出したという話も余り聞かなかったけれども、どんなものであろうかと思いました。それから、いまの金融費用の関係でございますけれども、間接金融が多いことは御承知のとおりでございまして、経営者は恐らく、どんな経営者だって、与えられた条件のもとで最もいいと思う経営方針をとるのはもう当然なことでございます。おっしゃるようなことが全部当たっておるのかどうか、私にはちょっとわからないのでございます。
  83. 沢田広

    沢田委員 これは見解の差はあるかもしれません。事実は一つです。でありますから、じゃ、その点は調べて、私の言うことが間違っているのかあるいは事実がそうであるのか、だから営業外支出というものがどこに使われて、営業外収益がなぜこんなに入らなくなってきたのか、その辺の原因なり結果について報告をする意思はありますか。
  84. 村山達雄

    ○村山国務大臣 これは通産省が監督しておるわけでございますから、通産省がどこまで出せるのか、そういう問題にかかると思っておるわけでございます。
  85. 沢田広

    沢田委員 では、国内の問題に若干触れてまいりますが、開発は新潟、秋田で七十万から八十万キロリットル現在生産されております。天然ガスも新潟、千葉で二十五億立方メートル開発が行われております。しかもこれは計画から見れば五年もおくれてきているわけであります。こういう状況から見て、国内開発というものは企業の手でなくて、畜産事業団は余りいい団体じゃありませんけれども、そういうようなものとか、公団的な中からいわゆる管理、コントロールのできるところでこういうものを開発していくという方向をとるべき時期に来ているんじゃないかというふうに思うのでありますが、この点をお伺いいたしたいと思います。  それから次に、日本海洋石油資源開発、出光の石油開発で阿賀沖でやっておりますが、すでに石油は六百万キロリットル、ガスが百七十万立方生産をされているわけであります。この場合の石油税は当然、生産された石油課税されていく、それの対象になっていくんだ、こういうふうに、これは念のためでありますが、確認をしてよろしいかどうか、それと前問についてお答えをいただきたいと思います。
  86. 古田徳昌

    ○古田政府委員 わが国の国内におきまして石油の探鉱開発をいたしますのは、わが国エネルギーの自給率を高め、かつ安定供給確保の観点から最も重要な施策ではないかと私ども考えております。そういうことで従来から、石油開発公団によります投融資の対象としまして、この比率を海外諸国におきまして行う場合よりも高く、七〇%に設定したわけでございますが、五十三年度以降につきましては、これを八〇%に引き上げて実施することにしております。そういう観点からしまして、国内の石油の探鉱開発は、石油開発公団の業務を通じまして全体として積極的に推進されることになるというふうに私ども考えております。  それから二番目の、阿賀沖の生産原油についてでございますが、これは当然のことながら、国内産の原油ということで今度の石油税対象になるというふうに私ども了解しております。
  87. 沢田広

    沢田委員 いや、私は記憶しておるとか、覚えておるとか覚えてないとか、試験をやっているわけじゃない。問題は、日本の現在のエネルギーの危機に当たってそれはどういう役割りを持ち、どういう位置づけの中になければならぬかということをいま問うているわけであります。これは国民の一人としての立場でそう言っているわけであります。ですから、そういうふうにただやっている。だから通産は、石油業界との癒着があって、相手任せになっちゃって、ちっとも給料をもらっている働きをしてないんじゃないか、そういうふうな気もしないではない。それは明確にお答えいただきたい。  続いて、日韓大陸棚へ日本石油がいま入ってやっているわけであります。これもいままでの予算委員会でいろいろ議論があったわけでありますが、これの見通しと時期はどうなっているか、この際改めてお答えをいただきたいと思います。
  88. 古田徳昌

    ○古田政府委員 日韓大陸棚の共同開発につきましては、現在国会におきまして、これに関連いたしましての鉱業法の特別措置法の御審議をいただいておるところでございまして、この鉱業法の成立後、この法律の規定に基づきまして開発権者が決められていくということになるわけでございます。したがいまして現在、従来の鉱業法に基づきます先願権を日石開発が持っているわけでございますが、これはそのままの形で開発権者になるということではございませんで、新しく成立いたします法律に基づきまして取り扱いが決められるということになるわけでございます。
  89. 沢田広

    沢田委員 そうすると、この日本石油なら日本石油との関係は全然ないというふうに理解していいんですか。そうじゃないのですか。どういう意味ですか。
  90. 古田徳昌

    ○古田政府委員 先ほど申し上げました特別措置法に基づきましての決定が行われるまでは、日石開発は日韓共同大陸棚につきまして開発権を持つという形にはなっておりません。
  91. 沢田広

    沢田委員 そうすると、それはいつ決める予定になっておるのですか、一応予定としては。
  92. 古田徳昌

    ○古田政府委員 国会におきまして特別措置法が成立いたしました後、協定の批准が行われまして、その後三カ月以内ということになっております。
  93. 沢田広

    沢田委員 続いて、石油というものは付加価値といいますか、それが非常に少ないものなんであります。結果的には原油、加工、販売、こういうふうな一応の過程を経て、付加価値というのは販売の分野なりあるいは加工の分野で出てくる、こういうことになるのです。  これは日石の資料と東亜の資料しかなかったものでありますから、それだけで調べてみたのですが、結果的にこれは半期の計算でいきまして、私のいまこれから言おうとしていることは回転率ですね、資本の回転率が五十八倍、六十倍なんです。これは日石の場合は資本が百六十四億なんです。六十倍の回転率として、自己資本比率は二・八九%なんです。これはどこの会社の資本を見ても、資本がきわめて低いということが言えると思うのです。特に出光さんあたりなどは、同族会社みたいになっておるものですから、この前にも若干触れたのでありますが、現状からいってきわめて資本が低い。日石が、若干その後増資をしたと思うのですが、二百二十五億、それから三菱が百五十億、興亜が四十八億、大協が六十四億、東亜が四十九億、帝国が百億、富士が七十五億、不二が十四億、こういうふうな資本に対しての売上額といいますか流動資産は、日石の四千八百億から三菱の三千五百億、興亜で二千億、大協で二千億というふうな倍率になっている。ですから、危なくなったときには、とてもじゃないがこれでは不健全な財政だ、こういうことになるのじゃないかと思うのでありまして、その点どういうふうにお考えになっておるか、お伺いをしたいと思います。
  94. 古田徳昌

    ○古田政府委員 石油企業が赤字になりました場合に資本金を増額して対処するということは、株主保護の観点から申しましても必ずしも適切な方策でないということが言えると思いますが、これにつきましては、企業自身の営業努力なり経営の合理化ということによって事態の解決を図ることが必要だと思います。ただ、石油産業につきましては、増資を計画いたしましても、その経営内容が従来必ずしも強固なものでなかったということで、その辺のむずかしさがあったという結果ではないかと思います。  同時に、第二点といたしましては、昭和四十八年の石油危機当時、それまでの原油価格が一挙に四倍以上に引き上げられたということで、経営規模としましては従前のままで全体の取り扱い量が非常に大きくなったということも関係しているのではないかというふうに考えております。
  95. 沢田広

    沢田委員 どうも回答がはっきりしないのですが、結論的なもので言っていきますと、これからの石油のあり方というものを、若干むずかしいものもあると思うのですが、やはり国のコントロール下に置くという方向を示していかなければ、エネルギー対策としての体制はとれないのじゃなかろうかと思うのであります。石油税そのものもそうでありましょうし、それからこれからのエネルギーの消費、それから、もう一つ若干言いますと、これはいやみにもなるのでありますが、上場している石油会社で増資をしている会社というのがきわめて多いのです。これも私は資本外投資の部分の一部であると見ているのでありますが、ひどいのになりますと五九%ぐらい出しているところもあるくらいなんです。これは上場している会社だけを挙げて見ているのでありまして、さっきの質問の中にもあったように、いわゆる企業の付加価値をつくりたいために投資をしていくのだろうという気がするわけでありますが、石油の輸出入のあり方と国内の使い方とは明確に区分をしていく必要性がある、こういうふうに思うわけで、この点をまずひとつお答えいただきますとともに、昭和六十年には現在七三%の輸入を六六%まで下げたいというのが、大体の方向として考えられているものだと聞き及んでおります。そういうふうに理解をしていいのかどうか、その後どういうふうに考えているのか、その点をお答えいただきたいと思います。
  96. 古田徳昌

    ○古田政府委員 現在の石油産業に対しましての国の行政のあり方についてでございますが、現在は先生御存じのとおり、石油業法に基づきまして設備の許認可をし、かつ、先ほどもお話に出ましたが、石油供給計画をつくって全体の石油の安定的な供給の確保を行っているわけでございます。  今後の石油政策につきましては、この石油の長期安定的な確保ということが第一の眼目でございまして、その観点から、石油開発の推進あるいは政府間取引の拡大、さらには供給源の多角化というような方向で私ども取り組んでいるわけでございまして、石油産業についての国の関与の度合いにつきましては、世界の石油産業の実態との関係も十分考慮しながら検討してまいりたいと思っております。この辺につきましては、エネルギー調査会の中でも審議をされているところでございます。  それから第二の点につきましては、先生御指摘のとおり、石油への依存度を六六%に下げるということがエネルギー調査会の中での見通しになっておりますが、これを達成しますためには、省エネルギーの努力あるいは国内でのエネルギー開発の努力といったものが全面的に必要になってくるわけでございます。
  97. 沢田広

    沢田委員 これは一課長や部長で国策に変更を与える御答弁ができるとは思わないのですが、大蔵大臣として、日本のこれからの石油問題を考える場合は、中身の深さというものは、単にここでのやりとりのようなものじゃないですね。ですから、やはりもっと謙虚に、企業も大切かもしれませんし、生かさなければならぬでしょう、また企業の自主性というものもあるでしょう。しかし、日本国民の現在の段階として、これを大切に利用していき、大切に効率的に運営をしていくというためには、やはり企業的な視野じゃなくて、国民的な視野に立って管理をしていくという方向で何らかの方法でもとっていかなければならない時期に来ているのじゃなかろうかと思います。その点、一課長あたりが幾ら言ったって犬の遠ぼえよりもっと遠いだろうと思う、どうにもならぬだろうと思うので、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うのです。
  98. 村山達雄

    ○村山国務大臣 ある一面においてはまさにそのような方向に行くのだろうと思うのでございます。今日、国民的な課題として長期エネルギー政策が論ぜられ、その財源対策をどうするのか、それからことしやろうとしておること、今後やろうとしていることは、すべて国民経済的な立場に立って考えていくわけでございますから、そういう意味で、助成も規制も当然行われていくであろうと思っているわけでございます。しかし同時に、直接事業を遂行する面につきましては、規制は規制、責任は責任としながら、やはり民間企業としての活力を利用していく、こういう形になっていくのじゃなかろうかと私は思っているわけでございます。
  99. 沢田広

    沢田委員 私もいまの段階としては、現在の国会内の与野党の比率からいっても、急にそれがもっと強固になるということは困難だろうと思いますから、最高限度のいわゆる同意が得られる限度はどの程度かという意味でいま提案してみたわけです。だから、それぞれの企業の自主性も尊重するけれども、規制も強める。ところが、いまの規制とかコントロールの分野が欠如している。それをぜひ大臣、これからひとつ生かしていただきたい。そしてある意味においては、国民が納得する状態をつくり出していくことが、これからの石油政策の中には基本的に必要になってきていると私は思います。もう一回その欠如している分についてだけ、もちろん企業について物を言っているわけですから、具体的にいま考えているものがあれば、一例でもいいですから示してもらって、前向きに進めていくようにお答えをいただきたいと思います。
  100. 村山達雄

    ○村山国務大臣 すでに、九十日備蓄の問題でございますが、これは大体民間がやるわけでございます。民間は、考えてみますと、ランニングストック以上のものをやるわけでございまして、まさに国民経済的な課題にいまもう沿いつつあるというふうにわれわれは見ているわけでございます。それであればこそ、また国家備蓄も進めねばならぬ、あるいはまた新しいエネルギーの新しい分野でのことも進めなければならない、こういったことでございまして、この点ではまた国の資本が入っていくわけでございますから、当然その限りにおいて規制が強まっていくであろう。今後このエネルギー問題がどういうふうに進展しますか、いずれにしても、ますます重要性をもってくることはもう間違いないであろうと思いますから、大勢といたしましては、私がさっき申しましたような、民間の活力のいいところはとっていく、しかし同時にまた、国民経済的な助成と規制を受けていく、そういう重要なものであろう、このように考えておるわけでございます。
  101. 沢田広

    沢田委員 非常に前向きのお答えをいただいたので感謝をするわけでありますが、通産省の方、お聞きづらいだろうと思うのですが、その第一歩として通産省石油業界とのもっと明確な相互関係、お互いの意見の闘わせ方はそればそれでいいと思いますよ、大いに意見を闘わすことは結構だと思う。ただ、あなた方の兄貴分や先輩がそこにいてあなた方が行政をしていくということは、一番しにくい状態だと思うのです。それだけにいま重要なウエートを占めている石油であるだけに、そういう方々には責任をとってもらって、ここで御引退をいただくというのが、国民に明らかにしていく政府の施策でもあるし、いま大蔵大臣がお答えをいただいた方向が一歩前進をしていくということになるのだと思うのです。それは銀行から連れてくるのもいいかもしれませんし、あるいは経団連から連れてくるのもいいかもしれません。しかし、通産省のOBを置いておくということは、どう見たって余りいい感じにはとれないですよ。  そこで、これだけの問題を起こしているときでもあるし、お年も大分召しておられますから、御苦労さんでしたということで御引退をいただくように、通産省ではひとつ御指導いただきたい、このように思うのですが、いかがですか。
  102. 大永勇作

    ○大永政府委員 OBの方々は、先ほども申し上げましたが、それぞれ会社に請われて行っておられまして、それぞれりっぱに働いておられるものというふうに確信をいたしておりますが、ただ、先ほど申し上げたわけでございますが、OBの人がおるからということで行政の手を緩めるというふうなことは一切いたしておりません。したがいまして率直に申し上げまして、通産省石油業界から見まして、非常に評判がいいといいますよりも、通産省のやり方については業界もまたいろいろ文句を言っているというふうな状態でございまして、われわれは相互の関係は決して癒着とかなんとかと言われるようなものではなくて、きわめて明朗な関係であるというふうに考えております。
  103. 沢田広

    沢田委員 私は、どちらにしてもオールマイティーだとは思ってはおりません。しかし、そういう国民の声があることは御存じでしょう。また、そういう声が出てきていることも事実でしょう。その事実を否定するということ自身に問題がありやしないかというのです。もしもそういうものがあるならば、謙虚に受けとめてそれに対処をしていくことが、あなた方が先輩に対する対処の仕方じゃないのですか。それをひいきの引き倒しと言うのです。そうじゃなくて、いま国民から出ている声にどうやってあなた方が対処してくれるか。おれだちも困るんだ、なぜそう言えないのですか。あなた方いま弁護ばかりしているじゃないですか。オールマイティーじゃないでしょう、その人でなければ石油業界がやっていけないわけじゃないでしょう、どうですか。
  104. 大永勇作

    ○大永政府委員 会社の人事につきましては、われわれがこの人をやめさせなさいとかあるいはどうしなさいということの言える立場にないことは、先生よく御承知のとおりだと思います。われわれとしては、それぞれの会社においてりっぱに職責を果たしていただいていると思いますが、具体的な判断の問題は、会社自身が人事の内容につきましては判断すべきことだというふうに考えておる次第でございます。
  105. 沢田広

    沢田委員 はなはだ不満な回答であって、大いに反省を要求をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  106. 大村襄治

    大村委員長 坂口力君。
  107. 坂口力

    ○坂口委員 石油税法案につきまして、引き続き質問をさしていただきたいと思います。この法案に対する賛否は、きょう御答弁いただきます内容によって決定いたしますので、ひとつ的確な御答弁をいただきたいと思います。  まず最初に、単純なことをお聞きいたしますが、石油の若干の備蓄が必要なことは私も認めるわけでありますけれども、その九十日備蓄というのがなぜ必要なのかということがよく理解ができない。なぜ九十日必要なのか。あるいは今度国の方で十日間の備蓄をして、百日備蓄と言ってもいいのかもしれません。ここまでの備蓄が本当に必要なのかどうかということがよくわからない。この辺のところを、通産省の方もお越しをいただいておりますので、どちらからでも結構でございますが、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  108. 古田徳昌

    ○古田政府委員 備蓄の数量につきましては、実は昭和四十八年の石油危機が起きました当時、わが国としましては、六十日の備蓄体制を整えようと努力していたところでございます。     〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕 しかしながら、あの当時の経験を振り返ってみますと、六十日の備蓄水準ではやはり緊急時対策としては心理的な不安感が残るというふうなことで、その後、備蓄の目標につきましての検討通産省としても進めたわけでございます。なお、西欧諸国におきましては、九十日備蓄目標というのを数年前から立てておりまして、現時点ではすでに平均して百日を超えているような状態でございますが、その辺も勘案いたしまして、私どもとしましては、備蓄法の運用の際に、昭和五十四年度に九十日の備蓄目標を達成したいということで、政策の目標を掲げたわけでございます。  なお、この九十日備蓄目標につきましては、それでも不十分だというふうな議論もございます。現にOECDの中等におきましては、西欧諸国について百二十日の備蓄目標が議論されているというふうな状態でございますし、アメリカにつきましてもあるいは西ドイツにつきましても、相当量の国家備蓄を実施しようというふうな動きも出ておりまして、そのような国際的な動きも勘案しながら、私どもとしては、今後の備蓄の努力を進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  109. 坂口力

    ○坂口委員 同じ九十日備蓄といいましても、たとえば昭和五十年の九十日と昭和六十年の九十日とでは、備蓄量はずいぶん違いますね。同じ九十日でも、一日分が年々歳々だんだんと上がっていくわけでありますから、六十年になれば、これは大変な額になるわけです。それを今後またさらに一層進めていくということになりますと、この九十日備蓄というのがなかなか大変なことになると私は思うのです。  いまアメリカや西ドイツや諸外国の例を挙げられましたけれども、確かに諸外国におきましても備蓄を進めていることは私もよく存じております。しかしながら、アメリカや西ドイツのように軍備を持っております国と日本のように軍備を持たない国とでは、これはずいぶん立場も違いますし、また国情もずいぶん違うわけであります。ですから、どうしても九十日あるいは百日備蓄を続けていくのだということになるならば、先ほどお話も出ましたように、また外国では、いや百二十日にするのだ、あるいはまた百五十日にするのだというふうにだんだんエスカレートしていく可能性がありはしないか、結局その備蓄競争によって首を絞められることになりはしないかということも、これは真剣に考えておかなければならないのではないか、こう考えますが、その危険性はありませんか。
  110. 古田徳昌

    ○古田政府委員 備蓄の規模につきましては、やはりそれぞれの国が持っておりますエネルギーの供給事情に対応して決められていくということになるのではないかと思っております。したがいまして、諸外国におきまして何日達成したから、どうしてもそこまで持っていくというふうな考え方ではなくて、それぞれ——特に日本の場合につきましては、全体のエネルギーの七〇%以上を輸入石油に依存しているというふうな状態を踏まえて、今後の備蓄目標を独自の判断で進めていくべきであるというふうに考えております。
  111. 坂口力

    ○坂口委員 現在、タンカーは中東を往復する場合が一番多いわけでありますけれども、中には、中東往復に、行きますのに十七、八日、帰りますのに二十二、三日、合計して四十日かかるとしまして、そのリスクを一・五倍というふうに見て、六十日あれば十分じゃないかという議論をなさる方もあるわけでありまして、私もそれが正しい解答だということは申し上げませんけれども、しかし、余りにも備蓄競争というものを過激化させるということも、一遍真剣に考え直してみる必要がある。これは日本の将来のエネルギー問題とも絡めて、あるいはまたその他の面とも絡めて、真剣にもう一遍考え直してみる必要がありはしないかと思うわけであります。  昭和六十年度末に百日備蓄が達成されるといたしますと、備蓄のタンクは現在の二倍になるわけでありまして、一昨日でございましたかの新聞にも出ておりましたけれども、後楽園球場の広さが全国で千二百五十カ所、これが備蓄として必要になる。これだけの備蓄量が必要だということになりますと、これは大変なことになることは指摘するまでもないわけであります。こういう疑問があることを前提にしながら、議論を進めていきたいと思うわけであります。  昭和五十二年度の石油関係諸税の税収、これは約一兆八千億円に及ぶわけでありますが、これは莫大な金額でございます。逆にこの石油政策に還元されているものは、この中の四%というふうに非常に低い率になっておる。皆さん方は、だからこの新税をつくるんだというふうにあるいは言われるかもしれませんけれども、この一兆八千億円という莫大な金額を石油関係諸税から徴収をして、いまはそれをわずか四%しか返していない、こういう現状をそのままにして、また新しく税金をつくって、それによってこの石油関係にバックさせよう、こういうふうな考え方、これは逆で、一兆八千億円すでに集めているのだから、ひとつここから石油政策にもっと還元をして、足らなかったときに新税をというのが物の順序というものではないか、こう思いますが、どうでしょう。
  112. 大倉眞隆

    大倉政府委員 五十二年度の予算ベースで、石油関係諸税の税収を、国、地方両方合わせてみますと、おっしゃいますとおり一兆八千三百二十八億円ということになります。この税収のうちの八割以上が現在、道路整備に使われておりまして、ごく一部が空港整備に回っておる。石油勘定に回っておりますのは、おっしゃいますとおり六百七十七億円でございまして、一兆八千億に対しましては四%弱にしかならないという現状でございます。  ただいまの坂口委員の御指摘は、道路に特定している分の一部でもエネルギー対策の方へ振り向けるべきではないか、現状からいってまずそういうことが考えられないのかという御指摘であろうと思うわけでございますが、そういう趣旨の御議論は、税制調査会の内部でもかねてからございます。  ただ、現実の問題といたしましては、道路整備には特定の財源では足りなくて、やはり苦しい中で一般財源を投入せざるを得ないという状況にありますものですから、五十二年度、五十三年度という状態で、道路整備の財源の方から特定財源の一部をはがしてくるという余裕がないという現状でございまして、将来の問題としましては、この石油関係税収を、道路整備が一層進行すれば当然のこととして、そこまで行く前にでも、とにかく一般財源あるいは総合交通財源あるいは総合エネルギー対策財源というものに利用すべきではないかという御議論が日を追って強まってきておりますので、今後の重要な研究課題とさせていただきたいと思います。ただ当面は、どうにも一般会計に余裕がなくて、なかなかその道路関係財源からの振り回しがきかないという点をぜひ御理解をいただきたいと思います。
  113. 村山達雄

    ○村山国務大臣 ことしの予算をごらんになってもおわかりのように、実質三七%という公債依存をやっておるわけでございます。しかも、税の構成を見てみますと、諸外国に比べまして、石油諸税を含めまして間接税の負担はほかの国の大体三分の一だ。それにしては、石油関係といいますか、車体、それから石油からずいぶん取っているじゃないか、こういうお話になるのだろうと思うのでございますが、現実にはやはり税収が足りない。道路財源としての揮発油税、これを全部投入しても足りないので、一般財源からさらに継ぎ足しておるという状況でございます。  考えてみますと、日本の税制が始まりましてから、あるときには地租に大部分を求め、あるときには酒に大部分を求め、あるときには所得課税に大部分を求め、いまようやくエネルギーにかなり相当の部分を求めているわけで、税制の大体の変遷史を考えておりますと、そういう感じがいたすのでございます。しかし、先ほども申しましたとおりに、石油関係の諸税ができました過程におきましては、それぞれの理由があったわけでございまして、これでも財源が足りないことも確かでございます。むずかしい問題ではございますけれども、これをもうちょっとわかりやすい体系に直すということは、今後われわれも検討を進めてまいりたい、このように思っておるわけでございますが、全体として燃料なり車体なりに求める税負担としては、諸外国よりはまだ大分軽いところにある、このことも同時に御理解賜りたい。非常に複雑怪奇になっているということだけは、私も率直に認めざるを得ない、かように思っておるところでございます。
  114. 坂口力

    ○坂口委員 揮発油税が道路等に使う目的税になっておりまして、これからほかの分野になかなか使えないということが、いつも非常に大きな論議になるわけでありますが、この論議になります揮発油税をいまのままに置いておいて、そして今回新しくつくります石油新税が、また目的税になっている、ここに何となく釈然としないものを感じるわけであります。もとの目的税を直して、そしてしかる後にというのならば、まだ話もわかるわけでありますけれども目的税はいかんともしがたいということを知りながら、なおかつ屋上屋を重ねるという感じを受けるわけでございます。  それともう一つ、税法の筋論からいきまして、新しい法律を策定するのに当然、目的を明確に示してこれは提案すべきだと思いますが、しかしこの法律に目的条文というものがない。これはどうしたことか、この辺もあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  115. 大倉眞隆

    大倉政府委員 坂口委員十分御承知の上の御質問でございますので、できるだけ簡単にお答えしたいと思いますが、揮発油税法は、実は税法としては普通税として構成されておりまして、現在道路整備緊急措置法で道路財源にこれを充てるという仕組みになっております。したがいまして、その揮発油税を道路整備財源に実質的に特定するかどうかという問題は、やはり今後の道路整備の所要財源と見合って判断をしていく。しかし現状は、先ほど申し上げましたように、それで足りなくて一般財源を投入せざるを得ないという状況にあるものでございますから、今後の道路整備の完成状況を見ながら、しかし、重要な課題として取り上げていく一つの問題だというふうに申し上げたつもりでございます。  今回の石油税も実は、法律上の構成は揮発油税と同じ構成にさしていただいて御提案申し上げておりまして、税法上は普通税である、しかし物の考え方として、今後予想される石油対策を考慮してこの税負担をお願いしたいということもまた明らかでございます。その関係は、別途御審議をお願いしております石炭石油特別会計法の一部改正の中で、石油勘定に所要額を繰り入れるんだ、もしその所要額が当年の税収に達しない場合には、それは翌年以降に加算してさらに繰り入れの財源にするんだという趣旨を規定いたしておりまして、法律関係は両者をあわせて御理解いただくという意味で、揮発油税と同じスタイルにさせていただいて御提案申し上げておるわけでございます。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 いま局長がおっしゃるように、からくりはそのとおりだと思います。しかしながら、現実的な問題といたしましては、いわゆる目的税と言っても決して言い過ぎではないと思うわけであります。  この目的税についてでありますが、——皆さん方は目的税でないとおっしゃるわけですが、からくりは別にいたしまして、目的税的な考え方とそれじゃ言いましょうか、この考え方につきまして、私は以前こういう質問をしたことがございます。それは、付加価値税の問題が議論になりましたときに、この付加価値税というものを福祉のための目的税にという議論があるが、この考え方についてどうかということを御質問したことがございます。現大蔵大臣でございましたか、前の坊大蔵大臣でございましたか、ちょっと記憶がはっきりいたしませんけれども、そういう目的税的な税というのはつくらないのだ、こういう意味の答弁をなすったと記憶をいたしております。そういうふうに財源を限るということは、税法上これは好ましいことではないという御答弁であったというふうに記憶をしておるわけでありますが、そういう議論を経ましてから一年たちますか、半年たちますか後に、こういう目的税的な内容のものが出てまいりまして、いささかちょっとあっと思ったわけであります。  これは大蔵省内部において物の考え方に変化が生じているのか、それともこれはもう全く特殊なケースで別格のものである、こういう意味で出しておみえになるのか、その辺はいかがでございますか。
  117. 大倉眞隆

    大倉政府委員 私の記憶しておりますのでは、たしか前大臣のころであったと思いますが、一般論として申し上げると、と申し上げたのか、あるいは税制の筋論として申し上げると、と申し上げたのか、何かそういう前提をお置きになりまして、やはり目的税にすると、見合いになる歳出の方が、とにかく税収があるんだからいいじゃないかという意味で、歳出の方に放漫になる危険がある、あるいは歳出が硬直化していく危険があるので、一般論としては望ましくないという趣旨をお答えになっていたように思います。その基本的な考え方は、やはり大蔵省の内部ではいまだに変わっていないと申し上げてよろしいんだろうと思います。  しかし同時に、現実的な考慮も払わざるを得ない状態でございまして、先ほど揮発油について申し上げましたように、筋論としてはやはりいずれの日にかこれを一般財源化する、あるいはそこまで行く前にでも、総合交通対策というふうに使途を広げるというような考え方が十分吟味に値するであろう、しかし五十二年度、五十三年度という状態では、これはまあ繰り返しになって恐縮でございますが、特定財源を全部入れてなおかつ足りなくて一般財源を入れざるを得ない、あとしばらくはまだそういう状況が続くかもしれないというときには、やはりその筋論だけでもなかなか問題が片づかないというふうに申し上げざるを得ない。  そこで、今回の石油税がまた新しくそういうものを持ってきたではないかということでございますけれども、これもやはり石油に対して新しく課税を起こすという場合には、その背後にある考え方として、今後における石油対策に係る財政需要というものが非常に大きいので、それはやはり石油なり石油製品を使う方に負担していただきたいという考え方で御説明をする。納税していただく方、直接に納税していただく原油引き取り者なり国産原油の開発者に納得していただき、さらにはそれが価格に転嫁されるという性格の税である以上、石油なり石油製品を使われる方にも、やはり石油を備蓄するなり新しく石油資源を開発するためにはどうしても財政で金を出すという需要が大きいわけでそのためにはひとつこれくらいの率のものはぜひ御負担願えないでしょうかということで、御納得を得たいという気持ちが基本にございますものですから、やはり実質的に特定財源になるような形で今回御提案をしておる。しかし、今後あらゆる税をやはり特定財源的なもので構成する方が税制としていいかということになりますと、そこはやはりまたもとへ戻ってまいりまして、やはり税制全体の考え方としては、できることならば、また、納税者の御納得を得られることであるならば、それはやはり一般財源として構成する方が財政全体の効率的な資金配分のためには望ましいことであろう、そのように考えます。  しかし、御質問の中にございました、一般消費税を考える場合には、それはやはり福祉なりあるいはもう少し広く教育なりというものにどうしても今後財政需要があるから、そのためにひとつ負担していただけないかというふうに物を考えるべきであって、財政再建のためにとか国債を返すためにということじゃなかなかその負担増加は受け入れてもらえませんよという御意見は、税制調査会の中にもかなり強くあるわけでございまして、それはなお今後、新しい税を考える場合に十分尊重に値する意見であろう、検討の課題であろうというふうに私どもとしては考えております。
  118. 坂口力

    ○坂口委員 誤解のないように一言言っておきますが、私は、一般消費税を導入しろということを言っているわけでは決してございませんで、話のついでに、これは比較をするために出した話でございまして、そちらのほうはグリコのおまけの方でございまして、グリコそのものではないということを一言つけ加えておきたいと思います。  五十三年の三月三十一日に切れるこの揮発油税というものは、今回二年延長されたわけであります。道路財源に使用されますし、道路整備は五カ年計画を立てているわけでありますから、この五カ年計画ということを考えますと、またこれは再延長されなければならないという運命にあるのかもしれません。今回の石特法も、五十六年でこれは切れるごとになっている。今回のこの委員会に提案されました石油税法案は、いわば永久法でございます。この辺に何と申しますか、ちぐはぐと申しますか、二年先に終わるのやら五十六年に切れるのやら永久法やらと、よく似たものがぎすぎすしておるような気がするわけであります。  そういうふうな面から、この法案につきまして、永久法になっておりますが、石特法の五十六年と合わせてこの辺のところで見直しをするという意味がここに含まれているのかどうか、この辺は非常に重要な点だと思いますが、答えていただける限りでよろしゅうございますから、お答えをいただきたいと思います。
  119. 大倉眞隆

    大倉政府委員 その点も、実は先ほど申し上げました揮発油税と道路整備緊急措置法との関係と同じような関係に立っております。道路整備緊急措置法の方も、各次の計画に応じてそれをさらに延長するかどうかを決定していくというシステムでございまして、抽象的に申し上げますと、道路がもう一〇〇%に近く整備されていけば、それは緊急措置法がなくなり、特定もなくなり、しかしだからといって、揮発油税がなくなるわけではないというふうに考えられておりまして、その意味で、揮発油税は税法上は普通税になっておる。石油税に関しましても、石特会計が時限的な特別会計であるということがやや異例な体系であることは御承知のとおりでございますが、その会計の期限が参りましたときに、なおあのままの形で延長するのか、石炭はどうなるのかという問題を含めまして、やはりそのときまでに十分研究をいたしておかなくてはならない。しかし、いま予想される状況でございますと、石特会計というものを、乱暴な議論でございますが、仮定の問題としてやめてしまって、もう総合エネルギー対策なり石油対策一般会計でやるということになりましても、やはりそういう財政需要があります限り、今回御提案しているような、広く石油あるいは石油製品をお使いになる方々に負担していただいて財源を調達したいという考え方は残るのではなかろうか。その意味では、石油税というものは揮発油税と同じようにひとつ普通税として構成させておいていただきたいということで、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  120. 坂口力

    ○坂口委員 それでは、ちょっと話を進めたいと思いますが、関税率審議会答申には原油関税無税という主張が繰り返されてまいりました。新税を創設するのならばせめて関税は撤廃すべきではないか、こういう議論がいままでもあるわけでございます。特に最近のように石油の問題が国際的にもやかましく言われるようになっておりますと、石油産油国の方もこの日本の石油新税に対してはかなり大きな注目をしているということが漏れ伝えられておるわけであります。アメリカの方におきましても、日本とは違いますが、若干違う形で石油に対する新しい税が考えられているようでございますけれども、アメリカと日本が、そういう意味で非常に注目をされているということも聞いておるわけであります。  そういうふうなことを考えますと、産油国の反発を買うということも考えなければならないわけでありまして、関税との絡みで何か処理ができなかったのか、あるいはまたこういう形で新税を考えるということで、その辺のところは十分考慮されて行われたものなのか、この辺についてもひとつ見解をお聞きをしておきたいと思います。
  121. 戸塚岩夫

    戸塚(岩)政府委員 三月一日に成立をさせていただきました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案によりまして、御承知のように、原油に対しての関税一キロリットル当たり七百五十円の現行を、石油税創設に伴いまして六百四十円に百十円ほど下げるということで五十三年度は調整したわけでございます。  原重油に対する関税を無税にすべきだという御意見は、関税率審議会でもたびたびいただいております。ただ、現実の問題といたしましては、五十三年度の原重油関税の収入見積もりでは千五百九十億円でございまして、そのうち三百二十億円は石油の対策の方に使い、残りは石炭の対策の方に使っていくという使途を考えているわけでございますが、現実問題といたしまして、石炭の対策の財源はさてどこからという問題もありますし、また、石油税創設をしてエネルギー対策財源を捻出をしていくという際に、原重油関税の方から回しております三百二十億円を減らすというのもいかがかと思われますので、本年は、先ほどお話をいたしましたように、五十二年度に引き上げました分だけもとへ戻すという措置をとらしていただいたわけでございます。  そこで、五十四年度以降の問題でございますが、現在通産省の総合エネルギー調査会の方で、エネルギー対策財源問題も含めて御検討いただいているわけでございまして、その答申もまちまして、私どもの方も前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
  122. 坂口力

    ○坂口委員 ぼくは意味がちょっとわかりにくい面があったのですが、大臣、外国と申しますか産油国との間の問題としてこのことがどう受け取られているのか、私もよくわかりません。しかし、この税法ができることによってかなり相手が硬化してくるということも計算はしておかなければならない問題だと思うのです。その辺のところはどういう認識をお持ちになっておるわけですか。
  123. 村山達雄

    ○村山国務大臣 今日、エネルギーの問題がオイルショック以来世界的な課題になっておって、そのために、先ほどおっしゃったずいぶんよけい備蓄するじゃないかというような備蓄も始まり、さらに開発も始まり、代替燃料の開発、さらには新エネルギー、こういう動きは産油国も十分知っておるだろうと思うわけでございます。産油国の方でも、そんなには長く出ない、だから生産量は、国によって違いますけれども、ある程度セーブしておるという事情も当然あるわけでございます。ですから、一ころのあのオイルショックのときのような産油国と非産油国が利害が全く対立するというよりも、むしろ少ない石油資源というものをどのように温存していくのか、そちらの方に、あの当時から見ますと全体の世界の空気が、産油国も非産油国もともにやや傾きつつあるように私には思われるわけでございます。  そういった意味で考えますと、御案内のように、日本はいろいろな税をかけておりますけれども、燃料にかけておる税は、今度の石油新税を入れましても、先進国の中でアメリカに次いで一番低い中に入っておるわけでございまして、むしろラテン諸国の方がはるかに高いわけでございます。そういったことから言いますと、日本の石油新税は、ニュースにはなりましょうけれども、それだからといって、日本がやったから値上げしてやれということには、負担関係ずっと見てみますと直ちにつながらぬのではなかろうか、そのように私たちは判断いたしておるのでございます。もちろんOPECはあらゆる情報をとっておると思いますけれども、これがあるからといって、日本のこの措置だけに目くじら立てて非常な刺激を受けるというようなことはないのじゃなかろうか、このように私は判断しているわけでございます。
  124. 坂口力

    ○坂口委員 確かに見方によりますと、いま大臣がお答えになりましたように、石油全体に対する税はアメリカに次いで低いのかもしれません。しかし、一九七五年以降この三年間に日本は四・二倍になっているのですかね。——これは違います。税制じゃございません。失礼しました。  確かにおっしゃるように、税金そのものは全体で見ますと低いということがあるかもしれませんけれども、しかし、最近の石油そのものの値上げ、そういったものから考えていきますと、先ほど私が申しましたような危険性もなきにしもあらずだと思うのです。物価の問題はまた後でやりたいと思いますけれども、そのことも議論の中でよく吟味をされて、そしてここに法案提出に踏み切られたのならいいわけでありますけれども、この辺のところが非常にあいまいのままで過ごされているといたしましたら、これは大きなかけになる、こういうことを指摘したいわけでございます。  それから、物価の問題は、先ほども出ましたので詳しくはやらないことにしたいと思いますが、重要な問題でございますので少しだけ触れておきたいと思います。  昭和五十三年度の税制改正に関する答申を見せてもらいましても、石油税創設のところで、このことが物価上昇につながりはしないかという御意見委員の中からも出ておることがうかがえるわけでございます。通産省の方に大分質問をしておりませんので、ひとつ通産省の方にもお聞きしておきたいと思います。  五十二年の七月に出されました総合エネルギー調査会の省エネルギー部会における「価格引き上げによる省エネルギー効果について」という報告がございます。この報告では、「価格引き上げによる省エネルギー効果は有効ではない。」と結論をつけておりますし、また、物価につきましてもその危険性を指摘していると思いますが、この辺につきましてどのようにお考えになっておりますか。
  125. 大永勇作

    ○大永政府委員 いま先生の御指摘になりました資料は、総合エネルギー調査会の中間取りまとめを行う途中の経過での一つの資料でございますが、御指摘のような資料ができておりますことは事実でございます。  エネルギーの価格とエネルギーの需要との関係につきましては、これはなかなかむずかしい問題がございまして、価格の引き上げの幅であるとか、全体の支出の中に占めるエネルギー支出の割合であるとか、そういうことによりまして相当大きく影響されますので、一概には申せないかと存じます。ただ、従来の経緯を見てみますと、オイルショック前におきましては、エネルギー価格が非常に安定しておりましたので、エネルギー価格と需要との関係はほとんど関係がなかった。それから、オイルショックに当たりましてエネルギー価格が四倍程度に上昇したわけでございますが、たとえば家計部門でございますとかガソリン消費等につきましては、それほどその関係で需要が鈍ってはいない。そういうことから判断いたしますと、いわゆる価格の需要に与えます弾性値といいますか影響というのは、比較的小さいのじゃないかというふうに考えております。     〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
  126. 坂口力

    ○坂口委員 これは本当は経企庁をお呼びしてお聞きするのが筋かと思いますが、大蔵省の方でもしわかればお答えをいただきたいと思います。  今回の石油税がもし実現したとしたら、これが物価に対する影響というのはどのぐらいとお考えになっているわけですか。
  127. 大倉眞隆

    大倉政府委員 先ほども申し上げたことの繰り返しになって恐縮でございますが、税の性格上、これは製品価格に転嫁されるというふうに考えるべきものであると思います。ただ、現実にどうなるかという点につきましては、これから先の円レートがいままでの価格形成の根拠になっておりました円レートに比べてどれくらい円高のレベルで推移するかという点が非常に大きな問題でございます。しかし同時にまた、六月にOPECがどういうふうに出てくるかという点も大きな問題。そのほかに、製品ごとに需給がどうなるかという点もあるということで、マクロ的に見れば、現状の諸条件が変わらない限り、五十三年度の石油製品価格水準が五十二年度より上がるということは、石油税が導入されてもそうはならないであろうという予測を持っているわけでございます。しかし、その条件のいかんでございますから、必ずそうなるであろうということを断定できる状態ではないわけでございます。  もう一つは理論的に、さはさりながら、一度下がって石油税だけ上がるという計算をもししてみたらどうなるかという計算は一応やってみてもらっておりまして、それは、今回の石油税分がいまの原油価格ベースの三・五%ということでやってみると、最終効果としてCPIを〇・一ぐらい押し上げるという計算はできる。しかし、くどくて恐縮でございますが、五十三年度の物価がそれだけ上がるという意味ではない。一種の理論計算ということでやってもらっております。
  128. 坂口力

    ○坂口委員 先ほど私ちょっと混乱しまして言い間違えましたが、日本エネルギー経済研究所が行った調査によりますと、わが国のエネルギーコストはオイルショック前の四・二倍に上昇しているわけですね。同期間にフランスは三・四倍、西ドイツは二・九倍、イギリスは二・八倍というふうに、諸外国に比べて日本の石油ショック後のエネルギーコストというのは非常に上がっているわけです。日本の現在の石油関連の税制というのはほとんどがそれ以前にできたものでありますから、石油が非常に安かったときにできたものであります。ところが、最近のようにこれだけコストが上がってまいりますと、以前のような調子で果たしてこれに税金を同じようにかけていいかどうかという問題が一つあろうかと思います。そういう意味で今回の三・五%というのは、パーセントとしてはそう高くないというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、オイルショック前とは大分違いまして、エネルギーコストが上がっているわけでありますから、これは三・五%とはいいますもののかなりな影響を持つことだけは事実でございます。そのことを先ほど私言おうと思いまして、ちょっと数字が混乱したわけでございます。  大蔵省は、物価の問題のほかに省エネルギー効果ということについても今回触れておみえになるわけでありまして、省エネルギー効果を期待しているということが言われております。最近、欧米諸国においては、省エネルギー効果という観点から行うと、石油消費税の引き上げというのはむしろ物価やインフレに悪影響を及ぼすという考え方に立っていると伝えられておるわけでありますが、大蔵省としての考え方は一体どうなのかということをひとつお聞きしたい。  続いて申しますが、日本の一次エネルギー供給というのは、全体の七四、五%が石油に依存をしているわけであります。新税による影響は、やがては石油価格の変動につながり、またエネルギーコスト全体にも影響を及ぼしてくると思うわけであります。これは先ほどの問題にもまた戻っていくわけでありますが、こういった問題をどうお考えになっているのか、先ほどの省エネルギー効果というものに対するお考えとあわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  129. 大倉眞隆

    大倉政府委員 税制調査会答申でお読み取りいただけると思うのでございますが、物価の問題を御議論願った部分にただいまの御指摘の問題が頭を出しております。この表現は、そのまま読みますと、「石油製品価格が上昇することによってむしろ石油資源の節約及び有効利用に資することにもなるとの意見もあった。」という表現になっておりまして、よく御承知のように、こういう表現は、そういう少数意見があったという場合に用いられている表現でございます。そういう御意見が確かにあった、しかし、それが多数意見だということではございません。  私ども自身がどう受け取っておるかという点について申し上げますと、やはり節約効果というものを考えるという場合には、よほど大きな幅でないと問題になり得ないのではなかろうか。また、石油というものの特殊性から見ますと、値段が上がったから急激に消費が落ちてくれると思うのは、やや期待としては過大に過ぎるであろう。ただしかし、そのことのうらはらとしては、安ければ安いほどいいという状況で今後の運営をするという性格の問題ではないであろう。したがって、先ほどの問題の繰り返しになりまして恐縮でございますが、現在の価格形成の基本になっております円レートに比べて相当円高の水準で今後推移するとしますと、それが石油税分だけ全額還元がされずにとまるということについても、そのことが非常に困ることであり、避けるべきことであるとまで考える必要はないのではなかろうかというふうに私ども判断しているわけでございます。しかし、これは御意見としては、かなりいろいろな御意見のあり得る問題であろうと思います。  それから、ほかの国はどうであろうかという点については、私どもが調べて承知しておる限りでは、四十九年以降、少なくともいわゆる先進工業国では、考え方としては輸入抑制、消費抑制、あるいは石炭転換のための財源というようなことから、アメリカは御承知のような政策が提案されておりますし、もしあれがうまくいかなければ輸入石油に課徴金を取ろうかというようなニュースもあるようでございますし、イギリスでは、七四年に石油産品の付加価値税の増税を行っておりますほかに、七六年以降毎年炭化水素油税は増税になっております。フランスでは、重油消費課徴金というのを七五年と七七年に臨時的に適用した例もございますほかに、石油消費の抑制、財源調達という説明で七四年と七六年以降毎年石油産品内国消費税が増税になっております。ドイツでは、現在石油の消費抑制と石炭への転換促進という説明で、鉱油税の増税法案を提案して、議会で審議されておるというふうに承知しておりまして、考え方としては、今回御提案を申し上げている私ども考え方と先進消費国というのは、ほぼ同じ考え方をしているのではなかろうかというふうに私どもは理解しているわけでございます。
  130. 坂口力

    ○坂口委員 いま為替差益のことにちょっと触れられたわけでありますが、確かに為替差益は、現時点におきましては存在することは事実であります。しかし、昭和四十八年度から昭和五十年度ぐらいの間を見ますと、石油企業三十六社ベースで見ましても、連続してかなり大幅な赤字を出しているわけであります。経常損失額を見ますと合計二千四百億円に達しておるわけでございまして、五十一年度におきましても、同じ三十六社ベースで、為替差益と差し引きましても若干赤字ではないかと思います。したがって、最近の為替差益はありますが、これで前の赤字と比べてどうなるか、とんとんかどうかというぐらいな程度ではなかろうかと思います。  この問題をやりますとえらく石油企業の肩を持つような話になりますので、このぐらいにしておきますけれども、確かに現在は為替差益がございますが、私は、果たしてそれにおんぶをする考え方でいいだろうかという心配もちょっと感じている一人でございます。  時間がなくなってまいりましたので、あと一、二だけお聞きをしておきたいと思います。  一つは、石油関係の組合員の皆さん方から、納税方式について、従価税になっているけれども、従量税方式の方が非常に事務的に楽である、従価税を従量税方式にしても税収については余り変わらぬのじゃないかというような議論も出ているわけでありまして、これは、この議論をやりますと、若干これを認めた実務的な話になりますので、いささかぐあい悪いわけでありますけれども、話の関連としてひとつ聞いておきたいと思います。
  131. 大倉眞隆

    大倉政府委員 時間をとりまして恐縮でございますが、ちょっと誤解を避けるために申し上げたいのでありますが、私が先ほどから御説明をいたしておりますのは、いますでに巨額の為替差益があるという意味で申し上げているのではないつもりでございます。先ほど申し上げましたように、昨年の九月決算ではマクロでは利益が出ておる。しかし、社別に見れば赤字の企業もございますし、また累積赤字を抱えている企業もございます。それも承知しております。しかし、そのときの輸入のベースというのは二百六十五円から二百七十五円くらいのベースでございまして、これから出てくるというふうに私どもは考えておるわけであります。石油税は六月以降実施でございますから、これから先を考えるときに、六月以降に石油税が入った分だけ値段が上がるというふうに予想しなくてはならない状態ではないであろうと申し上げているのは、二百四十円レベルの石油はこれから入ってくるわけです。もう少し先になると、それがいいことか悪いことかは別にして、もう少し円高のベースで入ってくるのかもしれません。そういうことを予想して申し上げておるわけでございます。  それから、従価税と従量税の問題でございますが、技術的には従量税の方が簡明であるということは否定できません。その意味で、従来ございます個別消費税でもそういう角度から従量税制度になっているものもかなりございます。それから、今回私どもがあえてそういう技術的な面を知りながら従価税制度でお願いをいたしておりますのは、やはり物の考え方として、石油価格に対応してそれなりの薄い負担をしていただいて、それで財政需要を賄っていきたいというふうに考えたものでございますから、技術的に不可能な話ではない、いまの原重油関税でも従価税でやっておった時期もあるわけでございまして、技術的に不可能な話ではないので、物の考え方としてCIFプラス関税をベースにした従価税ということで構成させていただきたいというふうに考えたわけでございます。税収効果といたしましては、それはおっしゃいますように、仮に円高になれば、予想している税収が、従価税だとむしろ減ってしまうという面は決して否定できないと思います。
  132. 坂口力

    ○坂口委員 あともう少しでございますので、それではもう一つだけお聞きをしておきたいと思います。  備蓄の柱としていわゆるタンカー備蓄が叫ばれているわけでありますけれども、このタンカー備蓄の計画というのは現在どのくらいあるのであろうかということをひとつお聞きしたい。  それからもう一つ、備蓄ということを考えます場合に、たとえば日本のいろいろの鉱山がございますけれども、もう閉山やむなきに至ったような鉱山を利用して、その鉱山の中に備蓄をするというような方法も考えられている、こういうふうな話もございますが、そのことにつきましてもあるのかどうか、現実問題としてでき得るのかどうか、あわせてひとつお答えをいただきたいと思います。
  133. 古田徳昌

    ○古田政府委員 タンカー備蓄につきましては、恒久タンクによります備蓄体制が整うまでのつなぎ的な措置ということで私ども考えているわけでございますが、これにつきましては、石油開発公団法の改正を現在国会にお願いいたしておりますが、この改正ができ上がりましてから石油開発公団が行うということになっております。このタンク備蓄の実行のために、現在関係省庁でタンク備蓄合同委員会というのを設けておりまして、そこで具体的な実施方針等検討しているわけでございます。同時に、石油、海運両業界の専門家の方に参加していただきまして、タンカー備蓄の実施委員会というものも開いておりますが、その場で安全防災対策を含めましての管理体制なり事故対策なりについての検討を行っているという状態でございます。  さらに、タンカー備蓄を実施します場合に一番重要な問題であります泊地の選定につきましては、これは関係業界から成ります公益法人の日本タンカー石油備蓄協会を二月十日に設立しておりますが、この協会におきまして、泊地の選定につきましての調査を現在鋭意進めているという状況でございます。この辺の成果を踏まえまして、石油開発公団法の改正後、できるだけ早急にタンカー備蓄の実施のためにスタートしたいということでございます。  それから、第二の点でございますが、廃止鉱山につきましての備蓄の問題につきましては、従来から私ども備蓄の方式について種々検討しているわけでございまして、いわゆるタンクによります従来方式の備蓄のほかに、地下備蓄、それから海上備蓄といった問題がございます。廃止鉱山につきましての備蓄は地下備蓄の一つの形式でございますが、石炭鉱山の場合には技術的に非常にむずかしい、しかし金属鉱山の場合には技術的な検討の余地があるというふうなことになっておりますが、現在のところ、わが国につきまして具体的な計画が出ているということではございません。
  134. 坂口力

    ○坂口委員 まだお聞きしたいことたくさんございますが、大臣の御かんばせにも大分疲労の色がうかがわれますので、これぐらいにいたしまして、あと二分三十秒残っておりますが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  135. 大村襄治

    大村委員長 次回は、来る二十四日金曜日午後五時三十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後九時十四分散会