○村上(茂)
委員 自民党に十分間の質問時間を与えられまして、不肖村上、十分間質問をさせていただきたいと思います。
私は、
経済の基本に触れる問題で、税金にも関連いたしますが、一般的かつ基本的かつ重要な問題について、
総理と申しますか、むしろ
福田経済思想ないしは
福田経済理論という立場からお
考えをお聞かせいただきたいと思います。
総理が今日までわが国の
経済を指導されてまいりました基本的な
考え方というのは、その結果があらわれておると私は思うのであります。たとえば狂乱物価を抑えよう、総需要を抑制しよう、こういう態度をきつくとってまいりました。時間はかかりましたけれども、だんだん物価が落ちついてまいりまして、本年三月におきましては予想を下回るかもしらない、こういう形になってまいりました。これは
総理が
努力された結果でございまして、大成功でございます。
また、一昨年
総理になられましてから、景気回復には
財政政策と輸出
政策だとおっしゃって、輸出を振興されました。その結果がいま貿易黒字、黒字、こういうかっこうになっておるのでございまして、
総理が提唱されました基本理念というものはその実を結んでいるのでございます。ただ残念ながら、景気が思うように回復しない、これも実は、
総理のお
考えの中にあります物価抑制との関連におきまして、需要を抑え込んできたということの帰結ではなかろうかと私は思うのでございますが、いま申し上げたいことは、
福田理論というのは成功しているんだ、特に物価抑制におきましては世界的に見ましても大した成功だということをまず申し上げ、そしてその御苦労のほどを感謝申し上げたいのであります。
さて本論に参ります。
私がいま
総理のお
考えをお聞きしたいのは、貯蓄と資本形成と、それから税の問題と海外投資、この四つの問題を絡めて、私はこういうふうに
考えるものですから、
総理の御意見をお聞かせいただきたいと思うのです。
戦後
日本経済は資本不足でございまして、アメリカから外資を導入したりしまして一生懸命
経済の立ち直りを図りました。そのうちだんだん
日本みずからが力がつくようになりました。特に
国民の旺盛な貯蓄意欲というものは、
日本経済に必要な資本形成に非常に役立ったと私は思うのでございます。ところが、
経済学の教科書じゃございませんけれども、この貯蓄というのは可処分所得マイナス消費イコール貯蓄、こう
経済学の本にもなっております。ですから消費が停滞しますと、可処分所得の使い道というのは貯蓄というかっこうになってくるわけでございまして、私は、
日本の貯蓄率が非常に高いという問題、特に最近貯蓄率がぐんぐん伸びておりますけれども、これは私は当然理論的な帰結でそうなっておると思うのであります。
ところが、その蓄えられた預貯金、つまりいろいろな方面に使われます資金というものがだぶついてまいりますと、これはとんでもない
経済現象が起こってくる。資本としてそれが有効に活用されておる段階はいいんですけれども、産業活動が停滞してまいりまして、蓄積されたその資本というものが過剰になるという
傾向を持ってまいりますと、これは縮小均衡、デフレ、不況、こういうふうなかっこうになってくるわけでございます。
幸い現在はと申しますか、不況になりましてからのこの預貯金の資金というものの使い道をたどってみますると、従来は
企業に投下する資本が大部分でございまして、国や地方公共団体が債券を発行いたしましてその金を使うという率は非常に少なかった。ところがここ一、二年は、国債発行、地方債の発行、そういう関係で、資金量の四〇%を超えるような量を使うようになった。産業側はどうだ。産業、
企業の使用率というのはだんだん低下いたしまして、率といたしましては、国、地方公共団体がその資金を使用いたします率とまさに拮抗
状態、それがさらに低下せんとしようとしている。一般には個人の貸し出しがございますけれども、要するにだぶついた預貯金というものを現在は、大量の国債を発行しあるいは地方債を発行して賄っておりますけれども、これがだんだん減ってまいりましたときに、わが国の産業が蓄積されたその資金、これを使うような規模がずっと維持できるならば結構ですけれども、はみ出しますと、これは
経済全体の運行が渋滞してまいります。縮小均衡になる可能性がある。
そこで私が申し上げたいのは、貯蓄率が旺盛だというのは一面においては、税金の取り方が少ないんじゃないか。可処分所得マイナス消費イコール貯蓄でございますけれども、消費も伸びない、何も伸びないということになれば預貯金に回るのは、当然の理論的帰結だと思います。それで私は増税の問題を、赤字
財政で国債発行をしているんで、これを消却しなければいかぬし、将来増税しなくちゃいけない、こういう理論がだんだん強くなってきておるようでございますけれども、全体の貯蓄、資本形成、それとの関連において実は
日本は税の取り方が少ないのではないか。これはもう御承知のところで、時間もございませんから数字は申し上げませんけれども、もう少し税金を取る余力があり、取る必要があるのじゃなかろうかということを私は
考えるのであります。
それからいま
一つは、海外援助が足らない。
日本経済のキャパシティーに合わぬ部分のオーバーするような資本蓄積がありましたならば、もっと積極的にどんどん海外に投資をするか、あるいは
経済援助をもっと積極的にやればよろしい。ところが、従来は非常に消極的でございまして、GNPの比率から見ると海外援助や投資が非常に少ないと言われております。私は、現在の
日本人の貯蓄
傾向から見まして、蓄積された資金が過大になり過ぎましてそれが国内で消化できないというような場合には、従来の
経済的帝国主義じゃございませんで、新しい時代に即応したところの海外援助というものを積極的にやるべきじゃないか、こう思うのでございます。
要するに質問の趣旨は、いま申しました貯蓄、資本形成といったような現状が、
日本の将来の
経済の枠組みと合わせまして、取るべき税金は取る必要がある、また、積極的な海外援助を行う必要があるという趣旨を申し上げた次第でございますが、もう十分になりますが、その点についての
福田経済思想ないしは
経済理論をお聞かせ願いたいと思うのであります。