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山内政府委員 御
指摘のとおり、ややじみな話ではございますけれ
ども、
経済的にも、効率の面から申しまして非常に重要な問題であろうかと思います。
御
指摘のとおり、従来からこの問題につきまして、必ずしも等閑視しておったわけではございませんで、たとえば現に
東京証券取引所におきまして、部分的な株券の振りかえ
制度を実施するとか、あるいは先ほど御
指摘のありましたように、
保護預かりの債券につきまして混蔵保管の
制度を認めるとか、あるいは債券の大きさについて規格を三種類程度に統一をしようという運動が行われるとか、各種の手段をとってまいったわけでございます。ただこの問題は、根本的な解決といたしますと、いま申しましたような方法ではなかなか十分ではない。御
指摘のとおり、やはりある程度紙から問題を切り離すということで
考えませんと、根本的な解決にはならないというふうに
考えます。
そういうふうな
考え方に基づきまして、現在のところ
幾つかの
考え方が次第に
議論されつつあるわけでございます。
具体的に申し上げますと、五十二年の四月に
東京証券取引所とかあるいは
日本証券業協会とかその他そういったところが
中心になりまして、
有価証券関係業務の合理化についてという報告書を出してございます。この報告書の中身は、受寄機関を設けまして、寄託を受けました
証券については全部その受寄機関の名義に変えて、しかる上でペーパーレスの
方向に次第に進んでいこうという物の
考え方でございます。
また、やはり
東京証券取引所を
中心といたしまして、株券振替
制度懇談会というのがございまして、ほぼ同種の物の
考え方から、ペーパーレスの
方向に進んでいったらどうかという
議論が始められております。
ただ、そういう物の
考え方にもなおかなり多くの
問題点がございます。たとえば受寄機関に全部寄託をして名義を変えてしまうということになりますと、真実の
株主が議決権を行使するあるいは配当を受け取るというふうなときに一体どういうふうな手続を講ずればよろしいのか、あるいは真実の
株主がそれを担保に供しようとする場合に一体どういう手続を講ずればいいのか、そこら辺は、技術上の問題もありますれば、法律上の解決を要する問題もあろうかと思います。なおまた、そういう形で真実の
株主のお名前が隠れてしまうものでございますから、それを
発行会社の
株主としていかにディスクローズするかというふうな問題もございます。
そういった問題を
一つ一つ片づけてまいりませんと、なかなか基本的な問題の解決にはならないというのが
一つと、それからもう
一つ具体的な問題といたしましては、株券なら株券だけ、債券なら債券だけでやるのか、両者一緒に一斉にやるということにするのか。もし株券だけでございますと、比較的
関係者の範囲も狭うございますので問題が進めやすいわけでございますが、債券まで含めるということになりますと、やはり
金融機関とか信託会社とかそういったものとの調整も必要になってまいるということでございます。
私
どもといたしましては、できるだけ基本的な物の
考え方の方で、なるべく早い時期に結論が出るのであれば、そちらの方に向かって推進をいたしたいと思いますけれ
ども、いま申しましたように、債券まで含めるとなるとかなり時間と手間がかかるということでありますならば、ある時期におきましては、株券だけで見切り発車をするということも
考えなければならぬかと思っております。その辺のところは、先ほど申しましたような
問題点の解決を含めまして、今後引き続き
検討を進めてまいりたいというふうに
考えております。