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1978-02-22 第84回国会 衆議院 大蔵委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月二十二日(水曜日)     午後六時開議  出席委員    委員長 大村 襄治君    理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君    理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 塚田 庄平君    理事 坂口  力君       愛知 和男君    池田 行彦君       小渕 恵三君    大石 千八君       後藤田正晴君    佐野 嘉吉君       坂本三十次君    林  大幹君       原田  憲君    本名  武君       村上 茂利君    森  美秀君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    大島  弘君       川口 大助君    沢田  広君       只松 祐治君    山田 耻目君       貝沼 次郎君    宮地 正介君       高橋 高望君    荒木  宏君       永原  稔君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 村山 達雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         大蔵省主税局長 大倉 眞隆君         大蔵省理財局長 田中  敬君         大蔵省証券局長 山内  宏君         大蔵省銀行局長 徳田 博美君         大蔵省国際金融         局長      旦  弘昌君  委員外出席者         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     小平  忠君 同月二十日  辞任         補欠選任   只松 祐治君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     只松 祐治君 同月二十一日  辞任         補欠選任   荒木  宏君     不破 哲三君 同月二十二日  辞任         補欠選任   小平  忠君     高橋 高望君   不破 哲三君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   高橋 高望君     小平  忠君     ————————————— 二月二十一日  石油税新設に関する請願小宮山重四郎君紹  介)(第一三〇九号)  同(野中英二君紹介)(第一三七四号)  同(野呂恭一紹介)(第一四〇三号)  同(天野光晴紹介)(第一四二九号)  同(亀岡高夫君紹介)(第一四三〇号)  同(福田一紹介)(第一四三一号)  同(渡辺栄一紹介)(第一四三二号)  不公平税制是正等に関する請願岡田春夫君  紹介)(第一三一〇号)  同外二件(北山愛郎紹介)(第一三一一号)  同外二件(久保等紹介)(第一三一二号)  同外二件(栗林三郎紹介)(第一三一三号)  同(沢田広紹介)(第一三一四号)  同(嶋崎譲紹介)(第一三一五号)  同外四件(新村勝雄紹介)(第一三一六号)  同外二件(馬場昇紹介)(第一三一七号)  同外一件(古川喜一紹介)(第一三一八号)  同(横山利秋紹介)(第一三一九号)  同外三件(和田一郎紹介)(第一三二〇号)  同外一件(田畑政一郎紹介)(第一三七〇  号)  同外一件(中西積介紹介)(第一三七一号)  同(日野市朗紹介)(第一三七二号)  同(受田新吉紹介)(第一三九七号)  同外三件(北山愛郎紹介)(第一三九八号)  同(沢田広紹介)(第一三九九号)  同外二件(土井たか子紹介)(第一四〇〇  号)  同(中西積介紹介)(第一四〇一号)  同外一件(横山利秋紹介)(第一四〇二号)  同外二件(井上泉紹介)(第一四三三号)  同(大橋敏雄紹介)(第一四三四号)  同(大原亨紹介)(第一四三五号)  同(加藤万吉紹介)(第一四三六号)  同(古寺宏紹介)(第一四三七号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第一四三八号)  同外一件(日野市朗紹介)(第一四三九号)  同(松本忠助紹介)(第一四四〇号)  同(宮地正介紹介)(第一四四一号)  同(横山利秋紹介)(第一四四二号)  川崎市の米陸軍印刷出版センター跡地払い下  げに関する請願小林政子紹介)(第一三六  九号)  不公平税制是正及び一般消費税新設反対等  に関する請願塚田庄平紹介)(第一三七三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四号)      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出有価証券取引税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  3. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、当面する証券行政について若干御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、総括的に大臣に伺いたいと思いますが、いま低成長時代あるいはまた非常に深刻な経済危機、難局であります。こういう中での証券行政の諸問題、いろいろと転換を求められる大きな問題があるわけであります。特にそういう中で、二、三大臣としてどういうことを重点にお考えになっているか、伺いたいと思います。
  4. 村山達雄

    村山国務大臣 いまちょうど日本もそうでございますし、世界もそうでございますが、石油ショック後の経済変動調整下にあるわけでございまして、特に日本だけについて申し上げますと、民間資金需要はまだ低迷いたしておるわけでございます。片や貯蓄もまた相当高水準にあるわけでございまして、こういったことからいたしまして、資金有効利用のことから考えましても、またわが国経済の急速な回復の問題から言いましても、公共債を大きく発行していることは御承知のとおりでございます。  したがいまして、その問題を中心といたしまして公共債市場、それにあわせて従来からの金融債なり事業債、こういうものが加わりまして公社債市場拡大という問題、それからそれの円滑な機能という問題が一つ大きな問題であるわけでございます。そのことはまた同時に、日本が今後国際化をたどらなければならぬ時期に、長期的に見ましてもこの問題には留意しなければならぬと思っておるのでございまして、この公社債市場育成、あるいはそれをまた有効に発行市場にその条件を移していくというような問題、さらには新しい投資家を開拓していく、個人消化の促進を図っていく、こういう問題がいま新しい問題として大きく登場しているわけでございます。  一方、株式市場の問題もございますけれども、御承知のように、日本自己資本比率が非常に少ないわけでございますので、やはり株式市場育成についても引き続き注意を払っていかなければならぬ。かようなところが大きな問題ではなかろうか、かように思っております。
  5. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 幾つ大臣指摘になりましたので、大臣の御指摘を尊重しながら質問をしてまいりたいと思います。  大臣もおっしゃいましたように、最近の証券市場の特徴の一つは、一面では設備投資が停滞をしている、また設備投資の手控えが企業に依然として強い。そして、一面では企業手元流動性が非常に高まっているという中で、それが産業構造拡大再生産というよりも、余剰資金収益性を求めながら公社債に流れていくという構造が大きいと思いますし、この二、三年間の慢性的な構造になっていると思います。  そういう構造が続く限り、総理あるいは大蔵大臣が強調されている七%成長日本経済に新たな活力を与えるということは矛盾するわけであります。こういうものをことしの経済運営に当たってどういう方向に改革をしていく、あるいは持っていきたいとお考えになっているのか。いかがでしょうか。
  6. 村山達雄

    村山国務大臣 当面の資金需要から申しますと、資金サイドから申しますとおっしゃるとおりでございまして、公共債中心にしてやっているわけでございます。しかし、私たちが今度の予算編成方針でも述べましたように、これはやがては民間経済活力を回復することに最大の重点があるのだ、そのための臨時異例措置として考えておるということをたびたび申し上げたわけでございます。したがって、将来はむしろ民間事業債、こういったものが大きく出てくることを望んでいるわけでございます。そしてまた、日本資本市場あるいは公社債市場、まあ広く資本市場と申してもよろしゅうございますが、それの国際的交流考えることは、また別の意味日本経済の発展に役立つであろうということは当然予期されるわけでございます。  そういう意味で、今日は公共債の方に集まっておりますけれども、これをむしろ一つ大きな機会といたしまして、将来にも備えてこの公社債市場育成してまいりたい、こういう含みで申し上げているつもりでございます。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大きいことは別にして、具体的なことをお伺いいたします。  今度五〇%アップ税率を上げるというわけでありますが、取引現状から見て、五〇%というのを御判断になった根拠といいますか、どうお考えになっておりますか。
  8. 大倉眞隆

    大倉政府委員 今回有価証券取引税負担増加をお願いしたいと私ども考えました背景は、当面の景気対策と矛盾しない範囲でなおできる限りの増収努力を尽くしたいということにあったわけでございますが、有価証券取引税は御承知のように、定率課税でございますので、従量税のものについてある時期を置いて調整するというような角度からの負担増加を求めることはできないと思います。したがいまして、前回改正以後の市場状況考えながらなおかつ負担増加を求めるとすれば、どの程度が妥当かということでいろいろ議論いたしたわけでございますが、現在御審議をお願いしております案は、前回上げ幅と同じ幅、つまり中心となります第二種の株式等税率で申し上げますと、前回が〇・一五%アップでございました。今回も同じ上げ幅ということで負担増加をお願いすることにすれば、まあ市場に非常な悪影響を及ぼすことなしに負担していただけるのではないかという考え方をとったわけでございます。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、そういう判断をする場合に、現実の経済状況から見てもっと考える必要があるのではないだろうかというふうに思います。  ちょっとお伺いいたしますが、現在の取引状況の中で、いずれにしろ個人株主あるいは個人投資の部分と比較をして、当然のことながら、いわゆる機関投資が非常に大きな比率を占めているということになっているわけであります。その辺、債券の種類によっても違うわけですが、大まかな傾向としてどういうことになっているのか。また、そういう傾向から言うならば、機関投資が非常に大きい、しかも企業余剰資金が流れているということから見れば、もっと高い負担能力があるのではないかということも言えるのではないかと思いますが、現状も含めてお答えください。
  10. 山内宏

    山内政府委員 五十二年の株式取引についてみますと、全体を一〇〇としまして、個人が四九・一%、それからいわゆる機関投資家と申しますものが二〇・五%ということになっております。個人投資家は、年次を追って見てみますと、やや減りぎみということでございます。
  11. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私は、さっき主税局長が御説明になりましたが、一般的な証券流通における低い税率として取引税がある、そういう考えならば、並行してこの流通過程におけるキャピタルゲインの面について課税があるという形があって当然ではないだろうか。これは前のこの税制がつくられる改正の時点からの経過からしても、そういうことが言えるのではないだろうか。ですから、このような五〇%アップという形でおやりになること自体、私どもはもっと上げてもいいんじゃないかというふうに思いますが、政府がそういう形をとるならば、たとえば有価証券譲渡所得についての課税、私どもも何遍か指摘しておりますように、たとえば年間取引二十回以上、十万株以上については課税をするとか、そういう考えが並行して出されていいんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
  12. 大倉眞隆

    大倉政府委員 個人株式譲渡益につきまして、現行法制度伊藤委員十分御承知のとおりでございまして、税制調査会での議論におきましても、やはり方向としてはこれを全面的に総合課税に移していくということが最も望ましい、この点については議論は一致しておると私は考えております。ただ問題は、果たしてそれを完全に執行し得る体制ができるかどうかが問題である。そのような体制整備がないままに、制度だけで全面総合課税ということにまいりますと、かえって新しい不公平をもたらす危険があるということも指摘されておるわけでございまして、私どもかねてから、もう少し現在の全面非課税という枠の中で、しかし事業譲渡類似や、買い占めとか、あるいは頻繁な取引の結果生ずる利益については課税するというところを、段階的に強化する方法はないものかということで研究を続けてきております。  この一年間、関係局にも頼みまして、技術的な検討を続けてまいったわけでございますが、残念ながらこの通常国会に具体的な改正案を提示して御審議を願うというところまで私ども検討が進んでおりません。今後とも段階的に課税を強化するという方向での研究を続けてまいりたいというふうに考えております。
  13. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 それらのことは、別に税制関係をして議論を深めてまいりたいと思います。また、いま強調されている税の不公平是正という観点からも、大胆な提起がなされるよう要望したいと思います。  当面の証券情勢関連いたしまして、いま問題となっていることを二、三お伺いしたいと思いますが、それは永大産業の問題です。  御承知のとおり、二十日ですか、会社更生法適用申請をしたということで、大きな社会問題になっているわけであります。  この中で幾つかの問題があるわけでありますが、一つは、大衆投資家保護という問題があると思います。いろいろ社会的にも指摘をされているというところであります。きのうは五千万株を超える売りがあり、終わりが二十六円ですか、きょうは十円になっているというふうな状況が生まれているわけであります。  この経過を見ますと、何か筋書きはできていた、売り逃げではないか、大口の売り逃げがあったのではないかというようなことも言われているわけであります。いままで興人とかその他の場合にもこういうことは指摘をされたわけでありますが、経過を見ましても、大株主あるいは幹事証券会社とかメーンバンクとかいうところでは、当然もともといろいろと詳しい情報を知っている。しかし一般大衆投資家の方はそれはわからない。いつも最終的にひどい目に遭うのは大衆投資家の方ではないかということが指摘をされております。そういう現象が今回も端的にあらわれているということだと思います。  しかも報道を見てみますと、非常に私、心外に思いますのは、大和銀行とかあるいは永大の社長とかいうところが、実は一月下旬にそういう話ができていたんだというふうな記者会見をしているようであります。さらには、昨年暮れあたりからことしの初めにかけて、そういう相談があったのではないだろうかというようなことも新聞なんかでも言われているわけでありまして、それまでは当然ながら、一貫して経営心配はありませんということであったわけですが、後になってこういう発言も出てくる。私は、経営者としてもメーンバンクとしても、あるいはまた証券行政上の問題としても、あり方の問題としていろいろと問題が起こっているのではないだろうか。何か聞くところによりますと、東証理事長調査をしていきたいというようなことを言われているようでありますが、これらについて大蔵省として、こういう経過あるいは問題点というものを詳細に調査をして対応措置をとることをお考えになっているかどうか。
  14. 山内宏

    山内政府委員 一般的に申し上げますと、お説のとおり、一般投資家保護ということにつきましては、これは証券取引法を預かっております証券局といたしまして、最重点項目として行わなければならないところでございます。そのために現在は、有価証券発行並びに流通市場におきます投資家判断、これが自主的に行われることのために十分な情報を提供するという意味で、ディスクロージャー制度が逐次強化されてまいりましたことは御承知のとおりかと存じます。この点につきましては、今後といえども引き続き現在の企業内容開示制度の着実な実施ということについて、われわれといたしましても十分な監督を講じてまいらなければならぬというふうに考えます。  ただ、今回の事件のような場合に関して申しますると、やはり有価証券、特に株の売買といいますものは、投資家自己の責任において行うというのが何と申しましても基本的な考え方でございますし、それに基づいて自己判断が必ずしも実際に合ってないというふうな場合が起こり得るのは、これはディスクロージャーをいかに充実いたしましても、ある程度やむを得ない点があろうかと思います。  一般的にはそういうことでございますが、今回の永大産業の問題に関しましては、従来から株の信用取引残高動きにつきましてやや異常な状態になっておるということがございましたために、東京証券取引所及び日本証券金融、その両者におきまして、今後の売買状況いかんによっては、売り残が非常に多くなって不足株の調達が困難になる可能性もあるということで、本年の一月二十八日以降、信用取引委託保証金率を引き上げるという措置をとっております。  それから、その後御承知のような状態に相なりましたことに伴いまして、いわゆるインサイダートレーディングにおいて法律違反の事項がなかったかどうか、そういった点を中心にいたしまして、御指摘のとおり、目下証券取引所中心になって調査をいたしております。こういった調査につきましては、基本的に資料証券取引所に集中しておるという関係もございまして、従来から証券取引所がまず中心になって検討してもらうという体制にございますので、その推移を見ました上で、大蔵省としても所要の措置をとりたいというふうに考えております。
  15. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 証券取引所調査を見て大蔵省として、というお話がございました。私は調べてみますと、実態に合わないんだと思うのですね。確かに東証理事長調査をしたいということで調査活動を行われているようであります。ただ、こういう問題の扱いを見ますと、いままでも大きな社会問題として、大型倒産の場合に何遍か同じようなことがございました。  たとえば東証調査をするといいましても、調べてみますと、その根拠ですね、何か東証の定款の二十二条に書いてあるようですが、その中身も、そういう問題があったときに資料提出あるいは提供を求めることができるというふうな段階にとどまっているということがあるようです。ですから、証券関係者に聞いてみますと、やはり取引所としてそういうことを調査をする、あるいは防止をする対策をどう講じていくのかということについての権限能力が非常に弱いというのが、実態ではないかというふうに聞いているわけであります。  そういうことから考えますと、一面では証券取引法百八十九条、いまも局長が言われましたインサイダートレーディングの禁止という項目があるわけでありますけれどもシステムとしてこういう問題をもう一度考えていくということがないと、何か大型倒産のたびに同じ問題が繰り返されて、一般大衆投資家が泣き寝入りをしてうやむやになるという繰り返しになるのではないか。そういう面では、もう一つ突っ込んだ検討をなさるべきではないかと思いますが、また、ぜひそうしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 山内宏

    山内政府委員 仰せのように、証券取引所調査といいますのは、それほど強大な権限背景に負っているものではないわけでございます。ただ、これはもともと証券取引所なるものが自由な価格形成ができるために設けられたということが基本になってございますので、そういった意味合いで、こういう特定な事情のことを必ずしも頭に置かない、そういう基本的な物の考え方に基づく規制であろうというふうに考えます。したがいまして、お説のように、場合によりましては私どもの方も証券取引所の方と協力をいたしながら、さらにこの問題の状況なりあるいは原因なりを突き詰めてまいるということにいたさなければならぬかというふうに考えている次第でございます。
  17. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 今度の問題、今度の事件について、いろいろな報道などを読みましても、あるいは評論などを見ましても、大蔵省も、メーンバンクの方も、大変クールな対応であったなどという評論があちこちでなされているわけであります。クールであったかどうか、私は当事者でありませんからよくわかりませんけれども、そういうことが言われている。私は、やはりこういう問題について、いままで何遍も繰り返されてきたわけですから、証券局長も、並行してというのか、バックアップしてというのか、というようなことも言われましたが、もう一つやはり熱意を持って対応するということが必要ではないだろうか。  というのは、いずれにしろたくさんの従業員、あるいはたくさんの下請業者、あるいは関連する消費者のたくさんの方々に非常に大きなショックと衝撃を与えるということもあるわけであります。一面ではまた、大衆投資家保護という面もあるわけでありまして、何かそういういまお答えのあった以上に、さっき申し上げましたように東証の現在の能力権限、それから何といっても大蔵省が強力な監督権を持っておるわけですから、もう一つシステムとして、こういうものをどうするのかということを取引所首脳部方々とも相談をするとか、検討をなさるとかということが必要なのではないかというふうに思うわけなんですが、重ねて……。
  18. 山内宏

    山内政府委員 やや理屈の順序で申し上げましたので、誤解をいただいたかとも思いますけれども、事務的な問題として検討いたしました場合に、売買の手法、それからそれを裏づける取引動き、こういったものの資料がすべて東証を経由してなされております関係上、そういったものは挙げて東証に集まっております。そういう意味からいたしまして、まずそれを手がかりにして議論を進めていく、検討を始めていく、調査を進めていくということに相なりますので、事柄の手順の順序といたしまして東証からということを申し上げましたが、大変重要な問題でもございますので、この点につきましては御指摘のとおり、私どもも適切なる助言なりあるいは協力なりということを今後積極的に行ってまいりたいというふうに考えます。
  19. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ぜひそうしていただきたいと思います。  さらに、永大産業倒産関連をいたしまして、企業銀行金融機関、またそれを監督する大蔵省なり通貨当局の立場ということが問題として指摘をされているわけであります。そういう中で、今日の経済状況ですから、いろいろ経営のうまいまずいもございましょうし、また、企業として厳しい状況に陥っているということも多い。またそれに関連をして、金融機関取引企業を厳しく見直していく、あるいは選別融資傾向を強めていく、そういう方向政府当局も指導しているんじゃないかというふうなことが言われているわけであります。  今日の状態の中での銀行経営のいろいろな問題もあります。逆ざや現象が広がってくるとか、いろいろな問題があることも私ども承知いたしております。しかし、いま深刻な不況、あるいは不況業種が広がっている構造不況とかということが指摘をされているという中で、何かイージーにそういう対応が進みますと、非常に大変な問題となってくる、また、深刻な社会問題が相次いで発生をするという危険も起こるのではないだろうかということを心配をするわけでありまして、そういう面での特に金融機関への指導なりをどうお考えになるかということをお伺いをしたい。
  20. 徳田博美

    ○徳田政府委員 御指摘のとおり、現在のような不況の情勢下におきましては、金融機関としては、不況に直面している企業をどのように金融面から支援するかということが非常に重要な問題でございます。その意味におきまして、当面金融機関の最大の責務は、この不況下において苦しんでいる企業を金融面でぎりぎりの線まで支援していくととであるというようないま指導をしております。もちろん金融機関は、預金者の大事な預金を運用しておるわけでございますから、したがって、そこに限界があるわけでございますけれども、しかし、私企業としてのぎりぎりの限界においてまで不況に苦しんでいる企業のめんどうを見るということは、非常に大事なことではないかと考えております。  特に金融機関は、融資に当たりまして、それぞれいままでのノーハウもございますし、非常にスペシャリストであるわけでございますから、取引先の企業がただ危なくなったからといって直ちに融資を引き揚げるというようなことは、これは現在最もやるべきことではないわけでございます。また、日ごろ金融機関に対しまして内部留保ということを指示、指導してまいりましたのも、こういうときに備えてでございますので、このような経済情勢のもとにおいては、私企業としての限界までぎりぎり、健全な企業が金融の面だけで破綻することのないように指導してまいりたいと思います。
  21. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 先ほど指摘をしましたことは、今日多くの産業分野、企業におきまして深刻に受けとめられているのではないだろうかと思います。きょうの朝日新聞なんかを見ましても、銀行が情容赦なく一段と企業選別を強めるのではないだろうか、また、その裏には通貨当局の指導もあるんではないかというふうなことを書いておりますが、私もちょっとびっくりしましたのは、各銀行の主なてこ入れ企業はどこどこがあるかというようなことを書いております。参考書きを見ますと、「ここでいうテコ入れ企業構造不況、人員整理、支払い猶予などに追い込まれたもの。」と書いてあります。  私は、重大な問題ですから、個々にどうこうだともちろん申し上げませんけれども、やはりこういう報道なり何かを見て、いろいろな不安を非常に広げているという面もあるのだと思うのです。ですから、先ほどお答えもいただきましたが、やはり大きな社会問題として、あるいは深刻な不況下における今後の経済運営のいわばベースにある重要な柱として、さらには、その企業関連をする従業員雇用問題、さらにはそれに関連をする多くの国民大衆、消費者という観点から、きめ細かな、しかも十分な対策を強化をしていくということが必要ではないだろうかということを痛感をするわけであります。どう思われますか。
  22. 村山達雄

    村山国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、いやしくもこのような、非常にこれから景気をよくしようという、しかもそれが心理的な問題が大きく作用するこの局面におきまして、少しでもよけいな不安動揺を与えるということは、本当に慎まねばならぬことだと思うわけでございます。そういう意味におきまして私たちは、金融機関の公共性にもかんがみまして、こういうときにこそ金融機関の持っております金融力、あるいは持っております知識、そういうものを総動員させまして、そして個々の企業を支援することはもちろんの話でございますが、景気の回復に向かって着実に進んでまいりたい、かように決意している次第でございます。
  23. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大臣の決意が述べられましたが、強力なかつ十分な対策をお願いしたいと思います。  もう一つ永大産業関連をいたしまして、後でも指摘をしたいのですが、外債発行の問題との関連も言われております。永大産業が四十九年に一千万ドル、ユーロダラー市場で起債をいたしまして、残高は三百万ドル、それは大和銀行の保証、そういうふうに聞いておりますが、いま資本の国際的な流通関係がますます拡大をしていくだろうというふうに言われている中にあって、海外での活動に不安を与えるのではないか、あるいはまた、海外での信用不安を防止するためにいろいろな努力が必要ではないかということも指摘をされておりますが、この点はどうお考えでしょうか。
  24. 旦弘昌

    ○旦政府委員 ただいま御指摘のとおり永大産業は、四十九年の五月にユーロ市場におきまして一千万ドルの転換社債を発行いたしました。これにはおっしゃいますように大和銀行の保証がつけられておりますし、同時に、五十年以降買い入れ消却が順次行われてまいりました。そこで、現在の残存額は三百万ドルに減っておりますけれども、その処理につきましては、会社及び保証銀行で詰めておりまして、保証銀行がその債務を履行して代位弁済することになろうかと思います。したがいまして、海外におきますわが国企業全体の信用に関しましては、本件において何か悪影響があるというようなことはないのではないかというふうに考えております。
  25. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 ついでに済みません、もう一つお伺いしたいのです。これも永大産業倒産の後の報道で、これを契機に公定歩合の引き下げを行うのではないか。何かきのうも郵政大臣がそれらしきことを、その時期は早いというようなことを言われたというふうなことを報道で見ましたが、前の興人の後のときにもたしか〇・五%の引き下げという現象が続いたという気がいたしますが、何かこの問題を契機にあるいは来月、再来月、三月、四月段階とかいう時期に、そのような政策上のお考えがあるかどうか伺いたい。
  26. 村山達雄

    村山国務大臣 いまのところそういう話は全く聞いておりませんし、また、そういうことを考えておりません。
  27. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 何か新聞を読みますと、総理と日銀総裁も最後にとっておくというようなことを言われているようでありますが、また私どもも推移を見守っていきたいと思います。  話題を変えまして、先ほど大臣が当面する大きな問題ということでお触れになりました順番に従いまして、次に、大量の公共債発行という中での証券市場の問題ということで一、二お伺いしたいと思います。  いずれにしろ、こういう状態が続きますと、何か銀行金融で言うクラウディングアウトの潜在的危険性、起債市場におけるそういうふうなことも考えられるということはないだろうか。政府のおっしゃるように、七%成長に向けて新たな資金の調達が必要になってくるというようなことになってまいりますと、当然こういう構造が変わってこなければならぬ、あるいはまた、マーケットの育成が強力に進められなければならぬというふうなことだと思います。  やや具体的に伺いたいと思うのですが、国債、地方債などを含めまして、証券市場で実績として、たとえばこの一、二年どのような拡大規模になっているのか、あるいはまた、一般に考え方としてどういう対応をお考えになっているか、それを伺いたいと思います。
  28. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 最初に、公共債発行実績並びに見込みを申し上げたいと存じます。  公共債には、国債、政保債、それから政府関係の非政保債、いわゆる国鉄その他が出します縁故債がこれに当たりますが、そのほか地方債、この大きな四つを私ども公共債と呼んでおります。  五十二年度の補正追加後の実績で申し上げますと、その総額は十八兆六千六十二億円で、うち資金運用部で引き受けますものが三兆八千七百四十九億、よって市中消化に依存しておるものが十四兆七千三百十三億になっております。五十三年度の見込みでございますが、国債が十兆九千八百五十億、政府保証債が一兆三千六百億、それから政府関係非政保債が一兆七千七百億、地方債が六兆二千百九十七億、新規発行ベースで計二十兆三千三百四十七億円となりまして、前年の補正後の実績に対しまして二七・二%の増、そのうち運用部が三兆三千三百七十二億引き受けますので、市中の引受分は五十三年度見込み十六兆九千九百七十五億で、五十二年度実績見込みに対しまして三六・五%増であります。
  29. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いま伺いましたが、いずれにしろ急速な増加傾向にあると思います。幾つか具体策を御検討にもなっているようであります。それから私どもも大いに勉強しなければならぬと思います。いずれ特例債に関連する議論のときにそういうようなことは深めたいと思っておりますから、具体的に公共債の管理運営政策とか、あるいは金利の弾力性の問題とか、債券の多様化の問題とかというようなことは別に伺いたいと思います。  考え方の手順といいますか、大体どういうふうに検討して、また、どういうふうに勉強して実施に移していくという仕組みをお考えになり、あるいは実行されているのか。また国債の銀行窓販問題もあります。これもいま一時休戦というような状態で、微妙な状態のようですから、細かに御質問することは遠慮したいと思いますが、これら全体についてどういう仕組みとどういう見通しで対応されているのかということだけ伺っておきたいと思います。
  30. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 主として国債の管理政策の面から申し上げますと、先般大蔵省が予算委員会に御提出しました財政収支試算にも見られますように、今後相当期間大量の国債発行、あわせて公共債発行という時代が続くものと思われます。これにつきましては、いまの国債の消化あるいは公共債の消化というものが、シ団引受方式によりまして、大部分が市中金融機関に保有されるという状況になってまいります。そういたしますと、市中金融機関資金ポジション、あるいは収益面に及ぼす影響というものが非常に大きくなってまいります。そういたしますと、そこから何が出てまいりますかというと、資金ポジションの改善あるいは収益の改善ということから、国債流動化圧力が非常に強くなってくる。この国債流動化が強くなった場合にその受け皿としての公社債市場というものをどういうふうに育てていくかということ、この公社債市場の整備拡大というものが、今後の国債、公共債管理政策にとって非常に大きな問題になると思います。  その意味におきましては、公社債市場の整備というものを第一主眼点に置きまして、そのほか、これだけの大量の公共債発行されるにつきましては、いま委員が御指摘になりましたような、消化促進のためにそれぞれの需要家のニーズに合った債券の発行、いわゆる多様化という言葉で言われておりますが、多様化でございますとか、発行条件の弾力化でございますとか、あるいはまた、将来の借りかえ負担、いわゆる国費の財政面からいたします将来の償還計画、償還財源の計画的積み立て、あるいはまた流動化の阻害要因になっております国債の借りかえ方式の改善とか、いろいろ考えられるわけでございますが、さしあたっては、公社債市場の整備、あるいは個人消化の促進その他のいろいろの手法というものを当面の問題として考えてまいりたいと思っております。
  31. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 その具体的な諸問題につきましては、また、特例債に関する議論のときの楽しみにしていきたいと思います。  もう一つだけ伺いたいと思いますが、外債の関係です。先ほど大臣も触れられましたが、今後の証券市場において新しい特徴として広がっているわけであります。その中で、資本を日本に求める面あるいは外に求める面、両面の交流があるわけでありますけれども、そういう中で最近、円建て債が非常に急速に増加をしているということも新しい特徴になっております。また大蔵省の方が、七%成長もあり外国からの要望もあり、至上命令というふうな気持ちで積極的に推進をされているというようなこともいろいろと論評では伺うわけであります。  まず、その具体的な状況を伺いたいのですが、何か資料によりますと、五十年、五十一年、五十二年、さらに今年に入って五十三年一月−四月の認可というものを見ましても、ことし一月から四月までの分でも昨年度の実績と同様ではないかとか、上回っているんではないかとかというようなことが言われておりますし、何か報道でも、ちょっと調査によって数字も違うわけですが、どの程度のことを見込んでおられるのかをお聞きしたい。
  32. 旦弘昌

    ○旦政府委員 円建て外債で日本発行されておりますものの実績のお尋ねであろうかと思いますが、五十一年度におきましては六銘柄で六百二十億円でございました。五十二年度は、まだ一月末までのところでございますけれども、二十二銘柄、三千七百四十億円という非常に大量に発行がされたわけでございます。なお、あと五十二年度といたしましては二カ月残っておりますが、二月に約九百億円、それから三月に、これはまだ話が進行中でございますのではっきりはわかりませんけれども、一千億円を上回るのではなかろうかと考えておりますので、仮にこの両方、二月、三月を合わせまして丸く二千億円といたしますと、五十二年度には五千七百億円程度出るのではなかろうか。したがいまして、昨年の六百二十億円に比べますと非常に増加するという見込みでございます。
  33. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これから先も当面はこういうテンポで広がる、増加をしていくという見通しですか。
  34. 旦弘昌

    ○旦政府委員 この円建て外債の発行という問題は、実は全く海外の金利と日本の金利がどうなるかということでございまして、実は五十二年の初めごろもわれわれは、円建て外債がもっと日本で出てほしいというふうに考えておったのでございますが、その当時は金利が何分高かったものでございますから、さっぱり出なかったわけでございます。夏以後長期金利が下がってまいりましたので、急激に出ることになったわけでございますので、私どもといたしましては、日本資本市場の発達のためにも、今後とも円建て外債が大量に出てもらうことが望ましいと考えておりますけれども、先行きどうなるかということにつきましては、全く金利の状況によると申し上げる以外はないのではないか、かように考えております。
  35. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 先行きのことはしかとわからぬというお話でございましたが、いずれにしろ私は、資金が出ていく面も入ってくる面も含めまして、これから日本経済にとって非常にウエートが高まってくるということだろうと思います。また、この円建て外債の拡大にいたしましても、先進国あるいは中位発展国といいますか、そういう中での非常にかたい事業というものから、低開発諸国その他いろんなところにも、銘柄の内容を見ましても枠が全体に広がっていくという傾向になってくると思います。そういうことを考えますと、単に七%成長とかあるいは円高とかというふうな観点、あるいは経常収支を改善をする要望とかということのほかに、日本の海外経済協力全般のことにもいろいろと影響してくるというふうな問題が起こってくると思います。また、内容が広がってまいりますと、場合によっては何か新しいリスクが発生をするということも避けられないかもしれません。  そういうことを考えますと、やはり何かこういう通貨の国際流通方向の中で、この辺でこういうものをどう政府の政策として見通していくのか、あるいはまた、どういうふうにこういうものをお互いの経済発展のためにコントロールしていくのかとか、そういう一定の考え方あるいは一定の論理といいますか秩序といいますか、そういうものが必要になってきている時期ではないだろうか。そうしますと、これはほかの省庁との関係もございますでしょう。ただ、今日の状況を見ますと、これからの拡大をする傾向考えましても、そういうことが必要ではないだろうか。少しじっくり検討して、大枠を立ててこれらを処理していくということが必要ではないかと思いますが、どうお考えになっておりますか。
  36. 旦弘昌

    ○旦政府委員 確かにおっしゃいますように、今後市場拡大いたしますにつれまして、いろいろ問題が生ずるであろうと思います。ただいまのところ、日本で円建て債を出しておりますのは、外国政府、それから世界銀行のような国際金融機関、また外国の地方政府も入っておりますが、そういうものに限られておりますので、その点で、信用の面等におきまして余り問題はないのではないかというふうに考えておりますが、今後もし仮に民間の会社が日本で円建て債を出すというようなことになってきますと、またいろいろ問題があろうかと思います。  おっしゃいますように、長い目で見て今後どういうふうにその辺を考えていくのかということにつきましては、大蔵省の中におきましても、関係局によりましていろいろ検討していくべき問題であろう、かように考えております。
  37. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 並行した問題で、これは報道を見ますと、東南アジア諸国あるいはアラブの産油国などの中央銀行が、日本の国債、金融債などを買って円資産を持っていくというふうな傾向が強まっているというようなことを聞くわけであります。また、市中銀行筋の調査では、現状でも最低四十億ドル、一兆円を上回っている程度になっているのではないかと言われておるわけでありますが、その辺をとらえられているとすれば、そういう傾向が強まってくるのか、あるいはどの程度の規模が現状存在するのか。また、こういう傾向の中で、価値の低下する危険性のあるドルから円への逃避を図っていき、またドル安に拍車がかかるという心配がないかなどということも言われているわけでありますけれども、その点どうお考えでしょう。
  38. 旦弘昌

    ○旦政府委員 第一の点は、円の国際化の問題に関連いたしておると思うのです。確かに各国の通貨当局が円資産を持ちたいという願望を持ち始めているのはおっしゃるとおりでございまして、事実、日本の国債等に投資をしているのでございます。ただ私どもは、政府ベースでそういう話がありましたものにつきましては把握できるわけでございますが、通常のマーケットで取引されたものにつきましてはこれは把握のしようがない。それから、仮に把握ができましても、通貨当局がその外貨準備をどういうかっこうで持っておるかということにつきましては、お互いに非常にそれは外に出したがらないことでございます。非常にデリケートな問題でございますので、その辺は御容赦いただきたいと思っております。  この国際化傾向というのは必然的な傾向でございますので、日本の円が強くなるにつれましてその度合いは高まると思いますが、われわれといたしましては、それを特に妨げない、また特にそれを進めることもしないということで対処してまいりたい、かように考えております。  それから第二点の、おっしゃいましたドルから円へのシフトという点でございますが、これは何と申しましても、ドルは基軸通貨でありまして、強い通貨でございます。したがいまして、そういう事態が急激に起こるということはとても考えられないというふうに考えております。
  39. 大村襄治

    大村委員長 理財局長
  40. 田中敬

    ○田中(敬)政府委員 先ほど御答弁申し上げました中で一つ間違いがございましたので、訂正させていただきます。  五十三年度の公共債発行の対前年度比率につきましては、補正後ベースに対しまして、それぞれ二七・二、三六・五と申し上げましたが、五十二年度の当初計画ベースに対しての伸び率でございましたので、訂正いたします。
  41. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これで終わります。
  42. 大村襄治

    大村委員長 佐藤観樹君。
  43. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私は、まず有価証券取引税と配当所得の総合課税の問題、それから有価証券譲渡益課税の問題、この関係についてお伺いをしたいと思います。  大臣も、たしか予算委員会だと思いましたけれども、五十五年まではとにかく総合課税の問題はいまのままいくのだ、それまでにいろいろと検討して、もし結果が出れば五十六年からということになると思いますけれども、五十六年度から総合課税に持っていきたいという答弁をなされたと私は記憶しているのでありますが、それは間違いございませんか。
  44. 村山達雄

    村山国務大臣 そう申したと思っております。
  45. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、事務当局で結構でございますけれども総合課税化できない、阻んでいる問題というのは執行上一体どういう問題があるのか、ちょっと御説明を願いたいと思います。
  46. 大倉眞隆

    大倉政府委員 最大の問題はいかにして真正の名義を確認するかということでございまして、二番目に、真正の名義を確認できた上でなおかつ、それを各種の金融機関すべてを通じての総合名寄せというものを現実的にいかなる手段を講ずれば可能になるかという、その二点が一番大きな問題であろうかと考えております。
  47. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 これはたしか私も有価証券取引税じゃなかったかと思いますけれども、かつてキャピタルゲイン課税のときにかなり論議をした覚えがあるのでありますが、いまの大倉主税局長の御答弁というのは、たしかそのときも変わってなかった。そのときは主税局長じゃなかったかと思いますけれども、いずれにしろ大蔵省の言われていることは、総合課税ができない根拠、執行上の難点、これは私は変わってないと思うのですね。  それで、五十二年度の税制改正の税調の答申の中にも、「利子・配当所得に対する適用税率が不安定であることは必ずしも望ましいことではないので、」中略「その適用期限を昭和五十五年末とし、その間はこれをそのまま据え置くこととし、これと併行して、利子・配当所得に対する完全総合課税を実現するための方策について、具体的、専門的な検討を一層推進することが必要であると考える。」と述べているわけですね。そうしますと、いま局長が言われた問題というのは、ある意味では古くて新しい問題、新しくて古い問題であると思うのです。  それならば、やる気になれば五十五年度末などと言っていないで、やろうと思って決断さえすればある程度何か方策があるように思うし、このままにしておいたら五十五年になっても事態は全く私は同じではないかと思うのです。税の公平性を言うときには、この「具体的、専門的な検討を一層推進することが必要であると考える。」ということに対して、担当部局は恐らく主税局になるのかと思いますけれども、一体どういう検討をしているのか。それが果たして、じゃ五十五年まで待てばその答えが具体的に出るのか。いま局長が言われた真正の名義を確認すること、そして全国の金融機関の総合名寄せができるということが、五十五年になれば絶対できるのかどうなのか。その点はいかがでございますか。
  48. 大倉眞隆

    大倉政府委員 具体的、専門的な検討が必要だという御指摘を受けまして、ただいま私どもの方では部内で、国税庁を入れまして、完全名寄せのためにどういう手段が最も効率的であろうかという勉強を続けております。同時に、ごく非公式でございますけれども、全国銀行協会の方で専門家でひとつ勉強してほしいということもお願いしておりまして、先方もかなり詰めた勉強をしてくだすっておりますが、ある時期に双方の勉強を一度ドッキングいたしまして、なお具体的に検討を続けていきたいというふうに考えております。  そこで、五十五年に期限切れになるまでにこれらの作業が完全に仕上がるかという点につきましては、率直に申し上げましてはっきりした自信をいま私自身は持っておりません。と申しますのは、一つの例で申しましても、郵便貯金が普通貯金だけをオンライン化しようという話を始めましてから、近く全国的にできると思いますけれども、ほぼ八年かかっております。したがいまして、完全名寄せの場合には、各金融機関がそれぞれに全店名寄せをいたしますほかに、金融機関すべてを総合した名寄せのための電算システムというものが一体、どれくらいの費用がかかり、また、それをやってみた結果のメリットというものがどう利用できるであろうかということをいま勉強しているわけでございますが、それがこの二年有余の間に完全に実際に動き始めるということまで申し上げる自信は、率直なところございません。
  49. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私も、具体的にやろうと思ったら納税者番号とか、これでも恐らくいま局長が言われた真正の名義を確認するのにもなかなかむずかしいという答えが返ってくると思うのでありますけれども、いずれにしろこれはなかなか大きな討議になる問題だと思うのですね。こういう問題も含めて、かなり具体的に進めないことにはいかぬだろうと思うのであります。  それで大臣、いかがですか、大臣もかなり細かいことよく御存じだから、御存じの上で政治的な発言として、五十五年末までは総合課税にしない、現行分離課税体制というのはやむを得ないのだというふうに、かなり事務的なむずかしさも十分御存じの上でなおかつ、五十五年度末までに何かひとつ答えを出したいと言われたのだと私は見ているのでありますけれども、いま局長御答弁あったように、なかなか事務的にもむずかしい点があるわけでありますが、なおかつ五十五年までに何とか前進をさせたい。実は、ことしが五十三年でありますから、私はこれは長く研究していればいい答えが出るという性格のものではないと思うのです。大蔵省能力をもってすれば、ひとつ一年で結論を出そうと思えばできない問題じゃないと私は思うのです。やれるかやれないかは、一年で結論を出そうと思えば、いまの大蔵省能力から言えば私は結論が出せると思うのですね。そういうことを踏まえて、大臣が予算委員会なりいま御答弁をいただいた、五十五年度末までに何かひとつ答えを出したいというのは、いまの局長の御答弁からいくと、残念ながらなかなかむずかしいのじゃないかという気がするのでありますが、その点を再度お伺いをしたいと思います。
  50. 村山達雄

    村山国務大臣 私もそのむずかしさはよく知っているわけでございます。しかし、この問題はかねて、税の公平という見地からぜひともやり遂げなくてはならぬということで、しばしば当委員会からも御指摘を受けているわけでございますが、何とかしてやり遂げてみたいという気持ちをあらわしたわけでございます。  いま主税局長から、いろいろな点で検討しているということでございますが、その場合に一体どういうことになるのか。いまの三五%というもの、それと少額貯蓄との関係、あるいは郵便貯金との関係、こういったものを総合的に考えて、総合するときにどんな仕組みで、そしてまたどんな制度を残しあるいは廃止していくのか、そういう問題と相関連しながらこの問題を進めねばならぬと思っているわけでございまして、私も決して容易なことではないということは十分知っているわけでございますけれども、総合に持っていきたいし、少なくても数歩の前進はしたい、こういう気持ちでこの前述べたところでございます。
  51. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 前進をさせたいというお気持ちはよしとして買うといたしまして、主税局長にお伺いしておきますが、非常に重要な問題ですので、一体それじゃ、どういうスケジュールで今後これは具体的に詰めていくのか。私は、何も五十五年末と税調が言っているから五十五年末までのんびりやればいいという問題ではないと思うのです。これから増徴しようという全体的な中で、利子配当の総合課税化というのは、思想としてわかっても技術的にできない、徴収面でできない、執行面でできないという問題でありますから、なかなか国民の中に不満が多いわけですね。その意味で私は、五十五年末と言っているのを、これはかなり技術的な問題ですから、さらに詰めてやろうと思えばできるのではないかと思うのです。一体頭の中でどういうスケジュールでこの問題の解決をしていこうというのか。いま言われた全銀協の答えも、一体いつぐらいに答えを出そうとしていらっしゃるのか、その辺のスケジュール的なことをちょっと御説明いただきたいのです。
  52. 大倉眞隆

    大倉政府委員 なかなか決定的なスケジュールというものを公式の場所でお話しできるだけの用意がまだできておりませんけれども、私が個人的に前々から考えておりますのは、先ほど申し上げましたような準備作業をできるだけ早く終わりまして、まず双方の立場、意見を率直に交換してみよう。つまり先方の場合に、あえて申し上げますと、たとえば銀行の本来の営業から申しますと、利子課税上一番問題になります定期預金のようなものを全店名寄せする必然性は営業上はないわけでございます。つまり、普通預金であれば、他店払いをするためにオンラインの総合をすることは先方のメリットにもなるのだろうと私思いますけれども、定期預金を全部本店で総合して名寄せしなければならない必然性が営業上ない。それをあえてやってもらいたいということでいま勉強してもらっておるということでございまして、やるとすれば一体どれくらいの手数がかかるのであろうか、また、銀行がそういうコストを負担してもらえる限界はどこであろうかということでございますし、同時に、それを資料としてどの程度こちらに提供してもらえるかということでございますから、それらをあわせまして、とにかくできるだけ早く第一次的な意見交換をまず、できれば本年の夏ごろまでにはできる態勢に持っていきたい。そこでお互いにいかなるむずかしさを持っておるかということを踏まえました上で、こちらからの要望も改めてするし、先方から私どもに対する要望も聞いてみるということがまず必要であろうかと考えております。  同時に、それをやりますときには、まだそこまであえて私申しておりませんけれども、やはり少額貯蓄の優遇制度とかあるいは郵便貯金の非課税制度というものを現行のままにしておいてはとうていだめだろう。しかし、これは恐らく国会でも相当の御議論があるであろう問題でございますから、そのような準備作業の終えました上で、中間的にでも国会に何らかの方法で、少額貯蓄の優遇なり郵便貯金の制度なりというものを、総合課税のためにはこういうところを直さなくてはならないと思いますということをまず申し上げてみたい。どのような御判断をいただけるのか、それらを踏まえまして次の作業に移りたいと思っておりますので、まだ明確な何月何日にこういうことを、何月何日に電算機というふうなところまでとても私の頭の中にもないという状況でございます。
  53. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 本当に、非常に珍しく積極的な御発言を久しぶりに大蔵委員会で聞いたわけでありますが、私たちの頭の中にも、少額貯蓄の非課税の問題、郵便貯金の非課税の問題、これをひっくるめて実はあるわけでございますので、ひとつそういうことで、いま一応スケジュール的には夏ごろという具体的な話が出ましたので、大臣主税局長を十分督励をし、ぜひこれは全国民的に非常に関係の深い問題でありますので督励をしてやってもらいたい、また国会にも御報告をいただきたいということを確認をさせていただきたいと思います。
  54. 村山達雄

    村山国務大臣 私もいま佐藤委員のおっしゃったのと全く同じ気持ちでございます。主税局長等督励し、一緒になってこの問題の実現に努めてまいりたい、かように思っております。
  55. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 次に、キャピタルゲイン課税の問題なんでありますけれども、あらかじめお断りしておきますけれども、私はもしキャピタルゲイン課税が技術的に執行的に可能ならば、これはやはりキャピタルロスも考えなければいかぬだろうと思っているのであります。これは一つそれを前提といたしましてお伺いするのでありますけれども、キャピタルゲイン課税が行われ得ない一これは当然行われてもしかるべき対象だと思うのでありますが、行われ得ない一つの理由というのは、いま論議しておるいわゆる把握体制の問題ですね。この問題の未整備のためにキャピタルゲイン課税がロスも含めまして、下手をするとキャピタルロスばかりが申告されるのじゃないかというようなこともあってできないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  56. 大倉眞隆

    大倉政府委員 キャピタルロスの問題は、まさしく佐藤委員おっしゃいますように、一つの非常に重要な問題でございます。いたがいまして、全面的に総合課税という体制になります場合には、当然キャピタルロスも所得から差し引くということが必要になろうと思います。ただ、それを他の所得からも引くのか、あるいはキャピタルゲインという枠の中で引くのかというような点は、それは全面総合課税ができるときにあわせて一緒に議論をするということで処理が可能な問題であろうと考えております。やはり一番むずかしい問題は、特に利子配当以上にむずかしいのは、真正名義の確認でございまして、その真正名義につきまして、一体どういう手段があるのか、またどの程度の資料化を各方面からの御協力がいただけるかというところに最大のむずかしさがあるように考えております。
  57. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それにあわせてお伺いしておきたいのは、いまの所得税法に五十回、二十万株以上の売買については総合課税として申告しなさいという制度がありますね。私の聞くところ、この五十回以上及び二十万株以上というのは余り使われていないんじゃないか、つまり確定申告、これがなされているというのは余りないんじゃないか。一体主税局の方では、私は過去五十一回株の売買をしまして、やったのは二十五万株ですと言ってもうかった分だけ申告をしたというのは、皆さんの方で一体どのくらいの数をつかんでいらっしゃるのですか。
  58. 大倉眞隆

    大倉政府委員 ちょっと申しわけございませんが、きょうその御質問を予期しておりませんでしたので手元に資料がございませんのと、国税庁からお答えをした方がいいと思いますので、できますれば別の機会にお答えをさせていただきたいと思います。
  59. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それでは、それはまた後で若干触れさせていただくとして、少し先に話を進めます。  主税局の私たちに対する御説明では、十分キャピタルゲイン課税ができないので、したがって、流通税であるところの有価証券取引税についても、キャピタルゲイン課税が十分把握されない、課税をされないということを含めて、有価証券取引税でカバーをしているという御説明を私は個人的にお伺いしたのであります。カバーをしていると言ったって、まるまるすべてがそうだという意味ではなくて、それを含めて流通税としての有価証券取引税というのは考えているというふうに私は聞いたのでありますけれども、そういうことはございませんか。そしてさらに話を進めれば、それではキャピタルゲイン課税というものができたときに一体流通税というのはいまのままの体制税率課税品目なのかどうなのか。
  60. 大倉眞隆

    大倉政府委員 前段でございますが、キャピタルゲイン課税ができないからというふうにもし申し上げたとしますと、やや言葉が足りなかったのだろうと思います。経緯としまして、キャピタルゲインを原則非課税にしたそのときに有価証券取引税ができたという経緯は確かにあるわけでございますが、それ以来二十数年たちまして、現在の税制としましては、やはりキャピタルゲイン問題と有価証券取引税というものは、税制としては別のものというふうに考えるべきであろう。と申しますのは、これは釈迦に説法でございますが、法人の譲渡についてはもちろん法人税がかかります、益があれば。しかし同時に、流通に関する取引税負担していただいておる、ロスがあっても取引税負担していただくということでございまして、やはり税としては別のものであるというふうに考えるべきであると私は考えておりますし、その意味では、将来仮にそのキャピタルゲイン、個人のキャピタルゲインが全面的な総合課税に移行する時期が参りましても、やはりそれなるがゆえに有価証券取引税を廃止するというふうに考える必要はないだろうと、個人的には私そのように考えております。
  61. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 次に、いろいろな問題があるのでありますが、簡単な問題から片づけておきたいと思うのであります。  昨年当委員会が野村証券の債券、株券を保管している倉庫——倉庫と言ったらいけないのかな、やはり倉庫だと思うのですが、視察に行って、みんな三億円の株券とかなんとかを見たわけでありますけれども、野村証券ですらとてもあの債券類、有価証券類を、混蔵保管を許されてももう手いっぱいだ。ましてや、これからさらに国債が発行されるということになると、保管の問題が野村証券ですら大変だということは、委員各位も御存じのとおりなのであります。ましてや中小の証券会社におきましては、有価証券が廊下に野積みをされているというような話も私たちは聞いているわけであります。  とにかくこれは行政的というよりもまさに物理的な問題でありまして、有価証券という非常に高価なるものがそういうような保管ではいかぬだろうということは、そう論議する必要もないと思うのでありますけれども、一体これに対して——利札の切り方の問題について私は去年も質問したのでありますけれども一つは、利札の切り方の方向性をせめて同一にしたらどうか、大きさも一緒にしたらどうか、これは必ずしも証券局だけの問題ではないけれども、具体的な方法としてひとつそういうことも考えたらどうかということを一つ提案したのでありますが、その辺が一体どうなっているかという問題。  それから、原則として混蔵保管が許されておりますけれども、これ以上株券あるいは有価証券という、つまり紙に印刷したものを発行していったら、兜町にある中小証券会社の倉庫ではとても無理だという物理的な問題がある。証券界ではペーパークライシスという言葉が定着しているくらい紙の脅威というのは問題になって、公社債等を一括登録制度にしたらどうかというような、つまりペーパーレスの問題が上っているわけですね。これもかなり限度に来ている問題でありますから、早急に何か考えなければいかぬと思うのでありますが、このペーパークライシスに対する大蔵省対応はいかがなるものでございましょうか。
  62. 山内宏

    山内政府委員 御指摘のとおり、ややじみな話ではございますけれども経済的にも、効率の面から申しまして非常に重要な問題であろうかと思います。  御指摘のとおり、従来からこの問題につきまして、必ずしも等閑視しておったわけではございませんで、たとえば現に東京証券取引所におきまして、部分的な株券の振りかえ制度を実施するとか、あるいは先ほど御指摘のありましたように、保護預かりの債券につきまして混蔵保管の制度を認めるとか、あるいは債券の大きさについて規格を三種類程度に統一をしようという運動が行われるとか、各種の手段をとってまいったわけでございます。ただこの問題は、根本的な解決といたしますと、いま申しましたような方法ではなかなか十分ではない。御指摘のとおり、やはりある程度紙から問題を切り離すということで考えませんと、根本的な解決にはならないというふうに考えます。  そういうふうな考え方に基づきまして、現在のところ幾つかの考え方が次第に議論されつつあるわけでございます。  具体的に申し上げますと、五十二年の四月に東京証券取引所とかあるいは日本証券業協会とかその他そういったところが中心になりまして、有価証券関係業務の合理化についてという報告書を出してございます。この報告書の中身は、受寄機関を設けまして、寄託を受けました証券については全部その受寄機関の名義に変えて、しかる上でペーパーレスの方向に次第に進んでいこうという物の考え方でございます。  また、やはり東京証券取引所中心といたしまして、株券振替制度懇談会というのがございまして、ほぼ同種の物の考え方から、ペーパーレスの方向に進んでいったらどうかという議論が始められております。  ただ、そういう物の考え方にもなおかなり多くの問題点がございます。たとえば受寄機関に全部寄託をして名義を変えてしまうということになりますと、真実の株主が議決権を行使するあるいは配当を受け取るというふうなときに一体どういうふうな手続を講ずればよろしいのか、あるいは真実の株主がそれを担保に供しようとする場合に一体どういう手続を講ずればいいのか、そこら辺は、技術上の問題もありますれば、法律上の解決を要する問題もあろうかと思います。なおまた、そういう形で真実の株主のお名前が隠れてしまうものでございますから、それを発行会社の株主としていかにディスクローズするかというふうな問題もございます。  そういった問題を一つ一つ片づけてまいりませんと、なかなか基本的な問題の解決にはならないというのが一つと、それからもう一つ具体的な問題といたしましては、株券なら株券だけ、債券なら債券だけでやるのか、両者一緒に一斉にやるということにするのか。もし株券だけでございますと、比較的関係者の範囲も狭うございますので問題が進めやすいわけでございますが、債券まで含めるということになりますと、やはり金融機関とか信託会社とかそういったものとの調整も必要になってまいるということでございます。  私どもといたしましては、できるだけ基本的な物の考え方の方で、なるべく早い時期に結論が出るのであれば、そちらの方に向かって推進をいたしたいと思いますけれども、いま申しましたように、債券まで含めるとなるとかなり時間と手間がかかるということでありますならば、ある時期におきましては、株券だけで見切り発車をするということも考えなければならぬかと思っております。その辺のところは、先ほど申しましたような問題点の解決を含めまして、今後引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私がいまお話ししましたように、かなり中小証券にはペーパークライシスの問題は差し迫った問題として、高度の行政的な問題というよりも物理的な問題として、倉庫を拡張すればいいというような余地もないところですからね、しかも中身は有価証券だけに、そう座視できない問題ですので、いまの局長の御答弁について、いつごろ具体的に時期的には目標を置いてやっていこうというスケジュールをおっしゃってください。
  64. 山内宏

    山内政府委員 スケジュールの点は、先ほども申しましたように、債券まで含めてやるか、とりあえず株券だけで発足をするかというところにも大きくかかってこようかと思います。  それから、先ほども申しましたように、いずれにいたしましても、そういったペーパーレスの方向に向かうといたしますと、証取法ないしは商法の改正の問題もございますので、そこら辺のところは、なおやや時間のかかる問題かと思っております。  できるだけ早い時期に、私ども考え方といたしましたら、何らかの草案的なものを世の中に公にして、それを中心にして少し議論を進めていただくという方向にいたしたらいかがかと考えております。  なお、先ほども申しました懇談会の中で専門部会をつくりまして、その専門部会の作業がかなり進んでおりまして、その専門部会の議論としては、できれば三月ごろまでには、そういった意味での草案のさらにたたき台でございますが、そういったものをつくってみたいという希望がございます。それに対しましては、なお行政当局の方の議論あるいは金融機関サイドの議論、そういったものが十分に織り込まれておりませんので、その辺のところを総合しました上で、先ほど申しましたような形で世の中に草案を問うてみたいというふうに考えている次第でございます。
  65. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 せめて山内局長時代に具体的にペーパーレス、やり方としてはペーパーレスしかないと思うのでありますけれども、実現をさしてもらいたい。確かに商法の問題、特に担保の問題が大きな問題ですし、その他いろいろありますので、私もそんなに簡単だと思っているわけじゃないが、とにかくもう置くところがないというのですからね、物が物だけに、一日も早くこれは結論を出さなければいかぬ問題だと思うのであります。そういった意味で、ひとつ局長のより一層の御精進をこちらは監視をしていきたいと思うのであります。  次に、最近現先市場が非常にふえているわけでありますけれども、その中で特に自己現先が非常な伸び率を示している。一番最近もらった十二月の資料では、委託現先の倍を超えているという状況になっているわけですね。これは一体どういう状況から自己現先が委託現先の倍を超えるというような大きな額になってきているのか、ちょっとその辺の状況を御説明をいただきたいと思うのであります。
  66. 山内宏

    山内政府委員 自己現先につきましては、御指摘のとおり、五十一年から五十二年にかけましてかなり急激な増加を見ております。  この原因は、最近の金融情勢の変化に伴いまして、一般事業法人を中心といたしまして、かなり資金的に余裕のある法人が一方にある。他方、これに対応いたしまして、事業法人なり金融機関ないしは証券会社なりそういったところで資金需要がある。その両者の間を取り持つ、現在日本の金融市場にはまだ必ずしも十分に発達をいたしておりませんところの短期市場を補うものとして、最近非常に急激に大きくなってきたというふうに承知をいたしております。
  67. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 まあ短期金融市場を補うのでありましょうけれども、急激に、特に五十二年に入ってから一兆円を超すような大台に乗って、十二月は自己現先が二兆一千億、それに対して委託現先が一兆を割るというふうな状況になっている。委託はある程度落ちついた水準になっているのに、どうして自己現先がこれだけ大きな額の伸びになっているのですか。
  68. 山内宏

    山内政府委員 大変紋切り型のことで申し上げますれば、やはりそれぞれの市場関係者のニーズによるものだというふうに考えられるわけでございますが、委託現先につきましては、御指摘のように最近特に増加はいたしておりません。ほぼ従来の形のままで推移をいたしてきておりますが、それに対しまして自己現先が、御指摘のような形の増加を示しておる。その点につきましては、理由といたしましては、先ほど申し上げましたようなことでございますが、私どもといたしましても、自己現先がこれ以上非常に急激に大きくなるということにつきましては、将来の金融情勢の変動次第によりましては、証券業者にとってみてかなり経営上の大きな負担になる可能性があるということを考えまして、その点の規制を昨年の十二月に決めまして、ことしの一月一日から施行しておるということでございますので、今後そういった方向につきましては、やや制御されるということになろうかと思います。
  69. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 どうもよく御説明がわからぬと思うのですがね。  要するに、恐らく局長の言いたいことは——自己現先というのは、証券会社がみずから持っている債券を形式上は売って現金にかえるということで、三カ月なり六カ月先に買い戻すという条件つきで現先を市場に出すわけですね。それでは、どうして委託の方はそんなに約一兆円台の、一兆二千億とか一兆三千億程度でずっと来ているのに、証券会社の自己現先、つまり証券会社の持っている債券だけが——もちろんこれは、踊り場のように、人から買ったものを少しの間持っていて、そして出すということもありましょうけれども、どうして自己現先だけ、証券会社のものだけがこれだけ大きな数字に推移をしてきたのか。とりわけ七月、八月ぐらいから急激に、特に八月が一兆九千億、九月が一兆八千億と二兆円に近づいて、十一月が二兆六百六十三億、そして十二月が二兆一千億というふうに、どうして証券会社の債券を使った現先がこれだけ伸びているのか。委託も同じように伸びているなら、これはある程度わからないわけではないのですが、どうして自己現先だけがこういうすごい伸びになってきているのか。どうもその辺がいまの御答弁では理解し切らないのですがね。
  70. 山内宏

    山内政府委員 証券業者の自己現先について申し上げますと、これはやや釈迦に説法になりますけれども株式の場合と違いまして、かなり大きなロットの取引でございますし、かつ債券の種目も多いというふうなことがございまして、直ちに委託でもって右から左へ渡すということはなかなかできづらい性格のものでございます。そういう意味合いで、債券につきましてはある程度ランニングストックを持たざるを得ないという状態でございます。そういうことになりますと、公社債売買額が増加をいたしますに従いまして、それに対応するランニングストックもある程度大きくならざるを得ないということでございます。  数字を見ますと、公社債の総売買高が、五十一年には六十七兆余りでございましたが、五十二年はそれが百二十兆近くになっております。それに対応いたしまして、自己現先の残高も、五十一年は約八千億でございましたのが、五十二年度には二兆一千億という形でございますので、その間証券業者のランニングストックという観点から申しまするならば、ややふえておるという感じのものであろうかというふうに考えております。
  71. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、もう少し資料的にお伺いをしたいのは、一体その現先をやっているのは証券会社の中でどのくらいあるのですか。何社ぐらいあるのですか。
  72. 山内宏

    山内政府委員 正確な数字を持ち合わせておりませんが、大体小さなものまで合わせますと百社近くになろうかと思います。
  73. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それは全く少ない数字をやってればまあ百社もあるかなあと思うのですがね。私の聞いている範囲では、主にやっているのは三十社、そのうち扱い高大体七五%が証券大手四社に集中していると私は聞いているのでありますが、間違いありませんか。
  74. 山内宏

    山内政府委員 公社債売買そのものがやはりどういたしましても、先ほど申しますようにかなり大きなロット、したがって大きな資金を要するというふうなことでございますので、おのずから大手の方に集中をいたします。それに対応いたしまして御指摘のとおり、現先そのものもやはり大手に集中をいたしております。
  75. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、問題になってくるのは、たとえば四社にそれが集中をしたときに、かなりの額集中をしているときに、市場でその債券の価格が四社によってかき回される、撹乱される、あるいは四社の思惑とまで言ったら問題があるかと思いますけれども、かなり意図的な価格形成というのが行われる可能性が強くないかという問題なんです。その点についてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  76. 山内宏

    山内政府委員 現先の価格を決めますにつきましては、まずそれ以外の一般取引に基づきますところの債券の市場価格、これを基礎にして決めておるわけでございます。現先も含めまして債券の全体の取引がすでに百兆を超えておる状態でございますので、したがいまして、いかに四社と申しましても、一般のたとえば市場価格あるいは店頭市場の価格、こういったものに対しまして、その価格を左右するような大きな力はないのではないかというふうに考えます。  現先価格は、先ほど申しましたように、そういう形で形成されました取引所価格または店頭の見合い相場、それを中心にいたしまして、一定の値幅制限の範囲内で決めるということになっておりますので、そういう意味で、現先の価格そのものを特定の業者が左右するということは、これはあり得ないことではなかろうかというふうに考えます。
  77. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 株と違いますから、その意味では若干私は公社債の場合には、撹乱要因といいますか、相場を指導する率というのは確かに少ないと思いますけれども、かなり現先市場の中に占める自己現先が多くなり、それが非常に四社に集中をしているといういまの状況から考えますと、これはある程度現先市場、とりわけ自己現先についても、証券局としても十分私は注意深く見守っている必要があると思うのであります。その点だけをこの点については申し上げておきたいと思います。  もう一つは直取引の問題なんであります。これは株式の直取引というのは前から行われていたわけでありますけれども、これから金融機関が国債を直取引するということが十分起こり得るわけですね、これは法律的に別に禁止をされているものじゃないし、起こり得るわけであります。  そこで、一体証券局としては、市場を通さない直取引というのが、株式についてはどのくらい、そして国債は始まったばかりでありますけれども、国債についてはどのくらいあるのだろうということについて、これはなかなか調べようがむずかしいのでありますけれども、注意深く観察をされたことがございますか。
  78. 山内宏

    山内政府委員 仰せのとおり、従来は株についてそういう問題があるのではないかということがあり、したがって、それに対応するものとして、取引仕法を少しゆるめてはもらえないかという要望が出てきた記憶はございます。債券については、まだそれほど具体的な数字としては私どもは耳にいたしておりません。ただ今後の問題といたしましては、御指摘のような懸念がなきにしもあらずという感じがいたします。  ただ、その数量が一体どのくらいか、こういうことになりますと、これはもともと市場を通しておりませんし、私人間の債券の売買でございますので、私どもの方としては把握するに由ないという状態でございます。
  79. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いまの行政の状況ではなかなか把握がしにくいということも、私もわからぬわけじゃないのですが、問題なのは、歴史的には株式が先に来ているもんですから、株式の場合に市場を通さないで、これはどこまでかよくわかりませんけれども、銘柄によっては売買の七割近くが直取引でやられていると言う証券会社の人もいるわけですね。  そういうようなことがあり、言われているわけで、私はこれからやはり証券市場育成ということを考えていきますと、要するに価格形成が一番大きな問題ですから、その意味においては、市場を通さない直取引というのがもっともっとどんどん大きくなったらこれはどうなるのだろうか。一体、市場を通すやつが代表選手みたいなもので一割程度であって、残りはそれを横に見ながら直取引をやっているというようなことでは、本当に公正な価格形成というのができるのだろうかということになると、無理だと思うのですね。一対九なんかになるかどうかは別として、直取引が余りにもふえるということについては、公正な価格形成という基本からいって非常に問題があると思うのです。この辺のところを私は、確かにいままでの中ではそう大きな問題になってこなかったけれども、これから債券の直取引も特に国債を中心にして大きくなってきますと、これは私は特に債券の価格形成においても非常に大きな問題になってくる可能性がある問題だと思うのであります。  そこで、ひとつ証券局においても、直取引実態についてできる限り把握をし、そしてプリンシプルをひとつつくってもらいたい、またつくるべきであると私は思うのでございますが、いかがでございますか。
  80. 山内宏

    山内政府委員 先ほどからも御議論がございますように、今後の公社債市場の整備ということは国家としての急務であろうと思いますし、そういった層の厚い公社債市場育成していきますためには、やはりいま御指摘のとおり、できるだけ多くの需給が市場に集中をするという形が成立をしてまいりませんと、なかなか事柄がうまくいかないという振り合いになろうかと思います。  そういう意味合いで私どもといたしましても、この問題については今後いろいろ考慮いたしたいと思いますが、さしあたって私ども考えておりますのは、やはり現在の公社債市場中心として考えまして、市場価格形成ディスクロージャーを現在以上さらに十分進めていく。できればアメリが現に行っておりますように、現実に証券会社の店頭で取り仕切られた値段がディスクローズされるというふうなところまでまいるのが理想的であろうかと思いますが、そういった形で、市場の魅力をふやしていくというふうな形で対処すべきものかと思います。  なお、いま御指摘のございました、証券局において直取引の数量を把握するように考えろという御指摘でございますが、この点につきましては、先ほども申しましたように、およそ自由経済の世の中でございますので、すべての人の取引を私どもの方で把握をするというのは大変むずかしいことかと思います。そういう意味では、非常に全体としてそういうことを行うのはむずかしいと思いますが、状況によりましてはアトランダムに特定の事案を調べるというふうなことはあるいは可能かと考えております。
  81. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それは局長言われるように、すべての直取引についてチェックをするということは無理だと思うのでありますが、私の要求したいのは、せめて大ざっぱにもこのくらいだというぐらいの把握をしないと、これは事実をよく調べてみましたら、八割が直取引で二割しか市場を通っていませんでしたということでは、これは証券局としての機能を私は果たさないと思うのです。そういった意味で、すべての直取引をチェックするというようなことはなかなかできるわけがないので、この面からもひとつ十分目を開いて行政をやってもらいたいという意味でございますので、御理解をいただきたいと思うのであります。  次に、地方取引所の問題です。これは去年、東京証券取引所を視察したときに委員各位にもいろいろ資料が配られておりまして、いま一番近い資料でも売買高のシェアが、札幌が〇・一、新潟が〇・二、福岡が〇・一、広島が〇・三、京都が〇・二、名古屋が二・八、大阪が一一・六、そして残りが東京という状況であるわけですね。これは五十二年のおたくの年報から出た数字でありますけれども、よく調べてみると、上場している会社、たとえば名古屋に上場しても片方では東京にも上場しているというように、ほとんどが重複の上場をしている。実際に名古屋で商いが成立しないと、それは東京へ持ってきて成立をさせて、そしてまた名古屋へ戻すというシステムになっておるわけですね。こういったつなぎ取引というのが非常にふえているというふうに聞いているのでありますけれども、総売買高のうち、こういったつなぎ取引によって成立したものというのは一体どのくらいあるのですか。
  82. 山内宏

    山内政府委員 いわゆる地方取引所の中でほぼ八割ということでございます。
  83. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 地方取引所の総売買高のうちの約八割がつなぎ取引だということですね。おたくのこの本では、八五・八%とさらに大きな数字が書いてあるけれども、まあいいです、とにかく非常に多いわけですね。  それで、各地方取引所の運営にもかかわる、つまり経費問題にもかかわってくるわけですね。一体会費徴収の基準となります売買取引というのは、いま私がお伺いをしたような、たとえば京都なら京都で成立をしなかったものが東京で成立をしたというときには、これが私の聞くところ、結局もう一回東京から京都へ戻るということでございますので、会費徴収の場合には、手数料と申しますか、つまり会費徴収の際の基準にこの東京と京都で行われた売買というのはされているというふうに聞いているのですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  84. 山内宏

    山内政府委員 問題を二つに分けまして、委託者が、つまり投資家が支払います委託手数料、これは中央につなごうが地方取引所ででき上がろうが、そこは同じでございます。  それから、会員たる証券会社がしからば地方取引所に対してどの程度の会費を支払っているかということでございますが、その点につきましては、母店を利用して中央につなぎます場合も、場外会費という意味で地方取引所に会費を納めております。
  85. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、場外売買ですね、たとえば京都の取引所を例にとった場合に、東京で行われた場外取引、こういったものも、いまお伺いしましたように会費の枠の中に入るということでありますが、一体それじゃ場外売買に係る会費というのは、地方取引所の費用のうちどのくらいを占めているのですか。
  86. 山内宏

    山内政府委員 ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、調べまして後ほど御報告いたします。
  87. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 おたくの証券局年報によりますと、そういった場外売買に係る定率会費は、京都以下五地方取引所において、五十一年九月期の会費収入の七八%を占めていると書いてあるのですね。だから恐らく、おたくの年報ですから間違いないと思うのでありますけれども、とにかく四分の三は自分のところの商いじゃなくてそれ以外の商いだ。ほとんど東京でしょうけれども、四分の三の費用は自分のところの取引所で成立したものじゃなくて、東京をほとんどとするところの場外売買で会費が集められているということになるわけですね。  それから、上場賦課金はどういうことになりますか。大抵は、京都の場合には京都と東京というように重複上場されていると思うのでありますが、その場合には上場会社が払う上場賦課金、上場手数料、年賦課金、こういったものは地方取引所においては一体どのくらいの収入になっているのですか。
  88. 山内宏

    山内政府委員 上場賦課金の全体の中で九八・六%を占めております。  なお、先ほどの場外取引の会費は七八・五%でございます。
  89. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 こういうことになってきますと私は何が問題かというと、地方取引所にも会員の方々がいらっしゃる、そこで場立ちをしていらっしゃる方々がいらっしゃる、実際に働いていらっしゃる方々がいらっしゃる、こういった問題もあると同時に、その運営というのは四分の三は場外で行われる費用によって賄われているということになりますと、確かに委託手数料は、京都で買おうと東京で買おうと名古屋で買おうと一緒だけれども、これは結局は、いまお伺いをしたように場外で行われる分もだれが負担をしているかといえば、投資家負担をしているわけですね。まず第一次的には証券会社が持つけれども、それを支えているものというのは投資家でありますから、そういった意味では、一体投資家保護の観点から、この地方取引所の存在の意義というのを証券局としてはどういうふうに考えていらっしゃるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  90. 山内宏

    山内政府委員 理論的に申せばお説のとおりだと思います。ただ、実額で申し上げますと、場外会費は地方取引所におきましては三億一千七百万ほど、それから重複の上場手数料が三億一千三百万でございますから、合わせて六億程度というものでございます。これに対しまして委託手数料の総数といいますのは、六千四百億ほどございますので、直ちに地方取引所のこの問題が解決すれば手数料が下がるというような性格のものではございません。
  91. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 確かに総額の中ではパーセンテージは低いと私は思うのです。ただ、ほとんどが場外の売買で成り立っているというのが一つの機構としてどんなものだろうか。一体証券局は、この地方証券取引所というものを今後どういうふうな方向に持っていこうとしているのか、それが私はどうもよくわからないのであります。その点についてお伺いしたいと思います。
  92. 山内宏

    山内政府委員 お説のとおり、いろいろデメリットがあるのは事実でございます。しかしながら、一方やはり地方取引所はそれなりの使命がございまして、たとえば数は少のうございますけれども、それぞれの地方における単独上場銘柄が現にあるわけでございますし、それから、いずれは近いうちに単独上場をやりたいという励みでもって努力をしておる企業もあるということでございます。また、地方取引所の問題の解決の仕方いかんによりましては、地場の証券会社の経営の問題にも響いてくるという問題もございます。その辺のところがある程度のめどがつきませんことには、余り根本的な問題の結論は出しがたいというふうに思っております。  したがいまして私どもといたしましては、地方の取引所自身あるいは地元の産業界ないしは地場証券業者、そういったところから、いま御指摘のようないろいろな非合理な問題についての解決策をどう考えていくかということの議論を盛り上げていただくというのが、問題の解決のまず最初であろうかというふうに考えております。  その一環といたしまして、最近全国証券取引所理事長会でもってこの問題が議論され始めております。先ほど申しましたように、取引所自体だけでも解決ができる問題じゃございませんで、それ以外の地方の関係者の間においても同様の議論が展開されることがまず必要であろうかと思います。私どもといたしましても、そういう情勢を慎重に見ながら対処してまいりたいと思いますが、先ほど申しましたようなやや複雑な問題を背景に抱えておりますので、余り短兵急な解決を求めるというのは無理かというふうに考えます。
  93. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 私も触れましたように、そこで関係している方々がいっぱいいるわけですから、こういう中で、直ちにそれを廃止しろとかなんとかという短絡的な結論に至るものじゃないと思うのでありますけれども、ひとつ十分この問題も研究をしてもらいたいと思うのです。  最後に、国債の銀行窓口販売というものが非常に大きな問題になって、大蔵省の中でも恐らくいろいろと検討しているのだと思うのでありますが、きょうは余り本質的な問題をやる時間もありませんので、ちょっとだけ非常にマクロ的にお伺いしたいのであります。  都市銀行懇談会が要望をしているような、要するに証券会社と同じようなディーラー業務をやるといたします。仮定ですが、やるといたします。そういうことを私いろいろ考えてみますと、銀行法にない、証取法のみが課しているいろいろな非常に重要な項目があるわけですね。私も若干調べてみたのでありますが、たとえば証取法の四十八条の売買報告書の交付の義務づけ、それから五十条の禁止行為で、たとえば第二号で、「有価証券売買その他の取引につき、顧客に対して当該有価証券について生じた損失の全部又は一部を負担することを約して勧誘する行為」、したがって、キャピタルロスができたら、たとえば銀行の窓口でその分は補てんしましょうなんということは証取法上はできないわけですね。それから五十五条の報告または資料提出命令及び検査、六十一条の引受人の信用供与の制限、それから六十二条の外務員の登録、こんなようなものは、私が見ただけでありますけれども、もし銀行でディーラー業務までやるということになると、この辺も改正をしないと、証券会社だけにかかって銀行関係ありませんということにはならぬだろうと思うのであります。  もっと細かく詰めていけば、一体ディーラー業務とはどういうものかとかいろいろありますけれども証券会社と同じようなことになれば、証取法だけでもいま言ったような法律の改正、つまり銀行の行動に枠をかける法律の改正が必要だと私は思うのであります。つまり、いまは証取法だけの話でありますけれども、この銀行の国債窓販という問題が国会に出てくる場合には、公社債市場育成の問題がどうだこうだといういろいろなそういった政策的な問題ももちろん議論があるわけでありますが、いずれにしろ、少なくとも証取法ではいま挙げた部分について法律改正をしなければできない問題ではないか。つまり単なる行政措置だけではなく、法律改正がなければこのことは実現できない問題ではないかと私は思っているのでありますが、そう理解しておいてよろしゅうございますか。
  94. 山内宏

    山内政府委員 御質問の都銀懇の要望書なるものの内容、私どもはまだしさいに検討いたしておりませんので、的確なお答えができないわけでございますけれども、いわゆる窓販そのものに関しましては、いま御指摘のような法律論争の問題以前に、やはりいわば広い意味での国債管理政策あるいはそれの裏側としての公社債市場対策、そういったものをいかように考えるべきかという、まず政策問題が先行すべきものであろうかというふうに考えております。ややお答えになりませんけれども、いまの段階はその辺のところで、私どもは各局相互間で検討いたしておるということでございます。
  95. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 わかるのですよね。局長の言われることはわかるのですが、私は非常に重要だと思うのは、確かに一番重要なのは、一体公社債市場育成銀行窓販——窓販というのは、窓口で売るだけの問題じゃないですからね。既発債を一体どういうふうにするかという問題からディーラー業務の問題に入ってくるわけで、窓口で売るというだけの問題ではないわけです。窓販というのは、そういった意味で非常に重要な大きな課題なわけで、それは局長の言われるように、確かにそういった政策は、ひいては金融制度調査会でやっている金融制度のあり方、制度論としての問題も非常に出てくると私は思うのです。そういう背景を持ってくることは私は十分知っているのです。知っているのですが、少なくともそういった単なる政策論議だけじゃなくて、皆さん方の方で詰めて結論がどうなるかわかりませんけれども、もし銀行がいま言われているようなディーラー業務までやるということになると、いま言ったような証取法がまず具体的にはひっかかってきて、対国会に対しては、形としては行政がどうやっていくかということの質問はしますけれども、同時に、先走った議論かもしれないけれども、法改正が当然必要になってくる問題ではないか。仮定のものとして答えて結構です。しかも証券局長としては、ディーラー業務の実態がどうなるかということをあれしなければ、いま読み上げたような条文だけで済むかどうかというような問題もありますから、なかなか答えにくいかと思いますが、仮定の問題としてでもいいですが、いま言われているようなことをあれするためには、いま政策論議は別としてですよ、単なる行政措置だけではなくて、最終的には法改正ということが必要になるということぐらいは答えられるのではないかなと私は思うのですがね。
  96. 山内宏

    山内政府委員 いわゆるバンクディーラーということを頭に置きまして、それも公社債全般についてこれを行うというふうなことになりますれば、おっしゃいますように、現在それを前提といたしました法体系ではございませんので、いろいろな点で手直しを加えていかなければならぬ点があるいは出てこようかと思います。
  97. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 終わります。
  98. 大村襄治

    大村委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十九分散会