○
只松委員 数字なりトータルとしてはそういうものが出てくる。私は、新規預金の回るもの、こういうことを
一つの前提として話をしているわけです。貯金問題を話そうとしているわけですから、いいですか、そうすると、新規預貯金はほとんどない。したがって、いままで貸しておったものを払ってもらうとか、あるいはいろいろなそういう形で若干の
民間にも回すことができるだろう。それは現状においてですね。しかし
政府は、さっきから言われているように、願っておるという。願っておるとおりの
経済成長が起こってくるとするならば、資金需要が起こってくるならばどういうことが起こるか。当然に
公債や
地方債の暴落という現象が起こるわけです。この問題を
一つとっても大変な問題なんですね。だから私は、そういう面からひとつ根本的に
金融の問題についても
考えなさい、それから
財政の問題についても
考えなさい、こういうことを言っておるわけです。
というのは、時間がありませんが、貯金の問題をもうちょっと申しますと、たとえばこのままの貯蓄率でいって、あなた
たちが
試算された昭和五十七年に貯金は幾らになるかといいますと、貯蓄額が年間大体四十五兆円前後、こういうふうに見ますと、それを推計すると累積残高は大体三百八十兆円前後の全部の
国民の貯蓄高になります。これだけになってきたときに
民間設備投資は、あなた
たちは、私も言っているんだけれども、余りパイを大きくするな、生産もふやすな、あなた
たちも、低
成長に移ったということは言っているわけですから、そのときに
民間設備投資も余り起こらない。あなた
たちが
試算しているように、赤字
公債はゼロだ、
特例公債はゼロだというときに、この金は、三百八十五兆円という金は一体だれが何に使いますか、使う方法はないのですよ。とにかく去年の下半期は都市
銀行の利ざやは逆ざやになっているということさえ言われておりますね。いいですか、そういうことになってきて、さらにこういうふうに三百八十兆円前後の預貯金がたまった。それで
民間投資も進まなければ、あなた
たちが言うように、やればやったで
日本の国家
財政は破産をいたします。赤字
公債をなくして、このままの貯蓄率で進んだらどうなる。
そこで私は、もう貯蓄率は減らすべきだと思う。カナダの首相や西ドイツの首相は、貯蓄は減らせと言っている。あるいは
日本でもやっと勇気を
出して、
経済企画庁は、低
成長下における高貯蓄問題というのを去年白書に書きましたね。さっきから私が言っておるように、民需を喚起せよ、公共投資一本やりではなく、民需を喚起する
意味においても貯蓄を減らしていかなければならない。消費に回していかなければならない。ただ問題は、繰り返し申しますように、子供の教育あるいは病気あるいは住宅、老後、そういう問題等が
政治的にきわめて立ちおくれておるから、世界に類例を見ない高貯蓄、富国強兵の昔からの
政策から抜けないで来ておる。これも
金融問題の一側面ですよ。そのパターンを変えなさいと私は言っている。後でもう
一つ提案いたします。
税制も変えなさいと言っている。
大臣、どうですか。ここで思い切って、もう高貯蓄時代は去った、消費に回して、そのかわりその部面は
政治でやりますということをひとつ内外に本当は宣言すべきです。そうすると
国民消費も上がってくる。公共投資からの
波及効果よりも——それは牛肉やウイスキーやオレンジジュースを買うといったって、ここで公共投資と何の関係がありますか。私はさっき論争すれば幾らでもやりますと言ったけれども、時間がないからしないけれども、いまあなた
たちがアメリカや諸外国と約束しておるこういう輸入品と公共投資と何の関係がありますか。そのことよりも、
国民貯蓄を減らして、民需を拡大していく、消費を拡大していく中からの方がよほど具体的だし、即効性があるわけですよ。そういうものの
一つとして、高貯蓄時代は去ったということをお認めになりますか。