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1978-04-27 第84回国会 衆議院 商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十七日(木曜日)     午前十時三分開議 出席小委員    小委員長 山崎  拓君       鹿野 道彦君    佐々木義武君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       渡部 恒三君    板川 正吾君       岡田 哲児君    岡田 利春君       川俣健二郎君    後藤  茂君       清水  勇君    西中  清君       松本 忠助君    宮田 早苗君       工藤  晃君    大成 正雄君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君  小委員外出席者         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      福原 元一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 四月二十七日  小委員佐々木義武君及び甘利正君同月二十日委  員辞任につき、その補欠として佐々木義武君及  び大成正雄君が委員長指名で小委員に選任さ  れた。 同日  小委員渡部恒三君同月二十六日委員辞任につき、  その補欠として渡部恒三君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員上坂昇君及び清水勇君同日委員辞任につ  き、その補欠として岡田利春君及び川俣健二郎  君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員長田武士君同日小委員辞任につき、その  補欠として西中清君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員川俣健二郎君同日委員辞任につき、その  補欠として清水勇君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  エネルギー・鉱物資源問題に関する件(非鉄金  属鉱業問題)      ————◇—————
  2. 山崎拓

    山崎委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。  エネルギー・鉱物資源問題に関する件、特に非鉄金属鉱業問題について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂君。
  3. 後藤茂

    後藤委員 私は、昨年の四月の八日、さらにことしの四月の十一日、二回にわたりまして金属鉱業政策の確立について質問をいたしましたが、振り返ってみまして、一年間の経過の中で、むしろ政府対応策後手後手というよりもほとんど無策に近い状況であるために、事態悪化の一途をたどっております。先日も私は橋本長官質問をいたしましたが、長官には大変珍しく歯切れの悪い答弁であったことが残念でならないわけです。  鉱政懇答申待ちということもありますから、答弁の中で明確にしにくい点もあろうかと思いますが、もう一度整理をする意味で私は申し上げてみたいのですけれども、この金属鉱業が持っております構造的な問題というのは、最近実は起こった問題だけではないのです。私もかつては鉱業政策に携わっていました。あの資本、貿易自由化に対応いたしまして、昭和三十八年に金属鉱業等安定臨時措置法をつくる際に、大変私も努力をいたしました。それが五年の時限立法で、五年間が経過しますとそのものはなくなってしまっているわけです。今日もしあの法律があればと、死児のよわいを数えるような、大変残念な気持ちでこの質問をしているわけでございますけれども、長官にお伺いをいたしますが、今日の金属鉱業危機の実態につきまして、どこに対応策をとる必要があるのか、何が一体一番の問題点であるのか、これはまず冒頭、簡単にひとつ御指摘をいただきたいと思います。
  4. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 簡単にという御指摘でございますが、いまのポイントは、本日御審議賜るに当たっての非常に根本的な問題であるかと思いますので、若干私見を交えてお答えさせていただきたいと思います。  当面の非鉄金属業界につきましては、私は、きわめて憂慮すべき事態に立ち至っておるという認識でございます。石油危機の後、世界的に需要が減退し、それに対する減産体制のおくれといったようなところから非常に需給関係が乱れ、それが価格影響を及ぼしてきておる。特に日本の場合、円高基調の追い打ちを受けて非常に経理的圧迫を受けておるというのが、銅、亜鉛業界における現状ではなかろうか。過去幾たびかの景気変動の中で、危機と言われたこともあったわけでございますが、今回はかってない非常な危機に直面しておるというふうに思うわけでございます。  私たち鉱業政策を進めるに当たって、いろいろと考慮すべき要因があるわけでございますが、私は、鉱山の特質を対策との関係から二つポイントで分けて考えてみたいと思います。一つは一次産品である、二つ目には国際商品である、この二つポイントに分けられるかと思います。  一次産品であるということは、当然のことでございますが、自然に与えられた条件の中でしか稼働し得ないという制約があるということと、これまた当然のことでございますが、減耗資産を対象にして鉱山活動が行われておる、こういうことになろうかと思います。この点につきましては、過去ずっといわゆる三段階方式による探鉱の助成あるいは減耗控除制度といった税制を活用いたしまして鉱量確保に努めてきているということで、これはそれなりの成果をおさめておるというふうに私は認識しておるわけでございます。  問題は、むしろ、国際商品であるということに対する認識は当然あるわけでございますが、それに対する対応措置が必ずしも十分ではないというところに御指摘問題点があるんじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、国際商品であるところから、国際市況によって価格乱高下する、それがきわめて鋭角的な乱高下を繰り返すということでございまして、これに対応する措置としては、かつて御指摘のような安定措置もあったわけでございますが、現在ではいわゆるスライド関税を活用したコスト補てんのための還付金程度でございまして、現在の乱高下、特に長期にわたってのLMEあるいはPpの低迷ということからいたしまして、単純なる企業努力だけでは克服できないような段階に立ち至っておるというところに問題のポイントがあろうかと思います。したがいまして、今後私たちが抜本的に鉱業政策を考える場合に、ただいま申し上げました国際商品、それから来るところの国際価格による圧迫ということにどう対応するかというところに大きなポイントがあるというふうに認識しておるわけでございます。
  5. 後藤茂

    後藤委員 いま国際商品の問題について御指摘がございましたので、順序を逆にいたしまして、この国際商品であるということ、そのために国際的な対策措置も私は必要であろうと思うわけです。そこで、UNCTAD等でのその対策進展等につきましてどのようにしているのか、どうなっているのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  6. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非鉄金属につきましては、ただいま御指摘ございましたように、価格変動の激しい国際商品であるというところから、価格の安定と発展途上国輸出所得の増加という観点から、現在国際的措置についてUNCTADの場で検討が続けられておるわけでございますが、現在まで三回の準備会議が終わっておりまして、産消国の間での協議及び情報交換等を行うために協議機構を設立するということについての決定がなされております。この四、五月に作業部会を開いてさらにその機構について検討を続け、五月に第四回の準備会議を開く、こういう予定になっておるようでございます。  それから、鉛と亜鉛につきましては、国連のもとにあります国際鉛亜鉛研究会世界需給見通しが策定される、特に亜鉛につきましては、最近の需給状況悪化ということにかんがみまして、減産等需給調整措置の実施について現在検討が進められておる、こういう状況でございます。
  7. 後藤茂

    後藤委員 国際的な対応策につきましてのこれまでの政府の取り組みというものは、どうも各先進国の顔色を見ていきながら、なるべく手を汚さないといいますか、努力をしないでうまい対策がとれればというような姿勢があったのではないか、このように私は見ているわけですが、ひとつこの点については要望でございますけれども、大変多くの消費日本の場合には銅でも百万トン、亜鉛では七十万トンの国内消費を持っているわけですから、大変な消費国でもあるということから見ましても、特に積極的に国際機構に対する発言とその対策というものについては対処をしていただきたいということを要望申し上げておきたいわけです。  そこで、また国内の問題に返ってみたいと思うのですが、大変な下落、暴落をしているわけですけれども、私は、これは大変異常だと思うのです。最近の国際市況を見ましても、少しまた変わり始めてきております。現在の価格がこのまま進んでいくのか、それとも将来は、またがってのような価格には仮に戻らないにいたしましても、いまのような異常な暴落から上昇傾向をたどりはしないかと私は思うわけですけれども、長官、この価格の動向につきましてどのように考えておられますか、お伺いをしたいと思います。
  8. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、率直なお答えといたしまして、いまが底値ではないかというふうに私は見ております。  銅について申し上げますと、現在世界在庫が二百万トンある、そのうち百五十万トンは過剰だと言われておるわけでございますが、一方、昨年来、アメリカ、カナダ、豪州といった先進生産国では、非採算鉱山につきまして休閉山をいたしておるというような状況もございますし、一方でCIPEC内部減産の話も大分固まってきているようだ、特にチリ、ペルーといったような従来から増産を主張しておった国にも若干の変化が見られてきておるというふうに聞いておりますので、先進銅国のほかにそういったCIPEC内部でも減産体制が固まってくるということになれば、過剰在庫をだんだん処理していくことにもなりましょうし、そういったことを反映してLME相場も戻ってくるのじゃないかといったようなところから、現在が底値ではないかという認識をいたしております。
  9. 後藤茂

    後藤委員 そこでお伺いをしたいのですが、一つは、国際的な機構をフルに活用して対策を構じていく、政府としても積極的にその対策に臨んでいきたいということ、さらに最近の価格暴落、これは底値ではないか、これからは少し上がる方向にいくのではないか、こういうように見通しを立てておられる。  そこで、問題になりますのは、そういう見通しなり判断を持ちながら、現在は大変な危機的状況にあるわけです。もし対策後手をとるといたしますと、市況も少し回復をしてきた、国際的な対策についても軌道に乗り始めてきた、振り返って国内鉱山を見てみると、ほとんど全部つぶれてしまっておった、これでは何をしておったんだか実はわからなくなるわけです。  そこで、幾つか問題があります。もともと非鉄金属というものは国際商品でございますから、国際市況に大きく影響をされるわけですけれども、今回はその国際商品としての価格乱高下に加えまして、さらに円高とそれから石油ショック後の電力料金値上げ、つまりエネルギーコストというものが非常に大きな影響を与えているわけですね。そうすると、政府といたしましても、まずこの円高対策、さらにはエネルギーコストがもろにはね返って、本来当然存立でき得る鉱山がそのことによって大きな赤字を出すばかりじゃなしに、鉱山存立そのものを脅かしているわけですから、この円高対策あるいはエネルギーコスト金属鉱業に大きな影響を与えている問題に対しまして、今日の総合原価主義による電力料金というものを変えるわけにいかないとか、あるいは円高輸出関連産業が主たる対応策を講じていくんであって、あと企業努力をすべきであるということでは、私は済まないと思います。この二つの点についての対策をまずお伺いをしたいと思います。
  10. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のように、非鉄の製錬コストの中に占める電力費ウエートが高いということも十分認識いたしておるわけでございますが、御承知のように、電力料金につきましては原価主義と公平の原則に立って認可されるということになっておりますので、特定の需要部門に対して有利または不利なる取り扱いができないといったような大原則がございます。そういったところから、非鉄金属業界における苦境あるいはそれにおける電力費ウエートということを十分承知しながら、電力料金を部分的に引き下げることができないということにあるわけでございまして、そういったところから、私たちといたしましては、いわゆる特約料金の枠の範囲内で極力低廉な電力を使っていただくという方向で指導いたしておりまして、率直に申し上げまして、現在平均して八円キロワットアワー程度になっておるのじゃなかろうかと思いますが、御要望の線は五円ぐらいでないと立っていかないんだということでございますが、この点につきましては、ただいま申し上げたような事情から、趣旨としてはよく理解し得るものの、それに適応できないというところに問題があろうかと思います。  それから、急場の用に間に合わないということになるかもしれませんが、いわゆる小水力だとか地熱につきまして、これはいまの電力コストよりも安く上がると思います。そういったものについてわれわれもできるだけ協力してその開発を進めていきたい、こういつたことで電力料金問題に対応していきたいと考えておるわけでございます。
  11. 後藤茂

    後藤委員 この前も私は申し上げましたが、電気事業法によっていまのような政策料金というのはなかなかとりにくいということは十分承知をしているわけです。しかし、そういう枠組みあるいは法律なり制度なりがあって動きがとれないんだということだけでは、産業政策というものは私は成り立たないと思うのです。  やはりいろいろな法律なり制度なりあるいは枠組みなり規制なりがある。しかし、そこはまさに鉱山経営者がむちゃくちゃをして、あるいは労働組合がむちゃくちゃにしてしまって鉱山をつぶしていくというような要因じゃないわけです。今日、日本の金属鉱山なり製錬所なりが抱えている問題というものは、そうむずかしい課題があって苦境に陥っているのではない。私が御指摘申し上げましたように、円高問題あるいはエネルギーコストが急速にかかってきたものです。こういうことが大変大きな影響を与えているわけです。しかも、電気事業というのは輸入差益によって膨大な益金を上げている。これは消費者還元ということの措置をとらないで、料金値上げをしばらくやらないんだということだけで押さえている。片一方、その電力料金が大変大きな影響を与えて苦境に陥っている産業がある。  私は、そういった枠組みを根本的に変えろということを申し上げるのではなくて、片一方において益金がある、片一方においてそのことでまさに鉱山がつぶれようとしている、そこに対して政治の手が届かないという方法はないと思うのです。そうでなければ、何のためにこの委員会を開いているのかわからないと思う。ですから、政策料金をどうずるということがもしできないとすれば、それに対応する緊急対策というものがとられてしかるべきであろう、ぜひひとつこのことを政府としても考えていただき、また鉱政懇の中においても反映させてもらいたい、このことを私はぜひ要望しておきたいと思います。  そこで、この金属鉱業政策というのは、常に国際市況影響によって喜んだりまた悲しんだりしているわけですけれども、これまでの通産行政の中で見ておりますと、やはりわが国の金属鉱業政策に対する基本的な姿勢というものが明確でないように思います。  いろいろな政府の資料を見てまいりましても、一体日本金属鉱業というものをどういうように位置づけて、どういう方向に持っていこうとするのか。先ほど指摘をいたしましたように、銅において百万トンの消費亜鉛において七十万トンの消費。しかも生産は銅の場合は相当落ち込んでまいっております。現在は七万トン前後と言われております。しかし、亜鉛におきましては二十五、六万トンというような生産が、なお今日の国内において、資源がないと言われる日本生産をされているわけです。この金属鉱業というものを日本産業政策の中でどのように位置づけをしていくのか、この基本的な方針が全く明確ではない。  長官、もし採算が合わなければ、そして外国の品物が非常に安い。その方が国民経済発展のために得策であるということならば、全鉱山をつぶしてもよろしいということも理屈の上では成り立つかもわかりません。しかし、私がしばしば申し上げておりますように、国内鉱山というものはつぶしちゃならない。セキュリティー観点からいたしましても、国民経済観点からいたしましても、あるいはまた鉱山のある地方自治体なりその地域経済を考えてみましても、雇用の問題を考えてみましても、絶対につぶすことができないんだ、こういうことになりますと、やはり日本金属鉱業政策というものは、産業政策の中に基本的な位置づけがなされなければならない、そして常に安定的な確保策がとられなければならないと考えるわけです。その姿勢がどうもぐらついているから、鉱政懇における答申もおくれているのではないかと私は思うわけですが、いかがでございましょう。
  12. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私は、いまお話ございましたように、非鉄金属については、採算性あるいは経済性という面だけで判断し得ない部分が多々あると思います。御指摘雇用の問題あるいは地域経済との関連の問題あるいはナショナルセキュリティーの問題、そういった点を考えてまいりますと、単純に採算性経済性、もちろんこれは無視するわけにはまいりませんが、その面だけで判断するのは適当でない。特に昨今の市況というものはきわめて異常な低い価格で推移しているというところからいたしまして、私は、この国際相場が戻るまでの間何とかつなぐことによって、将来の鉱山発展あるいは国民経済の中における貢献ということを期待していくべきだ、かように考えておるわけでございます。  ただいま鉱政懇の問題にお触れになりましたが、実はいま少しく早く鉱政懇として意見がまとまる予定であったわけでございますが、御承知のように、三月時点になりまして、一部の業界から非常に画期的な意見と申しますか、提案がなされてまいったということがございまして、その提案中立委員の中で現在検討しておるということで、当初予定いたしたよりも若干おくれてはおりますが、できるだけ早く中立委員の中における検討を終えて、全体会議で結論を出したい、かように考えております。
  13. 後藤茂

    後藤委員 時間がございませんので、あと二、三点お伺いをしたいわけですが、一つは、私が先ほどから申し上げておりますように、もし対応策を誤りますと鉱山はすべてなくなるだろうと思うのです。今日の価格から考えてみましても。そこで、金属鉱業関係者の間からも、何とかひとつこの価格差、これに対応する対策を講じてもらえないかという要望が出てまいっております。調整基金構想と申しますか、こういう一つのファンドというものを金属鉱業というものは内在的に必要としているのではないか、そういう意味で、この調整基金というような名前が適当であるかどうかはともかくといたしまして、この対策をぜひ講じていくべきではないかということが一つと、それから、それをやるためには、今度の五十三年度予算は成立をいたしましてもうすでに施行されているわけですから、当然補正の問題になってくるだろう、こういう補正予算の中でこのことが考えられていかなければならないということになるんだろうと思いますけれども、ぜひひとつ補正予算の中にこのことを明確に位置づけていただきたい。しかし、その補正予算で決まるまで、実はここが私は一番大切だと思うのですが、この決まるまでの間、一体この苦境をどうやって救済してやるべきかということが大きな緊急の課題になってきていると思います。そのためのつなぎ融資というのですか、あるいは緊急融資というのですか、何らかの助成策融資対策というものがとられていかなければならないと思います。  長官は恐らく、いや、いろいろ考えておるが、赤字補てん的なものに対してはむずかしいというような答弁をなされるのではないかと思うわけですけれども、そういうことをしておるうちに大切な金属鉱業というものを烏有に帰してしまうということになりますから、ひとつ今国会中に、もうあとわずかでございますが、その方向づけをひとつ明確にしていただきたい。いまの金属鉱業で一番不安に思っておりますのは、もちろんきょうあすそういった対策がとられることを渇望していると思いますけれども、それよりも政府金属鉱業政策に対する基本的な姿勢と、どういうように持っていこうとしておるのかということに対するその方向づけが明確になってくるときに、また企業努力によってこの危機を克服していくという動きも出てまいるだろうと思いますので、いまの調整基金制度なりあるいは補正予算が組まれていくことは私は必然だと思いますので、その中におけるこの対策、そしてさらにつなぎ融資等について長官の考えをお伺いしたいと思います。
  14. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 幾つか御指摘があったわけでございますが、まず、調整基金の問題でございます。  冒頭、私がお答えを先取りするような形でお答えいたしてしまったわけでございますが、その中で申し上げた二つ目国際商品であることにいかに対応するか、従来のコスト補てんだけでは足りない状況にあるということを申し上げたわけでございますが、いわゆる調整基金なるものの性格なりあるいはその内容なりをどのように考えるかということは別といたしまして、私自身、従来の対策だけでは乱高下の激しい国際価格に対応していけないというところに問題の認識を持っておりますので、それに対して何らかの具体的な措置準備すべきだというふうに考えております。  それから、補正云々の問題につきましては、これは私たちとして補正云々ということを申し上げる立場にございませんが、できるだけ早い機会予算あるいは状況によってはそれを実行に移すための法制化ということも必要かと思いますが、できるだけ早い機会に必要な立法あるいは予算措置が講じられるように努力いたしたいと思います。  それから、つなぎの問題でございますが、これは現行制度の中でどこまでやれるかということに当然なってくるかと思いますが、政府関係金融機関あるいは市中金融等を通じましてそういったつなぎをつけていく、そのための御協力をしていきたいというように考えております。  それから、今国会中に基本的な方向づけをということでございます。先ほど鉱政懇状況についても御報告申し上げたところでございますが、私たちといたしましても、できるだけ早く成案を得て実行に移すための具体的な準備に入りたい、かように考えております。
  15. 後藤茂

    後藤委員 最後に、一つ具体的な問題でお伺いをしておきたいと思います。  あの地震シアンが流出して大変苦境に陥りました中外鉱業の持越鉱山の問題ですが、私もあの地震の際に行ってまいりました。大変心配をしたわけですけれども、最近はシアン鉱害等についても大体安全であるという宣言がなされたようでございますが、問題はその後の再建計画、この五月中には何とか再建計画をつくり上げていきたいという方向にあるようです。ただしかし、いままでの青化製錬に対しまして、今度は浮遊選鉱方向に持っていかなければならないだろう、ということになってまいりますと、やはりその設備が資金が要るわけですね。これは本当に地震という天災、あれは直下地震というのですか、それによってああいう事態が起こったわけです。しかも持越あるいは清越という鉱山、これはやはりつぶしてはならない鉱山だと思います。その製錬、選鉱のための設備に対しまして、天災融資法等もあるわけですが、いろいろな方法を講じて低利の融資策をぜひとっていただきたい。そうでなければ、またここも大変な事態に陥ると思いますので、長官からこの中外の持越の問題につきまして積極的な御発言をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 持越鉱山のとりあえずの緊急資金につきましては、御承知のように事業団の方から融資が行われたわけでございますが、本格的な復旧のための資金につきましては、現在関係会社と金融機関で再建計画をもとにして検討を進めておるということでございます。持越鉱山は中外鉱業の主要鉱山でございます。ぜひこれを復旧の軌道に乗せたいというふうに考えておりますので、私たちも、そういった当事者間の話し合いを側面から協力して、復旧への一歩を踏み出すように努めたいと考えております。
  17. 後藤茂

    後藤委員 終わります。
  18. 山崎拓

    山崎委員長 板川正吾君。
  19. 板川正吾

    ○板川小委員 私は、鉱業政策の総論については後藤委員の方からいまるる質問もありましたから、単刀直入に、具体的な問題、各論に入ってみたい、こう思います。  まず、エネ庁長官伺いますが、四月二十日の前回の当小委員会で、参考人よりいろいろの要望が出されております。一つは、鉱業政策位置づけのために基本法を制定してもらいたい、第二は、安定基金制度の創設をしていただきたい、第三は、当面の危機を救済していただくために低利の緊急融資をしてもらいたい、第四は、電力料金の割引を何とかしていただけないだろうか、第五は、閉山後も負担を強制される鉱害防止対策、永久に負担をされるこの鉱害防止対策を一定の条件下において免除をしていただけないだろうか、こういう五つの点で強い要望があったことは御承知のとおりでありますから、この五つの点についてエネルギー庁としてはどういう考え方をお持ちなのか、これは可能性があり、これは可能性がない、ないというならどういう理由だろうか、この五つの問いに対してひとつ御答弁を願いたいと思います。
  20. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず第一点の鉱業基本法の制定という問題でございます。この点については、私たちの考え方は、鉱山業界が置かれている現状をよく認識いたしまして、その認識の上に立って鉱山対策方向あるいはそれを実行に移すための具体的措置、こういったものを固めることが先決ではないかというふうに思っておるわけでございまして、その上で法制化が必要であるということになってまいります場合に、その法制化の内容に応じまして、基本法と呼ぶか、振興法と呼ぶか、安定措置法と呼ぶか、いろいろな表現もあろうかと思いますが、いずれにせよ、私といたしましても、何らかの具体的措置を長期的な方向づけのもとにおいて実施に移すべき時期に来ておるという認識に立っておりますので、そういった方向に即して、まず内容を詰めていくということが先決だと思っております。  それから、二つ目の御指摘は安定基金制度でございますが、これも先ほど来議論が出ておったこととも関連いたすわけでございます。いわゆる変動の激しい国際価格、この乱高下に対して日本鉱山が受ける企業的な圧迫、これをどのようにはね返していくかということになろうかと思います。まあ基金の形をとるのかあるいはその財源、使途をどのようにするのかといったような問題は、一番目のテーマで申し上げた具体的内容の詰めの一環として検討させていただきたい、かように思います。  それから、三つ目の緊急融資つなぎとしての緊急融資という御指摘でございますが、この長期低利の程度によりまして、物によってやはり予算措置を必要とすることにもなろうかと思いますが、安定基金といったような構想ができるまでのつなぎということであれば、現行の制度の範囲内あるいは市中金融の協力を得てどこまでこの緊急融資、質のいいものとして確保できるかという問題になろうかと思います。  それから、四つ目の電力料金について、いわゆる政策料金の適用ということでございます。これは先ほどお答えをいたしたことでございます。政策料金非鉄金属に適用するということは、現在の電気事業法のもとではなし得ないということでございますので、特約料金制度を極力活用していくということには当面なろうかと思います。  それから、五つ目の鉱害防止対策関係でございます。これは業界から要望の御趣旨もよくわかるわけでございますが、いわゆるPPP原則との関係もございますので、今後の検討課題として預からせていただきたい、かように思うわけでございます。
  21. 板川正吾

    ○板川小委員 基本法という問題は、実体法ではありませんから、一つ鉱業政策位置づけ政府はどうするか、こういう問題ですね。ですから、これによってすぐさま当面の危機が打開されるという性質のものではない。その意味では基本法の制定は早急でなくてもいいが、しかし、鉱業政策というものを政府はどう位置づけるかということをやはり明らかにする必要があるだろう、こう思います。私どももいま基本法の試案を用意をしつつあるわけでありますが、政府も、この基本法問題、長期的な展望に立って鉱業政策をどう位置づけするかという点をぜひ前向きで検討してもらいたいと思うのです。  これは一番大きい問題ですからとりあえず言いますが、この安定基金の創設という問題、いろいろ問題があるだろうと思うのですが、私は一つの基金構想というのも考えてみたのです。こういう基金構想、これはある意味では全く素人流の考え方かもしれませんが、たとえばこういう基金構想はできないものかなと思うのです。  ユーザーに一定の金額を市価にプラスをして負担してもらう。これは消費量に応じて一定の金額を負担してもらう。それは出資という形になるかあるいはどういう形になるか、これは独禁法の関係とか国際通商上の問題等もありますからむずかしいのですが、いずれにしましても、ユーザーが使用量に応じて一定の金額を負担して出してもらう。それから企業側も応分の出資をする。県や自治体でも応分の出資をする。これはこの前青森の知事もそう言っておりましたから、出資をしてもらいまして、ユーザー、企業、県、自治体等の出資の割合に対応して国も一定の金額を出資をする。出資ということにこだわりませんが、この一定の金額の中で、いまの生産費と支払い価格の間のギャップを一時立てかえてその基金から埋めていく。結局鉱山側はそれを一時的に借りるような形になる。もちろんこれは一定の安定価格というのを設けます。たとえば銅であるならば、これは私の腰だめですからわかりませんが、仮に五十一万から五十三万程度の間に安定価格を設けてそのギャップを一時ここから借りる。そして将来、その安定価格以上になった場合には直ちに基金にそれを返す。銅の場合で議論しますが、業界側からいうと、安定帯価格が仮に五十二、三万、そして六十万になったら返すようにしてくれというような虫のいい考え方がありますが、これは私はちょっと虫がよ過ぎると思うんですね。安定帯価格をオーバーした場合には直ちにまず返済していく。そして返済が終わったら今度は自分のふところに入る。要するに、こういう形で基金を出し合って、それからその価格差を一時借りる、それ以上になった場合には直ちに基金に返済をする、返済し終わったら今度は鉱山側は自分のふところに入る、こういう構想で基金というものができないものだろうか。  これはあるいは全く素人の議論かもしれません。その安定帯価格というのも、これまた十分議論しなくちゃなりませんが、これなら独禁法にもひっかからないし、国際的にも非難を受ける制度ではないじゃないか。ただ、ユーザーなどが仮にトン五千円なら五千円上積みして支払う場合に、それが企業会計の場合に利益と見られたんじゃ税金がかかりますから、これは損金になるような措置をしてもらって、ただし返済されたときにはそれが利益になる。五千円なら五千円、量に応じて支払いするときはそれは損金として算入できるようにして、戻ってきたときはこれは益金という勘定にする、こういうことになれば、ユーザー側も何とかがまんしてくれるのじゃないだろうか、こう思いますが、この基金構想試案に対して、長官、どういうようにお考えでしょうか。
  22. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在、先ほど申し上げました鉱政懇中立委員の中でいろいろ検討しておるわけでございますので、ただいまお話しの案についても、その中の一つの案ということで検討させていただきたいと思います。  ただ、せっかくの先生の案に対して、私も批判めいたことは言いづらいわけですが、御指摘のようなことは確かに一つの考え方だと思います。特に価格差補給金といったような形で渡しつばなしにするということになるとかなり問題があるかと思いますが、それをまた返済するんだということにおいては一つの考え方だと思うのでございます。一方、その間といえども担保をどうするのかあるいは企業経理上どういう取り扱いになるのか、補給金として入った場合には今度は企業経理にプラスになる反面、先ほどおっしゃったように税金との関係が出てくる、単純な借り入れということだけでいくと企業経理上余り好ましい形にならないといったような問題もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、そういった問題も含めまして、実現可能性と申しますか、制度としてのフィージビリティーがあるかどうかということにポイントを置いて、一つ検討テーマにさせていただきたいと思います。
  23. 板川正吾

    ○板川小委員 検討テーマであることは間違いないんですが、その検討テーマの期限ですね。たとえば商工委員会で何回も質問なんかありますと、鉱政懇の結論は三月半ばに出します。こういう話でしたね。その後また四月半ば、最近は六月半ばでないと出ないというんですね。だんだん引き延ばしてしまって、検討すると言っても、六月半ばになったら、また出ませんと言うんじゃ、一体日本鉱業政策というものをどういうふうに考えておるのだろうか、鉱山の実態というのを一体どういうふうに認識されておるんだろう、このまま放置していけば何とかなるのじゃないか、こう考えておられるのかな、こう思いたくなるんですね。長官は、先ほど何とかこの機会鉱業政策の展開を図りたい、こう言っておりますからわれわれも期待しておるのですが、鉱政懇の結論というのを先へどんどん延ばされたんじゃ困るので、どうでしょう、どこに鉱政懇の結論が出ないというポイントがあるんですか、その点をお聞かせ願いたい。
  24. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私たちも決して現状を軽く見ているわけじゃございませんで、先ほどお答えいたしておりますように、非常にせっぱ詰まった時期であるという認識については私たちも同じ立場におるわけでございますが、ただ、鉱政懇におきまして実は三月中に結論を出したいということでやっておりましたところ、率直に申し上げまして、基金制度、それも初年度三百億、全体で一千億、非常に大きな提案と申しますか、御要望が出てまいったわけでございます。それをこなすのに諸般の事情もあるいは諸般の要件も加味いたしまして検討に入っておるということで、やむを得ずおくれてきておる、決して軽視するがゆえにじゃなくて、事の重大性と提案の規模が余りにも大きいといったところから、率直に申し上げて委員諸公も戸惑っておるといったような点もあるわけでございます。私たちも、もちろん鉱政懇の陰に隠れてこちらが腕組みをしておるということじゃございませんで、鉱政懇における審議に並行してあるいはそれに先行して、われわれ事務方といたしましてもいろいろな案について検討いたしておるということでございますので、若干のタイミングのずれというものについては御理解を賜りたいと思います。
  25. 板川正吾

    ○板川小委員 若干じゃないものだからこっちもせいているんですが、三百億、一千億という業界の主張も、正直のところ言って余りにもオーバー過ぎるものもありますよ。この年間売り上げをちょっと見ますと、銅が約二百億、亜鉛が二百億、鉛五十億、金、銀、硫黄その他合わせてほぼ六百億だったですね。年間売り上げのその差額を——この中で安定価格をつくるというのは、鉛は除きますから銅と亜鉛だけでしょう、いま考えておるのは。鉛にはその必要はないんですから。そうしますと、銅と亜鉛は合わせて四百億の年間の売り上げでしょう。それに三百億も価格差補給金を出すなんという、そんなばかげた数字は出ないのじゃないですか、三百億、一千億という数字は、だから、それは専門家同士で話し合えば、そういう要求というのがいかに想像を超えた数字であるか、話はわかるのじゃないでしょうか。年間売り上げがその程度であるならば、価格差補給金はそんなに莫大にならぬじゃないだろうか。百億程度で間に合うのじゃないかと思うのですが、ちょっと私のその数字、違いますか、年間の売り上げその他について。
  26. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非常に価格乱高下と申しますか、いままでのところは低くなる一方で来ておったわけでございますので、一概に言い切れないかと思いますが、年間の売り上げは、大体先生の御指摘になったような金額ではなかろうかと思っております。私自身、三百億というものが出てきた根拠は、五十二年度までで百数十億くらいの赤字がたまっておる、それで五十三年度もそれくらい出てくるのじゃないかといったような計算で、初年度三百億要るといったような御提案があったのじゃなかろうかと思います。しかし、いろいろな意味を含めて実現可能性のあるものとして私たちとしては検討いたしたいと一いうふうに考えております。
  27. 板川正吾

    ○板川小委員 そうでしょう。そんなに金額は多いはずはないのですよ。だから、三百億と一千億が出たから、たまげて、どうやっていいか対策方法がわからないというのじゃ、頭のいい長官としてはおかしいのじゃないですか。そんな数字に驚かないで、実態を考えて本当にどうすればいいのだということをやる気ならできるのじゃないでしょうか。  そこで伺いますが、なるほどいま銅、亜鉛価格が大変暴落をしておりますが、最近アメリカ、カナダでも減産をしよう、こういう動きになっておりますね。ザンビア、ザイール、ペルーでも一五%の減産を発表しておりますね。それから、LME、ロンドン取引所の在庫も減りつつあるでしょう。こういうことを考えれば、これから何ヵ月後かわかりませんが、最低を脱して、銅、亜鉛なども値上がりをする傾向、要するに暴落から通常の価格に戻る傾向にあるのじゃないでしょうか。これからどんどん下がる可能性があるというなら、何か奈落の底に落ち込むような気がするから、三百億も一千億もという構想もあるかもしれませんが、世界的なそういう需給関係を見ますと、いまがまさに最低で、これから下がっていかないで上がるばかりであろう、こういう感じがいたしますが、長官見通しはどうですか。
  28. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまお話ございましたように、私たち、アメリカ、カナダ、豪州といった先進銅国が昨年来非能率鉱山休閉山するという発表をいたしておりますので、その部分だけで世界需給関係はフローベースで均衡するものというふうに見ておるわけでございます。したがいまして、ザンビアだとかペルーだとかが減産に入りましたら、その分だけ過剰在庫とされている百五十万トンを減らしていく方向に働いてくる、かように見ておりますので、先ほどお答えしたところでございますが、現在のLME相場というものは底であるという認識をいたしております。
  29. 板川正吾

    ○板川小委員 銅の価格などは、一たん減産体制がとられて需給がタイトになってくるという見通しになると、投機的な要素を持っておって、そうなると今度ば予想外に上がるということもあるのですね。  そこで伺います。私、一応銅にしぼります。銅の対策なり考え方なり、できれば亜鉛にもそれを適用できるかと思うものですからお伺いいたしますが、銅の価格、仮にLMEが三十二万円としまして、関税メリット分をその上に乗せますと、山で受け取る金額は現在幾らになるんでしょう。
  30. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在、銅の国内トン当たり四月時点で三十二万円でございます。これに対するコスト補てん分は、五十三年度につきましては最近十三万九千円という決定を見ましたから、それを足したものになる、こういうことでございます。
  31. 板川正吾

    ○板川小委員 四十五万九千円、ほぼ四十六万円になりますね。仮に安定価格を五十二万円としますと、トン当たり六万円の価格差を何とか稔出をすればいい、こういうことになりますが、それに要する費用というのはどのくらいになると思いますか。
  32. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 国内鉱石が六万八千トン、七万トン弱でございますので、六万円と計算いたしますと四十二億、大体四十億前後ということになろうかと思います。
  33. 板川正吾

    ○板川小委員 四十億程度になると思いますが、その程度のもの、あるいは亜鉛も含めますとどういうふうになるかはまた別としまして、基金というのは大体百億も用意すれば何とかなりそうじやないでしょうか。たとえばことし石炭対策では千二百七十億円出ておるんですね、石油関税分として。それは必要があって、これまた石炭政策上、エネルギー政策上必要がある、こういうことで出されるわけです。ですから、これは国としても、鉱業政策の維持を図るために何らかの出費をすることも、国の政策として当然必要じゃないかと思いますがね。石炭に見合って出せとまでは言いませんけれども、私は出すことが必要じゃないか、こう思います。それは長官、しっかり大蔵省なりと議論してやればできるんじゃないかと思いますが、ひとつ早急にがんばってもらいたい。  時間がありませんから、もう二、三分ですから……  昭和四十六年十二月二十二日に、第六十七回国会鉱業政策の確立に関する決議がなされておりますね。その決議の第一に、「需給及び価格の安定」として、「銅、鉛、亜鉛等ベース・メタルの需給及び価格の安定を図るため、需給価格安定調整の制度を確立する」、こういう決議がなされておる。国会の意思が価格安定の制度を確立せよと言っておるのに、今日までその制度が確立できない理由はどこにあるんでしょう。なぜできなかったんでしょう。
  34. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘のありました決議に基づきまして、一つは、関税還付制度と申しますか、スライド関税を活用したコスト補てん策がその一還として実施に移されておるわけでございます。それから、一昨年からいわゆる備蓄制度を発足させておるわけでございますが、これもただいまの決議に基づいたものでございます。ただ、それだけでは十分でないという現状からいたしまして、先ほどお答えいたしておりますように、この段階において国際商品としての特性にどうこたえるかということについて対策を現在検討しておる、こういうことでございます。
  35. 板川正吾

    ○板川小委員 六分までですから、あと一分しかありませんから、これから問題提起はできませんが、とにかくせっかく大臣も何らかの対策を考えなくちゃいかぬという気持ちになってきましたし、各政党も一致して、この際、鉱業政策の展開のために何らかの具体的な対策を講じろ、こういう要求をしておるのでありまして、当委員会でさらに議論を重ねながら、この国会でひとつ何らかの具体的な対策を込めた決議に取り組んでいきたいと思いますが、長官、ひとつ本気で考えてくれるかな。この対策について、いろいろごもっともだけれども十分検討しますでどんどん先へ行ったんじゃ、結論出ませんから、ぜひひとつこの国会の終わるまでにわれわれも決議をしたいと思うので、それには具体的な内容を持った決議にしたいと思いますので、従来どおりじゃなくて、発想を変えて新たな鉱業政策をひとつ展開するように要望して、私の質問を終わります。
  36. 山崎拓

    山崎委員長 松本忠助君。
  37. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 去る四月の二十日にエネルギー・鉱物資源問題の小委員会が開催されまして、日本鉱業協会長を初めといたしまして経営者側から三名、労働者側から全日本資源労連の中央執行委員長、さらには秋田県知事を加えまして六名の方々から貴重な御意見を伺ったわけでございます。時も時、春闘の時期に労使それぞれの代表者が一堂に会したわけでございますけれども、賃上げ要求どころでなく、非鉄金属鉱業問題、この盛衰をかけていろいろとお話があったわけでございます。盛衰をかけるというとりも、むしろ生死にかかわる問題について労使ともどもほぼ統一した御要望、そしてまた現状をるる述べられたわけでございます。  特に私は、鉱業県秋田の県知事が、二十四年間、労使いずれかにくみするというのでなく、ただひたすら金属鉱山のために一身をかけて闘ってこられた貴重な御意見には敬服をいたした次第でございます。  また、それと同時に、秋田県独自の施策について述べられましたけれども、いわゆる鉱害問題が今日のように社会問題化する前から取り組んでこられました米代川沿いに六十八キロメートルのパイプを敷設し、月に三万三千トンの選鉱鉱滓を能代市の海岸の砂丘地に平面堆積させて、これを浄化して無害の水として放流するという世界に類例のない事業を総工費三十億刊をかけて完成し、県の責任において鉱害処理を行っている、現在も順調な安全管理が行われているようなお話を受けまして、大変大きな感銘を受けたわけでございます。  そこで、長官伺いたいわけでございますが、県独自でもこのような事業をやった、そしてこのように鉱害問題に熱心に取り組んできた。それにもかかわらず、国ではこのような鉱害処理を本当に行った例があるのかないのか、この点をまず伺ってみたいと思うのでございます。
  38. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 国が直轄事業としてやったことはございませんが、税制、金融等を通じて助成するという姿勢をとっております。
  39. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 いまの答弁を私どもは大きな不満といたします。やる気がないと私は言わざるを得ないわけです。やるところがない、そういうことではなくて、やる気がない、多少の金をつけてそれでごまかしているというのが現状ではないかと思うのです。こういうことではならぬと私は思うわけでありまして、まず政府のこの鉱害問題に対する取り組み、しかも私が言いたいのは、いま鉱山が閉山間際のもの、そしてまたすでに閉山してしまったもの、こういうものから流れ出してくる水というものは、これはまた本当に大変な社会問題を惹起しているわけでございます。山から鉱石を掘り出さなくなっても、その鉱害の含んだ水というものを処理しなければならないのが地方の県の実情でございます。こうした点を考えてみましたときに、いま日本鉱山が危急存亡のときにある、そしてこれに対して鉱害の続発ということが予想される。こういう中にあって、いままでの政府の取り組みというものは、まことに不徹底きわまるものである、こう言わざるを得ないわけであります。この点に対して今後どのように取り組んでいくか、簡単に決意を述べていただきたいと思います。
  40. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 現在、休廃止鉱山に対する補助金、それから保安法による規制、それから無資力鉱山による場合は国あるいは県による坑廃水の処理といったようなことを実施いたしておりますが、今後、PPP原則との関連もございますが、御指摘のような点について検討をいたしたいと思います。
  41. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 全く私はいまの答弁に失望を禁じ得ません。委員の皆さん方が異口同音にそのことを表明されているわけでございまして、この点はひとつ考えを直していただかなければならないと思います。  時間の関係がございますから次へ進みますけれども、鉱山に対する県独自の探鉱制度というものが秋田県にもございます。そのことの報告もございました。長官は当日出ていらっしゃらなかったと思います。私、ちょっと読んでみますと、   また、鉱山に対する県独自の探鉱補助制度は  昭和三十二年から実施しており、昭和五十三年度分は四千万円となっており、さらに、県独自による電気探鉱の予算は、二地域で千七百万円を計上するとともに、国から新鉱床探査補助金が交付されるまでの間、金利三%によるつなぎ融資を実施する等、鉱山の生命である探鉱に対しましては、県としてできるだけの施策を行っておるところであります   また、鉱山が不況に陥った五十年度からは、不況対策資金融資として、五十年十億円、五十一年五億円、五十二年八億円を金利七・六%で融資してまいりましたが、さらに五十三年度は当初予算に、中小八鉱山を対象に県が六億円を無利子で県内三銀行に預託し、銀行から二倍の十二億円を三・九%の金利で一年据え置きの五年償還で緊急の融資を行って、その損失補償は県議会の議決を得、県が行うことにしております このように五十三年度、要するに五十三年度というのは四月の一日から始まって、本日まだまだ四月であります。少なくともこの予算が決められたのは三月の末であろうと思うわけであります。そうしたことを考えてみますと、このように県独自でもやれるものはやる、国からのいわゆる補助金が来るまでの間のつなぎとしてもこれだけのことはやらなければならない、こういうふうに県、県議会そのものが真剣になって取り組んでいる状態というものを長官も十分に認識しなければならないと私は思うわけでございます。とかく責任体制を放棄するというのが多い世の中でございますけれども、こうしたように県独自の施策というものを強力に推進している、このことは県内の鉱山と地域社会が一体となって運命共同体である、死ぬときは一緒だ、こういう考え方でやっているわけでありまして、このことについては本当に敬服せざるを得ないわけであります。これに反しまして、国は一体どうしているんだ、国の施策に対して疑問を私は呈せざるを得ません。  秋田県の場合には、探鉱補助制度というものは昭和三十二年からすでに二十年間にわたって実行されております。この間に、非鉄金属価格というのも高値を維持した時代もあったと思います。したがいまして、そういうときであったからできたんだ、あるいは税収があったからできたんだ、このように反論されるかもしれませんけれども、鉱山が不況に陥った五十年度から昨年度までにも、二十三億の融資を行ってきたわけであります。本年度の予算では、ただいまも申し述べましたように、六億円を県内三行に預託して、銀行から二倍の十二億円の緊急融資を行っている。その取り組み方、その熱意、こういうものに心を打たれるものがございます。  それに比べまして、国の対策は遅々として進んでおりません。まことに遺徳に思います。しかし、二月の十四日に施行されましたいわゆる円高法、円高関連中小企業対策臨時措置法、これに基づきまして輸出関連産業として緊急融資の道が開かれているわけでございます。しかし、これがまたPR不足が災いいたしまして、活用し、緊急融資を受ける例というのがまことに少ないと思うわけでございますが、これらの中小鉱山で県に申請した事例があるかないか、そうしたことが通産省に、エネルギー庁の方に報告があったかなかったか、この点をひとつ確かめてみたいと思います。
  42. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、探鉱助成の問題でございますが、減耗資産を事業対象としておる鉱山において、鉱量確保ということは当然前提条件になってくるわけでございますので、私たちといたしましても、従来から探鉱助成対策一つの大きな柱にしてきているわけでございまして、現に五十三年度におきましては十三億六千万を計上いたしまして、昨年に比べまして二億程度の増額になっております。今後とも実情に応じてこの助成度を厚くしていきたいというふうに考えております。  それから、緊急融資の申請でございますが、これはいままでにすでに二件申請してきておりまして、その他の中小鉱山については現在申請の準備をしておるというふうに承知しております。
  43. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 その二件というのは、一体どことどこのお話でございますか、具体的に……。
  44. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 下川鉱山と明延鉱山二つでございます。
  45. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 それは恐らく商工中金から出ていることと思うのでありますけれども、融資額は幾ら、それから金はすでに出たのか出ないのか。
  46. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 下川につきましては、すでに二千万円の融資が行われておりまして、明延については現在審査中ということでございます。
  47. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 こういう道が開かれていたならば、やはりこういうときには徹底したPRが必要だと思うのです。このことは別に、エネルギー庁長官に私は言うのでなくて、通産当局全体に私は言っておきたいと思うのです。私は、この問題に対しましては円高法のときにもいろいろ言いました。PRが不足なんだ。どのような法律ができても、それを末端まで流して、そして銀行の取り扱いがまた本当に親切丁寧にやってやることが必要だということは、岸田中小企業庁長官にも私この問題では苦言を呈したことがございます。そうした点から、私は、こういう道も開かれているんですよということをぜひ教えてやっていただきたいし、そうしてまた、その道によってこのように、まあ二つ鉱山で金額はわずかではございますけれども、しかし実現をしているという点についてもっともっとPRをしたならば、本当に苦しんでいるところがつなぎの融資の幾らかでも道が開けるのではなかろうか、こういうふうに思いますので、重ねてこの点の御要望を申し上げておきます。  次に、いま非鉄金属業界で抱えている最大の問題点、これは価格の安定の問題だろうと思うわけでございますが、国際相場の低迷に原因は尽きると思うわけでございますが、先般も、四月二十日の参考人の意見の陳述の中で、日本鉱業協会の会長がこのようにおっしゃっております。  「現在、価格はポンド当たり六十セント、日本価格で三十二万円前後で推移しておりますが、この価格水準では自由世界鉱山の大半が赤字操業を余儀なくされておりまして、きわめて異常な低水準にあります。」また、「何ゆえこのようなことになっているかということでありますが、これはいわゆるオイルショックに端を発する世界景気の後退に伴って、銅の需要が大幅に減退したことが大きな原因であります。すなわち、昭和四十八年には、自由世界全体で約七百万トンの需要があったのですが、昭和四十九年、五十年の二年間で百八十万トンも需要が減ったわけであります。」このように陳述されているわけでございます。また、「ロンドン及びニューヨークの銅の取引所に約八十万トンの銅が在庫され、これが銅相場の頭を抑えているわけであります。」このように陳述があったわけでございます。  そこで、国際相場の問題を日本鉱業協会の会長が指摘されたわけでありますが、現在この価格水準で自由世界鉱山の大半が赤字操業を余儀なくされているということは、大変なことだと思います。国際的な大きな問題だと私は思うわけでございます。したがいまして、日本政府としてもこの国際価格の問題を取り上げて世界の諸国と話し合いをし、乱高下するところの価格の安定を図り、そうしてわが国の非鉄金属業界の経営の安定を期すべきではないかと思うわけでございますけれども、政府としてこの問題を国際会議の場所で話し合う、そういう提案をするつもりがあるか、また、いままでそれに対してやってきた実績があるかないか、こういう点について一応確認の意味においてお伺いをいたしておきたいと思います。
  48. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非鉄金属国際商品でございますから、それぞれの国で独自の対応策検討するのとあわせまして、国際的な場で国際協調の精神にのっとって対応する必要があろうかと思います。現に、UNCTADの銅会議の場におきまして日本側も参加いたしまして、ここでいろいろ検討を重ねております。現在まで三回の準備会議を終わりまして、四月、五月にかけまして作業部会を開き、さらに五月には第四回の作業部会を開くというふうに日程がなっております。この場で銅価格の安定、需給の調整についてどのような方策を講ずるかということについて検討が進められておるわけでございまして、日本といたしましてもこの場で積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  49. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 その決意はわかるわけでございますけれども、ただ、自由世界のこういった国際会議に出ていくと、とかく日本政府の代表というものは発言が非常に弱いということをわれわれはいろいろな点から聞いておりますが、やはりこういうふうな日本非鉄金属業界の成否を一身に担って出席するからには、私は、堂々と問題を提起し、そして十分な成果を得て帰っていただかなければならぬと思うわけでございます。この会議にこれから臨むについての決意、そしてそういう国際的な会議にはもう長官みずから乗り込むんだという熱意を示してもらいたいと思うのでありますけれども、この点に対して、長官、どのようにお考えでございましょうか。
  50. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 このUNCTADの銅会議の場では、御承知のように銅資源産出国はCIPECという会議体を持っておりまして、率直に申し上げまして、資源産出国と消費国資源産出国の中でも開発途上国と先進国とあるわけでございまして、そういった関係各国の利害の調整ということがやはり大きな問題になってきておることは事実でございます。日本の場合は、資源といたしましては現在その多くを海外に依存してきておるわけでございますが、消費の面からいいましてもかなり大きな消費国になっておる、一方、国内鉱山を抱えておるという二つの立場があるわけでございます。そういった立場に立ちまして、産消国の間にあってわが国の事情というものを主張し、価格なり需給の安定のための具体的な方策に意見の一致を見るように日本の主張をすると同時に、その場におけるコンセンサスを得られるように努めてまいりたいと考えております。
  51. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 出席されたからには、もちろん自分の一方的な意見ばかりを言うわけにもいかぬと思いますが、しかしながら、やはり日本の国の非鉄産業業界、そしていまの現状、こういうものを認識されて御出席になるわけでございますから、当然自分たちの主張というものを正しく相手側にも伝えることが必要だと思いますので、せっかくがんばっていただきたいと思うわけでございます。  次の問題に移りますが、私は、三月二十四日の商工委員会の一般質問の中で、鉱山経営安定緊急融資制度あるいはまた鉱山維持調整基金制度、この問題について質問をいたしたわけでございます。そのときに、河本通産大臣と橋本エネルギー庁長官から御答弁いただいたわけでございますけれども、率直に言って、国内鉱山をどう救済すべきかといった積極的な見地からの答弁ではなかったように私は思うわけでございます。長官御自身がここにいらっしゃるわけですから、思い出していただけばわかるわけでございますが、長官は、   ただいま御指摘の緊急調整基金制度あるいは先ほど指摘緊急融資制度でございますが、われわれといたしましてもすでにいろいろと検討いたしております。特にそれが現実の問題として十分機能し得るかどうかという問題もございますし、あるいはその財源なり使途なりどのようにするかといった現実的な検討も必要かと思いますので、われわれも慎重に問題点を詰めておる、 こういうふうな御答弁があったわけでございます。俗に、慎重に問題点を煮詰めるとか検討するとかいうのは、政府のもういつもいつも言う言葉でありまして、私たちもこれを聞いて安心はしておられません。  そこで、この問題について私どもがいろいろ聞いてみますと、こういう制度について申し込んできた、意見を具申してきたその時期、それが予算が決定した後だったというようなことも聞いておりますけれども、私は、いずれにしても昭和五十三年度の予算は、まあ通りましていまその執行にかかっているところでございますけれども、とてもいまの予算だけで果たして景気回復ができるか、七%の経済成長の問題が達成できるかあるいはまた六十億ドルの問題が解決できるか、これまた非常に疑問とせざるを得ません。いずれにしても補正予算を組まなければならない、こういう時期が必ず来ると思うわけでございまして、私たち公明党といたしましても、先般政審会長から福田総理に申し入れをいたしております。  早い時期に補正予算を組むべきである。そのときに総理のかわりに会われた官房長官も言っておりますが、まだ現段階では予算が通ってない段階——その申し入れをした段階では確かに通っておりませんでした。しかし、もう事態は緊迫しているから、今国会中に、要するに五月十七日までの間に補正予算の提出をしてやるべきである、このようにまで私どもは言ったわけでございます。しかし、安倍官房長官は、そのときに、いまの予算を執行してみて、補正予算を組む考えはない、いまの予算を一刻も早く通してもらいたい、こういうふうな答弁がございまして、この補正予算の問題には余り触れなかったわけでございますが、その後やはり補正予算というものは各党間からも非常に要求が出ておりますし、われわれといたしましても補正予算を早い時期に組むべきである、このように思っておるわけでございますが、こうした時期はもう目と鼻の先に来ていると私は思うわけでございます。  そうしたときに当たりまして、先ほど鉱山経営安定緊急融資制度あるいは鉱山維持調整基金制度、こういったものについて長官先ほど読みましたお答えをもう一度言うと、慎重に問題を煮詰めているというわけでございますから、煮詰めがもうできたならばやはりこの制度というものを生かさなければならないと思いますが、これを補正予算の中に組み入れる考えがあるかないか、この点についてお尋ねを申し上げておきます。
  52. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘緊急融資制度あるいは基金制度についてまずお答えをいたしたいと思います。先ほども申し上げたわけでございますが、鉱山業の特質は、地下資源であり一次産品であるということと並びまして、国際商品であるということになろうかと思います。ということは、国際市況の変動に応じて乱高下する国際価格の直接の影響を受けるという立場にあるわけでございまして、率直に申し上げまして、いままでそれに対してはいわゆるスライド関税制を活用いたしまして、一部コスト補てんをやってきたわけでございますが、ここまで価格が下落し、かように長期化してまいりますと、それでは十分の対応ができない、鉱山企業努力にも限界があるといったような認識に立っておりまして、これに対処するために何らかの具体的な対応に迫られておる、こういう認識に立っておるわけでございます。そういったところから、できるだけ早くその結論を出しまして、極力これが早く実行に移されるようにいたしたいということでございます。  二つ目補正予算云々という点でございますが、これについては私の立場からお答えし得る問題ではございませんが、できるだけ早い機会をとらえて実行に移すようにいたしたい、こういうことでございます。
  53. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 この第二点目の方、これはやむを得ないかもしれません。補正予算を組むのは大蔵省であります。しかし、補正予算を組む段階までに、政治的にも、こういう面はぜひ取り入れてほしいということは、大蔵省当局に長官が独自の見解としても申し入れるべきじゃないかと私は思うわけです。  それから、第一の問題でございますけれども、この問題は前向きに検討しなければならない、可及的速やかにやらなければならない、いろいろと言われました。一体その時期はいつなのか、政府答弁というものは、再々言うようでございますけれども、その時期というものを決して言わない。これが政府側の名答弁であります。しかし、それではならぬと思う。いままさに日本鉱山というものは火が消えるか消えないか、そういう土壇場、瀬戸際に来ているわけでございますから、この制度について検討するとするならば、いつまでにこれは検討すべきだ、あるいはまた、審議会あるいは懇談会の方の意向を早くまとめるためにぜひひとつ委員先生方にも精力的にやってほしいというような要請が当然なければならぬと思うわけでございます。そうした要請を経た上でいつまでにその結論を出そうとなさるのか、その時期をひとつ明示していただきたいと思います。
  54. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 時期を明確に言えという御指摘でございますが、非常にむずかしい問題でございます。いずれにせよ、新しい制度をつくる以上予算措置が必要でございますし、状況によっては法制措置が必要であるわけで、予算なり立法措置がいつの時点で、たとえば先ほど指摘のような補正予算なりあるいは臨時国会なりといったようなものと当然絡んでくるわけでございますが、少なくともそれに十分に間に合うように準備いたしたいと思います。
  55. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 要するに、骨組みができればそれに対して金が幾ら要る、こういうことになるわけですから、骨組みをまず先につくることが大事なんです。その骨組みをいつまでにつくるか、こういうことなんです。補正予算を組む時期を、私たちは早い時間を要望しておりますけれども、政府はなかなかそうはいかぬでしょう。恐らくこの秋口にならないと補正予算という時期にはなってこないだろう、こんなふうに私は考えております。しかし、それではならないと思うのです。もう鉱山の現状というものは、長官がごらんになって——恐らく御自身で足を運んだことはないと言っては失礼でございますけれども、私どもは、最近ずいぶんいろいろの鉱山へ出かけまして、その実態も見ました。そうしたところから見ると、やはり一刻も早くこの問題を何らかの目鼻をつけてあげる、こういう方向で行っているというような、せめて中間報告でも出すべきじゃないか。そうしてあげることが、この問題に悩んで取り組んでいる鉱山の方々、鉱業界の方々に対する温かい思いやりではないか、私はこう思います。中間報告というような形でも、こういう対応をしている、このようにやりたいと思う、それがそのとおりにいかなくてもこれはやむを得ないと思いますから、大体こういう時期までにはこのような中間報告ができます。こんな点まではひとつきょう明言できませんか。
  56. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 中間報告というのも一つの考え方だと思います。たとえばこのような場でこのような御議論をいただいていることも、先ほどからお話が出ております新しい制度ができるまでのつなぎ融資ということになると、政府金融機関でも現行制度の枠内しかできませんし、あとは主として市中金融に依存することにもなってこようかと思います。そういった市中金融機関の協力を得るためにも、いま国として、政府として何を考えているかということがわかるということも、その一つの大きな前進につながってくる問題だというふうに私たちも考えております。したがいまして、中間報告としてどの程度のものがまとめられるか、これは下手な中間報告を出せばむしろマイナスでもあるわけでございますから、その内容なりタイミング等については、御指摘の点はまさに私もさように考えるわけでございますので、最終結論がおくれるような場合には中間報告といったようなことで対応するのも一つ方法か、かように思います。
  57. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 お役人さんとしては限界の答弁だと私もわかるわけでありますけれども、やはり現状を本当によく認識されて、一刻も早くこの問題に結論を出していただけるように、重ねて要望いたしておきます。  時間もございませんから、先へ進めます。  備蓄の問題でございますが、市況対策として備蓄をするということは、企業在庫調整を助け、企業経営の圧迫要因をなくす、このような一面がございます。したがいまして、政府といたしましても、不況に悩む非鉄金属業界のために有効かつ適切な運用をしていかなければならないと思うわけでございます。過去の例、ここ一、二年の例でございますが、昭和五十一年度には三百億円の政府備蓄をいたしました。五十二年度には、民間備蓄でございますが、これまた三百億円実行されました。五十三年度には百五十一億の政府備蓄の積み増しをしよう、こういうふうなお話を伺っているわけでございますが、これは早期に実行に移すべき段階ではないかと私は思うわけでございますが、まず第一番目に伺いたい点は、百五十一億にとどめたという理由、もう一つは、この百五十一億を銅あるいは亜鉛、アルミあるいはまた鉛、そういったものを対象としてどのように備蓄をしていくのか、その備蓄の計画、こういったものについて二点お尋ねをいたしたいわけでございます。
  58. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 まず、五十三年度の予定いたしております百五十一億円についてはできるだけ早く実行に移したいと思いますが、この百五十一億にとどめたと申しますか、前二年度に比べて半分になっておりますのは、国内在庫状況を勘案いたしまして、これで十分であるということでございます。  それから、内訳につきましては、まだ暫定的でございますが、銅につきまして一万五千トン、亜鉛につきまして一万三千トン、アルミにつきましては二万トン程度予定いたしております。
  59. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 できるだけ早くこれを実施に移したいというお話でございますので、これは本当に早急にやっていただきたいと思います。  それからまた、その百五十一億にとどめたということは、要するに国内在庫というもの、これを考えて判断をした、こういうことだと思うわけでございます。そこで、ひとつ私は、五十二年度の問題をさかのぼってお伺いしてみたいと思うわけでございます。  五十二年度の三百億の民間備蓄というのは、当初市況が若干よくなったために予算要求をしなかった。ところが、その後市況が急激に悪化したために、政府の指導で銀行より金利六・五%で借り入れて三百億の備蓄を行った、このような説明を聞いたことがございますが、そこで、なぜこのように見通しがつかなかったのか、この点についての反省の意味を込めて、御説明を私はもう一度伺いたいと思います。
  60. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 政府予算でやらなかったということは事実でございますが、五十二年度の予算を事務局案を準備しておる段階、いつも大体夏になるわけでございますが、御承知のように、五十一年の八月当時というのは市況が非常に回復してまいりました。業界内部でも、備蓄というのは本来こういった場合の在庫処理的な備蓄というのは余り好ましくないといったような気持ちもございましたし、私たちといたしましても、LME相場がかなり戻っておったということもございまして、五十二年度予算では要求をしなかった、こういうことでございます。
  61. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 いろいろ理由はあろうと思いますが、私はなぜそれをお伺いするかといいますと、五十三年度も百五十一億、こういう計画があるわけでございますし、いま品目別に何トン備蓄するかという計画もお話を伺いましたけれども、要するに、国際相場の商品であるがゆえに、市況に災いされることが十分あるわけでございますが、現在の市況がこれ以上悪くなるということになりますと、百五十一億では足らなくなるのではなかろうか。そうしたときに、備蓄は余り好ましいことではないんだとおっしゃいますけれども、やはり必要に迫られてやらなければならない。要するに予算の方に組んでないわけですから、やむを得ないから民間備蓄に頼らざるを得ない。こうなったときに、金属業界企業経営状態、体質、そういうものが非常に悪くなっている今日、五十二年度のように銀行から緊急的にお金を借りることが果たしてできるかどうか、こういう点を心配するわけでございますけれども、もしそういう事態が来ても、恐らく銀行側としてもなかなかそれにおいそれと応ずる気遣いもないと思いますので、この百五十一億というものを至急に長官が言われているように手当てをし、そして補正予算段階までの間に、まだわれわれの感覚よりも補正予算を組む時期が先のようでございますから、その時期までに、これでは足らなかったとするならば、それに対して増加を図っていかなければならない、補正をさせていかなければならない、こう思っておりますが、この点については先のことだからわからないという答弁が返ってくるのではなかろうかと思いますけれども、ひとつ長官のすぐれた頭脳で先の方を判断して、お答えをいただきたいと思うわけです。
  62. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、銅、亜鉛とも、現在のLME相場というのは私たちとしては底だという見通しを持っておるわけでございますが、万が一御指摘のような事態になった場合は、当然それに対する対応が必要になるかと思います。五十一年度の場合にも、政府の債務保証と利子補給といったような措置をとっておりますので、その場合には当然予算措置を必要とすることになろうかと思います。私たちといたしましては、現状でもこの状態でございますので、それ以上に状況悪化するということはまずまずあり得ない、特に銅等につきましてはようやく世界的にも減産体制に入りつつある昨今でございますので、万々さようなことはないと思いますが、万が一さような場合には御指摘のような措置が必要だ、かように考えます。
  63. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 私も、先般日立の方へ参りまして、製錬所に銅がシートをかけて山積みになっている状態を見てまいりまして、非常に危惧しているわけです。相場の方もこれが底であることをわれわれも祈るわけです。長官だってもっともっと下がるとは思ってないでしょうし、この辺を底にしたい、そういうお気持ちは十分あると思いますけれども、とにかくそういった対応を十分考えておいていただかなければならないのではないか。国際的な相場であるがゆえに、われわれだけで、日本だけで相場の動向を云々するわけにいかぬわけでありますから、そういう点をひとつ十分御認識をしていただいて、手を打っていただくべきときが来たならば速やかに手を打っていただきたいということをお願いを申し上げておくわけでございます。  それから、いろいろと私申し上げたいことがございますが、もう時間がございませんので……。  中小鉱山危機打開のために可及的速やかに手を打たなければならない、そうしなければ鉱山が壊滅的な打撃を受ける、そしてまた、鉱山ばかりでなく町ぐるみだめになってしまう、こういう例をしばしば聞いております。秋田県の尾去沢鉱山も千三百年の歴史がある、これも閉山間近だ、こういうふうに聞きます。そうしますと、鉱山を中心として発達し、発展してきたところの尾去沢の町自体も、鉱山の閉山と同時に地域社会の形成ができなくなるわけでございます。  先般、四月十七日に、神岡鉱山の所在地であります神岡町の助役さん、町議会の副議長を初めといたしまして、各種委員会委員長四名が私のところへ陳情に見えました。これは全く鉱山側とは別個に、町自体として何とかしていただきたいということで見えたわけでございます。神岡鉱山も、町がなくなってしまう、大変だという状態を、助役さんも副議長さんも、それから常任委員長四名も口々に切々として訴えられたわけでございます。こうしたことを見ましても、地域社会と連帯して生きてきたところの鉱山の存廃というものが直接市町村の存立に影響するわけでございますので、私はその陳情に涙しながら聞いたわけでございますけれども、当面の対策、それはなかなかむずかしいとは思います。しかし、やはり基本的な問題として鉱山基本法の成立というものを希望される、こういう意見業界の中にございます。  鉱山基本法の制定について長官がどのように対処されようとしているのか、お伺いいたしたいと思うわけでございます。長官が課長時代に、中小企業基本法の制定に努力されたと伺っております。基本法の制定について、経験者として鉱山基本法の制定にどのように取り組むお考えなのか、やはりこの点は重大な関心を持って私どもも伺っておきたいと思いますので、お答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  64. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 鉱山について基本法を制定したらどうか、それに対する考えはどうだという御指摘でございますが、私は、まず鉱山の置かれておる現状の認識に立ちまして、将来の施策の方向、それを実行に移すための具体的な措置の内容、こういったものを詰めていくということが前提ではなかろうかと思います。そういった長期的な方向に対応する具体的な措置といったものの検討をまって、それを基本法の形でお願いするのか、あるいは振興法、安定措置法といったような形でやるのかという二段アクションが必要かと思います。現在はその前段階である何をなすべきかということについて検討を急いでいるわけでございます。その検討の結果に立ちまして、基本法がいいかどうかということも判断いたしたい、かように思っております。
  65. 松本忠助

    ○松本(忠)小委員 時間がオーバーいたしましたので、これで終わります。
  66. 山崎拓

    山崎委員長 宮田早苗君。
  67. 宮田早苗

    ○宮田小委員 先日の小委員会で参考人から意見をお聞きしたわけであります。非常に切実な御意見だけでなしに、具体的な施策の提言までございました。きょうは、その参考人の御意見を中心にして通産省の側に質問をしようと思っております。前者との重複は若干あるかと思いますけれども、その点は十分御理解をしていただきたいと思います。  まず、一番中心になります問題は、鉱山に対しますところのいろいろな施策を実行する場合のよりどころというのが、他の西業と比較して少ないというよりは、ないのではないか。むしろそのことによって行政側の通産省がやりにくい面もまた出てきておるのではないかというふうに思うわけです。農業一つとりましても、よりどころが、柱があるわけでございますから、その柱を基盤にしてそのときどきの施策が樹立でき、実行に移すことができる。石炭でもそのことが言えるわけであります。鉱山だけに限ってそのよりどころがないということが、過去これに対するいろいろな施策を樹立され、実行に移されたわけでございますけれども、それが成功に結びつかない、なかなか期待どおりにいかない。そういう意味からすると、この際思い切ってよりどころを求める、つくるべきだ。いまも松本先生の方からお話がございましたように、やはり基本法なるものを樹立するということが特に必要じゃないか。これさえ持っておれば、これからの現象面として出てまいりますそれぞれの問題に対しまして容易に対処できるんじゃないかというふうに思っておるところでございますので、まず、そういう面について長官のお考えをお聞かせ願いたい。簡単に言いますならば、よりどころを早くつくるべきだというふうに私どもは思うわけでございますが、その辺、基本法という法律になるかあるいは別な法律になるかは別にしまして、何らか考えておかなければならぬと思いますので、まず、その辺をお聞きしておきたと思います。
  68. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまよりどころというお話でございましたが、何ごとにつけてよりどころは必要だ、当然のことだと思いますが、鉱山についてはいかなるよりどころ、いわゆる基本認識をいたしておるかということをまず申し上げたいと思います。  国内鉱山は、当然のことではございますが、資源の最も安定的な供給源である、また地域の経済、地域の雇用に非常に深いつながりを持っておるものであるということで、極力これの安定的活用を図るべきだという立場に立っておるわけでございますが、これも先ほど申し上げたことの繰り返しで恐縮でございますが、鉱山の特質といたしましてはいろいろございますが、簡明に申し上げると二点あるんじゃないか。一つは地下資源であり一次産品であるということ、二つ目国際商品であるということ、この二つの面に着目して対策を進めるべきだというふうに考えておるわけでございまして、一次産品であるということに関連いたしまして、鉱量確保のための探鉱助成制度あるいは減耗控除制度といったことによりまして、減耗資産を事業対象としておる点に重点を置いて施薬を進めてきておるということになろうかと思います。  後段の国際商品であるということは、いわゆる国際市況によりまして国際価格が決定される、その国際価格が直に国内鉱山あるいは企業影響を及ぼしてくるということでございまして、これに対応する従来の措置といたしましては、関税見合いの還付金制度というものをとってきておるわけでございます。五十三年度、銅につきましては十三万九千円、昨年よりも一万四、五千円増額することに…なったわけでございます。ただ、この程度の還付制度では事態が克服できないまでに、国際価格ひいては国内価格は下落しておるということでございますので、今後の対応といたしましては、特に国際商品であり国際価格に直接的な影響を受けるということに着目した政策の立案、対応の必要性を感じておるわけでございます。  こういった問題意識を踏まえまして、基本法云云という御指摘でございますが、そういった内容をまず詰めまして、必要とあらば立法措置をお願いいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  69. 宮田早苗

    ○宮田小委員 鉱山自体は、私どもは国の基幹産業だという認識をしておるわけであります。ところが、この前の参考人の御意見のときに、秋田県の知事さんが、緊急融資をして抜本的な施策をしたのだというふうに言われたわけでございますが、この種の関係につきましては、地方自治体の範疇ということでなしに、国自体の範疇として考えるべきが至当じゃないかというふうに思いますが、これから秋田県だけでなしに、その他の地域にもこの種の関係というものが相当に出てくるのじゃないかと思います。その場合、地域ということでなしに、国自体の施策としてこの問題については対処すべきではないか、こう思いますが、その点についてはどうですか。
  70. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまお話しの、秋田県を初め鉱山関係府県においていろいろと努力なさっておることも承知しておりますし、私たちもそれを高く評価いたしております。当然、基幹産業と申しますか、鉱山というのは基礎素材の供給産業でございます。そういった意味合いにおきましても、国としてこれに対応する政策というものを緊急に立てていく必要があろうというふうに考えております。
  71. 宮田早苗

    ○宮田小委員 金属鉱業推進会議が四十一年に発足して、それらが中心になって、最近業界の中で非常に希望の強い調整基金制度、この創設というものが出てきておるわけでございます。この問題については、基本的な一つのよりどころというのにはどうかと思いますけれども、この制度そのものについては、やはり業界あるいはまたそこに働いております労働組合一体となっての希望でございますだけに、何とか実現させなければならぬというのが私どもの考えでもあるわけでございますが、この点について、さきの質問者の中でも一応お触れになったわけでございますが、もう一度長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  72. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 非鉄金属につきましては、先ほども申し上げましたように、国際価格に直接の影響を受けるわけでございますが、この国際価格なるものが非常に乱高下する、場合によっては実勢以上に大幅に上下するといったような性格を持っております。一方、国内におきましていろいろと企業努力、合理化努力をいたしましても、これも先ほど申し上げましたように、一次産品、地下資源としての特性からそこに自然条件の制約があるわけで、その自然条件の制約を乗り越えてまでコストの低減を図るということ、しかも短期間に対応するということが非常に困難である、ここに大きなギャップが出てまいりまして、それが鉱山なり製錬各社の経営内容を非常に悪化させておる、日本関係企業の体質を弱くしておる大きな原因であろうというふうに判断しておるわけでございまして、そういった価格変動コストとの間におけるギャップを何らかの形で充足する必要があるのじゃないか。従来までとってまいった措置がいわゆる関税見返り還付金制度であるわけでございますが、それではとうていカバーし得ない幅にまでギャップが広がっておる、しかもそれが長期間にわたっておるということからいたしまして、これに対応するための何らかの金融措置というものが必要だというふうに考えております。  御指摘調整基金制度というものの具体的内容なりあるいはその持っていき方ということについては、必ずしも十分まだ煮詰まっておらないようでございますが、私たちといたしましても、別途鉱政懇の中でこれにいかに対応すべきかということの検討を急いでおる、こういう段階でございます。
  73. 宮田早苗

    ○宮田小委員 さきの質問にも重復するわけでございますが、秋田県の尾去沢鉱山が、二十四日の日ですか、五月末で閉山する方針ということになっておるわけでありますが、この原因について掌握されておりますならば説明してほしいということと、鉱山部門で働いております従業員は二百二名ということになっておりますが、これは出然解雇の対象になるわけでございます。所管は違うかと思いますけれども、これに対する通産省としてのお考えを聞かしていただきたい。  と申しますのは、炭鉱を例にとって申し上げるのはどうかと思いますが、炭鉱閉山の場合は、その会社が無資力という形で認定されたとき、その退職者に対する退職金は国の予算からということになっておりまして、そういうことを比較いたしますと、鉱山と石炭とのまことに不公平な実態についての認識にもなるわけでございますが、その点についてこれから打開をする方法を見つけていかなければなりませんが、当面、尾去沢鉱山の閉山に関しまして起きておる問題でございますだけに、その点についてのお考えをひとつお聞きをしたいということであります。
  74. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 尾去沢鉱山につきましては、昨年の十一月、会社側から閉山の提示があったわけでございまして、労使双方の努力によってさらに継続して操業するということで、その後探鉱に努めてまいったわけでございますが、本年四月末におきまして、その間有望鉱床の発見に至らない、鉱量は約一万トンに減少して鉱量枯渇の状態になってきたという判断に立ちまして、五月末をもって閉山のやむなきに至ったというふうに承知いたしております。  それで、閉山につきまして四月二十四日に組合に提示されたわけでございまして、今後の労務問題につきましては、現在労使で協議を重ねておるというふうに聞いておりますが、その結果によりまして、政府としても離職者の再就職といったようなことについても積極的に助成してまいりたい、かように思っております。  なお、地域対策といたしましては、この地域を工業再配置促進法の特別誘導地域に指定しておるわけでございますので、今後、この地域指定に基づきまして、地方公共団体等とも協力してまいりまして、あるいは側面から支援するという形で、地域に対する影響を極力軽減してまいりたいというふうに考えております。
  75. 宮田早苗

    ○宮田小委員 さらに、重複をするわけでございますが、国内鉱山に対しまする鉱業政策懇談会の答申が、当初三月末ということで予定されておりましたのが延期ということになってまいりました。それで、非常に重要な問題が山積しております鉱山関係に対する施策というものを急遽立案をするとかあるいは対策を立てるとかいう考え方を持っておるときに延期をされるということについては、その問題に対処する場合に影響が非常に大きいわけでございまして、三月末が延期されておるならば、できるならば早急にその答申をまとめられるように行政的な立場でひとつ考えていただきたいということと、それから、すでに延期になったわけでございますけれども、この答申がいつごろ出されるものか、その点、見通しとして非常にむずかしい問題もございましょうけれども、長官としてのお考えがありましたらお聞かせ願いたい、こう思います。
  76. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 私たちといたしましても、事態がここまで立ち至っておるということでございますので、できるだけ早く結論を得たいということで考えておるわけでございますが、先ほどお話の出ておりました基金制度等の問題につきまして、鉱政懇の中には中立委員のほかにユーザーサイドも入っておるわけでございますので、そういった人との意見の調整を十分にやっておきませんと、一つの案をまとめたといたしましても、実行に移す段階でまたいろいろな問題が派生してくるということもございますので、極力鉱政懇全体としての意見調整のもとに具体的な措置提案されるようにということでおるわけでございます。  いつまでかという御指摘でございますが、その内容いかんによりましては、立法措置あるいは予算措置をお願いする必要も出てこようかと思いますので、そういったタイミングに十分に間に合うように準備を急ぎたい、かように考えております。
  77. 宮田早苗

    ○宮田小委員 二十分間ということでございますので、最後に要望一つしておきます。  答申の案の検討という過程にあるわけでございますが、鉱山関係の参考人の意見を聞きましても、労働組合の方々の意見を聞きましても、問題点といいますのはすでに出尽くしておるというふうに私は認識しておるわけでありますから、出尽くしておるならば、その問題ごとに答申の結論というものは出してしかるべきではないかというふうに思っております。やはり通産省の、特に長官の御指導というものがそれを早めることにもなるんじゃないかというふうに思っておりますので、その点を特に長官の方で配慮されて、できるだけ早く答申案を出せるような措置をとっていただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終えます。
  78. 山崎拓

    山崎委員長 工藤晃君。
  79. 工藤晃

    ○工藤(晃)小委員(共) 私は、日本共産党・革新共同を代表して質問をいたします。  六〇年代に入って貿易為替の自由化が進められ、それとともに国内鉱山が次々と閉山する、こういう事態が続いたわけであります。とりわけ最近の国際市況の低落並びに急激な円高の進行という中で、残された国内鉱山がかってない危機に陥っている。このことはきわめて重大であり、これに対して緊急対策並びに抜本的対策が早急に講ぜられなければならないということを、私はまず最初に強く主張するものであります。  とりわけ、この前の小委員会におきまして、六名の参考人の方がいろいろ意見を述べられました。貴重な御意見だったと思いますが、特に印象づけられたことは、国際市況あるいはまた円相場の一時的な変動、そういう一時的な要因によって国内鉱山の閉山をさらに進めてもう二度と採掘できないような状態に陥れるとすれば、これは民族の長期的な利益からいってもまことに見逃すことのできないことである、おおよそこういう見地だと思いますが、その点につきましては、私も強く賛同するものであります。  すでに石炭においてそういう歴史の教訓が得られていると思います。石油の自由化に伴って石炭を次々と廃鉱に追いやっていった。その結果、日本の二百億トンと言われた埋蔵量を持った石炭は、向後再開発するとしても非常に困難な状態がつくり出されてしまった、こういうことであります。  とりわけこういう鉱物資源は再生産できないものであります。もちろん科学技術の発展によって、より品位の低い鉱石も採掘できる、利用できる、これは必ずそうなるものでありますが、しかし、再生産できない資源であるということからすれば、こういう資源を失うということは、いわば国民の財産を失う、民族の財産を失うということでもある。こういうことを考えるときに、いま早急な対策をとらなければならない。  こういうことで見ますと、たとえばアメリカは日本と比べて資源状況ははるかに豊富であるし、また個々の資本は強大でありますが、そういうアメリカでも、国際市況のいろいろな変動の悪影響を防ぐため、あるいは安い鉱石、地金などの輸入に対して対応策をとるために、鉛、亜鉛価格差補給金的なものをとった時期もある。いろいろな時期にとったし、またとろうとしている、こういうことも見るわけであって、日本においてそういう対策ができないという理由はどこにもない、私はこのように考えるわけであります。  さて、そういうことで、これまでの質問の中ですでに出されました生産費を補償するような合理的な建て値が立てられるような何らかの仕組み、調整基金制度、いろいろ提案がありますが、そういう提案に対しましては、長官の方からも、少なくともこれまでの既往の制度ではやっていけないから何らかの対策を早急につくらなければいけない、このようなことを検討するということは述べられておりますので、私は、もうこの質問は繰り返しませんが、このことと関連してひとつ問題をはっきりさせておきたいと思うのです。  こういう国際的な市況の変動、為替相場の変動のもとで計画的に国内資源の有効な利用を続けようとするときには、何らかの国家的な助成、仕組みをつくらなければいけない。言ってみると非市場的なメカニズムといいますか制度、それをつくらなければならない。これが迫られているわけでありますが、これが本当に国民の納得のもとにやられるようにするためには、一つは、それぞれの鉱山における実際の鉱業部門、製錬部門のコストが一体どうなっているのか、このことが把握されて初めてどれだけの建て値が合理的であろうかということにもなると思いますが、そういう見地からして、いま通産省として、エネルギー庁として、そういうコストの把握というのをしっかりやっておられるのかどうか、その点について伺いたいと思います。
  80. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御承知のように、非鉄金属につきましては、いわゆる随伴鉱といったような形で出てくるケースもございますし、あるいは山ごとの事情によってもかなり違うわけでございますが、私たち調査で、銅の場合、いま申し上げたようなことを前提としてでございますが、大体四十万から六十万ぐらいの範囲の中にあるのではなかろうかというふうに考えております。
  81. 工藤晃

    ○工藤(晃)小委員(共) 山によって違うということは当然のことだろうと思いますが、先ほど言った意味は、今後こういう価格暴落があったとき支えるような何らかの補給をするようなときには、当然それぞれの山元におけるコストの一層正確な把握ということが前提になければならないのではないか、こういうことから述べているわけであります。  実は、日本共産党も調査団を神岡へ派遣いたしまして、私も参りまして、三井金属鉱業の事業所の方、そこにはまた本社からも来られておりましたが、そこでいろいろ伺ったわけであります。  そうしますと、第一に、そういうコストは詳細な内容は通産省に届けてある、これは後でちょっとどうか、お返事いただきたいわけであります。  それからまた、これはすでに日本鉱業協会が七八年三月十七日に示してある調整金制度の構想として、銅の場合は五十五万円、亜鉛の場合二十六万円、それとの差額を埋めるような調整金にしたい、こういうことが一方では出されておりましたことを考え、また同時に、神岡鉱業所で今年度の亜鉛予算原価、これは予算コストは約二十一万五千円であるということにしていたことも同時に考え、一体神岡においてこのコストがどうなっているのかというふうに伺ったわけであります。  そうしますと、鉱業所の側からの答えは、この二十一万五千円というのは切り詰め切め詰なんだ、実はこれでは足らない。切り詰めという意味は、たとえば探鉱費を切り詰めているということも一つであります。ともかく切り詰め切り詰めて二十一万五千円なんだということだったのです。ところが、同じその場で、これは本社から来られていた人がそれとは違う見解を述べられて、二十一万五千円というのは、神岡では二十四万ぐらいだけれども、ほかの海外からの輸入鉱石を使っているところを全部プールすると二十一万五千円になる、こういう説明もされました。  しかし、これは限られた時間でありますし、またここで問題を問い詰めるという場所でももちろんなかったわけですから、それはそれとしたわけでありますが、海外鉱を使ったとしても、電力料金を考えると、これはもう神岡の方が安いという事情もいろいろありますし、これはまたいろいろ納得できないものがあります。ですから、一つの鉱業所をとってみても、このようにコストというのが、事業所の方の答えと本社の方の答えと食い違うぐらい明らかにされないような状況が現にあるということにぶつかりました。  そのほか、コストという場合、当然考えなければいけないのは副産物ですね。それでどれだけ採算がとれているのか、こういう問題もありますし、あるいは二次加工、三次加工なども同時にやり、あるいは同系列の企業でやっている場合どうなんだろうか、こういうことを含めて考えなければならないわけでありますが、いずれにせよ、こういう日本国内鉱山を守るために価格的ないろいろな調整の制度、補助の制度を考えるときに、こういう原価の問題を一層しっかりつかまえるという方向に向かわなければならないと思いますが、その点について長官の考えを伺いたいと思います。
  82. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 御指摘のとおりだと思います。ただ、そのコストにつきましても、数字的に事業者から提示があったからといって、それだけではまた理解できない面もございますから、十分そのコストを積算の根拠まで立ち至って事情をお聞きするということでなければ、本当のコストはつかめないというふうに思えますが、いずれにいたしましても、いろいろな対策を講ずるに当たりましても、そのコストを把握するということがすべての前提だというふうに考えております。
  83. 工藤晃

    ○工藤(晃)小委員(共) そういうことで、わが党としても、緊急にこういう生産費を償う建て値が立てられるということを含めてのいろいろな対策を打つことを要求するものでありますが、さて、もっと基本的な問題を考えていくとき、ある意味では、国内のいまの金属鉱山というのは、さまざまな国際的な矛盾が集中しているといいますか、それはとりわけ非鉄金属国際価格に直接もうストレートに動く、そうしてそれが世界的な不況のもとで暴落ということが起きているし、亜鉛の方もPPというのが崩れていってしまった、こういうことが一つあるでしょう。それからまた、為替の変動が、特に円相場は、ほかの通貨が体験したことのない急激な上昇になっている、こういうことも重なっていると思います。あるいはまた、オイルショックを日本が受けたその受け方が、これも戦後の日本の経済発展の道と関連するわけでありますが、非常に高いエネルギー価格をつくり出し、世界一高いと言われる電力料金をつくり出した。こういう意味で、さまざまな矛盾がここに集中しているという中でいまの困難が生まれている、これは確かだと思います。  しかし、私がここで主張したいのは、そしてこれから何をなすべきかということを考えるときにぜひ検討していただきたいことは、この幾つかの矛盾が集中しているという中には、これまでの自民党政府あるいはこの鉱業界の中心にあった大企業がみずから選んだ道によって矛盾を一層大きくしている、こういう面もないだろうか、そのことを放置して、結果として起きた矛盾の激化から生まれてくる損失の穴埋めだけを求めるということであってはならないのではないだろうか、このことを一つ主張するわけなのであります。  たとえば六八年から七六年にかけまして、この鉱業便覧によりましても、海外投資が百十七億円から二百七十三億円と二・三倍、これは鉱業関係ですね。それから国内の銅、鉛、亜鉛鉱山への設備投資ですが、同じく百十七億円から三十五億円と七割も落ちている。こういう進み方というのは、国内資源の有限性とかあるいは非常に乏しいということが口実にされますが、結局これまでの道筋というものは、海外依存が主であって国内は副である、こういう位置づけに陥っていたのではないだろうか。それがこういうふうにあらわれているのではないだろうか。そういう姿勢でいくと、国内鉱山を維持する意義というのは、もっぱら海外から買うためのバーゲニングパワーを強めるために維持しよう、あるいは海外へ技術者を派遣するときの国内の練習場といいますか、研修場といいますか、そのために維持しよう、こういうことでは非常に消極的なことになってしまうのではないだろうか。そういうことで、もうここらでこれまでのこういう方向を大きく見直すときが来ているのではないだろうか。たとえば、こういう見地に立つならば、国内の鉱石を優先的に義務的に使用させるというようなことも含めて対策をとるべきではないかと思いますが、こういう検討を早急に行うべきだ、この点について伺いたいと思います。
  84. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 いろいろと御指摘があったわけでございますが、私自身、海外投資が進んでいくということを否定すべきことではないんじゃなかろうかと思います。特に、先ほど来お話が出ておりますように、非鉄金属国際商品であるという観点に立ち、しかも国際的対応ということを考えていきます場合に、一つには、世界全体としての新しい資源の埋蔵量を確認していく、開発していくということも必要だと思いますし、一方、国内における各鉱山の自然条件というものも考えますと、当面的に考えるのみならず、長期的な立場で考えるべきじゃないか、経済というものはだんだん国際化されていくわけでございまして、日本の国だけが単独に孤立して成長を維持していくということは、事実上困難な問題じゃなかろうかと私は思います。  ただ、そういった経済の国際化あるいは海外投資によって引き起こされるであろうデメリット分をいかにカバーしていくかという立場で考えるべきであって、国内だけであるいは国内に産する資源だけで成長を維持していこうといたしましても、これは事実上不可能ではなかろうか。国産は最も安定的な供給源であるということを否定するものでもございませんし、あるいは国内における雇用なり地域経済に直接貢献していくことももちろん否定するわけじゃございませんが、やはり国際的な立場でやっていくということが大切じゃなかろうか。たとえば一昨年のUNCTADの総会に基づきまして昨年来銅会議が開かれておるという問題も、開発途上国における資源産出国、先進国産出国、さらには消費国といったようなそれぞれ立場を異にする関係国が集まって、全体として何が最も好ましい方法であるかということの討議を続けておるのだと私は理解するわけでございまして、孤立的な経済の中で資源問題を考えるということは、非現実的ではなかろうかというふうに私は考えるわけでございます。
  85. 工藤晃

    ○工藤(晃)小委員(共) 長官は、私の述べた趣旨を大変ゆがめられて、一生懸命そのものに対して答弁されているので、全然答弁にはなりません。なぜならば、私の言ったことは、孤立した経済に進もうなどと一言も言っておりません。それからまた、これから一挙に国内の銅山だけですべて賄おう、そういうことも何も一つも言っておりません。よく聞いてください。  問題は、発展途上国との関係で新しい国際経済秩序をつくろう、こういう方向は私たち共産党も賛成でございます。また、国際化がいまの特徴になっておることもそのとおりでございますし、私も何度もこのことを議論してまいりました。しかし、だからといって、そういう中で国内資源の問題とか農業の問題だとか漁業の問題だとか林業の問題だとか、こういう国民経済の一番基盤になる問題というのは、どこの国も大事にするわけなんですよ。日本だけが粗末にしていいということではないわけです。そういうことから、決して一挙に銅の鉱山が何割も占めるなどと私たちも考えておりませんが、それにしても、今後維持し、さらに発展を図るためには、たとえば一つ方法として、国内の鉱石の優先的な使用を一定の程度で義務づける。それだけでやりなさいと言っておるわけじゃありません。こういうことも考えるべきじゃないか、こういうことを言ったわけなのでありまして、長官の返答は全くいただけないわけなんであります。  そういうことで、最後に、実は一つ懸念が出てきたわけでございますが、国際化一本やりの考え方で言うと、たとえばいま東京ラウンドをやっております。東京ラウンドで関税の引き下げ問題が問われておりますが、そういうことで、たとえば銅とか亜鉛などのスライド関税などについては、一歩も譲らないという決意を持っておるかどうか。そのことを強く要求するものでありますが、この点に関してだけ答弁をいただきたいと思います。
  86. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 東京ラウンドにおきましては、われわれとしては御指摘のような線で対応しておるわけでございますが、一部の国からまだ非常に強い突き上げがあるというのが現状でございます。据え置きということでわれわれはさらに努力いたしたいと思います。  それから、先ほどの初めの問題でございますが、先ほどのような御指摘でございますなら、結局コストと建て値とのギャップをどう埋めるかという問題かと思いますので、そのためには現在鉱政懇でも検討いたしておりますし、あるいは業界から緊急融資基金制度といった提案もなされておりますので、コスト補てんをどう考えるかという方向で現在検討いたしております。
  87. 工藤晃

    ○工藤(晃)小委員(共) そのことは私質問して、それは当然だと思いますが、さっきあとで言ったことは、長期的に何をなすべきかという問題として私が問題提起したわけでありますが、これをもって終わります。
  88. 山崎拓

    山崎委員長 この際、申し上げます。  ただいま本小委員会において調査中の非鉄金属鉄業問題について、小委員会の結論を今国会中にとりまとめたいと存じます。  つきましては、小委員長の私と橋口隆君、板川正吾君、松本忠助君、宮田早苗君、安田純治君及び大成正雄君で案文の作成をいたしたいと存じますので、御了承願います。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会