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1978-05-10 第84回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 島村 宜伸君 理事 中島源太郎君    理事 武藤 嘉文君 理事 山崎  拓君    理事 山下 徳夫君 理事 岡田 哲児君    理事 渡辺 三郎君 理事 松本 忠助君    理事 宮田 早苗君       小川 平二君    鹿野 道彦君       粕谷  茂君    藏内 修治君       田中 正巳君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       松永  光君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    加藤 清二君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君         通商産業省生活         産業局長    藤原 一郎君  委員外出席者         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      野崎  紀君         通商産業省機械         情報産業局計量         課長      三野 正博君         通商産業省生活         産業局繊維検査         管理官     竹内 謙二君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   佐々木義武君     小川 平二君 同日  辞任         補欠選任   小川 平二君     佐々木義武君 同日  理事山崎拓君同日理事辞任につき、その補欠と  して島村宜伸君が理事に当選した。     ————————————— 五月九日  消費者のための流通政策実現に関する請願(池  田克也紹介)(第四一九二号)  同(田中六助紹介)(第四一九三号)  同(玉置一徳紹介)(第四一九四号)  同外三件(水平豊彦紹介)(第四一九五号)  同外十九件(森喜朗紹介)(第四一九六号)  流通法規緩和に関する請願森喜朗紹介)(  第四一九七号)  同外一件(山口敏夫紹介)(第四三〇〇号)  流通関係法規規制緩和に関する請願外一件(  西田八郎紹介)(第四一九八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  計量法の一部を改正する法律案内閣提出第四  九号)(参議院送付)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認  を求めるの件(内閣提出承認第四号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事山崎拓君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う補欠選任については、先例により、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は、島村宜伸君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 野呂恭一

    野呂委員長 参議院送付内閣提出計量法の一部を改正する法律案及び内閣提出地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件の両案件を議題といたします。  まず、計量法の一部を改正する法律案質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
  6. 渋沢利久

    渋沢委員 計量にかかわる制度国民生活経済活動にとって不可欠なものであって、この制度を充実し適正にしていくということでの国の計量行政についての責任というのは、大変大きいことは言うまでもないと思うわけです。日本経済国民生活を高めていく上で、この計量行政というものをどういう方向に導いていこうとされておるのか。まず、その基本的な考え方を最初にお伺いをしたいと思います。
  7. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたように、計量制度と申しますものは、貨幣制度とともに社会生活における最も基本的な制度であるわけでございます。そういう理念のもとに、統一的かつ合理的な計量制度を確立することがわが国経済発展文化向上に不可欠のことである、こういう認識を持っておるわけでございます。  計量法におきましては、計量制度の確立を図るために、計量の基準を定めるとともに、適正な計量の実施を確保するための各般の措置が定められておるわけでございます。かつ、その内容も、内外情勢の変化に即応いたしまして、制定以来十四次に及ぶ改正によりまして拡充を図ってまいったところでございます。  政府といたしましては、従来から計量法目的を実現するために、計量法の適切な運用等を通じまして、メートル単位系への統一国際単位系導入計量にかかわる事業者計量器計量方法等に関する適正な規制指導、助成のための措置を講じてきたところでございます。  今後とも、計量制度を取り巻く国際的動向に十分配慮しつつ、消費者保護環境保全を初め、国民要請に十分対応した計量行政推進に積極的に努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 渋沢利久

    渋沢委員 経済が一国じゃ成り立たないように、医院社会の中で調和を保ちながら生きていく日本にとりまして、国際世界とのかかわり世界進歩対応していく取り組みというのは、もちろん計量行政の上でも同様であることは言うまでもないと思うわけであります。提案理由説明の中にもいまの局長答弁の中にもありましたように、「計量単位を取り巻く国際的な動向にかんがみ、」こういう指摘が特に強調されておるわけであります。  最近の計量制度にかかわる国際動向、その著しい特徴、その中での日本課題というようなものについて、特に御意見なり考えがありますれば、具体的にひとつ御説明を願いたいと思います。
  9. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘のございました国際的な動向につきましては、私どもといたしましては、端的に申し上げますと、メートル条約に加盟しているという観点からいたしまして、このメートル条約最高機関でございます国際度量衡総会というものの動向を常にウォッチしながらそれに対応した措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。今回改正をお願いし、現在御審議を賜っております計量法の一部改正法案の中におきましても、そういった国際度量衡総会の決議に基づきました計量単位追加ということを一つ主眼といたしまして、提案をさせていただいた次第でございます。  なお、国際動向一つの方向づけとして考えられますことは、SI単位の、つまり国際単位系導入という問題がございます。同じメートル系の中におきましても各種の単位が併存するわけでございますが、これだけ国際化が進展してまいりますと、どうしてもメートル系の中におきます国際単位統一という動きが出てまいります。たとえばEC等におきましても、共通的にこういった国際単位系導入を図るという動きがございますので、わが国といたしましても、そういった国際単位系導入ということに主眼を置きながら、国際交流の進展に万遺漏なきを期するような、そういう考え方のもとに計量行政を運営してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 渋沢利久

    渋沢委員 お話よくわかりますし、先ほど局長お答えになりましたけれども計量制度についての一つの基本的な尺度物差しといいましょうか、そういうお話のありましたような世界の趨勢とその進歩対応していかなければならないという一つの側面、同時に、より基本的には国民生活を守り、高める、そういう基本的な尺度があるということは、これはもう言うまでもない。むしろそのためにこそ国際的な流れへの一つ対応というものが求められているというふうに思うわけであります。したがいまして、この法律のいわば目的は、そういう尺度でとらえられなければならないだろうというふうに私は考えておるわけであります。  この法律自体目的の中に幾つかの指摘があるわけでありますけれども、そういう立場で考えますと、第一条のこの法律の「目的」の表現というのは、今度の法改正に当たって検討の余地のないものであったかどうか、何らかの検討が加えられただろうかということをお尋ねしたいと思います。
  11. 森山信吾

    森山(信)政府委員 今回改正法案を提出させていただきました背景といたしましては、計量行政審議会から通商産業大臣あてに出されました計量行政に関する答申があるわけでございます。計量行政審議会は、昭和四十八年以来三年に及ぶ長期間を要しまして、各界の御意見を総合しながら答申をいただいたわけでございまして、その趣旨とするところは幾つかございますけれども、たとえば消費者保護という観点等が強く打ち出されておるわけでございます。  ただいま渋沢先生から御指摘のございました第一条の「目的」につきまして、先生質問の御趣旨は、今回の改正法案の中には消費者保護観点が入ってないではないか、したがって、第一条の「目的」について余り議論がなかったのではないか、こういう趣旨の御質問であろうかというふうに理解するわけでございます。  私どもの見解といたしまして、先ほど申し上げました計量行政審議会答申は、実は中間答申という形で昭和四十八年にいただいておるわけでございまして、その中間答申には重点的に消費者保護のことが盛り込まれておるわけでございます。そこで、前回、四十九年に計量法の一部改正をお願いいたしました際に、そういう観点を十分に織り込みまして改正をお願いいたし、成立をさせていただいたわけでございます。私どもは、消費者保護に関する法改正は、前回改正で一応答申にこたえたという気持ちでございますし、今回お願いしておりますのは、前回改正に際しまして盛り込まれなかった点、つまり国際単位としての物質量の状態、あるいは計量単位追加という問題、さらには法定計量器追加、あるいは手数料上限の引き上げ、こういったことをお願いしたわけでございまして、前回消費者保護観点規定の織り込みと今回の措置を通じまして、全般的に申し上げますと計量行政審議会答申にはこたえた形になるのではないか、こういう認識を持っておるわけでございます。したがいまして、御質問の第一条の「目的」についての検討につきましては、今回の法改正ポイントがいま申し上げたような次第でございますので、特段の検討はいたさなかった、こういう実情でございます。
  12. 渋沢利久

    渋沢委員 審議会答申に十分こたえ得たものであるかどうかということはまたお尋ねいたしますが、それはそれといたしまして、局長も言われるように、この法の趣旨、法の「目的」の中で、消費者生活保護ということが非常に重要な課題であり、柱であるという観点に立っておるならば、今回の法改正動機になった答申のあれこれは別といたしましても、法律をいじる際に、むしろ「目的」という基本的な法の性格を表明する条項にも触れて検討がされるべきではなかったのだろうか。そういう点で十分と言えるだろうか。特にいま局長が御指摘になりました過般の改定の際にも、委員会等で、適当な機会に消費者保護という観点を明文化すべきだという指摘がされておったというふうに記憶をしておるわけであります。そういう意味で、この計量制度か重要であるということについて言えば、経済活動発展にとって基本的なかかわりがあり、科学の分野においてもその向上に基本的なかかわりがあり、国民消費生活保護という観点にとって基本的なかかわりがあり、これがある面では正確にこの法律の「目的」の中に表現されることが望ましいと考えるわけであります。  そういう意味で、今回は直接動機となったこの答申かかわりがないからということでこの部分検討されなかったということでありますけれども、今後その点についての検討というものはされるようなお考えがありましょうか、それともどういう理解に立っていらっしゃるでしょうか、お尋ねをしておきたいと思います。
  13. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど私がお答え申し上げました今回の法改正に際しまして「目的」の修正検討しなかったという点につきまして若干補足いたしますと、私どもは、計量行政におきます一つの重要なポイントとして消費者保護という観点は当然考えるべきことではないか、こういう意識がございます。したがいまして、「目的」の条文につきましての修正検討しなかったということは、そういう問題意識が全くないということではないわけでございまして、先ほど来渋沢先生から御指摘のございますように、消費者行政と申しますものは大変重要な問題でございます。特に計量制度というものが、先ほどもお答え申し上げましたとおり、貨幣制度とともに国民にとりましてきわめて基本的な制度でございますので、そういう点から考えますと、当然に消費者保護という観点を十分に考えなければならぬことではないかというふうに理解をしておるところでございます。  そこで、条文解釈の問題でございますが、「経済発展及び文化向上に寄与する」ということを目的としておるわけでございまして、この「文化向上」とはどういうことであるかということにつきましては、先ほど先生から御指摘のございましたように、前回法改正の際にもかなりな議論が行われたところでございます。私ども認識といたしまして、国民生活向上あるいは消費者保護観点といいますものは、こういった「文化向上」という表現の中に当然に織り込まれてしかるべきではないか、こういう解釈をとっているわけでございますし、また、そういうビヘービアのもとに行政を行っておるつもりでございます。したがいまして、今回は特に第一条の「目的」につきましての修正はお願いしなかったわけでございますけれども先生指摘の御趣旨は十分私ども行政にも反映させてまいりたいと思っておりますし、今後とも大いにそういった点に留意しながら行政を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  14. 渋沢利久

    渋沢委員 いまの答弁で満足しているわけじゃありませんけれども、このことについてだけお尋ねするというわけにもいきませんので先に進みますけれども、しかし、そこに触れたのは、実は答申にこたえる法改正と言われるけれども、若干欠落部分があるのではないかというような危惧が一点ありまして、特にお尋ねをしたわけであります。  この改正は、御説明ありましたように、五十一年末の審議会答申、五十二年の追加建議のようなものも含めて、それに基づいてこの法改正提案されたと思うわけでありますけれどもお話の中に、この答申に対して法改正は十分にこたえ切っている、こういう御説明でございました。八項目かにわたる審議会答申に目を通しましても、必ずしもこの答申が一〇〇%法改正に具体的に反映されているというふうには受け取りにくい部分もあるように思うわけであります。その点ひとついま少し具体的にこの答申項目に触れながら、どこがどう生かされ、あるいは生かされないと考え部分がおありか、その辺の御説明を具体的にお願いしたいと思います。
  15. 森山信吾

    森山(信)政府委員 今回計量行政審議会からちょうだいいたしました答申趣旨を、私どもといたしましては十分生かした形で法案をお願いした、こういうお答えを先ほど申し上げたわけでございます。この答申は、御指摘のとおり幾つかの項目がございまして、それを法律的に制度化する問題と、さらに行政面におきまして運用上十分配慮すべき問題、こういうふうに分かれておるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、答申そのものがすべて法案の形で盛り込まれておるということから見ますと、確かに御指摘のとおり十分ではない、こういう点がございます。  この点につきましては、審議会の中におきましてもそれぞれ各分科会あるいは部会等におきまして慎重な審議が行われまして、法案に盛り込むことが果たして適当であるかどうかという意見もかなりあったわけでございますので、そういう点に着目いたしまして、今回は特に法制化することが問題にならないようなポイント、つまり先ほどお答えいたしました第一点の計量単位追加の問題、あるいは第二点の法定計量器といたしましての流量計流速計追加の問題、あるいは第三点の手数料最高限度の引き上げ問題、これに関しましては全然意見が分かれていないということもございましたので、そのまま法制化をさしていただいたわけでございます。  そのほか、消費者保護観点等につきましては、一部前回法改正でお願いをいたしまして成立をさしていただいたわけでございますけれども、問題は、計量法というものが必ずしも法律万能で、法律をもってすべて計量に関する規律を行うということだけではございませんで、やはり計量行政を担当いたします私どもといたしましての考え方に対します御注文がたくさんあるのではないか、こういう感じがいたしまして、そういう点につきましては、今後行政運用上重要なる進言というふうにとらまえまして運営を図ってまいりたい、かように感じておる次第でございます。
  16. 渋沢利久

    渋沢委員 いま御説明のとおり、必ずしも答申のすべてをそのまま法律表現するという形で処理されたわけではない。行政の上で一定の対応をしていく、こういう扱いをされている部分があるということで、とりわけ答申の中の「消費者保護観点からみた適正な計量の確保」という点については、法改正の中に組み込まないという処理をしているわけであります。いまお話しのとおりであります。     〔委員長退席島村委員長代理着席〕  そこでお尋ねをいたしますが、この答申指摘されておりますようなたとえば単位価格表示制度の普及について、計量行政の上でこれをどう推進していくのか、この答申行政の上に具体的にどう生かしていくのか、どういう検討がされ、どういう取り組みがされておるのか、少し具体的に御説明を願いたい。
  17. 野崎紀

    野崎説明員 単位価格表示制度につきましては、産業政策局の方で取りまとめて推進をしておりますので、私からお答えをさせていただきます。  単位価格表示制度につきましては、昭和五十年の八月に、経済企画庁が中心となりまして、農林省それから通産省、三省庁が合同いたしまして、大型店、すなわち百貨店、チェーンストアあるいは消費生活協同組合といったところに対しまして、十品目につきましてユニットプライシング推進方について要請を行ったところでございます。また、都道府県に対しましても、同様の趣旨ユニットプライシング推進するよう協力方要請を行いましたし、中小小売業者団体に対しましても、可能な範囲におきましてユニットプライシングを取り入れるようお願いしてまいりました。それから、製造業者の方に対しましても、製造業者から出荷する段階におきまして単位価格表示をすることが最も適当でございますので、これに対しましても同様の要請を行った次第でございます。  さらに、単位価格表示を十分に理解するには消費者意識というものが第一に必要だと思われますので、毎年パンフレットなりあるいはリーフレットを相当多量に作成して消費者に配布する、また地方公共団体に対してもPRをする、そういったことを行っておるわけでございます。また、消費者向けテレビ番組の際にも、ユニットプライシング必要性を周知させるよう努力してまいっておる次第でございます。さらに、昨年、消費生活改善監視員を通じましてユニットプライシングに関する実態調査等を行い、関心の度を高めていくというようなこともやっております。その結果を関係者に公表するとともに、事業者指導にも万全を期しておるつもりでございます。
  18. 渋沢利久

    渋沢委員 次に、昨年尺系計量器使用を認めるという、従来の政府方針からいたしますと非常に大きな変更をおやりになったわけであります。改めてその経緯を伺っておきたいと思います。
  19. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量行政審議会におきまして、昭和五十二年二月以来、計量単位臨時専門部会というものを設けまして、延べ九回にわたりましてただいま御指摘の点につきましての御審議をいただいたわけでございます。  御審議内容といたしましては、建築、文化財補修工事和裁等分野におきます尺単位及び鯨尺単位目盛りつき長さ計の使用状況等実態を調査した上で、これら長さ計の必要性メートル系単位への統一推進という課題をいかに調和させるかについて審議をいただいたわけでございます。その結果、五十二年九月に通商産業大臣あて建議がなされたわけでございます。  その建議を簡単に申し上げてみますと、尺系単位を取引上または証明上の計量に用いてはならないという現行法の原則は変更すべきではない。しかし、大工和裁士等の不便を解消し、やみ商品流通による社会的不公正を是正するため、メートル系単位への統一は引き続き図りつつも、尺単位目盛りつきさしがねコンベックススケール等のうち工作道具としても使用され、需要の根強いもの及び鯨尺単位目盛りつき竹製物差しに限って、現行法範囲内で適切な供給を行わせることを当分の間可能とすることが妥当である旨の建議がなされたわけでございます。  通産省におきましては、ただいま申し上げました審議会建議を受けまして、関係者意見をも聴取いたしました上で、十月三十一日付で関係機関に対しまして局長通達を出したわけでございます。それ以後、製造事前届け制あるいは事後報告制内容とする行政指導を行ってまいっておる、こういう現状でございます。
  20. 渋沢利久

    渋沢委員 ところで、そういう新しい方針に基づいて新しい計量器はどういうふうに製造され、市販が行われている状況ですか。
  21. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、昨年の十月三十一日付で局長通達を出したわけでございまして、それ以前はこういった長さ計につきましては製造、販売が禁止をされておるという状況であったわけでございます。したがいまして、実際にそういった長さ計をお使いになる方に、たとえば大工さんでございますとか和裁士さんの方々はいわゆるやみでつくられたものをお使いになる、こういう実態があったわけでございまして、このやみがどういう程度でつくられてどういう程度流通されていたかということは、実態といたしまして把握がなかなか困難であったわけでございますけれども、それ以降、つまり十月三十一日以降につきましては、若干の条件はつけておりますけれども、そういった長さ計をつくることを政府としても認めるということになったわけでございますので、現時点におきましては、いわゆる正規の商品として製造され、販売されている、こういう状況でございます。  なお、どういう実態であるかという御指摘の点につきまして、若干数字の御説明を申し上げますと、さしがねにつきましては、届け出者数が二十五ございます。年間計画数量が七十二万八千本でございます。それから、文化財補修用及び畳職人用等竹製物差しにつきましては、届け出者数が十三、年間計画数量が十四万本でございます。それから、和裁用の竹製物差しにつきましては、届け出者数が十四、年間計画数量が四十五万三千本。それから、コンベックススケールにつきましては、届け出者数が八、年間計画数量が百七十九万本、こういった状況でございます。
  22. 渋沢利久

    渋沢委員 要するに、現行法の体系でいいますと、尺は認めない、その計量器の一定の製造、販売については罰則をもって報いる、こういうことで、現にこの罰則の適用で過去相当数の摘発をしておるわけですね。しかし、やみの物がかなりの量、しかも高価に出回るということは、これは明らかに高い需要が存在をするということのあらわれであって、政府が一定の処置をとられたということについては歓迎をする立場でお尋ねするわけですけれども、言いかえると、むしろこの現行法のありよう自体に少し無理があったということではないのか。特にこの種のものは、きわめて日本的な和裁あるいは日本風建築というものに対する国民の関心と需要が存在するということの中で存在しているものです。  ですから、それを罰則で構えて取り締まるという、そういう指導だけでは問題は解決しなかったということを、いみじくも政府みずからが認めざるを得ないということであったのではないのかというふうに思うわけです。内容的には現行法の枠組み、考え方を壊すものではない、その範囲の中でだ、こう言っておりますけれども、実際の物差しは尺の物差しであるということは明らかで、尺と寸の表示がしてないだけの話であって、しかし、これは別な形で表示がされているものであるわけなんです。  それで私は、この処置を歓迎しながらも、政府としてはもうちょっとそこは突っ込んだ検討がされなければならないはずだ、どうお考えになっておるのだろうかというふうに思うわけであります。いまひとつ突っ込んだお考えを伺っておきたいと思うのです。
  23. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量法によりまして罰則があるという点につきましては、私どもといたしましてこういうふうに考えているわけでございます。つまり計量単位統一を図るということがきわめて苦労の多いことでございまして、わが国にまきましても、明治十八年にメ−ト九条約に加盟いたして以来、一世紀に近い間に相当の努力をしてまいったわけでございます。罰則を法定いたしておりますゆえんも、そういった観点に基づくものであろうかと思うわけでございます。  しかしながら、尺系単位というものが、社会におきまして、ある種の方々にとりまして、生活あるいは社会活動の上からなお必要であるという方々がおられることもまた事実であろうかと思うわけでございます。そこで、私どもといたしましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、昨年の十月に、一定の条件、つまり現行法の体系の枠内でそういった方々の御要望にこたえるという形でああいう措置をとったわけでございます。  問題といたしましては、ああいう措置をとったことが、尺系単位の復活を行ったものであるという誤解を一般に与えることではないかと思うわけでございます。私どもは、あくまでもメートル法の推進という大前提のもとにおきまして、そういった一部の方々に対する生活上あるいは社会活動上の利便さというものを提供する、こういうことが行政としてより親切なやり方ではないかという認識のもとに通達を出すことに踏み切ったわけでございまして、くどいようでございますが、メートル系導入という基本姿勢は全く変える気がない、こういうような感じを持っておるわけでございます。  したがいまして、今後計量法を遂行してまいる上におきまして、私どもといたしますれば、過去長年にわたって努力を続けてまいりましたメートル法推進という考え方を今後とも貫きながら、行政的にはそういったある種のひずみに対しまして何らかの是正を講ずる、こういうことを複合的に考えながら行政を進めてまいりたい、こういうことが私どもといたしましていま基本的に考えておる点でございます。
  24. 渋沢利久

    渋沢委員 どうもよくわからない。もちろん、メートル化を進める、定着させるという方向は私どももよくわかっておりまするし、現にそれはおおむね国民のものになっておるということは事実だと思うのです。それから世界的なこの統一化についても、もちろんこれは計量に限らず、通貨においても、言葉においても、いろいろな意味世界共通のものが求められるということは当然の要求であります。しかし、このことはたとえばその国固有の文化、個性というものを否定するものでは全くないことは明らかであるし、民族文化といってもあるいはローカルなたとえば地方文化というようなものとの併存ということが当然存在するわけでして、着物や建築の上で尺に対する根強い要求があるということについては、これはとうてい罰則をもって押しつぶすことのできない根を持ったものだという理解がむしろ必要なのではないか。まさにこれは五十年かかろうと百年かかろうと、国民自身がお互いの暮らしの要求の中でこれは解決をしていくものであって、罰則で禁止をしようというところに、先般来のこの種の問題での言ってみるとトラブルがあり、困惑があり、そして審議会も大変苦肉の答申建議せざるを得ず、政府自身も必ずしも歯切れのいい解明にはならぬと思うのであります。  尺を認めたわけではない、尺の復活ではないと言いますけれども、現実には尺の物差しが、これは政府の容認と御指導のもとで明らかに復活して利用されていく、いままではやみで売らなければならなかったものを公然と使用することができる、こういう状況になったわけですから、これは政府としては復活だと認めがたい立場でしょうけれども、現実には根強い尺への要求を公式に認めたということと変わりがないわけで、われわれは、それはそれなりに併存し得るものだし、そうあっていい、こう考えているわけで、むしろ罰則をもってこれを律するというこの法体系にこそ問題があったのではないか。われわれは、その罰則をもって対処しなければならない性質のものもたくさんあることを承知していますけれども、この種のものについては、これは粘り強く時間をかけて国民理解の中で定着をさしていくということが正しいのではないか。むしろ私は、この昨年の審議会建議政府対応についてとやかく言うのではなしに、その発想、その受けとめ方を一歩進めて、この法自体の持っている一つの問題にやはり大胆に触れていく必要があるんじゃないかというふうに思ってお尋ねをしたわけであります。いかがでしょう。
  25. 森山信吾

    森山(信)政府委員 確かに、国民生活にとりまして基本となるべき計量単位を罰則をもって律するということは、大変な問題ではないかと思うわけでございます。しかし、一方におきまして、罰則をもって臨むほど、政府といたしまして一つの決断と申しましょうか、そういう心構えと申しましょうか、そういった考え統一を図らなければ国民的なコンセンサスはなかなか得られない、こういう反面もあることも事実ではないかと思うわけでございます。そこで、明治十八年にメートル条約に加盟いたして以来、長年にわたりましてそういう考え方のもとに行政を進めてまいったわけでございますけれども、必ずしもその罰則を適用しようという考え方ではなくて、罰則を適用することを決意するほど国民的に大事な問題なんだ、こういう問題意識で私ども行政を担当しておるつもりでございます。したがいまして、目くじらを立てまして罰則を適用する、こういうような考え方は毛頭持っていないということでございます。  それから、尺貫単位の併用の問題につきましては、これは先ほどからお答え申し上げましたとおり、メートル法推進という観点からいたしますと、とても私どもといたしまして受け入れることのできない御提案でございますが、ただ、渋沢先生の御指摘になっておられる御趣旨は、私どもとしても全く同感の部分もあるわけでございます。そういった尺あるいは貫といった単位というものを全くいまの日本の社会から抹殺してしまうということは、ある意味におきまして文化の滅亡といいましょうか、そういったことにもつながるという御趣旨もよく理解できるわけでございます。そこで、現行法範囲内でという条件をつけながらも、いかにすればそういったものが現実の形として併存していけるかということにつきまして、私どもは十分慎重に配慮いたしまして、審議会の御意見も聞いたわけでございます。  御承知のとおり、計量法規定いたします計量単位といいますものは、取引、証明上に使うものにつきましての規制を行っているわけでございます。そこで、御指摘大工さんでありますとかあるいは和裁士さんのように御自身でお使いになる尺あるいは寸等につきましては、これは取引及び証明上の計量にはなりませんので、お使いになりますことは違法ではないわけでございます。ただ、そういった方々がお使いになるための長さ計を商売といたしまして製造をし、これを販売することが取引上の計量となりますので、その部分につきましては従来禁止しておった。ただ、そのために実際にお使いになる方々がやみ商品を使わざるを得ない、こういう不便さを感じさせますと、これは行政として大変な問題でございますので、そういった方々に少しでも不便さを解消していただくために、昨年一定の条件のもとに製造販売を認めた、こういういきさつでございますので、私どもの意図するところをぜひ御理解を賜れば大変幸いだと考える次第でございます。
  26. 渋沢利久

    渋沢委員 メートルと尺貫を法律の上で平和共存、明文化させよと言っているわけじゃなしに、先ほど言いましたように、罰則で抑えていこうということが事実上無理であるということをあなた方御自身が証明なさっておるのじゃないか、そこが問題なのではないかという指摘を申し上げておるわけであります。  さて、時間もありませんので、最後に一、二伺っておきますが、こうして百里単位というこの方針が、一方では尺貫、坪への厳しい規制というものがあり、一方では今度の法律の中で、私はむずかしくてよくわからぬのですが、圧力のパスカルなんという大変むずかしい計量単位を加えていく、ふやしていく、こういうことがある。これは一体どういう方針があるのだろうか、一量一単位という基本方向とのかかわり説明を願いたいところです。
  27. 森山信吾

    森山(信)政府委員 一量一単位ということが理念でございます。ただ、同じメートル系の中におきましても、必ずしも百里単位が行われているとは限らないというのが現状でございます。そこで、今回改正をお願いいたしております幾つかの単位につきましても、一単位ではないという部分もございます。  これはどういうことかと申しますと、メートル系単位の中におきましても複数の単位があるわけでございまして、国際的にもいろいろな分野で使われている、こういうことでございますが、ただ、最初の段階でお答え申し上げましたとおり、同じメートル系単位におきましても幾つかの単位があるということは、国際的に大変困る問題が起こってまいりますので、いわゆる国際単位系、つまりSI単位というものが現在推し進められている、こういう感じでございます。したがいまして、国際単位統一的に行われる過程におきましては、同じメートル系単位の中におきまして複数の単位が併存するということがあり得る、こういうことでございます。  なお、今回改正をお願いいたしております単位につきましては、それぞれ専門家が参っておりますので、お答えをさせたいと思う次第でございます。
  28. 渋沢利久

    渋沢委員 時間がないので、いま一点だけ伺って終わりにしますが、計量器製造事業者の大部分が中小企業者によって占められているという現状があります。この長期にわたる不況で大変経営上の困難を来しているという状況も見られるわけでありまして、この仕事の性質上からいたしましても、適正な計量行政の進展の上にそのこと自体が大変障害になるということもおもんばからねばならず、通産省は、そういう意味ではこの関係業者に対する援助の施策というものが当然具体的に考えられなければならないというふうに思うわけであります。  この業界の実態というものについて、工業用の計器から商業用からいろいろ分かれていると思うのですけれども、どのようにとらえられておいでになるか、そして援助の施策ということについてもどういう対応を用意していらっしゃるかということを最後にお尋ねしておきたいと思います。
  29. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量計測器の業界の実態につきましては、ただいま渋沢先生から御指摘のございましたように、大変中小企業の方々が多いわけでございます。ちなみに数字で申し上げてみますと、私の方の工業総計によります調査では、いわゆる計量計測器をおつくりになっている事業所が約四千事業所ございますが、そのうち従業員が百人未満の事業所が九八%ございます。約四千事業所のうちの三千八百九十事業所ほどが百人未満の事業所によって占められておる、こういうことでございまして、大変中小企業性の強い業種でございます。  それから、計量計測器のもう一つの特徴といたしましては、多品種少量生産、こういうかっこうになるわけでございまして、きわめて幅の広い機器類を少量生産をするという形態でございます。これは当然に中小企業性とつながってくる問題でございまして、先ほど申し上げました実態というものもそういうことを反映しているんではないかということでございます。  中小企業性の強い業種になりますと、どうしても発展途上国からの追い上げという問題もございますし、あるいは昨今におきます円高の影響を非常に受けやすい、こういう問題もございますので、そういった観点に着目いたしまして、私どもといたしましては各般の処置を講じてきておる、こういうところでございます。  なお、計量計測器につきましては、その将来の方向を考えますと、これはどうしても基本的に発展をさせていかなくちゃならぬ業種であるというふうに認識をいたしておりますので、前回委員会で御審議賜りました特定機械情報産業振興臨時措置法、これが成立させていただきました暁におきましては、計量計測器も同法の対象といたしまして十分なる振興手段を考えたい、かように考えておるところでございます。
  30. 渋沢利久

    渋沢委員 終わります。
  31. 島村宜伸

    島村委員長代理 後藤茂君。
  32. 後藤茂

    ○後藤委員 渋沢委員が全般的な質問をいたしておりますので、重複を避けまして二、三の点について御質問を申し上げたいと思います。時間が大変制約をされておりますので、答弁の方は簡潔にお願いをしたいと思います。  今回の法改正国際度量衡総会の決議されました計量単位法定化されるわけですが、一九七一年と一九七五年に総会決議がなされております。今回の法改正に六年あるいは二、三年の時日経過がございます。どうして総会で決議されたものが直ちに法定化されてこなかったのか、その理由について簡潔にお答えをまずいただきたいと思います。
  33. 森山信吾

    森山(信)政府委員 確かに、今回改正をお願いいたしております計量単位追加につきましては、七一年と七五年の国際度量衡総会の決議によるわけでございます。かなりな時間を要しておるということでございますが、基本的には国際度量衡総会の決議を遵守するという姿勢でございますけれども計量単位国民生活あるいは経済活動にきわめて重要な役割りを持つものでございますから、相当慎重な態度でこの導入を図らなくちゃならぬという問題がございます。したがいまして、私どもといたしましては、国際度量衡総会の決議がございますと、まず日本学術会議意見を求めるわけでございます。さらに計量行政審議会へ諮問をするわけでございます。そういった幾つかのプロセスがございますし、専門の方々の御意見というものを十分拝聴した上でないと、直ちに実施に移すということにつきましてはかなりな問題があるという観点がございますので、若干時間がかかりましたけれども、その間慎重なる考え方のもとに検討を重ねてきた結果である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  34. 後藤茂

    ○後藤委員 この法律目的を見ますと、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保する」、この二つの規定が定められているわけです。一方の方は大変学問的でありますし、難解な計算単位、素人にはなかなかわかりにくい計算単位の関係の規定、もう一方の方は、消費者保護だとかあるいは環境保全だとかあるいはまた一般家庭にも大変なじみの深い計量行政、この二つがこの法律には混在をしているわけですし、さらに、いま局長お答えになられましたように、日本学術会議なり計量行政審議会あるいは政府でもさらに検討を加えていく、そして立法府、国会の承認を得ていく、こういう大変な手続がとられていくわけですが、純学問的事項までも法定をしていく理由というものは一体どこにあるのか。  あるいは、本法の目的の中で二つの内容を含んでいるわけですけれども、純学問的な、恐らく国際度量衡総会においてはそれぞれの専門家が国際的な計量単位として十分に論議をして決められているだろうと思うのです。ただ、それぞれの国内の、先ほども渋沢委員指摘をいたしましたが、尺貫法等の問題あるいはそれぞれの歴史、慣習、文化等の関係で、にわかに決議をされたから直ちに実施をしていくということはそれぞれの国情にかかわるだろうと思うのですけれども、こういった専門家の方々が論議をして国際的に決めたものについては、なるべく早く法定化するものはしていくという機動性を持っていいんじゃないか、そう考えますと、混在させるよりも二つに分けてもいいのではないか、こう考えるわけですが、簡単で結構ですが、いや、二つは一体のものであって分けることはまかりならないのか、それとも立法技術上、これは二つに分けていった方が行政としてもやりいいというお考えなのかをお伺いしたいと思います。
  35. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども行政判断上大変問題があると思っております点をただいま御指摘あったわけでございます。現計量法の体系では、計量単位統一的に推進すると言う考え方から、むずかしい計量単位国民生活になじみの深いものも一緒に運営しているわけでございます。この点につきましては、確かに御指摘のとおり問題はあろうかと思います。計量単位というものをすべて法律で決めなくちゃならぬという現行法の体系につきましては、各種の御意見もあるところでございますので、ただいま御指摘の点は将来の課題といたしまして十分検討する必要のある問題ではないか、こういうふうに私ども考えております。
  36. 後藤茂

    ○後藤委員 特に国際的な計量単位、これはここで私どもに幾ら議論をしろと言われましても、今回採用されますモルだとかジーメンスだとかパスカルだとか、こういうようなものが一体計量単位として必要であるのか必要でないのか、あるいは今後どうなるのかということを幾ら議論をしても、議論のしようが実はないわけです。大変専門的、技術的、学問的ですから。したがって、これはどこで責任を負っていくのか。国会ではもちろん決議を承認をしていくわけですけれども、そういう点が日本学術会議なのか計量行政審議会なのか、それとも政府なのか国会なのか、この辺も実は責任の負いようがなかなかむずかしい問題でございますので、いま将来の検討課題として考えていきたいという御答弁でございましたが、ぜひそういうようにしていただきたい。  これはセットにして、国民にメートル法の統一化のために国際的な計量単位というものを周知徹底していく、そのPRのためにも二つが混在しているということは大変やりにくいだろう、やはりこういう計量行政というものはもっと国民になじみいい、わかりいいように、定着するようにしていくためには、分離してやる方がいいのではないだろうかということで申し上げたわけでございます。  そこで、第二の問題といたしまして、この前の改正では、環境公害関係の計量計測につきまして、環境計量士の資格登録制度あるいは環境計測事業者の登録制が採用される、そして大気汚染なり水質汚濁等々についての環境保全というものに一歩前進をされた。さらに、今回の改正におきましては、いままでの濃度規制から総量規制という方向に対応いたしまして、流量計なりあるいは流速計というものが加味されてきた、こういうことになっていると思うのですけれども、こういった新たな改正と関連いたしまして、この計量行政審議会答申を見ますと、なお「精度及び性能上の基準も定まっていないものが多く、信頼性の面あるいは使用面で問題が多い現状」だ——これから採用される過程でさらにその精度が高まってきているのだと思うのですけれども、こういう信頼性がもう一つ十分でない、その計測が特に国民の健康や命と関係がありますし、あるいはまた自然保護との関係がありますが、こういった計測を一体どういうところでやっておられるのか、このことを実はお聞きしたいわけです。数は結構でございます。どういうところでこの総量規制、これから流量計流速計も入ってくるわけですが、計測をしていくのかをお伺いしたいと思います。
  37. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量法の施行に関しましては、先生御高承のとおり、国がやる部分もございますけれども、大部分地方公共団体にお願いしておるわけでございます。これは府県及び特定市でございます。したがいまして、ただいま御指摘の点につきましては主として地方公共団体にお願いする、こういうことになろうかと思います。
  38. 後藤茂

    ○後藤委員 環境保全の問題につきましてはそれぞれの法的措置もとられてまいっておりまして、徐々に充実し始めているわけですけれども、ほかの計量器の検査、検定等と違いまして、やはり環境保全等につきましては、各地方自治体に任せるあるいはそういう環境計測事業者等に任せていくということではなくて、もっと国が責任を負った研究測定機関といいますか、そういうものが必要じゃないだろうかという気がいたします。  私たちはよく出くわすわけですけれども、民間の方々も、企業ももちろん最近は一生懸命計測を進めております。あるいは自治体等が行う、業者に委託する、と同時に、一般住民もまた学者なりあるいはそれぞれそういう機器を購入いたしまして測定をしている。そこに皆一致した計測値が出てくれば問題はないわけですけれども、間々そこに誤差がある。そういたしますと、それから発展をいたしましていろいろとトラブル等も起こってくるわけです。特に環境関係の計測につきましては国が責任を持ってそういう機関を設置をしていく、そして権威あるデータを、そういうおそれがあるところだけをやるのではなしに、常時大気あるいは水質等々の総量規制というものについてのデータを確保しておく、そして公開をしておく、こういう制度が特に環境問題については必要になってきているのではないだろうか。ただ法定化して、あとはどうぞ御自由に、ではないでしょうけれども、おやりなさいということではなくて、もっと国が責任を持った体制、制度、機関というものが必要ではないだろうか、そういうふうに考えるわけですけれども、これも将来の問題になるかと思いますが、局長のお考えをお伺いしたいと思います。
  39. 森山信吾

    森山(信)政府委員 公害関係、つまり環境計測という問題につきましては、ただいまの日本におきます国民生活あるいは社会生活上大変重要な問題でございまして、ただいま御指摘問題意識というのは大変重要なことではないかと思うわけでございます。そこで、私が先ほどお答え申し上げました実態といたしまして地方公共団体にお願いしているという点につきましても改善の余地は十分あるのではないか、こういう気がいたします。  そもそも計量を適正に行うことにつきましては二つの問題があるわけでございまして、第一点は正確、適正なる計量器をつくるということ、もう一つはいかにして計量を実施するかという二つの問題があるのではないか、かように思うわけでございます。機器の正確性を期するということは、当然、私どもとして最大の努力を傾注しなければならぬ問題点でございますし、第二番目に申し上げました計量の手法というものをどうするかという点につきましては、これは統一的にできるだけマニュアル的なものをつくりまして、実態的に地方公共団体の方々が実施されるに際しましてのいろいろな便宜性というものをつくって差し上げる必要があるのではないか、こういう感じを持っておるわけでございます。現に私どもにおきましても、工業技術院が中心になりまして、そういった計測の手法というものにつきましての統一化といいましょうか、JIS化といいましょうか、そういったものにつきましての検討は着々と重ねておる、こういったところでございます。したがいまして、先生指摘のような御趣旨を体しまして今後とも努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  40. 後藤茂

    ○後藤委員 政務次官もおられますので、この点は要望しておいてみたいと実は思うのです。これからの審議会等でもぜひ御検討いただきたい。  もう一度申し上げますけれども、つまり、やはり環境保全の問題につきましては、全国的にこういった計測が常時行われている必要があるだろうと思いますし、私はそれは国の責任においてやるべきだと思う。そういう意味の体制、機関というものがもうすでに必要になってきているのではないか。特に、各種のいろいろな資料を見てみましても、環境計測器の信頼性、精度あるいは性能等についてはまだ十分に国民の信頼というコンセンサスを得てないということがあればあるほど、むしろ国が責任を持ってそういった体制を確立していくということを、これは政務次官、答弁は結構でございますが、御要望申し上げておきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、一点申し上げてみたいと思うのですが、この計量法の持つ意味というのは、一つは正確な計量器を供給していく、そしてその計量器の検査を進めていく、さらに、誤差の限度を超えるものについては罰則等まで実はあるわけですね。法律目的の中に、「適正な計量の実施を確保」していくという言葉がございますが、この適正な計量の実施というのは大変精度の高いものを求めているのではないか、もちろん対象物によっては誤差に若干の幅があるだろうと思うのですけれども、しかし、たとえば温度計等にいたしましては、プラス一度、マイナス一度というような厳密なものに、これは命にかかわる問題でも生活にかかわる問題でもありますから、そういうようにされているようですが、この検定公差、使用公差の幅の大きいのはどの程度までございましょうか。一言で結構です。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量法上の計量器であって、かつ検定の対象となっているものにつきましてお答えを申し上げますと、公差につきましてはあらわす量の百分の十六でございます。これは特殊な計量器、つまり照射線量計でございまして、その他の計量器の使用公差はおおむね一〇%未満、こういう状況でございます。
  42. 後藤茂

    ○後藤委員 照射線量計はプラス一六、マイナス十六というように、これは相当大きな幅を持っているようです。あと、たとえば一般家庭の電気のハウスメーター、こういうようなものを見てみますと、検定公差三%、使用公差四%、こういうようになっている。公差は大変狭められる。精度を高めていくということがこの法の精神でもあると私は思うのですね。  そこでお伺いしたいのですけれども、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止のための特別措置法というのが昭和四十二年の八月の二日に成立をし、実施をされているわけです。その翌年の四十三年の二月五日の通産省運輸省令第一号で、その第一条に「許容誤差」とあります。特別措置法の中の六条には、ダンプトラックには自重計を装着する義務が課せられている。しかも、その義務違反については一万円以下の罰金が課せられているわけです。この省令で見ますと、その許容誤差がプラス二五%、マイナス一五%。先ほど局長は、照射線量計プラス二八%、マイナス一六%、この辺が一番誤差幅の大きなものだという御説明がございました。二五%、一五%というのは、私はどうもこの法定計量器といたしましてはその名に値しないのではないか、こう思うわけです。しかも、法律ができましてから十年余りたっているわけです。もちろん最初はそれほど精度の高い技術が開発できなかった、とりあえず二五%、一五%で出発したのだということならまだわかるわけですけれども、その後十年以上経過をいたしましてなおこの省令が今日まで生きているわけでしょう、二五%、一五%という。これに対して計量器等について責任を持っておられる通産省としてこれまで何らかの対策を講じられたかどうか、また、この問題に対してどういうお考えか、お伺いをしたいと思います。
  43. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘のございましたダンプカーの自重計につきましては、御指摘のとおり、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法に基づきまして自重計の取りつけが義務づけされておるわけでございます。その義務化されるに先立ちまして、委員会設置いたしまして調査実験を行った上で、油圧式あるいは担バネ式等の自重計を開発したわけでございます。その後も許容誤差の少ない自重計の開発につきまして自重計メーカーを指導してまいったわけでございますけれども、本来計量器としてつくられたものではないダンプの一部を利用するために、たとえば油圧式自重計の場合は荷台を昇降するホイストシリンダーの油圧を測定して計量するものであるため、積載量の荷重が一様にホイストシリンダーにかかると言えないことなどがございまして、誤差が避けられない、こういう実態がございます。さらに、ダンプの走行による振動等の影響を常に受けることから、その精度の向上がきわめてむずかしいという状況にございます。  そこで、先ほど先生から御指摘のございました許容誤差プラス二五、マイナス一五、こういったものをどうするか、こういう御指摘でございますが、先ほどお答えいたしましたとおり、一つ法律によって取りつけが義務づけられておる、こういうことを考えますと、この法律趣旨に基づくような処置は継続してまいらなくちゃならぬのではないか、かように考える次第でございます。  ただ、おっしゃいますように、余りにも大きな誤差を十年間もほったらかしにしておったのではないか、こういう面もございます。私どもは、先ほどお答え申し上げましたとおり、メーカーに対しまして指導、助言を繰り返し行ってきたわけでございますけれども、なかなかその精度の向上が図れない、こういう悩みを持っております。しかしながら、やはり少しでもその精度の向上を図って、本来の目的に合致するような自重計を開発するということが基本的な問題ではないかという認識を持っておりますので、今後ともこの問題につきましては真剣に取り組みをしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  44. 後藤茂

    ○後藤委員 どうも歯切れが余りよくないと思うのですね。十年間幾ら指導されましても、これはやはり私は無理だと思うのです。もちろんこれからも研究のために助成なり指導なりはぜひしていただきたい。私は、これは別の角度からこの過積載に対しては対策を講じていくべきだと思うのです。いま局長からいろいろと御説明もございましたけれども、そうやっても無理じゃないですか、あの油圧式でおやりになっても。ただ、私は、この計量法の権威からいいましても、二五%、一五%の誤差を法定計量器として認めているということは、この計量法の権威にかかわると思うのです。  局長、どうでしょうか。こういう大きな誤差を持っているものは計量器に値しないんだ、目安器なんだ、したがってこれは法定化することはもうやめた、十年以上いろいろ見ておったが精度も上がらない、いろいろ技術を投入してもいいものができない、やめた、こういうようにされた方が過積載対策は別の角度から進むだろうと思うのです。むしろこのことがあるためにそこに寄りかかって、そこで行政的にもあるいはまた業者も責任逃れをしているように思うわけです。一言で結構です。いかがでしょうか。
  45. 森山信吾

    森山(信)政府委員 確かに、二五%あるいはマイナス一五%といったような幅の広い誤差を認めた計量器というものは、好ましいものとは思いません。計量器というものはできるだけ誤差を少なくするのが本来の目的であろうか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、もうやめたらどうかという御指摘につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、この誤差の範囲ができるだけ縮まるような対策はとれないかということをいま私ども検討しておるわけでございます。しかし、先生の御指摘のようになかなか技術的にむずかしいのではないか、油圧式では技術の関発はむずかしいのではないかという御指摘理解できるところでございますので、少しく検討をさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  46. 後藤茂

    ○後藤委員 少しくの検討ではなしに、これは本当に重要な問題なんです。ダンプの過積載というものが人身事故をたくさん起こして、そして急遽この法律がつくられたわけです。そのことが、この自重計があることによって責任逃れがされちゃいけないと思う。これは運輸省委員会の方の課題あるいは交通安全委員会等課題になるかと思いますけれども、ただ、この自重計については通産省が責任を負わなければならないだけに、繰り返しますけれども、そういう大きな誤差のあるものは国民にかえって誤解と混乱を与えるのでやめたい、ほかの対策を講じてもらいたいということをむしろ勇気を持って発言すべきだろうと私は思う。そのことによって逆に過積載対策はもっと進むだろうということを私は考えますので、申し上げます。  時間が来ましたので、あと一点だけ、これもまた簡潔にお伺いしたいのですけれども、家庭用計量器等が国民生活の中にたくさん入ってきております。私は、これからの生活の多様化によってこういった計量器がさらにふえるだろうと思うのです。これは法定計量器のものもありますし、そうでないものもあるわけですけれども、そうでないからといって放置はされないと思います。  そこで、試買検査、買い取りのようなこともおやりになっているようでございますが、そういった試買検査の予算、あるいは誤差が大変大きいものに対しては改善命令等も出されるようになっているようですけれども、近い年度で結構でございますけれども、その改善命令等がどのくらい出されているのか、お伺いをしたい。
  47. 三野正博

    ○三野説明員 御説明申し上げます。  第一点の家庭用計量器等の精度の確認のためにどういう方策を講じているか、その関係で試買事業等どうやっているか、その予算は幾らかということでございますけれども、私の方では、日本計量協会というものを指導いたしまして、そこでそういう事業をやらしておりますし、あるいは地方公共団体が予算措置を講じてやっておりまして、具体的な数字は、申しわけございませんが、いま手元にございません。  それから、具体的に立入調査等いたしました場合に、一定の基準を超えているというような場合の改善命令の件でございますけれども、立入検査の場合には、訓告等の措置を行っておりますけれども法律に基づく改善命令というのはいまだやったことはございません。
  48. 後藤茂

    ○後藤委員 実はこういった家庭用計量器に対する試買検査とかあるいはその誤差がある場合の改善命令とか、いろいろなことは行われるようにはなっていると思いますが、恐らく全国各自治体等も加えての予算を見ると大変少ないだろうと思います。  これは委員長にお願いをしておきたいのです。後で結構でございますけれども、大体買い取り予算等は、五十二年度あるいは五十一年度でも結構でございますが、どのくらい計上されておったのか、どのくらい使われておったのか。  私は、この家庭用計量器は、先ほども言いましたように国民生活にとって大変大切だと思いますので、法定計量器ではないということで放置はできないだろう、やはり生活の上の目安なり、場合によると健康、命にかかわる場合もあるわけですから、もっと真剣にこの問題には取り組むべきではないだろうか、そういう意味で、ただ単におざなりで、悪いやつ、誤差があるものについては改善命令を出すんだとかあるいは試買検査をやっておるから大丈夫だとかいう答弁ではなくて、こういったものについて真剣に取り組んでいただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  49. 島村宜伸

    島村委員長代理 宮田早苗君。
  50. 宮田早苗

    ○宮田委員 今回の計量法の一部改正に当たって、政府が関係行政の一層の拡充のため、環境計測器二種類を法定計量器に加えたことは時宜を得た措置だと思いますが、しかし、この分野の機器開発は技術上まだまだ問題点が多いというふうに承っておるわけですが、技術開発の施策をどう展開していかれるおつもりか、まず通産省のお考えを示していただきたい、こう思います。
  51. 森山信吾

    森山(信)政府委員 公害計測技術は、たとえばppmでございますとかあるいはppbといったようにきわめて微量なものを取り扱う比較的新しい技術分野によるものであるために、公害計測器械はまだ技術開発の過程にあるものが多いという状況にございます。そこで、私どもといたしましては、昭和四十六年以来、いわゆる機電法の対象業種といたしまして公害計測機器を指定いたしまして、技術開発すべき目標を定めてその推進を図ってまいったわけでございます。  具体的な技術開発目標について申し上げますと、たとえば大気汚染計測機器につきましては、高精度多成分ガス同時連続計測器、SO2、NOX用の高精度携帯用計測器などを対象にいたしました。それから、水質汚濁計測機器につきましては、無保守高精度自動記録式水素イオン濃度計、BOD及びCODの高精度自動計測器、高精度の自動サンプリング装置及び自動前処理装置などの開発を定めたわけでございます。この結果、一部の機種につきましては目標を達成したものもござしますけれども、なお技術開発の必要性が多分に残っておる、こういう状況でございます。したがいまして、前回委員会におきまして御審議賜りました機情法を成立させていただきました暁におきましては、さらに継続的に対象の業種といたしましてその技術開発の推進に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  52. 宮田早苗

    ○宮田委員 法定計量器の対象とした流量計流速計ですか、その二つの機器を製造いたします技術上適格な事業所というのは大体どのくらいあるものか、お聞かせ願いたいと思います。
  53. 森山信吾

    森山(信)政府委員 流量計等の製造メーカー数は、現在二十六社ございます。  なお、御参考までに五十一年度の生産実績を申し上げますと、気体流量計等が約二万七千台、金額にいたしまして約三十三億円でございます。それから液体流量計等が約六万七千台、金額にいたしまして二百十八億円、こういう状況でございます。
  54. 宮田早苗

    ○宮田委員 環境計測器の技術上の問題解決に加えて必要なことは、計測器の計測に関する技術の向上という点と思います。環境行政は主として地方自治体の業務でございまして、全国的に計測の技術というか、この手法の標準化ということを考えるべきだと思いますが、これをどう推進されるものか、お伺いをいたします。
  55. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大気汚染または水質汚濁の有害物質の測定分析は、比較的新しい技術分野によるものでございまして、中には測定分析手法の確立していないものもあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、環境計測の精度向上を図るため、これら計測手法の標準化につきまして、従来から工業標準化法に基づくいわゆるJISでございますが、日本工業規格の制定または見直しを鋭意進めてまいっておるところでございます。また、工業技術院傘下の試験研究所におきまして、大気、水質等各種の公害測定法に関する研究を行っております。これらの施策につきましては、その緊急性にかんがみまして、今後とも一層この拡充強化に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、私は、計量計測器産業の実態について二、三お伺いしたいと思いますが、この業界は、事業所規模で見ますと中小企業性の高い業界だと一般的に言われておるわけでございますが、その概要をまずお示しいただきたいと思いますのと、最近数年の出荷額または輸出の動向もあわせてお答え願いたい、こう思います。
  57. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量計測機器と申します産業は、御指摘のとおり中小企業性の強い産業でございます。  若干の数字を例にいたしまして申し上げてみますと、これは通産省の工業統計表による調査でございますが、事業所数が全国で約四千でございます。このうち従業員百人未満の企業、事業所が約三千八百九十ございまして、全体のうちの九八%を占めておるわけでございます。それから、従業員数全体でとりますと、四千事業所ひっくるめまして九万九千八百八十七名、約十万人の方々がこの業界で働いておられるわけでございます。このうち一つの事業所で百人未満の従業員の方々が全体の六三%という状況でございます。さらに、出荷額で見ますと、全事業所を通じまして約七千五百億円の出荷をいたしております。そのうち百人未満の事業所による出荷が五一%という状況でございまして、事業所数、従業員数、出荷額を見ましても、中小企業性の高い業種であるということがわかるわけでございます。  それからもう一つのこの業界の特徴といたしまして、いわゆる多品種少量生産ということがございます。これはいわゆる労働集約的な生産形態でございまして、生産性あるいは国際競争力、技術開発力の向上が強く求められる業界ではなかろうかと思うわけでございます。  さらに、産業用の計量計測器等につきましては、需要産業の設備投資に大きく左右される分野でございまして、いわゆる景気変動による影響を受けやすい、こういう体質を持った業界でございます。  なお、御質問のございました輸出につきましては、輸出比率が現在のところ約一八%、こういった状態の業界でございます。
  58. 宮田早苗

    ○宮田委員 一般長さ計、それと体温計、測量機器など輸出比率の高い計測器は、円高対策法の業種に指定されているのでございますが、今年に入ってからの円高の影響はどう出ておりましょうか。円高法の利用状況、さらには長期的に見て発展途上国と競合するであろう計測器の将来をどう誘導していくかの施策、これらをお答え願いたい、こう思います。
  59. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量計測機器産業のうちで輸出比率の高い一般長さ計あるいは精密測定機器、体温計等の業種につきましては、御指摘のとおり、昨年秋以来の円相場の高騰によりましてかなりな影響を受けたわけでございます。一つは為替差損の負担でございますし、さらに新規受注の減少、こういった状況で被害を受けたわけでございます。それぞれの業種にありましては、輸出態様に応じましてドル建て取引を円建て取引に切りかえたところもございますし、また、ドル建て取引を引き続いて続けておる企業におきましては、製品価格の引き上げを行う、こういったことで切り抜けてまいったわけでございます。また、場合によりまして、企業によりましては海外に進出いたしました工場からの輸出に切りかえた、こういうような措置を講じましてその影響を少しでも軽くするという努力を続けてまいったわけでございますが、一方、工場の生産合理化を図るという努力も続けていただいておるわけでございます。  政府におきましても、こういった実情を踏まえまして、一般長さ計、化学用体積計、体温計、精密測定器、試験機及び測量機械器具、さらに血圧計等を円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法の対象業種に指定したわけでございます。関係団体等を通じまして調査いたしました結果では、金融措置を中心に関連企業に活用されておるという状況でございます。  さらに、発展途上国からの追い上げの問題につきましてどう考えているかという御質問お答え申し上げますと、御承知のとおり、近年近隣の発展途上国におきましても工業化が進みまして、わが国計量器産業と競合するようなものがかなり出回ってまいっております。特にガラス製温度計、体積計、巻尺、圧力計等は、もう韓国、台湾、香港等におきまして相当な輸出が行われている状況になっております。したがって、わが国といたしましてもより一層の技術開発に努めまして、高性能な製品の生産への移行に努める必要があろうかと考えておる次第でございます。  今後、計測性能の高度化の要求あるいは発展途上国の追い上げ等中小計量器産業にとって厳しい条件が予測されるわけでございますけれども、ある意味で中小企業性の強い業種でございますから、中小企業あるいは中堅企業の活躍する分野も逆にあるわけでございますので、そういった業界の特色というものをプラスの面に生かせるような施策というものを十分考えまして、国際競争力の培養あるいは発展途上国との調整の問題等に対処してまいりたい、かように考える次第でございます。
  60. 宮田早苗

    ○宮田委員 計量行政は、消費者保護あるいは環境保全という面からも、地方公共団体の重要な業務であることは言うまでもありませんが、地方におきます担当者が十分確保できているのかという疑問も指摘される向きがございます。通産省の調査を見ましても、都道府県の専門職員は横ばい、特定市で若干増加という統計がございますが、人をふやさずに行政効率が上がることはまことに結構なことなんですが、公害対策等複雑化により専門的になっていく計量行政対応できるものかどうかということについて、御説明をしてほしいと思います。
  61. 森山信吾

    森山(信)政府委員 適正な計量行政の遂行を図るため、中央におきましてもあるいは地方におきましても、所要の定員の確保を図らなければならぬということがまず前提でございます。現状を申し上げますと、昭和五十二年度現在におきまして、通産省関係では、通産省計量課に十五名の定員がございます。それから、計量教習所に六名の定員がございます。さらに、計量研究所に二百五十二名の定員がございます。一方、自治体につきましては、都道府県が千十名の定員、特定市が四百七十四名ということでございまして、こういった陣容で計量行政推進しておるわけでございます。  御指摘のとおり、通産関係で申し上げますと、計量課及び計量教習所の定員につきましては大体横ばいで推移しているという状況でございます。それから、計量研究所の人員につきましては、いわゆる定員削減によりまして若干減少しておるというのは事実でございます。それに対しまして、私どもといたしましてはできるだけ業務の効率化を図るということに努めまして、支障のないような努力をしてまいっておるわけでございます。  それから、地方のうち都道府県の職員数はやや漸減傾向にございますけれども、反面、事業費はかなりの増加を示しておりまして、検査設備の自動化、合理化等を図ることによりまして、所要の施策の実施はより確保されておるのではないか、かように考えておる次第でございます。  しかしながら、消費者保護あるいは環境計測の適正化等の新たなニーズへの対応が求められておるわけでございますので、これらに伴う業務も増加してまいっております。今後とも必要な人員の確保、特に業務の効率化につきましては十分な処理を行ってまいりたい、かように考える次第でございます。
  62. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に、もう一点質問申し上げますが、これまでの参議院や本委員会質疑の中で数多く指摘されておりますように、計量法は一般国民の日常生活にきわめて密着した法律でございますだけに、今回の改正には消費生活面の内容はありませんが、消費物資の量目遵守、これらの表示といった従来からの行政指導をますます拡充する必要があると思います。  通産当局の決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わりにさせていただきます。
  63. 森山信吾

    森山(信)政府委員 今回計量法の一部改正をお願いいたしておりますポイントは、三つございまして、計量単位追加計量器追加手数料の上限の引き上げ、こういうことでございます。御指摘消費者保護観点規定は入ってないわけでございます。しかしながら、私ども考え方といたしましては、昭和四十八年以来計量行政審議会で御審議賜りました今後の計量行政統一的な考え方につきまして、消費者保護観点は特に強く要請を受けているところでございます。そこで、前回昭和四十九年に法律改正をお願いしました際に、その部分につきましては追加をお願いいたしまして、私どもとしましてはいち早く消費者関係の規定を盛り込ませていただいた、こういう認識がございます。今回は、その残りの部分を三点改正をお願いした次第でございまして、消費者保護観点というものは、私ども行政のビヘービアとしては十分に考えておるつもりでございます。  そこで、計量法と申しますのは、必ずしもすべてを法律をもって律するというものだけでもございません。やはり全国的に適正なる計量推進ということを考えますと、前回お願いいたしました法改正ポイントというものを踏まえまして、それ以外の法律規定されていない部分につきましても、御指摘のとおり強いビヘービアで行政に臨んでまいりたい、かように考える次第でございますのでよろしく御支援を賜りたい、かように考える次第でございます。
  64. 島村宜伸

    島村委員長代理 安田純治君。
  65. 安田純治

    ○安田委員 計量法改正に当たって、私は、従来から議論されてきたような点も含めて、基本的な問題の幾つかについてここで改めて取り上げてみたいと思うわけです。  まず、計量法目的、これは計量法の第一条に書いてありますけれども、ここに「適正な計量の実施」、こういうふうになっておりますけれども、なぜ「正確な計量の実施」というふうに明記しなかったのか、その点について伺いたいと思います。
  66. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまお示しのございましたように、計量法の第一条におきまして目的規定しておるわけでございます。「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済発展及び文化向上に寄与する」ということを目的としているわけでございます。  そこで、いま御指摘のございましたように、「正確な計量の実施」ということではなくて「適正な計量の実施」ということにしたのはなぜかという御質問でございます。計量器あるいは計量そのものはできるだけ正確に行うということが目的でございますけれども、これは物理的にいいまして、一〇〇%あるいは逆な言い方をしますと誤差が〇%のものというものは、理想としては考えられるわけでございますけれども、現実としてはなかなかむずかしいという問題がございます。そこで、私どもは「適正な計量の実施を確保する」という表現をとったわけでございまして、「正確な計量の実施」というものは、理念としては考えておるところでございます。
  67. 安田純治

    ○安田委員 そういう言葉の使い分けを考えますと、たとえば七十二条を見ますと、「正確に計量する義務」というのがございまして、第一項は、誤差は許容しておるということになりますね。第二項で「正確にその量を計るように努めなければならない。」まあこれは訓示規定でしょうけれども、しかし、それにしても正確にはかるということ、正確にはかれるという前提じゃないとこれは努めようもないわけですからね。「適正に計るように努めなければならない」なら、おっしゃるとおりでいいのかもしらぬけれども、ここでは「正確に」という言葉が出てくるわけですね。これは絶対達成することが不可能だということを最初からあきらめておれば、ここで「正確に」という言葉が出てくるのは、要するにできないことの努力を強いているような感じもするわけですね、これでは。  したがって、やはり考えてみると、法文の規定はみんなそうですけれども、「正確な」と言ってみても、それはその時の歴史的な発展段階における科学技術の程度において「正確な」ということは当然なことだと思うのです。千年も二千年も先にどんな科学が発達するかわからぬ、そういうときの意味する正確さじゃなくて、立法され、法が生きて適用される歴史的段階における技術的な正確さを言うわけですから、当然法文としては「正確な」と書いてもよさそうじゃないか。それで、これは誤差が避けられないものだということで「正確」という言葉を使わない、つまり法文における「正確」という言葉は、物理的な意味での誤差は絶対許さないという概念なんだということになると、七十二条の二項の「正確にその量を計るように努めなければならない。」というのは、できないことを努めろということになるわけで、この点は御解釈としてはいかがでしょうか。
  68. 森山信吾

    森山(信)政府委員 誤差が出てまいるというものは、主として計量器の方で出てまいるのではないかと思うわけでございます。計量器というものはできるだけ正確につくられることが理想でございまして、私どもといたしましてもそういう努力を続けてまいっておるところでございますが、ただ、残念なことに物理的な限界がございますので、品種によりまして一定の許容される誤差を決めておるわけでございます。そこで、そういった一定の誤差を認められた計量器使いまして計量する場合に、これは計量の手法といたしましては正確にやってもらわないと困るということでございまして、その辺の使い分けをしておるつもりでございます。
  69. 安田純治

    ○安田委員 その議論はちょっとおいておきまして、次に、この目的に、先ほど渋沢委員質問しましたように消費者利益ということが考えられるわけですが、この法文の目的を見ると、「適正な計量の実施」の目的が「経済発展及び文化向上」ということで、消費者利益というのは法文には明記されておらないわけです。先ほどの渋沢委員質問に対する御答弁ですと、答申に沿った改正なので、その答申には目的について特に何もないというのでこれは検討しなかったというように伺いますけれども、それでいいのかどうか、改めてひとつ確認したいということが一つ。  それから、たとえば消費者利益というものの概念がこの目的規定の中に入っておらないと考えるのか、入っておると考えるのか、この点お伺いしたいと思います。
  70. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、第一点からお答え申し上げますと、先ほど渋沢先生から御質問がございましたのに対しまして私がお答え申し上げましたのは、今回改正をお願いしておりますのは、実は計量行政審議会でいろいろと御答申をいただいたものをすでに四十九年当時に実施をさせていただいた残りの部分を今回お願いした。したがいまして、消費者保護規定が入ってない、こういうふうにお答えした次第でございます。  私どもといたしましては、第一条の目的の中で、消費者に対する保護規定と申しましょうか、配慮規定と申しましょうか、そういったものは、いまお答え申し上げましたとおり、昭和四十九年のときに入れさせていただいたというふうに考えておりますし、そもそもこの計量法目的自身が、広く社会活動あるいは国民生活を営む上におきましてきわめて大事な法律であるという認識がございますから、はっきりとその消費者保護という文言が入っていなくても、法律考え方といたしましてそれは基本的な重要問題という認識を持っておる、こういうことを考えておるわけでございます。  第二点のお答えも、以上で尽きるかと思います。
  71. 安田純治

    ○安田委員 少なくともここに消費者利益の保護ということを目的に入れても、特にこの法律趣旨が曲がるわけでもなければ、まさに正確に表現されたことになるんじゃないか。それで御存じのように、法の目的規定というものは、その法文の解釈運用について大きな足がかりといいますか手がかりを与えるものでございますから、そういう意味では、消費者利益の確保という明文を本来は目的に入れてもしかるべきではないか。今回の改正については答申に沿ったということであるかもしらぬけれども、本来は明文に入れた方が好ましいのではないかと思いますが、その点での御見解はいかがでしょうか。
  72. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、私ども計量法目的意識の中に消費者保護という観点を十分植え込んでおりますので、消費者保護という言葉が入ることがおかしいとは決して思っておりません。したがいまして、そういった目的意識を表にあらわす必要があれば当然にそういう検討をしなくちゃならぬだろう、かように考えておる次第でございます。
  73. 安田純治

    ○安田委員 次に、第七十二条において、政令で定めるものは誤差を超えないように計量しなければならないと規定しておりますね。政令以外のものは、先ほど申し上げましたが、二項で正確に計量しなければならない、こう言っておるようですが、この区別の目的は何でしょうか。
  74. 森山信吾

    森山(信)政府委員 法定計量器もたくさんあるわけでございまして、その中に、技術開発が進みましてより精度の高い計量器がつくられるものとそれ以外のものがございます。したがいまして、それを一律に政令で指定いたしまして一定の誤差を認める扱いをいたしますとかなりばらつきがございますので、若干精度の差によりまして区分けをしておるわけでございまして、そういう差が先生指摘の点であらわれているのではないか、かように考える次第でございます。
  75. 安田純治

    ○安田委員 どうもその御答弁では納得しかねるわけです。というのは、この政令で定めているのは三十九品目くらいあると思うのですが、そうすると、それをはかるものは技術の発達から見て比較的正確な計量器ではかれるものだ、それ以外のものは、すべて三十九品目に比してまだ正確な計量器ができておらぬというふうに承ってよろしいのですか。この品目の決め方は必ずしもそうは言えないと思うのですが、いかがでしょう。
  76. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大変失礼をいたしました。私、先ほどの安田先生質問を取り違えまして、違うお答えを申し上げたわけでございますが、改めて訂正させていただきたいと存じます。  七十二条第一項によりまして政令で指定いたします商品の一定の物象の状態の量につきましては、取引または証明を行う者に対しまして、政令で定める一定の誤差、すなわち量目公差を超えないようにはかる義務を課しておるわけでございます。このうち政令指定商品につきましては、消費生活に密接に関連した物質でありまして計量単位により取引されることが多いものを指定することになっておるということでございます。  かかる観点から適宜見直しを行っておるところでございますし、ちなみに昭和四十八年にコーヒー及び麦茶を追加いたしました。この結果、現在指定品目は三十九品目ある、こういう状況でございます。
  77. 安田純治

    ○安田委員 そこで、一番最初の「正確」と「適正」との関係にまた戻るわけです。  二項を見ますと、「正確にその量を計るように努めなければならない。」とある。これは確かに罰則の規定はございませんけれども、訓示規定だから守らなくてもいいなんていうわけじゃないのですね。ただ罰則をもって強制されないというだけで、法である以上は守らなければならない。国民はすべてそういう義務があるわけですね。ただ、その義務に違反した場合に、罰則を課するかどうかということ、あるいは違反した場合に、効力規定なんかはその行為の効力を失う、効力を発生しないというような効力規定もございますけれども、訓示規定の場合にはそういう不利益をこうむらないというだけの話でありまして、やはり法を守る義務はある。  その部分については正確にはかれ、こう書いてあるわけですね。その辺の違いはどういうことなんですか。守らなければならない、性格にはかるように努力しなければならないのは同じだ。片一方は、消費生活に密接な関係のある部分は一定の誤差を政令で認めている。むしろ消費生活に余り関係のない部分は正確にはからなければならない義務がある。罰則はないですけれども法律を守る義務としてはある。だから、その法律を実施するための強制する規定の違いはありますけれども、法文の形式から見ると、むしろ消費生活に余り関係ないと思われる方が正確にはからなければならない義務があるというふうにも読めるわけです。これはどういう違いからそういうふうに出てきたのでしょうかね。
  78. 三野正博

    ○三野説明員 法律解釈でございますので、一応私から御説明させていただきます。  先生指摘のとおり、七十二条一項では、政令指定品目についてこれを政令で指定をし、かつ許容誤差をさらに政令で決めまして、これに違反をした場合には罰則を与えるという厳しい規制をかけておるわけでございます。そういう必要性のある商品あるいはそういうことのできる商品というのが一応第一項でございます。  第二項につきましては、先ほど局長も御説明申し上げましたとおり、そういう計量単位で取引するに当たってはきちっと計量するという一つの理念を明確に法律の形でうたっているわけでございます。  では、現実にこの規定運用する場合に、絶対的なゼロということをどういう目安でやっているかということをちょっと御説明いたしますと、この七十二条の二項につきましては、都道府県あるいは特定市が立入検査等をしまして、商店が具体的に計量している場合におきまして実際にその場に立ち入りまして、どのような誤差ではかっておるかを調べてみるということをやっているわけでございます。その際に、私ども行政運営上の一応の目安といたしましては、先ほどちょっと局長も申しましたように、はかりの精度を一応プラス四%、マイナス二%というところを一つの目安にして実際に調べまして、もしそれを超えて粗くはかっているような場合、いろいろな条件からしてそういうことができるにもかかわらずそういうことをやっているような場合には、都道府県からその事業者に対しまして、法律上は勧告、公表という制度になっておりますが、実情は各種の訓告あるいは指導とかいう措置でこの七十二条が正確に運用されるようにやっているわけでございます。
  79. 安田純治

    ○安田委員 そうしますと、七十二条の二項も、そういうプラス・マイナスの誤差は、はかり方と言うよりは計量器についてある程度は事実上認めているのですね。正確にはからなければならないというのを素直に読むと、消費生活に関係する方は誤差を認めて、片一方は誤差を認めない——認めないといっても罰則はないけれども、しかし、「正確」という言葉から見て、余り誤差を認めないというふうにとれるような面もあるので、ちょっと疑問に思って伺ったのです。  そうすると、二項の運用についても、計量器についての誤差は、ある程度幅は認めておるということですね。
  80. 三野正博

    ○三野説明員 ちょっと説明が不足だったと思いますので……。  二項の運営につきましても、業態あるいは商品その他に応じてある程度の誤差が生ぜざるを得ない一つの大きな要因に、現実のはかりの精度があるというふうに御理解いただきたいと思います。はかるはかりだけは別途検定等をやりましてあるいは定期検査等をやって精度の確保を図っておりますけれども、やはり機械でございますのでおのずから一定の限度がございますから、そういうものを使ってはかることでまた一つの誤差が発生する余地はある、そういう事実を踏まえまして、法律の運営上そういう目安を置いてやっているという状況でございます。
  81. 安田純治

    ○安田委員 いずれにせよ、計量はできるだけ正確であるべきは当然だと思うのです。  ところで、七十二条一項の政令の指定についてですけれども、なぜ食品が主体になっているのか。これを見ますと、食品以外で入っているのは石炭だけですかね。それ以外は入っていないようですが、これはどういう理由によるのでしょうか。
  82. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま安田先生から御指摘のございましたように、政令指定品目につきましては、大部分が食料品であるわけでございます。これはやはり国民生活に密接に関連した物資という観点で政令指定をしておるわけでございますので、当然にそういった商品が中心にならざるを得ないのではないか、かように考える次第でございます。  なお、工業製品につきましては、だんだんとパックをするというような方向に進んでまいりますと、当然にそういうものもあわせて検討しなければならぬだろう、こういう問題意識は持っておるところでございます。
  83. 安田純治

    ○安田委員 工業製品はパックしたりいろいろすることによってだんだん指定していくとおっしゃいますけれども、大体現時点で見ますと、食料品のほかには石炭だけですね。消費生活に関しては、もっと何か消費者の利益にとって重要なものがあるのじゃないか、もちろん食品もありますけれども。その点で、いまの政令の指定する品目だけで現時点で適当だとお思いですか、多少これはまたふやす必要が現時点であるとお考えですか、どうですか。
  84. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、現在指定いたしております品目は三十九品目ございます。  そこで、私どもは、再三申し上げておりますとおり、国民生活に密接な関係を持つ消費者保護観点の法運営ということを理念といたしておりますので、ただいま先生から御指摘のございました点につきましては、当然に私どもはふやしていかなければならぬだろう、かように考えております。
  85. 安田純治

    ○安田委員 ふやしていかなければならないだろうとお考えですが、大体どんなものがいま予定されているか、考えられているのか、もしお答えいただければありがたいと思います。
  86. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまの時点におきまして、特にどういう品目という検討は行ってないわけでございますけれども、今後事態の進展を見守りながら適宜処置をしてまいりたい、かように思う次第でございます。
  87. 安田純治

    ○安田委員 海草類も指定されているようですけれども、これはたとえば乾燥していると軽いし、湿気を帯びると重くなるわけですね。この問題、つまり自然環境による増減といいますか、こういう問題はどう処理されているのか、お伺いしたいと思います。
  88. 三野正博

    ○三野説明員 御説明させていただきます。  七十二条の関係につきましては、これは主として肉屋さんや八百屋さんが消費者の面前ではかって売るという商品が中心でございます。ですから、私ども面前計量商品と称しておりますけれども消費者が日常購入する物で、量目といいますか、重さだとか体積とか非常に注目して買うような品物について、面前ではかるときに正確にはかるような規制をしているわけでございます。  先生指摘の海草類等、もちろん乾物屋さん等がはかって売る場合もあるかと思いますが、私の方では少し観点が違っておるわけでございますけれども、実は四十九年の改正導入されました七十五条の規定がございまして、商品等を容器に密封して販売する場合には、これも政令指定している商品があるわけでございますけれども、そういうものについては一定の量目公差の範囲内ではかって売るように規制をかけておるわけでございます。その中には、比較的工業品と見られますような、糸だとか毛糸だとか綿だとか塗料だとか洗剤だとか灯油とかLPGとか、そういったものが入っているわけでございます。  それから、そういう乾燥類に伴う包装しました後消費者の手元に入るまでの間に水を吸ったりあるいは蒸発したり、われわれ自然減量と称しておるわけでございますけれども、そういった問題も御指摘のようにきわめて重要なことでございまして、計量法運用する際には非常に問題になっているわけでございます。  それで、考え方といたしましては、規制自体は包装する際の規制を守らせる、しかし、それがいまある程度一定の公差があるわけでございますけれども、ただ、食品によりましては、たとえばチリメンジャコのような商品がいろいろございますものですから、そういうものにつきましては、包装の改善とかあるいは若干の入れ目をして、ちょっと増量しまして、消費者の手元に渡るときには大体法律が決めている公差内で入って、消費者が一応その書いてあることと実際が信頼できるという方向でできるように、実態調査をしあるいは公共団体等を通じまして業界の指導に当たっているわけでございます。
  89. 安田純治

    ○安田委員 確かに、密封するといっても——完全に外気と遮断すれば、これはその途中で湿気を吸ったりなんかするということはないだろうと思うのですね。中の品質がどう変わろうが容量は変わらぬというようなこともあり得ると思うのです。量目は変わらぬということはあり得ると思うのですが、しかし、密封といっても湿気食ったりなんかする場合もあり得るので、そういう点ではこの決め方が適当なのかどうかということに一つ疑問を持つわけです。  すると、そういう商品については入れ目というような形で解決をしておるということになりますか。
  90. 三野正博

    ○三野説明員 失礼しました。入れ目も一つの手段でございまして、もうすべて入れ目をして多くしておけばいいというのは、これはやはり計量法の精神に反するわけでございまして、計量法はあくまで正確にはかるということでございますので、あるいは包装の改善とかあるいは消費者に対して理解を求めるとか、いろいろな手段の一つの方法としてそういうのもあり得るという程度に御理解いただきたいと思います。
  91. 安田純治

    ○安田委員 誤差についてでございますけれども一つ一つは合法的な誤差であっても、それが大量となると小さくなくなるようになることも考えられるわけです。同じ工程、システムで大量に生産される今日の状態に照らしてみますと、単品の誤差の範囲規定するだけではいわゆる適正な計量と言えなくなると思うのです。この点はこの計量法でどこで補完されるのかという点が一つです。時間がないので質問をずっと並べますけれども、その点が一つ。  それから、化学物質にしろあるいは包装された消費用商品などの場合、計量ミスとか誤差の範囲内であっても、大量生産の場合のこと等を考えますと、消費者に大きな被害、損害を与えることは十分考えられるわけです。また、いま製造物責任のことが問題になっております。たとえば製造工程において使用する工業用計量器ですね、指定計量器でない計量器の欠陥などが原因で消費者に重大な被害を与えるということが絶対ないとは言えないのじゃないか。現行計量法製造物責任が直接結びつくとは言えませんけれども、この場合ですと、計量器に事故の原因があっても計量法では問題にならないのかということになるのですけれども、この点どう考えられるかという、この二つ、まず聞いておきたいと思います。
  92. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、前段の方からお答え申し上げますと、先ほどからお話が出ておりますとおり、計量器につきましては一定の誤差を認めているわけでございます。量目公差は不可避的に生ずるというような性格がございますので、平均的に見た場合に、業者にとってプラスになるあるいは消費者の方々にとってマイナスになるということはあり得ないのではないか、こういう気がいたします。たとえば意図的にマイナスの方の公差ぎりぎりに計量するということは技術的にはきわめて困難な状況にございますので、そういった意図的なことはやりにくいという点がございます。それから、都道府県あるいは特定市の実施いたしております全国一斉量目立入検査という制度もございますので、そういった制度を通じまして適正化を図っているところでございますし、ただいままでの結果を見ましても、特にそういった事実が指摘されてないということもございます。仮にそういうようなことがございますれば、計量法に言う適正計量の精神に反することがはっきりいたしますので、厳しく指導してまいりたい、かように考える次第でございます。  それから、御指摘のございました製造物責任と計量法の関係でございますが、計量関係で消費者被害が発生する場合には二つあろうかと思います。一つ計量計測機器につきましての欠陥による場合と、もう一つは他の商品の生産工程等における計量ミスによる場合と、この二通りがあろうかと思います。これらの点に関しまして、現行の計量法は、広く取引、証明に使用される計量器につきましてその精度の確保に努め、欠陥商品が生じないように意図しておるわけでございます。あるいは計量器の使用事業場の指定制度による自主的な計量管理の推進等を図っているところでございます。しかしながら、万一消費者被害が生じた場合がございまして、当該計量器製造業者に故意または過失があったと認められるようなときには、当該製造業者は不法行為責任を負うことになろうかと思うわけでございます。製造物責任はその場合の責任をより厳しくしようという考え方でございますけれども、これは現行の民法の責任原則に基本的な修正を加えるものである上に、中小製造業者への負担の問題もございますので、今後当省といたしましても慎重な検討を加えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  93. 安田純治

    ○安田委員 時間が来ましたので、最後に……。  この計量法を続めば続むほど、いろいろとまだ問題点があるように思います。もちろん先ほどお答えになったように、たとえば消費生活に関係のある政令指定品目、こういう問題についても見直しをする必要のあるものもあると思いますし、まだまだ正確な計量に近づけていくためにといいますか、できるだけ理想的な状態に近づけていくために考えるべき点もたくさんあると思うのです。たまたま今回の法改正は、この審議会答申ということに沿って、それにただ即応しているような部分がございますのでやむを得なかったかもしれませんけれども、今後そういう点で実情に合うように、法の改正あるいは政令の改正を当然お考えになっていただきたいし、それから同時に、現在の法律の中でも、行政指導などで消費者保護などの観点から見ても計量法目的がきちっと達せられるようにひとつやっていただきたいということを最後に強く強調しておきまして、質問を終わります。
  94. 島村宜伸

    島村委員長代理 午後二時から委員会を再会することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後二時七分開議
  95. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉城栄一君。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 計量法改正質疑に入る前に、今回通産大臣はASEAN諸国を歴訪されたわけでございます。その点につきましては、改めて本委員会質疑が行われる日が設定されるというように伺っておりますので、そのときに譲ることにいたしまして、昨日の本会議でも、今回の日米首脳会談について総理御自身から報告がなされ、それぞれの質疑が交わされたわけであります。  今回の日米首脳会談につきましては、異例の、共同声明も発表されない、また非常に具体性のない会談であった、いろいろな評価がされておるわけであります。日米間の通商問題は非常に大きな問題を抱えている段階で、河本通産大臣とされて、今回の日米首脳会談についてどのように評価をしておられますか、その点をまず最初にお伺いしてまいりたいと思います。
  97. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 昨年春の日米会談は、福田内閣が発足をいたしまして初めての両国の首脳会談でございますから、当面するすべての懸案につきまして初めから意見交換をした、総ざらいをした、こういうことであったと思います。そういうことのために、共同声明なども非常に長文のものになっておりますが、その後、昨年の春の共同声明に基づきまして幾つかの手直しがその都度行われたわけでありますが、たとえば昨年の九月、IMFの総会におきまして、日本の経常収支、貿易収支の問題が非常に大きく取り上げられまして、それが導火線となりまして、日米間の、紛争と言えば少し大げさな表現になりますけれども、いざこざにまで発展する、こういうことで、貿易問題を中心として十月から一月まで四カ月間打開のための話し合いが続いたのはすでに御案内のとおりでございまして、その話し合いを受けまして、一月十三日には日米共同声明が発表せられる、こういうことで一連の経済問題は解決を見たのでございます。その後、また一方、核エネルギー政策をめぐりまして日米間で交渉が行われておりましたが、これも昨年じゅうにほぼわが方の主張を入れまして、暫定的にではありますけれども、一応二年間を限って核エネルギー政策に対してアメリカは日本の立場を認めた、こういうことになっております。  そういう幾つかの問題が昨年の春以降手直しされ、解決をされましたので、今回は、特別にどうしても会談を通じて解決をしなければならないという、そういう緊急の大きな課題はなかったと私は思います。それよりも、むしろこれまでの政策、それから今後の政策、そういうことにつきまして双方が確認し合う、そして協力して、いま世界経済も非常に重大な事態であるから、世界経済全体の発展のために日米両国がともに力を尽くさなければならぬ、こういう観点に立っての会談であったと私は思います。  日米両国は安保条約を中心として特別の関係にもございますし、そういう特別の関係にある日米、特にアメリカのアジア政策というものは、日本のみならずアジア全体、世界全体にとってもこれは大事な政策でございますから、そういう問題について両国首脳の間で忌憚のない意見の交換、話し合いが行われたということは、私は大変結構であったと思います。それなりに率直に評価すべきである、私はこのように考えております。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 それなりの評価を通産大臣とされてはしておられるわけであります。  幸いと申しますか、今回の日米首脳会談において、予想されたようないわゆるアメリカ側のわが国に対する経済成長率七%の問題あるいは経常収支黒字縮小の問題等につきましての厳しい抵抗と申しますか、そういうものはなかったような感じもするわけであります。しかし、現在五月という時点で、そういうことについて明確にアメリカ側が指摘とかそういうことについてはちょっと無理があったのではないかと思うわけであります。したがいまして、この経済成長率七%の問題やあるいはわが国の経常収支黒字縮小の問題について、今回アメリカ側のわが国に対する対応の仕方について通産大臣としてはどのように受けとめておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  99. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 七%の経済成長につきましては、これは一月十三日の日米共同声明にはこのような形で記載されておるわけであります。共同声明の冒頭に、日本側は七%の経済成長目標についていろいろ説明をしたが、特にすでに定められた政策、つまり昨年の予算のことだと思いますが、すでに定められた政策のほか、この成長目標を達成するために適切かつ合理的なあらゆる政策手段をとる、こういうことを重ねて説明をした、こういうことが明記をされております。したがいまして、これは日本側が国際公約をしたということにはなっておりませんが、共同声明に、日本側は繰り返し繰り返しこのことについて説明をしたということを言っておるわけでありますから、それなりにやはり日本政府としての責任はある、私どもはこのように理解をしております。しかし幸いに、現在のところ私はまだ七%成長路線には完全に乗ったとは思いませんが、七%成長路線に近づきつつある、このように理解をしておりまして、今後必要とあらば、おくれないように、タイミングよく追加政策をしていくならば、私はこの目標は必ず達成されるであろう、また達成しなければならぬと考えております。  ただ、この黒字問題につきましては、昨年の貿易がドル表示では二割以上伸びておりますけれども、これを分析してみますと、六%が数量でありまして、一四、五%が価格の上昇になっております。価格の上昇は、円高になりましたために、日本企業といたしましては、競争力のあるものは何回か値上げをいたしましたし、競争力のないものは、これはある程度出血輸出になっておると思います。その値上げがある程度可能であったという背景は、アメリカのインフレにあった、このように考えておるわけであります。アメリカは昨年も若干のインフレでございましたが、特に最近は相当なインフレ傾向になっております。  そこで、総理大臣がこの点を強調されたのだと思いますが、数量制限をしても、あなたの方のインフレが続く以上は結局ドル表示の輸出価格の上昇につながるのだから、だからこのインフレ問題に対してはよく気をつけてくださいということを言われたのだと思います。しかしながら、この経常収支は大幅に減少するように努力をする、こういうことを重ねて言っておられますので、アメリカ側も日本のこの努力目標に対して一応の了承をいたしまして、先般の会談では事が荒立たないで一応おさまったのだと理解をしております。  しかし、この経常収支の目標にいたしましても経済成長にいたしましても、世界経済に与える影響も非常に大きいわけでありますから、やはり私どもはこの目標だけは、世界経済全体に対する立場というものを考えまして、これはもうあらゆる努力を集中いたしまして実現しなければならぬ、このように考えております。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、この計量法改正につきまして御質問を申し上げたいと思います。  まず最初に、せっかく大臣御出席でありますので、この計量法の今回の改正、四十一年、四十七年、四十九年、今回、四回目の基本的な問題の改正ということになっておるわけであります。計量制度というものは、国民生活にとってきわめて重要なかかわり合いのある基本的な制度でもありますし、また、国際的にも非常に密接なかかわり合いのある制度でもある、こういうことで、今回の計量法改正に伴いまして今後の計量行政に対する基本的な方向と申しますか、その点について大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  101. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 計量行政についての基本的な考え方を若干申し上げてみたいと思いますが、計量制度は、貨幣制度とともに社会生活における最も基本的な制度でありまして、統一的かつ合理的な計量制度を確立することはわが国経済発展文化向上に不可欠である、このようにまず考えております。  計量法におきましては、計量制度の確立を図るため、計量の基準を定めておりますとともに、適正な計量の実施を確保するための各般の措置が定められておりまして、かつ、その内容も、内外の情勢の変化に即応いたしまして、制定以来十四回にわたりまして改正、拡充されております。  政府といたしましては、従来から計量法目的を実現するために、計量法の適切な運用等を通じまして、第一に、メートル単位系への統一国際単位系導入、第二には、計量にかかわる事業者計量器計量方法等に関する適正な規制指導、助成のための諸措置を講じてきたところでございます。  今後とも、計量制度を取り巻く国際的な動向に十分配慮をいたしまして、消費者保護環境保全を初め、国民要請に十分対応した計量行政推進に積極的に努力してまいる所存でございます。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の計量法改正提案に至るまでの背景、そしてこの改正目的について、改めて概略御説明をいただきたいと思います。
  103. 森山信吾

    森山(信)政府委員 今回計量法の一部改正をお願いいたしておりますポイントは、三点ございます。  第一点は、物象の状態の量及び計量単位に関する改正でございます。これは一九七一年及び一九七五年の国際度量衡総会の決議並びに昭和五十二年十一月の日本学術会議意見等に従いまして、物象の状態の量の追加をお願いしたいということでございます。具体的には、物質量あるいは電気のコンダクタンス、さらにはモル、ジーメンス、パスカル、パスカル秒、モル毎立方メートル、ベクレル、クーロン毎キログラム、グレイ等の追加を行おうとするものでございます。  第二点は、法定計量器追加でございまして、最近におきます大気汚染防止及び水質汚濁防止に関する量的規制導入動き対応いたしまして、流量計及び流速計を新たに計量器追加いたしまして、これらの計量器計量法規制対象とするようにその信頼性、精度の向上を図ろう、こういうものでございます。  第三点は、手数料の上限の改正でございます。製造事業登録手数料でございますとかあるいはタキシーメーターの検定手数料等につきまして最高限度額を引き上げさせていただきたい、こういうことでございます。  その背景でございますけれども、今回の改正は、計量行政審議会にお諮りをいたしまして、五十一年の十二月に答申をいただいたわけでございまして、その計量行政審議会答申を受けたという形で法改正をお願いしておる次第でございますが、今回特に第一点に申し上げました物象の状態の量及び計量単位追加につきましては、国際的な動向というものを勘案したわけでございます。これは国際度量衡総会というものの決議に基づいて実施をするわけでございます。これが一つの背景でございます。  それから第二点につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、大気汚染あるいは水質汚濁防止等につきまして総量規制という考え方が強まってまいりましたので、それに対応すべく、新たに流量計流速計法定追加をさせていただきたい、こういう背景によりまして今回法律改正をお願いしておる、こういう次第でございます。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の計量法改正につきまして、午前中の質疑でもあったわけでありますけれども改正提案が少し時期的に遅くなってきているのではないか。国際度量衡総会の決議から数年経過して提案されてきている。その件につきましては、日本学術会議あるいは計量行政審議会答申と、いろいろなそういう手続的な慎重な過程を経て今回提案になったというような御説明が午前中もあったわけでありますけれども、やはり計量行政審議会答申も、一昨年答申はなされておるわけでありますし、こういう計量単位に関する法制の整備というものは、国際的に見ても余りおくれるということは好ましくないことは当然であろうと思うわけであります。したがいまして、国際度量衡総会から数年を経て今回やっと改正提案になったその理由につきまして、もう少し御説明をいただければと思います。
  105. 森山信吾

    森山(信)政府委員 メートル条約というものがございまして、メートル系単位を国際的に確立、普及させることを目的といたしております。この条約は、一八七五年に締結をされまして、わが国は一八八五年、つまり明治十八年に加盟したわけでございます。その最高機関国際度量衡総会でございまして、全条約加盟国代表から構成されておりまして、最近は四年に一度パリで開催される、こういう状況でございます。条約加盟国は、総会決議の内容を国で採用すべき道義的責任を負うということで条約に加盟いたしておりますが、決議されたものが直ちに法律的に拘束をするという性格のものではございません。ただ、いま申し上げましたとおり、道義的に責任を負うということでございまして、各国ともその立場でそれぞれ国内法の整備を行う、こういうことになっております。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 その国際度量衡総会の決議後の各国の法定化の状況につきまして、御説明をいただきたいと思います。
  107. 森山信吾

    森山(信)政府委員 各国の採用状況についてお答え申し上げます。  まず、ECにつきましては、御承知のとおり理事会というものがございます。その理事会指令によりまして、加盟国は、これはEC加盟国でございますが、加盟国は遅くとも一九七八年の四月までにSI単位を採用すべきこととされておるわけでございます。今日現在におきまして、フランスがすでに一九七五年に採用いたしております。     〔委員長退席島村委員長代理着席〕 それからイギリスにおきましては一九七六年、西ドイツにおきましては一九七七年にすべて採用が行われておるということでございます。なお、イタリアは現在国会で審議中という状況でございます。  EC以外の国について見ますと、スイス等ではすでにもう法令が決められております。それから、ソ連におきましては強制使用のための準備が着々と進行中、こういうふうに聞いております。なお、アメリカにおきましては、強制使用ではございませんで、任意採用というかっこうになっておりますが、アメリカの国立標準局におきましてその普及に努めておる、こういった概況でございます。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の改正一つの基礎となったいわゆる計量行政審議会答申、これは昭和四十八年の八月に「計量法体系の全面的検討」についてということで諮問をしておられるわけであります。三年の審議を経て五十一年十二月に答申がなされた、そして今回それを基礎として改正案が出てきている、こういうように承っておるわけでありますが、この計量行政審議会答申内容について、概略、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  109. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量行政審議会は、昭和四十八年の八月に通商産業大臣から諮問を受けまして、約三年間にわたって慎重な審議を重ねていただきまして、昭和五十一年の十二月三、日に答申をちょうだいしたわけでございます。なお、先ほどお話のございましたように、その中間段階において、四十八年十二月でございますが、「環境計測の適正化」の点と「適正な計量取引の推進」という二点について中間答申をいただいております。これに基づいて四十九年に計量法改正が行われたところでございます。したがいまして、今回私ども法律改正をお願いいたしておりますのは、その中間答申に盛り込まれたもの以外の分を網羅的に整備をさせていただこうという観点改正をお願いした次第でございます。  計量行政審議会答申ポイントは何であったかという御質問でございますけれども、端的に申し上げまして、八点の答申をいただいたわけでございます。  そのうちの重立ったところを申し上げてみますと、まず、「計量器の検定検査体制のあり方」につきましては、法定計量器流量計、力率計及び最大需要電流計を指定いたしまして、検定対象器種に追加することを検討する必要がある。それから、抜き取り検査方式の導入につきましては、当面見送りをいたしまして、検定方式の自動化等の対策を推進すべきことが指摘されたわけでございます。  第二点の「計量管理の計量法上のあり方」につきましては、計量管理は法規制によらず、企業努力と関係団体の活動を通じて産業活動への浸透を図ることが重要であるという点、それから、産業計測標準のトレーサビリティー体系の整備促進を図るべきことなどが指摘されたわけでございます。  第三点の「公害計測の精度向上のあり方」につきましては、当面は行政指導により、合理的かつ効果的な標準ガス及び校正用ガス調製装置の検査制度推進を図るべきことという点が指摘されたわけでございます。  第四点の「消費者保護観点からみた適正な計量の実施の確保」につきましては、単位価格表示制度の普及につきまして計量行政面において推進すべきこと、内容量の数値の単純化、標準化の具体化について検討すべきことにつきまして指摘を受けました。  第五点の製造事業等に関する規制のあり方、第六点の国、県及び特定市の今後のあり方につきましては、現行制度がおおむね適切であるのではなかろうか、こういう指摘でございます。  そのほか、計量単位につきましては、国際度量衡総会の勧告に基づき、物質量のモル、圧力のパスカル等を追加すべきこと、手数料につきましては上限を見直すべきこと等が指摘されたわけでございます。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の改正で、計量行政審議会答申趣旨についてはほぼ満たしたという御答弁も午前中にあったわけでありますが、四十八年八月に「計量法体系の全面的検討」というテーマで諮問をしておられるわけであります。それに基づいて計量行政審議会答申をされて、今回の改正によってその趣旨がほぼ満たされた。そうしますと、計量行政審議会答申に基づいて、今回の改正で従来の計量法体系が全面的に変わってきたというふうに受けとめていいのかどうか、その点お伺いいたします。
  111. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量法法律面の規制という観点から申し上げますと、先ほどお答え申し上げましたとおり、計量行政審議会答申はほぼ全面的に受け入れをさせていただいた、かように考えておる次第でございます。しかしながら、計量行政と申しますものは、必ずしも法律のみによって運営すべきものではないという判断がございます。たとえば消費者保護観点等につきましては、先ほど答申ポイントとしてお答え申し上げましたとおり、行政面において十分配慮すべきであるという答申もいただいておるわけでございますし、現実に四十九年の法改正におきましてそういった観点規定の織り込みをさせていただいたわけでございますけれども、なお、必ずしもこれで十分だという意識はございません。やはり行政指導という行政面における運用の遺憾なきを期する、こういうことが両々相まって初めて計量行政というものは推進されるのではないかと考えておる次第でございます。  したがいまして、答申があって、その答申を受けた面を法律的に整備したからこれですべて終わりということではございませんで、より統一的な体系づくりには努力を続けてまいりたいと思いますし、特に行政面に期待される消費者保護観点等につきましては、なお多々ますます弁ずべしというような観点行政の運営に当たってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 計量行政審議会答申の四番目に「消費者保護観点からみた適正な計量の実施の確保」という項目があるわけですが、この点につきましては、午前中も集中的に質疑が交わされたわけであります。なぜ今回の改正にはこういう問題が取り上げられておらないのか、それに対して、前回改正でそういう問題については取り入れられているし、また行政の面で十分その配慮はされているのだというような御答弁があったわけであります。  そこでお伺いしておきたいわけでありますけれども、この答申の「消費者保護観点からみた適正な計量の実施の確保」というのは二つの項目になっておるわけですが、一つは「単位価格表示制度推進」をしなくてはならない、二番目に「内容量の数値の単純化・標準化の推進」をしていかなくてはならない、こういう答申になっておるわけであります。「単位価格表示制度推進」、ユニット制の推進につきましては午前中答弁がありましたが、二番目の「内容量の数値の単純化・標準化の推進」について、これまで行政的にどういうふうに対応してこられたのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  113. 森山信吾

    森山(信)政府委員 最近におきます消費生活の高度化あるいは消費物資の商品形態、内容量の多様化に伴いまして、消費者にとって合理的な商品選択が大変むずかしくなっておるという状況があるのではないかと思うわけでございます。このため、現在計量法規定されております特殊容器制度というのがございまして、たとえば牛乳等の販売に当たりましては、その内容量の単純化、標準化に寄与しておるわけでございます。さらに、生活関連商品の規格化を関係業界を通じて推進するように行政指導をしておるところでございます。また、商品内容量の単純化、標準化につきましては、その実態調査、分析、経済性等の研究を進めておるところでございます。  消費生活関連商品内容の単純化、標準化につきましては、製造設備あるいは洗浄設備等の総入れかえというような問題が起こりますし、流通面におきまして、たとえば運送コンテナのサイズの変更あるいは膨大な設備投資を要するということになりますし、こういう状態でございますと、これが商品価格の上昇にはね返るという問題もございます。内容量の種類が少なくなる、商品選択の幅が狭められるといったような、消費者の側から見ますとマイナスの面も多々あるわけでございまして、その取り扱いはきわめてむずかしい問題でございますけれども、先ほど御指摘のございました標準化の問題はきわめて大きな問題であると思いますので、そういったプラス面、マイナス面の検討を十分にいたしまして今後とも進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 次に、きわめて率直に申し上げまして、一般国民の声としましては、量目不足に関する苦情が非常に多いし、われわれにもそういうことは何とかできないかということで、非常にそういう声があるわけです。あるいは日本消費者協会等に寄せられる相談の中にも、量目の不足に関する苦情が圧倒的に多いということであります。したがいまして、こういう量目の適正化の確保について通産省としてはどういうふうな行政指導を行っておられるのか、その点をお伺いいたします。
  115. 森山信吾

    森山(信)政府委員 消費者保護の見地から、量目の適正化を図るために、現在、面前計量商品——面前と申しますのはお客様の前で計量する、こういう意味でございますけれども、この面前計量商品といたしましては、精米、食肉、灯油等三十九品目を指定いたしております。それから、正味量の表記商品といたしましてはハチみつ、精米、バター等百七十一品目を政令で指定しておるわけでございます。これらにつきましては、政令で定める量目公差、つまり一定の範囲内の許容誤差でございますけれども、そういった量目公差を超えないではからなければならないということを義務づけておるわけでございます。  これらの商品につきましては、量目公差を遵守しているかどうかにつきまして、デパートあるいはスーパー、一般小売店に対します都道府県、特定市による立入検査を随時実施をいたしておりまして、そういった実現を図っておるわけでございます。そのほか、特にお中元のシーズンでございますとかお歳暮のシーズン等につきましては、全国一斉に二十種類程度商品につきまして立入検査を実施する、あるいは試みに買ってみるというようなことを行いまして不正の絶滅あるいは計量管理の推進という指導を積極的に行っておるわけでございます。  また、量目の遵守状況を監視するために、各通産局、都道府県及び特定市におきまして先ほど申し上げました試買検査を実施いたしまして、量目不足があった場合には改善指導を行う、こういう措置を講じております。  さらに、都道府県及び特定市による立入検査が合理的かつ統一的に実施されますように、現在そういう検査をする方々のためのマニュアルを作成中でございまして、今後とも量目の適正化を図るように適宜適切な処置をとってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの問題とまた似たような問題でありますが、一般の家庭内にガスあるいは水道、電気等の計量器、メーターがあるわけですが、こういうメーターの故障あるいは欠陥と申しますか、そういうことがありますと料金の支払いのときにいろいろな損失をこうむる場合が生ずるわけです。ですから、こういう家庭内の計量器に対する検定、検査体制と申しますか、これは現在どういう状況になっておるのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
  117. 森山信吾

    森山(信)政府委員 国民生活に直接関連のございますたとえばガスメーター、水道メーターあるいは電力計等につきましては、すべて検定に合格したものでなければならない、こういうことになっておるわけでございます。都道府県あるいは日本電気計器検定所におきまして、その検定を実施をいたしておるところでございます。また、使用中のものの精度保証につきまして、機種の使用実態等に応じまして検定の有効期間を設けまして、有効期間を経過した後の使用は禁止する、こういった措置を講じておるわけでございます。また、具体的に立入検査等によりまして不備な点あるいは故障等が発見されました際には個別の指導をする、こういったことによりまして、国民生活に関連する機器類の保証と申しましょうか、精度の信頼性というものを期待すべく努力を傾注しておる、こういう状況でございます。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 計量行政の中でも、こういう計量器の検定あるいは検査体制というものは非常に重要な部分に入るのではないかと思うわけです。したがって、この検定制度の合理化ということも答申の中にあります。したがって、こういう計量器の検定、検査制度の充実強化ということについてどのように考えておられるのか、その点をお伺いいたします。
  119. 森山信吾

    森山(信)政府委員 検定、検査につきましては、従来人手に頼って実施されてきたわけでございますけれども計量器が増加してまいりましたし、また複雑になってまいりました。こういうことに伴いまして、検定、検査方法の簡素化、合理化が課題になっておることは御指摘のとおりでございます。  国の機関と地方公共団体とで合理化につきまして調査研究を行っておりますけれども、主な例といたしまして申し上げますと、たとえば加圧式証印機あるいは吹きつけ証印装置、タキシーメーター定置式走行検査機、分銅自動検定機などが実用化され、使用に至っているわけでございます。また、特に最近では、最新の技術を取り入れた検定設備の改良、研究開発、試作を行って、研究システムの合理化、自動化を推進することによりまして検査等の円滑な実施を図っておるのが目立っておるところではないかと思っておる次第でございます。  自動化が図られている例といたしましては、ガスメーターの検査自動装置あるいは水道メーター検査自動化装置等がございます。車両用のはかり検査装置につきましては、試作を終えた段階でございます。  また、計量法は、適正な計量の実施を確保するという観点から計量制度を設けまして、計量に関する専門知識、技能を有する者に対しまして一定の資格を与え、定期検査にかわる計量証明用計量器の検査など一定分野の職務を分担せしめ、検査業務の効率的な処理に努めておる、こういった状況でございます。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 今回の改正点は三点で、その三点目に手数料最高限度額の改定が行われておるわけです。製造事業登録手数料、現行二万円が四万二千円、ずっと一連二・二ないし二・三倍というふうに大幅なアップのような感じがします。午前中の質疑にもありましたとおり、こういう関係者は中小企業の方々が相当多いわけであります。したがって、こういう手数料の今回の引き上げによって大きな負担にならないか、そういう心配がされるわけでありますけれども、そういう影響はないというふうな御判断であるのかどうか、今回引き上げられたその理由についてお伺いをいたします。
  121. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計量法におきます手数料は、法律によりまして最高限度額を決めておるわけでございますが、実際の金額は、手数料令、政令で決めるわけでございます。ただ、現行法の上限は、昭和四十七年の改正以後ずっと据え置かれておるわけでございますので、製造事業登録手数料などの場合には、もう法律の上限まで手数料が上がっておる、こういう状況でございます。御承知のとおりのオイルショック後の人件費の高騰等が一切配慮されていないという実態でございますので、この際、大変御迷惑をおかけする次第でございますけれども、上限をアップさせていただきたい、かように考える次第でございます。  ただ、御指摘のとおり、計量器をつくる事業所は圧倒的に中小企業の方々によって占められておるわけでございまして、この運用によりましては御迷惑をかける分野もあるんではないか、こういう心配もございます。そこで、私どもといたしましては、できるだけそういった面の配慮を行いたいという気持ちを持っておりますし、先ほどお答えいたしましたとおり、法律で上限を決めましても、実際にどの程度の金額にするかは政令によって決めさせていただくということでございますので、そういう点に十分配慮しながら政令を決める段階で検討さしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 こういう関係の方々は中小企業の方々がきわめて多いということで、いまの手数料の問題も十分そういう面の御配慮をお願いしたいと思いますと同時に、また、午前中質疑が交わされましたが、こういう方々は、御存じのとおり、長期不況の中で経営の面で非常に苦しい状況に置かれておる方々が相当いらっしゃるわけであります。したがいまして、輸出関係のそういう方々についての円高問題についての対策については午前中御説明もありました。そういうことで、やはり技術水準の向上ということで経営が非常に苦しいという状況になりまして、こういう製品に相当技術的な問題について支障を来すようなことはないかどうか。現在の不況の状況でありますので、今後やはりそれも踏まえて適切な指導が行われなくてはならない、経営の安定とともに製品の技術水準をどんどん引き上げなくちゃならない、そういう面の対策あるいは方針と申しますか、そういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
  123. 森山信吾

    森山(信)政府委員 玉城先生指導のとおり、計量計測器業界は大変中小企業性の強いものでございまして、最近におきます円高等の影響を相当強く受けている産業でございます。一方、計量計測器と申しますのは国民生活あるいは経済活動の基礎をなす産業でございますので、これを放置するというわけにもまいらないということはございます。  私どもといたしましては、従来いわゆる機電法によりまして、計量計測器を機電法の対象業種といたしまして、その技術開発につきましての高度化計画等の目標を定めまして、技術開発の水準アップ、レベルアップというものを図ってまいったわけでございますが、ただいま御指摘のように、こういう環境に置かれますと、なおさらそういった振興策が必要になってくるのじゃないかという問題がございます。  さらに、特定のものにつきまして発展途上国がかなり品質を向上さしてまいりまして、日本品と競合するという問題もございます。こういうものにつきまして、発展途上国と競合するということではなくて、やはり協調するという観点に立ちますと、どうしてもわが国計量計測器のレベルアップを図っていかなくちゃならないということが基本的な課題になるのではないか、こういうふうな認識を持っております。  したがいまして、私どもといたしましては、さきに御審議を賜りました特定機械情報産業振興臨時措置法を成立させていただきました暁には、計量計測器というものを同法の対象として考えておりまして、それによりまして十分なる育成強化策を図ってまいりたい、こういうふうに基本的に考えておるところでございます。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖繩の問題なんですが、沖繩が本土復帰する前には、独自の計量法に基づいて計量行政が行われておったわけでありますが、復帰後は、国内法に基づいて計量行政というものが統一的に行われておるわけであります。したがいまして、復帰前においても本土体制とほとんど変わりなかったと思いますけれども、やはり形が変わりましたので、いろいろな面で特別な指導が必要ではないかと思うわけであります。復帰後の沖繩県の計量行政についてどういう指導をしておられるのか、その点をお伺いいたします。
  125. 森山信吾

    森山(信)政府委員 沖繩の復帰に伴います計量行政の円滑な移行を図るために、復帰に先立ちまして、関係職員を沖繩に派遣いたしまして実情を調査し、必要な経過措置を講じたわけでございます。この必要な経過措置と申しますのは、先生御高承のとおり、沖繩の復帰に伴う通商産業省関係法令の適用の特別措置等に関する政令でございます。  その経過措置の主なものを申し上げますと、まず、計量単位の関係でございますが、土地または建物に関する計量につきましての尺貫法による計量単位は、四十七年の六月三十日までは法定計量単位とみなしたわけでございます。第二点は、ヤードポンド法による計量単位による車両の速さの計量、これはいわゆるマイルでございますが、これにつきましては、法の施行後二年間は非法定計量単位の使用禁止の規定を適用しないという措置を講じました。次に、法の施行の際、沖繩の計量法による各種登録、検定等の効力につきましては、計量法上の効力を有するものとして取り扱ったわけでございます。計量法上、検定等の事務に従事する職員は計量教習所の課程を修了したものであることが義務づけられておるわけでございますが、沖繩におきましては、十年以上検定等の事務に従事していた職員につきましては、計量教習所の課程を修了したものとみなしてそういう扱いをしたわけでございます。  なお、復帰後、円滑な移行に関する指導のために、再三にわたりまして関係職員を沖繩に派遣をしてスムーズな転換を図らしていただいた、かような実態でございます。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間も参りました。最後に、ガソリン量器検定の有効期限の改善方についての要望が関係者から出されております。その点につきましては、通産省の方でも御存じかと思いますけれども、この問題に対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  127. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ガソリン量器につきましての御質問でございますが、私の方にも業界から再三陳情がございます。実態につきましては、よく把握しておるつもりでございます。  ただ、現在はガソリン量器の検定の有効期間を五年といたしまして、有効期間内の使用ということで規制をしているわけでございますが、これに対しまして業界の方では、検定を廃止いたしまして定期検査の対象にしてもらいたい、こういう御要望でございます。ところが、定期検査ということになりますと、一年に一回あるいは郡部につきましては三年に一回でございますが、定期的に検査をしなければならぬという問題が起こってまいりますので、こういった事務をやっていただいております地方公共団体の方々に過重な仕事をお願いすることになるのではないかというような問題がございます。そこで、代検査制度等の便宜措置もあるわけでございますけれども、そういった措置を講ずるということになりますと、当該業界の方が全部全国的に一丸となってその制度を採用するということになりませんと、特定の地域あるいは特定の団体の方々のみでそういう制度をするということは大変問題があるということでございますので、現時点におきましては、検査の有効期間制をそのまま存続さしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  ただ、御指摘のように、問題があるということは重々承知いたしておりますので、今後とも慎重な検討は続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、今回の法改正も含めまして、計量法運用に当たりましては、消費者の利益保護というものは何といっても最重要な点として運用をやっていただきたいということを強く要望をいたしまして、質問を終わります。
  129. 島村宜伸

    島村委員長代理 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求める件の質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。渡辺三郎君。
  130. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 提案されております鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関する承認案件について二、三質問をいたしたいと思います。  これは提案の理由にも述べておりますように、本来繊維製品の検査所は、当初は輸出検査を主要にしておったわけでありますけれども、御承知のように、商品に対する消費者の苦情の増加、こういうものに伴ってそちらの方の仕事が非常に大きくウエートを占めるようになってきた、こういうような現状から、現在あります検査所あるいは支所、出張所、こういったものの配置を一体いまの段階でこれでいいというふうにお考えになっておられるか、あるいは通産省として、こういう状況の変化に対応して今後どうすることがこれらの要望に対する最も合理的なあり方だ、こういうふうに考えておられるのか、その点、一括してまず最初にお伺いをしたいと思います。
  131. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  いま先生からお話がございますように、繊維製品検査所は、当初輸出検査ということを目的に設立されたわけでございますが、その後の繊維産業の状況から申しまして、特に消費者の多様な要望がいろいろと出てまいりまして、消費者サービスという面でこれを働かせるという意味合いから、だんだんそちらの方へ仕事を移していくという形に相なっておること、お示しのとおりでございます。ところで、現在のところ、その仕事の内容から申しますと、輸出検査その他の検査と、それから消費者需要に対します対応と、大体半々くらいのウエートに相なっておるわけでございます。  成り立ちがそういうことでございますので、それぞれ産地及び港に立地しておるというのが現状でございますが、次第にそのウエートを消費需要に向けますために立地を少しずつ手直しをしておる、こういう現状でございます。もちろん、絹織物その他につきまして産地におきましての機能もなお十分に発揮される必要もございますものですから、余り大幅な変更を直ちにするということは不可能なんでございますが、一応それぞれのブロックごとに支所、出張所等を置きまして消費者対応するというふうな方向に進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  今回御承認をお願いしております件も、従来北海道につきましては、輸出絹織物その他の生産が全然ございませんので、何らの支所、出張所のたぐいがなかったわけでございますが、消費者需要も非常に多うございますので、かねてから要望の強かった札幌に出張所を置きたい、こういう趣旨でございまして、御承認いただきますれば、そういうふうな意味合いでも消費者に対するサービスの一環に相なるかと、このように考える次第でございます。
  132. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いまの御答弁にもありますとおり、これまで過去長い間やってきております輸出検査、それと最近の消費動向消費者の希望を受けての仕事が大体半々、こういうお話でございますが、言うまでもなく、いま検査所が全国に十カ所、それから支所、出張所が十九、こういうふうな状況、いま局長おっしゃるように、産地を主体にして検査所を置くというのは私もわかるのです。しかし、消費者商品に対する苦情というものは、たとえば東京とか大阪、こういう大都市で最初商品が販売されて地方にだんだん行くというふうな時代ではなくて、全国一斉に同一の物が売り出されるというふうな状況下にあるわけです。  そうしますと、これまでの経緯からして検査所が十カ所産地を中心に置かれているという事情はそれなりの理由もありますし、一挙にこれを大幅に拡大するといったって無理な話ですから、事情はわかるのですけれども、支所、出張所というものは、いまのような状況からすると、やはり現在の十九は、今回札幌に出張所が置かれるにしても非常に偏在しているんではないかというふうな気がどうしてもするわけです。その辺どうお思いになりますか。あるいはこれは時期が相当かかるかもしれませんけれども、今後手直しをする必要があるというふうにお考えなのでしょうか、その辺もう少しお聞きしたいと思うのです。
  133. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  いまお話ございましたように、確かに消費者対応するという面から見ますと、一応九ブロック別にそれぞれ支所があり出張所等もあるわけでございますが、消費者需要に対応するという面について万全かとおっしゃいますと、そういう意味合いでは必ずしも十分とは言いかねる点もあろうかと思います。ただ、成り立ちがそういうことでございまして、産地におきますところの需要にもこたえるという必要性もなお残存しておるわけでございまして、その面のものを無視するわけにいかないという点がございまして、確かに消費者対応という面から見ますと、お示しのように偏在しているという感じが土地柄としては否めない点がわろうかと思います。  ただ、現実の消費者の苦情あるいは試験の要請というものに対しましては、基本的には、直接には都道府県の相談所が相談を受けておりまして、それをさらに進めていろいろ検査その他をする必要があります際に繊維検査所の方へ持ってまいるというような仕組みになっておりますので、一応現在のところ対応ができる形にはなっております。  ただ、お示しのような方向でなお検討していきたいというふうには考えておる次第でございます。
  134. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 商品のテスト、それから商品の分析をするための機器については、いま全体でどのような状況になっておるのか。たとえば十の検査所あるいは十九ありますところの出張所とか支所、こういうところで商品分析の機器なんかはどのくらいの程度の配置になっているのでしょうか。
  135. 竹内謙二

    ○竹内説明員 お答えいたします。  十カ所の繊維検査所及び十九の支所、出張所合計で年額約十三億円の予算を行使しておりますが、十検査所の設備その他につきましては、表示法に基づきます試買テスト、あるいはJISの標準化法に基づきますテスト機器、それから安全法に基づきますテスト機器等をそろえておりまして、主として東京、横浜、神戸、名古屋の繊維検査所に高度の設備を具備しておりまして、程度の低い物理的なテストを行うテスト機器につきましては、その他の検査所に配備してございます。
  136. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 いま言われました東京とか横浜とかその他比較的高度な機器を準備しておる四検査所——たとえば実際問題として消費者から来る苦情は、後でちょっと時間があれば質問しますけれども、各都道府県の消費生活センターに大体は直接的に持ち込まれると思うのです。そこと検査所の方で十分に連絡をとり合いながら、検査所でどうしても分析しなければならぬというふうなものについて吸い上げる。そこでも、たとえば支所とか出張所で不十分なものについては検査所、ないしはもっと高度なものについては東京とか横浜とか、こういうふうになっていく、こういう順序だと思うのです。高度な分析を必要とする検査は、自分の行政系統管轄外からも来るのじゃないかと思うのです。たとえば具体的に申し上げますと、いま出ております鶴岡の検査所で実際は分析し切れない、テストし切れないというものは、横浜に行くなり東京に来るなりすると思うのです。そういうものは件数にして年間どのくらいありましょうか。
  137. 竹内謙二

    ○竹内説明員 お答えいたします。  昭和五十二年度の実績で、それぞれ十カ所の検査所ごとの集計を合計いたしました数字でございますが、試買テスト関係が年間百七件、これは高度な分析を要するものでございます。それから、依頼テストその他合計いたしまして百三十五件、その他テスト技術の協力関係が、苦情処理テスト等を含めまして約千件ございます。
  138. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで、これはちょっと計算しておられるかどうかわかりませんが、そういう消費者からの苦情に対するたとえば都道府県の消費生活センターから依頼を受ける場合の処理日数といいますか、もし出しておられれば明らかにしていただきたいと思います。平均してどのくらいでその依頼されたテストが行われておるのか、その処理日数です。
  139. 竹内謙二

    ○竹内説明員 テストの内容によりまして相当差がございます。かなり高度なものにつきましては一カ月ほど要する場合がございますが、平均いたしまして十日ほどでございます。これは分析機器を使用いたしまして成分を出すといったような分析を内容といたします。
  140. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ところで、今度承認を求めておられる札幌出張所の問題ですけれども、資料によりますと、北海道に出張所設置される、そしてそこは所長と職員一人、合計二人なわけですね。これは北海道全域の苦情を当然取り扱われることになると思うのですけれども、ここだけじゃなくて、全国的に状況を見ますと、非常に少数の人員でたくさんの苦情を受けて処理の仕事をされておるというふうな状況でありますけれども、実際問題として二人でどの程度対応ができるのか。抽象的な質問になりますけれども、これで十分対応できるのですか。
  141. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 確かに、二名で北海道全域の対応ができるかという御質問、私ども必ずしもそれで十分とは言い切れないかと思います。ただ現実には、先ほども説明申し上げましたように、第一次的には都道府県、市町村等の窓口がございまして、そこを経由してまいるものでございますので、能力としては十分な人員を配置いたしますので、私どもは万全を期したいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それからもう一つ、同じ札幌の体制なんですけれども、ここではどの程度の分析テストの機器を準備されるのでしょうか。
  143. 竹内謙二

    ○竹内説明員 予算的には、八百数十万円の予算が御承認をいただければ使えるようになっておりまして、このうちには事務所の整備費も含んでおりますので、機器、設備費としては約四百万円余と思っております。
  144. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 金額はいまの数字でわかりましたけれども、この機器の内容ですね、どういう機器を準備されるのですか。
  145. 竹内謙二

    ○竹内説明員 直接の業務は、家庭用品品質表示法に基づきます立入検査、それから消費生活用品の安全法に関します立入検査等でございまして、それに要する直接的な設備機器をまず最初に購入したいと考えております。主としてラバードメーター等の洗たくに関するクレームを解決するような設備機器を中心にまず購入していきたいと思っております。その後、逐次拡大していきたいという計画でございます。
  146. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これは私が申し上げる数字、違っておればお答えの中ではっきりしていただきたいのですが、全体で繊維製品検査所の人員は三百三十名、そのうち今度出される出張所の札幌の場合には二人、こういうふうな形になります。これはその他の支所、出張所の人数も非常に少ないわけですから、新たに設置される札幌だけがこういう状況じゃありませんけれども、この資料を見ますと、神戸繊維製品検査所の出張所になっております加古川、これが廃止される、それから桐生製品検査所の支所になっております足利、これが廃止される、こういうふうなことに予定されておるわけですね。この両方の人数は何名ですか。
  147. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 廃止される両所の人員合わせて四名でございます。これは行政監理委員会の関係もございまして、行政整理の一環として二つ廃止して一つ設置した、こういう経緯になっておるということでございます。
  148. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこでお聞きしたいわけですが、三百三十名というのは誤りないかどうかわかりませんが、新しくせっかくそういう消費者の要望に基づいて札幌に出張所ができ上がる、二名配置される、このことは不十分かどうかは別として、一応長年の要望にこたえる結果になっておるわけですから、この点についてはよろしいのですけれども、それと見返りみたいに加古川の一名がこれはなくなる、出張所がなくなる、あるいは足利のいま三名だと思いますが、この支所がなくなる、こういうことでは、これは新たにこういう要望が非常に強まってきたので、先ほど局長答弁にもありますように、全国的にバランスをとって将来はやはり考えていかなくちゃいかぬ、こういうふうな考え方に、結果的には現実には逆行しているように私は思うわけです。せっかく要望が強いから札幌にはでき上がった、しかし、いままである支所なり出張所なりがなくなって、しかも人数で見ると二人ふえて四人減る、こういうふうなことではどうも矛盾を感ずるのですが、その点いかがでしょうか。
  149. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  実は、輸出検査関係につきまして行政整理の問題というものが議題に上ったことが毎度あるわけでございますが、その中で繊維の検査につきましても、全体の輸出検査の事務量というものは確かに減っておるものでございますから、これの縮小ということが議題になったことが非常に多いわけでございます。私どもとしては、輸出検査の方はある程度縮小いたしますが、お話にございましたように、消費需要といいますか、消費者の需要に対します対応ということで、次第に繊維検査所の性格を変えていくといいますか、消費者対策としてこれを転換していこうという方向で検討いたしておるわけでございます。  いまお話ございました足利及び加古川につきましては、これは実は主として産地性の強い支所、出張所でございまして、かつ近くに、足利の場合には桐生にもございますし、加古川の場合には大阪管内に近所にもいろいろございますので、これは産地性の方はそちらでカバーをしてもらいまして、極力当面非常に緊急に消費者の要望の強い北海道の方へこれを新設をした、こういうことでございまして、全体的な行政機構の問題と、それから現実にありますところの繊維検査所の方向というものとを総合的に調整いたしました結果がこういうことになってまいったというふうに御理解いただきたいと存じます。
  150. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから、札幌へ配置される人といいますか具体的な中身の問題、一言お伺いしたいのですが、これは説明にもありますとおり、いわゆる繊維製品の輸出製品の検査をやるというのではなくて、もっぱら消費者の苦情に対する対応として出張所が設けられるわけです。したがって、この配置される方々がどういうふうな技術なりあるいは訓練といいますか、そういう仕事をいままでなさってきたのかということも非常にかかわりあると思うのです。しかもわずか二人ですから。  それからもう一つは、各都道府県の消費生活センターの職員の実態を見ますと、これはもちろん繊維だけじゃなくて、たくさんの商品に対する苦情が来ますから、それに対応する体制を一応都道府県では持たなくちゃいかぬ。そのためにある一定期間研修をしたり、いろいろやっているようです。やっておりますけれども、いわば専門家じゃないわけですね、繊維の問題にしたって何にしたって。ですから、幅は広いけれども中身は薄いといいますか、そういう体制にならざるを得ない。これはやむを得ないと思うのです。そういう面を、たとえば繊維の問題についての苦情ということになれば、きわめて専門的な知識を有するそういう方々が消費生活センターで処理し切れないものを受けて、そして機器を使ったりあるいは自分の経験といいますか技術をもって解明をする、こういう形になると思うわけです。そういうお互いの相関関係があると思う。そういう意味から総合して、この札幌に配置される二名の方々、これは技術的にどういう方なのか、あるいは現にあります鶴岡検査所から直接人的な配置をされるのか、別な方から持っていかれるのか、この点はどうですか。
  151. 竹内謙二

    ○竹内説明員 御承認を得まして札幌での発足を七月を予定しておりますので、まだ人事面での決定はもちろんしておりませんけれども、御指摘のように産地ではなく消費地でございますので、鶴岡検査所にいる職員ではなくて、大消費地の神戸とか大阪とか東京といったようなところにおって、かつ専門的な知識を有するのみならず、行政的な消費者との対応といったようなことが相当幅広くできるという職員を対象にして選考中でございます。
  152. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから、少し具体的な話になりますけれども、ドライクリーニングに頼んだらひだが伸びてしまったとか、あるいはズボンのしりの縫い目の部分の生地が裂けたとか、こういったような苦情、これに対しては五十三年度中に試験法を確立する予定だというふうにお伺いをしておるわけですけれども、これは試験法、どういう中身でいつごろ考えられるのですか。そういうお話を聞くのですが、その点はどうでしょうか。
  153. 竹内謙二

    ○竹内説明員 お答えします。  表示法におきましては、ただいまの繊維の組成表示につきましては、ほとんどすべての繊維につきまして適用がされております。それに加えまして、ごく最近、収縮性、難燃性、それから家庭における洗たくの際の取り扱いの方法につきまして表示法に新たに追加したわけでございます。それらの品目も、全繊維製品というわけではございませんが、特に緊急を要するもの、あるいは収縮が特に問題となるようなものにつきまして追加されております。  御指摘の衣料品につきましての収縮につきましては、まだ指定してございませんで、収縮につきましては、現在、生地、敷布、カーテン、毛布カバーといったような方形品につきまして指定して、その収縮の表示を義務づけてございます。衣料品につきましては、ただいまJISの基準に基づきまして研究中でございます。
  154. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 時間がもう参ったわけで、質問を終わりますけれども、最後に一つだけお聞きしておきたいのですが、この支所なり出張所なりの設置については国会の承認を必要とする、こういうふうになっておるわけでありますけれども、廃止については承認は必要としない、こういうふうになっておると思うのです。これはどなたがお答えいただけますか。なぜそうなっているのですかね。
  155. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 自治法上の規定としては、設置の場合だけが承認を得るようになっておりまして、廃止については別に規定がございません。なぜか。私からお答え申し上げるのはちょっと筋違いかもしれないと思うのでございますが、結局、国の負担といいますかこういうものが新しくかかるものについて承認を得るということで、国の負担が減ります際にはそういうことになっていないんではなかろうかというふうに、ちょっと私からお答えするのはいかがかと思いますが、そういうふうに私としては考えております。
  156. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 予算上のそういう経費の点から言うとそうなると思いますけれども、実際は、必要性があって、しかもそういう要求というものが非常に強まっている状況の中で、設置については国会の承認を必要とするわけですけれども、廃止は自由でございますというかっこうでは、真に生きた行政という点から言えば、これは法律がそうなっておりますからここで議論をしても仕方がありませんけれども、非常に問題だというふうに私は思うのです。現在の検査所の十カ所あるいは支所、出張所の十九カ所、これが全国的に偏在をしておる、こういう点から見ましてもこの点は非常に問題があるし、法律的には別としても、将来十分に局長が言われたような観点考えていただかなければならぬのではないか、こういうふうに考えるわけです。  最後に一つだけお伺いして終わりますが、神戸繊維製品検査所の出張所が那覇に開設されておる。これはたしか四十七年ではないかというふうに思うのですが、その際に、地方自治法第百五十六条の第六項、国会の承認案件として提出をされたのでしょうか。
  157. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  沖繩の際には、沖繩の他の工業品検査所その他一括して御承認を得ていると存じます。
  158. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、他の案件と一括というのは、この問題について商工委員会に付託をされて、そこで承認されたというかっこうじゃないのですか。何か特別のその他の措置によって承認を得たというかっこうになっておるのですか。
  159. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  工業品検査所その他一括いたしまして沖繩及び北方問題に関する特別委員会の方で御審議をいただいたように承知いたしております。
  160. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 終わります。
  161. 島村宜伸

    島村委員長代理 安田純治君。
  162. 安田純治

    ○安田委員 私は、繊維製品検査所の業務についてお伺いいたしますけれども、輸出検査の業務がおくれるということはないんでしょうか。まず先にそれを承っておきます。
  163. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 輸出品検査につきましておくれているということはないと存じます。
  164. 安田純治

    ○安田委員 確かに先ほどの渡辺委員質問に対する御答弁の最初のこの検査所の出発が輸出だということから、輸出検査をおくらせるというようなことは最初の出発の趣旨に反するわけですね。そうなると、今度はそれ以外の依頼検査がおくれるということはありますか。
  165. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 依頼検査につきましても、いろいろと検査の内容によりまして遅速はあるかと思いますが、おくれるというふうなことはないと存じます。
  166. 安田純治

    ○安田委員 横浜、神戸、名古屋といういわゆる消費地の検査所と、桐生、福島、福井などの繊維産地の検査所を比較した場合に、その人の配置、検査分析に必要な機器の整備という点では差はないのでしょうか。私の聞いておりますところでは、どうも福島とか高岡ですか、産地からどんどん有能な職員が消費地の検査所に転任させられるとか、あるいは機械も産地の検査所にはないものが消費地の方の検査所にあって、わざわざ消費地の検査所に送って検査するものがあるように聞きます。渡辺委員の先ほどの質疑も、ちょっとそういう点に関してわざわざ送って検査するとかということはあるのかという御質問もあったようでありますが、どうでしょうか、私が聞いているようなそういう有能な職員というのをどんどん消費地の方に引っこ抜いて移しているとか、あるいは検査の機器が差がないのかどうか、そういう事実があるかないか、お伺いします。
  167. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 先ほどお答えいたしましたように、輸出検査と、それから消費者行政としてのいろいろな苦情に対応する検査とかそういうものと、大体半々ぐらいの事務量にいまなっておるわけでございますが、地域によりまして、どうしても産地の場合には従来の輸出検査に類する検査が多く、それから大都市ないしその近郊におきましてはどうしても消費者対策的な検査が多い、こういうことでございます。  その検査の内容が、産地検査につきましては主として織物の輸出検査でございます。それから、消費地におきましては、それに対応するのは非常にさまざまな需要がございますので、どうしてもそういうところでは検査の設備その他も違ったものを置く必要がふえてまいるわけでございます。人員につきましても、輸出検査は全体としてだいぶ減ってきておりますので、人員も流動的に需要にマッチした配置をしなければいけないわけでございまして、そういう意味合いからの人員の異動というものはあるわけでございます。ただ、輸出検査につきましては、従来から非常に練達しておるわけでございまして、この方で間違いというものは、人員を多少減らしましても、量が減っておりますので起こる心配はないかと思います。消費需要に対します方につきましてはなお今後も充実をする必要があろうか、このように感ずるわけでございまして、設備等も、やはり消費者対策的な設備というものが、どうしてもいろいろな検査機器も充実する必要があるというのが実態であろうかと思います。
  168. 安田純治

    ○安田委員 私は、消費者の苦情に対処する体制を強化することに反対ではもちろんありませんし、消費者の今日の体制が十分だとも思っておらないわけです。したがって、この面の強化は一層推進すべきであることはまことにおっしゃるとおりで、私も賛成なんですけれども、しかし、わが国の繊維産業の振興、発展のためには、いい品質のものをつくって内需も活発化させるということがぜひ必要だろうし、輸出も確保しなくてはならない、こういうように思うわけです。  考えてみますと、消費者の苦情が出ない製品をつくることが第一に据えられなければならない、また、消費者の苦情の正しい処理というのは、つまり生産点で改善が図られなければならないだろう、そういう立場から見ますと、産地の検査所の機能を後退させて消費地の検査所を補強するという行政対応がもしあるとすれば、これは問題ではなかろうか、本当の改善、解決の道と少しずれておるのではないかという気がするわけです。ですから、同じコップの水をどっちへ移すかという問題じゃなくて、両方重視していかなくちゃならないのじゃないか。消費者重視も正しいけれども、産地軽視になるようでは誤りだと思うが、この点はどうでしょうか。
  169. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 御趣旨のとおりであると思います。私どもも、本来繊維検査所が日本の繊維産業全体に果たしてまいりました役割りというのは非常に大きいわけでございまして、それぞれの産地での技術指導という意味合いから重要な役割りを果たしてきたわけでございまして、この点は今後とも同じでありますし、ますます振興する必要があろうかと思うわけでございます。  ただ、御承知のとおり、輸出検査の事務量が、輸出が大分減ってまいりましたのでそれに対応した分は流動的な考えで対処しなければならぬだろう、こういうことでございまして、決してその部分を軽視するという意味合いではなくて、現在の実態の需要に合わせまして多少量的な調整を行いたい、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  170. 安田純治

    ○安田委員 福島、鶴岡は、調べてみますと人員も十九名ですか、最も少ない人数だと思うのですね。産地にふさわしい体制だと言い切れるかどうか。検査に時間や日にちがかかり過ぎるという苦情を私聞いておるのですがね、たとえば福島の川俣の場合。そういう苦情は、川俣の場合、ないんですかね。先ほどの御答弁ですと、産地の方はうまくやっておる、そしておくれることもないというお話ですけれども、しかし、私聞いておるところによると、やっぱり検査に時間や日にちがかかり過ぎておるという苦情があると聞いておるのですが、それは間違いですかね。現場でそういうことないんですかね。
  171. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 鶴岡、福島あたりの検査は主として輸出検査であると思います。輸出検査につきまして私ども調査いたしましたところでは、きわめて短時間で処理されているように理解しておりますが、ただ、事情としてこういう事情はあるようでございます。非常にロットが小さくなっているものがございます。ロットが小さくなりまして、それがむしろ検査所へ来る前の染色とかその辺の段階である程度まとめませんと検査に持ち込めないというふうな業界の実態があるようでございまして、その辺で、やはりロットの単位が減少しましたがために、若干の時間をそこでとっておるというようなことはあるようでございますが、検査自体といたしましては短時間に処理をされておるというように理解をいたしております。
  172. 安田純治

    ○安田委員 先ほど来、輸出が幾らか減ったのでというお話ですけれども、繊維製品の輸出量は大きくは減ってはいないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。伸び率は確かに低下しているけれども、絶対量はそんなに減っていますかね。その辺はいかがですか。
  173. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 合繊織物につきましては、確かに絶対量として余り減っておりませんが、絹織物といたしましては、当初検査所を全国に展開いたしました時代に比べますと、絹、人絹織物等につきましては相当の激減と言わざるを得ない状態であると思います。
  174. 安田純治

    ○安田委員 合成繊維の織物ですか、そういうものは減っていないということですね。いずれにしても、それは出血輸出だと思うのですね。当局もそう見ておられると思うのですが、いかがでしょうか。いまの円高の中で輸出の絶対量がそれほど減っていないということは、相当きつい、余りもうからないといいますか、出血して輸出しているような状況、まあ出血という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、非常に厳しい状況で輸出しているというふうに思うのですが、いかがですか。
  175. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 合繊織物の輸出でございますが、これはお話のように、円高になりまして相当苦しい輸出に相なっておりますことは事実でございます。ただ、これもいろいろ種類がございまして、たとえば長繊維の加工糸を使いました織物等につきましては、これはいわば相当もうかっている輸出になっているものもあるわけでございます。ですから、全体として非常に苦しい形にはなっておりますが、物によりましては相当いいものもありまして、それぞれ競争力のあるものとないものと、まああわせて輸出をしておるというふうな形になっておるということではないかと思います。
  176. 安田純治

    ○安田委員 すべての品目について苦しいかどうかということになれば、これは別ですけれども、全体的に見れば相当厳しい環境の中で輸出しておると思うのです。  そこで、この時期に検査手数料が値上げされる計画になっているように聞くのですが、その値上げ幅はどの程度ですか。
  177. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 合繊織物につきましては依頼検査になっておるわけでございますが、現在考えておりますのが、十平方メートル当たり二円五十銭のものを七円五十銭に値上げするということで、業界と目下折衝中でございます。依頼検査につきましては、民間の検査機関も検査を行っておりまして、これと競合するわけでございますが、一応依頼検査につきましては検査コストと見合った手数料というふうなことでやるたてまえになっておりますので、現在改定を考えておるという段階でございます。
  178. 安田純治

    ○安田委員 多分これは昭和二十九年以来ですか、据え置かれてきたと思うのですね。いかにも安過ぎることは理解しないわけではございませんけれども、輸出関連の検査であることに違いない、いわゆる輸出検査でないとしても。相当厳しい環境の中でこれは出しているわけですから、こういう円高出血輸出が続いている折に値上げをするということは、大分長く据え置いておったので通常のコストから見て見合わないということはわかるんだけれども、いかにもどうも時期が余りよくないんじゃないか、値上げという問題を出すについては。もう少し実施時期を、どういうふうにお考えか知りませんけれども、おくらせるなり、何らかの配慮をする余地がないものかどうか。確かに一般の民間の検査所でもやっておる、それとの比較や原価計算をしてみるとはなはだしく安いということになるのかもしれませんが、この円高で大分騒いでおる、繊維産業はわあわあ騒いでおる、このタイミングに値上げの問題を持ち出すというのはいかがかと思うのですけれども、その点どうお考えですか。
  179. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 検査手数料の問題は、非常にむずかしい問題でございます。確かに輸出競争という点から言えば、低いにこしたことはないわけでございますけれども、やはり常識からいいまして、余り低い手数料ということは、ある意味では国際的にも若干問題がありますし、合繊織物につきましては、なお輸出価格というものをなるべく引き上げてペイするような輸出に持っていきたいというような方向で諸般の政策を進めておりますので、その中で吸収をしてまいりたい。その程度の値上げなら吸収できるのではないかというふうに、苦しい中ではございますが、考えておる次第でございます。
  180. 安田純治

    ○安田委員 それにしてもまことに時期が、いつ実施される気かわかりませんけれども、時期としては、ちょっと国民の感情といいますか、生産者の感情も逆なでするようなことになると思うのです。大した響く金じゃないとかなんとか言ってみても。もう少しタイミングを見るなり、何らかの配慮を加えられるように強く要望しておきたいわけです。  最後に、先ほど来申し上げておりますように、また渡辺委員からの御質問もありましたように、産地の検査の手抜きをして消費地に回すというのではなくて、両方強化していくようにぜひお願いしたいし、その方向でがんばってもらわなければ困ると思うのです。  今度の札幌も、先ほどの渡辺委員の御質問にありましたように、たった二人だ。だんだん充実していくと言えばそれまでかもしれませんけれども、さてその一方において加古川と足利はなくなる。いろいろおっしゃいますけれども、何となくそういう点でコップの水をあっちからこっちへ移しかえるような感じを受けないわけでもないのでして、そういう点でぜひ両方尊重してやっていただきたい。もちろん、札幌を設ける限りは十分に対応できるようなものをつくらなければしょうがありませんし、だからといって、産地の検査所をあっちこっち引っこ抜いたり、手抜きしたりするようでも困るというふうに思うので、その辺、最後に担当者としての決意といいますか、所見を承って終わりたいと思います。
  181. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 御趣旨ごもっともでございます。私どももそういうような趣旨で大いにがんばってまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  182. 安田純治

    ○安田委員 終わります。     〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
  183. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で両案件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  184. 野呂恭一

    野呂委員長 これより両案件に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、順次採決いたします。  まず、計量法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  185. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  186. 野呂恭一

    野呂委員長 本案に対し、島村宜伸君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。後藤茂君。
  187. 後藤茂

    ○後藤委員 ただいま提案をいたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、私からその趣旨を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    計量法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき、適切な措置を講ずべきである。  一 計量器の検査検定機能の拡充をはじめ計量行政の充実を図るため、国及び地方公共団体における人員及び経費等について十分な措置を講ずるよう努めること。  二 計量取引における消費者利益の増進を図るため正味量表記制度の拡充及び単位価格表示制度の普及等に努めるとともに、商品の特性等に応じた内容量の標準化の推進について、消費者を含め関係者意見を十分徴しつつ検討すること。  三 特定の伝統的分野等で使用される尺相当目盛付長さ計等については、国民慣習を尊重しつつ使用者の利便を図るよう努めること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によりまして御理解いただけると存じますので、詳細の説明は省略いたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  188. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  189. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  190. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいま御決議をいただきました内容の実施につきましては、遺憾なきを期してまいる所存でございます。     —————————————
  191. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、鶴岡繊維製品検査所出張所設置に関し承認を求めるの件について採決いたします。  本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  192. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  両案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  194. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る十二日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会