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1978-04-28 第84回国会 衆議院 商工委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十八日(金曜日)     午前十時七分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       愛知 和男君    奥田 敬和君       粕谷  茂君    北川 石松君       島村 宜伸君    田中 正巳君       谷  洋一君    辻  英雄君       中西 啓介君    楢橋  進君       橋口  隆君    松永  光君       渡部 恒三君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    加藤 清二君       後藤  茂君    上坂  昇君       渋沢 利久君    清水  勇君       武部  文君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       西中  清君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業省機械         情報産業局長  森山 信吾君  委員外出席者         労働大臣官房参         事官      鹿野  茂君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   鹿野 道彦君     谷  洋一君   藏内 修治君     愛知 和男君   佐々木義武君     北川 石松君   西銘 順治君     奥田 敬和君 同日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     藏内 修治君   奥田 敬和君     西銘 順治君   北川 石松君     佐々木義武君   谷  洋一君     鹿野 道彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定機械情報産業振興臨時措置法案内閣提出  第七一号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定機械情報産業振興臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渋沢利久君。
  3. 渋沢利久

    渋沢委員 最初に、先般来新聞等を通して明らかになっております日本アイ・ビー・エムの未発表機種の売り込み問題、通産省はその後さらに何らかの調査を進めておるのか、あるいは調査の結果何が明らかになっておるのか、注意を喚起したと言われておるけれども、それはいかなる意味か、これを機会にさらに何らかの追及、行政指導等々の対応を考えておられるのかというようなことからまず伺いたいと思います。
  4. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御質問のIBMの問題につきまして、昨年の暮れごろから、私どもの耳にたびたび、日本アイ・ビー・エムのセールスマンが未発表機種を一応の宣伝材料としながら販売活動を行っておる、こういう情報が入ってきたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、それが事実かどうかということを確認する必要があるということでございまして、まず、日本アイ・ビー・エムに対しましてそういうことの事実の解明を求めたわけでございます。その結果、日本アイ・ビー・エム調査いたしましたところ、主として関西地区、これは大阪、名古屋が中心でございますけれども、そういう地域におきまして、いま申し上げましたような未発表機種材料にいたしまして販売活動を行ったということが判明したわけでございます。  そもそもIBM販売戦略といたしましては、未発表機種材料としての販売活動は行わないというのが社の内規になっておるわけでございまして、ガリバーであるIBMといたしまして、そういう内規をつくることはまことに当然であろうかと思うわけでございますが、私どもIBMから聞いた話は、会社内規にまさに反する販売方法ではないかという点が問題になるということでございまして、その点につきまして解明を求めたわけでございます。社内的なしかるべき措置も講じたようでございますけれども、問題は、そういった販売戦略というものが一部の営業マンによって行われたかどうかという問題でございまして、そもそもIBMといたしましてそういった内規があることは、先ほども申し上げたとおりでございますけれども、そういうことの再確認を求めているわけでございますし、また日本アイ・ビー・エムは一応IBM関係会社でございますけれども日本法人でもございますので、わが国におけるコンピューター政策、これの整合性をどう考えるのか、そういう基本問題につきまして、目下日本アイ・ビー・エム側見解をさらに問いただしておる、こういう状況でございます。
  5. 渋沢利久

    渋沢委員 たまたま限られた一部の営業マンの行き過ぎと申しましょうか、偶発的な売り込み問題というふうに受けとめるべきかどうかというのはなかなか即断しがたい背景がある、動きがあるというふうに思っているわけですけれども、そういたしますと、これにて一件落着ということでなしに、さらにその辺の背景調査をして、あるいはまたいま局長が言われたように、日本国内での販売活動のありようについての調査調整というようなものについて検討をしていきたい、こういうふうに受け取ってよろしいわけですか。つまり調査は続けていく、続けている段階だ、こういうことでしょうか。それとも、もうこの件自体は一応注意をしたということでくくっておるということなのでしょうか。
  6. 森山信吾

    森山(信)政府委員 関西中心にいたしましてそういう営業活動があったことに対します日本アイ・ビー・エムの社内的な処置は終わったというふうに聞いておりますので、それ自身といたしましては、まあ一件落着とまでは言わないまでも、ある程度段階が過ぎたのではないか、こういうふうに考えます。しかしながら、先ほどもお答え申し上げましたとおり、それが偶発的なものであるか、あるいは日本アイ・ビー・エムとしての戦略が基本的に変わったのかどうか、その辺につきましては深い関心を私どもは持つわけでございますので、今後どういう販売戦略が行われていくかということは十分見きわめなくちゃいかない、こういう問題意識を持っておるわけでございます。したがいまして、たまたま偶発的に起こった事件であるといたしましても、それをもって本件はすべて終了という意識は私どもは持っていないわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたとおり、今後の日本アイ・ビー・エム経営戦略というものがどうなっておるのかということにつきましては、十分なる関心を持って見守ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  7. 渋沢利久

    渋沢委員 改まった伺い方になりますけれども通産省としては、IBMのいわば世界戦略現状、その方向性というものについては一定の受けとめがある、その上で一定の方針もあるというふうに私は理解をしておるわけなんです。通産省の方で五十三年度の重点施策の中の一つの柱にしております「次期先導産業育成」ということの中でも、明らかにIBM世界戦略というものに対応する国策路線国産化路線というものが打ち出されておるわけなんです。  そこで、改めて今度の関西の問題をローカルの問題として受けるか受けないか、それは別といたしまして、IBM世界戦略日本上陸作戦、こういうものに対する情報機械産業育成を主要な課題として施策に取り組んでおられる通産省の受けとめ方というものを改めてお話しをいただきたいと思います。
  8. 森山信吾

    森山(信)政府委員 IBMガリバー型の巨大企業であることは御指摘のとおりでございまして、現在、全世界におきますコンピューターシェアは約六割という状況でございます。日本国内におきます状況を見ますと、大体国産機シェアが五七%程度でございまして、残りが外国機シェアでございますが、そのうち、IBMは全体の約三〇%ぐらいを占めておるわけでございます。したがいまして、全世界的に見ますと六〇%のシェアを占めておるIBMが、日本国内において三〇%のシェアを占めておる、こういう現状から見ますと、私どもといたしましては、コンピューターというものを次期先導産業の雄たる産業であるという認識のもとに大変な育成強化に努めてまいったわけでございまして、その結果、現在IBM比率世界比率の半分程度で終わっておるという状況でございます。  産業構造審議会におきましても、わが国コンピューター目標といたしましては、基本的には大体半分半分ぐらいで外国機国産機をやっていくのがいいのではないか、こういうような方向づけもいただいておりますので、私ども基本戦略はそういった線に沿ってやっておるわけでございまして、まあ、これはもちろん私企業の問題でございますから、設置台数コントロールそのもの政府の手でやるというわけにはまいらぬと思いますけれども、大きな目標をそういう方向に置きまして、それによりまして、私ども国産コンピューター育成強化ということにきわめて大きなウエートを置いて政策を展開しておる、こういう状況でございます。
  9. 渋沢利久

    渋沢委員 私企業の問題とは言いますけれども国内IBMシェアが三〇%ですか、世界水準からいうとわりあいに低い地位にある。しかし、これは高率関税あるいは日本の官公庁の発注における国産化路線といいますか、そういうものでありますとか、いろいろな要因があってこれは支えられているものだと思うのです。つまり、そういう国策がこれを支えている要因であろうと思うわけです。  次にお尋ねをしておきたいと思いますが、これはできれば通産大臣から御見解を伺っておきたいと思うのです。  東京ラウンドでのアメリカ側関税引き下げ、ゼロ要求というふうにも言われておる部分についてですけれども、五月三日からの日米首脳会談では、きのうの総理の会見なりいろいろ伝えられるところによりますと、余りそういう通商関係の細かい問題に触れる会談ではないというふうに伝えられてはおりますけれども、従来の経緯からいたしましても、なかなか避けて通れる性質のものではないと思うわけであります。電算機のみならずですけれども日本の市場を開放しろという基本要求を対日政策の主要な課題に据えておるアメリカとの首脳会談でありますから、肉の問題も果物の問題も、いろいろな問題が当然出てくるだろうと考えるわけでして、その中でのIBMの売り込み、コンピューター関税引き下げという問題は、むしろ避けて通れない課題一つだと受けとめる方が常識だと思うし、言われてもおるわけであります。通産省としてはこういうアメリカ側要求に対してどういう見解、どういう対応を持っておられるのか、お考えを伺っておきたい。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 今月の初め、牛場大臣ハフェルカンプEC委員長アメリカストラウス代表との三者会談が開かれましたが、ここで確認されましたことは、東京ラウンドを七月の中旬を目標成功裏に完結をさせたいということでございます。  これを成功裏に完結させるためには三つの問題がございまして、一つ工業製品に対する取り扱いをどうするか、農産品に対する取り扱いをどうするか、それから選択的セーフガードの問題、この三問題があるわけでございますが、工業製品の中でも先ほどコンピューターの問題は一つの大きな課題だと考えております。  ただ、日本政府といたしましても、この三者会談を受けまして、来月初めの日米首脳会談におきましても、東京ラウンドの七月中旬の成功を最高目標として話し合いを進めるわけでありますから、そこは成功させるためにどうすればいいかという大きな観点に立って判断をしなければならぬと考えております。  ただしかし、コンピューターはこれからの産業構造高度化中心をなす産業でもございますし、二十世紀の第三・四半期基幹産業が鉄であるとするならば、第四・四半期基幹産業コンピューターである、このようにも私は認識しておりますので、その国におきましてコンピューター産業電算機産業というものがしっかりした基礎を持っておりませんと、本当の意味での産業発展はできませんので、そういうことも十分配慮しながら、しかも東京ラウンドを成功させるのにはどうすればいいかということを総合的に判断しながら結論を出したいと考えております。
  11. 渋沢利久

    渋沢委員 その程度のと言っては失礼ですけれども、そういう言い方でしか伺えない問題かなと思いながら伺っておったわけです。  この機会にさらにお尋ねしておきたいと思います一つは、アメリカとの協調、非常に大事なことで、そういう方向東京ラウンドもまとめる努力をしていこうということなのでありますけれども、現実にIBM世界戦略わが国国産化路線が華々しく火花を散らして戦い合わなければならない要素を持っておるわけです。現にそれは華々しく展開されてもいると思うわけでありまして、通産省自身が明らかにしておりますように、IBM次期コンピューターシステムに対抗し得る国産機種開発を基調において、電子計算機産業育成開発を図るということを通産行政政策主要課題一つに置いておるわけですから、いまの答弁答弁といたしましても、現状の隔絶するIBMとの格差の中で、勝てるのかという言い方は大変評論家的ですけれども、どうして打ちかつのかというわが国基本戦略が必ずしも定かでないと思うわけです。  ですから、この機会に、改まったお尋ねですけれども、いま一度全体の産業政策転換が迫られる中でどういう対応をしていくのか、関税の問題を含めて一時しのぎの調整はいろいろあるでしょうけれども、基本的にどういう戦略を持って対応しようとしているのか。  けさの新聞等によりますと、富士通が西ドイツの企業との業務提携というような方向も出ておりますけれども政府政府としての一定方向性があるはずです。そういうこととのかかわりがこういう私企業の独自の動きでありますけれども、そういうものと全く無関係に動いていくということであろうはずもない。すでに機電法の七年の歴史があり、さらにさかのぼって電子工業情報機械産業対応する政府施策指導、お金はたくさん使っておるわけなんです。育成強化をやっておるわけなんです。  そういう意味で言うと、この新しい法律の提起の機会に、私どもとはいま少し鮮明な戦略、展望を通産省から聞きたい。いままでの説明ではどうもそれがよく聞こえないという感じがするわけでありまして、しつこいようですけれども、いま一度見解を伺っておきたい。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 電算機産業産業高度化中心である、産業構造転換の一番の中心をなす基幹産業であることを先ほどもちょっと申し上げたわけでございます。しかしながら、必ずしも現在の水準は、世界の激しい競争の中にあって十分なものではないこともよく御承知のところでございます。そこで、わが国といたしましては、産業構造転換の一番中心をなすこの産業育成強化にできるだけの政府としても応援をしていきたい、こういう考え方でございます。その一つが超しSIに対する開発援助、こういうことをごらんいただいてもおわかりいただけると思いますが、全体としてはまだ競争力が不十分でありますから、十分な競争力がつくまでの間できるだけの応援をしていきたい、こういう考え方でございます。
  13. 渋沢利久

    渋沢委員 いま一つ伺っておきたいと思いますことは、通産省説明資料等にもありますが、いま大臣も言われたように、まだまだ不十分な点があると言われる中に、発展途上国追い上げという部分指摘をされ、材料としても出されておるわけであります。通産の丁寧な資料によりましても、いまテレビやラジオはすでに日本水準と全く同水準だ、鉄道車両やモーターはあと五年だ、カメラや通信機器、腕時計はあと五年か十年たてば完全に追いついてしまう、こういう測定をして、さあ大変だ、国が思い切った助成措置をとらなければならぬという結びになっているわけですけれども、たとえば私は、長期の戦略的な観点、そういうものの欠落、不十分さというものを、余分な言い方だったかもしれませんけれども指摘をしたわけですけれども、そういうこととの絡みでひとつ伺いたいなと思うことは、この発展途上国追い上げ、こう言われる中にはこういう一面というのがないのだろうか。  たとえば繊維等においても同様でありますけれども、この世界でも日本企業途上国の低賃金構造に乗って、そして海外進出海外投資かなりの形でやってきました。このことを通して日本最高技術途上国に持ち込む、こういう流れがあるのじゃないか。技術資本途上国に持ち込んで、そして、さあ追いついてきた、追っかけられてきた、あと五年だ、援助せにゃならぬ、こう言っている。こういう側面が、これは私の間違いなら正していただきたいのですけれども、そんな感じがするのです。三洋電機が韓国、松下がシンガポールへというような進出の形を見ておりますとそういう感じがする。  言い方が悪いかもしらぬけれども、国は二つだけれども資本一つだ、もとは一つだ、そして日本の持ち込まれた資本技術によって、逆輸入追い上げという形で今度途上国日本企業に挑戦をする、不況深化一つ要因にもなる。そこでまた、さあ援助だ、こういうパターンではないだろうか。繊維しかりだと思う。こんな感じがするわけなんであります。通産資料を見ていてそんな印象を受けたわけであります。  この私の印象は間違っておるでしょうか。どう間違っておるでしょうか。それとも、やはりそういう面がある、あるとすればこれは一体どういうことなんだろうか。日本政府のこの対応というのは、どこに物差しを置いてどういう目標でいままで援助はやられてきたんだろうか、その援助の効果というものをどう受けとめていらっしゃるんだろうか、この辺のところをひとつ説明を願いたいと思います。
  14. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま渋沢先生から御指摘のございました点は、実は大問題、大きな問題ではないかと私どもも考えておるところでございます。  まず、発展途上国からの追い上げという問題でございますが、私どものサイドから見ますと追い上げという見方もございますが、一方におきまして、発展途上国におきます産業構造高度化というとらまえ方もあるのではないかということでございます。また、先生から御指摘のございました経済協力等の問題を通してみましても、いま申し上げましたように、相手国産業構造高度化に貢献するというのが、やはり経済協力一つのビヘービアではないかと思っておるわけでございます。過去のわが国経済協力政策につきましても、相手国産業構造高度化及び社会福祉向上、こういうのが観点になっておったことは先生承知のとおりでございまして、その結果、発展途上国におきましてかなり程度技術力がついてまいりまして、それが輸出にあらわれてくる、物によっては日本に逆輸入されてくるというケースもございます。  ただ、これを単に発展途上国からの追い上げというとらまえ方をいたしまして、簡単に輸入制限をするとかあるいはそれに対していろいろクレームをつけるとかいうやり方は正しくないのではないかということでございまして、もちろん日本社会システムあるいは産業システム関連において解決すべき問題とは思いますけれども、マクロ的に申し上げますと、やはり発展途上国技術力向上というものはそれなりに評価していくべきだと思います。  そこで、いわゆる国際分業論というものが出てくるわけでございまして、私どもがいろいろ書きました資料の中に、発展途上国からの追い上げという言葉を使っておりますけれども、そういう問題意識がございまして、特に機械情報産業分野について申し上げますと、私ども分野で戦後営々として築いてまいりました各種の、特に軽機械中心でございますけれども、そういったものが最近発展途上国からかなり追い上げを食っておる、こういうような現象的なとらまえ方をする向きもございますけれども、基本的には、私がいま申し上げましたように、国際分業が着々と進行しておるということでございますので、その国際分業というものを踏まえまして、わが国機械情報産業というものもより高度なものを求めていくということに方向を見出すべきではないか、つまり、発展途上国から追い上げられたから、さあ大変ということが、わが国のより高度な産業構造高度化を目指す方向に走っていくべきではないかということでございまして、そういう問題意識のもとに、今回も特定機械情報産業振興臨時措置法案というものを上程させていただいたわけでございます。
  15. 渋沢利久

    渋沢委員 時間もありませんので、それでは少し生々しい問題に触れて具体的にお尋ねをさせていただきます。  この法律全体の性質というものは、後で時間が足りればお尋ねもしていきたいと思いますけれども、非常に強力な企業保護法律である。カルテルの指示、新規参入の禁止と言っていいような歯どめ、莫大な資金の投入、税制における優遇処置、さらに加えて、高率関税という防壁で企業を支えていこう、助成していこうという法律の体系だと思います。従来も機電法としてそういう政策がとられてきました。  今度ソフトが組み込まれたというわけでありますけれども、いろいろ聞いてみますと、ソフト業の業態の特徴といいましょうか、この関連業界の中での前近代的な労働条件の放置とかというような、具体的な大変生々しく指摘されている部分がございまして、非常に遺憾な現状だというふうに思っているわけですけれども、まず、この辺の業界実態特性というものについてどうとらえていらっしゃるか、最初にその辺から伺っておきたい。
  16. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ソフトウエア業に従事しておられます方々の労働実態というものは、私どもいろいろ見聞をいたしておるところでございますが、なかなか公的な統計で把握するというのは困難な状態にございます。しかしながら、一応労働省でおつくりになっておられます賃金構造基本統計調査報告というもので勉強してみますと、いわゆる所定外労働時間数、これを製造業情報処理技術者とを比べてみると、情報処理技術者の場合の所定外労働時間数の方が上回っておるという数字は出ておるわけでございます。     〔委員長退席中島(源)委員長代理着席〕  それから、ソフトウエア産業一つ特性といたしまして、要員派遣という問題がございます。これは電子計算機メーカーあるいは電子計算機利用企業におきまして、外部の専門的な技術を有する情報処理企業に実務を委託をするというケースが多いわけでございますので、その結果、場合によりましては技術職員委託企業への派遣を行うケースがあるということでございまして、いわゆる要員派遣問題、これはソフトウエア業につきまとう問題ではないかと思っておるわけでございます。
  17. 渋沢利久

    渋沢委員 労働省に来ていただいておりますので、ちょっと尋ねておきますけれども労働省の方には、この関連労働者の諸君からいろいろな問題の相談が持ちかけられておると思うのです。時間がありませんので簡潔で結構ですけれども、たとえばかなり労働基準法違反職安法違反不当労働行為——その派遣、出向というような行程を通して、いま局長からも話がありましたような深夜作業を余儀なくされるこの構造の中で、いろいろな問題が指摘されておるというふうに言われておるわけです。同時に、これらの行為について労働省調査方の依頼が労働者の間からされたり、いろいろ注文がつけられている部分があると思うので、簡潔で結構ですから、その実態を明らかにしておいていただきたい。
  18. 小粥義朗

    ○小粥説明員 ソフトウエア業労働者派遣の対象になっています労働者の方々の労働条件を、全体的に把握しているわけじゃございませんが、私ども実態調査してつかんだ範囲では、特に時間外労働、なかんずく深夜業が多く見受けられるという点の問題を意識いたしております。これは契約の仕方によっていろいろ違いがございますが、たとえば二交代制をとっているあるいは三交代制をとっているというケースもございますけれども、極端な事例としては、朝の九時から翌朝七時まて二十二時間拘束であるというようなケースもございます。さらに、交代制をとっている場合も、別のシフトの人が休みますと連勤という形になるケースもあるわけでして、そういう深夜労働が長時間にわたる場合、当然疲労も重なりますので、この辺の要員の確保といいますか、ちゃんとした交代制の確立というものが必要だろうと思っております。  それから、そうした時間外労働をやりますと、これは三六協定を結べば時間外労働ができるわけでありますが、時間外手当の支給が必ずしも適正に行われていないといった面、あるいは有給休暇がとれないことはないけれども、なかなかとりにくいという実際上の問題等もあるように承知いたしております。
  19. 渋沢利久

    渋沢委員 時間がないので、この程度のことにしておきますけれども、要するにかなりひどい実態があることは事実なわけです。  そこで、通産は、この業界に向けて、これからこの法を軸にして大きな助成をしていこう、金も出していこう、いろいろ行政指導もある、こういうことなんです。先ほど言いましたように、この法律全体が、かなりいろいろなてこを使って業界に力をつけていこう、こういう企業保護法律であるわけです。しかし、法律は、どの法律でも、開くと最初にあれこれの努力を通して国民経済の健全な発展と必ず出てくる。この法律にも第一条にそううたっておられる。莫大な投資をし、カルテルをやり、そして企業は栄えるけれども、そこで働いておる労働者や下請は、支払い条件は改善されず、労働条件は改善されずということが繰り返されておったのでは、法律の文言に偽りあり、国民経済とは何ごとぞ、こういうことに相なるわけであります。  この際、ソフトを対象にして大きな助成をしていこう、こういう形の中で、労働問題は労働省の問題だという受けとめでなしに、通産自身もこの実態を踏まえて、全体として企業がよくなるというのは、そこで仕事をしておる技術者の質が高まり、働いておる諸君がこの産業開発企業活動を通して本当に生活をかけて寄与していくということと、誇りを持って仕事をしていくという状態にしなければ、その産業開発、新たな基本戦略として情報機械産業の位置づけと高らかにうたい上げてみても、一将功成って云々ということになりかねないわけです。  私ども、そういう意味で、たとえばこれからの融資助成等の作業を通しても、ある意味では通産省業界に対して一定の影響力を持ち得るわけですから、そういう点に向けての配慮というものがどうしても必要だと思うわけでございます。業界の健全な発展ということで考えましても、電算機の職場に働く諸君の不安を解消していく、その職場を文字どおり近代的な明るいものにしていくという責務をぜひ一緒に通産省も担っていく、こういう観点に立ってほしい。お考えを伺っておきたい。
  20. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報産業に従事される方々の労働条件の問題につきましては、私どもも、産業を所管しておる立場から、きわめて深い関心を持っておるところでございます。  私といたしまして、この労働条件の改善の問題につきましては、二つの方法があるのではないかと思うわけでございます。一つは、労働生産性という問題を考えた場合に、労働の環境それ自身を上げることも大切でございますが、まずその生産性の向上をどうやって図っていったらいいかというアプローチが一つあるのではなかろうかと思います。それからもう一つは、そこに従事される方々の質及び量の拡大の問題があるのではないか、こう思うわけでございまして、その点につきまして、研修制度あるいは試験制度等を通しまして量、質の拡大の方に努めておるわけでございます。最初に申し上げました労働条件の改善の問題につきましては、生産技術のたとえばモジュール化等を通じまして、簡便化できるようなものにつきましてはできるだけ簡便化していくという政策をとるべきではないか、こういう二つの面からのアプローチを考えているわけでございます。  なお、私どもにおきましては、情報処理に従事される技術者の方々から見たソフト業のあり方の基本問題を少しく勉強してみたいということでございまして、本年度わずかではございますけれども、一般会計から二百万程度の予算を計上してもらいまして、基本的な調査検討を行ってみたい、かように考えているところでございます。
  21. 渋沢利久

    渋沢委員 局長、私がいま言いました基本的な観点というものについて、この次の答弁のときでいいですから、まず明らかにしておいていただきたい。その上に立って、いま幾つか言われましたそういう課題に取り組むということについて私も評価をしたいと思うのですが、まずその労働条件の問題を、その解決の手法と改善の手法についてはいまおっしゃったような幾つかの点があると思いますけれども、基本的な姿勢をやはり明確にしてほしいということを私は問うておるわけです。この点は後でひとつ明らかにしておいていただきたい。  そこで、いま答弁があったことの中にありましたような技術者の研修の問題に関連をして、ひとつ具体的に伺っておきたいと思うのです。  産構審の計数予測ですでに明らかになっておるように、ソフトウエア技術者の六十年需要は三十四万二千八百人ですか、そしてその供給が八〇%程度、こういう見込みで、大幅な不足が見込まれるという指摘があるわけです。この問題は非常に重要な課題だというふうに考えているわけです。ところが、先ほど指摘をいたしましたような労働条件の問題等があり非常に困難が予測をされる、こういうことでありますので、これはぜひもっと本腰を入れた技術者対策というものを考えていただかなければならぬのじゃないか。技術研修所というようなものを協会なら協会に責任を持つ形で設けるとか、やはり通産省が腰を上げた形でこの技術研修施設というものを設置する、強化する、こういうことが必要なんじゃないか。そしてこの技術者が、こういう研修機関を通して、新しく開発された技術開発途上にある技術についての研修を深めるということが必要なんじゃないだろうかと思うわけです。もちろんいろいろな労働条件等の関係からいいますと、やはり政府のその研修にかかわる経費の助成というものは当然前提として考えていかなければならぬことでありますけれども、そういう努力の上にそういう仕組みを強化していくということが絶対に必要なのではないかということが一つであります。  学校なんかも調べてみましたけれども、各大学の中での情報機械部門というのは非常に少なくて、あるいは職業訓練校なんか見ましても、これを取り上げているのは、私の見たのでは、全国に四つくらいしかないんですね。このままでは、この分野における技術者層の薄さというものは、将来にわたって非常に大きな問題が起こってくるのじゃないかというふうに考えるわけでして、この技術研修所をつくる、つくりようや運営の仕方、いろいろ問題があるでしょうけれども、そういうものについて、在来のものでなしに、いま少し本格的なものを考えてはどうかというふうに思います。
  22. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、ソフトウエア業におきます雇用の問題というものを基本的にどう考えておるかということからお答えをさせていただきたいと存じます。  そもそもソフトウエア産業と申しますものは、御承知のとおり、機械及び設備等を中心といたしまして運営される産業ではございませんで、やはり中心になりますものは、何といいましてもマンパワーになるわけでございます。したがいまして、ソフトウエア業の最も大きな経営の中心、事業活動の中心になるのは、そこに働かれる方々でございまして、そういうのが基本的な問題意識ではないかと思うわけでございます。  そこで、ただいま渋沢先生から御指摘のございましたように、私ども産業構造審議会の長期見通しに立ちましても、昭和六十年にはかなりな需給ギャップがあらわれてくるということでございまして、ソフトウエア産業それ自身かなり生々発展をしていく業種だというふうに考えておりますが、いま申し上げましたとおり、そこに働かれる方々のいわゆる労働者の需給ギャップということが起こりますと、その面から制約が起こってくるということでございますので、そこに働かれる方々、いわゆる技術者の方々の養成ということはきわめて大きな問題であろうかと思うわけでございます。  通産省といたしましても、昭和四十五年に情報処理研修センターというものをつくったわけでございまして、これはいわゆる上級の情報処理技術者、システムエンジニアリングとかシニアプログラマーと言っておりますけれども、こういった方々を養成する研修所をつくったわけでございまして、鋭意その研修事業に努めておるわけでございます。  そのほか、一般の技術者の方々の不足問題ということに対応いたしまして、現在各企業がいわゆる社内教育ということでそれぞれの技術者の研修を行っておられるわけでありますけれども、そういうものに対しまして税額控除の措置というものも税制上配慮しておるところでございます。  そのほか、情報処理振興金融措置によりまして、研修事業に対します資金の助成もある程度やっておるということでございます。  さらに、通産省におきましては情報処理技術者試験という制度をやっておりまして、この試験制度も何らかの形で情報処理技術者育成に重要な役割りを果たしておるのではないか、かように存じておるところでございます。  しかしながら、先生指摘のとおり、この技術者養成問題というのはソフトウエア業にとりましてきわめて大きな問題でございますので、私どもといたしましても、ただいま申し上げましたような事業を通じまして、あるいはさらにもう一段こういった事業を強化していく方向で進んでまいりたい、かように考えている次第でございます。
  23. 渋沢利久

    渋沢委員 次に、高度化計画に定める事項の中で、「生産の合理化を特に促進する必要がある」云々、こういうことがあるわけですけれども、この「生産の合理化を特に促進する必要」というのはどういうことか、いま少し具体的に尋ねたい。  そして、私ども心配いたしますのは、合理化の促進ということを通して零細企業労働者に犠牲を強いるという側面がないだろうか。きのうも参考人への質疑等の中で再編成という問題が出ておりましたけれども、そういう一面を非常に心配をするわけでして、この法律の制定によって高度化計画を通じ、あるいはその前提としてソフトの近代化を図ってその産業基盤を確立する、関係労働者の置かれている立場というものをむしろ適正なものにしていく、そういうふうな立場をいま一つ明確にしておいていただきたいというふうに思うわけです。
  24. 森山信吾

    森山(信)政府委員 高度化計画で定めます合理化目標というものがまずございますが、その前に、私どもが考えております高度化計画の内容といたしまして三つあるわけでございます。一つは、試験研究を促進するという観点でございます。もう一つは、工業生産の開始を促進するという観点でございます。それから三番目に、いま申し上げました合理化を促進する、こういう観点でございます。どういう機種につきましてどういうパターンで進めていくかということは、政令でその機種を指定させていただきたい、かように考えておるわけでございます。したがいまして、合理化を促進すべき機種が具体的にどうなってくるかという問題につきましては、政令に譲りたいと思っておるわけでございます。  基本的に言えますことは、その合理化ということが、先ほど先生が御指摘になりましたように、たとえば首切りにつながるとかいうマイナスの面の合理化ということは決して考えてないわけでございまして、それはやはり一つの脱皮を求めての近代化ということが大きな目標になるのではないかということでございます。昨日も私、参考人の方々の御意見を拝聴いたしておりましたけれども、その辺につきましての御心配もあろうかと思いますので、そういった高度化計画を作成するに当たりましての各種の話し合いの場というものがあるわけでございますから、十分そういう方々の御意見を拝聴できるようなシステムというものをつくり上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  25. 渋沢利久

    渋沢委員 カルテルについて一点お尋ねしておきますけれどもソフトウエアはこれは除いてあるわけですね。  それから、機電法との関係で言うと、機電法のときにあったもので抜けているものがありますか、あるいは新たにつけ加えられたものがありますか、共同行為の指示について。これが一つ。  それから、七条の「共同行為の内容」が、「高度化計画に定める合理化の目標を達成するため必要な程度を超えないこと。」とあるわけですけれども、その「必要な程度」というのは、これを判断する基準というのはどんなものでしょうか。  時間がないのでまとめて伺ってしまって恐縮ですが、一括して答えていただきたいと思います。  その「必要な程度」というのを判断するのはだれが判断するのか。これは大臣でしょうね。そうすると、高度化計画をつくるのは通産大臣で、共同行為の実施を指示するのは通産大臣で、共同行為が行き過ぎかどうかを判断し、それを決めるのも通産大臣で、こういうことに相なるわけですね。七条のこの法文というのは大変不明確な点があるのですけれども、要するにそういう流れですね。  それから、十三条は、これは新規参入を不当に制限をすることになるおそれはないか。  以上、カルテルの関係についてお尋ねをします。
  26. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の共同行為に関しまして、ソフトウエアは指示の対象にはなっておりません。従来機電法当時のハードウエア関係のみを対象としておるわけでございます。したがいまして、この部分に関しましては機電法をそのまま踏襲しておるわけでございますが、ただ、指示カルテルに係るアウトサイダー規制命令につきまして公取の方へ協議をするということが一つつけ加わっているわけでございます。  それから、第七条の「必要な程度を超えないこと。」の判定でございますけれども、これは一応判断の発議は私ども事務方がするわけでございますけれども、航空機・機械工業審議会にお諮りをするわけでございますし、さらに、先ほど申し上げましたとおり、公正取引委員会の方へ協議をするということで一応の客観的な判断はいただけるものというふうに考えておるわけでございます。
  27. 渋沢利久

    渋沢委員 一分ありますので、恐縮ですが、もう一つだけつけ加えさしていただきます。  五条の「所要の資金」ということについて、その内容を説明してもらいたい。それから、資金助成の基準というようなものは何か。税制上必要な処置というのを具体的にあったら、特に新たに決まっておることがあれば説明していただきたい。  以上で質問を終わります。
  28. 森山信吾

    森山(信)政府委員 第五条の「資金の確保」につきましては、一応政府といたしまして「その確保に努めるものとする。」こういう規定でございますが、一方、予算、財投の段階におきまして、私どもはこの規定を受けましていろいろお願いをしておるということでございます。今年度の予算措置といたしましては、財投の措置でございますけれども開発銀行の枠を百億円計上いたしておりますし、それから中小企業金融公庫の枠を約五十億円程度確保しておるということでございます。  それから、税制につきましては、現在御審議いただいております法案の成立を前提といたしまして、複合機械システム——機械単体ではございませんで、幾つかの機械をシステム的に組み合わせた機械をお使いになるユーザーの方々に特別償却の制度を認めていただいておる、こういう状況でございます。
  29. 中島源太郎

    中島(源)委員長代理 中村重光君。
  30. 中村重光

    ○中村(重)委員 米国における日本製テレビのダンピング問題の経過と、政府業界対応がどうなされているのか、これからの見通しを含めてひとつお答えをいただきます。
  31. 森山信吾

    森山(信)政府委員 アメリカにおきますテレビダンピング問題につきましては、御承知のとおり、一九六八年にアメリカ電子工業会が提訴をしたわけでございまして、その後一九七一年の三月末にダンピング裁定を受けまして、それによりまして各社ごとに関税評価査定作業が行われてきたわけでございます。しかしながら、一九七二年以降につきましては、アメリカ側の事情によりましてその作業が全然進まないというかっこうで進んでまいったわけでございますけれども、ことしの三月に至りまして、急遽従来の方式と根本的に異なっておりますダンピング税算定方式によりまして、一九七二年及び七三年の輸出分につきまして精算措置を行うことを決定いたしまして公表したわけでございます。現在までに通知を受けておりますダンピング税を総計いたしますと、四千六百万ドルということでございます。  そこで、今回の措置は、先ほど申し上げましたとおり、従来の方式と根本的に異なるダンピング税算定方式ということでございますので、私どもといたしましては大変納得がいかないということを考えまして、この発表前にも再三外交ルートを通しましてアメリカ側に抗議をしておったわけでございますが、大変残念なことに、三月末をもって公表があったわけでございます。こういう問題は、私どもとしましてはガットにも反するんではないかという基本的な考え方を持っておりまして、現在アメリカ側と交渉を続けておるところでございますし、私の方からも担当官を派遣いたしまして折衝をいたしました。それから各メーカーの社長も数名渡米いたしまして現在交渉をしておる、こういう状況でございます。
  32. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産省としては、担当官というのが何か機情局の電電課の課長補佐が行ったんですね。これからどうするんですか。業界だけではなくて、昨日当委員会の参考人として出られた竪山電機労連委員長も出向いて、恐らく労働団体等に対する働きかけをやるんだろうと思います。そのようなことも伝えられているわけですが、全くけしからぬことだということだから、けしからぬことならけしからぬことのように、やはり政府がもっと積極的な取り組みをする必要があるんだろうということですね。  それから、よってきた原因は何か。これはたしか数年前もダンピングで問題になったことがあるんだと思うのですよ。これまたきのう参考人に来られた赤澤重工業局長の当時であったんじゃないかと思うのだけれども、そのときはどういう形で処理されたんでしたかね。それと、ただいま私が申し上げたように、背景というか、日本の輸出が一向衰えない、輸出は増加の一途をたどってきておる、そうした日本の態度というのに反発をして、感情的というのか懲罰的というのか、日本に反省を求めるといったようなこともその背景になっているのか、具体的にこのテレビ輸出というものがダンピングだという……。  あなた、けしからぬことだと言うんだけど、向こうもそれぞれの機関で十分検討して決定をされたんだろうと思うのですけれども、それらの背景とかそれから具体的な中身ですね。それから、政府としてもと、こうおっしゃったんだけれども、課長補佐が出向かれたという程度なんです。これからどうするのかといった考え方をひとつもう少し詳しく述べてほしい。
  33. 森山信吾

    森山(信)政府委員 テレビのダンピング問題につきましては、先生指摘のとおり非常に古い問題でございまして、先ほどお答え申し上げましたとおり、一九六八年にアメリカ電子工業会が提訴して以来の問題であるわけでございます。一応ダンピングの裁定が出まして、各社はそれなりの対応をしたわけでございますし、当然そのダンピングの裁定が出た場合の基準というものがあったわけでございますから、日本側の各メーカーといたしましては、あるいはエクスポーターといたしましては、その裁定後は、裁定のときに示されました基準に従いまして輸出をやっておったわけでございますので、私どもとしましては、ダンピング問題はこれで一応決着がついておるんではないか、こういう考え方を持っておったわけでございます。ところが、アメリカ側といたしましては、一九七一年に裁定をいたしました際、今後のものにつきましては一応関税評価を差しとめまして、改めまして評価を査定をする、こういう態度をとっておったわけでございますが、事実上はその作業は行われてなかったわけでございます。したがいまして、この五、六年来、査定作業というものはなかったわけでございますから、基本的にはダンピングの問題はもう終了した、結了したのではないか、こういうふうに私どもは思っておったわけでございます。  そこで、中村先生から御指摘のございました背景でございますけれども、この間、特に一九七六年には日本からのカラーテレビの輸出というものがきわめてふえまして、二倍以上のふえ方もしたというような事実もございましたけれども、御承知のとおり、昨年から年間百七十五万台といういわゆる輸出協定によりまして秩序ある輸出に努めておったところでございますので、この時点におきまして突如、過去五、六年ほったらかしにしておりました査定作業を復活したということが私どもはちょっと腑に落ちない、こういう感じを持っておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましても、この事態を大変重要視いたしまして、在米の大使館を通じまして折衝を続けておったわけでございますけれども、とりあえず国内のデータその他を持たせまして、先ほどおっしゃいました課長補佐を派遣したわけでございますけれども、なお話が並行線をたどっておるということでございましたので、近くまたしかるべき上級の者を間もなく派遣したい、こういうふうに思っておりますし、引き続いてこの問題につきましては全面的に取り組んでまいりたい、かように思っておるところでございます。
  34. 中村重光

    ○中村(重)委員 通産大臣いかがですか、いま森山局長答弁を聞いていると、全くけしからぬという感じがしますよね。だから、背景が、いわゆる日本の輸出が非常に積極的に行われてなかなか輸出規制というものも行われない、そういったいわゆる反発というものが背景としてあるのかどうかという点、前も当時の赤澤重工業局長時代に起こったということだ、そういった面からすると必ずしも背景というふうにはとられない、こう思うのですが、その他の輸出に対する波及というものもないとは言えないというように私は考えるのですが、その点どうお考えになりますか。
  35. 河本敏夫

    河本国務大臣 この問題につきましては、先般来、日本のメーカーの代表、社長グラス数人の方々がアメリカに行かれましていろいろ交渉を重ねられまして、昨日私もその報告を詳細受けたばかりでございますが、何分にももう数年間議題にならないで眠っておったものが、突然また問題にされましてこういう事態になっておるわけでございまして、どうもアメリカ側の言い分には相当無理があるように私も思います。そこで、いろんなルートを通じまして、何とかおさめたいということでいまいろいろ話し合いをしておりますので、十分話し合いをすれば、もともと相手が無理を言っているわけでありますから、話し合いはできるものだ、私はこう思っております。
  36. 中村重光

    ○中村(重)委員 この情報化社会に対応をするためには、情報処理の振興への期待、いわゆる経済社会の要請といったような点等からいたしまして、非常に重要な政策課題であるというように私は考えるわけでございます。そうした観点に立って今回の法制定ということになったと考えるわけでございますが、そこで、具体的なことは後でお尋ねをするといたしまして、基本的な問題点について、抽象的になるのでございますけれども、総論的にお答えをいただきたいのですが、日本電子計算機のJECC等の育成強化というのは非常に重要なことだというように考えるわけですが、IBM等の資本力、販売力、これに対抗して国産コンピューターの販売力を強化をしていくというようなためにJECCに対する開銀融資を拡充をしていくといったこと、あるいは構造改善というような問題等、これからさらに精力的に取り組んでいこうとする考え方であろうと思うのでありますけれども、端的にひとつお聞かせをいただきたい。
  37. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおりでございまして、私どもは、コンピューター育成強化につきまして、問題点としましては、技術開発力と販売力、資金力、こういう問題があろうかと思います。したがいまして、ただいま中村先生から御指摘のございましたように、販売力強化という観点から、JECCにつきまして引き続いて強化育成策をとってまいりたい、かように考えております。
  38. 中村重光

    ○中村(重)委員 第二点としては、情報処理振興事業協会、IPAの事業の強化、これは債務保証等の事業をさらに強化拡充していくということでありましょうし、ソフトウエアの技術開発あるいは情報処理サービス業者等に対するただいま申し上げました債務保証、それだけではなくて、さらに振興策を講じていく考え方であろうと思うのでありますが、この点いかがですか。
  39. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報処理振興事業協会、いわゆるIPAと称するものにつきましては、私ども、昭和四十五年に設立をさせていただきまして以来、日本情報化に対応する措置を講じてきたつもりでございます。情報産業情報サービス業、こういったものを今後特に振興していく観点から申し上げましても、ただいま先生の御指摘のとおり、今後とも育成強化に努めてまいりたいと基本的に考えております。
  40. 中村重光

    ○中村(重)委員 ソフトウエア生産技術開発計画の推進、これは従来の手作業方式からコンピューターを利用した自動生産方式に切りかえていく、アメリカに比肩し得るような技術開発力を高めるために、五年計画でこの技術開発をやっていると思うのですが、その期待をしているように進んでいるというようにお考えになりますか。また、いまのペースで進んでいると、いわゆるアメリカに比肩し得るというような願望、期待というのか、そういうものが何というのか成功し得る、実現し得るというような考え方をお持ちですか。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまお尋ねのございましたソフトウエア生産技術開発計画につきましてお答えを申し上げますと、まず、予算的な措置といたしまして、これまでに、五十一年度五億円、五十二年度八億五千万円の予算を使ったわけでございます。それから五十三年度の予算といたしまして十一億一千万円の予算を計上さしていただいているわけでございまして、五カ年計画を着々と執行中ということでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席アメリカ等に比べまして、やはりソフトウエアというものが日本におきましてはかなり劣っておるということは、先生指摘のとおりでございますので、こういったソフトウエア生産技術開発計画というものを通しまして、少しでもキャッチアップできるような仕組みというものを今後とも強く考えてまいりたい、かように考えております。
  42. 中村重光

    ○中村(重)委員 この情報処理産業の基盤の強化の問題ですが、情報処理産業というのは、担保力が弱くて、利益率も低い、そういった点から、その弱点を補うために、IPAの債務保証というので三行からもって融資を行うということをおやりになっていらっしゃるのだけれども、依然としてこの格差というのはなかなか縮まっていかないで、一般の中小企業と大企業の格差の拡大と同じように、やはり弱いものは取り残されていくというような感じがするのですね。それを埋めていくということが私は基本的な考え方であろうと思うのだけれども、その点は、いままでの実績というのか、そういうものから考えて、局長、どう評価をしますか。
  43. 森山信吾

    森山(信)政府委員 信用保証的なものあるいは債務保証的なものといたしまして、従来三百七十五億程度の実績を持っておるわけでございまして、先生指摘のとおり、ソフトウエア業あるいは情報サービス業と申しますものは、機械設備等を持っておりませんので、なかなか担保力もない、信用力もないということでございます。そこで、そういった措置を通じまして、信用力あるいは担保力の強化ということを側面的にやっておるわけでございますけれども、問題は、一部の方々が取り残されるのではないか、こういう御心配であろうかと思います。  そこで、私どもといたしましては、共同システムという組織をつくりまして、現在十七社でこれを運営しているわけでございますけれども、それぞれその十七社の系列の中に幾つかの会社を包含しているわけでございますから、言ってみますと、そういった情報サービス業のある意味でのピラミッド型の組織というものをつくりまして、それによりまして育成強化を図っていく。広く全般に育成強化を図りますよりは、むしろそういった体系的な振興策を講じていくことの方がより効果が上がるのではないか、こういう価値判断のもとにいま申し上げましたような施策をとっておるところでございます。
  44. 中村重光

    ○中村(重)委員 ソフトウエアの安全対策ですが、これは非常に広範にわたっての安全対策が必要になってくる。プライバシーの侵害の問題というものも安全対策の重要な点であろう。それから、情報処理サービス業に対する開銀や中小企業等の安全対策の融資制度というものを五十三年度から強力に推進をしていこうとする姿勢をお持ちになっていらっしゃると思うのですが、情報処理サービス業というのは、昨日も参考人に対して私も質問もし、お答えもあったわけですが、非常に零細なものから大きいものというように非常に広範多岐にわたっているということですね。それに対して今後具体的にどう進めていくというような考え方をお持ちですか。
  45. 森山信吾

    森山(信)政府委員 安全問題というのは、御指摘のとおり大変大きな問題でございます。特に他人の情報を扱う情報処理サービス業にございましては、データの保護、こういった観点があるわけでございまして、かねてから積極的な取り組みが痛感されておったところでございます。こういう観点に立ちまして、通産省におきましては、昨年の四月に電子計算機システム安全対策基準というものを策定いたしまして、この基準に従いました安全対策の実施を図るように業界指導を行っておるということでございます。  それから、これは単に基準を設定したということだけではなかなか十分ではございませんので、財投等の措置によりまして、五十三年度からは開発銀行及び中小企業金融公庫に安全対策実施に必要な資金についての特別貸付制度というものを創設いたしまして、そういうものを通しまして安全対策へ積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  46. 中村重光

    ○中村(重)委員 情報システム化の促進の問題ですが、コンピューターの高度利用形態であるオンラインあるいはネットワーク化のことですね。この点に対しては、今度の法律案を提案されるに当たっても苦心をされたところであろう、いわゆる公社との競合の問題といったような非常にむずかしい問題もあるわけですが、共同情報処理システムの普及に努めていかなければならぬとか、あるいは医療とか交通、防災等の情報処理といったようなシステムの導入というものが私は必要になるというように考えるのですが、これらの重要な役割りを果たすところの情報処理サービス業者に対することは、開銀等の融資というようなことだけでいいのかどうかという点ですね。先ほどの質問とも関連をしてくるわけですけれども、公社との競合の問題も含めて、今後の方針というか、そういうものをひとつお聞かせをいただきたいと思います。     〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いわゆる情報サービス業というものは、今後の日本産業構造の一翼を担う大変大事な産業であるという問題意識を持っておるわけでございますが、一面、先生の御指摘になりました特にオンラインの情報処理サービスという点につきまして、これはなかなかむずかしい問題がございます。と申しますのは、一つは電気通信という観点もございますし、一つ情報処理という観点もございますので、その点につきましてのいろいろな問題というものがございますので、総合的な判断が必要となってくるのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから、基本的な問題といたしまして、この情報サービス業というものにつきましては、昨日も参考人の方から御意見が出ましたように、商売をされるパターンが二つあるのではないかと思います。一つ委託を受けまして、つまりオーダーメードの情報サービスをするというケースと、自前で情報サービスをするというケースとあろうかと思います。したがいまして、自前でセールスをされるという観点に立ちますと、これはなかなか危険なことが多いわけでございます。その販売に関しますリスクが多いわけでございまして、こういった面につきましては、やはり資金的な負担と申しましょうか、あるいは裏づけと申しましょうか、そういったものをてこ入れをして差し上げる必要があるのではないかということでございまして、やはり資金的な裏づけというものが大変必要なことになってくるのではないかと思います。しかし、資金の手当てだけしておればそれで済むかという問題もございますので、先ほど先生から御指摘のございましたたとえばソフトウエア生産技術開発計画、こういったものを通しまして、あるいはモジュール等を通しましてよりよき生産性を求める、こういった指導もしていく必要があるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  48. 中村重光

    ○中村(重)委員 情報処理技術者確保対策の推進、これも強力にこれから進めていこうとする考え方のようでございますが、そのためには、五十三年から情報処理技術者問題の総合調査を実施をする、さらにまた情報処理技術者試験を毎年実施をする、企業内研修の促進を図る、税制上の措置をやるといったようなことですね。昨日も、これまた参考人の意見というものもあったわけですが、非常に技術者が少ないといったような問題もあるわけでして、相当腰をはめた取り組みをしていくのでないと、欧米諸国と比較をいたしますと待遇も非常に悪いということなので、もっと日本人の持つ優秀な能力というものを発揮していくことが私はできぬと思うのです。それは本気でやる気ではありましょうけれども、相当積極的な場の推進をしていくということでないといけないと思うのですが、その点に対して、何か特に具体的にこれならという期待が持てるような考え方をお持ちですか。
  49. 森山信吾

    森山(信)政府委員 技術者の養成の問題は、これはもう基本的な問題でございます。御承知のとおり、いわゆる情報サービス業と申しますのは、マンパワーによって、人によって運営される会社でございますので、幾らソフトウエア業あるいは情報処理サービス業の振興を図りましても、これに従事される方々の裏づけがないと、産業としての発展もないわけでございますので、基本的にやはりマンパワーの育成強化というものが必要であることは私どもはもう当然だ、こう思っておるわけでございます。  そこで、具体的にどういう施策を講ずるかということになりますと、私どものサイドから申しますと、やはり研修の問題あるいは試験の問題等はございますけれども、たとえば学校教育等の問題を通じましてこういった技術者の方を早くから養成するということも必要ではないか、こういうこともかねがねそういう関係の方々にお願いをしておるところでございますので、こういった社内教育的なものあるいは研修的なものあるいは試験的なものに加えまして、学校教育というものも重視してまいりたい、こういうふうに考えております。  なお、先生の御指摘になりました若干の予算ではございますけれども、ことしから予算を計上いたしまして、技術者の方々のサイドから見たソフトウエア産業のあり方というものについてことしは特に調査、検討をさせていただきまして、その結果を踏まえまして、またより高い政策というものを追求してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 中村重光

    ○中村(重)委員 具体的なことで見解を伺ってみたいのですが、これからソフトウエア業というものを強力に伸ばしていかなければならない、そのことが安定につながるということにもなるわけですが、業界の安定策として、ソフトウエア業の開業の条件ですね。これに一点としては通産省による技術試験の合格者を採用するということの義務づけとか、協会もしくは通産省への届け出、加入をしなければならぬといったようなことですね。これらの点に対して何か検討をしてみられたことがありますか。
  51. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報処理技術者試験というものを私どもはやっておるわけでございまして、年々その受験者も合格者もふえてまいっております。そこで、いわゆる情報処理業として事業を営まれている方々に対しまして、いま申し上げました試験の合格者を必ず採用することという問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、いわゆる資格試験を実施いたしまして就業の制限を行うということになりますと、また別な批判も出てまいろうかと思います。  そこで、総合的な観点で検討してまいりたいと思うわけでございますけれども現状を申し上げますと、私どもの行っております情報処理技術者試験もだんだんと知られるようになってまいりまして、その試験に合格された方は企業におきましてそれなりの優遇措置を受けることができるというような状況にもなってきておりますので、そういった面から、できるだけ多くの方が試験に合格されて企業に従事される、こういう姿になっていくものというふうに期待をしておるところでございます。
  52. 中村重光

    ○中村(重)委員 法律案の中身に入ってみたいと思うのですが、立法の基本方針について、新機情法案と旧機電法法律の目的、構成がほとんど同じなんですね。  そこで、機電法の一部改正ということではなくて、新法にした理由は何ですか。
  53. 森山信吾

    森山(信)政府委員 機電法がことしの三月三十一日をもって失効いたしましたことは、先生も御承知のところでございます。そこで、私どもといたしましては、昨年の秋以来、機電法が失効することに関しまして、今後どういう考え方をとったらいいかという問題を産業構造審議会に諮問をしてまいったわけでございます。その結果、中間答申として私どもがいただきました原案によりますと、やはり今後の日本経済の担い手といたしましての機械情報産業の位置づけというものの必要性を答申いただいたわけでございますので、そこで、機電法にかわるべき新しい法制を考えたらいいのではないか、こういうように判断をしたわけでございます。  もちろん、機電法の延長という考え方もあったのではないかという御指摘でございましょうが、その法律のバックになります社会的な変化あるいは経済的な変化というものを踏まえてみますと、やはりどうしてもここで新しい価値観のもとに法律をつくり直す必要があるのではないか、こういう判断を私どもはしたわけでございまして、その一番大きなポイントは、やはり時代の要請というものが、社会的にあるいは国民のニーズ的に見ましても複合化していっているということでございまして、従来機電法のとっておりましたものが、一つ一つのハードウエアの振興を図ることによりまして国民経済の発展への寄与を図るというアプローチでございましたけれども、そういったハードウエア的なアプローチから、ハードウエアももちろん大事でございますけれども、より大事なことは、それをいかにシステム化していくかということが基本的な問題であろうという判断でございますので、そういった価値観というものは完全に一歩飛躍しているのではないか、機電法に比べまして飛躍しているのではないか、こういう判断をいたしました。  したがいまして、従来の機電法の単なる延長ということよりも、やはりそこに価値観の相違というものをはっきり打ち出したいという思想で新しく新法として提案をさしていただいたわけでございます。
  54. 中村重光

    ○中村(重)委員 であるとするならば、旧機電法の評価という点が重要になるだろう。先ほど来、高度化計画といったようなことについて、従来はどうであった、今後どういう構えでいくのかということについて、同僚諸君から質疑がなされていたわけですね。そこで、旧機電法政策目標であった省力化の推進の問題、この点について私は昨日も労働関係の参考人に対して質問をしました。また、意見も述べられたわけでございますが、労働時間の短縮であるとかあるいは労働環境の改善というものに結びついたのかどうか。そうではなくて、むしろ高度化、近代化をしていくということによって弱い中小企業は切り捨てられる、それから労働者は首切られ、失業者がふえていくという、本来情報産業の振興ということに相反する逆の結果が生じてきたのではないかということも私は指摘できると思うのです。  だから、あなたは、旧機電法というものが果たした役割り、いわゆるプラス面とマイナス面の評価をひとつしていただいて、だから今度はこうするのだ、マイナス点であったものは克服して、本来情報産業というものはこうあらねばならないとか、人を豊かに明るく生活させる、そういう世の中をつくり上げる人づくりをしていくということでなければいけない。それが逆に世の中を暗くする、深刻な状態の中で呻吟しなければならないというものをつくり出すことは間違いなんだということはやはりお考えになっているんだろうと思うのですけれども、いかがですか。
  55. 森山信吾

    森山(信)政府委員 過去七年間、いわゆる機電法で私どもの行政をやらせていただいたわけでございまして、過去の七年間の成果と申しましょうか、それはそれなりに、私といたしましては、十分とは言えないまでも、かなりな成果が上がったのではないかというふうに考えるわけでございます。  特に先生から御指摘のございました省力化の問題でございますけれども、この省力化の推進ということは、機電法一つの旗頭であったわけでございます。今回の機情法におきましては省力化という問題を一応削除いたしておりますけれども、過去のポリシーの一つの寄りどころになったわけでございまして、それが果たしてどういうふうな影響をもたらしたかという御質問であろうと思います。  そもそも機械情報産業としては、雇用問題に影響するところが両面あるのではないかと私は思っております。一つは、機械情報産業そのものが雇用の場になるという面がございます。これは労働省のおつくりになっております雇用誘発係数等を見ましても、ほかの産業に比べまして機械情報産業はきわめて高いということからも推察できるわけでございまして、その機械情報産業それ自身が雇用の場を提供しておるという一面がございます。それからもう一面は、機械情報産業と申しますものは、御承知のとおり、他産業からのニーズあるいは他の社会システムその他の面からのニーズを受けまして、そういう方面に機械あるいは情報を提供する産業といった性格を持っておるわけでございます。したがいまして、機械情報産業といたしましてより高度化を目指して過去やってまいりましたその結果が、単に機械情報産業の内部においてのみ発揮されたのではなくて、あらゆる社会面におきましてそういった機器を提供することによりまして国民の方々の利便に供するという面もございましたし、あるいは新しい第三次産業のタイプの産業というものが興ってまいりまして、そこに雇用というものが吸収されていった、こういうような面もあるのではないかという二面性がございますので、そういった面に着目いたしまして私ども機械情報産業高度化というものを図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  56. 中村重光

    ○中村(重)委員 情報化社会に入ってきた、そこで、機械情報産業の振興というものはソフト、ハードを問わず非常な重要性を持っている。そのことを考えてみると、私はこの法案を恒久化しなかった理由というものがどうも理解できないのですよ。恒久法にする上で支障があるといったような点があるとすればどういった点なのか、その支障がある点を除いてむしろ恒久法にする必要があったのではないか。あるいは昨日来もいろいろ議論された情報化の大きな基本政策を樹立をしていく、そのためには総理府の中に審議会をつくりなさいといったような意見もある。大臣もあなたもそれを肯定して、これから精力的に進めていくと言う。それらのことを考えてみると、政府としてもこの情報産業というものに対して強い熱意を持っているということがうかがえるわけです。  そのことからいたしますと、やはり基本法を制定する必要がある、そういう考え方の上に立ってそれまでのつなぎ、これだけではないけれども、基本法というのはもっと広範な形なんですけれども、その一部であることは間違いないわけなんだから、そういうつなぎにするために恒久法にしなかった、こう考えるべきなのかどうか。どうも重要であるだけに、これを特に何か恒久法にしなかったというのがわからないのです。この点をひとつわかるようにお答えいただきますか。
  57. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昨日も中村先生から御質問ございまして、情報に関する基本的な法制を考えるようなたとえば審議会等の場を設置したらどうか、こういうお話があったわけでございまして、私どもといたしましてもそういう方向性の必要なことは大変痛感しているわけでございまして、言ってみますと、情報化基本法みたいなことを先生はお考えになっておられるのじゃないかと思います。また、私どもも、IPA法を制定させていただきました際に当院からも附帯決議をいただいておるわけでございまして、そういった基本的な法律というものはやはり恒久法として措置すべきではないかと私も考えておるわけでございますが、現在御審議をお願いいたしておりますいわゆる機情法は、名が示しますとおり特定機械情報産業振興臨時措置法でございまして、一種の振興法であるわけでございます。しかも、その中に独禁法の適用を除外するという規定を織り込んだ法律でございまして、こういった振興の法律というものをいわゆる恒久法としてやることが果たして正しいかどうかという問題がございます。  それから、一つの振興の手段といたしまして高度化計画その他を考えておるわけでございますけれども、こういったものにつきましてはある一定目標というものを掲げる必要があるのではないかということでございまして、その目標を掲げる際に、恒久法でありますとどうしてもそれがやや冗長になりがちであるという問題もございます。  したがいまして、いま申し上げましたように、振興法であり独禁法の適用を除外しているという観点と、政策目標というものをある一定の年限を区切ってやった方がより効果が上がる、こういう二つの面から申しまして七年間の限時法にさせていただいた、こういう次第でございます。
  58. 中村重光

    ○中村(重)委員 いまのお答えを聞いてみると、独禁法の適用除外の問題等々、恒久法だとなかなか公取との関係というものが出てくる。まあ理解できないじゃない。しかし反面、先ほど私が触れましたように、この情報化社会に対応するという点からいたしますと、何か政府が思いつき、と言うのはそれは適当な言葉ではないのだけれども、何かつなぎつなぎでやっていこうとする考え方、さらにまた期限が来たらばこれを延長するというようなこともあるのではないか。これはたしか失効ということになっておったようなんで、廃止法を出さないで失効するのだろうというように思うのですが、有効期限というのを七年ということにしているのですね。この七年にした根拠というものも、またそういう点からいたしますと伺ってみなければならぬと思います。  旧機電法も七年だったですね。その時限法の七年間の中で機電法がその使命を果たしたというような評価を先ほどお尋ねいたしましたが、できるのかどうかという点ですね。その七年の根拠ということ、まあ今度は失効ということで、普通は期限が来てもまた廃止法を出すとかいうことにならないと廃止されないということが大体限時法の中で多いわけなんだけれども、特にこれを失効という形で終わらせようとした点、七年であったら大丈夫だというような確信の上に立って七年というような限時法になされたのかどうか、そこらあたりからひとつ……。
  59. 森山信吾

    森山(信)政府委員 七年間にさせていただきました理由といたしまして、私はこういうふうに考えておるわけでございます。  高度化計画を策定する三つのステージがあるわけでございまして、一つは試験研究の促進、一つは工業化の促進、一つは合理化の促進、これは政令でそれぞれ機種を指定させていただきたいと思っておるわけでございますが、物によりましては、試験研究の段階、工業化促進の段階、さらに合理化の段階、こういった三つのステージをそれぞれ歩まなければならぬ機種もあるのではないかと思います。たとえばコンピューター等について申し上げますと、昨日も赤澤参考人からお話がございましたように、その試験研究の懐妊期間がかなり長いという問題もございます。したがいまして、そういう観点を考えますとどうしても七年ぐらいのタームで政策を遂行させていただかないことには、ちょっと時間的にそれ以下では少な過ぎるのではないか、こういう感じがするわけでございます。  それから、コンピューターだけを対象にしておるわけではございませんで、電子工業、その他機械工業あるいはソフトウエア業につきましての高度化計画をつくってまいりたいと思うわけでございますけれども、こういった業種は、先生承知のとおり、技術革新性の非常に早いものでございますので、そういったものに対応するためには、先ほども申し上げましたように、ある種のものにつきましては、三つのステージをそれぞれやっていかなくちゃならないという問題もございますから、ある程度の長期の期間が要るのではないか、こういう観点で七年間ということを選択をさせていただいた次第でございます。
  60. 中村重光

    ○中村(重)委員 そうしてみると、本法案に基づいての施策の計画とか、それからその計画は年次計画でなければいけない、こう思うのですが、その点はもうまとまっているのですか。
  61. 森山信吾

    森山(信)政府委員 高度化計画を定めます場合には、いま御指摘の年次計画という考え方をとっておりませんで、政令で機種を指定いたしましてそれぞれ高度化計画をつくるわけでございますが、その決め方につきましては、審議会等を通じまして十分なコンセンサスを得た上でつくるわけでございます。したがいまして、具体的にどういう機種についてどういう計画を立てるかにつきましては今後の課題になろうか、かように存じております。
  62. 中村重光

    ○中村(重)委員 機種の選定ということになるのですが、この対象業種というのか、機種というのか、それの機電法と異なる点、特に政策目標の相違点というのは、どういった点ですか。
  63. 森山信吾

    森山(信)政府委員 機電法とただいま御審議いただいております新しい法律案との政策的な一番大きな違いは、ソフトウエア業というものをこの法律の体系の中に取り込みまして、いかにシステム化を図っていくかということではないかと思います。端的に申し上げますと、従来の機電法の哲学は機電一体、つまり機械と電子工業の組み合わせということに政策目標のポイントを置いたわけでございますが、今回は機械——機械はいわゆる機械と電子工業を含みますけれども、そういうハードウエアとソフトウエアをいかにうまく組み合わせていくかということでございまして、時代のニーズ、これには経済的なニーズもございましょうし、あるいは社会生活の面からのニーズもございましょうから、そういった時代のニーズにこたえるためにそういう政策目標転換をしたということでございます。  なお、従来機電法で指定しておりました機種といたしましては九十八機種あるわけでございますけれども、これをそのまま単に新しい法律体系の中に延長するという考え方はとっておりませんで、いま申し上げましたような趣旨の政策目標に照らし合わせまして、整理すべきものは整理する、新たにつけ加えるものがあれば、もちろんそういった部面がふえてまいると思いますけれども、新しい観点機種の選択をしてまいりたい、かように考えております。
  64. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど限時法にしたことについて公正取引委員会との関係というものを一つお挙げになったのですが、私は、限時法にしたということについては、将来の基本政策、基本法の制定、その一環としての果たす役割り、その点からはわからないでもないのですけれども、どうしても限時法ということには納得できない面もあるのです。公取と話し合いをされて、これは限時法にしておかなければならぬといったようなことがあったのですか、その点いかがですか。
  65. 森山信吾

    森山(信)政府委員 公正取引委員会と本法案の取り扱いにつきまして、恒久法にすべきかあるいは限時法にすべきかという議論は実はしていないわけでございまして、私ども原案の段階で限時法でいこう、こういうことを考えたわけでございます。その理由といたしましては、先ほど申し上げたような理由に基づくものでございますけれども、もう一つ、これはちょっとイージーゴーイングな考え方かもしれませんが、過去のこの関連の法体系を見てみますと、御承知のとおり、昭和三十一年にいわゆる機振法が制定されまして、三十二年に電振法が制定されたわけでございます。これらはいずれも限時法でやってきたわけでございますが、何回か延長さしていただいたわけでございます。  そういう延長ができるものであれば、当然に限時法じゃなくて恒久法にしておくべきではなかったかという中村先生のおしかりではないかと思うわけでございますけれども先ほどお答え申し上げましたとおり、一つ産業の振興法であるという観点に立ちますと、これがやや冗長に流れるようなことになりましても困るという観点もございまして、一つの区切りといたしまして七年間、この七年間の中で誠心誠意、合理化、高度化を目指しまして努力をしていく、この際こういうビヘービアを踏襲したいという考え方で、私ども、原案の段階におきまして七年間の限時法ということにさせていただいたわけでございます。
  66. 中村重光

    ○中村(重)委員 一部やっても、この法律案が情報産業の振興、情報処理サービス業のこれからの育成強化といった点からいたしまして、これで決して十分だと思っていないのですから、こういう中身でもって恒久立法にするということが必要だとは言わないのです。やはり冗長に流れるといったようなこと。あなたは、情報産業というものの重要性を将来計画として重視をして強力な施策を講じていかなければならないという考え方を決して否定しているのではなくて、いま審議会を総理府につくるといったことについても積極的な意向を表明されたという点からいたしまして、基本政策を確立する必要がある、要するに基本法の制定というものはそれなりにその必要性を感じていらっしゃるということを私は理解をして、速やかにそういう方向に進めてほしい。そうしてその基本法のもとに幾つかの具体的な法律を制定していかなければならぬわけですから、それはそれとして一つ十分なものをまた制定する、そういうことで対処してほしいということを要請しておきたいと思います。  そこで、中身の「共同行為の実施に関する指示」ですが、これは当該事業者間の「規格の制限又は技術の制限に係る共同行為」とか、それから当該事業者間の「品種の制限又は生産施設の利用に係る共同行為」とか、あるいは需要者たる電子機器、機械業界における「規格の制限に係る共同行為」とある。さらに「規格の制限に関する命令」というのかある、この「規格の制限に関する命令」はアウト規制になって罰則がついてきている。ほかはそうなってない。「勧告」の問題も、分野法なんかと考え方は同じだと思うのですが、これは勧告に従わなくても、別に強制規定ではなくて罰則の対象にはならない、こういうことなんです。この点に関しての考え方はどうなんですか。これだけでよろしいということですか。
  67. 森山信吾

    森山(信)政府委員 「共同行為の実施に関する指示」につきましては、先生から御指摘のとおり、規格の制限、それから品種の制限その他があるわけでございまして、特にアウトサイダー規制命令に関しましては規格の制限のみでございまして、品種の制限については適用をしてないということでございます。  その理由といたしまして、規格の制限と申しますのは、たとえば人造研削といしに例をとらしていただきますと、人造研削といしの規格と申しますのは従来は十万ぐらいの規格があったわけでございまして、それを旧機電法によって一万ぐらいに統一を図ってきたわけでございます。そういった一つの規格を統一をいたしますことは、それぞれの製品をおつくりになる企業の側からしますと、別に権利あるいは商売が著しく阻害されるというわけではなくて、実は私ども政策意図といたしましては、より商売がしやすくなる一つの手段として規格の制限をし、かつそれを第三者であるアウトサイダーに対しても守りなさいという指令ができるようにしたいという考え方であるわけでございます。  ところが、品種の制限になりますと、ある一定の品種のものを第三者がつくってはいけないということになりますと、直接商売をされる方に対する権利の侵害と申しましょうか、そういったおそれが非常に強いということでございますので、そういった面を配慮して、規格の制限についてはアウトサイダー規制命令をかけることができるようにいたしましたし、品種の制限についてはそういう規定をとらなかった、こういう理由でございます。
  68. 中村重光

    ○中村(重)委員 この点に対する公取の御意見を伺ってみたいと思うのですが、情報産業の重要性といったような点からいたしまして、公取はこの問題に対してはすべて目をつぶりなさいなんというようなことを言おうとは私は考えていないのですが、公取はこの共同行為の実施に対してどのような評価をし、今後これらの点についてどう対処していこうとお考えになっていらっしゃるのか。
  69. 妹尾明

    ○妹尾(明)政府委員 今度の法案は、独禁法との関係におきましては、従来の機電法と事実上ほとんど変わってないわけでございます。それで、先ほど機械情報産業局長から御説明がありましたように、従来多数の業種について指定がされまして、合理化カルテルもかなり行われてきたわけでございます。それはそれなりの効果があったのではないかと思っております。ただ、私どもとしましては、競争を制限されるということになりますといろいろ弊害もございますので、できるだけ競争制限の弊害が出ないような見地から、合理化の目的が達成されましたらできるだけ早く競争制限自体が解消されることが望ましいというふうに基本的には考えておるわけでございます。  今度の法案ができました後におきましても、従来と事情は大体変わっていないわけでございますので、対処の方針その他について特に新しいものを考えなければならぬとは思っておりませんけれども、協議を受けました際には、業界実態法律要件等を踏まえまして、競争制限の弊害ができるだけ少ないように配慮してまいりたいと考えております。
  70. 中村重光

    ○中村(重)委員 このアウトサイダー規制というのは、いままでの幾つかの法律の中にあるのです。ところが、これは一回も発動したことはないのですね。伝家の宝刀だというので、さあ抜くぞということでにらみをきかせてなかなか抜いたことはない。この法律案の場合におきましても、初めからにらみをきかせるということでアウトサイダー規制をここに取り入れているのかどうか、にらみをきかせるということに中心はあるのですか。
  71. 森山信吾

    森山(信)政府委員 中村先生指摘のとおり、アウトサイダー規制命令は一度も発動した実績はございません。そこで伝家の宝刀論が出てくるのだろうと思うわけでございますけれども、従来、いわゆる機振法の初期の段階においてはアウトサイダー規制命令は入っていなかったわけでございまして、その当時もいわゆる共同行為の指示は規定がございましたので、私どもといたしましてこういった指示を検討した例は幾つかあるわけでございますけれども業界の内部でなかなかまとまりがつきにくかったという点があったわけでございます。そこで、機振法の何回目かの改正のときに、昭和三十六年でございますが、いわゆるアウトサイダー規制命令というものを入れさせていただいたわけでございまして、その後は比較的業界の結束ができやすくなってきたということもございます。つまり、こういう規定があることによりまして、アウトサイダーのまとまりが大変よろしくなってきたということでございます。  私どもは、アウトサイダー規制命令があるからいつでもこれを発動するという安易な気持ちを持っているわけでございませんで、法律の規定がありましても、必ずしも発動する必要がなければ発動しないということでございまして、過去においてはそういった発動の実績はないわけでございますけれども、仮にこの規定がないということになりますと、また昔のような状態に陥るのではないかという懸念もございましたので、実績はございませんでしたが、今回引き続きましてアウトサイダー規制命令を法律案の中に残させていただいた、こういうことでございます。
  72. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間が近づいてまいりましたから、結論の方へ入っていきたいと思いますが、現在の法体系でソフトウエアは何によって保護されているのだろうかということですね。たとえば特許権とか著作権、そうしたソフトウエア保護のための何か特別の立法措置が必要ではないのかどうか、重要な点であるたけに、この点に対する考え方をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  73. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま中村先生から御指摘のございましたソフトウエアの法的保護の観点につきましては、通産省におきましてもかねがねこの問題の持つ重要性を痛感いたしておりまして、昭和四十六年にソフトウエア法的保護調査委員会を設置して検討を重ねてまいったわけでございますが、昭和四十七年五月に「ソフトウエアの法的保護について」と題する中間報告を一応まとめた次第でございます。それから特許庁におきましても、産業別審査基準作成評議会において特許法におけるソフトウエアの取り扱いを検討いたしました結果、ハードウエアと一体になったソフトウエアの中には特許法による保護を受けられるものがあるという見解を出しておりますし、昭和五十年には「コンピューター・プログラムに関する発明についての審査基準」というものを特許庁の中に設けまして、現在この基準に基づきまして連営を行っておるということでございます。
  74. 中村重光

    ○中村(重)委員 そういうことだろうが、私が申し上げるように、特別の立法措置というものが必要ではないかというように思うのですけれども、あなたとしては、これは通産省だけの問題ではないのですが、問題が非常に重要であればあるだけに、先ほど申し上げたいわゆる安全関係ということですね、それらの関係等も重視をするというような点からいたしますと、もっとはっきりした立法措置というものが必要ではないかというような感じを強く持つのですけれども、この点どうでしょうね。大臣からお答えいただければなおさら結構ですが、具体的な問題でございますから、局長からでも結構です。
  75. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど私がお答え申し上げましたのは、いわゆる法的な、特に特許法との関連におきましてそういった保護措置を講じつつあるということをお答えしたわけでございます。しかしながら、中村先生指摘のとおり、データあるいはプログラム、こういった問題につきましては、単に特許法だけのプロテクションだけでいいかどうかという問題もございます。大変に幅広い重要性を持つ問題でございますので、これは単に特許的な法的な保護という観点だけではなくて、より幅広い観点からの検討が必要になってくるのではないかと思います。  そこで、昨日来たびたび御提起いただきました情報化基本法みたいな問題、こういうものも、私ども情報問題を担当いたしております所管庁の一員といたしまして、そういうことの必要性は痛感いたしておりますので、そういった問題の検討の際に、いま御指摘のような問題も踏まえまして検討するように働きかけをしてみたいと思います。
  76. 中村重光

    ○中村(重)委員 お答えのとおりだと思います。議論をしていけばいくほど、やはり基本政策、基本法の制定、情報処理という点についてはなおさらのことなんです。速やかにひとつ——大臣も総理府に審議会設置ということについては前向きのお答えをされたわけです。その根本はなんといっても基本法の制定になるわけですから、これは精力的な取り組みをしていただきたいということを強く求めたいと思います。この点はひとつ大臣からお答えください。
  77. 河本敏夫

    河本国務大臣 今回お願いをしております法律は、これからの日本産業構造転換の一番の基本をなす法律でございまして、これによりまして、現在の産業構造を全部とは言えませんが、ある程度転換をいたしまして、発展途上国追い上げ、その他エネルギー資源等の事情の変化、こういうものに即応する日本としての体制をつくり上げたい、このように考えましてお願いしておるのでございます。一刻も早く成立するようによろしくお願い申し上げたいと思います。
  78. 中村重光

    ○中村(重)委員 先ほど来議論をいたしましたように、この法案の制定によって高度化計画というものが立てられて、強力にこれを推進していくということになるわけですから、そのために、雇用問題といったようなことが今日の政治の場における重要な課題でもあるわけですが、高度化、近代化をしたゆえをもって犠牲者をだすということが厳にあってはならないというように考えます。弱い者がむしろこういう近代的な施策によって、法律によって保護されていく、社会のいろいろな格差、アンバランス、そういうものが解消されていくというような方向に進んでいかなければならない、そのことが二十一世紀に求められる重要な問題点であるというように私は考えます。  どうかひとつ、私どもも真剣にこれらの問題に対しましては取り組んでまいりましたし、今後とも十分政府と連携を密にいたしましてその目的達成のために対処していく決意でもあるわけでありますから、政府の積極的な努力を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  79. 野呂恭一

    野呂委員長 工藤晃君。
  80. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 日本共産党・革新共同を代表して質問いたします。  私は、最初に、先ほど渋沢委員が取り上げられた問題、つまりいまのコンピューター労働者労働条件がきわめて悪いという問題について端的に伺いたいと思います。  この問題につきまして、先ほど通産省の側では、まだ把握が困難であるということも言われたと思いますが、実はここで働いている労働者の方たち、労働組合、とりわけ電算労と言われております電算機産業労働組合連絡協議会が七八年春闘に当たってのアンケート調査も行っているわけです。こういうアンケート調査の最終結果、これには合計千九百四十八名の答えが出ているわけでありますが、これを見ても、たとえば賃金手取りは、過去一年の諸手当込みの月平均で十一万円まで五六・一%という状態であります。なお、この回答者の平均年齢は二十七歳であります。あるいはまた、いまの仕事をあなたは何歳まで続けたいですかということで、三十歳までという答えが四〇・七%、三十五歳までで六四・八%というように、もう大半を占めてしまう、こういう状態もあります。それから、現在のあなたは派遣されてますか、これは長期の出張、出向、それから人貸しと言われるものを含むわけでありますが、これに「はい」という答えが二七・二%、たとえばこういうようにこの実態というのがいかに深刻であるかということは、すでにこのような調査もなされているということを私はまず注意を喚起したい、こう思うわけであります。  さてそこで、私が一つだけ問題を伺いたいのは、この人貸しということです。これは出向とも違う人貸しというやり方がこの業界ではあるということが指摘されている。これは一種のリースですね。人間のリースなんです。それはどういうことかというと、向こうの企業から一定のペイを受け取って、それが事実上ピンはねされる形にされてしまう。こういうやり方、こういう事実があるとすれば、これは明らかに職安法違反になるということですね。そうしてまた、請負契約の形式を取ったとしても、これは同施行規則第四条違反、こういうことになるのですが、この問題について労働省は、こういう事実があるとすれば職安法違反という問題にもなる、その点が一点。  そうしてまた、こういう事実について、こういう人貸しを含めてのこの分野労働条件の劣悪な状態、職安法違反、労基法違反、それが横行するような状態について、もっと深刻な調査を行い、違反があれば厳しく取り締まるというこの二点について、労働省の方からお答え願いたいと思います。
  81. 鹿野茂

    鹿野説明員 先生指摘ソフトウエア業界におきます事業の実施形態というのは必ずしも、一様ではございませんで、そのため、労働者の使い方につきましてもさまざまであるわけであります。しかし、労働者をよその企業派遣して就労させるという場合につきましては、職業安定法上の形態で言いますと、先生指摘のとおり、安定法四十四条に抵触するかということが問題になるわけでございます。この職業安定法四十四条におきましては、労働組合が労働大臣の許可を得て行う場合以外につきましては労働者供給事業というものを禁止いたしておるわけでございまして、さらに、請負という形をとって実際に労働者供給事業が行われることのないように、先生先ほど指摘いただきましたように、施行規則四条でいろいろ詳細な判断基準を示しているところであるわけでございます。  したがいまして、ソフトウエア業界においても、この基準をもとにして労働者供給事業に違反するのかどうかということを個別に判断しなければならないわけでございますけれども、ただ、この基準の中に、請負業者みずからが企画しあるいは専門的な技術もしくは専門的な経験を必要とする作業については、幾つかの要件があるわけでございますが、その要件さえ満たせば必ずしも労働者供給事業にはならないという規定もあるわけでございます。そういうわけで、ソフトウエア業界につきましては、これらの規定を中心にもう少し実態を見て判断しなければならないというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、先生指摘のように、私どもも今後におきましてもソフトウエア業界の実態をもう少し十分把握しながら、法違反の疑いあるものについては所要の是正指導というものをやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  82. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) では、いまの答え、まだ事実の調査が大変弱いというふうに判断せざるを得ません。しかし、さっき言ったような、向こうの企業と勝手に契約するようなかっこうで機械をリースするような形で渡して、そしてペイされたものの全部は渡さない、こういう形態というのは明らかに労基法で言う中間搾取にも当たると思います。そういうことで、こういう法違反の事実があると見られますので、これを厳しく調査して、やはり厳しくこれを摘発するということを私は要求するものであります。  次に、大臣に伺いたいわけでありますが、いまはこういうコンピューター産業コンピューター労働者というと花形のように言われている新しい分野、そしてまたいまここにかかっております法案かもし成立されるならば、そこの産業を育てるという言い方をされるのだろうと思いますが、そういう新しい産業が劣悪な労働条件、しかもいろいろ法違反が横行するような、そういうことを前提として育てられるようなことがこれまでは多かったわけでございますが、こういうことは絶対あってはならない、新しい産業を育てるということは、労働条件をよくするということが前提でなければならないと思いますが、それについて明確な答弁をいただきたいと思うのです。というのは、特にいまのソフトウエアに対しての財界の要求一つの中には、ソフトウエアの方の代金を何とか安くしたい、費用を安くしたいという発想からのいろいろな合理化の要請も出されているということもありますので、この点について明確な答弁をお願いしたいと思います。
  83. 河本敏夫

    河本国務大臣 ソフトウエアの分野で比較的小さな企業が多いということで、労働条件必ずしも満足すべき状態ではない、それに対してどう思うかということでございます。これは、今度の法律によりまして機械情報関係産業育成強化される、そういう過程でだんだん解決していかなければならぬ課題だと私は思います。産業の発展を図るということは、完全雇用を達成し、労働条件をよくするということのために行うわけでございますから、本末転倒しないようにやっていかなければならぬと考えております。
  84. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) この法案が実施されるとなると、ソフトウエア関係におきましても、たとえば計画目標年度におけるプログラム作成費その他合理化の目標、こういうことを定めてかつての機電法並みにやっていくんだと思いますが、こういうことになってきますと、この労働条件は、ただ労働省の責任ということでなしに、通産省の責任も非常に重くなることは明らかでありますし、すでに先ほどその一端を示したような実態があるだけに、このことを確認しておくことは大事だと思っていまのような質問をしたわけであります。答弁が非常にあいまいではありますが、私は、この問題は今後も追及する課題としまして、次に移っていきたいと思います。  さて、日本のこれまでの産業構造高度化政策というのは世界的に注目されているということにつきまして、昨日大島参考人もOECDでいろいろお仕事をされた立場から指摘があったと思います。そういうことで、実は私もこの問題をかねてからいろいろ研究してきたことがあるのですが、たとえばニクソン政権の第一次のときに、一九七〇年に大統領が任命した国際貿易投資委員会、ウイリアムズ委員会と言われたもののこういう報告があります。これはその後のアメリカの対日経済政策の骨格を与えたというふうに私は考えますし、またそれだけの内容を持っているものだと思います。  この中で日本がなぜ輸出を急伸させたのか、ほかの国と比べて、ないような勢いで急伸させたのかということで次のことを指摘しております。  「注意深く理論的に考え出された産業政策。これによって、政府は、一方では切りすてながらある産業を発展させ合理化することを決定してきた。こうした意思決定の際の主たる優先順位は、日本の輸出力を高めたいということである。」そして、「選択された産業に直接向けられた税・信用政策の形成。」「政府が、産業政策目標を設定し達成する際、財界の協力をとりつけるために行使した行政指導という体制の発展。」「どの国よりも一貫して高かった日本の製造部門の生産性の上昇。」「優遇的な手形割引率、税刺激、異常な減価償却認可を輸出品、輸出産業に対してした政府施策。」そのほかいろいろありますが、これだけ述べておきたいと思うのです。  こういうような指摘国内でもいろいろやってきましたし、私もいろいろな機会に述べてきたことがあります。しかし、これまでの特に六〇年代以降の産業構造政策の特徴づけとしてはなかなか簡潔に述べられているというふうに思うわけなんです。  そこで私は、いろいろ伺いたいのは、ここで述べているある産業を切り捨てある産業を育てるということは、時あたかも当委員会においても審議しました特定不況産業の切り捨て法みたいなものがいま施策として出され、そして対象としては造船とか合繊とかアルミ製錬とか平電炉とか、これからいろいろ選ばれるようになるんだと思います。こういうことで一方を切り捨て、一方ではある産業を選び出していく、そして選択された産業には直接、税、信用政策を及ぼしていく、これもこの法案がそのとおりじゃないかと思うのです。そしてまた、恐らく行政指導の体制の発展ということもここにあるでありましょうし、そして生産性の上昇が図られるでありましょう。いろいろあるわけなんです。そこで、きのうも大島参考人に、六〇年代にも産業構造調査会が生まれて、最初に一九六三年の産業構造調査会のかなり大きな答申が出された、あのころ言った産業構造高度化と今日言っている産業構造高度化と一体どこが違うのか、あるいは政策の手法などで一体どこが違うのか、同じじゃないかと私は思うと言ったのですが、その点について御答弁願いたいと思います。
  85. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昨日の大島参考人の話を私も聞かしていただいたわけでございまして、一つおもしろいなと思って聞いておりましたのは、日本におきます産業構造論というものはわりに早くからあったわけですが、ヨーロッパにおきましては産業構造という政策的なとらまえ方が比較的新しい時点において生まれてきたというふうに見ておる、こういう御意見の開陳があったわけでございまして、私も大変おもしろい御意見だと思って聞いておったわけでございます。そこで、いま工藤先生から御指摘のございました産業構造論ということでございますが、御指摘のとおり、昭和三十年代の終わりごろから、日本におきましては産業構造高度化という政策意識が出てまいりまして、それに沿った政策を展開してまいったつもりでございます。一口に産業構造高度化といいましても、その中身は具体的にはかなり違った面が出ておるのではないかと思うわけでございまして、昭和四十年代におきます産業構造高度化のビヘービアといたしましては、いわゆる重化学工業という意識があったのではないかと思います。それが昭和四十八年のオイルショックを契機といたしまして、資源の有限化、エネルギーの有限化という問題をとらまえますと、果たしてこれまでにやってまいりました重化学工業志向型の産業構造高度化論というものが妥当であるかどうかという反省は、確かに起こってまいったのではないかと思います。  そこで、私どもが今回御提案申し上げまして、ただいま御審議いただいております機械情報産業という観点に立って申し上げますと、これも概念的には産業構造高度化という議論の範疇に入ろうかと思いますけれども、過去とってまいりました政策パターンとはいささか趣を異にしているのではないかということでございまして、お答えといたしましては、産業構造高度化という意識は、昭和四十年代と昭和五十年代においてその中身においてかなり違っておる、こういうことを申し上げたいと存ずる次第でございます。     〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席
  86. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 中身が違うということなんですが、さっきの特徴づけからいって、今度はどの産業を切り捨てて、どの産業を伸ばすかというのは、当然六〇年代の初めといまとで大きく違うのだろうと思いますね。たとえば産業構造審議会の「今後の機械情報産業の進むべき方向及びこれに対する施策のあり方」を見ますと、こういうことを言っておりますね。「従来の生産重視の政策態度から国民ニーズ重視の政策態度へと、その重点をシフトさせていく」と。恐らくこういうことも含めて新しい中身であるというようなことを言われたいのではないかと思いますけれども、それは後で御確認いただくこととして、今度の法案は、こういうものがやはり一つの下敷きになっていると思います。  しかし、一九六三年の産業構造調査会の答申、それからその後の中期経済計画、これは六五年の一月にもあったのですが、結局これからの産業構造を選ぶときに何を選ぶかといったとき、所得弾力性基準と生産性基準というのを二つ挙げたわけですね。何か後者の方は生産第一みたいですが、要するに、これは生産性を高めなければいけないし、高め得るし、高めることが有利であるという考えであろうと思いますが、所得弾力性基準といったら、要するに国民所得がふえたときどの商品が伸びるかということからいえば、まさに国民のニーズに合っているということは何ら変わらないわけなので、問題はそのときどきに選ぶ商品ですね。どういう産業を育てるか、商品の中身は変わるでしょう。一層システマチックなものを商品として出そうとするか、あるいは物みたいなものを出そうとするかはあるけれども、しかし、さっき私が指摘した点は、要するに、日本産業構造政策の特徴というのは、そのときどきを見て、今後の市場の展望から見て、あるいは資源や何かの制約も含めて考えていいですよ、これが伸びるという商品、しかもその商品をそこで中心になって投資してつくり出していこうというのは、これは日本の大企業、巨大資本、そのグループですね。それにとってのいわば戦略的な産業というのがそのときどき選び出されて、重荷になった方はスクラップ化していく。そしてさっき言ったように、税制の上でも金融の面でも、あらゆる面からこれを助成しようという、こういう方向づけがやられる。こういう特徴という点では変わりないんではないのですかということを言ったのですが、その点どうでしょうか。
  87. 森山信吾

    森山(信)政府委員 政策のパターンという面から考えてみますと、いま工藤先生のおっしゃったようなことではないかと思うわけでございます。  そこで、問題は、政策パターンが同一であるということと、政策目標というものがまたそれぞれ違ったニュアンスを持って生まれてくるということの違いではないかと思うわけでございまして、先ほど先生お述べになりました所得弾力性の問題あるいは工業生産の問題に加えまして、いま新たなるニーズとして発生いたしておりますのは、やはり雇用の問題ではないかと私は思うわけでございます。昭和三十年代におきまして労働力の不足という問題意識がありまして、機電法におきましては省力化という問題を一つ政策目標として掲げたわけでございますけれども、現下の労働問題あるいは雇用問題というものを考えてみますと、やはりそこにある種の変化が起こっているんではないか、こういう問題意識がございます。  したがいまして、パターンといたしまして、先生はいわゆる手法という言葉をお使いになりましたけれども、そういった手法といたしましては同一な手法をとっておるように見えますが、私どもといたしましては、政策的には全く違った観点での、あるいは違ったと申しますか、従来の路線を踏襲するものもございましょうが、そのほかに新しく生まれてきたニーズといいましょうか、経済社会の変化というものをとらまえた政策運用というものをしていく必要があるんではないか、かように考えておる次第でございます。
  88. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 先ほど、今度は雇用を重視されるということですから、それはまた後でいろいろ問題にしたいと思いますが、実際、今度の法案と機情法と異なる主要点といって通産省からこういうメモをいただいたり、あるいは商工委員会の調査室がいつも出される法案の要点と問題点でいろいろ対照表があるのですが、まあソフトウエアがちょっと加わったなとか、そういうことしか出てこないわけなんです。  そういうことで、もう一つ指摘しておきたいと思うのですが、機電法でこれまで一番大いにこれを利用して利益を受けてきたと思われる自動車部品工業、その工業会の大河原義広氏が月刊「自動車部品」というところに書いております。この方なんか、この法案の味といいますか、一番中身を身をもって知っておられる方なんですが、「機情法の大要は機電法と変らないといってもよい」と一番利用される方がみずから言っているということは、もう一度注目していただきたいと思うわけであります。当の業界自身がそう言っているという問題であります。  そこで、私は、一つ大臣に伺いたい問題があるのです。というのは、いま日本の経済は異常な円高問題ということで大きな混乱があると思います。私は、この円高問題の今後について聞いているわけじゃありませんが、しかし、いまの日本の円高問題がなぜ起きたかということを考えますときに、国際的にはもちろんアメリカのドル安ということが大問題であります。国際金融面でドルが依然として中心に居座っているけれども、そこでドル安が続く、アメリカの大きな赤字が続くという問題があります。  この問題は別として、日本の方の国内的な要因ということに見ていきますと、結局、日本の側の黒字ということがあります。それはもちろん一時的に不況であるというような要因もあるかもしれませんが、なぜこんなに黒字が出てくるのか。しかも考えてみますと、三百六十円から相当円が切り上がってしまった今日、なお出るのかということでこの問題を確かめていきますと、たとえば日本経済新聞の四月二十一日付に一つ調査が出されてきております。結論から言うと、三百六十円時代から今日まで、結局輸出を伸ばした百数十社というのは非常に体力を鍛えてしまった。百五十九社が輸出比率を高めたが、そのうち九割を超える百四十六社が労働生産性を高めている、七年前と比べて。三社に二社は経常利益をふやしている。三百六十円から二百二十円までこれだけ変わるのですから、本来ならばとても利益は伸ばせたいはずなのが伸ばせていく。それで、その秘密というのが、さっき言った労働生産性を高めたあるいは従業員数を減らした企業は実に百一社に及ぶ。そしてまたトヨタなどに代表される非常に厳しい合理化によるコストダウンの継続、こういうことでやってきた。  つまり、幾ら円高になっても、いまの国際競争力の強い中心に立っているのは、日本は装置産業よりもどちらかというと組み立て加工産業になっていて、またここは人が多く働いている、そしてまた中小企業が多い分野でもあるのですが、この輸出の中心に座っている産業というのは、ここでどんどん人減らしもやる、あるいは外注の単価も切り下げていく、こういう日本独得の緩衝装置を持っているからこそ、円高になっても輸出はさらに伸びていく、そしてまた円高のいろいろな混乱が起きるということになっているのではないか、このようなことがこういうことからもうかがわれるわけなんですが、実はこれまでの機電法は、こういう特に組み立て加工産業中心とした大企業の国際競争力強化にかなり大きな役割りがあったということから、いまこの円高問題を抜本的に解決しようという立場をとるときに、産業構造政策そのもの、こういうのを続けていいだろうか。さっき言ったように手法は変わらない。要するにどういう商品を選ぶかということが変わってきているだけだったのですが、そういう問題にぶつかるので、実はこれはなかなか大変な問題じゃないか、しかも七年間続くのですからね。そういうことで、この点について大臣の意見を伺いたいわけです。
  89. 河本敏夫

    河本国務大臣 最初部分のお話について若干お答えをいたしますと、なるほど円高の背景にはアメリカの大幅赤字とわが国の大幅黒字、この二つがあるわけでございますが、なぜ大幅黒字になったかということをもう少し分析をいたしてみますと、貿易の数量の伸びは大体六%ぐらいなんです。円高になりましたために手取りが減りまして、その間価格の引き上げが行われております。もっとも全部の業種ではございません。競争力のある業界では、数回にわたって非常に大幅な価格の引き上げが行われております。もちろんゼロのところもございますが、平均いたしますと一四%ぐらいの価格の引き上げになっております。数量六%、価格の引き上げ一四%、合わせまして、ドルベースに換算をいたしましてほぼ二割強の輸出が伸びておるということでございます。したがいまして、私は、現在の大幅黒字はこういう変動期の一つの現象でもある、このように一つは理解をしております。  それから、これだけの価格上昇を日本の経済が可能にしておるゆえんのものは何ぞやといいますと、それはやはり日本の経済が絶えず合理化、近代化を続けていって、国際競争力を持っておるからだと思うのです。わが国は貿易立国でございまして、貿易をやりませんと国の経済はもたないわけでございますから、絶えず国際競争力を最強の条件で保持しておらなければならぬわけでございます。だから私は、合理化と近代化が絶えず強力に行われるということがすなわち日本経済の生きる道である、このように理解をしておるわけでございますが、この間に幾つかの労働条件の問題があるではないかということをお述べになろうとしておるのだと思います。確かにその間、労働条件の問題等につきましては、注目すべき幾つかの問題点がなお未解決で残っておると私は思います。  それから、こういう過程におきまして機電法の果たした役割り、また今後機情法の果たさんとする役割りについての御意見がございましたが、私は、機電法は過去七年の間に非常に大きな役割りを果たしておると思います。日本経済の国際競争力を高めるという意味におきまして、また産業構造高度化を進めるという意味におきまして非常に大きな役割りを私は果たしたと思います。しかしながら、現在の情勢をいろいろ調べてみますのに、やはり幾つかのむずかしい問題を現在でもわが国は抱えておりますので、この問題を解決するためには、やはり今回お願いしておりますような法律をなお七年間実施していくことが日本経済が生きていく上におきまして必要ではないか、こういう判断に立ちまして、いま御審議をお願いしておるところでございます。
  90. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 日本で貿易収支の黒字が出だすのが六〇年代の後半からで、その後七一年のニクソン・ショック、それから七三年の変動相場制になってまた円が上がる。それで、オイルショックでまた少し戻しますけれども、オイルショックであれだけ大きな赤字をかぶったかのように見えたけれども、再び例外的な黒字みたいな状態になってきたということを見ますと、決してただ一時的な、いま大臣が言われたような一時的なものと言えるだろうか、これは言えないと思うのですね。  そういうことで、とりわけ注目されるのは、あれほどオイルショックの影響を受けながらも、黒字を出すのに各企業はどうしたかということを日本経済新聞が調査しているわけで、その秘密はどこにあるかというと、もっぱら人減らしと労働強化と下請の外注単価をどんどん下げるようなやり方、トヨタ自動車のかんばん方式、ああいうやり方がとれるからこそ、よその国が非常に困難なときでも日本の方の黒字がすっと出てしまったということになると、これはとても一時的なものとして考えられないわけでありまして、まさにこういう機電法の延長的な産業構造政策をとり続けると、実はこういう黒字構造の再生産ということにもなるのじゃないか。そうしてまた、結局日本がこういう円高危機とかそういうものを何度も繰り返すことになるのではないのかということを私は指摘したいし、非常に心配しております。  そういうことで、実はヨーロッパから見ればとても考えられないようなことを機振法や機電法のもとで日本はやってきたのだと思いますが、特にこの機振法、機電法を通じて、先ほどの国際競争力の問題からいうならば、自動車産業の部品が少なくともこれまでその合理化、いわゆる高度化ということに非常に広く使われたということがいまの自動車産業の国際競争力の著しい強化をつくり出した。トヨタ、日産が非常に大きな国際企業になった秘密は、実はそういうこの法律の体系にあるというふうに私は見るわけであります。  そうして、これはたとえば開銀が六三年三月に発表した「特定機械融資とその合理化効果」を見ても、特に自動車部品の問題では合理化基本計画はかなり達成したということで、それぞれの部品についてコストの低減が五%から四〇%あったということも指摘しております。これはまだ機振法の時代でありますが、その後の機振法、機電法に基づく融資実績を見ても、まずトップに出てくるのが自動車部品への融資である。これは飛び抜けて多い。ここに集中されてきた。こういう事実、これも私が述べるだけで御確認していただけることだと思います。  そういうことで、自動車部品工業が自動車工業に占める地位は、私がざっとこういう特徴づけをしますが、大体そういうものでいいか、その点だけ御確認いただきたいのですが、生産の中では、自動車メーカーがあって、その下に部品メーカーが、独立もあるし下請もある、そしてその下に二次、三次のそういう下請ができているということと、それからまた、これは日産自動車の社史にも書いてあることでありますが、自動車のコストのうち部品メーカーが六割から七割を占めるということですね。そして同時に、そういう部品メーカーの大部分が系列化、下請化されて、カーメーカーの方はアセンブリーメーカーになっている、こういう構造なんですが、大体そういう構造になっているというふうに見ていいのかどうか、その点についてちょっと御確認願いたいと思います。
  91. 森山信吾

    森山(信)政府委員 自動車産業のストラクチュアといたしましては、ただいま工藤先生から御指摘のあったとおりであろうと私も思っております。
  92. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) では、これまでの機電法時代でもいいし、機振法時代でもいいですし、特にこれらの法に基づく自動車部品の合理化計画あるいは高度化計画、そういう内容はどういうものであったのか。そういうことについて概略、簡単なことでいいけれども、特徴について述べていただきたいわけです。それは実はこの法案のこれからの高度化計画の内容を推しはかる上でも一つの参考になると思いますので、お願いしたいと思います。
  93. 森山信吾

    森山(信)政府委員 従来自動車部品工業に対しましてとってまいりました方策を、ごく概略御説明さしていただきたいと思います。  まず、第一次の機振法、これは昭和三十一年から三十五年でございますが、これにおきましては、主としてトラック、バス等の大型自動車の国際競争力の培養ということに重点を置きまして生産コストの低下を図り、この結果、三十五年に御承知のとおりトラックの輸入自由化が実施されたわけでございますが、一応の対応ができたということでございます。  それから、第二次の機振法、これは昭和三十六年から四十一年でございますが、これは主として乗用車の国際競争力を強化するということに重点を置きまして、部品の生産費の低下を図り、それ相応の努力をしてまいったわけでございまして、御承知のとおり、昭和四十年度末に乗用車の輸入自由化が、あるいは一部部品の自由化が実施されたわけでございます。  第三次の機振法、四十一年から四十五年でございます。これにつきましては、主として自動車工業の資本自由化に焦点を当てまして、部品のユニット化を図るということで努力をしてまいりました。この結果、四十六年度には自動車製造業、部品製造業について資本の自由化が実施れたわけでございます。  それから、いわゆる機電法の時代に入りまして、四十六年から五十二年でございますが、ここの時点におきます高度化計画といたしましては、自動車をめぐる排ガス規制、安全対策の強化という時代の要請にこたえまして、自動車部品の性能の改善、新製品の開発を図るため、自動車部品製造業を指定いたしまして、それ相当の対策を講じてきた。  これが簡単な沿革でございます。
  94. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 私の手元にもありますが、具体的にそれぞれの時期のこういう計画はどういうものであったのか、簡単に示しますと、これは昭和三十二年二月十九日、自動車部品製造業合理化基本計画、通産省告示によりますと、一つは部品部門の品質及び性能の向上目標を立てる、それからコストの低減をどれだけやるか、これを立てる。それからまた、新たに設置すべきどういう機械を使うか、古い機械は捨ててしまいなさい、こういうことですね。大体こういう三つの要素から成っていて、三十五年度末における製品の価格は、昭和三十年度末と比べてピストンリングは二〇%以上安くしなさい、気化器は一五%以上安くしなさい、こういうスタイルですね。  このスタイルというのは実はずっと引き継がれて、今度は昭和五十一年七月二十一日の自動車部品製造業高度化計画、これも通産省告示によりますと、要するに国際競争力を確保することができる生産費とし、これを達成するために付加価値生産性を向上させるものとし、その年間向上率は製品の種類ごとに別表のとおりであるというふうに示されていて、今度は五年間でというのでなしに、毎年の付加価値生産性が一層克明に示されている。そして、ピストンリングの場合は八%以上年々高めなさい、気化器の場合はやはり八%以上高めなさい、こういうことに、スタイルは変わらないけれども、私は比べてみるならば一層厳しくなってきているのだと思います。  こういうことがやられたということを見ますと、実は先ほどの雇用ということとも問題があるわけなんですが、なるほど一般的に言うならば、機械情報産業は雇用を吸収し得る分野であるということは、私は何も反対いたしませんけれども、一方では、黒字にどんどんいく異常な国際競争力の強化、そのために絶えずコストを減らし、人減らしをし、また下請の単価を落としていかせるような、こういうやり方に大いに加担したといって差し支えないわけでありますが、このような自動車部品に見られるような合理化計画が、実は今度の機情法の中の高度化計画の中にも、性能または品質の改善、生産費の低下その他合理化の目標という一つの柱みたいになっているわけですが、その中に引き継がれるのではないか、生かされるのではないか。そうしたら、先ほどの雇用という点からいっても矛盾することはございませんかという問題であります。
  95. 森山信吾

    森山(信)政府委員 自動車部品工業に対しまして私どもがとってまいりました政策の概略を先ほど御報告したわけでございますが、その一部につきまして工藤先生から詳細に御指摘があったわけでございまして、御指摘のとおり、私どもはやはり一つの大きな合理化目標というものを掲げまして、過去自動車部品工業の育成を図ってきたつもりでございます。  それが今日の大幅な国際収支、経常収支の黒字につながったのではないかという御指摘がございますが、ある一面においてそういう因果関係があったことは、私といたしましても率直にそういうことの事実を認めざるを得ない、こう思うわけでございますが、一方におきまして、先ほどの議論に戻りまして恐縮でございますけれども、国際収支あるいは経常収支の大幅な黒字という問題が、現下の情勢におきましては確かに悪いことだということでとらまえられておりますけれども、そもそも日本の経済的な基盤というものから考えまして、果たして経常収支の黒字そのものが悪いことであるかどうかという点につきましては、かなりな疑問があろうかと思います。ただ、大幅な点ということに対します御批判はございますので、その点につきましての配慮は十分してまいらなければならぬということはわかるわけでございます。  しかしながら、いま申し上げましたように、日本の国としての成り立ちあるいは経済基盤ということから考えますと、どうしても経常収支はある程度黒字にしなければならぬという宿命を持った国ではないか、こういうふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、その経常収支の中に占めます大きなアイテムとしての貿易収支の黒字というものは、基本的には確保してまいらなければならぬ事項ではないかと思います。  そこで、何が貿易収支黒字のための手段としてとり得るかという問題になってまいりますと、やはり国際競争力の強化という問題ではないかと思います。一方におきまして、国際競争力の強化と並びまして重要になってまいっておりますのは、国内的な社会ニーズ、国民ニーズというものもございますので、そういう両面性をとらまえた高度化計画というものをやっていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。  そこで雇用の問題になってくるわけでございますが、私は、機械情報産業の持つ雇用吸収力は二面性あると思っております。一つ機械情報産業それ自身が雇用を吸収する場であるということと同時に、新しい産業に対しまして機械情報産業というものを提供する、その機械を他の分野に提供することによりまして新しい雇用というものを誘発する、そういう二面的な効果を持つ性格の産業であろうか、こういうふうに考えておりますので、単に機械情報産業それ自体の雇用問題ということだけではなくて、そういう両面性の判断をもとに政策を進めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  96. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員(共) 時間が余りなくなりましたので、いま言われたことを一々私の感想を述べるわけにいきませんが、私は、何も経常収支を赤にしろといったような、アメリカ政府みたいなことを言っておりませんから御心配なく。しかし、総合収支でも日本は昨年は七十億ドルを超えてしまったですね。そういうことで、ともかくこの黒字は異常なんです。また、いわゆる輸出御三家の輸出の急伸は、これも異常なんです。最近の時点で数量的に少しどうかということはありますけれども、しかし、ともかく異常で、その異常の底には、先ほど言ったような労働条件だとかあるいは下請の条件がある。それがどうやってつくられたかということを私はいま問題にしているわけなんです。  そこで、少なくともさっき言った機電法までの体系でいくと、機械産業に関して言うと、私は圧倒的に自動車だと思うのです。自動車は、必ずしも親企業が使われるというかっこうでなしに、自動車部品という形でこれが大いに使われた。しかし、これは一口で言うと、一つの大企業本位ということを形づくるのじゃないか。それは二重の意味ですね。  部品メーカーについて言っても、これは有澤さんが所長の機械振興協会・経済研究所で、「機械経済研究」の中に特に自動車部品工業の詳細な調査報告があって、これが非常に参考になるし、貴重なものだと思いますが、これを見ると、たとえばこれまでの法律に基づいて出された政府融資、その大部分は開銀融資なんだけれども、それが一体どこへ融資されたかというと、たとえば昭和四十年から四十九年をとってみますと、この期間に十回も繰り返し融資を受けたところがある。そういうところはみんな大手なんです。厚木自動車部品、これは日産系ですね。それから日本電装、これはトヨタ系。日本発条、これは独立と言われますが、主としてトヨタ、日産に出しているわけでありますが、こういうこれまでの法体系のもとで出された融資は、いわゆる部品メーカーでも一番元請になるような大企業、また一番大手の直接の系列下にあるこういう企業にもう断然集中している。同じ期間十回も受けている。その前からずっとこういうことがフォローされるわけなんです。そういうことが一方にある。これが第一の大企業本位という意味なんです。  もう一方は、結局これがあったからこそトヨタ、日産の体制ができたということは、「トヨタ自動車三十年史」とか「日産自動車社史」、こういうものを見てくると実にありありとわかってきますし、またこの研究の調査結果を見てもありありと出てくる。たとえば例のかんばん方式というのも一九六三年からトヨタが採用したということ、それから日産自動車についても、特にサニーの展開に当たって猛烈な部品の単価切り下げを押しつけてきたということが、社史の中でも一つの成功の例としてこれがやられている。そしてこれらのかんばん方式などについては、もう私は繰り返しませんが、予算委員会で共産党の不破書記局方式については、明らかにこれは下請代金法違反の問題、あるいはまた下請中小企業振興法の振興基準の方向に照らしてずいぶん問題がある、違反があるということが指摘され、同時に政府側もそれをいろいろ認めるということになったわけであります。ともかく書面なしで電話でどんどん翌日の注文をやらせる、そうして四回にも分けて持ってこさせる、こういうやり方や、単価の一方的切り下げや、ひどいクレームの補償契約、罰金制度、さまざまあるわけなんです。  そういうことで再び問題をもとへ戻しますと、そういうトヨタ、日産体制、その到達した異常な国際競争力、そのもとにある部品メーカー、部品メーカーのまた下にある二次、三次の関係、そういう大きな体系をつくり出すのに非常に役に立ったけれども、それはだれのために役に立ったかというと、結局そのトヨタとか日産のために役に立ったと判断せざるを得ないし、またこれらの社史はそのことを事実上認めている、こういうふうに考えるわけなんです。  そういうことで、結局こういう機振法、機電法などでやった合理化の結果どうなったかということで、やはりこの調査結果に戻りますと、一つの点は、結局かんばん方式なんかをとられるために、今度は部品メーカーの方で見込み生産しなければいけないのですね。いつ突然何を言ってくるかわからない、そうすると親の企業がやるべき在庫管理、こちらが在庫を減らすために、そのしわ寄せでこちらが在庫を持たなければいけない、こういうしわ寄せになっているというのが一つの結論なのであります。  それから、「「系列化」のコインの裏面には元請メーカーからの不断の単価切下げというデメリットがあった。」ということもこの調査報告で指摘されております。これはもう数量的には述べません。一方的に価格を押しつけられてきた、こういう問題。それから、二次下請がコストダウンを要請されると、結局今度は外注に出して、もっと安い単価で下請へ出そうとする、そういうことから一層零細の下請ができてしまう、こういう仕組みもつくり出されたわけなんです。  そういうことで、機振法にしろ機電法にしろ、いろいろ合理化の目標とかを掲げたけれども、もし本当に機械産業全体として中小零細企業を含めて成り立たせようという考えならば、それこそ一番下請も含めてこれらの法律が施行された期間に地位が一層高まるとか、あるいは経営条件が一層高まるということがあってしかるべきなんですが、その結果が違うということは、一つの表として、たとえば昭和三十九年から四十一年の自動車の部品製造で、一人から三人、本当の零細ですね、これがこの期間にどうなったか、廃業になったのが一四・〇%、他の業種に移動した者が二四・九%、四人から九人が廃業が五・七%、他の業種に移動したものが二二・八%というように、まさに全体として発展させたのでなしに、大企業はなるほど国際的企業になったけれども、一番下はこういう状態に入れられ、しかもかんばん方式などで前よりか一層前近代的と言われるような過酷な締めつけになっていったではないか。  こういうことを振り返ってみると、いまの黒字の問題、それからまた雇用の問題、中小企業振興という問題から照らして、かなり有害な役割りを果たしたと判断せざるを得ない。こういうことが今度の機情法において繰り返されない保証はどこにもないのではないかということを最後に私の意見として申し上げまして、時間が参りましたので終わろうと思います。
  97. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 午後三時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十一分休憩      ————◇—————     午後三時二十九分開議
  98. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。長田武士君。
  99. 長田武士

    ○長田委員 ただいま議題となっております特定機械情報産業振興臨時措置法案は、従来のハードウエア・オリエンテッドな発想を転換して、ソフトウエア業を加えた産業振興策を目指す姿勢は、私はそれなりに評価できると考えております。しかし、それならば、なぜその重要なザブインダストリーであり成長力もあると目される情報処理サービス業が本法案の対象から外されたのか、実はどう考えても理解できないわけであります。  そこで、本日は、この情報処理サービス業について種々お尋ねをしたいのでありますが、まず初めに、通産省といたしまして情報処理サービス幸の今後の成長率をどのように予測していらっしゃるか、この点についてお尋ねをいたします。
  100. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、現況からお答えを申し上げたいと存じます。  私の方の調査統計部で行っております特定サービス業実態調査によりますと、昭和五十一年現在で、企業数が一千十社ございます。事業所数にいたしまして千二百七十六でございます。従業員数が五万九千二十五人、年間の売上高が三千六十九億六千六百万円、こういうふうになっておるわけでございます。  そこで、お尋ねの今後どういう発展を遂げていくかという点につきましては、先ほどお答えをいたしましたとおり、五十一年が大体三千億の売り上げでございますが、この売り上げがおおよそ八千億程度になるのではないか、こういう予測を現段階ではいたしておるところでございます。
  101. 長田武士

    ○長田委員 私の手元に資料がございますけれども、大体昭和六十年度までに年率一二%から三五%という成長率が期待できるのではないかと思うわけであります。しかも、今後の方向といたしまして、ハードウエアよりはソフトウエア、コンピューター本体よりはミニコン、通信端末、周辺機器、バッチの利用法よりはオンライン利用が重要視されておるのが現在であります。  しかし、情報処理サービス業の実態は、企業格差が非常に激しいということですね。大手と言われる業者は、設備産業的な規模の利益を享受できる立場を固めつつありますし、通信回線がこれに加わるとさらにこの立場を固めていけるわけであります。これに対して、中小零細企業者は、人間そのものの労働力を売って対価を得ているところがほとんどではないかと思うのであります。  そこで、この実態通産省はどう承知されておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  102. 森山信吾

    森山(信)政府委員 その前に、おわびして訂正をさせていただきたいと存じますが、先ほど私、三千億の売り上げに対しまして昭和六十年の予測が八千億と申し上げましたが、一兆三千億の間違いでございましたので、訂正をさせていただきたいと存じます。  それから、いまお尋ね情報サービス業につきまして、大手企業、大規模企業と、いわゆる中小企業、零細企業との問題、この点につきまして、なかなか実態的に把握するということは困難な状態にございます。公的の統計資料もまだございませんし、定量的にこういう数字でございますということを申し上げる資料もないわけでございますけれども、私ども、常日ごろ情報サービスの方々と接しましていろいろなお話を見聞いたしておるわけでございます。  その中で私ども感じております点は、確かに大規模な企業というものはございまして、これは非常に数も少のうございます。ほとんど大部分がいわゆる中堅、中小企業、あるいはそれ以下の企業の方々でございまして、場合によりましては要員派遣というふうなかっこうで、若干労働関係法規にも問題があるようなかっこうでの作業が行われているということも薄々は聞いておりますので、そういう点に関しましては、業界団体等を通じまして、くれぐれも労働法規に違反することのないような指導はしておるつもりでございます。
  103. 長田武士

    ○長田委員 実は産構審では、五十二年十一月に「今後の機械情報産業の進むべき方向及びこれに対する施策のあり方」について中間答申をしておりますね。この答申には、情報処理サービス業の重要性といたしまして五項目を挙げておるわけであります。その五つ目に、「中堅・中小企業が一層活躍しうる可能性の大きな分野である。」と、こうしておるわけであります。しかし、実態はむしろ私は逆じゃないかと思うわけですね。大資本でなければこの業界は生き残れない、有効な市場にはなり得ないという声が非常に強いわけであります。  そこで、中堅、中小企業が活躍できるという答申が出ておりますけれども、果たしてそれが本当であるかどうか、この点どうでしょうか。
  104. 森山信吾

    森山(信)政府委員 機械情報産業は、御承知のとおり組み立て産業的な性格があるわけでございます。いわゆるアセンブル産業であるという点が一つございます。それからもう一つの形といたしまして、多品種少量生産形態である、これが機械情報産業の特殊な事情ではないかと思っております。したがいまして、組み立て産業という性格から考えますと、当然にそのすそ野にございますいろいろな部品のメーカーがいらっしゃいまして、それをアセンブルするというパターンになりますし、それからまた、二番目に申し上げました多品種少量生産形態ということになりますと、どうしても一カ所で集中的に生産することが困難な例がたくさんあるわけでございまして、そういった観点調査をしてまいりますと、機械情報産業全部をひっくるめた数字でございますけれども、全体の九五%が中小企業関係でつくられておる、こういう数字があるわけでございます。それから、いわゆる中堅企業というものの活躍する範囲も非常に多うございまして、先ほど申し上げました中小企業プラス中堅企業の生産というものを足してみますと、機械情報産業の大体九八%程度が中堅企業もしくは中小企業で生産される、こういうような状況にございます。  それから、いわゆるベンチャービジネスといったタイプの研究開発型の企業が最近におきましてかなり世の中に出てまいりましたけれども、こういったベンチャービジネスというものは、大体におきまして機械情報産業分野に属する性格のものでございまして、こういったベンチャービジネスはほとんど大部分が中小企業の形態で運営されている、こういうことでございます。  今後生産関係あるいは技術関係というものがどんどん進展していく中におきまして、機械情報産業が多様化、高度化するニーズに積極的に対応して新製品を開発していく面におきましては、ただいま申し上げましたような企業としての応対を考えますと、やはりそこに、もちろん大企業の活躍する分野はあろうかと思いますけれども、ほかの業種に比べまして、中小企業性あるいは中堅企業の活躍する分野かなり大きいのではないかということを私どもは考えておるところでございます。
  105. 長田武士

    ○長田委員 私は、情報処理サービス業をこのままにしておいて十分に振興できるかという点、非常に疑問に思っておるわけであります。  そこで、どのような振興策を具体的にとられるのか、お尋ねいたします。
  106. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまの御質問は、機械情報産業全般ではなくて、情報産業に固有の振興策だ、こういうふうに了解いたしましてお答えする次第でございます。  情報産業と申しますのは、概念的には、一部はコンピューター、ハードウエアそのものをつくることも情報産業という面もございますし、情報処理サービスと申しましょうか、ソフトウエア及び情報処理サービス業、こういったもの、いわゆるソフト関係の業務と両方ございまして、私どもといたしましては、情報産業の位置づけといたしましてはソフト、ハード両面あろうか、こういうふうな考え方を持っております。  そこで、そういう概念に基づきましてお答え申し上げますと、まず、ハードウエアにつきましては、やはり外国系のコンピューターに対抗いたしまして日本コンピューターをいかにレベルアップを図っていくか、こういう観点で過去政策をとってまいりました。よく言われておりますIBM三七〇シリーズというものに対しまして、目下三グループで対抗の機種開発を実現をしたところでございますし、さらに、将来FS、フューチャー・システムと称する新世代の機種に対抗するための手段といたしまして、超しSIの研究開発を二グループに分けて行わしめておる、こういう状況でございます。  一方、ソフトウエア及び情報処理サービス業等につきましては、昭和四十五年に情報処理振興事業協会、こういう協会を設立をいたしまして、その協会を通しまして、たとえば信用補完でございますとか債務保証のいわゆる金融措置の助成を行ってまいっておりますし、また、ソフトウエアの生産技術開発計画、こういったいわゆるソフトウエア生産の生産性向上、こういった面につきましての助成強化を図っておるところでございます。
  107. 長田武士

    ○長田委員 それでは、競合できる環境をどうやってつくっていくか、これは私は重大問題だと思うのですね。産業政策の上からいって、この点いかがでしょうか。
  108. 森山信吾

    森山(信)政府委員 共存関係お尋ねでございますが、私どもの理解といたしまして、民間の情報処理業の方々とたとえば電電公社等の国営の企業との共存の問題、あるいは外資系企業との共存の問題等があろうかと思います。  外資系企業につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、大規模なかっこうで進出をしてまいっておるわけでございまして、技術格差はきわめて日本の方が劣っておる、こういうことでございまして、これはまた先ほどお答え申し上げましたとおり、日本情報サービス業の基盤の脆弱性ということから、諸般の対策を講じましてその助成強化を図ってきておるところでございますが、一方、わが国内には電電公社というきわめて強力な組織があるわけでございまして、電電公社におきましては、技術先導性、公共性、全国性、こういった三原則がございまして、そのもとに民間の情報サービス業の方々といかにうまく調和していくか、こういう政策をおとりいただいておりますので、そういった面で十分な共存は可能ではないか、こういうふうに思っておりますし、また、郵政側におきましてもそういう政策をおとりになっているというふうに聞いておりますので、十分な共存の可能性はあり得ると私は信じておるところでございます。
  109. 長田武士

    ○長田委員 産業政策を進めていく上で通産省が助成策を講じていくのは当然でありまして、設置法でもそうなっておるわけですね。  そこで、情報処理サービス業のうち情報通信サービス業ですが、所管は郵政省でございますけれども産業政策通産の責任ではないのでしょうか。この点いかがでしょう。
  110. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま長田先生の御指摘になりましたオンライン情報処理サービスにつきましては、私ども、行政的には二面性があると思っております。一つは、電気通信という観点から考えますと、これは郵政省で御所管になることでございます。現に公衆電気通信法その他は郵政省で御所管になっているわけでございます。一方、オンライン情報サービスというものを情報処理という面から見ますと、これは明らかに情報産業分野でございますので、私どもといたしましても十分力を入れてやらなくてはならぬ範疇ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、通産省といたしましても、オンラインを含む情報処理サービス業全体の育成振興を図るという観点から、事業資金確保のための融資措置でございますとか、あるいは信用保証事業、あるいは技術開発の促進のための予算及び税制措置、安全対策実施の指導等、各般の施策を総合的に展開してきておるところでございますし、今後ともその育成振興を図るように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  111. 長田武士

    ○長田委員 産業政策通産省の責任じゃありませんか、イエスかノーかでいいのです。
  112. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報処理産業という観点から立ちますと私どもの責任である、かように考えております。
  113. 長田武士

    ○長田委員 年間売上高が十億円を超える企業はわずか五十数社しかないのですね。そのほとんどはコンピューターメーカー、銀行、商社、証券会社、機械製造会社などの大企業の下請の子会社であります。これに対しまして、独立系企業はわずか数社にすぎないというのが現状であります。それにこの独立系企業では、大手の年商四十億の企業でも、従業員一人当たりの年間売上高がわずか三百万円のところも実はあるのですね。これが情報産業という高度のノーハウを売る産業の主要企業かと思われるところも実際にあるのであります。情報処理サービス業は将来成長が目されながら、実態はこのように大多数が弱小であります。  そこで、このまま放置しておきますと、近い将来、この弱小業者は、巨大情報処理サービス企業である電電公社や外資系タイムシェアリング会社などの競合者によって打撃を受けるのは目に見えておるわけであります。こうした問題に対して通産省はどのような産業政策をとられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  114. 森山信吾

    森山(信)政府委員 民間の情報サービス業の方々が御商売をなさるなさり方に二通りあろうかと思います。一つは、いわゆる委託生産のかっこうでございます。一つは、自主開発ではないかと思います。  最初に申し上げました委託生産の形といいますと、どうしても企業に隷属するかっこうが多いわけでございまして、先ほど長田先生が御指摘になりましたように、情報サービス業の中でもメーカー系の企業が大変大きい、こういうふうにおっしゃったのはまことにそのとおりでございまして、これは過去のこれまでの情報サービスに関します発注のパターンが、そういうかっこうを原則としてとってきたということに起因するものではないかと思うわけでございます。  ただし、私どもといたしましては、パターンの二番目に申し上げましたように、いわゆる自主的な開発というものがございまして、注文ではなくて、独自の手法を用いまして、たとえばソフトウエアのプログラムを開発いたしましてそれを売る、こういう商売の形態が行われてしかるべきではないかという感じを持っておるわけでございまして、その方に大いに力を入れてまいりませんと、従来のパターンのように、特定の企業から注文がございまして、それを受けてプログラムを生産するというかっこうだけではなかなか事態が解決できない、こういう問題もございます。  そこで、私どもといたしましては、しばらく前に協同システム開発株式会社というものもつくったりいたしまして、そういうものを通しましてできるだけ自主的な開発が行われるように、また、仮に第三者からの委託注文がございましても、いわゆる隷属型の受注生産にならないような配慮をしたいということで、協同システム開発株式会社のような組織を通しまして、民間の情報サービス業の方々のレベルアップを図るという努力を続けてまいっておる、こういうことでございます。
  115. 長田武士

    ○長田委員 さらに、このような弱小業者は、ミニコン、マイコン企業にも実は痛めつけられておるわけであります。代替サービスといたしましての技術革新によるハードウエアコストの激減によりまして、計算センターを使う資金でミニコンを購入できるようになり、オフィスコンピューターが大変な伸びを示してきておるわけであります。  一方、アメリカでは、この対抗策といたしまして、計算センターがハードウエアの販売にも手を染めて、ユーザーに売りつけたミニコンとセンターの大型機を通信回線で結びまして、分散処理サービスという、より付加価値の高いサービスをする方向転換しておるのが現状でございます。たとえばオートマチック・データ・プロセシングという会社がDECのミニコンを百台買いつけております。しかし、こうしたことをやれるのは、現在アメリカでも三社しかないようであります。ましてや日本では、将来を見越しても大手しか無理と判断せざるを得ないのであります。  そこで、ミニコン、マイコンと競合する計算センターをどう助成していくのか、具体的にお伺いをしたいと思います。
  116. 森山信吾

    森山(信)政府委員 計算センターを営んでおられます情報処理サービス業のお客さんは、通常、電子計算機を保有してない企業であるわけでございまして、こういった民間の情報処理サービス業に発注する方々が、最近のブームに乗りまして、ミニコンあるいはマイコンを導入いたしまして企業内で情報処理を行うという傾向が盛んになってきておることは、御指摘のとおりでございます。  こういう状況にありまして情報処理サービス業が果たすべき役割りといたしましては、一般企業との比較におきまして、より高度なサービスを、より経済的に供給することではなかろうかと思います。どうしてもミニコン、マイコンに頼った情報処理は一定の限界がございますし、また、計算センター等で行っております情報処理というものが、ミニコン、マイコンでもたらされる結果よりはより高度なものである、あるいはより経済性の高いものである、こういうことを実現することによりまして、いわゆるミニコン、マイコンとの競合問題を避けていきたい。  ただ、そうはいいましても、ミニコン、マイコンが導入されましてだんだんと情報化が進展していくということは、大変好ましいことでございますが、御指摘の民業としての情報処理サービス業の方々がそれによってダメージを受けることがあっては大変お気の毒な状態だということもよくわかりますので、私どもといたしましては、そういったものと競合しない、あるいはより高度な、より経済性の高いものが演出できるような指導というものを今後とも続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  117. 長田武士

    ○長田委員 日本の場合、ソフトウエア会社は単独では存在し得ないのですね。そのほとんどが計算センターとの兼業であるわけであります。  そこで、ソフトウエア専門は、大手では数社、あとコンピューターさえ購入できない零細企業が専門業者として存在しておりますが、ソフトウエア産業の本当の意味での自立ができると考えておるのかどうか、この点どうでしょうか。
  118. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、計算センターとソフトウエア業が兼業で行われているケースが非常に多うございます。今後ソフトウエア業が自立的な産業として発展していく上におきまして、技術力向上でございますとかあるいは経営体質の強化、産業基盤の整備といった多面的な努力が求められているところでございますし、こういった努力が政府及び民間それぞれの面におきまして実現されていくならば、独立産業として着実に発展していくものというふうに期待をしておるところでございます。
  119. 長田武士

    ○長田委員 ソフトメーカーの下請の実態については、その原因が明白であると思うのですね。それは、日本ではメーカーがソフトウエア価格を別建てにするアンバンドリングをしていないためでありますし、したがって、ソフトウエアが商品として流通する余地が全くないわけであります。  そこで、流通問題をどうするのか、政府としてどう考えておるのか、ありましたら明らかにしていただきたいと思います。
  120. 森山信吾

    森山(信)政府委員 通産省といたしましては、これまでプログラム調査簿の作成、閲覧によるプログラム流通情報の提供及び情報処理振興事業協会におきます特定プログラム委託開発制度によりますプログラムパッケージの開発、改善等の事業の展開を図ってきたところでございます。  ソフトウエアの流通促進につきましては、御指摘のとおりきわめて重要な問題でございまして、その促進のため、今後、従来の対策に加えまして、いわゆるソフトウエアの価値評価の確立等を通じまして、ソフトウエアの市場形成に一層努めたいと思っております。  そこで、このただいま御審議いただいております機情法を成立させていただきました暁におきましては、高度化計画の策定を通しまして、ソフトウエア業の生産の中で流通を前提とするソフトウエアパッケージのウエートを高めていくなどの措置業界指導等を通じまして一層強力に進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、ソフトウエアの標準化という問題も、この流通を促進する一面におきまして大変重要な問題でございまして、これまでも六十八ぐらいの標準化、JIS化を図ってまいりましたけれども、今後ともその標準化の促進に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  121. 長田武士

    ○長田委員 ソフトウエアをどう評価するかという問題でございますが、日本では、ハードウエアに付属したもので無料サービスとしてほとんど評価されないものがあるわけであります。わずかに電電公社で、経験年数やどの程度手数がかかったかということで支払おうとしておるだけで、全くこれについては物差しがないのですね。  こうした問題について、今後具体的にどういうふうにするつもりなのか、お尋ねをいたします。
  122. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、ソフトウエアの価値評価というのはきわめて重要な問題でございます。これは作成する側の努力もさることでございますけれども、いわゆる社会通念上ソフトウエアというものの価値を高める、こういう運動も必要ではないかと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、情報処理振興事業協会、いわゆるIPAという組織におきますプログラム委託開発等の具体的な発注を通じまして適切な見積もり方式の徹底を図る、こういうことの努力の積み重ねによりまして、社会通念的にもソフトウエアというものの価値の評価を高めてまいりたい。これはなかなか言うべくしてむずかしい問題でございますけれども、着実な努力の積み重ねによりましてその評価を高める努力を今後とも続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  123. 長田武士

    ○長田委員 今回の機情法では、理由はともあれ、情報処理サービス業は外されておるわけであります。今後の助成策をどうするかが問題になってまいります。  そこで通産省で考えております助成策について、ひとつ具体的にお教えいただきたいと思います。
  124. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報処理サービス業が今回御提案を申し上げました機情法の対象から外れているという点につきましては、私どもは私どもなりの論理があるわけでございますけれども、一方、対象から外された業界の方にとりましては、大変大きな問題ではないかと思うわけでございます。しかも先ほど来申し上げておりますとおり、今後情報処理サービス業の発展する可能性というのはきわめて高いわけでございますし、そういった産業の持つ重要性ということも深く認識をしておるところでございますので、これに対する助成というものは大いに努めていかなくてはいかぬ、こういう気構えでおります。  そこで、具体的にどうするかという問題でございますが、昭和四十五年にIPA、つまり情報処理振興事業協会というものを設立させていただきまして、その間、金融的な措置あるいは委託制度の採用等を通じまして、情報サービス業の方々にいささかでも役に立ったような事業を継続してまいっておるわけでございますけれども、今回御提案申し上げております機情法とIPAの絡みというものは、車の両輪という形でやっていきたいということでございまして、まあソフトウエアにつきましては本法案の対象にいたしておりますけれども、こういった法律の対象になったから従来のIPAからは切り離すのだということではございませんで、そういったものを車の両輪といたしながら、それぞれの事業につきましての育成強化を図っていく、こういう基本姿勢でございます。
  125. 長田武士

    ○長田委員 いまコンピューティケーションという言葉が提唱されておるくらい、これは今後十年から二十年という長いスパンで年率一五%から二五%の高度成長を期待されておる分野でございます。コンピューティケーションという新語は、ニューヨークのシティーバンクの上級副社長ロバート・B・ホワイト氏がアメリカ銀行協会電気通信会議の講演で述べたもので、コンピュータープラス通信回線ということが次の時代の課題であるとしております。  また、アメリカ情報処理サービス業では、一九九〇年代初期には三千八百億ドル、一ドル二百二十円で計算いたしますと八十三兆六千億円の規模になろうと、前IBM職員であり現ATT販売計画担当取締役のアーチー・J・マッギル氏は言明をいたしておるわけであります。さらに、コンピューターと通信を併合した市場は、向こう十年から二十年にかけて一五%から二五%の年間伸長率を保持し、三千億ドルから四千億ドルに達するのもそう遠くはないであろうと、TRW専務であるシドニー・ウェッブ氏も述べておるわけであります。だからこそ、わが国における産業政策に確固たる助成策が望まれておるわけであります。しかし、今回は残念ながら不明確のまま終わっているわけであります。  そこで、この助成策について何か明確に立法措置を考えているのかどうか、この点、再度お尋ねをいたします。
  126. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、私どもなりの論理によりまして本法案の対象から情報処理サービス業を落としたわけでございまして、いささかも情報処理サービス業の持ちます重要性、今後の課題というものについて私どもは軽視しているわけではないわけでございまして、その点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、従来のIPA法によります助成その他の措置は継続してまいる所存でございますけれども、それ以外にいかなる振興策を講じたらいいかという問題を基本的に考えてみる必要があるのではないかということでございまして、たとえば情報サービス業につきまして、基本的に産業構造としての情報処理サービス業を産業政策上あるいは産業構造政策上どう考えていったらいいかという問題を勉強する組織をつくりまして、そういうところを通しまして、より適確な施策が話せられるような方法論を検討する必要があるのではないか、こういうことを考えているわけでございます。  したがいまして、現時点におきまして特殊立法をいたしまして、特に情報処理サービス業につきまして助成を加えるという考え方は持っておりませんけれども、それ以前の問題といたしまして、いま申し上げましたような方法論を考えておりますし、また、施策の具体的な内容につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、IPAを通ずる助成の強化を図っていく、こういう基本姿勢でございます。
  127. 長田武士

    ○長田委員 コンピューターシステムに占めるソフトウエアの比率は、一九八〇年代には八〇%くらいに達すると言われておるわけであります。ところが、一般に日本では、こうした無形のものについては認識が低いのではないかと思われるわけであります。これに対して十分な配慮が当然必要であります。  そこでお尋ねしたいのでありますが、ソフトウエア企業の脱メーカー下請具体策はどうなっておるか、お尋ねいたします。
  128. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ソフトウエア業が自立的な産業といたしまして発展していくためには、技術向上あるいは経営体質の強化、さらには産業基盤の整備といったような多面的な努力が求められるわけでございまして、こういった努力が払われますならば、独立産業として着実に発展していくだろう、こういうふうに基本的に考えておるところでございます。  具体的な施策といたしましては、ソフトウエア生産技術開発計画等を通じました技術開発力の向上でございますとか、あるいは先ほど先生がちょっとお述べになりましたアンバンドリングの推進でございますとか、ソフトウエアの標準化あるいはソフトウエア価値の確立等によります流通市場の形成を図る、こういった方法があろうかと思いますし、それから政府側といたしましても、税制上の優遇措置でございますとかあるいは財投等の手段を用いまして総合的にソフトウエア産業の振興を図ってまいることによりまして、御指摘の点は着実に進行できるのではないか、こういう期待を持っておるところでございます。
  129. 長田武士

    ○長田委員 それでは、ソフトウエア流通の円滑化については、どのようにお考えでしょうか。また、日本におけるアンバンドリングはどういう方策を考えていらっしゃるのか、この二点についてお尋ねします。
  130. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の流通促進につきましては、先ほどからお答え申し上げているとおり、やはりそこにソフトウエアの価値評価というものを高めていく、こういう努力がまず前提でなければならない、こう思っております。それから具体的な施策といたしましては、標準化の推進等もあろうかと思います。  そこで、お尋ねの第二点のアンバンドリングの推進の方策につきましては、ソフトウエアの有償化が実現されるためには、ソフトウエアに対する十分な価値意識が醸成され、かつソフトウエアに対する価値体系が確立されることが前提として必要でございます。このような観点から、政府指導のもとに、本年からJECC、これは日本電子計算機株式会社でございますけれども、JECCがソフトウエア価格の登録制度を開始するということをやっておるわけでございまして、メーカーサイドにおきましても、一歩でもソフトウエア有償化の方向に近づくべく努力を行っておるということでございます。政府といたしましても、引き続きまして今後適正なソフトウエアの評価が行われるように、アンバンドリングが一般的に推進されるように指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  131. 長田武士

    ○長田委員 次に、FSと言われる一九八〇年代のマシンの巨大なOS開発コストはどのように見込んでおられるのか。リモート・コンピューティング・サービスの普及に関する政策不在は国際的にも問題ではないでしょうか。この点どうでしょうか。
  132. 森山信吾

    森山(信)政府委員 FS対抗機に組み込まれますOSの開発コストといたしましては、一シリーズ当たり総額七百億円から一千億円ぐらいというふうに見込んでおります。通産省といたしましては、FS対抗機の開発につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、ハードウエア技術の中核であります超LSIというものの開発を助成しているわけでございまして、昭和五十一年度から五十四年度にかけましておおむね三百億円の国家予算を導入をする、こういう計画で進んでおるわけでございますが、ソフトウエアの面につきまして、IBM等の外国系企業に比べまして日本のOSの開発は相当立ちおくれているという問題もございますので、この面につきましての真剣な検討を行いたいということでございます。  ただ、超しSIと同じような手法によりまして集中的に共同研究をさせていくのがいいのか、あるいはそれぞれのマシンに応じましたOSをそれぞれの体系におきまして開発を促進する方がいいのか、そういう点につきましては今後十分な検討をする必要があるのではないか、かように考えておるところでございます。
  133. 長田武士

    ○長田委員 IBM、それからSBC等のサテライト技術に対しまして、リモート・コンピューテイング・サービスの普及に関するわが国政府不在は、国際的にも問題があると私は考えるのです。現在ではビルの屋上から衛星を介してデータ伝送を行う方式がSBSを通し間もなく始まろうといたしております。  こうした中にあって、産業政策を進める通産省の立場からこの問題についてどう考え、どう対処されていかれようとしておるのか、この点いかがでしょうか。
  134. 森山信吾

    森山(信)政府委員 SBSという大変新しいシステムにつきまして御指摘がございました。これはアメリカで行われようとしておるわけでございまして、御指摘のとおりでございます。  ここで私どもとして考えなくちゃならぬことは、先ほど先生から御指摘のございましたように、情報処理というものを通信回線でつないで処理をするというパターンが今後定着し、かつ拡大していくのではないか、こういうことはまことにおっしゃるとおりでございまして、このSBSもその一環といたしまして、いわゆるメディアとしての通信衛星を使ったものであろう、こういうふうに思うわけでございます。アメリカのように非常に広大な土地面積を持った国におきまして通信衛星をメディアにいたしまして情報処理をするということは、コスト的に見ましても大変意義の深いことではないかと思うわけでございますけれども、一方、日本のようにこういう列島的な位置づけ、地形にある国におきまして、通信衛星をメディアとする情報処理というものが果たしてコスト的にどうなるかという問題は、相当慎重な検討が要るのではないか、こういう気がいたします。  もちろんこれは通信政策の問題でございますので、産業政策の立場から云々するのは若干早計であろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういった形で情報処理というものができるだけコストが安く、しかも迅速に行われてくる、大量に行われる、こういうようないわゆるSBSの制度に対しまして、わが国といたしましても十分それに太刀打ちできるような政策手段というものは考えていかなくちゃならぬのではないか、こういう問題意識を持っております。
  135. 長田武士

    ○長田委員 わが国のOS開発で、IBMに対抗できるOS開発ができるという考え方ですか。OS開発の具体的な方策、行政指導はじゃ一体どうなっておるか。また、それは電気通信の立場で、通産省関係がないという立場をとるのかどうか、この点どうでしょうか。
  136. 森山信吾

    森山(信)政府委員 電子計算機技術革新の進展あるいは電子計算機を利用することの普及といいましょうか、利用の普及に伴いまして電子計算機の効率的かつ多面的な利用を図ることが重要になってくるわけでございますけれども、それを可能とするためには、いま先生のおっしゃいましたOSというものがきわめて大きな存在になってくるわけでございます。  IBMとの比較において問題を指摘されたのではないかと思いますけれどもわが国の現在の商用機、すでに三七〇対抗シリーズといたしまして開発されたものにつきましては、そのOSもかなりのレベルに達しておるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。しかし、基本的にIBMと比べましてそのレベルまで到達したかといいますと、それは大きな問題があるということでございますし、さらに次期システム、いわゆるフューチャー・システムということになってまいりますと、その格差というものはますます広がってくる危険性があるということでございます。先ほどからお答え申し上げておりますとおり、FS対抗といたしましていわゆる超しSIの開発につきましては、政府といたしましても相当な力を注いでおるところでございますし、業界においてもいわゆるハードウエアの設計その他につきましてはある程度の自信がついたという状況でございますけれども、いま御指摘のOSにつきましては大変な脆弱性を持っておるということでございまして、この点につきましては十分なる配慮をしなくちゃならぬということでございます。  ただ、その配慮の仕方が、先ほど申し上げましたとおり、集中的にやった方がいいのか分散的にやった方がいいのか、こういう検討は十分やってみたい、こういうことでございます。
  137. 長田武士

    ○長田委員 近く始まりますところの、電電公社のDDX料金体系と既存のデータ通信サービスについてどのような認識をされておるのか。業界保護策を具体的にどう進めていかれるのか、この二点について……。
  138. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまお示しのございました電電公社のDDXにつきましては、まずデータ通信というものを見てまいりますと、データ通信の回線サービスと、データ通信の設備サービスと両面があるわけでございまして、DDXにつきましては、データ伝送専用のものでございまして、これはいわゆる高品質、高速の伝送サービスを目的とするものでございまして、これは情報処理の推進に大変役立つのではないかということで、私どもといたしましては高く評価したい、こう思っております。
  139. 長田武士

    ○長田委員 次に、IBM日本における情報処理サービス業に与える影響と対応策について伺いますが、IBMの総合情報システムメーカーへの変身をどう考えていらっしゃるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  140. 森山信吾

    森山(信)政府委員 日本アイ・ビー・エムは、昭和四十七年から、事務計算あるいは科学技術計算サービスをリモート・コンピューティング・サービス、RCSと言っておりますが、といたしまして開始したわけでございます。次第にサービスの拡大に努めておりますが、先ほどのお話のございましたSBSというものが始まるということになりますと、アメリカにおきますこういったサービスの拡大というものが行われてくるのではないかと思うわけでございます。  こうした事業活動がわが国情報処理サービス業の事業に与える影響は、決して小さくないと思っておるわけでございまして、産業の均衡ある発展を図るという観点から見ますと、こういった日本アイ・ビー・エムの活動の動向につきまして十分注意してまいりたい、注目してまいりたいと思っておるわけでございますが、同時に、わが国情報サービス業の強化につきましても大いに力を入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  141. 長田武士

    ○長田委員 SBSの方式が、アメリカのフォーチュン誌、上位五百社の有力企業に浸透いたしますと、たとえSBSの営業が国内に限定されたといたしましても、それらの企業と国際通信を行うような場合に、日本は影響がないとは言えないと思いますね。そのとき日本がおくれた技術にとどまっていたとすれば、日本の国際通信は不利な立場に立たされてしまうのは当然であります。この点、通産省はどのように考えていらっしゃるのか。また、SBSに対抗できるものが日本にも必要かどうか、あわせてお伺いをいたします。
  142. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘の問題は、結局のところ、わが国と諸外国との通信回線等の情報伝達手段のコスト差の格差の程度によるのではないかと思いますし、いわゆる通信手段等を利用する産業のコストに占める割合の比較に帰着する問題であろうかと思うわけでございます。通産省といたしましては、通信手段の技術革新あるいは効率化、コストダウン等の問題は、通信行政の分野の問題ではございますけれども現状では欧米に比較いたしまして高い、こう言われておるわけでございますので、なるべく通信コストの格差が今後縮小されるような期待を持ってまいりたい、かように存じております。  それから、SBSに対抗するものが日本で必要かどうかという問題につきましては、IBMのSBSのようなものが、今後近い将来日本で行われるようになるとは考えていないわけでございますけれども、国際交流の問題等から見まして、通信回線を利用するオンライン情報処理の振興は、今後とも重要な課題になってくると思うわけでございます。この通信回線の提供を有線で行うか、SBSのようにサテライトで行うか、こういう基本問題につきましては、関係の方々とも十分協議しながら、産業政策の立場から御意見を申し上げたい、かように考えておるところでございます。
  143. 長田武士

    ○長田委員 次に、流通機構の整備についてお尋ねをしたいと思っております。  汎用コンピューターに加えて、ターミナル、中間帯域における機器、私設電子交換機、多目的電子交換システム、マルチプレクサー、コントローラー、SBSのような屋上アンテナなど、それにミニコンシステム、マイクロコンシステムあるいはコンピューターを組み込んだ複合事務機器、ファクシミリ、マイクロフィルム記憶送受信システム、ワード・プロセシング・システムなどのレンタル、リース割賦機構の整備をする必要があると思うわけであります。  これらの機器は大企業が買い取る傾向にありますが、何十台、何百台とまとまりますと、大企業といえどもレンタル、リースを利用する必要性が当然生じてまいります。また、もしこれらの制度が十分に社会に行きわたっていかなければ、中小ユーザーは、買い取り資金に余裕がないわけでありますから、大企業との間の情報処理格差はますます広がると思われるわけであります。したがって、電電公社がこれらの機器をすべてメーカーから買い取り、賃貸しすれば、膨大な資金を要し、その上、独占の非能率、自己市場優先の弊害を伴ってまいるわけであります。  そこで、JECC制度は、現在汎用コンピューターシステムのレンタルに限られており、その上、小型コンピューターを扱っていないので、こうした市場構造の変化に対応していないわけであります。したがって、いまや汎用コンピューターだけの時代は去ったのであり、汎用コンピューターと通信回線を介して結合するコンピューターを組み込んだ設備は、レンタルあるいはリースの対象に含めるべきであると考えるわけであります。そのためには、JECCにおいてリースを創設する必要があり、この場合、小型コンピューターや複合事務機器等を賃貸ししている既存の独立リース会社を圧迫しないよう考慮する必要があると思われますが、この点はいかがでしょうか。
  144. 森山信吾

    森山(信)政府委員 通信システムへのJECC活用の御提案ではなかろうかと思うわけでございます。御承知のとおり、JECCと申しますのは、昭和三十六年に創業いたしたわけでございまして、国産メーカーの共同レンタル販売会社といたしまして、着実な道を歩んできているわけでございます。  そこで、いまお示しの通信システムというものをこのJECCの対象にしたらどうか、こういう御提案につきましては、もともとそのJECCが六社の共同出資によるものでございますので、出資者の意向によって決めるべき問題だと思っているわけでございますが、現段階におきましても、オンライン利用の電算機の場合には、その通信制御装置等はJECCのレンタル制度の対象にしておるわけでございます。  それで、たとえば先ほどお示しになりました電子交換機等の通信システム全体につきましてJECCの制度を適用したらどうかという問題につきましては、JECCそのものが電子計算機のレンタル機関であるという性格上、ちょっとむずかしい問題があるのではないか、こういう気がするわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、通信制御装置等のレンタルを通しましていささかでもお手伝いができたら、こういう気持ちで考えておるところでございます。
  145. 長田武士

    ○長田委員 次に、JECCは汎用コンピューターのための流通促進会社であります。したがって、大手六社のためのレンタル会社であったわけでありますが、今日のような情勢のもとでは何もこの六社に固執する必要はないんじゃないかと私は考えるのです。  そこで、わが国のオフィスコンピューターメーカー、ミニコンメーカー、それから事務機器メーカーを流通面から振興するためには、六社に限らず、どこの国産メーカーの製品でも、競争力のあるものならばそれを扱うのが筋じゃないのでしょうか。いまやミックスドシステムの時代といたしまして、よいものであればブランドが違う機器を組み合わせて使う時代でもあるわけであります。  したがって、場合によっては、JECCの購入システムのうち一定比率まで、輸入品あるいは外国機器、すなわち外資系企業日本国内生産品のいいものでユーザーが国産情報システムの一部にそれを取り込みたいと希望する場合、それらの機器も含めて賃貸すべきではないかと思いますけれども、当局といたしまして流通機構の改善をする考えはないかどうか、この点いかがでしょうか。
  146. 森山信吾

    森山(信)政府委員 JECCは、先生も、御指摘のように、六社の共同出資で運営しているわけでございます。したがいまして、この出資者の合意があれば他社の新規参加は可能であるということでございますが、第一点にお尋ねのございましたミニコン等の取り扱いにつきましては、ミニコンピューターは売り切り買い取り方式が通常であるわけでございまして、一般のコンピューターに比べましてメーカーにとりましても大きな資金負担がない。それから、オフィスコンピューターの場合には、先ほど先生も御指摘になりましたように、民間のリースの対象になっているということもございまして、こういったものをJECCの方に持っていくということになりますと、そういった民間のリース業者に対する圧迫という問題も生じてまいりますので、慎重に行う必要があるのではないか、かように考える次第でございます。  それから、お尋ねの第二点、外国系企業に対しましてもJECCを利用できるようにしたらどうだ、こういう点につきましては、そもそもJECCの発想が、資金力、販売力の脆弱なわが国のメーカーの育成強化を図る、こういう観点からスタートしたわけでございますが、こういう御時世になっていつまでもそういうことをやっておるべきではないのではないかという御意見もある意味では理解できるわけでございます。しかしながら、事コンピューターに関して申し上げますと、やはりアメリカとの技術格差、あるいは販売力、資金力の格差というのは大きいわけでございまして、私どもといたしましては、そういった面につきまして、今後とも引き続いて国産メーカーの育成強化、資金力の強化、販売力の強化、こういった面を図っていく必要がございますので、まず、JECCの本来の目的である国産メーカーの販売力強化という点に重点を置きましてJECCの運営をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  147. 長田武士

    ○長田委員 次に、ソフトウエア流通の促進についてお尋ねをいたします。  メーカーソフトウエアは、メーカーの当然の義務ではありますが、IBMソフトウエア価格分離の実施、これは昭和四十五年七月でありますが、これと今後における意欲的な推進と呼応して、正当な対価を得る商慣習の定着が望ましいわけであります。さらに、ユーザーにおいてはアプリケーションズソフトウエアの開発追加の機会は今後増大する一方であり、同じようにソフトウエアの自社開発は二重投資で社会的にも損失となることから、ユーザー開発ソフトウエアで汎用性があり、数年から六、七年のライフのあるよいものは、たとえばJECCのような機関がユーザーから適正価格で買い取り、レンタルあるいは売り切る媒介機能を持つことは意義のあることではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  148. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、大変意義のあることであると私どもも考えております。そこで、JECCにおきまして、本年の四月から新たにOSの一部あるいはアプリケーションプログラム等のソフトウエアの登録制度というものを開始したわけでございますが、まず前提といたしましてその登録制度をつくったわけでございます。こういったかっこうでソフトウエアの有償化ということがだんだんと浸透してくるということになりますと、先ほど先生からお示しになりましたように、JECCでその取り扱いの対象にするというようなことも含めまして、ソフトウエアの流通問題を深く検討してみたい、かように思う次第でございます。
  149. 長田武士

    ○長田委員 JECCは共同会社でありますし、メーカー間の妥協の産物であろうかと思います。したがって、多分に硬直的な体質があります。こうした体質を柔軟化させる方策について若干お尋ねしたいのでありますけれども、まず初めに、ソフトウエア媒介機能の付加についてどのように考えていらっしゃるか。
  150. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生からお示しのございました問題につきましては、ソフトウエアの買い取り販売機能の問題というふうに了解いたしましてお答えをさしていただきたいと存じます。  先ほどお答え申し上げましたとおり、ことしの四月からとりあえずソフトウエアの登録制度というものを発足さしたわけでございますが、これだけで事が終わるという性格のものではございません。いま申し上げますように、流通システムを推進する前提といたしましてこの登録制度というものを開始したわけでございます。そういう問題意識を持ちながらソフトウエアの流通問題につきまして前向きに検討をしてみたい、かように思っている次第でございます。
  151. 長田武士

    ○長田委員 ただいまの御答弁に対して若干の疑問を残しておりますけれども、巨大なIBMの力の前に、すでに巷間伝えられるJECC離れのメーカーである日立でさえ長期的に自己資金でやっていけるのかどうか、この点どうなんでしょうか。
  152. 森山信吾

    森山(信)政府委員 日立につきましては、官公需部門につきましてJECCの制度を利用しているわけでございますが、いわゆる民需につきましては、いま先生のお示しのように、自社レンタル制度をとっておるわけでございます。日立におきまして、この自社レンタル制もだんだん軌道に乗ってきておるということでございますし、同社の資金調達力の点から見ましても、現状では特に問題を生ずることはないのではないか、こういうふうに考えております。
  153. 長田武士

    ○長田委員 では、銀行がJECC以外の企業、すなわちメーカーに直接融資すれば、メーカーはやっていけるのかどうか、お伺いいたします。
  154. 森山信吾

    森山(信)政府委員 JECCにつきましては先ほどから申し上げておりますとおり、日本コンピューターの資金力あるいは販売力の強化の方策といたしまして発足をさせたわけでございまして、当然に金利につきましても優遇金利という恩典を与えておるわけでございます。したがいまして、ただいま長田先生からお示しのございました金融機関からメーカーに対する融資で肩がわりできるのではないか、こういう御指摘につきましては、私ども、金利の面でかなりな助成をしておるということを考えますと、やはり国産コンピューターメーカーにとりましてJECCの持つ意義というものは大変強いものがある、こういうふうに考えております。
  155. 長田武士

    ○長田委員 以上、時間が参りましたので、終わります。
  156. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 宮田早苗君。
  157. 宮田早苗

    ○宮田委員 わが国経済、社会の発展を図るため、機械情報産業が果たすべき役割りがきわめて大きいことは言をまたないのであります。このたび政府機電法にかわる法律として機情法を新たに提出した背景は、端的に言いますならば、時代の変化に対応する産業政策立法ということでございましょう。  まずお伺いいたしますのは、産業構造の必然的な変化あるいは政策面からの誘導による変化に本法がどのように機能するのか、この点についてお伺いをいたします。
  158. 森山信吾

    森山(信)政府委員 わが国のように資源に乏しくてエネルギーもほとんどないという国にとりまして、やはり経済的な自立あるいは発展ということを考えますと、産業構造のあり方というものを基本的に検討しなくちゃならぬということは宿命的な問題ではなかろうかと思うわけでございます。そこで、政府といたしましても、かなり前から産業構造高度化という問題意識はございまして、それなりの応対をしてまいったわけでございます。  私どもの局のサイドから申し上げますと、昭和三十一年以来機振法あるいは三十二年以来電振法という法律をつくらしていただきまして、昭和四十六年に両方の法律を合併いたしましていわゆる機電法というものをつくっていただいたわけでございます。それが私どもといたしましては、機械サイドから見ました産業構造高度化にいささかでもお役に立ったのではないかと思うわけでございますが、その後石油ショックというものを経過いたしまして、従来資源、エネルギーというものが比較的入手しやすかった時代から、その制約が大変強まったという時代になってまいりますと、やはり省資源、省エネルギーという観点が大きくクローズアップされてきたわけでございます。  それから、いわゆる高度成長期におきますところの民間の設備投資の問題、あるいは昭和四十年代に大変普及いたしました耐久消費財の成長の鈍化という問題がございます。さらには、いわゆる労働環境の変化と申しましょうか、高学歴、高齢者、こういう構造がだんだんと出てまいりましたので、そういった労働問題の環境変化、こういう問題もございます。それから一方、国民のニーズというものも絶えず生々発展しているわけでございまして、より高いものを求めるニーズ等、変化というものはあるわけでございます。  こういった幾つかの問題意識を考えてみますと、産業構造高度化という問題が、従来の資源、エネルギー多消費型の生産パターンというものから、いま申し上げました幾つかの問題点を克服するようなかっこうでの高度化政策転換をしていく必要があるのではないか、こういう問題意識が生まれてきたわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、これまで運営さしていただきました機電法が期限切れになるのを機会に、新たに機情法という法律を提案させていただいたわけでございますが、その問題意識は、いま申し上げたような問題意識を持っておるわけでございまして、こういった時代の変化に即応したような産業政策というものをいかにうまく実現していくか、こういう観点から新しい法案を提案させていただいたゆえんでございます。
  159. 宮田早苗

    ○宮田委員 個々の代表的な業種の展望については後ほど質問をいたしますが、いわゆる機械情報産業産業全体の中でどう位置づける方向か、その点をまずお問いします。
  160. 森山信吾

    森山(信)政府委員 機械情報産業という概念、これは大変抽象的な概念でございますが、一応機械工業と情報産業というものを包含した産業であるという前提に立ちますと、現時点におきまして生産が約四十兆ございまして、製造業に占めるシェアが約三分の一でございます。それから、輸出の方が全体の六割ということでございまして、その生産の方に占めますウエートは今後若干高まるというふうに期待いたしておりますけれども、特に今後輸出の面で考えました場合に、いわゆる知識集約化というものの代表的な業種であろうかと思いますので、現在問題を起こしておりますような商品は別といたしましても、今後は機械情報産業が果たすべき輸出における役割りも高まっていくのではないかへこういうふうに考えておるところでございます。
  161. 宮田早苗

    ○宮田委員 この業種に対しましては、機振法、それから電振法、機電法と長期にわたって振興施策が続いてきておるわけですが、国際収支が黒字基調のわが国にあって、国内産業の強化育成という視点だけでとらえていっていいのか、こういった指摘もいろいろあると思いますが、国際協調と国際競争力、ここらの視点から政府考え方をもう一度お示し願いたいと思います。
  162. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現時点におきまして、貿易収支、さらに経常収支が日本の大幅な黒字を招来いたしておりまして問題になっておることは、御指摘のとおりでございます。私どもも、過去の日本産業構造政策あるいは産業政策の結果こういう事態が起こった、その因果関係について否定するものではございませんけれども、やはり日本の置かれております国の生い立ちとしての性格あるいは経済基盤の問題等考えますと、経常収支の黒字というものはどうしても確保しなければならぬ宿命にあろうかと思います。  問題は、いまそういった経常収支の幅が余りにも大き過ぎるという点がいろいろ摩擦を生じている原因ではないかと思いますので、その点につきましても十分な配慮をする必要があると思います。しかしながら、基本的には、やはり日本としては生きていくために国際競争力というものを培養してまいらなければならぬ、こういうふうに思うわけでございます。  一方、機械情報産業が果たします役割りの一つといたしまして、産業面からだけの重要性のみではなくて、いわゆる国民生活上に占める機械情報産業の重要性というものも大変大きなものがあるのではないかと思います。たとえば公害に対する配慮の問題、あるいは安全性に対する問題、あるいは国民生活で高まってまいりましたニーズにいかに対応するか、いかにそのための機器を提供するかという問題もございますし、あるいは省資源、省エネルギーという社会面からのニーズに対応できるような取り組み方もあろうかと思います。したがいまして、今回御提案申し上げました機情法のビヘービアといたしましては、単に国際競争力の強化というだけではなくて、そういった国民ニーズあるいは多様化するほかの社会面への応対、こういったものも含めまして総合的な高度化を図っていきたい、これが私どもの哲学と考えておる次第でございます。
  163. 宮田早苗

    ○宮田委員 先進国との技術格差、これは相当にあるのじゃないかと思いますが、そのための試験研究、開発体制の確立についてでございます。強力な施策で推進してまいらねばなりませんが、発展途上国との関係でいたずらな摩擦ということについては回避をしなければならないわけです。むしろ国際分業的な考え方に立つべき分野も相当あろうかと思っておるわけですが、この点についてはどうですか。
  164. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま先生からお示しのございました発展途上国との調整の問題、これはおっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましては、発展途上国からのいわゆる追い上げというものが出てまいりまして、これは大変なことだという問題意識を持つ見方もあろうかと思いますけれども、そこに一つ国際分業というものが形成されつつあるという観点からは、大変結構なことではないかと思うわけでございます。過去、日本が行ってまいりました経済協力のビヘービアと申しますものも、結局そういった趣旨のもとに行われたものであることは疑いのないことでございますので、今後とも発展途上国との国際分業論ということは、私どもといたしましても十分わきまえておかなくてはならぬ問題ではないか、かように考える次第でございます。
  165. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、法律案の内容にこれから触れてみたいと思いますが、まず、高度化計画策定の指定対象業種として、電子機器製造を初め三つの事業を挙げておると思います。本法と密接不可分な関係にございます情報処理振興事業協会等に関する法律、いわゆる情振法に明記してございます情報処理サービス業が対象業種から外されておる。ソフトウエア業だけになっておるわけです。処理サービス業を外した理由、この点はどうかということをお聞きします。
  166. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもが今回新しい法案を提出させていただくに際しまして、従来の機電法と変わりました点をいろいろ勉強してみたわけでございます。先ほど申し上げましたとおり、機電法当時の社会、経済環境と現時点のそれとはかなり大幅に変化を来しておりますので、それ並みの対応をしなくてはいかぬというのが基本姿勢でございます。  その際に、従来とってまいりました機電法政策体系では、いわゆるハードウエアを中心に振興を図っていく、それはその昔の機振法、電振法時代から引き継がれた思想でございまして、特に機電法の中で打ち出しました政策といたしましては、機械と電子を組み合わせるいわゆる機電一体という問題を取り上げて政策を推進してきたわけでございます。ところが、現時点におきましては、そういったハードウエアの積み上げという問題を越えまして、ソトトウエアとの整合性の問題と申しましょうか、ソフトウエアというものを媒体にいたしまして複合的なシステムがニーズといたしましても生まれてまいっておりますし、そういう応対をすることが今後の産業政策の根幹になろうかという考え方のもとに、ソフトウエアというものを本法案の対象にさせていただいたわけでございます。  ところで、御指摘のございました情報処理サービス業を法案から落としたということでございますが、実はこの点につきまして私どもかなり慎重な検討を続けてまいりました。そこで、いま御説明申し上げましたとおり、新しい機情法の考え方の原点がハードウエアの組み合わせを超越いたしまして、そういう問題も引き続き政策を推進する必要がございますけれども、さらにそれに加えましてソフトウエアを媒体とする複合システムの出現を図る、こういうビヘービアから見ますと、情報処理サービス業というものは必ずしもその政策意図にそぐうかどうか疑問の点もあるわけでございまして、そういった若干異質性のあるものをこの法律体系の中に入れまして、そういったものを高度化計画という枠でとらまえて指導することが果たしていいのかどうか。一方、情報処理サービス業につきましては、言葉は悪いわけでございますけれども、若干未成熟なところもございます。そういった面を考えますと、別の法律体系あるいは別の政策手段によりましてもう少しきめの細かな指導をしていく必要があるのではないか、こういうことを考えまして、あえて情報処理サービス業につきましては本法案の対象から落とさせていただいた、かような次第でございます。
  167. 宮田早苗

    ○宮田委員 ところで、情報産業とは何なのかということでございますが、情振法には、「「情報処理」とは、電子計算機を使用して、情報につき計算、検索その他これらに類する処理を行なうことをいう。」こういうふうに定義づけておるわけであります。私は、計算機本体、ソフトウエアがあって、いわゆる機械による計算処理から情報の伝達までの全体系を情報産業と言うのではなかろうかと思うのですが、この点はいかがなものか。あわせて、情報産業についての関連法律は、情振法のほかに何かございますかどうか、お聞きいたします。
  168. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、お尋ねの第一点からお答え申し上げます。  情報産業の定義でございますが、先ほど先生がお示しになりましたのは、IPA法の定義だと思います。私どもといたしましては、もちろんIPA法の定義によるものと別個の情報産業の概念づくりというものを考えるのはちょっとおかしいという気もいたしますけれども、今回特に特定機械情報産業振興臨時措置法という名称の法律案を提出させていただいたわけでございますので、概念的にもこの情報産業考え方というものをある程度明らかにしておく必要があるのではないかと思う次第でございます。  まず、機械情報産業とは何だという問題がございますので、簡単にそれをお答えいたしますと、機械工業と情報産業である、これはまことにあたりまえのことを言っているわけでございますけれども法律的には一応機械産業情報産業という概念がございますが、私どもの理念といたしましては、機械と情報産業が組み合わさったような新しい産業というものがあらわれてくるのではないか、先ほど来申し上げております複合システムというものがそれに該当しようかと思いますけれども、そういった理念としての機械情報産業という意識も持っておるわけでございます。  そこで、この機械情報産業、機械と情報産業のうちの情報産業とは何だという問題になりますが、これにつきましては、率直に申し上げまして、コンピューター、つまり情報を処理するためのハードウエアと、その情報を処理すべき方法としてのソフトウエア、これを両方包含したものではなかろうか、かように考えておるところでございます。  それから、御質問の第二点でございますが、情報産業という概念が現在IPA法の中に示されておるわけでございますけれども、このほかに、郵政省でおつくりになりました公衆電気通信法がございまして、ここにデータ通信という概念が出てまいっておりまして、これも広い意味での情報産業になろうか、かように思う次第でございます。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
  169. 宮田早苗

    ○宮田委員 情報産業ではハード、ソフトウエアと情報サービス、それからオンラインサービスが密接不可分なものといたしますならば、国家行政組織法上、情情処理に対する行政所管庁、これはどこになるものか、お聞きをします。
  170. 森山信吾

    森山(信)政府委員 国家行政組織法上どこの所属になるかという問題につきましては、なかなかむずかしい問題があるわけでございます。私どもは、IPA法の所管の役所であるという立場からいたしまして、そういった面での情報産業に対する取り組み方をいたしておりますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、データ通信——郵政省はデータ通信と言っておられますし、私どもはオンライン情報サービスという観念でとらまえておりますけれども、公衆電気通信法の中にデータ通信の規定がございますので、その意味におきましては郵政省がデータ通信を管理しておられるわけでございます。  ただ、いま申し上げましたとおり、データ通信につきましてはオンライン情報処理という側面もございますので、その側面から見ますと、私どもといたしましてもこれに対して十分取り組みをしていくべき性格の産業ではないか、かように考えておるわけでございます。
  171. 宮田早苗

    ○宮田委員 実は最近の参議院の逓信委員会でも、郵政省の答弁として明確な発言を避けておるわけでございまして、ただいまも質問にお答え願ったわけですけれども、どうも不明確なような傾向でございまして、明確でないとするならば、内閣法の第七条ですか、総理大臣が裁決すべきだというふうにも思われるわけですけれども、その点はどうですか。
  172. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いわゆるオンライン情報サービス業というものをいずれかの官庁で統一的に処理をするということになりますと、この産業の性格上、若干問題があるのではないかと私どもは考えるわけでございます。と申しますのは、オンラインの情報サービスは、情報処理という面から見ますと、確かに情報産業を担当している部局でお世話するのが適当だと思いますし、これを通信回線という観点から見ますと、通信回線を所管しておられる役所でお世話をされるのが妥当ではなかろうかということでございまして、新しく生まれ出てきましたこういう形の産業が複雑な要素から成り立っているということを考えますと、どちらの面もその性格を否定できないということもございますので、要は、こういったオンライン情報処理をやっておられる方々に御迷惑がかからないような形で政策を推進することが必要ではないか、こういう観点から、私どもといたしましては、この産業の振興策につきましては、郵政省と十分協議を重ねて、両々相まって政策を遂行してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  173. 宮田早苗

    ○宮田委員 本法は産業政策一つだ、こう思います。ところが、一般に申します情報産業の内容からいいますと、本法ができることによって公衆電気通信法による通信政策とリンクしてまいると思います。しかし、現実には総合的に所管する法律もなければ、所管官庁も明確でないわけであります。  私ども民社党は、このような不備を正して、またあわせて企業、個人を問わず情報のプライバシーを守るためにも、情報処理に関する基本法の制定を提唱してまいったわけであります。たとえば過ぐる五十一年の秋の参議院の逓信委員会で、わが党の木島議員のこの提案に対しまして、当時の三木総理が、情報処理基本法は約一年後を目途に政府案を成案したい、こういう旨の言明をされたわけでありまして、このことは通産省としても御承知とは思いますが、産業政策と通信政策の法制上の整合性に関しましてどうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
  174. 森山信吾

    森山(信)政府委員 通信政策産業政策整合性の問題につきましては、基本的には、私どもといたしまして、先ほどお答え申し上げましたとおり、通信政策を担当されております郵政省及び産業政策を担当いたしております通産省との間で十分なる意見の交換を行いまして、その調整を図っていくべきだ、かように考えておるわけでございます。  そこで、最初に宮田先生からお示しのございました情報基本法の問題になろうかと思います。私どもも、情報問題に関しまして所管をいたしております役所の一員といたしまして、情報の基本的な法律の必要性はつとに痛感をしておるところでございます。たまたま今回、産業振興の立場から機情法という法案を提案させていただいておるわけでございますけれども、この法律をもってのみ情報産業を律するということはできないことは重々承知いたしておるわけでございます。情報化問題といいますものは、先生もよく御理解しておられるとおり、産業面に限らず、社会生活あるいは国際間の交流問題も含めまして非常に幅広い問題であります。したがいまして、私どもといたしましても、こういった情報産業の振興という観点にとどまらずに、より広い立場で情報問題を処理するような法律というものがつくられることを、所管の官庁の一員といたしましてこいねがっておるわけでございます。  ただし、この問題は、ちょっと先生お触れになりましたように、プライバシーの保護の問題あるいはデータの秘密保持、こういう問題等もございまして、なかなか一律に問題を処理することのできない複雑な問題をはらんでいるわけでございます。そこで、関係各省大変多くあるわけでございますので、関係各省間で話し合いを十分やっていかなくちゃならぬだろう、こういう問題意識を持っておりますし、特にIPA法が制定されましたときに当院の附帯決議にも、情報化基本法の制定について努めること、こういう附帯決議もいただいておりますので、そういう問題意識を持ちながら、できるだけ早くそういう方向に進めるような努力は今後とも続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  175. 宮田早苗

    ○宮田委員 本法の最初の日の質疑の際に、武部委員情報処理サービス業も含めた情報産業振興の基本法をつくるための審議会設置、こういう趣旨の質問に対しまして、大臣は、検討したい、こういう旨の発言をされたわけですが、この点ちょっと確認をしておきたいと思いますが、間違いございませんか。
  176. 森山信吾

    森山(信)政府委員 おっしゃるとおりでございまして、私どもといたしましても、先ほどお答え申し上げました情報化基本法の問題の一環といたしまして、こういった問題の取り扱いをどこかの場で統一的に議論できるような組織というものをつくってみたい。ただ、これは私ども関係する官庁の一員でございますので、私どものみでおつくり申し上げますというお約束はできませんので、関係官庁の一員としてそういう方向へ努力をするということを大臣として御答弁申し上げたわけでございますし、事務方といたしましても、そういう大臣答弁を受けまして努力をしてみたい、かように考えておるわけでございます。
  177. 宮田早苗

    ○宮田委員 そうしますと、なぜ処理サービス業を含めた振興のための基本法が必要なのかという疑問がここで出てくるのじゃないか、こう思うのです。従前の機電法とこれにかわる機情法、この機情法では処理サービス業を高度化計画指定業種から外しておるわけですが、予算面からは育成策が講じられているのですから、この原案に情報処理サービス業を加える議論をするのならわかるわけですけれども、審議会を設置して云々は、そういう面からするとちょっと理解しにくい、こう私は思うのですが、その点どうですか。
  178. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいまの御議論は、私どもの理解といたしまして、情報産業に関する一般的な振興法、現在御審議いただいております機情法案は、振興法だと思っておるわけでございます。情報産業に関しまして振興法の面だけでは済まない問題があるのではないか、情報化の基本問題に関する一環といたしましてその問題を取り上げる必要もあるのではないかということでございまして、そういう観点に立ちますと、私ども政府側といたしましてもつとにその必要性は痛感しておるわけでございます。したがいまして、しかるべき場におきまして、共通の場におきましてそういう問題を議論できるような、そういうメカニズムをつくる必要は大いにあるのではないか、こういうことで、大臣及び私といたしましても、そういう方向で努力するというお答えを申し上げた次第でございます。
  179. 宮田早苗

    ○宮田委員 非常にここは重要な問題だと思いますので、もう一遍確認をさせていただきたいと思いますが、情報処理基本法制定のため検討をするということでよろしいですね。情報処理基本法制定のために考えておるのだということでよろしいですね。
  180. 森山信吾

    森山(信)政府委員 問題意識といたしましては、情報化基本法に関する問題を共通的に議論をする場ということでございますが、情報化の基本に関する問題というものがどういう範疇のものを指すかという議論もあろうかと思いますので、そういう問題も含めまして検討をする場というふうに御理解を賜りたいと思います。
  181. 宮田早苗

    ○宮田委員 機械情報産業界から、産業育成、それから助成方の陳情が非常にたくさん来ておるわけでございますが、これらの業界が今後のわが国情報化にとって重要な役割りを背負っていくわけですが、政府は、基本的な制度と申しますか、原則を明確にしておくべきだと思います。  その一つは、国内業界といいますか、民族系業者の保護育成を基本とすることでございます。二つ目は、わが国の通信政策の一元的運用という現行公衆電気通信法の精神の維持であると思いますし、秘密の保護はまして明確にしておく必要があると思います。その点、一応お伺いします。
  182. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、お尋ねの第一点の情報産業振興のビヘービアが国内情報産業の振興にある、これは当然のことでございまして、こういう国際化が進展しておる世の中におきまして、特段に国内業界の方々の保護をするということがどうかという御批判も一部にはあるわけでございます。しかしながら、事、情報産業に関して申し上げますならば、依然として欧米、特にアメリカとの経営格差と申しましょうか、情報産業に関します経営格差あるいは技術格差というものは大きいわけでございますので、その点に配慮いたしまして、情報産業につきましては十分なる配慮をやってまいりたい、かように考える次第でございます。  それから、第二点の通信政策の一元化の問題につきましては、公衆電気通信法等で規律が行われておるわけでございまして、一応通信回線の開放体制はできておるわけでございます。しかしながら、コストの問題になりますといろいろ微妙な問題もございますので、民間の情報処理サービス業の方々ができるだけ安い価格で通信回線の利用ができるようなことを、私どもとしても望んでおるという状況でございます。
  183. 宮田早苗

    ○宮田委員 機情法のこの案が成立しましても、その運用についてはいろいろ問題点があるのじゃないかと思います。明確な政府の方針ができるまで慎重な運用を特にお願いしなければならぬと思いますが、運用問題について局長の御意見を聞かしていただきたいと思います。
  184. 森山信吾

    森山(信)政府委員 幸いにいたしまして本法案を成立さしていただきますならば、一応のメカニズムといたしまして、まず指定の機種を決めるわけでございます。それから、それに従いましてそれぞれ高度化計画というものを策定するわけでございますし、また、必要に応じてその他の行政的な措置も講じてまいるわけでございます。これは御指摘のとおり、いかに運用するかということがきわめて大きな問題になってこようかと思います。  そこで、私どもといたしましては、できるだけ多くの方々の御意見を拝聴しながら政策を進めていく、こういう考え方をとっておりまして、法律の中にも規定いたしておりますが、航空機・機械工業審議会におきまして必要な事項につきましては十分なる御意見を拝聴したいということでございますし、そういった審議会の構成もできるだけ幅広い構成をいたしまして、広く各界から御意見をいただく、こういうようなかっこうで運営を図ってまいりたいと思うわけでございます。  さらに、一たん決めましたことをフォローアップするということが、また運用上必要なことになってくるのではないかということでございまして、たとえば高度化計画等につきましては、その進捗状況を定期的にいま申し上げました審議会等に御報告申し上げる、こういう形もとりたいと思っておりますし、あるいはアウトサイダー規制命令その他共同行為の実施等に関しましては十分御意見を拝聴する、こういうメカニズムを打ち上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
  185. 宮田早苗

    ○宮田委員 それでは、将来性のあります個別の業種についてお聞きしたいわけですが、航空機、コンピューターの二業種について施策と展望をひとつお示し願いたいと思います。
  186. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま宮田先生から、代表的な産業として航空機産業コンピューター産業というものが御提示になりましたので、この二つの産業につきまして私どもの基本的な考え方をお答え申し上げたいと存じます。  まず航空機につきましては、航空機、コンピューターともに次の世代を担う産業の中核になるものである、私どもこういう基本認識を持っておるわけでございます。  そこで、航空機産業現状を見ますと、現在売上高で約二千五百億程度でございまして、アメリカに比べましても二十分の一という大変ひ弱な状態にあるのが現状でなかろうかと思うわけでございます。そこで、政府といたしましては、少しでも航空機産業をレベルアップさせるために、昭和四十八年以来いわゆるYX計画というものを中心施策を進めてまいったわけでございますが、幸いにいたしまして、昨年の十二月に一応の暫定協定を結ぶ段階になりまして、いま着々と進行中でございまして、恐らくことしの夏には最終的なプログラムコントラクトが結べる状況になるのではないか、かように考えておるわけでございます。  現在の日本の航空機産業は、何といいましても防衛庁依存型でございまして、約九割が防衛庁に依存しておるということでございます。この防衛庁依存型を少しでも少なくしたいという観点から、いま申し上げましたYX計画を進行させておりますけれども、幸いにいま申し上げたような状況になっておりまして、恐らくことしの夏にはいよいよ着手できるという段階になるのではないか、かように考えておる次第でございます。  それから、コンピューターにつきましては、IBMというガリバー型の巨大資本がございまして、全世界におきまして約六割のシェアを占めるに至っております。私どもといたしましては、国産のコンピューターが、先ほど申し上げましたように、次の世代の日本の経済を支える基盤となるべき中核的な産業だという問題意識から、これに対しまして十分なる育成強化策をとってまいったわけでございます。特に三七〇対抗シリーズというものにつきましては、御承知のとおり三グループに分けましてそれぞれの開発を助成してまいったわけでございまして、幸いにいたしまして、三つのグループともそれぞれ三七〇対抗のシリーズの開発に成功したわけでございます。  ところが、コンピューターは、御承知のとおり常に技術革新が日々新たなものがあるわけでございますので、三七〇対抗シリーズが成功したからといって決して安閑としておれる性格のものではございません。現にIBMにおきましては、近くいわゆるFSと称するものが生産を開始しようという段階にも至っておりますので、日本におきましてもそれに対抗できるような新しい機種開発に重点を置いていかなくちゃならぬ、こういう観点から、現在FSの中核となるべき超LSIにつきまして、二グループに分けまして共同研究をやっていただいているという段階でございまして、五十四年度で一応その開発が終わるわけでございますけれども、幸いにいたしまして開発が成功いたしますれば、十分なるFS対抗機種が生まれてくるのではないか、こういう期待を持って業界指導し、育成をしておる、こういうことが現状でございます。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの御答弁関連をいたしまして、コンピューター問題をさらに二、三点お伺いをしたいわけです。  情報処理サービス業の高度化計画対象のこの問題については先ほど取り上げたわけですが、このサービス業とソフトウエア業の業況と将来の市場予測、この問題について御説明をお願いしたいわけです。
  188. 森山信吾

    森山(信)政府委員 情報サービス業の現況からお答えを申し上げたいと存じます。  通産省が行いました昭和五十一年度の特定サービス業実態調査報告によりますと、企業数が一千十社ございまして、売上高は三千七十億あるわけでございます。情報処理業は典型的な省資源、知識集約型の産業でございまして、今後ともわが国産業構造の中核を担う産業として、その発展が期待されておるところでございます。  そこで、一応の将来予測といたしまして、昭和五十一年六月に行われました産業構造審議会情報産業部会では、昭和六十年の当該事業のマーケット規模は一兆三千億に達するものというふうに予測をしておるわけでございまして、現在の三千億から急速な発展が期待されている、こういう状況でございます。
  189. 宮田早苗

    ○宮田委員 サービス業とソフトウエア業、この両業種とも現状では中小企業が過半数を占めておるのじゃないか、過当競争状態にあると思うのですが、業界の再編を含めて、経営基盤の弱い中小企業対策、これをどう進めようとお考えか、この点もお聞きをします。
  190. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、現時点におきまして情報サービス業に従事しておられる企業が約一千社あるわけでございまして、資本的に見ましても中小企業の方々が大変多いというわけでございます。  そこで、全般的にこういう方々のレベルアップを図るという施策を行いますと同時に、並行的にいかに体系的に業界全体のレベルアップを図るか、こういう施策を講ずる必要もあるのではないか、こういうことを考えまして協同システム開発株式会社という組織をつくったわけでございます。これは加盟の会社が十七社ございまして、この十七社の下にそれぞれ系列の企業がございます。そういったピラミッド型の体系というものを現在つくり上げておるわけでございます。もちろん、こういった体系的な産業構造にすることが果たして一番末端のいわゆる零細企業の方々にハッピーかどうかという問題もございますので、先ほど申し上げましたとおり、オーバーオールな政策というものは当然やっていかなければならないと思いますし、それと並行的にいま申し上げました体系的な政策というものも考えていかなければならぬ、こういう二面性を持った政策というものを現在遂行しておる、こういう現状でございます。
  191. 宮田早苗

    ○宮田委員 ハードウエア部門、それにソフト情報処理サービス、それぞれの業界に対する試験研究、開発体制は、十分と言わないまでもシステム化、共同化が行われているわけですが、肝心の電算機メーカーの生産、販売面での共同化といいますか、再編成問題の必要性が叫ばれて久しいわけですが、政府指導あるいは業界現状、これはどうなっておりますか。御説明願いたいと思います。
  192. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは情報サービス業でございまして、ただいまの御指摘はハードウエアの方の再編の問題ではないかと、こういうふうに了解いたしますので、そういう点に重点を置きましてお答えを申し上げたいと存じます。  コンピューターメーカーは、御承知のとおり六社あるわけでございまして、先ほどお答え申し上げましたIBMの三七〇対抗シリーズにチャレンジするといいましょうか、そういったケースにおきましては、この六社を三グループにしたわけでございまして、それぞれの会社が相提携しながらグループ活動を営んでまいったということでございます。したがって六社体制から三グループ体制にいったというのが昭和五十年代の初めと申しましょうか、それで昭和五十年に一応の開発を見たわけでございますけれども、その後、次の世代のコンピューターという問題が起こってまいりまして、これはFSでございますが、そのFSに対抗する新しいコンピューターをつくるための組織といたしまして三グループがいいのかどうかという問題の検討をいたしました結果、これはやはり三グループではちょっと数が多いのではないかという問題意識もございまして、いまのところは二グループで超LSIの研究開発を行っておるわけでございます。したがいまして、現在のところ、この二グループ体制で次の世代のいわゆるFS対抗機に取り組むというのが業界現状ではないか、かように考えておる次第でございます。
  193. 宮田早苗

    ○宮田委員 中小企業者が機械を購入する際の金融、それから税制措置による助成を一層強化すべきではないかという要望が非常に強いわけですけれども、それと高度化計画策定後の実施状況について行政面のフォローをしてほしいというのがこれまでの構造改善事業等でも指摘されていることなのでございまして、十分注意していただきたいと思うのですけれども、この中小企業に対する助成ということに対しましてのお考え、何かありましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  194. 森山信吾

    森山(信)政府委員 中小企業をめぐる現下の経営環境の厳しさという点にかんがみまして、政府といたしましても、中小企業の経営の安定を図るために金融、税制面を初めとする各種の助成措置を講じておることは、先生も御承知のところでございます。  中小企業の方が機械の購入を行われるに際しまして私どもがとっております具体的な助成措置といたしましては、まず金融面につきましては、政府系金融三機関による低利融資の制度がございます。それから、中小企業信用保証協会等による信用補完制度がございます。さらには、中小企業設備近代化資金等の貸付制度がございます。  次に、税制面で申し上げますと、中小企業者の取得する取得価格七十万円以上の機械装置に対します特別償却制度の措置を講じておるところでございます。  これらの措置の強化につきましては、たとえば昨年四月以降の金融緩和に伴いまして、政府系中小企業金融三機関の新規貸出金利を大幅に引き下げたわけでございます。さらに、昭和五十三年度におきまして、投資促進税制による税額控除措置が講じられるようになったという点がございます。  なお、当省といたしましては、先ほど先生から御指摘のございましたように、中小企業の方々が機械の購入が非常にしやすくなるような方法につきましては今後とも努力を傾注してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  195. 宮田早苗

    ○宮田委員 所管が違いますので、局長お答えしにくいと思いますが、局長としてのお考えを聞かしていただきたいことは、指示カルテル関係について具体的にどういうものを対象としておられるかということと、もう一つは、アウトサイダーの規制は機電法それから機振法では発動されていないわけでございまして、こういう経過を考えますと、果たして必要なのかどうかということなんでございますが、お答えできればお答え願いたいと思います。
  196. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の指示カルテルの対象はどういうものを考えているかということでございますが、現段階でこういうものがあるということをお答えするのは大変むずかしいわけでございますけれども、せっかくの御質問でございますので、一応これは予測ということでお聞き取りいただきたいと思うわけでございます。  規格の制限につきましては、たとえば機械刃物でございますとか特殊鋼の工具、そういったものが考えられるのではないか、こう思っております。それから、品種の制限に関するものといたしましてはベアリングが予想されるのではないか、こういうことでございます。さらに、技術の制限あるいは生産施設の利用にかかわる共同行為につきましては、当面直ちに予定されておるものはないわけでございますけれども、今後いろいろと検討してまいりたい、かように存ずる次第でございます。  お尋ねの第二点のアウトサイダー規制命令をかけたこともないのに今回また法律に書くのはおかしいではないか、こういう御質問でございますが、まあ法律の規定というものは、できるだけ発動しなければしないにこしたことはないというふうに考えるわけでございます。ただ、従来、昭和三十六年機振法の改正の際にアウトサイダー規制命令を入れさせていただいたことが、結果的に大変業界の協調体制に役立ったということもございます。そこで、機振法から機電法に変わりました際にもその規定を入れさせていただきまして、いわば規定としてございますけれども、なかなかその規定を発動するに至らなかった。それはそれなりの効果があったということでございまして、いま申し上げましたとおり、昭和三十六年の機振法以来アウトサイダー規制命令というのが入っておりますので、それなりの業界の協調体制に対する一つのプレッシャーといいましょうか、役には立っておるのではないかということでございまして、今回も特に発動を喜んでするという考え方ではなくて、それによりまして業界の協調体制がより促進されるような意味でこの規定を置いてみたい、こういうことでございます。  もちろん、こういうことを発動すべき要件がございますれば、法律の規定でございますので発動するわけでございますが、冒頭に申し上げましたとおり、法律の規定というものは必ずしも全部発動する必要はないのではないか、こういう観点で運用を図ってみたい、かように存ずる次第でございます。
  197. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後にお聞きしておきたいことは、昨日の参考人の意見の中でいろいろ強調されたことなんですが、高度化計画の策定に当たっては労働者の意見を反映させるべきだ、このことについてが一つと、もう一つは、高齢化、高学歴化に本法はどう対処するか、この二つについてお考えをお聞かせ願いたい。
  198. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず第一点の審議会に労働関係の方々の代表を参加させたらどうかという点につきましては、私どもも全くその必要があるというふうに考えております。先ほど来お答え申し上げておりますとおり、この法案を成立させていただきました暁には、高度化計画を含めまして各種の問題を航空機・機械工業審議会にお諮りするわけでございます。そこでできるだけ幅広い方々の御意見を拝聴しながらコンセンサスというものを形成していきたいということでございますし、そういった審議会の場にしかるべき方法でそういう方々の御意見が反映できるようなシステムということは、私ども当然考えていかなくてはならぬ問題ではないかと思うわけでございます。  それから、お尋ねの第二点の高学歴化、高齢化の問題に対処するために本法案はどう考えるかという問題につきましては、そもそも基本的に今度の機情法を発案いたしました背景といたしまして、社会、経済情勢の変化があるということを先ほど申し上げました。その一つ労働力の高学歴化、高齢化という問題がございます。したがいまして、そういった方々の職場というものをできるだけ多く確保するという観点を考えますと、たとえば非常にダーティーな作業とされておりますようなところに対しましては、機械あるいはシステムというものを適用していくような政策をとりますし、それから、労働環境というものの向上を図ることによりまして、学歴の高い方の取り扱いあるいは年齢の高い方の取り扱いというものがまた必然的に確保できてくるのではないか、そういう問題意識がございますので、そもそも労働力の高学歴化、高齢化の問題が今度の法案の発想の一つの大きな要因になっているということを御理解賜りまして、私どもといたしましてはそういう考え方のもとにこの法案の遂行に当たってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  199. 宮田早苗

    ○宮田委員 終わります。
  200. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。  午後六時五十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後五時四十八分休憩      ————◇—————     午後七時十一分開議
  201. 野呂恭一

    野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  特定機械情報産業振興臨時措置法案につきましては、休憩前に質疑を終了いたしております。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  特定機械情報産業振興臨時措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  202. 野呂恭一

    野呂委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  203. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、本案に対し、山崎拓君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺三郎君。
  204. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 提案者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    特定機械情報産業振興臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 機械情報産業の振興を図る上で、導入技術依存から脱却して自主技術の研究開発を推進することが極めて重要であることにかんがみ、産業における技術開発意欲の増進、研究投資の拡大、促進等について強力に指導するとともに、技術開発に対する助成及び金融、税制上の措置並びに政府の研究開発プロジェクトの拡充強化を図ること。  二 情報産業が経済社会に及ぼす影響の重大性及びこれをとりまく客観情勢の厳しさを認識し、国全体としての大局的観点から、情報産業のあり方及びその発展方向について、広範な各界の意見を聴いて検討する場を設け、速やかにこれに関する基本政策を策定するよう努めること。    なお、基本政策の立案に際しては、情報の民主的かつ平和的利用、国民に対する公開及び基本的人権の保障の諸点に留意すること。  三 民間情報処理サービス業は極めて未成熟な分野であることにかんがみ、積極的に育成強化を図ること。  四 ソフトウエア業の経営基盤及び資金調達力の強化を図るとともに、関係従事者の労働条件の安定向上及び福祉の増進を図ること。  五 ソフトウエア業技術に対する評価が必ずしも適正に行われていない現状にかんがみ、官公需発注の際その点に留意する等、適正な評価慣行の確立に努めるとともに、ソフトウエアの流通の促進を図ること。  六 高度化計画の策定及びその実施にあたつては、特定機械情報産業労働組合代表等関係者の意見が十分に反映されるようにするため、航空機・機械工業審議会及びその分科会等のあり方を検討すること。  七 高度化計画の実施により、中小企業の体質強化並びにその経営の安定及び労働条件向上と雇用の安定が図られるよう特に配慮すること。 以上でございます。  附帯決議の各項目につきましては、委員会審議及び案文を通じ十分御理解いただけるものと存じます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  205. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  206. 野呂恭一

    野呂委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  207. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいま御決定になりました御決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして今後行政を進めてまいりたいと思います。     —————————————
  208. 野呂恭一

    野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  210. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る五月九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十五分散会