○澤野
政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、本日は二百十九円四十銭、午後の寄りつきがその
程度であるわけでございまして、この二月末から四月の上旬にかけて見られますような
円高の傾向といったものが今後もし一層強まるというようなことでございまするとすれば、これは
消費者のマインドとか
企業家のマインド、そういったものにかなりの影響があるのではなかろうかと思っておるわけでございます。したがいまして、それが
経済活動そのものに響いてくるということは理論的に申せるわけでございます。
しかしながら、最近私
どもが
経済情勢といったものを
判断いたしておりますところによりますと、今回のこの
円高の傾向と申しますのは、昨年の秋、九月の終わりから十月、十一月にかけまして非常に急速かつ大幅に行われました
円高といったものと、かなりそれに対応する
政府のシチュエーションが違うのではなかろうか、
政府の姿勢が違うんではなかろうかと
感じておるわけでございまして、最近のように、五十二年度の一次、二次にわたる補正
予算、それからせんだって成立させていただきました五十三年度の
予算、これを含めます十五カ月
予算といったような積極的な
財政政策、それからそれに伴いますいろいろな税制の問題とか、また財政投融資等を含めました可能な限りの
施策を講ずるという
政府の積極的な姿勢、これが非常にはっきりしておるわけでございまして、その結果によりますたとえばいま先生もおっしゃいましたような
公共事業を
中心とする生産及び出荷のやや上向きの傾向、それから、もともとこういう
委員会で申し上げておりましたように、三、四月ごろには在庫調整もほぼ完了するのではなかろうかということも
数字の上でははっきりあらわれてきておりまして、先行きわりあい明るい
見通しというものが持たれておるわけでございます。
したがいまして、先般発表になりました十−十二月の
国民所得統計速報、いわゆるQEでございますけれ
ども、これが一・〇%という実質
成長率を示しておりまして、これのその後の
経済の動きをながめておりますと、
消費関係に対する指標の
一つの根拠になりますところの毎月勤労統計における実質の所得、すなわちこれが実質の
消費に影響するわけでございますけれ
ども、これがかなり力強い伸びを示しておるということ、たとえば一月には五・三、二月は四・八だったかと思いますけれ
ども、そういう
数字が出てきておるということ、それから家計
調査におきましても、やはり実質面でなかなかいい
数字が出てきておるといったようなことで、
消費の動向も一−三月はかなりいい動きが出てくるのではないかと思っておるわけでございます。
また、
民間住宅、これも非常に大きなアイテムでございますけれ
ども、この
民間住宅におきましても、先日発表になりました新規着工の戸数で申しますれば、二月が前年同月比一〇%以上という
数字を示しておりまして、これは昨年の秋以降のいわゆる住宅建設促進のいろいろな
施策の効果が出てきたものではなかろうかと思っておるわけでございまして、こういったものをも含めまして、また、せんだっての
民間の金融機関の設備
投資の
見通し、これは五十三年度についての
見通しでございますけれ
ども、その
見通しも実は
円高の前と後とを比べますと、
円高の後の方の
調査結果の方が、五十三年度の設備
投資の
見通し、主としてこれは非製造業でございますけれ
ども——製造業は必ずしも高くございません。むしろマイナスに出ておる向きがございますけれ
ども、非製造業の方では
政府見通しよりも高く出ている向きがございまして、名目の伸び率といたしまして、
政府見通しの九・九に対しまして八ないし一〇%という設備
投資の伸びを見込んでおる
民間金融機関のアンケートが発表になっておるわけでございます。
したがいまして、
政府のいま申しましたような非常に積極的な姿勢と、それから
企業マインドに及ぼす影響ということによりますと、
企業マインドに対する影響というもののマイナスの効果はそれほど大きくないのではないかといったことが、いまの設備
投資の動向の
見通しといったものから見られるわけでございまして、先ほど申しました在庫
投資とか設備
投資といったものをも合わせますと、五十三年度というものは、五十二年度の実質
成長率五・三%というものがほぼ確実に達成された上で、そういう五・三%という発射台に立っての五十三年度のスタートでございますので、決してこれはそう楽観もできませんのございますし、相当の努力は必要であるとは思いますけれ
ども、七%という実質
成長率、これを達成する軌道にまず乗ってきておるのではなかろうかと考えておるわけでございます。