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左近政府委員 御
指摘のとおり、
昭和四十二年の
法制定当時に比べますと、当時
事故件数が百六十七件という
数字が出ておりますので、大体三倍になっております。これについては、この
消費量が非常にふえたということもございますが、さらに
LPガスが便利なためにいろいろな
器具が出てきた、そういう
器具の中にはやはり
事故につながるものが出てきたという問題がございますし、あるいは家屋が密閉化されてきた、つまり風通しが非常に悪くなったというような場合、あるいは集合住宅等がふえまして密集化してきたということが
事故を起こしやすくし、また
事故の
被害の
程度を拡大しておるという点があるわけでございます。
したがいまして、私どもも、四十二年からの十
年間この
法律をやってまいりました反省に基づきまして、何とかしなければいけないということで、実は
昭和五十一年の八月に
高圧ガス及び
火薬類保安審議会という本件に関します通産省の
審議会にお諮りをいたしまして、これについてどういうふうに
解決したらいいかということを約一
年間にわたって検討していただいたわけでございます。そしてその主体はやはり
消費者の段階における
保安をどうやって
確保したらいいかということでございますので、答申としては、「
液化石油ガス消費者保安体制のあり方について」ということで御答申をいただいたわけでございます。その御答申を昨年の八月にいただきましたので、その答申に基づきまして、
法律を
改正しなくても行政措置、予算措置でやれるものは即座に実行する、それから
法律を
改正するものは
法律改正にのせるということで実は検討してまいりまして、今回の
法案を提出して御
審議をお願いすることにしたわけでございます。
したがいまして、
事故を撲滅するという
方針については、やはり
消費者の段階における
保安を厳密にするということでございますが、
消費者にこの
器具の取り扱いその他を周知徹底するということを、国、それから地方公共団体、
事業者等もやっておりますけれども、それだけではいけないので、
販売業者のいろいろな
規制を通じてそれを実現するとか、あるいは
器具の安全化を通じて実現するとか、あるいは
工事の
適正化を通じて実現するとかというふうな面でこの
法案はいろいろ配慮しております。したがいまして、われわれといたしましては、この
法案を制定させていただきますれば、従来に対して
事故は相当減るのではないかというふうに期待しております。
しかしながら、御
指摘のとおり、
消費者に対して
保安の周知徹底をするという
義務を持っております
販売業者自身も
零細でございますし、
消費者も非常に
多様化しておりますので、この
法律ができまして直ちに急激に
事故が減少するということはなかなか期待しにくいのではないかとは思います。しかしながら、この
法律でそういう
制度を決めましたならば、今後
LPガスについての
認識が
消費者においてだんだん深まることによりまして
事故は逐次減少していくというふうにわれわれは考えております。
それからもう一つ、これは
法律ではございませんで、現在の
法律の運用ということで現在考えておりますが、
LPガスの
普及に伴いまして、もう十年以上、場合によっては二十年以上たっておる
設備がございます。そういうものにつきましては、ことしの七月以降二
年間——これは現行
法律でございます
調査義務、つまり
販売業者が個々の
消費者の
家庭に行きまして、そこにある
器具を調べて、そして必要があれば改善の勧告をするという
制度がございますが、これを二
年間で徹底的にやりまして、従来あります
器具の
欠陥あるいは配管の
問題点というものを十分予防的に
調査して、そして今後の
事故の
発生を抑えたいということも考えております。したがいまして、そういうものをやりますれば、われわれとしてはこの
LPガスの
事故を逐次減らしていけるのではないかというふうに期待しております。