○中村(重)
委員 これから各論に入っていろいろ御意見を伺いたいと思っているのですが、大分時間を要しますので、ぜひ
大臣にきょうお尋ねをしておかなければならぬ点がありますからそれに移りたいと思いますけれども、ただ、私が
考えて非常に不安に思っている点として二、三挙げますと、不況と貿易をそのままにして
円高対策として
ドルの買い支えをやっているということは、問題の解決にならない。非常にマネーサプライの拡大ということになって、そのこと自体がやはりインフレを引き起こす大きな
要因になっていくのではないかという不安感というものがあるわけです。それから、
ドルの買い支え、公定歩合の引き下げ、公共事業の波及的効果というものは、そういうことでは発揮できないというように
考えている。それら雇用の問題等々、いろいろきょうはじっくり
大臣の見解も伺い、私の
考え方も申し上げたいと思っていましたが、このことはひとつ他日時間をとっていただいて、じっくり御意見を伺いたいということにいたしたいと思います。
そこで、この為替差益の還元の問題ですけれども、これは大きな世論というようになっていると私は思うのです。これだけ
円高で、そしてその
円高がいかにも悪いことだというので、これが悪魔みたいな形に批判されている。
円高は確かにデメリットというものもあるけれども、メリットというものもあるわけですね。ですから、
円高というものがマイナス
要因として循環をする。これを今度は、メリットはプラス
要因として循環させるということを
政府の
施策として強力に推進をしていかなければいけない。そのことが
経済の安定、ひいてはやはり七%成長というような方向を実現する道にもつながっていくであろう。
ところが、どうも
政府のいまやっている
施策を見ますと、場当たり的で、本当に
日本の
経済というものを、一つの将来の方向も見定めながら、当面の
短期政策は
短期政策としてこう結びつけてやっているようには感じられない。それは
宮澤長官に期待が非常に大きいと思うのですけれども、まだ御就任になって前の失敗と申しましょうか、あちこちと穴ばかりもうあいているところ、これをつくろうというようなことが大変大きな仕事になっているように実は思うのですが、たとえば
円高差益ということで公共料金
——原油はこれだけ下がっているのだから、電灯料金にしてもあるいはガス料金にしてもこれを下げるべきではないか。
それに対して、これは五十三年あるいは五十四年度据え置きにして、そしていまこれを下げるというようなことよりも、それの方がいいんではないかという確信の上に立っておられるのであろうとは思うのでありますけれども、国民感情としては納得いかないですね。やはり原価主義ですから、認可のときは原価主義によって、たしかあのときは円が二百九十九円かで試算をしてきていると思うんです。まあ二百二十円台を割るということの中で据え置きだというようなことでは納得できないんじゃないか。
これは実際は、津々浦々の電力というよりも電灯だけの世帯もあるわけですから、そういうものを平均をいたしますと、たしか二千円ぐらいと言われているわけです。それに
円高差益というものを還元をするということになりましても大した額にはならない、むしろそれを返すという手数なんというものがかかって、逆にマイナス
要因になるというようなことにでもなる点もあるかもしれないと思うんですね。
そこは具体的に御説明願わないとわからないんですけれども、しかし、国民はそこらを十分理解できるようにしてもらわないと、これだけ
円高だということになって、輸入は非常に安いものが入ってきているんだ、どうしてメリットというものをフルに活用して国民にこれを還元しないのか。いまの
円高というもの、これは企業の何といいましょうか努力によってそのメリットというものは実現をしたのではない。これは国民の共有財産なんだから、当然国民にこれを還元をしなさいということは、私はそれなりに理解をしなければならないし、できるだけそういった方向に沿って国民の納得を得られるような
施策を講じていく必要があるのであろう、こういうように思うのですが、そこらの
大臣の御見解はいかがなんですか。