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1978-03-30 第84回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月三十日(木曜日)     午後二時四十四分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       小川 平二君    鹿野 道彦君       島村 宜伸君    田中 正巳君       辻  英雄君    楢橋  進君       西銘 順治君    橋口  隆君       松永  光君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    中村 重光君       長田 武士君    玉城 栄一君       二見 伸明君    荒木  宏君       大成 正雄君  出席政府委員         通商産業省産業         政策局長    濃野  滋君  委員外出席者         通商産業省生活         産業局原料紡績         課長      篠島 義明君         中小企業庁計画         部金融課長   松尾 成美君         日本開発銀行総         裁       吉岡 英一君         参  考  人         (日本造船協力         事業者団体連合         会会長)    宇野信次郎君         参  考  人         (平電炉普通鋼         協議会会長) 近藤  暾君         参  考  人         (日本造船工業         会会長)    真藤  恒君         参  考  人         (日本化学繊維         協会会長)   宮崎  輝君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 三月三十日  辞任         補欠選任   西中  清君     二見 伸明君   工藤  晃君     荒木  宏君 同日  辞任         補欠選任   二見 伸明君     西中  清君   荒木  宏君     工藤  晃君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定不況産業安定臨時措置法案内閣提出第三  八号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定不況産業安定臨時措置法案を議題といたします。  本日は、参考人として日本造船協力事業者団体連合会会長宇野信次郎君、平電炉普通鋼協議会会長近藤暾君日本造船工業会会長真藤恒君、日本化学繊維協会会長宮崎輝君、以上の四名の方々の御出席を願っております。また、日本開発銀行総裁吉岡英一君が御出席になっております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  本委員会におきましては、目下特定不況産業安定臨時措置法案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査参考にいたしたいと存じております。  なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に委員質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。  それでは、まず宇野参考人お願いいたします。
  3. 宇野信次郎

    宇野参考人 時間の関係上ごく簡単に意見を申し述べさせていただきます。  当会は、加盟団体六十一、それに所属します中小企業事業所が二千、これの所属従業員が約七万というような組織でございますが、最近の造船不況で、加盟団体の数はふえておりますが、所属従業員の数はかなり減っておる状態でございます。  この際に、われわれ主として造船業下請業者として、委員諸氏にぜひお願いをしたい点があります。  それは、われわれの置かれておる立場、これは後ほど造船工業会会長の述べられる立場とは多少異にしております。ということは、業界としてはほとんど同じ利害関係にありますが、その業界の中で、これは内ゲバではありませんが、いわゆる下請関係立場から率直に言いますと、造船不況によって一番大きな被害を受けているわけなんです。これは現在の社会構造上やむを得ないということに判断されるかもわかりませんが、かつての造船業は、進水までは大変忙しい。しかし、進水が終わればほとんど従業員は減るという浮き沈みの大変激しい事業でありましたが、戦後の二十数年にわたっての造船復興についてはほとんど定着性を持った事業所であり、また従業員である。この点でわれわれが特に委員諸氏お願いしておきたいことは、いわゆる下請という立場が二十数年にわたって定着してきた。仕事量についても、あるいは逆に従業員についても、造船ピークに際してかなりの上昇率を示していた。そしてその上昇率によって造船工業に寄与してきましたが、一朝オイルショックに見舞われますと、一番初めに被害を受けるような結果になっております。  といって、われわれとしましては、この現状において、いつも申し上げまするが、ないそでは振れない。元請に仕事がないのに出せというわけにいきませんから、まずわれわれが仕事をつくる。そういう点でいろいろの意見運輸省にもお願いして、五十一年度に三百万円足らずのわずかな予算でしたが、新事業開発委員会を発足してもらったのでありますが、結果的にはこの新規開発解撤事業以外にはない、こういう結論になったわけであります。したがいまして、われわれは、過去三年にわたり造船不況解撤事業、要するに余剰の多い船舶を解体し、そして新造船を呼び起こすという前提のもとに、解撤事業に取り組んできたのであります。  しかしながら、御承知のように、この解撤事業から発生する回収材、いわゆるスクラップ、これの値下がりが激しいために、あるいはまたこのスクラップというものの乱高下のために、いわゆる解撤事業というものは、元請企業としてはリスクが多い仕事として手をつけなかったわけであります。それで自然と、われわれ資力のない、あるいはまたいろいろの点におけるそういう処理機関を持たない下請においてはなかなか成果を得ることは困難だった。  したがいまして、われわれは、解撤事業をやる前に絶対条件として、元請の協力なくしては解撤事業はでき得ない。元請と協力し、これはいまでも手をつけてくれませんが、元請の方で買船をし、その解撤材の処分をする、下請はその工事だけをやらしてもらう、これが当初から一貫した目的でありました。しかしながら、解撤事業というものはリスクの多い割りにうまみのない、少なくとも新造船のようなうまみのない仕事でありますから、これはなかなか進展しなかったわけです。したがって、これを進行させるには、できるだけリスクを少なくする政府の方の助成がなくては、これは元請に求めてもとうていでき得ない現状であります。協力にも限度がある状態でございます。  結論的には、一つの新しい設備を持った造船所にわれわれが解撤作業協力を求めても進展はしないけれども、最近小型船舶工業会では解撤事業をぜひやりたいというようなことも先般自民党の会議で聞きましたので、今後は特定の場合、中造工ないしは小型船舶工業会人たちとタイアップして解撤事業を進めていきたいというように構想も変化しかけております。  これに対しては、もちろん資力のない小型船舶あるいは下請企業に対して何とかしていわゆる政府の方の一つ援助を得なければなかなか事業としては成功できない。  それからもう一つは、その回収の資材であるスクラップ備蓄をひとつ国の力でやっていただきたい。そうしてまず回収の大部分を占めるスクラップのいわゆる備蓄価格というものを安定することによって、この解撤事業の採算がいろいろの点において基礎を持つことになります。  われわれとしましては、いまの解撤に対する政府助成、それから備蓄の問題についても財政的な面から御援助お願いしたい。  時間がありませんので、細かい点につきましてはわれわれの方から出しました資料によって御質問なりがあれば詳しく説明いたしたいと思いますが、まず、先般二月十三日にわれわれの中から各党にお願いしました、資料一号の「造船不況克服に関する要請」、このうちの石油洋上備蓄の問題、あるいはタンカー専用バラストタンク問題船舶スクラップ・アンド・ビルドの問題、あるいは官公庁船建造問題等、五項目要請をし、同時に、この実現を一日千秋の思いで待っておるわけです。  要点は、いまの下請の維持には、やはり元請企業に対する工事の増加、それが流れてくるということと、その期間を直ちにやれる解撤事業によって補いたい。これは、現在政府でももてあまされておるドル、これを使われて外航船でも何でも買っていただいて、まず買船願えた船をわれわれで解撤する。いろいろな項目は出ておりますが、一番早いのはこの解撤事業ではないか。また、もてあましぎみと言っては失礼ですが、あり余っているドルを、ドル減らしのためにも大いに活用されて、この買船を至急やっていただきたい、ぜひこれをお願いしまして、一応私のごあいさつを終わりたいと思います。
  4. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、近藤参考人お願いいたします。
  5. 近藤暾

    近藤参考人 近藤でございます。平電炉普通鋼を代表いたしまして、本法案につきましての要望を申し上げたく存じます。  その前に、平電炉はまる三年不況下に置かれておるわけでございまして、昭和五十年にこの業界が膨大な需給ギャップを抱え、構造不況であるということの認識を得たわけでございます。そのときから、平電炉業の将来につきまして構造改善はやらなければならないということで、業界といたしましてその計画案をつくりました。いわゆる平電炉白書というものでございますが、それをその後通産省にも答申いたしまして、通産省さんといたしましていわゆる基本問題研究会というものをおつくりいただきまして、平電炉構造改善についての報告書をちょうだいしたわけでございます。  その要点は、第一は、これだけの需給ギャップがあるのであるから、需給のバランスがとれるまで新増設はする必要はない。それから第二は、その需給ギャップは年間三百三十万トンありますから、その三百三十万トン能力に値する製鋼設備廃却しなさい。第三は、その間の応対策として、業界としては生産調整を行うべしという三つでございます。  実は、この三つ条件が今回の構造不況法案に盛り込まれておるわけでございまして、私ども、三年間かかって、この構造不況法案成立いたしますることを心から期待いたしておったわけでございます。  それで、先般今回の特定不況産業臨時措置法内容が発表されたわけでございますが、一番最初原案が発表されました時点におきまして、平電炉普通鋼協議会理事会を二度開催いたしました。ところが、その法案内容を拝見いたしまして、賛否両論があったわけでございます。結果的には反対が六社でございますが、賛成が五十社でございまして、圧倒的多数でこの法案成立を支持するということに相なったわけでございます。  それで御参考までに、反対する者の意見といたしましては、この法案内容統制経済的色彩が濃厚であり、自由主義の根幹を揺るがすものである。さらに具体的な条項の反対意見といたしましては、いわゆる指示カルテル財産権制限違憲性が強いから削除せよとか、設備新設等制限にかかわるアウトサイダー規制は、健全な企業体質をも弱体化させ、産業界の正常な発展を阻害するというものでございました。したがって、この法制化信用基金だけを中心としたものにせよというのがその反対の論点でございます。  一方、賛成いたしました五十社、つまりわれわれ業界のほとんどの意見でございますが、自由経済の堅持は当然のことながらも、経済的事情の変化のもとには共同行為も必要というものであります。法案内容をよく検討いたしますと、先ほど私が申し上げましたように、通産省の平電炉基本問題研究会の答申にありましたような御提言の立法化にほかなりませんので、これを一層確実にするものであるという理解をしたわけでございます。  したがって、平電炉業界といたしましては、ほとんどの企業がこの法案成立賛成をいたしておるわけでございまして、すでに三百三十万トンという需給ギャップに値する製鋼能力昭和五十三年度中、つまり五十四年の三月までにこれを処理しようというコンセンサスを得ておるわけでございます。  ところが、今回構造不況に陥りました一つの大きな原因といたしましては、平電炉業界というのは非常に厳しい企業間の競争があるわけでございます。はっきり言いますと、なかなかコンセンサスを得にくい業界であることは残念ながら告白せざるを得ないわけでございますけれども、そういった業界におきましていわゆる過剰設備処理を強力に推進するためには、通商産業大臣による設備新設等制限にかかわる共同行為指示は不可欠であると信ずるものでございます。  さらに、設備新設等制限にかかわる共同行為を実施している場合においては、共同行為に加わらないいわゆるアウトサイダーに対しても、共同行為内容相当する制限を実施していただきたいのでございます。アウトサイダーに対する法的規制なくしては、過剰設備処理は実効を上げ得ません。したがいまして、本法案最初原案どおりアウト規制を発動できるような法案にしていただきたいことを、強く要望するものでございます。簡単に言いまして、一方で過剰設備廃却をやっておりながら、一方で新増設が行われたならば、何のための設備廃却であるかと言わざるを得ないわけでございます。  それからもう一つ、本法案の柱でございます信用基金の創設でございます。平電炉業界では、すでに昨年国庫補助金を得まして、平電炉業構造改善促進協会を設立いたしました。近くその保証業務を開始する運びになっておるわけでございますが、この設備処理に伴う必要資金は、各企業民間金融機関から借り入れるものでございます。残念ながら、ほとんどの平電炉業は膨大な累積赤字といわゆる債務オーバー状態にあるものですから、しかもこの資金が後ろ向きの資金であるがために、その借り入れが大変むずかしいのが実情でございます。そのことと、また、御融資を得ましても通常の金利をお支払いするような体質ではないわけでございますので、ぜひそういった場合の金利につきましてもいろいろ御配慮をいただきたい、さように思うわけでございます。  それから、いわゆるアウトサイダーと申しますか、本法案反対した方々がおっしゃることに一つ矛盾点があるわけでございます。それは、アウト規制はいけないということでございますが、私どもが考えておりますいわゆる設備廃却は、これは全然強制を持ったものではございません。総計で三百三十万トン製鋼能力廃却いたしますときに、これは各社の自己申告によっておるものでございます。三百三十万トンというのは、現在の能力の一六%に相当するわけでございますが、あるメーカーは三〇%あるいは四〇%の廃却申告しておるわけでございまして、またあるメーカーは全然申告しておらないわけでございます。これはあくまで自主的にやろうということでございまして、しかもその実際の廃却に要する資金は、保証はいろいろとお考えいただくにいたしましても、その企業自身が御融資を受け、そして返済も考え、また金利も払っていこう、あくまで自主ベースであるということの御理解を得たいわけでございます。したがって、反対をしておられる企業の中には、一律の廃却である、つまり全社が一六%ずつ強制的に割り当てを食って廃却をしなければならないというふうな説明をしておられますけれども、それは事実と相反するものであるということを御認識いただきたく思うわけでございます。  繰り返して申し上げますけれども、私どもはあくまで自主的に廃却しようとしているわけでございまして、その一方で新増設が行われたならば、いままで自主申告をして廃却をしようと申し出た企業も、それでは意味がないのではないかと言って廃却を中止するかもしれません。このような構造不況の時代に対処するには、やはり構造改善を行わなければならぬわけでございまして、そのような申告を中止されるようなことになりますと、せっかくの長年の努力もついえるわけでございます。  以上でございます。よろしくお願いをいたします。
  6. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、真藤参考人お願いたします。
  7. 真藤恒

    真藤参考人 造船工業会長真藤でございます。  まず、初めに、現在置かれております造船業の大体の状況を御説明申し上げて、その状況をもとにいたしまして今度の法案についての要望事項を説明いたしたいと思います。  御存じのように、オイルショック以来世界的な高度な経済成長がとまりましたために、したがって海上輸送量伸びが急激にとまって、伸びを見込んでつくっておりました船がたくさん余ったというのが現在の海運と、したがって造船不況根本原因でございます。  そういう状態で、世界の統計がはっきりいたしませんが、現在タンカーで約八千万トン前後の船が遊んでおりますし、それからタンカーでない船、いわゆるバラ積み船相当の量、二千万トンとも三千万トンとも言われておりますが、それだけの船が仕事がなくて、係船状態あるいは非常に能率の悪い稼働をしておるという状態でございます。したがって、世界的に船腹の新しい需要というものは、いま特殊な用途に使われる船以外は完全にとまっておりますし、日本造船業にとっては、かつていわゆるニクソン・ショックのときに、ドル契約をしておりまして非常に大きな為替差損を出してひどい目に遭いましたので、その後いろいろな努力をいたしまして円建て契約で今日に及んでおりますが、この最近の異常な円高のために、そういうマーケットの悪いのと円高はさみ打ちになりまして、現在新しい注文をとるということに対しましては、輸出船におきましても国内の船をとることにおきましても、平常の経済行為としてはほとんど望みのない状態になっております。  かつて日本造船業は一年間に千九百万総トンの船を建造しておりましたが、この状態でまいりますと、五十三年に新たに受注が見込めるのは二百五十万トンあればいい方だ。手持ちの量もずいぶん減っておりまして、五十三年の下期から先になりますと、いまあります設備能力の三〇%の稼働望み得ない。まず二五%か三〇%の間に入っていくだろうということが、ほとんど確定的に運命づけられております。  したがいまして、われわれの業界の当面の問題は、この過剰な設備と過剰な人員をどう考えるかということでございまして、海運界の新しい船に対する需要というものはさっき申し上げましたような状況でございますし、皆さん御存じのような世界的な経済活動見通しでございますので、あと五、六年はとても船舶需要が戻ってくるとは考えられませんので、業界としては、どうしてもここで現在持っております設備能力を半分にせざるを得ないだろうというふうにわれわれ業者は覚悟がだんだんできつつあるわけでございます。残った半分について、設備能力の半分が稼働できれば御の字じゃなかろうかというのが現在の見通しでございます。  したがいまして、本来、造船所というのは地方中小の都市に分散して設立されたものでございますが、これがそういうことになりますと、地方社会に、また、何十年の長い歴史を持った造船の町の社会に与える影響は非常に深刻なものが出てまいります。  長い目で見ればそういうふうに半分にせざるを得ないと思いますが、半分に持っていくプロセスをどうするかという問題が、当面のわれわれの問題であります。  現在、各工場の手持ち状況を見ておりますと、この七月、八月でほとんどの造船所仕事が切れてしまいます。遅いところで年内いっぱいぐらいという状態でございまして、あと多少の注文のつなぎはできるかと思いますが、全体的にお考えになるのにはことしの秋で大体手持ち工事は終わるんだというふうにお考えいただいて間違いなかろうかと思います。  そういたしますと、仕事がありませんので、自然的に閉鎖しなくちゃなりませんが、そこまで行きますと企業の方の資金ぐりの方がどうにもならなくなります。恐らく倒産の形になる場合が非常に多いと思います。造船というのは、御存じのようにアセンブル工業でございまして、設備のわりに非常に大きな運転資金を必要とする産業でありますために、これがばたばた倒産になりますと、かなり大きな二次効果をほかの産業または金融機関に及ぼす危険も多分にあるわけでございます。  そういうことで、私どもいろいろなことをいま運輸委員会及び運輸省その他にお願いしておりますが、こういうふうに急激に落ちていく作業量を救うために、国で運営しておられる船舶相当古いのをたくさんまだ無理して動かしておられる、海上保安庁、防衛庁及び水産関係の船で非常に古いのをお使いになっておりますので、できればこれを五十三年度の補正なり予備費なりを動かしていただいて、緊急に発注手続をおとり願うというふうにお願いするとともに、五十三年度の補正がありますれば補正、五十四年度、五十五年度、この三カ年間にわたって最低約一千億ぐらいの需要を起こしていただくということを切にお願いする次第でございます。  一方、民間海運界では、さっき申しましたような海運状況でございますので、自分の商業ベースの新しい船の注文ということは考えられませんが、ここで、昔行われたことがありますが、現存の船をスクラップしてそのトン数よりも少ない船を新造するいわゆるスクラップ・アンド・ビルドという方式で船会社が操業の計画に乗れば、いまのまま放置して手持ちの船が陳腐化していくよりも有利だという条件をつくり出して、このスクラップ・アンド・ビルド国家計画を立てていただいて、これもさっき申しましたような年度で少なくとも一年間百五十万総トン最低約五千億から六千億ぐらいの需要を早急に喚起していただくというふうなことと、われわれの努力と両方寄せ合わせまして、ここの急激に落ちていくところをできるだけなだらかに落としていきながら、この構造不況通産関係の新しい法律に基づく救済策の線に乗っていきたいというのが、私どもお願いでございます。  この新しい特定不況産業安定臨時措置法に乗るためには、さっき申しました当面の仕事ががたんとなくなるのを緊急措置国内需要でつないでいただかないと、恐らく新しい法律がいまのスケジュールでできましても、それに乗ることさえもわれわれの業界ではできない会社が非常に多いというふうに想像されます。  そういうことで、今度のこの特定不況産業安定臨時措置法というのは、私どもにとっては最後の望みの綱という形のものでございますが、これをよく、いま審議していただいておるのをはたから資料をいただいて勉強しておりますと、さっき申しましたように、能力の削減をやるということはすでにわれわれやらざるを得ないと思いますので、この面については問題ございませんが、財政援助をしていただく場合に保証が要るようなことが原則になるかのように承っておりますが、この件については、いま申しましたような特殊な事情にありますものですから、弾力的に運営していただくようにお願いすることと、もう一つ御存じのように、市況産業とまるで違った性質の造船業でございますので、一たん赤字になりますと、幾ら生産量をしぼりましても、新しい需要が出てきてその需要に基づいて注文をとって船にして渡すまでの時間が長うございますので、いま融資期間が五年ということになっておりますが、この五年ではわれわれの業種には非常に都合の悪いものでございまして、これを私どもの業種に合うように融資期間については特定の御配慮をいただきたいというふうに考えております。  そういうふうな状況で、いま運輸委員会にいろいろ具体的なことも御説明申し上げておりますが、一方、運輸省海運造船合理化審議会でもこの問題を取り上げることになりまして、いまその審議が始まっておるわけでございます。造船特有のことについての問題はそこでいろいろ処理されると思いますが、それと新しい法律と、さっきもお願いした国内需要を起こしていただくというのが三位一体になって、辛うじて急激な不安を社会に与えずに逃げ得る可能性がわずかながら見えるというのが、私どものいまの状態でございます。  ありがとうございました。
  8. 野呂恭一

    野呂委員長 次に、宮崎参考人お願いいたします。
  9. 宮崎輝

    宮崎参考人 私、宮崎でございます。  原稿を用意しておりませんで、メモにアイテムだけを書いて申し上げますので、適切なる発言を欠くことがあるかも存じませんが、お許しをいただきます。  今回の法案につきまして、化合繊が構造不況業種に指定されておりますが、私は、その原因を考えてみますと、第一は生産過剰だと思いますが、大体二割程度の勧告操短に引き続きまして、今度不況カルテルに移行することになっております。しかし、大体二割、三割の操短というのはほとんどの業種に共通でございまして、何も化合繊に限ったことではございません。化合繊の原料である石油化学は、すでにわれわれ以上の減産をしております。そういう意味におきましては、これはほとんどの業種に共通だと思っております。  それから、第二のポイントは円高でございます。これも輸出産業はほとんど共通でございますが、化合繊業界は大体五〇%以上を輸出しておりますので、私がざっと計算いたしましても、昨年度は二百九十三円でございましたから、それといまの二百二十円そこそこと比較いたしますと、約二千四、五百億の円の手取り減になります。それから、五十二年の一月−十二月で二百七十円でございましたから、これと比較いたしましても約千七百六十億という計算になります。こういうように円の手取りが非常に減るということが構造不況原因でございますが、これも輸出産業共通の問題でありまして、何も化合繊に限った問題ではございません。  化合繊に限っての問題と思われますのは、次の第三のナフサの問題でございます。  輸入原材料というものは、自由に取引がされておりますと、円高によって当然下がってまいりますが、ナフサの問題は、御承知のように石油業法がございまして、その三条と十二条だと思いますが、その条文によりまして、ナフサの輸入は、法律的には可能でございますけれども、現実的にはできないような仕組みになっております。したがいまして、現在輸入ナフサの値段の差が大体七千円以上ございます。ロッテルダム価格と比較してもそれよりさらに大きいのですが、諸先生方が御存じのように、三千円値下げということが昨年の十月−十二月分について決まったというように表示されておりますけれども、とてもあれでは問題になりません。そういうふうに円高の恩典を受け得ないような法律の仕組みがあるために、これは合繊、石油化学独特の問題であると私は考えております。  それから次には、輸入でございます。合繊が非常に値段が落ち込みまして、これが恐らく五百億ないし八百億ぐらいの大きな手取り減になっておりますけれども、これが上がってきますと輸入がふえてまいります。ですから、現在の実情を見ますと、たとえば北陸三県等にあります製品、ジョーゼットなどの一部の分野はほとんど食われておりますし、それから、台湾から非常に安い仮より糸が入るというようなことがございまして、輸入の問題については、御承知のように国際協定、MFAがございますけれども、現実には合繊は依然としてまだ輸出産業でございますので、この発動が非常に困難であるという問題がございます。ですから、私どもは、私どもみずからできますアンチダンピングを関税定率法によりまして適用しようということで、いまその準備をし研究をしている段階でございます。  こういうところから考えますと、今度の法律は、要するにオーバープロダクションである設備を廃棄するということのための独禁法との関係を規定してあるというのが第一点でございまして、それに要する資金はいわゆる保証協会をつくって確保してやるというこの二点がこの法律のポイントでございまして、われわれが直面している円高、ナフサの問題、輸入の問題というような抜本的な問題には何らこの法律は触れておりません。したがいまして、今度の法律は、構造不況産業安定法というような大きな羊頭を掲げておりますけれども、実際は狗肉を売っている法律でございまして、私どもとしては従来の特繊法というような法律でちゃんと経験がございますけれども、この法律に余り多くを期待しておりません。  ただ問題は、私どもがビジネスマンとして非常に重要に考えますことは、設備を廃棄するということは、先ほど申しましたオーバープロダクションの解決でございまして、これは必ず何らかの方法でやるべきだと思いますけれども、問題は、オーバープロダクションを解決するための設備廃棄をやる資金の確保でございます。この法律は、この一番大事なところにまだ大変不明確な点がございまして、あるいはこれからだんだん明らかになると思いますけれども、実はこの点がこの法律の本当のポイントであると考えております。  と申しますのは、要するにいまのところそういう基金の出資金の約十倍程度の金を用意するということでございますけれども、仮に百億としましても千億ですから、私ども設備でも、仮に三割廃棄いたしますと平均で千億要ります。そのほかに労働者の処理が要りますから、これが退職金その他で、出し方によりますけれども、千億ということも考えられないことはないということでございますし、設備の廃棄による廃棄費用が要ります。そういうことでございますので、実際この設備を廃棄する——自主廃棄をするという話がさっきもございましたけれども、廃棄すると相当な特損が出ます。担保物件がなくなるわけです。したがって、借り入れをする限度の担保物件が減ってくるわけです。そういう意味で、私ども合繊業界としては、その設備を廃棄するについては残存業者が負担したらどうかという大体のコンセンサスが得られております。  しかし、みずから進んで設備を廃棄するというのは、合繊のように巨大な設備産業の場合はブックバリューが保証されませんとなかなか廃棄に踏み切れぬと思うのです。そういう意味でそのブックバリューが少なくとも保証される、でき得べくんば廃棄費用も負担される。それから大事な雇用問題、三割としますと一万数千人の失業者が出ますが、それらの受けざらがもうございません。ですから、これの退職金その他について、離職者法等がございますけれども、ああいうものではとうていカバーできませんので、その点の資金がきわめて低利かつ長期に確保できるかどうかという点でございます。  ですから、いまそのコンセンサスがほぼ得られておると申し上げました残存業者負担にいたしましても、その残存業者がみずから負担する分の持ち分を自分で払うのか、あるいは買い上げ機関をつくってその買い上げ機関が補償して、われわれは買い上げ機関に対して補償をすることになるのか、これは恐らく研究中だと思います。  それから、保証基金の保証のほかにわれわれの裏保証が要るのか、あるいは物的担保の提供が要るのかということでございまして、やはり物的担保なり保証をいたしますし、特に保証がいわゆる営業報告書に載るような保証でございますと、自然にわれわれの借り入れ限度額の担保の能力は減ってまいります。  ですから、そういう点がございますので、実際の金を借りるのはどの市中金融機関から借りるのか、政府機関から借りるのか、その金利がどうなるのか、返済期間がどうなるのか、こういう点。それから、保証される側ではブックバリューが保証されるのか、何割保証されるのかという点が非常に重要でございまして、ここが完備されておりますと、みずから自発的に、つくってもつくっても損が出るようなものであるならばこの際廃棄しようか、土地でも売ろうかというものが出ないとも限らないのでありまして、ここが実はこの法律の本当のポイントでございまして、そのポイントのところがまだこの法律では何にも明らかになっておりません。  そういうことで、私はこの法律の問題はこれからであるというふうに考えております。ですから、その辺のところをどうか適切な御施策をちょうだいして、廃棄することが自動的に可能になるような素地をつくっていただきたいということが、私の念願でございます。  それから、問題点でございますけれども、廃棄をいたしました場合に、廃棄についてあるいは新増設につきまして、問題は、指示カルテルについてアウトサイダー規制命令が今度ございません。かつての特繊法というのは、指示カルテルについてアウトサイダー規制命令ができるようになっておりました。承るところによりますと、指示カルテルで廃棄をしてアウトサイダーを規制いたしますと、要するに政府の補償がないじゃないか、そういう意味で、ある意味の憲法違反だというような法律論があったやに伺っておりますけれども、やはり昔の特繊法では指示カルテルアウトサイダー規制命令がありました。それから、別の法律で、登録制でございまして、これは紡機の廃棄ですけれども、そのときは登録制で設備の新増設が現実的に規制されておりました。そういう意味で、従来の法律指示カルテル及び新増設についてアウトサイダー規制命令または新増設に対するチェックがあったんですけれども、今度の法律にはそれは両方ともに何にもございません。  そういう意味におきましては、やはり指示カルテルアウトサイダー規制がないと、全体がまとまっていくのには自主的に話をまとめるしかないという意味で非常にまとまりにくいという点がありまして、これは法律的にも今度の法律の大きな穴でありまして、私は、少なくとも指示カルテルについてアウトサイダー規制命令がないのは、この法律の大きな欠陥であるというふうに判断をしております。  原案は、承るところによりますと、新増設につきましてアウトサイダー規制命令があったように聞いておりますけれども、本当は指示カルテル自体についてこそアウトサイダー規制命令が必要でありますし、過去においてわれわれにはそういう法律が現にございました。特繊法というのがございました。それが問題の第一点でございます。  それから第二点は、設備を廃棄いたしましても、化合繊の場合は技術が進歩しまして、スピードが上がるんでございます。スピードが上がりますから、二年もしますとまた生産過剰になります。したがいまして、設備廃棄がきわめて一時的な効果しかないという点がありまして、設備を廃棄しましても、これはやはりまた不況カルテルなりなにが要るということが予測されます。この点が化合繊業界の問題の第一点でございます。  それから第二点は、新増設の禁止でございますが、その中に改造の禁止も入っておりますが、改造と改良とは一体どう違うのか。これは国会答弁等を見ますと政府側の答弁がございますけれども、私ども実務から見ますとその区別がわからない。  特に、たとえば私どもは重合と言っております。重合の点について、新しい原料転換をする、たとえばDMTをPTAに転換する場合だとか、あるいはバッチ式をコンティニュアスシステムにかえるとかというような場合は改造なのか、改良なのかという点がありまして、そのときに紡糸機だけを指示カルテルをして、重合はしないという点もございますが、そこらあたりの運営が非常にむずかしいということを考えます。  それから、どの部分をいたしましても、技術が非常に進歩しますから、進歩した場合に、やはり古い設備をかえなければいけません。スクラップ・アンド・ビルドはいいということになっておりますけれども、そのときは必ず能力がふえます。重合でも、従来は一つのセットが三十五トンくらいでございましたが、いまはもう七十トンというのが普通でございまして、そういうふうに非常に能率が、技術が進歩しますので、そういう意味の技術の進歩を阻害するような新増設の特に改造の禁止を行うということについては、指示カルテル内容について相当な配慮をしませんと、長い間の凍結または廃棄をして、あるいは現在の設備を改造することはできなくなって、改良はいいとしましても、それが改造であるとして禁止されますと、非常に技術におくれをとる、こういう現実の問題がたくさんにございます。     〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕  それから次に、疑問でございますが、化合繊というのは、先ほど申し上げましたとおりに、ナフサの問題、それから輸入の問題というのにポイントがございまして、生産過剰と円高の問題はあらゆる企業に共通である。にもかかわらず、これをこの法案で品目として特掲されてあるというその理由が私にはよくわからない。しかし、これは法律技術の問題でありまして、余り熟考の問題ではございません。  それからもう一つは、時限立法としておられますけれども、これは廃止するものとすとなっておりますが、私どもは過去の経験がございまして、先ほど申しました設備のいわゆる登録制をしいておりました法律がございますが、その法律には自動的に失効するものとすというふうに書いてあります。ですから、期限が来ますと必ず失効するという書き方で、これは繊維工業設備臨時措置法と申しますが、四十五年にエクスパイヤーいたしましたけれども、この法律には当然に失効するものとすというふうに書いてあります。  しかし、今度の法律も特繊法も廃止するものとすと書いてございますから、廃止に特別に諸先生方の議決が要るように書いてございますから、大体これは本当の意味の時限立法ではないという法律技術上の問題と、第二点は、資金保証等が伴いますから、当然に五年で廃止されるはずはないんですね。そうしますと、これは現実的に時限立法ではないと私は思うのです。  そういう意味におきまして、時限立法なんてする必要はないので、なぜ堂々と——廃止はいつでもできるわけですから、した方がむしろいまの保証行為等については期間の制限される危険がないのだという安心感を与えるのであって、私は時限立法とわざわざされる理由がよくわからないというふうに理解いたします。  その他たくさん問題がございますが、時間がございませんので一応ここで終わらせていただきまして、後で諸先生方からお教えいただきますならば、私の感ずるところを率直に申し上げさせていただきたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  10. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島村宜伸君。
  12. 島村宜伸

    ○島村委員 参考人の皆様には、景気停滞、円高と重なる戦後未曾有の不況の中で、特に打撃を受けられた業種の指導者として何かとお忙しい中に、きょうは参考人として御出席いただきまして、まことに御苦労さまでございます。  私に与えられた時間はわずか二十分でございまして、質疑はいろいろな意味で限られるわけでございますが、その点ひとつ御承知おきの上お答えいただきたいと思います。  私がまず第一にお伺いしたいことは、この法案は二百四十円台のときにつくられたものでございますが、現在のように円高が進んだ段階で、この法案に盛り込まれた対策で十分かどうか。もしほかに何か対策が必要ならばどのような対策を希望されるか、具体的にお答えいただきたいのであります。お願いいたします。各業種の方、順次お答えいただければ光栄でございます。
  13. 山崎拓

    ○山崎(拓)委員長代理 それでは宇野参考人からお願いいたします。
  14. 宇野信次郎

    宇野参考人 質問の要点は、私ども資料のうちの船舶の買い入れ機関の予算のことであると思いますが、現在のわれわれの出しました予算は二百四十円で出しましたが、いまの二百二十円になればもう少し買船費が安くなり、あるいはまた、最近のスクラップの値上がりから見ると回収材が少し値上がりしているというので、この差損はかなり減ってくると思いますが、見えない、またこれからやるリスクが出てくると思うのです。  そういう点で、まずこれは概算の予算ですが、私たちの解撤業の一番のねらいは雇用を重点に置いているわけです。先ほども申し上げましたように、われわれの従業員は二十数年にわたって大部分造船所に定着していたというので、やはり従業員の雇用確保、そう簡単に解雇ができない。それから、現在のように国の失業あるいは雇用調整法、いろいろの恩典はありまするが、前途に見込みのない現状、雇用調整法を下請には恐らく実施ができないというような状態で、新規な事業を興す以外にはないということでこの解撤事業を取り上げているわけで、その三百万総トン解撤事業によって延べ百万人の人間が職にありつける。これは逆に、その百万人の失業保険を出すとすれば、少なくも四十億以上の失業手当が出る。そして地域に対しても失業保険では何ら貢献しませんが、一つ仕事を持つということによって、地域に密着しておる造船下請従業員あるいは家族がかなり安定するということから、われわれも長い間この造船不況に対してこれにかわる何かの仕事というものを探したが、これ以外にないというようなことで、これを再三お願いしておるわけなんです。  答弁が不十分でありましたら、また再答弁したいと思います。
  15. 近藤暾

    近藤参考人 いま私どもの主要なる製品でございます小棒について、端的にお話をしたいと存じます。  日本全国ベースで、多いときには大体年間総生産量の三〇ない三五%の輸出をいたしておりました。それが現時点では激減いたしておりまして、一〇%を割っておるわけでございます。その理由は何かと申しますと、これはあくまで円高でございまして、二百四十円がもうすでに先物は二百二十円を割っておるような状況でございますので、それではコスト的に全く合わないわけでございます。コストと申しますと、小棒のコストに占めます大きなパーセンテージはいわゆる鉄くずでございますが、この鉄くずが現時点におきまして相当高騰してまいりました。一方、円高で製品価格は安いということでございますので、輸出はしたいけれどもできないという事情でございます。  ところが、いま小棒業界は、いわゆる工業組合をつくりまして、正確に言いますと全国小形棒鋼工業組合というのをつくりまして、そこで一定の生産の調整事業を行っておるわけでございます。それで、各メーカーは生産枠を毎月割り当てられておるわけでございますが、その枠の中には輸出の枠が入っておるわけでございます。要するに、国内枠も決まっておるわけでございますので、国内枠はそれ以上つくることはできない。それで、自分の与えられた輸出枠を十分やっていないときにはその分だけ減産をしなければならないということになっておるわけでございまして、コスト的に考えますと、この円高で輸出をしては非常な損である。しかし、一方、輸出枠が未達でありますと、総コストでコストが上がるわけでございます。したがって、いずれをとるかという非常に大きな矛盾をはらんでおるわけでございますが、一応その輸出枠は何とか埋めようとしておるのが現状でございます。  ところが、円高の影響で、製品価格と申しますか、一応ネットにメーカーが保有してきます金額は減るわけでございますので、非常に大きな困難を感じておるわけでございますが、それにつきまして、対策としては輸出についての補助金を具体的にお考えいただき、それを何とか実現していただきたいということを、現時点においては考えておるわけでございます。
  16. 真藤恒

    真藤参考人 先ほど申し上げたような非常に悪いマーケットでございますが、仮に一ドル二百六、七十円ということになりますと、われわれ輸出船の受注を何とかとれる可能性を持っておりますが、いまのような状態になりますと、価格の面で赤字でない限りにおいては輸出船はとれません。それで、先ほどお願いしましたように、この緊急な状態を何とか縮小の方向をたどるために乗り切るためには、輸出というものはどうしても考えられませんので、国内需要を国の力で早急に起こしていただくということしか方法はないというふうに考えております。     〔山崎(拓)委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 宮崎輝

    宮崎参考人 私は、先ほど二百七十円といまの二百二十円のことを申し上げましたけれども、やはり一番の問題は、二百四十円から二百二十円に二十円下がりましても、いまざっと計算してみますと、私どもの輸出で大体六百億以上違ってきます。ですから、緊急措置は、この円高をどうするかということが日本経済の一番ポイントでありまして、特に輸出の多い私ども産業は、もうそれ以外にはないのですね。  それから、円高になると輸入がふえてきますから、この輸入対策をどうするかということでございまして、設備スクラップしましても、先ほども申しましたけれども、またすぐ輸入がふえたり、また設備が上がってきたりしますから、思い切ってスクラップしましても、円高を解決しないとエンドレスに設備を廃棄していかざるを得ないということになりますから、何としてもこの急激な円高に対してもっと早く思い切った手を打たなければ、ますます円は高くなっていくということでございまして、これが一番緊急な問題じゃないか、次には輸入の問題ということであるというふうに考えて、もうこの法律の問題ではないと思っております。
  18. 島村宜伸

    ○島村委員 この法案の骨子は大体設備処理にあるわけでありますが、私自身も、どうも設備処理だけでは不況克服は全く困難だと思うわけであります。そこで、ただいまお話の中にも一部ありましたけれども生産調整あるいは価格調整を取り入れて、場合によっては独禁法の適用除外としてはどうか、そこまで考えるべきじゃないかと思いますが、その点について、簡単で結構ですから、皆さんお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  19. 宇野信次郎

    宇野参考人 御質問の不況産業安定法の関係については、造船業としての立場から、われわれの方は真藤参考人から申し出ていただいた方が当を得ていると思いますが……。
  20. 近藤暾

    近藤参考人 平電炉といたしましては、先ほど来申し上げましたように、小棒の工業組合で調整事業、つまり生産調整をやっておるわけでございます。それで、いまの御質問が私ども業界にぴったり当たるわけでございまして、現在やっております調整事業も、いわゆる細切れではなくて、一定の期間長く認めていただきたい。  それで、話がちょっとそれますが、いまの組合でやっておりますのは、中小企業団体の組織に関する法律によってやっておるわけでございますが、それ以前は不況カルテルでやっておりました。いわゆる独禁法でございます。ところが、独禁法によりますカルテルは、長くて三カ月、短いときは一カ月でございました。そのために、五十二年、昨年の三月に延長を申請しましたときには、四月までの一カ月しかお許しを得ることができなかったのでございます。ところが、共同行為と申しますのは、一カ月というのはゼロということでございまして、その次の月はカルテルが全くできないということでございます。  そういうことから申しますと、一応今度の不況構造法案においても非常に長期でございますので、その点は非常に結構でございますが、当面私どもが組合でやっております共同行為は、これをやることによって各メーカー体質を少しでも強めていって、構造改善ができる体質にすることでございます。もしここでこの調整事業がうまくいきませんと、破産、倒産に陥るわけでございまして、構造改善に実際に着手することはできません。したがいまして、ともかく調整事業につきましては可及的に長いものをお認めいただきたいというのが、私ども業界要望でございます。
  21. 真藤恒

    真藤参考人 御存じのように、私ども造船は特有な法律のもとに動いておりまして、設備の増強、廃棄は許可事項でございます。それから、船舶の一隻一隻の建造も許可事項でございます。したがいまして、構造不況法案に従って設備を半分に落としましても、実際のマーケットの状況は、先ほど申し上げましたように、残った半分が半分の操業度を維持できればまあまあということでございます。そこら辺のところは海運造船合理化審議会でいろいろ具体的なことで議論が進むと思います。  要するに、そういうことでまいるよりほかに方法がないと思いますので、そう考えて、いくつもりでおります。
  22. 宮崎輝

    宮崎参考人 独禁政策と産業政策というのはしばしば問題になりますが、私が勧告操短を今度初めて経験して感じましたことは、行政で実業に非常に明るい方がやられるだけに、微に入り細をうがって実情に即した本当の意味のカルテルができるということで、なるほど政府主導による勧告操短はいいなと感じました。  問題は運用でございまして、独禁政策は国家として不可欠でございますから、先ほども話がございましたように、三カ月なんて言わないで少なくとも半年にする、そういう運用をしていただく。  それから、公取の方が勉強されると産業のことも同じようにわかるわけです。しかも、公取の方は余りおかわりになりませんから、勉強されますとやがて産業がよくおわかりになるわけですね。そういう意味で、公取の産業に対する御理解のレベルアップを、そう言うと非常に語弊がありますが、していただいて、そして両者が同じレベルで、産業官庁と同じレベルで産業に対する理解ができるようになりますと、非常にうまくいく。それが産業政策と独禁政策が調和をすることじゃないかと考えております。  それともう一つは、不況カルテルの場合は関係業界の同意が要りますので、大変手数がかかります。一つでも反対があるとこれはできないということになりますので、その点はむしろ不況カルテルを公取でやる場合の非常な難点でございまして、行政官庁が勧告操短でやったときには、行政官庁みずからやっていただきますので、そういうことはわれわれとしてはいまやらないで済むということがございます。  そういう点も、関係業界の中にもいろいろございますから、実際の独禁政策の運用上大局的に判断して、不況カルテルをしかも長期にわたって、なおかつ産業の実態をよく知った上で判断していただけるならば、私は産業政策と独禁政策は両立できると考えております。
  23. 島村宜伸

    ○島村委員 これは一つのたとえでありますが、たとえば造船業界は官公庁船のスクラップ・アンド・ビルド要望しているわけであります。そして、国内需要創出ももとよりでありますけれども政府が主導的に需要創出を図る一つの方法として、発展途上国への援助を製品で援助する形の中に需要創出を図る方法もあるのではないか、そう思うわけであります。  具体的には、たとえば平電炉メーカーには建築資材の供給であるとか、造船業界で言えば船舶そのものを援助の対象とするとか、あるいは化繊業界であれば衣料品等を援助品の中に盛り込むということの中に、ある程度の需要創出が期待できるのではないかと思うのです。実際に海外の市場を相手にされておられて、そういう可能性についてどうお考えでしょうか。御意見のない方は結構でございますから、いままでの順で御返事をいただければ幸せです。
  24. 真藤恒

    真藤参考人 その件につきましては、船舶輸出組合と私ども造船工業会運輸省でいま具体的に討議を始めております。過去にも、いまおっしゃったような方式で開発途上国にその国の政策で海運業を持ちたいというところに船を出した例はございます。これは非産油国の開発途上国で、そういう方式であれば現実にかなりの需要が出ることは考えられます。  したがいまして、具体的に相手国とわれわれ業者立場で、また外交ルートを通じての立場でいま計画が動き始めておりますが、御承知のように相手がああいう国でございますので、具体化されるまでにどんなに早くいきましても一年から一年半の時間がかかります。したがいまして、三年くらいかかるのが普通でございますので、さっき緊急にお願いいたしましたものの後にこういうものが引き続いて出てくるという方向で考えたいと思っております。これはぜひ、この次の機会にお願いするようになると思います。
  25. 近藤暾

    近藤参考人 海外に対しまする無償援助につきましては、先生方の御配慮と御協力によりましていまいろいろと考えていただいておるわけでございます。恐らく新年度に入りまして、平電炉の主要製品でございます小棒が海外援助物資として輸出されるものと信じておるわけでございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、平電炉業界はまだ大幅な需給ギャップを抱えておりますので、そういった海外援助を毎年継続してやっていただきたい。今回一回だけで終わるのではなくて、毎年継続してやっていただきたいと思うわけであります。  しかも小棒に対します海外の需要は非常に旺盛でございます。特に発展途上国は新しい都市を建設しておるわけでございまして、そういった都市の建設のためにはなくてはならない資材でもございますので、ぜひぜひ毎年継続して海外援助物資の実現をお願いいたしたく存ずるものでございます。
  26. 宮崎輝

    宮崎参考人 私はかつて実行したことがございますので、大変結構な御提案であると存じます。  ただ、時間が非常にかかりますので、でき得べくんば、日本国内に買い入れ機関をつくって、衣料品を、生地でも結構ですが買い上げておいて、それを後でだんだんと無償供与すれば、緊急の間に合うのじゃないかと考えております。
  27. 島村宜伸

    ○島村委員 もう時間が来ましたので、私の質問をこれで終わりますが、いまの第三点につきましては、これからも皆さんと具体的に意見交換をしてさらに進めたいと考えますので、今後ともいろいろアドバイスをいただきたいと思いますので、お含みおき願いたいと思います。  きょうは、どうもありがとうございました。
  28. 野呂恭一

    野呂委員長 中村重光君。
  29. 中村重光

    ○中村(重)委員 貴重な意見をお聞かせいただいて、これからの審議に非常に役立ったわけです。歯に衣を着せないでお尋ねをしたい、こう思っていたのですが、宮崎参考人、私がこの法律案の問題点であると考えた点の指摘をいただいたわけですが、端的に申し上げて、この法律が、意見を申し上げる時間的余裕がないのですけれども特定不況産業安定臨時措置法、名前は安定なんだけれども設備を廃棄して、そしてそのことは労働者や関連中小企業というものが出血をする、特に造船業のごときは地域経済に重大影響を及ぼすといったような、きわめて後ろ向きの内容になっている。一番大切なことは、各参考人の皆さんからお述べいただいた産業政策、そのことがきわめて重大な施策として取り上げられなければならない。かといって、この法律の中にそれを取り入れることはなじまないという関係も実はあるわけですけれども、後ろ向きのものと前向きのものと同時に何らかの施策を講じていくということが重大な問題点であろうというように考えるわけでありまして、この法律は、銀行の債権保全、それから先ほど申し上げたような問題点というのをはらんでいるということで、私どもも重要法案として慎重に審議もし、また、修正を大幅に行って少しでもこの法律の弊害をなくして、幾らかでも安定に近い方向へと持っていくようにしなければならぬという考え方で、与野党を問わず真摯に取り組みをいたしているわけでございます。  先ほど各参考人の皆さん方から具体的な問題としてお述べいただいた中で、宇野参考人解撤事業のことについてお触れになったわけです。御承知のとおりに、日造協は、ずいぶんこの解撤事業に対して御熱心に私どもに対してもいろいろ要望をされてきたわけです。五十二年度には利子補給から補助事業という形で一億四千万円強の予算が計上されたのでしたが、平電炉が非常に不況になる、くず鉄が、スクラップが非常に安くなる、どうにも採算がとれないということで、この予算は全く消化しないまま五十三年度の予算要求がなされていないということが実態であるわけです。いまは平電炉業界も立ち直ってまいりまして、スクラップの値段というものは、完全に立ち直ったというわけではありませんけれども、幾らか上がってきた。解撤事業というものは採算がとれるということになっていくんだろうというように思っているわけですが、具体的にこの点について先ほどもお触れになりましたが、いまの予算の消化ができなかった、また組合が六つかたしかできていると思うのでありますけれども、そういったことで今後は軌道に乗って運営できるというようにお考えになっていらっしゃるのかどうかという点を一点お聞かせいただきたい。  それから、真藤参考人とも関係あるのですけれども、大は小を兼ねるということでございましょうか、大手が、タンカーが全くお先真っ暗でどうにもならないということから、中小造船の建造の方へ進出をしていらっしゃる。そこで中小造船は大変脅威を感じておられるということでありますが、これはお互いに持ちつ持たれつという関係もありまして、やはり大手と中小の分野調整ということが考えられなければならないのではなかろうかという感じがいたします。この点は可能なのか不可能なのか、真藤、宇野、両参考人からお聞かせをいただきたい。  それから、近藤参考人に対するお尋ねでありますが、これは宮崎参考人もお触れになったのですが、アウトサイダーの規制の問題であります。  宮崎参考人がお触れになりましたように、確かに特繊法、これは廃案にしたのでありましたけれども、これはアウトサイダー規制、罰則つきであったわけでありますけれども、このアウトサイダーの規制ということは、罰則が伴わなければその効果というのは全くないというように考えられるわけです。しかし、アウトサイダーを全く野放しであるのかということになってまいりますと、この法律の中にも、すべてに対して共同行為指示することができるということになっているわけなんですが、それに従って応ずるかどうかということは別問題になってまいります。確かに、御指摘があったように、特に近藤参考人アウトサイダーで苦い思いをしていらっしゃるので、骨身にこたえていらっしゃるので、特に御意見もこの点を強く指摘なさったと思うのでありますが、そこまでぎりぎりアウトサイダーを規制をして、罰則によって措置するということは、通産省は実際は本音としてはこれはやりたかったのであるかもしれませんけれども、財界の中にも反対がある、政界は言うまでもなく反対もありまして、結局これは落とされているということであります。共同行為業界でも最大限努力をしていただく、そうして通産省も、すべての業界がこれに参加をするというような方向というものが不可能なのかどうかという点であるわけであります。  それらの点に対して、それぞれひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 宇野信次郎

    宇野参考人 お答えします。  解撤事業に対する五十二年度の助成金は一億四千六百万を政府からつけていただきましたが、その予算をお願いする当時と、それからいよいよ実行する段階、いわゆる時日のずれから、とうていこれは採算に合わないということと、それからいわゆる下請だけの資力買船をするにはるかに遠い。したがって、われわれが解撤事業要請した当時の一つの柱は、元請に買船をしてもらい、そして元請がその回収材を処分、下請工事だけをやるという点で、いまの予算の一億四千六百万は、解撤事業になれてないいわゆる造船工の技術修練費という程度であった。要するにスクラップの赤字補償でなかったということだけを御了承願いたいのです。  ただ、それに輪をかけたのが、スクラップの値段が大幅に下がったので、元請事業としても、みすみす大きな赤字が出るのに手が出なかった。最近はしかし、組合をつくるについても、そのために各協力会が前向きでやっていっても進まなかったのが、昨年あたりから八組合できました。また、それに対するいま進展中のは、ほとんど元請の協力があって進展してきたということで、解撤事業については、先ほど私が申しました小型船舶工業会とのタイアップはこれから検討するとしまして、従来の柱は、元請企業のうちにこの解撤事業を取り込んでもらって、その工事だけをやるということが出発点であったために、いろいろの進行状態におくれが来ました。
  31. 近藤暾

    近藤参考人 いまお話がございましたアウト規制につきまして御説明申し上げます。  第一は、現在やっております小形棒鋼の工業組合におけるアウト規制でございまして、これは本年四月、五月、六月、三カ月間、組合の調整事業と同時に、アウト規制も認可を得ることができました。  どうしてアウト規制が必要であるかという理由は、まず第一に、非常に企業格差が、インサイダーとアウトサイダーの間に、アウト規制がない場合には、あるということでございます。インサイダーはいわゆる減産と申しますか操短をやるわけでございますが、アウトサイダーは規制がかからなければフル操業をするわけでございます。したがいまして、同じ価格で売るといたしますならば、フル操業の方はコストが大幅に下がるわけでございまして、インサイダーで数量枠を守っておるところのコストは高いということで、この企業格差があらわれるわけでございます。  若干わき道にそれますが、小棒につきまして不況カルテルを始めましたのが五十年の秋からでございますが、若干中断はございましたが、その間ずっとインサイダーとしてやってきたものと、全然インサイダーに入らなかったものとの企業格差はまことに膨大なものでございます。そして、もし市況が少しでも好転いたしましたならば、そのアウトサイダーも市況好転の恩恵を得るわけでございまして、言うなれば株を持たないで配当だけを取るということが現実でございます。  それから、どうしてもアウト規制が必要だということは、もしアウト規制がかからなければ、インサイダーの中に分裂が生じるということでございます。あるメーカーはインサイダーでございますが、その横の百メートル離れたところの工場にアウトサイダーがおる、一方は一定の制限の生産をしておるにかかわらず、一方はフルにやっておるということになりますと、これは同じ業界、同じ製品をつくっておるものといたしまして、疑心暗鬼、内部分裂の原因になるわけでございます。  それから、今般の法案につきましてどうしてアウト規制が必要であるかということは、先ほど申し上げましたように、一方で廃却をして一方で新増設をやられては、何のために廃却をしているのかわからないということでございます。また、企業家にとりまして、いわゆる不況時というのは設備投資をする絶好のチャンスであったわけでございます。これは高度成長期の物の考え方でございますが、そういう時期でございますれば、設備は安くまた早く入手することができたわけでございまして、これはわれわれの古い考え方かもしれませんが、一つの好機でございます。今般この法案反対された方々は、すでに前から新増設計画を持っておられる方が多いのでございまして、すでに現在それを実行しつつあるメーカーも今度の法案反対した企業の中におられるわけでございます。  もしアウト規制を外すということになりますならば、ではそれにかわる何か対案があるのであろうか。つまり私どもは、やはりみんなが納得をして設備廃却をやろうとしているわけでございますので、われわれが納得できる何か対案があるのであろうか、そういう疑問を持たざるを得ないわけでございます。したがいまして、どうしても私どもといたしましては、アウト規制が強制できる法案成立を強く強く要望するものでございます。
  32. 真藤恒

    真藤参考人 いまの造船の大手と中小手との関係でございますが、不況がまいりまして、大手の方は船以外のものを造船設備でずいぶん受注をいたしております。たとえば浮きドックとか大型の石油関係のリグとか、そういうものをとりまして、従業員能力をそちらへ向けて、それでどうしてもそういうもので埋められない場合に、できるだけ大手並みの船をとるべく努めておりますが、やむを得ずいわゆる中小の方で従来やっておったような船を受注するということもあったわけでございます。  ですけれども、現在の各造船所手持ち工事状況を見ますと、例外はございますけれども、大手も中小手も手持ち残高がいつまで続くという期限については、そう大きな大手と中小との差は出ておりません。場合によっては中小の方が非常に長く仕事を持っておられるところもあるくらいでございますので、いまおっしゃったような弊害が現実に著しく出ておるというふうにには考えておりません。
  33. 中村重光

    ○中村(重)委員 そのアウト規制の問題ですが、これは本来的に自由主義経済という点からいいますと問題がある、こういうことになるのです。さらばといって、運輸行政なんかを見ると、いわゆる路線権、海でも陸でもこれは路線権というものがある。お薬屋さんの場合もそうでしょうし、制限されておるものがその他たくさんあるわけですね。また、船の場合におきましても、これは真藤参考人が御承知になっていらして、このアウトの問題についていろいろどうだろうかということについて、建造許可というものがある、そういうことでチェックできるということを、たしか新聞か何かの対談でお述べになっておったのを私は承知しておるわけです。確かに運輸行政の面においては、自由主義経済と言いながら制約されているわけですよ。  ですから、やはり通産行政の場合におきましても、私どもアウトサイダーの規制というものににわかに賛成というわけにはまいりませんが、こういう後ろ向きのことをやりましても、実際はいろいろな形でそれが崩れてしまう、何の効果も出ないというような結果が、先ほど来御指摘があったように確かに考えられるわけでございます何らかの形において、アウトサイダーの規制というそういう厳しいものでなくても、行政運営の中において御意見のようなことを生かされる道がないのかどうか、今後の審議を通じて十分ただしてまいりたい、そのように考えているところでございます。  真藤参考人にお尋ねをするのですが、官公庁船の老朽船の問題、これはもうごもっともである、同感なんです。それだけではなくて、むしろ非常に不足をいたしておりますね。災害救助のための巡視船にいたしましても、あるいは密漁のための監視船にいたしましても、船が不足しているのです。だから、老朽船は当然これはスクラップ・アンド・ビルドしなければならぬ。同時に、新しく船を建造していくということ、これはもう当然なことでありまして、私どもはこの法律案の附帯決議にもそれを強くつけておきたい、そのように考えているところであります。  官公庁船の方はそれでわかるといたしまして、民間船でございますけれども、船主協会の協力がなければこれはどうにもならないわけでありますが、たしかこれまたあなたの新聞の対談かで、事務レベルにおいて詰めをやっておるということをお述べになったように記憶するのであります。この間も船主協会の会長運輸委員会へおいでになりまして、私もお尋ねをしたのでありますが、前向きの態度をお示しになりました。あなたとしては、船主協会の協力は得られるものであるという御認識を持っていらっしゃるのかどうかという点であります。  それから、LNG船であります。これは一隻できているわけですけれども、まだテストがなされていないという状態でありますが、今後LNG船についての見通しはどのようにお考えになっていらっしゃるのか。  それから、スクラップ・アンド・ビルド一つとして漁船を薄板でつくったらよろしいと私は思うのです。薄い鉄板でこれをつくるということになってまいりますと、同じ型でおりましてもたくさん荷を積むことができる、非常にスピードが速くなるということであります。これも余り大きく取り上げられていないようでありますけれども、研究をしてこれらの点はやはり目をつけていくということが必要ではなかろうかというように感じますが、真藤参考人から、以上お尋ねをしたことについてお答えをいただきたいと思います。
  34. 真藤恒

    真藤参考人 一般の民間スクラップ・アンド・ビルドでございますが、これができるかできないかということは、一にかかってビルドする場合の金融の条件によって決まるということでございます。従来の開発銀行の金融条件と申しますのは、海運業が非常に華やかな時代であり、造船業も非常に華やかな時代の条件のもとに行われ続けてきたものでございますが、この現在の条件のままでは成り立たないのは、したがって当然でございます。現在のマーケットの状態で船主がこういうことをやって成り立つ条件と申しますと、どうしても、船ができまして何年間かはグレースピリオド、返済猶予期間があって、それから先、従来よりも長い期限で元利を返済していく、金利もいまのマーケットに合った計算の金利にするということでないといけないということでございまして、一にかかって財政資金の運用の方法論ということに成否がかかっておるように考えます。  さっきもちょっと触れましたが、こういう不況のときに船質改善というものを五、六年ほったらかしますと、いずれこの次の国際競争、海運というのはいつも国際競争をしておりますが、国際競争の場で必ず非常にぐあいの悪いことが出てくる。現にこのように燃料が非常に高くなりますと、これから先の船は燃料の少ない船でなければいけないということと、非常にすぐれた電子関係の制御技術が進んできた世の中では、船員の数がいまの船員の数の半分ぐらいで十分技術的には成り立ちますので、そっちの方面の問題を解決するという二つの問題がございますが、いずれにいたしましても、近代的な船体をある程度持たせなければいけない、また、船会社としてもそろそろそれを考えなければいけないというのがいまの船主協会のメンバーのお考えでございまして、最近私ども業界と船主協会といろいろ具体的に詰めて、いずれこの問題は具体的に海運造船合理化審議会の場で討議されることになると思っております。  それから、例のLNG船でございますが、いま具体的に、御存じと思いますが、イランのガスを日本に持ってくるという計画がかなり進み始めておりますが、これについて五隻くらいのLNGキャリアが要ることになりますが、もしこの計画が具体化いたしますと、具体的に五隻のLNGキャリアが日本造船所で建造されるような運びになる状況でございますが、これも非常に値段の高い船で、リスクも高うございますので、これについてもいろいろ船主協会の方と運輸省の方で勉強されて、具体的に開発銀行の融資お願いする段取りになるというふうに考えております。  実は、このLNGキャリアといえども、世界的には過剰船腹が現在まだある状態でございます。ただ、最近の燃料問題に絡みまして、ガスを輸入する、またガスをたかざるを得ない、環境問題からもこのガスを輸入しようという動きが世界的にかなりまたよみがえりつつありますので、いずれLNGも輸出船としても可能性があるようになるかもしれません。  それから、漁船の方は、いま小さな漁船の需要が出ておりますが、これは私はよく実情は知りませんが、最近小さいのは鉄板じゃなくてFRPでやるのが非常にふえてきているようでございます。     〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
  35. 中村重光

    ○中村(重)委員 これで終わりますが、宮崎参考人、それから真藤参考人も一言お答えいただきたいのですが、雇用問題ですね。この法律案で私どもが一番心配をいたしますものは、設備廃棄に伴ってどうしても労働者の整理、それから関連中小企業に対する重大な影響というものは避けられないのではないかということ、そういう懸念があります。したがって、造船業界の場合はどの程度の操業が確保されたら、現在の雇用量というものを維持することができるのかという点も、端的にお答えをいただきたい。  それから、宮崎参考人にお尋ねをするのですが、完全失業者が百二十六万、恐らくこの月は百三十万を超えるのではないか。さらにこの不況が続いてまいりますと、企業が抱えている過剰労働力というものはもうほうり出されてしまうという結果になりかねない。有効求人倍率も〇・五二倍、学校を卒業しても就職の機会がない者がたくさんある。今度それに加えて設備廃棄という形になって首切りになりますと、どういうことになるか、この点をどのように、この法律案の成立をお望みになっていらっしゃるようでありますけれども、労働者に対してどう理解をお求めになろうとお考えになっていらっしゃるのかという点であります。  私は、やはり雇用の創出というものはイデオロギーの問題ではなくて、どの政党が政権を担当いたしましても、今日の重大課題であるというように考えております。ここへ摩擦が生じたらば大変な社会不安になり、すべてが動きのとれないような結果になるであろう。したがって、雇用創出の問題を真剣にやはり民間も、政府は言うまでもなく、取り組んでいくということ、さらには、やはり業界におきましては、時短であるとか週休二日制であるとかあるいは残業規制、定年の延長といったようなことをもって雇用の確保を図っていくという配慮がなければいけないのではなかろうかという感じがいたします。  この点に対して宮崎参考人、それから真藤参考人のお答えをいただきます。  基金の問題については、先ほどおっしゃったように、百億に対する十倍、一千億の信用保証になって、これはどのような計画になるかわかりませんけれども、問題にならない。真藤参考人がおっしゃるように、半分の設備にするのだということになってくると、これはもう考えられないような金額になるのではないかというように思うのであります。  そこで、繊維関係は三十九億、二十倍の保証、平電炉は七億、十倍の保証というのがあるわけであります。これは今後ただしてまいりますが、この法律とは別枠として続けていこうとする考え方のようでありますが、この点に対するお考えをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  36. 真藤恒

    真藤参考人 雇用問題については、大手と造船専業会社という間にかなりの大きな具体的な環境の違いがございます。大手の方は、船だけじゃなしにほかの部門のこともやっておりますので、いま大手の方は組合の方と相談しながら、社内の民族の大移動を具体的に始めておるわけでございます。そういうことで、極力雇用の責任を全うするというのが当面の問題でございまして、問題がある程度めどがつくまでは、雇用の責任を全うするためにあらゆるしわを企業が背負っていくという形に現実になっております。そのために、五十三年度から先の企業の経営というものは、今日までに比べて極端な違いが出てくるおそれが多分にある状態でございます。  それからもう一つの……。何でございましたっけ。(中村(重)委員「時間短縮とかなんとか、あるいは労働組合の協力の問題」と呼ぶ)御質問の点、十分私どもも気がつきまして、極力それをどうしていくかということを、すでにいまかなり具体的に手をつけております。
  37. 宮崎輝

    宮崎参考人 先生のおっしゃるとおり、私ども経営者として一番頭の痛いのは、この雇用問題でございます。現に操短中でございますから、過剰労働力を抱いております。しかし、御承知のように、円高その他で非常に大きなダメージを受けておりますので、いま経営者が必死になって、この雇用問題をどう処理するかということで苦心しておりますが、私どもは、賃金が普通のとおり上がっていきますとどうしても人を減らすということになりますので、組合に協力していただきたいのは、雇用を守るのであれば賃金をこの際しばらくがまんしようかというようなことが、日本の組合全体、特に官公労あたりから出ないものだろうか、要するに乏しきを分け合うというようなことでこの危機を切り抜けることはできないだろうかということを、本当に考えております。  それからもう一つは、先生のおっしゃるとおりに、根本的な解決は雇用の創出でございまして、やはり景気を振興して雇用の機会を与えていく、ふやしていくということにどうか諸先生方も全力を挙げて御指導をちょうだいしたいと思います。
  38. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 板川正吾君。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 参考人の皆さん、御苦労さまです。  私も二十五分間の与えられた時間ですから、簡単に質問いたしたいと思います。  先ほど宮崎参考人からも、この法律は、特定不況産業安定法といいながら、羊頭を掲げて狗肉を売っているというような内容だと、こう言われたのですが、実は、名前は、特定不況産業安定臨時措置法というと大変りっぱなんですが、内容は、御承知のように、過剰な設備を廃棄する、廃棄するためには、その廃棄する物件が担保に入っておる場合、その担保を抜くために必要な債務を保証する、こういうものが内容の中心でありまして、特定不況産業を振興しようという内容を持っていないのです。ですから、特定産業を振興しようという政策は、これはまた別な法律か、別な観点からの指導でやらなければならないのでありまして、この法律過剰設備を廃棄するに必要な措置を行う程度のものである、こういうふうな内容であることを御理解をいただきたいと思うのであります。  なぜそうかと言えば、これは政府の答弁を私が言うわけじゃありませんが、自由経済でありますから、企業経営は自己責任の原則をとる。もうかるときは自由経済でいい、しかし、不況になったら、政府が価格を決め、生産数量も決め、そしてアウトサイダー規制もやってくれということで、それをすべての産業に適用していくということはできないのです。このことは御理解を願いたい、こう思うのであります。  そこで、時間がありませんから、まず造船関係者の真藤さんにお伺いいたします。  造船は、お話のとおり半分以上設備過剰である、これから一体日本造船業をどうするかというのは、これまた別な法律運輸省が中心になってつくられているわけですが、私はやはりスクラップ・アンド・ビルド、老朽船あるいは不経済船、こういうものを廃船して、スクラップして、そしてまあ同じ比率の船をつくるわけにもいきませんが、一対零コンマ幾つという割合で造船をするということでもないと、日本造船業というのは息の根がとまってしまうんじゃないか、こう思うのですが、このスクラップ・アンド・ビルド、これは造船関係者でなくて、船主、海運関係者の協力を得なければなりませんが、その海運関係者と造船関係で、このスクラップ・アンド・ビルドをどういうように進めようとされておるのか、その点、真藤参考人にまずお伺いをいたします。
  40. 真藤恒

    真藤参考人 これは具体的にはこれから海運造船合理化審議会の場で進められると思っております。いろいろな問題がありますが、さっきちょっと申しましたように、国からの財政投融資条件というのが最大の決め手になるというふうに考えております。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 いや、業界でどういう取り組みをする心構えを持っておるかということであって、その点はどうお考えですか。
  42. 真藤恒

    真藤参考人 私の方は、ひたすらお願いする方でございます。  それから、船主協会の方もさっき申しましたような趣旨で必要性を認めておられますので、何とかそういう方向で乗っていきたいという御希望があるということは確かでございます。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 そこで、もう一点伺いますが、本法の適用を受けて半分近い設備廃棄をするという。実は本法は御承知のように設備廃棄が中心の法律ですが、その設備廃棄をするという場合に、三百以上あるドックのどういう設備廃棄の仕方をするとお考えでしょうか。実は普通の工場なら設備を廃棄してそれを他に転用することができるのですが、造船業設備廃棄をするというのはどういう形の設備廃棄になるんでしょうか、この点、ちょっとお伺いをいたします。
  44. 真藤恒

    真藤参考人 これはわれわれ業界内でいろいろ可能な方法というものを真剣に勉強を始めておりますが、いずれ海運造船審議会の爼上に上げて決めていかざるを得ない問題と思いますが、これも大手の場合と造船専業メーカーの場合とかなりその方法を変えなくちゃならぬと思います。大手も中手も小手も一律一体の方法というわけにはまいらぬかと思っております。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 時間がありません。宇野参考人にお伺いをいたします。  不経済船といいますかあるいは老朽船、そういうものをスクラップ・アンド・ビルドを促進してスクラップの方で解撤事業をひとつ今後積極的に取り組んでいきたい、こういうことでありますが、この解撤事業を現実的に具体的にどのような方針で促進していこうとされるのか、その点を簡単に伺いたいと思います。
  46. 宇野信次郎

    宇野参考人 お答えします。われわれは、いままでスクラップ・アンド・ビルドのほかに、いわゆる政府ですか、あるいは何らかの船舶の買い取り機関をつくっていただいて、一つの目標として、雇用対策を主としまして、先ほど申しましたように、一応三百万総トン解撤費用の予算を立ててみたのです。そうしますと、この買船費が現在、私たちの計算は二百四十円でやりましたが、二百二十円としますともう少し安くなりますが、三百二十四億、解撤の経費が約二百億、回収品の販売価格が四百四十五億。大体七十五、六億の赤字が出るという試算であったのです。しかし、その程度の赤字は何らかの形で政府の方で補助を願いたい。ということは、先ほどもちょっと申し上げましたが、この仕事のかわりに失業保険を出したとすればやはり四十億から出て、差し引きずれば、仕事を与えるということと失業保険をやるということについての大きな差が出てくるという意味で、ぜひこれはやっていただきたい。  また、この解撤事業は、現在のスクラップ・アンド・ビルドにしろ、あるいはその他の造船不況対策の問題にしろ、実現までに時間がかかりますけれども、これは一番手早くやれる方法である。急を要することで、この予算的な措置が、あるいは先ほど申しましたスクラップ備蓄機関のようなものができれば手っ取り早くやれる仕事であるということで、実はわれわれはぜひお願いしたいと思っておるのです。  過去においては、四十三年ですか、日本はアメリカに次いで二位の解撤をやっておったわけです。その当時は、アメリカが百二十六万、日本が約百二十万、台湾が百十万というような解撤をやっておりましたが、五十二年度においては台湾が、これはデッドトンですが七百万トンやっておる、あるいはその他のスペインが百六十万というようなことで、他の大部分の解撤は台湾、スペインというようなことになり、日本とアメリカあるいは中国その他は、五つ、六つの国を合わせても八万五、六千トンとごく微々たる解撤になります。そういう点からいきましても、現在の日本能力というものは、過去に持っていたような点からいっても、できる能力もまた潜在されている。そこで、われわれとしては、この解撤業をいろいろな造船対策の実現までの場つなぎにしたいというので、これはぜひ何らかの政府の御援助を得たいということを考えております。  また一方には、例にとるのはどうかと思いますが、下請振興法を窓口にして、零細企業に対して十六年無利息の融資の道がついておりますけれども、そういうような形を変えた融資方法をとられれば、下請自身においても相当買船の余力が出てくるかもわからない。何らかの特典を与えていただきたいというように考えております。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 この資料によりますと、いまお話がありましたように、三百万総トンの船を買って、その費用が三百二十四億円、解撤する経費が約二百億円、回収品を販売すると四百四十五億円で、差し引きが七十五、六億円の赤字になる。しかし、そのために、延べ人員で百万人です。月収約十五万円として計算しますと、約四千二百人の人員が就業できる、こういう計算になりますね。ただ、この七十六億という赤字は、実はいまちょっと私触れましたように、十五万円の月収者の四千二百人を一年間雇う金額になるわけであります。実は、政府構造不況離職者対策法として数千億の金を用意しておるのでありますが、もし政府がこの制度を積極的に取り入れていくならば、私は、確かに特定不況産業の離職者に失業手当として国費を支払うよりも、経済的に合理的ではないかという感じがいたします。造船業で、政府資料によりますと、八万一千二百五十人程度の過剰人員があると言われておるわけでありますから、この考え方というのは、私はわりあいに妥当性を持っておるのじゃないかと思っております。  時間がございませんので、次に入ります。宮崎参考人にお伺いします。先ほどもいろいろお話がありましたが、ナフサがロッテルダム価格から七千円も差がある、日本は高い、こういうふうにおっしゃるわけでありますが、御承知のように、ロッテルダム価格というのはスポット物でございまして、ヨーロッパでは天然ガスが非常に産出されるということで、石油精製の場合ナフサが比較的ダブって安いということもあるわけであります。過般、石油業界と石油化学業界と三千円の値下げで一応話がついた、こう言われておりますが、その点は実際に話がついたのかどうか、まず  一点、伺っておきます。
  48. 宮崎輝

    宮崎参考人 三千円ということは新聞で報道されましたが、私もナフサセンターをやっておりますからよく存じ上げておりますけれども、実は去年の十月から十二月までのものでございまして、私、よそ様のことはわかりませんが、私の経験によりますと、十−十二月分の価格交渉については目下非常にハードなネゴシエーションをやっております。三千円では私たちも納得できませんので、もう少し下げてもらいたいということを交渉中でございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 十二月までのやつは三千円で決まったのですか。
  50. 宮崎輝

    宮崎参考人 私の方のはまだ決まっておりません。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 なお交渉中だということはわかりました。  それから、先ほど指示カルテルアウトサイダー規制問題がもう一人の近藤さんからもお話がありました。特定繊維法の場合にはアウトサイダー規制がありましたと言いますが、実はアウトサイダー規制は団体法でやったのではないかと思います。ただ、そのアウトサイダー規制も生産制限までの規制であって、設備廃棄のアウトサイダー規制というのはなかったのではないかと思う。団体法では、憲法が保障する財産権の侵害になるということで、設備制限はできても廃棄はできないのでございます。それをアウトサイダー規制設備廃棄までやれというのは行き過ぎだと私は思うのです。宮崎さんは先ほど繊維工業臨時措置法でもアウトサイダー規制があったじゃないかと言いますが、これまた生産数量に関するアウトサイダー規制だと思う。設備廃棄までアウトサイダー規制を拡大していくということは、私は現在の憲法のたてまえからいって不可能である、こう思うのです。  アウトサイダー規制というのは、確かに多数にとっては都合のいいことなんですよ。特にこういう不況のときですから、アウトサイダー規制をすればいいという気持ちはわかります。しかし、これはいわば麻薬のようなものであって、アウトサイダー規制をやたらに乱用していれば、結局企業体質は腐ってしまう、こういう感じを持つわけであります。  ただ、団体法では、この間中小企業庁長官にも、答弁できなかったから課題として預けてあるのですが、団体法では「設備に関する制限」という規定がございます。この設備に関する制限設備廃棄を含んでないのです。なぜかといいますと、団体法ではアウトサイダー規制命令が出せるからなんです。したがって、廃棄を含まない他の方法で設備制限をするということです。新たに設備を拡大することを抑えるということはできますが、廃棄はできません。ですから、団体法によれば、設備に関する制限、数量、販売価格、こういうものは最終的にはカルテルが結べ、アウトサイダー規制もできるのです。その程度でがまんすべきであって、設備廃棄までアウトサイダー規制命令を出せるようにするのが当然だというのは、私はやや行き過ぎな感じがしますから、また、それは法律上不可能だ、こういうふうに考えるのですが、いかがなものでしょうか。  宮崎さんと近藤さんからお伺いをしておきます。
  52. 宮崎輝

    宮崎参考人 特繊法の十二条をごらんいただくとわかりますが、これにはっきりと書いてございます。特定精紡機を処理するために一定の条件を規定してございますが、たとえば「当該指示に係る者の二分の一」、「錘の数の四分の三をこえている」、そういうような場合に特定条件がそろう場合には特定精紡機を処理することについて指示ができて、これに対してアウトサイダー規制命令ができるように規定されております。これは間違いございません。
  53. 近藤暾

    近藤参考人 構造改善アウト規制の問題でございますが、私どもが申しておりますのは、設備廃却につきましてはあくまで自主的でございまして、これにアウト規制をしてほしいと言っておるわけではございません。新増設についてだけは規制をしていただきたいということでございます。  と申しますのは、廃棄の方は自己申告で自主的に廃却を行いまして、一律何%というふうなパーセンテージを全部の企業に強制するようなことはお願いいたしておりません。あくまで廃却をやっておる期間は新増設についてだけの抑制はしていただきたいということでございます。  しかもその新増設のルールづくりにつきましては、産業構造審議会の中に設備委員会というのがございまして、その中には、われわれメーカー、商社、金融機関、労働者代表、学識経験者が入って委員を構成していらっしゃるわけでございますので、最も客観的なルールづくりができるであろうと信じておるわけでございます。  重ねて申しますが、廃却につきまして強制をお願いしておるわけでございません。
  54. 板川正吾

    ○板川委員 私は、中小企業団体法の「設備に関する制限」の中で新増設アウトサイダー規制は可能じゃないかなという感じがするのです。実は、これはこの間中小企業庁長官に研究して返事をしてほしい、私はこう言ってあるわけで、団体法の「設備に関する制限」、独占禁止法の「設備制限」、この法律による「設備処理」というのが、三つ法律で同じような言葉を使っておりながら内容が非常に違うわけでありまして、その点では、私は新増設は「設備に関する制限」の中で読めるのじゃないかという感じがしておるわけであります。  あと聞きたいのですが、時間となりましたので、終わります。
  55. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 長田武士君。
  56. 長田武士

    ○長田委員 参考人方々には、大変お忙しい中を当委員会に御出席をいただきまして、ありがとうございます。  まず、宇野参考人にお伺いをしたいと思います。  お話に伺いますと、宇野参考人は過労で入院され、退院されて間もないと伺っておりますが、それを押して御出席をいただきまして、まことに感謝にたえません。どうか、業界の発展のために御自愛をくださいますようにお祈りをいたしております。  まず、日造協が要求をされております解撤事業、この問題について私どもの党といたしましても賛成でございまして、この問題については種々検討を加えておるわけであります。このスクラップ問題については、資源の再活用、さらには造船下請企業事業量拡大のため、私たちは、買船公団というようなものをつくったらどうだろうか、実はいま党内で検討いたしておるわけであります。まず、この点について御意見をお伺いしたいと思います。  第二番目には、業界不況の影響をもろに受けておられるところの造船下請業界の皆さんは大変御苦労されていらっしゃる、そう私は考えております。そこで、現在どのような対策を望まれていらっしゃるのか。先ほど政府助成を希望されておったわけでございますが、どうかひとつ具体的にお聞かせをいただければ幸いと思っております。
  57. 宇野信次郎

    宇野参考人 お答えします。  私たちは、先ほど申しましたように、解撤事業に対しては元請の協力によって買船あるいは処分ということを考えていたのですが、現状はなかなかそういうことが困難でありますので、ぜひ何らかの形の買船公団というものをつくっていただいて、その公団で、これは外航船あるいは内航船でも差し支えありませんが、それでいわゆるスクラップ備蓄というのを適当な値段で引き取っていただくとか、虫のいい話になりますけれども、せめていわゆる解撤の工賃だけでも出るだけの——余裕がなくても、利益は別として、工賃だけでも出るだけの値段で払い下げていただきたい。これができますれば、いわゆる元請に船を買ってくれ、われわれでやるというようなことが抜きになり、また余裕のあるところで協力して、申しました小型船舶工業会あるいは中造工の工場によって、余裕のあるところで、それを持っていってやる。  現状は、私たちの団体の中で八組合をつくっておるのですが、実際において、ごく特定の元請の協力がある以外は、ほとんど二、三百トン、五百トン未満の小さな船でありまして、何らの対策にならぬではないですが、雇用対策にはちょっとほど遠いわけなんです。いわゆるわれわれが五十二年度でとっていただいた予算も、大体二万総トンぐらいの船を十杯か十二杯つぶすというので二十四万トンを予定しておった、それが六百五十円の根拠になっておるのですが、そういうような大きな船の解撤は、とうてい下請の力では買船能力もないし、あるいは融資の対象になる担保がないというようなわけで、買船についてはぜひ国の援助による買船公団というものがつくっていただければ、この解撤事業が軌道に乗る最短距離であるというふうに考えております。  また、これに対してわれわれもいつまででも政府に甘えておるわけでなく、せいぜい三カ年ぐらいをやっていただければ、何とか解撤工法の開発なりあるいは回収材の処分の有効な方法をとるとして、軌道に乗せるべく大体の自信も持っておりますし、予定を立てております。永久というのでなく、少なくとも三カ年ぐらいめんどうを見ていただければ何とかなるのじゃないかということであります。  また、一つの例としまして、台湾でやっている解撤事業はほとんど手作業でやっているような状態で、技術的には、工賃は安くても日本造船技術から見ればはるかに原始的なやり方をしている。それを日本状態でやれば十分に工賃的には太刀打ちができる。ただ大きな問題は、台湾では回収材がほとんどお金になるんですが、日本の場合はこれを処分するのに公害の対策の関係で大変な金がかかるというところに、大きな相違があると思います。  大体われわれの方としましては、解撤事業は現在においてあくまでも本業でありませんが、元請の仕事の新造船のつなぎとしてぜひやっていただきたいというふうに考えております。
  58. 長田武士

    ○長田委員 次に、近藤参考人からお伺いしたいと思います。  平電炉基本問題研究会昭和五十二年二月だったと思いますが、まとめた報告書によりますと、平電炉業界としては現有能力のうち三百三十万トン過剰設備である、これを五十三年度のうちに廃棄したい、こういう報告書をまとめていらっしゃるわけでありますが、もうすでに一年以上経過しておるわけでありますが、この現状の分析というのは変わっておりませんでしょうか。  これが第一点でありまして、第二点は、設備廃棄資金業界といたしまして政府と折半で出資をいたしまして、債務保証基金も、七億円でございますけれども、創設をされております。設備廃棄した企業に債務保証を行うようでありますけれども、具体的に運用がどのように行われておるか、あるいは運用をスムーズにするためにはどういう問題点を解決しなくてはならないか。  先ほどお話によりますと、民間金融機関からの借り入れが非常にむずかしい、あるいは利子負担が非常に重い、こういう御意見でございましたけれども、もうちょっと具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  59. 近藤暾

    近藤参考人 お答えいたします。  第一点の、いわゆる三百三十万トンのギャップにつきましては、現状におきましても同じでございます。そういう状況において、いま設備廃却を考えておるわけでございます。  第二点の、平電炉業構造改善促進協会というのがございまして、いま先生がおっしゃいましたように、一応七十億までの保証ができるということになっているわけでございます。それは、そのための資金が七億、つまりその十倍の七十億ということでございますが、実はこれはなかなかむずかしい問題でございまして、金融機関も、平電炉メーカー自身がほとんど債務オーバーでございますし、その協会が保証をいたしましても七十億までの合計で御融資がいただけるかどうかということについて、まず疑問があるということが第一点。  それから、合計七十億で足りるかという問題でございます。現在通産省の方で、自己申告をいたしましたいわゆる廃棄の設備のリストができておるようでございますが、その個々の明細、私どもはまだ存じておりませんが、聞くところによりますと大体三十数社が自己申告をしておるようでございますが、一社平均少なくとも十億ぐらいの廃却資金が要するように考えられるわけでございます。そうしますと、三十社といたしましてもこれは三百億かかるわけでございますので、この七十億ではとうてい廃却を実行することはできません。したがいまして、私どもといたしましては、今回の法案における一千億という枠を何とか活用させていただきまして、一応七十億というその枠の拡大をお願いしたいということでございます。  それから、ではいまその促進協会でどういうふうな実施の段階にあるかということでございますが、これはいま各社からヒヤリングを集計したところでございまして、まだ実際の保証業務あるいは融資の業務には入っておりませんという現状でございます。
  60. 長田武士

    ○長田委員 私もその点非常に危惧しておるわけでありますが、まず、金融機関といたしましても、当然債権保全ができない限りなかなか貸し出しは実行できない、こういう点は私は出てくると思いますね。そういう意味で、七億で常識的に考えて三倍ぐらいの金額ならば銀行は対応できるでしょう。しかし、十倍の資金を貸し出すということは、私は現実論として無理だろう、こういうように考えておるわけであります。  またさらに、そうなりますと勢い信用保証協会の保証をつけてくれとか、第三者に保証を依頼しないと銀行が出さないというケースが当然出てきます。こういう具体的な詰めですね。そうなりますと、保証料、さらには金利負担がまたかさむわけでありますから、業界としても簡単にこれに乗れないんじゃないかという感じを私は強く持っておりますけれども、そういう具体的な詰めはまだおやりになっておりませんか。
  61. 近藤暾

    近藤参考人 お答えいたします。  現在まだ具体的な詰めにまで入っておりませんが、いま先生がおっしゃいましたように、銀行は大体資金の三倍ぐらいのところであろうかということ、また、この融資をいたしましても、いわゆる連帯保証的なものを要求される可能性があるわけでございます。電炉メーカーの中には高炉の系列もありますし、あるいは商社の系列もあるわけでございますので、そういうところのものはあるいは連帯保証がとれるかもしれません。しかし、それ以外の独立系のメーカーはそれが全くできませんので、そういたしますと、この制度を活用することができないわけでございます。  さらに、金利の点でございますが、現状ではいわゆる一般に企業金融機関から借りますときの金利で御融資を仰がざるを得ないようなことに追い込まれますので、全くメリットがないと言えばちょっと過言かもしれませんが、実はそのような状態でございますので、もしこれを実行いたしますときには、連帯保証ということは必要でないということと、それから金利につきましては、減免、つまり利子補給もあわせてお考えいただきたいというのが、業界要望でございます。
  62. 長田武士

    ○長田委員 次に、真藤参考人にお伺いしたいと思います。  企業倒産のあらしが吹きつける中でも、業種別に見てまいりますと、倒産件数の多い業種というのは造船業界、非常にこの不況をもろにかぶっておるわけであります。ところが、業界内では仕事の取り合いをするなど、どろ仕合いが行われておるという事実もあるわけであります。  私も過日、中小の造船会社にお邪魔をいたしました。その社長からいろいろ伺ったのでありますが、全国の仕事量が現在非常に落ち込んできておる、以前は手を出さなかった小型船にまで大手造船会社が手を出してきておる、そういうことで何とか分野調整をしてもらいたい、大手の企業の進出から中小零細企業を守ってほしい、そういうことで分野の調整をしてもらいたい、こういうことを私は真剣に訴えられてまいったわけであります。  そこで、お尋ねをしたいのでありますけれども業界企業といたしまして大手と中小との調整、これを含めてどのような設備廃棄を考えていらっしゃるか。具体化はしにくいとか、あるいは企業の利害調整が非常にむずかしいとか、多々問題はあると思いますけれども、こういう点についてどうかひとつ御意見をお伺いしたいと思います。
  63. 真藤恒

    真藤参考人 恐らくいまの御質問の点が、これから先も、申し上げました海運造船合理化審議会で具体的な方法論を決める議論の焦点になると思います。したがって、まだここでこういう方法で進んでおりますという段階に参っておりません。いまからでございます。
  64. 長田武士

    ○長田委員 続きまして、宮崎参考人にお伺いしたいのでありますが、構造不況から脱出は需給ギャップの縮小から均衡化への回復である、このように言われておるわけでありますが、これは不況打開の決め手になるかどうか、この点をまず一点お尋ねをいたしたいわけであります。  と申しますのは、現在の需給ギャップと言われるものが、稼働できる設備、この能力とすでに遊休化しておりますところの設備とを含んで算定されておるわけでありますから、実態とかけ離れておる、私はそういう見方をいたしております。実際に過剰設備の廃棄が行われる場合には、すでに遊休化あるいは休止しておる設備の廃棄がかなり多いんではないかと私は思うのでありますけれども、そうなりますと実質的な需給バランスの改善に寄与できないとも考えられるわけでありますが、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
  65. 宮崎輝

    宮崎参考人 合繊業界には協調懇というのがございます。これは日本で石化業界と合繊業界、二つでございまして、能力はきわめて明確に業界及び役所の方にわかっております。伝え聞くところによりますと、先生のおっしゃるとおり、ごくわずかですけれども、登録能力にない、本当に使ってない設備があるそうでございます。これはわずかでございます。私どもが考えておりますのは、表に出ております協調懇の本当の数字でございまして、これは完全に現状と一致しておりますから、御心配になるようなことはまずないと思っております。
  66. 長田武士

    ○長田委員 大変恐縮でございますけれども近藤参考人、いまの御意見どうでしょうか。
  67. 近藤暾

    近藤参考人 大体同じような意見というふうに申し上げたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  68. 長田武士

    ○長田委員 続きまして、もう一度宮崎参考人にお尋ねいたします。  今回の不況産業法案でありますけれども、利子補給などの措置が盛り込まれていないわけであります。さらには、債務保証を利用して実際には廃棄資金を借りるといたしましても、残存業者が担保や裏保証を求められるのではないか、そのような危惧がされておるわけであります。そういう意味で、いきなり設備の廃棄をするよりも、まず凍結から始めた方がよいのではないかというお考えのようでありますけれども、本法案に現実的に対応する考え方を御提案されたわけでありますが、この具体化についての可能性といいますか、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  69. 宮崎輝

    宮崎参考人 冒頭と申しますか、私の陳述のときに申し上げましたように、この法案の一番のポイントは資金の裏づけでございまして、また、その資金のいろいろな条件でございます。それと、廃棄するものに対して、仮に残存業者が廃棄費用を負担するといたしました場合に、最低ブックバリューが保証されるということになりますと、私は、みずから進んで設備を廃棄するものが出てくるのではないかと思います。そのほかにもちろん従業員の退職に対する、重大な雇用に対する措置もございますが、そういうようなみずから進んで設備を出すような環境づくりをするようにするということは、資金の問題でございます。  したがいまして、本法の一番重大な点は、資金及び保証される金額でございますが、そういうことがうまくいきます場合には、おのずから廃棄だけで十分にいけると思います。  それからもう一つは、合繊の中にはエステルフィラメントその他いろいろな種類がございまして、過剰の度合いがそれぞれ違ってまいります。それで、将来性があり過剰の度合いが非常に低いところと、将来性も余りなくて過剰の度合いが非常に高いところというものとによって、それぞれ具体的に処置を講ずることは必要かと思っております。  それで、私どもは、当面四月−六月は不況カルテルで何とか乗り切りたいと思っておりますが、その以後の処置につきましてはその辺をどういうふうにしたらいいかということで、われわれ社長会を開いて検討している最中でございまして、まだ具体的な結論等は出ておりません。
  70. 長田武士

    ○長田委員 もう一度、大変恐縮でございますが、宮崎参考人過剰設備を凍結しているわけでありますから、この間自主的に廃棄するなどの努力は当然必要ですね。将来、最終的にはどのように処置をされるのか、この点が第一点。  第二点は、経済規模を維持しながら凍結するために、当然生産面での業界の再編成をさらに進めなければならないと思いますが、あわせてこの二点の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  71. 宮崎輝

    宮崎参考人 先生御指摘の第一点の、最終の処理ということをおっしゃった、これがまことにポイントでございまして、私どもは、一体日本の合繊工業が最終的にどういう姿になったらいいかということを、本当にいま最終の結論に到達するのに悩んでおります。ですから、今度できます構造不況法案がそれにいかにコントリビュートできるか、また、われわれはこれをいかに活用させていただくかということが私どもの悩みでございまして、たとえば二割余っているのか三割余っているのかということも、輸出がこんな円高でどうなっていくか、輸出が減っていく、あるいは輸入がさらにふえてくるという場合には、おのずから最終の段階の処理の数字が違ってまいります。  それと、先ほど申し上げましたように、合繊もいろいろ種類がございまして、その種類によってまた違ってまいります。だから、私ども業界といたしましては、輸入に対するわれわれの自主的な対策といたしましては、輸出国のできないような特殊なものをつくるということに全力を挙げております。これはデニールが細くなりますと紡糸機は操業度が非常に上がります。重合が減りましても紡糸機及びその段階の操業度は落ちないかむしろ上がります。ですから、そう考えますと、重合は余るけれども紡糸機は余らないという場合もございます。そうしますと、重合も大きな重合設備を半分動かすわけにまいりません。やはり七割とか六割くらいでないと連続重合の場合も操業はできませんので、そこからおのずから制約がございます。  ですから、こういう技術的及び輸出入の問題、われわれの開発能力等を勘案いたしませんと、最終の姿は、まことに遺憾ながら、本日のところ先生にお答えできる段階にございません。  それから、業界の再編でございますが、私もいま幸か不幸かむずかしい業界の幹事役を仰せつかっているものですから、懸命に再編の努力をしておりますが、何分にも数が多い。だれかたとえ話で言っておられましたが、ひよこが二十羽出るよりも六羽出した方が早くこっちに帰れと言えるというようなこともございまして、余り数が多いとどうしてもまとまりにくうございますので、数を減らすについては、可能な方法としていま新聞紙等で言われているような方向を志向して動いております。潜在的にいろいろ動いておりますけれども、どういうふうになりますか、私どもが考えているとおり果たしていきますかどうか、相当いい方向にございますが、まだこの段階ではっきり申し上げることは遺憾ながらできないような状況でございます。それでお許しいただきます。
  72. 長田武士

    ○長田委員 それでは最後に、日本開発銀行の総裁が御出席でございますので、お尋ねいたします。  本日、参考人の皆さんからいろいろお話を伺いまして、非常に危惧されている問題点が多々あるわけでございます。それを何点かにしぼって最後にお尋ねしたいと思います。  基金による債務保証の業務方法に関する問題でありますが、基金が債務保証を行う場合、主たる債務者であるところの事業者と、その親事業者及び金融機関等に対して、基金の保証債務について一定の割合で保証を求めるという、いわゆる裏保証を考えておるようでありますけれども、しかし、これでは裏保証をしようとする商社や銀行に負担がかかってまいりまして、かえってブレーキになるのではないか、私はそう考えております。したがって、その運用に当たっては、過剰設備処理を促進するという基金の設立趣旨及び目的にかんがみて、基金の債務保証機能を低下させないように考えなくてはいけないのではないか、私はそう考えますけれども、この点についてお答えをいただきたいと思います。  第二問は、先ほど来話題になっておりますところの、宮崎参考人からも化学繊維だけでも約一千億必要であるというような御意見がございました。そういう意味で、資本金の増額による保証規模の拡大について早急に検討する必要があるのではないか、そう考えておりますけれども、この点についてお尋ねをいたします。
  73. 吉岡英一

    吉岡説明員 お答えを申し上げます。  まず、お答えを申し上げます前に、この法案に対する開銀の立場と申しますか、そういうことをちょっと申し上げたいと存じます。  十分御承知のように、この法案によりまして保証基金が設立されまして、それに開発銀行として百億の出資をいたすことになっております。ただ、この基金に対する出資という関係は、法律で十分御承知でありますように、株式会社に対する出資、つまり株主と会社というような関係とは全く違った法律関係でございます。出資はいたしますが、保証基金は特別の法律に基づく独自の法人として、主務大臣と申しますか、政府の指導監督のもとに独自の運営をされるたてまえになっております。私どもは出資をいたしますし、また、場合によっては保証基金の業務の委託をお受けしてお手伝いをすることがあるというのがたてまえになっておりますから、非常な関心は持っておりますけれども立場といたしましては、保証基金独自の運営をなさるということになっておるわけでございます。そういう意味で、開銀といたしまして、保証基金の運営について、たとえばいまおっしゃった裏保証をどういうふうにするのかというようなことについて、実は申し上げる立場にないわけであります。  そういうことでありますから、開銀としてという立場から少し離れるかもしれませんが、私ども、やはり出資をして保証基金ができて、それがうまく円滑に運営をされて所期の目的を達せられることを非常に期待しておるわけでございますから、そういう意味で考えますと、やはりこの法案全体が、安定計画と申しますか、不況産業の安定は、根本としては経済界全体の自主的な努力が原則であるということだろうと思います。そういう趣旨では、保証基金も原則は金融界を含めた経済界の自主的な努力を基礎として運営をされるべきだというふうに感じております。  ただ、そうは申しましても、それだけではうまくいかないからこそこういう法案ができ、保証基金というものができるわけでありますから、そういう根本の姿勢といまのこの基金ができました趣旨との兼ね合いと申しますか、おっしゃいましたように、まさに円滑に運営をするにはどの辺でバランスをとるかということは大変微妙な問題でもあり、むずかしい問題だと思いますが、これから保証基金なり関係の各界で十分に御協議を願って、円滑に話が進むことを期待しておるわけであります。  それから、限度の問題でありますが、これは私どもも百億の出資を予定をいたしておりますが、政策当局から御説明があったと思いますが、制度的たてまえとしては、大蔵大臣の認可を得て出資の金額をふやすことができるたてまえになっております。実際にこの基金が動き出しまして具体的にどういうことになりますか、その状況を見ました上で、そのときに必要に応じてその場で政策御当局とも十分に御協議の上、態度を決するということになろうかと思います。
  74. 長田武士

    ○長田委員 それでは、貴重な御意見ありがとうございました。
  75. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 宮田早苗君。
  76. 宮田早苗

    ○宮田委員 近藤参考人にお伺いをいたします。  平電炉業界におかれましては、三年前の答申によって三百三十万トン計画をされた。問題は、それまでいろいろ自主的な努力をされたことは十分承っておりますが、根本的な解決はこの法律にまたなければならぬわけでございます。  そこで、その計画以前からすでにもう事実上減産、休止ということになっておると思うわけでございますが、今日まで三百三十万トン分のどれだけ休止、減産になっておるか、生産量としてお答え願いたいということと、それから、それぞれこれは努力ということでも、働く者にとっては不幸なことでございますが、あれから今日までどれだけの離職者が出てたきか。さらに、そういう休止、減産ということになると、余剰人員も相当に抱えておられるんじゃないかと思いますので、まずその三つをお答え願いたいと思います。
  77. 近藤暾

    近藤参考人 お答えいたします。  順序が後先になるかもしれませんが、離職の状況でありますが、一応四十八年がピークと平電炉業界としては考えております。平電炉業プロパーの従業員が当時四万五千名でございました。大体一万人減りまして、現在で三万五千名ということでございます。それは一応毎年平均的に減ったというわけではございませんで、最近の方が減り方が多かったわけでございますが、四十八年以来約一万人減少しておりまして、少なくとも員数の面では一段落したのではないかというふうに思います。  それから、三百三十万トン需給ギャップがあったわけでございまして、一六%ということは、総生産能力で大体二千百万トンを考えたわけでございます。現在すでにもう休止状態に入っておりますのが四百万トンぐらいあるわけでございまして、そういった状況構造改善が進んでおるわけでございますが、結局実際の廃却という問題になりますと、これは人間の点では、大変心苦しいのですが、そういうふうなことで進行はいたしておりますけれども、休止の状態でございまして、完全な廃却ではございませんので、これを五十三年度末までに実際に廃却を実施していこうということになっております。
  78. 宮田早苗

    ○宮田委員 問題は、アウトサイダー関係だというふうに思います。何しろこの法律を完全に全うするためには、全体という立場で考えなければ成功しないんじゃないかというのが私どもの持論でございます。  そこで、平電炉業界に対するアウトサイダーの動きについて、三年ぐらい前からのことでございますが、新増設計画をされておりますアウトサイダー関係があるんじゃないかと思っておりますが、もしあればどの程度の計画をされておるか、さらにこれからそういう計画をされるところがあるのか、あるいはまたそれが業界に与える影響といいますか、どういう影響をもたらすか、その点、率直にひとつお答え願いたいと思います。
  79. 近藤暾

    近藤参考人 お答えいたします。  アウトの問題でございますが、現在新増設の意図を持っているかどうかということは、これは企業の機密でございますので、私ども具体的にはよく存じませんが、現在増設しているところがあるわけでございます。それでまた、それ以外にも、三年ほど前に、まだ状況が現在ほど悪くなかったときに聞きました情報を集めますと、やはり百五十万トンぐらいは新増設をしようという計画があったように伺っております。  それから、特にこの際強調して申し上げたいことは、団結するために皆が同じような責任を果たすということは、精神的にはそうでございますけれども、一電気炉しか持っていないメーカーもあるわけでございまして、これに一律の廃却分、たとえば私どもは一六%と考えておるわけなんですが、一六%廃却せよということを言いましても、これは物理的に不可能でございます。つまりそれをやりますと、おまえは死ねということでございますので、それではいけない。したがって、電気炉の数をたくさん持っている、つまりわりあいと大きいところ、平電炉の中でも比較的規模の大きいところが率先してやっていこうではないか、その合計が一六%になればいい、そういう自主的な行動を起こしているわけでございます。  したがいまして、そういうことを自主的にやります一方で、この需給ギャップが解消するまでの間は、少なくとも新増設はお許しいただきたい、抑えていただきたいというわけでございますが、現在新増設をやっておるメーカーもあることでございますが、それに対する問題は、実に感情的には困ったものだと思うわけでございまして、われわれが血を流しているのに、むしろその血を吸い上げて自分の利益にしているのではないかとさえ思わざるを得ないというのが、われわれの率直な感懐でございます。
  80. 宮田早苗

    ○宮田委員 この法律が施行されることによって企業自体が縮小ということになるわけでございまして、そこで各参考人にお聞きをいたしますのは、大きな立場の再編ということで私は質問するわけじゃないんです。たとえば宇野参考人のところ、これは造船工業会協力的な会社であるはずでございまして、造船が成り立ってまいりましたところのゆえんというのは、その造船工業会に所属されております親会社とそれに協力されております言うならば下請協力会社ということなんでございまして、問題は、こういう形になるまでの間に、工業会なら工業会、それに所属されております親会社なら親会社の御指導によって、その下を受け持っておられます協力会社方々の再編とか、もう少し露骨に言いますならば整理統合とかいうようなことをやらざるを得ない状況に今日情熱があるんじゃないか。さらに、この法律を施行いたしますとそれをやっていかなければ企業自体が成り立っていかない、こういう傾向にも、せっかくこの法律の施行があり、これを全うしたといたしましても、企業の繁栄ということを考えますとそこまで考えていかなければならぬのじゃないか、こう思っておりますが、いままでの実績がありますならば、またこれからそういう考え方がございますならば、各参考人ごとにひとつ簡単にお答え願いたいと思います。
  81. 宮崎輝

    宮崎参考人 お答えいたします。  再編と申しますか、どうせ設備を廃棄いたしますと先生御指摘のとおり小さくなってまいりますので、その企業自体がまず生きていくのにどうしたらいいかということと、その企業は何とかとんとんにさえなればその企業以外の事業で生きていくということで、二つの問題がございます。ですから、いろいろな他の事業をしている人は、たとえば合繊が何とかとんとんにさえなればやっていけるというところもございますし、合繊以外の部分もまた同じように苦境にある産業をやっていらっしゃるところもございまして、大きな業界の再編ではなくてその企業自体が生きていくためには、その企業自体がまことに血のにじむ思いをこれからも続けなければならぬと思います。  特に設備を廃棄いたしまして、小さくなって経済単位じゃなくなってしまうようなことになりますと、どうしてもその企業の存立自体が問題になりますので、そのときに一体どういうふうにしてその企業が生きていくかということは、これは普通の経済原則による場合が多いと思いますが、金融機関の方もおられますし、いろいろな方がおられますので、単なる経済原則以外にやはり社会問題の雇用問題等が発生するおそれもございますので、私どもはいまそこらあたりを非常に真剣に考えております。  合繊業界は幸いに大きな会社ばかりでございまして、その辺が、数も多いといっても余り多い方じゃございませんので、私は、方法よろしきを得ればその業界全体が設備を廃棄した後でも生き残れる道があるのではないかということを考えて、いま知恵をしぼっておるところでございます。
  82. 宮田早苗

    ○宮田委員 造船工業会協力事業団の関係について、たとえば大きな一造船会社の中でその下請方々が大方倍おいでになるのじゃないかと思うのです。その倍おいでになる下請会社自体というのは、幾つも、言うならば十も二十もあるわけでございます。それをそのままにしておきますと、企業が自然縮小になりますから立っていかないということになるわけでございますので、そういう点は親会社がいろいろな小まめな御指導をなさって、おまえさんのところは大変失礼な話ですけれどもAとBを一緒にしなさいとか、あるいは輸送を担当している部分は、いままで全部三社、四社が輸送を担当しておったけれども、それじゃ成り立たぬからそこは一本になりなさいとかいうようなことが、いままでなされたのじゃないか、また、これからもなされなければいかぬのじゃないかというふうに私は思っておるものですから、その点についてひとつ何かありましたらお聞かせ願いたいということなのです。
  83. 真藤恒

    真藤参考人 その点につきましては、これは親会社の方の考え方、やり方によってかなりいろいろ違った歴史をたどっておりますけれども、むしろいまおっしゃったようないわゆる合理化という点につきましては、不景気が来る前にすでにかなり進めておったわけでございます。この不景気が来まして仕事の絶対量が足らなくなってくるにつれまして、いわゆる本工の方は採用停止をする、減少に任せる、それから大手の方はほかの工場に移転する、あるいは船以外の仕事をその工場に入れてくるというふうなことで雇用を調整してまいりましたし、また、まいっておるわけでございますが、一方、長い間いわゆる下請を入れておりまして、職種によりまして、あるいは技術によりまして、親会社の方にもう全然そういう能力がなくなっておる職種もございますので、これはそれ相当に親会社の人間も減員しながら依然として下請の形で工場の中で働いていただいておるというのが現状でございます。  ここまではこうやってまいりましたけれども、これから先は、さっき申し上げましたように、絶対値がもうどうにもならないことになってまいりましたので、どうしてもこの構造不況業種あるいは労働省関係のいろいろな不況対策の措置に沿って、社会にひずみを起こさないように縮小政策を当分たどらなくてはならないというのが、造船の実情でございます。
  84. 宮田早苗

    ○宮田委員 限られた時間が参りましたので、あと皆さん業界の代表でございますので特にお願いをしておきたいのは、この法律最初の大きな問題は基本計画の策定にあるわけでございます。この基本計画の策定に際しましては、特にそこに働いておられます労働者といいますか、組織しております組合といいますか、それらの意見を十分に入れてこの計画を策定していただきたいということを特にお願いをしまして、時間がございませんから終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。
  85. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 荒木宏君。
  86. 荒木宏

    荒木委員 参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。  短い時間ですから、早速宇野参考人にお尋ねをいたしますが、先ほど御説明を伺いましたときにいただきました資料十一、「倒産造船所に係る被害例」ということで、ここに十七の倒産船会社名が掲記されておりまして、関連企業が百企業、不良債権が約四十億円、一社当たり約四千万円というふうに拝見いたしました。そこで、ここでいただいております資料で、倒産した造船会社に対して約四十億円の不良債権を持っている下請企業、いずれも会社更生法あるいは和議の手続中だということでございますが、現在、この百社の下請企業がなお操業を継続しているのか、あるいは操業停止がおよそ何割ぐらいあるのか、簡単に概況を伺いたいと思います。
  87. 宇野信次郎

    宇野参考人 お答えします。  倒産して、会社更生法によってあるいは和議その他の問題でというのは、われわれの日造協関係企業だけでも表面化したのは四十億近くある。ただ、自分のうちの不良債権が表面に出ると将来の信用に関するので隠しておる、公表を好まない業者を推定しますと、その倍にもなるんじゃないか。いま不況の追い打ちをかけられて不良債権によってつぶれたという業者、まだわれわれの方には出ておりませんが、この不良債権の融資船舶振興会にかなり応援していただいて、当面の融資船舶振興会の融資でどうやら補っている。その他は、企業が小さいので、いわゆる七とこ借りで何とか企業を維持していることがまだ続いておるわけですが、これが今後続くようだととうていこれはもうむずかしいんじゃないか。われわれとしては将来、この倒産会社によってこうむる——これは善意の本当の協力金であり、ほとんどが下請の工賃とされる、これが一転不良債権になると、もう耐えられない問題ですから、何とかしてこれを生きる道はないか、全額とは言わなくてもこのうちの何分の一でも政府の方から、自分の方では不良債権ではないのですが、相手の倒産によって不良債権となったのですから、生きる道はないかということを再三お願いしているわけですが、これに対して何らかの生きる道を講じていただけることを、将来を含めてわれわれの会員は待ち望んでいるわけでございます。ぜひお願いいたします。
  88. 荒木宏

    荒木委員 さればこそ、資料の十で拝見いたしております更生計画に基づく下請中小企業のたな上げ債権についての適切な措置を御要望になっていると思うのです。  いま伺いますと、いただきました資料の倍の企業数があるのではないか、こういうお話でありますが、そこで、中小企業庁の担当者に聞きますが、現在、さまざまな金融措置の制度は私も概要を承知しておりますけれども、いま参考人要望がありましたような更生計画に基づくたな上げ債権、これに対する中小企業庁としての助成措置、保護措置、どのようなことを考えているか、これが一点であります。  なお、更生法の話が出ましたので、特に繊維の関係で更生中の企業設備の共同廃棄、買い上げ希望をしているところがあるやに聞いております。私の聞き及んでおりますところでは、紡績関係で七社あるというふうに聞いております。たとえて申しますと、大阪府南部の阪本紡績というのがありますが、ここは子会社に日立紡績というのがありまして、これの織機の買い上げ希望が出ておることは、通産省の担当者も御承知と思います。こうした会社更生手続中の企業の共同廃棄、買い上げについての通産省の方針、特にいま例示をいたしました阪本紡績と日立紡績の関係についての指導、援助見通し、この二点について伺いたいと思います。     〔中島(源)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
  89. 松尾成美

    ○松尾説明員 会社更生法による造船下請企業の債権の取り扱いについてどういうふうに考えているかという点でございますが、この御要望につきましてはかねがね私どもお話を承っておりまして、造船下請企業が大変厳しい局面に直面しているという点については私どもも大変心を痛めているところでございます。この点につきましては、実は保証なり保険の上の問題でございますけれども、一般に債権を担保にして保証をやるというのは、普通の動いている会社の場合にもなかなかむずかしい。無担保保証という制度も金額の小さいものについてはございますが、大きなものになりますと物的な担保というものが中心になってくるという形でございまして、更生会社と申しますと健全に動いている会社よりはなおさらにむずかしくなってくるということで、この点は制度的にはなかなかむずかしいというふうに考えております。  私どもとしては、先生すでに先ほど御承知ということでお挙げになりましたけれども、いろいろな現在ある制度、倒産対策緊急融資制度でございますとか、あるいは保険の上でも倒産企業についての関連会社には特例の措置も設けております。あるいは不況業種についても指定をしておりまして、造船下請不況業種としても保険の特例を受けられるということになっておりますので、いろいろな制度を極力組み合わせて活用していきたい、それで何とか個別の問題を解いていきたいというふうに考えているわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、先般成立いたしましてこの四月から発足することになっております倒産防止共済制度でございますが、この制度が軌道に乗ってまいりますと、今後はこういった事態にまさにぴたりという制度でございますから、これで対処していく。残念ながら、これは四月からでございますので、その間は現行のいろんな制度を組み合わせて極力対処してまいりたいというふうに考えております。
  90. 篠島義明

    ○篠島説明員 阪本紡と日立紡の設備買い上げの件でございますが、現在日立紡の方から具体的に、持っております設備の全量買い上げの希望が出てきております。  ただ、日立紡につきましては、その出資の株式の全部を現在阪本紡績が所有しておりまして、阪本紡績、これは御承知のように非中小企業でございます。現在の共同廃棄事業としての設備買い上げにつきましては、非中小企業の所有株式数が五〇%を上回る場合には、中小企業であってもこれを対象にしないということになっておりますので、日立紡はそういう意味で現在の時点では買い上げの対象にするわけにはいかないという実情にございます。  ただ、阪本紡につきまして、現在会社更生法で更生手続が進められておりますが、これが予定といたしましてこの十月の半ばに最終的な更生計画が決定されることになっております。この場合、現在裁判所あるいは管財人等ともいろいろ話し合いをやっておるわけですが、恐らく見通しとして減資によって一億円を下回る会社になるのではないかというふうに見込まれておりまして、もしそういうことになれば、これは阪本紡績の子会社である日立紡績についても共同廃棄の買い上げの対象になるということでございますので、そこら辺について、具体的にどうすればうまく事業に乗せられるか、いろいろ関係者と打ち合わせておる段階でございます。
  91. 荒木宏

    荒木委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、更生計画のたな上げ債権の扱いについてはむずかしいということだけではなくて、先ほど御指摘の基金の話もありますが、あすの百よりいまの五十ということが大切なことなので、なお一層検討することを強く要望して、質疑を終わります。
  92. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 大成正雄君。
  93. 大成正雄

    ○大成委員 最後でございますが、参考人の皆様方には御協力を感謝申し上げます。  最初に、宮崎参考人に承りたいと思うのですが、先ほど宮崎さんがおっしゃったように、化合繊の不況要因の特異性は円高と輸入だ、こういうことでありました。十−十二月期の自主交渉によってナフサ価格三千円の値下げは妥結したわけでありますが、残された一月以降の一−三月の問題もあるでしょう。また同時に、政府が言っておる二段階交渉という問題についてでございますが、二百二十円台という円高基調において、昨年の十−十二月期の三千円の値下げは帳消しになったような状態だと思うのです。かかる現状において、この一−三月の値下げ交渉あるいは二段階の調整に関して、参考人はどのようにお考えでしょうか、承りたいと思います。
  94. 宮崎輝

    宮崎参考人 お答えいたします。  おっしゃるとおり、十−十二月についての三千円は実は安過ぎると思っているのです。ですから、先ほど申し上げましたように、私どもはそれでは満足しておりませんので、もっと高い引き上げを要求していま交渉しておりますが、御指摘のとおり、一−三月になりますとさらに為替レートが下がっておりますので、輸入品は下がっておるわけです。そういう意味におきましては、リファイナリー業界立場もいろいろございまして、メジャー系統その他の系統には立場がございまして、私どもで非常に理解できる点もございます。ですから、為替が下がったからただ一律に下げなさいということは言いにくい場合もございますが、ビジネスマンでありますので、お互いにその点はよくわかりますから、きわめて合理的かつハードにネゴシエーションを続けていくつもりであります。
  95. 大成正雄

    ○大成委員 いま私が聞きました後段の二段階というのは、石油業法第十五条ですか、この再検討がなされなければ決まってこない問題だろう、それだけに政府の決断が必要だと思うのですが、参考人、どうでしょうか。
  96. 宮崎輝

    宮崎参考人 私見でございますけれども、いまの二万九千円というのは標準価格を設定されて決まったわけですね。もちろんその後これが撤廃されましたから、いまや理論から言えば標準価格ではございませんけれども、現実には標準価格で決まってそのまま据え置かれておるわけでございますので、本当は政府はもう一遍標準価格を見直す過去一週間のレートとの調整、全面的に見直すという措置を、特に事情が変わりたわけですから、やるべきであると私はかたく信じております。
  97. 大成正雄

    ○大成委員 過般、私が予算委員会で輸入の問題でただしたのですが、大蔵、通産両大臣の御説明では、関税定率法第九条の不当廉売関税の問題ですが、輸入数量もそのシェアはごくわずかだし、また不当廉売であるかどうかの判断は当該国の国内価格等の判断によるのだ、こういうことで、政府の答弁を聞いていますと、関税定率法九条の適用というのは、申請されても何かむずかしいような感じなんですが、会長、どのようにお考えでしょうか。
  98. 宮崎輝

    宮崎参考人 御承知のように、日本では関税定率法九条を適用した例はいままでございません。しかし、適用しかかったというのが、ある業種でございました。しかし、関連業界反対で中止になったというふうに伺っております。アメリカは、あの大きな会社がどんどんアンチダンピングを発動いたしまして、ある意味のノン・タリフ・バリアになっております。ですから、そういう意味で私どもは発動しようという意味ではございませんが、日本の関税定率法なりそれに基づく政令も非常によくできておりまして、アメリカほどではございませんが、これはガットに加盟した以前にあったアメリカのダンピングの法律との関連等からアメリカは非常に詳細に規定しておりますが、日本相当にやれますので、私どもはそのノン・タリフ・バリアの意味でなくて、本当に不当廉売で日本業界にインジュリーまたは混乱等を与えるものにつきましてはやるべきであるという意味で、準備をしております。  ただし、統計等にまだ不備がございまして、十分に調査しないといけませんし、また、御承知のとおり相手国によってはいろいろな政治上の問題もございますので、あらゆる配慮をしてあらゆる方々に御迷惑のいかないような十分な手を打って、この措置をとります場合には実行に移したいというふうに、慎重かつ十分に勉強してやろうと思います。
  99. 大成正雄

    ○大成委員 近藤参考人に伺いますが、指示カルテルの申請の充足要件としては三分の二というこの委員会での答弁でございますが、先ほど来の御説明の状態において、ただ企業数の三分の二だけでなくて生産量その他も含めてでしょうが、この指示カルテルの申請にたえられるそういう要件の充足はできるでしょうか。
  100. 近藤暾

    近藤参考人 お答えいたします。  生産量と企業数の両方の要件を満たしております。
  101. 大成正雄

    ○大成委員 真藤参考人に承りますが、造船は五〇%からの設備廃棄をして、廃棄のあり方にも他の企業と違ったむずかしさ、個性があるのでしょうけれども設備廃棄資金の金融を保証つきで受けて、後ろ向きの金融ですから、それを五〇%も活力を減殺して五年間に返せる、そういう返済能力はあるのでしょうか、どうでしょう。
  102. 真藤恒

    真藤参考人 お答えします。  企業の性質上五年間では不可能であることは、もうすでにはっきりいたしております。それで、海運造船審議会でこれから議論されるわけでございますが、何らかの弾力的な方法をとっていただかないと、これは不可能でございます。
  103. 大成正雄

    ○大成委員 開銀総裁に承りたいと思うのですが、先ほどの御質問にもありましたけれども保証つき金融の先例として十倍保証なんというのはとてもむずかしいのじゃないかと考えておるわけですが、法律で決められたことですからやむを得ないと言えばやむを得ないのですが、それだけに金利については金融機関に対して余り強いことは言えない。金利の問題は本委員会でただしているのですけれども、まだ結論は出ていないわけでございます。もちろん開銀がこの基金に参加されるのでしょうけれども、金融サイドに対して、それだけのリスクは基金がしょうわけですからある程度強い姿勢で当たっていただいていいと思うのですが、この保証限度額あるいは保証対象の条件、そういったこと等についてはどういうふうに考えておられるのでしょうか。これとこれについては保証しますよ、これとこれについては保証しませんという業務内容に触れると思うのですが、そこまで詰めがいっていなければ結構ですけれども、その点が一つ。  それから、通産大臣は、千億という枠でなくて必要ならば幾らでもふやすのだと言うのですが、開銀側の事情としてはどうなんですか。あと百億ぐらいはふやせるのですか、どうなんですか。
  104. 吉岡英一

    吉岡説明員 お答え申し上げます。  第一点につきましては、先ほど申し上げましたように、開銀は出資はいたしますけれども保証基金は独自の法人として独自の運営方針で運営をされるわけでありますから、開銀としてその運営方針について何か物を申し上げる立場にないわけでございます。したがって、保証基金ができましたら、保証基金を中心にいたしまして、政策御当局あるいは関係業界と十分お話し合いができて、円滑に運営されることを、われわれとしては期待をしておるということでございます。  それから、出資の金額につきましては、一応百億ということで進んでおりますが、先ほど申し上げましたように、そのときの情勢によって増額をする可能性はあると思います。
  105. 大成正雄

    ○大成委員 終わります。
  106. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長代理 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  次回は、来る四月四日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会し、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたします。  なお、明三十一日金曜日午前九時四十五分理事会、午前十時より社会労働委員会、農林水産委員会運輸委員会との連合審査会を第一委員室において開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時一分散会