○松本(忠)
委員 大臣がこの問題に対して強い関心を示されて、また、
緊急輸入というような問題も、これはぜひ何とか実現をしなければならぬと思う。そのために
経済閣僚の方々が御心配になり、やっておられることに非常に私
どもも大きな期待をかけているわけでございます。
いままで
国内の地場
産業等がこの
円相場の影響を受けまして非常な苦境にあることは、しばしば当
委員会でも私も申し上げてまいりましたけれ
ども、なおまた、私は、非鉄金属の問題が大きな影響を受けている点を見逃すわけにはいかないと思うわけでございます。
最近のロンドンの金属取引所の銅相場でございますけれ
ども、六百六十ポンド台を低迷しておりまして、これまでの、昭和四十九年四月、これが最高でございましたけれ
ども千四百ポンド、この半値以下にいまなっているわけでございます。しかし、この半値であっても、
円高の影響さえなければ、ポンドが以前の千八円に維持されていたならば、トン当たり
日本では約六十六万五千円となりまして、採算としては余りよくないけれ
ども、何とか
国内鉱山を維持することができた。ところが、御
承知のような
円高が現出いたしまして、このために現在の
為替レートによりますと現行の
国内の建て値が三十二万円、こうなりますと、
業界では二十万円以上も赤字操業を余儀なくされているのが
実情でございます。
この非鉄金属
業界を取り巻くところの
為替の問題は、これだけにとどまりません。たとえば銅の
輸入鉱石の製錬費は
ドル建てとなっておりますために、この
段階でも差損が起きております。また、少資源国であるところの
日本の悩みとして、原料鉱石確保のために海外の鉱山の開発に多額の資金を投融資いたしております。これは国策の一環としてやってきたわけでございますし、また、今後の
業界の発展のためにもやっているわけでございます。これもひどい
為替差損を受けているわけでございます。
円高は、この
業界にとりまして、
決定的な打撃を二重、三重に与えているわけでございます。しかしながら、一方、こうした
日本の鉱山の
実情であるのに反しまして、CIPEC加盟国であるところのペルーとかチリといった銅の
輸出国などは、自分の国の
通貨を切り下げているので、長期の不況にかかわらず利益を上げているというような状態になっているわけでございます。
銅という
一つの鉱産物をとってみましてもこのような状態でございますが、ここで
わが国の非鉄金属鉱山、製錬
業界、これは重大な岐路に立たされていると思うわけでございます。
世界からの圧迫、これは日増しに強まっております。弱まることは今後
考えられません。しかしながら、
国内鉱山というものは資源の安定供給源であるということを見逃してはならないと思うのでございます。しかも資源有限という点からも大切にしていかなければならないと思います。また、鉱山を抱えるところの
地域の問題、これも十二分に
考える必要があろうかと思います。たとえば閉山というような
事態になったときに、町は火が消えてしまう、こういうふうになります。こんな状態になりますと、種々の面からも社会問題が生じてくることになります。また一面、鉱山技術を受け継ぐ者がなければならない。これは加工
貿易国であるところの
日本の原料確保という面において海外鉱山を開発するという事業にも、
国内にそうした技術習得の場所がなくなるということになりますと、将来に禍根を残すことになるのでございます。
したがいまして、この
円高というものが起きたがゆえに、この非鉄金属
業界というものが大変な苦衷に追い込まれているわけでございます。私
どもは
円高問題に対して重大な関心を昨年の春以来抱いてまいりました。国会においてもしばしば議論がされております。しかし、この
円高問題は余りにもその手の打ち方が後手後手になったのではなかろうか、こういう点を、私は、
政府の対外
経済政策が無為無策であるというふうに非難をしたいわけでございます。しかし、こうしたことは、いまその問題を追及しましても、いろいろの要素があるわけでございますし、
政府もまた真剣にこれの対応に取り組んでいらっしゃることもわかるわけでございますが、この
国内鉱山の
振興という問題、いまのままでおきますと、
国内鉱山が全部倒れでしまう、もう休廃止せざるを得なくなるような状態になると思うわけでございますが、こうした問題に対して通産当局としてはどのようにお
考えなのか、
基本的なお
考えをひとつ承りたいわけでございます。