○工藤(晃)
委員(共) 実は中央公論の昨年の
経営特集冬季号に、興業銀行の調査部の
構造不況業種についての調査が出ておりますが、これは製造業について言うと十一
業種出しております。このうち五
業種というのは、この間に——この間と言いますと
オイルショック以後、
需要は減った、しかし、
設備投資の方はどんどん行われてしまって、
生産能力はふえてしまった。この五
業種のうちに、三
業種まではいま言った平電炉、アルミ、造船が入ってくる。なお、この興銀の調査は合繊を掲げておりませんから、合繊を入れるならばこれに当たるわけなんです。いろいろ
構造不況業種と言われるけれ
ども、特にここで例示されたもののタイプというのは、
オイルショック後どんどん
需要が減っているということがそれこそ顕在化しながらも、
設備投資の方はどんどん伸びていってしまった、そういうタイプのものであるということが実はここに示されていると思います。
ところで、次の問題としまして、これもやはりこの
構造不況業種の
実態を明らかにする上で大事だと思う点としまして、なるほど平電炉や造船には中小
企業もかなり多いわけでありますが、しかし、平電炉について言いますと、高炉メーカー系列、それから商社系列、そして独立と分かれて、その最後のものよりも前の二つの方が大きな比重を占めている。それから、造船についても、主力であった大型タンカーなどの方は、大手造船によってもっぱらつくられている。それから、アルミや合成
繊維について言えば、これも皆大
企業あるいはまた大
企業と非常に
関係のある
企業でやっている。そういうことで、これは実は六〇年代から問題にされてきたわけでありますが、ワンセット主義などと言われまして、大きな
金融機関を持ったグループが競って新しい
産業に参入していく。それで、それぞれがその成長
産業を自分のものにしていくために、非常に激しい
設備投資の競争が行われた。それが実は最近まで続いたのではなかろうかという問題なんです。
アルミで言いますと、日軽金など古いところ、あるいは
昭和電工それから住友化学、そのほか三菱も三井も入ってきて、住友の方は、住友金属
工業が同じ住友グループでありながら新たにまたアルミ製錬にごく最近乗り出してくるような
状況をつくり出しましたし、合成
繊維になりますと、いろいろな分析がありますし、私もいろいろ調査したことがありますが、これまで非常に系統的な調査で知られている
経済調査協会の系列の研究によりますと、三井グループとしては東レや鐘紡が挙げられる。三菱グループとしては三菱レイヨンや東洋紡績が挙げられる。住友は旭化成
工業、三和は帝人やユニチカ、こういうぐあいになります。造船は造船で、三井造船、三菱重
工業、それから富士銀行グループで言えば函館ドック、第一勧銀グループで言えば
川崎重工、石川島播磨重工、あるいは三和グループで言えば日立造船、こういう
関係にあると思うわけですが、こういう特に四つばかりの
業種についてのそういうグループの
関係や、あるいは
設備投資をやるに当たって背後に銀行や商社があってどういう役割りを果たしたのか、この
実態の問題について伺いたいと思います。