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1978-02-15 第84回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十日(金曜日)委員長の指名で、 次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー・鉱物資源問題小委員       鹿野 道彦君    佐々木義武君       島村 宜伸君    田中 六助君       楢橋  進君    萩原 幸雄君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       山崎  拓君    渡辺 秀央君       板川 正吾君    岡田 哲児君       後藤  茂君    上坂  昇君       清水  勇君    長田 武士君       西中  清君    玉置 一徳君       工藤  晃君    大成 正雄君  エネルギー・鉱物資源問題小委員長                 山崎  拓君  流通問題小委員       小川 平二君    粕谷  茂君       藏内 修治君    辻  英雄君       中島源太郎君    中西 啓介君       西銘 順治君    松永  光君       武藤 嘉文君    山下 徳夫君       加藤 清二君    渋沢 利久君       武部  文君    中村 重光君       渡辺 三郎君    玉城 栄一君       松本 忠助君    宮田 早苗君       安田 純治君    大成 正雄君  流通問題小委員長       中村 重光君 ————————————————————— 昭和五十三年二月十五日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    辻  英雄君       楢橋  進君    西銘 順治君       萩原 幸雄君    橋口  隆君       渡辺 秀央君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       清水  勇君    武部  文君       中村 重光君    長田 武士君       西中  清君    工藤  晃君       安田 純治君    大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 妹尾  明君         経済企画庁調整         局長      宮崎  勇君         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房審議官    島田 春樹君         通商産業大臣官         房審議官    山口 和男君         資源エネルギー         庁長官     橋本 利一君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         運輸大臣官房安         全公害課長   中島 眞二君         運輸省船舶局検         査測度課長   辻  栄一君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 二月十三日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     不破 哲三君 同日  辞任         補欠選任   不破 哲三君     工藤  晃君     ————————————— 二月十三日  消費者のための流通政策実現に関する請願(戸  沢政方紹介)(第一一三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山崎拓君。
  3. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は、先般行われました通産大臣所信表明に対しまして御質問を申し上げたいと思います。  まず、大臣所信表明を拝見いたしますと、わが国経済は内外におきまして戦後最大の危機ともいうべき状況に直面している、したがって、このような認識のもとに通産行政に全力を挙げる所存であると述べておられます。そして、その対策の第一といたしまして、内需振興により深刻な事態に立ち至っている景気回復を行いたい、このため、公共投資拡大を軸として、有効と考えられるあらゆる施策を実施していく考えである、こういうふうに述べられておるわけでございます。  このような大臣の思い切った内需振興策をとるというお考えに対しまして、たまたま目下来日中でございます西ドイツのフライブルク大学ハイエク教授が、日本におきます講演において、「一次的な刺激策は将来に災いをもたらすだけで、日本も外圧に負けるべきではない」、このような趣旨の講演をなさったようであります。つぶさにこの講演内容は読んでおりませんけれども、しかし、この講演内容紹介を読んでおりますと、現在の福田内閣経済政策に対する批判とも受けとめられるわけでございますが、このような見解批判も一方にあることでございますので、通産大臣のこのような所信を今後とも貫いていかれる所存であるかどうか、まず冒頭に伺っておきたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 ことしのわが国の当面する一番大きな課題は、一つは、雇用問題が非常に重大な局面に立ち至っておることでございます。したがいまして、景気回復することによりまして雇用問題をある程度安定の方向に持っていくということが、一つの大きな課題でございます。  また、国際的に考えました場合には、貿易上の非常に大幅な黒字が出ておりまして、昨年日本が出しましたような大幅黒字では、世界経済全体に少なからざる影響を及ぼしております。場合によりましては、日本の現在のような大幅黒字が続きますと、これが引き金になりまして世界保護貿易が台頭してくるということも考えられます。こういうことになりますと、自由貿易の原則ということが日本の生きていく道でありますから、日本としても大変困りますし、世界経済全体としても縮小均衡の方にまいりますので、非常な困難に逢着するわけでございます。そういうことから、やはり国際収支のある程度均衡を図っていくということが保護貿易の台頭を防ぐ道でございますから、そういう意味内需拡大が必要である。この二つの問題があろうかと思います。  そのためにことしは七%成長という目標を設定したわけでありますが、もちろんことしだけではこれはもうなかなか民間経済もついてまいりませんので、来年度もやはり現在のような政策を継続する必要があろうかと思います。  なぜかと申しますと、ことし七%経済成長経済政策を実行いたしましても、来年三月末における産業操業率はおよそ八三%前後と想定をしております。したがいまして、まだ景気がよくなったという段階ではありません。現在よりは相当よくなりますけれども、もう大丈夫だという状態ではありませんので、やはり来年度もことしと同じような政策を継続いたしまして、ことしの政策に積み重ねることによって来年度は本格的に景気回復していく、そういう方向に持っていかなければなりませんので、先般も予算委員会総理が来年度の経済成長目標を七%弱にしたい、こういう説明をしておられます。そういうことでございますので、少なくともことし、来年はいま申し上げましたような経済成長をすることによってわが国が当面する二つの問題を解決していくという、それが緊急の課題だと私どもは心得ております。
  5. 山崎拓

    山崎(拓)委員 きょうは経済企画庁長官御欠席でありますけれども、先般の商工委員会におきます長官のあいさつの中で、長官は、雇用情勢改善対外均衡確保のために可能な限りの高い成長を実現することが当面の急務であるとされております。  そこで、経済企画庁政府委員にお伺いいたしますが、ただいま通産大臣が述べられましたような七%の経済成長目標でございますが、これが可能な限り高い成長率とされておるのかどうか、この点について伺いたいと思います。
  6. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 お答えいたします。  ただいま通産大臣がお述べになりましたように、五十三年度の経済政策の基本的な課題は、雇用改善ということと、あわせて内需拡大することによって対外調整を進めるということでございます。そういう見地からいたしますと、できるだけ高い成長率が望ましいわけでございます。  政府といたしましては、昭和五十三年度の経済見通しを設定するに当たりまして、臨時、異例の措置とも言うべき政府支出中心にいたしました財政運営を行うということのほか、税制におきましてもあるいは財政投融資計画についても最大限の努力を払っているわけでございます。こういう点からいたしますと、今回設定されました七%成長という数字は、現在の時点では可能な限りの高い成長だというふうに考えております。
  7. 山崎拓

    山崎(拓)委員 現在考えられる可能な限り高い成長率ということでございます。  そのような高い成長を目指す一つの要因といたしまして、雇用情勢改善したいということでありますが、これも私は新聞で拝見したのでありますけれども日本経済研究センターの行った雇用情勢長期予測を見ますと、昭和五十年から昭和六十五年までの十五年間の実質経済成長率年平均六・三%といたしましても、近年深刻化いたしております雇用情勢昭和五十五年ごろまでは回復しない、そしてその間百五十万人を上回る完全失業者の発生も予想され得るとされておりますけれども経済企画庁考えておられますように七%成長が仮に達成されたといたしまして、果たして雇用情勢改善され得るのかどうか、この点について御見解を聞きたいと思います。
  8. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 先生御承知のように、現在完全失業者というのは百万人をオーバーしておりまして、七%成長をいたしましてもこの数字自体はそれほど大きく改善するわけではございません。七%成長前提にいたしまして就業者が約五十五万人ほどふえるという計算になりますが、一方で労働力人口が五十万人程度ふえますので、差し引き完全失業者の数は五万人程度減るということにとどまりますが、現在企業が抱えております過剰雇用と申しますか遊休労働力有効活用、そういう点では雇用改善が行われるわけでございます。それで、五十三年度に七%成長を実現いたしまして、その後六%台の安定成長の軌道に乗っていくといたしますと、昭和五十五年から五十七年にかけて、さきに昭和五十年代前期の中期計画で想定いたしました失業率一・三程度というところまで漸次改善されていくというふうに考えております。
  9. 山崎拓

    山崎(拓)委員 それでは、平均六%の成長を続けていけば、このような失業者が百五十万人を突破するような事態は発生しないというふうに考えていいですか。
  10. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 昭和五十三年度に限ってみますと、七%成長いたしましても約百十万人ぐらいの完全失業者という数字でございます。その後だんだんそれが減少していくということでございます。
  11. 山崎拓

    山崎(拓)委員 いま、先ほどの御表現がありましたように、きわめて臨時的な大胆な財政主導型で民間の活力を誘導していこうという政府施策でございますが、しかしながら、通産大臣もちょっとお触れになりましたけれども、果たして個人消費支出民間住宅投資設備投資等回復にこの大型予算というものがつながっていくのかどうか、政府が過大な期待を持っているのではないかという批判がありますが、この点について、大臣、いかがでございますか。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 これからの財政経済政策運営は、上半期に集中をいたしまして公共事業を執行していこうという考え方でございますが、上半期でも特に四月ないし六月に集中していこう、こういう考え方であります。  私どもは、今度の公共事業というものは、一般会計、それから地方財政財政投融資、この三つ部門を通じて合計をいたしますと非常に大きな金額になっておりますので、これがいよいよ一斉に執行に移されますと予想外効果を生むのではないか、このように判断をいたしております。現在でもある程度民間経済は動意が見られるようになりましたが、私どもは、この第一・四半期が終わるころには相当大きな影響民間経済に見られるのではないか、そして、いまお述べになりました民間経済の幾つかの分野で、現在は非常に沈滞をしておりますけれども、積極的な動き期待をいたしておるわけであります。  しかし、世の中には万一ということがありますし、特に経済動向世界経済全体の動きにも大きく影響されますし、予想外のことも起こらないとも限りませんので、やはり六、七月ごろに、計画どおり経済が進んでおるかどうかということを十分調査をいたしまして、万一にも計画どおり進んでいないという徴候が見受けられますならば、その場合には、やはりその新しい事態に対応いたしまして、機敏でかつ大胆な内容対応策をとっていくということが当然必要だと思います。  このことは予算委員会でもやはり大きな議論の対象になったわけでありまして、それに対しまして、総理大臣も、そういう場合には臨機応変の措置をとる、こういうことを約束しておられます。したがって、もう少し具体的に言いますと、総合的な経済対策考えていこう、こういうことだと思いますが、いずれの場合にいたしましても、ことしは、先ほど申し上げましたように、雇用問題とそれから国際関係調整ということがわが国に課せられました大きな課題でありますので、これはどうしてもやはりわが国のために解決していかなければならぬと心得ておりますので、あらゆる政策手段を尽くしていま申し上げましたような目標達成をしたいと考えております。
  13. 山崎拓

    山崎(拓)委員 いま大臣が述べられました民間経済政府主導についていくかどうかという点に対する期待感でありますけれども、特にその中でも重要であります民間設備投資についてでございます。  日経新聞の調査によると、主要企業三十二社の経営者経営姿勢調査してみると、産業界設備投資意欲というのは冷え切っているんだという結果が出ておるわけでございます。このような経営姿勢というものが今後改まっていくものかどうかということについては非常な疑問があるわけでございますが、この点について、当面こういう産業界動向というものについて、これにどう対処していかれるお考えなのか、もう一度大臣に伺いたいと思います。
  14. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の産業全体の操業率平均しますと、残念ながら、非常に低い水準にありますので、一部の業種を除きまして、なかなか設備投資意欲は起こってきておりません。  ただしかし、設備投資と申しましても、製造業とそれから非製造業——製造業と申しますのは電力とかあるいは流通部門、こういう分野をいうわけでありますが、それから個人金融関係政府はこの三つに分けて考えておるわけであります。  このうち製造業は、いま申し上げましたような操業率との関係において将来の設備投資見通しを立てなければなりませんが、非常に調子のいい二、三の産業がございます。ここはやはり予定どおりの新しい設備投資を進めるようであります。しかし、中には非常に状態の悪い業種もたくさんございます。そういう業種でも相当な設備投資が進められておるわけであります。たとえば鉄鋼などは、一昨年は一兆四、五千億の設備投資をしましたが、ことしも八千億ぐらいはやる予定なのです。それは前からの継続部門とそれから省エネルギー投資、それから公害対策投資ですね、こういうものが大部分なのです。そういうものを合計いたしましておよそ八千億、こういう数字になっております。だから、業種によってさまざまでありますが、一つ一つ分析をしてみますと、製造業政府期待しておる程度投資は出てくるのではないかと私どもは思っております。  非製造業では相当伸びると思っておりますが、これは御案内のように、電力投資流通部門に相当な期待をしておるからであります。  先ほど申し上げました三つ部門合計いたしまして、政府は二十五兆六千億強の投資考えておりますが、現在のところは、まあまあ大体目標は達成できるものだと考えております。
  15. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいま大臣のお話にありまして、特に設備投資について積極的な例外的な業種といたしまして、非製造業の中で電力をその一つとしてお挙げになったのでありますが、一月下旬に大臣電力九社に投資規模五兆円の要請をされたという報道を見たのでございます。果たしてこれが電力業界の受け入れるところであるか、そして、その需要創出効果はどのくらいのものとお考えになっているか、その点について伺いたいと思います。
  16. 河本敏夫

    河本国務大臣 五兆円というのは、もう少し詳しく申し上げませんと理解をしていただけないと思いますが、そのうち設備投資として期待をいたしておりますのは約三兆二千億円であります。これは電源開発部門配電部門にいま分かれておりますが、その両方を合計いたしまして工事ベースで三兆二千億、これは積み上げて一応数字を出しております。それからなお、設備投資ではありませんが、来年度以降の機械類発注を繰り上げて内示をする。その内示をしますと、各メーカーはそれを受けて原材料を買い込んで製作準備にかかるわけでありますが、この繰り上げ発注を現在のところ確定しておりますのが約一兆円であります。合計四兆二千億という数字が確定をいたしております。  しかし、政府といたしましては、電力投資が全体としてここ数年間おくれぎみでありまして、二、三年先には電力不足を生ずるおそれが多分にありますので、こういうことを避けるためにも電力投資を促進しなければならぬということが一つと、それからもう一つは、景気対策上も大きな影響がありますので、そういう意味からも電力投資を促進していこうという二つの目的を持ちまして、この投資促進のためにいろいろな工夫努力を積み重ねております。  そこで、政府の特に立地問題を中心とする工夫努力が進んでまいりますならば、電力業界もなおある程度工事を増額させ、あるいはまた繰り上げ発注を増額させてもよろしい、こういうことを言っております。そこで、私どもは、現在確定いたしております四兆二千億円の上に、立地問題を解決する努力を積み重ねることによって五兆円ぐらいな数字にしたいということで今後の努力をしていこうと思っております。  でありますから、五兆円という数字はいま確定したわけじゃないのです。確定した数字は四兆二千億円、立地問題の解決いかんで五兆円に持っていこう、こういう考え方でございます。
  17. 山崎拓

    山崎(拓)委員 先ほど御紹介いたしました日経の主要三十二企業経営者意識調査の中で、今度取り上げることになりました投資促進税制につきまして、「「投資刺激効果期待できない」と断言する意見が圧倒的多数を占めた。」とあるわけです。  通産省の試算によりますと、この投資減税によりまして、全体の設備投資名目で六・二%、GNP名目実質ともに一・一%引き上がる、そういう効果期待しておるところでありますが、どうも経済界の方はそのように受けとめてない、こういうことであります。この点どのようにお考えでございましょうか。
  18. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は、私ども投資減税に初めは相当大きな期待をかけておったのであります。しかし、いろいろ作業の過程におきまして、その対象からスクラップ・ビルドを外そう、そして省エネルギー投資公害投資、それから中小企業機械投資等に限定をするということになりまして、特にスクラップ・ビルドが外れたということは非常に大きな影響があったと思います。そういうことで、実は当初考えておりましたよりも効果は相当減ったと思います。余り大きな期待はかけられないという産業界見通しも、そう間違ってないと私は思うのです。  ただしかし、一年限りだということにしておりますので、公害投資とかあるいは省エネルギー投資などを不景気だから延ばそうかという機運であったところも、やはりこういう制度ができれば五十三年度じゅうにやってしまおうというところもある程度は出てきておるようであります。でありますから、現在のところほぼ二千億円程度効果というものは期待できるのではないか、波及効果考えますとざっと三千億GNP影響が出てくるであろう、このように考えております。
  19. 山崎拓

    山崎(拓)委員 私は、投資減税が実効を上げますためには、この投資減税対象となっております省エネルギー設備投資を促進すべきだと考えるわけでございますが、そのためには、本国会に提出が予定されております省エネルギー法でありますけれども省エネルギー法準備がどのように進んでいるか、当局から聞きたいと思いますし、また、この省エネルギー法の中身につきまして私十分承知していないわけでございますが、産業部門における省エネルギー投資を誘発するあるいは促進する内容を伴っておるかどうか、この点について伺いたいと思います。
  20. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいまお話しの投資促進税制対象といたしまして具体的にどのような省エネルギー設備を含むかということは、現在大蔵当局と折衝中でございますが、御指摘のような方向省エネルギー関連投資が一層促進するように努力いたしたいと思います。  それから、省エネルギー促進法につきましては、現在検討段階でございまして、三月の半ばごろまでに国会に提案いたしたいと思っております。  考え方といたしましては、いわゆる省エネルギーを実施するに当たりましては、言うところの節約という概念と、それから与えられたエネルギーを有効、適切に活用していくという両面があるかと思います。  節約につきましては、国民運動等を展開いたしまして、特に家庭等におきまして、民生部門におきまして、これに国民の協力を得ていきたいと思っておるわけでございます。  それから、エネルギーの効率的な使用という面におきましては、産業部門民生部門あるいは輸送部門、各般の部門を通じましてエネルギー効率的使用を促進してまいりたい。特に産業部門につきましては、御承知のように、エネルギーの全消費量のうち六割方を占めておるわけでございます。過去二十数年にわたりましていわゆる熱管理法のもとに効率的使用を図ってきておりますが、なおまだ技術開発の余地がある、新しいエネルギー効率使用設備導入が可能であるということからもいたしまして、私たちといたしましては、産業部門、たとえば鉄鋼部門におきましては、コークスの乾式消火設備だとか連続鋳造設備だとかあるいは炉頂圧発電設備だとか、そういった設備導入がきわめて有効であるというように判断いたしておりますので、そういった省エネルギー関係設備導入が促進されるような方向省エネルギー促進のための法案準備いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  21. 山崎拓

    山崎(拓)委員 いま資源エネルギー庁長官が答弁されましたような方向で、ぜひ法案検討をお進めいただきたいと思います。  それから、民間設備投資が積極的に起こってまいります前提といたしまして、当然、在庫投資在庫調整が先行するわけでございますが、この在庫調整論争というのが最近伝えられておりますけれども経済企画庁長官によると、三、四月ごろには在庫調整が一応の完了を見るんだ、こういう御発言が予算委員会であったように聞きましたが、経済企画庁、そのようにお考えかどうか。
  22. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 最近の在庫動向を見ますと、昨年の七−九月にかなり大幅な在庫調整が行われまして、その後も建設資材あるいは資本財を中心にいたしました製品在庫の点を中心にいたしまして在庫調整が順調に進んでおります。  若干数字で申し上げますと、製品在庫につきましては、在庫率指数でございますが、昨年の七月ごろが一三二・七ということでございましたが、最近では一二五程度まで下がってきております。また、原材料在庫につきまして同じく在庫率指数で見ますと、これは多少下がり方が小さいんですが、昨年の五月の一四九・七から一四七台まで下がってきております。また、流通在庫のうちで販売業者の在庫を指数で見ますと、昨年の三月ごろが一六二・九という数字がございますが、最近は一五一というところまで落ちてきております。もちろん在庫の形態によりましていろいろ差があるわけでございますし、また、産業別あるいは商品別にばらつきがあるのは当然でございます。また、この在庫調整の中には、一方で減産が行われているというようなことが貢献している面もあるわけでございますが、今後五十二年度の終わりから五十三年度の初めにかけまして、一部の不況業種を除きましてあらかた在庫調整は完了していくというふうに考えております。
  23. 山崎拓

    山崎(拓)委員 次に、重ねて経済企画庁にお伺いしますが、民需の中で最大のものであります個人消費の動向が今後の景気回復のキーになるんではないかと思いますけれども、企画庁の方ではこの個人消費の実質伸び率を来年どのように見ておられるか、伺いたいと思います。
  24. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 最近の個人消費の動きを見ますと、個人所得が伸び悩んでいるということですとか、あるいは暖冬の影響等もありまして伸び悩みを示しているわけでございます。五十三年度につきましては、景気回復とともに個人所得が回復してくるということにあわせまして、消費者心理も変化してくるだろうということで若干消費性向の増大を期待しております。そういうことで、名目個人消費の伸び率が一一・九%程度というふうに考えておりますが、消費者物価が五十二年度の七・六%から五十三年度は六・八%とさらに安定していくというふうに期待しておりますので、個人消費のデフレーターがその分だけ低下いたします。実質の個人消費の伸び率は大体五%強というふうに考えております。
  25. 山崎拓

    山崎(拓)委員 個人消費の伸び率が来年度五%強という見通しに対しまして、これは批判が相当あると思います。石油ショック以後、最近の統計によりますと、個人消費の伸び率が五%台に乗るということは考えられないという説が多いと私は思うのでありますけれども、そのような見通しは、現在国会で議論されておりますような所得減税を考慮せずに可能とお考えになっているかどうか、この点についてお伺いいたします。
  26. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 石油ショック後の個人消費が実質で見まして伸び悩みを示したのは、主として消費者物価が非常に高騰したということとあわせまして、消費者心理が大変石油ショック後変わって、消費性向が低下したということがあるわけでございます。したがって、先ほど申し述べましたように、五十三年度につきましては、所得の回復とあわせて消費性向の若干の増大と、それから消費者物価の低下による実質の個人消費の伸びを考えているわけでございまして、個人所得の減税ということは、この段階では入っておりません。
  27. 山崎拓

    山崎(拓)委員 いずれにいたしましても、昭和五十三年度の三十四兆三千億あるいは公共投資五兆二千億という巨額な財政支出が民間の活力回復につながってまいりますためには、大臣も冒頭にお述べになりましたように、昭和五十四年度以降の見通しにかかっているのではないかということが考えられるわけであります。仮にことし積極的な財政運営をやって景気回復に努めたといたしましても、昭和五十四年度以降しりすぼみになったのでは、これは一時的な景気浮揚策であって安んじて政府の軌道に乗れないという産業界の心理というものがあるように感ぜられます。  そういうことでございますので、大臣は次年度も七%近い経済成長目標にするんだというお話であったと思うのでありますが、政府昭和五十四年度あるいは五十五年度におきましても積極的な経済運営財政運営をやっていくんだ、引き続き公共投資をやるんだ、あるいは先ほど投資減税は一年限りであるからことしの投資を誘発するという御指摘でありましたけれども、しかし、そういう投資減税というような施策も含めまして、引き続き、とにかく日本経済が安定経済成長路線に乗り、定着するまで政府は責任を持ってやるんだという政府の強い姿勢をお示しいただく必要があるのではないかと考えておるわけです。  そういうことからいたしますと、公共事業内容を見ておりましても、きわめて大規模で継続的と申しますか、長期的な、国民に夢を持たせるような大型プロジェクトが乏しいという印象を持っておるわけでございますが、この点、いかがでございますか。
  28. 河本敏夫

    河本国務大臣 いま御指摘になりましたように、政府公共投資の中には大型プロジェクトが若干はありますけれども、比較的少ない、このように私も判断をしております。
  29. 山崎拓

    山崎(拓)委員 そういう大臣の御答弁であったのでありますが、さらに昭和五十四年度以降に積極的に引き続きやっていくんだというお考えについてはいかがでございますか。
  30. 河本敏夫

    河本国務大臣 来年度以降の全体としての経済運営につきましては当初に申し述べたとおりでございますが、いま御質問の公共事業等につきましては、通産省の立場から申し上げますと、やはり長期的に継続する大規模プロジェクトがもう少しふえないものかな、そうしないことには実際は景気回復には非常に力が弱い、小規模の公共事業を幾らたくさん積み重ねましてもなかなか思うような効果が出てこないのですけれども、大規模なものをやりますと、いまお述べになりましたように、国民に対して大きな夢を与えるということだけではなくして、現実問題としても大きな経済効果が生まれてくるというメリットがございますので、私どもといたしましては、もう少し大規模なプロジェクトを追加することが望ましいということを痛感しております。
  31. 山崎拓

    山崎(拓)委員 予算化されるのは来年度以降になるわけでありますけれども、しかし、構想の段階国民期待を持たせていくということがやはり政府の責任ではなかろうかと考えておるわけでございます。ぜひ御検討を煩わしたいと思います。  それから、構造不況の中でも代表的なものの一つとされております造船業界の問題であります。造船業が日本経済の中で占めるウエートを考えますと、どうしても造船業を振興することが鉄鋼消費量の見地からいたしましても肝要なことだと考えておるわけでございます。  そこで、けさの朝刊に紹介がありましたが、現在ロンドンで開かれておりますIMCO、政府間海事協議機関の会議では、SBTは義務づけないのだという報道であるわけでございます。実は私、個人的にはSBT構想の考え方が大きく言えば日本経済を立て直す大きな柱になるのではないかという期待を持っておったわけでございますが、このIMCOの会議の状況について、きょう運輸省御出席をいただいておると思うのでありますが、御報告をいただきたいと思います。
  32. 中島眞二

    中島説明員 二月六日からロンドンにおいて開催されておりましたIMCOのタンカーの安全及び汚染防止に関する国際会議におきましては、いま御指摘のとおり、既存船を含めまして、タンカーに対して分離バラスト方式、いわゆるSBTの設置を義務づけるかどうかということが最大の焦点となっておったわけでございます。このSBTを推進するグループと、それからSBTの代替案としまして原油洗浄方式、いわゆるCOW方式で足りるとするグループとの間で、六日以降非常に精力的にしかも真剣に討議が重ねられました結果、一つの新しい案が成立いたしました。  その内容は、新造船につきましては、二万重量トン以上のタンカーに対してSBTとCOWの双方の設置を義務づける、既存船につきましては、四万重量トン以上のタンカーに対してSBTまたはCOWの設置を義務づけるということを内容としたものでございます。この案でもって、昨日のIMCOの会議の第三委員会で各国の支持を受けまして、これが成立いたしました。最終的には十七日の本会議において採択される見込みでございます。
  33. 山崎拓

    山崎(拓)委員 さらにお伺いしますが、四万トン以上でSBTもしくはCOWいずれかの採用を義務づける、こういう結論になるということであります。そうなりますと、大型タンカーの場合、SBTの場合だと七、八億円の改装費、COWの場合は二億五千万円程度の改装費ということでありますが、各国ともに、COW方式の方が低廉でありますから、当然そちらの方を採用することになろうかと思いますが、これは私の素人の考えでございますから、果たしてそのようなことになるのかどうか、どういう傾向になるとお考えなのか。そして、その傾向に基づき概算すると、どれくらいの仕事量が造船業界にもたらされるのか。そして、日本の国際的な造船業界におけるウエートからいたしまして、日本の造船業界にはどれくらいの受注を期待できるのか。どういう時点からそういう需要というものが発生するのかという点につきまして、恐らく本当の概算しかないと思うのでありますけれども、運輸省の資料がございましたら御紹介いただきたいと思います。
  34. 辻栄一

    ○辻説明員 まず第一番目のSBTをつけるかCOWをつけるか、どういう動向になるかという問題でございますが、今次会議におきまして採択されることになります新しいパッケージ案、ただいま公害課長から説明いたしました案を含んだ新条約の内容は、同条約を批准いたします際には国内法に取り入れられることになりますが、この場合におきましても、四万トン以上の既存タンカーにSBT、COWのいずれを設置させるかにつきましては、条約に規定されておりますとおり、設置義務者であるところの船舶所有者の選択に任せるということになろうかと思います。今後実態論としてどちらに進むかということはいまのところ予測できませんけれども、今回の結論によって世界各国がどういうふうな動きで動くか、それに歩調を合わせて日本の船主も選択してまいるのではないか、かように考えております。  次に、造船量の点についてでございますが、この点につきましては、工事量の推定は、先生御指摘のとおり、個々の船舶によりまして必ずしも同一の金額にならない、また、外国船の改造工事がどの程度日本に受注できるかという問題によっても変わってきております。したがいまして、確定的な数値を算出することはまことに困難なわけでございますが、ごく大ざっぱに推定いたしますと、現在、四万重量トン以上の外国船タンカーが千九百九十隻ございます。また、日本のタンカーは二百十隻ほどございます。外国船タンカーの三分の一及び日本タンカーのすべてがわが国工事するということを想定いたしますと、対象船は合わせて約八百七十隻ということになります。これをSBTに改造いたします場合には恐らく約五千億円、このうち日本船は約八百億円くらいになろうかと思います。また、COWに改造いたします場合には約千億円、うち日本船は約二百五十億円くらいになるのではないかと思われますが、その程度工事量になろうかと思います。  この工事は、条約が発効いたしますと直ちに実施ということになりますので、対象船舶は条約発効日までにこれらの工事を済ませておかなければならない、こういうことでございますので、ただいま申し上げました工事量は、条約発効までの期日を想定した工事量でございます。
  35. 山崎拓

    山崎(拓)委員 もう大臣の時間が参りましたので、大臣に最後に一点だけ御見解を承っておきたいのでございます。  それは、このたび政府が構造不況業種対策といたしまして特定不況産業安定臨時措置法の提出を準備しておられるわけでございます。この法案準備に当たりまして、通産省と公正取引委員会の間で非常に意見の対立があったということがしばしば報道されたわけでございますけれども、その意見の調整を要した点というのは、本法案が自由主義経済の根幹を揺るがすものとならないかという点であったろうと推察をするわけでございます。  しかし、福田内閣が出現をいたしましてから、経済環境の著しい変化に対応いたしましてどうしても新しい経済のルールが必要だということを、総理大臣通産大臣もいままでしばしば述べてこられたわけでございます。この新しいルールというのは、こういう非常に厳しい経済環境でございますから、今日までの独禁法の理念であります自由主義経済の原理というものはもちろん貫かれなければならないものであるけれども、ただ、余りに自由競争を守るということに力点を置き過ぎるのではなくて、やはり産業政策と独禁政策の調和と申しますか、そういう新しい理念というものが必要になってきておるというふうな主張ではなかろうかと思いますし、私もそのように感ずるわけでございます。  そういう点からいたしまして、今回のこの法律の提案に当たりまして、そのような新しい経済のルールについて河本通産大臣はどのような御所見をお持ちであるか、伺っておきたいと思います。
  36. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の経済の仕組みは自由主義経済でありますが、これが余り行き過ぎますとやはり弊害が生じますので、独禁制度というものがあるわけであります。したがいまして、産業政策と独禁政策との調和ということは当然考えなければならぬことでございまして、そういう観点に立ちまして、通産省といたしましては各方面と意見の調整をいたしておりました。特に公取委員会とは何回か意見の調整をいたしまして、先般、主要な点では妥結をいたしました。現在は、さらになお、まだ細目がたくさん残っておりますので、その細目等につきまして各方面と調整中でございます。数日の間にはまとまると思いますので、まとまり次第国会に提案をいたしまして、御審議を仰ぎたいと考えております。
  37. 山崎拓

    山崎(拓)委員 大臣、御退席ください。  そこで、公正取引委員会、きょうは委員長は欠席でありますけれども、伺っておきたいと思います。  この法案が提出されましてからいろいろ議論をやりたいと思うのでございますが、ただいま大臣が述べられましたような産業政策と独禁政策の調和を図っていく必要が、新しい石油ショック以後の日本経済の中で、私ども商工委員会の附帯決議の中でもしばしば指摘したところでありますけれども、必要ではないかということについて公正取引委員会はどのように考えておられるか、この点だけ伺っておきたいと思います。
  38. 妹尾明

    ○妹尾(明)政府委員 問題は独占禁止法の運用の基本に関する問題でございまして、私からお答えするのが適当かどうかと思いますが、公正取引委員会といたしましても、現在わが国が置かれております経済環境、先生御指摘のように大変厳しい環境にある、高度成長から安定経済成長への移行というふうに言われておりますが、そういう状況の中で大変過大な需給ギャップを抱えまして苦しい状態にある産業が存在することは事実でございまして、これらの産業につきまして何らかの対策を講ずる必要があるということは認めておるところでございます。ただ、この対策を講ずる方法につきましては、これはあくまで現在の自由経済体制を前提とする限り、この基本原則を曲げるようなものであってはならないのではないか、そういう観点から将来にわたって悪影響が残らないようにしてもらいたいというふうに考えているわけでございます。  なお、独禁政策を推進するに当たりまして、産業政策との調和を図るということは当然でございまして、これは否定できないところでございますけれども、自由経済体制のもとにおきましては、独禁政策の精神というものは好、不況にかかわらず生かさるべきものではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
  39. 山崎拓

    山崎(拓)委員 次に、中小企業庁長官にお伺いいたします。  中小企業対策は、大臣所信表明の中でも重要項目の中に当然掲げられておるわけでございますが、中小企業の景況、業況というものを調べておりますと、まことに厳しい状況が続いておるわけでございます。そういう状況にかんがみまして、中小企業の負担というものをできるだけ緩和してあげなければならないと思うのでございますが、その一つ対策といたしまして、金利負担の問題があろうかと思います。  公定歩合が下がってまいりましたことに連動いたしまして貸出金利というものも下がってきておるわけでございますけれども、ところが、長期貸出金利と申しますか、その中には非常に高いものがある。しかも、政府系三金融機関、中小企業が最も頼りといたしております三金融機関の金利が、これは貸し出した時点では高金利時代であるから当然のことであろうかと思うのでありますが、しかし、現在では、たとえば一〇%近い金利水準であるといたしますと、これはもう民間の金融機関の金利との格差が非常に大きいものになっておる、こういう実態があるわけでございます。そういう実態がございますので、これにつきましては何か特別の対策を講ずる必要があるのではないかということを感ずるわけでございますが、この点についてせめて基準金利の七・六%まで近づける手当てができないかということを、長官いかがお考えでございますか。
  40. 岸田文武

    ○岸田政府委員 ただいま御指摘がございましたような実情にありますので、私どももできるだけ金利を下げるように努力をしてまいっております。  基準金利自体につきましては、昨年の初め八・九%であったものが昨今七・六%まで、一・三%下がったわけでございます。その間に、原資である運用部資金コストが一%下がっておるわけですが、この一%の原資の引き下げの中から一・三%下げたということからしましても、私どもは、政府系三機関の体力の許す範囲内で極力下げるという努力をしていたことは御理解をいただきたいと思うわけでございます。  七・六%の基準金利は、同じく中小企業金融機関である相互銀行、信用金庫、信用組合と比べますと低い水準であると思っておりますし、それから三機関は、特に中小公庫、国民公庫は長期金利が圧倒的大部分でございますので、長期金利だけを比べてみますと、一般金融機関と比べても低い水準にあるということが言えると思います。  ただ、基準金利はさることながら、既往金利が問題ではないかという声、私ども中小企業の方からいろいろ耳にしておるところでございます。ただ、基本的には私どもは、三機関の経営の内容が許す限りにおいては、まず最大の重点を新規貸出金利の引き下げに充当していこうということをルールとして考えておるわけでございます。やはりそういうことによって新しい投資を刺激し、新しい事業活動を支援していこうという点に最大の重点を置く。ただし、そうは申しましても、既往の金利と余りかけ離れて実情にそぐわない、こういう場合も確かに現実にはあるわけでございまして、そういう場合に備えまして、昨年、不況業種について赤字経営をやっておるところについては特例的に若干の軽減措置を講じた、こういうような考え方で処理をしてきておるところでございます。いま申し上げました不況業種の赤字経営に対する特別の金利優遇、この問題も、件数を調べてみますとかなりの件数を処理いたしております。  御指摘のような問題は私どももいろいろ聞いておる問題でございますので、今後ともできる限り金利負担の軽減ということについては努力をしてまいりたいと思いますが、いまのような事情があることをひとつ頭の中に置いていただければと思っておるところでございます。
  41. 山崎拓

    山崎(拓)委員 たとえば、石油ショック前後に非常に中小企業が高度化事業あるいは合理化事業等々で集団的に金を借りておる、そしてその金額も非常に大きいということであり、その時代は非常な高金利水準であった。しかし、その後経済情勢が一変いたしまして、いまのような非常な不況に苦吟する中小企業の実態に陥ってしまっておるわけでございますから、その当時の見通しが甘かったのは、あるいはこういう情勢の変化があるということがわからなかったのは、もちろんひとり中小企業業者の責任ではないのでありまして、これは政府の方にも、責任があるとは言いませんけれども、当然連帯してかぶっていかなければならない問題であろうかと思うのです。  したがって、仮に集団化した団地におきまして百億円という金を借りているということにいたしますと、それが八%台の金利である、あるいは九%台の金利であるという実態がある。一方、民間の金融機関からは、短期的に見れば、三%まではいかなくても、それに近い安い金利で借りかえがきくということになりますと、どうしても中小企業者の方では、この際身軽になるために借りかえもやりたいと思うでしょう。しかし、ずっと長い将来を考えました場合には、やはり政府系三金融機関は民間金融機関に比べまして何としても頼りになる心のよりどころでもありますので、目先のことで不義理をしてはならないという日本国民特有の心理というものもありまして、そういうことに走らないでほとんどの中小企業業者あるいは団体というものが現在の苦境を乗り越えようといたしておる、こういうことでございますから、当然政府系金融機関という立場からいたしましても、ぜひこういう深刻な不況であればあるほど、一%下げてやるということは、百億円の金からいたしますと一億円という金になるわけでございまして、一億円の金利負担の軽減というのは、その中にどれぐらいの企業数があるかは別といたしましても、大変大きな経営上の負担の軽減になるわけでございますから、ぜひ温かい、血の通う御配慮をお願いしたいということを重ねて御要望申し上げておきたいと思います。  それから、四月から発足を予定されております共済制度でございますが、この共済制度はせっかく皆さんが大変苦労してつくった制度でございまして、大いに利用を円滑化しなければならないと思うのでありますが、私ども現場を回っておりまして、必ずしも中小企業者がこの制度について承知しない、認識してない。ですから、大分新聞等にも書かれましたけれども、制度の仕組みやあるいは窓口等につきましても知らない向きが多いということを考えますと、PRが、周知徹底が十分ではないのではないかという印象も持っておるわけでございますが、との点、せっかくの制度の発足でございまして、しかも、仮に特別の掛金を一括して納める制度を活用いたしましたとしても、実際にその恩典に浴しますのは三カ月以降ということでございますから、現在の経済の実情にかんがみまして、ぜひもう三月いっぱいにはほとんどの中小企業者がこの制度についてはよく知っておるという状況をつくるべきではないかと思うのでありますが、この点、いかがでございましょうか。
  42. 岸田文武

    ○岸田政府委員 昨年法律を御可決いただきまして以降、私どもも実施のための準備を着々進めておるところでございます。せっかくできました制度でございますから、少しでも多くの方に利用していただけるようにという御指摘はもっともの御意見だと思います。  私どもは、関係団体等に対しましては、まず、二月七日に、商工会議所、商工会及び中央会、三団体の代表を集めまして大体の概要を説明をいたしました。引き続き、十四日に、各通産局、各都道府県の専門家を東京に集めまして説明会を実施し、さらに、十七日から二十七日までの間に、全国八ブロックで二都市ずつ選びまして説明会をやるというような形で、着々PRを進めておるところでございます。なお、細かい細目については、事業団が全国各地を回って細かく補足説明をするというような手段も用意をしたいと考えておるところでございます。そのほか、週刊誌、テレビ等を通じてのPRということもいま計画考えておるところでございます。  私は、このところ団体の方に聞いてみますと、そういうようなPRの積み重ねもございまして、かなり手ごたえが出てきたという感じがいたしておるところでございまして、四月一日実施になりました暁に、なるべく早く大ぜいの方が加入していただけるように、今後とも気をつけていきたいと思っておるところでございます。
  43. 山崎拓

    山崎(拓)委員 実は、この前日経新聞を読んでおりましたら、例のスーパー問題でございますが、大手スーパーの集中出店を一定期間凍結する可能性が小売問題懇談会報告書で示唆されておるというような記事があったわけでございます。これは非常な関心を呼び、議論を招く記事であろうかと思いますので、小売問題懇談会の報告書につきましては私はまだ読んでいないのでございますが、そのような内容になっておるのかどうか、この点について聞きたいと思います。
  44. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 今週の月曜日に小売問題懇談会の最終会合が開かれまして、過去十三回にわたって会合をされました最後の取りまとめの報告書を御承認いただいたわけでございますが、この中で指摘されております大型スーパー問題の調整の問題につきまして、その内容の報道が、一部誤解による報道が行われておるというように思われます。  この懇談会の報告書の基本的な考え方を見てみますと、一方で、中小小売商業の事業機会の確保を図っていくというための大型店に対する対応の期間を、対応し得るような状態をつくるということを行いながら、同時に、特に製造業等に比べましておくれております小売商業の近代化というものを進めていかなければいけない、そういったことを、やはり有効競争を維持していくという基盤の醸成の上でそういった調和のある二つ方向を解決を図っていくというようなことが指摘されておりまして、そういう意味である程度調整が必要でございますけれども、その場合に、特に最近、大型小売業者による大型スーパーの出店がかなりいろいろな形で摩擦を起こしておるというような一部の地区等の問題もございますので、そういったことも踏まえながら調整をしていくという方向について、現在の法律の枠組み等踏まえながら検討していくという必要があるというように言われておりまして、その大型店を一時的に出店を差しとめると申しますか、凍結するというような考え方はこの中にはないものと思います。ある程度調和のあるような調整方向を何とか考え出していくべきだということは指摘されておりますが、凍結するんだというような考え方はないと思います。  ただ、そういった問題、あるいは地域商業への大型店の調和のある進出と申しますか、また中小小売商業との共存共栄の方向というようなことを目指して、大型スーパーの場合も過度な競争についてはできるだけ自粛していくべきじゃないか、そういったことを希望するというような趣旨のことが盛り込まれておりますが、凍結というようなところまでは考えられていないというように思います。
  45. 山崎拓

    山崎(拓)委員 この問題は、私は非常に重要な問題ではないかと考えておるわけでございまして、それはもし一定期間凍結するというようなことが可能であれば、当然、地元の既存の小売商を守るという立場からいたしますと、やってもらいたいことになるわけでありますが、私は、現行法制のもとで一定期間凍結する可能性というものはないと判断いたしておりましたので、このような記事を見まして、どのように政府考えているのか知りたかったわけでございます。  今回の国会に提案を準備されております大店法等の改正問題でございますが、これにつきましては、私が申し上げたいことは、この法改正に対する国民の関心、関係各業界、団体あるいは消費者等の関心が非常に深い問題でございまして、これはなおざりにはできない、必ず本国会法案を提出いたしまして、十分各党で議論いたしまして解決点を見出さなければならないと考えておるわけでございますが、これは本国会法案を提出しないということは政治的にもできないことであるというふうに判断をいたしておるわけでございまして、ぜひ法案の提出をいただきたいというふうに考えて、その点を御要望申し上げておきます。  きょうはその点にとどめまして、突っ込んだ議論はまたいろいろな機会にやらしていただきたいと思っておるわけでございます。  最後に、もう時間がほとんどなくなりましたが、エネルギー問題について、二、三長官に伺っておきたいと思います。  まず、どうしても政府考え方を聞いておきたいと思います点は、のど元過ぎれば熱さ忘れると申しますか、石油ショックの当時、あるいはそれ以後におきまして、エネルギー問題の重要性につきまして、政府も大変PRし、国民も十分関心を持ったところでございますが、しかし、最近になりまして、特に石油の需給が著しく緩んでおるという実態がありまして、ために、エネルギー問題というのはそんな深刻な問題ではないのではないかということを国民一般も感じ始めておるし、そういう説をなす識者もいるわけでございます。このことは、私個人といたしましては大変憂うべきことだと思いますが、短期的、中期的、長期的というふうに見方があろうかと思うのでありまして、この点、明確なエネルギー需給の見通しに関する政府の判断をさらにこの時点で国民の前に明らかにしておく必要があると思いますが、いかがでございますか。
  46. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 ただいま御指摘ございましたように、世界における石油の需給状況というものは、当面緩慢に推移しておるというのが現実かと思います。これは、世界における石油生産がかってのオイルショック当時の生産まで戻っておるのに対しまして、不況が深刻化、長期化しておるといったことの反映で緩慢に推移しておると見ておるわけでございますが、いわゆる中長期的に見ますと、ムーディーの調査の結果からいたしましても、今後十年あるいは十五年後には石油増産に限界が来るというふうに言われておりますし、あるいは一九八五年時点につきまして、OECDあるいはIEAといった国際機関、そのほかにもCIAだとかWAESとかいったいろいろな機関で需給見通しを立てておりますが、それぞれの見通しにつきまして、若干の差と申しますか、ニュアンスの差はございますが、いずれも八五年時点におけるOPECの生産能力は一日当たり四千四百万ないし四千五百万バレルという点では意見が一致しておるようでございますし、あるいは、その時点における自由世界の石油の生産量は約六千万バレル・パー・デーというふうに判断しているようでございます。  これらを通じて申し上げられることは、いずれにいたしましても、今後石油の需給関係がきわめてタイトになってくる、そういったところから、省エネルギーを特に推進するように、また、石油にかわるべき代替エネルギーの開発に積極的に取り組むようにといったような提言をなしておる点もまた共通かと思います。したがいまして、当面の需給事情にわれわれは惑わされることなく、中長期的に石油を含めてのエネルギー需給のタイト化ということを前提として、それに対応する努力は必要であるというふうに考えておるわけでございます。
  47. 山崎拓

    山崎(拓)委員 いまの長官考えに私は全く賛成でございまして、ぜひ中長期的な見方に立ってエネルギー政策というものを御推進いただきたいと思います。  それから、アメリカの貿易収支の大幅な赤字の原因といたしまして、アメリカが現在大量に石油を買い込んでおる、こういう状況があるわけでございますが、米国のこのような石油輸入急増の原因というのは一体那辺にあるのか、長官にお伺いしたいと思います。
  48. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 昨年、七七年のアメリカにおける石油の消費量は、約六十五億バレルと言われております。そのうち三十億バレルを輸入に依存しておる。非常に輸入量が増加してきておるわけでございまして、一日当たりにいたしまして昨年は約八百七十万バレルということは、七六年に比べまして百数十万バレル、二、三年前に比べますと二百数十万バレル輸入量がふえてきておるというのが現実であるわけでございます。  かようなアメリカにおける石油輸入量の増大の原因は何かということは、いろいろ言われておるわけでございますが、その大きな一つの要因といたしましては、アメリカにおきまして、景気回復の過程に伴ってエネルギー需要、特に石油の需要が増大してきておる、大体七%前後の年率の伸びじゃなかろうかと見ておるわけでございます。これに対しまして、一方、国産の原油あるいは天然ガス、これの生産が横ばいないしは漸減ぎみであるというところに、その差し引き輸入量の増大が結果しているのじゃなかろうか、かように見ておるわけでございます。  いま先生からもお話ございましたように、備蓄との関係でございますが、御承知のように、昨年の七月からアメリカはいわゆる戦略備蓄というものを始めております。これは七八年末に二億五千万バレル、一九八〇年には五億バレル、その後十億バレルまで積み増しをしていこうという計画であるわけでございますが、現在までの状況を見ますと、昨年十二月末時点で約一千万バレル、一月末で千三百万バレルというふうな情報を得ておるわけでございます。先ほど申し上げました一日八百七十万バレルの輸入実績からいたしますと、戦略備蓄そのものが大きな影響をもたらしておるとはいまの段階では考えられないのじゃないか。それから一方、民間備蓄につきまして、一年前に比べましてこれも数日間の積み増しにはなっておりますが、戦略備蓄あるいは民間備蓄の両面からいたしましても、いわゆる備蓄そのものが輸入量の増大につながっておるという判断は必ずしもできないのじゃないかと思うわけでございます。  ただ、問題は、いわゆる国産の原油なり天然ガスの生産が横ばいないしは逓減状態にある、この原因が那辺にあるかということかと思います。たとえばアメリカのエネルギー価格と申しますか、石油価格政策との関係でさようなことになっておるのか、あるいは一般に言われる枯渇現象が出ておるのか、あるいはエネルギーの温存政策の結果なのか、そういった点については必ずしも私たちとしては明確に判断する材料は持っておらないということでございます。
  49. 山崎拓

    山崎(拓)委員 時間が参りましたので、最後に資源エネルギー庁長官に一点だけ伺っておきたいと思います。  それは、エネルギー政策を推進していきますに当たりまして、特に総合エネルギー調査会が一応の目標年次にいたしております昭和六十年、一九八五年におけるエネルギー需給のバランスでございますが、長官も指摘をされましたように、省エネルギー率というものが一つの大きなポイントになる、これが対策促進ケースで一〇・八%ということになっておろうかと思います。それからもう一点が原子力発電の三千三百万キロワットでございましたか、ほかにもございますけれども、この二点が特に達成され得るかどうかということが、これから七年後の日本エネルギー供給体制の、あるいは需給体制のポイントになろうかと思っておるわけでございます。果たして省エネルギー率一〇・八%というものは達成し得るものであろうかどうかということでございます。  この省エネルギーの問題は非常にデリケートな問題でございまして、もし省エネルギーということを叫び続けていくということは、景気浮揚対策の面からいきますと民需を冷やす、特に個人消費を冷やすというようなこともあろうかと思うのでございますが、そういうことにめげずにやっていくべき筋合いのものであろうかと思うのです。しかし、一〇・八%という目標率はきわめて高いと判断すべきではなかろうかと思うのでありまして、これが達成が省エネルギー促進法の制定によって十分可能なものであるかどうか、この点の見通しを伺っておきたいと思うのです。  仮に省エネルギー率を相当甘く考えるということになりますと、エネルギーの需給の見通しはいかようにでも作成できるという見解もございまして、そういうことになりますと、原子力発電の立地促進も必要ないではないか、あるいは石炭の開発輸入も必要ないではないか、LNGも必要でないというようなことにつながっていくわけでございまして、省エネルギー政策の推進が重要であると同時に、果たしてどこまでいけるかということを明らかにして、その前提に立ちましてその他所要なエネルギー源を確保していく、これは石油の供給の限界というものを、IEAの申し合わせもございますから、これも私は四億三千二百万キロリットルというのは本当に天井だと思うのでありますが、そういう限界点、条件をはっきりさせてエネルギー政策を推進していくべきである、かように考えておりますが、長官見解を最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  50. 橋本利一

    橋本(利)政府委員 省エネルギー政策につきましては、ただいま御指摘のように、私たちといたしましても総合エネルギー政策の中できわめて重要な位置を占めておるものと理解いたしております。昨年の六月に発表になりました暫定需給見通しによりますと、今後六%程度経済成長を維持していくためには、昭和六十年におきまして、石油に換算いたしまして七億四千万キロリッターのエネルギーを必要とするということになっておりますが、その中で、省エネルギーによりまして八千万キロリッターを確保すると申しますか、必要エネルギー量を削減してまいりたい、かように考えておるわけでございまして、そういった意味におきましても非常に重要な位置づけになるわけでございます。  私たちといたしましては、これを実行に移す、確信を持って対応していきたいと思いますし、また、他のエネルギー政策と異なりまして、この省エネルギー政策なるものは、みずからの努力でもって達成可能なものである、いわゆる世界的なエネルギー事情のいかんにかかわらず、わが国の独自の努力によっても達成し得る政策でございますので、そういった意味合いにおいて十分の努力をしてまいりたい。大体、産業部門で全体の六〇%、民生部門で三〇%、それから輸送部門で一〇%、そういった割り振りで八千万キロリッター、全体の一〇・八%のエネルギー節約を実現してまいりたい、かように考えております。  ただ、単純に先ほど申し上げましたいわゆる節約といった概念のほかに、エネルギーの有効利用といったような観点に立って対策を積極的に進めていきたいと思っておりますが、後者に立つ限りにおきましては、私は、当面の景気の問題に対してはむしろ刺激効果があるのではなかろうかというふうに理解いたしておるわけでございます。  今後十年間における省エネルギー関係投資は総額六兆円と言われておりまして、そのうち三兆円がいわゆる住宅、ビル等の断熱化構造を進めるための投資であり、他の三兆円がいわゆる産業部門等における省エネルギー投資になろうかと思います。かような積極的な投資のほかに、省エネルギーのための技術開発投資といったようなものも考えてまいりますと、むしろその面からは景気の刺激要因になるのではなかろうかというふうに判断いたしておるわけでありまして、そういった意味合いも含めまして、今後とも一段と省エネルギー政策を推進してまいりたい、また、そのための法案も現在検討中でございます。先ほどお答えいたしましたように、三月の半ばごろまでには国会に提案いたしたい、かような考え方準備を急いでおるわけでございます。
  51. 山崎拓

    山崎(拓)委員 終わります。
  52. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、来る十七日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会