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1978-01-28 第84回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年一月二十八日(土曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 野呂 恭一君    理事 中島源太郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 山崎  拓君 理事 山下 徳夫君    理事 岡田 哲児君 理事 渡辺 三郎君    理事 松本 忠助君 理事 宮田 早苗君       鹿野 道彦君    粕谷  茂君       藏内 修治君    佐々木義武君       島村 宜伸君    田中 六助君       辻  英雄君    中西 啓介君       楢橋  進君    西銘 順治君       萩原 幸雄君    橋口  隆君       松永  光君    渡部 恒三君       渡辺 秀央君    板川 正吾君       金子 みつ君    上坂  昇君       渋沢 利久君    高沢 寅男君       長谷川正三君    長田 武士君       玉城 栄一君    春田 重昭君       工藤  晃君    安田 純治君       大成 正雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  河本 敏夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       野中 英二君         通商産業大臣官         房長      宮本 四郎君         中小企業庁長官 岸田 文武君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  柳館  栄君         法務省刑事局刑         事課長     佐藤 道夫君         大蔵省銀行局中         小金融課長   吉居 時哉君         商工委員会調査         室長      藤沼 六郎君     ————————————— 委員の異動 一月二十八日  辞任         補欠選任   小川 平二君     渡部 恒三君   加藤 清二君     長谷川正三君   後藤  茂君     金子 みつ君   清水  勇君     高沢 寅男君   西中  清君     春田 重昭君 同日  辞任         補欠選任   渡部 恒三君     小川 平二君   金子 みつ君     後藤  茂君   高沢 寅男君     清水  勇君   長谷川正三君     加藤 清二君   春田 重昭君     西中  清君     ————————————— 本日の会議に付した案件  円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案(内  閣提出第六号)      ————◇—————
  2. 野呂恭一

    野呂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田哲児君。
  3. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 昨日も大臣に対して、この法案に絡んで、基本になるのはレートが一体どういうような推移をする見通しの上で考えられているのか、今後どういうように考えられているのかという点がずいぶん議論になったわけであります。やはりだれが考えてみてもそうでありますが、確かに臨時的な緊急避難的な措置だということででき上がったことは、これはもうお互いに十分承知をしているわけでありますが、やはり立法する場合に、一体今後どのような推移をするであろうか、もっと極端に言うと、今後はいろいろな対策が成功して、われわれが願っているように四十円台から安くなっていくと判断をしておるのか、あるいは今後二段、三段の外圧がかかって、円高がわれわれが予想しているよりももっと深刻な状態になる、こういうふうに考えているかという点は大変な違いだと思っているわけです。  そこで、まずはっきりしていただきたいのは、緊急措置は二百四十円を目安にしながら、円高はさらにもっと深刻になるのか、あるいはこれで改善されてよくなるのか、その辺の見通しは一体どういうふうに考えているのか。きょうは大臣が見えませんので、余り政治的な見解でなしに、長官あるいは次官もお見えになりますが、次官には初めての質問でございますが、そういう点はだれが考えてみても立法する場合に非常に大切な点だと思いますので、その辺の御見解をまず次官からお聞きして、それから長官にお願いしたいと思います。
  4. 野中英二

    野中政府委員 お答えいたします。  昨日大臣もお答え申し上げましたように、この問題は大変にむずかしい問題でございまして、御存じのように、内外の景気情勢等あるいはまた今後の推移いかんによっては、フロート制をとっております現況におきましては、円相場が高騰する場合もあるでしょうし、あるいは円安を来す場合もあるでしょう。そういうことで、この見通しはなかなか立ちにくいわけでございますが、一応今度の立法措置としては、現在たどっておる二百四十円の為替レート、こういう推移をいたしておりますが、この辺でこの円対策考えていったというふうに御理解願いたいと思います。
  5. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律は、昨年の六月以降急速に円高が進み、年の暮れに至って二百四十円というような水準が出たことを前提にして、現に中小企業が受けておるさまざまな影響を緩和するということが目的になっております。  中小企業としましては、六月当時調査をいたしてみますと、望ましい採算レートとしては二百六十五円とか七十円とかいうような声がございました。その後かなり合理化が進んだにしましても、いまの二百四十円レートというのはかなり厳しい水準であるというふうに理解をいたしております。今後の見通しはそれこそ予測を許しませんが、私どもは、産地中小企業方々に対しては、ある程度円高が続いてもそれでやっていけるような体質をこの際どうしてもつくらにゃいかぬということで、思い切った合理化あるいは新製品の開発等、この際真剣にこれは取り組むように指導いたしておるところでございます。  中小企業は、御承知のとおり、従来いろいろな波を乗り越えて今日に至ったわけでございまして、相当な適応力を持っておるというふうに考えております。ただ、昨年のような急激な上昇ということは当然予想もできない事態でございまして、それに対してはやはりある程度ショック緩和措置が必要であるということから今回の法律を出したわけでございますが、このショック緩和措置の適用を受けて当座をしのいでいる間に、やはり長期的な円高に対応する体質をつくるということが課題ではないかと思っておるところでございます。
  6. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 そういうふうに聞いていますと、この二百四十円というのはわれわれが考えているよりも非常に円高で、われわれが考えているよりも苦境に陥った。そうすると、われわれが考えている、言うならば適切といいますか、日本考えている円のレートというものは一体どのくらいが適切だとあなた方はお考えになっておるのか。二百四十円に落ちた、このためにショックが起こった、こういうふうに言っておられるのですが、一体どれが適切だと考えているのですか。
  7. 岸田文武

    岸田政府委員 中小企業立場からしますと、為替レートというのはいわば与件でございまして、その為替レート前提にして一体商売がどういくかということを判断するのが、まさに経営者の思案のしどころになってくるかと思います。確かに、二百四十円というのは、現在の中小企業にとってはかなり厳しい水準であるということは事実でございますが、率直に申しまして、中小企業としては、何よりも為替レートが安定しておるということが一番の希望ではないかと思います。事実、昨年調査をいたしましても、九月、十月時期に二百六十円台で一月くらい推移したことがございました。また、二百四十円台で十二月にある程度落ちついていた時期がございます。こういうときには多少の注文が出てきておる事情もございます。絶対的な水準は長期的に対応していかなければなりませんが、当面の課題は少しでも安定した為替レートが実現するということではないかと思っておるところでございます。
  8. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いま長官の言われましたように、私も、望んでいる点は一体どこで安定するのかという点だと思うのです。そこで、この立法は、四十円というのはわれわれいままで考えておったよりも高くなり過ぎたためにいま起こっているのだ、こういう前提ですね。そういうふうに考えますと、今後、この立法と同時に一つ基本考えておきたいと思うのは、一体どこで安定するのであろうか、こういう点になってくると思うのであります。  そういうふうに考えてみますと、昨年イギリスヒーリー蔵相がIMFの記者会見で、日本みずからが産業構造を変えるという政策をとらない限り外圧をかける以外方法がない、こんなような発言をしているのを新聞で見ているわけであります。それから、アメリカブルメンソール財務長官発言からこれがきっかけで起こってきているわけでございますが、こういう点から考えてみますと、いかに安定を望んでいるという立場に立ちながらも、これから第二、第三の外圧というものが起こってくるということを私は非常に心配しているのです。  そういう心配は私だけの心配なのかどうかということでありますが、いま二百四十円までいった、そこで安定するなら安定するでいいのでしょうけれども、これに第二、第三の外圧がさらに加わってくる、その心配がある。それはなぜかというと、この発言が本当かどうかは別といたしまして、言っている限り、日本みずからが日本産業構造を変えない以上われわれは外圧をかけるしか方法がないのだ、こう公言しているわけですから、私は、やはり安定ということを望みながら、安定の道をとるためには一体どういうふうにするのかというものが、まず、この立法とは別ですよ、立法というものが起こってきたことはわかりますが、その辺を一体どのようにお考えになっているのか。
  9. 野中英二

    野中政府委員 先生のおっしゃるとおり、われわれとしても危惧している点でございます。したがいまして、内需拡大を図っていく、それから貿易の均衡を図っていく、こういう均衡拡大をとっていくという考え方に立っておるわけでございまして、したがいまして、経常収支の百億ドルの黒字というものを六十億ドルにしてまいりたい、こういう努力をいたしておるわけでございます。
  10. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私がいま申し上げたのは、いろいろ手段方法はあるのでしょうが、産業構造輸出構造、これが問題だ、まあヒーリー蔵相が言っているのですね。あるいはアメリカのねらっているのもそこら辺だと思うので、そうすると、そういうような操作だけでなしに、大体いままでの日本輸出構造というものを一体どういうふうに考えるのかという点です。    〔委員長退席山崎(拓)委員長代理着席〕  きょうは大臣はいないのでありますが、私はどうしてもそこら辺が基本だというふうに思うので、その見解を聞きたいのですが、たとえて言いますと、円高輸出ができなくなっていく業界が出てくる、この業界はもうつぶれる、あるいはいま言われているように、輸入をうんとふやすために日本国内市場を開放する、そうしますと、これまたつぶれていく業界が出てくる。輸出においても輸入においても、そういうふうに日本のこの輸出立国といいますか、輸出だけのいままでの産業形態というものがいま批判されている以上、ここら辺に手をかけなければ、この外圧は二段、三段とかかるのかどうか、こういう不安を実は私は持っておるわけであります。ですから、いま政府が口の上できれいなことを言っている、こいつをこうする、こうするということだけでなしに、輸出構造産業構造に実は問題があるのだという点は、あなた方はどう考えておられるか。
  11. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども中小企業指導しておりまして、やはり国際情勢国内情勢変化というものを的確に受けとめ、それに適応し得るような個々の中小企業体質及び中小企業全体としての構造をつくり上げていくということが、特に肝要であると思っておるところでございます。  御承知のとおり、発展途上国工業化も非常に着実に進展をいたしております。また、世界経済の動向も、御承知のとおりの情勢でございます。こういった国際的な動きは、特にこれから中小企業として気をつけていかなければならないことでございます。基本的な方向としては、やはり私は、中小企業におきましても、物を安く提供するということにいままではとかくとらわれがちでございましたのを、発展途上国にもない独特の商品、独特のデザイン、こういったものを目指して、いわば知恵を働かしていくという形の企業が育っていく、またそういうものが主体になるような産業構造に逐次変わっていくということが大切なのではないかと思っておるところでございます。
  12. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いま長官も、産業構造それ自体にいろいろ知恵をめぐらして変えていかなければならぬという点を言われましたが、私も、どう考えてみましても、これはそこの点が非常に日本としては今後知恵をしぼらなければならぬ点だというふうに考えているわけであります。  しかし、もう一歩考えてみますと、これは経済的な立場、そういう立場よりも、いまの起こってきている事態はもう政治問題、政治課題だというふうに実は思わざるを得ない。そういうふうに考えてみますと、いま直ちに産業構造まで手がかからぬとすれば、やはりいまのこのやり方というのは、恐らく輸出は減らぬでしょう、輸入もふえないでしょう、これがさらに続くといたしますと、二段、三段、これからさらに二百四十円からもっと三十円台に入る、私どもはこういうことが想定されるわけですが、その辺はどのようにいまお考えになっているのですか。
  13. 岸田文武

    岸田政府委員 為替相場の将来は、恐らくだれも予想ができない問題ではないかと思います。ちょうど一年前のいまごろ、この円高予想した人は恐らくなかったのではないかと思います。したがって、これから先のことは予測をするということには余りなじまないように思いますが、正直に申しまして、一般的に従来のような高度成長の時代と違ってきたことは確かでございまして、そういうような情勢に適応し得る中小企業をいかにして育てるかということが、私どもに与えられた課題ではないかと思っておるところでございます。国際情勢変化は、絶えず中小企業としてもフォローしながら、それに機敏に対応できるように私どもも今後とも指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  14. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私いま触れましたように、どちらかというと、いま起こってきている事態というのは経済的な問題ではない。経済的ならばある程度推測なり何なりできるのでしょうが、政治的な外圧だとちゃんと外国の、イギリスの人もアメリカの人も言っているわけですから、やはりこれは政治的にどうするか。言うならば、もとは日本輸出産業構造を変えない以上外圧を加えるのだ、こう言っておる点については、これは政務次官どうお思いですか。
  15. 岸田文武

    岸田政府委員 私は、やはり基本日本内需拡大にあるのではないかという気がいたします。いままでのように内需が不振でございますと、やはり輸入はどうしても興ってまいりませんし、輸出に対する圧力も高まってくる。ここがやはり諸外国が気にしている一番のポイントではないかという気がしております。その意味におきまして、昨年の末以降積極的にこの問題に取り組んでいき、大いに内需を喚起しようという方向政策が展開されておりますことは、この問題の解決に寄与するところが大きいのではないかと期待をいたしております。  私ども中小企業立場でございますが、中小企業方々に伺いましても、やはりこの際何とか景気をよくしてもらいたい、これは中小企業自身立場からも言えることでございますが、日本経済全体を見ましても、当然そういうことが回り回って中小企業に貢献することになるのではないかと思っておるところでございます。いまの景気振興対策が大いに早くその実を上げてもらいたいものだと思っておるところでございます。
  16. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 大体考えられている点、私もそのように考えておるので、それ以上言いません。  しかし、見てみますと、モルガン銀行の試算によりますと、一九七八年九月ごろには二百三十七円程度に上昇するだろうという数字を見ました。また、イギリス為替調査機関だと、二百四十円台は割れるだろうということも見ました。それから、アメリカ経済研究機関のDRI、これがことしの暮れには二百二十円台になる。まあ私が意識的にこういうさらに高くなるというのばかりを拾っておるように思われるかもしれませんが、私は、二百四十円台というのは安定的に今後いくのだろうか、いやそれより以上に今後もっとこれが割れていく、円高が続く、深刻になってくる、こういう想定をまず持つわけであります。非常に気持ちとしてはあれなんですが、持つわけです。  そうすると、この緊急立法がいま出るわけでありますが、これはあくまで二百四十円からもっとわれわれの望むレートになるだろうというふうに考えながらいまつくられているのか、あるいはもっと深刻な状態、もっと大変な状態に入っていくこともあり得ると判断をしているのか、それが大変分かれ目だと思うのでありますが、政府は一体その辺をどういうふうにお考えになっているのか、もっとよくなるのか、われわれが望むようになるのか、深刻になるのか、これはどちらなんですか。
  17. 岸田文武

    岸田政府委員 この法律は、先ほども申し上げましたように、昨年の六月以降今日に至るまでの為替変動による影響を、いかにしてカバーしていくかということを念頭に置いてつくられた法律でございます。これから先の為替レートは、先ほども申し上げましたように、だれもがわからないわけでございますが、仮にといたしまして、これ以上大幅な円高が進行するというようなことであれば、またこの法律自体をどうするかということをもう一度検討しなければならない。これが幸いにして円安が出てきたというときには、それまたこの法律をもう一度吟味しなくちゃならない、そういう性格の法律ではないかと思っておるところでございます。
  18. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 これは二年間の時限立法であるわけでございますが、この二年間とした根拠は一体何ですか。たとえて言いますと、十月一日からスタートして、本年三月いっぱいでこれが半年、その他が一年、こういうふうに見るのですが、これが二年間になっている。この一年間、これは結局そういうような情勢変化、あるいはその間に、先ほどからも触れておりますように、内需の喚起や日本の言うならば輸出構造産業構造、こういうものに手をかけて大体やろうとしているのが二年間なのか、よくわからぬわけですが、その二年間に時限をした根拠というものは一体何をお考えになっておったんですか。
  19. 岸田文武

    岸田政府委員 今日に至るまでの影響をとりあえず緩和していこうということが目的でございますと、さしあたって中小企業方々としては、円高によって輸出が出なくなった、滞貨がふえた、その他金融面の手当てということが当面の課題になってまいります。いままでの影響に対応する資金需要というのがいつあらわれるかということでございますが、これは当面、ことしの夏くらいまでの間に集中して出てくるのではないか、またそれを追いかけて民間金融を補強するという面での信用保証の問題、これが大体ことしいっぱいぐらい対応策考えておけば当面の問題には対応できるであろう。  ただ、この円高の問題を転機としてひとつこの際事業転換でも考えようかということになりますと、やはりある程度の時間が要るかと思います。いろいろ各般の業界実情を調べ、自分の企業の現状に照らして、どういう業種を選び、どういう将来構想を練っていくか、この辺を見きわめをつけ、事業転換法の規定に乗っていくためには、ある程度、二年程度期間は見ておく必要があるだろうというふうに考えて、この法律のとりあえずの期間を二年というふうに決めた次第でございます。
  20. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 一言でいいのですけれども、二年間とした根拠というのがいまの話だと非常に私わかりにくかったんですが、一体なぜ二年間にしたのか。
  21. 岸田文武

    岸田政府委員 一言で申しますれば、今日までの為替円高に伴う対応策企業として考え、実行に移すための期間というものが大体二年あればよろしかろうという考え方でございます。
  22. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 まだわからぬのですが、もう一回ちょっと言ってください。
  23. 岸田文武

    岸田政府委員 どうも舌足らずで申しわけございませんが、円高によって当面影響を受けている中小企業考えることと申しますと、当座資金繰りをつけるということが課題でございます。こういう当座資金繰りといいますと、銀行へ行き低利の金を借りる、あるいは信用保証を受ける、こういった資金需要はわりあい早目に出てまいるわけでございます。ただ、事業転換の問題だけはある程度、二年程度余裕を持って対応策考えるという余裕が必要かと思いまして、二年の期限を用意した次第でございます。
  24. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私もさっき申し上げたつもりなんですが、緊急融資が三月いっぱいの六カ月、その他が一年、そうするとあと一年あるのですが、これはやはり事業転換を想定しておるというふうに受け取っていいんですか。
  25. 岸田文武

    岸田政府委員 そのとおりでございます。  事業転換の問題は、現に事業転換法ができてすでに運用実績かなりの数に上っておりますが、特にこの円高の問題を契機といたしまして産地実情調査しますと、やはり事業転換の問題をわが産地としても真剣に考えなくちゃならぬという声もいろいろございます。そういう声を受けまして、この法律の中でも円高に伴う事業転換については特利を適用するという道を開いた次第でございます。このような考え方に基づきまして事業転換をこの際ひとつ具体的に考えていこうということのためには、二年程度猶予期間を置いておく必要があるのではないかと考えた次第でございます。
  26. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 よくわかりました。  この一月二十四日の中小企業庁影響調査を私ども見せていただいたわけであります。これは今後の見通しで、二百四十円前後で推移したときには五十二年度実績額と比べて非常に減少する産地が六十二、それから減少予想産地中二十三が数量、単価とも低下する、こういうことが出ているのですが、品種転換市場転換事業転換、こういう点が、いま長官言われましたように、私は相当知恵をしぼらなければならないと思うのでありますが、この業界産地転換計画あるいはこれに対する指導という点が、いまのお話の中からも私これを立法する場合に非常に重要だと思うのでありますが、この金融やその他はいいが、転換の具体的といいますか、基本的といいますか、そういう業界産地品種市場事業、こういう転換指導計画指導方針というものは一体何ですか。
  27. 岸田文武

    岸田政府委員 実はこの転換の問題については、昨年の十月に産地調査をしましたときに、特に注意をして実情を調べてみたわけでございます。調査対象七十九産地でございますが、その中で、やはり転換の問題を考える必要があるのじゃないかという声の出てまいりましたのが五十一産地ございます。かなりの大きな比率に上っておるところでございます。ただ、率直に申しますと、問題としてそういう問題を考えようというような程度のものもかなりございまして、現実に個別の事業転換を計画している企業がその中に相当あるというところが、二十八産地に上っております。それから、産地ぐるみでひとつこの際事業転換の問題を考えようというような答えが二つの産地から出てきたという実情でございまして、やはり産地としても、この新しい情勢、また厳しい情勢をどうやって生き抜いていくかということについて、相当真剣に考えておると私どもも感じておったところでございます。したがって、産地をこれからどう持っていくのか、この際ひとつじっくり各産地ごと考えてももらいたいし、またそう考えるについて私どもも協力をしていきたいと思っております。  こういう方向に対応する対策としましては、一つは、五十三年度予算で活路開拓事業という予算が認められました。これは産地組合が自分の組合の将来の行き方をどう持っていくか、あるいは組合員をどう指導していくか、こういうことにつきまして腰を落ちつけて勉強しよう、少し時間をかけて、またある程度金をかけて、外部の人の知恵もかりながら勉強していこう、こういうことについての補助制度が新たに創設されることになりました。私どもは、そういう面での自発的な勉強を助けるために、中小企業振興事業団の情報センターの機能を大いに活用していきたいと思っておるところでございます。    〔山崎(拓)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 こういうことによりまして、どういう将来の方向あるいは設計図をかいていくかということを考えられましたら、次には実行に移るわけでございますが、実行のための手段としましては、中小企業の各種の従来の助成手段、これをうまく組み合わせ、効率的に使用していくということになるわけでございます。  それに加えまして、来年度からは産地対策というのが振興事業団の事業として新しく加えられることになりましたし、また、来年度発足を予定しております中小企業経営安定資金におきましても、この資金の使途として産地対策というものを考える、こういった新しい助成手段も用意をいたしているわけでございまして、産地にいかにして活力を与えていくかということを相当大きな課題として取り組んでいきたいと思っておるところでございます。
  28. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 先ほど触れましたこの二年間、金融的なもので大体一年ぐらいで措置して、あとの二年間のうちに転換を図るという構想でしょうが、いまお考えになっているような点から、この二年間でそういうことが大体いけるというふうに考えておられますか。
  29. 岸田文武

    岸田政府委員 事業転換の問題につきましては、一昨年事業転換法ができまして、その後その施行に当たってまいりましたが、当初は、中小企業方々も、一体これをどう受けとめたらいいのかということで戸惑いがございましたものの、夏以降、事業転換の具体的な申請をし、都道府県知事の認定を受けるというケースがかなりふえてまいりました。特に昨年の十二月にはかなりの件数が認定を受けるというところまできております。いままでの合計で、たしか四十件ちょっとに上っておるかと思いますが、これはドル対法のときの事業転換の認定と比べますとかなりピッチが速いという感じでございまして、事業転換の問題は、相当真剣に中小企業としても取り組んでおるなという印象を受けております。  これからどう進むかということでございますが、いまの調子でいきますと、当初立案のときに考えていました以上にやはり事業転換の進展が行われるだろうと感じておるところでございまして、それがいかに円満にまた円滑にいくようにするかということが、これからの中小企業対策として考えていかなければならない一つのポイントではないかと思っておるところでございます。
  30. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、きのうからもちょっと出ていますが、本法によれないもの、どうも本法になじまないというもの、たとえば中小企業の範囲に入らない中堅企業、あるいは輸入によって安く多量に入ってくる製品を抱えている企業円高によって深刻な影響を受けるとき、こういうような本法によらないそういうものですね、一体これをどういうふうにしていくか。中小企業に入らない中堅企業、そういう点をここで明確にしておいていただきたいと思います。
  31. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども中小企業を対象として行政を進めておるわけでございますが、その範囲外にいま御指摘がございました中堅企業の問題があることはもう承知をいたしております。中堅企業対策としましては、いま中央、地方を通じまして、関係省庁、金融機関等と情報の連絡交換をいたしまして、問題が起こる都度、一つ一つ対応策考える、またそれを実行に移していくというようなやり方で進めてまいってきております。ただ、御承知のとおり、最近不況の深刻化とともにいわゆる構造不況の問題が出てまいりまして、しかもその中に中堅企業かなり大きな地位を占めておる。こういう事態を踏まえて、通産省としてもこの構造不況対策のための新しい立法を用意しよう、こういう構想も進んでおるわけでございまして、その中で中堅企業の問題についても問題解決のための一歩前進が図られればと思っておるところでございます。  また、中小企業の中にも、この法律の直接の対象となるものとそれ以外のものがあり、しかもそれ以外のものでも相当困っているものがある。この点につきましては、昨日も御答弁を申し上げましたが、問題があるならば私どものところにどしどし問題を出していただいて、そして、その業界実情あるいはその産地実情に応じたような問題解決のための手を打っていきたいと思っておるところでございます。
  32. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 いまお話を聞いておりますと、この本法に入らない以外でも、円高において起こってくる事態というものについては、あらゆる措置といいますかあらゆる手段を講じて同じように、これに準じて取り扱う、こういうお考えですね。
  33. 岸田文武

    岸田政府委員 現在の法律で許されておりますあらゆる手段を活用して、問題解決のために努力をいたしたいと思っておるところでございます。
  34. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 次は、金融上の特別措置でございますが、金利は当初三年が五・五%に下げる、これは法案の四条で五・五というのが出ていないわけであります。きのうからもちょっとその辺触れているわけでありますが、金利の情勢を見て五%ぐらいに下げていくという努力、これをすると、こういうふうに受け取っていいですか。
  35. 岸田文武

    岸田政府委員 五・五%という金利水準を決定するにつきましては、私どももずいぶん苦労をいたしたわけでございます。従来七・六%からスタートし、六・二%になり、さらに円高の進行とともにもう一段何かこの面の改善はできないかということで、大蔵省ともいろいろ折衝した末、五・五%が実現したという経緯がございます。昨日も申し上げましたように、通常の運転資金の金利としましては、五・五%というのは他にほとんど例のないような低い水準でございまして、私どもとしてはできるだけのことをやったという心づもりでおるところでございます。
  36. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私のいま言っているのは——きのうからの答弁は私も聞いておりました。問題は、今回はここまで努力した、しかし、今後の金利の情勢その他を勘案していきますという話があったわけですね。この今後の金利の情勢を見てということは、今後さらにこれを五%ぐらいを目標に下げていく、こういうふうに考えておられるかという点を聞いているのでありまして、五・五%で努力した点はもう十分承知しているのですが、そういうふうに見ていいですか。
  37. 岸田文武

    岸田政府委員 お話のように、今後の金利情勢もいろいろ変わってくる場合があるわけでございます。そういうときには他の金利とのバランスということをやはり考えていく必要があるだろうというふうに考えられます。
  38. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 私はそういうことを聞いているのじゃなしに、五%ぐらいまで下げるために、この金利情勢の中で早急に持っていこうという努力を長官は持っておられるかということを聞いておるのです。
  39. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、中小企業の金利負担が少しでも軽減できるようにということで従来もやってまいりましたし、今後ともやってまいるつもりでございます。全般的な金利情勢の動きというものは私どもも十分注意をいたしまして、その環境の中で少しでも改善ができるものがあればやっていくということで今後ともやってまいりたいと思います。
  40. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 では、ぜひそれは努力をしていただきたいというふうに思います。  最後に、為替変動対策緊急融資の金利を十月一日、これにさかのぼって適用することができないだろうかというふうに思うのです。これは立法によらなくても閣議決定ぐらいで、去年の十月一日にこれをさかのぼってやる、こういうことが閣議決定でできないか。私はできるように思うのですが、どうですか。
  41. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもも、せっかくできました為替変動緊急融資制度でございますから、今回新しく五・五%ということが決定されましたのを、できることならば十月一日からさかのぼってやるという方向で実現をしたいと思っております。
  42. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 よくわかりました。もう時間が……
  43. 岸田文武

    岸田政府委員 いまのお答え、ちょっと不鮮明でございましたが、十月一日から五・五%を適用することにいたします。
  44. 岡田哲児

    岡田(哲)委員 わかりました。  これで時間が来ましたので終わりますが、最後に、どう考えてみましても、金融や税制やそういうことだけでなしに、今回の起こってきている事態というのは、やはり転換の問題も相当重要だという点が明らかになってきたわけであります。二年間の時限立法でございますが、この法律が本当に有効適切に動くように、そういうことを私は切に望んでいるわけであります。どうか政府の方においても、いま申し上げたような立場に立ちながら、あらゆる手段方法、そういうものを駆使しながら、これが適切有効に動くように私は特に要望をして、これで終わります。
  45. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員長 代理 松本忠助君。
  46. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私は、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法につきまして、前半で法案につきまして、後半で、この法律を適用されないで、恩恵を受けることのできない、救済されない一般中小企業方々がいわゆるサラ金に頼っておるわけでございますが、そうした問題をお伺いをすることにいたしたいと思っております。  最初にお尋ねいたしたいのは、第三条の認定の問題でございますが、主務大臣が全国にわたって指定する業種に属する事業として、これは相当広い範囲にわたって私はすべきではないかと思っておりますが、当面考えられる事業というのは一体何なのか、これをお答えをいただきたいと思います。
  47. 岸田文武

    岸田政府委員 具体的に業種指定の範囲をどうするかということは、いま作業を着々と進めておりまして、近日中に決定、発表いたしたいと思っております。現在の為替変動対策緊急融資制度の対象となっておりますのは、御承知のとおり五十九業種ございますが、いまの作業が順調に進みますれば、この全国業種だけでいまの業種の大体倍程度にはなるのではないかと思っておるところでございます。そのほかに、若干の産地業種が加わってくる、このような形でございまして、かなり問題を抱えておりますような業種につきましてはカバーしていくというたてまえでいま処理を進めておるところでございます。
  48. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。  三条二号の地域を限って指定する業種というものに属する事業、具体的にどういう地域を指すのか、その辺が一つと、それから、この指定の作業というものはいま鋭意努めているというふうなお話でございますけれども、具体的にはいつまでに終了するのか、またその後も、対ドルの円相場推移によりましては逐次やるのかどうか、この三点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  49. 岸田文武

    岸田政府委員 まず、産地業種でございますが、全国業種を指定する場合に、やはり業種としてある程度輸出比率があるということを要件にしてスクリーンしてみますと、どうしても産地業種というものが残ってまいります。したがって、産地として限って考えてみるとある程度輸出比率があるというような場合には、これを補足して指定をしていくという形になろうかと思います。この辺はちょっと計数の関係がございますので、どこがどういうふうにということはいまの段階では申し上げられませんが、いずれにせよ、いま作業を急速に進めておりまして、私は、この法律が制定施行されましたら日を置かずに具体的な業種を指定し、そしてこの制度が広く早く利用されるようにしていきたい、こう考えております。いま聞いてみますと、作業の段取りとしましては、こういう業種指定を大体一週間以内ぐらいに決定を見たいということで、作業が進んでおるようでございます。
  50. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 三番目の、要するに円相場がこれから推移することによってその指定の業種というもの、あるいはまたそういうものを一遍やって再度またやるというようなことも考えられるわけですね。一遍で終わりですか。
  51. 岸田文武

    岸田政府委員 考え方としましては、昨年から今年にかけて為替変動影響を受けている業種を指定をするわけでございますから、そう変わりがあるわけはないわけでございますが、ただ、私ども調査をしております際に気がつかずに調査漏れになったためにおくれた、指定が漏れたというようなことである場合には、当然それは追加して指定する場合もあり得ると考えております。
  52. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 政務次官にお尋ねいたしますが、円相場の高騰がこのように急激だった例は、われわれも記憶がないわけでございます。御承知のように、五十二年の一月に対ドル相場が二百九十二円、十二月には二百四十円というふうに変わったわけでございます。一年間で五十二円、実に一七・八%の急騰を示したわけでございますが、この法案は一応対、ドル相場二百四十円を基礎として業種の指定をやるわけでございます。たとえばこの急騰がおさまって対ドル相場が二百七十円台あるいはそれ以上に下がった場合でも、認定を解除したりまた業種指定を外したりというようなことをするのかしないのか、この点についてはいかがでございましょうか。  それから第二点として、円相場がこれから幾らに安定するかということは全く未知の問題でございますけれども、あくまで五十五年三月まではこの法案は続けるのかどうか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  53. 野中英二

    野中政府委員 お答えを申し上げます。  御存じのとおり、仮に円が回復したとしても、この法案の趣旨は現在までに受けました実害を救済しょう、こういう考え方でございますので、お願いをいたしております二年間というものはこの法律を続けてまいりたいと考えております。
  54. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 二番目にお答え願うようにお願いしました五十五年三月までは、あくまで続けるということになるわけですね。
  55. 野中英二

    野中政府委員 そのとおりです。
  56. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、次の問題に入りますが、本法に基づきますところの資金の貸し付け、すなわち中小企業為替変動対策緊急融資制度の貸付金利等の問題について伺いたいと思うわけでございます。  この制度が発足いたしました昨年の十月一日当初は、通常金利が七・六と非常に高かったわけでございますが、これでは円高に苦しむ中小企業者としては全く活用しにくかったわけでございます。われわれもこの委員会におきましてしばしばこれを引き下げるように、金利の引き下げを再三にわたりまして要求をしてまいりました。昨年の十一月四日に六・二%に引き下げ、本法案によって五・五%に引き下げられたことについてわれわれも評価するのにはやぶさかではございません。しかし、円高に苦しむ中小企業の現状を見ると、受注残がまことに少なくなっておりますし、今後の新規成約も非常に困難になっておるということはもう御承知のとおりでございます。今年も円高基調が続くようなことであるならば、中小企業の経営というものはますます困難になるであろう、そういうふうに予測することは、これはもうまずまず間違いないだろうと私たちは思っております。  現在、地方自治体におきましても独自に低利の融資を行っておりまして、これが非常に好評を博しております。たとえて言いますと、東京都や横浜市では実質年利四・五%という低利の融資を行っておるわけでございます。したがいまして、本法に基づくところの貸付制度、すなわち為替変動対策緊急融資においても、中小企業を取り巻く環境の激変に伴って三たび貸出金利を引き下げる必要があると私は考えるわけでございますけれども、非常にこの点はむずかしい面もあろうかと思いますけれども、再度金利の引き下げについて政府考え方を伺いたいわけでございます。  と同時に、現在の特利期間が三年となっておりますけれども、これを延長するとか、または特利対象の貸付限度枠を引き上げるとか、そういった措置を講ぜられるかどうか、この点について長官にお答えをいただきたいと思います。
  57. 岸田文武

    岸田政府委員 この円高の問題に対応しましては、政府として為替変動対策緊急融資制度を実施しておりますほかに、御指摘ございましたように、各都道府県なりあるいは市におきまして、それぞれ独自に制度融資として円高緊急融資を実施しておる例がかなり出ております。その実情について私ども調べてみましたところ、金利の面で申し上げますと、大体六・二%前後というものが非常に多い。中に、三つのケースだけが私ども考えております五・五%以下のものがございました。ただ、それを見ておりますと、期間が非常に限られておりましたり、限度が非常に低かったりいたしまして、総合的に見ますと、今回御提案申し上げております国の制度が、一番条件としては恵まれた条件になっておるのではないかと思っておるところでございます。  ただ、それにつきましてはもっと下げられないかという御要望、私どもも昨日来いろいろお答えいたしておりますように、いま考えられる前提のもとでは、五・五%というのはできるだけの措置を講じたと自分自身で考えておるところでございますが、今後金融情勢が変わってきたというようなときには、その環境の中で各種のバランスを考えながら、できるだけの改善を図っていくということについては努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  58. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまも御答弁の中にございましたけれども、東京や横浜では実質的に四・五という貸し出しが行われておるわけでございます。それにはいろいろ条件が違うことも承知はしておりますけれども、現実に金利が安いということは、借りる側にとっては大きな利点でございますので、そうした面を考えまして、再度、金利の引き下げということは十分対応して考えていただきたいと思っておるわけでございます。  特利期間の三年の延長あるいは特利対象の貸付限度枠の引き上げ、こういったことについてはいかがですか。
  59. 岸田文武

    岸田政府委員 特利適用の範囲につきましては、これまたいろいろ折衝をした末に、できるだけのことをというつもりで決定をしたところでございますから、当面はそのたてまえで処理をしていきたいと思っております。  限度の問題につきまして、たしか臨時国会のときにそういうような御要望もあったかと思いまして、私どももいろいろ実情を調べてみました。ただ、現実には、いま特利適用の限度としております二千万円及び五百万円、この限度をどうしても超えなくてはならないというケースがそうたくさんないような気がいたしまして、いまの限度は、実はドル対法のときの限度と比べますと非常に大幅に拡充されたものであるという経緯もございますので、限度の面でも一応はこの程度で差し支えないのではないかと思っておるところでございます。
  60. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に、第五条の関係について政務次官にお尋ねをいたすわけでございますが、中小企業近代化資金等助成法に基づきますところの設備の近代化資金の返済猶予を図ろうとしている点は私も評価できるわけでございます。償還期間を現行の五年からさらに二年延長という政府案でございますが、この点は、もう少し実情を知っていただけたらもう少し温情ある扱いができるのではなかろうかと思うわけでございます。中小企業の非常にむずかしい経営の状況を考えたときには、返済の猶予期間というものをもう二年ぐらい延長してやったならば、本当に温情ある取り扱いと思うわけでございます。昨晩の質疑の中でも、中小企業庁長官がこの点について非常に理解を示していると私も受け取りましたけれども、せめてもう一年ぐらいの延長を図れないものかどうか、この点を政務次官にお尋ねをするわけでございます。
  61. 野中英二

    野中政府委員 政府といたしましては、ドル対法のことを考えて、さらに加えまして、この回収金が少なくなりますと新しい貸し付けができない、こういうことで検討いたしました結果、七年という数字を出したわけでございますが、委員会の諸先生の御意見によりまして弾力的に考えてまいりたいというふうに考えております。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。これはぜひひとつもう一年延長して、八年ぐらいにしてやったならばというふうに思うわけでございます。  次に、信用補完制度について長官にお尋ねをいたしますが、通産省として昨年の八月に、五十三年度の通商産業政策の重点といたしまして来年度の予算要求重点項目といたしまして発表した中に、「信用補完制度の機能強化を図るために、中小企業信用保険法を改正し、付保限度を引き上げるとともに、中小企業信用保険公庫に対する政府出資を行う」、こういう旨の要求をされたわけでございます。この点は御承知のとおりと思うわけでございますが、本法案におきまして、円高関連保証の特例といたしまして従来の特別小口保険等と別枠の保証が受けられることになりました。また、信用保険公庫、信用保証協会への出資、補助等が五十二年度第二次補正及び五十三年度の予算においても含まれておる点、これも承知をしておりますけれども、特別小口保険等の付保限度は今回見送られているわけだと思います。  昨日の答弁では、実情は百五十万円程度の保証が多いとのようなことでございましたけれども中小企業者の特別小口保険の付保限度の引き上げという声はさらに大きいというふうにわれわれは現場で聞いております。私は再度付保限度の引き上げを要求するわけでございますけれども、今後この重点項目として再考することの余地があるかどうか、この点を長官にお伺いをいたしたいわけでございます。
  63. 岸田文武

    岸田政府委員 特別小口保険の付保限度につきましては、昨日も御答弁申し上げましたように、実績からしまして二百五十万円の限度に対して百五十万円程度にとどまっておるということ、及び、御承知のとおり、各信用保証協会の経理が大変苦しい実情にございまして、これ以上限度を引き上げますとまた一層負担を加重するというような事情にございますので、私どもも、今年いろいろ考えましたけれども、今年はその時期にあらずというふうに判断をし、しかし、現実に為替変動問題だけはほうっておけないぞということから、いわば残された体力をこの問題に集中するという形で五十三年度予算編成を行ったわけでございます。  ただ、今年の事情は御了察いただくといたしましても、今後の問題としましては、やはり実情に応じた限度の見直しということは当然必要であろうと思っておるところでございます。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 将来の問題として、ぜひこれは再考していただきたいというふうに思っておるわけでございます。  次に、大蔵省は呼んでおりませんけれども、これは通産省から、要するに大蔵省との折衝の段階を通じての感触を私お伺いしておきたいと思うことは、欠損金の繰り戻しの制度についてでございます。  この制度につきましても、私どもこの委員会におきまして何回か要望したわけでございますけれども、今回、三年前にさかのぼるということになったわけでございます。長期の不況と円高のために中小企業の経営内容というものはこの数年悪いわけでございまして、これをさらにさかのぼって還付するようなことにならないと、なかなかその適用を受けられないのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。  このことは、先ほども申し上げましたように大蔵省の所管でございますし、当然大蔵省と通産省でいろいろと折衝されてきて、今回も三年間さかのぼるということが決まったわけでございますけれども、その折衝を通じまして、それがさらに延長することができるかどうか、その点の感触はどうであったか、この点をお伺いをいたしておきたいと思います。
  65. 岸田文武

    岸田政府委員 いま御指摘の税金還付の問題は、昨年の秋円高が非常に進んでまいった環境の中で中小企業から起こってきた声でございます。中小企業方々は、ドル対法のときに現にああいう法律が用意されていた、せめてあのぐらいはぜひ実現してほしいという声であったかと思います。そういう声を受けまして大蔵省とも折衝し、実現を見たわけでございますが、私ども率直に申しまして、いろいろいま財政事情が苦しい、また税金の問題についても御承知のようなむずかしい問題がある中で、大蔵税務当局としてもこの問題だけはぜひできるだけの配慮をするという心づもりで取り組んでもらった成果であると思っておりまして、ちょっとこれ以上のことを望むのはなかなかむずかしいのではないかという印象でございます。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 了解しました。  それで、この円高法案に対する質問はもう一問で終わるわけでございますが、これは本法に基づくところのいろいろの施策というものが十分に関連の中小企業者に周知徹底されなければならないことは当然のことでございますし、それはいずれも上部団体を通じてさらに末端の組合員へというふうに徹底が図られていくということになると思います。私どもの党といたしましても、中小企業局というものがございますが、その局としても、こういう新しい法律ができた場合に、全国組織の各都道府県の中小企業局長に全国的にその周知徹底を図っておりますけれども、なおまた政府としてはどういうふうに具体的にこの周知徹底をする措置をとられるのか、これを伺っておきたいわけでございます。  さらにまた、円高不況等によりましてやむなく事業転換というふうに追いやられた、そういう中小企業方々も多いわけでございますが、そのためにも、調査あるいは情報提供、相談、指導というような体制の強化が図られなければならないと思うわけでございます。こういう点についても通産省あるいは中小企業庁に対して強く要望しておくわけでございますが、この点具体的に何かお考えがありましたらば、お示しをいただきたいと思います。
  67. 岸田文武

    岸田政府委員 円高の問題で苦しんでおります中小企業方々から、ぜひ実現してもらいたいという声を受けて立案をされた法律でございますし、特に昨日は深夜に及ぶまで御審議をいただいたような法律でございますので、私どもも早くこの法律を実施に移しまして、そして中小企業の方方に喜んでいただけるようにすることが特に大切だと思っておるところでございます。  昨日通産局の中小企業担当課長を集めて大体の内容を説明もいたしましたが、近日中に通産局ごとに各府県その他地方公共団体の方に集まっていただいて具体的な内容を御説明をし、そして関係者に周知徹底を図るという措置を講じたいと思っておるところでございます。そのほか、関係団体にも内容を説明しまして、少しでも多くの方々がこの制度を利用していただけるように努力をしていきたいと思っております。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一つ要望しておきますが、昨年十月の一日に実施されました中小企業為替変動対策緊急融資制度、この取り扱いをめぐりましても、実際上に取り扱う窓口が国金の窓口等におきまして非常に差が見られる。非常にその制度をよく理解してやってくれるところと、いろいろと文句をつけるようなところがあったわけでございます。そういった例を私は知っておりますだけに、今回のこの制度が完全に行き渡りまして、そして周知徹底が図れ、完全に施行できるようにひとつ特段のお骨折りをお願いいたしたい、要望申し上げておくわけでございます。  次に、後段のサラ金の問題についてお尋ねをいたしたいわけでございますけれども、御承知のように、今回のこの法案によりまして救済されるというものは、特定のいわゆる円高によって被害を受けた業者だけでございます。しかし、実際の問題として、石油ショック以来非常にその資金繰りに苦しんでいる中小企業方々が多いわけでございます。こういう法案の適用を受けられない、そういう方々が非常に困って飛び込むところがいわゆるサラ金でございます。  そうした実例は、私どものところに枚挙にいとまないほど来ておりますけれども一つ二つその実例を申し上げてみますと、要するに、業者の手口というものは、非常に簡単に融資をしてくれるわけでございます。しかし、御承知のように、取り立てが非常に厳しい。私のところに持ち込まれました例をちょっと申し上げてみましても、百万円必要だということの申し込みに対して、全く何も言わないですぐ貸してくれた。    〔山下(徳)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕 ところが、金利が前取りでございまして、一日の分が三分、三日を一つの単位として先付の小切手を担保として切らされる、こういうことになっております。三日ではどうにもならないので、最低九日借りたところ、利息はどうなるかというと、いわゆるトイチになってしまう。先付小切手は裏書が必要でございますし、ときには保証人の裏書も要求されたけれども、保証人になってくれる人もない。そうしたことを繰り返し繰り返しやっているうちに、ついににっちもさっちもいかなくなった。で、相談に見えたわけでございますけれども、結局どうにもならないで倒産をしてしまったわけです。  また、ある一つの例は、これも中小企業者の方ですけれども、貸し金に対して日歩が三十銭の領収証が切られる。ところが、実際にはこれに上乗せして、日歩五十銭の金を謝礼金という名目で取られる。もちろんこれについては領収証は発行されません。合計八十銭という高い金利を取る悪質な手口があるわけでございます。つまり、百万円借りますと、その金利が月に二十四万、一年で何と二百八十八万という高金利になるわけでございます。  こうした実例はしばしば耳にするわけでございます。そしてその取り立てたるや、実に吸血鬼そのものでございます。善良な庶民から莫大な金利を巻き上げる、次々と不幸と悲劇をつくり出しているわけでございます。この方もついに倒産に追い込まれたわけでございますけれども、現在この町のいわゆる金融業者というものに対する指導、監督という面は一体どうなっているのか、この点について大蔵省からお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  69. 吉居時哉

    吉居説明員 ただいま御指摘にありましたようなケースは、恐らく手形割引を主とする業者であろうと思いますが、サラ金も含めましてこのような業者は、主として自己資金を自分の責任で運用する、こういうふうな業者でございまして、貸金業者という範疇に入るわけでございますが、この貸金業者につきましては、現在届け出制というようになっておりまして、この事務は各都道府県に委任されているところでございます。現在その数は届け出数で約十六万件、こういうふうになっている次第でございます。  ただ、この貸金業者は、ただいま申し上げましたように、その特殊な性格ないしは実態というところから、やはりこれの適正な運営ないしは不正金融の防止ということにつきましては、自主規制によるのが最も現実的だという考え方から、昭和四十七年にいわゆる自主規制法というものが制定されたわけでございまして、これによりまして各都道府県には庶民金融業協会が設立され、またその上部団体としましてその連合会が設立されているところでございます。ただ、何分にもこの法律の施行が比較的新しいということや、各県にようやくそろいましたのが昨年であるということもありまして、必ずしもこの協会によるところの自主規制が十分功を奏する段階ではございませんが、今後この協会等を通じまして自主規制が一層功を奏することが期待されているところです。  ただ、御指摘のようないろいろな社会問題になるような高金利事犯あるいは暴力事犯ということがありますことも事実でございまして、このような状況から、現在政府におきましては関係各省庁が集まりまして、どのような方策を講ずることができるかということ等につきまして目下検討中、こういう段階でございます。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その件数については、いま大蔵省の方でも、確定的な数字じゃないと思いますけれども、握っていらっしゃるようですけれども、私どももこれについていろいろ調査をし、推定もしてみました。大体その利用者が三百万から三百五十万くらいはあるだろう、金額で二千五百億から三千億くらい、こういう膨大な金額が扱われているように思うわけでございます。業者も非常に簡単に営業が開始できるというところから、ここのところもぐりの業者も入れると相当数に上っているのではなかろうかと思いますけれども、本来貸金業というものは質屋と同一の性格のものでなければなりませんし、保証人や担保がなければ貸さない公的金融機関と異なりまして、安直に現金を手にすることができるわけでございます。  こうした町の金融業者は、社会的な要請から生まれた庶民のための金融機関でなければならないわけでございますけれども、いまのお話によりますと、なかなかこれの実態はつかめないし、そしてまたこの指導にも手をやいているというふうにもお伺いしたわけでございますが、いまのお話にありました庶民金融業協会、こういうものの自主規制にだけ頼っていていいものかどうか、また、違法な貸し付けをしている業者に対して、取り締まりの側として現場で直接的の取り締まりに当たっている警察庁としては、その実態をどのように掌握し、そしてこの取り締まりをどのようにしているか、こういう点について警察庁にお尋ねをいたすわけでございます。
  71. 柳館栄

    柳館説明員 取り締まりの点でございますけれども、サラ金関係は、御承知のように、いわゆる出資法によって取り締まりを行っておるわけでございます。その出資法違反によって私どもが検挙しております件数は、五十一年までずっと年々ふえ続けておったのでございます。ところが、昨年、昭和五十二年に若干減っております。件数で申し上げますと千二百四十五件、人員で千二百三十人でございます。そして減りましたのは、件数で申しますと三十八件、人員で六十九人減っておるわけでございます。  しかしながら、私どもは、この減った理由につきましては、事犯が減ったから検挙件数が減ったとは考えておりませんので、むしろそうではなしに、私どもの方の捜査力が、マルチであるとかそういった新しく出てきました事犯の方にも捜査力を割かなければならなかったという理由から検挙件数が減ってきておるものだと見ておるわけでございます。したがいまして、決して金融事犯が減ったものとは考えておりませんので、さらに今後とも高金利、さらにはその取り立てをめぐる刑法犯等につきましての検挙を厳しくやってまいりたいと考えております。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 時間の関係もありますから、この問題について法務省の御見解、要するに法秩序を維持するというたてまえから言って、法務省としてはどのようにしたらよろしいかというような点について、お考えがあればお伺いしたいわけでございます。
  73. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  サラ金問題につきましては、事柄の重要性にもかんがみまして、検察当局といたしましても厳正な態度をもって取り締まりに当たっているということでございまして、特に悪質な業者につきましては、ただいま警察庁からも御指摘がありました出資法五条の高金利事犯といたしまして、あるいはまた取り立てに当たって暴力をふるうというふうな暴力金融業者につきましては、またそれぞれ刑法等の所要の罰則によりまして厳正に規律をしているということでございます。  なお、法秩序の面からどのように考えるかということでございますが、業者の規制につきましてはいろいろな貴重な御提言がなされておりまして、許可制を採用してはどうか、あるいはまた登録制にしてはどうか、あるいはまた重要事項の告知を義務づけてはどうか、領収証の交付を義務づけてはどうか、種々の観点からの御指摘がなされておりまして、まことに貴重な御意見だと考えておりますが、いずれにいたしましても、刑事罰則の強化という観点からのアプローチということはわれわれ考えておりませんので、事柄の性質にかんがみまして、業種規制という観点からの行政的な規制措置をいかに考えていくかということが物事の筋道ではないか、かように理解して、関係省庁の連絡会議等におきましてもその筋の意見を申し述べておる、こういうことでございます。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 このサラ金における悲劇は、ずいぶんいろいろ皆さん方御存じのとおりでございましょう。また、このサラ金の問題もしばしば国会でも取り上げられておるわけでございますが、政府対策について努力するという約束はするけれども、一向に改善されない点を私どもは非常に不満に思うものでございます。このサラ金をめぐる諸問題につきまして今後どう対処したらいいのか、出資等取締法あるいは貸金業者の自主規制助長法等では実態的にはもはや対処できないのではないか、こういうふうに私は思うわけでございます。  そうした意味から、いまもいろいろ御答弁が、こざいましたけれども、貸金業は大蔵大臣から委任された知事へ届け出るだけでだれでも営業できる、このために行政的にも野放し状態になっている。しかし、苦情や相談を持ち込まれるのは地方の自治体でございますために、自治体は何とか対処しようとして、実態調査、あるいはサラ金業者の講習会等の開催、独自の指導要綱をつくったりして、それぞれの都道府県で一生懸命苦情処理に当たっているわけでございますけれども、国の方では連絡協議会というものをつくっただけであると思います。国の対応が全くなっていないと私は申し上げたいわけでございます。さらに、全国知事会からもこの法規制の強化を強く要望しているということも聞いておりますし、これらのことからも法規制の強化は必要だと私は思うわけでございます。  そうした意味から、私どもの党といたしまして、昨年の五月、サラ金等の貸金業を規制してその公正な運営を確保して、不正金融を防止し、資金需要者の保護を目的とした貸金業法案というものを国会へ提出いたしました。その主な骨子は、大蔵大臣または都道府県知事への登録として、貸金業者が利率にかかわる広告をする場合は、利息及び利率を明示させる、また、店内に利率の表示等契約内容となる事項を掲示させる、貸付金、返済方法等を明示した契約書面の交付などを義務づけた、こういう内容でございます。さらにまた、貸金業者の監督の強化を図るための措置として、法律に違反した場合または業務に関し不当、不誠実な行為をしたときには、大蔵大臣または知事が指示し、営業の停止、登録の取り消し、これをできるようにしよう、こういう内容でございます。  そこで、いま答弁のありました大蔵省の吉居中小金融課長、法務省の佐藤刑事課長から、再度、わが党の案に対して率直なお考えを聞かせていただきたいと思うわけでございます。御答弁をお願いいたします。
  75. 吉居時哉

    吉居説明員 ただいまいろいろな御提言があったわけでございます。実は私どもまだその案に対しまして必ずしも十分検討しているわけではございませんが、先ほど申し上げましたように、貸金業の問題というのは実は非常に多面的な問題を含んでいるわけでございまして、たとえば利用者の保護をどうするか、あるいは庶民金融のあり方はどうか、あるいは犯罪の防止をどうするかといった、こういうふうな社会秩序維持の観点から、高金利の処罰問題あるいは取り締まり上の問題、さらには行政上の能力の限界をどう考えるか、いろいろな問題があるわけです。したがって、こういう問題を総合的に考えながら最も現実的な方法をやっていかなければいかぬ、こういうふうに思っているわけでございまして、そういう趣旨から、先ほど申し上げましたように、昨年九月から貸金業に関する関係省庁が集まりまして、現在連絡協議の場を持っていろいろと研究をしておる、こういう段階でございます。
  76. 佐藤道夫

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  個人的には大変結構な貴重な御提言ではなかろうかと考えておりますが、いずれにいたしましても、業種規制の面からのアプローチという方策につきましては法務省の所管事項ではございませんので、私の立場から公的にあれこれ申し上げるということは適当でなかろうというふうに考えております。
  77. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろお答えをお伺いしましたけれども、とにかくこの問題で泣いている人が非常に多いということは皆さんも十分御承知だと思います。やはりこの問題は放置できない問題でございますので、私どもはいま申し上げましたような法案を提出しておりますけれども、一刻も早く政府としても十分御検討願いたいと思うわけでございます。  最後に、円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法、この施行に対しましては、非常に具体的にかつ迅速に親切に窓口がやっていただいて、効果ある運営ができますように心から希望をするわけでございます。そのことに対する御答弁を政務次官からいただいて、私の質問を終わることにいたします。
  78. 野中英二

    野中政府委員 先生御指摘のように、この法案の緊急性というものにかんがみまして、円滑に、しかも適切に迅速にやってまいりたいと思うわけでございます。
  79. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  80. 中島源太郎

    ○中島(源)委員長代理 渡辺三郎君。
  81. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 きのう時間の関係で質問を留保しておきました二、三の点についてだけお伺いをしたいと思います。  一つは、これは第三条の業種の認定にかかわる問題ですけれども、この場合、業種の認定について都道府県知事の果たす役割りといいますか、これは第三条第一項第二号のいわゆる産地業種の認定の際に主務大臣に意見を述べる、厳密に言えばこのことだけですか。
  82. 岸田文武

    岸田政府委員 都道府県知事にお願いをしていきたいと考えております事項は、むしろ個々の具体的な認定でございます。業種が指定され、あるいは産地が指定されたというときに、その業種なり産地に属しており、しかも省令に該当する要件を備えているかどうか、これを個々に認定していただく仕事を都道府県知事にお願いしたいと思っているところでございます。     〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
  83. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから第十条ですが、これは具体的にはどういうことを意味しているわけですか。「都道府県知事の権限に属する事務」、これは認定そのものとは関係ないのかどうか、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
  84. 岸田文武

    岸田政府委員 第十条の権限委任の問題につきましては、中小企業方々に少しでも便宜を図りたい、こういう考え方に基づきまして、全国指定業種、それから産地指定業種、こういう業種に属している中小企業の認定事務、これを都道府知事から「市町村長又は特別区の長に委任することができる。」こういう規定を設けた次第でございます。
  85. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、これは認定そのものといいますか、認定する際の判断そのもの、これもいま言った条件のもとでは市町村長に委任をされる、この範疇に入りますか。
  86. 岸田文武

    岸田政府委員 これは、従来から為替変動対策緊急融資を実施しておりましたので、そのときにどういうやり方をやっていたかということが一つ判断の要素になるかと思いますが、都道府県知事において具体的な認定を全部統括してやるのは大変で、むしろ市町村長なりあるいは特別区の長にゆだねた方が簡易、敏速にできる、こう判断された場合には、具体的な認定事務そのものをこれらの方々に委任できる道を開いた、こういうふうに理解していただきたいと存じます。
  87. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 もう一点だけお伺いしたいと思いますが、これは先ほども若干質疑応答ありましたが、事業転換の問題に関してであります。中小企業事業転換対策臨時措置法、この法の規定する計画に従って事業転換を行ったものはいままで何件ございますか。
  88. 岸田文武

    岸田政府委員 手元にございます資料の一番新しい認定が五十三年一月十日でございますが、この一番新しいものに至ります件数を累計いたしてみますと、四十二件になります。
  89. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これはいままでの全体の数だと思いますが、そうしますと、そのうち昨年の六月以降、急速な円高の状況が始まったこの時期以降、いわゆる円高影響によって転換をしなければならぬ、そういうことで、計画に基づく、法に基づく事業転換を行ったものは何件ございますか。
  90. 岸田文武

    岸田政府委員 これは私どももその要因を一つ一つつまびらかにしておるわけではございませんが、円高が起こりましてから仮に事業転換考えるといたしましても、かなりの時間がかかるわけでございまして、いままで認定を受けた方々について見ますと、やはりそれ以前からいろいろ問題を抱えておられて、この際事業転換が必要ではないかと考えられ、具体的な計画を策定されたという方が多いのではないかと思っておるところでございます。
  91. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そうしますと、少なくとも中小企業庁がつかんでおられる範囲内においては、この急速な円高に基づいて、どうにも仕方がないからこの転換法に基づく事業転換を進めなければならぬ、こういうところまでいまはっきり進んでおる、そういう計画はないというふうに認識してよろしいですか。
  92. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの中小企業方々の動向につきましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたとおり、円高の問題を契機としまして、いままでの仕事にしがみついているよりは事業転換の問題を考えなくてはならないというふうに考えておられる方はかなりあるのではないかと思っておりますものの、すでに認定を受けたというところまで行っておられる方につきましては、確かにその後円高の問題が起こってまいりましたので、その影響も受けておるかと思いますが、事の起こりは、その以前からいろいろ問題を抱えておられた、そして転換問題に取り組まれた、こういう方が多いのではないかと思っておるところでございます。
  93. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 それから、本法第四条の事業転換を行う者の場合の融資の金利の引き下げ、これは昭和五十三年一月十七日からというふうになっておるわけですね。きのう来いろいろ質問をしてまいりましたこの安定資金といいますか、その場合は昨年の十月一日から適用というかっこうになるわけですけれども、これを一月十七日にされた根拠はどういうことなのでしょうか。
  94. 岸田文武

    岸田政府委員 こういう新しい制度をつくりました場合には、一番早くても法律が施行されて以降ということが適用開始の時期になるのが普通でございます。ただ、少しでもさかのぼって適用できるようにしたい、こう考えまして、事業転換につきましては一月十七日にさかのぼるという措置を講じた次第でございます。それで、一月十七日と申しますのは、この円高対策法のもとになる各種の円高に対する緊急対策について閣議決定を行った日でございます。
  95. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 そこで、この転換の問題でありますけれども中小企業庁で最近発表されましたいわゆる円高産地への影響、この中にもあると思いますが、私どもも具体的にいろいろな産地調査をしてまいりました中で、たとえば、時間がありませんから一つ桐生の問題を例に出しますけれども、ここは御承知のようにきわめて深刻な円高影響産地として受けているわけであります。そして、御承知のように、零細な企業でありますけれども、転廃業が相当あります。こういう中で、産地の組合の指導方向といいますか、あるいは自治体の市においてもそのようでありましたけれども、何とか事業転換はやるな、やらないでこの危機を乗り切る、そうしていまの状況がおさまることを願っておるわけでありますけれども、これまでどおり産地としての新商品の開拓であるとかそういうことを踏まえながらひとつ生き延びよう、こういう指導方向を大筋としては出しておるようです。ですから、この法律に基づく転廃業の計画的な事業というものについて積極的にひとつ計画を立てていこうじゃないか、踏み切っていこうじゃないかという空気は、桐生の場合にないように私どもは認識をしてまいりました。  ところが、この転廃業は、零細企業の場合にはもうやむなくやらざるを得ない。じゃあそれは一体どういう業種に転換をしておるのだろうかということを詳しく尋ねたり、調査をしてみたりしますと、てんでんばらばらではありますけれども、飲食業なんかが非常に多いわけですね。これは非常に手っ取り早く、もう生きていくためにはそうせざるを得ないというような実情がそうさせているんだと思うのです。私は必ずしも飲食業が悪いと言うわけではありませんけれども、しかし、この事業転換の本来の趣旨からいえば、どうしても転廃業しなければならぬということになれば、これはやはりきちんとした助成措置を裏打ちにして計画的な業種の転換ということをやっていかないと、せっかくこういう法律がありながらもそれが全然活用されていないといいますか、こういうふうになっていくのではないかと思うのですね。これは余りにも急激な円高のためにもうどうにもしようがない、転換を計画的に進めるなんという余裕も何もない、こういう実態がそうさせているのだと思うのですよ。  これらについて長官としてはどのようにお考えなのか、あるいは今後の指導計画、こういう点もあれば、時間がありませんからそう詳しくは必要ありませんけれども基本的な考えをひとつお示しいただきたいと思うのです。
  96. 岸田文武

    岸田政府委員 これからの産地なり個々の中小企業のあり方を考えていく場合に、いまの仕事で思い切った合理化あるいは革新をして乗り切っていこう、こういう方向で自信がおありになれば、それは心強いことだと思っておりますが、中にはむしろ新しい分野の方が自分の力を出せるとお考えになる方もあるわけでございまして、それぞれの行き方に従って応援をするということを考えていく必要があるのではないかと思っております。  そのときに、一体どの業種へ行くかということがやはり転換の場合に一番大きなポイントでございまして、従来の事例で見ますと、やはり業種選択をうまくやったところが成功事例が多いということも確かでございます。ただ、どこへ行くかということは、いわば中小企業経営者方々が一番知恵を出すべき分野でございまして、私どもからどこへ行け、ここへ行けというようなことを指図するのは適当でないと思っております。現実に飲食業等へ転換した事例も幾つかございます。国道に沿って工場を持っていた、あるいは親類の方でそういう経験があるというようなことから、すでに認定をしました四十二の業種の中にも飲食業の方は幾つかございますが、どこの業種へ行くかということにつきましては、余り固定的な観念でなく、それぞれの実情に即したような知恵を働かしていただければと思っておるところでございます。  ただ、そうは申しましても、中小企業方々の持っておられる情報の量というものが限られておりますので、どうしてもその辺が踏み切りにくいという問題もございましょう。その意味におきまして、中小企業振興事業団の情報センターにおいては、この転換に関する情報提供ということを昨年の夏以降特に力を入れてやっておるわけでございます。近くその勉強の成果を一つのパンフレットにまとめるというようなことも考えております。これからの産業構造が一体どうなっていくのであろうかということについての各種の情報、それから業種別の実態を明らかにした参考資料、さらにまた、新聞、雑誌等で新しい産業としてもてはやされております各種の産業についての、実態報告、こういったことを少しまとめて、転換考えておられる方々の参考に供したいと思っておるところでございます。
  97. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 特に産地型の輸出関連企業の非価格競争力をつけるといいますか、そういう点から技術とかあるいはデザインの向上あるいは新製品の開発、こういうものに対して、やはりこれまで以上に強力な指導体制というものをつくっていただきたい、このように特にこの円高の状況の中で考えておるわけであります。  そういう点から言えば、中小企業が独自に行う技術開発に対して特別の融資制度を今後検討してみるなり、あるいは現在のあの新技術開発事業団ですか、これをもっと中小企業向けの機能を十分に発揮できるようなものに充実させていくとか、そういう点の措置もやはりどうしてもとっていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに思っております。  さらにまた、各都道府県の公設の試験研究機関、研究所、こういうものに対する国の助成ももう少し手厚くしてもらわなければならないと思いますし、それから試験研究施設、設備の充実あるいは研究員や研究相談員などの人的体制の強化、こういうふうなものもしっかりとしたものに形づくっていかなければならない。今日の深刻な不況の中で中小企業が勝手ばらばらに計画性もなしにどこかに転業してしまう、こういうふうなことじゃなくて、あくまでも新しい情勢、時代に即応したような形での産地を形成できるような、そういう指導もぜひとも強化をしていただかなければならない、こういうふうに考えておるわけですが、これらに対してひとつ一括考え方を御答弁いただきたいと思います。
  98. 岸田文武

    岸田政府委員 技術を持っている中小企業が強いということは、私どももたくさんの経験で身にしみてよくわかっておるつもりでございます。こういう面では、これから特に技術で生きていこうという中小企業をできるだけ応援していきたいと思っております。従来から技術開発のための補助金あるいは技術開発に関連をする融資、こういったものも用意をしておりましたが、これも予算は年々相当伸ばしてきております。そのほかに、最近の情勢にかんがみまして、公設試験研究機関でいろいろ開発した技術を中小企業の実際の役に立たせる、こういった面のお手伝いはできないかとか、あるいは中小企業振興事業団で独自に中小企業向けの技術開発をして、それを利用してもらう道はできないか、こういった新しい構想もいま着実にその役割りを拡大しつつあるというふうに考えておるところでございます。さらに、公設試験研究機関に対する施設の増強についての応援、これも予算を毎年伸ばしておるところでございまして、今後ともそういう方向でやっていきたいと思っております。  個々の技術につきましては以上のような応援手段を用意しておりますが、業界ぐるみでもっともっと知識集約化の方向を目指していこう、こういうふうにお考えの場合には、中小企業近代化促進法に基づく知識集約型産業構造改善事業、こういったものもございますので、これらも大いに積極的に活用していただけるようにこちらも指導してまいりたいと思っておるところでございます。
  99. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 昨日来質問申し上げておりました、あるいは考え方を申し上げておりました償還期限の延長の問題については、先ほど政務次官が十分にその趣旨が了解できるというふうな立場で御答弁がありましたから、これは重ねて御質問は申し上げません。そういう点を含めまして私どもはこの法案に賛成の立場を表明しながら、ただ、繰り返されておりますように、この業種の認定に当たっては、弾力的に広範に、しかも緊急を要する問題でありますから、これを迅速に公正に処理をしていただいて、十分にこの法律が生かされるように強く最後に要請をいたしまして、質問を終わります。
  100. 野呂恭一

    野呂委員長 安田純治君。
  101. 安田純治

    ○安田委員 中小企業庁長官にお伺いしたいのですが、いま本法案が審議されておりまして、これは昨日来の議論でも、要するに危機的状況にある中小企業を何とかして救おうという救済策の一つの手段である、方法であるということになると思うのですが、そういう意味で、既存の法律といいますか、すでにある法律、たとえば下請代金支払遅延等防止法、こうした法律を厳しく運用して中小企業を守ることも、また一層行わなければならないのではないかというふうに思うわけです。  そこで、御存じのように、下請代金支払遅延等防止法によると、下請代金について、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずることをしてはならないというようなことが規定されておる。そういう行為は禁ぜられておると思うのです。  ところが、私どもの調べましたところによると、これは全部調べたわけではございませんが、円高による為替差損、これはまさに下請業者の責めに帰すべからざる事由ですけれども、この損を下請代金から減額といいますか、こういう形でカットしておるという状況が幾つかあるわけであります。  たとえば大阪の堺市、これは自転車部品ですけれども、十一月末に親会社から、文書で、為替差損を一六%受けたから半分の八%を持てと言ってきたというのがございます。それから、笠原町でございますが、タイルの主産地だと思いますが、ここで輸出商社から為替差損分一〇%カットするということを言われたというケースがございます。それから新潟県の燕、食器をつくっているところですけれども、ここではこういうことを言っているんですね。親の方で、親が苦しいから下請も協力してくれというので、協力金という名目で一〇%前後を要求した。一体協力金とは何か、こういうふうに根拠を聞きましたところが、これは為替差損分なんだ、こういうことを言ったという報告が私どもの方に寄せられているわけであります。  これはまさに下請事業者の責めに帰すべからざる事由によって下請代金を一方的に減じられている。これは既往の分でございます。すでに品物を納めて、代金の支払い時期になってそういうことを言われておる。将来の分については工賃の切り下げとかいろいろな形になるのでしょうが、すでに下請代金も決まり、支払い時期が来ておる、そのときに一〇%前後のカット、こういうケースが幾つか報告されております。  それから、福島県の繊維の産地川俣、飯野、こういうところはいわば構造不況で打撃を受けているわけですが、そこへ円高。ここは不良品を出したということでカット、名目はそうのようなんですけれども、品物を納めて検査するところが川俣、飯野じゃなくて、ずっと遠いところにある。納めてしばらくたつと、一方的におまえのところの不良品はこうだったから一〇%カットする。ひどいのになると、糸がメーカーから来て賃機をやっているところですが、こういうところは、不良品を出して糸を損したから損害賠償を払えということで取られるというケースが報告されておるわけです。ある業者の場合に、私試みに、じゃその不良品の損害賠償を取るならば納めた品物を返せ、そのかわり損害賠償を払うから、こう言わせてみたところが、実はその品物も結構売れるらしいのですね。値段が安いかどうか知りませんけれども。それで品物はない、こういうことなんですね。そういうようなケースが福島県の川俣、飯野でも、これは名目は不良品だからという言い方をしていますけれども、やはりどう考えても構造不況ないし円高の問題について下請業者にしわ寄せする口実であると言わざるを得ないというふうに思います。  中小企業庁の方で、当然下代法第六条による任務もございますので、こうした事例を認識されておるかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  102. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話ございました円高に伴う既契約の差損分を商社からメーカーに転嫁する、こういう話は、実は七月に産地調査をしましたときに、幾つかの産地から報告をされております。いまお話の中に出ておりました大阪のめがねのほかに、鯖江のめがね枠であるとかあるいは桐生の繊維製品等々の産地で現実に出ておるように報告されておりますし、また、そういう話があったという声は、そのほか幾つかの産地からも報告されておるところでございます。  本来であれば、もう契約は契約ということで突っぱねてもいいものでございますが、長い間のメーカー、商社との取引で、実情に応じてある程度の協力をしたという形でおさまっているケースが多いように聞いております。私は、商社の方がその地位が強いという立場から、自分の負担すべきものを全部転嫁する、こういうことではやはり長い目で見て輸出のためにも、また中小企業のためにも好ましくないことである、こう感じておるところでございまして、苦しいなら苦しいなりに、お互いにそれを分担し合うという姿勢がまず必要なのではないかと感じております。今後下請対策を進める場合にも、いま御注意のような点、よく気をつけてまいりたいと思います。
  103. 安田純治

    ○安田委員 苦しい部分を分担するというお話ですが、すでに納めたものの下請代金をカットするという場合に、分担というのはちょっとおかしいと思うのですよ。先ほど挙げました例のように、一六%為替差損があったので八%持てというのは、まさに分担ということになっちゃうと思うのですが、私ども、すでに納めた品物についてのカットということについては、分担という考えは成り立たぬのじゃないかと思います。明らかにこれは下代法違反であるというふうに思われますので、ぜひ御調査いただいて、いま具体的に堺の自転車部品とか挙げましたので——具体的に業者の名前を申し上げることができないのはきわめて残念なんです。これはなぜかといいますと、御存じのように、具体的に名指しをすれば中小業者が後から仕事をもらえないとか、恐怖心があってなかなか——私、川俣、飯野の場合には実際その業者に面接もしてきたわけですけれども、こういう公の席上で名前を出すということになると渋るわけです。そういう意味で、中小企業庁の方の調べも非常にむずかしいと思うのですけれども、少なくとも納めてしまったものの代金についてカットするということは、為替差損の分担という概念には入らないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。時間がございませんので、その点と、ぜひ厳重に調べて善処していただきたいということについての御答弁を願いたいと思います。
  104. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話ございましたように、すでに納めたものという場合には、当然御意見のようなことになるのではないかと思います。確かに下請の問題は、親企業との関係で非常にデリケートな問題がございますが、その中にありましても、少しでも下請の方々を守るという立場から、よく実態をフォローし、適切な指導を行いたいと思います。
  105. 安田純治

    ○安田委員 終わります。
  106. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  107. 野呂恭一

    野呂委員長 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対し、山下徳夫君外五名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る修正案が提出されております。  この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺三郎君。     —————————————     —————————————
  108. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 ただいま提案いたしました修正案につきまして、提案者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の案文はお手元に配付したとおりであります。  この修正案は、中小企業近代化資金等助成法により貸し付けた設備近代化資金の償還期間につきまして、政府原案では二年以内の延長を認めることとしておりますが、円高により深刻な影響を受けている中小企業実情にかんがみ、これを三年以内の延長に改めようとするものであります。  以上が提案の趣旨であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  109. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  110. 野呂恭一

    野呂委員長 これより円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案並びにこれに対する修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、山下徳夫君外五名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  111. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  112. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本案は山下徳夫君外五名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  113. 野呂恭一

    野呂委員長 ただいま修正議決いたしました本案に対し、山下徳夫君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブ六派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。山下徳夫君。
  114. 山下徳夫

    ○山下(徳)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、円相場の高騰による中小企業及び産地への影響の実態を的確に把握しつつ、関連中小企業、下請中小企業及びそれらに関係する労働者に対する諸般の緊急対策を強力に進めるとともに、本法施行にあたり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、本法の対象となる業種の指定は、できる限り広範に行うとともに、中小企業者の認定については、都道府県知事及び市町村長が迅速かつ弾力的に行うよう指導すること。  二、本法に基づき資金の貸付けを行う各金融機関に対し、貸付けの迅速並びに貸付額及び担保条件等についての弾力的運用に関し強力に指導するとともに、金利の引下げについて一層努力すること。  三、本法に基づく保険料率の引下げに伴い、信用保証協会の保証料率も引き下げられるよう措置するとともに、信用保証協会の保証機能の拡充に努めること。  四、本法に基づく課税の特例が中小企業に周知徹底するよう措置すること。  五、中小企業事業転換に関する調査、情報提供、相談、指導等の体制を強化充実すること。  六、輸出関連中小企業に対し、原材料等が低廉かつ安定的に供給されるよう、必要な対策を講ずること。 以上であります。  附帯決議案の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文によりまして御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  なお、第四の項目に関連いたしまして、地方税の減収分については地方交付税で手当てされるものと考えておりますが、念のため申し添えます。  以上の附帯決議案につきまして、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  115. 野呂恭一

    野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  116. 野呂恭一

    野呂委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣
  117. 河本敏夫

    ○河本国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、中小企業円高緊急対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。     —————————————
  118. 野呂恭一

    野呂委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 野呂恭一

    野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  120. 野呂恭一

    野呂委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十八分散会      ————◇—————