○安田
委員 中小企業庁長官にお伺いしたいのですが、いま本
法案が審議されておりまして、これは昨日来の議論でも、要するに危機的状況にある
中小企業を何とかして救おうという救済策の
一つの手段である、
方法であるということになると思うのですが、そういう意味で、既存の
法律といいますか、すでにある
法律、たとえば下請代金支払遅延等防止法、こうした
法律を厳しく運用して
中小企業を守ることも、また一層行わなければならないのではないかというふうに思うわけです。
そこで、御存じのように、下請代金支払遅延等防止法によると、下請代金について、下請
事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずることをしてはならないというようなことが規定されておる。そういう行為は禁ぜられておると思うのです。
ところが、私
どもの調べましたところによると、これは全部調べたわけではございませんが、
円高による為替差損、これはまさに下請業者の責めに帰すべからざる事由ですけれ
ども、この損を下請代金から減額といいますか、こういう形でカットしておるという状況が幾つかあるわけであります。
たとえば大阪の堺市、これは自転車部品ですけれ
ども、十一月末に親会社から、文書で、為替差損を一六%受けたから半分の八%を持てと言ってきたというのがございます。それから、笠原町でございますが、タイルの主
産地だと思いますが、ここで
輸出商社から為替差損分一〇%カットするということを言われたというケースがございます。それから新潟県の燕、食器をつくっているところですけれ
ども、ここではこういうことを言っているんですね。親の方で、親が苦しいから下請も協力してくれというので、協力金という名目で一〇%前後を要求した。一体協力金とは何か、こういうふうに
根拠を聞きましたところが、これは為替差損分なんだ、こういうことを言ったという報告が私
どもの方に寄せられているわけであります。
これはまさに下請
事業者の責めに帰すべからざる事由によって下請代金を一方的に減じられている。これは既往の分でございます。すでに品物を納めて、代金の支払い時期になってそういうことを言われておる。将来の分については工賃の切り下げとかいろいろな形になるのでしょうが、すでに下請代金も決まり、支払い時期が来ておる、そのときに一〇%前後のカット、こういうケースが幾つか報告されております。
それから、福島県の繊維の
産地川俣、飯野、こういうところはいわば
構造不況で打撃を受けているわけですが、そこへ
円高。ここは不良品を出したということでカット、名目はそうのようなんですけれ
ども、品物を納めて検査するところが川俣、飯野じゃなくて、ずっと遠いところにある。納めてしばらくたつと、一方的におまえのところの不良品はこうだったから一〇%カットする。ひどいのになると、糸がメーカーから来て賃機をやっているところですが、こういうところは、不良品を出して糸を損したから損害賠償を払えということで取られるというケースが報告されておるわけです。ある業者の場合に、私試みに、じゃその不良品の損害賠償を取るならば納めた品物を返せ、そのかわり損害賠償を払うから、こう言わせてみたところが、実はその品物も結構売れるらしいのですね。値段が安いかどうか知りませんけれ
ども。それで品物はない、こういうことなんですね。そういうようなケースが福島県の川俣、飯野でも、これは名目は不良品だからという言い方をしていますけれ
ども、やはりどう
考えても
構造不況ないし
円高の問題について下請業者にしわ寄せする口実であると言わざるを得ないというふうに思います。
中小企業庁の方で、当然下代法第六条による任務もございますので、こうした事例を認識されておるかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。