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枝村委員 違法
ストそのものについての論議は、また将来もやっていかねばなりませんが、これは違法
ストと言われると、われわれは、
労働基本権を認めずに公労法その他マッカーサーに
スト権を奪われた、そのこと自体がすでにもう違法だと思っている。だから、それから先は違法
ストだとは思っていません。しかし、そのことによって国民大衆に多くの迷惑をかけたり、そのことが
労使の間に大きなわだかまりとなり、のっぴきならぬ最悪の状態に置かれておるかどうかという問題については真剣に考えていきたいと思うのですよ。午前中の冒頭に、やはりわれわれの対応の未熟さもあって反省せねばならぬと私は言いました。けれ
ども、そのこと自体で、
労働基本権である
スト権を未来永劫に剥奪するという
考え方は、これは間違いである。
それから、いま、あなたが言われた中でも、
先ほど大坪
委員が指摘したのと反対の言辞があるのですよ。違法
ストをやめたら
スト権を与えるという条件が出てくると言うのだけれ
ども、それはまた別だと思う。それではいかぬと大坪君は言いましたが、そういう姿勢であるから、ますます
争議権の問題について
解決が見出せぬということを大坪
委員が言ったのですから、どうも、あなたは、そのときはいいことを言いましたが、また、いま大坪
委員と反対の発言をしたようなことになりました。それは少し考えてもらわなければいかぬと思いますよ。
それで、あなたは今度の春闘で、有額回答でやったにもかかわらず、けしからぬと言って非常に立腹されたということを聞いております。それ以後、
藤井さんはハト派がタカ派になったとみんなが言うのですけれ
ども、私はそうじゃないと思う。あなたがまじめであるだけに、せっかく無理して有額回答を出したのにかかわらず、あんなことをするからということになったのだと思うのですよ。三木総理大臣のときに
条件つきの
スト権ですか、ひとつ、おれの力によって、そういう
方向に進めようと言って三木総理大臣は努力されたと思うのです。ところが、あのような長期にわたる
ストライキをやったから、元も子もなくなったと言って大変腹を立てられたのですよ。せっかく三木さんの考えておることより別な
方向に、結局、
自民党の中のいろいろな動きと合わせていってしまいましたけれ
ども、それと同じようなことを、有額回答のことで、いま、あなたもちょっと言われた。しかし、それは冷静にならなければいかぬですよ。冷静になって
争議権本来の問題について取り組まなければならぬと思います。
それで、ぼくら反論すれば、なぜ、そういう
ストライキをやらねばならぬか。
ストライキとは別に、いわゆる
労使正常化に向けて一生懸命いま取り組んでいる、これをあなた方認めないというはずはないんですよ。それは、あなたが一番よく知っていらっしゃいます。それを単に、ああいう行動をとったからとか、違法
ストをするからということで退けてはいけないということを、いま言っているのです。しかも実際のあれを見てみなさい。一方からは
スト権は剥奪されて、一方では
当事者能力を奪われ、また
責任を持たせず、
労使紛争を起こさせているのは、むしろ
労使の
関係ではなくして、今日では
政府、
自民党にあるというふうに私は思っているんですよ。しかし
自民党全部とは言いません。それはたくさんのいい人がおりますから、本当に考えておる人だったら、そういう動きはしていただきたくない。させないようにするためには、
政府の力があり、
政府が厳然たる
態度を一日も早くとるべきである、このように私
どもは考えております。
それと、いま
労使の
関係の
正常化によって云々ということになりますと、過去でも、いまでも、少なくとも三公社五現業の当局者は
条件つきで
ストライキ権を与えた方がいいという
考え方を皆持っておりますよ。それは、きょうとかあすの時点では、こういう場に来ては言えないかもしれませんけれ
ども、過去五十年のときの本
委員会では、明確に
スト権を与えた方がいいと言っておりますね。それから
労使正常化になったとは必ずしも言わないけれ
ども、その
方向になりつつあると
労使ともに証言しているのですね。そういうふうに考えてまいりますと、今日の
労使の
関係というものは決して悪い
方向にいっているんじゃない、お互いに努めておるのだ、こういうふうに見るのが私は正しいと思います。
それと違法
ストの問題ですけれ
ども、確かに、いまの公労法その他によれば違法
ストでしょうけれ
ども、実際は違法の色のつくような
ストの体制にはなっていないのですよ。国鉄の例をあなたは知っていらっしゃいましょうけれ
ども、昔は確かに当局が違法
ストと言ったから、組合がとめれば、一本でも動かそうと思って警察官や公安官を連れ出して組合のピケを打ち破って汽車を動かしていった。そのために大変な負傷者も出るし、刑事事件として逮捕されていくという本当に嘆かわしい事態が起きておる。今日ではそうではありませんでしょう。組合が
ストライキをやると言ったら、ちゃんと当局の方が
ストライキをやっているのですよ、あれは。当局が協力して、ちゃんと
ストライキを組まなくては、いまのような整然たる
ストライキはできぬのですよ。違法
ストじゃない、合法
ストですよ。それを
労使が認めておるのだ。大体、いまや違法
ストというものはなくなっているのです。
悪循環をやめさせるためには、どうしても、ここで
スト権を確立する以外にないと当局が一番認識しておるから、いまのような
考え方になっているのですから、そういうことも考え合わせますと、いまは不正常な状態ではなくして、
正常化されておる、あるいは、まだなっていないところは、それに向けて一生懸命に
労使は努めておる、こう見ておる。
だから、それを妨げておるのはだれかというと、何回も言いますけれ
ども自民党の中の一部の連中だ、こう言うのです。それに振り回されているのじゃないか。
世界の大勢に逆行して
労働基本権を阻もうとしている、規制しようとしている。私が午前中言ったような
方向になっていることは私はきわめて残念でならぬ。だから
労働大臣が先頭になって、いまから本格的にやるのでしょうけれ
ども、あすの閣僚協議会でも一生懸命それを主張されて、本当に
争議権の問題については、あなたの手によって大きく前向きの
方向にするように努力をされたい、こういう
意味のことを私は言っておるわけでありますから、また決意表明を聞くというのはおかしな話ですけれ
ども、そのためにひとつ努力をしていただきたい。これは日本社会党だけではなくして、いま少なくとも新自由クラブを含めた全野党がそういう気持ちになっている。午前中の各党の
意見発表を聞きますと、そう見ていますよ。このように思っておるのであります。
そこで実際に、この問題について、せっかく、いま
自民党の中でも本気になっているにもかかわらず、これが打ち破られていく、こういうのを私は、この三、四年来見てきております。特に三木さんは就任して五十年の四月に、だれも言わずに
自分から、
スト、
処分、
ストという
悪循環は私の手によって断ち切りたい、こういうことを発言されました。それに基づいて
社会労働委員会は
労働大臣を
中心に五十年代ではいろいろ討議してきたのです。それは当時の長谷川
労働大臣も、そのために多くの努力をされました。ところが対応の未熟さというのを私は口では言うのですけれ
ども、それがやはりあって、
自民党の中の
スト権を与えることを不満とする連中の挑発に乗ってしまった。それと
自民党の中の派閥争いの道具に、この
争議権が使われたなどのいきさつもありまして、せっかくの三木総理や長谷川
労働大臣を
中心とする労働省の皆さんの努力もつぶれてしまったといういきさつがあるわけなんです。
それを思うと、われわれはもちろん、そういう経験を十分踏んまえて、再びそういう挑発に乗るようなことをしないように、がんばらなくちゃなりませんが、何といっても
労働大臣が
中心になって強い姿勢をつくってもらわなければならぬと思うのです。ところが、その後、労働省は全くお呼びでないのか意欲を失ったのかしりませんが全く沈黙を守る。長谷川
労働大臣も貝になりたいなんて言い出す。今度の
基本問題会議でも、労働省の意向がどれほど入ったか入らぬかわかりませんよ。わかりませんけれ
ども、
余り入っておらないような気がする。そうして労働省はつんぼさじきに置かれる場合も、いままでもあったような気がするのです。そういうことであってはならぬ。そういうことであったら、ますます反動の攻勢に振り回されてしまうという懸念を私は持っておるのです。
しかし、そうは言っても、五十年の十二月のあの長期の
ストライキの直後はなかなかできなかったでしょう。ところが今度五十一年に入って三月の
段階で、これはロッキード汚職事件が発覚して以後の、三木さんに対する風当たりがきわめて強くなっておる時点においてすら、三木総理大臣や、あるいは長谷川
労働大臣は、この
労働基本権を守る、
スト権を何とかして
解決しようという意欲を失わずに勇敢に
国会で発言をしておるのです。ここに議事録がありますけれ
ども、読んでもいいのですが、その時点における三木総理大臣の率いる内閣それから
労働大臣は、
スト権に対して今後こうするという明確な答弁をされておるのです。私は勇気があったと思う。それから引き継いで今度あなたの代にもなったのですから、しかも
情勢はその後ずっとよくなっておることを考えるならば、
先ほどから、いろいろやりましたが、あすがあるからといって回答はありませんでしたけれ
ども、あの
意見書の中にも一筋の光があるのですから、あなた方はそれを最大に
尊重して、この問題について
解決してほしい、こういうことをいま言っておるわけであります。
そういうことで、ひとつやってもらいたいということと、もう一つは
政府は、こういう
スト権の問題で
態度が常に一貫しておらなければならないと思います。いまのところは一貫しておるように見えます。あなたが決意を表明されたように、この
悪循環は断固断ち切らなければならぬという立場。断固断ち切るにはどうするかといったら出口は一つしかないのです。
スト権を認めていくというしかないのです。
スト権を認めぬでおって、そうして
悪循環を断ち切るなんということは、およそばかげた話でありまして、
スト権を与える、
正常化、
悪循環を断ち切る、これがあたりまえ。それができぬから、どうするかといって、いまやっているのですからね。そういう
基本は貫かれております。おりますが、
先ほどから再々言うように、何かどうも
基本が通らないような今日の
情勢であるということを思うときに、私は懸念をするのですが、その点について私一人しゃべってはいけませんから、同じ答弁になるかもしれませんけれ
ども、
労働大臣にもう一遍はっきり、一貫した
基本態度を貫くという点について
お答え願いたいと思います。