○川手説明員 お答え申し上げます。
先生のただいまの御
趣旨はまことにごもっともでございまして、目の御不自由な方々に対しても何ら差別なくお泊め申し上げるということは、ホテル、旅館のごとく公共的
性格を有する施設のあり方としては当然のことと私どもは
理解しております。先ほどのお話にもありましたように、日本の盲導犬は全国で二百三十頭、うち百十頭は東京でありまして、あとは地方に少数、点在しているということでございますが、昨今における日本の旅館、ホテルの盲導犬をお連れになったお客様に対する対応ぶりを、私ども、できる限りで調べさしていただいたわけでありますが、たとえば東京のある大きなホテルでは、宿泊を全く拒否してはいない。昨年実際に数名ではございますが御宿泊いただいた例があります。その際に、エレベーターの御利用を御遠慮いただく、あるいはできる限りルームサービスを御利用いただきたいというようなことを条件にしたことはございます。それから名古屋のホテルの例でございますが、名古屋のある大きなホテルを二カ所調べましたが、これにつきまして宿泊を拒否をした例はございません。それから東京のまた大きなホテルでありますが、動物は
原則として宿泊させないというたてまえをとっておりますが、盲導犬の場合は、そういうことはしてなくて、お泊め申し上げるということを聞いております。また別な大きなホテルの例では、これまた動物は
原則として宿泊させない。ただし盲導犬については別な
考え方を持っておりまして、これは現在のところは、お申し込みの実例がないそうでございますが、ありました場合は前向きに
検討したいというようなことを言っております。それからまた別なあるホテルでは、
原則としてお断りするということは考えておりません。ただ、お連れになった犬を一時、別な場所でお預かりし、そのお預かりしている間、目の御不自由な方を車いす等で御案内申し上げて、別のかっこうで、その間補てんするというような
措置を講じておるところもあるそうでございます。
それから今度は旅館の例でございますが、余り小型旅館の例を知りませんが、私ども大型、中型の旅館について概況を調べましたところ、
原則としてお断りはいたしていない。ただ、旅館の場合は、まだ
現実の例が余りございませんので、ありました場合は、たとえば犬だけ別のところへ、ちょっとお預かりして、お泊め申し上げるというかっこうで対処しておるということを聞いております。
それからビジネスホテルでございますが、これはやはりホテルと似ておりまして、
原則として動物は泊めないというたてまえを貫いておりますが、盲導犬の場合はやはり別に考えておる。しかも、これも実例が余りないのでございますが、かような実例に対しては前向きで
検討したいということを言っております。
それから私ども御参考までにと思いまして、在京の外国
政府の観光
機関等を通じて、これはもう御案内かと思いますが、外国の例を調べたわけでございます。フランスの場合には宿泊は可能であります。ただし、犬を部屋には入れず、別のところにお預かりしているというのが通例であるようでございます。それからドイツも全くオーケーでございます。それからイギリスも、もちろんオーケー、それからイタリアも宿泊可能で、余りこういうこと自体が問題になっていない。それから米国も同様でございます。また東南アジアの例として香港を調べましたが、香港も同様でございます。ホテルに関しましては、世界の大勢として、こういうふうになっております。
ただ、日本の宿泊施設の場合には、
原則として動物を断るという、そういうことが何となく観念として定着しておりまして、これは外国の場合が皆オーケーで、日本の場合断っているというのは、やはりそこに商慣習というか、あるいは
一般観念的な慣習というか、いい悪いの前に、そういうような
考え方の違いもありますと思われますので、これについては啓蒙というか今後の指導の対象になろうかというふうに思っております。
私ども、盲導犬の場合には先ほどのお話にもありましたように、いわば
一般の畜犬類とは異なり、目の御不自由な方の手となり、足となり、いわば体の一部というようなものでありますから、しかも十分に訓練されていると伺っておりますので、全く普通の犬と区別して考えなければなりませんですが、ただ、私どもの所管しておりますコマーシャルベースの宿泊施設におきましては、やはり多少、他のお客様との触れ合いというか、そういうことをちょっと観念上、考慮しなければならない場合が出てくるとか、あるいは施設そのものがあっても、施設の使い方について多少やはり制限が加わっている例がございますので、たとえば御利用の際に余り御迷惑のかからない、あるいは御
負担のかからない程度で条件をつけさせていただくことがあるかと思いますが、今後はぜひ御
趣旨を体して、盲導犬を連れた方のお申し込みの際に御不自由をおかけすることのないよう、また御不快な思いをなさることがないよう、
関連のホテル協会、ビジネスホテル協会、それから国際観光旅館連盟、日本観光旅館連盟と、こういうようにお泊まりになりそうな
関連の業界団体がございますが、その業界団体を呼びまして、御
趣旨を十分徹底するよう十分な指導をいたしてまいりたいと思いますので、ひとつ、かように御了解願いたいと思います。