○
金子(み)
委員 その件はぜひ実行していただきたいと思います。
私は、御自分で見ていらっしゃらないということがわかりましたから、私
どもが
調査いたしました
今治市周辺の
実情をポイントだけ申し上げて、御答弁をいただく背景の情報としてつかんでいただきたい、そういうふうに思いますので、簡単に申し上げます。
今治市は、人口十二万内外で、男は
造船、女はタオル、こういうふうに言われている都市でございます。ですから、
造船でなかったら職業でない、
造船所に通っている人間でなければ人じゃないと言われるぐらいに
造船一色の町でございます。もちろん一方には女はタオルという言葉があるくらいでございますから、
繊維産業としてのタオル製造業、それから縫製業、これが同じように肩を並べている都市でございました。この二つが二つながらにして、このたびの
不況業種に入るわけでございます。ですから、そのことを考えただけでも、
今治地域は大変なことになっているだろうということは想像できると思います。
私
どもも想像はいたしておりました。そして行ってみたわけでございますが、
造船業に関しましては、
今治市の五十一
年度の
造船業の出荷額というのは一千五百九十四億円であったそうです。これは
県内の約八%で、
地場産業ではトップです。それから
造船所は五十六社五十八工場ということになっておりました。
造船の実績は百二十五隻、五十二万八千トン、これは全国のトップです。ですから
造船所に関しては、
今治市はやはり全国のトップを占めているというようなことが言えると思うわけなんです。
ところが
現況は、申し上げるまでもないと思いますが、五十二年来の
不況で、先ほどの議員の御発言にもありましたように、
今治地域というのは、言うなれば
造船団地と申しますか、中小の
造船所がたくさんひしめいてできているわけです。これは
政府の御指導でできた
造船所、会社でございますから、そういうふうにあそこは一つの
地区として集中的につくられてきているところなんですが、そこに五十六社あるわけです。その
県内の
中小造船業への受注が大変厳しくなってきてしまったものですから、五十二
年度来、六社
倒産しているわけですね。
先ほど伺っておりましたら、
政府の方の御答弁では、全国で
倒産が五十二
年度は二十四社だとおっしゃっていました。そうすると、全国で
倒産二十四社の中の六社といったならば四分の一ですよ。二五%が
今治地域の
造船所の
倒産だった、こういうふうになるわけですから、その比率は大変大きなものだと言わなければならないだろうと思います。
今治地域では、市長の
お話でも知事さんの
お話でも、こういうような
お話でした。何か
政府がてこ入れをしてくださらないで、このままの状態でいくならば、現在ある五十六社のうち、今
年度中生き残れるのは四社になってしまうだろう、こういうふうに言っていました。それほど厳しい、私
どもがちょっと想像できないくらいの実態だということをわかっていただきたいと思うのです。
なぜ、そういうことになるかと申しますと、その理由の一つに、けさほど来
お話が出ておりましたけれ
ども、中小
造船所は受注がありませんものですから、一年間にせいぜい三隻か四隻くらいの船の修理で、やっと息をついているというような状態だというのですけれ
ども、そのわずか三隻か四隻くらいのものですら、せっかく受注できたと思っているのに、大
企業が先回りして、先方に行って話をキャンセルしてしまって、そうして全然ゼロにされてしまう、こういう状態があるんだという訴えをしておりました。そして、その例の一つとして挙がったのが
佐世保重工業なんです。
佐世保重工業の話は、けさほど来何遍も出ましたので、私はいまここで申し上げるつもりはございませんけれ
ども、一つの例として、
佐世保重工業のようなところに
政府が肩入れをして
援助をして、それが悪いと言うわけではありませんけれ
ども、その大
企業が中小
企業を痛めつけている。同業者が弱肉強食のような形で、大きいところが、小さいところのせっかく取ってきた受注まで横から奪い取ってしまうというような悪らつなやり方、これは
佐世保がしているというわけではございませんが、一般論として大
企業がやっているという訴えには、非常に切々たるものがあったわけなんです。
そういう実態の中で、当然のことながら多数の
離職者が出ると思うのですね。
離職者の数は、この三月の末で
造船関係だけで三千八百人ございました。その三千八百人の中の約六割が高年齢者だという問題がございます。ここにもやはり一つの問題がございます。それで問題は、この
失業者がどんどんふえていくという実態の中で、
有効求人倍率ががんがん下がっていってしまうわけですね。その数字も示してもらいました。五十二年の十二月には〇・四四であったのが、ことしの五十三年に入りましてから、一月に〇・三八七、二月に〇・三六五、三月に〇・三二一というふうに、ずんずんと下がっていってしまう。このままにしていたら四月はどうなっていくであろう。この先行きが非常に不安だということが訴えられていたわけです。
しかも、もう一つ、これにつけ加えて問題になるのは、現在の
離職者たちは
雇用保険の受給者になっております、これは当然ですけれ
ども。ところが、その保険が夏になれば切れるわけですね。六カ月間で切れます。そうすると、切れた後は何の保障もないということで、これは本
人たちはもちろんですけれ
ども、
行政当局としても非常に大きな不安を抱えていたわけでございます。
造船のあらましはそんなことですけれ
ども、女はタオルということで、女性はほとんどタオルの繊維業に従事しているわけですけれ
ども、そのタオル製造業も、五十一年の生産量は全国の六一%でトップです。それから
県内や県外へ、あるいは外国への
輸出の総量も全国の一二%で、これもトップです。ですから、言うなれば
今治市の
繊維産業、特にタオルは、
日本じゅうで全国一だという位置づけにあったわけです。
それが御承知のようにオイルショック以来、
不況が厳しくなりまして、その
不況は申し上げるまでもありませんが、それが
長期化していくわけですから、ますます悪くなる一方で、五十一年の十月からは二〇%、お互いに申し合わせて自主的に操業短縮をしています。さらに五十二年、それよりも一年たった後ですが、回復していかない。回復しないばかりか、ますます悪くなるばかりなものですから、さらに一〇%操短をやって一生懸命
調整した。ところがまだだめなんですね。それでもやっていかれないから、五十三
年度じゅうには、さらに二〇%設備廃棄をやる、こういう計画をしているという
実情にあるわけです。
縫製業の方も開発途上国、特に
日本の場合は台湾や韓国から追い上げをされています。それと一緒に内需の
不況、不振というものがこれに加わりますので、五十二年の十月以来、
円高の痛手もこれに伴って、ミシンだとか、あるいは仕上げの機械、こういうようなものも三八%設備を廃棄することにした。このように非常に
努力を続けて、何とかかんとかやっと生き続いてきているという状態でございます。このタオルの
失業者は七十九人、縫製業の
失業者は百三十人、これは
今治市だけでございますが、出しているわけですね。ですから
造船と合わせると四千人の
失業者がここ一、二年のうちにできてしまった、こういう実態でございます。
それで先般、この一月から施行になりました
特定不況業種離職者臨時措置法ですか、この法律が
今治地域を
指定しまして、そして、この法律の
適用ということになっているわけでございますけれ
ども、四月一日から動かされるわけですね。しかし、まだその実績が効果的にはあらわれてきておりません。したがいまして、
失業者は非常に困っているわけですね。私は、
失業しておられる
離職者の
雇用問題について具体的なお尋ねをしたいというふうに思っております。
そのまず第一は、
失業しておられる
人たちの一番大きな問題は、倒れそうになっている
企業を支えることも大きな問題でございますけれ
ども、いますでに倒れてしまった
離職者、この
人たちを救うことがまず先決問題だと思います。最優先しなければならないと思いますから、この
人たちを助けるためにどうするかという問題でございます。
そこで、まず出てくる問題は職業紹介問題ですね。職業紹介をして、いま無職でいる
人たちに何とか暮らしの手はずを整えてあげなければいけないということになるわけなんですけれ
ども、その職業紹介
事業がどんな実態になっているのかと申しますと、
求職者の数と、それから職業安定所が紹介をいたしました紹介件数と大変に開きができているわけなんです。それからまた、職業を紹介した数と
就職をした人の数との間にも大きな開きがございます。たとえば、いただいた五十二年の七月から五十三年の三月まで集計した資料で見ますと、
造船だけで申しますと、
求職者の数は男女合わせて三千百六十九名あります。ところが紹介した件数は八百七十六件しかないのですね。それで、その中から
就職した人は、さらに少なく二百五十九名しかありません。こういうふうに、ずれて大変開きができてきているのはなぜだろうということなんですけれ
ども、私は、この開きは、職業安定所の方であっせんしたり、紹介したりする世話をやき切れないというのでしょうか、とにかく手が少なくてとか、あるいは能力が低くて世話がし切れないでいるのじゃないだろうかということ、それが一つ考えられますし、それから紹介先の内容が適切ではないのかもしれないというふうなことも考えられると思うのです。
そこで、いまこれを考えていただきたいと思いますことは、まず不十分で、はかどらないということは、職業安定所の人が足りないのじゃないだろうか。職業安定所に増員してもらいたいという要求は県からも、それから
今治市からも出ております。
労働省の方へも来ているのじゃないかと思うのですけれ
ども、これは非常に大きな切実な要求として出ております。しかも、未来永劫これから先それだけ多くしてくださいというのじゃなくて、ここ一、二年、最大二年間が緊急なんだ、こういうふうに言っていますが、その最大二年間の緊急事態として、これを受けとめて、やっていただけないかということが一つなんでございますけれ
ども、それはいかがでしょう。