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1978-04-12 第84回国会 衆議院 社会労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君    理事 竹内 黎一君 理事 羽生田 進君    理事 村山 富市君 理事 森井 忠良君    理事 大橋 敏雄君       相沢 英之君    井上  裕君       石橋 一弥君    大坪健一郎君       川田 正則君    小坂徳三郎君       斉藤滋与史君    戸沢 政方君       葉梨 信行君    橋本龍太郎君       安島 友義君    枝村 要作君       大原  亨君    金子 みつ君       川本 敏美君    田口 一男君       矢山 有作君    草川 昭三君       古寺  宏君   平石磨作太郎君       浦井  洋君    田中美智子君       工藤  晃君  出席国務大臣         労 働 大 臣 藤井 勝志君  出席政府委員         大蔵政務次官  稲村 利幸君         水産庁次長   恩田 幸雄君         運輸政務次官  三塚  博君         労働政務次官  向山 一人君         労働大臣官房長 石井 甲二君         労働省労政局長 北川 俊夫君         労働省労働基準         局長      桑原 敬一君         労働省職業安定         局長      細野  正君         労働省職業安定         局失業対策部長 細見  元君         労働省職業訓練         局長      岩崎 隆造君         建設政務次官  塚田  徹君  委員外出席者         大蔵省銀行局銀         行課長     吉田 正輝君         文部省大学局学         生課長     石井 久夫君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 川崎 幸雄君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     有岡 恭助君         通商産業省機械         情報産業局電子         機器電機課長  小林 久雄君         運輸省船舶局造         船課長     間野  忠君         運輸省船員局労         政課長     松木 洋三君         労働大臣官房労         働保険徴収課長 小林 直之君         労働大臣官房参         事官      鹿野  茂君         労働省労働基準         局監督課長   小粥 義朗君         労働省職業安定         局雇用政策課長 白井晋太郎君         労働省職業安定         局雇用保険課長 望月 三郎君         労働省職業安定         局業務指導課長 田淵 孝輔君         自治省行政局行         政課長     中村 瑞夫君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     吉田 喜市君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  富樫 勘七君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  労働関係基本施策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  去る四月七日及び八日の両日特定不況業種における雇用失業問題に関する実情調査のため、第一班を愛媛県に、第二班を大分県に、それぞれ委員派遣いたしましたので、この際、派遣委員から報告を聴取いたします。  第一班につきましては、私から御報告いたします。  第一班は、私のほか、理事森井忠良君、理事和田耕作君、委員川田正則君、委員金子みつ君、委員平石磨作太郎君及び委員浦井洋君の七名であり、このほか、理事越智伊平君が現地参加をされました。  まず、四月七日、松山市に参り、愛媛県知事白石春樹君初め関係各部課長から県内における最近の雇用失業情勢、特に造船業繊維産業現況雇用対策概要について説明を聴取いたしました。  席上、県側からは、造船業関係について、官公需等による造船需要拡大大手企業中小分野への進出の抑制等の諸対策繊維産業については、輸入ガイドラインの設定、過剰設備廃棄事業に対する助成の強化等の諸対策を強力に行うとともに、金融雇用全般にわたり積極的に施策を講じ、また瀬戸内海大橋四国縦貫自動車道等建設についても速やかに促進されるよう、強い要望が表明されました。  次に、四月八日には今治市に参り、波止浜造船株式会社工場現場等を視察し、続いて今治市役所において、特定不況業種使用者代表及び労働者代表並びに関係自治体代表から、順次実情を聴取いたしました。  関係者は、自治体側今治市長羽藤栄市君ほか関係町村長使用者側今治商工会議所会頭神村清君、今治地方経営者協会会長山崎胸一君ほか関係団体代表七名、労働者側愛媛地方労組評議会議長佐伯嘉三君、愛媛地方同盟会長井上貞夫君ほか関係団体代表四名、以上二十一名の諸君で、これらの関係者から出された主な要望は、次のとおりであります。  まず第一に、高度化資金政府系金融機関からの借入金の償還猶予償還期間延長を行うこと。第二に、長期低利特別融資制度を創設すること。第三に、円高に伴う零細企業保護施策を実施すること。第四に、労働時間を短縮し、職業訓練を拡充すること等であります。  調査概要は以上のとおりでありますが、愛媛県における地場産業のトップクラスを占める造船業繊維産業は、国内需要の減退、急激な円高による輸出不振、発展途上国追い上げ等により、かつてない深刻な危機に直面しております。  特に今治公共職業安定所管内においては、昨年十月以降の大型倒産、大量の離職者発生により、有効求人倍率は実に〇・三二倍に低下し、二千人を超す求職者が滞留している状況となるに至っております。  このため、構造不況克服への企業労使の真剣な対応と努力に加え、県、市当局もまた可能な限りの行政施策を推進しておるところであり、関係者はひとしく国の施策のさらに一層の強化を求めております。  私ども派遣委員一同失業の予防、離職者生活の安定と再就職促進、新たな雇用機会の増大を目指す雇用失業対策の一層の充実に万全を期すことが今日当面する急務であることを、二日間にわたる実情聴取質疑の中で痛感した次第であります。  最後に、今回の調査に当たり、終始御協力をいただきました愛媛県及び今治市当局を初め関係機関並びに関係者各位に対し、衷心より感謝の意を表する次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)  次に、第二班羽生田進君。
  3. 羽生田進

    羽生田委員 第二班の報告を申し上げます。  去る四月七日及び八日の両日特定不況業種における雇用失業問題に関する実情調査のため、大分市及び佐伯市に参りましたので、その概要を御報告いたします。  派遣委員は、石橋一弥君、枝村要作君、田口一男君、草川昭三君、工藤晃君及び羽生田進の六名であり、このほか村山富市君が現地参加いたしました。  私ども一行は、七日夕刻、空路大分市に入り、直ちに大分県副知事平松守彦君、同商工労働部長遠藤安彦君、同商工労働部次長杉崎元信君及び関係課長諸君並びに大分労働基準局長五十嵐圭三君から県内概況及び最近の雇用失業情勢等所管事項について説明を聴取いたしました。  席上、県側から、現下の厳しい雇用失業情勢に対処するためにも、構造不況業種が集中している地域に対して特別措置を講じてほしい旨の要望が表明されました。  翌八日は佐伯市に参り、佐伯市役所において、関係官公署並び特定不況業種等使用者代表及び労働者代表から、順次実情をお聞きするとともに、要望事項を聴取いたしました。  まず、佐伯市長池田利明君、同助役浜崎義雄君ほか関係課長佐伯公共職業安定所長安松兼光君、大分佐伯労政事務所長宮本克己君、佐伯専修職業訓練校長三浦新一君及び佐伯労働基準監督署長小名川茂君等から、佐伯市における経済現況不況対策雇用失業情勢等について説明を受けました。  事情聴取の中で市当局から出された主な要望は、第一に、構造不況業種合理化によって生ずる失業救済に必要な事業施策を実施する方途を講じていただきたい。第二に、不況業種維持に必要な需要拡大を図るよう措置じていただきたい。第三に、中小造船業維持救済対策について適切な措置を講じていただきたい。以上、三点であります。  次いで、佐伯市における特定不況業種等労使を代表して、株式会社臼杵鉄工所社長大坪俊英君、二平合板株式会社社長村上博之君、株式会社興人佐伯工場長竹内三七君、全日本造船機械労働組合佐伯造船分会書記長安藤寅比古君二平合板労働組合委員長池田博君、興人労働組合佐伯支部委員長江川良夫君等から、当該企業現況関連業界の実態、雇用見通し労働組合経営合理化に対する考え方等について説明を聴取いたしました。  使用者側からは、円高による国内産業保護施策実施等対策の確立、構造不況業種拡大と、これに伴う退職者優遇措置適用中高年齢者雇用拡大についての行政措置充実等の諸点について要望がありました。  一方、労働者側からは、行政使用者労働組合の三者による雇用対策協議会早期設立造船特定地域指定の実現、中小造船業に対する緊急融資対策等の拡充、雇用生活対策に関する地方行政機構の設置、構造不況業種、特に倒産企業労働者に対する低金利の生活資金育英資金等融資制度の創設、公共事業発注の際に一定の雇用条件を付することによる就労機会拡大及び使用者側からも要望のあったレーヨンパルプ業特定不況業種への指定等に関する要望がありました。  次に、佐伯市内に所在する二平合板株式会社本社工場を視察して、今回の調査の全日程を終了しました。  調査概要は以上のとおりでありますが、大分県の雇用失業情勢は、有効求人倍率年別推移を見ますと、昭和四十八年をピークに年々深刻の度合いを深めており、昭和五十二年の有効求人倍率は、〇・四〇倍と全国平均の〇・五六倍を下回っております。  中でも、特定不況業種事業所における離職者発生及び再就職援助計画等認定状況は、県南部に集中し、造船業中心に三十八事業所に及び、離職予定者は約三百二十名に上っております。  また、一時帰休等雇用調整を実施した事業所数造船業及び弱電産業中心増加傾向にあり、休業等延べ日数昭和五十二年度においては約三万人目に達しております。  他方、佐伯市における雇用失業情勢佐伯公共職業安定所調査で見ますと、本年二月末で有効求人倍率は〇・三〇倍であり、大分平均の〇…四〇倍、国平均の〇・五二倍に比べて大きく下回っており、今後における造船業の下請の整理の動向等を勘案しますと、一層厳しい情勢が続くものと考えられます。  このような情勢に対処するため、大分県及び佐伯市当局は、それぞれ不況対策本部等を設置し、各種の対策を講じており、関係機関の御努力の跡がうかがわれました。  しかしながら、すでに御報告申し上げましたように、関係者から現下の厳しい情勢に対処すべく国としてもさらに対策強化すべしとの強い要請を受けたところであり、私ども派遣委員一同も、民間活力を生かしつつ雇用機会創出を図る方策を初めとし、繊維企業におけるレーヨンパルプ工程従事者に対する特定不況業種離職者臨時措置法適用等きめ細かい雇用失業対策の一層の充実に万全を期することが当面の急務であると質疑等を通じて痛感した次第であります。  最後に、今回の調査に当たり、終始御協力を惜しまなかった大分県及び佐伯市を初めとする関係機関並びに関係者各位に対して、心から謝意を表します。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  4. 木野晴夫

    木野委員長 以上で両班の派遣委員からの報告は終わりました。      ————◇—————
  5. 木野晴夫

    木野委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  労働関係基本施策に関する件調査のため、本日、日本道路公団理事吉田喜市君及び本州四国連絡橋公団理事富樫勘七君に参考人として出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  7. 木野晴夫

    木野委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。越智伊平君。
  8. 越智伊平

    越智(伊)委員 ただいま御報告がございましたように、先般、当委員会から委員派遣を行いまして、第一班が愛媛県、第二班が大分県、ただいま、この二班の報告がございました。いま雇用の問題は大変深刻でございます。これはもう皆さん御承知のとおりでございます。そこで、まず労働大臣に、先般もお尋ねをいたしましたが、最近の雇用情勢、それからいまからの見通し、特に先般来、新聞紙上等大手造船所佐世保重工等の問題が浮き彫りにされております。これらについて大臣の御所見を承りたい、かように思います。
  9. 藤井勝志

    藤井国務大臣 現在の経済が依然として不況が続いておりますし、また追い打ちのような円高が現在日本経済を揺り動かしておる、そういうことで雇用情勢も非常に厳しさが続いております。二月現在の完全失業者が百三十六万人という、その前の月よりも十万人もふえておりますし、完全失業率二・〇八%、有効求人倍率は〇・五四倍、こういう状態でございますけれども、われわれは何としても、公共事業を主軸にして積極果敢な財政運営によって、日本経済実質成長率を五十三年度には七%台にぜひ持っていきたい、そういうことによって雇用の安定の背景をつくりたい。このように考えるわけでございます。  同時に、失業が多発しておる地帯、特に造船企業不況という、こういった地域におきましては、三月の末でございますけれども政務次官現地派遣をいたしまして、いろいろ実情調査いたしました。  そして、先般成立を見ました特定不況業種離職者臨時措置法を積極的に活用いたしまして、地区指定も、その後、追加をいたしたわけでございまして、こういうことによって、まず雇用安定資金制度によって失業者が出ないように未然に防止することはもちろんでありますが、雇用保険給付の四十歳以上は九十日延長、あるいはまた離職者臨時措置法による訓練手当休業手当等、再就職へ向かってきめの細かい施策をする。同時に、五十三年度から新しく設けましたのが、中高年齢者雇用促進のために、これらの人たちを雇い入れる事業主に対して特別に助成していく。中小企業者の場合には普通支払う賃金の三分の二、一般の大きな企業が二分の一、こういうことによって民間活力を大いに活用した雇用創出をやっていく、こういったことであります。  それと、特定不況業種臨時措置法に基づく地区指定地域指定をやって、これから拡大実施されますところの公共事業に対して失業者を吸収してもらう、いわゆる失業者吸収率制度を、これまた大いに活用していくといった、もろもろの施策とあわせまして、実は三月の二十五日でございましたが、経済対策閣僚会議とあわせて雇用問題閣僚懇談会を同時に開いてもらいまして、労働行政から言えば、はみ出した問題提起でありましたけれども、やはり需要拡大する、仕事をふやす、こういったことについて積極的にひとつ関係各省配慮を願いたい。  特に造船地帯におきまして公共事業建設事業、こういった公共事業を起こしてもらうにつきまして、造船技術者を生かして使えるような方途をひとつ考えてもらいたい。同時に、やはり船をつくる配慮、特に海上保安庁あたり巡視船等等、官公庁の船舶建造をひとつ早期に前倒しに執行してもらい、あわせて、専管水域が二百海里に広がった海洋大国日本としては、やはり海上保安庁あたり巡視船あるいはそれに飛行機を搭載するとか、そういうふうな思い切った発想の転換をやり、場合によっては飛行場も海につくる、海上に浮く飛行場をつくっていくという、こういったこともひとつ検討願いたい。また解撤事業、船の解体をやって、製鉄にこれを供給する、こういう新しい仕事をふやしてもらうために、積極的にやってほしい。この問題は、今後の経済不況の回復の推移を見ながら、いずれまた補正予算そのほかが行われるでありましょうから、そういうときは、ひとつ雇用という面から見て仕事をふやしてもらう、こういったことに労働大臣として積極的な提言をさせてもらいたい、このように私は考えておるわけでございます。
  10. 越智伊平

    越智(伊)委員 ただいま大臣から御答弁がございまして、私も全くそのとおりだ、かように存じます。  そこで、先ほどの御報告にもありましたように、第一班、第二班とも、不況業種で一番深刻な問題があるのは造船であろう。特に、この雇用の問題につきましては、造船関係は非常に多くの人が働いておりました。これが非常に不況になって、大変に離職者が多い、こういうことでございます。  そこで、運輸省事務当局から、造船の現在置かれておる能力なり、あるいは実績なり、あるいは将来の見通しについて御説明をいただきたい、かように思うのでございます。けさの新聞にも、実は輸出船がわずか二百七十万トンである、最盛期の十分の一である、こういうふうに報道をされておりますが、輸出並びに内需を含めて、現在どの程度建造されておるか。また、この見通しは将来どういうことであるか、これについて御説明をいただきたい、かように思います。
  11. 間野忠

    間野説明員 ただいまおっしゃいましたように、最盛期二千万トンほどつくっておりましたわが国造船業の五十二年度における建造量は、約七百万トンを若干上回る程度ということで、最盛期のほぼ三分の一近くまで低下してまいっております。特に懸念されますのは、本年度仕事量でございますけれども、五十二年度受注量が五百万トンを切るようなことでございましたので、本年度は六百五十万総トン程度建造できるのではなかろうかというふうに期待しておったのでございますが、確定工事量はまだ二百六十万総トン程度しかございません。今後も、本年度以降の仕事を受注するということは可能でございますので、これに何がしかの上積みはできると思いますけれども、恐らく五十二年度をかなり下回ることになるのではなかろうかというふうに懸念されます。  ただ、一般的にいろいろ予測が行われておりますけれども、現在、四億トンほどある船のうち、数千万トンが過剰であると言われてはおりますが、楽観的な見方で八一年、やや悲観的な見方をしましても八四年ぐらいには、この過剰船腹はバランスするというふうに言われております。そういたしますと、大体四億トンの船の五%程度は毎年代替されるようでございますから、いずれは世界的に見て二千万総トン程度の水準に回復するのは、そう遠い将来のことではない。非常に近い今年度、来年度あたりが非常に苦しい時代になるというふうに考えます。
  12. 越智伊平

    越智(伊)委員 今年度、来年度が非常に苦しい時期で、将来は、いささか明るさを取り戻す、こういうお話でございますが、私ども現地を視察いたしまして、これは経営者側もあるいは労働者側も、どちらも一番願っているのは、仕事をよこせ、仕事が欲しい、こういう姿でございます。こういう意見が非常に強い。仕事が欲しい、何とか仕事をつくってくれ、こういうことでございます。  そこで先般の、これも新聞報道でございますけれども佐世保重工の問題につきまして大蔵当局が、金融の面それから仕事の面、これに大変御心配をいただいておるようでございます。これらの経緯につきまして、まず大蔵事務当局からひとつ御説明をいただきたい、かように思います。
  13. 吉田正輝

    吉田説明員 佐世保重工業の件につきましては、ただいま今後の再建計画をいかにするかということで、関係会社及び金融機関、それから運輸省などの所管官庁中心になりまして、御相談になっておるやに聞いております。私ども大蔵省といたしましては、不況長期化というようなことで、金融支援を求める問題の構造不況業種などの企業がふえておりますが、金融機関といたしましては、預金者の大切なお金を預かっている立場から、あるいは私企業という立場から限界がございますけれども、こういう時代でございますから、自主的な再建努力を重ねる、あるいは再建めどが立つ、あるいは主管官庁の御判断、あるいは地元の御声援あるいは株主などの支援態勢、そういうような点を総合的に判断いたしまして、再建めどがつきますような場合には、金融機関が支援されることが望ましいということで、ただいま関係者間のお話し合いをお待ちしているような事情にあるわけでございます。
  14. 越智伊平

    越智(伊)委員 これは造船に限らず、どの業種も同じでございますけれども、特に造船につきましては、金融の問題がうまくいく、一方では仕事がある。仕事があって金融がうまくいけば、これは倒産することはございません。特に造船関係では、仕事がない、金融がうまく円滑にいかない、このことで全部倒産をしている、こういう姿でございます。でございますから、金融がうまくいく、そして仕事がある、こういうことであれば倒産することはないのでございます。そこで、私は関心を持ちまして、佐世保重工の問題は造船界のモデルケースである、こういうふうに受けとめているのでございます。これはテレビや新聞報道によりまして、政府がこういうふうにてこ入れをすれば倒産をする心配はない、非常にいいことだな、こういうふうに受けとめているのでございます。  そこで、いま御説明がございましたが、運輸省事務当局から、この佐世保重工につきまして御見解あるいはいまの姿、これをひとつ御説明いただけたら、かように思います。
  15. 間野忠

    間野説明員 佐世保重工につきましては、必ずしも新聞等報道されておるとおりではないと思いますが、現在の佐世保経営陣から、これからの厳しい事態に対応すべく減量体制をしき、経営体制を改善したいという趣旨の御報告を受けまして、その後、相当額退職金ですとか、そういうもののために相当運転資金を必要とする。そのためには大株主それから金融機関等の御協力を得なければならない。ただ、株主につきましては大株主が必ずしも一人ではございませんで、約四社おられるわけですが、その方々の意見調整するなり、意見をまとめるに当たって、いずれにしても協力体制をまとめるに当たって運輸省の方で調整の労をとってほしい、側面的な援助をやってほしいというお申し出がありまして、その趣旨に沿いまして、われわれとしては努力しておるところでございます。  私どもの理解する範囲では、どの方も佐世保については、できるだけ協力してやっていきたいという基本的な姿勢でおられるように思っております。いずれ、その大株主中心とする支援態勢というものが固まりますれば、金融についての問題もかなり解消し、佐世保体質改善というものが行われるのではないかというふうに思っております。
  16. 越智伊平

    越智(伊)委員 佐世保重工の問題で、いま御説明がございましたが、報道とは、いささか異なるような御意見もございまして、佐世保重工についてはというようなお話もございましたが、私は、むしろ報道されておるような姿であってほしい、こう思います。  もう一点は、もちろん、この佐世保重工は私ども考えましても地元態勢も非常によくできている。県なり、あるいは特に佐世保市の地元態勢も非常にりっぱである、こういうふうに思っております。また、原子力船「むつ」も修繕を受け入れてやろうというような意向もある。そのことはよくわかるわけでありますが、ただ、その佐世保重工についてではなしに、造船全般についてはという運輸省なり、あるいは大蔵省のこういう姿勢が私は欲しい。先ほど申し上げましたように、佐世保重工をモデルケースとして、ひとつ造船に対してはこういう姿であってほしい、こういう希望をしているものでございますが、その点いかがでございましょうか。もう一度事務当局、大蔵と運輸両省から御意見をちょうだいしたい、こう思います。
  17. 間野忠

    間野説明員 先ほど申し上げましたけれども、かなり長期的に見まして、ある程度の安定した、いまよりは高い水準の仕事量は期待できると思います。ただ、冒頭に申しました二千万総トンという建造能力が過大であることも事実でございまして、この過剰設備を抱えていることが過当競争を引き起こしたり、経営を圧迫する要因となっております。そういうこともございまして、私どもといたしましては、現在、国会で御審議を願っておる特定不況産業安定臨時措置法案の成り行きにもよりますけれども、まず業界全体としての体質改善は避けられないというふうに考えております。そうして、その中で、ある程度の減量と申しますか、過剰設備の処理と合併あるいは集約、あるいはもう少しゆるい形での提携というようなことも含めまして、企業体質が改善されますれば、造船業見通しというものは決して暗いものではないというふうに考えております。  御指摘のように、その間におきまして、個々にいろいろな例が出てまいるわけでございます。個個の例につきましては、それぞれ、いろいろ事情がございますが、確かに先生御指摘のように、地元においても非常に重要なものであり、また地元協力も十分得られるというような状態であり、また過去の内容も決して悪くないというようなものがありますれば、私どもとしては、できるだけの努力はいたしてまいりたいというふうに考えております。
  18. 吉田正輝

    吉田説明員 一般的に造船界に対して、どのような支援策を考えておるかというような御質問であるかというふうに存じておりますが、私どもとしましては、金融支援について申し上げますと、金融機関はやはり公共的機関でございますから、できる限り日本経済の中で支援の役割りを果たしていくことが望ましいと考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、金融機関としましては、預金者の預金を預かるという点につきましても十分配慮する必要がございます。ただ、このような造船界不況というのはかなり深刻なようでございます。  そこで、当該業界なりあるいは主管官庁なりあるいは雇用問題なり、それから地方の社会情勢なり、そういう点をどういうふうに配慮していくかという点が重要であると思いますので、そこら辺のところは、企業再建めどが立つというようなことであります限りは、金融の健全原則ということがございますが、それの許される範囲内で金融機関が、中小企業造船界を含めまして支援を行うよう、関係官庁とも、いろいろその受注状況とか、そういう点の御相談を受けながら、できる限りの支援を行うよう指導してまいりたい、かように考えておるものでございます。
  19. 越智伊平

    越智(伊)委員 私の認識と少し違っておりますのは、先ほども申し上げましたように、報道関係は、佐世保重工につきましては大蔵主導型のように受けとめているのでございます。いまお話を聞きますと、どうも運輸当局の方だ、こういうふうに受けとめられるのでございます。それはいずれにいたしましても、この佐世保重工をひとつしっかり支援をし、指導をしてやってもらいたい。しっかりやってもらいたい。そうして、これは佐世保重工だけでなしに、そのことを造船全般に持っていってもらいたい、私はこういう希望でございます。  当初申し上げましたように、造船というのは、要は仕事があって金融が円滑にいけば倒産する会社は一社もない、私はこれは断言できる、こう思うのです。どちらかあるいは両方がうまくいかないから次々倒産をしている、こういう事情であろう、こう思います。そこらについて、せっかくお忙しい中をおいでいただいた大蔵政務次官あるいは運輸政務次官から、ひとつ御見解をちょうだいいたしたい、かように思います。
  20. 三塚博

    ○三塚政府委員 せっかく参りましたので、御答弁をさせていただきます。  いま造船課長からも状況等についてお話を申し上げたわけでありますが、基本は、日本は自由社会なものでございますから、企業の自主経営、自主判断に任していくというのが原則であります。しかしながら、本件は構造不況業種の最たるものでございまして、健全な企業努力をやろうといたしましても社会経済状況がそれを許さぬ、また世界の趨勢がそれを許さぬという、ただいま答弁がありましたような現況にありますものですから、特にこの点について配慮をしなければならぬというのが基本的な考えであろうというふうに思います。  佐世保重工につきましては、大株主、経営者の皆さんが何としても、この及ぼす影響が大でありますので、できるだけの力をかしていただきたい。何に力をかすのかということになりますと、実は当初、再建について大株主間の意思がまとまっておらぬということであります。そういうことでありまして、この間の調整を監督官庁である運輸省にぜひしてほしい。そのことが成功するのでありますれば、佐世保重工のただいまつくっております再建案に基づいて今後、進ましていただくことができます。こういうことでありますものですから、この点について運輸大臣を初め私ども、その辺の調整にただいま努力をいたしておるというところであります。もちろん、同時並行的に金融というものは進んでおりますものでありますが、特に希望退職者を募る、これは当初計画一千名、それが一千六百名、こういうようなことに相なりますものですから、当然、退職金の手当てもしていかなければならぬ、こういうことに相なります。こういうことについて、こちらの話を進めておる。しかし、こちらが最終的にいかぬということになりますと、いかぬものでありますから、大蔵省にも、その辺の事情を御理解いただきまして、同時並行的に、この問題を進めさしていただく、こういうことに相なっておるわけであります。  しかし、ただいま間野船課長が、大手株主四社、大体うまい方向に進んでおると聞いております、こういう答弁をしたのでありますが、そのとおりであろうと思いますし、最終的には企業判断でありますし、また大株主の判断であるわけでございますから、どうなるかは実は予測のつかぬところであります。しかし、運輸省といたしましては誠心誠意、そういう要請、特に地元、市及び関係する各位、労使双方、こういう関係からの強い要請もありますので、その方向について、官庁として許される範囲内において、こういう状況にありますので、できるだけ一生懸命努力をする、こういうことに相なります。  越智先生言われますように、他の造船についてもということでありますが、これはいろいろと、それぞれ企業の持つ経営内容等もございますものですから、いま、佐世保方式と言っては正確を欠くわけでありますが、ざっくばらんに言って、そういう方式で要請がありといたしますれば、当然、大手、中手にかかわりませず、その方向の中で努力をさせていただく、こういうことになろうと存ずるわけであります。御意見を拝聴させていただきました。
  21. 稲村利幸

    ○稲村政府委員 ただいま越智先生大変御心配の、造船業界の深刻な不況のことはよく承知しております。そうして雇用問題も非常に社会的に影響が大きい等々、いま運輸省が正直、心を砕いているところであります。私どもとしては、運輸省と綿密な連絡をとりまして、日銀初め金融界ともよく相談して、できる限りの指導をしてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  22. 越智伊平

    越智(伊)委員 両政務次官から御意見をちょうだいいたしまして、まことにそのとおりであろう、ひとつしっかりお願いをいたしたい、こう思います。ただ報道は、先ほども申し上げましたように大蔵主導型になっているような報道でございましたから、私、どういうことであろうか、こういうことでお尋ねをいたしたのでございます。  もう一点、これは要望でございますが、特に運輸当局運輸政務次官にお願いをいたしておきますが、実は構造改善によって、造船所が政府の指導によって新しい工場、新しい造船所をつくった、こういうケースがございます。でき上がりましたのが昨年。これは東洋造船というのでございます。これは政府の指導によって造船団地をつくりました。操業をするかしないかで、この不況に遭ったわけでございます。したがいまして、政府資金をたくさん投入をしておるというようなケースもございます。先ほど申し上げましたように、佐世保重工をモデルケースとして全造船所に及ぼしていただくことが第一番でございますが、特に政府が指導したこういうものにつきましては、佐世保重工並みあるいは佐世保重工以上に、ひとつお力添えをいただきたい、かように思います。このことについては質問要項にも出しておりませんので御答弁は必要ございませんが、私から要望をいたしておきます。  そこでもう一点、佐世保重工の問題で、いまも御答弁の中にございましたが、従業員の希望退職を七百七十人募集をした。ところが、出てきた応募者が千五百九十八人あった。このことについて退職金が二十億円よけい要る、こういう報道をされております。私は、これは必要以上の人員整理といいますか、再建計画に基づいて七百七十名の希望退職を募った。それ以上に出てきたから、この際、一緒にやめてもらうのだということについては、ちょっと疑問があるのでございます。特に雇用の問題から考えますと、大臣もたびたび言われておりますように、まず第一番は失業予防、やむを得ず失業した者についての雇用対策、こういうことを労働大臣はいつも言われているのでございますが、この点の御見解を労働大臣から承りたい、こう思います。
  23. 藤井勝志

    藤井国務大臣 ちょっともう一回、済みません。えらい失礼いたしました。
  24. 越智伊平

    越智(伊)委員 佐世保重工の希望退職者を七百七十人募った。ところが、出てきた希望退職者は千五百九十八人応募者があった。それによって退職金が二十億円よけい要るのだということです。希望退職者が、募集したら倍になった、こういうことなんです。でございますから、この希望退職者は、七百七十人の人員が余るので、七百七十人の募集をしたのであれば、この再建計画にあるのなれば、それで打ち切ってもらいたい。それ以上に希望者があったからということでは、再建計画と募集との時点が違うと思うのです。でございますから、七百七十名の不必要な人がいるので、やむを得ず七百七十名の希望退職者——ここにもちょっと問題はあるわけなんです。常務の言っておられるのには、一千名程度の希望退職者があるのであろうか、こういうふうに思っていたところが、予想以上にたくさん出た、こういうことでございます。そういうことで私は、これは企業の責任として、最小限の希望退職者で、あと仕事があり、また金融がつけば、やっていくという社会的責任を感じてもらいたい、こういうことなんです。労働大臣の御見解、いかがでしょうか。
  25. 藤井勝志

    藤井国務大臣 具体的なケースのお尋ねでございますから、私としては実情を、労働行政第一線の職業安定所を通じて調べさせていただきたいと思います。  ただ、御質問の趣旨は私も理解できますけれども、やめたいという労働者側の意思を、労働省として、まかりならぬと言うわけにもいかない。そこら辺はひとつ企業が成り立つように、同時にまた、いままでそこに職場を持っておられた労働者でありますから、やはり労使が相互に話し合って自主的に解決をしてもらうというのが一番好ましいのではないか、このように思うわけでございます。  いずれにいたしましても、よく事情調査いたしまして、またこちらも判断をいたして、要は企業が成り立ち、労働者雇用が確保できるということを前提に対処していきたい、このように考えます。
  26. 越智伊平

    越智(伊)委員 大臣からお答えございましたが、私が申し上げたのは、企業の方は七百七十名の希望退職者を募集したということでございますから、七百七十名の人が少なくなれば、やっていけるという見込みであったであろうと思うのでございます。そこに、募集したら、見切りをつけたといいますか、ここにおってもだめであろうということから出てきたのであろう、また退職金のことも含めて出てきたのであろう、こういうふうに受けとめているのでございます。しかし私は、やはり最小限の離職者でやっていくように御指導をいただきたい、こういうことでございます。  そこで、時間がなくなりましたので、この雇用の問題で特に建設省並びに道路公団、架橋公団等等の御見解をひとつ承りたいのでございます。  私、もう時間がございませんので率直に申し上げたいと思いますが、建設省では、不況地帯にできるだけ公共事業を行い、また、そのことによって景気を回復し、また雇用の安定を図ろう、こういう御配慮をいただいております。このことは非常にありがたい、こう思うのでございます。ところが、その中で特に本四架橋公団は、いささか、そのことの認識が乏しいのではなかろうか、こういうふうに思います。道路公団の方は地域とも、なかなかよく密着してやっているのでございます、私が見た目、また地元でいろいろ聞いたところでは。ところが架橋公団は、いささか、その点が欠けているのではなかろうか。これは、先般の特定不況産業安定臨時措置法の審議の際に私が質問をいたしましたときも、建設省の監理官の御答弁また運輸大臣等の御見解とずいぶんニュアンスが違っていた、こう思うのでございます。  そこで第一番に、いまの公共事業について、特にことしの、五十二年度公共事業の性格について、ひとつ架橋公団の方から、どういう認識でやっておられるか、その点についてお伺いをいたしたい、こう思います。
  27. 富樫勘七

    富樫参考人 ただいまの越智先生からの御質問にお答えいたします。  当公団の建設事業の執行に当たりまして、先般、監理官からのお言葉があったと思いますが、私どもの方としては、かねてから地元の産業には寄与するように配慮してまいっておるつもりでございます。今後も建設工事の発注に当たりましては、当方の工事の性質なり工事の規模等を勘案いたしまして、地元建設業者の方々には極力受注の機会が与えられるように、また地域労働力をできるだけ吸収できるようにということで努めるつもりでございます。
  28. 越智伊平

    越智(伊)委員 先般も皆さんと一緒に現地を視察いたしまして、たとえば県なり市町村は、それぞれ公共事業はもちろん、そこの単独事業でも起こしまして、たとえば橋であるとかガードレールであるとか、こういうものの塗りかえをするというような、これは政府の助成があるわけじゃないのです。そこで単独でそういう仕事をつくって雇用対策に努めている、こういう話を聞いたのでございます。ところが架橋公団は、その点について橋の部分はやることがないんだとか、私はそういうことではないと思うのです。たとえばペンキを塗る仕事が技術的にと言っても、船のペンキを塗っているペンキ屋さんでも私はできると思うのです。こういうものをできるだけ取り入れてやる、特に不況地帯になりますと、そういう御努力をいただきたい、かように思います。道路公団の方はずいぶん、よくやっていただいておるように聞いておりますが、今後のことについて道路公団並びに架橋公団、そしてひとつ建設政務次官も、そういうふうに御指導をいただきたい。  もう一つ言いますと、建設省の直轄については皆さん幹部の意向が届いているようですが、架橋公団の端々に行きますと、どうも威令が行われていないようで、大臣や次官がそういうお気持ちではないことはもちろんでございますが、ひとつ、そこらについて御答弁をいただきたい、かように思います。
  29. 富樫勘七

    富樫参考人 それでは、本四公団の方からお答えいたします。  いま越智先生のおっしゃいましたような意味で、現場におきまする溶接とか塗装作業等につきましては、可能な限り地元の技能労働者を活用するように指導してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  30. 吉田喜市

    吉田参考人 ただいま先生からお話のありました特定不況産業指定地域においては、公団といたしましては、高速道路の計画あるいは一般有料道路の計画、各種の計画を持っており、あるいは調査中のもの、事業を行っているもの、現在工事を行っているもの、いろいろございますが、工事の実施に当たりましては、特に本年度はどういうふうな姿勢かと言われますと、この四月七日に閣議で決定いたしました「公共事業等の事業執行の推進について」この趣旨に基づいて事業を進めてまいりたいと思います。その中において、特に先生からお話がありましたような地元の業者の活用というものについては、極力今後も図ってまいりたい、かように考えております。
  31. 塚田徹

    ○塚田政府委員 建設省といたしましても、いま御質問のございました趣旨を体しながら、各関係団体には次官の通達で指示をしてあるわけでございます。  特に五十三年度の予算は、皆様方も御承知のように、不況対策とそれから雇用の安定を図るためにつくられました超大型予算ということでございますから、この公共事業の配分につきましては、特に特定不況産業の指定地域については特段の配慮をしておるところでございます。  また、御指摘にございましたように、各道路公団並びに本四公団等の問題につきましても、私どもは、いま私が申し上げましたように、建設省として、できる範囲内の指導は努めておるわけでございますので、まだ、その趣旨が徹底をしておらないということであれば、私ども調査をして、趣旨に沿うように努力をしてまいりたい、かように考えるわけであります。
  32. 越智伊平

    越智(伊)委員 最後に一点だけ。造船で離職をした場合、離職者手帳、この問題で、わずか二日か三日違いの希望退職の場合に、それの適用を受けていないという問題がございます。この問題については、どうも本省の考え方と末端と少し食い違うのではなかろうか、こういう点がございます。せっかく特定不況業種につきましては優遇といいますか、いろいろ考えて、再就職なり、そういうものについてのことをやっていこうという御趣旨でございますから、この問題については、具体的にまたお願いをいたしますから、ひとつ、できるだけ弾力的な考え、弾力的と言いましても、全部を弾力的にやってくれということではございませんけれども、やれる範囲の弾力的な見解で行政を行っていただきたい、かように思います。この点につきましては、時間がございませんので御答弁は要りませんから、ひとつ御要望を申し上げておきます。  以上で終わります。(拍手
  33. 木野晴夫

    木野委員長 次に、村山富市君。
  34. 村山富市

    村山(富)委員 私は、まず当面する春闘の問題について、この際、若干労働大臣の見解を承っておきたいと思うのです。  きょうも雇用問題についての集中審議があるわけですが、こうした経済不況や深刻な雇用問題を反映して、春闘もいよいよ深刻の度を深めていると思うのです。現に公労協は明十三、十四日の二日間、第一波のストライキに突入しますし、第二波、第三波と闘争戦術は強化される、こういう戦術も決定いたしております。私鉄等も、現状からすれば、官民総ぐるみの闘争に入っていくのではないか、こういうことが懸念をされておるわけです。  一方、こうした春闘情勢を取り巻いておる状況というものは、雇用か賃金かといった二者択一を選別させるような方向での意識的な宣伝もなされておる。しかし、これは一部の企業の実態を見れば、雇用問題が非常に深刻で賃上げどころではないといったようなこともあると思いますけれども、全体から見れば、やはり雇用雇用でちゃんとやってもらう。同時に、賃金もある程度保障してもらって、そのことがまた七%経済成長を達成する内需の喚起につながっていく、景気回復になるのだ、こういう観点もあるわけですから、大衆的な立場から率直に言わしてもらえば、雇用雇用、賃金は賃金、こういうことであるべきだと思うのです。  しかし、いま申しましたような情勢も反映して、ことしの春闘はきわめて深刻の度を深めつつある。これはいま申し上げましたような官民総ぐるみの闘争態勢が組まれるといったようなことが現に起こってまいりますと、必要以上に社会不安を醸成する可能性もある。こうした情勢を受けて、労働大臣の春闘に取り組む姿勢、見解といったようなものをまず承りたいと思うのです。
  35. 藤井勝志

    藤井国務大臣 私も、皆さんのおかげで予算が通過いたしまして、それから後の一番最大に頭を占めておるのは春闘の問題でございます。御指摘のごとく、大変厳しい経済環境のもとで、従来、年々歳々いわゆるスケジュール闘争という名のもとに春闘が展開をされるということに対して、何とかしてひとつ労使が、いわゆる自主的な話し合いにおいて平和裏に解決の糸口を見つけてもらえないものだろうかというふうに、私は毎日、朝、目が覚めますと頭を悩ましております。  ただ、いまお話がございましたが、雇用の問題と賃上げの問題は切り離して考えるべきではないかという御趣旨でございますけれども、実際問題として、これはもちろん労使の良識ある判断にまつべき問題でありますけれども雇用とそして労働者の実質生活の確保という問題の調和、私は、これが非常に問題解決のキーポイントではないかというふうな気がいたします。  そういった問題を踏まえて、やはりあくまでも労使の自主的解決によって問題を処理してもらい、どうしても相互の話し合いがすれ違って、うまくいかない場合には、労働委員会あるいはまた公共企業体においては公労委の仲裁裁定ということで処理していただかなければならぬ。  われわれとしては、やはり物価の安定ということ、そして一刻も早く景気を回復するということ、そういう環境づくりに全力を尽くす、これが現在われわれに与えられた使命である、このように心得ておるわけでございます。
  36. 村山富市

    村山(富)委員 これは見解の違いがあるかもしれませんが、景気回復の原動力というのは、雇用を安定させる、賃金をある程度保障する、減税をやる、同時に社会保障を充実する、こういうところに内需を喚起する大きな要素があると私は思うのです。そういうことを踏まえて私どもは春闘を考えていかなければならぬと思うのですけれども、いま申し上げておりますように、労使を取り巻く環境が非常によくて弾力性を持って対応できるという状況にない。追い込められた深刻な土壇場に立っておる。こういうことであるだけに、労使が、とりわけ使用者の方が、こそくな態度をとったり、あるいは挑発的な態度をとったりすることは、紛争をいたずらに大きくする要因になりますから、私は、労使が可能な限り自主的な交渉を通じて解決をする。そして細部においては回避をするための、あらゆる努力をしていくということが何よりも大事だというふうに思うのです。  そういう場合に、とりわけ公労協に対しては政府の見解が大きく優先するわけですから、したがって公労協の労使に対して政府がどういう態度で臨むのかという政府の姿勢なり見解というものが今後、大きく影響してくると思うのです。  そこで、私は承っておきたいと思うのですが、いま申しましたように、あしたから第一波に入りますね。事態によっては第二波、第三波と入っていくわけです。その場合に、誠意を示し合うということが大事だと思うのです。誠意を示し合うには、やはり有額回答ぐらいはきちっとするという態度でないと、事態は混迷してくると思いますから、有額回答する方向にあるのか。するとすれば、その時期はいつごろを考えているのか。その点について、もしあれば御回答いただきたいと思うのです。
  37. 藤井勝志

    藤井国務大臣 公共企業体等の賃金問題は、先ほども触れましたが、あくまで関係労使の自主的な交渉によって解決を図るというのが大原則でございます。したがって、有額回答の問題も、あくまで公共企業体の当局の判断と責任によって決定をしてもらうというのが筋であろうと私は思うのでありまして、政府といたしましては、また労働大臣といたしましては、当局から申し出があった場合に、その環境づくりについて最善の配意をし、労使が平和裏に話し合いがつくような助言をしていくということで、われわれから先に、労働大臣として有額回答をすべきであるかどうか、するとすれば、いつごろの時期がいいかと言うより、これは当局側に任せるというのが基本原則でなければならぬ、このように思うわけでございます。
  38. 村山富市

    村山(富)委員 最近の新聞報道などを見ましても、有額回答するとかせぬとか、当事者に任せるのではなくて政府が見解をちらほらちらほら出して牽制していく、こういう動きがありますね。最初から申し上げておりますように、労使関係というのは自主交渉で解決するのが原則だ。しかし公労協の場合は政府から大きく締めつけられて、縛られて、当事者能力というものに限界がある。だから、政府が出す見解なんというものが大きく労使の交渉に影響していくわけでしょう。それがまた、いたずらに事態を混迷に追い込んでいく要因にもなる。  ですから、労働大臣労使関係を指導し、担当する所管の大臣ですから、やはり労働大臣の見解というのはきわめて大事だ。その場合に、さっきもちょっと触れましたけれども、こそくな態度や挑発的な態度はいかぬ。むしろ労使双方追い詰められておるわけですから、本当に誠意を持って裸になって話し合うことが大事だ。それはお互いに誠意を示し合う意味でも、はっきり回答できるものについては回答する、こういう態度が問題を解決する大きなかぎになると思うのです。しかも、それを指導していく大臣としての責任というものがあるわけですから、私は、労働大臣として、いまの事態を踏まえて、適当な時期には有額回答すべきだというぐらいの指導をしてしかるべきではないかと思うのですが、どうですか。
  39. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御質問の趣旨は私も十分理解できます。労働大臣としては、労使の自主的交渉によって、できるだけ平和裏に解決をしていただきたい、こう念願するわけでございますが、有額回答につきましても、そういう前提を踏まえて労使間で話し合いのつくような有額回答が出されるようなことを私は期待をいたしたい、このように考えております。
  40. 村山富市

    村山(富)委員 期待をしておるのなら、大臣として積極的な指導もあってしかるべきだとぼくは思うのです。  ちょっとお尋ねしますが、公労協、三公社五現業等について、本年度予算の中にベア分と昇給財源は幾らぐらい予算化していますか。
  41. 北川俊夫

    ○北川政府委員 予算措置といたしましては、従来から給与改善費といたしまして五%が組み込まれております。それ以外に定期昇給、これは公社、現業によって若干の違いがありますけれども平均いたしまして二・二%程度を人件費の中に組み込んでおります。
  42. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、三公社五現業、特に公労協の場合には、ベア財源五%、昇給財源二・二%、合計七・二%組まれたわけですね。七・二%予算に計上してあるということは、これだけはやりますよということじゃないですか。そうしますと、当事者能力の範囲内から考えても、予算化されている分については当然交渉の中で回答されてもいいのじゃないですか。  私は、この際、政労協関係についても若干触れておきたいと思うのですが、政労協の組合なんかは労働組合法の適用ですよ。ですから、これは労使が自主的な交渉によって解決するというのが当然な話なんですよ。ところが、政労協関係当局も、大蔵省の予算で縛られて当事者能力はない。交渉をやったって交渉にも応じない、交渉したって回答もできない、こういう関係になりますから、労働組合法で保障されている労働組合の権限というものは実質的にはないに等しいようなかっこうになっているわけです。これが労使を紛争に追い込み、混迷させる一番大きな原因になっている。  公労協の場合も、私はそういうことが言えるのじゃないかと思うのです。ですから、やはり自主的な交渉の中で、当事者能力の範囲内で言うことは言う、回答すべきことは回答する、こういうことでなければ、一方的に労働者の方はきわめて悪い状況に追い込まれていく。そのことがまた混迷を深めていくということにもなると思いますから、せめて予算化されておる額ぐらいは交渉の中で明らかにすることは必要でないかと思いますが、その点はどうですか。
  43. 藤井勝志

    藤井国務大臣 公労協関係の賃金問題の解決の方針というのは、もうすでに御案内のように、民間準拠によってこれを取り行うことになっておるわけでございまして、ただいまベアを含めて七・二%が予算措置されておるということは事実であります。ただ、これはあくまで財源対策として政府が一応の枠組みを財源的にやったわけでございまして、それと、いわゆる公労協関係の賃金問題とはおのずから次元が違う。関係は深いです。関係は深いけれども問題の性質が異なっておる。やはり賃金問題はあくまで当事者労使で自主的に解決してもらう、こういうのが筋ではないか、こう思うわけでございます。
  44. 村山富市

    村山(富)委員 解決をする場合の妥結額が幾らになるかというのは、これとはもちろん違いますよ。しかし、経営に当たる当局の方が、これは政府も含めてですよ、ことしのベア財源はこの程度は見込める、昇給財源はこの程度見られるといって財源措置をしておるわけですから、その程度の範囲内において当局が組合に対して回答するのは、ある意味ではあたりまえじゃないですか。それ以後どうなっていくかということについては、これはやはり当事者の交渉にまつ以外にありませんからね。そういう誠意を示し合うことが、労使を本当の意味で自主的な交渉で解決する方向に誘導していく大きな力になっていく。そういう姿勢をもって大臣は指導に当たるべきではないかと思うのです。どうですか。
  45. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御質問のお立場での御趣旨、お気持ちは私も理解はできます。ただ、先ほども申しましたように、民間準拠によって賃金決定をやるというこの基本線というもの、それを踏まえながら当事者で、労使で、国民的良識の上に立って結論を導き出してもらう、こういうことになる、私はこのように思うわけでございます。
  46. 村山富市

    村山(富)委員 公労協の場合は、もうくどくど申しませんけれども、やはり政府の見解というものが相当大きく影響するだけに、私は労働大臣のこれに対応する考え方、姿勢というものはきわめて大きな影響を持ってくると思うのです。そういう意味で聞いているわけです。ですから、これはやはり第二波、第三波と入っていく状況を醸し出すようなことになるのか、あるいは最悪事態が回避できて、そうして労使が円満に解決できるのかといったことについては、これから労働大臣中心とした労働省の動きというものが大変大きな影響を持ってきますから、したがって私は、できるだけ最悪の事態を回避するためにも、お互いが誠意を尽くし合う。政府の誠意のあらわれが、本当に誠意を認め合えるような話をすることなんだ、回答を出すことなんだということを考えた場合に、せめて、この程度の指導はきちっとすべきではないかと思います。そのことを強く要請しておきたいと思うのです。  それから、先ほど大臣の答弁にもございましたが、事態の推移によっては調停委員会から仲裁委員会に入っていきますね。仲裁委員会から仲裁裁定が出る、こうなった場合に、その仲裁裁定はもう労使が完全に守っていくということは当然の話だと思うのですけれども、仮に最終的に仲裁裁定が出たとした場合に、政府としては、その裁定を完全実施するという腹構えがあるかどうか、聞いておきたいと思うのです。
  47. 藤井勝志

    藤井国務大臣 仲裁裁定が出るという前提を仮定いたしますならば、仲裁裁定が出た以上は、労働大臣としても当然完全実施の実現に全力を尽くすべきだ、こう私は思います。
  48. 村山富市

    村山(富)委員 それでは一応、春闘の質問はこれで終わりまして、先般この委員会で御報告もいただきましたように、雇用問題の調査に九州の大分佐伯市まで来ていただきましたことを心からお礼を申し上げたいと思うのです。ただ、その調査の中で二、三問題になった点がございますので、その点を取り上げて労働省の見解をお聞きしておきたいと思うのです。  調査に参りました佐伯市というのは人口が五万三千くらいですね。この佐伯市には造船と合板とパルプとセメント、この四つの産業の柱があるわけです。セメントは最近、公共事業等を通じて若干景気を盛り返しつつある。しかし、四つの中で三本の柱は完全な不況業種になっている。しかも大変小さな範囲内で全国的な不況の波が集中的にあらわれている。こういう特殊な条件にあるだけに、求人倍率なんか見ましても全国平均を大きく下回って〇・三ぐらいしか求人倍率はない、こういう状況になっているわけです。  そこで、私は当然こうした地域については特定不況業種離職者臨時措置法適用を、地域においても、あるいは、とりわけ倒産をして、いま更生途上にありまする興国人絹のレーヨンパルプなんかについても指定をすべきではないかというように考えるのですけれども、そこらはどういうことになっていますか。
  49. 細野正

    ○細野政府委員 ただいまの件は、興人の佐伯工場についての特定不況業種離職者臨時措置法適用の問題というふうに承ったわけでございますが、これにつきましては私ども現在調査をいたしておりますけれども佐伯工場では、レーヨンの原材料となっているレーヨンパルプが中心で、全事業の七五%というのがパルプ製造というふうになっているわけであります。そういう観点から見ますと、特定不況業種指定対象になっております合成繊維製造業という範囲に、これが入るのかどうか、これがまず問題になるのですけれども、これはちょっと困難でございます。しかし、なおいろいろな実態についての御指摘もございますので現在大分県を通じまして実態の把握に努めておるところでございまして、適用の是非については検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  50. 村山富市

    村山(富)委員 現に合板の場合も興人の場合も希望退職なんかがずいぶん出ておりまして、いまだに就職の決まっていない人もたくさんおるわけですね。これは中高年の雇用促進法の特別開発事業なんかをやる指定地域になっていると思うのです。そうした離職者に対して、中高年の法律やら、あるいは離職者法やら、いろいろな法律がありますが、そういうあらゆる法律をきめ細かく使って、そして失業中の生活のめんどうをよく見る、あるいは再就職の機会をつくっていく、こういう指導が必要だと思うのですが、そこら辺の点についてはどう考えていますか。
  51. 細野正

    ○細野政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、先生のお話のような、非常に雇用機会の不足地域という状況になっておるわけでございます。したがいまして、そこで離職をされました方につきましては、きめ細かな職業相談指導をやる、あるいは積極的な求人開拓をやる、あるいは訓練の機動的な実施をやる、そのほか雇用保険制度の訓練延長を活用する、個別延長を活用する、現在持っておりますいろいろな手段をフル活用いたしまして対処していかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、特に冒頭申しましたように、佐伯市は雇用機会の不足地域指定されておりますので、したがいまして、個別延長の給付制度の中で、雇用機会の不足地域につきましては、一般の場合には五十五歳という年齢を四十五歳に下げるというふうな制度もございまして、この制度も当然佐伯市の場合には活用できるということにもなっておりまして、そういういろいろな手段を講じまして、特定不況業種指定が無理だとしても、それにそう劣らぬ、いろいろなお世話のできるような態勢に持ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  52. 村山富市

    村山(富)委員 こうした特殊な地域だけに、どうして命ごいをするかと言えば、出かせぎに行く以外にないのですよ。そこで、この地域佐伯、南海部郡といった一帯があるのですけれども、その地域は歴史的に全国に出かせぎに行っている。その出かせぎ者が最近じん肺患者になったり振動病、白ろう病患者になったり何かして、集団的な多発地域になっているのですね。これは以前国会で取り上げたこともありますから、労働省も調査をされていると思うのですけれども、こういうじん肺患者、振動病患者をどの程度いま把握されておるか。あるいは補償の対象になっておる患者がどの程度あるか。ちょっとそれ、わかりますか。
  53. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 振動病患者は約七百名と承知いたしております。
  54. 村山富市

    村山(富)委員 振動病患者が七百名。症状なるものがどの程度あって、そして現に労災の認定を受けた患者がどの程度あって、それは振動病とじん肺と両方、ちょっとわかれば。
  55. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 ちょっと数字がこんがらかりましたけれども、振動病患者の方は第一次健診を受けました四百四十八名のうちで第二次検診を受けるべき人が百九十五名でございます。そのうち受診をしました者が百八十五名でございますが、その中で療養すべき者が百八名。先ほど七百名と申しましたのは、じん肺患者でございます。誤りでございます。
  56. 村山富市

    村山(富)委員 じん肺患者が七百名、それから振動病患者が、最近の調査でも治療が必要な者が百八名ですか、あるわけですね。ところが、残念ながら治療を受ける施設がないのですね。わずかに大分県では湯布院というところに厚生年金病院があって、これが労災病院に指定されておるというのですけれども、ここにはまた全国から振動病患者なんかが集まってきますから行けないのですよ。地元の切実な要求として、何とか地元に治療ができる施設をつくってもらいたい、こういう要請が強いのですけれども、その点については具体的に今後何かお考えがございますか。
  57. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 かねてから、こういった労災病患者の方がたくさんおられますので、何とか労災病院的なものをつくってほしいという御要望を受けております。私どもは、労災病院につきましても、地域全体の労働施設その他から見て配置を考えておりますけれども、この問題いろいろな条件が整備されませんとむずかしい面がございますが、当面そういった白ろう病とか、じん肺患者が多発して、しかも地域的に限局されているというところがございますれば、委託病棟という制度がございますので、何とか、それに乗せられないものだろうかというふうに前々から検討しておりましたけれども、これは委託病棟でございますから、委託を受ける病院がないと、その条件が満たされないという問題がございます。そういった点も私ども、いろいろと地元の局と相談しながらやっておりますが、いずれにいたしましても、たくさんのこういった白ろう病の方々あるいはじん肺患者の方々が、よその県で発病して帰ってこられて、その地域におられるという事情でございますので、その条件が満たされるようなことに私どもも検討してまいりたい。そしてできるだけ早い機会にそういった委託病棟の設置ができるように前向きに検討いたしてまいりたい、こういうふうに思います。
  58. 村山富市

    村山(富)委員 もうくどくど申しませんが、これだけ集団的に多発している地域ですから、そういう患者が地元で治療を受ける専門のお医者さんもおるし、施設もあるということは当然なことであって、これがないということは、きわめて不幸な事態です。したがって、いまお話もございましたように、委託病棟なんかの方法もあるわけですから、早急に実態を調査されて実施に移せるような方向で、がんばってもらいたいと思うのですが、最後大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  59. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘の点、具体的な問題をお聞かせ願ったわけでございますから、実情調査いたしまして御趣旨を踏まえて善処いたしたい、このように考えます。
  60. 村山富市

    村山(富)委員 では、終わります。
  61. 木野晴夫

    木野委員長 次に、森井忠良君。
  62. 森井忠良

    森井委員 大変な時代になりまして、雇用失業情勢というのはまことに厳しい。衆議院の社会労働委員会現地調査をいたしました愛媛県の今治市、それから私ども社会党が現地調査をいたしました北九州市、私の場合この二カ所を見てまいりましたけれども、大変な状況でございます。きょうは、そういうことで私どもが具体的に調査をいたしましたものを中心にいたしまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、造船不況、それにまつわりますところの雇用不安の問題でありますが、質問の第一に挙げたいのは、愛媛県に参りましたときに、県知事も地元今治市長も、せめて佐世保重工並みの援助をしていただきたいと、私どもが受けた陳情の内容はまことに悲壮なものが入っておりました。先ほど越智委員から質問がありましたから、あらかたの考え方はわかっているわけでありますが、私はまだ釈然としていない点がありますので、続いて、まずこの問題について、お尋ねをしたいと思うわけです。  最初に、これは運輸省の造船課長に事務的なお伺いをしたいのでありますが、去年の一年間の全国の造船企業倒産は何件ですか。
  63. 間野忠

    間野説明員 五十二年度に二十四件の倒産がございました。
  64. 森井忠良

    森井委員 そこで、ちょっと例が出しにくいのでありますが、佐世保重工並みの援助をしたものは何社ありますか。
  65. 間野忠

    間野説明員 佐世保重工並みとおっしゃったことにつきましては、先ほども現在われわれのやっておることにつきまして政務次官からも申し上げたとおりでございます。ただ、五十二年度に起こりました二十四件の倒産のうち、非常に小さいものも数では多く含まれておりまして、こういうものにつきましては、われわれも全く知らないうちに倒産してしまって、新聞で後から知ったというものがございます。数では、こういうものが非常に多うございまして、私どもの本省レベルで、経営者側から特定の問題について役所のできる範囲内で協力をしてくれというふうに頼まれて、その方向で努力したのが数件ございます。
  66. 森井忠良

    森井委員 先ほどの越智委員の質問に対して、申し出があれば運輸省としてもお手伝いしたいという意味の答弁があった。いまの御答弁では、二十四社倒れた中でわずかに数社、言うなれば少しお手伝いをしたという程度でありますが、私は運輸省の態度は、そこに問題があるように思うのですよ。考えてみますと、造船も一ころは御承知のとおり好況に次ぐ好況の時代があったわけです。そしていまは、先ほど来明らかになりましたように、受注が大幅に減って困っている。一体運輸省は何のためにあるのですか。私は、造船に関しても一定の行政を持っている以上は、見通しを立てないままに今日まで推移した責任というのは大きいと思う。なかんずく、先ほど申し上げましたように、去年だけでも二十四社も倒れておって、運輸省として、言うなればてこ入れをした会社と、てこ入れをしてない会社があるというのは、こんな差別がありますか。そのことが、先ほど申し上げましたように、愛媛県の県知事や市長さんから、とにかく佐世保重工については、あれだけの手助けがしてもらえて、あの今治市の波止浜湾に面している、言うなれば造船企業の団地です、そこには何ら手を入れてくれてないという不満がある。御案内のとおり、これは知事さんがそのままおっしゃったことを申し上げますと、私は自民党の推薦で出た知事です。しかし、自民党員であっても、どうしてもこの差別はわからないということを言われている。政務次官、一言これに対する御感想を伺いたい。
  67. 三塚博

    ○三塚政府委員 いま造船課長が言われましたようなケースでありますが、佐世保と波止浜、端的にいま御指摘ありましたから、波止浜の取り扱いの問題について申し上げますならば、ごあっせん及び救済についての誠意において、運輸省においては軽重はなかったわけであります。先ほど申し上げましたとおり、佐世保救済されるかどうかということの問題については、ただいま、まだ不確定要素が多うございまして、マスコミが伝えますように、それは再建が決まりましたというものではないわけであります。まさにINGの進行形の中にあるわけでありまして、そういう意味で波止浜の場合につきましても、知事を初め関係者の皆さんから、そういう御要請があり、これについて運輸省側といたしましても誠意を持って当たったというふうに考えております。若干、その経過の中におきまして、株主間、経営者間において、あるいはこれに携わる金融団におきまして合意を得られず、最悪の状態になったということについては、きわめて遺憾なことであったというふうに考えておるわけであります。
  68. 森井忠良

    森井委員 具体的に申し上げますけれども、波止浜造船の場合は、多度津というところへ百五十六億円の金をかけて新しい造船所をつくっているのですよ。つくったとたんに仕事がなくなって倒産をした形になっている。新工場の建設というのは倒産と非常に大きなかかわり合いを持っているのです。新工場の建設については、企業が勝手に新工場を建設できるものではないのです。いいですか。ちゃんと運輸省が認可をして新設の工場をつくっている。つくったとたんに仕事がないような時期に判こを押したのもおかしいと私は思う。運輸省の指導責任をどう感じていますか。
  69. 三塚博

    ○三塚政府委員 きわめて、その御指摘に対しては謙虚に受けとめなければならぬ問題であります。しかし、先ほど申し上げましたとおり、こういうようなきわめて深刻な社会経済状況の中におきまして、本問題についての救済、あっせんという問題については誠意を持ってやったのでありますが、越智委員の際にも申し上げましたとおり、自由主義経済体制の中における企業の自主性、それから再建への株主の合意、さらに経営者間の合意というものが、これを決定していくわけでございまして、この点について運輸省側として一生懸命やられたわけでございますが、その間の合意が得られず、結局、最悪の状態に相なったわけであります。  そういうことでございますが、さりとて、このことはもう企業自身のまるきりの責任であって運輸省としては責任がない、こういうことで申し上げているわけではございません。こういうことについて、ただいま手続等が進んでおるわけでございますから、この進行とにらみ合わせながら今後に対応していかなければならぬと存じておるわけであります。
  70. 森井忠良

    森井委員 基本的な姿勢で私は御注意を喚起しておきたいのでありますが、先ほど造船課長が言いましたように、去年二十四社倒れておる。一度に倒れたのではないのです。順次、情勢が悪くなって次から次へと倒れていったのです。先ほどのお話ですと、運輸省の指導を受けたのはそのうちの数社、あとは関係ない形、こういう答弁がございました。なるほど三塚政務次官が言われますように、これは経営者の責任ですよ、一番大きなのは何といったって経営者の責任。しかし、船一そうつくるにしても、いまの造船にまつわる法制では、勝手にはほとんどできない仕組みになっているのですから、やはり運輸省はそういう意味で指導責任もある。経営者の責任もあるが、指導責任というのは免れない。  そこで、いまからでも遅くないです。私は波止浜造船も見まして、率直なところ、まあまあそう悪い会社じゃありませんでした。いい会社だと思いますよ。しかも、地場産業地元の信頼も厚いという会社なんです。行きましたら、大方九〇%ぐらい完成をしている船が、いま残骸のような形で残っていました。途中でキャンセルになったわけですね。九割も船は完成している。したがって、私は率直な感じを言えば、このままつぶれて、もとのもくあみにしたくない、できれば立ち直らせたいという気持ちがあるわけです。これは判断は裁判所がするわけでありますが、恐らく更生決定はまあ間違いないところでしょう。そして管財人の推薦も、これは県知事でしたか、市長でしたか、もう終わっている。そういう言うなれば倒れたけれども、地力もあるし、地元からの要望もあるし、市長は目の色も変わっておるわけですから、したがって何とかこれを立ち直らせたいということで、みんな必死になっている。  そこで、一つは、これから管財人を中心にして再建が始まるわけでしょうけれども、もとのままとまでいかなくても、時間をかけなければなりませんが、立ち直らせるために、積極的に国が援助する必要がある。このことを第一に運輸省にお伺いしたい。  それから二つ目は、これは主として労働省でありますけれども、まだ労働組合が残っておるのです。実際には保安要員を抱えて、あとは全部散り散りばらばらなんですよ。手帳をもらって、いま呻吟しているわけですけれども、一日も早く会社を立ち直らせて、もとの従業員を使ってもらいたいということが、これは当然のことでありますが、言われています。そこで、法的には、もちろん労働組合があっても、相手が管財人その他でありますから、なかなか交渉もむずかしい。いま努力がされているのは、労働組合が細々と、散っていった従業員の住所とか電話番号とか氏名とか、そういったものを辛うじて維持しているにすぎない。しかし、造船労働力というのは一挙にできるものじゃありませんよ。少なくとも長い年月の経験を経て、あの造船労働力というものができるわけですから、労働組合と交渉する問題、あるいはいまの労働力が、いずれまた、いつの日かに再建ができれば帰れるような便法、そういったものについて特段の配慮を私は要求しておきたいと思うけれども、この点につきましては、ひとつ労働省の方から御答弁をいただきたい。
  71. 三塚博

    ○三塚政府委員 ただいまの御提言につきましては、肝に銘じまして今後に対応してまいりたいと存じます。  九〇%で放置をされておる船につきましても、これの継続のめどがついております。  問題は資金的な面でございます。さような面について、省担当局中心としまして今後に対応し、更生決定後につきましては、その状態を見まして、対応でき得る最大限の努力をしてまいるつもりでございます。
  72. 北川俊夫

    ○北川政府委員 いま先生御指摘のように、全員解雇をされてしまった後といえども、解雇そのものについての条件の問題、あるいは今後の再建に伴う再雇用の問題等につきましては、使用者はもちろんのこと、いま波止浜造船では財産保全人が任命されておりますけれども、これは使用者と同じ立場にございますので、当然、労働組合と十分話し合いをすべきもの、そういうことを考えておりますし、必要に応じては、その点は十分行政指導をいたしたいと思います。
  73. 細野正

    ○細野政府委員 御指摘の、再建をする場合に、従来その業務に従事しておられた方というのは非常になれているというふうな側面から見て、できるだけ再雇用するということが望ましいという点は、私どももそういうふうに一般論として考えるわけでございますが、具体的には、いま労政局長がお答え申し上げましたように、労働組合関係の方々とのお話し合いの中で、そういうことも決められるべきものじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  74. 森井忠良

    森井委員 特にお願いをしておきたいのは、いわゆるよく言われる不況のときのどさくさで、組合の活動家を再雇用の場合、後に回すとか、もういろいろ申し上げませんけれども、問題がありますので、その点についてもぜひ御注目を願って、先ほど申し上げましたように、労働力の確保とあわせて鋭意御努力をいただきたいと思うのです。  次に、構造不況業種指定の問題ですけれども、これは私が見に行きました北九州でも、鉄の関連の下請等についても言えましたし、波止浜の場合も恐らくそうだろうと思うのですけれども、親企業構造不況業種として指定をされた。しかし関連企業指定をされてない場合が多い、この問題であります。いまはどの程度取引があれば関連企業構造不況業種として指定をされるのか、まず、その点からお伺いをいたします。
  75. 細野正

    ○細野政府委員 関連企業適用の問題については、一つには、先生も御案内のように、指定をするときに、造船についてはかなり広く関連企業を拾っておりますので、そういう意味で法の適用について相当思い切った適用拡大実情に合わせてやったというふうに考えております。  それからもう一つは、先生お尋ねの、それでもなおかつ、指定されている業種以外の業種であって、したがって当然には適用にならぬけれども、親企業との関連で、その密度が深い場合には、これを救っていこうというのが離職者臨時措置法の中にあるわけでございます。その場合の判断基準としましては、おおむね親企業との間に五〇%程度という取引関係というものを私どもとしては基準にいたしておるわけでございます。
  76. 森井忠良

    森井委員 そのおおむね五割というのが問題なんです。構造不況業種で、下請にもうほとんど回せないというようなときがありますね。どちらかというと、大企業というのはまず自分のところの従業員をかわいがりますから、いままで下請がやっておったような仕事を本工にやらせるというようなケースがある。これは現に数字ではっきりしておるわけでありまして、造船の場合を見てまいりましても、四十九年と今日と比較すると、下請の労働者は大幅に減っておるけれども、そのわりに本工の傷つきが少ないという形になっている。そうしますと五割というのは、取引の関係でかなり無理があると私は思うのです。いま、あちこち回ってみますと、みんなそのことを訴えています。おおむね五〇%というのは、つまり他の五〇%は要するにほかの仕事をしているということになっておるわけですけれども、この際、検討し直す必要があるのではないか。五割のシェアを持っている企業が取引がなくなったら、それは大変なことはわかる。しかし、三割では影響がありませんか。私はこの問題は非常に重大だと思うのです。この五割というのはもう少し前向きに考えてもらいたい。おおむね五〇%、おおむねという言葉を使ってあるのだから四九%ならいいのかもしれませんけれども、では四五%はどうかということになりますと、私は、思い切って少なくとも三割ぐらいまで下げてもらわないと一これはどこへ行っても聞きます。ぜひ再検討してもらいたいと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。
  77. 細野正

    ○細野政府委員 先生御指摘の五〇%の問題でございますが、二つ考えなければならない問題があると思うのでございます。  一つは、適用になるという方から見てくると、適用にならぬのは不公平じゃないか、逆に適用にならない側から見ると、たとえ一〇%でも一五%でも関係があれば、みんな救われてしまうのだというのは、これまた非常に不公平になるということになるわけであります。したがって私どもは、関連を見る場合には、五〇%という、これはおおむねということで弾力的に考えるつもりではおりますけれども、そこのところを動かすのは非常に困難じゃなかろうか。ただし、先生の先ほど来御指摘がありますように、造船なんかは非常に不況関係が長うございますから、したがって、その間に変化してきているじゃないかという要素が一つありまして、ですから、その辺のところは五〇%の見方について、見方をもう少し弾力的に考える余地がないかというふうなことで少し検討さしていただきたい、こういうように思っているわけでございます。
  78. 森井忠良

    森井委員 だから、問題は二つあるわけですよ。一つは五〇%そのものが問題だし、もう一つは、ことしは四〇%だけれども二年ほど前は五〇%取引があったという会社もあるわけだから、後の方については配慮するというわけですね。  前の方についてはどうですか。これは実際五割というのは無理ですよ。せっかくの法律が死んでしまいますから、せめて一〇%以上は下げて、やはり五割というのは無理だから、たとえばおおむね四〇%とか、いま具体的な数字を挙げましたから答弁はしにくいかと思うけれども、これも実情に合わせて検討していただく、その点についてはどうですか。実情に合わせて再検討するということについては。
  79. 細野正

    ○細野政府委員 先ほども申し上げましたけれども、一つの制度を適用する場合に、事業所単位で現在考えておりますので、その事業所が本来対象業種になっていれば、これは全然問題はないわけであります。対象業種でないものを救うとなると、これはやはり親企業との間に密接な関係があって、いわば親が転げると子も転げるという関係だというふうに考えざるを得ないわけでありまして、そういう意味からいうと、やはり五割という線は、そのものを適用する場合の基本的な考え方として、社会的にも一般に認められている考え方じゃなかろうか。  ただし、そうは言っても、厳密に数字的に五〇というものを何としても、たとえば五〇ならいいけれども、先ほども御指摘のように、四九ならだめだというほどの固執の仕方をする必要もなかろうということで、おおむねということで、ある程度弾力的に考えさしていただいているわけですが、これを大幅に下げる点につきましては、やはり先ほども申しましたけれども、他の適用にならないところ、それとの間の不均衡問題というのが今度逆に大きくなってくるという点もございまして、おおむね五〇というところは、私どもとしては考え方をそのまま続けさしていただく。  そうして、むしろ問題になるのは、造船等のように長い間不況が続いていると、一生懸命努力して、ほかを開拓していっているところが割合が五〇%を割ってしまったという、ほかの事業への転換を努力すればするほど適用から遠ざかるという関係が出てくるわけでございますから、そこのところは私どもも、やや長期的に見るなりなんなりして、そこのところを弾力的に考えていく余地はなかろうかという検討をいまやっているというわけでございます。
  80. 森井忠良

    森井委員 それではこの問題は、おおむねというのはケース・バイ・ケースで判断をしたいという意味も含まれていると理解をしまして、次の問題に移りたいと思うのです。  もう一つは、離職者法ができましたのが私どもが判断をしているより少し遅かったわけでありまして、その意味では幾つか問題が出ています。たとえて言いますと、会社の経営がもう非常にぐあいが悪くなった。したがって最初は希望退職を募る。よくある手でありますが、名前は希望でございますが、実際は強制退職と同じ意味があると思います。希望退職を募って一たん人員を整理した後で、今度は会社が本当にどうにもならなくなって倒産をする、こういう場合があるわけですね。ところが、いわゆる第一回目の希望退職を募った時点では離職者法はなかった。その後、離職者法ができて、その後、倒産をして残り全員解雇、こうなるわけですね。こういう場合に、残りの全員解雇の方々については当然、離職者法が適用されますけれども、それ以前の問題については、つまり法律ができていなかった時点で希望退職をしたというふうな場合、これは希望退職といいましても結婚とかそういった意味じゃありませんよ、個人的な理由でなくて、言うならば会社の人員整理の計画の一環として退職をした、こういう場合に、そういった方々は適用されないのではないかという声が現地にありまして、言うなれば離職者法の弾力的運用をしてほしいという、これも非常に沈痛な要求があったわけでありますが、こういう場合は、私は後の方にアクセントをかけるべきであって、やはり両方とも適用すべきだと思うが、いかがですか。
  81. 細野正

    ○細野政府委員 造船関係特定不況業種離職者臨時措置法適用につきましては、昨年の七月に造船法に基づきます操業度勧告を行いまして、それに伴います離職者につきましては、いま御議論いただいております波止浜造船も当然その対象になったわけでございますが、そういう方については転換給付金制度というものを雇用対策法に基づいて適用していたわけですが、その適用を受けておられた方につきましては、本年の四月一日までに発給申請をしていただいていれば当然、新しい離職者法の適用を受ける、こういうふうな措置をいたしておりますから、したがいまして四月一日までに手帳が発給していただければ、先生御指摘のような方については法の適用になったというふうに考えておるわけでございます。  ただし、いまのお話は希望退職という問題がもう一つ重なっておりますから、希望退職の問題につきましても、実質的には企業側からの退職についての勧奨等を受けてやったものであるというような場合には、よく実態を見まして、単に希望退職なのか、それとも人員整理なのかという形式論だけではなくて、よく実態に即して私ども判断させていただきたいというふうに考えております。その点については、よく第一線にも徹底を図りたいというふうに考えております。
  82. 森井忠良

    森井委員 非常に前向きな答弁で安心をしたのでありますが、現地から、そういう声がある以上は、しかも委員会として正式に調査をしているわけでありますから、この点についてはぜひ実態を調査していただいて、あなた方の意思が届いていなければ、ひとつ是正をするようにしていただきたい。  次に、北九州市の問題でありますが、これも労働大臣、大変なんですよ。いま有効求人倍率が幾らになっていますか。
  83. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  五十二年の年平均が〇・二四倍、五十三年二月が〇・二二倍であります。
  84. 森井忠良

    森井委員 五十三年二月が〇・二二。私どもが聞いたのはすでに〇・二を割っていると聞いたけれども、そうすると、もっと後の時点でしょうか。
  85. 白井晋太郎

    ○白井説明員 五十二年二月でございます。
  86. 森井忠良

    森井委員 それでは多分三月の数字かもしれませんけれども、これがまた下がって有効求人倍率は〇…二を割るという状態であります。これは先ほどの今治でも、まだ〇・三六でしたか〇・三二ですか、それから佐伯市でも、まだ〇・三ということでありましたけれども、北九州という人口百五万も百六万もある市で求人倍率がここまで落ちているのですよ、労働大臣。これは類似都市、いわゆる政令都市で、こういう有効求人倍率の都市がありますか。
  87. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答え申し上げます。  同じくらいの人口のところを比較いたしますと、札幌か〇・二〇になっおりますが、あと福岡〇・三二、神戸が〇・三〇、川崎が〇・五六というような数字になっております。
  88. 森井忠良

    森井委員 注意を喚起するために、ちょっと申し上げるのでありますが、北九州市というのは、もう改めて申し上げるまでもないと思うのでありますが、鉄の町、石炭の町でしょうね。そのどちらもが、いま御案内のとおり悪いわけであります。八幡製鉄に例をとってみますと、三十七年に従業員が四万三千人おられた、いまもう二万人を割っているのですね。先ほど申し上げましたような求人倍率がそこまで落ちている。これは他の中小都市に比べれば都市はマンモスだけれども離職者法によるいわゆる地域指定がどうなっていますか。
  89. 細野正

    ○細野政府委員 離職者法第二十条第二項による指定地域にはまだ指定をされておりません。
  90. 森井忠良

    森井委員 指定をされる意思はありますか。
  91. 細野正

    ○細野政府委員 これは県ともよく相談をいたしまして指定をするならばする、こういうたてまえになっております。
  92. 森井忠良

    森井委員 北九州市と言えば日本の代表的な工業都市ですね、歴史が非常に古い。ただ、古いだけに設備の旧式なのが非常に多い。だから、新しく工場を建てて他の都市へ逃げる、ここに数々の問題点が出ていました。端的な例を挙げれば、たとえば日本板硝子。これはもうガラスメーカーでは大手ですけれども、ちゃっかりと舞鶴の方に新鋭工場をつくっておいて、そして、できたら発祥の地である若松の工場は閉鎖、さようならというわけです。そういうふうな形態が非常に多い。それから、素材産業が多いというのも問題でして、いわゆる知識集約型といいますか、付加価値の高い業種への転換も必要であります。  こういうふうに見てまいりますと、少なくともわずかの地域指定ぐらいじゃ事足りませんけれども労働省としても言うなれば重点地区という理解をして、いろいろな意味で雇用失業情勢というものについて、いろいろな施策を具体的に行っていく必要がある。こういう点からすれば、地域指定等については、他の先ほど話のありました今治もそうですけれども、いずれにいたしましても地域指定はぜひともすべきだと思うけれども、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  93. 細野正

    ○細野政府委員 地域指定の直接的な効果は、公共事業等についての吸収率であるわけであります。したがいまして、そういう点についての公共事業等を重点的にそこで実施をし、あるいは、そこに吸収率を課していくというふうな、そういう場所として適当かどうかという点については、県なり市なりの判断というものが非常に大きく物を言うわけでございますので、その辺の事情をよく検討いたしました上で私どもも判断させていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  94. 森井忠良

    森井委員 たしか、あの市は四千数百億ぐらいの年間の予算じゃないかと思うのですけれども、市長に聞いてみますと、その中で一千億は公共投資に回す、そうでもしなければとてもやれないという状態であります。したがって、いまの局長の答弁を受けて、いずれにしても具体的な検討を始めていただくように強く要求をしておきます。  そこで通産省にも、この際お伺いしておきたいわけですけれども、先ほど申し上げましたような歴史の古い都市ではあっても、日本の代表的な工業都市ではあっても、どちらかというと、すでにこのまま放置すれば衰退の一途をたどるという形になっています。北九州市というのが日本の代表的な工業都市だとすれば、これから通産省としても一体どういうふうな援助をしていこうとするのか。あるいは市の将来にわたっての発展というのは、北九州市の場合は工業を度外視してない。二次産業を中心にして発展するしかないと思うけれども、非常に大きな質問で恐縮だが、私は、通産省としては、北九州市というからには、それくらいの指導方針はあってもいいと思う。いかがですか。
  95. 有岡恭助

    ○有岡説明員 通産省といたしましては、個々の地域開発につきましては、できるだけ当該地方公共団体が中心になりまして取り組んでいただくということが望ましいのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  北九州市につきましては、御承知のとおり四十九年に基本構想がまとめられまして、これを実施いたしますために現在、委員会をつくりまして、都市機能、都市環境の整備に関する調査を進めているわけでございますが、この中におきまして、臨海部につきましては環境保全を念頭に置きながら素材型工業の近代化を図る、市街部の住工混在地域の解消のために域内再配置を進めまして、工場跡地の公共利用を図るというようなことを検討しているというふうに聞いております。  通産省といたしましては、大都市の工業の適正配置あるいは工業構造の近代化ということは必要であると考えておりますが、しかし他面、それが雇用の問題あるいは下請企業の問題、財政収入の問題等、都市経済に与えます影響が非常に大きいという点を考慮いたしまして、実は本年度からモデル都市に委託いたしまして大都市の工業構造の調査を実施するということにいたしたわけでございます。私どもといたしましても、先ほど申し上げました北九州市の調査結果を見まして、今後どのように市に御協力申し上げられるか、あるいは企業を指導していけばいいかというようなことも判断、検討さしていただきたい、かように考えている次第でございます。
  96. 森井忠良

    森井委員 それでは北九州の将来にわたる問題については、いま以上に市当局と相談をしていかれる意思があるわけですね。
  97. 有岡恭助

    ○有岡説明員 そのとおりでございます。
  98. 森井忠良

    森井委員 では、次に移りますが、労働大臣、鉄が冷えたというだけでも、これはずいぶんたくさんの人員整理が行われ、事業の縮小が行われているわけですね。これはもう時間がありませんし、あなたもお時間があるようですが、とにかく、せっかく離職者法でありますとか、あるいは雇用保険法でありますとか関係の法律等がありますから、ぜひひとつ部下を督励をして、何とか一日も早く雇用不安をなくするように御努力をいただきたいと思うのです。  大臣、実は私ども調査に入りましたけれども労働省も調査に来たかと言ったら、来ていないと言うのですよ。いま申し上げましたように、求人倍率は〇・二を割っている。日本の代表的な工業都市がお先真っ暗という状況であります。しかも、私ども野党すら見に行ったのに、労働省が調査団も派遣してくれていない、見てくれていないという不満があるのですよ。どうですか、これは。
  99. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘のように、北九州市の鉄鋼、平電炉、こういった関係が本当に深刻な不況の状態でございまして、御指摘のような実情でございますから、われわれは北九州市の現地にある労働省の第一線行政機関を督励いたしまして、福岡県としては、なかなか積極的に雇用安定資金制度であるとか特定不況業種離職者臨時措置法を活用し、関係機関の連絡会議、いろいろ積極的な対応をしてもらっております。したがって、県、市と十二分に連絡をし、また現地視察の問題につきましても、しかるべき人物に現地調査させよう。ただ、この北九州市が抜けておったという御指摘でございますが、われわれとしては、とりあえず佐世保、長崎、今治、それから沖繩、函館、こういった地帯は、三月下旬でございますけれども政務次官中心に、また地域によっては担当の審議官を中心調査をさせたわけでございまして、御指摘の北九州市についても、われわれとしても現地実情をよく調査して、御趣旨に沿うような雇用対策について万全を期したい、このように考えます。
  100. 森井忠良

    森井委員 それでは一つ二つ例を挙げて申し上げたいと思うのですが、安川電機という会社があります。これはもう御案内のとおり、歴史の古いりっぱな会社です。技術水準も非常に高い。ところが、ここは御案内のとおり重電、そして製品はスイッチと汎用モーターが主力になっているわけですね。民間設備投資と非常に関係があるわけです。私どもお邪魔をして、いろいろ事情を聞いたのでありますが、昭和五十一年に八百名余りの人員整理をやっておられる。そして、ことし三月に実質九百人余りの人員整理計画、そのうちの七百数十名というのは首切りで、一部が配置転換です。首切りというのは語弊があるかもしれませんが、要するに希望退職を募るというやり方であります。これには労働組合も反発しているし、行政機関もいま、まゆを曇らしておる。何とか立ち直ってほしいということで話し合いをいたしましたけれども、電機メーカーでありますから、たとえば新たな事業分野の拡大というような意思があるかということになると、いまのところないと言う。  しかし、実際は私ども方法は幾つもあると思う。第一、九百名の整理は時期が早い。なぜなら、先ほど来答弁がありましたように、公共投資が行われるだけでも、少なくとも安川電機の場合は、先ほど申しました民間設備投資と関係があるわけでありますから、したがって、これから政府の言うとおり景気が上向くとすれば、特に公共投資に期待をするとすれば、いま早く結論を出さなくてもいいという問題がある。それから二つ目は、御案内のとおり日中貿易、具体的には鉄鋼のプラントというのがすでに調印をされてまいりました。新日鉄と安川電機との関係は非常に提携の度合いが深く、仕事量が多かった。  そのほか幾つかありますけれども、いかにも性急に人員整理の計画を出しておられる。第一回の五十一年のときに、もう二度と人員整理をいたしませんということを労働組合に約束している。もうないと思って労働組合は一生懸命、事業分野の拡大やら、お客さんを労働組合が獲得するぐらいまで協力をいたした。ところが実際には、申し上げましたように、また九百名という事実上の首切りが出ているわけであります。  そこで、お伺いしたいのは、いま申し上げましたように、まだ人員整理の時期ではない、しばらくの間、景気の動向を見る時期だ、これは私は政府も同感だと思う。いままで国会でのたび重なる政府側からの説明のとおり、景気はこれから公共事業中心に上向くのです、こう言っているのですから。上向くかどうか私どもは疑問を持っていますけれども、しかし少なくとも民間設備投資等について、安川さんの部門については、日中貿易というような問題もありますし、そのほか幾つかまだ要因がありますから、時期が早い。  そこで、一つは通産省にお伺いをしたいわけでありますけれども事業分野の拡大について何らかの指導方針はないものか、それが第一。  二つ目は、分野の拡大は仮にむずかしいとすれば、確かに電機業界というのは好況でありますけれども、先ほど申し上げました民間設備投資部門に限ったスイッチであるとか汎用モーターであるとか、そういった業種は、一般の業界の好況とはうらはらに非常に深刻なものがある。たとえば独禁法の不況カルテル等を考慮することはできないものか、この辺についてもお伺いしておきたい。  それから、労働省に対しては、先ほど申し上げましたように、業界としては好況なものでありますから非常に困るわけでありますけれども、しかし一つの企業をとってみれば、私は広島ですから東洋工業もそうなんですけれども、自動車産業は好況、しかし東洋工業は非常にいま不況で、とにかく五千人に上る事実上の配置転換、出向というのをやろうとしておられる。したがって、現在の業種指定にやはり無理があるような気がする。そういう場合に、企業別の指定というのはできないのか。そうしますと、業種指定をして制度の適用を受けるなら、これは一口に申し上げますが新日本製鉄だって訓練調整給付金を受けることができるのでしょう。新日鉄と安川電機を比べて、新日鉄は雇用調整給付金あるいは訓練調整給付金というものが適用になるのに、安川電機だけはできない、こんなばかなことはないと思うのですよ。その点については労働省からお答えいただきたい。時間がないから、ぴしゃっと簡単にお願いします。
  101. 小林久雄

    小林(久)説明員 事業分野の拡大の件でございますが、安川電機といたしましても、従来から水処理システムでございますとか都市ごみ処理システム等の公共部門についての技術開発、それから市場の開拓等を積極的に行ってきているところでございます。また鉄鋼でございますとか、化学、セメント、石炭採掘関係の分野で積極的な輸出の活動も行ってきているところでございます。公共部門からの受注につきましては、オイルショックの前には会社の中で二、三%程度であったものが昨年では一〇%くらいに上がってきているというふうに、企業が積極的な努力をしているところでございまして、私どもといたしましては、こういう企業努力をさらに続けていくように今後とも指導してまいりたいと考えております。  それからもう一点、不況カルテルの点につきましては、業界としてのまとまりの問題が必要でございますけれども、交流電動機、それからスイッチ開閉制御装置の分野につきましては、最近の状況は生産の上昇が見られているところでございまして、現在の段階におきましては、不況カルテルの要件にはちょっと満たないのではないかと考えております。
  102. 向山一人

    ○向山政府委員 安川電機さんの人員の問題等については細かいことは承知しておりませんけれども、先生御承知のように、いま企業にとっても大変大きな転換期でございまして、非常な変革の中で今日、企業経営が行われておりますので、実はなかなか先の見通しがつきにくい時代でございます。特に高度経済成長時代を経てきて今日にまいりまして、業界によっては規模が大き過ぎて、景気が回復しても、とても従来のような規模の維持ができない業界もたくさんあろうと思います。そういう意味では、企業は目下、自分のところが残るために非常なシェア競争をやっているわけでございます。そんな中で一番優劣がついてきますのは、技術の程度の問題が非常に大きく影響しているだろうと思います。したがって、技術のおくれた企業労働省の方で不況業種指定をしてめんどうを見ても、技術の差というのは企業の力でございますので、非常にむずかしい問題があろう、こんなふうに考えております。  労働省の方としましては、不況業種関係業種指定で進めておりますので、個々の企業について、たとえば技術的におくれた企業労働省の方で特別めんどうを見ていくということは非常にむずかしい問題が伴うだろう。いまお聞きしておりまして、そんなふうに考えて、いまのところ業界の関係と連絡をとって業種関係指定をしていくのが今日の段階では適切ではなかろうかと思っております。
  103. 森井忠良

    森井委員 政務次官、いままでも製品別の分け方をしておりますね。それもずいぶんあるのです。もう時間がないから、あまり申し上げませんけれども、たとえば一例ですよ、スイッチ製造業であるとかモーター製造業であるとか、そういうやり方は可能なんですよ。これは民間設備投資と関係があるわけでして、先ほど説明がありましたように公共部門で仕事の獲得ということもありますけれども、現実の問題として民間に依存するシェアというのはうんと高いわけですから、私は物によって指定をするというのは正しいと思う。特に安川電機さんの場合は、まるまるそれだけなんです。ほかはやっていないのです。一般に電機業界というのは、御案内のとおり、非常に幅の広いものですけれども、極端に言えばこの二つの品目しかやっていない。幾つかはあるにしても、これが大部分であるというような場合には、やはり別の考慮があってしかるべきだ。ぜひ再検討をしていただきたい。先ほど申し上げましたように新日鉄は訓練調整給付金をもらえるが安川さんはもらえないというのは矛盾が出てくるのですよ。同じ北九州市で会社の経営状態はどうかと言えば、もう答えは出ているわけです。御心配の技術は、天下の安川で、しにせですから、全くあなたの御心配は当たらないと思う。
  104. 細野正

    ○細野政府委員 特定不況業種離職者臨時措置法なり、あるいは安定資金制度なり、いずれも先生御存じのように、業種をつかまえて、これによって指定するということになっております。したがって、先生がおっしゃっておられるのは、個々の企業という話については、政務次官が申し上げましたように、これはやはりちょっと困難だと思うわけでございます。  それから、業種というのは、つかまえ方によっていろいろ工夫があるという御指摘でございますが、安川電機の場合も、いま先生のお話がございましたように、汎用モーターの製造業というふうなつかまえ方もできるわけですけれども、そういうつかまえ方をしてみても、現在のところは実は指定をしていないという状況でございます。  しかし、いま先生の御指摘のように、いろんな問題もございますから、今後の生産、雇用状況等も十分見守って、また関係の官庁や業界ともよく相談をして検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 森井忠良

    森井委員 あなたのところは雇用を守るのが仕事でしょう。第一次が約八百名、今度九百名ですよ。合わせて千七百名からの失業がどうなるか、雇用がどうなるかという、これはかぎになっているわけですから、いまの御答弁はかなり前向きと私は理解をいたしまして、この問題を終わります。  時間が参りましたから、最後問題提起と一点だけ御質問したいと思いますが、問題提起は、先ほどちょっと触れましたけれども日本板硝子の問題であります。  これは、たとえば下請関連企業との関係で言えば、工場閉鎖をする場合、六カ月前にちゃんと通告するとなっているのに、いきなり、たしか一カ月ぐらいでしたか、それでもう請負は終わりというふうな返事をしたりして、大変な問題です。第一、雇対法上の届け出義務についても恐らく怠っているのではないかと思う。つまり、新たな工場をつくるときは、ずっと秘密にしておいて、工場ができたから今度終わりますよという形で工場閉鎖。そして関連企業も含めて深刻な失業が出、いまなお労働争議が続いているわけであります。もう時間がありませんから申し上げませんけれども、ひとつ労働省としても十分注目をしてもらいたいし、それから通産省についても、この点については答弁は要りませんけれども、指導方針について、現在なお交渉が続いているわけですから、問題点を整理して会社には強く指導をしていただく、このことを要求しておきます。  それから、質問でありますが、北九州市というのは、私も行ってびっくりしたのでありますが、とにかく雇用労働問題に対する部がないのですよ。政務次官びっくりしていらっしゃいますけれども、それは県の守備範囲ということになっていまして、政令指定都市でも労働行政については県知事に委任をされているわけです。そこで、たとえば雇用問題協議会であるとか、そういうものをつくっても、事務局はどこに置くかというと、民政部社会課でしたか、民政局社会課でしたか、要するに国の官庁の系列からいけば厚生省に入る部門の民政局長が窓口になるような形になっている。事実、ない。何とかこれは、いまこういう状況でありますから、ぜひとも労働部をつくってほしいという住民の要求が出ています。  これはいま役所側の言い分からすれば、あれは県の仕事だということになる。ところが、実際には、現に北九州市長は、私の権限でないからできませんと言っておるのですよ、何事によらず。創意工夫すればできると思う。基本的に言えば、これは国とそれから都道府県の問題、あるいは都道府県と政令都市の事務の配分の問題に尽きるかと思いますけれども、たまたま川崎とか、それから北九州市とかいうのは、政令指定都市であっても県庁所在地でない。川崎の場合は近いですけれども、北九州市の場合は県庁とかなり離れている。現に、県の職業安定課長を呼んで聞きますと、わが福岡県は、わずかに〇・二でありますけれども有効求人倍率は少しずつふえていっている、よくなっていっている、こう言っておるのです。北九州市は、先ほど申し上げましたとおり。何かそこにそごがあるような気がしてなりません。一体、住民のニーズにこたえるためには自治省はどのように指導するか。それから労働省もこれはほっておけない問題です。あそこは市内だけでも安定所は四つか五つあるのですね。だから、これはずいぶん問題があるわけです。一体そういったニーズにどうこたえていくか。労働省としても事務の再配分の問題もありましょうから、この点についてもお答えを承って、納得できれば、質問を終わります。
  106. 中村瑞夫

    ○中村説明員 お答えを申し上げます。  労働部に関連したお尋ねでございますけれども、現在の地方自治法の規定によりますと、市町村の内部組織につきましては条例で必要な部課を設けることができるとあるだけでございまして、具体的な内容について定めた規定はございません。つまり、各団体の判断にゆだねられているということでございまして、そして御指摘の中にもございましたように、現在、労働関係の事項というのは、一般に国及び都道府県の段階において処理することとされておりますので、市町村におきましては、政令市であると一般の市町村であるとを問わず、労働担当の部課が設けられていないというのが一般の実情であるというように存じておるわけでございます。  そこで、今後どうするかということでございますけれども、御指摘の中にございましたように、この種の労働関係の事務につきまして、国と地方との事務の配分、地方団体の間における都道府県と市町村との事務の配分をどうするかということが基本になるわけでございまして、その上で内部組織等につきまして団体の判断ということが出てまいるということになろうかと思うわけでございます。  現在、私どもといたしましては、この事務配分の問題につきまして特に改めなければならないというふうな考え方を持っておるわけではございませんけれども、これは主管省の御意見なり、あるいは関係団体の御要望というようなものがございますならば、それを承りまして、私どもといたしましても適切な対応をしなければならないというふうに考えます。
  107. 石井甲二

    石井政府委員 労働省としての考えをお答え申し上げます。  いま自治省からお答え申し上げましたように、現在の事務配分におきましては、具体的に申し上げますと、職業安定関係、いわゆる職業紹介が中心でありますが、労働基準関係につきましても、労働基準法の施行の問題がございまして、国の事務を都道府県に機関委任をしておるということでございます。  ただ問題は、現在のように、雇用問題を中心としまして、あるいは労働災害問題もそうでありますけれども、まあ、各市が、言ってみれば地域住民の福祉問題という関連におきまして非常に関心を持っておることも確かでありますし、またそういう職業紹介あるいは労働基準の施行に当たっての条件を整備するあるいは環境を整備するという、地域住民の福祉の立場からの対応ということも非常に要求されている問題であろうと思います。  基本的には、先ほど自治省から申し上げましたように、事務の配分の仕方をどうするかという基本問題が根本にあるわけでございますが、現状におきましては、地域住民の福祉という側面から、もし北九州市が、条例の問題はありますけれども、どういう組織で対応するかという問題に当面しているならば、私の方といたしましても、これに対して十分御相談に応じてまいりたいというふうに考えております。
  108. 森井忠良

    森井委員 北九州市の自余の問題につきましては、十八日に田口一男委員から、また続きの質問をいたします。
  109. 木野晴夫

    木野委員長 この際、午後一時十分まで休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時十六分開議
  110. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について質疑を続行いたします。川本敏美君。
  111. 川本敏美

    ○川本委員 私は、今日の深刻な雇用不安の中で、当面しているいろいろな問題点について具体的に二、三お聞きをいたしたいと思っておるわけです。  まず最初に、きのう開催されましたこの社労委員会で、日本社会党から雇用対策法の一部を改正する法律案が提案されました。私は、その提案理由の説明をいたしました。その内容は、現行の雇用対策法第二十一条に定められた雇用変動の届け出制度を改善強化することによって、不適当な大量解雇を規制し、雇用の安定を図ろう、こういう趣旨のものであります。今日の深刻な不況下、雇用不安が進行していることは申すまでもありませんし、本年二月の総理府統計局の発表によりますと、完全失業者数がすでに二月で百三十六万人を超えておる。失業率は二・〇八%ということで、史上未曽有の数字を数えるところまでに至っておるわけです。その上さらに、日経連は賃金問題研究委員会報告というものを出しておりますが、それによりますと、経営者にとって過剰人員と感ぜられ、あるいは整理したいという人の数は大体四百万くらいおると言われておるわけです。私は、昨年末からことしの三月までの間に、八戸とか、あるいは清水港とか、あるいは和歌山市、そういうところへ雇用失業問題の実情調査に行ってまいりました。集中的に発生しておる地域においてはまことに深刻なものがございますし、きょうも、ここへ新聞を持ってきましたが、これは労働大臣もごらんいただいておると思いますが、日経の四月四日の新聞には、退職勧告をされ、佐世保重工の社員が自殺をしたとか、あるいは今治市の波止浜造船では、連鎖倒産で離職したので、びっくりした奥さんが生活苦を心配して赤ちゃんを殺したとか、あるいは一月二十九日の新聞になりますが、倒産したということを聞いただけで、今度は父親が二児を殺して首つり自殺をしたとか、あるいは離職して無職の人が妻の留守中になたで二人の子供を殺したとか、こういうような、いわゆる失業、離職に伴う惨事が連日のように各新聞報道されておる、こういうような深刻な状態を、このまま放置しておいていいのかどうかということは、まことに重大な問題であります。  私は本来から言えば、後ほど申し上げますが、雇用の深刻な実情の中で、労働大臣中心になって今度の国会をいわゆる雇用国会と位置づけて、何とかして、この深刻な雇用不安をなくそうというふうな積極的な姿勢が欲しかったわけです。ところが、残念ながら今日までのところで、労働省全体として、どのような取り組みをしておるのかということについて、まだ明確でない点がたくさんあります。私どもは、きょうは、そういう問題についても若干お聞きしていきたいと思うのです。  実は八戸とか清水港とか和歌山とか調査をしました中で、先ほどの雇用対策法二十一条の改正案に関連してでありますが、これはもう名前を出した方がいいと思うのですが、和歌山市の本州化学という有機化学の工場へ参りました。この工場は大体六百名ぐらいの中規模の上ぐらいのランクの会社だと思うのですけれども、五十三年度の売り上げの計画で見ますと、売り上げ予定が百八十六億九千万円、受け取り利息が三億四千三百万円、合わせて収入合計が百九十億三千三百万円、支出の合計は百九十四億五千五百万円という収支計画でして、五十三年度で差し引き四億二千二百万円の赤字が出るという見通しを持っておるわけです。ところが、その内容を見てみますと、支出の内訳の中に銀行への支払い利息が七億八千万円、長期、短期の借入金の返済に十億九千四百万円、合わせて十八億七千四百万円というものが、いわゆる銀行への借入金返済と金利という形になっている。それを含めて四億二千二百万円の赤字が出る。こういうことのために、この会社は六百人の従業員中二百名を解雇しようということを組合側に申し入れてまいりました。組合といろいろ話し合いをしておるのですけれども、一部未解決の問題は現在、裁判中であったり、あるいは中労委のあっせんにかかっておる、こういうような事態を引き起こしておるわけです。  これは典型的ないわゆる便乗解雇だと私どもは思うわけです。不況ということに名をかりて、まだまだ合理化といいますか、いろいろ打つ手があるのに、企業としてのそういう努力を一切せずに、最も安易な首切りという形で出てきておる。こういうような姿勢が最近、企業の中にだんだんと蔓延しつつあると思うわけです。こういうものを放置しておいたのではどうだろう。この点について私どもは非常に心配でならないわけであります。聞きますと、最近ほかにも、まだまだ企業として企業努力の余地があるにもかかわらず、企業努力を一切放棄して、直ちに従業員の大量解雇という形に進んできておる企業がたくさん見受けられるわけでありますから、何とかして、この点について規制の措置を加える必要があるのじゃなかろうか、こういう観点から、きのう雇用対策法二十一条の改正案を私どもは提出したわけです。  最近の先進ヨーロッパ諸国の状況を見ましても、世界的に雇用情勢というものは悪化しつつあります。こういう世界的な雇用情勢の悪化ということの中で、西ドイツでは一九六九年八月解雇制限法が制定されました。あるいはフランスは一九七五年に集団解雇規制法を制定いたしました。イギリスでは一九七三年に新労使関係調整法による不当解雇の制限、こういうようなことをいろいろ立法化いたしておるわけです。特に西ドイツの解雇制限法を見てみますと、その第一条で、いま申し上げました本州化学の例に見られるような解雇は社会的不当解雇として厳しく制限をいたしておるわけであります。  そういうことを考えますときに、やはり社会党がいま提案をいたしておりますように五十名の雇用変動届け出制度というのを改めていく。現在五十名以上の解雇については安定所の所長に一カ月前に届け出るとなっておるわけですが、私どもは三十名以上にして、やはりこれも都道府県知事に届け出る。さらに都道府県知事は地方職業安定審議会の意見を聞いて、不適当と認めたときは事業主に対して勧告をすることができる。こういうような点を中心に今度の改正案を考えておるわけですけれども、このような点について労働大臣としてはどう考えておられますか。
  112. 藤井勝志

    藤井国務大臣 まず前段の問題について、ちょっと触れさせていただきますが、雇用問題に対して労働大臣がもっと積極的な姿勢を示して、雇用国会というようなことにイニシアチブをとるべきではなかったかという御指摘でございますが、実は今度の国会は労働大臣を飛び越えて、もう内閣全体が、不況脱出と雇用安定ということを大きな政治課題として、まっしぐらに進んでおる。その雇用を安定するやり方について、与野党において、いささか手法が違っておる。われわれの方は、公共事業を主軸として積極果敢な財政運営をやって景気の回復を図り、それを背景にして雇用の安定を図っていく。雇用対策雇用対策で別途いろいろ具体的に施策を展開をする。こういうことでございます。したがって、決して現内閣が雇用問題を十分認識していないということではなく、この点はひとつ御理解をいただきたい。  私は、その当面の所管の労働大臣として、微力でありますけれども全力を尽くしたい。特に雇用問題を突き詰めて考えると、労働省の枠組みでは解決できない雇用機会拡大ということを解決しなければ本当の問題の前進には届かない、こういう考えをもちまして、いろいろ現在も工夫をし施策充実に苦労している、このようなことをまず前もって御理解をいただきたいと思うのであります。  それから、雇用対策法第二十一条に関連する具体的な御質問でございますが、これは大量解雇をするというような変動のある場合に届け出をするということで、現在一カ月に五十人以上変動を生ずるような場合には公共職業安定所に届け出が義務づけられておる。この制度の改善の問題につきまして、先ほどからるる具体的な悲惨な、現下の厳しい雇用不安に悩む大衆の現状を御指摘になりまして、私も状況は全く厳しいというふうに新聞を見ましても感じておるわけでございまして、そのため、また特定不況業種離職者臨時措置法第七条との兼ね合いにおいても、この際五十人の届け出義務というものを三十人に下げるということについて前向きで検討すべきであると思うわけでございます。それと同時に、雇用対策を今後、効果的に進めていくために、法律の趣旨が生かされるように、従来設けられております地方職業安定審議会を本来の機能に沿うて活動ができるようにこちらからもまた指導していきたいと思っております。
  113. 川本敏美

    ○川本委員 大臣から前向きの答弁をいただきましたので、私は深くかかわりませんけれども、地方職業安定審議会といいますのは法律では月一回ということになっておるが、現実には年二回くらいのところが多いんじゃないか。私も昔、地方職業安定審議会の委員をしたことがある。最初の発令されたときの顔合わせと、任期満了したときの最後のお別れと二回集まるだけで、あと開いてない府県が実際は多いんじゃなかろうか。私どもは、そのときに毎月だということでがんばったのですが、いろいろな委員意見もあって、二カ月に一回ということで年六回開いたこともあるのですが、それはまだ優秀な方だろうと思うわけです。そういう意味において、これはお金もかからぬことですから、ひとつこういう際には毎月開かしていく。この際に、えりを正すというふうに、いま労働大臣もおっしゃいましたが、ひとつ強力に指導をしていただきたいと思う。  三十名に基準を下げるということについては大臣、前向きということですけれども、本来この雇用対策法の二十一条というのは、情報をできるだけ早く収集するといいますか察知をする、そういう意図で設けられた条文だと思うわけです。これを解雇の規制に当てはめようということになりますと、今日この文言だけでは、やはり問題点があるんじゃなかろうかと私は思うわけです。  そこで、これは私一つ指摘だけしておきたいと思うのですけれども雇用対策法の第一条にいわゆる「事業主雇用の管理についての自主性を尊重」という言葉が入っております。この自主性の尊重ということと、社会的に不当な解雇というものとが、最近の雇用情勢の中では一つの問題点として世界的に出てきておる問題じゃなかろうか。だから雇用対策法の第一条における「事業主雇用の管理についての自主性を尊重」すると同時に、あわせて社会的に不当と思われるものについては、審議会の意見等を聞いて都道府県知事あるいは大臣が、それを制限していくようなことも考えざるを得ない時期に来ておるのではなかろうかと私は考えておるわけなんです。この点についても、あわせて申し上げて、ひとつ今後の検討課題にしていただきたいと思うわけです。  次に、今度の私の調査を通じて感じましたことは、一つは中高年齢法の問題なんです。  そこで、労働省の方へお聞きをいたしますと中高年法第十二条による求職手帳の発給についてでありますけれども、五十一年には四千九百六十七名、五十二年は、四月から五十三年の二月までの統計しかわからぬそうですけれども、三千二百四十九名、これだけ手帳が発給されておるわけです。ところが雇用保険の、新規の離職者といいますか、申請者の数は、五十一年で大体百四十三万人くらいおるわけです。五十二年で大体百五十五万から百六十万近くになるのじゃなかろうかと推定されるわけです。この雇用保険の受給者数と中高年法の第十二条による求職手帳の発給の件数が、こんなにも隔たりがある。この点については、どこに問題点があるのでしょう。なぜ、こんなに少ないのでしょう。この点について、まず局長からお答えをいただきたいと思う。
  114. 細野正

    ○細野政府委員 先生から、いま御指摘ございましたように、保険の受給者の数と手帳の発給者の数との間に大きな差があるということは御指摘のとおりでございます。その原因でございますけれども、結局、中高年齢の求職者でありましても、その大部分は雇用保険の受給者になっておられるわけでございます。一般に雇用保険の給付の方が手帳による就職指導手当よりも高いわけなんです。したがいまして、そういうことから保険の受給者というものは手帳の発給を受けずに求職活動を行っているという状況でございまして、これが一番大きな先生御指摘の数の差の原因ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  115. 川本敏美

    ○川本委員 私はやはり、一つは手帳発給の条件が厳しいんじゃなかろうかと思うわけです。失業者であることとか、あるいは四十五歳以上とかいう年齢制限、あるいは所得についても一定の制限があります。あるいは就職活動が熱心でなければいけないとか就職促進措置を受けるとか、いろいろ制約されておるわけですけれども、私は一つ問題があると思うのは、雇用保険法の失業給付を受けている人の場合は、失業給付を受け始めた日から二カ月以内に手帳の発給の申請をせにゃいかぬ、こういうことが一つの問題としてあるんじゃなかろうかと思うわけです。もし、この期間に、二カ月以内に発給の手続をしなかったら向こう一年間できない、こういうような制限があるわけですね。ところが雇用保険の手続に最初、求職手続に行ったときに職業安定所で現在そういう説明がなされておるのかどうか、この点についてどうなんでしょう。
  116. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 失業保険受給者につきまして、二カ月以内に発給申請をしなければならないと言っておりますのは、失業保険をもらう道を選ぶべきか、あるいは手帳の発給を受けるか、どちらかを選択する期間だというふうに考えております。
  117. 川本敏美

    ○川本委員 そういうやり方をしておるのですか。その点についても、現在、雇用の問題で集中的に失業発生をしておる安定所の窓口では、とても職員の数が少なくて、個別にやってくる求職者に一々、中高年齢法はこうだとか、あるいは雇用安定の四事業はこうだとか、いろいろなことを具体的に説明する人数も少ないんじゃなかろうか。とても間に合わないんじゃなかろうかというような点もあろうと思うのです。  私は、いま申し上げますように、一つは、この二カ月以内という制限は、現実には、やはり申請してから一カ月かかるとすれば、大体三カ月ぐらいかかるんでしょう。その間に時間がたってしまうというような問題もあろうと思うのです。この問題について、もう一度再検討する必要があるのではないか。この点についてお聞きしたい。  それからもう一つは、これは個別延長とも関係があるわけです。これは雇用保険法二十三条の個別延長ですね、これの政省令事項とも関係があるわけなんですけれども、最初この四十五歳以上という年齢が定められた当時の四十六年の国会の議事録等を拝見いたしますと、当時四十五歳から上を中高年齢者と決めるときの一番の原因は、求人倍率が一・〇を割っておるということで、四十五年に四十五歳以上が〇・七〇、この数字を押さえて、一・〇を割っておるから四十五歳以上というのは再就職が非常に困難であろう、こういう点から中高年齢法においても、あるいは雇用保険法の二十三条の個別延長に係る部分についても四十五歳以上となっている。ところが今日、一・〇を割っておるというのはもう常識ですね。先ほど森井議員の質問にもありましたけれども、北九州市なんかでは全年齢で〇・二〇を割っておるという状態の中で、当時、中高年齢が再就職困難だというた〇・七〇から見ると、およそもう全年齢がそれ以下になってきておるという状態にあるわけです。そういう状態の中で今日、中高年齢法の四十五歳というものが、そのままで妥当なのだろうかどうだろうか、こういう問題点がやはり問題として一つ出てくると思うのです。四十五歳以上について見ますと五十年が〇・二〇、五十一年は〇・二三、五十二年は〇・一九です。全年齢で見ても五十二年は〇・五七ですから、すでに〇・七〇以下という実情にあるわけです。私は、こういう求人倍率の変動から見て、今日、先ほど申し上げました手帳の発給の要件になっておる四十五歳以上の年齢、あるいは個別延長の要件にもなっておるわけですが、これを四十歳ぐらいまで引き下げるということが、今日の雇用情勢の中で緊急な課題ではなかろうか、こう思うわけです。この二点についてまずお聞きいたしたいと思います。
  118. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 まず一番最初のお尋ねでございますが、確かに、その二カ月という期間につきましては、誠実かつ熱心な求職活動をするという要件との絡みもございまして、そういう制限をしておりますが、おいでになった求職難の方々につきましては制度の周知徹底を十分尽くしたい。まあ職員の問題もございますけれども、やはり私どもとしては十分制度の周知徹底をいたしたいと考えております。
  119. 望月三郎

    ○望月説明員 個別延長給付の当面の措置の点でございますが、先生御指摘のように、確かに四十五歳以上でも、いま非常に求人倍率が低くなっているということで私ども憂えておる次第でございます。しかしながら個別延長給付の当面の措置につきましては、先生御承知のように、最近の厳しい雇用失業情勢のもとで特に就職が困難という高年齢者につきまして個別延長給付制度の特例措置としてやっておるわけでございまして、ことしの一月から二回目の延長をやっておるわけでございます。そこで、一番問題になるのは、やはり雇用機会が不足しておりまする地域についてでございますが、すでに対象年齢を四十五歳まで繰り下げるという措置を御承知のように講じておりまして、そういう意味で先生の御指摘の特に雇用事情の悪いところについては対応しているつもりでございます。したがいまして、先生の御趣旨には一応私どもは対応していると思いますが、しかし雇用機会不足地域拡大につきまして基準に照らして機動的に対処するということで、地域拡大という点で弾力的、機動的にやっていきたい、こう思っております。
  120. 川本敏美

    ○川本委員 地域拡大とおっしゃっておられるのですけれども地域指定と申しますか、そういう点についても、やはり一つの問題点はあると思うわけです。四十六年当時と今日とでは雇用情勢が大きく変わっておるわけですから、そういう点について根本的に制度の見直しをする必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますので、その点あわせてお願いを申し上げておきたいと思うわけです。  そこで少し話を進めるのですが、実は私は八戸も清水港もあるいは和歌山も行きまして感じましたことは、第十条の高年齢者雇用率の問題であります。五十五歳以上ですね。六%という雇用率が定められておるわけですけれども、現在の状態では、この雇用率というものは全く無視されておるんですね。私が調べました中ででも、たとえて言いますと、朝から何度も話が出ておりましたが、佐世保重工の場合も希望退職募集の基準の一つが、五十歳以上の高齢者というのが希望退職募集の一つの基準になっておるわけです。あるいは先ほど申し上げました和歌山の本州化学の場合も五十歳以上の者、こういうことを指名解雇の基準にしている。これは希望退職じゃなしに指名解雇の基準にしておるわけです。そこで、昨年の七月ごろには本州化学には四十五歳以上の労働者が八十四名おったわけです。それが第一次、第二次の希望退職募集で五十九名が希望退職をして、残っておったのは二十五名。この二十五名残っておった人に対して今度指名解雇二十二名。そうすると四十五歳以上の人で、あと残るのはわずか三冬です。こういうような状態で、いわゆる希望退職とか、あるいは整理基準というものを企業で決めるときに、軒並み、どこでも高齢者並びに定年延長に伴う再雇用者を優先的に解雇の整理基準にしておる。あるいは、そういう表現をしていないところでも、今後の激しい勤務にたえられない者、こういうような表現で、言いかえれば高齢者はやめてもらいたい、こういう整理基準をもって高齢者を職場から追い出していっておるというのが現実の実情ではなかろうかと思うのです。そういう点について全く第十条の雇用率の問題が無視されておる。こういう状態を放置しますと、これまた立法の精神が踏みにじられることになって、法律そのものが機能していない。これを放置しておくということは大変な問題だと思うわけです。  そこで、身体障害者雇用促進法なんかには納付金がありますけれども、これには納付金もありませんので、雇用率未達成企業企業名を公表したらどうか、こう思うのです。そして国民の監視を促すというような点も必要ではなかろうかと思うのですが、この点について大臣どうでしょう。
  121. 藤井勝志

    藤井国務大臣 いわゆる高齢者社会に入った日本雇用政策としては、私は中高年齢者雇用対策というのが大切な柱だと思います。わけても、いま御指摘の高年齢者の雇用問題というのは、社会的な問題としても大変重視されなければならぬ。そこで、すでに高年齢者に対しては雇用率制度というのが設けられておりますが、なかなか御指摘のごとく実績が上がっておらない。そこでこれが歯どめとして公表したらどうか、こういう御提言でございますが、この問題は日本のずっと長い特有の雇用、賃金慣行というのがあって、そして勤続年数というものと給与というものが正比例するということ、あるいはまた退職金の取り扱いというものが、これまた勤続年数と相呼応するという、日本特有の雇用、賃金制度というものをやはり改善をしていくという土俵の上に問題を解決していかなければならぬ。そうなれば、やはりこれは労使の話し合いということを通じて推進する。しかし政府としては、これをそちら側だけに任しておるのではなくして、すでに雇用率の達成については、特に悪い企業には達成するための計画を作成するという命令を職業安定所長から出させまして、その結果を見届けるということもやり、あるいはまた定年延長奨励金制度であるとか継続雇用奨励金制度であるとか、そういう誘導的な施策も推進しながら、あわせて行政指導によって労使が、いまのような雇用慣行を改善していくという総合的な施策を推進をして、そして御趣旨の線に沿うて改善するということで、これを公表するというふうな取り扱いは、この際端的に言いますと、かえって物事がこんがらがってくる。やはり行政指導によって労使の話し合いで前進さすよう推進したい。特に、定年制の延長という問題は六十歳を目標に、強力な行政指導を今後展開していきたい、私はこのように考えているわけでございます。
  122. 川本敏美

    ○川本委員 私は大臣と若干意見が違うのですが、そういう雇用率ということであれば、一つの努力目標として設定してあることは間違いない。罰則もないんだろうと思いますから、努力目標的なものになっておることは否めない。ところが、現実にいま、こういう希望退職あるいは指名解雇等の場合に、五十歳以上というような整理基準を持っておる企業に対して、末端の職業安定所長に、あなたこれは一体どないしておるんや、第十条の雇用率の問題について、あなたは傍観しておるのか。いやもうお願いを一生懸命してますのやけれどもと、きわめて無力ですね、これは。安定所長がお願いをせなければいかぬ。いま労働大臣は、安定所長から、いわゆる雇用の計画書を提出させるよう命令させると言ったけれども、命令どころの話じゃない。安定所長が企業に対して一生懸命お願いしておるんだけれども、全く安定所長のお願いを無視して強行しておるというのが現状だと思う。その背景としては、いま大臣おっしゃったような終身雇用制とか、あるいは年齢が上がるほど賃金が高いとか退職金がふえるとか、もろもろの問題はあろうと思いますけれども、これは日本の独特の古来の風土の中で育ってきた一つの労働条件なんですから、それを直ちに変革をするということは至難な問題だろうと思うわけです。  職業安定法の第五十一条に、いわゆる守秘義務のことが書かれておるんですけれども「職業安定局長の指示に基いて公表する場合は、この限りでない。」という規定があるわけです。これはやはり、こういう規定があるんですから、職業安定局長大臣の判断を仰いで公表すべときには公表するという状態の中で、安定所の所長がお願いから命令に変わっていけるような強力な行政指導に切りかえていく一つのチャンスをつくらなければ、このままではじり貧だと私は思うわけなんですよ。その点について、大臣もう一度お答えいただきたいと思います。
  123. 細野正

    ○細野政府委員 ただいま先生御指摘のように、まず基本的には五十一条の守秘義務があって、したがって公表というような問題については慎重でなければならぬという基本原則がまずございます。もう一つは、たとえば身体障害者の方について考えますと、これは法律上の義務であり、なおかつ種々の勧告をして、その勧告に従わなかったというふうな場合に初めて公表という制度が導入されているわけでありますから、そういう点をあわせ考えますと、高年齢者の場合には、先生もいまお話しになりましたように賃金、雇用慣行とか、あるいはたとえば高年齢者を、そのままラインで使っていった場合に、逆に人事が詰まってしまって若い労働者の間にも不満が出てくるというような、いろんな問題の解決と並行して進めなければならぬというような要素を考えてみますと、現状の段階でもって、雇用率が下回っているからといって直ちに公表するという制度というのは、かなり飛躍しております。したがいまして私どもは、いま大臣がおっしゃいましたように、そういう雇用、賃金慣行の改善ということとあわせながら雇用率を達成するための計画の作成命令というものを軸にする指導も重ねていって、そういう積み重ねの上に雇用率というものの達成は考えられるべきものじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  124. 川本敏美

    ○川本委員 いわゆる法そのものが無視されつつある風潮、こういうものが定着されては困ると私は思うわけです。そこで、あえて申し上げておるわけですけれども、いま局長は職業安定法第五十一条の守秘義務について若干おっしゃいましたが、局長さんのおっしゃる守秘義務と私の考えは若干違うわけです。ここに書かれておるのは「労働者又は雇用主の個人的な情報は、すべて秘密」ということで、いわゆる個人的な情報というものと、いまの雇用率の未達成というものとはおのずから違うと考えて私は申し上げておるわけなんです。だから、個人的な情報はもちろん秘密にすべきだと思うけれども雇用率が未達成で終わっておるというのも個人的な情報と同じ取り扱いということになると、これは私としても異議のあるところですので、その点についてはひとつ明確にしておいていただきたいと思うわけです。  次に、関連して若干話を進めたいと思うのですが、現在職業指導員というのが安定所に置かれていますね。これは職場適応の指導とか、あるいは精神薄弱者の相談員、寡婦の相談員とか、あるいは漁業離職者の相談員というのが北海道とか宮城とかというところでも置かれておるわけですが、これはそういういろいろな相談のために設置されたものだと思いますけれども、先ほど申し上げたように、いわゆる失業多発地帯、激甚地帯においては、大臣の御苦労にもかかわらず、安定所の職員の数というのは、われわれが期待したほどは現実にふえていないわけですね。そうすると、もうとてもじゃないがそういう具体的な相談に応ずるとか、先ほど申し上げた中高年齢者に対する手帳の発給とか、あるいは個別延長とか広域延長とか訓練延長とか、もろもろの問題について、労働者と親身になって十分相談してやるだけの時間的ないとまが安定所の職員にはないと私は思うわけです。そこで、こういうところにおいては、北海道では職業相談員を五十三年度の予算で道の単独事業として七名ほど設置したそうです。やはりそういうような形で、失業多発地帯においては労働者の親身になって相談できるような相談員を、この際、設置していくということが好ましいのではなかろうかと思うのですけれども、これについて大臣どうでしょう。
  125. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘のように特に失業多発地帯、その職業安定所の職員の充実また職業相談員の増員というようなことは当然考えられなければならぬと思います。五十三年度におきましては、特に特定不況業種雇用対策として相当現場に増員をしたというふうに安定局長からも報告を受けておりますし、実は去年ごろまでは、ずっと労働行政関係の職員が行政機構簡素化の大方針に沿うて漸減をしておったということでございまして、私もこれは非常に驚いたのであります。ことしは雇用政策が非常に大切だというので、漸減は一応歯どめがついたのです。したがって、内部操作して職業安定所の雇用対策相当人を張りつけた、こういうふうに報告を受けておるわけですが、今後も現場の実情に応じて、御指摘のような相談員の増強と職業安定行政職員の充実ということについては十分配慮したい。同時に、事務をやる方の行政の簡素化とか能率化とか、こういうこともあわせて推進をしなければならぬ、このように思っております。
  126. 川本敏美

    ○川本委員 いま申し上げておる相談員というのは非常勤だと思うわけです。だから、定数内にはもちろん入りませんし、非常勤として週三回、月十五日程度だろうと思う。こういう形であれば運用もしやすいと思いますので、ひとつぜひ全国的に、失業多発地帯に五十三年度からでも労働大臣の御努力によって、こういうものを設置していくということで、やはり失業者に対するサービス、利用者に対するサービスが本当に行き届くような措置を講じていただきたい、私は重ねてこれを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、雇用保険課長さんに二、三、ちょっと細かい問題ですけれども御質問しておきたい。  一つは、雇用保険給付の基本手当の問題になるのだろうと思うのですけれども、先ほど申し上げた和歌山の本州化学の労働組合で、ことしの一月に希望退職とか、あるいはその後の整理、解雇というような形で失業者が出て雇用保険を受給しておるわけです。ところが、昨年末の期末一時金が実は労働組合と会社側との間に妥結できなかったために未払いになっておったわけですね。その間に一応希望退職なり解雇という形でやめている。ところが、例年であれば大体二、三十万の期末一時金をもらっておるけれども、それがないので、いわゆる基本手当の日額で言うと二、三級ダウンするそうです。高年齢者で頭打ちを食っている人は大体下がらずに済むけれども、若い人は三級前後ダウンをしておる。ところが、その後で妥結をして、失業給付を受けるようになってから後に期末手当が妥結をして、去年の十二月分を三月になってからもらった。こういう場合に、現行法のもとでは遡及して基本手当の日額を是正することはできないのかどうか、こういう問題が一つあるわけです。  それからもう一つ、基準局の方ですけれども、同じように本州化学で、整理、解雇をすることになって三月九日付で、いわゆる指名解雇の通知が来た人たちがおるわけです。十四名おったわけですけれども、この人たちが身分保全の仮処分を和歌山地裁に出して、そこで裁判所の勧告によって会社側の弁護人と労働組合との間に協定をして、三月二十日まで、その解雇を凍結して、改めて希望退職を募るということになったわけです。そこで会社側は、その協定の中で、労働者には九日以後就労するには及びませんという通知を出しておるようですけれども労働者は、該当者はその後、三月二十日まで就労したわけですね。そうしたところが会社側は、三月九日までの賃金は払っておるけれども、九日以降の分については現在まだ支払っていないわけなんです。これについて和歌山の基準局の方へ未払い賃金であるということで労働組合から申し立てたところが、会社側との和解条件といいますか、そういうような問題の中で一つの疑義があるということで、今日まで、まだこれが未払い賃金なのかどうかということについては確定していないようなんです。こういう問題について、これは新しい問題だと思いますが、こういう場合に労働基準局としては、どのような判断をされるのか、ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  127. 望月三郎

    ○望月説明員 本州化学の例だと思いますが、一応、基本手当の計算の基本的な考え方ということで、まことに恐縮でございますが御説明させていただきます。  基本手当の日額は雇用保険法の規定によりまして被保険者期間として計算されました最後の六カ月という期間に支払われた賃金の総額に基づきまして算定するということになっておりまして、被保険者として雇用された期間中に支払い義務が確定した賃金に限られるというのが基本的な考え方でございます。したがいまして年末一時金等の支払い交渉が受給資格者の離職後に妥結したというようなケースにつきましては、基本手当の日額の再計算はしないということに基本的にはなるわけです。ただし個々の労働者についての支給額は確定していないが、離職前すでに年末一時金等を支払うことが確定されていたものにつきましては再計算をするという原則でやっております。  御指摘の本州化学のケースにつきましては、そういう事情もあろうと思いますので、さらに詳細に調べて措置をしたい、こう思っております。
  128. 小粥義朗

    ○小粥説明員 和歌山地裁の和解勧告に従って労使で話し合った結果、一応問題の解決を見たにもかかわらず、その後の三月九日以降二十日までの間の就労について、どうなるかという問題でございますが、会社側が、その九日以降二十日までの間の就労に対して、はっきりと拒否するという姿勢がありますと、従来の判例から見ましても、たとえば配置転換あるいは転勤等の場合の判例があるのでございますが、そういう場合は必ずしも賃金不払いということにはならないのですけれども、会社が就労を黙認していたということになりますと、それなりに労務の提供があり、会社がその労務の提供を受領したという形になりますから、その場合には賃金支払いの問題が出てくると思っております。したがって、いま先生御指摘の事案については、会社側がどういう態度で、その労務の提供を受けとめたのか、その辺の事情が判明しない点もございますので、調査の上措置をしたいと思っております。
  129. 川本敏美

    ○川本委員 終わります。
  130. 木野晴夫

    木野委員長 次に、金子みつ君。
  131. 金子みつ

    金子(み)委員 先般の社会労働委員会で行いました現地調査、けさほど来御報告があったので大臣聞いていらっしゃったと思うのですけれども、私は、あの調査で第二班に参加いたしまして、現地調査をいたしました。それできょうは、いろいろございますけれども問題をしぼりまして、調査に出かけてまいりました愛媛県の今治地域中心とする雇用失業、そういった関係の問題にしぼって質問をさせていただきたいと思っております。  まず最初に、大臣労働大臣に御就任なさいました当初、もうすでに大変な不況時代に入っておりまして、あちこちの企業倒産をする問題、あるいはそれに伴って大量の失業者が出てきていたというような事態のすでに起こり始めていた時期だったと私は思うのでございますけれども大臣は本日までの間に、そういう事態について実際問題として現地視察なさったことがおありでいらっしゃいましょうか、ちょっとお聞かせください。
  132. 藤井勝志

    藤井国務大臣 私は、就任いたしました去年の十一月二十八日以降、すぐ補正予算折衝、本予算関係、それから年が明けまして国会が開かれまして、どうしても現地へ行く時間的な余裕がございませんでしたから、政務次官に三月の末、特に失業が多発しておる地帯、すなわち長崎、佐世保今治、それから函館方面、それに沖繩の地帯、この個所を現地視察をしてもらった、こういうことでありまして、私自身は、政治家の一人として特に輸出関係の中小企業、繊維関係でございますけれども、それが私の地元にございますし、現場の声は、厳しい不況を反映した雇用情勢ということについては、私なりに認識をしておるつもりでございます。
  133. 金子みつ

    金子(み)委員 そういうふうにお手配なさったということがわかりまして結構だったと思いますけれども、私も現地へ行ってみまして、聞くと見るとは大変に違うということです。大変大きなショックを受けました、率直に申しまして。それで私もぜひ大臣に、この国会が終わったら時間ができるかと思いますので、ぜひ現地を御視察願いたい、それを特にお願い申し上げたいと思うのですけれども、それは大臣政務次官も結構でございます、局長も結構でございますが、担当大臣として御自身で現地視察をしてみようという意欲はおありにならないでしょうか。
  134. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘の点、私も十分考えなきゃならぬと思っております。したがいまして、国会が一応終了後できるだけ早い機会に、適当な場所、適当な方法を検討して、ひとつ実行に移したい、このように思います。
  135. 金子みつ

    金子(み)委員 その件はぜひ実行していただきたいと思います。  私は、御自分で見ていらっしゃらないということがわかりましたから、私ども調査いたしました今治市周辺の実情をポイントだけ申し上げて、御答弁をいただく背景の情報としてつかんでいただきたい、そういうふうに思いますので、簡単に申し上げます。  今治市は、人口十二万内外で、男は造船、女はタオル、こういうふうに言われている都市でございます。ですから、造船でなかったら職業でない、造船所に通っている人間でなければ人じゃないと言われるぐらいに造船一色の町でございます。もちろん一方には女はタオルという言葉があるくらいでございますから、繊維産業としてのタオル製造業、それから縫製業、これが同じように肩を並べている都市でございました。この二つが二つながらにして、このたびの不況業種に入るわけでございます。ですから、そのことを考えただけでも、今治地域は大変なことになっているだろうということは想像できると思います。  私どもも想像はいたしておりました。そして行ってみたわけでございますが、造船業に関しましては、今治市の五十一年度造船業の出荷額というのは一千五百九十四億円であったそうです。これは県内の約八%で、地場産業ではトップです。それから造船所は五十六社五十八工場ということになっておりました。造船の実績は百二十五隻、五十二万八千トン、これは全国のトップです。ですから造船所に関しては、今治市はやはり全国のトップを占めているというようなことが言えると思うわけなんです。  ところが現況は、申し上げるまでもないと思いますが、五十二年来の不況で、先ほどの議員の御発言にもありましたように、今治地域というのは、言うなれば造船団地と申しますか、中小の造船所がたくさんひしめいてできているわけです。これは政府の御指導でできた造船所、会社でございますから、そういうふうにあそこは一つの地区として集中的につくられてきているところなんですが、そこに五十六社あるわけです。その県内中小造船業への受注が大変厳しくなってきてしまったものですから、五十二年度来、六社倒産しているわけですね。  先ほど伺っておりましたら、政府の方の御答弁では、全国で倒産が五十二年度は二十四社だとおっしゃっていました。そうすると、全国で倒産二十四社の中の六社といったならば四分の一ですよ。二五%が今治地域造船所の倒産だった、こういうふうになるわけですから、その比率は大変大きなものだと言わなければならないだろうと思います。今治地域では、市長のお話でも知事さんのお話でも、こういうようなお話でした。何か政府がてこ入れをしてくださらないで、このままの状態でいくならば、現在ある五十六社のうち、今年度中生き残れるのは四社になってしまうだろう、こういうふうに言っていました。それほど厳しい、私どもがちょっと想像できないくらいの実態だということをわかっていただきたいと思うのです。  なぜ、そういうことになるかと申しますと、その理由の一つに、けさほど来お話が出ておりましたけれども、中小造船所は受注がありませんものですから、一年間にせいぜい三隻か四隻くらいの船の修理で、やっと息をついているというような状態だというのですけれども、そのわずか三隻か四隻くらいのものですら、せっかく受注できたと思っているのに、大企業が先回りして、先方に行って話をキャンセルしてしまって、そうして全然ゼロにされてしまう、こういう状態があるんだという訴えをしておりました。そして、その例の一つとして挙がったのが佐世保重工業なんです。佐世保重工業の話は、けさほど来何遍も出ましたので、私はいまここで申し上げるつもりはございませんけれども、一つの例として、佐世保重工業のようなところに政府が肩入れをして援助をして、それが悪いと言うわけではありませんけれども、その大企業が中小企業を痛めつけている。同業者が弱肉強食のような形で、大きいところが、小さいところのせっかく取ってきた受注まで横から奪い取ってしまうというような悪らつなやり方、これは佐世保がしているというわけではございませんが、一般論として大企業がやっているという訴えには、非常に切々たるものがあったわけなんです。  そういう実態の中で、当然のことながら多数の離職者が出ると思うのですね。離職者の数は、この三月の末で造船関係だけで三千八百人ございました。その三千八百人の中の約六割が高年齢者だという問題がございます。ここにもやはり一つの問題がございます。それで問題は、この失業者がどんどんふえていくという実態の中で、有効求人倍率ががんがん下がっていってしまうわけですね。その数字も示してもらいました。五十二年の十二月には〇・四四であったのが、ことしの五十三年に入りましてから、一月に〇・三八七、二月に〇・三六五、三月に〇・三二一というふうに、ずんずんと下がっていってしまう。このままにしていたら四月はどうなっていくであろう。この先行きが非常に不安だということが訴えられていたわけです。  しかも、もう一つ、これにつけ加えて問題になるのは、現在の離職者たちは雇用保険の受給者になっております、これは当然ですけれども。ところが、その保険が夏になれば切れるわけですね。六カ月間で切れます。そうすると、切れた後は何の保障もないということで、これは本人たちはもちろんですけれども行政当局としても非常に大きな不安を抱えていたわけでございます。  造船のあらましはそんなことですけれども、女はタオルということで、女性はほとんどタオルの繊維業に従事しているわけですけれども、そのタオル製造業も、五十一年の生産量は全国の六一%でトップです。それから県内や県外へ、あるいは外国への輸出の総量も全国の一二%で、これもトップです。ですから、言うなれば今治市の繊維産業、特にタオルは、日本じゅうで全国一だという位置づけにあったわけです。  それが御承知のようにオイルショック以来、不況が厳しくなりまして、その不況は申し上げるまでもありませんが、それが長期化していくわけですから、ますます悪くなる一方で、五十一年の十月からは二〇%、お互いに申し合わせて自主的に操業短縮をしています。さらに五十二年、それよりも一年たった後ですが、回復していかない。回復しないばかりか、ますます悪くなるばかりなものですから、さらに一〇%操短をやって一生懸命調整した。ところがまだだめなんですね。それでもやっていかれないから、五十三年度じゅうには、さらに二〇%設備廃棄をやる、こういう計画をしているという実情にあるわけです。  縫製業の方も開発途上国、特に日本の場合は台湾や韓国から追い上げをされています。それと一緒に内需の不況、不振というものがこれに加わりますので、五十二年の十月以来、円高の痛手もこれに伴って、ミシンだとか、あるいは仕上げの機械、こういうようなものも三八%設備を廃棄することにした。このように非常に努力を続けて、何とかかんとかやっと生き続いてきているという状態でございます。このタオルの失業者は七十九人、縫製業の失業者は百三十人、これは今治市だけでございますが、出しているわけですね。ですから造船と合わせると四千人の失業者がここ一、二年のうちにできてしまった、こういう実態でございます。  それで先般、この一月から施行になりました特定不況業種離職者臨時措置法ですか、この法律が今治地域指定しまして、そして、この法律の適用ということになっているわけでございますけれども、四月一日から動かされるわけですね。しかし、まだその実績が効果的にはあらわれてきておりません。したがいまして、失業者は非常に困っているわけですね。私は、失業しておられる離職者雇用問題について具体的なお尋ねをしたいというふうに思っております。  そのまず第一は、失業しておられる人たちの一番大きな問題は、倒れそうになっている企業を支えることも大きな問題でございますけれども、いますでに倒れてしまった離職者、この人たちを救うことがまず先決問題だと思います。最優先しなければならないと思いますから、この人たちを助けるためにどうするかという問題でございます。  そこで、まず出てくる問題は職業紹介問題ですね。職業紹介をして、いま無職でいる人たちに何とか暮らしの手はずを整えてあげなければいけないということになるわけなんですけれども、その職業紹介事業がどんな実態になっているのかと申しますと、求職者の数と、それから職業安定所が紹介をいたしました紹介件数と大変に開きができているわけなんです。それからまた、職業を紹介した数と就職をした人の数との間にも大きな開きがございます。たとえば、いただいた五十二年の七月から五十三年の三月まで集計した資料で見ますと、造船だけで申しますと、求職者の数は男女合わせて三千百六十九名あります。ところが紹介した件数は八百七十六件しかないのですね。それで、その中から就職した人は、さらに少なく二百五十九名しかありません。こういうふうに、ずれて大変開きができてきているのはなぜだろうということなんですけれども、私は、この開きは、職業安定所の方であっせんしたり、紹介したりする世話をやき切れないというのでしょうか、とにかく手が少なくてとか、あるいは能力が低くて世話がし切れないでいるのじゃないだろうかということ、それが一つ考えられますし、それから紹介先の内容が適切ではないのかもしれないというふうなことも考えられると思うのです。  そこで、いまこれを考えていただきたいと思いますことは、まず不十分で、はかどらないということは、職業安定所の人が足りないのじゃないだろうか。職業安定所に増員してもらいたいという要求は県からも、それから今治市からも出ております。労働省の方へも来ているのじゃないかと思うのですけれども、これは非常に大きな切実な要求として出ております。しかも、未来永劫これから先それだけ多くしてくださいというのじゃなくて、ここ一、二年、最大二年間が緊急なんだ、こういうふうに言っていますが、その最大二年間の緊急事態として、これを受けとめて、やっていただけないかということが一つなんでございますけれども、それはいかがでしょう。
  136. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘のように、確かに特に具体的な、今治中心に詳細な御視察の報告を受けました。なかなか再就職へのあっせんがはかどっていない、こういう御指摘でございますが、労働省といたしましては、特に五十三年度は、特定不況業種雇用対策として、失業多発地帯には相当重点的に職業安定職員を充実をいたしております。そのようなことをやっておりますけれども、全体的にまだ十分とは言えませんけれども、現在職業あっせんがなかなか能率が上がっていないというのは、これは一つには、雇用を求める環境が厳しいということも客観的に言えると思います。同時に、これはいささか取り扱いにくいような問題になりますけれども、現在、雇用保険の給付を受けておられる、こういったことも、就職するという問題と、これを促進するという点においては、いまのところ、これでしのいでいるからという、こういうことも一部にはなきにしもあらず、このように思います。しかし、これは本来の労働者の気持ちではございません。やはり生きがいのある職場につくということが大切でございましょうから、そういう面において、今後も臨機応変に職業紹介の充実を期するために配慮していきたい、このように考えております。
  137. 金子みつ

    金子(み)委員 いまの御答弁の中で、一つ私は、ちょっと腑に落ちない点があるのですけれども、その理由の一つとして、雇用保険を受けているから、まあまあ何とか食いつないでいるからいいじゃないかというふうなこともあるだろうとおっしゃいましたね。だけれども、それは逆なんじゃないでしょうか。仕事をするということが目的で、その間、雇用保険がつなげてくれている保障でございましょう。仕事をする気がないのだったら雇用保険なんかおりるはずがないわけですね。ですから、雇用保険を受けているから、いますぐでなくてもいいじゃないかというのは、私は逆じゃないかと思うのですね。雇用保険を受けている人たちは、すぐにでも就職がしたい、新しい仕事が欲しいということで、その間のつなぎに雇用保険で見てもらっているということなんですから、少しでも早く仕事が見つかれば雇用保険から切れるはずでございますよ。ですから、むしろそういうふうにしていくことの方が意味があるのじゃないかと私は思います。それが理由だからというふうに、もし考えていらっしゃるとすると、私は問題だと思いますが、どうでしょうか。
  138. 藤井勝志

    藤井国務大臣 これは私も、決してこれを表に理由として言うべきことではない。ただ間をつないでおるという点ですね。多少そういった問題も影響しているということで、これは余談事でありますから取り消します。  やはりおっしゃるとおり、一日も早く定職についてもらうという、こういったことに職業安定行政は全力を挙げなければならぬ。人手の足りないところは、できるだけ充実していく。それと同時に、何よりも大切なことは雇用機会創出ということが大切だ、このように考えるわけでございます。
  139. 金子みつ

    金子(み)委員 そのとおりだと思います。それと、むずかしい問題の、いま一つは、私ども現地でわかったことなんですけれども造船労働者たちは、ほかの仕事に余り向かないと申しますか、特定の一つの技術屋ですね。技術者ですから、どんな仕事でもいいというわけじゃないんだ、こういうお話がございました。それで、たとえば何も特別な訓練もしないで、すぐにつけられる仕事と言えば肉体労働というようなことになるわけでして、ところが肉体労働に入りますと、そういったことをやったことのない人たちですから、すぐ、まめができたり腰が痛くなったりというようなことで仕事にならぬということを私ども現地で聞きました。そういうようなことはわがままではないか、ぜいたくではないかという声もないではないとは思います。働くんだから何でもしたらいいじゃないかということのようではございますけれども、しかし、すべて、そうだとは思いますけれども、ここの場所ではアンケート調査なんかしたのを見せてもらいましたが、八二%くらいは、やはり元の仕事につきたいという希望が出ているわけです。  ですから、そういう人たちのことを考えますと、やはりここに二つ考えられると思いますが、その一つはもとの仕事につけられるように仕事再建する、会社を再建させるということが一つの大きな問題だろうというふうに思います。そのことが一つあるかと思いますけれども、その必要性が出てまいりますし、いま一つは、そうは言っても、なかなかそれがすぐにはできないし、希望するとおりには全面的にできないとした場合には転職ということを考えてもらわなければならないが、転職の場合には、そのために職業訓練をしなければならないわけですが、その職業訓練がどれくらい充実して行われているのかということもやはり問題になる。職業訓練を終えた段階では新しい職場に転職していくことは可能だと私は思います。ですから安定所が、それに該当した適当な職場を探してもらえるものだというふうに考えるわけなんですが、そのことが二つスムーズに動いてないのじゃないだろうかというふうに思われるのですが、その辺はいかがでございます。
  140. 藤井勝志

    藤井国務大臣 まさに造船地帯は特に失業多発で、まさに集中豪雨のような現象を呈しておるわけでございます。これが雇用安定対策としては、一応われわれとしては全体的には景気を回復し、積極的に、そのために公共事業をふやして、また公共事業の配分に当たっても、そういう地域にできるだけ傾斜配分をしてもらう。それに失業者吸収率制度を活用してやっていこうという、こういうバックグラウンドを前提としながら、何とかして造船所から出てくる離職者に対しては、もとの技術が生かされるよう配慮しなければならぬ、当然考えなければならぬ点でございます。  もう一つ、実は去る三月二十五日、雇用閣僚懇談会で、やはり仕事をふやすということについて工夫してもらいたい。特に日本では官公庁船、海上保安庁の巡視艇であるとか、そういった船を早期に前倒しの発注をしてもらうということ、そして前倒しをした後は、やはりこれから先は海上保安庁あたりの巡視艇は、巡視すべき海域が二百海里に拡大したのでありますから相当海域が広がった、そういったこととか、あるいは浮体構築物、海に浮く構築物を、たとえばこれは大変な発想の転換をしなければなりませんけれども飛行場あたりも考えたらどうか。それからプラント船、先般アマゾンに三菱造船でございましたか、つくったパルプ工場そのものが船の上にセットされているという、こういう造船技術を生かした新しい仕事の量の拡大、それともう一つは、中小造船所に対して仕事をふやすために、船の解撤事業をもう一回再開をしてもらおう、これも検討の課題になっておるわけでございまして、そのようなことによって雇用の機会を拡大することを造船技術を生かしてやっていくということを考えようではないかということで検討をいたしておるところでございます。  それから職業訓練が、これにうまくタイアップを十分していないではないかという御指摘でございますが、やはりこれからの離職者というのは、いわゆる中高年齢者が多いわけでございますから、そういう人たちに向く職業訓練のやり方として、入校時期を多様化していく。いままでは年に一回ないし二回でありますけれども、これを相当回数をふやしていくということ。それから公立の職業訓練施設だけでなくて民間に委託していくという、専修学校とか、そのほか民間のそういう訓練施設を活用するということ。同時にまた単位制、モジュール方式による訓練方式、こういったことをやり、同時にまた訓練の科目、訓練職種の選定に当たっても中高年齢者に向くような配慮をしていこう。こういうことを踏まえまして、現在御審議を願いつつあります職業訓練法の改正というのをやるのも、そこに目的があるわけでございますから、大いに御期待にこたえるべく、御指摘の問題を円滑に処理するために努力していきたい、このように考えておるわけでございます。
  141. 金子みつ

    金子(み)委員 いろいろと考えておられることもわかって、大変結構だと思いますけれども、そのことはやはり実現していただかないと役に立ちませんね。絵にかいたもちになります。  先ほど来、造船技術を生かして、いろいろと新しいことを考えて事業を起こそうというふうにしていらっしゃるようでございますが、しかし、これも言うなれば大企業の部類に属しますよね。倒産しております中小企業造船所が引き受けられるような仕事じゃなさそうですけれども、それは何かの形で中小企業としての小さい造船所を救うということを、まず考えていただきたいと思います。  それから、公共事業を重点的に投入して、そして新しい仕事を起こして雇用創出するとか、あるいは確立するとかいうお考えもあるように伺って、結構だと思いますけれども、これもやはり実際に動かしていただきませんと、私どもも、ああそうかというふうには心から納得できないということもあるわけです。それで、もしそういう考え方がおありになるとするならば、五十三年度の予算の中には、かなり公共事業のための予算が組まれておりますから十分使っていただけるだろうというふうには思うわけでありますけれども、この今治地域——今治地域とは申しません、愛媛県内でも御承知のように島が幾つもございますね。大変不便しているわけです。それが百メートルとか二、三百メートルぐらいしか離れていない島なんですね。飛んでいけそうに思えるくらい近くにある島ですけれども、やはり海ですから、そうはいかない。橋をかけなければ、こういうことになるわけで、やはり橋をかける計画を持っているのでございますね。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 ですから、こういうような具体的な計画をすでに持っているところですから、これから実態をお調べになって、そして該当するところに投資をして、費用をおろして仕事をさせてというふうにお考えになっていただくのも結構でございますけれども、いますでに計画を持っているところには、その計画をさらに詳細にお調べくださって、そこへ優先的に投資していただくというふうにしていただきますと大変に助かると思いますし、それが行われれば、同時に地場産業の一つとして現地人たちがこれに参加できる。この場合に外から労働者労働力を持ってこられては困るわけなんでして、これは当然のことながら、けさからの通産省の答弁にもありましたように、地場の人たちを活用するということができると思いますから、いま大臣がお答えくださいましたような計画がスムーズに、しかも早急に行われますようにお願いしたいと思います。この問題は緊急事業として取り上げていただくということになれば、ほかのものと比較して多少の無理がありましても私は納得できる、肯定できるものじゃないかと思いますので、それをぜひお願いしたいというふうに考えるわけでございます。  それから、やはりこれも離職した人たち関係してくるわけでございますが、たとえば夫が離職をして、そして新しい仕事につかなければならない。そのために訓練校に入るというようなことがあると思いますし、そのための準備を進めるということがあると思いますが、そういう場合に、ただ雇用保険だけで生活するということも問題がございますし、さらに、いま一つの例としては、新しい職業に仮についたといたしましても、造船業人たちの給料というのは比較的よかったわけですね。平均して大体十五、六万ぐらいというふうに伺いました。それですけれども一たん失業して、そして再び別の職業に転職いたしました場合には、現在の時点では、大体平均、手に受け取れるものは月額十万円前後だというふうに聞いております。そうしますと、大変に開きができてしまうんですね。そうすると、その間の開きを埋めないことには、いままでの生活は守られていかないということもございましょうし、先行き不安もあると思います。そこで、そういう場合には、必然的だとは思いますけれども、妻が仕事をするということになってくると思います。やはり共かせぎでいかなければ生計を立てていくことはできないというのが大きな問題で、実態だというふうに考えるわけなんですが、この場合、妻が働く場合に、いつでも問題になりますことは、子供の世話はだれがする、こういう問題になってくるわけです。  ここの地域の場合は、かなり高齢者が仕事をしています。たとえば縫製業、先ほど女はタオルといった、あの繊維産業ですが、平均年齢四十九歳。ですから、かなり高齢者です。個々のケースでございますと、もう七十、八十歳に近いお年寄りが仕事をしておられる。それで操業短縮したから首にするというわけに、もちろんいかないから、そういう方たちには仕事の内容を変えてもらって、たとえば縫製業の場合だったならば仕上げのところでチェックをする仕事をさせるとか、あるいはボタンのちゃんとついているかを調べさせるとか、それに適したような仕事に職場をかえていって、それでも大事に抱えてきている、こういうわけなんですね。結構なことだと思いますけれども、そういうふうにしてお年寄りも仕事をしておりますから、妻が働きに出ようと思う場合は、子供のめんどうを見る人がなくなるわけです。  そこで起こってくる問題は保育所の問題になってくるわけなんです。それで、そうならば企業内保育というやり方があるじゃないか。企業内保育で保育所をつくってもらって、そして子供を預けながら働けばという話も出てくるんですけれども、何せ企業が倒れかかっている企業なんですから、保育所をつくるどころの騒ぎではないということでございまして、やはりこうなると地域の保育所に頼まなければならないということになるんですが、こういうような実態があります場合に、労働省の立場からして、雇用を安定させるという目的で必然的に起こってくる次の段階としての保育所の問題を、これは厚生省の所管だから厚生省にやってもらえばいいじゃないかというふうに考えていらっしゃるのでなくて、厚生省の側に、そういう申し入れをするなり、あるいは援助の要求をするなりというようなことをお考えになり、あるいは、それをやっていただけないかどうかということが一つです。厚生省には別途にまたお尋ねさせていただきます。
  142. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘の保育所の設置の必要性については、御趣旨はよく私も理解をいたします。先ほど話しましたような雇用機会拡大ということも、これは私が話した具体的な事業は主として運輸大臣の所管でございますけれども労働大臣のなわ張りを越えて積極的に提言をしておる、お願いしておる。これと同じように保育所の設置の問題についても、よく理解をいたしましたから、厚生省の方によく連絡をして、できるだけ御趣旨の線に沿うように努力をいたしたい、このように思います。
  143. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは厚生省にお尋ねいたします。  いま聞いていていただきましたような事情で保育所が欲しいわけです。新しく保育所をつくるということになるのも一つかもしれませんが、もし可能ならば、現在ある保育所の収容能力を拡大して、そして子供たちを預かるというようなことに特段の御配慮をしていただけないものかどうか。しかも、このことは現地でも申しておりますけれども、いつまでもということをお願いするのじゃないのだ、ここ二年間を緊急措置としてやってもらいたいという要求が非常に切実なものがあるわけです。もちろん二年たてば子供も大きくなりますから、学校に上がるということになるだろうとは思いますけれども、そういうわけで、いま、その二年間が非常に困っているのだということですから、期間を制限して構わないですから、二年間何か特段の方法がないものかどうか。厚生省はそのことをどのように考えていてくださるか。もともとは児童福祉法の問題だからということがあると思いますけれども、しかし事情事情でございますから、労働省側の意見もくみ取ってくだすって、何か特段の措置がとれるかどうか。むしろ、とってほしいと思いますが、いかがでしょう。
  144. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 不況によります離職等により母親が働きに出る。その結果、地域の保育需要が高まるということはあり得ることだと考えられるわけでございまして、これらにつきましては、この事情を十分踏まえた上、施設の整備とか、あるいは入所措置配慮が必要であろうかと思います。  お話今治市におきましては、こういったような事態に対応すべく、今年度において規模の相当大きい保育所の整備というものを、保育所の新設の御計画あるいは既存の保育所の定員増等の検討もなされているように聞いております。私どもといたしましても、県の意向を聞きながら、協力できる点につきましては協力してまいりたいというふうに考えております。
  145. 金子みつ

    金子(み)委員 厚生省では今治地域の保育所の実態というのをお調べになったでしょうか。
  146. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 今回、特に、この地域についての保育事情を調べてはおりません。
  147. 金子みつ

    金子(み)委員 県から要望が出てきておりませんですか。
  148. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 五十三年度の保育所の整備につきます国庫補助につきまして、愛媛県から国庫補助を受けたい旨の協議をいただいております。
  149. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは、その五十三年度の予算を配分なさる場合に、いまのような事情を含めて愛媛県の要望にこたえてやっていただきたいと思います。ひとつよろしくお願いしたいと思いますが。
  150. 川崎幸雄

    ○川崎説明員 十分御指摘の事情地域実情を勘案して対処させていただきたいと思います。
  151. 金子みつ

    金子(み)委員 同じような問題で、細かくなりますけれども、いまのは保育所の問題で小さい子供の問題ですが、今度は大きい子供の問題になるわけです。授業料を必要とするような大きい子供の問題で、義務教育を終わった子供たち、高校に入る子供ですね。この子供たちの授業料について、離職者の家族は非常に頭を悩ましているわけです。その分がどうしても捻出できないということでございますが、この場合も同じような趣旨でございまして、何か離職者の子供たちの就学のための特別の資金を援助するという方法はないものでしょうか。これは失業したということが原因になっているわけですから、それを基盤に考えて、何か考えていただくことができるかどうかということです。
  152. 白井晋太郎

    ○白井説明員 お答えいたします。  現在、文部省の所管で高校生や大学生等につきまして奨学金制度が設けられておりますが、御指摘のような災害や離職等によって急に家計収入等が減少した場合には、予算の範囲内で応急採用等によって奨学金が貸与される道が開かれているというふうに聞いております。したがいまして、そのような制度の活用につきまして関係省庁と十分連絡をとってまいりたいというふうに思っています。
  153. 金子みつ

    金子(み)委員 直接は文部省の仕事であるかと思いますけれども、私が先ほどから関係の省庁をお呼びしないで、労働省にだけ私の意見を申し上げたり、御意見をいただいたりしているゆえんは、原因が離職につながるからでございます。それも本人が自分で退職を希望して退職したんじゃなくて、これはやはり一種の解雇に属するかというふうにも考えられるわけです。そういうようなことで、みずから希望して離職したわけではない人たちが、離職した結果、非常に生活に困窮するわけでありますから、やはり基礎は雇用問題というふうに考えますので、私は労働省に一生懸命申し上げているわけなんです。ですから、それはうちの省の仕事ではないとおっしゃることは幾つも出てきていると思いますけれども労働省の立場から、それを促進するための側面援助というものをぜひお願いしたいというふうに考えているわけです。  同じような問題で、いま一つ最後にお願いしたいと思っておりますことがあります。それはいままでのような離職した個人に対しての雇用問題でなくて、企業に対しての問題でございます。先ほどちょっと、中小企業がせっかく受注してきても大企業がそれを横取りしてしまうという事実があるというお話をいたしましたが、こういうような問題をお調べをいただいて、労働省がお調べになるのではないかもしれませんけれども、そういう事実があるということでありますので、そういうことのないように、大企業が中小企業に進出していくことを規制するとでも申しますか、何か方法を考えて、そして、しかるべく労働省の立場から側面援助をしていただくということができないかしらというふうに考えるわけであります。これは非常に内政干渉みたいなことになって、他の所管の省庁にとって迷惑な話なのかもしれませんけれども、事はやはり離職、失業という問題に絡むものでございますから、そこから出発したものでありますので、ぜひ労働省に労をとっていただきたいというふうに考えますので、お願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  154. 細野正

    ○細野政府委員 私どもも、その問題で運輸省にいろいろ事情を伺ってみましたところが、運輸省自体でも中小造船所にできるだけ受注が回るようにという配慮をしておられまして、まず一つは操業度からする勧告をやっておるわけです。その際に大規模企業ほど、その短縮の度合いを強めるというふうな形での操業度の勧告をやっておる。そういうことで中小造船関係にその累が及ぶ割合をできるだけ少なくしようという配慮をしておる。それからもう一つは、大型船の建造ドックで中小の船舶建造する場合には、二隻でも三隻でもやれる能力があるわけなんですけれども、その場合に、そのドックでは二隻以上やっちゃいかぬ、必ずそのドックでは一隻だ、こういうふうな制限を加えております。したがいまして、大企業造船能力に、そういう意味での制限を加えて、できるだけ中小の方に受注が回るような配慮をしているんだ、こういうふうなお話であったわけであります。  なお、この辺についての中小企業への配慮を今後とも、やってくれということを申し上げているわけでございますが、基本的には全体の受注量がふえないと、先ほど来のようなことを申し上げても、それは一定の枠の中での話ということになりますので、その点につきましては先ほど大臣からお話ございましたように、経済閣僚会議と一緒に雇用閣僚会議をやっていただいて、そこで受注量増大のためのいろいろな施策について、やや従来のなわ張りを越えて関係省にも御要望を申し上げているというふうな実情であるわけでございます。
  155. 金子みつ

    金子(み)委員 もう時間がございませんので、あと、これ一つだけ大臣の御決意を伺って質問を終わりたいと思いますが、こういうような状態になってまいりますと離職者の臨時措置法、この法律をつくってあるから、その法律で処置すればいいのだということだけでは済まないというふうに私は思うわけです。ですから、この法律は法律として、これを実施するということに努力していただかなければなりませんけれども、それだけで事は終わらない、その周辺のものがあるということをお考えいただいて、この雇用問題につきましては、先ほどお話のあった雇用閣僚懇談会のお考えなどもあわせて、今後積極的に、そして効果が早く上がるような形で失業者人たち生活不安を一掃していくように行政を扱っていただきたいというふうに思うのですが、大臣の御決意を伺いまして質問を終わりたいと思います。
  156. 藤井勝志

    藤井国務大臣 御指摘の点は十分踏まえまして現在の厳しい雇用情勢に対処してまいりたい、このように、しかと決意を固めておるわけでございます。  もう一つ、つけ加えて御理解いただきたいと思いますことは、現在の日本経済が高度成長から、いわゆる安定成長、まあ実質的には低成長になるわけでございますけれども、そのような軌道にたどりつく現時点は、まさに産業構造が質的に変化を遂げなければならぬときでありますから、この雇用問題というのが新しい労働者の配置転換、こういった意味も含めて、そして雇用安定というのが即職業訓練と結びついて、質的変化に対応して適切な社会の担い手として労働者が位置づけられる、こういうふうに配慮しなければならぬ。したがって、これは相当中長期的な考え方をも踏まえながら、また緊急避難的な対策もあわせてやっていく、こういうことに努力をしなければならないのではないか、このように思うわけでございます。
  157. 越智伊平

    越智(伊)委員長代理 次に、安島友義君。
  158. 安島友義

    ○安島委員 先般労働省が五十三年度雇用情勢見通しについて発表をされました。これは基本的な問題なので、まず簡潔に御答弁いただきたいと思いますが、年間を通して完全失業者数が百十五万という見通しの上に立っておられるわけですが、まず第一点として失業者推移、つまり、いつごろがピークだと考えられて、数はどのくらいと見通しされているのか。
  159. 細野正

    ○細野政府委員 いつごろがピークかというお尋ねでございますが、率直に申しまして、完全失業者数を月別に正確に推計するというのはなかなかむずかしいわけでございます。といいますのは、いろいろな季節変動もあれば経済情勢によっても左右されるわけでございます。しかし、たとえば従来、季節的に非常にふえる月とかいうふうなものは趨勢的に決まっているというものもございますので、そういうふうなことを加味しまして、ある程度、大胆に考えてみますと、五十三年度完全失業者は五十二年度に比べて五万人ほど減って百十万人くらいになるだろう。完全失業率も若干低下して二%くらいになるだろう。こういうふうな大まかな推計をしておるわけでございます。なおその場合のピークというのをどう考えるかという点でございますが、これは例年どの年をとってみましても一−三月というのが……
  160. 安島友義

    ○安島委員 時間がなくなるから簡潔に。いつごろがピークで、そして二月が百三十六万と発表したでしょう、後はどのくらいまで上るのかと言っているのだ。
  161. 細野正

    ○細野政府委員 ですから一−三月がピークでございますから、三月時点で大体百四十万人程度になるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  162. 安島友義

    ○安島委員 どうも大まかなつかみ方のようだと思いますね。いま特定不況産業臨時措置法等の審議が参議院で行われている。この中で相当論議になっているわけですから、経済企画庁のような、全体を通して経済指標として、ある程度客観的な指標あるいは数字を見るというのは、それぞれの役所の役目ですが、労働省の場合は刻々と動く失業の動態というものを把握しながら適切な措置をとる。だから私は、見通しが間違っていたからどうこうというふうな考えはないのです。労働省として、そういう数字を的確に把握しながら、きめ細かな対策をとらなければならぬだろう、こういう趣旨で聞いているわけです。大体想像つきますので、次に質問いたします。  第二次産業、製造業においては、政府の言うように景気がある一定の回復軌道に乗ったとしても、製造業における就業者数は増加しないという見通しに私は立っていますが、いかがですか。これも答えだけで結構です。
  163. 藤井勝志

    藤井国務大臣 私も同じ考えでございます。  参考までに、ちょっと申し上げますけれども、これはことしの一月、製造業に従事している就業者数は四十三万減であります。建設業が八万の増、卸売・小売、金融・保険、不動産業が八万増、サービス業が七十八万増。全産業では五十一万ふえておりますけれども、製造業は四十三万人が減というのが五十三年一月現在の数字であります。
  164. 安島友義

    ○安島委員 次に、中高年齢層の雇用促進について、いろいろな施策を講じられているわけですけれども、まず傾向を伺いたいのですが、定年制の延長というのは、五十一年度と比較して五十二年度はほとんど進展がない、こういうふうに思われますが、いかがですか。
  165. 細野正

    ○細野政府委員 お尋ねの数字は恐らく雇用管理調査に基づいてのお尋ねかと思うのでございますが、この調査は三年ごとに行われておりますので、五十一年後の新しい数字はないわけでございます。ただ四十九年と五十一年——五十一年は一年早めて実施しましたものですから、その間は二年間になっております。これで見ますと、従来に比べて、五十五から六十に一遍に延長するというようなものは確かに減って、そこのふえ方は非常に鈍っておりますが、五十五歳というところは落ちて、したがって五十六、五十七、五十八というふうに一年ないし二、三年刻みの小幅の延長は、五十年不況をはさんでも進んでいると考えられますので、その傾向は本年においても続いているのではないかな、こういうふうに考えているわけでございます。
  166. 安島友義

    ○安島委員 高齢者の雇用率はどうですか、この一年間に六%達成されましたか。
  167. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 高年齢者の雇用率につきましては法律上六%の雇用が義務づけられているわけでございますが、昨年六月一日現在の状況を把握しておりますところでは、平均的には五・六%という状況でございまして、その後の状況につきましては本年の六月一日現在の状況を把握してみないとわかりませんが、必ずしも雇用がはかばかしく進んでいるとは考えておりません。
  168. 安島友義

    ○安島委員 定年制延長のこれまでの推移を見ますと大企業ほどよくない。中小企業の方が少なくとも数字の上では進んでいるという形が出ているわけです。高齢者雇用率の達成状況というのは、これと全く同じような傾向をたどっていると思いますが、いかがですか。つまり、大企業ほどよくないという状態だと思いますが、いかがですか。
  169. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 御指摘のとおりでございます。
  170. 安島友義

    ○安島委員 後でまたお伺いしますけれども時間短縮の方は、高度成長時代の中では若年労働力を確保するために大企業ほど進んでいる。中小の方は労働時間短縮の方は進んでいない。ところが高齢者の雇用の方は全くその逆の傾向を示している。これは本来なら大企業が、力のあるところが、こういう時代的な要請に立って高齢者等の雇用を確保すべきであるのに、主として若年労働力を抱え込んで、中小の場合には老齢者を抱え込んでいるという傾向がきわめてはっきりしているわけです。  それから、定年制のこの一年間の進展状況というのは、皆さんの方がいろいろな各種奨励金等によって一生懸命指導しているけれども、昨年度もしばしば委員会で指摘しましたが、そういう指導では、さほど進展はないのではないかという意味で、先ほどお伺いしたのですが、そうじゃないのですか。
  171. 細野正

    ○細野政府委員 先ほど申しましたように進展の度合いは、不況下で非常に鈍ってきている。その鈍ってきている意味も、いきなり何歳も、五歳ぐらいの刻みで、ぽんとはね上がるのは完全に鈍ってきているわけでありますが、小刻みのものは五十年不況下でもまだ進んでおりましたので、そういう意味で、全体としては鈍りながらも、小刻みのものは進んでいるのじゃないかなというふうに申し上げたわけであります。
  172. 安島友義

    ○安島委員 皆さんの方が真剣にやっていないという意味で聞いているのじゃないのです。皆さんは産業界の実態を御存じですかという点で私は問題を指摘しているわけですから、こういう現在あるような奨励金でもって高齢者雇用促進されると思っているところに問題があるのではないかという観点から私は指摘しているわけです。いま時代が違うわけですから、その辺のところを、もっと現状の制度や運用その他を根本的に見直ししなければ、いろいろな奨励金等をつけてみたところで、私はそれほどこの成果が上がるとは思っていない。  たとえば、現行のいろいろな中高年層の雇用を奨励するための奨励金、いろいろな施策を講じられておりますけれども、各種奨励金の受給者が非常に少ないという理由は、大まかにとらえれば、少なくとも経営者から見た場合にはメリットが少ないということに、結論としてなるのではないかと私は思うのです。なぜメリットが少ないのか。それは結局、支給対象者がきわめて限定されている、支給期間が短い、あるいは奨励金の額というふうなことも含めて、いままでの制度の、こういう各種奨励金というものを洗い直しする必要があるのではないか。もっと太いパイプにつなぐような形でないと、形だけは整っても実際の効果が上がらない、そういうような奨励金がかなりあるのではないかと私は思うのですよ。これは、すぐとは言いませんが今後の課題として、どう考えられていますか。
  173. 細野正

    ○細野政府委員 確かに御指摘のように、たとえば定年延長なり高年齢者の雇用率なりというものが前進をしていくために、金だけでもって、これが進むという性質のものではないと私どもも思います。むしろ基本は、けさほど来御議論が出ておりますように、たとえば賃金体系についての問題とか高齢者の使い方の問題とか、そういう基本的な問題について、企業の中において、あるいは労使間において、そういう点についての条件整備がされることの方がより重要でありまして、そういう意味で、そちらの方を基本に置きながら、各種の奨励金制度というものは、その場合の一種の刺激剤というふうな考え方で私どもは設けているわけでございますが、それにしても、いろいろとその内容について不備な点があるではないかという御指摘につきましては、私ども今後とも充実に努めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  174. 安島友義

    ○安島委員 たとえば定年延長奨励金等の場合、奨励金の給付期間が切れた後の状態というようなことを調査したことがありますか。つまり利用されっ放しというようなことで、同じことを繰り返しているようなことに対しての調査をしたことがありますか。
  175. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 定年延長奨励金を利用した事業主が、その後、定年延長を取りやめるとか、そういう事例は聞いたことはございませんが、具体的なその後のフォローアップというものは特には調査ございません。
  176. 安島友義

    ○安島委員 結局、数年前までは、それなりのメリットがあったと思いますが、今日の深刻な雇用情勢の中では、やはり、ある一定期間めんどうを見るような形で奨励金というものが考えられなければ、それはいわゆる短い期間の中で、いかにも成果が上がったような数字が出てきたとしても、これは持続されないような状態で続いていくような傾向が、きわめてはっきりしてきているわけですから、この辺、現在の奨励金というものは、やはりもう少し実効が上がるような形を考えてもらいたい。  しかも、これはいろいろな関係省庁等が絡んでいますし、法律や何かも中高年層対策としても非常にいろいろな関係法規がある。そういうものも、やはり利用する側の方から見ると、なれれば何でもないのだが、何となく手続一つとっても非常に繁雑な感じを、まず印象として与えてしまっている。たとえば高齢者を対象としたいろいろな奨励金とか各種の援助制度というようなものは、できるだけわかりやすく統合をして、そして経営側の方も労働側の方も、これが利用できるようなこともあわせて考えてみる必要があるのではないか、こう思うのです。これは強く要望しておきます。  次に、失業多発地域雇用対策について質問したいと思います。     〔越智(伊)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕  政府においても公共事業の施行と雇用創出について、いろいろ考えられているとは思いますけれども、どうも、その手の打ち方が、私どもの方から見ると後手後手に回っているような感じがなきにしもあらずなのでございます。時間の関係上ここでは余り大きく、その問題に触れられませんので、たとえば一つの例ですが、これはわが党の森井委員が午前中もちょっと触れられたそうですが、北九州市等の場合、きょう私は安川電機の問題を具体的に取り上げますけれども、すでに第一次の人員合理化あるいは今日第二次の人員合理化が出ていますが、これらの概数については、すでに話があったそうですから、これらは省略します。  私が指摘したいのは、五十一年三月時点で七千名だったものが、第一次整理で七百名減って、その間に恐らく自然減耗等を補充しないできたのでしょう、現在では、それがさらに縮小されている中で、また第二次の人員合理化として九百名出ている。この第一次と第二次を単純に七百名と九百名を合わせただけでも千六百名、さらに、この期間の間に相当の自然減耗をそのまま放置してきているわけですから、七千名はもういまは五千名を切っているような状態、これを見ますと、私は構造不況業種と言われている産業の中でも、これよりもたくさん離職者が出ているところもありますが、平均的に見ましても相当これは大量の人員整理、合理化だと思っています。  そういうことと、もう一つは、安川は御承知のように地場企業として九州一円での名門であり、相当に地方の産業に影響力を持ってきているところですね。こういうところは、安川の問題にとどまらず、非常に地域に与える影響というのは大きい。したがって、第一次のときと違いまして、現在は市を挙げて、この問題を非常に憂慮している。現在、労働組合再建計画を会社に提出して、一時人員合理化案を凍結し、協議中なんです。  問題は、やはり何としても受注が激減しているということですから、採算性の問題もさることながら、まず受注量を確保しなければならぬ。ところが安川の場合は、民生用の機器関係と、鉄鋼とか、その他機械関係等ですから、今日の鉄鋼不況のあおりをもろに受けている。あるいは景気のバロメーターと言われている汎用モーター等が極端に不振であるということですが、通産省の方にまずお伺いしたいのですが、電力関係は今日では唯一の民間設備投資の有力なところなんです。以前は安川電機は、こういう発電関係仕事もしておりました。機械設備その他具体的に現状は私はよくわかりませんけれども、少なくとも全体的に失業多発地域におけるこういうような問題に対して、通産省としてどういう対策を講じているのか。さらに、発電機械類等の発注に対して各電力会社等に要請してもらいたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  177. 小林久雄

    小林(久)説明員 御指摘のとおり、安川電機は鉄鋼業を初めとします製造業に大きな市場を依存していたために、今日苦境にあるというふうに考えておりますが、先ほど先生も御指摘のように、公共事業、それから電力業あるいは海外需要等は、この業界においても比較的最近は好調でございます。これに対しまして、安川電機といたしましても、かねてから水処理関係、都市ごみ処理関係の官公需の開拓、それから鉄鋼、化学、セメント、石炭などのプラント輸出について努力をしてきておるところでございまして、その成果も着々上がりつつあるということでございますが、何分にも、こういう分野におきましては技術、経験の蓄積が必要でございまして、それにはなかなか早急な対応ができないということでございますが、われわれといたしましては、こういう面の一層の努力というものを、かねがね指導してきておるところでございますが、今後もその線に沿って続けてまいりたいというふうに考えております。
  178. 安島友義

    ○安島委員 これは通産省の一関係部局の問題ではないと思うのですね。先ほど藤井労働大臣は、政府としても、これらの問題に対しては総合的な雇用対策を講じていると言われていますが、これがなかなか、いまの情勢の中で総花的な手を打とうと思っても非常に問題はあると思いますよ。しかし、失業多発地域における、これらの深刻な問題に対しては、少なくとも打つべき手はもっとあるのではないか。いまのような問題に対しても、やはり労働大臣としても、通産大臣関係大臣に対して、あるいは閣議の中で、こういう問題を提起し、やはり敏速な対策をとるべきだと思うのです。このいまの北九州市における一つの例ですが、安川だけの問題ではありませんが、特に地場企業として影響力を持っている企業であり、さらに離職者はほとんど再就職の見込みが薄いような状況における地域の問題として、特にやはり先ほど言いましたように、発電機器等の場合は、今後かなり発注量が増加すると思われますので、こういうようなものを一時的にせよ、ふやして受注量が増加するような、そういう方途を講じられるお考えはございませんか。
  179. 藤井勝志

    藤井国務大臣 すでに午前中からの質疑で、いろいろお答えを申し上げたわけでございますが、御指摘のとおり、現下の厳しい雇用情勢に対処するためには、従来の労働行政の枠組みだけでは十分その使命を達するわけにいかない。したがって、事これが運輸省所管であろうと通産省所管であろうと、そういった省庁と密接な連絡をとり、こちらが雇用という面において離職者生活不安という面において発議をして積極的に問題提起をすべきである、このように考えております。したがって、そのような考え方から、すでに三月二十五日に特に私の方から提言をいたしまして、雇用問題閣僚懇談会を同時に開催してもらいまして、引き続き今後も、そのような線で努力したい。そして特に今度の失業問題というのが地域に集中的に多発するという特殊性がございます。そういう中で、特に造船関係というのが非常に目につくわけでございまして、そういうことに対しては、やはり仕事量をふやしていくために、どういう手があるかということについて、ひとつ、こちらは雇用面から提言をしたい、このように考えておるわけでございます。
  180. 安島友義

    ○安島委員 具体的に要望しているので、もう一度お伺いしたいのですが、安川の場合は五十一年三月、七千名であった。第一次合理化によって約七百余名が整理されて、六千三百名だったのが、自然減も補充せずに今日に至っているので、現在時点では五千五百名である。さらに今回、五十三年の三月に第二次合理化案が提案されて、これはいわゆる関係会社への移籍が百五十名、希望退職募集が七百五十名、約九百名をさらに減員するという非常に深刻な事態を迎えて、組合の方は再建案を会社に提出して、現在協議中である。さらに市を挙げて、この成り行きというものを見守っているという事態の中で、鉄鋼等に依存している安川電機の構造改善を進める過程の中で、いわゆる発電機械類の発注等について通産大臣の方に要請する考えはございませんかと聞いているわけなんです。いかがですか。
  181. 藤井勝志

    藤井国務大臣 まだ安川電機の具体的な問題については、検討をこれからさしていただきたいと思います。ただ、ひとつ私はお考えをいただきたいと思いますことは、いままでは経済高度成長という、こういった方向で、いわゆる産業投資部門の企業というのが成長してきておる。まさに安川電機あたりも、そういった生産部門があったわけでございますけれども、こういう設備投資に役立つような企業というのは縮小せざるを得ない、このように考えます。同時にまた、エネルギーをたくさん使うような産業、アルミであるとか平電炉であるとか、こういったこともやはり時代の変化に対応しなければなりませんから、どういう形で今後、雇用問題と結びつけて産業政策の一貫として通産省あたりとも連絡をとってやるかということについて、今後いろいろ検討さしていただきたい、このように思います。
  182. 安島友義

    ○安島委員 緊急の問題なので、できるだけ、しかるべくひとつ善処をお願いしたいと思う。  それから、いまのような概要を皆さん聞いてもおわかりのように、もともと特定不況産業とか構造不況産業というものの法案審議の中でも、この定義がきわめてあいまいだということが議論されたわけですが、今日のこの状態から見て雇用安定事業業種指定というものが、現在のようないわゆる運用や解釈によっては、やはり失業という、きわめて冷厳な現実の前には本来同じなんですね。ですけれども、特に日本のこの産業構造の中で最も問題になるところを重点的に取り上げた、その法律のたてまえからして、それはそれなりに私も理解はできますが、やはり今日のこういう深刻な状態の中では、この運用に対しては、もっと弾力的なきめ細かな対策が必要なのではないか。あるいは、この法の中でできないというならば、やはり、それなりに地域指定の中に該当させるとか、あるいは、その部門の中の、いわゆる機種等を対象にするとか、そういうもっときめの細かい運用がされるべきではないか。ですから基本的には、雇用を守るという形で私が前段で申し上げた方を、やはり当面やってもらうのが必要なんですが、これは経営者は経営者の立場で、いろいろこれからの企業経営をやっていくという立場があるでしょうから、そういうことで、やむを得ず離職者発生するというふうな場合の受けざらの方も、やはり万全を期してもらわなければならないと思うのです。この点についての御見解を、もう一度お伺いします。
  183. 細野正

    ○細野政府委員 安定事業業種指定等につきましては、先生御指摘のような最近の厳しい情勢でございますから、できるだけ産業の実情に即して弾力的に指定をしていこうという考え方に立っておることは、私どもも従来もそうでございますし、今後とも、そういう考え方でまいりたいと思うわけでございます。ただ、そうは申しましても、個別企業を救っていくというようなわけにはまいりませんので、やはり業種というものを基準に物を考えてまいりますが、その業種のつかまえ方について、いま先生からお話しのように、できるだけ、その実情に即して、ですから産業分類にない場合にも、産業分類の実情に合ったようなつかまえ方の方法を考えながらやっていく、こういう方法で、できるだけ弾力的な対処の仕方をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。
  184. 安島友義

    ○安島委員 好況と言われる電機産業の中にも、こういう深刻な事態を迎えている、この冷厳な現実というものを踏まえた関係法規の見直しや弾力的な運用、そういう点をやはりやらなければ、これは後から後から火がつくばかりで、これは対策が後手後手に回る。そういう点でいろいろ、やはり法の解釈としては当然そのたてまえを貫かなければなりませんが、運用面で、その点さらに御検討をいただきたいと思うのです。  私は、これまで時間的な制約があり、はしょって申し上げてまいりましたが、現在の雇用情勢に対して、くどいようですが、政府自体がそうであり、また、雇用対策に対する最もその主務官庁であり、所管の大臣である藤井労働大臣は、失礼ながら、まだ認識が十分だとは思っていないのです。つまり、一時的な公共投資等によって雇用創出を図るとしても、これはいわば出かせぎ労働者とか農閑期で地元のいろいろな公共事業に賃労働で出る、働くというような人にはかなりな影響を持ちますが、第二次産業、製造業の離職者というのは今日ほかに働く道はないのです。しかも長い間一つの技能を持って働いてきた人が年をとって、もうほかに、どこでも雇ってくれないから仕方なしに、こういう公共事業、肉体労働等に出るというのは、これは最悪の状態の場合であって、通常は、やはり自分の技能を生かそうとして、いろいろな就職先を探すというのが普通でしょう。こういうような状況の中で、少なくとも第二次産業の離職者というのは、いわゆる製造業界において再雇用の道がきわめて狭められている。これはただ単に過剰設備というばかりではなくて、その根源となっている日本のこれまでの成長の中における産業の二重構造とか、これからちょっと触れます労働時間短縮の問題、特に週休二日制の問題は先進諸国の中では最もおくれている。世界第二の工業国であると言われているわが国の週休二日制の実態というのは先進諸国の中では最もおくれている。しかも規模別、産業別に非常に格差、ひずみが拡大している。こういう実態を正確につかまえた上で、この上に立って雇用創出をどう図っていくのか。あるいは構造改善のための当面の離職者の受けざらをどうつくっていくのか。そのための職業訓練のあり方はどう進めるべきか。いろいろ、そういうものとの整合性を図る中で諸対策を進めるべきではないかと私は思うのです。そこで、積極的な雇用創出を図るためには、どんなに無理であったとしても、いまのような根源を断つように努力しなければ、一たん雇用調整が進み、過剰設備を仮に廃棄したとしても、また何年か後には同じことを繰り返し、やはり外圧といったものからは依然として免れない。長期的には、そういう日本企業の体質あるいは産業界の現状というものを踏まえて対策を立て、当面の対策としては、現在ある諸制度の運用を図りながらやっていくという二段構えでなければならないと私は思うのです。  そこで、まず第一に、労働時間の短縮を図るために最も効果的な方法としての週休二日制の、わが国の実態というものは、労働省の統計というものに対して私は若干問題があると思うのです。月に一回ないし二回休日をふやしているのを週休二日制という中に入れて統計をとるというのは、少なくとも先進国の中ではおかしいのです。それから完全週休二日制とか変則とか、完全というような言葉を使っているのも、わが国特有の用語です。週休二日制という場合に国際的に、完全か不完全かなどという比較はされていないのです。ですから諸外国と比較しての週休二日制の現状はこうであり、変則的ではあるけれども、そういう方向に向かっている企業適用労働者数は、これまでに、こういうふうになっておりますよ、こういうふうにやらないと、大企業中心適用労働者が七割くらいの範囲になっておるということだけ聞くと、いかにも週休二日制は非常に進んでいるように錯覚を起こすじゃないですか。だから、この辺のところをきちんと整理して今後この問題に対処すべきではないかと思うのですが、この点いかがですか。
  185. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 毎年九月に労働時間制度調査をやっております。その発表の仕方も、完全から月三回、月二回、一回というような形で発表いたしております。その発表の仕方についてどうかと御指摘ございますけれども、諸外国も完全週休二日になりますのには、やはり段階的に来ておる経過もございます。私ども行政指導として、どういう産業に、どういった段階で、いま進んでおるかというようなデータを持っておりませんと、完全だけをとらえましても——行政手法として、そういった資料をぜひ使いたいという意味において、いろいろと区分して使っておるわけでございまして、特に水増しして週休二日は日本が多いのだというようなことを考えておるのではなくて、むしろ完全週休二日に近づけるために、どういった産業に、どういう問題があって、どういうふうに進めるかということを基点に置きましてデータの整理をしております。したがって、いまお話しのように完全週休二日をとっておるのは、たしか二三・六%程度だと思いますけれども、まだそういった低さでございますので、積極的に完全週休二日に向かって進めていきたい、こういうふうに思います。
  186. 安島友義

    ○安島委員 政府の中で、それぞれ労働省の立場もおありと思いますが、現在の雇用情勢というか雇用創出のために提言すべきものは思い切って提言しないと、日本の産業構造というか、その根源はいつまでたっても断てない、悪い状態が続くと私は思うのです。そういう点で、いまのような現状の中から理屈どおりになかなか進まないというのは私も承知しておりますが、できる部門からやっていく。私自身も労働組合の幹部のときに、週休二日制の問題を取り上げた場合、自分のところはできる能力を持っているが、関連部門の週休二日制が、お客さんの関係で進まないから、できないとか、たとえば電力とか鉄鋼とか、重電機、総合電機メーカーに最もかかわりの深いようなところの状態が常に引き合いに出されたり、はなはだしき例は、電力会社の事務所に間借りをしておるような状態で、われわれの方だけ週休二日制をとるわけにはいかないとか、本来の週休二日制の議論から離れた、そういうことにどうしても議論が発展するんですね。こういう点で、たとえば金融機関等の週休二日制を進める場合、銀行等の場合は、今日では郵便局や農協——農協も信託事業関係等で金融機関的なものを持っている、ああいうところとの兼ね合いまで出てくるわけで、こういうことも同じような方向で指導を進めないと、一口に金融機関と言っても、さまざまな利害関係が複雑に絡み合っておるので、できないというふうな問題もあるのです。いろいろ厳しい環境でもありますけれども金融機関等の場合は、やればできるのではないか、こう思うのですが、この辺の行政指導に対しては、どういう御見解ですか。
  187. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 予算委員会その他でも、たびたび大臣の方から週休二日につきましては積極的に取り組むということで御答弁申し上げております。特に、週休二日を進めていきます場合に、データの結果も出ておりますけれども、よそもやらないので、うちもやりにくい、そういった事情が非常に多いということも私どもは聞いております。いまお話しのように金融機関も、郵便がありますし農協があるというようなことで、非常に関連をしてきて、お互いにすくみ合っておるという点もございます。たとえば、週休一日のときも基準法で決められておっても、なかなかできなかった時代がございました。それはやはり業種ぐるみ、地域ぐるみでやっていかなければいけないというような行政手法が要ると思います。御指摘のように、私どもはそういう関連部門についてコンセンサスを得ながら、この問題は積極的に進めていかなければいけない。だから、そういう意味におきましては、いろいろ工夫をして、この問題については積極的に取り組んでまいりたい、こういうふうに思います。
  188. 安島友義

    ○安島委員 いまや産業や企業個々の経営者にのみ任せておいたのでは、やめさせられる離職者のみがどんどんふえていって、その受けざらづくりはおくれるばかりだ、私はこういうふうな見通しの上に立っているわけです。ですから、公共事業等によって一定の雇用創出が図られるということは、私もそのとおりだと思います。しかし、第二次産業の現況や、ここからの離職者の受けざらをどうつくるか。それまでの、いわばつなぎ的なものとして、雇用環境をこれ以上悪化させないためには、いろいろな手だてを講じていかなければならないと思うのです。  それで、これは今度の五十三年度予算編成の中にも、わが党で二十万人の雇用創出ということを申し上げているのですが、私どもは本当に真剣に考えているのですよ。地方自治体が中心になって、当面そういう余り多くの数の事業を起こすというのは無理かもしれませんが、少なくとも、もっと現状の問題点というものをお互いが分担し合い、それから地域事情実情、実態に合わせて、その中から可能な事業を起こすということも当面の対策としては必要なんじゃないか。この辺、公共事業とは別途に、まあ公共事業の一種でしょうが、全額国庫負担で地方自治体に立案させ、この立案に当たっては、いわゆる自治体、使用者、労組代表あるいは学識経験者、専門家等も含めた中で具体案を作成して、これは仮に特別交付金という名目にしておきますが、特別交付金の対象になるような事業計画を立てた場合には、それに一定の交付金を支給して、そして事業を起こさせるというふうなことも当面必要なのではないか。今度の予算の中では無理だとしても、たとえば今後の補正予算を組むような場合に、労働省として、いわゆる雇用創出のための積極的な提言の一つとして、この種の問題を検討してみる意思はございませんか。
  189. 細野正

    ○細野政府委員 現在、雇用失業情勢が非常に厳しい情勢でございますから、先生御指摘のように私どもも、いろいろな意味での雇用創出のあり方というのは今後検討していかなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、一つ基本的に問題になる点は、やはり雇用創出というのは原則として民間中心にまず考えるべきものだ。それをやらずに公共部門で抱えることを考えると、いわば経済全体としては縮小再生産に陥るということになって、ますます雇用問題を悪化させるおそれがあるわけであります。そういう意味で、たとえば現在、非常に公共事業中心にして景気の回復を考えているといいますのも、もちろん公共事業への直接吸収ということを無視というか軽視しているわけではないのですけれども、基本は、景気を回復して民間雇用拡大しようというところにあるわけでございます。そういう意味で、たとえば現在の公共事業の中でも、県独自に、あるいは市町村で、いろいろと計画実施したものが、それぞれその各所管庁において認可されて公共事業になっていくという側面、あるいは県の単独事業というようなものもあるわけでありますから、そういうもののいろいろな工夫の中で考えるべき問題もいろいろあるかというふうに私どもは考えております。  しかし、いずれにしても県なり市町村が一時的に、その失業者を抱え込む形で就労させるというやり方は、従来も再就職につながらなかったといういろいろな経験がございますので、私どもとしては現時点においては、それはやはり慎重でなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  190. 安島友義

    ○安島委員 たとえば構造不況産業と言われるような部門は、構造改善事業などと言っても、もうそれはでき得るような状態じゃないのです。それは午前中からの質疑でも、もうおわかりでしょう。ここで具体的に内部でもって配置転換をしたり、あるいは別な仕事をつくり出すというふうな状態は、今日の日本の産業、いわゆる経済体制の中では少なくとも出てこないのですよ。その点をいま現実に受けとめて、一定の雇用調整が行われる中で、やはり自由経済体制の中でふくれ上がった過剰設備というものが処理され、そういう雇用調整の中で、離職者はとにかく働かなければ生活できないわけですから、そういう中でいろいろ仕事は探すでしょうが、個人が探して再就職をするという道はきわめて狭い。しかも、特定不況産業、構造不況産業と言われているような部門では、どんな名目の奨励金や補助をしようとも、これはそれほど効果的な施策にはならない。そういう現実をやはりよく踏まえてやらなければ——それが間違いであるならば、具体的に各産業別の動態をつかんだ上で、ここで発表してください。少なくとも私の見ている限りでは、構造改善事業などと言ってみたところで、そういうことができるような企業体が一体幾つあるのか。そういう問題を踏まえて、いま申し上げましたのは短期的な問題ということで、長期的な形じゃない。やめさせられる人ばかりがどんどんふえていくような状態、雇用不安を増大させないために当面の緊急対策として、いろいろなことを含めて対策を行う必要があるという点で申し上げているわけです。  とにかく日本の産業構造が変わるなんというのは半年や一年で変わりっこないのですから、これからも雇用の不安定状態というのは相当続くという認識に立って、雇用対策というものは考えてもらいたいと思うのです。前労働大臣の石田さんは、私の質問に対してはっきりと、第二次産業の就業者数が増加する見込みはありませんとおっしゃった。こういうところは、だれでも常識的に一致しているのですよ。そうすると第一次産業に逆戻りなどということは日本のこの状態からいってむずかしいですね。残っているのは第三次産業。ところが、第三次産業と言っても、第二次産業、製造業に関連する第三次産業というのは、第二次産業がよくない状態では、ここでの新規雇用というのは余り出てきませんよ。そうすると、公共的な部門で、かなり不足をしておるいろいろな部門があります。いろいろ問題はありますよ、財政的な問題等もありますが、少なくとも雇用対策として考えるならば、公共的なサービス部門等に、もう少し重点的に人の配置を考える。あるいは私的サービス部門の場合には、ここでの議論とはちょっと別ですけれども、少なくとも減税とか所得を向上させて購買力を高めるというふうな施策が並行的に行われない限りは、第三次産業の雇用創出などというのは口で言ったって実際にできっこないわけです。  これらの深刻な問題を抱えて、私は当面、雇用情勢というものはやはり、いまの状態が続くであろうと見るだけに、労働省としても政府雇用対策については特に格段の、さらに一層の提言や努力をお願いしたいと思うのですが、最後大臣の御所見を承りたいと思います。
  191. 藤井勝志

    藤井国務大臣 いろいろな角度から大変参考になる御意見を承りまして、私も御指摘の点は大体同じような考えを持つものでございますが、この雇用対策は一応、対応の仕方、考え方が、それぞれにおいて、おのずから違ってこざるを得ない。まず、造船地帯中心に、特定地域の産業に集中的に大量の離職者が出てきている。これに対しては中長期的な観点からでなくて、やはり緊急的に対応しなければならぬ。これには、これから大きくやられる公共事業に対して、地域指定して失業者の吸収率制度というものを活用していくということも、これは緊急避難的な意味において、やむを得ない。  それから、いま、いろいろお話ございましたが、第三次産業への雇用の場を拡大をしていくということは、われわれ日本の社会の状態は欧米先進国と比べておくれておるという点が確かにございます。すなわち福祉とか医療、保健であるとか教育、情報ですね、こういう面においては、われわれ日本人の生活の質を向上さすということと同時に、われわれの雇用問題を解決するという面において有効な場であるというふうに私は考える。これは労働省だけでは、もちろんまいりませんから、やはり関係省庁、これは文部省もあれば自治省もありますし、厚生省もあります。そういうところの施策と相呼応しながら物事を進めていくということ。  それから長期的に企業化が促進さるべきものというのは、やはり新エネルギー政策を中心に、いろいろの技術開発をやっていって、あるいは海洋開発であるとか、また飛行機産業あたりは大いに取り入れていくべきだ。ジェット機あたりをつくるということは軍事力を背景にしなければ、ちょっとできませんが、民間の航空機あたりは、これだけ組み立て作業で仕事ができて、しかも高度な技術と教育水準の求められる労働はないわけですから、自動車産業がここまで伸びた日本においては、飛行機産業というのは大いに伸ばしてもらいたい、このように期待したい。  それから第四番目といたしましては、先ほどお話しのように、これは消極的な構えでありますけれども経済全体が低成長になったのですから、いわゆるワークシェアリング、仕事を分け合うという意味において労働時間対策というものを進めていく。  このようなもろもろの政策を推進していくということが、これからの目標ではないだろうか、私はこのように考えておるわけでございまして、今後も一層のよき助言なり御鞭撻をいただきたい、このように思っております。
  192. 安島友義

    ○安島委員 最後に、雇用関係の閣僚のいろいろな懇談会、連絡会議、これは当然そういうふうに行われていると思うのですけれども、やはり次官、局長等を含めて、具体的な問題を中心にして敏速に手の打てるようなところは、その都度そういう対策を講じられるような措置を願いたい。どんどん失業の問題が各地に起きている状態でございますから、そういう点、万全の措置をとられることを要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  193. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 次に、草川昭三君。
  194. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川でございます。  私どもも構造不況の実態をいろいろと現地調査をさしていただいたわけでございますが、部分的には、かなりひどくて予想外に深刻な状況がうかがわれるわけです。  そこで具体的に質問に入るわけでございますが、たとえば造船でもベニヤでもそうでございますが、会社が行き詰まるという場合があります。そうすると大銀行だとか商社だとか、いろいろな債権者が来て再建計画を立てるわけですが、必ず従業員の縮小ということになるわけでございます。そこで主として希望退職という手がとられるわけであります。私はまず第一に、希望退職というものは一体何なのかということを中心に、少し労働省の意見を聞き、また私の意見を反映をしていきたいと思うのです。  希望退職というのは、読んで字のごとく希望退職でございますから、本人が承知をして、喜んでとは言いませんけれども本来は納得をしてやめるわけですが、現実には肩たたきということがあったり、あるいは、いまは年功型高賃金になっておりますから、佐世保重工なんかの現地新聞のレポートなどを読みますと、私がやめると二人の労働力というものが、それにかわるのではないだろうかというようなことが職場の中の雰囲気として出てきて、やむにやまれず去っていく。だから残るのも去るのも地獄だ、こんな表現が現地では、あるわけでございます。大量の工場閉鎖に伴う希望退職というものは、一般的に労働省は解雇と受けとめておるのか。あるいは全く本人の希望する通常の解雇と受けとめておるのか。まず、そこの見解をお伺いをしたい、こう思うわけであります。
  195. 細野正

    ○細野政府委員 一般的に申しますと退職の中に、会社側が首を切る退職と、それから本人の都合による退職と、大きく分けて二種類あるわけであります。その前者の方が、いわゆる解雇と言われるものであり、後者の方が自己都合退職というふうに普通、言われているものであります。その形がどういうかっこうであれ、そのいずれに属するかというのは、やはりそれぞれの退職した事情の実態によって行われるものでありますから、したがいまして、名前が希望退職というふうな形で行われたとしましても、それ自体をとって、どっちと見るかというわけには一律にまいらぬのではないか、こう考えているわけであります。
  196. 草川昭三

    草川委員 名前の問題だけではなくて、現実に今日、あれだけの地域に八百人だとか千人だというような、たくさんの方々が退職をするということになるならば、私は本人の意に反する解雇だと受けとめて、ぜひ行政をやっていただきたいと思うのです。  いわゆる雇用対策法という法律がありますね。これは五十人以上の解雇があった場合には、事前に現地の職業安定所に届けなければいかぬということがあります。ただいま行われております、たとえば造船関係だとか永大なんかの特徴的な企業の解雇は、この雇用対策法に基づく事前届け出ができておるかどうか。まず、そこをお答え願いたいと思います。
  197. 細野正

    ○細野政府委員 届け出があったというふうに聞いております。
  198. 草川昭三

    草川委員 届け出があった。私も現地を調べておるわけではないのですけれども、たとえば永大の場合だと、新聞倒産が出てというような事例があると、私は少なくとも、この一カ月前に職業安定所長に届けてあるとは思われぬ。あるいは佐世保の場合でも、当初八百何人の人員整理計画というものがあるわけでございますけれども、これが締め切りがことしの三月七日でございますか、これも私は正直なことを申し上げて、少なくとも新聞報道で見る限りは、一カ月前に現地の職業安定所長に届け出がないんじゃないか、こう思うのです。だけれども、いま役所の方は、ある、こうおっしゃられたので、その当初、問題提起があったのは、労働組合と当然事前協議があるわけでございますから、それがたまたま、いつかという問題になるわけでございますが、しかし今日の不況が、これだけ厳しい状況になってまいりますと、私は、雇用対策法に基づく施行令が正しく遵守されておるとは考えられません。しかし、私が言いたいのは、そこで、あったとかないとかということよりも、本当に一体これは何日に安定所に届け出があったのか。たとえばA社、B社、C社、たくさんあると思うのですけれども、それは後で結構でございますから、一回私どもに正式に御回答願いたいと思うのです、受け付けの日にち。そして、せっかくのこの雇用対策法という法律が死文化しないように、いまでも生きておる法律ですから、本来ならば、これは県知事だとか、あるいは労働大臣に直接、事前審議をしてもらいたい気持ちが、いま、われわれにはいっぱいなんですけれども、とりあえずは現地の職安所長でも、この法律は生きておるわけですから、それを完全実施をすることによっても、ずいぶんと対応策が違うのではないだろうか、私はこう思います。私はそれを非常に強く要望申し上げておきたい、こういうように思うわけであります。  それから、いままでの五十人以上の解雇の場合に、これに違反をしておる例というものが、雇用対策法ができてから実際はあったのかないのか。これもちょっとお伺いをしたい、こういうように思います。
  199. 細野正

    ○細野政府委員 私も職業安定局長に就任して早早に、その届け出の履行状況を一遍確認したことがございまして、私の実感そのものとしては、かなり届け出が行われているという実感を、むしろ、そのときに持ったのでございまして、そういう意味では、かなり励行されているというふうに考えておるわけでございます。ただし、あの種のものでございますから、それじゃ全く落ちなく網羅的かと言われますと、これはちょっと私も完全ですということを申し上げるほどの勇気もないわけでありますが、ただ、先ほども申しましたように、通常思われているよりは、かなり励行されているということだけは率直に申し上げられると思います。
  200. 草川昭三

    草川委員 それから佐世保の場合でも、佐世保の職安ではかつてない大量の造船離職者が出たわけで、緊急雇用対策本部というのを現地の職安につくられたようでございますけれども、いわゆる円高不況、構造不況ということが昨年来から出ておりますが、緊急雇用対策本部をいま全国的に、どの程度設置をされておるのか。これも現状を御報告願いたい、こういうように思います。
  201. 細野正

    ○細野政府委員 都道府県におきましては、ちょっと、きょうは手元に資料がございませんが、臨時雇用対策本部等の名前において、労働部を中心にしながらも経済関係あるいは産業関係の部局を含め、かつ知事、副知事等首脳の方を加えた対策本部が三十数県に設けられているというように記憶をいたします。なお、市町村段階のものは、目下調査中でございますので、お答えできません。
  202. 草川昭三

    草川委員 そこで、これからが問題なんでございますけれども、緊急雇用対策本部というものが、ただ単なる名前だけではなくて、実質的な稼働をするようにするためにはどうすべきかという問題が出るわけでございますが、たまたま、いま参議院で構造不況法案というのを審議をしているわけでございますし、過日も連合審査が行われたわけでございますが、問題は、構造不況法案というものが実際稼働するようになりますと、人員整理というのでしょうか、余剰人員というものが相当街頭に放出されることになると思うのですね。一人の労働者を解雇するに約一千万円の費用がかかる、こう言われておるわけでありますが、構造不況法案の場合は、八十億と二十億出して百億を基金として、一千億の金が用意されるわけであります。ですから、この一千億の金が余剰設備の廃棄、いわゆる担保を抜く用に使われる面があるわけでございますが、これは合成繊維なんかは使わない。利子が七・三とか七・四かかるので凍結だということになりますと、勢い、やはり労働者の解雇の退職金に、この金というものは使われていく、こう私は思うのです。そうしますと、この数字では、約一千億で一万人ぐらいになるのですか、解雇が出るわけでございますが、相当深刻になるわけです。  過日も私、労働大臣に質問したわけでございますけれども、実際上の安定計画をつくる場合に、労働組合の発言というもの、あるいは労働省としての歯どめが、これから大量解雇についてできるかどうか。いまある歯どめというのは、多少は、この雇対法で職安所長の事前の届け出というところで歯どめがあるわけですね。今度は構造不況法案では所管の大臣、ベニヤの場合は農林大臣、あるいは平電炉の場合は通産大臣造船の場合は運輸大臣が過剰設備の廃棄をするわけです。そこで、よほど事前に労働省が情報をキャッチをしなければいかぬと思うのですけれども、それは一体、労働省の基準局がやられるのか、職業安定局がやられるのか、あるいは、いわゆる雇用対策室というところがやられるのか、どこがやられるのかわかりませんけれども、ひとつ構造不況法案の将来の稼働ということを含めて、労働省としては事前に、どこで情報をキャッチをしていくのか、あるいは物を言っていくのかということをお伺いしたいと思います。
  203. 細野正

    ○細野政府委員 通産省その他の経済官庁が主管官庁になって、御指摘の特定不況産業安定臨時措置法案というものを、いま御審議いただいているわけですが、あの関係につきましては、まず業種指定の段階で政令ということで、事前に私どものところに合い議が参るわけでございます。労働省としては職業安定局を窓口にし、関係の局に、合い議があった場合には直ちに連絡をする、こういう体制で臨むつもりでいるわけでございます。
  204. 草川昭三

    草川委員 そういうことについて実際は、これから具体的に相当いろいろな問題が出てくると思うので、ひとつ万全の対策を立てていただきたいと思うのですが、実際、いまの現状からは、なかなか問題があると思うのです。だから事前に、よほど本当にいろいろな対策を立てていただきたい、これは要望でございます。  そこで、地域的には、私も佐伯へお伺いをしたわけでございますけれども、非常に深刻な要望がが出ておりました。これは午前中他の諸先輩の方方から意見が出ておると思うので重複を避けますけれども、当分の間、解雇をされた人は雇用保険で生活をされると思うのです。ところが、雇用保険がいよいよ切れてくるという場面も造船の場合なんかでは、もうすでに出ておると思うのですが、ただいま全国の雇用保険受給者の中での就職状況というのは一体どの程度なのか、お伺いをしたいと思うのです。
  205. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 雇用保険受給者の実人員は、昭和五十年度で八十七万人、五十一年度で六十四万九千人、五十二年度は、二月までで六十五万一千人でございますが、このうち就職した者は、五十年度が四十三万二千人、五十一年度が二十八万四千人、五十二年度が十六万八千人となっておりまして、年々減少してきております。
  206. 草川昭三

    草川委員 そうすると、六十五万に十六万ですから三分の一、三割を割るわけですね。たまたま佐伯でお伺いをしますと、男の方は三三%だと言いますね。新しいところがないわけですから、まだまだ、これはいいかもわかりませんけれども。  大体、失業保険をいただいて三割程度しか仕事がないという現実。しかも実際、これは労働省に資料があるかないかわかりませんけれども、一体どの程度の賃金なのか、再就職の場合。これは私、単純に統計がとれないと思いますけれども、私どもがたまたま足で歩いたところを見ますと、たとえば東京周辺のベニヤ会社なんか、部分的には忙しいところもあるんですね。カルテルをしながらも忙しいところがあるんですが、日に大体四千五百円ぐらいだといいますね。あるいは四千円ぐらいだという場合もあるんです。操短をやっておりますから、一カ月九万円ぐらいだというんですね。そして沖繩からお願いをしておるということでございますが、寮に一万円ぐらい払っていただかなければいかぬ。そうすると、大の男が働いても手取り七万から八万。これはそういう方でも対象になっておると私は思うのです。これではとても生活ができない現状だと思うので、構造不況法案というような一つの後ろ向きの法案ができたわけですけれども、これから大量に投げ出されるわけでありますから、私は、雇用保険の受給者の就職状況の追跡調査を、ぜひ労働省のどこかでやっていただきたいと思うのです、これは要望になりますけれども。そしてやっていただいて、なおUターン現象で沖繩へ戻っていくとか、あるいは東北へまた戻っていかれる方も多いと思うので、そこらの点を私はぜひお願いを申し上げたいと思うのですが、たまたま九州の佐伯の場合なんかだと、最低賃金のぎりぎりのところ、一日三千円を割るところがあるというお話も聞きました。これは非常に深刻な状況ではないだろうか、こう思っておるところであります。  そこで、次に移るわけですが、もう一つ、いわゆる安定所の職業紹介のあり方が、いま適切に行われておるかどうかということの意見を出したいと思うのです。これは私は、一生懸命やっておられます全国の安定所の職員の方に、けちをつけるというつもりは全然ないわけで、御苦労を感謝をしながら、それでも、いまの安定行政で職業紹介というのが果たして適切に行われておるかどうかという疑問があるわけです。私が中小企業の方々にお会いをすると、本当に安定所に頼んでも、いい人はまず来ないというんです。これは男性の場合でも女性の場合でもそうなんです。そんなばかなことはないだろう、安定所も一生懸命やっておるから、そんなことないだろうと言うんですけれども、現実には、たまたま紹介されてきても腰かけ的で帰られる方も多いし、何となくぴったりこないので、ついつい新聞広告をやるというんですね。私も新聞広告は余り当てにしてなかったんですけれども、たとえば、これは東京都内の新聞ですが、連日のごとく二面、三面といっぱいあるんですね。これは全国どこの新聞でも、一日一回出るだけでも一升大体三十万円から四十万円かかるというんです。だけれども、こちらの方がまだ集まる人がいいというんです。一体そういうことについて安定所はどうお考えになられるか、お伺いをしたいと思うのです。
  207. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 新聞広告とか求人情報に関する雑誌等によりまして就職するケースもございますけれども、これらに掲載してある求人につきましては、なかなか人の集まりにくい職種とか、そういうものもかなりスペースを割いている例もございます。また労働条件がわりあい不明確であるとか、問題があって、後々問題が起こるというようなケースも中には含まれておりまして、労働省としましては、できるだけ安定所利用による就職によって安定した職場が得られるように、安定所の利用の促進ということには常々心がけておるつもりでございますけれども、現実には、なかなかむずかしい状況にあるというような状況でございます。
  208. 草川昭三

    草川委員 現実にはむずかしいということを、私は少しくどいようですけれども、時間をかりて少し詰めた話をしておきたいと思うのです、これは余り簡単に次に移るということでなくて。  私、この前も委員会で申し上げたんですけれども、まず、たとえば私が失業したとします。当然、安定所へ雇用保険の受給に行きます。これはどうしても通らなければいかぬところですから行くんですけれども、何はともあれ非常に劣等感を受けるようなシステムというんですか、空気というんですか、雰囲気になっておるわけです。皆さんはまず解雇をされるということが永久にないですね、これは率直なことを申し上げて。だけれども民間労働者というのは、いつどこで首を切られるかわからぬわけですから、ある日突然にエリートの会社だって倒産をする可能性があります。そういうときに、まず安定所へ行っただけで人生の敗北者だと受けとめざるを得ないという深刻さがあります。しかし、仕方がないから、そこで雇用保険をもらうわけです。そこで今度、次の階へ行って職業紹介の一覧表を見ながら求職の受付をする。そして窓口から、適当なところがあるから、あなた一回行きなさいというので、電車に乗って、どこどこの会社に行って判をついてもらって労働条件の話をして帰るということになる。もうそこら辺になると本人はいやだというんです。心身的に物すごく疲労するというんです。ところが外国の職業紹介というのは、どういうようなシステムをとっておるのか私はわかりませんけれども、少なくとも、もう少しからっとした空気だ。そして条件がいいか悪いかで非常に簡単に手続をして、雇用保険も、もらうものはもらう、こういうことになっておるというのです。だから、いまの職安行政の窓口を少し基本的に変えるという意思があるのかないのか、お伺いしたいのです。
  209. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 先生御指摘のように、従来職安の窓口というのは、そういう暗いイメージがあるというような一般的な評価もございまして、私どもとしましては、そういう従来、失業対策の就労者などがかなり多かった時代のイメージも残っておりますので、新しい時代に即応した職業安定所の姿を描き出すために実は実験的に、東京ですと渋谷職業安定所でございますが、そういうところを選びまして、装いを新たにして、国民のためにサービスが徹底できるような、喜ばれる職安になれるような再編整備ということで現在、実験的に行っておりまして、現に渋谷の職安では、利用者からアンケートをとっても、かなりイメージが変わったということのアンケートも集まっておりまして、それを全国的に広めていきたいということで現在努力しているところでございます。
  210. 草川昭三

    草川委員 いま、たまたま渋谷が実験的に非常にいいというお話がございましたが、ちょっと次に移りますけれども、私はきょうここに、これだけの本を持ってきたのです。「日刊アルバイトニュース」というこんな厚い本、百円で買えるのです。それから「週刊就職情報」という本、これも百円ですよ。週刊誌並みで三百ページあるのです。これが全部求人ですよ。いま言われた渋谷周辺なんというのは、ここで一番多いんじゃないですか。それから「週刊サンデー求人」これも百円です。それから「日刊東京アルバイト パートタイマー情報」これも百円で、百五十ページぐらいあるんじゃないですか。それから「月刊就職ジャーナル」といって、これは、どういう会社がいいとか悪いとか、あるいは新しい仕事はこうして見つけようじゃないかとか、いろいろなのがあるので、少なくとも、これは本来は労働省がやらなければいかぬ仕事が、百円出せば町に売られているんです。これは私は国会の下の地下鉄の売店で買ってきたんです。私つくづく思うんですが、これはいいことですか悪いことですか。まず一遍、大臣に聞きますが、これは労働行政としていいことなんでしょうか悪いことなんでしょうか。
  211. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 そういう情報、いろいろな意味で情報提供を国民の方々にいろいろするということは決して悪いことではないというふうに考えておりまして、職業安定法でも、安定所に届けてもらえば、管轄範囲を超えた情報提供は認められております。ただ、職業紹介につきましても、先ほどもちょっと申し上げましたように、安定所の紹介ということになりますと、労働条件等も明確になり、後々紛争が起きた場合も非常に労働者の保護にもなるというような利点もございます。そういうことで安定所利用を勧めたいのでございますが、現在のところ二十数%ぐらいの利用率で推移しております。ただし、諸外国におきましても必ずしもそういう公共的な職業紹介機関が一〇〇%握っておるということではございませんで、やはりいろいろな方法があっていいというふうに考えておりますが、私どもの力が不十分であるという点は十分反省いたしたいと思います。
  212. 草川昭三

    草川委員 先ほど課長がおっしゃられたように、本来、職業安定法ができたときの、その他の広告で求人募集することを認めるといったときの精神は、たとえば家政婦さんとか調理師だとかお手伝いさんだとか、そういう本来の産業だとか製造業になじまない業種を予想しながら、この法律というものはできたと私は思うのです。そうじゃないですか。——必ずしもそうじゃない。では、それは皆さんの方が専門ですから、必ずしもそうじゃないとおっしゃられるのですが、しかし今日こんな大量の職業紹介が出ることまで予想してつくられた法律ではないと私は思うのです。  お伺いしますが、この「就職情報」なんというのは三百ページあるわけですが、一ページ広告代幾らか御存じですか。わかっておるなら、ちょっとお答えください。
  213. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 存じ上げません。
  214. 草川昭三

    草川委員 意地悪な質問をするつもりじゃないので私はあれですが、これは一ページ二十四万円です。そして半ページ十二万ですけれども、ちょっとまけて十一万七千円。そして四分の一の一こま六万で、一ページ二十四万なんです。三百ページですよ。何千万になるのですか、これは。だから、これはいまは大変な産業ですね。これは認められておるわけですから頭のいい人なんでしょうね。コロンブスの卵じゃないですけれども、後から考えれば私もやりたかったなんということになるのですけれども、とにかく、これは大変な産業が生まれたものですよ。これは私は全く盲点だと思うのです。だから、いま言われたように悪いことじゃないと思うのです、現実には買われているわけですから。大量に皆さんにこれを買っていただいて、電話をかけて直接の雇用に、これでつながるという場面なら、いいことでしょうね。だけれども、いま言われたように、これはトラブルがあるかもわりませんね。うそを言う場合があるかもわからぬ、苦情がある場合があるかもわからぬということになると、これは非常に問題が出てくると私は思う。ここで成功したような例だとか、求人の申し込みの率は統計上の資料になるのでしょうか、お伺いしたいと思います。
  215. 細野正

    ○細野政府委員 全般的に労働異動がどのぐらいあって、その中でもって、自分で行ったとか、縁故で行ったとか、それから新聞広告で行ったとか、安定所を経由したとか、そういうふうな統計自体は御存じの雇用動向という調査がございまして、この中に集計をされているわけでございます。それとは別途に安定所で自分のところで紹介したものの業務統計をつくっておりますが、その業務統計の中には、いま御指摘の、そういうものを見て就職になった方の統計は入っていない、こういうことになるわけでございます。
  216. 草川昭三

    草川委員 そこで、統計に入っていないということになるわけでございますが、もうこれだけの、しかも週刊だとか日刊で、特に、この「日刊アルバイトニュース」なんか大変な人気です、テレビのコマーシャルなんかも出ておるわけですから。しかし、これは労働省は全く関係がないということではなくて、やはり一遍調べてもらわなければいかぬと思うのです。一体どういう程度なのか。私もたまたま買ってきて、いま皆さんにお伺いをしているだけの話ですから、これは何件あるのかまだ調べてないのですよ。ただ三百ページありますよとかいう程度なんですから。しかも、これが毎日変わっておるのか、あるいはときどき変更になっておるのか。いろいろな条件があると思うのですね。少なくとも統計上このような具体的な例については、どこかで、その他の項でもいいですけれども、求人なら求人の項に入れるか、あるいは安定所以外の成功率というのですか、就職になったのかどうか、私はこれはぜひ一回調べていただきたい。これは要望であります。  そこで、さらに私が申し上げたいのは、ここの中で比較的学生のアルバイトの仕事がふえてきておるという傾向があるわけであります。しかも学生のアルバイトの方々の労働条件でございますから、学生を相手にしますと、たとえば一時間四百円だとか五百円だとか三百円だとか安いのがあるわけです、この中には。しかも、先ほど来もちょっとあったと思うのですが、これからの雇用というものの吸収は第三次産業の方にどうしても移行します。ところが、この第三次産業の中でも外食産業だとか流通関係なんというのは非常に大きなウエートを占めますが、そこがこれを利用しておるウエートが強いんですね。本来の構造不況業種で街頭にほうり出された労働者は安定所に行ってもだめだ。あるいは本来は、ここらの求人をするところに行きたいんだけれども、こちらの方は手っ取り早くアルバイトあるいは学生というものですりかえて雇用というものを吸収するということになりますと、結論的には産業労働者で解雇された方々は行き場のないまま、中高年齢層として吹きだまっていく、こういう状況というものが当然予想されるわけです。だから、この一つの問題提起の中にも、いまの本質的な雇用構造の問題が内蔵しておる。これを労働省としてどうお考えになっておられるのか、ひとつお伺いしたい、私はこう思います。
  217. 細野正

    ○細野政府委員 労働力は全体として毎年毎年、相当数の流動があるわけでありますが、その中で、先ほど来、私どもの所管課長からも御説明しておりますように、どこの国でも、すべての者が安定所を通ずる仕組みになっていないわけであります。やり方もいろいろなタイプがありまして、たとえば紹介自体を民営にも認めて、それとの競合関係でやっているというものもございます。それから部分的に、安定所の力の及ばないところについて民営のものを認めるというやり方でやっているところもあるわけであります。  いずれにしましても、けさほどもお答えしたのでございますけれども、年間にして、景気のいいときには、学卒を除いても四百万ぐらいの人が動くわけであります。それを全部安定所を経由しろということをすると、それはむしろ経済的に見て、きわめて非能率なあり方になるわけであります。したがいまして若年の、特に新規の学卒者の方とか、高年齢者の方とか、それから、それこそ、いま御議論になっておりますような特定不況業種離職者の方とか、いろいろと情報なり、あるいは人と仕事との結合について、ある程度どもも情報を提供したり、場合によっては相談に乗り、指導もするということがぜひとも必要な方、それから単に情報を見るだけで自分で判断して流動する方、極論すると、ごく大ざっぱに分けると、その二種類に分かれるわけであります。安定所に見える求職者、なかんずく失業保険の受給者の中でも、そういう二つの層があるわけであります。  したがいまして安定所も基本的には、そういう意味の念入りな職業相談、職業指導をしなければならない方、たとえば就職促進指導員とか職業相談員とか、そういう方々の相談によって綿密なそういうことをやる過程において適切な選職が行われていく、そういうカテゴリーの方、それから、先ほど冒頭にもお話がありましたけれども、いわば自己都合退職されて、もっといいところがあればというような方も実際はあるわけであります。そういう方については、安定所の中に公開求人を掲示しておりまして、そういうものを見て、それによって就職していただくというようなことも考えているわけであります。その方がはるかに、また安定所も乏しい人員で、それぞれの層に対応した適切なあれができるんじゃなかろうか。つまり安定所に見えるということは結局、最低限、少なくともいろいろなものを見て、その上で仕事が選べる、こういう側面から言えば、特に指導の必要でない方については安定所にある公開求人をごらんになって、それでその中から職を選ばれるというのも一つの行き方であるわけであります。その方と、それから本当に念入りなそういう相談、指導をやらないと、なかなか結合もしにくいし、場合によっては逆に求職者に合わせた求人者の方の指導も必要になってくる、そういうふうなこともあるわけであります。  したがいまして全般の、それこそ四百万もある流動する人々につきまして、いま御指摘のような、そういう情報が提供されること自体は、先ほど来申し上げておりますように、決して悪いことではないわけであります。ただ、それが虚偽であったりとか、いろいろな問題が起こり得る可能性があるわけであります。しかし、逆に今度、それが心配だからと言って、それを全部一件一件、私どもの方で事前にチェックをして、間違いのないものだけ載せるということも、これまた望ましいことではあるかもしれませんけれども実際は不可能だと思うわけでございます。そういう意味で私ども、問題があるような指摘があれば、そういうものについての調査をすることは、もちろんやぶさかでございませんけれども、通常のあるべき姿としては、やはりそういう情報の提供というものは自然の形でコマーシャルベースで行われていくのもやむを得ないのではないか、こういう考え方に立っているわけでございます。
  218. 草川昭三

    草川委員 いまの局長の答弁を聞いておりますと、これから日本の難局を乗り切る雇用という問題に対して私は非常に心細い気がするわけです。何も流動し、希望する四百万の就職状況を全部、労働省が絶対つかまえなければいかぬということを言っているわけではございませんけれども、それでも大体四分の一ですよ。中にはいろいろな条件があって一律にはいきませんよという大綱はわかりますけれども、それにしても産業構造が異常なまで変わってきておることは事実ですから、雇用対策の立ちおくれがあることは私は否めないと思うのです。  もう一回、前に戻しますけれども、このようなものについて本当に正しいのかどうか、たとえば雇用対策室でも、どこでもいいですけれども労働省の中に一人でもチェックする人がいるのですか。ときには一遍抜き出して調べてみようじゃないかという担当官いるのですか、お伺いします。
  219. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 私ども行政の方にも一応届け出ることになっておりますので、そういう冊子は私たち知っておりますが、個別具体的に抽出して調べるというところまでは、ちょっと手が回りかねております。
  220. 草川昭三

    草川委員 これは今日の行政改革の問題もありますけれども、明らかに急速に変わってきておるのですから、ほっておいて、もしも事故があったら大変だと思う一つの問題提起をしたいのですが、ここの中で、ずっと読んでいきますと、非常に過酷なノルマで賃金がようやく世間並みに支給されるという労働条件のところが予想外に多いのですよ。たとえば新聞の拡張員、こんな問題は、すでにたくさん雑誌にまで特別のレポートが載っておりますよ。ときには暴力的な、一種の手配師的な誘引の中で仕事をせざるを得ないという面だってあるわけです。あるいはセールスが多いのですけれども、セールスマンの条件でも、人間の思想そのものが、洗脳という言葉がありますけれども、いろいろ物すごいハードな企業内訓練が行われて、ときにはセールマン自身が精神病になるという例だってあるわけです。だから一見、成功したような例で、大変な高収入を得たという裏には、それの何倍かにわたるところの犠牲になった人たちだっていると思うのですよ。それが現実には、このような一見、高い労働条件が与えられたような状況の中で、ついつい労働力をつぶしてしまう例もあるわけですし、これがまた基礎になったら、いまの労働基準法なんというのは、どこかへ飛んでしまう条件があると思うのですよ。たとえば残業をすれば一・二五だ、あるいは深夜手当はどうだというのは、少なくとも今日セールスマンには適用されてないわけですよ。     〔竹内(黎)委員長代理退席、羽生田委員長代理着席〕 だから、いませっかく日本には労働基準法というりっぱな法律もあるわけでございますけれども、それが現実の世界の中で、どんどん切り崩されていっておる。二重構造、三重構造の格差のある雇用関係がいま目の前に現実に出てきておるわけです。しかも何回もくどいように申し上げますけれども、解雇された労働者労働基準法にカバーできないところで、ようやく低い賃金で生活をせざるを得ないという現実があるわけですから、ひとつ従来の姿勢を変えて、真剣にこの問題と取り組んでいただきたいということを私は強く要望をしておきます。同時に、いままでの点について、もう一回大臣なり局長なり、御意見があったらコメントしていただきたいと思います。
  221. 細野正

    ○細野政府委員 そういう情報提供関係のもので、私どもとしても許可しているという責任がございますから、いわば抜き取り的なサンプル的な調査をしてみて、そういうものの状況等についての把握をすることは必要だと私どもも考えております。  それから、もう一つの問題といいますか、私どもも逆に、そういうものを活用している場合もあるわけであります。といいますのは、御承知のように求人が非常に乏しい状況にありますから、求人開拓の一つの方法として、そういうものの中から比較的労働条件のいいものについて逆に求人者を手繰って安定所の方に求人を向けてもらうというやり方を、主として私ども新聞等について、やっておるわけでありますけれども、そういうものの活用という面もあるわけであります。いずれにしましても、いま申しましたような、一つには、それが乱に流れないようなチェックの方法を考えていく必要があると考えておりますと同時に、いい方に活用する方法についても工夫をしてまいりたいと考えているわけであります。
  222. 草川昭三

    草川委員 どっちにしても企業家の方は、たとえ小さい欄でも二十万でも三十万でもお金を出す。安定所へ行けば、そういうことはないわけですから、安定所の方で使用者側が希望するような労働者の方々が紹介をされれば、当然そちらの方に流れていくことになりますので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。  時間がございませんので、文部省の方お見えになっておられますので、お伺いをしたいと思うのですが、昨年来から新規の学卒者の指定校制度の問題が非常に話題になっておるわけでございます。この前の何か新聞発表等によりますと、技術系でも二〇%、事務系でも八%程度は、知名度の高い大量の卒業生を採用する大企業では相変わらず行われておるというデータを拝見をしたわけでございますけれども雇用が非常に深刻になってまいりますと、指定校制度という問題は依然として有名企業には現実には残るのじゃないだろうかと私は思います。そういう立場の中から、今後の問題でございますけれども労働省なり文部省として指定校制の問題をどのように解決されるのか、お伺いをしたいと思います。
  223. 石井久夫

    石井説明員 指定校制度の問題でございますけれども、文部省といたしましては、この問題につきましては、かねがね学歴偏重の社会風潮の打破の一環として非常に重視しているわけでございまして、かねて労働省に協力をお願いしまして企業側の自粛を求めてきているという状況でございます。  特に、昨年八月十九日には、前の文部大臣であります海部文部大臣が、この排他的な指定校制度の是正につきまして経済四団体に協力を要請されたわけでございます。特に経済四団体の代表を歴訪されまして理解と協力を求められたということでございます。これにこたえられまして、経済四団体におかれましても、去年の八月の三十日に、会員企業に対しまして、排他的な指定校制度をとらないことを明確にするよう通知していただいております。また、こういう経緯を踏まえまして、現在の砂田文部大臣におかれましても、昨年十二月十四日に労働大臣と懇談いたしまして、改めて一層の御協力を要請したということでございます。  その結果だと思いますが、本年二月実施いたしました新規学卒者の採用及び就業状況等に関する調査によりますと、五十三年度におきましては五十年度、三年前と比べまして改善されてきているわけでございます。先ほど先生も御指摘になりましたけれども、従業員一千人以上の企業をとってみた場合に、五十年度指定校制度をとっておりましたところが、事務、販売系で一五・五%でありましたものが約半分の八・三%、それから技術系におきまして二八・二%でありましたものが二〇%へ改善されてきているわけでございます。  私どもといたしましては、やはりこういう問題は、たびたび繰り返して関係団体に協力をお願いする必要があるというふうに考えているわけでございまして、機会を見まして私どもも、いつでも、こういうことにつきましては労働省側にも協力をお願いしているところでございますが、また重ねて恐らく近いうちに文部大臣から労働大臣へもお願いがあるというふうに理解しております。
  224. 草川昭三

    草川委員 それはぜひ労働大臣の方も文部省とタイアップして、これの解消のために努力をしていただきたいのですが、ことしの四月から入った人たちのことでございますが、昨年の十月一日が会社訪問なんですね。十一月一日が試験というふうに話し合いになっておるわけですが、去年ほど堂々と大規模にこれが破られたことはないというのですよ。形式的に試験をやるわけですが、試験のときにはほとんど定員で試験をやるというのですよ。補欠をわずかプラスで、内示で事前に選別をする。三回も四回も内示で来てくれ来てくれ、あるいはゼミの先生を通じて、わが社へ来てもらいたい、こんな感じなんですね。だから、従来の大学の就職の担当の先生よりも、いまはゼミの先生の方が就職で忙しいというようなことすら去年の秋には行われたわけなんですよ。ある会社なんかは、内示をしない会社があるものですから、十一月一日にテストで落ちると行き場がなくなってしまうというので、内示をしない会社に対する非難、攻撃というものはかなりあったと私どもは聞いております。  だから、これは文部省の方の担当ではございますけれども企業サイドに対しては、来年は絶対にこういうことのないように機会均等、これは労働大臣も、前の労働大臣も熱心な取り組みをされたわけでございますが、そうかといって両国の国技館で試験をするわけにはいかぬなんという話も出たのですが、それほど極端なことではなくてもいいのですけれども、やはり就職というものがだんだん限られてくる。新規の大卒は、一期校、二期校の問題がありますけれども本当にエリートに決まってきますと、何か戦後一たん開放されてオープンになった労働市場というものが、管理職の面で非常に狭まってくる、あるいは構造不況でつぶれたところでは、もう中高年齢は行き場がなくなってしまって、第三次産業の方ではアルバイトだとか、過酷なセールスマン的な仕事しかない。こういうことになりますと、本当にわが国の労働基準法に守られて、そして定年まで安定して雇用が保障されて退職金をもらう労働者というのは、本当に一部のすぐれた労働者にすぎない。よほど運のいい労働者にすぎない。あとの大半というものは、過酷な条件の中で格差に苦しむということになります。そういう中で逆に官民格差という問題が生まれてくる。あるいは民間労働者と官公労労働者との対立というものが出てくる。私は非常に憂うべき状況というものが生まれてくるような気がしてなりません。  そういう点で、ひとつぜひ労働省サイドとして、指定校の問題だとかゼミの問題だとか、私が言いましたように、格差が拡大をされる雇用状況になるのではないかという問題に触れて、最後になりますけれども、御答弁を願いたい、こういうように思います。
  225. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 まず選考開始時期の問題でございますが、本年度につきましても十月から企業の訪問の開始、十一月選考開始ということで、昨年の十二月に、経済団体と労働省で構成しております中央雇用対策協議会で申し合わせが行われております。昨年のことにつきましては若干、協約、協定を破った企業があるというようなうわさは聞いておりますけれども、本年度につきましては厳重に監視してまいりたいというふうに、その申し合わせの際にも発言されておりますし、申し合わせの内容にも、お互いに、そういう場合、企業名を公表されてもやむを得ないというような申し合わせの内容もございますので、厳重に監視してまいりたいと思っております。  それから、指定校制の問題につきましては、労働省としましても文部省と意見の一致を見ておりまして、排他的な指定校の是正には、いろいろな機会を通じまして、パンフレットあるいはいろいろな会合の席上等におきまして十分周知徹底を図っていきたいと考えております。
  226. 草川昭三

    草川委員 きょうは最後に本当は高齢者事業団の問題等、中高年齢対策のことについて少しお伺いをしようと思っておりましたけれども、時間がございませんので、また別の機会に譲らせていただきますが、私もくどいように、いろいろな問題点を申し上げましたけれども、従来の考え方での職安というのですか、職安行政では対応できない時代が来たのではないだろうか、こんなことを考えておるわけでございますので、より一段の労働省としての対策強化をされるよう強く要望して私の質問を終わりたい、こういうように思います。どうもありがとうございました。
  227. 羽生田進

    羽生田委員長代理 次に、平石磨作太郎君。
  228. 平石磨作太郎

    ○平石委員 現在の雇用情勢は非常に暗いものがあり、さらに、過日の発表によりましても、完全失業者が百三十六万も出た、こういうことが報道され、企業倒産においては五十二年度一万八千件、負債総額において三兆二千億というような発表もありました。そういう深刻な状態の中で、労働省が雇用拡大、安定、そういった面で非常に御苦労されておることはよく理解ができますし、また、ありがたいと思うわけです。  ところで、労働省がそういった失業群に対して、こういった方々の生活の安定、まあこの方々の話も聞いてみますと、ローンの支払いもできなくなって、もうすでに家を明け渡す、あるいは子供の大学へ行っておったものもやめねばならないというような深刻な事態に至っておるわけですが、これを一応安定して、さらに将来は再訓練をし、再雇用へと、こういう行政が行われるわけですが、その場合に、一応雇用保険というものが、そういった失業群に対しての労働省の制度としてあるわけですが、現在雇用保険に加入をし、いわゆる適用事業というもの、該当すべきものが全国でどのくらいあるか、お示しをいただきたい。
  229. 小林直之

    小林(直)説明員 雇用保険につきましては、先生御案内のとおり昭和五十年の四月から、農林水産業の一部を除きまして、原則として全面適用ということになっております。行政機関で鋭意適用促進努力してまいっておりますが、その結果、昭和五十二年の九月末現在で全産業で百十一万の事業所適用するに至っております。
  230. 平石磨作太郎

    ○平石委員 百十万の企業に対して適用されておる、こういうお話です。  ところで、いまの答弁にもありましたように、全適になっておる。全企業に対して雇用保険法が適用されておる、こういうことなんですが、ところで、日本適用すべき事業数、これは幾らありますか。
  231. 小林直之

    小林(直)説明員 雇用保険の適用対象としますのは、常用雇用労働者を使用しておる事業所ということでございます。これは一人を使っておる事業所、零細事業も含めますと相当膨大な数になると思うわけでございますが、この全体の事業所について調査しております全国的な調査としては、総理府でやっております事業所統計調査が一番基本的な調査でございます。ちょっと数字が古くなるわけでございますが、現在使われておりますその調査では昭和五十年の調査でございますが、常用雇用労働者一人以上の事業所は全体で二百六十六万あるということになっております。
  232. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いま答弁のとおりでして、総理府の調査によりますと二百六十六万八千九百三十二事業所、こういう数字がございます。そして雇用保険が適用されておるのが百十万、こうなりますと適用事業の率は三九・七%、四〇%しか適用事業所がない、こういうことになる。六〇%という数字は、これはもう法から漏れておる、こういう事態になるわけです。これでは幾ら雇用保険の適用をいたします、あるいは離職者対策の臨時措置法ができましたといったように法律を整備し制度を整えてみましても、結局ざるになっておるということが言い得られると思うのです。労働省としては、こういった適用について、どのようにしておられるのか、お伺いをしたい。
  233. 小林直之

    小林(直)説明員 先生御指摘になりました統計調査におきます事業所の数と、私どもの方の雇用保険の適用で使っております事業所の単位、実は、これにかなりの食い違いがあるわけでございます。私ども保険の適用におきましては、保険技術の上から、たとえば数事業所を一括して適用する、その場合に、それを一事業と数えてございます。そういうような基本的な若干の食い違いはございますが、統計の数字としては先生いま御指摘のとおりでございます。  それで多数の事業所が、法律のたてまえと比べまして現に未加入で残っておるというのは事実でございます。それに対して私ども労働省としましては、第一線の行政機関、これは労働基準局と職業安定行政機関と両方でございますが、相協力して鋭意その適用促進に努める。その場合に特に漏れておりますのは商業、サービス業等の零細事業中心でございます。こういう零細事業に具体的に保険を適用していく、これは非常に手数がかかるわけでございますが、そういう困難な中で特に効率的な方法として、できるだけ、そういうものを団体的に把握して適用していく。その一つのやり方として、この法律の中で労働保険事務組合制度というのがございます。その事務組合をいろいろ援助強化していく、そういう施策と相まって目下適用促進に鋭意努力しておるところでございます。
  234. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いろいろむずかしい点はあろうかと思います。したがって、第三次産業のサービス業だとか、こういったものの適用率は非常に低いわけでして、特に、いま問題になります構造不況業種、しかも製造業を見てみますと、この平均が六八・三%なんですね。この製造業は、いま答弁にあったように、いろいろ事務組合をつくったりとか、あるいは企業を集めて一つのものにするとかといったようなことが比較的少ない業種ではないか。それから建設業におきましても五四・九%しか加入してない。約半分は漏れておるということですよ。それで特に繊維関係、これも五〇%なんですね。それから合板あたりの特に不況業種と言われておる木材関係、これも七二%しか適用されてない。それから鉄鋼、これは平電炉その他、比較的高くて八〇%、こういうような情勢の中で、これだけ失業が出て、百三十六万と言われておるようなものを救うていくという観点から考えたときに、一体どういうような手だてをするか、お示しをいただきたいのであります。
  235. 細野正

    ○細野政府委員 基本的には、いま徴収課長お話し申し上げましたように事務組合等、団体的につかまえましてこの加入の促進を図らなければいけないわけでございますが、いま御指摘の問題というのは、いま失業しておる人をどうするか、こういう緊急のお尋ねでございますので、その点につきましては、安定所の窓口において、たとえ、その事業所雇用保険の適用を受けていなくても、受けるべきものであった場合については保険の支給をするという措置をとっておりまして、そういう形によって現実の保護に欠けることのないように配慮をいたしておるわけでございます。
  236. 平石磨作太郎

    ○平石委員 そういう臨機の処置をとっておられるということですが、それによって当該事業あるいは労働者が一応救われるということは考えられますが、そういう運用の仕方によって、そういう運用があるからこそ、これのいわゆる加入促進、こういったことが手薄になり、あるいは怠惰と言うたら悪いのですけれども、そういうことになっておるのじゃないですか。どうですか。
  237. 細野正

    ○細野政府委員 冒頭に申しましたように、やはり加入の促進を図るのが基本でありまして、そういう意味で、私が先ほど申しました便宜措置というのは、あくまでも離職者の人に適用漏れからくる迷惑がかからないようにするための緊急措置でございますので、基本としては、私どもはやはり、たとえ困難があっても事務組合等により団体的に把握することに全力を挙げて努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  238. 平石磨作太郎

    ○平石委員 最後ですから、これは要望をいたしますが、そういうことで、こういうような状態では、まさに法律ができても余り活用できない、機能が発揮できない、こういうような実態に陥っておる。これは労働省の職員さんの少ない中での御苦労があろうとは思いますけれども、この結果から見たときに、ひとつ、もっと積極的に適用拡大を図っていかなければならぬじゃないか、このように思うわけでございます。  ところで、そういった形で非常に適用が少ないというような状態なんですが、いよいよ倒産の憂き目になった、こういうことになりますと、この雇用保険の適用という段階で、離職票をもらって安定所の窓口へ行くわけですが、安定所で離職票を受け付けて、それから受給が始まる、こういう事態になります。ところで、この受給について、いわゆる給付の制限条項いろいろあるようですが、この統計を見てみましても、まことに理解に苦しむ統計があるわけです。  先に申し上げますと、初回に受け付けたというものが、五十一年度、いわゆる一カ月限りの平均を見てみましても、十万七千九百九人の方が離職票をもらっておたくの窓口へ行ったわけです。そして実際適用になった者、受給された者、これを見てみますと非常に少ない。そして、その理由を見てみますと、正当な理由がないのにやめた、これで給付制限を受けておるわけですね。これが何と六万六千八百九十人おるわけです。だから六二%ないし六五%ぐらいの方は正当な理由がありませんというので支給が保留されておる。これはどうも余りにも取り扱い、運用が厳格で、しかも機械的、事務的で、そういう形になっておるのではないかという、この数字なのです。これはどういうことでしょう。
  239. 望月三郎

    ○望月説明員 御承知のように雇用保険におきましては、正当な理由がなく自己都合により退職した者については一カ月間の給付制限ということになってございます。雇用保険の失業給付というものは、労働の意思と能力を有するにもかかわらず就職することができないという者に対して給付をするという意味から、正当な理由がない自己都合退職に対しましては、一カ月間のクーリングタイムを置くということになっております。しかしながら労働省といたしましては、その趣旨にのっとりまして給付制限に該当するかどうかを判定するわけでございますが、単に形式的な離職理由によって判断することをせずに、たとえば自己都合による退職であっても実態的には解雇であると認められるような、先ほど来お話の出ておりますような希望退職の募集に応じたことによる退職など、退職が客観的にやむを得ないというように認められたような場合には、正当な理由がある退職として給付制限の対象から除外するという形で個別判断をやっておるわけでございます。なお、正当な理由があるかないかという判断の基準につきましては、中央職業安定審議会に一応諮った基準に基づきましてやっております。  確かに先生御指摘のように初回受給者のうちで正当の理由のない者というのが相当のウエートを占めておりますが、たとえば昭和五十年度におきましては五四・八%、五十一年が先ほど先生のおっしゃるとおり六二・三ということで若干ふえておりますが、五十二年度は一月までの数字で五八・九ということで、四十七年度当時から見ますと相当減少傾向にはあるように思っております。そういう意味で、私ども形式論でなくて実態的に、こういう時期でございますので、正確な適切な判断をして給付制限に対処したいと思っております。
  240. 平石磨作太郎

    ○平石委員 これは過去の古い年代順にずっと見ましても、正当の理由がないということで一応拒否するというのが多い。先ほど同僚草川議員からも言うておりましたが、窓口へ行くときには、みんながひけ目を感じて行っておるのです。そういうことで離職票を持ってきた。現在の状態からいいますと、企業はだんだんと左前になってくる。そうすると、まず希望退職を募って減量経営に移っていく。そういう状態の中で、そこで働いておられる方は、どうもこの会社は、もう数カ月したら、あるいは倒産の憂き目になるかもわからぬ。そうなると、いまのうちにやめて、どこかへ職業転換していこうという判断が従業員の中でなされて、希望に応じた。それで離職票を持っていきますと、会社は操業しておるじゃないか、あなたは会社が操業しておるのにやめてきたじゃないか、正当な理由がないじゃないかと言われる。こういうことが行われておるのじゃないか。だから五十年から五十一年を見てみますとパーセンテージが上がってきておるわけですね。高度成長期においては、それはあちこちの都合のいいところ、給与の高いところへ渡り歩くというような従業員の方もおったかもわかりません。その当時は、そういった形で正当な理由がないから、しばらくお控えくださいというようなことも、あるいは必要であったろうと私は思うが、こういう低成長、しかも、いまだかつてない不況という段階になって、この数字が伸びてきておるということから、私はもっと温かみを持って一つ一つに当たって、希望退職ではあるけれども、本当に正当な理由があったのかなかったのか、このことを親切に問いただしてやっていかねばいかぬのじゃないかという気がするわけです。  いまの答弁の中にもありましたけれども、そういう意味で窓口に多く来られるから、少ない人員の中で機械的、事務的に処理せざるを得ない場合もあるかもわかりませんが、そういった親切な気持ちで取り扱ってほしいということ。結局、企業と安定所とが連携をとって、離職票が出て、うちからこれだけのものが出た。これは希望退職であるが事実上は解雇なんだといったような情報収集をして、個人個人がそこで判定は受けるのですけれども企業側の方から、そういう情報をとってやっていくというようなことも、少ない人員の中であろうと、考える必要があるのじゃないか。そういうことで今後どのようにやられるか、ひとつ大臣の御答弁をお願いしたい。
  241. 藤井勝志

    藤井国務大臣 雇用保険制度の趣旨を踏まえ、ただいま御指摘のございました趣旨に沿うて、ひとつ改善をしていきたい、このように思います。
  242. 平石磨作太郎

    ○平石委員 ただいまは、そっけない話ですが、そうすると、いま現実に窓口は、どのくらいの人が担当していますか。平均的な職安で結構です。
  243. 望月三郎

    ○望月説明員 お尋ねの趣旨は、職員のランクのどのくらいの経験の人かというお尋ねかと思いますが……(平石委員「人員数」と呼ぶ)これは四、五十人の安定所で大体十四、五人の担当官がおります。大きな安定所になりますと、もっと多くなりますが、四、五十人だと大体そんな見当の人数でございます。
  244. 平石磨作太郎

    ○平石委員 本省の方は、そういう第一線へ行ったことがありますか。
  245. 望月三郎

    ○望月説明員 私ども地方へ出張いたしますと、必ず第一線へ行って、できるだけ見てくるということでやっております。
  246. 平石磨作太郎

    ○平石委員 こういう統計数字を知らぬはずはなかったのですが、どのような指導がいままでなされましたか。
  247. 望月三郎

    ○望月説明員 私どもは、雇用保険の場合にはマニュアルと申しますか、事務手続要領という非常に厚いものがございまして、これがいわば解釈令規の一つの基本になるわけでございますが、これによって事務がどう遂行されているかを見てきているわけでございます。それでもなお判断できない場合は、安定所から県あるいは県から本省というような形で疑義照会をいたしまして、それについて判断をしていくというような体制でやっております。
  248. 平石磨作太郎

    ○平石委員 十分に詰めてみたいのですが、いま大臣のお言葉にありましたように、今後は、いまの状況を踏まえて、取り扱い、運用の改善を図っていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  私も、当委員会派遣ということで過日、愛媛県の松山、今治調査に行ってまいりました。今治というところは繊維の町、造船の町ということで、女の人は繊維で働く、男の方は造船で働く、そういう形の町なのですが、この二つが不況産業、倒産という状態の中に陥って、非常な社会不安といいますか、そういう段階に立ち至っておる。そこで、いろいろとお話を伺ってみたわけですが、知事さんも市長さんも非常に心配しておられる。今治市はどのようにして、この不況を脱して再建をしていくか、再雇用をしていくかということで非常な心配が出ておるわけです。  ところで私、いろいろと資料等もいただいて見てみました。それによりますと職業訓練という形で、今治の方でも松山の方でも労働省は努力しておられるのですが、造船不況から以降の失業者というのが昨年七月から本年三月までに三千名ぐらい出ておるわけです。そういう中で労働省の所管である職業訓練に、どのくらい行っておるのかと思って、私、資料を見てみますと、わずか二十七名しか行ってないのです。まことにさびしい限りなのです。これは一地区の事例ですけれども職業訓練というものを、これからの新しい雇用にどう対応するようにしていくか、あるいは、これからの雇用拡大については、第二次産業がこういうような状況では、第三次なら第三次のどの面に持っていくか、皆さん方がいろいろと心配しておられることは当然のことです。こういう状態の中で職業訓練ということについて、どう思っておられるか、お言葉をいただきたいのです。
  249. 細野正

    ○細野政府委員 離職をされた方が再就職する場合に、現在のように事業が構造的な不況業種であればあるほど、その企業と同じ業種のところに戻ることはなかなか困難な事情でございます。したがって職業をかえなければならないという必要性が普通の場合より高いわけでございます。そういう意味で転職訓練というものの重要性を私どもは非常に考えておるわけであります。  先ほど、ちょっと二十人という御指摘がございましたが、私どもの方の失業対策部長が今治の方へお供をいたしまして、それで報告を聞いたところでは、県知事さんが転職訓練に非常に御熱心で、定員等についても、その拡充に努力をしていただきまして、能力開発訓練に約二百人の規模でやっておられる。職適等も二百人。現在造船関係離職者の中でも、できればまだ造船関係のという御希望のために転職訓練等を受けることについて踏み切られていない方も相当数おられるのですが、ようやく転職の必要性ということを感じられている離職者の方もだんだんふえてきているという状況のようでございますので、いまの数で、ある程度要望にはこたえ切れているというふうな状況に承っておるわけです。  しかし、現実にたくさんの離職者がおられて、その方々の希望が今後もだんだんふえてくるとすると、これでも足りないということになりますので、そういう場合には、たとえば各種学校とか民間の認定職業訓練校とか、そういうものも活用して訓練規模の拡大を機動的に図っていく必要があるのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。
  250. 平石磨作太郎

    ○平石委員 全体では、そういった数字になると思いますが、私いま御質問で申し上げたのは、不況業種としての造船に限って、造船から失業として出てきたのが、数字で見てみますと二千九百名、これは大きな数字なのです。ところで、造船に限って一応見てみますと、わずか二十七名という状態なのですね。今後こういった技能を持っておられる方々が、どういう職場へ、どのように転換していくかということは非常にむずかしい問題です。もちろん、訓練校その他でも苦労しておられるだろうし、本人も、今後どういう職種を選んだらいいだろうか、あるいはどのような産業に行ったらいいだろうかということで、子供も持っておるし、奥さんもおるという状態の中では、地域での再雇用、再就職を望んでおられるだろう。そうなりますと非常に限定をされてくる。そういう中で学校へ行って、ひとつ技能を身につけていこうかという方がおると思うのです。  いろいろお話を承る中で、非常に遠いところに学校がある、そこへ通うのに大変苦労する。それから、定数が少ないので、もっと幅を広めていただきたい、こういう要望が出ておりました。また、休業しておる工場を臨時に訓練校にしていただいて、近くで訓練が受けられるような道をとれぬものだろうかという話も伺ったわけです。そういう弾力的な臨機応変の措置がとれるかどうか。そういう要望をくみ入れて、できればやってほしいと思うわけですが、その点お伺いしておきます。
  251. 細野正

    ○細野政府委員 先ほどもちょっと触れましたように、訓練校が遠いという場合に、各種学校等はいろいろな町にございますので、そういうものを活用するとか、あるいは事業所の中で訓練校を持っておられるものがございますので、そういうものを活用するとか、その他のいろいろなやり方を使いまして随時、弾力的にやれるような方法を現在検討中でございます。それから、先ほど申しましたように、知事さんが非常に御熱心だという場合には、そういうことが円滑にいく可能性も出てまいります。そういう意味で愛媛の知事さんが訓練に非常に御熱心だということで、私どもも、できるだけそういう御希望の線に沿って訓練が弾力的に実施されるように今後とも努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  252. 平石磨作太郎

    ○平石委員 いまのお話のように、職業訓練法の改正も出ておるので、一応幅広く弾力的な運用をしていただく。休止工場がたくさんあれば、そういったものも活用する。もちろんこれは指導員の問題もありましょうし、いろいろと隘路はありましょうけれども、ひとつ知恵をしぼっていただくということでお願いをしたい。また知事さんも非常に積極的に、協議会を持つとか、いろいろな手を使って努力をしておられるようですので、そういう方面とも十分連携をとってやっていただきたい、これを強く要望しておきたいと思うのです。  これは私の選挙区の高知の話ですけれども、高知でも実は二カ所つぶれました。現在一カ所は休止という状態にあるわけですが、この間ちらっとお聞きしたところでは、保全命令が出て、もう一切続けられないということです。当然のことですが、そういう中で下請企業の皆さん方は、もちろん五〇%以上の親企業に対するところの依存度ということで、先ほども論議がありました。弾力的に、これもひとつやっていただかないと、高知県の場合も、その問題に当たっているわけです。そういうことで三割、三割、三割といったような形で、三社くらいを相手にやっておったものは一切いけないというような状態で捨てられてしまうというようなことが現実に出てきておるわけです。ここらあたりも、先ほど森井さんからもお話が出ておりましたが、ひとつ弾力的にやっていただきたいということ。  それから賃金について、下請企業のいわゆる下請代金といいますか、ここの関係にはならぬかと思うのですけれども、これが保全命令で一応凍結されておる。ただし、下請企業の方は、そういった形の法の救いがないし、もちろん下請企業の代金については賃金と一緒だ。賃金については先取り特権があるから、そういう形で処遇がされますけれども、下請の場合は、それに入らないということになっておる下請さんと、もう一つの親会社の倒産のところでは、下請の代金についても賃金と同じように支払います。こういう二つに分かれておるわけですね。これは行政としてどうですか。ちょっと通産か何かになると思うのですが、お答えをいただきたいと思うのです。下請代金がどういうような性格のものか、賃金に相当するようなものかどうかについて。
  253. 細野正

    ○細野政府委員 前段の下請の五〇%の問題は、先ほど森井先生にもお答え申し上げましたが、五〇%という基準自体は、大きく変えるということは困難だと考えておるわけでございます。ただ、造船のように長い期間不況でございますと、一生懸命努力をして、ほかのところから注文を取ってきたということの結果、五〇%を下回ったというようなものについては、その五〇%を見る時点について、かなり弾力的な物の見方が必要なのではないか。実情をある程度、私どもよく見きわめた上で、実情に合った判断をしてまいりたい、こう思っておるわけです。  それから、二点目の問題は、下請代金そのものは私ども専門でございませんので、何ともお答え申し上げるのが苦しいのですが、ただ、賃金につきましては、御存じの賃金の不払いが出た場合の労災保険の特会でもって、かわって支払いをするという制度がございますので、もちろん無制限じゃなくて限度はございますけれども、その範囲で救済の道は労働省としても準備をしているということになるわけでございます。
  254. 平石磨作太郎

    ○平石委員 下請の企業の方は非常に表へ出てこなくて、親企業以上に苦労しておられるというような面を、ひとつ考えていただいて、親企業が立ち上がれば、これはまた下請企業も立ち上がれるわけですから、もちろん親企業についての再建ということに全力を挙げなければなりませんけれども、保全命令等を受けて再建までには非常に時間がかかる、そういう時間の間非常に苦労しておられるというような実情がございますので、その点も含めて、ひとつ御指導いただきたい。  最後に、大臣にお伺いをしておきたいのですが、そういった親企業あるいは下請企業、その中で、前段に私が申し上げましたように、いろんな制度をつくっても結局、裏から見てみるとざるになる。全部ざあっと抜けてしまっておる。それで救われないものがたくさん出てくる。こういうような網の目から漏れた企業あるいは従業員、こういったものがなくなるように、もちろん賃金の問題もございましょうし、これからの行政を進める上については万全を期していかねばならぬじゃなかろうか。いまの情勢においては、そういった面に特に配慮していかなければならぬ、こういうように思うわけですが、最後大臣の決意を伺って、終わりたいと思います。
  255. 藤井勝志

    藤井国務大臣 現下の厳しい雇用情勢に対応する施策の推進に当たりましては、この制度というのが裏、表といいますか、なかなか完璧なものでない、人間のつくった法制でございますから。これは制度の精神を極力生かしていくように、運用の面で最善の配慮をいたしたい、そして御趣旨にこたえたい、こういうように思います。
  256. 平石磨作太郎

    ○平石委員 終わります。
  257. 羽生田進

    羽生田委員長代理 次に、古寺宏君。     〔羽生田委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
  258. 古寺宏

    ○古寺委員 わが国の漁業をめぐる環境は非常にめまぐるしいものがございますが、最近の漁業就業者の数の動向について、水産庁にお尋ねしたいと思います。
  259. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 わが国の漁業就業者の動向につきましては、昭和四十年には大体六十万人台でございました。その後、新規就業者、若年就業者の減少等を背景にいたしまして減少傾向を続けまして、四十九年には五十万人台を割り、五十一年も減少して約四十七万人ということになっております。  ただ、その中で見られる傾向といたしまして、五十一年の漁業就業者の減少率は、過去五年間の平均減少率でございます二・八%を大幅に下回る一・六%というような数字になっておりまして、これが今後どのように続くかわかりませんが、景気の動向等の影響もあると思われますが、このようなかっこうで漁業者の減少傾向がとまれば、いいものだと考えております。
  260. 古寺宏

    ○古寺委員 漁業者の就業者が非常に減少をする傾向にあるわけでございますが、労働省はこの点について、どういうような見通しを持っておられますか。
  261. 細野正

    ○細野政府委員 まことに恐縮でございますが、漁業関係の方の所管が運輸省、農林省等に分かれておられるものでございますから、私どもとして、これについて確たる見通し等を現在、手元に用意しておらないわけでございまして、できますれば関係のところから、お聞きいただければ幸いだと思います。
  262. 古寺宏

    ○古寺委員 さらに漁業就業者の高齢化が年々進んでいると思うわけでございますが、この点につきまして水産庁にお尋ねしたいと思いますが、どのような状況になっておりますか。
  263. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 男子の漁業就業者の年齢構成を見てみますと、大体昭和四十一年を境に、四十歳以上のいわゆる中高年齢層が過半を占めるようになってきております。その後も主として新規学卒者の中の漁業就業者と申しますか、その減少によりまして、中高年齢層の比率は高まり続けておりまして、昭和五十一年には六五%となっております。ただ、最近の傾向では新規学卒者の漁業就業は若干増加しておりまして、三十九歳未満の年齢層の就業者の減少率も過去の趨勢に比べまして若干鈍化するような方向にございます。
  264. 古寺宏

    ○古寺委員 後継者ですね、いわゆる若い跡継ぎの方々を育成する点につきましては、水産庁はどういう対策をお考えですか。
  265. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私どもといたしましては、やはり若年の就業者が漁業関係に残っていただくためには、やはり彼らの生活の場でございます漁村、これを住みよい漁村にするということが一番の問題であろうかと考えております。さらに、やはり漁業そのものが若い人にとっても魅力のある職業であるということが必要であろうと考えております。そういう線に沿いまして、いろいろ施策を講じておるわけでございますが、特に具体的に青壮年の育成対策事業といたしまして、五十三年度から新たに地区の青年協議会を中心といたしまして、その自主活動への助成等の後継者育成のための事業を実施することにいたしております。
  266. 古寺宏

    ○古寺委員 漁業労働者の最近の賃金の水準は幾らくらいになっておりますか。
  267. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私どもで漁業労働者の賃金水準を見ておりますのは、農林省の漁業経済調査報告というのがございまして、これに基づいて一応の試算をしているわけでございますが、最近五十一年の試算によりますと、年間で二百八十万三千円ということになっております。なお、これを別な統計ではございますが、他産業の統計と比べますと、製造業その他に比べて若干上回った数字に相なっておるわけでございます。なお、これらの基礎になりますのは、水揚げ金額の増加に伴います歩合給の増加あるいは固定給のベースアップ、こういうことによって伸びたというふうに考えております。
  268. 古寺宏

    ○古寺委員 運輸省、いらしておりますでしょうか。最近の船員のいわゆる有効求人倍率が非常に低下をしておる、こういうことを承っているわけでございます。後ほど出てまいりますが、職を失った船員の方々が新しい海上の職を求めても、なかなか思うようにないというようなお話を承っているわけでございますが、その実態と対策につきまして、お伺いしたいと思います。
  269. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からもお話ございましたように、最近、有効求人倍率が非常に低くなってまいっております。申し上げますと、五十年ころから求職者が求人数を上回る、いわゆる有効求人倍率が一を割る状態になってまいりまして、その後ずっと回復しないわけでございます。昨年は大体年間を通しまして漁船船員の方々について見ますと、〇・二程度有効求人倍率推移いたしてまいっておりまして、本年に入りましてからの数字を見てまいりますと、またさらに若干下回ってきておる。一月の統計を見てみますと、〇・一六というような数字になっておりまして、大変厳しい情勢であろうかと存じます。  ただいま対策というお話でございましたが、私ども対策といたしましては、さきの臨時国会で立法していただきました国際協定等の締結に伴います漁業離職者に関する臨時措置法、あの法律によりまして職業訓練を行うとか、あるいは促進のための給付金を給付するとかいうようなこと、さらには、これまでもお話が出たかと存じますけれども、基本的には、やはり海上の職場自体が全体として狭まってきておるという問題がございまして、水産庁の方で御努力をいただいておりますような新しい水産振興策というようなことによって職場全体の拡大をしていただくということを、また期待もしておるわけでございますが、私どもとしては私どものできる範囲内ということで先ほど申し上げました法律の運用に当たりまして就職促進等に特段の力を入れるように、いま努力をしておるところでございます。
  270. 古寺宏

    ○古寺委員 昨年度の日ソ漁業交渉の結果、非常に多数の減船が行われたわけでございますが、その離職者の数はどのくらいでございましょうか。
  271. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 昨年の日ソ漁業交渉に伴います減船によりまして生じました漁業離職者の数でございます。これは減船いたしました漁船のやっておりました漁業がいろいろ多岐にわたっておりまして、相当部分がほかの漁業と兼業をいたしておるというような事情にもございます。したがいまして、そういう兼業しておりました漁業については減船を行わずに、そのまま継続できるというような事情にございますので、現段階では確定的な人数の把握は困難でございますが、私どもが一応、専業あるいは兼業の種類別に減船隻数及び業種別の平均乗組員数を単純に計算いたしました数字でまいりますと、約八千人を超えることはないだろうというふうに考えております。
  272. 古寺宏

    ○古寺委員 八千人というふうに推定をされているわけでございますが、この離職者に対しまして労働省と運輸省がこの問題の対策に当たっているわけでございますけれども、最初に労働省の方から、一体どのくらいの離職者労働省の関係で、いろいろお世話になっているか承りたいと思います。
  273. 鹿野茂

    ○鹿野説明員 ただいま離職者数は八千人というふうな御説明があったわけでございますが、その離職者の方々のうちで本当の意味で就職を希望している方の中でも、かなりの方が海上部門を希望しているということから、三月末現在で実は北海道、東北六県だけについてのみ、まとめた数字でございますけれども、安定所に求職申し込みを行って手帳の発給申請を行った方が二百四十六人というふうになっております。そのうちで求職手帳の発給を受けられた方は二百三十二人でございます。かつ、この二百三十二人の手帳の発給を受けられた方のうちで、すでに就職の決定を見た方が十二人、職業訓練の受講をすることが決定しておる方が三十六人となっておるわけでございます。したがいまして、残りの方については現在、安定所の窓口におきまして必要な給付金等を支給しながら職業訓練の受講のための指導等の就職指導を行っているところでございます。
  274. 古寺宏

    ○古寺委員 労働省の関係は非常に少ないわけでございますが、運輸省の方は非常に多いんじゃないかと思います。何人ぐらいでしょうか。
  275. 松木洋三

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  私どもの方に三月末までに来られました漁業離職者の方々は三千二百七十一名となっておりまして、いま労働省の方からもお話がございましたが、やはり当面、離職された方々も海上で再就職というようなことを希望しておられるように感じます。これらの方々につきましては順次、求職手帳の発給をただいま、いたしておるところでございます。  再就職状況についても、ちょっと御報告を申し上げますが、これらの方々の中で、私どもがいま把握しております限りでは四百二十名の方々が現在再就職をされておる。これらの方々は、船員と申しましても、ほとんど再び漁業関係に再就職をされておるわけでございます。
  276. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほど、お話がございましたように離職者中高年齢者が非常にふえているわけですね。それで船員の方は、もう一回、海の職場を求めて就職を希望するわけですが、求人倍率が非常に低くなっている。こういうようなことで雇用保険の給付をいま受けまして、雇用保険が終わりまして転換給付金とか、いろいろなものを受けるようになる。それで再就職ということになるのですが、雇用の面で、なかなか思うようにいかない、こういう面があるわけなんですが、この点について、労働省、運輸省それから水産庁は、どういうような将来の見通し対策をお持ちでございますか。
  277. 細野正

    ○細野政府委員 先生御指摘のように、かなり年配の方も多いわけでありまして、こういう非常に深刻な雇用情勢の中で再就職されることが簡単でないことは、もうおっしゃるとおりだと思うわけであります。ただ、その中でも、先生も御存じのように、安定所の窓口におきまして、熟練職種等を中心有効求人倍率がまだ二倍、三倍という職種もあるわけでございます。一方におきまして、先ほどのような職業訓練を、そういう方向に向けて受けていただくというようなことを一つのやり方として考えているわけでございますが、同時に、中高年齢者を雇ってくれる事業所に対する賃金の助成金という制度も今年度から設けましたので、そういう制度を活用して、極力再就職のあっせんに努めてまいりたいというふうに考えるわけであります。しかし、そうは言ってもなかなか困難な事情にありますので、私どもも全力を挙げて対処しなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。
  278. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 私どもの方といたしましては、従来も、遠洋漁業に乗っておられた漁業労働者の方々の一部が高齢化いたしまして、沿岸に戻りまして沿岸の漁業に従事しておられる例も多々ございます。したがいまして、今回、そういう方々のためには、いままで、いろいろ各省でおとりいただいている対策のほかに、私どもといたしましても、沿岸漁業におきます漁場の整備を図る、それによって沿岸の漁場の生産を増す、あるいは栽培漁業をさらに拡大いたしまして沿岸資源を増大するというようなことで、これらの漁業者の方々の就労の場を拡大するということを考えてまいりたいと考えております。
  279. 松木洋三

    ○松木説明員 海上の場合には、先ほど来申し上げておりますように、職場が非常に狭まってきておりまして、離職された方々の再就職ということは、実際問題として非常に容易ならざる状態でございます。特に、高齢者の方々の再就職については、さらに困難が伴っているわけでございまして、先ごろの法律の措置でも、高齢者の方々については特に給付金の給付期間を長くしていただいたということになっているわけであります。  私どもといたしましては、こういう方々の再就職の場をつくるという意味で、適切な職業訓練をしてさしあげて、できるだけ多くの再就職機会をつくらなければいけないということで、せっかくの努力はいたしておりますが、全般的には非常に厳しい状態だということを申し上げざるを得ないと思うわけでございます。  ただいま水産庁からもお話がございましたように、やはり基本的には漁船員の方々の職場を拡大していく以外にないわけでございまして、沿岸漁場の整備開発とか栽培漁業の推進といったような水産業の振興対策を特に私どもとしても期待しているところでございます。
  280. 古寺宏

    ○古寺委員 経済水域二百海里の問題で、ニュージーランドの漁場から締め出された漁業の実態と今後の対策について、お伺いしたいと思います。
  281. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 ニュージーランドは、昨年の九月でございましたか、二百海里漁業水域法を設定したわけでございます。そのために従来、ニュージーランドの二百海里水域内で操業しておりましたわが国の漁船、約三百隻ございます。これは漁業種類別に申し上げますと、トロール漁業、それからマグロはえなわ漁業あるいはイカ釣り漁業及び底はえなわ漁業ということでございまして、その漁獲量は十六万六千トン、生産金額で五百十億というのが五十一年の実績でございます。その後、ニュージーランド政府は、四月一日以降二百海里水域法を完全実施いたしまして、これに伴いまして、これらの約三百隻に及びますわが国漁船が同水域から撤退を余儀なくされたわけでございます。現在、マグロ漁船を除きまして大多数の漁船が日本に向かって帰港の途上にございます。  私どもといたしましては、ニュージーランド水域が、先ほど申し上げましたように日本漁業にとりまして非常に重要な水域でございますので、できる限り早い時期に操業が再開できるよう、今後ともニュージーランド政府と粘り強く折衝してまいる所存でございます。  なお、本水域で操業しておりました漁船の救済措置につきましては、これらの漁船の今後の動向あるいは今回の撤退によりまして経営にどの程度の影響を及ぼすかというような点も見きわめつつ、必要に応じて対処してまいりたいと考えております。
  282. 古寺宏

    ○古寺委員 労働大臣、これは政府の問題になろうかと思います。現在、中川農林大臣がソ連へ行って日ソ漁業交渉が始まっているのですが、こういうニュージーランドの非常に大きな、わが国にとっては第三の漁場と言われているわけですが、今後の見通しがまだはっきりしていないわけですね。こういう点について、労働大臣は閣僚の一員として、政府としてどういうふうにお考えになっているか、今後の見通しを承りたいと思います。
  283. 藤井勝志

    藤井国務大臣 これは相手のある話でございまして、二百海里時代に入ったきょう今日、ニュージーランドの立場ということを考えますと、これはこちら側だけの考えで、いままでどおり、あちらの漁場を続けていくということもなかなかむずかしいのではないか。ただ、お互いが協力し合うということは、どの領域でも必要であり、また、これが両国のためにプラスになると私は思うのでありまして、いま水産庁からも話がございましたけれども日本政府がニュージーランドと粘り強く、これが交渉に当たり、ギブ・アンド・テイクの国際関係でありますから、わが方としてニュージーランドの要請にどう対応できるか、また、わが方の漁場確保に対して、ひとつニュージーランドに譲歩をしてもらう、こういうことに努力していかなければならぬ。同時に私は、また別の角度から、日本の漁業の技術というものは相当高く評価されておるわけでございますから、遠洋漁業に占める日本漁業の実力というものは、そういう面から、やはり将来、ニュージーランドに対する技術的な協力のみならず、技術を持った漁民があちらに出ていくという、移民まで考えますと話が大変大げさになりますけれども、何かそういう方面も工夫していくべき余地がないだろうか、このように思うわけでございまして、現にアルゼンチン方面では、そういう要請が日本側にあるというふうに間接でありますけれども聞き及んでおりますので、そういう問題等も踏まえて今後、広い意味において日本の漁民の雇用確保に配慮すべきである、このように思います。
  284. 古寺宏

    ○古寺委員 特にニュージーランドの漁場ではイカ釣り漁業の受ける影響が非常に大きいと言われておりまして、私ども青森県八戸港においては、水揚げ量の約半分が水揚げをされていると聞き及んでいるわけでございますが、これが今後、不可能になるということになりますと、ただ単にイカ釣り漁業だけではなしに、関連の産業におきましても非常に大きな影響を受けるわけでございますが、この点の対策については水産庁は、どのようにお考えでしょうか。
  285. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもとしてはニュージーランドの漁場で従来やっていた船が操業できるように今後とも粘り強く折衝をしてまいるつもりでおります。ただ、最悪の事態になりました場合には、先生のおっしゃるような事態も出てくるかと考えられます。  これにつきまして、私どもといたしましては、水産加工のための施策といたしまして従来から実施してきたいろいろな施策がございます。たとえば日ソあるいは日米の協定によりましてスケソウの割り当て量が非常に減ったということがございまして、これに対する対策といたしまして、当面の緊急融資として加工業者の方々に加工維持安定資金を融通するとか、あるいは余剰の水産加工施設を計画的に整理する者に対して助成を行うとかやってまいりました。さらに、新たに水産加工施設資金融通臨時措置法を制定していただきまして、これに基づきます長期低利の融資措置等を実施しているわけでございます。これらを通じまして関連の加工業者の方々の対策を行ってまいりたいと考えております。
  286. 古寺宏

    ○古寺委員 ここで私が申し上げたいのは、わが国の今後のイカ釣り漁業を展望した場合に、いままでは非常に広い海域で操業をしてまいりました。しかし、最近では日本海も非常に不漁になってまいりますし、また前沖においてもほとんど漁がないという状態でございますね。いまのようなままのイカ釣り漁業の形態で、これから操業を続けていくならば、大変な事態に直面するということは目に見えているわけです。  そこで私ども、いろいろ業界の方々からも言われるのですが、イカ釣り漁業に従事している船でございますが、現在は大型が二百十二隻、中型が二千二百二十六隻、小型が約二万隻いると言われていますね。この操業隻数を、ある程度減船する必要があるのではないか。小型の船につきましては減船する必要はないでしょうが、少なくとも水産庁が許可を与えている漁船につきましては、隻数をある程度制限をする必要がある。  それから現在操業されている期間につきましても、非常に小さいうちにイカをどんどん漁獲しますと資源が枯渇をしてしまうわけです。ですから、資源を有効に生かしていくためには、ある程度成長を待って、ある決められた期間だけ操業をするようにするということが必要でございます。  また、現在も集魚灯につきましては、ある程度の制限は行われているようでございますが、さらに一層制限を厳しくいたしまして、今後の漁業資源をどういうふうに保護管理していくかという政策を考える時期に——もう遅きに失しているかもわかりませんが、イカ釣り漁業においては、いまそういう時期に直面していると思うのですが、この点について水産庁の方から具体的な方針が一向に打ち出されないということで、イカ釣り漁業に従事している方々は非常に不満もあり、また不安も持っているわけです。こういう点について、どういうふうにお考えですか。
  287. 恩田幸雄

    ○恩田政府委員 先生御指摘のように、ニュージーの問題を除きましてもイカ釣り漁業の最近の漁獲量は減少の傾向にございます。これにつきまして私ども、いろいろ資源的に現在も検討しているわけでございますが、事実関係から申し上げますと、従来依存していたイカ資源のうち主な対象でございました日本海を中心といたしますスルメイカの冬生まれ系統群というのがございます。これが日本の近海を、対馬の方で生まれて北上して樺太あるいは北海道東岸まで出てくるのでございますが、これの資源状態が低水準になったということが主な原因だと考えております。  資源の減少につきましては、海況等の自然的な要因、これが大きく左右しているとは考えますが、ただイカは一年生でございまして、やはり自然要因の影響を非常に受けやすいという性格を持っているわけでございます。このために資源が全体として自然条件によって減ったということでございますので、特に人為的な要因で減ったものだとは考えておりませんのではございますが、ただ、やはり資源状態が減ってきたということは、その段階で漁獲努力が非常に大きくかかりますと、その資源に問題が出てくるだろうと考えております。  その対策として、積極的な対策といたしましては、私どもはこのようなスルメイカを補うためにアカイカ、これは太平洋の北部、大体北海道の東南部と申してよろしいかと思いますが、その辺の水域に相当量ございますアカイカにつきまして新漁場の開発を進めて、すでに五十一年の統計では約八万七千トンのアカイカを漁獲しております。さらに五十二年の推定でございますが、約十二万五千トン程度アカイカをとっているのではないかというふうに考えております。したがいまして、いま申し上げましたように、新しい資源に漁獲努力を向けるということが一つでございます。  そのほかに先生の御指摘のありましたようないろいろな問題でも、たとえば船の隻数の問題でございますが、これはいろいろ従事しておられる漁業者の方々の経済的、社会的な問題もございますが、私どもとしては従来、承認制度をとっておりまして、これは三十トン以上は全然ふやさない。逆に年々承認を受ける漁船の数が減少しているという傾向にございます。特にニュージー等の問題が、ニュージーに出れないというような事態になれば、われわれとしても直ちに減船の措置を考えなければなりませんが、現在のところは、隻数についてはその程度で、新しい資源に向けていただくということを考えていったらいいのではなかろうかと思っております。  次に、禁止期間でございますが、これは三十トン以上の船につきましては北太平洋では三月、四月が禁止期間になっております。先生御指摘のように、小さいうちにとってしまうのではないかということで、この禁止期間をさらに延長したいというようなお話も一部の地区からは出ております。ただ先ほど申し上げましたように、これらをとっております漁船は、長崎の辺からとり出して、さらに北は北海道まで及ぶわけでございまして、地域的な状況も違いますし、さらに先生の御指摘のあった三十トン未満もおりますものですから、そういう船型、区域その他を十分考えまして今後、検討を図ってまいりたいということで、それに対する資料等の収集については現在すでに実施しておる次第でございます。  それからなお光力につきましては、現在、漁業者の方々の自主的な規制で、それぞれ光力を決めていただいているわけでございますが、私どもの仄聞するところでは、なかなか守られていないというような事実もあるようで、そのために国がやれというお話もあるようでございます。ただ問題は、やはり発電機の容量等で制限するわけでございますので、漁業者の方々の本当の意味におきます御協力が十分得られないと、なかなかうまく実施して守られていかないものであろうというふうに考えておりますので、さらに業界の方々と十分検討いたしまして対処いたしたいと考えております。
  288. 古寺宏

    ○古寺委員 新しい漁場の開発ということを盛んに強調されますが、これはやはり二百海里問題がございますので、何でも新しい漁場を開発して、そこへ行ってとってくればいい、そういう考え方だけでは、これからの世界は日本漁業を理解してくれないのじゃないかと思うのですね。そういう面からいきましても、やはり現在ある漁業の資源というものの、イカの例をいま挙げて申し上げているわけなんですが、もう少し保護、管理を強めて対処していかなければならないのじゃないかと思います。そういう面につきましては、水産庁のいままでの対策は後手後手であるということを指摘されておりますので、どうか、こういう面につきましては、やはり現場の方々の意見も十分に尊重して、今後のイカ釣り漁業というものに対する対策を考えていただきたいと思うのです。  先ほど海運局の方のお話もございましたが、八戸の例で申し上げますと、現在、海運局の関係離職者が約四百名いるのです。現在雇用保険の給付を受けているのですが、その実態をいろいろお聞きしてみますと、再就職はほとんどむずかしいというような状況でございます。今後日ソ漁業またニュージーランドの問題、こういういろいろな問題が、これからさらに離職者問題という大きな問題として予想されるわけなんです。中高年齢者が非常に多い、なかなか思うように再就職ができない、大変な事態が考えられます。そういう面からいきましても、今後労働省としましては、これは運輸省の問題であるとか水産庁の問題であるというのじゃなくて、やはり漁業従事者の労働の問題につきましても十分に配慮して対応していく必要があると思うわけですが、この点について大臣から決意を承りたいと思います。
  289. 藤井勝志

    藤井国務大臣 大変残念な事態に直面しておるわけでございまして、漁場が狭まるということは、それだけ雇用の市場が圧縮されるわけでございまして、何とかして、この問題はニュージーランド政府との交渉を粘り強く農林省としてやってもらう、こういったことを期待しながら、同時に今後の状況の変化に対応して、労働省として打てる手は臨機応変に対処していきたい。そして農林省並びに運輸省と密接に連絡をとって海上で働く漁民の雇用の不安ができるだけ少なくなるように雇用の安定に万全を期したい、このように考えております。
  290. 古寺宏

    ○古寺委員 では時間ですから、これで終わります。
  291. 竹内黎一

    ○竹内(黎)委員長代理 次回は、明十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十五分散会