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1978-03-22 第84回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年三月二十二日(水曜日)     午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 越智 伊平君 理事 住  栄作君    理事 竹内 黎一君 理事 羽生田 進君    理事 村山 富市君 理事 森井 忠良君    理事 大橋 敏雄君 理事 和田 耕作君       相沢 英之君    井上  裕君       石橋 一弥君    大坪健一郎君       川田 正則君    斉藤滋与史君       津島 雄二君    戸沢 政方君       友納 武人君    葉梨 信行君       橋本龍太郎君    湯川  宏君       安島 友義君    枝村 要作君       金子 みつ君    川本 敏美君       田口 一男君    矢山 有作君       草川 昭三君    西田 八郎君       浦井  洋君    田中美智子君       工藤  晃君  出席国務大臣         労 働 大 臣 藤井 勝志君  出席政府委員         防衛施設庁労務         部長      菊地  久君         厚生省年金局長 木暮 保成君         労働政務次官  向山 一人君         労働省労働基準         局長      桑原 敬一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      窪田  弘君         大蔵省主税局税         制第一課長   矢澤富太郎君         中小企業庁指導         部組織課長   松田 岩夫君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 森  英良君         建設省住宅局住         宅計画課長   鴨沢 康夫君         住宅金融公庫理         事       高橋  明君         参  考  人         (雇用促進事業         団副理事長)  上原誠之輔君         参  考  人         (雇用促進事業         団理事)    広瀬 忠三君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君     ————————————— 三月十七日  国民年金法等の一部を改正する法律案内閣提  出第四〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三四号)  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三五号)      ————◇—————
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  3. 津島雄二

    津島委員 勤労者財産形成促進制度について改正案も出ておりますので、それに関連して若干の問題点をお伺いを申し上げます。  この制度の中身、それから改正問題点について議論する前提として、政務次官もおいでになっておりますので、まず最初に、現下情勢に顧みまして、労働問題全体について、どのような御感触をお持ちかという点をお伺いしたいのでございますが、御承知のとおり先般、大臣所信表明で幾つかの問題点指摘しておられます。何といっても雇用確保ということを第一に挙げられまして、そのほか職業訓練の改善それから財産形成制度促進労働条件確保等所信表明があったわけでございますが、この機会でございますので、もう一度、政務次官から、当面の状況のもとで、どのようなお考え労働行政をお進めになっていくか、一言お伺い申し上げます。
  4. 向山一人

    向山政府委員 大きな問題でございますが、私ども労働省といたしましては、日本の人口の半分を占めると言われる五千五百万にも及ぶ勤労者皆さん方生活を守り、さらに何とか向上してまいりたい。また、これらの方々が快適な環境の中で仕事ができるようにしてまいりたいというふうな大きな枠の中で今日努力をいたしております。  先生も御承知のように、特に現下労働情勢というのは大変エネルギー源の制約の問題あるいは国内外を取り巻く経済環境変化に伴って、経済構造変化が余儀なくされております。そうした中で、かつての高度経済から安定低成長に移行しつつあるわけでございますけれども、この点が非常にむずかしい問題でございまして、低成長路線というものが決まっているわけではなくて、これから、われわれが歩んでいかなければならない将来に向かっての安定低成長路線というものを今日模索している中でございまして、そんな中で、しかも長い間続いたスタグフレーションの状況の中で、不況とインフレの心配をしながら経済を安定していかなければならぬ。こういう状態の中で現実的には百十万人にも及ぶ失業者が発生し、また企業は十分な仕事がございませんし、一部の企業にとりましては特定不況業種というふうな形で大量の失業者が発生する懸念もあるわけでございまして、こうしたむずかしい情勢の中で私どもは、雇用の安定を図るということは国民生活基盤につながるわけでございますので、何とか国の産業政策経済政策の面で雇用の拡大、安定を図っていただかなければならない、こんなふうに考えて、目下私どもに課せられた分野については最善の努力をいたしている次第でございます。  何分にも御承知のように雇用安定の問題は、私ども労働省の方といたしましては、働く方々福祉の問題とか、あるいはまた今日、雇用の中で抱えている過剰労働力の問題が失業者となってあらわれないような万全の方法を、たとえば雇用安定資金制度等を創設して行っており、また昨年の十二月に成立いたしました特定不況業種離職者臨時措置法等によって万全の策をとってはいますけれども基本は働く方々職場を与え仕事を与えるということが一番基本になりますものですから、そんな点で関係諸官庁の方にも強力にプッシュをいたしまして目下努力しているところでございます。
  5. 津島雄二

    津島委員 ただいまの政務次官の御答弁安定成長時代に入ってまいりまして、雇用問題についても、いままでといささか、さま変わり状況になってまいりまして、きわめてむずかしい問題が出てくるということが言外ににじみ出ておりまして、私も同じ認識を持っておるわけでございます。  さて、今度の大臣所信表明でも、いまの政務次官の御答弁でも、雇用の安定と確保というものが最大の急務である。そしてまた、そのことは容易に達成できないだろうという感じがするわけでございますが、その中で、この勤労者財産形成制度、きょうの問題でございますけれども、これがどのようにうまくおさまっていくのか。特に今回提出されておりますこの改革案というものが、こういう非常に厳しい雇用状況の中で、どのように評価さるべきものであるか。これをまず最初にお伺いしたいのでございます。  なぜ、これをお伺いするかといいますと、後で出てまいりますけれども、私も実際、財形制度ができますときに大蔵省側におりまして、いわば労働省からのいろいろなお話を伺って検討したこともあります。それから在外勤務をやっておりましたときに、ドイツの類似の制度というものに相当強い関心を持って調べたこともございます。そういうような中で、かつてこの制度日本で導入されましたときは、どちらかというと勤労者あるいは労働者というのは宝である。求人倍率も非常に高くて、とにかく大部分の企業にとっては、大事に大事にして勤労者に来ていただくというような状態の中で導入されてきたのでありますけれども、それが何年かたちまして、こういうふうに労働状況が変わってくる、さま変わりになってくる状況の中で、黙っておけば事業主労働者を大事にして財形綱度に協力してくれるだろうという状態では必ずしもなくなるのではないだろうかという認識が、私にはあるわけでございます。そのような意味で、このたびの促進法改正というもの、またそのねらいが、新しい労働情勢の中に、どのようにうまくおさまっていくのか、その点をまずお伺いいたしたいのでございます。
  6. 向山一人

    向山政府委員 御承知のように、高度経済成長時代勤労者賃金の面は相当に上昇をいたしましたけれども、一方、勤労者財産貯蓄、こういう面までは十分でなかったわけでございまして、そんな面から、勤労者が安心して日常仕事をする。そうして長い間勤めた結果、生活が安定するような方法をどうしてもとらなければならぬ。いま御指摘のように西ドイツ等でも、そうした方法がございましたので、そういう面から、この問題は当面の景気の問題と離れて、もちろん一部はその中に重なるわけでございますけれども、長い目で見まして、勤労者職場で貢献をしたその結果が、ある程度財産も蓄え、幸せな生活ができるようにしていかなければならない。そうするためにはどうすればいいかというようなことで勤労者財産形成法ができているわけでございます。  もちろん、そうした考え方の中で当初から十分なものは、予算の関係もあり、なかなか望むべくもありませんので、出発する時点においては、そうした方向に向かって小さく出発しても、これをだんだん充実していかなければならないというようなことでこの法律改正をされながら一歩一歩前進をいたしてきております。  なるほど法律のできた当時は非常に労働力が不足している時代でございまして、今日はどちらかというと求人倍率が〇・五幾らというふうに大変就職のむずかしい時代には入っておりますけれども、しかし、これは先ほども申し上げましたように、勤労者が余っているときには粗末にして、足りないときには大事にするというのは本質的に誤っている考えだろうと思います。企業の中で働く方々労働というものは、むしろ一番上位の立場にあるべきものだと私ども考えているわけでございまして、こうしたときこそ、そういうことに支配されずに勤労者の将来、一生の問題でございますから、こうした問題に向かって、できるだけの前進を図ってまいりたいと考えております。  基本的には、先ほど申し上げましたけれども勤労者生活を安定するということは、これはもう国民生活基盤を安定すると言っても過言ではないだろうと考えておりますので、そうした意味から、今回におきましても勤労者福祉の向上を図って、そうして一歩前進をしてまいりたい。もちろん十分とは言えませんし、これからも長い間また改正を行うわけでございますけれども、当面、今日の段階から見て、先ほど申し上げましたような考え方に立って一歩前進をさせていただいた、こんなふうに理解をしているわけでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。
  7. 津島雄二

    津島委員 さま変わりになっても、勤労者というものは大事なものであって、求人倍率が落ちたから粗末に扱うわけにはいかぬ、こういう御答弁なんですけれども現実にこの制度がどういうように普及しているのかということを評価してみます場合に、そういう一般的な哲学だけでは済まないわけですね。御承知のとおりドイツでこの財形制度を導入するときのねらいとして、第一に、勤労者財産を取得する機会をできるだけ与えて、それによって、片方では生活の安定を図ると同時に、片方では市民としての責任感、こういうものを持ってもらうということを言っておりますし、また、これとはちょっと性格が違いますけれども、たとえば隣のフランスで、勤労者が大幅に企業経営に参加するという制度を中心に似たような制度があるということは御承知のとおりなんでありますが、この点では日本はちょっと様子が違うのでないかという感じがまずするわけでございます。  というのは、ああいう古いヨーロッパの国では、およそ勤労者企業経営にタッチをするというようなことは非常に縁遠いというような認識があったことは事実であります。そこで、それじゃほかに、どういう目的があるのかと言われてみますと、またドイツでは二番目に、財産配分の不公平を、これで少しは是正したい、こういうことをいっておりますけれども、これはそこにいくまでには、かなり大きな財産形成成果が上がってこないと効果が出てこないと言わざるを得ないのであります。  それからまたドイツ制度目標として三つ目に、できるだけ消費購買力を抑制して貯蓄を増進する、物価をそれによって安定しましょう、こういうようなことをいっておるのであります。この点でとってみますと、日本は世界で冠たる貯蓄の高い国でありますから、いまさら、これ以上貯蓄の推進は全体として必要ないじゃないか。いま、もっと消費してもらいたいなんというような話になっておりますし、安定成長時代経済政策の運営さえ誤まらなければ、物価についても一般的な経済政策でやっていけるだろう。そういたしますと、日本の場合に財形制度考えていく上で、日本社会経済に合ったような一つ問題意識を持っていなければやはりいけないんではなかろうか。ということは勤労者階級が非常に数が多い。それからかなり市民意識も持っておりますし、政治意識かなり高度のものを持っておる。その中で財形制度を通じて一体何をねらっていかれるのか。  私は、やはり事業主勤労者と協力して、社会高度化といいますか豊かな社会をつくっていくというようなところまで、これがいけば意味があるんではなかろうかと思うわけであります。またそういう徴候が出てくれば、国がかなり率先してこれを推進する意味もあるんではなかろうか。ただ貯蓄をしてもらいたいからプレミアムを出す、あるいは預金の利子に課税をいたしません。これは、貯蓄率がもともと高いわけでありまして、何というのか政策としてそれほどの新味はないんではなかろうか。やはりそれに加えて何かなければならないというのが私の基本的な認識なのでございます。これを項目ごとに、これから御質問していきたいのでございます。  その前に、まず実態でございますが、四十七年から始まりました財形貯蓄でありますが、いま財形貯蓄をやっております勤労者数はどのくらいでございましょうか。政府委員の方から。
  8. 森英良

    森説明員 お答え申し上げます。  五十二年の十一月末現在におきまして財形貯蓄をやっております勤労者は七百四十万人ということになっております。
  9. 津島雄二

    津島委員 七百四十万。そして事業所数がたしか六十万ぐらいである。貯蓄残高はどのくらいになっておりますか。
  10. 森英良

    森説明員 一兆六千億円になっております。
  11. 津島雄二

    津島委員 そういたしますと、この契約をしておる勤労者一人当たり平均でどのくらいの貯蓄残高になりますか。計算するとすぐ出ますから。
  12. 森英良

    森説明員 約二十万ないし三十万の間になると思います。
  13. 津島雄二

    津島委員 これに対しまして、たとえば一般的な実態調査で、勤労者それから国民一般消費者一般と言ってもいいですが、一人当たりどのくらいの金融貯蓄を持っておるでしょうか。
  14. 森英良

    森説明員 その関係資料につきましては世帯でとっておりまして、勤労者世帯につきましては約三百万程度残高になっているようでございます。なお、それ以外の一般世帯になりますと大分高くなってまいりまして、たとえば法人経営者では九百七十七万、自由業で七百六万、その他のものでも五百七十七万という程度数字が出てまいります。
  15. 津島雄二

    津島委員 おっしゃるとおり勤労者で三百万、一般的には五百万というような貯蓄残高と言われておるのですが、この財形貯蓄、さっきの数字を単純に平均しますと三十七、八万になるわけですが、勤労者平均三百万持っておる中で、四十七年から五年以上たって財形貯蓄平均して三十七、八万お持ちだ、これは成果が上がっていると見るのですか、どうでしょうか。
  16. 森英良

    森説明員 財形貯蓄も四十七年あたりから始まりまして、まだ普及段階でございまして、次々に新しく始める企業がふえております。なかんずく財形貯蓄の実施は中小企業から始まりまして、だんだんに大企業に普及してきておるということで、人数も、大企業が始めますと大幅にふえるということもございまして、したがって全体をならしますと確かにおっしゃるとおりな数字でございますが、本当に長期をやっておるところでは、もう少し高い金額になっているかと思います。いずれにしましても全体の金融資産との比較では、おっしゃるとおり、まだ非常に少ない数字でございますが、財形貯蓄という継続的な計画的な貯蓄というものは、事業主預入代行等によりまして、こういうふうにふえてきておるという点は一応評価していいじゃないかと考えております。
  17. 津島雄二

    津島委員 見方がいろいろとあり得ると思うのですが、それでは別の角度からちょっと聞いてみます。  この財形貯蓄を、どういう金融機関を使ってやったかという調査がありますね。この結果によりますと、たとえば証券会社が非常に大きなウエートを占めておるわけです。二割近くいっておる。ところで、一般勤労者貯金状態を見ますと、証券会社にそんなに貯金はしてないんですね。こういう財形貯蓄の対象になっております貯金形態、つまり、どういう金融機関を使っているのかということと、それから一般勤労者の普通の貯蓄状況と比べて、どういう印象をお持ちですか。
  18. 森英良

    森説明員 財形貯蓄貯蓄形態別に見ますと、御指摘のように有価証券会社商品相当ウエートを占めておるということは、そのとおりでございまして、さらに、それよりも多いのが信託銀行関係の金銭信託、貸付信託といったふうな商品でございます。それから最近は都銀関係大分力を入れてまいりまして、都銀のシェアの伸びがかなりになってきておるという状況でございます。  そういうことで財形貯蓄につきましては、一応長期継続貯蓄であるということもございまして非常に利回り選好が高いと申しますか、有価証券会社関係あるいは信託銀行関係利回りの高いところへ集中するという傾向がございます。それに対しまして勤労者一般金融資産の内訳になりますと、これは平均的に見ますと、やはりいわゆる普通銀行と名づけております長期でない通貨性預金と申しますか、そういうもののウエートが高かろうというふうに思います。
  19. 津島雄二

    津島委員 利回り選好という、きわめて議論の余地のある問題点に触れられたので申し述べたいと思うのですが、それでは財形貯蓄にいった資金というものが利回り選好でいったということになりますと、財形貯蓄制度ができることによって、勤労者貯蓄が全体としてふえたのでしょうか。それとも利回りのいいところ、あるいは税額控除のできるところへ、ほかの銀行郵便局からおろして持っていったのでしょうか。その点どういうふうにお考えでしょうか。
  20. 森英良

    森説明員 財形貯蓄は、勤労者賃金から事業主が天引きをしまして、預け入れを代行して直接に金融機関に渡っていくという形をとっておりまして、一応形式的には所得の源泉からの新しい貯蓄であるということになるわけでございますが、これを先生おっしゃるような、もっと実態的な分析を加えまして、本当に純増で貯蓄がふえたのか。それとも、ほっておけば、よそへ回るべき貯蓄がそちらへ回ったのかという点については、実は分析がございませんで、はっきり確認しておるわけではございません。現実にはいろいろなケースがございまして、それだけふえましたものもあるでありましょうし、あるいは、よそへ回すつもりだったものを、こっちへ回してきたという場合もあり得るかと思います。
  21. 津島雄二

    津島委員 資料がないから、いまのような御答弁やむを得ないと思うのでありますが、実は私、この点を非常に重視しますのは、この財形制度ばかりでなくて長期性貯蓄金利を一体どのように考えたらいいかということについて、大変議論の混乱があるわけであります。たとえば、いま、この円高の中で一般的な金利水準を下げなければいかぬ。そうでなければ景気にも大きい影響がありますし、また外国から短期の資金が入ってくるのをとめるわけにいかないという経済政策目標からくる金利政策と、それから、その金利によって貯蓄について目減りをしたという議論と常に絡まって混同されて議論しているわけです。  そこで、この財形貯蓄について考えてみます場合も、いま部長金利選好があったから、いったんだというお話をされたのですけれども、本当に金利選好が働いているのならば、現在の貯蓄の中で流動し得るものは全部流動していくという、これは経済原則なんですね。そういう金利税額控除をつけたり、プレミアムをつけたりすることによって貯蓄を増進するのならば、これは貯蓄全体がふえるのでなければ意味がないので、そういう国策によって金利が高いところへ、ただ動いていくというだけでは通常貯蓄の動きとしてはノーマルなものではない、望ましいものではないという議論があり得るわけです。  それでもし、とにかく金利が高い方がいいから、たとえば勤労者の方でも低所得層でも金利をうんと上げてあげて貯金をしてもらおう。もうそのことだけが政策的に一つ目標であるというならば、それはまた、そういう見方議論しなければいけないわけでありまして、一般的な金利、そして一般消費者流動性選好、そういうものとが絡まって通常貯蓄が行われているという状態の中で、片方では一般的な経済政策からくる金利水準、それから片方では勤労者貯蓄に対するリターン、報酬としての金利、これを一体どのように考えたらいいのか。また後ほど議論も出てくると思いますので、この段階政務次官から何かあったら、お伺いしておきたいと思います。
  22. 向山一人

    向山政府委員 先ほど部長からも答えがありましたけれども事業主給料から差し引いて財形貯蓄を行っているわけでございまして、過去のわが国の例から見て、たとえば銀行金利を上回って物価が上がったというような場合に、それじゃ貯蓄が減って消費の方へよけい回るかというと、やはり全般として貯蓄傾向が非常に高くて、今日のような段階になってきているわけでございます。  したがいまして、私ども金利だけにとらわれるのではなくて、やはりそれ以外の、もっと自分たち日常生活の中には、安心していきたいというふうな安心感を求めているという面が非常に強いだろうと思う。そういう面におきましては私どもも、余談になりますけれども貯金をするときに金が余ったら貯金をしようと言えば、貯金というのはほとんどできない。給料の中から計画的に一定の貯蓄をして、しかも、その貯蓄に対しては、いろいろ国の方でも優遇措置を講じたり、事業主もいろいろと優遇措置を特別に講じてもらっているというところに、非常に意義があるわけなので、したがって今日のように金利が非常に下がっている場合、この金利の下がっている時点だけを考えると、意味がないじゃないか、こう思われるかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、財形制度長期的な問題でございまして、その中においては当然景気調整のために極端に金利を下げなければならぬ場合もあるでしょうし、また上げなければならぬ場合もあるでしょうが、そういう短期的な景気調整にとらわれずにいくべきものだし、また、そういうところに大きな期待と安定感があるのではなかろうか、こんなふうに実は考えております。  そういう意味で、先ほどもお答えしましたように、今日一兆六千億を上回る貯蓄もできておりますので、できるだけ、またこれから法の改正等も行ったりして、勤労者のために役立つ方向へ進めていきたい、こんなふうに考えております。
  23. 津島雄二

    津島委員 政務次官の御答弁、大体私も理解できるのでありますが、要するに一般的な金利政策というものと、それから別の観点、つまり社会政策等観点から貯蓄に対して国が配慮をする、これは簡単に両立しないけれども、しかし両立させなければならない二つ政策目的なんですね。  私が、いま特に強調しておきたいのは、最近の議論は、この二つをとにかく混同してしまう。金利は高ければ高いほどいいという議論がまかり通ってしまう。これは非常に危険でございまして、金利水準が高くて一番得するのはだれでしょうか。それは大金持ちに決まっておるわけですね。金融資産を何千万円と持っている人は、金利水準が高い方がいいのです。ですから、かわいそうだ。貯金が目減りする。金利を下げるのはけしからぬというのは、実は、その声は大金持ちに対して一番プラスになる声になってしまう。これは減税でもそうなんですね。気をつけないと、一般的な減税をやった場合に一番得をするのは、所得が一番税率の高いところにいっている松下幸之助さんのような方ということになってしまう。ここを政府も政策考えていかれる場合に、金利というものは経済政策全体の話でありますから、そのときの経済状況、それから特に雇用景気確保という面から、金利水準はどうしても下げなければならぬときは下げた方が、失業者は減るかもしれない。そういう観点国民に納得してもらわないといけないと思うのです。  金利というのは何千万という金融資産を持った人たちにとって本当に意味のあるものでありますけれども、さっきお話がありましたように、たとえば勤労者一人当たり三百万しか貯金がないのです。これは残念なことです。私も三百万あるかどうかわからない。その残念な姿を前提にしますと、たとえば〇・七五%金利を下げるということが生活に重大な影響があるというような議論は感情論なんです。これは政府としても、ぜひはっきりと、そこは仕分けをして国民に理解をさせていただきたいのであります。  そこで、金利政策というものは、そういう全体の立場から考えなければならないとすれば、実は、もう一つ社会政策的な観点、つまり、ある特定の人たち、たとえば勤労者であるとか低所得層であるとかいう方々には、非常に厳しい環境の中で、できるだけ将来の蓄えをしていただきたい。これはまた、おのずから別の観点でありまして、そのような観点からの貯蓄推進策をするには、実は、ある意味財形制度は一番筋が通っていると私は思う。だれが貯蓄をしておられるかは、はっきりわかる。それから、さっきおっしゃったように金融機関に入っていくときには天引きで給料から入っていきますから、貯蓄の源泉もわかっておるわけです。これと比べて議論するのは大変申しわけないのですけれども一般的なマル優の制度がありますが、それは三百万なり五百万以下の人たちが貯蓄をするたてまえになっている。しかし、だれもわからない。そしてまた、どのような原資から銀行に何口置かれたかもわからない。このような制度が混在しておりまして、金利が下がればかわいそうだ、十把一からげにかわいそうだという俗論が町の中にあるというのは私は非常に残念に思います。  時間がありませんから、そこはこの辺で切りをつけますけれども、本当にこの財形貯蓄のように、どなたがやるか、それから貯蓄の原資は何かというものについては、別の社会政策的な観点から一般的な金利政策と離して措置をとるということを、今後とも正々堂々とやっていただきたいとお願いを申し上げる次第であります。そのような意味で、前から問題になっておりました、政府がある程度プレミアムをつけるというようなことを含めて、ぜひ御検討をいただきたい。その方が金利水準をただ無理やりに高い水準に置いて経済全体をおかしくするよりも、はるかに筋の通った政策だと思うわけでございます。  そこで、貯蓄のことばかりにこだわっているとあれでございますので、財形制度のほかの面について触れてみましょう。  まず財形給付金の制度でありますが、これは五十年十月から始まっております。いま、どういう普及状態になっておりますか、ちょっとお話しいただきたいのです。
  24. 森英良

    森説明員 財形給付金制度の五十二年十二月末現在の給付実績を申し上げますと、まず受益勤労者数が十八万人。これを実施しております企業数が約五千四百社。たまっております資産が約四十五億円という状況でございます。
  25. 津島雄二

    津島委員 そういうことになりますと勤労者十八万人、一人当たりどのくらいになりますか。わずか三万円、私いまちょっとここで計算すると三万円という状態企業数五千四百社、一社当たり八十万円ということであります。これは五十年にできてから、まだ日がないということでありますが二年ちょっとであります。この事実はどのように評価されますか。うまくいっておりますか、どうでしょうか。
  26. 森英良

    森説明員 財形貯蓄といいますのは勤労者が自分の賃金の中から自主的にやる制度でございまして、これはわが国の国民一般貯蓄性向の高さを背景にしまして非常に伸びがいいわけでございますが、そういう本人の努力を踏まえまして、もっと積極的に事業主がこれを援助するために何がしかのお金を、通常賃金とは別に支給するということを政策的に評価いたしまして、五十年の改正の際に、こういう制度をつくったわけでございますが、たまたまオイルショック以後の非常に厳しい状況にぶつかってしまいました。いろいろな事情で、先ほど申し上げましたように必ずしも十分な成果が上がっているとは私ども見ておりません。しかし、こういう不況の中でも、とにかく、これだけの企業が始めてくださったという点は、ある意味では希望をつなぐところでございまして、これにもう少し、いろいろメリットを与え、助成をふやしまして、さらに、その伸展を図りたいというように考えておるわけでございます。
  27. 津島雄二

    津島委員 オイルショック以来、大変厳しい状況と言われて、これはさっき政務次官言われた新しい安定成長時代の厳しい状況というものの一端であろうと思うのでございますが、一人当たり三万円、一企業当たり八十万円というのは私としては非常に残念な数字でありますが、このことは逆に労使双方といいますか、事業主も本当にやる気にならないと、なかなかこれは進まないのじゃないかという感じがするわけであります。たとえば今度の改正で給付金に加えて基金制度を導入されたいということになっておりますが、この基金制度を導入されるということ、当然また、それに助成金の制度がついていくわけでありますが、これは将来に向けて、どのぐらい、いまの残念な現状を改善するよすがになると見ておられるか、御答弁をお願いしたいのです。
  28. 森英良

    森説明員 給付金制度につきましても、現在は百人以下の中小企業につきまして五%ないし一〇%の助成金を支給するというような特段の配慮をしているわけでございますが、これも今回の制度改善で三百人以下の中小企業全般に助成金を支給するようにするという措置をとっております。  同時に、給付金制度というものがどうも少し、制度が簡単な点はいいのですが、非常に硬直的なところもありますので、もう少し中堅以上の企業においても取り組んでもらえるような制度にしたいということで基金制度を設けまして、これによって取り扱い金融機関がふえ、それが取り扱える商品も多様化するということと同時に、中堅以上の企業の場合には企業の中に労働組合も一応ございますので、その事業主拠出金の運用について労働側も発言権を持つような制度という意味で基金制度考えたわけでございます。  しかし、これもおっしゃるとおり、こういう制度の必要性、適当性につきまして労使の御理解というものが進みませんと、なかなか新しい制度でございますので、そう制度をつくったから、すぐに爆発的に流行するというようには考えておりませんが、しかし初年度におきまして基金制度につきましては約二百基金程度できるという推算をいたしまして、それについて設立奨励金につきまして予算措置をとっておるというような状況でございます。
  29. 津島雄二

    津島委員 昨年の九月に例の財形審議会の基本問題懇談会、ここで「財産形成政策に関する基本考え方」というのが出されておりますが、この中にはっきりと、いま御議論がありました問題点、つまり厳しい社会情勢になってきたから、いまのようなままでは財形制度はなかなか伸びないよということが書いてあるんですね。  読んでみますと「わが国の経済社会は一転して安定成長路線への移行という大きな変化を経験することとなり、今後賃金の伸びは高度経済成長期のように多くは望みえない」それから「企業経営環境は厳しいものがあることが予想され、また、国の財政事情も容易に好転することを期待しえない等勤労者財産形成及びその促進を図る財形政策をめぐる諸情勢は、困難なときを迎えることとなった。」まさに私が心配しているのはこのことなんでございます。その中で、この意見も、いまの財形政策のそのものばかりでなくて、それを取り巻く社会保障政策あるいは財政金融政策あるいは住宅土地政策等広い分野にわたって、いろいろてこ入れをしてやらなければならぬということを指摘しておるわけであります。  これは非常に重要な問題点でございまして、財形給付金と並んで一つ財形制度勤労者に対する目玉商品であります財形持ち家融資制度あるいは財形持ち家分譲制度、この現状について、ちょっとお尋ねしたいのであります。持ち家分譲融資が四十八年九月に開始になっていますが、その後どういうような普及状態か、簡単にお話しいただきたい。
  30. 森英良

    森説明員 財形法の制定当初から、財形貯蓄残高を原資としまして還元の意味で持ち家分譲融資を行うという制度がございまして、これは御指摘のとおり四十八年九月に始まりまして、かなりの期間経過しております。これは、これまでのところ、昨年の十二月で貸し付け決定件数が八百件、決定戸数が四千戸、貸し付け決定金額が合計三百億円というところまで参っております。これも制度発足当時、経済的に非常にまずい時期に始まりまして、当初は非常に伸びが悪かったのでございますが、だんだんに出てくるようになっておりまして、本年度につきましては百五十億の枠に近いところまで消化可能という状況で、だんだんによくなっておりますが、いずれにせよ総額で三百億円という状況でございます。  そういうこともございますので、五十二年度、本年度から財形持ち家個人融資というのが始まったのでございますが、これも制度発足当初で、これまで余り見るべき実績がございませんで、約四百五十件、十四億程度の貸し出しということになっております。
  31. 津島雄二

    津島委員 徐々によくなっている。今度の個人融資制度ができれば、もっとよくなるだろうというお話でありますが、あれだけ勤労者がいる中で、また、その財形貯蓄をやっている勤労者が七百四十万人もいるのに四千戸というのは、ちょっとどうでしょうか。私は非常に残念な結果だと思うのです。実は、この点について、去年の九月の基本問題懇談会が出しております。財形制度促進していくためには本来の制度だけいじったんではだめなんだよ。それを取り巻く状況をつくってやらなければいかぬということが、非常によく当てはまるのだろうと思うのですね。いま部長答弁で言っておられたとおり、どうもできた四十八年以後、非常に情勢が悪くなった。要するに土地税制はできる、土地の売買が非常に厳しくなる、こういうことを言っておられるのだろうと思うのですが、もし、それが事実だとすると、今度個人融資制度をつくっても同じなんですね。土地がないのに家つくれと言っても、これはしようがないわけですね。  そこで労働省として財形持ち家制度をめぐる土地税制について、いままで、どのような検討をされたか。もし、あれならば一言で結構ですから、検討しておられるのかどうか、御答弁をお願いしたいのです。
  32. 森英良

    森説明員 御指摘のように財形綱度につきましては、特に持ち家制度につきましては、それをめぐる環境条件の整備ということがなりませんと、なかなか進まないということは全く御意見のとおりだと思います。そういう意味で土地関係の対策あるいは税制を含めまして当然関心は持っておるのでございますが、これまで特に財形制度観点から特段の提言その他を行ったという事実はございません。
  33. 向山一人

    向山政府委員 この問題は実は一番大事な問題でございまして、正式な検討というよりも、いま全く先生のおっしゃるように、労働省としましても土地税制の問題、土地の問題を何とかしないと、せっかくの自分の好みの家を欲しいということで財形制度が発足していても、実際に効果が上がらないんじゃないかという問題で、今後慎重に、この問題についてはひとつ検討を加えてまいりたいと思っております。
  34. 津島雄二

    津島委員 問題意識は持っておられるようで大変結構でございますが、私、この制度を検討して、すぐにでも二、三点、改善すべき点が発見できるわけでございます。もっとも私、この土地税制はしばらくいじったことがあるものですからあれですけれども、まず第一に先ほどお話ししたように、この制度事業主も本当にやる気にならないと、あるいは事業主に魅力のある制度にしてやらないと、うまく動かないのです。たとえば、いろいろな批判がありましたけれども事業主とかあるいは法人が土地を持っておる、例の四十四年土地税制ができて以後、土地を買ってしまった。それを手放しますと御承知のとおり短期譲渡ということで罰則的な税金をかけられるのですね。これをできることならば、できるだけ勤労者に開放してやりたいわけです。また、それが財形制度にうまく乗るのならば、うまくそれに乗せて、この際、会社の方も土地を持っているという負担から免れると同時に、会社の社員も喜んでもらう。これはもう当然の政策的な目標になり得るわけですね。  いまの制度はどうなっているかといいますと、会社や事業主が最近買った土地を手放す場合に、罰則的な重課を受けないのは、御承知のとおり干平米以上の大きい造成ですと、いままでは適正利潤以内であること。今度は適当な値段で売ってもらうということ。それから建設省の、優良な宅地供給に資するものとしてのお墨つきをもらう、そういうような計画であるということ。それから三つ目は、公募しなければいかぬ、みんなに平等にしなければならぬ。その公募の方は、これは皆様方の御努力で、財形貯蓄に乗るものは自分のところの従業員を優先してやっても、これは公募要件には背くものではないと手は入れていただいている。  問題は、たとえば鋳物をつくっている会社が土地を買ってしまった。これを自分のところの社員にぜひ分譲してやりたいのだけれども、その分譲が建設省や知事さんの意に沿うような優良宅地の造成になるか。これは、鋳物の方は一生懸命やっているから、うまくやるのだけれども、宅地造成はできないわけです。ところが、いまの土地税制ですと、それはだめなんですね。その土地を持っている人が自分で造成をして、そしてその造成が優良な造成であるというお墨つきをもらわないと罰則的な税金をかけられる。これはぜひ検討していただいていいと思うのです。今度は勤労者に対する個人融資制度ができましたから、そういう土地は造成せずに勤労者にどんどん渡してしまって、そして勤労者が融資を受けて自分の土地の造成をやり、そこに住まいを建てるというようなことを含めて、ぜひひとつ御検討をいただきたいと思うのであります。  時間がありませんので、私の方ばかりしゃべって申しわけないのですが、もう一点、気がついた点を申し上げます。  先ほどお話ししたように、いまの事業主を含めて、勤労者に土地を提供する人に魅力のある何かあれがなければ、いまのような状況下ではなかなか土地を提供してくれない。ことに数年前の税制改正の結果、長期の譲渡でも二千万円を超える場合には一般の税率が適用になりますから、広大な土地はなかなか提供できないことになるわけですね。そこで、いま土地を売る場合に、収用で土地を提供する場合、そのほか公共性の非常に強い土地提供については特別控除といったような、土地を売った人に対して税負担を緩和する制度が特別措置法でできているわけです。大体公共性の強いものが多いのですけれども、その中に、たとえば農地保有の合理化のための特別控除制度というものがあるわけですね。これなんか非常におもしろいので、農業は非常に公共性が高いと見たのかわかりませんけれども、農業を推進するために農地保有を合理化すれば、そのための譲渡については国がめんどうを見てやる、税制がそこに介入しないようにしてやる、こういう制度もあるわけです。  そこで、この財形制度勤労者に住宅を与える非常に大きな役割りを果たしているという認識があれば、何らかの優遇制度をお考えになってもいいのじゃないでしょうか。恐らくこの点は、特別措置に非常に神経質で厳しい政党の皆さんも、勤労者のために、社員のために宅地を提供する場合についての特別措置は、そう反対はなさらないと思うのです。そういう意味で、いま全然ないのでありますから、何らかの税負担の軽減を、そういう事業主あるいはそういう土地提供者に対して考えるような御検討をぜひお願い申し上げたいと思うのでございます。こういうような点が、先ほどから御指摘申し上げております。財形制度が本当に動いていくためには財形制度の中身だけいじっていてはだめです。それを取り巻くいろいろな環境づくりを各省の協力のもとに積極的にやっていただかなければならないということでございます。  最後に中身で、このたび財形貯蓄の利用で一つの思い切った新制度を導入されました。進学融資制度でございますが、この制度の将来の役割りについてどうお考えなのか、一言御答弁をお願い申し上げます。
  35. 森英良

    森説明員 財形貯蓄勤労者への還元ということにつきまして、従来、住宅だけにつきましてやっておったわけでございますが、住宅融資の拡大も必要でございますが、さらにもっと還元の幅を広げたいということで、前々から財形審議会でも御要望がありますし、また国会の附帯決議でもありました教育の問題を取り上げまして、今回、教育融資制度を創設いたすことにしたわけでございます。これによりまして、勤労者のライフサイクルの中で一つの大きな節目になっております本人あるいは子弟の教育の問題につきましても、財形を通じまして一つの措置ができるということでございまして、こういう方向を今後とも十分検討してまいりたいと考えております。
  36. 津島雄二

    津島委員 中身についても、将来さらに勤労者が強く要望し、また社会的にも支持を受けるような財形の運用方法については前向きに御検討いただきたいことを最後に御指摘申し上げたいと思います。  時間が参りましたけれども、もう一度繰り返し申し上げますと、財形制度貯蓄だけは、人数はかなりふえている。まあ一兆六千億というのは私は金額としては少ないと思いますけれども利用者はふえておる。しかし、それ以上には一つの大きな壁があるという状況は、その面だけでは、どうにもならないという問題があり、しかも、これからきわめて厳しい経済環境になってまいりますと、勤労者ばかりでなくて事業主あるいは労使関係を取り巻くいろいろな制度が、これを補強してやっていかないと、この制度が伸びませんので、また、その点については、この制度ができました四十六年の社会労働委員会の附帯決議それから改正をしました五十年の附帯決議でも、土地税制、土地政策を含めて補強制度を積極的に検討するようにというのがございますので、今後とも一層の御努力をお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終えたいと思います。(拍手)
  37. 木野晴夫

    木野委員長 この際、午後零時三十分まで休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ————◇—————     午後零時三十五分開議
  38. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣藤井勝志君。     —————————————  駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  39. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月に制定されました駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、特別な就職指導及び就職促進手当の支給を行うなど各般の施策を講ずることにより、その再就職の促進生活の安定に努めてきたところであります。  しかしながら、駐留軍関係労働者につきましては、今後においてもなお離職の事態が予想されますので、政府といたしましては、現行の駐留軍離職者対策を今後引き続き実施する必要があると考え、この法律案を作成し提案した次第であります。  その内容は、昭和五十三年五月十七日に効力を失うことになっております駐留軍関係離職者等臨時措置法の有効期限をさらに五年延長しようとするものであります。  以上、この法律案の提案理由及びその内容につきまして御説明申し上げました。  何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  40. 木野晴夫

    木野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  41. 木野晴夫

    木野委員長 勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  ただいま議題となっております勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案審査のため、本日、雇用促進事業団副理事長上原誠之輔君及び理事広瀬忠三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  43. 木野晴夫

    木野委員長 質疑を続行いたします。安島友義君。
  44. 安島友義

    ○安島委員 この法律が制定された当時と今日の勤労者の置かれている情勢考えますと、ますます、この財形法というものの意義といいますか、重要性というものが私は高まってきているように思います。そこで、今日の情勢を踏まえて、この法律の目的とするいわば基本的な考え方について、まず大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  45. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 勤労者の現在の財産あるいは所得関係 こういったものを見ますと、私は、賃金面においては、すなわちフローの面においては相当先進国の水準に近づいて改善をされたと思います。ただ問題は、資産、ストック面において非常にまだ立ちおくれがございまして、やはりお互い生活の安定そして一生懸命に働いて生きがいを感ずるということのためには、そのようなストック面においての配慮が必要でありまして、そういう趣旨から勤労者財産形成促進制度が生まれたわけでございます。そういう面において私は、その基本方針というものはますます充実をしていくべきである、このように考えるわけでございまして、そういう線に沿うて今度の改正案が盛られておる、このように理解するものであります。
  46. 安島友義

    ○安島委員 四十八年十一月二日に三者構成の審議会の一致した見解として中間答申が出ているわけでございます。五十二年の九月二十七日に基本問題懇談会の検討の結果が報告書という形式で審議会の会長である今井会長に提出されているわけです。この報告書は、財形のあり方、今後の検討課題について、きわめて重要な問題を提起しているように思われます。  まず第一に、勤労者長期的な生活設計を可能ならしめるための措置の必要性。第二に、人口老齢化の急速な進展にかんがみ、中高年齢層対策がきわめて重要視されること。第三に、国の援助とともに事業主の援助の強化が必要とされること。第四に、労使の自主的選択によって弾力的に勤労者財産形式を進めるようになれば、その機能を一層発揮し得ることになる。その他もろもろの内容が盛り込まれておりますが、私自身の判断で幾つかの重要な問題をここに提起したわけです。したがいまして、本来の目的とする財形を改善充実させるためには、企業内に行われているようないろいろな制度間の調整を図ると同時に、広く社会的な諸制度の中において、その調整を図るということがますます重要になってきていると私は思います。後で具体的に指摘しますが、勤労者の持ち家対策一つとりましても、いろいろな制度が複雑に絡み合っておりまして、それがいろいろな所轄官庁に分れている。あるいは金利にしても、みんなまちまちであるとか、そういう点を考えますと、発足してから、まだそれほど経過していませんから、いますぐ、それを望むことは別としましても、将来の大きな目標と課題としては、この辺のところを根本的に見直す必要があるのではないか。そういう点で考えますと、今回この審議会の中で指摘された幾つかの問題について改正として盛り込まれていますが、肝心の部分について今度の改正案には盛られていない、私はこういうふうに思いまして、初めに大臣の御見解を聞いたのでございますが、そういう趣旨を今度の改正案には織り込まれたと判断されるのですか。
  47. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 私、今度の法律改正は数歩前進である、このように理解するわけでございまして、跡形法が政策として取り上げられ、これが法制化された過程におきまして、長期的な展望に立ちまして勤労者生活設計を容易ならしめること及び現実の労使関係に応じた弾力的な運営が可能になるような事業主援助を拡大する必要がある、こういう御指摘があったわけでございまして、そのような線に沿いまして、まず、このたびの改正においては、勤労者財産形成基金制度というものを新しく創設をいたしまして、それに住宅融資の拡大という、従来財形貯蓄の二倍であったものを三倍にするという拡大をいたしたわけでございます。それと勤労者本人並びに子弟の教育に対して進学融資制度というものをここに取り入れたわけでございまして、そういう面から言いますと、私は数歩の前進であるというふうに思うわけでございますけれども、御指摘のように、この勤労者財産形成政策というものは多方面に関連がございます。非常に広範多岐にわたる関係方面との調整ということが必要でございますし、そういった面から、財産形成審議会の基本問題懇談会の場を通じまして、今後も引き続き着実に前進を図りたい、このように考えておるわけでございます。
  48. 安島友義

    ○安島委員 また後で大臣の御見解を伺うことにしまして、具体的内容について御質問いたします。  まず財形貯蓄ですが、四十七年一月から始めて、労働省がまとめました五十二年十一月末現在で、契約勤労者数が約七百四十万人、実施事業所数が約六十万カ所、貯蓄残高約一兆六千億ということになっておると思いますが、この中で一般財形貯蓄と住宅財形の割合について御説明いただきたいと思います。
  49. 森英良

    森説明員 お答えいたします。  正確な意味で、その内訳を示す統計調査はございませんが、いろいろな資料によりまして推計をいたしてみますと、一兆六千億の財形貯蓄でございますが、そのうち約四千億円が財形住宅貯蓄残高であろうと思われます。それから、人員につきましては七百四十万人の約一一%程度というふうに見ております。
  50. 安島友義

    ○安島委員 いまのは住宅という意味ですか。
  51. 森英良

    森説明員 財形住宅貯蓄をやっている者が全体の七百四十万人の一割程度であるということでございます。
  52. 安島友義

    ○安島委員 私は、財形貯蓄の中での住宅貯蓄について、まずお伺いしたいのですが、住宅金融公庫が申し込みを受け付けまして相当期間経過しているわけですけれども、三月三日付の新聞報道によりますと、財形による融資を保証されている戸数が一万五千戸、本年度分はあるにもかかわらず、申込者はたったの四百四十一人である。これは、この報道によりますとPR不足というふうな面もあったろうと好意的な見方をしておりますが、果たして、それだけの理由であるかどうか。昨年六月から本年二月までの間、この程度の申込者しかないという理由について、どういうふうに分析されておりますか、お伺いしたいのです。
  53. 森英良

    森説明員 確かに当初の枠に比べまして、実際一年経過いたしましたが、まことに成果が上がっていないという点は私どもも痛感している点でございます。  この原因につきましては、いろいろ考えられまして、公庫等で発表しておりますのは、何分にも制度が発足して最初の年でございまして、PR不足ということも確かに大きな原因であると思います。それから経済状況も非常に悪うございまして、住宅取得の面で、いろいろむずかしい面があること、なかんずく財形貯蓄者ずいぶん急速にふえておりますが、なおかつ七百四十万人、その中には住宅を持っている者も相当いるわけでございまして、いろいろな要件に該当することに、なおむずかしい面がある。そういう意味では現在の個人融資の要件に若干厳し過ぎる面があるように思われますので、今回の制度改善で要件の緩和を図っているところでございます。  もう一つ金利が、発足当時からだんだんに下がってまいりまして、その間、勤労者にお借りいただくにも、少し待てばまた下がるというような状況が続いたわけでございます。そういう意味勤労者に貸し付けを促進するについて若干ためらわざるを得ないような時期が続いたという点もございます。そういう点がいろいろあるかと思います。
  54. 安島友義

    ○安島委員 私は、現行の規定の中で余りにも制約条項が多過ぎるということも大きな要因の一つになっているのではないかというように判断されるのです。たとえば、住宅取得額から頭金を差し引いた金額が積立金の二・五倍以上の場合は、その二・五倍以上の融資を貯蓄機関等から受けること、なおこの返済期間は十年以上とすること、これはそれなりに意味がわかりますが、たとえばの例ですね。それから追徴免除事由、つまり住宅貯蓄の場合は一定の税の控除の特典があるわけですが、これも積み立てが終わりましてからは、たとえば積み立て期間満了後二年以内に土地または住宅を取得するというふうに定めてある。土地のみのときはさらに二年以内に云々、こういうふうな規定があるわけですね。これは三年以上の短期間の住宅貯蓄の場合ですね。それから長期の場合、これは七年以上積み立てをしている場合を長期と言っているようですが、三年以内に土地または住宅のいずれかを取得する。これは短期の方から見ると幾らか制約が緩和されていますが、長期間積み立てているということを考えればあたりまえのことであって、この場合でも十五年以上積み立てたときには仮に家を建てなくても、いままでの税の特典をなくするということを言わない、追徴金を取るとは言わない。具体的に言うと十五年以内ならば、こういう長期間積み立てた場合であっても追徴金は取られるという規定になっている。  以上、税法上のいろいろな特典を与えられているというからには、それなりの条件が付されるのは当然だと私は思いますが、ただ問題は、今日の社会情勢の中で、午前中もいろいろ議論がありましたが、そういうふうに短期間の間に土地を取得し、さらにある一定の期間内、二年とか三年とかいう期間内に住宅が建てられるかどうかという問題になりますと、一部の税の控除という特典があったにしても、現状に照らして、きわめて魅力の薄い制度になっているのではないかというように思いますけれども、今回の改正案には、この問題については何ら出ておりませんが、これはどういうわけでしょうか。
  55. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 御指摘の点は財形住宅貯蓄制度の取り扱いの問題だと思いますけれども、先生御指摘のように、長期あるいは短期で非常に手厚い税制上の優遇措置がありますので、それなりの要件というのは当然必要ではないかというふうに思います。そういうことで私ども、この面についていろいろ検討を加えましたが、一番ポイントはいま御指摘のように二・五倍ですね、金融機関に融資の予約をするという面が一つの隘路であるのではないかというように私ども考えまして、今回の改正法案の中で、財形の持ち家融資については、いままでの二倍という残高を三倍に引き上げて、財形住宅貯蓄と財形持ち家融資とのそういった制度の整合性と申しますか、そういう点についての改正考えているわけでございます。
  56. 安島友義

    ○安島委員 現在五百万円までの利子は、元利に複利計算でふえていきますが、その利子は五百万円まではマル優とは別に非課税扱いになっているわけです。しかし、これは制定された当時の経緯にかんがみまして五百万円が妥当だという考えならば、今日物価はどんどん上昇し、建設費は高騰しているということから考えて、当然これは自動的に引き上げるべきではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  私がいま申し上げましたのは、一般のいわゆる財形貯蓄と住宅建設を目的とした貯蓄という場合には、もう少し住宅貯蓄の方にメリットを感ずるような制度に改善をする必要があるのではないか。たとえば利子等の場合であっても、一般貯蓄と住宅建設を目的とする貯蓄の場合は、税額控除のメリットだけでは少な過ぎる。たとえば利子補給を一%ぐらいして、やはりそれだけ早く元利がだんだんと積み重なって、一定の期間たって、それを元金にして融資を受ければ、一定の期間を目途にして具体的に家を建てる、あるいは、その中間において土地を取得するというような生活設計が立てられるのではないか。また、そういうふうに改正することがこの法のたてまえではないか、こう思いますが、この点についてはどう考えますか。
  57. 森英良

    森説明員 財形貯蓄につきまして利子非課税を受ける元本の限度額につきましては、この制度の発足当時におきましては、たしかマル優の非課税枠の百五十万円に対しまして、財形貯蓄の別枠の非課税枠は百万円であったわけでございます。それを前回の制度改善の際に財形貯蓄の方は一挙に五百万円に増額いたしまして、それとの関連もありましてか、マル優の方も三百万円に引き上げられた、こういう経緯がございまして、今日五百万の枠で財形貯蓄をやっておるのでございますが、現在の財形貯蓄の実績から申しますと、一般的にはなお五百万で十分賄える状況でございまして、そういう意味で自動的に毎年上げていくというのは、必ずしもそういうふうにする必要はないのではないか。まあ情勢を見ての判断の問題であろうかと思います。  それから、特に住宅貯蓄に関しまして、もう少し恩典をという御趣旨の御質問だと思うのでございますが、この住宅貯蓄のうちの特に財形住貯につきましては、一般の住貯よりも高率の、三年もので八%、七年以上のもので一〇%という税額控除というものが利子非課税のほかに与えられておりまして、そういう意味ではかなりの恩典であろうかと思います。  なお、これだけでも実際にはなお不十分の場合があるじゃないかという御質問なのでございますけれども、その点につきましては、前回の改正でできました給付金制度、あるいは今回そのバリエーションとして設けようとしております基金制度と申しますのは、事業主財形貯蓄を行っております者に対しまして、それを援助するためにそこばくの給付を行うという制度でございまして、そういう制度を利用していただきまして、特にその場合、住宅貯蓄をやっている者につきましてはより高率の給付金を支給するということになれば、ある意味で先生の御質問の御趣旨にも沿うような結果が得られるのではないかというふうに考えられますので、そういう線で今後、制度を推進してまいりたいというふうに考えます。
  58. 安島友義

    ○安島委員 持ち家だけが財形ではないと思いますが、何といいましても自分の家を持つというのは、これは勤労者にとっては一生の大きな事業ですよね。あなたのいまの説明ですとどうも納得いかないのだが、まあ相当余裕があって積み立てが相当できる人は別ですが、勤労者の標準ベースで大体何年くらいを目途として家が建てられるという計算でお考えになっているのですか。五百万円で十分だという根拠を少し明確にしてください。少しでも早く元利が積み重なって、足りない部分をいわゆる金融機関等から融資を受けるということの話はわかるが、早くこの一定の目標に到達するために国や事業主が援助をするというところに、やはり本来のこの財形の制度の趣旨が生かされるのではないかと思うのですが、これは標準者ベースで、あなたの方の計算では何年たてば家が建てられるということになりますか。
  59. 森英良

    森説明員 その問題は、実際にはこれは勤労者にもいろんな方がありますので、それぞれのケースに応じまして、いろいろ違ってくると思いますが、私ども制度設計するにつきまして一応の標準的な試算はやっておりますので、その内容をとりあえず御説明申し上げたいと思うのでありますが、これは首都圏の近辺を例にとりまして、大体七年間の計画で住宅を取得することが、どういうふうにして可能であろうかということを標準的な例につきましてやったものでございます。  まず例としましては現在、宅地五十二坪、建物二十六坪、現在の価格が千八百四十六万円相当という物件を一つ前提としまして、宅地も含んでおりますが、これが七年後どういう金額になるかを試算いたしますと、約二千二百六十六万円という数字になるわけでございます。そして、それに備えるための頭金をつくりますための貯蓄でございますが、これを七年の長期財形住宅貯蓄によって行う。二十五歳の勤労者が毎年その年収の約二割を七年間貯蓄して、その間毎年の税額控除分も翌年の預入額に加算するというふうにしてやってまいりますと、七年後の元利合計額は五百五十九万円という数字になるのでございます。そこで必要な融資額は、その差額千七百七万円になるわけでございますが、これは住宅金融公庫から五百万円、財形融資によりまして千二百七万円を借りる。これは五百五十九万円の残高がございますので十分可能なわけでございますが、これを返済期間二十五年で元利均等毎年償還方式ということで計算しますと、大体年間の返済額が百三十八万円でございまして、これは返済開始年齢三十二歳時における標準的な勤労者の年収の約三割ということになります。それ以後年収がふえてまいりますと、その負担率はだんだん低下していくわけでありまして、一応返済も可能であろうということで、首都圏のそういう標準例をとりましても、どうやら何とかつじつまが合うというふうに考えておるわけでございます。
  60. 安島友義

    ○安島委員 説明を聞いて一層明らかになりましたが、これはごく特定の者しか、どうも家が建ちそうもないという御説明のように私は承りました。  大蔵省の方来ていますか。前の質問に関連しまして、利子の非課税は限度額が五百万となっていますが、これを引き上げるということについて大蔵当局としてはどう考えていますか。
  61. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいま非課税の枠につきましては、財形の五百万円のほかに、少額貯蓄非課税制度いわゆるマル優の三百万円、それから別枠の公債非課税制度三百万円、それに郵便貯金の限度額の三百万円がございまして、全体で千四百万円までが非課税と相なっております。  私ども、非課税の枠が適当であるかどうかを考えるに当たりましては、財形の枠だけを取り出して考えるということではなしに、まず全体の非課税の枠で、どのくらいあるのだろうかということで考えているわけでございますが、そういう意味で千四百万円ということで考えますと、一般平均的な貯蓄残高から比べまして、これはかなりの高水準でございます。最近総理府で発表いたしました資料によりますと、たとえば一世帯当たり貯蓄額は約二百九十五万円であるというところから見ましても、かなりの高水準ではないだろうかということで、この枠全体につきまして、まだまだかなり余裕があるということでございまして、拡大する必要はないのではなかろうかと考えているわけでございます。  なお、先ほどお話がございました物価スライドなり何なりで、五百万をもっと上げるべきではないかというお話がございましたが、先ほど労働省の方から御回答がございましたように、四十八年に改正した際に、先ほど申し上げましたマル優ですとか少額公債の非課税制度は、当時百五十万を二倍にとどめただけでございますが、財形につきましては百万を一挙に五百万にしているというようなことも御理解いただきたいと思います。
  62. 安島友義

    ○安島委員 いろいろな非課税の道というものがあるということを私も知っていますが、冒頭申し上げましたように、少なくとも今後は、勤労者の持ち家というものを、複雑な仕組みの一元化した形の中で、そういう取り扱いをすべきではないかという観点で申し上げましたので、いまのお答えの中で、やはりそういうものを総合しますと、言うなれば大蔵当局では目いっぱい認めているというふうな言い方ですが、これを裏返しますと、これ以上、勤労者財形貯蓄の中で毎月毎月そんなに積めるものではない。ごく一部の方は該当するけれども、普通の者の場合には、そんなに積めないでしょうということを裏書きしているのですよ。これはうらはらの関係。  そこで私は、個人融資の問題についてお伺いしますが、現在の積立額の二倍の融資が受けられるというふうになっております。そして現行は一千万円が限度だとなっていますね。これを改めて三倍にして千五百万、こういうふうにしてあるわけです。具体的に三年以上というのでは話にならない。少なくとも七年以上というように、やや長期の積み立ての方に該当させてみても、一番短期間の七年くらいで家を建てようとする場合の積立額というものを考えてみますと、とうてい一部の人以外には、月々の積み立てがそんなにできるはずはない。したがって、二倍を三倍にして、限度額を一千五百万に上げても、これは表向きの話であって、どうして千五百万になるのかが私はわからない。この千五百万に該当するという人は、かなり長期間積み立てたという場合は別だけれども、少なくとも七、八年の期間では、現行の限度額を二倍を三倍にしたところで、この計算には一体どうなるのですか、何か食わずに積み立てるような形になりますが……。
  63. 森英良

    森説明員 先ほど住宅取得モデルにつきましての試算を申し上げてございますが、これはきわめて特殊な高額所得勤労者を例にしたのではございませんで、ごく標準的な勤労者を例にとりまして申し上げたわけでございます。そして、その勤労者が年収の二割を積み立てるということを申し上げてございますが、わが国の国民平均的な貯蓄性向から申しましても、これは二割五分、二五%ぐらいまでいっておるような状況でございまして、これはちょっと異常に高い面でもございますが、もともと住宅を取得するということは非常に努力を要する事業でございまして、そういう意味で特段の努力をすれば二割程度貯蓄を七年間続けるということは一応標準的にも可能なことであるというふうに考えるわけでございます。  今回、持ち家個人融資につきまして二倍を三倍にいたしましたのは、勤労者財形貯蓄を始めましてまだ日が浅うございますから、財形貯蓄としてたまっております残高というものは非常にまだ小さい。したがって二倍というのでは、どうもまとまった金額にもならないケースが多いということがございますので、この際、現在の貯蓄残高が少ないことを特に考慮いたしまして三倍に引き上げようということを考えておるわけでございまして、したがって、もしも財形貯蓄の非課税限度額をいっぱいやっておれば、従来は一千万が限度でございましたが、それが千五百万になるということでございますが、今回の制度改善の基本的な意味は倍率を引き上げるというところにあるわけでございます。
  64. 安島友義

    ○安島委員 私は、生涯計画としての持ち家促進を図るためには、まず無理のない形で、やはりそれぞれの能力に応じた貯蓄をし、それが一定の期間、自分で計算できまずから、一定の期間に達した場合に家を建てる。それに対するいわばいろいろな援助措置というものを講じて、少しでも早くその目標に到達するように政府や事業主は側面から援助すべきではないか。その中のケースによっては、いろいろな事情から多少無理をしても早く家を建てたいというような人もいるわけですから、そういう場合には、まだ積立期間が一定の積立期間に達していないという時点で家を建てようとした場合には、いまの規定、現行は二倍、これを三倍に改めたところで、少なくとも、この方からの融資だけでは足りないので、いろいろなところから融資を受けようとする。そして、その金利もみんなまちまちだ、こういうようないろいろわずらわしさもございます。そういう点で、やはり少なくとも、その能力に応じて一定の計画を立て、そして、いわば貯蓄高が早くふえるように、ただ単に税制上の特典だけではなくて、要するに預金金利の面とか、いろいろな点から少しでもこういう援助措置を講ずるということが、やはり本来の勤労者の持ち家につながるものではないか。  したがって今回、三倍に引き上げたところで相当の期間積み立てをしていなければ、この限度額の千五百万を借りられる資格は発生しない。したがって私は早くつくれということだけを言っているのじゃなくて、標準者の持ち家を促進するというのが原則だが、事情によっては途中で早く建てたいという人がいる。そういう場合には千五百万円までは限度として貸しますと言っても、そこまでに達するには相当の期間が必要なのであるから、思い切って、そういう中途で家を建てたいと思う者には、やはり融資の道をもっと拡大すべきではないかという点で、三倍というのでは、ちょっといまの制度の中では無理だろう。これをもっとさらに引き上げるべきだということで御質問しているわけですが、いかがですか。
  65. 森英良

    森説明員 まず、先ほど申し上げましたのは、全くほかに貯蓄のない勤労者を前提といたしまして、それが住宅の元本を財形貯蓄でつくるという前提ではじいた試算を申し上げたのでございますが、財形融資そのものは、個人融資の場合に三年以上の積み立てをやっておれば一応借りる資格があるわけでございますし、勤労者は必ずしも財形だけじゃなくて、いろいろな貯蓄を持っておりますから、七年たたなければ融資を受けられないということではないわけでございます。  なお、先生御指摘のように、三倍でも少しまだ少ないんじゃないか、もっと倍率を上げてもいいんではないかという御質問につきましては、確かに、そういうことも考えられる点でございますが、これは財形貯蓄をやっております勤労者に対する還元融資でございまして、したがって余り倍率を高くいたしますと、当面は融資の出が余り十分でございませんので十分賄える点がございますが、やはり将来は財形貯蓄をやっております勤労者で持ち家を持ちたいという多くの人に均てんするように融資をしていくという将来に向けての配慮も必要でございまして、そういう点も考えますと、とりあえずは二倍を三倍にするというところが一応合理的な引き上げではなかろうかというふうに考えられますので、とりあえずの措置といたしましては三倍ということで今回の措置を図っているところでございます。
  66. 安島友義

    ○安島委員 いま短期財形住宅貯蓄というのは積立期間が三年以上七年未満の場合、それで長期財形住宅貯蓄というのが七年以上ということになっておりまして、そして年間積立額、これは五十万円が限度としまして、短期の場合は税額控除の率、一応五十万円としますと八%が免税点になるわけですから、四万円が限度額ということになっておりますね。それから長期の場合は、これは一〇%で五万円ということになっておりますが、いろいろそれぞれ勤労者によっても、私は先ほどから言っておりますように無理のない形での持ち家ということが原則だと思いますけれども、人によってはいろいろ事情が異なりますから、そういう場合に、やはり思い切って自分でうんと積んで、早く家を建てたいという人は、それなりに存在してもいいわけですね。そういう人には、そういう人に対してやはり家が建てられるような面もまた必要なのであるわけです。  そういうふうに考えますと、今日この積立額を五十万円を限度とするということで、いわゆる税額控除の率というものを定めているわけですが、これは対象限度額を撤廃しても、そんなに問題はないのではないか。いわば、これはあくまでも積み立てというのは個人の能力の範囲内で積み立てるわけである。それは無制限に多くなるわけじゃないという点から考えて、現行の五十万円までというのを、これは撤廃すべきじゃないか。さらに税額控除の率というものを、やはりもう少し引き上げるべきじゃないか、こう思います。  どうも、こういうことになると当節は、なかなか税収が思うようにいかないなんというので、大蔵省の場合はどうもけちけちムードのようで、なかなかこういう問題は大蔵の方がいろいろ問題があると聞いているのですが、こういう点、本来の財形の趣旨、目的に沿った運用を図るということから、また今日、別にそれに理屈をつけるわけじゃないけれども、家を建てるということは、それなりに景気対策の面からも、今度の予算委員会でも相当議論されているのだから、それだけの力のある者は大いに家を建てるという面も側面から援助するということも、これはそれなりのメリットがあるはずだと思うのですが、その点について大蔵省はどう考えますか。
  67. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいま御質問がございました限度を外す、それから率をもっと上げる、二つとも共通する問題でございまして、ただいま先生お話がございましたように、長期財形につきましては積立額の一割、五万円限度、したがって積立金で五十万円まで積み立てることができるわけでございますけれども、私ども考え方といたしましては、五万円の税額控除というのはかなり大きな水準になっているというのが一つ考え方でございます。たとえば年収三百万円の方で夫婦子二人の給与所得者を例にとりますと、その方のお払いいただける所得税は六万六千円でございます。したがいまして、その限度額を上げるというような場合には、本来この制度が目的とする中堅層に利益が及ぶというよりは、もっと上の人の方に利益がいってしまうのではないかということが一つでございます。  したがいまして、限度を上げるということは、また恐らく率を上げるということと共通した問題であろうかと思いますが、これを余り上げますと、非常に甘い制度だけが、むしろ貯蓄をする余裕がある方々のところへいってしまうというところに一つ問題がございまして、税額控除なりその他の所得控除、租税特別措置のいろいろな形態として設けられております優越措置の幅と申しますか甘さと申しますか、そういう点から申しますと、この住宅貯蓄控除制度かなり甘い方だ。そしていろいろなバランスから見まして、もう限界に近いところに来ているんではなかろうかというような考え方を持っております。
  68. 安島友義

    ○安島委員 後から、まとめて見解を述べることにして先に進みます。  これは審議会の中でも論議になったことでございますが、海外転勤者というのは継続できないということになっているわけです。向こうに行きっきりという場合はやむを得ないとしましても、社命や官庁のそれぞれのいわゆる命令で海外に移住する、勤務する方々が帰ってきて、それの一定の計画を立てて、いろいろ御予定もあるはずですから、何かこの辺の考え方というのが余りしゃくし定規の解釈のような感じがするのですよ。いわゆる海外転勤者の場合は税金はその国に納めている。ですから、国民の三大義務の納税の義務を有しないというところから恐らく見解が出ているのかもわかりませんが、少しこれに対してはしゃくし定規の解釈ではないかと思いますが、思い切っていまの制度を改めるという考えはございませんか。
  69. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 ただいま御指摘の点につきましては、五十三年度の税制改正の際にも労働省から御要望いただきまして、いろいろと研究をしたところでございますが、なかなかむずかしい問題がございまして、まだ前向きのお答えをするまでに至っておりません。  その一つは、ただいま委員からもお話もございましたように、海外に転勤いたしますと、その方は日本から見ると非居住者になりまして、その任地の国で、任地でもらった月給それから日本で発生した所得を合わせて、任地の国の税法に従って税金を払うことになるわけでございます。その場合に、日本財形貯蓄を継続して、そういう方についても非課税だということにいたしましても、その方は、形どおりに申しますれば、その任地の国で利子所得も合わせて申告をして税金を納める。実質的にどういう実益があるんだろうかという疑問がまず第一にございます。  それから第二番目の点といたしまして、これは非常に技術的な問題でございますが、ただいまの財形貯蓄制度に係りまする非課税制度は、給料から継続的に天引きされるということでございますとか、それから源泉徴収義務者が本人を確認できる。技術的には扶養家族の控除申告書を提出することによって確認していただいているわけでございます。そういった面で、この制度の適正な執行を期しているわけでございますが、海外に転勤された場合に、その本社あるいは事業所から手当を払う場合には、これは全く源泉徴収の対象になっておりませんので、どうも財形貯蓄の非課税制度についての基本条件と申しますか前提条件に乗ってこない面がございまして、この辺を執行面でどういうふうに担保できるかというような問題がございまして、昨年もいろいろ検討したわけでございますが、まだ十分な結論を見るに至っていないわけでございまして、さらに研究を続けてみたいと考えております。
  70. 安島友義

    ○安島委員 それぞれの立場立場で、やはり法のたてまえに沿って検討するということは当然ですから、そのことは私もわかるわけですけれども、継続積み立てができましても何かメリットがないのでは話にならないので、それは日本人が日本人のめんどうを見るわけですから、何も外国で、そのためによけいに負担がかかるようなことは避ける、ここでの話ですが、そういうのはもっと検討の余地があるのではないか。それから税金を納めているかいないかということだけで、この問題を考えなくても、大蔵省は一般国民、納税者を対象としての物の考え方であって、財形本来のたてまえをどう生かすかという観点考えるならば、海外勤務者であったとしても、これは本人の自由というよりは社命等によって移動させられる者が日本にいずれ戻ってくる、その期間を一般方々と同じような扱いを受けることは、余り税法上の問題だけでなく——それだけじゃないかもしれませんが、何かその辺、検討の余地があると思うが、もっと前向きに検討してもらえませんか。
  71. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 先ほどは検討の方向といたしまして、一つ考え方の問題、それからもう一つは技術的にどういう手当てをするかという問題があるという問題点を申し上げたわけでございますが、私どもといたしましても引き続き検討さしていただきたいと考えます。
  72. 安島友義

    ○安島委員 次に、財形給付金についてですが、いま財形給付金は一時所得課税の特別控除額というものがございまして、それは現行では五十万ということになっているわけです。現在、事業主が一人の勤労者に対して財形給付金として積み立てておける金額が十万円以内となっていますね。そういう兼ね合いで五十万円が限度額というか、そういうことで決められているのだろうと思うのですけれども、この対象者が中小零細企業に働く勤労者であるというような点を考えますと、これはすべて非課税扱いにしてもよいのではないか。また大企業等の場合は、本来この財形制度が発生する以前から持ち家とか福利厚生のいろいろな諸制度がそれなりに整備されてきている。ところが中小零細企業の場合は、なかなか制度的にも、あるいはそれだけの力もないというふうな点で、同じ勤労者財産形成といっても、よって立つ基盤が違う。そういう点を考えますと、特別に考慮をしても、それは不公平ということにはならないのではないかと考えますが、この点、これもせっかくですから大蔵当局の考え方をお聞かせください。
  73. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 財形給付金につきましては、いま委員から御説明のございましたように、給付金を事業主が出した段階では事業主の損金に算入する。その段階では給与所得者の所得には算入しない。しかしながら今度は給付金が七年たちまして返ってきた段階で一時所得として取り扱っているのが現状でございます。ただいまの御意見は、これを全部非課税にしたらいかがであるかという御提案でございますが、その場合には給与と給付金の区別がなかなかつきがたくなってくる。したがって給与で払えば、その段階で事業の規模のいかんにかかわらず課税されるわけでございますが、給付金をふやせば税金がかからないということになりますと、ともすれば乱用されるという問題もあるのではないかと考えるわけであります。そこで財形の重要性また給付金による財形育成の重要性を考えまして、給付を受けたときには、本来であれば通常所得として課税されるべき性質のものかもわかりませんが、財形の趣旨から見まして一時所得という扱いにしているわけでございまして、一時所得になりますと、先ほど委員からお話もございましたように、まず五十万円の控除がございまして、残額の二分の一課税ということで課税関係かなり緩やかな課税になっている。その辺が税法上の給付金の取り扱いの、他の給与所得等とのバランスから見ましてぎりぎりの線ではないかということで、このような制度になっているわけでございます。
  74. 安島友義

    ○安島委員 大蔵関係の方、ありがとうございました。ただ、納得したわけでございませんで、後でまとめて当局の方に要望を申し上げておきますので十分御検討を願いたい。私も、ただ負担を軽減すればいいというふうな単純な考えではなくて、やはり今日勤労者の置かれている立場、そして生涯の中での、いわゆる財産形成のあり方、その中で必要なものは政府としてもどんどん積極的に援助措置を講じていくべきではないかということで申し上げましたので、その点、特に前向きな御検討をお願いしておきたいと思っています。  次に、新設の財形基金制度について、ちょっとお伺いします。  私が見ましたところでは、審議会の中で検討されてきました経過の中で肝心の部分というものが、今度の基金制度の中には盛られていないように思われるわけです。財形給付金というものは恩恵的な制度であってはならないということがたてまえですね。したがいまして事業主事業主なりに、労使関係の安定とかそれなりのメリットがあるわけですからね。労働側から見れば、賃金がこういうような形に変わったという見方も出てくるわけですし、この法律が制定されるときも、そういう点で相当議論になったという経過がございますね。ですから、これは恩恵的な給付であってはならない。やはり対象とする、いわゆる中小企業に働く勤労者福祉を向上させるための一助として考えねばならないというたてまえで考えれば、いまの金融制度とか、いろいろ非常にめんどうな仕組みになっていますから、制約条件はいろいろあろうと思うのですけれども事業主の拠出金というものを一定期間積み立てして、いわゆる給付金として支給されるというだけではなくて、中間においても十分このお金がいろいろな福利厚生の面に利用されるような運用を、もっと積極的に講ずるということが必要なのではないか、こういうふうに思われるわけです。ですから比較的大企業等では平均的に行われていることであっても、こういう中小企業の場合は、やはり福利厚生面ではかなり見劣りがするわけですから、広い分野で、一定の積み立てといいますか、できたような場合、ここから融資を受けて、そしていろいろ社内において、そういう事業が行われる。もちろん一定の制約条件が付されるのはやむを得ないとしても、そういう運用ができるようにすべきではないかと思いますが、これはいかがですか。
  75. 森英良

    森説明員 財形給付金制度と申しますのは、取り扱い金融機関は信託銀行、生命保険会社、大体そういうふうなところでやっておりまして、いずれも、生命保険会社は生命保険の契約に基づく受け入れ資金の運用のどんぶり勘定の中で運用しておりますし、信託銀行の場合も金銭信託や貸付信託一般の運用の中で運用するということでございまして、御趣旨の点はよくわかるのでございますが、なかなか簡単にそういうことを仕組めないような体制になっているわけでございます。しかし、企業がそういう金融機関と契約いたしまして、そういう制度を設けるということになりますと、おのずから金融機関の側にもメリットがあるわけでございますから、そういうことから金融機関がいろいろな面で、その企業にコマーシャルベースではございますけれどもサービスをするということも期待されるわけでございます。  なお、基金制度につきましては、これは私どもの当初の構想では、お尋ねのような意味で基金に拠出しました資金につきまして、もちろん安全の面から限界がございますけれども、ある程度その企業に還元して、そこでいろいろ使ってもらうというようなことも考えたのでございますが、これまた実際には特に安全性の問題その他いろいろ問題がございまして、今回はそこまで至っていないわけでございます。しかしながら、基金の場合につきましても、給付金の場合について、ちょっと申し上げましたのと同様に、こういう制度が設けられますならば、それを取り扱う金融機関にそれなりのメリットが出てまいりますので、そういう面で企業に対して、いろいろ反対給付的にサービスをするということは十分期待されるところではないかというふうに考えております。
  76. 安島友義

    ○安島委員 受益勤労者数というのは、事業主が負担しているから、こういう表現になっているのだろうと思うのですが、自分がお金を出しているという場合には、これは加入者数と考えていいわけですか。
  77. 森英良

    森説明員 現在行われております給付金制度のことだと思いますが、給付金制度財形貯蓄と違いまして、財形貯蓄勤労者が自分の賃金から自主的に貯蓄努力をする制度でございますけれども、それに対して給付金の場合は、そういう財形貯蓄を行った勤労者に対して事業主がお金を出して援助しようという制度でございますので、給付金に対する拠出はもっぱら事業主が行っているわけでございます。したがって、勤労者事業主が出したお金について受益するという立場にございまして、したがって受益者というふうに呼んでおるわけでございます。
  78. 安島友義

    ○安島委員 いや、質問はそういう意味じゃない。十八万人というのが少な過ぎるものだから、これはいわゆる一定の期間積み立てをして、そしていままで給付された人たちが十八万人なのか、いわゆる対象勤労者数が十八万人なのかを聞いたのです。
  79. 森英良

    森説明員 給付金制度は、拠出金につきまして七年間の給付をまとめて七年後に支給するということになっておりますので、まだ給付金制度が始まりまして二年ちょっとでございますから、給付金を現実に受けた勤労者はいないわけでございまして、現に給付金制度について事業主が拠出を行っている、その利益を受けるべき勤労者が受益者数となっているわけでございます。
  80. 安島友義

    ○安島委員 もっと普及をさせるべき対象の勤労者に必ずしもこれが進んでいないということだと思うのです。たとえば資産高も四十五億円にすぎない。全国の中小企業に働く勤労者というのは非常に多いわけですから、そういう点を考えますと、どうも勤労者数も少ないし、それから実施している企業の数も全国で五千四百社というのはどうも少な過ぎる。だから、この趣旨に沿った運用が余り進んでいない。先ほども聞きましたように、財形貯蓄の面では契約勤労者数が七百四十万人で、貯蓄残高が一兆六千億、こういうふうになっていますが、この中身も考えようによっては、ただ単にマル優の恩恵があるから貯蓄をしている、極言すれば、そういうことにすぎないではないか。もっともっと本来の趣旨、目的に沿った運用が行われるようにしなければ、ただ単にこの貯蓄残高がふえるだけではないか。一方、中小企業勤労者も恐らく上の方にも加入している方はあると思いますけれども一般的には、どちらかというと大企業と言われている方が上の方のところに多いのではないかと私は想定するわけだ。そうすると、この財形給付金というものを、もっとやはり充実した制度にするようにしなければならないと思うんです。  ですから、これはもっと、これから努力していただかなければなりませんが、午前中も津島委員がちょっと別な角度から指摘しましたが、やはり事業主そのものの理解と協力を得るためには、事業主に対する助成金というものも、この制度をある一定の目標に達するまで制度の普及を図る場合には、過渡的な措置としてやはり助成をすべきじゃないか。したがって、現在の助成率では必ずしも魅力がある内容とは言えない。こういう点、これは予算措置が伴う問題ではございますけれども、やはりもっと中小企業にこの制度を普及させるためには、事業主に対する助成というものを積極的に行うべきだと考えますが、いかがですか。
  81. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 御指摘のように給付金制度は施行されまして日が浅いというようなこと、また最近の経済情勢の中から、企業の方がなかなかこの問題についての御理解が進んでいないというような隘路があるわけではございますが、私どもとしては、できるだけこの制度が推進されるように努力をしてまいりたいと思っております。  特に、今回私ども考えましたのは、いまの給付金制度が百人未満の非常に零細なところに一般的に普及されているということで、私どもはやはり中小企業、いわゆる三百人以下のところに相当これを普及拡大しなければならぬという、そこに焦点を置きまして今回、改善をいたしたいということで措置をいたすつもりにいたしておるわけでございます。今後とも、この制度の推進のためには、その内容についての検討、改善をいたしてまいりたい、こういうふうに思います。
  82. 安島友義

    ○安島委員 次に、総括的に私の意見も含めて御見解を伺いたいと思うんですが、この財形住宅貯蓄制度、この点について特に述べますが、この充実を図るためには少なくとも私は次のような措置が必要であると考えるわけです。  まず第一は預金金利優遇措置。現在、一般貯蓄も住宅貯蓄も同じような扱いなので、税制の若干違う点はありますけれども、少なくとも金利の面での優遇措置を国や事業主負担において行うべきではないかという点です。  第二は住宅融資の金利の一元化。すべて同じような利率でもって借りることができないのか。一応資金のめども、この財形は一兆六千億もあって十分活用されていないんだから、少なくとも、そういう措置ができないはずはないというふうに考えるわけですが、これが第二の問題。  第三は、私は心ずしも事業主を通して持ち家を促進するということを否定するものではありませんが、本来は私は個人融資というものをやはり重視すべきだと思うんです。勤労者みずからの力で家を持つ、しかも、それを計画的に行使する。そのために国や事業主はこれを側面から援助する。これが基本でなければならないというように思います。そういう点では個人融資制度の強化が少なくとも必要であると思います。当面は利子補給の差別をまず撤廃すべきだと思います。いわゆる個人融資の場合は金利が高い。この利子補給の差別をなくすべきだと私は考えます。  このような考え方は、前から申し上げておりますように、個々の負担能力に応じた貯蓄と持ち家促進勤労者を主体として促進するように、国や事業主の援助を強化するということ、そして勤労者の生涯にわたる生活設計を可能ならしめるためのもろもろの措置が必要である。こういうことがこの制度の改善充実を図るためにはまず必要であると私は考えますが、この点について総括的に御見解をそれぞれお伺いしたいと思う。
  83. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 確かに、こういった勤労者の住宅促進のためには金利問題が重要であることは承知をいたしております。したがって、御指摘のように持ち家の分譲につきましては利子補給をしておりますし、また事業主がいろいろな便宜供与をするというようなことがたてまえになっております。また、私どもが給付金制度なり、あるいは基金制度を今度考えておりますものも、事業主が、そういった勤労者に対していろいろな面で便宜供与をしていくというような仕組みを新しくつくろうとしているわけでございまして、そういったいろいろな制度を仕組むことによって、こういった家を持とうという勤労者に対して事業主が、また助成金等については国が、そういった形で御援助をしていくということについては前向きに取り組んでおるようなわけでございます。今後とも、こういった制度促進することによって金利の一種の上乗せというような形で進めてまいりたいと思っています。  ただ、金利の一元化となりますと、年金融資とか、いろいろな制度融資がございますけれども、私どもの財形融資は御承知のように財形貯蓄の還元というかっこうになりますので、それなりに、その金利もおのずから決まってまいりますし、また年金融資等につきましては財投から出てまいりますので、おのずから、そういった金利が決まってくるということで、それぞれの制度の仕組みから、心ずしも一本にすることがいいのかどうかという基本問題がございます。そういった点で現行制度の上に立つならば、やむを得ないのではないか、こういうふうに思います。それぞれの制度を十分活用していくことで、また、そういうことが相補完し合って勤労者の住宅の促進を期してまいりたい、こういうふうに思います。  それから持ち家分譲よりも、むしろ個人の持ち家融資と申しますか、それの方がよりいいんではないかという御指摘がございますが、これもやはり両々相まっていくべきではないかと思うのであります。事業主に、そういった勤労者に対するいろいろな便宜供与ができるところは、やはり分譲という形をとっていただきます。そういった面で必ずしも力がないところは、いわゆる勤労者の個人の力でやっていくというような両々相まっていかなければなりませんし、そういった個人の持ち家融資についても、私ども融資が受けやすいような配慮をしていかなければならない、こういうふうに思います。  そういったようなことで総合的に勤労者の持ち家促進に努めてまいりたい、こういうふうに思います。
  84. 安島友義

    ○安島委員 勤労者を主体としてというのは、これは考え方基本をここに置くべきだ。さっきの財形給付金なんかの場合でも、これは理屈を言えばいろいろな理屈があるわけですよ。だから下手に運用されると本来、賃金として支払われるべきものを恩恵的な給与というような形に置きかえられて、何かいかにも事業主は特別の計らいをしているんだというようなことになりかねない。  そういう点もあるし、それから勤労者がある目的を持って積み立て預金をしているものは、やはり正しく還元されるべきだ。それを使う主人公は勤労者であるということをはっきりして、それをたまたま手続上やいろんな経緯から、事業主の方に融資をして、それがまた、いわゆるそこに働く勤労者というふうな経路をとるということまで否定しているわけじゃないのです。あくまで勤労者が自分のために目的を持った貯蓄なり何なりをして、そして自分で家を建てるんだというたてまえを、やはり崩してもらっては困るということを言っているわけであって、いろいろな過渡的な経過の中においては、それは都市と地方とか、あるいはいろいろな条件がありますから、違いがありますから、持ち家といっても、それ一点張りでいけないくらいのことは承知しておりますが、あくまでも、その主体を勤労者に置くという考え方が、この法のたてまえ、趣旨を生かす道だという点で強調しているわけですから、その点を特に申し上げたいと思います。  大臣にお伺いしますけれども、いま一兆六千億ほど財形貯蓄残高がございます。そして、これは勤労者代表の意見としては、少なくとも二分の一くらいまで還元融資をすべきだ。現在は三分の一が一応これは使われるといいますか、というようなたてまえになっているわけですが、私が、勤労者を主体にして、もう少しこの使い道を考えるべきだと言ったのはそういう趣旨でありまして、何か積むだけであって、さっぱりこの本来の趣旨が生かされていないんじゃないですか。だから、それはなぜ、それだけまだ資金需要がそこに到達していないのかというのは、先ほどからずっといろいろ述べてきたように、PRも足りないと思いますけれども、いろんな制約条件のために本来のメリットというものが生かされないで、単に貯蓄をするということの方だけに向いている。この資金を活用するという方向に必ずしも動いていない。ですから、これは両々相またなければ、いかに融資枠をふやしたとしても借り手がないということになるかもしれませんが、たてまえからいったならば、もっとこの資金勤労者に還元してどんどん使う方向努力すべきだと思うのですが、これについて大臣はどう考えますか。
  85. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 先ほどから貴重な御意見を聞かしていただいておりますが、まず何よりも、この勤労者財形貯蓄制度の趣旨というのは、御指摘のごとく、勤労者の自助努力というもの、これを前提にいたしまして、そして事業主や国が応援をする、こういう体制でございまして、私は御指摘の点、全く同感でございます。同時に、貯金をするための貯金ではないわけでございまして、財形貯蓄の名にふさわしく財産形成に役立つという、こういう運営にならなければならぬ、そういう軌道に乗らなければならぬと思うわけでございますが、ただこれは、制度が発足してまだ非常に日が浅いということ、その後いよいよ財形住宅融資制度が発足した直後オイルショックが起きまして、大変な御案内のような状態でございました。現在まだ依然として不況が続いておるという、こういう状態でございますから、そういう面において、せっかくの趣旨が十分生かされていないではないかという御心配もさることではございますけれども、今度、そういうことがありますから、制度改正をいたしまして、先ほどからいろいろ質疑応答が行われておるわけでございますが、今度の改正では、特に私は、この住宅問題を中心に考えてみますと、いわゆる新しく家を建てるだけではなくて、中古住宅にも融資するといったこと あるいは住宅を改良するための資金にも用立てるということ、そしてまず貸付限度を三倍にしたといったこと、また、いまでは公務員が使う道がなかなか十分整備されておらなかったといったことも、今度は公務員もこの融資の還元を受けられる、こういうことになったわけでございますから、私はやはり、だんだんに道は開けてくる、このように思いますし、やはり住宅融資制度という、こういったものを大いに拡大しなければならぬ。  それともう一つ、今度進学融資の道を開いたということ。これはやはり勤労者みずからも教育するチャンスを、みずからの蓄積によって生涯教育の精神から受けられるということ、あるいはまた子弟の進学融資にこれが役立つということは、子弟というのはまあ二代目でありますが、やはり一つの、勤労者にとってバトンタッチすべき無形の資産である。無形というより、むしろ有形の大切な資産でありますから、そういうものを養成するための教育にも金が還元される、こういうことになりますから、だんだんに前進してきておる。着実にやはり前進をさす。  ただ問題は、この制度そのものが国の全体の財政金融政策と結びついておる、こういうことがありますから、この財形貯蓄制度そのものだけをとらえて評価されるということでなくて、全体的にひとつ調整をとりながら努力しているというこの実情は、ひとつ御理解をいただきたい。しかし、おっしゃるような還元すべきものである、財形貯蓄のための貯蓄ではないという、この線は全く私も同感でございます。
  86. 安島友義

    ○安島委員 勤労者福祉事業資金として、もっと広く活用をすべきだと私は思うのですよ。こういう点で、いろいろな関係団体あるいはこれは当然審議会の方々の御意見をさらに拝聴しなければなりませんが、今日、中高年層の雇用不安が、一時的な問題ではなくて老齢化社会の中で非常に問題が多く出てきている。こういう点を考えますと、先ほどから言っております。やはり勤労者の生涯的な生活設計の安定ということを図るために、勤労者みずからが努力し、目標を立てて、いろいろなことを行うと同時に、これらの勤労者の積み立てた預金というものが広い範囲に活用される道というものを、これまでの枠にとどまらずに、やはり広く考えるべきだと思うのです。今度の場合は、教育資金とか一部のそういう道はできましたけれども、さらに広い範囲で検討をすれば、福祉活動の事業分野というのはまだ広く存在していると私は思うのです。したがって、これは今度の間に合わないとしても、今後いろいろ、その道の専門家、代表者で構成して、この資金の活用を広く図っていく、いわゆる事業分野というものの開拓をやはり積極的に進めていただきたいということを、この機会に特に強く要望しておきたいと思います。  それから、この問題に関連して、いろんな制約条件がありまして、本来、私どもの立場からすれば、勤労者がこういうはっきりした目的の中で積み立てたものの還元された資金というものは、勤労者福祉団体である労働金庫とか労福協、あるいは住宅建設というような場合には勤住協の融資を拡大するとか、もっと本来の勤労者福祉団体に対して、もちろん、これは勤労者財産ですから一定の融資条件というものは当然ありますよ。それはそれなりの一定の基準なり、やはり十分返済の能力がなければならないというのはあたりまえですが、そういうものを前提とするならば、もっと、いわゆる労働団体あるいは勤労者でもってつくられている福祉団体に、こういう資金というものを低利で融資して、そして一つのはっきりした目的を持った事業にその資金が活用される、そういう道を広げるべきではないか。しかも今日、三分の一はある程度使えるという道が開けているにもかかわらず、五十三年度でもこれは三百億程度でしょう。予算で認められたのは三百億程度でしょう。これではちょっと何のために貯蓄をしておるのかわからぬ。  だから一方で大蔵当局の方は、いろいろな税の不平等、不公正などというふうなものから一定の限界があると言っているが、実際のところは勤労者がどんどん貯蓄をしていったお金の大部分は皆さん方の方で、皆さんが使っているわけじゃないんだけれども、国の運用部資金に大半が回って使われている。そのことも産業経済上私は否定はしませんが、もっと勤労者に還元される道を開いていいはずだ。そういう観点からすれば、どうもその辺のところが、ただ単に貯蓄奨励的な性格のこの制度をもっと充実し活用し、そしてその目的に応じて早く家を建てたい人には建ててやるような道を講じるように多角的な運用をすることが、私は今日における国の基本政策方向と、ある面では一致している、このように思うわけです。  したがいまして、私は今度の部分的な改正案についても一定のそれなりの評価はいたしますけれども、余りにも何か問題のある部分は全部ネグられて、比較的取り上げやすい問題だけが今度の改正案に出てきたという感を深くするわけです。これらの問題は今後にかなり残る問題ではありますが、最後に大臣から総合的に、私が言っていることは十分おわかりだと思いますので、その辺の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  87. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 ただいまいろいろ御指摘がございましたが、われわれも決して今度の改正がこれで完璧であるとか、あるいはこれで一巻の終わりという、こういう考え方はさらさら持っておりません。今後引き続き勤労者財産形成基本問題懇談会の場におきまして、せっかくの御提言がございました御意見をも十二分に参考にさしていただきまして、前向きで検討さしていただきたい、このように思います。
  88. 安島友義

    ○安島委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
  89. 木野晴夫

    木野委員長 次に、森井忠良君。
  90. 森井忠良

    ○森井委員 森福祉部長ドイツに滞在しておられたそうですが、財形に関しては非常に参考になったんじゃないかと思うのですけれども日本のそれと比べていかがですか。
  91. 森英良

    森説明員 もう六年も前のことでございまして、私も定かに覚えておるわけでございませんが、私ども現在、事務的につかんでおります資料によりますと、全くわが国の財形制度は西ドイツ財形制度の理念に特に共鳴いたしまして、そういう発想を取り入れてやっておるわけでございますけれども、いろいろな国情の違いもございまして、実際に行われておる制度かなり違っておるわけでございます。西ドイツの場合には、やはり事業主労働協約に基づきまして、そういう賃金とは別に財産形成給付というものを支給いたしまして、それに対しまして国がその給付額の三割ないし四割の貯蓄付加金というものを支給するというふうなことで、予算支出でそういう恩典を与えておるようでございます。そのほか、これは勤労者だけでございませんが、一般国民を対象にしまして貯蓄割り増し金法あるいは住宅建設割り増し金法というものがございまして、これらも一定範囲の限度内の長期貯蓄につきまして割り増し金を支給するということで、これも予算措置でやっております。  しかし、わが国の場合は財形貯蓄についても税制の措置でやっておるということでございますし、ただドイツ財産形成給付に相当いたします給付金制度におきましては、中小企業につきまして助成金ということで予算上措置も行われておるというようなことで、かなり違った内容のものになっております。そのほかドイツの場合には自社株というものを比較的評価して、それに取り組んでおりますが、わが国はまだ、そういうところまではいっておりませんので、まだ検討中の段階というような点で、かなり制度の差があるようでございます。
  92. 森井忠良

    ○森井委員 西ドイツ制度の理念を参考にしたということでありますが、本当に幸せなことに担当の賃金福祉部長さんがドイツで見てきておられるわけでありますから、今回の改正案は、その意味ではかなりいいものが出てくると私は実は期待をしておりました。ついでに申し上げますと、いまの心境は白けた気持ちでありまして、余りに宣伝が大きくて中身が少ない、ちょっと水を差すような言い方で恐縮でありますが、私はそう感じるわけであります。  いまの御答弁ですとドイツ日本では国情が違うということが一つありましたが、これは無理をした答弁だろうと思うのでありまして、本当は早くドイツに学びたい、ドイツ水準を追い越していきたい、こう考えておられるんじゃないでしょうか。大体二十年ぐらい日本はおくれていると私は思うのです。国情の違いとおっしゃいましたけれども、どちらも敗戦国であります。そして国土も戦災に遭いましたし、そしてまた、いわゆる占領地からの撤退もございました。きわめてよく似ているわけでございます。おまけに経済的にも、GNPで見ましても、いわゆる自由世界では日本と西ドイツは追いつ追われつというきわめて酷似しているわけでありまして、別にそういう意味で国情の違いというのは私は考えられない。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 あえて顔の色ぐらいかなと思うわけでありますけれども、そういう意味では今度の改正案というのは、いまあなたの答弁にもかかわらず、冒頭にお答えがありました、いわゆるドイツの財形法の理念を日本も学んだということになれば、いかにもその意味で進歩がない。まあ大臣先ほど一歩一歩着実に進んでおるという意味の御答弁をなさいましたけれども、私にはどうしてもそう思えない。これは大蔵省も来ていますから特に強調したいわけでありますが、もう一度お伺いしますが、ドイツ日本の国情の違いというのはどこにあるのか、これはむずかしいお答えになろうかと思いますから一言で結構です。
  93. 森英良

    森説明員 いろんなことが頭に浮かぶのでございますけれども一つは、ドイツにしましても、あるいはほかの西欧諸国でもそうでございますが、非常に階級社会という感じの強い社会でございまして、そういう意味勤労者財産形成につきまして、そういうイデオロギー的な背景もありまして、これはぜひとも何とかすべきであるというような考え方が強いわけであります。わが国の場合、必ずしもそういう性格の社会ではないとよく言われておりまして、確かに、そういう感じがする面があるわけでございます。これは一般的なことでございますが、そういうことで先ほどのことに関連いたしますと勤労者に対して、どの程度まで特別のあれをすべきかということに関連しまして、必ずしも明確なコンセンサスがまだできているとは言えない。やるべきことは間違いないのでございますが、どの程度までいくべきかということにつきまして、いろいろ問題が残っておるわけでございます。  それからもう一点は、やはり感じますのは、いわゆる社会保険とか税金とかいうものの負担の状況が、わが国の場合と大分違っておりまして、たとえばドイツ労働者の七五年におきます社会保険料の負担は、その勤労収入の一二・三%になっておりまして、さらに賃金税が一五・一%、両方で二七・四%という高いものになっております。七九年まで見通しますと両者合わせまして三二・六%の負担になるということが出ております。こういう非常に高福祉、特に高負担という状況にございまして、わが国の勤労者社会保険あるいは税の負担というものは大幅にまだ低い状況でございます。そういう点も一方にあるわけでございまして、私ども財形政策を担当する者といたしましては、財形制度の拡充を何よりも願いまして、いろいろなことを考えるのでございますが、しかし、ドイツのような例に直ちにいくことにつきましては、そういう別の面での日独の違いもあるということも、やはり考えざるを得ないというような点が頭にあるわけでございます。
  94. 森井忠良

    ○森井委員 現在の社会保険料等の負担の問題を話されたんだろうと思うのですが、これは後でまた議論をしたいと思うのです。  日本の場合と西ドイツの場合で、先ほど申し上げましたように、どちらも戦争に負けた、そして経済復興に入った。ここまでの形態は私は余り変わってないと思うのですね。問題は、その後、経済の復興も向こうも早かったわけでありますけれども経済だけの復興でなくて、勤労者の持ち家も含む、いわゆる国民的な課題の復興にもかなり力を入れた。私はその違いがあるんだろうと思うのです。だから貯蓄を奨励をして家をどんどん建てさせる、これはもうすばらしい制度になっているわけですね。これはもう改めて申し上げるまでもありませんけれども、非常に進んできておるわけです。  一九五二年に住宅貯蓄割り増し金法、これは七年間据え置きを条件にしていますが、その貯蓄をすれば国が二五%から四五・五%まで割り増し金を出す。国がですよ。それから同じ年でありますが、住宅建設のための税の優遇措置、これは一定規模以下の住宅を建てた後に向こう十年間不動産税を免除する。さらに一九五九年、貯蓄割り増し金法というのができましたね。これは六年から七年据え置きを条件にいたしまして、これまた国が二〇%から四二%の割り増し金を出す。これは財形法ができる以前ですね。御承知のとおり財形法が一九六一年、昭和三十六年にできているわけでありますが、そうはいうものの、いままでの措置は貯蓄が主でありましたけれども、ここでは貯蓄のできない層に対してまで、いろいろな施策を及ぼそうじゃないかという空気が出てまいりました。その最たるものが第三次財形法と言われる例の六百二十四マルク法ですね。ここまでいきますと、貯蓄をする力のない人でも会社が利潤の中から年間六百二十四マルク積み立てをする。だから勤労者は無一文でも金融機関預金通帳さえ置いておけば、ひとりでに財形ができてくる。それに対して国は、先ほどもちょっと話があったかと思うのでありますが、とにかく三〇%、子供さんが三人以上の場合四〇%また付加金をつける。もう私が多くを申し上げる必要はないのですけれども、ここまでいっておるわけです。  それはなぜか。私はここのところが大切だと思うわけです。経済の復興については、先ほど申し上げましたとおり日本も西ドイツも同じように復興したと私は思う。ただ勤労者生活を、いわゆるストックをどう守っていくかということ、これがドイツ日本の違いだと私は思う。きょうは財形法の審議でありますから、余りほかのことは言いにくいのですけれども、たとえば戦災で家を焼かれた。いま日本では、そういった財産被害に対する国家補償の法律がない。さすがにドイツも、その点については戦災で家を焼かれた人等の援護法、財産被害の援護法は余り見当たりませんけれども、しかし、そのかわりに、とにかく戦争で家を焼かれた人は家を建ててくれ、そのためには、先ほど言いましたように企業にも出させるけれども企業に出せというからには国も出す。ここの違いが大きいと私は思う。ですから私が承知しております範囲では、あの第二次世界大戦でこうむったドイツ国民の被害、これは恐らく戦闘員も非戦闘員も同じように被害を受けたはずでありますけれども財産被害については、いま申し上げましたような復興の方途を図った。日本の場合は戦争犠牲者については軍人軍属、準軍属以外の一般国民はほとんど何もなされていない。ここに着目をしていただかなければ、先ほど来言われておりますような大蔵省の、ちょっと言葉は悪いけれども、税金を主体にした議論に終わってしまう。全く技術論なんですよ。本来、勤労者財形法をつくろうとしたドイツの理念に学ぶなら、労働省は思い切って、そこまでやるべきだと私は思う。大臣、いかがでしょうか。
  95. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 御指摘のごとく、現在、日本勤労者賃金水準は欧米に比較いたしまして相当改善をされましたけれども、いわゆる財産、資産面、ストックの面においては非常に立ちおくれておるという問題に対して、先ほど来、西ドイツの同じ敗戦を受けた国の復興の内容について御指摘を含めて御意見を承ったわけでありまして、私も西ドイツ勤労者財産形成政策については、もともとそこをお手本にして発足した経緯から考えますと、ただ単に税制面、こういった制約に余りこだわらないで、もうちょっと、いかにして勤労者の貯産形成を充実していくか、ストックをふやしていくかということについて積極的な姿勢が必要ではないか、この御指摘に対しては私も同感でございます。  ただ現在、私は御意見を聞きながら一つ頭に浮かんでまいりますのは、勤労者といいましても現在ほとんど勤労者社会だと思うのです。働かざる者食うべからず、こういう体制になっており、すぐ頭に浮かぶのは、いわゆる零細中小企業者であるとか、あるいはまた農民であるとか、こういったところの財産形成というものをどう考えたらいいか。こういうものとバランスをとって、そして日本の国情に合うストックをふやしていく、こういう政策推進が必要である、このように考えておるわけでございまして、私は西ドイツに学んだ勤労者財産形成促進政策については、決して後退すべきではない、前進あるのみである、こう考えますけれども、いま申しましたような他の勤労者とのバランスということも考えなければならない、このように思うわけでございます。ただ一つ、御指摘になりました同じ戦争犠牲者である他の日本国民、同胞の配慮については、いささか片手落ちではないかという御指摘は私も十分反省しなければならない、このように思います。
  96. 森井忠良

    ○森井委員 国民同士のアンバランスと、それから勤労者企業とのアンバランスと私は両方言えると思うのですね。御承知のとおり三十五、六年からの高度経済成長一つとってみましても、日本経済は飛躍的な発展をいたしました。機械も新しくなるし、もちろん工場も見違えるようになりました。そして利潤もどんどん上がってくる時代が続いた。五十年代に入りまして御案内のとおり、いま不況に陥っていますけれども、ともかく戦後まず企業が立ち直った。これは経済政策上ある程度私は是認をしていいと思います。ただ、その間で、たとえば過密過疎という問題が起きてまいりました。もう東京、大阪などの大都会では皆さん御案内のとおりの住宅事情です。きれいに焼かれたのにもっていって、さらに、いま申し上げましたように人口の過密化、家がない。建てようにも今度は土地がない。一方、変な話でありますが、たまたま戦災に遭わないで東京の近郊に家でも持っておられるというような人は、これは親譲りもありますけれども、何ら痛手を受けていない、こういう形にもなっています。そして、先ほど申し上げましたように、なるほど賃金大臣がおっしゃるように上がりましたけれども、まだストックの面では非常に立ちおくれがある。だから企業勤労者、それから勤労者相互でも、いま申し上げましたように矛盾があるわけであります。  ですから私は、財形政策のあるべき姿というのは、一口に言うと、やはり所得の再配分、富の再配分をねらっていくべきだ。とにかく不当に自分に関係のない理由で財産ができなかったり、あるいは逆に大した土地でもなかったのが住宅団地等ができたり、そこが都会になったりして一挙に成金になるというふうな人があるわけであります。したがって、基本的には、たとえば今度財形基金等が新設をされますし、いままでも財形給付金制度等がございましたけれども、それらは、そういった出せるところからは出してもらう。その上で先ほど申し上げましたような不遇な目に遭った人にその富を追加をしていく。その中で、文字どおり公平な、西ドイツの憲法で言うところの社会正義ですね、社会正義に基づいた政策を立てていくべきである、こういうことになってくると思うわけであります。  ですから私は、この法律の審議に当たっては、ちょっとくどいようになりましたけれども、この点だけはばっちり御理解をいただかないと、とにかく他の制度との関係であるとか、あるいは税金なら税金面に限っての議論に終わってしまって、それではせっかく大臣がおっしゃる、長い目で見て財形制度というのは本当に充実をさしていかなければならないということとの絡みがはっきりしない。できるだけずっと続いていくように、薄くならないようにしていかなければならない、こう思うわけです。ですから、その意味では、冒頭に申し上げましたように私はきわめて白けたムードで見ざるを得ない。  労働省もいいところまでいっておるのですよ。たとえば昭和四十八年の八月二十三日ですか勤労者財産形成政策案大綱というのを出されましたね。これは新聞にも載ったし、私どもも何度も説明を受けました。その後、審議会でも議論をしていただきまして、とにかく、まあいいじゃないか、不十分であるけれども、まあまあいいじゃないかということになった。今度お出しになったものとの食い違いといいますか、いま申し上げました大綱に盛られているものと、したがってこれは審議会でも議論をされたことなんですけれども、お出しになったものとは余りに開きがあり過ぎる。たとえば割り増し金の問題もそうであります。せっかくあれだけいっておられる。あるいは最近の経済情勢でありますから転職者の方々の継続の問題についても考慮を払わなければならない。それぞれ大綱には書いてありますけれども、何回目を通しても今度の法案からは出てこない。これは一体どういうわけですか。
  97. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 私どもも今回の財形法の改善案につきましては、財形審議会の御意見を聞き、また財形審議会の中にあります基本問題懇談会の御意見を聞きながら案を練ってまいったわけでございますし、また、この基本問題懇談会あるいは審議会の御指摘、いま先生御指摘の昭和四十八年の基本的な考え方あるいはそれを踏襲いたしております今回の審議会の御答申、それに基づいて私どもとしては一生懸命に案をつくってきたわけでございます。  いま御指摘の二点の問題につきましては、私どもも当初いろいろ考えておりましたけれども、その後、政府部内でいろいろ意見の交換をいたしました場合の基本的な考え方を申し上げますと、審議会の御指摘もございますように、一つはライフサイクルというものに着目をして案をつくるように、もう一つは、労使関係の場において弾力的な財形の仕組みを考えることというようなことでございます。その基本線については私どもは踏み外したつもりはございませんけれども、もう一点は、いまお話しのように転職者あるいは海外派遣者、いろいろな財形貯蓄の改善問題がございますが、今回の改正を含めまして、私ども長期的に息長く財形法の改善に努めてまいりたいと思っております。  今回のこういった財形貯蓄に関する税法上のいろいろな問題について十分改善ができていないのじゃないかという御指摘でございますが、御案内のように、最近の社会経済情勢を見ますと、もちろん貯蓄というものは長期的な目で伸ばしていかなければなりませんけれども、また一方において、できるだけ個人消費というものを伸ばさなければいかぬというような、きわめて強い要請もあるわけでございます。そういったような観点あるいは国民一般が対象になっておりますいろいろな税制との均衡問題等考えて、審議会の基本線には沿いながら、現行のいろいろな事情の中において見送った面もあることは、今後の一つの課題といたしまして努力をしてまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
  98. 森井忠良

    ○森井委員 そうしますと、ちょっと念を押しておきたいのですが、ことしの二月七日の財形審議会の答申ですね。その中で「今回の改正案については、今後なお改善を図るべき点も認められるので、従来から提起されている制度運営上工夫を重ねるべき事項と併せて、これまでの経緯に鑑み、」「引き続き検討」する、こうなっているわけでありますが、それで、いま私が申し上げましたような問題も含まれていると理解をしていいわけですね。
  99. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 当然含まれておりますし、私どもといたしましては従来から、財形審議会の基本的な考え方に沿って、まだ十分に完成していない面については、できるだけ漸進的に解決を見てまいりたいという考えで、当然御指摘の点も含まれております。
  100. 森井忠良

    ○森井委員 私はここで、質問というよりも一緒に考えてみたいわけですけれども、財形政策というものと、それから社会保障政策との関係ですね。どうしても思い悩む節がある。たとえば国民貯蓄動向等を総理府その他で調べているのを見ますと、貯蓄の目的がいろいろありますね。これは男子と女子で違う場合もありますけれども、たとえば男子の場合でしたら住宅の建設、購入、これが一位になっておりまして、女子の場合には本人の結婚というのが一位になっておる、財形貯蓄の目的が。これはそれぞれいいと思うんですけれども、幾つかの中に、たとえば財形貯蓄をするのは老後のためというのがあるんですよ。老後のため、つまりこれは定年になってからの生活不安のことだろうと私は思います。そうかと思いますと、不測の災害それから疾病、つまり災害とか病気になったときに大変だから財形貯蓄をする、こういうふうなのもあるわけですね。私はいま申し上げましたように、疾病であるとか不慮の災害であるとか、あるいは老後のためというふうなのは本来、社会保障政策で行うべきだし、むしろ積極的に、たとえば年金の充実それから医療の改善、そういったものがきちっとしていれば私はやはり財形の目的はかなり違ったものになる、そのほかのものが目的になるような気がしてなりません。  これはやはり社会保障政策貯蓄というものは、日本の場合、非常に結びついているわけですね。御承知のとおり日本人の貯蓄率というのは非常に高くなっておりますね。非常に高い。経済企画庁の調査によると、日本人の個人貯蓄率というのは、これは一九七五年までの資料しかありませんけれども二四・九%。先ほど申し上げました西ドイツの例をとれば、西ドイツは一四・五%ですからね、はるかに高い。いずれにしても日本人の個人貯蓄率が高いというのは、たまたま、いま申し上げました総理府の調査貯蓄の目的とやはり関係があると私は見ています。恐らく皆さんも同じ考えだと思うんでありますが、こうなってきますと、きょうは厚生省、年金局長さんしか御無理をお願いいたしませんでしたけれども、この財形貯蓄というものと、それから年金なり医療なり社会保障というものとの関係を、一体厚生省はどう見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  101. 木暮保成

    ○木暮政府委員 先生御指摘のように私、手元に持っております資料を見ましても、貯蓄の目的の四番目ぐらいに老後に備えるというのが出てきておるわけでございますが、いろいろ御鞭撻をいただきまして年金制度も充実をしてまいっておるわけでございます。今後とも私ども年金制度の充実に努力をしてまいりたいと思いますが、それによりまして老後の備えという意味貯蓄ウエートが下がってくるというふうに思うわけでございますが、ただ公的年金制度といたしましては、今後老齢化が非常に進んでいくということが一方にございますし、また年金制度の特色からいたしまして、平均的な方の平均的な老後の備えを年金が目指すということになろうかと思うわけでございます。お年寄りの置かれております条件がそれぞれ違いますし、また老後生活の設計も違うわけでございますので、公的年金と私的な貯蓄あるいは生命保険、そういうものとを総合的に老後の保障をしていくべきではないかというふうに考えます。
  102. 森井忠良

    ○森井委員 確かに財形もあり、そしてまた年金もありというのが一審理想的で、おっしゃったように私も年金というのは平均的なものであろうというふうに理解をいたします。  ただ、見通しとして御質問をしておきたいわけでありますけれども、やはり、いまのままでは年金は十分でない。だから社会保障制度審議会等々でいま審議が重ねられまして、年金の抜本改正というところまで言われているわけです。厚生省の計算によりましても、恐らくこのままでは、いわゆる年金の財源というのはパンクしてしまう、何とかしなければならぬということがそれぞれ言われている。審議会等でも、いわゆる福祉税の新設というようなことが言われてまいります。私どもも、いま慎重に年金の政策についてはつくりつつありますけれども、やはり何らかの形で財源を見出すべきであろう。たとえば、その一つとしていわゆる付加価値税、政府が考えておる付加価値税ではありませんで、利潤、利子、給与総額等を勘案した一つ福祉財源と見る考え方がありますね。これはもう社会保障制度審議会等でもかなり議論をされているようですけれども、そうなってきますと財形制度とかち合う面がある。今度出されております財形基金制度、これは要するに企業から一定の拠出金を出させるわけであります。企業は恐らくどういう形にしろ、これから年金財源が多くなるということになれば、当然年金に関する部分の負担はふえてくるはずであります。そういたしますと、いま申し上げましたように、せっかくのあなたのお気持ちではあっても、要するに年金に関する部分と財形の基金拠出に関する部分とが、企業一つでありますから両方がねらわれてくるというかっこうにならざるを得ない、ここのところをどう考えますか。
  103. 木暮保成

    ○木暮政府委員 いまお話にございましたように、年金の財政は将来非常に大変なことになるというふうに思っております。現在は厚生年金でございますと千分の九十一の保険料でございますが、このまま参りますと千分の二百を超えるようなことになるのではないかというふうに思っておるわけでございます。先ほどお話のございますドイツでは、ただいま千分の百八十でございまして非常に負担が重くなりまして、年金額のスライドも延ばすというような措置を講じておるわけでございます。厚生年金の場合には、それをも超すような勢いでございまして、いま年金のいろいろ制度改革が検討されております一つの重要なファクターであることも事実であるわけでございます。ただ、これはやはり老後保障の中核でございますので、できるだけ、いまの水準を維持し、また足りないところを直していくということで、国民の御理解を得ながら費用の負担の確保をしていきたいと思っておるわけでございます。  一方、財形の方でございますが、私どもの方が強制適用でございますのに対しまして、制度を利用するかどうかは企業あるいは国民の任意ということになっておると思いますので、そこで、おのずから調整はとれていくのではないかというふうに考えております。
  104. 森井忠良

    ○森井委員 問題はそこなんです。年金の方は強制適用、そして財形基金の方は任意だということでしょう。そうしますと、せっかく鳴り物入りで宣伝をなさっても、これは五十年の改正から財形給付金制度ができたわけですけれども、改めて指摘はいたしませんが非常に利用率は低い。企業の数にいたしましても、せいぜい五千数百社くらいしかやっていないわけでしょう。しかも中小企業が大部分、こういう形になっているのですね。今度は、これに加えて財形基金制度というものができてまいります。二本立てでいくわけですね。この選択も恐らく自由でしょう。そういたしますと、この時期にお出しになっても、いま年金局長さんがおっしゃるように、将来もう年金の財源は、どうしたって、あなた方の負担ですよということで、いま労使という言葉が使われましたけれども、これは議論のあるところといたしましても、いずれにしても企業の負担もふえていかざるを得ない、このことだけははっきりしているわけであります。先の見通しがあるとすれば、やはり何といいますか、いま財形基金や財形給付金等どんなに行われようとしても、果たして企業がついてくるのかどうなのか。むしろ、なじみの深い問題としては、先ほど平均的な生活を保障するのが年金だとおっしゃったわけですけれども、むしろ私は、やはりそういった財源は、一つは年金に向ける。それからもう一つは、やはりむしろ賃金に向けるべきじゃないかという感じがしてならないわけです。この点はいかがですか。
  105. 森英良

    森説明員 御指摘のように社会保障は、国民あるいは勤労者生活過程におきまして、疾病、負傷あるいは老齢、失業というふうな生活基盤を脅かすような危険に対しまして、国民に対して平均的な水準で最低限を保障するという制度でございまして、そういう意味で強制的に適用されておりますし、これがいわば国民生活、勤労生活を支える基盤であるということは全くそのとおりでございまして、それに対しまして財形制度の方は、そういう最低限の保障の上に立ちまして、しかし、きわめて多くの勤労者が実際に財産形成のために努力をいたしておりますので、それに対するいろんな国及び事業主の援助を加えていこうという制度でございますから、これはそういう意味で任意制度にあることは当然でございますし、また、そういう社会保障的な制度に、さらにつけ加えるべきものとして、やはり促進を図るべきであるというのが私どもの立場でございます。  それで、これから年金関係の負担がどんどんふえていく場合に、一体基金などをつくって、どこまで実際にうまくいくだろうかというお尋ねだと思うのでありますが、ドイツの場合も、先ほど厚生省の方から御説明がありましたように、非常に高い保険料を労使ともに負担しながら、やはり貯蓄努力をしている勤労者に対しまして、事業主がある程度財産形成給付を賃金とは別に支給するという制度をとっておりまして、しかも、これが一九七〇年の改正以来、非常に急速な普及をいたしまして、いまや二千二百万の勤労者のうちの千七百万くらいの勤労者が、そういう給付を受けるようになっておるという事実もございますので、私どもも、いろいろこれから行政的に努力をしなければならぬと思いますが、現在最高限、勤労者一人当たり十万円ということで限度を切って考えております給付金制度あるいは基金制度につきましては、これは、これからの勤労者労働条件の向上がやはりあるわけでございます。引き上げがあるわけでございますから、その中で労使間において、そういう制度を行うことの必要性、妥当性ということについて合意が得られますならば、これは十分、徐々に普及していく可能性のあるものであるというふうに考えておりまして、そういう意味で、これから、この政策も同時に進めてまいりたいということに考えておるわけでございます。
  106. 森井忠良

    ○森井委員 いまの経済情勢は、もう御存じのとおり深刻な不況であります。ばたばたと倒れていまして、労働省も大変だと思うわけでありますが、この時期に、しかも実績として財形給付金制度が依然として発展をしないという私は認識をおるわけでありますが、そういう中で財形基金をおつくりになったというのはどういうわけですか。
  107. 森英良

    森説明員 財形施策と申しますのは、勤労者の資産形成というものが立ちおくれがちであるという一般傾向がございますので、これに対しまして勤労者が自主的にもいろいろ努力しておりますから、これを事業主及び国ができるだけの援助をして、その促進を図るということでございます。そういうことで、援助の主体としては国と事業主考えられますけれども、やはり勤労者というものの社会的な地位から考えますと、そのパートナーである事業主の援助ということが非常に望ましいし、また、やってもらうべきであるということで、財形貯蓄制度のほかに、これは勤労者が自分でやる制度でございますけれども事業主が援助する制度として、五十年の改正でございますが、給付金制度をつくったわけでございます。ところが、その後の実際の経緯から見ますと、御指摘のように給付金制度の普及状況があんまり芳しいものではございませんので、これはいろいろ理由はございますが、やはり制度面にも幾つかの弱点が考えられますので、給付金制度につきまして、助成金支給の対象範囲を中小企業全般に及ぼすとかいうような改善を行いますと同時に、若干中堅以上の企業においても取り上げられやすいような形の事業主助成制度をつくりたいということで、今回の基金制度を御提案申し上げておるわけでございます。  これは、給付金制度が非常に制度的に硬直的なのに対しまして、相当幅の広い金融機関が取り扱い機関になりまして、したがって運用のための商品の範囲も選択の範囲が広がるということになっておりますし、また、この場合には使用者側がお金を出すようになりますが、同時に、受け取る勤労者側も、これに対して、運用につきまして大幅に参両する道が開けるというようなこともございまして、全体として中堅以上の企業におきましては、それなりに給付金制度よりは取り組みやすいようなメリットもあるというふうに考えておるわけでございます。  しかし、そういうことで制度面の改善をいろいろ図ったわけでございますが、御承知のように現在の経済状況が、こういうものの普及にとって非常に都合の悪い環境であるということは私どもも十分認識しておりますが、しかし財形制度の改善は、やはり長い目で見て機会あるごとに行っていくべきものだと思いますので、この機会に一応そういう制度上の改善の手を打ちまして、一方、景気情勢の好転を期待しながら、今後の安定成長への移向過程の中で、だんだんに普及していくような努力をしてまいりたいというのが、今回の基金制度の御提案の趣旨でございます。
  108. 森井忠良

    ○森井委員 とにかく、財形給付金はわずか十八万人ですね。これは五十二年の十二月末十八万人で、会社の数にして五千四百社。資産の残高がたったの四十五億円なんですよ。これが実績なのです。恐らく資金の運用その他ありますから、そこで今度、財形基金制度をお出しになったわけですが、実際には、この給付金から始まっているわけですね。一体いまの労働者が、いま、あなたがおっしゃったようなことを望んでいるかどうか。たとえば会社に余力があって、財形基金の拠出金なりあるいは財形給付金の拠出金なりを出そうとする場合に、私は、それだけ余力があるのだったら、やはり賃金を払えと言いたくなると思うのですよ。それはなるほど基金に加入をして、そして金融機関等で運用して利回りをよくして、おまけに一時所得で、もらいが大きいという、大蔵省もそういうことから、やはり他の制度との均衡ということも考え先ほど答弁があったと思うのですけれども、確かに、そういった面もあるけれども賃金が上がれば、これはいろいろなものに響いてくるわけですね。たとえば残業の割り増し金でも、あるいは退職金の額にしても、年金にしても、いろいろな面で響いてくるわけですから、その意味では何も会社に余力があるものを財形の方へ回してもらわなくても賃金で払えというのは、私はいま世論ではないかというふうに思う。それから、長い目で見て年金の金額が引き上げになるということになれば、やはりこれから、先ほどの話じゃありませんが千分の九十一を千分の二百くらいにしなければ追っつかないということになるならば、これは勤労者の負担よりもむしろ会社がもっと払え。大体フィフティー・フィフティーというのはおかしいという議論だって出てくるわけですから、そういうふうに考えてきますと、せっかくお出しになったものに水をかけるようで、これは気を悪くなさらないで聞いていただきたいのですが、私は、やはり給付金なり基金なりに金を出すということについては非常に消極的なんですよ、その点については。どう考えても消極的です。ましてや、いまの財形基金の制度は、もともと基本的に政府は金を出さない。それはちょっぴりは出していますよ。しかし、大部分は御承知のとおり、これは雇用促進事業団なんです。一般会計から幾ら見ていますか。一億にもなっていない、本当に二階から目薬くらいな金額しか一般会計は出していない。だから、やるのでしたら先ほど言ったように企業にも金を出させる、そのかわりに国もプレミアムを大いにつけるという立場でなかったら私は意味がないのじゃないか、こういう感じがしてなりません。この議論をしますと時間が余りありませんから、私はきわめて残念ながら消極であるということだけ申し上げておきたいと思うわけです。  そこで、こういう経済情勢になりましたから、いま財形給付金の拠出をしている企業、これはそうそう簡単に、いままでどおり払えなくなる場合があるだろうと思う。これはドイツに右へならえをして、一応七年という目標を立てていますから、一体その払えなくなった場合どうなるのですか。これはもう初めからめちゃめちゃですか。
  109. 森英良

    森説明員 いまのところ給付金制度につきまして大幅に支払い不能な企業ができてきたということは聞いておりませんのですが、仮に制度を始めまして、後におきまして企業状況変化によりまして、どうしても拠出を続けられないというときには、場合によって労使の合意によって拠出を中断するという場合もありますでしょうし、場合によっては制度そのものを残念ながら廃止せざるを得ないというような場合も出てくるかと思いますが、そういうことで経営の悪化等におきまして、やむを得ず廃止する場合におきましては、これは途中で中断いたしましても税制上の恩典の面につきましては全く制度のたてまえと同様に取り扱われるということになるわけでございます。
  110. 森井忠良

    ○森井委員 そうしますと、ちょっと具体的にお聞きしますが、七年間ですね。いま三年なら三年かけた。四年目は不況でかけられなくなった。しばらく待ってくれ、そして二年なら二年経過した。そうすると合計五年になりますね。七年の期限からいけば、今度はかけられ出してから、あと二年。実質的にかけるのは五年。しかし最初の拠出金から見れば七年の経過は来た。こういう場合にはどうなるのですか。これは、これからはたくさんあり得るよ。
  111. 森英良

    森説明員 そういうケースでございますと、七年の期間中に若干中断した期間がありましても、七年経過後に同様に税制上の恩典を受けながら給付金を受けられるということでございます。
  112. 森井忠良

    ○森井委員 そうしますと七年の間で中断をしたら、何というか金額はもちろん少ないですけれども期間としては経過をしつつあると、こういうふうに理解していいわけですか。
  113. 森英良

    森説明員 そのとおりでございます。
  114. 森井忠良

    ○森井委員 そこで私は、この財形給付金あるいは財形基金で問題なのは、もらえる人と、もらえない人が出てくるんですね。そのもとになる要件が、財形貯蓄をしていなければならないという問題がありますね。そうしますと、一般的に考えまして会社の拠出金は、これはたいてい利潤の一部から払われるのだろうと思う、赤字で会社がつぶれそうになるというときに払えるはずはありませんから。そうなった場合に利潤の一部だということになれば、同じように働いているそこの労働者で、この基金の恩恵にあずかる人とあずからない人が出てくるわけですね。これはきわめて不公平だと思うのです。一般的に言いますと財形貯蓄の場合、約半分の労働者しか加入していないということになっていますから、これは一体不公平だと思いませんか。
  115. 森英良

    森説明員 財形政策基本理念が勤労者本人の自己努力ということを前提にいたしまして、これを事業主及び国ができるだけ援助して促進しようということでございますので、もちろん事業主及び国の援助が政策としては重要でございますけれども、やはりその前提に勤労者みずからの財産形成努力ということを考えていこうということがございます。そこで給付金制度あるいは基金制度の受益者として、あるいは加入員として勤労者があります場合に、どういう要件で、その加入あるいは受益を認めるかということが一つ問題なのでございますが、やはり財形制度先ほど申し上げましたような趣旨に照らしまして、とにかく一応本人が何がしかの財産形成努力をしていることを求めることにしようということで、財形貯蓄、これは金額は全く問わないわけでございますが、最小限度、財形貯蓄残高を持っておる、通帳を持っておるということを要件としているわけでございます。  したがいまして財形貯蓄をやりませんと、こういう制度の恩典にもあずかれないことになるのでありますが、現在実際に行われております給付金制度の内容は、せいぜい一人当たり一万とか二万とかいう程度の、いわば財形貯蓄に対する利子補給的な意味での給付の範囲にとどまっておりますので、そういう意味では、中には、そんなものを別にもらわなくてもいい、それをもらうために財形貯蓄をするというほどの気も起こらないという勤労者相当いると思いますが、これがもうちょっと実質的に意味のあるような金額の給付になってまいります場合には、これは財形貯蓄さえ始めれば、その給付は受けられる。財形貯蓄それ自体は、現在の勤労者一般的な貯蓄状況から見まして決してそう無理しなければできないという性質のものではないんじゃなかろうか。とにかく財形貯蓄をやっておればいいという要件でございますので、その点は一応合理的に進めていけるのじゃないかというふうに考えております。
  116. 森井忠良

    ○森井委員 たとえば長期療養者であるとか病気であるとか、そういった人たちには何か特例の措置があるのですか、それが一つ。  それから、ちょっと適当でありませんけれども、どうしても生活が苦しくて、もう一円の金もいま貯蓄に回すわけにいかないという家庭だって私はあると思うのです。そういう人たちへの配慮が、そうすると全然できないわけですか。
  117. 森英良

    森説明員 現在の制度は、給付金制度、基金制度、どちらにおきましても、やはり先ほど申し上げましたように財形制度の前提として一応本人も自主努力をしておるということを求めておりまして、そのきわめて象徴的な意味で、とにかく財形貯蓄残高を持っておる。毎年毎年きちんと預入をやっておるということまでは要求しておりませんで、とにかく幾らかの金額を預けてある通帳があればよろしいということにしております。したがいまして実際には、そういう納付を受ける御希望があれば、それに伴う要件を満たすような措置をとることは、これはほとんど、どなたにもできることではなかろうかというふうに考えております。
  118. 森井忠良

    ○森井委員 極端に言えば一円でも——一円というのはないのかもしれない、いま十円かな。十円でもしておればいいということだとすれば、私はやはり、あなた方の責任もあると思うんですよ。というのは、やはり財形制度が定着するまでの行政的な推進の努力が足りないということになるんじゃないでしょうか。とにかく数字で見る限り、財形給付金制度を取り入れている会社でも入っていない人がかなりある。しかも、これは会社の利潤の一部だとすれば、あまねく公平にこれは配分されてしかるべきでありますから、そうしますと結局、知らないから悪いのですかな。私は、やはり基本的には、本来会社の利潤だとすれば賃金で払うべきである。賃金で払えないんなら、やはりあまねく公平に、財形貯蓄に入っていなくても会社の拠出金だけは受け取るように、つまり西ドイツ方式ですね。第三次財形に返るわけですけれども、せめてそれはやってもらいたいと思う。そうすれば、制度さえ採用すれば、その人の頭金通帳をつくっておいて、会社からの拠出金だけでも、これは持ち分にありつけるわけですから、そうでないと私はきわめて問題があると思う。ここのところは直せませんか。
  119. 森英良

    森説明員 給付金制度あるいは基金制度におきます事業者拠出金と申しますのは、いわゆる賃金という性質のものではございませんで、どちらかといいますといわゆる福利厚生施設の一環であるというふうに御理解いただければどうかというふうに思うわけでございまして、したがって給付を行います福利厚生施設の中には、必ずしも全員にぴたりと給付するということではなくて、たとえば持ち家融資制度のように実際には住宅を取得しようという人しか給付はいきませんけれども、しかし、どの勤労者にも一応そういう条件があれば給付を受けられるという関係にあります制度もあるわけでございます。財形基金制度、給付金制度はそういう性格の制度と位置づけておりまして、したがって必ず均等に従業員全員にやらなければならないというところまでのことは考えていないわけでございますが、しかし先生御指摘のような考え方もあることは私ども十分承知しておりまして、したがいまして将来のものといたしましては、今後また財形審議会等でいろいろと検討が続けられることになっておりますので、その中で取り上げていただきまして、いろいろ考えていただこうというふうには考えております。
  120. 森井忠良

    ○森井委員 労働大臣、いまお聞きのようなことなんです。会社の金を拠出をするわけですけれども、もらえる者は財形貯蓄をかけている一部の人だけ、こうなっているわけですよね。先ほど冒頭に私読み上げましたように、ドイツの第三次財形法では、例の六百二十四マルク法と言われておるものですが、会社が拠出するものについては、財形貯蓄をしていようといまいと、実際には財形貯蓄が一文もなくても預金通帳さえつくればいいというシステムにはなっているのですけれども、これはやはり、せめてこれから財形制度政策を進めていこうとすれば、だれでも気安く、やがていつの間にか会社が振り込んで、おれの通帳にも金が入っていたのか。これはもちろん一定の運用をした上で七年後に振り込むわけですけれども、それでまた目覚めて、それじゃもっと自分は家をつくるために努力をしようかという気も起きてくる。事実ドイツがそういうふうな形になっているわけであります。  いまの制度というのは、先ほど申し上げましたように一部の人ですから、それだったら余力があるんなら賃金で払えと私も申し上げているわけですけれども、これはどうしてもドイツ方式に私は変えていただきたいと思うのです。でなければ、いま言いましたように、これは明らかに公平の原則に反するわけですけれども、せっかくいま部長から答弁がありましたけれども、ひとつ政治家として、前向きにこれから調査を進めて御検討いただくというふうなことがお願いできませんか。
  121. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 いま御指摘の質問の御趣旨はよく理解いたします。これから後また財形審議会ないし、その基本問題懇談会、この場で十二分に意を体して検討さしていただきたい、このように思います。
  122. 森井忠良

    ○森井委員 大蔵省主計官がお見えですが、いわゆる政府が出すプレミアムですね。いまのところ、せっかく財形法はできたけれども、せいぜい税の面での優遇措置だけですね。確かに優遇措置でしょう、納税者についてはです。しかし課税最低限以下の人はこれは全く恩恵もない。しかも低所得の人、たとえば三百万以下ぐらいの層で大方七割ですね。二百万以下をとってみましても三三%。そういう状態ですから非納税者もかなりおりまして、これは恩恵に浴していない。冒頭、私が申し上げましたような財形法の趣旨からいけば果たしてこれでいいのか。やはり少なければ少ないなりに、むしろ低所得者に対して私は一種の割り増し金をつける必要がある、こう考えるけれども、いま申し上げました財形法の創設の趣旨にのっとった検討の結果をお知らせ願いたい。
  123. 窪田弘

    ○窪田説明員 冒頭にも先生からお話がございましたが、わが国も西ドイツにならいまして財形をつくったわけでございますが、率直に申しまして勤労者のフローの面は豊かになりましてストックの面がまだまだ不十分だ、こういう点から見て財形制度の意義は非常に大きいと私ども考えております。これをどういうふうにつくっていくかという場合に、やはりそれぞれの国の沿革みたいなものがございまして、西ドイツプレミアム方式をとるか、わが国のような税制を主体とするものにするか、こういうことでございますが、わが国の少額貯蓄の優遇制度かなり古くからございました。これに乗っかってと申しますか、それに準じたものとして財形制度をつくってきたわけでございます。ここまで参りましたので、私どもとしてはこの制度をこれとして伸ばしていくのが適当だと考えております。  それでは税金を払ってない者はどうか、こういう御指摘もあるわけでございますが、プレミアムのようなものを出すといたしますと莫大な財政資金を要するわけでございます。御承知のような財政の現状からいくと、とても私どもはそれに踏み切ることはできないわけでございます。先ほども年金局長から御答弁申し上げましたとおり、低所得階層に対する施策としても、まだまだやるべきことが山のようにある現状でございまして、そういう点を考えましても、ちょっとプレミアムに踏み切ることはできないと考えております。
  124. 森井忠良

    ○森井委員 ことしはどうも予算の修正がこじれていますから、余り相談に乗っていませんけれども、去年は御承知のようにきちっと話がついた。そのときはどうだったかといいますと、一つ所得税の減税なんです。これは現役の納税者に対する恩恵です。それではどうにもならないということで、年金の金額の改定時期の繰り上げ等行って、事実上非納税者の皆さんにも恩恵に浴してもらったという経過があるわけです。これはもう常道なんですよ。とにかく、いわゆる納税者の方にそういったふうに税額控除の措置があるんなら、むしろ非納税者、しかも先ほど言いましたように二百万に仮に例をとってみても、三三%の人が税額控除の恩恵に浴していないのです。これを考えると、せめて、その部分だけでも何とか是正をしなければ、いままでの国会の意思からしても、ずれていることになる。それは昨年も、ことしも、そういう意味では同じですね。こじれてはいますけれども、やはり所得税減税と、それから年金の増額、一時金になるようですけれども、これは相通じて、そうしなければ公平の原則に反するということから出された制度だと私は思うのです。ですから、出発から私どもは本来でしたらプレミアムというのは大体二〇%くらいつけていただきたいのですけれども、いまそんな大きなことは言いません。仮に今度の改正案のとおり一〇%にしても、あまねくまんべんに同じような措置をとられてしかるべきだ。もちろん、いま主計官が言われたように財源の問題があります。あるから私は、これは富の再配分だと申し上げておるのでありまして、それ相応の措置を、この制度の中でも、ある程度考えてもいいのではないか。新税というかどうかは別として、財源はそこから浮かす等の努力はしなければならない。これはあなたの所管ではありませんけれども、この点について、もう一度ひとつお答えをいただきたい。どちらからでも結構です。
  125. 窪田弘

    ○窪田説明員 お考えはよくわかりますけれども、低所得者対策そのものは当面、社会保障の充実でやらしていただく。資産を勤労者に持たせることによって生活の安定を図るという財形制度は、まだ発足して間もないわけでございます。しばらく、この充実を図ってまいりたい、こう考えております。
  126. 森井忠良

    ○森井委員 だから私は、またもとへ返るのですよ。結局、財形制度というのは要るのか要らないのかというところにいかざるを得ない。あなたは社労の担当ですから御理解いただきたいわけですが、昭和四十六年にできたときには、もちろん発足のときはともかくとして、将来の展望としては夢があったと思うのです。だからこの法律ができた。それから考えますと、いまの議論をしますと、これで終わりでは何で財形をつくったのか。三千七、八百万の日本勤労者の中で財形貯蓄に入っているのが六百四十万くらいのものでしょう。そうすると、まだ五分の一くらいです。これから生々発展をさせるとすれば、どこかで政策的な踏ん切りをつけなければこれはできない。このままでいけば残念だけれども、これ以上進みませんよ。なるほど財形貯蓄利回りがいいから恐らくふえます。その程度のことであって、冒頭に確認をしたように西ドイツの理念にならったということとかなりの食い違いが出てくる。  だから、やはり制度をつくった以上は大蔵省もそこまで考えていただきたい。莫大な金額だと言われたけれども、どの程度になるかわかりませんけれども、いま本当にささやかな施策の一つにしかすぎない。私は諸外国すべての国は知りませんけれどもドイツでいう限り一般会計からあれだけの国費を持ち出しておる。それでもまだ何か聞きますと、六百二十四マルクは八百マルクを超すくらいにしてもいいというくらい言われているのですね。それは社会的正義という点に立脚をしているからです。ですから財形政策財形制度というものをつくった以上は、法律ができた以上は、法の精神に素直に従うなら、発展の過程で、せめて、いま申し上げました意味プレミアムというのは、すべてとは言いません。先ほど言いました納税者と非納税者のとりあえずアンバランスだけでも、一足飛びに大きなことは言いませんから、そのアンバランスの解消だけでもする必要がある。これは国務大臣としてどうでしょうか。労働大臣、もう一回プレミアムの問題についてはひとつ御検討いただけませんか。
  127. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 財形政策基本のねらいというものは、いまさら私から申し上げるまでもないわけでございまして、しかも、その制度を取り入れたモデルの国の西ドイツにおいてはプレミアムというものが制度化されており、わが方はできておちない。そういう前提から、るる御意見が出ておるわけでございますけれども、私もきょう御熱心な御意見を聞きながら、ただいま大蔵省からプレミアムを採用するわけにはいかないという議論も当面、財源の問題。これは私がこの問題についてちょっと、かつて調べており、これは計算がちょっと確実でございませんけれども数字としては約五百億くらい、単位はどの程度でありましたか、そういう相当の財源が要るということ。それへもってきて、ただいま主計官の方からお話しがございましたように、わが方は少額貯蓄の優遇制度というのが日本国民全体に定着しておる。それにプラスアルファをして財形貯蓄の優遇政策が展開されている。こういうことになれば、私はこれを踏まえながらいま御指摘の線が後退しないように持っていく。こういうやり方が日本的な財形貯蓄制度の進め方ではないか、このようにも思うわけでございますけれども、せっかくの御提言でございますし、ひとつ十二分に受けとめて検討させていただきたい、このように思います。
  128. 森井忠良

    ○森井委員 誤解があってはいけませんから、ちょっと申し上げておくのですが、西ドイツプレミアムとは違うのです。いま税制上の問題だけ。ですから税額控除がいま唯一の特典になっている感じでありますから、そこで税金を払わない人は、では全然特典がないじゃないか、こういう形になるから、いまそういう意味で一種のプレミアムだと申し上げたわけです。いま財政事情もわかるから一足飛びに、そこまでいけとは申し上げませんけれども、趣旨がわかっていただければ強力に御検討いただきたい、こういうふうにお願いしておきます。  そこで時間も余りなくなりましたから、ちょっと聞いておきたいわけでありますが、財政基金で受け取る方の加入者については一時所得の扱いをされるということになりました。問題は基金を運用して利潤が出てまいりますね。その場合の運用収益というのは、普通の法人税のように税金をかけられたら大変でありますが、私としては特別法人税、税率一%ですか、それは当然適用されてしかるべきだ。結果は結局、勤労者が少しでもたくさん配分にあずかるようにという趣旨ですから、大蔵省、これはどうなんですか。
  129. 矢澤富太郎

    ○矢澤説明員 委員、御指摘のとおり、運用益については法人税は課税いたしませんが、たまり課税ということで特別法人税の一%を課税することといたしております。
  130. 森井忠良

    ○森井委員 時間がないから次へ進みます。  次は財形持ち家融資制度、これについてお聞きをしたいわけでありますが、いままでは、先ほど来の質問者がしばしば指摘をしておられましたように、とにかく四十八年の九月に開始をして以来、五十二年十二月末現在で件数にしてたったの八百七件、戸数にして三千八百八十四戸、かかった資金も三百億弱ということで、制度として成功しているとは私は申し上げかねる。先ほど、わが党の安島委員からも指摘がありましたように制度のややこしさもあった。しかし現実の問題として、これが進んでいなかったことだけは間違いない。しかも今度の制度の改善でも、たとえば貸付金額が貯蓄残高の三倍になる等、改善の跡が見られます。忘れておりましたが、改正点でいい点もずいぶんありまして、公務員への融資の問題とか、あるいは子弟の教育資金の新設であるとか評価をするところは率直にしておりますので、誤解のないようにしていただきたいのですが、問題は、このままで持ち家制度と財形がうまく結びついていってくれるかどうか、ここだろうと思うのです。特にことしは不況ですから、したがって、とにかく景気回復の一つのエースとして住宅建設というのは挙がっているわけです。ところが、私が非常に心配をするのは、いま申し上げたように、財形制度もそうですけれども、他の制度も合わせて一体、家が建つ状態なのかどうなのか。先ほど企業の余力があれば賃金で払えと私申し上げましたけれども、実際問題としていま春闘が始まっておりますけれども勤労者がこれから積極的に家を建てるだけの意欲が出るかどうかという問題が私はあると思うのです。  まず建設省にお伺いをしたいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、景気回復の一つのエースとして住宅建設というのは期待をされておるわけでありますけれども、どういうわけか個人住宅の方はふえていますが、公営住宅、公団住宅というのは五十三年度予算ではむしろ減っているんですね。     〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば公営住宅は八万五千戸、五十二年度はあったものが、今度は七万五千戸に一万戸も落ちていますね。公団住宅の場合も六万戸が四万戸になっている。これは一体どういうわけですか。
  131. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 五十三年度につきましては、御指摘のように公営住宅、これは改良住宅を含んでわれわれ計算をしておりますが、改良を含む公営で九万二千が八万三千戸、それから公団が六万が四万というふうに減少しております。これは主として大都市地域におきます用地の取得難、それから関連公共公益施設の整備のための地方公共団体の財政負担が非常に膨大になる、それから開発につきましての周辺の地元公共団体あるいは住民の方との調整が非常に難航するというふうな現象が、このごろ強くなってきておりまして、このために従来とも、いわば傾向的に建てにくくなってきておりまして、公団は三大都市圏でございまして、公営も建っておるわけでございますけれども、主として大都市圏で、そういう問題が起こっておるということで、今年度はやむを得ず実施可能な額に戸数を落としているという実情でございます。
  132. 森井忠良

    ○森井委員 そうしますと、いわゆる公営住宅に余り期待がかけられない。そうすると、やはり住宅建設は民間の建設、これは借家等それから持ち家も両方あるでしょうけれどもかなり膨大な計画をお立てでありますけれども、住宅金融公庫に限って御質問を申し上げますと、ことしは、五十二年度が三十八万七千戸であったものが五十五万戸にふえていますね。これはあなたの方の要求から見ると、かなり多いんだろうと思うのです。特に個人向けについて言えば、二十四万四千戸から四十万戸、これは建設省の要求より多いんですね。私ども聞いている範囲では、予算の要求のときには二十六万八千戸、二十七万戸弱くらいしか、あなた方は住宅建設の要求をしていらっしゃらなかった。ところがあけてびっくり、要求した額より大きいというのがこの住宅予算になっているわけです。これは具体的にできる見通しですか。
  133. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 住宅金融公庫につきましては、国民の皆さんの御要望が非常に強うございまして、昨年度は御指摘のように当初二十四万四千戸の個人住宅ということで出発をいたしました。十月の補正といいますか、景気対策で財投追加をしていただきまして、実際には三十三万四千という数字になりました。そういう需要の状況が非常に強うございました。  ところで、私どもは本年度要求につきましては、御指摘のように二十六万数千戸要求いたしておりました。これは従来どおりの抽せんによる選考ということを前提にいたしましてはじいた要求の数字でございまして、ところがそういう非常に強い御要望があり、かつ景気対策上も、そういう抽せん制で御要望に応じられない方が生ずるということはむしろ避けるべきだというふうな各方面の強い御意見もございまして、それでは抽せんなしという感じではじきますと年間どのぐらいでしょうかということを私ども試算をいたしましたところ、大体四十万戸あれば、そういう御需要が全部満たされるのではあるまいかというふうに考えましたので、十分消化可能な数字として提案を改めさしていただいたという経緯でございます。したがいまして、消化につきましては、そのほかに貸付条件の改善その他行っておりますので、十分消化可能であるというふうに考えております。
  134. 森井忠良

    ○森井委員 今度は、まあ今度だけじゃないわけですけれども、財形財蓄をしますね。そして雇用促進事業団からお金を借りる。同時に住宅金融公庫も融資をする。こういうかっこうになっているわけでしょう。その辺の連携はうまくいっていますか。たとえば受け入れ金融機関等は、どちらをどうするというところまで含めて、ちょっとお知らせを願いたい。
  135. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 従来とも雇用促進事業団の方でお貸しになります場合に、直接に事業主に分譲住宅についてお貸しになる場合も、それから今度始まりましたいわゆる転貸融資につきましても、これは窓口は住宅金融公庫を通していただいておりまして、したがいまして、住宅金融公庫が転貸を受けられない方について行います直貸しは当然でございますが、それらはいずれも全国の住宅金融公庫の窓口でございます。約八千店舗ございますが銀行その他の窓口で扱うというふうに連携をとってやっておるところでございます。
  136. 森井忠良

    ○森井委員 抵当権の設定とか、これは財形の場合も財形貯蓄の三倍融資をするとすれば当然抵当権の設定をしなければならない。これは住宅金融公庫も同じだと思う。そういう場合に、もし払えなくなった場合等の処理は両者協議をするわけですか。それが一つ。  時間の関係で、もう一つ申し上げますと、火災保険等へ入らせますね、家屋が災害に遭ったとき困るということで。これはもう当然のことだと思うわけですけれども、これらあたりも、両方とも食い違いがありませんか。雇用促進事業団の方も、それから住宅金融公庫の方も、うまく呼吸が合っているかどうか。
  137. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 実はその貸し付けの具体的なやり方ないし回収債権保全の具体的なやり方につきましては、私どもは金融公庫を監督はいたしておりますが、実際にいわゆるそういう実務上の細かい手続につきましては実は私ども詳細に存じておりませんので、必要がありましたら後日調査してお答えいたしますが、その辺のところはそごがないように協議をしてやるようにということは指導いたしております。
  138. 森井忠良

    ○森井委員 それから公定歩合が今度また下げられましたね、〇・七五%。恐らく連動して、雇用促進事業団の方の金利も住宅金融公庫の金利も下げられなければならないと思うわけでありますけれども、どの程度考えていますか。
  139. 森英良

    森説明員 公定歩合の引き下げに伴いまして、いろいろな金利調整問題というのが起こるであろうというふうに考えておりますが、まだ具体的には大蔵省の方からも御相談を受けておりませんので、これからの問題であろうかと思っております。私ども労働省側の気持ちといたしましては、何らかの引き下げがありますように、そういう方向努力したいと考えております。
  140. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 金融公庫の財形分でございましょうか、それとも住宅金融公庫の本来の融資……。
  141. 森井忠良

    ○森井委員 どちらも答えてくれていい。
  142. 鴨沢康夫

    ○鴨沢説明員 財形融資の金利につきましては、ただいま森部長からお答えがあったとおり、いわば同じ種類の貸し付けでございますから、これについては森部長のお答えになったところと歩調を合わせて今後考えるということになると思います。  それから、住宅金融公庫の貸し付けにつきましては、貸し付けております原資が財投の融資を受けておりますので、公定歩合は下がりましたけれども、財投の原資の金利が幾らになるかということが明らかになりませんと、私どもとしましては、一般会計からの利子補給分との関係もございますので、財投の金利の動向を見て前向きに取り組んでまいりたいと考えておりますが、現在は具体案は持ち合わせておりません。
  143. 森井忠良

    ○森井委員 これは大蔵省に聞いても、ちょっと無理ですね。——答えてもらえますか。
  144. 窪田弘

    ○窪田説明員 いま建設省からお話がございましたが、一連の長期金利の引き下げの問題でございまして、ただいま理財局及び銀行局で検討中と聞いております。
  145. 森井忠良

    ○森井委員 いずれにしましても、賃金福祉部長さんから答弁がありましたように、公定歩合が下がったから当然また下げるというふうに理解していいですか、見通し、そこまでは言えるでしょう。
  146. 窪田弘

    ○窪田説明員 引き下げる方向にあることは間違いございません。ただ、個々の政策金利については、いろいろ具体的な問題がありますので、それぞれ検討されることになると思います。
  147. 森井忠良

    ○森井委員 最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、お聞きのように、一般会計の負担というのが、この制度全般について非常に少ないのです。雇用促進事業団の金というのは、御承知のとおり労働保険特別会計で事業主負担分から出されておりまして、言うなれば国は人のふんどしで相撲をとっておるかっこうになっておるわけです。一般会計の費用はいまごく一部しか出ていません。しかし、この制度の発展を考えますと、ある程度、国が負担をすべきである、こういうことになろうかと思うわけであります。それが一つであります。  それから制度全般につきましても、もっと充実をしてもらいたい点がまだたくさんございます。これも先ほど申し上げました。それらを含めて、この制度を発展させるための大臣の御決意のほどを承って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  148. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 財形貯蓄並びに持ち家を中心にした住宅取得のための財形貯蓄制度というのは、着実に逐次前進をさせなければならない。その場合に国がこれに援助する仕方についても、私は十分とは思っておりません。年を追うて、これが財政の許す範囲において応援をしてもらうように労働大臣としても努力をいたしたい、このように思っております。
  149. 木野晴夫

    木野委員長 次に、草川昭三君。
  150. 草川昭三

    ○草川委員 草川でございますが、まず最初日本の財形のモデルになっております西ドイツの財形政策との比較について御質問を申し上げたいわけでございますが、その前に、きょうもいろいろと御論議があったと思うのですけれども、財形というのは、昭和四十七年に発足いたしまして、現在七百三十九万人の勤労者方々が契約をし、六十一万の事業所、貯金残高も一兆七千九百六十七億円というような大変な伸び率を示しているというように聞くわけであります。しかし一方、いわゆる第二財形と言われるような給付金の受益者の方は十八万人、非常に少ないわけでございますし、実施企業も全国で五千三百八十六社ですか、預金に比べますと非常に数が少ないということを指摘せざるを得ぬと思うのです。このような点は、先輩の国であります西ドイツあたりは、単なる預金だけの財形ではなくて、このバランスが非常に安定をしておるように聞いておるわけであります。また日本の場合、勤労者の持ち家というのは切なる希望があるわけでありますし、四十七年に発足したときにも、労働者自身が財形によって自分の住宅が持てるという意味での夢というのですか希望が非常に強かったのではないかと思うのですけれども、これも昭和四十八年から開始されまして、貸出件数というのはまだ非常に少ない。二百九十八億程度ではないかと言われておるわけでございまして、預金の伸び率と並行していない。そういう根本的な原因、資金の有効利用という面なんかでは、結局日本金融機関だけが喜んで、期待をする労働者にとっての本当の意味でのメリットがないじゃないかという点があるわけですが、これをドイツの生い立ちと比べて御見解を賜りたいと思うわけでございます。
  151. 森英良

    森説明員 先生御指摘のように、日本財形制度ドイツ財形制度の発想、理念といったものを一応取り入れまして、ドイツの例を参考にしながら、しかし日本の事情に即しまして、これまで次第に制度を拡充してまいったわけでございます。  西ドイツ財形制度日本財形制度を比べました場合に一番大きく違いますのは、ドイツの場合は、勤労行財産形成促進法によりまして、事業主労働協約等に基づきまして、勤労者通常賃金とは別に財産形成に有効な財産形成給付というものを支給する。それに対しまして、これは六百二十四マルクまでの限度があるのでございますが、その支給額の三割ないし四割の貯蓄付加金を国が支給するというふうになっているのに対しまして、日本の場合は、始まりました当時、財形貯蓄制度基本でございまして、勤労者が自分の賃金から事業者の天引きで貯蓄するものにつきまして、一般のマル優その他の恩典とは別に五百万までの元本につきまして一種の非課税措置を加えるというところから出発したという点が一番大きな違いであろうかと思うわけでございます。しかし、わが国の制度におきましても、勤労者が自分の賃金から自主的に貯蓄をする、これはもちろん必要なことであり結構なことなのでありますが、それだけでは財形政策という場合の内容に乏しいわけでございまして、そこで事業主が、そういう勤労者に対しまして実質的な援助をする、そういう制度を設け、普及を図るべきであるということで、前回の改正で財形給付金制度というものを設けたわけでございます。  また、わが国の場合ドイツかなり違っておりますのは、勤労者財形貯蓄残高勤労者に還元しようという発想で、財形住宅融資というものが発足当時からございまして、財形貯蓄を原資としまして、若干の国の援助を加えまして、住宅を取得したい貯蓄者のために融資を行う。これはドイツにはございません制度でございます。  ところが、財形貯蓄は非常に順調に伸びてまいっておりますが、それに比しまして給付金制度あるいは持ち家制度が、どうも所期のような伸びを示さないという点は先生御指摘のとおりでございまして、私どもも一番残念に思っている点でございます。そこで今回の改正におきましては、その間の隘路、制度的な不備をできるだけ改善しまして、事業主の援助あるいは財形融資による還元がもっと進むようにしたいということを中心的なねらいに改正作業を行ったわけでございます。
  152. 草川昭三

    ○草川委員 いま、西ドイツの方は給付金で、上限はあるけれども三〇なり四〇%に近い支援を国がするというお話がございましたが、財形の趣旨というのは、国が具体的に持ち出しをして、勤労者財産形成に寄与するというところが本来の目的だと私は思うのです。日本人的な発想からいきますと、この財産形成という言葉自身が現場で働く勤労者方々に余りぴったりしない印象で、いわゆるヨーロッパのドイツ的な輸入のにおいがどうも強い。しかも、いいところだけどんどん取り入れてくれればいいのですけれども、非常におっかなびっくりの形で小出しに小出しにと労働省は打ち出してきているような気がしてなりません。また事実、経過はそうだと思うのです。そして、大きく育てるというようなことだと思いますけれども、本当に大きく育てるには、やはり抜本的な姿勢が必要ではないかというふうに私は思うわけです。  それで、そもそもスタートからドイツなんかでは、いわゆる会社の重役なんかを除いて、官吏だとかいわゆる公務員、これはずいぶん論議になったと思うのですけれども、それから軍人ですね。日本で言うならば自衛隊の方々なんかも当然大きく包含をして、これは国民的な合意になっておるわけです。ところが、まだまだこの財形というものは、日本勤労者の間でも、そういう制度があるということについて知らない人もいるし、かなり民間の大企業でも、手続が煩わしい、これは後で細かく触れていくつもりでございますけれども、非常にめんどうな手続で難解だというようなことがございまして、一般的な意味でのなじみが薄い問題があると私は思うのです。そういうことを基本的に直していきませんと、日本における財形の拡大発展ということは望みが薄いと私は思うわけであります。  そこで、ちょっとまた総括的な意味で御質問をしたいわけですが、財形貯蓄のいまの実施内容で、何%ぐらいが信託に預託をされておるのか、それから証券会社にどの程度か、それから労働金庫にどの程度になっておるのかということを、まず質問させていただきたいわけですが、これはすぐ出ますか。出るのならちょっと。
  153. 森英良

    森説明員 現在の財形貯蓄残高金融機関別といいますよりも金融機関の種類別でございますが、シェアを申し上げますと、一番シェアの高いのが信託銀行でございまして三六・一%、証券会社が二一・三%、それから都市銀行も最近伸びが著しうございまして一六・九%、労働金庫が八・八%でございます。地方銀行が五・七、郵便局は一・一、生命保険会社〇・六、その他一〇・三、こういうふうなシェアに、これは五十二年の十二月末でございますが、なっておるわけでございます。
  154. 草川昭三

    ○草川委員 いまの御説明のように信託が非常に多いわけですが、一般的に言って、この財形貯蓄について信託だとか証券会社に偏るのは、どういう理由から偏るわけでございますか。
  155. 森英良

    森説明員 財形貯蓄の対象になります貯蓄商品、これはほとんど大部分の貯蓄が対象になっているわけでございますが、その中で財形貯蓄は何と申しましても、ある期間長期に継続的に行う貯蓄であるという条件がございまして、そういう条件のもとで考えますと、やはり信託銀行関係の金銭信託あるいは貸付信託でありますとか、あるいは証券会社の公社債投信というようなものが本来、長期貯蓄商品でございますので、利回りが非常に高いということが、やはりほかの商品に比べまして、これまで受けておりまして、これまでにもそういう商品を選んだ勤労者が多いということが言えるかと思います。しかしながら、最近は都市銀行ども財形貯蓄をやります企業あるいは勤労者に対しまして、融資その他の面でのいろいろなサービスということを売り物にいたしまして仕事を伸ばしておりまして、そういう関係貯蓄もふえてきておるという状況でございます。
  156. 草川昭三

    ○草川委員 労働者方々が主たる銀行として取引するのは御存じのとおり労働金庫でございますが、労働金庫の占める率というのは八・八ですか、非常に大きな金額の中で少ない。もちろん労働組合がある従業員ばかりが、この財形貯蓄をやっておるわけではございませんから、あれですが、これはまた後ほど触れておきたいと思うのですが、いわゆる預け入れる銀行の指定の問題では、どうしても自分たちが勤めておる企業の取引の関係が強くなると私は思うのです。預託をするところの勤労者方々の発言というのが総体的に低いために、まあ運用利益が多いという経済的なメリットもあると思うのですけれども、たとえば同じ信託なら信託でも、どうしてもそれは取引の関係の信託になる。なぜこういうことを私が言うかといいますと、極端なことを言いますと、自分の子供が何々信託へ行っておるとか、何々証券へ行っておるという例があるわけですね。そうすると家族そろって自分のところの何々拡大運動に協力したい、お父さん、どうせ財形貯蓄をやるんなら子供のところへしてもらいたいという声があったとしても、その労働者にとって選択権がないわけですね。私は、そういう意味では、まあ事務が少し複雑になると言えば言えぬことはないわけですけれども労働者の指定するものがあってもいいような気がするのですが、その点はどうお考えですか。
  157. 森英良

    森説明員 財形貯蓄につきましては、先生御案内のように契約の要件としまして、事業主勤労者賃金から控除いたしまして、そして金融機関に預入の代行をするということを条件にいたしております。これによりまして特別の五百万の利子非課税枠も実現しているわけでございますが、そういうことで財形貯蓄を行いますためには勤労者金融機関との間の財形貯蓄契約のほかに、労使間でまず賃金控除に関する協定が必要でございますし、それから払い込み代行に関する取り決めも必要である。さらに、事業主金融機関との間の払い込み代行に関する契約も必要であるということで、三者間のそれぞれの契約のセットができまして初めて財形貯蓄が実現するわけでございます。  勤労者の立場から申しますと、おっしゃるとおり勤労者の希望に従いまして希望どおりの金融機関財形貯蓄を行うことができることが最も望ましいわけでございまして、私ども方向としてはそれが一番結構であるというふうに考えておるわけでございますが、これまた御質問の中にも御指摘がございましたように、やはりそれぞれの事業主の事務処理上の能力の限界というものがございますものですから、たくさんの勤労者が要求する金融機関全部を網羅的に取り扱い機関にして、それぞれに預入額を預けるということは、これまた非常に期待のむずかしい点もございますので、要は、やはり労使間でそれぞれの立場からよく御相談いただきまして、できるだけ、それぞれに満足のいくような選択が行われますことを私どもとしては期待しておりますし、そういう方向で指導してまいりたいというふうに考えます。
  158. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、西ドイツとの比較について、いま御説明があったわけでございますが、少し内容に立ち入って私の方からも御質問したいわけです。  ドイツの場合には、自社株を取得するための支出ということについて財形の中に入っておるわけですね。私は、自社株を従業員なり勤労者がとるというのは労使関係にとっても非常に重要な役割りを果たすことになると思うのです。日本の場合も、労働省の以前からの原案の中には自社株についても何かアイデアがあったように聞くわけです。これは間違っておるかもわかりませんけれども、どこかでそういうようなアイデアもなくなったように聞くわけですが、これはいろいろな労働運動という面も一つあるでしょうし、あるいは社会政策的な面も一つあるでしょうが、自社株を取得する場合に、西ドイツのような六年間据え置きで五百マルクまでは市場価格を下回る価格で売買というのですか、何か譲渡ができるというようなことがあるようでございますが、こういうような制度について労働省として今後どのように取り組まれるのか、意見を出していただきたいと思います。
  159. 森英良

    森説明員 先生御指摘のとおり、西ドイツにおきましては公称資本金法という法律がかねてからございまして、事業主勤労者に自社株を市価よりも安い価格で譲渡しました場合に、受け取った勤労者は六年間据え置くことを条件に、たしか六百マルクでございましたか、そのくらいまでの債券につきましては非課税措置にするというような制度がございまして、そのほか自社株の取得ということを、ある程度財形制度の中で評価して取り込んでおります。  この点につきまして、わが国でどうすべきかということは私ども、かねてからいろいろ研究しておる点でございまして、自社株と申しますか、株式という資産を今後の財形政策の中で、どのように取り込むかということは、やはり重要な検討課題であるというふうには認識しておるわけでございます。これまでにも政府内部の問題でございますが、何度か、そういう制度をある限度で取り込もうかというような企図を持ったこともあるわけでございますが、しかし、わが国の場合、株式につきましては、なおいろいろと各方面からの御議論がございまして、ある面では非常に有利な資産でございますが、同時に特有のリスクもあるということで、特に勤労者がこれを持つようなことを政府の施策として推奨します場合に、どういう影響が出るかというような問題、あるいは株式それ自体が、どうも利回りを追求するというよりも株価をねらうというような状態で市場取引されておるようなこともございまして、これまでのところ、まだこれを財形政策に正式に取り込むというところまでの結論は政府としてはついていないという状況でございます。
  160. 草川昭三

    ○草川委員 私がなぜ、そういう質問をしたかといいますと、終始一貫して流れておりますのは、日本の場合は住宅より還元ということで、今度、結婚資金ですか、ああいうものが出たわけですけれども、非常にメリットが少ないわけですね。ところが、ドイツの場合は自分の会社の持ち株というような非常に興味のある問題があるというので、勤労者自身が下からの、いわゆる職場で働いておる労働者的な立場からも財形というものに非常に強い関心を持ちながら参加をするというものが出てくる。それが究極的に労使関係の安定につながっていくわけですね。日本の場合はどちらかというと、労働省方々ドイツへ行って、これは非常におもしろいじゃないか、ひとつわが国へ輸入をしようじゃないかというんで、どうしても上から財形という網をかけてくる。財形というのは一体何なんだろうというと、いや預金をすればマル優よりは二百万円ほど余分に税金がかかりませんよ、あるいは預金をすれば会社からも金が借りられるし銀行からも金が借りられますよ、あるいは労働者の場合は住宅生協があって勤住協があって、そこからも家が買えますよ、こういう形でくるわけですよね。ですから、どうしてもなじみ方が、上からの押しつけになって、下からの参加意欲というものがどうしても少ない。  だから私は、いま言いましたように一つは、基本的に欠けておるのはインフレヘッジの問題だと思うのですよね。預金をしておっても、ドイツに比べると、国が金を出してくれる、ところが日本は国が直接くれない。中小企業の場合に企業に対する第二財形の負担割合が出るにすぎない。直接その労働者に対するヘッジというのはない。だから、そういうことをいずれは抜本的に考えていきませんと、基本的な財形の成功ということにはならぬのではないだろうかというふうに私は思うわけであります。特に税額控除という問題が勤労者側の方からも、これは統一要求として税額控除だとか割り増し金制度の創設を西ドイツにならって年間貯蓄額の二〇%、ただし、これは十万円を限度だ。あるいは家族数だとか所得額における追加給付というのが、かなり審議会の中でも労働側から意見反映がしてあったと思うのですけれども、その点について今回これができていないのは私は非常に残念なことだと思うのです。しかし、それは意見でございますから別に答弁は要りませんけれども、私は、将来またさらに第三次、第四次と財形をひとつ改善をしていただかなければいかぬわけですが、ぜひ、そういう抜本的なことを受け入れていただきたいと思うわけです。  そこで、今度はひとつ資産の保有の面で、もし資料がなければいいですけれども、いま日本労働者勤労者の自己の持ち家だとか借り入れだとか公営住宅に入っておるような割合の資料はあるのですか。そういう資料は、後でいいですが、いま調べておけば、また後の参考になりますので……。ございますか。
  161. 森英良

    森説明員 手元には、日本勤労者の持ち家比率が約五八・二%である、あとは給付住宅あるいは貸し家に入っているわけでございますが、一応そういう数字が出ております。なお、その点につきましては、もう少し細かい資料があるはずでございますので、後ほどまたお答え申し上げたいと思います。
  162. 草川昭三

    ○草川委員 では、その次にちょっと住宅金融公庫の方に御質問をしたいわけでございます。  住宅金融公庫そのものも、もちろん基本的には住宅建設ということに大きな役割りを果たしておみえになるわけでございますが、財形住宅について住宅金融公庫は、昨年の六月からことしの二月まで、財形住宅の受け付け状況をまとめると非常に数が少ない。そして融資希望も非常にわずかだというようなことを聞いておるわけでござますが、もし、その点の具体的な事情がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
  163. 高橋明

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  いまお話がございましたように、住宅金融公庫では財形の直接融資のために、昨年の六月一日から本年の二月二十八日まで一万五千戸の計画枠で募集をいたしましたが、残念ながら、まだこの財形融資の趣旨の徹底が十分でなかったこととか、あるいは住宅を建てるには、どうもまだ財形住宅資金借り入れのために必要な、いわば貯蓄額が僅少に過ぎるために、わざわざ財形住宅融資を仰ぐには少な過ぎるということなどが原因かと思われますが、そういうことで本年一年かかって、いま申し上げました期間で募集をいたしましたが、四百四十一戸応募がございました。一件当たり大体三百万円でございますから、いま申し上げましたように三百万円ぐらいの融資が受けられるような貯蓄額にならないとお申し込みがないのではないか、こういう気がいたしております。
  164. 草川昭三

    ○草川委員 御存じのとおり、私どもがもし住宅を建設したいという場合には、住宅金融公庫からの一般的な融資、あるいは今度、年金福祉事業団の転貸融資というのがあるわけであります。これは厚生年金の方の。そして転貨融資がもしだめな場合には直接融資を受けることができる。この直接融資も住宅金融公庫と併用して利用することができる、こういうようになっていくわけでございます。また、この財形を利用する場合も、通常貸し付けと併用して住宅金融公庫の併用貸し付けを受けることになるのですが、その併用貸し付けの枠はパーセントで言うとどの程度の幅があるわけですか。ほとんどの方が併用の受け付けをされるんじゃないですか。
  165. 高橋明

    ○高橋説明員 いま申し上げました四百四十一戸の財形直接融資を受けられた方で住宅金融公庫の本来の、本来といいますか、通常の貸付分と併用、いわばあわせ貸しを受けられた方は七四%でございます。ですから、大部分の方が住宅金融公庫本来の融資とあわせて財形融資を受けられたというふうに考えてよろしいかと思います。
  166. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、この住宅融資の一元化ということは、まず公庫にも聞きたいわけですし、労働省の方にも聞きたいわけですが、労働省は当然あほなことを言っているなという答弁になると思うのですけれども、利用者側から言うと、とにかく簡単に、そしてわかりやすく借りたいというのがぼくは前提だと思うんですよ。まず、これはだれが何と言ったってあたりまえだと思うのです。  ところが現実に、いま言いましたように、あるときには個別の企業で頭金なんかを貸してくれる、また個別のものもありますし、親戚から借りてくるという場合もあるでしょうし、いろいろなものがあるのですが、住宅を建てたいという場合に、庶民からいうと住宅金融公庫というのは一番なじみがあるわけですね。これは当選するか落選するか厳しいということも、まず一つあります。最近では野党の方の統一要求なんかで、公共投資なり景気刺激のために住宅金融公庫の貸し出しというのは非常に豊かにしてもらいたいという要望も出ておるぐらいに、住宅というものは住宅金融公庫というものに集中するわけです。  同時に、また逆に厚生年金、国民年金という年金福祉事業団からも融資をしてもらいたい。特に転貸融資と直接融資というのが昭和四十八年度から実施をされておるのですが、これも正直言ってまだ余りPRというのですか、知られていないんですね。非常に薄いわけです。これも借りに行きますと、いや常時受け付けではないよとか、いや県に行きなさいとか市町村に行きなさいとか、やれ事業団に行きなさいとか窓口がばらばらになって、最後に住宅金融公庫へ行けとか、いろいろなめんどうなこともあるわけです。率直なことを申し上げて、この資金の面からいって利用者を混乱させる原因があるのじゃないだろうかというふうに思うわけでございまして、住宅金融公庫のPR不足というのも一つあるんですね。住宅金融公庫の方にも、財形があるんですよということが不足しておると私は思うのですけれども、もしうまくこの資金の組み方を考えますと、若い人でもかなり早く大胆に住宅を建設することができるわけですよ。  財形というものを利用する、公庫というものを利用する、福祉事業団を利用する、いろいろなことを組み合わせをするセンターが、それではどこにあるかというと、企業の労務課に行って聞いても、労務課長さんも、いや実は、こちらはめんどうなんでとか、いや、うちは財形をやってないんでとか、やれあそこに行けばどうだとか、せっかくのいい条件が利用されずに若い人の夢を砕くような場合もあります。よほど本でも買って真剣に勉強しませんと、この組み方がむずかしいわけですよ。だから住宅金融公庫なら住宅金融公庫がある程度イニシアをとってもいいから、家の建て方の教え方、しかも窓口は、ここにいらっしゃるとある程度、私の方で代理店をやってあげますよというくらいのことを考えるべきじゃないだろうかと思うのです。これは後のことにもいくのですけれども、とにかくむずかしいのです。  これは私、意見になりますけれども、ある人に聞いたら、日本で三つのむずかしい法律があるんだそうですね。一番、二番、三番の、その三番目に、この財形というのは入るんだそうですね。そういうのが、ある法律屋さんのお話であったので、よほど頭のいい人がつくった法律だと思うのですけれども、ともかく庶民に利用されぬ法律というのは、私は余りいいことじゃないと思うのです。そこらでひとつ住宅金融公庫を通じて融資の窓口は全部集中するようなことが考えられるのかどうか。一回公庫の方にお伺いしたいと思います。
  167. 高橋明

    ○高橋説明員 ただいまの御指摘は大変ごもっともな点があるとも思いますけれども、一応私どもといたしましては、財形関係の融資業務はすべて雇用促進事業団から受託をさせていただいておりまして、いわば住宅金融公庫で一本の窓口で取り扱わさせていただいておると考えます。ただ、いま御指摘のように、直接融資のほかに転貸融資、それから分譲住宅融資というような種別がございますから、借り入れられる方の立場から見ますと、いろいろあるように誤解されがちですけれども、はっきり考えますと非常に簡単でございまして、住宅金融公庫から直接財形融資を受けたい方は、いわばわれわれの通常の融資と同じ窓口に来ていただければ当然お教えをするわけです。住宅金融公庫は、たとえば木造住宅で東京地区では五百万円、五分五厘でお貸ししますが、その五百万円ではとうてい家が建ちません。したがって、その余の分については、もし財形貯蓄がおありであれば二倍、来年からは三倍というようなことで、七百万円、八百万円のいわば一戸建て木造住宅を建てるのに必要な資金は十分それで整うかと思うわけです。もしそうでなくて、自分で家をお建てになるのではなくて分譲住宅をお買いになりたいというような場合は、自分の勤めておる企業に対して、分譲住宅をやってくれているかどうかということもお聞きになればいいし、あるいは場合によっては勤労者住宅協会が分譲住宅をつくって売り出しておりますから、その分譲住宅を買いたいという場合に、そこへ行かれれば勤住協の分譲住宅の場合には、やはりこれと公庫融資とがあわせて借りられますよという宣伝も勤住協でやっておられます。それから転貸融資の場合でも、転貸融資制度を設けておられるならば、会社に対して、そういう制度があるかどうかお聞きになればいいわけですので、どうも複雑なようで実は基本的な考え方というのは非常に簡単であります。細かい手続はちょっと問題ですけれども、一度覚えられればすぐ御理解いただけるのじゃないかと考えます。
  168. 草川昭三

    ○草川委員 一度覚えれば簡単だと言うのですが、住宅なんというのは一生に一度の話ですから、一生に一度の話で、建ててから、ああいう制度もあったなんという話を聞く例が多いわけですよ。だから私も申し上げたわけですし、ぜひ労働省にも考えていただきたい。大体労働者の手ごろな住宅というのは千五百万から二千万程度だと思うのですよね。そうしますと、財形も三百万とか一口に言いますけれども、三百万積むにも結構長いのです。五百万と言えば、いま退職金だって民間の場合には勤続三十年ぐらいで五百万ぐらいが関の山でしょう。ですから三百万ぐらいでひとつ預金をしたら、今度の場合は三倍に引き上げてもらったわけだけれども、これは大体もっと五倍くらい、これは労働組合の要求も五倍だと思っていますけれども、五倍くらい借りられるようにし、そして、いま公庫なら公庫のものだとか、それから厚生年金の還元、こういうもので早くできますよというような、ひとつ財形は財形で宣伝をし、公庫は公庫で宣伝をし、日本勤労者方々の持ち家というものを優先するように、こういうようにひとつ方向をつくっていただかないと、この財形というものが下から盛り上がってこないですよということを言いたいし、連携をしてやっていただきたい、こう思うわけであります。それだけちょっと御要望だけ申し上げて、住宅金融公庫の方これで結構でございます。御心労さまでございました。  次に行きます。今度は、いま労働組合なんかがある方々は地域で住宅生協というのがあり、勤住協というものを通じて事業団からお金を借りてやることができて、比較的まあまああるわけです。ところが、零細企業ですね。町の本当に中小の零細企業の人たちは一体どういうルートでこの財形の持ち家分譲がやられていくのか、あるいは財形融資はどのように行われていくのか、お聞きしたいと思います。
  169. 森英良

    森説明員 財形融資は、分譲融資のものが四十八年から始まりまして、また本年度から個人融資が始まっているわけでございますが、これまで、この融資を利用しましたのは圧倒的に中小企業でございまして、大企業はほとんど利用していないという状況でございます。そうは言いながら、一口に中小企業と申しましても、比較的大きいところは、あるいは事業主自身がこういう制度に取り組むこともできるでありましょうけれども、もっと小さいところになりますと、御指摘のようになかなか単独の企業では処理はむずかしいという点が難点でございます。  その点で最近出てまいりましたのが、いわゆる財形融資を受けて持ち家分譲を行う事業協同組合という方式でございまして、これがすでに相当数設立されまして、現に融資を受けて分譲をやっておるわけでございます。そういう事業協同組合方式が伸びたということもございまして、財形融資が比較的零細な企業にも及んでおります。これまで三百人以上の企業では八十一戸、約四億円という実績でございますが、三百人以下の中小企業では三千戸、二百四十一億円、さらにそのほか勤住協が九百戸ございますが、そういうことで主としては、この事業協同組合方式を通じまして中小企業における、中でも特に零細企業における分譲が進んでおるという実態にあるわけでございます。
  170. 草川昭三

    ○草川委員 いまおっしゃられたような事業協同組合がかなりできておるわけですが、実際上、適切にその協同組合方式というのが運営をされておるのかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
  171. 森英良

    森説明員 事業協同組合と申しますのは、これは御承知のように通産省等の所管に係る中小企業等協同組合法に基づく認可法人でございまして、これが雇用促進事業団から分譲融資を受けて組合員である中小企業事業主雇用される勤労者のために分譲する、そういうことを目的に掲げて最近、専門の事業協同組合が設立されつつあるということでございますが、この協同組合に対する貸し付けは四十九年度に始まりまして、五十三年一月末現在までに千九百二十三戸、決定額が百七十億円ということで、中小企業に対する融資の過半をこの方式でこなしておるという状況になっているわけでございます。  問題は、財形融資は事業主または事業主団体が融資を受ける主体になって行われるわけでございますが、事業主につきましては、先ほど申し上げましたように小零細企業の場合に単独ではとても処理できないという問題がございます。そこで、事業主団体というものが当初から融資を受ける客体に予定されておったわけでございますが、これまた既成のそういう団体はいずれも他の目的で設立されております。したがって、その構成員である企業におきまして必ずしも全部が財形貯蓄を実施しておるわけではございませんし、したがってまた財形融資を受けられる状況にもないということで、法的にも少なくとも二分の一以上が財形貯蓄制度を導入している企業であることを要求しているわけでございますが、その要求もなかなか満たし得ないという状況がございます。  そこで、やはりそういう小零細企業のためには、現に財形貯蓄を実施しておりまして、したがって財形融資を受けることができるような事業が集まりまして、そして財形融資を受けて住宅を分譲することを主たる目的に新しい組合をつくるのでなければ、事業主団体としても、なかなか財形融資を受けての事業がむずかしいという点がございますので、私どもはこの方式が、財形融資を通じまして真にその制度のねらいどおり、小零細企業も含めまして中小企業に分譲制度を普及させる決め手であると考えておりまして、そういう意味で、この方式による融資が健全に発展しますことを心から願ってまいったわけでございます。  ところが、昨年の十月でございましたか、首都圏財形住宅協同組合というのがございますが、これにつきまして若干の水増し融資があったという事件が国会でも取り上げられまして、この点につきましては私どもも寝耳に水でございましたが、大急ぎでその改善策をとりまして、現在はきわめて健全に運営されるに至っております。ところがさらに昨年の十二月に、これは近畿圏の財形福祉協同組合というのがございますが、ここでも例の水増し融資の問題が起こりまして、またしても不祥事が二度も起こったわけでございまして、その点で、この協同組合方式が必ずしも完全に円滑に運営されているとはどうも言えない状況でございまして、これらの点につきましては今後さらに十分検討いたしまして、真に健全な発展が見られますように私ども努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  172. 草川昭三

    ○草川委員 いま前段でおっしゃられた零細企業方々に対する考え方は私も賛成なんです。だから、何らかの形で零細企業方々のめんどうを見ないと不平等であるという立場は私も持っておるわけです。ただし現実の運営で事故が出ておるというのは、私はそれなりの理由があると思うのです。それを少し解明をしていく必要があると思うのです。そういう点で中小企業庁の方からもお見えになっておられると思うのですが、中小企業庁の方としては住宅に関するこのような事業協同組合の許可に当たっては特別な配慮をしてみえるのかどうか。あるいはまた、このような事故が出ておるわけですけれども、今後このような協同組合の申請なんかがあった場合に特別な配慮をされるのかどうか、お伺いしたいと思うのです。
  173. 松田岩夫

    ○松田説明員 私ども中小企業庁といたしましても、中小企業方々がその従業員の方に持ち家住宅を促進するということで協同組合を活用されることにつきましては、まことに喜ばしい、むしろ促進すべきことだと考えておりますが、実際の組合の認可に当たりましては、特にこの財形事業を行っているからとかいうようなことでの特別のものは別にございませんで、中小企業等協同組合法に基づきまして設立の趣旨なりが法令に違反しないかどうか、あるいは事業の継続が可能かどうかといった一般的な認可基準になってございます。したがいまして、特に協同組合で行われます事業の種類ごとに特別にこの認可基準を設けてどうこうというかっこうには、いまの協同組合法はなっておりません。先生御指摘のように、この財形事業を行っております組合において、まことに残念なと申しますか不都合なことが起こっておりますことにつきまして、私ども中小企業庁、あるいは実際に御認可をしていただいておりますのは、一つの都道府県を超えます組合でございますと国の地方支分部局、一県内の組合でございますと各都道府県に、実際の権限は委任してございますが、いずれにいたしましても、今日まで認可した組合の中に、そういった業務が必ずしも適正でなかったというものがございます点につきましては遺憾とし、先般の国会でも御質疑をいただき、私ども各担当部局に注意をいたしておるところでございますが、何分、事業の中身がいわゆる一般の事業協同組合がこれまで行っておりました事業と若干違うところがございますので、私どもといたしましても労働省並びに雇用促進事業団等との密接な連絡をとりつつ、さらに指導を強化していかなければならないと考えておるところでございます。
  174. 草川昭三

    ○草川委員 今後も、こういう事故があったからといって、新しく生まれたものをまた変な形で抑え込むのも問題があると思いますし、またこれから私、意見を言いますけれども、ひとつよろしくそういう点での指導をお願い申し上げたい、こういうように思います。  では、続きまして雇用促進事業団の方にお伺いをしたいわけです。いまの話の延長線上の話になるわけでございますが、事業団の役割りというのが、財形を取り扱うことがいいか悪いかというような意見もあるようでございますけれども、私はせっかくある雇用促進事業団というものが、特にいまの零細の場合、全体的な意味で、これを包含するような形を考えていくという意見を一つ持っておるわけですが、余り時間がございませんので、この事業協同組合に対するいまの財形融資の貸し付け状況が大体どの程度になっておるのか。あるいは全国各県にこの事業協同組合なんかが一つ一つあるのか。あるいは一県にぼっとあって、ある県には全然ないのかというようなことを、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  175. 上原誠之輔

    ○上原参考人 事業協同組合に対します貸し付け、財形融資の実績でございますが、全体といたしまして現在、貸し付け内定の実績は三百四億二千六百万円でございます。このうち事業協同組合、これは先ほど労働省から御答弁がございましたように、昭和四十九年から事業協同組合に対する貸し付けを実施してまいっておるわけでございますが、現在設立されておりますのが二十二組合でございまして、これに対します貸し付けの実績は、全体で百七十億七千万円という金額になっております。  それから、この組合の状況でございますが、先生御指摘のように一県一組合というのもございますし、あるいは一府県で二、三組合が所在するというようなものもございます。また府県によりましては全然組合がないというようなところもございまして、種々さまざまな形態をとっております。
  176. 草川昭三

    ○草川委員 いま問題になりましたその事業協同組合というのは、ぼくは、協同組合ですから労働省なり事業団が余り介入するということも問題があると思うのだけれども、さりとて、ほっておくからこういうことになると思うのです。しかも零細な人たちですから手続もわからない。片一方は労働組合だ、住宅生協だ、勤住協だというようなばっちりした組織があるから、どんどんPRもできる。しかも五・五ですか、金利が安い。ところが、こちらの方は三%という手数料の範囲内に限られておる。だから、この水増しというような事件が起きてくる、こういう問題があるわけですね。だから私は、この三%の手数料というものを逆にある程度もう少し枠を広げるということも考えるべきじゃないだろうか。枠を広げる以上は事業団が、たとえば各地域の中小企業関係の団体があると私は思うのですね、あるいは経営者協会でもいいと思うのですが、そういうところへ連絡をして、あなたのところで、もう少しオフィシャルな形の協同組合づくりをしたらどうかというような一種の指導をしたらどうなんだろうか、こう思うのです。いまの場合は下手をすると極端な言葉で言うと建て売りマンション屋の人が協同組合をつくって事業団に金を借りに来るというようなことも、悪く言うとなきにしもあらずだと思うのです。そうではなくて、やはりこれは正式な中小企業団体に協力を呼びかけて、零細企業方々に、こういうような組織があるのだから、どうぞあなたたちも自主的につくったらどうだというような働きかけをしながら協同組合をつくらせる。そして一つの県に一つでもいいし、あるいは大きく二つか三つの県で、零細企業方々に分譲する財形をそこで進める。私は、それを事業団が一般的な事業活動としてやられたらどうだろうかというような積極的な提案があるのです。その点について御見解があれば聞かせていただきたいと思います。
  177. 上原誠之輔

    ○上原参考人 ただいまの御意見、まことにごもっともな御意見だと思うのでございます。先ほど中小企業庁の方からお答えがございましたように、協同組合は、何よりもやはり中小企業事業主の自発的な発意に基づきましてできました協同組合でございます。大小さまざまな形態がございますが、それぞれ特殊ないきさつ、あるいは特殊な事情に基づいて、そういう形態になっておろうかと思います。私どもといたしましては、そういう自主的な組織に対しまして、どこまで介入ができるのか。介入するのがいいのか悪いのか、その辺いろいろ検討を要する問題があろうかと思います。少なくとも私ども財形融資を貸し付ける立場からいたしますと、先生おっしゃいますように協同組合の規模はできるだけ大きくて、しかも財政的な基盤が確立されるということが望ましいわけでございます。そういう点からいたしますと、私どもの立場からすれば、統合されていく、大きなものになっていくということが望ましいと思いますけれども先ほど申し上げましたような協同組合の一つの精神がございますので、これとの関係につきましてどう調整していぐか、これは関係御当局とも十分御相談しながら考えていきたい、検討していきたいと思います。
  178. 草川昭三

    ○草川委員 最後に一つ、事業団として今後建て売り住宅、分譲ですね、まあマンションのようなものでもいいし、あるいは一軒の個別住宅でもいいですが、そういうものを計画されるお考えがあるかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  179. 上原誠之輔

    ○上原参考人 これは制度上の問題でございますから、私どもの方でお答えすべきものかどうかちょっと……。
  180. 草川昭三

    ○草川委員 それでは労働省の方で何かそういうお考えがありますか、将来は。
  181. 森英良

    森説明員 白紙で考えれば、そういうことも一つ方法かと思うのでございますけれども、これはまた事業団の仕事の範囲についてのいろいろな制約等がございまして、現在のところ、そういう企図は持っておりません。
  182. 草川昭三

    ○草川委員 時間が来たようでございますから最後に、たくさんの要望があるので、実はこのたくさんの要望を私一々お伺いをして申し上げればいいのですが、時間がございませんので……。  実は各企業経営者に私、当たってまいりました。それからまた、そこの労働者方々に当たってまいりますと、これはもう、ほかの方からも出たかもわかりませんけれども、実は財形で、たとえば五十五歳以上で退職をする場合に利子の非課税措置の継続をしておいてくれ。これはやめた場合に、たとえば住宅の方ですけれども、建てられないと追徴が出てくるというような場合もある。これなんかは当然、定年過ぎた人の場合は、そのまま預金をしてもいいのではないだろうか。あるいは海外転勤者だとか、企業合併のときには、もうどうにもならぬというのですね。たとえば、いま減量経営でスピンアウト、企業からおっぽり出すと言うと言葉は悪いですが出向させる。出向先にはまず財形はないわけですね。という場合に、では過去の財形をそのまま持ち込んで新しく財形をつくるかというと、それはいまの制度からできないわけです。それも一たんゼロになってしまう。だから今日的に減量経営等の問題になってまいりますと非常になじまない点がたくさんあるというのもございます。  あるいは、細かい点になりますけれども、ローンだとか保証保険なんというのを信託会社なんかはどうしても要請をして、向こうの方から保証保険なんかに入ってくれということになりますと、大体二十年年賦で五百万ぐらい借りる場合でも十万円ぐらいの保険料になってしまう。あるいは木造建築の場合で火災保険だとか生命保険も入ってくれというようなことになりますと、やはりこれも十万円規模のものになってくる。手続なんかも抵当権の一物件なんかでも五万円になりまして、二十五、六万から三十万近い金がそれにプラスになる。だから財形なんかをせっかく利用するならば、ひとつ、このような点なんかの便宜というんですか、余裕なんかも図ってもらいたいというようなことだとか、とにかく手続が非常に繁雑であって費用がかかり過ぎる。あるいは抵当権設定の場合でも、現行の政府機関以外は常に第一位を主張し合う。他の金融機関との併用がむずかしいとか借入金利が非常に高いとか、あるいは解約の手数料が千円に対して二十円で荷いとか、預金の方の利率も低いじゃないかとか、かなり預かる企業側も入れる方もめんどうだというような不満が強いように思います。  あるいは、私がかねがね皆さん方に申し上げておりますように、いまの事業協同組合の場合でも、従業員がだれに保証を求めるかというと、事業主に保証を求めなければいかぬ。その協同組合で保証するということになりますと、他人の会社の従業員の保証の判をつかなければいかぬ。住宅金融公庫へ行けば、お父さんだとか兄弟だとかという親戚の保証でうちが建つんだけれども、財形でいうと使用者側の保証が必要になる。零細企業の場合は特に使用者側がそれをきらうというような例もございます。いろいろと言えば切りがないのですけれども、私が改めて労働省にお願い申し上げたいのは、とにかく、せっかくここまで来たわけですから、やはりこれは大きく育てていかなければいけませんし、借りやすい条件にするために、いま私が長々と申し上げましたようないろいろな具体的な例を十分参考にして、ひとつわかりやすい、借りやすい、しかも親しみやすい財形になるよう強く要望して私の質問を終わりたい、こういうように思います。
  183. 木野晴夫

    木野委員長 次に、西田八郎君。
  184. 西田八郎

    ○西田(八)委員 財産形成制度というものが導入されてから大方七、八年経過しておるわけですが、全体的に貯蓄性向が高まっておるといわれていながら、この制度が余り広がっていないのは一体その辺の隘路がどこにあるのか。それをどのように分析されておられるか。ひとつお伺いしたいと思います。
  185. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 財形貯蓄の面に限って見てみますと、制度発足出初から数年でございますけれども、勤労君にいたしまして七百万を超えますし、財形貯蓄残高が一兆六千億ということでございますから、私どもは一応順調に伸びてきているのではないかというふうに思っております。ただ、消費者物価の問題あるいは金利の問題等がいろいろありまして、今後はなかなかそう簡単に伸びるかどうかという懸念は持っているわけでございます。
  186. 西田八郎

    ○西田(八)委員 いまの七百三十九万人ということは、雇用労働者数を三千七百万と計算しますと、約五分の一ですよね。それを順調に伸びてきたという見方自体に問題があるのではないかと思うのです。財産形成と言う限りにおいて、いまは勤労者全体にアンケートをとるならば、欲しいものは何かと言えば持ち家という答えが返ってくるだろう。そういう意味で、主として財産形成の中心になるのは住宅融資ということになるだろうと思うのですが、そうでない財産というものもあるのではないだろうかというふうに思うわけですね。特に繊維産業や家電産業のように若年層に労働者が片寄っている場合、家だとかそんな大きな話をしたって話にならないと思います。こういう人たちには、やはりそれなりに、お嫁に行くときの支度であるとか、あるいは弟や妹の教育資金だとか、そういうものに重点が置かれるし、また親が住宅を建てる場合の何がしかの手助けをしたいというような気持ちも多くの若年労働者が持っているのではないか。そういう人たちがこれを利用しようとする場合に、きわめてなじみにくい制度になっているように思うのですが、その辺に対する配慮をなされたことがあるかどうか。
  187. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 今度、財形制度の改善を考えました場合に、いまお話しのように、住宅問題はやはり勤労者の一番希望の高い財産だと思います。次いで、若い方のお話がございますように、結婚の問題とか教育の問題ということがございます。そういったことで、私ども案を練るときにいろいろ考えてみたわけでございます。  今回、教育関係の融資が芽を出すことになるわけでございますけれども、結婚の問題については公的制度としてなじむのかどうかという基本的な議論が政府部内にございまして、まだコンセンサスを得ておりませんけれども、そういった問題は私ども労働省としては基本的に重要な課題ではないかというふうに考えております。  それから私どもは、こういった財形というのはあくまでも労使関係の場でとらえて、そして育てていきたいということでございますので、やはり、あくまでも事業主を通じていろいろの措置をやっていきたい。しかし、まあ住宅問題等については事業主を通ずることができないような場合もございますので、直貸しを考えるというようなことで相補完しながら財形貯蓄の還元的な制度を幅広く、多様に持っていきたい、こういうふうに考えております。
  188. 西田八郎

    ○西田(八)委員 私は、そうした運用をもっと適切に行うことによって、この財形制度そのものが労働者の中に普遍的に定着して、さらにもっと大きなものになる。その資金量というか基金量がふえればふえるほど、やはりそれの生ずる果実も大きいわけですから、そういうところから必然的に事業もまた拡大できるというふうになると思うのです。ところが、いまの場合に、先ほど草川委員からも質問が出ておったようでありますが、労働金庫との関係を一体どういうふうに結びつけていこうとされておるのか。たとえば、いま労働金庫等におきましては、どこの金庫におきましても友愛貯金というのをやっていますね。これは月掛けのものもあれば、一時金もらったときに一時的に集めるものもありますが、比較的いま月掛けで定期的に預金しているのが、かなりあるのではないかと思うのです。そういうものとの結びつきを考えていけば、給付をする方は大変なことになるかもわかりませんが、その制度そのものを定着させるという意味では、私は有効に作用するのではないかと思うのですけれども、そうした面をお考えになったことがあるのかどうか。
  189. 森英良

    森説明員 財形貯蓄の取り扱い金融機関の中には当然、労働金庫が入っておりまして、これはやはり特に企業につきましては相当の影響力を持っておりますので、なかなか御健闘になっておりまして、ほかの金融機関ども労金強しという印象で見ているようでございます。しかしながら、その限度を超えまして、ほかの金融機関の中にたまっておるお金を、さらに労働金庫の方に回して何か事業とか、そういうお話になってきますと、これはやはり財形貯蓄も、それぞれの金融機関が、自分のコストと営業努力を加えまして獲得しておりますので、なかなか、そこまでの合意を得ることはむずかしい面があるのではなかろうかと思っておるのでございますが、ただ労働金庫を含めまして、財形貯蓄にお取り組みになって、さらに国が行っております財形融資による還元とは別に、それぞれ金融機関の立場で、企業あるいはその従業員にいろいろとサービスを還元するということは、これは貯金を集めるためにもやっていらっしゃるところでございまして、それもやはり財形制度そのものじゃございませんけれども財形制度ができたことによる一つのメリットではないかというふうには評価しておりまして、そういう仕事がもっと進むようには、われわれとしてもいろいろと考えてまいりたいというふうに考えております。
  190. 西田八郎

    ○西田(八)委員 結局、この制度が普及していかない大きな根本的な原因の中には、財形貯蓄契約をした勤労者のみが対象になっておるわけですね。ですから、それはいわゆる特別に何か目的を持った人でなければやらないということですよね。それから一般的な勤労者の可処分所得の中から、それを貯金をしていこうという人に対して、それを吸収するというようなことは考えられていないんじゃないですか。だから、そういうことを考えてやるとするならば、もう少し労働組合、労働金庫、事業主等との間でうまく話し合いをすれば、私は多少、労働省の目的としたところとは違う方向へ進むかもわからないけれども、少なくとも労働者の金銭上の財産形成という意味においては非常に大きな効果をあらわすのではないかというふうに思うのですね。たとえば、千円なら千円ずつ毎月労働金庫に積み立てる。これは労働金庫育成のために各組合決議してやっておるわけですよ。それも、労働金庫でどういう名前をつけるかは別として財形貯蓄契約というふうにみなせば、それでできることではないかというふうに思うのですね。それが積み立てられて、必要とする人が融資を受けるとか、あるいは給付金をもらって使うとか、いろいろな方法考えられるのじゃないかと思うのですが、そういうところまで、まだ広げるというわけにいかないのですか、どうですか。
  191. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 財形貯蓄の仕組みが、いま事業主賃金からの天引き、それから預入について事業者が代行するというたてまえをとっておるわけでございますね。そのこと自体について、もう少し弾力的に扱えというような御主張だと思いますけれども、私ども財形貯蓄自体はわりあいに順調に伸びているのではないかと思っております。その辺、財形制度基本に触れる点でもございますので、特に私どもは労使関係の場で、この財形制度を伸ばしたい、それがひいては労使関係の安定ということにも、きわめて基本的な問題とつながっておりますので、せっかくの御提言でございますが、検討はいたしますけれども、そういう基本の問題に触れますので、しばらく時間をおかしいただきたい、こう思います。
  192. 西田八郎

    ○西田(八)委員 私は、もちろん基本的な問題に触れるから、ここで質問をしておるわけで、要するにいままで考えてこられたものは、勤労者貯蓄というものを利用しながら事業主に対して、この制度をもって勤労者の物でか金でかは別として財産の形成、それを助成していこう。そういうことによって、ここにも目的とされているように企業に対する定着性を高めつつ勤労者の働く意欲をよくし、さらに生活環境もよくしていこう、そういうことに利していこうというのが目的であると思うので、しかも、それが現行の制度でいくと、主として住宅というものに重点が置かれた物の考え方になっておる。今度初めてでしょう、教育制度というところへ足を踏み入れられたのは。しかし、そういうこと以外に、もっと多くの勤労者が、しかも長い間、日本雇用関係というのは通年雇用というか永続的な生涯雇用という形をとられておるわけですよね。しかし、そうでなしに短期に、短期と言っても、それは二カ月とか三カ月というのではなしに、四年ないし五年くらいで交代をしていきながら、その中にやはり一定の財産というか持ちたいという人がおるわけですよ。そういう人への配慮というものが欠けている。しかも、むしろそういう人の方が貯蓄性向としては非常に高いものを持っているという、こういう現実というものを見逃しておるのではないかというふうに思うわけで、だから、そういう方向へさらに、制度の運用上になるのか、あるいは根本的にもう少し物を考え直すか、必要な時期に入ってきておるのじゃないかというふうに思うのですけれども、ぜひひとつ、それは検討してもらいたいと思う。だから、いまのような方法で、いまいろいろな優遇措置もつけられておりますが、それはそれとして、そうしたこととはまた別の形で、この問題に取り組まないと出てこないかもわかりませんから、そういうようなことをぜひともひとつ考えてもらいたい。  そこで、いまこういう世の中で貯蓄契約制度はいろいろあるわけですが、新しく財形基金制度というものを設けられる根本的な理由はどこにあるのか。その理由を聞かせていただけませんか。
  193. 森英良

    森説明員 財形制度政策基本的な理念と申しますのは、勤労者の資産形成というものが若干立ちおくれぎみである。またこれを少してこ入れすれば、もっと進むのではないかという前提に立ちまして、勤労者自身がもちろん、そのために努力するわけでございますが、その努力を国及び事業主ができるだけ援助をいたしまして、これを促進していこうということでございます。  そこで、最初の財形法制定のときから財形貯蓄制度というものがございまして、これは勤労者が自分の賃金の中から、自分の所得の中から自主的に貯蓄をしていくという努力制度化したものでございますが、やはり、それだけでは財形制度の本来の趣旨からいいまして不十分でございますので、それに対する事業主の援助という意味で、五十年の改正の際に財形給付金制度というものを新たにつくらせていただいたわけでございます。その後、施行に入りましたが、どうも施行状況、いろいろな状況の影響もございまして必ずしも芳しくない。しかし、先ほど申し上げましたような財形政策の理念から申しますと、やはりこの辺を伸ばすことが将来の基本線であろう。特にドイツ財形制度もそういう点が重点になっておりますので、そういうことも参考にしながら、この点に重点を置くほかはないというふうに考えるわけですが、それで今回の制度改正におきましては、この給付金制度そのものにつきましても、これに対する助成金の支給対象を、これまで百人以下の企業にしか認めておりませんでしたが、新たに三百人以下の中小企業全体に助成金の支給を及ぼすとかいうような制度改善を考えております。  もう一つは、これまでの給付金制度の施行実績から見ますと、ほとんど大部分が、その助成金の支給の関係もありますけれども、百人以下の企業で占められておりまして、それ以上の規模の企業の取り組みがほとんど見られないという状況があるわけでございます。これにつきましても、いろいろ原因は考えられますが、一つは、この給付金制度というものが非常に手続が簡単であり、かつ、ある意味では硬直的でございまして工夫の余地がない。したがって、手続が簡便だという点において小零細企業にはかえって有利であるというメリットもございますが、中堅以上の企業に同じような事業主の援助制度をつくるといたしますと、少し食い足りない面があるのではなかろうか。そこで主としては、そういう中堅以上の企業にも同じような援助をやってほしい。それに向いた制度を給付金制度のバリエーションとして考えたらどうかということが今度の基金制度の御提案の趣旨でございまして、従来の給付金制度は簡単に申しますと信託と生命保険しかないわけでございますが、基金制度というものをつくることによりまして、それ以外の都銀、地銀、長期信用銀行あるいは証券会社、さらに労働金庫も含めまして、非常に広範な各種の金融機関が全部この取り扱いを行うことができる。と申しますことは、同時に財形基金による資産運用における商品の範囲も非常に広がりまして、そこに基金としてある程度、創意工夫をこらす余地も出てくる。それをまた背景にいたしまして、給付金の場合は、もう契約をいたしますと、あとは金を払い込んで何年後に勤労者は受け取るだけでございますが、基金につきましては、そのボードに事業主勤労者の代表とを対等の形で参加させることによりまして、受益者たる労働者の側も、その基金による資産の運用について大幅な発言権を持って常時これに参画していくことができる。この辺が中堅以上の企業にも取り組みやすい点ではなかろうかということで、そういう制度の御提案をしているわけでございます。給付金制度と両々相まちまして今後、事業主援助という財形政策基本を伸ばしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  194. 西田八郎

    ○西田(八)委員 そういう趣旨でつくられるにしても、現在ある制度がまだ十分普及してない中で、また改めて、そういうものをつくるということは、屋上屋というか、何か組織の中に組織をつくるような形で、かえってややこしくなりはしないか。第一、先ほども草川委員が言っておられたのですが、これはなじまないのは手続上のめんどうさが非常に大きな原因になっておると思うのですね。  そこへ事業主には、いわゆる給付金に該当する拠出金というのがありますね。十万円を限度として七年間、そうすると七十万円です。毎年十万円財形貯蓄をしている人が七年後にそれをもらうということになりますと、現在賃上げの攻防戦が七%か八%かと言われているときに、大体これは五%ぐらいに該当するのじゃないのですか、賃金に逆算すれば。年間総収入二百万円とすれば、ちょうど十万円で五%ですよ。それだけの金を特定の人に出す。まあ、それは貯蓄契約をしているからということであるけれども、出すということになれば、これはもうやはり勤労者の中でもそういう問題が起こってきやしませんか。そんなよけいなことをするなということになりはしませんか。それよりも、われらの賃金、それを割り返して、たとえ一%でも上げろということになりはしないか。これはそういう心配も起こってくると思うのですね。  いままで高度成長期で二けた台の賃上げがどんどん進んでいるときはいいですよ。ところが賃上げが一けたにどんどん抑えられてくる。去年なんか、ひどいところになると賃上げなしというところもあるわけですよ。そういうところに果たしてこういうことをやって、なじめるかどうか。私、非常に問題が大きいと思う。それも政府がその金を出しましょうというなら話は別ですよ。事業主ゆえに、それを持ちなさい、こういうことになってくるから事業主にしてみれば、まして中小零細企業のところで五人しか雇ってないところに一人の人間が、その人間だけ財形貯蓄をやっていた。だから七年が来たら七十万円そいつにやるんだ。そんなことが果たして実際の問題としてできるかどうか。そういう問題があると思うのですが、そういうことを本当に細かく検討されておるのかどうか。
  195. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 賃金をどういうふうに労使でお話し合いいただくかということは自主的なことでございますから、私どもがとやかく言うべきことではないと思います。しかし私どもは、こういった景気が悪いときこそ福祉政策というのは進めていかなければならない。しかも財形政策というものは長期的な観点に立って、やはり将来の勤労者の生きがいのある、働きがいのある社会をつくっていきたいという非常に崇高な理念のもとに、この問題を取り組もうといたしておるわけでございます。  それから少し現実に返って申し上げますと、長い目で見ました場合には賃金をどういうふうに配分するかというのは労使の具体的な御相談の話になると思いますけれども、相場とまた違って、その企業が非常に利潤が高いといった場合に出しにくいという面もあると思います。そういった場合に、どういうふうに福祉政策をやるかといった場合に、一つの仕組みがあるということは、きわめて有効な機能を果たすこともあるのではないか。いずれにいたしましても私どもといたしましては長期的な観点から、景気が悪いとかいう現実的な観点だけではなくて、そういった観点から、この問題を取り組んでおるようなわけでございます。
  196. 西田八郎

    ○西田(八)委員 それはきわめてレアケースのことを言われるわけで、それは賃金をよけい上げるというのは、よそさんにかっこう悪いから少し抑えておいて、そのかわりにこっちで、というような企業は、いまでももう本当に少ない、限られた業種の、限られた企業ということになると思うのですよ。大方の企業はいま不況で、どこでも青息吐息ですね。だから、そういうときに、こういう形。しかも、これが課税対象額から控除されるという、いわゆる非課税となっているところに魅力があるわけだけれども、いま企業で税金を払っているのはどれだけありますか。ほとんど税金を払わずに済ましておるところが、これのメリットというものはないのですよ、そういう面から見た場合。  だから、そういう形ではなしに、もっと国策として、その貸し付ける金利を低くするとか、あるいはその土地取得に金がかかるならば、それに対して、もっと別な形で援助するとか、何らかの形で勤労者福祉を守るということにしないと、企業におんぶして企業にそれをやらせようというのは、私はもう日本企業労働者福利厚生関係というのは、企業福祉というのは限界に来ているように思いますよ。そうでなくてさえ、どんどんと人員が削減される中に、かつて華やかなりしころに千軒近くの社宅を持っていたところは、いま半数あいている。このあいた社宅をどうするかということの方が企業は頭が痛い問題でなかろうか。しかも、それに対する管理費用が食うために、労働組合も賃上げ交渉のときに常に問題になってくるのは、そういう問題が出てくるわけですよ。そういう中で、さらにこんなことをやって負担を加重するということになれば私は問題があるように思う。  そこで聞きたいのですが、それでは、この財産形成制度の中で一体どれだけ、その制度一般会計から金が出ているかということです。雇用事業団の出資金にしたって、いわゆる労働保険関係から十億円出ているだけでしょう。五億、五億と二回出ている。あと、この主な費用というものは、ほとんど労働保険特別会計でこれが見られておる。事業団の交付金もそういうところで見られておるわけですよ。では国は、それに対してどう取り組んでおるかということになると、ただ制度をつくっているだけにすぎないのであって、私はもっとそういう面は国の一般会計の中から投入するというなら話はわかるわけです。しかし、助成金にしたって、あるいは割り増しにしたって、この予算から見れば、事務経費というものは確かに一般会計から見られておるけれども、それ以外の事業の金というものは、ほとんど労働保険特別会計から出されておるわけですよ。こういう形で本当にいいのかどうかということを根本的に考えなければならぬ時期に来ておると思う。  私が中央職業安定委員をしているときにも、その当時は失業保険といいましたが、失業保険の金は一般会計からほとんど出てこない。しかも、その金を使って住宅を建てたり訓練校を建てたりしておったので、そんなばかな話があるか、国の施策でやらぬかというので、当時の基準局長と大分やったことがある。ですから、この制度自体も確かに進歩ではあると思う。しかし、そういう中で一体本当に国がどこまで腰を入れてやるのか、どれだけ金を出すのかということになってくると、国の金はほとんど出てこない。ほとんど労働保険会計、これは労使双方で折半して積み立てている金。労災保険は使用者だけですけれども……。そういう点からいけば、もっと国の金が出てしかるべきではないか。労働大臣どうお考えになるか。これからどうするか、ひとつ。
  197. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 現在の日本経済の進むべき方向が、いわゆる従来の高度経済成長から安定成長に、いかにしてスムーズに軌道修正をするかという模索と苦悩の現状をいま続けておるわけでございまして、そういう認識の上に、いままで政策として取り入れた財形貯蓄という制度あるいはまた住宅貯蓄制度そのものを、一偏原点に返って見直すべきではないか、こういったお考えに対しては、私も十分お気持ちは理解できるのであります。  ただ、現在とっておる財形に対して、今度改正をする御提案を申し上げておりますけれども、このこと自体は、一応やらしていただいていいではないか。いろいろ工夫しておる。しかもいままでは貯蓄ウエートを置いて、せっかく貯蓄したものを還元融資するという工夫が足らなかった。こういう面においてもいろいろ工夫をしておるわけでございますから、私は、これはこれとしてひとつ御検討いただきたいと思うのでありますけれども、同時に御提言をされました本質的な問題は、私もしかと受けとめて検討さしていただきたい、このように思います。
  198. 西田八郎

    ○西田(八)委員 もう余り時間ないのですが、二つばかり、かためて質問をするので、お答えいただきたいのです。  制度を設立するときに、労働者の過半数で組織する労働組合の場合はその労働組合、ない場合には従業員の過半数を代表する者ということになっておりますね。そうすると労働組合が三つにも四つにも分かれておる場合ですね。二つに分かれているところはざらにありますが、分かれているから入らないという人もいるわけです。労働組合に所属しない人もいる。いずれも労働者の過半数をとらない労働組合がある場合、これは一体どういうふうに扱われるのか、その点ひとつ質問をしておきたい。それを先に答えてもらおう。
  199. 森英良

    森説明員 余り多い例ではないと思いますけれども、おっしゃるとおり一つの事業所に三つも四つも組合があることもございます。この場合、どれか従業員の過半数世代表する組合があれば、その組合と使用者側との協定に基づいて始まりますし、もしも、どの組合も全部過半数を制しないという場合には、従業員の過半数を代表する者という方でやっていくということに考えております。
  200. 西田八郎

    ○西田(八)委員 私はこのことも、きょう論議をしようとは思わないけれども、判例等によりますと、たとえ少数であれ労働組合を結成した場合には、少数の労働組合とも交渉しなければならないという判例が出ておりますね。それを拒否した場合には不当労働行為に該当するという判例もあるわけです。そうなると過半数でないからといって片一方に話をかけないというわけにいかない。したがって、これは運用上の問題になるかもしれぬが、また労働省の指導上、非常にむずかしい問題になってくると思うが、十分留意してほしいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、割り増し金と税率のことについて、これはずいぶん古いものですけれども財産形成審議会の方から出されておる中に、割り増し金の支給さらには非課税限度額の引き上げが出ております。だんだん引き上がってはきておりますけれども、特に継続してやられる場合はいいのですが、せっかくした貯金を所期の目的とは別に引きおろしてしまったという場合には、追徴金を取られるという制度がありますね。そういうものに対する税金というのは少し酷じゃないかと思うのですが、将来それは大蔵と折衝して改善する意思があるのかどうか。その辺だけ聞かしていただきたい。
  201. 桑原敬一

    ○桑原政府委員 非課税限度額は御承知のように財形では五百万、その他一般国民のもので三百万とかいうのがございまして、勤労者のいまの貯蓄の実勢からいいますと、現行の非課税限度額はまだ十分枠がある、こういうふうに考えております。その時点に応じて十分税務当局とも相談してまいりたいと思います。  なお、後のやめた場合に追徴があるというお話、恐らく財形住宅貯蓄のものたと思いますけれども、最高一〇%あるいは短期の場合八%という非常に高率の税額控除でございますから、それなりにやむを得ない事情があるのではないかと思います。ただ、金額その他もだんだん時勢によって変わってまいりますから、そういう点は私どもも十分見直しながら税務当局と検討してまいりたいと思います。
  202. 西田八郎

    ○西田(八)委員 せっかくの制度ですから、本当に勤労者財産形成をする場合に一般よりももっと有利であるという、そこにやはりメリットを求めるわけですから、そういうところに焦点を合わせた制度前進させてもらいたいと思うのです。私はこの制度に反対するわけじゃないし、いいことだと思うけれども、どうも少し偏り過ぎているし、勤労者全体に対して何かなじめないものがあるので、これはもっとなじむような方法というものをひとつ具体的にお考えいただいて、さらに制度の発展するような方法考えてもらいたいということを申し上げておいて、質問を終わります。(拍手)
  203. 木野晴夫

    木野委員長 この際、午後六時まで休憩いたします。     午後五時八分休憩      ————◇—————     午後六時開議
  204. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  勤労者財産形成促進法の一部を改正する法律案について質疑を続けます。田中美智子君。
  205. 田中美智子

    ○田中(美)委員 まず、財形持ち家分譲融資制度について質問いたします。  労働省に聞いたところによりますと、事業主団体つまり協同組合への融資が五六%と過半数であるので、協同組合のあり方について主に質問したいと思います。  御存じのように近畿圏財住協で詐取事件が起きている。新聞報道によりますと、大阪地検の特捜部は同事件を頂門の一針と指摘して、他の財住協でも同様の手口が横行していることを示唆していると報道しています。大臣、御存じだと思います。そこで、他の財住協でも同様の手口が横行しているというわけですので、近畿圏の財住協に匹敵する大きなものとして首都圏財住協、これをめぐっての質問をしたいと思います。  持ち家分譲制度は、財形貯蓄を行っている勤労者が家が欲しいという希望をして、その希望がまず先にあって、これを受けて事業主または協同組合が融資を受けて家を建て、分譲する制度だ、これでよろしいですね。
  206. 森英良

    森説明員 そのとおりでございます。
  207. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうしますと、協同組合は事業主を組合員として募ることはあっても、分譲希望者個人を直接に募るということはあり得ないわけですね。
  208. 森英良

    森説明員 協同組合は事業主の団体でございますので、当然その構成員になりますのは事業主でございまして、したがって事業主の加入を促進するというのがたてまえでございまして、その限りでは直接に勤労者を勧誘するということは本来あるはずはないものでございます。
  209. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうしますと、いま事業主を加入させるというたてまえであるから本来、勤労者を直接募集するということはあり得ないというふうに言われました。それで、この二、三日来、労働省と、それから雇用促進事業団から、いろいろ資料を出していただきました。これをずっと私調べてみたわけですけれども、まず川崎市にあります元木マンション、これは三十六戸入るのですね。これを調べてみますと、まず、いま入居した名簿と、それから組合員の名簿、それから完成時に入居の予定名簿、この三つをいただいているわけです。  これを見ますと、融資を受けるときに、これは組合の名簿ですけれども、この組合員が、自分のうちの勤労者が家を建てたいというので三十六戸分の融資を申請したわけですね。今度は家ができていよいよ入ってみたら、その中でわずか二社ですね。三社、五名しか入っていないわけです。ですから初めから希望者があって、その人に家が分譲されるはずなのに、最初の組合員の二社しか家に入っていないということが、これで明らかになったというふうに思います。  それから、この資料で、もう一つ見ますと、結局三十一戸というのは、融資申請時に組合に加入していなかった事業主勤労者が入居しているということになりますね。そこらまでは共通の認識でしょうか。
  210. 上原誠之輔

    ○上原参考人 具体的な分譲の問題でございますから、財形融資を担当いたしております事業団の立場でお答えをいたしたいと思います。  一般論といたしまして先生御指摘のように、協同組合の持ち家分譲というものは組合に所属いたします勤労者の持ち家分譲に対する需要というものを見ながら計画を立てていく、こういうたてまえになっております。しかし、これは建設当時におきましては、あくまでも予約と申しますか、はっきりした決定をいたしておりません。(田中(美)委員「私の質問に答えていただきたいと思います、そもそも論は結構ですから。」と呼ぶ)
  211. 木野晴夫

    木野委員長 ちょっと待ってください。発言を求めてください。  発言を続けてください。
  212. 上原誠之輔

    ○上原参考人 一般原則を申し上げてお答えをしたいと思うのですが、したがいまして、建設の過程が進みますと、最初予約を申し込んでおった者も途中で予約を取り消すとか、あるいは当初予定していなかった有資格者が分譲を希望する、こういう事態がございますので、最初予約した者が必ず全部入るということはないわけでございます。
  213. 田中美智子

    ○田中(美)委員 最初から申し上げておきますけれども一般論を話しているのではなくて、いま元木マンションについては、そうであったねということを言っているわけですので、できる限りイエス、ノーで答えていただきたいというふうに思うわけです。一般論はお互いにわかっているわけです。  ここでは結局、組合員がこれだけいるにもかかわらず二社しか入っていなかった。三十一名というものは事業主が入っていない勤労者が、これに実際に入居したということですね。そうしますと、もう一ついただきました名簿ですね。この入居名簿というのをいただいています。これは、いよいよ家が完成したときに大体分譲予定者というものの名簿を金融機関に出しているわけです。この名簿が、今度は二十名しかいないわけです。そうしますと家ができたときにも二十名しか決まっていないということは、完成したときに十六名というものが入居が決定していなかったということですね。そうすると、この十六名というのをどうやって入れたかということです。ということは、いまおっしゃったように、非常にこれは誤差が大きいですけれどもキャンセルがある。そのキャンセルがあったときに、先ほどお答えになったように個人を募集するのではなく事業主ですから、新しい事業主を探してきて組合に入れて、そしてその事業主の従業員で財形に入っている人を、このキャンセルのところに入れるということでよろしいのですか。そういうふうにしてきているわけですか。
  214. 上原誠之輔

    ○上原参考人 そのように考えております。
  215. 田中美智子

    ○田中(美)委員 もう一つお伺いしますけれども、財形に入ってない場合、財形に入ってない人というのは分譲予約はできるのですか。
  216. 上原誠之輔

    ○上原参考人 財形貯蓄をしていない者でございましても、財形貯蓄をして一定の資格ができれば申し込みができるわけでございます。
  217. 田中美智子

    ○田中(美)委員 ですから、財形に入っていない人は分譲予約はできない。入ってからでないとできないということですね。
  218. 上原誠之輔

    ○上原参考人 そのとおりでございます。
  219. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それでは、私の友人で労働法を大学で教えている友人がいるわけですけれども、この人が昨年、私に問い合わせがありまして、こういう広告を持ってきたわけなんですね。これはおかしいのではないかという問い合わせがあったわけです。それで秘書がこれをファイルしてとっていたわけですけれども、昨年の六月八日の朝日新聞、一面の半分全部ですね。こんなに大きく財住協という形で募集しているわけなんですね。先ほどあなたは個人には絶対呼びかけないんだ、事業主に呼びかけるんだとおっしゃったわけですけれども、これは個人に呼びかけているわけなんですね。私も変だ変だと思っていたのですけれども、いつか役立つと思って持っていたわけです。これを読んでみますと「財形貯蓄を行なっていない方でも、購入予約をする事ができます。」と書いてあるのですね。そして後には、ただしどうのこうのと書いてありますけれども、これで見ますと、先ほど事業団の方や労働省の方がおっしゃったように、まず事業主を入れてから勤労者をするのではなくて、まず勤労者に呼びかけて後から事業主を入れているんじゃないですか。一体これはどういうことなんですか。しょっちゅう、こういうことをやっているというのは基本的におかしいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  220. 森英良

    森説明員 先ほど申し上げましたように、協同組合は事業主の団体でございますから入れるのは事業主でございまして、勤労者ではございませんから、事業主を勧誘すべき性質のものでございます。ただ、実際には財形貯蓄をやっている勤労者が、しかし事業主がまだ分譲のことを考えていないというときに、事業主にやってもらえば自分も分譲してもらえるということから事業主にいろいろお願いをして事業主に協同組合に入ってもらうということもあり得るわけでございますから、募集の仕方として、募集の仕方といいますか呼びかけの仕方として勤労者に呼びかけることも、それ自体けしからぬことだとは思いません。そういうきっかけは、むしろ勤労者の方が望む場合もあるかもしれませんが、いずれにしましても事業主に入ってもらうことにならなければならないわけでございまして、勤労者が直接入るということはないと思います。
  221. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それは勤労者一人が組合に入れるはずはないわけですからね。私は、この広告は違法ではないのかと聞いているのです。この広告は正しい広告かと聞いているのです。
  222. 森英良

    森説明員 どうも内容を詳しく見ておりませんのでよくわかりませんけれども事業主に入ってもらうために、実際にその利益を受ける勤労者に対して、こういう制度があるんだから、ひとつ事業主に頼んで入ってもらってくれという意味で呼びかけておるものであれば、必ずしも違法とまで言えることではないのではなかろうかと思います。
  223. 田中美智子

    ○田中(美)委員 じゃ労働省はこれを知らなかったわけですか。朝日新聞のこんなに大きい広告ですよ。新聞半面です。これを労働省が知らないということは一体どういうことですか。あなたは事業主に呼びかけてあればと言って、知らないようなふりをしていらっしゃるけれども、これを知らなかったのかどうか、一言でおっしゃってください。
  224. 森英良

    森説明員 まことにうかつでございますが、私はただいま初めて拝見いたしました。
  225. 田中美智子

    ○田中(美)委員 いかに労働省が怠慢であるか。私は知らなかったとは思いませんよ、これだけ大きいのが出て問題になっているわけですからね。そして財形に入っていない方でも購入予約をすることができますと書いてあるのですから。そうすると、こういうことは今後はできないわけですね。そういうことを書いて、こういうことができますか。
  226. 森英良

    森説明員 財形貯蓄をやっておりませんと財形分譲住宅の分譲にはあずかれないことはもちろんでございます。ちょっと趣旨がよくわからないのでありますけれども、財形融資を受けて建てました住宅でも、財形分譲住宅としてではなくて、特に集合住宅のような場合には、一部入居者がない場合には財形貯蓄をやっていない人を入れまして、そのかわり、その部分は財形融資の面では削るというようなことも場合によっては起こり得ます。その辺の趣旨がよくわかりませんので、断定的なお答えができません。
  227. 田中美智子

    ○田中(美)委員 では、これは後でお届けします。幾ら何でも、直接に呼びかけないと言っていながら、こういうことをしているということは、労働省は知らなかった。事業団は知っていましたか、イエス、ノーだけお答えください。
  228. 上原誠之輔

    ○上原参考人 私は、その辺のところは存じておりません。
  229. 田中美智子

    ○田中(美)委員 では事業団も知らない、労働省も知らなかった。だから近畿圏みたいなことが起こるのですよ。これをよく見ますとわかるように、現実勤労者から住宅が欲しいという要求が先にあるのではなくて、先に融資を受けておいて、家を建ててから勤労者を誘って、勤労者事業主は後から組合へ入れる。それは書類の上では同時かもわかりません。かもしれませんけれども、後から入れているということは、これではっきりわかるわけですね。ですから現実には結局はこの広告のようになっているんだ。順序が逆になっているんだということがこの広告で非常にはっきりしているというふうに私は思うわけです。その点で、もっとしっかり——こんなに大きく朝日に出ていても、事業団も知らない、労働省も知らない。だから近畿圏のようなことが起きるわけです。  その次に、所沢にあります小手指みどり野マンションのことです。  小手指の二期の名簿をいただきました。五十二年度の四月からは、申請時に組合名簿と購入予定入居者名簿というのを一緒に出しているわけですね。これを突き合わせてみますと、購入予定名簿百三十八戸のうち六十一戸が組合に加入していない事業主勤労者なんですよ。さっきあなたのお話では事業主が入ってから勤労者が入れるわけでしょう。それなのに、この中には六十一戸合わないのです。私あなた方からいただいた名簿を全部合わせました。その二日か三日前にいただいた名簿を見ますと、百三十八戸のうち六十一戸、パーセンテージにしますと四四・二%の入居予定者が組合員以外の勤労者であるということなんですね。そうしますと、これを申請したときというのは去年の四月ですね。この四月のときに事業主が入っていないのに、どうして個人が六十一名も入っているのかということです。おかしいじゃないですか。事業団、どうしてこんなことになっているのをチェックできなかったのですか。
  230. 上原誠之輔

    ○上原参考人 小手指の共同住宅の入居でございますが、これはまだ完成いたしておりませんので、これから完成いたしましたら入居が進んでいくわけでございます。  現在六十一戸とおっしゃいましたけれども、五十九戸というふうに私ども考えております。このうち加入済みが十四戸でございまして、未加入が四十五戸というふうになっております。これはいずれ完成した暁には、事業主が加入いたしますと、その所属の勤労者財形貯蓄の資格要件があれば分譲してもらう資格がある、こういうことになろうと思います。
  231. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうしますと、私は六十一戸で、あなたの方は突き合わしたら五十九戸、五十九人というのが事業主が入っていないのに、その名簿に載せて融資を受けているのですよ。そういうことでしょう。それで後から事業主を探すんだ。私のところに来た名簿では、まだ事業主が入っていない、この五十九戸、そのうちの何戸が入った、これから入ると言っていますということは、さっき何遍も確認している、逆さまじゃないかと。事業主が入ってから勤労者が購入予定になるわけでしょう。だから、結局インチキの名簿でもって融資を受けているということじゃないですか。事業団はそれをなぜチェックできないのかということですね。そういうことをしていたらニーズがあって家が建つのではなくて、家が建ってからニーズを探すということですから、それだったら財形じゃなくて不動産屋と同じじゃないですか、この協同組合というものが。そういうところに公金を融資するんですか。こんなずさんな公金の使い方というのはあるでしょうか。  私は大臣に伺います。こんなことをしていていいかということです。大臣答えてください。こんなインチキしていいかということです。
  232. 上原誠之輔

    ○上原参考人 融資手続の問題でございますから、私からお答えをいたします。  従来は、財形の共同住宅の融資につきましては、必ずしも予約というものがなくても融資はしておりました。これは完成いたしまして、そこで有資格者が分譲できれば、それでいいわけでございますから、そういうふうなたてまえでおったわけでございますけれども、先生御指摘のような事態も考えられますので、われわれのやり方といたしましては、融資を内定いたします段階におきまして一体どのくらいの需要があるのかということを十分組合の方で調べさせまして、そういう需要をとりまして、具体的な名簿を基礎にして、一〇〇%とは申しませんけれども、少なくとも九〇%程度は具体的な入居予定者があるということをつかみました上で融資の内定をいたしておるというのが現在の制度でございます。
  233. 田中美智子

    ○田中(美)委員 私は、そんなことを言っているわけじゃないですよ。制度はわかっていますよ。事業主がいないのに個人の名前を挙げてお金を融資しているから、間違っている、これでは不動産屋と同じだと言っているわけですよね。それで、大臣はそれをどう思いますか、逆さまになっているのを。一言お答えください。
  234. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 ただいまの御意見、確かに形武論理的な一つの筋論から言えば御指摘のとおりだと思うのです。ただ実態的に、中小企業ではとても力がないから協同組合をつくって、そこに働いている勤労者の住宅が確保できるという、この結論に到達する道すがらにおいて不正が起こらないように配慮するということが重要であって、いまおっしゃったような手続上の問題について、私は、運営上のよろしきを得て目的を達することが結論として勤労者のためになる、こういうふうな理解をするわけであります。
  235. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それは手続上の問題だけれども、実際に不正が起こらなければいいんだと言われるわけですね。そうすると事業主というのは分譲を受けられないわけでしょう。事業主勤労者しか受けられないわけでしょう。もう一度確認しますけれども事業主は受けられないですね、事業主勤労者が受けられるわけでしょう。
  236. 上原誠之輔

    ○上原参考人 事業主雇用いたします勤労者で、財形貯蓄をやって、分譲を受ける資格のある者が分譲を受けられる、こういうことでございます。
  237. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうですね。そうすると、たとえば財住協の理事のような人は分譲を受けられるわけですか。これは事業主相当する人ですからね。
  238. 上原誠之輔

    ○上原参考人 財形制度のたてまえからいきまして、役員クラスの者は財形貯蓄ができない、こういうことになっております。したがいまして、財形貯蓄を基礎とした財形持ち家分譲は受ける資格がない、こういうふうに考えております。
  239. 田中美智子

    ○田中(美)委員 わかりました。  大臣よく聞いてくださいよ。そこが大臣はちょっとお人がよ過ぎるのじゃないか。悪いことさえ行わなければ少し手続がこうなってもいいというようなあいまいな考え方をしていると、近畿圏の財住協みたいなことが起きるわけですよね。ですから首都圏の場合、私がいただいた資料はほんの一部分ですよ、一部分を全部調べてみました。そうしますと元木、小手指それから御殿山、ここには組合に入っている組合の事業主、社長ですね、社長が買っているのですよ、分譲を。いまはっきりと社長は買えないんだと言われた。その社長の従業員が買うのが財形の本来の目的でしょう。社長が買っているということは明らかに犯罪行為じゃないですか。これは誤りでしょう、社長が買うということは。社長が何人も出てきているのです。
  240. 上原誠之輔

    ○上原参考人 私どもが当初、たとえば五十戸なら五十戸、財形の持ち家分譲を受ける資格のある勤労者として、それを基礎に融資をして、最終的に、仮に財形持ち家分譲を受ける資格のない者がその中にいたというふうにいたしますと、その分につきましては適格者ではございませんので償還をしてもらう、こういうことになるわけでございます。
  241. 田中美智子

    ○田中(美)委員 適格者がいないことを言っているんじゃないのですよ。適格者じゃない人が分譲を受けているということなんです。そういうときには返させるわけですか、それを言っているわけなんです。空き家になったときどうするかということを言っているのじゃないのです。社長が買っていると言うのです。そんなことは誤りでしょう。
  242. 上原誠之輔

    ○上原参考人 その不適格者につきまして融資の対象として金が出ているというようなことであれば、それは融資すべき対象ではございませんので、その部分は返還してもらうということになります。
  243. 田中美智子

    ○田中(美)委員 これは何人も社長が出てきたのです。ですから、私の見た書類だけでも何人も社長が買っているのですよ。事業主が買っているのですよ。私のような素人が、いただいた書類を突き合わせただけでわかるようなずさんな書類ですね。もうちょっと労働省も事業団もしっかりしていただきたいと思うのです。公金を扱っているところでしょう、事業団は。何をぼやぼやしているのかと。  これを見てみますと、私はおかしいと思ったのですね。これはおたくからいただいた資料ですよ。これを見ますと、組合の中に、株式会社牧電気商会というのがあるのですね。そこの社長さんの牧豊氏という人が御殿山のマンションを買っているのですよ。これは名簿にちゃんと出ているのですね。それでおかしいなと思って見ますと、この人のところだけが、最後三名が後から入ったかして書類が不備になっています。しかし、そこまでのところを見ますと、この人だけ財形貯蓄先の金融機関というのは書いてないのですね。それで三月の十七日、ついこの間、私の秘書が東京通産局中小企業第一課へ行きまして、首都圏財住協の理事、役員の名簿をいただいてきたのです。これは第一課で書いてくれたものをコピーしたものです。向こうがこうして書いたのです。この中に専務理事として牧豊という人がいるわけです。一体こういう事実を——労働大臣、これは大変なことですよ。この牧豊という人は、まず組合加入の事業主相当する人であり、それからこの組合の専務理事であり、そしてこの書類を見たところでは、彼だけが金融先が書いてないということは、財形に入っていないのじゃないかと思うのですね。それからこの人の入った家、全部これを見てみますと、融資額が一番多いのですよ。最高なんですね。首都圏財住協の専務理事が買っているなんというようなことを私がこれで見ただけでわかる。あいているのですからね。だれが見たって、あいているのはどうしているのだ、財形に入ってないのじゃないかと調べたら専務理事なんですね。こういうことはまさに犯罪行為です。大臣、一体どうするんですか、こんなことを。
  244. 上原誠之輔

    ○上原参考人 御殿山につきましても、あるいは小手指の住宅につきましても、まだ私の方には分譲報告がなされておりません。分譲報告が来ますれば、適切でない者につきましては指摘をして是正をさせる、こういう処置をとるわけであります。
  245. 田中美智子

    ○田中(美)委員 これは五十三年二月二十八日、この牧さんという人は住宅譲渡契約締結、所有権移転時期と書いてあるのですね。ことしの二月二十八日に、この牧さん、移転しているのですよね。ですから、その報告が来るまでは——報告というのは一年たたないと来ないというんでしょう。それまではこうやって、当然勤労者が入らなければならないところに、そのお世話をするところが、そこの専務理事が私物化して、そしてそれが報告が来るまではわかりません、その間そこに住まわしておくわけですか。早急に調べていただきたいと思うのです。
  246. 上原誠之輔

    ○上原参考人 十分に調査いたしました上で善処いたしたいと思います。
  247. 田中美智子

    ○田中(美)委員 大臣、あなたの管轄のところで、こういうずさんなことが行われているのです。至急これを調べて善処していただきたいと思います。いかがでしょう。
  248. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 事業協同組合方式による融資制度の趣旨に沿う健全な運営ができるように今後とも十分配慮いたしますし、具体的な問題については早急に調査いたしまして善処します。
  249. 田中美智子

    ○田中(美)委員 もう一つ伺いたいのは、小手指は一期と二期がありますね。これは利率が七・五%と六・七五%と違いますね。そうすると、同じときに入居するのに利率が違うということは、これは分譲者にとっては非常にくやしいことだと思うのですけれども、これはどういうふうに処置なさるおつもりですか。
  250. 広瀬忠三

    ○広瀬参考人 御指摘のとおり、小手指の物件につきましては最初の五十戸、これが七・五%、それから残りの百三十八戸、これが六・七五%と金利差がございます。これは貸付決定をした時点金利の違いによって、こういうふうになったわけでございまして、私どもの方は、その金利で購入資金をお貸しし、また返還していただく金利も、その金利で返していただく。ただ、同じ時期に入居するということで不公平感というものが出てくると思います。それは協同組合の内部で調整をしていただければよいのではないか、こういうふうに思っております。
  251. 田中美智子

    ○田中(美)委員 協同組合内部でやるといっても、協同組合にそんな金がありますか。協同組合というのはもともと営利を目的にしているところじゃないわけですから、そんな無責任なことを言ったら協同組合困るんじゃないですか。その調整するというのは七・五を六・七五にしようというんだったら、これはどこかが見ない限りは、協同組合に押しつけるということは私はちょっと問題だというふうに思います。  それで時間がありませんので通産省に伺いますけれども、通産省はイエス、ノーだけで答えてください。  認可した責任があるわけですね。監督、チェックは、その後しているのですか、していないのですか。
  252. 松田岩夫

    ○松田説明員 この財形貯蓄を行っております協同組合の認可は、一都道府県を超えますものにつきましては国の地方支分部局が、また一府県内のものにつきましては各都道府県庁において認可をいたしております。認可官庁でございますので、その後の業務の運営につきましても一応指導するたてまえになっております。
  253. 田中美智子

    ○田中(美)委員 指導するたてまえになっていながら、こういう不正な事件が起きておる。近畿圏では裁判にまでなる事件が起きておる。首都圏でも、この資料で私が見つけただけでも、こういうものがある。あと、どれだけあさったら、どういうことが出てくるかわからない。今後とも私はこれを徹底的に調べていきたいというふうに思っていますけれども、通産省ももう少し、一応指導することになっていると言うけれども、何にも指導しない、ほっ散らかしている。だから、いま事業団の広瀬さんがおっしゃったように、利率も組合内部でやってもらうんだ、一体、組合にどれだけ金があるのか。この新聞広告ですね、これを朝日新聞社に問い合わせました。一回で約七百万かかっているのですね。そんな金が営利を目的としない組合でどうして出せるのか。金があると事業団は思っているか。思っているから、いまの利率でも七・五を六・七五にそろえようとすれば、そこをだれかが持たなければならない、これを組合に持たせるということは、やはり組合が営利をしているんだ、不動産業をしてもうけているんだということをある程度御存じだから、そういうことを言うんじゃないかというふうに疑いたくなるわけですね。  ですから、私がいまこれを一緒くたにして、もう時間がありませんので、まずお話ししますので、それでお答え願いたいと思いますけれども、財形を専門にしての協同組合と一般中小企業の事業協同組合と性質が違うんじゃないか、そうでしょう大臣。事業協同組合というのは利潤を追求してもいいんだ。しかし財形の協同組合というものは、利益を追求するものではないはずだと思うんですね。ですから、たとえば単独の事業主がこの制度を利用する場合、集団でやるんじゃなくて一人でやる場合には、その企業内、その会社の中に福祉的な役割りを果たす部門として、そういう部門をつくってやるわけですね。ですから、これは組合の名前を見ますと、名称の中に福祉福祉という字が書かれています。それが結局、中小企業の場合では人数も少ないし、できない。だから集団になって、この福祉部門のようなところを、この財住協がやるということですから、ここは本来というものはお金をもうけるべきところではないんじゃないか。福祉的な業務をやることが本来の役割りではないか。  だから初めは組合がまず存在して、そうして、この業務というものが発生するのであって、それが本来の姿なのに、いまお話ししたように首都圏財住協が初めは五社から出発している。それがほんの一、二年の間に三百社にふくれ上がっている。そうして、これもマンションを建てるたびに組合員がばあっといく。さっき話したように先に新聞広告で人を募って、それから事業主を募るから、マンションを建てるたびに事業主がばあっとふえるということで、事業主のない人までが入っている。そうして社長が勝手に買う、専務理事までがこれを私物化する、財形に入ってない人までがこの分譲をする。こういう不祥事件が起きるというのは、やはりここに私は問題があるんではないか。組合が先にあるんではなくて、後からどんどんマンション建つたびに組合員がふえていくというところに問題があるんじゃないかというふうに思います。  ですから、この事業主団体つまり協同組合の目的や性格が大きく逸脱してきている。国の公金というものを使って不動産業が行われている。それを見て見ないふりをしているのか、それとも通産省と労働省と事業団は監督を怠っているのか。そういうなまぬるいところだから、近畿のように水増しして、みんなだまされちゃう。そうして裁判にでもなるということだというふうに思うんです。  それで私は、この財形制度というものを本当に勤労者が入るように、勤労者が買えるように、特に中小企業労働者が買えるように健全に発展させるためには、やはりこの協同組合を全部もう一度洗い直してほしいんです。いま私が言いましたところだけというのではなくて、もう一度この組合というものを全部チェックしていただきたいのです。大臣、これを全部もう一度チェックして、いままで不正がないかどうか。いま言った牧さんの問題だけじゃなくて、私はいま名前は言いません、小さな企業の商店主が買っているというようなものは言いません。しかし、専務理事で財形に入ってない人が買っているなんということは、これは許せないことなんですね。ですから、全部そういうことがあるかないか。いままでの組合というのは、おたくの方からいただいた名簿が来ていましたけれども、これを全部洗っていただきたいのです。これを全部きっちり洗っていただきたい。こういうことが起きてないかどうか。そうして今後起きないようにするためにはどうしたらいいか。いまのように通産省も認可しただけでほったらかしておく。労働省もこんな大きな朝日新聞の広告さえ御存じない、事業団も御存じない。一体新聞見ているのか。そんなことでやっていけるかと思うのです。ですから、もうちょっと、まずチェックをするということと、それから今後こういうことが起こらないように財形のあり方、特に協同組合のあり方、財住協のあり方というものをもう一度根本から検討していただきたい。  そうしなかったら、いつまでもここには犯罪的な事件がこれに付随して起きていくということは火を見るよりも明らかです。それをほっておくことはその犯罪を促進していることになると思うのです。労働省と通産省とそれから特に事業団ですよ、公金を預かりながらこんないいかげんで、自分の金だったら千円だってなかなか大変なものですよ。それを人の金だからといって、公金を預かっているのをいいかげんにぼんぼん融資して、それがどこにいったかもわかりはしない。こんな不正が行われても知らぬ顔している事業団、それを監督しておる労働省、その一番の大元締めである労働大臣もっとしっかりしてください。  これで時間になりましたので、労働大臣の御意見を伺いたい。
  254. 藤井勝志

    ○藤井国務大臣 大変事実に基づいた御指摘をいただきまして、事業協同組合方式によるいわゆる財形持ち家住宅、この勤労者の要請にこたえて生まれた制度が悪用されないように適正に健全に発展するように、具体的な御指摘がございましたから、労働省雇用促進事業団を通じて現状を調べまして、今後、誤りないように配慮したい。  ただ一つだけ、私は言いわけではございませんけれども、人間のつくる法律制度というのは、裏をかこうと思えばいろいろある。これは裏表があるようなものですね、極端に言いますと。浜の真砂はというようなことになって、なかなかむずかしい問題もあるんですよ。ただ、こちらとしてはできるだけの努力をするということでお答えといたしたいと思います。
  255. 上原誠之輔

    ○上原参考人 先生、先ほどどもの方の広瀬理事がお答えした部分がございますが、これは訂正さしていただきたいと思います。  小手指の団地につきましては一期、二期とございまして、これは工期がずれております。したがいまして、最近の金利状況は非常に変動いたしておりまして、貸し付けの金利が変わっておりますので、これは当然、制度的には調整することはできません。やむを得ない事態ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  256. 田中美智子

    ○田中(美)委員 この場で同じ副理事長理事が意見が違って訂正するような、こんな事業団ではちょっと頼りないね。こんな理事ではね。もうちょっとしっかりしていただきたいと思います。  時間になりましたので終わります。
  257. 木野晴夫

    木野委員長 次回は、明二十三日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十四分散会      ————◇—————