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大原(亨)
委員 いま
局長の答弁で、これは一々やっていたら大変なんですが、たとえば船舶については船舶運営会を設けまして、従業員は全部、
国民義勇戦闘隊に入れたわけです。最終段階。それから、この間、森井
委員等もずっとやってきまして、私も前からやってきましたが、通信関係は、やはりコミュニケーションは生命でしたから軍がしておりましたから、やって、この戦闘隊に編成したわけです。ただし、この
国民義勇戦闘隊というのは状況に対応してすぐ変わる、こういうふうになっておるのだということは、これはいままで議論いたしまして、ここの閣議決定の中にあるわけです。
それで、一つ私が聞いておきたいのは、指摘をいたしました現行の
援護法で適用いたしました
国民義勇隊の閣議決定、
昭和二十年三月二十三日、最初これを引用したときには二十二日閣議決定になっていた。一日違っていた。二十二日には閣議はなかったわけです。私が調べたら二十三日だった。指摘いたしまして法律を
改正したのです。しかし、閣議があって、閣議の基礎に基づいて、
国民にそういう権利義務が発生をして、こういう被害が発生をしたということで、これは事実は事実として、たとえ事実に反する法律であっても、それはよかろうというふうに見逃しました。
事ほどさように、政府が
戦傷病者戦没者遺族等援護法を
昭和二十七年につくったときには、資料を検討いたしまして、どこで線引きをするかということで部内で大問題になりました。そこで、いろいろな経過をたどって、閣議決定に基づく
国民義勇隊に関する件も対象にしたわけです。ただし、それに関係する資料は占領期間中は一切封印しておったわけです。それを私は、新聞記事の縮刷版から逆に指摘をいたしまして、
昭和四十二年十二月十三日、総務長官の手元に封印してあったのを、官房長官がサインいたしまして国会に出してまいりました。しかし、事が示しておるように、当時の
国民義勇隊に関しての閣議決定については、これは全部を詳細に検討してない。これは三月二十三日ですが、三月十日に東京大空襲があった。第二次が二十五日。十日のものは二、三日前に、どこかのテレビで特集いたしました。死屍累々だあっとなっている。これは国際法からいっても、一般非戦闘員に対する無差別爆撃ですから国際法違反だというふうに、だれもが指摘いたしております。原爆も国際法違反だ。これは害敵手段として制限を超えておる。だから、そのこと自体でも国が中に介在いたしまして戦後処理した際には責任があるわけですけれども、それを受けて三月二十三日に閣議決定があったわけです。そして矢継ぎ早に、ずっと
国民義勇戦闘隊との関係、他の法律との関係を閣議決定いたしまして、そして六月に義勇兵役法で、総動員法も引用してありますが、一般兵役法に義勇兵役法は含まれている。空襲警報下の国会で、答弁の矢面には陸軍省の那須兵務
局長が
政府委員として立っておりますけれども、ずっと法律をやって、勅令をやって、公布、即日施行というふうになっておる。その閣議決定や勅令、政令の関係を、封印しておって明らかにしていない。そういう事実をはっきりさせて、そして戦争犠牲者に対する
措置を公平にすべきであるというのが私どもの見解です。
それを私どもがなぜ要求するかというと、これは歴史的に、二十七年に
援護法が成立して、二十八年に軍人
恩給が復活いたしまして、そして
戦傷病者戦没者遺族等援護法から抜き去って、
恩給法で法律を決定したわけです。これは安保条約と平和条約の二法の後で軍隊をつくるために、まず軍人関係、軍属関係については
援護法を適用しろ、これは占領軍の命令で
恩給法は廃止いたしましたから、ですから、これと結びつけて復活しようということで線引きをしたわけです。その線引きに非常に無理があった。そういう当時の状況を反映いたしまして、基本的な問題が議論されないままに
戦傷病者戦没者遺族等援護法が今日まで手直しをされておる。そこでそういう前提あるいは法律の関係、そういう事実について明確にして、そうしてこの
援護法を洗い直してみる。他に関係した条項があるならば、これを洗い直すことが重要であるということを指摘いたしまして、附帯決議になったわけです。
政府委員や皆さん方は非常に不勉強であります。いまの話を聞きますと、ほとんど勉強していない。
たとえば、この適用の基礎になりました準軍属なんかの
国民義勇隊という例のものですが、たとえば組織については、「
国民義勇隊ハ官公署、会社工場事業場等相当多数ノ人員ヲ擁スルモノニ付テハ当該職域毎ニ其ノ他ノモノニ付テハ一定ノ地域毎ニ之ヲ組織セシムルモノトス」とあって、老幼病者等は除外するというふうになっているわけです。職域でも地域でも全部の
国民を
国民義勇隊に組織をいたしまして、そして「運用」のところにありますが「
国民義勇隊ハ軍部隊ノ補助ノ為出動スル場合ハ当該陸海軍部隊長ノ指揮ヲ受ケ警防活動ノ補助ノ為出動スル場合ハ当該官署長ノ指揮ヲ受クルモノトス」ここで今度、四十九年に出ました準軍属になります警防団との関係が出てくるわけです。そして、一朝有事の際においては直ちに戦闘隊に改編するんだ、
国民義勇隊で全部
国民を職域、地域ごとに組織しておいて、直ちに改編するんだ、そういう仕組みをつくったわけです。
そして私どもの見解によると六月には、それを総括するために閣議決定ではいけないということで義勇兵役法という法律をつくって、十五歳から六十歳までとか、女性につきましては若干のハンディがありますが、しかし、そうなれば子供も年寄りも一蓮托生ですから、全部の
国民が戦闘体制にあったわけです。
だから
援護法をつくった際に、公務という場合の国家補償の精神による
援護法をつくっている。それが一つ。あるいは特別権力関係、命令服従の関係で仕事についた者についてはということになっている。これは準軍属を頭に置きながら範囲を広げてきたわけです。そういうことでこの法律ができており、
国民義勇隊は一部を取り上げておりますが人数は少ないわけです。少ないのですけれども、
国民は全部そういう体制の中で戦闘隊に転移するという体制で最終段階の本土決戦に臨んだ、これは間違いないです。
後で時間があれば指摘をいたしますが、沖繩の状況で
援護法の適用がある。
斉藤さんが指摘をいたしました浜松等における艦砲射撃がある。何も知らないのに艦砲射撃で非戦闘員がやられた問題がある。つまり居住についても夜、昼問わず常に空襲とか、あるいは原爆とか、艦砲射撃とか、そういう状況の中であったわけです。これは権力の中で命令服従の関係にあったわけです。即軍の中に編入する。空襲がある、艦砲射撃がある、そういう場合に編入をする、艦砲射撃は敵前上陸の前提みたいなものですから。本土決戦ですから。それから東京空襲が始まってからは、ずっとそういう態勢にあったんだから、これはもう少し明確にしておいて、そしていろんな点で政治的な判断をする場合には、財産被害については触れない。大蔵省の役人が、財産被害までいくと家が焼かれたのまで補償しろということになると言ったけれども、だれもそういうことを言っておる者はいない。生命や健康に対する被害については、少なくともやはり公平な
措置をしなければならない。
斉藤さんの質問のように、障害者については三万数千人、一般戦災者の死没者については、原爆その他入れて三十四万五千人とか五十万人という資料がありますが、軍人
恩給等の適用は二百数十万人ですから、これをいまの状況でもう一回見直してみる必要があるのではないか。
だから政治的には、たとえば
特別給付金という制度もできておる。これは特別権力関係ではない。軍人軍属、戦争犠牲者の父や母、妻、子というのは特別権力関係ではない。そこへ一時金の
特別給付金や弔慰金等を繰り返して、こういうふうに
改正してあるし、去年以来も
改正がある。ここにも出ておる。ですから、そういう点で自衛隊をつくるとか軍隊の根性をつけるとかという前提で考えるのでなしに、戦争犠牲者については公平にやるんだということで、それぞれの特性に基づいて、予算はそれほどたくさん要らぬわけですから、交付公債の制度もあるわけですから、一時金やあるいは障害者に対する
措置や、そういう問題については、それぞれのジャンルはあるかもしれぬ、そういうことは予想し得る。財産被害までは及ばない。そういうことを頭に置きながら整理をしないと、この法律自体が非常に不公平で矛盾を犯すことになるという点を指摘をしてきたわけだ。
私は、そういう点について
国民義勇隊に、いま質問をしぼって言いますが、
国民義勇隊についてどういう考え方で、いま適用されておる準軍属の対象者は何人いるのか、こういうことについて、まずお答えいただきたい。