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1978-04-20 第84回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月二十日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 川崎 寛治君    理事 有馬 元治君 理事 志賀  節君    理事 矢山 有作君 理事 湯山  勇君    理事 広沢 直樹君       稲垣 実男君    越智 伊平君       後藤田正晴君    佐藤  隆君       谷  洋一君    谷川 寛三君       中島  衛君    中村  直君       原田昇左右君    村上 茂利君       森   清君    山崎武三郎君       池端 清一君    加藤 万吉君       鈴木  強君    田畑政一郎君       中村  茂君    瀬野栄次郎君       古川 雅司君    津川 武一君       永原  稔君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 櫻内 義雄君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       河野 正三君         国土庁長官官房         審議官     四柳  修君         消防庁次長   田中 和夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     児玉 良雄君         防衛庁装備局通         信課長     小池 清彦君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    清水 眞金君         国土庁長官官房         震災対策課長  城野 好樹君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       森田  一君         文部省学術国際         局学術課長   植木  浩君         厚生省社会局生         活課長     鈴木 昭雄君         気象庁観測部参         事官      末広 重二君         郵政省電波監理         局放送部長   澤田 茂生君         日本国有鉄道施         設局土木課長  野沢 太三君         日本電信電話公         社施設局長   山口 開生君     ————————————— 委員の異動 四月二十日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     鈴木  強君   米田 東吾君     加藤 万吉君 同日  辞任         補欠選任   加藤 万吉君     田畑政一郎君   鈴木  強君     中村  茂君 同日  辞任         補欠選任   田畑政一郎君     米田 東吾君   中村  茂君     伊賀 定盛君     ————————————— 本日の会議に付した案件  大規模地震対策特別措置法案内閣提出第七三  号)      ————◇—————
  2. 川崎寛治

    川崎委員長 これより会議を開きます。  大規模地震対策特別措置法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  3. 池端清一

    池端委員 今度出されましたこの法案は、大規模地震対策特別措置法案、こういうふうに名称がなっておるわけであります。大規模地震とは、政府のこれまでの説明によりますと、マグニチュード程度のものを指すのだ、こういう御説明がございましたが、このマグニチュード程度のものを大規模地震というふうに押さえた、定義づけたその理由といいますか、根拠といいますか、そのことをまず最初にお伺いをしたいと思います。
  4. 四柳修

    四柳政府委員 昨日の参考人の御意見の中にもございましたように、現在の予知技術水準では、強化地域におきましてマグニチュード八前後の大規模地震につきましては各種観測機器を集中することによってその前兆現象をとらえることができる、その可能性があるということでこの法律に踏み切ったわけでございまして、その意味で本法におきましてはその程度規模地震対象としておりますけれどもマグニチュード程度以下の地震、その点につきましては現在の予知技術水準ではなお研究段階にございまして、ある程度確度を持って予知できる段階には達しておりませんけれども、昨日の参考人の御意見にもございますように、やはりそこは目標としたい、こういう御意見もございますものですから、技術進歩によりましてその範囲というものがある程度は前進するものと考えております。
  5. 池端清一

    池端委員 あくまでも予知技術観点から押さえられておるようでありますが、実は建設省国土地理院からちょうだいをいたしました「地震とその予知」という資料を見ましても、あるいはまた今日地震学界の定説にもなっておるようでありますが、マグニチュード七以上はもう大地震、それから七から五までは中地震、五から三までは小地震、三から一までは微小地震で、マグニチュード一以下は極微小地震、こういうふうに定義づけをしておるようであります。マグニチュード七以上についても今日までかなりの大地震、大災害等もあるわけでございまして、単なる予知の問題から地震対策考えるというのでは私は片手落ちではないかというふうに思うわけでございますが、その点はいかがでしょうか。
  6. 四柳修

    四柳政府委員 確かに予知技術の点からだけ考えるという点ではございませんでして、やはり予知技術によりまして地震予知情報が出されることを前提としまして、それによりましての事前防災対策を講ずるという仕組みになっておるものでございますから、先ほど御答弁申し上げましたように、将来の目標としましてはいま御指摘の大地震の範疇に入りますマグニチュード程度関係学者方々目標になさっておりますし、私どもも、技術水準がそこまで近づいてまいりまして、ある程度確度を持って予報が出せる場合には、当然のことながらこの対象に取り入れるべきだと考えております。
  7. 池端清一

    池端委員 マグニチュード程度のものは前兆現象をとらえることができる、それ以下のものについてはまだそこまで技術進歩が至っておらない、こういうお話で、そういうお話を聞けば聞くほどはだ寒い慄然とした気持ちにならざるを得ないわけでございます。  最近五十年間におけるわが国の地震発生状況を見ましても、八以下のものでも、たとえば昭和二年三月の北丹後地震家屋全壊が一万二千五百八十四戸、死者が二千九百二十五人。あるいはまた昭和十八年の鳥取地震、これはマグニチュード七・四でありますが、家屋全壊が七千四百八十五、死者が一千八十三。昭和二十三年六月の福井地震マグニチュード七・三で、全壊が三万五千四百二十、焼失三千六百九十一、死者が三千八百九十五。昭和三十九年の新潟地震マグニチュード七・五でありますが、家屋全壊が千九百六十、こういうことで、八以下の規模のものでありましてもかなりの大災害をもたらしている。こういう現状を見るにつけても、私はそういう面での地震対策というものが急がれなければならない、こう思うわけでございます。  そういう意味で、技術進歩に待つというようなことだけでいいのかどうか。これらの対策は今度の法案の中では特にうたわれておらないわけですね。そういう面についてはどう考えておられるのか、この点をひとつ改めてお尋ねをしたいと思うのです。
  8. 四柳修

    四柳政府委員 お尋ねのように、ただいま北丹後から新潟まで過去の例をお挙げいただきましたけれども、実はいずれも日本海側の内陸型の地震でございまして、その予知のむずかしさ等につきましては、技術的な説明もございますから気象庁にお願いいたしたいと思いますけれども、私ども予知ができないから対策考えないということだけでは、決して適切でございませんでして、いまの差し迫りました東海の大地震というものを一つの足がかりとしまして、いろいろの予知技術水準の向上もまた期待できましょうし、あるいはそれに関連しまして、防災側体制強化ということもまた進められるということは行われるものでございますから、そういうものの状況を見まして、御指摘のような、確かに予知はむずかしゅうございますけれども、過去に地震経験があったところで、場合によりましては繰り返しのおそれのあるところにつきましては、御心配のような防災側の対応につきましても、関係地方公共団体等ともよく御相談いたしまして、これに準ずるような仕組みをだんだんにつくり上げていきますとか、そういったことも検討かたがた指導してまいりたいと思います。
  9. 池端清一

    池端委員 地震対策というのは、確かにいま言われておりますように、東海地域南関東地域、これはもう大変急がなければなりません。そういう意味でこれを重視するということについて、これは私どもも積極的に賛成であります。しかし、日本列島は火山列島とも言われ、地震列島とも言われている。地震大国日本、そういうことすら言われている状況でありますから、ほかの地域においても対策はゆめゆめ怠るべきではない、こういう観点から申し上げておるわけであります。  そこで、防災対策強化地域指定の問題でありますが、これについては、これまでの御答弁によりますと、東海地域なり南関東地域指定をされる。これは防災会議の諮問を経て決定をされるわけでありますが、大体いまこのことが予定をされておるようであります。そこで、仮にこの強化地域以外の地域マグニチュード程度の大規模地震発生するおそれがあるという地震予知があった場合に、今度の法案では警戒宣言を発するというようなことにはならない仕組みになっているわけですね。どうもその辺も、私はちょっと合点がいかないわけであります。確かに地震予知技術はまだ低いとしても、しかし、かなりのいま予知体制をとっているわけですね。ですから、ほかの地域、たとえば北海道東部地域でそういう大地震発生のおそれがあるというような予知というものができた場合に、適切な対策というものは講じていかなければならないと思うのです。しかし、これはあくまでも強化地域に限られている問題でありますので、その辺の対策がなおざりになるのではないか、こう思うのですが、その辺の関係はどうなんでしょうか。
  10. 四柳修

    四柳政府委員 ただいま先生が例としてお挙げになりました十勝沖いわゆる北海道東部地域でございますけれども、御案内のように地震予知連の方で特定観測地域として指定している、やはりそれなり危険性があろうかと思います。しかも、戦後十勝沖で一九五二年マグニチュード八・一、それから一九六八年七・九、根室半島沖一九七三年に七・四、非常に大きな地震がございましたし、また先般も御案内のような七・何がしかの地震がございまして、この地域につきましては特定観測地域として指定されているだけに、それだけの危険性というものは、ある程度内蔵している地域だろうと考えております。  そこにつきまして、先ほど日本海側の例でもお挙げになりましたように、予知防災とがセットにならなければできないというこの法律仕組みについてでございますけれども予知を進めることによってそのセットに取り組むということも必要でございますけれども予知が追いつかない段階でも、ただいま例に挙げましたような危険性のある事態というものを考えますと、それはそれなり関係地域におきましても防災体制の整備をしまして、先般釧路等にございましたような津波の避難というような問題もございましたものですから、それらの点につきましても、この法律の制定を機会関係省庁あるいは関係地方公共団体ともども、この法律考えておりますような強化計画、それに準ずるような仕組みというものもある程度事前におつくりいただいて、それによって訓練等の密度も増していくといいますか、そういうようなことも考えたいと思います。
  11. 池端清一

    池端委員 いまも審議官が例を挙げられましたけれども東海地域あるいは南関東地域以外でも、昭和四十三年の五月の十勝沖地震、これはマグニチュード七・九であります。それから二十七年の十勝沖地震マグニチュード八・一であります。昭和八年の三陸沖は八・三、それから昭和二十一年の南海地震マグニチュード八・一、昭和十九年の東海地震は八・〇、やはりこの地域以外でもマグニチュード程度の大地震が起こってそれぞれ大災害をもたらしている、こういうことであります。  ですから、いま予知防災セットになってこの法律というものができている、しかし、その予知が追いつかない地域については、これに準ずるような取り組みといいますか、こういうものを政府としてやっていきたいということなんですか。それぞれの地方自治体でやってもらいたいということなんですか。政府が積極的に、今度の法案に準じたようなかっこうで取り組んでいくというのか、その辺がちょっといまの御答弁ではあいまいでございましたので、私は、むしろ政府が積極的に指導的にやらなければならない、こう思う立場からお尋ねをしたいと思うのです。
  12. 四柳修

    四柳政府委員 この法律が施行されますと、当然のことながら、いま例に挙げました地域も含めまして二つの観測強化地域、七つの特定観測地域あるいは過去に地震の痛い経験のある地域等から、それぞれの地域におきます今後の地震の予想なりそれに関連した問題点等お尋ねが当然あろうかと思います。せっかくのそういう機会をとらえまして、私どもの方も関係各省一緒になりまして、いま先生のおっしゃるような、一緒になってやるというかっこうで進めたいと思います。
  13. 池端清一

    池端委員 これまでの研究の結果、巨大地震というのは同じ場所で繰り返して起こるということがかなりはっきりしておるわけであります。その繰り返しの周期も、およそ百年から二百年の程度、こういうふうにも言われております。したがいまして、私は、いま審議官からお話がありましたことで、もうこれ以上繰り返しはいたしませんけれども、特に、特定観測地域なりその他地震多発地帯対策というものもひとつ強化をしていただきたいということを強く申し上げておきたい、こう思うわけであります。  次に、文部省お尋ねをいたします。  先般来からいろいろ言われておりますが、現在、測地学審議会では第四次五カ年計画として、昭和五十四年から五十八年度までの間の五カ年計画として第四次の建議を行うということでいろいろいま御審議がなされているというふうに聞いておりますが、今後の予知体制の問題とも相当深いかかわり合いがございますので、審議方向等についてひとつ御説明をお願いをしたい、こう思うわけであります。
  14. 植木浩

    植木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、測地学審議会におきましては昭和五十二年以来昭和五十四年度から五十八年度までに至ります第四次地震予知計画について建議をすべく審議中でございます。以来相当回数にわたりまして各種委員会、会合等開いておりますが、何分にも地震予知というものが先ほど来お話にも出ておりますように、なかなかむずかしい課題であるということで、いろいろな角度から慎重に審議をいたして今日に至っております。現在相当の検討を重ねまして、いよいよこれを取りまとめにかかるという段階に達しておりますが、詳しい審議内容は現段階ではちょっと私からまだ申し上げかねますけれども、これまでいろいろと議論が出ております要点をかいつまんで申し上げますと、全国的にわたりまして測地測量であるとか、あるいは各種地震観測等につきまして、いわゆる長期的な予知というものに有効な観測研究というものをさらに拡充強化をしなければいけないという点がいろいろと議論されております。また先ほど来お話のございました東海地域などにつきましての特別な短期的予知と申しましょうか、そういった有効な観測研究につきましてもこれを格段と拡充強化をし、観測結果の集中であるとか、あるいは常時監視体制のさらに充実を図るとか、そういう必要性がいろいろと議論をされておる段階でございます。またこれらの基盤となります地震発生の機構を解明するための基礎研究がきわめて大事であるということも、これまたいろいろと議論をされております。今後七月ごろを目途といたしまして建議を策定し、関係の大臣にこれを提出をいたしたい、こういうスケジュールで目下のところ進んでおります。
  15. 池端清一

    池端委員 七月ごろを目途建議がなされるようでありますが、さて、この建議を受けた段階政府としてどういう対処をするのかという問題であります。先般二月十六日の本委員会における萩原参考人の御発言にもありましたが、現在第四次の、測地学審議会でいろいろ立案計画をやっているようでございますけれども、いかに測地学審議会計画を立てても、結局政府のそれに対する熱意がないのでどうにもならない状況なのだというような御発言等もあるわけであります。せっかく皆さん方が御苦労願ったものが実際は実を結ばない、それが今日の実態ではなかろうか、こう思うわけでありますので、この建議が出た場合に政府として、これは主管は科学技術庁だと思うのでありますが、予知推進本部本部長としての科学技術庁としてはどういうふうに対処をされるお考えなのか、それをお聞きしたいと思います。
  16. 清水眞金

    清水説明員 お答えいたします。  地震予知につきましては昭和四十年以来三次にわたります測地学審議会地震予知計画の線に沿いまして進められてきたわけでございますけれども、本年度はその第三次計画最終年度に当たるわけでございます。  それで、その遂行状況でございますけれども、ほぼ一部を除きまして大体計画に盛られましたところをカバーしてきたというふうに考えておるわけでございます。その結果、大きな地震前兆はとらえられる可能性が出てきた、そういうところまで来たわけでございます。  明年度から始まります第四次地震予知計画は、いま文部省の方からお答えがございましたように七月ごろには建議されるものというふうに伺っておりますけれども、その具体化に当たりましては気象庁あるいは大学、そういうところを初めとするいろいろな関係機関十分連絡協議をいたしまして、その予算の獲得あるいは的確な具体化に努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  17. 池端清一

    池端委員 これは萩原さんも先ほど引用いたしましたような発言をなさっておるわけであります。したがって、やはり政府としてもこういうような審議会答申等が出た場合は、これを誠実に実施をする、こういう方向で力いっぱい、精いっぱいの努力をしていただきたいということを強く申し上げておきます。  次に、予知体制の問題でありますが、これもかねてからこの委員会でもいろいろ取り上げられている問題であります。さっき審議官は、この予知技術がまだ十分進歩しておらないというような趣旨の発言がございました。私は、技術進歩よりもむしろ予知体制に問題があるのではないかというふうに思うわけであります。たとえば日本における地震予知研究計画、いろいろ文献等を見ますると、測量国土地理院が担当している。離島及び海底の測量は海上保安庁の水路部が担当している。検潮建設省国土地理院気象庁水路部の三つにまたがっている。地殻変動連続観測は主として大学研究所が行っている。活断層研究は通産省の地質調査所科学技術庁防災科学技術センター、そして大学、こういうところで行っている。それから大中小地震観測は主として気象庁微小地震観測大学気象庁移動観測臨時移動観測班を設けてやっている。それから地震波速度の変化の測定は地質調査所。地磁気、地電流観測気象庁水路部国土地理院。深井戸の観測防災科学技術センター緯度観測所文部省。こういうふうにばらばらに行われているところに問題があるのではないか。先般長官は、そうやっていろいろなところで研究してもらえれば非常に結構なことではないかとおっしゃった。確かにそういう面もあるとは思います。しかし、それが本当に集中的に統一的にあるところに集約をされて、十分分析がなされて、そして地震予知体制が組まれているかというと、必ずしもそうではない。     〔委員長退席湯山委員長代理着席〕 こういうばらばらな体制に問題があるのではないか、総合的な判断を行い得ないところに問題があるのではないかというふうに私は考えておるわけでありますが、その点はいかがでありましょうか。
  18. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先般もお答え申し上げたところでありますが、この予知技術につきましてただいま池端委員がお示しのように、各方面におきましてそれぞれの担当で掘り下げて研究を進めていくということは、私は好ましい姿ではないかと思うのです。ただ、予知体制を一体どうするかということになってまいりますと、現在ではこういうふうに分かれておる、専門的に研究されておられるところから予知情報地震予知連絡会に集中する。予知連絡会におきまして、どういう情報があるのか、情報の交換と専門的な判断をするわけですね。そして、現状におきましては、東海大地震の起こる可能性のある地域が専門的な見識から判断されておりますから、東海地域につきましてはそこで別途判定会を持つ、そして観測強化し、そのデータ気象庁へ全部集中する、こういう姿をとっておりますから、この体制というものはそう御批判を受けるものではない。全部専門的にやっておる、情報連絡会に入ってくる、その上に東海地域だけは特に判定会を持つ。しかし、非常に予知体制が重要である、予知が行われたらどうなるかというようなことで、その点で測地学審議会がこの予知の問題についてさらに建議がありますれば、それは地震予知推進本部がございますので、そこでその建議を踏まえて、いまの地震予知連絡会東海地域判定会をどうするか、何か建議があればそれはよく検討しよう、こういうことですが、この法案対象として考える場合の予知連絡会東海地域判定会というものは、それなりの価値を持っておるものだと私は思うのであります。
  19. 池端清一

    池端委員 長官はきわめて楽観的な見解をお述べになっているように思うのであります。私も今回何人かの先生方にもお会いをいたしましたし、わずかではございますが、いろいろな学者皆さん方の書物も読ませていただきましたが、多くの皆さん方異口同音に言われておりますことは、事は一種の国防の問題である、国を守る問題だ、したがってデータを集中的に分析をし判断を下す本部が絶対的に必要だ、現在の地震予知連絡会の機能では全く不足で、予算面マンパワーの面、さらには法制面でももっときちんとしなければならないということを異口同音に言われておるわけであります。私も同感でありまして、やはりこの問題については、国家的な規模において地震予知を効果的に行うためには、現在の研究業務体制を抜本的に検討していかなければならないのではないかということを私は感ずるわけでありますが、長官はその必要なしというふうにお考えでしょうか。
  20. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまお答えの中で申し上げましたように、いまのような御意見が集約されて測地学審議会建議が行われれば、それは私どもは謙虚に取り上げて推進本部を中心に具体化をしよう、こう申し上げておるわけですが、いま法案をお願いしておる段階において、私ども強化地域マグニチュード程度のものの予知の上において、この体制で不十分だという立場では法案はお願いできないと思うのですね。  なお、私残念ながら、参考人意見聴取を直接ここで承ることができませんでしたが、学者方々は、どちらかというとフリーハンドにいろいろ考えたいというお気持ち相当あると思うのですね。     〔湯山委員長代理退席委員長着席法律で非常な制約のある中で研究するよりも、自由な立場研究していきたい、そういうものが集約されて効果が出るのが好ましいというお考えも示されておったようでございますので、先ほど池端委員のおっしゃったような、それぞれの専門的な立場における予知技術研究というものは、私はもうどんどんやってもらいたい。それで、その中から予知に関するものをどう取り上げていくか。とりあえずは、いまの予知連絡会、それから東海地域については判定会、こういうことで、しかしそれ以上の体制について何らかの形で建議が行われれば、これは取り上げるにやぶさかではありません。
  21. 池端清一

    池端委員 その点はひとつよろしくお願いをしたいと思います。  次に、警戒宣言が発せられた段階でのいろいろな問題でありますが、伊豆大島近海地震の際の余震情報における県民パニックの問題等とも関連をいたしまして、アメリカ等では、国土地理院からいただいた資料によりましても、地質調査所を中心にして各種研究機関、大学が協力をして、地震予知の社会、経済などに与える影響について綿密な調査を行っている、そして事前対策を十分強化をして、情報伝達に伴う混乱の回避に努めている、こういうようなことも書かれておるわけであります。私も、警戒宣言が発せられた際におけるパニック状況を惹起させないためにも、地震警報に対する社会の反応といいますか、社会科学的研究というものが常時組織的に行われていかなければならないというふうに思うわけであります。そのためには、警戒宣言が出されたときに最良と思われる行動基準というものをあらかじめ示して、警報に際しての具体的な行動基準等を明らかにしていく必要があるのではないか、このように考えますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  22. 四柳修

    四柳政府委員 ただいま御指摘の点、そのとおりだと思います。私どもも、御指摘のような行動基準につきましては、強化地域指定後、当該強化地域内の住民が、万が一警戒宣言が出されました場合に、どういう措置をとったらいいのか、それを具体的に御指摘のような行動指針の形でお示しし、それを関係地方団体等が住民によく伝えて熟知していただく。それを実は訓練を繰り返しまして、住民のお一人お一人がそれぞれ自分が何をしたらいいのかということをいわば体で覚えていただくといいますか、それぐらいの訓練を重ねていきませんと、万一の場合には、電気もつきませんし、いろいろな状況で動けないだろうと思います。そういう点を地域なり職場なり学校で機会を設けて訓練を重ねていただく。そういうときに、御指摘のようなそれぞれの方々にわかりやすい行動基準をつくっていただきまして、それになれていただくというふうなことを関係省庁ともども指導してまいりたいと思います。
  23. 池端清一

    池端委員 時間が参りましたので、最後に一点だけ財政問題についてお尋ねをしたいと思います。  昨日の静岡県知事の本委員会における参考人としての御意見の中にもありましたように、財政的にも国の対策は非常に甘いというような御指摘もございました。今度の法案第二十九条を見ましても、これは単なる訓示規定にすぎない、具体的な財政対策がなされていないというところに、私も非常な不満を感ずるものであります。この法案が発表されるや、新聞報道等も一斉に、今度の地震立法だけでは安心できないという報道をしておるわけであります。法案自体に欠けていて問題なのは財政問題だということを、強く指摘をしておるわけであります。  一体、金のかからない防災などというものはあり得ないわけでありまして、やはり国民の生命、財産を守る、こういう立場から、大幅な国庫補助を初めとする必要な財政措置を講じていかなければならないと思います。こういう実質的な裏打ちのない法案であれば、仏つくって魂入れず、こういうことにもなると思いますので、この財政問題についての政府の明確な御見解をひとつ承っておきたい、こう思います。
  24. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この法律がない段階におきましては、災害対策基本法によって災害に対し諸施策を講じておることは、池端委員御承知のところだと思います。従来から、所要の財政措置を講じて、予算の優先配分を初めとしてできる限りの配慮をしておるわけでございますが、この強化地域に伴いまして、事業内容や事業量が確定いたしますれば、所要の経費、財源等の見込みが明らかになった段階で、関係各省庁と十分検討してそれに対応する。  これは第二十九条にも、はっきり法文の上でも書かれておるわけですね。「国は、地震防災強化計画に基づき緊急に整備すべき施設等の整備に関する事業が円滑に実施されるようにするため、予算の範囲内において、当該事業の実施に要する経費の一部を補助し、その他必要と認める措置を講ずることができる。」こういうことでありますので、今後、予算要求の段階におきまして、事業内容あるいは事業量がはっきりいたしますれば、それに応じて考えてまいる次第でございます。
  25. 池端清一

    池端委員 終わります。
  26. 川崎寛治

    川崎委員長 鈴木強君。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、提案されております法案について、時間が少のうございますので具体的な問題点について、若干御質疑をしたいと思います。  まず第一番にお伺いしたいのは、地震防災対策強化地域指定についてでございます。  あるいはもうすでに御質疑があったかと存じますが、もしそうでありますればお許しいただきまして若干申し上げたいのでありますが、この強化地域というのは、内閣総理大臣が中央防災会議に諮問をして決めるということになっておりますが、この法律を制定するに当たって、大体、いままで気象庁なり国のいろいろな機関で御調査になりまして、この法律を制定し、強化地域に対して、適切な人命、財産等の保全をするという趣旨でございましょうから、おおよそどの地域がこの法案の適用を受けると御判断になっておりますか、その点を最初に伺いたいと思います。
  28. 四柳修

    四柳政府委員 地域指定の問題につきましては、ただいま御発言になりましたとおり、この法律にいろいろな要件がございます。具体的には、大規模地震発生する可能性が大きい地殻で、しかも、その範囲の中で予定されているような大きな地震が起きた場合に非常に大きな災害をこうむる、こういう仕組みになっておりますものですから、前段の大きな地震発生する可能性が大きいという意味におきましては、一定限度以上のひずみがたまっているとか、あるいは地震の空白区域があるとか、あるいは有史以来周期的に大規模地震発生しているとか、いろいろの条件がございまして、これらを踏まえて、御案内のように、現在二つの観測強化地域と七つの特定観測地域がございます。その中で、とりわけ東海地域ということが、予知体制その他の点も考えまして第一候補でございますが、他の南関東あるいはその他の特定観測地域につきましても、危険性という点におきましては一つの候補地となり得る可能性がございます。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ずばり答えていただきたいのですが、東海の大地震というのが百二十年くらい前に起きておりまして、まあ専門家の意見によりますと近い将来発生するであろうというような予想も出ているわけです。したがって、ここを第一候補に挙げたということは、これは私は非常に時宜を得たことだと思います。  そうしますと、東海大地震地域というのは地域的にはどういう県にまたがりますか。
  30. 四柳修

    四柳政府委員 これは具体的には中央の、先ほど御指摘の専門家の方々の御審議を経まして、関係県あるいは関係市町村長の意見を聞かなければ最終的な決定になりませんけれども、現在、御案内予知連の観測強化地域になっておりますところが、実は非常に市町村の区域に限定せずに、升で囲ったような形で示されておりまして、その範囲内で一応想定いたしますと、静岡県を中心といたしまして、東の方は神奈川県の西部、西の方は愛知県、あるいは北の方は、一部過去の被害例等を見ますと、山梨県なり、場合によりましては岐阜県等の地域もかかる可能性がございます。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 もちろんこの地域指定は、法律案が通りましてそれぞれの手続を経て決められるわけでございますね。特に、中央防災会議に諮問をするというその際には、もちろん知事なり関係市町村の意見も徴するでありましょう。したがって、いまお述べになりました静岡、神奈川、山梨、愛知、岐阜、そこいらは大体入るだろうと、こう一応想定されているわけですが、長野県の場合にはどうなりますか。
  32. 四柳修

    四柳政府委員 これは非常に具体的に私ども判断しかねますけれども、たとえば松代の群発地震があったとか、あるいは過去の大地震の場合の被害が飛び地的にございますとか、御心配のようなところも一部ございます。それらの点が具体的に、専門委員先生方の御判断の結果、いま心配される大規模地震につながるかどうかということは、いまちょっと即断いたしかねると思います。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、この法律案が通りますと、南は沖繩、鹿児島からずっと北は北海道まで、まあ日本列島は全体的に火山系にありますから、いまでも活火山として桜島も噴火しておりますし、阿蘇も煙を出しておりますね。ですから、そういう点をもう一度実態調査といいますか、研究し直して、徐々に指定できるものはしていく、そういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
  34. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘のように、確かに日本列島全部がいわば地震列島と言われるくらいに、非常に地震危険性はございます。しかし、先ほど申し上げましたように、二つの観測強化地域、七つの特定観測地域というものが専門家の方々地震予知連の方でいわば観測を集中しろという要注意地域でございますから、当面はそこが中心になりまして、それらにつきましての関係者の見直し等が先になろうかと思います。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それはわかりました。そういうことを御説明を受けた後の私の質問に移ります。  それで、関東は関東大震災がございましていま五十四年くらいたちますか、それに六十九年説でございますか、前後十三年のプラス、マイナスがあるということも伺っております。そうしますと、ここ二年ぐらいの間にそういうことも予想されるわけです。そこで、いまお話しになった中に、南関東地区、これは当然東京も入ると思いますが、われわれは東京に住んでおりまして、最近高層の建物がどんどん建っておりますね。地下鉄を初め地下街路がどんどんふえてきている。地震が来たら大丈夫かなあという心配をしているわけです。ある人は、関東大震災の経験に徴してみても、あの程度地震が来れば、恐らくどこに逃げたって逃げ場はないし、助かればめっけものだということすら言っております。ですから、確かに災害基本法をつくって、それによってやられてきてはおりましたけれども、もう一歩前進して、こういう法案ももっと早目に出して、国民の不安をなくしていくということがあってしかるべきだと私は思っておりました。今回の場合は知事会から突き上げを食って、知事会が要綱までつくって、そして政府に突きつけて、総理も決断をして法案が出てきた、こういういきさつになっているわけです。  だからさっき池端委員からもお話がありましたけれども、そういう国民の不安にこたえるような思い切った施策をやってほしい。私は、そういう意味からも、第一候補の方はそれでわかりました。神奈川県の西部は入るようでございますけれども、しかし、東京を初め南関東は一体どうなるのだということぐらいはここではっきりしてくださいよ。
  36. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  私ども歴史的な調査と明治以来の観測を踏まえますと、当面大規模地震マグニチュード八クラスの地震の起こるおそれのあるのは、東海地区以外には考えられないということで、先ほども国土庁の方から御説明申し上げましたとおり、当面の対策強化地域の第一候補は東海地区でございます。というわけでございまして、関東地方につきましては、すでに御指摘の関東大震災が五十四年前には起こってしまっておりますので、その後の観測によりますと、まだ十分なエネルギーがたまっておらない、関東地震は他日再来するであろうけれども、そう間際のものではないという判断でございます。しかしながら、マグニチュード八より一段下がりましたあるいは二段下がりましたマグニチュード七とか六の地震は、やはり南関東あるいは首都圏の下で起こる可能性がございます。したがいまして、その真上にある東京というものを考えますと、被害の面からはおろそかにできない重要な地区でございます。したがいまして、私ども予知技術側から申し上げますと、現在マグニチュード七の地震に対する、防災に結びつき得る確実性のある前兆発見というのは非常にむずかしゅうございますが、いま申し上げましたような事情を踏まえまして、南関東もすでに観測強化地区に指定されておりまして、相当観測強化がなされております。今後ともこの強化は図っていく方向でございまして、予知技術の発展にまちまして、それが当然防災に結びつくということになろうかと存じます。
  37. 鈴木強

    鈴木(強)委員 では、東京にマグニチュード七ないし六というのは可能性としてはある、こうおっしゃっているわけですから、たとえばマグニチュード八の地震が東京にあった場合に、一体東京の姿はどうなるのか、被害はどうなるのかというふうな想定を国土庁としてもしたことがございますか。  たとえば静岡県の場合でも山梨県の場合でもそうですが、東海地震については非常に心配をし、それぞれの県が真剣に、足りない県の予算の中でいろいろな防災対策を立てております。今回この法案が国会を通過した場合に、財政的な面におきましてもあるいはいろいろな施策の面につきましても、県段階でできないいろいろなやりたいと思っておったことが、国の段階でやってもらえるだろうという期待を持っていると思うのですね。それには、まず現状をどう把握するかということが必要なんですよ。だから、たとえば東京なり静岡県にマグニチュード八の地震が起きたときに、静岡県は一体どの程度の被害が起きてくるのか、山梨県は一体どの程度の被害が出てくるのか、そういうことは調べてあるでしょう。ないとすればおかしいのです。だから、ここでそういうことを知らせてください。
  38. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 いまの被害想定の御質問でございます。実は昭和四十五年に消防審議会で、南関東地区に関東大震災クラスの地震が参りました場合にどれぐらいの被害があるだろうかという想定をいたしたことがございます。  その当時の資料といたしましては、被災者が八十万人、あるいは木造家屋の倒壊が五万五千戸、出火件数は千三百八十件というような数字も出ております。また、その後におきましても、都市センターが中心になりまして被害想定を南関東、特に東京地区についていたしておりまして、死者が五十万人くらいは出るだろうというような被害想定もいたしております。  消防庁といたしましても、昭和五十一年度に、大地震時におきます被害想定技法の開発、これはなかなかむずかしゅうございますので、どういう技法で被害想定をしたらいいかというような開発に関する調査研究を環境科学センターといったようなところに委託いたしまして研究をいたしておりますが、引き続きモデルの市を選びまして、そこで被害想定の具体的なつくり方といったようなものを今後十分研究しながら、被害想定の実施について地方団体等に今後十分指導してまいりたいと考えております。
  39. 鈴木強

    鈴木(強)委員 東京は一応、多少古いですがそういう想定をされておる。他の一番大事な、第一候補に挙がろうとする神奈川、静岡、山梨、愛知あるいは岐阜、長野等というところについてはやっているのですか。
  40. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、被害想定のモデルとして現在清水市を対象にして検討をいたしておりまして、その結果が出ますれば、それをモデルとして他の市町村に及ぼしていきたいと考えております。
  41. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ですから、政府の指導が非常に行き当たりばったりで系統的にやっておらないように思うわけですね。それぞれの県はそれぞれの県において苦労してやっておるわけですが、たとえば山梨県は東海地震相当意識しておりますから、もし関東大震災程度地震が来たときにどうなるかということも、これは五十年ないし五十一年の想定ですからちょっと古いですが、しかし山梨県の応用地質学研究会というのがやっておるわけですが、山梨県だけでも、木造の建物が八千四百五棟全壊、それから二万一千三百五十八棟が半壊、火災が九十六地点に発生する。しかし、これがお昼で食事どきのときはこの倍くらい。冬で食事どきでないときが倍ですね。それから食事どきのときは四倍、こういうような想定をしてそれぞれ対策を練っているようです。  それから、山岳地帯に行きますと急傾斜地域がございまして、この東海区域の防災についてはいろいろと配慮をしておりますが、現在山梨県だけでも六十三の地域が知事指定による傾斜地崩壊区域になっているのです。その中で九つの地区だけしか完了しておらない。二十九は工事中で、二十五は未着工、こういうようなお粗末なお寒い状態にあるわけです。ですから、それぞれの県にはそれぞれの地質的な特性もありますし、地形的な特性もあるのですから、そういう点も勘案して、いまあなた遅まきながらこれから指導するとおっしゃいましたけれども、こんなものはもっと早くやっておくべきですよ。いまごろ、法案提出するに際してまだ十分に調査がないなんという、そんなことでこの法案審議してもらうなんということはどうですか、これは、もし人が足りなかったらふやしたらどうですか。余っているところはそっちに回したっていい。われわれ国民は、必要なために人をふやすならば、何ぼでもこれは税金を使ったって文句言わないですよ。そういうふうにして、もう少し役所的な感覚から離れて、生きたものですからいつ来るかわからない、そういう意味で、ひとつやってほしいと思います。これからこの法律ができたらもっとちゃんとやってもらえますか。
  42. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 いま先生お話のございましたように、被害想定をいたします場合に、昼間来た場合、夜来た場合、冬の火をたくさん使う時期に来た場合、夏のほとんど火を使わない時期に来た場合、いろいろの場合が想定をされまして、また住民の防災意識等との関連も深いわけでございまして、しかし、被害想定は最悪の場合、最も条件の悪い場合を想定してそれに備えるということが基本だと考えておりますので、そのようなことで、現在先ほど申しますような作業をいたしておりますが、今後は精力的に県、市町村の段階地域の一番大事な耐震対策のまたその基礎になる被害想定でございますので、十分努力してまいりたいと考えております。
  43. 鈴木強

    鈴木(強)委員 国土庁長官に一言お答えをいただきたいのですが、この法案が成立をしまして、本格的な大規模地震に対する対策が逐次決まっていくと思いますが、その際に、いま質疑で聞きましたようなお粗末な実態調査ではこれは困ります。あなたは国務大臣としてひとつ責任を持ってそういう想定も考えて、特に第一候補なりあるいは第二候補になる南関東、それから逐次全国的にひとつわれわれが、なるほどこういう状態になるか、国民も県民も、なるほどそうか、それではひとついまからというような腹構えをちゃんと据えるような、そういうひとつ配慮をしていただきたい、そう思いますが、いかがですか。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 まことにありがたいお言葉で、鈴木委員のおっしゃるとおりに震災対策強化してまいりたいと思います。  災害対策基本法で、従来大都市に対する震災対策をどうするか、またそれらに対する連絡会議を持ったり、六つの分科会をつくってあらゆる場合を想定して検討はいたしておるわけでありますが、いま御質問にございましたように、かゆいところに手の届くようにあらゆる場合を想定しての研究、こういうことになってまいりますと、もちろんその足らざるところが非常にあると思います。この立法を機会に、さらにそういう足らざる面についての強化には努めてまいりたいと思います。
  45. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、これは気象庁の方でしょうか、マグニチュードという言葉とそれから震度というのが二つあるわけですね、この使い方に。どうも国民から見ると、マグニチュード八とか七とか言いましても、震度との、この震度四とか五とかというものと混同しやすいですからね。マグニチュードというのは、恐らく地震の爆発する力のぐあいを言っているのだろうと思いますから、マグニチュード八なんと言っても、距離の遠いところは震度は低いということもあると思うのですが、その辺のことがはっきりと国民に認識されてないような点があると思うのですよ。ですからこの使い分けは、学者が専門的におやりになっていると思うのですけれども、国民に対しては何か統一をしていくようなことはできないものなんでしょうか、むずかしいですか。
  46. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  確かに御指摘のとおり、マグニチュードと申しますのは地震そのものの大きさでございますし、震度はある特定の地震である特定の場所がどのくらい強く揺れたかという尺度でございますが、これは歴史的と申しますか、いままでの背景がございまして、たまたまマグニチュードの方も六、七、八というような数字が出てまいりますし、震度の方も、四、五、六というような数字が出てまいりますので、大変混同しやすい。まことにこれははっきりさせなければいけないことだろうと思います。  私ども、将来の地震予知情報の中に使われます言葉、これはなるべくやさしいものを使うようにし、かつそれを事前に国民の皆様によくわかっておいていただくという努力でこの辺を何とか乗り越えたい、こう思っておるわけでございますが、なお、両方とも似たような数字を使うのがこれはいけないということになれば、たとえば言葉に置きかえるとかいったようなことも検討していきたいと思います。  なお、皆様におわかりいただきます努力の一助といたしまして、これは科学技術庁が音頭をとられたのでございますが、最近「地震予知とあなたのくらし」というのを五万部刷りまして、東海地区全般の皆様に配布してございますが、この方向の努力は今後とも続けたいと思っております。
  47. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いまの御答弁のお考え方は、私も本当に感謝します。特に、そのパンフレットを刷って、行政の中にそういう親切さというものが欲しいと私は思っておりましたが、あなたのところでやっておっていただいて、これは私は感謝します。なおひとつ、用語の使い方については一層研究をしてみてください。  それから次に、警戒宣言のことについてですが、法第九条によりまして、内閣総理大臣は、気象庁長官から地震予知情報の報告を受けて、そして緊急の必要があると認めたときには閣議にかけて警戒宣言を発する、こういうことになるわけですが、そこで、いままで気象庁は、天気予報を重点的にやっておられたように私は思うのですね。地震予報というのは余り聞いたことがない。地震情報というのですか、そういうものであるわけですが、今回こういうふうに、少なくとも気象庁情報によって警戒宣言をするかしないかという重大な要素になるわけでございますから、いままでのような体制で果たして警戒宣言を出すに足る資料が得られるのかどうなのか、こういう点を非常に私は心配するわけです。  そこで、たとえばこの第一候補に上がっております東海地域における地震予知の測定器といいますか、観測器といいますか、そういうものは一体どうなっておるのか、どのくらいのところにどのくらいのものがあるのか、どういうものが設置されておるのか、そういう点等ひとつお答えをいただきたい。
  48. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  現在の東海地方におきます短期的予知につながります観測体制でございますが、これは地下の地震発生関係あります広い広い分野におきます多岐にわたる観測を連続的にいたしまして、その結果を一カ所に集める、そうしてそれを常時監視しているということが基本でございます。  すでに昭和五十年から私ども埋め込み式ひずみ計というのを東海地区七点に配備いたしまして、全部東京に集中いたしまして、いながらにして地面の伸び縮みがわかるというような手法を取り入れましたが、これにならいまして現在二十六カ所、約三十カ所近くなりますが、八種類に及ぶ観測点がございまして、これがすべて気象庁へ現在集中しつつございます。当然この中には周辺地区であります山梨県の観測所、長野県の南部の観測所、岐阜県の観測所も含まれております。こうしておりまして、もし異常が発見されました場合には、現在の業務体制では地震予知をするというところまできておりませんので、判定会先生方、これは、お医者様にたとえれば大変な名医でございます。その名医の御診断によりまして、地震に結びつくという結果が出ました場合には、私ども長官から総理に御報告申し上げるという手順になっております。今後とも測地学審議会建議等でさらに格段に観測施設を強化すべしという御建議が近々に出るやに伺っておりますが、私どもはそれを踏まえまして一層の観測強化に努めたいと思っております。
  49. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私はちょっと不思議に思うのですけれども、この法案を提案するに際して、気象庁は従来の天気予報中心の業務から今度は地震の方も、いわゆる地震予報的なものは出せないとしても、大事な警戒宣言を出すための調査研究をいろいろやっていかなければならぬ。さっき池端委員からもありましたけれども、いろいろ分散しておるところから資料が来ると思いますけれども、こんなものは一つの系統の中に集めてやった方が同じ金でもうまく使えると私は思うのですよ。それがばらばらになっておれば、いい面もあるかもしれないけれども非合理的、非能率的になる。そんなことはわかり切っているのですよ。だからできるだけ統合して、どこかでコントロールするような形のものにしていかなければだめなんですよ。なわ張りというものが役所にはあって、そこから来る金をお互いに自分の自分のということでやっている。全体的な立場に立ってやろうということが官僚組織の中ではどうも欠けている。だから私は池端委員がおっしゃったのも無理がないと思うし、これは学者先生も言っていることであります。それに反対しているのは官僚だけだ。だからそういう点を脱皮して、ある程度一か所でコントロールできるような体制に持っていかなければだめですよ。だから、この法案を出すに際して重大な宣言を出すための調査をする気象庁に、どういう器械を入れてどれだけの体制にしていくということがないのにこういう法案を出しているのですか。これは国土庁が提案者でしょう。そういう点はどうなっているのですか、大臣。この法案を出すについては、従来の災害基本法以上に、大震災が来たときにその対策を立てるということですから、国家予算としてはどのくらいの金を使って、いま考えられるものはこういうものである、正式には、もちろん計画はそれぞれの議を経て決めるわけでございますけれども、およそ気象関係については、こういう点をこうするんだというぐらいのことは、われわれの質問に答えられるような検討はしておられないのでしょうか。
  50. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在東海大地震の起きるおそれのある地域、あるいは南関東地区につきましては、しばしば御説明がございましたように観測強化地域として十分手配をしておる、こう申し上げていいと思うのです。また、この立法に伴いまして、さらに必要があるならば東海地域についてはもっと観測強化していく。その観測強化をしておる体制というものは、マグニチュード程度地震であれば予知ができる。これに対しては、いま具体的には東海地域判定会を持っておる、こういうことでございまして、観測に対する体制としては、何かもっと新しい計器ができてそれを入れたらどうかといえばそれはもちろん入れるべきだと思うのですが、現状においてはおよそこれだけのものというものは用意され、観測をされておる実情にあると思います。
  51. 鈴木強

    鈴木(強)委員 抽象論ですからわかりませんが、もし、そういうものがあるならば、時間がないから後ほど資料で教えてください。  一つだけお伺いしますが、いま気象庁で開発いたしました体積ひずみ計というのがございます。これは二個で五億という金だそうですが、戦闘機を買うつもりでおれば安いものですからね。国を守るというのは戦闘機を買うだけじゃないですよ。こういう優秀なひずみ計がありまして、これを一つ備えておけば相当の広いエリアまで、しかも精密な観測ができる、こういうものがあるわけですから、それでは長官、いまの法案が通ったら、こういうものを買って十分やれるように検討してくれますね。
  52. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまのお示しの問題は専門的になりますので、もちろん、現在用意がなければ先ほども申し上げたように必要なものはどんどん備えるというのが私の基本的な考えでございますが、あるいは用意があるかもしれぬし、その辺わかりませんので、担当官から御説明させます。
  53. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘になりました埋め込み式ひずみ計は、従来までの観測結果によりますと、地震予知のための前兆現象発見の上で有力な一手段であるという御認識を学会等からもいただいております。これを踏まえまして、先ほど来申し上げました測地学審議会ではざらに東海地方あるいは南関東等へ増設をすべしという御建議が出るやに伺っておりますので、その実現には万全を期したいと思っております。
  54. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。山梨県もその点については県独自で三百万くらいの予算でいまやっておりますが、とても小さい県ではできません。ですからひとついまの考え方を山梨県なんかについても十分検討してください。  時間がなくなりまして恐縮です。ですから一括して伺って、後で簡単にお答えいただきたい。  実は第三番目に聞きたかったのは、地震防災体制の整備、それから地震防災応急対策、こういうものについては特別の措置を定めるということになっております。私が大地震が参りましたときに一番心配するのは、通信網を絶対に確保しておくことだと思うのです。これは昨日NHKからも参考人が見えたそうですが、私はできれば民放の方にも来ていただいて、NHKと民放が放送の面では一体になって、公共放送、民間放送が両立している日本におきまして、一番速いスピードで正確に伝わるのが私は放送だと思うのです。ですからそういう面を十分活用しなければならない。にもかかわらずこれが地方は公共指定機関になっておりますが、たとえば東京のキー局である文化放送とかTBSとかいうところはなっておらぬ。これらの問題も私は不思議に思うのですよ。ですからそういう放送網あるいは新聞等、とにかく報道、マスコミ機関が発達しているわけですから、そういう面を使っていただくと同時に、警戒宣言が出てそれを全国に知らせるという各自治体における防災行政無線、こういうものが全国で一体どのくらいできていますか。そういうふうなこととあわせて、電電公社では電電公社として公衆電気通信の絶対確保のためにやっていただいているでしょう、また防衛庁は防衛庁として有事の際に絶対に通信が途絶することのないようなことも考えていただいているでしょう、それぞれの所管においてそれぞれ通信網の確保について非常時における対策を練っていると思いますが、現状と、これからこの法案が通ってどういう点をもう少し強化しなければならないとか、そういう面について、時間がなくなりまして済みませんが、委員長のお許しをいただいて、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  55. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 警戒宣言が発せられますと、いま検討されておりますが、消防庁から各県に流す、各県から市町村にいち早く流す、市町村から住民に徹底する、こういうことになるわけでありますから、県と市町村を結ぶ防災無線というものが大変大事になる。現在約三十都道府県が運用または整備中でございます。四十八年から国が補助を出しておりまして、五十三年度も新しく三県分の予算を組んでおりまして、今後も未整備団体については急いで整備が進められるように推進してまいりたい。ただ、いままだ整備されておりませんところは、過去に比較的大きな災害が少なかったあるいは過去の災害の際に連絡が途絶したという経験が少ないというところが多いようでございます。  しかし、いかなる災害が来るかわからないわけでありますから、特に地震等の場合にはそういうことは言っておれませんので、なるべく早く県と市町村を結ぶ防災無線、さらに本年度からは市町村と部落を結ぶ防災無線についても助成することにいたしておりまして、これも特に地震強化地域等を中心にして強力に推進してまいりたい、こう考えております。
  56. 澤田茂生

    ○澤田説明員 ただいま先生お話の中で、TBS、文化放送、ニッポン放送等を指定公共機関にしてはどうだというようなお話がございました。その点についてお答え申し上げたいと思います。  民放につきましては、NHKと違って全国組織を持っておりません。したがいまして、NHKは指定公共機関になっておりますが、民放自体は地域社会を存立の基盤といたしておりますので、指定地方公共機関が適当ではなかろうかと思いますし、また、いま御指摘のものは現在指定地方公共機関になっておるわけでございます。非常災害時におきます災害に関する情報というものを迅速かつ的確に報道すること、これは放送事業者の本来的な使命でございますので、そういう面での連絡体制情報体制というものについても今後とも十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  57. 山口開生

    ○山口説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、一般の電気通信設備の防災については、従来からこういう通信設備が災害のときに災害のための混乱を防止するために非常に有力な手段であることを十分心得ておりまして、特に地震については昭和四十三年に発生いたしました十勝沖地震を契機として災害特別計画を立てまして、電気通信設備の防災対策を実施してまいっております。  考え方として三つの考え方を基本的に持っておりますが、一つは、電気通信網のシステムとしての信頼性の向上ということでございまして、災害に強い、信頼性の高い通信施設の設計、設備を図ってまいっておりますとともに、直接被害を受けない都市相互間の通信が途絶しないように、あるいは麻痺しないように信頼性の向上を図ることが第一点でございます。このための施策といたしましては、たとえば大都市、東京とか名古屋とか大阪というような大都市の市外交換機の分散をいたしますとか、伝送路を環状にバイパスをつくってまいりますとか、市外都市間の伝送路を多ルート化してまいりますとか、大都市の中に洞道網を建設して地震対策をとっている、こういうことが第一点でございます。  第二番目は、通信の途絶防止でございまして、通信の途絶防止をいたすための対策といたしましては、孤立防止用の移動無線機を全国の市町村に配備いたしまして孤立を防ぐということでございます。  第三番目は、災害を受けた通信設備をできるだけ早く復旧したい、早期復旧でございますが、このために非常用の移動電話局装置を配備して早期に回線を回復するとか、各種の無線機を配備して通話を途絶することのないように措置していきたい、こういう考えでやっております。  なお、早期復旧のために、平素から職員の防災意識を高めておりまして、たとえて申しますと、各通信部ごとにあるいは通信局ごとに毎年防災演習をやっております。平素からそういった意識の高揚と機器の取り扱いについての習熟を図っておりまして、早期回復を図っていきたいと考えております。  また、局舎等につきましては、地震対策といたしまして、震度五ぐらいの地震に対しては被害が起こらないような形の強度を持たせるという意味対策をとっております。  なお、私どもといたしましては、第五次五カ年計画、四十七年から五十二年まででございますが、この間に防災対策として約二千億の建設投資をやってまいっております。五十三年度には三百八十億の予算を計上して防災強化に努めていきたい、このように考えておる次第でございます。
  58. 小池清彦

    ○小池説明員 防衛庁の関連で御説明申し上げます。  防衛庁におきましては、陸上自衛隊の通信団、通信群、通信大隊等の通信部隊その他の部隊におきまして、野外用の通信器材を多数持っておるわけでございます。FM無線機とか多重の無線装置とか短波無線機、いずれも野外用のものをたくさん持っておりますので、大震災が発生いたしました場合には全力を挙げて通信部隊を展開いたしまして臨時の通信系を構成する、こういうことになるわけでございますが、防衛庁はヘリコプターを持っておりますので、道路が閉ざされておるというような場合でもヘリで急速に展開できるということが強みなわけでございます。この体制を一層充実いたしますために、器材の充足あるいは研究改善に努めてまいりたいと思います。  少し具体的に申し上げますと……(鈴木(強)委員「時間がない」と呼ぶ)では、簡単に申し上げますと、現在防衛庁の持っております陸上自衛隊の多重の器材は六十チャンネルが最高でございますが、これではちょっと心もとのうございますので、やはりもっと容量の大きなもの、品質も、現在はまだ真空管タイプのものでございますので、もっと固体化したものにしたい。もう一つ気になりますのは、現在多重系を連接するのは防衛庁の専用線に限られておるのでございますが、災害派遣をいたしましたような場合には、これを防衛庁の専用線以外の電電公社の回線に特例的に連接することをお認めいただく必要も出てくるのじゃなかろうかということがございまして、その辺も検討してみたいと考えております。  以上でございます。
  59. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いま伺いましたけれども、やはり物の考え方が違うところもありますし、もう少し伺いたいのですが、時間がなくて、次の質疑者に迷惑をかけておりますから、これで終わります。どうもありがとうございました。
  60. 川崎寛治

    川崎委員長 古川雅司君。
  61. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただいま議題になっております大規模地震対策特別措置法案につきましては、去る四月十三日に提案理由の御説明がありまして以来、数々の議論がございました。また昨日は参考人にそれぞれ専門の諸先生方をお招きして、御意見の開陳もいただいております。そうした中で問題点の指摘は十分行われたと私は思いますが、長官もそういう問題点の指摘を踏まえて、その一つ一つについてはすでに明確に見解をお固めになっているのではないかと思います。そういう意味で、以下質問をしてまいりたいと思います。  最初に、この法案の要旨の一つでありますが、総理大臣は、気象庁長官から地震予知情報の報告を受けた場合において、地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めるときには、これを閣議にかけて、警戒宣言を発するということになっております。  ところで、気象庁長官からこの地震予知情報の報告をする前に、いわゆる予知連の先生方判定会の判定があるわけでございます。この判定会の法制上の位置というものがこの法案には全く出てこないわけでございまして、この法案では気象庁気象庁長官から始まっているわけでございます。この予知連の法制上の位置あるいは権限、責任というものが全くうたわれていないのはどういうことなのか、その点をひとつお伺いいたします。
  62. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは気象庁へあらゆる情報データを集中する、気象庁で責任を持って内閣総理大臣に対する報告をする、こういうことで、どこに一元しているかというと、気象庁へ集中しておる、こういうふうにおとり願ってよろしいと思います。
  63. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 しかし、気象庁長官地震予知情報の報告を総理大臣にする場合には、事実上判定会の結論を得て、その上で報告をするわけでありますから、この判定会の法制上の位置、そしてまた権限といったものが明確にうたわれていなければ、以後、責任体制にも非常に影響してくるのではないか、このように考えるのですが、いかがでございますか。
  64. 四柳修

    四柳政府委員 御指摘の点、昨日も参考人との御質疑の中でいろいろ御議論があったのでございますけれども、御案内のように、いまの判定会というものが予知連の方から東海地域判定会の責任の先生方に出ていただき、しかもその設置につきまして、測地学審議会の方からの御建議によってできているという仕組みでございまして、仮にこの法律がないといたしますと、いまのまま、確かに御指摘のように法的に性格のないままに予知連会長が一つの御判断を御発表になるという形になります。しかし、今度はこの法律によりまして、その予知連会長の御判断というものをそのままという形ではなくて、そこで一遍気象庁の業務として気象庁長官がお引き取りになりまして、それを国の業務として気象庁長官が総理大臣に御報告いただく、そういう形をとりまして、それ以前の段階予知判定会等の性格につきましては、いずれまた測地学審議会等の御建議がございましたならば、それを見まして、またどう位置づけるべきかということは関係者寄りまして検討したいと思います。
  65. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 総理大臣が警戒宣言を発するという非常に重大な事態、その判断のいわゆる出発点が予知連の判定会の結果でございまして、これがこの法案の中に法制上の位置、権限また責任といったものを全然明記しないままスタートするということには非常に大きな疑問があると思うのであります。いまの御答弁でまだ釈然としないわけでございますけれども、今後時間を経て予知連の判定会の法的な位置というものを明確にしていく、盛り込んでいくのだという御答弁でございますが、長官、それでよろしゅうございますか。
  66. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 測地学審議会の方からこの予知体制に対する建議が行われる予定になっております。そういう建議があった場合に、ただいまの御意見のようなことも十分考えなければならぬと思いますが、いまこうやって法案をお願いしておる上におきまして、私どもとしては、ただいま審議官をして御答弁させましたように、気象庁長官に一切のデータを集中して責任を持ってもらっておる、こういうことに御理解をいただきたいと思います。
  67. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 この予知体制を初め地震災害対処するための行政機関の問題でございますが、きのうの参考人の諸先生方の御意見の中にも、数々の御指摘がございまして、特に印象的に残っておりますのは、いわゆる一元化というものが継ぎはぎの一元化であってはならないということを指摘しておられました。そしてまた、地震予知体制観測体制にしても、現状では非常に各省庁に分かれておるわけでございまして、きのうある先生はこういう表現を使っておられたわけでございます。科学技術庁はいわゆる学術的な、学問的な研究調査をする、そういう部門を担当している。そしてまた気象庁の方はほとんど空を見ている。気象の方が中心である。そしてまた国土地理院の方は地図をつくるという方に重きを置いた形で地面を見ている。いわゆる地震そのものに対する強力な権限と、そしてまた推進力を持った機関というものはないという御指摘があったわけでございます。きのうの参考人先生方の御意見を伺っておりますと、むしろこの法案のスタートと同時ぐらいに、たとえば地震庁といったようなそういう機関の形で一元化するところまで準備をして、この法案の実施に踏み切るべきではなかったか、そういう印象を持ったわけでございますが、長官、この点いかがでございますか。
  68. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 この点は、私の所見はしばしば申し上げておるところであります。  なお、参考人意見といたしましては、ただいま御質問のとおりのことを、昨日終了後に私も承っておるのでありますが、予知技術の発展の上からいいますと、いまお示しになったような各機関で、それぞれの特徴ある研究をしていくということが好ましいのではないか。あらゆる角度から研究していく。そしてその中から予知の上に寄与すべきものを取り上げていく。そして現在におきましては大体六方面でいろいろな角度で研究されておるのを、地震予知連絡会情報の交換、専門的な判断をしておる。その成果は、マグニチュード程度のものはもう予知は十分できる。これを現実に当てはめて、東海地域の問題は予知できるということから、この東海地域判定会が生まれたものと思うのであります。予知全体につきましては、御承知のように科学技術庁長官を長とする予知推進本部をつくって、予知技術なり研究体制をここへ集中しておるわけですね。ただマグニチュード八の予知をする上においてはどうか、こういうことになると、この連絡会判定会がこれを担当するということになってきておりますが、しかしいろいろな御意見も出ておって、測地学審議会の方にいろいろ御検討をちょうだいして、いままでに三回か予知についての建議をちょうだいしておりまして、ざらに第四次の建議もあるのではないか。したがって、その場合にはもちろんその建議を尊重して、現状体制について手を加えるべきところがあるならばそれはもちろん加えたい。しかし、今回の立法をお願いするにおいて、この東海地域判定会を背景にする気象庁へのデータの集中というものは、われわれとしてはまずこの体制でよろしいと判断したわけであります。
  69. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 詳しく御答弁をいただきましたが、将来の問題はさておきましても、現実にこの法律が誕生をして、今後実効あるものとして運用されていく上において現在の行政体制のままで十分なのか。いろいろ御指摘があったとおり、いわゆる継ぎはぎという形ではない、地震そのものに専念をして取り組んでいく一つの機関の設置というところまで考えて、近い将来そういう形にしてこの地震対策に対応すべきではないかということに対してはいかがでございますか。その点、いまの長官の御答弁でははっきりしないわけでございますが……。
  70. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの御意見も、また測地学審議会建議も、これらを尊重して予知体制強化する必要があれば、それは強化する、こういうことでございます。
  71. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 そういう御意見を尊重してこれから判断をしていかれることは大変結構なのでございますが、ただいま申し上げましたとおり、たとえばこの法案全体を実効あるものにしていくためには、いわゆる全国レベルにおける予知体制拡充強化しなければならないということが当然大前提になっていくと思うわけでございます。しかるに、この法案の内容で見る限りにおいては、その点についての国の義務というものがきわめて抽象的な規定しかしていない。専門家そしてまた専門機関にそれぞれ諮って判断をしていかれるということも大事でありましょうけれども、当面の国土庁長官としての責任ある立場から、いわゆるこれだけのものは国の義務として考えていきたいし、必要とすると判断をしていく、そういうふうに明確にする必要があるのではないかと思います。この国の義務といいますか、こうした前提となる全国的なレベルへの強化体制の規定についてはいかがお考えでございますか。
  72. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今度の立法の一つのねらいがございます。それは東海大地震のおそれがある、また伊豆大島沖の地震などがあって、正確な情報予知というものを期待しておるということがあって、それなりの特別措置法のねらいがあると私は思うのです。また必要に迫られておると思うのです。ただ、全般的な災害対策がどうだ、これは災害対策基本法があって、それで中央防災会議が設けられておりますから、いまの災害に対する予防のことはどうかとか、また災害が起きた後はどうだとかいうようなことは、全般的には中央防災会議を中心に従来すべて計画を立て検討しておるわけですから、この基本のものが別途ある、こういう御認識をちょうだいすると今度の特別措置ということについての御理解をちょうだいできるのではないかと思います。
  73. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これも先日来問題点として指摘をされてきておりますが、いわゆるマグニチュード程度の大規模地震のみを対象にしておるわけでございますが、それ以下のマグニチュード規模地震においても、いわゆる直下型の地震においては現在の技術では予知は不可能であるということが指摘をされているわけでございます。この点については、この特別措置法案が全く無力であるという意見も非常に強いわけでございますが、この点は審議の経過でどのように御判断をなされましたでしょうか。
  74. 四柳修

    四柳政府委員 先ほどの池端委員の御質疑のときにも御答弁申し上げましたように、私どもこの大規模地震につきまして、予知技術の現在の水準を前提として、その前提に基づきます予知情報が出て、それが余りにも大きな被害をもたらしては困るから、事前計画対応で防災措置をしたい、そういういわばセットという形で御答弁申し上げましたけれども、確かに御指摘のように、できることならばマグニチュード八ではなくて、昨日の参考人先生方も努力目標としていただいておりますように、できればさらにもう少し規模の小さい、たとえばマグニチュード程度対象にできるように、あるいはその土地土地の条件によりまして、幸いにもそれ以下のものでもあるいは直下型のものでも何らかの条件を整備すればつかまえられるようになりましたらば、それに応じまして、法律仕組みとしては変わりませんけれども対象としましてはできるだけ取り入れていくように努力をしてまいりたいと思います。
  75. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 予知技術につきましては、これはもう繰り返し議論をされておりますが、予知情報の報告がなく、したがって警戒宣言もなされないままにマグニチュード程度の大地震が起こってしまったということは、いままでの専門家の先生方の御説明ではほとんどあり得ないと思うのでありますが、警戒宣言を発してしまった後地震が起こらなかった。これは幸いにして起こらなかったということになるわけでございましょうが、その場合の宣言の空振りに対しては住民がいろいろな形で被害を受けるということが想定されるわけでございます。これも議論はされておりますが、非常に明確ではございませんのでお伺いをしておきますけれども、全国知事会がお出しになった試案の中では、この空振りの際の補償請求はしないということを明記しておったわけでございますが、このたび提案されました本法案では、この補償については何ら明記していないわけでございますが、これはどういうわけでございますか。
  76. 四柳修

    四柳政府委員 今回の法案の三十条におきまして「地震防災応急対策に要する費用の負担」という形で、地震防災応急対策に要する費用につきましてはその実施の責めに任ずる方に負担をしていただく。だから、御指摘の例のように警戒宣言が出ますと、国も県も市町村もあるいは防災上重要な施設の管理者等におきましても、それぞれあらかじめつくりました、いわば地震防災計画によります地震防災応急措置をおとりになります。その措置につきましては、いま申し上げましたように、御自分の負担で支出をお願いいたしたい。それが空振りになったこと、ただいま古川委員もおっしゃいましたように幸いにして空振りになったということでございまして、本来御自分の計画でお定めいただきました御自分の財産、生命、身体等を御自分でお守りいただくということに対しましてのそれなりの御負担という形で御理解いただきたいと思います。
  77. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 これはあくまでも想定をしての議論でございますので、あるいは無意味かもしれませんが、この法律ができまして、たとえば警戒宣言が発せられた、しかもそれが幸いにしてということを私は強調したいのでありますが、空振りになった場合、ただ住民の中にはその空振りになった警戒宣言に対して国の責任を問い、補償を請求して訴訟を起こすというようなこともなきにしもあらずであります。たとえばこの間の静岡県が行いました予知情報を発表すべきかどうかという住民調査に対しては、大部分の人がたとえ空振りになっても住民に知らせてほしいという意見を持ちながら、わずか一〇%前後でございますが、そういうのは発表してほしくないという意見もあったわけでありまして、あるいはそういう層から補償を請求して訴訟を起こすということも、これは全くない、杞憂だとばかりは私は言えないと思うのでございます。そういうものに対してはどこがどう受けとめていくのか、その辺をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  78. 四柳修

    四柳政府委員 仮定の問題という形でのお尋ねでございますので、大変恐縮でございますけれども、やはりできるだけそういったことがないように住民の方々の御理解なり御協力をいただくのが本来のたてまえだろうと思います。それでもなおかつ御指摘のような例が出てまいりました場合には、それはその時点におきまして関係省庁相談いたしまして、その訴訟の内容にもよると思いますけれども、その時点で対応するということにして、たてまえはあくまでもそういったことがないように住民の方々の御理解をいただきたい、あるいは日ごろの訓練の中からそういうことを周りの方々も御一緒になってお話し合いいただくというふうにお願いいたしたいと考えております。
  79. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 伺うところによると、いわゆる空振りの場合の補償をしないものとするということは法制上憲法に抵触するおそれがあるので、これははっきり規定はできないということも伺っております。ただ、これはあくまで先ほどから申し上げているとおり仮定の上でございますので、仮定の上で御答弁をいただかなければならないわけでありますが、そうした補償請求の訴訟が起こった場合どうこれを受けとめていくのか、仮定の上で結構ですから、ひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  80. 四柳修

    四柳政府委員 あくまでも限定的な例外的な仮定という形で考えさせていただきますと、その訴訟の内容によりまして、国として受けて立つ場合もあり得ると思います。
  81. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 法案の要旨の中で、警戒宣言を発して地震災害警戒本部本部長である総理大臣が特に必要があると認めた場合には、関係指定地方行政機関の長、関係地方公共団体の長に必要な指示を行い、そしてまた防災の応急対策を的確にかつ迅速に実施するために、いわゆる自衛隊の出動派遣を要請することができるということがございます。この点非常にまた疑問点と申しますか、問題を残しているわけでございますが、先日来の議論では、この段階での治安出動はあり得ないということを繰り返し答弁になっております。これは間違いございませんか。国土庁の御判断で結構です。
  82. 四柳修

    四柳政府委員 私ども防災側としまして出動の要請をお願いする側でございますので、そちらの側からの答弁という形で御理解いただきたいと思いますけれども、あくまでも各県、市町村等が行います地震防災応急措置の御支援という形で、具体的な内容等につきましてもいままで繰り返し答弁申し上げており、また昨日山本参考人の方からも地元の方の御希望なり御意見等の御開陳もございましたものですから、そういった内容におきましては御指摘のような治安出動的な活動というものは一応想定されないと私どもも理解しております。
  83. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 ただし、これは将来万が一警戒宣言を発して、不幸にして地震が起こる、その間にいわゆる治安出動という形を選ばざるを得ないという事態が現地に現実に起こった場合、自衛隊としてはいわゆる治安出動という形で行動するのではないかということがあくまで疑問として残るわけでございます。この辺は国土庁としてはどういうはっきりした判断を持っていらっしゃるのか。たとえば自衛隊の災害派遣に関する訓令というのがございます。この間本委員会でも出ておりましたが、その第十五条に「法第九十四条第一項において準用する警察官職務執行法第四条又は第六条第一項の規定により自衛官が避難等の措置又は立入を行なうには、指揮官の命令によるものとする。」、この点では昨日の静岡県知事山本参考人の御指摘を了とするものでありますけれども、さらにその後に「ただし、緊急を要し指揮官の命令を待ついとまがない場合には、この限りでない。」という規定もあるわけでございまして、治安出動があくまでないという御判断は、この辺ではかなりあいまいになってくるのではないかという危惧も持つわけでございます。この辺は国土庁としてはどのように判断していらっしゃいますか。
  84. 四柳修

    四柳政府委員 ただいま御指摘の治安出動の問題でございますけれども、御案内のように、自衛隊法七十八条の一項あるいは八十一条の二項で、それぞれ命令による治安出動あるいは要請によります治安出動の規定がございまして、その際の一つの権限として、御指摘のようなことも一応現行自衛隊法上規定されております。したがいまして、お尋ねのようにこの法律の八十三条二項の地震防災派遣という形で一応派遣を要請いたしまして、その後の発災時におきますいろいろな客観情勢の判断によりまして、いまの御指摘のような現行自衛隊法上のたとえば要請によります治安出動ですとか、そういった問題につながるかつながらないかという問題につきましては、これはせんだって防衛庁の方からも御答弁申し上げましたように、御指摘の現在の防衛庁の訓令等の改正の過程の中でも多分御検討いただけるのではないだろうか。これは私どもの方で御答弁する筋合いではないと思いますけれども、そういったことを私ども国土庁としてどう考えるかというお尋ねでございますから、そういうふうに私ども理解をしております。
  85. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 あくまでも都道府県知事等の災害対策本部長としての指示の中で自衛隊が行動するというきちんとした保証がない限り、これはいろいろな危惧やいわゆる治安出動につながる不安が残るわけでございます。いまの四柳審議官の御答弁によりますと、国土庁としてのいわゆる期待と申しますか、希望と申しますか、そういう御意思は十分にわかったわけでございます。この法案が成立した後、その点は国土庁の意思として防衛庁との間に話を詰めて明確にしていくお考えがあるかどうか、長官にお伺いしたいと思います。
  86. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはもう言うまでもないことでございます。明確にいたしたいと思いますが、大体、私どもの想定しているのは、警戒宣言後の長くとも三、四日の間ではないか。そして、災害発生の状態に移ってしまうか、あるいは空振り——その数時間から何日かの間に自衛隊にお願いしたいということは、これは地震防災基本計画地震防災強化計画というものが事前の措置としてつくられております。それらの計画が支障なく行い得られるように、自衛隊の派遣の要請の必要があれば本部長判断でする。これは本来であれば各県知事が要請するとか、あるいは他の要請者を考えてよろしかったと思うのですが、まあ大規模地震ということになれば数県に及ぶということで、やはり数県に及ぶ場合の自衛隊の要請としては、本部長の要請が好ましいのではないか、こういう判断の上にありますから、お話のような治安的なことなども全然考えておるわけではございませんし、もしいろいろ御懸念があれば、それに対処する何らかの方途は考えてよろしいと思います。
  87. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 本法案の要旨のいわゆる出発点といいますか前提に、総理大臣は大規模地震発生するおそれが特に大きいと認められる地域地震防災対策強化地域指定するというところから出発しているわけでございます。先日来この問題については、いつごろ、どこにこの地域指定をし、そしてそれがどうなっていくかという議論が繰り返されてきたわけでございます。それで、第一段階として東海地域ということが明確になったわけでございますが、その後南関東地域というふうにこれは広がっていくわけでございますね。ただ、地震に強い都市構造に改めるということが不可欠である、これはもう大前提になると思うのでございますが、この法案では、肝心の建築物の耐震不燃化など、そういった総合的な防災都市化への誘導政策が欠けているのじゃないかという気がするわけでございまして、そういったものが明確でない以上、今後南関東地域を初めとして強化地域指定をしていくという流れに大きな支障が残るのではないかというふうに私は考えるわけでございます。先ほどの御質問の御指摘にもございましたし、それからまた、私は先般一月三十一日の本委員会の質問でも申し上げたのでございますが、災害の被害を予測するいわゆる技法というものがまだ確立をしていない。そのとき科学技術庁においでをいただいて御答弁をいただきました。それによりますと、そうした技法は全体については完成をしていない、不十分なところについては引き続き関係研究所において研究を続けていく、したがって、これらが完全にでき上がるのはあと二、三年かかるのではないかと想像をしているという御答弁がございました。技法としても非常にむずかしい、技法を確立するということは困難であるということもわかりますけれども、いわゆる防災都市の計画を進めていく上においては、そうした具体的な被害の予測の技法の確立というものがあくまでも前提になるのではないか。これは一々細かい点を御指摘申し上げたいわけでございますけれども、時間がないので、きょうは省略をさせていただきます。  国土庁の震災対策課でおまとめになったデータの中にも、関東大震災のときと今日の東京のいろいろな状況についての比較が詳細に報告されております。その一つを見ましても、どういう事態のときにどれだけの被害が起こるのか、これを明確にした上でいわゆる大都市震災対策推進要綱なるものも進められるのではないか、また、今後の建築物の建設に対する都市化への誘導政策というものもはっきりしてくるのではないか。そういうものがない以上、今後強化地域指定をしていく過程においても非常に不安が残りますし、果たしてどれだけのものができるのかということが非常に大きな問題になると思うのでございます。各機関に図ってとか相談をしてという形で進めていったのでは、非常に手落ちではないか。むしろ国土庁を中心として、こうした被害の予測調査あるいはその技法の確立というものについても、もう大前提として第一義的に取り組むべきではないかというように考えるのでございますが、この点いかがでございますか。
  88. 四柳修

    四柳政府委員 基本的にはただいま古川委員が御発言のように、すべてのいろいろな条件を整備いたしまして、それに基づいて計画的な災害に強い町づくりというものを進めていくということがやはり望ましいことだと思います。  いま前提としまして、一つ被害想定というお話がございましたが、先ほど消防庁の方からも御答弁申し上げましたけれども、あるいはいま御引用いただきました科学技術庁の御答弁等もございますけれども、手法として未確立ということで、ある類推的な関東大震災クラスの前提を置いて、あのときどの程度の倒壊があったから、それは木造家屋については何ぼであるというような形の積み上げが、やはり昭和四十年代の一つの手法だったと思います。現在静岡県あるいは東海の各県がこれからもっと詳しいものをやりたいと言っていますのは、駿河湾央におきましてマグニチュード八の具体的な地震を想定いたしまして、それが関係府県にどのような震度分布になるか、その震度分布が具体的な町あるいは工場等のそれぞれの社会的条件なり地質的条件にどういう影響を与えるのか、その上で各メッシュで切った中でどれだけの倒壊があり、あるいはどれだけの出火があるか、こういうことを手法を改めましてやろうとしている状況でございまして、その一つの例が、先般静岡県知事が御発言になりました、九千人前後のお亡くなりになる方というお話がございました。あるいは神奈川県も、東大地震研の嶋先生の数字をいただいて、現在駿河湾からいわば同心円上に震度分布を一応置きまして、それをベースとしまして具体的な被害想定を作業中でございます。あるいは愛知県等も、たとえば名古屋市におきましても豊橋市におきましても、クイックサンド現象が起こるところがあるものですから、そういった地質調査も並行してやっておるという形で、大変物事の順序が追いつ追われつというかっこうになるかもしれませんけれども、できることならばそういった点も、災害に強い町づくりを計画的に進めていく過程の中で絶えず見直しをしていく。非常に迂遠な方法に聞こえるかもしれませんけれども、やはりそういうように計画を見直しながら住民の御理解を得て進めていくという形で、私どもも各省の御協力を得てその作業にも意を用いてまいりたいと考えております。
  89. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 時間が参りましたので、最後に長官にお伺いいたします。  地震防災対策強化地域指定でございますが、二十九条と三十条のいわゆる財政条項によりますと、結局、地方自治体の負担増ということだけが残るのではないかというこども指摘をされてまいりました。そういう意味で、今後東海地域を初めといたしまして次々強化地域指定していく上においては、この点も大きな支障になるのではないかと思います。また、強化計画を推進する上において、国の財政的な負担、そしていま申し上げた地方自治体の負担増ということが一つの大きな支障になるのではないかというふうに言われておりますが、この点について御見解をお示しいただきまして、私の質問を終わります。
  90. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お示しの二十九条で、地震防災強化計画などで事業内容などがはっきりした場合に、それらの事業に要する経費の一部の補助とか、その他必要と認める措置を講ずることとするというのは、これは私はむしろ前向きの個条ではないかと思うのであります。  それから、昭和五十三年度以降の震災対策緊急事業計画というものは、これは別途あるわけです。中央防災会議の大都市震災対策推進要綱などに基づきまして、従来ずっと震災対策というものは行われてきて、現在第二次の昭和五十年から五十二年の緊急事業計画が終わって、今度第三次に入るのでありまして、その第三次の場合におきましては、従来は大都市ということで三大都市圏であったわけでございますが、最近特に地震発生が懸念されている地域等も含め、建設省所管事業のうち地震対策として緊急を要するものについて実施する、こういうことで中部圏の愛知、静岡、三重を加えておるわけであります。それまでは中部圏は名古屋のみでしたがこれが加えられておりまして、この三年計画による地震対策というものはどんどん遂行されていくということもお含みおきいただきたい、こう思います。
  91. 古川雅司

    ○古川(雅)委員 終わります。
  92. 川崎寛治

    川崎委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後二時二十分開議
  93. 川崎寛治

    川崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。加藤万吉君。
  94. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一月十四日に伊豆大島近海地震発生したわけですが、ちょうどその日に私ども神奈川県の国会議員団が長洲知事と会合をやっているその場でございました。神奈川県横浜でやっておったわけですが、そのときの震度が四というように後で聞きました。さて、もしこれが関東大震災規模状況であったならば、私どもはあの会議の席上からこの対策に奔走するために脱出ができるだろうか、実はその不安が第一に頭をかすめたのであります。お集まりの国会議員の先生方皆さんそう思っていらっしゃいましたが、この会議がそのまま神奈川県の防災対策本部になるのだななんという話をしておったのです。  さて、防災対策本部になりましたけれども、知事以下所属局長も全部その席におりましたが、もし激甚だった場合に、直ちにその災害地あるいはその対策が可能であったろうかどうだろうか、実は大変心配といいますか、善後策が見つからなかったのであります。なぜかといえば、御案内のように、横浜は片方が海、周りがコンビナート地帯に囲まれているわけであります。したがって、その場からの脱出、同時にそれからたとえば車なり車両を用意してどこかにはせ参ずることができるのかどうか、そういう不安が第一に頭に走りました。  そこで、私は、この伊豆大島近海地震に関連して、このコンビナートの集積する都市、人口の過密する都市に対する防災対策をどのように行うべきか、この観点から若干質問をし、同時に本法案の中身についても私どもの意をくんで修正、あるいはまたこれからの施策の面で生かしていただきたい、こんな気持ちでいっぱいであります。  さて、伊豆大島近海それから南関東にかけましては御承知のように防災強化地域であり、同時に観測強化地域としていま指定をされているわけであります。一体、伊豆大島近海地震が、いま国が持って行っております東海地域判定会の中で、この予知ができなかったものであろうか。私、その後の報告を見ますと、東海地域の判定区域の対象外だったために、この地震予知が、把握ができなかったというお話を聞いているわけですが、五十二年から発足をしたこの判定会相当綿密な各地点の観測状況、さらにそれがテレメーターシステムによって把握をされているはずであります。したがって、結果的に大島沖とはいえ、その地震予知観測ができなかったものだろうか、この点についてまず第一に御質問をしたいと思います。
  95. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、判定会は昨年四月にすでに発足いたしております。ただ、この判定会の招集に至りますには若干の手続と申しますか、監視を通じての状況の進捗がございまして、ただいま御指摘気象庁にテレメーターされております各種観測にある一定の異変が感知されたときに、判定会長の方に御報告して、判定会開催かどうかの決断をいただく、さらにそれが地震前兆であるということになればまた次のステップへ移るという経過で物事が進んでいくようになっております。御指摘の本年一月十四日の伊豆大島近海地震の場合は、この一定の判定基準にも実は達しておらなかったわけでございまして、これは地震そのものが、被害は別といたしまして、自然現象としては規模が小さかったためであろうと思うわけでございます。しかし、この判定基準に達していなかったかどうかという問題と別にいたしまして、判定会先生方は毎月気象庁へお集まりいただいておりますので、判定会の判定の技術の向上のために、一月十四日の地震の前後の各種観測値の状況は十分御勉強願って、将来のよりよき判定にこれを使っていただくということで努力はいたしております。
  96. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その後、その先生方の座談会の記事などを読んでみますと、確かに東海地域判定会でありますから伊豆大島はその範疇に入らない、いわば南関東の延長線上に発生したのだ、しかし、もしあのときに海底の地震計等が配置をされておったならば、このテレメーター線上にその予知が感知されたのではないか、したがって、東海地域における群発地域、いわゆる地震の群発地域として判定会が設けられたわけですが、同じように相模湾を中心にして、御承知のように相模トラフがあるわけですから、こういうものを含めてこの判定会がそれを予知する力あるいはそれを判定をする技術的な基礎データーもし海底にあればそういう状況が把握できたのではないか、したがってということで、今後この経験を生かしたいということでその座談会では結んでいらっしゃいますけれども、このテレメーターの延長線上にもしそれがあったならば、あの地震予知は可能であったのでしょうかいかがでしょうか。
  97. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  確かに伊豆大島、相模湾から伊豆半島にかけましても、すでに数年来、南関東ということで観測強化がなされておりまして、この御指摘地震の前にも若干の前兆現象とおぼしきものが把握できたわけでございます。ただ、判定会の諸先生の御検討を経ましたけれども、これを基礎にして、この一月十四日の地震が起こるということを相当しぼった意味で、つまり防災に結びつけられる確度を持った予知情報として出すことはやはりむずかしかったという御判断でありまして、今後の勉強材料にはもちろん十分させていただくつもりでございますが、やはり将来はこの南関東の観測強化と、さらに地震予知技術の進展を踏まえまして、防災に結びつけるという方向へ持っていくべきであろうと考えております。
  98. 加藤万吉

    加藤(万)委員 確かにおっしゃったように、その時期、一言で言えば東海という言葉に多少こだわり過ぎる面も率直に言ってあるかもしれませんが、やはり相模トラフ等から考えてみて、この観測強化地域——同じように南関東地域にも同様の判定会を持つべき時期に来ているのではないか。私が言うまでもありませんけれども、河角先生等も、六十九年説、しかもそれが昭和五十三年度からその期間に入る、こう学説として述べておられるわけですから、そういう意味では東海地域と同じように、群発地域として、相模トラフを中心にした判定会を早急に設置をされて対処する、同時に判定会でも、いまの東海の場合に大島地震がわからなかったと同じように、やはり観測強化の面が陸上地点に多過ぎる——多過ぎると言っては失礼ですが、陸上地点と海面下、水面下、いわゆる海底ですね、この観測機能との間にやはり観測条件として少し断層があり過ぎる。たとえばいまどういうふうに見ているのでしょうか。油壷は海底断層の観測所になっているのでしょうか。これも陸地ですね。したがって、私は何か海底観測ができるような機能というものをこの際やはり観測機構として強化をする、陸上の観測地点と同じように強化すべきではないかというように実は思うのです。  いまの質問で、一つは相模湾、南関東を中心にして判定会のような機能というものをこの際設置すべき時期ではないかということと、海底観測必要性とその強化策について今後どうお考えになっているか、所見をお聞きしたいと思うのです。
  99. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  第一点の判定会を南関東地区にも広げるべきではないかという御質問でございますが、これは昨日の参考人の諸先生の御意見でも、終局的には日本全国マグニチュード程度まで予知できるところへ持っていくべきだ、またそこまで長期的に見れば技術進歩は期待できるという御陳述がございましたけれども、これを踏まえまして、まず現在の技術水準防災に結びつく時点まで達しているマグニチュード八を今回は防災に結びつけさしていただく手段をとらしていだだき、さらに技術の発展を待ちまして、当然日本全国どこよりどこが大事ということはもちろんございませんが、南関東は前から強化地域にもなっているわけでございますし、技術進歩を見まして、ここにも将来は判定会と同様な機能の処置をするということは当然考えられると存じます。  次の、海底の観測が大事ではないかという点でございますけれども、これは私ども前々から十分検討いたしておりまして、実は本年七月か八月にまず問題になっております東海沖の恐らく地震の起こるであろう真上に海底地震計常時観測装置というものを敷設いたします。これの作動状況を見まして、さらに他の重要なところにも海底地震計の設置あるいは海底における地殻変動観測もできるような施設を広げていきたい、かようにただいま検討しているところでございます。
  100. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私、先ほどの一月十四日、たまたまそういう地震と会合とが一緒に重なり合って遭遇したときに、非常に私なんかは敏感なんですね。これは関東大震災の経験がそうさせたのかもしれません。私の兄弟は、残念ですけれども、震災で二人亡くしましたから、私の母は子供のときから地震というものに対しては動物的と言われるくらい物すごく反応が強いのですね。ちょこっとした振動がありましても、私を抱いて表に飛び出すというような、そういう動物的な反応というか、習慣がありました。そういうことで、東海から相模トラフ、こういう学説等もある中で、私ども、震度四のことを考えますと、率直に言って再びという感じが実感としても、また体の上からも感じてくるのですね。したがって、いま言いましたように、海底地震計があってもし予知ができるということになれば、そういう焦燥感、不安感というものをなくすことができると思うのですね。これはどうも言葉でうまく表現ができないのですけれども、そういう体験といいましょうか、そういう育ちといいましょうか、そういう人が御承知のように横浜を中心にして、東京もそうですが、何百万という人がいるわけですから、私はもし今日の科学技術の中で最大限の予知ができるものがあれば、そういうものを早急に設置をして、そこにおののいている、あるいはおびえていると言っては少し言葉がオーバーですけれども、そういう住民に対する不安感を取り除く努力を最大限すべきだと思うのです。  同時に、東海における判定会、私は学者先生方がさてこれで予知発動をしていいのかどうかという判定ももちろんありましょう、しかし、同時にそれが住民の生活上に及ぼしている安堵感といいましょうか、その影響はまさにはかり知れないものがあると思うのです。特に神奈川の場合には川崎の多摩川の河口を中心にしてあるのではないか。私は茅ケ崎というところに住んでいますが、伊豆半島から江ノ島までが断層地域だ、あれが陥没するのではないかということが漁師なんかの日常の言葉にいま出てくるのですね。御承知のように、江ノ島は関東大震災では約一メートル以上持ち上がってしまった地域ですね。したがって素人的にも、持ち上がったその下が空洞になっているのだよという話になると、何となしに実感としても、そうか、それじゃ大変だなという気持ちになるのですね。そういうものを科学的に判断をし、科学的なデータの中で予知して住民の人に知らしめていくと、どのくらい安堵感といいましょうか、あるいは生活に対する不安感を取り除くことができるか、はかり知れないものがあると思うのです。したがって、いま七、八月ごろ東海地域には海底地震計の設置をして云々という話がありましたが、できれば私は、その試験機能をいま一基たとえば相模湾の湾上に浮かべてみる、そして技術的にも試験的にもそういうものを設置してみる。これはこの法案が通過した後、それぞれ実施要綱として国土庁なり各所管の省庁で扱われることでございましょうから、ぜひともそういうものを強く求めておきたいというふうに思うのです。  二つ目には、東海地域判定会が基礎とする材料は、各観測地点からテレメーターに入ってきまして、それを集積していま気象庁が全体の統一的な状況を把握されているわけですね。先ほども申し上げましたように、大島でもその捕捉がうまくその中に乗ってこなかった。相模トラフについては、各地点に確かに観測所があるのです。たとえば海底調査は海上保安庁が行っておられますし、断層については通産省が、あるいは体積のひずみについては気象庁、そして傾斜、重力等については東大研究所がそれぞれやっておられるのですね。さて問題は、それぞれの官庁がそういうそれぞれの条件、たとえば海底調査の条件から生まれたもの、あるいは海底の断層から生まれた調査、あるいは傾斜から来た調査、そういうものを統一的に把握できる場所がないのですね。東大の研究所は研究所なりに分析をされる。あるいは海上保安庁は保安庁で分析をされる。それを統一して把握をされる機能というのは、いまの地震対策関係ではどこに当たるのでしょうか。
  101. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  特に防災に重要な地震短期的予知は、地震は地下で起こる現象でございますから、これに関連ありと考えられる非常に広い分野にわたりまして多岐にわたる観測をする、そしてその結果をどこか一カ所に集中いたしまして、これを昼夜の別なく連続監視しているということが基本的な手法でございます。非常に多岐にわたります観測をいたしますために、御担当の機関あるいは大学等を含めまして、複数の機関にわたっているわけでございますけれども、現在たとえば東海から南関東を例にとりますと、八種類に及ぶ観測所は約三十カ所でございますが、これが大学を含めまして五省庁の機関にわたってはおりますけれども、すべて生のデータとして気象庁に集中して私どもが常時監視に当たっておるわけでございまして、そういう意味ではデータが一カ所にとどまったままどこか重要な判断機構につながらないというようなことはないようになっておりまして、これがすべて判定会に直結いたしておるわけでございます。
  102. 加藤万吉

    加藤(万)委員 データはそういう形で気象庁に直結できますけれども、たとえばそれに不足をしている観測機能、そういうものはここにこう設置したらよろしい。たとえば、私は一月十四日のときも言ったのですけれども、神奈川県には観測機能は持っているのですか、こういうふうに知事に聞きました。いま申し上げましたような、いわゆる国が観測機能を持っているものですから、神奈川県自身として観測機能というのは持っていないわけですね。ただ、国がつくっている観測機能に対して補完をする役割り的なものを地方自治体で持っていいなということを実は感じたのです。ところが、何をどこへ設置をしたら神奈川県としての役割りが果たせるのだろうか、こうなってまいりますと、いまデータの集積は気象庁にありますけれども、そのデータからきて、こういうもの、こういうものが不足をしている、それをだれがどこでどういう形でつくったらいいかということの指示というものは、まさか気象庁から大学にはまいりますまい。とすれば、いまの機能としてはどうでしょうか。予知連絡会がやるでしょうか、あるいは防災対策本部がやるのでしょうか、あるいは国土庁がやるのでしょうか、建設省がやるのでしょうか。こういうことについてはどうでしょうか。
  103. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生の御質問に対しまして、非常に多岐にわたる広い観測をしなければならないと答えさせていただきましたけれども、だんだん新しい手法というものが見つかってまいりますので、これをどうしたらば総合的な観測網の中に取り入れるかということが問題でございます。これは多数の学識経験者から成っております測地学審議会、これは文部省に属する機関でございますが、ここで慎重に御検討をいただきまして、地震予知技術推進のためにはかくかくの方向で進むべしということを御建議いただき、これを受けまして、科学技術庁にお世話をいただいております地震予知推進本部というのがございまして、これが行政的な裏打ちをいたしまして、この御建議の線に沿って観測強化あるいは予知体制の推進が図れるように十分な連絡のもとに進めさしていただいておるわけでございます。
  104. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、測地学審議会の答申を受けて、所管は科学技術庁が行う。そしてその受けざらとしては、推進本部がこれを受けて行政サイドに落としていく、こういうように理解していいのですか。そういう中で、いま各官庁が持っています観測測定機能、それからさらに地方自治体が何をなすべきかというものも、その中の審議内容、あるいはその答申を受けての実施、行政内容に含まれてまいりますか。
  105. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  新しい手法の中には、大して大きな設備の要りません地下水の上下の観測、これは井戸さえあればできるわけでございます。むしろ数の方がいっぱいないといけない。あるいは古文書によりましてある当該地区の過去の地震発生状況がどうであったか、あるいは被害がどうであったかということの調査といったようなことは、やはり地方公共団体の十分な御支援ということが大変望ましいわけでございまして、間もなく御建議いただくと伺っております第四次の地震予知計画に対する測地学審議会の御建議の中には、そういった面も検討の対象になっているということを伺っております。
  106. 加藤万吉

    加藤(万)委員 予算関係についてお聞きをしますが、そういうものも含めて必要とされる観測機能の予算というのは、科学技術庁が提起をされて、各省にこういうものを設置してほしい、こういう行政サイドの委託をしてほしい、事務委託をしてほしい、技術委託をしてほしい、こうなってまいるでしょうか。
  107. 清水眞金

    清水説明員 必要な観測設備に関します予算は、基本的にはその測地学審議会計画の線に沿いまして各省庁から予算要求されるわけでございます。それを地震予知推進本部におきまして取りまとめ、あるいはその重点づけをする、さらに大蔵省、財政当局等にまとめて説明いたしまして、その確保を図るというふうなことをやっておるわけでございます。それから念のために、たとえば地震が起きました場合に急遽こういうところに観測網が欲しい、あるいは観測計器が欲しいというふうな場合には、科学技術庁に特別研究促進調整費というお金が数億ございますので、それを重点的にその地震に使いまして、臨機に観測設備の整備及びそのデータ集中というふうなことを進めております。
  108. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地震関係、これは全くいつ、どういう条件で、どういう形で起きてくるかわからないわけですね。したがって、私は従来の各省の予算の持ち寄りと積み上げてはいけないと見ているのですよ。先ほど私は初めて聞いたのですが、もし測地学審議会等がこれが必要だと言った場合には無条件で設置をすべきだと私は思うのです。各省が従来、ここがあった、ここがあったから、今年度は三割増しの公共事業予算だから、三割増しの予算でこれだけふくらましたというのではいけないと思っておるのです。測地学審議会が提起をしたもの、そしてそれが無条件で推進本部で採用されて——いわば各省の積み上げによって大蔵省が査定をするなんというのでなくて、推進本部が決めたことは、これはもう無条件で各省が予算化をする、そういう体制をぜひともとってほしいと思うのです。  それから後段の、地方団体が行うべき事業あるいは技術的な分野の委託は、いまのお話でわかりました。特別研究促進調整費の中からこれは出ていくわけです。そういうことになりますね。ですから、この面も各地方自治体の一般財政の中でやるのでなくて、いわば、後で防災対策についても御質問しますが、この地震対策に関する限りは特別のそういう予算仕組み、あるいは地方団体においても地方団体が持つ一般財源から云々というのでなくして、特別に国が配慮した予算の中で措置される、このことが基本的に必要だと私は思うのです。ぜひそういう方向に——今年度予算化されて予算も通過をしているわけですから、補正なりあるいは来年度予算にはそういう構えで大蔵省あるいは各省との折衝、予算化を推進をしていただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思うのです。  次に、コンビナート問題。コンビナート地域でありますからほかの防災、いわゆる地震による第二次災害についての問題点は幾つかありますけれども、この点だけにしぼって私は御質問を申し上げます。  いま地震が起きた場合に対する予防安全措置というものは、それぞれコンビナートの場合ですと石油タンクあるいはガス、高圧ガス、あるいは可燃性物質、そういうものに対しては規制措置があるわけですけれども、どうも私はいま通産の安全係数というものと、消防庁が求めておられる安全係数との間にどうも差があるような気がしてならないのです。具体的にいま数字をもってここで明示をしてお話しするわけにはまいりませんけれども、通産の場合には物を生産し、そこから災害が起きなければいいというのが安全の許容度になっているわけですね。ところが、地震の場合には先般の大島地震でもわかりますように、本来これで大丈夫だといったところにも亀裂が起き、破裂が起き、現象面としては非常に悲惨な状況を呈しているわけなんです。したがって、私はもし通産省と消防庁との間にコンビナート地域のあらゆるものに対する、それは危険物施設であろうと可燃性のものであろうとガス性のものであろうと、そういうものに対する安全係数上の差があるとするならば、消防庁の方はどちらかといえば災害が起きた後の第二次災害、第三次災害を防ぐための係数になっているはずですから、全体としては私は高いと見ているのです。安全係数は高い。したがってそこに合わせて、本来あるべき生産工程における安全係数も合わせるべきではないか、こういう見解を持っておるわけです。私はいま具体的に指摘をする時間はありませんけれども、もしその差があった場合には、通産と消防庁との間で協議をしていただいてその安全係数に対して修正、訂正をなされることが必要ではないかというように思うのですが、両省間の——自治省と通産省になりましょうが、この面に対する協議をしていただく、具体的なものをと言えば、私幾つか挙げて御提示申し上げますから、そういうことが可能でしょうか。
  109. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 先生御承知のように、消防法で消防法上の危険物施設に対する規制を行う、あるいは高圧ガス施設や火薬類施設等についてはそれぞれ高圧ガス取締法、火薬類取締法というようなことで規制を行っておるわけでありますが、それはそれぞれその法律の目指す立法の趣旨に沿いまして必要な規定が置かれておるものでございます。  消防法上のことで言えば、その危険物の位置、構造、設備といったような技術基準を定めまして、それによって規制を行っておるのでありますが、しかしいずれにいたしましても、これらコンビナート地域にありますこういったようなもの、これは災害発生しました場合には、現実にはその防災を担当いたしております現地の消防機関がこの防災に当たるわけでございますから、そういう消防機関側の意見が反映されますように、十分今後関係省庁とも連絡、協調をとりながらやってまいりたい、こう考えております。
  110. 加藤万吉

    加藤(万)委員 たとえば伊豆の大島地震でシアンが流れるなんということがありましたが、鉱山法上はあれで十分だったのですよ。しかし現実にはシアンが流れ込んで駿河湾が汚れたわけですね。私はどういうものがどういう現象で起きてくるかというのは、これはああいう巨大なエネルギーを持っているものですからいま直ちに推定することはできないにしても、いま科学的に判断されてここまではどうしてもせにゃいかぬというものについては、予知される条件の中で私は最大限の安全度でつくるべきだ。特にコンビナートの場合には、御承知のように誘発が起きるわけですね。いわゆる単発火災ではないわけです。一般的に私は単発火災の場合にはそれほど問題が起きないと見ているのです。たとえば隣で燃焼が起きて次のタンクの硬度が、一体どのくらいの温度でどのくらいでこの中がやわらかくなってくるんだろうか、いわゆるこの鋼板がやわらかくなってくるんだろうかというようなこと、これはまさに想定のできない問題ですよね。したがってそういう面から見ると、消防という立場——消防という立場があるかどうかわかりませんけれども、起きた後の条件の中で起きる安全係数、そういうものを基準に置いて、こういう激甚対策は立てるべきだ、こういうように思いますので、もしそこに差があれば、通産だけに限りません、各省にまたがる問題だとは思いますけれども、ぜひ調整協議をしていただいて、どんな場合でも安全だというものを設置をされるように各省間の調整をぜひとも行っていただきたい、こう思います。  時間がありませんから最後に、先ほど公共団体が観測機能について多少でも事務委託、技術委託をする場合には国の財政の中から云々と、幸いにいま特別研究促進調整費から出すというお話がありましたけれども災害が起きた場合の避難場所あるいは貯水槽あるいは消火機能等も含めてこれは一遍考えてもらいたいと私は思っているんです。神奈川県の場合なんかは、御承知のようにたとえば小中学校のプールを地震対策のために鋼板製にかえていく。この鋼板にする部分は単独事業ですね、いわゆる県の単独事業で県費の負担であります。極端な言葉で言えば、地震対策を一般公共事業の中に上乗せをしている。母屋を地方公共団体の公共事業に置いて、それにひさしを少しつけて全体の防災対策にしている、こういう面がなきにしもあらずなんですね。私はこの際、そういう今後起きる大震災ということを想定いたしますと、公共事業とは別個にこの激甚対策のためのこういう設備、機能、あるいは避難場所を含めた土地の確保、こういうものを行うべきだと思うのです。しかしそう言っても財源に限りがあるわけですから、国の財源ですべてを処理せよと言ってもこれは無理でしょう。したがって、国が行うべき事業についてそれぞれ補助対象の枠の拡大あるいはかさ上げをしておりますね。そういうかさ上げをこの際とるべきだ。まあ対象物件がいろいろあるでしょうからいま一つずつ挙げませんけれども、少なくとも対象数あるいは数量あるいは補助単価のかさ上げ、そういうものを行って、地方団体がそういう条件が整えられるような条件をつくるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  111. 四柳修

    四柳政府委員 御案内のようにこの法律におきましても、強化地域指定がありますと関係地方公共団体が地震防災強化計画というものをつくりまして、避難地、避難路等の整備をする。そういう中で、これらの事業につきましては従来からも一応既存の公共事業等の形で所要の財政措置をし、あるいは予算の優先配分をする、いろんなことの配慮をしてまいりましたが、御案内のようにこれらの事業は、やはりどちらかといいますと都会の中で非常に地価の高いところで、しかも住民の御協力が得られませんとなかなか進められない、そういうこともございまして、必ずしも計画どおり進め得なかったという点もあったかと思います。しかしこういった法律でそういったことを計画づけてある以上、今後ともさらにそういった点につきましては強力に推進するとともに、ただいま先生、公共事業とは別個というお考えお話もあるということでございますけれども、むしろ本来の公共事業の中でそういった耐震性をもっと加味したといいますか、いろいろな施設につきましても関係地域についてのいわば耐震性を見直しました計画といいますか、そういった点も含めましてそういったものも各省庁でいろいろ御検討いただきまして、それらの事業の内容ですとか事業量というものの確定を待ちまして、そういたしますと、やはりどうしてもこれだけのお金がこれだけの期間に必要だというめどが立ちます。そういうことが明らかになった段階関係省庁ともども、それらの推進にどうやったらいいかということを具体的に検討してまいりたいと思います。
  112. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後に、大臣にぜひともこういうことも考えてもらいたいと実は思うのです。  先ほど話しましたように、私の家は相模川のほとりにありまして、関東大震災のときには、被災者がそこに押し寄せてきたわけですね。相模川は水が増しましたし、あそこにあります東海道線の馬入橋といいますのが全部落ちてしまいました。そこで、私の家が仮の宿になったわけですよ。やぶがありましたから、そこに大ぜいの被災者が集まりまして、そこの中で何人か死亡されたわけです。この死亡者は私の家で無縁仏で葬ったわけですが、三人死亡されたうち二人が地震の直接被害による死亡者じゃないのです。たとえば硫酸をかぶってきたとか、当時のことですから、それほどの化学的なものではなかったのでしょうけれども、いわゆる第二次災害によっての被災者がうちで死亡しているのですね。私は、川崎、横浜で、神奈川県がやられたといった場合に起きてくる状態は、まさにある意味においては、交通網もないでしょうから、原始的生活の中から被災者が出てくる。その場合に、そういう河川の遮断あるいは橋梁の破壊等によって動きがとれない。そういう一級河川等のところがどうしても泊まり場所になってしまうのですね。したがって、私は、相模川と交差をする地点、あるいは多摩川でもそうでしょうが、そういう地点に救急的な処置のできるものを常時配置したらどうだろうか。たとえば医療、医薬、そういうものを絶えず私の地域の部落の公民館に設置しておいて、もし万が一の場合にはそこで諸手当てができる。私のところは田舎に近いですから可能でございますが、そういうきわめの細かい配慮をすべきではないかと、実は経験から私は思うのですが、この点なども、これからの防災計画にぜひ配慮してほしい。  同時に、何回も申し上げるようですが、相模湾の湾岸住民は、いま言ったような状況から、震災というものに対してものすごく敏感です。ある意味では焦燥感、不安感が高まっています。そういう意味では、東海における判定会のようなものを早急に設置をして、そういう県民、住民に安堵感を与えるべきだというように私は思うのですが、最後に大臣の所見を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  113. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 第一には、今回の特別措置法によりまして強化地域指定が行われる。その際に県における地震防災強化計画の作成の内容の問題でございますが、この計画の作成につきましては、警戒本部が設置されますと、この警戒本部には総合調整指示能力を与えますから、仮に、その強化計画の内容につきまして、ただいまの御意見のようなことが災害警戒本部として必要である、こう思い、この計画の中にないというような場合は、それは適切な指導をすべきだと思います。  それから、この法案によると、強化地域東海大地震の予想される地域と、それから南関東については中央防災会議においてどう判断するか、この方は予知についてはマグニチュード程度ではいま予知ができる可能性を持っておらないわけですね。しかし、東京などの大都市を持っておりますから、強化地域指定事前措置を講じていろいろ計画を立てるのがよろしい、こういうことになれば、現に観測強化地域であるのですから、それは私は否定すべきものではない、こう思うのです。  さらに、この地震立法において、広く国民が地震に対する関心を持っておって、それに対してはどうしておるのか、こういうことになりますと、これは中央防災会議における災害対策基本法においていろいろと措置をしておるわけですね。現に昭和五十三年度以降三年間の震災対策というものがございまして、それによって先ほど来の石油コンビナートなんかに対する御心配のことにつきましては、その計画の中で当面の措置をとるようにいたしておるわけでございます。  なお、それに見合うための震災対策関係予算というものも、総括的に見ておるわけでございまして、この中に地震予知関係経費は四十一億円計上するとかあるいは災害対策用器材整備に二百六十五億円を計上するとかというようなもろもろの施策を織り込んでおるわけでありますから、こういう特別措置に伴うものと、それから全般的なものと、国土庁がそういう災害に対しての一応の所管でありますので、私としましては、きょうの御意見も十分頭に置きまして、これからの対策に努力をしてまいりたいと思います。
  114. 川崎寛治

    川崎委員長 中村茂君。
  115. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に質問を申し上げたいと思います。     〔委員長退席、矢山委員長代理着席〕  大規模地震対策特別措置法、この法律の名前も「大規模地震」でございますし、それから一条にも「大規模地震による災害から」云々というふうになっているわけであります。したがって、この法律で言う「大規模地震」とはどういう地震であるか、お伺いいたしたいと思います。
  116. 四柳修

    四柳政府委員 現在の地震予知技術水準で申し上げますと、強化地域指定いたしまして、そこで観測機器を集中いたしますことによりまして、マグニチュード八前後の地震でしたらば、一応その前兆現象をとらえることができるという形で、現段階ではその程度のものを目標にしておりますけれども、昨日の参考人の各先生も御意見御開陳のように、技術水準が向上いたしますと、地震のエネルギーではその三十分の一でございますけれどもマグニチュード程度以下の地震までも何とかしてつかまえられるように目標は持ちたい、こういうことでございまして、私どもの方も、当面はそういう意味強化地域マグニチュード八でございますが、いずれはそういった進歩によりまして、おいおいいわば下がってくると思います。
  117. 中村茂

    中村(茂)委員 マグニチュード七以上を大地震、五から七まで中地震、三から五まで小地震、以下こうあるわけです。したがって、マグニチュードと震度というものについてはおのずから違いますけれども、震度については大地震というものについて判断する場合に全然参考にならないのか。いま言われたように、マグニチュード八前後を基準にしてこの法律の適用指定等を行っていくのか。言えば、大地震というものについてこの法律はどういうところに基準を置いて判断していくのか、その点ですけれども、もう一度震度との関係において明らかにしていただきたいというふうに思うのです。
  118. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  御案内と存じますが、マグニチュード地震そのものの大きさでございまして、震度はそのある地震について特定の地域がどれだけ強く揺れたかという尺度でございます。それで、この法律でうたっております大規模ということが、震度の関係からどのようになっておるかというお尋ねに対してでございますが、マグニチュード程度になりますと、その震源地の直上ではもちろん震度五ないし六、とても人間の立っていられないほど揺れるわけでございますが、マグニチュード七の場合は、震度六の範囲が限定的でございまして、せいぜい差し渡しにいたしまして二十キロから三十キロ、ところがマグニチュード程度になりますと、人の立っていられないような震度六という地域が非常に広く広がるというわけでございまして、いまから百二十年以上前に東海の沖合いで起こりました安政の大地震の例をとりますと、静岡県、それから愛知県の大部分、これに加えまして、神奈川県、山梨県の南部、長野県の南部、岐阜県の南部という非常に広い地域が震度五ないし六で揺れたというわけでございまして、被害の面から申し上げますと、広域にわたって大被害の発生するおそれのある地震と御理解いただきたいと存じます。
  119. 中村茂

    中村(茂)委員 このごろ起きました、いわゆる一九七八年の伊豆大島近海の地震、その「被害調査報告」、一月二十三日に建設省の建築研究所でその結果報告をしているわけでありますけれども、その十七ページに「地震観測結果表」というのがございます。「地震資料」というふうになっているわけでありますが、これによると、規模マグニチュード七、それから震度については五から一までずっとありますけれども、五のところは大島、横浜、四のところは東京、静岡以下、三のところは名古屋、甲府以下、こういうふうに報告しているわけでありますけれども、こういう程度のものは、今度の大規模地震のこの法律で見た場合に、指定地域になる可能性があるのですか、ないのですか。
  120. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  本年一月十四日の地震では、マグニチュード七でございまして、ただいま震度が各地でかくかくであるとおっしゃいましたけれども、中でも伊豆の中部では恐らく震度五、局部的には六程度で揺れたところもあったわけでございますが、ひどく揺れた地域は限定的であったわけでございます。したがいまして、自然現象という面からこれを見ますと、マグニチュード程度と申しますのは、先ほど御説明申し上げました大規模地震に比べますと、地震の実力と申しますかエネルギーは三十分の一でございまして、予知技術の面からは、防災に結びつきます前兆現象相当確度で発見するというところまでまだ進歩しておりませんので、これは次の努力目標として鋭意進めさせていただきたいと思っております。
  121. 中村茂

    中村(茂)委員 そういたしますと、この法律の第三条で言う地震防災対策強化地域指定、これはいまのところではどの地域考えていますか。考えているとすると、その根拠はどういうところに置いて考えているのでしょうか。
  122. 四柳修

    四柳政府委員 強化地域指定につきましては、いま御議論のございましたマグニチュード程度の大規模地震発生のおそれが特に大きい地殻の中で生じるそういった地震によりまして著しい災害が生ずるおそれがある地域、これにつきまして中央防災会議におきまして専門家の方々の御意見を聞き、あるいは関係県、市町村等の意見を聞いて行うわけでございますが、この地域に該当する可能性のある地域といたしましては、現在のところ地震予知連絡会地震観測強化地域として指定しております東海、南関東、あるいは特定観測地域として指定しております七つの地域がございますが、これら九つの地域のうちで、一番最初に指定対象となる可能性がございますところは、観測強化地域のうちの駿河湾地区、東海地区でございます。これはいま申し上げました大規模地震発生のおそれがあるということと、それを予知体制として予知情報が出せるという両方の面から申し上げまして、そういったところが最初の対象になろうかと思います。ただ、いま申し上げました観測強化地域の二番目の南関東につきましても、その可能性の問題といいますか危険性の問題につきましては、やはり中央防災会議等におきましても慎重に御検討いただきたいと考えております。
  123. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、地震の周期説について若干お聞きしたいと思うのです。私は、この周期説というものについても、ある程度の確率、これが比較的強いのではないか、こういうふうに思っております。そういう立場でお聞きいたしますが、江戸の四大地震から関東大震災まで、この周期を調べてみますと、慶安地震から元禄の地震まで五十四年、元禄の地震から天明の地震まで七十九年、天明の地震から安政の地震まで七十二年、安政の地震から関東大震災まで六十九年、こういうことで六十九年周期説というのがあるわけでございます。  四十五年の三月に自治省の消防審議会から答申がございました。その答申によりますと、東京地方における大震火災対策の概要ということで、この答申については私は二つの特徴があるというふうに思うのです。その一つは地震発生の時点を予測したということ、二つ目には被害内容を具体的に想定したということです。長いものですけれども、簡単にそれを紹介してみますと、自治省消防審議会答申の抜粋ですけれども、「被害の概要の想定」ということで、二番目に地震発生の予想時点、地震規模、震度及び風速、以上の考え方に基づき、被害想定の条件を次のような前提にした。そして、アとして「地震発生の予想時点」関東地方地震発生六十九年周期説よりこういうことで、一九二二年プラス六十九年マイナス十三年イコール一九七八年。一九七八年というのはことしでございますが、次の大地震発生の予想時点を一九七八年とする、こういうふうに予想時点を明確にしてあるわけであります。  以下、地震の震度、季節、その起きる時刻、それから被害想定の地域として東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県。それからこの程度地震が起きるとすれば、被害想定の内容として、木造建築物の倒壊、東京都は二万二千六百七十一棟、神奈川県は一万七千百七十一棟、千葉県は六千八百五十七棟、埼玉県は七千九百十二棟。そのほか火災になった場合にはどういう状態になるか、人的被害についてはどういう状態になるかということが、先ほど申し上げましたように四十五年に消防庁に答申がなされているわけであります。  そこで消防庁にお伺いいたしますが、この六十九年周期説に基づいて答申されたこの答申について、いま消防庁はどのように評価しているのか。二番目に、これに基づく対策がどの程度どういうふうに進められているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  124. 田中和夫

    ○田中(和)政府委員 いま先生指摘のように、昭和四十五年に消防審議会から答申をいただいたわけでございます。これは当時の学会の一つの意見でございました関東南部における大地震の六十九年周期説というものを一つの仮説といたしまして、関東南部、特に東京地域で大震災対策を早急にとるべきだという提言でございます。  その六十九年周期説というものが科学的にどの程度立証されるものであるかは別といたしまして、消防庁といたしましては、いま御指摘のように、東京地方では歴史的にたびたび大地震が繰り返されておる、また大地震発生すればこれは大変な被害が想定される、三番目には、関東大震災から相当な時日が経過したことも事実であるということに立ちまして、東京地方におきまして想定されます大地震対策というものを早急に推進しなければならないというのが答申時点におきます消防庁の認識であったわけでございます。そのように考えたわけでございます。  その後、観測網の整備とか、あるいは予知技術進歩とか、あるいは学会におきます考え方の推移等によりまして、この六十九年周期説というものについて現在いろいろ言われておるわけでございますが、いずれにいたしましても、東京地方において地震対策を早急に樹立する必要があるという必要性についてはいささかも減じてはいない。また先ほど来ございますように、地震予知連におきましても観測強化地域ということでこの地域指定されておるという状況でもございますので、答申にありますように、震災対策を実施するということは喫緊の問題であるという認識をいたしております。今日におきましても、そこで指摘されておりますようなことはきわめて有意義な内容を盛り込んでおりまして、実施すべき内容が大変多いというふうに考えております。  その後これがどうなったかということでございますが、消防庁といたしましては、これを契機といたしまして、後で簡単に申し上げますが、大震火災対策というものを強力に推進する、充実するということをいたしましたのと、それから関係省庁に働きかけるというようなことをいたしまして、御承知のように政府におきましても、総合的な計画調整の場としての大都市震災対策連絡会議というものが発足を見ましたし、また、総合的な計画といたしまして、大都市震災対策推進要綱というものが昭和四十六年に——答申は四十五年でございますが、四十六年に中央防災会議で決定を見ておるわけでございます。  消防庁といたしましては、この答申を受けまして、たとえば地方防災計画におきます震災対策計画の作成とか、あるいは地域防災会議におきます地震部会の設置というようなことを推進いたしましたり、あるいはこの答申の中にありますように、住民の防災意識の普及、啓発が大事であるということで、テレビ、ラジオを使い、あるいは地震の心得に関するパンフレットを配布いたしましたりというようなこと、あるいは昭和四十七年度以降、大震火災対策施設に対する補助、たとえば百トンの耐震性水槽とか、あるいは小型の動力ポンプに対する補助、あるいは自衛防災組織の推進というようなことを行ってきておりますし、また、この震災対策基礎研究として被害想定とか、あるいは避難誘導システムというようなものの研究等を行ってきておりまして、現在十三の都道府県、あるいは二十万以上の都市で三十六の都市がこの被害想定を一応持っておるのでございます。  最近では、地震予知という問題がテーマになってまいりましたので、この予知情報にどう地方団体が対応したらいいかというようなことにつきましても、いろいろ地方団体自身においても検討を十分に加えるようにということで指導をいたしておりますが、これらが昭和四十五年の消防審議会の答申の中に盛られております内容につきまして、消防庁としてそれを受けてやってきた事柄でございます。
  125. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、気象庁にお伺いいたしますが、この周期説をどのように考えるかということです。  先ほどもお答えいただきましたが、観測強化、それから特定観測地域、これはいま九つにわたって指定してやっているわけでありますけれども、順序が上だからそこのところが重要だというわけではございませんが、関東南部が一、二が東海ということです。そしてこの周期説を尊重するとすれば、ことしから上下十三年あるというんですから、幅は二十六年ということですが、いずれにしても、政府の中の一機関である消防庁に対して答申がなされて、その中で明確に時点を想定しているということを考えれば、この法律ができた際、やはり東海はもちろんですけれども、関東南部についても同時に指定して、地震対策強化を図っていかなければいけないのではないか。そういうことを含みながら、この周期説というものについて気象庁はいまどのように評価し、どう考えておるのか。今度の法律とあわせてこれをどのようにとらえていこうとしているのか、明らかにしていただきたいと思います。
  126. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  御指摘のとおり、大規模地震あるいは大地震繰り返し同一地区を襲うということは歴史的な事実でございます。ただ、この周期と申しますのは、ただいま先生も南関東地区を襲った被害地震の間隔の年数を幾つかお挙げいただきましたが、その中にも出てまいりましたとおり、短い場合には次の被害地震までわずか十六年、しかしながら長い場合には八十年近くの間隔もあったわけでございます。こういったことを踏まえますと、周期と申しましても非常に伸び縮みが大きい。六十九年という数字が正しいといたしましてもこれはいわば平均の数字でございますのが、短期的予知ということを防災に結びつけますためには、やはり地下の状態がどうなっているかということを把握いたしませんと防災に結びつかないわけでございます。したがいまして、大地震の大体の繰り返しは何年から何年ぐらいであるという認識はもちろん持っておりますが、そこから一歩進みまして地下の状態を探る。そのためには観測網を張ろうということで、南関東が東海地区に先駆けて観測強化地域になったわけでございまして、今後とも私どもは南関東についてはマグニチュード程度で、現在の予知技術ではなかなかむずかしい点はございますけれども、何とか地下の状態、エネルギーがどのくらいたまっているのか、地震前兆が出始めているのかということを突きとめまして、防災側の方にその情報をお出しすることに努力してまいりたいと思っております。
  127. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、今回のこの法律を全般的に目を通して見た場合に、私は事前措置が非常に不十分じゃないか、警戒宣言後の対応について力を入れているという感じを強く持つわけであります。そういう点から、特に私が見てこういう点が一番欠落しているのではないかという点について順次御質問を申し上げたいというふうに思います。  その第一は、地震予知観測体制の一元化の問題でございます。細かく拾っていけば相当ございますけれども、いまこの予知観測の面だけで見てまいりますと、運輸省の気象庁地震観測所、それから地磁気観測所、科学技術庁防災科学技術センター地殻変動観測所、微小地震観測所、通産省で工業技術地質調査所建設省国土地理院、そしてこの法案が御存じのように所管は国土庁、こういうふうにばらばらでございます。このばらばらなものを今度の法律によってつなごうというわけでありますけれども、これだけ予知または観測の面で行政上、機構上ばらばらなもの、それをこの法律で結んで見ても果たしてうまくいくのかどうか、非常に疑問を持つわけであります。そういうことを考えてみた場合に、私の手元にあるものだけでちょっと見ても、「地震とその予知 地震対策のために」というのは建設省国土地理院で、私もいただいております。それから「地震予知とあなたのくらし」というのでは消防庁とか、科学技術庁、こういうところで出したものがございます。また建設省の建築研究所、ここでは先ほど申し上げました伊豆大島近海地震の「被害調査報告」、こういうふうにばらばら。ですからいろいろ対策の上ではばらばらになっているにしても、予知観測についてはもっと統一的な行政の体制をつくる必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そういう考え方を前提にして、すでに私が所属しております社会党で長官に要求書を出してございます。簡単ですから読んでみますと、「震災対策を強力に推進するため、地震予知センター及び防災のための総合的一元的権限をもつ行政機関の新設、防災担当職員の増員をはかること。」まあ検討いたしましょう、こういう返事はもらっておりますけれども、この法律ができるわけでありますから、その点の強化また行政的一元化、こういう点について前進的なお考えを明らかにしていただきたいというふうに思います。
  128. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの社会党からの申し入れにつきましては、御返事は検討するということでございましたが、現実にはどうであったか。この予知体制について、私どもは現在の予知関係する六省庁といいましょうか、研究所その他であらゆる角度から努力をしておる。その努力をしておるものが予知連絡会に総合されて、情報の交換と専門的な判断をする、現状はこういう形になっておるわけであります。社会党からのお申し入れでは「地震予知センター及び防災のための総合的一元的権限をもつ行政機関の新設」ということになっておりますが、この予知体制については測地学審議会で三回にわたって建議が行われておりまして、近く四回目の建議が行われる予定でありますので、今度の立法措置の予知体制としては、いま申し上げた予知連絡会、しかもその中にはマグニチュード八を予定する東海地域判定会がある。これによってこの特別措置に対しては予知はでき得る、こういうことで、そこで予知体制をさらに考えるかどうかという問題については、社会党の申し入れも頭に置きまして、そして測地学審議会建議によって体制をさらに新たにせよということであれば、それは十分考えるという姿勢にあるわけでございます。  それから、防災担当職員の増員につきましては、これは行管の関係もございますが、観測体制については九人ほどの増員が行われております。しかし、このお申し入れに見合う地震予知関係経費としては、五十二年度二十九億円に対して五十三年度四十一億円、その上に科学技術庁に移管されて計上されておる、これは文部省の分だと思うのですが、特別研究促進調整費がこの予知に使い得る、こういうことで、これが六億二千万円ほどありますので、予知関係については詳しく申し上げれば四十七億四千四百万、こういうことでございまして、お申し入れについて誠意を持って対応した、こういうことでございます。     〔矢山委員長代理退席、委員長着席
  129. 中村茂

    中村(茂)委員 時間がございませんから、次に私の方から、特に防災関係でございますが、建設省関係のことについていままでの経過と対応について一括申し上げますから、それぞれお答え願いたいというふうに思います。  いままでも私どもいろいろ論議してまいりまして、先ほど申し上げましたように、私が所属しております社会党から防災関係の、特に建設省関係の面について要求を出しております。「地下街、高層建築物等の耐震、耐火化、防災避難施設整備の義務付け、避難路、避難公園の整備など都市防災機能を強化すること。」こういう申し入れをすでに長官のところにしているところでございます。それから、道路整備の法案審議した際、やはり附帯決議として、「大規模地震等に備え、都市の街路をはじめ、避難に要する道路、広場の確保と整備に努めるとともに、老朽化等により道路の構造基準に適合しなくなった橋梁等の構造物については、緊急に補修、改良工事を施工し、防災及び交通の安全の確保を図ること。」こういうようにそれぞれの立場ですでに対応してきているわけでございます。特に私が申し上げたいのは、今度指定地域に該当してきたところについては、こういう面についてそれぞれのところで申し入れなりまたは決議があるわけでございますから、完全な、万全な体制でいま申し上げたような点について対応していただきたいというのが私のお願いであります。そういう点で考えてみた場合に、これは一つの例でありますけれども、先ほど申し上げました道路整備五カ年計画審議した際にも私は申し上げたわけでありますけれども、五カ年計画の中に予備費が七千億ございます。何回かの、八次にわたるわけでありますけれども、予備費というものはつくっただけで使ったことがない。しかし、第六次のときに沖繩で百十二億だけ一回使ったことがあるだけだ。確かにこういう予備費については大地震なりが起きてこういうふうに急遽復旧しなければならないというときには使う理由がいままでのやり方では出てくるわけでありますが、こういう指定になった、それでは防災のためにいま申し上げました道路関係とか、避難の道路をつくるとか、広場をつくるとか、公園をつくるというようなものについてはなかなかこういう予備費というものが使われることにはならない。しかし、こういう法律をつくって対応していくわけでありますから、やはりこういうものについてはたなざらしにしておかないで思い切って使っていくという長官の決意が必要じゃないかというふうに思うわけであります。そういう意味を含めて、先ほどから申し上げております点について、この法律に絡めまして所信を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今回の特別措置法によりまして強化地域指定されますと、関係県におきましては地震防災強化計画が作成されますので、それに伴って事業の規模等に応じまして関係省庁においての予算措置を十分にいたしてまいりたいと思います。  そこで、御決議に基づきますものにつきましては、五十三年度予算の中におきましても、大体市街地開発事業あるいは住宅地区改良事業、また都市開発資金貸付金などにおいて対応してまいりたいと思うのでございます。  なお、第八次道路整備予算の中の予備費を震災対策のために使うべきではないかという御所見でございますが、もちろん必要が生じてまいりますれば私どもとしてもその予備費の枠の中で措置をさせていただきたい。これは中村委員が御承知のように、五十四年度なら五十四年度予算要求の段階で所要の震災対策に要する道路関係予算をどう大蔵省が査定してくるかということの問題にかかわり合ってくると思うのであります。こういう特別措置法まで設けてこれからの東海大地震に備えようという場合に、従来の計画で足らざるところがあれば、それはもうわれわれとしても、お話しのようにここに予備費があるじゃないか、これによって措置をしてもらいたいと要求をいたす所存でございます。
  131. 中村茂

    中村(茂)委員 もう時間が参りましたけれども、もう一点だけひとつ質問させていただきたいと思いますが、時間がございませんから簡単に申し上げますけれども地震保険に関連したことについてお伺いしたいというふうに思います。  御存じのように、この地震保険というのは関東大震災の後地震保険をつくるべきではないかという意見が出てずっと研究されてきたわけでありますけれども地震災害というものについては保険としては成り立たない、なじまない、こういうことで手がつけられないできたわけでありますが、新潟地震の際、時の田中角榮大蔵大臣の政治力というかそういうものによって急遽つくられた、こういう経過がございます。そういうなじまないというものを無理につくった地震保険でございますから欠落している部分が相当ある。ずっと申し上げればいろいろ欠落部分があるわけでございますけれども、しかしこれは政府と損保各社、言えば民間火災保険会社二十社、それに日本地震再保険会社ということで、再保険制度で成立しておりますけれども、この四月にその総限度額を八千億のものを一兆二千億にしましたけれども、大きな地震が起きればこれではとてもまだ足りない。それぞれの保険を見てみましても、一件の保険金は二百四十万、保険料は高い、そして負担をしていかなければなりませんから、民間二十社では負担が多過ぎてかなわない、こういう幾つかの欠落部分があるわけであります。  そこで質問申し上げたいというふうに思いますのは、今度この法律ができました、そして、大地震のところについてはそれぞれ対処していかなければならないわけであります。先ほども申し上げましたように、総支払い額一兆二千億といっても、関東大震災のような地震が起きれば、とてもじゃないけれどもこれでは足りない、幾つかの欠落部分がある、そして今度こういう法律ができたわけでありますから、この地震保険についてもっと見合ったように改正していこうとする考え方があるのかどうか、そして、この火災保険についてはどういうふうに考えているのか、これが一点でございます。  それから二点は、先ほども申し上げましたように、この保険は再保険制度で、火災保険民間二十社は関連してきておりますけれども、火災共済協同組合、農協の共済、労済の火災共済は全く関係がございません。しかし、これらの共済保険につきましても相当加入者も多くなってきております。したがって、このような法律ができる際に、このような共済を持っているところについても地震保険が業務としてできるようなことを検討をしていただきたい。ちなみに、このごろの伊豆の近海大地震で見ますと、この保険に入っていない農協の共済は三千四百件で、九億支払いをしております。それから地震保険に入っております二十社、これは二十一件で約三千万円、それから労済の共済は見舞い金として支払っております。地震保険に入っているところはそんな程度で、入っていないところはいろいろな形でということになると、そういう意味でもまことに矛盾してまいるわけであります。したがって、前向きでこの種の問題については検討していただきたいという考え方に基づいて所見をいただきたいというふうに思うわけであります。
  132. 森田一

    ○森田説明員 ただいま御指摘がありました現存の地震保険制度につきましては、全損のみを担保することとか、あるいは建物、家財それぞれに限度額が設けられていることなど、大地震発生に上るその被害者の救済措置としましては、まだ不十分な点があるとする先生のお心はよくわかるのでございます。  ただ、先ほどもお話がございましたように、もともと地震という巨大な損害が予想される危険に対して、民営の保険という形で対処していくという点につきましてはなじみにくい点があるわけでございまして、そのような中で、本制度は地震災害発生した場合において、とりあえず生活の立直り資金を供給するという趣旨から発足いたしたものでございます。  そのようなものでございますけれども、いずれにしても、理想から言えば現行制度はまだ遠いものと言えるわけでございますので、今後の問題につきましては、契約者の負担でありますとか、あるいは損保会社の担保力、また国の財政負担等を考えるならば、現行制度もやむを得ない点があるものと考えておりますけれども、なお今後とも、これらの点につきまして十分検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、第二点につきましては、私からお答えするのがいいのかどうかの問題はございますけれども、種々の共済制度等につきまして統一的な制度が何か考えられないかということにつきましては、前々からいろいろ議論がなされておるわけでございます。しかし、これらの点につきましては、これまでの制度の成り立ちでありますとか、それから制度の目的等によりまして、これらを一元化するという点につきましてはなかなかむずかしい点があるわけでございます。この点につきましては、先生におかれましてもよく御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、損保会社の保険金の支払いが少ないという点につきましてはまことにそのとおりでございますけれども、これは現在の地震保険というのが分損は担保しないということになっておる点が非常に大きく影響しておるかと思うわけでございます。これらの点につきましても、先ほどの地震保険制度の趣旨からいってやむを得ない面があるというふうに考えておるわけでございますけれども、ここで最後に一つつけ加えておきたいと思っておりますのは、本年度予算におきまして八千億から一兆二千億に総限度額をふやしたわけでございますけれども、この算定の基礎といたしましては、関東大震災と同規模地震が同じ位置に同じ時刻で起こったということを前提にいたしまして、現在保険に加入しておる支払いに遺漏なきを期し得るということで一兆二千億ということを決めさせていただいたわけでございます。  以上、お答え申し上げます。
  133. 鈴木昭雄

    鈴木説明員 私どもで所管しております消費生活協同組合の関係についてお答えさせていただきます。  消費生活協同組合で行っております共済事業は、先生案内のとおり、地域または職域を基本的な単位といたしまして、組合員の自主的な相互扶助というような精神に基づいて行われているものでございます。  先生指摘地震共済の関係でございますが、先ほど大蔵省の方からも御答弁ございましたが、その共済制度の仕組みをどうするかとかあるいは他の共済制度との関連をどうするかとか、研究すべき課題が多々あるかと思います。ただ、この問題につきましては、生協の側におきましてもいろいろ研究が現在やられていると私ども承知しております。このような研究の結果はもちろんのこと、消費生活協同組合におきまして実際に共済事業をやっておられる方々の御意見とか、その他関係者の御意見を十分聞いた上で、私どもとしても研究させていただきたい、そういうふうに考えております。
  134. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど、予知関係予算で、四十一億二千四百万に特別研究促進調整費六億二千万を加えて四十七億四千四百万円のことを申し上げた際に、文部省とのかかわり合いのある発言をいたしましたが、この特別研究促進調整費は、現在科学技術庁計上移管経費として一括六億二千万計上されておるので、文部省関係のところは訂正をさせていただきます。
  135. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  136. 川崎寛治

  137. 田畑政一郎

    ○田畑委員 櫻内長官にお伺いいたします。  ただいま議題となっております大規模地震対策特別措置法におきまして、最大の話題を呼んでおりますのは、自衛隊の出動でございます。内閣総理大臣が要請すれば、言うならば警戒宣言と同時に自衛隊がかなり広い範囲に出動することができることになっております。在来、自衛隊は災害発生してから各自治体等の要請に基づいて出動してまいったのでございますが、今回の場合には、それ以前に予備的な段階において自衛隊の出動を予定をしておるわけでございます。なぜこういうことをしなければならないのか。実際に災害が起きた際にそれを復旧するというようなことに自衛隊を使えばいいじゃないかというふうに思うわけでございますが、なぜこういう法律案を出されたのか、その真意というものについて長官からまずお伺いをいたしたいと思います。
  138. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 強化地域指定が行われますと、事前措置として基本計画あるいは防災強化計画の作成が行われます。そうしていよいよ警戒宣言を行うという場合は、この計画を具体的に実施をする上においてマグニチュード八という大規模地震を予測しておるのでありますから、これは数県にまたがることであります。お話のように、現行法では発災後におきまして各県の知事が要請すれば自衛隊が出動をしてお手伝いをするということでありますが、大規模地震で各県にまたがる、防災強化計画を遂行していく上に自衛隊の支援を必要とする面があるのではないか、そういうことから、警戒本部長に総理が当たられますので、本部長の要請で自衛隊の出動をし得るようにしたわけでございます。これは実際上そのときの本部長判断だと思いますが、数時間ないし数日のことでございまして、本部長判断で自衛隊の支援の必要があるというときに要請ができ得ることにしたわけで、世上言われるようにこれにはもう全然治安出動的なことを考えてもおりませんし、また自衛隊の携行するものについて火気類などを全然考えてはいない次第でございます。
  139. 田畑政一郎

    ○田畑委員 いまおっしゃったように、数日のことでもありますし、また火気類なども携帯しないということであれば、何も警戒宣言直後から出動しておかなければならぬ理由はないんじゃないかというふうに私は思うのです。と申しますのは、実はこの地震と治安問題というのは、わが国においては歴史的に大変関係があるわけです。たとえば関東大震災でございますが、これは地震発生した直後に軍隊の出動が命ぜられておりまして、そして戒厳令がしかれておる。その後に朝鮮人虐殺事件などというものが起こりました。その戒厳令がなくなってから治安維持法ができておる、こういうことでございます。私、実は福井県から選出をされているのでございますが、昭和二十三年に福井に震災がございました。そうすると、福井市はそれこそ日本全国でただ一つでございますが公安条例をしきました。そしてやがて公安条例は、地震があるなしにかかわらず日本全国に波及いたしました。これの合憲か違憲かということが裁判所で争われるようになりましたが、いわば福井地震が契機になりまして集会に対する届け出あるいは制限等が強化された、こういう事実がございます。  そういうことを考えてみますると、地震と治安対策というのは、わが国の場合には非常に歴史的な結びつきが多いわけです。したがって、自衛隊の出動というのは言うならば最後的な手段として考えられるべきであって、少なくとも地震の起きる前にそれを予定して自衛隊の配置を考えるということは、これは私はやはり避けるべきだというふうに思うわけでございます。したがって、この法案に関する世論もそのところに非常に重点が置かれておるわけでございます。中には、仮に自衛隊を動かすにいたしましても、そういう災害発生地区に部隊を移動しておくことはかえって十分な機動力を発揮できないのじゃないか、災害地に派遣する場合にはちょっと離れていれば敏速に行動できるけれども、混乱の中に投じておけばかえって自由が奪われるのじゃないか、こういうような懸念も出ておるようなあんばいでございます。  そういった点を考えますると、私はこの法律の中で最も重要な点はここにあるのではないかというふうに思うわけでございまして、治安問題とは絶対関係をしないという立場から、自衛隊の事前出動はとめるべきであるというふうに私は思うわけでございますが、重ねて御見解を承りたいと思います。
  140. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いろいろ御懸念をちょうだいいたしておるわけでございますが、それらの御懸念の内容に対しては、地震防災強化計画が立てられる場合に関係都道府県等と十分調整をして、具体的にはどのような場合に支援活動をするかということはこの計画をつくった際に御相談を申し上げ、あらかじめこういう場合に救援に出動するのである、こういうことに明確にいたしたいと思っております。広報活動の支援あるいは緊急物資の輸送、あるいは船やヘリコプターの配備をしておくというようなことが私どもとしては事前に必要ではないかと思っておるのでありますが、いま申し上げたように関係各省や県と事前に十分相談をいたしまして、田畑委員のおっしゃるような御懸念のないようにいたしたいと思っております。
  141. 田畑政一郎

    ○田畑委員 自衛隊の出動につきましては、自衛隊法第七十八条によりまして、間接侵略その他緊急の事態に当たりまして警察力をもってはこれを抑止することができないという場合に自衛隊は治安出動ができることになっております。これはもちろん総理大臣の命令によってでありますが、その場合には自衛隊は警察官と同等の武器といいますかそういうものを使用し、権限を行使することができることになっておるわけでございますが、そういうことはあってはならぬとは思いまするけれども地震等が大規模発生をいたしますると、一種そこにパニック状態のような情勢が醸し出されることは、これはいままでの地震、特に関東大震災などを見てみますと、そういうことが十分予想されるわけであります。それが言うならば間接侵略ではないにいたしましても、一時的には警察力をもって抑止できないんじゃないかというような事態を一応は想定しておかなければならぬと思うのであります。そうするとその場面に、すでに警戒態勢に入っておるところの自衛隊が出動しておる、総理大臣の命令によって。総理大臣はまた別な角度からこれに対して治安出動を命ずることができる。いっでも一つの自衛隊が持ち物をかえたりあるいは行動をかえることができるわけですね。私はこういうあいまいな形でいわば地震対策というものを論ずるということはおもしろくないと思うのです。もし大臣が言われるように、そういうことはない、こうおっしゃるなら、行動的にあるいはやり方としては絶対に治安対策にはならない、一体どこでけじめをつけて治安対策にならないということをはっきりさせられるのかということを、この会議の席上において何か具体的な方針を出して御説明いただきたい。
  142. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 発災後における自衛隊の活動につきましてはおのずから違う場合があるかと思うのですが、しかし、田畑委員十分御承知のことと思いますが、自衛隊は災害出動をする任務を一面持っておりますね。私どもがその自衛隊の持っておる任務につきまして、先ほど申し上げたように、事前に必要があるならばそういう場合は出動を本部長が要請してもいいんではないか、こういう見地に立っておるわけでございます。  それで、具体的な出動の関係につきましては、防衛庁の方から御説明申し上げてもよいかと思います。
  143. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  自衛隊の防災派遣中におきます活動は防災応急対策の実施について支援をするということでございまして、活動の内容につきましては、情報の収集であるとか航空機だとか車両を使います広報の支援、あるいは応急水防措置、それから航空機、艦船、車両を使っての緊急輸送、連絡員の関係機関への派遣、通信、こういうようなことを考えております。  具体的には、今後作成されます防災強化計画の中において防災関係機関と調整の上、定めるように考えております。
  144. 田畑政一郎

    ○田畑委員 たとえば一つの想定でございますが、不幸にして内閣総理大臣が治安対策命令を自衛隊に出したという場合に、あらかじめ震災地に入っております部隊をそのまま緊急事態に対処して治安維持を図らせるということはあり得ますか、あり得ませんか。具体的に答えてください。
  145. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  これは、いま先生おっしゃるような仮定の上で申し上げますと、治安出動いたします要件は、現在の自衛隊法で緊急事態であるとか治安維持上重大な事態ということでございまして、そのような事態が防災派遣中あるいは災害派遣中その他の場合におきましても理論的にはあり得るわけでございます。こういうような考え方でいきますと、もし仮に防災派遣中にそのような事態が起こったと仮定いたしましても、その場合にどの部隊がそれに当たるかはそのときそこにおります部隊の種類であるとか、人数であるとか、そういうものによって変わりますが、仮定でございますけれども、通常その場合には別の部隊にそのような任務が付与されるというケースになろうかと思います。
  146. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そういたしますと、重ねてお伺いいたしますが、この地震対策のために派遣された部隊は治安維持の対策には当たらない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  147. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  防災派遣中に治安出動の必要になるような事態が仮に発生したとしてその場合にどうするかということでございますが、常識的にはそのような場合に防災派遣中の部隊は防災派遣として与えられた任務を実施しておるわけでございますから、通常はほかの部隊にその命令が出されるものと考えております。
  148. 田畑政一郎

    ○田畑委員 考えているでは私は納得できないわけであります。いまから四年前の昭和四十九年八月に第二次関東大震災に備える名目で災害出動、治安出動訓練が自衛隊で行われていますね。これは、陸上部隊、海上航空部隊が二時間余りで出動態勢を完了いたしまして、東京都に五万人の部隊が集中する研究が市谷において行われておるわけです。これはまだこの法律のできる前でございます。こういうことを考えてみますと、言うならばこの出動は単に災害出動だけじゃないのですね。ある程度の治安ということを対象とした出動になっているのです。そういう点を考えてみますると、私は非常にその点に危険を感ずるわけです。だから、少なくとも災害出動に参加しておる部隊に対しては、治安行動は行われないものと思うということではなくて、絶対にあり得ない、これは明確にしていただかないと、入っておるものはそのまま治安活動に携わるようなことでは、いままでの日本の歴史的な経緯から見まして私は、国民もまたわれわれもこの法律を通すというわけにはいかないと思うのですね。だからその点ははっきりとそういうことはしないということを明確にしてもらいたい、こう思います。
  149. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  地震防災派遣を命ぜられました部隊は地震防災応急措置を支援をするという目的のためでございまして、治安出動のためではございません。したがいまして、防災派遣をされます部隊の持っていきます装備にいたしましても、防災応急措置の実施の支援に必要なものに限られるということになります。
  150. 田畑政一郎

    ○田畑委員 どうもその辺がちょっと歯切れが悪いと私思うのですね。だから、防災に行った者は治安に当たらせない——原則じゃないのですか。はっきりしなさいよ。その点、やはり一番国民は不安だと思うのです。いままで何もなかったらいいんだよ。やはり過去にそういう例があったわけですから、いまの自衛隊が悪いというんじゃないです。やはりそこははっきりできると私は思うのですよ。この場所ではっきりしていただきたいと思います。
  151. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  地震防災派遣されました部隊は地震防災派遣のためにのみ派遣を命ぜられているものでございまして、治安出動その他のための部隊ではございません。
  152. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それではさらに私はこの法律に基づいてお伺いをいたしたいと思うのでございますが、この法律によりますと、たとえば交通の禁止、制限でございますね。この交通の禁止、制限等に関する事項は、これは都道府県公安委員会警戒宣言の発令せられた後において行うことになっている、こういうことについては自衛隊は関与しないというふうに思いますが、よろしゅうございますか。
  153. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  地震防災派遣を命ぜられました部隊に与えられました権限といたしましては、警察官職務執行法の四条、六条の規定の一部が準用されるようになっております。これは避難をしようとする市民等によって極端な雑踏などがもし起こって、そのために人命、財産等に非常に危険な状態になったというような場合に、警察官が現場にいないときに限り、その場に居合わせた人に対して警告をするとか引きとめるとか、避難をさせるとか、必要な措置を講じ、またそのために必要があれば他人の土地であるとか建物にも立ち入ることができるという規定がございます。これは現在の災害派遣の場合も同じでございまして、防災派遣についても全く現在と同じ権限、任務しか与えられていないようになっております。
  154. 田畑政一郎

    ○田畑委員 私の質問にお答えいただければいいのであります。  したがって、交通の禁止、制限等、公安委員会の問題には、これは防衛庁は関与されないというか、権限がない。それからまた、避難の際における警察官の警告、指示は、これは警察官の行うことであります。警察官自体がおらない場合には、これまた別でございますが、そういう点はあり得ないというふうに理解をしてよろしいかどうかということを聞いておるわけです。
  155. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃったようなケースは、自衛隊に任務として与えられておりません。
  156. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それから、たとえば防災本部でございます県庁、市役所、あるいは国鉄、通信機関、そういった主要な建物に対するところの警戒、これも自衛隊の警戒範囲といいますか、守備範囲ではないというふうに確信いたしますが、よろしゅうございますか。
  157. 児玉良雄

    ○児玉説明員 お答えいたします。  これは地震防災応急措置の自衛隊に与えられました業務内容の一つとしてそのようなことが仮に自衛隊にやってくれというような御要請があればそういうケースもあり得るかと思いますけれども、そういう任務を遂行することがこの場合における自衛隊の任務とは考えておりません。
  158. 田畑政一郎

    ○田畑委員 櫻内長官にお伺いいたします。  ここで自衛隊の出動について具体的にいろいろ問題になりますことは、たとえば交通の封鎖、それから中枢の権力機関と申しますか、そういった役所等、中枢権力機関のいわゆる防衛、あるいは報道機関に対するところの防衛ないしは干渉、輸送機関の警護、それから民衆行動の鎮圧、こういった問題がいわゆる地震のときに当たりまして自衛隊によっていささかでも行使されるような疑いがあるということになりますると、これはこの法律の提案をされている趣旨を超えてまことに重大な効果を生むということになってまいるわけでございます。私はよもやさようなことはないと思いますが、これはこの法律をつくられるに当たりまして、厳格にそういうことはないようにやっていくということをあなたの口からここでお伺いしておきたいと思います。
  159. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 災害に対しての事前出動に対する任務につきましては、先ほどから防衛庁の方から御説明を申し上げておるとおりであります。さらに私がここではっきり申し上げられますのは、関係省庁及び県におきまして事前にどういう場合に自衛隊が事前出動するかということをあらかじめ明白にしておく考えでございまして、いろいろ御懸念の点につきましてはその際はっきりさせておく考えでございます。
  160. 田畑政一郎

    ○田畑委員 それでは次の問題について御質問をさせていただきます。  地震観測でございますが、この大規模地震対策特別措置法という法律が出てまいりましたのは、これはそういう言葉が適当かどうかは知りませんが、中規模地震ですね、これ以下の地震については観測が十分できないといいますか、行き届かない。いま観測ができて、予告が出せるのはマグニチュード八以上のものだけである、こういうところからこの法律が提案されておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  161. 四柳修

    四柳政府委員 現在の地震予知技術におきましては御理解のとおりでございます。
  162. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そこでさらに申し上げたいのでありまするが、この法律によりますると、いわゆる大規模地震発生する地域指定いたします。その指定地域に対しましては観測体制強化する、こういうことが載っております。ということは、一つは、いままである観測体制ではまだ十分でないのでさらにこれを強化していきたい、強化に努めたい、こういう趣旨かと思うのでございますが、一体それではいまの観測体制というのはどうなっておるのか、それからまた、今後強化しようとする面につきましては、予算あるいは人員、機器類の配置そういった問題についてどのようになっておるのかということを関係省庁からお伺いしたいと思います。
  163. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  短期的予知をいたしますためには、問題となっております地域におきまして、何分地震は地下で起こる現象でございますから、その前兆に結びつくと考えられる広い分野におきまして多岐にわたる観測をいたします。それをどこか一カ所に集中いたしまして、これを昼夜の別なく常時監視していくということがまず出発点でございます。こういった短期的予知の手法を踏まえまして、すでに昭和四十九年より東海地域、これは恐らく対策強化地域指定される第一候補だと存じますが、この地域におきましては、現在、大学及び五省庁にまたがる八種類の観測が三十カ所近いところで行われておりますが、これは現在気象庁にその観測結果が集中しつつあるわけでございます。で、私どもの常時監視体制にも結ばれているわけでございます。しかしこの法律がお認めいただくような事態になりますれば、当然法律的な強化の責任ということがさらにこれに課されるわけでございますので、この法律制定の有無にかかわらず、五十三年度はすでに現在まで進めてまいりました観測強化の延長として相当観測強化を図るつもりでございますが、さらに五十四年度からはこういった総合的な計画の立案並びに建議の責任をお持ちの文部省測地学審議会におきましてただいま建議の案が練られておるわけでございまして、その建議の案を伺いまして問題となる地域における観測体制をさらに一層進めたいと思っているわけでございます。
  164. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これにつきましては、私どもの調べたといいますか、聞き及ぶ範囲内におきましては二つの問題がございますね。一つはいわゆる観測体制といいますか、それを集約するところがいまおっしゃったように一本化されているといいますか、そういうふうに言われておりますが、先ほども中村委員の御質問もございましたとおり、こうした地震対策について大規模対策を講じまして、しかも予知報告をいたしまして警戒宣言をするというような、また自衛隊まで出動させるというような大きいことをするにつきましては、観測体制かなりばらばらではないか。これはやはりどこかにはっきりと一本化をいたしまして、そうしてきちんとするようなところをこの際指定すべきではないか。この点、気象庁長官が報告をするにとどまっておりまして、その観測体制は一体どこで一元化をされるのかということが明確になっていない点でございます。  それから第二の点は、これは私ども運輸委員会でもしばしば議論になっているわけでございますが、地震対策観測といいますか、観測網の整備というか、一応の整備はいつごろどの時点でめどがつくのかということですね。たとえば東海地方の地震につきましてもいろいろ進められておるようでございますが、大体いつごろになると、どれだけの金をかけるとかなり万全ないわゆる予知体制ができるということになるのかということについては、まだはっきり私ども承っておらないわけでございまして、その点ぜひお伺いしたいと思います。
  165. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  有効な地震予知をいたしますためには非常に広い分野で多種類の観測をいたしまして、その結果を総合判断するというわけでございますので、観測そのものを実施する担当の機関が複数にわたるということはやむを得ない点があろうかと存じます。また、現在予知段階相当なところまで進みましたとはいえ、研究的要素もまだ多うございますので、大学等の研究陣の御参加ということも考えますと、いま申し上げたようなある一つの機関がこれを全部の観測までやれるというところにまだ技術的にいってないわけでございます。  ただし、申し上げましたとおり、この多岐にわたる観測を総合集中してどこか責任あるところで見張っているという方法をこれはやらなければいけないということで、すでに測地学審議会の第三次の建議で御建議いただきましたわけで、それを踏まえまして科学技術庁本部をお引き受けくだすっていらっしゃいます推進本部におきまして、横に太いパイプをつないで、生のままデータをやりとりするというところへ踏み切ったわけでございます。  また、今後どの程度まで投資あるいは観測強化をすればどの辺まで予知技術が進むかということは、やはり申し上げましたとおり研究的色彩がどうしても残りますので、ここでしかとした数字をなかなか申し上げられないわけでございますが、今度近々出ると伺っております。さらに第四次の測地学建議には相当具体的にその辺が盛られると伺っておりますので、これをいただきまして具体的に裏打ちをしていきたいと思っているわけでございます。
  166. 田畑政一郎

    ○田畑委員 余り時間がございませんので深くはお伺いいたしませんが、そういたしますと、これから地震観測の集中をして最終的にこのデータが集まってまいりますところは科技庁というふうに理解してよろしいのですか。
  167. 末広重二

    ○末広説明員 御説明申し上げます。  具体的にデータが集中いたしますのは気象庁でございます。ただ、実際的な観測をいたしますのは複数の機関にわたりますために、その間の統合調整、推進に当たっていただくのが科学技術庁推進本部でございます。
  168. 田畑政一郎

    ○田畑委員 櫻内長官、この辺がややこしいのでございまして、実際これほどの法律をつくって推進しようとなさるのでございますから、責任の省庁はどこなのか、これはやはりはっきりしていただくなり、あるいはまた、それはいろいろなところでいろいろな調査をなさってそのデータを集められることは仕方ないと思う。しかし、どこかが最終的にきちんとこれを取りまとめていく。まあ幾つかの省庁が集まって合議をするということもいいと思いますが、やはり最終的にこれを、大体ここへ大筋といいますか大もとを置いてこれからは観測するという省庁を決めていかなければならぬのじゃないか。それが気象庁なら気象庁でよろしゅうございます。それが科学技術庁なら科学技術庁でいい。しかし、何か決めないとこれはいけないのじゃないかと思いますので、大臣の見解を承ります。
  169. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 それはもう気象庁へ一切のデータを集中して、気象庁が責任を持つのであります。
  170. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そうすると、観測のいわゆる重点といいますか、観測作業をやる重点も、これは気象庁に重点を重いてこれから育成していこう、こういうことでございますね。
  171. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現在予想されるマグニチュード八の地震、これについては東海地域判定会が設けられておりますが、これは気象庁に直接関係するものでございます。
  172. 田畑政一郎

    ○田畑委員 気象庁なら気象庁観測体制の重点を置いて、そうして体制をつくっていただくように強く要望したいと思います。  それから、きょうは国鉄の方が見えておりますのでお伺いをしておきたいと思いますが、もしマグニチュード八の地震発生したときには、国鉄の輸送体制といいますか、特に新幹線輸送体制はどういう状況になりますか。また、警戒宣言が行われました際における国鉄の輸送体制はどのような状態になるのか。こういったことについてお伺いをしておきたいと思うわけでございます。  と申しますことは、国鉄新幹線は御案内のとおりに二百十キロのスピードで走っておりまして、仮に急停車ブレーキがかかりましても二・四キロはそのまま走り続ける、こういうことになるわけでありまして、全部がとまりますまでには七十秒の時間を要すると言われております。大体一定の昼間の時刻でございますと、その列車が二十本線路の上に乗っておりますので、一本の列車十六両に仮に千四百人が乗車しておるといたしましても、非常に膨大な員数、約三万近くの員数が地震に遭遇するということになるわけでございます。これは非常に重大な事故が発生しかねないわけでございまするから、この点についてお伺いしたいと思います。
  173. 野沢太三

    ○野沢説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の点につきましては、国鉄といたしましてどのように対処するかということで実は大変頭を痛めておるわけでございますが、本年の一月に新幹線の輸送障害対策委員会という委員会を設立いたしまして、この委員会の中で現在審議中でございます。まだ国鉄として正式に決定をいたしてはございませんが、その審議の内容について申し上げますと、警報を受けた場合は直ちに本社に対策本部を設置する、その本部判断によりまして新幹線の輸送については運行を見合わせるのが至当ではないかという議論が現在主流を占めております。
  174. 田畑政一郎

    ○田畑委員 そうすると、警戒宣言が出たときは新幹線は停止するわけでございますね。そういうふうに理解してよろしいのですか。
  175. 野沢太三

    ○野沢説明員 警戒宣言を受けました場合には、一応とめるのを定位にすべきではないかというのが現在の討議の内容でございます。ただ、この解除の時期がいつになるかということが私ども大変実は判断に苦しんでおりまして、短時日に解除されるときにはそれに従えばよろしいのですが、解除の時期が長期にわたる等の場合に、輸送をどのように再開するかという問題については、いまだ未定でございます。
  176. 田畑政一郎

    ○田畑委員 これはぜひ国鉄の万で対策を十分講じておいていただきたいと思います。  最後に、長官にもう一度お伺いしたいわけでございますが、この警戒宣言というのと、いわゆる何もない場合の警戒宣言解除、二つあるわけでございますけれども、仮に地震がない場合にはどれくらいの期間を要するものでございましょうか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  177. 四柳修

    四柳政府委員 警戒宣言が出されます前提として地震予知情報がございます。この地震予知情報は、強化地域におきまして短期の、いわゆる直前の現象といいますか、これをとらえて出す、そのときの地震発生の切迫性を一応判断するわけでございますけれども、通常この直前現象が起きますのが、当該地震発生する数時間前または数日前、こういうふうに言われておりますものですから、警戒宣言が発せられましてからいま申し上げました数日を経た段階で新しい変化が見られない場合には、その際とりました規制措置を漸次緩和いたしまして、さらに状況判断して警戒宣言の解除になろうかと思いまして、トータルでは一応数日間ということを予定しております。
  178. 田畑政一郎

    ○田畑委員 数日間ですね。——終わります。
  179. 川崎寛治

    川崎委員長 次回は、明二十一日午前九時五十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会