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1978-06-02 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年六月二日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 池田 行彦君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 水田  稔君    理事 古寺  宏君 理事 中井  洽君       高村 坂彦君    西田  司君       藤本 孝雄君    鈴木  強君       土井たか子君    坂口  力君       竹内 勝彦君    東中 光雄君       工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君       、 環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君  委員外出席者         国土庁大都市圏         整備局整備課長 宮沢美智雄君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   山村 勝美君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     玉木  勉君         日本国有鉄道建         設局計画課長  岡田  宏君         参  考  人         (森林開発公団         理事)     大塚 武行君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大塚 勝美君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 尾之内由紀夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 六月二日  辞任         補欠選任   土井たか子君     鈴木  強君 同日  辞任         補欠選任   鈴木  強君     土井たか子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件      ————◇—————
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、森林開発公団理事大塚武行君、日本道路公団理事大塚勝美君、本州四国連絡橋公団総裁尾之内由紀夫君及び同公団理事蓑輪健二郎君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、尾之内参考人及び蓑輪参考人につきましては、水田稔君の質疑の際、御出席を願うことといたします。     —————————————
  4. 久保等

    久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  5. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、お許しをいただきましたので、最初に、自然保護自然破壊か、こういう観点から、長い間トラブルの出ております南アルプス国立公園内を通ずるスーパー林道について、長官並びに関係者質問をいたします。  この南アスーパー林道は、私の選挙区の山梨県芦安村と長野県の長谷村を結ぶ五十六・六三キロメートルにわたる路線でございます。すでに山梨県側の方につきましては三十三・四七七キロメートル、長野県分につきましては二十一・五九三キロメートル開設済みでございますが、問題はこの残りの一・五六キロメートル、ここが問題になっておるのでございます。ここはちょうど長野県と山梨県の中心部に当たりますところで、特に国立公園一種特別地区になっておるわけでございます。したがって、この地区については非常に問題がございまして、両サイド開設済みになっておるにかかわらず、きょうまで問題が延び延びになっているところでございます。  その問題につきましては、自然環境保全審議会自然公園部会で、昭和四十九年以来、北沢峠部分について慎重に御審議をいただいておったようでございますが、本年四月二十七日にその結果が出まして、環境庁に報告をしておるようでございます。私は、昨年もこの問題につきまして石原環境庁長官との間に質疑をしておりますが、重大な関心を持っているものですから内容を拝見させていただきました。  これを見ますと、基本的には「南アルプススーパー林道道路計画が、もし現時点で新たに提起されたものであれば、」この地域は「原始的な山岳景観登山利用主体とする国立公園であること。」、また「森林は、シラビソオオシラビソ群集で代表される天然林として貴重な存在であること。」、さらに「亜高山帯、急傾斜地、崩壊し易い地形、地質であり、復元の困難な地域であること。」、こういう理由から認めることはできない、これは原則的なことでございますが、もしいまの時点で公園部会にこういう問題がかかってきた場合には、これは認めることはできない、こういう原則に立っております。これは委員十九人の一致した考え方と聞いております。  ただし問題は、従来からの厚生省から環境庁への移行の過程において、行政的に重大な過ちを犯しておるということがございますから、審議会といたしましても、さっき私が最初に申し上げましたような、両サイドが完成しておるというようなことから、一番大事な国立公園第一種地区について、当時、結論を出さずに安易な措置をやったところにこの問題があるわけで、ですから当時、この重大な問題に結論を出して、それからやるか、やらないかの結論を出しておけばこういうことにならなかったわけです。ところがその大事なところをミスしている。これは行政重大ミスだと私は思う。したがって、そういう点がありますので、この審議会でも大変困難をいたしておるようでございます。こういうことですね。  この「南アルプススーパー林道は、昭和四十三年六月森林開発公団から協議をうけた当時の厚生省が、これについて包括的に同意し、第一種特別地域にかかる北沢峠部分についてのみ、「さらに詳細な検討を要するので、施行前に実施設計書を提出すること。」と回答した経緯がある。このため、当該林道の大部分が既に造成されているという実態にあり、その事実をふまえて論議した結果、」——これを見ますと、一つは、六つの配慮すべき条件というのがついておりますが、この条件をつけて「現時点においては、道路開設はやむを得ない。ないしは、この段階道路開設を中止することは適当でない。」、こういう意見と、もう一つは、十二に上る理由が述べられておりますが、その理由からして「現時点においても道路開設は行うべきでない。」こういう二つ意見が併記されて出されておるわけでございます。  出原局長もきょう、いらしておりますし、長い経過については長官十分引き継ぎを受けていると思いますが、いよいよこの部会結論が出たわけでありますから、環境庁としては認めるのか、認めないのか、いずれにしても二者択一の結論を出さなければならないところに来ていると思います。  そこで、長官は一体これにどう決断をされるのか、そして、もしやるとすればその最終決定に当たって最も考慮すべき点はどこにあるのか。やらないなら問題ないですね、認めなければ問題ないのですが、やるとすればどういうことになるのか、私は最初にその点をお伺いします。
  6. 山田久就

    山田国務大臣 ただいま鈴木委員からも御指摘があったところでございまするけれども、この審議会の答申の点、これを私としても虚心坦懐、十分に検討したいと思っております。また、検討中でもございます。また、これまでのいきさつについてもいま、事務当局からいろいろ詳しく聞いておりますし、また私からの疑問、こういう点をさらに詳しくというような点を命じまして聴取いたしております。  われわれといたしましては、すでにもう五十キロ以上進展しておるこの点における環境問題というものも、今度は中止した場合にわれわれの立場から考えてそこにどういう問題を包蔵しているか、そういう点もいろいろな角度から十分に検討させて、できるだけ早い機会に結論を出したい、こう考えている次第でございます。  これまでこの審議会の諸先生、あるいは私どもの方の部下がずいぶん現地にも行って、見られて、いろいろな資料もあるようでございます。そういう関係で、いま私として、現地の点は、このような状況のもとにおいて予定はしておりませんけれども、決断を下すに当たってもし必要があれば私も出かけていって検討したいというような意向を持ち、いま申し上げたような状況において鋭意その検討の指導をいたしておるような最中でございます。
  7. 鈴木強

    鈴木(強)委員 検討をしているということですが、ニュアンスとすると、どうもすでに両サイドからこれだけの道路の完成を見ている段階でというように私は受けるわけでございます。  そこで、去年も石原長官は、大体標高二千メートルというような高いところに自動車が通るような道をつくるのはおかしいんだ、こういうことを言っておるのですね。それから経過的に石原長官からどういう引き継ぎを受けておるか私は聞きたいのですが、たとえば昨年私が指摘しましたが、南ア自然保護連合会というのがございますが、ここから昭和五十一年十一月三十日に、公開質問状環境庁に出ております。そのときの回答に環境庁は、南アルプス国立公園登山利用主体としており、車道により峰越えするような計画及び北沢峠集団施設を設けるなどの利用に関する公園計画はない、また北沢峠の第一種特別地域内にかかる林道工事実施については、自然環境保全審議会自然公園部会審議を願っており、環境庁としてはその意見に従って対処することとしている、こういうように回答しておる。この考え方は変わっておらないはずでございます。特に五十一年九月二十三日、当時の大石農林大臣記者会見で、スーパー林道開設には反対である、工事凍結解除を働きかけることはしないと述べておられる。このことも私は昨年取り上げております。いろいろな紆余曲折がある中でございますから、そういう点を石原さんからどういうふうに引き継ぎのときになされておるのでございましょうか。これはもう重大な決断を下すときに来ている。
  8. 山田久就

    山田国務大臣 先ほど環境庁の方の意見としてお読みになったそういうような立場がわれわれの立場でございます。前環境庁長官も詳しくこれに触れたわけではございませんけれども、しかしながら、審議会意見が両方に分かれているような状況が示すように、この問題についてはいろいろな考慮がある、しかしながらひとつよく慎重に検討してほしいというような御意見であったと私は了解しております。
  9. 鈴木強

    鈴木(強)委員 審議会は、もしこれが最初からかかっておるとすれば反対だということを明確に言っている。自然保護立場に立つとこういうスーパー林道反対だというのが全員一致意見、これが基本にあるのですね。ただ、過去の経緯からしてやむを得ないだろうという意見と、それでもなおかつ初心曲げるべからずというのと二つあるわけですから、長官は右するか左するか、その結論をあなたはしなければならぬのでしょう。こういう結論が出ないからそのままずっと放置するというのか。やるかやらないか、いずれにしてもその結論を出さなければならぬお立場にあるでしょう。ですから、必要があれば現地を見るなんというそんななまやさしいことでなくて、積極的に現地ごらんになって、みずからの目であの事態をごらんになったらいかがですか。そのくらい環境行政に対する姿勢というものは前向きでなければだめなんです。環境庁は、日本自然破壊をしようとするそれらの行為に対して、自然を守るという立場からある官庁でしょう。しかし、開発そのものをすべて私も否定するわけにはいきません。ですから、開発自然保護とがどうしたら調和がとれるかという点を真剣に考えていくならば、また一つ結論が出るかもしれませんね。そういう点をもっと真剣に取っ組んでおやりになったらどうですか。あなたのもとには多くのスタッフがいるはずです。環境庁に対して国民は大きな期待を持っているはずですから、そういう長官が右すべきか左すべきかの立場に立ったときに、もう少しわれわれ国民がなるほどと言われる考えを示してもらいたいですよ。もう一度答えてください。
  10. 山田久就

    山田国務大臣 もちろん私は、結論を出す必要があるから一生懸命になって検討しているわけであります。そしてまた、われわれの熱意というものをどういうことで御判定をいただいているかわかりませんけれども、私は、この問題はきわめていろんな角度考慮に入れてやらなければならない複雑な問題を含んでおると思っております。事実、大石長官にしても、個人では反対だと言われ、また自分でいろいろ御決裁をなし得る農林大臣立場にもおられたわけです。しかしながら、結局それをおやりにならなかった。これにはいろんな事情があるのでしょうけれども、やはりいろいろな配慮もむずかしさもあったからこそできたかったという事情もあったんだろうと思います。とにかくそれについては、ずいぶん皆さんも検討していろいろやっておられるのです。したがって、私としては、それをよく見て、必要があると思ったら伺います。どうかその点について願わくば——何か熱意を持たないでこの問題に取り組んでいるというような印象があったら、それは私の不徳のいたすところですけれども、どうかそういう誤解を抱かぬでいただきたいということを私は切望いたします。
  11. 鈴木強

    鈴木(強)委員 環境行政については、私は意見がありますから、後ほどまたここで長官に申し述べたいこともありますが、それでは一応ここで、長官はそういう態度でありますから、事務当局の方で結構ですからお伺いしておきます。  この北沢峠部分については、森林公団が当初環境庁に提示をされた計画ですね。そういうものを変更するというふうに伺っておるのですが、その点をひとつ明確にしてもらいたい。
  12. 大塚武行

    大塚(武)参考人 申し上げます。  公団といたしましては、この林道昭和四十二年から着工してまいりまして、自然保護観点等から鋭意のり面緑化、山腹の崩落防止施設といったようなもの、あるいは景観維持、破損の防止に努めてきたわけでございますけれども、この峠部分につきましては、ここ数年来、大変各方面からの御検討もいただいておりまして、そういった関係で、現在、原計画を変更いたしたいというふうに考えております。  その骨子を申し上げますと、まずその第一は、この林道幅員が現在四・六メートルでありますが、この峠部分特別地域内につきましては、林道としては最小幅員であります三・五メートルにいたしたい。それから第二点は、北沢峠通過に当たりましては、立木伐採することになりますけれども、その伐採する立木がなるべく少ないところ、しかも土砂の切り取り量のなるべく少ない個所、そういう個所を選びまして、路線中心線を変更し迂回をさせることにいたしたい、そのように存じております。  この二つの手段をとることによりまして、現在、概算でございますが、路線の延長は約二十メートルばかり長くなります。しかし、立木伐採量はほぼ半分程度に減少します。また、林道敷地面積も約二〇%程度減少することとなろうかと存じます。さらにまた切り取り土量も約四〇%程度減少しまして、しかも切り取りました土のほとんどを盛り土に使用することになりますので、いわゆる自然環境保全上大変問題になっております残土処理ということについての必要性がなくなるわけでございます。この幅員を縮小し、道路中心線を変更しますほかに、さらにまた、たとえばコンクリートのウォールあるいはコンクリートのブロック、そういったものの工事量を極力少なくして、できれば切り取りのり面なんかに対します緑化の吹きつけは、この地帯に自生しております植物の種を使用したいといったような方法等々、できる限り自然景観の保持にマッチした工法をとってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  13. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そういうような計画変更をするために、当初の建設費幾らであったか、それからそれをやることによって建設費はどう動きますか。
  14. 大塚武行

    大塚(武)参考人 これは四十二年から着工しまして現在に至っておるわけでございますが、その間、昭和四十八年のいわゆるオイルショック以来の諸物価の高騰によります工事費単価増高、そういったものもございますし、さらにはまた、特に修景緑化事業等に対する経費継ぎ足し等をいたしました。それを分析することはちょっと困難でございますが、当初の計画では、この五十六・六キロを十九億円程度で仕上げる予定でございましたが、現在のところ、昨年までに三十五億円を使用しまして、さらに今年度六億円、合わせまして四十一億円程度事業費になろうかというふうに考えております。
  15. 鈴木強

    鈴木(強)委員 総体的なことはわかりましたが、特に北沢峠の一・六キロ部分についてはどうですか。たとえばいま言った、迂回してやりますね、二十メートル延びましたね、それに伴って工事費はどのくらい。もしわからなければいいですよ、後で資料で出してもらえば。
  16. 大塚武行

    大塚(武)参考人 実は、先ほど申し上げました計画を変更しようとした場合におきまして約三億円程度になろうかと存じます。この峠部分につきましては、当初の事業費よりも若干少なくなると思います。というのは、工事量が大分減っておりますものですからそういうことになろうかと思います。それから自然保護、いわゆる修景関係経費というものは約三割程度見込んでおります。
  17. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、四・六メートルの幅員を三・五メートルにするわけですね。いわゆる自動車で言うと一車線といいますか、そういう意味において、メートルは延びても工事費が少なくなるというふうに理解します。  それで、自然保護立場からすると、あそこの部分を隧道的なものにしたら景観を損ぜないじゃないかというような意見もあるのですけれども、そのことについては昨年私、ちょっと提起しておいたのですが、実際にはどうなんでございましょうかね。そういうことがやれれば、これは一番いいわけですね。
  18. 大塚武行

    大塚(武)参考人 結論的に申し上げますと、峠部分トンネルで施工するということは不適当ではないとかいうふうに存じます。  その第一の理由としましては、あの北沢峠部分は地質的に中生層の四万十層でございまして、長野県側には非常に厚い崖錐層、いわゆる堆積土壌がございます。それから山梨県側には破砕帯が確認されております。したがって、この地帯トンネルで施工するということは、岩盤としては余り良好な条件のところではないかというふうに判断されるわけでございます。  それから二番目の理由としましては、トンネルを掘削いたします場合に約二万三千立方メートルばかりに上ります切り取り残土が生ずるわけです。この二万三千立方メーター残土と申しますと、仮に四トン積みのトラックで換算しますと約一万台分程度でございまして、大変な量でございます。この大量の捨て土の処理ということが、これまた自然環境保全上新しい問題を提起することになるのじゃないかというふうに存じます。  それから三番目の理由としましては、北沢峠の第一種特別地域の外でございますが、三種地域になりますけれども、西側の長野県側にはシラビソあるいはオオシラビソの非常にりっぱな森林がございます。それでトンネルを施工します場合には、トンネル坑口に到達いたしますまでの間、この非常にりっぱな森林地帯地上方式をとる場合以上に長距離の道路をつけなければならない。そうしますと、その地帯の大径木を中心としました非常にりっぱな木を大量に伐採するということになります。この場合、地上通過方式に比べまして約二・五倍程度伐採になるということでございます。  それから、四番目の理由といたしましては、トンネルを掘削します場合には、いわゆるそのために必要な機械の設備あるいは資材の置き場、そういったものの敷地が必要でございます。それで、この敷地と、さらにはトンネル坑口に至りますまでの林道敷地、こういったものを合わせますと、地上通過方式をとった場合の林道敷地面積とほとんど変わらない、そういった敷地が必要になってきます。結局は林地の上で、一応そういった面で伐採する面積はほぼ変わらなくなってしまうということでございます。  こんなような理由からいたしまして、この地帯トンネルを施工するということよりもやはり地上通過方式の方が適切な工法ではなかろうか、このように判断をしておるわけでございます。
  19. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大塚さん、時間がありませんので、結論だけにしてくださいませんか。  あとちょっと事務的なことになりますが、念のために私は一応伺っておくわけですが、そうしますと、北沢峠開設に要する経費というものは明確に幾らなのか、そして、その負担関係はどうなっていくのか、そこのところをちょっと数字だけ言ってくれませんか。
  20. 大塚武行

    大塚(武)参考人 公団スーパー林道経費負担につきましては、原則としまして国庫の補助金が大体三分の二、すなわち。パーセンテージで申しますと六六・七%になっております。それから県の負担金が一七・五%、また受益者——受益者と申しますのは、この林道によって恩恵を受けます森林所有者等でございますが、その受益者賦課金が一五・八%というふうになっております。北沢峠では、先ほど申し上げましたように三億円予定をしておりますが、これもこんな比率でそれぞれが負担するということになろうかと思います。  それで、このうち負担金受益者賦課金に相当するものにつきましては、合計しますと全体経費の三分の一ですが、これは森林開発公団財投資金を借りまして先行投資方式工事をやっていく。それで、工事が終わりましてから後、公団は二十五年間にわたりまして県あるいは受益者から徴収をして国の方へお返しをする、そういう形になっております。
  21. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、この工事管理スーパー林道管理というのは、現在は森林開発公団がやっているわけですね。これは将来展望としてはどうなるんですか。森林公団がやっていくということなのか、あるいは地方自治体の方にこれを移管していくのか、それはどうなんですか。
  22. 大塚武行

    大塚(武)参考人 お答えいたします。  公団林道につきましては、工事終了後、その維持管理につきましては地方公共団体等に移管をするということにいたしております。したがって、この林道の場合につきましても地元の町村あるいは関係長野山梨県、そういったところで維持管理をするということになろうかと存じます。
  23. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、いままで使った経費、三十何億ですか、三十八億ぐらいになるんですか、これはいまの比率でまいるわけですが、県並びにその受益者の方で負担をどのくらいしておるのか。いままで使った経費はどうなっているか。その支出の方法はどうなっていますか。
  24. 大塚武行

    大塚(武)参考人 総体経費で五十二年度末で約三十五億円を使用いたしております。そのうち山梨県と長野県の負担分を合わせますと四億四千六百万くらいになります。
  25. 鈴木強

    鈴木(強)委員 山梨幾らですか。
  26. 大塚武行

    大塚(武)参考人 このうち山梨県は二億一千百万になります。それから長野県が二億三千五百万程度になっております。  それから受益者賦課金でございますが、これは両県合わせまして五億五千六百万になります。このうち山梨県側が三億四千八百万、長野県側は二億でございます。
  27. 鈴木強

    鈴木(強)委員 約二億ですか。
  28. 大塚武行

    大塚(武)参考人 はい、そうでございます。このうち長野県側は国有林分で一億九千九百万でございます。それから山梨県側も大部分山梨県の県有林でございます。
  29. 鈴木強

    鈴木(強)委員 両サイド管理状況がどうなっておるか、そこいらも聞きたいんですが、時間がありませんから、大変恐縮ですが、一つは、いま現在の崩壊の個所、それについてどういうふうな修復をしてまいったか。それに要する費用、こういうもの。それからもう一つは、尾勝谷というところがありますね。ここが崩壊をしているというんですが、これについては着工前に知っていたかどうか、それからいつごろから補修工事を始めたか、どのように補強したか、補修費は当初の予算に比べてどうか、今後どのような安全策をとるか、通過車両に危険はあるかないか、こういったような問題についても、ひとつ資料で結構ですから、後ほど出していただきたいと思います。  そこで、時間がなくなりましたのですが、出原局長にちょっとお伺いしておきたいのです。いま大臣から基本的な考え方をお伺いしましたけれども、この両論併記の審議会の報告というものが出まして、あなたは当面、大臣を補佐して最高の立場に立って事務当局をまとめなければならぬ立場ですが、最終結論を出すに際してどういう配慮をあなたはいましようと考えておられるのか。簡潔でいいです。
  30. 出原孝夫

    出原政府委員 先ほどから御指摘がございましたように、自然環境保全審議会部会のメモといたしていただきました御意見が、もし現時点で新たに提起されたものであれば、肯定しがたいとされた上で、なお現実の処理方針としての意見二つに分かれておるわけでございます。したがいまして、非常にむずかしい問題でございますが、環境庁といたしましてはまだ結論を出しておりません。いただいた御意見の全体につきまして慎重に検討いたしまして、総合的な観点に立って判断をいたして、大臣に御決断を願いたいというように考えております。
  31. 鈴木強

    鈴木(強)委員 長野スーパー林道というのは、当初、過疎対策ということも当然一つの問題でございましょう。それから、あそこの自然の森林地帯維持管理していこうということも一つの大きな目的だったでしょう。私のところにも賛成、反対、多くの方々から陳情が来ております。一体どうしたら自然と開発の調和がとれるか、こういう点は私は非常に悩んでおる者の一人ですが、やはり子々孫々までこの美しい自然を残していこうということがわれわれの頭の中に強くあるものですから、慎重の上にも慎重を期して、何かそうした方法はないかという模索をしているのが現状ですよ。ですから、そういう気持ちはあなたの気持ちであり、大臣の気持ちであると思います。最初、過疎対策になるかもしらぬというような一つの構想もあったわけですけれども、その点については、いまでもそういう気持ちを局長は持っておられますか。
  32. 出原孝夫

    出原政府委員 四十三年当時に期待された効果がその後の情勢で変化していることは考えられますが、森林経営でございますとか治山事業、災害救助といったような効用は、私はそれなりにあるものであるというように考えております。
  33. 鈴木強

    鈴木(強)委員 しゃんと構えてやってくださいよ。  大臣、これは最後の質問になると思いますが、ちょっとお伺いします。  五月の二十五日に、衆参超党派でつくっております自然保護議員連盟というのがございますが、そこにあなたは御出席されたようですが、その際、大石元長官からいろいろあなたにアドバイスも行われたようでございます。私どもは新聞の記事で拝見いたしたわけでありますが、結論の出ぬこの答申に左右されずに、過ちは直し、大胆にひとつやってほしい、そういう趣旨の意見が大石さんからあったように聞いておりますが、その点のいきさつを直接大臣から、まあ考え方もあわせてひとつ聞かせてほしいと思うのです。
  34. 山田久就

    山田国務大臣 いまお話しの議員連盟の方は、議員連盟ということじゃなくて、有志という形でのお話だということでございました。大石元環境庁長官が代表格として、特にいままでの自然環境保全という点を踏まえて、この問題に対してはむしろ許可すべきじゃないという立場に立脚してのいろいろなお話がございました。先ほど申し上げましたように、私もそういういろいろな御意見は御意見として虚心坦懐に承りましたし、また元長官自身が、先ほど指摘したように、自分自身で決断し得た立場においてなぜそれをやらなかったのか、その事情や心境を承ったわけですけれども、その点についてはお話がなかった点は、私の参考としては非常に残念だったと考えております。
  35. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大石さんはいま参議院議員ですが、大胆に物を割り切っておっしゃる方ですから、長官に対して先輩になるのかどうか私は知りませんが、環境庁長官では先輩でございましょうから、そういう立場からここに書いてありますように、「委員はみな、現時点で許可申請が出たら認めなかった、といっている。全体の意見は開通させるべきではないといっているのだ」、こう反論して、過ちは犯してはいけない、こういうふうにいさめた、こう書いてあるわけです。これは長官も胸の中にあると思います。ひとつこれは慎重にもちろん対処していただくわけですが、私は、きのう「ゲンダイ」という新聞を帰りに買ってみたのですよ。  たまたまここに、「「こんな環境庁ならいらない」という毎日新聞の庶民のための勇気ある記事の反応」、「環境破壊に手を貸す役所ではないか」、「九人の歴代長官中マトモだったのは大石・小山・三木のたった三人だけ。最悪最低は山田久就現長官というキビシイ世評」、こういうふうな記事が載っておりまして内容を拝見しましたが、これは今度の「環境庁発足以来の悲願である環境アセスメントの法制化が三度目の失敗をした。」ということがその根底にあるようでございまして、「法制化作業の中で、環境庁は1都市計画のアセスメントは建設省にゆだねる2通産省所管のガス事業は除外3公聴会開催規定は削除する4環境庁長官のチェック機能を弱める——など法案に難色を示す通産、建設両省に妥協案を示した。」こういうことから批判をしているようでございます。  私は、決して長官に対して個人的に恨みもつらみも何もございません。りっぱな政治家として尊敬をいたしておりますが、こういう批判が出ることには、やはり謙虚に耳を傾けるべきところは傾け、もし誤解であればそれを解くような努力を長官みずからやるべきではないか、こう私は思うのですね。したがって、ひとつ日本環境行政については、さっき私、最初に申し上げましたように、これは環境庁しかないのですよ。ですから、唯一の自然を守ってくれる官庁として期待を持っておる国民がおるわけですから、その期待に背くようなことがあってはいけないと思うのですね。そういう意味で、今後、長官のこういう批判が出ないように、ひとつ前向きな環境行政というものを心から願う次第であります。これはひとつ答えてください。  それからもう一つ、きょう道路公団からおいでいただきましたが、時間がありませんのでここでお聞きしますが、御殿場と富士吉田市、河口湖を結ぶ東富士有料道路というのがございますが、この計画は一体今日どうなっているか。  そして、聞くところによりますと、この路線国立公園特別地域通過するように聞いているわけです。したがって、環境庁としてもちろんこれに対しての対応策を考えなければならぬと思いますが、山梨県、静岡県側からすれば、この道路は東名と中央を結ぶ重大な連絡路線でございますから、一日も早く開通してほしいという強い願いを持っております。私もいままで、参議員当時から、こっちに参りましても、ずっと毎年予算委員会でこの点を政府に要請しておるのですが、さっぱり問題が進まない。先般の北富士演習場の再契約に際して、閣議報告事項としてこの問題も取り上げられたと聞いておりますけれども、ひとつ公団の方としても積極的に推進していただきたいし、また環境庁としてはそういう話を聞いているかどうか、出てきたら即刻これはひとつ検討していただきたい、こういうことをお願いして、この二つに対してひとつ答弁をしていただいて、終わります。
  36. 大塚勝美

    大塚(勝)参考人 お答えいたします。  東富士道路と称しておりますけれども、このルートの選定に当たりましては、地形、あるいは地質、あるいは気象、そういうものの自然条件、それから自然環境、それから演習場がありますので、演習場の機能等々におきまして十分配慮する必要がありますので、今日まで非常に時間をかけて慎重に調査をしてまいりました。基本的な路線の位置につきましてはほぼ調査を完了しております。このうち、北富士演習場付近の位置につきましては、現段階では二百十ヘクタールの払い下げになりました地域の西南端を通るのが一番望ましいのじゃないだろうかというふうに考えております。  また、この道路は、いま御指摘のありましたように、国立公園特別地域通過しております。それで、自然環境保全につきましては特に留意する必要があろうかと思いまして、自然環境の影響調査をずっと時間をかけて実施してきております。その調査がほぼ完了いたしました。それで、早急に関係機関と協議に入りたいというような状況になっておりますので、御報告いたします。  以上でございます。
  37. 出原孝夫

    出原政府委員 具体的に私どもはその道路計画の協議は受けておりません。ただ、全般的に申し上げますと、私どもは東名高速道路と中央高速道路の両高速道路を結ぶ道路必要性は理解いたしております。しかし、国立公園の重要な地域を避けるなど、自然環境保全に万全を期した上で考えるべきものであるというように考えております。
  38. 鈴木強

    鈴木(強)委員 了解しました。
  39. 山田久就

    山田国務大臣 いまいろいろ御指摘がございました。われわれ環境行政をやる以上は、非常な責任を持ち、自覚し、決意を持ってやっているつもりです。  ただ、今日の開発関係あるいは環境に対するいろんな影響の各般の事態というものは非常に広範にわたっている、しかも、その実態というものは非常に複雑多岐にわたっているというのが現在の状況でございます。したがって、われわれは、特にこういう科学的な判断をもとにしなければならない問題については冷静でなければならぬし、科学的でなければならぬ。一ころ、公害というようなことで非常に国民が迷惑を感じたというような点から、過去の過程においてそういうような事態があったのはやむを得なかったとしても、こういう問題はあくまでも感情じゃなくて冷静な理性によって行うべきものだと私は判断しております。  したがって、先ほどアセスメント法の御指摘がありましたけれども、この非常に複雑な中において、たとえば何から何までこのアセスメント法というもので全部規定し、縛っていくという点は私は行き過ぎだと考えております。それは世界のいろいろの実態から見ても、とにかく根本的な点、ガイダンスという点について法的な基礎というものを確立して、したがって、あとの重点においてはそれぞれ行政がその基準によって責任を持ってやる、それをチェックされる、こういう要領でいっているのであって、その面についての現実への対応というものを、単に妥協であるとか後退であるとか、そういう批判というものは、もっと冷静に世界の実態と事柄をよく了解していろいろな批評をやっていただきたい、こういうふうに考えております。ある意味においては過大な期待あるいは過大な心配というものの交錯が、結局いろいろ意見が分かれて一致に至らなかったという結果がこうなった点は残念ですけれども、依然としてこの点については、私は熱意と意欲を持ってひとつ一生懸命になって、さらにがんばっていきたい、こう考えておりますので、どうか冷静な点で御支援を賜りたいと思っております。
  40. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間が五分間超過してしまいまして済みませんでした。私は意見がありますけれども、またの機会にいたします。  ありがとうございました。
  41. 久保等

    久保委員長 次に、水田稔君。
  42. 水田稔

    水田委員 四月十一日にも本四連絡橋の問題について質問したわけですが、項目が多いものですから残ったものと、それから、あのときは評価書案であったわけですけれども、その後、評価書が出されたわけです。そこで、その内容について御質問いたしたいと思います。  この評価書付属の各地方団体なり住民団体等から出された「意見」に対して公団の「見解」というのがここへ出されておるわけです。これを見ますと、たとえば「今後検討を行いたい。」あるいは「努めたい。」あるいは「必要があれば、別途対策を検討することとしたい。」、「できるだけの対策」を行いたい。こういう表現をずっと使っておるわけです。評価書というものは、そういうものを全部検討したものも含めてこの評価書に入れて初めて関係住民なり関係団体の理解と納得の得られるもので、そういう点から言えば、これが明らかになってない評価書というものは私はまだ欠陥があると思うのです。そこで、このような表現をされたものが、大事なことは、この中へ全部きちっと盛り込まれるためには、こういう検討をしたいとか対策を講じたい、措置を講じたいということが、検討なり対策を講じて具体的にどういうぐあいにやるのか、あるいはそれが実際にやられることについてのチェックはだれがやるのか、あるいは「必要があれば」と書いてあるその必要があると認めるのはだれが認めるのかという大事なところが抜けておるわけです。この評価書を本当の評価書として実効あらしめるためには、そのやり方が明らかでなければ、これは単に検討しますとかあるいは講じたい、そう思っておるだけですから、やらぬでも別にどこからも文句は出ない、法律的な義務づけでないわけですからね。そういう点は一体どういうぐあいにやられるのか、まずお伺いしたいと思うのです。
  43. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 ただいま水田先生御指摘のように、評価書案の中には基準としてあるいは目標としてあるいは対策として、今回必ずしもはっきりした対策をとれないものがかなり含まれております。そういうようなものにつきましては、いろいろ「意見」に申し上げておりますように、今後調査するとかあるいはよく現地関係者と相談して実施するというような表現を各所に使っております。これは評価されます項目によって、先般も申し上げましたけれども、非常に基本的な問題と、また、それに反して大変局地的な問題、いろいろだくさんございましたので、そういう問題に対する対応がそれぞれ違ってくるかと思いますが、重要な基本問題につきましては、現在決められておりますものに対しては十分対応するという姿勢でおりますし、またその基本的な問題がまだ解明されておらないものにつきましては、それらが解明されました暁においてそれに従って対応する、また局地的な問題につきましては従来同様に、工事実施いたします段階において関係住民といろいろ相談してやっていく、こういうような基本姿勢になっております。その際に、いま申し上げました問題の種類によって、たとえば中央における環境庁初め建設、運輸両省でございますとか、あるいはまた現地におきましては県、関係市あるいは関係住民の方々とそれぞれ御相談しながら適応する対策を講じていくというような考えでございますので、必ずしも法的根拠はございませんが、いままで私どもやってまいりました姿勢、これは評価書ができましたからそれで済むというものではございません。長いおつき合いでありますから、そういうふうにして政府あるいはその他の指導を得ながら関係の方々と御相談していく、こういうような考えでございます。
  44. 水田稔

    水田委員 今後も意見を聞いてやるということは非常にいいことなんですが、具体的には全く法的には義務としてはないわけですね。とするならば、これから十年間にわたって工事をやる、工事中の問題も起こりますが、同時に、基本的なものでまだまだ解明されていないものがあるわけですから、それらをこれから措置をしたい、あるいは対策を講じていくということについて、たとえば建設省所管のもの、環境庁所管のものあるいは県のもの市のもの、住民代表ですね、そこらあたりをどういう形で——何か一つのシステムのようなもので考えるお考えはありませんか、ルールをですね。たとえば自然環境保全審議会、これは法的にちゃんとあって、それでやっておるわけです。それ以外はないわけで、これは見る限りは、これだけではきわめて不十分な点がいまの評価書にある。それを補足するのは、今後検討するとか今後措置するという、それらがどういう形でこの評価書の中に取り入れられていくかということですから、いま住民の意見あるいは市町村の意見、県の意見を聞くというのですが、それらを一つのルールとして何かされるお考えはありませんか。
  45. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いま水田先生御指摘のように、先ほど法的根拠と言いましたが、自然環境についてはもちろんそういう縛りがありますから、これは環境庁の方の御指導を得ながらやるのは当然でございますが、そのほかの問題についてルールがないということでございます。これは、私ども初めてのこういうアセスメントでございますので、まだそういうルールができていないのは当然でございますが、いま考えられておりますのは、これらを実施していく段階におきまして公害管理計画、やはり管理計画一つ持たなければならぬと思っております。それからまた、一方には県、地元の方におきまして防止協定的なものをつくりたいというような御意向も伺っておりますし、それも必要かと思います。そういうようなところで、必要なものは、現地的なものはこれから御相談していきたいと思っております。監督官庁とは、そういう特別な委員会とか何かなくても、常時いろいろ御指導をいただく方式で十分であろうと私は思っております。いまおっしゃる点につきましては、今後むしろ管理計画あるいは防止協定的なものの中の問題になるのではないか、かように考えております。
  46. 水田稔

    水田委員 そうなると、さっきの住民の意見をどう聞くかということが抜けてくるわけです。管理計画公団がつくられる、防止協定は県あるいは市とやる。県知事はそれほど影響を受けぬわけです。環境問題についてはそこは住んでいませんから、住んでいる者が影響を受けるわけですから、その人たちの出た意見をどういうぐあいに今後検討するとか、対策、措置を講じたいという中でくみ上げるか、フィードバックするかということを含めてルールをつくることが一番大事なんだ。なぜ環境アセスメントをやるのか、それから、その中でなぜ住民の意見を聞かなければならぬのか、そのことがきわめて環境影響評価の中で重要だということについて、どうしてやられるか、どういう立場でそれはやっておられるのですか。まず、それについてお答えいただきたいと思います。
  47. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いま、住民の立場が抜けておると仰せられましたけれども、県なり市で、いま言いましたいろいろ防止協定的なもの、あるいは私どもが管理計画をつくるにつきましても、当然に住民のことを考えての上でございまして、全くそういうものを離れた立場で考えるということはございません。私どもが工事実施する段階におきまして、またこれまででもそうでございますが、今後におきましても一番関係ありますのは地元の方々でありますので、この環境問題のみならず、あらゆる問題を含めて常にいろいろ接触し御相談する場があるわけでございまして、そういうものをいままでも持っておりますが、そういうものを十分活用しまして、そういうところの意見がまたいろいろ市なり県にも反映してくると思いますので、当然、住民の意見を尊重する立場で、いま申しましたような方法を講じていきたい、かように考えております。
  48. 水田稔

    水田委員 きわめて重要だから私、何回も申し上げるのですが、たとえば、後でも触れたいと思うのですが、この中で住民なり市から出た意見に全くお答えになっていない。項目から省いておるのです。そういうことですから、私は、その意見を聞くなら聞く、今後措置をする、検討するという中でそのルールというのをきちっとつくることが必要だから言っておるのです。  それはなぜかといいますと、この評価ですべて学問的にきちっと解明できておるものはないでしょう。ここの評価の中に不確定なものがたくさんありますね。そして住民に大変な影響を及ぼすということで、できるだけその影響をないようにしようということでこの評価をやるわけでしょう。ですから、影響評価というのは、そもそも環境アセスメントというものは、いろいろな学問の分野があるわけですね、そしてそこだけで触れられない問題、いわゆる学際的な分野というのが多いわけですからね。しかも、いろいろな学問なり科学等の技術評価をやっていく。だから、こういうこともやらなければならぬ、こういうこともと言うけれども、全部を含めてやってみると決定的な把握というのができないという問題なんですね。だから、それを埋めるものとして、その地域に住んでおる住民の意見あるいは県なり市町村の意見というものをくみ上げていくということが大変大事なことなのです。いまのところ、いままでの答弁を聞いておりましても、しかもこの評価書ができ上がるまでの間でも、住民から出た意見というのはそれほど本格的に評価の中に取り入れようという姿勢が見られないところに一番問題がある。だから前回も、これは免罪符に使うのではないかという意見が出てくるのは、そういうところから出てくるわけですね。ですから、それを埋めるためにも、問題が起きないようにするためには、実施主体である公団と県なり市なり、あるいは住民との間での意見をどうくみ上げていくかといういわゆるフィードバックの回路というものを、ルールというものをつくっておけば、その中で問題がなく、不完全な部分をこれから補足しながら、評価というものが完璧なものにだんだんなっていく。そのことをしないと、このままでやられると問題が今後に残るという意味で申し上げておるのですから、そういうルールをおつくりになるお考えがありますか。
  49. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 私どもは、いま解明されておらない問題というのは非常にやはり、先生おっしゃるように学問的な問題で、かなり基本的な問題として時間もかかるかと思います。この問題と住民との関係といいますのは、やはり諸問題が解明されまして、たとえば地域ごとに、ここでどうなるかというような方法、これも一つの学問だと思いますけれども、そういうものが決まることが前提でございまして、どちらかといいますと、現在、住民の方々から出ております意見というのは、やはりルートの問題でありますとか、あるいは騒音の問題であるとか、そういう局地的対策を要する問題であって、学問的に解明されてない問題ももちろんございますけれども、そういうような種類の問題が多いものですから、私ども従来、現地の方々と、計画段階から、これから工事に入りますにつきまして、常に御相談しなければならない、そういうことにつきまして絶えず御連絡しなければならない場がございます。そういうようなところを活用していけば、そういう穴というのは私は十分埋められると思いますし、また、それで埋められないような基本問題なり、あるいはさらに県的な問題あるいは市的な立場で考える問題は、先ほど申しましたような管理計画なり、あるいは基本協定をつくるに際していろいろ御相談していきたい、かように考えておるわけでございます。
  50. 水田稔

    水田委員 管理計画と公害防止協定は住民に直接は関係ないわけです。だから、住民の意見も聞く、そういうルートというものは持つ、こういうぐあいの答弁と理解してよろしいですか。
  51. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 管理計画はもちろん公団がつくるものでございますし、協定は関係者と結ぶものでございますが、そういう際に当然、住民の方の意見も反映しておる、かように理解いたしております。
  52. 水田稔

    水田委員 違います。それは。結ぶのは、たとえば県知事とか市長という地方団体の長でやるわけですね。さっきも言いましたように、県知事は直接はこの被害を受けないわけです。住んでおるところは、たとえば岡山県で言いますと岡山市に住んでおるのです。関係ないわけです。倉敷市の児島というところに住んでおる者が大変影響を受けるわけですね。その人たちの意見というのを——公害防止協定なら地方団体の長の意見は、あそこで判を押すわけですから、当然意見が入る。しかし、現実に住んでおる住民の意見をどういう形で入れるかというのは、ルール化しなかったら、本当の意味での住民の意見というのは公害防止協定の中ではくみ上げられない。全くくみ上げられぬということを言っているわけではないので、住民とのコンセンサスを得るためにはそのことをルール化しておくことが一番大事だ、こういうことを申し上げておるわけです。そうしてもらわなければ困るわけですから、その点をもう一遍御答弁願います。
  53. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いまの御趣旨よくわかりましたので、そういうものをつくる際に、十分そういうことをできるように、関係当局とも相談していきたい、かように考えております。
  54. 水田稔

    水田委員 ぜひそのようにお願いしたいのですが、いまの論議を聞いていただきまして、長官、これは一番大事なことなんです。今日、環境影響評価法案、いわゆるアセスメント法案ができない段階で、大規模なプロジェクトに対する環境保全をするためにはきわめて重要なことなんですが、この問題を進める中で、環境庁としては、いまの論議を聞かれてどういうぐあいにされるか、ちょっと長官の方から、決意のほどを聞かしていただきたいと思います。
  55. 山田久就

    山田国務大臣 環境評価を事前に行うということ、その間において適正な利害関係住民の声ができるだけ反映するように、そういうことについて関係者が努力する、またわれわれもそういう点の指導を怠らない、これは非常に重要な点でございます。ただ、評価の点について、いまお話がございましたように、単にたとえば回避するというようなことじゃなくて、やはり技術的に非常にむずかしいような点、その意味で、事前に、できればそういう点について突っ込んで住民、関係者にわかるような評価というものが具体的な形においてなされなければならないし、その方が望ましいということは確かであるから、原則論としてはぜひそういうように努めて、しかも環境評価というのはいろいろな形で出ております。よく事前に住民、利害関係者への提示ということを通り一遍に言われているけれども、実は内容的に見れば、これはむずかしい問題だけれども、それから本四架橋の場合には大変専門的なことを含んでいるのでむずかしい点はあるけれども、わかりやすいような形においてそういうものがつくられていくというような点も非常に注意して努力しなければならない点で、そういう点について公団当局が大いに努力してはおられるのだろうけれども、ひとつ十分に意を用いてもらいたい。そういう点についてはわれわれも要望してまいったつもりですし、そういうことを要望して、少しでもその点についての趣旨に沿うように努力いたしたい、こう考えております。
  56. 水田稔

    水田委員 長官のあれというのはよくわからぬのですが、次の問題で含めて御質問したいと思いますが、二酸化窒素の環境保全目標についてというのがあるのですが、これは環境庁は、ずっと書いて、「この場合、不利な気象条件の下における一時間値の予測値で照合することに意味があるものであり、年平均値のみで照合しているのは適切でない。」こういう指摘を意見として出しているわけです。これに対する公団の見解は、「現在の大気拡散予測式では、一時間値を正確に予測することは困難であり、既往の実測結果によって、一時間値の年間最大値を推計したものである。」と突っぱねておるわけです。環境庁の御意見さえ突っぱねておるわけですね。ですから、よほど環境庁はしっかりしてもらわぬと、県なり市なりあるいは住民の意見を聞いてもらうことも大事ですが、環境庁が言ったことさえそのくらい軽くぱっとやるわけですから、ほかで、たとえばその次の自動車排ガスのところで「局地気象の調査」など、それはやりますということを答えています。こういうことを言うようでありますけれども、この点についてだけは、実は軽くいなされておるわけです。  そこで、これはこの前も触れたのですが、公団の実測というのは四月、五月、十月、十一月、ここで行っておるわけです。岡山県の大気汚染防止の各対策というのは、ここに大臣秘書官でおられる石倉さんが岡山県の大気保全課長をやって一番よく実態を知っておられるのですが、一番ひどいのは、いまの六月から七、八月というのが一番ひどい時期なわけです。だからそのことを指摘しておると思うのです。環境庁意見は。きわめて不利な条件なわけですからそれを全くやろうとしていないわけです。  私、一つは、環境庁は、そのことを意見として公団に申し入れ、公団から軽くいなされておることについて一体どう考えておるのか。それからもう一つ公団については、一番不利な条件のもとで、もう一遍評価を補充する必要があると思うのです。ですから、いまちょうど六月に入ったばかりですから、六、七、八をやれば評価書の補充はできると思うのです。これをぜひやってもらいたいと思うのですが、やれるかどうか。その点お伺いしたいと思います。
  57. 橋本道夫

    ○橋本(道)政府委員 いま先生の御批判がございました環境庁意見では、不利なときの一時間値の予測ということを指摘して、いなされておるということでございますが、現在、技術的にはN〇2の一時間値の予測というのは非常にまだ不確定性が高くてできません。そういうことで、できないものは、コメントするかしないかという選択が一つございまして、できないものはやめておこうということになると、これは不確定なものは全部外してしまったというわれわれの評価になる。そうすると、できなくてもこれはいずれできるようにしなければならない。それから、ある程度のことは推計のつくものも中にはある。そういうことについては今後の検討にまたなければならないところがある。いま御指摘のございましたことしの不利な時期のデータ——データそのものとしては確かにそういうものが使えるということがございますが、決してそれだけやっても何も出てこないということでございます。ですから、環境庁としては、一時間値の予測が完全にできると思ってこれは言い切っているものではございません。しかし、これから九年後にできる橋に対してやはりいまから、いま技術がなくてもこれは非常に問題のあるところで、特に先ほども先生御指摘のあった管理でございますか、あるいは管理システムの中にソフトでいろいろ織り込んでやるということを、いかにうまくこの九年間に練り上げていくかということが非常に問題であるために、あえてこの条項を言ったわけでございます。  そういうことで、公団が軽くいなしたというぐあいに先生はお受け取りでございますが、私どもは問題としてちゃんと提起をして、将来を誤らないようにちゃんと点検をして、それに対する対応をはっきりできるようにしていくためにここのところは入れておいたというぐあいなことでございますので、御理解いただければと思います。
  58. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 いま先生のおっしゃいましたように、一時間の最高値というのは私たち、いまいろいろ研究しておりますが、これは本当に自信を持って推定できるというような段階でございませんので、今後のわれわれの研究の一つの課題ということに考えております。  それから、児島・坂出ルートの周辺には、一般の大気の環境測定局が非常に多い。その資料を私たちがいろいろ現況把握として用いておるわけでございます。直接ルートの近傍について、短期間ながらそれを補完する意味で測定を行ったわけです。先生のおっしゃる四、五、十一月という非常に大気が安定しておるときにはかったということでございますが、これはそういう意味で短期的にはかったものでございまして、開通まで相当時間もございますから、私たち、これから四季にわたってはかっていきたい、その中でそういうような周辺といまの一般の大気観測局との数値の相関、こういうものを気象条件とあわせまして今後研究していけば、いま言った予測ということも相当技術的に進み得るというふうに考えております。
  59. 水田稔

    水田委員 ずばり言って、技師長、今後六、七、八についてもやる、こういうふうな御答弁と聞いてよろしいですか。
  60. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 そのように、ずっとこれから年間を通じて逐次やっていきたいというふうに考えております。
  61. 水田稔

    水田委員 次は稗田のトンネルの問題です。  さっきもちょっと言いましたように、この中には、県が出したルートについての検討という答えが出してある。倉敷市が出した意見書にはトンネル案ということで、トンネルという言葉がちゃんと入っているわけです。あの稗田地区では地域住民がいま一万五千人の署名をとっておるのですが、これも地域住民としてトンネル案、トンネルということばが入っているわけですが、全くこたえてはいないわけです。先ほど総裁は、住民の意向と言うのですが、地域としてはそれだけの大変な問題なわけですが、それだけの問題があっても評価には、トンネルについては全く触れてない。ここに書いてある文言というのはトンネル案を含んだものと理解していいのかどうか。  二つには、それだけの大きな問題を含んだ地域ですが、住民の意見も県や市の意見も十分聞きますと言うのですが、その後、用地買収だけどんどんやっておるわけです。住民の意見公団として聞かれたことがありますか。  その二つを答えてください。
  62. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 稗田の問題については、これも先生よく御承知のように、いろいろ問題があったところでございます。最初の昨年秋出しました評価書案につきましては、これは一つの私の方の考えました当初の計画の案、これでアセスメントをしたわけでございます。その後いろいろトンネルというものが現地から要望として出てきたことも十分承知しております。この問題は、いまの公団の見解に書かれてないということですが、私たちはそういうものを含めまして、いまの私たちの提示しました原案に固執しないで、さらに周辺の土地利用とか道路の構造の問題、交通の安全の問題環境への問題、そういうようないろいろな問題を考えまして、地元によく理解を得るようなルートに最終的に決めていきたいという考えでございます。昨年の秋に地元からいろいろ意見が出まして、その後この五月四日に評価書を公表したのでございますが、さらにその後につきまして、まだこれから、先ほど言いました問題につきまして現地とよく話し合いをしていくという考えでございます。
  63. 水田稔

    水田委員 いまの答弁では、この意見は、あれを締め切った後にトンネル案が出たようなことを言われますけれども、倉敷市の正式な意見書にちゃんと載っているわけです。あの地域の住民からも意見として上がっている。それに対して全く公団の見解を出さぬ。一番都合のいい県の意見に対する答えだけしておるわけです。住民なり地方団体に上下はないわけですが、住民なり市の意見を無視したあれになっているわけです。それからもう一つ、私がお伺いしましたように、ルートの検討ということしか書いてないわけです。市と住民はトンネルと書いてあるわけです。ですから、いま言ったことは、これに書いてあることは公団としてはトンネルも含めて検討する、そういうことですかということを聞いておるわけです。
  64. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 地元から出ましたトンネルにしてくれという意見、これは当然、昨年の秋のいまの評価書案の意見として扱っておるわけでございます。それで、私たち、今後の対応の仕方とすれば、当然いま先生のおっしゃいましたトンネルという地元の意見も考えて、そのほかのいろいろなルートの計画もございますので、そういういろいろなルートの中で、さっきも言いましたいろいろな観点から考えて、何が一番いいかということについて地元とよく相談していくという考えでございます。
  65. 水田稔

    水田委員 それでは、時間が余りありませんので、次に、鷲羽山のオープンカットについて、これは公団は、ずっと書いて、「オープンカットは、かなり大きな地形改変を伴うため、自然環境保全観点から、他ルートをとる案、トンネル案等も検討したが、総合的にみて現計画におちついたものである。のり面等の扱いに景観上の配慮を十分加えるなどして、できるだけの対策を行いたい。」別のところで、「なお、鷲羽山地区トンネル案については、今後も技術的に検討を続けたい。」こういうことを言っておるわけでありますが、原則というのはオープンカットということのようです。一体ほかのルートに持っていくということは絶対不可能なのか、あるいはトンネルということは絶対不可能といまの時点では判断されておるのかどうか、まず、その点をお伺いしたいと思うのです。
  66. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 いまの下津井の瀬戸を渡る下津井橋のルートの前後の中に鷲羽山の国立公園の一部が入りまして、そこをオープンカットにするというのは、いまの評価書で出した計画でございます。これについて、さらにいまのルートより鷲羽山の国立公園を避けて西の方に行くようなルートも比較線として検討いたしました。しかし、これはいろいろ人家の密集地もありますし、あそこの下津井の城址の問題がありまして、そういうもの全部考慮して、いまのルートが最適だというふうに考えた次第でございます。  さらに、いまそのルートの中でオープンカットにするかトンネルにするかという問題これはいろいろあそこは鷲羽山のいままでの景観維持するためにトンネルにしてくれという意見も相当出ておることも承知しております。トンネルにつきまして、これも私たちもこの二年ぐらい研究しておりますが、現在まだはっきり結論を得ておるわけではございませんが、非常に大きな大断面のトンネルになるということで、現在トンネルとして施工されておる方法では不可能だ、それ以外の工法を考えなければいかぬということだと思いまして、その点につきまして、さらに私たち技術的な検討を進めるという考えでございます。
  67. 水田稔

    水田委員 五月二十六日に環境保全審議会本四連絡橋問題小委員会というのが開かれております。そこで蓑輪技師長が代替案としてのトンネル、これは時間は十分あり再検討したい、こういう答えをしたということが新聞報道されておるのですが、これは事実でしょうか。
  68. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 五月二十六日の環境庁の本四小委員会で鷲羽山のトンネルにつきましていろいろ説明したことは事実でございます。その一つの説明の中に、あれはオープンカットにして、さらにそれを埋め戻すというようなことも説明しております。埋め戻しについては、これは施工法として技術的にはトンネルよりは非常に解明しやすい点が多いわけでございます。あそこを埋め戻すとなると、またそれなりのいろいろな問題がございます。そういうものとあわせまして、トンネルにつきましても、先ほど説明いたしましたような、いまの工法でない工法検討をこれからしていくというようなことをお答えしたことは事実でございます。
  69. 水田稔

    水田委員 この評価書で言っておることと、この小委員会で答えた、再検討したい、これを読みますと、トンネル案をいままでは余りとりたくなかったけれども、この審議会を通らないとオーケーが出ないものですから、ここではトンネル案やむなしという考え方が若干出てきたのではないか、そういう印象を受ける報道なんですが、変わっておるわけですか、同じですか。先ほどの答弁といまの答弁とは、内容的には公団としては全く同じかどうか、答えてください。
  70. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 私たち、見解でも示しておりますように、トンネルの問題は今後も検討するということでございまして、それと同じような考えでいまの審議会のときも答弁した次第でございます。
  71. 水田稔

    水田委員 環境庁にお伺いしたいのですが、このオープンカットをしようとする場所というのは瀬戸内海の国立公園の特別指定地域であります。環境庁意見というのは、鷲羽山のオープンカッ卜部について主要な地点からの景観の変化の程度を写真図により捕捉しておこう。もちろん、トンネル案の検討等もついておるわけでありますけれども、この写真を見ていただきたい。この捕捉でいいとお考えですか。これで十分、環境庁の意は通っておる、そういうぐあいにお考えですか。
  72. 出原孝夫

    出原政府委員 環境庁が注文をつけましたものについてある程度お答えを願っておるものであると考えます。なお、詳細につきましては、自然環境保全審議会の小委員会におきまして御審議を願って、公団の御出席をいただいてさらに御説明を承るということをいたしております。
  73. 水田稔

    水田委員 私は、環境庁の姿勢にかかわる問題だと思うのです。これを見てください。これは王子ケ岳という約十キロぐらい離れたところで、東の方にありますところから見たものです。はるかにかすんで何かわからぬです。それから鷲羽山の一番の関係の、これがオープンカットする部分です。鷲羽山というのは、名前を聞いていただいたらわかるように、ワシが羽を広げた姿を海を通る海人たちが見てつけた名前なんですよ。この部分というのは、ワシの羽の右の部分なんです。右の部分をちょん切るわけです。ワシが飛べぬようになるような形になるのです。ここが特別指定地域に指定されたのはそういう姿をしておるからなんです。それが失われるのですよ。審議会へかける前に環境庁自身が国立公園のそういう地域保全するという考え方があるならば、冒頭からこんな写真の捕捉で——これは恐らく田之浦の反対側の城跡から写したものだと思う。ワシの形に見えるのは、南の海から写したときにちゃんと写るのです。そうしたらワシの片羽が落ちたように見えるのです。捕捉された写真としてはきわめて不十分なものです。しかも基本的に国立公園の特別指定地域に指定された地域をオープンカットをして、そして鷲羽山という名前を変えなければならぬような変革がそこに行われることに対して、取り組みとしてはきわめて自然景観を保護しようという気持ちに欠けておる。そういう姿勢、いま対応してきた対応の仕方というものは、そういうぐあいに言われても仕方がないと思うのです。その点、環境庁としてはどうなんですか。
  74. 出原孝夫

    出原政府委員 この架橋によりまして瀬戸内海の国立公園自然景観が大きな変革を受けるということは、私どもは当然予想されることであると考えております。したがいまして、その際におきましても、その受ける影響は最小限にとどめたいということは当然でございまして、そういう意味におきまして、私どもはこの環境影響評価の準備書にも注文をつけたわけでございますし、なお審議会の御審議の中でも十分御検討を願っておるというところでございます。
  75. 水田稔

    水田委員 審議会の方へすべてをお任せするような——もちろんそれは責任のあるところにやってもらわなければならぬ、だからそこでは意見が出ておるわけですね。その前に環境庁が特別指定地域ということを頭に置いておるなら、こんな意見のつけ方では私は済まぬと思う。その姿勢がなってない、こう言うんです。長官、私の申し上げたこと、この図面の写真の捕捉では、国立公園の特別指定地域、鷲羽山というものがどういう形になるということを捕捉した図面になっていない。国会が済んだらぜひ一遍現地へ行って、ちょうど海の上から見てもらえばよくわかりますが、ワシが羽を広げた、それが片方の羽が落ちる、特別指定地域はまさに外さなければいかぬかもわからないというような大変化を起こすのですね。そういうきわめて重要な判断をされなければいかぬ問題ですから、そういう立場でもう一遍この問題を環境庁として、もちろん審議会としては十分審議していただく、同時に環境庁自身がこの問題を再検討してみる、こういうことをやってもらいたいと思うのですが、長官にはぜひ見に行ってもらって、その上で最終的な腹をくくってもらいたいと思うのです。そのことについての御答弁をいただきたい。
  76. 山田久就

    山田国務大臣 御指摘のような点、十分考慮に入れて善処したいと思います。
  77. 水田稔

    水田委員 運輸省と国鉄、来ていただいておりますね。この前も質問いたしましたが、これは時間がなくて答えを十分いただけず、しかも運輸省と公団ともに逃げた答弁をされておりますので、そろったところでお伺いしたいのですが、木見以北のルートが決まっておりません。それから児島の信号所というのが、公団は、駅になるでしょう、こう言うのですね。運輸省の方は、公団から申請があればそこで検討する。私はこの前申し上げたのですが、確かにこれは大きなプロジェクトですから、広域にわたる効果がある。しかし、それだけで、通過ルートの地域の住民は被害だけ受けるということであっては、しんぼうしろというのはできるものじゃない。その地元にもメリットのあるものでなければならぬ、それは明治以来の念願である駅ができるということなんです。それは着工までにはぜひそういう点をはっきりしてもらいたい、こういうことを申し上げたのですが、答弁がきわめて不十分だったのです。  木見以北のルールの問題と児島の信号所を駅にするという問題について、一体どこが責任を持ってそのことを決めるのか、それはいつ、どういう手続でやるのか、現在はその手続はどこまでいっておるのか、そのことを運輸省、国鉄、そして公団の三者からそれぞれ御答弁いただきたいと思います。
  78. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 四月十一日にも御説明いたしましたとおり、木見以北のルートは、いまだ基本計画を決めておりません。この点につきましては、将来の輸送需要をもう少し検討いたしまして、それに対応する設備について十分検討をして、橋梁の工程も、まだ九年ほどございますので、今後の全体の工程を考慮して鉄道の基本計画を立てていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この基本計画を決めますルールと申しますか規定は、運輸大臣から鉄道建設審議会に諮問をし、その御答申をいただいた上で運輸大臣が決定するというルールになっております。それのまた具体的なルートといたしましては、基本計画が決定されましてから本州四国連絡公団工事実施計画をまとめまして、これを日本国有鉄道に協議した上、運輸大臣に申請し、運輸大臣がそれを認可するということによって決定するということになります。  もう一つのお尋ねの児島の信号所を駅にするということにつきましては、現在、木見以南につきましてはすでに基本計画も決め、また工事実施計画も決まっておるわけでございますが、その工事実施計画の中で信号所として現在決められております。これを駅にしたいという御要望があることは私どもも承知しておりますが、これを駅にするためには、やはり本州四国連絡公団工事実施計画の変更ということでこれまた日本国有鉄道に協議をした上で運輸大臣に上申し、それを運輸大臣が認可することによって決定する、そういうルールに本州四国連絡公団法に規定されているわけでございます。
  79. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 木見以北の鉄道のルートの決め方及び児島信号所を駅にするという決定をするための方法は、いま答弁したとおりでございます。私たちが具体的に実施計画を作成いたしまして、駅にするための、いままで木見以南については実施計画が出ておりますので、変更という形で申請をする。それにはやはり国鉄の協議を経てから申請するということになろうと考えております。
  80. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  木見以北のルートにつきましては、基本計画が決まりましてから工事実施計画作成の段階で本四公団の方から国鉄に協議をいただくということになっております。  それから児島の信号所の問題につきましては、工事実施計画の変更という段階になりますと、このことにつきまして国鉄に協議をいただくということになっております。
  81. 水田稔

    水田委員 公団にお伺いしますが、先ほどの質問でも、いつやるのか——児島の人間というのは、ルート全部通るわけです。マイナスもある、しかし、駅をつくってもらえるのなら、その点である程度しんぼうもしようじゃないか、こう言っているのだから、もう着工目の前にきて、いまだに変更の手続もしないというのはどういうことですか。だから、いっするのですかということも聞いておるわけです。
  82. 蓑輪健二郎

    蓑輪参考人 実は、その問題につきまして、やはり木見以北はどうなるか、これがまず第一だと思います。  それから児島の信号所を駅にしてくれという要望、これは本四公団ができてからも鉄道のルートの計画のときから要望されておる問題でございます。さらにそれ以外の駅の要望もございます。そういうものを全部考えまして、ただうちの方だけで実施計画の変更を国鉄に協議するという、手続はそうでございますが、手続を踏むためには勝手にうちの方が出すわけにはいきませんで、やはり合意されるような内容で計画をつくっていかなければいかぬということで、そういうような打ち合わせは現在、国鉄その他と十分行っておる次第でございます。まだ実施計画を本当に変更する段階までいっておりません。
  83. 水田稔

    水田委員 これは岡山県にしても倉敷市にしてもその地域の住民にしても、あそこへもともと駅をつくらぬのならあんなところを通ってもらわなくても構わぬわけですから、そういう気持ちで取り組んできた。当然、駅にしてもらいたいということは、手続上の問題は別として——岡山から四国へ渡るまで駅が一つもないような、それは新幹線ならともかくも、当面、在来線ですから。宇野線を考えてみても、宇野までに駅が幾らありますか。当然、駅というのは考えるべきなんです。それを着工までにやらないというのは、これは地元の人間の顔を逆なでするようなことなんですよ。それから、木見以北がわからない、いまだに決まらぬというのは、どうしても納得できぬわけですね。これは前回も全体の需要等との関係でと言って一これは本州と四国へ橋三本かけるなら自動車の通行量がどうなるかというふうな計算はむずかしいでしょうけれども、鉄道が入るということなら、鉄道は一本ですから、一本というのははっきりしているわけですから、貨物なり人の計算というのは予測がつきやすいわけです。しかも山陽線からあそこへつながずにあんな鉄道をつくったって意味がないわけですから、需要の見通しが立たぬとかなんとかは理屈にならぬわけですね。私は、ルートの問題と駅の問題については着工までには決着をつけてもらいたい。最後に総裁に、私のその要望に対して決意を聞かしていただいて、質問を終わりたいと思います。
  84. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いま御質問の向きにつきましては、先ほど蓑輪理事からお答え申し上げましたけれども、私どもといたしましても、木見以北のルートが決まっておらぬということは諸手続を進めます上において非常に問題になっておりますことは十分承知しております。先生の御意見の趣旨を十分関係方面へ伝えたい、かように考えております。
  85. 水田稔

    水田委員 終わります。
  86. 久保等

    久保委員長 次に、竹内勝彦君。
  87. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 本日、私は、大臣に昨日要望を出しておきました琵琶湖の水質保全、こういった面に関して若干質問をしたいと思いますが、その前に、基本的な問題でちょっとお伺いしておきたい点がございます。  環境庁として、環境保全という立場に立って大衆のコンセンサスをどうしても得ていかなければならない重要な立場の仕事の状況なわけでございますが、環境庁としては、こういった環境に関する問題は大衆への公開ということを原則としておる、こういうように理解しておりますけれども、その辺のお考えはどうでございますか。
  88. 山田久就

    山田国務大臣 環境の影響ということは、全般の問題もありますけれども、特に利害関係者に対する影響が非常にある。それについて当然いろいろな希望その他がある、こういう点についてのことは、具体的な事情等について十分これを表明さるべき機会が与えられなければならないし、そういうものを十分くみ取ることはわれわれの行政をやっていく上において重要な点であることは申すまでもないわけであります。そういう意味において、そういうことの要請には十分こたえられるような形において私は行政を進めていきたい、こう教えている次第でございます。
  89. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そのとおりではないかと思います。これは昨日、琵琶湖に関して申し入れをさせていただきましたけれども、これだけ大きく報道されておりますマスコミにおいても、新聞の状況を見てもらったとおりでありますけれども、昨年の何倍かわからない、幅にして五百メーター、大きいのは十キロ、あるいは五キロとか四キロとかずっと北湖にまでわたって、もう全域に赤潮が出てしまった。こういった面、みんなによくわかってもらわなければならない問題でございますし、また周辺の人たちにもよく理解していただかなければならない問題である、こういった立場で昨日申し入れをしたわけでございますけれども、後で感じたのでございますが、なぜあの記者クラブをここへ入れなかったのか。記者クラブの方としては、ぜひ取材をしたいという申し入れをしたわけでございますけれども断られた、こういう状況でございますが、そのいきさつを説明していただくと同時に、一体どういう姿勢でいくのか、そういった点をお願いしたいと思います。
  90. 金子太郎

    ○金子政府委員 その件、詳細については、私、直接聞いておりませんので、正確なお答えはまた後ほどいたしたいと思いますが、ただいま聞きました範囲内では面会ということだったのでございまして、通常、面会の場合には記者クラブの方は入らないということになっておりますのでそういうふうになったのではないかと察しております。
  91. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 私どもの方としては申し入れということで、なおかつ内容に関しても、若干のものはこういう形で琵琶湖の問題でぜひ知ってもらわなければならないということから申し込んでおるわけでございますし、ましてやそういうものは秘密にしなければならぬようなものでは全然ないわけでございますし、そういうように申し込んできておる、記者クラブの方としても同席させてもらいたい、こう言ってきているのに、大臣やあるいは私どもの方に連絡もとらずにそれを断るという体制自体がおかしいのじゃないかと思いますが、大臣、お考えはどうですか。
  92. 金子太郎

    ○金子政府委員 私どもでは官房総務課の中に調査官室というのがありまして、そこに相談係がございます。陳情につきましてはそこで一括して申し込みその他を引き受けまして、だれに会ってもらうかとか、あるいは日時をどうするかということとあわせて、記者クラブの方にも陳情であれば連絡をする、そういうような手続をとっております。本件は、恐らくその関係の申し込み受け付けその他の手続のところに食い違いがあったんじゃないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましても遺憾に存じますので、今後そんなことのないように努力いたしたいと思っております。
  93. 山田久就

    山田国務大臣 どうも私は全く承知しておらないものですから、そういうことについての誤解か何かがあったのじゃないか、こう思います。先ほど官房長が申し上げましたが、そういう趣旨で調べてみることにいたしたいと思います。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これでえらい長く時間をとろうという気持ちはございませんが、いままでの前長官のときの状況もございますし、さらにまたいろいろと報道されておる中にも、やはり国民のコンセンサスを得ていくという重要な立場にある環境庁として、ぜひその辺の調和を持って、そして広く理解が得られるようなそういった立場で、今後も国民のために前進していただきたいことを要望しておきたいと思います。  そこで本論に入りますが、この琵琶湖に関して、昨日もちょっと状況を説明させてもらいましたが、環境庁として、赤潮が琵琶湖に出ておることについてどんな報告を受け、どんな調査をし、どんな現状と認識しておるのか、概略で結構でございますが、これをまず御説明いただきたいと思います。
  95. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  最近の琵琶湖の赤潮発生状況につきましては、五月十日から十八日、南湖南部水域、北湖の西部水域に大量に発生した、また五月二十六日から二十九日にわたりまして再び北湖北部及び中央部水域に赤潮が発生したという状況を報告を受けております。さらに私ども、県の方に詳細問い合わせ中でございますが、現在までに受けております報告によりますと、そのプランクトンはウログレナという種であるということでございます。このプランクトンは、同定に間違いがないとすれば、むしろ低燐の状態で発生するプランクトンであるということでございますので、非常に奇妙な現象であるというふうに私ども判断をしておるわけでございます。  なお、この赤潮発生に伴います被害といたしましては、五月十四日にニジマスが五百キロ程度死亡したという報告がなされておりますが、この原因につきましては直接この赤潮現象によるものであるかどうか、あるいは水温の急上昇という現象も同時期にあったようでございますので、その現象によるものかどうか、まだ判然としていないという状況でございます。また、この琵琶湖を水源としております大津市あるいは京都市等での水道の障害はどうかということにつきましては、五月十日ごろから大津市ないし京都市で異臭味が出始めたということだそうでございます。現在、活性炭処理を開始して、それに対処しているということを聞いております。  なお、県におきましても、当面、従来から敷設してございます情報収集機構が現在働いていると理解をしております。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの御説明のように、また私が先ほど申し上げたような形で本委員会においても何回か論議をしておるのにかかわらず、また前長官も善処したいと回答していたにもかかわらず、現状は年々悪化の一途をたどっておるというような事態になっておる。こういった面を踏まえて、長官、これはただ滋賀県の報告を聞いておって、滋賀県の方に任しておくというようなものではございません。私もいつも言っておるように、琵琶湖はまず世界にも例のない、一千三百万の人たちが飲んでいる水でございます。単に滋賀県のみのものではなく、京阪神の人たち、あるいは日本の中にあって非常に重要な立場の湖沼がいまや死の寸前にあると言っておる学者も何人かおります。そういった面で私は、長官みずから、あるいはまた環境庁としても、これは前々からの論議であるのですから、この際ぜひ——この前、瀬戸内へは石原長官が行きました。その効果のほどはここでは言いませんが瀬戸内の環境保全臨時措置法、こういったものが衆議院においても通過していきました。そういった意味で、将来の琵琶湖というものを考える上でもぜひ長官が、環境庁が緊急に視察をする必要があるのじゃないか、私はこう思いますので、お考えをお聞きしたいと思います。
  97. 山田久就

    山田国務大臣 昨日もいろいろお話を伺いました。この問題についての現地での努力やいろいろなこともあるようでございます。いまお話しの趣旨、その他私の方の関係局長からもさらによく事情を聴取しまして、いま御指摘の点、私もそれによって対応していきたいと考えております。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 現地状況のことを私は言っているのじゃないのです。長官の考えはどうかということで言っているのであって、よそのことのような回答でありまますけれども、それに関して、行くのですか、行かないのですか、それを言ってください。
  99. 山田久就

    山田国務大臣 昨日いろいろなお話を承った点等勘案して、私はいまここで行くということを即答はできませんけれども、いま御指摘のような点、考慮に入れて、現地に行くということも検討してみることにいたしたいと思います。
  100. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 何か変な回答ですね、長官。これだけ関係者が気をもんで大変な立場であるというものが——長官環境庁長官はあなたしかないのです。人のことを言っているのじゃないですよ。あなたがどうするかということを私は言っているのですが、どうするか何もかもわからぬような回答じゃしょうがないじゃないですか。行くということを考えての検討なのか、行かないことを考慮に入れての検討なのかということを聞いているのです。もう一度答えてください。
  101. 山田久就

    山田国務大臣 この赤潮の問題というのは、事柄が非常に重要であるけれども、いまの段階では、むずかしい科学的な現実の問題がこれに絡んでいる問題だ、こう承知いたしております。大変御心配いただいているような状況に対しては、私は、これに即応するという気持ちは十分ございます。ただ、行ってすぐわかるかどうかというような問題もございますので、そういう点を聞きながら御要望の点は十分前向きで検討してみたい、こういう考えでございます。
  102. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 すべてこういったものは長の一念というのが非常に大事でございますので、長官が本当にこの面に関して真剣に取り組んでいく、言葉先のものでなくして本当にやっていくかどうかということが重要になりますので、ぜひしっかりと御検討をいただき、善処をお願いしたいと思います。  そこで、具体的に論議を進めていきたいと思いますが、ことしの赤潮、先ほどの説明どおりウログレナというものが大きく出てきておる。いままでのものと種類としては変わっておりませんが、ことしとしての特徴は一体どういうふうになっておるのか、あるいは魚への影響とか毒性といったものはどういうふうになっておるのか、説明していただきたいと思います。
  103. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  先ほども触れましたようにウログレナという品種だそうでございますが、現在までのところ、低燐状態で発生するというのが特色とされているわけでございます。私どもがつかんでおります琵琶湖の燐の状態、データを見ますと、北湖の方は〇・〇一PPm程度でここ数年ずっと経過しておるということで、むしろ燐としては低い状態にある。逆に南湖の方につきましては〇・〇二五前後ということでここ数年経過しておりまして、燐としては富栄養化の状態に入ってきているという状況でございます。したがいまして、このウログレナが北湖で発生したというのは、その面からだけでは、まああり得るかなという感じもあったわけでございますが、むしろことしは南、北を問わず全面的に発生しているということで、環境上何らかの原因があるのではないか、あるいはあったのではないかという点につきまして注目すべきであろうかと私ども考えております。
  104. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 滋賀県の方の要請としましても、京大の門田教授を中心として解明のために現在全力を尽くしておる、こういった報告を聞いておりますし、私もまた、この前この教授にお会いしました。五月二十二日に党としても緊急調査に行ったときに他の学者の意見等も聞きましたが、昨年の十月二十五日、石原長官のときに私は質問をいたしました。赤潮メカニズムの解明、こういったことでどうするのだということを質問したときにも、赤潮研究会というものにまとめて、すでに第一回の会合をやっている、これは全国的なものもあるわけでございますが、これを今後ずっとこういう形で続けていくつもりです。こういうように答えておりますし、こういう観点から一体この解明のために本当に——今回、滋賀県が改めてこの教授にお願いした、三年間をめどにやっていこうというような形でいま一生懸命取り組んでおります。しかし、もうすでに年々大変な勢いで汚染が進んでいっておる状況でございまして、果たしてそういう悠長な形でいいのかという声も出てきておるような状況でございますので、国としてこのメカニズム解明のためのいままでの取り組みはどうだったのか、それから今後どういうやり方でやっていくのかという面を、もう一度説明してください。
  105. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 ただいま先生もお触れになりましたように、赤潮研究会、主として瀬戸内海を対象にして研究を進めていただいておりますが、現在までに三回開催されているわけでございます。私ども、海象の場合と真水の琵琶湖の場合と若干状況が違うだろうということは基本的には理解しているわけでございますが、とりあえず海で多発しております瀬戸内海を対象に赤潮現象の解明を進めるということ、その成果をまって湖沼の場合にもそれ相当に参考になるのではないかという考えで現在まで進んできているわけでございます。  それから琵琶湖につきましては、先生お触れになりましたように、京都大学の門田先生を中心に、大阪大学あるいは滋賀大学等の研究者を網羅しておられまして、十人のメンバーで精力的にやっておられるというふうに私ども承知しておりまして、恐らく琵琶湖につきましてこのテーマでチームを組むとすれば最強のメンバーであろうとわれわれ判断しておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、このグループが琵琶湖の赤潮現象につきまして、より精力的に研究をやっていただくというのが最良の方法であろうか、かように考えているわけでございます。
  106. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは現場の人の意見等もぜひ環境庁としても聞いていただきたいと思いますが、滋賀県としては、いまこういった形で専門家に何とかこれをということでお願いしていますよ。しかし、人的な面もあるいは水産関係あるいはこういうプランクトンの関係、まず滋賀県としてもこの専門家というものの人間的な構成というものを考えていけばこれはなかなか大変でございます。そういう中で、ぜひ国としてもこういう関係省庁の専門家を派遣してもらいたいという意見もあるわけです。あるいは国立大学のほかの形での先生等もぜひ来ていただければというようなことで、対策本部というものを、今後、赤潮のみならず湖沼を守っていくという意味で、緊急に設置する必要があるんじゃないかという考えもあるわけでございますけれども、その辺の、派遣する考えはあるか、同時に、そういったものを設置する考えがあるか、これをお伺いしたいと思います。
  107. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生、現地を御視察になっておられてすでにお気づきかと存じますが、この赤潮という現象、非常に特殊な現象でございまして、この問題を専門的につついているといいますか、専門的に研究している学者というのは非常に少のうございます。瀬戸内海の場合にもそれで私ども対策に非常に苦慮したわけでございますが、幸いに琵琶湖の場合、ああいう歴史の古いところでございますのでそれ相当の研究者を集めることができて、現在、県がその研究を組織しておられるという状況にあろうかと思います。しかし、この門田先生初め、同じ赤潮を研究しておられる瀬戸内海のグループと学術的な交流をしてみたいという御希望等があるということでございますれば、環境庁といたしましても、その辺のごあっせんを至急してみたい、かように考えるわけでございます。
  108. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひひとつ前向きにその点をお願いしたいと思います。  先ほども私が申し上げましたように、あくまでも学術的な研究というもの、これはこれで重要でございます。ぜひこういった面のしっかりとした解明に取り組んでいただかなければなりません。しかし、これは、どんどんこのまま汚染が進んでいくような形になってしまっては後で取り返しがつかない。自浄作用自体もできなくなってくる、死の湖になってしまったというような事態になってはならないがゆえに、これは緊急を要します。したがって、いまの件をぜひ御検討いただいて善処のほどをお願いしたいということを要望しておきます。  そこで、先ほどもちょっと触れましたが、私は京都でございますが、京都の人もそれから大阪の人も兵庫県の人も琵琶湖の水を飲んでいるのです。一昨年あるいは昨年カビ臭いにおいで非常に困りました。これは水道局によって多くの活性炭を使って、多くのお金をつぎ込んでこれの解決を図ったわけでございます。しかし、これが腐った水になってしまってからでは、これはどうしようもないという事態もございます。  そこで、厚生省の方にお伺いしておきたいのですが、今回のものもやはり一昨年あるいは昨年、そういったものと同じように、ああいうにおいというものの影響が出てくるのか、それの対策としてはどうやっていくのか。それからまた、あの疎水を通して御存じの京都の賀茂川に流れ込んでいきます。そして賀茂川のものと合流します。ですから、その合流地点以降が、私は、この前の日曜日賀茂川のところへ行って見てきたのですけれども、もう合流点以降のところが生臭いにおいになっているのですね。したがって、ああいったところにおきましては、京都は観光の都市でございます。川床などを開いてそこで飲食業の人たち等も仕事をしておるわけでございますが、そういった観光という面に、仕事の面に、生活の面に影響が出てきておるというような事態でございます。そういった面で、この上水道という面に関しての対策、この辺を厚生省にお伺いしたいと思います。
  109. 山村勝美

    ○山村説明員 先ほど来、琵琶湖の赤潮問題について、昨年からことしにかけて特に五月、六月をピークにしまして赤潮の問題が出ておるわけでございますが、臭い水問題というのが従来からございまして、これは十数年にさかのぼるわけでございますが、今回の赤潮は、従来のいわゆるカビ臭いというものと若干生物の種類もにおいの種類、程度等も違うようでございます。従来がカビ臭いにおいに対しまして今回は生臭いというか、そういうにおいがするようでございます。また、発生の期間も、従来のカビ臭い状態はかなり長期にわたって続きましたが、今回の赤潮、昨年もそうでございますが、三日程度で大体消滅し、それを操り返すというような状態で、かなり発生の状態も異なるようでございます。  それで、水道としては臭い水を飲ますわけにいきませんので、たとえば京都市の場合は従来の砂ろ過に加えまして——従来の通常の処理でもある程度生臭いにおいは除去できますけれども、さらに砂の上に十センチばかりの活性炭の層を敷きまして、すべての浄水場でそういう対策をとっております。したがいまして、市民に供給される水につきましては、そういうにおいの問題は発生いたしておりません。京都の場合は常に年じゅうそういうものを敷いておりますので、いっそういうものが突発しましても問題がないという状況でございます。  しかしながら、大津に六つばかり浄水場がございますが、ことしの場合、北湖に近い二つの浄水場にそういうにおいが出ております。南の方の四つの浄水場にはそういうにおいの問題はありませんで、少し特殊な出方をしておるようでございますが、この二つの浄水場ではろ過槽を常に通しておるという状態でございませんので、一時的に砂ろ過槽をにおいが通過いたしまして市民から苦情が出まして、苦情と同時に活性炭を投入して、その後は事なきを得ておりますが、そのように活性炭のろ過あるいは活性炭の粉末を投入する等によって、においの除去をやっております。従来のカビ臭に比べましてかなり除去しやすいというのが実情のようでございます。  大体、概況以上のようでございますが、なお先ほどちょっと申しましたように、北湖に近い二つの浄水場だけ出ておりまして、疎水を通しての京都と、その三カ所でございまして、以下淀川筋の京阪神地区については全く赤潮の影響は、ことしにつきましては出ておりません。
  110. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの件で、そういうように活性炭あるいはろ過のためのいろいろな装置という形で用いていくとなると、かなりの費用もかかってくるんじゃないかと思いますけれども、その辺の状況というものは大丈夫なのか。確かにいまの地方自治体としては非常に厳しいものがございますけれども、そういった観点から厚生省としてどうとらえているか、その費用の面に関して、もう一度説明してください。
  111. 山村勝美

    ○山村説明員 京都市の場合、五十一年のデータで見ますと、給水原価が七十二円余りでございますが、そのうち浄水費が十一円余りでございます。そのうち薬品費が、通常の処理の場合は〇・四円ぐらいでございますが、活性炭ろ過を行うことによりましてその取りかえ等が要りますが、これが〇・五四円ということで、全体の水コストから見ますとそれほど重大な影響はない。ただし薬品費から見ますと、たとえば五十一年度は比較的問題の少なかった年でございますが、二億八千万円、これを原価計算しますと、先ほど申し上げた〇・五四円ということになるわけでございます。なお比較的少なかった五十一年がその程度でございますが、五十二年以降については、恐らくもう少し上回るのではなかろうかというふうに考えております。
  112. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、琵琶湖に関しては、これはいろいろなものが関連してくるわけでございまして、富栄養化に関しての原因というものは、いままで言われております燐だとか窒素に関しては、合成洗剤のあるいはABSであるとかLASなどの問題というものが出てまいります。そこで琵琶湖に関して、環境基準及び規制基準、こういったものも早急に設けて規制を図っていく必要があるのではないか、こう思いますけれども、御見解はどうでございますか。
  113. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生御指摘のように、富栄養化現象の原因物質としての燐、窒素は、一応学問的にもそうであろうということになっているわけでございます。したがいまして、早急にその排水基準、あるいはさらには環境基準といったものを考えるべきではないかという点は、御指摘の方向としてはわれわれよくわかっているつもりでございますが、何分にも技術的にその規制の対象に考えていくという段階にまだ達していないというのが現状でございます。特に窒素につきましては、その対策についてまだ十分なめどがついていないというのが実情でございます。また、燐につきましては、一応対策が考え得る、実用化に供し得るであろうという段階に達してきているという状況が、これが減らすという観点から見た場合の技術的な現状でございます。  一方、先生御案内のように、窒素、燐は栄養物質でございますので、ある程度は必要であるという状況にございます。したがいまして、どの程度あったらいいのかということ、逆にどの程度以上であったらいけないのかという点がはっきりつかめませんと、その規制という行為に移りがたいというのが実情でございまして、その辺の知見を懸命に詰めているというのが現状でございまして、方向としてはまことに御指摘のとおりと存じますが、いましばらく時間がかかるというのが実情であることを御理解願いたいと存じます。
  114. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 琵琶湖の総量規制に関してはどうなっておりますか。
  115. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 総量規制につきましては、本日も参議院の方で御審議願っているわけでございますが、現在、水質汚濁防止法の一部改正ということで、まず瀬戸内海を対象に考えたいということで進めております。さらに続きまして、そのほかの閉鎖性水域も対象に考えられるということで対応しているわけでございます。したがいまして、もしこの法律が通していただけました段階では、まず瀬戸内海、次いでそのほか、実情に応じて逐次候補として考えるという段階になってきているわけでございます。
  116. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、琵琶湖に関してのいままでの推移として、簡単でいいですから、全窒素あるいは全燐の状況というものは北湖と南湖に分けてどんな流れになっておるか、どんなふうにつかんでおりますか、ちょっと教えてください。最近のものでいいです。ここ数年のデータでいいです。
  117. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  まず、全燐でございますが、全燐につきましては四十六年からのデータを把握しておりまして、まず北湖につきましては、〇・〇一二PPm、以下四十七年〇・〇一〇、四十八年も同じく〇・〇一〇、四十九年同じく〇・〇一〇、五十年〇・〇〇八、五十一年〇・〇一一PPmでございます。南湖につきましては、四十六年〇・〇二七、四十七年〇・〇三一、四十八年〇・〇二七、四十九年〇・〇二三、五十年〇・〇二七、五十一年〇・〇二五でございます。  それから全窒素でございますが、これは四十四年からのデータになっております。まず、北湖につきましては、これは四十四年が欠如しておりまして、四十五年〇・一九、四十六年〇・二三、四十七年〇・二三、四十八年〇・二二、四十九年〇・二四、五十年〇・二九、五十一年同じく〇・二九。それから南湖につきましては、四十四年〇・三四、四十五年〇・四五、四十六年同じく〇・四五、四十七年〇・四八、四十八年〇・四二、四十九年〇・四七、五十年〇・五三、五十一年〇・四六、いずれも単位はPPmでございます。  以上のようなデータを私どもは把握しております。
  118. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 いまの御説明は、たとえば窒素の場合ですと私の手元にある資料と一緒でございます。燐の方はちょっと違っておりますが。しかし、窒素に関しても、北湖の方は五十年、五十一年とピークになってきていますし、南湖の方は五十年あたり、あるいは四十九年、四十七年もそうでございますが、この辺がピークで、ちょっとよくなっているというデータが出ていますね。燐に関しても、一時的なもので五十年とか四十九年、この辺がピークのようにいまの御説明で伺ったわけでございますが、こうなってくると、この赤潮の状況を見ても、あるいは汚濁の状況を見ても、私どもがこうやって調査したものでも、いままでは相当上から二メーターぐらい下の方が見えたのが、いまはもう三十センチぐらいで見えなくなるというような事態になってきておるのは一体どこに原因があるのか。このデータの上ではそうなっているということでは、では、このデータ自体が信用できないのかというようなことにもなりかねぬわけでございまして、この原因が一体どこにあるのかということを環境庁としてはどういった観点でとらえておるか、その点を説明いただきたいと思います。
  119. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 まことに御指摘のとおりでございまして、ただいま御報告申し上げました窒素、燐だけのデータによりますと、赤潮が多発するという状況にないように思えるわけでございます。ところが、少なくとも昨年、さらにことしにかけて多発しておる、また非常に特殊なプランクトンの繁殖であるということでございますので、今日現在の判断では、何かが起こっているということしか申し上げられないわけでございます。これが非常に単発的なもので、短期的な異常現象であるのか、あるいは何らかの原因によってこういうことが続いていくのかという点については、非常に気になるところであるというのが今日現在の判断でございます。
  120. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、建設省の方にお伺いします。  これは、データがそういうようになっておること自体が私どもには理解しにくい。なぜかといいますと、たとえば下水処理状況を見てみましても、昨年も本委員会で論議しましたけれども、滋賀県は御存じのように三・九%。その後どうなったかはまた後で説明していただきたいわけですが、全国の中でもこんな四%なんという、九六%がたれ流しているというところはない。御存じのように、みんな琵琶湖の周辺に住んでいるんです。そして全部この琵琶湖へ流れるようになっています。そういう事態で下水の方もまだ進んでいない。いま矢橋の人工島等において、総合開発の問題の総点検あるいは見直し、こういった面で努力をしているのはわかります。しかし、現実の面においては処理自体が進んでいないと私どもは見ておりますし、この下水道の処理に関して、建設省として一体どういう考え方で今後この琵琶湖を守っていくつもりなのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
  121. 玉木勉

    ○玉木説明員 まず、琵琶湖地域の下水道整備状況について御説明をいたします。  琵琶湖に関係いたします地域につきましては、現在、大津市の一部を単独の公共下水道として整備しておりまして、その他の地域は流域下水道として整備する計画でございます。大津市の単独の公共下水道につきましては、現在一日当たり三万六千トンの処理能力を持っておりますが、流域下水道につきましては湖南中部処理区を昭和四十七年から事業を進めておりまして、管渠につきましては約十七キロが整備されておりますが、処理場につきましては先生御指摘のように敷地の埋め立て工事に本格的に取りかかったところでございます。流域下水道に関連をいたします公共下水道といたしましては、大津市とか草津市とか守山市その他を含めまして現在五市二町で公共下水道を実施しております。  なお、昭和五十一年度末におきます滋賀県の下水道の人口普及率は先生御指摘のように約四%でございまして、全国平均の二四%をはるかに下回っている状況でございます。こういう状況でございますので、建設省といたしましては、まずこの下水道の普及率を拡大することが非常に緊急であると考えております。  富栄養化の問題もございますが、われわれといたしましては、この二次処理だけでも窒素とか燐を二〇%ないし四〇%程度は除去できると考えておりますので、当面はこの二次処理に重点を置きまして下水道の普及の拡大に努めてまいりたいと考えております。  なお、富栄養化の対策といたしましては、御指摘のように富栄養化物質を除去する必要がございまして、三次処理の技術の開発についても検討をしております。特に琵琶湖につきましては、滋賀県と共同で大津市におきまして三次処理の技術開発の研究を実施しているところでございます。したがいまして、琵琶湖の三次処理計画につきましては、こういった研究の成果並びに富栄養化に対する環境基準の設定とあわせて具体化を進めてまいりたいと考えております。
  122. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう時間がございませんので、国土庁の方に来ていただいておりますが、この総合開発の件に関しましては次回にまた審議をさせていただきます。まことに申しわけございません。  そこで、最後に大臣にお伺いしておきます。  いまの論議でもおわかりのように琵琶湖の実態は非常に厳しいものがございます。どうかかけがえのない、もうそれにかわる飲料水源はございません、命にかかわる、生活にかかわる重要なものということで取り組んでいただきたい。そこで、淡水魚の養殖地としても、あるいは景勝観光地という立場からも、飲料水源という立場からもこの重要湖沼、琵琶湖のみのことを言うわけじゃないのでございますけれども、こういう重要な湖沼に関して、今後、たとえば瀬戸内に関しては臨時措置法という形で適用してきておりますけれども、東京湾あるいは伊勢湾ということを考えて、総量規制に関して湖沼に関してもぜひ考慮をお願いしたいと同時に、琵琶湖等特別湖沼環境保全特別措置法といった形で、琵琶湖等のこういった特定の湖沼に関してはぜひ措置法の制定を図るべきである、こういう要望をしておきますが、大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  123. 山田久就

    山田国務大臣 ただいまの竹内委員の御関心、そのお気持ちはよくわかるつもりでございます。これに対しては大きな関心を持って対処していきたいという気持ちでございますが、いま御指摘になりました、ここについての特別の法案というものについては、まだ私、具体的には承知しておりませんけれども、水質汚濁防止自然景観保全等に関しては御承知のように、すでに諸制度が制備しておりますし、琵琶湖については特別に琵琶湖総合開発特別措置法が制定されてもおる。また、琵琶湖等の広域的な湖沼においては、現在国会で審議中の水質汚濁防止法の改正によりまして総量規制の制度の実施も考えられているなどのことから、この上さらに特別立法を必要とするかどうかという点もございますけれども、いまいろいろお話もございますので、御趣旨の点、十分ひとつ検討させていただきたいと思います。
  124. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ぜひ御検討をお願いします。
  125. 久保等

    久保委員長 次回は、来る六日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会