○島本
委員 しかし、それをやったと言っても、水路は約三メートルか四メートル幅ですね。高さが一・六メートルですか、そういう
程度のものが三本引かれているだけですよ。その中へ下水の水も入り込んでいますね。ああいうようなことにしておいて道路だけ通せばいい、こういう問題じゃないでしょう。手法からしても、そこを避けられなければ湾なりにして、少し山形にして通って干がたをそのままにしておくという手もあったでしょう。やはりそういう点は配慮が足りないし、
環境庁も環境影響評価については毅然たる態度をとってもらいたいのでありますが、その態度も不足であります。
日米渡り鳥
条約、これも一九七二年、
昭和四十七年に調印してございましょう。
批准は
昭和四十九年の九月にしているでしょう。そのほかに日ソ渡り鳥
条約は一九七三年でしょう。日豪は一九七四年でしょう。これは調印して済ましているでしょう。そうなれば当然、
日本にもああいうような干がた、渡り鳥ですからこれを守る義務もある。それを固有の事務にしてやっているのが
環境庁じゃありませんか。どうもこの問題に対しては
環境庁は認識が不足だというのか、この法律を出しながらもやはり狩猟の方に重点を置いている、こういう一つの
考え方に貫かれているようであります。私は、そんなことではいけないと思うのであります。
そして、前の
長官石原慎太郎議員が文藝春秋の五月特別号に書いているこの記事を読みましたか。これは、
私の在任中も、半身不随の成田空港のせめてもの救いにと、東京湾岸道路建設で、谷津の干潟に集まる
野鳥のために、干潟を潰す道路は迂回しろという反対があった。
最初はスパンに架ける橋だから問題ないと思ったが、工事費を安上がりにするために、干潟の中に道路を通し、潮の出入りのために、道路の横腹に幾つか穴をあける構造なので問題になったとわかった。私も就任早々で、
野鳥の愛好者と、その
代表たるクラブ記者に必要以上に丁重に口をきいたが、正直いえば、鳥は飛行機よりも身軽で自由なのだから、そこが具合が悪くなれば、広い東京湾なり外房なりどこか沼か湖なりに飛んで移って行けばいいので、愛好者もそれが趣味なら、そこまで追いかけて行って観賞すればいい。
前の
長官がこんなことを書いているのです。最後には、
そのために、さらにベラボウな工費を掛ける必要が果してあるのかどうか。
野鳥が嫌いな
人間も含めて、一般大衆に向かって問うて判断したらいい話だろう。これが前
環境庁長官の手記であります。
私はこれを見て、やはり
環境庁の
考え方も、さっき例を言ったけれ
ども、この
鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律、これはあえて言うと、どろぼうと巡査に関する法律というのと同じだ。重点をどこに置くんだ、
鳥獣保護か狩猟か、これはやはり狩猟に置いた
考え方が貫かれている。したがって、これはもう
鳥獣保護を独立させるべきだ、進歩的な
長官の
考えを得たから、これはもうこれ以上やらぬけれ
ども、やはりこの中にずっと貫かれているじゃありませんか。もう一回この問題も、
環境庁が発足した原点に立ち返って十分反省しなければならない、私はそう思います。いま、この記事に対して、
長官はどのような感慨をお持ちでしょう。