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1978-04-11 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年四月十一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 池田 行彦君    理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君    理事 水田  稔君 理事 古寺  宏君    理事 中井  洽君       高村 坂彦君    友納 武人君       福島 譲二君    藤本 孝雄君       兒玉 末男君    馬場  昇君       草川 昭三君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君         厚生省公衆衛生         局長      松浦十四郎君         労働省労働基準         局安全衛生部長 野原 石松君  委員外出席者         文化庁文化財保         護部記念物課長 横瀬 庄次君         厚生大臣官房国         際課長     金田 伸二君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       仲村 英一君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     岩橋 洋一君         海上保安庁警備         救難部航行安全         企画課長    渡辺純一郎君         建設省道路局日         本道路公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    加藤  優君         日本専売公社理         事       立川 武雄君         日本国有鉄道旅         客局長     畑  耕作君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 尾之内由紀夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  蓑輪健二郎君         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   岩垂寿喜男君     兒玉 末男君   坂口  力君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     岩垂寿喜男君   草川 昭三君     坂口  力君     ――――――――――――― 四月三日  公害健康被害補償制度是正に関する陳情書  (第二七八号)  瀬戸内海環境保全のための規制強化対策等に関  する陳情書外二件  (第  二七九号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、本州四国連絡橋公団総裁尾之内由紀夫君及び同公団理事蓑輪健二郎君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 久保等

    久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
  5. 水田稔

    水田委員 本州四国連絡橋環境問題について御質問いたしたいと思います。  本四公団環境影響評価書案をつくるに当たって、環境庁から環境影響評価基本指針、それから建設省から技術指針というのが出ておるわけであります。当然これに基づいてやられたと思うのでありますが、環境庁の方は、この評価基本指針を出されるに当たって、当然何らか基本になるものがあると思うのです。恐らく私は、中公審環境影響評価制度専門委員会の出された「環境影響評価制度のあり方について」、これをもとにしてこういう指針を出されたんではないか、こう思うのですが、その点、いかがですか。
  6. 信澤清

    信澤政府委員 お話のように、さかのぼればそこへ参るわけでございますが、先生御承知のように、一昨年来環境影響評価法案をつくろうということで部内調整を続けてきておるわけでございまして、その過程いろいろ案がございますが、その過程で考えましたような一応の段取りをあの基本方針で示したということでございます。
  7. 水田稔

    水田委員 そうすると、ただ、考え方としては、この専門委員会の出した考え方を否定すべき部分はない、それを当然踏襲してその指針の中に入れた、こういうぐあいに理解してよろしいですか。  もう少し申し上げます。たとえばこの中には、「人の健康被害自然環境破壊は、事後的な回復、救済が不可能ないし困難であることから、環境汚染未然防止を図るべきであるという認識」に立ってやらなければならぬとか、あるいは「環境保全上の事前の保障が得られないならば、その事業計画は最終的には実施に移してはならないという考え方で貫かれるべきである。」とか、あるいは「開発行為実施環境に及ぼす影響につき、これら開発行為に関する計画事業の決定、実施の前に、環境に関する知識や情報を可能な限り広範な分野から吸収して、科学的知見に基づいた判定条件によって評価するように努めることを基本としなければならない。」大変基本的な大事なことが全部あるわけです。このことがやはり本四連絡橋のような大規模なプロジェクトの場合は当然貫かれなければ、アセスメントというのは、やっても単にやったというだけにすぎないということになるわけです。そこらあたり環境庁としてきちっと、公団に対してはそういう基本的な立場で基本指針を示して、それに基づいてやってもらいたい、こういうぐあいに出したと私どもは理解したいのですが、そう理解してよろしいのですか。
  8. 信澤清

    信澤政府委員 専門委員会取りまとめで申しておりますのは、いわば理想的なアセスメントをやるような事態、そういうものを想定して書いてあるわけでございます。ところが、今回やりました本四連絡橋につきましては、すでに相当程度計画が進んでしまっている。まああの取りまとめ考え方から申せば、やや時期を失した、その段階でのアセスメントであるわけでございます。さような意味で、私ども本来的な意味でのアセスメントというものにつきましては、いまお話になりましたような基本理念をできるだけ取り入れる必要があると思います。特に、第一にお話がありました、事前環境破壊を防止するために十分なアセスメントをやるというような点については、当然今後やるアセスメント基本になるべき事項でございますが、ただ、いま申し上げておりますように、かなり私ども、その取りまとめの中でも申しておりますが、熟度が、本来やるべき時期ではなかった、こういう点が一つあると思いますので、その専門委員会のおっしゃっておるような段取りで今後進めなければいけないだろう、このように考えておるわけでございます。
  9. 水田稔

    水田委員 大事な基本的なことですから。確かに事業というのは進んでおったことは事実でありますが、いま環境庁が、この問題にかかわる環境保全を図るためには、少なくともこの基本的な考え方を貫きながらその中で判断するというのが一番大切なことだと思うのです。だから、熟度が進んでおったから仕方がないということでは、本来の環境影響評価意味合いはぐっと薄れてしまう、そういうぐあいに思うのです。その点はいかがでしょうか。
  10. 信澤清

    信澤政府委員 さっきお読み上げになられました中にございます。つまりアセスメントをして、それに対する対応策といいますか、それがきちっと固まらなければすべての事業の着手をしてはならない、こういう考え方は、今回の場合に必ずしも妥当しないのではないかということを申し上げておるわけでございます。
  11. 水田稔

    水田委員 では、基本的には、アセスメントによってこれはやめるということについては考えないということですね。それなら、たとえば影響評価をやった上で、これは住民の健康に被害が大きいあるいはこれでは守り得ないという判断なら、変更ということについては、環境庁はこの基本的ないわゆる専門委員会考え方をなお貫くというお気持ちはありますか。
  12. 信澤清

    信澤政府委員 具体的な問題でございます架橋の問題にしぼって申し上げれば、御案内のように、昭和六十年供用ということになっておるわけでございます。したがって、いまからほぼ七年、仮に工事をやれるといたしました場合でございますが、七年あるわけでございますから、その間のいろんな科学の進歩、技術開発ということは当然考えられるわけでございます。したがって、私どもとしては、おっしゃるように健康問題というのは最重点でございますが、その健康問題にかかわる問題についても、いま直ちにどうのというふうに措置すべき問題がすべてであるかどうか。これについては、今回私どもが出しました意見の中でも、多少先行きの技術開発等前提にした意見を出しておるわけでございます。そういうような点を、このような非常に長期間を要する事業の場合には今後もあり得るのではないかというふうに思います。
  13. 水田稔

    水田委員 これは、公団の方から出された評価書案について、環境庁は後でまとめてさらに公団意見書を出されておるわけです。もともと環境庁指針に基づいて十分評価がなされたかどうか、その点はどういうぐあいに受け取られていますか。
  14. 信澤清

    信澤政府委員 私ども基本的な指針を示し、それから建設運輸両省から、これも私ども御相談を受けたわけでございますが、技術指針の細目というものを決めて、それに基づいてアセスメントをやっていただいたわけでございます。  ただ、いろいろ実際にはおやりになっておりますが評価書案の中には記載してない、こういう事項も幾つかございまして、これは今回、私ども意見の中で指摘をし、是正方をお願いしているわけでございます。
  15. 水田稔

    水田委員 それでは、環境影響評価をやる基本というのは、住民の健康、命という問題だ、その他に財産というものもあるかもしれませんが。そうしますと、この環境庁評価基本指針にもこれは載っていないし、それから公団影響評価にも載っていないし、もちろん建設省技術指針にもそれは全く載っていないわけですが、人の健康を考える場合に、現状把握というものは一番大事だと思うのです。それから、人の健康の問題に関しては、その地域のお医者さんであるとか医療機関であるとか、そういう技術的な専門家意見というのは大変大事なものだ。そういうことが環境庁の方も指針で抜けておるし、公団もそのことについては調査をしていない、評価をしていない。これは一番大事なことです。これが抜けては、この評価書というのは欠陥商品と言われても仕方がないと思うのです。環境庁公団と両者から、この点についてのお答えをいただきたいと思います。
  16. 信澤清

    信澤政府委員 事業が行われます地域につきまして、いわばマクロに環境状態把握するということは、事業実施します。まあ今回の場合公団でございますが、事業者にそのようなことをすべてやれというのはなかなかむずかしいというふうに私ども考えておるわけでございます。  しかし、その点を抜きにしてはこれはアセスメントにならないわけでございますから、したがって、私ども従来から考えておりますのは、それはひとつ、広域的に地域環境問題を扱っている都道府県知事の御意見を聞く、さらに細部の問題については、地域実情を非常によく知っておられる市町村長意見を聞く、こういうことでまいっておるわけでございます。したがって、公団自身があるいはそこらのところについて欠けている面があったとしても、知事あるいは市町村長意見を聞く段階でその点の補正ができるだろう、このように考えているわけでございます。
  17. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 私どもは、環境庁並びに運輸建設両省からいただきました指針に基づいてやっているわけでございまして、健康調査は私どもでは実施いたしておりません。  ただ、健康は非常に重要な問題でございまして、与えられました健康に関係する環境目標を達成することによって保持される、かように考えておる次第でございます。
  18. 水田稔

    水田委員 これはほかの一つ一つの項目の問題じゃないわけです。基本的な問題であります。  知事なり市町村長意見を聞くのなら、知事なり市町村長から出た意見は全部環境庁公団もそのとおりします。こういうのなら、私はそれはうなずいてもいいと思いますけれども影響評価をやるというのは、人の健康ということを第一に考えるわけですから、与える影響ということだけでなくて、そのベースになるものが一体どうなのかということは一番大事なことですね。  ですから、その点では、私はいまの答弁で納得するわけにはまいりません、これは一番基本ですから。どこかの記事に載っていましたが、この際それはもう一遍やらなければならぬというようなことを公団が答えているのがありますね。ですから、いわゆるベースになる現状の人の健康状態というのはぜひやるべきだと私は思うのです。もう一遍その点は、環境庁の次の公団に対する意見書の中にも載っていませんけれども、これは公団としてやられるお気持ちがあるかどうか、質問したいと思います。
  19. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 これは、私ども事業だけでなく、どこでも非常に関係する問題でございまして、やはり国の指導に基づいて、必要があるならば行う、かような考え方でございます。
  20. 信澤清

    信澤政府委員 先生指摘のように、現状把握は大切なことはもちろんでございますが、その現状というのは、いろいろ規制強化等を図っております現在、長い目で見ますると逐次改善していく、こういう要素もあるわけでございます。そういう要素を含みながら、総体として今回の事業がどうであるかということを都道府県知事判断をしていただき、それにのっとった御意見をいただくということを先ほど申し上げたわけでございます。  なお、公団にやっていただきました環境影響評価の中には、工事実施中、あるいはこれが供用された後のいわゆる環境管理の問題についてもそれぞれ触れていただくようにお願いしているわけでございまして、その点については、現在出ております案の中にも記載されておるところでございます。
  21. 水田稔

    水田委員 局長、それはどうも私の質問を御理解いただいてないのじゃないかと思うのです。影響評価をやるというのは、そこに住んでいる人の現状の人間の健康状態がどうか、そしてもう一つは、大事なバックグラウンドがいまどうなのか。そこへ一日四万八千台通る自動車あるいは列車というものからどういう形の大気汚染なりあるいは騒音なり振動なり影響があるかということを調べるのです。しかもこれは、本来、環境影響評価をやる場合に、数値だけを出して、そしてそれに適合するとかしないとかいう判断は間違いだということが言われているわけですから、まずベースになる現在の——しかも、あそこはほとんどが、ルート全体の大半が、現在、窒素酸化物による汚染についてはすでに水準をオーバーしておるわけですからね。しかも、その中には公害健康被害補償法指定地域になっておる地域もあるということですから、バックグラウンドも問題です。そしてそこの健康状態というのは、いわゆる山の中の非常に空気のいいところの状態とは違うわけですから、その中の各人の年齢別あるいは地域別健康状態把握して、そしてその上でどういう被害が起こるかということを想定し、そしてそれに対して、それは場所を変えるなりあるいはこういう対策を講ずるなりということが環境評価前提にならなければならぬ。一番もとになるものを何もやらぬで、この水準を守ります。全部そういう書き方をこの評価書にはしてあるわけです。ですから、その点が問題だから、一番もとになる現状実態把握というものをやるべきではないか。それで、それはやらなくてもいいと言うなら、知事なり市長意見を聞くと言うなら、知事なり市長の申し出た意見は、たとえば騒音なり振動についても、県が出しておる意見というのと環境庁が出しておる意見というのはいずれも五デシベル、五ホン違うわけですね。それは知事はその地域住民のことを環境庁よりよく知っておるから、そして住民の健康を守るためにはということで出した意見なら、知事意見を一〇〇%聞くべきなんです。なぜ環境庁はそれを五下げて、どこで妥協したかわからぬような数字を出すかということになるわけですから、私は、事業実施者である公団なり環境庁現状調査をきちっとすべきだということを申し上げておるのです。その上で、こういう状態が起こるからこういう影響があります。だからこれは、ないようにこうしますということでなければ、本来影響評価意味がないわけですね。そのことを申し上げておるので、途中経過がこれから何年たったらどうなるということは、これから後で質問しますから、まず、そういう現状住民健康状態把握することをやられるべきだ。公団の方は、環境庁からそういう指示があればやりますと、こう言っておるのですから、環境庁環境問題では日本で一番専門的に取り組んでおる官庁ですから、このことは十分御理解いただいておると思うのですね。やるように公団に言われるのかどうか、もう一遍御答弁いただきたいと思います。
  22. 信澤清

    信澤政府委員 この制度を動かしていく上で非常に重要な問題だと私ども考えておることの一つであるわけでございます。ともかく、たてまえとして、事業実施する人に環境影響評価をやってもらうということにいたしました場合に、その地域全体のいわばバックグラウンド状況をすべて事業者が調べなければならぬということは、これはもうかなり無理な注文ではないかというふうに、率直に申して、私どもそう考えるわけでございます。したがって、そういうことについては、いま先生もお触れになりましたように、都道府県なり市町村というものが地域に最も密着した環境行政をやっておるわけでございますから、そういうところの資料なりそういうところの意見というものを極力尊重しながらやっていくということで、いまのお話の点の間隙を埋めていくということは、どうしてもそういうかっこうでやらざるを得ないのではないかというのが現在の私ども考え方でございます。なお、ほかにいい方法があれば、大変大事なことでございますから、事業者がやるアセスメントに織り込むということも検討するにやぶさかでございませんが、現状から申して非常にむずかしいというふうに思うわけでございます。
  23. 水田稔

    水田委員 環境問題に対する環境庁の姿勢のきわめて基本的な問題にかかわると思うのです。影響評価をやるのはなぜやるのか、こういうことですね、それは環境庁がよく知っておるのです。その地域に住む住民の健康という問題でやるのです。健康の現状をとらまえずに影響評価をすることはできぬということを私は申し上げているのです。それは公団が十分な対応ができないとするならば、たとえば環境庁が予算を組んで、そして県なり市町村意見を聞くというのなら、県なり市町村にその現状調査をやったものを上げてくれ、そして環境庁公団意見を出すときにそれを参考にして意見を出すということは、当然、だれが考えてもそうすればいいわけですよ、公団がそれだけの力量がないというのなら。だから私は、そのことをやるべきだということを申し上げておるのです。それをやれないなら、この環境影響評価というのは一番大事なところが抜けた評価書だということを環境庁は認められるかどうか、それをお答え願いたいと思います。
  24. 信澤清

    信澤政府委員 環境庁自身がそういう体制をとるということはそのとおりでございまして、私どもその方向に進んでいるわけでございますが、しかし、現状はそこまで至っていないということでございます。したがって、そういう状況にならなければ環境影響評価という制度は動かないのだということになりますと、これはかなり先の問題としてこの制度のことを考えざるを得ないわけで、しかし半面、いまの環境問題の実情から考えますと、多少不十分な点があっても少しでも環境改善に資する、先生のおっしゃるような、住民の方の生活や環境影響のある問題を未然に防止するということに一日も早く手をつけたいということで、いろいろな問題点がありながらいわゆるアセスメントなるものをやっていただいているというのが実情でございます。再三申しますように、環境庁はその問題に無関心ということではございませんで、一番地域実情を知っておられ、そういう意味でのデータをお持ちの都道府県にその点についてのいろいろな御意見をおっしゃっていただき、それによってわれわれはわれわれなりに判断をするというたてまえを現在とっているということでございます。
  25. 水田稔

    水田委員 関係都道府県あるいは市町村に対してその地域住民健康状態を上げてこいというのは——全くそういうものはないですよ。私はほかのことを言っておるのじゃない。これからの問題を言っておるのじゃないです。本四連絡橋アセスメントをやる場合に、技術的にできない問題じゃないわけです。これまでに岡山県にしたって何回となく、そういう地域水島背後地ですから、健康調査などよくやっておるわけですから、それをやることはそれほど困難なことではない。技術的に困難でない、やれる。たとえば公団がやらないとしたら、県なりあるいは市に委託すればやってもらえること、しかもそれはこの評価書案で一番大事な基本になることをことさらにネグってやっておる、そういうぐあいにしかとれぬわけです。だから私は、いまからでも遅くないと思うんです。やれないなら、岡山県のこれまでの調査、ほとんどその地域に入りますが、水島地域窒素酸化物——これは窒素だけじゃなくて粉じんから何から全部ありますが、これは窒素の問題だけですね、こういうものもやる能力はあるし、やっておるわけですね。こんなものは、公団影響評価書案をつくる間にそのくらいのことをやる能力は十分ある。それをしもやらないで、一番基本になる、出発点になるものをやらないで評価書を出せということは間違っておると思うのです。だから、一番大事なこの本四連絡橋環境影響評価書案というのが欠陥と言われないためにも、いまからでもその点を何らかの補充調査をすべきだ、そういうぐあいに思うのです。環境庁に直にやれとは申し上げませんが、県なり市の意見を聞くのなら、改めて関係の県、市へ対してそういう点の健康調査を依頼して、補充資料として評価最終まとめには入れてもらいたいのです。これは環境庁公団と両方へ御質問申し上げます。
  26. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 基本的な考え方企画調整局長が申しましたが、かなり技術関係のある方針の問題でございますので、私は補足的に意見を申し上げたいと思います。  一つは、現在の段階健康影響調査をしたときにベースラインとして意味があるかということでございます。これから十年後に供用開始をするというときに、現在の段階レベルと十年後に動き出した直後のレベルを比べるのは、私は余り意味がないと思います。といいますのは、国民健康調査の動向をながめてみますと、毎年患者はずっとふえてまいります。これは厚生省の統計を見ましても全部上がってまいっております。ですから、健康のバックグラウンドをつかまえるということをやるならば、供用開始の二、三年前にやってみるということの方がはるかに意味があるということが一点。  もう一つは、あれだけの長い区間を全部やるのかという議論がこれは一つの問題としてございます。そういう問題をどういうぐあいに処理するかということのために環境基準があり、判定条件があり、指針値があるわけでございます。ですから、環境基準やあるいは判断条件や指針値と照合しながらやっていくということで、すべて健康影響調査をしなければだめなんだと断定し切ることは、私はどうもそこまでの問題は無理なんじゃないかという感じがいたします。しかし、ある場所で非常に特異な不利な条件がある、それで非常に特異な汚染物質や特殊な環境問題があるというときには、その問題に対応した健康調査をやる、それはむしろ供用開始の二、三年前にすべきことはするということが基本なのではないかということでございまして、現在の段階でたとえば公団健康調査をしても、これは端的に申しまして私は信用されないと思います。これはやはり地方自治体がちゃんとやっているということでなければなりません。そのためには、あそこのどんな場所でどんな健康影響の問題を調査する必要があるのかということを、これからまだ十年くらいの間には相当技術が進みます。それで予測も少し変わってくるところがあります。最終の通路の決定にも問題があり、いろいろまだ意見をつけているところがございます。そういうことを全部ながめてみて、そして本当に供用開始をする二、三年前にここだけはバックグラウンド調査をこういう角度でしろよということを地方自治体に言ってやるのが適切なのではないかということが私の意見でございます。
  27. 水田稔

    水田委員 ばかげたことを言ってもらっては困ると思うのです。供用開始の二、三年前にはもうほとんどできてしまって、ルートの変更も何もできぬのですよ。その状態調査をして、もし重大な影響があると言ったらどうする。そこでやめるのですか。そんなことはできぬでしょう。少なくともいまの状態把握した上で、水島全体の公害防止対策の進みぐあい、その中でこのルートを通すことによって起こることをいま予測をしなかったならば、そして予測できることについてはいま着工する前に手を打ってなければ、もうほとんどできてしまったところでやってみてこれは大変だと言ったって、そんなべらぼうな金をかけてルートの変更なんかできっこないわけですよ。結局しんぼうしろということになるから本当の意味でのアセスメントにはならぬわけですから、それは公団にやらすことで信用できぬと言われるのなら、全部公団のやったものは住民は信用せぬと言いますよ。第一、環境庁も御存じでしょう。これだけ厚いものを見せて、二十一日間で見ろと言うのです。素人が見てわかるわけないですよ。住民に渡したのはたったこれだけのものなんです。ほとんど問題ないですよ、問題ないと言われても環境庁だけでも相当の意見をこの中に出しておられますね。だから、公団にやらすのが信用されぬと言うなら、県なり市町村に対して、その地域バックグラウンド現状住民健康状態というのを出してくれと言って、環境庁がとるべきでしょう。環境庁がとった上で、環境庁公団に対してそれに基づいていろいろな基準について指摘をしていく、意見として公団に出される、当然そうあってしかるべきだと私は思うのです。ですから、供用開始の二、三年前にやればいいということは、私はどうしてもうなづくわけにいかぬ、ごまかしにすぎぬ、こう思うのです。
  28. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 私が申し上げましたのは、先生の御指摘バックグラウンドをつかまえるという御意見をおっしゃったわけですが、バックグラウンドというのは何もそこを使ってないときにどういう状態にあるか、これがバックグラウンドであります。いまから十年後は国民の健康状態というのは変わります。年齢構成も変わります。それから国民健康調査、医療調査、あらゆるものを見て、疾病の構造から、そういうのが変わってきます。そういう意味でのバックグラウンドをつかまえるのはそこだということであります。それから、それまでほっておくという意味ではございません。そのために環境条件や指針値や判断条件がある。ですから、環境条件や指針値や判断条件を介して予測の数値を評価をしているということは、決して健康やそういうものを否定している、無視しているというものではございません。私はそこを御理解いただければと思います。
  29. 水田稔

    水田委員 これはもう幾らやっても、これだけで二時間過ぎてしまいますのでやめますが、少なくともこの調査というのは何らかの形で、公団なり環境庁が改めて調査がむずかしいとするなら、これまでの県の調査というものを十分取り入れた最終的な評価書にまとめてもらいたいと要望して、次の質問に移りたいと思います。  環境庁基本指針には「影響を受ける地域の設定に当たっては交通量等の活動量の規模及び環境質の変化の程度を勘案して行うものとするが、特に学校、病院等の公共施設、住宅又は農林地等への環境影響が問題になると見込まれる場合には、その位置との関連について詳細に検討すること。」とされておる。ところが公団評価書案によりますと、そのことは全くただの一行も触れてない。これまたきわめて大事なところなんですが、公団としては一体なぜ抜かしたのか。あるいは環境庁も、たしか後の公団に対する意見でこの点に触れておりません。というのは、指針に基づいてやられてない。しかも、それについて環境庁は全く触れてない。公団はなぜこの点を、この評価書案ではきわめて大事なところでありますが、なぜ抜かしたのかということについてお答えいただきたいと思います。
  30. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 いろいろ御指摘のような影響のあります施設については詳細に調べておりまして、路線選定の段階におきましてなるべくそういうものに近づけないように選定いたしております。大体現在調べられたものにつきましての距離等からして、一般的な影響評価をいたしまして、支障がない、かように考えておるわけでございます。
  31. 水田稔

    水田委員 環境庁はどうですか。
  32. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 環境庁は全く触れておらないというわけではございませんで、たとえば稗田であるとかあるいはインターチェンジの場所の周辺の議論等を出しておりますし、また、こういう場所は局地気象がどうなるかなというようなことは、これは非常に個別、具体的な細かな問題の場所については、公団に対して、たとえばインターチェンジの周辺について、これは全部局地気象を一回よく洗っていく、それでまたそのインターチェンジの走り方なんかも全部細かくして、そして長いデータを重ねて進めていくということを言っております。私の局の意見として出した場合に、調査としての問題と研究としての問題と予測としての問題の次元を分けております。これは相当長い期間の調査でできるものと、それから一定の期間内にやれて一応の結論が出せるものと、それだけではまだこれから非常に期間をかけて追っていかなければならない、あるいはこれはもう少し研究を充実してやってもらわなければ困る、そのような粗さ、細かさを分けて出しておりますので、かなり大きな問題のところは局地の名前を出しております。稗田のような場所を出しております。そのほかの細かなところでこれはどうかなというような点は、公団と図上で、話し合いのときにわれわれは指摘しながら議論をしている、こういう状況でございます。
  33. 水田稔

    水田委員 局長の答弁は、まだこれから検討という点も言われておるわけですが、総裁は、公団評価書で、調査の結果全く影響ない、こういうぐあいに断定されたわけですか。その点、どうなんですか。いま局長の言われたように、なお検討すべきところがあるというぐあいにお考えになっていますか。
  34. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 先ほど申しましたように、大体そういう施設につきましては避けるように選定したということ、また選定しました路線につきましても、距離的に若干近接しているものもございますが、これらにつきましては環境目標を達成するように私どもでできるだけのことをする、こういうふうに考えておるということを申し上げたわけであります。
  35. 水田稔

    水田委員 総裁、環境目標を達成するように努力すると言われるのですが、御承知のように、さっきも申し上げましたように、特に児島地区、早島からずっと児島へ入ってくるところは全部、現在環境基準は、NOxに関してはオーバーしておるわけですね。その上に日量四万八千台の自動車が通るわけです。一体それで達成できますか。現在オーバーしているのです。これは地域の公害防止対策でやっていかなければならぬ問題ですが、なかなかむずかしいのです。いま水島地区で二千ノルマル立米パーアワーを達成するために、むずかしいということで大変苦労しておるわけです。そこへ四万八千台乗るのですが、達成できる自信ありますか。
  36. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 NOxの問題につきましては、これはそこだけでございません。やはり各地域に全般的な問題でございまして、私どもは現在、いろいろ今後のそういう環境汚染に対する措置等含めてこういうふうになる、なるほど現在ではオーバーするかもわかりませんが、将来のそういう措置に期待するということで一つの目標値に対する検討をいたしております。先ほど私申し上げましたのは、主として、それよりもむしろ音の問題ということに限定して申し上げたわけでございますが、大気汚染の問題は、やはりおっしゃるような点がございまして、私どもができるだけ努力いたしましても、そういうバックグラウンド等の問題もありまして、また将来の発生源問題対策等もございまして、直ちに目標値がはっきり達成できるというものではない、かように理解いたしております。
  37. 水田稔

    水田委員 その点については、どこが責任を持たれるのですか。
  38. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いまNOxの問題の御指摘ございました。確かに一日平均〇・〇二ということをすべての場所で完全に達成できるかという御指摘ですと、これはまず道路わきは不可能である、それからもう一つは、地域ステーションでも非常にむずかしいということは事実であります。ただ、窒素酸化物環境基準といいますのは、非常に大きな不確定要素のある中で非常に大きな安全性を見込んで長期の努力目標としてやっておるわけでございます。ですから、それを超えれば強権的にストップをかけるというような基準としての数字であるぞということになりますと、これはまた別の数字を議論しなければならないというぐあいに私どもは考えております。そういうことで、維持されることが望ましいということを大きな努力目標でやっておるわけですが、いまその点につきましては環境基準の定期的な見直しということでやっておりますので、それの結論が出てからまた照合するといたしておりますが、これにつきましては、環境基準の検討が終わりますと、今度は次にどういう達成計画を立てるかということで、これは従来の公害防止計画等もそれで見直しをすることが当然必要になるだろうというぐあいに私ども考えておりますし、また自動車はもう長期の段階を設けていま進んでおりますし、全体をやればこれはどういうぐあいになるかということは、環境庁として責任を持ってやらなければならないことだと思っております。  ただ、一点申し上げたいのは、これは非常に悪い場合だというときには環境庁としては意見を表明いたしております。たとえば川崎の扇島の製鉄所のときは、あれは好ましくない。私は非常に批判されました。要らぬことを言う局長だと批判されましたが、幾ら何でも公害健康被害補償地域のそばで、めちゃくちゃに汚れておるところで、そこについて問題があるということは申しておりますし、あるいは大阪の一部でもそういうことは申しております。しかし、少なくとも岡山地域はその程度までの問題ではないというぐあいな判断を持っておるわけでございます。
  39. 水田稔

    水田委員 いまの答弁を聞きますと、まあ仕方がないというような言い方に受け取れて仕方がないのです。先ほどから何遍も申し上げますように、あの沿線ルートは水島からSWの風を受けて全部影響を受ける地域。だからこそ、たとえばその中の水島インターというのは現在完全に公害健康被害補償法指定地域になっておる。なっておらない児島の地域も全部基準をオーバーしておる。そして、ここに倉敷市がちょうどその時期に調査したものがありますが、稗田地区の御前道というところで、これは東西に走る道路ですが、自動車が一日大体二千七百台走るところで、NOxで〇・〇五七という数値です。二千七百台ですよ。それにクロスして南北にこの路線が走るわけです。これは四万八千台です。そこの地域住民が心配するのは当然だと思うのです。そこで、そこではそのためにトンネルにしてくれということが非常に強い意見として出ておる。あるいは市の意見書にはトンネルにしてもらいたいと一万二千名の住民が陳情しておるわけです。それなら、さっきの信澤局長の答弁で、それはもうトンネルにするのはあたりまえだ、こうならねばいかぬ、住民の健康ということを考えれば。数字を見ればそれでわかるわけです。そしてそれだけの要望というのが出ておる。ところが、環境庁意見は検討をするということです。私は一体どういうことだろうかと思います。これは岡山県もごまかしてトンネル案というのを消して、いわゆる検討、環境庁もそういう意見をつけておるわけですね。私は、その点について、公団だけにやれと言っても無理だろうと思うのです。しかし、少なくともそういう地域を全ルートが走るのだということは、この環境影響評価をやる場合に環境庁公団も腹に入れて、その中でどうやるかということ。公団だけでできないことなら、環境庁が、道路管理者なり、あるいは地域の公害防止計画の中で、どういう形で完成までにはやっていくという見通しを少なくとも住民に示すべきだ。私は公団だけに要求しようと思いません。公団は、これを見ますと、とにかくこれだけの影響しかありません、ほとんど影響ない、影響ないと書いてある。しかし、いま申し上げたように、数値一つ挙げてみても、具体的にこんなものが影響ないというのは、公団環境問題については住民から全く信用されません、説明会のあり方もそうですから。その点について、これは環境庁にやってもらう以外にはない、実施主体がどこになるかは別として。その基本的なベースになっておる現在の状態をどうしていくか、その中で、公団が道路なり鉄道をつくることによって起こる影響は、公団はこうします。こういうことでなければならぬと思うのです。その点、もう一遍御答弁いただきたいと思います。
  40. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘がございましたように、稗田の住民の方が心配しておるというのも全くもっとものことだと思います。そういう点で、先生は検討するではなまぬるいという御指摘でございますが、環境庁が検討すると言いましたのは、どういうぐあいにやれとまで言う見識は環境庁にはございません。それは、その土地の地形から地質からすべてのものをやって、フィジカルに変えていくということは、あそこまで言えば公団は変えないで済ませるなんという問題とは全然思いません。これはやはり地元で知事さんや市長さんや皆さんと公団が一生懸命御相談になって、どういうぐあいにするかということをお決めになると思います。そういうことで、断定的なことは申しません。あそこは問題だということをはっきり指摘しております。  また、どう対応するかということでは、先ほどちょっと申し落としましたが、窒素酸化物環境基準が決まり、達成のほどが決まると、それでずっとやっていくということを申しましたが、特に本四架橋の問題につきましては、将来、交通管制というのが非常に必要だと思います。公団だけでは絶対できないと思います。これは地方自治体のモニターから公団のモニターから警察のモニターから全部コネクトしてやる、そのためにはソフトウェアを開発しなければならない。それは相当な手数がかかると私は思います。このことは環境だけではございません。災害や何かもすべて入ってまいります。それを交通管制という中に含めておりまして、これは私どもから、また地方自治体やあるいは警察庁などにも働きかけてまいりたい。公団の人にもそう申しております。公団のあれだけの技術力があるわけですから、みんなで組んで交通管制のシステムをつくる、それによって条件に合わせて使うということは一つのやり方ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  41. 水田稔

    水田委員 もう一つ、一番大事なことは、そういったことなどについて、住民なり市なり県なりの意見というものをどういうぐあいに具体的に取り入れていくかということだと思うのです。環境庁指針によりますと公聴会というのが入っておるわけです。これは実際にはやられておりません。三週間、二十一日間の説明、四週間の間に意見を出す、こういうことであります。それだけであります。これは大事なことで、これまでに膨大な意見が出ておるし、公団の説明を私どもが見ましても、こんなことで本当に環基影響評価がやられたとは言えないようなものがたくさんあるわけです。この点、環境庁指針の中には公聴会が入っておるが、しかし、出てきた意見が具体的に評価書の中に取り入れられるという保証はないわけです。ですから、環境庁は御意見を出された、それから公団はそれを受けたわけでありますし、それからたくさんの住民なり団体からいろいろな意見が出ておるわけでありますが、これをどういうぐあいに中に取り入れていくのか。影響評価の一番大事なことは、住民に公開すると同時に住民意見をどう組み入れていくかということが一番の柱になると思うのです。環境庁としては意見を出したけれども出しっ放しで、後、公団がどれだけ取り入れたか、それは仕方がございませんということでは困るわけであります。その点についてどういうぐあいにされるのか。あるいは公団としては、環境庁意見だけではなくて、住民からあるいは各団体から出た意見というのをどういうぐあいに評価書の中に取り入れて実施していくのか、その点についてのお考えをそれぞれ両者からお聞きしたいと思います。
  42. 信澤清

    信澤政府委員 環境影響評価をやりますのは単に技術的に将来を予測するということではございませんで、お話しのように、その地域住民のいわば生活実感に根差した意見を聞く、これを工事なり事業に反映していく、こういうところにあると思います。したがって、出ております御意見は私どももすべて目を通しておりますが、その中で当然くみ上げて事業実施に反映していただくような事項というものはあるわけでございますから、そういうものを中心にして公団としては事業計画と申しますか事業実施について御配慮いただく、こういうことは当然であろうかと思います。ただ、すべての問題について公団対応できないことは、先生が毎々おっしゃっておることでございますから、そういう問題につきましては、一つ地域の問題でございますから、関係都道府県知事あるいは市町村長とよく御相談を公団としていただく、それについて必要ならば私どもも御相談にあずかるということで進めたいと思いますし、あるいは大きな工事の全体計画にかかわるような問題でございますれば、御所管の建設省なり運輸省と御相談をしていく、こういうことで私どもとしては対応していきたいというふうに思うわけでございます。意見を言ったから言いっ放しということではございませんで、それについて、まず報告書をいずれ近くいただくわけでございますが、その中で対応できるものは対応できるし、できるだけ具体的に対応策を書いていただきたいと思いまするし、先ほど来私も申し上げ、大気保全局長からも申し上げておりますように、工事実施中、あるいは供用開始後に至るいろいろな環境管理の問題があると思いますので、そういう問題については、私どもとしては十分関係方面と御相談をしていきたい、このように思っておるわけでございます。
  43. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 環境庁初め、各地元の住民の方から大変たくさんの御意見をいただきまして、ただいま公団としては、評価書を書きかえつつあるわけでございます。内容的に見ますと、全体で意見の数は二千通近くございましたが、やはりそれぞれ非常に基本的な問題あるいは局地的な問題等多々ございまして、したがって、場所によっても対応できる方法が、具体的に今後相談していくというような問題もございますし、御意見のすべてが必ずしも実施できませんが、御意見を尊重して、できるだけ対応するという姿勢で、目下整理をいたしております。したがいまして、対応できるものはできるだけ御意見を取り入れる。できないものにつきましてはできないということをはっきり申し上げる。また、直ちにできない、今後いろいろ検討していかなければならぬ問題もございます。そういうような問題の中には、地元との、いろいろ工事を進めていく上におきまして、従来持っておりましたような設計協議する場というようなものを利用して対応するものもあります。そういうようなことをそれぞれ区別、仕分けいたしまして、全体として御意見に対してどのように措置したかということを明らかにしていきたいと思っております。もちろんこの過程につきましては、いろいろな基本的な問題等もございますから、関係監督官庁の御意見等も伺いながら、また関係県も非常にそういう点につきまして、私どもとこの手続について御相談した立場もございますので、今後ともよく連携をとりながらつくりたい、かように考えております。
  44. 水田稔

    水田委員 都道府県とか市町村という地方公共団体との関係はそういうことでしょうが、それ以外の団体なり住民個々からも意見が出ておると思います。大事なことは、そういうことをどういうぐあいに公団として取り入れるか、あるいは、それができない場合どういう形でその人たちに説明を十分するかということなんです。それはどういうぐあいにされるのか。  それからもう一つは、先ほど質問しました環境庁指針には、公聴会という項目が入っております。今後具体的に、最終的に評価書をまとめるまでに公聴会を開かれるお考えがあるかどうか、その二つをお伺いしたいと思います。
  45. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 先ほど申しましたように、御意見は、意見の数は多いのですが内容的にはある程度整理されますので、私どもは、それぞれに対してどういう対応をしたかということを明らかにしていきたいと考えております。個々の方々までこうしましたということを御返答申し上げるということは不可能かと思っております。  それから公聴会の件でございますが、これは、私ども公団関係知事と相談して決めることでございますが、過去の説明会でかなり議論が出ておりまして、事実、そういう御意見については出尽くしておるというような判断もございまして公聴会を開かなかったわけでございますし、また、いまのところ、両県との関係におきましても公聴会を開く予定はいたしておりません。
  46. 水田稔

    水田委員 なぜ開かぬのですか。環境庁の「児島・坂出ルート本州四国連絡橋事業実施に係る環境影響評価基本指針」の中にちゃんと「必要に応じ公聴会を開催する等地域住民意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」。これはもう、一番住民意見をどういう形で吸収したかということを示す大事な行事であります。  それからもう一つは、いまの総裁の答弁で、個々の人までに答弁する気はありませんというのは、たとえば稗田の問題を、先ほど来申し上げますように、住民が一万二千名の署名を集めて、これはトンネルにしてもらわぬとお互いの健康を守れぬ、こう言っておるわけです。これは、それにこたえないのですか。倉敷市は、トンネルにしろと、こういう意見書を出しております。県の方は、検討してもらいたい。県知事だけと相談したのでは、検討した結果こういうことでというような話で、住民には全くいかなかったらどういうことが起こるのですか。それについて先ほど例を申し上げましたように、現状NOxで〇・〇五七というのが二千七百台であるところ、そこへ四万八千台自動車を通す道路を公団はつくるわけでしょう。それでその住民には何も言わないで、意見を十分に聞いたということにはならぬと私は思う。だから、公聴会をやるか、あるいは意見を出された個々の団体なり住民に対しても何らかの形の説明をし、理解を求めるということがないと公共事業というものはまともに進まぬというのは、成田の問題を見てもよくわかるでしょう。出発点が間違うとああいうことになるわけですから、もう一遍その点は、総裁として心構えを変えてもらわなければならぬ。御答弁願いたいと思います。
  47. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 公聴会の問題につきましては、説明会を十数回開きましたことによって、十分住民意見が出尽くしておるという意味におきまして、その必要がないと判断したわけでございます。  それから、稗田地区の問題でございますが、これは、御指摘のように、県からも市からも、もちろん地元の住民からも多数の意見が出ております。私ども、これに対してしかるべき適応をしなければならぬと思っております。この方法につきましては、事が単なる局地的な一部の問題ではございませんので、今後、関係県を介しまして、いろいろその方法について相談していきたいと思っております。
  48. 水田稔

    水田委員 環境庁は、この指針を出されて、公聴会を書いておって、公団がああいう姿勢で、別に構いませんと、こういう態度ですか。
  49. 信澤清

    信澤政府委員 御承知のように、指針では、公団と両県知事が協議をして、必要があれば公聴会を開くと、こういう趣旨のことを書いておるわけでございます。いま総裁から御答弁ございましたように、説明会で意見はほぼ出尽くしたと、こういう御判断をされたわけでございますから、その限りにおいては開く必要がなかったというふうに私どもは思うわけでございます。
  50. 水田稔

    水田委員 どうも、できるだけそういう住民との接触は避けたいというようなお考えがあるようですね。いろいろ意見が出たわけです。そして、私は公団のを全部を見まして、わが党からも公団へも申し入れをしていますが、これは非常にずさんで、問題があるとか問題がない——たとえば総裁、いま私が申し上げた稗田の御前道の数値についてどうなるかということは、説明できますか。できぬでしょう。そういう状態で、住民から意見が出てきた、それを取り入れてどういうぐあいに影響評価書をこうやりましたと、もう一遍これで御理解いただけますかというような、住民との接触を持つのが工事を順調に進める最大のポイントだと私は思うのです。それはやりませんと言うて、県とだけやったのでは、そのときに県にもう一遍それを住民に流してくださいというのなら別ですが、県と公団だけでやるということではだめです。ですから、いままでのこの出した分というのはきわめてずさんだから、環境庁からも相当の意見が出ているし各団体からも出ておるわけですから、それをどういうぐあいに取り入れたかということをもう一遍示して、そこで住民の理解を求めるということが、公団事業を進める上では一番大切なことなんです。先ほど来の答弁では、単に知事とだけの相談ということでは住民は納得しない。それならば、一万二千名の署名をとって要望しておる稗田地区の住民に対して、あなたは、それで問題がなく、稗田をどう決めるか知りませんけれども、やれるという自信がありますか。やり直したものに対してどういうぐあいに住民意見を聞くかということを、はっきりもう一遍お答えいただきたいと思います。
  51. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 私どもと県と相談して、それで済ますということを申し上げておるのではございません。先ほどお話しのように、かなり多数の意見が出ておることは十分承知しております。また、工事を進めていく上につきましても、従来この地区の方々とはいろいろ話し合いの場を持ってやってきておりますし、私どもも、今後にわたって長くそういうような関係になければならぬと思っておりますから、十分そういうことを承知した上の御答弁を申し上げたわけでございます。
  52. 水田稔

    水田委員 同じことばかり言われるのです。いま環境庁からも意見が出ておる、県からも出ておる、市からも出ておる、住民からも出ておる、それでおたくにまとめておられるわけですね。それをいまの評価書案の中に幾らか入れるわけでしょう。どれだけ入ったかは沿線の住民は注目して見ておるわけです。それに対して、県にだけ言えばいいというものじゃないというのです。公団事業をするのです。県が事業をするのではないのですよ。私はそれをぜひすべきだ、こう言っているのです。あなたはしないと、こう言っておるのです。それで住民の理解と納得を得られますかと、こう言っておるのです。理解と納得を得るためには、改めた評価書というものについて、それはどういう形でやるかは別として、私は公聴会でやるのが一番いいと思う。だから、たとえば県なり市と相談して、必要があれば公聴会をやるということをされますか。その点についてお答え願いたいと思います。
  53. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 公聴会につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、稗田地区の問題は非常に大きな重要な問題であることは十分承知いたしておりますから、今後どういう形でいくかというようなことにつきまして県、市等と十分相談したい、かような御答弁を申し上げているわけでございます。
  54. 水田稔

    水田委員 私は例として稗田を申し上げておるので、ルート沿線にずっとあるわけです。たとえば早島について見れば、インターチェンジの場所の問題もあるし、公団調査では全く問題がないという中で、いわゆるチョウセンブナですか、こういう貴重なあれが出てきたという、最近になってそういう意見が出てきておるという問題などもあるわけですから、これは稗田だけを申し上げたのではなくて、大事なことはそれぞれのところに、たとえば坂出の北インターの問題などもあるわけです。あるいは田之浦の部落のほぼ真上の高いところを橋が通る。そこでは公団影響評価では八十五ホンという数字を当然のこととして出しておるわけです。こんなことで、これは技術的に仕方がないということでは住民が理解、納得するわけはないわけです。  ですから、そういう点では、いま総裁から答弁ありましたように、県との協議の中で、最終的には対応の仕方について住民との接触を持つ、その点について総裁からもう一遍、そういうぐあいに理解していいかどうかをお答えいただきたいと思います。
  55. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 重要な問題につきましては、その扱い方についても県と十分相談していきたい、かように思います。
  56. 水田稔

    水田委員 それでは、あと具体的な問題を少しお伺いしたいのですが、先ほどもちょっと申し上げましたが、環境庁意見によりますと、鉄道騒音については五ホン程度軽減ということを言っております。それから、低周波の振動について十分に配慮すると、こういう表現で逃げておるわけであります。これは、岡山県の意見というのは非常に重視されるということを先ほど来の答弁で言われておるのでありますが、県の意見書によりますと、「鉄道騒音について「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」に定める基準値を環境保全目標とするよう検討すること。」これは騒音については五ホン違っておりますね。環境庁はどういう御判断で中折れのような意見を出されたのか。  それから振動についても、県の意見書は、保全目標として、七十デシベルについて、新幹線の目標値である、主として住居の用に供する地域は六十五デシベル、商工業の用に供する地域も七十デシベルを目標に検討を求める、こういう意見をそれぞれ出しておるわけです。環境庁は、それと公団の採用した数値との中折れをとっておるのですが、それでいいのかどうか。私どもは、供用開始が十年先ですから、それまでには少なくとも新幹線の騒音なりあるいは振動に係るそういう基準値は守るということがなければだめだと思うのです。なぜ環境庁は中折れのような数値をとられたのか、それから公団は田之浦というところ、総裁は行かれたかどうか知りませんが、大体何百という住居地のこのくらいの角度のところを鉄橋は、トンネル、まあオープンカットというのですが、これは国立公園の特別指定地域ですから、そういうことも問題ですが、そこを出てくるとすぐ鉄橋にかかる。騒音というのは常時六十なら六十、七十なら七十あるところで八十五になるならそれほどのことはないのです。非常に静穏なところですから、そこに一挙に八十五がかかった場合、下は漁村ですけれども住居地域です。これはどんなことがあっても七十という数値は守ってもらわなければならぬ。公団のどなたということは申し上げませんが、相当程度の幹部で技術屋が、私に、技術的には七十を守れます。こういう話をされたことがあるのです。これは公団の本社の方へどういうことで入っておるか知りませんけれども、守ろうと思えば守れるということは、公団内部でもおられるわけですから、これは騒音については守ってもらわなければならないし、振動についても、私はぜひ、十年先の供用開始なら当然、現在の基準ではなくて、将来目標にしておるところの数値を守るべきだ、このように思うわけです。環境庁の方はなぜそういう中折れのような数値を意見に出したのか。公団については、いまの評価書案の基準では技術的にできないということなのか。私は、やる意欲を持ってないから、そういうことに、できるだけ安易に評価書案をつくるということでやったのではないかという疑念を持っておるわけですから、その点についてお答えいただきたいと思います。
  57. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 どうしてそういう数字になっておるのかということでございますが、環境庁が五ホン下げるということを示したのは、環境基準とイコールの性質のものを示したわけではございません。発生源、つまり列車と線路だけでそれだけにしようということを言っているわけでございまして、環境基準になりますと、列車と線路だけではございませんで、周りの土地利用からあるいは防音構造からすべて入ってくるということでございます。そういうことで、環境庁が言っている数字と新幹線の環境基準の相違がどこか、あるいは勧告の数字とどこが違うかというと、ピュアーに発生源対策だけでの数字を出しているということでございます。これは国鉄がやっておりますいまの研究状況を相当詳細に聞きまして、いまのところではこれでいけるはずだ、それでもかなりむずかしゅうございますが、これはいけるはずだということで出した。それからもう一つは、意見の中にもございますが、例の新幹線の試験区間でいろいろ研究しております。五十五年になればもう少しまた見通しが変わるだろう、もう少しよくなる公算の方が高い。そういうときにもう一回見てみようということでございますので、今回は周りの土地利用や遮音、周辺対策を抜きにして根元の施設と運行だけでそれだけにしろという条件ですので環境基準と数字が違っておる、こういうことと御理解いただけば結構でございます。
  58. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 鉄道騒音につきましては、環境庁意見にもありますように、五ホンを下げるということを努力目標にしたいということでございますが、私たちやはりいまの海峡部を渡るつり橋についていいますと、つり橋はもう先生も御承知のように、風に対して非常に弱いということもあって、音源対策のほかに防音壁というようなものが道路と違って非常にできにくいということもございまして、そこから出る騒音が海峡部の田之浦、ああいうところに非常に影響してくるということで八十五という数字をとったのでございます。  一般の陸上部については、これは現在の予讃線、山陽線その他の在来線の騒音、そういうものを測定いたしまして、それで八十ホンというような目標をつくったわけです。いまのわれわれの橋が十年先に開通するということがありまして、その間のいろいろ音源対策をやりますと、それを大体音源対策の中で五ホン下げられるということで、現在、最終の評価書もそういう形をとっていきたいというふうに考えております。  ただ、現地で七十ホンにできるというような意見もあったかと思いますが、鉄道の騒音につきまして、これは用地の境界のところで私たち、いろいろ騒音の基準を決めておりますが、用地の境界のところが必ずしも人家があるとは限りませんし、そういうところは非常に少ないのでございますので、そういうところに対してある対策がとれるなら、現地の言う七十ホンというものがとれるのではないかというように考えております。  次に、低周波の振動でございますが、これは低周波が将来非常に問題になるだろうということで、一つのこういう項目のアセスメントをしろということになったわけでございますが、私たち、いまいろいろ各所からの資料をとっておりますと、いますぐこれに対してはっきりした技術的な対策なり、それからどのぐらいの低周波の振動レベルが人体に影響があるか、その辺の知見もないということが実情でございまして、やはり開通までに十年ありますから、そういう知見が出てくる、それを待って最終的な一つの目標を決めてまいりたいと考えております。  振動についても、先ほどの騒音と同じように新幹線並みの六十五デシベル、これを何とか守っていきたいというように考えて、これを努力目標にいたす所存でございます。
  59. 水田稔

    水田委員 質問しないことまで答えてもらって本当にありがたいと思いますが、次に質問しようと思ったのです。  実は、十年後の供用開始、同時にこの橋の設計というのは、新幹線を乗せる設計になっている。すると、当然新幹線の基準を守るべきであります。それから、特に先ほど来例を挙げている田之浦というところは、これは漁村ですけれども、寸土の住居地なわけです。しかも、平たんな横からの音ではなくて、頭の上から来るわけです。六十メートルぐらい上、このくらいのところから来るわけです。そうすると、ほかの地域と違って、騒音問題については特に慎重に考えなきゃならぬところですから、しかも橋というのは、設計の段階から考えなければならぬ問題なんです。一遍通してしまうと、後でこうだからと言って直そうとしたってなかなかできるものじゃないわけですから、その点、やはり公団としても、技術的に可能だと言う人もおられるわけでありますから、私もできぬことはないと思うのです。これは公団の心がけの問題だと思うのです。これはぜひそういう努力をしてもらいたいと思います。  それから、いわゆる低周波の問題につきましては、これはいろいろまだ調査が十分できてないという問題なり技術的にむずかしいという問題があるかもしれませんが、現実に科学的というのは、人間の体に影響して、みんなが被害を受ければ、それをずっと調べていけばわかるわけですが、大体苦情がいろんなところから出てきているのは、八十デシベル前後で出てきておるわけです。それから、これも騒音と同じで、一遍橋をつくってしまうと、これはいらうわけにはいかぬわけですから、設計段階からその点を考えなければならぬ。保全目標を九十デシベルにしておるけれども、これはやはり八十デシベルということで、それは科学的と言えるかどうかは別として、現実に住民から苦情が出ておる水準というのはどこかというと、大体八十デシベルになっておる。だから、それを守るというのは大事なことだろうと思います。  それから、先ほど来の答弁をずっと聞いていますと、総裁も環境庁も、県と相談して、県と相談してと言われるのですが、県の意見書のこの低周波振動についての再検討を求めておる数値というのは八十デシベルであるということは、これは公団の方へ十分伝わっておると思うのです。これはぜひ守るべきだ。できないというようなことを言われたのでは困るわけでありまして、もう一遍御答弁いただきたいと思います。
  60. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 低周波空気振動については、これはどういうようなメカニズムでそういうものが発生するか、これは耳に聞こえないような一つの空気振動でございますので、これはいろいろ道路公団その他土木研究所でも研究しておると思いますが、やはり鉄げたの方から出やすいのかコンクリートげたの方が出にくいのか。それに対して、出た場合にどういうような設計上の対策をすればそれが出にくくなるのか、その辺がどうもはっきりしてないということ。それから住民側で言いますと、やはりその振動に対して、住居の一つ振動の固有振動数があると思います。そういうものが住居は非常に違っておりまして、そういうものに共鳴してガラス窓ががたがた鳴るというような場合、こういうものに対しての対策はどうしたのがいいか、そういう問題と、さらに低周波空気振動がどのぐらいの強度になれば人間の健康にどのぐらいの影響を及ぼすか、これは窓ガラスががたがたするということ以外の一つ要素があると思います。その辺もはっきりしないということでありまして、そういうような状態で、やはりいま各方面でいろいろ研究されておると思いますので、四、五年たてばある程度の見解が出てくる、その辺をにらみまして、われわれの陸上の橋梁の対策と、それからさらにそれを橋梁でできなければどういう対策がいいかというものを検討していきたいと思います。
  61. 水田稔

    水田委員 何遍言っても、どうも公団の方から、本当にあの地域へあれだけの大規模な開発をやろうとするのについて、最大限の環境保全の努力をしようという意欲というのは見られぬわけです。ですから、先ほど来、公団もそれから環境庁も、県の意見というのは一番よく聞く、こういうようなお話でありますから、騒音にしても振動にしても、低周波振動にいたしましても、全部この数値というのは、鉄道については騒音振動、新幹線の基準、これは当然守るべきだと私は思います。それから、低周波については、いま明らかにそういう調査のデータ、原因等がわからなくても、現実に人に被害が出るから文句が出ておるわけですから、それが八十デシベル、しかもそれは県の意見として出ておる、検討を求めておる数値というのは八十デシベルである、その点はぜひ守るように努力を願いたい。何遍やってもこれは行き違いになりますから、それは最終的な公団の案を見守りたいと思います。  あと具体的なこと幾つか、ずっと聞いていきたいと思うのでありますが、公団評価書案によりますと、このいわゆるルート沿線にはそれほどいろいろな植物とかあるいは水域に生息する貴重種はほとんどないと断定的に書いておるわけです。これは岡山県なり倉敷市の意見書にも全部具体的な名前を挙げて、たとえばコモウセンゴケ、サギソウ、トキソウ、ミズトンボ等とかオオズアカアリなど、それぞれずっと昆虫なり水生物について全部出ているわけですね。これは環境庁の方も意見書指摘をしておるわけですが、これは公団の方はどういう調査をされたんですか。
  62. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 私たち、この本四架橋の問題が出まして公団ができまして、すぐ国立公園協会にこれの景観の問題とか地形・地質の問題それから動植物の問題、そういうものの調査を委託したわけでございます。ただ、そのとき、いま先生おっしゃいましたいろんな植物がそれの中に入っていなかったのですが、やはりあの調査のときに実は国立公園協会に委託したのですが、現地の専門家が余り参画されていないということもあってそういうものが落ちたのだと思います。そういうことがありますので、私たちこれからはやはり現地のそういう事情をよく知っておる専門家にも委託いたしまして、そういうような植物、底生動物について十分調査して万全を期していくという考えでございます。
  63. 水田稔

    水田委員 万全を期すということは、たとえば早島のインターでこれは最近わかったことですが、いわゆるチョウセンブナが生息しておるということがわかった。インターを変えるということも検討の中に入るわけですか。あるいは水生物の中で、これはたしか坂出の方の橋脚のところにもそういう貴重種が存在しておるということなどが報告されておるわけです。それらを単に調べただけで、もうルートも決まっておるから仕方がないということだったら、これはそこらを全部破壊してしまうわけですね。そういう点、きわめて検討するというのは重大なあれを持っておるわけですよ。いままでの評価に抜けておって、しかもこれをやるとしたら、あのルートの大事なところにそういうものが生息しておるということがわかってきたわけです。ですから、早目に県や市の意見を聞いておけばこんなことにはならなかったと思うのですが、大事なことは、その場合橋脚の場所なりインターの場所の変更までも含めて検討するということなのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  64. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 まず私たちは、そういうような、現地から言われております動物、植物につきまして、どういうような生存の状況であるかということを調べたい。その生存の状況がわかれば、それとうちの工事がどういう関係になるかということをその次に検討するわけでございまして、その場合に、やはりそういうようなものができるだけ生存するような工事の方法、たとえば池に住んでおるようなそういう動物につきましては、池の水を濁らせるということになりますとそういうものは絶滅するということもあります。できるだけそういうものは濁らせないような工法をとるということと、さらに、もしどうしてもやむを得なければ、そういうものをある程度別のところに移すなり、そういうような対策を現地のいろいろな調査の中で専門家意見を聞きながら決めていきたいというふうに考えております。  早島のインターにつきましては、私も最近聞いたのですが、あそこに先ほど先生のおっしゃいましたチョウセンブナが発見された。チョウセンブナにつきましても、いろいろ生息の状況を見ますと、やはり県のああいうところに数カ所発見されておるということがございまして、チョウセンブナの評価をどうするかは問題はあるかと思いますが、できるだけそういうような珍しいものにつきましては、それを残すような配慮で工事の方法を検討していくということでございます。
  65. 水田稔

    水田委員 もう一つ、これは県の意見書に鷲羽山のオープンカットの計画についての再検討という意見が出ておるわけです。環境庁意見はそこまではいっていないわけでありますが、「鷲羽山地区のオープンカット部及び島しょ部のバス・ストップについて、主要な地点(船上を含む)からの景観の変化の程度を写真図により補足しておくこと。」ということで、鷲羽山というのは御承知のように瀬戸内海の国立公園の特別指定地域に指定されておるわけであります。数日前に国立公園の自然環境保全審議会ですか、そういう方々も現地に行かれたようであります。これはどうなんですか、環境庁の方はオープンカットやむを得ないと考えておられるわけですか。また、公団としては、このオープンカットをやめるということは工法上できないのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  66. 出原孝夫

    ○出原政府委員 御指摘の鷲羽山地区のオープンカットにつきましては、先生の御指摘のように景観の変化の程度を写真図によって補足するという注文をつけましたと同時に、別な項目におきまして「鷲羽山地区のオープン・カット工法について、代替工法の技術的検討結果を具体的に示し、それに対応する自然環境への影響の程度及び保全対策を明らかにしておくこと。」ということで、審議会の先生方の御意見に基づいてこのような意見を付してございます。
  67. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 鷲羽山の下津井の大橋から北に上がりまして鷲羽山の一部を切るようになる計画でございまして、そこをオープンカットにするか、また地元の意見の中でトンネルにしてくれという意見も出てきておることは十分承知しております。  私たちがオープンカットにした理由といたしましては、やはりあそこのトンネルは非常に大断面になる。普通一般の高速道路のトンネルですと、上下線をトンネルのところで多少離しまして二車線なり三車線のトンネルをつくるというのが常識でございますが、あそこの場合は下津井のつり橋を渡ってすぐのトンネルでございますので、そういう上下線を分離できないということもございまして、さらに鉄道も入るということで、トンネルにしますと全体が八百平米ぐらいの大断面のトンネルになります。御承知のように、現在、一般の道路のトンネルとしては九十平米、多くても百三十平米ぐらいのトンネルでございまして、これは非常に大きな大断面のトンネルになる。さらに、あそこの地質が必ずしもいい地質じゃない。まずトンネルをつくるための土のかぶりも非常に小さいということもございまして、そういう点でトンネルにするということは、技術的な施工法をいろいろ検討しておりますが非常に困難があるということで、現在オープンカットにしたわけでございます。  オープンカットにした場合のメリットといたしますと、やはりそういう非常に危険のない工法だということと、さらにその後の景観については、十分な植生をし、修景緑化すれば、数年たてば、形は違いますがもとと同じような緑の景観が得られるということ。さらにトンネルにいたしました場合、先ほど言いました技術的な施工法のむずかしさがあります。それと、海から見ますとやはりトンネルのコンクリートの大きな構造物がそこに見えるということ。この辺で、景観としてどっちがいいのかというような判断が最終的に下されるというように私たちは考えております。トンネルにつきましても、私たちの考えとしては、さらに技術的な検討は続けてまいりたいというように考えております。
  68. 水田稔

    水田委員 文化庁はおいでですね。——このルートの沿線は埋蔵文化財の非常に多い地域で、岡山、香川両県のいわゆる遺跡地図に載っている部分が非常に多いわけですね。これは現在どういうぐあいに調査を進められておるのか、お伺いしたいと思います。
  69. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 本州四国連絡橋に関する調査について、その岡山県側の調査でございますが、昭和五十年度に岡山県の教育委員会公団の委託を受けまして埋蔵文化財包蔵地、いわゆる遺跡の分布調査をしたわけでございます。その結果、倉敷のインターチェンジから架橋地点までの国道の部分でございますが、これは大体二十二キロございますが、その間に三十五カ所、それから鉄道の方の予定路線、これは約十キロでございますが、その間に十二カ所の遺跡があることを確認しております。  これらの埋蔵文化財の包蔵地の取り扱いにつきましては、その遺跡の範囲の確認、それから、これを将来学術的な面に活用するための記録保存のための発掘調査を行う予定でございますが、現在までのところ、具体的に調査に入ろうとしておりますのは、倉敷インターチェンジの周辺の三カ所について、これを文化財保護法の手続を受けましてこれから発掘調査に着手する、そういうような状態でございます。
  70. 水田稔

    水田委員 香川県の方は、あの島は、櫃石から向こう全部、あれは遺跡地図に載っておる場所ですが、それはどういうぐあいにされていますか。
  71. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 香川県側につきましては、若干岡山県よりも早く、昭和四十八年度に香川県教育委員会が同じく公団の委託を受けまして分布調査を行っております。その結果、島嶼の部分で四カ所、それから坂出の部分で三カ所の遺跡を確認してございまして、昭和五十一年度から香川県教育委員会が発掘調査実施しております。五十三年度には、これまでの継続しております与島地区の遺跡の発掘調査、それから出土品の整理というようなことを実施する予定になっております。
  72. 水田稔

    水田委員 課長、先ほどの答弁で重大なことを言ったと私は思うのです。いわゆるすべてを記録保存という考えのように受け取れたわけです。  大事なことは、瀬戸内海の周辺というのは、これは日本民族を育ててきた場所ですから、たとえば鷲羽山も、あそこはたくさんやじり等が出てくる、住んでおったところですし、あるいは鉄道部分の木見のところでは遺構の存在が、いままでは地方の調査だけですが、そういう形で確認されておる。そして、この岡山県のいわゆる埋蔵文化財を調査された方々というのは、公団に対して鉄道の橋脚を少し離してもらいたい、そしてここはこのまま、いわゆる記録保存ではなくて、そのままの状態で工法を変えてもらいたい、こういう申し入れをしたわけですが、公団は金がよけいかかるからやらぬ、こう言うのです。公団はそういう姿勢でやっておる。ルート沿線ずっと見ると、ほとんどが遺跡地図に斜線でしるしが入っているところです。島なんか全部ですね。そういう中で文化庁が、重要な埋蔵遺跡については、記録保存もやむを得ない部分もあるかもしれないけれども、この部分はきちっとした姿勢で、保存するという姿勢を持ってもらわないと、あのルート沿線の埋蔵文化財というものはすべて破壊され尽くされる、私はこういう心配をしておるわけです。  それから、木見の問題については、具体的に二建と現地の調査をしたそういう学者の先生方の話の中で、学者の先生公団はけしからぬ、こういう話があったわけですから、文化庁はその点をきちっとしてもらいたい。  それからもう一つは、海底の工事をやりますと、この間もあそこで、古備前を積んだ船の沈んでおったのを金をかけて引き揚げたのですが、海底にも遺跡、遺物が出てくる可能性というのはあるわけですね。そういう場合には一体どうするのかということなども、これは公団と文化庁できちっと詰めていただかないと、工事をやる方は、めんどうくさいとすぐやってしまうわけですから、その点は文化庁の万はきちっとしていただきたいのと、公団の方に対しては、そういう場合、金が少々かかっても、重要な遺跡については、これは記録保存ではなくて、工法等の要求があれば、そういう保存のための十分な注意を払う、こういうお考えがあるかどうかお伺いしたいと思います。
  73. 横瀬庄次

    ○横瀬説明員 大変舌足らずな答弁で失礼いたしました。  道路建設等の大規模な開発事業と埋蔵文化財の保護との調整につきましては、文化財保護法の規定によりまして所要の協議をするわけでございますが、通常は、非常に多くの遺跡にかかわることもございますし、時間がかかることもございますので、そうした法律的な手続をする前に、事前事業者との間で調整を進めることにしております。  その中で、まず道路等の大規模開発事業の中にどのくらい遺跡があるかということを把握いたしまして、その中の重要な遺跡についてはできる限り路線をそこに当てないというようなこと、迂回するというような形で開発地域から除外していただくということをまずやるわけでございます。どうしてもその変更が困難な場合には、埋蔵文化財の保護のために、先生もいま御指摘になりました工法上の変更、構造の変更というようなことをお願いする。比較的重要性の薄い遺跡につきましては、発掘調査をやりましてその記録を保存する、こういうような段階岡山県教育委員会と本四橋の公団の方とで協議をする、こういう段階にあることを先ほど申しませんで、そういうことで協議をしているわけでございまして、先ほど申しましたインターチェンジ付近の三カ所についてはそういう協議ができまして、記録保存のための調査をしている、こういう段階にございます。  それから海底の遺跡につきましては、現在のところ具体的にそういうものがあるという報告は受けておりませんけれども工事中にそういう遺跡が所在することが発見された場合には、文化財保護法五十七条の六という規定がございまして、ここに遺跡の発見の際の手続が規定されております。これは事業者から通知を受けまして、必要があれば調査をする、また保存のためのいろいろな処置について文化庁と協議をしていただく、そういうような規定がございまして、そういった手続によって措置していただくことになると思います。  それから、海中に考古学的な遺物が発見されました場合には、別の規定になりますけれども、出土品の取り扱いに関する制度がございまして、これによって遺物をどういうふうに管理し保存するという手続が決められておりまして、これにのっとって遺漏のないようにしていただくということになろうと思います。  いずれにいたしましても、この地域につきましての埋蔵文化財の保護に関する岡山県教育委員会への指導は十分にしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 文化財につきまして、いまのお話のとおりでございまして、私たち、やはり沿線の文化財につきましてまず事前調査をし、さらにそれを発掘調査をする。さらにそれによって、記録にとどめるか、そのルートというか橋のスパンを変えてその部分を残すかということは、やはりその文化財を調査して、その結果、どの程度それが重要性を持っておるものか、こういうものの協議がまず先になろうかと思います。そういう協議について、私たち、文化財というものは十分尊重しなければならぬという立場で、その教育委員会を通じて十分な協議をしていきたいというふうに考えております。
  75. 水田稔

    水田委員 運輸省、来ておりますか。1政府の方では、もう年度内は過ぎましたけれども、年度内着工などのアドバルーンを上げておるわけでありますが、鉄道ルートについては、岡山から木見まで、いわゆる山陽本線からどうやっていま発表されておるルートまでつなぐのか、きょう現在まだ発表されてない。環境影響評価をするにしても、これは全ルートがきちっと決まってやるべきものだろうと思うのです。これはなぜ発表しないのか、いつ発表するのか。少なくとも着工までにはこれは発表して、それに基づく影響評価も当然すべきだと思うのです。その点はどういうことになっておるのか。  それから、時間が余りありませんのでまとめて質問いたしますが、児島の阿津というところに信号所というのがいま置かれるということになっておるわけです。これは、本四連絡橋というのは中国、四国あるいは日本全体の経済の上で大きなプラスになる、そういう評価もとにやられておるわけでありますけれども、先ほど来ずっと触れてきましたように、実際に通過するところでは学校、病院、住宅等もあり、大気汚染なり騒音振動その他大変なマイナスを受けるわけです。それからその地域に、全体的なプラスと同時に地域住民に対するプラスもなければ、地域住民に理解を求めてもだめなわけです。これは明治以来のこの地域住民の念願でありますが、これは当然駅にしなければ利用の点からいっても意味がないところです。これはなぜ駅ということが言えないのか。手続上の問題はあるとは思うのですが、少なくとも着工までに児島駅ということで、手続上どうなのか知りませんけれども、少なくとも運輸省の最高責任者でもこれは駅ということでやりますという約束がなければ、先ごろ来ずっと住民から意見が出ておる、それは全体を総合的に判断をして住民が賛成、反対ということになるわけですから、その点で駅ということを明らかにすべきではないか、この点を質問したいと思います。  それからもう一つは、これは海上交通の関係になりますが、あれだけの橋がかかれば当然レーダーにゴーストウェーブが生じて、とにかくよほど熟練した者でも見誤るようなところ、しかも航路を二つに分断して、南航路と北航路に分け、しかもその真ん中に橋脚が立ち、そして水島分岐航路から水島へ大型船舶が入るところですから、そういう点では、普通の外洋とは全く違う状態の中でゴーストウエーブが起こるということは、海上交通に従事しておる者にとっても、衝突すれば責任を問われるわけでありますし、またもう一つは、そういう場合大型タンカー等から油の流出というのは、三菱石油の被害を受けた地域ですからきわめてみんな心配しているわけです。その点についての対策はどのようにできておるのか、その点、運輸省にお伺いしたいと思います。
  76. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 三つ御質問がございましたが、初めの二つにつきまして、鉄道関係でございますので、御説明いたします。  児島・坂出ルートの鉄道につきましては、御指摘のとおり、倉敷市木見から香川県宇多津町間の基本計画が決定されておりまして、木見以北につきましては、いまだ鉄道計画決定されておりません。この部分につきまして、地元から早期決定の要望がございますが、全体の需要等との関係で、いわゆるルートとそれに伴います設備関係のこともございまして、もう少し検討を加えたいというふうに考えておりまして、全体の工程との関係を考慮いたしまして、今後とも十分検討していきたいというふうに考えております。  それから二番目の児島の信号所でございますが、これは工事実施計画において、信号所ということでやっております。今後公団と、工事実施計画の変更ということが上申されれば御相談してまいりたいというふうに考えております。
  77. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 まず最初のレーダー偽像の問題でございますが、レーダー偽像につきましては、周囲の自然条件あるいは地理的条件あるいはレーダー操作によりまして、果たして南北備讃瀬戸大橋に偽像が発生するかどうか定かでございませんけれども、もしもそのような事態が発生しました場合におきましては、本州四国連絡橋公団に対しまして、レーダー偽像の発生の抑制、あるいは偽像の実態を十分調査しまして周知徹底を図るということを命じますとともに、当庁におきましても周知徹底を行う、あるいは必要に応じまして巡視船艇を出しまして警戒等を行う等の措置を講じたいというふうに考えておる次第でございます。  次に、海洋汚染の防止でございますが、これにつきましては、現在、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律という法律に基づきまして所要の規制を行っておるところでございます。本州四国連絡橋公団工事に当たりましても、工事に従事する船、作業船からの汚染を防止するために、関係機関と密接な連絡をとりましてこの防止に努めるとともに、本四公団に対しましてもそういうことがないように指導してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  78. 水田稔

    水田委員 一つは、ルートの問題については木見から坂出まで、しかも向こうは予讃本線まできちっと通じておるわけですね。一番本州から行くところがいつまでたっても決まらぬ。それで私は、何が最初通るのか、最初から電化されるのかディーゼルが走るのかわかりませんが、電化されたものなら心配ないけれども、ディーゼルならその沿線についても影響評価をやらなければならぬ。だから、着工までにこのルートを明らかにして、開通したときには、当初はディーゼルでいくのならそれに対する評価を、私は欠けておると思うのですよ、そういう意味でもうこれまでに発表しておかなければならぬ。いまの答弁では全く答弁になっておらぬと思うのです。  それから、駅の問題については、これは路線決定、それから駅の決定というのは、いろいろ鉄道の中の手続上の問題でまだ駅ということになってないということをわれわれいままで聞いてきたわけですね。いまの答弁なら、公団が出せば直ちにでも決まるわけですか。地域住民はこれだけマイナスのいろんな条件を覆いかぶされながら、たとえば鉄道が通って駅ができるじゃないか、明治以来の念願が実現するじゃないかということで少しはしんぼうしようという気持ちが、信号所ではだれも納得しませんよ。私が言うのは、公団から出せばすぐにでも、一カ月の後には決まるというなら、公団はなぜしないのか。それが手続上むずかしいのだというならそれも言ってもらうし、手続上は先になるとしても、もう着工は間近に迫っておるというなら、あの地域住民に対して、運輸省としては、大臣なら大臣がこれは責任を持って、児島の信号所というのはいまの計画でそうなっておりますが、駅にします。そういう答弁をしてもらわないとあの地域住民は承知しない、そういうことを申し上げておるのですから、その点を答えていただきたいと思います。  それからもう一つ、海上交通の汚染の問題、ああいうことはそれほど聞こうとは思わなかったのですが、ゴーストウェーブの問題については、できてみなければわからぬというばかげた話はないので、現に島があればどういうあれが出ておるかというのは、いまレーダーを使っておる者はみんな知っておるわけです。その中で、あれだけの巨大な構築物ができれば、乱反射して向こうへ行ってどこか変なところに位置が出るというのをみんな心配しておるわけです。これを心配ないようにする責任は、官庁としてはどこが持っているのですか。公団が幾ら指導したところで、あれはどんなペンキを塗っても、鉄でつくった橋が電波を反射しないようなことにはならぬわけですから、乱反射することは間違いないわけです。そのためにレーダーを見誤って、事故が起きて油が流れた場合はだれが責任を持つのですか。そういう点で、たとえば心配ないようにするにはどうしたらいいかというのは、どなたか検討されておるのか、そこらを聞かしていただきたいと思います。
  79. 岩橋洋一

    ○岩橋説明員 最初の御質問の、まず本四備讃ルートにつきましては、鉄道は現在まで決めております木見−宇多津町間の基本計画で電化となっております。したがいまして、今後木見以北を決定する場合も、これは当然電化になるというふうに申し上げてよろしいかと思います。  次に、信号所の問題、先ほどちょっと舌足らずであったかもしれませんが、工事実施計画に応じて決めるということを申し上げたので、公団から出てまいりましてから検討いたしたいと申し上げたつもりでございます。
  80. 渡辺純一郎

    ○渡辺説明員 レーダーの偽像につきましては、現在、海域によりまして各種の橋がかかっておるわけでございますが、橋梁によりましては、レーダーの実像はもちろん出るわけでございますけれども、偽像が出ます橋とそれから偽像が出ないような環境にあります橋というものがございまして、その点を先ほど申し上げたわけでございまして、この備讃の大橋につきまして果たしてどういうことになるのかについては、まだ調査はなされておらないわけでございます。しからば、偽像が発生した場合の諸対策についてだれが責任を負うかということでございますけれども、現在、私どもといたしましては、本州四国連絡橋公団に対しまして偽像発生の抑制対策については検討を指示しておりまして、本州四国連絡橋公団におきましても、有識者を集めまして検討を行っておるところでございます。
  81. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 レーダーにつきましては、いろいろ私たちの方でいま研究をしておりまして、まずこの対策として偽像が出ないようにする。御承知のように、レーダーは電波を出して、橋に当たってそれが返ってくる、橋ははっきりわかるわけですが、その橋に当たった電波が別のところに当たって、さらにまた橋に当たって返ってくる、それで橋の向こうに偽像が出るということ。この対策といたしまして、電波を少し弱くするような、電波の吸収剤というようなものを大三島でもこれから実験しようとしております。これにつきましては、いろいろ専門の先生意見を聞きまして電波吸収剤の研究をしております。これも、電波の波長によって吸収剤の塗料がかなり精密な厚さがないと目的は達せないということもございまして、その厚さが果たして施工上つくれるかどうか、さらに耐久性があるかどうか、そういうこともありまして、単に塗料を塗れば、厚ければ厚いほどいいというものでもございませんので、その辺もあわせまして実験をしておる次第でございます。  さらにもう一つの方法は、偽像が出た場合にどうするか、それを周知徹底させる方法と、さらに、そこを視界不良時に通る船舶に対してどういうような航行の安全の施設が考えられるか、こういうものもあわせていま研究しておる次第でございます。備讃につきましても、あそこは瀬戸内海の主航路であることも考えまして、単に航行安全施設ということだけではなくて、将来、航行の管制というようなことも当然必要になるかと思います。そういうものをあわせまして、いま海上保安庁を入れましていろいろ研究を続けておる次第でございます。  駅につきましては、御承知のように、現在のところ、私たちのもらっておる基本計画は木見でとまっておりまして、どっちにしても私の方は茶屋町まではどうしてもつけなければ現在の在来線につながらないということもございます。それで、児島の信号所につきましては、いま信号所になっておりますが、私たちこれは当然駅ができるということで、いろいろな設計、それからその周辺も区画整理その他を考えておりますので、これは当然駅ができると思っております。  もう一つは、そのほかに、茶屋町までもしか行くと、その間でいろいろ駅の設置の要望が出ております。こういう要望は、私たちの方だけで実施計画の申請を出して承認されるというものでもございませんので、そういう途中の駅をつくるとなると、国鉄が将来営業するにしても、どれくらいの乗客があるか、駅の構造はどのくらいが適当であるかということもございますので、そういうふうなある程度の時間を置かないとその辺ははっきり詰められないということもございまして、運輸省によく指導をお願いしておる次第でございます。
  82. 水田稔

    水田委員 駅ができると言うて人ごとみたいに言われるのですが、地域住民から言えば、あそこへ駅をしないならこのルートは要らぬ、どこかよそを通ってもらっていい。そのことに対して答えることを公団なり運輸省にしてもらいたい、あのルートを通すのなら。もう一遍答えてください。
  83. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪参考人 私たちの方は基本計画実施計画を承認されて仕事をしておりまして、いまの時点でここは駅ができると公団がはっきり明言することはできないわけでございます。ただ、私たちの考えとして、いま言いましたように、当然あそこには駅ができるということですべての設計がされておるということで御理解願いたいと思います。
  84. 水田稔

    水田委員 時間がありませんが、私が先ほど来申し上げましたように、このことは、この工事を進める上できわめて重要な問題ですから、あの一番被害を受ける地域住民に対して公団なり運輸省が何もしないということで、利便を十分考えた駅というのをしないということなら、いま反対はだれもいたしておりません、環境をきちっとしてもらいたい、こういう意見ですが、こんなものはもうここには要りません、こういう話になりますから、そのことを申し上げて、できるだけ早急に駅の問題とルートの問題については明らかにしてもらいたいという要望をしておきます。  時間がありませんが、建設省おいでになっておりますか。——建設省本四連絡橋の問題の主管官庁といいますか窓口になってやっていただいておるのですが、着工までにやらなければならぬことで、私どもが知っておることで三つほどあるわけです。たとえば海員組合との間で雇用保障の問題、それから旅客船協会との補償の問題、さらに総評との雇用の問題、これらは、着工の時期をだんだん延ばしてきたわけですが、この岡山−香川のルートについては着工までにどうしても決着をつけなければならぬ、こういうことで、それぞれの団体から強く要求されてきた問題だと思うのです。大変大きな変化が起こるわけでありますから、こういったそれぞれの団体が要求するのは当然なことでありますが、これらがどの程度のところで決着がつくのか、あるいはどういうぐあいに進んでおるのか、もう時間がありませんからきわめて簡単で結構でありますが、御答弁いただきたいと思います。
  85. 加藤優

    ○加藤説明員 御指摘の旅客船事業者及び全日海の海員組合の方々は政府に対策協をつくり、その付置機関としての懇談会をつくりまして、学識経験者が入り、関係者も入った懇談会というものをいままで十回やりました。それで、およそ学識経験者だけから成る起草の小委員会を一回、今月十四日には第二回目をやることになっております。その小委員会のたたき台ができますれば、個別に関係者の意見——懇談会で従来ずっと対立したような意見が出てきておるものですから、個別に協会なりあるいは海員組合の方々を呼んで、あるいはまた政府のしかるべきところを呼んでたたき台を検討する。そうすると、五月の連休明けくらいに早ければたたき台ができまして、その後二、三回そういう懇談会が開かれる。それで、これは両論併記になるのか、あるいは一本化されるか、私どもは一本化されることを願っていま進めておりますが、そういう段階で政府の対策協の方に上げていきます。いま熟度を申し上げておるのですが、そういう形になっています。  それからもう一点、お話しになりました総評関係でございますが、これは御案内のとおり、たとえば全港湾とか全交通の関係とか、そういう単産関係がございますが、影響が出そうなのは港湾労働が大きいだろうということと、それから島内交通、たとえばバスにどう影響があるかというようなことから交通関係、もう一つは国鉄関連、宇高連絡の関係がございますが、この三小委員会、実は総評関係では雇用・労災と環境と交通という三つの分科会を従来持ってそれぞれやってきておりますが、その雇用の中の委員会として、また、たまたま同じなんですが、先ほど申し上げた三つの小委員会を設けて、さしずめ全港湾を焦点にして実態調査なり将来推計なりをやって、どういう影響があるかということを進めようとしておる段階であります。  いずれにしましても、先ほど話しました旅客船協会なり全日海の方にも、実は因島のときに、次期橋梁着工までには何らかの、全部じゃなくても大綱程度はお示しして御了解を得た上で着工しますというふうに言っております。それから、総評関係も同じく、全部の対策は直ちには無理かもわかりませんが、着工までには準じたような形で何らかの御了解を得るような形で進めたいというふうに私ども言明しております。そういうことでございます。
  86. 水田稔

    水田委員 時間が参りましたので最後に、長官と総裁にお伺いしておきたいのでありますが、論議を聞いていただきまして、最初に出された評価書案では不十分なところが大変たくさんあるし、法律的にいいますと国立公園の自然環境保全審議会のいわゆるそういったことでしか環境庁が最終決定権を持つものはない。あとは指針に基づいてどれだけ公団環境庁意見を聞き入れるか。そのことはルート沿線の住民の健康にきわめて重大な影響がありますし、住民もきわめて関心を持っておるわけでありますから、県なり市なりあるいは住民から出された、環境庁から出した意見というのが公団の最終的な評価書の中に盛り込まれるように、長官としてどういう決意で臨まれるのか、そのことをお伺いしたい。  それから総裁には、そういった作業が大体いつの時点ぐらいに終わるのかという点。この二点をお伺いしておきたいと思います。
  87. 山田久就

    ○山田国務大臣 先ほどからいろいろ御指摘がありました、われわれ環境庁の任務といたしましては、環境基本的な基準、指針、これは特に健康問題については非常に重視しているところでございます。したがいまして、この基準等に向かって、今後最終的にはその目的達成ということについて、われわれは十分な注意と努力をもって臨んでいきたい、こう考えている次第でございます。
  88. 尾之内由紀夫

    ○尾之内参考人 大変内容膨大な御意見が出ておりますので、ただいま整理いたしておりますが、環境庁を初め関係官庁、県、市、先ほど申し上げましたようないろいろな関係方面との調整をして、できるだけ早くまとめたいと思っております。できれば今月中と思っておりますが、若干そういうような対応もございますので、遅くとも連休明けまでにはつくりたい、かように考えております。
  89. 水田稔

    水田委員 終わります。
  90. 久保等

  91. 兒玉末男

    兒玉委員 時間の制約がございますので、簡潔に御答弁願います。  まず第一点は、第三次全国総合計画の中で志布志湾の開発関係する新大隅開発計画についてお伺いします。  御承知のとおり、これは一千万キロリットルの世界最大のCTSの設置、日産三十万バレルという石油精製工場を含んだ大プロジェクト開発であります。しかも志布志湾の全長十六キロのうち十二キロについて沖合い二キロまで千百六十ヘクタールの造成であります。実はこの第二次案について、鹿児島県側が、環境アセスメントを去る二月二十日に公表をいたしました。これについては、NO2以外はすべてが基準に該当するということで、マスコミの報道では、あたかももう開発オーケーなんだという意味のことが述べられておりますが、私ら宮崎県側はこれによって完全に公害をこうむるわけであります。  まず、この鹿児島県が発表しましたアセスメントについて、環境庁はこれに対する指導なりこの基準策定についてはどういう関係にあったのか、環境庁の見解を承りたいと思います。
  92. 信澤清

    信澤政府委員 今回、鹿児島県が行いましたいわゆるアセスメントでございますが、これは県自身が申しておりますように、計画の作成をする主体である県が独自の立場でやるものだ、こういうふうに私どもも理解しておるわけでございます。したがいまして、一つ一つの項目等についてどのように調査をするか等々のことについては一切相談を受けておりません。
  93. 兒玉末男

    兒玉委員 局長にお伺いしますが、このような重大な問題について、恐らく新聞報道を通して一般住民に、あたかもこれをやったことでもう免罪符だという印象を与える事実は何人も否定できないと思うのです。こういうようなアセスメントを行うに当たっては、当然、開発主体は環境庁等のすべての基準に照らして、その指揮監督を受けながらやるのが正しい行き方ではないか。とするならば、これから開発に至るまでの手順は、環境庁としては一体どういうふうな手順を踏むことをしなければいけないのか、それについての見解を承りたい。
  94. 信澤清

    信澤政府委員 いわゆる第二次案そのものについても私どもは相談を受けてはおらないわけでございます。したがって、いま申したアセスメントについても相談を受けていない、こう申し上げたわけでございます。内容的にはいろいろ私どもも承知をいたしております。また、それについての意見もございます。しかし、いまお話しのように政府としてというか環境庁としてどう取り組むかという問題になりますれば、これは三全総の中にも一応候補地としては名前が挙がっておるわけでございますが、必ずしも志布志地区でもって開発をやるということを決めているわけではございません。したがって、そういう県の案が政府に出てまいりまして、そして政府としてこれをどう扱うかという時点で改めて環境影響評価をやってもらう、こういう考え方でございます。
  95. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの答弁は大事な答弁ですが、結局、具体的に開発行為に入る場合は、当然、環境庁としては環境庁独自の立場から、この一千百六十ヘクタールという膨大な埋め立てと一千万キロリットルの備蓄、三十万バレルの石油精製が与える影響がきわめて重大であることは十分御認識だと思うのですが、その開発の許可をする場合は環境庁としていわゆる独自の環境調査をするというふうに理解していいのかどうか。
  96. 信澤清

    信澤政府委員 そのようにお受け取りいただいて結構でございます。
  97. 兒玉末男

    兒玉委員 この際、長官に御確認したいと思うのですが、この問題は、特に環境が与える負荷配分について、たとえば排気ガスなりあるいは海流調節の結果、宮崎県側の漁民なり自然破壊に対するところの影響が非常に重大であるということが新聞でも報道され、また宮崎県側としても、一方的な鹿児島県側の発表については厳しい批判の目を持っているわけであります。少なくとも問題として指摘をされる点は、これからの開発に伴いまして、第一点は漁業に関する問題、第二点はいわゆる大気や水質の規制など環境管理体制についての基本的問題、さらに、先般も志布志湾でタンカーが沈没をしまして大変な被害を起こしておりまするが、流出油等の事故対策、さらに自然破壊に伴うところの、これは国定公園でございますが、国定公園に関する問題、こういう四つの問題が今後の重要課題として提起をされることは火を見るよりも明らかであります。とするならば、宙崎県側のこの負荷配分に関連するところの環境調査ということも当然なされなければ、総体的な開発行為は許可すべきではない、こういうふうに私は理解をするわけでございますが、この際長官の見解を承っておきたいと思います。
  98. 山田久就

    ○山田国務大臣 本開発について当然環境上要請されるべき点、このことについては、われわれのとっている立場は先ほど局長から申し上げたとおりでございまして、そういう点が守られて、そして初めて開発というものが行われる、そういうふうにわれわれは考えております。
  99. 兒玉末男

    兒玉委員 ちょっと局長にお伺いしますけれども、宮崎県側といたしましても、鹿児島県が行いました環境基準調査だけでは、住民を説得することもできないし、一たん開発行為がオーケーとなれば、その後発生する諸問題についてはチェックできない、こういう点で、宮崎県自体としても独自の立場で環境基準等の調査をするということを県知事も言明しているわけですが、私はこの際、特に御要望したいことは、環境庁としても、県のこのようなアセスメント調査行為については、積極的な御指導と御協力をいただければ大変正確な結果が出るのじゃないかというように考えるわけでございますが、局長の見解を承りたいと思います。
  100. 信澤清

    信澤政府委員 宮崎県としてこの問題についていろいろ御意見があることは、私どもも十分承知をいたしております。先ほどお挙げになりました四項目、両県でさらに確認すべき事項であることも承知しているつもりでございます。  そこで、宮崎県が環境影響評価をやる場合に、環境庁としてできる限り協力しろということでございますが、御相談を受ければ私どもいつでもいろいろな御意見を申し上げ、また過去にありました先例等もお示しすることにやぶさかではございません。
  101. 兒玉末男

    兒玉委員 先般、長官のところに、県内の反対同盟や漁業関係者、鹿児島、宮崎県を含めて要請があり、長官としても現地の事情は十分理解をされていると思うのですが、こういう開発行為は、何といいましても住民側の同意ということがきわめて重要な要素ではないか、こういうふうに理解するわけですが、それにしましても、現に県南関係の各議会は全部反対の決議をいたしております。その場合、環境庁としては、この反対決議というものの価値をどの程度まで理解をされるのか、これは非常にむずかしい問題でございますが、やはり私は、このような地方議会なり機関の同意がなければ、鹿児島県側だけの発想でそういう行為が許可されるべきではない、こういうふうに理解をするのですが、長官、どのようにお考えでございますか。
  102. 山田久就

    ○山田国務大臣 いろいろそのような陳情を私よく承りました。それぞれについてのそういう陳情のような点、われわれは冷静によく評価いたしまして、十分最後の結論にそのことを加味してこれを行いたいと考えております。
  103. 兒玉末男

    兒玉委員 調整局長にお伺いしますけれども、今度の新大隅開発というのは、開発する行為そのものは鹿児島県、ところが海流あるいは気象状況等から、もろに被害をこうむるのは宮崎県側、こういうように特異なケースだと思うのですね。その場合に、いま長官も答弁されましたが、今後の環境評価基準の策定に当たっては、局長も県側の要請があれば十分応じるということを答弁されましたが、今後の調査過程において、鹿児島県側がいままで行ったところの環境調査の結果と、今後宮崎県側が行う場合の調査結果において著しい相違があった場合、この場合においてはどのような措置をするのか、その点、技術的な問題としてお伺いしたいと思います。
  104. 信澤清

    信澤政府委員 私どもは、計画を政府として認めるか認めないか、まだ態度を決めていないわけでございます。したがって、先ほど私が申し上げましたのは、態度を決める必要が生じたときに改めて環境影響評価をやってもらうつもりだ、こういうことを申し上げたわけでございます。その際、宮崎に対するいわゆるもらい公害というものが問題になるわけでございまして、やはり宮崎側を含めた全体的な調査をやるべきだ、このように考えております。  特に、今回の調査を見ますと、そもそも県の計画の中にございます内陸部についての環境影響評価は全然やっておりませんから、したがって、計画としてこれを認めるという場合には、鹿児島県内の内陸部の環境影響評価、それから宮崎側に対する影響というものは当然調べるということになるわけでございます。
  105. 兒玉末男

    兒玉委員 環境庁長官にお伺いしますが、いま局長の御答弁を聞いておりますと、環境庁としては、そういう開発行為が認められるという前提も全くなければ、またその内容についても、内陸部の調査も全くしていない、きわめて不十分なものだというような理解でありますけれども、現実に私は、鹿児島県側の開発への意欲は並み並みならぬ点があろうかと思っているわけです。その点から考えますならば、この開発行為の着工がそう遠い将来ではないというように私は理解をするわけでございますが、知らない、わからないということだけでは、この問題の処理は完全なものではないのじゃないかというように理解するわけですが、その辺の政治的な諸情勢ということについて環境庁長官としてはどのように理解をされますか、お伺いしたいと思います。
  106. 山田久就

    ○山田国務大臣 鹿児島県としてもいろいろな点について相当な意欲と熱意を持っておる、そういうような点も間接ながら承知いたしております。また、これについてのいろいろ消極的な意見、あるいは宮崎県側のいろいろな意見というものもございます。われわれといたしましては、基本的にはこのものの提出を待って、それについてきちっとしたわれわれの意見を伝える、そういう立場にありまするけれども、にもかかわらず、この間において事前にいろいろな意味での措置を要する点等があれば、また政治的な立場からそういう点についての措置は講ずる、またそういうことも考慮に入れておるつもりでございます。
  107. 兒玉末男

    兒玉委員 これは多少技術的な問題でございますが、予測評価の中で、たとえばSO2、二酸化硫黄ですね。COD、化学的酸素要求量、これは河川等の関係ですね。これらは技術的に測定の結果が的確に把握できるけれども、大気中のオキシダント、NO2、それから水質の窒素、燐、こういうもの等は、特に大気、水質ということは生活環境にも重要な問題があるわけですが、こういう予測技術についてはまだ科学的にも十分な予測体制ができないというふうに報道されているわけですが、その辺について、特に環境庁はどういうふうな対応策をとられるようにされているのか、その辺の見解を承りたいと存じます。
  108. 信澤清

    信澤政府委員 環境汚染をもたらす物質、原因等はいろいろあるわけでございますが、その中で、いまお話しのような予測や評価について、学問の上でもあるいは実際の技術の上でもかなり進んでいるものと、ややおくれているものとあることは御指摘のとおりでございます。しかし、私どもは、ではすべてのそういう技術なり手法が確立しなければ環境影響評価ができないのか、またやらないのかと言われれば、やはり現時点で最もいいと言われる手法によってともかく予測、評価をすべきではないか、その意味ではそういうことを前提にしたような制度をぜひつくりたいということを申しておるわけでございまして、この制度に対する御批判の中には、これは揚げ足を取って恐縮でございますが、先生のような技術的な面にまだ不十分な点があるので待ったらいいじゃないかという御意見もあるわけでございますが、私どもはやはり現状でなし得る最大の努力をして、そして予測、評価を行うべきだ、このように考えておるわけでございます。
  109. 兒玉末男

    兒玉委員 これは要望でありますが、いま局長が答弁されたように、高度経済成長がもたらしたところのいわゆる産業公害の発生ということで多くの地域住民被害を受けておることを十分理解されまして、今後対応には万全を期していただきたいというふうに強く要望申し上げます。  次に申し上げたいことは、現在新聞等でも大変問題になっておりますところの、過去二回にわたり日の目を見なかったところのいわゆる環境アセスメント法案についてでございますが、今度の国会に出される予定なのかどうか。聞くところによりますと、通産省なり建設省事業主体側の省庁の方で大変抵抗が強いというふうに報道されているわけでございますが、この提出について環境庁としてはどういうふうな態度でおるのかお伺いしたいと思います。
  110. 信澤清

    信澤政府委員 私どもといたしましては、ぜひこの国会に御提案し御審議をいただきたいと考えておるわけでございます。ただいま事務レベルの折衝の最終段階というふうに御理解いただきたいと思います。
  111. 兒玉末男

    兒玉委員 今月初めの新聞報道によりますと、特に通産省が粘っておってなかなか提案できない。それから非常に私が問題として指摘したい点は、とにかく公害から国民の生命、財産を守るという点においても、環境アセスメントの最も基本的な問題点は、やはり環境への影響予測評価を通じてその内容の住民への公開、あるいは公聴会などによるところの住民の参加、この三つの原則が当然確保されなければ、せっかくの予測調査というものも、事業実施する過程においていわゆる住民側の環境破壊住民の生命、財産を守る、こういうチェックが不可能になるというふうに理解するわけでございます。聞くところによると、公聴会開催規定というものが削除されているということ、それから大規模開発を対象から除外していること、さらに環境影響評価準備書に対する環境庁長官意見は主務大臣に対して述べるだけにとどめ、直接的に事業者に対しては環境庁長官意見が反映をされないということ、それから第四点は二十八条の規定でございますが、地方公共団体等は当然環境基準に関連しまして条例を制定しながら、きめの細かいチェックができるような方法がもとの要綱では残されておったやに聞くわけですが、今回の修正ではこのチェックも、いわゆる環境庁の行うこの基準以上のものを上乗せすることは実質的にできない、こういうことが実は報道されているわけでございます。中でもこの一、二、三はきわめて重要な問題であり、これが骨抜きにされますと、もう事前評価意味というものが、大半がなくなってしまうのではないかと思うのですが、これについてひとつ見解を承りたいと思います。
  112. 信澤清

    信澤政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいま各省と事務折衝中でございますが、どの役所も環境影響評価をやらなければならぬ、その必要性については否定するところはございません。  問題は、それを制度化するに当たって、いろいろ対象の事業の態様があるわけでございますので、そういう異なった態様を持っている事業に共通するような制度をつくる場合に起きてくるもろもろの問題点についていろいろ御意見がある、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。  なおまた、私どもが現在各省とお話をいたしております案について公表いたしたことはございません。一部の新聞等で報道されておりますが、決してその報道が誤りであるということを申すわけではございませんが、公表いたしておるわけではございませんで、さような意味から申しまして、現在、先ほどお話しになりました公聴会の規定を削るとか、あるいは大規模開発に関するアセスメントを削除するとかいうことを最終的に決めたわけではございません。ただ、いろいろ、法律技術的な面からなかなか法律の規定にはなじまない、こういうものも幾つかあるわけでございまして、こういう点については、内閣法制局を中心に、法技術的な面からの御審査をこれから受けることになるわけでございます。  それから、環境庁長官が主務大臣に対して意見を言うというのは、これは現在でも公有水面埋立法で、埋め立て免許について運輸大臣なりあるいは建設大臣が認可をするという規定がございますが、その際、環境保全上の問題については環境庁長官意見を聞いてこられます。したがって私どもは、いま申し上げた運輸大臣なり建設大臣に意見を申し上げる、こういうたてまえをとってきておるわけでございます。そういうようなことで、いわば政府としての一体的な意見が出るということの方がこの種の問題を処理するに適当ではないかという考え方で、お話のような線で案をまとめつつあることは事実でございます。  なお、条例の問題は、これはいろいろな考え方がございます。いずれにいたしましても、基本的には地方自治法で、法令に違反しない限りは条例をつくれるわけでございますから、その自治法の原則を曲げるようなことは、いずれにせよいたす気持ちはございません。
  113. 兒玉末男

    兒玉委員 環境庁長官、時間がないそうでございますが、最後に要望を含めてお聞きしたいのです。  いま局長は、この三本の柱の点については否定とも肯定ともどっちか判断つかないような御答弁でしたが、少なくとも、戦後の高度経済成長の中で多くの産業公害が発生して、またスモン病等に見られたり水俣病に見られるような悲惨な現実があるわけでございます。とするならば、こういうような悲惨な状態を再び繰り返してはいけないという点から考えますならば——もちろん私は、工業の発展ということは国民経済の上においては重要な位置づけは理解したとしても、工業の発展は最優先で地域住民環境はどうでもいいというふうに理解されるべき問題ではない。とするならば、申し上げました公聴会開催規定の問題、あるいは大規模開発への評価等の調査の問題、あるいは環境庁長官のいわゆる評価準備書に対するところの見解というものが、中間においてこれが薄められて、その意見が企業主側に十分理解されない、こういうことでは、せっかくの環境アセスメント法案の持つ意義というものが抹殺されるというように理解しますので、これに対して最後に長官の毅然たる御所見をひとつ承りまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  114. 山田久就

    ○山田国務大臣 われわれの立場としては、つまり環境庁に課せられた、公害からわれわれを守る、そしてまた自然環境の保全をやっていくという基本的な任務というものが、その意味のないようなことにやろうなんという考えは全くございません。したがって、いまいろいろ伝えられるような点については、その目的を達成する上において、たとえばそれぞれの企業の特徴というようなものから、またそういうそれぞれの立場からの要請というものとどういうように調和しながらやっていくような案があり得るか、またこの住民の、いま公聴会のお話がございましたけれども、要はその公聴会という形にして、そして本来の意見というものを本当に十分やるような形、そういうものはどういうものであり得るか、あるいは本当に意見を言うというものが、たとえば日本のような状況ではこういうような形に持っていったのが一番そういう意味での趣旨に沿うものじゃないかというような案、そういうものがどうあり得るかというようなことを検討しているということであって、われわれの責任と任務というものは十分それが通るような形でそしてアセスメントを考えていく。それが通らないのだったら、われわれは残念ながらこれを出すということをあるいは再考せざるを得ないというぐあいに考えてこの問題については対処したい、こう思っております。
  115. 久保等

    久保委員長 この際、午後二時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  116. 久保等

    久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。草川昭三君。
  117. 草川昭三

    草川委員 きょうは、お許しを得ましてたばこの問題を取り上げさせていただきたいと思うわけでございますが、いわゆるたばこを吸わない非喫煙者に及ぼす喫煙の影響、さらに環境問題ということについて、長官にまず御質問をしたいと思うわけでございます。  いままでたばこというのは、社会的に容認をされた嗜好品として取り扱われてきておるわけでございますが、たばこと健康との関係は、主として個人衛生の問題として考えられてきたと思うのです。これは社会労働委員会の問題でもあり厚生省の問題になってくるわけでございますけれども、一般には喫煙の有害作用、特に紙巻きたばこの喫煙が肺がんの発生に大きな役割りを果たす、あるいは心疾患等に影響があるという個人的な問題ばかりではなくて、個人衛生の範疇を超えて、喫煙が当人のみならず周辺の人々にも少なからぬ有害作用を及ぼしてきている、こういうことは黙っていられないではないだろうかというので嫌煙権の確立という新しい運動が盛り上がってきておると思うのです。WHOのいろいろな何回かの勧告があるわけでございますけれども、この中にも受動的な喫煙という言葉がございます。本人が吸うのではないけれども一つの部屋でたまたま隣にいた人がたばこを吸うためにいやおうなしに汚れた空気を吸わざるを得ない、そのために、特に子供さんだとか妊産婦の方々だとかあるいは心臓疾患の患者等の方々にも大変な害を与える、こういうことを注意をしなさいというWHOの勧告もあるわけでございます。いままでどちらかというと、たばこを吸わない人というのは吸っている人に対してやめてもらいたいと言うことを遠慮せざるを得ないということが非常にあったわけでございますが、ひとつこの際きれいな空気を私どもにも吸わせてもらいたいという嫌煙権の問題が出てきたわけでございます。私、長官がたばこを吸われるか吸われないか知りませんし、そういう個人的なことを聞いて恐縮でございますが、嫌煙権の問題についてどのようなお考え方を持っていらっしゃるか、まず長官からお話をお伺いしたいと思うわけでございます。
  118. 山田久就

    ○山田国務大臣 いまお尋ねでございますが、私も長い外交官生活をやっていて、しかもどちらかといえばそういう意味ではヘビースモーカーだったと思うのです。しかし、ちょうどソ連の大使の時分にいろいろ感ずるところがあってこれをすっぱりやめました。私は、いろいろなことがあると思うけれども、たばこだけはいまでもやめてよかったなと感じていることの一つです。  やめてみて気がつくというわけでもないのですけれども日本でのたばこを吸う習慣というかそういうものを見てみますと、全部というわけじゃないけれども、どちらかというと、やはりいま御指摘になったように、あたりに対しての迷惑ということについて少し鈍感なところがあるのじゃないかと思われます。たとえば外国の場合ですと、みんなが一緒に乗る汽車とか、そういうようなところでも、ぼっといきなりたばこを出して吸うのではなくて、自分はたばこを吸いたいけれども、のんで差し支えないか、あるいはメイ・アイ・スモークと言うことがきわめてあたりまえのエチケットになっているけれども日本では恐らくほとんどこれが守られていないということじゃないか、こう思うのです。この吸ってもいいかという、たった一言ではありますけれども、この一言を言う心、そのことがどれだけ一つ環境というものをよくすることにつながるか、いつもそういうことを感じさせられておったところであります。  いわゆる嫌煙運動ですが、これを進めている方々のいろいろな考えというものを新聞などで拝見していると、必ずしもたばこをのむなと意見しているのではない、たばこを吸うなら他人に迷惑をかけないようなやり方にしてほしいという、いわゆるノースモーカーの立場をとっておらぬので、ごく自然な願望であるというふうに感じておりますし、その言い分は常識的でもあるしまた説得力もある話だ、こういう立場に立って、私もこれについては非常に同感を持っております。  この問題は、単にいま御指摘になったような保健上の問題にとどまらず、今日わが国に欠けているところの社会生活の基礎である、少なくとも他人に迷惑をかけないように非常に気を払うというようなマナー及びエチケットの問題としては、これは再認識される必要がある。ある意味では、どれだけ他人のことを思うそういう考え方を持つかということは、いわば精神年齢の成熟度をはかるバロメーターであるなどというふうに外国で、イギリスなんかでもそんなことが言われておりますけれども、確かにそういう点で、これは貴重なテーマとして、私自身としても非常に関心を持っておる問題でございます。
  119. 草川昭三

    草川委員 いま長官の方から、たばこをやめてこれだけはよかったという個人的な見解、そして同時に、諸外国のいわゆるエチケットというのですか道徳というものを基盤にして大変興味を持ち、この嫌煙権について理解をする、こういう立場の御答弁があったわけでございますが、私どももそういう点では非常に同感でございます。私もこれで二十数年間たばこをやめておるわけでございますけれども、いままで受動的な喫煙、嫌煙という立場からの問題提起ということについては非常に欠けておったのではないだろうかという気がいたしまして、少しいまから具体的な問題を引き出しながら質問をさせていただきたいのです。  厚生省の方にお伺いをいたしますが、WHOは一九六六年あるいは七五年、七六年と喫煙とその健康に及ぼす影響についていろいろな訴えをしておるわけでございますが、一体わが国のどこへまずこのWHOの勧告が来て、そしてたとえば公共の駅とか病院、集会所、図書館、あるいは法律をつくる国会議員に対しても、もっと真剣にこの問題を取り上げよという勧告があるわけですが、それは一体どこの省がやられて、どういう立場でどのようにやっておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  120. 金田伸二

    ○金田説明員 WHOに対する日本政府の正式の窓口は外務省ということになるのかと思いますけれども、WHOで討議されます内容は主として保健衛生に係る問題が取り上げられるというようなことで、実務上、便宜、厚生省の国際課におきまして外務省に協力する形で、窓口としてWHOの案件を処理しておるわけでございます。  通常、WHOで決議が採択されますと、WHOの事務局長から政府あてに通知が参ります。私どもでは、その通知を受けまして、公文で関係の省庁に適切な処理方を通報するということになっておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘のあったこの一九七六年五月の総会で採択されましたたばこに関する決議につきましては、正式の通知は参っておりません。しかし、この決議につきましては、その重要性にかんがみまして私ども翻訳をいたしまして、その決議文を厚生省内の関係部局に配付いたしましたほかに、関係あると思われます日本専売公社の方にもその決議文をお渡しいたしております。
  121. 草川昭三

    草川委員 いま、正式にはWHOの方から勧告が出ていないという御答弁でございますけれども、実際はいろいろな関係書類、あるいはWHOの方からもいろいろなパンフレットが出ておるわけですから、事務上どういう関係があろうとなかろうと、私はもっと大きくこの問題は取り上げていく必要があると思うわけです。そしてまた、関係省庁にもそういうことを言っていただかなければいかぬと思うのです。  では、続いて厚生省に、一九六六年のWHOの事務局長報告について質問をします。  一番最初に、肺がんによる死亡と紙巻きたばこの喫煙の量的な関係で、吸わない人に比べて吸う方々は何倍くらい死亡が多いのか、簡単で結構ですから御答弁願いたいと思います。
  122. 仲村英一

    ○仲村説明員 喫煙者と非喫煙者によります肺がんの相対危険度につきましてはいろいろな数字がございますが、大体十倍程度というふうに言われております。
  123. 草川昭三

    草川委員 いま十倍だというようなお話でございますが、同じような付随する資料では、吸う人に比べ十五倍から三十倍の差があるという非常に大きな数字が私どもには資料としてあるわけでございます。ただいまは十倍だということですが、これはかなり控え目なことを言っておみえになるのではないかと思います。  では第二番目に、紙巻きたばこを吸うのをやめると危険が少なくなるのかという質問をしたいと思うのですが、その点についてはどういうようなことを言っておみえになるのか。あるいはもう一つ実験上の例証として挙げられておるのですが、他人がそばでたばこを吸っておる、そして、たまたまたばこを灰皿にそのまま置きますという場合にどういうような影響があるのか、これも簡単に御説明願いたいと思います。
  124. 仲村英一

    ○仲村説明員 先ほどの十倍というのは普通の場合でございまして、ヘビースモーカーの場合には、先ほど先生がおっしゃったような非常に高い数字も出ているという報告もございます。  それから、ただいまお尋ねの件でございますが、たばこをやめますと気管支の上皮の異常というのが非常に減ってまいる、それから、前がん状態と言われております異型上皮細胞の出現の度合いですが、これも非喫煙者と同じくらいに減少するということが報告で言われております。  それからもう一つのお尋ねでございますが、たばこの煙のそばにいる方に対する影響という点ですが、これもいろいろの実験が、まだ確定的な実験はないのかもしれませんが、文献的に申し上げますと、たばこを吸った人から出てくる煙と、それから灰皿等に置いて自然に立ち上る煙とで非常にその内容が違うということは言われております。しかも自然に立ち上る、副流煙と言われるそうでございますが、その副流煙につきましては、吸った後に出てまいります主流煙に比較いたしましていろいろの有害物質が高いということはデータとして示されております。
  125. 草川昭三

    草川委員 いま私が申し上げた数字はWHOの、英国の医師だとか、カナダとかアメリカの復員軍人、いろいろなので二十倍から三十倍という数字が出ておりますし、日本の場合も、国立公衆衛生院の生理衛生学部でもかなりいろいろな調査をされてみえるわけです。私は、厚生省というのはやはり人の命を預かる役所でございますから、もっとこの問題については大胆に悪いことは悪い、そして子供の教育についても、具体的な例を挙げて明示をすることがWHOの勧告の精神に合うものだと思うのです。  いま関係省庁に連絡をしておみえになるという報告が厚生省からございましたが、今度は具体的に労働省にお尋ねしたいのです。このWHOの勧告の中にも、労働省と相談をしていろいろとおやりなさいという勧告がございます。労働省の労働安全衛生規則に付随するものでございますが、いろいろな関係がございますが事務所衛生基準規則というのがございます。そこの中で、一酸化炭素だとか炭酸ガスだとかいうものはこれ以上あっては問題がございますよ、これらはもう基準はだめですよというのがあると思うのですが、そこの点について御説明願いたいと思うのです。
  126. 野原石松

    ○野原政府委員 御承知のように、たばこを吸いますと煙あるいは一酸化炭素、炭酸ガス等が出るわけでございます。いま先生がおっしゃいました事務所衛生基準規則、これは労働安全衛生法に基づく省令でございますが、この中で、実は空気条件について規定がございまして、一酸化炭素につきましては空気中の濃度が五〇PPm以下、それから炭酸ガスにつきましては五〇〇〇PPm、これはコンマ五%ということになりますが、これ以下に抑えなさい、こういうことになっておるわけであります。  従来の報告によりますと、空気調節設備が設けられていないような事務所でありましても、一酸化炭素なりあるいは炭酸ガスの濃度がこの許容値を超えるということはまずないように考えられますが、しかしながら、何といってもたばこは汚染源の一つであるということには間違いはありませんので、今後とも私ども、この事務所の空気条件が先ほど申し上げました許容値以下にとどまるように監督指導を続けてまいりたい、こう考えております。
  127. 草川昭三

    草川委員 WHOの勧告は、労働省と協力して喫煙の危険性についての注意を工場や他の事業所での労働衛生計画の中に含めておくべきですという勧告なんです。そういう意味では、労働省がこの事務所衛生規則をつくられて一酸化炭素を五〇PPm以下にしよう、これは私は非常に結構だと思うのです。  ところが、同じようにWHOの付随するいろいろな資料の中で、アメリカのデータでございますけれども、いろいろな研究をしておるのがあるのです。たとえば小部屋で九本たばこを吸うと、自動車の中のような小さい場合は一一〇PPmの一酸化炭素が出ますよ、こういうデータが出ております。あるいは二・〇九メートル立方の部屋でベンチレーション、換気がない場合、十本のたばこを一時間吸った場合には九〇PPmというものが出ますよ、あるいはまた赤血球で一〇%の血中ヘモグロビンの酸欠の状況になりますよ、こんな数字もあるわけであります。あるいはまた三メートル立方の部屋で換気がない場合に十三分間に三十本のたばこを吸った、それでも六四PPmの一酸化炭素が出ますよ、これはいろいろなデータがございます。これは付随をいたしまして、国立公衆衛生院の場合もビニールハウスをつくって、そこでいろいろな状況のテストをやっておみえになるわけでございますが、いずれも換気がない場合には、たとえば労働省がいま決めた基準を簡単にオーバーするというようなデータもあるわけです。ところが実際、これは労働省の方にお伺いしますが、そういう違反事実があったのか、あるいは調べられたのか、そういうデータがあったらちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  128. 野原石松

    ○野原政府委員 労働基準監督機関といたしましては、いろいろ問題業種がございますので、これを中心に監督指導をしておるわけでありますが、その中で、いま問題になっております事務所の衛生基準規則関係でありますが、毎年百五十件から三百件ぐらいの違反を指摘しております。これらの違反につきましては直ちに是正措置を文書で勧告し、その実施状況を確認しておるわけでありますが、新しいところでは、昭和五十年には二百七十七件、五十一年には百五十一件、こういう違反がこの事務所関係指摘されております。
  129. 草川昭三

    草川委員 労働省の方にいやみで申し上げるわけじゃないのですが、国会の中でも、新しい会館の場合は換気もわりといいのですけれども、古い方になりますと、狭いところで長時間やりますと、ほとんど換気がないわけですね。ああいう場合なんかは完全に、かなりヘビースモーカーの方もお見えになるわけで、五〇PPm以上に少なくとも上がっておると私は思うのですよ。労働省は国会の中に事務所安全衛生規則を適用なさるおつもりがあったのかないのか知りませんけれども、これは少し、労働省の立場からも、こういう規則があるわけですし、あるいは議院運営委員会あたりで、環境庁の方からも一回見ていただかないと、いままではついついそういうことについてはほったらかしのようなことであったわけですが、ひとつせっかくWHOの方からも、少なくとも国会という法律をつくる場所においては、この問題については真剣な取り上げ方を指示をしておるわけですから、ぜひ私は、今後いろいろな事務所について、特にたばこの害という面から労働省はこの事務所安全衛生規則を適用して取り上げていただきたいと思うのですが、その点についてどうでしょうか。
  130. 野原石松

    ○野原政府委員 従来からも事務所の安全衛生条件の確保につきまして、私ども決してなおざりにしておったわけじゃありませんが、ただいま先生の御指示もございましたので、今後さらにこの嫌煙権の問題等もかみ合わせまして、事務所における特に衛生条件の確保につきまして監督指導を強化してまいりたい、こういうふうに考えます。
  131. 草川昭三

    草川委員 では続いて、今度は専売公社の方にお伺いをいたしたいと思いますけれども、いま御存じのとおり国会でもたばこのいわゆる表示という面について何回か問題が取り上げられておりますので、重複を避けまして、私は、非常に感じたことでございますが、いまたばこの表示は、これをたくさん吸い過ぎますとあなたの健康に悪いですよという趣旨のそういう表示方法だと思うのです。吸う人の健康注意を促しております。ところが非喫煙者、周辺のたばこを吸わない人に対する、迷惑になりますよというような意味での注意喚起をしていないんですけれども、こういうことについておかしいと思われるのか思われないのか、あるいは反省をされてみえるのか、まずその点についてお伺いをしたいと思います。
  132. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  現在たばこの包装に、「吸いすぎに注意しましょう」という表示がしてございますが、これは先ほどもお話ございましたように、二十三回のWHO総会の勧告を受けまして、専売事業審議会等でいろいろ御議論いただきました結論を受けましてああいう表示をしているわけでございます。いま先生の、たばこを吸わない方々に対する注意ということについてどうかという御質問でございますけれども、私ども従来から、たばこが都市美化あるいは火災の原因になるといったこともございまして、たばこの包装にはそういった表示はしておりませんけれども、機会あるごとに喫煙マナーの啓蒙運動、私ども社内ではスモーキング・クリーン・キャンペーンと言っておりますけれども、やってきております。今後ともそういう形を通じまして啓蒙活動を続けてまいりたい、かように考えております。
  133. 草川昭三

    草川委員 いま専売公社の方は、WHOの勧告を受けてあの程度のことをやっておみえになると言っておられるわけでございますけれども、このWHOの勧告は非常にたくさんの内容があるわけでございまして、あの程度のことでWHOの勧告の精神にこたえるとは言えないと私は思うのです。  そこで、一体いま専売公社がどの程度のPRというんですか、広告をやっておみえになるのか、まずその点についてお伺いしたいと思うのです。
  134. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  私ども、先ほどのWHOの勧告に基づきまして一つは注意表示をいたしましたが、と同時に、広告等につきましても自主的に規制措置を申し合わせまして、それに基づいてやっております。現在の状況を申し上げますと、たばこは現在多くの方々に親しまれておるわけでございます。しかしながら、一方、健康と喫煙の問題が大変広く社会的関心になっておりますので、消費者の要望もございます。公社といたしましては、喫味の軽い、ニコチン、タールの少ない、緩和なたばこの開発、あるいはまた消費の高度化、多様化といったことにこたえましてそれぞれの商品を開発して市場に提供しているところでございますが、こういった新しい製品等につきましてはむしろ、商品の内容と申しますか、商品知識をお知らせするということが必要かと思っておるわけでございます。その実施に当たりましては、自主的な規制措置を設けまして、たとえば媒体でございますとかあるいは内容等につきましては、それぞれ選択をしてやっておる次第でございます。と同時に、繰り返しになりますけれども、商品宣伝のほかに、喫煙マナーのキャンペーンにつきましても実施しているという状況でございます。
  135. 草川昭三

    草川委員 いまアメリカが非常に活発な禁煙というんですか嫌煙というんでしょうか、他人に迷惑をかけないという意味でかなり積極的な運動をなさっているわけです。そういうことを考えますと、健康のために吸い過ぎに注意をしなければならないものをさらに積極的に売る、もちろんニコチン、タールの少ないそういうものも開発というんですか、研究をしてみえるということを言っておみえになりますけれども、新しい商品知識を知らせるという言葉の中から販路拡大ということを専売公社はとってみえるのじゃないか、こう思うのですけれども、一体、もう少し宣伝、広告というんですか、というものを基本的に変えるという意思はないのですか。たとえばこのWHOの中では、「喫煙が健康にとって危険だという表示をタバコの箱や広告に記すよう要求する。」という言葉があります。これがいま言われたように吸い過ぎは健康に悪いですよという言葉なのか、このことを指すのかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。同時に、「その表示情報や文章は、メッセージが死文とならぬようにときどき変えるように決めておくこと。」だから第二案、第三案、第四案というのがなければいかぬわけですよ。もしいま変えるという心づもりがあるならそれをここで出していただきたい、こう思います。
  136. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  ただいま喫煙に関連しまして、各国でいろいろな文言が使われておりますけれども、これは喫煙者に対する警告の各種の文言というふうに私どもは理解しております。したがいまして、受動喫煙者と申しますか、意図しないでたばこの煙に暴露されております方々に対する注意表示につきましては、先ほどから繰り返しになりますけれども、別途喫煙マナーの問題として取り上げていったらどうかというのが私ども考え方でございます。
  137. 草川昭三

    草川委員 いまマナーの問題だということですけれども、これは基本的にたばこが害があるとかないとかという問題以前の問題として、専売公社は売られるという立場からそういうことを言われるかもわかりませんけれども、マナーではなくて、そのために非常に他の人が迷惑をする、この迷惑をする人の立場に立って商品というものは売るということが大切じゃないでしょうか。そういうことではエゴですね。私は、WHOもそういう立場から物を言っておると思うのです。  同時に、これは環境庁の方にもぜひ聞いてもらわなければいかぬのは、かつて日照権という問題があったというのですね。自分の土地に自分が家を建てるのになぜ悪いのか、たまたま裏の人がそのために日当たりが悪くなったって、それは仕方がないじゃないか、これがまかり通ったわけですね。あるいはそういうために、これは困ったことだがと言って泣き寝入りだったわけですよ。しかし、そういうことはおかしい、やはり同じ人間なら、太陽の光というのは非常に大切なんだから、自分のことばかり考えずにというので、いろいろと制限が生まれて、裁判なんかでもいろいろな判例が出て、日照権というものが確立をしてきたと思うのです。だから、この嫌煙権という問題も、私は単純にマナーの問題だと言ってすりかえていただいては困ると思うのです。マナーではなくて、たばこを吸う人は自分自身の嗜好の立場から吸っていただくのも結構ですよ。そして、いろいろなことから体に害があるのだからなるべく自粛をしようじゃないかとか、気をつけなさいということはいいのですけれども、狭い部屋の中で遠慮なしに人の迷惑を考えずに吸っていく、いわゆる受動的な喫煙ということを相手に強制をしていくということになるわけです。しかも体の弱い人、子供さん、妊産婦には大変害があるということを先ほど来から、このWHOばかりのことではございませんけれども、いろいろな意味でデータがあるわけですから、単純に、マナーの問題として今後もこのWHOの勧告を受け入れるのだということでは、私は問題があると思うのです。もう少し、一歩踏み込んで、権利を侵害をしているんだという立場、自分がたばこを吸うのは自由だけれども、吸わない人の権利ということもお互いに認識をするというのを、まず売り手側の公社がびしっとしていただきませんと、私は、これは余り外野席が、何かうるさい連中ががあがあ騒いでいるから、ちっとは考えなければいかぬのかという程度では、これから進まぬと思うのです。その点について、ちょっと専売公社の考え方をもう一回聞かしてください。
  138. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  たとえば、密閉された室内などにおきましてたくさんだばこが吸われますと、そのたばこの煙によりまして濃度が高くなりますと、たばこ煙に敏感な方とか、あるいは気管支の弱い方とか、乳幼児等によくないということは考えられます。したがいまして、私どもといたしましては、たばこを楽しんでいただきます場合にも、やはりその辺の状況を考慮しながら吸っていただきたいということを希望しておるわけでございますけれども、その方法といたしましては、たばこの受動喫煙に対する健康被害と申しますか、あるいは迷惑の度合いと申しますか、必ずしもはっきりいたしておりませんが、その迷惑の度合いとたばこをのむ方の楽しみといったものにつきまして、社会的なコンセンサスを得ながらお取り扱いいただきたいという考えでございます。
  139. 草川昭三

    草川委員 いま迷惑の度合いがはっきりしないという御答弁があったのですが、揚げ足を取るつもりはないのですが、少なくともいろいろな研究機関、国際機関で、ほかの人にも迷惑をかけますよという数字が出ておるわけですから、専売公社としては、その度合いがはっきりしないなんという他人事のような答弁をしていただいては私は困ると思うのです。  同時に、私、先ほど質問をしたように、このWHOの中では「健康にとって危険だという表示をタバコの箱や広告に記すよう要求する。その表示情報や文章は、メッセージが死文とならぬようにときどき変えるように決めておくこと。」と言っておるわけです。いま外国の例もちょっと言われたのですが、少なくとも現在のたばこの表示以外に何を考えておみえになるのか、一つ、二つでもいいですが、ちょっと言ってください。
  140. 立川武雄

    ○立川説明員 先ほどから繰り返すようでございますけれども、喫煙マナーの啓蒙運動、商品キャンペーン活動を行っておりますので、最近の状況も勘案いたしまして、それらを充実してまいりたい、かように考えております。
  141. 草川昭三

    草川委員 結局押し問答になりますから、スウェーデンの例を一つ申し上げてみたいと思うのです。  これは五十一年一月からタバコ表示法というのが発効いたしまして、箱の裏面というのですか、一面には健康表示をするということになっております。たとえば、あるたばこは一酸化炭素が一本で十ミリグラム、タールが十二ミリグラム、ニコチンが〇・九ミリグラム入っておりますよ。もし、あなたがなおこのたばこを吸わなければならないのなら、深く吸いなさんな、深く吸い込むな、できたら、たばこは長いうちに捨ててしまいなさい、これは専売公社の売り上げに協力するということになると思うのですが、長目で捨てなさいよ、そうすれば有害物質の吸収を減らせますよと、そんなことがわざわざ書いてあるのです。こういう具体的な例が少なくともスウェーデンにあるじゃないですか。このスウェーデンのような例をどう御判断になりますか。先ほどの御答弁で、ちょっとこの感想をお伺いしたいと思うのです。
  142. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  スウェーデンの詳しい例は承知しておりませんけれども、スウェーデンにおきましては喫煙者を減らすというような活動が政府の主導で行われているというように聞いております。各国それぞれいろいろな取り扱いがあると存じますけれども、先ほどの、意図されないでたばこ煙に暴露されております。そういう状況の中で、まだ解明はむずかしいわけでございます。いろいろな報告を私ども調査しておりますけれども、たとえばイギリスの王立医師会は、大変組織的に昔から健康と喫煙問題を取り扱っておりますけれども、最近、私どもがその報告の中で知っておりますことは、受動喫煙について、健康に害があるという明確な証拠はないけれども、やはりよくないのでというような調子の報告がございます。そういったことでもございますので、いま大変受動喫煙のことが問題になっておりますけれども、私の方としましては、それらの関係についてさらに十分に調査もし、各国の状況などを見ながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  143. 草川昭三

    草川委員 いまスウェーデンのたばこの例は余り詳しくないということをおっしゃられたのですが、そんなことはないはずでございまして、それが本当なら専売公社の幹部をやめなければいかぬと私思うのですよ。  そうではなくて、ここにいま、去年のある新聞の例でございますけれども、スウェーデンでフィルターつきのブレンドという銘柄のたばこがあって、非常に人気がいいのです。裏に、私が先ほど言いましたように、このたばこの中にはこんなような害がありますよということが詳しく書いてある。私は専売公社に電話したのです。このたばこは入って、こういうことが書いてありますか、こう聞いたら、もしこれを日本に入れたら、日本には日本の売り方があるので全部消します。こう言うのですよ、一本一本の害を書いてある。少なくとも外国からのたばこを輸入をするならば、そんないいことがあるなら、私はそのままストレートで国内に販売すればいいと思うのですよ。そうすると、ああスウェーデンのたばこにはこんなように一々詳しく一本一本の害が書いてあるのか、こういうことですよ。ところが、専売公社に聞いたら、いやわが国では全部それを消して販売しますよ、こういう態度ですから、私は、それはまじめな態度じゃないと思うのです。ただ単なる売らんかなの姿勢になるわけでございまして、繰り返しませんからひとつ積極的に、いろいろな表示方法があるわけですから、いろいろな表示方法を前向きの形で取り上げていただきたいということを申し上げておいて、終わりたいと思います。  では続いて、今度は国鉄の方にお伺いをしたいと思うのですけれども、諸外国の場合もWHOの勧告に基づいて、先ほど長官からも、ヨーロッパの場合は本当にたばこを吸ってもいいですかと言うような基本的なマナーがあるのだ、列車の中でも、切符を買うときには一々たばこを吸うのですか吸わないのですかというのでコンピューターを打ち込んで、着席というのですか席が決まるのだ、こんな例も私ども聞いておるわけでございます。  現在、具体的に「こだま号」の禁煙列車が十六号車というのがあるわけです。ところが、十六号車は一番先っぽですね。これは一面では大変前進ですけれども、何かすみっこに押し込んじゃおう、うるさいのが最近ふえてきたから、一番すみっこへ走っていきなさいと言わんばかりの、とは申し上げませんけれども、言った以上しようがないので申し上げますけれども、そういうことなんですよ、わが方に言ってみれば。だから、もっとわかりやすい中ほどの車両にかえたらどうか、あるいは「ひかり号」なんかの中距離列車にも禁煙車両を設けるべきではないだろうか、こう思うのですが、その点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  144. 畑耕作

    ○畑説明員 さっき御指摘の「こだま号」の十六号車でございますが、一応やり出してから定着をいたしまして、わりあい評判がようございます。これを真ん中の方へという御要望でございますが、われわれ決めましたのは、真ん中でございますとお客さんが一々なかなか覚えておらないのでかえってわかりにくいんじゃないだろうか、それから駅の階段その他が大体真ん中にございますので、発車間際にあわてて乗ってこられるという場合に、間違えて禁煙車両へ入って、また荷物を持って後ろの方へ行っていただく、こういうことになりますと、どうも定着性がないんじゃなかろうか、かえって一番前か一番後ろの方がわかりやすいんじゃないかという議論をいたしまして決めたいきさつがございます。真ん中の方へということにつきましては部内でも一度議論はいたしたいと思いますけれども、いまのところ、あの方がかえってわかりやすいんではないかなという感じを持っております。  それから、「ひかり号」の禁煙につきましては、これは部内でもいつも議論をしておりまして、検討いたしておるところでございます。ただ、ちょっと「こだま」に比べてむずかしいのは、「ひかり」のお客さんというのはわりあい長距離の方が多い。したがって、何といいますか、いま「こだま」は自由席が十二両でございますか、指定席が四両でございますが、「ひかり」はそれが反対になっておりまして、自由席が四両であとは指定席になっておる。そういたしますと、「こだま」に比べていま「ひかり」のお客さんが非常に多いものですから、四両自由席の中で一両禁煙にしてしまうということになりますと、長途の旅でもございますし、ちょっとお客さんが輸送力的に苦しいんじゃないだろうかという議論、それから指定席にいきますと、さっき先生おっしゃいましたように、コンピューターをたたくときに一々お客さんに断らないとかえってトラブルが起こるというようなことがございまして、部内でもちょっとそこまで踏み切ろうというのがまだちゅうちょされておりまして、まだ結論を得ていないという状況でございます。
  145. 草川昭三

    草川委員 いま、「こだま号」が端っこの方が都合がいいという答弁でございましたが、だったら両サイド、一号車と十六号車、二つにふやせばいいので、私は一両だけ片一方に置くという、そのこともちょうど現在の置かれておる立場を表現をしておるような気がしてなりません。すみっこの、片すみにという考え方のようであります。そうではなくて、やはり「こだま号」もいまのようなお話ならば何とかこれをふやしていく、あるいは「ひかり号」も、長距離だからかえって問題がある。逆にそのことはそのまま、長距離だからこそ私はたばこを吸わない人の立場も考えてもらいたい。窓をあけるわけにいかぬのですからね。昔の在来線なら、煙がもうもう出れば窓をあければ済んだのです。新鮮な空気が入った。いまの場合は、われわれは手の打ちようがないわけですから、じっとがまんの子ですよ。それは一種の拷問に近いわけです。病人ならどうするのかという問題が出てくるわけです。だからそういう意味なら、緊急避難的に車掌室を開放するとかいうようなことをとりあえずは私はやるべきだと思うのですよ。車掌さんのいる部屋をそういう場合はどんどん使ってもらっても結構だとか、あるいは逆に車掌さんの部屋でたばこを吸っていただきたいとかいうようにやれば、現在の知恵で幾らでも方策が出てくると私は思うのです。  ついでに駅の構内での喫煙も、大変ラッシュのときは若干禁煙になっておりますけれども、それでもくわえたばこや手で持って、ずいぶん被害を受けられる方も多いし、線路の上に投げつけられるために国鉄はどれだけの清掃のための費用が要るかわからぬと思うのですよ。ということを含めて、意見を聞かせていただきたい、こう思います。
  146. 畑耕作

    ○畑説明員 確かにおっしゃるとおり、駅におきまして線路の上に投げ捨てが非常に多うございまして、これは駅の美化のみならず作業上からも非常に問題がございますので、この二、三年来、東京、大阪の都会を中心に、各駅ともラッシュ時その他につきまして非常に禁煙の呼びかけを行っております。新宿、渋谷、かなり普及してまいりまして、お客さんの方も協力をしていただけるという状況になってまいりました。これはわれわれといたしましても今後ますます広げて深度化を図りたい、こういう態度でおります。  ただ、駅はいろいろな方もいらっしゃいますので、全面的に禁止にするとかいうようないろいろな深度化については、余り国鉄が一方的に先行、決定をいたしましてもかえって守られないというような事態になりますとかえってマイナスでございますので、この辺、世の中の社会的なコンセンサスといいますか、その辺とにらみ合わして広げていきたい、こういうふうに考えております。  それから、「ひかり」の問題については確かにおっしゃるようにいろいろな方法がございますが、何せ日本の車両が全部ヨーロッパ的なコンパートメントではございませんので、なかなかむずかしい点がございます。ただ、今後ひとつ御趣旨を踏まえて検討していきたい、こういうふうに考えております。
  147. 草川昭三

    草川委員 国鉄の場合は、たくさんの方が集まられる、あるいは旅客輸送という一つの密室の中へ入れるわけでありますから、お客さんが入るわけでございますから、ヨーロッパのコンパートメントのようなものではないとおっしゃられましたけれども、私が先ほど言ったように、幾らでも知恵を出せばやれるわけですから、ぜひ少し前向きに取り上げていただきたいと思うわけです。  今度は厚生省の方にお伺いをしたいと思うのですけれども、いま国鉄の話を私取り上げましたけれども、同じように病院関係あるいは公衆衛生の面から学校だとか劇場だとかスーパーだとか図書館だとか、多くの公共的な場所なんかはたばこを吸う場所をつくって、一般的には禁煙というような処置をとることが非常に必要ではないだろうか。事実WHOの方はそのような勧告をしておるわけでございますが、厚生省の公衆衛生の立場からどのようなお考えを持ってみえるのかお伺いをしたいと思います。
  148. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、WHOにおきましても、医療機関のようなところにつきましてはそういうことをやれという勧告をしておるわけでございます。私ども、さしあたり最も弱い方が集まるような病院につきまして、まず国立の病院、療養所につきまして、近く先生おっしゃられるような、そういう措置をとりたいと思っております。  なお、その他もろもろの、いわゆる公衆が集まる場所につきましても、これも各省に非常に関係のあることでございますので、各省と打ち合わせながら、どういう方法をとったらいいかということを十分検討してまいりたいと思います。
  149. 草川昭三

    草川委員 松浦局長にもう一回お尋ねをいたしますけれども、検討するという時期はもうとっくの昔に過ぎておる話でございますし、現実には各市町村の中でも、役所の中では吸わないというような例もずいぶんございます。あるいは国立のがんセンターでございますか、そういうような病院の中でも、待合室はたばこを吸えませんというようなところもございます。あるいはお医者さんはお医者さんで、私自身もヘビースモーカーだけれども、この病院の中での会議ではたばこを吸うのはやめようじゃないかという申し合わせをされているところもずいぶん出ておるわけです。そういう例があるにもかかわらず、ひとつ一回考えてみましょうなんというのんびりしたことを厚生省が言われていては、話が全然進まないと思うのです。だって勧告が出ておるのはもうずいぶん古い話ですから。ようやくいろいろな変遷を経ながら、いまおっしゃられたようなことになってきておるわけです。少なくとも、環境庁長官自身が先ほどあのような御発言があるわけですから、どちらかというと、人間という意味では厚生省の方がもっと一生懸命やってもらわなければいかぬわけです。もう少し具体的にこういうように考えるということを言ってください。そうでないと、いまのような答弁だったら、これは私ども、もう一回場所を変えて、社会労働委員会で徹底的に厚生省に物を言っていかなければいかぬと思うのです。
  150. 松浦十四郎

    ○松浦(十)政府委員 先ほども申し上げましたが、まずとりあえず国立の病院、療養所につきましては、国立のがんセンターのみではなくて、近く全国の国立病院、療養所等につきましてそういうような措置をとるということにいたしたいと考えております。それからあと、各都道府県の衛生部と話をいたしまして、いわゆる保健所のようなところ、こういうところも現実に御指摘のような状況になるように、私どもいろいろと話し合いをしていきたいと思っております。  それから、先ほど、これから検討してまいると申し上げたのですが、現実問題としていろいろ各省庁にまたがっている問題でございます。そういう意味合いで各省庁と話し合いをしてと申し上げたわけでございまして、単に言葉の先だけで検討というふうに申し上げたつもりではないということで御理解いただきたいと思います。
  151. 草川昭三

    草川委員 いま初めて検討には二つあるということをお伺いして、言葉の上での検討と、そうではない前向きの意味での検討だということを聞いて、私は非常に喜んでおるわけでございまして、ぜひそういう形で現実に全国的な問題提起になるようお願いをしたい、こういうように思います。  時間がいよいよなくなってまいりましたので、最後に環境庁の長官に、今後の環境庁の本当の行政として、あるいはまたその中での非常に強いリーダーシップを持ってみえる長官として、一体、禁煙という問題あるいは嫌煙という問題、たばこを吸う人はひとつ他人に迷惑をかけないように吸おうじゃないかというようなこと、あるいはたばこを吸うことそのものの害、こんなようなことについて、近く環境週間も始まるわけでございますが、環境庁としての、あるいは長官としてのこの種の問題についての見解をお願い申し上げたい、こういうように思います。
  152. 山田久就

    ○山田国務大臣 この問題について、私自身、個人としても非常に深い関心を持っておるということについては先ほど申し上げたとおりでございます。と同時に、また環境庁といたしましては、われわれは環境保全という責任を持っておりまして、健康を公害から守っていくということ、またある意味において少しでも快適な環境づくり、こういうものを、大きな面のみならず、また身近な面からそういうものをつくるということを考えていかなければならぬということもあろうかと思います。  そういう意味から、先ほど御指摘がございました公害という意味での一酸化炭素の問題も加味して、たとえば公共の場所において、これは体の弱い人もいる、いろんな方がいる、そういうような場所においての環境保全、こういうような問題とどうして取り組んでいくか。あるいはまた快適なわれわれの生活環境というものをとにかくつくっていくという意味において、われわれの問題を、単なるマナーを超えて、さらに一歩進んでいけないか。いわばそこには、さっき言ったように個人の嗜好の問題であるけれども、他人の権利を尊重していかなければならぬという社会的なマナー、そういうような点からも、またこの点は個人の自覚にまたなければならないというような面においては、いま御指摘のように、ちょうど環境週間も始まるような機会に、そういうような点についての自覚を促す、その点についてもひとつ前向きに取り組んでやっていきたい、こう考えている次第であります。
  153. 草川昭三

    草川委員 いま環境週間を迎えて前向きに取り組みたいというお話をお伺いしたわけでございますけれども、少し具体的に、たとえばノースモーキングデーをつくろうじゃないかとか、あるいはせめてこの環境週間ぐらいは閣議ではたばこは吸わぬというような提案だとかいったようなことができないのだろうか。まず隗より始めよという言葉があるわけでございますが、ひとつもう一歩踏み込んだお考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
  154. 山田久就

    ○山田国務大臣 私は、先ほど前向きに取り組んでというのは、いま御指摘のあったような具体的な措者を含んでひとつ前向きに取り組んでいきたいというつもりで今日検討している次第でございますから、御了承を得たいと思います。
  155. 草川昭三

    草川委員 時間が来たようでございますから、最後に。  いま長官の方から、私が申し上げたようなことを含めて前向きに取り組むというお話がございましたが、日照権の話ではございませんけれども、そういうものの積み重ねが、また全体の調和と理解を得ながら、本当に環境というものをよりよいものにつくり上げていくことになると思うので、よろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  156. 久保等

    久保委員長 次に、古寺宏君。
  157. 古寺宏

    ○古寺委員 最初に、環境庁長官にお尋ねをいたしたいのですが、喫煙のわれわれの健康に及ぼす影響、それからまた、ただいま草川委員からの質問にもありましたように、喫煙することによって間接的に周囲の人にいろんな影響を及ぼす、そういう面からいきまして、喫煙ということは非常に健康に害があるということをお認めになりますか。
  158. 山田久就

    ○山田国務大臣 喫煙というものは非常に長い歴史を持っておる嗜好の問題でもありますけれども、しかしながら私個人の経験から申しましても、喫煙というものはいろいろな意味において健康にとって害があるということはこれは事実だろうと思います。
  159. 古寺宏

    ○古寺委員 いや、事実だろうというだけでは困るのでございまして、最近嫌煙権運動というものが非常に盛んになってきたのも、やはり健康に対する喫煙の影響が非常に最近いろいろなデータにあらわれておる。肺がんなんかもこの二十年間に大体六倍近くになっている、あるいはたばこをのんでいる人たちの循環器の疾患も六倍近くになっている。伝染病の方は三分の一に減少しているのに、たばこ病と言われるいろいろなそういう肺がんですとか循環器の疾患は年々ふえているわけです。こういう面からいきましても喫煙に対する国民の世論というのは高まって嫌煙権運動というものも起きてきているわけですが、WHOの専門委員会もいろいろなことを政府に要望しているわけですね。その第一に、政府が対策中央委員会、いわゆる対策本部というものをつくってこういういろいろな問題に対応しなければならないということを勧告をしているわけなんですが、こういう点について長官はどういうふうにお考えなんでしょうか。
  160. 山田久就

    ○山田国務大臣 WHOからの勧告があること、無論承知しておりますし、それから健康上の問題、私が事実だろうと思うと申し上げましたのは、事健康自身の問題になりますと、これは私自身の所管事項でないものですから、そういう意味で、そのたばこの害ということについては、私個人の考えとしてはそれは害があると思うけれどもという意味を含めてお答えしたようなわけでございます。  対策本部の問題、これはわれわれ昨今のいろいろな観点から考えていかなければならぬ問題だと思います。ただ、これについての問題を健康そのものに関する問題としてどこが主導的にやるのかという問題はあろうかと思いますけれども、ひとつ十分関心を持って臨みたいと思います。
  161. 古寺宏

    ○古寺委員 大臣は閣僚の一員でございますから、こういう面につきましては特に外交官としての御経歴もあるわけでございますので、こういうWHOの勧告につきましては、やはり政府として前向きに取っ組んでいただきたいと思うのです。  ただいま環境庁長官としての、嫌煙権というのは環境庁の責任分野外の問題であるというようなお話ございましたが、工場から出る排煙、それから自動車の排ガス、これは大気汚染の元凶であるということで規制をしているわけでございますが、最近は第三の汚染源として喫煙が挙げられているわけです。これから将来の問題として、やはり工場の排煙あるいは自動車の排ガスの規制も当然でございますが、それとあわせてこの喫煙の問題についても前向きに検討していく必要があるんではないか、このように考えるわけなんですが、長官のお考えはどうでしょうか。
  162. 山田久就

    ○山田国務大臣 先ほどその点について触れたと思っておったのでございますけれども、公害から健康を守っていく、そういう意味において、喫煙というものがNO2の濃度いかんによっては健康に非常に問題があるという点は、これは当然でございまして、そういうような観点から最近問題になってきている点、非常にいろいろ教えられ考えさせられる点がある。そういう面で私が前向きにこの問題に取り組んでいこうと考えておるということを申し上げた次第でございます。
  163. 古寺宏

    ○古寺委員 こういう面について、環境庁としていままで調査したことがございますか。
  164. 橋本道夫

    橋本(道)政府委員 大気汚染影響のときには必ず喫煙の要素を挙げております。実際調査をしますと、喫煙の方が影響がはるかに明らかに厳しく出るということは疫学調査では明白でございます。そういう点と、もう一つは、今度はNOxの規制の問題で、発生源、工場の方も自動車の方もここまで厳しくずっとなって、これからも厳しくなる、そのときに、外気もかなりきれいになった、この段階で、喫煙の問題を全然野放しにしておいていままでのままでやっていくというのもずいぶん均衡を失した話であるというぐあいにわれわれ考えておりまして、これは専門委員会が例のNO2のクライテリアを出したときの付言の中にも、NO2というのはもちろん工場や自動車も出しますけれども、たばこもあるいは家庭のもあるということを指摘しておりまして、疫学調査では、たばこの害というのは非常に明白にいままで出ております。
  165. 古寺宏

    ○古寺委員 肺がんと大気汚染との因果関係については調査したことがございますか。
  166. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 四十九年の八月に、現在の補償法が成立する段階で中央公害対策審議会にこの問題につきましてお尋ねをしておるわけでございますが、その中央公害対策審議会の答申の中に、ちょっと読んでまいりますと、「わが国及び外国の大気汚染や都市化と肺がん死亡率との関係に関する資料を検討したが、喫煙と肺がんとの関係は明白に認められても、大気汚染と肺がんとの関係はそれ程明白ではない。また、両者の関係は病理組織学的にも十分解明されておらず、疫学的にも大気汚染と肺がんとの関係を否定している報告もみられる。しかしながら、一般に発がん性物質ががんを発生させるのには長時間を要することが知られているので、現時点で大気汚染と肺がんとの関係が明白でなくても今後とも継続的に資料の収集に努め、検討を進めるべきである。」、こういう答申をいただいておりまして、当時におきます資料による検討の結果をこのように答申していただいているわけでございます。
  167. 古寺宏

    ○古寺委員 この点について厚生省はどうでございますか。
  168. 仲村英一

    ○仲村説明員 大気汚染との関係ということでは調査したことございませんが、その他喫煙と肺がんということでは幾多の外国の文献もございますし、国内でも公衆衛生院あるいはがんセンター等で行われたデータは持っております。
  169. 古寺宏

    ○古寺委員 先ほども御答弁にございましたように、大気汚染による健康被害者の喫煙者と非喫煙者の状況を比較してみますと、喫煙者の中にそういう患者さんが非常に多いということがはっきりしているわけでございますが、こういう点について厚生省はどのような対策を考えておりますか。
  170. 仲村英一

    ○仲村説明員 御指摘のように、恐らく大気汚染によります公害健康被害の患者さんは喫煙者の方が多いのではないかというふうに一応医学的に想像されますが、私ども、直接の所管ではございませんが、先ほどのWHOの勧告等にもございましたように、一般の衛生教育という中で公害の健康被害の方々に限らず、喫煙をできるだけ控えるという方向の衛生教育を今後もしてまいりたい、このように考えております。
  171. 古寺宏

    ○古寺委員 環境庁はどうでございますか。
  172. 山本宜正

    ○山本(宜)政府委員 私ども、ことしの一月に大気汚染の認定患者につきまして調査をしてみたわけでございますが、認定患者の中で喫煙者が男で四三%、女で一七%というような数字が出ております。御承知のように、全国平均の喫煙者率というのは男で七五%、女で一五%というような数字が出ておりますので、若干低いわけでございますけれども、御承知のように、この大気汚染による指定疾病は、ぜんそく、慢性気管支炎、気管支ぜんそくというような呼吸器系の疾患でございますし、療養の点から申しましてもこういったことは好ましくないと考えておりまして、私ども、その辺につきましては、十分療養上の指導という形で改善を図ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  173. 古寺宏

    ○古寺委員 こういうふうに喫煙が非常に国民の健康をむしばむ、また一方では、非常に大気汚染影響を受けやすいというような結果が出ているわけでございますので、国がやはり責任を持って禁煙を必要とする人にはたばこをやめていただく、また節煙をしていただく、あるいは先ほどもお話がありましたような、特定の場所においては禁煙をするというような、そういういろんな対策が今後必要ではないかというふうに考えるのですが、長官は閣僚の一員として、国の責任という点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お伺いします。
  174. 山田久就

    ○山田国務大臣 健康に喫煙が与える影響、先ほど来いろいろその例についてお話しのとおりでございます。したがって、われわれの方の環境というような点、健康を守るというような点、あるいは各般の点から、この問題については国民健康上の問題として前向きに十分対処するよう努力してみたいと思います。
  175. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、先ほど草川委員からもたばこの表示の問題についてお話があったのですが、やはり表示につきましても喫煙は健康に有害です。そしてまた、未成年とか妊産婦は非常にはっきりしておりますので、吸ってはいけないというような表示をすべきであるということがいろいろと今日まで言われているわけでございますが、こういう面につきまして環境庁長官として、今後ぜひきちんとした表示によって喫煙と健康の問題に取り組んでいっていただきたい、こう思うのでございますが、いかがでしょう。
  176. 山田久就

    ○山田国務大臣 御趣旨の点はよくわかりますが、ひとつ関係大臣とも相談して対処さしていただきたいと思います。
  177. 古寺宏

    ○古寺委員 それから、アメリカの成人男子の三九%しか吸っていないと言われる紙巻きたばこを、日本の場合は七五%吸っておる。その大きな理由は何かと申しますと、日本の専売公社が紙巻きたばこに非常に力を入れて宣伝をしている結果そういうふうになっている、こう言われるのですが、この紙巻きたばこの宣伝についてもやはり当然自粛をしていただかなければならないと思いますが、こういう点についても環境庁長官の方から専売公社の方に申し入れをしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  178. 山田久就

    ○山田国務大臣 ひとつ御趣旨、御連絡さしていただきます。
  179. 古寺宏

    ○古寺委員 最後に、嫌煙権運動につきまして、これからもまたいろいろと運動が進んでまいると思いますが、これとあわせまして、やはり国民の健康を守るという立場から、たばこと健康の問題、大気汚染との関連性については今後十分に研究、調査を進めて、人間の健康を守るとともに快適な環境をつくっていくという面において非常に大事な問題であろうと思いますので、環境庁長官の決意を承って、終わりたいと思います。
  180. 山田久就

    ○山田国務大臣 御指摘の点、ぜひひとつ前向きに検討さしていただきたいと思います。
  181. 久保等

    久保委員長 次回は、来る十八日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十七分散会