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橋本(道)政府
委員 東京都がオキシダントの
関係でNOxの問題についてコメントをしていることは
承知をいたしております。オキシダントに対する対策としては
環境庁——日本のやり方はNOxとハイドロカーボンを両方ともだんだん下げていくという
方針をとっておりまして、これは一部の方からはアメリカと違うという批判を受けておりますが、つい最近やりました日米
会議ではアメリカは日本の
方向に入ってきております。そういうことで、東京都の方の御
指摘の中の重要なポイントは複合汚染、それをトータルとして抑えるということが基本ではないか。これはきわめて妥当な、今後の
方向として必要な
方向だと思います。端的に申しまして、NOxだけをきりもみするような議論をいままでいたしております。それはそれなりに進歩をもたらした面もありますけれども、全体として非特異的な大気汚染による健康に対する好ましくない
被害を防ぐという
考え方から見ますと、ある
意味では非常にバランスの外れた議論をする可能性というのは十分あるわけでございます。専門
委員会の中でもやはり非特異性の影響、
先ほどちょっとお答えいたしましたが、そういうことで複合汚染の対策を今度徹底的に進めるということがキーだろうと思います。住民の方々の御意見も複合汚染というところでございます。ですからNOxだけに結びつけて見るということも、やり方はございますが、ほかのものもたくさんある中で
そのものだけを見ているということの
限界を知りながら議論をしないと危ないということでございます。
そこで今後の
方向は、これはまだ構想の
段階でございまして、確定したものでも何でもございません、ただ先生の御
指摘に対しまして、構想としてこういうものを頭に置きながらいま
方向を打ち出そうと
考えておるというところを申しますと、大気汚染物質は、ばいじん、SOx、NOx、ハイドロカーボン、オキシダント、これだけあるわけです。現在、日本のばいじんの汚染濃度は高いです。このばいじん対策というのはまるで小学校の義務教育みたいな話ですが、日本はまだこれは非常によろしくございません。ほとんど一般の関心は引きませんが、これはきわめて誤った受け取り方であると思います。NOx対策というのはある
意味ではノーベル賞的なむずかしさのもの、これに非常に力が入ってしまって、肝心の小学校くらいのものが落ちておるということでございまして、今までSOxの工場全体の総量規制ということをやってまいりましたが、複合汚染全体をどういうぐあいにずっと抑え込んでしまうかということが、今後の
環境基準の
検討に際してもあるいは今後の対策の展開に当たってもキーの問題ではないかと思います。
そこで、ばいじんにつきましては、三十八年ごろに第一次規制をやり、その次に四十六年から八年に第二次規制をやりました。
環境庁は、投資をいたしましてその償却が終わるまでは次の規制を始めないという
考え方に立っておりますが、そういうことでいきますと大体五十五年ごろに償却の期間が参ります。そこでこの五十五年以降にはばいじんの規制基準も厳しくするのは当然でございます。ことしの予算の中にもばいじん規制基準を厳しくする準備のためのものが入っております。そこで固定発生源といたしましては、ばいじんとSOxとNOx、これは全体から出てまいります。この三つをいかに最適化して抑え込むかということがエネルギーの消費の問題にとっても、その装置のスペースの問題にしても、あるいは二重投資を防ぐという問題にしてもキーであるというぐあいに私どもは強く思っております。そういうことで、いままではこれはばいじんの規制、これはSOxの規制、これはNOxの規制と、ばらばらにやってまいりましたが、このやり方を完全に改めてまいりたいという
考えを持っております。
そこで、粗い構想といたしますと、五十年代後半にばいじんもSOxもNOxも全体を含めて最適化した抑え方をやる。そのかわりエネルギーの軽量化は少し長くかかります。それをぴしっとやると、これは少し時間が長くかかりますが、世界的には最初の方式になると思います。そういうことと並行してエネルギーの軽質化、これは六十年代中ごろから後半まで入ると思います。それからトラック、バスの規制の結果がきれいに終わるのは六十年代の中ごろでございます。そういうものを全部あわせまして、ばいじん、SOx、NOxと抑える。特にSOxは、ディーゼルの自動車は軽油の場合に中にSが入っております。少し低くなりますが、もう少し低くする必要があります。また黒い煙を抑える必要がございます。また、SOxはもうほとんど
環境基準に到達いたしますが、これを維持するのは相当大変なことでございますけれども、重油脱硫施設は相当の余力がございます。これはまずまず問題なく五十年代いっぱいでいけるというぐあいに
感じております。
問題はハイドロカーボンの方でございまして、ハイドロカーボンの方は、
一つは固定発生源のハイドロカーボンという問題に対する規制の
検討をずっとこの二年余りの間いたしております。これは来年あたりにはこの問題にはっきり、恐らく
法律を改正しなければできないのではないかと思いますが、そういう問題がございます。
また、溶剤の中のHC対策、これは少し時間がかかります。物を変えていくということでございます。また、ディーゼルトラックの中のハイドロカーボンは、まだもう少し下げる
余地がございます。そういうものを含めまして、五十年代と六十年代のタイムスケジュールを
考えながら、全体として最も最適化された対策で複合汚染全体を抑え込むということに、今回の転機を活用していくことが、
国民の健康の保護のためのキーではないかというぐあいに
考えております。