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1978-02-10 第84回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年二月十日(金曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 久保  等君    理事 相沢 英之君 理事 登坂重次郎君    理事 林  義郎君 理事 島本 虎三君    理事 水田  稔君       戸沢 政方君    西田  司君       羽生田 進君    萩原 幸雄君       藤本 孝雄君    土井たか子君       竹内 勝彦君    東中 光雄君       工藤  晃君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 山田 久就君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    小澤 文雄君         公害等調整委員         会事務局長   佐々 成美君         環境庁長官官房         長       金子 太郎君         環境庁長官官房         審議官     石渡 鷹雄君         環境庁長官官房         会計課長    高橋 盛雄君         環境庁企画調整         局長      信澤  清君         環境庁企画調整         局環境保健部長 山本 宜正君         環境庁自然保護         局長      出原 孝夫君         環境庁大気保全         局長      橋本 道夫君         環境庁水質保全         局長      二瓶  博君  委員外出席者         特別委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十一日  辞任         補欠選任   永田 亮一君     橋本龍太郎君   山崎武三郎君     西田  司君 二月十日  理事土井たか子君同日理事辞任につき、その補  欠として島本虎三君が理事に当選した。     ――――――――――――― 一月二十八日  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案(  内閣提出第九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月六日  環境影響事前評価法の制定に関する陳情書  (第九一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策)      ――――◇―――――
  2. 久保等

    久保委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事土井たか子君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 久保等

    久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  それでは、島本虎三君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 久保等

    久保委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  まず、国務大臣から環境行政に関する所信を聴取することといたします。山田環境庁長官
  6. 山田久就

    山田国務大臣 第八十四回国会における衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  環境行政の任務は、国民の健康と生活公害から守り、国民生活をはぐくむ自然環境保全し、さらに進んで、人間生活により快適な環境を創造していくことにほかなりません。  わが国は、戦後驚異的な経済成長をなし遂げ、国民生活もかなり向上いたしましたが、その反面、物心両面にわたって社会にゆがみを招いたことも否めません。中でも、その大きなものの一つ環境問題であります。ことに、私たちは、激化するに至った公害防止に、あるいはまた、急速に失われつつあった自然環境保護については真剣に取り組んでまいったのであります。その結果、環境の状態にも改善の跡が見られるようになってきましたが、公害防止と予防、また自然環境保全については、今後ともさらに一層の努力が必要であると考えております。  しかしながら、これと同時に、私たちが今後取り組んでいかなければならない問題として、私たち日常生活にかかわりを持つ諸方面、すなわち、生産消費その他の社会的諸活動のさまざまな要因を含め、より快適な、自然とも調和した人為的な環境をつくっていくことがあります。いまや、このような問題をも含め、長期的総合的な観点努力していくことが期待される段階に至ったものと考えております。  すなわち、国民の願いは、個々の環境汚染因子防除を求めるにとどまるものではなく、究極的には、大気、水、土、生物等たちを取り巻くさまざまな自然の環境や、さらには都市中心とする住宅あるいは道路公園学校等公共施設などを含む生活環境が、人間の心に潤いを与える快適なものであってほしいというところにあります。  私としては、このような総合的なよりよい環境づくりにも十分目を向けて、環境保全施策を進めてまいりたいと存じます。  このような環境行政推進に当たりましては、国民の声に十分耳を傾けていくとともに、環境の分野における国際的な連帯と協調を図る活動にも積極的に意を用いてまいりたいと考えております。  なお、現在、景気回復のため、大規模公共投資による経済産業活動の刺激が要請されていますが、このような情勢にあっても、環境保全基本的条件が保持されるよう十分留意してまいる所存であります。  私は、環境庁長官として、以上述べたような基本的認識に立って、国民理解協力を求めながら、次のような事項を重点として、環境行政推進に最大限の努力を払う覚悟であります。  第一は、環境保全長期的総合的展開であります。  現在、環境影響評価推進閉鎖性水域における水質保全対策等が重要な課題となっておりますが、これらは、今後における環境保全長期的総合的展開に当たっての第一歩であります。環境問題というきわめて複雑で多面的な問題に取り組み、将来にわたる環境保全施策展開を実りあるものにしていくためには、さまざまな視点から、いわば百年の計を考えつつ、十分な検討を積み重ね、着実に措置を講じていく必要があります。  すなわち、昭和六十年を目標年次とする環境保全長期計画達成状況のフォローを初めとし、全国的観点から、常に未来に向けた眼を持つよう心がけるとともに、地域的な観点においては地域の特性に応じた環境管理推進を図り、都市における大気環境管理手法開発を進めるための調査検討を進めることとしております。さらに、国民一人一人の環境保全意識という問題につきましても、その高揚を図ることに十分力を注ぐこととし、快適な環境の創造に向けて国民とともに進んでまいりたいと考えております。  第二は、環境影響評価制度化及び実施推進であります。  将来を見通した総合的な環境保全推進していくためには、かつてのような応急措置的な環境保全行政から脱却して、環境汚染未然防止を図ってまいることが重要であります。  このため、環境影響評価法制化を図るべく鋭意努力いたしておるところであり、また環境影響審査体制充実強化等、その実施推進を図ってまいりたいと考えております。  第三は、水質保全対策推進であります。  わが国は、四面海に囲まれ、多くの清流を有し、古来、限りなく豊かな水の恩恵を受けてまいりました。  きれいな海、きれいな川は、快適な環境をつくり上げるための大きな条件一つであります。現下の水質汚濁状況を見れば、全体としては改善の方向にあるものの、瀬戸内海等閉鎖性水域においては抜本的な対策推進が必要であります。  このような閉鎖性水域における水質汚濁防止実効性を期するためには、広域的視点に立ちつつ、単に生産活動に起因する排水のみでなく、広く日常生活等によるものをも含めた総合的な汚濁負荷量削減措置を講ずることが必要であり、このため、水質総量規制制度化を図りたいと考えております。特に、瀬戸内海につきましては、同海域における環境保全の現状と将来の展望を踏まえつつ、総合的な環境保全対策確立に鋭意努力をいたしておるところであります。  第四は、窒素酸化物対策総合的推進であります。  まず、固定発生源から排出される窒素酸化物につきましては、総量削減計画基礎となる汚染予測手法確立を図り、汚染の著しい地域対象総量規制に着手したいと考えております。  また、自動車につきましては、バス、トラックについても、昨年、中央公害対策審議会から答申された長期目標に基づいて規制強化を進めることとしております。  なお、二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等については、最近までの、より豊かになってきた科学的知見に基づいて、現在、中央公害対策審議会において審議を願っているところであり、近く答申が得られる予定であります。この答申を踏まえて、今後の窒素酸化物対策長期的総合的対策の進め方について改めて方針を樹立し、国民の健康を保護するという重大な使命を果たすべく、窒素酸化物対策を着実に軌道に乗せていきたいと考えております。  第五は、交通公害対策等各種公害対策推進であります。  わが国においては、人口においても諸機能においても膨張を続けてきた大都市中心として、交通消費活動に伴う公害問題が、住民の住みやすさを奪ってまいりました。  中でも、道路周辺等における交通公害の問題は、日々の生活に密着した深刻な問題であり、その解決を図るには、自動車排出ガス抑制及び騒音規制強化のみでは不十分であり、交通規制道路構造改善等、総合的な対策展開が必要であります。このため、交通公害対策室を新設して体制を整えるなど、その促進に努めることとしております。  このほかの騒音振動悪臭あるいは廃棄物問題等も、快適な環境を確保するため、どれも看過し得ないものであり、これら各種公害対策につきましても、総合的に一層の充実強化を図ってまいりたいと存じます。  第六は、環境保健対策充実推進であります。  環境汚染から未然国民の健康を守っていくことは、何をおいても第一義でなければなりませんが、不幸にして健康被害に苦しんでおられる方々に対しては、公正な保護を図っていくことが私たちの務めであります。  公害による健康被害者の迅速かつ公正な保護に万全を期するため、引き続き、補償給付の支給、公害保健福祉事業等の円滑な実施を図ってまいりたいと考えております。  また、水俣病対策につきましては、その認定業務促進を図るとともに、水俣病に関する医学的調査研究を行う国立水俣病研究センター現地水俣市に設置することといたしております。  さらに、化学物質による環境汚染の問題についても、国際的な協調を図りつつ、対策充実強化を図ってまいりたいと存じます。  最後に、自然環境保全であります。  豊かな自然が私たちにもたらす恵み、私たちの自然に対する渇望は、言い尽くせないものがあり、これを適切に保全し、子孫と分かち合っていくことは、公害防止と並ぶ環境行政の大きな柱であります。  自然の全貌には、いまだうかがい知ることのできない多くのものがあり、その営みの複雑さ、微妙さを考えれば、自然環境状況を十分に把握した上で、長期的な幅広い理念に基づいて施策展開していくことが不可欠であります。このため、第二回目の自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査を行うこととしております。  また、最近における鳥獣保護充実及び狩猟適正化に対する要請にこたえるべく、鳥獣保護及び狩猟に関する法律改正等、その対策強化を積極的に図ってまいりたいと考えております。  以上、私の所信の一端を申し述べました。  環境行政の新たな展開に向けて、私としては全力を挙げてまいる決意でありますが、本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の進展のため、今後とも御支援、御協力を賜りますよう切にお願い申し上げる次第であります。
  7. 久保等

    久保委員長 以上で国務大臣所信表明は終わりました。  次に、昭和五十三年度環境庁関係予算説明を求めます。金子官房長
  8. 金子太郎

    金子政府委員 昭和五十三年度の環境庁関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十三年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は三百八十六億七千六百四十万八千円であり、これを前年度の予算額三百五十三億六百二十八万八千円と比較すると、増加額は三十三億七千十二万円であり、その増加率は九・五%であります。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、公害対策について申し上げます。  まず、環境保全企画調整等経費については、環境影響評価制度確立推進するための経費、基本的な環境情報について総合的な整備推進するための経費のほか、瀬戸内海環境保全についても、瀬戸内海環境保全臨時措置法を引き継ぐ立法措置を講じ、瀬戸内海環境保全対策推進する経費並びに公害防止計画策定推進する経費等、これらをあわせて三億七千九百六十一万円を計上しているところであります。  次に、公害健康被害補償対策費については、公害健康被害補償制度の円滑な実施を図るほか、水俣病認定業務促進するため、新たに、検診施設整備費検診機器設備整備費補助等を行うこととし、これらの経費として百五十八億一千六百八十八万円を計上しております。  公害防止事業団につきましては、事業団事業運営に必要な事務費等助成費として三十三億三千七百三十四万円を計上しております。  次に、大気汚染等防止対策経費については、各種規制基準強化推進するほか、新たに、都市における大気環境管理手法策定のための調査を行うこととし、また窒素酸化物について総量規制実施するための調査検討を行うとともに、従来に引き続き、自動車公害騒音振動及び悪臭についての対策推進するための調査を行うなど、六億二千百八十九万円を計上しております。  水質汚濁防止対策経費については、新たに、瀬戸内海等の広域的な閉鎖性水域において総量規制制度化を図ることとし、このため、監視モデル事業等を行うとともに、従来に引き続き、富栄養化及び水質管理についての対策等推進するための調査を行うなど、九億八千八百九万円を計上しております。  このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として九千二百八十万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億九千五百七十二万円をそれぞれ計上しているところであります。  次に、公害監視設備整備費については、地方公共団体監視測定体制整備に必要な経費として十億九千百五十四万円を計上しております。  公害防止等に関する調査研究推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を一層促進するため、総額四十二億四千九十二万円を計上しております。  このうち、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として三十億六千四百三十九万円を環境庁において一括計上し、各省庁試験研究機関等における試験研究総合的推進を図ることとしております。  また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害大気汚染水質汚濁自然環境保全等に関する調査研究費として八億八千九百五十二万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として二億八千七百万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関連する調査研究の総合的な調整を図ることとしております。  さらに、国立公害研究所に必要な経費として三十一億七千二百九十万円、公害研修所に必要な経費として一億二百六十万円、国立水俣病研究センターを設置することとし、これに必要な経費として四億七千八百六十七万円を計上しております。  第二に、自然環境保全対策及び施設整備について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理等経費については、自然環境保全法に基づく第二回自然環境保全基礎調査実施するほか、自然環境保全地域等指定等のための調査を行うとともに、国立公園主要利用地域における利用適正化について調査検討するなど、九億七千八百五十三万円を計上しております。  このほか、交付公債による民有地買い上げ制度の運用に必要な経費として七億二千九百七万円を計上しております。  鳥獣保護については、特殊鳥類等保護事業充実するほか、従来に引き続き、渡り鳥の保護対策推進するなど、一億五千二十五万円を計上しているところであります。  さらに、自然公園等整備を図るために必要な施設整備費として二十八億三千二百二十五万円を計上しております。  以上が環境庁予算概要でありますが、このほか建設省所管予算として、国立公害研究所等施設整備のため二十一億百十一万円、国庫債務負担行為二十一億四千九百十二万円がそれぞれ計上されております。  以上をもちまして、昭和五十三年度の環境庁関係予算の御説明を終わります。
  9. 久保等

    久保委員長 次に、各省庁昭和五十三年度環境保全経費等について、便宜環境庁から説明を求めます。信澤企画調整局長
  10. 信澤清

    信澤政府委員 各省庁昭和五十三年度環境保全経費等概要について御説明いたします。  まず、歳出予算総額は八千六百七十八億円であり、前年度の当初予算に比べ二千四百十億円、三八・五%の大幅な増加となっております。  このうち、一般会計分は七千九百七十六億円であり、前年度に比し二千三百四十一億円の増加、各特別会計分は七百二億円であり、前年度に比し六十九億円の増加となっております。  次に、事項別に主要な項目について御説明いたします。  第一に、各種基準等の設定といたしましては、環境庁における大気汚染防止対策費水質汚濁防止対策費など、総額九億五千五百万円を計上しております。  第二に、監視取り締まり強化のため、総額八十八億六千六百万円を計上しております。  その主要なものは、環境庁公害監視等設備整備経費十億九千二百万円、環境庁厚生省及び通商産業省に計上されている化学物質審査規制対策費四億三千七百万円、運輸省自動車公害審査体制強化費二十九億三千六百万円、海上公害監視取り締まり体制強化経費二億四千五百万円、警察庁の公害関係事犯取り締まり経費等三億七千三百万円などであります。  第三に、公害防止事業助成のため、総額八十六億九千八百万円を計上しております。  その主要なものは、環境庁公害防止事業団助成等経費三十三億三千七百万円、農林省漁場環境保全対策経費十一億六千百万円、養殖共済赤潮特約事業費二億九千五百万円、畜産経営環境保全対策事業費二十億八千六百万円、通商産業省金属鉱業事業団運営費七億九千八百万円などであります。  第四に、公害防止関係公共事業等推進のため、総額七千百四十六億三百万円を計上しております。  その主要なものは、建設省等に計上されている下水道事業費五千百四十六億五千九百万円、厚生省運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費五百五十六億千二百万円、農林省等公害防除特別土地改良事業費十億二千八百万円、運輸省港湾公害防止対策事業費十六億八千三百万円、海洋環境整備事業費三十一億八百万円、通商産業省休廃止鉱山鉱害防止工事費三十億七千七百万円、建設省公園事業費のうち緩衝緑地整備事業費五十億千八百万円、防衛施設及び公共用飛行場周辺における騒音問題に対処するための防衛施設庁の五百五十九億五千五百万円、運輸省の四百五十五億七千五百万円、地盤沈下対策として農林省地盤沈下対策事業費四十九億五千五百万円、通商産業省工業用水道事業費四十億八千七百万円などであります。  第五に、公害防止調査研究推進のため、環境庁国立機関公害防止等試験研究費三十億六千四百万円、国立公害研究所に必要な経費三十一億七千三百万円、通商産業省大型工業技術研究開発費百七億八百万円、新エネルギー技術研究開発費等五十五億二百万円など、総額で三百十九億三千九百万円を計上しております。  第六に、公害被害者保護対策充実のため、環境庁公害健康被害補償対策費百五十八億千七百万円など、総額で百六十六億二千万円を計上しております。  第七に、自然保護対策推進のため、総額八百七億二千四百万円を計上しております。  その主要なものは、環境庁自然公園等施設整備費二十八億三千二百万円、文部省史跡等土地買い上げ整備費七十一億九千万円、建設省等公園事業費五百八十八億二千二百万円、運輸省港湾環境保全施設整備費二十九億四千九百万円、建設省及び北海道開発庁の古都及び緑地保全事業費十八億五千六百万円などであります。  第八に、その他といたしまして、文部省公立小中学校児童生徒健康増進特別事業助成経費五億三千百万円など、総額で五十三億六千九百万円を計上しております。  次に、公害防止関係財政投融資は、事業規模または貸付規模において総額一兆二千三十一億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ、八百六十四億円の増加となっております。  機関別の内訳としては、公害防止事業団契約規模で千六十億円、日本開発銀行が貸付規模で九百八十五億円、中小企業金融公庫貸付規模で五百三十億円、国民金融公庫が貸付規模で七十五億円、農林漁業金融公庫貸付規模で三十億円、金属鉱業事業団貸付規模で十九億円、日本私学振興財団貸付規模で六億円、大阪国際空港周辺整備機構事業規模で八十二億円をそれぞれ予定しております。  また、地方公共団体下水道整備廃棄物処理施設整備等事業推進するため、地方債計画において九千二百四十四億円を予定しております。  最後に、税制改正措置の主要なものについて御説明いたします。  まず、国税関係では、公害防止用設備、無公害化生産設備及び廃棄物再生処理用設備特別償却制度適用対象となる設備のうち、適用期限の到来するものの一部について、対象設備の縮減を図った上で一年ないし二年程度期限を延長するほか、低窒素酸化物燃焼設備に要する機械について初年度分三分の一の特別償却措置がとられることとなっております。  また、中小企業者公害防止用設備特別償却の特例につきまして、償却割合を現行の三年間三〇%から五年間一八%に引き下げることとなっております。  次に、一年限りの臨時措置ではありますが、いわゆる投資促進税制の一環として、公害防止等関連設備については、特別償却適用にかえて取得額の一〇%相当額税額控除を認め、その期の税額の二〇%相当額である控除限度を超過した額については三年間の繰り越しを認めることとなっております。  また、公害防止準備金制度公害防止事業費事業者負担金特別償却につきましては、経過措置等所要措置を講じた上で廃止することとなっております。  地方税関係では、低窒素酸化物燃焼設備に要する機械に係る固定資産税非課税となるほか、公害防止事業団から譲り受けた共同利用建物に係る事業所税について、すでに非課税とされている新増設に係るもののほか、事業に係るもの(いわゆる「資産割り及び従業者割り」)についても新たに五年度分を非課税とすることになっております。  以上をもちまして、昭和五十三年度の各省庁環境保全経費等説明を終わります。
  11. 久保等

    久保委員長 以上で予算説明は終わりました。  次に、公害等調整委員会公害紛争処理に関する事務処理概要について説明を聴取いたします。小澤公害等調整委員会委員長
  12. 小澤文雄

    小澤政府委員 ただいまから、公害等調整委員会昭和五十二年中に行いました公害紛争処理に関する事務につきまして御説明申し上げます。  公害等調整委員会は、公害紛争処理法の定めるところにより、公害に係る被害に関する民事上の紛争についてあっせん、調停、仲裁及び裁定を行うとともに、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うこととなっており、これらの事務の概略は次のとおりでございます。  第一は、公害紛争についてのあっせん、調停及び仲裁であります。  これらはともに紛争解決の基礎を当事者の合意に求めるものでございますが、当委員会が管轄する公害紛争は、人の生命、健康に重大な被害を生じた公害に関する紛争、農作物や魚介類など、人の生活に密接な関係を有する動植物またはその生育環境に五億円以上の被害を生ずる公害に関する紛争、新幹線鉄道及び航空機の運行により生ずる騒音に関する紛争並びに被害地、加害地が二つ以上の都道府県の区域にまたがる公害に関する紛争でありまして、いずれも社会的に重大な影響を有し、かつ、広域的な見地から処理することが適当と考えられるものであります。  なお、当委員会の管轄に属しない公害紛争につきましては、公害紛争処理法に基づいて、全国の都道府県が設けております都道府県公害審査会等が行うあっせん、調停及び仲裁の手続によって処理されております。  第二は、公害紛争についての裁定であります。  これには、責任裁定と原因裁定の二種類があり、ともに訴訟手続に準じた手続によって紛争を処理することとなっております。このうち、責任裁定は、公害による被害について損害賠償に関する紛争が生じた場合に、被害者からの申請に基づいて、その相手方の損害賠償責任の有無及びその範囲について判断するものであり、原因裁定は、公害紛争における被害と加害行為との間の因果関係について、当事者からの申請に基づいて、その有無を明らかにするものであります。  第三は、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について指導等を行うことであります。  住民から申し立てられる公害に関する苦情の数と内容は、その地域環境問題の指標的な意味を持つと同時に、公害苦情は公害紛争の前段階的な性格を有しておりますので、その適切な処理を図ることは、公害紛争の事前防止という面におきまして、きわめて重要な機能を果たすものであります。このような公害苦情の適正な処理の重要性にかんがみ、公害紛争処理法においては、これに当たるべき地方公共団体の責務を明らかにし、公害苦情相談員の制度を定めておりますが、公害等調整委員会は、この地方公共団体が行う公害苦情の処理について指導、助言、協力等をすることとなっております。  次に、昭和五十二年における当委員会の具体的な事務処理概要を御説明申し上げます。  昭和五十二年中に当委員会に係属しました公害紛争事件は、調停事件百二十九件及び裁定事件四件の計百三十三件でございます。  その内訳は、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病調停事件百三件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害調停事件二件、大阪国際空港周辺の騒音による生活環境被害調停事件二十三件、富山市におけるビル工事に伴う地盤沈下による建築物損傷責任裁定事件二件、島根県における廃油汚染に係る漁業被害責任裁定事件一件、東京都新宿区における地下鉄工事に伴う騒音振動等による賃料等損害責任裁定事件一件等でございます。このうち、昭和五十二年中に新たに係属しました事件は、調停事件四十七件及び責任裁定事件一件の計四十八件でございます。  昭和五十二年中に紛争処理が終結しましたものは、調停事件四十四件及び責任裁定事件一件の計四十五件でございます。  調停事件で終結しました四十四件の内訳は、不知火海沿岸における水質汚濁による水俣病事件四十一件、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件二件及び後で申し上げます裁定手続から職権で調停に付した事件一件でございます。これらのうち、水俣病事件は、水俣病と認定された患者に対するチッソ株式会社の損害賠償義務について、患者個々人ごとに会社との間の調停を成立させたものであります。  また、渡良瀬川沿岸における鉱毒による農業被害事件は、昭和四十九年五月、当委員会において古河鉱業株式会社と渡良瀬川沿岸農民との間に損害賠償金の支払い等を内容とする調停が成立し、終結している事件と同地域の農民であって、前回申請しなかった者から申請された事件でありますが、当委員会の勧告によって当事者間に和解が成立したものであります。  責任裁定事件で終結しました一件は、島根県における廃油汚染に係る漁業被害事件でございますが、鋭意審理を進めた結果、紛争全体を互譲により円満に解決しようという機運が当事者双方に生じましたので、紛争の早期解決という公害紛争処理法の精神にのっとり、同法第四十二条の二十四の規定により職権で事件を調停に付し、調停案を提示しましたところ、当事者はこれを受諾し、円満に解決したものであります。  その他終結を見ていない事件につきましては、目下鋭意手続を進めているところであります。  次に、昭和五十一年度の全国の公害苦情の実態について申し上げます。  当委員会調査によれば、その総件数は、約七万件となっております。この苦情件数は、昭和四十二年度から昭和四十七年度までは引き続き増加を続けてまいりましたが、昭和四十八年度からは毎年減少し、昭和五十一年度においては前年度より八・五%の減となっております。これを市町村別に見ますと、人口十万以上の市で四三%、その他の市で一〇・一%及び町村で一〇・二%それぞれ減少しております。  昭和五十一年度の公害苦情件数を公害の種類別に見ますと、騒音振動に関する苦情が最も多く三四%を占め、次いで、悪臭二二%、水質汚濁一七%、大気汚染一六%の順であり、これらで全体の八九%を占めております。  以上の結果を踏まえ、当委員会といたしましては、公害苦情相談指導者研修会等の研修を実施し、また、公害苦情処理の参考資料を作成、これを第一線において苦情処理に当たる公害苦情相談員等に提供し、あるいは個別の事案について指導、助言を行う等、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について、鋭意指導等を行っているところであります。  引き続き、昭和五十三年度の公害等調整委員会予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和五十三年度の総理府所管一般会計歳出予算案のうち、公害等調整委員会予算総額は三億三千六百十八万二千円でありまして、これを前年度の当初歳出予算額三億二十七万九千円と比較いたしますと、三千五百九十万三千円の増額となっております。  予算案の内容は、当委員会に係属する事案の審理及び一般事務処理のための経費四千五百七十七万二千円、公害紛争処理について都道府県等と連絡協議するための経費五百二十一万七千円、公害の因果関係の解明に要する調査のうち、特に専門的、技術的要素の強いものを外部の研究機関に委託するための経費千七百五十五万千円、公害苦情の実態を調査し、その処理について地方公共団体の職員に対する研修指導等を実施するための経費二千百四十五万七千円のほか、人件費であります。  以上が昭和五十二年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争処理に関する事務概要及び昭和五十三年度の予算案の概要でございます。  なお、公害等調整委員会設置法第十七条に定められております昭和五十二年の所掌事務処理状況の報告書は、会計年度で取りまとめまして、追って所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
  13. 久保等

    久保委員長 以上で公害等調整委員会説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十九分散会