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松本(操)
政府委員 お答え申し上げます。
まず、進入時における乱気流の点でございます。この問題につきましては、先ほ
ども太田先生との間のやりとりにございましたが、四百三十名余の
パイロット、国際線に従事いたしますすべての
パイロットでございますが、この
パイロットの慣熟をしてもらいました。そのほかにも、私
どもの方もみずから
パイロットを持っております。フライトチェックを行う
パイロットもおりますし、それから慣熟飛行を監督する立場の
パイロットもおるわけでございます。こういう
パイロット、主な
人たち百五十人の
パイロットに対しましてアンケート調査をしたわけでございますが、そのうちに、百五十人の人の
意見を徴した結果、九八%、つまり実数で百四十八人までは中
程度以下の乱気流があったと、こういう
お話でございました。つまり、百五十人のうちの二人の方がある
程度の乱気流に遭遇した、こういうふうにアンケートで答えておいでのわけでございます。その九八%、百四十八人の方は中
程度以下である、こうおっしゃっておりますし、さらに、ちょっと私、いま数字を正確に記憶しておりませんが、たしか八四%であったと思いますが、八四%に相当する
方々はスライト、軽微な
程度の乱気流またはそれ以下、つまり全くなかったかといった
程度である、こういうことでございました。
この乱気流という言葉が非常に一般的に使われてしまいましたので、乱気流というふうに私もいまお答えしておるわけでございますが、これは一般に
パイロット仲間ではラフエアと言われるたぐいのものであると私
どもは聞いております。ラフエアというのは、荒い空気というのを
日本語で何と言うのかわかりませんけれ
ども、着陸しようと思って来ると、がくがくと振動というのでしょうか、揺れというのでしょうか、そういうものが起こる。この
程度はほかの
空港に比べて特に激しいというものではない。じゃ、これは絶対に避けられないのかというと、どうも
空港というものの性格上、空に浮いているものがだんだんと地面に近づいてまいりますと、
滑走路の近辺には、
成田のような場合ですと、丘あり谷あり川あり、あるいは海と陸との境目がある。
羽田のような場合ですと、やはり海と陸との境があるほかに、近所に家が建っておる。
外国の例で申しますと、香港の
空港でありますとかヒースローの
空港でありますとか、この二つの
空港は特にノータムまで出しまして、乱気流があるよということを特定の
滑走路についてウォーニングを出しておる、こういう状態でございます。それらに比べまして
成田の乱気流が特に激しいものであるというふうには私
ども思っておりません。それは百五十人の
方々に直接御
意見を伺った結果でもありますし、また私
どもの熟練した
パイロットにも私直接話を聞きましたけれ
ども、やはり特段の問題があるということではない、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
それから、次に百里基地との問題でございます。
これも先ほど来いろいろと御議論がなされておるわけでございますが、私
どもは、私冒頭の御返事にも申し上げましたように、両
空港の間が二十六マイル離れておるということ、そして北へ向かって
離陸する形をとる
民間機、あるいは北から着陸する
民間機があって、それに対して百里の場合に、南から着陸するタカンアプローチという特殊な、軍用機独特のアプローチの仕方がございます。このタカンアプローチという形でおりてまいりますケースは、年に何回というきわめて限られた回数であります。それ以外はGCAという名前の、
レーダーを使って出し入れをするわけでございますけれ
ども、タカンアプローチというのは、自衛隊の
パイロットにとっては
一つのレーティングだそうでございまして、これを年に何回かやらないとレーティングが失われるということで、そのトレーティングとしてするわけでございます。このタカンアプローチをしております場合に、北へ向かって上がっていくということがあった場合に問題が起こってはいけませんので、
空域の策定に当たってその点に最大の重点を置いたことは事実でございまして、その結果、先ほ
どもちょっと私申し上げましたが、
水平的には両方の経路は完全に分離され、さらにそれを垂直的にも分離をしてあるということでございますので、仮に何らかの問題が起こったといたしましても、私は特段の支障が生じるとは考えておりません。しかし、その場合の判断として、
管制官の方で押さえた方が安全だということになりますと、
成田の
管制機関と百里の
管制機関の間には直通の電話回線がございますので、電話器を取り上げればすぐに百里が出てまいります。そこで、いまわが方から
民間機が
出発するからタカンは待て、こう一言言えば、タカンは待ってしまいます。そのように百里との間に約束をしてございますので、そういう状態で出てまいります場合には、相手の
空域の中には
飛行機がいないわけでございますので、何ら問題は起こらないわけでございますし、仮に両方が何か同時に起こっているということがあったといたしまして、さらにその上にまた、仮説の上に仮説でございますが、
エンジンが片っ方とまったとか、かじのききが悪くなったとかいろいろなことが重なり合った場合にどうなるのかという点についても私
ども十分に配慮をしたつもりでございます。つまり、
レーダーによって十分に見ております。
それからまた、
民間機と
自衛隊機が直接機上で交信するということは、
民間機同士の場合にもそうざらにしばしばあることではございませんが、周波数が違うという先ほどの
黒川さんのお答えで、そのとおりでございますが、しかし私
どもの
管制塔は自衛隊用のUHFの波を持っておりますので、相手のふところに手を突っ込むようなことではございますが、何らか非常に異常な
事態が発生しましたときには、私
どもの方はホットラインで百里のタワーに通告すると同時に、私
どもみずからがUHFの波を使って
自衛隊機に指示をすることも可能なようになっておりますので、四重五重の
安全性を確保してあると私
ども考えております。したがって、御心配になるようなことはまず起こり得るようなことになっていないというふうに私
どもは考えております。
次に、四千メートルの
滑走路でございますが、四千メートルという長さの
滑走路は非常に長い
滑走路でございまして、もちろん南からおりてまいります場合には三千二百五十という制約はございますけれ
ども、それ以外のケースについては全部四千が使える。その場合に、横風があるとおりられないということになりますが、横風の分力が二十ノット、風速十メートルを超えるという場合、ランウエーがぬれておりますと、横風を無理しておりるということは危険を伴うと考えてしかるべきではないか。これは
航空会社がいろいろ決めておりますけれ
ども、
日本航空あたりはそのように決めておるわけであります。
そういうふうなケースがどのくらい起こるのかというのは、過去三年間にわたります統計から言いますと〇・一%という数字が出ておるわけでございまして、あそこで扱います回数が大体五万五千回と考えておりますので、五万五千回の一%は五百回でございます。ですから、仮に〇・一%が一%あったとしても五百回
程度ということになりますので、先ほど
千葉理事が、まあ三日
程度と申し上げたのは、ぶっ続けに足せばそういうことになるということでございますが、風の吹きぐあいを見ました場合に、北総台地の風の吹き方は、これも統計的にほとんど南または北の風でございますので、横風のために離着陸できないというケースはきわめてまれであると考えております。
その場合には他の適当な代替
空港に退避させるか、あるいは風が変わる
可能性があります場合には、つまり待機する時間が短ければ空中待機という
方法もとれないわけではございません。しかし、これはやはり代替
空港へ散らすというのが適当な
方法であろうかと思います。
しかし、横風
滑走路は単に横風用のみの目的で使うということ以外に、主
滑走路の代替
滑走路として使うという使い方も可能でございますので、横風
滑走路があった方がいいということは否定できないと思います。
そういう
意味におきまして、現在三分の一足らずしかできておりませんC
滑走路、つまり横風
滑走路をなるべく早い
機会に完成させるということは、別の
意味から私は
必要性があるというふうに考えておりますが、現時点において横風
滑走路のないこと自身が
成田空港の安全な運営に直接的に支障を与えるというふうには私
どもは考えておりません。