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1978-05-10 第84回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十三年五月十日(水曜日)     午後一時四十五分開議  出席委員    委員長 沖本 泰幸君    理事 加藤 六月君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 太田 一夫君    理事 野坂 浩賢君 理事 新井 彬之君    理事 青山  丘君       井上  裕君    石橋 一弥君       玉生 孝久君    井上  泉君       後藤  茂君    草野  威君       寺前  巖君    伊藤 公介君  出席政府委員         運輸省自動車局         業務部長    梶尾  清君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    高橋 昭治君         大蔵省銀行局保         険部長     貝塚敬次郎君         厚生省保険局医         療課長     三浦 大助君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部業         務課長     吉末 幹昌君         運輸省自動車局         参事官     松井 和治君         運輸省自動車局         整備部車両課長 丹羽 一夫君         運輸省航空局監         理部長     永井  浩君         建設省道路局国         道第一課長   多田 宏行君         日本国有鉄道旅         客局総務課長  須田  寛君         日本国有鉄道建         設局停車場第二         課長      井上 六郎君         日本国有鉄道施         設局長     村山  煕君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 沖本泰幸

    沖本委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  交通安全対策に関する件、特に新東京国際空港における安全運航確保に関する問題について、明十一日、参考人として、新東京国際空港公団理事千葉博君及び航空安全推進連絡会議議長黒川忠雄君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 沖本泰幸

    沖本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 沖本泰幸

    沖本委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上泉君。
  5. 井上泉

    井上(泉)委員 まず最初に、私は、国鉄にお尋ねするわけですが、最近踏切事故というものは逐年減少の方向にあるのか、それとも増加をしておるのか、横ばいなのか、その点まず伺いたい。
  6. 村山煕

    村山説明員 お答えいたします。  踏切事故は、この数年全国的に見ますと件数が非常に減ってきております。
  7. 井上泉

    井上(泉)委員 全国的に減っておる傾向の中で、土讃線における踏切事故等については増大をしておるように私は思うわけですが、数字的にどうなっておるのですか。
  8. 村山煕

    村山説明員 先生指摘のとおり、全国的にはかなりの件数が減ってきておりますけれども土讃線につきましては一昨年に比べまして昨年は件数がふえまして、一昨年の九件に対しまして昨年が十五件になっております。
  9. 井上泉

    井上(泉)委員 その原因はどこにあって、その対策はどうあるべきかということを検討されておるのかどうか。
  10. 村山煕

    村山説明員 踏切事故原因でございますが、一般的に申しますと、その踏切立地条件でありますとかあるいは保安設備がどうなっておるかとか、また、その線路列車回数道路交通量踏切の見通し、構造あるいはそこをお通りになります通行者心理状況とか、また安全意識の問題とか、そういったもろもろの事柄が絡み合っておると思います。  御指摘土讃線踏切事故は、昨年はかなりの件数ふえたわけでございます。このふえました原因につきまして、私どもいろいろと勉強をしておるわけでございますが、しかし、たとえば土讃線一種踏切とかあるいは三種踏切とか、そういう安全設備装備状況について見ますと、必ずしも土讃線全国に比べましてあるいは同じ四国の島内のほかの線に比べまして特に見劣りがするというものではございません。大体平均並みにいっておるところでございます。したがいまして、土讃線に特に事故が多いということにつきまして、これだというはっきりした原因がいまのところつかめておりません。しかしながら、事実としてそういう事故がふえておるわけでございますので、さらに安全設備をふやすとか、あるいは通行皆さん方安全通行について御協力をお願いするとか、そういった努力を続けておるところでございます。
  11. 井上泉

    井上(泉)委員 いま局長の言われた点を私は信頼をして、踏切改良等安全対策についてはこれを見守っていきたいと思うわけです。局長みずからもその原因についてはまだこれがという決め手はないと言っても、全般的な関係土讃線状況というものから見ると踏切事故防止に対する対策というものが不十分ではないか、私はこういうふうに思うわけです。  昨年の十一月だったと思うのですけれども聾唖者バスからおりて踏切を横断しようとするとそのまま列車が来て死亡した事故とか、それから数日前にも小型貨物自動車踏切で進行中の列車の下敷きになった。これは、ドライバーが一たん停止を怠ったとか、あるいは警報機も鳴っておる中でそれに気づかなかったというドライバー自身欠陥もあると思うわけですけれども、そこにはやはりそれなりの対応の仕方というものもあったのではなかったかということも考えるわけです。  土讃線全体の線路状況から見て無人踏切というものがもう数限りなくあるわけですから、そういう点についての安全対策、いわゆるミラーをつけるとか、いろんなやるべきことが多いと思うのです。全国的には踏切事故が減少しておる、その中で特異的に土讃線踏切事故がふえておるということは、これは土讃線の沿線の者の根性が悪いと言えばそれまでですけれども、そうじゃないと思うのですから、そういう点について局長になお一層総点検をお願いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  12. 村山煕

    村山説明員 いま先生の御指摘のとおりだと私どもも考えております。  それで、実は五十三年度から政府踏切保安設備に対します助成金もつけていただくことになっております。したがいまして、そういう助成金も有効に活用をいたしまして具体的な施策を進めていくつもりでございます。  ちなみに御参考までに申し上げますと、来年度、この区間で、従来ちんちんだけついておりました三種踏切遮断機をつける、一種化と称しておりますが、こういうものを七ヵ所進める予定にしておりますし、さらに従来何も設備がなかったいわゆる四種踏切一種にする、遮断機のついた踏切にするということも三ヵ所を考えております。また、遮断機はつかないけれどもちんちん警報機はとりあえずつけるというところも五ヵ所考えております。  このような施策を積極的に進めまして悲惨な踏切事故防止するように今後とも努力をしていくつもりでございます。
  13. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひその方向でひとつ安全対策を強化していただくように強く要望しておきたいと思います。国鉄に関する質問は以上で終わるわけですが、よろしくお願いします。  次に、私はいままでも何回となくダンプカー土砂等輸送による過積みの問題というものについて指摘をしてまいったわけでありますし、それについてはその都度、適切ではないけれども、適当な答弁をいただいてきておるわけです。そういう中で、たとえば貨物自動車六トン車の場合でも、従前は、六トンの車であるけれどもこれは十トン積んでも大丈夫ですよ、こういうメーカー宣伝の中に、六トンのダンプカーであっても十トン積んでも平気、それが十五トン積み、二十トン積み、あるいは八トンで二十トン積むというようなことになっておるわけですが、こういう自動車積載一定基準、六トンとか八トンとかいうものと、実際積んで走るもの、こういう貨物自動車の場合と、バス等にも定員というものがあるわけですが、バス定員が六十人としてあるのを八十人積んでも百人積んでも、あるいは電車の定員が三百人であってもそれが五百人乗っても別段定員オーバーとかなんとかいうことで問題視されない。事故があったときにバス等の場合には特に問題に取り上げるわけですけれども、平素は余り問題にしないわけです。こういうトラックの過積みというものは、六トンと決めたところの基準というものが何にあるのか、それが七トン積み、八トン積んだらどういう点で道路交通上安全が阻害されるのか、そういう点についての説明というものがきわめて不十分であったわけですが、その点をバス等定員、そしてトラック重量制限、これとを並列して御説明願いたいと思います。
  14. 丹羽一夫

    丹羽説明員 お答えいたします。  私の担当しておる範囲自動車ダンプの問題でございますので、その範囲の物の考え方とそれから積載量算出方法というようなものを御説明したいと思います。  ダンプカーといういわゆる土砂等を運搬する大型車につきましては、実際の荷台というものがございまして、荷台容積というものから積載量を算定しておりまして、その最大積載量というものと、それから荷台容積——深さ、高さと長さ、幅というものを掛け算したもので容積が出てまいりますが、最大積載量荷台容積で割りましてその数字が一・五以下であるというような場合は、これは過積載を助長するものとして保安基準上はバツ、だめということに決めてございます。これは道路運送車両保安基準で、その実施に当たっては、車検場ダンプの深さ、長さ、幅というものを荷台を全部はかりまして、それを計算して、それから従来設計上これは何トン積みまでというような形で出てきているその数字との突き合わせをして、その数字が一・五未満のものは過積載のおそれありという形で保安基準違反するものというふうに考えております。
  15. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは、荷台容積で過積量を決めておって、車の力によって過積量を決めておるというのではないわけですか。
  16. 丹羽一夫

    丹羽説明員 ただいま御説明しましたのは荷台容積から出てまいります。しかし、先生指摘のような車の強さというものにつきましては、たとえば六トン積みのものを六トン積んだときに十分安全で運べるようにということになりますと、たとえばダンプのような場合ですと、平たんな道路ばかりじゃなしに悪路だとか建設地、また山岳地を走りますので、そういうときの衝撃振動に耐え得るようにということで、少なくとも二倍ないし三倍の安全率というものを設計上とってございます。したがって、正常な運転をするときの安全率というものを掛けて設計いたしますので、それは二倍、三倍積んでも大丈夫だということじゃございません。しかし、実際に物を設計するときに、六トン積みのときに六トン五百積んだらそれでぼきんと折れるということになりますと、悪路でインパクトといいますか、でこぼこ道を走ったときに衝撃を受けるとすぐに壊れるというようなことのないように安全率を掛けてございますが、いわゆる正規といいますか、善良な設計と善良な使用というものを前提にして安全率を掛けてございますので、そういうものがもし悪用されますと、たくさん積んでそれでやはり振動衝撃から来る荷重値が大きくなりますからどこか部材にひびが入るというような場合が出てございます。そういうときにまたそれは欠陥車だというような御指摘を受けて弱い車だというような形になってまいりますので、安全率は大体三倍をめどにして設計されておりますが、それは三倍積んでも大丈夫だというためじゃなしに、悪路走行のための衝撃係数というようなものを考えた上で設計基本理念の中に入れてあるということで、実際に三倍積んでくださいということじゃないと思いますので、先生が御指摘になりましたメーカーよけいに積めますよというような宣伝をしているということであれば、それはきわめて不穏当である、かように考えております。
  17. 井上泉

    井上(泉)委員 バス等定員トラックダンプカー重量制限とは同質のものだと思うわけですけれども、これはやはり異質のものですか。バス等定員というものもそういう安全を尺度に定めたものであろうと思うわけですけれども、そうなればバス定員を厳守させるとかいろいろな問題の対処の仕方というものを考えなければいかぬじゃないかと思うのですが、これは異質のものですか。
  18. 梶尾清

    梶原政府委員 お答えをいたします。  直接の御答弁になるかどうかわかりませんが、自動車乗車定員につきましては、道路交通法令等によりまして、道路運送車両法に基づく当該自動車定員を超えて乗車させてはならないということになっておるわけでございまして、バスにつきましても適用されておるところでございます。ただその取り締まりにつきましては、そう四角四面に取り締まらないということで従来やってまいっておりまして、運輸省としましてもラッシュ時の円滑な輸送確保等の社会的な要請もございますので、これらを考慮しながら安全運行確保に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  19. 井上泉

    井上(泉)委員 その四角四面にということでありますけれども、やはりバス等についても定員による運行というもの、せっかく定員を定めたのに、四角四面ではなしに、一遍もバス定員をオーバーしておるからこれは違反だということで摘発されたことを聞いたことがないのですが、バス定員をオーバーした乗客を積んでおった場合に、これを違反として摘発したことはあるんですか、ないですか。
  20. 梶尾清

    梶原政府委員 警察当局からお答えをいただくのが本筋かと存じますが、定員をオーバーして乗車しているものにつきましては、いままで取り締まりの対象になったことはないのではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
  21. 井上泉

    井上(泉)委員 時間がないので、この点についてはまた別の機会に論議をしたいと思うわけですが、そこで車両課長にまたお伺いをするわけです。  荷台容積によって積載トン数ということですが、一時はそういうことであったがために、実際の枠と同じくらいの高さの差し枠をして運行しておるような状態があって、それも差し枠違反であるということでやめさせて、それからさらにダンプカーから土砂が飛散しないように積み荷シートで覆って走るということに今度はしたわけですけれども、今度は逆に、そのシートを利用してよけいに積んで走る、外に見えないからぽっこりかぶせてよけいに積んで走るというような状態も見受けるわけですが、そうした問題についてはどういうふうに過積防止指導をなさっておるのか、その点について御説明を願いたいと思います。
  22. 丹羽一夫

    丹羽説明員 お答えいたします。  先生が御指摘のように、四十年代の前半というものは、いわゆるダンプ規制法というものが生まれてまいりますきっかけになるようなダンプ荷台改造というものも頻繁に行われていまして、そういう差し枠の禁止だとか、それから横だとか後ろに高あおりをつけるというような形の荷台改造をなくするように指導してまいりましたが、四十八年の保安基準の改正によりまして、差し枠とか高あおりをつけることは保安基準違反になるということをはっきりと明確にいたしまして、法規制したわけでございます。その後、土砂等の運搬をする場合に、荷物の性質上走行に伴って積み荷が飛び散るという問題、それから砂をこぼして歩くというような問題もございますので、これは保安基準上の規定ではございませんが、道交法上の御指導によりまして、そういうものが飛散するのをやめるようにということで、シート等を使って覆うというような形の御指導があったと思います。それをたまたま先生が御指摘のようにてんこ盛りにするための押さえに使うというような形は、きわめて本来の目的から反する使い方でございまして、従来ダンプあたりでは、おおむねの話で申し上げますと、水平ぐらいに積むというのが大体ダンプ積載量になるかと思いますので、それで飛散しないような形にシートをかけるというのが通常の使い方かと思いますが、実態的にはシートを利用してたくさん積むという者が出ております。これは警察当局ともいろいろ街頭指導または街頭取り締まりということで、うちの陸運事務所の職員も一緒に出まして警察取り締まりを励行しておるところでございますが、いまだそういう者が横行しているということもございますので、今後ともそういうシートを悪用して過積みをするということのないように、その指導を徹底してまいりたいと思います。
  23. 井上泉

    井上(泉)委員 ダンプカーの過積み問題等については、自重計を取りつけるということもこの委員会でも論議をされ、その中で自重計をつけることも義務づけられてきたようでありますけれども、しかし実際その自重計が功を奏しておるかどうかというと、私は大変疑問だと思うわけです。そういうことから考えても、過積みの問題については警察取り締まりに一任するということではなしに、建設運輸総理、それぞれの所管において対処しないと、過積みによるダンプカー事故防止は困難だと思うわけですが、これ等についてこれら当局はどういうふうに対処されておるのか、簡単にひとつその対策をお聞きしたいと思います。
  24. 高橋昭治

    高橋説明員 お答えをいたします。  ダンプカーの過積載違法運行につきましては、従来この委員会においてもその原因等につきましてはいろいろ言われているところでございますが、重層下請構造を特色とするこの業界の経営の形態であるとか、あるいはダンプカー事業者零細性等がその大きな原因となっているのではないか、私どもはそのように考えておるわけでございまして、昨年度及び五十一年度におきまして、通産省、運輸省労働省あるいは私ども総理府におきましてその実態調査を行っているところでございます。総理府調査は、ダンプカー運転者そのものに対する面接調査、それからダンプカーを使います事業所に対する調査、この二つから成ってございますが、これらにつきまして現在その詳細を調査し、これを取りまとめ中でございます。総理府といたしましてはこういった実態調査の成果を踏まえまして、関係省庁協力のもとに有識者によるダンプカー事故防止対策懇談会を開催いたしまして、総合的な対策の検討を行っているところでございます。
  25. 井上泉

    井上(泉)委員 このダンプカー問題等についてはまだ論議を続けたいと思うわけですけれども、時間の関係上、私はここでタクシーの問題について……。  私、先ほどこれを質問する前に運輸省業務部長タコグラフをお見せしたわけですが、一日二十四時間のタコグラフを見てみると、実際休んだ時間というものは断続的に二時間足らずしかない。こうした走行状態の中でタクシー運転者というものは非常な過労を強いられておるわけですが、今度は過労を強いておるということと、その一面歩合制に移行する傾向が今日タクシー業界ではまだ増加をしておる。歩合制に移行するというと、今度はタコグラフがあると問題だからということで、何かのときに証拠になるから。これはこの前列車追突事故踏切事故を起こしたときにも、そのタクシーにはタコグラフをつけていなかったがために、どれくらいの速度で走っておったのか非常に問題になったわけですが、こういう走行状態運転手を走らせておるということ、これをどうお考えになるのか、そしてかなり歩合制に移行しておる傾向が非常に強い、それがためにタコグラフを取り外してやらせておる、こういうことについて運輸省の方ではどう考えておるのか、承りたいと思います。
  26. 梶尾清

    梶原政府委員 お答えをいたします。  タクシーの安全な運行確保いたしますためには、運転者過労勤務をしていただくわけにはまいらないわけでございまして、私どもとしましては自動車運送事業等運輸規則過労防止規定を設けまして厳重な監督をいたしておるところでございます。  それで、いま先生指摘タコメーター関係でございますが、タクシー運行の安全を確保いたしますために、先ほど挙げました運輸規則の二十一条の二の一項の規定に基づきまして「交通状況を考慮して陸運局長指定する地域」、これは現在全国で十五地域ございますが、その地域にあるタクシー事業者に対しましては、運行記録計、いわゆるタコメーターでございますが、これを装着をして運行状況を記録させるように義務づけておるところでございます。それ以外の地域につきましてはタコメーター装着を義務づけてはおりません。その事業者におきましては、運行管理あるいは労務管理の適正を期すためにタコメーター装着をしてやっておるのが実態でございます。先生いま御指摘のような無理な勤務をさせるということがタコメーターにはっきりあらわれてくるわけでございまして、できるならば指定をしない地域につきましてもタコメーター装着することが望ましいのではないだろうか、かように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても私どもとしましては、運転者過労防止と、それから一方におきまして刺激的な歩合給制度を採用しないで運行の安全を期するように関係事業者を十分監督してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  27. 井上泉

    井上(泉)委員 部長答弁、およそ私は了解をするわけですが、このタコメーターをつけるということ、神風タクシー運行を防除するためにこうしたものが設置をされ、そうしてそれが一定の効果を上げておることは事実である。ところが、今日この指定以外のところではこのタコメーターをつけないで走るということでも何も違反がないということであるが、私は、ごく一部の地域にそういうことをせずに、やはり大事なお客さんを運ぶタクシー業者には地域指定という枠を超えた全体的な指定方向に検討すべきではないかということ、さらにはまた、歩合制に移行しておるという現状を踏まえて、中小タクシー業者給与実態調査というようなものを調査をされたことがあるのかどうか、その点あわせて御答弁を賜りたいと思います。
  28. 梶尾清

    梶原政府委員 お答えをいたします。  タクシー事業者給与体系あるいは給与実態等につきましては、労働省当局におきまして全般的な調査をされておるところでございます。私どもとしましては労働省と緊密に連携をとりまして、刺激的な給与によりまして事故に結びつくというような事態のございませんように、労働省とよく打ち合わせをしながら事業者指導監督に努めてまいりたい、かように考える次第でございます。
  29. 井上泉

    井上(泉)委員 いまそういうことを全国的にやることは非常に手数がかかって大変だと思うので、私は、統計の抜き取り調査のような式で、高松陸運局管内の高知市のタクシー業者労働者賃金状態、そういうのを調査をしていただきたいと思うのですが、どうですか。
  30. 梶尾清

    梶原政府委員 お答えをいたします。  労働省とよく打ち合わせまして、その御指摘ございました市の実態を把握できますように努力をいたしたい、かように考えます。
  31. 井上泉

    井上(泉)委員 以上で自動車関係のことについては終わります。  次に私は、自動車保険のことについて若干質問をいたしたいと思うわけでありますが、その前に、いろいろと自賠責の強制の限度額引き上げについては委員長初め各理事さんの間でもずいぶん検討なされておるということをお聞きをしておるわけで、先ほどの理事会でもこの問題について各党の理事方たち政府関係者を交えて慎重に討議をなされたようにお聞きをするわけです。その辺のことについて、委員長が今日この限度額引き上げ問題についてどういう対処をされてきておるのか、ひとつ政府当局との交渉の経過等について、委員長が承知をしている内容等について御説明願えれば幸いですので、この点委員長にきょうの理事会等での討議内容等お聞かせ願いたいと思います。
  32. 沖本泰幸

    沖本委員長 井上委員に申し上げます。  いままで当委員会初め各委員会において、各党の先生方から自賠責について熱心に御質問されたので、本日の理事会において、運輸省及び大蔵省に対し、自賠責の限度額の引き上げ等の問題について質問したところ、両省より次のようなとりあえずの説明がありました。  一 死亡、後遺症の限度額については千五百万円を二千万円をめどに引き上げる。  二 傷害の限度額については百万円を百二十万円をめどに引き上げる。  三 日程は自賠責審議会などとも絡み確定的なことは言えないが、七月一日をめどとする。  四 保険料率は原則として据え置くことといたしたい。ということでございます。
  33. 井上泉

    井上(泉)委員 ただいま委員長の御説明を承って、大変御苦労なさったことにつきまして深い感謝を申し上げるわけであります。ぜひともこの七月一日をめどということを一日も早く実施をしていただきたいということと、そうして傷害の限度額についても、これは百二十万円ということになっておりますけれども、実際傷害における補償というものについては、絶えず被害者が嘆くわけでありますので、その点についてはなお一層努力していただくように要望しておきたいと思います。本当にありがとうございました。  ところで私は、自動車事故に係る保険金詐欺事件ができてくる要素というもの、保険業法の第七条に「保険会社ハ生命保険事業ト損害保険事業トヲ併セ営ムコトヲ得ズ」こう規定されておる、つまり同種の保険が、生命保険会社と損害保険会社との両方で販売されておるのはおかしいじゃないか、こういうように思うわけですが、傷害の保険等についてこの種の保険が生命保険なのか損害保険なのか、この点をまず私はお伺いをするわけで、やはりここには生命保険の持つ役割りと損害保険の持つ役割りとは法的にも明らかに区分をされておるのが、最近はどうもこれが混同しておる。だからこの両方を使って保険金を詐取する、こういう傾向があるんではないか、そしてこれはまた民間の保険会社だけではなしに郵政の扱っておる簡易保険の場合にもこれによる保険金詐欺というものが発生をしておる事実もあるわけなので、私はこの点について保険部長の見解を承りたいと思います。
  34. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答え申し上げます。  御質問のありましたような保険契約が生保、損保いずれに属するかという問題、これは従来から古い問題でございますが、根本的な原因は保険業法に生命保険事業と損害保険事業というのの定義がありません。したがいまして、われわれはもっぱら商法の保険契約に関する規定でございますとか社会通念等によっていずれに属するか、どちらの事業に行わせるかということをやっておるわけでございます。御承知のように商法には生命保険、損害保険契約それぞれの定義がございますが、いま問題になっておりますようものはいわば両方の規定でカバーできない第三分野と言われております保険契約に属するものでございます。そこで商法の規定はそれといたしまして、具体的な運営に当たりましてはやはり一番必要なのは契約者のニーズがどこにあるかということと、それからどういうふうに運営したら一番実情に即するか、もっぱらそういう観点から運営する必要があるわけでございます。したがいまして、具体的には保険金が定額であるか、実損てん補的であるか、あるいは保険事故の客体がどういうものであるかということで、それらに照らしまして、生命保険事業として扱うか、損害保険事業として扱うか、個別に判断しておるわけでございます。
  35. 井上泉

    井上(泉)委員 そこらを個別に判断をして扱うということになっておるようですけれども、実際そういう扱い方というものが加入者の判断によって、これはひとつ生命保険の方からこの療養費をもらおう、いやこっちは自動車保険の方から療養費をもらおうというような形になっておるのが現状なので、この点を何かルールを決めるようなことを、判断とか一定基準を決めるようなことをなされてはどうかと思うわけですが、その点いかがでしょう。
  36. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 まことにおっしゃるとおりでございまして、この間の調整、いわば生損保の分野調整ということにつきましては、先生おっしゃいましたように両業界が両方とも営業いたしますと非常に混乱を起こしまして、一番困るのは契約者ということになりますので、私どもは、古い話でございますが昭和四十年代にある一定のルールを決めまして、販売面と内容面でルールを一応決めております。  具体的に申しますと、販売面におきましては、傷害保険の販売につきましては、損保は特に制限しないが、生保は単独商品としては販売しない。それから疾病保険につきましては原則として生命保険が行って、損保はその当時販売をされていた特約以上には拡大しない。それから内容面でございますが、傷害、疾病保険の内容につきましては、生命保険は先ほど申しましたように定額的、損保は実損てん補的ということとして、それぞれの特色を発揮してお互いに混乱を起こさないようにというようなルールを決めておる次第でございます。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 自動車事故の場合、濃厚診療、過剰診療というものがあるということがさきの委員会でも認められて、私もそれについていろいろと質問をしたわけですが、そうした問題について運輸省やあるいは大蔵省当局もこの点の対策を考えておるというように聞いたわけです。これは治療費を適正化するためにも大いに結構なことでありますので、今後も積極的に推進してもらいたいと思うわけです。  あのとき、私はもう一つの点は、すなわち自賠責の保険と健康保険の診療単価が非常に違う。ところが厚生省からは、自賠責の診療単価についてはあずかり知らぬからということで、厚生省はいわゆる関知せざるということで、それで運輸大臣はそのときに、そうしたことは大変問題だからひとつ十分検討せにやならぬ、こういうようなことを言われたわけですが、厚生省は、自分のところでやっておることは自分のところでやっておることで、これは正当であるから、何ぼ自賠責の診療単価が違っておってもあずかり知らぬというような形で放置をするのか、やはり自賠責の診療単価も健康保険の診療単価も同じような単価としてやるのが、私は保険としての使命ではないかと思うわけですが、厚生省、どうですか。
  38. 三浦大助

    ○三浦説明員 健康保険の診療報酬は中央社会保険医療協議会の議を経て決めておるわけでございます。そこで、ただいま、厚生省の方はあずかり知らぬかと、こういうお話でございますけれども、私ども、診療報酬の改定を、一年半ぐらいの期間で改定しておるわけでございますけれども、その間にいろんな新しい技術が非常にできてまいりますが、どうしてもこの新しい技術は次の診療報酬改定があるまでなかなか取り入れられないわけでございます。たとえば脳に断層撮影というのがございますが、これは交通事故で頭を打ったような場合にはどうしても使わなければならないようなレントゲンの機械でございますが、今度の診療報酬改定、ことしの二月に行ったわけでございますが、ここでは健康保険の中に入れましたけれども、いままでは自由診療としてやっておったという関係もございますので、自賠責の方は、健康保険から見ますと自由診療になりますので、これは三万円から五万円ぐらいとっておった。ところが健康保険の方では、これはいままで使えなかったわけでございまして、そういう差がかなり、診療報酬が非常に高いという方の影響があるかと思いますが、厚生省としましては、あずかり知らぬということではなくて、新しい技術もどんどん健康保険の方に取り入れていこうという姿勢はとっておるわけでございます。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは厚生省にさらにお伺いするわけですが、自賠責保険の診療単価となぜ違うかということをあなた検討したことがあるのかどうか。検討しておるとするならばなぜ違うのか。厚生省はそうだが、今度は自賠責は新しい診療報酬というようなものを研究してないのか、その点ひとつ……。
  40. 三浦大助

    ○三浦説明員 私どもの方は健康保険の診療報酬は決めておりますけれども、そのほか公害も単価が違いますし、労災の方もまた単価が違うわけでございます。したがって、そちらの方はまたそちらの方でおやりいただいておりますので、特に私の方でそれらの比較をしたということはございません。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことはあずかり知らぬということと同じことじゃないですか。やはり保険業務で医療処置を受けるもので自賠責の方はこういう単価になってこうなっておる、これはどういうことか、厚生省はこうだがと——この前運輸大臣は、これはひとつ検討せにゃならぬ、こういう答弁をなさったわけですが、やはりあずかり知らぬという態度と同じじゃないですか。自賠責による診療単価はなぜこういう単価になっておるのか、これはやはり医者の診療報酬を管理監督する厚生省としては、これはあずかり知らぬ態度で、おらんくはおらんくという方針でいておるということをあなた自身いま告白をされたわけじゃないですか。あずかり知らぬということでなしに、ひとしく国民である、ひとしく国民である以上そうした同じ医療を受ける場合にもこんなに診療単価が違うようなことでは困る、そういう疑問がわかないのか。そしてその問題を解決するような気持ちが起こらぬのかどうか。どうですか。
  42. 三浦大助

    ○三浦説明員 これは自賠責だけでなくて労災あるいは公害関係の診療報酬もございますけれども、私どもが値上げをいたしますと、それにつれてそちらの方もまた値上げをするということでございまして、そちらの方が非常に高くなるとまた診療報酬を上げなければならぬということもございますので、私どもは国民の経済力を勘案しながら、物価、人件費等の上昇率等とも見合って診療報酬を決めておるわけでございます。したがって、他省のことまで余り私ども口出しもできませんので、あずかり知らぬという態度でなくて、私どもは健康保険の診療報酬単価を決めておるということでございまして、よその方が高過ぎるからということは余り私の方で申し上げたことはございません。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 これは幾らあなたに言ったところで始まらぬことかもしれぬわけですけれども、日本の医療行政を担当する厚生省の医療課長でありまするから、だから労災における診療単価がこうであって、そして自賠責における診療単価がこうである、厚生省の社会保険の診療単価はこうである、たとえばその三つを並列して、それらの問題点をあなたが検討したりするようなことは当然あなたの業務としてもやるべきことではないか、こういうふうに思うわけですけれども、そんなことはやる業務でない、厚生省の所管のことだけ医療行政もやっておればそれでよい、こういうことですか。
  44. 三浦大助

    ○三浦説明員 自賠責の方は言ってみれば自由料金になるわけですから、これは一律の単価ということはあり得ないと思いますが、私の方は健康保険で診療報酬を決めておるということでございます。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたは日本の医療行政を担当しておる医療課長という大切な職務におるわけですから、これは国民の側にとってみれば厚生省の所管であろうが運輸省の所管であろうが大蔵省の所管であろうが労働省の所管であろうが、同じ治療を受ける場合に診療単価が違い、そしてまた薬の支給方法が違ったり、これは医者の判断によって薬の中身は違うかもしれぬけれども、少なくとも診療報酬というような診療単価については同一性であるべきが本来の合理的な姿だと私は思うわけなので、その点なお検討しておいていただきたいと思います。いずれまた次の機会にこの問題については質問したいと思います。  最後に、若干時間が超過して、委員長、まことに申しわけないのですが、自賠責保険の支払い基準に相当するものの中で運輸省政府保障事業の損害てん補基準を定めているが、これは被害者に重大な過失がある場合には減額を行うという、つまり自賠責保険と同じように過失者に対する一つの相殺を行っておるわけですが、ところがどうも実際の保険会社がやっておるよりも、無保険者やひき逃げによって死傷者が出た場合には被害者に過失相殺が非常に厳しい。これはむしろ被害者側に立った場合には被害者の過失はゼロにして、過失相殺というものは運輸省の保障でやる場合にはもっと保険会社よりも率がよくなければいかぬのに、反対に非常に相殺が厳しい現状にあるわけですが、これはどういうことですか。
  46. 松井和治

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  政府保障事業は、ただいまお話ございましたとおりひき逃げあるいは無保険者による事故に対しまして加害者が負うべき損害賠償責任、これを政府がかわって負担する、そしてその後で政府がそのてん補金額につきまして加害者に求償をする、こういうたてまえになっております。したがいまして、そのてん補額といいますものは加害者が民法の責任原則に基つきまして賠償の責めを負う額、その額に限定されるべきであるということでございますので、被害者の過失の程度によりまして裁判基準に準拠いたしまして過失相殺を行っておる、要するに求償できる額をてん補する、こういう考え方をとっておるわけでございます。  ただいま先生の、保償事業というのは無保険とかひき逃げというようなものによって被害を受けるのだからむしろ保険以上に過失なしで考えるべきではないかという御指摘は大変重要な問題でございまして、いわゆるノーフォールト保険というような方向を示唆されたものというふうに私ども考えておるわけでございますが、それは現在の加害者の損害賠償責任をてん補するという現行制度を基本的に改めるという問題につながりますので、今後慎重に検討させていただきたいと考えております。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 慎重に検討するということは、被害者の損害補償についてもっと温かい措置をとるという方向で検討されると理解をしておっていいのですか。
  48. 松井和治

    ○松井説明員 先般も別の委員会で別の先生からも同様の御指摘がございまして、自賠責保険を災害保険化する方向で検討しないかという御指摘があったわけでございます。これは私どもも非常に重要な検討課題であるというふうに考えておるわけでございますが、ただいまも御答弁申し上げましたとおり、民法の責任原則というものをいわば変えるという非常に大きな問題でございますので、慎重に検討させていただきたいということを申し上げたわけでございまして、もちろんその方向先生の御指摘方向で考えるという意味でございます。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひひとつ善処してもらいたいと思うわけです。  そこで、私は大蔵省の方に再度お尋ねするわけですが、損害保険の任意保険につきましては大蔵省も非常に積極的にこれを普及さすような運動をとられておるわけなので、それでだんだん任意の保険というものも増加しておるというのが現状ですが、幾ら強制が上がったといっても任意保険というもの、これに加入させるようなことをしないと命の代償としてはなかなか十分なものができないので、この点をなおひとつ大蔵省も積極的にやっていただきたいということ。ところがその中で任意の自動車保険の支払い基準というものがさっぱりわからないわけです。これは極端な例ですけれども、八十二歳の老人がトラックに触れて転倒して亡くなった。そうすると強制は千五百万であっても実際は六百万しか払われない。これはその金額の多少がどうこうということではなくても、これが四十歳の者であっても、任意の保険というものに三千万掛けてあるからといって、三千万がそのまま入るわけではなしに、いろいろな支払い基準というものに基づいて出されておるわけですが、こういう支払い基準というものを公開するとか何らかの方法で、任意の保険の支払いはこういう方法で支払いがされますからあなたたちもぜひひとつ任意に加入して、強制だけで被害者、加害者の間で紛争の起こらないようにやったらどうですか、こういう善意ある行政の対応として支払い基準というものを何らかの形で公開するような方法はとられないものかどうか、ひとつ大蔵省の見解を承りたい。
  50. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 お答えいたします。  お尋ねの支払い基準というのは四十八年にできまして、その後改定を経て今日まで来ているわけでございますが、公開につきましては各方面からいままでいろいろ言われておりまして、われわれといたしましても損保業界指導して何とかならないかということを言っておったわけでございますが、その内容をいろいろ聞いてみますと、業界の言い分は、どうもこの基準業界が部内で使用することを前提として決められていて表現が専門家的過ぎるから、公開した場合には一般の誤解を招きやすいということを言っておるわけでございますが、それならば専門的なものを少しやさしく手直しして一般に公開できるようなものをつくったらどうかということで指導してまいりまして、実は作業がほとんど終了しております。本日の先生の御質問を契機にいたしまして、これを一層促進いたしまして速やかに公開するようにこの席でお約束いたします。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 ぜひひとつお願いしたいと思います。  そこで最後に、交通事故被害者の救済対策に関連して財団法人の交通事故紛争処理センターをつくった、私はこれは非常にいい財団だ、こう思っておるわけです。ところがこの運用の経費というようなものがほとんど自賠責保険の運用益から出されておるということであるが、やはり予算として、自賠責の運用益から支出されるというのであるけれども、せっかく従来の任意団体から公益法人に組織替えしたわけだから、資金としてはなるべく広範囲からこれを募るべきではないか。若干の金額でもいいが、やはり国の予算措置等によってもこの財団法人の運営というものをもっと権威つけるということが必要ではないか。それで五十三年度は無理としても、五十四年度あたりからはぜひこのセンターに若干の補助金なり寄付金なり何らかの名目で計上すべきではないか、こういうように思うわけです。この点について大蔵当局の御答弁をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 貝塚敬次郎

    ○貝塚説明員 実は、交通事故紛争処理センターの件は自賠責保険ではもう十分にいたしておりますが、今後ともわれわれはその件で可能な限りやりますが、財政当局でございませんので、保険部長としてはこのくらいの答弁で御勘弁願いたいと思います。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 これをやるのは運輸省ですか。それなら運輸省……。
  54. 松井和治

    ○松井説明員 紛争処理センターにつきましての五十四年度の補助金のお尋ねでございます。所管官庁は総理府でございますので、当然総理府の方からまた御相談があろうかと思います。私ども自賠責の運用益全体の効率的な使用という点の配慮をいたしまして、関係省庁と十分協議して対処してまいりたいと思います。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
  56. 沖本泰幸

    沖本委員長 次に寺前巖君。
  57. 寺前巖

    ○寺前委員 最近、障害者が飛行機に搭乗される状況というのもずいぶんふえているようです。たとえば障害者の運賃割引利用状況の面から乗っておられる数字を調べてみますと、全日空が四十九年度千四百八十七名、五十年度八千七百七十七名、五十一年度一万一千三百三十九名、五十二年度二万二百九十名というふうに飛躍的に運賃割引の利用状況というのがふえております。日本航空の場合を見ても、四十九年度二百七十名であったものが四千九百九十名と飛躍的なふえ方をしております。東亜国内航空を見ましても、四十九年度四百八十八名あったものが四千五百六十二名。これは航空機の今日置かれている事態というのが公的輸送機関という性格の方向に向かって流れてきているという事実をこの数字自身も示しているというふうに思うわけです。  ところで、最近私のところに重度障害者の航空運賃問題について訴えがありました。この方は愛知県の豊橋市広小路三の四の二、新堂広志さんという五十六歳の方です。生後三ヵ月ごろから小児麻痺で寝たきりの生活です。特製の車いすで七十六歳になる秀子さんというお母さんの介助のもとに日常生活を送っておられます。障害度一級で生活保護を受け取っての生活であります。  ことし一月の終わりですが、沖繩で教研集会がある。そこで一年ほど前から食べる物も節約をし、着る物も節約をして旅費を準備して、この教育研究集会の障害者の部門の研究に参加したいということで準備をされました。一月二十五日に愛知県小牧飛行場から沖繩那覇までを全日空のジェット機で飛んでいかれた。このときの障害者に対する取り扱いがこれでよかったのかという問題について、私は話を聞かされながらつくづく感じましたので、きょうはこの問題についてお聞きをしたいというふうに思います。  問題は何かといいますと、まず飛行機に乗ろうということで手続をされます。手続をされたのは日本旅行社大阪大正営業所に切符を依頼されたわけですが、御本人は、一月十八日ごろだったとおっしゃるのです。日本旅行社が全日空大阪営業所に、こういう人たちの旅費はどうなるでしょうかと問い合わせをやったら、本人は九席、付き添いは別席で買ってくれという返事を受けたというのです。この新堂さんは前に飛行機に乗ったときには六席分を確保しなさいということを言われた。ところが今度は九席分を確保しなさいというふうに言われる。そうすると旅費はずいぶん計算が違ってくるので大変だ、おかしいのじゃないのですかということをあえて日本旅行社に言ったら、旅行社の方もよくわからないから、とにかく切符はそういうふうに手配しましたので、乗る際に全日空小牧営業所で聞いてください、間違っていたらそのときに返却してもらってくださいという返事だった。一月二十五日に小牧の営業所で、自分の体験を含めて、おかしいのではないですかということを言ったら、これで間違いございませんということを口頭で言われたというわけです。それではどうも前と違うなと思いながら飛行機に乗っていったら、この介護についていかれたお母さんが、せっかく九座席とってあるのだから、その座席に座ろうとしたら、スチュワーデスの方から、あなたは別なところへ行ってくださいと言われて別席に座らされた。何で九座席もとっておかなければならぬのだろうか。それについてもおかしいのではないか。沖繩に行ってから京都の向日が丘養護学校の高屋という先生にこの話をしたら、おかしいですねということでこの教研集会障害児分会でこれが話題になりました。それで気の毒だというのでみんながカンパを集めてひとつ会社の方にも問題を提起しようではないかという論議になった。その論議に基づいて四月二十九日ごろに全日空の那覇の営業所にこの問題を持ちかけていったら、職員の人が規則や運輸省の通達でそうなっていますということで、これまたそういうことなのかなということになった。現地の新聞にもこの行動について取り上げられて話題になったようです。     〔委員長退席、太田委員長代理着席〕 お帰りになってから障害者の全国組織の障全協の事務局長さん、吉本さんという人が、全日空本社営業本部に、これはどう見たって理解をすることができないということで問い合わせをやられたようです。しかし、その結果も理解ができないままに終わっているという状況で、五月九日の日に私のところにこの問題について持ち込まれてきたわけです。  一体どれだけのお金がかかったんだろうか。全員で合計、学生ボランティア三名を連れていったものですから、四十五万三千九百円かかった。普通の往復でしたら四万九千百八十円で済むものを。しかも、これはみんな団体割引でしたら一人当たり三万九千円が旅費であるものを、団体と違うと四万九千百八十円かかるというのです。一人の人が那覇へ行こうというのだったらそれだけかかる。ところが、この御本人が一人で行けないものだから、お母さんと学生ボランティアさんがついてくれるさかいにすごい金がかかって、やっとこさ現地に行くことができた。これだけのお金をつくるんですから大変なので、こういうような集会に、飛行機を使って行かなければならぬようなところは、私はもうここ五、六年は行けそうもないということで御本人非常に嘆いておられるわけです。  私は、こういう事実から二つのことを感ずるわけなんです。  一つはこの料金で、これは航空会社当局あるいは運輸省自身に、障害者がどこかへ行こうと思ったならばこれだけのお金が取られるものかどうか、障害者対策というのはそこに入っているんだろうかどうか、疑問に思うから、一から計算どうなっているんだか、計算の書類を見せてくださいと言わざるを得ないわけですよ。計算の方式上これは問題はなかったのかどうか、これが一つです。  それから第二番目に、その計算方式について旅行者が計算をすることができない。相手に間違いありませんかということを聞くだけであって、どういう計算方式をさせてもらったらいいのかということについて、何にも計算の基準になるものが見せてもらえない。ですから、疑問のままに済んでいる。こういうやり方を許しておくのかどうか。これは第二番目に感ずる問題です。途中でいろいろな人が相談に入って、言いに行って、間違いございません、通達がそうなんですと言われて、すごすごと帰ってこなければならないままになっているわけだけれども、この計算方式がこれで間違いなかったのかどうか。何の点検をすることがだれもできない。これは第二番目の問題です。  それから第三番目に、九座席を確保しなければ障害者、一級の障害度の方は旅行できないというこの事態について、構造上改善をすることはできないのか。あるいは料金のつけ方においても改善する点はないのか。日常生活においても障害者というのは普通生活以上にいろいろ出費が伴う条件にある。ところが、収入の側は人さん以上にぐあいの悪い状態にあるのが普通です。とすると、障害者対策というのはそれこそ政治的に処理をしなければならない要素があってしかるべきだ。これが飛行機を使っての旅行ができない状況をつくっているわけだから、その点について障害者対策としてこれでよかったのかどうか、検討することはないのか。これは第三番目に感じました。  第四番目に、国際的に一体どうなっているのか。世界どこでも障害者というのはこういう扱いできているのか。こういうことについてどういうふうに研究されているのか。  私は、さしあたってそういう点について御説明をお願いしたいと思います。
  58. 永井浩

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございました名古屋の新堂さんの件につきましては、事実でございます。  まず第一番目に、料金がおかしいではないか、運賃がおかしいではないかということでございますけれども、これは明らかに航空会社あるいは代理店の計算間違いでございまして、窓口が言ったような内容の通達等があるわけではございません。旅客規則におきまして計算いたしますれば、明らかに取り過ぎの運賃だということで、この点まことに遺憾に存じております。  それから旅行者が独自で計算できるようなシステムになってないではないかという点でございますけれども、基本的な運賃につきましては比較的わかりやすい掲示等がございますけれども、特殊な運賃料金につきましては、一応の規則は備えつけておりますけれども、なかなか一般の方の目に、あるいは利用しにくいという形であることも、これは事実だと思います。このようなことがあってはいけないと思っておりますので、こういった身体障害者の方の特殊な料金とかそのほかいろいろございますけれども、そういったものについてももっとわかりやすい、場合によってはしおりとかパンフレット、特殊な料金についても何か考えていきたい、このように考えております。  それから重度の身体障害者の方は担架に乗って搭乗されるわけでございますが、御承知のように飛行機は非常に機内が狭いわけでございまして、結局担架を利用いたしますと、担架だけで六座席を占めます。それで、たとえば本件に該当しましたボーイング研の場合には、その隣の三座席、合わせて九座席というものはどうしても一般の利用客の利用ができない、こういう状態になっております。そういったことで現在の中型程度のジェット機では特別なルームをこしらえるとかスペースを用意するというのは構造上無理であるというふうに考えておりますけれども、御指摘のように身体障害者の方の利用が非常にふえているという現状にかんがみましてなお検討さしていただきたいと思っております。  それから外国の身体障害者に対するこういった関係はどうかという御質問でございますが、私どもいま手持ちに資料がございませんので、ちょっとお答えできない状況でございます。
  59. 寺前巖

    ○寺前委員 それじゃ、取り過ぎがあったということをお認めになったわけですが、どこで、どういう取り過ぎの誤りがあったのか、事実を説明してください。
  60. 永井浩

    ○永井説明員 本件の場合に、当該身体障害者の方、新堂さんと、それからお母さんを含めました付き添いの方四名の方が搭乗されたわけでございます。  それで、正しい運賃の適用をいたしますと、当該身体障害者と付き添いの方一名につきましては運賃の二五%引きになります。それからその他の付き添いの方については、この場合には三名になりますが、普通運賃、それから三番目には、先ほど申し上げましたように担架が六座席占めますので、そのうち一座席分は当該新堂さんがお使いになる。残りの五座席分を、これはデッドスペースになりますので、普通運賃の五〇%を収受する、こういう規定になっております。これで合わせて五名の方を入れますと、往復で三十七万八百二十円の運賃になるわけでございます。  ところが、代理店で計算間違いいたしましたところは、まず、身体障害者並びに付き添いの一名の方の運賃の二五%の割引を計算しなかった。それで五名全部に普通運賃で計算をして収受したということ、それからデッドスペースになりました五座席を七座席の計算間違い、こういうことで合わせて四十五万三千九百円、こういう計算間違いをしたわけでございます。これは明らかに計算ミスでございまして、まことに遺憾なことだと考えております。
  61. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、全面的に構造上もそれから計算上も再検討をしていただきたいということを−−さっきも部長さんもおっしゃいましたから、それは引き続いてやってほしいのですが、現行のもとでも解せないのは、九座席を確保しなきゃいかぬ、寝たままですから、少なくとも、普通常識から考えても、三座席くらいでいかぬのかな、こう思います。たとえそれが六座席にしてもですよ。そうするとあと三座席がある。この残三座席、これはもう障害者用のスペースとして最低とっている以上は、そこに付き添いがつかれたならば、その付き添いの人については、スペースそのものはもう特殊な確保をしたんだから、もっと安い料金にしてしまう、特別にそんな措置ぐらい緊急にとれないものだろうか、いまのままにおいても。どうもそこのところが解せない、いまのやり方自身においても。  ですから、構造上抜本的に見直す問題と、それから、将来、付き添いなしには行けない障害者に対しては、今度は飛行機全体の料金の中から云々という問題じゃなくして、障害者対策としていかにあるべきかという問題を抜本的に研究してもらうという課題と、そしてさしあたっての対策問題と、この三つに分けて改善をしてもらう必要がある。少なくともいまの中自身においても、私は、障害者対策それなりのあり方を考えてもよさそうに思うのですが、部長さん、この問題を通じてそういうことをお感じにならなかっただろうか、もう一度お聞きをしたいと思います。
  62. 永井浩

    ○永井説明員 三つのカテゴリーに分けて検討せよというお話でございました。  まず第一番目に、私どもすぐ検討いたしたいと思いますのは、いま申し上げましたデッドスペースに付き添い人が乗った場合の運賃をどうするかという問題だと思いますが、これは早急に検討いたしたいと思っております。  それから、構造上の問題につきましては、これは現在の在来型の航空機ではちょっと無理だと思いますが、今後大型機等が導入された場合に、そういったことが可能であるかどうか、安全上問題がないかどうか、そういったことも少し時間をかけて検討させていただきたいと思います。  最後に、大きな意味での福祉対策。現在のところは、航空機利用者の相互扶助というような形で運賃割引が行われておりますが、そういった全体の福祉対策の上で見直したらどうかという御指摘でございますが、これにつきましては、関係省庁とも相談して検討いたしたいと思っております。
  63. 寺前巖

    ○寺前委員 なおこの際に、この人自身に対して御迷惑をかけたことは事実だ、否定することはできない。御迷惑をかけたことに対しての措置は現実にどうされたのか。  それから、先ほど、利用者が計算をすることができなかったことに対して、パンフなりリーフなりお話がありましたが、直ちに——この人の場合には、何回も何回もいろいろな人が問題提起したけれども、明らかにならなかった。私のところへ来て、国会でこれはどうしても明らかにするという過程の中で初めて計算違いが明らかになってきている。そうすると、多くの人たちが同じ犠牲の状況の中にあったかもしれないし、恐らくあっただろうと言わざるを得ないと思う。だから、もう緊急にやらなければならない問題があると思うのです。現実に使われている以上は。その緊急措置としてどういうことを直ちにやられるのか、これについて説明がないと、多くの人たちは不安のままに置かれているということになると思うのですよ。その点についての御説明をいただきたいと思います。
  64. 永井浩

    ○永井説明員 本件の迷惑を受けられました利用者につきましては、きょうじゅうあるいはあすじゅうぐらいに全日本空輸の責任者がおわびに行って、しかるべき料金の払い戻しその他を措置する、このように聞いております。  私ども、こういった計算間違いによって利用者の方に大変御迷惑をかけることはまことに遺憾でございまして、早速、航空会社並びに代理店につきまして、こういうことのないように厳重に注意をいたしましたけれども、さらに今後ともそういったことがないように、さらに、仮にそういった場合に、本件のように窓口のたらい回しといったようなことのないように、十分迅速に対処できるように、私ども指導してまいりたい、このように考えております。
  65. 寺前巖

    ○寺前委員 せっかくの機会ですから、国鉄の方の障害者割引についても一言聞いておきたいと思うのです。  新幹線の「ひかり」の七号車または九号車に障害者用の施設をつくってくれました。これは「ひかり」だけになっているけれども、「こだま」に対しても検討をする必要があるんではないか。その辺は一体どうなっているのか。これが一つです。  それからもう一つは、障害者一種、二種というのですか、本人及び介護者一名の運賃は半額になっている。料金の方は、急行について介護者がついた場合のみ半額にするというふうに行われているようですが、今日、飛行機がずいぶんあまねく普及してきている段階の中において、新幹線というのもまた非常に重要な日常生活上の役割りを果たすところまで変わってきております。とすると、運賃に限らず、特急あるいは寝台などという問題についても、これはやはり障害者にとっての一つの料金上の検討課題ではないかというふうに思うのですが、国鉄としてはこの施策とこの料金の問題についてどういう検討をしておられるのか、この際に御説明をいただきたいと思います。
  66. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  まず第一点の新幹線の車両の設備の問題でございますが、いま先生指摘がございましたように、現在「ひかり号」につきましてはドアを広げましたりいろいろな諸設備をつけました車両を運用いたしておるわけでございますが、「こだま号」についてはそれがないことは事実でございます。これはちょっと、いまの「こだま号」の車両のドアの拡幅その他が、構造上非常に問題がございますので、まだ手についていないわけでございますが、反面、「ひかり号」につきましては、新製車両等投入いたします機会にこの工事をいたしましたので、たまたま「ひかり号」は全部そろって「こだま号」が一両もないという非常にアンバランスを生じているわけでございます。  御指摘のように、「こだま号」につきましても、体の不自由な方の御利用ということは十分今後も考えられるわけでございますので、「こだま号」もたまたま車両の取りかえ時期が近づいてまいっておりますので、車両の取りかえの都度、「こだま号」につきましても大体現在の「ひかり号」と同じような設備をつける方向で今後検討いたしてまいりたい、かように考えております。  ただ問題は、駅のエレベーター問題とかそういうふうな設備の関連も必要でございますので、なかなか一挙にというふうにまいりませんが、次第に、これはなるべくその方向で進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点目の割引の問題でございます。  これも、御指摘のように、現在、重度の身障者の方の急行料金だけ半額割引の制度がございますが、特急料金については割引制度がないことは御指摘のとおりでございます。  ただ問題は、当方の財政事情が現在、御案内のように、非常に窮迫した状態になっておりますので、現在いたしておりますいろいろな割引につきまして、政府の御指導もいただきながら、現在総合的な見直しを行っている最中でございまして、割引のあり方あるいはその負担方等につきまして見直しをやっておる段階でございます。したがいまして、ちょっといまの段階で、先生指摘のように特急料金に割引を広げるとか、現在の割引をさらに拡大をしてまいるということは非常にむずかしい情勢でございますので、そういったような情勢、特に財政事情からそういう状況でございますので、その辺は御了承賜りたい、かように思うわけでございます。
  67. 寺前巖

    ○寺前委員 障害者対策という角度から、この問題についてはひとつ再検討をしてくださることを要望しておきたいと思います。これで障害者問題についての質問は終わります。  せっかくの機会ですので、私の地元の問題について一、二点お聞きをします。  京都市内に日本海側から入る路線といえば、京都の場合には国道九号線と国鉄の山陰線の二本がそのルートになるわけです。しかも、最近これがベッドタウンという性格を持って、勤労者がずいぶん国道九号線と山陰線を利用するという状況に変化が起こってきて、そのためにこの輸送路線が大変な混雑をしてきております。国道九号線の交通量調査を見ても、五十二年五月、六月の段階で、一日上下で二、三万、八月になると海水浴客がこれに加わって三、四万ということになってきて、朝の通勤のときなんか非常に大変なものです。  この間うちも、私朝ちょっと立って見ておりましたら、一年前には、京都市のすぐ隣にある亀岡市の人が、八時の勤務につこうと思ったら七時ごろ出ないとだめなんですと言って、普通でしたら二、三十分で行けるところが、一時間はかかるという状況でした。それが最近では、七時ではもうだめなんだ、六時半でなければ、一時間半かからなかったらば峠を越すことができないという大変な事態が一方で起こってきている。また国鉄の側から見ても、亀岡−京都間にある馬堀という駅なんかはホームが非常に短い、たくさんの人が乗る、詰まってくるという事態が現実に生まれてきている。  こういう状況の中で、九号線について、京都側におけるところの拡幅予算が今年度十三億四千万円でしたか、組まれたりして行われておりますが、問題は、この事態を大体いつごろからめどをつけて、どういう事態にするかというめどがなければ、現実にあそこで生活している人間はたまったものではない。公的な、片一方は輸送機関だし、片一方は道路ですから、この二本しかないという姿を見たときに、それなりの計画的なめどを早く立てなかったらいかぬのではないか。  この問題について皆さんもよく御存じですから、私は長々は質問をすることは避けまして、九号線について言うならば、この峠を越すところの作業はいつになったら方向づけを明確にさせることができるのか、私ははっきりしなければいかぬと思うのです。ことしじゅうにめどを立てて、計画を何年ぐらいのつもりでやるのだとかめどを立てなかったら——いや、それはやる必要ありませんよというのなら、やる必要ありませんということを明らかにされたらいいと思う。国鉄につきましても同じように、私はあそこについて地元の計画がどうのこうのというようなこともいいですよ。大体、地元との話し合いも、いつをめどにして区切りをつけて工事計画をどういうふうにやっていく、立てていくとか、それなりのめどをしっかりと確立することが住民に対する、これらの所管する分野における一つの任務ではないか、そういうように思いますので、まず九号線の方から御説明をいただきたいと思います。
  68. 多田宏行

    ○多田説明員 お答えいたします。  九号線が非常に混雑しておるという先生の御指摘はそのとおりでございます。大体、府下の一般国道九号は、京都市内及び福知山市内のそれぞれ一部を除きまして二車線でございます。それに対しまして、交通量が二万とか、極端な場合三万というような状況にありますので、非常に混雑しております。  それで、この混雑を解消するために、京都市内から丹波町、この間約三十五キロほどございますけれども、この区間につきまして沓掛の拡幅それから老ノ坂のバイバス、亀岡のバイバス、八木のバイパス、園部のバイパスというような事業を計画しております。このうち、京都市の入口の方から、整備が非常に急がれておりますところの沓掛拡幅につきましては、五十二年から用地買収に着手しておりまして、第八次道路整備五ヵ年計画中には仕上げたいという目標で事業を促進することとしております。そのほかの部分につきましては、現在実施調査の段階でございますが、今後早期に供用を図るために有料道路の制度導入等も検討の上、緊急度の高い区間から順次に整備を促進していく予定でございます。     〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
  69. 寺前巖

    ○寺前委員 実施調査に入るという分野ですが、片一方の方は八次中には完了させていきたい。問題の、ラッシュになっていく、そっちの方は大体どういう方向でやっていくかというめどは今年じゅうに立てるのか立てないのか、こういう方向でいくのだということをぴしっと決めてしまわないと——それがいま求められている重要な課題だと思うのです。何とはなしに話はずっとだらだら来ているわけですから、たとえば、来年度予算を要ていきたいとか、それまでに関係方面とも話を詰ていきたいとか、それまでに関係方面とも話を詰めていきたいとか、何かそこのそれなりのけじめ求するに当たって、その前に基本方向を打ち出していきたいとか、それまでに関係方面とも話を詰めていきたいとか、何かそこのそれなりのけじめがあってしかるべきではないのだろうか。私そう思うのですが、その辺はどうなっているのですか。
  70. 多田宏行

    ○多田説明員 沓掛の拡幅につきましてはただいま御説明したとおりです。それから、それに続きます老ノ坂から亀岡にかけてざっと九キロほどになるかと思いますけれども、その区間につきましては有料制度導入をも検討をいたしまして、できますれば明年度の概算要求時点までに、こういうシステムを使ってやっていこうじゃないかという詰めを図りたいと考えております。  それから先の問題でございますけれども、都市計画決定という手続がまだなされておりませんので、府、市、町の皆さんと協議をしながら、五十三年度には都市計画決定のための予備設計という調査を鋭意進めてまいりたいと考えております
  71. 寺前巖

    ○寺前委員 山陰線の方はどういうことになっているか御説明いただきたいと思います。
  72. 井上六郎

    井上説明員 お答え申し上げます。  山陰線の、特に京都口の輸送が非常に混雑してきておる状態については先ほど先生指摘のとおりでございます。ただ、山陰線の輸送需要につきましては、実は四十年ごろに非常に混雑をしてきておったわけでございますが、その後一度下降線をたどりまして、それからまた漸増してきたという状況でございまして、現在、先ほど御指摘のありましたように非常に混雑をしてきておる状況でございます。  それから、園部から奥の方につきましては、ほとんど横ばいといったような状況がここ数年見られておる状況でございます。御案内のとおり、京都口につきましては非常に狭小なトンネルが多くございますし、それからまた、京都口付近では、道路との交差など、都市整備と密接に関連する事項が多うございます。したがいまして、昨年の六月でございますが、山陰本線複線電化促進協議会専門調査委員会というのが発足いたしまして、こういった計画について、どういうふうに計画をするのが一番よかろうかということで、学識経験者並びに関係自治体の方々、もちろん国鉄も、関西の駐在理事室を初め、福知山管理局並びに大阪鉄道管理局、また工事局等の人間が出てまいっておりまして、いろいろ検討をしておる段階でございます。今後の問題でございますが、財政的には現在非常に国鉄は苦しい状況でございますので、果たして今後どういうふうにということになりますと、ここで私が明確に考え方等を御説明できる状況ではございませんが、その建設の基本になる事柄につきましては、ただいま申し上げました委員会、協議会等で順次固めつつある状況でございますので、そういったものの進展を見ながら、今後の推進といいますか決定が下されることになろうかというふうに考える次第でございます。以上でございます。
  73. 寺前巖

    ○寺前委員 その関係自治体との間に相談する場合には、いろいろ計画上の問題もあるし、財政も含めての話になってくるだろうと思いますけれども、大体、現状のこういう事態を解決するためには、いつごろまでに話の詰めをやろうではないかというめどを持って仕事をしなかったら、関係者の間はそれで済んでおるかしらないけれども、住民との関係においてはらちが明かぬということになるではないか。私は、そこが行政をやる側にとっての重要な課題になると思う、国鉄だけに言うわけにはいきませんけれども。だから、そこらを大体いつごろをめどにして、この話を一定方向を打ち出していく方法を考えていきたいというふうに考えておられるのか、そこを聞きたいと思う。
  74. 井上六郎

    井上説明員 これは先ほども申しましたとおり、その計画自体について、都市整備の計画というものと非常に密接に関係いたしております。特に京都−嵯峨間等につきましては、すでに住宅がほとんどすき間がないくらい密集しておる状況のところでございまして、こういったところにおきましては、単に国鉄だけで絵をかいてみましても、実現性のない、絵にかいたもちといいますか、何ら意味のないものになってしまうことがございますので、昨年、そういうふうに地元の関係の方々と、実現性のある計画というのはどういうものなのかということでいま進めておりまして、これは、私どもの方としては、鉄道施設という点から見ますればこうせなければいかぬということで、過去に大体、いわゆる計画の基本になる概況の測量までは、航空写真の撮影までは全部終わっておりますので、あとは自治体関係の方々の御協力を得て進めるということより、ちょっと方法がございませんので、ここでいつまでということは、ちょっと私自体としてもはっきり申し上げかねるような状況にございますので、その点、御了承をお願いしたいと思います。
  75. 寺前巖

    ○寺前委員 時間も来たようですから終わりますが、国道といい、鉄道といい、これは公的な輸送機関の重要な部門を占めますので、住民との関係では、やはり一定方向づけを、めどをしっかり立てながらやってくださることを要望して、終わりたいと思います。
  76. 沖本泰幸

    沖本委員長 次回は、明十一日木曜日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十六分散会