○寺前
委員 最近、障害者が飛行機に搭乗される
状況というのもずいぶんふえているようです。たとえば障害者の運賃割引利用
状況の面から乗っておられる
数字を調べてみますと、全日空が四十九年度千四百八十七名、五十年度八千七百七十七名、五十一年度一万一千三百三十九名、五十二年度二万二百九十名というふうに飛躍的に運賃割引の利用
状況というのがふえております。日本航空の場合を見ても、四十九年度二百七十名であったものが四千九百九十名と飛躍的なふえ方をしております。東亜国内航空を見ましても、四十九年度四百八十八名あったものが四千五百六十二名。これは航空機の今日置かれている事態というのが公的
輸送機関という性格の
方向に向かって流れてきているという事実をこの
数字自身も示しているというふうに思うわけです。
ところで、最近私のところに重度障害者の航空運賃問題について訴えがありました。この方は愛知県の豊橋市広小路三の四の二、新堂広志さんという五十六歳の方です。生後三ヵ月ごろから小児麻痺で寝たきりの生活です。特製の車いすで七十六歳になる秀子さんというお母さんの介助のもとに日常生活を送っておられます。障害度一級で生活保護を受け取っての生活であります。
ことし一月の終わりですが、沖繩で教研集会がある。そこで一年ほど前から食べる物も節約をし、着る物も節約をして旅費を準備して、この教育研究集会の障害者の部門の研究に参加したいということで準備をされました。一月二十五日に愛知県小牧飛行場から沖繩那覇までを全日空のジェット機で飛んでいかれた。このときの障害者に対する取り扱いがこれでよかったのかという問題について、私は話を聞かされながらつくづく感じましたので、きょうはこの問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
問題は何かといいますと、まず飛行機に乗ろうということで手続をされます。手続をされたのは日本旅行社大阪大正営業所に切符を依頼されたわけですが、御本人は、一月十八日ごろだったとおっしゃるのです。日本旅行社が全日空大阪営業所に、こういう人たちの旅費はどうなるでしょうかと問い合わせをやったら、本人は九席、付き添いは別席で買ってくれという返事を受けたというのです。この新堂さんは前に飛行機に乗ったときには六席分を
確保しなさいということを言われた。ところが今度は九席分を
確保しなさいというふうに言われる。そうすると旅費はずいぶん計算が違ってくるので大変だ、おかしいのじゃないのですかということをあえて日本旅行社に言ったら、旅行社の方もよくわからないから、とにかく切符はそういうふうに手配しましたので、乗る際に全日空小牧営業所で聞いてください、間違っていたらそのときに返却してもらってくださいという返事だった。一月二十五日に小牧の営業所で、自分の体験を含めて、おかしいのではないですかということを言ったら、これで間違いございませんということを口頭で言われたというわけです。それではどうも前と違うなと思いながら飛行機に乗っていったら、この介護についていかれたお母さんが、せっかく九座席とってあるのだから、その座席に座ろうとしたら、スチュワーデスの方から、あなたは別なところへ行ってくださいと言われて別席に座らされた。何で九座席もとっておかなければならぬのだろうか。それについてもおかしいのではないか。沖繩に行ってから京都の向日が丘養護学校の高屋という
先生にこの話をしたら、おかしいですねということでこの教研集会障害児分会でこれが話題になりました。それで気の毒だというのでみんながカンパを集めてひとつ会社の方にも問題を提起しようではないかという
論議になった。その
論議に基づいて四月二十九日ごろに全日空の那覇の営業所にこの問題を持ちかけていったら、職員の人が規則や
運輸省の通達でそうなっていますということで、これまたそういうことなのかなということになった。現地の新聞にもこの行動について取り上げられて話題になったようです。
〔
委員長退席、太田
委員長代理着席〕
お帰りになってから障害者の
全国組織の障全協の事務
局長さん、吉本さんという人が、全日空本社営業本部に、これはどう見たって理解をすることができないということで問い合わせをやられたようです。しかし、その結果も理解ができないままに終わっているという
状況で、五月九日の日に私のところにこの問題について持ち込まれてきたわけです。
一体どれだけのお金がかかったんだろうか。全員で合計、学生ボランティア三名を連れていったものですから、四十五万三千九百円かかった。普通の往復でしたら四万九千百八十円で済むものを。しかも、これはみんな団体割引でしたら一人当たり三万九千円が旅費であるものを、団体と違うと四万九千百八十円かかるというのです。一人の人が那覇へ行こうというのだったらそれだけかかる。ところが、この御本人が一人で行けないものだから、お母さんと学生ボランティアさんがついてくれるさかいにすごい金がかかって、やっとこさ現地に行くことができた。これだけのお金をつくるんですから大変なので、こういうような集会に、飛行機を使って行かなければならぬようなところは、私はもうここ五、六年は行けそうもないということで御本人非常に嘆いておられるわけです。
私は、こういう事実から二つのことを感ずるわけなんです。
一つはこの料金で、これは航空会社
当局あるいは
運輸省自身に、障害者がどこかへ行こうと思ったならばこれだけのお金が取られるものかどうか、障害者
対策というのはそこに入っているんだろうかどうか、疑問に思うから、一から計算どうなっているんだか、計算の書類を見せてくださいと言わざるを得ないわけですよ。計算の方式上これは問題はなかったのかどうか、これが一つです。
それから第二番目に、その計算方式について旅行者が計算をすることができない。相手に間違いありませんかということを聞くだけであって、どういう計算方式をさせてもらったらいいのかということについて、何にも計算の
基準になるものが見せてもらえない。ですから、疑問のままに済んでいる。こういうやり方を許しておくのかどうか。これは第二番目に感ずる問題です。途中でいろいろな人が相談に入って、言いに行って、間違いございません、通達がそうなんですと言われて、すごすごと帰ってこなければならないままになっているわけだけれ
ども、この計算方式がこれで間違いなかったのかどうか。何の点検をすることがだれもできない。これは第二番目の問題です。
それから第三番目に、九座席を
確保しなければ障害者、一級の障害度の方は旅行できないというこの事態について、
構造上改善をすることはできないのか。あるいは料金のつけ方においても改善する点はないのか。日常生活においても障害者というのは普通生活以上にいろいろ出費が伴う条件にある。ところが、収入の側は人さん以上にぐあいの悪い
状態にあるのが普通です。とすると、障害者
対策というのはそれこそ政治的に処理をしなければならない要素があってしかるべきだ。これが飛行機を使っての旅行ができない
状況をつくっているわけだから、その点について障害者
対策としてこれでよかったのかどうか、検討することはないのか。これは第三番目に感じました。
第四番目に、国際的に一体どうなっているのか。世界どこでも障害者というのはこういう扱いできているのか。こういうことについてどういうふうに研究されているのか。
私は、さしあたってそういう点について御
説明をお願いしたいと思います。